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2013年10エロパロ325: キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44 (198) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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キモ姉&キモウトの小説を書こう!part44


1 :2013/03/10 〜 最終レス :2013/09/28
ここは、キモ姉&キモウトの小説を書いて投稿するためのスレッドです。
○キモ姉&キモウトの小説やネタやプロットは大歓迎です。
愛しいお兄ちゃん又は弟くんに欲情してしまったキモ姉又はキモウトによる
尋常ではない独占欲から・・ライバルの泥棒猫を抹するまでの
お兄ちゃん、どいてそいつせない!! とハードなネタまで・・。
主にキモ姉&キモウトの常識外の行動を扱うSSスレです。
■関連サイト
キモ姉&キモウトの小説を書こう第二保管庫@ ウィキ
http://www7.atwiki.jp/kimo-sisters/pages/1.html
キモ姉&キモウト小説まとめサイト
http://matomeya.web.fc2.com/
■前スレ
キモ姉&キモウトの小説を書こう!part43
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1345041048/
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。
■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません

2 :
一乙

3 :
>>1
スレ立て乙です。
「あなたがいないなら何もいらない 第5話 飛翔する我欲」投下させていただきます。
なお、筆者は名古屋弁を知りませんので、作中の名古屋弁は実際に使われているものとは関係ありません。

4 :
 それからしばらくして、清次は件のクラークと一緒に汗を掻いていた。
 二人とも下着姿である。
 彼は首筋に口付ける。
「清次さん、キスマークが残ったら……」
 だが、発する最中から、抗う声に力がなくなっていった。
 後ろに回り、乳房を揉みつつ、右首筋へのキスを継続する。
 荒々しくはないが、大胆に、奔放に。
 女は、呆気なく快楽へと堕ちていった。
 やがて、彼女は上気した顔で自らの発情を伝える。
「でらええがや」
(ヤってる時は名古屋弁になるんだな)
「ここも濡れてるぞ」
 周りと違う色になったクロッチを指でなぞる。
「おべんちょもねぶりゃあ」
 そう言われ、彼はショーツの中に手を差し込み、クリトリスを弄りだした。
「ここはもう津波じゃないか」
「それをいうなら、津波じゃ、なくて、洪水、だがや…」
 弄るほどに愛液の量は増し、溢れんばかりになっている。
「1兆5000億の借財があるのに何が減税党だ、我欲を洗い流す必要があるな」
「みゃ、あっ…」
「どんどん演繹していくと、どうなる? 日本がEC入ってたらECから追い出されるよ、ユーロ使えないよ」
 某都知事が乗り移ったかのような言葉責めを交えつつ、その手の動きも早くなりつつある。
「受け止めろっ!」
 清次は一際激しく手を動かし、彼女は達した。

 彼女は四つん這いとなって男を受け入れている。
 対する清次は、当初は後背位で入れていた。
 やがて、挿入したまま、180度回転し、足が地から離れ、腕立て伏せをするようにして下腹を尻に叩き付け出した。
 ヘリコプターとも称されるスタイルだ。
「みゃ、みゃ、みゃあ、あっ!」
 清次は彼女の上で、ホバリングをする時のローターのように、腰を上下させていた。
「はっ、はっ、今度、本物のヘリにも、乗せてやろうか……!」
 その内、彼は逆立ちしたようになり、足は天に向かって真っ直ぐに伸びた状態で女に挿れ、海老反りながら腰を動かしている。
 金の鯱。
 特に難易度の高いとされる体位である。
「はあっはあっはぁっ……!」
 さしもの清次も体力をいささか消耗している。
 とはいえ、このようなアクロバティックな体勢を保っていられるのは、やはり百戦錬磨の彼であればこそである。
「みゃ、みゃ、みゃあ、みゃあ、みゃああっ!」
 結合部の水音が段々と大きくなりはじめてきた。
 ぐちゅっ、ぬぷっ、ぐちょっ……
「清次さん、うち、もう、イくがね!」
 快感を剥き出しにした叫び。
 それを聞いた彼は力を振り絞って、今まで以上に腰の速度を速める。
「お、れ、もだ、……もう、イくぞっ!」
「みゃあああああああっっっっっ!」
 一際大きな声で女が叫んだのと同じ瞬間、彼の腰と陰茎は、盛大に爆ぜていた。

5 :
「今日は本当に何から何までありがとうございます」
「ああ」
 一戦を終えた二人は、初めて本当に休憩していた。
 というか、体力がもたなかった。
「おいしい料理をご馳走になりまして、下の口でも……」
「俺の金玉袋は点心と同格扱いかよ」
「ネックレスも買っていただきまして」
「ああ、君にとっては、お安くはないんじゃないかな、君の勤め先のあの中華屋と一緒で」
「ええ、まあ」
「なら一宿一飯の恩義もあろうな」
 清次はそういって写真を渡す。
「あんたが昨日見たのはこの女か?」
「これ……」
「どうした?」
 彼女が息を呑むのが分かった清次は、その意味を訊いてきた。
「これ、山崎雅……」
 それは、この地、名古屋が生み出した、メスカープロダクションが誇るゴリ押……売り出し中のファッションモデルの写真であった。
「え、ええっ、ああ! 違う違う! 間違い間違い!」
「でも、これ、その……」
 そういって彼女が見せたものは、所謂ハメ撮りであった。
「あっ……、
 いや、アイコラアイコラ! 友達からアイコラ写真を押し付けられたんだって!」
 そのように取り繕い、慌ててその写真を回収し、亜由美の(もちろんまともな)写真を押しつけるように渡した。
「これだよ。
 この女。昨日来ていた女はこの女だったか?」
「いえ、違いますね」
 ある意味、予想通りだった。
 誰かが亜由美に成り済まし、本物を高層階から落とした犯人がいる。
 その現実が、ほぼ確実な事実としてそこに出現してきた。
「どんな女だった?」
「若い女性で、そこそこ雰囲気は似ていると思いますが、もう少し吊り目気味で、鼻は高くて、唇は薄くて、面長で、セミロングくらいだったかと」
 ふんふんと一言ごとに、彼は頷いていた。
「全然違うじゃないか」
「私じゃなくて警察に言ってくださいよ。
 それに、この写真と比べれば、という話で、そんなに違ってませんよ」
「そうか、ありがとうな。
 また名古屋に来た時には一緒に楽しもう」
「ええ」

6 :
 警察署での取り調べを終えた篠崎夫妻と操は、一旦帰京することとした。
 名古屋駅で篠崎夫妻が券売機に並んでいる間、清次が操に話しかける。
「俺はヘリで来たんだが、帰りはお前も便乗しないか?」
「なら、お父さんとお母さんも」
「いや、2人で少し話をしたい」
「わかった」
 操が首肯するのを見て、清次は篠崎夫妻に声をかける。
「ちょっと所用がありまして、帰りは操くんと私の秘書の3人で帰ることになります」
「そうか。じゃあ、ここでお別れだね」
「気を付けて。体は大切にね。食欲がなくてもちゃんと食べなきゃだめよ」
「ありがとうございます、お父様、お母様。お元気で」
 改札を抜け、歩廊に消えていった夫妻を見届けた操、清次と赤城は、ヘリポートに歩き出した。

 ウイロウプラザのシースルーエレベーターに彼らは乗り込んだ。
「ここから、落とされたんだな、亜由美は……」
「あまり考えるな」
「ここから、飛び降りようかな」
「そんなことを言うな。亜由m……篠崎も、悲しむぞ」
「わかっている。ただ、ちょっと耐え切れなくなっただけだ」
 展望の良いこのエレベーターも、今の彼にとっては心の毒でしかなかった。

7 :
「誰か、こいつじゃないか、という奴はいないか」
 離陸とともに、清次は操に訊きはじめた。
「恨みを買うことなんて、絶対にない」
「ないだろうな。お前はあいつだけだからないだろうが、俺だったら元カノなり何なりが嫉妬を抑えきれずにして、なんてのも一応は考えられるだろうが、俺のタレ(女)にそこまで業の深い奴がいたかどうか」
「キヨにとっては以前の恋人の一人、ってだけだ。わざわざされるだけの理由はない」
「だよな。あとは、篠崎の親御さんか、俺とお前かな。警察が、名目だけでもリストアップする容疑者のラインナップは」
「馬鹿な。亜由美をすくらいなら、俺は生きてはいない」
「俺もソウはそうだろうと思うが、それは主観さ。客観的な証拠にはならない」
「それに、俺とキヨは、姉貴の誕生日パーティーにいた。アリバイはある」
「ああ、その点翼さんには感謝だな。じゃなきゃ、俺までしを疑われる破目になっていた」
「おい、まさか」
 険しい顔になる操に、清次は静かに語りかけた。
「確かに俺は女と揉めることはあるさ。でも、それはタチの悪い奴だ。俺から一文でも多くカネを巻き上げようとするゴールドディガー。
 あいつはいい奴だった。俺を強請るつもりはなかっただろうし、実際ネタを確保したりもしてなかっただろうな」
「じゃあ、誰が……」
「それをこれから暴くんだろう。もっとも、警察はこのまま葬るつもりだろうから、それを荒らすのも容易なことじゃないだろうが」
「そんなこと……、させるか!」
 清次は満足げに大きく頷いた。
「よし、じゃあ忠告、といえるほど大したことでもないが、一つ言っておこう」
「何だ?」
「言おうかどうしようか迷ったんだけどな。
 翼さんには気をつけろ」
「姉貴がか?」
「勘だけどな。でも、偶然にしてはタイミングがよすぎるだろ」
「何のタイミングだ」
 関係のない話を始めるかのように、清次は調子を変えて聞いてきた。
「ソウ、一つの会社を支配するには、その会社の株式の何パー確保すればいいと思う?」
「? 過半数、か?」
「普通はそう考えるよな。でも、任期の途中で役員を解任するには、3分の2が要る」
「それが、どうかしたか」
「ここでようよう本題に繋がるわけだ。
 翼さんは厚重(厚木重工業)の70%の株を保有している。
 そして成人に伴って親権に基づくその株の財産管理権が外れ、議決権を自分の意思で行使できるようになったのは、まさに篠崎がされたその日だ」
「そんな、偶然だろ。それを推測だけで」
「でもそんな偶然、そうそう起こるものかね?
 偶然、翼さんがソウに一人で来ることを指示し、偶然、篠崎が一人になった状況で、偶然、翼さんが成人して半川家の資産そのものともいえる企業を掌握した日に、偶然、翼さんとソウのアリバイのある状況で、篠崎がされたわけだ」
 そこまで言われた操は、押し黙る。
「偶然、という都合のいい言葉は往々にして悪事の隠れ蓑に使われる。
 その言葉だけで万事を片付けると、思考力は少なくて済むが、解決する事件も解決しなくなる」
「そう、だな……」
「それと、昨晩、ソウが戻ってから、翼さんが電話をかけてきた」
「えっ、固定電話にか?」
「お前はともかく、俺が名古屋にいて、八雲製薬の名古屋支社にいたことを知っていたということだ。
 携帯にかけて繋がらなかったから、そっちのほうにかけたんだろうよ」
「本当か?」
 そう言って、操は電源を切ったままになっていたMEDIAS N-04Eを立ち上げた。
「うわ……」
 それぞれ100件以上の着信とメールがあった。
「ほう、これはすごいな」
 そのまま、彼は再び電源を切った。
「俺らは翼さんに監視されていると思っていいだろう。
 そこまでする、となれば、疑われても仕方あるまい?」
「ないと思いたいが」
「俺もそう思う」
 儀礼的な返事の後、思うところを述べ始める。
「この件の帰趨はこれから追っていけばいい話だが、今や、厚木重工業は、翼さんが支配している。
 それだけは変えようのない事実だ。
 まあ、人の忠告は素直に受け取っておくもんだぜ。
 こっちはお前を貶めて得することなんか何もないんだから」
 ヘリの窓には、東京の街並みが映りだしていた。

8 :
今回はここまでです。

9 :
こいつ、ひょっとして某スレの風見じゃないのか?

10 :
GJ
ミャーで笑ったw

11 :


12 :
投下します。

13 :
―――昼休み
「ここの水族館はすごいキレイなんだよ〜」
「へー…」
「魚の種類も豊富で―――」
昨日の夜からアサネの様子がおかしい…。
そのことにコン太は気付いていた。
しかし何処がおかしいのかというと…、それはコン太にもわからなかった。
恐らく周りの人にもわからないだろう、というような些細な変化だ。
今朝も起きた時、挨拶をしてくれたのだが…。
「(………何か今までより…、わからんなー)」
「コン君、聞いてるの?!」
「え、…あぁゴメン」
「何か悩み事でもあるの?」
「うぅん、大丈夫だよ」
「……ならいいけど。それでコン君は何処に行きたい?」
「そうだねー…」
二人は日曜のデートプランを立てていた。
その様子を見る人影に気付くこともなく―――

「コン君、今日は一緒に帰れそう?」
「ん、うん帰れ―――」
「コン太君、ちょっと用があるから部室まで来て」
「えっ?!!」
「あっ?!」
キオナがコン太の首根っこを掴み、さらっていった。
「ど、どうしたの、大久那さん」
「話があるのよ」
「え?」
「早狩さんのことで…」

14 :
アサネは今日も一人で家に帰ってきていた。
「あらアサネちゃん。お帰りなさい」
「ただいま、叔母さん」
「今日もコン太君と一緒じゃないのね。喧嘩でもした?」
「……やだなぁ、叔母さん。たまたまですよ」
そう、たまたま―――
アサネは自分自身に言い聞かせていた。
部屋に戻り、いつもの現実逃避に入る…。
アサネは本来、自慰をする回数は少なかった。
一か月に一回あるかないか、という頻度だったのだが―――。
昨日から今日の朝方に掛けて、五回以上はしていた…。
しかし、いくらしても心の寂しさは埋められなかった……。

「コン太君、早狩さんには注意したほうがいいわよ」
「え?!いきなり何だよ…」
「ちょっと気になることがあってね…」
囲碁将棋部の部室内にて話す二人。
キオナのいつもと違う雰囲気にコン太は只ならぬものを感じた。
「私、さっきの掃除時間で体育館裏のゴミ置き場にゴミ捨てに行ったんだけど…」
「うん」
「早狩さんとアサネが何か口論しているのを見たのよ」
「えぇ?!」
「何を喋ってるのかは分からなかったけど……」
「そんな…」
「ねぇ、アサネに何処かおかしい様子はなかった?」
「―――そういえば、昨日帰ってきたときから何か変な…」
「ホント?!」
「でも、何が変ってのがわからなかったから…気のせいかも」
「二人の間に何かあったのだけは確かね」
「もしかして…喧嘩?」
「そういうわけだから…、早狩さんにあまり気を許さないほうがいいよ」
「そ、そうだね…」
「あと、このことも他言無用にしたほうがいいわ」
「え、それは二人に確かめたほうがいいんじゃ…」
「でも、アサネは何も言ってこなかったんでしょ?何か知られたくないことでもあるのかも…」
「んー…」
「他人が無闇に突っ込んでも、余計こじれるだけかもよ。新しい情報が入ったらまた知らせるから」
「あ、うん。わかったよ。あ!大久那さん!!」
「ん?」
「…アサ姉のこと、支えてあげて。多分男には言えないことも色々あるだろうから…」
「ふふっ、わかったわ」
―――コン太は気付いていなかった…。
ユキの掃除区域が教室であることを。
その時、彼女が一度も教室から出ていなかったことを…。

15 :
―――日曜日の朝
「おはよう!コン君!!」
「あぁ、おはよう」
コン太とユキは町の駅前に集合していた。
「一回乗り換えるけど、大きな街には30分もあれば行けるわ」
「へぇ…、意外に交通の便はいいんだね」
「私、水族館なんて小学校以来だよ!」
ユキは高揚している様子だ。
対照的に、コン太は若干テンションが低い。
キオナに言われたことがずっと頭に引っ掛かってるからだ。
「(アサ姉とユキちゃんは転校初日以来会話していないはずだが…)」
小学生のように楽しげなユキを見ていると、本当かどうか分からなくなってきた。
「コン君はどう?」
「中学のときに行ったよ。生物の見学という名目でね」
「うらやましいな〜」
「実際は遠足だったからね」
………今は考えるのは止そう。
ユキがどんな人間か、これから見極めればいい。
コン太はそう決心した。

16 :
満留跋水族館。
ここは、全国有数の水族館で半日は見ていて飽きない巨大な施設である。
「わっ!コン君、イルカだよ!!」
「キレイだねー」
「可愛い!!」
「ほら、むこうにはアザラシがいるよ」
「きゃあぁぁ〜!!」
「ははは…」
ユキは女子特有の盛り上がりを見せた。
一方、初めてのデートとなったコン太にとっては、ユキの豹変ぶりに少し引いていたりも…。
「むこうでイルカショーもやってるって!!」
「えぇーと…」
パンフレットを見るコン太。
「時間はちょっと空くね。さきにお昼にでもしようか」
「そうしましょ♪」
二人でラウンジの椅子に腰掛ける。
ユキはこの日も弁当を作ってきていた。
一方コン太は…。
「コン君は今日は…」
「今日のことはアサ姉には黙ってたんだ。毎回作ってもらっちゃ悪いしね」
「そうなんだ、…たまにはお姉さんも楽をしなきゃね」
「お!美味しそうだね〜」
「しそう、じゃなくて実際美味しいの!」
コン太は思う。
このまま、ユキと恋人の関係になれば、アサネの負担を減らせるのではないか、と。
ユキの弁当を堪能し、イルカショーを満喫した後、残りの展示スペースを歩いた。

17 :
「…うわぁ、グロい…」
「深海魚だね…」
二人は明かりが少なく、薄暗い深海魚コーナーにいた。
時間帯もあり、この辺りは人気が少なかった…。
「………コン君」
不意にユキが甘い声で囁いてきた―――
『(まぁ向こうにその気はあるよ、絶対)』
キオナの言葉が頭を駆け巡る。
ユキが身体を寄せてきた…。
上目遣いで顔を上げ、目をつむる―――
コン太は、半分混乱していた。
…同時にこうなる予感もしていた。
が、それはもっと関係が進んでからという認識だったため完全に不意打ちだったのだ。
―――一瞬迷った後、ユキの肩に手をのせる。
ビクッとユキの身体が震えた。
そして…
「―――!―――!!―――!!!」
すぐ近くで声が聞こえた。
咄嗟に身体を離す二人。
顔はお互い真っ赤だった…。

18 :
二人が水族館を出た時、既に夕方となっていた。
帰りの電車の中、他愛のない話をする二人だったが、さっきの件がありどこかぎこちない雰囲気ではあった。
駅に降り立ち、後はユキを送るだけのコン太だったが、思わぬ人物に遭遇した。
「コン?」
「ア、アサ姉?!」
買い物帰りらしいアサネと出会ってしまったのだ。
コン太は心中焦った。
今日のデートは秘密にしていたわけだから…、アサネがどんな反応するか心配だった。
しかし―――
「お帰り、まだ買い物が残ってるから荷物持ちお願いできる?」
「え?!…あぁ、いいけど」
穏やかに話しかけてきたアサネに拍子抜けしたコン太であった。
自分の考え過ぎであったのか―――と。
「あ、じゃあユキちゃん。悪いけどここで…」
「うん、今日は楽しかったよ、ありがとう」
「こっちこそ」
「…“また”コン君と行きたいな」
「う、うん。そうだね…」
「うふふ、じゃあまた明日!!」
そういって帰途につくユキ。
“また”という言葉に顔が赤くなるコン太。
つまりユキは…、自分のことを…。
ギュっ!!
咄嗟に腕を抱きかかえられたコン太。
「アサ姉?!」
「ん、どうしたの。コン?行きましょ」
「い、いやその…当たってる…」
急なボディタッチに焦るコン太であった…。

「ホントに楽しかったよ。…もう二度と離さないから。―――お兄ちゃん」
独り呟くユキ…。
当たり前だがそれを聞く者は誰もいなかった―――

19 :
投下終了です。
>8
GJ!

20 :
完スルーでありんすw

21 :
>>20
自宅警備のお仕事に一日数回のスレ確認も入ってるですねwww

22 :
>>19
GJ
雲行きが怪しくなってきましたね。続きが気になります

23 :
乙です

24 :
おっ、お兄ちゃん!?
これからの展開がますます楽しみです。
GJでした。

25 :
なにこの台本
お呼びじゃないからVIPでやれや

26 :
>>25
VIPの糞住人がなんでこっち来るんだよ気持ち悪い
さっさと巣に帰れよ臭い

27 :
GJ
姉は相変わらずの豆腐メンタルだな
妹は敵か味方か

28 :
>>19
乙乙!

29 :
GJ
お兄ちゃんとは…続き楽しみにしてます。

30 :
俺だけか?
第二保管庫でクリック以外の操作が出来なくなってるの。
PageUPもPageDownもマウスのホイール操作もドラッグもできん。
読もうと思ったときに読めないとストレス溜まるな。
前スレはもう落ちてるし、ローカルに全部落しておけば良いんだろうけど
一つの圧縮ファイルに全部まとめたような物は、…無いよな?

31 :
第二保管庫何もおかしいところはない件について
ホイールだろうがなんだろうがフツーに操作も受け付けるしな
>>30のPC側がトラブってんじゃねーの?

32 :
投下します。

33 :
「ここにこの公式を当てはめると…こうなるのよ」
ムギュ―――
「う、うん…」
「他の問題にも応用は出来るから―――」
ムニュムニュ―――
ユキと水族館に行ってから、一か月。
アサネのボディタッチは一層過激なモノへと昇華していた。
勉強だ何だと理由を付けては、コン太の部屋へ上がりこみこうして必要以上に胸を押し付ける…。
アサネの胸は決して小さくはない。
それは弟として一緒に成長してきたコン太にも分かっていることだ。
それを四六時中押し当てられては、意識せずにはいられない…。
しかし何故アサネがそんなことをするのか…、その理由がいまいちわからなかったのだ。

学校でもアサネはコン太と常に一緒にいたがった。
流石に、胸を押し付ける行為は人前ではやらなかったが。
休み時間になるごとに、コン太のクラスに赴き、一通り話すとチャイムが鳴る前に自分のクラスに帰っていく。
しかし、それを面白くないと思う者もいるわけだ。
「それで、キオナったら何て答えたと思う?」
「…さぁ?検討つかないや」
「あの…小泉さん、席どいて「これが傑作なの―――」
キーンコーンカーンコーン…
「あ、じゃあもう行くね」
「あ…うん」
「……コン君、最近お姉さんが良く来るけどどうかしたの?」
「いや、わからないんだよ。どうも最近アサ姉の様子が変なんだよ…。なんかゴメンね…席を勝手に…」
「ううん、気にしないで―――。あ、そういえばコン君。もうすぐ始まる文化祭のことなんだけどね」
「文化祭?」
小さな町ゆえに、この高校の文化祭は一大イベントであり、当日は町中の人間が集まり賑わうのだ。
「うちのクラスは何をやるか決まってないんだよね…」
「そっか…、王道で喫茶店とかは?」
「何の王道?―――ちょっと大変そうね…」
「駄目かな?」
「皆次第かな?あとでホ−ムルームで採決するから考えておいて」
「…うん、わかったよ。(アサ姉とユキちゃんが仲悪いのは本当なのかも…)」

34 :
「アサネ、最近機嫌がいいね。何かあったの?」
「ん、んふふふ…。秘密」
「なにそれー…」
「もっと早くにこうしておけばよかったなーって」
「コン太君のこと?」
「ふふふふ…」
アサネの中でコン太に対する考えに変化が起こっていた。
守るべき存在から共存する関係へと…。
少なくともアサネのなかでは―――そう思い込んでいた。
「今日の晩御飯は何にしたら喜ぶかなー?」
「………」
キオナは呆れ顔でそれを見てることしかできなかった。
いや、その裏には―――。

アサネが妄想に浸っているうちに、アサネのクラスは喫茶店を文化祭でやることが決まった。
服装は女子がバニーガールで接客する案が男子一同から提案されたが、女子と担任(女)によって阻止され、メイド風の露出が抑え目の衣装に妥協された。
ちなみに、コン太のクラスは露店での営業販売に決まった。

―――囲碁将棋部室
「というわけで、私らはメイド喫茶になったんだよね」
「へー、そうなの?うちは露店を出すよ」
「コンは料理できないでしょ」
ムギュ―――
「い、いや…調理は他の人に任せて僕は宣伝でも…」
「(機嫌がいいのはこれが理由か)コン太君はアサネのメイド姿見てみたい?」
「えっ?!」
アサ姉のメイド…。
この胸で出迎えて…、お帰りなさいませ、とか…。
「私はメイドやりたくないな。恥ずかしいし…」
「アサネはコン太君次第でしょ?で、どう?」
「…うん、見てみたい…かも…」
「ほらっ!アサネ決定ね。折角スタイルいいんだし…」
「えぇー…(まぁでもコンが言うんなら…)」
「そういえば、大久那さんはやらないの?」
「あたしは、裏で調理スタッフやらなきゃいけないのよ。こうみえても自信あるし」
「ふーん……」
コン太はキオナを見て……少し残念に思った。
ムギュゥゥゥ―――
「コン…何考えてるの?」
「えっ?!いや、別に…」
「いやらしー、コン太君…」
「そんなぁ…。―――あ、そういえば囲碁将棋部は何か出し物やらないの?」
「こんな幽霊部で何やれっていうのさ…」

35 :
―――文化祭まで前日
この時期は部活動が中止になり皆クラスの出し物に集中していた。
「テントは学校のやつを貸してくれるって―――」
「出すメニューと具材は―――」
「看板は今日中に仕上げろって―――」
放課後になるとそれぞれ自分の仕事に没頭し、学校中が騒がしくなっていた。
そんな中、コン太達も準備に追われていた。
「ど、どう…コン君…」
「…うん、似合ってるよ!」
ユキは露店の宣伝として当日は学校中を回らなければならない。
そのため目立つ恰好をしたのだが―――。
「が、学ランって初めて来たけど…不思議…」
「あとはハチマキを着けて、宣伝用の旗を持てば出来上がり!!」
「へ、変じゃないかな…?」
「大丈夫だよ、ユキちゃんは何着ても似合うし」
「そ、そう。嬉しいな、やっぱり…。ねぇコン君」
「うん、どうしたの?」
「文化祭終わったら、話がしたいから…何処か……。屋上!―――屋上で待ち合わせたいんだけど…」
「いいよ、じゃあ終わったら屋上ね」
「…ありがとう」

36 :
―――その夜
アサネはキオナからあるメールを受け取っていた。
「コン、明日の文化祭終わったらちょっと手伝ってほしいことがあるから」
ムニュ―――
「え?!…いやちょっと……」
「何?直ぐに済むからさ。文化棟の裏で待ち合わせね」
ムニュムニュムニュ―――
「(ま、まぁユキちゃんのあとでいいか…)わ、わかったよ…。でもクラスの片付けが残ってるから遅くなるかもよ?」
「しょうがないわね…。迎えにいくわ」
「(えっ?!…どうしよう)」
キオナからのメールには
『早狩さんとコン太君の仲がどうも怪しい。文化祭あたりで急接近してくるかもよ』
とあった。
それぞれの思惑が絡み秋の夜長は更けていく―――

37 :
投下終了です。

38 :
>>37
乙乙!

39 :
乙です。
文化祭は学園ものの定番ですよね。
当日どうなるか、今から楽しみです。

40 :
すまん教えてくれ下さい
昔養子で引き取られてきた男を姉妹で
虐めてたけど、男に惚れて姉妹喧嘩する
作品ってなかったっけ?

41 :
便乗します
キモ姉妹のお金絡んだSS教えてください

42 :
>>40
たぶん『傷』だと思う

43 :
>>40
もしかして嫉妬にある転帰予報かな?

44 :
>>40
>>43の転帰予報が正しいと思うわ
早とちった

45 :
いや、そんなスレじゃなかった

46 :
おいおいwww
俺もてっきり転帰予報の方だと思ってたけど傷ってのも似た感じなのかな思って読んでみたがなんじゃこりゃ!?
こっちは姉妹で主人公に過去に危害を加えたことはないって分かってちょい安心してたのにこっちの方が全然キツイなw
でも段々読んでて苦しくなるんだけど中々内容が興味深くてレベルは高いと思ったよ。好き嫌いはわかれるかなぁ?でも名作ってそういうもんよな。
ようやく良い方向に進んでいくのかと思ったら途中で終わってたw。ここまで話を練ってるなら最後までと頼みたいところだけどそれは都合とかあるからね…。

47 :
なんだこいつ

48 :
転帰予報ちょっと読んでみたけど傷の方が数倍面白いと思う
面白いというより、まず文章としてのレベルが傷の方が数段上だろ
間違えるのがどうかしている

49 :
傷す気になる所で止まってるよな

50 :
気になる所で止まってるSSが多い
もう来ないんだろうな

51 :
傷とかいうのかなり胸糞悪いなw
でもやっぱ話の道筋は結構考えられてたのかレベル高いわ。まぁそれにつっかえたから止まったのかもしれないが…。
修羅場スレとかよりはまだ望みがあると思ってはいるが難しいかな。

52 :
このスレ見てるともうどれが荒らしか区別つかんな

53 :
投下します。

54 :
「たこ焼きいかがっすかー!!」
「地元で採れた美味しい野菜を使った焼きそばあります!!」
「演劇部によるシンデレラ、間もなく第二回の公演が始まります!!」
文化祭当日。
午前9時の開会とともに町中の人間が集まってきた。
元々小さい町なのでこういったイベント事が少なく、住人にとって貴重な催しであった。
「あら、コン太君。頑張ってるわね」
「あ、叔母さん。うちのクラスの露店に寄って行ってくださいよ」
「もう行って来たわよ」
コン太の保護者である叔母も当然来ていた。おばさん軍団と共にだが…。
その彼女の手にはたこ焼きがのっていた。
同時にコン太の隣にいたユキが聞いてきた。
「ねぇ、もしかしてコン君の…」
「うん、そうだよ」
「初めまして!!コンく…じゃなくて、小泉君のクラスメイトの早狩ユキといいます!!」
「初めまして。あなたのことはよくコン太君から聞いてるわ」
「え?!そ、そうですか…」
急に顔を赤くして俯くユキ。
「ほら、何してるの?行くわよ!!」
「えぇ、ちょっと待ってちょうだい。…ごめんなさいね、もう行かなきゃ」
「いえ。構いませんよ。―――あ、アサ姉のクラスも喫茶店をやってるんで是非!!」
「わかったわ。…早狩さん、その恰好似合うわね〜。モデルさんとか向いてるかもね」
「え…あ、ありがとうございます……」
「それじゃあね」
おばさん軍団に急かされて、その場を後にする叔母であった。
「似合ってるっていうのは嬉しいけど…でもちょっと複雑」
「そんなことないよ。ユキちゃんカッコいいよ」
ユキはさらに複雑な心境だった。
自身の恰好が学ランを着た男装コスプレであったからだ。
「(もしかしてコン君はこういうのが趣味?)」
「ん、どうしたのユキちゃん?」
「―――んーん、何も!!」
「?―――あ!ほら、校内を周らなきゃ。宣伝にならないよ」

55 :
「い、いらっしゃいませ〜…」
「まぁ!!アサネちゃん。可愛いわね〜」
「お、叔母さん?!!」
コン太の勧め通り、アサネのクラスを訪れる叔母。
普段とは違ったメイドの恰好をしているアサネに興奮しているようだ。
対照的にアサネは恥ずかしさで頭が茹で上がったようになってしまった。
「あら、小泉さんとこのお子さん?」
「よく似合うわね〜」
「ほんと、アイドルも務まるんじゃないかしら?」
実はこの文化祭は生徒達にとってはある意味地獄であった。
このように、普段見れない子供達の様子を親が観賞し、それぞれの子の品評会なるものが始まるからだ。
「ご、ご注文は何にしましょうか………」
アサネは蒸発したくなる気持ちを抑えて、仕事に没頭することしかできなかった。

「そういえばコン君、叔父さんは?」
「ああ、叔父さんは仕事が忙しくてなかなか帰ってこれないんだよ」
「―――大変だね」
「うん、でも叔父さん叔母さんには本当に感謝してるんだよ。でなきゃこうして学生として生きていなかっただろうし」
「…ごめんなさい、辛いこと思い出させちゃって…」
「気にしないで、それにユキちゃんとも出会えたわけだし」
「え?!」
「あ…?!」
不意に自分が何を言ったかわからず、それに気づいたときは手遅れで、お互い顔をそらし赤くなるばかりだった…。
「そ、そろそろ交代の時間じゃない?」
「あ、そ、そうだね。私着替えてくるよ。友達と見て周る約束もあったから…」
「うん、行ってらっしゃい…」
そういってユキを見送るコン太。
さて、次の仕事までどうやって時間をつぶそうか?
コン太は考えあぐねていた。
一方のユキも友達との約束などなかった。
今はコン太と距離を置き、心を落ち着かせたかった…。

56 :
「ぷぷっ…どうしたのアサネ?」
「あんた、わざと聞いてるの…?」
「い、いや別に…ぷっ!…でも照れるアサネは可愛かったなぁ〜」
「!!」
「ちょ、ちょっと落ち着きなさい。ほ、ほら!!お客さん!!」
「…覚えてなさい―――いらっしゃいませ〜ってコン?!!」
「お、アサ姉、似合ってるよ♪」
「コン太君、どうよ、このきゃわいいアサネ♪」
「あんた〜…」
「きゃわいいって…。いやでも実際可愛いよアサ姉」
「ほ、本当?」
「うん、新鮮でいい感じ」
「いい感じ……。ふふ、ご注文は何にしますか?」
「おっと、そうだね…イタリアンスパゲティを。あとアイスコーヒー」
「かしこまりました♪」
「よし、腕を振るってご馳走を作りますか!!」
料理は、キオナの自信ありげの台詞通り、美味かった。
時折、キオナがアサネを弄り回し、それに笑いが続いた―――。

―――昼過ぎ。
午後三時くらいになると人も減り閑散とした雰囲気が漂い始めた。
「ふぅ…」
コン太は昼までがクラスの仕事で、昼過ぎからは自由行動が出来た。
しかしユキもいなく、アサネも仕事を抜けることが出来なかったので一人ぶらぶらして周ることしかできなかった。
そして、とうとう疲れ果て階段に座り込み無想するに至った。
―――ブーンブーンブーン―――
「ん、メール?」
差出人はキオナから、手が空いたので一緒に周らないかという誘いだった。
待ち合わせ場所はお馴染みの囲碁将棋部室。
コン太は了承の返信をし、向かうことにした。
―――このときのコン太の行動を責められる者はいない…。
むしろ、コン太から離れて別行動をしたユキに非があるといってよいだろう。
もし、ユキが傍にいたら…結末は違うものになったはずである。

57 :
クラスの催しものをやっている教室棟からは少し離れた場所。
そこで、ユキとアサネが対峙していた。
仕事を終えたアサネが初めてユキにコンタクトを取り、ここまで連れてきたのだ。
「あの…小泉さん?話というのは…?」
恐る恐る聞くユキ。
今までの対応を見ていれば、警戒して当然だろう。
「いえね、コンのことでちょっと…」
「はい…」
「あの子を引っ掻き回すのは止めにしてくれないかしら?」
「?!―――どういう意味です?」
「言った通りよ、コンは正直、迷惑がってるわ」
「そ、そんなこと!!」
「毎日毎日引っ付かれて…うんざりしてるって…」
「…コ…小泉君がそう言ったんですか?」
「―――ええ、そうよ」
無論、コン太がそんなことを言うはずがなかった。
アサネのでっち上げである。
この行動の裏にはアサネ自身の焦りがあった。
キオナから毎日のように、コン太とユキの状況を聞き、その不安感は煽られていった。
そこに昨日のキオナからのメールである。
今のアサネには正常な考えができない状態であった。
ただ、ユキを危険と考え、コン太から離れさせようとした結果の行動である。
「そんなの…嘘です!!コン君はいつも笑ってくれて!!」
「社交辞令に決まってるでしょ?全く発情して周りも見えないのかしら…」
「!!!―――この!!」
そこからは取っ組み合いの喧嘩になった。
止める人間がいないため、それは激しさを増した。

58 :
―――ガラガラガラ
「大久那さん?」
「ああ、コン太君。いらっしゃい」
「あれ?てっきりアサ姉も一緒だと…。何処に行ったの?」
「―――アサネはまだ忙しくて抜けられないのよ」
「なるほど…、確かにあのアサ姉なら人気が出そうだね」
キオナは“アサネ”という単語が出る度に不機嫌さを増した。
「っ!!―――ねぇ、コン太君?」
「うん?」
不意にキオナと目が合い、そのまま―――
キイイィィィィィ――――――
「………?!」
ドサッ!
コン太は身体の力が抜け、床に倒れこみそうになった。
かろうじて、キオナが支えてくれたので胡坐で座る形になったが―――
「どう?動けないでしょ。でも安心して―――悪いようにはシナイカラ……」
「なに…?」
コン太は身体どころか息も絶え絶えになり、声もか細くなった。
まるで、水に溺れるような…でも呼吸はなんとかできる、そんな状態だ。
「ずっと―――ずっとこの機会を待ってたの。コン太君…いえ、“コン兄さん”」
にいさん―――?
コン太は混乱していた。
自分の肉親は今やアサネだけのはずだから…。
妹の存在など聞いたこともない。

59 :
「―――色々あるでしょうけど、今は、今だけは私のお願いを聞いて…。やっと…会えたんだから」
涙を流しながら語るキオナ。
それを見て、コン太は頷くことにした。
「ありがとう…兄さん。ん―――」
―――?!
今、何をされたのか?
「私のファーストキス、兄さんにあげたよ。兄さんは初めて?」
またも頷くコン太。
身体から抵抗する力が抜けていった―――。
「ふふふっ。嬉しいな―――こっちも初めてだよね?」
そう言ってコン太の股間に手を伸ばす。
少し撫でられただけで、みるみるうちに大きくなっていった。
「待ってて。今、楽にしてあげるから」
学生ズボン、それにボクサーブリーフを下ろし、露わになる怒張。
「?!!―――は、初めて見るけど…すごいのね…」
手を竿の部分に触れさせ、上下に動かすキオナ。
――――――!!!
コン太の身体に快感が稲妻のように駆け巡る。
「気持ちいいんだね?兄さんのことならわかるよ…」
怒張の先からは汁がだらしなく垂れてきていた。

60 :
「ふうふう、―――あむぅん」
ビクビクビク!!!
さっきのを上回る快感が洪水となって押し寄せる。
コン太は身体を振るわせつつも、声にならない悲鳴を上げていた。
「ん、んむうぅ」
ぢゅるるるぅぅぅ―――
ちゅじゅうう―――
ぐちゅる―――
「うんむ、おん、ふうん…」
ビクゥゥゥ!
ドプドプドプ!!!!
遂に堪えきれなくなり、キオナの口内に白濁を流し込むコン太。
「?!!んんんぅ?!―――ん…んぐぅ」
あまりの量に息ができなくなるキオナ。
しかし、一滴も逃すまいと喉を動かし飲み込む。
ごく、ごくごく―――ごく……ちゅうぅぅぅ…
「っぷはぁぁぁ……、凄い量だったね…溜まってたみたいだね」
――――――
既に反応も薄くなるコン太。
「でもまだ元気だね、もっと気持ちいいことしよっか?」
狂った宴は始まったばかりだ……。

61 :
投下終了です。

62 :
あれ?前ユキも兄さんみたいなこと言ってなかったけ?
まぁ妹が多いことはええことやな(至言)
面白いのでフラグ回収が無事にされることを願っています。

63 :
しかし白々しい擬音と意味のないセリフを除いたら、何にも残らないスカスカの作品だな
いや、これを作品と読んでいいのならの話だけど……

64 :
>>61
これは予想だにしない展開
続き待ってます

65 :
>>61
真相に入るのはまだかかりそうかな
ぜひとも完走してくれ!!お願いします><

66 :
>>61
乙乙!

67 :
ほしゅ

68 :
ご無沙汰しております。
「あなたがいないなら何もいらない 第6話 龍虎相対する」
投下させていただきます。

69 :
 街から目を離した操が、清次に向いて問いを発する。
「ところで、どこに着陸するんだ。
 新木場の東京ヘリポートか、それとも八雲製薬のヘリポートか?」
「いや、二雀銀行に借りた」
「どうしてわざわざそんなことを?」
「まあ、すぐに判るさ」
 ベル230が、二雀帝都ABE銀行本店のヘリパッドに、翼を休めようとするかの様に吸い込まれていったのはそれからすぐのことである。

 操と清次、赤城が正門から出ると、そこには既に一人の女性が待っていた。
 半川翼。紛れもない半川操の実の姉である。
 ロングヘアをハーフアップにして、ライトグリーンのシルクサテンワンピースに身を包んでいる。
 腰背部には結び目のある黒いリボンをあしらっており、いかにも上品な感じが滲み出ている。
 傍らには、操に名古屋行きの切符を手配した先の老執事も伴っていた。
「操!」
 弟の姿を認めるが早いか、彼女は駆け寄って抱きしめた。
「良かった、良かった……」
「姉貴、……落ち着いて」
 彼女の腕の力がようやく緩んだ。
「勝手に抜け出して、そのまま戻ってこないんだもの。心配したのよ」
「亜由美が、んだんです。何をおいても行きますよ」
「ふうん」
 と、少しの間を置いて、彼女は言葉を継いだ。
「まあ、そんなことはいいわ。そこにリモを停めてあるの。一緒に帰りましょう」
「待ってください」
 そのやり取りに、清次は思わず呼び止めた。
「何かしら、清次さん」
 呼び止めてから、何と続けようかと思案を差し挟まなければならなかったが、何とか続く言葉を捻り出すことができた。
「俺と赤城――ここにいる俺の秘書です――も便乗させてもらえませんか」
 即興の提案にしてはまあマシなものか、と思い、彼は相手の表情を眺めた。
(どの道、翼さんとも話をしておかなきゃいけないだろうしな)
 声をかけられた彼女はというと、顎に手を当て、考える素振りをしていた。
「東京まで操をヘリに乗せたんだから、俺らもその位いいじゃないですか」
 自分から帰路を共にすることを誘ったことは伏せ、それを交渉材料として相手に使う。
 ややあって、彼女は首を縦に振った。
「ええ、わかったわ。それでは、こちらにどうぞ」
 一行は停車していたストレッチリムジンに乗り込んだ。

70 :
 シートに着いた清次がロメオ・イ・フリエタを取り出そうとした時、翼がそれを制して言った。
「吸わないでくださいな」
 不満げにではあるが、彼は手にしたシガーを懐に戻した。
「じゃあ、ロックを」
「わかりましたわ」
 そう聞き、彼女はアイストングを手にしてバカラのタンブラーに氷を入れる。
「私がやります」
 執事の青柳が止めようとしたが、彼女は構わずに続けた。
「いいの」
 青いスコッチの瓶を手にして、そのラベルを清次に見せる。
「ジョニ青でよかったかしら」
「ええ、結構ですよ」
「操もどう?」
 操は一瞬考え、そして頷いた。
「ああ、じゃあ俺も貰います」
「翼さんに手ずから作っていただけるなんて光栄だなあ」
「こちらこそ、清次さんのような大物にお酌するなんて光栄ですわ」
 そう社交辞令を交わしながら、彼女は杯を清次らに渡していく。
「おい運ちゃん、お前さんも貰えや……、ってあれ、ああ、リモだからパーティション(間仕切り)があるわけか、残念」
「何普通に飲酒運転を教唆してるんだ」
「運転席が仕切られていることがこんなことで役に立つなんて思わなかったわ」
 さすがに見かねた半川姉弟が諌める。
「悪い悪い。ついつい人に酒を勧めたがる性質で」
「アルハラで訴えられないように気を付けることね」
「へいへい、注意しますよ」
 軽く手を振って彼は応じた。
「それでは、乾杯」
 ぐっ、と呷り、清次はどう切り出そうか考えあぐねていた。
 すると、話し始めたのは翼のほうであった。
「どうかしら、最近は」
「まあ上手くやってますよ」
「ご家族は?」
 彼の口元が僅かに左に歪む。
「ご家族、ですか?」
 一応は隠そうとしているものの、清次の苛立ちは、その声に表れている。
「ええ、ご両親。それに、三陽くんと美月ちゃん」
「相変わらずですよ。
 知らないわけじゃないでしょう?」
「お気にはなさらないのですか?」
「この前の日産連(日本産業連盟の略。財界三団体の一つ)の晩餐会でも言いましたか。
 何度でも言いますよ、近親相姦というのは畜生の所業です。
 俺はあんな連中とは違います」
「あんな、ってご両親やご弟妹のことですか」
「そうですよ。
 いいですか、この社会には、人工の法律、即ち私たちが一般に呼ぶ法律――憲法とか刑法とか民法とか金融商品取引法とか、そういうウザったい法律のことです――とは違う、天然の法律とも言うべき、人間が生き抜く知恵として無意識に制定してきた自然のルールがあるのです。
 そうしたものに逆らえば、単純に法律を犯すことより重い咎を負わなければならないのです。
 その二つの法は、全てが全て違う内容ではありませんが、人工の法律で禁じられていなくても、天然の法律で禁じられていることは間々あります。その逆もまた然り。
 英語で言えば、その人工の法律がクライム(crime)で、天然の法律がシン(sin)です。
 俺はクライムはともかくシンにコミットすることはありません」
「今はそう思っていても、先々のことはわからないじゃないですか」
「あの妹は弟にべた惚れですからそれはないですよ。
 縦しんばそんなことがあるとしても、俺は自分の身の守り方くらい心得ています」
 それを聞いて、彼女は由ありげに微笑した。
「ふふっ、ならいいわ。
 面白おかしく見守らせてもらいます」
「ええ、いい見世物になってみせますよ。
 ある種の政治家や億万長者というものは、コロッセオで戦うグラディアトルのようなものです。
 俺はそういう類の人間ですから、を厭うことはないのですがね……、彼女は気の毒でした」
 さすがに気を落としたと見えて、この時彼の声の調子も少しだけ落ち込んだ。

71 :
「篠崎さんのことですね?」
「そうです」
 我が意を得たりと肯く。
「あの人が、どうかしたのですか」
「篠崎はぬつもりはなかった、これは俺と操の共通の見解です。
 なあ、そうだよな、操」
 操の方を向くと、彼は既に眠っていた。
「操?」
「寝かせておいてください。お酒も入っていますし、それに疲れもあるのでしょう」
 彼女は操の頬をそっと撫でる。
「そうですね」
「それで、篠崎さんは自されたのではないのですね」
「ええ、そうとしか考えようがありません。
 昔のCMじゃないですが、『良かった、自した娘(こ)はいないんだ』ってところですかね」
 ジョニーウォーカーの残るグラスをかざし、話を道草の種にする。
「まあ、誰がそんな恐ろしいことをなさったのかしら」
 彼女は、眉を顰めた。
「それはまだわかりませんよ。一つ言えるのは、彼女と生前親しかった我々は、潜在的な容疑がかかり得るということです」
「『我々』というのは、清次さんと、どなたですか」
「操」
 そういって清次が操を指差す。
 途端に、翼は烈火の如く怒りはじめた。
「操がそんなことするわけないじゃない! あなた、ふざけてるの!?」
 いきなり憤りはじめた彼女のあまりの剣幕に驚きながらも、彼はなだめにかかる。
「まあまあ、俺もそう思いますよ。でもね、少なくともソーメン(逮捕)まではポリ(警察)の疑いの目は彼女の周りにいた皆にかかり続けるということです」
「警察が結果を出すまでは、ということね」
「そうです。取り敢えずは木っ端役人のお手並み拝見、といったところですかね。
 俺や翼さんならもっと早くホシ(犯人)を挙げられると思いますがね」
「私が?」
「鮮やかだったじゃないですか? 誰に聞いたんです、俺らが八雲製薬の名古屋支社にいたなんて」
「大体予測はつくじゃない。
 あなたもパーティーから抜け出したと伺っていましたからね」
「それだけじゃないでしょ。何で二雀ABEに場所を借りたって知ってるんですか」
 痛いところを突かれたと見えて、それから些少の沈黙があった。
 それから、彼女は、ウインクし、それからばつが悪そうに話した。
「国交省の管制官に聞いたわ」
 本当は守秘義務違反なんでしょうけどね、と悪戯っぽく笑む。
「ほら、あなたも中々の悪じゃないですか」
 悪と形容しつつ、その笑顔の優雅さに感心していた。
(気品の良さは親父譲りかな)
 とはいえ、清次は翼には食指が動かなかった。
 女とみればすぐに興味を示し、まして美女とみれば見境なしの彼だが、なぜか彼女に対しては「その気」にならなかった。
 友人の姉だからというわけではない。そうではなく、得体のしれない、彼の中に存在する感覚によるものだった。
 彼はそれを「完璧な美に対して人類が普遍的にもつ恐怖心」、平たく言えば「恐ろしいくらいに美しい」ということだろうとしたが、その結論は自分でも胸に落ちるものではなかった。
「そうかもね。でも、あなたほどじゃないわ」
「その通りです。俺は三国人並の、もとい、三国一の悪といっていいでしょうな。
 そして、悪を締めるには悪が一番なんですよ」
「毒を以て毒を制すということね」
「正にその通りです。では、この話はいずれまた」
「ええ、機会があればまたお会いしましょう」
 そうまで言った時、車は八雲邸の前で停まった。
「おお、いい塩梅に家に着いた。
 じゃあまた、操、学校で会おう」
 と、眠りこけたままの操に挨拶する。
「翼さん、それでは失礼」
「それでは清次さん、御機嫌よう」
 赤城を従え、リンカーンを降り立った清次は、柄にもなく彼らが消えるまでずっと見送っていた。

72 :
 半川邸に着いても、操はまだ眠っていた。
「お坊ちゃ……」
 起こそうとした青柳を翼が止めた。
「起こさないで、私がそのままベッドに運ぶわ」
「承知しました」
 彼女は眠ったままの操をお姫様抱っこで抱え上げ、彼の自室まで連れて行く。
 そのまま、静かな寝息を立てる彼をベッドに寝かせる。
「着替えさせなきゃね」
 脇にパジャマと替えの下着を用意し、服を脱がせる。
 間もなく、彼はボクサーブリーフ一枚になった。
 そこで、彼女は一旦手を止め、操の上に覆い被さる。
「ふふっ、操……」
 彼女は胸板に頭を擦り付けていた。
 気が済むと、今度は全身を嘗めるように彼の肌を観察し始めた。
「ふぅ」
 ややあって、彼女は安堵したように溜息を吐く。
「あの淫売は、操にキスマークをつけたりは、してないようね」
 いつの間にか、寝息も聞こえなくなっていた。
「あ、早く着替えさせなくちゃね」
 パンツに手をかけ、秘所もまた晒された状態になった。
「ああ、これが……」
 彼女にとって操の体はありとあらゆる箇所が尊いものであるが、その中でもここは見るたびに、悦びを覚える部位である。
 縮こまった陽根に、これまた頬擦りする。
「操、これを、お姉ちゃんに頂戴。
 あの泥棒猫のことは、許してあげるから……」
 勃起していないそれは、今この場で肉体的充足を与えられるものではなかったが、それでも彼女には生半可ではない精神的な満足を与えていた。
「着替えさせなくちゃ」
 返事のない操を寝巻に着替えさせ、掛け布団をかける。
「お姉ちゃんを抱いてくれるのを、待ってるからね」
 頬を撫で、彼女は部屋を後にした。

73 :
 操は、夢を見ていた。
 亜由美と並んで歩いていた。
「期末どうしよう〜。世界史とか全然自信ないよ」
「どうせ亜由美はヤマを張るつもりでいるんだろ。小野里は満遍なく出すからヤマ勘は通用しないぞ」
「えー、どうしよう。赤点なんか嫌だよ」
「じゃあ、俺と一緒に勉強するか?」
「そんなこと言って、また保健の実技を勉強するの?」
 他愛もない話で盛り上がる、普段通りの(だった)光景。
「ね、ね、ゲーセンでQMAやろうよ! 試験勉強に入る前に一度思いっ切り遊ぼう!」
「お前、言ったそばから……」
 そこに、いきなり、虎が現れた。
「!」
「ミ、ミィくん……」
「あ、亜由美、逃げろ。いいから、俺はいいから!」
 しかし、虎は真っ直ぐ亜由美に飛び掛かり、彼女を食いしていく。
「ミィくん、逃……、げ……」
 程なく、彼女は事切れてしまった。
 自分も牙にかかるのを覚悟の上で、彼はその虎に飛び掛かろうとする。
「畜生、この人食い虎!」
 が、その刹那、一匹の龍が現れ、彼を乗せて空を走り出した。
(おい、小僧。あいつにされるつもりだったのか?)
 脳内に直接響く声。操もまた、声を発することなく言葉を返していた。
(そうだ。あの獣に恋人をされたんだ)
(そうか、ならそいつの所に連れて行ってやろうか?)
(知っているのか?)
(ああ、知っているとも。しっかり掴まってろよ!)
 そうして、空高く翔け上がり、やがて、雲の上に到着した。
 果たしてそこには、亜由美がいた。
「ミィ、くん?」
「亜由美!」
 夢であると理解していたのか、それとも理解していなかったのか、操は、起き抜けると自分の彼女が待っていると思い、おもむろに目を覚ました。

74 :
以上です。

75 :
久しぶりにGJ
姉が本性を表したな

76 :
>>74
乙乙

77 :
こいつはやっぱり風見だよ
あのヤンデレスレを壊滅に追いやった風見先生に違いないわw

78 :
>>74
GJ

79 :
そこに、いきなり、虎が現れたw

80 :
テスト

81 :
規制解除されました。
鬼子母神8話、9話、10話は避難所に投下してましたが
こちらにも投下したほうがいいですか?

82 :
どの道wikiにまとめられるからいいんでね?

83 :
本当は避難所にもイラネ
昔みたいに面白い作品はもうここでは読めないのか……

84 :
懐古趣味ならまとめwikiで満たしとけ

85 :
投下します。

86 :
「小泉アサネの意識が回復しました。しかし、事件の精神的ショックにより、幼児退行…一時的な精神疾患に陥っており、聴取は未だ難しい状況です」
「…大久那キオナの方は?」
「そちらも昏睡状態が続いています。回復の見込みは不明―――とのこと」
「―――んー…」
隣町の警察署の刑事課。
初老の刑事が現状を淡々と報告していた。
それを聞いている相手は少々疲れ気味のようだ…。
「二人の携帯電話は校内の焼却炉で発見されました。
内部にまで損傷が達していることから、データの復元は困難です。
ですが、電話会社の記録によれば、大久那キオナが小泉アサネにメールを送信しているのは確認済みです」
「そして弟である小泉コン太にも送信している…。そのことは聴取で分かっているが…、一体何の目的があったか…だな」
「―――課長、実は一人、気になる人物が浮かび上りました」
課長と呼ばれた人物は睨めていた書類から顔を上げた。
「誰だ?」
「早狩ユキという女子生徒です。彼女は小泉コン太と親交があります。そして、事件当日に焼却炉付近で何人かの生徒に目撃されています」
「そいつは…臭うな…。よし、任意同行で引っ張ってこい!」
「了解!!」
「必ず尻尾を掴んでみせろ!!」
事件発生から一週間。
警察も動きつつあった。

「コン君!見て!!私達の町があんなに小さいよ!!!」
「ほんと!ほら、アサ姉!!」
「………たかいとこ、いや…。コン、おうちかえろ?」
「来たばっかだよ…、アサ姉」
「ゴメン、やっぱり迷惑だったかな…」
「ううん、嬉しいよ!―――アサ姉の気分転換にもなれば良かったんだけど…」
コン太とアサネは町から外れた小山に来ていた。
ユキが二人を誘ったのだ。
「この辺は小さい頃、よく遊んだから懐かしいよ」
「ピクニックにはちょうどいい場所だね」
「春や夏もいいけど…冬の山も乙なものよ」
「コン、はやくかえろ」
「アサ姉…」
「あんまり無理させちゃいけないよね…。早めに病院に帰りましょ」
「そうだね、しかし外出許可を出してくれるとは思わなかったよ」
山の天気は変わりやすい…。
さっきまで晴天だったのに、もう雲が広がり始めていた―――。

87 :
「早狩ユキは見つかったか?」
『いえ、まだです。自宅にも行きましたがもぬけの殻でした。今は一人張り込みにつかせてます』
「早狩ユキの親は?」
『そっちも捜索中です』
「新しい変化があればまた連絡をくれ」
『了解』
初老の刑事は無線で部下とやりとりしていた。
その彼は、今、町の役場に来ていた。
早狩ユキの戸籍について調べにきたのだ。
「―――父親は離婚…、母親と二人暮らし………」
ユキの情報について調べる刑事。
「父親の名前は小泉―――小泉?!…たしかあの二人も小泉だったな…」
さらに読み進めると―――
「早狩…キオナ…?」
早狩ユキの双子の妹、とあった―――。

ゴオオオォォォォ――――
「…外は凄い雪だよ。これじゃ下山は難しいね」
「でも山小屋に辿り着けて助かったね。最悪、ここで一晩泊まることになるかな…」
「すー、すー」
どうやらアサネは疲れて眠ってしまったようだ。
その横で、暖炉に薪をくべるユキ。
手慣れた様子にコン太は驚いていた。
「暖炉とか使った経験あるの?」
「言ったでしょ、昔はよく遊んだって」
「あぁ、なるほど…」
考えてみればユキのことを何も知らないコン太だった。
親はどういう人なのか…、彼女がどういう風に育ったか…。
「―――気になる?」
「え?」
「私のこと」
どうも表情に出ていたようだ。
「私はね、母子家庭で育ったの。コン君とは反対だね。…母様は私を育てる為に色々苦労したみたい。でもお金はそれなりにあったからなんとかやっていけたの」
暖炉の明かりに包まれながら、ユキは自身のことについて話し始めた。
それはコン太には、とても…幻想的に映った。

88 :
「小泉アサネが病院から消えただと?!」
『はい、医師が回診に来た時にいないのを発見したそうで』
「連れ出した人物はわかってるのか?」
『看護師達は誰も見ていないというんですが、防犯カメラに早狩ユキと小泉コン太の姿が映ってます。はっきり正面玄関から出ていくところも確認済みです』
「なんでそれで誰も気づかないんだ?!!」
『まだ事実確認中なので、はっきりしません』
「三人を探せ、大至急だ!!」
『了解』
初老の刑事にはある予感があった。とても悪い予感。
幾多の事件で研ぎ澄まされたそれは、外れて欲しいときによく当たったのだ。
そして今回も…。
「やめてくれよ、本当に…」

「そして今年の梅雨ぐらいに、母様は何処かに行ってしまった」
「一体何処に?」
「さぁ?…でもきっと幸せなところじゃないかしら。
最期に私に、思い人のところに行くって出掛けて行ったわ」
「その人って…」
「コン君もよく知ってるはず」
「え?!」
「梅雨頃に何があったか…、覚えていないの?」
梅雨…。
忘れるはずがない…。
コン太、そしてアサネにとって生涯を変えてしまう事件、彼らの父親が遭難してしまった時だった…。
「母様は…、恐らく山でその人と永遠に一緒になったんじゃないかしら…」
「?!!」
「あなたのお父さんと…。わかるでしょ?お兄ちゃん」
「お、にいちゃん…?」
「キオナから何も聞いてないの?…あぁそうか、私がおしおきしたから喋る機会はなかったのね」
「…どういう意味だ?」
「あの子がお兄ちゃんに手を出したからよ。もっとも私の話は聞かなかったでしょうけど…」
「もしかして、キオナに…」
「そうよ、私がやったの。お兄ちゃんの…いや、私達のお姉ちゃんがいたのは計算外だったけどね。急所は外してあげたから、ぬことはないわ、安心して」
オレンジ色の炎の光を受け、笑みを浮かべるユキは美しかった…。

89 :
「な、何を…言って」
「だから、私もキオナもお兄ちゃんも、そしてそこで寝てるアサ姉ちゃんも兄弟なのよ」
「?!!!」
「そんなに意外だった?」
「だって!…キオナは苗字が…」
「あの子はね、可哀想な子なの。幼い頃に山で両親がんで…、それを母様が引き取ったの」
「じゃあ、なんで…」
「戸籍上は早狩キオナ、でも彼女は自分の苗字を…彼女の先祖達の生きた証を捨てたくはなかったのよ」
そういうユキの顔には深い悲しみが浮かんでいた…。
大きなものを背負ってるかのような―――
「もう一つ、お兄ちゃんに伝えたいことがあるの。信じられないかもしれないけど…私の母様やキオナは―――」
雪女、なのよ。
ユキはそう語った。

90 :
「―――雪女?そんな…」
「おかしいと思うでしょ?でも本当なの。私達の一族はこの地方でひっそりと暮らしていたわ。でも人間の山狩りに遭って人数もどんどん減っていったわ…」
「………」
「母様とキオナがその最後の生き残り。そして、私とあなた達は雪女と人間のハーフなのよ」
「僕と、アサ姉も…」
「風邪を引かなかったり、雪が恋しくなったりするでしょ?それが私達にも雪女の血が流れてるの証拠なの。母様はこうも言っていた、一族の血を絶やさないために…、私達が何とかするしかないって」
「どうするの?」
「―――子供を作るのよ。私と、お兄ちゃんで」
「?!―――そんなこと出来るわけないじゃないか!!」
「でもお兄ちゃんはキオナと何回もセックスしたでしょ?」
「っ!―――」
「キオナもそうなのよ。だからあの子をすことは出来なかった…。その気持ちは痛いほどわかるもの。それに―――お兄ちゃん達はこの地に戻ってきた」
「それが何の関係が―――」
「運命よ。巡り巡って―――私達は結ばれるべくしてここにいるのよ。でなければ出会うことはなかったわ」
運命…。
コン太にはあまりにも信じられない話の連続だった。
二人の妹、母親は雪女、子供を作る―――。
「だから…私も…」
キイィィィィ―――
「?!!」
「身体が動かないでしょ。私は特に血が濃いから怪異の力…眼力も使えるの、当然キオナもね」
「(学園祭の日―――キオナが使ったのはこれだったのか…)」
コン太は的外れな考えを巡らせていた。
「病院から抜け出すにも使ったわ。お姉ちゃんも必要だったから。でも母様は決して悪事にこの力を使うなって言ってたわ。一族の誇りを穢すことになるから…」
ユキは笑っていた…。
やっと捕まえた…、彼女の目がそう物語っていた―――。

91 :
投下終了です。

92 :
GJ
まさかの全員姉妹だったのか

93 :
>>91
GJです。
よもや雪女とは想像もしていませんでした。
姉妹みんないい感じにキモいですね。
これから第7話を投下します。
ですがその前に、前回の投下について、てにをはの訂正を入れさせていただきます。
>>69
(正)腰背部に結び目のある黒いリボンをあしらっており、いかにも上品な感じが滲み出ている。
(誤)腰背部には結び目のある黒いリボンをあしらっており、いかにも上品な感じが滲み出ている。
>>71
(正)ジョニーウォーカーの残るグラスをかざし、話の道草の種にする。
(誤)ジョニーウォーカーの残るグラスをかざし、話を道草の種にする。
となります。
それでは、「あなたがいないなら何もいらない 第7話 酔余と悲憤と」投下させていただきます。

94 :
 まだ空も明るくなっていない彼誰時(かわたれどき)、清次は酒の酔いによる短い眠りから醒めた。
 翼から馳走になったジョニーウォーカーだけでは足りなかったのか、彼は自室に戻ってからロイヤルハウスホールドを呷っていたのである。
 だが、疲れもあって、やがて寝込み、起きた時には氷がすっかり融けていた(彼は、ウィスキーはオンザロックにするのを好んでいる)。
 酒が勿体ない――彼は金持ちの御曹司らしくない、しみったれた根性を持ち合わせていた――と、すっかりぬるくなり、薄まったRHHをちびりちびりと口の中に運び始める。
 そうこうしていると、充電器に差し込んでいたBlackBerryが「月光花」を奏ではじめた。操からの着信である。
「八雲清次です」
『キヨ、俺だ。操だ』
「どうしたんだ、こんな朝早くから?」
『いや、昨日は俺はすぐ寝てしまったから。姉貴は何て言ってたかと思って』
「その話は、今日、授業が終わってからしよう」
『ああ、わかった。
 ……それとだな、夢を見てなあ』
 懐かしむような、揶揄うような口調で、清次は応じた。
「あれだろ、篠崎が出てきたんだろ」
『ああ。それだけじゃなくて、お前も出てた。
 声はキヨだったんだけど、姿は龍でな』
「龍か。確かに干支は辰年だが、むしろトラだと思うがな。
 帰ってからも飲んでたしな」
 冗句を口にしつつ、それに自分で苦笑いした。
 親友を電話越しに相手にしながら、水っぽくなった酒をなおも口にする。
『亜由美が虎に一度食いされて、その後で俺を乗せて雲の上にいる亜由美の所に連れて行ってくれたんだ』
「そうか……」
 沈黙することしばし、ようよう清次は返事を続けられた。
「まあ、しばらくは夢を見るごとに篠崎との逢瀬を楽しむといい。
 だが、また会いたいからって二度寝するなよ」
『わかってる』
「学校で会うのを楽しみにしてる」
『じゃあ、また』
 会話を終えてから、彼はグラスに残っていたそれを不味そうに飲み干した。
「まずいな。実にまずい」

 通話を済ませ、電話を切ると、フットマンが扉をノックし、操を迎えにきた。
「お坊ちゃま、朝餉の用意ができました。食堂にお越しください」
「わかった。すぐ行く」
 相槌を打ち、パジャマを制服に着替え、部屋を後にした。

 人が、それも自分の恋人がされた直後だけあって、今日の彼は朝食の席では本当に無口であった。
「会社のことも早く手綱を握っておく必要があるし……」
 代わりに、今朝は翼が饒舌だった。
(こういう時に脂っこい食事は堪えるな)
 操は厚切りのパンチェッタを胃の中に押し込みながら――彼はずっと食欲が皆無に近い状態だった――、適当に聞き流そうとして、
「……それで、明日は会社の方の用事で学校を休むから、一緒に登下校できないの」
 危うくその一言を捉えた。
「今日は?」
「いつも通りよ」
 いつも通り、つまりは翼のリムジンで、一緒に登校し、そして一緒に下校する、この二人にとっての当然の習慣。
「本当は操と一緒にいたいんだけど、ごめんなさいね」
 あとは彼女がまた止め処なく話し続ける。
「でもこれから操と二人三脚で仕事をしていくなんて本当に想像しただけでわくわくしちゃう。……」
 彼もまた黙々とフォークを動かし、口にミラノ風リゾットを運んだが、サフランもブイヨンもオリーブオイルも、バターや塩胡椒の味さえも、この日は全く感じられなかった。

95 :
 休み時間を利用し、二人は話し合う。
「で、話の続きってのは」
 その様は、一見すると何かの謀議のようにも見える。
「ああ、それか。
 いや、本当は東京に帰ってくるまでに言っておきたかったんだが、言いそびれていたことがあってな。
 それを伝えたくて」
「?」
「耳貸せ」
 口を耳に寄せて、囁く。
「当日のマリオネットホテルのロビーの防犯映像を持ってる。
 篠崎を装ってチェックインした女が映ってるものだ」
「本当か!」
「声が大きい」
 清次は逸る操を誡めた。
「悪い」
「今日来てくれるな?」
「わかった」
「放課後な」
 そうして、彼らは一旦離れた。

 放課後、二人は八雲邸の清次の部屋にいた。
「で、ちゃんと翼さんの方は断ったか」
 普段、半川姉弟は登下校を共にしているが、今日はイレギュラーな形になった。
 一緒に帰宅することを断ったかと清次は訊いているのである。
「ああ」
「そうだ、何か出さなきゃな。飲むか?」
 室内に取り付けてあるバーカウンターを指差す。
「まだこんな時間だぞ」
「そうか。じゃあ、紅茶にしよう。
 紅茶なら俺の帰宅に合わせて淹れさせておいたから、すぐ出てくる」
「最初からそっちにすればいいのに」
「まあ、そういうなよ。俺の楽しみといえば酒と煙と愛液を飲むことだけなんだから」
 彼は手を叩いてメイドを呼んだ。
「おーい、持って来い!」
 間もなく戸が開き、既にビューリーズが注がれた2客のティーカップを持ってきた。
「失礼します、紅茶をお持ちしました」
「入れ」
 操と清次のそれぞれに1客づつ置かれる。
「どうぞ、お召し上がりください」
 だが、その中身は、一つはストレートの紅茶だったが、もう一つは、生ホイップクリームを浮かべたものであった。
「それは……?」
「アイリッシュティー。アイリッシュウィスキー入りの紅茶さ」
「何が何でも酒を飲みたいんだな」
 半ば呆れるように操が言った。
「そうだ、俺は何が何でも酒を飲みたいんだ」
 と言って、ブッシュミルズ21年をステアされた紅茶を啜る。
「それで、物を見る前に、これをどうやって手に入れたか一応説明しておく」
「警察から流してもらったんじゃないのか」
「そうだ。愛知県警の幹部に流してもらった。
 捜査で何か進展があれば、そいつから連絡があることになっている」
「そうか。その連絡はいつ来るんだ?」
「早ければ今日、と言ってたな。
 だが、いつ来るかもわからないし、取り敢えずはこれを見よう」
 DVDを手にする。先に焼き増した防犯カメラの映像だ。
「そうだな」

96 :
「どうだった?」
「やはり違うな」
 見終わった二人は、早速その正体を評しはじめた。
「まあ、俺にわかるんだから、ソウにだってそりゃわかるわな。
 ちなみにこの女の特徴は、若い女性で、篠崎とそこそこ雰囲気が似ているが、もう少し吊り目気味で、鼻は高くて、唇は薄くて、面長で、セミロングだそうだ」
「それも警察が?」
「うんにゃ。俺が、その時受付をしていた女から自分で聞き出した。お前らが警察で取り調べを受けていた間にな」
「さすが、手が早いな」
 手が早いと言われて、ついつい別の意味に聞こえたのは、彼の日頃の言動への世評を彼自身が認識しているからだろう。
 その受付嬢との逢瀬が、片時彼の脳裏に呼び起こされた。
 頭がピンク色に染まるのを避けようと、彼は話を変えた。
「ところで、昨日の翼さんとの話をソウにも伝えようか」
「ああ、頼む」
「篠崎のが自ではない、と伝えた時、彼女は『まあ、誰がそんな恐ろしいことをなさったのかしら』と俺に返してきた」
「何か問題か?」
「俺は自じゃない、と言っただけで他だとは言ってない。事故したという可能性を彼女は想定しなかったということだ」
「確かに。
 でも、姉貴がそう合点しただけじゃないのか」
「かもな」
 一応の首肯の後、清次は更に続ける。
「俺が、ソーメンまでポリの疑いの目が、つまり警察は犯人を逮捕するまで篠崎の周りを疑い続けると言ったら、彼女は『警察が結果を出すまでは、ということね』と微妙に意味を変えてきた」
「それは姉貴がそういう用語を理解してなかっただけじゃないのか」
「理解してなかったら聞き返すだろ。理解して、それで警察が犯人を逮捕する以外の結論を出すことを想定した、そう考えてもいいんじゃないか」
「うーん……」
 唸り、考え込む操。
「それで、翼さんに何か変わったことはあったか?」
「何……、あっ。
 明日、姉貴は学校を休むらしい」
「どうして」
「会社の都合らしい」
 顎をさすりながら、清次は考える。
「気になるな」
 暫く経って、一つの発意を操に伝えた。
「明日、俺たちも休もう」
「えっ? どうして」
「厚重に俺らも行って、彼女の真意を探ろう」
「行ってって、俺はともかく、キヨはどうやって入るんだ」
「策がある。明日の朝、ここにまた来てくれ」
 その時、清次のブラックベリーが鳴った。
「The Best is Yet to Come」は、警察関係者からの着信である。
「お、早速来た」
 案の定、それは黒木からのものであった。
「八雲清次です」
『私だよ』
「どうなりましたか?」
『自ということで断定したよ』
「どうにかなりませんかね」
『自というのが支配的な意見だからね、もうどうこうしようもないよ』
 清次は嘆息するように言葉を継ぐ。
「わかりました。この件ではお世話様でした」
『それでは失礼』
「ありがとうございました」
 通話が切れる。
「警察が自と断定したそうだ」
「何てことだ……。正義も糞もあったもんじゃないな」
 操は清次にも増して長嘆息する。
「まあ、それを打ち破るためにこうして動いてるんだ」
「ああ、踏ん張らなきゃな」
「また明日の朝な」
 操は一旦八雲邸を退いた。

97 :
 翌朝、再度清次を訪れ、部屋に入った操は、彼の姿を見て言葉を失った。
 カールロングのウィッグを被り、スリットの深いネイビーブルーのチャイナドレスを身に着けていた。
「……」
「おお、来たか。俺も丁度メイクアップを終えたんだ」
 唖然としていた操は、やっと言葉を取り戻した。
「一体どうしたんだ、それは」
「普通なら会社の中にはIDカードがなければ入れないだろうが、ソウの親父さんは時々女を連れ込んだりするからな。
 警備も父親がいつもやってるように、息子に対しても同じように『配慮』してくれるかもと思って」
「そんな、他に方法ないのかよ、それはいくら何でも」
「あるかもしれんが、思いつかなかった。
 まあ、失うものもなかろうし、やってみるだけならタダだ」
「人として大事なものを失っているような気もするけど。
 それに、女装なんて誰得だよ」
「分かってないなー、最近はこういう『男の娘』がブームなんだよ」
「背も高いし、どっちかと言ったら大人の女に近い気がするけどな。
 それにしても、なんでチャイナドレスなんだ?」
「俺の趣味だ。
 本当は、某大阪市長みたく、スチュワーデスのコスプレの方が好きなんだが、それだと流石に不自然だろうから」
「それも十分不自然だろうけどな」
 操は失笑した。
「ま、行こう」
「そうだな」
 首肯した清次はドレスアップを手伝っていたメイドに向かい、手短に用を告げる。
「車を回すよう、赤城に伝えろ」
「畏まりました」
 メイドが部屋を出るのに従うかのように、清次と操も部屋を出る。
 二人が駐車場に向かい、キャデラックDTSに乗り込むと、そのリムジンは厚木に向けて、出発した。

98 :
 神奈川県厚木市、厚木重工業本社。
 高さは150mを超し、人口20万余の都市には似つかわしくないほどの荘重な超高層ビルである。
 威風堂々たるその姿は、日本経済の隆盛を誇示するかのようでもある。
 その本社の脇に、清次のストレッチリムジンは停車した。
「ご苦労さん、帰りにまた電話する」
「承知しました」
 車は二人を降ろすと、そのまま走り去っていった。
「ここだな」
「ああ」
「やはり大きいな」
 ビルディングを見上げる清次に、操はひとりごちるかのように声を掛けた。
「さあて、上手くいくかどうか」
「恋人に見えるように、なるべくイチャイチャした感じで」
「了解」
 操は清次の腰に手を回し、爛れた雰囲気を演じつつ、エントランスに入っていった。
 間もなく、警備員が近付き、声を掛けてきた。
「操様、そのお方はどなたですか」
 返答の代わりに、無言で小指を立てる。
「失礼しました、お通りください」
 それを聞き、昂る内心とは裏腹に、平然たる態度でエレベーターホールに向かっていった。

 エレベーターは、順調に上昇している。
「まさかそれで成功するとは……」
 操は清次の女装した姿をしげしげと見る。
「ああ、結構異性に化けるのってやれるもんだな」
 得意気な清次が可笑しくて、彼は心にもない冷やかしを入れる。
「いや、わからんぞ。ニューハーフと思ってるかもしれないだろ」
「それでも所期の目的は達成したわけだから、別に構わんさ」
 そうまで言ったところで、目的の階に着き、彼らは降りた。
「俺の部屋に来るか?」
「いや、もう真っ直ぐ行こう」
 二人は、目的の部屋に向かって歩を進めはじめた。

99 :
以上です。

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