2013年10エロパロ209: 【貴方なしでは】依存スレッド11【生きられない】 (540) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【貴方なしでは】依存スレッド11【生きられない】


1 :2012/03/04 〜 最終レス :2013/10/03
・身体的、精神的、あるいは金銭や社会的地位など
 ありとあらゆる”対人関係”における依存関係について小説を書いてみるスレッドです
・依存の程度は「貴方が居なければ生きられない」から「居たほうがいいかな?」ぐらいまで何でもOK
・対人ではなく対物でもOK
・男→女、女→男どちらでもOK
・キャラは既存でもオリジナルでもOK
・でも未完のまま放置は勘弁願います!
エロパロ依存スレ保管庫
http://wiki.livedoor.jp/izon_matome/
【貴方なしでは】依存スレッド10【生きられない】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1321629440/

2 :
>>1おつおつ

3 :

          ィ'⌒`ヽ、      
r==─‐r───{::::::::::::::::::ミ、     
  ゝ─'───{::::::::::::::::::厂/⌒ヽ  
          \:::::::fーヘノ   }     こ、これは>>1乙じゃなくて
           `゙'゙' ト' |   |     そんなやZuやで働きたいだけなんだから
                ゝ  l  |     勘違いしないでよねっ!   
              |   !  !            
              |   l  |   
               |   ! |   
             /i\_,,l '、  
          /   |    }二フ 
          〈   /|   /     
          |  f  |   /     
          !  |  |  i     

4 :

                 __,,,,、 .,、
            /'゙´,_/'″  . `\
          : ./   i./ ,,..、    ヽ
         . /    /. l, ,!     `,
           .|  .,..‐.、│          .|
           (´゛ ,/ llヽ            |     こ、これは>>1乙じゃなくて
            ヽ -./ ., lliヽ       .|     イチモツなんだから
             /'",i" ゙;、 l'ii,''く     .ヽ    変な勘違いしないでよね!
         / ...│  ゙l,  l゙゙t, ''ii_    :.!
        : /.._ /    ヽ \\.`゙~''''''"./
        .|-゙ノ/   : ゝ .、 ` .`''←┬゛
          l゙ /.r   ゛ .゙ヒ, .ヽ,   ゙̄|
       . | ./ l      ”'、 .゙ゝ........ん
       l  /     ヽ .`' `、、  .,i゛
       .l|  !    ''''v,    ゙''ー .l、
       |l゙ .il、  .l  .ヽ  .¬---イ
      .ll゙, ./    !            ,!
      .!!...!!   ,,゙''''ー       .|
      l.",!    .リ         |
      l":|    .〜'''      ,. │

5 :
>>4


6 :
>>4
ピンクでやれksがww

7 :
過疎ってるやないかい!

8 :
読み手が書き手にならなかったので

9 :
カスだな

10 :
読み手が書き手になる時が来たようだな

11 :
やっぱり書き手が少ないとモチベーションも保てないか

12 :
最近執筆が進まないデス……誰かエネルギー(投下)を下さい!!

13 :
エネルギー不足で餓寸前なので自分も期待……

14 :
誰か書いてクレー!お願いだー!

15 :
てす

16 :
「ねえ、依存症って知ってる」
「依存症?酒とかが無いと、震えたり幻覚を見たりするやつか?」
「それは禁断症状…でも、間違ってないかも」
「なんで?」
「私、ひー君にくっついていないと、震えたり眠くなったりするし」
「それはただ、寒いだけじゃ……って、抱き着くな!人の熱を奪うな!!」
「アー、ヌクイ」
「寒いなら、ストーブでもつけろよ」
「え〜、でもこうやって抱き着いていると、だんだん温かくなってくるし」
「恥ずかしくて、体温が上がってるんだよ!」
「暖房いらずだね!本当、クセになるわ〜」
「ちょ!?背中に当たってる!離れろって!」
「あ、どんどん温かくなってきた〜ウリウリ」
「恥ずかしくないのかよ!」
「この温もりのためなら、恥ずかしいことなんて何もないよ?」
「ホッカイロと一緒かよ」
「体だけじゃなく、心も温かくなるから、ひー君はホッカイロ以上だね!」
「嬉しくねぇ」
「心も体も温めてくれるなんて、ひー君しかいないもん」
「ちょ…おま…」
「もっと温まろうね」

そんな寒がり依存娘

17 :
ありがてぇ!ありがてぇ!
枯れ果てた心が潤っていく!

18 :
御礼に短編書いてきたよ!
芋虫少女依存モノだからグロ注意ね!

19 :
僕の妹は芋虫だった。正確には、芋虫のような妹。
「おにーさま、おいしいですー」
しゃくしゃくと僕が与えた葉を食べる。
にこにこと笑う可愛らしい少女の首から下は、人間の手足がなく、剥き出しの裸体。
その裸体の脇腹には、小さな虫の足が生えている。
性器には毛が生えそろい、目に入る度に僕をどきりとさせる。
僕の家には、稀にこのような異形の者が生まれるのだという。
先祖が芋虫の化生であった、先祖が芋虫をし回ったから、言い伝えは様々だが、真相は分からない。
妹は本来なら慣例通りにされるはずだった。
それを僕が拒んだゆえに、こうして座敷にて飼育、そう、飼育しているのだった。
「おにーさま、あそんでー」
僕が彼女を抱っこしてやると、彼女は嬉しそうにぴこぴこと腰を振る。
そうして外を見せてやったり、本を読んでやったりすると、妹が聞いてくる。
「なめなめしよー、おにーさま」
無垢な瞳で言う妹。ごくり、と僕の喉が鳴った。
僕は寝転がり、妹がのそのそとその上に乗ってくる。
そして、妹は口で僕のズボンのチャックを下ろし、トランクスのボタンを外し、おちんちんをぱくり、とくわえた。
僕も妹の剥き出しの性器へと、舌を這わせる。
無言のまま、お互いに互いの性器を果実か何かのように舐めしゃぶり、味わう。
空間には、二人の荒い息と、むっとする野性的な卑猥な臭い。
やがてお互いに高まり合い、身体はびくびくと痙攣し合う。
僕達は絶頂を迎える。
妹の小さなお口に、どくどくと精液を流し込むと、ちゅるちゅるとそれを飲み尽くしてくれるのだった。
可愛らしい妹、僕だけの少女。
閉じ込められ、飼育され、僕しか頼れない妹に、卑劣にも僕は悪戯をするようになっていた。
僕が何をしても、構ってくれているのだと喜び、受け入れて。
妹は僕のおちんちんをぺろぺろしながら言う。
「おにーさま、うれしい?」
「ああ、嬉しいよ」
「よかったー」
「おにーさま、しあわせそうで、よかったー」

ある日、妹は繭と化していた。
僕が震えながらそれに触れると、繭を編む糸が身体に絡まっていく。
もがこうとも、暴れようとも、糸は離れはしない。
「おにーさま、つかまえたー。やっと、つかまえたよー」
繭の中から、あどけない声が、ひどく、ひどく嬉しそうな声が、聞こえた……。

20 :
御礼終了!さよなら、さよなら

21 :
いいねえ!

22 :
芋虫って江戸川乱歩のあれみたいな比喩表現かと思ったらガチの妖虫かよ
GJ

23 :
御礼の御礼に、もう一本
「ねえ、依存症って知ってる?」
「また、そのネタか?今日は暖かいぞ?」
「もう!答えになってないよ!ギュー」
「抱き着くなって!てか、熱!?」
「ひー君は、今日は冷たくて気持ちいいな〜」
「お前、風邪ひいてるんじゃないのか?」
「うん!ひー君病にかかってるの!」
「なんだそりゃ……人を病原菌あつかいするな」
「ひー君に抱き着かないと、真っ直ぐ立てない病気なの」
「風邪で足にキテるせいじないか!無理しないで休めよ!」
「やだ!離れると、頭痛はするし目眩がするの」
「今度は薬あつかいですか…」
「新しい風邪の治療法だね!」
「効果があるのは、お前ぐらいだろうが」
「じゃあ、ひー君は私の特効薬なんだ」
「……あまり、嬉しくないな」
「私の薬なんだから、治るまでそばにいないと、ダメなんだからね?」
「分かったから、早く寝ろよ」
「うん…ひー君が一緒だと、風邪が早く治る気がする」
「俺にうつりそうだけどな」
「そうしたら、私がずっとそばにいてあげるからね!」

そんな風邪引き依存娘

24 :
Gj!
これはおちおちしてらんない!
俺も短編書いて今日中に投下する

25 :
GJッス!
一気に3作品投下されてめっちゃ潤いましたよ!

26 :
ギリギリ間に合った
投下させてもらいます

27 :
大きな森に小さい小屋
夏は涼しい風が木々の隙間を潤し、冬は冷たい海風を防いでくれる
緑が生い茂り、様々な植物や動物が暮らしている森
耳を澄ませば聞こえてくる、親子鹿や小鳥の鳴き声
夜になると肉食動物の雄叫びが子守唄
この森に言葉を使う生き物は今はもう存在しない……なのに森の名前は“小人の森”
何万という生き物が存在する森の中で、なぜ小人と言う言葉を選ぶのか不思議でならないかもしれないけど、理由は分かっている
それはたった一人の小人の存在…
唯一森の中ではまったく無意味な“言葉”を使う生き物が森に住んでいるから
人間同士なら言葉は大切なもの
だけどこの森に人間なんて存在しない…居るのは四方八方に生い茂る草木と豊富な野生動物
――そして、一人の小人だけ…
ひとりぼっちの小人だけ…

△▼△▼△▼△

「今日はこれで終わりなの」
片手斧を両手で掴み薪を割る
自分の身体では両手斧は持つ事は愚か掴む事さえできない
「ありがとうございます、ありがとうございます」
切った木に頭を下げて感謝する
森の返事は…返ってこない
返事は返ってこないけど、暖かい風が私を包みこんでくれた
これが森の返事

28 :
薪を手にとり小屋の中へ戻り薪を蓙の上に乗せてひと休みすると、水が保管されている樽の栓を抜き、流れてくる水をコップで受け止める
「ごく…ごく…っ…ぷはぁ!一仕事の後の水は格別なの!」
コップを雨水で貯めたもう一つの樽から水を流して洗うと、木製の棚にコップを入れる
この小屋の中にあるモノは全て拾って来たモノ
人間が住む町に夜行くと、たまに壊れた家具を道端に放置していり事があるのだけど、それをその場で解体して持ち帰り、小屋で組み立てる
楽しみといったらこれぐらいしかないかもしれない…
だけど私はこの森で生きている
この森以外にいく場所が無いから…
「ふぅい〜…休憩終わりなの!」
自分専用に作った切株の椅子から飛んで降りると、カゴの中から木の実や花で作った首飾りや腕輪をカバンの中に入れ、草で作った靴を履いて外に飛び出した
「行ってきま〜す!」
誰も居ない小屋に手を振り走り出す
慣れた森の中を踏み外す事なく進んでいくと、小川の音が耳に入り込んできた
小川に到着すると、川沿いに降っていく
二時間ほど走っていくと、遠くに小さく灯かりの固まりが見えてきた
人間が住んでいる“町”と言われる場所だ

29 :
「よいしょ…んしょ…」
カバンから布でできた帽子を深く被り歩き出す
帽子を被らないとすぐにバレてしまうから仕方ない…
一度だけ帽子を被らずに昼間町に行った事がある
網を持った人間に追いかけ回されて、大変だった…。
生憎、足の速さなら自信があったので走って森に逃げてきた
そんな酷い目にあっても町に出掛けるのは、やっぱり森とは違う温もりがあるからだと思う…
そしてその温もりに一度触れてしまったから…
「……今日は会えるといいの」
ある人間の顔を頭に浮かべて小さく呟くと、自分の声が優しく耳を撫でた
むずむずする…
くすぐったい耳を隠すように帽子をより一層深く被り、急いで町へ向かった――

30 :

◇◆―◆―◆◇

喧騒喧しく飛び交う人々の声――誰に向けて放たれた声なのかは知らないが、無関係な私の心に靄を落とす雑音は耳障り以外のなにものでも無い
昨日も今日も明日も町の中は賑やかな色を薄めない
毎日が祭の如く、静けさそのものが敵のように騒ぎ続ける
人間、無音になると耳鳴りがするのは様々な音に囲まれて暮らしているからだ
だからこの騒がしい雑音が人間の心に安らぎをもたらせる
人間が作り出す音だから安らぎを覚えるのだ
自然の音は人間には優しすぎる…
体に流れる水、体の中に入り込む空気
町で摂取した全ての汚れを落としたい
この町で暮らして二十年が過ぎ、今年で三十五
私は人間であり続ける事に疲れていた…
高原を駆ける馬になりたい
大地を這う蛇になりたい
流れに逆らう魚になりたい
大空を飛ぶ鷹になりたい
森で暮らすオオカミになりたい
人間を…やめたい…
毎日毎日同じことを考えながら暮らしてきたある日、一人の少女と小さな橋の上で出会った

31 :
橋の石畳の上に布を引いて、一人で物を売っていたのだ
少女の身なりを見て、まず上町の人間では無い事が分かった
下層にある貧民街の子だと思ったのだ
何処かで拾ったのか、ボロボロになったワンピースに足には草が巻き付けられていた
一人で生きているのか…親の酒を買うために稼いでいるのか…はたまた親が病気なのか…
盗賊にならないだけまだマシなのだろうけど、上層に住む人間の目には良く写らないだろう
「なんだこれ?おまえこんなモノ売ってるのか」
案の定、小綺麗な格好をした子供達が数人集まってきた
「そうなの!どれか欲しいものある?」
帽子を深く被った少女の声は綺麗に透き通っている
下の川を流れる水の音と重なるほどに透き通った声だ
「こんなもん買うヤツいねーよ!」
一人の子供が布の上から首飾りを手に取ると、力いっぱい引っ張った
「あっ!おてて怪我するの!」
立ち上がり少年から首飾りを取り上げようとする
「離せよ!汚いな!」
首飾りごと彼女を突き飛ばすと、布の上に置いていたモノを蹴り飛ばし出した
「やめてなの!」
少女は慌てて布の上の商品を庇った
それでも少年達の粗暴は止まない

32 :
少女は袋の中に慌てて商品を詰め込むが、その袋さえも取り上げられ少年達で投げ合っている
小さくても人間…これが無邪気に見えるのだろか?橋を渡る大人達は見ても無視して…中には微笑みながら通りすぎて行く婦人もいる
「か、返してなの!」
少女の手の届かないよう袋を高く上げて、取れないように挑発している少年
「さわるなって言ってるだろ!この浮浪者め!」
「きゃっ!」
まとわりつく少女を少年が再度力いっぱい突き飛ばした
派手に後ろへ転がりゴンッと頭をぶつける少女
あれは痛い…
「はぁ…(そろそろ止めに入るか)」
ため息を吐き、少女に歩み寄ると、脱げた帽子を掴み少女の背後に立つ
「キミ、帽子落ッ!?」
彼女の肩を掴み話しかけようとした時、彼女の耳に異変を感じた
尖っている…耳が動物のように尖っているのだ。

「う、うわぁあ!!!なんだおまえの耳!悪魔だ悪魔!」
袋を掴んでいた少年が大きく後ずさると、彼女の耳を指差し悲鳴をあげた
「ッ!?」
帽子が脱げた事に今更気付いたのか、両手で頭を押さえ目を見開いている
「あ、あの…」
キョロキョロと周りを見渡し帽子を探す少女に再度肩を叩き話しかける

33 :
「ッ……ぁ」
肩をビクつかせ恐る恐る此方へ振り返る少女
その目は完全に恐怖の色に染まっていた
「あぁ!悪魔が逃げたぞ!」
帽子を受け取ることもせず俺の手を振り払い走って橋を渡ると、此方へ振り返る事なく町の外へと逃げていった
なぜ町の外へ?
貧民街に住んでるいるんじゃないのか?
少年達も走って少女を追いかけるが、少女の方が足が達者だ
あれは追い付けない…それに町の外までは追いかけられないだろう
子供だけで町の外に出る事は親に固く禁じられているはずだ
「……」
地面に広げられた布の上に視線を落としてみる
木の実で作ったのだろうか?
踏まれてメチャクチャになってしまっているが、無事な物も数個残っている
「しかし、これを売りに来たのか…」
木の実で作られた首飾りを手に取り眺めてみる…
上手く作られてはいるが、金を出してまで買おうとは思わないだろう

仕方ない……商品を…一応、壊れたモノも布で包み立ち上がると、彼女が姿を消した町の外へと歩き出した
「悪魔は町に来るなー!」
町の外に向かって叫ぶ少年の手には先ほど少女から奪った袋が握られている
「ぐッ、いって!なにするんだよ!」

34 :
少年の後ろ頭を平手で叩くと、手から強引に袋を取り上げた
バシンッという心地よい音と手の平に残るヒリヒリとした感覚
少しすかっとした
「家に帰ってママの胸でも吸ってろ糞ガキども」
少年達を睨みつけ言い放つと、少年達は悪態をついて走って逃げていった
他人の子供の頭を叩く俺が人の事は言えたものではないが、ろくな人間にならないだろう
「さて…と、追いかけるかな」
走って追いつくだろうか?
三十五歳を迎えたこの身体であの子に追い付けるとは思えないけど…あの耳が気になる
この町に来た当初…まだ子供だった時に一度だけ自宅の窓から見た女の子も耳が尖っていた
顔は思い出せない……キラキラと輝く髪綺麗に反るように尖った耳…それしか思い出せない
父が外灯下に捨てた食器棚を、一生懸命真夜中に解体する少女の姿をずーっと眺めていた
外灯の光に照らされた姿に見惚れていたのかもしれない…次の日、その子を探す為に公園や町中を走り回ったけど見つからなかった
結局その子はその夜にしか姿を現さなかったけど、あれは妖精だと私は思っている
だからあの少女の耳を見た瞬間、あの時の光景が走馬灯のように頭に写し出された

35 :
「はぁ…はぁっ…はぁ…ッ」
――だから俺は子供だったあの時のように、走っている
荒い砂利道を躓きながらも少女を追いかけているのだ

一時間ほど走り続けると、小川が視界に飛び込んできた
「はぁっはぁっ…痛たたたッ」
脇腹がズキズキと痛む…やはり歳だろうか?息を整え小川の上流側に目を向ける
「お?……居た」
少女を見つけた
川沿いを歩きながら、川に石を投げて遊んでいる
此処までくれば子供が追いかけて来ない事を理解しているのだろう…頭丸出しなので、此処からでも耳が丸見えだ
「お〜いっ!」
話しかけようか少し迷ったが、此処まで来て帰るのもアホらしい…
息を吸い込み、少女に聞こえるよう声をあげた
此方の声に大きく肩をビクつかせ、持っていた石をその場に落とすと、勢いよく此方へ振り向いた
「あ、待て待て!俺はこれを返しに来ただけだ!」
走って逃げようとする少女の後ろ姿に慌てて声をかけ、少女に見えるように置き去りにされた荷物を高く掲げて見せた
十メートルほど走った少女は、疲れた様子を見せる事なく立ち止まり此方へ振り返った
「これ返したいんだけどー?取りに来てくれるか〜?(警戒…されてるな)」

36 :
荷物をフリフリ振って此方へ歩いてくるように伝えるが、立ち止まったままジーっと此方を見つめている
「……お?」
数分間此方を見つめていたが、突然周りをキョロキョロ見渡すと、おどおどと此方へゆっくり歩み寄ってきた
私以外に誰か人がいないか確認したのだろう
一歩一歩ゆっくり歩いてくる女の子に何も危害を与えない事を知ってもらうために、荷物を持った右手と何も持っていない左手も一応上げておく
「これ…壊れたモノも入ってるけど、一応全部拾ってきたよ」
六メートルほど距離を保った位置で足を止めて、様子を伺っている
これ以上歩み寄ってくる気配を見せないので仕方なく、手を下にさげる
「ッ!?」
それを見た少女は、後ろへまた走って私から距離をとってしまった…
「荷物を此処に置くからな?」
ゆっくりと荷物を地面に置いて後ろへ下がる
彼女との距離が十メートルほど空いた場所で腰を石の上に落とした
じりじりと地雷でも避けてるようにいつでも逃げられる体制でカバンに近づいていく
それを鼻で笑い、眺める
小動物を相手にしているみたいで面白い
そう言えば子供を持った時もこんな感じで楽しかったかも知れない…

37 :
今では家に居てもただ息苦しい…あれだけ愛していた娘とも会話をしなくなっている
妻なんて所詮他人だ…一緒の家に居るだけのただの他人…
「なんで人間なんてのに産まれたんだ……ん?」
「どっか痛い痛いなの?」
「おわぁ!」
突然現れた覗き込む大きな瞳に身体を大きく仰け反らせると同時に足を滑らせ後ろへ倒れ込む
「だ、大丈夫なの?」
少女が慌てたように俺の手を掴むと、困惑した顔を浮かべたまま優しく引っ張った
「ありがとう」
彼女の手を掴み石に座り直すと、彼女は少しだけ距離をとって小さな石の上にお尻をポスンと落とした
足元には俺が持ってきた布と袋と帽子が置かれている
「あ、ありがとうございますなの…」
「え?あ、あぁ、別にいいよ」
お互いに頭をペコッと下げて見つめあう…。
なんだろう…相手はまだ子供なのだけど、何故か此方も童心に返ったように胸がモヤモヤする
会話が続かないと判断したのか、足元にある布を広げて商品を広げた
やはり殆どが壊れてしまっている…
少女は壊れているものとまだ無事なものを選り分けると、無事なものをカバンの中に入れだした
「ちょっとだけ聞いていいかな?」
「……?」

38 :
ある程度荷物が整理されるのを見計らって少女に話しかけた
此方へ向ける少女の瞳には既に警戒よりも好奇心に満ちている気がした
「キミは何処に住んでいるのかな?」
「森の中なの」
森の中…森の中に家があるのか…
「お父さんとかお母さんも一緒に住んでるの?」
「ピピは一人なの」
「ピピ?」
「ピピはピピなの」
自分を指差す少女
少女の名前がピピらしい
「じゃあ…ピピでいいかい?」
「うん!ピピはなんて呼べばいいの?」
「私の名前はマルス」
「マルス…マルス…マルス!」
今度は私の顔を指差し満面の笑みを浮かべた
そんなに私の名前がおかしかったのだろうか?
ぴょんぴょん飛び回り私の名前を連呼している
「マルスは何処に住んでるの?」
「私は町だよ。ピピが居た所の…ピピはいつも橋の上で物を売っているのかい?」
「売ってる?ピピ売ってないの。人間にあげようと思って持っていくの」
「人間にあげる?」
「うん…ピピ一生懸命作ったから人間にあげるの」
不思議な事を言う子だと思った
あそこの人間は基本物売り目的で路上に座るのだけど…それに人間にって…まるで自分が人間じゃないみたいに……
「……ピピ…君は妖精か何かかい?」

39 :
唐突に発せられた私の言葉にピピがピタッと止まった
頭がおかしいと思われたのだろうか?
確かにおかしいと思われても仕方ないような発言だ
しかし、少女は少しだけ首を傾げた後、あっけらかんとした表情で妖精では無いと言い放った…そして
――ピピは小人なの!と付け足した
「そっか…小人か」
「驚かないの?」
不安そうに眉を歪ませ問いかけてくるピピに微笑み返す
驚いた…とは少しだけ違うかも知れない
確かに内心驚いてはいるが、それ以上に自分自身ピピが小人だという事実に納得していた
いや、事実かどうかさえ分からない
だけどピピは人間では無い…それは何となく分かった
「小人ってなに食べるんだ?」
「食べもの?落ちてる木の実とか、川の魚とかなの。あっ、木の蜜を溜めてそれを煮詰めると凄く美味しいの!溜まるまで時間がかかるけど、マルスも食べてみればいいの!」
「はは、森に入らないから食べられないんだ。今度よかったらご馳走してくれるかな?」
「ぇ…た、食べてくれるの?」
「作ってくれるなら食べるさ」
「分かったの!じゃあ今から作るの!」
料理が好きなのか、人と食事を取るのが好きなのか
ピピは身体いっぱいで喜びを表現してみせた

40 :
「それじゃあ今からピピのお家に来るの!」
あれほど警戒していたのに今は私の手を掴み森の中へと連れていこうとしている
グイグイ私の腕を引っ張るピピの後頭部を眺めながら苦笑いを浮かべた
「ピピ、残念ながら今日はダメなんだ」
優しくピピの手を掴み放す
「なんでなの?すぐにピピが作るの」
「ありがとう、今日はほら…もうすぐ暗くなってしまうだろ?家に帰らないとね」
「……」
私の発言が気に入らないのか、どこか拗ねたような表情をしている
「今度会ったら作ってくれるかい?その時は私も何か食べものを持っていくから」
「……分かったの…」
渋々納得してくれたようで、足元に置いてある荷物を纏めると肩に担いでトボトボと歩き出した
「約束だからなー!絶対に甘い蜜食べさせてくれよー!」
遠くなるピピの背中を見送り大きく手を振る
「分かったのー!絶対ぜったい約束なのーーーー!」
ピピも負けず劣らず大きく手を振ると、終始私の事を気にしながら森の中へと消えていった
「……帰るかな」
ピピが居なくなった途端、現状に引き戻されたように身体がだるくなった

41 :
また会えるのだろうか?
会えるなら会いたい…そして先ほどみたいに一時でもいいから現実を遠退けてもらいたい…ピピと居た時間、私は現実の速い時間から抜け出せていた気がする
ただ少女と会話しただけなのに…俺の心は満たされていた
それはピピが現世では考えられない“小人”という夢の生き物だからだと私は思う
ただの人間の少女なら此処まで関わろうとは思わなかっただろう…
荷物もわざわざ届けに来なかったはずだ
ピピが私の理想を持っているから強く興味を引かれたのだ
そして何処と無く脳裏に昔見た少女がピピに入れ替わり、一生懸命に食器棚を解体してる姿に自然と笑いが込み上げてきた――
次会うときが楽しみだ

42 :
ありがとうございました、投下終了です
一回の短編で終わらせようかと思ったけど三回ぐらいに分けます
今度はちゃんと書きますのでよろしくお願いします

43 :


44 :


45 :
おお!!投下キテター!!
早よう続きをお願いします

46 :
待ってましたよ!
続きを期待しながら正座して待ってます

47 :
GJ!
純粋無垢な娘はかわいいなあ

48 :
こんばんは
他作者さまの作品でエネルギー補給して何とか書き終わりました。
正座して待ってるのもアレなんで投下します

49 :
最低な奴

「ねーーーさん。ちーーーあるんだーーい?」
「あーーーたの?そーーーそうな顔しーーって……」
「うん、………最ーー何か変なの。前みたいに私ーーーーーてくれなーーて………」
「ーーーが?」
「そう。クーーーー私に話しかーーーーなくて、ーーーーてもなんかーーーて………
私……なんーーーれる事しちゃーーーな………」
「うーーーーは心当ーーないの?」
「……ーーないの…でーーーーーおかしいの。
ーー登下校もーーーーー言っーーそれに………」
「それに?」
「うーーーーーー…何でーーの」
「ーーーーーーいのだけれど……」
「…………………………ねぇ」
「なに?」
「私…本ーーーーれちゃったのかな……」
「どうしてーーーーかしら?」
「だってそうとーーーーだもんっ!ーーーで…なんでーーーれちゃったのっ⁉」
「ーーー…」
「イヤだーーーーーーーなんて…そーーーの…グスッ…ーーーうぅっ……ヒック……」
「大ーーー……ーーーーーことをーーーになったりしないわよ」
「…グスッ…ヒック……でも…」
「きっーーーー恥ずかしいのよ。はら、友達とかーーーーれたりしたんーーーかしら?」
「本当に?…ーーーーーこと…ヒック………ーーーーいてくれるの?」
「えぇ、そのうちまーーーーてくれるわよ。大ーーー心配しないで」
ーーーーー
ーーー


学園祭が終わって三日が経った。
あの夜、宮都はてっきり父や母から莉緒について問い詰められると思っていたが、それは杞憂に終わった。
一弥も香代も莉緒の事については何も触れずにいてくれた事に、宮都は少なからず感謝をした。
しかしいつまでも両親に甘える訳にもいかない。
いつかは莉緒の俺に対する異常なまでの執着心をどうにかしなくてはならないだろう。
でも今はそれよりもやるべき事がある。

50 :
「おい、キュートちゃん!こことかどうだよ?」
「ん〜、どこよ?つーかキュートちゃんて言うんじゃねーよ!」
「このイタ飯屋だよ。結構綺麗だし値段も手頃だぜ?」
「無視すんなっ!……でも准は和食派だからなぁ…」
「だからこそだよ。たまにはこういう料理も新鮮でいいんじゃないか?キュートちゃん?」
「う〜ん………だからキュートって言うなっ!」
「つーかさ、別にそこまで深く考えんでも大丈夫だろ?相手は夏目なんだし」
「准だからこそ真剣に決めたいんだよ。…いや、別に柳田の案にケチを付けてる訳じゃないからな。
むしろ休日に協力して貰って本当に感謝してんだ。
だからこれ以上キュートって言うんじゃねえっ!」
「はいはい………
それにな、別にこれくらい構わねーよ。それにこれが初デートになるんだろ?協力しないわけにはいかねーよ」
「………ん」
「なに照れてんだよ。こんな今更」
あのゲームの勝者である准が宮都に望んだ事……それはデートだった。
今までも二人きりで出かけた事は何度もあったが、デートという名目が付くのはこれが初めて。
最初は二人で出かけるだけだと高をくくっていたのだが、ここで困った事が起こった。
准は宮都に全てエスコートして欲しいとも頼んだのだ。
もちろ宮都は、これまでデートの経験など一度も無い。
そして今まで准と出かける時は、いつも二人で行き先を決めていたのだ。
だからエスコートして欲しいと言われても、どこに行けばいいかとか何をすればいいかとか全く分からなかった。
そこで宮都は柳田を頼ったのだ。
宮都が柳田を頼る事にした大きな理由は外見だった。
宮都にしては珍しく『あれだけ格好良い見た目をしていればデートの経験くらいあるだろう』という短絡的な思考である。
そんなわけで、今二人は大学のコンピュータ室でレストランを調べているのだ。
「別に照れてるわけじゃ……」
「いいや、照れてるね。思いっきり照れてる」
「だから照れてない!」
「ふーん? へー? ほー?本当ですか〜キュートちゃん?」
「………ふんっ!」
「痛ぇっ!」
思いっきりにやけている柳田に、宮都はげんこつを喰らわせる。
「お前っ⁉ そんな暴力的な奴だったのか⁉」
柳田は頭をさすりながら、驚いた表情で宮都に問いかる。
「……流石に講義中とかじゃこんな事はしねーよ。今はプライベートだからな。
だからもしも次キュートちゃんって言ったらお前をブッす!」
「………お前も普通の男だったんだな……てっきりピシッとした委員長タイプだと思ってた」
「ふんっ!イメージを壊して悪いけど俺は場所をわきまえてるだけだ。
中学の時から男友達の前ではこんな感じだったぜ?」
「『小宮 宮都の隠された本性、実は腹黒だった!』…みたいな記事書いて良いか?」
「書いた日が柳田の命日になるぞ?」
「書くのはやめるか…」
「その方がいいな、お互いに……」

51 :
宮都はパソコンに目を戻す。
ディスプレイには様々なレストランのレビューがズラリと並び、30分以上もの時間、宮都を悩ませている。
なにせファミレスでは無いのだ、レストランなのだ!
「うぅぅ……うー…う〜………」
「うーうー言うの止めろよ。スパッと決めちまえ、キュー…何でもない!」
柳田を一瞬横目でジロッと睨み、もう一度画面と睨めっこを開始する。
とにかくレストランの数が多すぎるので全く絞れないのだ。
「今更なんだけどよ…調べ方が悪いからそうなってんじゃねーのか?」
柳田はそう言って検索画面を覗き込む。
そこにあった検索ワードは……
『レストラン 花奈』
「おいっ⁉こんなんじゃ絞れるわけないだろ!」
堪らずツッコミをいれる柳田に不思議そうな表情を向ける宮都。
なぜいけないのか全く分かっていないようだ。
「なんかおかしいか?ちゃんと花奈って地名を入れたぞ?」
「これじゃ広過ぎるだろ!もっとこう……『和食』とか『駅周辺』とか入れろよ!」
そう言われると宮都はハッとした表情になり
「その手があったか!さすが柳田!」
「いや、こんなもん誰でも思いつくだろ普通」
検索ワードに『駅周辺』を追加して調べ直すと、これだけで12件に絞られた。
「おお、良い感じだな。さて、どこにするかな………」
宮都が一覧をじーっと見つめていると、横から柳田が口を出した。
「雰囲気とか重視ならこことかどうだ?値段もそんなしないみたいだし…」
柳田の指差したのはパスタ料理の店だ。
「あ、ここいいかも。和風パスタなんてのもあるし、駅からもかなり近い」
値段もドリンク、デザートがついて1,500円くらいなので、財布にも比較的優しい。
「レビューを見る限りでも結構いい店みたいだし……ここにするか」
「いいのかよ?他のところを見ないままスパッと決めちまって」
「このまま悩んでたら、いつまで経っても決まんないし」
「まぁそれもそうだな……んじゃこのページ印刷してきてやるよ」
柳田は印刷機の方へ歩いて行き、レストランの場所などを印刷して宮都に手渡した。
「ほらよ」
「サンキュ。何から何まで悪いな」
「気にすんな、困った時はお互い様だ。講義では色々世話になってるし」
「それでも気にするのが俺クオリティなんだよ。食堂行こうぜ、なんか奢るよ」
「いや、別にいいって」
「そう言うな。俺もお腹空いてるし」

52 :
宮都は遠慮する柳田を無理やり引っ張って食堂に連れて行くと、ランチの食券を買って柳田に手渡した。
「本当にいいのか?」
「当たり前だろ、ここまで来て金を払えなんて今更言わねーよ」
未だに遠慮している柳田に苦笑しながら、自分の分の食券を買い列に並ぶ。
「そ、そう?それじゃゴチになります」
二人はランチを受け取ると、適当な席に腰を落ち着かせ食事を始めた。
今日は休日でさらに時間も18時ということもあって2人以外に客は誰もいなかった。
「それにしても…デートかぁ……羨ましいなぁ〜」
不意に柳田がそう言ったので、宮都は不思議そうに見つめる。
「え…、お前だってした事あるんだろ?」
「お前は俺にケンカ売ってんのか?する相手がいねーよ」
「え………」
宮都は絶句した。
…いない?
……柳田に?
…………彼女が?
「なんだよ、その鳩が豆鉄砲食らったような顔は」
「柳田……デートの経験ないの?」
「………………………」
柳田は何も答えずランチを掻き込む。
なんとも気まずい空気を呼び込んでしまったようだ………
「なぁ、小宮。こんな言葉を知ってるか?」
柳田が宮都をジロリと睨みながら言った。
「リア充爆発しろっ!!」

それから少しして………

「はぁ〜あ!本当に!こいつは!俺の!心の傷を!抉りやがって!」
「悪かった。てっきりいるもんだと思い込んでて………」
拗ねる柳田に平謝りしている宮都。
どうやら男としての尊厳を著しく傷付けてしまったようだ。
「どうせ俺には彼女なんかいませんよ……いつも一人ぼっちですよーだ………」
「だーかーらー!悪かったってば!」
「いいよなぁ〜、勝ち組は。俺みたいな寂しい奴とは違って人生楽しそうで……俺も彼女欲しいぜチクショウ!
来世には俺にも可愛い幼馴染が欲しいぜ!ツンデレの!」
「いや、別に准は彼女ってわけじゃないからな?ただの幼馴染だからな?」
宮都は笑いながら柳田の間違いを指摘する。
そう、宮都にとって准は彼女ではなく幼馴染。
それは、これからもずっと変わらなーーー
「……………なぁ……本当にそれでいいのか?」
「え………?」

宮都は柳田が急に真面目な表情になったので面食らう。
「いや、だからさ……夏目との関係だよ。本当にそのままで良いのか?」
「いいんだよ。俺たちはこの関係を望んでーー」
「お前は確かに望んでるかもしれないけどよ……夏目の方はどうなんだ?」
「准だってこの関係の維持を望んでる。実際にそう言ってた」
(俺は確かに聞いたんだ……
准の本心をあの日に……莉緒が大学に来てから数日後の…あの日に)

53 :
それでも柳田はしつこく聞いて来る。
「本当にか?本当に夏目がそう言ったのか?自分から?小宮に?お前が勝手に先を決めたとかじゃなくてか?」
「っ⁉………………」
(俺は……あの時…)

『私はね、ずっと…いつまでも宮都と一緒にいたいの。でも……』
『当ててやろうか?」』
『え?』
『でも、恋人の関係になりたいかと言えばそうじゃない、だろ?』
『!!』
『やっぱりな』

「…………………………………」
「そうなんだな?」
柳田は宮都の長い沈黙を肯定と受け取った。
「いや、でもっ!俺が間違ってたなら准は否定するハズだろ⁉准はそんな事なにもーーーー」
「なにかしら言えない理由でもあったんじゃないか?お前が何か言ったとか…」
「そんな事は………無いと思う。多分だけど………」
宮都は必に思い出す。
あの日交わした会話を、一言一句違わない様に…………
「俺はさ…夏目がお前の恋人になりたく無いと思ってるなんてどうしても考えられないんだよ。
学園祭での夏目の様子をお前は知ってるか?泣いてたんだぞ…夏目」
「な、泣いてた⁉准が⁉どうしてっ!」
宮都は机に身を乗り出して柳田に詰め寄る。
「お前のせいだろ」
「はっ⁉………え……?」
まさかそのような返答が帰ってくるとは思わなかったのか、完全に勢いを削がれてしまったようだ。
「全部聞いたよ、お前らがしてたゲームの内容を…夏目からな。
お前はどういう意図であんなゲームをやろうとしたんだよ?」
「意図って言われても………強いて言うならその方が楽しいと思ったからでーーー」
「そこから既に間違ってんだよっ!」
柳田は少し声を荒げて宮都に詰め寄った。
「な、なにが……」
「その方が面白いと思ったぁ?それはお前の思い込みだっ!
お前と離れ離れで学園祭を過ごすなんて事が夏目にとって楽しいわけねぇだろうが!」
とうとう堪忍袋の緒が切れたのか、宮都の胸ぐらを掴み怒鳴りつけた。
柳田は今、明らかに怒っている。
まるで自分の事の様に……准の為に怒っている。
「本来こういう事は他人がどうこう口出ししていい問題じゃないと思う。でもな、このままじゃいくらなんでも夏目が可哀想すぎるッ!
夏目はな…お前の事が好きなんだぞ。それはちゃんと理解してんのか?」
「そんなこと言われなくても分かってる!俺だってーーー」
「愛してんのか?」
「な……⁉」
「まさかこの期に及んで好きの意味をはき違えてんじゃねぇだろうな?」

54 :
「そんな事はーーー」

『イヤなの!宮都が誰かと付き合うのがどうしても………』
『私はね、ずっと…いつまでも宮都と一緒にいたいの』

その次の日の朝、宮都の家に来た時も………

『少しでも早く宮都に会いたかった。微笑んで欲しかった……』
『私たち……ずっと一緒だよ』

この言葉には明らかに好意がある。
幼馴染としてではなく……一人の女性が男性に向ける…純粋な好意が……恋心が…
宮都もその事には、あの時既に気づいていた。
しかし…………
(そんな告白も同然の言葉や行動に対して……俺は……?)

『俺もさ、准とはいつまでも一緒にいたい。
でもさ、今の関係を変えたいかって言われると答えはNOだ』
『准、どうしたんだよ……
昨日、家で待ってろって……言っただろ?』

今の関係が好きだからという理由で…
今の関係を変えたくないというエゴで……
「逃げたんだろ?」
宮都がハッとして前を向くと、柳田が宮都を真正面から見据えていた。
「夏目の告白同然の言葉を受けて、そして逃げたんだろ?」
「…なんの事だよ……告白同然の言葉ってーーー」
「分かるだろ?あの日、森の中で、なんの会話をしたのか」
柳田は知らないはずだ…あの日の会話の事を。
それなのに…
宮都は直感で理解してしまった。
柳田はあの日の会話を知っている………
「…………なんで知ってんだよ?」
「なんでだと思う?少し考えればすぐに分かるぞ。あの日お前が何をしたのかを思い出せばな」
あの日宮都がした事……
「…………………!!まさかっ!」
あの日宮都は、告白同然の言葉を2回聞いた。
一人はもちろん准。
そしてもう一人………

55 :
「谷野か………」
「正解」
あの日宮都は、谷野からも告白同然の言葉を受け取った。
尤も、それは遠回しにではあったがキチンと断ったが………
「正確には谷野と他の4人だな。女が5人集まるとどんな事でも出来るもんだ……」
「つけられてたのか……あいつら…」
「まぁ、責めるのは酷だろ。告白を断られ、しかもその理由すら教えられなかったんだからな」
「……全部見られてたのか………マジでか…」
宮都はあの日、自分がした事を思い返す…
准に頬ずりした事や准に抱きついた事を……
今更あのくらいの事で恥ずかしいがったりはしないが、他人に見られていたのなら話は別だ………
「……恥ずかしいぜ全く…」
「両手で顔を覆うくらい恥ずかしかったのか……お前のそういう所の基準がわかんねー」
柳田は宮都と准に取材した時の事を思い返す。
あの時宮都はおでことおでこをくっ付けたり、准のほっぺたについたソースを平然と舐めたりしていた。
そのくらいのバカップルぶりを発揮したかと思えば、今度はこのくらいの事に恥ずかしがったりする。
だが決して初々しいカップルという風でもなく…親友以上かつ恋人未満という関係か……?
「まぁそんな事は今はどうでもいいか…」
「なんの話だよ?」
「なんでもねー」
そう、今は過去の2人の関係なんかどうでもいい。
重要なのは未来の2人の関係なのだから。

「それよりもだ、話を戻すぞ。今更隠しはしないが、俺はあの日の会話を知っている。」
「それなら今更俺に聞く事はないんじゃないか?」
「細かいとこは知らないんだよ。俺が知ってるのは大まかな流れだけだ。だから聞きたい。嘘は吐くなよ?」
「分かったよ」
宮都は頷いた。

56 :
柳田はすぅっと息を吸い込んでから質問する。
「あの日夏目は『この幼馴染の関係を維持する事を望んでいる』と本当に言ったのか?」
「………厳密には俺が先を予想してそれを准が肯定したんだ」
「そこの会話の流れを教えてくれ」
「えっと……

『私はね、ずっと…いつまでも宮都と一緒にいたいの。でも……』

『当ててやろうか?」』

『え?』

『でも、恋人の関係になりたいかと言えばそうじゃない、だろ?』

『!!』

『やっぱりな』

『なんでわかったか不思議か?」』

『俺もだからだよ」』

『え?』

『俺もさ、准とはいつまでも一緒にいたい。でもさ、今の関係を変えたいかって言われると答えはNOだ』

『ハハッ…なんか変だよね……。いつまでも一緒にいたいくらい好きなのに、今の関係を変えたくないなんて」』

という流れだ」

あの日の会話をそのまま柳田に伝える。
それを聞いた柳田はと言うと…
「………………………………」
信じられないといった表情で宮都を見ていた。
じーっと、穴があくのではないかという程に。
「柳田?」
「………信じられない。お前……最低だな…」
多少声が震えている。
心の底からドン引き……いや、それどころか軽蔑している。
「最低って…なんでだよ?」
一方宮都は、なぜ軽蔑されたのかも分かっていない。
「そこまで覚えていてなんで分かんねーんだ!お前自分が何したのか本当に分かってねーのか⁉」
「??」
もの凄い剣幕で捲し立てられるものの、宮都には全く分かっていない様だ。

57 :
「お前のした事を一から説明してやる!耳かっぽじってよーく聴け!

まず夏目はお前に告白同然の言葉を…つーかもはや告白の言葉を伝えた。『いつまでも一緒にいたい』ってな。

その後夏目がお前に何を言おうとしたのかまでは分からない。
でもお前は夏目が何かをいう前にこう言ったんだ。

『お前は俺の恋人になりたいわけじゃないんだろ?』ってな。

ショックだっただろうな、大好きな奴に勇気を振り絞って告白したのにそんな返答されてな!
でもこれだけだったら夏目にもまだ否定は出来たんだよ。

『ちがう、私は宮都の恋人になりたいの』ってな。

でもお前はその直後こう言ったんだ!

『俺は夏目の恋人にはなりたくない』って、ハッキリと本人に!

そんな事言われたら夏目だってそれ以上何も言えなくなるに決まってんだろ!
本人に真っ向から否定されておいて、『恋人になりたいの』なんて言えるわけない」

柳田の言葉を聞く内に、宮都の顔がみるみる青ざめて行く。

「だから夏目はお前に合わせたんだ!お前の自分勝手な妄想に合わせて自分の気持ちを押さえ込んだんだよ!」
「い、いやっ!待ってくれ!」
とんどん進んで行く話をせき止めて、宮都は柳田に意見する。
しかし依然として顔は青いままだ。
「でもあの時の准の表情はとても嘘を吐いているようには見えなかった」
今まで宮都は准が何か隠し事をしていた時は100%の確率でそれを言い当てて来た。
だからあの時宮都は全く疑わなかったのだ。
指摘されてみると何故疑わなかったのかと思うほどに………
「表情で夏目の全てを分かった気になっているのが悪い。第一本当に表情でわかるのかよ?」
「当たり前だろ!俺はあいつの幼馴染なんだ!あいつの事ならなんでもわかってるっ!」
「つまりその逆も然りって事だな」
柳田は納得したようにウンウンと頷く。
「どういう意味だよ…?」
「お前が夏目の事を何でも分かってるって事は、夏目もお前の事をなんでも分かってるって事だよ
例えば、お前がいつもどうやって嘘を見抜いているか、とか………」
それを聞いた瞬間、ただでさえ青かった宮都の顔がさらに青くなった。
今度こそ宮都は返す言葉をなくしてしまったようで、力なく椅子の背もたれに倒れ掛かり顔を手で覆った。


「……俺は…最低だ…!」

58 :
5分以上もの沈黙の後やっと絞り出したその言葉は、普段の宮都からは想像出来ないほどに震えていた。
「全部…准の事は何でも分かってるって…本当に……そう思って……俺は…」
柳田はそんな宮都の様子をただ見守っていた。
先ほどまでの怒りも今や完全になくなっている。
「一言だけ言うとな、これは全部俺の想像だ。だからこれが本当に夏目の気持ちかなんて事はわかんねーよ。
でも夏目がお前の事を好きだってことは確実だ。それくらい、見てればすぐに分かる」
宮都の心に柳田の一言一言が身に染みていく。
「だからさ、それに応えてやれよいい加減に……
お前が夏目に対して恋愛感情を持てとまでは強要しないけどよ、このまま夏目を振り回すのはもう止めてやれ
それじゃあな。昼飯ご馳走さん」
最後は優しく諭すように締めくくり柳田はランチの盆を持って席を立った。
自分の愚かさに打ちひしがれている宮都を一人残して…………



「もしもし?ーーーあぁ、そう俺。一応あいつには伝えといたから。
ちょっといきなりすぎて不自然になっちまったかも知れないけど、多分あいつは気付いてないと思うぜ?
ーーーーーーあぁ、そうだな、大分ショックを受けてたな。
ーーーーそう、やっぱり自覚がなかったみたいだった。でも本当にこれで良かったのか?
ーーーーーーいや、確かにそうだけど、君はあの子の親友なんだろ?だったら応援してあげるのが、ーーーーーーまぁな……
ーーーーーーーうん、ーーーーーーなるほど、確かに辛いよな…好きな奴の辛い顔を見るのは……
ーーーーーーーーえ?いや、違う。俺は別にそんな感情はないよ。ーーーーーー…まぁ確かに少し熱くなりすぎたかな。
ーーーーーははっそうだな。ーーーああ、ありがとう。それじゃまたな」

59 :
以上です
途中で連続投稿に引っかかったので、名前欄が変わったのは気にしないでくださいorz

60 :
ああぁあぁっ!下げ忘れた!本当にごめんなさい!
いつもBB2chから投稿してるからパソコンの方は慣れてないんです。
本当にすみません、以後気をつけます

61 :
グッジョブ!

62 :
>>60
Gjです!
いつも楽しみに見させてもらってます
これで終わりです
投下します

63 :
「……はぁ…」
今日何度目のため息だろうか?
夕焼けに染まる赤い空を見上げながら、身体に溜まる酸素を吐き出す
身に付けている白いエプロンのヒモをほどくき橋の欄干へ雑にバサッとかけると、エプロンのすぐ横に腰かけた
町の中央にあるレストラン
自営業者としては優遇された場所に店を持たせてもらっている
多くの常連もついて、私一代で店を大きくすることもできた
娘に不十分なく生活させてやりたいと今まで頑張ってきたつもりなのだが…
――パパは私の事を何も分かってない…そんなことだからお母さんも愛想尽かすんじゃない!
娘から放たれた言葉が重くのし掛かる
妻に男が居たのは一年ほど前から気づいていた――初めは問い詰めて辞めさせようと思った…
だけど化粧が濃くなり服装が派手になっていくにつれて、妻の本当の笑顔が私に向いていない事に気づかされた…不器用な自分には妻の本当の笑顔は作れない
一年前までは苛々もしたが、今では正直妻に対して嫉妬という言葉は当てはまらない
強いて言うなら“憂い”が妥当だろう
私が浮気したとして妻は私を問い詰めるのだろうか
妻にはその資格があるのだろうか…

64 :
私に妻を問い詰める資格が無いように妻にも無いように感じるが、他人の気持ちなど分からない。
安定した収入を持っている私と、離婚するリスクを背負ってまで浮気をするのだから妻は本気なのかもしれない
それでも私は何も感じなかった…
このまま娘の事までどうでもよくなる事が“人間”として怖い反面、解放されるなら…と思ってしまう
「はぁ…戻るか…」
このままではうつ病になるまでため息を吐き続けてしまうかも知れない…
エプロンを掴み町中へと歩き出す…荒れた両手を擦り空に再度目を向けると、真っ赤に燃えた太陽が地平線へと沈んでいくのが視界に入ってきた
「行くかな…」



「マルスっ!」
太陽から目を離しレストランへ戻ろうとした時、後ろから聞き慣れない…だけど忘れられない声が耳に入り込んできた
頭に一人の小人が瞬時に浮かび上がる
「マルスやっと会えたの!」
振り返える前に背中に小さい柔らかな何かがぶつかってきた
「ピピじゃないか!久しぶりだな、元気にしてたか?」
背中に張り付りつき屈託のない笑顔を浮かべる小さな子供
予想通り頭に浮かんだ少女、小人のピピだった
「元気だらけなの!マルス会いたかったの!」

65 :
尻尾でもはえてるんじゃないだろうか?
そう思えるほど、ピピは喜びを身体全体で表した
「はは、私も会いたかったよ」
ピピの頭を撫でて微笑み返す
ピピを見ていると身体の疲れが落ちていくような気分だ
「マルス、ピピいっぱい蜜集めてたの!だから来るの遅くなっちゃったけど……今から作るから一緒に森に行くの!」
私の右手を脇に抱え込むと、町の外へ連れていこうとした
あの時の約束を覚えてくれていたのか…
「ピピ、今日はまだ仕事あるからダメなんだ」
「いつなら大丈夫?ピピそれまで待ってるの!」
「う〜ん…今日はちょっと無理かな」
今からまだレストランに戻って仕事をしなければいけない…仕事が終わるのが三時間後…外は真っ暗になるだろう
「じゃ…じゃあ此処でマルス待ってるの!」右手をぱっと放すと、橋の隅に座り込んでしまった
「待ってるって今日は多分無理だよ?」
「大丈夫なの!ピピは森に帰っても一人だから、明日まで此処で待ってるの!」
「明日も行けるか…」
「じゃ、じゃあ明後日まで待ってるの!」
ニコニコ笑顔を崩す事なく、私を見上げている
しっかりと地面に腰を落としているあたりこれは帰りそうにない…

66 :
いや、今帰っても間違いなく森の入口に到着する頃には真っ暗になっているはずだ
それにピピをこんな場所に放置して行く訳にもいかない…夜になると浮浪者も彷徨くだろう…
「ピピ、それじゃ今日は私がピピに御馳走してあげるよ」
「御馳走?」
「うん、御馳走」
不思議に首を傾げ、見上げるピピに手を差し出す
何の迷いもなくその手を掴むピピを立ち上がるせると、ピピの手を引いたまま歩き出した――


◇◆―◆―◆◇

「美味しいの!凄く美味しいの!」
目の前のテーブルに並ぶマルスが作った料理を次々に口に運ぶ
「はは、ありがとう」
白い帽子と白いエプロンを着たマルスが奥から歩いてくる
それを見ながら食べる手を休める事なくマルスに話しかけた
「マルス…は…もぐ…もぐん…ぷは、ピピより料理上手いかも知れないの!」
「ゆっくり食べても誰も取らないよ」
「でも…周りにいっぱい人間いるの」
ピピの周りを囲むように人間達が料理を食べている
「これはピピのなの!誰にも渡さないの!」
この料理はマルスがピピに作ってくれたもの…絶対に誰にも渡さない
料理のお皿を真ん中寄せて手で壁を作りながら食べる事にした

67 :
「はは、でもそうやって食べてくれると作りがいがあるよ」
ピピの食べる姿がそんなにおかしいのか、マルスは口元を押さえて笑いを堪えているようだった
「むぅ…マルスにもあげないの!」
せっかくマルスにもあげようかと思ったのに…もう全部ピピが食べてしまおう

「パパ、もうそろそろ外に閉店看板を立てなきゃ…?誰その子?」
マルスが出てきた通路から一人の人間が出てきた
マルスのように髪は赤みがかっていて、綺麗な顔をした女だ
「ショアナ…」
マルスが女の子を見て小さく呟く
何処と無くマルスの表情が暗くなった気がする…食べる手を止めてショアナと呼ばれた人間に目を向けてみる
マルスと同じように、どこか気まずそうな顔をしている
「服ボロボロだけど…下の町の子?」
「まぁ…そんなところだ」
下の町?下の町とはなんだろう
聞き耳を立てながら再度食事に手を伸ばした
「貧民街の人をレストランにいれると、店の評判に関わるってママに言われたでしょ?」
「言ってたな。だけど私は下層だろうが上層だろうが差別をするつもりは一切無い」
睨むショアナに目を反らす事なく言い放つマルス

68 :
いがみ合ってる…とはまた違うけど、この二人どこか似ている気がする
多分、人間で言うところの家族だと思う
ピピには存在しない家族…
触れ合い、会話をして、一緒に食事をして、仲良く一つの家で眠る
人間が捨てた絵本で読んだ事がある
「はふぃ〜、マルスすごく美味しかったの!」
食べ終えた食器を重ねて、マルスにお礼を伝えると椅子から飛び降りマルスの手を掴んだ
「ちょっと…人の父親の名前呼び捨てにしないでよ」
怒ったようにショアナが私の手をマルスの手から引き離した
「パパも早く厨房に戻ってよね!」
マルスの顔を一際強く睨み付けると、マルスを置いてさっさと中に戻ってしまった…
「あれがマルスの家族?ピピが読んだ絵本と違うの」
「人間にも色々居るからね…」
何処と無く寂しそうな表情を浮かべるマルスにピピの胸も小さく締め付けられる
ピピの頭を一度撫でると、消えそうな背中を見せながらマルスは通路へ消えていった
「マルス…」
マルスの身体から生命力を感じない…此処に来てそれは強く感じた
嫌々この場所に居るような…小さな鳥籠に閉じ込められた小鳥の如く周りを冊で囲まれているようだった――

69 :


◇◆―◆―◆◇
「あなた!一体どういうつもりなの!?」
バンッとテーブルを両手で叩き立ち上がると、夜中にも関わらず私を妻が怒鳴りつけた
「どういうつもりも何も、食事を作ると約束したから作ってやったんだ」
「あの子お金持ってないでしょ!?もし貧民街の人達があの子の話しを聞き付けて、タダ飯食べれるって勘違いしてレストランに来られたらどう対処するのよ!」
「はぁ…別にピピはそんなこと言い触らさないさ」
言い触らすもなにもピピは町に知り合いなんて私以外いないだろう…
「そんなこと分からないでしょ!?なんでそんな勝手なことばかりするのよ!」
「……」
勝手?勝手をしているのはどっちだ…と怒鳴りかえせば何か変わるのだろうか?
別に私は妻のする事に何一つ文句をつけてないのだから、私のする事にも一々口を出さないでもらいたい
「それにあの子を家に泊めるなんて…」
頭を押さえながら妻がフラフラと椅子に座る
「泊めたのはあの子を一人で帰すのは危険だと判断したからだ。小さな女の子を一人で帰す訳にもいかないだろ」
「親が居るでしょ…」
「親はいないらしい…孤児だそうだ」
貧民街に行けば孤児なんて腐るほど溢れている

70 :
妻も私の話しを疑う素振りすら見せず、頭を抱えた
何を悩む必要があるのだろうか?
これは私が個人でしている事だ、妻や娘に迷惑などかけているつもりは無い
「パパさぁ…何も分かってないよね。子供の私でも分かるよ。パパは子供のまま大人になったって感じ」
二階からショアナが降りてきた
「不思議な事を言うなショアナ…じゃあショアナが言う“分かっている事”を私に教えてくれないか?」
「……」
黙り込むショアナから目を反らし妻に目を向ける
ショアナは背伸びをして大人の会話に混ざりたいだけだ
私が正論をぶつけると必ず黙ってしまう
だから基本的にショアナの言うことは素直に聞いてやっている
だが、妻となると話は変わってくる
人間味溢れる世間体が第一にくる妻と私は話していると対立する事が多くなってしまう
昔は私も妻の話に耳を傾ける余裕もあったが、歳を取るに連れて矛盾と正論を行き来する妻の言葉に一々引っ掛かるようになってしまった
「とにかく…あの子を追い出してちょうだい」
「無理だ。外を見てモノを言え」
窓ガラスから見える外を指差す
外は小雨が降る闇夜…こんな状況で追い出すほど人間は腐っていないと思いたい

71 :
「もう我慢の限界だわ…このままでは本当に離婚してもらう事になるわよ?」
「……」
離婚と言う言葉に眉間にシワがよる
離婚するならしてもいい…だが、やはりショアナの事が気になってしまう
「私は離婚するならママに着いていくわよ?」
ショアナに目を向けると、椅子に座る私を見下ろし呟いた
「……」
私はその言葉に返す返事を持っていない…だから私は黙ってしまう
本当に此処ですべてを終わらせていいのか…
レストランは…
娘の将来は…
私が一番嫌っている人間としての欲が頭を支配する
「分かった…ピピに伝えてこよう」
二人が私を追い詰めるように見つめる
やはり私にはこの生活を捨てる勇気がなかった…
「そう…分かった。でも次は無いと思ってちょうだい」
呆れたように言葉を残すと、椅子から立ち上がり寝室へと歩いていった
「はぁあ…私も寝よっと。パパ、おやすみ」
「あぁ…おやすみ」
部屋に戻っていく娘を見送ると、わかりやすく頭を抱えた
ピピになんて言おうか…
「手っ取り早く、出ていけ…か…」
できない…そんな事を言ったらピピがどんな顔するか
それにこんな雨の中にピピを一人で…

72 :
本当に人間に嫌気がさす…
「いや…自分自身に嫌気がさす…の間違いか」
その方が的を得ている気がする
一番人間臭い自分自身に苛々するのだろう…
だからピピに執着してしまう…
ピピなら私を人間ではなく、別の生き物に変えてくれるんじゃないだろうかと…
背もたれに背を預けると、外へ目を向けた
少しだけ雨が強くなっただろうか
「ピビに理由を話して…謝ろう」
もう会ってくれなくなるだろう…ピピ自身も人間である私に嫌気がさすはずだ
ピピには人間の汚い部分を見られたくなかったが…
考えていても仕方ない
勢いよく椅子から立ち上がると、ピピが居る二階の一室へと足早にに向かった――
「ピピ…ちょっといいかい?」
ピピが居る部屋のドアをコンコンッと二回ノックする
「……」
返答は無い…
「ピピ?入っても大丈夫か?」
再度ノックをしてピピの返答を待ってみる

「……」
やはり返答は無い
もう寝てしまったのだろうか?
だとすると、よりピピに伝えづらくなってしまった
だが、これも仕方の無いこと…ピピは小人で私は人間
初めから住む世界が違っただけのことだ
「ピピ、入るぞ」
ノブに手を掛けると、ゆっくりとドアを開けた――

73 :
「…ピピ?」
扉を開けて、中に入ると居るはずのピピの姿が見えなかった
隠れているのだろうか?
まさか話しを聞かれて…
「ピピ、どこだ?」
ベッドに近づき、ベッドの下を覗き込んで見る
居ない
後はクローゼットぐらいだ
この部屋はもう一人子供ができた時のためにと作られた部屋なので、基本的にモノは置いていない
何となく足音を消しながらクローゼットへ近づいて、クローゼットに耳を当てた
何も聞こえない…
クローゼットの取っ手に手を掛け開ける
「……ピピ、何処に行ったんだ」
クローゼットの中は空っぽだった
だとすると、やはり森に帰ってしまったのだろうか…
「そりゃそうだよな…あんな話し聞かされたら」
ベッドに腰かけ何気無しに周りを見渡してみる
ふと、窓からすきま風が入って来ている事に気がついた
すきまから少し雨が入ってきて、床を濡らしている
「あっ…そう言えば…」
濡れる床を見て昔の記憶が蘇る
確かあの時も小雨の音が心地よく…だけどどこか怖く耳に響いていた
だからカーテンを閉めるために窓に歩み寄って…
「……」
自然とあの時のように足は窓際へ勝手に歩いていた――
カーテンの隙間に指を差し入れ、外に目を向けてみる

74 :
音で分かるように、やはり外は小雨が降っている
月の光でも少しわかりづらい…外灯の光を見てやっと分かる程の雨だ
その人工的に作られた光の中に、ピピは居た
雨の中、私が外灯下に捨てた使わなくなった客用のテーブルを一人解体している――
多分、他の者が見たら浮浪者がゴミをあさっているように見えるかも知れない
しかし、私にははっきりと耳に聞こえていた
――ピピは雨の中、楽しそうに鼻歌を歌いながら、ダンスを踊っているように、テーブルを解体しているのだ

子供の頃に見たあの時と同じように…
私の疑問が確信に変わった瞬間だった
あの時見た妖精は間違いなく小人のピピだ
だとしたらピピは成長していないように思う…やはり、ピピは正真正銘おとぎ話に出てくる小人なのだ
「ピピ!」
あの時は得体が知れなくて声がかけられなかった――だけど、今は違う
外灯下で鼻歌を歌う妖精は、私の知っている小人のピピなのだ
「あっ、マルス!」
私の声に気がついたピピは、窓から見下ろす私を見上げて泥だらけの顔を笑顔で輝かせた
ピカピカ光る髪は外灯の光を反射する雨の雫――

75 :
「やっぱりピピだったのか!」
窓から身体を乗りだし込み上げてくる喜びを隠す事なくピピに声をかけた
「何がなの?暇ならマルスも手伝ってなの!」
笑顔を浮かべたまま、片手を差し出すピピ
この距離では掴めない
だけどピピは目の前に私が居るかの如く手を差し出した
「こ、工具を持って行くから待っててくれ!」
それを数秒見つめた後、私は急いで部屋を飛び出した
階段ですれ違う妻の横を通り抜け――後ろから聞こえる娘の声にも耳を貸さず――私はピピの元へと走っていた
シワだらけの三十五歳の顔にもっと多くシワを寄せて
あの時、窓から見つめる事しかできなかった…私が言いたくても言えなかった言葉をピピに言いたい…
――倉庫から工具を取り出すと、慌てて外へ飛び出す
「マルス、早くするの!」
ピピは外灯の下で両手を大きく振って私を待っていた
「はぁ、はぁ、ピピ!」
「マルスどうしたの?」
息荒く走り寄ってきた私にピピは再度手を差し出した

――それを優しく握ると、ピピの瞳を見て口を開いた



「私の………ボクの友達になってくれないか?」

76 :
この時、私の心は少年の様に清んでいたと思う
その証拠に、私の心には妻の事も…愛する娘の事さえも…初めから記憶に無いように綺麗に消えていたのだから
「大丈夫なの…ピピはもう決めたから。あの人間達にはマルスの――には相応しくないの。
ピピがマルスの――になってあげるの」
ピピの小さな声と雨で聞こえなかったが、ピピの顔を見る限り友達になってくれるようだ
「よし…それじゃあ解体するか!」
「おー、なの!」
この夜、私はピピと一晩中雨の中、笑い合いながらゴミを漁っていた
そしてピピと二人解体したモノを背負い歩き出すと、自分の家には帰らずピピが住む森へとそのまま向かった
ただ、どうやって来たのか分からないが、気がついた時には鬱蒼と茂る木々に囲まれた小さな小屋の中でピピと眠っていた
今まで何をしていたのだろうか?
辛かった気がする…
何が?
分からない…
だけど今が幸せだから別にいい…
「此処がピピの…ピピとマルスの家なの」
あぁ…そうだ
帰ってきたんだ…
「もう、大丈夫なの…ピピがずっと一緒に居るの」
自分の家に帰ってきたんだ――

77 :
「此処にずっと居ると辛い事も何もないの。
誰もマルスを責めない…誰もマルスを追い詰めない…誰もマルスと会わないの…私が家族なの」
家族?だから暖かいんだ――自分の家だから――自分の家族だから――
「ただいま…」
「おかえりなの…マルス」
ピピの温もりと甘い蜜の香りに包まれて、私は深い眠りについた
次起きたら温かくて甘い蜜を食べさせてくれるだろう……ピピと私の約束だから
大切な大切な…約束だか…ら…

78 :
ありがとうございました、投下終了です。
短編で終わらせるのはやっぱり難しいですね…

79 :
>>78
GJです!
めっちゃ心が温まりました!

80 :
GJ!
包容力のある女の子はかわいいなあ

81 :
流石に人が少なすぎる

82 :
まぁ読む人間居なかったら作者も離れるわな

83 :
GJ‼
作者の皆さんに失礼な言い方にはなるんだけど
投下が増えれば読者も当然増えると思う

84 :
雑談でもしてたら読む人居るんだなぁって感じで投下意欲も沸くけれど、書き込みすらないスレでは作者だって書く気はおきない
夢の国が終わったあたりから人が消えたな
長編SSがまた来たらまた書き込みも増えるんだろうか…

85 :
夢の国みたいな超長編は作者さんにとって大変だろうけど、確かに長編くるとテンションがあがる

86 :
お久です。
私は天秤投下する時にエロ書けないと言いましたが、あれは天秤キャラでエロを書きたくないと言う事です。
あの時はこっちを書くなんて思ってなかったですから…
ゆっくりと投下します。

87 :
〜壊れゆく安息〜

「えぇ、先ほどいらっしゃいましたよ。部屋は410号室ですね」
「そうか…ありがとう。よし、いくぞ!」
レゼダは部下を数人引き連れて宿屋の奥へと進んで行った。
宿泊客の何人かは好奇の目で彼らを見るが、それすらも今のレゼダには眼中に入らなかった。
その理由というのは……
「しかしレゼダ様。本当にあの少年は何者なんでしょうか?
グレーンスネークを1人であの様な状態にする事など本当に可能なのですか?
もしくはレゼダ様のお考え通り、あの少年はーー」
「今からそれを確認しに行くのだ。少し静かにしていろ」
もし、私の仮説が正しければ…我々はあの少年を討伐せねばなくなるかもしれん。
そう…彼が魔族だったとしたら……全ての辻褄が合うのだ………
あの時の溢れんばかりの気。
グレーンスネークを1人で始末できるほどの魔力。
そして…謎の魔術。
しかし我々に倒せるだろうか……?
グレーンスネークをも簡単にすあの少年を……
…………いや、出来る出来ないの問題ではない。
やらなくてはならないのだ。
我々が…街を守る自警団が……
この命に代えてでも………
魔族は悪。
街の中に入れてはならない。
絶対にさなくてはならない存在……

88 :
「レゼダ様、ここですね」
「ああ」
階段で向かった4階の一番奥にその部屋はあった。
扉をノックしようと手を上げたものの、その手は空中で停止し動かす事が出来なくなってしまった。
「レゼダ様?如何なさいましたか?」
部下が不審そうな目で私を覗き込んでくる。
それもそうだろう。
私の手はドアを叩く寸前でピタリと静止したのだから……
しかし私自身もなぜ手が止まってしまったのか全く分からない。
それは恐怖ゆえか、緊張ゆえか、はたまた命を救ってもらった事から来る負い目ゆえなのか………
…………私にも分からない。
「あぁ、すまない。少し考え事をしただけだ」
私はドアを叩いた。
コンッコンッ
木製のドアは小気味良い音を立てて室内の人物に来客を告げる。
「……………」
ノックからホンの数秒間、しかし私にとっては永遠とも思える時間が流れる。
相手がどの様な反応をするのか……もしいきなり攻撃して来たらどう対処すればいいのか……
たった数秒間で、50を超える様々な思いが私の中を駆け巡った。
私も部下も一言を発する事無く、只々相手の反応を待つという緊張に満ち満ちた時が流れる。
しかしその時はとても呆気ないありふれた音で終わりを迎える事となった。

89 :
ガチャ……キィィ………
鍵が開く音とドアが軋みながら開く音。
そして開いたドアの先には1人の少年ーーカルディナルと名乗った少年が立っていた。
少年は私の後ろにいる数人の自警団に驚いた様子を見せる事も無くドアを大きく開き我々を中へと招き入れた。
………それはまるで、我々がやって来る事を覚悟していたかの様にも見える。
やはりこの少年は魔族なのだろうか?
それからお互いが椅子に座るまでの間、私は少年の一動一挙をつぶさに観察した。
…が、なにも不審な点や動きは見受けられなかった。
しかし油断は出来ない。
この少年は何を思っているかなど我々に知る術は無いのだから………
ここから逃げる手段?
我々を始末する手段?
それともなにも考えていない?
この少年が魔族であるというのは我々の思い違い?
……よそう、考えるだけ無駄な事だ。
そして私はここに来る前に用意しておいたセリフを口に出した。


予想はしていた。
あの蛇を1人で始末できるほどの人間など今まで存在した事は無い。
そんな事が出来るのは魔族くらいだ。
そう、俺の様に………
必ず怪しまれると思った。
だから怪しまれない様に蛇を倒す事はせず、ただ逃げ回って時間を潰そう。
そう思ってたんだよ!
そうすればその内助けが来る。
俺の事を怪しまれる事もなかった!

90 :
しかし出来なかった……
イリスをレゼダという男に託して蛇と対峙した瞬間、おれの身体中を何かが駆け巡った。
それはまるで蛇の様に脚へと絡みつき、まるで水の様に俺を満たした。
最初その『何か』の正体は分からなかったが、辺りを見渡した瞬間その正体は鮮明に俺の脳を支配した。
誰もいない…
俺以外誰も……
さっきまでいた見習い達…
その責任者のレゼダという男も……
今まで片時も離れずに過ごしたイリスも………
途端に脚が竦んだ。
息が詰まり呼吸が出来なくなった。
この胸が痛いくらいに早鐘を打ち始めた。

恐怖

蛇が怖かったのではない。
『独り』が怖かったのだ。
ほんの10日前までは長き時を『独り』でいたにも関わらず俺は『独り』に恐怖した。
そしてそれを自覚した瞬間、俺の中をイリスが支配した。
イリスの声が…
イリスの笑顔が……
イリスの温かさが………
イリスとの食事が…………
イリスと共に過ごした時が……………
そして………

砂煙が周りを満たし、そこを突き抜けて鼻腔を蹂躙する血の匂い。
それもそうだろう。
俺の半径1m以内を除き、周りの大地は血を吸い紅で満たされている。

91 :
無意識の内に障壁の魔術を張っていたのだろうか、返り血は一滴たりとも身を穢してはいない。
やがて砂塵が治まり、この大地を赤く染めた生物の正体が現れた。
先ほどまで獰猛な唸り声をあげていた生物は、既に物言わぬ塊に成り果てていた。
その巨大な頭をグシャグシャに潰されて………
俺はその光景を呆然と見つめていたが、ハッと我に帰った。
どれほどの時間が過ぎ去った頃だろうか、俺は門に向かって走った。
後の事も先の事も考えずひたすら走った。
やがて門の内側からイリスの声が…泣き声が聞こえてきた時、俺は不謹慎ながらも安堵した。
街の大門が開き中からイリスが一目散に駆け寄ってきて抱きついてくれて本当に嬉しかった。
本当なら俺もイリスを抱きしめ返して……泣きたかったのかもしれない。
でも俺にはそんな事は出来ない。
俺は…イリスにとっての支えにならなくてはならないから……
どんなことがあってもイリスの前で弱い所を見せることは出来ない。
俺に出来るのはせいぜいイリスを安心させるために道化を演じることだけ……
どんなに怖いことがあっても、悲しいことがあっても……明るく振る舞う事しか出来ない。

そしてそれは……今も同じ事だ。
魔族である事を疑われるのは慣れている。
でも、その時に感じる胸に突き刺さる痛みにはいつまで経っても慣れる事はない。
でもその痛みをイリスに見せるわけにはいかない。
俺は…イリスの支えだから…………


「先ほどの失態を詫びにきた」
レゼダは俺の前に立ち上がるなり深く頭を下げ、それに倣って部下の面々も頭を下げた。

92 :
「旅人がいながら未熟な訓練生の訓練を実施したことは、完全に私の失態だった。
一歩間違えれば取り返しのつかない事態になっていたかもしれん。本当に済まなかった
私に出来る償いがあーーー」
「構わない」
俺はレゼダの謝罪を途中で遮った。
「確かにアンタには大きな失態があった。だがそれを俺に謝罪するくらいなら二度とこの様な事が起こらない様にしろ。
今回は幸いにも怪我人はいな……アンタは頭に怪我したんだっけか……重傷人はいなかったんだ。
その僥倖に感謝して次に生かす事だけを考えろ」
少し長い説教になっちまったがまぁいい。
どうせこのくらいに高い地位になっちまうと他人からの説教なんて滅多に受けないだろうからな。
いい薬になるだろう。
「それでだ。あのグレーンスネークを売却したいんだが頼めるか?」
俺にとってはこっちの話題の方が重要だ。
なにせグレーンスネークは高く売れる。
皮は丈夫な鎧や盾、鞄などに加工され肉は食用になる。
牙はナイフになり目や肝は漢方薬になる。
「分かった。せめてもの償いにこの街1番の商会に案内しよう。出来るだけ高く買い取る様にさせる」
そんな必要はないんだけどなぁ……まぁいいか、好意には甘えよう。

「ところで連れの少女の姿が無いが、どうしたんだ?出来れば彼女にも謝罪させて欲しいんだが」
「あぁ、イリスならーーー」
「ルディさ〜ん。上がりましたよ〜♪」
どうやら答える前に答えが来たようだな。
「そうか、湯加減はどう…だ…っ………」
俺、一時停止。

93 :
いやなちえるえうぇ?!!??!
あなさらやくゆへや!????!
ゆれにけけやこにょ!??!!!
ねつゆぬへにりやぢ?!?!!?

……………………………………ふぅ、落ち着いた……
いや、別に賢者がどうとかじゃなくて……俺魔族だし。
うん、もうちょっと頑張ろう!

「イリス。俺、もうちょっと頑張るよ………」
「?はいっ!私も頑張ります!」
にっこりとした笑顔で応えてくれる。
なにこの子は……天使の生まれ変わりなんじゃないのか?
白い肌、美しい裸体、上気して赤らんだ顔、………美しすぎる。
……………じゃなくてっ!!
「きゃっ⁉」
急いでイリスに毛布を投げつけ体を隠す。
「ど、どうしたんですか?この毛布はーー」
「いいからしばらくそのままにしてなさい!それでお前達は……」
振り向いた先には顔をそらしてイリスを見ようとしないでいるレゼダと……
「てめぇらポケーっとしてんじゃねぇっ!とっとと出てけぇええっ!!」
仄かに気を込めて怒鳴ってやると、部下共は怯えたように逃げて行き、レゼダの方も
「あぁ…その、部屋の外で待つ。私もついて行った方が商会の面々の印象も良いだろう」
そう言い残して部屋を出て行った。
「たくっ!あの野郎共め…」
「あの?ルディさーー」
「イリスは早く浴衣を直してくれっ!」
風呂上りのイリスの格好は、この宿に置いてある瑠璃色の浴衣姿でサイズもピッタリだ。
ただ一つほど問題があって……
「……えっとこうかな?あれ?」
全く着こなせてないんだよ!
ほとんど開けた(はだけた)格好だったからな?
ぎりぎりで下の大事な所と上のお山の頂点は隠れてたけどな!!

94 :
「あっ!帯落としちゃった」
「お、おい⁉」
イリスは落とした帯を前屈みになって拾おうとすると、前でクロスしてある部分がバッサリと開いて……
「止まれえぇえぇぇ!!」
大声で静止を呼びかけてイリスを止める。
「ど、どうしたんですか?その、何か私失礼な事を……?」
うん。俺の理性に対してかなり失礼な事を……
「い、いやそうじゃなくてよ………ああそうだイリスは帯結べないんじゃないのか俺が結んでやるよ!」
一気に喋り切ってから答えを聞くよりも早く帯を拾い上げイリスの後ろに回る。
その間わずか1秒、もちろん目は瞑ったままだ!
「本当ですか?お願いします。実は難しくて結べなかったんです!」
この数日で分かったことがある。
イリスはとんでもなく不器用だ……
その度合いは話し方や生い立ちからは考えられない。
服を一人で上手に着れない。
食事も結構危なっかしい。
料理も出来ない。
恐らく掃除とかも出来ないだろうと思われる。
また、自分の事に無頓着でもある。
今の風呂上りの様子からしても分かるように恥じらいがないんだよコイツ!
今から考えてみれば、最初に会った時も薬を塗るって言った途端に服を脱ぎ始めたからな!
この10日間一体俺の理性をどれ程までに摩耗させて来たか………

95 :
「結べたぞ。キツくないか?」
「はい、大丈夫です!」
「よし、ひとまずこれで安心だな」
元気良く返事してくれるイリスの頭を撫でつつ俺は事のいきさつを手短に伝えた。
外に自警団が来ている事やイリスに謝罪したいこと、さっきの蛇を売りに行く事などだ。
「イリスはどうする?多分暇だろうし別行動でもーーー」
「行きます!ついて行きます!ルディさんと一緒にいられるなら退屈なんてありえませんっ!!」
食い気味に返事をして来た……
「そうか?そんじゃ行くか」
イリスを連れて部屋のドアを開けると、そこにはレゼダが立っていた。
「待たせてすまなかった、ちょっと準備しててな。ところで部下達の姿が見えないが?」
「部下は帰らせた。あまり大勢で向かっても邪魔だからな。それよりも……」
レゼダは先ほど俺にした通りの謝罪をイリスにもした。
イリスはそれをムスッとしながら黙って聞いていたが、謝罪が終わると『いえ、別に気にしてません』とぶっきらぼうに返事をした。
レゼダは少し気まずそうにしていたが、『商会まで案内する』と言うと先を歩き始めた。
「なぁどうしたんだ?そんなにムスッとして」
歩きながらイリスに小声で聞く。
「さっきあの人はルディさんを外においたまま扉を封印しました。そんな人なんか許したくないです」
イリスはムスッとしたまま小声で返事をした。
「……そうか。…………ありがとう」
「え?何か言いましたか?」
「いや、別になんでもない」
俺なんかの為に心から怒ってくれるイリスに感謝をしつつ、宿屋の外へ出た。
この街は大通りが二つ存在し、それが街の中心で直角にクロスしている。
そしてその大通りの両脇には沢山の店が所狭しと並んでいる。
人通りもそれなりに多く、あちこちで物の売り買いが盛んに行われているようだ。
たまに見かける狭い小道は恐らく住宅街などに繋がっているのだろう。
つまり俺たちは、この大通りから外れなければ迷子にはならないという事だ。

96 :
「この街は随分と賑わっているんだな。周りが森に囲まれているにも関わらず……結構珍しいな」
店の中には魚介類の専門店もある。
ここから海までは一体どれ程あるんだ?
「確かに凄く賑やかですね。さっきのケーキ屋さんなんかたくさん人が並んでましたよ」
さすが女の子だけはあってそういう店には敏感みたいだな。
後で買って行こうかな……
そんな会話を2人でしていると前方にいたレゼダが説明をしてくれた。
「この街はここから北に関所を設けていてな。そこで様々な物を売買しているんだ」
「魔物がいるこの御時世に関所なんか通る奴いるのか?」
「当たり前だろう?魔物を狩って生活しているハンターや鉱山目当ての団体などたくさんいる」
そ、そうなのか……
今まで関所なんか通らずに森を一直線に突き進んでいたから知らなかった………
「特にここは経済の中心を担う街バームステンから最も近い街だからな。立ち寄る人間も多い」
「あぁ…なるほど………」
イリスの方をちらっと見ると複雑な表情で俯いている。
どうやらまだ完全には吹っ切れてないみたいだな………

「それにしてもお腹空きましたね」
「そうだな。前にご飯食べたの随分昔な気がするよな。まだ4時間位しか経ってないのに……」
「ならば商会に行く前に腹拵え(はらごしらえ)でもしてはどうだ?」
そう言ってレゼダはすぐそばにあった一軒の店を指差した。
「これは何の店だ?ええ〜っと……あれはキノコの絵か?」
「採れたての山菜や野菜が美味しい店だ。味は私が保証する」
「どうする?ここでいいか?」
「はいっ!」
満場一致で店に入ると、なるほど…野菜独特の香りがする。
そして店員からメニューを受け取りイリスと一緒に眺める。
「これが美味しそうだな」
「ルディさん!こっちも美味しそうですよ!」
「そうだなぁ………迷うな……」

97 :
結局俺とイリスはサラダと山菜の揚げ物のセットを、レゼダはフルーツジュースを注文した。
「いいのか?飲み物だけで?」
「一応私はまだ仕事中だからな。食事を取ったり酒を飲むわけにもいかない」
なるほど。それは悪い事をしたかな……

「あの……ルディさん……少しおトイレに行ってきます……」
注文待ちの最中、ほんのりと顔を染めてイリスが席を立った。
別にいちいち報告しなくてもいいのに…律儀と言うかなんと言うか……
そんな事を思いながらボーッと注文を待つ体制に戻る。
するとこの機をずっと待っていたのであろうレゼダが話しかけてきた。
「…少しいいだろうか?聞きたい事があるのだが……」
その表情はかなり強張っていて、口に出す言葉を一句一言吟味しているようだった。
ここまで腫れ物扱いされると流石に少し悲しい……
でもそれも仕方のない事か……俺はこくんと頷いて先を促す事にする。
「かたじけない。早速だが…旅はどの位続けているんだ?」
「もうかなり長いこと続けている。生まれた時から親に連れられて国々を転々としていたからな」
大嘘だがな……
「親はどうしたんだ?」
俺は黙って首を横に降った。
これで恐らく通じるだろう。
……大嘘だけど。
案の定、レゼダは小さくすまない、と詫びをして次の質問に移った。
「歳は幾つだ?」
「俺は17、イリスは14」
大嘘だけどな…実際は600超えてるし………本当は何歳だっけ?
「旅の目的はなんだ?」
「特にない」
これは本当の事だ。
「ふむ……」
レゼダはなにやら考え込む仕草をしながら次の質問に移る。

98 :
「どうやら魔術を得意としているようだが何が使えるんだ?」
「一通りは使える。火炎 水 雷撃 氷 大地 風 光 その他諸々だ」
「その歳それ程までにかっ⁉」
「これ位出来ないと生きていけないような環境で育ったからな…
だからグレーンスネークも簡単に始末出来るわけだ」
「⁉」
レゼダは案の定驚いた様子を見せる。
そりゃそうだろうな。
どのように聞こうかと思っていたデリケートな話題を相手から出してくれたんだから。
「俺は実践経験だけで言えば恐らくアンタの数十倍はある。物心ついた時から戦ってるからな」
実際は数十倍じゃきかないだろうけどな。
「だから分かっちまうんだよ。アンタが何を考えているかがな。今までもそうだったし」
「……どういう意味だ?」
「別に白を切る必要なんかねぇよ。慣れてるから」
「………分かった。それでは率直に聞こう」
「どうぞ?」
「君は一体何者なんだ?」
「何者とは……魔族なのかそうではないかという事か?」
「ッ⁉」
「そんなに驚く事もないだろ?それに俺も慣れてるからな」
嘘だ。
人間から半ば恐れられ疑われる事には何百年経っても慣れる事はない。
「そしてその問いに対する答えだが……」
ここで一旦区切って溜めを作り……そして一気に吐き出す。
「仮にここで俺が魔族ではないと言ったところでアンタはそれを信じないだろ?」
「………」
「だからそれについては保留しとく。強いて言うなら旅人だとでも言うさ」
「……分かった。不快にさせてしまったならばすまない」
「不快にならないと言えば嘘になるけどよ。まぁいいさ、この位で怒る程器は小さくないつもりだ」
自分ではカラカラ笑いながら言えたとは思うが…向こうはどう受け取っただろう………
どっちにしろ空気は気まずいけどな。

99 :
「旅は楽しいか?」
向こうもそれを思ったらしく、俺に対して話題を振ってきた。
そうだな………少しからかってやろうかな。
「まぁな。何度かにかけたけど楽しい事も多い」
「君程の実力者でも危険な事があるのか?例えばどういう事が?」
「最近じゃ…そうだな………サキュバスに会った時かな」
「サキュっ⁉」
「ああ、アンタが想像した通りのサキュバスだ。あいつらはマジでうぜぇ……」
「き、君!あまりそういう話はーーー」
「森を歩いてたらいきなり飛びかかって来てよ。しかもいきなり全裸で。
よっぽど腹を空かせてたのか知らねぇが一瞬でローブを捲られてーーー」
「分かった!もういい!君がそんな辛い目に遭っていたなんて知らなかったんだ!」
「………何か勘違いしてるようだが、俺は微塵も精気を吸われてねーぞ?」
「……む?それでは何故危険な目に遭ったと言うのだ?」
「何とか逃げる事は出来たんだが、それから三晩三日追い回されたんだよ……全くの不休不眠で。
後ろを振り向くと真っ裸の女が血走った目で俺を追いかけて来ててな。その形相がぬ程怖かった」
今思い出しても悪寒が走る……あの時は本当にぬかと思った………
「なまじ美人だから対処に困るんだよ。人型でさらに美人。始末するのも心が痛むし……」
ちなみにこの出来事はイリスに出会う数日前。
バームステン近辺の森辺りでやっと逃げ切ったんだけどよ……その時運悪く近くに人間がいたんだよ。
それがあの馬鹿姉弟って訳で…俺もやっと逃げ切って油断してたんだ。
全く気付かないまま独り言で『魔族じゃなきゃ逃げきれんかったぞ!あの変態女!』ってな。
それから何度も命を狙われる羽目に……一体どこまで俺を苦しめやがるんだあのサキュバスは!
……いや、あいつのおかげで俺はイリスと出会えたんだから結果オーライか?
「それは……凄まじい体験だな………」
俺のゲンナリした表情から如何に酷い目に遭ったのか察してくれたのだろう。
レゼダの目は気の毒な少年を見るものになっていた………

100 :
「ルディさん!お料理来ましたよっ!」
「分かったから……あんまりはしゃがない」
それから10分もした頃ようやく料理が運ばれて来た。
既にトイレから戻っていたイリスはワクワクしながら俺の裾を引っ張る。
料理がテーブルに置かれいよいよ食事が始まる!
俺も結構楽しみにしてたりするんだよ……
いいだろ?魔族でも…それくらいはな……
「それではいただきますっ!」
「いただきます」
イリスに倣い手を合わせ食前の挨拶を行う。
しかしそこでイリスの動きはピタリと止まり、俺もサラダを口に入れる直前で止まる。
「どうしたんだ?食べないのか?」
さっきまでの元気はどこへやら……何故か神妙な顔をしてピタリと停止しちまってる。
イリスはそのまま恐る恐るといった体(てい)で俺の方を見つめてきた。
その目を見る事約5秒、俺はイリスの言わんとしている事を理解した。
イリスは一応名門の家で育ったが、食事などはいつも独りぼっちだった。
もちろんそんなイリスにテーブルマナーを教えてくれる人間などいる訳も無い。
だからナイフ、フォーク、スプーン、ハシなどの使い方が分からない訳だ。
「ほら、口開けな」
自分の口元まで運んだサラダをイリスに食べさせてやる。
イリスはそれをもきゅもきゅと必に食べている。
ちょっと量が多すぎたか?次は半分くらいにしとくかな……
「どうだ?美味いか?」
イリスは口を動かしながらコクコクと頷いて返事をしてくる。
そのあまりにも可愛らしい仕草に自然と笑みが零れてしまう。
娘を持った父の気持ちの片鱗を味わった気分だな………
「君はハシの使い方が上手だな。この大陸には最近伝わったばかりの物なのだが」
片手で自分、片手でイリスの食事を起用に行う俺を見て、レゼダが感心したように声をかけてきた。
「俺はもともとハシが主流の大陸生まれだからな」
「ほう!それではここから遥か南の地からここまで来たのか!是非そちらの話を聞かせてもらいたい!」
「いいぜ、どんな事から聞き……ちょっと待ってくれ。
イリス。口元のドレッシング拭き取るぞ」
「んっ…ぷはっ……ありがとうございます!」

101 :
とまぁこんな感じで和やかに食事は終わった。
イリスに関しては、何故か飲み物すら俺が飲ませることになったんだが…細かいことは気にしない。
よし、こっからは巻くぞ!
この後俺たちはレゼダの紹介でカヤナ商会に蛇を売り付けに行った。
(ちなみにカヤナってのはこの街の名前な?)
そこで買取額を聞いた時は度肝を抜かれたね。
なんせあんな大物を人間に売り付けた事なんて初めてだったからな。
なんと値段は7000万エカ!
(エカてのは単位で円と同じくらいだと思ってくれ。つまり7000万円だ!)
もちろん旅人の俺たちにとってそれ程の大金は邪魔以外の何物でもない。
1万エカの紙幣にしても7000枚必要になるのだから……
そこで支払いは全世界で共通して使える小切手にしてもらう事にした。
6990万エカの小切手を一枚、1万エカの紙幣を10枚、合計7000万エカだ。
(この世界は小切手を1万単位で切れるから6990万みたいな半端な額でも構わないんだよな)
その後はレゼダに礼を言い、イリスの手を引き宿に戻った。
もちろん途中のケーキ屋でケーキを買うのも忘れずにな。

102 :
そして部屋に入った所で
「صضننحغنة」
「ルディさん⁉」
イリスの手を掴んだまま小さく障壁の魔術を唱えると、俺たちの周りを黒い靄が覆った。
「どうしたんですか?それに……これ………」
「障壁の魔術だ。これは主に内から外への音を遮断する。つまりこれから内緒話をするんだ」
口元に指を当ててそう言う。
おそらく俺は監視されているだろうからな………
「内緒話ってーーー」
「俺の正体に疑いを持たれている」
「っ⁉」
ここで俺はイリスにこれまでの経緯をすべて話した。
「そんな……だってルディさんはあの人を助けたんですよ⁉なのになんでっ⁉」
「そういうものなんだよ。魔族の扱いってのはな。恩とかそういう事は関係なく悪と決めつけられる」
「そんな……そんなのってぇ………ひど…すぎます………」
イリスの声はだんだんとか細くなっていき最後には嗚咽に変わった。
「わ、私は…悔しい………グスッ…です……なん、で…ルディさん…みたいな…いい人がこんな目に遭わなくちゃ……」
「仕方ないんだよ。……これも俺の運命だ。受け入れてる」
頭を撫で、柔らかい口調で安心させるようにそう言う。
「だから早い所この街を出る事にしようと思うんだ。あと2、3日くーーー」
「明日出ましょう!」
「え?」
「明日の朝出来るだけ早く出ましょう!その方がいいです!こんな街なんかっ!」
涙を湛えた瞳に強い意思を込めて俺にそう言ってきた。
しかし………
「それで良いのか⁉今日来たばっかりなんだぞ?イリスだって色んな店とかを見て回りたいだろうに……」
人間の、しかも少女にとって旅とは決して楽なものじゃない。
食事は粗末なものだし寝る場所などの確保も大変だし、他にも色々と不便な事ばかり。
しかしイリスは首を横に振る。
「そんな事はどうでもいいんです!私は、私はイヤです!こんな街っ!」
「イリス………」
「ルディさんは言いましたよねっ⁉私はもっと自分の意見を伝えた方が良いって。
だから言えるんです!私はこんな街早く出たいんですっ!!」
自分のために心から怒ってくれる少女にこれ以上何が言えるってんだ………

103 :
ーーーーー
ーーー

夜の帳も落ちた頃、その音は静かに響いていた。
カヤナのとある一軒家。
そこはこの一年ほど入居者もこず電気も通っていないはずだった。
しかし今は現にその家からは明かりが漏れ中から音が漏れて来る。
そらは若い女の嬌声と肉と肉を打ち付け合う音。
そしてネチャッ、ネチャッ、という粘り気のある音。

「あっ!! あっんっ! いいっ! もっとっ! もっと頂戴っ!!」
その中のベッドには一組の男女がいた。
そこ行われていたのは最も原始的で最も美しい行為。
女は男の腹に手を付き、騎乗位の体勢で一心不乱に腰を上下に動かしている。
雪のように白く透き通っている肌に滴る汗。
女なら誰もが羨むような豊満、それでいて整ったバストはプルンプルンと擬音がしそうなくらいに揺れている。
ほっそりとした身体のラインは優雅な曲線を描いており、それ自体が芸術の域に達している。
そして真っ赤な目とそれに負けないくらいに真っ赤な、背中の半分まで伸びた長髪。

「も、もう…やめてくれ………これ以上は…」
男は女に行為を辞めるように嘆願をする。
それを聞いた女は上下運動させていた腰を止めた。
「フフッ何言ってるの? んっ♪ まだ貴方は4回しか…うふっ♪ 出してないでしょう?」
「そ、そんな事を言われーーんっ⁉」
「ん…ちゅっ…ちゅむ…じゅるるぅ♪」
女は男の口を自らの口で塞ぐ。
唇を合わせるだけのような甘いものじゃない。
自らの舌を男の舌に絡め相手の唾液をじゅるじゅる音を立て啜る官能的なもの……
その舌使いはこの世のものとは思えない官能を男に与えた。

104 :
「きゃあ、あ、あ、あ、あぁんっ♪ 中で、大っきく♪
フフフッ♪ キスがそんなに気持ちよかったの? それじゃあこれはどうか し ら♪」
「な…あ、あ、あ! ま、待っ…!」
女はそう言うと下半身にぎゅうっと力を込めて男の肉棒を締め付けた。
「ひぅっ⁉ く あ、あ、あ………がっ……」
男はそのあまりの官能に声なき悲鳴をあげる。
ただ締め付けられただけではない。
女の膣壁は常人のものとは全く違い、まるでそれ自体が意思を持っているかのように絡みついて来るのだ。
その刺激により、男の中で快感が背筋を駆け上がる。
既に男の脳はショート寸前で、目は虚空を見つめ口からはだらしなくヨダレを垂らしていた。
「ふふっ♪…もっともっと、してあげるよ…♪」
だというのに女は腰を使って上下運動を始めた。
「あんっ、あんっ、あんっ…! …いい…、凄くいいわぁ♪…、人間の性器がこんなにイイなんて…」
「う、あ……あ、あ………」
「どうっ⁉ あっはっ♪ 気持ちいいでしょう⁉ あんっ♪ あ、はあぁ♪ いい♪ すっごくイイわぁ♪
内側っ! 感じるのぉっ♪ ゴリゴリされてっ! 腰、止まらないわぁ♪」
女は返事がない男に構わずとにかく腰を振る。
強く、強く、ひたすら強く。
自らの欲求を満たすためにひたすら強く!
腰を打ち付けるたびにぱんっ! ぱんっ! と乾いた音、そして陰部からはネチャッ! ネチャッ! と卑猥な音がする。
その音は女にとって何にも変え難い興奮材料となるのだ。
やがて女はその快楽に耐えきれずにベッドに四つん這いになった。
しかしそれでも依然として腰を振り続け少しでも多くの快楽を得ようとしていた。
女の大きな胸は男の眼前でたゆんたゆんと揺れるが、男はそれにすら気付かないようでされるがままになっている。

105 :
「あっ! あっ! ああっ!! いいっ! いいのぉ♪ 気持ちいいのぉ!」
とうとう女は自らの手で体重を支えきれなくなり男の胸に倒れかかってしまう。
そして、その豊満な胸の先端を男の胸板に押し付けてこすり始めた。
先端が男の胸板にこすられるたびに、女の胸に痺れるような快楽が訪れ視界内を火花が散る。
「あはぁっ!はぅあっ!ぁあ♪ おっぱい、こすれて、すごっ⁉ くはぁう♪」
そのまま女は腰の運動に前後左右の運動を加えた。
女の中を肉棒が縦横無尽に暴れまわり、女の中を余すところなくかき回して行く。
最初はメチャクチャに、次に規則正しく八の字に、そしてまたメチャクチャに。
とにかく掻き回す!自らの官能に従って掻き回して行く!
「あはっ♪ あははっ♪ 分かるわぁ! 私の中でピクピクしてるのっ♪ もう出るんでしょっ♪」
男には既に意識がない。
それでも身体は無意識に快楽を受け入れ、射精を脳に促す。
「あんっ! あんっ! あんっ♪ お早くっ! 早く私に頂戴っ!!ザーメンをっ♪
びゅるびゅるって出しなさい! 私のナカにっ!! 
あんっ! あっ、あっ、あっ、あっ! さぁっ!しゃせーしなさいっ♪」
最後の追い込みとばかりに今まで以上に腰を強く打ち付ける。
腰に力を入れ強く締め付け、打ち付けながら横方向への動きも忘れずに行う。
そして
コリュッ
強く打ち付けた肉棒の先端が女の子宮口に到達した瞬間…
びゅるるっ!! どくっ、どくっ、どぷっ、どぷっ、どぷっ!
男は性を女の中へと解き放った。
「あ、あぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁっっっっ!!!」
それと同時に叫ぶような嬌声を女が上げた。
どうやら男の射精と同時に彼女も達したようだ。
一瞬のうちに背筋をピンと伸ばし、仰け反る様に叫びながらその快楽を楽しむ。
「あはぁ…精液ぃ…あっつうい…♪ ♪ お腹のなかで、動いてぇるよぉ…♪」

106 :
そこから数分間の余韻を楽しんだ女は、快楽の波が去った事を確認すると静かに立ち上がった。
陰部からグチャッ!と空気が抜ける卑猥な音を立てて肉棒が抜けた。
「ありがとう。とっても良かったわぁ♪」
女は男の頬にキスをした。
彼女なりのお礼の印なのだ。
「ねぇ、もう一回お願いできるかしらぁ?」
男は答えない。
それもそうだろう、男は肉体的にも精神的にも疲れ果ててしまい気絶しているのだから。
「ねぇ、どうなの?」
女は男をゆさゆさと揺するが男は一向に目を覚ます気配がない。
「はぁ…ダメみたいねぇ………それじゃあ…」
男の周りを何か黒い縄の様なものが絡みつき、そしてーーー
ズガァンッ!!
次の瞬間、男の身体は家の壁に叩きつけられていた。
「貴方はもういらない」
先ほどまでの情事からは考えられないほどの冷酷な表情で彼女はそう言い放った。
その真っ赤な瞳からは既に男への興味は消え失せている。

「だって私にはまたまだ餌があるものね♪」
そう言って向き直った先には…
「んぐっ!! んぐぐっ……!!」
猿轡を噛まされロープでぐるぐる巻にされている3人の男がいた。
その服装から察するに、恐らくこの街の自警団だろう。
「あらあら〜 そんなに怖がる事なんかないのにぃ♪ 今それ外してあげるわね♪」
女は一人の男の猿轡を外した。
「ぐっ!げほっ!ごほっ!!き、貴様ァ!よくも。よくもおぉぉぉっ!」
猿轡を外された瞬間、男は女に食ってかかった。
「どうしたのよぉ?そんな怖い顔しちゃって」
女は男をなだめるかの様に話しかける。
しかしそれは男をさらに腹ただせる。
「煩い!何故貴様の様な魔族がここにいるんだっ!」
「あら?バレちゃってたの?…って当たり前よね。この格好じゃあねぇ〜」
女は一見普通の人間に見えなくもない。
ただしそれは、女の腰辺りから一本の黒い尻尾が生えていなければの話だ。
その尻尾は俗にいう悪魔の尻尾そのもので、先端が三角形になっている典型的なものだ。
さっきの男はこの尻尾で投げ飛ばされたのだ。

107 :
「貴様一体何が目的なんだ!」
「あらぁ♪私はサキュバスなのよ?目的なんか一つだけでしょ?」
女はそう言うと自らの顔を男の顔に近づけて行く。
「ひ、ひぃっ!く、来るなぁっ!!寄るんじゃないっ!!」
「フフッ♪そんなに怖がらないでよ。大丈夫♪すぐに貴方も気持ち良くなるから♪」
女は至近距離で男の目を見つめる。
その血の様に真っ赤な目は不思議な魔力を秘めていて男は目を逸らすに逸らせなかった。
そして……
「قخضني!」
女は魔術を詠唱した。
その途端、男の怯えが止んだ。
男の鼓動は先ほどまでとは比べ物にならないほどに速く脈打ちはじめる。
男の息が荒くなる。
男の肉棒がだんだんとその本性を現わし始める……

女がかけたのは魅了の魔術。
至近距離で目を合わせたまま詠唱しない限り無意味な魔術。
しかし、一度かかってしまったら男だろうと女だろうと抗う事は至難の技だ。
女はさらに横にいる2人にも魅了の魔術をかけた。
「フフッ♪どう?これでもまだ私の事が怖いかしらぁ?」
女の艶やかな笑みは男たちのわずかに残っている理性を着実に剥ぎ取って行く。
「どう?私の事メチャクチャにしたいでしょお?」
男たちの鼻息が荒くなる。
それもそうだろう、何せ目の前には魔族とはいえ全裸の美女がいるのだから。
女はその反応を満足気に眺めながらベッドに横たわった。
そこから尻尾を操って男たちを縛っていたロープを切り落とす。
立ち上がった男たちは皆、横たわる美女を見て喉を鳴らす。
「フフッ……いいわよ?」
まだ残っている理性を打ち壊すために最後の言葉を投げかける。
「私を…メチャクチャにして……♪」

こうして出来上がった三匹の獣は、一目散にサキュバスに襲いかかった………

108 :
まず一匹目はベッドに横たわるサキュバスを持ち上げて、自らが仰向けにベッドに横たわる。
そして自分の上に女をうつ伏せに寝かせ、陰部を一気に貫いた。
「はぁっ!! うぁっ!!! あっはぁっ!!!」
流石にその衝撃はサキュバスにも耐えられるものではなかったらしく、彼女は目を限界まで見開いて仰け反った。
何せ肉棒が一気に子宮の入り口まで達したのだ、その快感は計り知れない。
そのあまりの刺激に、女の膣壁からは大量の愛液が溢れ出し、股を伝ってベッドに大きなシミを作った。
だがここまではさっきと同じ騎乗位の体勢だ。
しかし違うのはここから……
二匹目の獣は仰け反る女の髪の毛を鷲掴み、無理やり前に倒した。
そしてその小さくも魅力的な口に自らの物を無理やり突き込んだ!
「むぐぅっ⁉ う、ぐ⁉」
一気に突き込まれた肉棒は喉の奥をコツンとノックする。
それはサキュバスとは言えども生理的に吐き気を催す。
しかし男はそんな事を気にする事もなく乱暴なピストンを開始した。
生理反応により口腔を大量の分泌液が満たし、それが円滑液の代わりになる。
「むっ⁉ む、ぐ、ぐっ⁉ んふっ♪」
しかしその乱暴なイマラチオも生理的な吐き気も、サキュバスにとっては快感以外の何物でもない。
すぐに順応し、舌を使って奉仕する余裕まで見せる。
「んふっ♪ ちゅっ、ちゅううっ…れろっっ…! はぁっ♪ フフフッ♪ 美味しいーーーんふうぅぅぅぅっっ⁉」
突如彼女を襲ったのは新たなる快楽。

109 :
三匹目の獣の滾った肉棒は、その熱を処理するために穴を欲した。
しかし、既に陰部と口の二箇所は他の獣に取られてしまって使えない。
「そ、こ、……む、ぐ、ちゅっ…れろっ…お、しりの、…はうぁっ♪」
本来なら排泄のみに使うための穴。
肛門を押し広げられ、無理矢理肉棒を尻穴の奥まで挿入されることによる強烈な排泄の欲求……
それが彼女の尻穴の中でどんどん増幅し、背筋を震わせて脳を痺れさせて行く。
「んんっ……うく、ぐ、ぐ、れろっ♪ んんんっっ⁉ んんんんっ!!! んんんっ♪♪」
アナルに肉棒が突き刺された瞬間、今まで動いていなかった陰部とアナルへの激しいピストンが始まった。
下から腰を抑えられて力任せに突き刺さる肉棒。
後ろから両手を掴まれ、立ちバックの体勢でアナルに突き刺さる肉棒。
そして頭を抑えられ乱暴に口腔に出入りする肉棒。
肉棒が肛門を大きく広げて肛肉を引き摺り、異物が肛門の外へと排出されていく生理的快感。
それと同時に子宮の入り口へ何度もコリュッ! コリュッ!とノックを繰り返す官能。
そして口腔に広がる精の味を心ゆくまで堪能出来る幸福。
その快感、官能、幸福は筆舌に尽くし難い。

しかしそれは三匹の獣たちも同様だったようだ。
サキュバスは口、膣、アナルにそれぞれ突き刺さる肉棒がピクピクと痙攣しているのを感じ取っていた。

110 :
(いいわぁ♪ 出してっ! 早く、早くだしてぇっ♪ しゃせーしてせーえき私に飲ませてぇぇぇっっ♪)
それぞれの肉棒がそれぞれの穴の最奥に突き込まれた瞬間!
ぶびゅるっ!びゅるるるぅぅぅっ!!
それぞれの肉棒から、吐き出すと言うよりは叩きつけると言う方が適切だと思うくらいの勢いで精が噴出する。
それは口腔、子宮、腸内をそれぞれ犯し、サキュバスにこれ以上ない官能を与えた。
(あぁああぁぁっっ♪ 三穴同時に中出しされてるぅ♪ あっ、あはっ♪ )
しかし三匹の獣たちはこれでは満足できない。
魅了の魔術はかかった者の性欲を際限なく高めるのだ。
自分の身体の限界すらを越すほどに……

そんな中サキュバスは考える。
(この子達は一体何回目で魅了が解けるかしら?さっきの子は三回目で既に逆レイプ状態だったからなぁ♪ んっ♪
私も楽に魔力回復したいから出来るだけ長くレイプしてくれるといいなぁ♪
それにしても人間がここまで頑張れるなんて凄いかも…少し食わず嫌いを治さなきゃかも。
でもとにかくこの前逃げられた魔族のボーヤ。あの子を絶対に食べてやる!すっごく美味しそうだったもの♪
この前は魔力がすっからかんだったから逃げられたけど今回はそうは行かないわよ!
だってこんなに精を吸ったんだもの♪今なら誰にも負ける気がしないわ!
この街で絶対に食べてやるんだから!!)

終わらない宴は続く
いつまでもいつまでも……
三匹の獣達の精が尽きるまで

111 :
以上です
……はい、反省してます
文才ないくせにエロ書いた事を
不評だったらこの先書きません!

112 :
投下乙!

113 :
GJ!いいよーいいよー!あんたが頼りだよー!

114 :
人本当に少ないなw

115 :
去年は盛り上がってたのに…

116 :
依存対象がいなくなってしまったキモオタ達はんでしまった…

117 :
(この過疎り具合は)アカン

118 :
wikiの更新は停止したのか?

119 :
本当だ、止まってるね
忙しいのかも

120 :
寝取らせ、望まない性行為。口淫。
携帯から。誤字脱字すみません。
 三日月が闇を照らす頃。ホテルの一室でそのかは怯えた表情を浮かべていた。
「ぐふふふっそれじゃあそのちゃん頼むよ」
 体操着姿でベッドに座り込むそのかを三人の中年男性が囲む。
「あ、あの、や、約束は……」
 おずおずとそのかが口を開いた。
「大丈夫。口だけって約束だからね。あぁぶっかけはOKだったね」
「ぐひっ俺は髪だけどね。まぁでもおつりが来るけどねぇ」
「あぁブルマたまんないねぇ。まぁまずは精一杯くちまんこ堪能しますか」
 そのかにとって長く辛い時間が始まった。
「まずは俺から頼むよそのちゃん!」
 典型的な中年太りの脂男がそのかの口に肉棒を突き立てる。
「んむぅっ!?」
 口内を容赦なく肉棒に犯され、そのかは驚きの声を上げる。
「いいよっ!! そのちゃんのくちまんこ最高だっ!」
 男の暴力的な口虐行為にそのかは涙をこぼした。
 彼のモノですらあまり受け入れたことのない口内は、すぐさま拒絶反応を起こす。
「んぶぇぇえっ! おぐっ! ぶぶっ!」
 吐き出したくても頭を抑えられているためどうにもならない。男は容赦なく喉の奥まで肉棒で犯す。
「うげぇっ、あぇえっ、やめ、ぶぐっ、んぐあぁあぁむっ!」 
 まるで道具の様に扱われそのかは心を汚される。
「ほら休んでないで俺の手コキしてよ」
 痩せたオタク気質の男は、有無を言わさずそのかの華奢な手を掴み肉棒を無理矢理しごかせ始めた。
「おぉお! そのちゃんの手最高に気持ちいいよっ!!」
 生ぬるく気持ち悪い左手の感触に、そのかは嫌悪したが、口虐の苦しみが上回ってしまう。
「んーっ! たず、けっ、んぶぶぅ!!」
 男が肉棒を口内に打ちつける度に卑猥な音が響く。その音が行為の淫らさを強調し、そのかの心を蝕んでいく。
「そのちゃんのスケベなフェラ顔よく撮れてるよ」
 もう一人、フェチ男はカメラを回し、そのかの痴態を記録していた。フェチ男はカメラを回したままそのかの髪に手を伸ばした。
 一度も染めたことのない純黒のロングヘアー。フェチ男は肉棒にそのかの艶やかな髪を絡めしごき始める。
「そのちゃんの髪コキエロくて最高だよ! ちゃんと汚れるシーン撮ってあげるからね!」
「んんーっ!! や、ぐぶぁっ、ごぐっ、ぐげぇぇっ!!」
 三者三様の容赦ない変態行為。始まって五分と経たずにそのかの心は絶望で埋め尽くされた。

121 :
「ほらっもっとくちまんこ締めてっ! 嫌なら処女奪ってもいいんだよ?」
 されるがままのそのかだったが『処女』の一言にぴくんと反応した。
 口と髪以外には手をださない約束だが、もし三人に襲われてはどうにもならない。そのかはおとなしく脂男に従う。
「んやぁ、ぐっ! んぐっ! んぉぐぅっ!」
 そのかは苦しみの声を上げながら、必に口をすぼめ相手の要求に応える。
 唯一自由が利く右手で、相手を押し戻そうとするが、逆に男を興奮させてしまう。
「はぁはぁっ口レイプ最高だっ! もう出るよっ! そのちゃんの処女くちまんこ汚すよっ!」 
 そのかは必に抵抗する。だが頭を両手で押さえられ逃げようがなかった。
「んーっ!! んぐぁ、んんんんっ! うぐぉぇぇぇっ!」
 喉に打ち付けられ口に広がる生臭い精液。今すぐにでも吐き出したかったが肉棒が邪魔をする。
「飲めっ俺の特濃ザーメン飲み干せっ!」
 そのかの口に無理矢理精液が注ぎ込まれた。
「むぇぇえっ、ぐぇっ、おぇえぁぇえぇっ……!!」
 今まで発したことの無い声がそのかの口から漏れる。
「ふぅ、そのちゃんの処女くちまんこ最高にエロかったよ」
 脂男が肉棒を抜くと、そのかの口から大量の涎が溢れ、体操着に淫らな染みを作り上げた。
「うぇぇっ、ぅあっ、はぐっ、あぇぇっ……」
 眉を歪ませ涙を流すそのか。男は満足したのかその場を離れ、一服を取り始めた。
「そのちゃん口に出された時いきなり手ぇ強く握るから出そうになったじゃん」
 オタク男がそのかの手を離し、口元に肉棒を近づける。
「ぅあ、あぁ、待っ、てくださいっ、そんなすぐにんむぅぅぅ!!」
 息を整えていたそのかに襲う二度目の口虐。
「アップ撮るからこっち向いてねー」
 髪コキを続けるフェチ男がカメラを近づけると、そのかは目をつぶり、顔を逸らそうと抵抗する。
「いやはや髪コキしながら撮影とはさすがですな。それにしても嫌がるそのちゃん可愛いねぇ」
 そのかが受け入れても抵抗しても、結局は男達の悦びを誘うだけだった。
「うぅ、んぐぁぅっ、ぶぶっ、おぶっ、んんんんんっ!」
 オタク男の口虐にそのかの呼吸が乱れる。先程もだったがあまりの激しさに息が付いていかない。
 そもそも未成熟な小さな口に、成人の男性器を入れること自体が無茶な話でしかない。その小さな口を男達は道具の様に犯す。
「おぉ、ぬめぬめしてて最高だぁっ! ヤバイっもう出るっ出る!」
 オタク男はそのかの髪を掴み、乱暴に肉棒を打ちつける。同時に再び生臭い精液がそのかの口を満たしていった。
「うぇぇっ! あぇっ、おぇぇぇっ……!」
 男はすぐに肉棒を引き抜き、残りの精液を顔に塗りつけていった。
「精液の化粧そのちゃんにぴったりだ。あ、ザーメンはまだ飲んじゃダメだよ」
 オタク男の言葉にそのかは目を丸くして驚く。今すぐにでも吐き出したい汚物を、口に含んだままでいるのは耐え切れるものではなかった。
「ぅうっ、うぇっ、うぐぅっ……」
 精液化粧で汚れたそのかの泣き顔。涙と精液が混ざり卑猥な姿を映し出す。
「処女守りたいんだったら、ぐちゅぐちゅしてから飲んでね」
 オタク男は卑屈な笑みを浮かべそのかの頭を撫でた。
「ぅぅ……くちゅっ、んんっ! うぇっ、くっちゅっぷっ、ぁえぇぇっ」
 吐きそうになりながらもそのかはオタク男の指示に従う。生臭い味が口中に広がり絶望を濃くしていく。
「うぐっ、ちゅくっ、んくっ、んっくっ、んんっ、ごくっ、んあぁあぁぁぁ……」
 そのかは何とか精液を飲み干すと生臭いため息をついた。
「精液化粧されてザーメン食べるそのちゃん最高だったよ」
「うぁあぁぁ……」
 そのかのため息をよそ目に、オタク男はさっさとそのかから離れ携帯をいじり始めた。

122 :
「最後は俺だね。このまま髪にかけてあげるからね!」
 フェチ男がしごく手を早めると、髪が擦れる音がそのかの耳に響く。
「ぁあ、い、やぁ……」
 度重なる行為に脱力したそのかは口では嫌がっているが、抵抗の素振りは見せない。
「出るっ! そのちゃんの処女髪にぶっかけるよっ!!」
 フェチ男の精液がそのかの髪に染み込んでいく。溢れた精液が頬にもへばり付く。
「久しぶりの上質な髪だったよ」
 射精の合間もフェチ男はしっかりとカメラを回し、そのかの汚れていく姿を記録していった。
「ぁうぅ……やだ、や、だ……」
 精神的にも物理的にも汚され、そのかは大粒の涙をこぼした。
 そこへ脂男とオタク男が再びそのかに近づく。
「おまたせそのちゃん二回戦だよ」
「次はブルマにかけてあげるからねぇ」
「もちろんザーメンまみれのそのちゃんもバッチリ撮ってあげるよぉ」
 卑屈な笑みを浮かべた三人の目が妖しく光った。
「あぁ……も、うゆるし、て……」
 そのかの願いは三人の耳には届かなかった。

123 :
 どのくらい時間が経ったのか、そのかは早く終わりが来ることだけを望み、力なく男達の欲望を受け入れていく。
「ほら休んでないでちゃんとザーメン飲むんだよ!」
 脂男の精液が口に広がる。
「ザーメンブルマっ! たくさん染み込ませてあげるからねっ!!」
 飛び散るオタク男の精液が体操着にブルマに淫らな染みを作りあげた。
「けほっ、かへっ! うぁあ……」
 度重なる行為に、そのかは思わず精液を吐き出してしまう。
「ちゃんと飲めって言っただろ!」
 脂男の怒号と共に再び喉の奥を犯されていく。
「うぇえっ! ぶぐっ、げぁぇえぇぇっ!!」
 喉に打ち付けられる肉棒。終わらない口虐。
「また髪にかけるよっ! そのちゃんのスケベ髪っ!!」
 休む間も無く髪に生ぬるい精液が染み込み、そのかの心と身体を汚し尽くしていく。
「うぐぅっ、ぐぁがぁぅ、んぶぅぅっ!!」
 口の中で再び肉棒が膨張し、脂男の煮えたぎる精液が放たれた。
「はぁっ、スケベなそのちゃん見てたらまた出ちゃったよ」
 脂男はそのかの頭を押さえつけ、喉奥に肉棒を擦り付けた。
「うごぇえぇっ!!」
 苦痛に耐えようとシーツを握るが、意識とは関係なく吐き気がこみ上げてくる。
「抜くから飲むんだよ」
 脂男が肉棒を引き抜くと同時に、
「うぁぇえぇえええええっ!!」
 そのかは大量の吐瀉物をぶちまけてしまった。咄嗟に口元を押さえたのだがそれも無駄だった。
「ゲロ姿もなかなか可愛いねぇ。さすが変態処女だけあるなぁ」
 フェチ男が食い入る様にそのかの痴態を記録していく。
「勝手に吐くなよ。今日は許すけど次は処女奪っちゃうよ」
「やっぱりブルマはザーメンまみれじゃなきゃねぇ」
 男達は自分勝手なことを口にしながら下品な笑みを浮かべた。
「じゃぁ最後に綺麗にしてあげなきゃね」
 オタク男の言葉に残りの二人も頷く。
「ぅあ……な、に……?」
 疲弊したそのかが不安げに三人を見上げた瞬間。
「うゃあぁぁぁっ!?」
 三人の濁る尿がそのかに降り注いだ。
「いやぁっ!!」
 朦朧としていたそのかもこれには必に抵抗するが、両手を掴まれ身動きが取れなくなってしまう。
「ほら、綺麗にしてあげてるんだから逃げちゃだめだろう」
 三人の尿が、そのかの顔を髪を口を身体を容赦なく汚していく。涙は尿に掻き消され、感覚も感情も全て男達に汚された。
「ぁ、あぁ、あ……」
 情けない声が脳内に反響し、自分の惨めさを強調していった。
「じゃぁ俺達は帰るから。またよろしくね変態そのちゃん」
 男達は満足気にホテルから立ち去っていった。
「ぁ、あぁ、やっ、とお、わった……」
 苦痛と絶望から開放されたそのかは、尿でできた水溜りにへたり込んだまま涙を流した。

124 :
「ただいま……」
 事が終わり、そのかはふらつきながらもようやく自宅へたどり着いた。玄関のドアが重く感じる。
 いつもの家の空気に安堵すると、彼が待つ部屋へ足を運ぶ。
「あぁ、おかえり。たくさん汚されてきたみたいだね」
 ドアを開けると彼が笑顔で出迎えてくれた。
「う、うん」
 そのかはシャワーも浴びずに汚れたまま帰宅したため、きつい悪臭が身体全体を包んでいた。
「ちゃんとビデオ撮ってもらった?」
「うん……」
 そのかはおずおずと先程フェチ男が使っていたビデオを差し出す。
「そっか。そのかはいい子だね」
 彼は汚れたそのかを躊躇せずに撫でた。そのかにとってはそれだけで汚れた身体が洗われていく気がした。
「ん……」
 可愛く喉を鳴らしたそのかが前方に視線を向ける。目に入る彼の机とパソコン。
 パソコンの中では自分が汚されていく動画が流れている。
「あ……」
 ぞくっと背中に悪寒が走る。
「あぁ。この前のよく撮れてたよ。今日のも楽しみだね」
 彼は恋人が汚されていくことに喜びを感じる性癖を持っている。初めは本当に嫌がっていたそのかも最近は多少慣れつつあった。
 いじめにあっていたそのかを救い出してくれた彼。そのかは人生を変えてくれた彼に日々身を尽くしている。
「久しぶりに今からいいかな?」
 彼の笑顔にそのかは微笑みを返して頷いた。
 彼は再び机に向かう。そのかは座った彼の足の間に入り口淫を始めた。
「んぁっ、はむっ、へろっ、れろっ」
 思いを込めて彼のモノを口で舌で愛撫していく。大好きな『彼』のモノ。先程の男達に感じた嫌悪感は一切ない。
 ただ、彼の目線はパソコンに向けられていた。彼の興味は現状の汚れたそのかよりも、モニター内の汚されていくそのかだ。
「ひゃむっ、んっ、ふぁっ、ちゅぷっ、んんっ」
 そのかは健気に彼のモノを受け入れ、精が放たれるのを待つ。
「今日のそのかもすごくいい顔してるね」
 先程撮ったばかりの映像を見た彼が、口淫に励むそのかの頭を撫でた。
「ふぁうっ、うれ、ひっ、んむっ」
 彼の言葉にそのかは微笑みを浮かべ、幸せが心臓をきゅっと掴む。
「そのかごめんすぐ出そう。激しくするから」
 彼がそのかの頭を押さえつけ激しく揺さぶる。
「やっ、まっ、んぐっ! ぐぇぇえっ!」
 そのかの口から苦痛の声と涎が漏れる。
「そのかっ、そのかっ!!」
 彼が名前を叫ぶと同時に大量の精液がそのかの喉に打ちつけられた。
「んぅぅうっ!!」
 大好きな彼の精液を受け止めながら、そのかは恍惚とした表情を浮かべた。
「ぅあ、ぁあ……ゆうと、くんの、せい、えきぃ……」
 喉を通過する精液の感触に、そのかは口元を緩め頬を赤く染めた。
「またそのかが汚されていくとこ見たいな」
 脱力したそのかの頬を撫でながら、彼は目下のそのかに微笑む。
「ぁあ……ふぁ、い……」
 とろけたそのかは彼の言葉にだらしなく涎を垂らしながら頷いたのだった。
おわり

125 :
Gj!
重たい話だけど、新鮮でよかった

126 :
女「私、あなた無しじゃ生きていけないの。依存してもいい?」
俺「いいぞん」

127 :
審議

128 :
完全に過疎ったな

129 :
>>128
ならageてみるか?

130 :
ぼくいぞっ、の人は何をしておられるのだろう

131 :
やっぱり長編書く人が来ないとダメだな

132 :
まだまだこれからよ

133 :
最近どのスレも過疎ってるな
規制されまくりなのか

134 :
規制の影響はあるだろうなあ
まあ気長に待つさ

135 :
夢の国見てきた
夢の道の続きを脳内妄想しすぎてモヤモヤする

136 :
夢の国いいよね
もしあんな長編SSが連載開始されたらこの俺が短編SSを書き始めるレベル

137 :
いや、短編SS書けるなら書いてくれよw
期待してる

138 :
みんな誰かが書いたらと思ってて誰か一人でも投下したら
続々と彼らが投下していく可能性が微レ存?

139 :
このスレ好きだから、なんか考えてみる

140 :
一つだけかけそうなネタあるしやってみようかなあ
すんげー遅筆だし飽き性だから期待はしないでね

141 :
完結さえしてくれたらいいよ

142 :
>>140
全然投下しねーじゃねーか、この書き込みいっちょまえが

143 :
あげ

144 :
スレ民はどこへ行ってしまったのだろうか

145 :
わりと真剣に夢の国の作者がまた長編書いてくれないかなぁと思うわけですよ!
某スレの作品書き終わったら戻ってきてくれないだろうか・・・

146 :
まぁ長編が来ないと書き込みは増えないだろうな

147 :
うーん…

148 :
投下します
注意
・姉弟近親物になる予定です。近親苦手な方は回避を。
・エロが女性上位のドM向け
・最初は姉の彼氏の話です
続き物なので長い目で見て頂けると有難いです

149 :
「湖々蕗(こころ) 石塚武の場合(1)」

俺に初めて彼女ができた
高校一年の俺より二つ学年上の逢沢 湖々蕗(あいざわ こころ)先輩だ
可憐な雰囲気があって
髪は腰まで長くふわふわの髪
俺より年上とは思えないほど背が低く
顔は童顔で、咲いたばかりの花のように可愛らしい
だというのに胸はデカい
おそらくEカップはある
そのギャップが先輩の魅力の一つでもあった
入学して早々、偶然廊下ですれ違った湖々蕗先輩に一目惚れした俺は高校デビューのつもりで湖々蕗先輩を屋上に呼び出し告白
湖々蕗先輩は頷いて即OKという、まるでラブコメ漫画のような付き合い方をした

彼女ができたのは初めてだったので(しかも年上の彼女ときた)俺は浮かれながらも緊張しまくっていた
「石塚君、今度の休日暇かな?」
そんなことだから情けないことに、最初のデートのお誘いは先輩からだった
先輩は幼い外見からは想像がつかないほど色々知っていたので、映画や買い物や遊園地や色んなデートスポット
に『俺が』連れて行ってもらっていた(何て駄目だな彼氏だと、あの時は穴に引きこもりたい気持ちだった)
そうして、もやもやしつつも楽しいデートを繰り返すうち、俺と先輩の距離はどんどん近付き
ある日の学校帰りの放課後、俺は先輩の家にお呼ばれされた
登校するのに数回電車に乗り継ぎしなければいけない俺にくらべて、先輩の家は学校から歩いて行ける距離だ
先輩の家はやはり美少女という名に相応しいほどの金持ちで、俺の家の何10倍もある大きな和風の屋敷だった
俺は屋敷のデカさに圧倒しつつ、とぼつかない足取りで先輩の部屋に案内された
先輩の部屋はぬいぐるみだらけの実に女の子らしい可愛い部屋だった
当然俺は女の子の部屋に入るなんて初めてだ
・・・しかも玄関に入った時気付いたけど、どう見ても家の人は先輩以外誰もいない感じだったよな?
初めてのデートの時のように緊張でギクシャクする俺を見ながらクスクスッと先輩は笑った
そして、先輩はふわふわのベットに腰かけると
「そんなに硬くならなくてもいいよ石塚君、私が教えてあげるから」
っと小悪魔的笑みで俺を手招いた

150 :
先輩と俺は互いに見向き合う形でベットに座る
そのまま先輩の方からキス
先輩の柔らかい舌が俺の舌に絡みついてくる
飲みきれないほど流し込まれる先輩の唾液
熱すぎるディープキスに俺の脳内は速攻にとろとろになり
俺はなすがまま先輩に押し倒された
先輩は俺の学ランとワイシャツのボタンを外し、首筋に何度もキスを落としてくる
ワイシャツの中に先輩の柔らかいすべすべした手が進入し、胸元をまさぐると乳首を指で摘ままれる
そうされるたびに俺は「あっ・・・」と思わず女の子のような声を上げてしまった
・・・こんな声を先輩の前で上げてしまうなんて恥ずかしすぎる、地獄だ
「いいよ石塚君、君の可愛い声もっと聴かせて頂戴」
先輩は俺の反応を楽しむように、ズボンのベルトは外し、ジッパーを下げる
そして俺の既にギンギンに勃起したペニスを取り出した
「石塚君の、もうこんなになってる」
「うっ・・・」
何か俺のペニスが先輩に見られてるというシュチュエーションだけで達しそうなんですけど
でも、それやったら俺の男としての人生絶対終わる
「ごめん、石塚君だけ恥ずかしい思いさせちゃった、私の裸もちゃんと見せないとね」
先輩は俺の感情を察したのか、自分の制服、白色のセーラー服に手を伸ばした
布擦れの音を立てながら先輩がセーラー服の上下を地落とした
女の子が服を脱ぐなんて真近で初めて見た・・・
当たり前のことだがエロ本やネットのアダルト動画よりずっと興奮する
先輩はレースの付いた純白の下着を上下身に着けていた
その下着も脱ぐと先輩の白い肢体が露わになり、押さえられていた白い乳房がポロリとこぼれた
思わず唾を伸びこむ俺
普段制服や私服に身を包んでいた先輩の胸は大きかったが、脱ぐとさらに大きくなって迫力が増す
両乳房の先端に並ぶ薄桃色の乳首も綺麗だ
お尻と太もももは胸に負けないくらい柔らかそうでむっちりしている
しかもまた、いつも着用している黒のニーソックスは履いたままなのがこれまたエロい(これはわざとなのだろうか?)
その時俺は重大なことに気が付いた、女の子とのHのときは『アレ』を用意しておくのが男としてのマナーだった!
「あのう、先輩、俺いきなりでその何も用意してきてないんですけど・・・」
「今日は大丈夫な日だからそのままでいいよ」
え、え、えええ、本当にいいのか!?
戸惑う俺を先輩は再度押し倒した
そして、そのまま俺の腰に跨りペニスを小さな割れ目に押し当てる
うわ、女の子の花園ってやつをモザイク無しで初めて見た
てかそんな小さい所に挿れるのかぁ!?
「あ、ちょ、先輩、駄目ですよ体小さいんだから無理しちゃ!」
「ふふふ、大丈夫」

151 :
ズブッ・・・ズズズ・・・ズ
「おわあッッッ!」
「あんっ・・・あっ」
信じられない、本当に全部挿っちまった
「大丈夫だったでしょ、えへへ、石塚君の童貞もらっちゃたよ」
「ううっ!」
そうだ今のが、俺の童貞喪失だった!
ニコニコ微笑んだ先輩が身をくねらせると俺のペニスに刺激が走る
ちょっと動いただけで暖かいぬるぬるがこんなに絡みついてくる
こ、これが女の子の膣内
「あ、はぁっ!うわっ!凄ッ!」
「ね、石塚君、抱っこして」
先輩が俺の首に腕を回して体を密着させてきた
先輩の大きな胸が俺の胸にむにむに当たる
すべすべで柔らかい・・・っておわっ、乳房の感触だけじゃない、先輩の乳首が俺の乳首とクリクリ擦れ合ってる
思わず大きく震える俺のペニス
ちょ・・・挿れたばっかりなのにイきそう・・・だ・・・
「うぐっ・・・ああっ!」
俺は先輩の背中に手を回すことしかできず必に射精に耐えた
先輩はまだまだ余裕なのに俺が先にイっちまうなんて格好悪すぎる!
「可愛い声だね、いいよ、石塚くん無理しないで射して」
「はぁっ、先輩、ちょ、首筋舐めないで・・・・」
「だーめ」
「ひあっ」
俺の我慢をよそに先輩は俺の首筋をれるれると何度も柔らかい舌を這わせた
背筋がピリピリくる感覚に俺は思わずまた女の子のような声を上げてしまった
「ほうら、石塚君の射精するところ早く見せて」
先輩が俺の耳元で暖かい息を吹きかけながら優しく囁く
腰をゆさゆさ動かして、そのたびに膣内の肉壁もさらに蠢いてペニスを搾り取るように締め付けてきた
思わず頭に血が上る、いや、頭の先から足の先まで熱い
え、エロすぎる!こんなの耐えられるわけがない!
「ああっ!すいません、先輩、射ます!うわあああああ!」
「んんっ、石塚くんの射てる」

152 :
どぷっ!どぷんどぷんっ、どぷっ・・・
玉袋の精液を先輩の膣内に射精する
くおお・・・凄い量が出てる・・・
オナニーの時とは桁違いだ
下半身が猛烈に痺れる
俺は先輩を腰に乗せたままぐったりとなった
・・・セックスって思ったより凄い疲れるんだ・・・
そんな俺を上気しうっとりとした表情で先輩が覗き込む
「はぁ、はぁ、どうだった石塚君?」
「・・・ううっ・・・気持ちよかったけど・・・すいません」
「クスクス、何で謝るの?変な子だな石塚君」
「だ、だって、先輩はその・・・1回もイってない様子ですし」
俺のその言葉を聞くと、一瞬先輩はきょとっとし、俺の胸に額を寄せながら吹き出し笑った
「そんなに可笑しいこと言いました俺?」
「じゃあ、次は頑張ってね」
そう言って先輩は俺に最初にしたキスよりも、もっと濃厚なキスをした
可愛い先輩との初Hだ
童貞喪失に感涙する俺
夢のような初体験だった
「ん?」
「どうしたの石塚君」
今なんか、戸の方で何か音しなかったか?
・・・・・・
何も無い、気のせいか
「いえ・・・何でも無い・・・です」
気のせいなのに、何だ
この嫌な感じは?
・・・あの時、俺は気付いておくべきだったろう、俺が先輩の家の玄関に入った時から・・・いやっ、きっと先輩と一緒に学校を出た
ときからずっと俺に向けられていた先輩以外の視線・・・あいつに見張られてたことを・・・

153 :
それから数日後
一線を越えた俺と先輩の仲は順調だ
次のセカンドHでは必ず俺が先輩をリードしてみせる!
そう決意した俺は今、先輩の家の居間のテーブルの前に正座で座っている
「ちょっと待っててお茶用意するから」
そう言って先輩はふわふわの髪を揺らしながら居間から出て縁側を通って台所の方へ向かっていった
・・・それにしても何度見ても先輩の家は広いよなあ
縁側の向こうにある庭園も凄えし
やっぱ先輩って俺みたいな庶民とは格違いのお嬢様なんだなあ
「んんんっ!?」
その時、俺は縁側の障子襖から覗く影に気づいた
その影は視線を外さずひたすら俺をじーっと見ている
「・・・・・・・・」
学ラン姿の小柄で折れそうなくらい細身な男だ
不健康なくらい肌が真っ白で昏い目をした幽霊みたいな男がこっちを見ている
ってこいつの学ラン俺と同じじゃん
はっ、そういえば以前先輩に聞いたことがある
先輩には弟がいるって
同じ学校に通っていて今年入学した一年だから俺と同級生だって
たしか名前は・・・
「何だったっけ?」
俺は首をかしげた
「・・・・・・・・・・・・」
そいつは無言で居間に入ってくると、どかっと座布団の上にあぐらをかいた
俺とそいつはテーブルを挟んで向かい合う形になる
「あ、どうも、先輩の弟さんですか?」
タメ年なのについ敬語をつかってしまったが、初対面だしここは敬語でいいよな?
「あ、どうも、俺、逢沢先輩と付き合ってる石塚武っていいます」
「・・・・・・・・・・・・」
「よろしく」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そいつは何も言葉を返さない
垂れた前髪から覗く昏い目でひたすら俺の顔をじろじろ見るだけだった
何だこいつ、気っっっ色悪いいいいいいいい!
てかこいつの周囲だけ凄くどんより湿気立ってじめじめしてそうだぞ
上級な畳に苔やらキノコやら生えん勢いだ
え、何、これが先輩の弟なの?
幽霊とか言われても俺に霊感なんて無いし
実は勝手に先輩の部屋に入ってきた不法侵入者とかじゃないよな?
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
何だよ、こいつの俺を見る目だんだん険しくなってきてないか
俺眼飛ばされてる?
おいおい俺がこいつに何したってんだよ
そう思うと、俺の腹の奥から形容しがたい感情がぞわぞわ湧き上がってきた
ゴンッ!!
気が付くと俺は立ち上がり、そいつの脳天に拳を叩き込んでいた
そいつは殴られた衝撃でベシャッと顔面をテーブルに叩きつけられる形になる

154 :
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ!」
俺、今何した?
ここ先輩の家だぞ
てかこいつ、ひょっとしたら先輩の弟かもしれないんだぞ
サーッ、と一気に俺の血が引く
きっと今の俺は顔面蒼白で青ざめているだろう
「・・・・・・・・・・・・・」
そいつはテーブルに叩きつけられた顔をゆっくり上げる
鼻から血を流していた・・・
そいつは黙って鼻血をぬぐうと、立ち上がり、居間からスタスタと出て行った
「・・・・何なんだ、分けわからん・・・・」
俺は口をポカンと開けながらあいつが出て行った後を見ているしかなかった
「どうしたの?」
あいつと入れ替わりにお盆にお茶と茶菓子を乗せた先輩が居間に入って来た
俺は、今自分がしてしまった後ろめたさにギクッと硬直する
「今、蒼穹(そら)が出て行ったけど」
「そ、そらぁ???」
「逢沢 蒼穹(あいざわ そら)、私の弟だよ」
・・・やっぱあいつ先輩の弟だったのかよ
信じられん、あんな気色悪い奴が先輩の弟だなんて・・・
「私前から石塚君のこと蒼穹に話してたから君とお話がしたかったのかな、何か言ってた?」
「いえいえいえ、特に何も!何も話してなければ、俺はあいつに何もしてません!」
前者は本当で後者は丸っきり嘘だ
でも言えない、先輩にあなたの弟を思いっきり殴って鼻血ブーさせちゃいましたなんて絶対言えない!
「あの子、人と話すのが苦手だからいつも勘違いされちゃうけど根はいい子なの、石塚君は蒼穹と同級生だし学校で会ったら仲良くしてあげてね」
「え?」
う、この流れ凄く嫌な予感がする
「よければ友達になってあげてくれると嬉しいな、きっといい友達になれるよ」
・・・きっとじゃなくて、絶対無理です先輩・・・
「あのー、先輩ちょっと洗面所借りていいですか?」

ジャーーーーーーッ!
広い洗面所に水道の水が噴き出す音が響く
「・・・思いっきり人の頭を殴るなんて小学生の頃の喧嘩以来だ」
そう呟きながら、あいつの頭を殴った右手をハンドソープで丹念に洗う
「何で俺あんな大人げないことしちまったんだ」
俺はキレる若者なキャラではないし
まだ落ち着きがあるほうだと自負している
少なくとも眼飛ばされたくらいで殴りかかるなんてマネは普段ならしない
目の前の鏡を見つめながらガックリ落ち込む
「もし、あいつがさっきのことを先輩に話したら・・・確実に俺は先輩に嫌われる!」
そう考えると急に不安が大量に押し寄せてきた
「あああ」と唸りながら頭を押さえる
俺の桃色な青春もここまでなのか〜〜〜〜

155 :
「大丈夫、誰にも言わないよ」
洗面所のドアの向こうから聞きなれない声がした
「!!!???」
背筋に氷柱でも入れられたような寒気が走る
俺は咄嗟に洗面所のドアを開け周囲を見回す
すると左側の通路の突き当りにサッと黒い影がよぎって消えるのが見えた
・・・あいつだ・・・
相変わらず気色悪い
言いたいことあるなら直接言えよ
「何なんだよ、一体・・・ん?」
俺の足元に小さな白い箱
何だこりゃ
俺はその小包を手に取ると箱の中身を空けた
その中には一枚の紙切れ
『親愛なる 中出し君へ
どんな時でも準備を怠る男は最低だ。
同じ失態は繰り返さないと思いながら、どうせ安い買い物しかできない君のことだ
すぐに破れてしまいそうなものを使うんだろう?
そんな安物を姉につかって欲しくないし、行為に支障があって姉に残念な気持ちになって欲しくもない。
だから前もって僕が一番いいのを買っておきました。
姉とのセカンドH上手くいくといいですね。
どうせ無駄に終わると思うけど。』

そして一緒に高級コンドームが入っていた

今の俺を逢沢蒼穹がまたあの昏い目で俺を遠くから眺めている気がした
俺は即座にもう一度洗面所に戻り、今度はさらに丹念に肌が赤く擦りあがるほど右手を無意識に洗っていた

続く

156 :
乱文失礼しました

157 :
続きが楽しみでしかたないね

158 :
ロリ依存とか需要ありますか

159 :
あります

160 :
あるけど誰も書きません
聞いただけで貴方も書かないでしょ?

161 :
万が一という事があるので需要あると言っておく

162 :
投下します
注意
>>149の続きです
・エロが女性上位のドM向け
なので苦手な方は回避を

163 :
「湖々蕗(こころ) 石塚武の場合(2)」

放課後の夕闇に包まれた学校
廊下からは下校する生徒の談笑が聞こえ、運動場からは部活に勤しむ生徒の声が聞こえる
「んんん〜、ちゅっ、ん・・・」
そんな中、俺と先輩はとある空き教室にいた
使われない机や椅子が乱雑に折り重なった空き教室は中は薄暗く、長い間掃除されてないため埃が漂っている
その教室で、俺と先輩は抱き合いながらお互いの唇を重ねていた
ここのところ、俺と先輩は頻繁にHしている
しかも、その多くが学校でだ
放課後の学校でHなんてエロ本やらAVでは定番のネタだが自分が体験することになるとは思わなかった
空き教室の一枚の戸と壁を隔てて普段生徒たちが行き来する廊下があると思うと凄く興奮する
時々、廊下の方から生徒達の笑い声やバタバタ走る音が聞こえるたびバレてしまうのではないかとヒヤヒヤする

「はむっ、んっ、んんっ」
空き教室に響くお互いの唾液が混じり合う音
先輩は小さい体を精一杯伸ばし、爪先立ちになりながら俺の首に腕を回し、全身を押し付ける形で俺の唇を吸い、舌を蠢かせ、歯筋を舐め上げる
俺の胸にむにむにと密着する先輩の大きな乳房、太ももも俺の股間に擦り付けてきた
あまりの気持ちよさに、頭の中は蕩け思わず膝を落としてしまいそうになる俺
油断すると一気に快感に押し流されそうだ、俺も負けじと先輩の舌に自分の舌を絡めようと伸ばす
たが絡めようとすると先輩の舌は意地悪をするように俺の舌から逃げてしまい、逆に素早い舌の動きで俺の口腔の敏感な部分を舐め上げてきた
「ぐぅっ・・・うううっ」
思わず呻き声を上げしまう俺
瞼を開くと、目の前には先輩の潤んだ瞳がある
先輩は「あまりに気持ちいいからって私の体を離しちゃ嫌だよ?」っと言うように瞳を細めた
俺は力を入れすぎると折れてしまいそうな先輩の細い体を必に抱きしめながら、片手で先輩の長い髪を撫でる
枝毛一本の無い、ふわふわの綺麗な髪
その髪からはシャンプーのいい香りがする
「ぷはっ・・・」
先輩が熱い息を吐きながら俺の唇を解放する
俺と先輩の唇の間からはつぅ〜っと唾液の細い糸が引く
俺はディープキスの余韻が抜けず口から唾液を流しながら呆っとしていた
ズボンの中のペニスは痛いくらい勃起し、テントを張っている
「んふふっ」
それを見た先輩は微笑みながら腰を下ろし、俺のズボンのベルトに手をかける
ベルトを外しジッパーを下げズボンを降ろすと、ビィンっと勢いよく俺のペニスが先輩の眼前に晒された
「石塚君のお●んちんは相変わらず正直者だね」
「うっ・・・」
先輩が悪戯っぽい視線で俺を見上げてくる
Hの回数も増え、先輩の前でペニスは何度も見せているのに、こうからかわれてしまうと恥ずかしくなってしまう
「じゃあ、石塚君のお●んちんもっと正直にしてあげる」
そう言って先輩はセーラー服の上着とスカートを脱ぎ捨てた
するとピンク色の上下の下着に包まれた先輩の白い肌が露わになる
今日の先輩の下着の色はピンクか・・
そう思いながらピンク色にブラジャーに包まれた先輩の大きな胸の谷間に釘付けになる俺
先輩の胸は何度見ても興奮する
いや、何回も見るたびに先輩の胸やお尻の虜にされてると言っていいのか・・・
先輩がブラジャーのホックを外すと白い乳房がたゆんっと上下に大きく揺れながら零れ落ちた
・・・何てエロいんだ・・・
唾を飲み込む俺、鼓動もドクンッドクンッと高まる
落ち着け、もう童貞じゃあるまいし、今からこんなんで最後までどうすんの俺
「さあ〜石塚君のお●んちん、オッパイで食べちゃうぞ〜」
「え?」
先輩が両手で乳房を持ち上げ俺のペニスに近づける
それってまさか・・・

164 :
ぷにゅんっ
「うわあっ!」
「ほら、食べちゃった」
俺のペニスは先輩の大きくて柔らかい乳房にむっちり挟まれてしまった
胸の谷間から覗く亀頭の先端を先輩が指で突きながら見上げてくる
これは男なら誰でも夢に見るプレイ「パイズリ」だ
「どう、気持ちいい石塚君?」
「うぁっ、は、はい、最高です、先輩ッ・・・」
先輩の胸は何て柔らかくて暖かいんだ・・・
俺の背筋を駆け上がる心地よい快感
「んー・・・」
気が付けば先輩が顎を引いて舌を出し、胸の谷間から覗く亀頭に向けて唾液をポトポト垂らしていた
先輩の生暖かい唾液に濡れた乳房と俺のペニス
「じゃ、私のオッパイで石塚君の精液たっぷり搾っちゃうね」
先輩が微笑みながら乳房をゆっくり上下に動かす
むにゅむにゅうっ・・・ぬちゃりっ・・・
「あああああああっ!!」
思わず俺の口から漏れる甲高い声
全身に電流が走り、汗が吹き出す
凄い、唾液に滑りながら擦れる乳房の柔肉の感触が溜まらなく気持ちいい!
ハッとし俺は慌てて口を両手で押さえ空き教室を見渡す
今のは確実に声が教室の外に漏れた
だが、その声に誰も気づいた様子は無いようだ
よかったと思わずホッとする俺
「こらこら石塚君、ちゃんと声出すの我慢しないとバレちゃうよ?」
「で、でも先輩ッ・・・これ凄ッ・・・気持ち・・・ひぐうっ!!」
口を押えながら俺は悲鳴を上げる
先輩が乳房の動きを激しくしたのだ
ぷるぷるぷるぷるんっっっっっ
むにゅむにゅむにゅんんんっっっっっ
上下左右に揺れる乳房の中で四方八方に揉み扱かれる俺のペニス
その刺激にペニスが限界までバキバキ勃起している
蠢く胸の谷間はだんだん熱を帯び、俺のペニスをドロドロに溶かしてしまいそうだ
勃起した乳首も腰にこりこり擦り付けてきて気持ちい
ペニスの鈴口がヒクヒクわななきながら先走り液を垂らす
「んううううううっっっ!んんん〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
俺は目をぎゅっと閉じ、歯を食いしばりながら声を上げるのを、ペニスから射精を吹き出すのを必に耐えた
玉袋がパンパンに膨らんで、膝がガクガク震えるのが止まらない、このまま腰が砕けそうだ
「ふふっ、必な石塚君の顔っていつ見ても可愛い〜」
俺の耳に楽しそうな先輩の声が届く
「でも、このままにしておくのも可愛そうだから、イかせちゃう」
れろっ
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
先輩が胸の谷間から覗く亀頭に唇を寄せ、鈴口を柔らかい舌で舐め上げたのだ
強烈な刺激に俺は思わず目を見開いた、声にならない声を上げた


165 :
どぴゅどぴゅどぴゅんっ!!
どくどくどくどくどくんっ!!
「あんっ!石塚君の一杯出てるっ!!」
俺のペニスから溢れ出た大量の精液
跳ね上がる精液が先輩の胸を、顔を、髪を真っ白に汚してゆく
あぁ、これは後でぬぐうのが大変だな・・・っとふいに思う
あまりの刺激に震えっぱなしになっていた膝は完全に力が抜け
ガクンッと床に腰を下ろす形となった
・・・何てこった先輩のパイズリに1分位しかもたなかった・・・・
射精の余韻が抜けない俺は荒い息を吐き、ぼやけた視界で先輩を見る
「んんっ、んちゅっ・・・石塚君の精液おいしい・・・」
先輩は頬や胸にべっとりと貼りついた精液を指ですくい上げると嬉しそうに口に運び舐めとっていた
「そ、そんなの舐めたら汚いですよ」
「石塚君のだもん、全然汚くないよ」
どこまで先輩は男子高校生の夢のような存在なの!?
・・・先輩って一見清純そうで何も知らなそうな女の子に見えるけど・・・凄くエロいよなあ
こんな先輩を知っているのは俺だけなんだろうなっと思うと嬉しくて仕方ない
しかし先輩との睦まじい日々を送りながらも俺の胸中には一つの不安が拭い去れなかった
また、あいつが何処かで覗いてるんじゃないだろうな・・・?
教室の隅にある戸の方を何度み見やる、うん、ちゃんと隙間もなく締まってるし嫌な気配も感じない
むぎゅっ
俺の頬を先輩が抓った
先輩の頬がぷうっと膨れている・・・怒った顔も可愛いな先輩
「石塚く〜〜〜ん、私とHな事してる時に何か別なこと考えてる〜」
「イテテ、何も考えてませんよ」
余計な心配だ
考えすぎなんだよ俺は
「ねえ、石塚君」
先輩が俺の耳に唇を寄せながら首に腕を回し、俺の膝の上に乗る形で擦り寄ってきた
「次はこっちでも君のお●んちん食べさせて・・・」
「あっ・・・」
ペニスに伝わる濡れた柔らかい肉の感触
先輩は俺のペニスを尻の下に引きながら割れ目にくちゅくちゅと擦り付ける
射精したばかりで敏感になったペニスはそれだけでムクムクと勃ち上がる

ずぶっ、ずぶっ、ずぶっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ
「ふあっ、ふうっ、はぁっ、んっ、ああっ」
先輩が俺に騎乗位で跨り激しく腰を振る
先輩は「騎乗位」がお気に入りのようでHする時はほとんどがこの体位だ
上下に体を動かすたびに、結合部の粘液が飛沫し、白い乳房がぶるんぶるんと大きく揺れ、ふわふわの髪がばさぁっと広りながら乱れる
窓から流れる夕日の光に照らされた白い肌を流れる汗もキラキラ光って綺麗だ
何時まで経っても終始主導権握られっぱなしなのは男として情けないことだが、騎乗位で乱れる先輩は本当にエロくて可愛くて
つい俺は腰を振るのを忘れて先輩に見とれてしまう
「石塚君、もっとぉ、もっと膣内掻き回してッ!」
「はぁっ、はぁっ、先輩ッ!」
っとずっと見とれてしまうわけにもいかず、俺は跨った先輩の体を持ち上ながら何度も腰を突き上げた
ふいに、頬を紅潮さながら瞳を潤ませていた先輩の顔が妖艶に微笑んだ
あ、このパターンはひょっとして・・・
「ふふふ、そろそろこっちも気持ちよくしてあげるね」
「あ、ちょ、先輩そこはッ!」
先輩の手が背後に回り、俺の玉袋を手の平で撫でる、そして指は蟻の門渡りを渡ってにアナルを撫でる
恥ずかしさに一気に頭に血が上り、新たなる快感に俺の全身が震える
ちょ、駄目だ、そこ責められたら声が思いっきり出ちまうっ!

166 :
「そう、石塚君が一番気持ちよくなってくれるト・コ・ロ「前立腺」だよ」
俺の制止の声も聞かずに、先輩はそのまま人差し指をアナルにぬぷんっと突き入れた
「ひああああああああああああああああっ!!!」
俺は悲鳴を上げながら背を弓なりに反り返し全身を痙攣させる
先輩とHを繰り返すうちに、すっかりここも感じやすくされてしまった
最初ここを責められた時は凄く驚いたし、正直とても嫌だった
だというのに、先輩に指を奥まで突き入れられた瞬間全身を駆け巡る「前立腺責め」という未知の快感に
俺は即女の子のような悲鳴を上げながらよがり狂ってしまったのだ
・・・今、俺は先輩に女の子のように貫かれながら、情けないよがり声を上げている・・・
その否定できない真実に俺はあまりの恥ずかしさに憤してしまいそうになる
先輩はそんな俺をうっとり見下ろしながら、膣内でわななく限界まで怒張したしたペニスの感触を楽しんでいる
「あんっ、私の膣内の石塚君のお●んちん凄くびくびくして喜んでる・・・本当お尻弄られるの好きなんだね」
そのまま先輩は跨った腰を円を描くようにうねらせながら、アナルに挿入した指をぬぷぬぷ出し入れを繰り返す
「ひぐッ、ああああああああああああッッッ!!!」
びゅーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
俺は先輩の膣内で止まらない射精を繰り返す
あまりの快感に頭が真っ白になり、目からは何筋もの涙が流れ落ちた
どれだけ甲高い悲鳴を上げたかわからない
もう今この場が、学校の空き教室だと気を使う意識さえ今の俺にはもうなかった

いつもの事だが、全ての精力を使い果たしバテた俺は机の上に座り込んでぐったりしていた
先輩とのHになると先輩の底知れぬエロさに俺は体力がついていけず最後はこのように、くたびれてしまうのだ
「石塚君、大丈夫?」
「だ、大丈夫です、ハハ・・・ちょっと張り切りすぎました」
先輩が俺の額の汗を可愛い柄のハンカチで拭きながら顔を覗き込んできた
「今日の学校でのHはいつもよりドキドキしたね石塚君」
「いやドキドキどころか毎回心臓止まるんじゃないかと思ってます」
先ほどまで生徒の話し声や足音が響いていた廊下もシーン・・・っとなっていて今じゃまったくの無人だ
・・・助かった・・・とっくに廊下に響き渡っていたであろう俺の悲鳴は、ここにいる先輩にしか耳に届かなかったらしい
空き教室からの突然の悲鳴に不審に思った生徒か教師が教室の戸をガラリッなんてことは考えたくもない
「次するときは裏庭でね」
「えっ!?」
そればかりはさすがに見つかっちゃいますってっと慌てた俺の口を先輩の人差し指は塞いだ
先輩は俺を悪戯っぽい笑みで見上げ
「絶対にだよ、してくれないともうデートしてあげないんだから」
・・・そんな可愛いこと言われるとさすがに逆らえない、あーマジで可愛いなあ先輩
「喉かわいた?ちょっと飲み物買ってくるよ」
「いいですよ、そんな気を遣わなくても」
「まあまあ君はそこで休んでなさい」
そう言うと先輩は教室を出てタタタッと小走りに廊下を駆けて行った
・・・先輩は元気だなあ・・・あの小さな体の何処にあれだけのスタミナがあるんだろう・・・
俺は「ふうっ」と一息をついた
コツンッ
ん?何だ今窓に小石が当たる音がしたような・・・
ふと夕焼けの光が差し込む窓に目をやる
そして俺は驚愕した

167 :
いたのだ、向かい側の校舎の窓にあいつが
逢沢蒼穹があの昏い目でじーーーっとこちらを見ている
全然余計な心配じゃなかった

ブルルルルッ!

「うわぁっ!」
突然の音に俺は机から落ち床に転げ落ちる
床に置いておいた鞄の中の携帯電話がバイブ音を鳴らしているのだ
俺は慌てて鞄の中の携帯電話を取り出す
メールが一通きている・・・
窓を振り返り、向かいの校舎にいるあいつを見る
あいつは携帯電話を手に持っていた
俺は不気味さを感じながらも携帯電話のメールを開いた
『親愛なる 中出し君へ
学校でセックスする時は誰か来ないかより、窓から見えないかを注意した方がいい。
こっちからずっと丸見えだったよ。
君が姉さんに思いっきり中出しする所もちゃんと見えた。
相変わらず君は中出しが好きだな、だから僕は君を中出し君と呼ぶのさ。』
・・・余計なお世話だ
しかも勝手に『中出し君』とか変なあだ名付けんな!

『それにしても君はスタミナがないうえ早漏だな。
現役高校生なら1時間以上持ちこたえて連続で5発くらいやってみたらどうなんだい?
逆に彼女に気遣われるなんて、正直僕だったら情けなさすぎて犬のうんこに顔突っ込んでんでるね』
やかましいわ!早漏言うな!
てか何でこいつ俺の携帯のアドレス知ってんだよ
『突然の僕のメール驚いているんだろう?何、ちょっと隙を見て姉さんの携帯電話を覗かせてもらったのさ。
君の姉さんに宛てた顔文字だらけのメールは実に君らしかったよ。頭が悪そうで吐き気がする。』
吐き気がするのはこっちだよ!
この覗き魔野郎!

『それは一先ずおいといてだ、姉さんのことだから次は裏庭でセックスしようとか言ったんだろ。
それならいい場所を知ってる。見つかりそうで見つからない安全かつ最高に興奮できる野外プレイに最適な場所さ。今度教えるよ。』
・・・!?
『あとコンドームは燃えるゴミじゃなくて燃えないゴミに捨てろよ。』

168 :
思わず俺は携帯の画面を閉じた
俺の脳裏で1週間前の記憶が蘇る
俺とあいつがが初めて会ったあの日だ
あの後、猛烈に気分が悪くなった俺は先輩の家から逃げるように帰宅し
結局先輩とのセカンドHはお流れに・・・
あいつが俺に押し付けた高級コンドームの入った小包は駅のゴミ箱に捨てた
『燃えるゴミ』と表示されたゴミ箱に
窓の向こうにいるあいつは、もうとっくに姿を消していた
気色悪ぃ気色悪ぃ!!
あまりに気色悪さに、心臓は早鐘を打ち、胃が不快感に煮えたぎり、頭は血が上って血管が切れだしそうだ
あいつのメールを受信していた俺の携帯から、あいつの気色悪い黒いオーラがじわじわ漂ってくる
この携帯は最近買い替えたばかりのピカピカの新機種だというのに、あいつのメールを一通受信したというだけで蠅が飛び回る臭い肥溜めに落としてしまった気分だ
俺は今すぐ携帯を粉々に踏み潰して、あいつのメールごと携帯を処分したい衝動に駆られそうになったが必に抑え
頬に脂汗をダラダラ流しながら震える手であいつからのメールを削除した
それでも、不快感はずっと消えなかった

169 :
乱文失礼しました
また続きます

170 :
何気なしにスレを見たら投下されてたでござる
GJ!

171 :
投下きてた
GJ!

172 :
アレやな
依存娘に手錠されたいな

173 :
投下します
>>163の続きです

174 :
「湖々蕗(こころ) 石塚武の場合(3)」

その後ミネラルウォーターを片手に持った先輩が笑顔で戻ってきたが、俺はとても表情を笑顔で返すことができなかった
明らかに顔色が悪くなった俺を先輩は何度も心配してくれた
そして先輩とは校門の前で別れ、そのまま俺はとぼつかない足取りで電車に揺られながら自宅へ帰った

「・・・ただいま」
消え入りそうな声を出しながらドアを開けリビングのソファーに雪崩れ込むように倒れこむ
すると一足先に学校から帰宅しリビングでテレビを見ていた二人の妹、優菜と莉菜がギョッとした目で俺を見た
ショートカットの中学生が優菜でツインテールの小学生が莉菜だ
「うわあ何お兄ちゃんキモい顔〜」
「本当、ゾンビが入って来たのかと思った、悪霊退散〜」
「うっせえ」
人の気も知らずに相変わらず生意気な妹どもだ
しかも「おかえり」の一言も無しかよ
「ひょっとして湖々蕗さんに嫌われた〜?」
「・・・・・・・」
「だよね〜、お兄ちゃんみたいなデリカシーの無い男じゃ、湖々蕗お姉ちゃんにいつ振られたっておかしくないし」
「・・・てめえら・・・」
俺は揺らと顔を上げる
「大体兄ちゃんと湖々蕗さんじゃあ釣り合わなすぎるよ」
「湖々蕗お姉ちゃん凄く美人で優しいもんね、サル顔で意地悪なお兄ちゃんとは大違い」
「いい加減にしろーーーーーーーっ!!」
「きゃーーーーーっ!」
俺は両手を振り回しながらリビング中を笑顔で逃げ惑う妹達を追いかけ回す
そして妹達を捕まえると髪をぐしゃぐしゃに掻き回したりプロレス技をかけたりした

ちなみに、妹二人と先輩は既に顔を合わせている
この前の日曜日、先輩は俺の家に遊びに来た
先輩の家の豪邸を見せられた後、至って普通の一軒家に先輩を入れるのは凄く気が引けたが・・・
しかし両親は急な仕事で夜まで帰ってこない、優菜は部活、莉菜は友達の家に遊びに行った
・・・ということだから誰にも邪魔されず今日は一日中先輩とラブい時間を!
っと思ったら、優菜は部活が早く終わり、莉菜は友達が出かけていて家にいなかったということで空気の読めない
妹共が帰ってきやがった
先輩と妹達が初対面した時、人見知りの激しい妹達は「ぎょっ」っとして固まっていた
(後で聞いたら『ウチの馬鹿兄の彼女がこんな美人さんなわけが無い』という意味で固まっていたらしい)
俺が「おい、ちゃんと挨拶しろ」っと小声で肘で小突いても妹達は固まったままだ
駄目だこりゃ・・・っと俺はガックリ肩を落としたが、先輩はキラキラ瞳を輝かせながら妹達を抱きしめた
「可愛い!石塚君の妹さんとっても可愛い〜!」
妹達を胸の中に抱き締めながら頬擦りする先輩
先輩の大きな胸に挟まれながら妹達はきょとんっとしていたが、二人とも笑顔になりクスクス笑いだす
俺はその光景を眺めながら・・・ウチの愚妹共は全然可愛くありませんよ、先輩・・・っと一人突っ込みを入れていた

175 :
その後、先輩の持ってきた手作りのパンケーキを妹達はハムスターのように頬を膨らましながら「美味い美味い」と
ガツガツ食っていた
妹達の品の無い食い方に俺は頭を抱えたが、先輩は嬉しそうに妹達の食いっぷりを眺めていた
「湖々蕗さん、私の部屋においでよ、沢山お話しよう〜」
「駄目、湖々蕗お姉ちゃんは莉菜のお部屋に来るんだよ!」
先輩を気に入った妹達は先輩にベタベタ抱き着きながらはしゃいでいた
両側から抱き着く二人の頭を先輩は「よしよしっ」と撫でる
先輩の胸に頬擦りしながら妹達はリラックスした猫のような表情をしていた
「ふあ〜、湖々蕗お姉ちゃんのオッパイふかふか〜」
「本当、何食べたらこんなに大きくなるの〜?湖々蕗さん、教えてよ〜」
・・・予定では、俺が一日中揉みまくるはずだった先輩の胸を、どういうことかウチの馬鹿妹ズが独占している
できることなら「そこを退け、先輩の胸は俺のだ!」っと先輩の胸から忌まわしい妹共を引きはがし今すぐ庭に放り投げ締め出してやりたい
「湖々蕗お姉ちゃん、一緒にゲームしようよ!」
「いいけど・・・私、TVゲームは全然やったこと無いからお手柔らかにね」
「大丈夫ですよ、自分達がしっかり湖々蕗さんにご指導致しますから!」
そう言って、先輩と妹達はリビングでTVゲームを始め、キャッキャッと楽しそうに盛り上がっていた
少女達の仲睦まじい光景の隅で俺は一人寂しくパンケーキを頬張っている・・・
先輩は、格闘ゲーム、パズルゲーム、シューティングゲーム、レースゲームと次々妹達と対戦しては負けていた
「また負けちゃった、莉菜ちゃん強いね」
「あはは〜、湖々蕗お姉ちゃん下手だな〜」
「コラ、莉菜、失礼だぞ〜」
初心者相手に連勝して天狗になった莉菜の頭を先輩は優しく撫でる
「でも私クレーンゲームなら凄く得意なんだよ、ね、石塚君」
「えっ、あぁ、ハイ、この前ゲーセン言った時、先輩たくさん取ってましたね」
俺はいきなり話題を振られてちょっと焦る
でも、先輩がクレーンゲームの達人なのは本当の事だ
俺も最初は驚いた、先輩にあんな特技があったとは
「へー、そうなの、莉菜あれ一個も取れないよ〜」
「私もクレーンゲームは何回やっても取れたことありません」
「コツがあるんだよ、今度一緒にクレーンゲームしに行こう、莉菜ちゃん優菜ちゃんと私、三人でね!」
ちょっ・・・!先輩、今何て・・・!
こいつらの御守なんかしたら精神擦り切れますよ確実に!
慌てふためくとする俺に反して、突然の先輩のお誘いに妹達の顔がぱぁぁっと明るくなる
「本当!湖々蕗お姉ちゃん、約束だからね!」
「うひょー、湖々蕗さんとデートの約束しちゃったよー!どーしよー、どんな服着てこうかな〜?」
優菜が二ヤけた顔をしながらチラチラ俺を見る
コイツ、絶対俺に喧嘩売ってやがる!!!
・・・その日、結局俺は妹達に先輩は取られることになったのだった・・・


176 :
「ハァ・・・ハァ・・・更に疲れた・・・」
妹共をボコり終え、重い足取りで二階の階段を上り自室に入りこむと速攻ベットに寝転がった
・・・眠い・・・このまま眠ってしまおう・・・
ブルルルッ

鞄の中にある携帯のバイブ音に俺はビクッと肩を震わせる
息を飲みながら携帯を開く
あいつからのメールだったらもちろん見ないで速攻削除するつもりだ
メールの差出人は・・・
先輩からだった
俺はホッとしながらメールを開く
『体は大丈夫?風邪とかひいてないか心配です。』
・・・先輩・・・
俺は思わず目頭が熱くなる・・・
先輩は優しい、あの糞餓鬼の妹達とは大違いだ
俺は『全然大丈夫です(^▽^)心配ご無用ですよd(⌒o⌒)b』
と返信した
すると数秒立って、バイブ音が携帯を鳴らす
先輩だ!
俺は目を輝かせながらメールを開く
『親愛なる 中出し君へ
僕が君にプレゼントを贈ったことを周囲に鈍感な君でもそろそろ気付いているはず。
ちなみにプレゼントの中身はまた『燃えないモノ』だよ、今度は捨てないでおくれよ。
たとて捨てられても僕は君がプレゼントを受け取ってくれるまで何度も同じものを送り続けるつもりだけど。』
俺はブッと吹き出し、携帯の画面を唾で濡らしてしまう
思いっきり油断してしまった・・・
浮かれた俺は差出人を確認せずメールを開いてしまったのだ
・・・てか今こいつ・・・プレゼントって・・・
プ レ ゼ ン ト
ゾゾゾッと寒気が背筋を走る
俺は無言で返信メール欄を開いていた
無視しようと思ったが、ここで無視してもあいつはまた同じメールを何回も送ってくるだろう
絶対そうだ
1文字づつ鍵盤を打つ指が震えてとても重い、今俺はあいつと接触してるんだという不快感が圧し掛かる
・・・日常では誰しも当たり前のメールを打つ行為がこんなに辛いなんて・・・
凄く凄く凄く嫌だったがここは耐えて、あいつに返信メールを送った
返事は一言
『プレゼントって何だよ?』
あいつの返信メールはすぐ届いた
『それは見てのお楽しみさ。とりあえず探してみたらどうだい?
たとえば鞄の中とか・・・』
鞄!?
俺は慌てて鞄を開け、中の放置していたプリントやノートをガサガサと放り出す
すると、奥の方に見知らぬ封筒があった
・・・いつの間にこんなものが・・・
震えた手で封筒を取り出す
封筒には可愛らしいピンク色のリボンが付いていた
・・・まるで親愛なる友人へ贈る、心こめたプレゼントを美しく飾るように・・・
「ふざけんな!」
俺は乱暴にリボンをはがし、封筒も引き裂きながら破くっ!
中身は何だ?しっかり見てやるよ!
不幸の手紙か?それとも呪いの藁人形かっっっ!!??
「・・・これは・・・」

177 :
中身は透明のケースに入った一枚のDVD-Rだった
俺は慌てて机の上のPCを起動させ、ドライブにDVD-Rをセットする
DVD-Rの中身には一つの動画ファイルが入っており、ファイル名は『love memory』だった
「・・・ラブ・・・メモリーだとぉ・・・」
ドクンッと心臓の鼓動が大きく響く
凄く、凄く、凄く、嫌な予感がする
もし予感が的中していたら洒落にならねーぞ
いや、まずは動画の中身を見る方が先決だ
そう思い、俺はカタカタと震えた手でマウスを動かしクリックする
そして『love memory』のファイルが開かれる
『げ、下駄箱に入れた手紙読んでくれたんすかっ!うわー、ぶっちゃけ本当に来てくれるとは思ってなかったんで驚いてます』
『初対面の奴にいきなり屋上なんかに呼び出されて・・・凄く引いてますよね、アハハ・・・、』
『・・・あのー・・・』
『逢沢湖々蕗先輩!!俺と付き合ってくれませんかッ!!!』
ガタンッ!!!
俺は椅子から転がり落ちていた
・・・今の動画に映ってたの・・・俺か???
もう一度PCのモニターに向き直り動画の映像を確認する
画面に映っている、風景は学校の屋上・・・
そこに向かい合って立っている男子生徒と女性生徒
画面がズームされ男子生徒のアップになる
見てるこっちが情けなくなるほどへタれた顔で告白をしているのはまさしく・・・俺だ
画面が移動し、次は女子生徒のアップになる
そして、次に俺の告白に対して春風に髪を靡かせながら笑顔で頷いている可憐な少女・・・は先輩
映像の中の俺はまさかの「OK」の返事に『おっしゃあ〜』っとガッツポーズで飛び跳ねている
「・・・何だよこれ・・・」
この光景に何をどう反応すればいいのかわからない・・・思考整理がつかない、完全に混乱していた
場面が変わり、噴水の前で立っている私服姿の先輩がモニターに映った
映像の中の先輩は何度も心配そうに腕時計を見直している、そして向こうから
『すいませ〜〜〜ん、遅れました〜〜〜』っと間抜けな声を上げて走ってくる俺
そうだ、俺は初デートの日、寝坊して遅刻するというベタベタで男ならばやってはいけないこをやってしまったんだ
「そんな苦い思い出を今更思い出せるなッ!」
俺はPCの前で頭を抱えて突っ伏す
動画は続き俺と先輩はデートをしていた
手を繋ぎながら歩く俺と先輩の後姿、場面は変わり公園のベンチでソフトクリームを食べている俺と先輩、「石塚君、付いてる」っと
俺の頬に付いたソフトクリームをハンカチでぬぐう先輩、画面が一回途切れ、次のシーンで、俺と先輩はゲームセンターのクレーンゲームで遊んでいる
ぬいぐるみが大好きな先輩は予想以上に熱中していて、ぬいぐるみをGETするたび子供のように大喜びし俺の腕に抱き着いた
結局俺はどのぬいぐるみも取れず全敗したのに対し、先輩は欲しいぬいぐるみを全てGETし両手に大量のぬいぐるみを抱えていた
次の場面では、今話題の恋愛映画を見に映画館の中に入る俺と先輩、画面は暗転し、次に映画館から出てくる俺と先輩の映像
映画に感動してハンカチで涙をぬぐっている先輩に対し、何か良くわからん内容だったなっという顔で首をかしげている俺
俺と先輩のデートの動画は続いた、遊園地で先輩は『石塚君、今度はあれに乗りたいっ』と俺の手を引きながらジェットコースターの前まで
連れてくる、俺は『いや、俺こういうの苦手で・・・』と顔を青ざめ何度も首を振っている・・・画面はまた暗転し、ジェットコースターを乗り終え
満足そうな笑顔を浮かべた先輩に手を引かれてながらフラフラと真っ白になりながら歩く俺・・・
その後は先輩と俺は幾つものアトラクションを楽しんでいる映像が何度も続く
そして遊園地からの帰り道、夕日をバックに俺と先輩は互いの手を握り合い見つめ合うと・・・そのままキスをした
これが先輩と俺が付き合って初めてのキスだった
「・・・・・・・・・・」
言葉が出ない代わりに俺は生唾をゴクリッと呑み込んだ
動画の映像が続くたびに心臓の鼓動が激しくなる
・・・俺の先輩への告白からデートまで全て監視されている・・・
知りたくもなかった真実に俺は眩暈を起こし、また椅子から落ちかける
そして、次の場面で俺は眼球を見開き驚愕した

178 :
画面に映った映像は、ぬいぐるみが沢山並んだ可愛らしい部屋・・・
その部屋に制服姿の男女二人が映っている
『そんなに硬くならなくてもいいよ石塚君、私が教えてあげるから』
オイオイ、冗談よせよ
『いいよ石塚君、君の可愛い声もっと聴かせて頂戴』
コレばっかは洒落にならねーって
『石塚君の、もうこんなになってる』
やめろやめろやめろマジ本当にやめてください頼むから
『大丈夫だったでしょ、えへへ、石塚君の童貞もらっちゃたよ』
映像に映ったこの部屋を俺はしっかり覚えている
これは先輩の部屋だ
俺はこの部屋で初めて先輩と結ばれたんだ
あの時の、コンドームすら前もって準備できない駄目俺でも優しくリードしてくれた先輩を俺は鮮明に覚えている
まさに中学生の頃から夢に思い描いたような童貞喪失の瞬間だった
いい思い出だったんだよ、本当に・・・
『じゃあ、次は頑張ってね』
「やめろっつってんだろうがっっっ!!!!!!」
俺は無意識に壁に拳を叩きつけていた
ドンッ!っと物騒な物音が部屋に響き渡る
熱が籠った全身の毛穴から汗が吹き出し、学ランの下のワイシャツが汗でぐっしょり濡れている
心臓が先ほどから早鐘を打ちっぱなしで止まらない、さっきからずっと息も荒い
「あの野郎ぉ、覗くだけに飽き足らず盗撮までしていやがったのかよッ、外見通りの歪んだ性癖持だぜ!」
・・・俺は今、純粋に怒っていた・・・
逢沢蒼穹と初めて会ったあの時、頭じゃなく顔面を殴るべきだったっとまで思っているほどだ
洗面所でドア越しに話しかけられた時も、あいつを追いかけるべきだった
追いかけて羽交い絞めにして捕まえ、背負い投げで床に叩き付け、倒れ込んだ所を鳩尾に何発も蹴りを入れ、動けなくなった後も容赦せず
マウントポジションで逢沢蒼穹の顔面が潰れるくらい強く拳を叩き込むべきだったんだ
接触するのが気色悪いとかどうとかで一歩身を引いてた場合じゃなかった
「どういうつもりで、こんなふざけたことしやがったのかキッチリ吐かせてやるッ!」
俺は片手に持っていた携帯電話を取り出すと、逢沢蒼穹に向けてのメールを打ち始めた
『ふぁっ、うぅっ、あぁっ、気持ちいいよぉッ!』
突然耳に飛び込んだ先輩の甲高い喘き声に思わず俺はハッとする
映像の中の先輩は正常位で俺のペニスに貫かれながら打ち震えている
初Hの動画は俺があっという間に射精したため終了し、次の2回目のHの動画にさっさと切り替わっていた
・・・まだ、続くのか!?一体何回目のHまで撮ってるんだよコレ!!!
「ふざけやがって!ふざけやがって!ふざけやがってぇぇぇ!」
怒りに顔を歪ませメールを打つ俺に反して、PCモニターの中の先輩は愉悦の表情で俺のペニスを何度も受け入れながら甘い声を上げ続けていた

続く

179 :
乱文失礼しました

180 :
投下乙!

181 :
なんか、クッキングパパの新刊に依存娘が出てた
惜しむらくは、設定としては美人なはずなのに絵柄のせいで萌えないことだが

182 :
また新作来てる!!乙!

183 :
保守
依存娘と心中して、天国でお互いが一番綺麗で若い姿のままずっとイチャイチャべったりとくっついていたい

184 :
心中した奴が天国に行けるかという問題点が

185 :
心中したら双子に生まれ変わるんだっけ?

186 :
そうだよ

187 :
書き手いねぇ…

188 :
依存娘が出てくるオススメの作品とかない?

189 :
こりゃダメだな
完全に終りだ

190 :
こっちからアイディアだしたら書いてくれる人が現れるかもな

191 :
依存のようなそうでないような
なおかつシリアスさのないのならあるけどなぁ

192 :
依存って保管庫見る限りもう出し尽くした感があるから、難しいよな
頭から次々アイディア飛び出したら良いのに

193 :
ざっと書いたやつだけど支援になるかもしれないから投下しておきますね

194 :
薬止めますか?それとも人間辞めますか?
かなり昔に使われたというフレーズをふと思い出す。
まだ麻薬の副作用と中毒性がコントロールできなかった時代、人体への害をほぼ0にしたデザインドラッグが現れる前の話だ。
今となっては一部の人に必要不可欠な一日一錠の錠剤。
人体への負荷はほぼ無く、禁断症状のような副作用もなく、肉体的にも神経的にも依存性はないという奇跡の品。
これで現代社会における深刻なストレスから救われた人がどれほどいるのだろうか。
人工的な薬品、しかも快楽を得るためのものなど、と忌避する人は今も昔もいる。いるが、最早少数派だ。
それ程この薬の効果は絶大だった。
流石に服用できるのは建前上成人してからだが、幸福薬と単純な名前を持つこれは文句なしの逸品に違いない。
一日の最後、寝る前に飲んでベッドに入れば寝苦しい思い等せずにすぐに眠りに落ち、悪夢を見る事もない。
爽やかな目覚めときれいさっぱり無くなるストレス、これを完璧と言わずどうしろというのだろうか。
起きている時でも効果はある。ただし発生する微弱な快感と幸福感や気の緩みから仕事中や運転中は危険とされる。
つまるところ、AD2000年からかなり時を経たこの時代における万国共通の風邪薬のようなものだ。
とりあえずちょっとストレスを感じたら飲んでおこう。そういったノリで、今ではコンビニにも置いてあり誰も彼もが飲んでいる。
少なくともその筈だった。
まぁ、SF的には昔から存在するガシェットが現実になっただけであり、人類史から言えばこれもひとつの技術革新の一つなのだろう。
では目前で苦しんでいる少女は一体なんなのか。
理屈としては単純で、科学ってのは万能じゃないってだけだ。アレルギー、とはちょっと違う。
単純な個体差。あるいは誰でも成りうる精神病。
どういう訳か彼女は幸福薬に対して依存症を発しているという、それだけのことだ。
「全く、医学部学生だからって娘を放り投げるのもどうかしてるよねぇ」
ここにはいない、彼女の親へは間違っても直接言えない愚痴だった。
信頼してもらっていると言えば聞こえはいいが、彼ら自身にとっても後暗いのだろう。
高校3年生、受験生ともなればストレスも凄まじいものがある。俺自身経験したものだ。
ありゃあ幸福薬に頼っても仕方ないし、それで勉強がスムーズになるなら選択肢の一つとして成立するだろう。
ただ彼女自身の体質としてか、どういう訳かこの薬への依存症状が発生し、ご近所かつ昔からの知り合いの俺に相談されたと、そういう訳だ。
娘がお薬にハマって依存症です、なんてご近所に知られたら大変だしなぁ。
病院なんてお年寄り達の寄り合い所で、末端の医療関係者も口が軽いし、ゴシップは伝播するものだし。
「先生、お薬、お薬をください」
胸元を抑え、苦しそうに彼女が告げる。
歳が近いとはいえ性欲盛んな成人男性の部屋に入ってきても薬しか頭にないのは確かに哀れだろう。
本当、悪い虫がつかないか心配である。
別にこっちとしても悪い話ではなかった。医学部という多忙さ故にバイトの時間もあまり取れないし、ウチはそこまで裕福という訳でもない。
短時間で、俺としても患者を診るという経験になり、かつそれなりにお金も入る。
まぁ、裕福な彼女の家としては世間に出せなくなりつつある娘を使って将来有望な医学部生を囲えるならそれもいいと思ったのかもしれないが、
そこまで腹を割って話した事はないので解らない。大人の世界ってもんは腹黒いのだ。
それに俺は別にそこまで将来有望って訳でもない。医者の世界はコネがあってなんぼである。

195 :
「その前にとりあえず服を脱いじゃおうねー。脈拍と血圧と心音測るからねー」
蒸し暑い夏の夜とはいえ、エアコンで適温を保ったこの部屋はいささか寒いのだろうか。
上体を晒した彼女は少し体を震わせ、少し恥ずかしそうにこちらを向いた。
お世辞抜きで美しい裸体と言える。
大人になる寸前の若々しい肉体が持つ瑞々しさそのままに、無駄な脂肪がない体が作るなだらかな曲線。
お椀を伏せたような、重力に逆らう事甚だしいつんと立った控えめな胸。つまりはおっぱい。
まぁブラしてるからそのお陰かもしれないし、乳首は見えないけど。
反応しそうになる下半身とこのままベッドに押し倒したくなる情欲を理性で徹底的に抑制する。
っていうか高校3年生とはいえ俺が手を出したら犯罪である。
ただでさえ美味しい条件で金が入っているのにそこまでリスクを犯す必要性はない。
「心音は……ふむ、異常なしかなぁ。脈拍と血圧も正常な範囲内だし。じゃ、あーん」
「あ、あーん」
ネットで手に入る医療道具なんて高が知れているが、中々どうして基本的な診察には十分なものだった。
彼女の小さな口腔内に異常は特に見られず、現状見られるのは離脱症状のみ。
幸福薬の宣伝通りと考えれば体に害がないのは当然か。
「うん、特に問題はないね。じゃあとりあえず今日の分。あ、こっちは寝る前に飲んでね」
「あ、はい……先生、1錠は今飲んでいいですか?」
「いいよいいよー。はい、お水」
用意しておいた水差しから紙コップへ水を組んで渡す。
ご丁寧に感謝の言葉を述べる彼女を見ながら改めて大人達の思惑に思いを巡らすも、まだ庇護を受ける年齢にある彼女と経済的に独立していない俺じゃどうしようもない。
せめて下手な手を打たないように注意すべきか。
「はぁ……」
にしたって薬を飲んだせいか、落ち着いた様子で息を吐く彼女は魅力的ではある。
オーケイ、我慢だ我慢。
「そういえば、夕食は食べた?いつも通りでいいなら俺が作っちゃうけど」
「あ、お手伝いします」
精神的にも落ち着いたのか、彼女は笑いながら服を身につける。
お互い鍵っ子な事もあってか料理の心得はあった。まぁ、素材は色々買ってきてあるので適当に作ろう。
その後は少し休んで、彼女を自宅に送り届けて多少勉強を教えて。
うん、いつも通りだ。平時と変わらないというのは実に安心する。

196 :
依存といってもちょっと方向性が違う気がするしここまでしか書けてないのでここまで。
乱筆失礼しました。

197 :
投下無い今凄く有難い!
だけどもう少し長く見たかったw

198 :
>>130
規制されてたらしくて某所で続き投下してたよ

199 :
この先、薬物からは離脱できたけど……ってことだろうか

200 :
今まで誰も書いてないような内容のSSってないかな?
提案があれば書いてみようと思う

201 :
家出少女保護モノ書きたいけど、先人が偉大すぎてどうしても挫折してしまう

202 :
家出少女?
そんなSSあったか?

203 :
探してみたらあったわ
まぁ住人自体かなり少ないスレだったみたいだから、投下あれば住人も増えるかもな

204 :
よし、頑張って書いてみるか
さっき自作品漁ってたらそれらしいのが出てきたのでこれも投下しときます
昔某所に掲載していたもの(今は消したので読めない)、非エロですが良ければどうぞ

205 :
 雨は嫌い。
 嫌なこと思い出すから。
 雨が屋根を打つ音が嫌い。どこかの誰かが意地悪くノックを繰り返してるみたいで、吐き気がする。
 だから梅雨の時期、あたしは独りでいられなくて学生寮から実家に帰る。
 精神科の先生に書いてもらった診断書があれば、自宅通学の許可は簡単にとれる。
 実際に家に帰ってみると早上がりだったのか、昼間から家にいた兄さんが「またか」と苦笑いをして迎えてくれた。
 全寮制の学校に通い始めて三年、あたしは一度として梅雨を寮で過ごしたことがない。
 梅雨じゃなくても三日雨が続けば体調を崩して家へ帰ってくる。
 学校への通学手段は車以外に選択肢がないから、あたしが家にいる間兄さんは毎朝五時に起きて送ってくれる。
 笑いながら欠伸を噛みして「子供が大人に遠慮するな」って。
 情けなくて申し訳なくていい加減子供を卒業したくて。
 せめてコレ以上は迷惑をかけないようにって思うのに、一人で眠れないあたしは今日も兄さんの布団に潜り込んでいた。当の兄さんは寝室にある作業机でキーボードを打っている。
 何してるんだろ……声、かけない方がいいのかな。
 暗い部屋。パソコンのディスプレイの光で薄く照らされた兄さんの顔。不規則に続くキーボードの打音。
 こうしていると……どうしてかな、独りじゃ怖くて仕方なかった雨音が気にならなくなってくる。
 意識の外へ……ただの“背景”になる。
 お医者さんが出してくれる薬は全然効かないのに、どうしてなんだろう。
 兄さんといるだけで、頭にこびり付いた嫌な思い出が綺麗に流されてしまう。
「……兄さんは、まだ寝ないんですか?」
 安心すると急に眠気が襲ってくる。
 寮で眠れてなかった分、家に帰って兄さんの布団に入っていると十時前にはうとうとし始める。
 けど、眠れない。兄さんが隣にいてくれないとすぐに目が覚めて、すごく怖くなって酷い時には泣いてしまう。そしてまた兄さんに迷惑をかける。
 あたしはダメな子だ。いつまでもいつまでも子供で。兄さんにばっかり大人を押し付けて甘えている。
 今だって……ほら、せっかく熱中して何かをしていたのに邪魔をしてしまった。
「ルイはもうおねむ?」
 机からベッドに来た兄さんがあたしの髪を撫でた。
 子供扱いされている罪悪感と嬉しさが綯い交ぜになって泣きそうになる。
 自分でもよくわからないけど雨の日のあたしは小さな子供みたいに情緒不安定で、ふとしたきっかけですぐに泣く。嬉しくても悲しくても怖くても、とにかく泣いてしまうのだ。
「兄さんの、用事が終わるまでは、我慢、します……」
 それでも人並に意地はあって意味不明の涙を堪えて笑ってみせる。兄さんは微かに笑って、
「じゃ、もうちょっとだけ待って。すぐに終わらせるから」
 あたしの前髪をそっとかき上げておでこにキスをした。
 兄さんが離れていく。ベッドから机まで。
 数メートルとないその距離が切なくて寂しくて、あたしはぎゅっと目を瞑った。
 いる。兄さんはそこにいる。
 暗闇の中、屋根を打つ雨音とキーボードの音。あたしの息、鼓動。兄さんが椅子に座り直す音。
 大丈夫、大丈夫。ここには兄さんがいる。あたしは独りぼっちじゃない。そう、何度も心の中で念じた。
 どれだけ時が過ぎただろう……布団が持ち上げられて冷たい空気が入ってきた。そして、ベッドが軋む。吐息を感じる。
「おやすみ、ルイ」
 頭を撫でられて、背中をさすられて、温度を感じた。
 兄さんの温度。子供みたいに身体に触れられて、安心しきったあたしは静かに眠りに落ちていった。

206 :
短いですが、以上です
駄文失礼しました

207 :
GJ!
余裕出来たらこの話の続きも非常に気になるぜ

208 :
>>207
今、引きこもり妹モノ書いてます
予想外に長くなりそうなので、先にこっちの続き書こうかな
レスがついてかなりやる気でてきたw

209 :
>>208
書き手が一人もいないから本当にマジで頼みます
続き物書いてたら読み手も戻ってくるはずだから…
期待してます

210 :
前は一日に何回も確認に来てたのに
最近は二週間に一回しか来なくなったな……
雑談なり作品紹介なりでも賑わってくれれば……

211 :
BLで良ければ投下するよ!
ダメって書いてないしいいよね?

212 :
申し訳ないがホモはNG

213 :
>>212
なん……だと……
よし、男の娘を女の子に書き替えてくる

214 :
注意書きすれば問題無いんじゃないの?

215 :
>>214
ではお言葉に甘えて……
・男×男
・エロあり
。女装男子
※BL注意

次のレスより投下します

216 :
 僕は犬です。ご主人様に飼われていることが、何よりの喜びなのです。
「おい、蓮」
 その日、ご主人様はご機嫌が斜めのようでした。長くて綺麗な指が優雅に掴んだタバコも、もう五本目です。
 朝昼晩に一本ずつ。「欲はキリがねぇからな。付き合い方が重要だぞ、蓮」とニヒルに笑うご主人様の顔を、今日はまだ見ていません。
 都内の高層マンション。僕が飼われているご主人様のお家は、地上40メートルの最上階を1フロア丸々借りきっています。
 いえ……この建物自体がご主人様のものなので借りる、という表現は正しくないのですが、学のない僕にはよい表現が思い浮かばないのです。
 ご主人様……光様は、本革の艶のあるソファにお座りになって紫煙をくゆらしていらっしゃいます。
 広いお部屋に広がった煙は、天井の空調機ですぐさま除去されます。
 ご主人様は何故かそれが気に入らない様子で、半ばまでしか吸われていないショートホープをガラスの灰皿で消されます。
 そして、残り一本だけになったショートホープを咥えられて、
「蓮、火だ」
 仰る通り火をつけようかとも思いました。
 しかし、ご主人様のお身体を考えればここでお止めするのも従僕の勤めではないかと思うのです。
 光様は僕のようなどうしようもない人間を勿体なくも拾ってくださった大変お優しい方……その健康を願うのになんの疑問がありましょう。
「あの……光様」
 勇気を振り絞ってお耳に窘めの言葉を入れよう努力しますが、いざ口に出すとなると身体が震えてしまいます。
 ご主人様に「おい、聞こえなかったか? 火だよ、火」と急かされますといよいよ震えが大きくなってしまいます。
 ですが、ここで屈服しては僕がお側にお仕えする意味が失われてしまう……それは嫌です。
「あ、あのっ! おタバコはもうお控えになさったほうがよいのではないでしょうか!?」
 あ、言えた。言えました! けれど、きちんとお勤めを果たせた喜びが胸に溢れてきたのも束の間、酷くギラついた眼光のご主人様が僕を見つていらっしゃるのに気づいて、背筋が冷たくなりました。
 お、お仕置きされちゃう!
「……蓮」
「い、いえっ、違うんです! 光様に反逆しようだなんて怖ろしいことは全然、これっぽちも考えてません。本当です。嘘じゃありません。僕は光様の犬……ご主人様に意見するだなんてそんな大それたこと、」
「お前、物凄い勢いで墓穴を掘ってくな」
 しまったぁあ! 全部言っちゃった。言っちゃいました。
 このままだとお仕置きコースまっしぐらです。しかも、今日のご主人様はとても機嫌が悪くていらっしゃいます、一体なにをされるか……!

217 :
「ま、いいや。ちょっと黙ってろ」
 突然でした。ご主人様が僕の髪の毛を掴んで引っ張ります。
 凛々しいお顔が吐息を感じそうなぐらい近くに来て、どきりとする間もなくざらっとしたものが僕の口に割って入ります。
「はっ、んぅぅ……っ! ゃ、ぅ……」
煙草の匂いが口から鼻に抜けて、ご主人様の長い舌が乱暴に口の中で踊っています。
 ぴちゃぴちゃ音を立てて僕の口を蹂躙なされて、右手で髪を撫で回し、左手でいろんな所を撫でたりつねったり……。
ぁ……やだ……お尻に、指が……。
「ご、ご主人、さま……だめです。おたわむれは、」
「なぁ、蓮。俺様、今日ちょっと機嫌悪いんだわ。分かるよなぁ、蓮なら。男が機嫌悪い時、どうやって癒して欲しいのか。男の子の蓮くんなら当然分かるよなぁ?」
ホットパンツの上からぐにぐにと乱暴にお尻を揉まれて声が漏れてしまいます。
 ご主人様の長い指が何度も何度もお尻の割れ目をいやらしくなぞるから、僕もすこしずついけないコトを考えてしまうのです。
「分かるかぁ? こんな女もんのパンツ履いて悦んでる蓮くんならわかるよなぁ? 俺様が今どうして欲しいのか、ちゃんとわかってるよなぁ?」
 美しいお顔をサドっけたっぷりの笑顔で歪めて、ご主人様は僕をイジメます。僕が嫌がるから、わざとそれをするのです。
 今みたいに女物の服を着せたり、まるで僕を女の子みたいに可愛がってあんなことや、こんなことを……。
 う、うぅぅぅぅぅぅ……思い出しただけではずかしぃ……。
「まだ分からないか? それなら、こっちにも考えがあるぞ」
 僕がもたもたしていたからでしょうか、少し興ざめしたような顔でご主人様は言い――――
 ぐにゅ
「ひぁぁあああああ!? お、お尻の穴っ、な、なんか入って……っ?」
「はっは! 良い反応だぞ、蓮。気持いいか? まだ奥まで入れたことはなかったもんなぁ」
「ご、ご主人様っ! おたわむれがすぎます! こんなの、こんなのぉ……」
 ご主人様の……たぶん、指が……僕のお尻の入り口をこじ開けるように蠢いています。
 僕は、自分の下腹部に熱が集まっていくのを必に我慢してどうにかご主人様に抵抗してみようとするのですが、体格が違いすぎます。
 あぁ……僕はしばらくご主人様の好きなようにされてしまうのです。
「おい……抵抗しろよ、蓮。あんま大人しくしてると最後までシちまうぞ?」
 僕の耳を甘噛みしながら、ご主人様はおっしゃいます。
「あのっ……最後、って……?」
「そんなことも分からないのか? ほんと、つくづくお前は……」
 嘆息し、何か諦めたようなご主人様でしたがその手は止まりません。
 お尻の穴をじわじわ攻め立て、大変なことになっている僕のそれをホットパンツの上からまさぐります

218 :
「っ〜〜〜〜!?」
「おお、良い反応だ。お前、きっと才能あるぞ」
 愉快に笑いながら、僕を後ろからしっかり抱きしめて。それを握った右手を……いきなり動かし始めます。
「ぁっ、やっ、だめっ、だめですご主人様ぁ!」
「あぁ? こんな硬くして今更何いってんだよ。気持ちいだろ? いっつもはシてもらってばっかだかんな。今日は特別だ」
「い、いりませんっ! そ、そんなとくべっ、きゃふ!? ヤダ! ヤダヤダヤダ! そんなはやくしたらぼく……ぅっ、やだっ、やだっ! っくぅぅぅっぅ!!」
 怖いぐらい速いストロークで動かされるご主人様の綺麗な手。
 僕は耐え切れずパンツの中にありったけの精を吐き出してしまいました。
「おー、おー、すげぇぞ、蓮。染み出したセーエキ、太ももから垂れてきてる。まるで犯された女みてぇだな」
「ぅ……うぅ……酷いです、光様……」
 もう……男の子として生きていく自信を無くしてしまいました。
 前々から、少しずつご主人様に削られてきた男の子としての尊厳が、たったいま粉々に砕けてしまったような気がします。
 何が一番酷いかって……イヤだイヤだと口で言いながら、確実に喜んでいる僕がそこにいること。
 頭が真っ白になるぐらいに気持ちいい射精をさせてくれたご主人様のことが、大好きで仕方ないことなのです。
 いっそのこと僕が女の子だったら……そう思ってしまう自分がどんどんヘンタイに進んでいくのが分かってしまって、それでも抵抗出来ない僕はつくづくご主人様の犬なのです。
「よっしゃ。すっきりした! 遊びに行くぞ、蓮!」
「は、はい、光様! 着替えますのでしばらくお待、」
「アホ、そのまま行くんだよ」
「えっ、えぇぇえええええええ!?」
 こんな格好で外出できるわけないですよ! 叫ぼうとしたところを口で塞がれて――――
「じゃ、続きな」
 ソファに押し倒された僕は、またよくわからないご主人様のイジメにあうのでした。

219 :
終わりです
長文失礼しました

220 :
は?

221 :
クソワロタw

222 :
いやいや、そもそも注意書きしても駄目だから
過疎だからってなんでもいい訳じゃないぞ
BLなんて論外だろ

223 :
んじゃ次スレ立てする時書きたせよ

224 :
BLは801板だろ住み分けくらいちゃんとしろよ

225 :
すまないがホモは帰ってくれないか!

226 :
板チだな

227 :
まぁ今回は知らなかったみたいだし、次から気を付けたらいいよ
>>219
投下は大歓迎だからまたお願いします

228 :
ホモが湧くとはな……
終わったな……このスレも……

229 :
出たよ読み手が書き手を追い出す恒例行事がwww
誰がこんなスレに投下するんだ

230 :
お前が一番いらねえけどな

231 :
まぁもう終わりだわな

232 :
どうしてそこで諦めるんだよ

233 :
そうだそうだ
諦めたら試合終了だぞ

234 :
諦めも肝心だ

235 :
キミはキメラRってフリゲが依存っぽい気がしたんだがどうだろうか

236 :
>>235
産業

237 :
研究所で生まれ何も知らずに13まで育った子供の家庭教師に採用された主人公
みたいな始まり方。プレイしてみればいいよ

238 :
結構依存っぽい。主人公が少し心配になるが、色々な意味で。
やっぱ教師と生徒スタイルは依存に持って行きやすいんだろうなぁ

239 :
9ヶ月前に『きょうみをもつひと』の冒頭を投稿した者です.
久しぶりに続きを投稿しようと思います.
前回の話は依存ssまとめの方にまとめて頂いています.
それでは投稿いたします.

240 :
気がつくと俺は病院のベッドで寝ていた.
体を起こそうとしたが,雪香が俺の胸元に被さるように寝ていると気付き,止めた.
雪香は俺の手を両手でしっかりと握っている.ずっと握っていたのだろうか.
頬には乾いた涙の筋が蛍光灯に光って見える.心なしか瞼も赤く腫れている.
やってしまった.もう泣かせないと決めていたのに.
窓の外には寒さが伝わってくるような夜空が見え,半分と少し欠けた月がぽつんと灯っていた.
病室の白とのコントラストがやけに現実感を煽る.
会社で倒れてから相当時間が経っているのだろう.久しぶりに長い間寝たためか倦怠感が少しとれた気がする.
それか腕につながっている点滴が効いているためだろうか.
ゴホッゴホッ
やはり咳は止まらないようだ.胸の痛みもまだ残っている.
俺の咳のせいか,雪香がふと目を覚ました.俺が起きていると分かると,ガバッと抱きつく.
「よかった...よかったよぉ」
また泣かしてしまった.俺は最低のお兄ちゃんだった.

241 :
医者によると俺は肺炎を患ってしまったらしい.過労による免疫力低下が原因だと診断された.
病状はそこまで酷くなく,入院は一週間程で済むそうだ.これを機会に少し休むと良いと言われた.
「それにしてももっと病状が悪化する前に倒れてよかった.こんなことを言うとアレだが,君は運が良い」
確かにそうかもしれない.運が悪かった父はそれでんでしまったのだから.
しかし俺には運が良いとは思えなかった.むしろ最悪だと思った.
傍らにいる雪香の様子を視界の端で確認する.
俯いていて表情は分からないが,きつく結んだ唇から感情を汲み取るのは容易だった.
これでは昔に逆戻りだ.本当に最悪だった.そしてその原因を作った俺を到底許せそうにもなかった.
「とりあえずゆっくり養生してください.妹さんもお疲れでしょう.面会時間も終わりますのでそろそろご帰宅ください」
雪香は俯いたまま反応しなかった.医者はそれを肯定と受け取ってか「それでは」と残し病室を後にした.
医者が去るとすぐ,雪香はベッドに座る俺を抱きしめてきた.
「私.ここにいるから.帰らないから」
耳元で今にも泣き出しそうな,震えた声が届く.
「...そういうわけにはいかないだろ」
「だってっ!」
ぐっと体を離して叫ぶ雪香.その顔はクシャっと歪み目からは涙が溢れ出ている.
「だって私気付けなかった!こんなに近くに居てお兄ちゃんの病気に気付けなかった!」
「お父さんの時もそうだった!私が気付いていればななかったのに!後悔したのに!」
「お兄ちゃんの病気に気付けなかった!私のせいでお兄ちゃんまでんじゃうところだった!」
「もう大切な人がぬのは嫌なの!見しになんかしたくないの!後悔したくないの!」
騒ぎを聞きつけた看護士が泣き叫ぶ雪香を取り押さえる.
「やめて!お兄ちゃんの側に居なきゃ駄目なの!お兄ちゃんんじゃう!」
雪香が俺から引き剥がされて連れて行かれる様子を
「やだ!私をおいていかないで!一人にしないでよぉ!」
俺は黙って見ることしかできなかった.
「...ごめんよ」
本当に最低のお兄ちゃんだった.

242 :
雪香が連れ去られてから程なくして看護士が戻ってきた.
妹がお騒がせして申し訳ありませんでしたと,謝罪すると,
看護士は,今後ああいったことがあると出入り禁止になりますので,と少しムッとした顔で返した.
「ただ,何か事情があるようですし,妹さんも落ち着いてからは問題ないようでしたので,今回はお咎めなしです」
と,しかめ面を少し緩めて付け加えた.
「妹はどうしましたか」
「落ち着いてからは謝り通しでしたので,大丈夫ですからまた明日いらして下さいと言って帰って頂きました」
「そうですか...いろいろと申し訳ありません」
その後看護士に会社に連絡したい旨を伝えると,彼女のポケットに入っている携帯電話を取り出した.
少し戸惑っていると看護士は
「病院内の携帯電話の使用は禁止ですが,今回は特例で許します.まあバレなければ問題ありません」
と言いながら携帯電話を俺に手渡した.どうやら看護士個人の物らしい.
彼女に感謝の意を伝え会社に電話をする.ひとまず病状はそこまで酷くない事と,一週間程入院する事を伝えた.
すると気を利かせたのか,まだ会社に残っていた柿沼に取り次いでくれた.
電話先の口ぶりでは,柿沼は仕事に全く身が入らないほど心配しているそうだが,あまり想像がつかない.
柿沼が心配しておろおろしている様子を想像していると,柿沼に電話が変わった.
「柿沼か?」
「そうです.大丈夫ですか」
「まあ,それなりに大丈夫だ.一週間程で退院できる」
「そうですか」
「ああ,心配かけてすまなかったな」
「あまり気にしてませんよ.それでは」
と言うと,すぐに電話は切れてしまった.果たして本当に心配していたのだろうか.

243 :
次の日,面会開始時間とほぼ同時に申し訳なさそうな顔をした雪香が入って来た.
昨日は余裕が無かったため気付かなかったが,久しぶりに寝間着以外の雪香を目にする.
化粧も薄めだがしっかりと施されている.これはこれで寝間着姿とは違う可愛さがある.
しかしやはり気になってしまう.化粧でごまかしているが瞼も腫れているし,帰った後も泣いていたのか目がかなり赤い.
やってはならない事をしたのだと再度痛感した.
「昨日は取り乱しちゃってごめんなさい.病院の人にも迷惑かけちゃったし...」
「俺に謝る事じゃないよ.でもちゃんと病院の人には謝ったんだろ」
「うんもちろん.今日もあの看護士さんに会ったからもう一度謝ったの」
「そうか」
「でも看護士さん,『あまり気にしなくていいよ,大事なお兄ちゃんなんでしょ』って」
「優しいな,看護士さん」
「うん」
「...立ってるのもなんだし座ったらどうかな」
「え,あ,うん」
あわてて座る雪香.近づいて分かったが化粧に隠れているが目の下にくまができている.
結局あの後ほとんど寝れなかったのだろうか.私のせいでと悩んでいたのだろうか.
そう思うととても辛かった.悪いのは全て俺なのだから.
「...ごめんな」
「ううん,私が」
「雪香は悪くない」
そう言って雪香を抱きしめる.少しでも落ち着いて話を聞いてもらえるように.
「俺に残ったのは雪香しか居ない.だから雪香だけは大切にしようと思ってきたのに」
「雪香に寂しい思いをさせまい,雪香を悲しませまい,泣かせまいと思ってきたのに」
「一番重要な事だったのに守れなかった.一番最悪な形で裏切ってしまったんだ」
「でも私が気付いていれば」
「その前に俺が無理にでも休むべきだった.自分の事なんだから自分で気付くべきだったんだ」
「だからこれはおあいこ」
「...おあいこ」
「無理して働いて倒れた俺と無理にでも止められなかった雪香の」
こうでも言わないと雪香はずっと一人で自分を責めるだろう.そう思っての言葉だった.
「おあいこ...なのかな」
雪香は納得はしていないようだが,俺の意図は汲み取ってくれたらしい.
「だからこれからは互いに気をつけような」
「うん...」
肩越しで雪香が声をして泣いている.また泣かせてしまったのか.俺はなんて酷いやつなのだろうか.
「あの」
病室の扉辺りから急に声をかけられる.
兄妹二人は驚いてばっと離れて声の方に振り向く.そこで俺は目を疑った.
「忠幸先輩...ですよね」
そこに立っていたのは柿沼だった.

244 :
タイトなスーツに茶色のダッフルコートという通勤用の格好をした彼女は,相変わらずの無表情でベッドの前までスッとやって来た.
「え,えっと,お兄ちゃん,誰」
「これは,会社の後輩の柿沼だ」
「どうも初めまして,妹さん.会社の後輩の柿沼奈津と申します」
「あっどうも,いつも兄がお世話になっています.妹の雪香です」
雪香と柿沼が互いに自己紹介する.謎のシチュエーションだった.俺はたまらず柿沼に質問を投げかける.
「どういう状況なんだ」
「先輩の妹さんに自己紹介をしました」
「それは分かる」
「妹さんからも自己紹介して頂きました」
「それも分かる」
「...じゃあ何が分からないというんですか」
今日の柿沼は普段では考えられない饒舌ぶりだった.つい呆気にとられる.
雪香も話の流れについていけていないようで目が点になっている.
「...いやそれはね」
「分かりました.私の持っている紙袋の中身の状況が分からないのですか」
「どうしてそうなる」
「この紙袋の中にはリンゴが幾つか入っています,家にあって持っていけそうな物はこれぐらいでしたから」
意味が全く分からない.柿沼はもっと理路整然と話すタイプだと思っていたが,これでは電波ちゃんだ.
「と,言うことは,柿沼さんはお兄ちゃんのお見舞いに来たということですか」
目が点になっていた雪香だが,我に返ったのか話に混ざって来た.
「...たぶん,きっと,そうです」
急に雪香が話しかけても表情を一切変えずに返事をする柿沼.そして何故か成立する会話.
それにしても柿沼はお見舞いに来たのか.お見舞い...え...あの柿沼が.
「ほ,本当にお見舞いに来たのか.会社は出勤しなくてもいいのか」
「昨日の電話の後,上から許可をとりましたよ」
「わざわざ許可を取って来たということは,仕事の話か」
「そうですね.先輩が居ない間,私が先輩の埋め合わせをする必要があるので」
「それだったら電話でも良いじゃないか」
「上島部長に,明日先輩と仕事の話がしたいと言ったら,明日朝一で行ってこいと」
上島部長は昨日の電話相手だった...少しずつ話が見えて来た.
「ついでなんで,先輩のお見舞いでもしようかと」
「なるほど.合点が行った」
「やっと話が通じましたか.意外なことでしたが,先輩は言外にある意図を感じ取るのが苦手なようですね」
「いや,エスパーの類いではないと無理だろ」
「そしたら私は超能力者だったんだ」
ふと雪香の方を見ると,フッと綻んだ顔をしていた.久しぶりにこんな表情を見た気がした.
もしかしたら,ちょっと不思議な言動は柿沼の心遣いだったのかもしれない.

245 :
「そしたら私,下の売店で飲み物とかいろいろ買ってくるね.柿沼さん,よろしくお願いしますね」
そう言い残して雪香は病室から出て行った.たぶん仕事の話をする時に自分が居たら邪魔だと思ったからだろう.
雪香が居なくなったので,二人の間に流れていた重い空気を軽くしてくれた柿沼に礼をすることにした.
「ありがとうな,柿沼」
「いえいえ,これぐらいなら私でも」
「そうか」
俺は柿沼を誤解していたようだった.人に興味の無い,人の心なんて知ろうとしない人間だと柿沼のことを決めつけていた.
しかし実際は違った.きちんと人を思い遣れるし,笑わせることもできる,できた人間だった.俺も見習わなければならない.
「しかしそんなによろこんでくれるとは思いませんでした,リンゴ」
「ん?」
「何なら今すぐ剥きますけど」
「え?」
リンゴの話はひとまず置いておき,仕事の話をすることにした.
しかし,仕事の話はあっけなく終わってしまった.
柿沼は仕事に関してはかなり真面目なため,俺のやっている仕事の内容も既に聞いてあって知っていることが多かった.
また,休むといっても一週間程度の期間のため,やれる仕事は限られてくる.
しかも,柿沼が本来やるべき仕事がこなせない程の量をやらせるわけにはいかない.
そういった複数の事情を踏まえた結果,この作業をこの程度進めてくれということを幾つか伝えて,ちょっと確認をしただけで終わってしまったのだ.
こんなことなら本当に電話だけでも何も問題は無いはずなのだが.
いよいよもって上島部長の言っていたことの信憑性が高まってきた.
仕事の話が終わって今度こそリンゴを剥きますか,といった話をしているところに雪香が帰ってきた.
「ただいま.仕事の話はもう終わりましたか?」
「おかえり.うんおわったよ」
「気を使わせてしまってすみません.妹さん」
「いえいえ,丁度買い出しにいこうかと考えていたので」
「そうですか.ところで妹さんはリンゴ好きですか」
「え,あ,まあ,好きです」
「ならば今すぐ剥きましょうか」
「え,ええ,それじゃあお願いします」
なぜそこまでしてリンゴにこだわるか分からないが,謎の気迫に押される形で柿沼によるリンゴの皮むきが始まった.

246 :
ひとまずここまでです.
続きは早いうちにあげようと思っています.
お目汚し失礼いたしました.
P.S.
次回から少しずつ本題(エロ)に入っていきます.

247 :
投下乙!

248 :
久しぶりに来たが、俺好みの展開のssが
導入部分では雪香と柿沼は主人公に好意こそあれ
露骨に依存しきっている描写はまだないですね
まだ依存していないのか、それとも依存しててもそれを隠せる良識人なのか
ここからどう歯止めが効かなくなり、病的な依存症になるのか楽しみです
作者さんよろしくお願いします

249 :
保管庫の編集ってメンバーにならないと出来ないのか……orz

250 :
スレの流れが緩やかだったためしばらく保管庫をそのまましていましたが、また更新を再開させていただきたいと思います
近いうちに現時点までの保管を行う予定です
>>249
ご迷惑おかけしました
たまにご要望いただきますので全員編集可に設定を変更しました

251 :
>>250
おぉ、ありがとうございます!
んじゃ何か短編でも書こうかな

252 :
保管庫の管理人が来た!
すっごい待ってたっス!
テンション上がってきたーー!

253 :
あげ〜

254 :
依存症

255 :
あげ

256 :
保管庫にある車椅子のSSは個人的にツボだったな

257 :
あは〜ん

258 :
あげ

259 :
かけたー
投下します

260 :
「はあ、京ちゃん、今日も寝るんだね」
自分の机に座ると同時に、いつもの様に腕を枕にして眠りにつこうとする。
学校に来てもすぐ寝ちゃうなら、もう少し遅くに来ればいいのに、と思う。
その京ちゃんに毎朝起こしてもらってる私が言えることじゃないんだけど。
私も自分の席に座る。そして京ちゃんの横顔を眺める。いつもの日課だ。
「あっ」
また傷が増えていた。もしやと思い、腕とかにも目を向ける。……こっちもだ。
何か月か前からか、京ちゃんは急に怪我が増えだした。
前に傷のことを聞いたところ、「こけた」と返ってきた。
しかしこの頻度でこけると言うのは、ちょっと考えづらい。運動神経はいい方だし。
だから、一時期は喧嘩でもしたのかな?と思ったりもした。でも、それもあまり納得のいく考えではない。
京ちゃんはどちらかというとめんどくさがりな性格だし、それにそういった噂を耳にすることはなかった。
「ほんと、何なんだろうねえ」
気にはなるが、聞いてもはぐらかされる。なので、今はもう理由を聞くのを諦めてしまっている。
「まったく、何を隠してるんだか。この、この」
指先で頬を突く。反応がないところを見ると、もうすっかり熟睡してしまっているようだ。
「ふぅ」
何となくむなしくなり、指を引っ込ませる。
一旦京ちゃんから目を離し、教室を見渡す。
部活の朝練が終わったのか結構な人数がすでに揃っている。
みんな楽しそうに笑ってる。
好きな子同士、机を囲って。
………………そこに、私たちの居場所は、無い。
いやちがう、正確には、私の、だ。
いつからだったか、私の周りには人は集まらなくなっていた。
性格?容姿?言動?
とにかく、何かが他の皆からは好ましく見えるものではなかったらしい。
積極的に嫌われる、まではいかなかったのが幸か不幸か、小さい頃の私はその事を大して重要視しなかった。
――京ちゃんがいればいい。
その言葉だけを胸に、大きくなってきた。
さすがに今は、もう少し何とかするべきだったと思っているが。
しかし、何がいけないのか未だにわからず、途方に暮れている。
助言を聞けそうな相手は居ないかと考えた事はある。
だが、両親は万年出張。京ちゃんのお母さんは人間関係に疎いタイプ。……だから私を嫌わないでくれるのだろうが。
そして、頼みの京ちゃんは、言葉で説明するのが苦手なタイプ。
念のため聞いたこともあるのだが、散々どう伝えればいいか迷った末「お前のままでいろ」と言う、ありがたいお言葉を頂戴した。

261 :
「はぁ……」
暗い事ばかり考えていたからか、自然とため息が漏れる。
友達が数人増えたからって、何かが劇的に変わるわけでは無いとわかってはいるのだが……。
しかしこのまま大学に行くと少し大変だろう。
京ちゃんは(勉強をしてるとこを見たことないのに)頭がよく、私はその反対。
付っきりで勉強を教えてもらったおかげで何とか同じ高校に通えてはいるが、さすがに大学まで付いて行ける気がしない。
いや、後1年半近く。再び勉強を教え続けてもらえば何とかなるかもしれないが、そんな事で京ちゃんの足を引っ張りたくない。
優しい京ちゃんのことだ、そんな事は言うなとか言ってくれると思う。嫌われる事もないはず。
だけど……。
「寄生虫の駆除はお早めに、ってね」
そう、それが私と京ちゃんの関係。
京ちゃん一人だと、立派な人間。私は一人だと生きることもできない寄生虫。二人を合わせてしまうと普通未満の人になる。
だから、早く離れた方がいいと思っている。
京ちゃん一人ならみんなに好かれる人なのだから。私に使う力を他に回せば京ちゃんはもっといろんな事ができる。
でも中学の時、私は恐れてしまった。京ちゃんが自分のそばからいなくなってしまうことに。
覚悟が足りなかった。離れた方がいいと思い始めてからそう経ってなかったから。……言い訳でしかないことはわかってるが。
なので後3年。3年だけ京ちゃんの時間を奪って、それで全部お終いにしよう。これが高校に入った時決めた私の目標。
……ここまで言ってあれだが、別に私だってにたいわけでは無い。
3年間の内に自立できるようになろうと、自分なりに色々やってみたりしている。
しかし、勉強はできるようになるどころか授業からも置いてかれ、友達を作ろうとクラスメイトに話しかければ距離が広がり、
家事に至っては京ちゃんから「……オレがやっとくから」と言われるレベル。
泣きたくなるぐらい悲しい結果たち。何がいけないのかもわからないまま、時間が過ぎていく。
やる気が空回りを続け、もう制限時間は半分しか残ってない。
焦りが生まれる。恐怖がよみがえる。自分は何もできない半端物のまま、一人きりになってしまうのだろうか。
京ちゃんに縋りたくなる気持ちがわき出る。褒めて欲しい、助けて欲しい、優しくしてほしい。
しかしこの気持ちは、悟られてはダメだ。絶対に。ばれてしまったら京ちゃんはきっと悲しんでくれると思う。
そして、私が転ばない様、先回りして石を拾ってしまう。私に気づかれない様に。私が一人でできたと思えるように。
それではダメなのだ。私の目標はあくまで京ちゃんからの自立。だからばれた時点で私の決意は破たんする。何もなせないまま。
キーコーンカーンコーン。
チャイムが授業の開始を告げる。思いのほか長く考え事にのめり込んでいたようだ。
扉から数学の先生が入ってきて、教科書を開くよう指示をする。
軽く息を吐いてから教科書を開き、ノートを準備する。
これ以上遅れないよう頑張んなきゃ。やる気で体を満たし、先生の声に耳を澄まし始めた。

262 :
ガララッ。
最後の授業が終わり、先生が出て行く音がする。
私は脱力し、ぐてーっと机に伏せる。疲労感が体に満ちている。
「ダメかー……」
今日もまた、少しずつ授業のペースから遅れてしまった気がする。前の所を理解できてないんだから、当たり前かもしれないが。
勉強は嫌いではない。嫌いではないんだけど……。
「やればやれるだけみじめになっていくのは、気のせいなのかな……」
はあ〜、っと思わずため息が漏れる。やるせない。
体を起こし、京ちゃんの方を見る。相変わらず寝ていた。
私の朝食とかお弁当とか作って貰っておいて、こんなこと言っちゃいけないかもしれないけど、正直寝すぎだと思う。
朝は別として、学校はほとんど寝て過ごし、放課後もやる事なかったら寝てるらしいし、夜も早かったはず。
これだけ寝れば京ちゃん見たくみんなうまくいくんだろうか?そう思える程寝てる。
教室にいる人も少なくなってきた。今日も寝続けるだろうが、念のため起こす。
「京ちゃん、京ちゃん。もう授業終わったよ。今日も寝てから帰るの?」
声をかけるとすぐに目を開けた。眠りが浅いのか深いのかよくわからない。
「……ああ。もうしばらく寝てから帰る。先帰っといて……」
喋り切る頃には再び夢の中。気楽すぎて若干イラッとくる。八つ当たりなのは百も承知である。
「まったく、せめて家とか冷房きいてるところで寝ればいいのに……。じゃ、また明日ね」
寝てる京ちゃんに別れを告げて帰路につく。友達はいないので当然一人だ。
外に出て空を見上げると、嫌な感じがする黒い雲が浮いていた。


「よかった、降る前に帰れて」
天気予報は晴れだったので傘を持ってなかったのだ。
今にも降り出しそうな雲。運が悪い私にしては珍しくついてた。
「ただいま〜」
玄関のドアを開け、誰もいない自宅に入る。
昔は家に帰っても誰もいないことが苦痛で、家にいるのを嫌っていた。
少しでも早く家を出て、京ちゃんの所に行ったものだ。
さすがに今は何ともない。手洗いをし、お茶を飲んでから、自室に向かう。
宿題をしないといけないし、予習や復習もしなくては。
「さ、がんばろ!」

263 :
勉強を始めてからいくらか経って、ポツン、ポツンと水滴が落ちる音が聞こえ始める。
手を止め、窓の方を見ると小雨、とまでいかない様なレベルだが、雨が降り始めていた。
「……あ、京ちゃん傘持ってるのかな?」
朝一緒に登校した時には、持ってなかった気がする。
自分のことにはズボラな彼が、折り畳み傘を持ってるとは考えづらいし……。
持って行ってあげようかな?
たまには役に立ちたいという気持ちもある。
「そう決めたら、さっそく行動に移そう」
玄関に向かい適当に傘を見繕う。
その後、念のため帰宅していないかを確認。
徒歩10秒ぐらい。お隣さんだ。
インターホンを押し、出てきた京ちゃんのお母さんに挨拶。やっぱりまだ帰ってなかったらしい。
別れ際、あの子と仲良くしてやってね、と頼まれる。あなたがいないとあの子、何にも興味持たないから、とも。
ごめんんさい。私が京ちゃんと一緒にいるから、京ちゃんが他の何かに向けるべき物を独占してるから、そうなっちゃうんです。
ごめんなさい。でも、あと少し、少しだけでいいので京ちゃんを貸してください。
心の中で頭を下げ、謝る。
もちろんそんな事をいう訳にもいかないので、「こちらこそ」と返した。笑って言えたはず。
「じゃあ、また」と別れを告げ学校に向かう。
大した距離じゃない。本降りになる前につけるだろう。……こういう時の予想は当たった事がないが。
早歩き気味の歩調で歩みを進める。少し前、軽く走ったら思いっきりこけてしまったので、走るのには若干抵抗があった。
「っと」
案の定予想は外れ、半分も行かないうちに本格的に降り出してきた。
「傘、傘……」
2本持っていた傘の片方を広げる。男ものだったのか少し私には大きいようだ。
「……前が見にくい」
少しじゃなかった、だいぶだった。しかし、使えないわけでは無いし妥協することにする。
「京ちゃん、帰ってくる途中じゃないといいな」
こっちの予想まで外れたら悲しくなってくる。そうならない様、さらに歩調を速めるようか。
……そんな事したら、水たまりに突っ込みそうだ。運動神経がないのか、運がないのかはわからないが。
安全策を取るしか最初から選択肢に無い様だった。
せめてすれ違いにならないことを祈ろう。

264 :
最後の角を曲がり、あとは正門まで一直線。とりあえずここまでに京ちゃんはいなかった、はず。
帰宅する生徒がちらほら見える。部活が休みになった人たちだろうか?
「あっ」
こちらに向かってくる二人組、片方が知った顔だった。
クラスメイト。私の顔を見ると露骨に嫌な顔する人。話したことはほとんどないが、どう考えても嫌われてるだろう。
傘を深くかぶる。さっきの失敗がこんな所で役に立つとは。これで向こうからは顔を見られなくて済むはず。
嫌われてるのがわかっていても、こちらからも好きでなくても、嫌な顔をされれば傷つく心くらい持っている。
「でもさー、ほんっと京一の奴、あったまおっかしいよなー!」
大声でギャーギャー話しながら歩いているので、嫌でも話が聞こえてくる。しかも京ちゃんの悪口。ムッとする。
しかし言い返すような度胸はない。早く通り過ぎてしまおう。


――――――あいつに手を出さないなら、何をされても構わない!、とかかっこつけちゃって!
――――――毎日毎日、ボロボロになるまでにボコられてさ!しかも本当に無抵抗でやんの!マジウケる!


……えっ?

――――――あの天才バカを足蹴にできるとかホント爽快の一語につきるな!
――――――最初は女子も「けなげに頑張るのがまたカッコいい」とか言ってたけど、今になっちゃ全員ドンビキだしな!
――――――なーにがあいつにそこまでさせんのかね?……ただのマゾだったりして!うお!これ当たりじゃね?
――――――まー、でもさすがのアイツもそろそろ根を上げんじゃね?あの女見捨てるの、見ものだな!
――――――なんにせよあんなクズ女に惚れたのが運のつきだよなあ。それさえなければ完璧だったのにな!あははははは!
――――――そういえばあの女、愛しの彼があんなことになってるのにまだ友達作ろうとしてるらしいぜ?全員敵だっての!
――――――マジんでくれねーかな、あいつ?あ、んじゃったら京一ボコれなくなるじゃん!おい、価値あったぞあの女に!
――――――あははははははは――――――それでさー――――――マジで〜――――――ウケる〜――――――


雨の音が、遠い。

265 :
「――――!――――っ!――――るっ!透!」
「……え?……あ、京、ちゃん……?」
肩を揺すられて初めて気づく。いつの間にか眼前に京ちゃんの顔が。私は何をしていたんだっけ?
「こんな土砂降りの中傘も差さずに何やってんだっ!ずぶ濡れじゃないか!」
「……な、なにやってたんだったかなあ……?え、えへへへ……」
曖昧に笑ってごまかす。まだどこかフワフワしている感じがぬぐえず、夢の中のようだ。
え〜と、確か雨が降り始めて、京ちゃんのお母さんに挨拶して……。
「あ、そうだ。はい、京ちゃん、傘。雨降ってきたから持ってきたんだ」
手に持った傘を差しだす。喜んでくれるかな?
「…………ハァ。二人ともこんなびしょ濡れじゃ使う意味ねーよ……。風邪ひく前にとっとと帰るぞ」
「……あれ……?ほんとだ……。またダメだったね、私。エヘヘ……」
本当に私はダメだなあ……。
「どうした?ボーっとして」
「んー?何か、京ちゃんいてくれて幸せだなーって」
自然と言葉が出てきた。素直な気持ち。覚悟を決めてからは、決して表に出さないと誓った言葉。
何で今出しちゃうんだろう?
………………ダメだ、頭が回らない。
何なんだろう。何か、考えたくないことがあるような感じが……。
「変なこと言ってんじゃねーよ。ほら、あったかいもん作ってやるから、行くぞ」
京ちゃんが私の手を引いて歩き出す。雨で冷えてる中でも少し暖かい。
小さい頃はその価値がわからなかった。けれども大好きでいつも手を繋いでた。
もう少し大きくなると京ちゃんが思春期で、繋がなくなってしまった。少し寂しかった記憶がある。
価値がわかったのはあの離れられないことが分かった中三の時。比喩ではなく宝物に思えた。
その手はとても暖かく手放したがい物で、だからこそ私なんかが独占しちゃいけないと強く感じた。
あの優しい手は私なんかじゃなく、もっと京ちゃんにふさわしい人を守るものなのだと。
だから、今傷つけられるものじゃ――――――

あ。
思い、出した……。

266 :
「着いたな、ってどうした。寒いのか?」
手が、足が、体が、震える。歯の根が合わない。
怖い。
怖い。
怖い。
「少し待ってろ、ホットミルクか何か作っといてやるから。その間に着替えて来い」
京ちゃんが手を離しそうになる。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「やめてっ!………………お願い、離さない、で。」
思わず声を張り上げてしまった。でも、どうしても、嫌だ。
「……。わかった、俺もついてってやるから。ほら行くぞ」
京ちゃんは何も聞かず手を握り直してくれた。優しさがありがたい。
手を引かれ、弱弱しい足取りで自分の部屋に向かう。
……あの話を聞いてしまったとき、最初に浮かんだのは、京ちゃんが傷ついているという悲しさではなく、
そこまでして京ちゃんが私を守ってくれたという暗い喜びと、このままでは京ちゃんを失ってしまうという恐怖。
思い浮かんだのは全部自分のこと。私はなんて醜いんだろう。
京ちゃんの為に自立するなんてほざいておいて、実際にその時がこようとしたらまた縋ろうとしてる。
でも、我がままだとしても、理性じゃどうにもできないこの恐怖。京ちゃんを失いたくない。
一人ぼっちは。
だから……。
「着いたぞ。さすがに着替えは一人でやって「京ちゃん、きて」
さっきとは逆に、京ちゃんの手を引く。そしてベッドの方へ。
「お、おい、透……?」
私が上になるよう京ちゃんと一緒にベッドに倒れると、さすがに京ちゃんも狼狽える。
「京ちゃん」
「……どうした」
「私に何をしてもいいから、どんな事でもするから」
一呼吸置いて、続ける。
「あなたのモノにして」
その言葉を言い切るのと同時に口付をした。

267 :
「……ん……ふっ……ちゅ……ぷはっ」
しばらく京ちゃんの息をむさぼってから唇を離す。
二人とも荒い息を吐く。
京ちゃんが何かを言う前に再びキス。
「……ちゅる……んんっ……うくっ……ごくっ。はっ、はっ……」
顔を話す。酸素が足りなくて頭がもうろうとする。
でも止まってはいられない。早くしないと。
少し体の位置を下げ、シャツのボタンに手をかける。
はずれない。
あせる。あせる。あせる。
あせりのせいで手が上手く動かず、さらにあせりが増していく。
はやく、はやくしないと――!
そんな私の手に、そっと京ちゃんの手が被せられる。
ビクッ!と自分でもわかるぐらい肩が震える。
「ご、ごめんね!こんな事もできなくて……。す、すぐするから!京ちゃんの手を煩わせたりしないから!」
はあ〜、と京ちゃんが息を吐く。ダメなんだろうか。私はもういらないのだろうか……。
「……押し倒した側がこんな震えてて、普通逆だろうが。で、どうしたんだよ。何があった?」
「怒って……、ないの……?」
恐る恐る聞いてみる。
「お前の奇行には慣れてる。今更これ位じゃ驚かねえよ。……誰かに何か言われたのか?」
京ちゃんが怖い顔をする。でも向けてるのは私じゃないみたいだ。私はまだ、守ってもらえるの?
「私はまだ……、京ちゃんと一緒に……、いられるの……?」
「当たり前だ。俺がお前から離れるなんてことは、ない。絶対だ」
嬉しい。
京ちゃんと一緒にいられる。
当たり前のことがこんなにも嬉しいなんて。
「あ、あはっ、あはは」
京ちゃんの言葉で何もかも救われた感覚に陥る。
とす、っと力が抜け思わず京ちゃんに倒れ込んでしまう。
何も言わずぽんぽんと背中をたたいてくれる。心が氷解していく。
もう止めることはできなかった。

268 :
泣いて、泣いて、泣いた。
力の限り今までため込んでいたものを吐き出した。
京ちゃんから離れようとしたこと。
京ちゃんが私の代わりにいじめられてると知ってしまったこと。
京ちゃんが傷つく悲しみよりも、自分を守ってくれた喜びの方が大きかったこと。
どうでもいいような些細なことから、隠し通そうとしたことまで全部。
吐き出し終わった後に「がんばったな」と声をかけられ、また涙があふれた。

「ぐすっ……あり……がとっ……もう、大丈夫……ぐすっ……」
まだしゃくり上げていたがだいぶ落ち着いてきた。
「そうか。…………体、冷えてないか?」
「そう、いえば……」
私は雨で濡れ、私が抱き着いていた京ちゃんの服も濡れていた。たぶん、ベッドも。
「ひぐっ……、ちょっと冷えちゃったかも……ぐすっ……しれない……」
そう告げたらブルっときた。今まではいっぱいいっぱいで気が回らなかっただけのようだ。
「風呂、沸かすから入れ。このままだと風邪ひく」
「京ちゃん……」
「……………………はぁ。そんな目すんな。一緒に入ってやるから」
「えへへ、ありがと」
やっぱり京ちゃんは優しいなあ。
お風呂を沸かしてる間さっきまで聞こえていた音を思い出していた。
トクン、トクンという周期的なリズム。
京ちゃんの心臓の音。
ありふれた音。たぶんだけど、別段他の人と変わった音をしてるという事はないだろう。
でも、それでも。
私にはそれだけで安心を与えてくれる救いの音。
だから、私には京ちゃんから離れるなんて最初から無理だったのだろう。
だって、私の人生は京ちゃんとイコールで結ばれるのだから。
今日までの私の稚拙な考えに思わずクスッと笑ってしまった。

269 :
「あったかいねえ〜」
「ああ」
久しぶりの二人でのお風呂。
さすがに向かい合う訳にはいかないので背中合わせに浴槽につかっている。
決して大きくない背中。でも温かい。気分が安らぐ。
「ねえ、京ちゃん」
落ち着いて、頭の中を整理して、頃合いを見計らった後、言葉を切り出した。
「なんだ」
京ちゃんの方も落ち着いたのか、いつものぶっきらぼうな言葉使いに戻ってる。
「あのね。さっき言ったこと、落ち着いたからもう一回ちゃんと言いたいんだ。聞いてくれる?」
「……ああ」
「私、京ちゃんのことが好きなんだ。昔っから、ずっと。好きで好きでしょうがないの」
告白してると言うのに、私の中は酷く落ち着いていた。今ならありのままをそのまま出せるだろう。
「でも私は嫌われ者で、何にもできないから、京ちゃんには相応しくないと思ってた。
京ちゃんが輝いて見える程、私自身は暗く、醜く感じられたの。だから、諦めようって思ったの」
でも……、と続ける。
「今日、私の代わりにいじめられてるって偶然知った時、怖かった。このままじゃ京ちゃんに嫌われる!って。
……落ち着いて、少しうぬぼれも交えて考えれば、守ってきた相手をすぐ捨てるわけはないってのぐらいわかるのにね。ははっ。
まあ、でも。怖かったんだ。自分がいじめられるぐらい嫌われてることなんかより、ずっと。
それと同時に嬉しかった。私なんかを身をていして庇ってくれることが。それも京ちゃんが傷ついてる悲しみを上回る程。
酷い女だよね。結局自分なんだって実感したよ。京ちゃんのために離れる!なんて考えてたけど結局は縋り付く事しかできない。
私は寄生虫。宿主から養分を吸い取るだけ吸い取って、返せるものは何もない。京ちゃんにとっての害悪。
でも、それでも、私は京ちゃん無しじゃ生きられないの。京ちゃんが居なくなった時のことを考えると、
目の前が真っ暗になって、頭の中ぐちゃぐちゃになって、息もまともに吸えない。
だから、どうやったら一緒にいられるか考えた。考えて考えて考えて、私なりの答えを見つけたの」
すぅ、っと息を吸う。ここから正念場。
「私を、あなたの所有物にしてください」
「お前!それはさっき!」
京ちゃんが怒気を含んだ声を上げる。当然だ、さっき止めてもらったばかりなのだから。でも、ここは譲れない。
「最後まで聞いて、ね?私、何も返せないのは嫌。でも私は何もできないから……、京ちゃんに何をすればいいか決めてもらう。
京ちゃんが私を好いてくれるなら、喜んで恋人になる。癒して欲しいなら、お母さんみたいにマッサージとか何でもやるよ。
家事はまだ苦手だけど、望むなら家政婦さんみたいにもなる。イラついたら殴られるし、性欲がたまったら、エッチな事もする。
あなたの望む事なら何でもするから……、都合のいい道具としてでいいから……、あなたのそばにずっと置いてください」
懇願する。私の心からの願い。京ちゃんに私の全てを捧げられるのなら、私は他に何もいらない。
背後から息を吐く音がして、そして。
「……絶対に、粗末になんか扱わないからな」
「うん。ありがとう」
こうして私は京ちゃんの『モノ』になった。

270 :
「えへへ。あらためてってなると、ちょっと気恥ずかしいね」
お風呂を出て体を拭いた後、私たちは部屋に戻った。
今は二人並んでベッドに腰掛けている。
もちろんこの後の行為のために服は脱いだまま。
ただ二人とも経験がないからか、どう始めたらよいかいまいちわからずさっきまで無言が続いた。
「そう、だな。…………スマン、あんまこういった経験なくてどうしたらいいかわかんねえ」
「ううん、気にしないで。むしろそっちの方が嬉しいよ」
私なんかが京ちゃんの初めてになれるんだ。『モノ』には過ぎた幸福だ。
京ちゃんの手を握る。そして自分の胸に当て、告げる。
「こうしないと雰囲気が、とかそういうのは考えなくていいよ。私は京ちゃんがやりたい事をやってくれることが嬉しい」
「……じゃあ、キスして、いいか?」
「うん!」
お互いに顔を近づける。一回目はそっと触れるだけで離れた。そして一瞬視線を交差させ再び近づき、今度は長いキスを。
「ん」
唇を軽く舐められた。それに応え口を少し開ける。そして恐る恐ると言った様子で伸ばされてきた舌を舐め返す。
驚いたのかビクッとちょっと戻されたが、追いかけて今度は大胆に絡ませた。
しばらく舐め続けていると慣れてきたのか、京ちゃんも舌を積極的に動かしてくるように。
じゅる、じゅるる。
口から溢れた唾液がたれ始める。それが勿体無くて極力飲むように努める。
美味しい、そう感じる。実際には味なんてないんだろうが、特別なものだと頭が反応し、錯覚を生みだす。
一滴体内に入るたび、幸福感が体に沁み渡り満たされた。もっと飲みたい。貪欲にそう思ってしまう。
「ん……ちゅー……、プハっ!、はあ、はあ」
しかしいつまでも息が続くものではなく、必然的に離れないといけなかった。
二人とも軽く息を切らし、呼吸を整える。
「なんか……、幼馴染の一線を超えたって感じがするな。今更だけど実感わいてきた」
二人ともが落ちついた後、ぼふっとベッドに倒れ込んだ京ちゃんがそう告げてくる。
「私は、前からただの幼馴染だとは思ってなかったよ?」
色々含んだ笑みで返す。良くも悪くもその線はずっと前に通り過ぎたから。
「いや、俺もそうだけど……、あー、くそ、何て言っていいかわかんねえ」
相手に伝えるための言葉を探せず、ガリガリと頭をかいてごまかしている。
それを見て嬉しくなった。
今まで大変な思いをさせて、今日は今日で方向が違うが無理をさせてしまった。
だけど京ちゃんは変わってない。昔のままの、私が大好きな京ちゃんのままだ。
胸がポカポカしてきて、思わず京ちゃんに重なるように倒れ込んだ。

271 :
「おっと」
「えへへ」
ぽすっとベッドをきしませながら受け止められる。
驚かせてしまったようだが、引き離されはしなかった。
まあ当然か。これから肌を重ね合せようとしているのだし。
「随分と嬉しそうだな」
「関係が変わっても、私の大好きな京ちゃんのままだってわかったから」
「……そうか」
「あ、少し照れてる」
「うるせー」
穏やかな空気。実際の関係からは似つかわしくないほどの。
「京ちゃん、そろそろ」
「わかった」
抱きしめられたままベッドに垂直だった体を、平行に。その後私が下になるようくるりと反転した。
「胸、触るぞ」
「うん」
正直大きいとは言えない私の胸。初めて触るであろう胸がこれだと思うと、色々と申し訳なくなる。
「胸ってこんなに柔らかいんだな」
「……追い撃ちをかけられた気分」
「?なに言ってんだお前」
「ううん、気にしないで」
そんなことを言ってる間にも胸への愛撫は続いている。
初めは恐る恐ると言った感じだったが、少しずつ激しくなってきている。
人に触られるというのは異聞でするのとだいぶ感覚が違うようだ。好きな人が触ってるってのもあるかもしれない。
体がポカポカし始める。
それと同時に少しずつ声が漏れる。
「んっ」
「痛いか?」
手を止め心配してくる。私なんかに気を使わなくてもいいのに。
「大丈夫、気持ちいいよ。……できれば、下もお願い」
「やってみる」

272 :
京ちゃんが体を下へずらす。
そして少し湿っている私の秘部をなぞり始める。ゆっくり、慎重に。
「そんな優しくしなくていいよ。触りたいように触って」
「わ、わかった」
動きが少し大胆になる。それでももどかしさが残ってるけど。それでも触ってるのが京ちゃんだからか、それすらも心地いい。
「はっ……あっ……」
声が熱を持ち始める。自分で聞いても色っぽさは感じないけど、京ちゃんにはどう聞こえるのかな?
下を見て見る。
ほんのり顔を赤くしていた。真剣で真面目そうな顔で私の大切なところを、いや今は京ちゃんのモノだけど、を見つめてる。
あんまり感情を表情に出さない京ちゃんだ。珍しい物を見てしまった。
面白くてそのまま見ていると、京ちゃんが顔を下ろし私に口付た!
「きょ、京ちゃん!?汚いよ、そんなとこ!ダメだって!」
「落ち着け、透。お前は俺の“モノ”なんだろ?なら俺が何しても問題ないはずだ」
「で、でも……」
「それに、お前の体を汚いなんて思った事はないよ」
「うっ」
テンプレート的な恥ずかしいセリフを言われてしまった。
立場上言い返すわけにもいかないし、ここで拒否したら京ちゃんが恥ずかしくなってしまうだろう。
……甘んじて受けるしかない。
「……わかった。続けて、ください」
「おう。ようやく主導権を取れたって感じだな」
京ちゃんが再び顔を埋める。ぺちゃぺちゃっと音を立てながら私を舐める。
今たぶん私の顔は真っ赤になっているだろう。今までで一番恥ずかしいかもしれない。嫌ではないのだけれども。
羞恥心による感情の高まりを性的興奮と脳が取り違えているのか、さっきより感じやすくなってる気がした。
舐められるたびつま先が、ピクン、ピクンと動く。
シーツを思わず握ってしまう。
余裕を失っていくのを感じた。さっきまではもう羞恥心とは無縁だろうなあとか思っていたのに。まだ普通の人だった。
――――こんなんじゃだめだ。私は“モノ”なのだから。
「京ちゃん。もう準備はいいから、さ」
「わかった」
ここでがんばらなきゃ。

273 :
「入れるぞ。痛かったら言えよ。無理はするなよ」
「うん、大丈夫。京ちゃん言われたことなら守るよ」
ウソだけど。ここでひとつ、京ちゃんに都合のいい反応を返して道具としての名誉を挽回しよう。
京ちゃんのモノが私に触れた。
喜びと期待と、若干の恐怖。
つぷっとそれが私の中にいいいいいいいっっ!?!?!?!?
「先、入ったけど……、やっぱり怖かったりするか?」
「うん……、実を言うとちょっと、ね。でも、大丈夫!京ちゃんだからね」
ホントの実のところは痛みが酷過ぎて、この後が怖いなんて考える余裕もなくただただ耐えるのみだった。
愛する人と一つになれた喜びが無いかと聞かれると、違うとはっきり否定できるが、痛い物は痛いのだ。
それをよく表情に出さずに会話できたと自分をほめたくなる。
「進めるぞ。……ぐっ」
いたいいたいいたいいたい。小さい穴をメリメリと広げて入ってくる。
京ちゃんもキツイのか時折苦しそうな顔をしている。
「私の、ちょっと狭いみたいだね。京ちゃんも無理しないでね」
「……スマン。心配かけたか?」
「ちょっと苦しそうだった。ゆっくりがツラいなら一回一気に奥まで入れた方がいいんじゃない?」
我ながら恐ろしい提案であった。実行されたら演技がばれる可能性が高い。
だが、違うのだ。
京ちゃんは私から苦痛なんか受けてはいけない。
私は京ちゃんが与えてくれるものすべてを享受しないといけない。
決定的な違い。
そしてこれがボーダーライン。私が“人”か“モノ”か、の。
とても重要な線引き。これを超えれて初めて私は京ちゃんの“モノ”になれるのだろう。
あと一歩。
それだけで。
だから……。
「だから……、私は大丈夫だから……、来て?京ちゃん」
「わかった、いくぞ」
さあ踏み出せ私。
一つ、息を飲み覚悟した。

274 :
「――――――――――」
声、出ない。苦しい。酸素が欲しい。
だが、そんなものは後だ。もっと大切なものがある。
「京ちゃん、気持ち、いい?」
笑えているだろうか。
私はモノに近づけたのだろうか。
京ちゃんに、喜んでもらえているだろうか。
「ああ、透。お前の中、すごい気持ちいい」
「嬉しい、嬉しいよ。京ちゃんに喜んでもらえて。本当に」
狂喜。狂喜。狂喜。
京ちゃんからの言葉、感情、痛みさえも全て私を満す祝福となる。
もっと。もっと。もっと!
「京ちゃん、動いて。もっともっと激しく!……一緒に気持ち良くなろ?」
「ああ、いくぞ!」
ズチュッ!ズチュッ!
血が潤滑油になっているのか、それとも痛みに反応して愛液が出てきたのか結合部からは液体交じりの音が生じていた。
「――――はっ――――がっ!――――っ」
「くっ、きっつッ!」
何度往復しても痛みが引いてく方には進まず、むしろ増していった。
だけど、これでいい。これがいい。
もっと体に刻み込んで欲しい。この一瞬を決して忘れない思い出に!
体は本能的に京ちゃんの一部を締め付け続ける。決して離さないように。
「あっ、んんっ、ひゃ!」
とうとう頭が痛みを快楽と取り違える様になったのか、私の声にもなまめかしい物が混じり始めた。
京ちゃんから与えられる甘味はこれ以上ない熱を持っていた。
その熱をエネルギーに更に甘味をむさぼろうと私の体は半場自動的に突き動かされる。
「くっ――あっ――とお、る!も、う我慢できねえ!」
「いいよ!出して!中に、出して!」
私の声が届いたのか、それとも無意識か。
最後に京ちゃんは腰を思いっきり叩き付け、私の最奥へと自身の物を注ぎ込んできた。
「あっ……つ……い!京、ちゃん……」
「透……」
バタッ
京ちゃんが重なるように倒れ込んできた。
二人とも息切れ切れだ。
しかし、それでも最後に私達は。
キスを
   し
    た
     。

275 :
「……ん、ちょっと眠っちゃった……かな」
目を覚ます。目の前には京ちゃんがいた。
眠ってる私の髪を撫でていてくれたようだ。
素直に心地よかった。
「起きたか」
「こういう時は眠らないんだね」
「うるせー。」
撫でる手が強くなりガサガサっと髪をかきたてられた。
「わっ、わっ!」
ちょっと驚く。
「まったく、心配させやがって」
あきれ顔で溜息をつかれる。
「ごめん」
「いいよ」
あっさり許しが出る。やっぱり京ちゃんはどこまでも私に甘かった。
そんなぬるま湯につかっていたんだ。自立できなかったのも当然か。
「やっぱり京ちゃんは優しいね〜」
「なんだ、いきなり」
「なんでも〜」
私がモノになりたいと言った時、真っ当な人なら怒って突き放していただろう。
こんな重すぎる女、誰がしょい込みたいなどと思うのか。
……もし、あそこで拒絶されていたら。私は現実を直視できなかっただろう。できても気が狂う自信がある。
だが、京ちゃんに近づく事だけはそれ以降しなかったと思う。それ以上嫌われるのが怖いから。
だからあそこが私を切り離す事ができる最後の一線だったんだろう。
もうこれからは離れることはできない。
だって知ってしまった。京ちゃんの優しさを、体を、この世で最も至福であろう時間を。そして余すことなく味わった。
戻れないのだ。愚かにも独り立ちをしようとしたあの頃には。どうやっても。
――どんな事があっても京ちゃんの傍にいる。
これが私の今後の人生における唯一の望みになるだろう。
あとの物は全て切り捨てても構わない。そう言い切れる。
「透、落ち着いたんならさっきの言葉を取り消しとけ」
「さっきの?」
「モノがどうのってやつだ。お前は人間で、俺の彼女だ。モノになるなんてもう二度と言うな」
真剣な顔で、少し怖い顔で、怒られる。
でも、それは……。
「うん、わかった」
口だけ。心は変わらず。だって今後京ちゃんがどう心変わりするかなんてわからないのだ。
いざって時に対応できないと困る。二度と言うなって言われたから表には出さないけど。心に秘める。決して忘れない様。
「京ちゃん、私を人間にしてくれてありがとうね!」
さあ、この世で一番幸せなモノとしての時間を始めよう。

276 :
投下終了
題名は「それができないのならせめて」です

277 :
GJです
女視点の依存ものは良いですねえ。こう、ねっとりドロドロした感じが。
エロ描写も心理描写も最高でした

278 :
GJ!

279 :
GJですた
これはひょっとして、うわさに聞く共依存というものでは……

280 :
久しぶりの投下だぁ!
ありがとうGJ

281 :
GJ

282 :
また長編書いてくれる人来ないかなぁ…

283 :
これぞ依存SSって感じで凄くいいね、幼馴染と依存の2つのジャンルは良くマッチするな
久しぶりの投下でテンションが上がる

284 :
保管庫20万ヒットおめでとう&保管乙

285 :
やったね
次は30万だ!
って事で何か書いてきます

286 :
期待

287 :
hage

288 :
みなさん、あけましておめでとうございます。今年はこのスレが盛り上がるといいですね
それでは、新年一発目投稿させていただきます
ちなみに非エロで(すみません)で短編です

289 :
6がつ1たち
きょうはあゆむくんのたんじょうび!
あゆむくんのおうちはわたしんちのとなりで、ようちえんもいっしょ。ママがいうには、うまれたびょういんとうまれたひもいっしょだったみたい!
そんなわけでわたしとあゆむくんは、うまれたときからずっといっしょなのです! そしてわたしはあゆむくんがだいすきなのです!
だからきょうがたんじょうびのあゆむくんがしあわせになれるようにと、わたしはよつばのクローバーをあゆむくんにわたしました。
するとあゆむくんはすっごくよろこんでくれて、わたしもすっごくうれしくなりました。
それで、こんどはわたしがあゆむくんにプレゼントをねだったら、あゆむくんはわたしにゆびわをくれたのです。
なんでも、
「ぼく、ひなちゃんに何をわたしたらいいかわかんなくてパパにきいたんだ。
そしたらね、とりあえずゆびわをわたしときゃおんなはイチコロだぜ! って言ってた。
だからね、こっそりパパのゆびからひっこぬいてもってきたんだー」
っていってました。あゆむくんはいがいとワイルドです。
「これね、ずっといっしょにいるってあかしなんだって。
ぼく、ひなちゃんとずっといっしょにいたいからひなちゃんにあげちゃう」
そしていつものかわいくて、でもかっこいいかおをまっかにしながら、そんなことをいってくれました。
わたしはとってもうれしくなって、だかららいねんはわたしも
ママのゆびからゆびわをひっこぬいて、あゆむくんにわたそうとこころにきめました!
そのあとは、いつものように二人っきりであそびました。
いつもすっごくたのしいけど、そのひはいつもよりも、もっともっとたのしかったです。
なんだか、こころがとってもぽかぽかしました。
えへへ。

290 :
6月20日
いつも私ののとなりにいる、幼なじみのあゆむは本当にめんどうくさい。
「おいひな、傘わすれたから入れてくれ、つーか入れろ」
「はぁ? なに言ってんのあゆむのくせに。私の傘にはいっていいのは、イケメンだけなんですけど?」
「じゃあおれ入ってオッケーじゃん」
「あゆむ、あんたかがみ見たことあるの?」
「ああ、いつも思うぜ、おれ、かっこよすぎるってな。ほら、そんなおれさまが入ってやるから」」
そんなことを言って、どうどうと私の傘の中に入ってくる。
まったく、小学校高学年にもなって、傘ももってきてないなんて、バカなんだから。
まぁ、あゆむがカゼ引いたらかんびょーのために学校休まなくちゃいけないから、しょうがなく入れてあげたけど。
おかげでまわりの人から、あーあーまた今日もひなとあゆむはラブラブだなぁ、なんて言われるし。
本当にさいあくだ。私は幼なじみだから、しょうがなく一緒にいてあげるだけなのに。
「おいひな、かえったらスマブラ決ちゃくつけようぜ」
「ふっ、そうね。スマブラ10000試合たいきゅうレースも残り300くらいだっけ。
たしか今の所、9701戦4820勝4819敗62引き分けで、わたしが一歩リードしてたわよね?」
「ばっかちげーよ。ひなの勝ち負けの数はぎゃくで、俺が一歩リードだろうが」
「はっ、私のサムスにいつもボコボコにされてるのはどこの誰かしら?」
「はぁ!? よしわかった! 今日は手かげんしねえでぼっこぼこにしてやっかんな! ひな、かくごしとけよ!」
「ふふっ、私も今日はちょう本気だすから! 本気出しすぎて女で最初のスーパーサイヤ人になるくらい本気出すから!」
それで結局そのままあゆむと、二人で夜遅く眠くなるまで家でゲームした。
日記帳を読み返すと、昨日も一昨日もこんな感じであゆむとずっと遊んでた。
ママは、
「ほんとうにひなとあゆむくんは仲いいわね、毎日ずっといっしょにいるし。ひな、あゆむくんの所におよめさんに行く?」
って一緒に入ったおふろで私に言ってたけど、じょうだんじゃない!
私はあゆむなんか全然好きじゃないもん! ただあのバカがわたしにちかよってくるからかまってあげるだけだもん!
ってお母さんに言ったら、なぜか笑われた。
なんでだろう。

291 :
12月24日 雪
今年であゆむとか言うバカと一緒にクリスマスを迎えるのも14回目。
今年は私の友達とあゆむの友達を呼んで私の家でクリスマスパーティー。
彼氏彼女いない同士、みんなでわいわいやろうとしたんだけど……。
「ねぇひな。その、私たちお邪魔じゃない?」
突然、私の親友の香織がそんな事を言い出した。
「えっ? 何で? みんなでわいわいしようよ。ってこら! あゆむ! 勝手にチキン食うな! あんた散々つまみ食いしたでしょ!
あはは、ごめんね。隣の家に住んでるサルの手癖が悪くて。もう一週間前から泊まり込みで私の料理の味見してるのにまだ食い足りないみたいなの」
「はぁ!? 誰がサルだブス! てめぇみたいな女の料理を食ってやってるんだ! 感謝されこそすれ、怒られる筋合いねーや!
それとな! 泊まってるのは一週間前からじゃねえ、10日前からだ! クリスマスパーティーの計画を一緒に考えてたじゃねえか!
しかもてめぇが、『夢の国のクリスマスパレード見た〜い! あのネズミに会いた〜い!』とか言うから、しょうがなく付き合ってやった俺様の慈悲がわかんねえのか!」
「あーもうギャーギャーうっさいわねサル! ブサイクサル! なーにが計画を一緒に考えたよ! あんたはただ私の料理食べてグータラしてただけで、ロクに企画しなかったじゃない!
それにネズミーランドで一番はしゃいでたのあんたでしょうが! ずっと私の隣でアホみたいにハイテンションで騒ぎまくってたのはどこの誰よ!?」
「ばーか言ってんじゃねぇこのゴリラが! 俺より楽しんでたのはどう考えてもお前じゃねえか!
一々着ぐるみを見かけるごとにワーワーキャーキャー騒がしいんだよ! 一緒にいて恥ずかしいったらなかったぜこのバカ女!」
「なんですってぇ!?」
……といつものように1時間ほど口喧嘩をしていたら、みんなが
「やっぱり、私たちお邪魔だったね……」
「つかクリスマスの10日前からずっと一緒にいるって、どんだけラブラブカップルよ……」
「なんだろうな、この嫉妬する気にすらならない圧倒的敗北感……」
「なぁ、あゆむ。この前、男子みんなの憧れのひなさんと俺の仲を取り持ってくれって言ったじゃん? やっぱその、辞めとくわ……」
と、呟いた後、どんどんテンション低くなった事は覚えている。
その後、一応プレゼント交換会とかビンゴ大会はしたけど、大して盛り上がらず、解散。
「なーんだろ、今日みんなテンション低かったなぁ」
「確かに。私の友達も普段はもっと喋るのに」
「ひなどーするよ、まだ寝るには早すぎる時間だしよ」
「んー、流石にゲームする気にはなれないしねぇ……」
「そーいや、俺の友達が駅前のイルミネーションが綺麗だって言ってたぜ」
「イルミネーションならこの前、夢の国で嫌ってほど見たけど……まぁせっかくのイヴに家に居てもしょうがないしね。行く?」
「……しょうがねえ行くか。隣にいるのが超絶美少女じゃなくて口の悪いゴリラってのが不満だが」
「うるさいサル、来年はあたし、超絶イケメンとラブラブなイヴを過ごすんだから」
「お前それ去年……つーか、俺が物心付いた時から同じような事を言ってるからな」
「あんたも毎年似たような事言ってるでしょーが!」
結局、今年もこのバカとイヴを過ごした。
来年こそは必ずカッコいい男と付き合って、このバカの吠え面見て笑ってやるんだから!

292 :
12月20日 晴れ。
今年こそは大盛り上がりのクリスマスパーティーをしようとしたんだけど、何故か皆に苦笑いで断れた。
それはあゆむも一緒だったらしい。
「なーんでみんなに断られちゃったんだろうね……せっかく今年こそは盛り上げようと、私があゆむの家に20日間泊まり込みで計画を練ってるって言ったのに……」
「俺も断られちまったぜ……。おかしいよなぁ。俺付き合ってる奴いねぇのに、『何が悲しくて学校一のバカップルのクリスマスパーティーに呼ばれなくちゃいけないんだよ』って言われたぜ?」
「あっ、それ私も言われた」
「なー、意味わかんないよなー」
「うん、全然意味わかんない」
「まぁでも、断られちまったもんはしょうがねえ。二人で明石家サンタでも見てまったりしようぜ」
「りょうかーい。じゃあイヴまで久々にスマブラでもやる?」
「オッケー!」
結局今年のイヴもこの猿と過ごす事になりそうだ。
来年こそはイケメンとロマンチックな夜を過ごして見せる!

293 :
7月8日。
もうすぐ高校生最初の夏休み!
すっかり新しい環境にも慣れ、新しい友達も一杯出来た。
親友の香織も一緒の高校&一緒のクラスで、すっごい楽しい。
後はこれでカッコいい彼氏でもいたら最高の夏休みになるんだけど、まぁそれは高望みしすぎかな。
って今日、テスト終わりの女子だけの打ち上げでカラオケの一休み中に言ったら、大半の子に驚かれた(香織だけはため息ついてたけど)。
「えっ? ひなちゃんってあゆむくんと付き合ってるんじゃないの?」
「あゆむ? あはは、あのバカと付き合うくらいなら、近所のアホ犬と付き合う方がマシね」
「えーそうなの? だってあゆむくん、結構可愛い顔してるし、ひなちゃんとめっちゃ仲いいし、てかいつも一緒にいるし……てっきり付き合ってるかと……」
「いやーそれはないってばー。腐れ縁よ腐れ縁。むしろ高校もクラスもまた一緒でしかも席も隣でうんざりしてるんだから」
「えー……傍から見たらお似合いなんだけどなー」
「だーから、もうやめてってばー。いくら何でもそれ以上言うと怒――」
「ゴホンゴホン、んんっ、ひな。そのあゆむくんから電話来てるけど……」

294 :
「――なにあゆむ、どうしたの?」
「おいやべえよひな! 俺今男だけでボーリングしてんだけどよ! 3回連続でストライクとっちまった! 俺マジすごくね?」
「いやいやそんな事言ったら、今さっきカラオケの採点で95点取った私の方がすごいし!」
「いーや、俺のボーリングのが絶対凄いね!」
「私の方よ! ってかあんたテストは大丈夫だったんでしょうね? 朝も昼も夜もあんたに付きっきりだったんだから、点数低かったらぶっ飛ばすわよ」
「ああ、ひながずっと傍で教えてくれたお陰でバッチリだぜ! あと俺様のヤマ勘が当たりまくったからな!」
「流石サル……」
「うるせー。てかアレじゃね? 最近ひなとカラオケ行ってなくね?」
「あっ、そう言えば私もあゆむとボーリングしてない」
「じゃあ今週末はボーリングとカラオケ行くか?」
「行く行く。あっ、てかわざわざ集合時間とか決めるのめんどくさいから今日からあゆむの家に泊まってていい?」
「おおいいぜ。んじゃ夜な」
「うん、じゃーねー」
ピッと電話を切る。
「あはは、ごめんね。なんかあゆむがどうでもいい事を自慢してきてさー……ってアレ? みんな?」
何故かみんな、苦虫を百万匹食い潰したような顔になって、
「朝も昼も夜も付きっきり、ねぇ……」
「無自覚ノロケって、どうしてこうも心に来るのかなぁ……」
「週末の予定もちゃっかり決めてるし……」
「しかも今日まだ木曜日なのに、今日から泊まりっきり、か……」
と、ぶつぶつと呟いていた。
香織だけは、
「大丈夫よみんな。その内、嫌でも慣れるから……」
と、遠い目をしてたけど。
「おーいみんなーテンション低いよ! さっ、みんなで歌って盛り上がろう!」
気を取り直してそう言ったけど、
「お、おー……」
って反応であんまり盛り上がらなかったなぁ。
ううーん、何がイケなかったんだろ……。
……ま、いっか。
さて、あゆむの家に行こっと。

295 :
とりあえずここまでです
まだ続きます
駄文、失礼しました

296 :
gjです

297 :
おれもこの一般人たちと同じリアクションすると思うわwww

298 :
おお!地味に作品きてたね
GJ!

299 :
寂しいのう

300 :
自給自足の精神だよ
読み手が書き手にならなきゃ

301 :
じゃあちょっと書いてくるか

302 :
俺も書いてこよっと

303 :
君たち書いてくるだけで、絶対に投下しないでしょw

304 :
心理描写ちゃんと出来ないと依存っぽくないから書くの難しいんだよね
俺も何度か書こうとして挫折してる

305 :
俺も書けなかったよ
依存作品難しいわ

306 :
依存ってカテゴリーが狭すぎて、同じような作品になってしまうんだよね
だから他ジャンルよりストーリーや内容で魅せないと人が見に来ないし飽きられる

307 :
俺は依存作品書くほどに段々と依存を匂わせる方向へ行ったな
依存がやや薄いからここには投下してないが
濃いめの依存作品はもう難しいのかもね

308 :
出し尽くした感が否めないな

309 :
そういう意見聞くとオレが投下した奴とかもお情けでGJ貰ったのかと不安になるな……
依存心が露呈する前の関係とか露呈した後の対応とかでまだバリエーション作れると思う
組み合わせ変えるだけで増えてくしまだ終わって欲しくねー

310 :
そうだそうだ!
まだまだ可能性はあるぞ!

311 :
その可能性を見せてくれ!

312 :
むしろ依存ってジャンル自体がマイナー過ぎてテンプレートが殆ど存在しないから
作りにくいんだと思うな
例えば「あんたのためにやったんじゃないんだからね!」みたいな

313 :
あなたのためならなんでもするよ、だから……
みたいな?

314 :
「す、捨てないで!あなたのためならなんでもやるから!」

315 :
依存か……このスレは好きだけどな…
最近は書き手のレベル落ちてる感がすごい
読んだら分かっちゃうんだよね
この作者、ネット小説しか読んでねーなって
荒れてないし、このスレ自体は好きなんだけどね

316 :
>>314
捨てるの前提かw
このスレ的に依存キャラって言ったら誰になるんだろうな?

317 :
攻撃性のないヤンデレ
またはちょっと歪んだ一途な女の子
という認識
キャラで例えるのは漫画とかに詳しくないから苦手
冬目景や高橋留美子のキャラが近いかな

318 :
じゃあ、小ネタを一つ。

「え、何ですって? 私の執事を辞めたい?」
「はい……」
「ちょ、ちょっと待って! じゃあ、誰が私のご飯を作るの? 誰がお風呂の世話をするの!?」
「それは……誰か他の者に……」
「冗談じゃない! いいかげんにしなさい! おまえの代わりがいるとでも思ってるの!? 誰か他の者? そこらの馬の骨に私を押し付けるつもり!?」
「実は……かくがくしかじかというわけでして……」
「……なんだ。お金で解決できるの。私を嫌いになったんじゃないんだ」
「はい……父を手伝わなければなりません……」
「うん、うん……わかった。それは私がなんとかする」
「ほ、本当ですか!?」
「うん、だから、もっと私を大事にしてほしい……」

こんな感じかな?

319 :
>>318
最後脈絡無さすぎw

320 :
>>319
なんだ、贅沢なやつだなww
デレは必要だろ、デレは
じゃあこれはどうだ

「え、私の執事を辞めたい?」
「はい……」
「なんで……なんで、そんなことを言うの。おまえが居なくなって、私はどうやって生きて行けばいいの……」
「お嬢さま、泣かないでください……」
「私は、そんな冗談は嫌いだって、知ってるよね……?」
「はい……実は、かくがくしかじかというわけでして……」
「ああ、そんなことだったの。私はてっきり……」
「申し訳ありません。父を手伝わなければならないのです……」
「いいんだ。お金は、私がなんとかする」
「ほ、本当ですか!?」
「うん、だから、これまで通り私に尽くしてほしい」
「はい! ありがとうございます!」
「うんうん……それじゃ、一緒にお風呂に入ろうか。身体、洗ってくれるよね……?」

素直クール型依存お嬢さま。
素クーは難しいな……

321 :
>>320
素晴らしいな
しか〜し…俺に書かせればこんな感じだ!
「え…今日で私の執事を辞めたい?」
「申し訳ありません…」
「ダメよ。そんなこと許されると思ってるの?」
「旦那様にはもう話は通しています」
「はぁ?貴方はお父様の執事じゃなくて私の執事でしょ!?」
「雇って頂いてるのは旦那様です」
「ぐっ、このッ!」
「殴りますか?別にいいですよ」
「ッ……分かったわよ、謝ればいいんでしょ!?ふん……(ぺこっ)ほらっ、これでいいでしょ?」
「謝って頂いても、どうにもなりません。それでは」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!分かった…分かったから!ほらっ、これでいいでしょ?ね?」土下座
「……だから…」
「そ、それじゃ給料は倍にしてあげる!お父様には私が話すから!」
「……五倍で」
「……分かった…何とかする…」

322 :
>>321
ほほう、ツンで来たか
素晴らしいな
だが俺のツン型依存はこうだ!

「え、何? あんた殴られたいの?」
「いえ、お嬢さま。本気で言っております」
「馬鹿言ってんじゃないわよ! 辞めたい? どの口が言ってんのよ!」
「この口です、お嬢さま」
「あー言えばこう言うわね……」
「うわっ!! な、殴らないでくださいよ」
「まだ殴ってないでしょ! 私を見捨てようってんだから、当然の罰じゃない!」
「……見捨てなんかしませんよ。実は……」
「へ? お金? そんなことなの?」
「はい……父を手伝わなければならないのです……」
「しょ、しょうがないわね! わ、私がなんとかしてあげるわよ!」
「ほ、本当ですか!?」
「ま、まあ、おまえには世話になってるし、たまにはね。だから、その……辞めるなんて……」
「お嬢さま……」
「ばっ、馬鹿! これくらいのことで泣かないでよ! 泣き止まないと、パンチを入れるわよ!!」

ツン型依存お嬢さま。
うーん……依存が足りんかったか……

323 :
これでよく書き手のレベルが落ちてるとかネット小説しか読んでないとか言えるね

324 :
いや
言うだけじゃなく自分から参加していくのは偉いと思ったよ

325 :
>>323
台詞だけしか書いてないのに批評されると思わなんだ
じゃあ、なんか書いてみろ
憎まれ口叩くだけなら、おまえはタダの荒らしだよ
もしくは批評家気取りのクズか
まあ、クズの方だろうけどな

326 :
>>325
荒れてないスレが好きと言うなら発言もうちょっと考えよう
この話題はここまでにしよう

327 :
わかった、この話はもうやめよう、ハイ、やめやめ!(ウルトラマンAA略)

328 :
作品来ないかな〜

329 :
読み手が書き手になれば解決です

330 :
もう前に書いてた人達は来てないの?

331 :
来てないですね
みんなどこに行ったんでしょうか

332 :
ノクターンに一人いたな

333 :
ここ規制しまくりだしなぁ

334 :
>>332
kwsk

335 :
外部にみんな行ってしまったのか

336 :
>>332
他にもノクターンには何人かそれっぽいのはいる
読み専か書き手だったかまではわからないけど

337 :
土日だし投下あるかなー

338 :
エロパロ板に投下するメリットがないからな
荒らしがいてまともな感想が貰えないし
ノクターンに行くのもわかるわ

339 :
まぁこのスレは荒らしって感じの輩はあんまり見ないけどな

340 :
ノクターンは全然規模が違うからな
たくさんの人に読んでもらえるし評価も目に見える形でされる
まぁ外部だろうと依存話が読めるのは良いことだ

341 :
ノクターンのおすすめ教えてください

342 :
>>341
気が付いたら義妹がM奴隷になっちゃって
だな
依存とは書かれてないがこの作者さんの他の作品には依存タグついてるのもあるしこの作品も依存の王道のような話

343 :
>>342
途中まで読んだけどとても素晴らしかった
教えてくれてありがとう

344 :
ここが好きだからここに投下したい
でも新しい依存が発明出来ない

345 :
あーつれーわー
あなたがいないとマジで生きてられないからつれーわー

346 :
なめてんのか?

347 :
>>345
だらだら依存か

348 :
>>344
1年に1度従兄のお兄ちゃんに会えることを楽しみにいじめに耐える女の子とか
ボーイッシュで男扱いされてばかりの中唯一女扱いしてくれて
好意を抱いていた幼馴染が恋の相談を持ちかけてきたとか
既存のモノを組み合わせてがんばれ!
オレはどっかで見たようなものばっか浮かぶけど!

349 :
王道こそ至高

350 :
読み手が書き手になるのだ
お前の至高の依存を書くのだ

351 :
書き手が読み手になり、読み手が書き手になるんだ

352 :
この場所を守りたい俺達
書いて守ろうぜ!

353 :
俺も書いてみるか

354 :
女「えーどこ情報ー?私があなた依存してるってそれどこ情報ー?」ベタベタスリスリニコニコ
男「え?違うの?じゃあ動きづらいから離れてほs 女「嫌」グイッスリスリ

355 :
>>354
Gj!!!

356 :
>>355
無理があるだろw

357 :
漫才かよw

358 :
妄想余裕でした

359 :
>>354
鬱陶しい依存は確かに新しいかもしれない
たいていは大和撫子みたいな感じだったし

360 :
書き手来ないかな〜

361 :
心にしまっておいたけど言わなきゃ誰も分からないから言ってしまおう。
>>276
お願いだから続編書いてくれ!
この二人大好きなんだ…

362 :
それじゃ>>276に書いてもらう為にみんなで>>276を奮い立たせよう
>>276続き書いてくれ!頑張って!

363 :
読み手が書き手になってここを盛り上げれば書いてくれるさ

364 :
書ければなー
確かに盛り上がるんだろうけど

365 :
外から来ないなら身内で何とかするしかないもんなぁ

366 :
養殖ですね

367 :
>>365
読み手が書き手になる時が来たようだな

368 :
わかったってw何回同じ事書くんじゃw

369 :
>>368
きっと読み手が書き手になるまでやるだろうさ

370 :
よし!
書いてくるわ

371 :
>>370
期待!

372 :
だから>>370これ書く奴は絶対に書いてこないって

373 :
じゃあ俺は書いてこないぜ!

374 :
>>372
>>276の人は書いたじゃない

375 :
>>374
そうだな
去年の、しかも11月の書き込みまで気にしてなかったわ
>>370が書いてくれるとありがたいな

376 :
よし、俺も書いてくるぜ

377 :
すまん、誤爆なんだ・・・

378 :
許さないよ
書いてきてね

379 :
わけがわからなくなったけどまぁ気長に待とう。

380 :
こらっ!馬鹿、今は駄目だ!出てくるんじゃない!

381 :
誤爆しますた……ごめんなさい。

382 :
誤爆ごっこはやめてね
謝罪の代わりに書いてきてね

383 :
書く書く詐欺はやめろ
期待して待ってしまうじゃないか

384 :
期待してるから早く書いてきてね

385 :
いざ書いてみると書いてる間にエロ要素が消えてて困る

386 :
もうエロ要素なくてもいいよ

387 :
なくてもいいんですか!?
なら投下出来そうだ

388 :
今年に入ってまだ作品が一つしか投下されてないという厳しい現実

389 :
これもうダメだろ…去年まではわりと盛り上がってたのに、突然みんな居なくなったな

390 :
駄目になんかならないよ
俺らがいるじゃないか
俺らが書いてここを活気付ければまた投下してくれる人もいるさ

391 :
なんとかみんなで頑張ろうぜ
とりあえず数行書けたが後は無理だった
誰か頼むわ

392 :
>>391
今書いてるけど、どうもモチベーションが上がらない…
短編にしようか長編にしようかも悩むし、長編にして終わらせられるか…
書く前に決めた方がよかったなw
とにかく3ヶ月ぐらい前に書くって言ってからまだ投下できてなかったから、なるべく早く投下します
ただやっぱり依存ってカテゴリーの狭さが難しいよね…

393 :
もう特殊な依存タイプを新しく書くんじゃなくて物語に依存ヒロイン絡める感じで行くしかないのではないか
ロミオとジュリエットのジュリエットが依存ヒロインだったらとか

394 :
そうだな
それに短編にした方がいいかな

395 :
>>394
短編がいいよ
長編はモチべ維持きつそうだし
童話集や怪談やらの方向からこっちは考えてみるわ

396 :
このスレはもっと賑わうべきだと思うわ。
あぁ書き手さん戻ってこねぇかなぁ。

397 :
書き手のレベルが高くないと書けないからなぁ依存ものって
心理描写きっちりやれないと書けない
俺も書きたいけど書けんよ
たぶん挫折した奴は多い

398 :
保守

399 :
スマートフォンに変えたの 間違えたかなぁ…投下してから変えるべきだった。
また始めから書かないといけない。

400 :
投下期待保守

401 :
書く書く詐欺

402 :
>>401
ほんとに書きたいんだよ!
試みてはいるんだよ!
でも書けないんだよ!

403 :
>>401
他人のやる気削ぐような発言止めようぜ
本当に書く書く詐欺だとしてもだ

404 :
>>396
読み手が書き手になる時が来たようだな

405 :
書き手が読み手になったようだな

406 :
俺も頑張るからお前らも頑張ろうぜ

407 :
>>405
何故ばれたんだ!?
ていうか元書き手ばかりなのかもここ

408 :
頑張ろうぜ!
みんなで頑張ろうぜ!

409 :
頑張れ

410 :
半分ネタスレと貸してきたな

411 :
みんなこのスレに依存してるのさ

412 :
>>410
投下がないんだからしかたない

413 :
>>410
じゃあ投下してくださいよ〜!
だらだらと伸びてるだけでもまだここはましだ

414 :
人はいるようだからまだまだやれるはず

415 :
まぁ同じ人ばかりだろうけど、定期的に書き込みがあるならまだ救いがあるだろう

416 :
軽く投下。

 どれ程までの時間が過ぎただろうか。何度も見慣れた部屋の構造に目を動かす。まるで変化のない部屋の様子に心なしか、少し溜息が漏れる。
 変化がないという事だけでこうも憂鬱になるとは思ってもみなかった。そう重苦しい憂いが彼に苛みを振り落とす。
――――――――いや、これも俺が望んだことだ。
 そう、自らが希い叶った事実。あの時から、こうなる事を望んでいた。
 強引ではあるがそう思い込ませ、何とか不安に揺らぐ心境を落ち着かせた。
――――――――でも、あの人がいない。
 憂いは消えた。
 だが、うら寂しい感情と人肌が恋しくなった。同時に、心に浮かぶ愛しいあの人の顔。
 恋い焦がれる気持ちが寂しさ、辛さ、愛しさが混ざり合い、不安となって彼の思考を一色に染める。
――――――――帰って……きて欲しい。

ガチャリ

 そう思うのも束の間、金属音が廊下の奥から響いた。
 彼は突然の解錠の音に驚くものの、視線を玄関に移した。
 ゆっくりとドアノブが回され、扉が開いていく。
 そして、開いた扉から漏れる光に遮るように人影が室内へと影を忍ばせる。
 やおら扉がしまると、逆光で正体がわからなかった人影が部屋の明るさで浮かび上がる。
 肩まで伸びた漆黒に冴える髪、吊り目気味の切れ長な瞳、整った顔立ちから人を魅了するような美貌を放っている。
 そして、身に纏った黒色のレディーススーツは艶やかで美しい彼女の容姿と合っていて何処となく敏腕キャリアウーマンのようにも見える。
――――――――あぁ、帰ってきてくれた。
 待ち侘びた、彼女の帰り。嬉々とした感情が安堵を引き寄せる。
 彼女はというと、彼の姿が視界に入った瞬間、靴を素早く脱ぎ捨て、ドタドタと彼の元まで走った。
「ただいま!」
 彼の居座るリビングに辿り着くと、まず始めに彼の身体を抱きしめた。彼も嫌がる素振りをせずに彼女の抱擁を受け入れている。

「良い子に待ってたんだね。嬉しいよ」

――――――――先輩、良い匂いだ。

 甘い、そして落ち着く彼女の匂い。嗅ぎたりないと言わんばかりに彼女の首筋に鼻先を埋める。
「ん、ふふ……そんなに匂い嗅がれると、くすぐったいよ?」
 困ったような声色だが、拒むような様子は見せていない。寧ろ、嬉しそうに微笑みを零している。
 肺一杯に彼女の香りで満たすと彼は顔を上げた。
 四六時中、見ていたくなる麗しい先輩の顔。かつての高校、大学、そして勤めていた会社の先輩。
 しかし、今のこの関係に上下はない。彼と彼女。恋人と恋人。それだけ。

417 :
――――――――先輩。
「ん……」
 以心伝心と言うべきか、彼が言いたい事を汲み取ったかのように彼女はほんのりと頬を赤く染めて徐に彼を抱き上げた。
「ごめんね、少し揺れるかも」
 彼を掻き抱くと、しっかりとした足取りで廊下に飛び出す。そして、彼女が数歩程、足を進めた辺りで扉の前に立ち止まる。
「ん、しょっ……」
 片手間で彼の身体を何とか支えつつ、空いた手でドアノブに触れゆっくりと扉を開けた。

ガチャ……バタン……

 扉を閉め、部屋の中に入ると、彼女は部屋の中央にあるダブルベットに彼の身体を投げるように降ろした。
 そして、彼女は彼の身体に跨り、舌なめずりしながら形の良い唇を歪ませて彼を見下ろした。
「……今日も良い子にしてたからね。私がたっぷりとご褒美をあげるね……んっ……」
 そう言うや否や、彼女は目と鼻の先まで顔を近づけた。彼女の甘い匂いが鼻腔を掠める。
 次いで、彼の唇に柔らかい感触が伝わった。ふぅふぅ、と彼女の弱々しい吐息が当たってなんともこそばゆい。
 彼も、不自由だが何とか使える首を押したり引いたりと強弱をつけながら、彼女との深い接吻を楽しむ。
「ん、ふっ……ぅ、ちゅる……」
 口付けを堪能していると、ぬるぬるとした舌先が口内に侵食してきた。
 彼は縦横無尽に動き回る侵入者を捕らえるように舌を絡ませる。
「く、ふ……ぅんん……」
 搦めるように這わせ、2人の間からには唇と舌が絡む音が漏れている。唾液が混ざり合い、 舌が擦れる度に走る仄かな快感に2人は身を任せる。
「ん、ちゅ、む……ぷは、はぁ……くふふ……♪」
 彼の唇から漸く離れた彼女は唾で濡れた唇を蛇の如く、舌で舐める。うっすらと鬼灯色に染まった頬に、嗜虐的な笑みを滲ませる彼女はそんな仕草も相俟ってか、艶美な娼婦に見える。
「それじゃあ……始めよっか」
 彼女は彼の頬を愛おしげに撫でて目を細めた。
 また今日も始まる。快楽と劣情、愛欲に塗れた交りが。
 何時からこうなったのだろうか……彼女としか温もりを交わさなくなったのは。
 もう何日も日の光を彼は浴びていない。
 かつての友人の顔も、忘れってしまった。彼の記憶に残っているのは彼女の顔だけ。
 彼女とは高校で知り合い、大学では彼女と付き合い、社会に出てからは監禁された。

418 :
 ……でも、監禁されてから彼は逃げ出そうとは決してしなかった。
 何故なら、彼は彼女に四肢を全て奪われ、声も彼女が盛った毒によって出せなくなっていたからだ。発声は出来ない事もないが、せいぜい、掠れた呻き声を発するのが限界だ。
 いつ日か、声を出す事は止め、目で訴えかけるようになった。
 それで意思が通じるかは疑問だが、彼女は彼がして欲しい事、望んでいる事を簡単に汲み取り要望には応えてきた。
 そんな状態であっても彼は彼女に従順だった。
 恐らく、彼女が四肢を取らずとも、彼は逃げ出そうとしなかっただろう。
 理由は、先輩と慕う彼女を、狂おしい程に愛していたから。
 愛する人の元から逃げ出すなどと、愚かしく、考えた事もない。
 そして、今あるこの状況も、自らが望んだ結果。腕や脚が無くなるのも構わなかった。寧ろ、彼女が望んだ事なら、と喜々として受け入れたぐらいだ。
 彼女と、2人だけで過ごせるなら……彼は何でもした。例え、それが狂っていようとも。

 この楽園は2人だけのもの……邪魔する物は何もない。
 そう、何も……

419 :
短くてスマソ。
元ネタは分かる人がいるかもしれないけど、人豚。
人豚の状態で監禁とか面白そうと思って書いたけど……思ったより書けなくて……すまぬ……すまぬ……

420 :
うめーーー!
スゲーーー!
Gj!!!!!!!!!!

421 :
久しぶりの投下に感激ですよですよ

422 :
ありがてぇ
ありがてぇ

423 :
久々に投下が
ありがたい
gj

424 :
やったーーーーー!
投下だーーーーーーーーー!

425 :
軽くと言わずもっと頼むぜよ

426 :
救世主!

427 :
自分が書いたSSのエロ部分を見ると、俺は何をやってるんだろう…って自己嫌悪に陥る

428 :
エロがなくてもいいので投下頼むぜ!

429 :
久々に見たけど投下あったのか
ナイス!
これでここもまだまだやれるな

430 :
このスレすごい好きだし
文才無いけど文書くのもすごい好きだからなにか投下したいんだけど
いざ書くとなかなか依存って感じじゃないんだよなあ
でも頑張って書いてみるわ
出来たら投下する。エロないけどね。

431 :
>>430
楽しみにしてる

432 :
保管庫民だけど更新待ってるよ

433 :
このスレの投下作品以外にオススメの依存あったら教えてほしい

434 :
依存は難しいんだよ
時々、取り沙汰されるけどヤンデレと混同されがちだし、そこからメンヘラ入ってくバカもいるからな……
俺も探してるが、作者が言葉の意味すら分かってない場合が多い
しかも面白いものとなるとこのスレ以外では難しいな……

435 :
このスレでも難しいだろ。
ていうか俺には正直甘えんぼスレと区別がついていない
キャラクターが多少悲惨なくらいしか違いが分からん
面白いものはあるからいいんだけど

436 :
狭義のヤンデレが好きで依存はヤンデレのパターンの一つだと思って楽しんでる
甘えんぼとの違いねえ
主体性があるかどうか?
甘えんぼは甘えたくて甘えてて最悪我慢はできる
依存は依存したい訳じゃないが自分の中心に組み込まれてて外すことができない、とか?

437 :
甘えんぼスレは女の子が甘えるスレだと思うけどじゃあ逆に男を甘えさせるとかどうだろう
依存した相手を逃がさない為に男を甘やかす依存ヒロインとかそんな感じで

438 :
それもあり
お互いにでも一方的にでも愛情過多に依存してればよいのだ

439 :
生きている人、いますか

440 :
>>439
ノシ
ちょっとネタが浮んだから書いてみたら
完結するまで長そうなので諦めた。
ちなみにおっさんとお嬢ちゃんの脱出話。

441 :

ネタがあるなら是非とも書いて欲しい

442 :
とりあえず書いてみます。
依存度低そうですが。

443 :
wktkwktk

444 :
読み手が書き手にならなければ未来は無い
俺も頑張るからみんなも頑張ろうぜ!

445 :
書きたいしネタもあるけど規制されてるんだなあ
規制されてるからやる気はあっても頑張れない

446 :
投下します
・軽依存?
・エロ要素はない、予定
・不思議な所あり
・全5話の予定

447 :
第1話
「暑っ」
石神駅の改札を出ると夏の日差しが迎えてくれた。
アスファルトに陽炎が立った駅前はエアコンの効いた列車とは天国から地獄へのような落差だ。
バスの時刻表も熱で歪んでいるのか色褪せて見難いが最終便の時刻を確認して
熱射から逃げるべく近場の木陰に移動する。
大きな楠木の下のベンチでは老婆と孫娘らしき2人が座って話していて
邪魔にならない様に少し離れた場所にリュックサックを下ろして休憩する。
「さてと」
リュックサックからメモ帳を取り出して確認する。
(駅前のバス停から最終便に乗って、終点まで乗ればいいわけか…あれ?着いたらどうすれば?)
「ま、なんとかなるさ」
ぱたっと閉じてメモ帳を定位置にしまい、腕時計を見る。
まだバスの時刻まで少しある。
駅前を見渡すとバス停の反対側に商店らしき建物が見えた。
(大丈夫だと思うけど念の為にね)
リュックサックを背負ってから建物へ足を向ける。
 *

448 :
商店で買ったペプシを飲み干したらバスが駅前にやってきた。
久々に飲んだので何度かゲップは出たがやはりペプシは最高だ。
そんな名残惜しい缶を金網箱に入れてバスの乗車の列に並ぶ。
並んでいるのは5人。前にはベンチに座っていた老婆と孫娘がいる。
(今回は座っていけるな)
荷物が大きいので道中のバスと列車ではほとんど椅子に座れなかったが人数の少なさに安堵した。
バスが停まると乗降口は1つなので10人ぐらいの乗客が降りきってから乗り始める。
しかし、目の前の女の子が乗降口のステップの前で止まった。
「んなっ?」
そのまま行くと思っていたので少し女の子に当たってしまい、彼女の麦わら帽が落ちて転がる。
「ごめんごめん、はい、どうぞ」
怖い面相なのは承知の上なので、拾った麦わら帽を怖がられない様に優しく言って渡してみる。
そこで気付いた。
俯いた女の子の横顔は血の気が失せて震えていた。
「大丈夫か?」
思わずいつもの調子で女の子の肩に手を当て言う。
「は、はい。…だ、大丈夫です」
気丈にも笑顔で言う女の子だが変わってはいない。
何が原因かわからないがこれでは乗れそうにもない。
「大丈夫かね?」
バスの方から声がかけられる。見るとさっきの老婆が心配そうな顔をしていた。
「この子、1人で豊松に行く言うてたがバスが苦手なんかね?」
「え?あ…」
(お婆ちゃんと孫かと思ったら、他人か?)
「大丈夫です…すみませんでした」
愛想笑いをしてなんとか進もうとしているが体が拒否しているようだ。
「お客さん、乗られます?」
「あ、はい」
今度は運転手から言われる。さすがに困惑しているのはわからないでもないが…
「わ、私も乗、ります…」
「無理せんがええと思うが…」
老婆が後ろの運転手を見ると
「これが最終便です」
肯いて運転手が言う。
(この子をどうにかしろって事か?)
腹をくくり女の子の両肩に手を乗せて面と向かせる。
「ええっと…俺は若生智雄(わこう・ともお)って言うんだけど、お嬢ちゃんは?」
「宮元、宮元幸(みやもと・ゆき)です」
いきなりの事で震えは消えたが吃驚している。
「幸ちゃんか。うん。幸ちゃん、バスに酔う?」
首を振り否定をする。やはりそれ以外か。
「今日、これに乗らないでも困らない?」
また首を振る。
「じゃあ、乗ろう」
「は、い…」
涙も流さずに答えてくれたが戻ってしまった。
「大丈夫。俺も乗っていくし、ねぇ、お婆さん?」
「あ?あぁ毎日毎日これに乗ってるが今まで事故1つなかったよ」
いきなり振られたが老婆は上手く答えてくれた。
「運転手さんもいつも通り安全運転で行ってくれるし」
「今日も変わらずお客様の安全がモットーです」
くるとわかっていたのか真面目な顔で言う運転手。
少しの間を置いて幸ちゃんを見る。
「じゃ、行こうか」
立ちあがり、笑顔を作って手を差し出した。
俺の目を見つめてから幸ちゃんは笑顔を浮べ手を握った。
「はい!」

449 :
 *
バスは夕暮れの山中を走っている。
停留所ごとに人は降りて行き車内には現在3人。
俺と運転手の立浜さん、そして俺の肩を枕に寝息を立てている美少女の幸ちゃん。いや、幸。
幸ちゃんと言うと子供扱いしているのでいけないとさっき言われた。
まぁ中学1年だからそうかもしれない。
(それでも結構離れているけどなぁ)
ちらっと幸を見る。
肩甲骨ぐらいまである黒髪。ワンピースの白さに負けないぐらい白い綺麗な肌。隙間を作る膨らみ…
(おっと、この子は子供。この子は子供!)
「若生さん、何かよからぬ事をしてませんよね?」
「し、してませんよ!」
小さめのバスとはいえ1番後ろの席をミラーだけで確認できるとは流石プロ。
立浜さんは俺より10以上年上だけどやや小太りで童顔な為若く見える。
俺は旅のきりがつくまで基本髭も髪も手入れしない上、
生来の面相が老けていることもあって、幸からしても俺のほうが年上に見えるだろう。
少し前の停留所で降りたお婆さんには「あんちゃん」と言われたが、それはお婆さん基準。
(幸が起きたら聞いてみよう。それよりも幸からは俺がいくつに見えてるのやら)
「ん…」
「起きた?」
「ん、んん…あ!すみません!」
幸は目を開けると肩に寄り掛かっていた事に気付くとぱっと離れて謝罪した。
「私、いつのまにか寝ちゃってて…」
「気にしなくて良いよ」
「若生さんも困ってなかった様子でしたしね」
「運転集中!」
「はいはい。集中してますよ。終点、豊松村まではあと40分程です」
「まだそんなにあるんだ」
山を周って行くから時間がかかるらしく
バスが通れるようなトンネルはまず出来ないとは立浜さんの弁。
「幸、大丈夫かい?」
「少し、怖いです。まだ…」
「そうか、降りるまではまだ寝てるといい」
左腕で幸を引き寄せた。
「…はい」
幸は拒む事無くまた肩に頭を当てた。
その時、バスが縦に揺れて立浜さんの悲鳴のような声がする。
「構えてくださーーい!!」
バスが跳ねてアスファルトから逃げるのを俺は幸を抱き締めながら見ていた。
<つづく>

450 :
以上です。

451 :
おつ!!!!!
これからどうなるのか楽しみだ

452 :
新作が来てたなんて!
お盆へのプレゼントとして最高だった
GJ!

453 :
避難所

454 :
続きがあれば……

455 :
テスト

456 :
何の続きが読みたいのさ

457 :
天秤の続きを……

458 :
規制解けたから何か書こうかしら

459 :
過疎ってるなー

460 :
依存分が足りない

461 :
依存分をくれー

462 :
まーた書く書く詐欺とクレクレか
欲する前に与えよ

463 :
与えようか?

464 :
もう外部で補給してるし

465 :
外部ってどこさ
独り占めは許さん

466 :
>>465
外部は外部だ

467 :
色んなとこのおすすめ依存作品教えてくれよ

468 :
先に気に入った作品を教えてもらおうか

469 :
>>468
Arcadiaのオリジナル板にある
俺と粘着な女の子

470 :
避難所の続きを投下します
・軽依存?
・不思議な所あり
・全5話の予定

471 :
第3話
「幸は戻ってきましたか?!」
駈け込んだ出入口から見たのは、バスの車内灯の下で首を振る立浜さんのみだった。
「幸はやっぱり…」
幸は雨を避ける為にバスに乗ろうとした時、
いきなり恐慌状態になって何処かへ走っていってしまったらしい。
急な事と幸がランタンを持っていてそれを落とした為
立浜さんが懐中電灯で探しても見つからなかった。
「私が手でも掴んでいれば…」
立浜さんが悔やんでいるがそれはしょうがない。
足を挫いている事もあるが幸は夕方の食事の準備の時はバスに乗るのに何も支障がなかったのだ。
まさかまた駅前の様に、いや、それ以上の状態になるとは思えまい。
「もう一度探しに行って来ます」
「では今度は私も」
「いや、立浜さんはここで待っていてください」
「しかし」
「雨は止みましたが足下の良くない所もある。それに…」
「それに?」
「幸は多分、山の中に行ったと思う」
推測ではあるがさっきの捜索時を考えると可能性は高い。
坂の上までは行ったような形跡があったがアスファルトの道路を歩いて行った様子はなかったし
少し行った所に登山道の様な山への入口があったからだ。
「山へ?」
「山へ入るなだらかな道があったからそこから行ったかもしれません」
驚くというか何か思案している立浜さん。
「とにかく今度は荷も持っていきます」
急いで俺はリュックサックから不要な物をバスの座席に降ろしロープやタオルを準備した。
 *

472 :
「では、立浜さん、あとはお願いします」
リュックサックを背負い灯火したランタンを手に持ってバスの立浜さんに言った。
「ま、待ってください!」
立浜さんに腕を捕まえられる。
一刻も早く行きたいのに止められ、振り解こうかと立浜さんを見たら、深刻な顔をしていた。
「もし、もしもですよ?なにか山の中であったら、円喜(まるき)に縁ある者と言ってください。
 それが村の者でもそれでだいたい話は通りますから」
「円喜?」
「まぁここら辺りの地主というかそんなものです」
(あぁ、権力者の所有の山だからか)
「大丈夫ですかね?俺、無関係ですけど?」
「村人の縁ある者ではあるので。最悪、私と若生さんの知り合いの方でなんとかできるかと」
「江藤さんが円喜さんに口利き…できるかなぁ」
腰のサックのナイフに触れて思う。
これをくれた江藤さんは活動的でいい人で頼り甲斐があるけど頼らない人だった。
何か迷惑というか人を巻き込まない様に動いていたので
本当はあまり人と関りたくないかもしれない。
「江藤?もしかして、下の名前は耕太郎くん?」
「え?あぁはい、そうです。知ってるんですか江藤さんを?」
「知ってるも何も耕太郎くんとは同級生だよ!そうか、それなら円喜に縁ある者で大丈夫!」
満面の笑みでばんばんと肩を叩く立浜さん。
「太鼓判ですか?」
「そりゃあ、もう!耕太郎くんは円喜の唯くんと…」
「唯くんと?」
「この先は耕太郎くんに聞いて下さい」
にたっと人の悪い笑みで立浜さんは言った。何を含んでいるんだろう?
「は、はぁ。じゃあ、行ってきます」
「お気をつけて!必ず幸ちゃんを見つけて下さい!」
江藤さんにいろいろ聞く事ができたが、今は幸を探す事。
無事でいてくれ、幸!
 *
「幸ーーーーっ!」
月明かりの山中に木霊する。
山に入ってから30分ほど経ったが幸は見つからない。
歩いている踏み固められた道の右側は上り斜面、
左側が下り斜面で続いていたが道中その両方に形跡は見当たらなかった。
「道をそのまま歩いて行ったのか?」
中学生の女の子が暗い山道を普通ではないとはいえこれ以上歩いて行くのは考えにくい。
「引き返すか…ん?」
踵を返した俺の視界に薄緑色が入った。
下り斜面を2mほど下りた所で薄緑色は弱弱しく光っている。
「髪留め!」
何かの陰で向かってくる時には見えなかったのかわからないが
幸にあげた髪留めのケミホタルに違いなかった。
髪留めの上方辺りの道端の樹の幹にロープを縛り、腰にかけて斜面を下りる。
髪留めを拾ってからランタンで周囲を見る。
「落ち葉が削れた跡がある…」
その跡を目で追って斜面の下にランタンの明りをかざす。
少し離れた場所に白い物が見える。
「幸!」
それは幸のワンピースだった。
俺は急いでその場所まで下りた。

473 :
 *
「トンネルの跡か?」
落ち葉の中に半ば埋もれる形の幸を助け出したが、抱えた幸の冷たさとまた降り始めた雨の為、
バスには戻らず運良く近くにあった洞穴に入った。
洞穴は俺が立ったら頭をぶつけるぐらい天井は低く、奥にまだ長そうだ。
幸を天井にぶつけない様に背負いつつ、降ろしたリュックサックからシュラフを出す。
伸ばしたシュラフに幸を寝かせてランタンでよく見ると白い顔は所々土や落ち葉で汚れ濡れていて唇も紫色だ。
「焚き火はできそうにないな…」
幸の体をタオルで拭きながら温める方法を考える。
バーナーとカップはあるのでお湯は作れるが暖をとるには心許ない。
毛布はあるが濡れたワンピースのままでは体温を奪い続けるだろう。シュラフに入れても同じだ。
と、なるとあの手段しかない。
「…許せ、幸。非常事態だ」
俺は幸の上半身を起こしワンピースを脱がせる。
(冷え切っているな…)
下着だけになった肌を乾布摩擦のように拭いて温め、開いたシュラフの中に寝かせて上から毛布をかける。
壁と壁の間に紐を張り、ワンピースを掛けてから自分の服を掌で触ってみる。
「さすがに濡れてるな」
雨と汗で濡れた服のままシュラフに入るわけにはいかないので服を脱ぎ、Tシャツも脱いで紐にかける。
「…下も脱ぐべきか。いやさすがに…しかしこれも濡れているし…」
ベルトに手をかけ逡巡する。
上半身裸の現状もやばいがパンツ一丁の格好が許されるのは姫を助けに行く騎士のみ。
(髭の量が多ければ俺もアーサーみたいに…いやいや)
阿呆な葛藤をしていると、とある物思い出し、リュックサックを漁り始める。
「あった!」
リュックサックの底から出したのはボロボロのジャージの下。
「服として使ってなかったが、まだ穿けたな」
化繊のジャージは寸足らずで所々に焼けた跡やとれない油汚れ跡、そして穴が開いている。
鍋敷きや熱い物に使われたりしたので仕方がない。
「これでなんとか…」
俺は覚悟を決めてシュラフに入った。
 *

474 :
シュラフに入ってどれくらい経ったろう。
ランタンの弱くしてある灯りでは置いてある腕時計の時間は見えない。
俺の胸に背を当てた状態で入っている幸の体は冷たさもなくなり震えもなくなった。
顔色はわからないが当てた手で感じる分では頬もそれなりに温度を取り戻していた。
覚悟を決めて入って良かったと思う。
今日日の中学生の発育はなかなか怪しからん。特に尻肉の柔らかさは…いや、辛かった。
それよりも新陳代謝が良い為か発熱量が多くて冬場は助かるのだが
夏場で役に立ったのは初めてではなかっただろうか?
あと、この2人用シュラフをくれた江藤さんに感謝。
貰った時はわざわざ俺の大きさに合わせて買ってくれたかと思ったが
使ってみると言われた通りに使用済みだったが一体誰と入ったのだろう?
「まさか、今の俺みたいに使ってたりしてな…」
「ん…」
幸から声が漏れる。
「起きたか?」
ゆっくりと幸を左へずらして並ぶ様にして幸の顔を覗き込む。
まだ寝ている様だったが目尻に滴があったので拭った。
「おとうさん…おかあさん…」
幸の口からか細く漏れるのを俺は聞き逃さなかった。
「俺はここにいるからな」
これで心細さが少しでも解消してくれればいいのだがと思いながら
ぽんぽんと幸の頭を優しく左手で叩く。
「んん…」
幸がいきなりころんと俺の方へ寝返りを打った。
(ちょ、ちょっと待て!)
焦って幸から離れようとしたのが悪かった。
シュラフを体で引っ張った為、左腕で捲き込みながら幸を胸元に抱く形になる。
「ん…」
幸は仰向けの俺の上にうつ伏せで乗っている状態になっている。
幸の柔らかい体が押しつけられるだけでも大事なのに、もぞもぞと太腿でこちらの股間を擦る。
その上、移動した時にずれたのか幸の肩からブラの紐はずれており、
胸に幸の下着越しではない生乳を当てられていた。
(なにか、なにかより柔らかいのが!より柔らかいのが!)
この後、抱き着き始めた幸を降ろすまで天国のような地獄が続いた事だけは言っておく。
 *

475 :
洞窟を出て空を見上げると月明りを遮る雲は見えない。
この様子なら夜明けと共にバスに戻れるだろう。
そうなると山を廻って村へ行く仕事があるので寝ておきたい。
体が冷える前に洞窟に戻ると幸はシュラフの中で毛布に抱き着いて寝ていた。
どうやら抱き癖があるようだ。
さっきは困ったがこれなら大丈夫だろう。
シュラフのチャックに手をかけ引こうとした時、洞穴の奥から物音がした。
「熊?」
即座に腰のナイフを出して構えて幸を背に奥の闇と対峙する。
「ばれちゃったじゃないか!」
「私は知らん」
「もう少しだったのにぃ」
奥から小声だが子供のような声で言い争いをしている。
「誰かいるのか?!」
幸を起さない程度の声で奥に言ってみる。
少しの間。
「戻るぞ!」
「ばれたのにか?」
「このままにはできないわよぅ」
また子供の声で言い争い。
(熊でなくて一安心だがこんな所に子供がいるのはおかしい…)
「誰か知らないが出て来てくれないか?」
また少しの間。
「出て来いって言ってるぞ?」
「で、のこのこ出てぶすりと」
「先手必勝?」
(ナイフがいかんという事か?)
何者かわからないので防衛の為のナイフをしまうのはリスクがあるが
このままでは出てこないのでサックに収めた。
「ナイフはしまったから出て来てくれ」
「では出るか」
「出るのかよ!」
「出るつもりだったんでしょう?」
と言い争いしながら奥から出てきたのは
化粧をしていないお稚児さんみたいな服装の3人の子供だった。
<つづく>

476 :
以上です。

477 :
乙です!やっと規制解除きたぁ!俺も何か書こうかな

478 :
書いて書いて

479 :
短編書いてきます

480 :
短編まだー?

481 :
お前らがここに依存してどうする

482 :
短編マダー
依存ではないやつ終われ

483 :
依存ではないやつってなんだ
そんなものはない

484 :
あげ

485 :
短編はまだかね

486 :
今書いてる途中だけど、保管庫みる限りどうしても似たようなものになってしまうね…

487 :
>>486
構わん

488 :
似ててもいいんだよ
みんな似てるのしか書いてない

489 :
変にオリジナリティ追求して依存度下がるより遥かにマシ

490 :
むしろ似てるの書いてくれよ
安定するし

491 :
似てるのって要するに王道だからね

492 :
まあ王道っていうか基本だよね基本

493 :
短編書くぜ
どんなん読みたいのよ?

494 :
そりゃあ…ムチムチのエロチックボンバイエで

495 :
ええええ
ムチムチのエロチックボンバイエて
よく分からない……

496 :
だからムチムチの太ももでいろんな角度からボンバイエででかいオッパイボヨンでアヒー!だよ

497 :
>>496
ボンバイエがいまいち
調べたらせって意味らしいが
そもそも依存に関係あるのかそれ…

498 :
ボンバイエってそんな意味なの!?(驚愕

499 :
ところで、保管庫のなかでオススメものって何がある?
できれば完結済みか今も継続中なのがいいんだけど。
宜しくお願いします。

500 :
夢の国だろそりゃ

501 :
ゲーパロさんの秘書のやつ面白いよ

502 :
ゲーパロさんのはほぼ全部面白いな

503 :
wkz◆5bXzwvtu.E氏のわたしの棲む部屋
俺はこういうのがすき

504 :
あとカレーの味?のする奴も好きだ

505 :
夢の国の人の車椅子の奴がいいなー

506 :
このスレは隠れた宝庫だぁ!

507 :
宝庫というか保管庫の作品充実は凄いよね

508 :
依存っていう狭いカテゴリーの中で飽きさせず魅せるってのは凄いよね
保管庫の作品は何度も読みたくなる作品ばかりだし

509 :
名作ばかりですよね

510 :
短編まだ?

511 :
短編だけじゃなく長編ももちろん待ってる

512 :
まぁゆっくり待とう

513 :
そうだねぇ
あー子供の頃から依存させる依存調教もの来ないかなぁ

514 :
ねっとりとした依存調教いいよね
片親の子とか寂しい女の子を

515 :
短編はまだかね?

516 :
初投稿失礼します
教師主人公と、オナニー(セックス)中毒の優等生ヒロインの話
依存度は中程度
全部で六話前後の予定です

517 :
「――本日のHRは以上だ。日直、号令」
 信行の言葉を合図に、立ち上がった日直が礼を促す。
 生徒全員が一斉に席を立ち、頭を下げ、それが済むと同時に、
放課後の教室はたちまち喧騒に飲み込まれた。
 連れ立って部活動へ向かう者、席に居残って雑談を始める者、
鞄を手に帰途を急ぐ者。様々な人の波を視界に捉えながら、
信行は教室の隅に視線を投げる。
 窓際の、一番後ろの座席。目当ての人物はそこで、友人と何やら
話し込んでいる様子だった。
「能美」
 教壇を動かず、その横顔に声を掛ける。名を呼ばれた女生徒――能美綾は、
はいと応じてこちらに駆け寄ってきた。
「悪いな。話中に呼び立てて」
「いえ、いいんです。それで、津田先生。私に何か御用ですか?」
 緩やかに頭を振り、信行を見上げる綾。その拍子に、長い黒髪がさらりと
肩を流れていく。束の間、その動きに目を奪われた。
「……先生?」
 不思議そうに、綾がまた問う。わずかに首を傾げ、こちらを見上げる
その面差しは、取り立てて美人でもなければ、可憐な訳でもなかった。
けれど、どんな時でも真っ直ぐに相手を見つめる瞳には、他の誰にも
似ていない、彼女の心根の清さが映る。
 その輝きを、信行はいつも、美しいと思うのだ。
「…………。……あの」
「いや、すまない。少し考え事をしていた。それより、昼に相談された件だが」
 ほんのりと朱に染まる頬から視線を剥がし、教卓を片付けながら口を開く。
そうしていないと、またいつまでも見入ってしまう気がした。
「急な職員会議が入ってな。先に生徒会室で待っていろ。後で行く」
「はい。分かりました、先生」
「なになに? 綾、生徒会の用事ー?」
「うん、ちょっと。ごめん、買い物はまた今度誘って」
「いいよいいよ、気にしないで。それにしても、もうすぐ試験期間だっていうのに
また居残りなんて、生徒会長は大変だねー」
 会話が聞こえていたのか、先程綾と話していた生徒がこちらへ向かってくる。
話し込む少女達の声を聞きながら、信行は教室を後にした。

518 :
 会議は思いの外長引き、細々とした用事を済ませて職員室を出た頃には、
辺りはすっかり茜色に染まっていた。
 差し込む西日に目を細めながら、待ち人のいる部屋へと急ぐ。生徒会室の
扉を開けると、彼女は一人、机に向かって参考書を広げていた。
「明かりぐらい点ければいいものを。目に悪いぞ」
「あ、先生……すみません、気が付かなくて……」
「いや、いい。それより、待たせてすまなかったな」
「いえ、いいんです。私のほうこそ、申し訳ありません。お忙しいのに無理を言って……」
「無理であればそう言う。引き受けたのは私の判断だ。能美が気に病む
必要はない。それより、見てほしいものというのは?」
「あ、はい。こちらです」
 手近な椅子に腰を下ろす信行に、綾は書類の束を差し出す。見てみれば、
先立って生徒会に提出された各部活からの要望書をまとめたものらしい。
 茶を淹れるという綾に礼を述べ、早速書類に目を通し始めた信行は、
整然とまとめられたその内容に目を瞠った。
 生徒会が要望書の提出を締め切ったのは、確か先週の土曜だったはずだ。
今日はまだ週が明けたばかりの月曜日。だというのに、この内容の充実ぶりは
どうしたことか。
「……仕事が早いな。休みの間も学校に来ていたのか」
「はい。丁度、時間がありましたから」
 湯飲みを机に置いて、綾ははにかむように微笑む。そのくらい、なんでもない
ことだと言うように。しかし、学期末試験を間近に控えた時期の学生に、
暇があるはずもない。
 責任感の強い彼女のことだ。きっと遊びや休息に当てる時間を割いて、
会長としての職を全うしようと努力したのに違いない。勿論、それを言い訳に
勉強を怠けることもなく。
 それだけの努力をして、代償を払って、しかし、彼女はそれを鼻にかけはしない。
自分はやるべきことをしただけだからと、なんの賞賛も求めずに、ただ、黙って
前を向いている。
 立派な子だと思う、心底。二回りも年の違う信行でさえ、彼女のひたむきさな
生き方には、頭の下がる思いがする。
 だからこそ、信じているのだ―― その貴さは、たった一つの瑕瑾如きで、
価値を失ってしまうものではないと。

519 :
 ふと窓の外に目をやると、西の空を染め上げていた太陽は、一日の務めを
終えて地平に没しようとしていた。
「……もうこんな時間か」
 書類を机に置き、席を立つ。物音を聞き付けて、綾がゆっくりとこちらを見た。
「リストは一通り目を通した。別段訂正する箇所もない。このまま私が預かるが、
構わんな?」
「……は、い」
 小さく頷く彼女の前には、先程と同じようにノートと参考書が広げられている。
だが、いつの頃からか、シャープペンを握っていた手は動きを止め、膝の上で
所在無さげに縮こまっていた。
 その指でスカートの端を握り、綾は、何か言いたげに信行の顔を見つめる。
唇が、何度か開きかけ――しかし、そこから言葉が出てくることはなく、彼女は
力なく俯いた。
 その様子を、不審だとは思わない。こうなるだろうという予感は、昼休み、
相談があると持ちかけられた時からあったのだから。
 項垂れる少女から視線を外し、信行は窓へと向かう。カーテンを引くと、
ただでさえ仄暗かった室内から一気に光が消えた。
 部屋の鍵は、入ってきた時に施錠してある。こうしてカーテンを閉めてしまえば、
外にいる者達に中の様子は分からない。
「――能美」
 振り向いて、名前を呼ぶ。それだけで、綾は傍目にも分かる程に身を震わせた。
 椅子を引き、彼女の顔を正面から覗き込む。膝の上で握り締められた手に
掌を重ねると、細い体がびくりと跳ねた。
「せん、せ……」
 啜り泣くような声を零して、綾がおずおずと顔を上げる。暗がりに慣れてきた
目には、その頬が赤く上気しているのがはっきりと見て取れた。
「先、生……ごめ、ん、なさ……わた、し……」
「分かっている……辛いんだろう?」
 潤んだ瞳から流れ落ちる雫を、そっと拭ってやる。途端、彼女は打たれたように
身を竦ませ、掠れた悲鳴を上げた。
「能美?」
「…………っ!」
 ぎゅっと目を閉じ、小刻みに身をわななかせるその仕草に、もしやと思って
視線を下げる。
 スカートの上からでは分からなかったが、信行がそこに目をやるのと同時に、
綾ははっと肩を震わせ、隠すようにスカートを押さえた。その行動を見れば、
何が起きたのかは疑う余地もない。
 一瞬、信行は発するべき言葉を見失う。
 その反応を、どう解釈したのか。一際大きく体を震わせたかと思うと、
綾は火が付いたように泣きじゃくり始めた。

520 :
「ごめ、なさっ……ごめんなさい、ごめんなさいっ……わた、し……!」
 自分の体の浅ましさに打ちのめされ、少女は細い体を縮めて涙を零す。
 その姿はまるで、この世のどこにも居場所がないのだというかのようで――
抱き締めてやらずにはいられず、信行は彼女の震える背に腕を回した。
「せ、ん……せ……」
「嫌か?」
「違……でも、私、こんなだから、また……っ」
「それでいい」
 囁いて、そっと耳朶に口付ける。ただそれだけの刺激にも、綾は怯えるように
息を詰め、激しく身をわななかせた。
「お前の体がそうなのは、お前の所為じゃない」
 異常な程、敏感に反応してしまう体。事実、それは“異常”と表現する
他ないものなのだと、信行は既に知っている。
 だから彼は、何かを求めるように縋り付いてくる指を拒まない。己の立場も、
ここがどこであるのかも、全て承知した上で、抱き締めた少女の体に手を伸ばす。
 腿の間に指先を潜り込ませると、案の定、そこは滴り落ちた蜜にぐっしょりと
濡れていた。
「……先、生」
「よく我慢したな。すぐ楽にしてやるから、安心しろ」
 震える体を抱き締めてやりながら、ショーツの淵に指を掛ける。綾は
拒むこともなく、むしろ先をねだるように、自分から腰を浮かせた。

 濡れた下着を下ろし、汚れてしまわないようスカートも脱がせて、椅子の
前に屈み込む。丁度、ぴたりと閉じ合わされた彼女の膝が眼下にくる位置だ。
「先生……」
 その膝をもじもじと擦り合わせ、綾は潤んだ目で信行を見つめる。
見つめるだけで、何も言わない。本当はすぐにも楽にしてほしいはずなのに、
耐えがたいもどかしさを耐えて、じっと信行に身を任せている。
 どうしてほしいのかと、そう尋ねれば、彼女はきっと口を噤むだろう。羞恥の
為ではなく、信行に迷惑を掛けまいとする気持ちから。もしこのまま放っておけば、
この少女は気が狂うまで、そうして一人で苦しみに耐え続けるに違いない。
 そういう子なのだと、知っている。だから信行は何も言わず、強引に足を開かせた。
「ぁ……!」
 突然の行動に、綾は戸惑ったような声を漏らす。
 だが、それだけだ。
 腿を押さえられ、目一杯に広げた足の間を覗き込まれても、彼女は
身を捩ろうとさえしない。袖口を噛み、ぎゅっと目を閉じて、ただ小刻みに
四肢を震わせるばかりだ。
 細く響く泣き声には、それでも確かに、先を期待する色が混ざっている。
それを証明するように、しとどに濡れた秘処から、また新しい蜜が零れた。

521 :
 少女の体とはいえ、淡い繁みに覆われた性器は、大人の女のそれとなんら
変わらない色香を放ち、男を誘う。ふっくらと肉付いた秘唇の狭間、小さな
膣口がひくひくと蠢いて雫を垂らす様を見せられれば、欲情しない男などいないだろう。
 しかし今、信行の胸に込み上げるのは、情欲とは似ても似つかない
痛ましさの念だった。
「せん、せぇ……っ」
 束の間、沈思に耽ってしまった意識を、弱弱しい泣き声が引き戻す。
快楽をねだる欲と、そんな自分を厭う悲しみで、引き裂かれる寸前の声が。
「……すまん」
 憂いは消えない、そんな声を聞かされてしまえばなおのこと。だが、下手に
自分が躊躇しては、彼女の苦悩を長引かせるだけだ。
 小さく息を吐き、胸の内の葛藤に区切りをつけると、信行は躊躇わず、
少女の性器に唇を寄せた。
「ひっ……!」
 滴る愛液を舐め取るように、柔らかなそこに舌を這わせる。途端、感電でも
したかのように、綾は体を跳ね上がらせた。その反動で椅子が揺れ、派手な
音を響かせる。
「ん、ゃ、せんせっ……!」
「声を出すな、抑えていろ。できるか?」
「ふ、ぅっ……は、い……ッ」
 無体な要求だとは分かっていたが、綾は大人しく頷いて、制服の袖を強く噛んだ。
 耳に届く嬌声がくぐもった音に変わるのを確認し、さらに強く唇を押し付ける。
指で恥丘を押し広げ、奥の入り口を舌先でつついてやると、垂れ落ちる蜜は
たちまちにその量を増した。
「ん、んんっ、んっ……ん、ふ、っぅ! ん、んんー……〜〜ッ!」
 そうした愛撫を何度か繰り返すうち、不意にくぐもった悲鳴が聞こえ、綾が
全身を強張らせる。同時に秘処から夥しい量の愛液が溢れ出し、口の周りを
べったりと汚した。
(イったか)
 腿へ添えた手にさざ波のような震えを感じながら、彼女の様子を窺う。
 くたりと背もたれに身を預け、綾は大きく肩を喘がせていた。涙に濡れた瞳は
絶頂の名残に蕩けきって、どことも知れぬ虚空を眺めている。しかし信行は、
快楽に陶然とするその表情の奥に、少女の懊悩を見て取った。
「……っ」
 しばらくして、落ち着きを取り戻したらしい彼女は、哀しげに唇を引き結ぶ。
その理由は、推測するまでもない。
 彼女は今、自分自身を軽蔑している。
 だというのに。少女の体は少女自身の心を裏切って、さらなる快楽を求めようとする。
「ん、っ……!」
 変化は、唐突だった。悩ましげな吐息を零したかと思うと、綾は両手で
自分の体を抱き締める。苦しげに身を縮めるその背は、喘ぐように震えていた。
「……能美」
「大、丈夫、です……! このぐらい、なら……我慢、でき、ます……から……っ」
 か細い声は、聞かなかったことにする。無理をしていることが明らかだったからだ。
 濡れた口元を拭い、うずくまる体をそっと抱き上げる。窺うようにこちらを
見遣る瞳に頷きを返して、優しく背を撫でてやった。
「せんせ……」
「分かっている。大丈夫だ」
 抱えた体を机の上に座らせてやり、腰のベルトに手を掛ける。綾は、何も
言わない。ただ、何かを期待するように、零れる吐息が甘い熱を帯びた。

522 :
 片手でズボンの前を寛げながら、空いた腕で少女の腰を抱き寄せる。
ほっそりとした項に口付けを落とすと、上気した肌が密やかに震えた。
「能美。上を脱げ」
「は、い……」
 震える指がおずおずと伸び、ブラウスのボタンを外していく。その手の動きを
追って、少しずつ露わになる肌を唇で撫でた。
 やがて、はだいたブラウスの襟元から小ぶりな膨らみが覗き、唇はその谷間に
滑り降りる。
 一度、小さく体を跳ねさせて、綾は躊躇わず、乳房を覆う下着を上にずらした。
 ふるりと控えめに震えて、布地の下から乳房が零れ出る。
 少女らしい淑やかな丸みには、年相応の未熟さがありありと残っている。
触れることを、躊躇わせずにはおかない幼さ。だからこそ余計、先端で
尖り立つ乳首の色鮮やかさは、ひどく目に焼き付いた。
 込み上げる背徳感を噛み砕き、ぷくりと膨らんだそこを口に含む。途端、
声にならない悲鳴を上げて、綾は弾かれたように背を反らした。
「ぁ、んっ! んっ、んゃ、やぁぁ……!」
 崩れ落ちそうな体を支えてやりつつ、グミに似た感触を舌の上で転がす。
周囲の乳輪ごと吸い上げ、硬く張った先端を舌先で押し潰してやれば、
抱き寄せた体は腕の中で激しく身悶えた。
 水の滴る音が、かすかに鼓膜を打つ。今のでまた、イってしまったのかもしれない。
 なおも乳首への愛撫を続けながら、下着の中から半勃ちの肉棒を取り出す。
何度か扱き上げれば、それはすぐに硬度を増して自立した。
「能美。そこへ横に慣れ」
 屈めていた身を起こし、ポケットからゴムを取り出す。封を切ったそれを手早く
性器に被せると、信行は綾の両足を抱え上げた。心得たように、綾は大人しく
上体を倒す。ほっそりとした脹脛を肩に担ぎ、ぐっと体を折り曲げさせると、苦しいのか、組み敷いた体から息を詰める声が聞こえた。
「すまん、苦しいか?」
「平気、です……」
 零れ落ちた涙が、声にできない言葉を伝える。早く、と。
 頷く代わりに、濡れそぼった秘処に勃起した性器を押し当てる。ぬかるみを
掻き混ぜるように軽く擦ってやれば、それだけで、綾はびくびくと全身を痙攣させた。
「挿れるぞ。力を抜いていろ」
 こくりと頷いて、彼女はまた、唾液に塗れた袖口を噛む。
 こんな時、キスの一つもしてやれれば、彼女の心も少しは和らぐのかもしれない。
 だが、自分とこの少女の関係を思うと、軽はずみな行動は憚られた。
 自分は、彼女の恋人ではないのだから。許されることとそうでないことの境を、
見誤ってはならない。
 だから信行は、彼女の額にキスをする代わりに、その髪を優しく撫でてやり――
一息に、少女の膣へと肉棒を突き入れた。
「んんっ――!」
 瞬間、打たれたかのような激しさで、綾が背を仰け反らせる。
 苦痛の為ではない。その証拠に、信行を見つめる彼女の目は、途方もない
悦楽に蕩けていた。
「先、っ……生……!」
 袖口を噛んで声をしながら、綾は空いた片手を差し伸ばしてくる。
震える指が信行の肩に触れ、そのまま強く握り締めてきた。
 指の食い込む感覚に、鈍い痛みが伝う。だが、その程度の苦痛では、
込み上げてくる快楽を散らすことなどできはしない。
「く、っ……」
 奥歯を噛み締め、突き上げてくる快感を強引に抑え込む。
 互いに望んでの行為ではないと、分かっているのに。それでも、少女の狭い
膣に己を埋めていると、耐えがたい衝動が腹の底から湧き上がって止まらない。

523 :
 もっと深く、この感触を貪りたい。温かな柔肉を掻き回して、無防備な
その体を思う様よがり狂わせたい。
 際限なく膨らんでいく暗い欲望を、掌に爪を立ててす。それができたのは、
声が聞こえたからだった。
 しきりにしゃくり上げる、弱弱しい声が。
「ごめ、なさ……ごめん、な、さい……ごめんなさい、せんせぇ……っ」
 涙と涎で顔中をぐしゃぐしゃにして、綾は泣きながら詫び続けている。繰り返し、
繰り返し。その一語ごとに、己の浅ましさを呪いながら。
 しかし、その体はどこまでも彼女に残酷だった。
 挿入したきり動かない信行に焦れたように、肉棒を包む襞が蠢き始める。
絡み付いてくるようなその動きに、思わず声が漏れそうになり、慌てて唇を引き結んだ。
だが、そんな信行に追い打ちをかけるように、綾が、ゆっくりと腰を揺らめかせ始める。
「っ……能美」
「ん、ぁ、ふっ……! ごめ、なさっ……止まら、なっ……!」
 恐らく、意識しての行動ではないのだろう。彼女自身、自分の行動に戸惑うように、
いやいやと頭を振っている。
 だが、一度火が付いてしまった体を押し留めることはできなかったらしい。
腰の動きは徐々に激しさを増し、結合部からは愛液のしぶく音が鳴り出す。
「はんっ、ん、あっ、ゃ! だめっ……だめ、止まってぇ……っ」
 とうとう嗚咽さえ洩らし、彼女は誰にともなく哀願した。もう許して、と。
 しかし、涙ながらの願いが叶うことはない。それを聞く信行に、叶えて
やれるだけの力がないから。
 信行にできることは精々、彼女を苦しめる体の熱を、鎮めてやることぐらいだった。
 淫らに揺れる腰の動きに合わせて、膣腔の奥まった場所を突き上げる。
 衝撃に、細い腰が跳ね上がった。それをさらに押し上げるようにして、
小刻みに彼女の内部を擦り上げる。
 こうして抱き合うのは、初めてのことではない。どこをどうしてやればいいかなど、
嫌になる程に知っている。
 そのうちの一つ、クリトリスの裏あたりを亀頭で擦ってやれば、綾は
耐えきれないというように、信行の背に腕を回してきた。
「ん、ふ、ぁんっ! せん、せ……ッ」
「大丈夫だ。すぐ楽になるから、もう少しだけ、我慢しろ」
 縋り付いてくる体を受け止め、耳元で囁く。こくこくと頷くのを視界の端に
捉えながら、さらに深く腰を動かした。
 華奢な体が腕の中で身悶えるたび、彼女の膣もまた、自らを犯す肉棒を
狂喜して咥え込む。
 ゴム越しでもはっきりと分かる、熱さと柔らかさ。無数の襞が細やかに震えて
吸い付いてくる感覚は、どんなに己を律しても、到底堪えられるものではない。
自然、律動を繰り返す程に、信行も息を荒げていく。
「んっ、く、ぅ……んんっ! せんせ、せんせっ……!」
「ああ……イっていい」
「はい、はいっ……んっ、ん、ん! んんん――ッ!!」
 一際激しく背を仰け反らせて、抱き締めた体が痙攣する。一緒に収斂する
膣の動きに、信行もまた、理性を飛ばした。

524 :
 束の間の陶酔が過ぎ、意識が覚める。ふと気付くと、信行の手は知らぬうちに、
少女の細い体を強く抱き締めていた。
「……すまん」
 無意識の行動に多少の焦りを覚えながら、急いで体を離す。
 だが、謝罪の声は相手に届かなかったようだ。
 信行が身を起こしても、綾は反応らしい反応も示さず、ただ荒い呼吸を
繰り返している。くたりと机に投げ出された体は絶頂の激しさを示すように、
まだ小刻みにわなないていた。
「能美……能美、しっかりしろ」
「ぁ……せ、ん……せ……?」
 何度か呼びかけると、虚ろだった視線が少しずつ力を取り戻していく。
それを確かめて、萎えた性器を彼女の中から引き抜いた。
 刺激しないよう配慮したつもりだったが、先端が抜け落ちた途端、弛緩していた
はずの体が俄かに強張ったのに気付く。
「ひっ……」
 抑えようもなく、また漏れてしまう声。怯えるように首を竦める姿を見て、
あるいはと思う。足りなかったのではないかと。
「能――」
「大丈夫……も、ほんとに、大丈夫ですから……っ」
 口を開きかける信行を遮って、綾は弱弱しく微笑んだ。
 心配を掛けまいとしているのは分かる。だが、涙に塗れた顔で無理矢理に
笑う姿には、安堵よりもむしろ痛ましさが募ってならない。
 さりとて、これ以上の行為を避けようとする彼女に、無理を強いることも
できなかった。そうすれば彼女はまた、己の浅ましさに打ちのめされて泣くことになる。
「……そうか。分かった」
 だから。胸に込み上げるいくつもの想いを飲み下し、信行は、綾の言葉に頷いた。
「起き上がれるか?」
「はい……」
 よろよろと身を起こす体を机から抱き下ろし、手近な椅子に座らせてやる。
途端、彼女は半裸の体を隠すように四肢を縮こまらせた。はっとして、信行も
体ごと後ろを向く。思えば自分もまだ、性器を露出させたままだ。
「すまん。つい、失念していた」
「い、え……」
 短くやり取りを交わし、それぞれに身なりを整える。互いの間に流れる空気は、
先程まで体を重ねていたとは信じられない程にぎこちなく、硬い。
 事後は、いつもこうだった。理性を犯していた熱が過ぎ去って現実が戻ってくると、
信行も綾も、自分達のしていることへ思いを致さずにはいられない。
(……俺は、何をしている)
 ゴムに溜まった白濁を見ていると、信行は暗然とした思いに駆られる。
(俺は、こんなやり方でしか、彼女を楽にしてやれないのか)
 己の無力に唇を噛んだ、その時。
「ん……っ」
 不意に、甘ったるい声が耳に届いて、ベルトを締めていた手が止まる。
「ぁ、んっ……ん……ふ、っ……」
 背後で繰り返し零れ落ちるそれは、紛れもない嬌声。何も知らない者が聞けば、
自慰にでも耽っているのかと思うのに違いない。
 だが、信行は知っていた。背後を見ずとも分かる、彼女は今、自身の体に残る
情事の痕を拭っているだけなのだ。
 ただ、それだけだというのに――この少女はこうして、心ならずも喘ぎを零さずに
いられない。
「ひっ、く……ふ、っ……も、やだぁ……っ」
 次第に涙を帯びていくその声を聞きながら。しかし信行は何もできずに、ただ、
その場に立ち尽くすしかなかった。

525 :
以上です
途中改行ミスって失礼しました

526 :
文章うめぇええええ!
Gj!
続き楽しみにしてますわ!

527 :
久々に見たら新作が!
これは期待できる

528 :
続き待ってます!
Gj!

529 :
よっしゃ頑張れ!

530 :
主人公に依存しまくるヒロインwwwwwwwww
http://himarin.net/archives/7336583.html

531 :
第一話にGJありがとうございました
>>517->>524の続きを投下します
教師主人公と、オナニー(セックス)中毒の優等生ヒロインの話
依存度は中程度で全6話前後の予定
今回、ヒロインがモブに乱暴されかけるシーンがあります
未遂ですが苦手な方はご注意下さい
あと、一話で二人の年齢差を『二回り』と書きましたが、『一回り』の間違いです
失礼しました

532 :
 信行と綾の関係が変化したのは、一月程前のことだ。
 年の瀬も迫った師走の暮れ。その日、仕事納めを済ませて帰途についていた信行は、
最寄駅のホームで意外な人影を見付けたのである。

(……能美?)
 改札へ向かっていた足を止め、信行は今一度、前方に目を凝らす。
 やはり間違いない、彼女だ。
 白いハーフコートと、そこからわずかに覗く黒いミニスカート。すらりと伸びた脚線を、
スカートと同じ色のハイソックスが覆っている。
 匂やかな出で立ちは、普段の制服姿とはまるで印象が違っていて、一瞬見間違い
かとも思う。だが、改札を通る瞬間にちらりと垣間見えた横顔は、日頃学校で見慣れた
それに紛れもなかった。
 能美綾。信行が担任を務めるクラスの一員であり、生徒会長という立場もあって、
彼にとっては何かと交流の深い生徒だ。
 その彼女が、きょろきょろと辺りを窺いながら、人目を避けるようにしてどこかへ足早に
向かっていく。
 その背中を横目で追いつつ、信行は腕時計を確認した。時刻はもうじき、九時に
なろうかという頃。うら若い少女が一人歩きをするには、いささか遅い時間に思える。
それに、信行の記憶が正しければ、綾の自宅はこの付近ではなかったはずなのだ。
 ふと、悪い予感が胸を掠める。
 しかしそれは、信行の知る綾という少女には、まるで似つかわしくない代物だった。
(……いや。能美に限って、そんなはずはない)
 馬鹿馬鹿しい想像だと、自分で自分に呆れる。
 だが。
 先程一瞬だけ見えた、綾の表情。それが、ひどく思い詰めたものであったような気が
して――気付けば信行の足は、階段を上がっていく彼女を追って歩き始めていた。

 階段に辿り着く頃には、少女の後ろ姿はもう見えなくなっており、急に不安に駆られた
信行は、地上への階段を一息に駆け上がった。
 軽く息を切らせつつ、駅を出て周囲を見回す。だが、確かにこちらへ来たはずの人影は
どこにも――いや。
(いた)
 駅の右手、線路に沿って続く道に、探していた姿を見付ける。
 しかし、胸を撫で下ろしたのも束の間のこと。次の瞬間には、信行は先刻以上の
嫌な予感に、眉を顰める羽目となった。
 夜道を行く綾の隣には、会社帰りと思しい、サラリーマン風の男の姿があったのである。
 小太りの体形と薄くなった頭髪から察して、年齢は四十を過ぎていよう。その男は綾に
寄り添うようにして歩きながら、彼女にしきりと話しかけているようだった。それに頷き返す
など、綾のほうにも男に応じている様子が窺える。
 距離があるのと、辺りが暗い所為で、両者の表情までは分からない。だが一見した
限り、彼らは和やかに会話をしているように見受けられた。親戚のおじさんと歩いている
のだと言われれば、なるほどそうかと、頷くこともできるだろう。
 だが、そんな明るい推測ができる程、信行は楽観主義者ではなかった。
 二つの人影が角を曲がるのを見て、信行もすぐさま駆け出す。
 胸中を占める予感は既に半ば以上、確信に変わり始めていた。

533 :
(……! いない?)
 後を追って角を曲がった矢先、信行はその場に足を止めた。十分間に合う速度で
走ったつもりであったのに、駆け込んだ先の路地にはもう、誰の姿もなかったのだ。
(くそ、どこに――)
 いよいよ膨らんでいく焦りに奥歯を噛み、再び駈け出そうとして――ふと、脳裏に
閃くものがある。
 その閃きに従って、信行はすぐそばの角を曲がった。そのまましばらく細い道を進むと、
道の正面に公園の入り口が見えてくる。
 児童公園にしては敷地が広く、昔は近所の子供の遊び場として有名だったが、
いつの頃からかホームレスが住み付くようになって、次第に寂れていった場所だ。今は
もうそのホームレスも姿を消し、野良猫ですら寄り付かないと聞いている。
 人の手が入らなくなった所為か、外周を覆う植込みは枝葉が生い茂り、ここからでは
中の様子は窺えない。
 だが。
 繁茂した木々の向こうからは、男女の言い争う声がはっきりと聞こえてきていた。

「あ、あの……! ごめんなさい……! 私、やっぱり嫌です、できません……っ」
「そんなこと言わないで。大丈夫。心配しなくても、ちゃんと気持ち良くしてあげるからね」
「で、でも……!」
「ほら、恥ずかしがらないで。本当は君だって興奮してるんだろう? さあ、君の
いやらしいところをおじさんに見せてごらん」
「あ、やっ、やだ……! 止めてっ……止めて下さい! いやぁ……!」
「―― そこで何をしている!!」
 繁みの中へ踏み込むと、少女に圧し掛かっていた男が、弾かれるようにこちらを見上げた。
「な、なっ……」
 ぽかんと口を開ける間抜け面を見た瞬間、男を殴り飛ばしたい衝動に駆られる。
それをどうにか理性でねじ伏せ、代わりに胸倉を掴み上げた。
「そこを退け。この、クズが」
 短く吐き捨てて、未だに呆然としている男を、少女の上から突き退ける。
 無様に土を舐め、蛙のような呻きを漏らす男。それにはもう一瞥もくれず、信行は
倒れている少女に駆け寄り、その体を抱き起した。
「すまない。遅くなった。怪我はないか、能美」
「津田先生……?! え、そんな……どうして……?!」
 零れんばかりに眼を見開いて、綾は信行を凝視する。一見した限り、怪我を負った
様子はなかった。身に纏ったコートのボタンも、上までしっかりと止められている。だが、
短いスカートは無体にも捲り上げられて、下着が露わになっていた。
 綾は信行の出現に余程驚いているようで、そんな自身に気を配る余裕もないようだ。
硬直してしまっている彼女に代わり、信行は乱れたその身なりを整えてやる。
「……悪かったな」
「え……?」
「私がもたついていなければ、お前に怖い思いをさせずに済んだ……すまない」
 ハンカチを取り出し、泥に汚れた頬をそっと拭ってやった時。ずっと蚊帳の外だった男が
やおら立ち上がったかと思うと、信行を怒鳴り付けてきた。
「な、なんだあんたは!? い、一体なんの権限があって、こんな……!」
 醜悪な面差しを怒りに歪め、口の端から唾を飛ばして、男は信行に食って掛かる。
 その、了見違いも甚だしい申し条に。一度は鳴りを潜めていた激情が再び鎌首を
もたげ、信行は静かに立ち上がった。

534 :
「ふざけるな。何が権限だ。そんな言葉を口にする資格が、貴様にあるとでも思っているのか」
「うるさい! 何も知らない部外者がしゃしゃり出てきて、偉そうに説教を垂れるな!」
「言い訳は警察でしろ。婦女暴行未遂の現行犯で突き出してやる」
「暴行? ふん! 暴行だと? 馬鹿を言うな! 私がいつそんな真似をした!」
 そこで不意に、怒り狂っていた男が唇の端を吊り上げる。せせら笑うようなその表情、
そして何より、自分の行いを欠片も悔いていない言動に、瞬間、怒りが沸点を超えた。
「貴様――!!」
「ひっ……?!」
 思わず、感情のままに怒声を張り上げる。終始強気だった男はその途端、怯えるように
表情を歪めた。
 逃げ出そうとする男の胸倉を掴み上げ、殴り付けてやろうと拳を振り上げて、
「駄目、先生……!!」
 直後、か弱い腕にそれを押し留められた。
「……! 能美……?」
「駄目ですっ……お願いですから、殴らないで下さい、先生……! その人は……
その人は、悪くないんです……っ」
「何を――」
 信行の腕に取り縋り、綾は泣きながら懇願する。その不可解な言葉の意味を
問おうと、信行は傍らの少女を見遣った。
 同時に、男から注意が逸れて、胸倉を掴んだ手もわずかに緩む。
 男は、その隙を逃さなかった。
「くっ……この!」
 突如、男が猛然と猿臂を突き出し、信行に縋る綾を突き飛ばす。
「きゃ……?!」
「能美!」
 華奢な体躯はあっけなく姿勢を崩し、地面に倒れ込んだ。それに気を取られた信行も
男のタックルを受け、不覚にもたたらを踏んでしまう。
 当然、男を拘束していた手も力を失い。自由になった男は、恐ろしい速さで自身の
鞄を掴み取ると、一目散に駆け去っていく。
「このっ……待て!!」
 瞬きの間に小さくなる背中。それを追い掛けようと一歩を踏み出した瞬間、
「先生……!!」
 決して無視できない声が、信行をその場に留まらせた。
 ゆっくりと、背後を振り返る。地にへたり込んだ少女は立ち上がることさえも忘れて、
ただ必に信行の顔を見つめていた。行かないでと、そう懇願するように。
 しばし、信行は、己が次に取るべき行動を見失う。今すぐにも男の後を追わなければ、
奴はこのまま逃げ果せてしまうに違いない。
 だが。
 そうかといって、こんな目をした少女を置き去りにして行くことはできず。踵を返した信行は、
未だに座り込んだままの彼女に手を差し伸べた。
「……怪我はないか?」
「はい……」
 素直に手を握り返し、綾はゆっくりと立ち上がる。
 可哀想に。元は白かったであろうコートはすっかり土に汚れ、無惨な有様を晒していた。
 否、コートだけではない。艶やかな黒い髪も、澄んだ色の肌も、少女の体の至る所に、
加えられた乱暴の痕が見て取れた。
 俯く少女を見守る信行の心中には、二つの思いが込み上げる。少女を痛ましく思う
気持ちと、そして、こんな真似をした卑劣漢に対する憤懣が。
 そのどちらを優先するべきか、わずかな逡巡が芽生える。だが、悩んだ時間は短かった。
「能美」
 意を決し、信行は、少女の華奢な肩に手を添える。そして静かに、その顔を覗き込んだ。
「ひとまず、病院に行こう。それから、警察へも」
 瞬間、掌に包んだ肩がびくりと跳ねたのが分かる。
 予想した通りの反応。彼女の胸中は想像に難くないが、良識ある大人として、ここで
口を噤む訳にはいかなかった。

535 :
「……お前の気持ちは分かるつもりだ。こんなことを、誰にも知られたくはないだろう。
だが、お前がここで口を噤めば、奴はまた同じことを繰り返す。またお前が狙われるかも
しれんし、あるいは、別の誰かが被害に遭うかもしれん。そんなことがあってはならない
……分かるな」
 逃げるように俯く視線を追いかけ、切々と説く。それが、教師である己の責務だと信じて。
 しばしの、沈黙を経て、
「……違、うん……です……」
「……能美?」
 震える唇から紡がれた言葉は、信行が予想していたものとは違っていた。
「違う、そうじゃないんです……あの、人は……何も、悪くないんです」
「能美……」
 そんなはずはないのに―― こんな時にまで自身を省みようとする少女の心が、信行に
は痛ましくてならない。
 だが、お前の所為ではないと諭してやろうとした言葉は、形になる前に消える。
「っ……わ……わた、し……ッ」
 綾が、涙に震える声で、信じがたいことを口にしたから。
「私……オナ、ニー……して、っ……たん、です……! 電車のっ、中で……っ」
 最初。彼女が一体何を言っているのか、信行は本気で理解できなかった。
「……オナ、ニー…………?」
 告げられた言葉を、阿呆のように復唱する。
 意味は知っている。どんな行為かも分かる。
 だが、それをこの少女が、しかも、電車の中で?
 呆然とする信行を余所に、綾は嗚咽に肩を震わせながら、なおも告解を続ける。
「せ、生徒会の、仕事で、帰りが遅くなってっ……電車が混んで、て……! 後ろ、
から、押されて……ドアの脇の、手すりが……あ、そこ、にっ……当た、って……!」
 そう告げられた刹那。思考は相変わらず空白であったのに、視線だけが勝手に動いて、
彼女の下腹部を見つめた。その、衣服の下の光景を想像しかけたことに遅れて気付き、
一瞬、自分で自分を殴りしたくなる。
「最初はっ……! 我慢しようとしたんですっ……こんなの、いけないって……!
で、もっ……でき、なくて、っ……」
 自己嫌悪に顔を歪めた信行には気付かなかったのか。涙に濡れた顔を手で覆い、
途切れ途切れに語る彼女の声は、より悲壮な色を増していく。
「っ……オナ、ニー、したんです……スカートの、上から、あそこを、手すりに、押し付け、っ、て……」
「……能美」
 もういいと、言わなくてはならないと思った。これ以上、彼女に口を開かせてはならないと。
けれど一歩遅く、綾は泣き叫ぶようにして、途切れた言葉の先を口にする。
「電、車のっ、なかで……人、一杯、いたのにっ……止められなくて……そうしたらっ……
あの人に、見付かって……言うこと、聞かないと、学校に、バラすって、言われっ……!」
「能美」
 それ以上は、聞くに堪えず。信行は腕を伸ばし、しゃくり上げる少女を優しく抱き締めた。
そうするより他に、彼女の言葉を止める術が見付からなかったから。
「だからっ……私の、所為、なんですっ……! 私が、あんなことしたから……
私がっ……いやらしい、子、だから……っ」
「違う」
 震える華奢な体を包んでやりながら、囁く。でき得る限りの誠心を籠めて。
「お前の所為じゃない。そんなはずがないだろう」
「でもっ……私、ずっと前から、こうなんです……いつも、ちょっとしたことで、体、
おかしくなって……外や、学校にいる時でもっ……我慢、できない時が、っ……
あ、って……オナニーだって、ほとんど、毎日……!」
「違う」
 続ける言葉も思い付かないまま、感情だけで否定する。
 理屈も何もなかった。ただ、こんな自分を傷付けるだけの言葉はもう口にさせたくなくて、
その一心で、信行は懸命に言葉を重ねる。

536 :
「違う。お前の所為ではない。そんな風に、自分を責めるな」
「っ……ごめん、なさい……っ」
「何故謝る」
「だって、私、ずるいです……こんな、泣いたら……先生、そうやって、言うしか、ないのに……」
 哀しげに声を詰まらせる、その意味を思う。
 彼女は、信行の言葉を偽りだと思っているのだ。生徒である自分が哀れがましく泣くから、
見かねて、心にもない慰めを言っているのだと。
 それは恐らく、彼女自身が、自分を軽蔑しているから。
 こんな自分には、優しい言葉を掛けてもらう資格などない―― 自身を否定するその
気持ちが、彼女の心を頑なにしている。
 先程告げられたことが全て事実だというなら、それは、当然の帰結なのかもしれなかった。
 この少女は人一倍、真っ直ぐな心の持ち主だから。あるべき道筋から外れてしまった
自分を、長い間責め続けてきたのだろうことは、容易に想像がついた。
「―― そんなことはない」
 声を発してから、遅れて思う。
 自分はただの、担任教師でしかない。多少交流があったとはいえ、そんなものは学校
という狭い環境の、さらに限られた範囲でのことだ。自分は、彼女の何を知っている訳で
もない。いやむしろ、何も知らない。彼女がこんな苦悩を抱えていることにだって、今まで
まるで気付けなかったのだから。
 それでも。
 信行にはどうしても、彼女に伝えてやりたい言葉があった。
「たとえお前の体がそうなのだとしても―― それで、お前の心までが変わる訳ではないだろう」
 絶えることのなかった嗚咽が、その時初めて、途切れた。
「本当に卑怯な人間なら、それを恥じて泣くこともない……私は、お前のその涙に嘘が
ないと信じる。お前の、心を信じる」
 そっと、本当にそっと。恐れさえ抱きながら、少女を抱く腕に力を籠める。胸裏を圧する
不安とは裏腹に、彼女は、その腕を拒まなかった。ただ、息を呑む気配だけが伝わってくる。
「お前の心は綺麗だ。卑怯でも、淫らでもない――だから、もう泣くな」
「先、生……」
 腕に感じていた震えは、いつしか治まっていた。けれど、まだ嗚咽は止まらない。それを
どうにか慰めてやりたくて、信行は彼女の背をそっと撫でる。
 変化が起きたのは、その時だった。

537 :
「んっ……!」
 掌が背中を掠めた途端、しゃくり上げるばかりだった綾の口から、泣き声ではない吐息が
零れ落ちる。はっとして体を離すと、彼女はうっすらと色付いた目元を伏せ、恥ずかしげに
俯いた。
 改めてその痩身を見つめてみれば、綾の異変は明らかだった。短いスカートを精一杯に
引っ張りながら、彼女はしきりに腿を擦り合わせる。いつしか嗚咽は鳴りを潜め、涙に
濡れた頬は、夜目にもはっきりと分かる程に上気していた。
「ん……ふ、ぁ……っ」
「能美……?」
 どうしたと、尋ねかける声に、彼女は答えない。いや、答えられないのか。
 しかし。実のところを言えば、そんなことはわざわざ尋ねてみるまでもなかった。先程の
彼女の告白を聞いていれば、なおさら。
「……辛いのか?」
 問い掛けてしまってから、己の迂闊を呪う。少女の細い肩が、怯えるように震えたからだ。
「いや、違う。責めてはいない」
 ただ、案じているだけなのだと。胸の内の想いが伝わるようにと願い、ゆっくりと、彼女の
頬に手を伸ばす。
「……能美」
 肌を濡らす雫を拭ってやると、綾はそれだけで身を跳ねさせ、色めいた吐息を漏らした。
途端、悔いるように顔を歪める様が痛々しい。
「ご、ごめんなさい……先生」
 逃げるように――否、事実、逃げているのだろう――信行から距離を取ろうとする綾。
だが数歩も動けぬうちに、震える足は力尽きて崩れてしまう。
「……! 能美!」
 咄嗟に、倒れかける彼女を、腕を伸ばして抱き留めた。
 受け止めた体は、見た目の華奢さそのままに、軽い。その軽さに、我知らず、胸の奥が
ざわめくのを感じる。それを振り払おうと、信行は腕の中の少女に声を掛けた。
「大丈夫か?」
「は、いっ……すみ、ませ……ん……っ」
 そう詫びながらも、綾は信行に身を預けたまま、立ち上がろうとしない。そうするだけの
余力がもうないのか、それとも、何か他に、理由があるのか。
(いや。余計な詮索は後だ)
 耳に届く息遣いが徐々に荒くなっていくのに気付き、思考を切り替える。今はとにかく、
彼女を落ち着かせてやらなくては。
 記憶の中から、綾の自宅の住所を思い起こす。ここからは電車で三十分程の距離だが、
こんな状態の彼女を電車に乗せられるはずもない。いやそもそも、彼女の心情を慮れば、
他人の目に晒すこと自体が憚られる。
 ならば、と、脳裏に浮かぶ、一つの方策――信行の住むマンションは、ここからは
目と鼻の先だ。
 即断は、しかねた。己の立場を考えれば、それは決して望ましいことではない。
 だが、身を焼く焦燥に必で耐える息遣いが、その逡巡を断ち切る。
「能美」
 呼びかけに、綾はおずおずと顔を上げた。
 縋るようにこちらを見上げる、劣情に濡れた瞳。その思いがけない色香に戸惑いながらも、
信行は真っ直ぐにその目を見つめ返す。
 そして、告げた。
「私の家は、この近くだ。歩いても数分とかからない。私以外に誰もいないし、お前が
そこで何をしても、私は知らなかったことにする。勿論、部屋を貸す以上のことは何も
しない……どうするかは、お前が決めろ。私の家に来るか?」
 一瞬、息をすることもままならないような沈黙が満ち――やがて綾は、小さく首を
頷かせた。

538 :
以上です

539 :
すばらしい
ぜひ頑張って完結させてほしい
応援してます

540 :2013/10/03
投下きてた!!
とても良かったです
今後も頑張ってください
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