2013年10エロパロ164: 立場だけの交換・変化 6交換目 (550) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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立場だけの交換・変化 6交換目


1 :2012/11/06 〜 最終レス :2013/10/02
いわゆる人格が入れ替わる「入れ替え」や性別が変化するTSではなく、
「肉体や人格はそのまま、突然別の立場に変化する」系統の小説や雑談などをするスレです
たとえば成人会社員と女子小学生の立場が交換されたり
AV女優と女子高生の立場が交換されたり
ペットと飼い主の立場が交換されたりと
周囲は立場の交換に気づいていたりいなかったり
交換や変化の内容はさまざまです
※このスレには悪質な粘着行為で荒らそうとする者がいます
 反応してもスレの無駄消費にしかなりませんので、触れないよう心がけてください
 荒らしに構うより、作者さまたちへの応援をお願いします
本スレから旧スレの立場に変化したスレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1335667249/

2 :
 || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
 ||  ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。
 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
 ||  与えないで下さい。              。   Λ_Λ
 || ○枯するまで孤独に暴れさせておいて   \ (゚ー゚*) キホン。
 ||  ゴミが溜まったら削除が一番です。       ⊂⊂ |
 ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_      | ̄ ̄ ̄ ̄|
      (  ∧ ∧__ (   ∧ ∧__(   ∧ ∧     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    〜(_(  ∧ ∧_ (  ∧ ∧_ (  ∧ ∧  は〜い、先生。
      〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)
        〜(___ノ  〜(___ノ   〜(___ノ

3 :
スレ立て&テンプレ追加乙

4 :
1乙 そして作者さんお疲れのでませんように

5 :
前スレ一覧に新作を追記したもの
・横川昭義・小島由香里:女子大生⇔男子中学生(のちにOL&高校生)
・エイプリルフール:高校生兄⇔小学生妹
・まことまこと:男子大学生⇔デパート勤務OL
・いとこ:中学生の従姉弟同士の立場交換
・幼キ華ガ紡グ想イ:同い年(12歳)の女の子同士の立場交換
・仲澤佑香:女子高生⇔営業課長
・さくら保育園:保育園児⇔その家族?
・一瀬歩美:父⇔高校生娘
・父の日:家族の立場交換(父⇔小学生姉、母⇔保育園弟)
・雪谷のぞみ:カリスマ美人ギャル社長⇔47歳専業主婦
・合コン:看護学生⇔医大生(看護師・医師になって再会)
・結婚式:新郎⇔新婦
・家出少女福森あかね:家出女子高生ギャル⇔青年
・女子高生・渡良瀬和己:継父⇔高校生娘
・そこはとあるお屋敷:幼馴染同士の立場交換(主人♂⇔メイド)
 →続・そこはとあるお屋敷も
・次期当主はメイドさん!?:従姉メイド⇔後継者候補の従弟
・他人の皮を被る:男性同士(立場乗っ取り?)
・人気モデルの堕落:女性モデル⇔デブヲタ男
・要12歳、職業・女子高生:女子高生従姉⇔小学生従弟
・家族立場交換:父⇔小学生娘 ※その続きもアリ
・ランダム校風変化:お嬢様女子高⇔不良男子校
・新世界:オタク文化⇔女の子のファッション文化
・あの時間:キモヲタ⇔女子小学生
・振袖:父⇔娘
・ミーちゃん:動物⇔女の子
・替玉お断り:高校生兄⇔中学生妹
・ありふれた日常:会社の同僚の男女の立場交換  →(分岐)そして日常な非日常へ
・愛憎相克:メイド⇔貴族令嬢
・影武者姫:姫⇔侍女
・宿なし汚ギャルは電波系:男性教諭⇔汚ギャル
・なりきらされる世界:ランダム交換?
・ゆあ・ゆうじぁりー:伯父⇔小学生の姪
・告白:男子学生⇔その想い人の恋人である女子高生
・黒の誘惑と白への回帰:戦隊のヒロイン⇔悪の女幹部

6 :
・花嫁な父:父⇔娘
・彼女たちの立場:幼稚園児⇔OL
・是ぞまさに善悪相?:魔法少女⇔悪の女幹部
・同窓会:不良学生⇔優等生少女の数年後  →その後の話も
・その日常は:会社員の姉⇔弟
・泳げ、チハヤちゃん!!:高校生兄⇔小学生妹
・気が付いたら……悪の女幹部!?:新米ヒーロー(♂)⇔悪の女幹部
・立場同一性障害:19歳女性⇔45歳男性
・おねしょ:小2妹⇔中学生兄
・甘い恋人:飼い犬⇔飼い主の恋人
・うめネタ:新郎の父⇔新婦
・令嬲志願:幼馴染同士の立場交換(お嬢様⇔庶民の少年)
・重装王女の追想:姫将軍⇔従騎士♂
・世界を救う聖女様だって、シたい時はあるモン!:勇者パーティーの修道女の少女⇔敵方ボスの女教皇
・女子トイレ:女子トイレ⇔男子トイレ
・模試:女の子の遊び⇔男子高校生の勉強
・取り替えっ子:小6兄⇔隣家の小4女子
・妹の部屋:中2兄⇔小5妹
・立場の振り分け:普通の男子生徒⇔遊び好き女子生徒
・未来にキスを:男子専門学校生⇔女子小学生
・晴れ着:父⇔娘
・新年交換会:いろいろ
・君が司厨長で給仕娘が僕で:兄⇔妹
・男と女の立場が逆転:男子学生⇔女子学生いろいろ
・NursingSamba:幼馴染同士の男性医師⇔看護婦長
・御神原の妖精:女子体操部員⇔男子相撲部員
・家庭教師:男子大学生の家庭教師⇔女子小学生の教え子
・名札はキチンと付けましょう:男子小学生⇔女子小学生
・立場交換スレ住人が望んだ七夕の願いは:いろいろ
・思いやり学習:女子中学生⇔男性教諭
・堕ちた少年勇者:少年勇者⇔サキュバス
・銭湯で何がどうして俺の立場が女の子?:男子?学生⇔女子小学生
・母子交換:男子小学生⇔母親
・ポニーテールは伊達じゃない!:男子中学生⇔女子高学生

7 :
改めて>>1乙ということで。

8 :
>>1
乙!

9 :
>>1自演乙wwww

10 :
>>9
おまえ頭悪いなw
成りすまし乙wwww

11 :
 見桜駅で晴海さんたちと別れたわたしは、特急で5駅離れた場所にある葦柄駅まで来ていました。
 高校生にもなって、お恥ずかしい話なんですけど、実を言うと、うちのパパとママがかなり過保護なせいもあって、ひとりでこんな遠出をしたのは初めての経験です。
 ちょっと心細いという気持ちもないわけではありませんが、どちらかと言うとワクワクしている部分の方が大きいですね♪
 小学校高学年の頃からずっと伸ばしてきた長い髪を切ってサッパリ身軽になり、香吾くんが着ていた、いかにも中学生の男の子らしい服装をしているので、ちょっとした変装してる気分。
 ──いえ、そうじゃありませんね。
 少なくとも、ここでの夏期講習合宿に参加しているあいだは、ほかならぬわたし……じゃなくて、"ボク"自身が「中学一年生の少年・鶴橋香吾」なんですから。そのコトを忘れないようにしないと。
 幸い、晴海ちゃんのかけてくれた「おまじない」(専門的には魔女の技術だとか暗示だとか言ってましたけど)のおかげか、いつもみたいな弱気の虫は、どこかに行ってくれてるみたい。
 "ボク"は、肩にかけたスポーツバッグをゆすりあげると、心待ち意識して大股になりながら、駅から出て、夏期講習パンフのマップを見ながら合宿所を目指して歩き始めました。
 葦柄駅は、ハイキングコースやキャンプ地として有名な葦柄山のふもとにある駅で、合宿所も山の中腹にあるみたいです。
 普段の運動が苦手な"わたし"なら途中でヘバってしまったかもしれませんが、「中学1年生の男子」に意識してなりきっているせいか、それとも物珍しい環境で浮かれているせいか、上り坂を歩くのが苦になりません。
 ふと、視線を上げると、二股に分かれた道の途中で、"ボク"と同年代くらいの男女が何やら言い争っているようです。
 「だーかーら、このまま、上まで登ってから、山ン中を突っ切った方が、絶対近道だって!」
 「やめておくほうがいい。地図上でどんなに近く見えても、慣れない山の中を突っ切るのは自行為だよ」
 どうやら、進む道のことで口論してるみたいですね。うーん、もしかして、"ボク"と同じく夏期講習に来た人でしょうか。
 いつもの"わたし"なら、見知らぬ人に声をかけるなんて恥ずかしくてもできません。でも、今の"ボク"なら……。
 「あのぅ、すみません。もしかして、駿河塾のサマースクールに参加する人ですか?」
 * * *
 道端のふたりに話かけたところ、やはり"ボク"と同じ受講生だったらしく、簡単な自己紹介ののち、合宿所まで一緒に行動することになりました。
 「ふぅ〜、やっと着いたぜ」
 背が高いけどヒョロッと痩せてる男の子──谷川流太郎くんが、ボストンバッグを地面に下ろして、汗を拭いています。ミリタリー風って言うんでしょうか。カモフラージュパターンのベストを着て、それっぽい帽子をかぶってる割に、案外体力はないみたいです。

12 :
 「ここが合宿所、なのかな」
 もっとも、"ボク"もけっこう汗をかいてるので、他人のことは言えませんけど。
 「おそらく、ね」
 男子ふたり("ボク"も含めて)とは対照的に、セミロングの髪をなびかせた活発そうな女の子──佐崎みちるさんは、涼しい顔でバンガロー風の建物を見上げています。
 ちなみに、コースに関しては、話に加わった"ボク"が地図に従うことを勧めたため、曲がりくねった山道(といってもキチンと踏み固められていましたけど)を進むことになりました。
 それにしても、谷川くん、こんな体力ないのに山に入ろうなんて、さすがに無謀じゃないですか?
 「うん、そうなんだ。流太郎は、跡先考えずに本能で行動して、後悔することが多いんだよねぇ」
 「にゃにを〜!?」
 道々聞いた話だと、おふたりは幼稚園の頃からの幼馴染(佐崎さんいわく「腐れ縁」)だそうで、いつもこんな風にきやすい口げんかしているみたい。
 子供の頃から引っ越しが多くて、中三の2学期になってから、ようやく今の地元に落ち着いた"わたし"にとっては、羨ましい話です。
 ──おっと、今の"ボク"は、"朝日奈恭子"じゃなく"鶴橋香吾"でした。ボロが出ないように、ちゃんと意識しておかないと。
 「あの、いつまでも外にいるのもなんだし、中に入りませんか? 冷房も効いてるだろうし……」
 軽い言葉のジャブの応酬をしてるふたりに、声をかけます。
 「お! そうだな。こんな口先だけは達者なじゃじゃ馬女の相手してるより、さっさとクーラーの入った室内で涼もうぜ!!」
 明らかに口ゲンカで劣勢になっていた谷川くんは、これ幸いと建物の入り口へと歩き出します。
 「まったく……すまないね、鶴橋くん、気を使わせたようで」
 佐崎さんは、見た目はとても女の子らしく、美少女と言っても差し支えない外見なのですが、しゃべり方はちょっと変わっていて、男性的な印象を受けます。
 もっとも、声自体は澄んだソプラノで、とても優しい感じの声音なので、男性と間違える人はいないでしょうけど。
 「いえ、そんな、たいしたことじゃないです。さ、行きましょう、佐崎さん」
 エスコート……というほど大層なものではありませんが、昔、少女漫画とかで読んだシーンをちょっと意識して"ボク"は佐崎さんの手を取り、歩き出します。
 (あ……)
 手を引かれた佐崎さんが、僅かに頬を染めていたことに、その時の"ボク"は気付いていませんでした。
 * * *

13 :
 バンガロー風(あくまで、「風」です)その建物には、100人近い中学生が受講者として集められ、大食堂で簡単なオリエンテーションを受けさせられました。
 そのまま昼食を摂り、そのあと各自の泊る部屋の表を渡されて解散です。
 泊る部屋はふたり部屋なのですが、僕の同室の少年は、偶然にもさっき仲良くなった谷川くんでした。知り合ったばかりとは言え、それなりに気が合いそうな人だったのはラッキーです。
 「おっ、鶴橋、相方はお前さんか。これから2週間、よろしくな!」
 「こちらこそ、よろしくお願いします、谷川くん」
 「おいおい、同い年(タメ)なんだし、短期間とは言えしばらくルームメイトになるんだから、他人行儀なのはナシにしようぜ」
 「はい……じゃなくて、うん。じゃあ、ボクも、できるだけフランクにいかせてもらうね、谷川」
 実を言うと、男子中学生の普段のしゃべり方なんてよくわからなかったんですけど、とりあえず、マンガとかで見た「少し丁寧口調の男子学生」のつもりで、会話することにしました。
 その後、14時から早速、英語の講義が始まります。
 「なんだよ、ちょっとくらい休ませろよな」とブーブー言う谷川くん……谷川をなだめつつ、講義室に入ると、ちょうど佐崎さんの隣りが空いていたので、ボクらはそこに腰を下ろしました。
 「おや、珍しいね。流太郎が遅刻もせず、真面目に講義を受けるなんて」
 「あー、コイツに引っ張られて、な」
 きまり悪げに頭をかく谷川の顔を見て、ニヤリと佐崎さんは笑いました。
 「ほぅ……すまない、鶴橋くん。面倒をかけて」
 「ううん、別段たいした手間でもないから、平気だよ、佐崎さん」
 「──なんで、みちるが俺の保護者ぶってるんだよ?」
 谷川の抗議にも、佐崎さんは動じない。
 「フッ、自分は、おばさんから、「息子の監視をよろしく」と頼まれているからね」
 「にゃにぃ!?」
 授業(講義)中なのに、始まりかけた口論を、慌てて遮る。
 「ふ、ふたりとも、シーーッ!」
 というワケで、こんな風に、悩む暇もなくボクの"男子中学生"ライフは、今日から始まったのでした。
-つづく-
#偽「香吾」くんこと真・恭子さんの、サマーライフその1でした。次回は、着替えやお風呂、トイレなどの描写を挟む予定。
#身近にいてフォローできる弟と違いひとりで送り出すことになる恭子さんには、晴海は少し強めの"術"をかけた──という裏設定があったり。そのせいで、本来気弱ドジッ子な恭子さんも、現時点ではあまり違和感なく、「鶴橋香吾」になりおおせています。
#もっとも、この"術"は徐々に弱まっていき、一週間もすればほとんど効果がなくなるため、それまでに「男子中学生」としてのライフスタイルに「彼」が馴染めるか否かがポイント。

14 :
#あ、忘れてた。「次回」と書きましたが、6話はまた、偽・恭子たちの方に視点が戻ります。Anotherの次ってことです。

15 :
gj!

16 :
優等生を堕落させたいスレにあった
「エリートなお嬢様がむりやりネトゲとかやらされて堕落していく」SSを読んで
egg系とかああいう雑誌を愛読してるようなギャルが
デブなオタク(男)をバカにする

割のいいバイトと称して、夏休みを丸々使いギャルをアニメやエロゲなどにハメていく
(食事なども太るようなものばかり)

夏休み明け、容姿・言動とも見事かつてのデブオタそっくりギャルが
猛烈ダイエットの結果「夏休み前のギャルみたいに変貌を遂げたデブオタ」と出会う
(バイトと称したオタ化はデブオタ関係者による陰謀)
なんてのを思いついたが、
すぐに1スレ最後の方にあった「人気モデルの堕落」と
同じパターンだということに気がついた(´・ω・`)

17 :
6スレ目まで来たらネタがかぶっても仕方ない気がする
今までやられてないシチュって結局のところ大して萌えないから
皆手を付けてないっていう部分も多少なりはあるしな
学校で就職活動したら女子生徒として雇用されることになって
立場まで変化していくとか使い古されてるようなシチュでも全然おk

18 :
今度届く年賀状は
太郎さん花子さん御夫妻に
娘の一朗ちゃんと春子ちゃんか。
http://postcard.jp/common/images/pict/DD-10NY.jpg

19 :
強引に話題転換か
こいつのいつもの手だな

20 :
厨房発言で爪弾きにされて
こっちで物言いつけて自尊心を満たそうとしているのか
懲りないな

21 :
>>20
いや、>>19って>>18に対するコメントだよね?

22 :
あ、読み間違えた。ごめんなさい。

23 :
七五三ネタでなんかないかな

24 :
>23
7歳になった男のコが、双子の妹が七五三のお祝いに行くことになったのを見て、「僕も行きたい」とゴネたところで、窮屈な晴れ着を着るのが嫌だったお転婆な妹が、こっそり入れ替わりを提案する……とか?
その日一日バレなかったコトに味をしめたふたりは、その後もちょくちょく互いの服を交換して立場を入れ替えるようになり、やがて小学校を卒業する頃には立場を逆転させているコトの方が多くなってる──という話を妄想した。

25 :
このスレならいっそ、「7歳と5歳の立場が交換」くらいやってもいいかも。
----------
 11月上旬の日曜日。
 爽やかに輝く太陽の下、晴れ着を来た母子連れたちが、街中にある神社を訪れています。
 またひとくみ、参拝客。
 7歳を迎えたのでしょう。ピンク色の振袖を可憐に着こなし、髪には花簪をさしてきれいに化粧した男の子が、
5歳になる羽織袴でそろえた妹の手をしっかり繋いで歩いています。
 その様子を後ろから微笑ましく見守って歩くのは、留袖姿の若々しいきれいなお母さん。
 参拝も終わり、千歳飴を持って帰り始めた一家。 
 もう一組の参拝客とであいます。
 今度は母親と男の子。母親は少し年嵩ですがやはり美人で、黒いフォーマルな服をすらっときこなしています。
男の子は赤の晴れ着姿で、襟元から覗くレース飾りが可愛らしさを演出します。
 全員顔見知りらしく、そのまま子どもたちのことを半分忘れて話し込むお母さんたち。
 女の子がふと、
「お兄ちゃん、可愛い格好ができていいなあ。あたしも7歳になったら可愛い着物きていい?」
「あなたは女の子だから、七五三は5歳で終わりなの。7歳は男の子だけだからあきらめましょうね」
「でも最近、七歳に晴れ着で写真を撮る女の子も増えてるんですって」
「へえ……それはどうなのかしらねえ。子どものことちゃんと考えてるのかしら。
 うちはやっぱり、伝統に従って晴れ着は男の子だけに着せたいところね」

26 :
しまった中旬だった。

27 :
こういうこと書くのは無粋で申し訳ないが
立場交換ではなく、男の子と女の子の意味が入れ替わっただけでは

28 :
・・・・・・はっ。
ムズカシイモンデスネ。

29 :
こういう交換もありだと思うな
>>24もちゃんとしたのが読みたい

30 :
pixivの立場交換の人が最近該当作品を投下してくれなくて寂しい

31 :
ついでにあげます

32 :
必だな

33 :
ピクシブの人はTSFの絵を描いてくれてるからそれで良いと思うが 
面白いよあれ 

34 :
あれ?何か変なのが文末に??

35 :
「続いては『まちイキイキ』のコーナー。
 今日は香巻町に古くから伝わる『身代わり様』をお送りします。
 VTRスタート!」

厳かな神社の境内、七五三の参拝客らしく晴れ着に身を包んだ女の子や
羽織袴を着込んだ男の子が両親に手を引かれて歩いている。
その参拝客の中で、ひときわ目立つ親子連れがいた。
格好だけを見たならば背広を着込んだお父さんと、
薄いピンク色の振袖でおめかしをした女の子。
しかし、背広を着ているのが女の子で、振袖を着ているのがお父さんなのだ。
通りがかる参拝客は、振袖を着たお父さんに対して
「かわいらしいわね」とか「似合っているわよ」などと声をかけ、
そして彼が配る千歳飴を受け取っていく。
その様子を見て、横にいる女の子が「娘をよろしくお願いします」と恭しく挨拶をする。
どこかちぐはぐなこの風習。これこそがこの地方に伝わる奇習『身代わり様』なのだ。

かつてこの地方には、子供を病気にする悪い鬼が暴れまわっていたという。
その悪さに困った村の人々が旅のお坊さんに相談すると、
「父親が娘に化け、逆に娘を父親に変装させることで鬼の目を欺くがいい」と教えてくれた。
その指示に従って父親が娘の振りをして遊びまわっていたところ、
鬼が現れて病気をまき散らしたが父親には効かず、
「この村の子供は大人みたいに強い」と音を上げて逃げていったという。
それからというものの、この村では悪い風邪が流行りそうになると
『身代わり様』をたてて子供たちの健康を祈るようになり、
それがいつのまにか七五三と結びついて
今のような「父親が女の子が着るような振袖を着て千歳飴を配る」風習に変化したとか。

「それでは身代わり様の田中さんにインタビューしてみましょう。田中さん?」
「はい! 田中博之、7歳です」
田中さんはかんざしで飾った頭をぴょこりと下げた。
見た目こそ成人男性だが、その動作はどこからみても7歳の女の子そのものだ。
「田中さんはこれから1週間、身代わり様として過ごすわけですが?」
「はい、小学校でお勉強したり、友達と遊んだり、今からとっても楽しみです」
「このように、田中さんは1週間、娘の春香ちゃんの代わりに7歳の女の子として暮らすわけです」
「1週間と短い間ですが、よろしくお願いします」
「逆に、春香ちゃんはこの1週間後に行われる奉納祭に向けて青年会の人たちとともに
 『男衆の心構え』を学んでいくそうです。
 その様子は来週、このコーナーでお伝えしたいと思います!」

「香巻町の『身代わり様』、なんとも変わった風習ですね。
 では続いては明日の天気……」

36 :
続きが止まってる「男子大学生の家庭教師⇔女子小学生の教え子」を横において
七五三で小ネタ
なんか別の風習になってしまった気がするけど(´・ω・`)

37 :
うむ、これは良い物を見た

38 :
いいぞもっとやれ

39 :
立場を入れ替えた人も含めて常識が変換してる系は好きだ

40 :
久方ぶりに社会常識とかが交換されてる系がこないかな

41 :
女子小中高生と成人男性の「性的な扱い・魅力」が入れ替わった世界
ロリコンは小学生ぐらいの女の子が40代後半以上を好きになることだったり
黒髪ロングな女子高生が脂ぎったおっさんを痴漢したり
キモオタが出ているAVを黒ギャルがハァハァしながら見たり

別スレ向きかもしれないが

42 :
なかなかいいじゃないの
服装も変化させればこのスレ向きじゃね

43 :
ここは人の社会的立場・存在がどうこうってスレだから
別スレ向きかと言われたら↓が該当かな
思想や価値観が逆転した世界
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1335910472/
ただこのスレは誘導すると荒れる奇妙な傾向があるから
SS書くなら好きにやってもらって構わないと思う。今書き手もあんまいないし

44 :
そのスレ過疎っていると言うよりゴーストタウンだな
人が全く居なくね?

45 :
過疎ってるならその手の作品が好きな人が盛り上げていけばいいのでは
このスレで時々需要がある割には向こうでそれを言う人がいないんだよな

46 :
いわゆる人格が入れ替わる「入れ替え」や性別が変化するTSではなく、
「肉体や人格はそのまま、突然別の立場に変化する」系統のなどをするスレです
たとえば成人会社員と女子小学生の立場が交換されたり
AV女優と女子高生の立場が交換されたり
ペットと飼い主の立場が交換されたりと
周囲は立場の交換に気づいていたりいなかったり
交換や変化の内容はさまざまです
そもそも「このスレ向き」の定義はテンプレに最初のスレから明記してあるんだから、
「肉体や人格はそのまま、突然別の立場に変化する」条件さえ満たせば何でもアリになるよ

47 :
#少し間があきましたが、「ポニテ」の続き、投下します。
 猪狩沢にある旅館"喜多楼"の北棟に設けられた従業員部屋の一室に、布団が仲良く3つ川の字に並べられ、少女達が眠りについていた。
 枕元に置かれた目ざまし時計が6時10分前を指し、セットされたアラームが鳴り響く……直前に、布団のひとつから伸びた手がボタンを押して阻止した。
 ──って他人事みたく言ってるけど、ソレをやったのは、ほかならぬ自分なんだけどね。
 「ふぁ……もう、こんな時間ですか」
 まだ少し眠い目をしばたたきながら布団から出て、傍らのふたりを揺さぶりながら声をかける。
 「晴海さん、雪さん、6時ですよ、そろそろ起きてください!」
 「──了解した」
 雪さんは、さっきまで寝てたのが嘘みたいに、シレッとした顔で起きてくれるのだけど……。
 「んん〜、あと3ぷん……」
 昨夜、3人で布団に入ってからも何かゴソゴソやってた、ねぇ…晴海、さんは、どうもまだおねむらしい。頭から布団をかぶってイモ虫になってる。
 そう言えば、平日はともかく休みの日には、ベッドで惰眠を貪る人だったなぁ……と、弟としての知識をチラと思い出す。
 もっとも、だからこそ、こんな時の晴海さんの扱いは心得てるわけで。
 「別に構いませんけど……朝ごはん、食べる暇なくなっちゃいますよ?」
 「!」
 途端にガバッと飛び起きる晴海さん。まったく、どんだけ食い意地が張ってるんだか。
 ともあれ、"友人"にして現在のバイト仲間であるふたりと、互いに「おはよう」と朝の挨拶を交わしてから、急いで身支度を整える。
 まずこの長い髪をなんとかしないといけない。幸い、"朝日奈恭子"の髪質はやや猫っ毛気味だけど、そのぶんブラシが素直に通るのは有難い。鏡台の前で、雪さんに教わった方法でブラッシングしてから、リボンでポニーテールにまとめる。
 「うーん、こんなもの、かなぁ」
 どうもイマイチ決まってない気がするんだけど……まぁ、見苦しくなくて、仕事の邪魔にならなければ当面はOKかな。
 「──大丈夫。ココをこうすれば……完成」
 と、横から現れた雪さんが、いったんリボンを解いたのち、再び結わえてくれた。
 「わ、すごい」
 やってる事はたいして変わらないはずなのに、自分でやったのより数段可愛く見える気がする。
 「──問題ない。ちょっとしたコツと、あとは慣れ」
 ニコッと微笑みかけてから、雪さんが身支度を始めたので、慌てて自分も着替えに取りかかった。

48 :
 まず、七分丈の白いパジャマの上を脱ぐと、裸の上半身に枕元に置いてあったクリーム色のブラジャーを着けてホックをとめたのち、脇の肉を無理くり集めてカップに押し込む。
 胸にささやかながら膨らみらしきものが出来たのを確認してから、ロングドロワーズタイプのパジャマの下も脱ぎ、着物を着る前にまず白い足袋を履く。
 そのあとで、縁側に移動させたちゃぶ台に畳んでおいてあるこの旅館の制服──仲居さん用の萌黄色の着物を広げて、身につけた。
 最後に、着物の上から白い前掛(エプロン)を腰に巻けば、"喜多楼"の見習仲居さんの出来あがりだ。
 いくら晴海さんの"術"の助けがあるとは言え、最初の頃はやはり戸惑ったんだけど、6日目ともなるとそれなりに慣れて、かなり手際よく着替えられるようになっていた──制服だけじゃなくて、下着その他も、ね。
 これは、一緒にいるふたり──晴海さんと雪さんが、ワタシをほぼ完全に"同い年の友人の朝日奈恭子"として扱ってくれる点も大きいんだろう。無論、その他の旅館の人達は言わずもがな。
 一応2日目くらいまでは着替えの時は多少はコッチを気遣っててくれたみたいなんだけど、一昨日辺りからは完全に自然体になって、ごく普通に談笑しながら着替えてるし。
 そもそも、晴海さんがかけてくれた"術"は、本人よりその人を見た他者に影響を及ぼすものらしい。しかも、現状を見る限り、術のことを知ってる雪さんや術者である晴海さん本人にも、ある程度効果があるみたい。
 そうなると、自分ひとりがアタフタしてるのはバカらしいし、挙動不審で怪しまれるのも避けたいから、"僕"もワタシとしての立場に身を委ねるようにしてたら……一週間も経たないうちに、すっかり馴染んじゃったみたい。
 そして、それをごく当り前のことと受け止めている自分がいるのも確かで、ふとした拍子に我に返ると、微妙にフクザツな気分にならないでもないんだけどね。
 ──まぁ、今は気にしたら負けだよね、うん。
 着替えのあと、従業員棟の洗面所で洗顔と歯磨きを済ませたのち、部屋で化粧水とジェルで簡単なスキンケア(こちらは晴海さんに教わった)してから、まずは厨房脇の控室に顔を出す。
 そこには小さめのおにぎりふたつにお新香を添えた小皿が3つ置いてあった。これがワタシたちの朝食代わり。ちなみにお茶はセルフサービスだ。
 「フンフンフ〜ン、今朝の具は、なにかなっ♪」
 晴海さんは上機嫌で早速手を出している。
 「もうっ! 晴海さん、お行儀悪いですよ。「いただきます」くらい言いましょうよ」
 「──いただきます。貴方も早く食べたほうがいい」
 雪さんに促されて、時計を見ると……6時18分!? ヤバい、急がないと。
 慌てて、ワタシもおにぎりを手に取り、食べ終ったのが6時25分。簡単に口をゆすいで、厨房に顔を出したのが6時28分。
 (ふぇえ〜、ギリギリだぁ)
 やっぱりあと5分早めに起きたほうがいいかもしれない。
 仲居頭の多岐江さんから、今朝の仕事──食堂代わりの座敷への配膳の指示を受けながら、ワタシはちょっぴり反省するのだった。
 * * * 

49 :
 6時半から9時まで配膳と片付け作業、9時からは厨房でお皿洗い(と言っても、食器洗いマシンがあるから、わりと楽だけど)……と、立て続けに仕事をしたのち、10時過ぎにようやく一段落。
 もっとも、11時過ぎからはお昼の配膳があるし、正社員(って言うのかな、この場合も)の仲居さんたちは、この時間もお部屋の掃除とかで忙しく働いてるんだけど、ワタシたちバイトは、いったん小休止となり控室でお茶くらいは飲める。
 「それにしても、団体客がいると、やっぱり忙しいわね」
 「──しかし、だからこそ、私たちがヘルプとして雇われたのでは?」
 「それは、まぁ、そうですよねぇ」
 他愛もない雑談をしながら、お昼は14時ごろまで食べられないので、それまでの"繋ぎ"に、控室に置かれたお煎餅やクッキーに手を出すワタシたち。
 初日とかは多少遠慮してたんだけど、けっこうハードなこのバイトで、ハラペコのまま仕事するのは辛いということが身に染みたので、ここは有難く頂いておくことにしていた。
 11時ごろになって、板前さんたちがお昼の料理を仕上げていくと、ワタシたちも仕事を再開。朝と同様に、座敷のテーブルに料理を配膳していくことになる。
 もっとも、朝に比べると、この旅館で昼食を摂るお客さんは少ないから、多少楽だけど。
 で、そのあと片づけとお皿洗いがあるのも朝と同じ。
 それが終わる2時過ぎに、遅めの賄いご飯を控室でいただく。
 「へぇ、今日は豆腐とナスと鶏つくねの味噌田楽かぁ。美味しそー♪」
 「──ワカメとサヤエンドウの和風スープも、大変いいお味」
 長身でスポーツウーマンな見かけどおり(というと本人は怒るだろうけど)食いしん坊な晴海さんと同じくらい、小柄な雪さんも実は健啖家だったりする。
 (この3人の中で一番小食なのが、本当は男のワタシってのも、なんだかなぁ)
 え? 「そんなんだから、背が伸びない」? 大きなお世話ですよーだ!
 15時から18時までは、廊下や庭園、裏口なんかの掃除、あるいは近所のお店へのお使いなどの雑用を言いつけられる。
 最初の2、3日は、簡易タイプとは言え、着物で作業するのはちょっとやりづらかったし、この格好のまま外出するのはちょっと照れくさかったけど、人間、何事にも慣れるモンなんだね〜。
 今じゃあ、内股気味にしずしず歩くことや、裾さばき袂さばきも随分巧くなったし、仲居姿のまま買い物に出かけて、お店の人と雑談交わすことにもなんら抵抗がなくなってる。
 昨日も、仲居頭の多岐江さんから、「恭子ちゃんは和服での立居振舞が随分達者ね」と褒められたし。まぁ、これは一緒にいるふたりとの比較の問題かもしれないけどさ。
 晴海さんはあの性格だから、着物姿でも随分豪快に動く(転びもせずにそれができるのは流石だけど)し、雪さんは逆に着物に"拘束"されたような感じでどうにも動きがぎこちない。
 多岐江さんいわく、「だから、旅館の仲居としては恭子ちゃんみたいなのが一番映える」んだってさ。
 で、午後の雑用に引き続いての夕食の配膳作業が終わると、バイト組のお仕事は無事終了となる(なんでも、高校生をあまり遅くまで働かせたくないらしい)。板前さんたちが作ってくれた賄いを食べたあと、部屋に戻って私服に着替え、あとは自由時間。
 もっとも、「外に出てもいいですが、22時ごろまでには帰って来てくださいね(ニッコリ)」と、仲居頭の多岐江さんから釘は刺されてるけど。
 それでも、好奇心と遊び心カタマリみたいな晴海さんが大人しくしてるワケがなく、雪さんとワタシは彼女に色々引っ張り回されることになるのが常だ。

50 :
 「あ! 見て見て、雪、恭子、ここのボーリングセンター、プールバーもあるみたいよ」
 「──私は、ダーツに興味がある」
 「え、えっと……こんな時間に高校生が行っても大丈夫なんでしょうか?」
 "朝日奈恭子"は、この三人娘の中では「常識人のストッパー」的役割を担ってるみたいなので、一応牽制の言葉は口にしておく。
 まぁ、いざとなれば、晴海さんの"暗示"で誤魔化しようはいくらでもあるんだけろうけどさ。
 ちなみに、今のワタシの服装は、ノースリーブの白いブラウスに赤いチェックのネクタイを締め、ボトムは膝上10センチの黒いティアードスカート、足元は素足に心持ちヒールのあるグラディエーターサンダルといった格好。
 髪型は、赤地に金のラメの入った少し派手めのリボンで、トレードマークになりつつあるポニテにまとめている。
 このバイトを始める前なら、こんな格好恥ずかしくて仕方なかっただろうけど、いまさらだし、開き直ったら気にならなくなった──というか、鏡を見て、実は自分でもちょっと可愛いと思ってしまったのは内緒。
 ついでに言うと、晴海さんはちょっと襟ぐり深めな淡い若草色のミニワンピ、雪さんはピンクのベアトップに小豆色のビスチェを合わせ、同色同素材のかなりタイトなホットパンツを履いている。
 (ふたりとも、スタイルがいいから、こういう服装してると、女子大生くらいにも見えるなぁ……)
 なんとなく自分のペタンコの胸元を見下ろして溜め息をつきたくなったのは、きっと気のせいだよね、ウン。
 ともあれ、ワタシ自身も含めて、普通ならこういう格好の女の子3人が避暑地の商店街をうろついていたら、ナンパやよからぬ誘いの標的になるんだろうけど、そこはそれ、晴海さんの"ナンパ避けの香"におかけで、スルーされてるのは有難いなぁ。
 だから、そんな状況下でワタシが「彼」に出会ったのは、後になって考えればとんでもない幸運か……あるいは運命の導きだったのかもしれない。
-つづく-
#というわけで、バイト初めて6日目の"恭子"ちゃんの一日。話がイマイチ進展してないようですが、ようやくとっかかりまで漕ぎ着けました。
#ちなみに、長津田雪さんは(モデルになったキャラとは逆に)、小柄だけど胸が大きいロリ巨乳属性。逆に朝日奈恭子の方が、背は普通ながらツルペタ娘です。

51 :
GJ!
次回から楽しい展開になりそうですね

52 :
重複スレようやく落ちたかー。
意外にもつものですな。

53 :
レーシングマシンとレースクイーンの立場交換
というフレーズだけ思いついたが、どうにもならん
>>50
遅ればせながらGJ!
続き、期待してますですよ

54 :
>53
そこで、「レーサーとレースクイーン」の立場交換ならOKではないかと思う私は凡人過ぎて恥ずかしい。
昔からクルマが好きで、プライベートではスポーツカーを乗り回している女性が、「趣味と実益を兼ねて」
恋人であるレーサーが所属するレーシングチームのレースクイーンに採用される。
ところが、シーズン途中のある日、そのレーサーが事故り、ケガはたいしたことがなかったものの、
トラウマから巧く運転できなくなる。
レーサーは、そのシーズン、かなりよい成績を残しており、あと2戦でシーズンが終わるというところ
だったため、非常に悔しい想いをする。
女性も同情し、「代われるものなら代わってあげたい」と発言したところで、レーサーの部屋に飾ってあった
お土産の神像が光を発し、気が付くと「レーサーとレースクイーン」というふたりの立場が入れ替わっていた。
レーサーになった女性は、密かな念願だったレースに出られることでテンションが上がりまくり。
一方、いきなりレースクイーンをやらされることになった恋人の方は恥ずかしくて仕方ないが、
「これも仕事」と女性に説得され、また元に戻った時に女性が困らないよう、渋々RQをやることに……。
──てな感じか。超常的要因を絡めず、チーム公認で立場交換するというのも、アリかもしんない。

55 :
>>54
そういうストレートなのも大好物であります!
カメコが「うおお! あのタイヤ超エロイ!」
「あのウイングのラインがたまらん」とかいいながらマシンの写真を撮り
レースクイーンが口で「ぶるんぶるんばるるるる・・・」とエンジン音を表現しながら
サーキットでレースをするという情景までは思いついたのですが、
それ以上は進展しなかったのでw

「ああっと! ここでコスチュームトラブル! 先頭を走る伊藤さやかのストッキングに伝線!」
「このタイミングでピットインしなくてはいけないのは厳しいですね」
「ここでピットイン。ハイヒールの交換・・・・・・5秒! いいタイムです」

56 :
>>55
レースクイーンがドライバー負って走ってるんだな シュールな光景だ

57 :
週刊少年チャンピオンの「名探偵マーニー」で
主義主張の違う親子が「お互いの主義の素晴らしさをわからせるため」
主義を交換して生活するってのがあった
なんかいろいろと応用できそうだ
仕事人間で家族思いだけどくたびれた感じのする父親と
eggなんかを愛読してるようなファッションに身を包んで夜遊びしまくる娘が大ゲンカ
「お互いの生き方がいかに素晴らしいか」を証明するため、
お互いの立場を交換する・・・・・・とか

58 :
「練習試合も近いからな、体調管理に気をつけとけ。俺からは以上だ」
「したーっ!」
「「「「「したーっ!!」」」」」
顧問の権堂先生の話が終わると、わたしたちは野球部風の挨拶で部活を終えた。全身が泥と汗で汚れてて、今すぐシャワーを浴びたい。
「おい、一年はちゃんと片付けやっとけよー」
二年生の先輩が帰り支度をしながら、わたしたち一年生に声を掛けた。その先輩も、他の一年生たちもみんな、野球部の男子と立場交換した女子だ。
野球部のキャプテンである武藤先輩も、武藤先輩と話している権藤先生も、みんな。
野球部の『武藤先輩』といえば、運動神経もよくて成績優秀、野球に打ち込んで日焼けした顔は凛々しくて、女子のあこがれ…
という絵に描いたような理想の先輩だったのだけど、今の姿は全然違っていた。
今の『武藤先輩』は坊主頭ではなくて、茶髪に染めた髪はウェーブのセミロング。
顔も日焼けしていないし、練習で引き締まっていた胸板は、男子中学生どころか女子中学生でもちょっとありえないほどの巨乳だ。
三年生の問題児、姫嶋先輩が武藤先輩の立場になってしまっているせいだ。
美人ではあるけど派手なことで有名な先輩で、高校生の彼氏がいるっていう噂もある。
学校に化粧をしてきたり、制服のスカートを改造して裏地を派手な柄にしたり。
あとは授業をサボるのもしょっちゅうで、生徒指導の権藤先生としょっちゅう口論をしていた。
だけど今は真面目な『武藤先輩』の立場になっているせいか、キリッとした凛々しい表情でタオルで汗を拭っていた。
その生徒指導の先生で、野球部の顧問もしている『権藤先生』といえば、角刈りの頭に角ばった顔、短足寸胴でゴリラのように毛深い先生だったのだけど…
今は黒髪ストレートの髪を肩まで伸ばし、すらっとした四肢をくたびれたジャージの袖から覗かせていた。
三年生の優等生である、雛川先輩が権藤先生の立場になったからだ。
切れ長の瞳に肩まで伸ばした黒髪はまさに大和撫子といった姿で、たまに眼が合うと女のわたしでもどきりとした。
…実は少し、憧れていたりしたのだけど。その雛川先輩が、権藤先生の立場になったせいでガサツなオヤジになってしまっていた。
くたびれたジャージを履いてガニ股で歩き、ボリボリと品なくお尻を掻いている。こんな先輩見たくなかったのに!

59 :
他の一年生たちと一緒に片付けを終わらせると、わたしも帰ることにした。
……その前にトイレに寄っておかないと。いつも一緒に帰っているらしい助川の友だちたちに声を掛けると、
わたしはグラウンド脇のトイレに向かった。
薄汚い屋外のトイレに入り、小便器の前でユニフォームのチャックを開け、股を広げる。少し力むと、勢い良くわたしのあそこからおしっこが出てきた。
服にかからないのが不思議だったけど、それも立場交換のせいなのかな。まっすぐにおしっこが出ていく。最後に体を揺すって残りを出し終えた。
トイレから戻る途中で、校舎の裏に誰かがいるのに気づいた。
あれは…本物の方の権藤先生だ。
今は『雛川先輩』の立場になっているから、ゴリラ顔の中年教師がセーラー服を着ているというおぞましい姿だったのだけど。
でも『雛川先輩』として、才色兼備な女子生徒の立場なのだから何もおかしくはなかった。
…こんなところで何をしているんだろう。気になったわたしは、植え込みの陰を通ってこっそり近づいた。
「手紙…読んでくれたかな」
『雛川先輩』になりきった権藤先生が俯き加減にそう言った。
手入れなんてしていない濃い眉を下げて、もじもじとはにかんでいる。女子中学生とはほど遠い筋肉質な肩が、上下していた。
その向かい側にいたのは…さっきまで一緒に部活をやっていた『武藤先輩』だ。
姫嶋先輩は普段の不真面目な様子とは全然違って、キリッとした顔つきで口を開いた。
「読みました。実はおれも先輩のこと、前から気になってて…おれでよかったら、お付き合いさせて欲しいです」
『武藤先輩』が低い声音を作ってそう答えた。
ユニフォームに入ったストライプ模様のお陰で、ウエストラインの女の子らしいくびれが余計に強調されている。
不良女子生徒だったはずの姫嶋先輩は、今は野球部の凛々しいキャプテンなのだから。
『武藤先輩』がさらに二言三言呟くと、『雛川先輩』の顔が真っ赤になった。脂ぎってテカる額まで赤く染まっている。
『武藤先輩』が『雛川先輩』の肩を掴んで、ゆっくりと抱き寄せた。
野球部のキャプテンとしては不釣り合いなほど大きな胸が『雛川先輩』に押し付けられる。
『雛川先輩』の身体がビクッと震え、毛むくじゃらな太い足を内股でもぞもぞと動かした。
興奮しているのか、股のあたりで『雛川先輩』のスカートが内側から持ち上がってしまっている。
二人は今どんな気持ちなんだろう。
いつも自分を説教してきた生徒指導の中年教師を『彼女』にすることになった姫嶋先輩。
逆に自分が指導してきた女子生徒に告白して、『彼氏』になってもらった権藤先生。
たぶん本物の先輩たちが告白の返事をする日がもともと今日で、二人は仕方なく立場にそって行動したんだろうけど……
今は二人共幸せそうで、権藤先生は姫嶋先輩の両胸にことんと頭を預けて甘えている。
わたしは倒錯したカップルの誕生を見届けながら、自分の割れ目が熱く疼くのを抑えきれずにいた。

60 :
「うぅ…やっぱり恥ずかしい……」
俺は洋式便座の前で悶えていた。
ここは斉藤の家にある、トイレの中だ。
自宅なら多少立場から外れた行動をしても大丈夫だろうと思い、立ちションを試みたのだが。
それが恥ずかしい。性格まで交換されたわけじゃないが、俺にも女子中学生の「立場」というものがあるわけで、さすがに立ちションはしづらかった。
「いいや、やっちゃえ!」
思い切ってスカートをたくしあげ、立ちションの準備を始めた。
俺のヒラメ筋でパンパンに膨らんだ紺のハイソックスと、毛深い太腿。
そしてずらしたパンティの中からもっさりと溢れる陰毛と、ぐでんとしたチンポが眼に飛び込んでくる。
どうみても変態すぎる。頭ではそう分かっているのだが、最初ほどの違和感は感じなかった。俺自身、斉藤の立場にかなり馴染んでいるようだ。
そんなことに気をやっているうちに、ちょろろ…と尿が出始めた、っておい!まずいぞ止まれ!!
「ひゃぁ!ちょっとやだぁ!!」
俺が可愛らしい悲鳴を上げた時には、もう床や便座が尿でびちょびちょに汚れてしまっていた。
女性器と立場交換してしまった俺の男性器は、機能からして完全に違っているらしい。普段とは全く違う方向に、違う勢いで飛び散ってしまった。
俺は泣きそうになりながらも、トイレットペーパーを何枚も重ね、汚してしまったところを拭き取り始めた。
    ※
「小夜子、顔色が悪いけど大丈夫なの?」
「…うん。大丈夫。続きやるね」
俺は台所に戻ると、さっきまでしていた晩御飯の手伝いを続けた。
斉藤の母親は娘が担任教師になっていることに微塵も気づかないまま、リズミカルに包丁を動かして野菜を刻んでいく。
俺はその横でハンバーグの生地を捏ねていた。腕の太さとは反して筋力が出ないせいで、結構な重労働だ。
他にも付け合せのポテトサラダを作ったり、捏ねおえた肉を焼き始める頃合いになると、もう外が暗くなりかけていた。
俺がフライパンの上に形を整えた肉を起き始めると、ちょうどただいまという声が玄関の方でした。父親が帰ってきたようだ。
「おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
台所にやってきた斉藤の父親が、シュッとネクタイを緩めながら答えた。
やはり俺のことを完全に斉藤だと思っているようで、娘の担任がセーラー服を着て晩飯の手伝いをしてる姿をなんとも思っていないらしい。
やがて飯も炊けたので、三人で食卓を囲むことになった。
「そういや、沙希子はどうしたんだ」
味噌汁の椀に手を伸ばしながら父親が訊くと、母親がエプロンの端で濡れた手を拭きながら答えた。
「留学しちゃう子がいるから、サークルで送別会があるんですって。あんまり飲み過ぎないといいんだけど」
沙希子…という単語を聞いた俺の中で、記憶がふっと蘇った。確か斉藤の姉で、大学生だったはずだ。
「えー、お姉ちゃんに数学教えてもらおうと思ってたのになぁ」
俺はそう呟くと、食事が終わったら宿題に取り掛からないとなと考えて、少しばかり憂鬱になった。

61 :
「おーし、これできれいになったな!さ、入るぞ」
「うん!」
三浦先生として帰宅したわたしを待っていたのは、妻の小百合さんと娘の美香ちゃんだった。
昼間体育教師としてバリバリ動きまわったわたしの空腹は、ご飯を三杯もおかわりして、おかずのレバニラ炒めをモリモリ食べることでようやく収まった。
今は美香ちゃんと一緒にお風呂に入っている。
さっきまでは美香ちゃんの身体を洗ってあげながら、今日は幼稚園でパパの絵を描いたんだよと教えてもらっていたところだ。
それを聞いてると、わたしの立場がすっかり変わっちゃったんだなあ、というのを昼間よりも強く感じた。
学校だと、生徒から教師へという立場の変化を強く感じたけれど、三浦先生の家に帰ってみると、女の子から父親へという立場の変化を強く意識してしまう。
今朝までわたしは中学生の女の子だったのに、奥さんと子どもまでいる大人の男の人の立場になってるんだなあ、って。
「あのね、みかね…おおきくなったら、パパとけっこんするの!」
美香ちゃんがほっぺにえくぼを作ってコロコロと笑った。
三浦先生の娘の美香ちゃんは、とてもかわいい。それは小さい子だからかわいい、というのとは少し違っていて、
自分の血を分けた娘だからかわいい、という感覚がふつふつと湧き上がってくるのだ。
きっとこれは、三浦先生の持つ父性、なんだと思う。
二人でお湯を掛けあったりしてふざけていると、いつの間にか美香ちゃんがじいっとわたしの身体を見ていた。なんだろう。
「パパのここって、どうしてみかとはちがうの?」
毛のうっすら生えたわたしの股の割れ目を見ながら、美香ちゃんが不思議そうに訊いた。
ううん、ホントは同じなんだけど…
今のわたしのここは、おちんちんとしての立場になってるわけで…ややこしいなあ、もう。
お風呂から出ると美香ちゃんの身体を拭いて着替えさせ、小百合さんにバトンタッチした。
わたしはバスタオルを腰に巻いてキッチンへと向かった。胸が剥き出しなのはもうプールでだいぶ慣れちゃった。
喉が渇いてたので冷蔵庫を開けると、麦茶があったのでそれに手を伸ばそうとした。そのとき、ふと銀色の缶が眼に入った。
缶ビール。
今までは冷蔵庫に入っていても、飲み物として意識したことはなかった。
それなのにいまは、缶ビールが飲みたくてしかたない。
風呂あがりに飲むビールは美味しい、ってよく大人が言ってるのもそうだけど、
なにより三浦先生の立場になってしまったわたしの細胞のひとつひとつが、湯上りのビールを欲しがっていた。
ゴクリ、とわたしの喉が鳴る。社会的にはわたしは三浦先生として扱われるんだから、飲んでも大丈夫なはずだ。
逆に三浦先生が飲んだら補導されちゃうんだろうけど。
現に三浦先生の家に帰るのにも車を運転したけれど、免許証の写真もわたしに書き換わっていたし、運転席に座っただけで車の動かし方を思い出せた。
今のわたしは、三浦先生がしていいことならば何でもできるのだ。
わたしは缶ビールを手に取り、プルタブを開けた。
プシュっと心地いい音がして、泡がしゅわしゅわと弾けていった。
腰に手を当てて、グビリグビリと飲み干していく。
泡だったビールが喉を流れ落ちていく感覚と、キィンとした清涼感がこめかみを貫き、わたしは思わず眼を見開いた。
「うおっ!うめえな…ビールってこんなに旨かったのか」
ふと、美香ちゃんと遊んでいる小百合さんの姿が眼に入った。
しなやかな腰、悩ましげなバスト、透き通るような肌…わたしの喉がゴクリとなる。
男の立場になってしまったわたしの身体が、また疼きだす。
今のわたしは、三浦先生ができる事ならなんでもできる。

62 :
シーツと肌が擦れる音に混じり、あっ、あっ、と切なげな声が寝室に響く。
わたしがその、砂糖菓子のようにぼってりとして甘そうな乳首を口に含んであげると、息を深く飲む音がした。
「んっ…ぁ。ダメ…そんなに舌使わないで……」
震えるような声音に従って口を離すと、声の主はホッとしたようだった。
呼吸を整えつつ、強張っていた身体を緩めている。
「小百合は感じやすいな…」
わたしはベットに横たわる女性に声を掛けた。小百合。三浦小百合。
三浦先生の奥さんで……今は、わたしの奥さんだ。
だからわたしが小百合さんとこんなことをするのも、ちっともおかしくない(けど三浦先生ごめんね!)。
わたしの言葉に、小百合さんは恥ずかしそうに口を尖らせた。
「もう…そんなふうに言わないで」
「悪い悪い」
わたしは謝りながら、小百合さんの滑らかな肌の手触りを楽しんだ。小百合さんもわたしの身体に手を伸ばしてくる。
お互いに身体を触りあっているだけなのに、なんだかとても気持ちいい…。
でもこれ、まだセックスじゃないんだよね。
わたしは立場交換で手に入れた知識をもとに、そんなことを考えていた。今のこれは『前戯』というやつらしい。
けどもうそろそろ『本番』にいってもいいかな。小百合さんの割れ目にそっと指を這わせた。
温かな粘膜が優しくわたしの人差し指を包み込む。小百合さんが掠れたような声を上げ、腰をくねらせた。
間接照明だけが灯る薄暗い寝室のカーテンに、わたしと小百合さんが絡みあう影が影絵のように映る。
見た目の上では互いに女同士、女子中学生と人妻のレズセックスにしか見えないんだけど…
だけど実際には、普通の男女の夫婦のセックスとしか扱われない。
小百合さん本人も、わたしが中学生の女の子だなんて夢にも思っていない。
体育教師をしている、逞しい自分の夫に抱かれていると思い込んでいる。
わたしは小百合さんを組み伏せ、両足を持ち上げて割れ目がよく見えるようにした。
ひくひくと小さく喘ぐように動くそこからは、もうとろりとした汁が出始めている。
わたしと違って毛もしっかり生えている大人の女性の性器。それが、今はわたしのモノを求めている…
熱く疼き始める自分のクリトリスの存在を感じながら、わたしも股を開いて小百合さんの割れ目に擦りつけた。
くちゅり、と女同士の粘膜が擦れ合ういやらしい音がした、その時だった。
「うおっ!?おぉぉ!」
「ひんっ!ぁぁあ!」
二人で同時に喘ぎ声を上げた。なにこれ…すごい。
ほんの少し割れ目同士を擦り合わせただけなのに、まるで…まるでクリトリスが、小百合さんの中に入っていくみたいな感覚だった。
こんなの初めて…あ、そっか。わたし、処女なのに、先に男としてセックスしちゃうんだ。でももう、そんなことどうでもいい!
そこからは、もう夢中になって腰を振った。
「小百合っ!小百合っ!!いいぞ、お前ん中最高だぞっ!!」
「ぁんっ!いいっ!そこぉ!!すごくいいのぉ!!!」
腰をぐっと深く埋め、そして引きぬくように持ち上げる度に、わたしの背筋に鋭い快感が走る。
それを繰り返しているとわたしの割れ目の中で、筋肉がぴくぴくと動く感触と、何かが込み上げてくる感覚があった。
無意識に三浦先生がいつも言っているだろう言葉が出た。
「出すっ!出すぞ!!小百合の中にっ!!ウオォォッ!!!」
「はやく…はやく来てっ!ひぁっ!!?んァァァ〜〜!!!」
ブシュ!ブシュウ!!と勢い良くわたしの割れ目から白い汁が溢れだした。
小百合さんはぎゅっとシーツを掴んで身体を強張らせ、掠れたような声で悶えた。
こうしてわたしは、担任の先生の奥さんに中出ししてしまったのだった。

63 :
お久しぶりです。前回からかなり間が空いてしまいましたが、思いやり学習の続きです。
これで帰宅編は半分終了。あとは三浦先生のエロパートとエピローグを残すのみとなりました。
三浦先生を既婚者にした理由は、このレズセックスがやりたかったからだったりします。
(逆に言うと三浦先生と斉藤姉は、男女間のセックスなのにレズとして扱われるというわけで…)
この辺り書いていて楽しかったです。それではまた近いうちに

64 :
待ちわびた思いやり学習の続編相変わらずGJです!
続き楽しみです

65 :
とってもイイです、乙です

66 :
乙でございます

67 :
GJ。これは名作

68 :
乙です!
オタクと立場交換して美人がフィギュアでオナるとこや助川プライベート編など想像してしまいます
これは是非思いやり学習社会人版も創作して欲しいですww

69 :
斉藤の姉、沙希子がぐでんぐでんに酔って帰宅したのは、
宿題と風呂も済ませ、斉藤の持っている少女漫画でも読もうとしていた頃合いだった。
「なんらのよぉ〜! うっぷ…アタシ振って高飛びしやがってぇ」
「あらあら、沙希子ったら…今お水持ってくるからね。小夜子、お姉ちゃん見てて」
「うん。ちょっと…お姉ちゃん、ここで寝ちゃダメだよ!」
俺は酔いつぶれた沙希子を起こそうとしたが、今の腕力では大学生の身体を持ち上げられないようだった。
代わりに顔をぺちぺちと叩き、母親が持ってきた水を飲ませる。
「んぐ…ありがと。あ゛ーぎもぢわるぃ」
一息ついたところで本人を立たせ、肩を貸しながら階段を登った。これぐらいなら今の俺でも十分にできる。
「ほら、お姉ちゃん着いたよ」
「うっぷ…」
俺は沙希子の部屋の扉を開け、二人で中に入った。
電気も点けていないので暗いままだったが、廊下から照らされる明かりでベットはすぐにわかった。
どのみちすぐ寝てしまうのだから、このままでいいだろう。
俺がベットに沙希子を寝かせていると、母親が荷物を置きに来た。
「小夜子、とりあえず着替えさせちゃってくれる?」
「うん」
そうは答えたものの、ちらりと俺の頭に罪悪感がよぎった。
いい歳をした既婚の男が、酔いつぶれた女子大生の服を脱がせていいものか?小百合と美香の顔がちらつく。
だがまあ……別にいやらしいことをしようとしてるわけじゃない。今の俺は、沙希子の妹ということになっている。
妹が姉を介抱しようとしてるだけなんだ……そう言い訳しながら服を脱がせていく。
…妻と同じくらいはありそうな胸が、ブラに包まれて揺れていた。
それを見ても、意外なほどに俺は冷静だった。性欲のせの字も湧いてこない。
これも当然といえば当然で、今の俺と沙希子は『女同士』なのだから、裸を見たぐらいでどうこうなるわけがなかった。
それに気づいた俺は安心して沙希子の服を着替えさせようとした。
「う…ん」
「きゃっ」
ぐいっ、と俺の手が沙希子に引っ張られた。
沙希子は上半身は胸を剥き出しにし、下半身にはパンティが引っ掛かったままというあられもない姿だ。
その上に覆いかぶさる形で、淡いピンク色の女の子向けのパジャマを着た俺の身体が重なった。
「ひっぐ…えっぐ……なによぉ、男なんてぇ」
「お姉ちゃん…」
「せっがぐ、こぐはぐしたのにぃ〜!」
どうやら留学する男に告白して、玉砕したらしい。俺は沙希子を慰めるように、ぽんぽんと頭を撫でてやった。
「うんうん」
「いいっ…もん!あだし……」
その時、沙希子の手がすすっと俺の尻を撫でたのに気が付かなかった。
いや分かってはいたが、酔って不可解な動きをしているのだと、そう思っていた。
「小夜子ぉ……」
潤んだ眼で俺を見上げた沙希子が、俺をぎゅうっと抱きしめた。
…酒臭い。だが男としての性欲がなくなった俺は、その若い女性の特有の柔らかい感触を純粋に楽しんだ。
そしてそのまま、沙希子を宥めながらいつの間にか眠ってしまった。

70 :
…熱い。体が熱い。
ぽうっとした熱っぽさを感じて眼を覚ますと、渋みのような快感が全身に広がっていた。
思わず艶っぽい声音が漏れた。俺の野太い声で。
「はぁっ…ぁん」
眼を開ける。暗がりで見えづらかったが、俺の上に誰かがいた。
寝ぼけた頭と眼が次第に覚めてくる。そこにいたのは…
「おねえ、ちゃん!?」
「ハァ…小夜子の肌、すべすべしてるね…きもちぃ」
とろんとした口調で沙希子はつぶやくと、俺の毛深い腕に頬ずりした。
おいおい!こりゃまずいなんてもんじゃないぞ!
「ダメだよぉ!こんなの!離してっ」
「んふふふ…やーだぁ!」
俺の両腕を押さえつけると、沙希子はえへへと笑った。
女子中学生の腕力になっちまった俺が彼女に敵うはずもなく、あっけなく押さえこまれてしまう。
「ふふっ。小夜子だって…もうこんなじゃない……」
「えっ!あっ!?」
くちゅ、と音を立てて、勃起しきった俺のチンポの皮を、沙希子が上下させた。
先走り…いや、愛液を亀頭から垂らした俺のチンポが、いやらしい水音を立てる。
その様子を満足気に見下ろしていた沙希子は、俺のチンポをしっかりと握ったまま自分の腰を近づけていった。
おい…まさか……!?
「お姉ちゃんね、さびしいの。でも小夜子となら…」
「ダメだよっ!わたしたち、姉妹なんだよっ! ひゃぅん!!?」
俺の乳首を、沙希子がくりくりと押した。途端にきゅぅんと胸が切なくなるような快感が突き抜ける。
男の小さな乳首が、熟れて弾けそうな果実のように堅く勃ち上がっている。
「んっ…んンっ!」
「お姉ちゃんと…ひとつになろ?小夜子」
にゅぷっ…にゅぷぷ……と、俺のチンポが沙希子のマンコに飲み込まれていった。
下半身を中心に甘い感覚が俺を包み込む。
完全に俺のチンポを咥え込むと、沙希子は自分の胸を揉みしだきながら腰を動かした。
まるで泉のようにじわじわと身体の内側から湧き上がってくる。
少しずつ少しずつ…潮が満ち干きするように、それは俺の中で次第に高まっていった。
こんなの初めてだ。男の快感とどっちが……あれ? そこで俺は気づいた。
射精の感覚がどんなだったか思い出せない。それどころか、セックスに関する知識がスッポリと頭の中から抜けている。
何度も小百合としていたはずの夜の営みも、頭ではしていたはずだとわかっているのに思い出せない。
…知識が入れ替わったのは、数学や英語だけだとなぜ思い込んでいたのだろう。性知識も知識だ。
それがすっかり斉藤のものと入れ替わっているようだった。なにせ、今のたい…なんだっけ。たいい?さえわからない。
ガタイこそ厳つい男のくせして、初心な女子中学生並みの性知識しか持っていない。それが今の俺だった。

71 :
それに気づいちまった俺は、一気に堕ちた。
なにせ今の俺には性的な耐性が全くない。
オナニーもしたことがない女子中学生が、人生初めての快感を与えられて抗えるはずがなかった。
童貞どころか、今の俺は処女なのだ。
「きもちぃよぉ…おねえちゃぁっ、ぁぁあん♪」
俺は涎を垂らしながら、ひくひくと毛深い身体を痙攣させた。
俺の上にまたがった沙希子が腰を振る度に、とろりとした快感が身体に溜まっていく。
ゆっくりと、だが確実にコップに水が注がれていくように。それはあふれだす機会を狙っているようだった。
「ね?女の子同士って、すごくいいでしょ…」
「うん…ぁん。もっと…」
「あっ!小夜子…!」
俺は自分から腰を突き上げた。ぐちゅんと愛液とチンポの皮が擦れて音を立て、俺はその心地よさに眼を細めた。
「いぃ。すごいよぉ…!わたしのおまんこきもちぃ…」
「ふふっ。もっと気持ちよくしてあげる」
沙希子が腰を動かし、俺が突き上げ、互いに快感を高めていった。ときおり胸を揉み、いやらしい言葉を囁く。彼女がより大きく股を開くと、さらに深くチンポが膣内に飲み込まれていった。
見た目こそ既婚男と女子大生のセックスだが、これは姉妹のレズセックスなのだ。
そしてとうとう、蜜が溢れる時が来た。
「ひあっ!んぅ…くぅ……ぅぁんんっ!!? ひぁあんっ!!!!」
今まではじんわりとした快感がずっと続いていたのが、腰を激しく動かし続けていると、
眼の前が真っ白になるような快感が数秒間も続いた。
俺は何も考えられなくなり、ただ身体を弓なりに仰け反らせて喘いだ。
どさっとベットに身体を落とし、肩で息をしていると、沙希子が俺のチンポをマンコから抜いた。沙希子の膣からとぱぁと粘る汁が溢れだす。
沙希子は「小夜子ったら、初めてで潮吹くなんて素質あるわよ」と言いながら、今も俺の亀頭からどくどくと溢れだす愛液を舌で舐め始めた。
そのくすぐったい感覚に、俺はまた女の子のようにベットの上で悶えた。
こうして俺は、教え子の姉相手にレズセックスをしてしまった。

72 :
「んあ…?」
翌朝は、なんだか早く眼が覚めてしまった。
しかも寝ぼけた頭では立場交換のことなんかすっかり忘れていて、最初は自分が本当に三浦先生だと思い込んでしまった。
(そういや今日の朝当番は俺だったな……早めに家を出るか。ん?)
途中で何か自分の考え方が変だなと思い、身体を触ってみた。
二次性徴が始まって柔らかく丸みを帯びた胸、くりっとした乳首。毛のない華奢な腕、くびれた腰。そして……
(んっ、朝起ちが収まらねえな。小百合を起こすのも悪いし、一発抜いとくか)
毛の薄い女性器の中で堅くなっていた、クリトリス。
自分の身体のあらゆる女性的な部分を、
立場交換によって「ガタイのいい男性体育教師の身体」と認識してしまっていたわたしは、寝ぼけたまま三浦先生のつもりでオナニーを始めた。
小百合さんの寝顔をおかずにしながら、くちゅくちゅと割れ目の中で指を動かす。
フーッ、フーッと鼻息を荒くして、ほっそりした足をガニ股に広げてもぞもぞさせていたところで、ようやく自分が三浦先生じゃなかったことに気づいた。
(やっ、やだわたし! すっかり自分が三浦先生だと思い込んでた…!)
冷静になってみれば、昨日まで女子中学生をしていた記憶ははっきりと残っている。
立場交換用に一部の記憶(車の運転とか身体の動かし方とか)が入れ替わっているけど、あくまでも基本はわたしのままだ。
だけど、アイデンティティ…っていうのかな。自分が自分である実感、それが三浦先生のものとごっちゃになってきてる。
頭では自分が中学生の女の子だってわかってるのに、自分は妻子持ちの男だ、って気がしてきちゃう。
昨日まではそんな感じはなかったんだけど、だんだん三浦先生の立場に染まってきてるのかな。
…もしこのまま、ずっと三浦先生の立場でいたらどうなるんだろう。頭の中まで三浦先生そっくりになっちゃうんだろうか。
わたしは横で寝ている小百合さんの寝顔を見た。昨日した、男としてのセックスの記憶が蘇る。
小百合さんを悶えさせ、中出ししたことで充実感…いや征服感さえ感じることが出来た。
この人は、わたしの妻なんだ。
小百合さんの髪を優しく撫でる。
その女らしい身体を見ていると、この人はわたしが守らないといけない、という本能のようなものが湧き上がってくる。
お母さんやお姉ちゃん、お父さん。学校のみんな…今までに会った誰とも違う。
小百合さんが軽く眉根を寄せたが、まだ起きないようだ。私は囁いた。
「愛してるぞ、小百合」
そう。わたしは、小百合さんを愛してしまっていた。男として、夫として。
わたしがわたしでなくなってもいい。小百合さんと一緒にいられるなら…。
そんなことを考えながら、シャワーを浴びに寝室を出た。

73 :
「おはようございまーす!」
「おはよう!今日も朝から元気いいな」
三浦先生が「朝のあいさつ運動」の当番だったため、わたしは少し早めに出勤して校門前で生徒たちに声を掛けていた。
同時に制服の規則違反をしている生徒がいないかチェックする。
…みんな大丈夫そうだ。グラウンドの方を見ると、朝練のある部活が普段と変わりなく練習をしていた。
野球部員と立場交換した女子生徒たちがキャッチボールを始め、サッカー部員になった女子生徒たちは低い声で掛け声を掛けながらランニングをしていた。
テニスコートの方を見ると、女子テニス部員と立場交換した男子生徒たちが、すね毛の生えた足で女子用のテニスウェアを着てラリーをしている。
そんなとき、裏門の方からノシノシと勢い良く歩いてくる人影があった。
「ちょっとぉ!イミわかんないんですけどォ〜」
「生徒指導室まで来い!髪を染め直すまで教室には入れんからな!」
生徒指導の『権藤先生』だ。
真っ赤なジャージに白いランニングシャツ、そして竹刀といういかにも生徒指導の先生らしい格好をしている。
ただし立場交換をしてしまっているので、うちの中学きっての大和撫子、雛川先輩がその立場を務めていた。
白いランニングシャツに乳首の色が透け、ガニ股で歩いている様子は、立場交換をしていなかったらありえない光景だ。
女の子でも見惚れちゃうほどのスタイルの良さ、長いストレートの黒髪と凛とした面差しはそのままで、ガサツな中年教師の立場をこなしている。
「離してってばぁ!もーまぢムリ!髪の染めんのなんて、うちのじゆーぢゃん!」
そんな『権藤先生』に捕まって騒いでいるのは、問題児で有名な『姫嶋先輩』だ。
こっちは野球部のキャプテンだった武藤先輩がその立場になってる。
女子からも人気の男らしい先輩だったのに、今は頭が悪そうな舌っ足らずな喋り方をしていた。
おまけに坊主頭が茶髪に染まっているし、なんだか化粧をしてるっぽい。たぶん『姫嶋先輩』として昨日染めちゃったんだろう。
そういえば雛川先輩と武藤先輩は、そろそろ付き合うんじゃないかって噂があったはずなんだけど……
よりによってこんな天敵同士みたいなペアと立場交換しちゃったんだ。
雛川先輩と武藤先輩は、ギャーギャー騒ぎながら昇降口の中に消えていった。
しばらくすると他の生徒たちも次々に登校してきた。
柔道部員になったチアの綾瀬さんや、水泳部のエースになった文化系女子の沢木さん。
仲のいい由佳ちゃんの立場になった野球部の後藤くんや、帰宅部のぽっちゃりした女の子の立場になった水泳部の千葉くん。
みんな異性の制服を着ているとはいえ、立場交換のせいで見ていてもさほど違和感を感じなかった。
男子の夏用カッターシャツに女子の膨らんだ乳首が汗で透けていても、
ハイソックスを履いた毛深い足がスカートから覗いてても、なんだかそれが当たり前のように思えてしまう。
教師から生徒になった人もちらほらと登校していた。
わたしの眼に留まったのは、新体操部員になった数学の山川先生と、雛川先輩の立場になった権藤先生だ。
山川先生はむっつりとしていて無表情なオジサン、って感じの先生だったのに、
立場交換したのがハキハキして元気な嶋田さんだったので、今は楽しそうに友だちとおしゃべりしながら登校している。
権藤先生は大股で荒っぽく校内を歩きまわってるような先生だったのに、
今はおしとやかな雛川先輩の立場になったせいで、セーラー服姿で太く毛深い足を内股にしてしずしずと歩いていた。
角刈りでいかにもオヤジ臭い外見なのに、今は雛川先輩の立場になっているので男子からも女子からも憧れの視線を送られている。
ちらっと野球部の方を見ると、照れたように頬を染めて昇降口に入っていった。
そんな生徒たちに挨拶していると、委員長の立花さんの立場になった助川くんがやってくるのが見えた。
「おはよう!立花。どうだ、今の立場には慣れたか」
「おはようございます、三浦先生。そうですね…だいぶ慣れちゃいました」
助川くんは野球部らしい坊主頭で頷きながら答えた。
普段はクラスでニヤニヤしながらスケベな話ばかりしてるのに、今はとても思慮深げな表情だ。
小首をかしげる仕草とか、ひとつひとつが女の子っぽい。
「立花さんの立場になってからは、勉強にとても集中できるんです。むしろ勉強が好きになりそうで」
「ほう、そりゃあ収穫だな。元に戻ってもその気持ちを忘れないようにな」
「ええ。そのつもりです」
助川くんはすっかり立花さんの立場が板についたようで、機嫌よく校内に入っていった。

74 :
「おはよー。ね、昨日どうだったー?」
「うん。三田さんの部屋にあったテディベアがすごい可愛くて、あたし気に入っちゃった。元に戻っても買おっかな」
「えー、あんた元は空手部じゃん。ね、それより彼氏とはどうだったの?」
「男のってすげーよな。始めてオナったんだけどよ。癖になりそうだったぜ」
「だよなー。おれなんか兄貴のエロ本借りて三発も抜いちった」
朝の教室は、昨日の立場交換の話題で持ちきりだった。
セーラー服を着た男子たちが、女子の部屋の可愛らしさや彼氏の話できゃっきゃと騒ぐなか、
学生服に夏用のカッターシャツを着た女子たちは、男のオナニーの気持ちよさで盛り上がっていた。助川の立場になった立花もやはりその中にいた。
俺はというと昨日のトロけるような余韻がまだ残っている気がして、気だるげに机にカバンを置いた。
「ね、小夜子ちゃんはあれからどうだったの?」
前の席の後藤が、カチューシャを付けた坊主頭で振り返り話しかけてきた。
斉藤と仲のいい『鴨志田 由佳』の立場のため、俺に対しては親しげだ。
「うん…あのね、ちょっとエッチなことしちゃった……酔っ払ったお姉ちゃんと」
ヒソヒソ声で後藤に打ち明けた。教師と生徒の間柄では出来ない話題だが、斉藤と鴨志田の間柄だと、なんだか相談したいという気分になってしまう。
「えっ…すごい!も、もうちょっと詳しく聞かせてくれるかな」
後藤は眼をキラキラさせて食いついてきた。プールの時も思ったが『鴨志田』はちょっとレズっ気があるんじゃないか?
もっとも今の俺たちは肉体的には男なわけで、ホモっ気があるようにしか見えないのだが…。
俺がこそこそと昨日の熱い一夜を話しているうちに、俺の立場になった斉藤が教室にやってきた。
「おーし、席につけ〜。出席を取ったらもう一度立場交換するぞー」
昨日と同じように出席が取られていく。
男子の名前が呼ばれると女子が低い声音で返事をし、女子の名前が呼ばれると男子が高い声を作って返事をする。
「斉藤」「はい!」
俺も斉藤の名前が呼ばれたため、少し高めの声で返事をした。
全員の名前が呼ばれると、斉藤は再び立場交換箱を取り出した。
「よし。欠席のやつはいないな。元の立場に戻すぞ」
斉藤がそう言ってスイッチを入れると、急に目眩がして俺の視界が暗くなった。

75 :
次に感じたのは、急に身体が重くなった感覚だった。
眼を開けて自分の身体を見ると、いつも通り男物のポロシャツとチノパンを履いている。
股間に違和感を感じてそっと触れると、これも普段通り俺のイチモツが収まっているようだった。
今までは胸の重さを感じていたのに、それが消えている。
俺は、男の立場に戻ったのだ。
「なんかスカート履くのって変な感じ。こんなスースーしてたっけ」
「うわっ、身体重てえなー。さっきまですげー軽かったのに」
周囲を見回すと女子は女子の、男子は男子の制服を着ている。
立場交換に慣れてきていたため、なんだか今の状態がおかしいような気がしてくるから不思議だ。
「よーし、それじゃあ全員元の席に戻ってくれ。今からアンケートを配るからな」
俺は斉藤の席から立ち上がり、再びの立場交換でざわめく教室に向かって呼びかけた。
    ※
    
Q1.立場交換で社会的立場が交換されたことで、便利だと感じたことを書いてください。
Q2.では逆に、社会的立場が交換されたことで、不便だと感じたことを書いてください。
Q3.あなたが体験した異性の生理現象を思いつく限りここに書いてください。
Q4. Q3で書いた生理現象の感覚を、今の性別と比較してそれぞれ簡単に表現してください。
………
……

アンケート用紙には、このような質問が続いている。今後の思いやり学習に活かすためのアンケートだが、最後の質問だけは異質だった。
Q20.今後も立場交換を継続したいですか?
「よし。まだみんな書いてる途中だろうが、手を止めて聞いてくれ。一番最後の質問の『今後も立場交換を継続したいですか?』って奴だ」
その言葉でクラス中がアンケート用紙の最後に注目した。
「この質問に『はい』と答えた場合、昨日までの立場交換をこれからも続けることになる」
俺が言い終わるやいなや、クラス中が騒がしくなりかけたので、声を張り上げて詳しい条件を話した。
「待て待て! 交換が行われるのは、ペア同士が互いに『はい』と答えた場合だけだ。片方が『いいえ』と答えた場合は交換は行われない」
クラス中の注目が再び俺に集まり、そしてアンケート用紙を真剣に見つめた。
「交換した場合でも、片方が交換を嫌になればいつでも元に戻れる。そこのところ注意してよく考えてくれ。この時間の最後に集めるからな」
俺はクラスへの説明を終えると、自分の分のアンケート用紙の記入を始めた。教師が交換した場合も書かなくてはならない。
生徒たちはヒソヒソと友達同士で相談し合う中、皆真剣にシャーペンを走らせていた。
俺も順調に質問に答えていき……そして、最後の質問にやってきた。
脳裏には、小百合と美香が当たり前のようにいる我が家の日常が浮かぶ。
そして沙希子と過ごした情熱的な一夜も。
俺が持つペンが固まった。刻一刻と時間だけが過ぎていく。
妻もいる、娘もいる。男として充実している俺が、女子中学生になる必要はどこにもない。
それにたとえ俺が『はい』と書いても、斉藤が同じ答えを出すとは限らない。
だが、もう一度女として生きてみるのは面白いんじゃないか?
昨晩女として味わった悦びは、俺の価値観を大いに揺さぶっていた。
そうだ。いつでも好きなときに男に戻れるんだ。だったら。
やがてチャイムが鳴り、俺は意を決して答えを書いた。
「よし!アンケート回収するぞ!!」

76 :
〜12年後 斉藤小夜子 24歳
「緊張してるのか?」
彼が私の顔を心配そうに覗きこんだ。私はううん、とかぶりを振った。
「すごく幸せで…怖いくらいなの」
ウエディングドレスに身を包んだ身体を、彼に預けた。
タキシード姿の彼がそっと肩を抱き寄せてくれる。それだけで、私の不安が少しずつ消えていく。
今日は私と彼の結婚披露宴。スタッフからの合図があれば、眼の前にある扉を開けて会場へと入る。
その時はもうすぐだ。
「…綺麗だよ。小夜子」
「和久さんこそ…素敵よ」
ふふ、と互いに笑顔が浮かんだ。ふと振り返って待合室にある鏡を見る。
そこに映っているのは、旦那様になる和久さんの凛々しい姿と、花嫁姿の私。
やっぱりプリンセスラインのウェディングドレスにして正解ね。
ふんわりとしたバニエで下半身のラインが見えないし。ウエストより上はきゅっと引き締まって見える。
ヘッドドレスにしたティアラも綺羅びやかで、手に持つキャスケードブーケも可愛いものを選べた。今の私はドレスの名前通り、お姫様みたい。
私のゴツゴツした骨太な手に、彼がそっと指を絡めた。
本当に夢みたい…妻子持ちの男だった私が、花嫁になって男の人と結婚してしまうなんて。
あの『思いやり学習』から12年。体育教師だった私は『三浦健吾』としての立場と、教え子だった『斉藤小夜子』の立場をもう一度交換した。
斉藤さんが、どうして昔の私になりたがったのかはわからないけど……いつでも戻れるという気軽さもあって、私は立場交換を希望した。
でも、周りから女の子として扱われ続けて、いつまでも男としてのアイデンティを保てるわけがなかった。
気がついた時には私の内面はすっかり女の子になっていて、斉藤さんはすっかり男らしくなってしまってた。
一度斉藤さんと相談して元に戻ってみたこともあったけど…運動が苦手になっちゃった私が、体育教師なんて続けられるはずもなかった。
ボールを投げるときも女の子みたいに下手投げしか出来なくなっちゃったし、走り方も腕を横に振る女の子走り。
それにブラも何も付けないで、ポロシャツ一枚で授業するなんて恥ずかしくて仕方なかった。
男の立場だった時は当たり前にできてたけど…今そんなことするなんて、痴女か何かみたいで耐えられないわ!
結局私たちは、お互いの立場を交換したまま暮らすことにした。それからいろんなことがあった。
みんなと別れを惜しんだ中学の卒業式、部活に打ち込んだ女子高時代。
大学のサークルでできた初めての彼氏…そして初体験。処女だった私のズル剥けおちんちんが、ようやく女になった瞬間だった。
お姉ちゃんの影響でレズっ気のあった私が、ようやく男の人に興味が出てきたのがその時で…
そしてその運命の人が、和久さんだ。
男の立場だった時には、こんな気持ち味わったことがなかった……
彼のことを想うだけで、幸せが身体に溢れてくる。女性は精神的な快感に敏感、って話を聞いたことがあるけど、まさにそんな感じだった。
今も、心臓が張り裂けそうなほどの幸せを噛み締めてる。
小百合、美香……パパ、これから幸せになるからね。
スタッフからの合図があった。私は和久さんと腕を組んで、式場へと足を踏み出した。
身体は41歳のオジサンだけど、立場と中身は24歳の花嫁。
斉藤小夜子の人生はこれからだ。

77 :
〜12年後 三浦健吾 41歳
新郎新婦の入場が始まった。新郎は20代くらいの精悍そうな若い男で、新婦は40過ぎの中年男だった。
新婦の中年男は若い頃には鍛えていたのか、その筋肉の上に中年太りで脂肪がついてしまい、固太ったゴツゴツした体格になっている。
髪の生え際も歳相応にM字に後退し始めており、いかにもオヤジっぽい。お世辞にも花嫁という面構えではない。
だが招待客たちは口々にため息を吐いて、彼女を羨望の眼差しで見つめた。
「斉藤さん…すごく綺麗ね」近くにいた招待客の女性が呟く。花嫁の名は『斉藤小夜子』。俺の教え子で……俺の昔の名だ。
何かボタンが掛け違っていたら、あそこにいたのは俺だったかもしれない。
中学生だった頃の『思いやり学習』で、俺は担任だった三浦と立場交換をした。
それでまあ、もの知らずな女子中学生だった俺は、男としての暮らしに憧れて立場交換の継続を希望したわけだが……思った以上に俺の中身まで男になっちまった。
以来ずっと、俺は自分が通っていた中学校で体育教師として働いている。
だが不満があるわけじゃない。ロクに運動も出来なかった俺の身体が、三浦の身体能力を身につけて目覚しく動かせるようになったのは、いつになっても爽快な気分だった。
妻の小百合や娘の美香ことも愛している…もっとも高校生になった娘から「パパと一緒に洗濯しないで!」と言われたのはショックだったが
(立場や中身こそ不惑を迎えたオヤジだが、俺の身体は20過ぎの若い女なんだぞ?)。
礼装用のスーツを盛り上げる大きな膨らみが、自己主張するように揺れる。いつの間にかネクタイが谷間に挟まっていたので、引っ張って外に出した。
Dカップは胸がある若い女が、オッサンじみたスーツを着ている様は奇妙かもしれないが、今ではごくありふれた光景だった。
俺以外にも服装と外見がチグハグな連中はわりといる。
あれから立場交換はだいぶ一般にも広まったし、それに俺の居る中学校友人のテーブルは立場交換を継続した連中ばかりだ。
俺の左にいるのは、斉藤と仲の良かった『鴨志田』の立場になった後藤だ。思いやり学習の時は坊主頭だったが、いまは髪を伸ばしてアップでまとめている。
そういや『後藤』の立場になった鴨志田は甲子園にまで出場したんだったな。
『鴨志田』になった後藤はもう野球には興味がなくなったらしいが、当時はそれを嬉しそうに話していたのが記憶に新しい。
その隣にいるのは『助川』の立場になった立花だ。
中学生の頃は三つ編みだった髪を短く刈り上げた様は営業マンのようで、実際今は大手の商社で食品の輸入をしているらしい。
立花の生真面目そうな顔つきもあって、手の軽さも収まったかと思ったが…
「この仕事天職っすよ。海外出張に行く度に現地妻を作れるんすからね…へへ」と言っていたので、根っこの方は変わっていないようだ。
その隣は『立花』の立場になった助川だ。スケベだった男子中学生とは思えないほど、淑やかな女性として成長していた。
客室乗務員という華々しい職業に就いたため、男から引く手数多らしいが、今のところ浮いた話はないらしい。
……おいおい。さっきから『助川』の方を睨んでるぞ。『助川』もいいかげん気づいてやれ。
式はつつがなく進んでいく。
主賓挨拶、ケーキカット、乾杯……キャンドルサービスの段階になると、新郎新婦が各テーブルのキャンドルに火を灯すためにやってきた。
幸せそうなその姿を見ていると、自分のことのように嬉しい。…いや、実際自分のことなのか?
「三浦先生、お久しぶりです」
「ああ。この度はおめでとう!」
花嫁姿の三浦と俺の眼が合う。
一瞬、俺と三浦が立場交換をしていない世界が脳裏によぎった。
そこでは俺は女性として成長し、結婚式に招待した友人や恩師から祝福を受ける中、ウエディングドレス姿で夫と共にキャンドルサービスに回るのだ。
(……いやいやいや!気色悪いな)
俺は苦笑いを浮かべてその妄想を打ち消した。
身体こそ女だが、俺は社会的にも自覚的にもすっかり男だ。そんな俺が男と結婚するなんて、ぞっとする話だ。
「互いを思いやることが夫婦円満の秘訣だ……って、お前なら大丈夫だな」
「ふふっ。そうですね」
俺の言葉に、かつて妻子持ちの男だった花嫁が微笑む。
三浦ならきっと幸せになれるだろう。男の立場も女の立場も知っているのだから。
夫としての経験が、妻となった今に活かせるはずだ。
『他人の立場を知ることでお互いを理解する』それが思いやり学習の目的なんだからな。
(終)

78 :
以上で思いやり学習は終わりです。
助川プライベート編は委員長がお堅い子なんで、あんまり萌えるような話にはならないかな?ということで今回は見送りました。
社会人版思いやり学習は、書きたい人がいればどうぞという感じですね(そもそも思いやり学習自体他の方のネタですし)。
沢山の乙ありがとうございました。半年以上かかってしまいましたが、最後まで書ききれてよかったです。
それではまた。

79 :
名残惜しいですが乙!

80 :
うむ、素晴らしい
心から乙でした!!

81 :
 

82 :
>>78
乙!
余韻が残る。
ありがとうございます。

83 :
GJでした! 完結おめでとうございます

84 :
完結乙です
終わってしまうのがもったいないな

85 :
 

86 :
#あれだけ巧い作品のあとだと、微妙に投下しづらいですが……ヨソはヨソ、ウチはウチ! の精神で気力を奮い起します。
『ポニーテールは伊達じゃない!』7
 あとから思い返してみれば、それは、よく言えば少女漫画のようにドラマチック、悪く言えばラノベのように陳腐な出会いだったた。
 それは、バイトを始めて5日目の金曜の夜。明日の土曜日は丸一日お休みをもらえるということで、いつもハイテンションな晴海さんはもちろん、雪さんやワタシも、心なしか浮かれていたんだと思う。
 そのせいで、ワタシたち3人は、いつもは足を向けない、繁華街でも少しいかがわしい店の並ぶエリアまで来てしまっていた。
 金曜の夜は、やはり人出が多く、そのうえ、"朝日奈恭子"としてもあまり履き慣れないヒールの高めのサンダルを履いていたせいで、気が付けばワタシはふたりの友人とはぐれて半ば迷子みたいな状態に。
 ──そのことを自覚した途端、ワタシは突然、心細くなってしまいました。
 元々土地勘のない場所のうえ、夜ということで辺りも風景もどこか薄暗く、対照的にお店のネオンがギラギラと毒々しい。
 いまいる場所の見当もつかなくなったワタシは、酔っ払いやチャラい男の人の視線を避けるようにして、何とか見覚えのある場所へと戻ろうとするのですが、そういう時に限って、ますます迷ってしまうのは、お約束なのでしょう。
 (子供じゃないんだから、しっかりしなきゃ!)
 そう、心の中で言い聞かせても、まるで落ち着きません──まるで、自分が自分じゃなくなったみたいに。
 (こ、こわい……恐いよぅ……)
 ここ数日間"高校一年生の女の子の恭子"になりきって行動していたせいで、心まですっかりか弱い女の子になってしまったのでしょうか? ワタシの顔は不安に歪み、たぶん今にも泣きそうになっていたかもしれません。
 (はるみさぁん……ゆきさぁん…………うぅ、誰か助けて」
 心の声が思わず唇から零れ落ちた、その時──。
 「あれ……ねえ、キミ、もしかして、1-Aの朝日奈さん?」
 背後から「わたし」のことを知ってるらしい優しげな声をかけられた瞬間、ワタシは反射的にその人にすがりついてしまったのです。
 「ふ、ふぇえええーーーん!!」
 まるで「本物の朝日奈恭子」のように半泣き(というか7割5分泣き)状態で、パニックに陥っているワタシを、声をかけてくれた人──同い年くらいの少年は、困ったような顔で、それでも落ち着くまで見守ってくれたのでした。
 * * *

87 :
 「お、お見苦しいところをお見せしました……」
 その少年に駅前まで連れて来てもらい、バーガーショップの2人席で差向いに腰かけながら、ワタシは穴があったら入りたいような気恥しさを覚えていました。
 「いや。女の子が、あんな場所でひとりで迷ったら、心細くなっても仕方ないと思うよ」
 いかにも人の良さそうな少年は、苦笑してはいるものの、ワタシを馬鹿にしている感じはありません。
 「そうだ。自己紹介が遅れたね。ぼくは、恒聖高校2年C組の国枝逸樹」
 こういう言い方をするということは、この人は"朝日奈恭子"と初対面か、それに近いほど面識はないのでしょう。
 「あ、先輩だったんですね! すみません。"わたし"は、1年A組の朝日奈恭子です。でも、国枝先輩はわたしのことをご存知みたいですけど……」
 おそるおそる、そう探りを入れると、国枝先輩は、眉の端をほんのちょっと下げて微妙に困ったような表情になりました。
 「あー、まぁ、なんと言うか、その……君達、応援部の一年生トリオは、校内では、色々有名人だからねぇ」
 ちなみに、"応援部"というのは、晴海さん、雪さんと一緒に"わたし"が入っている部活のことです。
 この部活、いわゆる応援団とはちょっと違って、「よその部活で手伝いが必要な時に助けの手を差し伸べる」というのが設立理念のクラブです。もっと分かりやすく言うなら、助っ人部、あるいは人材派遣部、でしょうか。
 晴海さんは、ああいう性格ですから、いろいろなトコロに大手を振って首をツッコめる応援部に入学当初から興味深々で、3年の武ノ内部長にスカウトされた時、一も二もなくOKして、以来、いつも活き活きと活動されてます。
 その際、わたしと雪さんも、付き合いというか引っ張り込まれたと言うか……結局一緒に入部届けを出して、「いろいろなトコロをお手伝い」しています。
 つまり、1年女子の要注意人物(おさわがせむすめ)のひとりとして顔を知られていたということのようです。はぅ〜、またまた穴があったら入りたい気分になってきました。
 もっとも、国枝先輩は、その点にはそれ以上言及することなく、気の置けない雑談で、わたしが笑顔を見せることができるほど落ち着くまでつきあってくださいました。
 で、ちょうどそうなった頃に、肩に欠けたポシェットに入れたケータイに、メールが何件も来ているのにわたしも気付き、無事に晴海さんたちとも合流できたのです──ケータイ持ってることも忘れてるなんて、どれだけ慌ててたんでしょうね、わたし。
 ともあれ、そろそろ"門限"の時間が近づいていたので、この町の親戚の家に遊びに来ていて、しばらくはコチラにいるという国枝先輩と連絡先を交換してから、わたしは晴海さんたちとともに帰路につきました。
 あんな経験をした直後だと言うのに、何となく浮き浮きした気分になったわたしは、そのせいか、ふたり──晴海さんと雪さんが、アイコンタクトで「ニヤリ」と含みのある笑顔を交わしていたのを、ウッカリ見逃してしまったのでした。
-つづく-
#実は、自覚はありませんが、香吾は以外にシスコン。というか、「いつも行動力のある姉に振り回されていた=自分から能動的に行動するのに慣れていない」ため、見かけよりも単独行動能力は低かったり。
#今回はそれが露呈したのですが、禍福は糾える縄の如し、おかげで頼りになる"ボーイフレンド"と出会えたワケです。
#そして、一瞬「我を忘れた」ことで、"暗示"に対する自我の防衛線が崩れ、これまで以上に今の立場に適応することに……本人は気付いてませんが。

88 :
   
 
 

89 :
今日はクリスマスイブ
一体どんな交換が起きるんだろうか

90 :
願いが足りない

91 :
大人になりたい幼女の願いに巻き込まれて立場交換されたい

92 :
>>91
5人ぐらいでぐっちゃぐちゃに立場交換とかかな

93 :
クリスマスのプレゼントに妹が欲しいとお願いする小学生の娘の願いを叶えてあげたいがすぐには無理なので、苦肉の策として実は魔女の家系のお母さんが高校生のお兄ちゃんと妹の立場を入れ替えてしまう。
とりあえずそれでなんとかなったと思ったら今度は因果律がどうのこうので問題が起こってテンパったお母さんの魔法が暴発して世界中のいたるところで立場交換がおこっちゃう。
みたいな妄想したけどなんだろう、なんかおもしろくならない

94 :
>93
そのタイプだと、自分も母親を幼い頃に亡くした小学生3年生の女の子が、
サンタさんに「ママが欲しい」と願い事をして、
よりによって、その願いが本物のサンタさんに届いて叶えられることになってしまい、
父親が身体はそのままに、母親という立場に変えられてしまう……というのを考えたこともある。
願い事の有効期限は1年で、その期限の日=翌年のクリスマスが近づくにつれて、
感慨深くこの1年間を振り返る元父な「ママ」……とか。

95 :
#せっかくなので、即興で書いてみた。
『ラスト・クリスマス・イヴ』(前編)
 「じんぐるべーる、じんぐるべーる、すっずがなる〜……」
 リビングで、クリスマスソングを歌いながら、9歳になる娘の美弥子が、キラキラしたモールやお手製の色紙チェーンで部屋を飾りつけています。
 「ママぁ〜、おへやのじゅんび、できたよー!」
 「あら、ありがとう。ケーキももう少しで焼けるから、手を洗って、お台所に来てくれる?」
 「はーい!」
 4年前に連れ合いを事故で亡くし、それ以来、片親ながら懸命にひとり娘を育ててきたつもりですが、幸いにして美弥子はとてもよい娘に育ってくれています。
 今日は12月24日。同僚や部下の好意で休暇が取れたので、私は娘とふたりでクリスマスパーティーの準備をすることにしました。
 昼間から夕方にかけては、娘の学校のお友達数人が訪れる予定です。
 そして、子供達のパーティーが終わる夕方からは、何かとお世話になっている、私の友人を招いています。
 「わぁ〜、いーにおーい!」
 「ウフフ、摘み食いはタメよ。さっき焼けたから、オーブンから出して熱をとってるの。ちゃんと冷やしてから、デコレーションは、ふたりでやりましょうね」
 「あ、クリーム塗るの手伝っていいの!? やるやるー!」
 目を輝かせて私の手元を見つめる娘の視線をちょっとくすぐったく感じながら、手際良くホイップクリームを泡立てます。
 ワクワク……という擬音が聞こえてきそうなくらい、楽しそうな娘の様子に苦笑しつつ、手早くポットからお湯を入れて飲み物を作ります。
 「はい、あったかいココアよ。サービスでコレも入れてあげる」
 泡立て途中のまだ柔らかな泡状のクリームを、ひとさじカップに垂らします。
 「わーい! ありがとう、ママ♪」
 両手でカップを持ち、フーフーする娘の様子をにこやかに見守りつつ、数年ぶりのクリスマスホームパーティーの料理番として、残りの料理のことにも計算します。
 (ターキーとテリーヌは昨日デパートで買ってあるし、ローストビーフも昨日作って冷蔵庫に冷やしてあるわよね。野菜サンドもできてるし……クラッカーにはあとで美弥子といっしょに色々載せてカナッペにしましょ。あとは……先週焼いたクッキーも出そうかしら)
 外で働く兼業主婦として、手を抜けるトコロはさりげなく抜きつつ、それでもできるだけ「母親の手料理」を娘やその友人に味わってほしい──という事故に化した課題をこなすのは、少々ホネですが、同時にやり甲斐のあるクエストです。
 実際、多少手間暇かかったとしても、「美味しいよ、ママ!」という娘の笑顔が見れただけで、それで十分、私自身報われた気になります。
 仕事は忙しいですが、やり甲斐はありますし、職場もアットホームな雰囲気で、上司も部下も、心根の優しい人たちに恵まれていると思います。
 私に小学生の娘がいることを皆知っているせいか、こういう時には優先的に休みを取らせてくれますし……「働く子持ちの未亡人」としては、破格に恵まれているのではないでしょうか。

96 :
 (未亡人、か……)
 自然に、そんな言葉で自分を表現したことに気付いて、私はクスリと片頬に微苦笑を浮かべました。
 確かに、今の私の立場を他の人から見れば、それは「働く子持ちの未亡人」以外の何者でもないのでしょう。
 久賀小夜子、33歳。大手アパレルメーカー、"ルコーワ"本社の商品開発部第三課に勤務するチーフパターンナー。4年前に大手商社に勤める夫・孝太郎を交通事故で亡くし、現在、娘を単身育てる一児の母。
 ──世間様には、そう認識されているはずです。
 ですが、真相は違います。
 4年前亡くなったのは、孝太郎ではなく小夜子の方でした。
 ならば、私は誰なのかと言えば──ええ、お察しの通り、私こそが、本来は美弥子の父親である久賀孝太郎その人なのです。
 なぜ、そんな奇妙なことになっているのか。もしかして「子供には父親より母親の方が必要」と考え、事故後のどさくさにコッソリ擦り替わったのか……などと、漫画か推理小説のようなことを推測されるかもしれませんが、決してそういうワケではありません。
 正気を疑われるのを承知で言いますが──コレは、"サンタクロースの贈り物"の結果なのです。
 * * * 
 「ママが欲しい」
 クリスマスイブの夜、枕元に置かれた大きめの靴下の中に入れられた美弥子の手紙に書かれた、その文字を見た時、私は頭を抱え、深い溜め息をついた。
 3年前に妻である小夜子を亡くして以来、娘がふさぎ込んでいることに薄々気付いてはいたものの、美弥子自身が泣き言を漏らさないのに甘えて、ついその方面を蔑ろにしていたツケが、今になって回ってきたというべきか。
 単に戸籍上の母親というだけなら、私が再婚すればいいので、簡単、とまではいかないまでも、不可能ではない。私にその甲斐性があるか否かはこの際別にして。
 しかし、そうして出来た「母親」が、美弥子の意に沿う存在かと問われれば、はなはだ疑問視せざるを得ないだろう。
 「どうしたもんかなぁ」
 最善とまでは言えずとも、次善の策としては、実家の母──美弥子にとっては祖母にあたる存在や、義姉──小夜子の姉で、美弥子から見て伯母にあたる女性に頼ることだろう。
 もっとも、あの事故の直後、手を差し伸べてくれたそのふたりに、「美弥子は俺が育てます!」とタンカを切った手前、どうにもバツが悪い話ではあるが。
 とりあえず、美弥子が以前から欲しがっていた携帯電話(ただし子供向けの限定機能品)を、手紙の入っていた靴下に押し込むと、私はナイトキャップ代わりのウィスキーを軽く一杯ひっかけて、ベッドに入った。
 そして、その夜、不思議な夢を見たのだ。
 いや、今にして思えば、アレは夢ではない。少なくとも、曖昧模糊とした潜在意識と記憶の塊りが紡ぐ、絵空事ではないはずだ。
 その夢の中では、パジャマ姿の美弥子が、真っ赤な衣装の老人──いや、誤魔化すのは止めよう。言い伝えに聞くサンタクロースそのものにしか見えない衣裳を着た、初老の外国人男性と会話していた。
 「ふぅむ、では、美弥子ちゃんはクリスマスプレゼントにママが欲しいんじゃな?」
 「うん。あのね、クリスマスって一年で1回だけのすぺしゃるなプレゼントがもらえる日なんでしょう? だったら、わたしは……ママがいい」

97 :
 嗚呼、やはり男親では真の意味で娘の力にはなれないということなのか。
 確かに、家事その他で不慣れな我が身では、娘の世話を満足にこなせているとは言い難いのも確かだ。
 「むぅ……いかに1年だけとは言え、者の蘇生は、さすがに禁忌に触れるのじゃがなぁ」
 腕組みをして、どうしたもんかと、チラとコチラに目をやりながら考え込む老人。
 その様子からすると、「禁じられているからやらないが、その気になれば者の復活も可能」らしいというのが見てとれた。
 私は決意をかためて──届くかどうかわからないが、心の中の声で呼びかける。
 『サンタさん、もし貴方が本物だと言うなら、提案がある。
 3年前にんだのは、妻である小夜子ではなく、夫である孝太郎だった──そういう風に事実を変更できないだろうか? 
 者の魂が現世に舞い戻るのが問題だと言うのなら、私が妻の身代りになろう。
 この世から久賀孝太郎が消え、代わりに久賀小夜子が甦るのなら、さほど問題ではないはずだ』
 さほど期待はしていなかったのだが、すぐにテレパシーのようなもので返事が来た。
 『む。それなら確かに、ワシの負担も、現世の歪みも最小限に留められるが……お主は、それで良いのか?』
 『──はい。娘のためなら構いません』
 清水の舞台から飛び降りるつもりの決断だったが、それに対するサンタの答えは、予想外に明るかった。
 『……よーし、わかった、その方向でとりはからおう。とは言っても、何、心配するな。ワシらが贈る"プレゼント"は、どの道、1年限りのものだ』
 『! ということは』
 『うむ。来年のクリスマスが来れば、晴れて元通り、久賀孝太郎は復活できる』
 それを聞いた時、正直、私の心に安堵が浮かばなかったと言えば嘘になるだろう。
 いくら娘のために覚悟を決めたとは言え、やはり私も人の子、ぬのは正直恐い。
 しかし、天国だか地獄だか霊界だか、とにかく"あの世"にいるのが一年間だけで済むと言うのなら、確かに有難い話だった。
 『それでは、明日の朝、目を覚ましたら、お主、久賀孝太郎の存在は消え、妻である久賀小夜子が……』
 サンタ(?)のテレパシーの語尾を聞き取る前に、私はスーッと気が遠くなるのを感じた。
 (ああ、これで一年間はあの世逝きか。まぁ、可愛い娘と妻のスキンシップの機会のためなら、この程度は我慢しないとな)
 最後にそう考えていたのだが……しかしながら、翌朝、私が思っていたのとはいささか異なる形で娘の願いがかなっていることを、私は目にすることになるのだった。
(-後編につづいてもOK?-)

98 :
OK
たとえ他の人が許さなくても俺が許す

99 :
テスト

100 :
  

101 :
大人になりたい幼女
お金持ちになりたいOL
幸せになりたい風俗嬢
いつか「幼女と立場交換したい」と望む男
ブラック企業の経営者
このあたりでぐちゃぐちゃな交換
ってのをイメージしたけど、時間が足りない!
>>95
続き期待してます

102 :
#個人的シュミ全開ですが、クリスマス記念ということで、大目にみてください。
『ラスト・クリスマス・イヴ』(後編)
 12月25日──クリスマスの日の朝、目が覚めた私が最初に感じたのは、フローラルで優しい──そしてどこか懐かしい印象の香りでした。
 はて、天国とやらは花が咲き乱れていい香りがする、と聞いたことがありますが、それにしても、この匂いは、どこかで嗅いだ記憶があるような……。
 その正体を確かめようと、目を開けた途端、視界に入って来たのは、見慣れた我が家の寝室の天井にほかなりません。
 (え……? 私は、妻の代わりにんだんじゃあ……)
 いえ、よくよく考えてみれば、アレは単なる夢だったのでしょう。いい歳した大人が、随分メルヘンチックな夢を見たものです。
 私は、苦笑しながらベッドの上に起き上が……ろうとして異変に気付きました。
 第一に、目の前にある布団の色が、いつもとまるで異なります。
 昨日までは、シンプルな水色のカバーをかけた普通の掛け布団だったはずなのに、なぜか白いフリルで縁取られたファンシーなカバーのかかったピンク色の羽根布団に変わっていました。
 そして、慌てて起き上がったことで滑り落ちた掛け布団の下から現れた私の身体は、いつものような紺色のパジャマのではなく、オフホワイトのワンピース型夜着(ナイティ)──俗に「ネグリジェ」と呼ばれる寝間着を身に着けていたのです。
 「な!? ななな……」
 シルクコットン製でしょうか、とても肌触りがよく、また身体の線を締め付けない着心地のよいモノでしたが、そんなことはなんら慰めになりません。
 混乱しつつ、どこか見覚えがあるので、再度よく見てみれば、何のことはない、生前の妻が何度か着ていたはずの代物でした。
 (ど、どうしてこんな……)
 この家にいるのは、私と美弥子のふたりだけですし、まだ8歳の幼児である美弥子に、私を起こさずに着替えさせるなんてことは到底できません。
 そうなると、「誰か他の人が着替えさせた」か、もしくは「自分で着替えた」の二択です。
 前者は、ワザワザそんなコトをする意味がわかりません。あるいは、この姿の私の写真を撮って、脅迫にでも使用するつもりでしょうか?
 しかし、会社で同僚などとの交流(つきあい)は少ない私ですが(美弥子のことがあるので、できる限り家にいてやりたいのです)、その分、同時に他の人の恨みを買うような可能性もあまりないはずです。出世関連もむしろ遅い方ですし……。
 後者は──もし私に夢遊病の気があったと仮定したら、あり得ない話ではないかもしれません。たとえば、昨夜、美弥子の「サンタさんへのお願いの手紙」を見たので、無意識に自分が母親代わりを務めようとした、とか?
 (あの奇妙な夢も、もしかしたら、その伏線だったのかも……)
 なんとなく結論が出た気になって、私は苦笑しつつ、ベッドから抜け出そうとしたのですが……。

103 :
 ──ファサッ……
 頭から垂れ下がった「何か」が肩を覆う感触に、ギクリと動きを止めました。
 (もしかして……カツラまで!?)
 何と言うことでしょう。あるいは、夢遊病時の私には、女装の趣味でもあったのでしょうか。
 しかし、慌てて、背中の半ばまでを覆うその綺麗なライトブラウンの髪を引っ張ってみたのですが……。
 「い、イタタッ──まさか、コレ、自毛!?」
 どうやっても"カツラ"は取れず、それどころか乱暴にしたせいか、長い髪が何本か抜けて涙目になる始末です。
 たった一晩で、日本人成人男性のごく平均的な長さだった髪が、ここまで伸びるなんて、ただごとではありません。
 思い起こせば、この髪の色も、生前の妻が好んで染めていた色に相違ありません。
 ──もしかして、私は、とんでもない勘違いをしていたのでしょうか?
 昨夜、「夢」の中でサンタクロースと交わした約束が事実だったと仮定して、「久賀孝太郎の代わりに小夜子が甦る」というのは、私がぬのではなく、私を妻の肉体に変えてしまうという意味だったとしたら……。
 慌てて、私はベッドの脇に置いてある妻の化粧台(ドレッサー)の前まで足を運びました。
 けれど、鏡に映る姿は、私のその予想を裏切るものでした。
 夜着や髪型などの全体の印象は、確かにパッと見、妻の小夜子と似ていますが、よく見れば顔立ち自体は私自身のモノにほかなりません。
 生憎、私は成人男性として体格的にも貧相な方──160センチ代前半で、事務職のせいか筋肉もほとんど付いてないので、こんな格好をしていても、あまり違和感はありませんが、それでも、その平らな胸や股間の膨らみを見れば、男性であることは一目瞭然です。
 「これは一体……」
 呟きかけて、私はドレッサーに見慣れない紙片のようなモノが置いてあることに気付きました。
 恐る恐る手に取って開くと、それ自体は「メリー・クリスマス」と書かれた平凡なクリスマスカードだったのですが……同時に、頭の中に夢の中のサンタの"声"が聞こえてきたのです。
 いわく、者の蘇生はやはり問題があるので、私の提案通り、"久賀孝太郎の存在"を代償に、"久賀小夜子の存在"を復活させたこと。
 つまり、今の私は、他人からは、「3年前に夫を亡くして女手ひとつで娘を育てている女性、久賀佐代子」として認識されるのだということ。
 肉体そのものを女性に変えなかったのは、1年間という期限付きで元に戻るので、私の身体に短期間に2度も大きな負担をかけるのははばかられたからだということ──ただし、サービスで体毛の永久脱毛処理がされているので、髭剃りその他の手入れは不要らしい。
 そして、肉体的には男性でも、自分以外の他人の目や耳には、ちゃんと"小夜子"として感知されるので、安心してよいこと。
 最後に、今の私は妻が結婚前に務めていた会社"ルコーワ"で働いていること。
 それらを一方的に説明した後、カードは以後沈黙を保ちました。

104 :
 「そ、そんな事言われても……」
 「ママが欲しい」という娘の望みが叶ったこと自体は喜ぶべきかもしれませんが、いきなりこんな状況に放り出された私は戸惑うばかりです。
 とは言え、幸いにしてコレは一年間の期限付きのシチュエーション。元々「んでもいいという気持ち」で妻の──いえ、「美弥子の母」の復活を願ったのですから、これくらいの労苦は甘受すべきなのでしょう。
 私は覚悟を決めて、まずは「キチンとした母親」らしい格好に着替えようと、妻のタンスを開けて、今日着る服を選び始めました。
 タンスの中味の多くには見覚えがありましたが、3分の1程、見慣れない衣服が混じっています。おそらく、「夫がんで」からの3年間に買い足したものなのでしょう。
 念の為、元の私の服がしまってあるはずのタンスを覗いてみたところ、最近買ったはずの何点かが見当たらないので、この推測は当たっているのだと思います。
 さて、いかに既婚男性だからと言って、伴侶の着替える姿を頻繁に目にしていたワケではありません。むしろ、小夜子は、たとえ夫にでも、化粧している場面や着替えを見られるのを嫌がるタチでした。
 そのため、男性のそれよりはるかに複雑で繊細な、女性の衣服に着替えるという作業が、巧くできるか心配だったのですが……。
 結論から言うと杞憂でした。
 妻の──そして今は私のものとなっているタンスを開け、休日(今日は幸いにして日曜です)用の衣類をひと揃えを下着も含めて選び出し、それを身に着ける──そんな一連の行動を、ほとんど手間取らずに行うことができました。
 どうやら、「久賀小夜子」として暮らしていくのに必要なだけの知識は、私の頭の中に備わっているようです。
 ショーツとセットになったブラジャーを取り出して、キチンと正しいやり方でそれを胸に着けることも、男物とは逆に付いたブラウスのボタンを留めることも、スカートを履いたあとの裾さばきも、ほとんど無意識に近いレベルでできています。
 ──むしろ、意識すると、途端に恥ずかしく、ぎこちなくなるので、極力意識しないように務めました。
 早朝の冷たい空気に身を震わせつつ、洗面所で、まずは軽く水で顔を洗い、頭を覚醒させます。そのまま、今度は洗面台の横に置かれた洗顔フォームを付けて、ぬるま湯で丁寧にお肌の手入れ。最後にもう一度、冷水+ヘタマ水でお肌を引き締めます。
 20代前半までならいざ知らず、お肌の曲がり角もとうに過ぎた30代ともなると、洗顔ひとつとっても、色々気を使うもの……らしいです。
 そのせいか、元々あまり色黒とは言えない私の肌ですが、昨晩までの記憶にあるより、ずっと白く、また滑らかになっているように思われます。
 鏡に映る細く刈られた眉毛には、微妙な違和感を感じざるを得ませんが、生前の妻の行動からすると、「今時の成人女性」なら眉の手入れは必須なようなので、仕方ありません。むしろ、今後は自分で気をつけないといけないのでしょう。
 いったん、寝室にとって返し、ドレッサーの前に腰かけて、ブラッシングと、休日用の簡単なメイクを施します。
 妻が生きていた頃は、「家の中だけなのに、わざわざ化粧なんてしなくても……」と呆れていた記憶があるのですが、いざ自分がその"妻"の立場になってみると、たとえ顔を合わすのが娘だけだとしても、やはりスッピンだと落ち着かないようなのです。
 あるいは、娘には「ママはお家の中でもちゃんとしてる」と見られたいのかもしれません。

105 :
 幸か不幸か、ナチュラルメイクを施した私の顔は、美人だった妻──"本物の小夜子"には遠く及びませんが、それでもごく普通に「30代初めの女性」に見える造作に仕上がっていました。
 顎が細めで、エラの張っていない草食系な元来の顔立ちが功を奏したのかもしれません。
 たとえ他人には「小夜子」に見えるとしても、私自身もこうやってしばしば鏡に向かいあう機会があるのですから、平均点ギリギリとは言え女性に見えないこともない面相だったことは、主に自分の精神衛生上、有難いと言えるかもしれません。
 ──鏡を見るたびに、化粧オバケと対面せねばならないとしたら、拷問以外の何者でもありませんからね。
 とりあえず、一通りの身支度を整えたのち、私は寝室からキッチンへと移動して、朝食を作り始めました。
 普段の私は、トーストを焼いてせいぜいベーコンエッグを作りコンビニで買ったサラダを付けるくらいですが、「小夜子が生きている」という設定のせいか、朝は滅多に使わなくなった炊飯器でキチンとご飯が炊かれています。
 「ええと、今朝は……」
 何を作ろうかと考えただけで、冷蔵庫の中身と調理方法が自然に浮かび上がってきます。
 そして、30分後、我が家の台所には、久しぶりにお味噌汁の香りと、私がこの手で調理した卵焼きと焼き鮭、ワカメの佃煮と自家製のお漬物が並べてありました。
 「よしよし」
 満足げな笑みを浮かべた私は、いったんコンロの火を止めてから、子供部屋に娘を起こしに行きました。
 親の欲目を承知で言えば、天使のような寝顔の美代子は、私が優しく揺さぶると、ゆっくりと目を覚まし、ボンヤリした表情から徐々に覚醒すると、ニッコリと花のような微笑を浮かべて、「おはようございます、ママ!」と元気よく挨拶してくれました。
 それは、本来の"孝太郎"としての立場の私が、近年滅多に目にしたことがないほど、無邪気で翳りのない笑顔。その事実に、微かに胸の奥がチリリと痛みますが、今はソレをかみして、同じく笑顔で「おはよう、美代子ちゃん」と返事をしました。
 どうやら、美代子だけは私が孝太郎だったことを覚えているのではないか……という懸念は、考え過ぎだったようです。
 「わぁ、ケータイでんわだぁ♪」
 靴下に入れられたクリスマスプレゼントを見て、美代子は無邪気に喜んでいます。
 どうやら、昨晩書いた「サンタさんへの手紙」にも、そのことを書いていたみたいです。
 (あ……「パパが欲しい」とは書いてくれなかったんだ)
 「ママぁ、どうしてさびしそうな顔してるの?」
 「え!? あ、ううん、なんでもないのよ。さぁ、朝ごはんが出来てるから、早く顔を洗ってらっしゃい」
 妻の口調を真似する……必要もなく、スルリとそんな言葉が口からこぼれます。
 「はーい!」
 マイ・ラブリー・エンゼルたる愛娘は、そんな私に疑問を抱くことなく、素直にパジャマ姿のまま、洗面所に向かいました。
 「はぁ……これで良かったのよね」
 少なくとも、「ママが欲しい」という美代子の願いに──いささかイレギュラーな形とは言え──応えられたのは事実のようです。その事だけは、サンタクロースに感謝すべきなのでしょう。
 「まぁ、物は考えようよね」
 幸いと言っていいのかんわかりませんが、「小夜子と美代子」の関係は、「孝太郎と美代子」よりも、ずっと良好で仲良しさんのようです。
 ただでさえ可愛い娘のよりキュートで愛らしい表情を間近で堪能できると思えば、一年間のシングルマザー生活も、苦にならないはずです……たぶん、メイビー。
 「ママぁ、ごはん、食べようよぉ」
 「はいはい、ちょっと待ってね」
 私はキッチンから"ママ"を呼ぶ娘の声に返事をしながら、そんな事を考えるのでした。
<完結編につづいちゃった……>

106 :
続き来てた!
早く完結編を!

107 :
>>105
GJです!
即興でこんなの思いつくのすげー
なんかいろいろシナリオ考えたりするけどどうにも文章にできない
続き楽しみです!

108 :
#「完結編」のクセしていちばん長くなってしまった罠。
#そして、このスレ的には外角高めのビーンボール気味な展開。一応、ストライクゾーンをギリギリかすめたということで、勘弁してください。

『ラスト・クリスマス・イヴ』(完結編)
 美弥子に、スポンジケーキにクリームその他をデコレーションするやり方を教えながら、私は楽しかったこの一年間のことを思い出していました。
  * * * 
 あのクリスマスの日の朝食のあと、私は初めて"久賀小夜子"としてお手洗いに入り、座って用を足したのですが……正直、あまり違和感は感じませんでした。
 もともと、男性だって大きい方をする時は座りますし、そもそも今みたいなスカートを履いた状態で立ち小便するというのもやりづらそうですしね。
 万が一、そんなコトをして女子トイレで便座を上げたままにしたりしたら、さすがに他人に怪しまれるでしょうし(推理小説やマンガで、女装しているキャラがバレる際のお約束のひとつですよね?)。
 無事に用を足し、朝食の後片づけを終えたのち、せっかくのクリスマスなので、私は娘とふたりで出かけることにしました。
 と言っても、ふたつ離れた駅前のデパートに買い物に行くだけなのですが、美弥子は「ママとお出かけ」するのが余程うれしいのか、いつもより子供っぽくはしゃいでいます。
 美弥子は、白いカシミアのセータードレスに真紅のベロア地のポンチョを羽織り、私は赤いストレッチベルベットのツーピースの上に、クリーム色のモヘヤのウールコートを着こんで、「サンタさんと同じ色だね」と互いに笑い合います。
 懸念していた9センチヒールのミディブーツも、思ったほど歩くのに手間取りません。あるいは、これこそが私が"久賀小夜子"という存在(たちば)になっていることの証なのでしょうか。
 そう言えば、記憶にある我が妻は、どんな格好をしていてもピンと背筋を伸ばして姿勢が良く、そのクセ、女らしく優雅な立居振舞を絶やさない、素敵な女性でした。
 ──私は、そんな彼女の名を汚さぬよう、極力仕草などにも気を使うことを心に誓ったのです。
 ともあれ、今は美弥子との"おでかけ"が最優先事項です。
 "孝太郎"であった頃は、妻のショッピングに付き合うのは、嫌とは言わないまでも、夫としての義務と割り切っていたのですが、こうやって"母親"としての立場で娘と買い物に来ると、視線、あるいは物の見方が随分変わっていることを感じます。
 美弥子と歩調を合わせ、娘の好奇心いっぱいの様子を微笑ましく感じながら、デパートの中をウィンドーショッピングして歩いていだけで、とても楽しいのです。
 無論、愛娘とともに過ごす時間だからというのもあるのでしょうが、そればかりでなく、俗に言う"ウィンドーショッピング"という行為自体に、自分が面白みを感じているのがわかります。
 とくに、"孝太郎"としては鬼門に近かった子供服や婦人服、あるいはキッチン用品のフロアーなども、ディスプレイされた商品を見ながら歩いているだけで何時間でも過ごせそうです。
 そればかりでなく、つい衝動(ぶつよく)に負けて、美弥子のための可愛らしいニットの帽子と、自分用のマフラー、そして母娘ペアのミトン型手袋を、「せっかくのクリスマスだから」と自分に言い訳しつつ、買ってしまいました。
 「えへへ〜、ママぁ、にあうかな?」
 「ええ、もちろんよ、美弥子ちゃん」
 「わーい♪ ママもね、そのマフラー、とってもステキだよ」
 「うふふ、ありがと♪」
 そんな風に買ったばかりの衣料品を身に着けて、母と娘で笑い合います。

109 :
 ──ああ、そうですね。この頃には、すでに私の頭の中には、自分が本当は父親の孝太郎であるという意識は、すっかり抜け落ちていました。
 私がかろうじてその自覚を取り戻したのは、娘を連れて入った、デパートの女子トイレでスカートの中のショーツを下ろしたときでした。
 「キャッ!」
 しかも、あろうことか、自分自身のナニを見て、まるで見慣れぬ、あるいは久しぶりに目にするモノであるかのように驚いてしまったくらいです。
 「どうしたの、ママぁ?」 
 「あ……ううん、何でもないのよ」
 そして、そんな状況下でも、娘の心配そうな声を聞いた途端、私の意識は「母親」らしいモノへと即座に復帰していました。
 ──どうやら、コレは「美弥子のママという立場になる」という枷のようなものなのかもしれません。
 自分の意識を歪められているようなのは、あまり気持ちのよいものではありませんが、どの道、一年間は今の立場に甘んじるしかないのです。ならば、下手に逆らって不審な行動をとるより、流れに身を任せる方が得策でしょう。
 自分の中でそう折り合いを付けると、私はこのまま"久賀小夜子"としての振る舞うことを改めて決意しました。
 トイレから出て、そのままデパートのレストラン階で少し遅めの昼食をとったのち、私と娘は、仲良く手を繋いで帰宅しました。
 それにしても、朝食の時も感じましたが、やはり「久賀小夜子」の立場になっているせいか、普段の半分くらいの食事量でお腹がいっぱいになってしまいます。亡き妻は、確かに食の細い人でしたが……どうやら、今の立場ではダイエットの必要はなさそうです。
 さて、家の前まで帰ってくると、ちょうど、ドアの前で見覚えのある男性と鉢合わせしました。
 「!」
 「あ、サスケおじさんだぁ!」
 「──こんにちは、美弥子ちゃん。
 小夜子さん、よろしければ、お宅をお伺いしようと思っていたのですが……」
 「ええ、もちろん、歓迎するわ」
 娘同様、私も笑顔で彼を我が家に招き入れます。
 彼の名前は、ロジャー・S・ヒュウガ。本来は日系三世のアメリカ人ですが、小学生のころに家族ぐるみで日本に移住してきたため、金髪碧眼の外見に反して、そのメンタリティはほとんど日本人と変わるところはありません。
 私とは──"孝太郎"としても"小夜子"としても、高校時代に出会って以来の友人で、孝太郎とは同じ会社に勤める同期の桜でもありました。
 我が家にも時折遊びに来てくれましたし、美弥子も「サスケおじさん」とまるで、実の叔父のように懐いています(ちなみに、本人いわく、ミドルネームのSが「サスケ」なのだとか。本当か嘘かは知りませんが)。
 「せっかくのクリスマスにケーキのひとつも食べないのは惜しい気がしたんだけど、いい歳した男がひとりで食べるのも寂し過ぎるからね。良かったら、おじさんといっしょに食べてくれないかな?」
 そういう口実で、立派なクリスマスケーキ──ブッシュドノエルを手土産に持って来てくれたようです。
 「わーい、チョコレートケーキだぁ!!」
 無論、美弥子は大喜びです。
 まったく、昨日、あれだけ食べたはずなのに……。
 「あまり、甘やかさないでくださいね、ヒュウガくん」
 「ははっ、まぁ、年に一回のクリスマスくらいはいいじゃないですか」
 ともあれ、去年のクリスマス──そして、私が「小夜子」になった初日は、つつがなく過ぎていきました。
  * * * 

110 :
 翌日の月曜日は、私の「久賀小夜子」としての初出勤……だったのですが、こちらも拍子抜けするほどスムーズに事が運びました。
 亡き妻は、美弥子を産むまでは、主に女性向け下着メーカーとして知られる"ルコーワ"という会社に勤めていたのですが、"未亡人"である私は、どうやら同じ会社に職場に復職しているようです。
 軽く緊張しつつカッチリしたスーツ(もちろん女物です)で身支度を整え、冬休み中の美弥子にいい子でお留守番しているように言い含めてから、私は家を出て電車に乗りました。
 やはり「小夜子」としての知識が刷り込まれているのか、乗り替え駅も、駅からの道のりも簡単にわかります。
 それどころか、一度も入ったことのないはずの"ルコーワ"本社に堂々と正面から足を踏み入れ、守衛さんに軽く笑顔で会釈しつつ、意識しないで8階──"私"が働く開発部のあるフロアのボタンを押していました。
 職場に着いてからも、昨日──正確には一昨日の夜まで、名前も顔も知らなかったはずの"同僚"や"部下"と気軽に談笑しつつ、慣れた手つきでパターンナー(デザイナーのデザインを実際の衣服に仕立て上げる仕事です)としての業務をこなしていきます。
 そして、一分一秒ごとにそんな自分に対する驚きの念が薄れ、まるで数年来の古巣にいるかのような、よくも悪くもこの場に慣れた感覚が、私の心を満たしていくのです。
 その日の6時過ぎに退社する頃には、私は、単なる脳内の知識だけでなく心情的にも、この商品開発部第三課のチーフパターンナーになりきっていました。
 初日の今は、かろうじて自分の内心の変化を、一歩引いて客観的に眺めることが出来ていますが……このままひと月、いや一週間勤めただけで、もはやその些細な違和感すら消えてしまうのではないでしょうか。
 ──実際、その予想は当たり、わずか数日後には、如何に良いデザインの商品を生み出せるかについて、パートナー・デザイナーである大瀬芙美子(ちなみに、私の1年上の先輩でもあります)と、活発に意見を戦わせるようになっていました。
 ともあれ、「新しい仕事」(という気はあまりしないのですが)に早々に馴染めたのは、歓迎すべきことなのでしょう。"ルコーワ"は福利厚生も充実していますし、職場の雰囲気も良いのですから、むしろ万々歳と言ってもよいくらいですよね?
  * * *
 さて、そんなこんなで、「小夜子」の立場になって以来、公私ともに非常に充実した毎日を過ごすことができました。
 年末年始には短いながら休みを取って、実家(この場合は、小夜子の生家を指します)に美弥子を連れて帰省しました。
 ──神社である「実家」で、まさか娘ともども巫女さんの手伝いをやらされるとは思いませんでしたけど 。
 というか、「子持ちの未亡人」が神職である巫女なんてやってもいいんでしょうか?
 「だーいじょーぶ、城島神社(ウチ)のご祭神は安産祈願と子宝の神様だから♪」
 「月乃姉さん……そういう問題じゃないでしょう? もぅ」
 そもそも、私は、本来女ですらないのですから──私自身、今の今まで失念してましたし、間違っても口外できませんけど。
 もっとも、私(正確には本物の小夜子)が子供のころに着ていたという小さな巫女装束を着せてもらった美弥子は御機嫌ですし、それだけで、私も「まぁ、いいかな」という気になってるのですけど。

 やがて、春が来て、美弥子は4年生に進級し、(母親の欲目かもしれませんが)ちょっぴり大人っぽく、あるいは女らしく成長した感があります。
 この頃になると、すでに私自身、自分の本来の立場や性別を思い出すことは、ほとんどなくなっていました。
 あのカードが「告げた」通り、髭はおろか脛毛などの無駄毛は一切生えてきませんし、肌もキチンと化粧品などで手入れしているせいか、年齢の割には、柔らかさと艶のあるハリを保てていると自負してます。
 無論、お肌だけでなく、髪や爪の手入れも怠っていません。

111 :
 体型に関しても、食が細いせいか自然とウェストが以前より細くなっていますし、加えて職場が職場ですから、社販で最新の補整下着(ファウンデーション)を格安で購入できるため、着衣状態なら、それなりに女らしい曲線を形作ることができています。
 股間に関しても、インターネットで調べた「タック」という方法で、殆ど目立たなくすることができました。いくら他人には見えていないとは言え、「小夜子」として暮らす「女」がモッコリするのは、自分で見てイヤですしね。
 ──まぁ、さすがに胸に関しては、ヌーブラの助けを借りても貧乳の域を出ませんが。
 嗚呼、バカみたいに暴飲暴食するくせに、AVモデルばりのセクシーでグラマラスな体型を保っている芙美子先輩がニクい! ……と嫉妬する程度には「女心」も理解できるようになってしまいました。
 外見だけではありません。一児の母として必要な、料理、洗濯、掃除に裁縫などなどのスキルも、ちゃんと発揮しています。
 働いているので専業主婦には劣るかもしれませんが、娘のメンタルケアにもキチンと心を配っているつもりです。
 実際──コレを認めるのはフクザツなのですが──"久賀孝太郎"と暮らしていた頃よりも、明らかに美弥子は、活き活きしていて、笑顔を見せる機会も多い気がします。
 その分、いくらか甘えん坊になっている感もありますが……まぁ、以前がむしろ不自然に大人びていた、いえ、「大人を装わざるを得なかった」のでしょうね。
 では、娘にとって、父親が不要なのか……というと、無論そんなことはないでしょう。ただ、私が小夜子として母親役を務める一方、頻繁に我が家に訪れてくれるヒュウガくんのおかげで、美弥子も男親的な要素を多少は「補給」できているのかもしれません。
 そう言えば、彼がウチに来る回数が、"孝太郎"の頃より随分多いような……いえ、考え過ぎですね。きっと、父のいない美弥子のことを気遣ってくれているのでしょう。
 ──もっとも、後になって思うとソレは決して私の思い過ごしではなかったのですが。
 夏が来て、そのヒュウガくんの好意で、1週間だけ取れた夏期休暇の際には、彼の"田舎"──日本人の曾祖父の家のある、南紀白浜へと招待されました。
 流石にそこまで甘えるのは……と最初は遠慮したのですが、美弥子を海辺の町に泊りがけで旅行に連れて行けるという誘惑には、結局勝てませんでした。
 彼の曾祖父は先年亡くなったそうですが、今年白寿を迎えるという曽祖母の方は未だ健在で、厚かましくも子持ちで押し掛けた「女」に、たいそう良くしはてくださいました。
 滞在した5日間、美弥子は毎日思い切り海で遊び、帰る頃には真っ黒になっていました。まぁ、思い切り日焼けできるのは、子供の特権ですよね。
 私ですか? 一応、美弥子に誘われて、初日は水着姿(あまりラインの際どくない黒のワンピース+パレオ)にもなりましたが……30女には紫外線は大敵なので、早々に退散しました。
 海辺の田舎町でののんびりしたバカンスを共に満喫したせいか、ロジャー(なにせ彼の祖父の家系が「日向」なので名前で呼ばないと区別つかないのです)と、私たち家族の距離が少し縮まったような気がして、なぜかソレを嬉しく感じる私なのでした。
  * * *
 さて、頭の片隅でそんな追想にフケりつつも、手はキチンと動かして、私はキチンとパーティー用の料理は作り上げました。
 この日のために、11月頃から暇を見つけてはお料理の本などを見て、色々試行錯誤していたおかげか、幸いにして娘の友人達にも私の作った料理は好評を得ることができました。
 やがて、夕方6時になり冬場で暗くなるのでパーティーはいったんお開きです。
 子供達を送りだしたのと入れ違いに、今夜最後の招待客──ロジャーが我が家を訪れました。

112 :
 「ほ、本日はお招きいたただき、誠に……」
 こんな風に正式に「ご招待」したのは初めてなせいか、柄にもなく随分緊張しているようです。
 私はクスリと微笑って、ガチガチになった彼の手から、著名なパティシエールが手掛けた、数ヵ月前から予約が必要なはずのクリスマスケーキを受け取り、リビングに招き入れました。
 「あ、サスケおじさんだ! メリークリスマス!」
 「あ、ああ、美弥子ちゃん、メリークリスマス」
 無邪気な娘のおかげで、どうやら彼もいつもの調子を取り戻したようです。
 ケーキを切って(さすがにこの大きさのホールを三等分するのは無謀なので、8分の1程度ですが)、シャンパン(美弥子はシャンメリー)で乾杯し、しばらく談笑したところで、パーティーではしゃいだ疲れが出たのか、美弥子が船を漕ぎ始めました。
 起こさないように慎重に抱き上げて、娘の寝室へ運び、そのまま寝かしつけてリビングに戻ると、ロジャーがテーブルから立ちあがったまま、真面目な顔で私を待ってしました。
 「? あら、もう帰るの? もう少しゆっくりしていけばいいのに……」
 「いや、そうじゃない……その、小夜子さん、大事な話があるんだ」
 「え……?」
 びっくりして反射的に聞き返したものの、真剣なロジャーの目を見た瞬間、私には彼が何を話すつもりなのか、おおよそ見当がついてしまいました。
 「僕は、もしかしたら、親友に対してとんでもなく卑怯な真似をしているのかもしれない。
 でも、もうこの気持ちが抑えきれないんだ」
 迂闊でした。
 彼が、ロジャーがまさか、久賀小夜子に想いを寄せるようになるなんて!
 本当は"孝太郎"である私にとって、彼はあくまで高校時代からの一番の友人で、家族に準じるとも言える存在でした。
 そして、それは小夜子にとっても同様で、夫の親友で、自分も高校時代からよく知っている、気のおけない男友達……そのはずだったのです。
 ……そう、孝太郎と小夜子が共に生きていた頃は。
 小夜子が亡くなって以降も、孝太郎とロジャーの友誼に変わりが無かったため、私は勘違いしていたのです──あるいは、そのコトに気付かないフリをしていたのかもしれません。
 ロジャーが、少しずつ小夜子を愛するようになっていることを。
 いえ、実のところ、高校時代に出会った当初、彼が密かに小夜子に憧れていた事は、男同士の勘で薄々知っていました。
 ですが、それ以前から私は小夜子とつきあいがあり、高校2年に上がった早々に告白して、正式に彼女と交際するようになりました。
 そして、それ以後は、ロジャーが親友の恋人(妻)である小夜子に、不埒な視線を向けたことはない、と断言できます。

113 :
 ですが……いまのこの"世界の設定"では、4年前に交通事故で亡くなったのは、小夜子ではなく孝太郎です。
 ロジャーも最初は、純粋に気落ちする親友の妻を慰めるつもりだけだったのでしょうが、やはりかつての憧れの女性への想いは立ち切れなかったのかもしれません。
 はてさて、いったいどうしたものか、と思い悩む私の肩を彼の手がグッと掴みます。
 「小夜子さん、君のことが好き……いや、愛してるんだ!」
 ──きゅんっ♪
 (えっ!?)
 どうしたことでしょう。
 今時、中学生でももうちょっと言葉を飾るだろうと思えるほど、ストレートと言うより稚拙と評してよいくらい生のままの感情をブツけてきた彼の熱いまなざしを見た途端、胸がドキドキしてきました。
 (そんな……いけないわ。私には夫が……)
 な、なに、昼メロで浮気する主婦みたいなコトを脳内で口走ってるんですか、私は!
 浮気──いえ、本来操を立てるべき私の伴侶は既に亡くなっていますし、ロジャーは独身なのですから、少なくとも浮気ではありませんね。
 彼の事は、少なくとも友人としては嫌いではありません──というか、大変好ましい人物です。
 ……ならば、「夫」としては?
 ──ぽむっ!!
 そう考えただけで、30代半ばのいい歳した女のクセして、恥ずかしさで脳味噌が沸騰しそうになりました。
 真っ赤になって照れている私の様子に、脈ありと見たのか、ロジャーは私の肩をグイと抱き寄せます。
 そしてそのまま、顔を近づけてくる彼。
 反射的に私も、長身の彼を見上げるような姿勢で、目を閉じてしまいました。
 (バカバカ、こんなのまるっきり受け入れ体勢じゃないですか!)
 そう思い至った瞬間、私はロジャーに唇を奪われていました。
 想いの伝わる優しくも熱い口づけに、私は自分の中の抵抗感が脆くも崩れていくのを感じました。
 (ああ……ごめんなさい、アナタ……)
 心の中で「誰か」にそう謝罪した後、私は彼の情熱的な抱擁に身を委ねたのでした。
  * * *
 「やっちまった」
 その時の私の想いを簡潔に言い表せば、その一言で足りるでしょう。
 長年友誼を重ねてきた友人と身体を重ねてしまい──しかも、満更嫌ではないどころか、激しく突かれて思い切りよがり乱れ、何度となく快楽の頂きに連れていかれた後、彼の腕枕で満ち足りた気分に浸っていたところで、ふと我に返ったのです。
 自分が、本当は何者であるのかを自覚して。

114 :
 そう、私は、本当は久賀小夜子ではありません。
 不思議極まりないことですが、本物のサンタクロースが娘の美弥子の願いに応えた結果、一時的に小夜子の立場を与えられた、「久賀孝太郎」なのです。
 ──たとえ、そのことを自覚した今になっても、自分が男であるという実感が一向に湧いてこないとしても。
 むしろ、彼のモノを受け入れた結果、体内にその白濁を放たれたことを嬉しいとさえ感じているのです。
 嗚呼、一年間の女性暮らしで、私はすっかり女性という立場に染まりきってしまったのでしょうか?
 ──けれど、それも今夜でお終いなのです。
 サンタクロースは、期限は一年だと明言していました。
 たとえ、どれだけ彼を愛しいと感じても、夜が明ければ、私は小夜子から孝太郎の立場に戻り、彼とは友人同士に戻るのですから。
 「どうしたの?」
 彼が、心配そうな視線を私に向けてきます。
 「ううん、なんでもないの」
 ならば、せめて今だけは……私は、今度は自分から彼の胸に身を委ね、口づけをねだるのでした。
  * * *
 目が覚めた時、まだ辺りは薄暗く、枕元の時計は、午前5時5分前を指していました。
 傍らには、ロジャーが半裸のまま眠っています。
 「もしかして、立場が元に戻れば昨日の情事もなかったコトになるのでは」という私の希望的観測は、どうやら外れてしまったようです。
 (さて、彼が目を覚ましたら、どう説明したものかしら)
 私は物憂げに髪をかき上げ……それが、未だ背中を覆うほど長いことに気付きました。
 (え? どうして……)
 反射的に起き上がり、ベッド脇の鏡を見たところ、昨日と変わってるところは見受けられませんでした。むしろ、思う存分可愛がられて満ち足りた女の貌を……って、それはともかく!
 もしかして、1年というのはクリスマス当日である今日も含めてのことなのでしょうか?
 もしそうなら、少しだけ嬉しく、そして残酷です。
 彼との思い出を重ねるほど、それを無くしたときの悲しみが募るでしょうから。
 ふと、私は見覚えのあるクリスマスカードが、鏡台に置かれていることに気付きました。
 「これは……」
 意を決して、再びソレを手に取ります。
 案の定、例のサンタクロースの"声"が脳裡に聞こえてきました。

115 :
 「こんなコトは前代未聞──とは言わないまでも、百年に一度あるかないかという珍事なのじゃが……。
 厳正なる抽選の結果、お主の娘の美弥子ちゃんが、今年もわしらの"プレゼント先"に選ばれた」
 ……へ?
 「無論、あの子はすでに「ママ」としてのお前さんとの暮らしを堪能しているのだから、今年も「ママが欲しい」と願ったわけではないぞ。今年の願いはこうじゃ。
 『サスケおじさんに、パパになってほしい』
 サンタ(わしら)としては、可能な限り願い事を叶えてやらんわけにはいかん」
 えっと……つまり……。
 「ああ、心配せんでも、その男性がお主に対して、そしてお主が彼に対して、抱いておる想いは本物じゃ。ソコに手を加えるほどワシらも無粋ではないからの。
 ただ……昨夜は、すこ〜しだけ、その男性の自制心と、お主の欲望のタガを緩めた。
 なに、酒を飲ませてハメを外させるのと同程度の、軽い誘導じゃよ」
 そ、そう。それじゃあ、アレはあの人の本心で間違いないのね。
 「結論から言おう。お主の横で寝ておる男性は、目を覚ましたらお主にプロポーズをするじゃろう。それを受けろ、とワシらが強制するワケにはいかぬが……少なくとも美弥子ちゃんは、賛成というかソレを望んでおる。じゃから……」
 だから……?
 「うむ。このまま「久賀小夜子」の立場を続けてみんかね? そして、もしお主に異論がなければ、今度は一年と言わず、一生ずっと」
 !!
 「もし、それが嫌なら、このカードを引き裂いて燃やすがエエ。しかし、そのままでいたいと願うなら、大切に保管しておくように」
 ──私は、タンスの奥の螺鈿細工の文箱に丁寧にそのカードを仕舞ったうえで、ベッドで眠る彼の隣に潜り込んだのでした。
 -HAPPY End?-
#以上、やたらダラダラ長くなって申し訳ありません。私のこのテの作品同様、「小夜子」さんは、元の立場に戻らないことを選んだワケです。
#以下は蛇足的なエピローグ。読み飛ばしても問題ありません。

116 :
【そしてまた聖誕祭がやってくる】
 あの日──私がロジャーからプロポーズされ、それを受け入れた日から、早くも一年が過ぎました。
 美弥子にもキチンと話して了解を得たうえで、年明けに籍を入れ、私と美弥子は久賀姓から日向姓になりました(ロジャーは、私との結婚を機に正式に日本に帰化したので、姓の表記も漢字に改めたのです)。
 結婚後も仕事は続けているので、娘と過ごす時間が劇的に増えたワケではないのですが、美弥子はもう慣れっこのようで、「優しくて頼りがいのあるパパ」ができただけで満足なようです。
 さて、私に関しては、あれ以来、少しだけ変化がありました。
 事実上、一生「美弥子の母親の小夜子」としての立場で過ごすことを選択したわけですが、彼と結婚した翌月から、その……"月のモノ"が訪れるようになったのです。
 いえ、私の身体自体は(少なくとも私の目で見る限りは)生物的には男性……のはずなのですが、普通の成人女性と同様、月に一度、性器の付け根の会陰部から鈍い痛みとともに、血が滲み出るようになったのです。
 おかけで月一で生理用品を買い揃える必要が出てきました。しかも、最初の頃はナプキンで済ませていたのですが、悪ノリしてタンポンを当てがってみたところ……アッサリ入ってしまったのです。
 何もないはずの部位からタンポンの紐だけ出ているというのは、とてもシュールな光景でした──いや、さりげなく確認してみたところ、夫にはソコに膣があるように見えるらしいのですが。
 と、とにかく、生理用品が必要な身になって気付いたのですが、おそらくコレは、来るべく美弥子の初潮の日に、母として慌てず対処できるように、という気遣いなのでしょう。
 ──そう、思っていたのですが……。
 「まさか、二度あることは三度あるとはのぅ」
 今年のクリスマスの夜、夫とベッドに入ったはずの私は、いつの間にか見覚えのある空間で、サンタクロースと対面していました。
 「また、美弥子が当選したんですか?」
 「うむ」
 ──まったく、あの子は……こんなことで運を使い果たしてなければいいのですけれけど。
 「それで、今年の願い事は何だったんですか?」
 ホレ、と渡された手紙には、確かに美弥子の筆跡でこう書かれていました。
 『そろそろ弟か妹が欲しいな☆』
 …………。
 「いやいやいや! さすがにソレは無理でしょう!?」
 「というワケでもないのじゃよ。お主も心あたりがあるのではないか?」
 ……え? た、確かに、夫とはそれなりのペースで「愛し合って」はいますけど……。

117 :
 「そして、お主の身体には、後孔とは異なる、夫のモノを受け入れる場所ができたのではないか? いや、むしろ最近はもっぱら……」
 わーわーわー!!
 「こ、子供達の夢を守るべきサンタさんが、何ハレンチなこと言ってるんですか!」
 「いや、夫婦の愛の結晶として子供が生まれることは祝福すべきくことじゃぞ。
 ともかく、そういうワケで、お主らの昨晩の"営み"で当たりを引き当てとるんで、10ヵ月後のコトを覚悟完了しておくようにな」
 は、ハハハハ……私が妊娠&出産、ですか。
 いえ、「お腹を痛めて産んだ子」というフレーズに興味があったのは事実ですが。
 「サービスで、そのペタンコの胸も、授乳期までにはちっとは膨らむようにしておいてやるから、せいぜい旦那に揉んでもらうがエエ」
 余計なお世話です、この生臭サンタ!
 「なんじゃ、いらんのか?」
 「すみません、お願いします。できればCか、せめてBくらいまで……!!」
 そして、この"夢"の通り、十月十日後、私は男女の双子を出産することになるのでした。
<今度こそおしまい>

118 :

いつも思うのですが、ぺたんこ好きなんですかw
まあ、あくまで立場変化であって、極端な肉体変化を望むのもおかしな話かもしれませんけどw

119 :
GJ!
王道だけどいいですよね
ちょっとTS寄りでしたが

もうすぐお正月・・・・・・なんかネタはないかなぁ

120 :
今年と来年の立場が入れ替わるとか。

121 :
参拝客と巫女さんの立場交換。とある村の習慣で、厄年になった村の住人は、正月に神社に初詣に来たとき、厄から逃れるためにその1年間は巫女と立場を交換して、神社で暮らすことになる……とか。
女性の19、33、37歳は、まぁいいとして、男性の25、42(!)、61(!!)は流石に大変そう。

122 :
──で、実はそのしきたりも近年は形骸化してたのに、たまたま都会から転勤で引っ越してきた
新婚夫婦の夫がちょうど25歳で、お節介な近所の人々にススメられて、神社にお参りに行く。
神主に「厄避け」の儀式があると聞き、軽い気持ちで「じゃあ、お願いします」と言った結果、
旦那は神社の娘の16歳の少女に代わって「巫女」として一年を過ごすハメに……とか。
(無論、その間、16歳の女の子が、彼に代わって新婚夫婦の「夫」を務めることになる)
うーん、ちょっとヒネりが足りないかなぁ。

123 :
#衝動にまかせて書き始めてみるテスト。
『厄違(やくたが)え』
 現代では廃れたが、その昔の日本には「方違え」という風習があった。
 陰陽道的思想に基づくもので、外出や公務、あるいは戦の出陣の際に方角の吉凶を占い、もし目的地の方角が悪いと出た場合、いったん別の方向に出かけることで、目的地へ行く際、悪い方角にならないようにする……と言うものだ。
 バカバカしいと思うかもしれないが、21世紀の現在でも、占いやおみくじなどを、それなりに気にする人はいるのだから、当時としては無理もない話と言えるかもしれない。
 さて、少し話は変わるが、これまた日本独特の考え方に「厄年」というものがある。数え年で、ある年齢に達すると、その一年間は色々悪いことが起こりやすい……といったものだ。
諸説あるが一般的には、男性は25・42・61歳、女性は19歳・33歳・37歳が、「本厄」と言い、とくに注意すべきだとされている。
 そして、この物語の舞台となる雁屋村では、この厄年に関して、古来より、ある意味の「方違え」的な対処方法をとる風習があったのだ……。
 * * * 
 元日の朝、彼が妻と共に村の外れにある神社に向かったのは、初詣に加えて"お祓い"をしてもらう意図があったからだった。
 彼の名は遠坂真紀(とおさか・まさのり)。この正月に満24、つまり数え年25歳となった男で、隣町にある高校で国語を教えている。
 妻の名は慶子(けいこ)。彼女とは半年前の6月に結婚したばかりなので、まだまだ新婚夫婦と言えるだろう。
 ふたりは親戚のツテによる見合い結婚だったが、慶子は器量も気立てもよく、自分には勿体ないくらいの女性だと、真紀は思っていた。
 実際、2歳年長とは言え、彼女がどうして容姿も社会的地位も平平凡凡な真紀を夫に選んでくれたのかは、正直未だ謎であった。
 しかも、間の悪いことに、彼は2学期が始まる9月から、この県内でもかなり僻地にあたる龍刻町の高校へ赴任が決まり、妻と暮らし始めて早々に新居を引き払うことになってしまった。
 ただ、都内の住まい自体は借家だったため、引っ越すのにはさほど不自由は(引っ越し代以外は)なかったのが不幸中の幸いだろう。
 また、龍刻町と隣接するこの雁屋村に真紀の大伯父が地主として住んでおり、その屋敷の一角の離れ(といっても風呂や台所もある立派な造りだ)を、ほとんどただ同然の値段で貸してもらえることになったのも、運が良かったのかもしれない。
 雁屋村から、彼が勤務する高校の近くまでは1時間に2本(ただし、昼間は1本)のバスも通じており、所要時間30分ちょっとで着くので、通勤に問題はない。むしろ、都内の通勤ラッシュとは無縁な点は恵まれているとさえ言えるかもしれない。
 都会の刺激的な文物や最新の流行とは無縁の閑静な土地だが、元来真紀は、そういったものに関心が薄い。「温故知新」を座右の銘にしている──と言えば、おおよその性格はわかってもらえるだろう。
 そんな彼にとっては、むしろこの環境は願ったり叶ったりだったと言っても良かった。
 その妻である慶子も、ゆったりした時間の流れる田舎の空気と、少々お節介ながらも親密なご近所との人間関係を楽しんでいた……とように見えた。いや、ハッキリ本人聞いたわけではなかったが。

124 :
 さて、遠坂夫妻が、この村に住み始めてから秋が過ぎて冬になり、ご近所づきあいもそれなりにサマになってきた、年の瀬の迫ったある日のこと。
 真紀は、お隣りの原さんの奥さんから、厄年にまつわるこの村独自の風習があると、話を聞く機会があった。
 より正確には、この村にある夏樹神社に、そのための"儀式"が伝わっているのだとか。
 彼の大学の文学部時代の専攻は、「文献から読みとる明治から昭和にかけての神道の変遷」だ。この種の民俗学的に価値のありそうな伝統儀式には今だに興味があった。
 幸い……という言い方もなんだが、真紀は今度の正月で数えで25歳、つまり男の最初の本厄を迎える。
 「正月には、ぜひともその厄除けの儀式を自分の身で体験することにしよう」
 そう決心し、そして迎えた元日の朝、お正月だからというだけではない理由で傍目にもわかる程、彼は浮き浮きしていた。
 妻には、「まさのりさん、子供みたい」とクスクス笑われたものの、彼女も彼が"儀式"を受けることに異論は、はさまなかった。
 ──実は、慶子はご近所の森さんから、その儀式の大まかな内容を聞いていたみたいなのだが、「せっかくだから、ご自分の目で確かめてみてはどうかしら」と、真紀に教えてくれなかった。
 そんな風に気を持たされたものだから、彼としても余計に気になり、結果、ご近所との新年の挨拶もそこそこに、ふたりで夏樹神社に向かっている──というワケだ。
 妻の慶子は黒地に鶴と松の遠景が描かれた留袖を凛と着こなし、対して真紀も新年用に新調したネイビーブルーのスーツに身を包んでいる。
 逸る気持ちを抑え、和装の妻の足元を気遣いつつ、真紀はついに夏樹神社の正殿前までやって来た。
 建前である初詣を、それでも手水舎での身清めから二礼二拍二礼の礼拝までキチンとこなすのは、古典教師の面目躍如といったところか。
 「ところで、神主さん。この神社には、厄年の人のための、特別な儀式が伝わっていると聞いたのですが……」
 本殿での礼拝を済ませた途端、真紀はその場にいた宮司に早速声をかける。
 「ん? おお、確かに、この夏樹神社には、厄年の人のためのお祓いの儀式が伝わってはおります」
 60代半ばくらい思しき年齢の温和な顔つきの宮司は、真紀の疑問を首肯したうえで、こう付け足す。
 「もっとも、最近はわざわざ進んで受けに来られる人も随分少なくなりましたが」
 ──近年廃れつつある、この村独特の厄除けの儀式。
 そう聞いては、この種の事柄に関心の深い真紀が、とびつかないはずがない。

125 :
 「実は私は今年に25歳の本厄を迎えるのですが、その儀式を受けさせてもらうわけにはいきませんか?」
 口にしてから、ふと懸念が湧く。
 「……それとも、秋からこの村に越して来たばかりの新参者では無理でしょうか?」
 「いやいや、遠坂さんは、田辺さんのお身内だと聞いておりますし、実際にこの村に住んでおられるのですから、問題はないでしょう」
 真紀の懸念を、初老の宮司は首を横に振って否定すると、本殿横の社務所に歩み寄ると、そこで肘枕を突いて退屈そうに売り子──というか店番をしている巫女の少女に声をかけた。
 「こらこら、勇美(ゆみ)、お客さんが来ている時くらい、もう少しキチンとしなさい」
 「げ、おじいちゃん。ゴメーン!」
 どうやら、この巫女の少女は宮司の孫娘のようだ。
 格好こそ白の浄衣に緋袴と巫女の定番を守っているが、長身で体格がよいうえに、言動の端々から、いかにも活発そうな雰囲気が滲んでおり、あまり「清楚な巫女さん」というイメージではない。
 髪型も背中まで伸ばした黒髪を首の後ろで結わえた、いわゆる"巫女さんスタイル"ではあるものの、この娘ならむしろポニーテイルとかにした方が似合いそうだ。
 「で、どうしたの?」
 「久しぶりに、"厄違えの儀"を受けたいとおっしゃる方が来てらっしゃるんだが……お前、参加できるかい?」
 「え、嘘!? アレ、まだ希望する人、いたんだ……」
 目をまんまるにして驚いているところからして、どうやらこの子も"儀式"のことは知っているようだ。まぁ、宮司の孫らしいので、ある意味当然だが。
 「いったい誰が……って、遠坂先生?」
 突然、職場での呼び方をされて、少し驚く真紀。
 「君は、もしかして、龍刻高校の生徒かい?」
 「うん…じゃなくて、はい。一年生だから、先生の授業は受けてませんけどね」
 確かに真紀が担当しているのは、2年生と3年生の文系クラスのみだ。副顧問をしている弓道部などに所属しているならともかく、さすがに全1年生の顔まで覚えていない。
 「ねーねー、そっちの綺麗な女の人が、もしかして新婚ホヤホヤだっていう奥さん?」
 目を輝かせて、好奇心もあらわに聞いてくる。
 答えに窮している真紀に代わって、控えめな慶子が珍しく助け舟を出してきた。
 「初めまして、遠坂真紀の妻の慶子です。夫がいつもお世話になって……って、生徒さんに言うのはヘンかしら」
 「アハハ、そうかも。ふ〜ん、先生がアレを受けるんだ……うん、おじいちゃん、あたしは別に構わないよ」
 「ふむ。そう言えば、遠坂さんは、学校の先生をしてらっしゃるのでしたな。これも何かの縁でしょう。
 では、儀式の準備がありますので、遠坂さんはコチラへ。奥さんは、あちらで甘酒でも飲みながら、しばしお待ちください」
-つづく-
#というわけで、イマイチ捻りのない話ですが、つづきはお正月に。

126 :
早く正月になって続きが読みたいところ
「しょうがつ」と打とうとして「しょうがく」と打ってしまったのは秘密

127 :
gjにも程がある
正月明けの楽しみが一つ増えたわ

128 :
>>123-125
いいね!

129 :
【その1】
普段は寒風が吹きすさぶ深夜の神社も、今日ばかりは二年参りに来た人々でごったがえしている。
にぎわう出店を横目に見ながら、俺は妹に手を引かれながら沿道を歩いていた。
「ちょっと速いよ茜!」
「茜じゃないでしょ! 『お兄ちゃん』だって何度言ったらわかるんだ」
「そんなこと言ったって……あっ」
あまりにも早く歩く妹のペースに合わせられず、軽く蹴躓いてしまった。
転びそうになる俺を慌てて抱きとめるように支える茜。
「あ、ありがとう……」
転んでしまったことよりも、妹に抱きとめられたことがなんだか照れくさくて顔がほてる。
「まったくドジなんだから」
そう言って妹は明るく笑った。
「だってこんな格好したことないから……」
鮮やかな赤に桜の花びらが華やかにあしらわれた振袖に、白いふわふわの襟巻。
短めの髪の毛はまるで女の子らしくセットされ、
淡いピンク色した花のような髪飾りから垂れた藤の花のような細工がしゃらりしゃらりと耳元で音を立てる。
今の俺は、本来妹が着るはずだった振袖を身に纏い、初詣に来ているのだ。
逆に妹の茜は俺が普段着ていたシャツにジーンズ、そしてお気に入りのフライトジャケットで決めている。
つまり、俺と茜はお互いの服装を交換してこの場にいるのだ。
「でも振袖ちゃんと似合ってるよ。かわいい」
「茜にそんなこと言われても全然うれしくない」
「だから今日から『茜』は自分の名前だろ?」
「……そうだった」
今日、1月1日から俺と茜はお互いの立場を交換することに決めたのだ。
今日から俺が茜となり、茜が俺として暮らす。
普通ならばありえないし、仮にやろうとしても親が周囲が反対しそうなものだが、
茜の学力が小学生のそれを大きく超越し、大学生をも軽く凌駕するというのが
この件を実現する大きな原動力となったのだ。
そして茜――今日からは茜じゃないけれども――はこの冬に大学を受験し、
少し出来の悪い(とは言っても普通の高校生程度はある)俺は女子中学を受験する。
その人生交換の第一歩を、この初詣という1年の最初を飾る行事から始めるというのも、とても自然な流れと言えよう。

130 :
【その2】
これからの人生にご縁がありますようにとお賽銭を入れて鈴を鳴らし、
2回深くお辞儀をしてから2回手を打ち鳴らしてお祈りをする。
妹として、茜として歩むこれからの人生の事。
迫りくる女子中学受験の合格について。
そして……。
……。
ゆっくりとお辞儀をし、神様の前から静かに立ち去ろうとすると、
横で茜――いや、お兄ちゃんが静かに微笑んでいた。
「茜は何をお祈りしたんだい?」
「ひ・み・つ」
俺も満面の笑みを返す。
願い事は誰かに話してしまったら叶わないという。
自分が立派な『妹』に、そして来年の春からあこがれの女子中学生になるためにも、
この想いは胸の中にしまっておいた方がいいだろう。

「お、本当に『女子小学生』になるのか!」
ふと聞き覚えのある声に振り向くと、俺が『俺』だったときに仲が良かったヤツが
俺の振り袖姿を見て驚いていた。
「これからはこちらの『兄』をよろしくお願いしますね」
深々と、そして精いっぱい女子小学生らしくお辞儀をする俺。
「どうだ、うちの妹はかわいいだろ」
横で兄が胸を張る。
どうやら初詣でした自分の願いはすぐに叶いそうな予感がしてきた。

131 :
あけましておめでとうございます
ということで正月の小ネタ
今年は止まっているネタをきちんと終わらせたいな

132 :
あけましておめでとうござい乙

133 :
あけましておめでとうございま乙
年の初めから【】の人の作品が読めるとは
思わなんだ
今年は短いのでいいから一作作りあげてみたい。
アイデアは思い浮かぶけど文章化できないんだよなぁ

134 :
いやっふう! 【】さんの復活、まさに「明けましておめでとうございます!」状態。
そして、私も続きを投下させていただきます。
『厄違(やくたが)え』2
 夏樹神社に古くから伝わる"厄除け"のための儀式を受けることになった真紀(まさのり)は、先程の巫女──勇美(ゆみ)の、姉らしき20歳ぐらいの巫女に、なぜか社務所裏にある住居の風呂場へと案内されていた。
 「あのぅ、コレはいったい……?」
 「すみません、儀式に参加していただく"厄持ち"の方には、こちらで身を清めてから、儀式用の衣装に着替えていただくことになっております」
 なるほど、確かに納得のいく話だ。
 合点がいった真紀は、素直に服を脱ぐと風呂場で軽くシャワーを浴び、よく身体を拭いてから、事前に言われていた通りバスタオル1枚の姿で、風呂場近くの座敷へと足を運んだ。
 「一応、身体はキレイにしたつもりですが……」
 「はい。それでは、こちらに着替えてください」
 そこで真紀が渡された"儀式用の衣装"とは……。
 「こ、これ、巫女装束じゃないですか!?」
 「ええ、その通りですが?」
 間髪入れず聞き返されて、一瞬言葉に詰まる真紀。
 「えーっと、もしかして、コチラの儀式というのは、アレですか? 子供の頃は男の子も、病魔に目をつけられないよう女の子の格好をするという風習的な……」
 「フフフ、おもしろい発想ですけど、ウチの"厄違え"の儀式の意味は、それとは少し異なります。遠坂さんは、勇美の学校の古文の先生だそうですから、"方違え"という風習はご存知ですよね?」
 「ええ、一通りの知識は、まぁ」
 「悪い気の流れを呼び込まないよう、本来とは異なる場所を経由して目的地に赴くのが"方違え"。そして、我が神社の"厄違え"もまた、厄の流れ込む方向を分散し、かつ弱めることで、厄による被害を軽減するのですよ」
 「??」
 わかったような、よくわからないような理屈だ。それが真実だとしても、真紀が巫女姿になることとの関係はあるのだろうか?

135 :
 「百聞は一見に如かずと言いますので、実際に経験される方が早いと思いますよ」
 それもそうだ。真紀も、なんとか自分を納得させて、勇美の姉、希美(のぞみ)の手を借りて、ごく一般的な巫女の衣装──白の浄衣と緋色の袴という姿になる。
 その際、白い肌襦袢はともかく、純白の女物のショーツまで履かされたのは、凝り過ぎではないか、と思う真紀だったが、後になって、実はソレに深い意味があったことに気が付くことになる。
 「……はい、こんな感じですね。よくお似合いですよ」
 さらにそのあと、後ろ髪に付け毛を水引で結わえられ、薄化粧まで施された真紀は、165センチという男性としてはあまり高くない身長と細身の体格のせいで、パッと見には「神社の巫女さん」として違和感のないルックスに仕上がってしまった。
 これには、真紀自身もビックリだ。それは、自分でも、あまり男っぽいタイプだとは思っていなかったが、まさかココまで女装(?)が似合うとは……。
 「そ、それで、コレから何をするんですか?」
 鏡を見ていて急に恥ずかしくなった真紀は、気ぜわしげに希美に問う。
 「はい。遠坂さんには、我が神社の巫女として、この儀式に参加してもらいます」
 「?」
 「そして、勇美の方は、"遠坂さん"として儀式に参加するのです。それによって、遠坂真紀という男性が受けるはずだった"厄"の流入先を、まず二分して弱めます」
 「そ、そんなコトをして、勇美さんの方は大丈夫なんですか!?」
 元より学究肌の真紀は、それほど信心深いではないが、さすがに教え子(厳密には違うが)を、自分の厄年の身代わりにするというのは気がひける。
 「もちろんです。あの子も、あまり巫女に向いた気性とは言えませんが、それでも幼い頃からこの神社で修業してきましたから。弱まった厄を跳ね返す程度のことはできます。
 一方、勇美の立場となったアナタにも、神聖な巫女としての力がある程度備わります。さらに、儀式でそれを強化しますから、半減した厄になら、そうそう負けることはないはずです」
 なるほど、ある意味「似ているモノは本物である」「類似したもの同士は互いに影響しあうという」という類感呪術的発想の応用なのだろう。
 得心した真紀は、あとは実際の儀式の方へと興味の対象が移ったのだが……。
 いざ、儀式の場である本殿に入ったところで、妻の慶子を伴い、自分のスーツを着て現れた男装の少女の姿に驚くことになる。
 「の、希美さん、アレは……」
 「もちろん、遠坂さんの服を着た勇美です。あの格好は立場を取り替えたことの象徴なのですよ」
 一度接触したものは離れても互いに作用する──感染呪術の応用か。
 (待てよ……それじゃあもしかして!?)
 今、自分が着ているのが、おそらく──というかほぼ間違いなく、先程まで勇美が身に着けていただろう服と下着であろうことに思い至り、顔が真っ赤になる真紀。
 ちょうど儀式用の衣冠に着替えた宮司が入って来たため、そのことに思い悩む暇がなくなったのは幸いだろう。
 そして始まった"厄違え"の儀式そのものは、「配役」が普通と異なる点を除いて、ある意味、大半の神社で見受けられる"厄祓い"の儀式と大差はなかった。
 いや、真紀はそう感じていたのだが……。

136 :
 宮司の唱える祝詞がクライマックスに差し掛かったところで、その場に異様な雰囲気が充満し、ご神体の祀られた本殿の奥から眩しい光が射し、気が付けば、その場にいた一同は、見知らぬ場所へと招き入れられていた。
 『ほほぅ……およそ50年ぶりかの。てっきり、この儀式は廃れたものと思ぅておったが……』
 頭の中に響く声に、ハッと視線を向けると、そこには身長50センチくらいの立ちあがった平安雛程の大きさ──そして格好も、まさに女雛を思わせる"存在"が、おもしろそうな表情で、プカプカ浮いていた。
 普通なら、手品か何かと疑う光景だが、その存在の持つ神々しい雰囲気が、見る者にアレが「神」であることを直感させる。
 「河比奈媛様につきましては、御機嫌うるわしぅ……」
 宮司が恭しく頭を下げるが、"彼女"は、面倒くさそうに言葉を遮る。
 『あぁ、よいよい、その様に畏まらずとも。それで、此度の対象者は、そちらのふたりじゃな?』
 決して悪意や敵意があるわけではなく、むしろ優しい(あるいは楽しげ)とさえ見えるその視線を受けただけで、しかし、真紀は背筋に震えが来るのを感じた。
 (こ、これが、本物の"神"……!)
 「は、はいッ!」
 真紀は、反射的に頭を下げて、返事をしていた。
 『ふむ……ま、よかろう。久方ぶり故、少々気合いを入れて我が"力"を振るぅてやろうぞ』
 "神"──河比奈媛が、手にした檜扇を軽くひと振りしただけで、金色の光の粒のようなものが、紺色のスーツ姿の勇美と、巫女装束姿の真紀に降り注ぐ。
 『これで、ふたりともこの一年、厄に悩まされず大過なく過ごせるじゃろぅて』
 "神"の声がドップラー効果のように遠ざかりつつ聞こえたかと思うと……次の瞬間、唐突に辺りの景色は、元の本殿に戻っていた。
 そして、最後に、宮司がこの夏樹神社の祭神たる"河比奈媛命"に感謝の言葉を捧げ、「厄違え」の儀式は終了となったかと思われたのだが……。
 「それでは、この後、遠坂真紀さんはこの神社で、勇美に代わり巫女として一年間過ごしてもらいます」
 本物の"神"らしきものと遭遇したことへの興奮で、いささか注意力散漫になっていた真紀は、まるで町内会の伝達事項でも伝えるかのような何気ない宮司の言葉に、ハイハイと頷きかけたものの、寸前で聞き流せない点があったコトに気が付く真紀。
 (……えっ? いちねんかん?)

137 :
 「そうなんですか。でも、ご存知の通り主人にも高校教師としての務めがありますし、一年も休職するわけには……)
 「あ、心配ないよ、慶子さん。この一年は、あたしが先生に代わって、立派に慶子さんの旦那さん役を務めてあげるから」
 「先程の河比奈媛様の神力で、そのことがすでに"既定事項"として世間に広く刷り込まれていますから、問題ありませんよ、奥さん」
 「ああ、そうなんですか。それなら、大丈夫ですね」
  真紀の狼狽をよそに、あれよあれよという間に話がまとまっていく。
 「じゃあ、今日からあたし──いや、オレは、遠坂勇美(いさみ)だな。
 さぁ、厄違えも終わったし、帰ろうか、慶子」
 「はい、あなた。宮司さん、今日は色々とお世話になりました」
 仲睦まじく寄り添いながら帰って行く、妻と勇美の姿を見て、何か声をかけたいのだが、なぜか掛けるべき言葉が浮かんでこない。
 「さぁ、真紀(まき)ちゃん、ちょっと疲れたかもしれないけど、社務所の店番の続き、よろしく頼むわね?」
 そして、勇美の──そして、つい先程から自分の"姉"となった希美の言葉に、力なく頷いて社務所へと向かうのだった。
-つづく-
#言うまでもなく、勇美はこの状況をおもしろがって楽しんでます。元から、男勝りでレズっけもあったので、真紀の妻の慶子が美人であったことも、後押しした模様。

138 :
非常に良い。GJ!
男性教師と女生徒の交換が個人的にツボすぎてやばい

139 :
#新年だから──というワケでもないのですが、本作は、これまでの拙作で用いた描写や理屈との重複をあまり気にせず、新鮮な気持ちで書いています。故に、ちょっとかったるい部分があるかもしれませんが、ご寛恕ください。

『厄違(やくたが)え』3
 "姉"に言われるがままに、フラフラと社務所の脇にこしらえられた畳2畳分ほどの狭い売り場に入ると、真紀(まき)は赤い座布団の上に正座して、赤外線ヒーターのスイッチを付け、お守りやお札等のストックを確かめ始める。
 やがて、それらの在庫に問題がないと確認できた頃には、ようやく茫然自失の態から覚め、まともに頭が回るようになっていた。
 「なんでこんなコトに……いや、ある意味自業自得、なのかな?」
 同じ学校の教師と生徒という接点こそあるにせよ、ほぼ赤の他人と言ってよい関係のふたりの「立場」を(性別すら無視して)交換する──普通に他人から聞いたら、どんなヨタ話だと一笑に付しそうな事態に、今の真紀は遭遇、いや己が身で体験しているのだ。
 あの"河比奈媛命"と呼ばれていた女神の神通力(?)によって、その「奇跡」が実現したことは、その"対象者"として何となく確信している。
 たぶん、今の巫女姿のままこの神社の中を歩き回っても、誰もが真紀を「夏樹神社の次女」と見なして、不審に思わないだろう。
 社務所裏の"家"に帰れば、"お母さん"や"お父さん"たちも、暖かく"娘"として迎えてくれるに違いない(まぁ、"祖父"である宮司や"姉"の希美から話を聞いている可能性もあるが)。
 夏樹神社の"厄違え"とは、希美いわく、厄の矛先を二分したうえで、本人"達"が弱められた厄を跳ね返せるようにすることらしい。
 そのことから類推すると、「どうせ儀式が終われば、すぐに元に格好に戻れる」と気楽に構えていた真紀の方が、考えが浅かったのだろう。
 あるいは儀式の本質を考えるなら、むしろ今現在も"厄違え"の儀式は絶賛進行中だと言えるのかもしれない。"遠坂真紀"の厄年は今年の大晦日まで続くのだから。
 このような事態になった大本の原因は、真紀がいらぬ好奇心を出して、廃れつつあるこの神社の"厄違え"の儀式を受けたい、と願ったからだ。
 だから、そのコトで他の人を責めるのはお門違いだという理屈は理解していたが……それでも、もうちょっと事前説明やら、せめて覚悟を決めるための時間やらが欲しかったと思う真紀なのだった。
 「ふぅ……不幸中の幸いでコレは一年間限定なんだから、滅多にできない経験と割り切るしかないのかな」
 いつまでもウジウジしていても始まらない。空元気でも元気──そう開き直った真紀。
 すると、まるでその空気を読んだかのように、ポツポツと参拝客が現れ、真紀は、現在の立場にふさわしく「社務所の売り場の巫女さん」としての仕事をせざるを得なくなった。
 夏樹神社自体は決して有名なわけではないのだが、この近辺ではもっとも歴史のある大きめの神社ということもあってか、雁屋村はもちろん、隣接する龍刻町からも、それなりの人がお参りに来る。元旦の初詣ともなればなおさらだ。
 「では、安全祈願はコチラのお守りで、500円になります。あ、おみくじの番号、拾参番ですか、少々お待ちください……はい、こちらをどうぞ」
 11時を過ぎる頃には、神社も相応のにぎわいを見せ、ひとりで売り場を切り盛りしている真紀は売り子の仕事に忙されることになった。
 幸いにして真紀は大学時代にクレープ屋でバイトしていた経験もあるため、こういったお客さんとの応対もそれほど苦にはならない。
 笑顔を絶やさず、言葉遣いは丁寧に、そして迅速かつ正確に!
 売り子の鑑とも言えそうな見事な客さばきを見せる真紀。

140 :
 おかげで、てんてこ舞いになっているだろう真紀を助けるために希美が売り場に駆けつけた頃には、列の大半ははけていた。
 (ウソ!? てっきり慣れない環境と立場で、困っていると思ったのに……)
 立派な真紀の「巫女っぷり」(いや、神社のグッズ販売が巫女の本業かと言うとソレは微妙だが)に、目を丸くする希美。
 「あれ、どうかしましたか、姉さん?」
 ごく自然に希美に「姉」と呼び掛ける真紀──ただし、無意識なのか本人は気付いていないようだが。
 「……あ、ううん。何でもないの。そろそろお昼だから、交代するわ。マキちゃんはお台所でお昼ご飯を食べてきなさい」
 希美は内心の戸惑いを面に表さず、笑顔で"妹"を気遣う。
 「ああ、もうそんな時間でしたか。すみません、それでは少し外させてもらいます」
 ニッコリ笑って真紀は売り場の座布団から立ち上がり、狭い小部屋を出る。草履をつっかけ、希美とチラホラ見える参拝客に軽く一礼すると、きびきびしてはいるが、はしたなくない程度の巫女らしい足取りで、裏の母屋へと立ち去る。
 その一連の仕草や表情に、ぎこちないトコロは欠片も見当たらなかった。
 「これは……思いがけない逸材だったかしらね」
 "妹"に代わって売り場に入る希美の顔には、楽しそうな笑みが浮かんでいた。
  * * * 
 「夏樹真紀」としての自分の行動に、真紀自身が違和感を感じたのは、社務所でのお務めが終わり、売店内を簡単に整理した後、私服に着替えるために"自室"に戻った時点だった。
 より正確には、「違和感を感じた」というより、「違和感が無さ過ぎることが逆におかしいと気がついた」と言うべきか。
 「な、なんで、僕、こんなに簡単に"この神社の巫女"としての業務に適応してるんだろう?」
 思い起こせば、最初に売店スペースに足を踏み入れた時点から、自分が其処で何をするべきかわかっていたように思う。
 いや、わかっていたというより、そのことを意識すらせず、普通に「夏樹神社に於ける巫女の務め」を極めてスムーズにこなしていたのだ。
 「これが……立場を入れ換えて巫女になる、ということなのか……」
 『──まぁ、それも間違いではない。それだけではないがの』
 !
 「──だ、誰!?」
 慌ててキョロキョロ部屋の中を見回す真紀。
 『──おぉ、やはり聞こえておるようじゃな。感心感心』
 脳裏に聞こえて来るその"声"には、聞き覚えがあった。
 「あのぅ……もしかして、我が神社の祭神たる河比奈媛命(かわひなひめのみこと)様でいらっしゃいますでしょうか?」

141 :
 『うむ、いかにも。それと、過剰に畏まる必要はないぞえ。あまり馴れ馴れし過ぎるのも問題じゃが……そうさな、「比奈様」とでも呼ぶがよい』
 儀式のときにも感じたが、身に纏う神々しい雰囲気に反して、存外気さくな神様のようだ。
 「は、はい。そうさせていただき…いえ、そうさせてもらいます」
 謙譲語から丁寧語に言い直す真紀を見て、比奈は満足そうに頷いた(ようなニュアンスが伝わってきた)。
 『なかなか間の取り方を心得ておるの。霊感の冴えもよいし、ますます気に入ったぞ』
 「えーと、何のことでしょう? それに、さっき「それだけではない」って……」
 教えてもらえませんか、と恐る恐る申し出る真紀に、上機嫌な比奈のテレパシー(?)が返ってくる。
 『ふむ、ほかならぬ、そなたの頼みじゃ。よかろう、簡潔に説明してやろうぞ』
 さすが神様と言うべきか、やや古風な言い回しはするものの、比奈の説明自体は要点が抑えられていてわかりやすかった。
 要点をまとめると、
1)儀式の主眼が"巫女としての"勇美との立場交換であるため、巫女としての言動や知識に関する部分は、自動的に補助されている
2)反面、それ以外の"ひとりの少女として"勇美の部分に関しては、一応入れ替わってはいるものの、神通力の補助がないため、真紀自身の常識に依る部分が大きい
3)そして、これは1)、2)両方に言えることなのだが、真紀と入れ替わったのは立場であり、"勇美の、巫女としてあるいは一女子高生としての普段の言動"をそのまま受け継いでいるのではない
 「3番目の意味がよくわからないのですが……」
 『そうさな。もう少し噛み砕いて言えば、入れ替わったのは立場だけなのじゃ。故に、今現在のそなたの実際の言動は、「もし、自分が巫女/16歳の少女の立場であったら、どんな風に行動するか」という仮定に基づいて矯正されておる』
 「な、なるほど……」
 実際に顔を合わせていた時間は短いが、確かにあの活発(おてんば)な勇美の行動を模しているにしては、先程までの自分の立居振舞は、随分としおらしく、また淑やかであったように思う。
 しかし、真紀自身の「巫女さん、かくあるべし」という理想(おもいこみ)が基本にあったと言うのなら納得がいく。
 『逆に、"普通の娘としての日常"に関する想像(いめぇじ)が足りぬが故に、この部屋に入った途端、どう行動するべきか戸惑い、綻びが生じたのであろうよ』
 比奈の推論も確かに理に適っていた。
 「けど、それじゃあ、これから日常生活を送るのに困るんじゃあ……何とかなりませんか?」
 『ふーむ……(普通の男児(おのこ)であれば、若い娘の立場になったと知ったら、多少はけしからん邪念を抱くものなのじゃが、こやつにはその欠片すら見当たらんな)……よし、そちらは我が少し手を貸してやろう。それっ!』
 一瞬、真紀には自分の身体が光ったように感じられる。
 「い、いまのって……」
 『おお、今の光が見えたのか。やはりそなたの霊感はなかなか鋭敏なようじゃな』
 それに比べて、勇美めは、神社の娘とも思えぬくらい信心も霊感も言動の品格も足りておらぬ。希美は確かに巫女向きの性格じゃが、残念なことに霊感に乏しい──と、比奈は愚痴る。

142 :
 「あの、それより、今、何したんですか?」
 『ああ、済まぬ。論より証拠じゃ。お主が通う龍刻高校の学級と席を思い出してみよ』
 「へ? それは……1年B組で、窓際の後ろから三番目の席ですけど?」
 何の疑問も抱かず、そう答える真紀。
 『倶楽部活動とやらは何をしておる? その部長とやらは?』
 「高校に入ってから弓道を始めました。部長は3年の仲井先輩ですね」
 『得意な学科と苦手な学科は?』
 「得意と言うか、国語とか英語とか歴史とか読み物的な要素の強い教科が好きです。逆に数式を追う、数学とか物理化学とかはちょっと……」
 比奈の質問に、つかえることなく、スラスラと答える真紀。
 『これから私服に着替えるようじゃが、今日は何を着るつもりじゃ?』
 「今日はちょっと寒いので、下着の上にキャミソールを重ね着してから、ベージュのニットワンピースを着て、厚手のタイツを履くつもりでしたが……」
 『して、その下穿きはどこにしまっておる』
 「そちらのタンスの一番下の段に……って、セクハラですよ、比奈様!」
 最後まで答え……かけて顔を赤らめて、真紀は、お茶目な神様を非難する。
 「──って、あれ? どうして……」
 『少しだけ術の方向を弄って、「もしそなたが夏樹神社の次女として生まれていたら、どのような16年間を辿っていたか」を疑似的に"しみゅれぇと"したうえで、因果を歪める術式にシンクロさせた。これで、「夏樹真紀」としての日常を過ごすのに問題はなかろう』
 「少し疲れたので、我は寝る」と言い残して、比奈からの"テレパシー"は切れた。
 「えーーと……これで良かった、のかなぁ」
 首を捻りつつ、巫女装束を手際良く脱いで半裸になり、先程比奈に告げたような私服に着替える真紀。
 本来なら、「遠坂真紀」もれっきとした男だ。年頃の少女の部屋に入り、なおかつそのタンスを漁り、さらに取り出してそれに着替えるなどと言う背徳的な行為に、躊躇いとそこはかとない興奮を覚えないはずがないのだが……。
 (でも、今の私からすると、此処は自分の部屋で、自分の服だものね)
 興奮などするはずもない。一応、今の"立場"同様、本当は"借り物"だという知識は頭の中にあるので、罪悪感は皆無でもないが、ほとんど気にならなかった。
 首の後ろの水引を解くと、付け毛だったはずの長い後ろ髪が、そのまま自分の髪となって腰まで垂れさがり、肩口にファサッと広がる。それすらも、今の真紀には慣れた感触に思えた。
 (ああ、そうか。巫女って髪の毛を伸ばさないといけないから)
 もし、自分が「神社の娘」として生まれていれば、確かにこんな風に髪を伸ばしていただろう。比奈の言う"しみゅれぇと"は完璧だった。
 「マキちゃーん、そろそろ晩御飯よー」
 「はーい、今行きまーす」
 階下から聞こえる"母"の呼び声に、反射的にそう返事すると、真紀は軽く髪に櫛を通してから、夕飯を食べに部屋を出るのだった。
  * * * 

143 :
 夕飯の食卓は、「いつも通り」終始和やかな雰囲気で会話と箸が進んだ。
 数年前に還暦を迎えたものの、いまだかくしゃくとして宮司を務めている、柔和さと厳格さを併せ持つ祖父・善行。
 善行に言われて神職の資格は取ってはいるものの、普段は村役場に勤めている、寡黙だが優しい目をした父・隆之。
 自称「永遠の二十五歳」で、その言葉通り確かに若く見えるため、希美たちと一緒に出かけると時折姉妹に間違えられるのが自慢の、明るくお茶目な専業主婦の母・未央。
 "ミス・エルダーシスター"という称号を進呈したくなるほど、容姿も性格も才能も「理想的なお姉さん」という言葉を体現したような、今年成人式を迎える姉・希美。
 ここに本来は、男勝りで元気一杯だが、少々ガサツな妹の勇美が加わるのが夏樹家の食卓なのだが、今は彼女に代わって真紀がそのポジションを占めている。
 そして、「夏樹真紀」は「夏樹勇美」と違って、どらかと言うと古風で控えめな少女……という"設定"らしい。
 勇美のように食卓で、積極的に話題提供したり、ときには下品なネタや行儀の悪い仕草を披露して両親にたしなめられたりはしなかったものの、それでも他の人の話にキチンと耳を傾け、適切な呼吸で相槌や合いの手を入れる。むしろ聞き上手と言ってよいだろう。
 そのため、今日の夕食も、至極穏やかな空気のまま終わるかと思われたのだが……。
 「ああ、そうそう。お父さん、お母さん、今日、"厄違え"の儀式があって、マキちゃんが参加したからね」
 ──食後のお茶とミカンという段階になって、希美がトンデモない「爆弾」を投下した。
 「ね、姉さん!」
 「ほらね、いつもだったら、妹はわたしのこと、「お姉ちゃん」って呼んでたでしょ?」
 真紀の抗議もどこ吹く風と受け流し、希美は言葉を続ける。
 「そう言われてみると、確かにそんな気もするかなぁ……」
 「本当ですの、お義父さん?」
 息子夫婦の視線を受けた善行は「うむ」と短く肯定する。
 「い、いったい誰と、どんな立場の人と入れ替わってるんだい? まさか、男じゃないだろうね!?」
 男親だけあって、隆之は「本来の娘」の現状が気になるようだ。
 「そうなの……でも、全然違和感ないわよ。もしかして、入れ替わったのは19歳の娘さんなのかしら」
 対して、未央の方は、存外のんびり構えている。いや、自らの言葉通り、たぶん相手は若い娘だろうとタカをくくっているせいかもしれないが……。
 「──知っての通り、この儀式を受けている者の素性に関しては、関係者以外に漏らすことは禁じられている。余計な詮索は無用だ」
 さすがは社を預かる宮司だけあって、善行の口は堅い。

144 :
 「ただ、あえて付け加えると、相手もキチンとした立場の人だから心配ないと思うわ。ん〜、むしろ、巫女さん適性と妹適性は、本物より上かも?」
 祖父の言葉を補足しつつ、立ち上がった希美は、真紀の椅子の後ろに立つと、背後からギュッと"妹"を抱きしめる。
 「キャッ! い、いきなり、どうしたんですか、姉さん?」
 驚きつつも"姉"の真意がわからず、真紀はされるがままになる。
 「──ほらね? いつもだったら、「お姉ちゃん、鬱陶しいから止めてよ!」って乱暴に振りほどいてるはずだもの。それが、こんな従順でいいコになってるし……」
 どうやら、優しげに見える希美も、我がまま気ままで粗雑な妹に、密かな不満(ストレス)は抱いていたらしい。
 あるいは、本当は自分よりずっと年長の若い男性が、"妹"として自分の下に立つという倒錯的な事実に、密かな愉悦を感じているのかもしれない。
 「いいコ、いいコ」と希美に頭を撫でられ困惑する真紀。
 本来の24歳の男性としては「バカにするな」あるいは「やめてくれ」とでも言って、振り払うべきなのだろうが、今実際にそうされている"彼女"としては、決して嫌ではなかったのだ。むしろ、「優しい姉に可愛がられている」という事実に、安らぎにも似た感情を覚える。
 「──そうね。このマキちゃんなら、お家の事の手伝いとかもお願いできそうだし、可愛らしいお洋服とかも着てくれそうだし……」
 同じく、下の娘の放埓さに手を焼いていた記憶がうっすら残る未央も、キュピーンと目を光らせて、じりじりと今の"下の娘"に近づいていく。
 「わ〜〜ん、父さん、助けてー!」
 "祖父"の善行は、仲良き事は麗しき哉と言わんばかりの好々爺の表情でひと足先に台所から離脱していたので、唯一、残った"父"に助けを求める真紀だったが……。
 「おお、"父さん"……なんと心洗われる響きだッ!」
 隆之は、何やらワケのわからない感慨にふけっている。
 実は、中学に入った辺りから、勇美は両親のことを「親父」「お袋」と呼ぶようになっていたので、その呼び方が、何気に新鮮だったのだ。
 ──その晩、真紀は、希美と未央に夕飯の後片付けに参加させられたのはともかく、そのあと、風呂に入るまでの時間、ふたりに、振袖だの、ゴスロリワンピだの、甘ロリ系ドレスだのを用いた"着せ替えファッションショー"を強要されるのだった。
 まぁ、そのおかげで、「儀式により立場を入れ換えた偽物の娘」という気まずさは霧散し、"家族"に好意的に受け入れられたのだから、結果オーライと言えるかもしれないが。
-つづく-
#今回は経緯説明とちょいコメディ。次回は、待望(?)の入浴シーンです。
#できるだけ色々盛り込むつもりなので、このSS、思ったより長引きそう。松の内に完結させる予定だったのですが、難しいかも。

145 :
GJです
個人的には奇をてらうよりも王道のほうが好きです
どうぞ欲望の赴くままにお書きになってください!

146 :
素晴らしい

147 :
 

148 :
これは好み
ありがとう、ありがとう。
嬉しすぎて私の息子から白い涙が出そうだよ

149 :
#今回、バスタイムですが、エロいようであんましエロくないので、そういうシーンに期待されていたらすみません。

『厄違(やくたが)え』4
 2時間あまりの"着せ替えショー"の末、ようやく解放された真紀は、元の気楽な部屋着姿に戻ると、居間のこたつに入ってぐったりしていた。
 「もぉ〜、姉さんも母さんもはしゃぎ過ぎです……」
 同じく居間でテレビの正月番組を見ていた"祖父"の善行は、フォフォフォとバ●タン星人のような笑いを漏らす。
 「まぁ勘弁してやれ。"本物"の方は、こういうコトをあまり好まぬ子だったからな」
 「わ、私だって別に……」
 「ほぅ、そうか? そのワリに、振袖だのごすろりだのを着せられた時は、満更でもなさそうだったが」
 「……」
 確かに善行の言う通り、そういう華やかな格好をさせられた時、鏡に映る自分を見て「あ、けっこうイイかも」と思ったことは事実だ。
 元々、子供の頃から真紀は、地味で冴えない容姿にコンプレックスがある方ではあった。
 よく見れば目鼻立ちはそれなりに整っているし、メイクして相応の服を着れば十分見れるルックスなのだが、生来の内気な気質と小柄な背丈があいまって、小学校から大学に至るまで「目立たぬモブA」的な扱いを受けてきたし、本人も仕方ないと納得していたのだ。
 そのあたりの感情は、神様の言う"しみゅれぇと"を経ても、あまり変わっていなかったらしい。
 だが、こんな風に「16歳の女の子」の立場になり、女の子として着飾られた結果、それが自分の目から見ても見苦しくない──というか、それなりに可愛かったものだから、つい「オシャレするのも悪くないな♪」と思ってしまっても、"彼女"を責められないだろう。
 「う〜……でも、こんな風に流されちゃってもいいんでしょうか?」
 この家で唯一事情をわきまえている常識人(ちなみに"姉"は先程その枠から外された)と思える"祖父"に尋ねる真紀。
 「いいも悪いも、どの道、これから丸一年はそのままだぞ。だったら、ハメを外し過ぎない程度に、これからの日々を楽しんでみてはどうかの?」
 "孫娘"の上目遣いのその視線にさり気なく萌えつつも、そんな気配は露ほども見せずに、如何にも含蓄ありそうな事を抜かすのは、年の功と言ってよいものか。
 「はぁ、そうですね。今の立場のまま一年間過ごさないといけないんですよね……」
 物憂げに呟く真紀。
 じつのところ、「この家の次女で巫女さん兼女子高生の夏樹真紀」という立場に嫌悪や違和感を抱いているわけではない。むしろ、その逆で、まるで違和感がなさすぎて、どうかすると自分の本来の立場を忘れて「夏樹家の次女」になりきりそうなことが恐かったのだ。

150 :
 しかし、その危惧を善行に相談すると、意外な答えが返ってきた。
 「ん? 別段構わんだろう?」
 「え?」
 「いや、仮にそうなっても、今年の大晦日の儀式で元の立場に戻れば、それですべてチャラになるわけだしのぅ」
 なんという発想の転換!
 「逆に考えるんだ、マキ。どうせ元に戻れるなら、染まりきってしまってもいいやって考えるんだ」
 「──もしかして、おじい様、『ジ●ジョ』のアニメ見てました?」
 「いや、ワシは原作派だ。連載当時から、キチンと単行本も買っておるぞ」
 謹厳実直そうな顔して、何気に少年マンガファンとは……意外におちゃめな祖父だった。
  * * * 
 善行との会話で、幾分悩みが解決されたような誤魔化されたような微妙な気分になった真紀だが、それでも「いつもどおり」居間でテレビを見てるうちに、些細な心のひっかかりは"日常"という大いなる惰性に飲み込まれていく。
 未央と希美がお茶&お菓子やミカンの入った籠を持って居間に来た後、それらをパクつきながら談笑しているうちに、自らの抱いていた懸念をよそに、真紀はすっかりその場の空気に馴染んでいた。
 「おーい、あがったよー」
 そしてそこに、風呂を浴びていたと思しき"父"の隆之が、丹前姿で居間に入ってくる。
 夕飯前に善行が、夕食直後に隆之が入った後、風呂の時間が長い女3人が適当な順番で入浴するのが、夏樹家の伝統だった。
 「あら、それじゃあ……マキちゃん、次に入ってらっしゃい」
 「あ、はい。それじゃあ、お先にいただきますね」
 "母"である未央に促されて、素直にこたつから出る真紀。
 その様子に、「あれっ?」と首を傾げる未央と、ちょっぴり口の端を吊り上げる希美。
 (ふふっ、勇美はお風呂嫌いで、なんだかんだ言って入るのを避けてたから……お母さんも、その記憶が微かに残ってるのね)
 もっとも、真紀の思い描く「16歳の少女」は、「きれい好きでお風呂も大好き」というのがデフォなので、「風呂嫌いな女子高生」がいるなどとは想像もつかないらしい。高校教師をしてる(してた)わりに、何気に女子への幻想度が高い真紀だった。
 まぁ、結婚相手の慶子が躾のいい良家の子女で、彼の思い描く「若い女性」の要件をほとんど満たしていたから、仕方ない面もあるのだろう。
 一応、勇美の名誉のために言っておくと、汚ギャルというワケではない(そんなことは両親や祖父が許さないだろう)。ただ、夏場以外の入浴は面倒だし一日おきで十分だと思い、かつカラスの行水気味だという程度である。

151 :
 ともあれ、この真紀は「古風で控えめな少女」というシミュレートの上に成り立っているため、きちんと毎日風呂に入ることを習慣にしている。
 いったん、"自室"にとって返すと、冬場の寝間着にしている長袖&ロング丈のフリースのネグリジェと、替えの下着を手に風呂場へと歩みを進める。
 ちなみに、"本物"は大体ジャージかトレーナーの上下で過ごしていたから、この辺りも、その"立場"になった者の個性が表れているようだ。
 サンドベージュのニットのワンピース、白いキャミソール、200デニールの黒タイツと順に脱いでいき、ふと、脱衣場の鏡に映る下着姿の自分を見つめる。
 「むぅ〜、やっぱり胸はありませんね。それに下も……」
 立場が変わったとは言え、髪が伸びた以外の肉体的変化はないらしく、そこには、細身だが紛れもなく"男"の身体がスリップ&ショートガードルという格好で映っている。
 本来の"マサノリ"であれば恥ずかしくてたまらないだろうその服装も、今の"マキ"にとっては、「見慣れた当り前のもの」に思えるから不思議だ。
 ──いや、「女性としての丸みに欠ける体型」に対して、別の意味で気恥しい(というか悔しい)ような気分はないでもないのだが。
 「まぁ、こればっかりは仕方ありませんよね」
 あの河比奈媛に泣きつけば、体型も女らしく変えてくれるかもしれないが、ずっとこのままならともかく、一年後には元の立場に戻るのだから。
 一瞬浮かんだ「それもいいかも」という脳内の呟きは無視して、真紀は残りの衣類も脱ぎ、タオルでさりげなく身体の前面を隠しながら浴場へと入った。
 儀式の前にも此処には来たが、あの時は軽くシャワーを浴びただけだったのに対し、今は檜の浴槽にもたっぷりとお湯が張られている。タオルで簡単に髪をまとめると、真紀はキチンとかかり湯してから、つつしみ深い動作で浴槽へと浸かった。
 「ふぅ〜、気持ちいい……です」
 冬場の入浴の有難みは、さすがに老若男女とも変わらない。
 ただし、昨日までの"マサノリ"と違い、人気女性ユニットのヒット曲を小声で口ずさんでいるあたり、この"マキ"は相当リラックスし、また今の立場に馴染んでもいるらしい。
 まさに「至福のひと時」を過ごしていたマキだが……。
 ──ガラッ!
 「マキちゃーん、久しぶりにいっしょに入ろ♪」
 突如、浴室のドアを開けて入って来た全裸の"姉"の存在に、脆くもその安らぎの時間は破られることになった。
 「ね、姉さん!? いきなりどうしたんですか?」
 あまりに唐突な希美の申し出に、目を白黒させる真紀。
 「え? いえ、折角の新年なんだし、姉妹水いらずで背中の流しっこでもしようかなぁ、って」
 「嘘ですね」
 清々しいほどイイ笑顔でそう告げる希美だったが、真紀はあっさりその企みを看破する。
 「大方、さっきの着せ替えの時みたく、私をいぢってオモチャにしようって魂胆でしょう?」
 「えー、そんなこと……これっぽっちしか思ってないわよ?」
 つまり、多少はそういう気もあるということか。

152 :
 「あ、でもでも、女の子初心者のマキちゃんに、キチンとした入浴の仕方を教育してあげるのが、主目的だからね」
 さすがに冷たくなった真紀の視線に耐えかねたのか、慌てて言い訳する希美。
 「──間に合ってますから結構です」
 「そんなコト言わずにさぁ……」
 断わってなお押してくる姉の粘りに根負けしたのか、溜め息をついて真紀は仕方なく譲歩した。
 「一緒にお風呂に入るのは、まぁ良しとしましょう。背中も流し合いも了解しました。ただし、"教育"と称した悪戯は遠慮します」
 「ガーーン! ど、どうして分かったの?」
 意図を見破られて驚愕する希美に向かって、真紀はクスリと笑って見せた。
 「もちろん、"姉妹"ですから」
  * * * 
 以上のような経緯から、"姉"とふたりで入浴するハメになった真紀だったが……。
 「ふーーん……」
 湯船の中から洗い場の真紀を見つめながら、感心したような困ったような嘆声を漏らす希美。
 「どうかしましたか、姉さん?」
 "姉"の視線に気づいたのか、身体を洗う手を止めて振り返る真紀。
 「いえね、マキちゃん、しっかり、かっきり、パーヘクトに女の子してるなぁ、と思って」
 膝を揃えて内股気味に椅子に腰かけた姿勢といい、シャンプーとコンディショナーを使い慣れた手つきでその長い髪を洗う様子といい、丁寧に優しく肌をこする仕草といい、今の真紀は、まるっきり女の子そのものだ。
 ちょうど石鹸の泡と閉じた膝で胸と股間が隠されているため、この状態なら河比奈媛の神通力がなくても、過半数の人がパッと見なら女性と間違えるかもしれない。
 「それは、どうも……ってお礼を言うのも、何だかヘンですね」
 「それそれ。その自然体で余裕がある様子が、一番"らしく"ないのよ。わたし、マキちゃんが男の人だった時の姿を知ってるワケじゃない? だから、てっきり、殆ど知らないはずの若い女性と一緒に入浴するとなったら、色々恥ずかしがると思ったのだけど」
 希美は、あえてジロジロと視線を向けるが、真紀の方は動じない。
 「まぁ、確かに、マサノリのままなら、うら若い女性と混浴するとなれば、アタフタしたかもしれませんね。でも、今の私は花も恥じらう16歳の乙女のマキですから」
 わざとらしく顔を両掌ではさんでポッと顔を赤らめ、「恥じらいのポーズ」をとって見せる真紀。

153 :
 「──その仕草が似合ってるってのが、逆にスゴいわねぇ。ん? じゃあ、逆に男のままの自分の股間を触るのが恥ずかしいとか……」
 ピクッ、一瞬肩をふるわせる真紀。
 「い、言わないでください! あえて考えないようにしてるんですから! コレは、クリト●ス、そう、ちょっと大きめのク●トリスなんです!」
 どうやら、真紀の逆鱗(というか泣き所?)に触れたようだ。
 「あはは、ゴメンゴメン。じゃあ、お詫びにお姉ちゃんが、かわいい妹の背中を流してあげる」
 浴槽から出た希美は、すばやく体洗い用のスポンジを手に取り、真紀の背後に回る。
 「へ? いえ、あの、わざわざそこまでしていただかなくとも……」
 戸惑いつつ、そこは控えめな真紀のこと。
 乞われるがままに"姉"に背中を向けた真紀だが、もし希美が手の指をワキワキさせているのを目にしていたら、全速力で逃げ出していただろう。
 「ちょ、どこ触ってるんですか、姉さん!?」
 「へぇ〜、お肌つるつるだぁ。体毛もほとんどないし……貴方、本当に男?」
 「だ、だから今は女の子だと……ひゃん」
 「あ、確かにオッパイはないわね。でも、かわらしいふたつの蕾がちょっと尖ってきたかも」
 「や、やめてください。ソコは敏感なんで……あン!」
 「ほれほれ、よいではないかよいではないか」
 「い、いやぁ、やめて〜、汚されるぅ!」
 ……
 …………
 ………………
 「まったく、風呂場で何をやってるんだ、あの娘たちは」
 「まぁまぁ、いいじゃないですか、姉妹なんですし、ちょっとした悪フザケくらい」
 (男としては羨ましいと言うべきか、それとも同情すべきか、複雑な状況だのぅ)
 風呂場から聞こえる悲鳴を聞きながら、隆之、未央、善行の3人は、それぞれの感想を抱くのだった。
-つづく-
#以上、「希美姉さん、はっちゃける!」の巻でした。本来的には、希美は二十歳という年齢相応に落ち着いた女性なんですが、今は未曽有の非日常を目にして、少々ハイになってます。
#次回は「女子高生・真紀、学校に行く」の巻。お約束の嵐かもしれませんが、ご期待ください。

154 :
うーむ、ベタベタだw
だが、それが最高だ

155 :
GJ
良い作品が続くな

最近は荒らしも居ないし気持ち悪いコメントつける作者も居なくなったな
あいつらが居ないと平和で良い
良いスレになった

156 :
皆が忘れようとしてるのに、何でわざわざそういう話題を蒸し返そうとするのか
話題に出すのも禁止だろ

157 :
うーん、まああの人いつも自演してたからね
悩みの種が2つまとめて消えてくれたのは確かなんだけど
そんな事言ったらまた荒れるから止めた方がいいんじゃないかな

158 :
>>156
>>2を100回音読しなさい
荒らしは貴方のような方からのレスを待ってます

159 :
迷惑な奴が消えて清々するのは同意
荒れるのを分かってあえて言うがもう二度と来ないで欲しい
投下するSSも面白くないのに自演で人気ある様に見せようとするしな
荒らしも同じ奴だと俺は思っているぞ
発生した時期も居なくなった時期も同じだし
擁護コメントとかも全部自演だろ
もし見ていて言い返す事があれば何か言ってみろ
荒らしコメントじゃなくちゃんと意味わかる言葉でな
作者気取りの荒らしほど質の悪いものはない
このスレの総意とは言えないだろうが個人的に嫌悪感しかない
荒れるからスルーが大人の対応だが今までの鬱憤が我慢出来なくなった
ただあの作者に吐き出したかったたけだから他の人は気にしないでくれ
スレ汚しスマン

160 :
>>158
なんで>>156を名指し?
>>155-160 まで全部、一種の荒らしだと思うが。

161 :
折角良作が投下されてるんだからこの話題は終了でいいよ
エロパロ板の愚痴スレがあるからそこでやってくれ

162 :
すまない
ちょっと口が滑った
でもみんな同じ事を思ってはいたんだな
せっかく平和で良作が続いているんだ
俺たちはズボン脱いでSSの続きを待っていようぜ
俺もワクテカで待っている

163 :
嫌いな作者が追い出せてよかったね(棒読み)

164 :
立場の変化に該当するような話って無いかなと思って探してみたらドラえもんに兄弟シールというものがあった
効果は文字通り兄や弟や妹のシールがあって貼り付けられたもの同士が兄弟関係になるというもの
これの設定をこのスレ仕様にいじったら面白いんじゃないかな

165 :
ドラえもんはクロススイッチとか、このスレ向きの道具が意外とあるよね

166 :
道具を使った立場交換話って、成功するより失敗する方が面白いかもね。
スッチーにモテモテ(現実がそうかは知らんけど)な国際線のパイロットになった弟を妬んだ
冴えない三流サラリーマンの兄。
とあるネットオークションで使い捨ての「立場交換用GPS

167 :
#途中送信失礼
とあるネットオークションで使い捨ての「立場交換用GPS」を入手する。
GPSで位置を特定した相手との立場交換を一回こっきりできるという代物で、
ダメ元でマンションにいる兄を狙って試したところ、機械自体は作動したけど、
ちょうど兄を訪ねて来ていた婚約者のフライトアテンダントの女性を補足してしまい
……とか

168 :
               
     
       

169 :
また駄目か

170 :
書けた
アク禁でも無いのになんだ一体

171 :
厄違(やくたが)えの続きに期待
次の更新が楽しみ

172 :
うむ

173 :
>>171に同意

174 :
祭りに乗り遅れたか
とにかくキモい作者とアホな粘着荒らしを追い出せたのは前スレで責任を追及した奴のおかげだよな
擁護する奴も変に荒らす奴も出てこないしやっぱり全部同一人物の自演だったんだな
これからは平和だ

175 :
>>167
立場交換用GPSいいですね〜
量産していろんな人に配りたい

176 :
GPSとは新しいな
カーナビに取り付けて別の車を補足したと思ったら
家族全員が女子大生の集団と入れ替わってしまったとか

177 :
何かお話しが投下されてその感想で賑わうと言うのが一番ベストな流れなんだけど
作者さんお願いします
お話しを下さい

178 :
黙って静かにしていれば良いと思うよ

179 :
だね
話を遮ってクレクレ言うのはみっともない
流れを変えたいなら自分から話題を提供するなり
自分で何か書いてみるなりしてからにしましょう

180 :
ネタについて語らうことがなければ新しい作者も生まれないし今いる作者の投稿ペースも落ちて逆効果だろうよ
それに作者を急かすのもいかん

ドラえもんの道具だと初期の頃の入れ替えロープも立場交換に近いかもしれんね

181 :
#あいかわらず、理屈ぽく説明っぽいですが、第5話です。
『厄違(やくたが)え』5
 お正月、そして冬休みはまたたく間に過ぎ、今日はから三学期が始まるという日の朝。
 この夏樹神社の本来の次女である"勇美"と儀式によって立場を交換した"夏樹真紀(なつき・まき)"はと言えば……。
 とりたてて普段と変わらない時間に目を覚まし、これまで通りに「巫女としての朝のお勤め」──と言っても、境内と本殿の掃除と簡単な礼拝程度だが──に励んでいた。
 吐く息が白いこの季節、真紀とて布団が恋しいという気分もないではないのだが、そこは立場交換&神様の介入によって植え付けられた"習慣"の悲しさ、きちんと「お勤め」を済まさないと、どうにも居心地が悪く感じてしまうのだ。
 ともあれ、一通りお勤めを済ませたのち、自室に戻って巫女装束を脱ぎ、今度こそ通っている(正確には「今日から通う」と言うべきか)隣町の龍刻高校の制服へと着替える。
 いったんスリップを脱いだ後、Aカップのブラジャーに無理矢理脇の肉を詰め込んで谷間……らしきものを形作り、さらにハイウェストタイプのショートガードルを履いて腰回りを引き締めてから、スリップを着直す。
 続いて丸い襟のついたオーソドックスな白のブラウスに袖を通す。男物とは逆についたボタンも、なんら戸惑うことなくとめることができた。
 その上に濃緑色をベースにしたタータンチェックのジャンパースカートを履き、胸元に学年色の真紅のリボンタイを結ぶ。脚にはダークブラウンのパンティストッキングを履いてから、さらに白のソックスを履いてくるぶしまでの三つ折りにする。
 最後に、丈がやや短めの紺色のボレロを羽織り、学生カバンを手にすれば、通学準備は完了だ。
 「あっ、と……」
 そこで何か思い出したのか真紀は三面鏡の前に座り、青に白いラインの入ったリボンで、その長い髪をやや位置が高めのポニーテイルの形に結わえる。
 「うちの学校の校則って、腰まで伸びた髪はくくらないといけないんでしたよね」
 「古風で控えめな少女」という"設定"上、校則違反にならないよう、気を使っているらしい。そう言えばスカート丈も膝がギリギリ隠れるくらいで、今時の女子高生としては幾分長めのようだ。
 今度こそ準備が終わったと見てとった真紀は、カバンとスクールコートを持って、朝食をとるため階下へ降りていくのだった。
  * * * 
 さて、朝食の場に関しては、これまでの一週間と同様、つつがなく終了したのだが……。
 「ちょっとマキちゃん、いいかしら?」
 いざ、家を出ようとコート来ているところで、真紀は"姉"の希美に呼びとめられた。
 「何ですか、姉さん?」
 「その……今更こんなコト言うのもどうかと思うけど、"外"に出るんだから、いろいろ気を付けてね」
 「? これまでも何度か外出はしてると思うのですが……」
 昨日までの冬休み期間中も、基本的には夏樹神社(うち)で巫女さんしてたとは言え、時折私服に着替えて村の商店街(と言っても店数は10軒にも満たないが)に買い物に行ったり、初詣に来た"同級生"と遭遇したりもしている。

182 :
 同級生に関しては、実にご都合主義というか不思議な話なのだが、真紀自身はもちろん、相手の方も顔を合わせると、自動的に互いを「知人・友人」と認識して普通に世間話ができてしまうものらしい。
 同様のことは近所の人々にも言えて、おかげで買い物の際に困ったこともない。
 「そうじゃなくて、貴女の高校は村の外にあるでしょう? 河比奈媛様の御力がキチンと及ぶものなのか……ちょっと、ね」
 どうやら"姉"は心配してくれているらしい。
 第一印象の"理想の大和撫子像"とは多少異なり、身内に対しては、いささかお茶目で悪ノリもする部分もあるものの、やはり希美は基本的に"優しいお姉さん"であるようだ。
 『その心配は無用ぞ!』
 「──あ、比奈様」
 脳裏に響く"声"に、ポツリと呟く真紀。しかし、希美の方は、キョトンとした顔で真紀を見つめている。
 「あら、もしかして、河比奈媛様のお告げが下ったの?」
 どうやら、このテレパシー(?)、希美には聞こえてないらしい。
 『むぅ、相変わらずの霊感音痴じゃな、希美は。──どれ、これで聞きとれるじゃろう?』
 真紀に聞こえる比奈の声が、普通の会話から、いきなり街宣車の演説並に大きくなる。
 「あ、はい。何か電波状況の悪いケータイみたいですけど、なんとか」
 『ここまで霊波を強めてもそれかえ……まぁ、良い』
 やや呆れた感を醸し出しつつも説明してくれた河比奈媛命によると、真紀と勇美には"暗示"や"幻術"の類いが掛かっているわけではなく、彼女が因果律にちょっと細工をしたことで立場の交換が成立しているのだと言う。
 『故に、仮に氏神としての我の支配領域から外に出ようとも、そなたが「夏樹神社の娘で我が巫女たる夏樹真紀」であるという"事実"に、揺らぎはない』
 「もっとも、このように念話で連絡することは、流石に叶わぬがな」と締めくくる比奈。なにげに息を切らしているように感じられるのは、霊波を強めるというのは人間で言うと大声を出すことに相当するのかもしれない。
 ともあれ、「そういうことなら安心ね♪」と納得した希美は、真紀の首に赤い毛糸のマフラーを巻いて、学校に送り出してくれた(ちなみに、希美自身は短大の2回生だが、新学期が始まるのは来週かららしい)。
 「姉さん、意外に心配性ですね」
 夏樹神社の鳥居から100メートルほどの場所にあるバス停でバスを待ちながら、そんなことを考える真紀。もっとも、本来の"マサノリ"はひとりっ子だったため、こういう"姉の気遣い"を受けるのは新鮮で嬉しいことでもあったが。
 やがて、龍刻町行きのバスが来たので、真紀もそれに乗り込む。
 朝の7時台のみ1時間に3本出ているこのバスだが、一番早い7時15分の便だったせいか、他に龍刻高校の制服は男女問わず見当たらない。
 その代わりに、どこか見覚えのある背広姿の"青年"が、後部座席に座っていた。
 「あ……」
 無論、その"青年"とは、真紀と立場を交換して現在、龍刻高校の男性国語教諭「遠坂勇美(とおさか・いさみ)」という立場になっている勇美(ユミ)にほかにならない。

183 :
 「お、夏樹か。おはよう、今日も早いな」
 その勇美は、アップバンクショートに切り揃えた髪(今にして思えば、あの付け毛は勇美から切ったものだったのだろう)を軽く整え、マロンブラウンのジャケットとコーデュロイのツータックパンツを着用した、高校教師にしてはややカジュアルな装いだ。
 さすがに"補整"のかかってない真紀の目から見ると、成人男性としては少々若過ぎるように思えるが、反面、街ですれ違っても普通に若い男性と見なしていただろう。
 それくらい、イケメンぶりが板についていた。
 「──おはようございます、遠坂先生」
 一呼吸あいたものの、真紀もごく自然な風を装って挨拶を返す。
 可能なら互いの近況報告などもしたいところだが、乗客が少なめとは言え他人の目もあるバスの中では、立場に合わせて「顔見知りの教師と生徒」として振る舞うしかない。
 「先生こそお早いんですね」
 龍刻高校の1時限目は8時40分開始だが、"姉"──希美に聞いた限りでは、ユミはいつも遅刻ぎりぎりの8時のバスに乗っていたようなのだが。
 「わはは、まぁ、これでも教師だからな。生徒に遅刻するような恥ずかしい真似はさらせんだろう」
 どうやら、少なくとも"彼"の方も現在の立場を全うしようという意思はあるらしい。
 「先生方は大変ですね」
 その事が確認できただけでもひとまず良しとして、真紀は意識を切り替え、「龍刻高校の一年生に在籍する女生徒」として、遠坂勇美との会話を続けるのだった。
  * * * 
 やがて、いくつかの停留所を過ぎ、途中でクラスは違うものの、「中学時代からの顔見知りである同級生」が乗り込んで来た時点で、真紀は勇美から離れてそちらに合流した。
 「あ、マキちゃん、おはよう! ……って言うか、明けましておめでとうございます」
 早速こちらを見つけて挨拶してきたのは、多岐川茉莉(たきがわ・まつり)。ふわふわの猫っ毛をミディアムボブにした、ニコニコといつも笑っている印象のある少女で、見かけどおり性格もおっとりぽややんとした性格の子だ。
 年相応よりややポッチャリ体型だが、男の視点で見れば「デブ」というほどでもなく、むしろその豊かな胸やお尻に視線を惹きつけられる男性も多い……といった彼女に関する知識が、瞬時に真紀の脳裏に浮かんでくる。
 (便利と言えば便利なんですけど、ちょっと戸惑いますね)
 そんな感想を胸の内で呟きながら、真紀もにこやかに挨拶する。
 「おはようございます、茉莉さん。でも、2日にウチにお参りに来られた時、お年始の挨拶は済ませた気がしますけど」
 「あ! そう言えばそうだっけ」
 「えへへ〜」と頭をかく仕草が微笑ましい。少々抜けているトコロはあるものの、茉莉が男女問わず親しまれているのは、真紀としても納得がいく話だった。
 そのまま、しばらくふたりで他愛もない雑談を交わす。

184 :
 「♪」
 「どうかしたんですか? 何だか随分ご機嫌に見えますけど」
 元々、笑顔の絶えない娘だという"記憶"があるが、今朝はとくに上機嫌に見える。
 「うん、あのね、マキちゃんとは中学時代からのお友達だけど、中学に入った頃から、いつの間にか、あんまりお話しなくなったでしょう? それが、今日は色々お話できたから、なんだか嬉しくって」
 「!!」
 なるほど、これも立場交換によって発生した細かい齟齬のひとつなのだろう。
 "姉"の希美の話から聞いた断片的な印象を繋ぎ合わせて考える限り、"本物"である「夏樹勇美」は深刻なGID──性同一性障害と言うほどではなくとも、「自分が男の子だったらなぁ」としばしば願うタイプであったようだ。
 あるいは、神社の娘という家庭環境からくる「女の子らしくお淑やかに」という教育に対する反発心もあったのかもしれない。この辺りは卵が先か鶏が先かだとも言える。
 そういう男勝りでアクティブな性格の子だから、「お砂糖とスパイスと素敵なもの全部」でできてる茉莉のような典型的女の子とは、幼い頃はともかく、成長するにつれソリが合わなくなっていったに違いない。
 因果律に干渉され、真紀と勇美の立場が入れ替わった今も、彼女と疎遠になった記憶の残滓が茉莉の中に残っているのだろう。
 「その……よかったら、これからもマキちゃんと、仲良くしたいんだけど……迷惑かな?」
 もじもじと控えめにそう申し出る茉莉に、真紀は微笑み返す。
 「ええ、もちろん。こちらこそ、今後ともよろしくお願いしますね」
 その言葉に嘘はなく、この日から多岐川茉莉は、夏樹真紀にとって一番の親友となっていくのだった。
 「あれ、後ろの方の座席に座ってるのって……もしかして、遠坂先生?」
 あと5分ほどで龍刻高校前の停留所に着くという段になって、茉莉は「遠坂勇美」の存在に気づいたようだ。
 「──ええ、そのようです。私より先にこのバスに乗ってらっしゃいました」
 個人的には「彼」に色々思う点がないでもないが、それれはいったん棚に上げて、ごく無難に応える真紀。
 「え〜、遠坂先生って、あんな感じだったかなぁ。なんて言うか、もうちょっと地味で控えめな印象があるんだけど……」
 どうやら生徒からも「遠坂先生」はそう見られていたらしい。
 学期途中からの新任ということで、意識的に目立たぬようにしていた部分もあるとは言え、やはりこうもハッキリ言われると、真紀としても内心苦笑が零れる。
 「奥さんに言われてイメチェンでもしたんじゃないですか?」
 とりあえず、ヒネりのない応えで誤魔化しておく。
 「あぁ、そうかもね、新婚さんだもんね。先生の奥さんって、どんな人なんだろ」
 「元旦に、ウチの神社にお参りに来られましたが、綺麗で上品そうな方でしたよ」
 ──などと話しているウチに、バスは高校の校門近くの停留所に止まった。

185 :
 真紀と茉莉は、連れ立ってバスを降りる。
 「わたしは、今日の日直なんだけど、マキちゃんは?」
 「私は、弓道場に立ち寄ってから教室に行くつもりです」
 紺のスクールコートに身を包み、オーソドックスな学生鞄を両手で体の前に下げ、スカートの裾を寒風に翻らせながら、昇降口へと向かう真紀と茉莉。
 「彼女」たちのあとから、バスを降りた「遠坂勇美」は、ニヤニヤしながらふたりの姿を見てるのだった。
-つづく-
#以上、ダラダラとした日常回。書いてる方はそれなりに楽しいのですが、読んでる方はどうなんですかね。

186 :
#しまった! 184で茉莉の
 「うん、あのね、マキちゃんとは中学時代からのお友達だけど、中学に入った頃から、いつの間にか、あんまりお話しなくなったでしょう? それが、今日は色々お話できたから、なんだか嬉しくって」
という台詞、「小学校時代からのお友達」の間違いです。

187 :
まってました
続き乙です
しっかりしたストーリーの組み立てやキャラの掘り下げは持ち味だと思うので
もっとやって良いかと

188 :
GJ!
学校のどっかに神通力があまり及ばない場所があって
真紀が自分が男であることを思い出して恥じらうイベントとかあるといいなあ

189 :
乙です

190 :
乙です
茉莉ちゃんの無防備な身体にドキドキしたり
そのうち「友達からの関係」になったりするのを期待してます

191 :

続きも期待

192 :
>>185
読んでいる方も楽しいのでどんどん書いて下さい

193 :
俺はエロいのも好きだぜ( ̄ー ̄)

194 :
#多少なりとも皆さんも楽しんでもらえているなら幸い。希望の路線に応えうるかは保証しませんが。
#ということで、いささか地味な日常回パート2。いや、一応、伏線もあるんですが。

『厄違(やくたが)え』6
 茉莉と別れた真紀は、校舎裏にある弓道場に向かう途中にある弓道部の部室に、いったん立ち寄る。
 「たしか、この端っこのロッカーに……」
 "マキ"としての記憶に従い、7番と書かれた部室内のロッカーを開けると、はたしてそこには「夏樹」の名札があり、キチンと洗濯された道衣と紺色の袴、右手にはめる弓懸(ゆがけ)などが置いてある。
 「"あの人"はソフトボール部だったらしいのですが……このあたりのファジィさは不思議ですね」
 さて、厄違えの儀式で立場を交換した真紀と勇美だが、すでに皆さんもご承知の通り、純粋に立場「だけ」が入れ替わったわけではない。
 たとえば、一番わかりやすいのは名前だろう。遠坂真紀(とおさかまさのり)は「夏樹勇美(なつきいさみ)」ではなく、「夏樹真紀(なつきまき)」となった。逆も然り。
 さらに言うなら、「夏樹神社の次女で、龍刻高校に通う16歳の少女」という大枠だけは一致しているものの、夏樹真紀と夏樹勇美は、外見はもちろん普段の言動から趣味嗜好に至るまで、大幅に異なる。
 それでいて、不思議と周囲の人間もマキの行動を当然のものと受け止めているのだ(稀に軽い違和感を抱く者もいるが、すぐに忘れてしまう)。
 それだけなら、「河比奈媛の神通力による催眠暗示みたいなもの」と考えられるが、じつは人々の意識だけでなく、物理的なモノ──今回のような部活の道具なども、キチンと夏樹真紀にふさわしいものが用意されているのは、不可解に一言に尽きる。
 河比奈媛は「因果を歪める」と表現していたが……。
 (──とは言え、何か困るってワケでもなく、むしろ好都合なんですけどね)
 頭の中で呟きながら、手際良く弓道衣姿に着替える真紀。元のマサノリも高校時代に弓道部だったため手慣れたものだ。女性特有の行灯袴も家の巫女装束ですでに慣れているし……。
 「……っと、そう言えば、女子は胸当てを付けるんでしたっけ」
 弓懸の隣りに置いてある革製のソレを、多少もたつきながら装着する。このヘンは、「夏樹勇美」も「遠坂真紀」も知らない事項なので、記憶の補完が甘いのかもしれない。
 氏神の神通力の凄さと限界を同時に感じつつ、真紀は更衣室を出て射場に向かった。
 「お、なんだ1年の、ええと……夏樹じゃないか! 随分早いな」
 さすがに三学期早々に朝練に来る人もいないかと思ったのだが、ひとりだけ先客がいた。3年生の仲井部長だ。
 「あけましておめでとうございます、仲井先輩。仲井先輩こそ、3年はこの時期、自由登校でしょう?」
 「まぁな。もっとも、俺は推薦が取れてるから、受験勉強に躍起になる必要がないんでな。午前中は、ここでのんびり弓を引かせてもらって、午後は図書室で適当に自習してるのさ」
 なるほど、そういうことらしい。
 ともあれ、仲井はともかく、真紀の方は8時45分から授業がある(もっとも、今日は始業式だが)ので、雑談している暇はない。
 早速、射法八節の基本を意識しつつ、たて続けに4射ばかり引く。
 真紀の(「遠坂真紀」としての主観では)数年ぶりに引く弓だが、思ったより腕は鈍っていないようだ。あるいは、「夏樹真紀は普段から練習熱心」という"設定"なのかもしれない。

195 :
 「へぇ〜、凄いな。休み明け早々、皆中じゃないか。夏樹は中学の頃から弓道やってたのか?」
 「いえ、始めたのは高校に入ってからです」
 仲井の質問にも、嘘はついていない──もっとも、「遠坂真紀」は高校時代の3年間弓道を続け、3年の時は地区大会でも結構いい成績を残したのだが。
 精神的な要素の大きい弓道だからこそ、その記憶や経験が活きているのだろう。これが、身体的運動能力の占める部分が大きい剣道などなら、また話は違ったはずだ。
 実際、夏樹真紀となってから、体格などの身体的要素はほぼ変わっていないはずなのに、全身の筋力が幾分低下していることは、"彼女"も自覚していた。
  * * * 
 8時25分の時点で更衣室で再度制服に着替え、早足で教室に入ると、ちょうど8時半の予鈴が鳴った。
 「顔見知り」のクラスメイトに適当に挨拶をしながら、席に着く。
 教師としての「マサノリ」は1年生とはほとんど接点がなかったはずなので、このクラスにいる人間とはほぼ初対面のはずなのだが、正月に神社で茉莉と会った時同様、ごく自然に相手の名前と簡単な素性がわかるのだ。
 そのせいか、誰ひとり、そこにいるのが「夏樹勇美」ではなく「夏樹真紀」であることをいぶかしむ者はいなかった。それを少しだけ寂しい事のように思いつつ、周囲との世間話で残り時間をつぶす。
 そして、8時40分のチャイムとともに、1−Bの担任教師の吉乃晴花が教室に入ってきた。
 「みんな、あけましておめでとう。欠席者は……うん、いないみたいね。じゃあ、ちょっと寒いけど頑張って大講堂まで移動してね」
 教師として2年先輩の吉乃には、新米教師として色々面倒を見てもらっていたが、まさか担任として世話になるとは……と、内心ちょっと苦笑しながら、真紀もクラスメイト達に混ざって、大講堂へと向かう。
 「新年、あけましておめでとうございます!」
 という定番の挨拶から始まった「校長先生のお言葉」が退屈なのは、教師・生徒いずれの立場でも変わりはない。不審を抱かれない程度に視線を壇上からさ迷わせた真紀は、ステージのすぐ脇の教師たちが並んで立っている列に「遠坂勇美」の姿を発見する。
 「夏樹勇美」であった頃の彼女であれば、生欠伸を噛みして(もしくは半分居眠りして)聞いていたはずの校長の挨拶を、今の"彼"はそれなりに真面目くさった顔で耳を傾けているようだ。
 とりあえず、無難に「遠坂先生」をやってくれてるコトに安堵して、真紀も校長の話に意識を戻す。
 校長の話は、要約すると「新しいことにチャレンジするのを恐れるな」ということらしい。正論だが、だからと言って保守的な気風の強いこの地方で、その理想を実現できる気概のある人間がどれだけいるものか……と、真紀は、やや皮肉な想いを抱く。
 (去年の秋の文化祭でも、ハードロックやメタル系バンドのエントリーは認められませんでしたし、模擬店も地元商店街とタイアップしたものしか企画を通さなかったのに、ねぇ)
 こういうダブルスタンダードを、「新任の教師・遠坂真紀」は見て見ぬふりをできたのに、「1年生の女生徒・夏樹真紀」は看過できないあたり、"彼女"自身、女学生という立場の影響
を精神的にも知らず知らず受けているのかもしれない。
  * * * 

196 :
 始業式が終わり、教室でSHRが行われたのち、本日の授業は終了となった。
 「マキちゃ〜ん、よかったらいっしょに帰ろ」
 隣のクラスから茉莉が呼びに来たので、周囲のクラスメイトに挨拶をしてから、真紀はコートを羽織り、鞄を持って教室を出る。
 (それにしても……「夏樹真紀」って、1−Bにあまり親しい子がいないんでしょうかね?)
 いじめられたり、ハブにされてるという感じは全然ない。むしろ、ある種の敬意らしきものが男女問わずクラスメイトからは見てとれるのだが……。「記憶」を探ってみても、「親友」とか「いつもの遊び仲間」的ポジションの友人に、まったく心あたりがない。
 「ん? どーしたの、マキちゃん?」
 「いえ、他愛もないことなのですけれど……」
 今抱いていた疑念を、なるべくソフトに茉莉に伝える。
 「そうなんだぁ。うーん……でも、1−Bの人達の気持ちも、ちょっとわかる気がするな」
 「え!? 私って、そんなに友達になりたくないタイプですか?」
 驚く真紀に苦笑する茉莉。
 「あ〜、逆逆。真紀ちゃん、むしろ高嶺の花なんだよー」
 実は、自身の理想(もうそう)を可能な限り具現化した"設定"である「夏樹真紀」は、品行方正で文武両道な"優等生"だと周囲から見られているのだ。
 委員長キャラと言うほど口うるさく出しゃばることはないが、世間的に見て「悪い」とされることはキッパリ拒絶し、丁寧で優しい口調ながら、きちんと筋道だてて理知的に会話する。
 人の感情にはキチンと理解を示しつつも、自身はあまり情に流されることなく、冷静で良識的な判断を下す。
 世間の流行をまったく知らないわけではないが、同年代の少女達と比べるとやや関心は薄く、どちらかと言うとパーマネントなものの方に心を惹かれる。
 改めて茉莉にそう指摘されると、真紀としてはぐぅの音も出ない。
 「──もしかして、私って、ものすごく"面倒な女"なんでしょうか」
 ごく自然に自分のことを"女"と表現する真紀。会話の途中だからかもしれないが、茉莉はもちろん、本人もそのことに何ら違和感を抱かずスルーしているあたり、もはや完全に今の"立場"を受け入れているようだ。
 「そ、そんなコトないよ〜。でも、マキちゃんのことをよく知らない人から見ると、やっぱり「優等生」ってイメージが強くて、敬遠しちゃうのかも」
 茉莉のフォローもあまりフォローになっていない。
 「それに、体育祭とか文化祭とかでは、随分クラスの人たちが頼りにしてたって聞いてるよ?」
 「それは……ウチのクラス委員が頼り甲斐がなさすぎだからでしょう」
 1−Bのクラス委員の磐田は生粋のお笑い芸人体質で、お祭り騒ぎの時のノリやリーダーシップは上々だが、真面目に地道に事を運ぶのにはまったくもって不向きな人材だ。
 その結果、仕方なくクラス委員でもない真紀が、いろいろな行事の際は実務に手を貸す……ことになったらしい。おぼろげながら、そんな「記憶」があるのだ。
 「──いわゆる……「都合のいい女」なのかも……」
 「それだけ人望がある証拠だよ〜」
 本気で言ってるらしいのが茉莉のすごいところだろう。
 真紀も自分がかなりお人好しの部類に入るという自覚はあったが、この子はそれを上回る純粋無垢な善人(いいこ)らしい。

197 :
 「はぁ……まぁ、茉莉さんに愚痴っていても仕方ありませんね。それより、今日はどこかに寄ってから帰りますか?」
 雁屋村へのバスは、昼間は1時間に1本しか来ない。次のバスが来るまではまだ30分以上あるし、それまで近くのショッピングモールなどで時間をつぶすのもいいだろう。
 「あ、だったらさぁ、わたし、ちょっと行きたいお店があるんだけど、いいかなぁ」
 「ええ、私は構いませんよ。あ、でも昼食は家でとる予定なので、飲食店は遠慮したいのですが」
 「うん、わたしもお昼は家で食べるつもりだから……」
 ──などと言った口の舌の根が乾かぬうちに、ちゃっかり山陽堂のワッフルを手にしている女子高生ふたり。
 「んぐんぐ……やっぱりココのオリジナルメニューは美味しいね、マキちゃん」
 「くぅ……自分の意思の弱さを恨みます。でも確かに美味しい♪」
 元々下戸に近いこともあって、「遠坂真紀」は甘いものを口にする機会もそれなりに多かったが、年頃の女の子という立場になったことで、「いい歳した男が甘いものを」という自制心外れたのか、茉莉&甘い匂いの誘惑に抗しきれなかったようだ。
 「それはともかく、茉莉さんはどこに行くつもりなのですか?」
 「うん、あそこだよ」
 と、茉莉が指差すのは、いかにも女の子向けなファンシーショップだ。
 未だ少女趣味なところを多分に残す妻、慶子の付き添いで、「遠坂真紀」の時にも2度ほど入ったことはあるが、その都度に周囲の視線に居心地の悪い思いをしたのを思い出す。
 「えーと、私にはちょっと合わないかと……」
 「マキちゃんの好みは和風だもんね。でも、最近、あそこにもジャパネスクコーナーが増えたんだよ。かんざしとか根付とか巾着とか……」
 「あら、そうなんですか?」
 そう聞かされては"古風で和物好き"と設定された"乙女心"が微妙に疼いてしまう。
 茉莉とともに、そのファンシーショップ"ビッグキャット"に足を踏み入れた真紀は、新設されたジャパネスクコーナーはもとより、並べられた数多の可愛らしい小物類にも目を輝かせることになる。
 バスの時間ギリギリまで吟味した挙句、江戸時代のお姫様を思わせる飾りかんざしと、卓上に飾るメモ挟み機能付き猫のマスコットを購入する真紀。どうやら、"祖父"の逆転の発想に感化されたのか、予想以上に今の立場に馴染んでいるようだ。
-つづく-
#以上。次回は、お約束の体育の授業&お弁当回です。

198 :

楽しんでます

199 :
乙です

200 :
乙です
これは続きも期待できる!

201 :
体育とは次回が楽しみだ

202 :
体育は何をするんだろう?
バレーボールとかバスケットは前にもあったから
レオタード着用で創作ダンスとか

203 :
話の先読みとか感想に見せた展開の要求とかすんなよ

204 :
期待

205 :
まだかな?まだかな?
ワクテカで行儀良く待ってます

206 :
#「ふつう」って描写が難しいですね。ともかく、第7話です。
『厄違(やくたが)え』7
 夏樹真紀が、龍刻高校へと通うようになって二日目。
 三学期が始まったばかりだというのに、いきなり二時間目に体育の授業があり、1−Bの生徒達は、ブーブー不満を漏らしながら体操服に着替えていた。
 ちなみに、この高校ではスペースと予算の関係で、女子だけが更衣室を利用し、男子はそのまま教室で着替える仕組みになっている。
 もちろん真紀は更衣室へ移動する組だ。
 もっとも、弓道部の朝練のため部室での着替えを経験している真紀にとっては、本来男子禁制の未知なる秘境たる"女子更衣室"と言えど、別段緊張するほどのものではなかった。
 「──まぁ、部室と違ってヒーターが入ってるのは助かりますけど」
 「へ〜、体育会系の部室ってエアコンないんだね」
 体育は男女分かれて受けるためA・B組合同なので、真紀はA組の茉莉と一緒に着替えていた。
 「ええ、一応、部費で買ったセラミックファンヒーターは置いてあるのですが、小さいので、残念ながら部室全体が暖かくなるのは時間がかかるので……」
 そう答えながら、ブラウスを脱いで体操着を被る真紀。龍刻高校の体操着は、オーソドックスな丸首半袖の白シャツで、男子は紺、女子は臙脂色の縁取りが首周りと袖口に付いているタイプだ。
 さて、女子の体操服のボトムについては、現代日本では、ブルマからスパッツ、スパッツからショートパンツへと主流が移行しつつある。この地方はやや田舎のせいか、さすがに絶滅寸前のブルマではないものの、龍刻高校では、黒の3分丈スパッツを採用していた。
 夏場なら、その種のフェチなシュミのある御仁なら、泣いて喜ぶだろうが……生憎、今の季節は真冬の真っただ中だ。一部の健康バカを除き、男女とも上に長袖長ズボンのジャージを着用しているので、はなはだ色気に欠ける装いだった。
 ちなみに、男子の場合は下の長ズボンを直接はいたりするが、冷え性持ちの多い女子は、きちんとスパッツを着用してからジャージを履く者がほとんどだ。真紀も、その例に倣ってまずはスパッツを履いているのだが……。
 (はぅ! やっぱし、アソコが何だかヘンな感じですね)
 男性特有の「モッコリ」が目に入ってしまい、微妙に鬱な気分になる。
 (まぁ、冬場はこうしてジャージを履けば隠れるから問題ないのですけど……)
 夏場になる前に、何か対策を考えないといけないだろう。

207 :
 幸い(?)にして、真紀のソコは、成人男子にしてはあまり目立たない(はっきり言えば小さめな)方なので、キツめのガードルで押さえつけていれば、スパッツ越しでも「ちょっとモリマン気味な女性の股間」と強弁できないこともないだろうが。
 それにしても、長年つき合ってきた(?)"相棒"を、そんな風に邪魔者扱いするとは、真紀も、僅か数日で随分と女の子なメンタルに染まったものだ。
 ──実際の所、河比奈媛の因果律操作により、たとえ剥き出しの股間を他人に見られても、真紀が「女の子ではない」と疑われる恐れはないのだが、さすがにそこまで凄いとは思い至らなかったようだ。
 ともあれ、普段淑やかで優雅な物腰の"彼女(マキ)"らしくもなく、隅っこでコソコソ着替えている様子を見て、茉莉は怪訝な表情をしていたが、すぐに、漫画で言う「頭上にピコンと電球が現れた」かの如く、閃いたらしい。
 「あはっ、才色兼備で文武両道なマキちゃんでも、やっぱり気にしてるんだねぇ」
 「! な、なんのことでしょう?」
 「隠さなくてもいいよ〜……胸、やっぱり育ってないんだ?」
 お人好しな彼女にしては珍しく悪戯っ子の貌になっている。
 「クッ……」
 ソレもまた気にしている部分ではあったので、真紀は言葉に詰まる。沈黙は肯定とイコールだった。
 「たしか、72のAAだっけ?」
 「失礼な! ちゃんとAカップになりましたっ……ハッ!?」
 と、動揺して簡単に誘導尋問に引っ掛かる真紀。どうやら相当気にしてるらしい。
 「まぁまぁ、胸なんて大きくたって邪魔になるだけだよ〜」
 「──よりによってソレを茉莉さんが言いますか……」
 ちなみに茉莉は推定Fカップの堂々たる巨乳娘だ。もっとも、胸だけでなくお尻も大きく、かつウェストもちょっと太めのぽっちゃりさんなので、男子の人気はそこそこといったところだが。
 自分なら、たとえウェストが現状から2センチ増えたとしても、バストが1センチ増えるならトレードに応じるのに! ……と考えかけ、はたと我に返る真紀。
 (ふふっ、ちょっと「女の子思考」に染まり過ぎですね、私)
 これから1年はこのままなのだから、基本的には「現在の立場」に馴染んでいても構わないのだろうが、下手に染まりきると、1年後には自分の元の立場すら忘れてしまいそうだ。
 自分が本当は「遠坂真紀」であることは、一応、頭の片隅には置いておいたほうがよいかもしれない。
 そんなコトを考えながら、ジャージの前ファスナーを閉めて、真紀は茉莉とともに女子更衣室を出るのだった。
  * * * 

208 :
 今日の女子の体育は、この寒いのに何を考えたのかソフトボールだった。
 サッカーやバスケと違い、運動量の緩急差の大きい野球やソフトボールの類いは、夏ならともかく冬場には向いてないと思うのだが……。
 そのせいか、よく晴れて比較的風のない日だったとは言え、やはり皆の動きに精彩がない。
 そもそも、ソフトボールは野球のボール以上に投げるのにコツがいる。ピッチャーはB組の女子で一番運動神経がいいと言われるバスケ部の主将だったが、ろくに球速が出ず、めったうちにされて、クサっていた。
 もっとも、打つ方もド素人の、あまり野球などに縁のない女子なので、ボテボテの内野ゴロ続出だったが……。
 幸か不幸か、真紀のポジションはサードで、そのゴロを処理するために、それなりに身体を動かすハメになった。
 また、一応、男子としての記憶と経験を(頭の片隅に)持つ者として、3打席2安打1犠打という成績だったことも付け加えておこう。
 やがて、授業終了のチャイムが鳴り、その場の女子全員が「やれやれ」と言う気分で、用具を片付けて、引き上げる。
 「うーーん……」
 「どうかしたのですか、茉莉さん?」
 「あ、いや、マキちゃんって、もっとソフトボール巧くなかったっけ? ほら、小学生の時とか、男の子に混じって野球とかやってたし」
 「──そんな、昔の話をされても……」
 曖昧な苦笑で茉莉には誤魔化しておいたが、おそらくソフトボール部所属の"本物"に対する記憶が、微かに残っているのだろう。
 神様の神通力といえど、さすがに人ひとり、いやふたり分の因果を弄るとなると、完璧とは言えないようだ。
 ともあれ、暖かい女子更衣室で制服に着替えて、人心地を取り戻した1−A&Bの女子がそれぞれの教室に戻ると、男子の方が先に戻ってきていた。
 ちなみに、男子の方は体育館でバレーボールだったらしい。普通逆ではないだろうか?
 体育のあとの4時間目(ちなみに科目は数学だ)という難行を、気合いで乗り切った真紀は、昼休みに入ったので、鞄から弁当箱を取り出して、ふと思案する。
 (たまには、私の方から茉莉さんを誘いに行くのもいいかもしれませんね)
 善は急げと隣の1−Aに顔を出すと、ちょうど茉莉の方も机横にかけた手提げ袋からランチボックスを取り出したところだった。
 「茉莉さん、よかったら、お昼、ご一緒しませんか」
 「あ、マキちゃん。うんうん、大歓迎だよ〜……あ、よかったらコッチで食べない? 他にもうちのクラスの子とかいるけど」
 「ええ、もちろん。私の方こそ、お邪魔でなければ」

209 :
 結果的には、この"およばれ"はそこそこ好結果をもたらしたと言ってよいだろう。
 「あー、真紀ちゃんのお弁当、美味しそー。とくにその卵焼き、ピンク色の縞模様はなんなの?」
 「これは桜でんぶですよ。茉莉さん、良かったら、ひとつ食べますか?」
 「え? いーの?」
 「ええ。もっとも、これは母ではなく私が作ったものなので、味の保証はしませんが……って、もう食べてる!?」
 「おいひ〜♪ まひちゃん、コレ、おみへのよりおいひーよ」
 「もぅ、茉莉さん、お口いっぱいに頬張ったまましゃべるのは、お行儀悪いですよ。それに、ポロポロこぼれてますし」
 汚れた茉莉の顎のあたりをハンカチで拭き取ってやる真紀。
 ほとんど姉妹か母子のようなふたりのノリに、見ている周囲の女の子たちも思わず和んだ。
 そして、それをキッカケに真紀に話しかけてくる娘も出てきた。無論、真紀もそれに自然体で受け答えする。"異分子"の出現に当初は微妙に緊張していた茉莉の友人たちも、どうやら真紀の存在を受け入れてくれたようだ。
 「夏樹さんって、思ったより話しやすくていい人ね」
 そのまま、お弁当を食べながらの女の子同士の他愛もない雑談に、ごく自然に真紀も混じっていると、弁当箱の中身がほぼ空になる頃には、同席していた娘のひとりが、意外そうな表情でそんなことを呟いていた。
 「ホントほんと。わたし、ちょっと怖そうな感じがあって敬遠してたんだけど……」
 「うんうん。なんか、近寄らないで的オーラがある気がして……」
 1−Aの女の子達に散々なコトを言われているような気もするが、真紀自身は微苦笑する。
 その第一印象の半分は真紀自身から来たものだろうが、残りはおそらく"勇美"に対するものなのだろう。彼女は、女の子同士で群れるのが好きでないタチだったらしいから。なので、それ程腹も経たない。
 逆に本人の目の前でこれだけあからさまに言うということは、「実は見かけとは違う」という意見の現れなのだろうし。
 「も〜、みんなヒドいよ。マキちゃんは、とっても優しくて礼儀正しい女の子なんだから!」
 友人をくさされて珍しくプリプリ怒っている茉莉を、逆に真紀がなだめる。
 「茉莉さん、それは過大評価しすぎです。私があまり社交的でないのも事実ですし……それに皆さんも悪気があったわけではないでしょうから」
 ね? と視線で問い掛けると、周囲の娘たちもコクコクと首を縦に振る。
 余談ながらこのあと、A組の女子から話を聞いた真紀の所属するB組の子たちも、半信半疑ながら真紀にいろいろな話題をふってみて、"彼女"がごく普通のリアクションを返したことから、クラスの女子コミュニティに受け入れられていくことになるのだった。
-つづく-
#以上。今回も萌えるか否か微妙な展開でした。ちなみに、夏樹真紀のビジュアルイメージは某貧乳の歌姫と仮面優等生を足して2で割った感じ。対して茉莉は、ぽっちゃり幼馴染とふわふわアイドルがフュージョンしたイメージ。

210 :
GJ
何気ない日常が良いのです

211 :


212 :
#忘れてた。次回予告のようなもの。順調に「夏樹家の次女」としての暮らしに馴染んでいるように見えた真紀。放課後の部活も問題ないように思われたが、意外な反応を示す者がいた。「貴方、誰?」久しぶりに"あの方"も登場!?
#──と、まぁ、煽っておいてナンですが、実際は平常運転の予定です。ラストと其処に至る大まかな流れは既に決まっているのですが、このペースだとどれだけかかることか……。
#そんな感じですので、私以外にもいろいろなSSを書いてくださる方を切に願います。長編は嫌いな人もいるみたいですしね

213 :
乙です
作者が書くの飽きたとかでなければ長くても続きを投下し続けて良いだろ
長くなると途中コメントが減るのは何時もの事だし気にする事もない
他のSSが来ないのは遠慮しているとかではなく
ただ単に今がそう言う時期なんだろう
本来人の多いスレでもないしな
変に活気を求めるよりゆっくりゆとり進行で良いだろ
反応薄くても投下されているSSは確実に読まれているから

214 :
>>212
次回も楽しみにしています

215 :
今週最終回だった「エデンの檻」と友人が豪華船のチケット当たった話から思いついたネタ。
量販店チェーンのくじで、「太平洋横断豪華客船の旅」が当たったサラリーマン一家。一家の10歳の少年は、船の中を探険してるうちに、セレブな家の姉妹と知りあう。じつは、同い年の妹の方と少年は、男女の性別を超えてそっくりな顔をしていたのだ。
子供にとっては退屈な旅の途上、姉妹と遊ぶことが多くなったものの、彼女たちは何かと少年を着せ替えさせたがる。時には妹のフリをさせて、セレブパパやママを騙す悪戯も。
(そんな時は、妹の方は逆に少年の服を着て一家の部屋へ行ったりしている)
その日もそんな「入れ替わりごっこ」に興じていた3人だが、原因不明の事故で船が座礁し、救命ボートで避難することに。元に戻る暇もなく、「妹」としてセレブ家とともにボートに乗る少年。対して本物の妹はサラリーマン家の方のボートに同乗。
──そして一夜が明けて、セレブ家の乗るボートは無事救助されたものの、サラリーマン一家の乗るボートは行方不明に……。
姉は「妹」の格好をした少年に言い聞かせる。「これからは貴方が妹になるのだ」と。
(妹のを認めたくない気持ちと、両親に真相を知られることの恐怖などから、軽く精神的に病んでしまったため)
──いかん、とことん暗い話になりそう。まぁ、実はサラリーマン一家のボートも沈んではおらず、とある無人島に漂着してたくましく生き抜いてたりするのですが。
で、7年後、清楚な美少女に成長した妹(偽)がテレビを見ていると、7年ぶりに孤島から救助された人々のニュースが。その中には、ワイルドな美丈夫に成長した「少年」こと妹(真)の姿が……とかなら、まだアリかな?
今の連載が粟ったら……「ポニテ」の続きがあるしなぁ。

216 :
>>215
四苦八苦しながらお嬢様を演じる妹(偽)が前編で、
数年後完全に良家のお嬢様として適合し、妹として生きることに疑問を感じなくなった妹(偽)と
救助されて妹(真)が本来自分のもののはずの妹としての立場を奪おうと暗闘する話が後編というのも面白いかも
この場合妹(真)はあくまで女性として育った方がいいと思うので、入れ替えというのとはちょっと違うけど、立場の変化ということで
無人島に少年のことを知っている人がいると都合が悪いんで、サラリーマン一家は座礁騒ぎでバラバラにボートに乗ったのでしょう

217 :
>216
「立場の変化」……そういうのもあるのか!(ゴローちゃん風)
腹案としては、イケメン風になった元妹が「男として」、偽妹を墜とし、
自分の「恋人(おんな)」にして、最終的には結婚にまで漕ぎ着ける
逆転夫婦ストーリーにするつもりでした。
偽妹の方は、おっしゃる通り完全に「名家の令嬢」としての暮らしに染まってるのですが、
なまじ根が善良なので、「つらいけど、あの方に今の立場を返さなくちゃ」と思い詰める。
で、名門お嬢様学校から、元妹が男子として通うようになった公立高校に転校して、
「彼」に接近し、再度を立場交換(正確には「元に戻す」なのですが、当人達的にはそういう
感じ)しようと、話し合いするのですが、「彼」の方は「いまさらな〜」と消極的。
そのうち、放課後など一緒にいることの多いふたりは、周囲には「恋人同士」と見られる
ようになり、慌て恥じらう偽妹と、「それもアリだな」とニヤッとする元妹。
内心満更ではなかった偽妹は、積極的な「彼」のアプローチに押されて……みたいな。
ラストは結婚式の教会の祭壇の前で、こっそり囁くふたり。
「いいんでしょうか。わたくしたち、神様の前ですごくバチあたりなことをしてる気がします」
「別にいいじゃん。遺伝子的な性別はどうあれ、俺は夫としてお前を幸せにするし、
 お前は妻として俺を支えてくれるんだろう?」
──いかん、ラストの展開まで書いちゃった。

218 :
>>217
多分その方がここの風潮なのだと思いますが、
だからこそたまにはもうちょっとわがままな主人公が見てみたいかなと思ったのです
優柔不断で善良な巻き込まれ型主人公の方が、
立場の交換というシチュエーションには都合がいいのは確かなんですが

219 :
某性転換ミステリーにものすごく似たようなのがあるな
まあ大体のネタは手垢が付いてるのが普通だし
書き手で切り口が大きく変わるから投稿していただけるならすごく嬉しいが

220 :
確かにパターンとしてこのスレは巻き込まれ型の主人公が多いと言えば多いな

221 :
優等生とギャルの立場交換のファンタジー版。
天界への潜入調査のために、背格好が似た新米天使(地上で研修中)を
拉致して、その立場を奪う女悪魔(幹部候補生ないし準幹部クラス)。
1年間の人間界暮らしの後、天界へと「帰り」、しばらく情報収集したのち、
魔界へ帰還するために、人間界にある魔界への「門」へとこっそり赴くが……。
そこに現れたのは、すっかり魔界の女幹部が板についた元天使(堕天使)。
魔界に送られた当初は悪魔の性欲処理係のような立場だったものの、
いったん堕ちて快楽を受け入れてからは、水を得た魚のように躍進。
本来の幹部候補悪魔以上に上司に気に入られて、幹部に取り立てられたのだ。
魔界での戻るべき場所は、すべてその堕天使に奪われてしまった偽天使
(女悪魔)は、彼女に、そのまま天界へ潜入工作員(スリーパー)として
留まること(つまり、ていのいい左遷)を命じられ、トボトボ天界へと帰る
……って話は、このスレの範疇だろうか?

222 :
>>221
アリだと思うよ

223 :
「交換留学生」というフレーズから妄想。
地味なフツメン高校生の少年が一念発起して、学校で募集していた
教育団体の「交換留学生」に志願。見事審査に合格して、晴れて
アメリカの比較的リベラルな地方(オレゴンとか?)のハイスクールに
留学することに。
しかし、向こうの空港に着いたところで、待ち受けていた交換留学生
として日本に赴く予定の金髪少女(&団体の人)に急かされて、用意
された部屋で服を脱がされ、代わりに少女の着ていた服を渡される。
真っ赤になりながら、仕方なくそれを身に着ける少年。気が付くと、
少年のスーツケースも少女が日本に持って行ってしまい、
少年の手には少女が持って来たボストンバッグが……。
教育団体の人いわく、今回の「交換留学」は単にアメリカ/日本で学ぶ
というだけでなく、本当に立場を交換することが課題なのだという。
つまり、少年は「地元のハイスクールに通うアメリカ人の少女」として
卒業までの2年間を過ごさねばならないのだ!
……アイデアは色々あるんですが、書く時間がなぁ。

224 :
パンツ脱いだから早く頼む

225 :
責任をとって書くべき

226 :
書け
書くんだジョー!(古い)

227 :
集団無差別立場交換とかがあっても良いけど
SSにするのは難しそう

228 :
過去スレに集団無差別交換とか学校ごと交換とかあったような気が
もっとスケール小さくして部活ごと交換とか家族ごと交換とかもおもろいかもね

229 :
みなみけの男一家と女一家が交換みたいな感じか

230 :
お隣り同士の男一家と女一家が、
「一ヶ月間、息子と娘をひとりずつ交換しよう」
って親同士の話し合いで実現しちゃう、
「恋愛0キロメートル」ってエロゲもあったけどね。

231 :
>>228
学校交換モノはいいなぁ
お嬢様学校→不良学校があったけど、あの逆も見たいなぁ

232 :
エリート男子校と底辺女子校を交換するのもいいかも

233 :
集団交換好きの人、けっこういるなぁ。
確かに読んでるとおもしろいけど、アレ、書く方からすると、かなり大変なんだよなぁ。
一度にたくさんのキャラ出して、かつその個性付けと書きわけしないといけないし。
まぁ、モブばっかの小ネタならやりようもあるんだろうけど。

234 :
主人公だけ変化無しで周囲だけ変わってる世界
見た目は女だけど中身戸籍上の扱いだけ変わってて、主人公(女)だけそのまま(戸籍上は周りに合わせて男扱いに変化)

235 :
世界規模の立場交換でも主人公は決めて置いて
その周りの人たちも立場交換になっている風に
書けばモブが多くてもおかしくないのでは
集団立場交換は世界観でキャラクター設定とは
また別に考えると難しくないかも
とは言っても文才がないので自分では書けない
すまない

236 :
世界規模の立場交換でカオスなのも見てみたいな
人だけじゃなくペットも巻き込んで

237 :
動物と立場交換は凄いカオスな事になりそう

238 :
>>232
受験勉強とギャル系ライフスタイルの価値や立場が入れ替わって、
進学校はビッチなファッションに身を包んだ男子であふれかえり、
予備校はクラブと化した世界
参考書は大学ごとにカラーが違うファッション誌状態
そしてギャル男系やB系ファッションに身を包んだ女子と図書館などでセックス
(そして、それらがすべて「真面目に勉強している」扱い
一方、オバカ女子は夜遅くまで数式を解いたり古文の講義を受けたりと「遊びまくり」
普通の世界から迷い込んだ主人公は当初は戸惑うものの
「いい大学に通うため」に「受験勉強」にのめり込んでいく・・・・・・

なんてネタだけは思いついた

239 :
ガリ勉とか超キモいんですけど〜とか勉強もできないビッチwwwwとかお互い元の立場を見下し合ってると面白いかも

240 :
風俗で客と穣の立場交換と言うのは今まで無いよな

241 :
ないけど立場交換でそれをやる意味ないしな

242 :
意味ないのか?

243 :
ないだろ
立場交換じゃなくてもそういう事はできるし

244 :
立場交換でなくても出来るって
立場交換しないと話が成り立たないだろ

245 :
いつもの荒らしだろ
適当に粗をこじつけようとしてるだけだ

246 :
ソープに来た男性客がソープ嬢と立場交換になって
ソープ嬢として暮らさないといけなくなったとか面白いと思うけど
ちょっと見で楽にお金をたくさん稼いでる様に見えるけど
なって見ると大変で女性としての暮らしにも慣れなくて苦労したりとか
元の暮らしにうんざりしていたソープ嬢は男の立場になって満喫し
元に戻る気は無いとかそんな展開になったりするんじゃない?
自分だとそう言う話しを想像するよ
どんな展開にするかは個人の好みだろうけどね
立場交換のスレで立場交換を否定したら駄目だよ
それこそ話し(SS)にならない

247 :
(俺が萌えないから)立場交換でそれをやる意味ない
省略しちゃアカン

248 :
>>246
それって肉体入れ替わりでも全く同じ展開じゃね?
別に立場交換でも問題はないしそれなりに萌えるけど、わざわざマイナーなジャンルを
選ぶからには特有の旨味があるかどうかってすごく大事なんじゃないかな

249 :
>>248
TSFの入れ替わりの方が良いと言ったら立場だけの交換と言うジャンルの8割は否定しているぞ?
それを言ったらおしまいだってやつ
なんて言うかそこのところを分かっていない人が居るのに少し驚いた

250 :
そいつは粘着荒らしだろ
前スレからずっと(俺が必要ないと思うから、書くんじゃねえ)という主張ばっかりしてる

251 :
>>249
擁護する気はあんまりないのだけど
どう読んでも立場交換より入れ替わりの方がいいと書いてるようには思えんのだが・・・

まあ、ジャンルがどうこうって話で頭ごなしに否定するのは荒れる元だからこらえようぜ
荒れたらSS書き手の種を踏み荒らすことになって結果的に損するのは自分だしな

252 :
ここまで全てID:1R/SUUINの自演でお送りしました

253 :
自分が自作自演してると、他人も自作自演してると思えるようになってくるんだよなあ。
経験上。

254 :
 || ○荒らしは放置が一番キライ。荒らしは常に誰かの反応を待っています。
 || ○放置された荒らしは煽りや自作自演であなたのレスを誘います。
 ||  ノセられてレスしたらその時点であなたの負け。
 || ○反撃は荒らしの滋養にして栄養であり最も喜ぶことです。荒らしにエサを
 ||  与えないで下さい。              。   Λ_Λ
 || ○枯するまで孤独に暴れさせておいて   \ (゚ー゚*) キホン。
 ||  ゴミが溜まったら削除が一番です。       ⊂⊂ |
 ||___ ∧ ∧__∧ ∧__ ∧ ∧_      | ̄ ̄ ̄ ̄|
      (  ∧ ∧__ (   ∧ ∧__(   ∧ ∧     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    〜(_(  ∧ ∧_ (  ∧ ∧_ (  ∧ ∧  は〜い、先生。
      〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)
        〜(___ノ  〜(___ノ   〜(___ノ

255 :
>>249
>>248が言っているのは身体の入れ替わりでやった方がいいと
言っているのではなく、身体の入れ替わりでも同じ話になるから
もっと違った話しを考えた方がいいと評論家目線で語っているだけ
解りやすく意訳すると
「その話し今一つ面白くないから、ちゃんと考えて書け」と
物腰やわらか風にけなしてるだけ
これで>>248が男性客とソープ嬢の立場交換の話しを、自分で言ったように
旨味を入れてここに投下したなら言うだけの事はあると認められるだろうが
期待するから書いてくれよ

256 :
伸びてるから 『厄違(やくたが)え』の続きが来たと思ったのに
ぬか喜びだった

257 :
M系シチュなら普通の入れ替わりより立場交換の方がそそると思う
もっとM分を増やそう

258 :
>>256
同じ期待をしてパンツ半脱ぎまでいったわ
がっかりしながらパンツをそっと戻したときにものすごく切なくなった
その後にやりきれなくなって女子高生と自分が立場交換するのを
妄想して抜いた俺がこの流れで一番の犠牲者なのは間違いないだろう

259 :
確かに厄違えのSSは面白いので期待するのは分かるが
それがオナネタになるとは相当業が深い性趣向だな
褒め言葉として多分ここで一番だ
その溢れる趣向を生かして何かネタは無いか?

260 :
>>257
なんかムカつく

261 :
>>260
(自分の書いてる作品では)もっとM分を増やそう
と脳内補完しておくといいと思った。

262 :
#とりあえず、当初の予定ではエピローグ含めて全12回。今のところ「順調だ。2%も遅れていない。」 ──ただし、各話の内容的に見て(つまり投下速度的には……お察しください)
『厄違(やくたが)え』8
 本来、人ひとり……いや、ふたりの"因果"を歪めて、その立場を交換するなどという"奇跡"は、人の手には余る難事だ。
 しかし、それを成すのが"人"でなければ──たとえば"神"ならば、必ずしも不可能ではない。それは、「夏樹真紀」の存在をもって証明されているだろう。
 とは言え、難事であることに変わりはなく、いろいろと"綻び"が生じやすいのも事実だ。
 そして、綻びがあれば、確率は低いがソレに気付く者がいてもおかしくない。
 たとえば……。
 「貴女、誰?」
 ──真紀の目の前で透き通った視線を向けて来る、この少女のように。
 * * * 
 昼休みのあとの午後の授業も大過なく過ごし、放課後になると、真紀はいったん隣のクラスに赴き、茉莉に今日の予定を確認した。
 「う〜ん、わたしは、今日は茶道部があるから、結構遅いかも。マキちゃんは?」
 「私も、月水金は弓道部がありますので……」
 「あ! じゃあ、帰りは待ち合わせて一緒に帰ろうよ。帰りのバスの中でお話しとかしたいし」
 確かに、バスの時間が決まっている以上、時間を合わせて一緒に帰ることに異議は無い。
 (それにしても……やっぱり女の子っておしゃべり好きなんですね)
 とりあえず、今は自分も他者からはその「女の子」の範疇に含めて見られることはスルーして、心の中でクスリと笑う真紀。
 「? どしたの、マキちゃん」
 「いえ、なんでもありません。そうですね。では、6時過ぎに校門前で待ち合わせということで、よろしいですか」
 「うんうん」
 茉莉と約束を交わしてから弓道部の部室へと向かう。
 昨日今日の朝練ですでに二度、弓道着への着替えは経験している。胸当てについても、三度目ともなるとそれなりに慣れた風に着けることができた。
 ちなみに、龍刻高校の弓道部は体育系にしては珍しく男女合同で部室もひとつだ。部員は15名で、そのうち女子部員は真紀自身をカウントして7名。内訳は3年生2名、2年生3名、1年生2名となる。
 さすがに着替えも一緒というわけにはいかないため、時間を区切り、部活開始前は男子が先、部活後は女子が後ということに決まっている。
 女子の着替え中は、顧問の吉乃先生が監視(と言うと聞こえは悪いが)してくれているので、男子部員の覗きとかにはあまり気を配らなくもよいのは助かる。
 さすがに部活の時間中は、朝練時と違って上級生優先となるため、一年生は好き勝手に練習はできないが、準備運動や上級生の射を見ることなども含めて、「弓道部の部活」の雰囲気は、「遠坂マサノリ」にとっても高校時代に慣れたものだ。
 大学に入ってからはアルバイトの関係で弓道から離れ、社外人になってからも長らく弓を手に取ることはなかったので、むしろ懐かしくて嬉しい……というのが、正直な感想だった。
 そもそも、「弓道」などというある意味"レトロな趣味"を部活に選ぶだけあって、部員も比較的礼儀正しく、落ち着いた人間が多い(春の入部季節などには浮かれたお調子者なども入ってくるのだが、そういう人間は大体途中で淘汰されるか適応するかのいずれかだ)。
 そのことも、また真紀にとって部活の居心地を快いものにしてくれていた。

263 :
 ──とは言え、いかに「おとなしめの人間が集う」とは言え、そこはやはり年頃の女の子。
 とくに練習が終わったあとの着替えの時などはリラックスして、緊張感や口が緩むのも、まぁ仕方のないことだろう。
 真紀の場合は今の立場になっても、その「大和撫子な巫女」という"立場設定"のせいか、それとも本来の地の性格ゆえか、それほど口数が多い方ではない。
 それでも、かしましい(と言うとおおげさだが)ガールズトークに、それなりに口をはさみつつ、ついていけるのは、やはり多少の補正を受けているのかもしれない。
 「ふぇぇ、お正月にお餅の食べ過ぎで太っちゃったよ」
 「アンタは太っても胸に行くからいいじゃない! あたしは逆にダイエットしたせいで、胸から痩せたのよ……コンチクショウ!」
 「でも、痩せるだけの胸があるだけ、田代先輩はまだいいじゃないですか。私なんて……」
 (ツルペタストーン……)
 「……なんか、ごめん、遠坂さん」
 「……うん、わたしも、駄肉でごめんなさい」
 「あ、あはは……そんな真面目に受け取らないでくださいよ! わ、私はまだ16歳ですから! これから、せ、成ちょう、だって……」
 (シーーーン……)
 「──自分でも信じていない事柄(ウソ)を口にするとき、何故、人は不自然にまで明るく振る舞うのでしょうか?」
 「ひゃっ! く、来栖さん、いたの」
 「──ええ、勿論」
 ……まぁ、こんな風に、たまに会話のオチに失敗したりもするが。
 「そ、それにしても、夏樹さん、随分腕を上げたよね」
 微妙にきまずくなった話題を変えようと、二年生の小杉先輩が感心したように言う。
 「いえ、そんな……私なんて、まだまだです」
 昨日の部長の反応などから考えて、本来目立たないようにするためには、わざと外すべきだったかもしれないが、真紀としては高校時代にもっとも真剣に打ち込んだ弓を汚すような真似はしたくなかったのだ。
 「謙遜することはないわ。この成績が続けば春の大会で久々に龍高の名前が上位に入れそうだし」
 幸いにして先輩陣も嫉妬するより、「部活の戦力になる」という視点で見てくれたようだ。
 さて、そんなこんなで楽しい部活の時間も着替えも終わり、いざ茉莉の待つ校門へ向かおうとした真紀だったが……。

264 :
 ──クイクイ……
 唐突に上着の裾を引っ張られて転びかける。
 「ひゃっ! もぅ……危ないじゃないですか、来栖さん」
 見れば、一年生の弓道部員である来栖萌絵(くる・もえ)が、しっかりボレロの端を掴んでいた。
 「──ちょっと、待って」
 「いえ、できれば最初から声をかけて欲しかったのですが……」
 とは言え、萌絵は、そのアニメかラノベのヒロインじみた名前に比して、ひどく無口で内気な子だ。大声を出して人を呼びとめるのは、少々勇気がいったのかもしれない。
 「──ごめんなさい」
 「いえ、結局転ばなかったのですから、別に構わないのですけれど……それで、何かご用ですか、来栖さん?」
 真紀の問いにコクンと頷くと、真紀の手を引いて、校庭脇の低い灌木がまばらに生えた植え込みの陰へと導く。
 「──聞きたいことがあるの」
 「? 何でしょうか」
 部内でも比較的如才なく立ち回っている真紀だが、この萌絵に関しては同じ弓道部員であることと、C組の生徒であることくらいしか"知識"が浮かんで来ない。
 おとなしい子のようだから、「今まで部活などでもほとんど接触がなかった」という設定(こと)なのだろう。
 しかし、植え込みスペースで、やや俯き加減だった顔を上げた萌絵の瞳を見た時、真紀は彼女に対する印象が誤りであることに気付いた。
 「貴女、誰?」
 そう、物静かで寡黙な人間が、必ずしもか弱く大人しいとは限らないのだ。
 「今年の一年で弓道部に入部した女子は、わたしひとりだったはず。
 それなのに、先輩たちも一年生の男子も、貴女の存在を違和感なく受け入れている。
 転校生? いえ、貴女と先輩たちの会話は断じて初対面かそれに近い間柄のものではないわ」
 「そ、それは……」
 この二日間、いや冬休み中も含めればすでに十日近くも「夏樹真紀」として過ごし、「彼女」の存在に違和感を抱く者が皆無だったため、真紀もつい、現在自らが巫女として仕えている神の力を過信していたのだ。
 だが、河比奈媛命は絶対神ではない。それどころか、記紀に名前も載っていないような一地方の小神(マイナーゴッド)だ。その神通力の影響にも当然限界はある。
 実際、これまでにも因果律歪曲の残滓とも言える現象はいくつも目にしていたことを、真紀は今更ながらに思い出した。

265 :
 (ど、どうしよう……ここは、知らぬ存ぜぬで通すべきなのかな?)
 慌てるあまり、思考が本来のマサノリのものに戻っている。
 確かに、この場はシラをきり通すというのが、処世術としてはいちばん無難なのだろう。
 しかし、真紀は、目の前の少女を納得させるに足る巧い言い訳を自分ができるとは思えなかった。マサノリにしてもマキにしても根が正直過ぎるのだ。
 (下手に誤魔化すと余計不審に思われて、色々調べられそうだし……どうしりゃいいんだろう)
 「貧すれば鈍する」ならぬ「窮すれば鈍する」とでも言おうか、普段は非常に頭の回転がいい「彼女」も想定外のアクシデントでまともに思考が回らないらしい。め
 
 そして、真紀が黙っていればいるほど(そして顔色が悪く冷や汗まで垂らしていれば当然)、萌絵の疑念も深まるわけで……。
 「ああ、もう、『助けて、比奈様!』)
 真紀が、いささか他力本願な心の叫びを上げた瞬間。
 『うむ。呼んだかの?』
 突然、頭の中に声が聞こえたかと思うと、真紀の頭上1メートルほどの位置に"透明なブラックホール"とでも表現するべき異様な"孔"が生じ、そこから直径15センチくらいの光の球が出現する。
 「えっ!?」
 『ふむふむ……村の外でも我の声を受信できるのみならず、"力"の示標にもなりうるか。わってはおったが、そなたはつくづく我が巫女が天職じゃな』
 無論、それは河比奈媛──が派遣したかの神の分霊(ぶんしん)だった。
 「か、かわひなひめさま?」
 『なんじゃ、我を召喚(よ)んだのは、そなたであろう。何をそんなに呆けておるのじゃ?』
 確かに、切羽詰まって助けてほしいと願った。しかし、たったそれだけのコトで神様自ら(正確には分霊だが)来てくれるとは、夢にも思わなかったのだ。
 『なに、それだけそなたの巫女としての霊力が高いからこそ、我もこれほどの離れ業が可能なのじゃ──ところで、そちらの女子らのことはよいのかえ?』
 「あ……」
 恐る恐る振り向くと、当然のことながら萌絵が、光球の形象(かたち)をした河比奈媛と話す真紀を丸い目で見ている。
 「えっと……普通の人には比奈様が見えないとか言う展開(オチ)は?」
 『本当に霊的に鈍感な人間ならそれもありうるが、まぁ、望み薄じゃな』
 ヒソヒソ話をするふたり(それも主に光球)の方を目を見開いて凝視しているトコロからしても、「見えて」いることは間違いないだろう。
 「──もしかして、妖精?」
 しかも、光球の中にうっすら浮かびあがった人型の河比奈媛の姿までクッキリ見えているようだ。
 『ふむ……やむを得まい。真紀よ、この娘を我が社まで連れてくるのじゃ』
 「え?」
 『こういう気性の子は、キチンと筋道だてて説明してやれば、案外納得して力になってくれるものじゃからな』
-つづく-
#というワケで次回はトンデモ成分の説明回。その次くらいに「遠坂勇美」となっているユミの話を番外的に挟みます。

266 :
しまった!
263の↓このやりとり
> (ツルペタストーン……)
>
> 「……なんか、ごめん、遠坂さん」
> 「……うん、わたしも、駄肉でごめんなさい」
ここ、「遠坂さん」ではなく「夏樹さん」でした。真紀もガールズトークに参加してるよー、ということで。

267 :
面白かったです
続きも楽しみにしています

268 :
GJ
久々に来てた!

269 :
何かめっぽう寂れているな
原因の察しはつくが
個人の好みを押し付け趣味に合わなければ否定される空気はネタ話もし辛い

270 :
お前みたいに話を蒸し返す奴がいるからだろ

271 :
そしてそれに反応する奴が居るからだなw

272 :
うまいことを言ったつもりなのかね
お前も同様だぞ?
無論俺もだが

273 :
ただの茶々入れにそんなに必になるなよ
荒しが喜ぶだけだぞ

274 :
作品も書かないネタも出さない乙もしない
お前らホントに文句しか言えないのな…

275 :
荒らしと作者の立場を交換してみるか。

276 :
>作品も書かないネタも出さない乙もしない
>>274
まったくその通りだなw
文句しか言えないww

277 :
#少々スランプ気味で間があきましたが、第9話です。
『厄違(やくたが)え』9
 夏樹神社に古えから伝わる(ただし現在ではほとんど廃れた)風習である"厄違えの儀"。
 厄年を迎えた人間と神社の巫女の「立場を入れ換える」ことで、その厄を弱め、一年間無事に過ごさせる──という、冗談のような仕組みの儀式だが、神社に祀られている神"河比奈媛命"の力で、そのトンデモ理論がキチンと発動するのだ。
 しかし、河比奈媛の神通力の些細な綻びから、真紀は異状を同じ弓道部員である来栖萌絵に覚られ、彼女に現状を説明せざるを得ないハメになってしまう。
 そのため、萌絵を自宅でもある神社に連れてくることになったのだが……。
 「──つまり、ここにいる夏樹女史は、本来のこの神社の娘ではない?」
 『うむ。ただし、それが本来"誰"であるかは明かさぬしきたりゆえ、追求は無用ぞ』
 河比奈媛の言う通り、真紀及び河比奈媛自身の口から丁寧に説明すると、呆気ないほどシンプルに萌絵は事の顛末を把握してくれた。
 それはいい。ここまでしたのに「そんな馬鹿なことあるわけない」とか「そんなのアタシが許さない!」とか変にキレられては、骨折り損だ。
 「どうして、わたしには因果律歪曲の結果が適用されなかったの?」
 『推測になるが……お主、1月1日から数日間、この近隣にいなかったのではないかえ?』
 「確かに、新潟にある父の実家に行っていた」
 『それで、我の因果律操作の影響を直接受けなかったのだろうな。無論、その後も余波により、この地に足を踏み入れた者は"現状"を「正しいもの」と認識するようになる術式は組んであるのじゃが、お主自身に霊力の素養があったため、無意識に抵抗したのであろう』
 「納得」
 しかも、シラフではたから見れば厨二病全開なはずの説明にも、平気でついていけている。
 (まぁ、元々、そっち(オカルト)方面に詳しそうな子ではありましたたけど)
 この調子なら、萌絵の方は、真紀のことを周囲にバラすような真似はするまい。それは助かったのだが……。

278 :
 「え、えーと……マキちゃんがホントはマキちゃんじゃなくて……あれ? 名前はそのままでいいのかな?」
 ──まつりはこんらんしている!
 『真紀よ、何故、そちらの娘まで連れて来たのだ?』
 「仕方ないじゃないですか。元々、この子と待ち合わせしてたのに、いきなり別の子の手を引いて現れたら、それは不審に思われますよ」
 ……つまりはそういうことだ。
 徒歩や自転車での通学なら、こっそり別の道から帰るという手法もとれるが、村との行き来は1時間に2本のバスを使うしかないのだ。
 「仮に1、2本遅らせても、茉莉さんの場合、心配して待ってそうですし……」
 筋金入りのお人好しの茉莉の場合は、大いにありうる話だった。
 『ふーむ、まぁ、よいか──これ、そこな娘!』
 「ふぇっ!? わ、わたしですか?」
 『そうじゃ。色々信じ難い話を聞かされて思い悩むのも無理はないが、大事なことはひとつだけじゃぞ』
 「ひとつだけ……それって何ですか?」
 『──お主にとって、そこの真紀はどんな存在かえ?』
 「え? それは……えーと、お友達、でしょうか」
 正確に理解はしていないとは言え、自分が本来この神社の娘ではないことを知りつつも、茉莉が「友達」と言ってくれたことが、真紀には嬉しかった。
 『うむ。「それさえ分かっていれば問題ない」。その他のことは「とるに足らない些事じゃ」』
 自信に満ち満ちた河比奈媛の言葉(ことだま)に、視線が虚ろになる茉莉。
 「とるにたらない……」
 『お主は真紀の友人なのであろう? それとも、此奴が夏樹家と血が繋がっていなければ、お主は友誼を断つつもりかえ?』
 「そ、そんなことしませんよぉ。真紀ちゃんはたいせつなお友達です」
 『ならばそれでよいではないか。今回の話は、「友達が実はその家の養女だった」くらいの感覚でサラッと流しておくのが正解じゃ。「深く気にすることはない」』
 「そう……ですね」
 河比奈媛の言葉に、茉莉はぼんやり頷いている。
 「──もしかして、言霊で意識を誘導した?」
 萌絵の指摘に、ハッとして河比奈媛の顔を見る真紀。
 『なに、別段記憶を消したり弄ったりしたわけではないぞ。人の子の使う軽い暗示と大差ない代物よ。これでこの子は真紀の事情を知りつつも、今後深く詮索してくることはあるまい』

279 :
 河比奈媛の"結界"より出た後、未央がぜひにと誘ったため、茉莉と萌絵は夕飯を夏樹家で食べて行くことになり、それまでは真紀の部屋で3人で雑談することになった。
 真紀は、おっとりぽやぽや少女である茉莉と中二病を引きずり気味な無口娘の萌絵という、まるで異なる女の子ふたりの相性を危惧していたのだが……。
 意外なことに、しばらくするとふたりともすっかり打ち解けて、気楽に談笑するようになっていた。
 あるいはこれは、同じ秘密(無論、真紀のことだ)を共有しているという共犯者意識のにようなものがあったからかもしれないが、まぁ、とりあえず仲良き事は麗しきかな、だ。
 「萌絵さんにバレた時はどうなる事かと思いましたけど……どうやら大丈夫そうですね」
 この様子なら心配は無用で、むしろ心強い味方を得たと考えてよいだろう。
 『まぁ、もう一度術の補強をしておく故、今後はバレることもあるまい』
 河比奈媛のその言葉通り、以後、真紀の"正体"について怪しむ人間は二度と現れなかった。
それどころか、このふたり──茉莉と萌絵さえ、その事について口にすることはほとんどなく、ごく普通に「女同士の親しい友人」としての付き合いを続けていくことになるのだった。
-つづく-
#以上。短めですが、正体バレイベントの顛末回でした。「お泊り会」や「女の子三人で一緒に遊びに行く」などのイベントは、今後機会があれば入れます。次回は、男性教諭の立場になった女生徒視点での閑話です。

280 :


281 :
これで一安心ですね。
登場人物同士のかけ合いも楽しいのでイベントの話しも読みたいですが、
次のお話の展開も気になります。
どんなお話しになるか楽しみにしていますね。

282 :
おつおつ
この流れでSSが投下されるとはな
スランプなら無理するなよ

283 :
超乙
地味に馴染んでいってますねえ

284 :
>>280
ちょwwwおまwwww
とりあえず過ぎるだろw
>>279
次回には美味しい場面を期待させてくれ

285 :
ちょっと長編の息抜きのネタを妄想。以前、某女同士の入れ替わりスレに投下した小ネタをアレンジした、「魔法少女」系ネタ。
剣道部の部活で遅くなった高一の少年・恵(けい)が、普段の通学路とは
異なるルート近道しようと、人気のない公園に足を踏み入れたところ、
触手の生えた黒いオオカミのようなモンスターに襲われる。しかし、
間一髪の所で現れた、そのテの女児向けアニメから抜け出して来た
ようなフリフリヒラヒラの衣装を着て、ウサギのようなお供を連れた
少女に助けられ、その子がコスプレでも特撮でもなく、現実に
モンスターと魔法を使って戦うのを目にする。
逃げることもできず、その場で戦いを目に焼き付けていた恵だが、
やがて魔法少女の方が劣勢になり、敵の攻撃で地面に叩きつけられて
失神した魔法少女の変身が解けたことで、状況が一変する。
「え!? お、お前……雅美か?」
ふたつ年下の妹のような幼馴染が魔法少女の正体だったことに驚愕
する恵だが、モンスターが彼女を嘲笑い、襲いかかるような素振りを
見せたことで、我に返り、雅美の落とした魔法のバトンを手に取り、
モンスターに殴りかかっていく。
『ちょ、ちょっとキミ、無茶なことは……って、え、うそ……
なんなの、この魔力係数は!?』
マスコットのウサギ?の驚きをよそに、バトンはラ●トセイバーの
如き光の剣となりモンスターを両断する。
その後、意識を取り戻した雅美も交えて事情説明を受ける恵。
雅美がお約束通り光の妖精の国の力に選ばれた戦士──
「妖精の加護を受けし乙女(フェアリーメイデン)」だったのは
ともかく、恵にも雅美には劣るものの「フェアリーメイデン」
としての資格があるらしい。
雅美は、先程負った負傷を魔法で隠しつつ癒している状態なので、
数週間は戦えない──と聞かされた恵は、責任を感じて、
「雅美が治るまで、俺が戦う!」と宣言するのだが……
ひとつ問題があった。
敵──ダークサンクチュアルの本拠は、雅美が通う女学院の
どこかにあるらしいのだ。
雅美を安全な状態に置き、かつその間、恵がフェアリー
メイデンとしてダークサンクチュアルと戦うために、
ウサギモドキがひとつの提案をする。
『それじゃあさ、私の魔法で貴方たちふたりの立場を
入れ換えちゃうっていうのはどうかしら』
16歳の健全な男子高校生の身で、女子中に通うハメになった
恵クン──もとい「恵(めぐみ)ちゃん」の明日はどっちだ!?
……ここまで書いてて思ったけど、「これゾン」とかなりカブってるかも。

286 :
>>285
そのネタでこれゾンみたいなコミカルでギャグな雰囲気な話しなら読んで見たいが
シリアス展開だとここでやると確実にダレると予想する
ネタやアイデアとして面白そうとは思うが確実に長編になりそうだ
息抜き作品が長編化するとこれ以上書く作品増やすのも作者的に大変だろうし
でもネタ的にはGJで美味しい
本当のところは新しいSSが投下されるのが作者にとって一番の応援になるのだろうが
文才が無くてすまない
ネタも思い付かなくてな

287 :
ひな祭りは「女の子が大きく成長するように」と祈る意味で、
お父さんと娘の立場を交換して、「お父さんより大きく成長した娘」を披露する祭り
というネタだけは思いついた

288 :
クレヨン王国で雛人形の服装を入れ替えたら男女の立場逆転みたいな回あったなそういや

289 :
自分がこれまでに書いたSSでの立場交換の前提となる要素だと……
服装(下着含む)、名前(苗字だけの場合も)、変わった所だと「名札」ってのもありましたね。
この間の小ネタの「魔法の杖の委譲」も割とレアケースか。
昔、某所で読んだ「合唱パートの交換」ってのも、巧いと思いましたが。
ほかにも何か考えられるかなぁ。

290 :
合唱パートの交換の詳細きぼんぬ

291 :
『もう一つの場所』よかったなあ。

292 :
個人的にはやっぱり「思いやり学習」かな。
立場交換する前とした後のギャップが大きいほど興奮します。

293 :
個人的に一番お気に入りは2スレ辺りにあったお嬢様校⇔不良校
母親と幼稚園の息子、父親と小学校の娘が入れ替わった話も良かった

294 :
>>289
昨日ふと思いついたのは3月2日に皇室で雛飾りの準備をしてたら雛人形の男雛と女雛を逆に置いてしまって翌朝起きてみたら日本中で男女が入れ替わってたとか
あと今更だけどお年玉をキッカケにした立場交換なんかもおもしろいかなと思ってある程度の構想は立てたけど忙しくて中々文章化が進まない

295 :
>>293
幼稚園児と大人の立場交換の話は俺も好きだわ
あとは思いやり学習とかオバカギャルと男子優等生、デブスと運動部男子の立場交換とかも好き

296 :
過去スレは全部所持してるけど、まとめがあると楽だなぁ
と思う時はある

297 :
初期の頃はが面白いSS多かったな
最近のはたまにある

298 :
story editorで全作品きっちり見やすく管理してる俺に隙はなかった

299 :
スレ数を重ねて行くと段々とマンネリ感はあるな
作者同士の身内の馴れ合いとかでぐだぐだした事あったし
作品だけ集めたまとめはあると便利そうだが
なんか前に作るとか言ってた作者いなかったか?
もう作る気無いだろうか

300 :
あの作者にそれを求めるのは虫がよすぎるだろう

301 :
wiki作るくらいなら誰でもできる
やりたい人がいれば勝手にやればいいさ

302 :
自分で好きなのだけ集めて保存しておけ
自分用に自分が作る
それが一番だ

303 :
『アイドルマスター』のSSで、正統派系ヒロイン・天海春香の
チャームポイントのリボンが事務所に置き忘れられていたのを、
事務員である小鳥が好奇心で着けてみたところ、担当プロデュー
サーやファンも含め、周囲のみんなから「春香」として扱われて、
テレビや握手会なども「春香」として丸一日こなすハメになる
……という短編を目にしたことがある。
こういう二次創作的なのは、ここでアリかな?
いや、ソレ系でちょっとネタを思いついたんで……。

304 :
2次創作だろうとなんだろうと新作は歓迎だ

305 :
むしろ二次創作の方が初めからキャラの立場とか分かってる分知ってる奴には受けると思う

306 :
ゴルゴ13は仕事の前に女を抱く
ベッドでギシギシやってる最中に立場交換発生
上下入れ替わって、無口で腰を動かす情婦と嬌声をあげなから悶えまくるゴルゴ
コトの後、宙を見つめ何事か考えながらゆっくりと葉巻の煙をくゆらす情婦
そんな情婦にゴルゴは情事の興奮も冷めやらぬまましなだれかかる
「ねえ、あんたすごいわ。ねえもう一回…」
そしてベッドに腰かける情婦の股間にうすぐまり口唇で奉仕を始める

307 :
二次創作ならここの作者さんがゼロの使い魔の立場交換SSを書いてくれそうだ
と無茶ぶりをして見る

308 :
#ずっと同じSS書いてると煮詰まってくるので、息抜き的掌編。たぶん、前後編2話くらいで終わるはず。
『なんでか知らないけどアイドル!?』
 その日、彼女は普段より1時間以上早い午前6時半過ぎに目が覚めた。
 彼女の名前は"高梨ことり"。つい先日、25歳の誕生日を迎えたばかりの、まだ若い女性である。
 いつもよりのんびりと出社までの時間を過ごせる──と思ったものの、元々朝食は帰宅途中のコンビニで買ったおにぎり1個で済ませるし、普段の習慣からか、ついテキパキと出社の支度をしてしまい、結局職場についたのも、いつもより1時間近く早い時間だった。
 ちなみに、彼女の職業は、とある中堅芸能プロダクションの筆頭事務員である。
 この時間では、他の社員もタレントたちも顔を見せていない。
 せっかくだから、制服に着替える前に掃除でもしておこうかと、事務所内を見回したことりは、応接ソファの前のテーブルに、何やら一対の赤いものが置かれているのを発見する。
 「あ……これ、ハルカちゃんのリボン?」
 確かにそれは、この事務所に所属するアイドル、天野ハルカが愛用しているリボンだった。
 一年程前にデビューして以来、ハルカは順調にキャリアと人気を積み重ね、もうちょっとで「トップアイドル」と呼べそうな域にまで達している、この事務所の出世頭だった。
 「珍しいわね、ハルカちゃんがリボンを外すなんて……」
 何気なく赤いリボンを手に取ったことりの中に、ふと悪戯心が湧く。
 「──誰も見てないわよ、ね?」
 キョロキョロと辺りを見回してから、事務所の一角に置いてある姿見の前に足を運ぶと、ことりは、鏡を見ながらハルカの赤いリボンで自分の髪を結ぶ。
 「おお〜、結構似てる、かしら? こうして見ると、わたしもまだまだ……」
 実は、ことり自身、十代の頃、一度はアイドルとしてデビューした経験がある。もっとも、同期のアイドルに個性的な美人が多すぎて、いまいちブレイクせず、そのまま2年程で引退したのだが。
 当時の経験を活かして後輩たちを支えてあげたいと言う思いから、現在この8765プロで、事務員兼「みんなのお姉さん」として働いているのだ。
 とは言え、ことり自身もまだまだ20代半ば。若い子たちのいない所では、たまにはハッチャケてみたい時もある。
 胸の前で両手を組み、首を軽く斜めに傾けた──あざとい萌えポーズを取って、鏡に映る自分に向かって、ニッコリ笑いかける。
 「(コホン!)『天海春香、17歳ですっ! よろしくお願いします』」
 いつものハルカの挨拶を声色まで真似て演じてみせる。
 すぐに「なんちゃってー」と自分でセルフツッコミを入れるつもりだったのだが……。
 ──ガチャリ!
 いきなり事務所のドアが開き、見慣れた男性──まさにハルカのプロデューサーを務める青年が入って来た。

309 :
 思いがけない事態に硬直することりだったが……。
 「おお、ハルカ、来てたのか。ちょうど良かった。今日のミューズスタシオン、局からリハを早められないかって連絡が来てな」
 青年から平然と話しかけられて、ようやくことりの硬直が解ける。
 「わわっ、ぷ、プロデューサーさん……えと、これは違うんです!」
 慌てて先程の自分の言動を弁解しようとすることりだったが……。
 「ん? どうしたんだハルカ。そんなに慌てて。
 まぁいい、早く着替えてこい!すぐに出発するぞ!」
 強引に手を取られ、事務所から連れ出されてしまう。
 (い、いったいどうなってるの?)
 訳もわからないまま、事務所に置いてあるハルカの仕事用ショルダーバッグとともに、彼が運転するクルマの後部席に乗せられてしまう。
 「いやー、ホント、朝からせわしなくてすまん!」
 危なげなくクルマを運転しながら、プロデューサーの青年は、ことりに話しかける。
 「いえ、いいんです。お仕事ですから」
 と、優等生的な答えを返しながらも、ことりの頭の中は疑問で一杯だった。
 (もしかして……プロデューサーさん、本当にわたしのこと、ハルカちゃんだと思ってる!?)
 確かにことりとハルカは、背格好は同じようなものだし、ふたりとも髪型は襟にかかる程度のボブカット。やや垂れ目気味で、明るくのんきそうな雰囲気も似てると言えば似てるだろう。
 しかし、遠目やあまりよく知らない他人ならともかく、この一年間、もっともハルカと行動を共にしてきた時間が長いであろう、彼が、果たして間違えるものだろうか?
 「ぷ、プロデューサーさん、視力はおいくつなんですか?」
 「ん? 前に言ったことなかったか。両目とも裸眼で1.2だよ」
 ──どうやら、ド近眼でコンタクトを忘れてる……という線はないらしい。
 (えーと……恥ずかしいけど、やっぱり、ここは正直に……)
 ようやくパニックから立ち直りつつあることりが、「正体」をバラそうとした矢先に、クルマはテレビ局の駐車場に到着し、そのまま連れだされてしまう。
 「今日の番組のディレクターとは初対面だからな。挨拶はキチッとしておかないと」
 せきたてられ、仕方なくハルカのバッグを持ったことりは、そのまま女性タレント用の控室に押し込まれる。
 「すまんが、急いで衣装に着替えくれ!」

310 :
 ──バタン!
 無情にも控室の扉が閉まり、ことりはハルカのバッグとともに取り残されてしまった。
 「い、行っちゃった……」
 ここまで来たら、覚悟を決めるしかなさそうだ。幸い、今日はリハーサルとのことなので、自分が代役を務めても、バレさえしなければ大きな問題はないだろう。
 
 「と、とりあえず着替えるしかないのかしら」
 手にした大きめのカバンから、アイドルとしての「天野ハルカ」のコスチュームを取り出す。
 「えっと……これが春香ちゃんの今日の衣装ね」
 白いビキニトップの上にピンクのノースリーブジャケットを羽織り、膝上30センチ近い空色のフレアミニスカートと白のオーバー二ーソックスを履く。
 体格が似ているせいか、それらハルカの衣装を、幸いにしてことりも着ることができた。少々ウェストがきついが、我慢できない程ではない。
 「ぅぅ……プライベートじゃ絶対にしない格好だわ……」
 オヘソ丸出しで肩や太ももの露出も大きい。
 (はぅ〜、十代の頃ならともかく、22を過ぎてこんな格好、恥ずかしいですよぉ。
 お、お腹もちょっと苦しいし……こんなことならダイエットしとけばよかったかしら)
 ──コンコン!
 「おーい、ハルカ、準備できたか?」
 ドア越しにプロデューサーの声が聞こえる。
 (ぅぅ……仕方ない!)
 「はーい、今、行きまーす!」
-つづく-
#以上が前編。ちよっとヘタレでまるっきり同じではなく、微妙にズラした名前にしました。
#ハルカ(ことり)の衣装は、某ピンクダイヤモンド765を想像してください。

311 :
乙です
アイドルマスターをよく知らないけど
良い立場交換だと思います

312 :
俺も元ネタ知らないが続き期待

313 :
娘を嫁にしたことありますか?
ttp://www.geocities.jp/toshi9_kaitai/itadakimono/10nen/musume_yome_JuJu.htm
母と娘の立場交換。個人的にはかなり好み

314 :
#予想通り、3回になった罠。前回、もう少しがんばればよかった・・・
『なんでか知らないけどアイドル!?』(中編)
 さて、プロデューサーにハルカと間違われたことりが、あわあわしながらクルマに乗ってテレビ局へ向かっていた頃。
 「おはようございまーす! ……あれ、まだ誰もいない?)
 彼らと入れ替わりに、本物の天野ハルカが、事務所に顔を出していた。何の偶然か、彼女も今朝は早く目が覚めたらしい。
 「ちょっと早過ぎたかなぁ。プロデューサーさんはともかく、ことりさんも来てないなんて」
 事務所を見回し、ちょっとだけションボリしたハルカの視線がソレに止まる。
 「これ……ことりさんのインカム?」
 とあるイベントの司会をことりが引き受けた際に、高城社長が彼女に贈ったもので、社長の知人のバクタとかいう発明家が作ったオリジナル品らしい。
 以来、ことりは仕事中はずっとコレを愛用している。電話や無線にハンズフリーで応対できるほか、嘘か本当か簡易AIとデータベース的機能もついているのだとか。
 「そう言えば、ことりさんがコレを取ってるところ、めったに見た事ないなぁ」
 手にとったインカムを見ているうちに、ハルカの中に、珍しく悪戯心が湧いてきた。
 「──誰もいないよね」
 数分前のとある女性とそっくりの仕草で、誰もいない部屋の中を見回した後、ハルカは姿見の前に移動して、インカムを付ける。
 「うわぁ、こうしてインカムを付けてると、なんだか本物のことりさんみたい……そうだ!」
 メインルームと隣接して設置された狭い更衣スペースに入り、ことりのロッカーを開けると、予想通りそこには8765プロの事務員用制服が置かれていた。
 「ことりさん、ちょっとだけ借りちゃいますねー……『うん、いいわよ〜、ハルカちゃん』」
 一人二役でそんな問答をしたのち、ハルカは手早く事務服を身に着ける。
 白い長袖ブラウスに黒いタイトミニスカート。胸元に黄色いリボンを結び、緑を基調にしたベストを羽織る。黒い二ーストッキング……は、ことり自身の趣味だろうが、スカートとの間に絶妙な絶対領域を形成しているのがミソだ。
 インカムや足元の事務用サンダルも含めて、普段のことりとまったく同じ格好になったハルカは、再び姿見の前に移動して、自分の姿を満足そうに眺める。
 「おはようございます、8765プロダクションの高梨ことりです。さて、今日のみんなのお仕事は……」
 いかにも、ことりが言いそうな朝の台詞を口にしたのは、ハルカなりの茶目っけだったのだが、次の瞬間、彼女の脳裏に「8765プロ所属の10人以上のタレントたちの本日のスケジュール」のデータが流れ込んできた。
 「え、ウソ!?」
 どうやら、"データベース機能が付いている"というのはホラではなかったらしい。
 「じゃあ、もしかして……事務所で一番いいお茶の置いてある場所は?」
 小声でそう口にしただけで、瞬く間にキッチンスペースの一角の棚が脳裡に図示される。
 「すごーい!」
 目を丸くして感心しているハルカだったが……。

315 :
 ──ガチャリ
 「お、高梨くん、もう来ていてくれたのか。ちょうど良かった」
 突然、事務所のドアが開き、背後から声をかけられて、文字通り飛び上がる。
 「しゃ、しゃしゃ……社長!?」
 「ああ、驚かせてしまったか。すまない。だが、時間がないので手短に言うぞ。これから、黒岩プロの社長と、今度の合同フェスのことで打ち合わせがあるのだが、それに君も同行してくれたまえ」
 「え……あのぅ」
 どうやら、高城社長はハルカのことをことりと勘違いしているようだ。実際、ハルカが自分で見ても似ていると思うのだから、無理もないのかもしれない。
 「あのですね……」
 「ああ、事務処理のことなら心配いらんよ。今日は乃木坂小町がオフだから、萩月くんに昼まで代わりを頼んである。もうじき彼女も来るだろう。さぁ、下にタクシーを待たせてあるんだ。急いでくれ」
 「は、はぁ……」
 普段アイドルたちに接しているのとは多少異なる、敏腕経営者としての態度で社長に命じられ、事務服姿のまま(さすがにサンダルだけはことりの机の下にあったローファーに履き替えさせてもらったが)強引に連れ出されるハルカ。
 せきたてられるようにタクシーに乗り、社長の隣りに座って黒岩プロへ向かう途中で、ようやく事態を飲み込んだハルカだったが……さすがに此処に至って自分が本当はことりではないとは言い出しにくい。
 幸い、今日のハルカの仕事で外せないテレビ局のリハーサルは、午後からの予定なので、午後までに事務所に戻れば問題はない……だろう、たぶん。
 そうなると、今度は社長やほかの人にバレないように、巧く「高梨ことり」を演じなければならない。
 (うーん、口調とか性格とかは元々割と似てるし……知識面はこのインカムがあれば何とかなりそうだし……あとはノリでなんとかするしか!)
 ──本人は、案外楽しそうだが。
 (私はことり……28765プロの筆頭事務員の高梨ことり……)
 何度も自己暗示をかけたのとインカムのフォローのおかげか、大過なくライバル会社との会談(と言ってもメインは社長同士の話し合いだが)を"ことり(ハルカ)"は乗り切り、社長にお昼を御馳走になったのち、1時前に事務所に帰ってくることができた。
 しかし、いざ事務所に帰ると、すでに他のアイドルたちが5、6人来ており、また、本来休みのところを社長に頼まれて出社していた秋月璃子(元アイドルで現在は主にプロデューサーとして活躍中)に事務の引き継ぎをされてしまう。
 そのため、根がお人好しで流されやすいハルカとしては、「実は私、ことりさんじゃなくてハルカちゃんでーす!」と言い出せなくなってしまった。
 幸いにして、インカムの助けを借りれば、ことりの事務作業の大半は、ハルカでも問題なく処理することができた。
 「ひよちゃーーん」「ひよすけ〜」
 「「おやつ頂戴、おやつ!」」
 「はいはい、ちょっと待ってね。今、みんなのぶんもお茶を入れるから」
 ダンスのレッスンから戻って来た双子のローティーンアイドル・由美と留美に急かされ、ちょうど午後3時過ぎということもあって、事務所にいる皆の分のお茶を淹れる。その仕草も、すっかり「いつものことり」そのものだ。

316 :
 (それにしても……案外みんな気付かないものね)
 お茶を飲んで一段落したせいか、ふと我に返る"ことり"──いや、ハルカ。
 実際、皆があまりに自然に「高梨ことり」として接してくるため、本人も何だか自分が本当に「ことり」であるかのような気になっていたのだ。
 一応、それなり以上の人気を持つアイドルとしては、正直気付かれないのはどうかと思わないでもないが、同時に、しばらくはこのまま8765プロの事務所特有のアットホームな空気に浸っていたいという気もする。
 ここ最近は、アイドル活動に忙しく、事務所のみんなとゆっくり話す機会がめっきり減っていたからだ。
 加えて、いつもとは違う「みんなのお姉さん・高梨小鳥」という立場から、皆に接するのは、なかなかおもしろい経験でもあった。
 (あの、あずみさんまでが私に敬語で話すんだものね)
 それに応じて、自分もまた「20代半ばの大人の女性」を演じて応対してみせ、親愛と敬意の情を向けられるのが、たまらなく心地いい。
 (みんな、私のこと「高梨ことり」だって思ってるんだ……)
 スタジオや舞台の上のお芝居などとは段違いの「観る者を騙す快楽」に、ハルカは目覚めつつあった。
 (でも……本物のことりさんはどうしたのかしら? それにプロデューサーさんも……)
 そこにハルカが思い至ったちょうどその時、事務所の扉が開く。
 「ただいまー」
 「ただいま戻りました」
 (! え!? ウソ、私)
 プロデューサーとともにそこに立っていたのは、紛れもなく普段の「自分」──「天野ハルカ」だった。
 (どうして……じゃあ、此処にいる私はいったい……)
 グニャリと視界が歪んだような気がする。
 「私は……誰?」
 誰にも聞こえない程の小さな呟きを、しかし特製インカムは拾い上げ、「答え」を示す。
『氏名:高梨ことり
 生年月日:1987年9月9日生まれ(25歳)
 出身:東京都
 職業:8765プロダクション正社員(事務職)
 身長:159cm/体重:49kg
 血液型:AB型 スリーサイズ:84・59・83
 …………』
 次々に脳裏に注ぎ込まれる「高梨ことり」のデータの波に、彼女は翻弄されていく。

317 :
 * * * 
 「? 大丈夫ですか、ことりさん?」
 ふと我に返ると、見覚えのある男性が心配げに顔を覗き込んでいた。
 (この人は……)
 「だ、大丈夫ですよ、プロデューサーさん」
 ──そう、この人は私の1年後にこの事務所に入った後輩で、天野ハルカほか何人かを手掛けているプロデューサー……。
 「ちょっと考え事してただけですから」
 ニッコリと「いつもの」笑顔を浮かべてみせる。
 「それならいいんですが……」
 「ほらほら、私なんかの事より、ハルカちゃんやみんなの事をもっと気にかけてあげてくださいよ」
 まだ、不安げな彼に、多少の空元気を張ってみせる。
 「はぁ……ことりさんがそう言われるなら」
 不承不承戻って行く彼から視線を外して、パソコンのモニターに目をやる。
 (うーん……この調子なら、何とか終電までには帰れそうね。がんばらないと)
 そこにいるのは、「まるっきりいつもと変わらぬ」、8765プロが誇る敏腕(ただし妄想癖あり)事務員の「高梨ことり」そのものだった。
-つづく-
#軽いホラーっぽくなってしまった……でも、電脳に頼り過ぎた人が逆汚染を受けるパターンって萌えません?

318 :
SS投下乙
書き込みが少ないのは規制にでも巻き込まれているからか?

319 :
そやな

320 :
「プロフィール交換」という単語をみかけ、ズキュンとくる

321 :
とりあえずパンツ脱いだ

322 :
幼稚園女児とプロフィール交換したいね

323 :
>>322
手違いで園児の母親と交換されておばさんになってしまう罠

324 :
園児の親なら、おばさんといっても30前後だろう

325 :
真性のロリコンからするとJCでもBBA扱いだから
その母親ともなれば女としてオワコンな存在だろう

326 :
でも、自分の娘の着替えを手伝ったり、一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たりはできるのでは。

327 :
罠でもそう言った楽しみはあった方が良いだろう
全くの罰ゲームでは面白くないしな
なりたい立場になれないジレンマを端から楽しむのも一興

328 :
>>322が幼稚園児の娘だと思ってお風呂に入れていたのは
立場交換した>>323だったと言う落ちがつくんだな

329 :
男二人で母と娘をやっているのを想像するとカオス
誰得だよw

330 :
>>329
しかし、そのふたりが隣家の兄弟だったりすると、微妙にワクワクするかも。
 ・兄⇒隣りん家の母親の立場になって、娘ちゃんを思い切り可愛がりたい
 ・弟⇒隣の幼女の立場になって、ママに思う存分甘えてみたい
無論、兄は弟の、弟は兄の願望を知らないという前提で。
──そして、母娘は隣の家で兄弟の立場になって暮らしていた

331 :
『なんでか知らないけどアイドル!?』(後編)
 きゃる〜〜ん☆ わたし、天野ハルカ、17歳の女子高生。今、8765プロダクション所属の人気急上昇中のアイドルとして、忙しいけど楽しい毎日を送ってまーす♪
 ──嘘です。ごめんなさい。
 本当は、高梨ことり、8765プロの事務員です。ちょっとお肌の曲がり角とお腹のぷにぷにが気になる25歳。ルックスは、まぁこの年頃にしてはそれなりにイケてるんじゃないかって自負はありますけど、さすがに本物のアイドルと比べたら、ねぇ?
 いえ、そのはずだったんですが……。
 「どーしてこーなった?」
 茫然として小声で呟くわたしに、ディレクターの声がかけられます。
 「それじゃあ、つぎはハルカちゃんの出番だよ。このハルカちゃんはこの番組初登場だから、元気でフレッシュな感じを強調してみようか?」
 「ハーイ、がんばりまーす♪」
 反射的に、ニッコリ笑って明るく返事をするわたし。
 ──そう、今、わたしは「人気アイドル・天野ハルカ」として音楽番組『ミューズスタシオン』のリハーサルに臨んでいるのです。
 もちろん、"天野ハルカ"の新曲用衣裳に身を包み、彼女のトレードマークとも言える赤いリボンで髪型もバッチリ決めて。
 (あ〜、ホント、どうしてこんなコトになったんでしょうね)
 事の起こりは、今朝、たまたま朝早く事務所についてわたしが、机に置き忘れられていたハルカちゃんのリボンを髪に着けてみたことでした。
 わたしとハルカちゃんは、背格好や髪型はよく似ています。それで、ちょっとした悪戯心で鏡の前に立ち、ハルカちゃんのリボンを着けて「天野ハルカでーす」って、やってたら……。
 なんと、その場面をハルカちゃんを担当するプロデューサーさんに見られてしまいました。
 瞬時にしてその場でテンパったわたしでしたが、どうやらプロデューサーさんは、わたしのことを本物のハルカちゃんと間違えたらしく、そのままテレビ局の仕事に連れ出されてしまいました。
 わたしは、真相を打ち明けることもできず、控室でハルカちゃんの舞台衣装に着替え、しぶしぶプロデューサーさんに連れられて、番組関係者に挨拶に行ったのですが……。
 恐ろしいことに、誰ひとり、わたしが「天野ハルカ」じゃないことに気付かないんです! アンタらの目は節穴かぁ!!
 そりゃね、わたしだって、遠目に見たらハルカちゃんと似てるだろうことは理解してますよ。でも、そもそもプロデューサーさんは、ハルカちゃんをデビュー以来ずっと見て来たんだし、わたしとだって昨日今日のつきあいじゃないはずなのに……。
 とは言え、ここまで来たらヤケです。今日一日、見事「天野ハルカ」役を務めてみせようじゃないですか!
 その後、リハーサルを完璧にこなし、大型CD店で開かれたファンとの握手会も無事に終え、2時間のボイストレーニングまでキチンとこなしたうえで、今日のお仕事は終了。ようやく、事務所に返ることになりました。
 (はぁ……それにしても、ファンの人も誰もわたしが本物でないことに気づかないんですね)
 ボイストレーナーの方からは、「うんうん、いつも以上に声の伸びも音程の取り方もいいね!」とむしろ褒められちゃったくらいですし。
 正直に言えば、久しぶり(わたしも十代の頃はアイドルやってました)のアイドル体験が、ちょっと楽しかったのは事実です。
 でも、シンデレラタイムもそろそろお終い。事務所に帰れば、きっとおかんむりのハルカちゃんと、今日一日の事務員としての仕事が待ち受けているはず。
 彼女にはちゃんと謝らないとね。プロデューサーさんは……いっか。自業自得というか、むしろ彼の勘違いが著悪の根源だし。
 そう思っていたのですが……。

332 :
 「ただいまー」
 「ただいま戻りました」
 事務所のドアを開けて、応接スペースへと足を踏み入れると。
 (え! わ、わたし!?)
 みんな──同じ8765プロの仲間がたむろしているそこに立っていたのは、紛れもなく普段の「わたし」──「高梨ことり」でした。
 (そんな!? じゃ、じゃあ、今ここにいる"わたし"はいったい……)
 ──冷静に考えれば、そこにいるはずの本物の天野ハルカが見当たらず、代わりに、いるはずのない"高梨ことり"がいたのですから、"彼女"は天野ハルカだと判断するのが妥当でしょう。
 もしかしたら、わたしと同じく、高城社長あたりに「ことり」と間違えられて、つい真相を言えなくなってしまったのかも……。
 けれど、"本人"の目から見ても、そこにいるのはまるっきり 「8765プロダクションの筆頭事務員・高梨ことり」にしか見えないのです。
 一応、他人の目を気にしつつ、目配せなどを送ってはみたのですが、こちらの合図に気付いた素振りはありませんし、まるっきり「いつものことりと、同じような態度で"天野ハルカ"に接して」くるのです。
 これは一体どういうことなのでしょうか?
 結局、真相を問いただすこともできず、事態の推移を見守る中、そろそろ「天野ハルカ」が家に帰るべき時間になってしまいました。
 ハルカちゃんは、事務所の近くにある女子寮暮らしで、わたしも場所と部屋番号は知ってますけど……。
 「ハルカ、今日は仕事もないんだから、そろそろ帰ったほうがいい」
 プロデューサーさんにも言い聞かされ、わたしは不承不承、事務所を出ることにしました。ただし、そのまま"部屋"には帰らず、こっそり"ことりさん"──あの「高梨ことり」がひとりになるのを待って、声をかけることにしたのです。
 ただ、誤算だったのは、プロデューサーさんもずっと事務所に残ったこと。ビル内2階の入り口近くのトイレに隠れていたのですが、結局、終電1時間前くらいに、ふたりは連れ立って事務所から出てきました。
 「ことりさんは、いつもこんな時間なんですか?」
 「うーん、いつもは……もうちょっと遅めですね。終電ギリギリくらいかしら?」
 雑談しながら歩くふたりに見つからないよう身をひそめたわたしですが、不意に、あちらの「高梨ことり」が、事務員の制服から「今朝、わたしが自宅から着てきた服」に着替えていることに気付きました。
 「え?」
 慌てて、自分の服に視線を落とすと……いかにも「天野ハルカ」が着そうな、17歳のアイドルの私服としてはちょっと地味な、白いジャケットにピンクのTシャツとデニムのミディスカートという格好をしている自分の姿が目に入りました。
 「ええっ!?」
 いったいいつの間に着替えたのでしょう。
 いえ、思い返してみると、ボイスレッスンや握手会の時は、すでにこの服を着ていた気がします。
 となると……テレビ局で舞台衣装から私服に着替える時?

333 :
 (どうして、あの時、気付かなかったの!?)
 でも、あの時は、別段不審に思いませんでした。
 『だって、普段からよく着ているお気に入りだし、今朝もわざわざ自分でタンスから選んだ……』
 ……あれ?
 どうしてでしょう、何か変な気がするのですが。
 気が付くと、私が葛藤しているうちに、プロデューサーさんと「ことりさん」は、駅の方に消えていました。
 仕方なく、私も部屋に──8765女子寮の「天野ハルカ」の部屋に帰ることにしました。
 ──どうしてでしょう。
 わたし、この部屋には初めて入ったはずなのに、なんでか知らないのに、すごく落ち着く気がします。
 ドアの鍵を開けて、一歩足を踏み入れた時、部屋の空気から漂うフローラルな香りを、なぜか「嗅ぎ慣れた」もののように感じますし、それが「本棚に置かれたポプリ」の匂いだとちゃんと理解しています。
 薄暗い中でも、殆ど迷わず電気のスイッチの位置がわかりましたし、それどころか、冷蔵庫に取ってあるチーズケーキのことも、お気に入りの紅茶の置き場所も、ちゃんと「知っていて」、慣れた手つきで用意できました。
 お茶を飲みながら、明日の月曜日の「天野ハルカ」の学校とお仕事のスケジュールを「思い出し」、今日は早めに寝ようと考えています。
 ユニットバスに入り、ピンク色のコットンのパジャマに着替えてから、洗面台でお化粧を落とし、簡単なフェイスケアをして、わたしはベッドに入りました。
 (わたし……どうしちゃったんだろう)
 なんだが自分が自分でない──半分、夢うつつのような気分が、あの「高梨ことり」を見た時から続いています。
 でも、それ以上考えるのはどうにも億劫で……ベッドに入って1分も経たずに、わたしは眠りに落ちていました。
  * * *  
 目覚めは、いつになく、爽快な気分だった。
 「いつになく」? いや、自分は特に低血圧でも夜更かしでもないし、普段から比較的寝起きはよいはずだが……。いったいどうしてそんなことを思ったのだろう。
 彼女は、軽く首を傾げながら、ベッドの脇でパジャマ姿のまま日課の柔軟体操をする。 「あ、あれ? わたし、こんなに身体硬かったっけ?」
 立位体前屈で地面にぺったり掌を付ける程度はできたはずなのだが、まるでいきなり10年近く老化したみたいに、身体がなんだかギシギシ言っている。
 どうやら少々体調不良なのかもしれない。
 一瞬悩んだものの、体操で思わず苦労したため、ちょっと汗をかいてしまった。
 着替えを用意してから、軽くシャワーを浴びて汗を流す。
 「あ〜、やっぱり、朝シャワーはいいわ〜」
 (……? あれ、わたし、毎朝シャワー浴びてる、よね?)
 それなのにどうしてこんなに気持ち良いと感じるのだろう。
 再び首を傾げつつ、彼女は用意した着替え──高校の制服(オーソドックスな白のセーラー服だ)へと着替える。

334 :
 (アイドルのお仕事はもちろん大好きだけど、学校は学校で楽しいんだよね〜)
 フンフンフンと鼻歌を歌いつつプリーツスカートのホックを留めようとした手に、不意に力が入った。
 「うぐっ! ちょっとウェスト、キツい……やだ、太っちゃったのかしら」
 昨夜も夜遅くにケーキを食べたりしたからかもしれない。やはり、寝る前の甘いものは女の子の大敵だ。
 「うぅ、アイドルとしても女子高生としても、対処しないとなぁ」
 それでも、何とか制服をキチンと着こなし、キチンと髪を梳いてから、トレードマークの赤いリボンを結ぶ。
 「よし、と」
 とりあえず今朝の朝食はホットミルクとクラッカー1枚で済ませ、鞄を手に彼女は寮の自室を出た。
 「おはよー、チハヤちゃん」
 「あ、おはよう、ハルカ」
 寮の前の玄関で、同じく8765プロ所属で、学校と学年が同じ(さすがにクラスは違うが)友人でもある神無月チハヤと会ったので、一緒におしゃべりしながら、学校へと向かう。
 何気ない、いつも通りの朝。
 そのはずなのに……とても懐かしく、輝いているように思えるのはなぜなのだろう?
 「どうかしたの、ハルカ?」
 会話の受け答えでぼんやりしていたせいか、チハヤが心配そうに覗き込む。
 「あ……う、ううん。なんでもないよ、チハヤちゃん」
 自分でもよくわからないモヤモヤを振り切って、彼女──「天野ハルカ」と呼ばれる「少女」は、にっこり笑って見せた。
-おしまい-
#以上。途中ぐだぐだになってしまい、申し訳ありませぬ。
#このあと、「天野ハルカ」は、その17歳らしからぬ(当り前だけど)色っぽささで、「未完のビジュアルクイーン」こと星奈ミキに匹敵するほど、グラビアの仕事でで引っ張りだこに。
#また、「以前」より格段に上達した歌唱力のおかけで、CDの売れ行きも上がり、名実ともにトップアイドルの一角に食い込むようになります。
#一方、8765プロの事務員の「高梨ことり」は、その年齢の割に無垢(ピュア)であぶなっかしい所にプロデューサーがほだされ、半年後、婚約に漕ぎ着けることに。
#片や芸能界での成功をつかみ、片や女の幸せを手に入れた。果たして彼女たちのどちらがより幸福だったのか──それらは、余人が判断するところではない……なんちゃって。
#次回から、また「厄違え」に戻ります

335 :
人気新人アイドルの妹(15)を持つ、ダメ浪人生の兄(19)が、
ちやほやされる妹に嫉妬して、ネットで手に入れた
「悪魔召喚プログラム」ならぬ「立場交換プログラム」を
作動させて妹の立場に収まるんだけど、
実は妹は妹で、先輩のイビリとかテレビ局関係者のセクハラとか
忙しくて常に寝不足気味だとか色々あることを思い知らされる。
「こりゃたまらん!」と元に戻ろうとするんだけど、
立場交換のカラクリは、「兄」になった妹にしっかりバレていて
しかも、プログラムの入ったノーパソはその「兄」の手中にあり、
浪人生の気楽な立場をエンジョイしている「兄」は、
ストレスと過労で大変な「妹」と立場を戻してくれない
──と妄想。

336 :
立場交換プログラムで他人の立場入れ替えまくるとか面白そう

337 :
【ガジェット】立場交換プログラム(PCP:Position-Changing Program)
謎の発明家ヴィクトリア・フロイハイムが作成したコンピューター用プログラム。
本来はUNIX用に最適化されているが、Windows用、Mac用にエミュレートされたものも存在する。
プログラム登録者がPCPを起動し、対象者2名のプロフィール(名前・性別・年齢・血液型・社会的身分)を入力したうえで、対象者がプログラム実行中のマシンから半径3メートル以内にいる状況で「execute(実行)」アイコンを押すことで作動する。
作動後、即座に両対象者は意識を失い、およそ数分後に目を覚ますが、目を覚ました時点で両者の立場が入れ替わっている。この時、身体的に大きな変化はないが、衣服や化粧、髪型などは交換されている。
立場交換後は、単に周囲からAがB、BがAと見られるだけでなく、立場に付随する知識や技能も現在の立場のものに入れ替わっている。ただし、対象者両名には、元の立場に対する自覚(「自分は本当はAである」)は残る。
注意すべき点として、プログラム登録者が自らを対象者の片方に選ぶことも可能だが、「プログラム登録者」という立場も交換されてしまうので、元に戻るにはプログラム登録者となった相手に頼らざるを得ない点が挙げられる。
ただし、このプログラムに関する知識自体は交換されないので、相手にそれを教えない限り、勝手に戻されることはない。
……とか。立場交換の理屈が欲しい方、シェアワールド的にご使用ください。

338 :
ベタだが、自分と妹を入れ替えて互いに楽しんでたら
壊れて元に戻れなくなって、最終的には落ち着いてしまうってパターンが好きだ

339 :
>>338
いいねぇ、王道だねぇ
335的なシチュで言うと、
1)兄、こっそり妹と立場交換。原因不明を装い、妹と相談、しばらくお互いのフリをすることに
2)兄、美少女アイドルの立場楽しむ。一方、妹も久々に家でのんびりできてウマー
3)兄、本当は一日で戻してやるつもりだったが、「しばらくはこのままでもいいよな〜」と日和る
4)ところが翌日、妹が兄のPCから立場交換プログラムを誤って削除してしまう
5)夜になって兄は妹に真相を話し「じゃあそろそろ戻ろうか」と告げたところで現状が判明、大慌て
  (交換プログラムはひとり1回しかDLできない決まり)
6)結局、元に戻る方策は見つからず、そのまま「妹」「兄」として暮らすことに
……こんな感じかな

340 :
方法はあるけどあえて戻らない方が好きかなぁ
始めはともかく、途中で戻る方法がみつかるけど、なんだかんだで先延ばしにしてそのままになるパターン

341 :
エイプリルフールに言った嘘のせいで立場交換
思い返すと懐かしいな

342 :
>341
確かに懐かしい。すべてはアレから始まった!
 (厳密には中学生⇔女子大生の話が最初だけど)
今年は……そうだなぁ。こんな妄想↓どうでしょう?
アイドルに憧れている小6の妹に、中3の兄が、4/1に
「僕、こないだ街でアキ●トにスカウトされて、今度、
A●Bのアッちゃんの代わりに、センターマイク、
やることになったんだ」と嘘をつく。
もちろん、さすがに妹は信じないんだけど、
「嘘だと思うんなら、今晩のテレビ見てみなよ。記者会見するから」
と、平然と追い打ちをかけたことで、半信半疑に。
ところが、暇つぶしに下界を見ていた神様が、その言葉を聞いて
ソレが兄の願望なのだと勘違いし、
「よろしい。その願い、叶えてしんぜよう」
と"かみさまぱわー"を炸裂させる。
その日の夕方。帰りが遅い兄のことを微妙に気にしつつ、
「まぁ、友達のところにでも遊びに行ってるんでしょ」と、
夕飯を先に摂ることにした妹と家族たち。
いつものようにテレビを点けると、緊急ニュースが入って、
A●Bの重大発表があると言う。「まさか、ねぇ……」と
嫌な予感がする妹だったが、テレビの中では、「不動のセンター」と
呼ばれた娘が引退を電撃表明し、
「わたしに代わって、センターを務めてくれる、○○(兄の名)ちゃんです!」
と紹介。そこにはアイドル衣裳を着て恥らう兄の姿が……。
その夜、引退表明した元センター娘が、兄妹の家に来て、
「今後は、わたし……いや、ボクがこの家の長男になります」
と告げ、なぜか両親も納得(妹はパニクってついていけてない)。
一方、兄は元センター娘のマンションで暮らすことに。
もちろん、元センター娘は、翌日から兄に代わって
"14歳の少年"として詰襟を着て中学に通い、対して兄の方は
A●Bのセンターとして芸能活動を行うことになるのだった。

343 :
最近この掲示板を見つけました。
初めて投稿するのでここの住民の好みにあっているかは不明ですが。
辞令は突然に
1.新しい職場?
私は田中博康。31歳男性ではあるが今は 桜ノ宮幼稚園年少クラスチューリップ組の女子園児である。
以前は公立高校の教師であったが人事異動として今の場所が言い渡され、今年の4月から桜ノ宮幼稚園に入園することになります。
幼稚園のしかも女子園児という辞令は初めてなので驚きましたが、役所にいる以上は辞令に従うのは当然です。
そして、幼稚園児が一人で生活するにはいろいろ困難があるので大住舞子という新卒で入った22歳の女の子が私の母親として配属されました。
配属初日、私に新しい身分証明書と制服が支給されました。
これにより私は園児としての身分が保証され、名前も大住博康と変更です。
制服は桜ノ宮幼稚園の制服に加え黄色い帽子やピンクのスモック、なども一緒にありました。
やはりこういう配属初日は気分も一新され、いい気持ちです。
同時に同僚との顔合わせも今日が初めてです。これから私のママとなる大住さんはやはり大学卒業したてとあって、まだ初々しさがあります。
それに噂によると某有名大学のミスキャンパスにも選ばれたということで同僚としてはうれしい限りです。
ただでさえ気立てがいいのに、まだ園児として過ごせるか不安だった私を優しくあやしてくれるなど非常に素晴らしい性格でもありました。
本来私の方が社会人経験は上であり、そういったところを気にしてしまう人も多いのですが、社会人たるものきちんと役割は守らなければなりません。
私は彼女の娘であり、彼女は私の母親なのです。
同時に住居も新しいものが貸し与えられました。
といっても配属初日は引っ越しがメインで終わったころにはもう、夜でした。
さすがにご飯を作る気力が無かったのでしょう。近くのファミレスに行きました。
ママの指定で私はもちろんお子様ランチです。
ほとんど25年ぶりくらいのお子様ランチでしたが、私の味覚にも合っていてとても美味しかったです。
食べるときに口の周りを汚してしまったのですが、ママが拭き取ってくれて、
「園児らしくていいわよ」
なんて褒めてくれました。
食べ終わったあとは家に帰ってお風呂でした。当然園児ですから一人で入ることなんてママが許してくれませんでした。
お風呂自体も大人が二人は入っても余裕があるほど大きく、ママが一緒に入ってくれて体中を洗ってくれました。
お風呂から上がって、女児用のパンツを履かせてもらい、さらにはキャラクターのパジャマを着て寝室に連れて行ってくれました。
ベッドは大きなダブルベッドが一つでママと一緒に寝ます。
大人の男女が二人でベッドに寝るなんていかがわしい事しか想像できませんが今の私は大人では無く園児です。
ママと一緒に布団に入ると特に興奮することも無く自然に寝入ってしまいました。

344 :
「ほら、ひーちゃん起きて」
次の日、私は大住さん、すなわちママの声で目が覚めました。
「今日は入園式だから早く出かけるから起きなきゃね」
私はのろのろとベッドを出る。すると、ママが私の制服を持ってきて着替えさせてくれる。
ジャケットに小さいスカート。まだ四月で寒いが幼稚園児の場合はいつでもこれだ。
実年齢が31歳の私には少々辛いが、これも私が園児である以上は仕方のない事だ。
幼稚園の制服が着れたのでママが作った朝ごはんを食べることになる。
ママは若いのに料理が上手で朝はご飯とお味噌汁と魚の煮物とほうれん草のお浸しだった。
魚は私が困らないようにきちんと骨から外してあり、とても美味しくいただけた。
おそらく人事課もこのようなところをチェックして配属を決めているんだろう。
ご飯を食べる終わると、すぐに出かける準備が始まった。
私は方からカバンをかけてもらい、紺色の帽子もかぶせてもらう。
最後は「おおすみひろやす」と書いた名札を付けてもらって完成だ。
サイズは大きいが服装はどこからどう見ても桜ノ宮幼稚園の園児になることができた。
ママも今日はばっちりメイクをしており、その姿はさすがミスキャンパスだな、と感心しました。
手を引かれ、出かけるとタクシーが待ってました。
どうやらいつもは通園バスだが、今日は無いらしい。
タクシーに乗って行き先を告げると運転手さんが話しかけてきた。
「桜ノ宮幼稚園ってことは今日は入園式か、何かですか?」
「ええ、そうなんですよ。朝から慌てちゃって。」
「へえ。でも奥さん若いですね。坊ちゃんは今何歳ですか?」
「この子は今31歳なんですよ。」
「意外ですね。園児服が似合っていたんでもう少し若いかと思いましたが30超えていたとは。」
運転手も31歳が入園式ということには何も疑問を抱いていない。
私はれっきとした園児なのだから当然と言えば当然なのだが。
「あ、到着しましたよ。」
『桜ノ宮幼稚園入学式』との看板が大きく立っていたのですぐにわかりました。
せっかくなので運転手さんにママと一緒に記念撮影をお願いしました。
私の晴れ姿なのできっと大事な思い出になるでしょう。
そんなことを考えながら門をくぐった。この場所でしばらく過ごすと考えると感慨深い。
ママに手を引かれ入園式会場に行くと私は園児用の椅子に、ママは保護者用の椅子に案内された。
周りを見渡すと当然ながらみんな私よりはるかに小さく普通に3歳の年少クラスであるとあるとわかりました。

345 :
これで一章目は終わりです。
ご要望があれば続きも書いていきますが無ければ、ROM専に戻るのみです笑

346 :
いいね!続き期待!

347 :
続き希望

348 :
ドキワクしながら続き期待

349 :
343さん、乙です。
話の展開とかはすごく好みなんですが……
すみません、「理由」がないのが、個人的にはどうにも落ち着かない感じ。
いや、「辞令」が理由っちゃ理由なんですが……うーん、たとえば
 「市の方針で公務員は様々な立場の現場で実習することになった」
とかの設定が一言でもあれば、「成程!」と納得できたのかも。
 (無論、そういう説明が無粋だという意見もあるのでしょうが)

350 :
続きを書きたいなら書きたまえ
作者ならば早く書かねばならんのだよ
べ、別に続きが読みたくて催促をしているではないぞ
期待などはしておらんからな
本当だぞ?

※ロリっ娘のCEOが発言していると想像してくれ

351 :
#4/1の妄想を遅まきながらSS化してみました。
『憧れのセンターマイク』
 「ただいま〜」
 あたし、宇佐見奈々は中学2年生。
 別に優等生ってわけじゃないけど、かといってギャルってほど派手に遊んでるほどでもない。部活のテニス部で、そこそこ頑張ってる、ごく普通の14歳の女の子、かな。
 ルックスは、それなりにはイケてる……と思う。スカウトとかナンパもされたことあるし。まぁ、どっちも、ピンと来なかったから断わったけどね。
 「お〜、おかえり〜」
 帰り道に買って来たアイスを冷蔵庫に入れようと居間に入ると、そこでは"お兄ちゃん"がソファに寝転んでテレビを見てた。
 「あ、ただいま、お兄ちゃん……って、レディの前でボリボリお尻かかないでよ!」
 「え〜、いいじゃん、兄妹なんだし」
 「いくない!」
 ジト目で睨んでもどこ吹く風。
 まったくぅ……あたしの友達で家に遊びに来た子の中には、見た目だけはいいし、一応それなりの進学高に通ってるから、お兄ちゃんに憧れてる子が少なからずいる。
 でも、その子たちが、いまのお兄ちゃんを見たら幻滅すること間違いなしよね。
 見ての通り、実態は、デリカシーないし、無精者だし、音痴だし、ちょいヲタ入ってるし、結構スケベだし。
 ──♪
 と、その時、テレビから聞き覚えのある歌が流れてきた。
 「お、TKBの『ハッピーローテーション』か。懐かしいね〜」
 そんなことを言う"お兄ちゃん"の顔を、あたしはこっそり窺う……うん、いつも通り、のんきなマヌケ面してる。
 そのことに少しだけ安堵しながら、あたしは自分の部屋に戻った。
 それにしても……当の本人にあれだけお気楽に構えられてると、「事情」を知ってる身としては、いささか拍子抜けするなぁ。
 ──いや、「事情」そのものは、かなりたくさんの人が知ってる「はず」なんだけど。ただ、今となっては、(本人も含めて)誰も気にしてないんだよね。
 え? 「もったいぶらずに、その事情を話せ」?
 うん、いいよ。別段、秘密にしてるわけじゃないし、そもそも、それなりに知ってる人はいるしね。
 ひと言で言うと、あの"お兄ちゃん"は、本当はお兄ちゃんじゃないの。
 「今時、血のつながらない兄妹だからって、気にすることはない」?
 うーん、確かに"血"は繋がってないけど……そうじゃなくて、あの人は本来あたしの「兄」という立場じゃなかったの。
 何せ、"お兄ちゃん"──今、この宇佐見家の長男「宇佐見晶(うさみ・あきら)」として、この春入った恒聖高校に通ってる、あの人こそが、さっきテレビに出てたアイドルユニット・TKBのセンターマイクを務めてた「舞田晶子(まいだ・あきこ)」だったんだから。

352 :
 順を追って話すね。
 あれは、今から2年前の4月頭の話。
 エイプリルフールの4月1日に、あたしの本物のお兄ちゃん──宇佐見敦(うさみ・あつし)がついた、荒唐無稽な嘘がキッカケだったの。
 当時のあたしは、どこにでもいる普通の小学6年生の女の子で、2歳年上のお兄ちゃんともそれなりに仲が良かったと思う。
 今にして思えば、お兄ちゃんは歳のわりにはよくできた人で、あたしの我がままも笑って許してくれてた……まぁ、そのお返しというか、素直(というかおバカ?)なあたしも、よくからかわれてたけど。
 で、四月馬鹿の日とくれば、当然、お兄ちゃんがあたしを騙さないわけもなく……。
 その日にお兄ちゃんはこんな嘘をついたの。
 「奈々、実は僕、こないだ街で、秋元泰にスカウトされて、今度、TKB48のアッちゃんの代わりに、センターマイク、やることになったんだ」
 当時のあたしは、周囲の大多数の友達同様、国民的アイドルユニットのTKBに憧れてたから、羨ましがると思ったんでしょうね。
 「はぁ? お兄ちゃん、何バカなこと言ってるのよ」
 とは言え、幼稚園児とか小一くらいならともかく、小学六年生になって、さすがにそんな突拍子もない嘘に騙されるはずもなく、あたしは、そう切って捨てたんだけど……。
 「う、嘘じゃないよ。嘘だと思うんなら、今晩のテレビ見てみなよ。記者会見するから」
 あたしが騙されなかったのが悔しかったのか、そんな負け惜しみを言って、お兄ちゃんは学校(当時は今のあたしと同じ中学二年生だった)に出かけていった。
 その時は、それだけの話だったんだけど……。
 小学校に行く途中で、あたしもふと不安になったんだ。
 いきなりセンターマイクってのは無茶でも、アイドルにスカウトされるくらいなら、あのお兄ちゃんならありうるかも、って。
 敦お兄ちゃんは、2歳下の妹の目から見ても、なんていうか「可愛い」感じの人だったからね。
 中二男子だけど、身長は160センチなくて小柄な方だし、顔はお母さん似で女顔だし、某囲碁マンガのライバルキャラみたいなパッツン髪にしてたから、学生服着てないとよく女の子に間違えられてたし……。
 声変わりも、本人は「した」って言うけど、周囲からしたら「え、マジで?」って言うくらい、子供の頃とたいして変わってないボーイソプラノだったしね。
 だから、偶然が重なったら、女性アイドルとしてスカウトされるくらいは、あり得ない話でもないんだよねー。
 しかも、お兄ちゃん、人に真剣に頼まれると嫌と言えないタチだし、「明日のスターは君だ!」とか言われたら、その気になっちゃいそうだし。
 (いや、でも、まさか……ねえ?)
 そんな風に悩んでたせいか、2時間目の授業中に、ついうつらうつら居眠りしちゃって、不思議な夢を見たんだ。

353 :
 たくさんのテレビモニターが並んだどこかの部屋で、白い髭のおじいさん(?)が、モニターのひとつを覗き込んでた。
 で、なんでか知らないけど、そのモニターには今朝のお兄ちゃんとあたしのやりとりが映ってたんだよね。
 『ふむふむ。男子の身で、女性あいどるのりーだーになりたいとは……おもしろい。その意気やよし! その願い、叶えてしんぜよう』
 「え、マジで!?」
 その瞬間、あたしは目が覚めてた。いや、あとから聞いた話だと、現実でも実際にそう叫んでいたらしい。
 もちろん、先生には居眠りしてたことを叱られて、周囲のクラスメイトには笑われて、とっても恥ずかしい思いをすることになった。
 (もうっ! それもこれもみんな、お兄ちゃんがあんな嘘つくから悪い!!)
 ちょっとやつ当たり気味にそう考えて、あたしは今朝の会話は忘れることにしたんだ。
 けれど……。
 その日の夕方。お兄ちゃんは、いつもより微妙に帰りが遅かった。
 と言っても、まだ7時だし、下校途中に友達と遊びに行ったら8時過ぎに帰ってくるのなんてザラだったから、それほど心配もしてなかったんだけどね。
 あたしたち──あたしと両親は、先に晩御飯を食べちゃうことにして、いつものように居間のテレビを点けたんだけど……そこでは、緊急ニュースとして、TKB48の記者会見が流れていた。どうやら重大な発表があるらしい。
 「まさか、ねぇ」
 微妙に嫌な予感がしたけど、そのままテレビを見てたら、TKBの「不動のセンター」と
呼ばれてる「アッ」ちゃんこと舞田晶子が、なんと引退を電撃表明してた。
 それだけでも十分驚きなんだけど……。
 「それでは紹介します。今後、わたしに代わって、TKBのセンターを務めてくれるのは──この子です!」
 そこには、ピンクの縁取りのついた黒のミニワンピといういかにもなアイドル衣裳を着て、キチンとお化粧やヘアメイクもされてる(そして身内からみてもすごく可愛い)お兄ちゃんが、恥ずかしそうに頬を赤らめながら立ってたんだ。
 そからのことは、ちょっとしたパニックになったから、実はハッキリ覚えてないんだよね。
 ただ、思ったよりウチの両親は驚いてなかったような気がする。
 で、その夜の内に、なぜか引退表明したアッちゃん──舞田晶子が家に来た。
 「今後は、わたし……いや、ボクがこの家の長男になります」
 って宣言して、うちのお父さん、お母さんも納得してたんだよね。
 代わりに、敦お兄ちゃんは、お仕事もあるから、アッちゃんのマンションでひとり暮らしするんだって。

354 :
 で、翌日からは、舞田晶子改め「宇佐見晶」が、お兄ちゃんに代わって──というか"14歳の少年"として、詰襟の制服を着て中学に通うようになった。
 同時に、敦お兄ちゃんは「舞田敦子」としてTKB48の筆頭格として、芸能活動を行うことになったんだよね。
 今になって考えたら無茶な話なんだけど、なんでか知らないけど、周囲もソレが当り前のように受け入れてたから、あたしも、つい異議を口にしづらくなっちゃって……。
 でも、最初の数日はギクシャクしてたけど、一週間もしたら、あたしも、その「宇佐見晶」を「お兄ちゃん」と呼んで受け入れるようになってた。
 晶お兄ちゃんの外見自体は以前のままだけど、呆れるくらい男子中学生としての暮らしに適応して、言葉遣いや服装、仕草、趣味嗜好は完全に「14歳の男子」そのものになってたしね。
 テレビを見る限り、「アッちゃん」の立場になった舞田敦子も巧くやってるみたいで、以前と変わらず……ううん、以前以上の人気になってた。
 ──で、そのまま2年後の現在に至るってわけ。
 今のあたしにとっては、「お兄ちゃん」と言えば、一階でだらしなくソファに寝そべってポテチを食べてるあの人のことを指す。
 反対に、テレビとかで見る舞田敦子は、完全に別世界のスターだ。
 なにしろ、あの人、今でもTKB48の総選挙ナンバー1で不動のセンター張ってるのに加えて、最近では映画やドラマの女優としても活躍してるし、この間出した写真集も50万部を越えるくらい売れ行きだったらしい。
 ちなみに、写真集見る限りでは、ホルモンとかやってるのか、豊胸手術とかしたのか、パッドとかの偽乳なのかは知らないけど、ちょっと小さめながら胸はあるように見えた。
 いや、ウチのお兄ちゃんの方は、いつの間にかすっかりペタンコになってたし、もしかしたら自然に膨らんだのかもしれない。
 え? 「下の方は?」って……さすがに、そんな事、聞けるわけないでしょ!
 とにかく! 本人達も今が楽しそうだし、周囲もなぜか現状を好意的に認めてる。
 妹のあたしとしては、正直ちょっと割り切れないものを感じることもあるけど、絶対に嫌だってわけでもないし……なんか、この2年で慣れちゃったしね。
 「お〜い、奈々ぁ、晩ごはんだって〜」
 「はーい、今行くー!」
-おしまい-
#以上。正直、枕営業とかエロネタを考えないでもなかったけど、長くなりそうなので省略。気になる人は、勝手に妄想してみてください。

355 :
>>343
>>351
どっちもGJ!

356 :
感想ありがとうございます。
もうすぐ続きを上げられると思います。
>>349
公務員がゆえに辞表は絶対、っという世界観です。
正当性が無い方がその世界観を出せるかな、と思いました。
まあそこについては作品の中で少し触れる予定です。
>>350
すいません。がんばります。
こんなダメ社員でも養ってくれるなんてCEOには感謝しきれません。

357 :
ご両者とも乙でした!

358 :
>>356
ちょっと君、辞表じゃなくて辞令
全然意味が違うから
まったくもう、そんな事も解らないなんて
中学生からやり直した方が良い?
ちょうど私が前に就いていた女子中学生の役職が空いているから
人事異動してもらいますよ
冗談ですけどね
でも気を付けないと配置替えで一般職のOLの方と交代になる事もあるので
心しておく様に
あなたには期待していますから頑張って
※女子中学生から専務になった女の子が言っていると想像してくれ

359 :
>>344 続き
2.入園式
最初は園長先生のお話から始まった。最初は保護者の人に向けて挨拶し、次に私たち園児に向けて話してくれた。
「桜ノ宮幼稚園に入園おめでとう。最初はおとうさんやおかあさんと離れるのがつらいかもしれないけど、
先生や年中・年長のお兄ちゃんお姉ちゃんたちが優しく世話をしてくれます。
お友達もいっぱいできるでしょう。精一杯楽しんでください。」
短くも内容がまとまった園児向けにしては素晴らしいお話だった。私も園児としていっぱいお友達をつくりたい。
 『次に先生の紹介です』
「チューリップ組 南裕子先生」
どこかで、聞いたことのある名前。
思い出した、彼女は昔私が教師だった時の教え子だった子だ。
年は21歳ごろのはずだから多分、保母さん経験も二年目くらいなんだろう。
進路指導の時も子供が好きで幼稚園の先生になりたい、と言っていたが夢がかなったようでうれしい。
もちろん当時は自分がその園児になるとは夢にも思っていなかったが。
「はい、じゃあチューリップ組のみんなは私についてきてね〜」
全体での入園式が終わりそれぞれのクラスに移動となった。
桜ノ宮幼稚園は少人数制のクラスを採用しており、チューリップ組も私を入れて10人しかいないようだ。
「はじめました。これからみんなの先生になる「みなみゆうこ」です。
「裕子先生」って呼んでくれるとうれしいな。じゃあみんな順番に自己紹介してくれるかな。
じゃあ最初は井上さんから」
「いのうえしおり 3さいです。」
「はい、よくできました。次は大住さん。」
私の番だ。こういうのは最初が大事。
「お おおすみひろやす。31さいです。」
「そんなに慌てなくても大丈夫よ。
博康ちゃんは昔、私の高校の先生だったけど、
4月から久しぶりに園児になるということでちょっと緊張しているみたいだけどみんな仲良くしてあげてね。じゃあ次は…」
思わず詰まってしまったけどなんとかなったようだ。にしても裕子先生わざわざそんなこと言わなくてもいいのに。
全員の紹介が終わったので今日の入園式はとりあえず終了した。
最後に「れんらくちょう おおすみひろやす」をもらい今日は解散。本格的に始まるのは明日からだ。

360 :
3.おともだち
入園式からの帰りは近くを走っているという路線バスを使うのが便利だと教えてもらった。
バスの料金は園児は無料らしく、ママも「安くて便利ね〜」なんて言っている。
バスの中で座っていると、さっき一緒のクラスだったしおりちゃんが母親に連れられて乗ってきた。ママもそれに気づいたらしい。
「先ほどはどうも。これから同じクラスらしいのでよろしくお願いします。」
「こちらこそ、どうも。このバスってこと家はきっと同じ方向ですよねどの辺なんですか?」
「〜というマンションなんですけどわかります?」
「え?本当に?うちも同じマンションです。」
なんと偶然にも彼女は私と同じマンションの住人でしかも住んでいる階も一つ下ということでした。
ですから当然降りるバス停も同じになります。
「何かと大変でしょうからこれからもよろしくお願いします。」
「こちらこそお願いします。でもおたくの博康ちゃんは31歳だからちょっとは大人しかったりするのかしら。」
「そんなことないわよ。31歳と言っても幼稚園児なので大変ですよ。
お宅の詩織ちゃんの方がさっきの自己紹介しっかりしてたじゃないですか。」
「本当かしら、誕生日が4月だからちょっと他の子より成長が早いのかもね。
なんにしても家も近いんだし、いつでも遊びに来てくださいよ。ほら、私たちが話してる間に二人も仲良くなってますし。」
「それじゃあお言葉に甘えて。やっぱり子供たちはすぐに打ち解けますね。」
ママたちが世間話をしているときに私も新しい「おともだち」と話すことになった。
「ひろやすちゃんはどういうアニメが好きなの?」
こういうことを聞かれるとまだ園児になって日が浅い、私には知識が無い。
「う〜ん。ちょっとわかんないなあ」
「なにそれ。じゃあ今度しおりのうちで一緒に観ようよ」
「ありがとう。しおりちゃんの家行きたい!ねえママ?」
「さっそくお友達できてよかったわね。もちろんいいわよ。でも明日かな、詩織ちゃんのおうちに遊びに行きましょうね。」
「やったあ。」
「じゃあまたあした。ばいばい」
「うん。ばいばい」
マンションまで一緒なのでエレベーターの中までしおりちゃんと一緒だった。
早くも同じチューリップ組の友達ができて私の不安は一つ解消された。明日からもたのしく幼稚園に通えそうだ。

361 :
GJ

362 :
続き、期待しておりますですよ

363 :
#ずいぶん空きましたが、今回は、約束通り、男性教師の立場になった勇美のお話。立場交換から1月くらいが経過した頃を想定しています。

『厄違(やくたが)え』-閑話-
 「あなた……起きて」
 龍刻高校国語教諭、「遠坂勇美(とおさか・いさみ)」の朝は、優しい妻の声と微かに漂う珈琲の香りととともに始まる。
 「──ああ、おはよう、慶子」
 寝起きのよい「彼」は、すぐに目を覚まし、目の前にある愛しい妻の顔へとニコリと微笑みかけると、愛情を込めた口づけを交わすのが日課だった。
 「んんっ……」
 そのまま「彼」の掌が、抱き寄せた妻の豊かなバストや安産型のヒップの辺りを彷徨ってしまうのも、若いし、新婚なのだから致し方あるまい。
 「きゃん! もぅ、あなた、朝からダメよ♪」
 平日の朝ということで妻の慶子は「夫」をたしなめるが、彼女とて愛する「夫」に求められることが嫌なワケではない。自然とその語尾も叱るような言葉に反して弾んだものになる。
 ──ちなみに、これが休日の朝だと、彼女も抵抗せず、そのままベッドに引っ張り込まれることになるのだが。
 「むぅ、残念だが仕方ないか」
 一応、大人としての理もキチンとわきまえている勇美は、「悪戯」を切り上げてベッドから出て、パジャマ姿のまま妻とダイニングへ向かう。
 そこには、トーストとベーコンエッグと簡単なサラダ、そしてキチンと豆を挽いて淹れたコーヒーが、すでに用意されている。
 平日なのであまりゆっくりはできないものの、幸いにして今朝は「彼」が顧問をしている野球部の練習はない。練習試合があった日の翌日は休養日として休みにしているのだ。
 妻と談笑しつつ朝食を摂った後、軽くシャワーを浴びてから、仕事用の服装に着替える。
 ピンストライプの入ったライトグレーのカッターシャツに、ウッディブラウンのコーデュロイのスラックス。胸元にはニットタイを絞め、スラックスと同じ色のジャケットを羽織る。
 先週理髪店にいったばかりの髪が、やや短めのウルフカットにまとめられていることもあって、高校教師というよりお洒落な大学生といった風にも見えるが、まぁ、新米先生としてなら何とか合格点はもらえるだろう。
 「いってらっしゃい、あなた」
 「ああ、いってきます。今日の野球部はミーティングだけだから、それほど遅くはならないと思うよ……そうだ! せっかくだから、今晩は、この間できた水鏡通りのレストランに行ってみないか?」
 「いいわね。どうせなら、お店の近くで待ち合わせしましょうか?」
 「そうだな。久しぶりにふたりで、ちょっとしたデート気分を味わおう」
 「♪」
 ──聞いているだけで「はいはい、バカっプル、バカっプル」と言いたくなるような、甘々な会話を妻とくり広げた「彼」は、足取りも軽くバスの停留所へと向かう。

364 :
 運がいいことにバス停について1分とせずにバスが来た。
 バスの乗り込むと、この雁屋村から彼が勤める龍刻高校へと通う生徒が何人がすでに乗っているようだ。
 「おはようございまーす」
 「おはようございます、遠坂先生」
 龍刻高校における「彼」の立ち位置は、新米教師としては悪くない。
 年が近いこともあって生徒たちは親しみをもって接してくるが、野球部に於ける熱血顧問っぷりが知られているせいか、決してナメられているワケではない。
 同僚(というか先輩)の教師に対しても如才なく立ち回っているし、気さくな性格とルックスのおかげで父兄からの評判も悪くない。
 強いて言えば、堅物の教頭が、生徒とのあいだにあまり垣根を作らない「彼」の態度に時折苦言を呈することがあるくらいだが、校長はむしろ認めてくれている。
 「ああ、おはよう、柴村、小杉」
 担任しているクラスやクラブの生徒ではないが、頻繁に往き帰りのバスで顔を合わせるため、この子たちとも顔見知りと言えるくらいの仲にはなっている。「彼」は学校に着くまでのあいだ、しばし生徒たちとの雑談を楽しんだ。
 さて、"職場"に"出勤"して以降は、それほど特筆すべき事はない。
 陽気でノリがよく、ややアグレッシブな性格の「彼」も、高校教師としての務めはごくごく真面目に全うしているのだ。
 授業に関しても、軽妙な軽口を織り交ぜつつ、丁寧にわかりやすく説明する「彼」の授業は、評判は悪くない。むしろ、今、龍刻高校で「わかりやすい授業をする先生は?」というアンケートをとったら、彼はトップ5に入ってもおかしくなかった。
 放課後は、朝方、妻に説明したとおり、野球部のミーティング──昨日の試合の反省会に、顧問として立ち会う。この休養日&反省会という制度は、彼が顧問になってから始めた習慣だが、大方の部員たちには好評を得ていた。
 一通りの本日の仕事を終えて、職員室を退出したのち、「彼」は、龍刻町の駅前繁華街である水鏡通り、その一角にある喫茶店で待つ妻のもとへと急いだ。
 「やぁ、待たせたかな?」
 「いいえ、そんなには」
 「──本当は?」
 「……20分くらい、かしら」
 いかにもカップルらしいやりとりと店の精算のあと、「彼」はごく自然に右腕を差し出し、妻の慶子は、ほんの少しだけ躊躇ったのち、素直にその腕にすがりつく。
 通りを歩く一部の人間(おもに独身者)からの「リア充、爆発しろ!」と言いたげな視線も気にせず、ラブラブな様子で街を歩くふたりの姿は、傍目にはいかにも「お似合いで熱々の新婚さん」と見えた。

365 :
 ……もっとも。
 その片方、「20代半ばの青年」にして「新米教師」かつ「新婚夫婦の夫」として振る舞い、それがこの上なく板についている「彼」は、生物学的観点から見れば、まだ16歳の少女であり、前述のような"立場"を一時的に本来の持ち主と入れ換えているだけなのだが。
 もっとも、もともとサッパリした男性的な気性を持つ彼女──夏樹勇美(なつき・ゆみ)には、今の立場が非常に快適に思えたし、その楽天的な性格から積極的に今の立場に馴染もうと努めた結果、今や完全に「遠坂勇美」になりきっている。
 それは、本来は遠坂真紀(とおさか・まさのり)の妻であるはずの慶子も同様で、優しく礼儀正しいが、草食系というかイマイチ情熱に欠けている面のあった本来の夫と異なり、貪欲に彼女を「求める」、現在の「夫」にすっかり骨抜きにされていた。
 当初は「目の前のこの人は、本物の夫ではないのに抱かれてもいいのかしら」という葛藤と背徳感に多少は苛まれていたのに、立場交換からひと月余りが経過した現在では、周囲もうらやむほどの熱愛夫婦ぶりを振り撒いている。
 「──ずっとこのままでいられたらなぁ……」
 激しくも甘やかな夜の営みの後、ベッドで妻の髪を撫でながら、小声でポツリと漏らす勇美。
 "厄違えの儀"の期間は一年。
 今年の年末の大晦日には、立場を入れ換えたふたり──勇美と真紀は、再び元の立場に戻らなければならない。
 普段はすっかり忘れているものの、ふとした拍子にそのことを思い出すと、勇美は僅かに憂鬱な気持ちが心の奥に湧いてくるのを感じるのだ。
 「え? 何か言った、あなた?」
 「いやいや、イクときの慶子の声は可愛いなぁって思ったのさ」
 「も、もぅ……恥ずかしいから言わないで」
 「ははっ、やっぱり慶子は可愛いね」チュッ
 「あん♪」
 愛しい妻の唇を奪い、豊かなその胸を両手で揉みしだきながら、「彼」は、この幸せを手放さずに済む方策について、頭の片隅で検討し始めるのだった
-つづく-
#というワケで別視点の番外編的なお話でした。次回から、再び真紀サイドに。
#ちなみに、河比奈媛に相談した結果、神様から授かった特殊な張型を勇美さんは装着しています。コレは、夏樹神社の神木製で、夜の営みで活躍(イクと樹液が"射精"するギミックあり)するほか、導尿管付きで着けたまま立ち小便可能というスグレもの。

366 :
GJ!
間が空いたのでもう来ないんじゃないかと心配してた(;´Д`)

367 :


368 :
ふぅ…

369 :
この際、SSと言わないまでも小ネタとか来ないかなぁ

370 :
海外のTS系小説を自動翻訳で読んでたら
間違った英単語やビッチっぽい口調を習得させられたり、
簡単な計算を「法則を持って間違える」(たとえば3×4=9など)よう
徹底的に訓練させられたりなど、
「ビッチ系女性にさせられる過程で、無理やりバカにさせられる」というのがあった

これの応用で「立場を交換するための予備校」みたいなものに通う学生の様子というのも
面白いかなぁと思った
小4女児コースに通うことになった大学生は
服装や髪形だけでなく「小学4年程度の学力になる」よう一生懸命間違いを修得したり、
渋谷系ギャルコースを受講する40代会社員は口調や考え、性的嗜好も
それになるようしっかり訓練を受ける
一方、高校男子コースに通う10歳の女の子は勉強だけでなく
体力も高校男子に見合うよう一生懸命トレーニングする
なんて感じである期間みっちり訓練を受けて
晴れて卒業すると「成績や受講コースに見合った立場」が斡旋される、といった感じで

371 :
久方ぶりに続き投下

372 :
【その5】
「つまり……?」
「つまり、他の人には私が大学2年生に、先生が小学生の女の子に見えるってわけ。
 あ、見えるってのは違うかな? いくら小学生の格好してても、
 立場を入れ替えなければ先生はヘンタイになっちゃうもんね」
鈴のような声で笑うゆかりちゃん。
「どう? あこがれの女子小学生になった気分は?」
「……気分はって言われても」
とびきりの美少女の前で、先ほどまで彼女が身に纏っていた服を着ている。
しかも公認で。
これが興奮しないわけがない。
自然と『俺自身』も硬く大きくなっていくのが自分でもわかる。
「やっぱ興奮しちゃってる?」
「そ、そんな訳ないじゃないか!」
「そうは言っても、先生自身は正直じゃん」
ぴらりとスカートをめくり、大きくなった『俺自身』を見て笑うゆかりちゃん。
「きゃっ」
めくった手を払いのけ、慌ててスカートの前を抑えてパンツを隠す。
「エッチ!」
「ははは、ごめんごめん。でも、頬を膨らませて怒る雄介ちゃんはかわいいな。
 思ったよりも『染まる』のが早いのかな?」
「『染まる』?」
「うん、この『立場の交換』はね、段々と交換後の立場に考え方や行動がなじんでいくんだってさ。
 だから、ずうっと交換したままだと、戻った後も影響があるんだって」
そう言うと、何が楽しいのかケラケラと笑うゆかりちゃん。
その笑い方には、いつものロリ魂が揺さぶられる天使のような愛らしさは一切なく、
まるで大人の男の人のようだった。
「ま、次の家庭教師の日には元に戻してあげるからさ、しばらくは『女子小学生』をしなよ」
「そう言われても……」
「それに明日はプールの授業があるから、それを楽しんでからでもいいんじゃない?」
「プール!?」
「今の雄介ちゃんは女子小学生だから、じろじろ見ても怪しまれないよ」
ゆかりちゃんはニヤリと嫌らしく笑い、俺を説得にかかる。
小学生の水着姿を間近で合法的に見られる……その誘惑にかられ、俺は悪魔と取引してしまう。
「じゃ、じゃあ次の家庭教師の日まで、今の立場を楽しむかな?」
「よし! 交渉成立だ。よろしくな雄介ちゃん」
さっきよりも嫌らしい、底意地の悪い笑顔を浮かべながら、ゆかりちゃんは俺の頭をぐりぐりと撫でた。
「それじゃ、雄介ちゃん。休憩はおしまいだ。
 次は……そうだな、宿題のプリントをやっつけちゃおうか」
「はーい」
さっそく俺も『女子小学生』になりきって、赤いランドセルからプリントを取り出す。
本来の自分ならば、難なく解けるはずの小学5年の算数。
そんな簡単な問題も、こんなかわいらしい格好をしていると、なぜだかやけに難しく感じてしまう。
頭の中身まで女子小学生になったような錯覚に陥りながら、俺はプリントにシャープペンを走らせるのだった。

373 :
【その6】
「終わったー」
ゆかりちゃんの代わりにやらされた宿題の算数プリントを、
時折彼女に間違いを指摘されながらなんとか解き終わるとひとつ大きく伸びをする。
「今日はここまでかな?」
彼女の言葉に促されるように時計へと視線をやると、針はいつのまにか上から下へまっすぐになっていた。
決められた時間通りに終わったことに安堵しつつ、俺はゆかり『先生』に深々と頭を下げた。
「じゃあまた3日後。ちゃんと予習しておくんだぞ」
またもぐりぐりと頭を撫で、先生は荷物をまとめはじめた。
すると部屋の扉が開き、またもゆかり『先生』のお母さん――今は俺のママが入ってきた。
「もう終わりました?」
「ええ、ちょうど今」
「ちょうどよかったわ。
 ゆうちゃんにスーパーまで買い物に行ってもらおうと思ってたところなのよ」
と、ゆかりちゃんのお母さん――今は俺のお母さん――は、手にしていた買い物メモとお金を俺に差しだしてきた。
メモに書かれていたものは、じゃがいも。しょうゆ。それに牛乳とパン。
「余ったお金で『はろぉ』と『プチステラ』買っていいからね」
聞きなれない単語に戸惑いながらも、うなづいてお金とメモを受け取る俺。
「俺も帰るところだから、途中まで一緒にいこうか」
にやりと笑うゆかりちゃん。
たぶん、俺が女子小学生の格好をして外を歩くところを見たいのだろう。
「じゃあ行ってくるねお母さん」
男の子が履く靴にはありえない明るい色使いのスニーカーを履きながらそういうと、
「あら、普段は『ママ』なのに珍しいわね」
と返された。
どきり! と、ひとつ心臓が跳ね上がる。
「ちょ、ちょっと変えてみようかと思ったけど、やっぱヘンだよね」
「やっぱり『ママ』のほうがしっくりくるわね」
ばれてしまうのでは? と思ったけれども、口から出まかせでなんとか誤魔化せたようだ。
「それじゃいってきまーす」
いろいろと追及される前に外に出てしまおうと玄関を飛び出すと、
スカートとサイハイソックスの間にある肌が露出した部分――いわゆる絶対領域の部分を風が撫で、
思わず悲鳴にも似た小さな声が漏れてしまった。
「それじゃ商店街まで一緒にいこうか」
先ほどのゆかりちゃんママの反応を見る限り、自分が「小学生の女の子」に見えているのは間違いないようなのだけど、
こんな女の子みたいな恰好で外を歩くというのはどうにも恥ずかしい。
もしゆかりちゃんの友達や俺の同級生に出会ってしまったらどうするか。
そんなことを考えていたら、運悪く向こうから小学生ぐらいの女の子2人組が歩いてきた。

374 :
【その7】
「あーっ! ゆうちゃんだーっ」
星やハートがちりばめられたパステルピンクのパーカーにショートパンツにという、いかにも活発そうな女の子が
自分の名前を呼びながらぶんぶんと元気よく腕を振る。
「う、うん」
名前も知らない子の呼びかけに生返事する。
「いまのが葵ちゃん。もう1人が結衣ちゃん」
わかるはずがないであろう彼女らの名前をどうやって呼ぶか、
それを悩んでいるとゆかりちゃんがそっと耳打ちしてくれた。
「そちらの方は?」
黒いジャンパースカートにブラウスと、いかにもお嬢様っぽい結衣ちゃんが
本当ならば友達であるはずのゆかりちゃんの方を「知らない人」を見る目つきで眺める。
「ええと、雄介ちゃんの友達かな?
 俺は井沢ゆかりって言って、雄介ちゃんの家庭教師をしているんだ」
堂々と、大学生らしく、そして初めて会ったかのようにふるまうゆかりちゃん。
「この人がゆうちゃんの家庭教師ね……」
まるで子犬のようにぐるぐるとゆかりちゃんの周りを回りながら、
品定めするかのようにじろじろと眺める葵ちゃん。
「ゆうちゃんの先生、結構カッコいいじゃん」
ボーイッシュな印象とは裏腹に、びっくりするほどキュートな笑顔を見せる葵ちゃん。
「はじめまして、赤坂結衣といいます」
結衣ちゃんがぺこりと頭を下げると、ヘアバンドがアクセントになったロングヘアがサラサラと揺れた。
「で、2人でどこ行くの? デート?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
慌てて否定する俺。
「商店街まで買い物に行くついでに、先生を送ってくだけだってば」
たぶん、こんな感じで話しているだろうという感じで、なんとか言葉を紡ぎだす。
「ふーん」
どこか疑いの目を向ける葵ちゃんと、ただニコニコと笑う結衣ちゃん。
「ま、いっか」
疑うのにも飽きたのか、葵ちゃんは急に歩き出した。
「じゃ、また明日学校でね!」
「それではまた」
遠ざかる2人の背中を見送りながら、なんとかやり過ごしたとひとつ大きく息を吐く。
こんなに緊張したのははじめてかもしれない。
「友達でも見破れないでしょ?
 雄介ちゃんはどこからどう見ても『小学生』なんだから安心して明日から学校に行ってね」
「まだ続けるの!?」
「さっき言ったように、次の家庭教師の時に戻してあげる。
 それに今戻しちゃったら、やりたかったことなにもできないし」
「やりたいことって?」
「ヒミツ」
立場を交換してまでもやりたいこととはなんだろう?
強く問いただせないまま、俺の立場になったゆかりちゃんは電車に乗って帰ってしまった。1人残された俺には、もはやどうすることもできず、
ゆかりママに頼まれた買い物をこなし、そして本屋に寄って『はろぉ』と『プチステラ』を買って
――本当に帰るでいいのか疑問だけど――帰るのだった。

375 :
【その8】
「ただいまー」
よその家に入るのに「ただいま」というのもなんだか落ち着かないけれども、
「今はここが自分の家」だと言い聞かせながら入る。
ママに買い物してきたものを渡し、雑誌を抱えて部屋に戻る。
そして本来の主がいない部屋のベッドに寝転がり、枕に顔をうずめてみる。
ふんわりと香るゆかりちゃんのにおいが俺のロリコン中枢を刺激して、
どうしようもないほど『俺自身』を硬くしていく。
寝返りを打って仰向けになり、スカートを少しずらしてみる。
すると、柔らかく薄い布地に包まれたペニスが、強烈なまでに自己主張していた。
みちみち……と音まで聞こえそうなほど限界まで伸びた女児用パンツはまるでテントのように張り、
その頂点は粘り気のある液体でじっとりと湿っていた。
「こ、こんな……ゆかりちゃんの部屋で……」
小学生女子の部屋で、女の子の服を着てのオナニー。
やってはいけないとわかっていても、想像するだけで脳みそがしびれてしまう。
「ちょ、ちょっとだけだから……」
誰にしたわけでもない言い訳を自分に言い聞かせながら、ゆっくりゆっくりと股間へ指を伸ばす。
そして指がペニスに触れた瞬間
「……っ!?」
なんとも言えない独特の感覚が電流のように全身を駆け巡った。
トランクスの上や直接握っているときとは全然違う感触がなんとも心地よく、
何度も何度も触ってしまう。
どんどん昂っていき、そして絶頂への道が開かれようとした瞬間、
ドアをノックする音で一気に現実へ戻された。
慌ててスカートを元に戻し、ベッドに腰掛けなおす。
するとドアが開いてゆかりママが入ってきた。
オナニーがばれなかったことを安堵しつつゆかりママに視線を移すと、
「ゆうちゃん、明日からプールでしょ?
 新しい水着にゼッケンつけといたわよ」
と、俺に紺色の合成繊維製の布を渡して部屋から出て行った。
広げると、両サイドに白いラインの入った、よくマンガなんかで出てくるものとは全く違う
本物の『スクール水着』があった。
胸には「5-2 橋口雄介」と書かれた白い布が貼りつけてあった。
小学生の女の子が着るはずの水着が、自分のものとして手元にある。
明日、これを着て『同級生』の女子小学生の前に出る。
そう考えただけで、また自然と股間が硬くなっていくのを実感した。

376 :
今回はここまで
久しぶりに長いの書いたら、どことなく違和感
リハビリが必要なようです。
一応、オチまでは考えてはあるのですが
>>370のネタ(自分で書きこんだ)とか、
・セレブ主婦と男子中学生
・姫騎士とオーク
・不良男子高とお嬢様女子高の集団交換
なんかもいずれやりたいところ

377 :
乙ッ……圧倒的な乙!
続きを切望していました。GJ!
セレブ主婦になってオタつく男子中学生の話もぜひ見たいですね!

378 :
乙です。最近、発見しましたが復活した由紀の世界にある、白の薔薇ってここ的には該当かな、双子の男女
の立場入れ替わりなんですけど。あと、洋画で Student Exchangeという
よく似た学生の男女がお互いの友人が好きなため立場を交換する映画がありました。
日本語字幕はありません。

379 :
由起の世界のその作品を余程気に入っているのか?
前にも書き込んでいた気がするぞ

380 :
反応が欲しいからと言って同じ内容の書き込みをしたり
sageなかったりするのは嫌われる原因になるから気を付けような

381 :
違う端末からですが、378です。378が初カキコミなので、前に書いた人は別人のはずです。
しかし、不快な気持ちにさせてしまったならば、申し訳ありません。これからは、以前のスレやカキコミも
チェックします。

382 :
pixivに何点か立場交換モノが来てた
ここにも投下してくれないかなぁ
>>377
ゆるやかに巻いたゴージャスなロングヘアを
「頭髪違反だ」とバリカンでバリバリ刈られるとかいいなぁ、と思ったので!

383 :
ホモとかゲイのジャンルなのか…

384 :
見たい人がいるかわからないですが動画です
全部海外で英語ですので細かいことはわからんです
立場変化みたいな感じのものと、立場憑依?みたいな感じのもの
男→女
ttp://www.youtube.com/watch?v=sc9qGUm9WIs
男→男、男→女
ttp://www.youtube.com/watch?v=rMQlIC8dva0
男→女
ttp://www.youtube.com/watch?v=oOzkMMjttpU
女→男
ttp://www.youtube.com/watch?v=PCa6i163ipg
男→女、女→男
ttp://www.youtube.com/watch?v=b6H_hIRJkoU

385 :
GJだが、そんなのどこから見つけてくるんだ・・・

386 :
ひさしぶりにいろいろ続きが来たけど「辞令は突然に」の続きも来ないかな

387 :
あーのーひあーのーとーき
あーのばーしょーで

388 :
カーンチ!立場交換しよ?

389 :
超常現象的な内容ではない立場交換モノを書きたい熱が上がってきた
たとえるならFT-type2のSSみたいな

男の子っぽい名前だけど凄い大人しくて小柄な文化系女子が
女の子っぽい名前だけど体育会系男子と取り違えられて
応援団とか柔道部とかバリバリな体育会系部活に入れられる
一方、女の子っぽい名前の男子は服飾部とか家庭科部などの
「超女の子所帯かつ女の子らしさを磨く部活」に入る羽目になる

そうやって中学3年間を過ごした結果、2人のクラスでの立場や内面はどうなっていくか・・・・・・
とかね

390 :
職業とかほとんどの立場は入れ替わってるのに、
一部だけ入れ替わらないというのはどうなんだろうか

たとえば自分の父親とクラスのアイドル的存在の女子の立場が入れ替わり
クラスのアイドルが自分の家で風呂上りパンツ一丁でビール飲んだり、
自分の成績に対して説経したり、母親と「夜の生活」したりとかなんだけど
なぜか職業だけは学生のままで
セーラー服を着た『父親』と毎日一緒に登校することになるの

391 :
正直、そうする意味がわからない

392 :
意味があるかどうかはわからんが、
とにかく作品が投下されないかな、と

393 :
なにか投稿があることを祈りつつ

394 :
 東征歴29年八の月、新生シーリカ帝国の皇帝の第四皇子であるゲール(当時12歳)に、東方の属国カクの第三王女フーティエ(当時13歳)が嫁いだ。
 カクは、現在の領土こそ狭いが、かつては旧シーリカ帝国の譜代家臣であり、歴史上、皇族の降嫁や養子縁組も何度か行われた名門の家柄である。武力や経済面での現在の影響力はさほど大きくないが、それなり以上の権威も有している。
 未だ完全に安定期に入ったとは言い難い新生帝国としては、できるなら味方に取り込んでおきたい相手だった。
 もっとも、その点はカク王国側も同様で、緩慢に衰退気味な国勢を、叶うことならプラスの方向へと押し戻したいという希望を、国の上層部は抱いている。
 それらの懸案を解決する手っとり早い手段として、政略結婚が選ばれたのもむべなるかな。フーティエ姫は、王族の務めとして粛々と父王からの命を受けて帝国に嫁ぐことになったのだ。
 このフーティエ姫、幼少時は非常に男勝りで活発なタチで、お目付役の目を盗み、王宮から抜け出しては、城下で同じ年頃の少年たちと、木登りやチャンバラをして遊んでいるような、俗に言う「お転婆姫」であった。
 さすがに10歳を誕生日を迎えるころから、多少は娘らしい淑やかさを身につけるようにはなったものの、根っこの部分は変わらず、父王を始め、周囲の人間は、このじゃじゃ馬娘が帝国で粗相をしないか、大いに心配していたのだ。
 しかし──周囲の懸念に反して、ゲール皇子とフーティエ姫の結婚は意外なほどの好結果をもたらした。
 その途上、「一度大きな災難に見舞われつつも、何とか無事に」シーリカの王都に到着したフーティエ姫は、「奔放」という噂が嘘のような、齢13歳とは思えぬ淑やかさと見識を示し、玲瓏たる美姫として、シーリカ皇室ならびにその国民に好意的に受け入れられる。
 かの姫の変貌に裏には、その身を護るために命を落としたひとりの若き騎士の存在があった……と記す書もあったが、これは俗説と推察の域を出ない。
 ともあれ、婚礼後、姫は夫となったゲール王子をよく支え、第一王子が即位した後、大公として臣籍に下った夫に従い、大公家夫人としてのちの名門パピヨン公爵家の礎を築くことに尽力する。
 また、実家であるカク王国との仲立ちも積極的に努め、おかげで王国は帝国の属国としては望みうる限りもっとも友好的な関係を築くことに成功した。
 当時の三人の(元)王子の妻は、それぞれ違う形で名が知られているが、その中でもフーティエ姫は「賢夫人」として、後世まで数多の書に名が記されている。
 さて。
 ここまでは、表向きの史書や資料に記されている事柄だ。
 しかし、この物語に目を通している人なら……あるいは気付いているのではないだろうか。
 ──嫁いだシーリカのみならず里帰りしたカクでも、「フーティエ姫」として遇され、たおやかなる大公夫人として讃えられ、夫との間に一男二女をもうけて、穏やかな生涯を送った人物が、本当は「本人」ではなかったことに。
 そう、先程、「一度大きな災難に見舞われつつも、何とか無事に」着いたと記述したが、じつは全然無事ではなかったのだ。
 率直に言おう。
 「災難」──反帝国派の放った刺客により、「本物の」フーティエ姫は、襲撃時に命を落としていたのである。
 では、誰が姫の代役を務めていたのか?
 それは……「史実」で「姫の盾となって命を落とした」されている若き少年騎士であった。
#──と、こんな感じのお話を妄想。つづきも書くべきか。以前某スレに投下した「かげむしゃひめ」っぽくなるけど。

395 :
続き読みたい!
けれども、あらすじである程度説明されてしまったのは少し残念

396 :
 そのカラクリについて語る前に、いくつかの情報を補足しておこう。
 そもそも第三王女フーティエには、乳兄弟であり幼なじみでもあり、密かに(と言っても公然の秘密であったが)恋仲でもある、新米騎士のヤンユーという15歳の少年がいた。
 その歳で騎士になるくらいだから、当然ヤンユーも国内有力貴族の出身であり、もし帝国との縁談が持ち上がらなければ、数年後、フーティエは彼の元に降嫁した可能性も大いにあったのだ。
 しかしながら、宗主国である帝国からの要望に、小国カクは逆らえない。いや、この一件に関して言うなら、逆らうこと自体は決して不可能ではなかったが、当然それは帝国の機嫌を損ねることになる。
 さらに言うなら、帝国皇家との血縁ができることで、カクにとっても相応のメリットも存在する。
 故に──お転婆な気質とは言えど、王族の務めのなんたるかはキチンと理解していたフーティエ姫は、泣く泣く父王からの命令に従ったのだ。
 若年とは言え、近衛に使える騎士に名を連ねていたヤンユーも、涙をのんで姫の決断を受け入れた。
 せめて最後のご奉公にと、ヤンユーは護衛騎士としてフーティエをシーリカまで送り届けることを願い出て許され、ふたりの(無論、彼ら以外にも随伴の人員はそれなりにいたが)シーリカまでの短い旅が始まったのだ。
 もっとも、歴史あるカク王国には、大きいとは言え新興国であるシーリカに唯々諾々と恭順することをよしとせぬ派閥も少なからず存在した。
 彼らのうち、もっとも過激な一派が、「王女の暗」という形で、帝国との婚儀を潰すことを企み……フーティエ姫一行は、シーリカ国境付近の山中に差し掛かったところで、山賊に擬装した傭兵の一団に襲撃を受けることになった。
 なまじカク、シーリカ両国の治安がよいことが災いして、一行には最低限の数の武官しか同行していなかったのだ。
 当然の如く、護衛騎士ヤンユーは、元恋人たる姫を守って獅子奮迅の活躍を見せた。若年ながら騎士なれたのは、何も親の七光ばかりではなく、彼が朱鳥流双剣術の使い手として優れていたからでもあった。
 しかし、不運なことに、彼はあまりに若く、実戦経験が足りなかった。
 激戦の場から姫を連れ出し、最後の盾として彼女を守りつつ、追いすがる敵を退けていた少年騎士だったが、元より双剣術は普通の一刀流よりも体力を大きく消耗する。気力だけで数で倍する敵と戦うことはいささか無理があった。
 古ぼけた祠へと追い込まれ、疲労で動きが鈍ったところを、追いついてきた敵のひとりに突かれ、あわや……というところで、彼の命を救ったのは、なんとフーティエ姫その人であった。
 無論その代償は大きく、姫は左鎖骨から腰にかけて、袈裟掛けに大きく斬られてしまう。
 激情のあまりその場の敵数人を瞬く間に斬り伏せたヤンユーだったが、すぐさま駆け寄った彼の目にも、姫の命が風前の灯であることは明らかだった。
 迫るを目前にして、フーティエ姫は弱冠13歳とは思えぬ落ち着きを見せ、ヤンユーをなだめ、彼の身が助かったことを喜び、同時に王家の姫としての義務を果たせぬことを詫びた。
 そして、自分は大命を果たせなかったが、ヤンユーはこれからも生きて両国の懸け橋となるべく尽力してほしいと言い遺して、愛する少年の腕の中で静かに息を引き取ったのだ。

397 :
 言うまでもなく、少年は慟哭した。
 そして……その時、遅まきながらも奇跡が起きたのだ。
 古ぼけた祠に祀られていた存在──現在のカクの地ではあまり信仰する者もいない山の神が、小さな妖精の如き姿をとってヤンユーの前に顕現した。
 ヤンユーは、一瞬呆けた(神祇官や巫女でもない限り、神聖な存在と顔を合わせる機会など皆無に等しい)が、すぐさま山神に姫の蘇生を願い出て──拒絶された。
 ぬ直前ならともかく、した魂を冥府から引き戻すことは、神と言えども理で禁じられている、と。
 しかし、少年の目に宿った希望の光が、すぐさま絶望へと変わりかけたところで、山神は彼にひとつの提案を示した。
 者を甦らせることはできない。しかし、「んだのがフーティエ姫ではなかった」という風に因果を書き換えることなら、我の力でも可能だ、と。
 そしてその対価として、「護衛騎士ヤンユーの」という「事実」が必要になる、とも。
 ヤンユーは、考えるまでもなく、その提案へととびついた。
 彼は、「自分が身代りにぬことで、姫が生き返る」と解したのだが、実の所、それはあまりに短絡的な発想であった。
 「では、よいのだな?」という山神の問い掛け頷いた途端、少年騎士の気が遠くなり……しかし、しばしの後、そのヤンユーは意識を取り戻した。
 はて、自分は姫の代わりに冥府に旅立ったのではなないのか……と、いぶかる間もなく、少年は自らの服装に違和感を覚える。
 従士の身から騎士に昇格しておおよそ一年余り。近頃、ようやく装備していても意識せず自由に動けるようになってきた、甲冑の重みを体に感じないのだ。
 否。それどころか──騎士の丈夫な鎧下ではなく、色鮮やかで着心地がよく、袖も裾もひらひらと長い、錦織の貴妃服(ドレス)を身につけているではないか!
 しかも、その服に少年は見覚えがあった。紛れもなく、最愛の女性であるフーティエが身に着けていたものだ!
 ハッと背後を振り返ると、そこには傷だらけの鎧を着た騎士……の装いのフーティエの亡骸があるではないか!
 もっとも、膝まであったはずの見事な髪は襟足ほどの長さに切りそろえられ、貴婦人のたしなみたる化粧もしていないため、一見したところ美少年に見えないこともなかったが。
 そう言えば、反対に自分の髪が、いささか長くなっていることに、今更ながらヤンユーは気づいた。
 どういうことかと声を荒げて問う少年に、山神は説明する。
 彼の為した奇跡によって、ヤンユーとフーティエの「立場」を交換したのだ、と。
 すなわち、「カク王国の第三王女フーティエ」という立場を少年が受け継ぎ、「彼女の護衛騎士である少年ヤンユー」の立場を今は亡き姫が継承したのだという。

398 :
 神聖な存在への敬意も忘れ、元に戻せと詰め寄りかけたヤンユーだったが、ふと、最愛の姫の最期の言葉が脳裏をよぎる。
 人の生は覆らない。しかし、んだのがフーティエ、ではなく「ヤンユー」だったということになり、彼が「フーティエ」としてシーリカに嫁げば、無事婚儀が行われ、両国間の絆となることができるだろう。
 それこそが、かの姫が望んでいたことではないのか?
 しかし……自分にそんな大それた任が務まるだろうか。
 山神の言うことを信じるなら、今の自分は他の誰が見ても「フーティエ姫」にしか見えず、そのことを疑う者はいないらしい。
 また、姫のことについては、幼いころからともに育ち、長じて心を通わせた自分は、誰よりもとは言わぬまでも、詳しい事にかけては上から数えて五指に入るだろう。
 貴族の家に生れた者として、宮廷の儀礼や基礎知識もそれなりにあると自負している。
 さりとて、自分は一介の騎士で、しかも男だ。
 若い女性としての暮らしになじめるのか、あるいは貴人の娘らしい知識やたしなみに疎い点もいささか問題ではないか。
 そう危惧していたのだが、結論から言えば杞憂であった。
 彼の中には、元のヤンユーとしての記憶に加えて、「王家の姫フーティエとして蝶よ花よ育てられてきた記憶とそれに伴う知識」も存在していたのだ。
 山神いわく、それこそが因果を重ねて取り替えたことの証であるという。
 ここに至って、彼も、「フーティエ姫」として生きる、生き抜く覚悟を決めた。
 折よく、賊を撃退した一行の残りの護衛達が、自分たちを捜す声が聞こえてきたため、ヤンユー……いや「フーティエ姫」は、祠から歩み出て、自らの無事を告げる。
 同時に、自らをかばって果てた勇敢な護衛の騎士のことも。
 「フーティエ」の亡骸は、故郷であるカクに送り返され、家族のもとで丁重に葬られることとになった。
 「フーティエ姫」一行は、いったん手近な人里に逗留し、護衛の増員や欠員の補充を行った後、そのままシーリカへと旅立ち、半月余りの旅程を経て、さすがに今度は無事にシーリカの王都へと到着する。
 かくして、「フーティエ姫」という立場に成り替わった元少年騎士は、本物の姫が為すはずだった事柄──シーリカ王族への輿入れを(内心はともかく)粛々と受け容れることとなったのである。
#と、ここまで。まぁ、続きは蛇足な気もしますが。ちなみに、「フーティエ」「ヤンユー」は、それぞれ「胡蝶」「揚羽」を中国っぽく読んでみた感じ。いや、中国語の知識がある人から見たら噴飯ものかもしれませんが。

399 :
続き、期待していますですよ

400 :
あは〜ん

401 :
FT-type2の「写真であそぼう」6/8投稿分の「生徒交換」がステキすぎる
短くてもグッときた

402 :
>401
そう言えば、あそこに掲載されてる「あの場所」とか「もう一つの場所」が、自分の「立場交換物」の原体験だなぁ。

403 :
>>402
なんだかんだであそこの作品が原点って人、多いよね

404 :
FT-type2といえば「新しい幼馴染」もよかった
ほぼ第三者視点で立場交換を描いた作品(しかも交換に気づいている)はほとんどない
ちょっと未完っぽい終わりなのが残念

405 :
一日目:予兆
「おい、房枝!どういうことだ!」
俺は胴間声で女房を呼んだ。はいはいどうしました、とエプロン姿の女房がやってくる。
洗濯物が入っている籠を、俺は顎で指し示した。
「なんで俺のを未華子と一緒にしてるんだ!別にしてくれって言ったろう」
俺は憮然とした口調で言った。まったくどうかしている。
俺の下着が娘の下着と一緒に洗濯されるなんて、たまったもんじゃない。
「どうしたのー」
娘の未華子が顔を出した。高校に入ってから色気づいたらしく、いっちょ前に化粧なんぞしとる。
それも気に入らん。俺は未華子に噛み付くように文句を言った。
「ここに入れたのは未華子か? 俺のと一緒にするなって言ったよな」
「えー、私はパパと一緒でもいいんだけど」
「俺が構うんだ!房枝、ちゃんと別々にしておけよ」
未華子は悲しそうな顔をしていたが、俺はそれに構うこと無く居間へと戻った。
とても自分で未華子のブラとショーツに触れる気にはならない。女子高生なんぞの下着に触る自分を想像するとゾッとする。
……ん?
「なんか、妙だな……」
なにかがおかしい気がした。普段は、同じ事を俺が言われていたような…………いや、そんなわけないか。
華の中年オヤジと一緒に洗濯されるのが嫌な奴なんて、そういないだろう。
俺はチャンネルをCSに変えてゴルフ番組を観始めた。俺と同じ年代くらいのプロがスイングの仕方を解説している。
「ねーパパ。わたし観たいドラマがあるんだけど、録らせてくんない?」
途中で未華子がそう言ってきたが、あいにく裏番組の時代劇も録画中だと一喝した。一家の大黒柱が好きなものを好きなときに観て何が悪い。
「は?信じらんない!ゴルフなんて何が面白いのよ!」と捨て台詞を残していったが放っておいた。
ふん、週末は打ちっぱなしにでも行くか。

406 :
二日目:嗜好@
翌日。押し合いへし合いをしながら満員電車に乗り込んで吊革に掴まると、俺はホームで読んでいた雑誌を小さく開いた。
『夏の愛されコーデ!小悪魔メイクで愛する自分から愛されるワタシに』という特集だ。
流行りのアイラインの色や、綺麗な引き方が写真付きで解説されている。
「ほう…今年の流行はこんななのか」
感心しながら読み進めていると、昨日と同じ違和感を感じた。
俺は普段からこんなのを読んでいたか……?そもそも俺は化粧なんぞしていない。なぜこの特集が気になったんだろう。
いつもは、スポーツ新聞を読んでいたような……俺はそっと周りを見渡した。
若いサラリーマンは普通の新聞を読んでいたが、俺と同じくらいの年代の中年リーマンは、みな女性向けのファッション誌を読んでいる。
一方、制服姿の女子高生たちは下世話な週刊誌やスポーツ紙を読んでいた。
その光景に安心した。なんだ、いつもどおりの通勤風景だ。
    ※
    
「昼飯に行ってくる。後は頼んだぞ」
「部長、ご一緒していいですか」
「ああ、行くか」
俺は部下の中条と共に、社外に出た。夏の日差しがジリジリと首筋を焦がす。
そのまま行きつけの店に……おっと。俺はうっかり定食屋に入ろうとしていた自分に気づき、苦笑いをした。
最近の俺は夏バテか何かなんだろうか。こんないかにも女子高生がたむろしてそうな、大盛りが売りの定食屋に入ろうとするなんて。
「ここはちょっとな」
「確かに、部長にはあまり……そういえば、この先にカフェができたそうですよ」
「そっちにするか」
中条の勧めで少し歩き、小洒落たカフェに入ることにした。
昼休みに入ったOLたちや俺のような中年リーマンたちで席が埋まり、なかなか繁盛しているようだった。
歩いている間に顔にびっしり汗を掻いた中条は、席に着くなりお絞りで顔を拭き始めた。
年頃の男である俺にはできない真似だが、とても気持ちよさそうだ。
注文も決まったのでウェイターに伝えると、すぐに料理がやってきた。
オフィス街にあるということもあり、短い昼休みでも気軽に来れるよう気を使っているのだろう。
「茄子とベーコンのアラビアータ大盛りの方、お待たせ致しました」
「俺です」
中条が促すと、大皿に乗ったスパゲッティがテーブルに置かれた。
トマトソースを使っているためわかりづらかったが、唐辛子も入っているようでいかにも辛そうだ。
大盛りのため、とてもボリュームがある。見ているだけで腹がいっぱいになりそうだ。
「こちらは、アメリカンクラブハウスサンドで御座います」
「ああ」
俺の前にチキンやレタス、トマトが挟まれたサンドイッチが置かれた。
量は控えめだったが俺にはちょうどいいくらいだ。とても中条のような量は食えないからな。
俺は中条と雑談しながら、ひとときのランチを楽しんだ。食後に来るティラミスも楽しみだった。

407 :
二日目 嗜好A   
「帰ったぞ。おい、これ頼む」
「あら、どうなさったの」
「ちょっとな」
俺は出迎えた女房に鞄だけ渡すと、居間へと急いだ。
「あ、パパお帰り〜」
既に帰宅していた未華子が振り返った。近寄るとふわっとした女の子らしい臭いが鼻をつき、俺は顔をしかめた。
まったく、年若い女ってのはなんでこう汗臭いんだ。
未華子は制服を脱いだブラとパンティだけの姿で、塩辛をつまみに缶ビールで一杯やっていたようだった。
普段なら見苦しいものを見せるな、寝間着を着ろと注意するところだが、それどころではなかった。
俺はチャンネルを手に取り、時事ニュースから切り替えた。
「ちょっと、ニュースくらいゆっくり観させてよ!」
「うるさい、俺も観たいのがあるんだ」
俺は民放ドラマにチャンネルを合わせると、ぺたんと女の子座りをしてテレビにかじりついた。
イケメンばかりが出てくる恋愛ドラマだ。お気に入りの俳優が出ているのを見つけると、俺の胸が高鳴った。
「うおお…今週も幾田くんは格好いいなあ……」
うっとりと俳優たちを見つめていると、未華子は溜め息をつきながらダイニングへと引っ込んでいった。

408 :
三日目:身嗜み
「ふう、これでよしと」
翌日。俺は朝の忙しさの中でどうにか化粧を終え、化粧台に映る自分を満足気に見つめた。
パール感のあるピンク色の下地に、お手軽なリキッドファンデーションを重ね、
ゴルフ焼けした中年の浅黒い肌をひとまずカバー。
ブラウン系のシャドウとアイライナー、さらにマスカラもバッチリ決めた両眼は、
若い頃からまるで鬼瓦のようだと言われてきた顔の印象をだいぶ変えていた。
もじゃもじゃとしていた眉毛も整え、獅子鼻から顔を出していた鼻毛もエチケットカッタ—で切りそろえてある。
最後にほんのりと桜色のチークを乗せ、いかにも中年の男らしい可愛らしさも演出した。
スーツ姿に映えるメイク術!という中年男性向けのファッション記事を参考にした甲斐があったな。
鏡の中には、がっちりした堅太り体型の角刈りのオヤジが、メイクをキメた顔でこちらを見つめ返している。
最後にブラとネクタイの位置をそれぞれ直すと、くたびれたグレーの背広を羽織った。
「よし、いってくる」
「いってらっしゃい、あなた」
俺は房枝に声をかけ、用意させた鞄を受け取った。
ドクロとクマが合わさったようなキモカワ系マスコットが、革の通勤カバンにぶら下がっている。
最近のお気に入りだ。俺は革靴の中に水虫気味の足を捻り込み、出勤した。
    ※
    
「ああ、その件は今週中に頼む。それでは」
その日の午後。マニキュアを塗った指で、俺は携帯の終話ボタンを押した。
マニキュアの色は、武骨な俺の手にもさり気なく華を添える薄い桜色で、なかなか気に入っていた。
もちろん携帯も宝石のようなシールを貼り付けてデコってある。だが、上には上がいた。
「高畑くん、立端商事とのミーティングの日程だが…」
「先方と調整済みです。こちらが新しい予定表です」
俺が顔を上げて書類を差し出すと、ヤマンバメイクで顔を真っ黒にキメた宇野常務がそれを受け取った。
カッターシャツの上からは、派手な黒いブラの色が透けて見えている。
宇野常務は真面目そうな黒縁眼鏡を上げ、白いアイラインが際立った眼で書類をしげしげと眺めた。
「ああ…これなら問題ないな。それと……おっと、失礼」
流行りの男性アイドルグループの着うたが流れると、宇野常務はぽっこりと突き出た太鼓腹を揺らして携帯を取り出した。
それはデコられた…というよりは、まるでデコっているシールが本体のようだった。
隙間なくキラキラしたジュエルシールで覆われ、大量のストラップがじゃらりとぶら下がっている。
あそこまではできないなと思いながら、俺は宇野常務の通話が終わるまでそのストラップたちを眺めていた。

409 :
四日目 魅力@
「うわっ、マジでレベル高くね?」
「っし、いってみっか。なあ、そこのオッサン!」
朝。駅前の横断歩道で信号待ちしていると、若い男二人組が俺に声を掛けてきた。
それぞれ茶髪の坊主頭と金髪のツンツン頭の、チャラチャラした若者だ。
茶髪の方は日焼けサロンにでも通っているのか、
こんがりと日焼けした逞しい腕をタンクトップから剥き出しにしている。顎髭を生やしたワイルドな風貌だ。
金髪の方はワックスでバリバリに髪を立たせ、まるでホストのようにカッターシャツを着崩していた。
こちらは整った顔つきのイケメンだ。ひょっとしたら、本当にホストなのかもしれない。
急に知らない男から話しかけられて、俺の心臓がドクンドクンと高鳴る。
喉がカラカラになりながら、かろうじて返事をした。
「な…なんだね。君たちは」
「いやさ、そんなビビんなくていいって。
 俺らさ、これから遊び行くとこなんだけど…オッサンも一緒にどうよ」
「そうそう!会社なんてサボっちゃってさ。カラオケとかでパーッと騒がね?」
急に話しかけられたので驚いたが、どうやら俺はナンパされているらしい。
丁重に断ったが、茶髪の方は俺に小さなメモを渡そうとしてきた。
「コレ、俺のメルアド。暇な時はいつでも連絡くれよ!」
「待たんか!こんなもの渡されても俺はーー」
返そうとしたところでちょうど信号が青になり、若い二人は人混みの向こうに遠ざかっていった。
かろうじて二人のやり取りが聞こえる。
「うっし、メルアド渡したぜ!あぁー、早くメール来ねえかなぁー!」
「やっぱ彼氏いるんじゃねーの。あのオヤジすげー可愛かったしよー」
まだ胸の高鳴りが収まらない。
人混みに揉まれ、通勤ラッシュでごった返す駅の改札を抜けて、ギリギリで電車に駆け込んだ。
そのまま汗みずくの体で吊革にもたれ掛かった。
この年で駅の階段を駆け下りたのもあり、脂汗がひどい。あとでメイクを直さないとな。
しかし…ナンパか。窓ガラスに映り込む自分の姿を見ながら、俺は貰ったメールアドレスを胸ポケットに仕舞った。
嫌味な言い方になるのは承知だが、俺は割りとモテる方らしい。
中年という男として華のある年齢であることに加え、容姿からして”理想の中年オヤジ”だと同期に言われたことがある。
大学時代にラグビーで鍛えた頑健な体には脂肪がつき、運動をしていた男特有の、典型的な固太り体型だ。
腕毛や脛毛も濃い上に、ビール腹気味の腹にはむさ苦しいへそ毛が茂ってしまっている。
両足は短足な上にガニ股気味のため、
ショーツに収まり切らない太短いチンポがスラックスに押し当てられ、もっこりと股間を盛り上げている。
肝心の顔はといえば、角張った顎に鼻っ柱の太い鼻、太い眉と鋭い目付きがいかにもな"頑固オヤジ系"だ。
髪型は男らしい角刈り。
トレンドの最先端であるバーコード禿げではないものの、俺の生え際もM字に後退している。
連日の営業と休日のゴルフで日焼けした肌はもちろん脂っこく、ツンと酸っぱい加齢臭を放っている。
「お前は無自覚なようだが、気をつけろよ」
この間二人でスイーツバイキングに行った時に、同期の松本に言われた言葉を思い出す。
「正直言って、ちょっとしたモデルよりお前はオヤジ臭い外見だからな。
 若い女の前で隙を見せてみろ。あっという間に襲われちまうぞ」

410 :
四日目 魅力A
そんなことを思い出しながら、カッターシャツの胸元をパタパタとはためかせた。
ん?俺に身体を押し付けられていたギャル風の派手目な髪色の女子高生が、
ねっとりとした眼つきで俺の胸元を見つめているのに気づいた。
肌はこんがりと小麦色で、最初は宇野常務のようなガングロメイクをしているのかとさえ錯覚した。
だが、さすがに若い女がメイクして満員電車に乗るなんて、あまりにも変態すぎる。よくよく見ればただの地黒のようだった。
そのギャル女子高生の目線の先を確認すると、汗で俺のブラが透けてしまっているのが分かった。
まったく、若い女の性欲には呆れ返るばかりだ。下半身でモノを考えているんじゃないのか。
俺は鼻息荒くそいつを睨みつけると、別な方を向いて胸元を見られないようにした。 
だが、それが間違いだった。
反対を向いた俺の背中に、むにゅりと二つの柔らかい塊が押し付けられた。
そのおぞましい感触に、鳥肌がぞわりと広がる。
後ろからギャル女子高生のうっとりとした溜め息が聞こえた。
「おじさんえろすぎでしょ……リカを絶対誘ってるし」
はぁん…と甘い声音で囁くと、女子高生は俺のがっしりした腰に腕を回した。
撫で回すような動きで、徐々に股間のジッパーに指を伸ばしていく。
俺はというと、この時点でもう泣きそうだった。声を出して助けを求めたいが、こんな姿を見られるのはあまりにも恥ずかしい。
抵抗しようと、吊革に捕まっていない方の手で女子高生の手を払ったが、すぐに蜘蛛のように絡みついてきた。
そのまま両手を使われ、為す術もなくスラックスのジッパーが降ろされていく。
その間も豊満なバストが俺の背に押し当てられ、柔らかな感触を伝え続けていた。
ぐおおお!なんて気持ち悪さだ!
「んっ、すごい加齢臭……でもリカね、加齢臭濃いおじさん、大好きなの…」
リカというその痴漢は甘く俺の耳元で囁くと、パンティをずらし、俺のイチモツを指で弄り始めた。
雁首を擦り、目立たないように短いストロークで扱き、ときおり甘い溜め息を漏らす。
悲しいことに男である俺の体も反応し始めた。
満員電車の中で人知れず痴漢されている、という異常なシチュエーションが、
背徳感と快感に火をつけていく。
俺は感じている声が漏れないよう口を抑え、角ばったオヤジ顔が快感でとろけそうになるのを必に堪えていた。
俺が懸命に快感と戦っているうちに、降りる駅が近づいていた。次の駅だ。
だが無慈悲にも、痴漢の扱くストロークが早まり出した。
「…ッ、もうダメ……おじさんもリカと、一緒にイコ? んんっ…!」
射精直前の裏筋の収斂が始まり、俺の括約筋が限界に達した。
「んぅ…おっ!」
背筋に快感が突き抜け、俺の怒り肩がヒクヒクと上下に揺れ動いた。
極力声をしたが、それでも抑えきれない喘ぎが漏れてしまった。
周囲にイカ臭さがぷうんと広がり、それに気づいた他の女子高生たちが怪訝そうに周囲を見回していた。中にはいやらしい顔つきの者もいる。
プシュウとホーム側のドアが開くと、俺は下を向いて足早にホームへの人の流れに乗った。
顔を真赤にしたまま、ふらふらと男子トイレに入り、個室に鍵を掛ける。
悔しさで涙が溢れそうになる。
スラックスを脱ぐと、お気に入りの白いパンティは精液でずっしりと重たく湿り、乾き始めたところには黄色い染みが浮かんでいた。
俺の眼から悔し涙がこぼれ、自分の精液で粘つくパンティに落ちた。

411 :
こんにちは、以前こちらに思いやり学習を書いた者です。
そういえば段階を踏んで立場が入れ替わってく作品ってあんまりないなあ、と思ったので書いてみました。
まだ続く予定ですが、今回の投下は以上です。
それでは

412 :
イカレ具合が素晴らしい!
続きを楽しみにしてます

413 :
これは超期待ですな

414 :
>>411
GJ!
続き待ってます!

415 :
>>411
これはとんでもないものが着てしまいましたよ!
GJであります!
今後、女子高生はもっともっとオヤジ化して、
オヤジのほうはもっとギャルっぽくなっていくのかと思うとドキドキです
続き、期待してますですよ

416 :
乙ですー、やっぱり複数の人間が投下してスレがにぎわうのが健全(エロパロ板でいうのもなんですが)でいいよネ!
そして、私もちょびっと投下。まぁ力作のあとの箸休め程度に見てやってください。

『厄違(やくたが)え』10
 "夏樹真紀"が龍刻高校に女生徒として通うようになって、おおよそひと月余りの時が経過した。
 新学期早々に、"彼女"の事情が友人ふたりにバレるというハプニングはあったものの、その後は何事もなく、極めて平穏無事な女子高生ライフを送っている。
 ふたりの友人──多岐川茉莉、来栖萌絵との仲も良好で、休み時間や放課後の部活のない時は、3人で過ごすことも多い。
 また、茉莉の人懐こさと人徳に助けられて、孤高な夏樹勇美の立場を受け継いでいた真紀や、やや厨二っぽい言動(もっとも、ある意味、本物の霊能体質だったわけだが)から孤立気味だった萌絵も、徐々に周囲の女の子の輪に受け入れられるようになっていた。
 「うーん、茉莉さんにはいくら感謝してもしきれませんね」
 「──然り。我が永遠の友好を貴女に」
 日曜日に、女の子3人(もっとも内ひとりは偽の字がつくが)で、街まで遊びに来て、映画を見たあと、お昼を食べながら友人ふたりに改まって礼を言われ、アタフタする茉莉。
 「えぇ!?わたし、別にたいしたことしてないよぅ」
 本人は、これでも本気で言ってるところが、また凄い。
 さて、現代日本に於ける2月の目玉イベントと言えば、節分……ではない。
 いや、確かにそれはそれで大事な行事なのだが。ことに、夏樹神社の場合、祭神が元々、人々の汚れを祓うための流し雛であるため、追儺や厄払い関連の行事には力が入っている。
 その証拠に、二月三日には、節分祭として氏子の男性から数人が選出され、柿色の単衣(ひとえ)の着物を着て、鬼の仮面と腰蓑をつけ、金棒代わりの鉄製六角棒を手に、鬼役を演じる。
 対して神社側からは、たすき掛けした巫女たちが、あたかも鬼達を射るような姿勢で、梓弓の弦をはじいて鳴弦の儀を為すのが習わしだ。
 今年の巫女は、希美と真紀だけでなく、茉莉と萌絵も白衣に緋袴の巫女装束姿で手伝った。萌絵は流石に弓道部だけあって弓の扱いは堂に入っている。その点、茉莉は少々危なげだったが、それでも大過なく役目はこなし、些少ながらバイト代を得て喜んでいた。
 余談ながら、夏樹姉妹に助っ人2名を加えた4人の巫女さん達は、氏子は元より神社関係者──つまり夏樹家の面々プラス祭神たる河比奈媛本人(本神?)にも大変評判がよかった。
 萌絵に関しては、その神秘的なたたずまいと霊力の高さ(真紀ほどではないが、それに次ぐらしい)、そして物静かな振る舞いが、主に河比奈媛と宮司に気に入られていた。
 萌絵は、霊感的にはたいしたことがない(それでも希美よりはマシらしい)が、今時珍しいほど純粋で汚れのない心根と女の子らしい細やかな気配りが、これまた河比奈媛と、先代巫女の未央(姉妹の母だ)に受けがよかった。
 おかげで、ふたりは「機会があれば、ぜひまた手伝ってほしい」と夏樹家から念入りに頼まれていたくらいだ。

417 :
 閑話休題。
 現代日本で2月最大のイベントと言えば、社会的に見ても、やはりバレンタインデーだろう。商店街、ことに飲食店や食品関連の店ではチョコレートが大々的にクローズアップされるし、男性達はそれとなく女性に優しくなる。
 無論、女性陣の方も、誰に(何人に)、どんなものをあげるのかで、いろいろ悩ましくも楽しい(まぁ、面倒という人もいるが)行事である。
 で。
 実のところ、真紀・茉莉・萌絵の3人娘(?)も、ランチを済ませた食後のお茶を楽しんでいる時、「そろそろ用意しておくべき時期じゃないか」という話になったのだが……。
 「え? 何の話ですか?」
 よりによって、"そういうこと"にしっかりしてそうな真紀がキョトンとした顔で聞いてきたため、ふたりの友人は軽く混乱した。
 「え!? ま、真紀ちゃん、本気?」
 「これは冗談を言っている雰囲気ではない。茉莉、間違いなく真紀は真剣(マジ)」
 「た、確かに真紀ちゃんは神社の娘さんだし、こういう別宗教由来の行事には疎いのかもしれないけど……」
 「意外。こういう周囲への気遣いが必要な事柄は、キチンと押さえていると思ったわ」
 散々な言われようである。
 「な、なんか、好き放題言われている気がしますけど……二人とも、ちゃんと教えてください!」
 温厚な真紀も、さすがに少々機嫌を損ねたようだ。
 「えっと、だからね……」
 「Vday──平たく言うとバレンタインデー」
 「! ああ、なるほど……」
 ようやく真紀も合点がいったようだ。
 立場交換で女の子に"なって"いるとは思えぬほど女子力の高い真紀が、ここまで言われないと気がつかなかったのは、元"もらう"側だったことに加えて、結婚するまで女の子からチョコなどもらった事がなく、VD自体への関心が低かったせいだろう。
 加えて、河比奈媛による"立場補正"も、さすがにこういう舶来行事までは完全にはフォローしてなかったらしい。
 「そう言えば、女の子はこの時期、義理チョコとかをお世話になった方々に配らないといけないんですね〜」
 「うーん、お小遣い足りるでしょうか」と、眉をハの字にして可愛らしい根付のついた財布の中をチェックする仕草自体は、まるっきり年頃の女の子そのものなのだが。
 「あは、真紀ちゃん、まるで初めて義理チョコ買うみたいなこと言うんだね」
 「それは……」
 茉莉の言葉を肯定しかけて、ふと違和感を感じる真紀。
 (あれ? 茉莉さん達は、今の私が立場交換で女子高生やってるだけだって知ってるはずなのに……って、待った!!)
 そこまで考えて、重大な事実に、真紀は気付いた。
 (そう言えば、私の本来の立場は私の口からも比奈様からもバラしてませんけど──もしかして、女性と勘違いされているんじゃあ……)

418 :
 実はまさにその通りで、茉莉も萌絵も、真紀のことを「本物の夏樹家の次女と立場交換している、本来は厄年の"女性"」だと考えていた。
 しかも、この件については、ふたりでいる時に話し合って、「あんまりジェネレーションギャップを感じないことからして、そんなに年上ってこともなさそう。たぶん19歳で、33歳の可能性も微レ存?」といった結論になっていた。
 確かに、いくら神の力の介入があったとしても、まさか25歳の成人男性が、「16歳の女の子」の立場になって、女子高生ライフをエンジョイしてる(しかも、かなり女子力高め)とは、普通思うまい。
 遅まきながら、そのことに気付いた真紀は、一瞬、自分が本来は男であることを告白するか否か迷ったのだが……。
 「……実は、お恥ずかしながら、これまでそういう経験がないんです。よろしければ、アドバイスいただけませんか?」
 とりあえず、男だと告げることはやめておくことにしたらしい。
 (騙してるようで気がひけますけど、わざわざ私の口から言うのも、ちょっと気まずいですしね)
 「問題ない。わたしも、これまで家族くらいにしかあげたことはないから」
 幸いと言うべきか、電波系コミュ障気味な萌絵も、大差はなかったらしい。
 「もぅ、ふたりともダメだよぅ。男の人たちはね、VDに女の子からチョコを貰えることを楽しみにしてるんだから!」
 まぁ、そのぶん、「今時の女の子」のスタンダードについては、茉莉が熟知しているので、問題はなさそうだ。
 そして、茉莉のアドバイスのもと、真紀と萌絵も、部活や家族を含めた「お世話になっている男性陣」への義理チョコを買い揃えることになる。
 高校生の財布には、少々痛い出費だったが……。
 「うぉー! 義理とは言え、可愛い女の子からチョコがもらえるなんて!!」
 「神様仏様、夏樹様来栖様!」
 部活の男子連中が配ったチョコを前に盛り上がっているのを見て、「オトコって単純」と思いつつも、不思議と悪い気はしない真紀なのだった。
-つづく-
#時季外れもはなはだしいですが、以上。このSSの次の回は、卒業式くらいかなぁ。もっとも、次の投下は、たぶん「取替姫」の3章になりそうですが。

419 :
>>411
乙です。娘の変化の過程ももっと見たいです

420 :
短期間に2作も投下されててステキだ
両作者ともGJであります
もっともっと投下されることを祈る
>>344の続きとか>>375の続きとかも期待

421 :
俺って立場逆転していることに気付いていない・完全に受け入れているシチュの方が好きなんだが同意できる香具師はいるか?
一番好きだったのは『思いやり学習』で女子が水着に対して恥ずかしがらなかったところなんだが

422 :
変化した当事者、変化させた本人以外の人間が普通に知ってるのはなんだかなーって思う

423 :
変化していることには気が付いているけど、疑問には思っていないというシチュも面白いけどね
「今日は○○さんと××さんが入れ替わったんだ」
みたいな感じで、日常の一環として立場の入れ替えが存在する

424 :
よく分かるように凄く短いのでいいから
SSを書いてくれるとありがたい

425 :
『は〜い、始まりました!今日は話題のプールに来ております!』
そう言って、地域の観光スポット紹介番組のリポートをしていたのは
最近人気彷彿中の巨乳アナウンサーの立柳 千白(たてやぎ ちはく)だ。
『こちらのプールではある方法で入場すると入場料無料になるんです!!』
立柳がリポートしながら歩いていると大きな胸がぷるんぷるんと震えていた。
『なんと、男女のペアで水着逆転して入るだけ!早速私も入ってみましょう!!』
立柳はそう言うと、スタッフの一人を連れてプールの中に入って行った。
プールサイドの中は異様な光景が広がっていた。
スク水を着た男子と海パンを着た女子高校生のカップルや
ひらひらフリルのついたプリキュアの印刷がされている女の子の水着を着ているおじさんと
逞しいVパンを履いている幼女の親子連れという、水着をあべこべに着ている人が何人かいた。
しかしカメラが回っているのに恥ずかしがっていたり、胸を隠したりしたりする人はいなかった。
『おまたせしましたー!』と、マイクを持ちながら元気な声で立柳が飛び出してきた。
立柳はスタッフの海パンと交換しており、胸部には何も着ていなく、豊満な乳房がぷるんと震えていた。
乳首の近くにあるほくろが見えるほど胸部はオープンになっていた。また男性用の海パンのため、お尻は大変食い込んでいた。
対してスタッフは筋肉質な体にフリルのついた黄緑のかわいらしいビキニを着こんでいた。
『なんだか新鮮な気持ちですね、男の水着って!』そう言いながら立柳はプールサイドを歩き始める。
歩き回るたびに上につり上がった生意気おっぱいがぷるんぷるんとゆれていた。
このリポートは生放送で全国放送である。全国へ立柳のおっぱいが電波に乗せられているが、
立柳もスタッフ一同も視聴者も"立柳千白の珍しい格好"程度の反応でしかなかった。
むこうの方からハイレグを着た男の子とTパンを着た女の子が走り通り立柳にぶつかった。
『きゃっ!』と、立柳はこけそうになり、水着交換したスタッフは支えるべく手を伸ばし飛び出した。
結果はと言うとなんとか立柳の肩を支えこけずに済んだ。が、その急な動きでスタッフのビキニパンツの結び目がゆるみ、落ちてしまった。
股間部が全国へ電波に乗ってしまい、その映像はネットで『地上波でのエロ画像』として残ることになった。
あのハプニングから数年、スタッフのあの映像は未だ男に人気のオナネタであった。
拙い文ですが…

426 :
いいじゃないか

427 :
なるほど分かりやすい
良い意味でカオスで面白い

428 :
カオスでいいなぁ
この世界観でなにか書いてみたいと思わせるほどに

429 :
>>425
その展開だとプール外では普通の状態もに戻るから
家に戻った時にこんな事があるかも
プールから6歳になる娘を連れて帰宅すると妻が出迎えてくれた。
「お帰りなさい」
「ただいま〜、とっとも楽しかったよ」
「あなた、お風呂沸いてるから菜々と一緒に入っちゃって」
「おう、そうかありがとう」
妻に促されるまま娘と一緒にそのまま脱衣所へ足を運ぶ。
濡れた水着も洗濯をしないといけないので荷物もそのまま持っていく。
それにしても良く娘の小さい水着が着れたものだとしみじみ思うが、プールではプリキュアの水着に
大喜びではしゃいでしまったのも事実だ。
好きなプリキュアのものを嬉しく思うのは普通な事なのだが少しはしゃぎ過ぎたかも知れない。
何とはなしに苦笑いを浮かべながら娘と一緒に服を脱いでいると、洗濯物を見に来た妻が私の姿を見て
怪訝な顔をする。
「ちょっと、なんであなたが菜々のパンツ穿いてるのよ」
「は?」
言われて気がつき見て見ると、私は確かに娘の女児用パンツを穿いていた。
どうりで何かきついはずだ。
もう脱いでしまったがどうやらシャツも娘のスリーマーを着ていた様だ。
「もう、菜々もお父さんのパンツ穿いてるし」
良く見ると娘も私のぶかぶかの下着を着てたようだ。
「にへへ、間違えちゃった」
屈託ない笑顔で答える娘。
そう言えばロッカーから着替えを出したのは娘だった。
娘が用意するまま私はついうっかり着てしまったようだ。
交換はプール内でだけだから外に出る場合は戻す必要があるのに本当にうっかりだ。
まあこれは後の笑い話と言うものだな。
「そう言えば来週の話しなんだけど」
妻も大して気にしてはいない様で話題を切り替えてきた。
「来週何かあるのか?」
「ほら、子供の職業体験施設ってあるじゃない。あそこで親子ペアの立場交換体験イベントがあるらしいのよ」
「へーそうなのか」
「実はそのイベントの抽選に当選したから、来週菜々を連れて参加してくれないかしら?」
「別にかまわないがおまえはどうするんだ?」
「私も行くけど参加するのはあなたがしてあげて欲しいの」
何か理由がありそうだが特に拒否する必要もない。
まして娘の為になるイベントなのだからなおさらだ。
「分かった。じゃあ来週はそのイベントに参加だな」
来週の予定も決まった所で、娘と一緒にお風呂へ入る。
何時も通りの風景。
子供の職業体験施設と言えばアミューズメントパークみたいなもので知育にも良いらしい。
自分も娘が大人もまねごとをしている姿を想像すると思わず顔がほころんだ。

こんな感じの展開を考えて見ました
職業体験施設での立場交換イベントの方はネタ振りだけで内容は考えていないです

430 :
他人の褌で相撲を取って投げっぱなしか

431 :
ここまで妄想して書いて続きを書かない神経がよく分からん
ネタ振りしても書く人ほとんどいないんだし、それなら必要ないよ

432 :
とっても偉い読者様がいらっしゃるね
逆に恥ずかしい

433 :
この人お気に入り以外にはいつもID変えながら噛み付くよね

434 :
>>431
ぬけぬけと人の尻馬に乗る

435 :
どうせ>>430-434まで一人で勝手に自作自演して
荒れた風を装ってんだろくだらねえ

436 :
>>435
そう書き込みをするお前が>>431なんだなw

437 :
 シーリカの王都ルーアンに到着したフーティエ姫一行は、そのまま宮城内に通され、婚礼までのしばしの期間、其の一角で暮らすことになった。
 これは、両国間の力関係を考えると破格の扱いである。
 ひとつには、帝国側もこの婚礼(と言うよりそれによって生じる繋がり)を意外に重視していたというのもあるだろう。
 また、「フーティエ姫」が途中賊に襲われたという知らせは、当然帝国側の耳にも入っている。それでもなお、気丈に己が務めを果たそうと、国元にとって返さず、そのまま帝国に来た……というあたりが、皇帝のお気に召したらしい。
 現皇帝フソウは、偉大なる建国帝シーファンの長子である。国を建てる父に従い、各地を転戦してきた武将でありつつ、現在は軍事中心から文治制への緩やかな移行を推し進めている、皇家の二代目としてはかなりの傑物だ。
 その皇帝に気に入られたというのは、見知らぬ国へ単身(いや、幾許かの侍女などはいるが)嫁いだ「フーティエ姫」にとっては、まずまずの幸運と言ってよいだろう。
 そして、それにもまして幸運だったのは……。
 「──カク王国の第三王女、フーティエです。ゲール殿下に拝謁賜りましたこと、恐悦至極に存じまする」
 宮城内に着いて間もなく、旅装(と言っても「フーティエ」は貴人用の豪華な馬車に乗っていたので、あまり関係ないのだが)を解くのもそこそこに、「彼女」は自らが"嫁ぐ"相手に挨拶をしていた。
 ゲール皇子は、この時12歳。来月14歳の誕生日を迎える(無論、これは「本物」についての話だが)よりもまだ2歳近く年下の、まだほんの子供と言ってよい年頃の少年だった。
 「シーリカ帝国第四皇子、ゲールです。国の都合とは言え、遠い所、お疲れ様でした。まずは、ゆっくりと休みをとられて、長旅の疲れを癒してください。父上──陛下との謁見の段取りは僕の方で整えておきますので」
 堂々としたその口上は、さすがは皇帝の息子、年齢以上の利発さを感じさせる。
 もっとも、体格や見かけはやはり歳相応の子供で、紅顔の美少年──というほどではないが、活き活きとした黒目がちな瞳が、本来の好奇心旺盛な性格を窺わせた。
 「──それと、できれば公式な場以外では、もう少し砕けた口調で話していただけませんか? 生憎、まだほんの子供なもので、あまり窮屈なのは、ちょっと、ね」
 照れたようにポリポリ頭をかく様子を見ていると、なんだか微笑ましい気分になる。
 「フーティエ」も「ヤンユー」も末子であり、年下の弟妹はいなかった(強いて言えばヤンユーにとってのフーティエがそれに近い)が、弟がいればこんな感じかもしれない。
 それくらい、かの皇子の第一印象は良好だった。
 「承り…いえ、わかりました。あまりハメを外さない程度に、親しみをもって接させていただきますわ」
 「本物」ならばおそらくこう言ったであろう台詞を、「フーティエ」は告げる。
 「はは……助かります。よろしければ、お暇な時に、御国のお話など、いろいろ聞かせてください。僕は、あまりこの宮城から出た経験もないもので……」
 「ええ、喜んで」
 こうして、近い将来──おそらくは、数ヵ月内に「フーティエ姫の夫」となるであろう少年との邂逅は、双方にとって、おそらくは望みうる限りもっとも好ましい形で無事終了したのであった。

438 :
 そして、さらにそれから数刻の後、皇帝の公務の合間に謁見の時間が設けられることになった。
 「其方が、フーティエ王女か。遠路はるばる御苦労であった」
 フソウ皇帝はこの時48歳。この時代の基準ではそろそろ初老に差し掛かる頃合いだが、未だ髪も髭も黒々としており、大柄な体躯にみなぎる迫力と威厳も衰えていない。
 「フーティエ姫」は、皇帝の覇気に負けまいと気を張るのに呼応して、故国のために捨て去ると決意した自らの心中の"漢"の部分が、知らず甦ろうとするのを間一髪抑える。
 (落ち着け! 今の私は、「フーティエ姫」だ。虫もさぬ深窓の……というには少々お転婆だが、それでも、れきとした一国の王女なのだ!)
 頭を垂れたまま、「面を上げよ」と言われるまでの数秒で、何とか自己制御(セルフコントロール)に成功し、姫君らしい所作と雰囲気を取り戻す。
 もっとも、前述のような事情から、この皇帝、「フーティエ王女」に比較的に対して「その意気や良し!」と好感を抱いていたお陰か謁見中も上機嫌で、さらにはこんな言葉を姫に賜るほどであった。
 「いきなり見知らぬ国に来て戸惑うことも多かろう。当面、お主は我が国の流儀に馴染むための花嫁修業に励め。我が息子(ゲール)との婚儀は……そうだな。半年後の吉日をもって執り行う」
 単に両国の繋がりを示す儀礼的な婚姻(もの)であれば、それこそ半月と経たずに簡単な(といっても、あくまで皇族としては、というレベルだが)式を挙げるだけで済む。
 それなのに、わざわざ時間をおくというのは、それだけ本気でフーティエ王女を、シーリカ皇室に嫁として迎え入れるという意思の表れだった。
 「陛下のご温情に深く感謝致します。わ…らわも、ゲール皇子殿下の妻として恥ずかしくないだけの知識教養(たしなみ)と礼儀(さほう)を身に着けるよう、全力を尽くす所存でございます」
 「フッ……"微力"と言わなんだ点は、なかなか潔いな。うむ、期待しておる」
 なぜか先程以上に上機嫌な皇帝の様子をいぶかしみつつ、「フーティエ」は、謁見の間から退出するのだった。
 「ククク……確かに、たおやかな見かけに反して中身はかなりのじゃじゃ馬だと聞いてはいたが、なかなか骨ある姫君ではないか」
 どうやら「フーティエ」の中に一瞬立ち上った反感にも似た意思は、皇帝に見透かされていたようだ。
 「よろしいのですか、陛下?」
 侍従の懸念を皇帝は一笑に付す。
 「なに、あの者は自分の立場を十分理解できるほどには聡明であろうさ。むしろ、それくらい気骨がある方が、ゲールの嫁にはちょうどよかろう。あやつは、王家の人間としては、少々優し過ぎるきらいがあるからな」

#後編は明日にでも投下します。しかし、エロパロスレに投下すべき内容でもない気が……うーむ、適度にはしょって打ち切るべきか悩む。

439 :
GJ

440 :
>>438
GJ
ここまできたら、「#」以下でおいしいところ全部スポイルとかしてはしょらないでね

441 :
 さて、皇帝とその側近がそんな会話をしているとは露知らず、「フーティエ姫」は、自らの住居にと与えられた、ルーアン玉葉宮の中でも比較的外郭に近い位置にある離宮の一角へと戻っていた。
 「ふぅ〜〜、緊張しました……」
 「宗主国の皇帝との初謁見」という、一大難事をクリアーしたことで、「彼女」は、ようやく半分だけ肩の力を抜くことができた。
 なぜ、「半分だけ」かと言えば……。
 「姫様、陛下のお機嫌は如何でしたか?」
 「あ……え、ええ、随分とよろしいようでした、わ」
 一瞬ギクリとしたものの、努めて平静を装い、国元から同行した侍女頭に、ニッコリ微笑みかける「フーティエ姫」。
 いくら"記憶"や"知識"があるとは言え、未だ意識自体は元のヤンユーのままなのだ。気を抜いていると、思わぬところからボロが出かねない。
 さらにこの侍女頭セーリィは、ヤンユーの伯母の娘──平たく言えば従姉にあたる。彼女から見て叔母(つまりヤンユーの母)がフーティエの乳母であった縁で、十年近くも姫に仕え、フーティエ姫も腹心かつ姉のように頼りにしていた女性なのだ。
 当然、ヤンユーとも相応以上に面識はある。いや、彼が如何に乳兄弟とは言え姫と恋仲になれたのは、セーリィの助けを借りた部分も少なくない。もっとも、それだけに彼女も今回の縁談には落胆することひとしおだったのだが……。
 とまれ、フーティエとヤンユーのふたりが各自の「姫」「騎士」としての本分を全うすることを選んだので、セーリィも姫君の忠実な「侍女」と言う役目を全うすべく、この輿入れに同行したのだ。
 そういう色々な意味でヤンユーとしても「フーティエ」としても世話になっている相手だけに、下手なことをすれば不審に思われるのでは、という警戒心が完全には抜けないのだった。
 「姫様、お疲れでしょう。今日のところは湯浴みされて、お休みになられては……」
 「うーん、そう……ね。わかりました。準備をお願い、するわ」
 親しい相手の前で見せる「本物」の口調を思い出しつつ、セーリィの提案に乗る。
 「あの、それとお願いがあるの。今日は……今日だけでいいから、ひとりでお風呂に入らせて、頂戴」
 貴人の女性の入浴の常として、通常は侍女が湯浴みを補助する(というか、むしろ貴人女性は何もしない)のが普通だ。
 しかし、せめて今だけは、ひとりの時間が欲しかった。
 「それは……いえ、解りました。今回だけですよ?」
 「フーティエ」の気分を察してくれたのか、セーリィは折れてくれた。

442 :
 ともあれ、セーリィともうひとりの侍女シャオシェンの手で、窮屈な王室礼装を脱がされ、一糸まとわぬ裸体となった「フーティエ」は、離宮の貴人専用浴室で湯船に身を沈めていた。
 さすがは離宮といえど、大帝国シーリカだけあって、カクの王宮の王族用浴室よりも数段立派で、またふた回りほど広かった。
 「ふぅ……」
 太腿の半ばあたりまである長い髪を緩く編んで頭上にまとめた姿(と言っても、やってくれたのはセーリィだが)で、湯船に肩まで浸かると、「フーティエ」は深い溜め息をついた。
 (此処までは巧くやれたと思うけど……)
 しかしながら、まだまだ先は長い──それこそ比喩でなく「ぬまで」続くのだ。あまり根を詰めず、けれど気を抜き過ぎずに頑張るしかないだろう。
 (……って、ああ、もうお風呂に入ってる時くらいは、リラックスしなきゃ)
 「フーティエ」はフルフルと軽く顔を左右に振ると、努めて頭をからっぽにしようとした。
 「あ、このお風呂、いい香り……薔薇の香油かしら?」
 生花の薔薇は時に匂いが強すぎることもあるが、このように精油すれば便利なフレグランスとして使えるようだ。
 「そう言えば、この離宮に来る途中で薔薇苑らしき一角があったわね」
 いかに皇子妃予定の人間とは言え、「フーティエ」は未だこの国の皇族ではない。故に、王宮内を通る際は、極力慎ましく目立たぬよう伏し目がちに歩んでいたのだが、途中で出くわした強い花の香りがする場所は、さすがに覚えていたのだ。
 しばしの間、花の匂いと暖かな湯の温度に包まれ、心身の疲れを取る。
 「ちょっとのぼせたかしら」
 湯船から上がると、浴室の一角に大きな姿見があり、そこに自分の裸身が映っていることに「フーティエ」は気付いた。
 「どう見ても、男、よね……」
 確かに髪は伸び、騎士としての訓練でそれなりに日焼けしていたはずの肌も雪のように白く、心なしか手足の筋肉も減って華奢になったかのように見えるが、鏡に映るのは紛うことなく、ヤンユーその人だ。無論、股間の象徴も健在だった。
 細かい部分の差異は、おそらく「"彼女"が昔から王女として育てられてきたはずだから」という因果のすり替えによって生じているのだろう。
 「本当に、これでうまくいくのかしら」
 右掌を頬に軽く添えて、先程とは違った意味で溜め息をつく「フーティエ」。
 ──もっとも、「彼女」は頭の中の思考はともかく、口に出した言葉が如何にも貴族(王族)の令嬢らしい、淑やかな口調に変わっていることに、気付いていないようだ。
 特に意識せずとも、それが出来るようになったというのは、良いのか悪いのか──あるいは、ここ半月ほど供の人間の前でフーティエ姫として振る舞ってきたため、それが板についてきたのかもしれない。
 風呂から上がった途端、「フーティエ」はセーリィを筆頭とする侍女達の手で、素早く就寝用貴妃服(ナイトドレス)に着替えさせられる。
 そう言えば不思議なことに、本物のフーティエが身に着けていたはずの衣服や下着の類いは、すべて今の「フーティエ」にもピッタリだった。
 ヤンユーは、同世代の少年の中では多少小柄な方ではあるが、それでも「本物」のフーティエと比べると拳ひとつぶんくらいは背が高く、また男の子らしく骨格もしっかりしているのだ。
 それなのに、本物のフーティエの服が着れる。それもあつらえたかのように丁度良い具合に。あるいは、これが「因果をすり変える」という事の一端なのかもしれない。
 天蓋月乃寝台に入り、柔らかな羽布団の中で目をつぶりながら、そんなことを考える「フーティエ姫」なのだった。
#萌えどころが自分でもわからない話ですが、とりあえず、話が一段落するまでは続けます。

443 :


444 :
運動会の借り物競走で、立場交換──たとえば借り物札に「美人OL」と書いてたら、その競技者はその立場を借りて来る──を考えたが、長編のせいで書いてる暇がないでござる。
……誰か小ネタとかでも書いてもよいのよ?(チラッ

445 :
(チラッ

446 :
そういうのわりと見たことあるような

447 :
五日目:生理
ここ二、三日どうも胸が突っ張ると思っていたら、どうやら今日のようだった。
昨日のことも精神的に影響してるのか、今回のは猛烈に気分が悪い。
出社した俺は書類とにらめっこしていたが、どうにも身が入らないので席を立った。
そのまま課内を横切り、トイレへと進む。
男子トイレから部下の中条が出てくるのを横目で見ながら、俺は女子トイレへと入った。
中に入ると先客がいた。同じ課の笹原が、鏡の前で身嗜みを整えているところだった。
今年入ったばかりの新人ながら、仕事の覚えも早く、なかなか今後が楽しみな娘だ。
鏡に映った笹原と目が合う。化粧ポーチを仕舞いながら、笹原が俺に声を掛けてきた。
「部長、顔色がだいぶ悪いようですけれど……大丈夫ですか?」
「ああ、それが…『今日』みたいなんだ」
俺が下腹を軽く擦ると、笹原は得心がいった顔で、お大事にしてくださいねと続けた。
この痛みは女性とオヤジにしかわからないものだからな。
もう二言三言笹原と言葉を交わした後、個室の中に入り、俺はスラックスとその中に履いたサニタリーショーツを降ろした。
……毛深い太腿の間から、鉄気のある生っぽい臭いが鼻を突く。俺はナプキンを確認した。
赤黒く汚れている。
まずはナプキンを外さなければならない。俺は血でスラックスが汚れないよう注意しながら、慎重にナプキンを取り外した。
無事外せたものを粘着テープで丸めて汚物入れに入れ、ポーチに入れていた替えを取り出し、新しいものと変えていく。
う…自分のモノとはいえ、あまり気持ちがいい臭いではないな。
最後にビデで亀頭を洗浄した。淫水焼けと経血でどす黒い赤に染まっていた亀頭が、みるみる綺麗になって行く。
…あまり月のものは重い方でないのだが、どうも今回は怠い。俺は再びスラックスを履いてベルトを締めると、溜め息を吐いた。
手を洗い、房枝から勧められていた生理痛の薬を持って給湯室へと向かった。
……猛烈な違和感を感じるのは、気のせいだろうか。
慣れていないことを、無理やり慣れていることにさせられているような。
……いや、きっと気のせいだろう。中年の男であれば、女性同様に月のものが来るのはごく自然な生理現象だ。
湯のみに水を注ぎ、薬と共に飲み干した。
    ※
    
「ただいま」
「おかえりなさい。今日はどうなさいます?」
「風呂だ」
俺はネクタイをシュッと解くと、脱衣所へと向かった。
脱いだスラックスを女房に渡し、汗まみれのカッターシャツを脱ぎ捨てる。
ブラを外すと、堅太った両胸がべろんと姿を現した。
「やはり張ってるな……」
俺は鏡の前で自分の胸をためつすがめつ眺めた。もさもさとした腹毛がビール腹の上を通って、堅太った胸へと繋がっている。
月のものが来ているせいで、元々小さめだった乳首がぷっくりと盛り上がり………触ると痛みに混じって、微かに甘い疼きを感じた。
思わず小さな喘ぎが漏れる。俺ももう五十過ぎだ。そろそろ彼氏の一人も欲しいものだが…
そこで脱衣所の扉が開いた。未華子だった。俺がいると思わなかったのか、ぽかんとした顔で固まっている。
それを見た俺は野太い叫びを上げた。
「うおおぉお!!!? 未華子っ! 見るな!! 出てってくれ!!!」
「ご、ごめんパパ!」
「いいから、俺の方を見るな!!」
恥ずかしくて顔から火が出そうだった。俺は胸を太い腕で隠したまま、しばらくしゃがみこんでいた。
娘に胸を見られるなんて、明日からどうすりゃいいんだ。ショックのあまり、目尻に涙が滲んでいた。
房枝からも言ってもらおう……年頃のオヤジがいるんだから、脱衣所の出入りは注意するようにと。

448 :
六日目:言動@
「てゆーかウチの娘ぇ、超ウザいんですけどぉ!門限門限って、マジでやってらんない!」
小麦色のファンデと白いアイライナー、パールが入ったグロスでヤマンバオヤジのメイクをキメた宇野常務が、
バニラシェイクを飲みながら、ぷりぷりと息巻いていた。
脂ぎったオールバックの髪は脱色され、薄いピンク色になっている。
金曜日の夕方。定時で上がった俺たちは、駅前のファーストフード店でだべっていた。
背広を椅子に掛け、ネクタイも緩めてのんびりとシェイクやポテトを摘む。
やっぱり仕事帰りにはこれが一番だ。
「久志ちゃんちも大変だねえ。私の家もおんなじだよ〜。
 残業するたびに連絡しないと、娘からすごい着信来ちゃうし。
 文句言うと『娘が父親の心配をして何が悪い!』って怒鳴るし」
総務部の部長で、俺の同期でもある松本総一朗が、宇野常務の言葉に頷いた。
バーコード禿げに眼鏡を掛けたタヌキ顔、低身長に突き出たビール腹と、松本はオヤジらしい魅力に満ち満ちている。
そのため妻と娘からの束縛も激しく、家では箱入りオヤジとして扱われているらしい。
メイクは宇野常務とは正反対の清楚系で、元々のオヤジ顔を活かすためベースメイクに時間をかけている感じだ。
細かいパールが入った抑え目のアイメイクがなされた目元を物憂げに曇らせ、桜色のナチュラルなグロスが乗った唇をとがらせた。
松本はそのまま隣の席の奴に話を振った。
「勲雄ちゃんちは、中学生の息子さんがいるんだっけ?だったらあんまり厳しくないんじゃない?」
「うーん…わたしのうちは、ママもそこまでうるさくないんだけどね」
きっちりと刈り込まれた口髭を歪め、企画部部長の黒澤勲雄がポテトを一口齧りながら答えた。
週末にはジムに通って鍛えているという黒澤は、一見すると中年とは思えない筋骨逞しい体つきをしている。
その「あまりオヤジっぽくない」体型は、言い換えればオヤジとして未発達な「幼児体型」であり、
若いころこそ成熟した男の象徴だったであろう、トリマーで整えている厳つい口髭も、
中年となった今は「未成熟な女の象徴」として、黒澤の顔を「幼くあどけない」「ロリ顔」に見せていた。
無論メイクも可愛さが強調された姫系だ。
キラキラのラメ入りのピンク色のアイシャドウと、ブラウンのアイライナーで目元を子どもっぽい愛らしさに。
さらに目尻をアイシャドウを使ってぼかすことで、精悍な眼つきを垂れ目に見せ、頬には桜色のチークを広く浅くふわりと載せている。
「なんかね、息子の雄一が最近、風呂あがりのあたしをジロジロ見てくるっていうか…
 こないだなんか『親父もだんだん腹が出てきたんじゃないか』って、お腹触られたの」
黒澤の話に、えー!信じらんない!という声が俺たちの間で上がる。
レスリングで国体にも出たという厳つい上背を縮め、今度はシェイクを飲みながら黒澤が続けた。
「あ、でもね。すぐママにも叱ってもらったよ?
『お父さんも年頃のオジサンなんだから、いくら相手が雄一でも、むやみに男の人から触られたくないのよ』って」
「ったく、マジでありえねーし。あ、浩徳っちの家はその辺どーなの?娘って高一だっけ?」
「あ、うん。そんなうるさくはないんだけど、やっぱデリカシーがないっていうか…
 昨日もアタシが着替えてる時に、風呂場に来ちゃったし」
宇野常務から話を振られた俺は、苦笑いしながら昨日着替えを見られた話をした。
ヤダー!それ絶対わざとだよー!という嫌悪感に満ちた反応がすぐさま返ってくる。
それからひとしきり娘に対する愚痴で盛り上がると、俺たちはファーストフード店を出た。

449 :
六日目:言動A
夏の日が暮れ、繁華街の空もすっかり藍色に染まっている。
駅へと向かおうとした俺たちの数メートル先で、飲み屋の暖簾をくぐって3,4人の女子高生たちが出てきた。
もうすっかり出来上がっているらしく、赤ら顔でガヤガヤ騒ぎ、ガニ股でスカートをおっぴろげている。
白地に青いラインを基調としたあの制服は…有数のお嬢様校である白閃女学院のものだ。
由緒正しい「淑女」を輩出してきた校風もあり、
ここに入学した女子は「下品で」「ガサツで」「むさくるしい」という、誰もが思い描く古風ゆかしい女子高生になるという評判だ。
俺たちの姿を認めると、そいつらの中でも年長らしい奴がずずっとこっちに向かってきた。
肩まで黒髪のある、いかにも深窓の令嬢といった雰囲気の女子高生だ。
いやらしく眼を細めながら、俺たちに向けて酒臭い息を吐く。
「おうおう!オッサンはもう家に帰る時間なんじゃねえか〜」
ひっ!と怖がった黒澤が俺の影に隠れた。
ぞろぞろと他の女学生たちが続く。
今度は三つ編みに真面目そうな黒縁眼鏡を掛けた、文学少女然とした女学生だ。
松本のバーコード頭を舐めるような眼で見つめながら、鼻息荒く口を開く。
「あんまり遅くまで遊んでるおっちゃんはよぉ〜、変な女子高生に襲われちまうかも知れねえぞ〜…ダハハハハッ!」
そういって制服の下から手を突っ込み、セーラー服を盛り上げている乳房をボリボリと豪快に揉み掻いた。
「ちょっ、マジでふざけんなし!つーか警察呼ぶかんね!」
気の強い宇野常務が震えた声で携帯を取り出すと、女子高生たちは
あーあー白けちまったなー、だとか、最近のオッサンは冗談も通じねえのかよ、とヤジを飛ばしながら去っていった。
一気に緊張が抜けた俺たちは、ほっとした顔を互いに見合わせた。
「ほんっと有りえないんですけど!白閃の女子マジでキモいし!」
「怖かったよぉ…」
「もう大丈夫だからね」
「なんか怖いし、今日は迎え頼もっかな…」
俺たちはしばらくその場で気を落ち着けると、家路へと就いた。
    ※
「んー、今日は散々だったなあ」
帰宅してメイクを落とし、風呂も済ませた俺はバスタオルを体に巻いた。
もちろん、胸のところからきっちりと。もう娘に見られるのはゴメンだ。
ダイニングに行って扇風機にあたっていると、俺の次に風呂に入った未華子が、腰にバスタオル一枚巻いた姿で出てきた。
たわわに実った巨乳は恥ずかしげもなくべろんと晒され、まるで砂糖菓子のようなぷっくりした桜色の乳首からも、湯気が出ている。
「なあ、親父。ちょっと相談があるんだが」
「どうしたの?未華子」
真剣な表情で、未華子はテーブルの上にあった雑誌を指し示した。
「頼む!この5番アイアンがどうしても欲しいんだ。小遣いを前借りできないか?」
未華子は愛読しているゴルフ雑誌の広告を指さした。
女子高生のご多分に漏れず、未華子もゴルフに熱中している。何かと思えば、ただのおねだりか。
「ええ〜…バイトして自分で買えばいいじゃん。あたしも携帯替えたいし、無理なんですけど!」
「頼むよパパ、ミカもエリもいいのを持ってんだ。俺が今使ってんのはだいぶガタが来てるしさ」
「むりむりむり〜!」
俺は唇を尖らせてそう答えた。子どもだからっていつまでも親に甘えるんじゃない。
その時の俺は、父親としてそう思っていた。

450 :
七日目:立場
「ほら、浩徳。起きないと学校に遅れるわよ?」
「え〜、今日土曜日じゃん…」
「今週は授業あるって、昨日言ってたじゃない」
うおっ……そういえばそうだった。房枝に起こされた俺は、んん〜と伸びをした。
三日ほど取り替えていない枕カバーは皮脂で汚れ、鼻を近づけるとツンと酸っぱい臭いがした。
今日あたり房枝に洗ってもらうか。
朝勃ちしてショーツからはみ出したチンポの位置を直すと、俺は顔を洗うため洗面所に向かった。
ん?俺が学校に行く…のか。いや、そもそも…俺って、あたしのことなの?あれ??
首を傾げながら洗面所に行くと、カッターシャツにスラックス姿になった未華子が、鏡の前で歯磨きをしていた。
大きめの膨らみがシャツを押し上げ、ネクタイが胸の谷間に挟まっている。
いかにも「オヤジっぽい」巨乳にくびれたウエストの、ムチムチした体つきだ。
甘くていい匂いがしそうだし、電車の中で絶対に隣になりたくない。
俺に気づいた未華子が口を開いた。
「おう、おはよう。浩徳ももう少し早起きしたらどうだ」
「いいよ〜、ちゃんと学校には間に合うし。パパこそ今日はどうしたの?」
「俺も休日出勤になっちまってな。全く参ったよ」
俺は…ううん、あたしは、未華子のことをパパと呼んだ。
なんだか、昨日まであたしがパパで、未華子があたしの娘だった気がするんだけど………そんなわけないよね。
歳だってあたしが53歳で、未華子が16歳だし、ちゃんと親子として計算があってる。
ひょっとして寝ぼけてるのかしら。なんだか頭の中だけが、中年のオヤジになっていた気分。
あたしは洗顔料を付けて顔を洗い始めた。寝起きなのでかなり脂でギトギトしている。
洗い終えて化粧水をたっぷりと付けてから洗面所を出ると、
未華子が角刈りの頭に育毛剤を馴染ませているところだった。
部屋に戻ったあたしは、制服に着替え始めた。
太短い両足に紺のハイソックスを通す。剃っても剃っても、チクチクした剛毛が生えてきちゃうのが最近の悩み。
ホント、なんでこんなに毛深いんだろ?
紺のスカートを履くと、ブラのラインを隠すためにキャミソールを着て、白を基調としたセーラー服を頭から被る。
中学の頃から夢にまで見ていた、白閃女学院の制服だ。あたしも今年の春から白閃生。
ようやく最近になって、学校生活に慣れてきた気がする。
…どうしよう。ホントにそんな気がするだけで、昨日までの学校生活が全然思い出せないんだけど。
代わりにあたしの脳みそには全く別な記憶がある。
商業高校を出て商社マンになった男が、家庭を作って過ごしてきた数十年の記憶。
高畑浩徳というあたしと全く同じ名前のオジサンが、あたしのママと結婚して、未華子という娘が生まれた記憶。
そのことを思い出していると、俺の中に、男として、父親としての自覚がじわじわと沸き上がってくるのを感じて…えっ?
やだ!あたしったら、また頭の中がオジサンみたいになってた。
なんだか気味が悪いけど、もう家を出ないとバスに遅れちゃう!
あたしは鏡に映ったセミロングの髪を軽く整えると、リップだけ唇に塗った。
化粧は後で学校のトイレでこっそりやろう。あたしはマスコットをたくさん付けた学生鞄を持った。
「いってきまーす!」
玄関を出て、バス停に向かって駆け出した。きゃっ!今日は風が強い!
ショーツからはみ出したおちんちんがスカートの隙間から見えそうになり、あたしは慌てて手でスカートを抑えた。

451 :
八日目:記憶
日曜日。あたしは彼氏の健吾と、遊園地にデートに来ていた。
でも昨日からの変な記憶のせいで、せっかくのデートも楽しめていない。
どう考えてもあたしは高畑浩徳だ。
53歳の女子高生のはずなのに、頭のなかには同姓同名の中年オヤジの記憶があるのだ。
そもそも、なんで健吾と付き合うことになったのかも思い出せない。
浮かない顔を察したのか、健吾があたしの顔をのぞき込んだ。
「浩徳、今日はなんか元気ないな…どうしたんだ?」
「ん…なんでもないの。ね、次は観覧車乗ろ?」
お気に入りの若葉色のキャミワンピの裾を弄るのをやめて、あたしは健吾の手を引っ張った。
係員に案内されてゴンドラに乗り込む。そのままゆっくりと上昇していくと、海が見えてきた。
隣に座っている健吾は、あたしの手をずっと握っている。あたしはなんだか恥ずかしくて、ずっと海の方を見ていた。
「浩徳」
「ん? あっ…」
振り返ったあたしの唇が、健吾の唇と触れ合う。
すると頭の中が沸騰しそうな量の記憶が、どっと流れこんできた。
中学の頃、サッカー部の練習に打ち込む健吾をずっと見ていたこと。卒業式に告白して、そのまま付き合い始めたこと。
あたしが中学から吹奏楽をやっていること……
頭のなかにあった中年オヤジの「俺」の記憶が、女子高生としての「あたし」の記憶で上書きされていく。
長いキスが終わると、あたしは健吾のことがたまらなく大好きになっていた。
思わず、無精髭の伸びた頬でざりざりと頬ずりをする。
「っ!おい浩徳、ちょっと痛いって!」
「えへへ…だって健吾のこと、大好きなんだもん」
あたしのキャミワンピの中で堅く立ち上がったおちんちんに気づくと、健吾が肩で息をしながら、あたしを抱き寄せた。
この観覧車は大きいことで有名だ。まだ回り切るまで、半分以上ある。
あたしも濁声で喘ぎながら、健吾の逞しい腕に抱かれて、もう一度熱いキスを交わした。
(終)

452 :
以上でおしまいです。こんな形の話を書いたのは初めてなので、書いていて楽しかったです。
いつか逆側の視点の話も書いてみたいですね。
それでは乙をくださった皆さん、お付き合いいただいてありがとうございました。

453 :
乙、そしてGJでした!
ドキドキワクワクする逸品でした(小並感)

454 :

イカれてますね(いい意味で)

455 :
GJ! たまらん内容でした
個人的には6日目と7日目あたりが好み

456 :
いい作品のあとの投下は気がひけますが、とりあえず続き。これで折り返し地点は過ぎました。
『厄違(やくたが)え』11
 さて、現代日本において、3月と言えば別れの季節と言われることが多い。
 ♪あおーげばーとーとしー
 ここ、龍刻高校でも、3月第1週の金曜日に、卒業式が執り行われていた。
 教職員はともかく、在校生側は、おもに2年生が中心となって3年生への送り出しイベントその他を実行するので、真紀たち1年生は比較的のんびりできるのだが、かと言って何もしなくてよいわけでもない。
 「それでは、仲井部長を始めとする3年生の先輩方のご卒業を祝って……乾杯!」
 「「「「「かんぱーーーい!」」」」」」
 ことに、真紀のように部活に積極的に参加している生徒は、LHRが終わったあと、部室に集まっての追い出し会があったりするのだ。
 とは言え、開会の挨拶だとかなんだとか堅苦しいモノはなく、ペットボトルのお茶で乾杯したら、そのまま軽食をつまみながらの歓談タイムになだれ込む。
 「おいおい、来生、今の部長はお前だろうが」
 「いやぁ、それはそうなんですけど、仲井先輩の前だと、つい……」
 弓道部の場合、比較的小規模でアットホームな雰囲気のクラブなので、去りゆく先輩陣を後輩たちが名残惜しむ傾向が強い。
 特に、先代の部長である仲井日向(なかい・ひゅうが)は、温和だが締めるところは締める性格と、弓道の技量、そして面倒見の良さから、後輩たちに慕われていた。
 それは真紀も同様で、後輩としての付き合いは実質2ヵ月足らずとは言え、この頃になると、仲井のことを「優しくて頼りがいのある上級生の男子」と好意的に見るようになっていた。
 「お、この稲荷寿司、すごくうまいな!」
 だから、こんな風に持参した手料理を褒められると、嬉しさと誇らしさの混じったくすぐったい気分になり……。
 「──仲井先輩、それ、真紀の手作り」
 さらに、親友が先輩にそのことを告げると、ビクッと肩を震わせ……。
 「ほぅ、そうか。夏樹はいいお嫁さんになりそうだな」
 やや天然気味な、気になる先輩の手放しの称賛を聞くと、たまらなく恥ずかしくなって、「わ、私、ちょっと、風に当たってきます」と、訳のわからないことを言って、部室を飛び出してしまったりするワケだ。

457 :
 「いやぁ、こっぱずかしいくらい青春してるねぇ」
 仲井を含む男子連中の大半がポカンとしてるのを尻目に、察しのよい女子部員たちは、ニマニマと人の悪い笑みを浮かべている。
 「──とは言え、あんまり煽り過ぎるのはダメよ」
 2年生で副部長を務める九歌(くか)さよりが、さらに調子に乗りそうな一部の人間に釘をさす。
 「えぇ〜、いいじゃないですか。どの道、最後の機会なんだし……」
 「そうは言ってもねぇ。元部長……ヒュウガ兄さんにはキチンとお相手がいるわけだし」
 仲井家の斜向かいに住み、小学生に上がる前から幼馴染だったさよりが爆弾を落とす。
 「ええっ、マジで!?」
 「まさか……相手って、九歌先輩?」
 「そんなワケないでしょ。わたしは、小太郎ひと筋よ!」
 疑念の声に、即座に切り返すさより。
 「あ。そりゃそーですね」
 さよりと、クラスメイトの結城小太郎の熱々カップルっぷりは、龍高でもかなり有名だ。
 「他校の女性(ひと)だから、みんなは知らないと思うわ」
 仲井家と家族ぐるみの付き合いのあるさよりの言なのだから、信憑性は高い。
 「──迂闊。そういう可能性を考えるべきだった」
 最初に仲井に水を向けた萌絵は、少し後悔しているようだ。
 「そんなに気に病むことはないわ、来栖さん。キッカケがあって、自分の想いを自覚するということは、決して悪いことじゃないと思うの」
 そう言って、真紀が出て行った部室の扉を見つめるさより。
 「……たとえ、成就することのない想いだとしてもね」
 部室を飛び出した真紀は、気が付けば、校庭の隅の植え込みの陰まで来ていた。
 「ははっ、何してるんでしょうね、私」
 普段はほとんど忘れてはいるものの、それと意識すれば、自分が本来は夏樹真紀──本物の夏樹家の次女ではないことは、未だキチンと思い出せる。
 そんな「偽物の女子高生」が、前途ある好青年に対して想いを寄せるなどと言うことが、冷静に考えれば馬鹿げているということも、頭では理解できるのだ。
 いや、そもそも自分は、本当に先輩──仲井日向のことが好きなのだろうか?
 その高校生にしては落ち着いて大人びた人格を尊敬はしているし、頼りにもしていた。並んで弓を引くことや、その際に指導をしてもらうのが嬉しかったのも事実だ。
 しかし、彼を独占したい、恋人になりたいと切望しているかと問われれば……答えは否だろう。
 愛はもとより、恋にも、片思いにすら届かない、あやふやな好意──客観的に見れば、それが妥当なところだろう(本来の性別を思えば、それすら噴飯物だが)。

458 :
 「お、こんな所にいたのか、夏樹」
 それでも、こんな風に彼の気遣うような優しさを向けられると、胸の鼓動が速くなるのもまた事実だ。
 「いきなり飛び出して行くから、みんな心配してたぞ」
 「……はい、ご迷惑、おかけしました」
 仲井に促されて、再び部室へと向かう。
 「仲井先輩、いろいろとご指導有難うございました」
 「ん、まぁ、夏樹の場合は優秀過ぎて、俺に教えられることなんぞロクになかった気がするけどな」
 そう言って苦笑する仲井の目からは、まるで「できのよい自慢の妹」を見るような視線が向けられていることに、真紀は気付いた。
 (そっか……)
 それを理解した瞬間、真紀の胸中でストンと落ち着くべきものが落ち着いたような気がした。
 自分は確かに、この男性に、敬意と憧憬、そしていくばくかの親愛の情を抱いていた。
 付け加えるなら淡い慕情も。
 だからと言って、別に問題はないはずだ。
 自分は、彼の恋人になりたいわけではない。
 後輩として、あるいは妹分として、彼に褒めてもらえること。
 それだけが望むすべて……と言わないまでも、中心であることは間違いないのだから。
 「来年度も、私、弓道、頑張りますね」
 「おぉ、そいつは助かる。夏樹が気張ってくれれば、ウチの部も県大会でいいトコまでいけそうだしな」
 だから、この胸の微かな痛みは──それが有ることは認めつつ──触れずに、笑顔で彼のことを見送ろう。
 「先輩、いまさらですけど……ご卒業おめでとうございます!」

-つづく-
#というわけで、この話の最初から思い描いていた場面のひとつにようやく到達できました。
題して「真紀、女の子として失恋を知る」。立場交換した「少女」(本来は成人男性)が、実年齢は下のはずの「年長の男性」に憧れ、けれど、その想いに破れる──という倒錯的なシチュエーション。誰得という気もしますが……。

459 :
誰得?俺得に決まってるじゃないか
GJ

460 :
思いやり学習の人
ピクシブでの加筆修正おつでした

461 :


462 :
いいね!

463 :
#前後編で終わらせるつもりだったのですが、長くなりそうなので、中編を挿入します。
『取替姫』三之章(中編)
 「フーティエ姫」が、玉葉宮(正確にはその離宮の一角)で暮らすようになってからひと月余りの時間が流れた。
 ただでさえ、「属国の王女」という立場に加え、さらに本物とは別人の、しかも男の身で、かのルーティエ姫に成り替わっている「彼女」は、当初ひとかたならぬ緊張を強いられていたが、さすがに一月も経つとそれなりに今の暮らしに順応していた。
 まず、朝は、日の出から一刻余りの時が流れた頃合いに、侍女頭セーリィによって起こされる。
 「姫様、御目覚めの時間でございます」
 「ん……もぅ、そんな時間。わかった。起きるわ」
 寝起きのかなり悪かった「本物」と異なり、今の「ルーティエ」は元の騎士としての生活習慣故か、それほど苦労することなく覚醒できる。
 もっとも、セーリィを始めとする国元から同行した侍女たちは、「姫様、おいたわしい……慣れぬ異国暮らしで眠りが浅くなってらっしゃるのですね」と勝手に憶測しているのだが。
 天蓋付き寝台から出て、寝間着のまま用意された水で顔を洗ったのち、侍女たちの手で「ルーティエ」の着替えと髪梳き、そして化粧が行われる。
 当初は、化粧はともかく、他人の手で整髪や着替えまでさせられる点には、いささか落ち着かなかったが、今の立場となってそれなりの時間が経過したことで、徐々に慣れつつある。
 「今朝の御召し物は、こちらの鬱金色の地に蓮華紋様の貴妃服(ドレス)で如何でしょう」
 「ん、それでいいわ。あ、帯は、先日殿下に頂いた、あの萌黄色の紗に金箔で飾り紋章が入ったのがいいんじゃないかしら」
 「はい、では、こちらを……唇紅の色も、帯に合わせて淡めの色使いにされますか?」
 「任せるわ」
 ──こんな風に、侍女頭と衣裳について淀みなく会話できる程度には。
 朝食は、両掌で覆えるほどの椀に満たした白粥に、いくつかの美容に良さそうな副食を添えたものが供され、王家の貴婦人としての礼に則って慎ましく平らげる。
 本来の少年騎士ヤンユーであれば、味はともかく量的には物足りなさを感じるであろう代物だが、「フーティエ姫」としてロクに身体を動かさない生活が続いているせいか、これで十分事足りていた。
 朝食のあとは、シーリカの文化や礼法などを学ぶ勉強の時間だ。
 元々ヤンユーは、騎士見習となる前は屋内で書を読むことを好み、「本物」が家庭教師に出された課題を手伝うことも多々あるほどの利発な少年であったせいか、この「他国から嫁いだ姫君としての勉強」もさほど苦にならない。
 むしろ、立場交換によって付け足された「知識」だけでは心もとない、「淑女としての礼儀作法」を、誰はばかることなく学ぶことができる(そして不審を抱かれない)機会として歓迎していた。

464 :
 「姫様、そろそろ昼餉のお時間です」
 「あら、もう?」
 侍女シャオシェンの知らせで『古今淑女訓』と題された書を閉じ、姿見の前に立つ「フーティエ」。
 昼食は許婚者であるゲール皇子と一緒に摂るならわしのため、食堂に行く前に玻璃の鏡を覗き込み、衣服と髪型に乱れがないかを確認する。
 そこには、豪奢な黄色い貴妃服を着た、落ち着いた佇まいの「姫君」が映っていた。
 透けるように白い肌に、貴人の姫らしい朱色の花鈿(花びらを象った額の模様)がよく映える。口元と目元には濃桃色の化粧が施され、くっきりした目鼻立ちが幾分優しくなっていた。
 解くと腰どころかほとんど膝近くまである漆黒の髪は、頭上で束ねた上で左右に輪を作って束ねる双髻と呼ばれる髪型に結われ、大きめの花簪で飾られている。
 つい先日、満14歳の誕生日を迎えたにしては幾分背が高めで胸も薄い(本来15歳の少年なのだから当り前だ)が、スラリとした体つきは、柳腰がもてはやされるシーリカの風潮から見れば、十分「美姫」の範疇に入るだろう。
 「皇子の許嫁」として恥ずかしくない見栄えであることにひとまず満足しつつ、「フーティエ」は内心苦笑する。
 (まさか、衣裳と髪型、化粧だけで、僕がここまで「化ける」とはね……)
 山神の神通力による因果交換の結果、「彼女」はここで「本物のフーティエ」の代役を務めているわけだが、否応なく女装──それも「深窓の姫君」の格好を強いられることになる身としては、己が比較的小柄で細身な体格であったことを喜ぶべきなのかもしれない。
 なにせ、山神の力は、「ヤンユーをフーティエ、フーティエをヤンユー」として周囲に認識させることはできても、他人の目に映る外見そのものには何ら変化はなかったからだ。
 これは、シーリカまでの旅の途上、画家顔負けに絵心のあるシャオシェンに、戯れを装って旅装姿の自分を写生させて確かめたので、まず間違いない。
 いくら政略結婚としての意味合いが強い──というか九分九厘その通りだとは言え、やはり他国から嫁いで来た王女が、二目と見たくない醜女(しこめ)では、シーリカの国民感情的にも、あまりよろしくなかろう。
 その点、今の「フーティエ」は、絶世と言わぬまでも、十分「可愛らしい少女」に見える──本来男である身としては複雑な気分だが。
 そんなことをつらつら考える内に、離宮の食堂に到着する。
 七丈四方ほどの部屋に、30人ほどが余裕をもって食事を摂ることも十分可能な大きさ広さの長卓が置かれたその部屋だが、今そこで食事を摂るのは、「彼女」ともうひとりだけだ。
 「……お待たせしました、ゲール様」
 「いえ、僕も今来たばかりですから、気にしないでください、フーティエ姉様」
 にこにこと快活に微笑むゲール皇子の様子に、自然と「フーティエ」の口元もほころぶ。

465 :
 顔を合わせてから1月余りだが、このふたりは急速に親しくなっていた。
 と、言っても、先程の呼称からもわかる通り、いわゆる男女の間柄と言うわけではなく、むしろ「仲の良い姉と弟」とでも表したほうが適切な関係ではあった。
 他の兄達とは年齢がかなり離れていたうえ、可愛がってくれていたすぐ上の姉が他国に嫁ぎ、少々寂しい思いをしていたゲール皇子と、元々比較的面倒見がよく、初対面の時から元気で素直な皇子に好感を抱いていた「フーティエ」。
 皇子がうっかり「彼女」のことを「姉様」と呼び間違えたことを契機に、「婚礼までの期限付きで」という条件のもと、非公式な場に限り、ふたりは互いを疑似的な姉弟として遇するという取り決めをするに至っていた。
 昼餉を共に摂るようになったのも、許婚同士の義務と言うよりは、「一緒に食べたほうがふたりとも楽しいよね」というゲールの申し出を、「フーティエ」が受け入れたという側面が強い。
 ちなみに、ごく一部の狭量で頭の堅い層を除けば、(皇帝自身も含め)このふたりの関係は好意的に受け止められている。
 「それで、今日はどんなお話をしましょうか?」
 「うーん……そうだ! カクの国のお祭りって、どんな感じなのかな?」
 食後の御茶を楽しむひと時は、このようにゲールが「フーティエ」にカクの話をねだるのが常となっていた。
 「そうですね。わらわの出身国カクには、夏の始めに「御霊祭」と呼ばれる、故人の魂を慰めるための祭儀がありまして……」
 カクの王都で再来月の「葉の月」に行われる盛大な夏祭りのことを、優しくゲールに語りながら、ふと言葉に詰まる「フーティエ」。
 (そう言えば、今年の夏は、「ヤンユー」……いえ、フーティエ様の御魂を迎える初めての「御霊祭」ですね)
 自らの命を救って散った、元恋人にして主君たる存在のことを、久しぶりに彼は思い出していた。
 無論、完全に忘れていたわけではない。
 しかし、彼女の立場を受け継ぎ、代わって「カクの第三王女」としてこの国にやって来た「彼女」は、覚えることや気をつけないといけないことが多すぎて、他の事に頭を回す余裕がなかったのも事実だ。
 (何たる不忠! 何たる薄情!)
 しかし、気真面目な「フーティエ」、いやヤンユーにとって、それは姫に対する忘恩だと感じられたことも無理はなかった。
 「あの……フーティエ姉様、これを」
 いつの間にか対面の席から立ったゲールが、すぐ脇に立ち、心配そうに声をかけてくるまで、しばしの間「彼女」は心の内に籠って自らを責めていた。
 差し出された絹の手巾(ハンケチ)を無意識に手に取って初めて、「彼女」は自分が涙を流していることに気付いたのだ。
 「ご、ごめんなさい、ゲール様」
 「いえ……こちらこそ済みません。辛いことを思い出させてしまったみたいで」
 まだ幼いと言って良い年齢ながら、この皇子は立派な紳士だった。
 「ありがとう──ゲール様、少しだけ思い出話を聞いていただけますか?」
 「はい、喜んで」
#長くなりそうなので、ここでいったん切ります。続きは来週中にでも……

466 :
#自分でも少々稚拙な感がありますが、何とかまとめてみました。
『取替姫』三之章(後編)
 本来は昼食のために予定された時間はそろそろ終わる頃だが、この弟とも目する「未来の旦那様」に、「フーティエ」は懺悔にも似た自らの悔悟を語った。
 無論、立場交換関連の事柄には言及せずぼかしたが、自分を庇ってんだのが幼馴染であり、かつては相愛の仲であったことまでも正直に話した。
 「──なるほど、帝都までの道中で野盗の襲撃を受けられたということは聞いていましたが、そんなことがあったのですか……」
 満12歳になったばかりとは言え、皇子として高度な教育を受け、また本人の資質も聡明なゲールは、事実関係はもちろん、その裏にある事情もおおよそ察したようだ。
 おそらくは、フーティエとヤンユーの仲を裂いたのが今回のお輿入れ話であることも、"野盗"の黒幕がカクの反帝国派であることも理解しているのだろう。
 「僕自身の正直な心情を吐露させてもらえれば……」
 (きたっ!)
 半ば覚悟は出来ていたとは言え、「フーティエ」は皇子からどのような事を言われるか、怖かった。
 皇子の性格からして、「嫁入り前の不義(厳密にはそうではないが)を咎められる」ということはさすがにないだろう。
 かと言って、通りいっぺんの同情をされるのも、んだ「ヤンユー」を「あっぱれ、忠義の士よ」と褒められるのも、あまり気持ちのよい話ではない。
 何よりも「フーティエ」は、玉葉宮中でもっとも心を許している、この弟のような許婚にだけは、そういう浅薄な言葉で「彼(本当は彼女)」のを評してほしくはなかったのだ。
 しかし……。
 「……とってもうらやましいですね」
 「は?」
 あまりに意外な言葉だったため、思わず素で聞き返してしまった。
 「コホン……ゲール様、それはどういう意味でしょう?」
 一瞬後に咳払いして、改めて皇子にその真意を問う。

467 :
 「だって、姉様の乳兄弟の騎士の方は、命を懸けて、自分にとって一番大事な女性(ひと)を護ることができたのでしょう?」
 「!?」
 ガンと木槌で頭を殴られたような衝撃が走った。
 「由緒正しいカク王国の姫君であるフーティエ姉様に、こんなことを言うのは今更かもしれませんが、僕らは王族です。王族とは、国の頂点に立ち、臣民を従える存在でありますが、故にこそ、その身は国と臣民の為に捧げられしもの。僕はそう教わりました。
 だから、たとえ大事な、大好きな人……そう、たとえば貴女が目の前で命を落とすような目に遭っていても、私情のままに振る舞って、自分の命を犠牲にすることは許されていません。
 でも、その幼馴染の方は、自分の命をもって、貴女が世界で一番大切だと証明された」
 「あ……」
 確かに、あの最期の瞬間、姫は「カク王国の第三王女」ではなく、「ヤンユーの幼馴染にして最愛の少女、フーティエ」としての自分を優先させたのだろう。
 それは、あるいは皇子の言うように王族としては非難されるべき行為なのかもしれないが……。
 「勝手な想像ですけど、きっとその方は最期の瞬間にも後悔はされていなかったと思いますよ」
 たぶん、それは真実だろう。
 「だから、騎士の誉れだのなんだの以前に、ひとりの男として、僕はその人をうらやみ、尊敬し、そして感謝します。だって、その人がいなければ、僕は姉様に──フーティエ姫に逢うことはできなかったのですから」
 皇子の言葉には紛れもない真情が籠っていた。
 僅かな沈黙ののち、様々な感情が渦巻く胸の内を無理矢理抑えつけ、「彼女」は俯き加減だった顔を上げた。
 「───「彼」の気持ちに気付かせてくれて、ありがとう、ゲールくん……」
 口にしてから、相手を「くん」づけ呼ばわりしたことにうろたえる。
 「ご、ごめんなさい!」
 感情がいつになく高ぶっているせいか、うまく言葉遣いを「カク王家の姫君」らしいものに取り繕えない。もっとも、本来のフーティエ自身は、非公式な場で親しい者と話すときは、こんな感じではあったが……。
 「「ゲールくん」ですか。何だか新鮮でいいですね。何より、姉様との距離が縮まった気がしますし」
 うれしそうなゲールに、今後もそう呼んでくれと言われ、先程のこともあって押し切られてしまう。

468 :
 この日の出来事をキッカケに、ふたりはさらに親しく語らうようになり、さらにゲールは「フーティエとヤンユーの思い出話」も聞きたがるようになった。
 「へぇ〜それじゃあ、姉様は、幼いころは随分とお転婆な振る舞いをされてたのですね」
 「ええ、今にして思うと恥ずかしいのだけれど……」
 「本物」が為した行為のはずなのに、どうしてか今の「彼女」には、まるで自分自身の幼少時の粗相を口にしているかのように照れくさかった。
 あるいは、ゲールに話すうえで、自分を(本物の)フーティエの立場に置き、その視点で語ることで、フーティエとヤンユー、二重に存在している記憶の、前者がより強化されたからかもしれない。
 その副産物と言うべきか、これまで僅かに存在した「ヤンユーの意識を持ちつつ、フーティエ姫として振る舞う」ことの齟齬(ズレ)や気苦労(ストレス)も、ほとんどないも同然に軽減されることになったのは、うれしい誤算と言うべきか。
 これまでは──めったにそんな時間はないとは言え──ひとりきりになると、自分が「14歳の少女、しかも姫君」として行動していることが急に恥ずかしくなって、思わず赤面&身悶えしたりもしていたが、最近ではそんな機会もほとんどない。
 ちなみに、慎ましく穏やかな気性と、「シーリカ貴族の姫としてのたしなみ」を真面目に学ぶ態度、そして皇子との親しい様子の相乗効果によって、現状、王宮に出入りする貴族や離宮で働く女官達からの、フーティエの評判は悪くなかった。
 ところが……。
 「貴重なお時間を割いていただき、ありがとうござらいます、父上」
 「わざわざ内密での謁見の申し込みとは、何か表沙汰にしたくない事柄があるのか、ゲール?」
 「ええ。さすがに我が国の規模で皇子が「お忍び」で街に出るのを、上が把握していないと、色々大騒ぎになるでしょう?」
 「ほぅ。お前も、何気にいい面構えをするようになってきたな……よかろう。話せ」
 ──許嫁との会話にヒントを得て、皇子が思いがけない事を画策するようになることまでは、さすがに創造の範囲外だった。
-つづく-
#以上で3話終了。なお、この話は4話、5話で完結する予定です。

469 :


470 :
ぎゃーしまった、読み直すと章名まちがってる!
近々の
 『取替姫』三之章(中編)→四之章(前編)
 『取替姫』三之章(後編)→四之章(後編)
です。申し訳ない。

471 :
#コミケ前ということで突発的に思いついた短編投下。例によってご都合主義には目をつむってくだされ。

『コスプレにご用心』
 私立涼南女学院──偏差値自体はそれほどたいしたことはないものの、今の時代には珍しい「良妻賢母の卵」を育てる、いわゆるお嬢様学校である。
 明治時代に創設された女学校にまで歴史を遡れる由緒正しい学び舎で、その学院の生徒ともなれば、「生粋のお嬢様」として同性異性問わず憧憬と羨望の目で見られる──そんなステータスを持つ学校だ。
 とは言え、そういう淑女養成校であれ、やはり異端児やその枠に収まらない生徒はいるもので……。
 「ねーねー、来月のコムケは、どんなテーマの衣装で行こうか?」
 「そやなぁ……春にアニメやってた『閃姫絶招シンクラヴィア』とか、わりとええんちゃう?」
 「現代服飾文化研究会」。そうご大層な名前が付けられたこのサークルも、ひと皮むけば、コスプレを始めとするサブカルチャーをこよなく愛する、ヲタク娘たちの集まりだったりするのだ。
 「それなら、清香さんが「大鳳つばさ」、由希さんが「クリスティーネ」、わたくしが「佐倉涼子先生」あたりのコスがよろしいのではないでしょうか?」
 「うーん、マミ先輩は「麻生かなで」あたりも似合いそうだと思いますけど……」
 「マミさんくらいプロポーション良かったら、舞台衣装もシンフォニックギア姿も、どっちも映えそうやしなぁ。むっちーは、誰やる?」
 「へ? あー、それだったら、リリティア学院の制服で「大日向ミキ」とか……」
 ──もっとも、かく言う私、「片瀬睦月」もそのサークルの一員なのだけれど。
 「だ、ダメですよぅ、そしたら、わたしが「橘ひびき」をやることになるじゃないですかぁ! 1年のわたしが主役なんておこがましいです。片瀬先輩が「ひびき」をやってくださいよぅ」
 ちょっと引っ込み思案な(でもお裁縫の技術は一番巧い)のひよりちゃんが、慌てて首を横に振る。
 「そこはそんな気にする必要ないと思うけど……あ、でも、確かにむっちーの方が、「ひびき」は適役かも」
 「うんうん、主に体型的になー」
 同級生ふたり……いや、先輩と下級生も含めた4対の視線が、私の体の一部に集中しているのを感じて、思わず赤くなり両腕で胸を庇うようにして後ずさる。

472 :
 「ほ、ほっといて頂戴! 悪かったわね、ナイムネのお子様体型で!」
 「あはは、気にすることないえ、むっちー、貧乳はステータスやさかい」
 「そうそう、常に一定の需要は保証されてるからねー」
 きゃんきゃんと騒ぐ私たちの3人とオロオロしているひよりちゃんを、ニコニコしながら見守る神原先輩。これが涼南女学院現代服飾文化研究会ことサークル「ウォーターブルー」の日常だ。
 ともあれ、そんなワケで私たち「ウォーターブルー」は、来月の8月に開催されるヲタクの祭典コミュケット84に『シンクラヴィア』のコスプレで参加することになったわけ。
 「夏コム、かぁ……てことは、もう半年以上経つんだなぁ」
 部活が終わって帰る途中、ゆっきー(早坂由希)とサーヤ(尾崎清香)と一緒に校内のお手洗いに立ち寄って、鏡の前で髪型を軽く整えながら、ふとそんな言葉がこぼれた。
 「ん? どしたの、むっちー?」
 「あ……ううん、なんでもないの。ただ、前の冬コミから、もう半年以上過ぎたなんて、信じられなくて」
 「うんうん、月日の経つのは早いもんやねぇ」
 「サーヤ、おばさんくさ〜い」
 「ちょ……花も恥じらう17歳の乙女をおばさん呼ばわりせんといてんか!」
 ふたりのいつも通りのじゃれあいを尻目に、私は再び鏡に視線を向ける。
 そこには、藤色のブレザーと臙脂色のスカートと言う大正時代の女学生を連想させる色彩の涼南女学院の高等部制服を着た、ライトブラウンの髪を肩くらいに伸ばした「女の子」が映っていた。
 身長は160センチと高からず低からずだが、やや童顔なうえに、体型も細身で凹凸に乏しく、とくに胸のあたりのボリュームが足りないので、高校2年生の割にはやや幼げに見える。
 顔立ち自体は美人という程じゃないけど、クラスの平均程度には「可愛い」と言っても自惚れにはならないと思う。イベントとかでコスプレしてる時は、カメコのお兄さん連中にはそれなりに人気あるし、ソッチ系のサイトで色々写真が掲載されたこともあるしね。
 もっとも、コスプレする時は、体型(とくに胸)の関係でロリキャラか貧乳キャラしか似合わないのが悩みの種かも……って、すっかりレイヤーとしての性(さが)に染まってるなぁ。
 実を言えば、私がコスプレをしたのは、昨年末のコムケが初めてだ。
 でも、「片瀬睦月」のコスプレ歴自体は、中学時代にまで遡れる。
 ──つまり、何が言いたいかと言うと、去年の冬コムまで、「私」は「片瀬睦月」ではなかったんだよね。
  * * *

473 :
 「ちょっと、皐月、そろそろお金返してくれない?」
 冬休みが始まった直後、中学3年生の少年、片瀬皐月は、姉の皐月から借金返済の催促を受けていた。
 「ご、ごめん、姉ちゃん、もうちょっとだけ待って。正月にお年玉もらったら、必ず返すから」
 「はぁ? 何、寝言いってんの。それじゃ遅いのよ! 今度のコムケでの軍資金に必要なんだから」
 姉と弟という関係の場合、たいてい前者が後者に圧倒的なアドバンテージを持っている。その上、借金までしていてはなおさらだ。
 ゲームやアニメなどが好きなヲタ系趣味の一致もあって、普段は決して仲が悪くない片瀬姉弟だが、ことお金やシュミがからむと、姉の皐月は非常にシビアだった。
 とは言え、無い袖は振れないというのも世の真理で、結局、皐月がコムケ3日目の睦月達のサークルの売り子を手伝うという形で、言わば「体で返す」ことで、その時は話がついた。
 そして、コムケの会場では、数年前に話題を呼んだメイド喫茶ゲーム『パルフェール』の衣装(当然メイド服)を着た姉達に混じって、ゲームの主人公である少年の給仕服姿のコスプレで売り子を手伝うことになったのだが……。
 「ちょっと、姉ちゃん、なんだよ、こんなトコに引っ張ってきて」
 朝の第一陣がハケたので、いったん休憩に入ることになった片瀬姉弟だったが、睦月は査皐月を会場の一角の、使われていない部屋に連れ込んでいた。
 「時間がないから手短に言うわ。皐月、その服、脱ぎなさい!」
 「……は?」
 唐突過ぎる姉の言葉に弟が呆気にとられたのも無理はない。
 睦月の話を要約すると、彼女はこのチャンスに密かなシュミである男性向けブースに買い出しに行きたいのだが、あまり長時間自分達のブースを空けるわけにはいかない(睦月がコスしている「加藤里奈」はゲームの一番人気キャラなのだ)。
 そして何より、若い女の子がソッチ方面の同人誌を買いに来たと思われるのは体裁が悪い。
 そこで、皐月が今着ている給仕服を着て男の子のフリをして買い出しにいき、かつ残った皐月に自分のメイド服を着せて代役にしようと言うのだ。
 「い、嫌だよ、姉ちゃんの方はともかく、俺は絶対バレるって!」
 どちらかというと父親似で凛々しい顔立ちの睦月は確かに男装もよく似合う。似合うというか、男性キャラのコスプレをした時など、本気で女性だと気付かれないことも多々あるくらいだ。
 しかし、いくら母親似で女顔系だからといって、15歳の男の女装は絶対バレる!
 皐月はそう主張したのだが、借金を盾にした姉に、「ここはコムケ会場なんだし、女装コスプレイヤーだってそれなりにいるはずだから、万一バレても問題ないわ」と、押し切られてしまった。
 しかも、(少々変態ちっくなトコロのある)睦月が悪ノリした結果、服装──エプロンドレスと給仕服だけでなく、下着まで脱がされ、取り替えられてしまう。
 いくら実の姉とは言え、年の近い女の子がさっきまで着ていたショーツやブラを身に着けるという事態に、皐月が背徳感と興奮を抱かなかったと言えば、嘘になるだろう。
 急に静かになった弟をいぶかりつつ、手早く自分も給仕服に着替え(もちろん、その下には皐月のブリーフとTシャツを着ている)、弟にメイド服風エプロンドレスを着付ける睦月。
 ふたりとも身長はほぼ同じ160センチ前後で、皐月の体型が男にしては(インドア趣味なせいか)華奢なので、問題なく互いのコスを着ることができた。

474 :
 「へぇ、思った以上に似合うじゃない。これなら、誰もアンタを男だなんて思わないわよ」
 「ば、バカなこと言わないでよ!」
 そう言って顔を赤らめる皐月だったが、元々体型の出にくいロング丈のメイド服と金髪ツインテのウィッグがあいまって、確かに一見したところ女の子にしか見えない。
 「だいじょーぶ! じゃあ、しばらくウォーターブルーの売り子と被写体、よろしくね。あ、そうだ、これも……」
 と、首にかける「片瀬睦月」の関係者証をメイド姿の「少女」に渡す「少年」。「こういうのはなりきる気持ちが大事なのよ」と、代わりに自分は「片瀬皐月」の名が記された通行証を首にかける凝りようだ。
 「今からしばらくは、アンタが「片瀬睦月」だかんね……それじゃ、サークルの売り子、頑張れよ、姉貴!」
 流石は熟練コスプレイヤーと言うべきか、まとう雰囲気を一転させ、まさに「元気な少年」そのものになりきって、「片瀬皐月」は男性向けサークルの並ぶ西館の方へと消えていった。
 残されたメイド服姿の「片瀬睦月」としては、できれば「彼」が戻ってくるまで、この部屋に籠っていたかったのだが……。
 「う……お、おしっこ、いきたい」
 朝から休憩なしに働いていた反動か、尿意がそろそろ限界に達しようとしていた。
 仕方なくトイレへ赴く「睦月」。一瞬迷ったものの、この格好で男子トイレに入るわけにいかず、罪悪感を感じつつも、化粧ポーチを手に女子トイレへと並ぶ。幸い周囲の人々は「彼女」が本当は男だとは、まったく気付いていないようだ。
 それはそれで屈辱のような、今の状態では助かるような、複雑な気分で「睦月」は個室に入り、スカートの裾を注意深くまくり上げて、ショーツを下ろす。
 後から思い返せば不思議なのだが(あるいは姉の影響ですでに「なりきって」いたのかもしれない)、その時はそれが当然のように、「睦月」は便座に腰かけ、座って小用を足し、終わったあとはキチンと紙で拭いていた。
 よりにもよって、自分が、メイドコスに女装して、女子トイレで用を足す。
 冷静に考えたら身悶えせずにはいられないはずの羞恥プレイのはずなのに、なぜかその時は殆ど取り乱すこともなく──それどころか、手を洗った後、ポーチから取り出したピンクのリップを引き直すことさえしてから、「睦月」はブースに戻ったのだ。
 「ああ、ちょうど良かった。「カタリナ」ちゃん、撮影の御指名やでぇ」
 「結城明日奈」に扮した由希に、そう声をかけられて、反射的に「睦月」は言い返す。
 「カタリナって呼ばないでちょうだい、アタシは加藤里奈!」
 「ツンデレクイーン」とも呼ばれた里奈がゲーム中で頻繁にいう決め台詞(?)に、周囲の観客が湧く。
 「すげぇ! あの子、コスだけでなくなりきり度もハンパねぇぞ!」
 「カタリナたん、はぁはぁ」
 周囲の盛り上がりに呆気にとられつつも悪い気はしない。
 そのまま、呼び込みがてら、カメコの被写体をニコやかに──時には「加藤里奈」になりきって──こなす。
 いつの間にかブースには給仕服姿の「皐月」が戻って来たものの、まさか途中で抜けて衣装交換するわけにもいかず、結局、その日一日、ふたりはそのまま「加藤里奈」、「武村陣」のコスプレのまま過ごすことになったのだった。

475 :
 いや、それだけなら、コムケという特殊なお祭り空間の仲のちょっとした(?)ハプニングということで済ませることもできたのだが……。
 「じゃあ、オレは男子更衣室の方で着替えて、そのまま帰ります。皆さん、お疲れ様でした!」
 16時になり、そろそろ撤収作業が始まる時間になった時、ブース裏に置いてあった着替えの入ったボストンバッグ(無論、皐月のものだ)を手に、給仕服の「少年」は、サークル「ウォーターブルー」の面々にお辞儀をする。
 「あれ、皐月くん、打ち上げには参加しないの?」
 「すんません、実は帰りに寄りたいところがあるもんで……それじゃあ」
 名残り惜しげな清香に、申し訳なさそうに謝って、「片瀬皐月」の通行証を首にかけた「彼」は、足早に男子更衣室の方へ去っていった。
 「うーん、ちょっと残念だけど、用があるんやったらしゃあないなぁ」
 「そうですね。じゃあ、まずは1年生の3人から、着替えてらっしゃいな。わたくしと石原先輩が、ここで荷物番を引き受けてますから」
 2年生の神原麻美と3年の石原桃子も、それぞれ『パルフェール』の「加古奈津美」と「杉崎恵美」に扮してはいるのだが、このふたりは女子大生の普段着と言われてもおかしくない格好なので、そのまま着て帰るつもりなのかもしれない。
 「じゃあ、お言葉に甘えます」と女子更衣室に向かう1年生トリオ。
 (いや、待て待て。「私」──じゃなくて俺は、行っちゃダメだろ!)
 内心そう葛藤しているにも関わらず、「睦月」はそれを言い出せずにいた。
 思い返せば、このふたりも先輩達も、衣装を交換してブースに戻った「彼女」を、何の疑いもなく「同じサークルメンバーの片瀬睦月」として受け入れていたのではないか?
 そして、他方、あの給仕服を着た人間を「睦月の弟で助っ人の皐月」として扱っている。
 確かにふたりは実の姉弟だし、顔立ち自体はそこそこ似てはいるが、だからといって同じ部活の仲間の顔を(いくら衣装を取り替えたからって)見間違えるものだろうか?
 とくに、清香とは中学時代、由希に至っては小学校時代からのつきあいがあるというのに!
 それどころか、あの「皐月」の方も、自分が本当は__であることを忘れたように振る舞っていたし……。
 (本当は私が、__なのに……)
 心の内で愚痴りかけて、「彼女」は不意にギョッとする。
 ──今、自分は心の中なのに、ごく自然に自分のことを「私」と言っていなかったか?
 しかも……本来の立場であるはずの自分の名前を、どうしても今の自分と結び付けて思い出すことができない。
 (お、「俺」は……私は………誰?)
 自問自答しても、浮かんでくるのは、「片瀬睦月」、「涼南女学院高等部の1年生」、「サークル・ウォーターブルーの人気コスプレイヤー」という、仮初のはずの立場ばかりだ。

476 :
 足元がおぼつかないような気分に襲われ、思わずよろける「睦月」だが、同行するふたりの少女が支えてくれた。
 「むっちー、大丈夫? ちょっと休んだほうがいい?」
 「今日は半日、ほとんど立ちっぱなしやったからなぁ」
 「親友」ふたりの暖かい心遣いに、混乱していた心が僅かに元気づけられた。
 「だ、大丈夫。ちょっとクラッとしただけだから。早く着替えて、先輩たちのところに戻らないと」
 とりあえず、色々考えるのは後回しにして、今のところは、ひとまず「片瀬睦月」として部活仲間との時間を過ごそう。
 その場は、そう割り切った「睦月」だった。
  * * *
 (で、結局、あれから半年たっても、ずっとそのままなのよねぇ)
 あの日、サークル仲間と打ち上げにカラオケに行った後、夜20時前に自宅に戻ると、「弟」の「皐月」もすでに帰宅していた。
 もっとも、その場には両親もいたうえ、ごく普通に黒のスエットの上下といういつもの「片瀬皐月」の格好をしていた。さらに言うなら、その時の「私」も、「片瀬睦月」がお気に入りのベージュのニットドレスに黒スト姿だったんだけど。
 それなのに、両親も「弟」も、何ら違和感を抱いている様子がないのだ。
 もしかして、コムケ会場で衣装交換したというのは自分の妄想で、自分は本当は元から「片瀬睦月」だったのではないか?
 一瞬そう考えた「私」だけど、その後、「いつも通り」一番風呂に入る段になって、脱衣場で服を脱ぎ、、自分の全裸姿を目にすることになり、それが間違いだと思い知らされる。
 15歳の男としては色白でかなり貧相ではあるが、まぎれもなく股間には男の徴があり、また胸に乳房らしい隆起はカケラも見当たらなかったからだ。
 ただ、髪型に関してだけは、なぜか本来の睦月(あね)同様、セミロングと言ってよい、肩にかかる長さに伸びていたが……。
 しかも、風呂場に来る前に、自室──「片瀬睦月」の部屋に寄って、クローゼットから替えの下着と寝間着を、ごく自然に取り出して持って来ている。
 弟である「片瀬皐月」が、クローゼットの場所くらいならともかく、その中のどこに何が入っているかなんて知っているはずがないのに……。
 (どういうことなんだろう?)
 風呂に入り、無意識に女らしい仕草で体や髪を優しく丁寧に洗う間も、「私」は色々考えてみたのだが、答えは出なかった。
 その後も、気が付けば「睦月の部屋」でドレッサーを前にして、ごく当たり前に化粧水フェイスケアをしていることに気付いたあたりで、これ以上悩むことを放棄して、そのままベッドに入った。
 女らしい姉の匂い──いくら弟とは言え、近年は間近で嗅いだことなどほとんどないその香りがたっぷり染みついた布団の中で、なぜかその香りに包まれることに違和感がなく、むしろ当り前のように感じている自分に、あえて気付かないふりをして。

477 :
 翌朝目が覚めたときも、「一晩経ったら、すっかり元通り」というギャグマンガ的展開をちょっと期待してたんだけど、残念ながら相変わらずそこは「睦月」の部屋で、「私」はピンクのネグリジェを着ていた。
 しかも、クローゼットから引っ張りだした「白のブラウスシャツに黒のスラックス」という極力ボーイッシュな格好に着替えて1階に下りていったところ、リビングで炬燵に入ってる「弟」は昨日以上に「中三男子」という立場に馴染んでいるように見えたし。
 その後もそれとなく話をしてみたんだけど、どうもこの「皐月」の方は、自分が「この家の長男で、睦月の弟である片瀬皐月」ということに、何ら違和感を感じてないみたい。
 これは周囲の人も同じで、「私」が「片瀬睦月」、「弟」が「片瀬皐月」として認識されている。
 家族や部活の友人達だけでなく、近所の人やクラスメイト、さらに、ちょっと遠出して隣町の繁華街で入ったブティックの店員さんなども、「私」を「高校生の女の子」として扱ってくるし。
 最初の2、3日は「俺」も抵抗していたけど、しまいにはあきらめて、今の立場に身を委ねることにした。
 だって、本音を言えば、自分自身でも「女子高生の片瀬睦月」として振る舞うほうが楽なんだもん。
 あ、一応、違和感というか「自分が本当は片瀬皐月だ」という自覚の欠片は残ってるよ?
 でも、片瀬睦月としての立場でしゃべり、行動し、考え、さらに感じるようになるにつれ、その違和感はどんどん小さくなり、1月も経つとほとんど意識することはなくなっていった。
 最近では、おトイレやお風呂に入ってる時でも、自分が本当は男だなんて自覚することはめったになくなってるしねー。
 「あ、そーだ。むっちー、夏コムには、また皐月くん、呼ぶの?」
 清香の問いに、ちょっと考える。
 「うーん、そうねぇ……」
 もしかしたら、去年と同じこと──コムケ会場でコスプレ衣装の交換をしたら、再び立場交換が起こって元に戻れるのかもしれない。
 けれど……。
 「やめとくわ。今年は人手も足りてるし、あの子も自分が行きたいブースとかあるみたいだし」
 「そーかぁ、ちょっと残念やねぇ。「風間十兵衛」のコスとかしてほしかったんやけど」
 「あはは、あの子にあんなシブい役柄なんてムリムリ!」
 私はソレを望まない。
 だって、今の「片瀬睦月」としての毎日が楽しいから。
 それが自然だから。
 「とりあえず、明後日の土曜日は、みんなでコス製作の材料とか、買いにいきましょ」
 「「さんせー!」」
-おしまい-
#以上。立場交換のカラクリは、以前投下した『名札はキチンと付けましょう』的なものを考えてます。

478 :
ベタだが、それがいい

479 :
GJ!
いずれきわどいコスプレをするだろうなとか妄想が捗るな

480 :
蛇足かもしれないけど、自分はFT-type2の「あの場所」「もうひとつの場所」でココのようなシュミに覚醒した人なので、
「互いの立場を入れ替えたほうが、自然だし幸せになれるよね。だったらそうしましょう」
という話を主に書くし、それしか書けないとも言える。
逆に、「全く違う立場のふたりが、ちぐはぐで全然似合ってないのに交換されてしまう」系の話が好きな人も多いと思うので、そういう人も自分で書いて投下した方が、このスレがさびれなくてよいと思うなぁ。

481 :
お、おう

482 :
あー、ドンびかせてしまったらすまんです。
ふと、スレ読み返してみて、
「あれ、私、同じ内容(のSS)ばっか書いてね?」
と思ったのと、ここ最近の過疎ぶりに、
「このスレに人が少ないのは私せいかよ、コンチクショウ」
逆ギレ気味に鬱ったもんで。
しばらくROMります。

483 :
過疎るのはコミケ前だからある意味仕方ない

484 :
コミケとか関係なく同じ住人しかこのスレには居ないだけかもな
長く続いたスレだし過疎化してるのは仕方がない

485 :
書き手、読み手ともに固定されてる感じはあるね
新規の人もどんどん書いてほしいな

486 :
元々がえらくニッチなジャンルだから
過疎に変に怯えることはないな

487 :
触発されて書いてみようと思ってネタ程度で書いても
多少の茶々を入れる程度の書き込みならスルー出来るけど
知ったように必要ないとか否定されるとちょっとね
どんどん書いてと言われても気軽に書けない感じ
だからこのスレはROM専でいいです

488 :
なんだ
人居るな

489 :
>>487
否定されようがされまいがどうせ書く気ないんだろ?
スレ見てぶつぶつ文句言いながらずっとROMってたらいいと思うよ

490 :
>>489
もう少し頑張れ

491 :
自分以外に書かない他の人も書けと騒ぐ作者
なんか知らないが拗らす作者に直ぐに噛みつく奴
過疎とかのは問題じゃなく雰囲気が良くない
こんなのでSSをここに書きたがる人間が居るはずもない

492 :
491みたいなのがいると、一気に雰囲気が悪くなるよねえ。

493 :
>>492
いつも噛みつく人お疲れ様です。

494 :
噛み付く人がいて、それにわざわざ即レスくれる人がいて
自作自演にしか見えない

495 :
>>494
いつも自演だと言う人お疲れ様です。

496 :
そんなことよりネタを語ろう
「中年オヤジと〜」の影響で、少しずつ入れ替わるのが自分のなかでマイブーム
小学生男子とOL(あるいはキャバ嬢)が少しずつ入れ替わるとかもいいなぁ
でも、最終的に職業だけは入れ替わらないとか

497 :
俺は水着逆転プールとか思いやり学習みたいな、明らかに逆転してるのに恥じらっていないのが好き。
説明が難しい…

498 :
「少年」と「年上の女性」の立場が入れ替わって
最終的に「少年」が色気たっぷりの若奥様生活を、「女性」が汗臭い男子学生生活を満喫するオチすごく好き

499 :
8月1日の写真で遊ぼうみたいなのがツボ
強制的に他人として生活せざるを得ないシチュエーションが好き
相手側の立場から元に戻れない展開だとなお至高

500 :
特殊メイクで性別、年齢、人種の壁を壊して立場の交換をするとか面白そうだ
エリートビジネスマンの白人男性と娼婦の黒人少女を強制的に立場交換したりとか

501 :
>498
12、3歳くらいの、セックスはおろか、まだロクにオナニーも
知らなさそうな、おとなしい男の子が、
新婚ほやほやの、クラス担任の女教師と立場を交換されて、
毎晩旦那に新妻としての悦びを教え込まれていく一方、
少年の立場になった元・女教師が、悪友の影響でエロガキに
なっていく様とか見たいよなぁ。

502 :
>>501
隣に住んでるあこがれのお姉さん(AV女優)と、
おとなしい小学生男児との立場交換というのもいいなぁ
AV女優になった男児は「初々しい清純派系」として人気を博し、
小学生になったお姉さんはクラスをエロで染めていくとか

503 :
Gカップの爆乳を揺さぶりながら、エロ本を回し読む男子小学生
可愛らしい包茎をビンビンに勃たせながら、男どもの肉棒を一生懸命にしゃぶるAV女優

504 :
夏コミの「f-trance form-3」とかいう同人誌で、
「優等生な主人公の少年(たぶん小学生5、6年生)が、
 体育の授業をサボって教室に戻り、
 こっそりクラスの女子の私服に着替えて、
 その子になりき(ったつもりにな)る」
という話が載ってた。
その時の話では、クラス委員の活発な女の子の服を着て、
リボンで髪型もそっくりにして、彼女になりきってた。
単なる個人の思い込みとしてのなりきりだけじゃなく、
このスレみたく、着替えで立場交換が発生したら……
と考えると、ちょっと妄想がはかどる。

505 :
あは〜ん

506 :
あは〜ん

507 :
巨乳のAV女優と立場交換した元男子小学生なら
まっ平らな胸なのに「豊かな弾力を感じる」とか
全然挟まってないのに「パイズリ気持ちいい」とか相手に認識させられるんだよな
逆に男子小学生になった元巨乳のAV女優は
豊かに跳ねるボインであっても「まっ平らで硬い」とか「ゴツゴツしてる」みたいな認識しかされない

508 :


509 :
過去スレのおバカギャルと優等生男子、デブス女子とスポーツマン男子の交換がすごく好きなのだが
これが集団で上のお話見たいに徐々に入れ替わっていったらかなりグッと来る

510 :
いいね

511 :
イイネ

512 :
ロリが斧持って前衛、筋骨隆々な大男がローブ着て呪文詠唱
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/ghard/1376952670/

513 :
おつ

514 :
おつ

515 :
おつ

516 :
「お兄ちゃん、神田女子付属小学校受けるの?」
居間のテーブルに置きっぱなしだった入学案内が目に入ったのか、学校から帰ってきた妹が俺に話しかけてきた。
「どうでもいいだろ! というか勝手に部屋ん中入るなよ!」
ノックもなく部屋の中に入ってくる妹のデリカシーのなさに辟易しながら、俺は問題集を解き続ける。
並んだ図形の模様から法則性を導き出して正解を求める問題、
たくさん積み重なった立方体をいろいろな方向から見たときの形を選ぶ問題、
それから2ケタの計算に、イラストを見てものの名前を書く問題……。
一心不乱に問題を解き続ける俺の手許を、横から覗きこむ妹。
「うわ、本当に神田女子付属小の過去問解いてる!
 お兄ちゃんも今流行りの『19歳からの小学校受験』するとはね〜」
大げさに驚き、そしてカラカラと笑う妹を無視しながら問題に没頭しようとするが、
脇に置いておいたもう1冊の問題集を手に取ってわいわいきゃいきゃい騒ぐため集中できず、
とうとう俺はペンを置いて妹の方へ向き直ってしまった。
「うるさいな! いいだろ別に!」
はやくあっちへ行けとゼスチャーで示しながら妹をにらむ。
まだ第二次性徴を迎えていない幼児体型を包む、金ボタンがまぶしい学ラン。
部活の方針なのか校則なのかはわからないが短く刈り込まれた髪型。
そして年上の男にまじって勉学に励んでいるせいか、
その顔つきは同い年の女の子に比べてとても精悍に見えた。
「お兄ちゃんが女子小学校に通うことになったら、また『兄妹』になるんだね」
私のお古あげようか? とか、お兄ちゃんにはどんなかわいい洋服が似合うかなとか、
小学校に通う俺の姿を想像してはしゃぐ妹。
もういい加減にしろ! と怒鳴って妹を追い出そうとしたが、
受験科目の「集団遊び」に曲に合わせて踊るというものがあったことを思い出して呼び止める。
「えっとさ、ちょっと『集団遊び』の練習を見てほしいのだけど……」
「どうしよっかな〜」
怒鳴って追い出そうとしたせいか嫌がるそぶりを見せたが、最終的に俺の受験勉強に付き合ってくれることになった。
ここら辺、妹はすでに『兄』としての自覚が出てきたのかもしれない。
来年、学ランを着た妹の横で、真新しいワンピース風のセーラー服を着て微笑む自分の姿を想像しながら、
俺は全力で「大きな栗の木の下で」を歌って踊るのだった。

517 :
ようやく時間ができたので、ちょっと小ネタでリハビリ
「19歳からの小学受験」という単語が脳裡によぎったので・・・・・・

518 :
俺はさあ、このスレの立場交換に最初違和感を覚えたんだよね
常識書換は好きなんだけど、それを混ぜてしまって元の木阿弥になってしまってる。
記憶も身体も他人には別人に見えてかつ自分自身も誤認するんじゃ中身入換と変わらないんだよね。
はたからみている俺達からすれば何も違和感なく過ごしている籠の中の鳥のように
滑稽きわまりない姿で倒錯を味わえるんだけど、
そればっかりで胸焼けを起こしてたんだ
兄と妹がその滑稽さを認識した上で入れ換わりしているのがいい

519 :
>>517
超乙
久しぶりに来たな

520 :
>>518
好きなシチュエーションとかあって
それと違うSSしかここに無いなら自分で書くしかないよ
創作系の板の流れを変えたいならそれが一番
と言う訳で君のSSに期待

521 :
お前らをアッと言わせてみせるよ?
本気出すよ?いいのか?お前ら俺が本気出したらやばいぞ?
日本人の常識を書き換えてしまうぞ?覚悟できてるか?

522 :
日本中の常識を書き換えて立場交換とか超期待

523 :
やる気があるのは良い事だ
頑張れ
期待する

524 :
頑張れ

525 :
頑張って

526 :
がんばれー

527 :
あっ!

528 :
もっとはやらないかなぁ

529 :
流行らせたいなら例えば、人の多い掲示板に人気の作品でSSスレ立てて伸ばすとかかな
台本形式なら作りやすいと思うぞ俺はやらんけど

530 :
萌え豚に媚びるなんて物書きの恥だわ

531 :
こんな特殊な萌え属性のスレで物書きの在り方とか語られても・・・

532 :
>>531
こいつ煽りや釣り目的でスレを荒らすのが目的だろ
毎回、上から目線で他人を見下した書き込みしかしないし
>>521で「書くぞ」とか言うのも口だけで本気で書く気が一切ないだろ

533 :
ふっ......なんだ怖じ気ついたのか?だがもう遅い。じきに完成する

534 :
気にせず気長に待ってるよ

535 :
>>533
はいはい、頑張れ〜(笑)

536 :
俺が本物の>>521だけど、短編でいいかのう......
後に引けないくらいの気持ちじゃないと最後まで書けない性格なので啖呵切っといてアレですが……

537 :
大して気にしてないから大丈夫

538 :
煽りとかいらないから

539 :
少々を事は脳内補正するのでOK!

540 :
学年トップを取り続ける男子高校生が、
ふとしたきっかけでオバカなギャル集団と1つの賭けをすることに。
そして賭けに負けてなんでもいうことを聞かなくてはいけなくなった男子高校生は、
夏休みの間「ギャル」としての生活習慣や態度などを徹底的に叩き込まれることになる。
逆に男子高校生が通うはずだった夏期講習などは、
ギャル集団のなかで一番扱いの悪い(そして頭の悪い)子が
強制的に「マジメな男子高校生」風の格好をさせられて通わされることになる。
初日に黒ギャルに変身させられて露出度の高いファッションを心がけるよう努力させられ、
オールでの遊びや援交もどきや乱交パーティーなど『悪い遊び』を覚えさせられた男子学生と、
バカなりに一生懸命夏期講習に通いファッションそっちのけで勉強しつづけたバカギャルの立場や心境は
夏休みでどのように変化していくか・・・・・・

というアイデアだけ天から降り注いできた
書く気力はわかない

541 :
いいね

542 :
待ってます

543 :
あげ

544 :
306 : 306 [sage] 2012/08/09(木) 22:39:16.03 ID:G9w6B++D
同じ歳で大変オテンバなイトコがいて、叔伯父母から
「○(オレ)と逆だったらよかったのに」
「生まれてくるときチンチンを忘れてきた」
とよく言われていた。
それが一般的なたとえ話ではなく、真実だと思っていて、
一緒にプールや風呂に入ろうものなら、もぎとられてしまう、と必に断っていた。
女の子だと跡取りとしてどうだとか、男の子を産むまで…とか言われていた頃。
で、夢にまで見てしまった。
オレの服を着て、勝ち誇ったような顔をしているその子。
オレは、女の子(その子)の服を着て、赤のランドセル、習字道具、
ピンクの水彩道具箱や体操服の入った巾着袋を持たされている。
「オマエの道具をもって来い」といわれる。
反論すると、
「オマエ、チンチンあんのかぁ?」とスカートやパンツをめくられる。
泣きながら家に帰ると、
「そんな意気地のない子はウチの子じゃないよッ!」と母から、
自分のランドセルやらの道具を放りだされて、ピッシャっと玄関を閉めると言う…。

545 :
『夢十歳』
 子供のころの話だけど、僕には、「花緒里(かおり)」って名前の、同い歳でとってもやんちゃな従姉(いとこ)がいたんだ。
 「きっと生まれてくるとき、チンチンを忘れてきた」
 「幸行(ゆきつら)くんと逆だったらよかったのに」
 ──なんて、実の両親や親戚のおじさんおばさん達からも、よく言われているくらいおてんばでね〜。
 あ、ちなみに「幸行」ってのは僕のこと。どっちの名前も『源氏物語』の巻名をちょっとだけ変えたもので、古文の教師をしていたおじいさんが、付けたんだって。
 ただ、ね。
 大人からすれば、その言葉は単なる笑い話やちょっとした愚痴なんだろうけど、子供時代の僕は、それが物のたとえじゃなく、本気の言葉だと思ってた。かおりちゃん自身、「どうせなら男の子に生まれたかった」って常々公言したしね。
 だから、かおりちゃんに一緒にプールや風呂に入ろうと誘われても、「うっかり隙を見せたら、きっとおチンチンをもぎとられちゃう!」と警戒して、ずっと必に断ってたんだ。
 もっとも、数年経って、小学3、4年生になるころには、さすがに一緒に風呂に入れと言われることもなくなって、安心してたんだけど……。
 「おい、起きろよ!」
 4年生のゴールデンウィークに、篝おじさん(=かおりちゃんのお父さん)の家に遊びに行って、お昼寝してる時、僕はかおりちゃんに乱暴に起こされた。
 「ん〜、なに、どうしたの?」
 眠い目をこすりつつ、目を開けると……。
 そこには、ヤンキースのロゴが入ったユニフォーム風Tシャツと、カーキ色の半ズボンという僕の服を着て、勝ち誇ったような顔をしているかおりちゃんが立っていた。
 「え? え?」
 対して、お布団の上の僕は、丈の短いシンプルな白いワンピースとレース編みの3つ折りソックスという女の子(たぶんかおりちゃん)の服を着せられていた。
 「な、何これ?」
 「今日から、あたし……ううん、オレが、六条の家の息子になるから。オマエは代わりにウチの父さん母さんの娘になれよ」
 自信たっぷりに、かおりちゃんに、そう宣言されて、寝ぼけまなこの僕もさすがに目が覚めた。
 「ええっ!? い、いきなりそんなこと言われても……」
 それでも、気弱な性格故か、僕はキッパリ断わることができず、モゴモゴと口ごもってしまう。
 「いいじゃないか。オマエは頭がいいし、礼儀正しくて優しいから、よっぽど父さんたちが望んでる「おとなしくて可愛らしい娘」に近いと思うぞ」
 僕の態度を脈ありと見たのか、かおりちゃんは、畳みかけるようにそう言うと、強引に僕に赤いランドセルを背負わせ、左の前髪を花飾りのついたピンで留めてから、鏡の前に立たせた。

546 :
 「え、コレが……ボク?」
 鏡の中には、ちょっと困った顔をした、僕と同い年くらいの女の子(にしか見えないボク)が映っていた。
 鏡に映る自分を見ていると、なぜか自然と内股になってモジモジしてしまう。
 「へぇ……いいじゃん。オマエ、すっごく可愛いぜ」
 そんなことを言いながら、かおりちゃんはスカートをめくってきた。
 「キャッ! や、やだ、やめてよぅ……」
 半泣きになってスカートを押さえるボクを見て、ますますニヤニヤするかおりちゃん。
 「ウチの父さんと母さんの許可はもらってるから、今度はオマエん家に行こうぜ」
 かおりちゃんに手を引かれて、渋々その格好のまま、歩いて3分ぐらいの場所にあるボクの家に帰ったんだけど……。
 「おやおや、すっかり可愛くなっちゃって。おかしいねぇ、うちの子は男の子だったはずなんだけど……」
 お母さんまで、ニヤニヤしながら、そんなコトを言うんだ。
 「ならさぁ、オレがこの家の子になるよ!」
 ここぞとばかりに自分をアピールするかおりちゃん。
 「ふむふむ……うん、それもいいかな。「かおる」、今日から、アンタがウチの子だよ」
 「やりぃ!」
 あれよあれよと言う間に、ボクを置いて話がまとまってしまう。
 「じゃ、そういうことだから。アナタも早くお家にかえりなさいね」
 お母さんは、そう言うと、あっさりボクを玄関から締めだしたんだ。
 途方に暮れたボクは、仕方なくトボトボとおじさんの家に行ってみた。すると……。
 「あら、お帰りなさい。どこか出かけてたの、「行幸(みゆき)」?」
 至極当然のような顔で、夕霧おばさん──花緒里ちゃんのお母さんが、優しく迎えてくれたんだ。
 「あ……うん。ただいま、ママ」
 気が付くと、ボクはそんな言葉を返していた。
 ……
 …………
 ………………

547 :
 「──という、夢を、昨晩見たんだ」
 「だぁっ、散々引っ張っといて、夢落ちかよ!」
 朝、ボクの家の台所でボクが朝ごはん食べてる間に、一緒に学校に行こうと迎えに来てくれてた柏木くんが、ガクッとずっこけている。
 「ふたりとも、そろそろ学校に行く時間じゃないの?」
 話が一段落したタイミングを見計らって、ママがボクらに声をかけてきた。
 「げ! そういえば、もう、8時10分だ。ほら、準備急げよ」
 「あ、うん、ちょっとだけ待ってて」
 慌てて玄関に向かう柏木くんにせかされ、ボクも洗面所に飛び込んで、歯磨きと整髪を済ませる。
 鏡の中には、去年の春から通っている星河丘学園中等部の制服を着た、長めの髪を緩い三つ編みにしてまとめた、身長150センチちょっとの「女の子」が写っている。
 別にアイドルとか読モになれるほど美人ってわけじゃないけど、クラスの女子の平均くらいにはかわいいって言っても、それほど自惚れにはならないと思う──なかなか胸が育たないのが密かな悩みの種だけど。
 「おーい、まだか、みゆきぃ?」
 「はーい、いまいくー」
 急いで洗面所を出て、玄関で柏木くんと合流。そのまま家を出て学校に向かう。
 「ついこないだまで暑かったのに、もうずいぶん涼しくなってきたね〜」
 「ま、陸上部の俺としては、涼しいほうが助かるけどな」
 そんな雑談をしながら、ちょっと早足で歩く、ボクと柏木くん。
 柏木くんは、幼稚園から小2までずっと同じクラスだった幼馴染で、3年生の2学期に家の都合で転校しちゃって、しばらく疎遠になってたんだけど、今の学園の中等部の入学式で再会したんだ。
 柏木くんの新しい家がうちの近所なので、部活の朝練がない日とかは、小学校時代みたくボクを迎えに来てくれる。
 ただ、子供のころは純粋に友達としてい仲が良かったんだけど、この歳になると、やっぱり多少は男女のそういう関係を意識せざるを得ない。
 もっとも、周囲の人──クラスメイトとか、うちのママとかは、ボクたちがとっくにつきあってるって思ってるみたい。ボクの方も訂正する気はないけどね♪
 彼にその気がないワケでもなさそうだし、いまは告白待ちって感じ?

548 :
 (今度のクリスマスあたりがポイントかなぁ……)
 それでダメなら、来年のバレンタインにボクの方からチョコと一緒に告白しちゃうほうがいいのかもしれない。
 ──でも、気になることもあるんだよね。
 ボクが一昨年卒業したのは、私立桜庭小学校。卒業証書もアルバムもちゃんと残っているし、今でも時々、仲が良かった子とは電話したりもしてる。
 それなのに、柏木くんの話を聞く限りでは、彼が3年生まで通ってたのは市立数紀小学校だったみたいなんだ。
 どうしてかなぁ。ボクは彼と違って、転校なんかした記憶はないし……。
 (ズキッ!)
 あれ、なんだか頭の片隅が痛いような……。
 「おい、大丈夫か、みゆき?」
 「あ、うん、全然平気」
 心配そうな柏木くんの声に、とりとめない考え事を中断して、笑って見せる。
 「ホントか? なんか顔色悪いぞ」
 「大丈夫だよぉ。あ、でも、もし心配してくれるんだったら……」
 「うん?」
 「手、握ってほしいなぁ」
 「いいっ!? そ、それは……」
 たじろく柏木くん。
 「あ、でもね、これはボクのワガママだし、柏木くん――ヒョウくんがイヤならあきらめるから」
 柏木くんの小さい頃のあだ名(兵衛だからヒョウくん)を呼んで、気弱に目を伏せるあたり、ボクも結構演技派かも。
 「ぅー……わ、わかったわかった」
 真っ赤なって照れながら差し出してくれたヒョウくんの、暖かくて力強い手を握る。
 「じゃ、じゃあ、行こっか」
 「う、うん」
 彼に手を引かれて歩く通学路は、なんだかいつもより輝いて見えた。
 それだけで、さっきまで考えてたコトなんてどうでもよくなるんだから、我ながら現金なものだよね。
 彼と手を繋ぎ、満面の笑みを浮かべるボクの脳裏には、すでに先程までの違和感はカケラも存在しなくなっていた。
−おしまい?−
  
#以上、544のネタに触発されてかいてみました

549 :
GJ!
短編ながら綺麗にまとまってますね

550 :2013/10/02
Kの人の新作来てた!
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