2013年10エロパロ635: 【あかほん・濱中】氏家ト全 32時間目【妹・生徒会】 (398) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【あかほん・濱中】氏家ト全 32時間目【妹・生徒会】


1 :2011/08/26 〜 最終レス :2013/09/25
【氏家ト全作品】
・女子大生家庭教師濱中アイ(週刊少年マガジン連載、完結。単行本全6巻)
・妹は思春期(週刊ヤングマガジン連載、完結。単行本全10巻)
・アイドルのあかほん(週刊少年マガジン連載、完結。単行本全1巻)
・妹はひまわり組(別冊ヤングマガジン連載、完結。妹は思春期の二巻から収録)
・生徒会役員共(週刊少年マガジン連載中、単行本は現在第4巻まで)
・ハナとプチ(シリウス読み切り。生徒会役員共&オールキャラクターズに収録)

【お願い】
作品の投下は以下のようにしてくれると助かります。
(1).投下します宣言
(2).本編投下
(3).ここまでです宣言
また、作品のタイトルは上記の(1)、(3)のどちらでも良いのですが、
1行独占で書いてくれると助かります。本文に紛れると見落としてしまうことがあるので。
↓こんな感じ
タイトル:「?????」
名前欄はこれまで通り作家さんのコテでよいです。

古田氏作のSS保管庫(旧保管庫、更新停止)
ttp://yellow.ribbon.to/~hamanaka
SS保管庫wiki (新保管庫)
ttp://wiki.livedoor.jp/uziietozen/d/FrontPage

2 :
前スレ
【あかほん・濱中】氏家ト全 31時間目【妹・生徒会】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1288545394/

3 :
過去スレ
【あかほん・濱中】氏家ト全 30時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284051863/
【あかほん・濱中】氏家ト全 29時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1258008134/
【あかほん・濱中】氏家ト全 28時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1243252379/
【あかほん・濱中】氏家ト全 27時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1230295418/
【あかほん・濱中】氏家ト全 26時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1220494538/
【あかほん・濱中】氏家ト全 25時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1210176219/
【あかほん・濱中】氏家ト全 24時間目【妹・生徒会】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196308247/
【あかほん・濱中】氏家ト全 23時間目【妹・生徒会】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1179570516/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 22時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1167016800/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 21時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1158053539/

4 :
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 20時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1153304002/
【あかほん】【濱中】氏家ト全総合 19時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1150028186/
【濱中アイ】氏家ト全総合 18時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1145727127/
【濱中アイ】氏家ト全総合 17時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1142255932/
【濱中アイ】氏家ト全総合 16時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1139468699/
【濱中アイ】氏家ト全総合 15時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1137258988/
【濱中アイ】氏家ト全総合 14時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1135925974/
【濱中アイ】氏家ト全総合 13時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1134125251/
【濱中アイ】氏家ト全総合 12時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1132404885/
【濱中アイ】氏家ト全総合 11時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1129514442/

5 :
【濱中アイ】氏家ト全総合 10時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1127110404/
【濱中アイ】氏家ト全総合 9時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1125079101/
【妹】氏家ト全総合 8時間目【濱中アイ】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1122381257/
【濱中アイ】氏家ト全総合 7時間目【妹は思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120910446/
【濱中アイ】氏家ト全総合 6時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118937114/
【女子大生】氏家ト全総合 5時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1117279379/
【家庭教師】氏家ト全総合 4時間目【思春期】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114597887/
【カテキョ】氏家ト全総合 3時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1109699736/
【濱中】氏家ト全総合 2時間目【妹】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1106563195/
家 庭 教 師 濱 中 ア イ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1095652398/

6 :
おつ
職人さん、いつもえっちなSSをありがとう

7 :
いちもつ

8 :
test

9 :
投下します
『AV女優のあかほん』
自己紹介編その1

10 :
曲がりなりにも芸能事務所であるため、レイ・プリンセス事務所にも
レッスン用に防音を完備した部屋の一つや二つはある。
だから今目の前のテレビから流れている大音量が外に漏れる危険性を
心配する必要は無いのだが、それでも井戸田は内心の焦燥を隠しきれなかった。
「イクゥっ! イっちゃうっ、んんっ、あぁぁぁっ!」
大画面、大音量で、当事務所の筆頭売れっ子アイドル小池マイの
あられもない肢体と嬌声が曝け出される。
今すぐにでもスラックスを脱いで一発二発抜きたいところだが、
生憎この場にはトリプルブッキングの三人や、社長のレイコまで居合わせている。
むしろ井戸田はパイプ椅子に腰かけてわざとらしく足を組み、
股間の膨らみを隠すのに必だった。
「すっごーい……パパとママがしてたのとおんなじだぁ」
有銘ユーリが、食い入るように画面を見つめる。
「意外とアソコ綺麗な色してんのね、マイって。無修正だから良く分かる」
飯田シホは、割とどうでも良い部分にばかり注目している。
「あなた達分かってるの? これは勉強なんだから、真面目に見なさい」
如月カルナはそう言いつつも、時折画面から目を逸らしている。
ここに集まったメンバーの中では、自分とカルナだけしか
マトモな人間らしい反応をしていない事に、井戸田は偏頭痛を覚えた。
社長はリモコンを操作しながら、要所要所で一時停止したり、
スローをかけたりして、アイドル達に口頭での指導をしている。
「良い事? この表情、これが大切なのよ。
 実際のセックスではこんな痛い事されて気持ち良いワケないんだから。
 AV女優が仮にも『女優』である事を雄弁に語る、大切なシーンよ」
丁度、マイが激しい手マンで喘ぎまくっているシーンで、画面が止められた。
「手マンって痛いんですか?」
「当たり前じゃない。ソフトなタッチなら良いけど、
 こんな風に指を三本も入れて激しく掻き回すなんて、本来なら女に対して失礼だわ。
 AVの受け売りで、これが気持ち良いんだって勘違いしてる男が多いけどね」
そうか、痛いのか……。
井戸田は学生時代の恋人に、こうした激しい手マンをして、
相手に本気で嫌がられていた時の事を思いだした。
てっきり嫌がっているのは演技だと思い込んでいたのだが、
どうも本気で嫌がられていたらしいと、今更ながら分かる。
丁度一本のAVの再生時間が終了する頃合いになって、
経理の三瀬と営業の小田が、段ボールを抱えて部屋に入って来た。
「社長、衣装届きました」
「ん、ご苦労。それじゃ予習も済んだ事だし、撮影に入りましょうか」
レイコは井戸田に目配せした。
「撮影に当たって忘れてはならない事。覚えてる、井戸田?」
「はっ、はい。コンドームの着用を視聴者に見せつける事、ですね」
「よろしい。アイドルのAV進出が当たり前になったとは言え、
 文科省やら厚生省から厳しいルールが山程ふっかけられてんだから。
 ちゃんとルールは遵守しないと販売出来ないし、撮影損よ。
 ロストヴァージンは一回しか撮影出来ないんだからね」

11 :
いつの頃からだったろうか。
グラビアアイドルや女優のAV撮影、並びにその販売が、
法的に認可されるようになったのは。
発端となったは、アイドル同士の切磋琢磨だった。
元々グラビアアイドルと言えば、水着着用で
写真やイメージビデオを撮影するのが主な露出だった。
しかしそれだけではライバル達から抜きんでる事は難しい。
水着を下着に見立てて、水着の上から服を着て、
あたかも脱衣しているかのような写真を撮影するグラビアアイドルが、
一時期から台頭するようになってきた。
森下悠○や伊藤○み等がそうだ。
それとほぼ同年代に、元アイドルがAV業界に転向する事例が増えてきた。
やまぐ○りこ、希志○いのといった者達だ。
彼女らのAV業界進出は多くのファンを幻滅させた一方で、
ある面ではアイドルだった頃よりも知名度を飛躍的に向上させた事も事実だった。
また、決して無視出来ない割合のファン達が、何だかんだと言いながらも
ちゃっかり彼女らの出演するAVを購入、或いはレンタルしている事実があった。
そこまでなら、所詮は別個の業界の事例として処理出来た。
アイドルはアイドル、AVはAVだ。
問題は、この勢いに乗せて、より過激な撮影をする現役アイドルが出てきた事だ。
競争の激しい業界なので、アイドルの多くは純粋そうに見えても、
裏に秘めた野心や向上心はそこらの会社員などより遥かに高い場合が多い。
ライバルより目立つためなら、ライバルに差をつけるためなら、
出来る事は何でもやるという若いグラビアアイドルが、大勢居た。
所属事務所からの命令も勿論あったろう。
彼女らは水着を下着に見立てるのではなく、本物の下着を着用して撮影し始めた。
互いの競争心に火がつき、次には別のアイドルが、ギリギリ乳輪までを見せ始めた。
その次は乳首、その次はヘアヌードと、一気に競争が激化した。
従来ヘアヌード写真集と言えば、落ち目のアイドルや、既に敗北したアイドルが
今一度返り咲くために採択する、最後の手段のようなものだった。
しかし今では、普通に水着撮影をしているだけでも
十分売れそうなトップアイドルすらもが、こぞってヘアヌード本を出している。
単なるヘアヌードなどはまだマシな方で、少し見劣りするアイドルになると、
小道具としてローターを乳首にあてがいながら笑顔で撮影したり、
バイブを剥き出しの乳房で挟んで疑似パイズリする姿を写真に収めたり、
写真集に陰毛を一本付録でつける者まで現れていた。
流石にこういった写真集は成人指定だったし、
少年漫画のグラビアではこういった撮影は禁止されていたが、
以前とはかなり時勢が変わってきているのは事実だった。
かつては週刊少年漫画雑誌の巻頭グラビアと言えば、
トップアイドル達の定位置と相場が決まっていたのに、
今ではそんな当たり障りの無い写真しか載せられない雑誌は、
トップアイドル達からは避けられるようになってしまっていた。

12 :
ヘアヌードや大人の玩具までもがグラビアに利用されるようになれば、
そこから現役アイドルのAV撮影、及び販売にまで至るのはすぐだった。
これも生存競争の結果だ。
日本を代表するトップアイドルが、アイドル業現役のままでAVを販売した翌月には、
超有名国民的アイドルグループが大乱交を繰り広げるAVがリリースされた。
女子高生アイドル達は十八歳になると同時に、
待ってましたとばかりに即座にAVを撮影し、リリースし始める。
この辺りで、政府からは業界に過激な撮影行為の自粛を促す指示が下った。
青少年への悪影響が懸念されたからだ。
ところが予想に反して、良い結果が現れていた。
国内の強姦や婦女暴行、売春買春等の検挙件数が、一気に減ったのだ。
それまで規制、規制しか頭に無かった政府は、むしろ規制を緩和する事こそが
もっと大きな性犯罪の減少に繋がるのだと、ようやく認めるようになった。
非実在青少年に関する条項は撤廃され、ロリ漫画が普通に販売されるようになった。
ジャ○プでは河下水○の漫画で堂々と乳首が描写され、
編集部の要請でToLOVE○が本誌に返り咲いた。
マガジ○では大暮○人がタガが外れたようにセックスシーンを描写しまくり、
赤○健は主要女性キャラ達の裸体画集を描き下ろしで販売した。
アダルトゲームでは、登場人物の年齢設定が幼稚園児でも、
全く摘発される事が無くなった。
それに伴って、現役アイドルの撮影に限り、未成年であっても
卑猥な画像や映像を撮影して構わないと、法律が書き換えられた。
但し、条件があった。
それは、撮影にあたって必ずコンドームやピル等を服用している事を、
見る者に明示する事だった。
兼ねてより、望まぬ妊娠による堕胎が一つの問題として取り沙汰されていた。
AVではモザイクがかかっているため、コンドームを使用していないのだと、
ひいては自分達もコンドーム無しでも案外妊娠しないものだと、
そう勘違いしてしまう若者がいたのだ。
避妊のメッセージを若者達に伝える効果が見込めるからという理由で、
アイドル達のAV撮影には必ず避妊具の使用が義務化されていた。
届けられたセーラー服の袖に腕を通しながら、カルナは溜息をついた。
この業界に入った頃はまさかこんな事になるとは想像もしていなかったのに、
ものの数ヶ月で環境が大きく変わってしまったものだ。
「それにしても『ヤリにいけるアイドル』だなんて、社長も思い切った事を考えるわね」
聖光女学院のものとは違う、撮影用のセーラー服を着込んだ彼女は、
メイド服を着るのに手間取っているシホを漫然と眺めながら言った。
「会いにいけるアイドルに続いて、揉みにいけるアイドルってのが既に居たからねぇ。
 ポルノ方面への進出が遅れてたウチらにとっての起回生のアイデアって事でしょ」
先程予習として流していた小池マイのAVですら、競合他社より一歩も二歩も出遅れている。
中堅事務所であるレイ・プリンセスは、当たり前だがAV業界へのコネが無く、
マイ一人のAVをリリースするまでに時間がかかってしまったのだった。
そこでレイコは、この事務所の一室を風俗小屋として使い、
トリプルブッキングをファン達に抱かせる企画を打ち立てた。
これはまだどこの事務所も手を出していない事だ。
プロの汁男優と撮影するのなら兎も角、そこらのファン相手では、
いろいろと危険性が残っていたからだ。
しかしうまくいけば、一気にレイ・プリンセスが業界のトップに躍り出られる。

13 :
もっとも、いくらファンは大事とは言え、
さすがにどこの馬の骨とも知らぬ男達に処女を捧げるわけにはいかないので、
彼女達のロストヴァージンは社内スタッフに捧げる事になった。
その処女喪失の場面すら自社で撮影し、直販し、収益に繋げる作戦だ。
セックスの相手はシホ達本人のたっての希望で、井戸田一人で賄う事となった。
撮影は小田だ。
プロの撮影と違い、量販店で入手したハンディカメラでアマチュアが撮るのでは、
カメラワークや映像の彩度、編集技術など、様々な面で見劣りするだろう。
だがそれは逆に捏造ではない本物の処女喪失である事を印象づけられるだろうと、
レイコは肯定的に捉えていた。
ちゃんとセッティングされたスタジオでプロに撮影させると、
破瓜の血すらもが演出用のトリックだと思われる可能性があった。
三人が着替えを終えると、ドアをノックする音が聞こえた。
「三人とも、準備は良いかい?」
設備に余裕の無い事務所なので、井戸田と小田は廊下で待機していた。
防音の整ったレッスンルームには既に昨夜の内に長いテーブルや椅子が運び込まれており、
さながら社内の会議室の様相を呈していた。
これも演出の一環で、本当に社内で撮影しているのだと視聴者に印象付けるためだ。
「おー良いよー、入ってきてー」
部屋の中からシホの合図が聞こえたので、井戸田と小田はしずしずと入室した。
萌え衣装でのグラビア撮影は今までに何度もこなしているし、
海浜でのイベントに水着で参加した事もある。
だからカルナのセーラー服姿も、シホのメイド服姿も、ユーリのスク水姿も、
それなりに見慣れているつもりだった。
(さすがにスク水で仕事した事は無いが、水着という意味では同じだ)
とは言え、これから始まるのは従来の仕事とは全く異なる、
マネージャーとアイドル達の処女貫通式、及びその撮影だ。
脱いだ背広を腕にかけて股間を隠しているものの、
井戸田のスラックスはもうテントを張っていた。
見慣れた筈のコスチュームが、酷く新鮮に映る。
今まで付き合ってきた彼女達とも、コスプレえっちはした事が無い。
その事が井戸田の緊張感をいや増していた。
「それじゃ、始めようか。小田さん、オッケーです?」
井戸田は念のため、カメラのバッテリー及び電源の状態を小田に確認した。
小田はいつもの通り無言だったが、こくりと頷いた。
コの字に並べられた長テーブルと、そこに収められた椅子の列。
その一角にトリプルブッキング達は腰かけた。
撮影が始まった。
「それじゃ、まずは一人一人自己紹介してもらおうか」
相手役の男が不必要に画面に映る事は避けた方が良い。
井戸田は画面外から声をかけたが、それはハンディカメラの性能では
十分には集音出来ていない筈だった。
もっとも、男優の声などどうでも良いというファンが大半だ。
井戸田の台詞には、後で三瀬に字幕を入れるよう編集してもらえば済む。
「ヒロ君、自己紹介ったって。この映像見る人達はもう私らの事知ってんじゃないの?」
井戸田は小田と目を合わせた。
この部分は余計だから、後でカットしておこう、というアイコンタクトだ。
「それじゃまずカルナちゃんからお願いしようか」
シホの反論をあっさりと受け流し、井戸田はグループの最年長者に振った。

14 :
「ファンの皆さん、こんにちわ。如月カルナでっす。
 もう私達の事を知ってるファンの人達も、これまで私達の事をよく知らなかった人達も、
 今回の映像では思いきり楽しんで下さいねっ」
キャピ!
という擬音が聞こえてきそうな、相変わらず徹底した営業スマイルと声だ。
ただ、いざセックス本番となると、この演技がどこまで保つかは分からない。
「飯田シホでしゅ! こんにちわ!
 いや、AV見るろなんて大抵夜だから、こんばんわかな?」
噛んだ……とかいう問題ではない。
何故この娘はこうも余計な一言を付け足さねば気が済まないのだろうか。
「これから頑張って、中出しでも妊婦プレイでもガンガンやっていくから、応援よろすく!」
あぁ、ここもカットだ。
避妊するっつってんだろ、話聞いてなかったのか。と井戸田は怒鳴りたくなった。
「有銘ユーリです。今回はヌキどころ沢山用意してますので、
 ティッシュは絶対新品を一箱以上用意しておいて下さいね」
ここは……カットすべきだろうか。
AVなんだからまぁ良いか、と思う反面、処女特有の初々しさが全く無い。
しかし小学生がこういう台詞を吐くのも一部のファンには受けが良さそうだ。
このシーンについては後で社長の判断を仰ぐまで保留にしようと、井戸田は思った。
自己紹介くらいなら後からリテイクもきくだろう。
まともに自己紹介したのはカルナだけだ。
まだ始まって一分でこれなのだから、先が思いやられる。
どうやって120分も――カットする分を含めればその何倍も――
この娘達の相手をしろと言うのだろうか。
男性スタッフが自分と小田しか居ないので、これも仕方の無い事だ。
井戸田は少し胃が痛む思いをした。
「それじゃ次に、男性経験を聞いていこうか。カルナちゃんから、どうぞ」
「今までお付き合いした事はありません。
 だからぁ、今回皆さんにお見せするのが、初体験って事になります」
「えぇ〜、本当かなぁ。学校ではモテるんじゃないのぉ?」
「ヤだぁマネージャーったら。私女子高ですよぉ?」
台本通りだ。
ある意味メンバーの中で一番演技の巧みなカルナだから、棒読みにならずに済んでいる。
シホだったらどうなる事やら……という悩みも、今は捨て置く事にして、
井戸田は小田に目線を送った。
小田はカメラを構えたまま少しずつ歩き、カルナとの距離を詰めていった。
相対的にシホとユーリが画面外に追いやられ、カルナがクローズアップされる形になる。
「そ、それじゃ、その……証拠、見せてもらえるかな?」
これも打ち合わせ通りだ。
そして、ここからが第一関門であり、最初の正念場だ。
今回の撮影に一番反対していたカルナだが、社長の説得により、
何とか本人の許可を取りつけていた。

15 :
カルナはまずセーラー服の裾から手を逆さまに突っ込んだ。
胸の辺りでモゾモゾと動かし、フロントホックのブラをズラす。
動きがぎこちなく、顔は早くも羞恥に打ち震えて真っ赤だ。
こればかりは演技ではないだろう。
練習は何度もやってきたし、井戸田に見られるのはもう平気だろうが、
これが全国販売されるのだから、泣き出してもおかしくない筈だった。
カルナはブラをズラした手を裾から引き抜くと、今度はセーラー服の襟を引っ張った。
「えっと……見えます、か?」
カメラが接近し、ほぼ真上から彼女の胸元を捉える。
画面には、カルナのピンク色の乳首が映し出されていた。
映るとほぼ同時に、カルナは慌てて襟を首元に押し付けて、胸を隠した。
これは打ち合わせには無かったが、それだけ恥ずかしいという事だろう。
「カルナちゃん、それじゃよく分からないよ」
「え……だって……」
本気で困っている顔だ。これは使えそうだと、井戸田も小田も判断した。
演技がかっていない、本当に初心な女の子の表情と声。
早い者なら、この時点で一回目の賢者タイムに入ってしまうかもしれない。
それ程までに今のカルナは男の劣情をそそる顔をしていた。
「ほら、頑張って。もう一度よく見せてごらん?」
「う、う……はぃ……」
恐る恐る襟を引っ張り、再度ピンク色の乳首をカメラに映す。
真正面に座る井戸田からは見えないが、上から撮影している小田には丸見えだ。
乳房から落ちた真っ白なブラの凝ったレース柄と、
使い込まれていない乳首の新鮮な色が織り成すハーモニーに、
しかし小田は特段何の反応も見せていなかった。
軽い勃起さえしていないようだ。
物凄い光景が至近距離で拝めている筈なのに、どういう神経してんだこの人……
と井戸田は呆れるやら尊敬するやら、複雑な感想を抱いた。

16 :
まだ第一の関門は終わっていない。
乳首を撮影するのは、第一関門の、更にその前段階に過ぎない。
まだオープニングの中のオープニングといったところだ。
「乳首の色だけじゃ判断出来ないなぁ」
「だ、だって……それじゃあ他に、どうやって証明すれば良いんですかぁ」
カルナは半泣きになりながら必で堪えている。
彼女が泣くところはちょっと想像つかないので、これは演技だろうか?
元々台本には、レイコの指示によって、涙目になるよう書かれていた。
しかしカルナの表情の偽装技術はプロ級なので(実際プロのアイドルだけど)
今のこの泣きそうな顔も、本物なのか偽物なのか判別がつかない。
井戸田はやはり打ち合わせ通り、席を立つとカルナの前まで歩いて行った。
そして彼女の隣の椅子、シホとは反対側の席に腰かけ、
ゆっくりとカルナの頬の辺りまで顔を近づける。
そして、囁く。
「アソコ、見せてごらん?」
「ひぇっ!?」
練習の時より遥かに頓狂な、つまりより自然な声で、カルナは反応した。
その声はひどく可愛らしかった。
画面に映らない範囲で、シホが笑いを噛みしている。
ユーリは全て演技だと思っているのか、さすがカルナとばかりにガッツポーズだ。
井戸田はまだカルナの耳元で……と言うよりは頬の辺りで、
息を吹きかけるように、あるいはキスを迫るかのように、
優しく囁き続けている。
「だってほら、皆にちゃんと見てもわらないと。ね? カルナちゃん」
悔しいが、女慣れしている声のトーンだと、カルナは思い知らされた。
井戸田の指先がスカートの裾をそっと掴み、ミミズが這うような低速で
徐々に裾をヘソ側へと持ち上げて行く。
元々この衣装は、セーラー服の裾も、スカートの丈も、異常に短い。
普通に座っているだけですらパンティが見えそうな短さだった。
小田は視聴者を焦らすようにゆっくりとポジションを変え、
やがてカルナのパンティを真正面から映す位置に移動した。
カルナは慌てて両足を閉じ、股間を隠した。
これは一応打ち合わせにあった内容だが、やはり練習の時より本気度が違う。
「ほらぁ、カルナちゃん? ちゃんと足開いて、自分で見せてご覧?」
「は、恥ずかしいです……」
いつの間にか作り笑顔は消え、いつものような仏頂面に戻っている。
仏頂面ながらも、頬は朱に染まり、目は虐められっ子のように潤んでいる。
これなら笑顔が消えて普段と同じ無表情に戻っている事は、
むしろ効果的な演出と言えるだろう。
下手に笑顔のままでいられては、演技臭くなってしまうかもしれない。
カルナは両手で顔を覆い隠しながら、緩慢な動作で足を開いていった。
せっかくの、作り物でない本物の恥じらいの表情を隠されてはたまらない。
井戸田は彼女の手に自分の手を添えると、柔らかな所作でその手を取り払った。
カルナは少しばかり抵抗しようとしたが、一方でこれが撮影であるという
理性も働いていたため、井戸田に促されるままに顔を再び曝け出した。
その顔とパンティとが同時に映るよう、小田はカメラを床ギリギリまで下ろした。
そこからやや斜め上を見上げるように角度を調整し、
パンティと顔とを交互に画面に収める。
後で分かる事だが、小田の撮影技術は、素人にしてはそれなりだった。
手ブレは殆ど無く、アングルは絶妙で、見ている者の目が回るような事も無い。
視点を移すスピード一つ取っても的確で、鍛えれば本職になれそうな程だった。

17 :
「まだ濡れてないね?」
「あ、当たり前じゃないですか……」
仏頂面なだけならまだしも、喋り方までいつものように素っ気なくなっている。
これも、状況に焦っていつもの自分じゃなくなっているという演出に使えそうだ。
にこやかに笑ういつものカルナを知っているファン達は、
彼女の新しい一面を、きっと快く受け入れる事だろう。
それだけの魅力が、今の恥じらいに満ちたカルナの顔と声にはあった。
「処女だってのは、本当みたいだね。でもまだ確証とは言えないかな」
「じ、じゃあ……何をすれば良いん……ですか……」
ここだ。
ここからが、本当の第一関門なのだ。
小池マイのAVもそうだったが、アイドルの撮影するAVは、無修正が基本だ。
かつてはそうでもなかったが、避妊具の使用を印象付ける事を政府が制定化して以来、
誤魔化しがきかないよう、モザイクは絶対入れないようになっていた。
つまりこれから映す全てが、一切何のボカシも入らないのだ。
その状況下で、トリプルブッキングの三人には、処女膜を映す事が求められていた。
それは社長であるレイコの指示だった。
「カルナちゃん」
「は、はい……」
「パンツ、自分で下せるよね?」
「あ、う……」
カルナは井戸田に促され、すごすごとスカートを自分の手で捲り上げた。
ブラとお揃いの、刺繍の入った真っ白なパンティが露わになる。
カルナはその両端に指をかけると、座ったままでゆっくりとパンティを脱ぎ始めた。
「お、お父さんにも見られた事無いのに……」
座ったままで器用にパンティを脱いだのは、カメラに対してパンティそのものが
少しでも壁の役目になる事を期待しての事だった。
陰毛が映る事さえ躊躇われるのだろう。
だがパンティの生地が股間からわずかに隙間を開ける程になると、
今度はカルナは椅子から立ち上がった。
重力に任せて落下するスカートの裾が壁になってくれる事を期待したのだ。
しかし小田は目ざとくカメラを動かし、彼女を下から見上げるように映した。
カルナがパンティから片足を引き抜く前に、井戸田が小声でストップをかけた。
これもレイコの事前の指示で、半脱ぎの方がエロいから、だそうだ。
実際それは功を奏しており、短いスカートが作り出す影と、
フトモモで止まったパンティと、その間に位置するカルナの秘部は、
それだけで十分なオカズになる映像だった。
完全にパンティを脱いでいたら、逆にエロさが半減していただろう。
それにしても、女のくせにそういう男の心理、男の望むものを熟知しているレイコは、
どれ程の経験を積み重ねてきているのだろうか。
「カルナちゃん? それじゃ暗くて、ファンの皆によく見えないよ」
「で、でも……」
カルナは伏し目がちなままで、その次の行動を躊躇い続けていた。
練習の時より、躊躇している時間が少し長いようだ。
ここまでは慣れているつもりであっても、いざ撮影となると、やはり尻込みするらしい。
これまでの流れは井戸田も慣れていたが、今のカルナの表情は、
練習の時以上に艶めかしく、また虐めたくもなる表情をしている。
カルナは意を決してスカートの裾を持ち上げ、照明の下にその股間を晒した。
茶色い頭髪と違い、陰毛は地毛そのままの真っ黒だ。
この撮影のために、練習の時期から毎日念入りに手入れしてきた茂みが、
今とうとう全国販売される映像に余す所無く収められている。
「まだ駄目だよ、カルナちゃん。分かってるだろ?」
「は、はい……」
カルナは打ち合わせ通り、右足だけパンティからゆっくりと引き抜いた。
そのままパンティを左のフトモモに維持したままで、再び椅子に腰かける。
あくまでも半脱ぎに拘るレイコの指示によるものだ。
本来セックスの時は全裸になるのが基本なのに、今回は初AVでありながら、
全員衣装を着たままでセックスするよう厳命されている。

18 :
カルナは両足を開くと、黒い毛に覆われた大事な部分を、両手の人差し指で摘まんだ。
それから左右にちょっとずつ肉を引っ張り、内側のピンク色をカメラに見せつける。
だがこれではまだ処女膜は見えない。
未使用の膣は指一本も入りそうにない程閉じきっていて、内奥が伺えない。
練習で行ったのは、ここまでだ。
広げる練習を積み重ね過ぎると、本番では不自然な程
広がりやすくなっているかもしれないからと、レイコは言っていた。
つまり、カルナが処女膜を見せつけるのは、井戸田にすらこれが初めてなのだ。
「これじゃ全然見えないねー。どうしよっか、カルナちゃん?」
カルナはこれ以上何もしたくないとばかりに、無言で首をブンブン振った。
しかしこれが仕事である以上、マネージャーとして容赦は出来ない。
本来の打ち合わせではここでカルナは素直に指を挿入して拡張してくれる手筈だ。
「頑張って、カルナちゃん」
井戸田のその言葉は、本心からのものだった。打ち合わせには無い台詞だ。
彼女の事を心配しての言葉だったが、視聴者からすれば、
恥じらう乙女を焚き付ける、予定調和の台詞に聞こえるだろう。
カルナはまだ男根など入れた事のない部分に、恐怖を伴いながら指先を刺し入れた。
……いや、刺し入れようとした。
しかし実際には、爪さえも満足に埋没出来なかったようだ。
「痛っ……くっう……」
この映像だけ見ても、視聴者にはもう紛れも無い処女だと分かるかもしれない。
カルナの表情は恥ずかしさだけでなく、本当に痛みを湛えているように見える。
「仕方ないなぁ。ローション、使う?」
こういう時のために、レイコはローションを何本か仕入れていた。
だがカルナは歯を食いしばったまま、それを拒否した。
「イヤだ……イヤです……初めてなのに、そんな道具使いたくない……」
実際には初めてだからこそローションを使う事も多い。
それでもカルナの言い分はこうだった。
「初めてここに入るのが、自分の指でも、男の人の体でもないなんて……
 そんなの、イヤなんです……」
それは本音だった。
カルナは時折指先を自分の唾液で濡らしながら、たっぷり時間をかけて、
何とか陰唇を左右に引っ張って拡げてみせた。
そこに至るまでには二十分もかかっていたが、そこら辺は全部カットだろう。
まだ自己紹介の延長程度の段階なので、映像上は五分とかけてはならなかった。
マジックミラー越しに撮影風景を覗いていたレイコは、
これはこれでノーカット版として売り出せば二重に儲かるな、
などと早くも狸の皮算用を始めていた。
「良い感じじゃない。今の所使えなさそうな部分は殆ど無いわ。
 せいぜいシホの余計な台詞をカットするぐらいね」
「カルナちゃん、可哀想……」
三瀬はラップトップで事務作業を進める傍ら、
時折顔をあげては、レイコの隣で撮影風景を観察していた。
良い年をして処女の三瀬には、カルナの気持ちが痛い程良く分かる。
初めてオナニーで指を入れた時は、膣が一生使い物にならなくなるかと思う程の
激痛が全身を伝わったものだった。

19 :
カルナの処女膜は、家庭用にしては高精細のハンディカメラで、
今や余す所無く詳細に録画されていた。
「こ、これで……私が初めてだって、お分かり頂けましたか?」
「うん。有難うね、カルナちゃん。よく頑張ったよ」
早くも血が出そうな程赤く充血した膣からすぐに手を放して、
カルナは余韻も残さずに両足を閉じた。
まだ股間が腫れて痛いと言わんばかりに、スカートの上からアソコを両手で押さえる。
彼女が受けた恥辱は、人並みのものではないだろう。
他のアイドル達でさえ、何だかんだ言って枕営業をこなしていたりして、
撮影段階ではとうに処女でなくなっている者ばかりだ。
処女膜を撮影された上にそれを全国販売される等、恐らくカルナが初めてに違いない。
せめても尻が固く閉まっていてアナルが皺一つたりとも見えていなかったのが
不幸中の幸いと言えない事も無いが、それも些末な問題に過ぎない。
「それじゃあ次はシホちゃんの番だね」
井戸田は席を立った。
ここで一旦小休憩だ。
カルナ一人でさえ、しかもただアソコを見せただけで
ここまで時間がかかっているのだから、全員とセックスするには
下手をすると一日中かかりそうだった。
撮影が始まって半時間程。終了したのは簡単な自己紹介、それもカルナの分だけだ。
シホとユーリの自己紹介は、まだあれで終わりではない。
小田がカメラの電源を切った事を確認すると、井戸田は溜め込んでいた息を吐き出した。
「っはぁ……何時間かかる事やら。ってか、一日で終わるのかな、これ」
そう言って井戸田は、すぐにカルナを振り返った。
次の撮影再開までは、彼女を一番に気遣ってあげるべきだろうと思ったのだ。
「しばらくはシホとユーリちゃんの番だから、
 カルナちゃんは部屋の隅で休んで……あれ?」
その時、彼は予想もしていなかった光景を目にした。
「あ、はい。じゃあお言葉に甘えて休んでおきます」
何と、カルナはまるで何事も無かったかのように、スタスタと歩き始めたのだ。
いつもと変わらぬ無表情、いつもと変わらぬ仏頂面。
たった今まで陰唇の隙間に指を入れる事すら痛がっていたとは思えない、そつのない足取り。
「か、カルナちゃん……? 平気なの?」
もう恥ずかしくないのか。もう痛くないのか。
二重の意味で井戸田は尋ねたのだが、カルナは両方の意味で「大丈夫です」と即答した。
「ひょっとして……今までの全部、演技!?」
「はぁ、まぁ。いきなりは痛いだろうと思って、家で練習してましたし」
トリプルブッキングは三人で同居している。
井戸田は慌ててシホとユーリの方を振り返った。
「何だ。ヒロ君知らなかったの? てっきり知ってると思ってた」
「あははー。カルナちゃんの見事な演技力に、お兄ちゃん騙されたんだよー」
「そ、そんな……馬鹿な……」
マジックミラー越しに見ていた三瀬は、カルナのあまりの演技力に、
年の序列だけでは覆せない何かを見せつけられた気分だった。

20 :
ここまでです。

21 :
これが今流行のアイドルマスター(ベーション)ってやつですね

22 :
gj!
いい仕事だぜ


23 :
皆さんお疲れ様です。
9月中、遅くても10月頭までには何とか一本投下します。
異動後、とにかく仕事がクソ忙しくて……。

24 :
俺は待ってるぜ〜

25 :
全裸待機

26 :
ピンキリ氏
いつまでもお待ちしております

>>25
風邪引くぞ つ【ネクタイ】

27 :
ウオミーちゅっちゅっ

28 :
今日はスレ立ち7周年!

29 :
お久しぶりです。今日はスレが立ってから7周年ということもあって久々に作品を
投下させていただきます。個人で勝手に震災復興と位置付けております。
タイトルは「G.H.I」で

30 :
ここはマサヒコの部屋−
中ではアイが一人でマサヒコの帰りを待っていた。今日はマサヒコのテストが返ってくるのである。
マサヒコもそうだが、アイにとっても緊張の瞬間である。点数が伸びなければ当然自分の
家庭教師としての資質を問われるからである。
しばらくすると、玄関の開く音がし、足早に階段を上る音がすると部屋のドアが開いた。
「マサヒコ君…テストどうだった?」
「先生、見てくださいよ!」
マサヒコは興奮気味にバッグからテストを取り出す。なんと、百点満点である。
「マサヒコ君、やったわね」
アイは喜んでいる。そんなアイをマサヒコは見ながら、
「さ、先生お願いします」
「うん、約束だから…」
アイはマサヒコと一つの約束をしていた。それは、テストで百点を取ったら、エッチを
させてあげるというのである。アイはマサヒコの成績が落ち込むとこの手を使っていたのである。
全く禁じ手としか言い様がないが、思春期の男子に対してはこれ以上ないニンジン作戦である。
もっとも、アイがマサヒコという年下の異性に以前から興味があったという事もあるが。
「今日は先生が一人でしているところ、見せてください」
「ええっ、そんなの恥ずかしいよぅ…」
「今更恥ずかしがる事、無いじゃないですか」
「でも…」
何度か関係は持ったが、やはり自分のオナニー姿を見られるのは恥ずかしい。しかし約束した以上
今更破る事はできない。
観念したアイはスカートとシャツを脱ぎ下着姿になり、ブラとパンツも脱ぐと
ふくよかな裸体が露わになる。

31 :
「もう、どうしてこんな姿を見たがるのかしら」
アイはベッドに横たわる。緊張しているのか、両脚は閉じたままである。そして右手をゆっくり股間に伸ばした。
そして自分の恥部に軽く指先を触れる。
「ふうぅ…」
アイの口から息が漏れ、そして少しずつ手を動かす。そのたびに甘い吐息が漏れた。
アイはさらに左手で乳房を揉みしだいた。だんだん乳首が固くなり、尖ってくるのがわかった。
「…は、あん!ああっ、ああ…」
指先で乳首をいじくり回し、または軽く摘んだりすると身体にはより強い
快感が走りアイの喘ぎ声が一段と高くなる。
そして恥部は段々と湿ってきた。快感が身体を走るうちにアイの緊張も解けてきたのかそのうちに
閉じられていた両脚を開いた。マサヒコの視界には湿り気を帯びた恥部がはっきりと入った。
アイはもう恥ずかしいという気持ちはなかった。むしろ自分のあられもない姿を見られることに
より一層快感を覚えるのであった。
「はぁん、ああん、あああ…」
アイは手の動きをより激しくすると恥部からは愛液が溢れ手の動きと共に水音を立てる。
悩ましげに喘ぐアイの姿をマサヒコは固唾を飲んで見守る。
そのうちにアイは絶頂に近づいてきた。
身体をよじらせ、顔は紅潮し、口元からは唾液、恥部からは愛液を垂れ流しながら
絶頂に向かって手の動きを激しくした。
「あん、あっ、ああっ、ああん、ああああ!」
一際高い声と共に身体を小刻みに震わせ、腰を浮かせて後ろに反り返った。
そして腰を落としてからも身体を小刻みに震わせながら体を横たえて荒い息遣いを整える。


「…どお、満足した?」
アイは少し落ち着いたもののなおも荒い息遣いと共にやや潤んだ目でマサヒコの反応を見る。
「…とてもすてきです…」
「やだあ、冗談はやめてよ、こんな姿がすてきだなんて…」

32 :
恥ずかしがるアイを目にやりながら、マサヒコは自分もベッドに上がりアイの右足を手に取り、自分の口元に近づけると
親指を丁寧に舐め回した。
「ちょ、ちょっと、マサヒコ君…!」
アイはさすがに足の指を舐められるという行為には抵抗感を覚えたようだ。それにはかまわずマサヒコは舐め回す。
そのうちに、アイの身体から抵抗感は薄れ、くすぐったいような、何ともいえない不思議な快感が走る。
マサヒコが軽く吸い上げるとチュパ、という音がした。
その間にもマサヒコはアイの悩ましげな喘ぎ顔や先程の自慰行為でたっぷりと湿り気を帯びた恥部を覗き込む。
指と指との間、小指まで丁寧に舐め回すと今度は左足をとり、同様にくまなく舐め回す。
ただ舐め回されているだけの状態に耐えられなくなったのか、アイは右足でマサヒコの股間を撫で回す。
マサヒコのペニスは既に硬直しているのがわかる。マサヒコはアイに足で撫で回される事に快感に浸りながらも
なおアイの足を舐め回す。
段々興奮してきたマサヒコはTシャツを脱いだ。その間にアイは両足で器用にマサヒコのズボンをパンツごと下ろす。
するとばね仕掛けのように既に硬直しているペニスが露わになると同時にお互いに生まれたままの姿になった。
マサヒコはアイの足を味わいつくすとようやく口を離した。今度はアイの顔に近づき先程のオナニーで
垂れ流しになっていた唾液をふき取るように舐めると唇を重ね、舌でアイの口腔をまさぐった。
アイもそれに応えるように舌をからめた。
キスの味を存分に味わい、ようやく唇を離したときお互いの唾液が一本の糸を引いていた。


「マサヒコくん、横になって」
アイはマサヒコの身体を仰向けにして上に重なり、ふくよかな胸を押し付けた。
そして自分よりずっと年下だけれど、同時にたくましさもある教え子の身体を舐め回した。
「あ、ああ、先生…」
マサヒコは目を閉じてアイにされるがままになっていた。アイの柔らかい唇、乳房、
むっちりとした太腿が心地よく触れているのを感じていた。
アイは徐々にマサヒコの下半身へと向かっていった。そして、既に固く屹立しているペニスを
しばらく両手でいじくりまわしながら見つめた。
しばらくして意を決したように尖端に唇を近づけ、軽く触れた。
「あっ…」
マサヒコの身体がビクッと震えた。
アイはぎこちないながらマサヒコのペニスを口に含んだ。初めはおそるおそるだったが、
次第に舌で味わいながらしゃぶった。
これまで何度か関係は持っていたが、フェラチオされるのは初めてだったのである。
「…マサヒコ君、気持ちいい…?」
マサヒコは無言でうなずき、年上の童顔でかわいらしさのある家庭教師にペニスを口に含んでもらった
感動に酔いしれた。
「先生、オレにも、させて…」
アイは無言でうなずくと、下半身をマサヒコの顔に向け、またぐと恥部をマサヒコの顔に近づけた。
マサヒコは両手で尻をつかみ引き寄せると、先程のオナニーで既に濡れている恥部に吸い付いた。
「あん!」
下半身からの刺激にアイは一瞬ペニスから口を離してしまったが、気をとりなおして再びペニスを口に含んだ。
マサヒコも下半身からの快感に耐えながら恥部から溢れ出る愛液を存分に味わった。
しばらくお互いの性器を味わっているうちにアイが
「…マサヒコくん、そろそろ、ね?」
ようやくアイがペニスから唇を離し、マサヒコの身体を求めてきた。ペニスは唾液で黒く濡れ光っていた。

33 :
「先生…」
仰向けのアイの身体に、マサヒコは硬直したペニスを恥部にあてがい腰をゆっくりと沈めた。
「ふうぅぅ…」
アイの口からため息にも似た喘ぎ声が漏れる。
「あ、ああん、い、いいわ.」
(ああ、マサヒコくんが入ってきた…)
「マサヒコくん…ん、はむ、ん…」
アイはマサヒコの顔を引き寄せると貪るように唇を吸い始めた。マサヒコもそんなアイに応えるように
唇を吸いながらも、腰を動かし続けた。
アイは中学生に抱かれることにある種の後ろめたさを感じていたが、その事が余計にアイの欲望を
駆り立てるのであった。
「あああ、き、気持ちいい…!」
マサヒコはその一言でアイが感じているのがうれしかった。マサヒコはその声に奮い立つように
腰の動きを激しくした。
「ああん、ああ、ひゃあ、ああん!」
アイもマサヒコの下で自ら腰を動かしてひたすら快感を求めた。アイの膣がペニスをやさしく締め付け
最高の快感を与えていたが、やはり思春期の中学生には刺激が強すぎるようだ。マサヒコに絶頂が近づいてきた。
「せ、先生、オレ、そろそろ…」
「ああん、マサヒコくん、わ、私も…いっちゃうわ!」
アイもまた絶頂が近づいていた。マサヒコの限界が近いのには気付いているはずだが
両脚で腰に絡み付いて離れようとしない。
「ちょ、ちょっと先生、待ってよ」
マサヒコは流石に中に出すのはまずいと思ったが、
「いいの、きて。今日は大丈夫だから…」
その言葉を聞いたマサヒコはもはや何も考えずアイの中で絶頂を迎えることに専念し、
少しでも多くの快感を得ようと腰を振り続けた。
「ああっ、先生、もう、オレ…」
「イク、い、いっしょに、あああ…あああん!」
アイは膣内でペニスが一瞬膨張したのを感じた、そして、
(マサヒコくん…!)
まもなく体内に熱いものが注ぎ込まれたのを感じると、一際大きな声を上げて絶頂を迎えた。
「せ、先生…!」
とうとう限界に達したマサヒコは全身に走る最高の快感に酔いしれながらアイの中に大量に放出して、
アイの身体の上に倒れこんだ。
「…はあはあ、いっぱい出たね」
そういうとアイは両手でマサヒコの顔を押さえ、優しく唇を重ね、なおも快楽の余韻を楽しんだ。

34 :
ようやく落ち着いた後も、二人は抱き合っていた。マサヒコはアイの胸の谷間に顔を埋め、
アイはマサヒコの頭を抱いていた。
「先生のオッパイ、気持ちいい…」
「ふふっ、まるで子供みたいね」
そんな会話をしているうちにアイはふと、
「マサヒコ君、私の事、好き?」
まるで恋人同士のように問いかける。しかしマサヒコは無言である。
(あ、私達って家庭教師と生徒の関係だったんだ!)
その事実をすっかり忘れてしまった事を無言で指摘されたような気がしてアイはすっかり
気が動転してしまった。
「ほ、ほら、エッチの後にはやはり愛を語り合わなきゃ、アルファベットもHの次はIだし…
なんてね!」
つまらないダジャレを言ったアイに対し、マサヒコはやはり無言のまま反応しない。
「もう、マサヒコ君、黙ってないで何か言ってよ…!」
オロオロと心配になり顔を赤くしてやや涙目のアイに対し、ようやくマサヒコは小声でつぶやいた。
「HとI…」
「え?なに、マサヒコくん?」
「エッチとアイがついたら…」
「…?」
「あとはハイになるだけ!!」
そう叫ぶとマサヒコらしくもないハイテンションでアイに飛びかかった。
「キャー、マサヒコ君のエッチ!」
そう言いながらもアイはマサヒコをしっかり受け止めた。再び試合開始である。
この後も二人は文字通り灰になるまでお互いを求め合うのであった。


おしまい

35 :
以上です。それにしてもたまの投下も短いのばかりで、ここまで長いのを投下
したのはいつのことだったのやら。
ところでこの作品のどこが震災復興かと申しますと、福島県の行政区分が
浜通り
中通り
会津
なんです。タテ読みすると…
という事でこの辺で失礼させていただきます。

36 :
GJ!
エロは世界を救うんやな・・・

37 :
ひょっとしたら、本当にそこから命名したのかな?
浜中会
通通津
りり

38 :
GJ!
さすが上手い!

39 :
>19続き

投下します
『AV女優のあかほん』
自己紹介編その2

40 :
ついに始まったトリプルブッキングの処女喪失AV撮影。
カルナは辱めを受けながらも処女膜を映し出し、自分の無垢な事を見せつけた。
(表情や仕草の大部分が演技だった事には驚きだが)
次なるはシホの処女膜撮影だ。
小休止がてら隣の部屋でレイコとミーティングを挟んで帰ってきた井戸田は、
準備万端といった表情で待ち構えるシホに声をかけた。
「撮影の前に言っておく事がある。シホ、あまり余計な台詞を入れるなよ」
「へ? 余計な台詞って?」
「だから、AV見る時間帯は夜だろうからこんばんわ、とか。
 中出しします、とか、そういうのさ」
「あれマズかった?」
「当たり前だろ。特に中出しは絶対しないんだから。
 お前だけ後で自己紹介撮り直しな」
「えぇ〜!」
不平の声を漏らすシホを余所に、おそらく今井戸田とレイコは
まさにそのシホの「余計な言葉」について話し合ってきたのだろうと、
カルナとユーリは見当をつけていた。
「それにしてもシホ、あんた。意外と撮影平気そうね?」
これから処女膜を撮るというのに、シホはその事について躊躇う様子が無い。
今日ばかりでなく、井戸田と練習していた頃からそうだった。
練習の時は相手が井戸田だし、シホは所詮シホなのだから
平気なんだろうと思っていたが、全国販売される映像相手ですら
こうも平然としているのはカルナには解せなかった。
「そりゃあそうだよ。こんな事で恥ずかしがってたら、将来女優になれないじゃん」
いや、本来そんな事は無いんだが……と言いかけた井戸田は、
その言葉を喉の奥に仕舞い込んだ。
月9のドラマでも濡れ場が公然と映し出されるようになった昨今、
確かに陰部を撮影されるごときで躊躇っていては、話にならない。
とは言え、未だに女優になれるつもりで居たのかコイツ……とは思うが。

41 :
襟やスカートを動かせば簡単に乳首や陰部を見せられたカルナと違い、
シホの衣装はゴテゴテした重そうなメイド服だ。
襟は喉元までぴっちりと覆い隠しており、スカートも長い。
そのためシホだけ、他の二人と違って一旦ここで服を全て脱ぐ事になっていた。
その脱衣シーンも含めて撮影する予定だ。
シホと井戸田が定位置についた事を確認すると、小田はカメラの電源を入れた。
合図を受け、井戸田はシホに台本通りの台詞を放った。
「それじゃ、次はシホちゃんだね。映像をご覧の皆様に、処女の証明をしてごらん」
「はいよ」
シホは何の躊躇も無く、テキパキとメイド服を脱ぎ始めた。
着た時と違い、脱ぐだけなら簡単らしかった。
しかしそこで井戸田は思わず「カーット!」と叫んでしまった。
まるで現場監督だ。
「シホ、もっと恥ずかしがれ! これじゃファンは冷めちゃうだろ」
「あ、そっか。わりわり、撮り直し頼む頼むわ」
こいつひょっとしたら処女じゃ無いのか?
そんな眼差しを井戸田はカルナに向けたが、カルナは首を横に振った。
「ちゃんと家で私とユーリが確認してます。シホは一応処女ですよ」
「そ、そうか……とても信じられんが」
それから井戸田はシホの方に向き直った。
「良いかい? 脱ぐ時はちゃんと恥じらいを感じさせるんだ。
 こっちが指示するまで、胸やアソコは敢えて手で隠す事。
 指示を受けてもすぐに手を離さず、嫌々裸を曝け出す演技をする事。
 練習の時はちゃんと恥ずかしがってたのに、何で本番じゃ出来ないんだ?」
「やー、練習の時はそういう演技も楽しかったんだけどさ。
 もう照れる演技飽きちゃったし、普通にやれば良いかなって」
「そういうわけにはいかない。勝手にやり方を変えるな」
隣の部屋から見ていたレイコは、例えノーカット版を販売するにしても、
さすがに先程の恥じらいの無いシーンは削除すべきだと密かに判断していた。

42 :
シホのこの調子では、いつまた勝手な事をしでかすか分からない。
井戸田はかなり細かく注文しながら進行する事にした。
「それじゃ、次はシホちゃんだね。映像をご覧の皆様に、処女の証明をしてごらん。
 まずはスカートだけ脱いで」
撮り直しなので台詞は先程と同じだが、彼はそこにあと一言だけ付け足した。
一気に脱がせるのではなく、指示に沿って少しずつ脱がせるためだ。
「……はい」
先程に比べればまだ少しは照れの演技も入ってきているが、
まだシホの動作は処女と思えない程キビキビしていた。
「カット」
「えぇ〜、またぁ?」
「ちゃんと練習通りにしろ。最初は嫌がるんだろ?」
「ちぇっ。段取り悪いなぁ」
「いやいやお前のせいだから」
予備のバッテリーは十分用意しているが、こんな事で時間も充電も無駄にはしたくない。
次指示に従わなかったり、練習を無視するような事をしたら、
ゲンコツを振り下ろしてやろうと、井戸田は密かに心に決めた。
「それじゃ、次はシホちゃんだね。まずはスカートを脱いで」
面倒なので、井戸田は台詞を端折り始めた。
シホに有無を言わせないという気持ちの表れでもあった。
「えっ……ス、スカートから、ですか……?」
台本通りだ。
やれば出来るじゃないか。
とは言え、まだ演技臭さは残っている。カルナと比べれば雲泥の差だ。
しかしもうこの程度でカットしてはいられないし、この大根演技も
恥じらいから固くなっているのだとカバーすれば良い。
「緊張してるねー、シホちゃん」
そう言う井戸田にアドリブに、シホは即興の演技で返す。
「だってぇ……は、穿いたままじゃ駄目……かな?」
「穿いたままでどうやってエッチすんのさ(笑)」
「だ、だから……えっちの時は、パンツだけ脱いで……」
「それじゃシホちゃんの大事なところがスカートで見えないでしょ?
 ファンの皆が怒っちゃうよ」
「そ……ですよね……」
シホは出来るだけ時間をかけて、ゆっくりとスカートを下ろし始めた。

43 :
スカートを脱いでも、まだエプロンで下半身は隠れている。
井戸田は次に、そのエプロンを脱ぐよう指示した。
「……エプロンも、ですか? それは流石に……」
「駄ー目。ちゃんと全部脱いで。カルナちゃんだって、おっぱい見せてくれたんだから」
「って事は……私も最終的には、その……おっぱいを?」
「勿論」
「うぅ……恥ずかしいよぉ……」
「このぐらいで恥ずかしがってちゃ、もたないよ?」
「はぃ……」
井戸田にアドリブに、シホもうまく合わせて演技してくれている。
ある意味一番息の合う組み合わせはこの二人かもしれないと、レイコは思った。
シホは腰の後ろに手を回すと、エプロンも結び目を解いた。
それから躊躇いがちに腕をヒモに潜らせ、エプロンを脱いでいく。
脱いだ後は、事前の練習通り、急いで下半身を隠すようにそのエプロンを持った。
「そのエプロンどけて」
「ヤ……イヤです……」
「イヤじゃない」
「そんなの、だって」
短い台詞が多いからか、シホは意外と噛んでいない。
噛み癖が彼女のキャラクターであるとは言え、ここで噛まれれば
萎えてしまう視聴者もいるかもしれない。
リテイクの回数が減ってくれるのは喜ばしい事だった。
やがてシホは、後ろを振り返って長テーブルの方を向き、
わざとらしく丁寧にエプロンを畳み始めた。
これもやはり打ち合わせ通りで、少しでも正面から映されたくないという、
処女の恥じらいを演出する効果が見込まれていた。
彼女がエプロンを畳み終えるのを見届けると、井戸田は予定通りの指示を出した。
「もう畳んだでしょ? 早く前向いて」
「は、はい……」
シホは両手を執事のように股間のやや上辺りで組み、
その手でなるべくパンティを隠すようにしながら、カメラの方を向いた。

44 :
小田のカメラがパンティに狙いを定めて近付くと、
シホは肘関節を伸ばして、組み合わせていた両手をなるべく下に下ろした。
下腹部の中でも最も重要な、股間部分を隠すためだ――という演技だ。
「はい次。上も早く脱いで。さ、早く」
言われるままに、シホは上着のボタンを外し始めた。
面倒だからさっさと脱いでしまいたいという衝動を抑え、
彼女は出来るだけゆっくりとボタンを外していった。
全てのボタンを外しても、まだブラさえ見られたくないという恥辱を演出するために、
わざと服を片手でかき寄せて、必で胸を隠す。
もう片方の手は頼りなく股間を隠そうとしたままだ。
「手をどけて、シホちゃん」
「ど、どっちの……ですか……?」
「両方だよ。片手で服脱げるの? 脱げないでしょ」
ノリに乗ってきているのか、シホの演技は練習の時より良くなっている。
カメラから目線を逸らすように俯き、時折縋るように上目遣いでレンズを見返し、
それからまた俯いて、これから曝け出される自身の胸と股間を見つめる。
やがて決意したように両手を体から離し、それから上着を脱ぎ去りだした。
脱ぎ始めてからの動作は早かったが、それは脱いだ服で体を隠したいという、
彼女の焦りをうまく演出していた。
シホは脱いだ上着を胸の前に抱きかかえ、必で胸元を隠した。
「パンティが丸見えだよ」
「わっ、あっ」
井戸田の指摘で、シホは焦って上着を持つ手を下ろし、パンティを隠した。
すると今度はブラの方が姿を現す。
健康な中学生らしい、装飾の一切無い純白のブラジャー。ファン受けは最高だろう。
「それじゃ、上着はテーブルに置いて」
「うん……」
本来シホはここで丁寧に「はい……」と答えるべきだった。
あくまで映像を見ているファンに向けて話すような体裁を取るためだった。
しかし、そろそろ地が出てきているらしい。
後で音声だけカットするつもりで、井戸田は尋ねた。
「ひょっとして、恥ずかしい?」
「なんか、どんどん冷静になってきて……そしたら途端に恥ずかしさが強くなって」
今更かよ!
と言いたくなるのを、井戸田はグッと堪えた。撮影のためには良い傾向だった。
練習の時は一回目からあんなに平然としていたくせに。
裸を撮影されるという事の意味を、やっとマトモに理解出来たようだった。

45 :
シホが後ろを向いてメイド服をテーブルの上に置いている隙に、
小田は予定通りシホに急接近し、斜め下からパンティを映した。
尻の割れ目を覆う頼りない布、生地のわずかな皺の一つ一つが、
ドアップで録画されていく。
どうやらシホは演技でなく本当に少しでもカメラの方を向きたくなくなったらしく、
わざと時間をかけてメイド服を畳んでいる。
その都度、腕や上半身の動きに連動して、尻が自然と動く。
その様子は隈なくカメラに収められていった。
思ったより良い画が撮れそうだった。
普段から下ネタ好きなシホが、この状況で少しでも濡れていたりすると、
本物の処女なのにあたかも偽物っぽくなりそうだと井戸田は危惧していた。
だからもし少しでも股間に湿り気があるようなら、すぐに言うように、
彼は小田に事前に頼んでいた。
小田はカメラをシホのパンティに向けつつ井戸田の方を向くと、
「大丈夫です」と言わんばかりに一つ頷いた。
井戸田が胸を撫で下ろす。
もしこの程度で濡れるようなら、何度撮り直しすれば良いか、
予想もつかなかったからだ。
ここで一旦カメラの電源を切り、小田はシホから距離を取った。
全体像を映すためだ。
小田が電源を入れ直した事を確認すると、井戸田は容赦なく次の指示を出した。
「前向いてごらん」
「ん……こ、こう……?」
シホはまず首だけ斜め後ろ、なるべくカメラの方に向けた。
だが首から下は殆ど反対方向、テーブルの方を向いたままだ。
「もっとこっち向いて」
「恥ずかしいよぉ……」
シホは片腕で胸、片腕で股間を押さえながら、
牛歩戦術のようにゆっくりとカメラの方に向き直した。

46 :
しばらくシホはそうして立ったままだったが、
小田は定位置からカメラの角度をズームだけを切り替えて、
彼女の顔、肩、鎖骨、胸、腹、股間、フトモモ、スネ、爪先までを順に映していった。
女性的な魅力に欠ける、貧相な肉体。
二次性徴も済んでいない未成熟な肉は硬さを残しており、
マニアからの評価は高そうだ。
「あ、ハミ毛」
「ヤダ嘘っ!」
途端、シホは今までにも増して両膝をきつく閉じ、
前傾姿勢になって必で股間を隠した。
これは台本に無い台詞だったが、実際毛が一本だけパンティからはみ出ていた。
シホとしては本当に不意をつかれたのだった。
「そいじゃ次は、テーブルの上に上がってもらおうか」
「えぇっ!? テ、テーブルの上ぇっ!?」
台本にはそう書いてあるのだが、たった今ハミ毛を指摘されたシホとしては、
せめてカットして毛をちゃんと処理させて欲しいという気持ちだった。
意外なところで激しく躊躇と恥じらいを見せるシホの表情が面白いのか、
カルナは部屋の隅っこから興味深そうにシホを眺めている。
シホは三度テーブルの方を向くと、椅子も使わずに、直接テーブルに片足を乗せた。
小田はそれに合わせて一瞬だけカメラの電源を切り、即座に立ち位置を変えた。
ちょうど大股を開いた彼女のパンティを真正面に捉える位置と姿勢だ。
電源を入れ直すと腰を落とし、片足を上げたシホの股間に、
食い入るようにズームアップする。
スジに沿った皺が小さな谷間を形成しているのが、手に取るように分かる。
行儀の悪い事だが、シホは言われた通り、テーブルの上に上った。
脱いだのは服だけなので、靴は履いたままだ。
この靴もその内下着と一緒に脱いでもらうとして、
それでも二―ソックスだけを身に付けた姿というのは、
大層扇情的に映る事だろうと井戸田には思えた。

47 :
シホが本気で恥ずかしがっているにも関わらず、井戸田の指示は容赦が無かった。
ブラやパンティを脱がせるのみならず、それで裸体を隠されてはいけないからと、
すぐにテーブルの上に放り捨てるように命令する。
その度シホは、内心で彼を「鬼、悪魔」と罵りながら従っていった。
靴も脱ぎ、とうとう二―ソックスだけの格好となったところで、
井戸田は更なる命令を下した。
「それじゃ、その状態でしゃがんで」
「し、しゃがむのぉ!?」
繰り返すが、これは指示通り、練習通りだ。
スタッフやメンバーの前では何度も予行してきた事だったが、
シホはいわゆる「テンパっている」状態らしく、
台本や打ち合わせの内容を殆ど頭から追い出してしまっているようだった。
シホは仕方なく、股間と胸は相変わらず手で隠しながら、その場に屈んだ。
ちょうど、和式便器で用を足す時のような姿勢だ。
これに比べれば自分が受けた辱めなど微々たるものだったと、
カルナは少し安堵していた。
「手をのけて」
「う、うん……」
シホはまず、薄い乳房を隠していた方の手だけ離した。
その手をすぐさま股間に持って行き、両手でアソコを隠す。
両の二の腕をきつく閉じ、乳首を必で覆い隠そうとしている。
「下もだよ。分かってるでしょ?」
「そ、それはいくら何でも……」
「オマンコを見せないで、どうやって処女を証明するんだい?」
「それは……そうだけど……でも」
傍らからユーリが「頑張って、シホちゃん!」と声援を送る。
チームメイトからの応援の声は予定には無かったが、
麗しき友情を演出するのには丁度良いと、レイコは判断した。
シホは緩慢な動作で両手を股間から離すと、その手を膝の上に乗せた。
申し訳程度の産毛に覆われた、彼女の恥ずかしい部分が露わになった。

48 :
和式便所に腰を下ろす時と同じ姿勢のため、つまり両足は少し開き気味だ。
カルナの時と違い、シホはアナルまで見えるポーズとなっていた。
小田はめざとくそれらを映像に収めていく。
「もっと開いて。自分で拡げてみせてご覧?」
「そんなの無理だよヒロ君……」
あくまでファンに向けた映像であるため、
マネージャーの名を呟くのは本来アウトだ。
この音声は後で削除される事になるだろう。
この時もレイコは商魂逞しく次の企画を考えていた。
「次回の作品は、視聴者の名前をあの子達が呼びながらセックスする、
 ってのも良いかもしれないわね」
どうやって実現させるのか分からず、三瀬はその辺りを問い質した。
「名前を呼ぶって、どうやるんですか?」
「予め一般的な男性の名前を、思いつく限り何百パターンも用意しとくのよ。
 あの子達には場面場面に応じて相手の名を呼ぶ音声を、予め全部録音させるの。
 視聴者はメニューの中から一番自分に合った名前を選んで映像を再生。
 ヒロ君、ケイちゃん、タッ君、リョウちゃん……それら全部の中から、
 自分の名前に一番近いのを選べば、彼女達は自分にだけ語りかけながら
 一所懸命腰を振ってくれてるように映るってわけ」
そうなると、普通のDVDではそこまで細かく音声を切り替えられない。
恐らくはPC専用のソフトとして販売するのが妥当だろうか。
一つ一つの名前を彼女達が囁くのを録音していくだけでも、結構な時間がかかる。
口パクと発声が合わないという欠点はあるが、そこに目を瞑れば確かに売れそうだ。
録音作業にかかる時間と、適したプログラムを作るのに手間は必要だが、
うまくすれば新たなAVのブームを作り出す事も不可能ではない。
三瀬などは目の前で中学生が性的虐待に等しい映像を撮られている事に
とても平静を保てるような心境ではなくなっているのに、
レイコはこんな状況でも動じる事無く、あろう事か次の企画まで考えている。
経営者としては相当レベルの高い方なのだろうと、改めて思わせられた。

49 :
シホも家で練習していたので、指でアソコを広げる程度なら痛みは無い。
しかし今更込み上げてくる冷静さが、彼女の動作を鈍くしていた。
「……」
もはやシホは口を開かず、言葉の一つも発していない。
さっきまでは何だかんだ言いながらも困ったように笑いながら服を脱いでいたのに、
いつの間にかそのうっすらした笑顔すら消え去っているところを見ると、
これで今までは結構頑張って作り笑顔を浮かべていたらしい。
その頑張りも、今や掻き消えてしまっている。
時折井戸田や小田の方を見るが、すぐに目を逸らす。
恐らくは、見かねたスタッフが中断してくれる事を期待していたのだろう。
もっともこれが仕事である以上、井戸田も小田も手を抜く事は出来なかったが。
とうとう彼女は、じっくりと時間をかけはしたものの、
どうにかアソコを広げて処女膜を見せつけてくれた。
「シホちゃん。ファンの皆様に何か一言」
予定ならここで、シホには「皆さん、じっくり見て下さいね」
という台詞が与えられていた。
だが今のテンパった状態にある彼女はすっかりその事を忘れていた。
何か言わなければならない事は覚えているが、
この状況に適したどんな言葉を口にすれば良いのか、まるで思い出せない。
しばし躊躇った後で彼女が口にした言葉は、いかにもシホらしかった。
「クッ……クパァ!」
アホかこいつ……と井戸田は心の中で毒づいてしまった。
しかしシホはこういう人間だとファンももう熟知しているので、
これはこれで良いかもしれない。
小休止に入った後で、シホは怒りながら泣くという、器用な顔を見せた。
「この私にここまでさせて、売れなかったら承知しねぇぞオラァ!」
メソメソと泣きながら鼻をすすり、それでも悪態だけはつく。
井戸田は急いで社屋の外の自販機から彼女の好きなジュースを買ってきて与えた。
「とりあえずこれでも飲んで落ち着け、な?」
「ぐすっ、ぐすっ……ヒロ君は優しいにゃぁ……」
普段の噛み癖なのか、それともおどけて猫言葉を使ったのか、判然としない。
シホは酒のようにジュースを一気飲みしながら、
もうこんな会社辞めてやるだの、絶対社長に復讐してやるだの、
物騒な悪態をつき続けていた。

50 :
次なるはユーリの番だ。
芸歴が長い分、ある意味一番肝が据わっている。
それに幼さ故か、性的な事に対する抵抗がメンバーの中では一番薄い。
練習の時も、最も躊躇なくマンコを拡げて見せていた。
この子は一番楽な撮影になるのだろうが、問題は井戸田本人の方だった。
何とユーリの処女膜撮影は、彼の膝の上で行われる予定だった。
「自分で拡げるの恥ずかしいから……お願い、お兄ちゃん」
カメラを向けられたユーリは、恥じらいの演技を見せながらそう言った。
「仕方ないなぁユーリは。ほら、こっちおいで」
椅子に腰かけた井戸田は、自分の膝をぽんぽんと叩いた。
ユーリは無邪気にその上に腰を下ろし、井戸田に背を向け、カメラの方に体を向けた。
シホは服を脱がされていたが、ユーリはスク水のままでの撮影だった。
股間の布も、その奥の秘所も、全てマネージャーの手で拡げてやるという段取りだ。
至近距離まで近づいた小田のカメラの前で、
井戸田はユーリの背後から彼女の股間に手を伸ばした。
いくら撮影目的ならば未成年者とのセックスが合法と見做されているとは言え、
やり過ぎだと判断されれば、摘発されるかもしれない。
この映像が全国に出回り、家族や親戚にも見られるかもしれないとなると、
井戸田はユーリ以上に臆病になってしまうのだった。
手際良く拡げられたユーリの両足の間に差し込まれた井戸田の手は、
スク水の股間部分の布を引っ張り上げた。
無毛のスジにそって、布地が細く引っ張られる。
ただでさえユーリは他の二人と違い、まだ具が外側に出てくる年齢でさえない。
同年代の他の娘よりも成長の遅れている彼女は、
例え全裸になったとしても、たった一本の筋しか今は見えないのだ。
だから今カメラに映っているのは、引っ張られたスク水と、陰唇周りの肉だけだった。
「恥ずかしいよぉ、お兄ちゃぁん……」
「全国のお兄ちゃんに、ユーリの恥ずかしい部分、ちゃんと見せてあげようね?」
言ってて恥ずかしいと言うか、ある意味歯が浮くとでも言うか。
井戸田自身にとっても屈辱的な台詞だった。
こんな台詞を自分が口にする日が来るなどとは、ちょっと前までは予想もしなかった。
井戸田は引っ張り上げた布地を横にズラし、ユーリのスジをカメラに見せつけた。
「やぁあ……恥ずかしいぃ……」
あぁ、何て順調なんだろう、と井戸田は思った。
シホの撮影の後では、撮影慣れしているユーリは酷く楽に思えた。
「まだこのぐらいで恥ずかしがってちゃいけないよ、ユーリちゃん。
 ほら、君のオマンコはプリティ過ぎて、中身が全然見えないんだもん」
「え、え? それじゃあ……やっぱりお兄ちゃんにお願いするしかないの……?」
「そうだね。安心してお兄ちゃんに身を委ねてごらん」
井戸田は片方の手でスク水を引っ張りつつ、もう片方の手を彼女の秘部にあてがった。
そ人差し指と中指を使い、巧みに肉を押し広げていく。
練習の時は、最初はこれだけで涙が滲む程痛がっていたユーリも、
今では難なく内側のビラビラまで曝け出せる。
しかし撮影である以上、またファンのためにも、演技は必要だ。
「あっ……ちょっ、痛い……かも……」
「駄目だよ、ユーリちゃん。ほぉら、ご開帳〜」

51 :
左右に広がった肉の間から、サーモンピンクの入り口が現れた。
シャーペンの芯すら通らなさそうな程、ぴっちりと穴が閉じている。
これもレイコの指示で、撮影まではなるべく異物を入れないようにと厳命されていた。
「指、入れるね……? 良いかい、ユーリちゃん」
「うん……お兄ちゃんなら、良い……」
台本通りだが、素人の演技にしては、やけに熱が入っている。
井戸田もユーリも実際本心からの言葉だったのだろう。
井戸田は本気でユーリを心配しており、
ユーリは本気で井戸田を受け入れようとしている。
今回の撮影のために井戸田は深爪になりそうなくらい爪を手入れして来ていたが、
それでもこの幼い内壁をわずかばかりも傷つけないよう、細心の注意を払う。
無理に押し広げて激痛を感じさせたりしないよう、
指は刺し込むと言うより、グイグイと指の腹を押すような感じで動かした。
が、それだけでは全然指が入らない。
部屋の隅で、シホとカルナが囁きあう。
「ユーリだけ家でも一切指突っ込む練習してなかったもんねぇ」
「そうね。私達も無理強いはしなかったし……」
カメラのマイクにすら拾われない程小さな囁き声だったが、
その声は井戸田の耳には届いていた。
演技を交えつつ、井戸田はそれとなくユーリに尋ねた。
「ユーリちゃんはここ、自分で指入れた事も無いのかな?」
「そんっ……なの……っするワケ……」
まずい。本気で痛がっている。
ユーリ本人の意思とは裏腹に、体が異物を拒んで、押し返そうとしている。
それを感じ取ったレイコは急遽、指示を追加する事にした。
「ちょっと入るわよ」
ノックと同時に、レイコの声が廊下から響いてきた。
管理職者に監視されているとトリプルブッキングの三人が余計な緊張をするからと
それまではずっとマジックミラー越しでのチェックしていなかった彼女だ。
それが撮影の途中……と言うよりは撮影が始まってすぐに
こちらの部屋に入って来るのは、予想外の事だった。
「井戸田。しゃーないから、クンニでもして先にほぐしてあげなさい」

52 :
この行動は本来予定には入っていなかった。
カルナにはしてやる予定だったが、シホとユーリには別のプレイを用意していたのだ。
だが社長の指示ならば、そうも言っていられない。
井戸田はユーリの椅子の前に膝を落とすと、少女の顔を見上げた。
「ユーリちゃん、良いかい?」
「は、はい……お兄ちゃんなら、私……」
が、ここでもう一つ、レイコは予想外の指示を出した。
「ちょっと小田、何電源切ってんのよ。井戸田もそんなトコ座らないで」
「え、でも」
「予定には無かったけど、ついでだからユーリへのクンニも映像に入れましょう。
 でも井戸田のその位置じゃカメラからは邪魔になるから、姿勢を変えて」
井戸田はしばし惑った。
カメラから映るような姿勢でのクンニ――。
「えっと、それじゃあユーリちゃん。テーブルの上に寝てくれるかな」
ユーリは敬愛する兄に言われるままに従った。
椅子に座ったままでは、どうやっても井戸田が壁になってしまう。
井戸田はコの字型に並べられた長テーブルの内側に歩いて行った。
そこで改めて屈み、顔の高さを寝そべったユーリのマンコの位置に合わせた。
「駄目よ井戸田。それじゃあ舐められてる部分が見えない事に変わりないでしょ」
「でもそれだと、どうすれば良いか……」
分かり切った事だ。
だが井戸田は、ユーリの尊厳を守るためにも、敢えて聞かなければならなかった。
自分の悪い想像を、レイコが良い意味で裏切ってくれる事を期待したのだ。
「まんぐり返し! これしか無いじゃない」
「……ですよね、やっぱり」
正直、自分が思いつかないような、或いは知らないような、
もっとマシな体位を教えてもらえる事を彼は期待していた。
その期待はあっさり裏切られた。
「じゃ、ユーリちゃん。悪いけど、ちょっとお尻持ち上げるね?」
「え? え? まんぐり返しって何?」
まだ自己紹介の延長でしかないのに、ユーリが一番ハードな撮影になってしまった。
指を入れる練習をしておいて良かったと、カルナは心底思った。

53 :
体育のマット運動で言うところの、開脚後転。
その途中のシーンを切り取ったような姿勢のまま、ユーリの体は固定された。
その小さな尻を井戸田が両手で押さえており、ユーリからもスジが丸見えだ。
姿勢を整えると、井戸田は再びスク水の布地を横にズラした。
それから剥き出しのマン肉を左右に開き、手際良く中身を曝け出す。
小田はそれを斜め上から見下ろすように映した。
「それじゃ今から、ユーリちゃんの処女マンコ味見しまーす」
この台詞も、レイコの指示だ。
彼女は持参していたスケッチブックに今の台詞をマジックで大書きして見せていた。
俺もう人間として完全に終わったな……と思いながら、
井戸田はユーリの秘所に舌を這わせた。
三瀬がマジックミラーの向こうで見ているのかと思うと、情けなくなる。
軽蔑されたりしないだろうか。よそよそしくならないだろうか。
いつでも新しい指示が出せるようにと、レイコはもう隣の部屋には戻らなかった。
シホ達と並んで、部屋の隅で腕組みして撮影風景を監視している。
「それにしても小田の奴、あの状況でも勃起しないなんて流石ね」
「ヒロ君はとうにギンギンになってるのに」
「小学生相手に硬くなる井戸田さんと、
 私達のアソコを見ても反応しない小田さんと、
 どっちが普通なんですか、社長?」
「多分どっちも異常よ、カルナ」
三人はヒソヒソと話し合った。
「それにしてもあの立ち位置と小田の身長だと、小田さえ勃起してれば
 クンニついでにユーリに小田のをフェラさせられるわね」
「それはいくら何でも処女にはハードなんじゃ」
「どっちみち小田が勃起してないから無理ね。次の機会に回しましょう」
隣の部屋から見ていた三瀬は、今程小田を恐ろしく感じた事は無かった。
小田はカメラを持っているだけで何もしてないのだが、
その風貌のせいで、まるで無理矢理小学生を輪姦しているように見える。
井戸田は自分が三瀬に嫌われるかもしれない事を懸念していたが、
三瀬の側からすれば、小田に比べれば井戸田の方が紳士的に見えた程だ。
実際にはユーリに酷い事をしているのは井戸田の方なのだが。
「私でさえ経験無いのに、小学生がヤクザに脅されてあんな事させられるなんて……
 いや小田さんは脅してなんかいないけど、でも……」

54 :
三瀬が紳士的と錯覚してしまうだけあって、井戸田のクンニはソフトだった。
殆ど音も立てず、無理矢理な事もせず、ただ表面を舌で撫でているだけだ。
まだ性感が開発されていないユーリにとっては、気持ち良いワケもない。
それでも演技はしなければならないので、ユーリは時折
「んっ……」とか「あ、だめ……」などと小さく呟いていた。
しかし自分自身が快感を得た事の無いユーリでは、演技にも嘘くささがあった。
せっかくマイのAVを見て勉強していたのに、これでは殆ど予習の意味が無い。
まぁ処女が最初から感じまくるよりは、生々しくて良いか……
とレイコは半ば諦めていた。
実はこの数ヶ月後、ユーリの下手な演技は功を奏していた事が分かる。
レイ・プリンセスに追随して他社がリリースしたAVは、
ロストヴァージンを謳っていながらアイドルが最初から喘ぎまくっていたせいで、
Amaz○nやD○Mのレビューでは「スレている」と低評価をつけられる事になるのだ。
また、レイ・プリンセス同様、本物の処女アイドルのAVを販売した会社もあったが、
そちらは視聴者をそそるような演技が微塵も無く、逆に「単調」と酷評される羽目になる。
ユーリの控え目な演技は、結果的に今後彼女らがトップアイドルになる布石となっていた。
もっとも、それは今この時点では彼らには分かる筈も無い事だったが。
レイコはスケッチブックに
「無理矢理舌をねじ込みなさい」と書いて、井戸田に見せた。
その指示を横目で確認した井戸田は、ユーリに悪いなと思いつつも、
指よりは入りやすいだろうと思い、穴の綴じ目に舌を伸ばした。
「ひっ、くすぐっ……あ、変な感じ……」
刺し込んだ舌を左右にグリグリと動かされ、ユーリの膣は徐々に開き始めた。
開き始めたと言っても、今井戸田が舌を抜けば、またすぐさま閉じてしまうだろう。
井戸田は機転をきかせ、この段階でもう指を入れてみる事にした。
ねじ込んだままの舌に沿わせるように、右手の人差し指を少しずつ挿入する。
さっきよりはマシだったが、それでもまだ人差し指の爪の半分くらいしか入らない。
彼は一本の指と舌とで、ユーリの穴を左右に押し広げた。
広げた、と言っても、無論そう簡単には広がらない。
あくまで広げるように意識した程度に過ぎない。
だが舌は指に比べれば大分柔らかい部位だ。
その舌が指の形に合わせて凹んでくれる事で、何とか指は先へ進む隙間を得た。
先を進んだと言ったところで、やはり爪が全部隠れる程度の進み具合でしかない。
まだ第一関節も入り切っていないのだ。
井戸田は思い切って、少し強引に指を突き進ませた。
「痛ぁっ! あっ、ぃぎ……」
ユーリは大袈裟に叫んだが、それでもまだようやっと第一関節が埋没しただけ。
井戸田は慌てて舌を引き抜いた。しかし指は刺し込んだままだった。
ユーリとしては、舌より指を抜いて欲しかったに違いない。
だが本来の目的はクンニではなく、穴を広げて処女膜を見せる事だ。
「ユーリちゃん、ファンの皆が見てるよ? 我慢して」
「は、はいぃ……んぐ」
井戸田は刺し込んだ人差し指をドリルのようにグリグリと回しながら、
ちょっとずつ奥へ突き進んでいった。
それはまさしく「突き」進むという表現がぴったりだった。

55 :
あまりやし過ぎて、指で処女膜を破ってもまずい。
第二関節まで到達するより早く、井戸田は手を止めた。
「お兄、ちゃん……お願い……」
「ん? 何だい?」
「ローション……使って……」
それは意外な要求のように聞こえる反面、ユーリの気持ちを考えれば当然とも言えた。
女のように細い井戸田の指ですらキツイのだから、クンニだけでほぐしていたのでは
日が暮れてしまうだろうし、第一ユーリ自身が辛くてたまらない筈だ。
誰に言われるまでもなく、シホが部屋の反対側に置いてあったローションを取ってきた。
「ユーリ、ふぁいと!」
「これもファンの皆のためよ」
シホに続き、カルナも控え目に声援を送った。
シホはローションの蓋を開けると、そこから井戸田の指とユーリの秘穴の
結合部分に粘性の液体を滴らせた。
「冷たいっ」
殆ど穴の開いていないソコは簡単に溢れ、こぼれた分が下腹部を伝って
ユーリの腹まで垂れていった。
井戸田は試みに、もう一方の手を人差し指をあてがってみた。
まだ十分にキツいが、両方の手の人差し指の第一関節までは何とか入れられるようだ。
こんなに辛い思いをさせるのなら、最初から使えば良かったと後悔した。
「それじゃ、ゆっくり広げるからね?」
「う、うん……出来るだけ優しくね、お兄ちゃん?」
ユーリの同意を合図に、井戸田は少女のピンク色の入り口を、
少しずつ左右に広げてみせた。
まだそれでも小指さえ通らない程度の細い穴しか開かない。
照明の真下とは言え、中は暗くて、処女膜すら判別出来ない。
小田はカメラを構えたままレイコの方を振り向くと、首を横に振った。
まだ駄目か……。
そう思ったレイコは、ユーリに対して酷と思いながらも、ある一つの策を思いついた。
物音を立てないようにそっと部屋を抜け出すと、事務室まで急行する。
程なくして戻ってきた彼女が握っていたのは、ペンライトだった。
「これで照らしてみなさい」
口にこそ出さないが、目がそう言っている。
本当に良いのかよ……と臆しながらも、井戸田は指示に従う事にした。
とは言え、彼の両手はユーリの穴をこじあけるので精一杯だ。
ペンライトはカルナに手渡された。
「え、私ですか?」
「シホも仲間のために自らローションを出してくれたんだもの。
 あなたもユーリとの麗しい友情をファンに見せつけなさい」
これが友情かしら、と思いながらも、カルナはそれに従った。
出来るだけペンライトの先端を穴の入り口に接近させ、それで内奥を照らす。
こんなプレイは、処女でなくとも普通はやらない。
実際レイコですらペンライトで中を照らされた経験等無い。
ある意味でクスコを使われるより屈辱的なプレイだと思えた。
「や、やめて……それ、恥ずかし過ぎるからっ……
 お兄ちゃん助けてっ……こんなのヤぁあ……」
とうとうユーリは堪えきれず、大粒の涙を流した。
しかし、薄情と罵られようとも、これが仕事であるならば、井戸田には逆らえない。
会社に逆らってでも妹を守ってくれる兄をユーリは欲していただろうが、
今無理をさせておく事が、後々のユーリの向上のためになる。
井戸田は心を鬼にして、可愛い妹の秘穴を左右に引っ張り続けた。

56 :
「あ、見えたかも」
「そうだよ、これ処女膜だよ。やったね、ユーリ!」
カルナとシホが、やっとの事で微かに見えた処女膜に喜びの声を上げた。
まんぐり返しという不安定な態勢は、間近で見れば意外と固定されていない。
照明の角度、ペンライトの光の刺し込み方、ユーリの尻の持ち上がり方、
全ての条件が合致したほんの一秒か二秒だけ、辛うじて処女膜が見える。
「も、もう、これで……これで良いですよね……?」
撮影である事も忘れて、ユーリはレイコに懇願する目を送った。
だがレイコは容赦しない。
「まだちゃんと映ってないでしょ? ファンの皆が分かるように、もっとじっくり」
どうせ巻き戻して一時停止すれば、しっかり見えるだろうに。
井戸田はそう思ったが、しかし彼の目線からは、実は処女膜が見えていなかった。
目の前にある筈なのに暗くて見えず、光の角度も合っていなかった。
実を言うと、見えていたのは左右に居たシホとカルナだけで、
カメラを構えた小田からですらよく判別が出来ない程度の見え方だった。
この状況では、止めてくれる者は誰もいなかった。
井戸田は腕に力をこめて、がっしりとユーリの尻を固定しようと努めた。
小田は自分の声を映像に捉えてしまわないよう、
手だけで井戸田に指示を送った。(元々無口だが)
もう少し右、もう少し手前、行き過ぎ、ストップ、少し戻れ……
そんな風に手首のジェスチャーだけで細かく誘導しながら、
小田はカメラを回し続けた。
そしてとうとう、その小さな穴を可能な限り真正面から捉えられる位置にくると、
人差し指と親指でOKのサインを見せた。
次にカルナがペンライトを動かし、やはり小田のジェスチャーに従う。
ようやく天井の照明とペンライトの明るさ、そしてユーリの尻の角度が噛み合い、
奥に隠れた処女膜を、カメラに捉える事に成功した。
小田から見えるだけで、井戸田にもシホにもカルナにも見えない角度だったが、
小田のOKサインに、一同はほっと一息つけた。
レイコはスケッチブックに新たな指示を書いた。
それを読んだ井戸田が、レイコの方を見るようにユーリに目配せする。
指示を読んだユーリは一瞬ビクッとしながらも、すごすごと言葉を発した。
「み、みなさぁん……私の処女膜、たっぷり見て下さいねぇ〜……」
ペンライトで照らされた処女膜をきっかり十秒程録画されてから、
ようやくユーリは解放される事となった。

57 :
録画されたばかりの映像をハンディカメラのディスプレイで確認しながら、
トリプルブッキングは三者三様の感想を口にした。
「やっぱカルナの演技は凄いよ。いや恐ろしいよ」
「私としてはシホちゃんが演技を忘れるくらい焦ってたのが意外だったなぁ」
「それを言うならユーリだって、大変な思いをしたでしょう」
ひとまずは最初の難関であった、処女膜撮影が終わった。
この次は順に一人ずつ井戸田を交わっていき、最終的に4Pに移る手筈だ。
少なくとも前戯の間はそんなに痛い思いをしなくて済むだろうという安心感もある。
問題は、井戸田の方だった。
「ほらガツガツ飲めー、若者ー」
「し、社長……もう無理です……胃がタプタプで……」
「アンタ今から合計四発ヤるんだから、たっぷり栄養剤飲んどかなきゃダメでしょ」
「そうは言っても……うっぷ」
レイコが栄養剤と言って井戸田に飲ませていたものは、
男を強制的に勃起させる薬液だった。
既にはち切れそうな程勃起させられており、すぐにでも射精しなければ
母乳の張った乳房と同じで、痛みに苛まれてしまう。
休憩時間があと十分残っている事が、井戸田にとっては一息つけるような、
或いは早く本番に入りたいような、複雑な気分だった。

58 :
ここまでです。

59 :
おお、乙
続き期待

60 :
続編期待してます。

61 :


62 :
いやー今週の生徒会スズ好きの俺には良かった

63 :
>>62
今週は完全にスズ祭りだったもんね。
ってか2期をやるかやらないかはやっぱOAD付き限定版の売れ行き次第・・・・なのかな?

64 :
タカトシには「熱あるのかなー?」とかいっておでことおでこで熱計って欲しかった
真っ赤になってぶっ倒れるスズ

65 :
マガジンは見てないけど
>>64
タカトシ「うぉっ!大丈夫か萩村!?」
スズ「へ、平気…」
シノ「おおっ!白昼堂々押し倒すとはやるな津田!」
アリア「あらあら?いきなり羞恥プレイなんて過激ね〜」
なんて光景を妄想した

66 :
アリアのおっぱいもみもみ

67 :
おっぱい

68 :
小説家になろう、にSSがあった。氏家作品のパラレル的なやつだったけど、面白かったんで報告

69 :
糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ
糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ
糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ糞すれ

70 :
スズのおっぱいもみm…さわさわ

71 :
さすさす

72 :
>>68
Kwsk

73 :
>>72
ttp://ncode.syosetu.com/n7505x/
ここですよー

74 :
もう人いなくなっちまったな

75 :
さすがにブームは過ぎちまったかねぇ

76 :
今月は新刊発売されるから人来ること期待

77 :
「う〜…さすがに冷えるな…」
季節は11月。もうすぐ冬とあってか、掛け布団2枚ではさすがに寒くなってきた。
「おーいカナミー、もう一枚布団出してくれないかー?」
先週の日曜、俺達が使っているのとは別に、2〜3枚の布団がベランダに干されているのを見た覚えがある。
「一枚しかないけどそれでいいー?」
「あー」
この際あったかければ何でもいいや。
なんて思っていた時期が俺にもありました。
「ってアレ?これカナミの布団じゃ…」
「知ってたくせにぃ♪」
「アゥびっくりした!」
寝る前の歯磨きから戻ってみると、枕を抱えた妹が俺の帰りを待っていたのだ。
「んもう♪お兄ちゃんったら大胆なんだから♪」
「そういうボケは勘弁してくれ」
俺としたことが抜かった。まあいい。
「ほれ、さっさと寝るぞ」
「え〜」
何を不満な顔してやがる。
「今日は体育があって疲れてるんだ。寝かせてくれ、マジで」
「ぶ〜ぶ〜」
いそいそと布団にもぐる俺を睨みながらベッドのわきに立っているカナミ。
「…何してるんだ?」
「お兄ちゃんを睨んでる」
「じゃなくて、さっさと入ってこい」
「え?…キャッ!」
じれったくなってカナミを布団の中に引きずり込む。
「お、お兄ちゃん?」
カナミが何か言っているが無視。力いっぱい抱きしめて目を閉じる。あったけぇ〜。そしてやらわけぇ〜。
「お、にいちゃ…」
「悪いがもう限界だ。おやすみ…zzz」
俺はワリとあっさり意識を手放した。

78 :
「…びっくりした…」
お兄ちゃんの腕の中に抱かれながら、私はまだ心臓がドキドキしていた。
「ぅ〜、こんなときんな顔すればいいかわからないよ〜」
枕を抱えてお兄ちゃんを待っていたのはボケのつもりだった。勿論期待がなかったかと言えば嘘になる。
私のボケ→お兄ちゃんがツッコむ→半ばなりゆきでエッチ
これが私達の一連の行動だ。まあ私のボケはほとんどが狙っているものではあるが。
「もう!お兄ちゃんったら!」
人を無理矢理布団に引きずりこんでおいてそのまま寝てしまうなんて!
「しかも…ぁん♪」
力いっぱい抱きしめ、胸板に押し付けられているもんだから…
「はふぅ…お兄ちゃんいい匂い…でもちょっと苦しい…でもあったかい…でも…」
色々な感情がごちゃまぜになって、今にも
「イッちゃいそう…」
なのである。
「お兄ちゃん…好き…大好き…」
子供の頃から夢だった。
『大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!』
その誓いは今も忘れていない。
『カナミちゃん、兄妹は結婚できないんだよ?』
『自分のお兄ちゃんが好きだなんて変だよ!』
中学時代の友達に、何度となく言われた言葉。自分でも解っている。これが本来、血の繋がった実の兄に対して抱くべき感情ではないことに。
でも
「好きなんだもん…大好きなんだもん…」
初めこそ、『酒に酔わせる』などという手段をとってしまったが、それでも私は満足だった。
大好きな兄に処女を捧げることができた。自分の初めてを兄に貫いてもらった。
本来はそれで満足するつもりだった。たった一度の過ちのつもりだったでも…

79 :
「…………」
今まで兄に言い寄ってきた女達の顔が思い浮かぶ。特に…何と言ったか?あの外ハネの髪のクラスメイト。今…今…今岡とか言ったか?
「…ギリッ!」
兄が高校に進学して以来、何度となく理由をつけて我が家を訪ねてきた女だ。
『へぇ〜?この子が城嶋君の妹さん?可愛いわね〜?』
いつだったかその言葉が、
『フフン♪いくら可愛くたって、兄妹じゃ一緒になれないのよ♪城嶋君は私が貰うわ♪』
と言われているようにしか聞こえなかった。
マナカちゃんはいい。アキちゃんもいい。ミホちゃんも許す。でも今岡さん。あなたはダメだ。
「お兄ちゃんはあげないんだから…誰にもあげないんだから…!」
同級生3人に対しては、既に協定を結んである。すなわち『例え誰と結ばれてもお兄ちゃんを独り占めしない(私の居場所も空けておく)』というものだ。
「…ウフフッ♪」
いいことを思いついた。このままずっと独り占めにしてしまうのも悪くないかもしれない。
3日後からしばらく高温期に入る。つまり、子供ができやすい時期だ。
「クリスマスプレゼントに妊娠の報告…てのも悪くないかも♪」
そのためには、兄に十分精力を養っておいて貰わなくてはならない。
「明日からしばらく奮発しちゃおっかな♪」
ここ数日のメニューと家計の出資を考えながら、私は兄の胸板に顔をこすり付けた。
「身も、心も、未来でさえも、『絶対に』私のものにしてあげるからね♪お兄ちゃん♪」
兄の唇にキスをすると、私はゆっくりと目を閉じた。

80 :
保守終わり

81 :
>>77-79
ごめん、44ページだったorz

82 :
乙GJ

83 :
ふむ

84 :
過疎ってんなー

85 :
電波がこねぇ…書きたいのに書けねぇ…誰かネタプリーズorz

86 :
原作であった誕生日が過ぎたスズにおめでたー といったシノとアリア
だが、タカスズには心当たりがあった!

こんなんはどうだろうか?

87 :
スズは体温が高くて甘いいいにおいがするんだろうな。
タカトシはそんなスズをぎゅっとだきしめながらそのにおいをスンスン嗅いで興奮してるんだきっと。

88 :
タカスズだと対面座位でちゅっちゅしやすそうだ

89 :
>>86
シノ「萩村、おめでた」
アリア「スズちゃん、おめでた〜♪」
スズ「ちゃんと避妊はしてますよ!!ねぇ津田!?」
タカトシ「ちょ」
シノ・アリア「はぁ!?」
こうで(ry

90 :
お久しぶりです。
異動してからとにかく時間がカツカツで、たまったもんじゃありませんわ。
生徒会で小ネタ、直接なエロはありません。
タイトルは特になし。

91 :
 学生には避けて通れぬ「学校行事」がある。
体育祭? それは休める。
文化祭? それも休める。
修学旅行? それだって休める。
入学式と卒業式? 本来は休んじゃだめだが、まぁ休める。
答は―――テスト。
休めるじゃん、と言うなかれ。
テストの日に休んだとしても、テストそのものを回避したことにはならない。
インフルエンザで休もうが腰痛で休もうが骨折で休もうが、テストは必ず追っかけてくる。
薄暗い教室の中で、監視の先生とマンツーで追加テストを受けるあの寂しさはかなりのものがある。
おまけにテストそのものの結果が悪ければ、追試という追い打ちが襲ってくることもある。
テストなんか所詮、紙の上での優劣だ、俺はそんなものに縛られないぜヒャッハー、とロックな生き方を選択することも出来るが、
その場合はもれなく学校から退学、高卒というある意味現在の日本での社会的最低限の肩書を失い、
地力で職探しという、キビしい生き方に進まねばならない。
もろちん、もといもちろん、中卒だろうが高卒だろうが、特殊な才能を有していればそれで食っていける。
だがそんなの、100人に一人もいやしないのが現実である。
 さて、ここに一人の男子学生がいる。
その地域では進学校として知られている私立桜才学園の二年生で、生徒会の副会長を務めている。
これだけ見れば何だか頭が良さそうに見えるが、さにあらず。
この少年、「家から近いから」という理由で桜才を進学先に選び、
また徒会長の鶴の一声で副会長に抜擢されたという男。
「それなりにイケメン」「ツッコミ上手」という特性を持ってはいるが、成績面では群を抜く程のものは何も持っていない。
かつて追試を喰らったこともあり、劣等生とまでは言わないまでも、中の下〜上の間を行ったり来たり、というのが彼の学力レベルである。
 この少年の名前は、津田タカトシ。
生徒会で共に籍を置く会長、会計、書記はいずれも成績が超優秀。
今回の期末テストでも、ほぼ追試確定が決まっている彼の家に、緊急にその生徒会の三人が集うことになった。
理由はもろちん、もといもちろん「追試対策」。
進学校の生徒会において必要とされるのは、学力上位という厳然たる実力。
落ちこぼれを出すことは、ひいては生徒会の名折れである。
そんなことを許すわけにはいかない、会長、書記、会計の意気込みは凄まじい―――

 ―――って、何のことはない。
ぶっちゃけ、そんなにゴタイソウなもんではない。
追試対策と看板がついていても、結局はいつも繰り広げられている、ただの「日常」だったりする。
そう、下ネタとツッコミが乱舞する、ただの日常―――

 ◆ ◆ ◆

92 :
「で、結局コトミもなのか」
「てへへへ」
 生徒会長・天草シノは少しあきれたように、肩をすくめた。
何だか前も同じようなことをした覚えがある、と。
 彼女の目の前には、副会長の津田タカトシと、その妹のコトミが正座して座っている。
タカトシだけでなく、コトミもどうやら今回のテストの出来に自信が無いらしい。
「期末試験などというものは、日頃から授業をきちんと聞いて、ノートをしっかり取り、予習復習を忘れずに行っていれば、普通に点が取れるものだ」
 シノは優等生である。
しかも超がつくレベルで、入学してから一度もテストの結果で学年一位を他人に譲ったことがない。
当然、授業もしっかり受けているし、ノートも書きもらしが無いし、予習復習なんぞは一カ月先の分まで楽々とこなす。
「すいません……」
「すいませーん」
 シンクロして頭をかく津田兄妹。
 タカトシは少なくとも、授業はきちんと聞いている。
予習復習は、きっちり出来ているとは言い難いが。
 コトミの方は、正味の話、あまりマジメな生徒ではない。
授業中に船を漕ぐことが結構あるし、そもそも勉強そのものが苦手だったりする。
「で、津田君はどの科目が危ないの?」
 シノの右横から、生徒会書記・七条アリアがタカトシに声をかける。
アリアもウルトラ優等生である。
シノがいる為に学年一位こそ取ったことはないが、それでも常に二位という結果を維持している。
得意な科目では、シノを上回ることさえある。
「……そうですね、数学と英語が」
「私は全部でーす」
 元気なく呟くタカトシと、あっけらかんとしたコトミ。
タカトシだって全てがダメダメなわけではない。
得手不得手は誰にだってあるもので、普通にこなせる科目はある。
まぁコトミは論外だが。
「今回の英語は楽だったじゃない。ほとんど授業でやったことそのままだったでしょ」
 シノの左横からタカトシにツッコんだのは、生徒会会計・萩村スズ。
シノとアリアは三年生だが、彼女のみ、タカトシと同じ二年生である。
「いや、そうなんだけど……」
「あんた、いい加減横島先生の傾向を覚えなさいよ。あの人、教科書そのまんまと言うか、露骨に問題に手を抜くじゃない」
 横島先生とは、英語教師にして、生徒会の担当顧問を務める女性で、名前をナルコという。
まあ何と言うか、かなり、いや結構な「困ったさん」で、面倒だと思ったことはテキトーに流す癖がある。
おまけに男好き、下ネタ好きでもあり、何で教師になれたのか、そして何で生徒会の顧問になれたのか、
一部で『桜才学園の八番目の不思議』という噂になりつつあるくらいの女性である。
ちなみに、その噂を流しているのは新聞部である。
もっと言うと新聞部の部長である。
「あんなもん、開始十数分でカタがつくわよ。普通は」
「萩村にとっては普通かもしれないけど、俺にとっては違ったんだよ」
「正直に『復習を怠けていた』って言え」
「はい、すいません……」
 スズは帰国子女であり、英語はもちろんペラペラで、別に横島が作った問題であろうとなかろうと、
日本の高校生レベルのテストはそれこそちょちょいのちょいで解けてしまう。
そういう意味ではタカトシが言ったように、スズにとっての普通はタカトシにとっての普通ではない。
だが、やはりテスト勉強をしっかりやっていなかったタカトシの方が、この場合は悪いであろう。

93 :
「そうだよ津田君、横島先生が手で抜くのはいつものことじゃない」
「手で、じゃなくて手を、です」
「そうだぞ津田、横島先生は何時だってヌイているぞ」
「だからおかしいよ表現が!」
 何だか追試対策が早くも脱線しかかっている。
こうやって何気ないところから下ネタ方面に転がっていくのは、もはやこの生徒会のお約束とも言える。
「私は全部ダメだったけど、特に国語がダメでしたー。えへへ」
「笑って言うな、コトミ。で、国語のどこがダメだったんだ?」
 手にした指示棒を揺らして、シノがコトミに問う。
なお、最初は指示棒ではなく鞭を持っていたのだが、タカトシの要請により鞭は鞄に仕舞われた。
シノは不満そうだったが、タカトシからすれば「君はM男だからこっちの方がいいだろう」なんて理由で鞭を持たれてはたまったものではない。
「四文字熟語ですねー」
「ほう? 例えばどんな問題だったんだ?」
「『やってもかいのない、結果として無駄に終わることに努力することを四文字熟語で何と言うか』という問題なんですけど」
「ふうむ……『吹影鏤塵』だな。答えがそれだとすると、確かに少し難しいかもしれないな」
 吹影鏤塵とは、文字通り「影を吹く、塵に刻みを入れる」ということで、どうやっても出来ることではない。
中国の関尹子という書を出典とするが、確かに高校一年生には難しいかもしれない。
「水泳老人? 何だか心臓麻痺を起しそうですね」
「危ないことを言うんじゃない」
 仮に本当に「吹影鏤塵」が答ならば、正答率はかなり低いであろう。
少なくとも、この問題を作った担当教師は、横島よりかはきちんとしてはいるらしい。
別方面に意地が悪そうだが。
「もしくは『往返徒労』かもしれんな」
「王偏取ろう? 珠が朱になるとか、そんなんですか?」
「違う」
「はっ、王偏って玉が偏になった形ですよね。玉を取るって、それってつまりニューハーフ」
「違う違う」
 往返徒労、文字通り、無駄足を踏むという意味である。
「で、コトミは何て書いたんだ?」
「尚既神断」
「……何だそれは」
「意味はお近くのサッカーファンにお聞き下さい」
「じゃあ、津田」
「俺に振らないで下さい」
 難しい問題を出す方も出す方だが、そういう答を書くコトミもコトミである。
入試問題のシートに「3P」とマークしただけのことはある。
「そういえば私も中学の時、『男女の仲が良いことを四字熟語でどう言うか』という問題に、『始終合体』と書いてペケになったことがあるわ」
「そんな答を書いたの、七条先輩だけだったでしょうね」
 なお、答は『相思相愛』である。
「私も『正常動作』の反対語を答えよ、という問題で『後背動作』と書いてダメだったことがあるな」
「前言撤回します、七条先輩の他にももう一人いました」
 なお、答は『異常動作』である。
「私はそんな間違いはしませんでした。ただ、『大は小を兼ねる』という諺は嫌いですが」
「萩村、泣きそうな顔で怒らないで」
 なお、反対の意味で『長持ちは机にならぬ』『薪は楊枝の代わりにならぬ』というのがある。
こっちの意味でもスズは泣きそうである。

94 :
「掛け算は苦労したわ。1×1を2、1×2を3って答えちゃって」
「足し算と勘違いしたんですよね、そういって下さい」
「4×8とか、乱交って」
「もういいです」
「地理なんだが、エロマンガ島ではなく、本当はイロマンゴ島と知って失望したな」
「何で失望するんですか?」
「スケベニンゲンも正確にはスヘーファニンゲンらしいな、残念だ。ちなみにここにはヌーディストビーチがあるとか」
「だから何で残念なんですか?」
「世界史でインカ帝国の初代皇帝の名前を書け、なんて問題が出ると期待していたのに、そんな問題は見たことがなくて」
「ああ、クスコ王国の初代国王な。クスコ王国、クスコ」
「あのう、そろそろ本題に」
「アルファベットの並びで真っ先に覚えたのはWXYのところだし」
「保健体育の教科書は隅々まで読んだな」
「美術の教科書にはもっと裸婦像を載せても良いと思うの」
「元素記号は水兵リーベ……ではなく、水縁でベロでホー○イチン○をふりながらまぐわい失敗し……と覚えたな」
「だからぼちぼち俺の追試についてですね!」
「スズせんぱーい、ここの答を教えて下さい」
「まず先に自分で問題を解く努力をしなさいよ」
 何のことはない。
ぶっちゃけ、そんなにゴタイソウなもんではない。
追試対策と看板がついていても、結局はいつも繰り広げられている、ただの「日常」だったりする。
そう、下ネタとツッコミが乱舞する、ただの日常―――

 F I N

95 :
ここまでです。
とりあえず浦期僕馬。
来年、阪神は和田でガンバは呂比須か……早くも不安でいっぱいだ。
ではまた。
クリスマスネタとかで書けたらいいんですが、どれだけ仕事が忙しいか次第です。

96 :
お疲れさまでした!
新作が読めて嬉しいです

97 :
>ピンキリ氏
久々の投下、楽しませてもらいました。
しかし、初期の職人さん達は実生活が忙しくなったんだろうね。

98 :
>ピンキリ氏
GJです!投下お待ちしておりました!!

99 :
お久しぶりでございます。ご記憶の方はおられるでしょうか(笑)
ピンキリ氏にGJ!とともに年末久しぶりに投下できそうです。
転職やら子育てやら被災地支援業務やらで忙されておりました。
このスレの新たな隆盛にロートルは去るべきかとも思いましたが未練がましく足掻いてみようかなと(笑)

100 :
待ってますぜ!

101 :
新人がポツポツ参加、そして残った年長組二名、か。

102 :
郭氏お久しブリーフ、期待してます
しかし黎明期〜黄金期にあれだけ職人が集まり、今もなお糸が切れずスレが存続してるのが改めて不思議だ
作者もマンガも有名じゃない(つっても天下の講談社に天下のヤンマガ・少マガ連載だが)
アニメ化されるわけがない(と誰もが思っていた)
下ネタ中心のクセに陵辱とかのエロパロがやりにくい(むしろ堂々と下ネタだったからか?)
ほんとおもしろい意味で奇妙よな、このスレ

103 :
うおおおおおおおおおおお!

104 :
闇鍋パーティーのあと、皆が津田家に泊まるみたいなので
アリアが鍋で食べた大きいウインナーではもの足りず
タカトシのウインナーを頂くために、皆が寝静まった後に
タカトシの部屋に侵入するアリア
まで妄想した

105 :
おおピンキリ氏と郭氏が来てた!
自分も忙しくて見れてなかったけど、みんなこのスレが相変らず大好きなんだな

106 :
郭氏が久々に来ていた!

107 :
タカトシ×トッキー 誰か頼む

108 :
>>l07
俺からも頼みます

109 :
ピンキリ神久々の投下、しかもこのスレ隆盛の立役者、郭様が?
PK砲久しぶりの復活だぜ?

110 :
こんばんは。
ホワイトクリスマスなんて許しませんよ。
生徒会役員共
NGワードは「エロなし」です。

111 :
時は十二月も下旬。
冬休みを目前に、桜才学園生徒会は年内中の仕事をすべて終わらせた。
にもかかわらず生徒会室には人影が。
天草シノ、七条アリア、萩村スズの三人。
時は十二月の下旬。
そう、クリスマス前。
生徒会メンバーで行なうクリスマスパーティーの計画を練るためにこうして集まっている。
のだが。
「……はぁ」
シノの口から大きなため息。
そして物憂げに窓の外を見る。
「シノちゃん、どうしちゃったのかしら……朝からずっとああなのよ。
ねえ、スズちゃん……スズちゃん?」
「……」
アリアの問いかけに答えないスズ。
ボーっとしているような、じっと一点を見つめているような。
とにかく、心ここにあらずな状態。
シノのみならずスズまでも……
どうしたものかと、アリアは小首をかしげる。
「ん〜……よし!」
軽く気合を入れ、シノの元へ。
「シノちゃん!」
「な、なんだアリア? 急に大声なんか出して」
「私たち、友達だよね?」
「……急にどうした?」
「友達だと思ってくれてるなら……話して欲しいな」
「え?」
「シノちゃんが、悩んでること。朝からずっとため息ついて、上の空で」
そう言って、ぎゅっとシノの手を握る。
「ね、シノちゃん」
「アリア……」
手から、ぬくもりが伝わる。
アリアと、シノの、体温が交じり合って。
ほわほわと、暖かい。
「昨日、な……」
その暖かさが、シノの心を溶かす。
「インターネットをしていたら、驚愕の事実を知ってしまったんだ」
「驚愕の事実?」
「今年のクリスマスは……中止だそうだ」
その通り。周知の事実だよね?ねっ!?
「えっとね、シノちゃん、それはね、ちがうの」
「なにがちがうんだ?」
「それはね、ネットの世界にしか生きられない人たちがクリスマスに浮かれてる人たちのことをうらやんで
やっかみで言ってるとってもとっても残念な妄言なんだよ」
もうやめて。作者のライフはとっくにゼロよ。
「そ、そうなのか? クリスマスは中止じゃなかったのか?」
いっそ爆発すればいいともう。
なにもかも。
「ちがうよ〜、もう、シノちゃんったらそそっかしいんだから」
「そうかそうか。いや〜わたしうっかりさんだな!はっはっはっ!」
……そう言って笑う彼女はいつものシノだ。
それを確認し、アリアは次の対象に視線を向ける。

112 :
「ところでスズちゃん。スズちゃんはどうしちゃったのかな?」
「……別に、どうもしませんよ」
「大方萩村もクリスマスが中止になると思っていたんだろう。
だいじょうぶだぞぅ。クリスマスは毎年恒例絶賛通常営業だ」
多少、なにいってっかわかんないシノ。
スズはそんな彼女に視線をやり……
「………」
「な、なんだ萩村!? その『黙ってろのーみそこねこね能天気のカスが!』とでも言いたそうな目は!?」
視線だけでそこまで読み取るシノさんってばとっても素敵である。
「でもスズちゃん、ホントにどうしちゃったの?」
「それには私がお答えしましょう」
言いながらノックも無しに生徒会室に入ってきたのは新聞部部長畑ランコ。
「なんだ畑か」
「なんだとは失礼な。せっかくの特ダネをいち早く披露しに来ましたのに」
「特ダネ?」
「こちらです」
そう言って自身のデジカメの液晶部分をシノとアリアに見せる。
1枚目。シノとアリアの目が驚きに見開く。
生徒会副会長がどこかの喫茶店にいる姿を写した物(女性と一緒)だ。
2枚目。シノとアリアの身体に戦慄が走る。
桜才学園生徒会副会長が笑顔で道を歩いている姿を写した物(女性と一緒)である。
3枚目。シノとアリアがスズと同じ表情になる。
桜才学園生徒会副会長津田タカトシが洋菓子店のディスプレイを眺めている姿を写したもの(女性と一緒)にてござ候。
以上の3枚を披露し終わった後、ランコは決定的な一言を口にする。
「津田副会長に、恋人ができました」




113 :


12月24日、クリスマスイブは中止に――うわなにをすくぁwせdrftgyふじこlp



12月24日、クリスマスイブの夕刻。
おしゃれなカフェ。
席と席の間がパーテーションで区切られ、人目を気にせず騒げるようになっている。
今日はクリスマスイブ。
どの席からも楽しげな会話とクラッカーの音が響いている。
その中の一席。
桜才学園生徒会様御予約の四人席。
「……メリークリスマス」
パンッとクラッカーが鳴り響く。
だが、盛り上がるわけでもなく、舞い散ったクラッカーの紙くずが料理の上に落ちるだけ。
「……せっかくのクリスマス、もっと盛り上がりませんか?」
一人やる気?のあるのは畑ランコ。
鼻髭をつけたシノも。
三角帽子をかぶったアリアも。
サンタコス(実は子供用)をしたスズも盛り上がりに欠ける。
欠けるってか、無い。
ふう、とランコは息を吐く。
「やはり津田君がいないと盛り上がりませんねぇ」
津田、という単語にそれぞれが反応する。
この場にいるのは四人。
シノ、アリア、スズ、そして……ランコ。
タカトシの姿は…無い。
「しょうがありませんよねぇ。彼には一緒に過ごす相手がいることですし」
「「「……」」」
「まあここは女だけで盛り上がりましょう。ハイ皆さん、コップを手に取ってください」
言われるままに三人はコップを手に取り、
「メリークリスマス」
「「「……クリスマス」」」
ボソボソとつぶやいた。


クリスマスは、誰の上にも幸せを運ぶとは限らない。
そう、彼女たちのように。
友と共にありながらも、足りない誰かの為に満たされぬ思いをすることはあるのだ。
現実は甘くない。
いつだって現実は厳しいのだ。



  END


114 :




神は言っている。
まだここで終わるべきではない、と。



不意に、テーブルに影が落ちる。
追加の注文を取りに来たウエイトレスかと一同が顔を上げる。
驚愕に、あっと声をあげる。
「つ、津田!?本物か!?」
「どうしてここに!?」
「カノジョはどうしたのよ!?」
「え〜っと、多分本物です。場所はコトミから聞きました。萩村、彼女ってなんのこと」
それぞれの言葉に答えつつ首を傾げるのは紛れもなく津田タカトシ。
「だって、だってだって、だってだってだって!」
「お、落ち着け萩村……あたた! おい、叩くなって」
テンパってポカポカポカとだだっこパンチしてくるスズを宥めていると、
「あ」
とだけ言ってランコが窓の外を指差す。
釣られて全員がそちらを見る。
そこには女性の姿。
タカトシと喫茶店で談笑し、街を歩き、一緒に洋菓子店に行った女性。
なのだが――
不意に、その女性が振り向き、タカトシに気づいたのだろう。
満面の笑顔で手を振った。
タカトシへ向けて。
仲睦まじげに、腕を組んで歩く男性と共に。
そんな女性と男性……カップルを見て、シノ、アリア、スズの三人はタカトシを見る。
タカトシも手を振り返していた。
「バイト先の、洋菓子店の夫婦です」
「え?」
「バイト?」
「洋菓子店?」
「ええ」
タカトシはなんとも形容しがたい顔で頭をかく。
「今月金欠でして。プレゼント買うお金もないからバイトしてたんですよ。
ホントは昨日までの予定だったんですけど、どうしても今日までって頼まれちゃって。
さっきようやく仕事終わってさあ合流しようとしたんですけど、
よく考えたら俺、どこで会長たちがパーティしてるか知らないことに気づいて。
慌ててコトミにここの事聞いたんですよ。いやー焦りましたよ」
そう言って苦笑するタカトシ。

115 :
「それで……これが、みんなへのクリスマスプレゼントです。
よかったら受け取ってもらえますか?」
差し出される、三つの包み。
表面には明るい自体でメリークリスマス!!と書かれている。
そして、それぞれにforシノ、forアリア、forスズの文字。
三人はプレゼントを受け取り、震える手でプレゼントを開き、中を見て……
「「「( ゚д゚ )」」」
「こっちみんな」
ハイ、テンプレ乙。
「津田……」
「や、チョット待ってください」
「ドウイウコトナノカシラ?」
「それ恐いですからやめてください」
「じゃあわけを言いなさいよ! プレゼントが何で――」
「「「現金なのかを!!」」」
「ですよね〜」
タカトシ、わりと最低である。
爆発すればいいと思う。

116 :
「いやその」
慌ててタカトシは言い訳を開始。
「さっきも言った通り、さっきまでバイトしてたんですよ。だからプレゼント買いに行く時間無くって。
だからお店であまったりボンと包装紙を貰って、それで中身は……その、現ナマで」
「「「それは無いだろう(でしょ)!?」」」
「ホントに時間無かったんですよ!それに女の子になに贈っていいかなんてわかりませんし!」
タカトシ、逆切れ。
最低である。
爆発するべき。
「よし!津田座れ!」
「覚悟してね」
「みっちりお説教よ」
三者三様に怪しげに微笑まれ、タカトシはたじろぐ。
「あ、いやその……ほら、ここ四人席ですし、畑さんもいらっしゃることですし」
「……私はもう失礼させていただきますから結構ですよ?」
そう言って立ちあがる。
「いや、でも」
「あるべき姿に戻るだけのことです……」
そう言って数歩歩きかけ、
「……津田君」
手招きするランコにタカトシは素直に近寄る。
「なんですか?」
「……今回はそのつもりが無かったのはわかります。けれど、あまり皆さんを悲しませてはいけませんよ?」
「もちろんですよ……いや、何の事かいまいちわかりませんけど」
すぐさま返された言葉には、力があった。
そんなコトするものか、させるものか…と。

117 :
「……そうですか」
多少の嫉妬、そして羨望。
ランコはそんな気持ちを、唇に乗せる……
「「「あー!!!」」」
「っ……畑さん!?」
「……メリークリスマスです、津田君」
ぺろっと舌を出し、ランコは歩く。
去っていくその後ろ姿を、タカトシは見送る。
今しがた、ランコの唇の触れた頬をさすりながら。
そんなタカトシの肩を、腕を、腰を。
掴む三様の手。
「「「マアスワリタマエヨ」」」
「……Jesus」
タカトシのクリスマスイブは、長くなりそうだった。




クリスマスは、誰の上にも幸せを運ぶとは限らない。
そう、彼女たちのように。
友と共にありながらも、足りない誰かの為に満たされぬ思いをすることはあるのだ。
現実は甘くない。
いつだって現実は厳しいのだ。

けれど。
同じ位現実は優しく、そして甘い。

……でもリア充は爆発しれ。
  END ver2

118 :
蛇足的後日談

天草シノさん
「会長、先日はすいませんでした」
「よし!断る!!」
「全力で拒否された!?」
「プレゼントに現金など何を考えているんだ君は!?」
「や、それは昨日も言ったじゃないですか。時間なかったんですって。
それに、俺美的センスないですから。時間あっても選べなかったかも」
「フム……美的センスがない、か。ふむふむ、なるほどな〜」
「あの……会長?」
「こ、ここにこんなものがあるわけだが」
「えっと、これ県の美術館の入場券?」
「最近有名な作家の展覧会をしているらしい。ここでセンスを磨いてくるといい」
「はあ……ありがとうございます」
「……」
「……あの、これ2枚あるわけなんですが」
「……」
「……えっと……い、一緒に来てもらえませんか?」
「!? そ、そうだな。頼まれたらいやだとは言わない女だぞ私は。
だからって軽い女ってわけじゃないぞ! 私はお高くとまったかんじの――」
「はいはい。それじゃあ待ち合わせはいつにしましょうかね?」
「♪〜」
見事、デートをゲット!!

七条アリアさん
「ハイ、津田君」
「……はい?」
「も〜クリスマスプレゼントだよ〜。一日遅れでごめんね」
「あ……ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「うん」
「(がさごそ)マフラーですか。暖かそうですね。ありがとうございます」
「うん」
「それにしても変わった柄ですねこれ。所々黒かったり、金だったり、赤茶だったり」
「うん。私たちの髪の毛が縫いこんであるから」
「……What?」
「だから、私たちの髪の毛が編みこんであるの」
「……Why?」
「津田君が、私達に無断でいなくならないようにって。もし無断でいなくなったりしたら……ふふふ」
「(((;゚Д゚)))(がくがくぶるぶる)」
強く生きろ………

119 :
萩村スズさん
「……萩村さん、ジュース買ってきました」
「よろしい、そこにおいといて」
「ハイ……」
「あ、あとでこのプリント職員室に届けといてね。それから――」
「まだあるのかよ……」
「あぁっ?なんかいった?」
「言ってません。全部俺が悪いんです。すいませんでした(とぼとぼ)」
「まったく……」
「ねえねえスズちゃん。なんか津田君のこと召使いか奴隷みたいに扱ってるけど……」
「いいのよ、あんなやつ」
「ふ〜ん……ところで髪を止めてるそのリボン、いつもと違うね」
「へん……かな?」
「ううん。とっても似合ってる。かわいいねぇ」
「似合ってる、か。そっか……えへへ」
確かに、現金だけがプレゼントじゃなかったですよね。


END ver3


120 :
終了。誤字脱字表現違いは爆発してください。
やりたい放題やってやったさぁ!ひゃっはー!
こんなので大丈夫か?大丈夫だ問題ないってな!
おまけ的後日談のアリアが酷い?
いや、まあ、ね。
だってアリアって普段の言動だけ見ると完全にビッ――おや、こんな時間に誰だろう?


121 :
>518氏
GJ!そしてよく戻ってこられました。

122 :
畜生
津田爆発しろ
そしてGJ

123 :
わー なつかしい方々がいっぱい!
518氏、クリスマスイブプレゼントをありがとう!!

124 :
>518氏 GJ!
折角だから流れに便乗させてもらいます。
あもりにもクリスんモスが「もう勝負ついてるから」というか鬼なったので、俺の怒りが有頂天になった。
……と言う訳で、衝動的に書いた結果がこれ。読みにくくてごめんね!
今回はエロ有り。
魚見×津田。厳密には魚見→津田×天草、になるのかもしれません。
タイトル:逃げ道
長さは50改行×12レス程度の予定。です。
以下、諸注意及び内容に関する雑記。嫌な予感したらNG推奨です。
・ヤンデレが嫌い。
・愛のないセックスなぞ邪道。
・役員共には重い話は似合わんだろJK。
・後味悪い話ってちょっとなあ……。
・俺の津田君がこんなに肉食系の訳がない。
・俺のウオミーがこんなに安い女な訳がない。
・俺のシノ様がこんなに真面目な訳がない。
・そもそもウオミーのキャラが全然掴めない俺。
こんなんでよろしければ。

125 :
禁じられた恋愛。
それは、恋に恋するお年頃な思春期の少年少女が憧れるシチュエーション。
憧れるのは何故か。
無論、身を以て体験した事がないからである。
ならば身を以て体験した者達は何を考えるか。
まず、何故禁じられるのか。そしてこの世の不条理を一通り呪った次に考えるのは、禁じられた中で如何に恋愛をするか。
選択肢は二つ。
周りに隠れながら、それでも継続困難な関係を続けるか。もしくは……禁じられぬ恋に逃げるか。
  *
実に寒々しい夜の町中。まだあちらこちらに残る車の排ガスで汚れた積雪が街灯に照らされている。
道ばたに転がっている、解け切らなかった雪の塊を踏み潰しながら、津田タカトシはファーコートに首を埋めて早足で歩いていた。
この寒い中、何故出掛けなければならないのだろうか。
思い出した津田は、溜め息を漏らした。
元々海外出張の多い両親なのだが、だからと言って言い忘れても良い理由にはならない。
生徒会の仕事を終えてクタクタで帰宅。妹共に両親の帰宅を待つ。
なかなか帰ってこないので連絡を入れる。
ごめん、出張だって言うの、忘れてた。
え、じゃあ夕飯は?
コトミと適当な物食べてて。
出前でも頼むかと思ったのだが、明日の朝食も用意しなければならないのに冷蔵庫は空っぽ。
買い出しのじゃんけんはコトミの勝利。嬉々としてこたつむりとなったコトミを恨めしげに見つめつつ、津田は運命を呪った。
「はぁ……」
漏れる吐息も白い。なにせもう十二月も半ばだ。
世間ではそろそろクリスマスクリスマスと騒ぎ立てるし、日に日に生徒会長天草シノの落ち着きが無くなっていく様子には、流石に苦笑してしまった。
会長は、本当に行事とか好きなんだな。
生徒会に入ったばかりの頃の印象ではもっと固い人間だと思っていたのに、ふたを開ければ下ネタ大好きで子供っぽい、世話の焼ける上司だった。
本気で叱られるととても怖いのは相変わらずだが、概ね津田にとって天草は好意的人物だった。
むしろ、津田の中で今一番好意的なのは、他の誰でもない天草かもしれない。
容姿端麗、才色兼備、人面桃花。男として、いやそれ以前に人間として、そんな彼女に惹かれない人間なんて、果たしているんだろうか。
側で一年間接してきた津田は、それを多分誰より良く知っている。
天草は、憧れるのに最適な人間だ。憧れがいがある、凄い人なのだ。その隣に立てるのが誇らしいと思えるくらいに。
最近は、天草と付き合う上で必要になる『的確なツッコミスキル』を身につける切っ掛けになった妹のコトミに少々感謝しているほどだ。
好きな人は誰か、と問われれば……その場のノリ次第では「会長ですかね」と答えてしまうかもしれない。
津田の中で、天草はそんな位置づけにあった。
「……案外近いんだな」
単に考え事をしていたからか、それとも憧れている人の事を考えていたからか。
夕飯の食材を求めて向かっていた商店街までの距離は案外近く、いつの間にか津田は入り口で門を眺めていた。
近所のスーパーとの競合を有利にするためだろう、既に商店街の街路樹にはクリスマスの飾り付けが成されていて、あちらこちらにまるでこじつけたような『クリスマスセール!』の張り紙が見受けられる。
夜の七時を回っているのに案外と通行人が多いのは、みな蛾のように明かりに吸い寄せられているからなのだろうか。
かくいう自分もクリスマスと言う明かりに寄ってきた蛾と言ってもあながち間違っていない。
財布の中身を確認する。
夕飯調達分、それとは他に……生徒会のメンバーへのクリスマスプレゼントの代金がしっかり分別されている。
ものの次いで……と言うと身も蓋もないが、一緒にプレゼントとして相応しいものが見つかれば、と言う期待もそこそこある。
以前会長から別にプレゼントを貰ったように、今度は自分も会長に別にプレゼントを用意しておこうか。

126 :
少し胸が躍る自分を否定できずに商店街を見て回っていると、
「いらっしゃいませー」
衝撃的なものがケーキ屋の前に立っていた。
赤いミニスカサンタのコスプレと言うのは雑誌とかネットとかパーティとか、そんな場所だけの存在だと考えていた。
だと言うのに、何でこんな所でそんな寒々しい格好をしているのだろうか。
魚見さんは。
「あら、津田さん。こんなところで」
「ホント、こんなところで。そんな格好で。寒くないんですか?」
事もなげに無表情で語りかけてくる魚見。
津田の視線が足に集中している事に気がついた魚見は、表情を崩さぬまま「ご心配なさらず」言った。
「これは道行く少年たちの目線の高さに合わせてスカート丈を短くしている訳ではありません」
「んなこと聞いてませんが」
確かに小さい子たちの目にはそれなりに毒な格好だとは津田も思ったが。
魚見も冗談のつもりだったらしく(表情に変化が少なくて確信はないが)、「ストッキング履いてますし」少し口角を上げた。
「ここで何をしているんですか?」
「アルバイトを。クリスマスまでの短期と言うことなので」
手にした看板には『ケーキ大特価』の文字が踊っている。どうにも商店街独特の古臭さが抜けない文面だ。
クリスマスまでは精々あと五日間。なるほど、かなり短期間のバイトである。
「わざわざこんなとこまで来て……遠いでしょう?」
「あまり近場ではやりたくないですから、都合が良いです」
知り合いには見られたくないのだろうか。
顔が少し赤いのは寒さのせいだけではないのかもしれない。
「看板を手に立っているだけのアルバイトで、少々やりがいにかけますが」
「楽なのは良いと思いますけどね。寒そうだケド」
「と言う訳で津田さん。生徒会メンバーとのクリスマスパーティに、ケーキはいかがでしょうか?」
しれっとケーキを勧められるが、今年も七条家の別荘でクリスマスパーティだ。
七条家専属メイド出島さんお手製のケーキが待っている事を考えると、わざわざ買っていく意味は薄い。
その旨を伝えると、魚見は少し口を尖らせた。
「そちらの生徒会はとても仲が良いようですね」
「……と、言いますと?」
「ウチの役員たちは、皆予定がバラバラで……恋人と過ごす方も多いようです」
英稜高校は共学だし、恋愛禁止などと言う桜才学園のような結滞な校則もない。
学生たちは自由に恋愛を謳歌できる環境にあって、津田は今はそれが少し羨ましく思えた。
「残念な事に、今年のクリスマスを境に、我が生徒会の処女も恐らく私だけになるでしょう」
「憶測でものを言うな」
「苛烈なツッコミ……なるほど津田さんは処女でなければダメな人ですか」
「憶測でものを言うな」
「ならば残された選択肢は……津田さんは女の人がダメなひ」
「以下略」

127 :
ツッコミながら思う。魚見さんと長々と話したのは初めてではないか、と。
淡々とボケ続ける魚見は、天草とはまた違った意味で扱いに困る。
ツッコミの止めどころが良く分からないので延々と続けていると、やがて魚見が肩を落とした。
彼女が明確に落ち込んでいる様を見るのは勿論津田は初めてだが、何だか少し収まりが良く見えた。
落ち込んだ姿が様になっている、と言うのは何とも失礼な気がしたが、本当にそう見えてしまったのだから仕方がない。
「私はクリスマスイブの夜もここでケーキを売っていますので、是非遠きにありて私を思ふて下さい」
「……そんなに金欠なんですか?」
「…………」
魚見は答えず、目を伏せる。予定がないからバイトで埋めた、と言うことだろうか。
高校生活最後のクリスマスがそれでは、流石に少し不憫過ぎる。
「魚見さん、オレ達の方に来ます?」
「まぁ、オレ達の棒なんて、そんな大胆な」
「盛大に聞き間違えたな。……そうじゃなくてクリスマスパーティの方です」
七条家の別荘は津田家よりも広いような、もう別荘にしておくのが勿体ないくらい豪奢な施設である。
妹のコトミも勝手に付いてくる算段を立てている事だし、今更一人増えたところで文句は出ないだろう。
津田は一応魚見を気遣ってそう言ったのだが、魚見は酷く驚いたように少し目を見開いた。
「……私が行ったらご迷惑ではありませんか?」
「いえ、そんな事はありませんよ」
「ですが……」
渋る魚見。多分行きたいのは山々なのだろうが、不安がそれ以上に大きいのだろう。
知り合って間もない面子と、泊まりがけのパーティ。少々内気気味らしい魚見が怖じ気づくのも無理はない。
「でも会長とは……天草会長とは仲良いじゃないですか」
「……それはそうですけれど」
「萩村も七条先輩も歓迎してくれるって、保証します」
「生徒会のメンバーだけでの集まりに私が加わる訳にも……」
「問題ありませんよ。ウチの妹は無関係だけど着いてきますから」
逃げ道を見る見るうちに塞がれてしまった魚見。
困ったように肩を窄めて、そして言い放った一言が。
「私もそちらの皆さんと竿姉妹になる日が来てしまったのですね……」
「そういうパーティじゃねえから」
何はともあれ、魚見の七条家主催クリスマスパーティへの参加が決定した。
  *
津田の言う通り、魚見は歓迎された。
元々波長の合う天草は勿論、七条が寛容しない場面など津田は見た事がなかったし、萩村も少々戸惑いはあったようだが、純粋に喜んでいる。コトミも下ネタトークで早速突っかかりにいった。
ツッコミの機会が増えてしまった分だけ津田が若干割を食う形になったのだが、それでも宴は概ね順調に進んだ。
「さて、ではプレゼント交換と行こうか」
天草の号令に従って、各々包装されたプレゼントボックスを手に取る。

128 :
相変わらず超巨大なプレゼントボックスを自分の隣に立たせている七条が一番目を引くが、大事なのはそこではない。
この時点で、津田の懸念は最高調にまで達しようとしていた。
と言うより、半ば確信、そして懇願に近い。
(どうか、萩村か七条先輩のプレゼントが当たりますように!)
恐らく萩村も同じことを考えている。明かりを消す直前、祈るように目を瞑って両手を組んでいるのを見てしまったから。
それは何故か。
一、天草の箱、魚見の箱、コトミの箱。全てサイズ、形状共にほぼ同じ。
二、津田はコトミが嬉々としてインターネットでエグイ形のバイブを購入しているのを目撃している。
三、コトミは家のリビングで堂々とそれに包装紙を巻いていた。
点を線で繋ぐと、何が見えてくるか。
つまり、そういう事だ。
(プレゼントの半分がバイブってどういう事だよ)
心の中でそうツッコむ津田は、既に用途不明の震える謎の箱(未開封)を前年貰っている訳だし、今年も使う予定のない性器具を持って帰るのは勘弁である。
……だが、現実は非情だった。
プレゼント交換が終わって再び明かりを点灯した時、萩村の手と津田の手にはそれぞれ、コトミの箱と魚見の箱が乗っかっていた。
萩村でそのサイズは使えるんだろうか、と一瞬でも考えてしまった事を、津田は激しく後悔し、自己嫌悪した。
「あら、津田さんが私の棒を握っている」
「もうバラしてるし」
魚見が目を細めて楽しそうに笑っているその様を見ていると、なんだかそれ以上突っ込む気は起きなかった。
  *
プレゼント交換も一頻り落ち着いた後。津田は天草を密かにラウンジの片隅に呼び出した。
天草も半ば訳知り顔で着いてきたのには少々がっかりしたが、津田はめげずにまずは一言。
「会長、今年一年、迷惑ばかりかけてしまって、本当にすみませんでした」
「いや、津田も最近は良くやってくれている。来年の生徒会は安心して君に任せられるよ」
天草から認められている。自然に笑顔が零れ落ちた。
子供みたいに単純だと自覚しているが、喜びは隠すものじゃない。
「それで、そのお世話になったお礼……と言うことで、会長にこれを……」
天草は、今から一年前に津田から送られたペンダントを結構気に入ってくれているらしく、今日もまた首から下げている。
津田が用意したのはそのペンダントに合うように自分なりに選んだ小振りの、磁石で付けるイヤリングだった。
「会長、ゴテゴテ飾るのは好きじゃないかもしれませんケド……すみません、オレにはそれくらいしか思いつかなくて」
「いや、嬉しいぞ。これがピアスなら叱り飛ばしていたところだがな」
言いながら、早速耳に付けてみる天草。
重量による違和感も気にならないものを、と気を遣って選んだのが甲を奏したのか、天草は今回のプレゼントも気に入ってくれたようだ。
零れる笑みを見て、津田は安堵の溜め息を吐き出した。
「そういえば、ピアスって処女膜にも開けられるんだろうか。いずれもっと大きな穴が空く場所だが」
「その疑問には答えたくありません」

129 :
雰囲気もへったくれもないのは、会長なら仕方ないと津田は諦める事にした。
「実は、私からもプレゼントがあるぞ」
天草は今年も個人的なプレゼントを用意してくれていたらしく、結局二人でプレゼント交換をすることになった。
だが、津田はまたしても嫌な予感を覚える。今年も震える謎の箱(未開封)を二つ、小脇に抱えて帰宅する事になるのでは。
津田の心配をよそに、天草は実に嬉々として小さな細い箱を取り出す。
「今年は、去年と少し趣を変えてみたんだ」
「変えたのは趣だけですか?」
「流石に二つは必要ないと思ったからな、残念ながら中身は普通だ」
「いや、全然残念じゃないですケド」
その場で開けて見てみると、中に入っていたのは万年筆であった。
「それは私が一年生の時、先輩の生徒会長から受け取ったのと同じ万年筆でな。歴代の会長は、次期会長にこうして万年筆を渡してきたらしい」
「……そうなんですか」
「まあ、伝統と言うか、習わしと言うか……味気ないもので済まないな」
「そんな、こんな高そうなものを頂いてしまって……」
「それほど高い物でもないぞ。だから、どこに突っ込んでも構わんぞ。君はいつもツッコんでばかりだしな」
「ツッコミはするケド突っ込んではいねえよ!」
まさか会長は受け取った万年筆をそうやって突っ込むのに使ったのだろうか。
想像はできるだけしないように、と思ってみても妄想と言うのはあっという間に広がっていくもので。
津田は頭を下げる振りをして、少しだけ赤くなった顔を俯けた。
「と、とにかくありがとうございました。大切に使います」
「うむ。そうしてくれ」
天草は満足げに頷くと、さっさとパーティの会場に戻っていってしまった。
津田は、自分の手に残っている万年筆を眺める。
次期会長。つまり、天草に認められたと言うこと。それ自体は、とても嬉しい。
次期会長。つまり、天草は卒業してしまうと言うこと。当然の事実なのに、とても辛い。
もう少し彼女の側で、学ぶべき事があると津田は思う。それ以上に、単に彼女の側に居たいと思う自分もいる。
あと数ヶ月足らずで、天草は居なくなる。
迷う暇はない。
だが、怖い。
校内恋愛禁止。
そんなたった六文字にして最大の強敵が桜才学園には存在する。
天草だって知っているし、彼女はその校則を遵守するに違いない。
厳密な縛りがどの程度なのか、ハッキリとは名文化されていない。それが逆に不安を駆り立てる。
節度を弁えた付き合いなら良し、と言うのは、どの程度まで許されるのだろう。
迂闊な行動をして、取り返しのつかない事が起きてしまわないだろうか。
天草に幻滅されてしまうのではないか。
それ以前に、たとえ告白なんかしても、果たして自分は男としてみられているのかどうかさえ怪しい気がする。
どうしようもなく怖い。
一歩を踏み出すのに迷う暇などない事は分かっている。
分かっていても、踏み出せるわけではない。
胸の中に激しく渦巻く葛藤。結論が出るものなら、とっくに出ている。

130 :
懊悩としていると、突然横槍が入ってきた。
「津田さん、顔色が悪いようですが」
平坦な声の主は、魚見だった。
見ていたのだろうか。尋ねると「二人で出ていったので、行儀が悪いとは思いましたが出歯亀を」と返ってきた。
「津田さんは、天草さんが好きなんですか?」
答えに窮したのは言うまでもない。だがこの場合答えないのは、肯定を意味するわけで。
魚見は少しだけ頬を赤く染めた。
「……羨ましいですね」
そう一言だけ呟いた。一体どこに羨む要素があるのだろうか。
津田が口を開こうとすると、魚見が手でそれを制した。
「今のは、告白の絶好のチャンスだと思いましたが」
「…………」
「校内恋愛禁止。そのお話は天草さんから窺っています」
ならば告白しない理由は分かるはずだ。津田は何も言わずに、思案顔の魚見を眺めるばかりだ。
「卒業と同時に告白、と言うのも中々ロマンティックではありますね」
「……オレは別に」
「ですが……校内恋愛というものは普通、卒業と同時に終わるもの。
 天草さんが受験する国立大との距離を考えると……」
「止めてくれませんか?」
津田は顔を顰めた。そんな事は重々承知している。
もしも天草が卒業後も近場の大学に進学すると言うのなら、と夢想したことだって何度もある。
だがまさか、自分がそんな我が儘を唱えたところで何も変わりはしない。変わってはいけない。
所詮、天草は自分には手の届かない天上人でしかない。
そのような事実を、他人に突きつけられるのは非常に腹立たしかった。
「津田さん」
「……なんですか」
「実は、私からも個人的なクリスマスプレゼントがあります」
誘ってくれたお礼です、と称した魚見は、津田に一歩近付いた。
天草より少し低い身長。左右に垂れたお下げ髪。ちょっと無表情だけど、澄んだ瞳。
傍目で見ても麗しく、近寄るともっと綺麗に見える。それは、本当に美しい人だけだ。
「目を瞑って下さい。そして、勃起した時と同じように身を屈めて下さい」
「その例え要らなくない?」
ツッコミを入れながらも指示に従う津田。視界が閉ざされて鋭敏になった感覚。ふと、瞼の上に何かが触れた。
魚見の唇だと言うことを知ったのは、目を開けてすぐの事だった。
すぐ目の前に、魚見の瑞々しい小振りの唇が三日月型に歪んでいるのが見える。津田は心臓を跳ねさせた。
そんな場所に、と言うよりも女性にキスされたのは初めてだった。

131 :
「今はそれで精一杯です」
自分からキスしたくせに、魚見は顔を真っ赤にして俯き、蚊の鳴くような声で囁いた。
津田は目を点にしつつ、何か言うべきなのかを混乱気味な頭で必に考えている。
「今日はお招き頂き、本当にありがとうございました。良い想い出になりました」
「……はぁ」
「ですが、津田さん」
背を向けた魚見は、一度だけ背中越しにこちらを振り向いて、意図の読めない微笑みを浮かべた。
「『良い想い出』止まりとは、考えていませんから」
津田は、少し背筋に寒いものを感じた。
  *
その翌日、津田は魚見とアドレスと番号を交換した。
魚見からは、三日に一回くらいメールが届いた。内容は、他愛のないもの。
学校生活の話、生徒会の話、友人の話、芸能関係の話とか……本当に、特筆することのない雑談。
その対話の中で、特に良く話題に上がるのは天草の事だった。
ただし、その話題に触れるのは大抵魚見からである。
「その後、天草さんとはどうですか?」
「別に、どうも」
この話になると、津田はメールを律儀に返すのも億劫になる。
わざわざ叶わぬ想いについて無駄に言及を重ねられるのは、正直少し迷惑だった。
普段はさっさと終わる話題だ。しかしその日の魚見は少し粘った。
「そろそろ行動を起こさないと、時間がないと思いますよ」
「そもそも、会長と付き合いたいとか、そういう風に思ってはいません」
ただ、憧れているだけ。尊敬しているだけ。目標にしているだけ。
天草の卒業が刻一刻と迫る中、津田はそう割り切ろうと必に言い聞かせ、自分を守ろうとしていた。
なのに魚見は、そこを抉ろうとする。意図が掴めない。
「校内恋愛は禁止ですからね」
「それは関係ありません」
嘘だった。
今でも思う。この校則さえなければ、と。もう少し天草に素直に自分をアピール出来ただろうし、もしかしたら今年のクリスマス辺り、二人で過ごすような事も考えられたかもしれない。
違う学校だったら良かったのかな、いやいや、それじゃ会長に会う機会がないし。
「校内以外の恋愛は禁止されていませんよね」
魚見は、まるで津田の心の動きを読んでいるかのように、的確な先回りをする。
それとも、或いはそんな意図なんてないのかもしれない。
携帯電話の画面の向こう側の魚見の顔は、今どんな表情をしているのだろうか。
魚見は、それにさえ先回りをする。

132 :
玄関のチャイムが鳴った。ドアを開ける。門の前に、薄く微笑んでいるお下げの少女が立っている。
「きちゃった」
まるで突然恋人の家にやってきたかのようなトーンでそう言い放った、魚見だった。
  *
寒い中遠かったでしょう、と社交辞令を言いながら、津田は茶と常備している茶菓子を出した。
かじかんだ赤い手を湯呑みで暖める魚見は、茶を一口啜って軽い溜め息をついた。
「遠いですね。津田さんが英稜を選ばなかった理由が少し分かりました」
「どうしたんですか、今日」
答えずに部屋を見回した魚見。
会話が続かず、魚見の茶を啜る音だけが虚しく響く。
津田は先程のメールの意図を聞きたかった。校内以外の恋愛。今まで特に意識した事はなかった。
魚見さんは、意識しているとでもいうのだろうか。
他校の校則を。そしてそれ以上に、もしかしたらオレの事を。
「さっき、メールで言っていましたよね。天草さんと付き合いたいとは思っていないと」
「…………はい」
「では」
魚見はそこで言葉を切った。
表情は相変わらず、読み取れない。彼女は、目の色が本当に変わらない。だから、浮かぶ表情が全て嘘に見える。
タップリ十秒は黙り込んだだろうか。それでもやがて魚見は顔を上げる。
「私では、どうですか」
言った。言われた。
言ってしまった。言われてしまった。
もっと軽く言えると思っていた。もっと軽く言われると思っていた。
冗談めかせると思っていた。冗談みたいに言ってくると思っていた。
なのに何故。
どうして、こうなったのだろう。
「魚見さん……」
「私では、天草会長の代わりは役者不足でしょうか」
後には引き返せない。堰を切ったように、魚見は言う。
立ち上がり、津田に寄り、ぐいと顔を近くに寄せる。
目が少し潤んでいる。困惑顔の津田は、その目に自分の動揺を見た。
真っ直ぐな好意だった。近しい女の子は居ても、ストレートに好意を伝えられたのは、初めてだった。
「私は、津田さんに誘ってもらえて、本当に嬉しかった」
クリスマスパーティの話だと、思い当たった。瞼の上にキスをされた事も、思い出した。
当時は、これが精一杯と言っていた。今は、違うのだろうか。
「私となら、忍ばないお付き合いが出来るはずです」

133 :
魚見は真剣だった。今は少しだけ、目の色が違った。
「やっぱり、私ではダメでしょうか……」
涙が零れそうになっている。津田はやはり、困るばかりだ。
彼女は実に魅力的だと思う。たまにあるぶっ飛んだ発言も、全然許容の範囲内にある。
だが、津田は魚見の事を良く知らない。それに、天草への憧憬は、まだ心の中で恋と尊敬の境界線上から動かずにいる。
断ろうと口を開きかけた。
やはり、魚見は先回りをする。口を塞がれた。
魚見の口で。
目が合った。感情は、また闇の彼方に見えなくなった。
「ならば、強行手段をとります」
魚見の声のトーンが変わった。人格が変わったのかと、津田は本気で思ってしまった。
目を開けながら、そして唇を触れ合わせながら、あぁこの人は本当に良く分からない、と津田は心の底でごちた。
  *
全体重を一気に預けられると、女の力でも男を押し倒すのは簡単である。
津田はフローリングに背中を叩き付けられた。だが、鈍い痛みよりも、唇の甘美な味と胸に乗った魚見の体の柔らかさのほうが遥かに気がかりになった。
女の子との密着は、津田には割と良くある事だった。
だが、ここまで張りつめた空気でのしかかられた事は、かつてない。
唇が痛くなるまで、魚見は貪った。押し返す事は出来たはずなのに、津田はしなかった。
ただ呆然としていただけだったのかもしれないし、既に蜘蛛の網に引っかかったバッタだったのかもしれない。
「ファーストキスだったら、ごめんなさい」
魚見は一度顔を離し、小さく笑った。
そして、まるで子犬のように津田の頬を舐める。瞼を舐める。額を舐める。
犬のマーキングのようだ、と思った。自分の物だと主張するかのような、拙い行為だ。
「う、魚見さん……!」
「止めません」
魚見はハッキリと言った。
「私は、もう昔とは違うんです」
自分に言い聞かせるようにそう呟く。
魚見の過去を、津田は知らない。だが、酷く内向きな性格をしていたと自分で語っていた事はある。
そしてそんな自分を変える為に、生徒会長になったのだと。
「天草さんに憧れる気持ちは、私にも分かります」
魚見の手が、津田の首筋、胸、腹、腰を伝って、やがて下半身の中心で停止する。
少し大きくなっていた。魚見は安心したのか、目を少し細めた。
「私も、彼女のようになりたいと思いました」
他人に左右されない強靭な意志を持ち、自己を貫くだけの能力を持ち、誰からも頼られる人望を持ち。

134 :
魚見にとって、理想的な生徒会長像だった。津田と同じく、魚見も彼女を目標にしていた。
「津田さんが天草さんを好いていても、構いません」
ズボンのジッパーが下ろされた。トランクスの中に突っ込まれた手が、蠕動する。
冷たくて細くて、しっとりとした指先に、津田の分身はすぐに反応した。
「私は、今こうして、自分のやりたい事をしている。自分が変われたと、実感出来ている」
下半身は本当に別の生き物だ、と津田は痛切に感じた。
他人に触れられると言う、初めての、そして強烈な衝撃。
自制心など働く訳もなく、激しく屹立して当然と言えただろう。
「間違っている、変だ、と後ろ指を刺される事を恐れずに、真っ直ぐ立っていられる」
魚見は、セーターを一枚脱いだ。
その下に来ていたTシャツも、するりと躊躇いなく脱いだ。
ブラの向こうにある胸は、大きくはないが、小振りと言うに相応しい、丸い形をしている。
スカートはいつの間にか、しわくちゃになって部屋の片隅に投げ捨てられていた。
「それだけで、満足です」
自分の股を少し弄りながら、魚見は勝利を確信したような笑みを浮かべた。
紛れもなく、その笑みは邪悪だった。
邪悪な魔女に籠絡されたのだろう、と津田は確信した。
「緊張して、あまり濡れませんでした……」
ショーツを片足だけ脱いだ魚見は、津田の上に跨がった。
さあいざと腰を落とそうと試みている。だが、上手くいかない。
津田は、もう十割中十割の勃起。入らないのは、魚見の側の問題だった。
元々小さい膣口。少量の分泌液。ましてや処女。最初から騎乗位は、難易度が高過ぎる。
先っぽを入れようと試みても、痛覚が邪魔をする。
ここに来て、障害が。
なすがままにされていた津田も、ようやく気がついた。魚見が、二進も三進もいかない状況だと言うことに。
(どうしよう……)
魚見の気持ちは、素直に嬉しいと思った。なんだか無茶苦茶ではあるが、彼女の心に触れる事が出来たのは、やはり良い事だと信じたかった。
それに応える義理は、津田にはない。しかし、津田はまだ天草のように確固たる自己の信念は、ない。
もう、どうにでもなれ。そう思うのは普通なのだが、津田は少し自分が嫌になった。
「魚見さん」
津田は体を起こす。魚見はビクリと大きく体をすくませた。
両手で肩を抱いて、泣きそうな顔を堪えて、まるで叱られるのが分かっている幼子のようだ。
きっと、かなり無理をしたんだろう。
自分を変える、と言うのは二年三年の短い月日で出来るような、容易いことではない。
生徒会長になる以前の彼女は、もしかしたらこんな弱々しい女の子だったのだろうか。
津田は新発見に喜びを見出しながら、魚見を優しく仰向けに寝かせた。
目を白黒させる魚見を尻目に、津田は瞬く間に覚悟を決めた。

135 :
魚見の細く括れた腰を軽く抱えて、自分の腰を宛てがう。
魚見の顔が激痛に歪んだ。しかし、彼女は歯を食いしばって、耐えている。
止めて、とか痛い、とか、言えたはずなのに、彼女は耐えている。
津田は、それを肯定と見なした。
自分自身も痛いが、表情に出さないように、淡々と前に進もうとする。
魚見の背がのけ反った。白い喉が天を仰ぐ。片手は覆い被さる津田の背中に爪を深々と食い込ませ、もう片方の手はカーペットの毛を毟っている。
前に進む度に魚見はのたうち回った。津田の背に無数の傷跡を残し、床に叩き付けている手は、少し青あざが浮かび始めている。
全てが収まるまでものの十数秒だったが、既に魚見は満身創痍の様相だった。
「……痛くない工夫は、ないのでしょうか」
この期に及んでも魚見は止めるとは言い出さない。
津田にも止める理由はない。
だが、せめて痛みが和らげばいい。AVと会長との日常会話で得た知識が精々の津田は、魚見を安心させるために唇を落とした。
先程の仕返しをするように、顔中を優しく啄む。
くすぐったそうにして魚見は押し戻そうとするが、それは受け入れてもらえず、魚見は津田に負けない位ベタベタになった。
背中に手を回し、もたつきながらもホックを外して、ブラジャーを投げ捨てる。
露になった、尖った乳房を撫で回すと、こちらは中々効果覿面で、繋がっている下半身が少し蠢くのを感じた。
津田は追い討ちに、まるで子供を寝かしつけるように、魚見の背中を一定の間隔で小さく上下に撫で回す。
絹でも触っているような、きめ細かい肌を滑る指。指が心地いいと感じるとは、津田はまさか思っていなかった。
「ちょっと……っ」
今度は先程とは違う意味で、魚見は体を恥ずかしそうに捩った。
魚見は力が抜ける。津田は、力が入る。
戻る動きが先程よりスムーズになった。
先程とは段違いに湿っていた。入る動きも、滑らかになった。
津田は、遠慮を失った。元よりそんなつもりはなかった。迫ってきたのは魚見なのだから。
魚見もきっと、そんな同情めいた遠慮は欲しがらないだろう。勝手ながらそう決めつけて、津田は腰を動かす。
魚見は声を上げなかった。痛みの声も、或いは漏れたかもしれない快楽の声も。
何も感じていないわけではない。のけ反った喉は何度も上下しているし、幽かに黄色い声が聞こえている。
必で両手で口を押さえて、声を漏らさないように我慢しているのだ。
その手を払いのけようかとも思ったが、津田はそれをしない。
飽くまで自分は、彼女のやりたい事をやらせているだけなのだから。ならば、彼女のやりたいようにやるべきなのだ。
事は静かに続いた。聞こえるのは二人分の荒い息遣いと、肉が小さくぶつかりあう音だけ。
まるで犬の性交である。
「んぅ!」
終わり際になって、息苦しさに我慢出来なくなった魚見が小さく声を上げた。
津田はそれを燃料に、最後のスパートをかけた。
そして、二人の交わりは終焉した。
  *
魚見は、しばらく痛みのあまり体を動かす事が出来なかった。
よくよく見れば頬には涙の痕がくっきり残っている。津田は申し訳ない気持ちで一杯になっていた。
うつ伏せに寝転がって汗だくの体を横たえる魚見は、下手をすればそのまま眠ってしまいそうなくらい、薄い目をしていた。
「服、着ましょう。風邪引きます」
「着せて下さい」

136 :
本気の声だった。いつの間にか遥か彼方に吹き飛んでいたショーツとブラジャーを拾い上げ、乱れ飛んでいたスカートとシャツを魚見の背中に落とした。
下着の着せ方なぞ、津田に分かる訳がない。ショーツはともかく、ブラジャーなんて特に。
「……毛布持ってきます」
「お願いします」
声の調子はいつも通り。甘えた声も出さないし、辛そうでもない。
本当に今の今までセックスをしていた相手なのだろうか。津田はそんな疑問さえ浮かんだ。
毛布は自分ので良いか、とふと今自分達は家のリビングのカーペットと言う酷い場所で事に及んでいた事に気がつき、誰も帰ってこないで良かったと胸を撫で下ろした。
「津田さん、ありがとうございました」
背中越しの声がかかった。魚見はなんとか体を起こしていた。津田に背を向けた姿勢のまま、彼女はこちらを向こうとしない。
裸の、染み一つない背中が美しく悩ましい曲線を描いている。途端に恥ずかしさが沸き上がって、津田はすぐに前に視線を戻した。
「お礼に、一つ朗報があります」
「……なんでしょうか」
「つい先日、天草さんから御相談を受けました。恥ずかしそうに、ですが真剣な顔で」
魚見の声は少し震えている気がした。泣いているのかもしれない。
でも、きっと自分はその涙を拭いに行ってはいけない。津田は自制した。
「遠距離恋愛は成立するのだろうか、と聞かれました」
「…………」
「応援していますよ、津田さん」
肩越しに振り向いた魚見は、とても儚い笑顔を浮かべていた。
今まで見た彼女の表情の中で、一番薄っぺらく、そして温かい微笑み。
津田は、それを真っ直ぐに見る事は出来ず、すぐに踵を返して自室へと急いだ。

137 :
終了です。
長々と、本当に相変わらずの長文章で失礼しました。
ウオミーはおっぱいよりも背中の方がエロいと思います。異論は認めません。

138 :
 諸氏、お疲れ様です。
◆ZAtwiNsO4g氏の直後になってしまい申し訳ないのですが、
ここに来れる時間が時が今しかなく、真に失礼ながら投下いたします。
生徒会役員で、本番はありませんがエロ描写はあり。
タイトルは「恐怖新聞部長」 でお願いします。

139 :
 私立桜才学園はどこにでもある高校である。
進学校で、つい一昨年までは女子校だったが、それは別に特異な点とは言えない。
男女比率が大きく女性に傾いているというところだけは、世の男、特に男子校に通う連中からすれば羨ましいかもしれない。
 桜才学園も学校であるから、当然多くの部活がある。
出来たばかりでインターハイに出場した柔道部等、スポーツ関係はもちろんのこと、コーラス部等の文科系もある。
 で、そんな中で、密かに学園中から『恐怖の』という冠付きで恐れられているクラブがある。
「と、言う訳で。この度新しく『桜才新聞』にて小説を連載することにしたわけですが」
「何が『と言う訳で』ですか」
「いえ、これが実に良い出来でして」
「信用出来るわけないでしょう」
 桜才学園新聞部部長、その名前は畑ランコ。
特技は脚色、そして張り込み。
生徒会長の天草シノの写真を密かに生徒に販売しており、
さらには副会長の津田タカトシと男女の関係にあると嘘の噂を流す等、とにかく問題のある人物である。
 ◆ ◆ ◆
『恐怖の新聞部』。
 それは、新聞部が発行する『桜才新聞』の内容が実に信用の置けないが故の呼称である。
読む度に寿命が縮むわけではないが、記事の対象となった学生からすれば、それに近いものがあるかもしれない。
特に今の編集長、もとい部長に畑ランコが就いてからというもの、『トバシ』の傾向が強くなっている。
別の呼び名が『桜才の東スポ』であるのも、仕方の無いところであろう。
「おや。津田副会長は読みもせずにご判断されるわけですか。おやおや」
「つうか前科があるでしょうが、アンタ」
 そう、畑ランコは以前、恋愛小説とは名ばかりのエロ小説を桜才新聞に載せようとして、生徒会権限で止められたことがある。
「普通の恋愛小説であれば、問題は無いが」
 畑ランコは新聞部の記事絡みでよく生徒会を訪れる。
会長の天草シノ、副会長の津田タカトシ、書記の七条アリア、会計の萩村スズと、
生徒会がフルメンバーで揃っている時を狙ったかのように現れるので、生徒会のスケジュールを完全に把握していると思われる。
そこら辺りは、さすがと言うべきなのかどうなのか。
「さすがは天草会長。お話がわかる」
「普通の、ならな」
 畑ランコの暴走には、さすがの天草シノも過去に何度か困らされている。
シノもたいがい下方面への発言が多いが、何しろ、畑ランコの下ネタにはそのシノがツッコミ役になる程である。
「恋愛小説なら、きっと皆も読んでくれると思うわ」
「さすがは七条さん。お話がわかる」
 七条アリアは、特に畑ランコに悩まされたということはない。
何しろ下方面へのポテンシャルはおそらく全校生徒中最強の天然お嬢様、暴走度合いはほぼ拮抗している。
「読む価値があるかどうか疑わしいんですが。と言うか、校内恋愛禁止が校則であるのに、恋愛小説を載せるのは……」
「さすがは萩村さん。お話がわかる」
 萩村スズはタカトシと同じツッコミ係であるからして、やはり畑ランコはツッコミ対象となる。
スズが畑ランコを苦手としているとまでは言わないが、彼女単独では相手をするのは、少し相性的に荷が重いと言わざるを得ない。
「さっきから何同じことばかり言ってるんです」
「さすが津田副会長、お話がわかる」
「いい加減にして下さいよ」
 高校に入ってからの短い付き合いだが、タカトシも経験上、このような態度を畑ランコが取る時、必ず裏があるということをわかっている。
と言うか、裏が無かったことが無い。
「いえ、大丈夫ですよ? 何しろ、今回は外部の人間に書いてもらいましたので。いえいえ」
「外部の人間?」
「はい。ま、ちょいと伝手を頼りましてね。他校の女生徒なんですが、どこかの文学賞で佳作を獲ったこともある人でして」
 自らの交友関係の広さを誇るように、ぐい、と胸を張ってみせる畑ランコ。
が、威厳をあまり感じさせないのは、彼女がまだ高校生だからか、それともまた別の理由があるからか。
おそらく後者であろう。

140 :
「あら凄い」
「ふむ。最近は若年層の、十代の作家が増えているとも聞くしな」
「ケータイ小説とかはあまり私は評価しませんが、賞を獲ったのは凄いですね」
 勲章と肩書は人の態度を変える、とはよく言うが、頭脳明晰なシノ、アリア、スズにしてもその傾向からは逃れられないようである。
タカトシは特に反応を返さなかったが、これは単に彼が普段から小説を読まないからに過ぎない。
「こちらから話を持っていったところ、乗り気になってくれまして」
「やる気もあるのか。なら、断るのも心苦しいな」
「そうでござんしょう。ならば、オッケーということでよろしゅうございますね?」
「そうね、いいんじゃないかしら、シノちゃん?」
 トントン拍子で進んでいく話。
だが、タカトシのツッコミレーダーは危険をビンビンに探知した。
もうこれは理屈ではない、完全なる勘である。
「いや、待って下さい」
「何だ津田、どうした?」
「おや、津田副会長は天草会長がその気になっておられるのに、何か不服がおありで?」
 畑ランコが強引に話を持っていく時は、間違いなく爆弾が潜んでいる。
後になって「しまった」と後悔しても遅いのだ。
「畑さん、その人が書いた小説、今持ってますか?」
「……いえいえ、まさか。まだ依頼したところですし」
 唇を「3」の字にして、かわしにかかる畑ランコ。
だがタカトシは騙されない。
「畑さん、さっき、『実に良い出来』と言ってましたよね」
「……ハッ」
「そう思うってことは、読んだことがあるんでしょう?」
「むむむ」
 ジリッ、と一歩後退する畑ランコ。
言葉を操って記事を作る彼女だが、まさにその自ら発した言葉が、落とし穴になった形だ。
「新聞部部長・畑ランコ、一生の不覚。処女膜に強引に棒をねじ込まれた気分とはこのことか」
「わけのわかんないこと言ってないで。で、持ってるんでしょう?」
「……持っております」
 あっさりと敗北宣言を出す畑ランコ。
取材は股間から引く糸の如く粘り強く、をモットーとしている彼女だが、引き際はきちんとわかっているようである。
まあ、ここで持ってる持ってないの論争をしたところで一歩も前進しないのは確かなので、
おそらく、タカトシかスズにツッコまれた時には素直に原稿を出すと最初から決めていたのであろう。
「と言いましても、まださわりと言いますか、濡れ……もとい、ま、一部分だけしか完成しておりません」
「今、何か不穏なこと言いました?」
「いえいえ、全然。全く。まさか。あり得ません」
「……」
 タカトシは畑ランコから、原稿用紙を受け取った。
そこには、少女らしい可愛らしい字で、文章が綴ってあった。

141 :
 ◆ ◆ ◆
   ……私立O学園。
 風紀厳しいことで知られるこの学園には、裏の顔があった。
 全校の頂点に立つのは校長ではない。
 生徒会なのだ。
 だが、生徒会長が最も権力を持っているのではない。
 この学園で一番強い者―――それは、副会長。
 「ふふふ、会長……。良い格好ですね」
 「ああ、やめてくれ……。見ないでくれ……」
  赤い夕陽に照らされる、校舎の屋上。
 その床の上に、裸体を晒している一人の女生徒がいる。
 この学園の生徒会長。
 凛々しく、美しい容姿を持つ彼女は、全校生徒の憧れの的だ。
 だが、今は一人の、いや、一匹の雌奴隷にすぎない。
 「ほら、もっと股を開いて」
 「だ、だめだ。これ以上は……恥ずかしい」
 「そう言いながらも、濡れていますよ? ここは」
  彼女の前に立つのは、副会長。
 生徒会で唯一の男子で、そして、彼女の『支配者』だ。
 「普段の貴女からは想像も出来ないこの格好……。写真でも撮ってバラ撒きましょうか」
 「や、やめてくれ!」
 「心配なさらずに。冗談ですよ」
  そう言いながら、副会長は会長の股間の淡い茂みに、フッと息を吹きかけた。
 「ひゃう!」
  びくん、と反応する会長。
 彼女は、副会長に逆らえない。
 そういう風に『調教』されているからだ。
 「はしたない人だ、本当に」
 「あ、ああ……」
  会長は副会長の視線から逃れるように、顔を横に逸らした。
 だが、自らの太股を掴む手の力は緩めない。
 どうしようもないくらいに、彼女は屈服していた、副会長に。
 「ここ、こんなに濡れていますけど」
 「あっ、あんっ!」
  副会長は右手の人差指で、会長の秘所を突いた。
 くちゅり、と卑猥な音を立てて、指はどんどんど中に吸い込まれていく。

142 :
 「これは今、濡れたものじゃないですね」
 「う、そ、それは」
 「全校集会。その時からずっとこうなんでしょう?」
 「だ、だって、それは……き、君がし、下着を穿くなと言うから」
 「あれ、俺のせいにするんですか?」
 「きゃうっ!」
  会長は悲鳴を上げた。
 副会長が、彼女の秘所の茂みを摘まんで強く引っ張ったからだ。
 「会長はどうしようもないドMですね」
 「そ、そんなことはない……」
  否定する会長。
 だが語尾の小ささが、副会長の言葉が正しいことを物語っている。
 「そろそろ欲しいんでしょう? これが」
 「……え?」
  会長は顔を少し、副会長の方に傾けた。
 そして、息を飲んだ。
 副会長の股間から、トランクスとズボンから解放された雄々しい怒張が、屹立している。
 夕陽を受けて禍々しく黒光りするそれは、まさに彼女を支配するものの象徴だ。
 「素直になれば、いくらでもこれをあげます」
 「う、うう……」
  ポロリ、と会長は涙を一筋流した。
 逆らえない。
 副会長と、彼のモノが発する淫らな魔力には、逆らうことは出来ない。
 「ほ、欲しい……」
 「ん? 聞こえないですよ」
 「欲しい……それが、ほ、欲しい……」
 「言葉遣いがなってないですね。それではあげられませんよ」
  副会長は自身のモノをしまおうと、制服のズボンのジッパーに指をかけた。
 「あっ、ちが、そのっ、ほ、欲しいですっ! き、君のその男らしいモノが、欲しいですぅっ!」
 「どこに?」
 「わ、私のっ、き、きた、汚らしい穴に、お○んこにっ! 欲しいです!あ、ああっ……!」
  ニヤリ、と副会長は笑った。
 もちろん、モノを収めようとしたのはただのポーズだ。
 目の前の哀れな、一歳年上の彼女が、淫らに要求するその様を見たかっただけだ。
 「いいでしょう。なら、後ろを向いて、フェンスに両手をつけて」
 「そ、そんなことをしたら、グラウンドから丸見えに……っ」
 「そういうのが好きなんでしょう? 意地を張らない方が良いですよ」
  副会長は会長を立たせて背中を突き飛ばした。
 タタラを踏んだ会長は、自らの意思とは別に、フェンスに寄りかかる格好となる。
 「さあ、思う存分感じて下さい」
  副会長は会長の背後から、のしかかった。
 グラウンドの方から、ソフトボール部の掛け声が聞こえてくる。
 陽が落ちきるまで、まだ間がある―――

143 :
 ◆ ◆ ◆
  副会長は、右手で胸を、そして左手で菊門を激しく愛撫していた。
 無論、彼自身のものではない。
 彼の腕の中には、一人の女生徒がおり、その彼女を弄んでいる。
 彼の先輩で、生徒会の書記だ。
 「本当に、先輩はお尻の穴が好きですね」
 「ダメぇ……言わないで」
  生徒会書記の彼女は、会長に負けず劣らず、生徒から人気がある。
 良家の一人娘で、美人で、成績抜群で、プロポーションも文句のつけどころがない。
 彼女の豊かな乳房に挟まれることを妄想して自慰に励む男子生徒は、間違いなく多いだろう。
 「会長は前の穴。そして書記の貴女は後ろの穴……。バランスが取れてますね」
 「そ、そんなこと……」
  会長は徹底的に、前の穴で感じるように調教していた。
 そして書記の彼女は、後ろのお尻の穴だ。
 会長の純潔は早々に奪った副会長だが、まだ書記は清らかだ。
 いずれ奪うつもりであるが、それまでは後ろの穴のみを開発するつもりだった。
 「処女のクセに、こんなに感じるなんて」
  副会長の左手の指は、べったりと濡れている。
 書記の秘所から溢れでた淫らな液が、尻の谷間を伝って後ろの穴の方まで流れてきているのだ。
 「それは、貴方が、貴方が……」
 「俺のせい、とは言わせませんよ」
 「う、うう……」
 「前より先にアナルオナニーを覚えた貴女が悪いんですよ」
  場所は薄暗い生徒会室。
 ドアには鍵がかけられ、窓にはブラインドが降りている。
 昼休みでまだ陽は高いが、室内は外の半分程の明るさもない。
 「日本でも有数の財閥のお嬢様が、こんな変態だと皆に知れたら……」
 「イヤ、あんっ、そんなのイヤ……」
  書記はふるふると首を振る。
 薄い茶色の髪が揺れ、瞳から頬に垂れていた涙がポタリ、と床に落ちる。
 「胸、また大きくなりましたか?」
 「わ、わからない……」
 「嘘を言わないで下さいよ。毎日揉んであげている俺が言うんです、大きくなってますよね?」
 「……」
 「どうなんです?」
 「う、うん……」
  コクリ、と頷く書記。
 ブラジャーはすでに外されて、机の上に放置されている。
 ブラジャーだけではない、ショーツも同様である。
 今、彼女は制服のみを身に纏っている状態だ。
 無論、副会長がそうしたのだ。

144 :
 「三本目……」
 「ひぎっ……!」
 「相変わらず、きついですね」
  副会長は書記の後ろの穴を蹂躙する指を、一本増やした。
 人差し指、中指、薬指が彼女の後ろの穴に飲み込まれる。
 「拡がるけれども、締め付けはきつい。最高の尻穴ですね」
 「い、言わないで……!」
 「いいえ、何度でも言いますよ」
 「……そんな」
 「貴方は後ろの穴で感じまくる、はしたないメスブタです」
 「ち、ちが……」
 「指を、そして俺のモノを何度も何度も飲み込んだ、いやらしい尻穴を持つ淫乱お嬢様なんです」
  副会長は書記の耳元で呟きながら、後ろの穴に差し込んだ指を、くねくねと動かした。
 胸の方も逆の手で征服を続ける。
 乳首が完全に立っているのが、感触で伝わってくる。
 「さて、時間も無いことだし、本番に移りますか」
 「ほ、んば……ん」
  副会長は後方に数歩移動した。
 そして、そこにあったパイプ椅子にどっかりと腰掛けた。
 書記を抱えながら。
 「さあ、いつものように、自分から入れるんです」
 「い、れる……」
 「そう、お尻の穴に、俺のモノをね」
 「おしりの、あなに……」
  力なく、副会長の言葉を反復する書記。
 その表情は虚ろで、瞳には輝きがない。
 完全に、奴隷の顔だった。
 「さ、時間がありませんよ? このままだと、満足出来ないまま終わってしまう」
 「まん、ぞく」
 「俺じゃなくて、貴女がね」
 「まんぞ……く」
  副会長は手の力を緩め、彼女を解放した。
 書記は、逃げることはない。
 逃げられない。
 「まんぞく……」
  書記はスカートをめくった。
 そして、後ろ手で、副会長のモノを彼のズボンから取り出した。
 もう、何度もこなしてきた行為だ。
 「さあ」
 「……」
  彼女は副会長の巨大な男根を、自らの後ろの穴にあてがった。
 そして、ゆっくりと、脚の力を抜いていった―――

145 :
 ◆ ◆ ◆
  登校時間にまだかなり間がある、学園の早朝。
 当然、校舎の中に生徒の数は少ない。
 まして、普段から使われることの少ない、校舎の一番奥の非常階段においては、人の影は皆無だ。
 「ムグ、むぐぅ……ッ」
 「ほら、速くしろよ。会長達が来る時間になっちゃうだろ」
 「ぐっ、う……ケホッ、そ、そんなことを言ったって……」
 「おい、口から離すなよ」
 「お、大きすぎて……飲み込めない……」
  いや、皆無ではない。
 この非常階段に、一組の男女がいた。
 この学園の支配者である副会長と、彼の同級生である生徒会会計だ。
 「無駄口叩いてる暇があったら、速くするんだな」
 「わ、わかってるよぅ……」
  会計は大きく口を開いた。
 そして、小さな舌を突き出す。
  彼女は今、副会長に奉仕を強いられていた。
 「あむ……ん、れ、ろっ……」
 「その調子」
 「はむ、あむっ」
 「しかし、上手になったなー」
 「ちゅ、ぶ……そ、それは、毎日こんなことさせられてたら……」
  会計の彼女は、かなり身体が小さい。
 下手をすれば、小学校の中学年と間違われるくらいに。
 帰国子女で、学年で常にトップの成績を誇る彼女にとって、その小さな身体はコンプレックスだった。
 そして、こうして立っている副会長に口で奉仕する時も、ただ跪くだけでは出来ない。
 身長差がありすぎて、単に跪くだけでは副会長の腰に顔が届かないのだ。
 「そう、裏の方をしっかりと舐めて」
 「んむ、む、こ、こう……?」
 「そうそう、そんな感じ」
  そこで、階段である。
 副会長が踊り場に立つ。
 そして会計がそこから数段上の段に立ち、手すりを持って前方にやや身体を屈める。
 こうすれば、普通に同じ高さで彼女が身体を折るよりも、彼女にかかる負担が少なくなる。
 「よっ、と」
 「ぐ、ぐむっ」
  副会長は少し、腰を前に突き出した。
 会計の動きと自然と連動し、怒張の先が、彼女の喉の奥を犯す。

146 :
 「ぐぅ、けほ、けほ……ッ」
 「ほら、吐き出すな」
 「だって、喉、が……ゲホッ」
 「言い訳無用」
 「う、ううっ」
  彼女は、プライドが高い。
 いや、高かった。
 小さな身体をカバーするために、誇りだけは強く持とうと健気に頑張っていた彼女の意地を、副会長はあっさりと壊してみせた。
 所詮は、無理して背伸びをしていただけ。
 副会長が強引に、彼女の身体をの全てを奪った途端、砂の魔天楼の如く、プライドは脆くも崩れ去った。
 今では、逆に副会長に支配されることに悦びすら感じるようになっている。
 言葉遣いこそは対等だが、それは表だけのこと。
 「先を、輪をかくように舐めまわすんだ」
 「う、うん……ぺろ、っ。れろ、れろ……ぉ」
 「次は咥えて」
 「は、むっ……」
 「そして顔を前後に、左右に動かしてしゃぶる」
 「ちゅ、むちゅ……っ」
  朝一番の処理。
 それは、自然と会計の彼女の役目になっている。
 昼は書記、そして夕方は会長。
 そしてそれ以外にも、生徒会顧問や風紀委員長、柔道部部長等、副会長の『奴隷』は数多い。
 「よし、出す、ぞっ……」
 「!? ぐふ、っ……」
  副会長は会計の頭を掴むと、自分の腰に押しつけた。
 その分、深くモノが彼女の喉に刻まれるが、容赦はしない。
 「ぐっ……ッ!」
 「がふ、う……ッ、ん、がっ……!」
  涙を流し、喉の最奥に飛沫を受ける会計。
 だが、顔を離そうと抵抗したり、歯を立てたりすることは決してない。
 それが、彼女に施された調教の一つの結果だ。
 「ふう」
 「……ん、くっ」
  副会長は全てを解き放ってから、腰を引いた。
 唾液と精液に塗れたモノが、会計の口から離れる。
 「全部、飲んだか?」
 「……」
  コクリ、と会計は頷いた。
 飲んだ、と言うより飲まされたという感じだが、彼女は不快を訴えない。
 寧ろ、そうされたことに、暗い快感を覚える。
 「じゃ、舐め取ってくれ。そして校門に行こう。チェックの時間に間に合わなくなる」
 「は……い」
  会計はまた、顔を前に差し出した。
 口を大きく開けて、舌を突き出して―――

147 :
 ◆ ◆ ◆
 タカトシは畑ランコから受け取った原稿用紙には。
少女らしい可愛らしい字で、文章が綴ってあった。
実に卑猥な文章が。
「……」
「どうです? なかなかの力作だと思いますがね」
 グッ、とサムズアップしてみせる畑ランコ。
親指が人差し指と中指の間に挟まる形の、彼女独特のアクションである。
「……」
「で、連載の許可をいただけます?」
「……」
「あの、津田副会長?」
「……こんなの」
「はい?」
「こんなの」
「ほい?」
「み と め ら れ る か ー ! ! !」
 タカトシの怒張、もとい怒号が生徒会室内に鳴り響いた。
「前より酷いじゃねーか! つうか、学生新聞の連載以前の問題だ!」
「ですがしかし、天草会長と七条さんは気に入られたようですケド」
 シノとアリアは肩を寄せ合い、タカトシの背後で頬を染めながら原稿用紙の文章を読みふけっていた。
時々、「おお、そうくるか……屋上で全裸プレイとは」「お尻の穴から先に……刺激的だわ」等と小さく呟いている。
「二人とも何やってんですか!」
「い、いやだが津田よ、これはこれで確かに力作だと思うぞ」
「さすがは佳作を受賞しただけのことはあるわ」
「さすがはお二人、お話がわかる」
 なお、スズは部屋の隅で脚を抱えて、震えながら蹲っている。
タカトシからは後ろ頭しか見えないが、耳が真っ赤になっているところから、
恥ずかしさその他諸々の感情で身体が動かなくなっている様子だ。
「という訳で天草会長、会長特権で是非連載許可を」
「へ? い、いやさすがにその、これはちょっと」
「七条さんのご意見は?」
「ええと、袋とじにしたら発行出来るかも」
「駄目だっつーの! 絶対許可しねーからな! 学校にかけあって新聞部を廃部にするぞ!」
「何と、これは不当な弾圧。言論の自由を認めないとは生徒の自治を預かる生徒会の副会長としてはまさに不見識」
「今更そんなマトモなこと言ったって駄目だったら駄目!」
「そもそもこれは架空の学園の架空のお話、完全にフィクションであり誰かをモデルにしているなどということはありませんゆえ」
「嘘つけ! どの口でそんなことを言うかー!」
「はてさて、下の口とやらでは」
「とにかく絶対に許可しねーからなーっ!」
 ……私立桜才学園はどこにでもある高校である。
その学園で、密かに『恐怖の』という冠付きで恐れられているクラブがある。
それは、新聞部。
そして、同様にその部長も恐れられている。
恐怖の新聞部長として―――。

 F I N

148 :
ここまでです。
細々とですが、来年も頑張らせていただきます。
では皆様良いお年をお迎え下さい。

149 :
おおなんか急にすごい活気がw皆さんGJです!
ウオミーかわゆすなあ

150 :
よいお年を

151 :
年末にかけて一気に盛り上がってきたね!
郭泰源氏の新作も待ち遠しいが…

152 :
七条センパイハ、カワイイデスヨ

153 :
雪のちらつく中、2011年の12月25日が終わろうとしている。
「今年は……楽しくなかったな……」
自室で一人、ベッドに横たわってアリアはつぶやく。
つい今しがた帰ってきてそのままの、赤いドレス姿のままで。
今年は三連休で、学生の身分なら喜ばしいはずであった。
七條家と言う、特殊な環境にあっては仇となった。
『連休なのだから、お前も来なさい』
父のその一言でアリアはパーティーに連れ出された。
泊りがけで、三日間。
楽しいはずの三連休は、愛想笑いを振りまくだけの三日間になってしまった。
去年の今ごろは、心の底から笑っていたはずだ。
心許せる仲間と共に。
笑顔で過ごしていたのに。
「一人、か……」
アリアは思う。
彼らは、彼女たちは、楽しんでいただろうか?笑っていたのだろうか?
楽しんでいて欲しい。笑っていて欲しい。
参加できなかったのは自分の都合なのだから。
けれど――
ボスンっと枕に顔を埋める。
「だめだな、わたし……酷いこと考えてる」
けれど。
心の何処かで。
弱い自分が。
汚らしい自分が。
零(こぼ)す。

 ずるいよ……と。

考えまいとすればするほど。
イケナイ感情が溢れ出す。
ぎゅっと目をつぶり、考えないようにしても。
溢れ出す。
醜い、嫉妬。
「……っ!」
ともすれば表に出そうになるその感情を出さないよう、幼子のように丸くなる。
「……」
ポツリとつぶやいた言葉に、答えるものはない。

154 :


――コツンッ――
耳に届いたのは、窓を叩く音。
閉ざそうとした心をノックするかのように、コツン、コツンと、何度も窓を叩く。
丸めた身体をほどく。
ベッドから降り、窓際へ。
外の様子を覗い、目を見開く。
「っ!?」
声すら出せず、窓を開く。
出そうとする声は言葉にならず、まるで金魚のようにパクパクと口を開閉するばかりで。
幻かと目をこすってみても、間違いなく彼はそこに居て。
「……」
なにも言えず、ただそこに佇むだけのアリアに、彼が身振りで伝える。
――窓から、離れて――
僅かに木が軋み、枝から落ちる雪。
そして――枝から窓へと飛び移ってきた、彼。
夢中で、抱きついた。
「……」
なにも言えない。
彼も、なにも言わない。
けれど、アリアに伝わってきたことがある。
「……からだ、冷え切ってるよ。ずっと、待っててくれたの?」
彼は笑顔で答え、出島さんの協力のおかげ、とネタばらしをしてくれる。
「そっか……ずっと、待っててくれたんだ」
身体にまわした腕に、ぎゅっと力をこめる。
彼の冷えたからだが、とても、温かい。
閉ざそうとした心は今は全開で。
だから……
「……大好きです…誰よりも……あなたが」
そう言って、口付けた。


夜は、まだ、長い。

END

155 :
終了。
七条センパイハ、カワイイデスヨ
七条センパイハ、カワイイデスヨ
七条センパイハ、カワイイデスヨ

156 :
>>155
518さん、アリアが可愛いのは激しく同意ですが、後ろになにかうわなにをすくぁwせdrftgyふじこlp
七条センパイハ、カワイイデスヨ

157 :
みなさんGJ‼
最高のクリスマスプレゼントでした。
良いお年を!

158 :
518氏、GJでした!
懐かしい職人さんが戻ってきてうれしいです。

159 :
あけ
おめこ
とよろ

160 :
あけ
おめこ
とよろ

161 :
あけ
おめこ
とよろ

162 :
あけ
おめこ
とよろ

今年もこのネタやってくれるかなー

163 :
同人誌新刊あった?

164 :
年明け一発目の投下待ち!

165 :
タカトシが風邪を引く(もしくは生徒会メンバー)

看病する

アーンをさせる

……まで思い浮かんだ。

166 :
>>165
そこまでだと特にエロくはないじゃないかw

167 :
それもまたいい

168 :
>>165

寒い→病人が生徒会女性メンバー→bルート

病人がタカトシ

よし、ここは人肌で暖めよう

bルート

寒いから一緒の布団で寝て欲しい……

え?結局ヤる事は変わらないって?

169 :
今週のスズのマスクの中が可愛いすぎるだろww

170 :
 ω

171 :
最近更新されませんねー

172 :
バレンタインか……
好きな人にチ●コを渡す日だな

173 :
>>172
本家でやりそうなネタだなw

174 :
ウオミーフラグきた

175 :
ウエディングウオミー可愛い

176 :
あれ、二人の兄弟同士が結婚したの?
それとも親戚をお兄さんお姉さんと呼んでるだけ?
まあいずれにしろいっきに距離が縮まりましたね。

177 :
親戚のひとを「お兄さん」「お姉さん」って呼んでるだけだろ
親族の集まりかなんかで出会ったらイベント発生だな

178 :
親戚の姻戚なんてほぼ会わないけどな
しかしそれでも親戚のお姉さんとして家を訪れる大義名分ができたわけだ

179 :
ウオミーSSのネタになりそうな脳汁キボンヌ

180 :
最近更新されませんねー

181 :
ホワイトデーが近いぞ諸君

182 :
ホワイトデー当日と直後は会議・夜勤があるので無理ですが、
その後くらいに何か出来たら投下します。

183 :
おお、楽しみにしてるよ

184 :
ここってきつい内容(レイブや鬼畜)はNG? それとも事前に警告すれば可?
津田と天草のホモレイプなんだけど

185 :
レイブ?津田と天草のホモレイプ?
書きたい内容はいまいち分からんが、とりあえずレイプなんかは事前に注意書きしてくれれば投下してもいいと思うよ
ただ漫画の作風的にオリキャラでそういう内容だとスルーの人もいるかも
男同士の作品は今まで投下されたことなかったはずだから分からん、百合のプロはいたけどね
まあ個人的には今スレはこんな状態だし投下は大歓迎!

186 :
いくら会長が平たいからって男扱いしなくても

187 :
新連載くるのか

188 :
お疲れ様です。
短いですが、生徒会で一本投下します。
タイトルは特に無し、エロは無し、厨二病ポエムネタです。

189 :
 春、それは別れの季節。
 春、それは出会いの季節。
 桜のその薄いピンクの花びらは、寂しさと嬉しさを共に映し、そして散っていく。
 春は回る。
 街を、人を、世界を染めて。
 ◆ ◆ ◆
「と、言う訳なんだが」
「何がですか」
 窓に背を向けて立つ天草シノに、津田タカトシはツッコんだ。
「いや、だからそういう訳なんだ」
「意味わかんないです」
 窓から差し込む光は、外で風に舞う桜の色を透かし、シノに降り注ぐ。
桃色の光を纏うシノは、幻想的にすら見える。
「鈍いなあ、津田君」
 横合いから、七条アリアが口を挟む。
「どういうことです、七条先輩?」
「春が来て、シノちゃんの女の部分が色々なモノを欲しているということなのよ」
「萩村、意訳してくれ」
「えーと、乙女心が溢れてきてる、ってところにしときなさい」
 タカトシに振られた萩村スズは、ソツの無い答えを返す。
 私立桜才学園は今、春休みの真っ盛りである。
まあ、桜才だけではなく他の学校も間違いなく春休みではあるのだが。
 で、春休みが明けると新しい学期が始まる。
生徒会は入学式の準備の為、何だかんだで忙しいというわけだ。
「本来なら我々も学年が一つ上がるわけだが」
「というか卒業ですよね、会長達」
「そうはならないけどね」
「うむ。サ○エさん時空であることを改めて噛み締めているところだ」
 ぶっちゃけ、サザ○さん時空な物語だと、春の話が一番作りにくい。
迂闊に卒業やら入学やらを絡ませられないからだ。
本編でそれらの行事の匂いがすると、すなわち終了フラグに他ならない。
 まあ、メタな話は置いておこう。
「こう、何だな。陽気に誘われて、ムラムラとしてくるというかだな」
「春じゃなくたって会長はいつもムラムラしてませんか」
「失礼な、横島先生じゃあるまいし」
 ムラムラの部分にツッコまない辺り、タカトシの諦観ぶりが伝わってくる。
「でも実際そうだよ。津田君はムラムラしないの?」
「どう答えろってんです?」
「違うぞアリア、津田はさら先を進んで、シコシコとだな」
「もう好き勝手言ってて下さい」
 タカトシとしては、別にムラムラもシコシコも関係ない。
普段通りに生徒会の役員の活動をするだけである。
その活動のほぼ半分がシノとアリアへのツッコミなのだが。

190 :
「ま、春だから浮つくのはわからないでもないですけど」
「ほう、やはりシコシコと」
「そーいうことじゃねーよ」
 タカトシのツッコミがタメ口調になる時、それはかなり場の下ネタ度が上がってきている印である。
「コトミも何だかフワフワしっぱなしで……。口を開けば厨二病的なことばかり言ってるし」
「コトミちゃんは年中厨二病でしょ」
「それは……まあそうなんだけど」
 スズのツッコミもたいがい酷いが、それを肯定するタカトシもやはり酷い。
コトミが厨二病過ぎるのは事実ではあるが。
「だいたいどういうことを言っているか想像出来るぞ」
「本当ですか、会長?」
「うむ。『春、それは別れの季節。春、それは出会いの季節。桜の花が散る時、私の心も散るのだ』とかなんとか」
「『そして私の純潔も儚く散る』だね、シノちゃん」
「さすがにそこまで言わねーよ」
 それに近いことは言ったが、とまでは口にしないタカトシである。
「『私は出会った、新しい自分に。まさか自分の中にもう一人の自分がいるとは思わなかった』」
「『今までの私は仮面だったと思い知ったのだった。本当の私は強欲で、淫らで、はしたない人間だったのだ』」
「うぉい、何だか間違った方向に転がってってるぞ」
「いつものことでしょ」
 シノとアリアが暴走を始めたら、容易なことでは止まらない。
というか、常に暴走していると言っても過言ではないのだが。
「『庭の桜が咲いた日、私は散った。薄い桃色の花びらを深紅に染めて』」
「『そう、私は兄に、実の兄に犯されたのだ』」
「コラコラコラ、何言いだしてんだアンタらは」
「『だがそれは私が望んだことでもあったのだ。漆黒の闇を一筋の光が照らすが如く』」
「『私の歴史のページに重い文字が刻まれる。近親相姦、それは禁断の果実、甘くて苦い神の罠』」
「もう厨二病関係ねーな」
「ポエムでもないわね」
「『私は散った、そして咲く。今日からの私は毒々しくも鮮やかな花弁を開く花になるのだ』」
「『兄の全てを取り込み、そして孕む。猛りつつも苦しさを抱えた果実を実らせるために』」
「さーて、そろそろ本気で止めていいですかね」
 もう少ししたら、風紀委員の五十嵐カエデ、新聞部の畑ランコが入学式の打ち合わせにやってくる。
彼達女にこの会話を聞かれると色々とヤヤコシイことになる。
両極端な意味で。
「『銀の杯に注がれたのは葡萄酒か、それとも私の破瓜の血か。時計盤にそれを垂らして、時の流れを止めてしまいたい』」
「『遡ることも、進めることも出来やしない。それが私に科せられた枷。私がどれだけ足掻こうとも、所詮シーシュポスの岩なのだ』」
「津田ー、任せるわ」
「任せられた」
 春は回る。
 街を、人を、世界を染めて。
 変わらない時を染めて。

 F I N

191 :
 これだけです。
しかしまさかのマガスペでの新連載、しかもハナプチベースで。
……あれ、エレナいなくね?
 せっかく平日に公休もらったのに花粉症でめっちゃしんどいです。
脚サポ的な意味でもしんどいです。
何故西野を切ったし、何故セホーンにしたし。 

192 :
ピンキリさん乙です
セホーンダメでもロペ(略
大丈夫そう簡単には落ちないもんです…と浦和サポが言ってみる

193 :
今週号のスズが可愛くてたまらない。あの服のスズもいいなぁ

194 :


195 :
スズにはスク水じゃなくて
幼児用のヒラヒラのついた水着を着せたい

196 :
ほしゅ

197 :
津田に安全地帯扱いされたスズが、雪辱のために津田を誘惑しようと頑張る話というのはどうか

198 :
>197
言い出しっぺの法則ってのがあってだな。おまいが書くのだ。
シノの「きゃあっ」に萌え萌え(*´д`)
会長かわいいんですね、とかって思わずシノの髪をくしゃっと撫でるタカ。余計に恥じらい言い訳してテンパるシノ。そんなトキメキストーリーに期待あげ。
郭氏とか久々に書いてくれないかな…

199 :
>>57続き

投下します
『AV女優のあかほん』 第三話
ユーリ編

200 :
業界のトップに躍り出るために打たれた一世一代の大博打、
トリプルブッキングの処女喪失AV撮影は、ようやく第一関門を終えた。
この先、メンバー一人一人の貫通式という最も重要なイベントが
三人分も残っているというのに、もう井戸田は疲れ切っていた。
メンバーの処女膜をカメラに収める、ただそれだけで
休憩時間も含めてもう二時間近く経過している。
休憩は各半時間程もとっていたにしても、
実際の撮影時間は一時間かかっている計算だ。
これが編集されて十五分以内に収められるのだから、
彼の苦労の四分の三は、映像では無かった事にされてしまうようなものだ。
しかし多くのドラマやバラエティ番組の撮影も、事情は同じだ。
一時間のドラマであっても、撮影には何日もかかっている。
それを思うと不平は言っていられないと身を引き締める反面、
何で俺は役者でもないのにこんなに苦労してんだ……とも言いたくなった。
「十時過ぎから撮り始めたのに、もう正午近いですね」
撮影そのものは一時間程度だが、
途中に挟んだ休憩を含めると二時間近くかかっている。
九時の始業から一時間は小池マイの早送りAV鑑賞にあてていた。
レイコに飲まされた精力増強剤のせいで股間が破裂しそうになりながら、
井戸田は意識的に平静を保とうとしていた。
目の前にはギリギリまで丈の詰められたスカートを穿いたカルナに、
二―ソックス以外完全な全裸のシホ、そしてスク水のユーリが居る。
自分は冷静だ、自分は冷静だと自身に言い聞かせていなければ、
とうに誰か一人くらい押し倒していてもおかしくない精神状態だった。
「今日一日はこの撮影にスケジュールをあててるから、
 もっと時間がかかっても大丈夫なくらいよ。
 その代わり撮り終えるまでは全員残業だからね」
隣の部屋でその声をマジックミラー越しに聞いていた三瀬は、
唯一撮影と関係の無い通常の事務作業をやっている自分まで
まさか残業に付き合わされるのだろうかと懸念した。
今日はブログを更新する予定の日なので、
少女達が定時までに撮影を終えてくれる事を期待する他無い。

201 :
本日既に三度目となった休憩を終え、本番撮影の時間がやってきた。
商品化された映像では年功序列でカルナ、シホ、ユーリの順に収録されるが、
撮影段階ではどんな順番でも構わない。
誰が一番手を務めるかはまだ決まっていなかったので、
トリプルブッキング三人はその場で即席の話し合いを持った。
「ユーリはどうしたい? 痛いから後回しにするか、先に終わらせて休むか」
カルナが気遣うのも無理は無いと思えるくらい、ユーリはまだ回復していなかった。
三人の中で一番指を入れるのが痛く、ハードな体位までしている。
十分休んだくらいで覚悟が決まる程、体も性感も発達してはいない。
「あたしが先に済ませようか? オナニー慣れてるから一番馴染みやすいかも」
さらっとデカい声で何言ってんだコイツ……と井戸田がツッコむ。
「でもシホちゃん、次の撮影はコスプレえっちだから、メイド服着直さなきゃ」
「あ、ホントだ! これ着るの面倒だから結構時間かかっちゃうんだよねぇ」
「ってか休憩時間中に全裸でくつろいでないで、さっさと着てれば良かったのに。
 アンタさっきユーリにローションかけた時すら裸だったじゃない」
「いやだって、ほら、着るのメンドイじゃん、メイド服って」
そういう話し合いは休憩中に済ませておきなさい、とレイコが文句を挟む。
やがて、年少者を気遣うカルナとシホの意思に反して、
ユーリが立候補の手を挙げた。
「私、出来れば早く済ませたいかも……」
「大丈夫なのユーリ?」
カルナとシホが心配する声をかけるが、レイコとしても
今更押し問答を続行してほしくなかったので、そこで話し合いを打ち切らせた。
「ユーリが一番時間がかかりそうなのは事実なんだし、
 アンタら二人が予想以上に時間かかった場合、ペース配分が難しくなるわ。
 時間かかっても良いから先にユーリを終わらせて、
 シホとカルナはそれからパパッと済ませましょう」
簡単に言うが、ユーリ以外の二人だって処女なのだ。
パパッと済むかどうかは断言出来たものではない。
レイコの狙いとしては、最年少者のユーリが頑張る姿を見せつける事で、
シホとカルナに余計な尻込みをさせず覚悟を決めさせるつもりだった。
社内で撮影している事を印象づけるために長テーブルを用意していたものの、
いざセックスとなれば、固いテーブルの上では処女相手に気がきかない。
小田が休憩時間中にテーブルを全て廊下に出し、
代わりに三人掛けのソファを運び込んでくれていた。
一人でやるには結構しんどかった筈だが、さすがは巨漢と言うべきか、
両手でがっしりと腰だめにソファを持ち上げる様は圧巻だった。
井戸田も手伝おうとはしたのだが、それはレイコに止められた。
曰く「中途半端な腕力じゃ小田にはただの足手纏いにしかならない」だそうだ。
「小田さんありがとー」
小田が運び込んでくれていたソファに座りながら、ユーリは感謝の言葉を述べた。
他に何も置いていない真っ白な会議室に、ただ一つ置かれたソファ。
それに腰掛けるスク水の小学生女子というのは、
言葉で表す以上に背徳的なものがあるように感じられる。
しかも当の本人が、それが背徳的であるという自覚があるのか無いのか、
無邪気に微笑んでいるともなれば尚更だ。
ユーリの着用しているスク水は予め胸のパットが抜かれている。
とは言え小学生の乳首はBB弾並みに小さく、しかも固くなっていないため、
表面上はどこをとっても平坦な胸にしか見えない。
むしろ女児特有の、少し膨らんで曲線を描いた腹部の方が目立っている。
これを今から犯すのかと考えると、精神状態をまともに保てという方が無茶だ。
井戸田はまだよく我慢している方と言えた。
「えっと、もう準備は良い……のかな? ユーリちゃん」
ユーリは頬を染めながら小さく頷いた。

202 :
相手がただの処女であってさえ、気を遣って細心の注意を払い、
時間をかけて丹念に固さをほぐしてやりたいところだ。
ましてや相手が小学生ともなれば、それは尚更だろう。
井戸田は学生時代に一度だけ処女と付き合った時の事を思いだした。
あの子の時でさえ、初めては一日じゃ済まずに、何度もリトライして
三回目のラブホでようやく何とか挿入出来たのに……。
そんな事を思い返しながら、彼はユーリに並んでソファに腰掛けた。
女子高生相手ですらあれ程時間と日数がかかったのに、
ユーリを一日で、ものの数時間で貫けと言うのは、あまりに困難だ。
隣り合う井戸田の顔を見上げ、全幅の信頼をもって見つめてくる女児の表情は、
恐怖に似た感情を眼差しに覗かせていた。
大陰唇を開いて内側を見せるだけでもあんなに痛がっていたのだから、
怖くないわけがないのだ。
「それじゃ、なるべく優しくするからね」
「ん……」
「痛くなったり、途中で止めたくなったら、すぐに言ってね」
「……止めてもらえるんですか?」
答えにくい質問だ。
これが仕事である以上、中止には出来まい。だが中断なら出来る。
とは言え、中断と言うのは、いつか再開しなければならない事を意味する。
その事実を今この子に告げるのは酷な気がした。
「大丈夫だよ、ユーリちゃん。
 いざとなったら、社長に怒られてでも……」
それが本心だったのかリップサービスだったのかは、彼自身にも分からない。
それに、言葉の続きも分からない。
社長に怒られてでも中断させる、と言おうとしたのか。
社長に怒られてでも延期させる、としか言うつもりが無かったのか。
もし後者であったら情けない男だと、なりゆきを観察していたレイコは思った。
もっとも、仮に前者であったとしても、中断などさせるつもりは無いのだが。
「今の彼の台詞、臨場感があって良いから、カットしない方向でいくわよ」
レイコの言葉に、小田は無言でこくりと頷いた。
ユーリは意を決し、井戸田に向けて少し顔を上げ、
顎を持ち上げ、瞳を薄く閉じてみせた。
唇を突き出せないのは、ファーストキスすら経験していない故の臆病さだろう。
目も完全に閉じているわけではなく、うっすらと相手の顔を見ている。
全体から滲み出す動きの固さも含めて、全てが少女の恐怖の証左だった。
井戸田は片腕を伸ばしてユーリの肩を抱き寄せた。
ユーリはソファの上に両足を閉じて、両手をグーのまま腰かけている。
リラックスしていない……と言うより、強張っているのがよく分かる。
井戸田はユーリのグーの上からそっと手を被せて、優しく包み込んだ。
そして、そっと唇を近付ける。
(キス一つにここまでビビるのなんて、何年ぶりだ?)
男でもファーストキスには結構勇気がいるものだったのだと、
そんな風に学生時代の思い出を呼び起こしながら、彼は少女に口付けた。

203 :
キスも初めての小学生相手に、長かったのか短かったのか、
それとも丁度良い時間だったのか、よく分からないまま井戸田は唇を離した。
ただ、唇をつけている間に、まるで雪の塊に湯をかけたかのように、
少しずつユーリの緊張が抜けていくのが、そのか細い肩から伝わってきた。
「キスのお味は?」
井戸田が尋ねると、ユーリは恥ずかしいのか、井戸田の耳元まで近付いた。
「……ん?」
集音マイクでも拾えない程の小さな囁きは、
一番近い位置にいる井戸田にすら聞き取れなかった。
「キスの最中に他の女の人の事考えてたでしょ」
ドキッとした
……と言う表現が、今程しっくり来る瞬間は無いと、井戸田は思った。
自身のファーストキスの時の事を思い出していた事が、ユーリに筒抜けだった。
のみならず、それを指摘してきた時の彼女の、立派なオンナの声。
何も言い返せないまま井戸田が黙っていると、ユーリは撮影用の台詞を口にした。
「えへへ、恥ずかしくて味なんかよく分かんなかったです」
そう言ってカメラから目線を逸らしながら頬を染める少女の顔は、
たったのキス一つでもう大きく成長したのだなと、井戸田に思わせた。
キス一つでここまでオンナ度が上がるのなら、
セックスを済ませたら一体どうなるのだろうか。
かつて処女と事に及んだ時は、相手も同い年だったから、
それ程「大人になった」という印象は抱かなかった。
せいぜい下ネタに対する耐性が強くなった程度にしか見えなかったが……
と、そこまで考えて、井戸田は思考を振り切った。
他の女の事など考えていてはいけないと、たった今指摘されたばかりじゃないか。
「大人の階段を上るのって、こんな感じなのかなぁ」
意味深に井戸田を見上げるユーリの表情には、
ある意味でシホよりもカルナよりも大人びたものがあった。
またしても井戸田が他の女の事を思い出していた事を、
目を見ただけで見抜いているかのよう……そしてその事に、
早くも諦めの感情を抱いているかのようだった。
本当は嫉妬心を剥き出しにして怒りたいのに、これが撮影だからか、
それともどの道言っても仕方の無い事だからと分かっているからか、
寂しく思いながらも何も口にしない、そんな大人の女の目だった。
「見違えるようだよ、ユーリちゃん。
 まだディープキスすらしてないのに、ほんの数秒でレディになったみたいだ」
井戸田は本心からそう言った。
褒めているというよりは、恐々と感想を口にしただけだ。
その証拠に、よく見ると彼の額にうっすらと冷や汗が滲んでいる。
しかし井戸田とユーリの間に現在張り巡らされている心理戦は、
傍目にはレイコ程の百戦錬磨の者にすら気取れない。
誰の目にも、ただの井戸田の気障な台詞回しにしか聞こえていなかった。

204 :
いつまでも含みを持たせた目で見つめ合っていても仕方ないので、
井戸田はリードし、ディープキスを済ませる事にした。
先程と同じように抱き寄せ、先程と同じように彼女のグーに掌を被せ……
しかし今度は、先程のような緊張は心なしか見られなかった。
ユーリ自身の固さが抜けていっている感がある。
勿論、こなれてきている、とまでは言わない。
いくら何でもそんなに早く順応出来るわけがない。
昔の女の事を思いだすまでもなく、処女というのは最初から最後まで、
徹頭徹尾不安と緊張でガチガチに固まっているものだ。
処女ばかりでなく、初めて寝る相手に対してはどんな女性でも概ねそうだ。
しかし今のユーリは、今まで井戸田が出会ったどの女性よりも、
早い段階で覚悟を決めてしまっているように見受けられた。
それは錯覚ではなく、レイコの目から見ても同様だった。
「ん……?」
小さく呟いたレイコの疑問符には、傍に居たカルナも気付かなかった。
(さすがは芸歴最長。土壇場での覚悟の決め方は早いわね……)
それが良い事なのか悪い事なのかは別として――と、
もやもやした感想をレイコは抱いた。
もっとも、実際にユーリを抱き寄せている井戸田や、勘の鋭いレイコ以外は、
ユーリの気持ちの変化に気付けていない様子だ。
唯一小田だけは気付いているのかいないのか掴めないが、
少なくともシホとカルナ、そしてマジックミラーの向こうの三瀬も、
恐らく全員、全く気付けていない筈だ。
これなら視聴者の大半も気付かずに済むだろう。
もしも気付かれたりしたら、処女のくせに初々しさが欠けているという理由で、
Am○zon辺りで悪いレビューをつけられるかもしれなかった。
大学も卒業している立派な大人の舌と、
小学校すら卒業していない女児の小さな舌とが絡み合う様は、
シホが慌てるくらい生々しかった。
慌てると言っても、元々こういうネタには耐性のあるシホの事だから、
せいぜい生唾を飲み込みながら目を見張る程度で済んでいる。
カルナは平生と変わらぬ無愛想な顔で事態を見つめているのみだ。
一番危険だったのは三瀬で、防音の壁の向こう側で、
ガチャガチャと事務用品を落として散らかしてしまっていた。
「あわわ……ユーリちゃんがディープキス、ユーリちゃんが……」
あまりの動揺に眼鏡がズレている事にも気付かず、
三瀬は散らばったペンやフラッシュメモリを必で拾い集めていた。
とは言っても、そこはやはり所詮小学生の処女と言うべきか、
それともカメラの前だから抑えているのか……前者であって欲しいが、
ユーリの唇はあまり大きく開けられていないし、舌も突き出されていない。
どちらかと言えば、勇気を出してちょっと唇を開け、
ねじこまれる井戸田の舌の先端をただ口の中に入れているだけという感じだ。
もっとも、これ以上に積極的になられても、レイコとしては困る。
後で自分の音声だけカットさせるつもりで、レイコは口頭で指示を出した。
「ユーリちゃんも少しだけ舌を突き出してみなさい。
 ユーリちゃん1、井戸田9くらいの割合で」
少しはユーリが舌を出しているところも見せた方が、視聴者にとっては良い。
しかもその割合を極度に低く抑えておけば、その分初々しさは維持出来、
視聴者にとってもそのシーンの貴重さが増す事だろう。
「社長、もう声出して良いんですか?」
カルナが小声で問いかけると、レイコは「三瀬の手間が増えるだけよ」と答えた。

205 :
これだけ身長が違えば、座高もかなり差がある。
同じ高さのソファに腰掛けていても、必然的に井戸田の方が
上から見下ろすような形でキスする事にはなる。
顔を上げて青年の舌を口中に迎え入れるユーリの唇の端から、
一筋の唾液が頬を伝って垂れた。
影になって見え辛いが、ちゃんと井戸田とユーリの舌が
ユーリの口の中、入り口付近で擦れ合っているのも見える。
無論それは、小田の巧みなカメラワークによって、画面中央に捉えられていた。
照明が蛍光灯のみというのが少しばかり心許ないところではある。
役者根性が座っているというべきか、ユーリはまるでカメラが存在しないかのように、
それでいてちゃんとカメラの方向を意識しつつ、舌を動かしていた。
簡潔に言えば、井戸田の舌で自分の舌が隠れないように気を遣っている。
それは直接唇を重ねている井戸田こそが一番よく理解出来た。
ディープキスと言えば、互いに舌を縦に横にと蠢かすものだが、
ユーリはカメラから見た自分の舌が、井戸田の舌の影にならないようにしている。
それ故に動きがワンパターンになりがちなのだが、
それが露骨過ぎていないため、恐らく井戸田以外誰も気付いていない。
こうした細かい部分での演技への気遣いのせいか、
井戸田は一瞬、相手が小学生である事を忘れてしまった。
そして、かつて恋人が居た頃にしていたのと同じように、
キスを続けながらごく自然な動作で彼女の胸に手を伸ばした。
「やふっ、く、くすぐったぃ……」
「あ、ご、ごめっ」
小さい……と言うよりは、平たいと言っても差し支えない胸。
この子は子供なんだ、だからなるべく優しく、ゆったりリードしなくては。
改めて自分にそう言い聞かせるも、一抹の不審が脳裏を過ぎる。
(この子、本当に子供なのか?)

206 :
その不審は錯覚に過ぎない。
そんな事は十分承知している。
どれだけ肝が据わっていようと、どれだけ演技力があろうと、
所詮はまだ小学四年生でしかない。
今一度それを頭に刻みつけるよう、井戸田は意識的に、ユーリの胸ばかりを弄った。
パットのないスク水とは言え、撫でていても乳首の位置が掴めない。
その事が殊更に、この子は子供なんだと、井戸田に思い知らせた。
カメラが、二人の顔から視点を下げ、ユーリの胸を大写しにする。
ほんの僅かな突起すら見当たらない、スク水に覆われた平らな胸板と、
その表面を無意味にまさぐる男の手。
こんな映像でも興奮する人がいるんだろうな……などと井戸田が思っていると、
突如ユーリのディープキスが激しくなった。
「!?」
井戸田も、周りで見ていた者達も、一様に息を飲んだ。
胸元にカメラを向けている小田でさえ、名シーンを逃がしてしまわないよう、
カメラの方向とは別に視線は隙無く縦横に走らせている。
この時小田は、急に積極的になったユーリの顔にカメラを戻すべきか迷った。
が、敢えてカメラが外れてから積極的になったのは、
何かユーリなりの考えがあっての事だろうと踏んで、胸元を写し続けた。
ユーリは、まるで井戸田の舌をフェラしているかのごとく、
小さな唇全体を使って舌をシゴいている。
かと思えば口を大きく開けて井戸田の唇全てを包み込むように吸い付いたり、
舌先を彼の歯茎に這わせたりまでしている。
ついたった今まで、自分の唇より先には舌を突き出してすらいなかった娘が。
――遠慮なんかいらないよ。大人相手と同じように扱って――
声にこそ出さないが、ユーリの舌遣いには、そんなメッセージが込められていた。
勿論、積極的とは言ってもそのテクニックは拙く、
井戸田やレイコから見れば無理をしているのが丸わかりだった。
とは言え、ここまで覚悟を持って臨んでいる者に対して、
手心を加えるのは確かに野暮な話だとも思い直す。
積極性とは裏腹に怖がって震えている幼女の眼差しを真正面に捉えながら、
井戸田は覚悟を決め直した。
他の女の事など勿論頭の片隅にも思い浮かべないし、
ユーリに対しても、もう遠慮はしない。
それが今自分の最も為すべき事なのだと。

207 :
覚悟を新たにしてからの井戸田は、ふっきれたような勢いがあった。
殆ど膨らみのないユーリの胸を揉みしだき、五本の指で鷲掴みにする。
時折ユーリが痛がって身を捩じらせた。
「コイツあんまりセックス上手じゃないわね」
ぽつりと呟いたレイコの声は、井戸田の耳に的確に刺さった。
ただでさえユーリの胸は、本格的に鷲掴みに出来る程ボリュームは無い。
本当ならば、掌と指で撫で回すようにするのが最適だったろう。
乳首の位置を探し当てられない焦りのようなものが、井戸田にはあった。
それを察してか、ユーリはまたも集音マイクにすら聞こえない程の小声で、
ひっそりと井戸田に言葉をかけた。
しかし今度の言葉は、嫉妬ではなく助言だった。
「……人はひゆびの位置」
「え、なに?」
傍目にはディープキスと胸への愛撫を同時進行しているだけにしか見えない。
そしてディープキスを続行しながらの呟きなので、
ろくろく日本語としての体をなしてもいない。
だがユーリが「人差し指の位置」と言ったのであろう事は井戸田にも分かった。
「もふこひ、みひ」
も少し、右……と言っているのだろう。
井戸田とユーリのどちらから見て右なのか分からなかったが、
ユーリの事だから恐らくは相手本位で考えてくれている事だろう。
井戸田は自分から見てやや右側に、不自然でないよう指の位置をズラした。
「ひょっと、ひら」
ちょっと、下。
言われるままに指を動かした先には、確かにほんのりと、
他と違ってやや立体感を感じる豆粒程の面積があるようだった。
言われなければ気付かない程だ。
井戸田はようやく探り当てたそこを、集中的に弄り始めた。

208 :
爪の先を立てて、値札を剥がす時のようにカリカリと引っ掻かれると、
ユーリは思わず逃げるように上半身を井戸田から離した。
「ひゃっ」
反射的とは言え、自分から誘導しておいて逃げるのはまずかったかもしれない。
そんなユーリの不安を、しかしレイコはやんわりと否定した。
「良い感じよ、ユーリ。そのぐらいの反応の方がファン受けするわ」
ユーリは少しばかりホッとしてから、再び上半身を井戸田に近付けた。
しかし井戸田の方としては、もう加減はしないと先程決めたばかりだ。
一旦指は離れてしまったが、乳首のおおよその位置は感覚で記憶している。
彼は再びユーリの胸板の上の豆粒を探りあて、指で突いた。
と同時に、もう逃げられないように、彼女の背中に片腕を回してしまう。
ユーリは大人の腕にがっしりと背中側から抑えられながら、
無遠慮なディープキスと乳首責めで追い立てられた。
「んっっ、ふっ……ひ、うぅ……」
決して感じて喘いでいるわけではない。
くすぐったさと、それから逃れようとして果たせない、もどかしさの産物だ。
それは周りの目から見てもよく分かる。
ユーリはデンデン太鼓のように体を振りながら身悶えし始めた。
覚悟はとうに決めているし、プロ根性で撮影を割り切ってもいる。
それでも体が脊髄反射で逃げようとしてしまうのだった。
「こんなに逃げられたんじゃなぁ」
井戸田はユーリの唇から顔を離すと、今一度にっこりと彼女に微笑んだ。
「ふぇ?」
口の端から涎の糸を引きながら、少女は呆然と男を見つめ返した。
しかし、その瞳を見つめ返したと思ったその瞬間、
男の顔が視界から消えた。
「やっ!? ちょっ!」
井戸田は隙をついて姿勢を大きく曲げると、ユーリの胸にしゃぶりついた。
ユーリは慌てて彼の首を胸元から引き剥がそうとしたが、
引き剥がそうとしているのか、それともより強く押し付けようとしているのか、
もはや区別がつかない程アタフタとした、理屈にあわない挙動になっていた。

209 :
苦い……。
それが井戸田の第一の感想だった。
スク水を舐めるというのは初めての経験だったが、
想像していた通り、繊維だか何だかの科学的な味しかしない。
だが料理ではないのだから、味はこの際何の関係も無い。
幼女の乳首を、スク水の上から舐め回す、という事が重要なのだ。
「やだぁっ……気持ち悪いよぉ……」
それはユーリの率直な感想だった。
井戸田に悪いとは思いつつも、ベロ全体で乳首を、
しかも布地越しに舐め回されれば、気持ち悪いと感じる方が普通だ。
そしてまたユーリにとって都合の悪い事に、
井戸田の首、ひいては上半身が先程までよりもっと密着しているため、
彼女の背中や腰に回される腕の力はより強固なものになっている。
つまり彼女からしてみれば、余計逃げられなくなっている状態だった。
もはや身悶えするだけの隙間さえ与えられず、
ユーリは小刻みに肩を震わせる事しか出来なくなった。
「あら、思ったより早かったわね」
レイコのその独り言の意味が、井戸田にはすぐに理解出来ていた。
ユーリの乳首が、立っている。
「あれ? ユーリ、ちゃんと感じるんだ?」
「そんなワケ無いでしょ。多分、寒気とか悪寒で立ってるだけよ」
シホとカルナの、そんなとりとめのない会話が聞こえてくる。
井戸田に責め立てられたユーリは、背筋にゾクゾクとした感触を覚えながら、
不可抗力で乳首を固くしこらせてしまっていた。
それは撮影上も、井戸田個人にとっても、非常に望ましい状態だ。
口の中で大きくなったそれを、井戸田は舌の先で撫で続けた。
と同時に、もう片方の乳首にも指を這わせ、
指先で押し潰したり引っ掻いたりして弄ぶ。
その度ユーリの演技力の仮面が少しずつ剥がれていった。
不安、恐怖、緊張、そして嫌悪感。
今のユーリの表情を彩る要素はいくらでもあったが、
快感や恍惚といったものだけは微塵も介在していなかった。
大人と同じように扱って欲しいと思っていたのも束の間に過ぎず、
今はそんな覚悟は容易く吹き飛び、ひたすら怯えきっていた。
泣きだしていないのが不思議なくらいだ。
相手が井戸田でなければ、例え撮影であっても、泣いて嫌がっていたかもしれない。
油断すると歯の根が合わず、カチカチと音を立てそうになる。
「こんな表情で、果たしてファンは肯定的に受け止めてくれるんですか?」
友人としてユーリを心配しながらも、建前上は仕事の心配をする素振りで、
カルナはレイコに尋ねてみた。
出来ればここで止めてあげたいと、正直にそう思っていた。
しかしレイコの目に迷いは無い。
「あーいう顔の方が、嗜虐芯を煽る効果があるものよ」
レイコとてユーリを全く心配していないわけではない。
ただ、アイドルが嫌がったから中止しますというのでは、握手会すら成立しない。
社長という立場からすれば、心を鬼にするしか無かった。
「あぁう……うぅっ……うあぁ……」
ユーリの声はもはや呻き声や嗚咽に近い。
間違っても嬌声や喘ぎ声などの類では一切無い。
それを分かっていても、井戸田は手心を加える事なく彼女の乳首を
指と舌とでスク水越しに虐め続けた。
手を抜かない事が、結果的には早くユーリをこの状況から救ってやれる
唯一の手段だと理解し始めているが故だった。

210 :

井戸田は乳首責めに飽きると、一旦彼女から体を離した。
ようやく解放されるかと安堵したユーリに、しかし、
マネージャーは非情な行為に出た。
スク水の両サイドの肩紐に手をかけ、ユーリが「あ」と呟く間に、
いっきに腹の辺りまでそれを脱がせる。
「やっ、いきなりっ」
ユーリの声に、井戸田は一瞬我に返った。
レイコから投与された薬の影響で理性を失いかけていた事を自覚する。
台本では、もっとゆっくり、視聴者を焦らすように脱がせる予定だった。
まずい……とは思ったが、レイコはリテイクの指示を出さなかった。
そのまま進行させた方が良いと判断したのだろう。
井戸田にとっても、ここでペースを落とす事は難しかった。
「可愛い乳首だねぇ」
「そんな事言わないで……」
「どうして? 褒めてるんだよ」
ユーリの乳首はフリスク一粒波に小さく、乳輪は五円玉のようだった。
これ程小さな乳輪はさすがに見た事が無い。
やはり小学生の体は、大人とは別物だ。
井戸田はわずかに取り戻しかけた理性や冷静さと、
一方で職務に対する忠実さや、何より男としての本能とを、秤にかけた。
しかしレイコから盛られていた精力増強剤の効果には抗えなかった。
理性よりも、科学の力で無理矢理増幅された野性の方に負けた形になった。
心の中で「ごめん!」と呟いて、ユーリの乳首に直接キスをする。
「あっ、ひ……ベトベトするぅ……」
井戸田はユーリに一言も返さず、無心で乳首を吸い続けた。
右の乳首を舐め続け、思い出したように左に移り、しばらくしてまだ右に戻る。
あまりに夢中になり過ぎて、乳首が左右に一つずつある事すら失念しかけていた。
右を舐めている時は、もはや右の乳首、その一点にのみ意識が集中していた。
空いている左の乳首を指で責めるという事さえ忘れていた。
その事に思い至ってすぐさま左を舌で責めても、
今度は代わりに右がおざなりになるだけだった。
しかしそうこうしている内に、いつしかユーリの乳首は、
左右ともびっしりと井戸田の唾液で湿らされていた。

211 :
思えばスク水を脱がす前は、まだマシだったのかもしれない。
その時は何だかんだ言っても、ユーリの肌が殆ど露出しておらず、
ただのディープキスと布地越しの乳首責めしかしていなかった。
視覚的効果としても、あまり直接的な要素は無かったと言って良い。
だが今ユーリは、上半身を剥かれてしまっている。
可愛らしい乳首が直接拝める状態だ。
それを最も間近で見たせいで、井戸田の理性は吹き飛んでしまっていた。
その結果、弊害が二つ発生した。
一つは、スク水を着ていた時よりも乳首責めが単調になった事。
計算よりも本能が勝り、なけなしのテクニックすら忘れてしまっている。
そしてもう一つの弊害は、井戸田のペースが急速に早くなった事だ。
指で乳首を弄るという事をすっかり忘れてしまっていた井戸田は、
むしろユーリがスク水を着ていた時よりも余程早く、先を求めるようになった。
「はぁ……はぁ……」
井戸田の目はいつの間にか血走っていた。
まるで童貞を捨てた時のように、ただ一つの事しか考えられなくなっていた。
ただ一つの事……即ち。
「やだっ、お兄っ、あっ、そこはダっ……」
井戸田はユーリの股間に手を伸ばし、筋に合わせて指を這わせた。
「ヒロ君ペースアップしたね。さっきは乳首だけであんなに時間かけてたのに」
シホの独り言に、レイコが答える。
「童貞はあんなもんだったわよ。最初はビビってるから何でもトロいくせに、
 どっかでいきなり火がついて、入れる事しか考えられなくなるの」
「えぇっ!? それじゃあヒロ君童貞!?」
「んなワケないでしょ……や、多分だけど。
 まぁ薬とか、小学生相手とか、いろいろ刺激が強過ぎたかしら」
脇で繰り広げられるそんな雑談や考証も耳に届かず、
井戸田はただじっとユーリのマンコを見つめながら、手で擦り続けた。

212 :
乳首を吸っていた時ですら、舐める事にかまけて
指で弄る事を忘れていた程だった。
それが今や、乳首の事さえ忘れてしまっている様子だ。
ユーリの顔さえ見ず、胸さえ見ず、ただひたすら、
スク水に隠れた股間だけに目線が釘付けになっている。
本当ならここでキスなり、胸への愛撫なりをしてやるべきなのだろうが、
レイコの言う通り、今の井戸田は本当に下半身にしか意識が向いていない。
「お、お兄ちゃんったら……擦り切れちゃうってばぁ……」
ユーリの訴えも聞こえないまま、井戸田は手マンし続けた。
先程の処女膜撮影の時に舐めた、あの柔らかい肉の部分。
早くあそこに入れたいのに、あぁ、何故まだ濡れないんだ、
何故まだ入れられる状態にならないんだと、焦る気持ちばかりが先走る。
処女なのだから濡れる筈がないのだし、
実際先程はそれが理由でローションも使った。
今の井戸田は、その事すら忘れてしまっているような有様だった。
「ヤバイかもね、あれ。暴走しちゃってるわ」
「暴走って……」
いかにも事態が軽いかのようにボソリと呟いたレイコの声に、
カルナは目敏く反応した。
「大丈夫なんですか?」
「んー、平気じゃない? 勢い余ってスク水全部脱がせたりしたらリテイクだけど、
 今の所焦り過ぎて逆にそんなまどろっこしい事しなさそうだし」
コスプレエッチがテーマの一つではあるので、
TB三人は挿入の段階に入っても衣装は脱がないように、と指導されていた。
スク水セックスを謳っておきながら本番で全裸になる事を、
フェチ達は恐ろしく嫌うものだ。
レイコの返答はそれを心配しての事だったが、カルナの意図とは違っていた。
カルナは純粋にユーリの体や心の事を心配していた。

213 :
レイコの見立て通り、井戸田は決してスク水を脱がせなかった。
脱がせる手間や時間さえ惜しいといった風で、
ユーリの股間の布地だけを横に引っ張って、マンコを露出させる。
決して、撮影のコンセプトを気にしての事ではなかった。
「……舐めても良いよね?」
「えっ、えっ、駄目ぇっ!」
そんなユーリの返事――抵抗と言った方が近い――すら聞き入れず、
井戸田は少女をソファの上に押し倒すと、無理矢理足を開かせた。
小田がすかさずポジションを変え、ベストアングルを探り出す。
「う、うわちょっ、井戸田さん!」
マジックミラーの反対側にいる三瀬は、思わず止めに入ろうかとさえ思った。
合意の上での撮影だった筈が、半ば無理矢理になりかけている。
濡れてもいない小さな穴、その入り口に、井戸田は思い切りキスをした。
いや、キスと言うには生温い。
舌を前後上下左右に蠢かし、音を立てて吸い付く様は、
さながら膣に対するディープキスといったところだ。
愛液一滴たりとも分泌されない処女の入口は、
彼がどれだけ音を立てて吸おうが、出ないものは出ない。
それでも井戸田は、さながら砂漠で一粒の水を渇望するかのように、
一心不乱にソコを吸い続けた。
「ふぅう……んうぅっ……」
ユーリには役者根性がまだ辛うじて残っているのか、
両手はスク水の腹の辺りでギュッと握りしめられている。
必で耐えているのだ。
顔を両手で覆い隠したいとか、股間を貪る井戸田の頭を引き剥がしたいとか、
思うところはいくらでもあるものの、何とかそれだけは我慢している様子だ。
あるいは、ここでそんな事をしてしまったらリテイクを食らい、
余計に撮影時間が伸びてしまうかもしれないと危惧していたのかもしれない。
井戸田はクンニもそこそこに上半身を起こすと、
もどかしそうに服を脱ぎ始めた。
もはや自分が周りからどう見えているかなど気にもしていない。
いつもより手間取りながらワイシャツのボタンを外し、
手が絡まりそうになりながらベルトを外し、
焦り過ぎてスラックスの内側で膝が引っ掛かってさえいる。
「あぁっ、くそ」
男優が冷静さを欠いている場面など見ても、視聴者は別に嬉しくも何ともない。
もっとスマートに服を脱ぐか、もしくは最初から脱いでおけば良かった。
「うっわーめっちゃグロレスクじゃん」(噛んだ)
「あんまりマジマジと見るのは当分慣れそうにないわね……」
興味津々といった顔のシホと、目を背けるカルナ。
井戸田のイチモツに対する二人の反応は見事に対極的だった。
隣室の三瀬は誰にも見られていないのを良い事に、
マジックミラーにかじりつくようにして凝視している……鼻血を出しながら。
「ちょっとヒロ君。ゴムつけんの忘れんなよー」
レイコがそう指摘するまで、井戸田は不覚にもその事を失念していた。
性知識に疎い若者達に、避妊を疎かにしてはいけないという
メッセージを伝えるために、これ見よがしにゴムをつける場面を撮る。
それが芸能人出演の無修正AV撮影のための最低条件だった。
「えぇと、ゴム……ゴム……」
井戸田は、用意していたコンドームをどこに置いたかすら忘れていた。
そして、ワイシャツの胸ポケットに入れていた事を思いだす。
適当に放り出していたシャツを急いで拾い上げ、四角い小さな包みを取り出した。
封を切る事も、製品の上下を確認する事も、装着そのものも、
何もかもが今の井戸田にとっては煩わしかった。
彼が急いで避妊具をつけている間、ユーリは涙と鼻水が出そうになるのを
長い芸歴で培った気合い一つで抑えつけていた。
「お兄ちゃん……早く……」
その言葉は、これからの行為に対する期待ではなく、
兎に角さっさと済ませて欲しいという逃げ腰な姿勢からくるものだった。

214 :
井戸田はコンドームを装着すると、次にその上からローションをまぶした。
「ホットドッグにケチャップかけてる状態に似てるね、カルナ」
「……シホ黙りなさい。もうホットドッグ食べられなくなるじゃないの」
私程の女ともなるとホットドッグはむしろフェラを想起させて大好物になるのよ、
とレイコは言いかけたが、敢えて言わない事にした。
井戸田は更にユーリのマンコにもローションをぶちまけた。
本当はローションを万遍なく垂らしている、この時間すらもが勿体ないのだが、
なるべくすんなり入れられるように下準備しておいた方が良いと判断しての事だ。
それは理性による計算などではなく、半ば本能による判断に近かった。
「はぁ……はぁ……それじゃ、入れるよ……」
入れる前からハァハァ言ってんじゃないわよ、気持ち悪い男ね。
レイコは誰にも聞こえないように、ごく小さな声でそう囁いた。
「……」
ユーリは無言だ。
半泣きの顔と怯えた目。
井戸田に足を開かされ、スク水の布地を横合いに無理矢理引き伸ばされ、
とうとうその敏感な部分に彼を受け入れる時が来た。
「いぎっ……!」
「くっ、キツ……」
ローションを潤沢に塗布しても、処女の膣はそう簡単に貫けるものではない。
十分に解したのならいざ知らず、井戸田はその行程を殆ど飛ばしてしまった。
レイコにとっては撮影時間が思ったより短縮出来るから良かったが、
小学生相手にこれではやはり無理があり過ぎたのかもしれない。
「あぁぁぁ痛いっ! 痛いよぉ!」
突如、ユーリが泣き出した。
演技の仮面も、プロとしての根性もかなぐり捨てた、本気の叫びだ。
「ご、ごめん! すぐに抜――」
「我慢しなさい、ユーリ!」
慌てて引き抜こうとした井戸田をも制止するように、レイコが声を張り上げた。
「まだ先っちょも良いトコよ? カリ首すら入ってないじゃないの」
そんな事を言われても、ユーリはそもそも「カリ首」の意味など知らない。
ただ、身が張り裂けそうな程の激痛を感じているのに、
まだ全然奥まで入ったわけではないという事だけは分かった。
「そ、そんな……」

215 :
それから挿入まで、ゆうに十分以上はかかった。
井戸田は抜きこそしなかったが、ユーリの痛みを慮って、
しばらくは動きを止めていた。
あれ程暴走しかけていたのによく自分を止められたと思いもするが、
それだけユーリの絶叫が堪えたのだろう。
とは言え、薬の効果か男の本能か、愚息は一向に萎える気配が無い。
せめて少しでも萎んでやれれば、ユーリの痛みを軽減する事も出来ただろうに。
やがてユーリは涙をためた瞳を井戸田に向けた。
一言も発さなくとも、それがOKサインだと誰もが分かった。
小田のカメラが結合部を映し続ける中、
井戸田はゆっくりと慎重に、膣壁の中を突き進んでいった。
こんなにサイズが合わないのでは内壁を傷つけてしまいそうだった。
実際、処女膜を突き破った時の手応えは確かにあったが、
それ以外でも常に「ブチ、ブチ」といった感触が伴っていた。
それは「ズブ、ズブ」といった生易しい感触ではなく、
まさしく「ブチ、ブチ」という、何かが千切れていく音だった。
まだ処女膜に到達する前からこんな感触がしているのでは、
明らかに女体に悪いのではないかと思える。
井戸田は途中何度も結合部を見下したが、処女膜に到達するまでの内は、
どうやらどこかが切れて出血しているような様子は見受けられなかった。
もっとも、血が表にまで滲んできていないだけかもしれなかったが。
そしてとうとう処女膜が破られた時には、ユーリは
「ひぁぐっ!!」
と、一際大きな声で鳴いた。
今度は見るからに明らかな血の滴りが、結合部から漏れ出てくる。
間違いなく膜を貫通した証拠だった。
ユーリの膣は浅く、井戸田のモノは決して平均より大きくなかったにも関わらず、
根本までずっぽりと収まる事は出来なかった。
「ユーリちゃん、大丈夫かい?」
「……も……ちょとだけ……待って……」
挿入だけでも十分以上かかったのに、動けるようになるには更に五分かかった。
やがて、ピストン運動が始まった。
快感など微塵も窺わせない、苦痛に歪んだ表情。
カメラはユーリのそんな顔を、克明に映し出していった。
「はっ……はっはっ……ふぐっ……は、うっ……ぎっ……」
歯を食いしばっている事が視聴者に見咎められれば、
商品の評価が下がってしまうかもしれない。
そう考えて唇をきつく引き結んで歯を隠そうとすると、
今度はうまく呼吸出来ず、鼻で荒い息を噴き出してしまう。
そこでやはり唇を開けて口で呼吸するのだが、
そうすると元の木阿弥で、食いしばった歯が露呈してしまう。
井戸田が覆いかぶさってキスでもしてくれればユーリの口元も隠れただろうが、
視聴者にとっては男優の体など見ても何も面白くない。
ピストン運動の際に抱きしめ合わないようにと言うのは、
撮影前からレイコが厳しく指示していた事だった。
ジュプ、ジュプ、と水音が立つには立つが、これはローションによるものだ。
愛液は粘膜を保護するために最低限の分量が滲み出ているのみ。
むしろ未成熟な固い尻に井戸田の腰がぶつかる音の方が大きく聞こえるくらいだ。
腹の辺りまで脱がされたスク水の布がピストン運動に合わせて揺れ、
破瓜の血が纏わりついた陰茎がモザイク無しでカメラに収められる。
幼女の足が腰の振りに合わせてブラブラと揺れる様は、
まるで公園のブランコで戯れる様子を思い起こさせた。

216 :
井戸田の射精は、かなり早かった。
「はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……ウっ!」
テクニックも何もない単調な動きの果てに、井戸田の体が一瞬硬直する。
ユーリは薄いゴム越しに伝わる温度に、異変を感じるのが精一杯だった。
「ど、どうしたの?」
「……イっちまった」
膣がキツければキツい程早く射精出来るのは、男にとって常識だ。
まして井戸田は事前に危ない薬を飲まされている。
一度は理性を失って暴走しかけてもいる。
ものの二分かそこらでイってしまうのは、無理からぬ事と言えた。
そしてユーリにとっては、早く済んでもらえるのは大歓迎だった。
小田がカメラの電源を切る。
「はぁっ……はっ……やっ、と……終わった……」
ゆっくりと引き抜かれた井戸田の先端に、白いものが凝っているのが分かる。
これが精液というものかと、ユーリはいやに感心した。
それと同時に、自身の股間を両手で押さえる。
恥ずかしさなどではなく、骨格がズレたのかと思う程の痛みがあったからだ。
「よいしょっ、と」
ソファから降りて立ち上がったユーリは、しかし、
不自然な挙動でヒョコヒョコと歩き出した。
「うぅ……何か骨が曲がったみたい……」
「錯覚よ。でもその痛みは明日になっても引き摺るけどね」
「そんなぁ……大人になるって、大変……」
レイコの容赦ない指摘に、早くも気が滅入りそうになるユーリだった。

217 :
「やったねユーリ! よく頑張ったじゃん!」
「さすがだわ。本当、よく耐えたと思う」
あまり言いすぎると井戸田を批難する形になりそうだとは思ったが、
シホもカルナもまずは素直にユーリを褒め称えた。
「え、えへへ……思ってたよりずっと大変だったよ……」
涙を拭いながら微笑むユーリ。
井戸田は全裸のままではみっともないと思いつつも、
立ち上がって頭を垂れ、彼女に謝罪した。
「ごめん、ユーリちゃん! こんな……何と言えば良いか……」
「やだなぁお兄ちゃん。私はお兄ちゃんが最初の人で良かったよ?」
半脱ぎのスク水をいそいそと着直しながら、ユーリは笑いかけた。
そこへレイコが、破瓜の血を拭くためのティッシュを持ってくる。
「二人とも何言ってんのよ。後でもう一発ヤってもらうからね。
 ラストの4Pとは別に、ユーリだけもっかいリテイクよ」
「「……え!?」」
叫んだのは二人同時だった。
シホとカルナと三瀬も、それぞれ呆然としている。
「し、社長! 何で……」
「だって井戸田早過ぎだもの。リテイクって言うか、もう一度シてもらって、
 後で映像をツギハギして一回のプレイに編集し直さなきゃ」
「そんな……」
「一分ちょっとの本番シーンで、視聴者がヌケると思ってんの?」
いや、まぁ、そうかもしれませんけど……と井戸田は口ごもった。
「本当にごめんね、ユーリちゃん。俺が不甲斐ないせいで」
今一度申し訳なさそうに頭を下げた井戸田に、ユーリは首を振った。
「痛かったけど、もう一度お兄ちゃんと出来るのなら、良い……かな」
先程ユーリは「お兄ちゃんが最初の人で良かった」と言ったが、
仕事でファンに抱かれる事を除けば、「最初」も何も、今後もずっと一生、
彼にこそ抱かれて生きたいと、ユーリは密かに思っていた。

ここまでです。

218 :
>>217
GJ乙!

219 :
gj!

新作はじまるしまた活気がつくといいな〜

220 :
 皆様お疲れ様です。
新年度になって仕事がクソ忙しい、阪神勝てねえ、ガンバがもっと勝てねえと非常に心が苦しい毎日です。
5月中か6月の頭までに、何とか一本仕上げたいと思っています。

221 :
ピンキリ氏、お疲れ様です。
我々はいつまでも待ちますよ!

222 :
ほす

223 :
今週のシノかわええ

224 :
読みながらコンビニでニヨニヨしてしまった
今回は妄想が膨らむな

225 :


226 :
トッキーの一人称って「私」で良かったっけ?
タカトシを呼ぶシーンは記憶にないけど「先輩」でいいかな…。

227 :
ざっと調べたが「私」だな

228 :
本スレが変な話題になってるので(いつもの事か)発作的に書きました
【妄想生徒会 タイラガーY\】
かつて若者は学園に青春をかけた
学園生活にはロマンと野心が
煩悩と性欲が炎と燃えて激突していた
そして今、西暦2012年の若者は桜才学園へ挑む
そこには我々の妄想を越えた世界が待ち受けているのだ

シノでイこうぜ 胸のないシノで
貧しい胸も子守唄
旅勃て若者 寂しかったら
萌え勃つ憧れ 抱いてイけ
タイラガーそれが性春
タイラガーそれがそれがアイ
若い命が戦いヌクとシノと交わした約束だ

汗も涙もイキている汁し
どよめく風も応艶歌
萎えるな若者 苦しかったら
はじける煩悩噛みしめろ
タイラガーそれが性春
タイラガーそれがそれがアイ
熱い血潮が頑張りヌクとシノと交わした約束だ
タイラガーそれが性春
タイラガーそれがそれがアイ
若い命が戦いヌクとシノと交わした約束だ

シノ「平ら、って膨らみはちゃんとあるぞ」
スズ「私はこれからどんどん成長します」
アリア「私は仲間外れなの?」



229 :
保守しよう

230 :
ウオミーマジ天使

231 :
過疎ってますね

232 :
氏家作品で一番人気があるのは誰になるんだろ?やっぱカナミかな?

233 :
スズだろ
ちっこくて可愛い上に天才

234 :
マナカちゃんだろ!!

235 :
やっぱりアニメ化した生徒会のキャラじゃないの?
俺はアヤナ一筋だけどね

236 :


237 :
>>235
そんなに大きいのがいいのか!?

238 :
カナミは最初の頃の普通に乳があったころが良かった
妹が発育良くて兄がドキッとするっていうのが、ある種の鉄板じゃないですか

239 :
6月の頭までどころか7月に入ってしまいました。
忙しいんだよとにかく忙しいんだよ上司がこっちに丸投げしてきてアンタの仕事だろおお責任もってやれよおおお
はい言い訳乙
7月中には何とかしたいです

240 :
季節もいいので全裸でお待ちしてますね>ピンキリ氏

241 :
>>240

242 :
復旧

243 :
新刊出たのに過疎ってるな…

244 :
おお新刊買ってこなくちゃ

245 :
お久しぶりです。単行本が出る度に出没している気がします。
少しでも活気に繋がってくれればいいかと思いまして、少々微妙なネタの投下をば。
タカトシ×シノです。
タイトル:不幸な事故
以下、内容についての雑記。ピンと来たらNG推奨。
・40行×7レスほどお借り。
・エロなんてなかった。
・キャラ違いは二次創作の華。
・暑苦しい津田。
・超鈍感会長シノちゃん。
・おふくろアリア。
・空気萩村氏。
・話の筋がベタ? ヒャッハー、大好物だあぁー!
それでもよろしければ。

246 :
 立場が近い人間が懇意になるのは、互いの気苦労を良く知っているからである。
 そして立場が近いからこそ、親身になって相手を思いやり、時に自分と面影を重ねてしまう。
 桜才学園生徒会会長天草シノが学園交流会で得た友人は、ある意味では親友の七条アリア以上に貴重な存在であった。
  *
 携帯電話がメールの受信を告げる。
 机の上で震える自分の携帯電話を、宿題を広げていた天草シノはまるで着信を待っていたかのような俊敏さで手にとった。
 画面を開く顔は喜色に富んで緩み切っていて、恐らくは気張る必要のない自宅でしか作る機会がない、友人の誰も知らない微笑みである。
「…………」
 宿題を中断した天草は、携帯電話を開いた。
 受信ボックスの一番上の未開封メールの送信者の名前は、魚見。
 タイトルは「ありがとうございます」と冠されている。
『From:ウオミー
 Title:ありがとうございます
 先日教えて頂いた滑舌練習のお陰で、校内放送を一度も噛まずに終える事が出来ました。本当に、いつもお世話になってばかりで恐縮です」
 少し眠たそうな目をした魚見が軽く頭を下げている様子が目に浮かぶようだった。
 天草はそのメールを読み、満足げに鼻から息を抜いて、即座に返信の文面を推敲する。
「君の力になれて光栄だ。困ったときはお互い様なんだから、気にかける事もないぞ。今後もその舌遣いを忘れぬ様、バナナで練習をしてくれ……と。むぅ……少し固いか」
 メールなんて思った事をそのまま口語で返せばいいのでは、と分かってはいるが、口語が普段から固い天草には、上記の文面が精一杯だったりする。
 絵文字も何もない少し味気ない文章であったが、逡巡した挙げ句、送信。携帯電話を閉じて机の隅に置き、天草は再び宿題に意識を傾ける。
 天草シノの生活リズムの中に『魚見とのメールのやり取り』と言うプログラムが組み込まれたのはつい先日の事であった。
 学園交流会で出会った英稜高校の生徒会長は、天草にとっては妙に親近感の湧く存在であった。
 同じ生徒会長と言う立場、似たような趣味趣向であるからだろうか、話題には事欠かない。
 メールのやり取りの発端は魚見の相談事である事が多い。
 少し内気でアガりやすい彼女は元々人前に出るのに向いた性格ではないためか、生徒会長を勤めてから天草以上に気苦労を背負ってきているようであった。
 今日送られてきたメールも、「緊張のあまりスピーチで盛大に噛んでしまい恥をかいてしまいました。滑舌を良くする方法なんてありますか?」とメールで聞かれたため、自分なりの練習法を返信した結果に対する報告である。
 向こうも大変らしい、と天草は軽く苦笑して、宿題をしたためたノートを閉じた。
 時刻は午後八時。今日は生徒会の仕事を持ち帰ってくる事もなく、明日の授業の範囲は既に予習済み。自慰に耽るにも時間が早過ぎる。
 ……完全にやる事がなくなった。となれば、天草が手に取るのは携帯電話である。
 魚見は今しがた悩み相談を終えたばかり。このまま雑談コースか、やり取り終了かは魚見の意志にかかっている。
 先程メールを返してから、かれこれ十分。返信が来るならそろそろだろう、と思っていた頃、携帯電話が震え出す。

247 :
『From:ウオミー
 Title:実は……
 他にも相談したい事があるのですが、よろしいでしょうか』
 送られてきたメールの文面を見て、天草は怪訝に思う。
 魚見が相談事を送ってくるのはいつもの事。いちいち前置きを置いたりしたのは、今回が初めてである。
 それに、相談事がどんな内容なのかが分からなければ、相談に乗れるかどうかも判断がつかない。
 第一、今しがた困ったときはお互い様と言った筈なのに、妙に遠慮している様子さえ感じられた。
「恐らくは……」
 魚見自身が相談するのを躊躇しているらしい。
 なにか大きな悩みを抱えているのかもしれない。深刻な悩みとなれば、学校関係ではなく交友関係や家族関係等のプライベートな部分に触れてくる可能性がある。
 いじめやらDVやら性的虐待(こんな不謹慎な発想が思い浮かんだ天草は一瞬だけ自分の思春期的思考が憎くなった)やら、不吉な妄想が天草の頭に駆け巡る。
 友人として信頼を置かれた事に天草は素直に喜びつつ、自身の浮かれた気持ちを刷新する為に深呼吸した。
「勿論だ。今言ったように、困ったときはお互い様。私でよければいくらでも相談に乗ってやろう……と」
 恐らく魚見が待っているであろう言葉を打ち込み終え、送信。
 一体彼女にはどんな悩みがあるのだろう、と再び頭の中に想像の嵐を巻き起こしかけた天草だったのだが、ものの二分程度でメールが返って来た。
『From:ウオミー
 Title:
 最近、生徒会の後輩に気になる人が』
 ここまで読んで天草は一旦携帯電話から顔を上げた。
 目を閉じると、そこには少し眉を下げた、魚見の少し赤くなった困った表情が浮かび上がってくる。
 年頃の女の子なら避けては通れぬ話題。実際天草も似たような相談は既に何度も受け付けている。
 しかしまさか彼女までが。天草は何となく惜しい気持ちを抱きながら、再び携帯電話に目を落とす。
『From:ウオミー
 Title:
 最近、生徒会の後輩に気になる人が居るのですが……どうすればいいでしょうか?』
「どうすれば、も何も……詳しい事が全然わからんな」
 再びメールを返信。今度は十分はかかっただろうか。送られてきたメールは、案の定長文だった。
『From:ウオミー
 Title:Re:Re:
 一つ下の後輩で、副会長をやっている子なんです。
 前はそうでもなかったのですが、最近になって妙に目で追うようになってしまって。
 会話をするのも緊張のせいで上手く喋れない事もあったり、顔が赤くなってしまったり……。
 気持ちを伝えたいんですが、恥ずかしくてとても出来そうにありません。
 同じ生徒会に所属している後輩なので、仮に付き合うことになっても他の生徒会役員に気を遣うし、振られたりしたらとても気まずくなると思うのです。
 もし告白する勇気があったとしても、告白して大丈夫なのでしょうか?
 あと言い忘れていましたが、相手は男の子です』
「……最後のは言われなくても分かるが」
 天草は、ヒートアップしているらしい魚見とは対照的に冷めたツッコミを入れた。
 魚見程の大人しくて内気な少女が真剣に告白を考える程の男子と言うのも気がかりであるが、それ以上に気になる事がある。
 一つ下の後輩で、副会長の男子。嫌がおうにも天草の頭の中に思い浮かぶ男子生徒が一人。
「私から見た、津田みたいなものか」
 天草は複雑な心境であった。
 自分と共通点が多い友人が、これまた知り合いと共通点の多い男子に恋をしたのだ。
 別に自分が津田の事を好きだ、と言った訳でもないのに、天草は無意味に顔を赤くして、一人だけの自室で照れる。
「いや……ふむ。どう返すべきだ?」

248 :
 難儀な質問である。
 もし天草が魚見に対して親身にならなければ「怖じ気づかずに当たっていけ」と薄情で軽率な後押しをする事も出来るのだが、天草にとって魚見は大事な友人だ。
 リスクを考える以上、告白はすべきではないと言う考えも思い浮かぶ。仮に自分達の生徒会で同じような状況に陥ったら、と考えると天草は顔を暗くせざるを得ない。
「簡単に答えられる質問ではないので、私も考えておく。来週の日曜日にいつもの場所で……と」
 メールを送信し、椅子の背もたれに寄りかかり、天草はもう一度思案に暮れる。
 生徒会長が、副会長に恋をした。とてつもなく、奇妙な気分であった。
「副会長……か」
 悩みを解決するために、天草は懸命に魚見とまだ見ぬ副会長の想像をしようとするが、何故かその人物像がいつの間にか津田タカトシと自分に置き換わってしまう。
 津田と自分が並んで歩いている。手を繋いでいる。抱き合って睦言を交わして、互いに唇を寄せている様を想像しかけた天草は、考えを振り払うように立ち上がった。
「今日はもう寝るか……」
 上手い案が思い浮かばないまま寝てしまうのは少し気が向かなかったが、頭が働かない状態で捻り出した案に価値が有るとは思えない。
 こう言う場合は早めに眠りについてリフレッシュした方が良い、と天草は経験則で知っていた。
  *
 翌日の、授業が終わって放課後の出来事である。
 本日の生徒会活動は、生徒会便りの文章作成であった。
 既に生徒会役員は各々所定の位置に腰掛けて、黙々と自分の作業に手をつけている。
 七条アリアは活動の記録と今後の活動予定、萩村スズはレイアウト、津田タカトシはコラム欄に一筆披露することになっている。
 そして天草シノは、便りの書き出しと締めの言葉と言う自分の領分を既に終えており、一人で少し惚けた顔をしていた。
 頭で考えているのは、昨日の魚見のメール。
 今、彼女も同じように生徒会活動をしているのだろうか。
 そして傍らで仕事に勤しむ副会長の姿に、胸をときめかせているのだろうか。
 淡々とした魚見が一体どんな表情でその幸運な男の姿を眺めているのか、天草は少しだけ気がかりになった。
 そんな風に考えを巡らせる天草は、何故か怪訝な顔でこちらの様子を窺う津田の視線に気がつく。
「どうした、津田」
「それはオレの台詞ですよ」
「シノちゃん、さっきからずっと津田君の方見てたよ?」
 津田と七条の両サイドから言葉が飛んでくる。
 無自覚であったが、どうやらいつの間にか津田の方に視線を向けてしまっていたらしい。
 少し惚けてしまったらしい。情けないな、と自戒しつつ、天草は苦笑いを返す。

249 :
「あぁ、気にするな。特に……」
 ここで、天草は一つの考えに思い至る。
 魚見が恋をした相手と言うのは、同じ生徒会の副会長だと言う。
 上司が部下に向けてそのような感情を抱き、関係を迫られたとしたら、部下はどんな気持ちなのだろうか。
 そもそも、天草は女であるため、男の気持ちというものがイマイチ想像し切れない。
 彼女のような可愛らしい女性に告白をされて、喜ぶのだろうか、それともただ困惑するのだろうか。
 魚見が懸念する通り、生徒会内での恋愛は止めておくべき、と仕事優先的な思考を持っていたりするのだろうか。
「あれ、会長、どうしたんですか? 急に黙り込んで」
「シノちゃん? シノちゃーん?」
 幸いなことに、ここには副会長の男子と言う、同じ立場の人間が一人居る。
 もしかしたら彼の考え方の中に、魚見に対する回答への一片が隠されているかもしれない。
 そう思い立った天草は、ついつい深く考えずに思ったことを口にしてしまっていた。
「津田。聞きたいことがあるんだが」
「はい、何でしょう。コラムだったら、もう少しかかりそうなんですが」
「そうではなくてな。副会長の立場として考えて欲しいんだが」
 視線が集中していた。七条も萩村も、当然津田も、仕事の手を止めて天草の言葉に耳を傾けている。
 天草は、真っ直ぐに津田の方を見ながら、照れもなく、困惑もなく、焦りもなく、ひたすら平坦な声で尋ねた。
「君はもし、生徒会の会長から「好きだっ!」と告白されたら、OKするか?」
 場が凍り付いた。
 萩村は眉間に皺を寄せて目を皿のように丸くし、愕然と口を開けて天草を凝視している。
 普段はおっとりとした態度を崩さない七条でさえ、口に手を当てて息を呑んでいる。
 そして津田はと言えば、未だに言葉の意味を正しく捉え損ねたと思っているのか、激しく瞬きをしている。
「そそ、それ、ど、どう言う意味ですか?」
 分かりやすい位に狼狽えている津田。
 ちゃんと聞いていなかったらしい、と勘違いした天草は念を押すようにもう一度繰り返す。
「だから、生徒会長から告白されてOKするのかしないのか、と聞いているんじゃないか」
「シノちゃん!」
 七条が何故か顔を輝かせながら立ち上がり、天草に駆け寄ってその手を取った。

250 :
 心無しかその瞳が涙で濡れているような気さえする。
「やっと、自分の気持ちに気づいたんだね……!」
「…………?」
「シノちゃんってそう言うの鈍感だから心配してたけど……」
「待てアリア。一体何の話を」
「会長……すみません、少しトイレに」
 萩村が若干青ざめた顔をしながら席を立ち、重い足取りで生徒会室から出ていってしまった。
 いきなり体調不良に見舞われたらしい彼女を心配する暇もなく、津田が勢いよく席を立つ。
 顔は真っ赤だし、冷や汗が頬を伝っている。君も体調不良なのか、と尋ねかけた天草の言葉を、津田が先んじて制した。
「会長、その……突然、そういう風に言われて、オレもちょっと驚きましたケド……」
「そんなに驚くような事を言ったか?」
「そうだよね。今までのシノちゃんを見てれば、普通は気がつくんだよ、津田君。
 あんなに分かりやすかったのにね、本当にもう。全く、二人揃って鈍感さんなんだから……」
 七条がハンカチで目元を拭っている。まるで娘の門出を祝う母親のような佇まいであった。
 七条に言われて若干照れたように後頭部を掻いた津田は、改めて背筋を伸ばして天草を真っ直ぐに見つめた。
「すみません。オレ、全然気がつかなくって……いや、本当はちょっとだけ期待してたんです。この生徒会に来たのも、色々あったケド元々は会長に誘われて来た訳だし。
 生徒会活動でもそれ以外でも凄く良くしてもらって……もしかしたらって、少しだけ思ってました」
「………………」
 天草は未だに津田が何を話しているのか良く分かっていない。
 一方の津田は段々とヒートアップし始めたのか、握る拳に力が篭り始めている。それを見守る七条は、最早結婚式で両親への手紙を読み上げている娘を見守る母親のようである。
 何で二人ともこんなに盛り上がってるんだ、と天草は本気でそんな事を考えていた。
「でもこんな綺麗な人がオレなんかと、ってずっと諦めてました。
 本当馬鹿ですね、オレ。一人で勝手にそんな風に思い込んで、むりやり気持ちを押し込めて……。
 今ようやく目が覚めました。そりゃ、会長は下ネタ好きだし、たまに恐いし、厳しいしってトコもあるケド……でも、オレも」
「あ、あぁ……!」
 七条が感嘆符を漏らしながら、感激の涙を流し始めたあたりで、天草もようやく気がつく。
 何か、どえらい勘違いをさせてしまっているようだ、と言うことに。
「オレも、会長と同じ気持ちです……!」
 津田は言い切った、と言いたげな表情で、天草の方を熱っぽく見つめていた。七条はすっかりハンカチに目元を埋めてしまっている。
 同じ気持ちと言われても、今の天草と本当に同じ気持ちなら津田は眉間に皺を寄せて周囲の人物の言動の愉快さに首を捻っているべきである。
 照れるでもなく、喜ぶでもなく、殆ど反応がない天草の顔色を窺って、ようやく津田と七条も状況がおかしいことに気がついた。

251 :
 けろりと顔色を快復させた七条は、若干恐る恐ると言った風でゆっくりと天草の肩を叩いた。
「…………ねぇ、シノちゃん」
「ん? なんだ、アリア」
「さっき、津田君に聞いたのって、なんだったっけ」
「生徒会長が副会長に告白した時に副会長の立場からしたらOKなのかどうか、と言うことなんだが?」
 事は魚見のプライベートな相談である。天草は出来るだけ話をぼかしながら七条に事情を説明する。
 七条は二三度大きく瞬きをした後、軽く小首を傾げてみせた。
「それってつまり、シノちゃんが津田君に告白したら、津田君はOKするか? ……って意味だよね?」
「いや、違うぞ」
 もう一度、場が凍り付いた。津田の絶望と愕然が入り交じった表情が、妙に天草の目に焼き付いた。
「あまり込み入った事情を話したくはなかったが……このまま話の齟齬を残しておくのも不気味だな。
 絶対に口外して欲しくないんだが……」
「……うん、言わないよ。言わないから教えて」
「実は、ウオミーが後輩の副会長の男子が好きになってしまったらしいんだ。
 それでその相談を受けてしまってんだが……私では上手い答えが導けなかったんだ。
 だから好意を寄せられている側と同じ副会長の立場である津田に聞いてみたんだが……何かマズかっただろうか」
 天草がそう締めくくると、津田は撃沈した。
 力無く椅子に座り込んで、コラムの原稿に皺がつくのに気を留めることもなく、顔をテーブルの上に伏せた。
「そっか……シノちゃんは、そのお悩み相談で頭が一杯だったんだね。うん。そうだよね。それじゃぁ、仕方ないもんね」
 珍しく、七条が慌てた様子を見せていた。天草は憮然とした顔で親友の頬を垂れる冷や汗を眺めやる。
「アリア、一人で納得してないで、私にも教えてくれ」
「って言うかシノちゃん、自分で言ってて気づいてないの? さっきのシノちゃんの台詞、どう聞いても津田君に告白しているようにしか聞こえなかったよ……」
「へ?」
 自分の言動を思い返す。
 そして………………ようやく。ようやく、気がついた。
「あ……あー……あああぁぁ!」
 完全に告白じゃないか。
 生徒会長つまり私が副会長つまり津田に告白した時に津田はOKしてくれるのかと聞いたのと同じだ私が告白したのと全く同じだ!
「つ、つつ津田! 私は別にそう言うつもりで言った訳じゃないんだ! その、えっと……」
 別に津田が嫌いとは言わないが。
 むしろ良くやってくれている。あと一年の付き合いだと思うととても寂しいと思う。
 だったら私は津田が……いやいや、違うのだ。これは不幸な事故でしかない。別に、そう別に私は津田の事など。
 そう思って津田の方を見る。
 津田は、こちらも天草と負けず劣らず惚けた顔で……しかしその顔もやがては驚愕に歪み、口から魂が抜けかけている様が見えるかの様である。
 そう言えば津田はさっき、なんと言ったか。
 会長と同じ気持ちです。
 津田は、私が告白したと思い込んでいた。アリアがそうなのだから、津田もそうに違いない。
 そして堂々と男らしく、強くこう言った。会長と同じ気持ちです。
 告白した私、いや実際した訳じゃないけど、告白したかに見えた私と同じ気持ちと言う事はつまり。
 津田は私の事を……?
「待て待て待て! 津田、これは不幸な事故なんだ! だからええと……ふ、不幸な事故で……」
「会長」
 津田はいつの間にか魂を取り戻し、真っ直ぐに天草を見つめていた。
 力強いその視線の槍は、天草の足を縫い付け、避ける事を許さない。

252 :
 溢れんばかりの情熱を発散させる津田は、天草が見た事も無い勇ましい面構えをしている。
「会長と違って、オレは……撤回出来ないんです」
「お、おぅ」
「だから会長……会長はどうするんですか?」
「な、なにを……」
「仮に副会長が会長に向けて、愛の告白をした時……会長は、なんて返事をするんですか?」
「…………」
 沈黙が続いた。
 いつの間にか七条は生徒会室から立ち去っており、部屋の中は二人っきりだった。
 逃げられない。返事はしなければならない。自分の胸に問い直す。
 どうするのだ、天草シノ。津田は好きか。恋人同士になっても良いのか。
「……桜才学園は、校内恋愛禁止だ」
「はい……」
「だ、だがその……学園の外でだったら……」
「はい」
「つまりだな…………よ、よろしくお願いします……」
 不幸な事故だった。だが、同時に、幸福な事故だった。
 後に、天草は顔を真っ赤にしながら魚見に事の顛末を話したと言う。

253 :
魚見「計画通り……!」ニヤ-ン
副会長(女)「会長……なぜ笑っているのかしら……」
天然キャラが策士に見えるフィルターが私の眼には搭載されています。
毎度長くてごめん。エロくなくてごめん。と言う訳でおしまいです。

254 :
面白かった乙

255 :
規制で書けないかな?
乙!GJ!熱い津田もいいね

256 :
お疲れ様です。
5年近く使用していたdynabook TX/66Aがとうとうイカれまして、新しいのを買ってまいりました(と言っても店頭放出品で値段が下がっていた2011冬モデル)。
めちゃくちゃキーが打ちづらいぞLIFEBOOK NH77/ED!
生徒会役員共で、直接エロなし、エロ風味会話あり、単行本7巻ネタ。
タイトルは「サブキャラの裏の裏楽屋」です。

257 :
  出番をくれ。
 主役なんて贅沢は言わない。
 通行人役でもいい、体役でもいい。
 一秒、いや半秒だっていい。
 出番をくれ……。
          ―――ある年老いた元映画スターの言葉

 ◆ ◆ ◆
「……とまあ、出番があってナンボなんでござぁますのよ、私たち」
「誰に向かって言ってんだよ」
 放課後、夕陽が薄らと差し込む桜才学園高等部新聞部の部室に四人の少女たちが集っていた。
 三年生、新聞部部長、畑ランコ。
 三年生、風紀委員長、五十嵐カエデ。
 二年生、ロボット研究会、轟ネネ。
 一年生、トッキーこと時さん。
 なんで一番年下のトッキーにさんづけなのかと言えば、
公式にキャラクター紹介でそうなっているからである。
 まあ、それはさておき。
「私たちサブキャラはどれだけコマに顔を出せるか。そこに勝負がかかっていると言ってもよろしいんではないかと」
「知るか。どうでもいい」
「まあどう足掻いても生徒会の人たちには絶対敵わないですよね」
 そいで、なんで出番がどうのこうのという話になっているのかというと、
ぶっちゃけ単行本7巻の巻末おまけマンガを見ていただければよろしいかと。
「ハナから勝負を諦めてはいけません。人生常に大逆転を狙ってこそ」
「いや、でもフラグ云々はおかしいだろ」
「私たち三人、人気投票で下からワンツースリーでしたから。出番を増やす為には強引なことも必要かもしれないですね」
 脇役は脇で輝くからこそ脇役。
主役を喰ってしまっては、それはもう脇役ではない。
主役と対等になっても良いのは、ヒロインとライバルの“主役級”のみなのだ。
「まあ別にフラグと言っても恋愛フラグである必要はどこにもありませんがね。亡フラグでも」
「んだらそこで出番終わるじゃねーか」
「凌辱フラグでも構わないってことですね」、
 この三人、口調では判断し辛いが、先述のように学年が違う。
一番年下のトッキーが敬語をあまり使わず、一番年上のランコが奇妙な丁寧語なので妙にややこしい。
「凌辱フラグ。ほほうさすが轟さんはおっしゃることが一突き違う」
「一味の間違いだろ。てか褒めるようなことか」
「でも見当があまりつかないですけどね。凌辱フラグって」
 さらにややこしいことに、一見不良チックなトッキーが最も倫理的にマトモで、
ランコは週刊誌的エログロジャーナリズム優先、楚々とした眼鏡っ娘風のネネがマジで激ヤバ性癖だったりする。
人は見かけによらないという生きた天然色見本とでも言うべきか。

258 :
「なぁに簡単ですことよ。体位クスコにでも連れ込んで無理矢理押し倒しちゃえばよござんす」
「体育倉庫とでも言いたいのか」
「こっちから襲うってことは、津田君の方に凌辱フラグを立てるんですね」
 なお、四人いるはずなのにさっきから三人だけで会話しているのは、五十嵐カエデが気絶しているからである。
何故気絶しているかは、ぶっちゃけ単行本7巻の巻末おまけマンガを以下略。
「規制事実さえ作ってしまえばこちらのもの。それをタテにすれば出番なんぞいくらでも」
「規制されてどーすんだよ。結局出れねーじゃねーか」
「既成事実ならぬ出番の寄生事実ですね」
 噛み合ってるんだか噛み合ってないんだか俄かにはわからない三人のトーク。
ランコが脚色エロ系、ネネが天然エロ系、トッキーがツッコミ非エロ系なので、
ある意味生徒会三人娘と立ち位置が似ているとも言えないことはない。
「とにかく津田氏と何かしらのフラグを立てないことには……。今気づいたんですが、津田氏と中出しって似ているわね」
「似てねえよ」
「中出しと言っても前と後ろがありますけど」
「う、う〜ん……」
 ここでカエデが戦列復帰。
もう少し寝ていた方が幸せかもしれないが、これも神のお導き。
恨むべきはその下ネタの神様である。
そんなんいるのかは知らんが。
「おや、おはようございます」
「うう……え、ええと、何がどうなって……」
「津田氏に中出しされてそれが前の穴か後ろの穴かという話になってまして」
「きゅう」
「また気絶してます」
 そして再度戦線離脱。
いくら潔癖症で男性恐怖症といっても、これではまるでスペ○ンカー先生並である。
「とにかくヤリかた次第では私たちがコマを独占することも不可能ではないわけでして」
「普通に出番取るほうがいいだろ」
「もし出番が多めに貰えたら、全自動皮剥き機を是非津田君に試してみたいな」
「おやよろしゅうございますねえ。その際は私が取材させてもらうとしましょう」
「何だよ皮剥き機って」
「でも津田君、本当はカブってないかもしれないんですよねえ」
「まあ津田氏……語呂が悪いから私も津田君に戻します。彼は天然ジゴロだけに語呂が悪い、なんちて」
「くだんねー」
「津田君は将来有望株だけにカブってる、なんて」
 なんだこのシャレ祭りは。
しかしトッキーもさっさと退出すればいいのに、わざわざツッコみ続けるあたりは本当に良い子である。
見方を変えれば貧乏くじ体質とも言うが。

259 :
「うう、ん……」
 カエデ、三度復帰。
「おやお目覚めで。ところで津田君がカブってるかどうかなんですが、風紀委員の五十嵐さんに確かめてもらうというのも手ですね」
「……え? つ、津田君が、何ですって……?」
「まあ有り体に言えば、津田君が包茎かどうかってことです。真性か仮性かそれともズ○ムケか」
「みゅう」
「またまた気絶してます」
 再々度気絶。
ATフィールドを本気でマスターしたほうがいいんじゃないだろうか、この娘。
「では作戦を考えましょうか。そうですね、『チキチキ津田君のムッキムキ計画』というのはどうでございましょ」
「おい、主旨が違ってきてるぞ」
「スズちゃんにも協力してもらいましょうか?」
「では『あらビックリ! グレープフルーツと極太ウィンナーの奇跡の競演』というのは」
「わけわかんねえ」
「フルサイズを模りさせてもらって、よりリアルな造形に迫ってみてもいいかも」
「ほほう、『究極! 前と後ろとどちらがホンモノつくりもの?』というのも良いですねえ」
「なんだよそれ……」
「10段階くらいに振動が調整出来るようにしてみたいなあ」
 出番獲得の為のフラグ大作戦がいつのまにやらタカトシを剥いちゃえ(色んな意味で)会議に大変貌。
皆、実に悪ノリです―――

 ◆ ◆ ◆
  1クールのレギュラーよりも、1回の伝説!
          ―――ある日本のお笑い芸人のモットー

 F  I  N

260 :
小ネタですいません。
歳のせいか本番ありのSSがだんだん書けなくなってるなあ……。

261 :
がんばれ

262 :
◆ZAtwiNsO4g氏、ピンキリ氏、久々の慈雨乙です

263 :
というか実に息が長いねこの人
もう何年目選手なんだ

264 :
>>263
ピンキリ氏なら確か2スレ目か3スレ目デビューだった筈だから7〜8年選手
息の長さもだが、デビュー以来ほぼ歴代全スレに投下し続けてるのが凄すぎる

265 :
最近は思春期SS少なくて寂しい・・・

266 :
超お久しぶりです。 160と言います。
あまりに久しぶりすぎて、トリップとかも忘れてしまいました。
以前作っていたモノがあるので、投下させていただきます。
妹は思春期
タイトル「いたいけなケイタイ」
エロなしほのぼの
最終巻が出る前に作っていたものを引っ張り出してきているので
シンジとミホの設定が少しおかしくなってます。

267 :
「ふぅ、やれやれ。 小宮山センセは人使いが荒くて参っちまうよな…」
放課後すぐ。 城島シンジは、小宮山にシンジのクラスの明日の朝一番の授業に使う
教材を校舎4階の化学室へ持っていくように言われ、化学室の教壇に結構なボリュー
ムの教材を置いたところで、その物体に気づいた。
「ん? なんだあれ?」
教室の入り口近くにある机の上にポツンと置かれた赤い物体。
シンジは、その机に近寄り始めてすぐにその物体の正体に気づく。
「ケイタイか…」
忘れ物だろうか? 午前の授業で化学室を使った生徒のモノだろう…。
手に取り上げてみるが、電源は入っていない。 小笠原高校では建前では携帯電話
持込禁止…とは言うものの、今の世の中、携帯電話の爆発的普及により完全に禁止
できる筈も無く、授業中に使用しなければ殆ど黙認に近い状態になっている。
この携帯を忘れた生徒もさすがに授業中は電源は切っていた…と言うところか。
いくつかの可愛らしいアクセがぶら下がっているところからして、女子生徒の持ち物と
思われるそれを職員室に届ければ発見者であるシンジの役目は終わりだろう。
まあ、携帯が届けられれば忘れていった生徒は、多少説教されるだろうが、
どうせ届ける先は小宮山先生のところ。 彼女の性格からして、それほどひどい目に
あわせられると言うこともないだろうし…。
そう考え、シンジが携帯を手に教室を後にしようとしたところだった。

268 :
『♪〜』
「うを!?」
シンジの持つ携帯がいきなり短いメロディを発した。
「あれ?電源入ってなかったよな?」
フラップ式のその携帯を開いてみると、いつのまにか先ほどの黒一色の画面では無く、
待受け画像が画面に表示されている。
待受け画像は、小笠原高校の体育祭で撮ったモノなのだろうか、大勢の生徒をバック
に中心に2人の女子生徒が写っていた。 
「…? これ…」
待受け画像に写っている女子生徒はそれなりに可愛いのだが、それ以上にシンジが
気づいたのは二人の女子生徒の後ろに写っているのが自分の姿だと言うことだった。
撮られている本来の対象は二人の女子生徒なので画像の中心に写っている訳では
ないが、カズヤと二人で話している自分の立ち姿がハッキリと判る。
「うわ、オレと顔半分だけ見えるのは…カズヤか、これ…」
シンジがその画像をもっと良く確認しようと顔を近づけようとしたところ『カシャッ!』と
言う電子シャッター音が携帯から鳴り響く。
「うを!?」
さっきから一体なんなんだ、この携帯は。 シャッター音がしたということは今の状況が
撮影されたと言う事で、液晶画面の上にもつけられた小さなレンズからして画像を良く
見ようとした今の自分が撮影された可能性もある。
それはいくらなんでもマズイ。 悪戯されたと思われてしまう。 と、今撮影された画像を
消去すべくシンジは携帯を操作してみるが、暗証番号を要求されており、そんなものを
知るはずも無いシンジの操作にその携帯は、ウンともスンとも言わないではないか。
「おいおい…、操作ロックモードじゃん。 んじゃさっきのはどうやって動いたんだよ…」

269 :
(あぅうううぅ…)
小笠原高校の階段を小走りに上がっていく叶ミホは、軽いパニックに陥っていた。
(携帯…携帯忘れちゃったよぉ…)
先ほどの本日最後の化学の授業で化学室に携帯を持っていったのだが、友達との待ち
合わせがあったため、バタバタしていてうっかり机の上に置きっぱなしになってしまった
のだ。
もちろんミホが授業中に携帯の電源を入れっぱなしにしておく訳も無く、操作ロックモード
にしてあるので、データなどを見ることは出来ないはずだが万が一と言うこともある。
待受け画像はシンジの画像なのだが、体育祭の時、ミホの友達二人にカモフラージュし
てもらって撮った小さなシンジの画像なので一見シンジがターゲットになっているとは判
らない筈だ。
また、あの携帯にはミホの大好きな城島シンジの画像が大量に保存されているのだ。
シンジの画像と言ってもミホの性格からしてシンジの大きな画像をゲットしている、という
事は無く、小さな姿のモノばかりであるが、それでもミホにとっては大事なモノに違いは
無い。
それだけではない。 あの携帯は中学生の時、携帯もPHSも両親から「中学生には必要
ない」と言われていたミホが、小笠原高校に入学したお祝いに両親の許しが出て初めて
手に入れた携帯電話だった。 購入代金も毎月の通話通信料もバイトして自分で払って
いるモノだ。

270 :
当然、ミホにとっては愛着のある携帯であり、毎日毎日綺麗に磨いて、可愛いアクセサ
リーも付けているその携帯は型落ちになってしまったが『シンちゃん』などと他人には絶
対に言えない名前をつけて、まるで恋人のように扱っているのだ。
友達から『ミホも一緒に最新のケータイにしようよー。 それってもう古くない?』
と言われても『まだまだ大丈夫だもん!』と、今の世の中、次々と最新の携帯に買い換え
るのが流行のようだが、この携帯は自分にとって最初の携帯だし、、大事にしてあげよう
と思っている。
そんなミホも化学室の入口まで来たところで一安心と言うところだったが、教室の中を
覗き込んだ瞬間、頭の中が真白になった。
(教室の中に誰かいる!)
しかもその人物は自分が先ほど座っていた場所でなにやらゴソゴソやっている…と言
うか、どう見てもその手に持っているのは自分の携帯ではないか。
「だっ! だめぇええぇぇ〜!!」
ミホは思わずその人物に駆け寄り自分の携帯を取り戻そうとした。 いや、両手を前に
突き出したまま、その人物に向かっていったところからすると、その人物を突き倒して
携帯を奪い返そうとしたのかもしれない。
ミホの両の手が見事その人物を突き倒そうとしたその瞬間、その人物がこちらに向き
直ろうとして、ミホから見て半身になったので、肩幅くらいに開いていたミホの両手は
その人物の肩をすり抜け、代わりに自分の体そのものを肉弾として突き倒す形になった。

271 :
「うわっ!」
「きゃぁあっ」
二人の悲鳴に重なり化学室に響きあう派手な転倒音。
「いててて…なんなんだ一体…」
「あぅぅ…」
ミホがその人物の上に甘えて抱きつくかのような体勢になっているのに気づいたのは、
たっぷり5秒も経ったころだろうか。
そして目の前にいる人物がシンジだったことに気づいた瞬間、完全にミホの冷静さは
消し飛んでしまった。
「きゃああああぁ! じ、じょーじま先輩っ!?☆¥♯$」
慌てているミホは抱きついているかのような自分の体をシンジから離すことも出来ず、
逆にシンジの体に巻きついている腕に力が入ってしまっている。
「あ…あの…腕、極まってる…ギブ、ギブ!」
シンジの息も絶え絶えな声に、多少我に帰ったミホが慌てて上半身をシンジの体から
離す。 と言うか、腕を支えにしているだけなのでまるでシンジを押し倒しているかの
ような体勢な訳で。

272 :
「先輩っ! そ、その携帯…」
「ああ、これ、キミの携帯なんだ」
自分の体の下から聞こえてくるシンジの優しそうな声。 突き飛ばされて押し倒されて
いると言うのに怒っているような感じも無い。
「すっ、すいませんっ! 突き飛ばしちゃったりして」
「いや、こっちこそゴメンな。 これ…職員室に届けようかと思ったんだけど…。 って
言うよりオレの名前…?」
先ほど自分の名前を呼ばれたことを忘れていなかったシンジの問いに、ミホの頭の中は
またもやオーバーフローを迎えてしまう。
「ちっ、違うんですっ! そそそその、そう!2組の城島さんのお兄さんですよねっ!!!」
「ああ、カナミの知り合いなのかな」
「い、いいいいやっ! 知り合いって言うか…その…」
ミホの肩先からシャンプーのCMに出てくるかの様に零れ落ちた髪の毛がシンジの顔に
触れる。 もうミホの顔は真っ赤で、これが冬であれば頭の先から湯気が出てるのが
見えそうである。
「ちょっと体勢がまだ危ないから、一回落ち着いて体を離そうか」
やっと自分達の取っている体勢に気づいたミホは、シンジの体から自分のようやく体を
離したが、まだちょっと放心状態で床にペタリと座り込んでいるような感じである。

273 :
シンジは自分の体に乗っかっていた女の子が離れたのを見計らって、体を起こし自分も
床に座り込む体勢を取る。
先程の状態は正直ヤバかった。 こんな可愛いコに圧し掛かられ、ちょっと甘い匂いが
する髪の毛がさらりと自分に零れ落ちきて、顔面を心地よくくすぐり、下半身は密着して
いる状態だし、なんかこの娘、カナミと違ってすげー柔らかいしで(イヤ、カナミだって年
相応の女の子特有の柔らかさがあるのだが)、いつも無意味に元気な自分の分身が
自己主張を始めてしまうところだった。
ミホと体が離れ、シンジが改めてこの娘を見てみると、どこかで見覚えのあるような…、
と言う娘だ。 なんか良く変な目つきで見られてたり、肩を当てられたりと変わった娘
でいつもテンパったような目をしていたような気がするが、今、自分の目の前にいる
その娘は、頬に紅が注して目を伏せるように自分を見つめている。
(あれ?この娘ってこんなに可愛い…と言うか、もしかして結構好みのタイプ?)
などと思い始めた。

274 :
シンジと体が離れたミホは、まだ少し放心状態ながらもシンジを見ようとするが、どうし
ても恥ずかしくて視線を向けられない。 多分、自分の顔は今、凄い赤いだろう。
城島先輩はこんな顔が赤くなっていて目線をあわせようとしない自分を見て、完全に
幻滅、いやそれどころか流石に怒ってしまうのではないかと、考え始めると悪い方
悪い方にと考えてしまう。
(そ、そうだ、しゅ、趣味の話をすれば!!! 少しは場が繋げるかもしれない!)
「さ、さっ、最近、アナルの方はどうですかっ!!?」
「」
あ、外した…。 これは外した。 いきなりアナル発言をする女子高生とか。
もう自分はダメです。 完全に城島先輩にビッチビチのアナル好き変態痴女子校生
で昼下がりの菊門弄り女と勘違いされたはず…。
「あ、あ、ぁ、ぁ…」
これはダメだ。 もう、弁解しようにも声が出てこない。

275 :
(妹よ、君の同級生は凄い可愛くて清純そうで、俺の好みなんですけど、いきなり
アナル発言とか、もしかしてギャップ萌えとかそういう人なんですかね?)
と、シンジは思ったが、この娘の体が小刻みに震えているのを見て声を掛けてみる。
もしかすると最近の女子高生はアナルとかに寛容なのかもしれない(なわけねー)。
「…えーと、俺の性癖はどうでも良いとして、なんかテンパっちゃってない?」
(さすが城島先輩! こんなアナル女にまだ、気を使って話しかけてくれてる!)
とミホは改めてシンジの優しさと言うか気遣いに感激したが、やはりまだ恥ずかしす
ぎて、シンジに謝るべき、ケイタイを拾ってくれたお礼を言うべきだと思うのだが、言葉
が出てこない。
結局ミホは、あうあうと言う様な声しか出せず、シンジの顔を目に焼き付けておこうと
したら睨み付けるような形になってしまい、そのまま何も言えずにケイタイを握り締め、
化学室を飛び出してしまった。
(あう〜、サイアクだよ〜。 絶対絶対城島先輩に嫌われちゃったよぉ)
そのまま、教室に帰りカバンを引っ手繰るように学校を出て待ち合わせをしていたこ
となど忘れてしまい、自宅に帰りベッドにうつ伏せになった。
一方、ミホに睨み付けられ話も出来ず、無言で化学室から出られてしまっったシンジ。
何がなんだか分からず、5分程度床に座ったままボケーっとしたが、
(あ〜、嫌われちゃったかな〜。 そりゃ自分のケイタイ覗き見してるように見えただろ
うし)
と、制服の尻部分についた埃を両手で払いながら立ち上がり、教室から出ようとしたと
ころで、実は自分も持ち込んでいたケイタイがメールの着信を告げる音を鳴らした。

276 :
制服のまま、ベッドにうつ伏せになって寝てしまっていたミホが目を覚ますと、ベッド
サイドに放り投げられるような形になっていたケイタイにのメール着信ランプが点灯
しているのにまず気が付いた。
「あ、そうだ…約束すっぽかしちゃった…」
そういえば、半泣きになりながらベッドの上でまどろみ始めてしまった頃に、何回か
メールの着信があったような気がする。 明日は散々友達に責められそうだ。
明日の放課後にデザートでも奢って埋め合わせをしなければなどと考えつつ、
のろのろと起き上がりながらケイタイを開き、着信履歴を見てみる。
「え…? なんで?」
画面に表れた着信履歴の一番上、最新のメールの送り主は「じょーじませんぱい」
となっている。
「うそ…、ワタシ城島先輩の番号なんて登録してないはず…なのに」
もどかしくもケイタイのキーを押し、メールを開いてみる。

277 :
題名:Re:今日はゴメンなさい
『叶さん
こっちこそ今日はゴメン(汗
今度の土曜日なら予定ないしオッケーです
別にお礼とかお詫びとか大丈夫なんだけど(汗
楽しみにしてます』
と、ミホにとっては『????????????』としか思えない内容のメール。
ん?『Re:』って事は返信のはずだが、勿論メールをシンジに送った記憶などない。
今度は慌てて自分の送信履歴を見てみる。
(城島先輩へメールを送った履歴がある……だと…)
さっぱり訳が分からない。 そもそもシンジのメアドどころかケイタイ番号すら知ら
ないのだ。 なんとか妹のカナミとでも知りあって番号をゲットしたいと思っていた
のに。 とりあえず自分が送った(ことになっている)メールを見てみると。
題名:今日はゴメンなさい
『城島先輩へ
今日はホントーにすいませんでした。ごめんなさぃ(TT)
せっかく先輩にケイタイ拾ってもらったのに、恥ずかしくて
何も言わずに逃げちゃいました
もし、もし良かったら今度の土曜日空いてませんか?
映画のチケットがあるんです。 お礼と言うかお詫びと言うか、
一度ちゃんと会って直接お詫びしたいなっておもってます
お願いします』

278 :
「これ……、だれ…?」
全く身に覚えの無い自分の送信メール。
しかし返信を見ると、どうやら自分は今週の土曜日に城島先輩とお礼とお詫びがてら
映画を見に行く事になっている……。 信じられないながらもメール画面からケイタイの
ホーム画面に戻ってみると、待ちうけ画像も身に覚えのないシンジのドアップ画像に
切り替わっている。
「え?え!?何で? こんな写真持ってない」
画面に映るシンジはなかなかにキリッとしていて、格好が良い。 何時の間にやらこんな
格好いい先輩の写真がゲット出来ているとは…。
こんな人と土曜日に映画に…え? 城島先輩と映画?
(そっそっそっれってもしかして…ででっでっでっで…でぇと?)
どんどん顔が真っ赤になり、もう一度液晶画面に映るキリッとしたシンジの顔を見つめた
所でミホは鼻血を撒き散らしながらまたまたベッドに倒れこむ事になった。

279 :
家に帰り、自分の部屋に入りシンジはもう一度自分のケイタイを確認してみる。
なんか変な感じの出会いと言うか、きっかけだったが、なにやら今週の土曜日は
あんなに可愛い娘と映画に行ける様だ。 棚からボタ餅と言うか何と言うか。
数時間前、確かに自分の体の上にあった、あの娘の感触と言うか良い香りと言うか
そういうのを思い出してしまうと顔がニヤケてしまう。
と、ニヤケ顔でケイタイの画面を見ていたら、いきなりカメラのシャッター音が鳴り、
メールの送信を始めているではないか。
「うお!? ちょ、ちょっと待て。い、今の誰に送った!?」
メール画面には
to カナミ
題名:土曜日は
『デートすることになった! ひゃっほおおおおぉぉ!
 すっげー可愛い娘だし!!
 土曜はメシいらねーし!!!』
 添付ファイル45KB

280 :
シンジの顔がサッと青くなる。 もしかして今のニヤケ顔がこの文面と一緒に
カナミに送信されたんだろうか?
と思ったところで、後ろにある自分の部屋の扉がギギギギギギ…と
油を注し忘れたかのような禍々しい音を立て開いた。
シンジがこちらもゆっくり、ギギギギギ…と首を回すと扉のところに
カナミが恐ろしい…いや無表情な顔で立っている。
「お兄ちゃん…。 土曜日といわず、今週はゴハン…いらないね♪」
「い、イヤ、俺にも何がなんだかさっぱ…」
ここでカナミの顔に初めて怒りの表情が浮かび、
「お兄ちゃんのバカッッッ!!!!! 変態アナル魔人っ!」
まだ火曜日だと言うのに、シンジは身に覚えのないメールで、今週の食事の
心配をしなくてはいけない身となったのであった。
大事にしている機械は、その愛情に応え、主人にそっと(?)恩返しをしてくれると言う。
しかし、大事にしていても嫉妬に狂い、ヒステリーを起こしてしまう機械もあると言う。
そう言う、いたいけなケイタイもある、と言うお話。

281 :
以上です。 何気に初の思春期モノでした。 スレはずっとROMっていたのですが、
転職とか色々ありまして、久しぶりの投稿になりました。
ファイルを見てみたら2006年に書いてたものでした(笑
この間、氏家作品がアニメ化するなんて、想像もつきませんでした。
今後もゆっくりですがネタがあれば投稿してみたいかもです。
ではでは。

282 :
最近また投稿が増えてきた気がする

283 :
>>265の望みがいきなり叶った件
160氏、お久しぶりかつ乙です

284 :
160氏乙&GJ!
>>282
スレひとつを半月で使いきったこともあったな
濱中連載中期〜後期はしかし何故あそこまで多くの職人がいたのか

285 :
>>284
当時学生だったけど、早すぎておっかけるのも大変だったわ……
それが今じゃ立派な社会人とかもうね。時間すぎるの早いわ……

そんな事より、うおみーが隠れ巨乳だった件について
従弟のT君には色々話を聞いてみたいのだが……

286 :
>>285
同じく当時高校生

287 :
確かにウオミーの隠れ巨乳には胸が踊った。

288 :
>>287
アリアみたいな明確な巨乳キャラと違って実はあるんですって同じ巨でも違う良ざがあるよな!
サイズもD〜Eみたいな手に入るか否かくらいだろうし、それがまたそそる……

289 :
>>288
シノ「ほう、私に喧嘩を打ってるわけだな?」

290 :
6巻137ページの水着ウオミーはあんまり大きく見えないのにな

291 :
>>289
会長!BくらいにはBくらいの良さがあるんです!

シノって小さいの気にしてるけどAってほどちっぱいじゃないよな?

292 :
>291
スズがジト目で睨んでるぞ

293 :
>>292
コトミがそれを見て笑ってるぞ

294 :
>>293
アリアがそれを見てホンワカしてるぞ

295 :
>>294
ムツミがそれを見て首傾げてるぞ

296 :
>>295 畑さんがその光景を盗撮しているぞ

297 :
お疲れ様です。
9月中は無理ですが、10月中か11月半ばまでには何か投下します。
最初の投下から何年も経って、ええ歳こいていつまでやってんだろうという思いもありますが……離れ難いんですよね、氏家スレ

298 :
>>297
デビュー以来殆ど欠場無しのピンキリ氏はまさに氏家スレの要ですな
今後ともリアルに悪影響のない範囲で宜しくお願いします

299 :
トッキーヒロイン物マダー?(・∀・)っ/凵⌒☆チンチン
そろそろ一つくらい来ても良いはず…!

300 :
と、轟さんも…

301 :
アリア「大変!無理矢理津田君を縛ってずっとアナルの開発やってたら廃人になっちゃった!」

302 :
スズ「(どうしよう……デートでタカ…/// 津田とホテルから出た時にたまたま前を通った警官に捕まった…… もう大学生になったのに...orz)」

303 :
>>217の続き

『AV女優のあかほん』第四話
カルナ編

304 :
最年少のユーリがあれ程気概を見せ付けたのだから、
年上の自分達が遅れを取るわけにはいかない。
現役アイドルによる処女貫通AV撮影会は、いよいよヒートアップしてきた。
「おっしゃ! 次はアタシが……」
「待って」
勢い込むシホを制止し、カルナが言った。
「年下二人に先を越されちゃ、リーダーの立場が無いわ。
 二番手は私がいかせて貰「いつからお前がリーダーになった!」
さり気にリーダー宣言したカルナの言葉に、シホの反論が被さった。
「え? 普通、最年長がリーダーでしょう」
「私らにリーダーなんて無い! 全員公平って、結成当初に言ったじゃん!」
「言ってたのはシホだけで、私もユーリも賛成してないわよ?」
こんな所で無駄に張り合うな、と井戸田は言いかけたが、
せっかくの休憩時間だ、放っておく事にした。彼自身既にクタクタなのだから。
と、そこへ、隣室から三瀬が割り込んできた。
「あのぅ、社長。カットしなきゃいけない音声多過ぎて、
 編集作業が地獄になりそうなんですケドぉ……」
家庭用のハンディカムで音声を拾っているので、
環境音を残しつつ余計な言葉だけ排除するのは、
以前からネットに慣れ親しんでいる三瀬でも困難な事だった。
彼女もブログを運営しているとは言え、画像が基本のサイトだ。
不要な音声の削除どころか、そもそも動画をアップした事さえ少ない。
片端からフリーソフトを落とし、それでも足りなければ
経費でシェアウェアを購入し、説明書とにらめっこしながら、
彼女は手探りで何とか編集方法を勉強してきた。
全ては今回の撮影の為という、ただ一つの理由のせいだ。
「そうねぇ。じゃあ手法を変えましょうか」
三瀬の作業量を慮ってではないが、いい加減レイコも面倒がっていた。
いちいち指示を出しながらセックスさせたのでは手間がかかる。
「それじゃ試しに、カルナとのプレイは、全部アドリブでやんなさい」
「えぇっ!? しかし、それだと商品としては……」
「アンタだって経験回数はそれなりでしょー?
 社長に指示されずに、男らしく自分のリードで女を楽しませなさいな」
レイコの無茶振りはいつもの事だから、今更逆らえない。
土台、これに限って言えば、無茶振りですらない。
誰の命令も無く互いに気持ち良いところを探りながら交わる事こそが、
本来のセックスの形なのだから。
どちらかと言えば、良心的な指示に切り替わったとさえ言えた。

305 :
一切の指示も、TBメンバーからの助成も無し。
それを徹底する為に、井戸田とカルナ、撮影係の小田を除いて、
残り全員が隣の部屋に写った。
防音完備だから、レイコ達の声は井戸田側には聞こえない。
しかし井戸田川側の声はマイクが拾うので、レイコ達には一方的に聞こえる。
マジックミラーの存在もある上、小田が何も喋らないので、
井戸田はまるでカルナと二人きりになったかのような錯覚に陥った。
これは、井戸田にとって良い効果をもたらしていた。
心なしか、緊張感や緊迫感といったものが薄れてくる。
これが撮影であり、仕事であるという事を、忘れさせられそうになった。
「えっと……それじゃ、カルナちゃん。良い?」
「あ、はぁい」
カルナの方はまだ全く緊張が解けていないからか、
……或いは逆に、これが撮影である事をきっちり意識しているからか、
相変わらずの営業スマイルをさり気なくカメラに映す事を忘れていない。
だが、決して堂々としているわけでもなかった。
井戸田にとってはセックスなど慣れているのだろうが、
カルナからしてみれば初めてなわけで、緊張するなと言う方がおかしい。
処女でなくとも、初めて交わる男相手には、誰だって不安を覚える。
彼女の作り笑顔がぎこちない事を、井戸田は見抜いた。
「おいで」
井戸田はカルナの強張った肩にそっと手を置き、ソファの方まで誘導した。
この「おいで」という言葉は、思いの外カルナを安心させた。
男の割に繊細な指は、身を委ねても決して乱暴はされない、と思えた。
ついさっきユーリに結構乱暴な扱いをしていた井戸田だったが、
あれはレイコに飲まされた薬の影響もあったし、
相手が小学生だったという異常なシチュエーションに依る所も大きい。
薬は大量に投与されていたから、まだ効果は薄れてもいないだろうが、
成人男性からしてみれば、女子高生を相手にするのは、
小学生相手よりかは幾分か落ち着いていられるようだった。

306 :
「お、御願いします。マネージャー」
「無理して笑う必要なんか無いよ、カルナちゃん」
「えっ……」
カルナの作り笑顔は、いつもの事だ。
だが、処女膜の喪失は、女にとって人生最大のイベントに等しい。
よく結婚の方こそ、女の人生最大のイベントと例えられるが、それは違う。
結婚は仮に後悔したとしても離婚すれば一応やり直しがきく。
しかしロストヴァージンは、どう足掻いてもやり直しがきかない。
処女膜再生手術を施したところで、肉体的には処女に戻れても、
精神面では記憶喪失にでもならない限り戻れない。
そんな重要な関門を前にして、笑っていられる女の方が少ない。
敢えて他の女の名前を出す気は無いにせよ、井戸田は過去の経験から、
破瓜を笑顔で迎え入れられた女など殆ど居ない事を覚えていた。
「怖いのは当たり前なんだから。
 ビビっても良いし、逃げ出したくなっても良いし、泣いても良い。
 苦しい時にまで相手の為に笑うなんて事、しなくて良いんだよ」
「は……はい……井戸田さん……」
それを皮切りに、カルナから笑顔が消えた。
しかし、悪い意味でではない。
それこそ井戸田の言う通り、無理な作り笑いを一時的に撤廃しただけだ。
今のカルナは、いつも通りの仏頂面ながら、頬が赤く染まっている。
緊張した面持ちながらうっすら頬を赤くしているというこの表情は、
むしろ微笑みながら破瓜を受け入れるより、余程リアリティーがあった。
「おおっ! これ凄い良い表情じゃないの! やるわねヒロ君」
癪だが、井戸田は結構良いオトコだ。レイコはそれを強く認識させられた。
「営業スマイルが無くても良いんですか、社長?」
「この場合はこっちの方が臨場感があるじゃないの、三瀬。
 アンタもいずれ初セックスする時になれば、この事が分かるわよ。
 とても笑ってられない状況なんだから、女側からすれば」
「ちょっ、えぇっ!? 社長、何で私が処女だって知ってるんですか!」
ブログの存在がレイコにバレているのかと三瀬は思ったが、そうではない。
「私程の女ともなると、童貞や処女なんて、見ただけで判別つくわよ。
 因みに小田は、あんな朴念仁に見えて、実は結構経験ある方だと思うわ」
「……そ、そうですか……」
レイコが言うならそうなのだろう、という気がした。
小田の場合、どうしても絵面が強姦じみた事になりそうだったが。

307 :

脚本は無くなったが、おおよその段取りは暗記している。
まずはセーラー服の裾を首元まで上げて、乳房を露出。
ブラジャーもパンティも既に自己紹介の段階で脱いでいるから、
今カルナの体を隠す物は、正真正銘、コスプレ用の制服のみだ。
適当に前戯した後にクンニに移行し、それから挿入という流れだった。
だがこの時点で、井戸田は早くも当初の段取りを捨て、
自分の思うようにカルナを抱き始めた。
「んっ……ん……」
脚本を無視して良いのなら、処女を相手に無理をさせる事は無い。
予定では最初からディープキスをする手筈だったが、
井戸田はそれを避け、普通のソフトなキスに時間をかけた。
舌など微塵も突き出さず、上唇と下唇だけを使い、
しかもほんの僅かタッチする程度の浅い口づけ。
カルナの肩を抱き寄せ、優しく撫でる。
「ほぅ。素だと結構紳士なのね、あいつ。
 全裸フル勃起のせいで台無しだけど」
舌を絡めない代わりに、井戸田は二度も、三度もカルナに口づけした。
まるで本物の恋人同士……とりわけ、まだ付き合い始めたばかりの頃の、
純情な中学生のような遠慮がちなキスだった。
井戸田はそれだけの為にたっぷり五分は使った。
どうせ後で大部分がカットされるだろうにしても、それは重要ではない。
焦らず少しずつ、カルナの受け入れ態勢を整えていってやるつもりだった。
不必要に怖がらせない為には、まだディープキスすら出来なかった。
ただでさえ、薬のせいで怒張しているペニスに、カルナは臆しているのだ。
そそり立つ愚息を鎮めたかったが、井戸田の意思とは裏腹に、それは固いままだ。
落ち着いたキスばかりを五分も続けていれば、
心の結びつきは強くなっていく反面、逆に下半身は
いつもなら鎮まってくれるものなのだが。
しかしいつしか、カルナは勃起したソレを恐れなくなっていた。
自分を貫き傷つける凶器に、愛しささえ感じるようになっていた。
井戸田の優しいキスが、功を奏したのだった。

308 :
「……好き、です。ヒロキさん」
たかがキスでコロッと落ちてしまった自分の軽さに、カルナ自身呆れた。
今まで井戸田を男として意識した事は殆ど無かったのに、
腫れ物に触るような柔らかいキスを続けられただけで、思慕を抱いてしまった。
この音声は後で三瀬にカットしてもらうとして、
彼女は突如芽生えた本物の感情を、あけすけに口にした。
こればかりは井戸田にとっても予想外だった。
かつて見た事の無い、カルナの蕩けたような顔。
作り笑いでもない、仏頂面でもない彼女の表情を見るのは、新鮮だった。
「舌、入れて良い?」
「はい、勿論……」
いちいち聞くか、そういう事。とレイコはツッコんだが、
タイミングやテンポを合わせてくれているというのが伝わって嬉しかったのか、
カルナは少しだけ照れながら、井戸田の舌を受け入れた。
その様を、小田はあらゆる角度からカメラに収めていった。
絡み合う舌、重なり合う唇、そればかりかカルナの胸や、スカートの中まで。
カルナはまだセーラー服を着ていたが、布地越しにも、
既に乳首が立っているのが見て取れた。
ばかりか、フトモモを擦って、股間をモジモジさせている。
どうやら濡れてきているらしい。ディープキスだけで。
「キスだけで濡れるタイプって、確かに居るけど……
 それともアレは、井戸田自身の功績かしらね」
レイコは腕組みしてマジックミラーの向こうの景色に見入っていた。
「むぅー。私だってお兄ちゃんの事好きなのに」
ユーリがふくれっ面をしている。
突然のカルナの告白が、少しばかり面白くないらしい。
今まで井戸田を好きな素振りが欠片程も無かったカルナが、
五分程キスされただけでゾッコンになったのだから、無理も無い話だ。
てっきりライバルは居ないと思っていたのに。
「まぁまぁ。後で4P映すんだし、そん時にリベンジすりゃ良いじゃん。
 それより、ひょっとして私も、ヒロ君にキスされたら惚れちゃうのかなぁ」
「シホちゃんはどうだろうね。あんまりそういうタイプに見えないけど」
「それを言うならカルナだって、そういうタイプじゃない筈でしょーに」
シホは自分と井戸田が口づけを交わすシーンを空想してみたが、
同じ空想を抱いているのは彼女だけではなかった。
ああいう優しい男性にだったら初めてを捧げても良いかも、と三瀬は考えたし、
たまにはこういうスローセックスも良いかも、とレイコは思った。
「普段縄とかローソクとかハイヒールとかばっか使ってるけど、
 少しくらい昔の気分に戻らせて貰うのも悪くないわねぇ」
「だっ、駄目ですよ社長! 井戸田さんと寝るなんて、そんな!」
「あら? 私、まだヒロ君を食うなんて言ってないけど。
 何をそんなに焦ってるのかしら、三瀬は。ふっふっふ」
地味にライバルが増えかけている事を、実感させられるユーリだった。

309 :
硬く尖ったカルナの乳首を舐め回す井戸田の口元を、
小田のカメラがクローズアップする。
年齢差もあるが、カルナの乳首はユーリのそれより大きく、
転がし甲斐のあるサイズだった。
井戸田の舌遣いは、攻めていると言うより、撫でていると言うべきだった。
それを言うなら、カルナだって井戸田の後頭部を撫でているところだ。
愛し合う二人の睦まじいセックスそのもの、といった光景だ。
社長やスタッフに直接見物され、指示を下されていては、
こうまでナチュラルなセックスは出来なかったに違いない。
これを少しでも邪魔しない為に、小田は物音はおろか、
衣擦れの音すら立てないように慎重に立ち回った。
「カルナちゃん、気持ち良いかい?」
「はぃ……熱くて、くすぐったくて、変な感じで……」
「それで良いんだよ、カルナちゃん。もっと気持ち良くなろう」
井戸田は舌で転がすのを止め、今度は唇を立てて乳首に吸い付いた。
「アっ」
思わず、カルナは声を上げた。
鎖骨の辺りまでたくし上げられたセーラー服のすぐ下で、
少しばかりの水音が奏でられる。
本番に備えてマンコに指先を入れる訓練ぐらいはしてきたものの、
今まで取り立てて乳首を自分で触った事はあまり無かった。
ましてや吸われるとなると、彼女にとっては初めての感触だ。
セックスの気持ち良さを、カルナは徐々に知り始めていた。
これなら、いずれ訪れるファン達との下半身での交流会も、
思っていたよりは楽に受け止め、どころか楽しめそうですらある。
井戸田以外の男に抱かれるのは愉快な話ではなかったが、
毎日仕事が終わる度に、辱めを清算するように、
夜毎井戸田に抱いてもらえたなら、ファンに抱かれる事は
いくらでも耐えられそうだった。
「やみつきになりそう、これ……毎日したいかも、です……」
それは「井戸田と毎日したい」という意味だったし、
井戸田自身もそれは分かっていたが、撮影としても良い台詞回しだった。
これを見たファンには、あたかもファン達と毎日したい、
という意味に受け取れるだろう。
「これから毎日、セックス出来るよ。カルナちゃん」
「すごく、嬉しいです……」

310 :
カルナをソファの上に寝かせると、井戸田はここでようやく、
台本通りにクンニを始める事にした。
それは台本に沿う為と言うより、自分がそうしたかったから、と言った方が近い。
「んうっ、んん……」
元から股間ギリギリくらいまでしか丈の無かったスカートは、
クンニを受け入れる為にカルナがちょっと両足を開いた程度で、
もう遮蔽物としての機能を発揮出来なくなる程押し広げられていた。
既に陰毛も処女膜も余す所なく撮影されているとは言ったところで、
やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
そこに井戸田が口付けてくるのだから、ある意味では蓋をされているようなもので、
自分の陰部がカメラから少しでも隠れる形になるのは、カルナにとって救いだった。
ただ、井戸田の舌が上に下に、右に左にと小刻みに動く事は、
それはそれで陰部を丸写しにされるより遥かに恥ずかしかったが。
この時、小田とレイコは、それぞれ判断に迷っていた。
男優の顔が大写しにされている様を見て、喜ぶ視聴者など居ない。
しかしクンニである以上、先程のユーリのようなまんぐり返しでもしなければ、
どうしてもカルナのアソコは井戸田の顔で大部分隠れてしまう。
指示無しで本人達の好きなようにやれと言った手前何も言えないが、
ちょっと井戸田が顔をどけてくれれば助かるのにな、とは思った。
だがそんな事は知った事ではないとばかりに、井戸田はクンニに夢中だ。
熱心にカルナのビラビラを吸う事に、全精力を傾けている。
そのお陰でカルナが良い表情になっているのだから、止めるのは野暮な話だった。
「はぁっ、そこぉッ……」
カルナの声は硬かったが、演技ではなかった。
処女なのによく感じているな、とレイコは感心させられた。
よく考えると、カルナとシホは自宅でマンコを広げる訓練を積んでいたのだから、
普通の処女よりは性感が発達していても何らおかしくはない。
集音マイクが拾う水音は、決して井戸田の唾液だけの音ではない筈だった。

311 :
指示を受けなくて良い、とは言われたが、それは撮影を忘れろという事ではない。
井戸田はまだ頭のどこかで、これが仕事だという自覚、冷静さを保っていた。
TBの全員が同じ体位では視聴者も飽きるだろうからと、
三人全員がそれぞれ違う体位でセックスに臨む予定だ。
彼はその事をしっかり覚えている。
台本通りなら、ユーリは正常位、カルナはバック、シホが騎乗位だ。
丁度良い。そのバックという体位を有効活用してやろうと、井戸田は決めた。
「それじゃ、カルナちゃん。ちょっと動こうか」
「ふぇ?」
本気で蕩けかけているカルナは、声にまでその兆候が表れていた。
だが無論、蕩けているのは声と表情だけではない。
肉体的、物理的にも蕩けている部分がある事を、井戸田はカメラに映したかった。
「ひゃっ、ちょっ……」
有無を言わさず井戸田に抱き上げられ、カルナはお姫様抱っこを体験させられた。
その時カルナが咄嗟に井戸田の首に両腕を回してしがみついたのは、
振り落とされない為の本能的な防御だったが、同時に素晴らしい画にもなった。
愛しそうに男の体にしがみつこうとするカルナの
顔、姿勢、慌てぶりは、ファンには堪らないだろう。
いずれ彼女らは「ヤリにいけるアイドル」として売り出すのだから、
自分も金を払えばカルナとこういう事が出来るのだと、ファンに期待させる事が出来る。
きっと多くのファンが、カルナを、そしてユーリやシホを、お姫様抱っこしたがるだろう。
そんな計算を裏で張り巡らせていたレイコが見守る前で、
井戸田はカルナを、壁際まで運んだ。
「カルナちゃん。壁に手を突いて」
「い、いや壁ってコレ、ちょっ……」
自分では冷静なつもりでも、まだ井戸田は、昂ぶり過ぎていた。
そこが壁でなく、窓だという事を見落としてしまっている。
と言うよりそこは窓ですらない、マジックミラーだ。
つまりその向こう側には、レイコ、シホ、ユーリ、三瀬が居るのだ。
レイコはこっそり「ヒロ君、最高のアドリブよ!」と小さく呟いていた。
井戸田がカルナに求めたのは、要するに立ちバックのような体勢だ。
壁に両手を突き、尻は反対側にぷりんと突き出し、秘部を照明の下に露わにする。
小田は井戸田の真意を汲み取り、すぐさまカルナのマンコを真正面に捉える位置に回った。
「どうしたの、カルナちゃん。ここ、トロけてきてるよ?」
井戸田の言葉攻めに、カルナの顔が引きつる。
「そっ、それはあなたが舐めたから濡れてるだけでっ」
「うん、そうかもね」
井戸田は敢えてはぐらかした。
カルナの股間をしっとり濡らす液体は、実の所、井戸田の唾液とカルナの愛液が混じっている。
けれどもまだセックス慣れしている大人の女程、カルナは愛液をバシャバシャと流せない。
せいぜいほんのり湿らせる程度しか、マン汁は分泌されていなかった。
けれども、ファンがそれをどう捉えるかは、個人個人の自由だ。
カルナは清純だからまだ濡れていない、この液体はただの男優の唾液だと見るか。
それとも、愛液と涎のブレンドだと見做し、
カルナは処女のくせにイヤラシイ体をしているなぁと悦ぶか。
その辺は見る者の自由な発想に任せれば良い。
これによりカルナの痴態を収めた映像は、より実用性、自由度が高まった。

312 :
その時、井戸田とカルナと小田には分からなかったが、
丁度小池マイが、遅めの出社をしたところだった。
TBがAV撮影する予定だとは彼女も聞いていたから、真っ直ぐレイコの居る部屋を目指す。
「おはよーございまーす。どう、順調にヤってま……すぅう!?」
マジックミラーに向けて両手を突き、ふしだらな顔をしているカルナの顔を、
鏡越しに認めたマイは、あまりにも突然な光景に、腰が抜けそうになった。
「あの子、処女ですよね!? もうこんなプレイしちゃってるんですか!」
マジックミラー号での撮影なんて、自分もまだやっていないのに、とマイは憤慨した。
自分の方が先輩なのに、先を越されたような気分だったのだ。
「何かねー、ヒロ君のアドリブなんよ、これ」
シホの補足に、マイは頭がクラクラした。
処女相手に何やってんだウチのマネージャー、とでも言いたげだ。
「ところでマイ。あんた、カメラ持ってない?」
レイコにそう言われ、マイはすぐさま意図を読み取った。
「スマホしか無いですけど、それで良ければ」
「うん、仕方ないわね。私のスマホは一年くらい前の機種だから、画質劣るし。
 あんたのなら最新機種だから、綺麗に撮れるでしょ」
マイのスマートフォンは、つい先月買ったばかりの新品だった。
そんな物を使って一体何をするのかと訝しがるシホ、ユーリ、三瀬の前で、
マイは躊躇う素振りすら見せずマジックミラーに最接近した。
パシャッ、パシャッ。二、三度シャッター音が鳴る。
「カルナちゃんを撮影してんの?」
「そだよん、ユーリ。これはこれで、AVのオマケにも、販促物にも使えるでしょ」
業界経験ではユーリの方が長いが、AV撮影の経験値はマイの方が上だ。
膣の接写画像すら販促物として大量に印刷された経験のあるマイには、
レイコの考えがアイコンタクトで全て理解出来ていた。
カルナはと言うと、鏡の向こうでそんな物を撮られているとは露知らず、
先程から井戸田に軽い指マン手マンを繰り返され、
もはや言い訳のきかないくらい、汁を股間から何粒か滴らせていた。

313 :
「それじゃ、入れるよ?」
井戸田の言葉は合図だった。
カルナに対してもだし、小田に対してもだ。
小田は一旦カメラの電源を落とすと、ポケットに忍ばせていた安全ピンを
幾つか、無言で井戸田に手渡した。
「さっすが小田さん。用意が良いなぁ」
これをどう使うかは、聞くまでもない。
着衣のままで撮影するのが今回のキモだったので、カルナを全裸にするわけにはいかない。
かと言って普通に撮影していると、ピストンの動きで服がズレてしまう。
それではせっかく露出させている胸はセーラー服に隠されてしまいかねないし、
下半身だってスカートに塞がれてしまう恐れがある。
それを安全ピンを使って固定してしまおう、という策略だ。
勿論、刺したピンそのものは服の皺に隠して、見えないようにした上で。
安全ピンの取り扱いは、さすがに他人任せでは怖い。
カルナは井戸田に促され、コスチュームに自分でピンを通していった。
これで、どんなに激しく動いても、彼女の乳房と膣は露出したままだ。
その間に井戸田は、本日二個目のコンドームを装着し終えていた。
ここまでの光景は、全く映像に収められていない。
井戸田は「入れるよ」とは言ったが、そこから既に二分経過している。
視聴者にとっては、合図と同時にすぐに挿入を開始したように見える筈だった。
カルナももう吹っ切れていて、マジックミラー越しの立ちバックでも
何とか受け入れられるようにはなっていた。
彼女が再び鏡に両手を突くと、小田はカメラを構え、彼女と鏡の間に滑り込んだ。
そこで電源を再度オンにする。
斜め前下方から覗き込む形になる小田のカメラには、
今まさに挿入され、押し広げられんとするカルナの膣が、綺麗に収まっていた。
「はっ……あ、あぁっ……んふっ……」
井戸田のモノが侵入していくと同時に、破瓜の血がポタリ、ポタリと垂れる。
その間もマイは静止画の撮影に没頭中だ。
レイコの頭の中では「今の貫通の瞬間のカルナの顔は、良いブロマイドになるわ」
などという打算が展開され続けていた。

314 :
小田はまるで忍者のようで、音もなく自分のポジションを調整し続けていた。
血を垂れ流すカルナのマンコをアップにしたり、苦痛に喘ぐカルナの顔をズームしたり、
硬くしこった乳首が乳房と共に仲良く揺れる様を拡大したり。
しかも彼の凄いところは、レイコの考えを完全に読んでいたところである。
カルナが偶然マジックミラーに手を突いた時から、小田は、
レイコがマジックミラー越しのカルナの淫らな顔と姿を撮影するだろうと予測し、
その撮影の方にも邪魔にならないよう、綿密に自分の位置や姿勢を調整していた。
何分マジックミラーなのだからレイコのフィンガーサインなど見えないし、
口頭での指示も受けていないにも関わらず、うまい具合にマイのスマートフォンの
視野角から外れるように動いている。
時にはカルナの足元に仰向けに寝そべり、見上げるようにして映像を撮ったかと思うと、
レイコがマイに「今度は下方からのアングルで一枚お願い」と言った途端、
まるでそれを聞いていたかのように、マイの邪魔にならない位置に移動して
自分はサイドからの撮影に移行する。
しかもそれが、何も知らない井戸田やカルナから見ても、何ら不自然さが無い。
普通なら「何でこんなにアタフタ動いてるんだろう」とか
「何でこのタイミングでいきなり移動したんだろう」とか思われそうなものなのに、
小田は極めて自然に、ポジションやアングルを切り替えていた。
結果カルナは、小田にしか撮られていないと思い込み続けている。
小田が横に回った時などはうまく自分の顔が自分の二の腕で隠れると安心し、
我慢の一切無い、だらけきった情けない顔を、真正面のマイに撮影される事となった。
「小田さん、さっすがぁ」
「マイ。今のカルナのアヘ顔、ちゃんと撮ったわね?」
「バッチシです、社長。カルナの油断しきった顔、高く売れそうですねぇ」
『あハッ、あぁんっ! ナカっ、擦れて……アァッ!』
真実を知らないままのカルナの喘ぎ声が、スピーカーから漏れ続けている。
いつも冷静沈着な彼女が、後でマイの撮影した写真を見たら、どんな顔をするだろう。
マイが「油断しきった顔」と評した通り、小田のフレームから外れている時のカルナは、
鼻の穴の広がった、作り物臭さの一切無い、本能そのままの顔だった。

315 :
しばらく普通の立ちバックで我慢していた井戸田も、
もうそろそろ、男としての本能に勝てなくなりそうだった。
カルナの膣を陰茎で擦りまくっているこの状況で、
今更他にどんな本能を我慢しているのかと言えば、答えは一つ。
おっぱいを揉みたくて仕方ないのだ。
後からピストンを続けながらも、カルナの乳を鷲掴みにし、乳頭を捏ね回したかった。
だが立ちバックでそれをするとなると、どうしても自分の上半身を傾け、
カルナの背中にほぼ覆い被さるような形になる必要がある。
普通のセックスならそれで良いが、これはAVの撮影だ。
男優である自分はなるべく目立たず、フレームにも入らないようにしたかった。
カルナと上半身を密着させてしまえば、どう足掻こうと自分も映り込んでしまう。
それはきっと、TBのファンがあまり望んでいない事に違いなかった。
今ならまだ、カルナは鏡に両手を突いた前傾姿勢だが、井戸田はほぼ直立だ。
だからこそ小田のアングル選択幅には自由度があったし、
井戸田だけがうまく画面外に隠れるようなズームで、
カルナの上半身だけをフレームに収める事も出来ていた。
せっかく井戸田が本能よりも仕事を優先して堪えているその欲求を、
しかし意外な事に、カルナの方がぶち壊しにしようとしていた。
「ふっは、あっ、んむっ……むね……むねぇっ……」
胸がどうした、などとこの状況で聞く阿呆は居ない。
触って欲しいに決まっている。揉んで欲しいに決まっている。
本当にそんな事を今やって良いのだろうかと逡巡する井戸田に、小田は無言で首肯した。
井戸田がカルナに覆い被さろうとも、それはそれで邪魔とは思わず、
むしろそれに応じたアングルの取り方、ズームの仕方をちゃんと選べる。
小田にはそうした自信があった。
「はっ……はぁっ……カルナ、ちゃん……」
井戸田はピストンを片時も止めないままで、望み通り、カルナの乳房を鷲掴みにした。
彼の指先がクリクリとカルナの乳首を引っ掻く様、転がす様、引っ張る様を、
小田は真下、真横、それぞれの引き、ドアップ等、いろんな切り口で捉えた。

316 :
胸と膣への同時攻撃でより快感に包まれたカルナは、
もはやマジックミラーの真ん前であるという事実すら忘れ、
小田に撮影されているという現実すら忘れそうになっていた。
それ程、彼女の体を未知の感覚が駆け巡っていた。
破瓜の際に感じた多少の痛みなどどこかへ吹き飛んでおり、今は影も見えない。
「はぐっ! アァんっ! はぁあ良いっ! 気持ち良いンッ!」
その音声をスピーカーから聞き取り、レイコは少し困ってしまった。
これでは処女じゃないかのように見えてしまう。
生娘が最初っからこんなに感じてどうすんだ、とツッコミたくなるが、
カルナは本当にこれが初めてのセックスなのだから、声も演技ではあるまい。
こればかりは、指導してどうこうと言う話ではなかった。これで、素なのだ。
つまりはそれ程、井戸田のテクが優れている……とは思えない。
カルナに素質があったのか、それともたまたま体の相性が抜群なのか。
もし相性が良いのだとしたら、それはユーリの前では言わない方が賢明だろう。
無用な嫉妬を掻き立ててしまうだけの結果にしかならないのだろうから。
「なんっ、か……変ですぅ……コレ、変な感覚がっ……キちゃうぅ……」
「はあっ……はぁ……イキそう……なのかい……カルナ、ちゃん……?」
「イっ……イク……? これが、アァはっ……イク、ふっ……って、事……?」
まともに喋るだけでも苦労するくらい、カルナの体からは力が抜けていた。
まさかと思うが、ひょっとして初めてのくせに、絶頂を迎えようとしているのか。
しかもレイコの予感が正しければ、井戸田と同時にイキそうだ。
「んアァッ! アツいっ! 何かっ! 登ってっ! くるぅんっ!」
本人が自覚しているのかどうか分からないが、カルナは今や、
自分から腰を動かしてさえいる。
緩み切った口の端から涎の滴を散らし、半泣きの瞼から涙の滴を垂らす。
井戸田が彼女の胸を揉んでいたのは幸いで、むしろそのお陰で、
彼女の体は何とか支えられているようなものだった。
これが無ければ、彼女は鏡に手を突く余力すら無くなっている筈だった。
「はぁっ! あっあんっ、はふっ、んぃっ! うふっ、ふわっ、は、アァアン!」
必で声を堪えようと口を閉じかけ、それが果たせず、我慢しきれず声を漏らす。
吐息も鼻息も荒々しくなり、本職のAV女優顔負けのアヘ顔を見せ付け、
カルナは絶頂へと上り詰めていった。
その、最後の瞬間。
吹っ飛びそうな意識に鞭打って、彼女は自分でも信じられない要望を口にした。
「体にィッ……かけてくらひゃいぃっ……!」
丁度同時にイキかけていた井戸田が最後の一突きをした瞬間、カルナの意識は爆ぜた。
井戸田はすぐさまムスコを引き抜き、コンドームを外した。
と同時に、もう擦ってないのに、堰を切ったように精子が迸る。
井戸田の放った白濁は、カルナの真っ白な背中を汚していった。

317 :
後にカルナは言う。
体にかけて欲しいと懇願した事自体、記憶に無いと。
ただ強いて言うなら、井戸田の精液をゴム越しではなく、
せめて背中でも胸でも顔でも、どこでも良いから生身で受けたかったのだろうか。
レイコはひっそりとそう見当をつけていたが、真相はもう分からず終いだ。
ただ、この日の撮影が終わった直後、カルナがこっそりレイコに、
次の企画を自分で考えて提案してきた事から見ても、
恐らくレイコの推測はそれ程的外れなものではない筈だった。
ピル服用の上での、中出し撮影。勿論男優は井戸田。
次回はそういうAVを撮影しましょうなどと、カルナの口から言われては、
さすがのレイコも苦笑してしまった。
ユーリに続いて、井戸田の虜になった女、二人目と言うわけだ。



終了

318 :


319 :
おっつおつ
ところでできればコテトリもつけて欲しいのう

320 :
乙です。
久々の投下うれしいです。

321 :
久しぶりに来たら投下されてた、乙です

322 :
ウオミーか会長の読みたいです

323 :
氏家もすっかり売れっ子漫画家の端くれになったなあ、濱中と思春期の両輪時代が遥か昔のようだ
マイナー気味だったからこそここが当時盛り上がったのかな?
あの頃の職人諸氏はどうしておるのかのう

324 :
皮肉なもんだ

325 :
>>317続き

『AV女優のあかほん』第五話
シホ編

326 :
改めて思うに、珍奇な光景だ。
音響機材の揃った部屋の中に、スク水姿の女子小学生、
メイド服姿の女子中学生、セーラー服姿の女子高生が揃っている。
これが学校ならまだ分かるが、生憎ここは芸能事務所。
小池マイの撮影したカルナのアヘ顔画像を全員で確認しつつ、
今は本日数度目になる小休憩の真っ最中だ。
「あ、ほらこの顔とか超キマってそうじゃない?」
シホの言う、この場においての「キマってる」は、
格好良いとか、可愛いとかいった意味合いでは、決してなかった。
いわゆる「キメセク」に代表される、薬物服用状態の暗喩だ。
カルナは決して薬物など投与されていなかったが、
つまりはそれだけ、彼女のイキ顔が淫らだったと言う事だ。
「黙って撮ってたなんて、酷いじゃないですか。油断してました」
ふくれっ面でカルナが不平を言うが、レイコとマイは素知らぬ顔だ。
こんな良い素材を使わなくてどうする、とでも言いたげだ。
小学生であるが故に、かなり痛い処女喪失となったユーリ。
痛みはそれ程でなかった代わりに、隠し撮りをされていたカルナ。
それに比べれば自分は大層マシなプレイが出来るだろうと、
シホは早くもタカを括っていた。
同じ処女でもユーリ程痛くはなかろうし、
マジックミラーに気をつければカルナのような目にも遭わない。
カルナがセックスしている間にとっくにメイド服を着直していた彼女は、
「さぁさぁ、ちゃっちゃとアタシの分も片付けちゃおっか」と、
すっかり気楽な面持ちで言った。
しかし、レイ・プリンセス社長の柏木レイコは、そんなに甘くなかった。
井戸田に対し、台本や指示を無視してカルナを抱けと言ったのは、前振りだ。
台本無しでも井戸田がちゃんと出来るのかを確かめる為の。
「ふふふ、シホ。何でこんな遅い時間に、マイを出勤させたのか。
 どうやらあなたには、まだ分かってないようね」
「……へ?」
シホだけではない。
レイコとマイ以外の全員が、今の言葉の意味が分からなかった。
芸能人には定時などという概念が無い。
マイが昼過ぎに出社した事など、誰も気に留めていなかった。
「実は今日、マイにはちょっとした大役を任せる予定でね。
 その労いってワケじゃないけど、せめて朝はゆっくり寝てるように言ったのよ」
「観念しなさいよ、クソ生意気な後輩め。
 百戦錬磨の私のテクで、ヒィヒィ言わせてやるからね」
悪魔みたいな顔で笑うレイコとマイに、シホは珍しく及び腰になった。
「な、何をやれば良いんひゅか……?」
「噛んでる場合じゃないわよ、シホ。
 今からアンタとマイとヒロ君に、3P実演して貰うから」

327 :
驚かされたのは、無論シホだけではない。
井戸田だって何も聞いていなかったし、三瀬も、ついでに小田もだ。
だがこういう場面でも流石は小田、彼だけ全く動じていない。
今までにもレイコの無茶振りに付き合わされた事は少なくないのだろう。
それを思えば、自分に被害の及ばない今回の指示など、何と言う事は無い筈だ。
そしてどちらかと言えば、井戸田にとっても、大した問題ではない。
むしろ棚ぼた的に、TBを遥かに凌ぐ人気アイドルともヤレるのだから。
一番被害が大きいのは、どう考えてもシホだった。
「いやいやいやちょっち待って! さすがにヤバイってコレ!」
「へぇ? アンタでも女同士ってのは抵抗あるんだ?
 そういうの、何とも思わない方かと思ってたのに」
確かに普段のシホを見ていると、レズプレイにも拒否感は無さそうに見える。
淫乱と言うわけではないが、物を知らなさ過ぎて、
同性愛は一般的には忌避されると言う、当然の常識が欠けてそうなのだ。
別に同性愛を悪い事だと頭ごなしに決めつけるつもりは井戸田には無かったが、
今回ばかりは少しシホに同情してしまう面も無いではなかった。
が、シホが嫌がっていたのは、実はマイと3Pをする事ではない。
ある意味ではその通りなのだが、少しニュアンスが違う。
シホは、マイそのものを嫌がっていた。プレイ自体が嫌なのではなかった。
「相手がカルナとかユーリとか、せめて社長なら良いよ!?
 でもマイはヤバイじゃん! 何かいろいろキツい事してきそうだし!」
自分がマイに好かれてない事くらいは、シホも分かっているらしい。
その理由の半分以上は、シホの態度の悪さと礼儀の無さが原因だったが。
「だいーいじょうぶだってば。せいぜい指で膜破るくらいに抑えるから」
「いやだからソレがキツいんだってば!」
「ヒロティーのおちんちんよりは細いし痛くないと思うけどねぇ」
「アホか! いくら私でも初めてはちゃんとしたいわボケ!」
「よくも先輩に向かってアホなどと……」
「あぁぁスイマセンごめんなさい謝りますからお手柔らかに!」
撮影前から、やたらに騒がしい組み合わせだった。
井戸田はただでさえ重かった気分が、更に陰鬱にさせられた気がした。
レイコとしても、何もシホを虐める為だけに、マイを呼んだわけではない。
たまたまこの日マイのスケジュールが空いてたのは好都合だったが、
どうせなら売れっ子アイドルも参加させた方が、売上が伸びそうだと思った。
勿論本命はTB三人だし、マイは一応オマケ扱いではあるが、
ジャケットの片隅にマイの痴態を少し載せておくだけでも効果は高い。
例えば、小池マイのファンだけれどもTBのファンではない、という客層に対して
コレクション用のAVの一つとして買わせる事も出来る。
それに付随して、これまでTBのファンでなかった者達が、
TBの魅力に気付いてくれれば、それはそれで美味しい。
逆に、滅多には居ないが、TBのファンだけど小池マイには興味が無い、
という層も、多少なりと確実に存在はしている。
主にロリコンの類だが、そういうファンにマイを魅力を伝える事も出来る。
「社長、よくここまで企画に凝りますねぇ」
「ウチみたいな中小は企画力で勝負しなきゃね。
 黙ってても売れる程、順調な経営状態ってワケじゃないんだし」
これまで育て上げてきた小池マイの人気は、今やトップクラスだ。
苦労して築き上げてきた彼女の魅力を、使わない手は無い。
敢えてマイの相手をシホにしたのは、シホの性格を見抜いた上での事だ。
他のTB二人はどうか知らないが、シホは独力でのし上がろうとはしていない。
隙あらばマイのバーター出演でドラマに出たがった程だから、
基本的には楽をしたがり、手を抜きたがる方なのだ。
「マイの人気に乗っかろう」などと、ユーリやカルナに持ちかけても、
シホ程すんなりとは納得してくれなかっただろう、とレイコは読んでいた。

328 :
既に散々AVをリリースしているマイに、今更自己紹介の撮影は不要。
服を脱ぐシーンすら飛ばして、彼女は最初から全裸で撮影室に入った。
建前ではマイはシホのオマケ出演なのだから、彼女の分に余計な時間は割けない。
そこはプロ意識で、マイも納得づくだった。
「台本は無いんだったよねぇ? ヒロティーはしばらく見物しててよ」
「えぇっ? じゃあ一体どうするんだい?」
マスオさんが驚いた時のようなイントネーションで、井戸田は問いかけた。
「まずは私一人で、シホを虐め抜くからさっ」
そんな会話が人知れずこっそり交わされていた事など、シホ本人は知らない。
いざとなったら優しい井戸田が助け舟を出してくれるだろうと信じ込んでいた。
「あのさ、先輩? 念の為一応聞くけど、女同士とか、平気な方?」
「他社アイドルとのレズコラボAVもこないだリリースしたからね。
 今更女の子の体舐め回すくらい、へっちゃらよ」
そう言うとマイは、いきなりシホを抱き寄せ、立ったまま唇を奪った。
「んむぅっ!?」
全裸のマイと、メイド服完全武装のシホ。
身長差もあって、この時点でもう、シホの方が押されているように見える。
直前の音声をカットしたとしても、視聴者もそう判断するだろう。
マイ自身の美貌と相まって、洋館のお嬢様がメイドを弄んでいるようにも思える。
「シホちゃん。舌出してごらん?」
マイは撮影用の営業スマイルと営業ヴォイスで、優しそうな声音で言った。
「ふぁ、あぁっ」
シホは反抗したかったが、マイの優しい声音とは裏腹に
無理矢理捻じ込まれる舌に、到底抗いきれなかった。
まさか噛み切るわけにもいかず、容易くマイの舌が滑り込むのを許してしまう。
「あっ、ふ、先輩ぃ……」
普段は下ネタに対して耐性のある、と言うより自分から下ネタを振るシホも、
背中に両腕を回されてがっちりとホールドされれば、さすがに焦るらしかった。
(シホって、こんな可愛かったっけか?)
傍で見ていた井戸田は、日頃滅多に見せない焦燥の表情を浮かべたシホに、
思わずそんな感想を抱いてしまった。
最初のオマンコ開帳処女膜公開シーン撮影から、どうもシホの調子が狂っている。

329 :
初対面の時から舐めた態度を取られていたマイは、
シホに対して手心を加える気が全く無さそうだった。
マイも決して腕力のある方ではないが、体格の差でシホには勝てる。
彼女はシホをソファの上に抑え込むと、一旦唇を離した。
「うふっ。シホちゃんのファーストキス、貰っちゃったぁん」
相変わらず恐ろしい程の営業スマイル。
「しくしく……私のファーストキスが、こんな煙草臭いなんて……」
やはりこの音声もカットだ。
マイは成人とは言え、イメージは大事だから、喫煙者だと思われるのは避けたい。
TBの撮影をしている筈なのに、シホのうっかり発言のせいで、
マイの事にまで気を回さねばならないのは、井戸田にとって頭痛の種にはなった。
「女同士のキスなんて、ノーカンで良いじゃん。
 あとでヒロティーがちゃんとしたファーストキスしてくれるって」
「ぐすっ……本当かよぉ……」
期待と不安の入り混じった目で、シホは井戸田を見つめた。
井戸田の方は先程からずっと部屋の隅で立ち尽くしていて、
今すぐにシホのカバーに入ろう、と言う気が無いのは丸分かりだ。
指示だから仕方ないが、井戸田は困ったように苦笑いするばかりだった。
「さぁさ、シホちゃん。私達事務所の先輩後輩が、どんなに友情を結んでるか。
 ファンの皆さんに見せつけてあげなくっちゃね」
誰がお前なんかと友情結んでるかボケ、とシホが反論する間もなく、
マイはシホの唇の中に、自分の乳首を突っ込んだ。
「むぐっ!?」
仰向けになったシホの上にマイが覆い被さっているので、
シホの姿は殆どが隠れてしまっているようなものだ。
主役がTBなのにこんなんで良いのか、とは思わされるが、
視聴者としても着衣セックスを延々と見せ付けられるより、
途中でTBメンバー以外のアイドルの全裸が余す所なく映されるのも、
それはそれで嬉しいかもしれない。
メインであるシホ自身はまだ脱いでいないのだから、
「途中で脱ぐなど言語道断!」と考える真の着衣セックスマニアでも、
まだこの程度なら納得出来る範囲の筈だった。

330 :
「ずっ、じゅるっ、ちゅぅっ」
腹を括ったのか、シホはマイの乳首を赤ん坊のように懸命に吸い始めた。
その上で四つん這いを崩したような体勢になっているマイが、
恍惚とした表情(の演技)をしている。
「はあぁっ……シホちゃん、上手ぅ……」
勿論これも演技だ。シホはただ乳首を吸っているだけで、舌技は一切使っていない。
シホを立てたり褒めたりするのは癪なのだろうが、そうする事でシホ人気が上がり、
会社としての利益が上がるならそれも良し、とマイは考えているのだろう。
処女のシホにテクがあるなどと視聴者に思われては困るが、
女同士だから気持ち良い吸い方が分かるんだろう、と解釈出来ない事も無い。
それに乳首は男性にも存在するパーツだ。
今後TBがファンを相手にセックスする際も、乳首を舐められたがるコアファン相手に、
リピーター率を跳ね上げさせる事が望めるかも知れなかった。
けれども現実問題として、シホの拙いテクでは、マイは感じられない。
物足りなさを補いたいのか、彼女はシホに吸わせているのとは逆側の乳首を、
自分の指でクリクリと弄り始めた。
その様子は、シホからは横目に、かつ間近に見える。
マイの指の動きをみて「そうか、転がせば良いんだ」と気付いた彼女は、
吸うだけだった単調な攻めを止め、舌でマイの乳首を転がし始めた。
「どぉれふかぁ、先ぱぁい? きもひいい?」
「とぉっても良いわよ、シホちゃん。良い後輩を持ててシアワセ」
また随分派手な嘘をマイはついたものだ。
シホの事を「良い後輩」とも思ってないし、「シアワセ」とも思ってないくせに。
あまりにもマイばかりが気持ち良くなっていても仕方がない。
主役はあくまでTBだ。
その事を弁えていたマイは、そろそろ攻守を交替する事にした。
実情は逆なのだが、見た目はとりあえずシホの方が攻め側だった今までと違い、
ここからはマイが完全な攻め側に転じる番だった。
そしてここからが、彼女の本領発揮だった。
「そいじゃ、脱ぎ脱ぎしましょうねぇ」
手際良くシホのメイド服を脱がしていくところを見ると、
マイもメイド服を扱った事があるのかも知れない。
マイの全出演作は一応井戸田もレイ・プリンセス社員として確認していたが、
その中にメイド服を着ているものが、そう言えば一つあったな、と思い出す。
ものの数分で、シホはヘッドドレスと白ニーハイのみという格好になった。
もう少しゆっくり脱がせば煽情的だっただろうが、
それは既に最初の処女膜撮影でやっているから、この際不要だ。
大事なところが上下ともに曝け出されたシホを、マイは鮮やかに責め立てていった。
「ふぁっ、あっ、あぁっ!」
乳首をそれぞれ舌と指先で。
マンコを余った方の手の指で。
三点同時波状攻撃を受けたシホは、為す術無く堕とされていく。
マイの方とは違い、シホには全く演技をする余裕が無かった。
つまり、演技無しの、素で、この感じ方だ。
歳の割に経験豊富なマイの手練手管は、シホを突き崩すには十分足りた。
これが本当の乳首の舐め方よ、と言わんばかりに、シホの乳首が虐め抜かれる。
気持ち良いオナニーの仕方を教えてあげる、とばかりに、マンコが蕩かされる。
マイはシホのクリトリスを、ボタンでも押すかのように、
人差し指の腹でトントンと断続的に叩いていた。
垂れ流される愛液が、シホのアナルまで濡らしているのが、
小田の構えたカメラには余すところなく収められていた。
だが当然ながら、この程度でマイが虐めを止めるわけが無かった。

331 :
「それじゃ、シホちゃん。ファンの皆に、オナニーサービスしなきゃね?」
まるで最初から台本にはそう書いてありますとばかりに、
当たり前のごとき自然な口調と表情で、マイはそう言った。
思わず井戸田が「え、あれ?」と呟き、レイコが「ほう」と感心する。
「そ、んな、オナニーとかっ……恥ずかしいです、先輩……」
よく言うわ、いつも部屋では私達の前でもオナニーしてるくせに。
カルナがそう毒づいた横で、三瀬が「あわわ」と慌てふためく。
けれどもマイにノセられていたシホは、戸惑いながらも、
覚悟を決めてしまうのは意外と早かった。
大体、既に自分の指でマンコを広げてドアップで映したシホにとっては、
まだオナニーの方が余程気が楽な部分も、ある面ではあった。
やりようによっては、自分の手でマンコを隠せるからだ。
彼女はソファに普通に腰掛け直し、両脚をゆっくり広げ、
乳房とマンコとを、同時に撫でまわし始めた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
手の動きも控えめなら、漏れ出る吐息も控えめ。
まだこれなら、先程マイに責められていた時の方が、声も動作も激しい。
しかしだからこそナチュラルな艶めかしさがあり、
井戸田は触れてもいないのに、剥き出しの愚息から汁が先走るのを感じた。
シホは事ここに至っても商売根性を忘れていないのか、
それとも冷静さを失っているのかは定かではないが、
小田がカメラを胸に近付けるとしっかり乳首を引っ掻き始め、
カメラが下腹部に近付けば指先を浅く出し入れし始めた。
まだ処女膜のある彼女は、思い切って指を根元まで入れるなど出来なかったが、
出来る範囲で自分で気持ち良い所を探っている分、愛液の滴り方は増してきた。
今やソファの上に五百円玉サイズのマン汁の池が出来上がる程だ。
「そろそろ、本気出しちゃおっかなぁ」
悪戯っぽく、マイが笑った……いや、ほくそ笑んだ。
マイはソファに腰掛けるシホの前まで戻ると、おもむろに床に両膝を突いた。
「はっ? ちょっ……」
すぐに危険を察知したシホが躊躇いを見せたが、お構いなしだ。
マイはむしゃぶりつくように、シホにクンニを開始した。
「ひゃわぁあっ!? はっ、はぁっ!」
クンニとなると、シホのマンコがカメラからは捉えにくい。
だがクンニしている側も女性だから、これはこれで面白い構図だ。
男がクンニしているのならただ邪魔なだけだが、女神同士なら芸術になる。
大股開きで喘ぐニーハイ装備シホの股間が、マイの後頭部の向こうで、
どんな風に弄り回されているのか、視聴者は大いに想像を掻き立てられるに違いない。
慌ててシホは、マイを引き剥がそうと、マイの頭に両手を当てた。
そのまま渾身の力で押し返そうとするも、力が入らない。
傍目には、マイの舌をもっと押し付けようとしているようにも、
感じ過ぎてつい逃げようとしているようにも見えるから、
そこはやはり見る者の都合の良い妄想次第で、どうとでも脚色される。
井戸田からすら見えない位置で、マイは舌をX軸にもY軸にも、Z軸にも動かした。
じゅぱっ、れろれろれろ、ちゅうーっ。
擬音にしてしまえば実に間抜けだが、まさしくそうとしか言い様の無い音が、
マイの口とシホの膣との接触部分から漏れ出ている。
何をしているのか、何をされているのか、本当にイメージだけの世界だ。
やがてシホは、本来予定に無かったアクメを、ここで迎える事となった。
「はっ! あっ! あっ! あ、もっ、ヤメっ……!」
シホがイっているのにまだ止む気配の無いクンニが、
中学生女子の体を拷問のように痙攣させ続けた。

332 :
計画の第一段階は終了。
まだしかし、マイはこの先も更なる快楽地獄を、マイに用意していた。
「それじゃ、ヒロティー。こちらへどうぞ?」
ようやく出番か、待ち侘びたよ。
そう言いそうになるのを、井戸田はぐっと堪えた。
ようやく、シホに挿入する事が出来る。その期待で胸がパンパンだ。
今回の仕事では、マイには手出し出来ないのは惜しいが……
と思っていると、マイは意外過ぎる提案を、井戸田に投げかけた。
「ここに寝そべって、ヒロティー」
「え、俺が? って事は、騎乗位?」
「そう。騎乗位と、顔騎の、とっておき大サービス!」
……え?
誰もが(レイコまでもが)思わずそう呟いた。
「だってぇ、男優の顔面なんか見たって、ファンは面白くないでしょお?
 だから美少女のお尻で、そこを巧みに隠さなきゃ、ね?」
「あぁ、そういう……。3Pっててっきり、もっと違う体位でやるのかと思ってたよ」
脚本では最終的にTBメンバー全員と4Pする予定の井戸田だが、
騎乗位はその時に行う予定だったので、シホ&マイとの3Pでは、
もっと構図の違う体位をするものだとばかり思っていた。
先にこんな場面で騎乗位をしてしまっては、画面が単調にならないだろうかと、
一男優のくせについつい心配してしまう辺り、
彼もマネージャーである矜持を捨ててはいない。
兎も角井戸田は素直にソファの上に仰向けになり、
コンドームを嵌めて、女達を迎え入れる体勢を整えた。
「うっ……い、今更だけど、何か怖くなってきた……」
貫通に臨むシホは、半泣きになっている。今日は彼女のよく泣く日だ。
ところがここで、マイは思いもよらぬ事を言い出した。
「あら、マイちゃんはこっちよ? 美少女の顔騎でヒロティーの顔隠すつったでしょ。
 二十歳の私は、美しいのは事実だけど、もう少女じゃないもの」
「へ? って……えぇっ!? アタシが顔騎ぃ!?」
これもまた、レイコの予定に無い、マイのアドリブだった。
「私もいっぺんヒロティーとヤってみたかったのよねぇ。
 カレって結構優しいトコあるし。役得、役得」
あ、またライバルが増えた。
ユーリとカルナは同時に対抗心を燃やした。

333 :
破瓜が先送りになったのは良いが、順番を抜かされると、
女として後回しにされた、という悔しさがシホにもあった。
これこそが、マイのシホ虐待計画第二段階、その骨子だった。
シホはこれから、欲求不満の腰を振りつつ、
他の女のナカで喜ぶ井戸田を、股ぐらに置き続けなければならない。
しかもシホ自身、さっきイったばかりだ。
イった直後のクンニは、彼女に更なる快楽地獄をもたらす。
ある意味では、イった直後で本番をするより、まだ優しいと言えば優しいのだが。
「ふっふっふ。ヒロティー、覚悟!」
戸惑っているのは、シホだけではない。井戸田も同様だ。
こんなアドリブはレイコに叱られるのではないかと、気が気でない。
しかしすぐ隣の部屋に居るレイコが駆けつけてくる気配は無いから、
これはこれでOKの判断が下された、という事だろう。
そんな事を考えていた井戸田の股間に、マイは遠慮なく照準を合わせた。
「マイちゃん、入れられる状態なのかい?」
「あたしぃ、やらしいカラダしてますからぁ。クンニしてただけでもうトロットロ」
これも視聴者に対するさり気ない自己アピールだろう。
大した前戯も無しにすぐに楽しめる女ですよ、と言っているのだ。
「ヤリにいけるアイドル」が軌道に乗り、TB以外のアイドルも同じ路線を突き進めば、
その時は自分こそが一番人気になれるように、という目論見に違いなかった。
そして確かに、マイの股間はもうズブ濡れだった。
今日の撮影が始まって一番のスムーズな挿入を、井戸田は味わった。
「うぉ、おっ、これっ! ヌルッって入って……」
「アン! あぁ……この、入れた瞬間、いっちばん好きぃ……」
シホもこうなっては指を咥えて見ているわけにはいかない。
気に食わないが、今は顔面騎乗位を精一杯頑張るしか無かった。
「失礼しまーす……」
躊躇い気味に、井戸田の顔の上を跨ぎ越し、慎重に腰を下ろす。
鼻先と唇が柔らかい肉に触れ、シホはテンパりそうになった。
その緊張を誤魔化す為に、ついつい言わなくても良い事を言ってしまう。
「こ、この体勢でオナラしたら、ヒロ君大打撃だりょね」また噛みやがった。
「お前な、いらん事言ってると後でお仕置きするぞ」
「もう十分お仕置きされてるレベルの辱めなんらけど……」またしても噛む。

334 :
遊び人の風格漂うマイは、かなり開発されているようだった。
今までに何人の男と寝たのか、そもそも何歳で初体験を済ませたのか、
そんな事はスタッフの誰も知らないし、いちいち聞いた事も無い。
少なくとも、初出演のAVの自己紹介で語った
「経験人数は一人だけですぅ」が、本当なわけがない事だけは確信出来る。
AV出演を果たす前から、何人もの男と愛し合った事があるに違いなかった。
この美貌なら、周りが放っておく筈が無いのだし。
マイは垂直上下運動のみならず、角度を変えたり、グラインドしたりと、
下半身に実に様々な表情を付け加えていた。
「はぁぁここキクっ! 良いトコに当たるぅんっ!」
「くあっ……マ、マイちゃん、思った以上にっ……野性、的っ……」
井戸田は無遠慮なマイの腰使いに、思わずたじたじになっていた。
一方、シホも主役を盗られまいと頑張ろうとする。
しかし騎乗位に対し、顔面騎乗位は、そこまで強力に主導権を握れはしない。
男の側がどう舌を動かしてくれるかに、快感が大きく左右される。
彼女に出来る事は、少しでも感じる角度を探り、腰を前後するだけだった。
井戸田の鼻が、舌が、ビラビラの表面を擦ってくれるのが、心地良い。
何度かはこっそり、勢いでアナルまで舐めさせていた。
「ふっ、うっ、イっ……イ、った、ばっかで……敏感……らぁ……っ」
肉付きの拙い少女の体は、表面上はもう落ち着いているとは言っても、
陰唇の方はまだ断続的な微振動を繰り返すかのようにピクピクしている。
そこ自体が呼吸しているかのように、膣穴は収縮を繰り返す。
その穴から粘性の涎がダラダラとこぼれ、井戸田の顔をビシャビシャにしていく。
勿論されるがままではない井戸田は、舌を伸ばしたり揺らしたりして、
丹念にシホを虐め続け、彼女を焦らし続けた。
たまに舌の動きをピッタリ止めてやると、何とか快感を助長させたいのか、
シホの方から腰のスライドを少しばかり熱心にし、彼の鼻に膣を擦りつけてくる。
握ろうとして握れない主導権を、それでも何とか握ろうとするのが可笑しい。
初体験、無修正AV撮影という特異過ぎる環境に、平生の天真爛漫さを奪われ、
その上マイに翻弄されているせいで、頭が快楽の事で一杯になりつつあるようだ。
たまに井戸田が舌先でクリトリスを押し込むようにしてやると、
嬉しそうに「ひゃあっ! ソコぉっ!」などと喘いでくれる。
程なくして、
「はぅっ、アッ、も、らめへぇっ!」と、シホが。
「っくぅ〜……キタぁ〜……」と、マイが。
二人はそれぞれ、絶頂に達したらしかった。
井戸田の方はと言うと、もうすぐでイケそうなところだったのだが、
今日だけで何回も射精しているので、ギリギリもちこたえていた。

335 :
井戸田が射精に至らなかったのは、撮影としては正解だった。
もしここで井戸田が射精していたら、
そのシーンはカットしよう、とレイコは考えていた。
マイによる乱入はレイコの判断ではあったが、主役はあくまでTBなのだから、
マイが主役を食ってしまうような事になってしまっては目も当てられない。
「はぁ……あぁ……結構……本気でイっちゃった……」
いつものAV撮影なら演技で絶頂を演出しているマイだ。
それは彼女に限った事ではなく、AV女優は大抵そんなものだ。
しかし今回ばかりは、井戸田との相性が良過ぎたのか、演技抜きでイってしまった。
「騎乗位でイケたのって初めてかも。やるじゃん、ヒロティー」
「……殆ど何もしてないんだけどなぁ、俺」
言う通り、井戸田は彼女のテクに軽くヒいていただけで、自分からは動いていない。
彼もまた、主役がマイではない事、
マイ相手に本気を出してはいけない事を理解していた。
彼が本気を出すべき相手は、今はシホだ。
けれどもそのシホは、本番前に二度もイカされ、少しクタクタになっていた。
「ちょ……タンマ……。休ませて……」
彼女の心は、男と快楽とを求めて止まない状態だ。
けれども体の方は、今すぐに行為に及ぶにはあまりにも疲弊していた。
休まず二度連続でイカされたのだから、無理からぬ話だ。
だがここからが、マイのシホ虐めの真骨頂だった。
「休んでる暇なんか無い無い。時間押してんだから、ちゃっちゃとする!」
「はぇ……? い、いや……さすがに、厳し……」
「問答無用」
マイは井戸田の男根を自分の鞘から引き抜くと、
慣れた手つきで予備のコンドームを手早く着けてやった。
イク寸前で止まっていた井戸田のモノは、まだ十分に硬直している。
マイはゴムをつけ終えると、床の上でぐったりしているシホの背後に回った。
「アンタらこの後4Pもヤルんでしょうが。こんなトコで時間食うなんて馬鹿らしい」
「わ、分かったから……あんま、急かすなよぉ……」
シホはとても、今すぐ起き上がれる状態にはないように見える。
普通の女だったら、イった直後にぶっ続けと言うのは、かなり厳しいだろう。
井戸田は学生時代、当時の彼女と一晩中ヤリ続けたせいで、
翌朝相手の腰が立たなくなってしまい、文句を言われた経験があった。
「あのさ、五分くらい休ませてやれば……」
「あぁーら、ヒロティーはそれで良いの?
 今すぐヤリたくて仕方ないんじゃないのぉ?」
「うっ……そ、それは……」
しどろもどろになる井戸田を無視して、マイはシホの両脇を下から抱えた。
「ひゃわぁっ!?」
二度もイカされたばかりのシホの体は、一時的に全身性感帯となっていた。
手を握られるだけでも、感覚が飛んでしまいそうだ。
虐待作戦がうまくいっているらしい事に、マイはひっそりほくそ笑んだ。
ここからがシホのセックスの本番であり、マイの計画の本番でもあった。
「ふっふっふ。このまま入れたら、さぞかし辛いだろうねぇ?」
「……ま、まさか最初からそれ狙いで……」
「あったりぃー」
無理矢理立たせたシホを強引にソファの上に押し戻すと、
マイはシホを井戸田の下半身の上に跨らせた。
「いやちょい待ちちょい待ち今マジでヤバイんだってば本当に!」
「かえって良かったじゃん。処女膜破れる痛みが、快楽で吹っ飛ぶかもよ」
「こ、こらっ! 体を抑えつけんな!」
「先輩に向かってその口の利き方は何かなぁ?」
この辺の音声は多分丸々カットされるとして、
それでもシホの慌てぶりは映像にしっかり収められる。
視聴者は無音の世界で慌てふためくシホを見て、どんな空想を膨らませるだろうか。
破瓜を目前に戸惑うシホを、マイが先輩として導いているように?
それとも、事実そのまま、マイがシホを虐めているように?
それもまた、見る者の想像で無限大に補われる部分ではあった。

336 :
中々凄い光景ではある。
ソファの上で仰向けになった井戸田の腰の上に、今、二人の女が跨ろうとしている状態。
膝立ちになったシホの膣は、井戸田のペニス先端まで後ほんの数センチと言う位置にあり、
逃げられないように背後からマイがシホを羽交い絞めにしていて、こちらも膝立ちだ。
マイの両脛が、丁度シホのふくらはぎを上から抑えつけている。
マイは羽交い絞めのままで両の掌に力を込め、
シホの肩を上から無理矢理押し込もうとする。
つまりはそのままシホに男根を挿入させようとしているポーズだ。
同意の上ではあるし、撮影の義務もあったし、男である井戸田より
女であるマイの方が強要してきているという違いもあったが、
シホにとっては半分レイプのような気分ですらあった。
「やっ……ヤメて……ヒロ君っ……」
「俺何もしてないんだけど」
「往生際が悪いわよ、シホちゃん」
膝に力が入らないながらも、それまで頑強に抵抗していたシホだったが、
とうとう井戸田の先端が膣に触れ合う距離になった途端、
何かに触発するかのように、体の方は激しく反応してしまった。
「ふぇやぁあんっ!?」
自分でも不思議な状態だ、とシホは思った。
全身がビクンと跳ねる程反応しているのに、逆に全身から力が抜ける。
足腰から力が抜けて、そこからはあっという間に、マイに押し込まれた。
「おっ! あぁっ! かはっ!」
ストン、というくらいの呆気なさで、とうとう彼女の腰が完全に落ちる。
処女膜の抵抗は、重力と体の重み、そして井戸田自身の硬さで強引に引き千切られた。
「いっ、いぃっ!? あ、はぐっ……」
下半身から流れ出る血の筋を気にする余裕も無い。
痛みはあったが、それよりむしろ、シホの体は途方もない快感に苛まれていた。
「あらあら。三回目、もうイっちゃったみたいね」
悪戯っぽくマイが微笑む。
既に二度イっていて敏感になっていたシホの体は、入れただけで絶頂に達してしまった。

337 :
「おっ……おね、が……い……」
シホは息をするのも苦しくなりながら、懸命に懇願した。
「やしゅませ、て……」
「……って、言われても、これはっ……!」
井戸田はオートで動き出しそうになってしまう、自身の体が恨めしかった。
マイのも良い具合だったが、シホの処女穴もまた、狭くて温かくて、心地良すぎる。
身軽とは言え、女性二人分の体重が下半身にのしかかっている井戸田は、
普通の騎乗位より更に動きにくいにも関わらず、それでも何とか上下動を試みた。
いや、体が勝手に動こうとしていた。
殆どピストンらしいピストンも出来ない程だが、その分ストロークが浅く、
翻っては常にシホの子宮口を突き続けられるような状態でもある。
とっくにシホの顔騎によって顔中がマン汁でベトベトになっていた彼は、
その情けない顔を紅潮させ、液体まみれの口から息を漏らしながら、
がむしゃらに腰を動かし続けた。
「あっ! アッ! む、りっ! ヤっ、めてっ! おねっ、がっ!」
シホはもう挿入段階からずっとイキっぱなしだった。
愛嬌のある顔は歪みまくり、涙はボロボロこぼれ、
大きく開け放たれた口から舌を突き出して涎を飛び散らせる。
もう少しで白目を剥いてしまいそうな程、目は蕩けきっていた。
こういう表現はシホに悪いが、「ラリっている」ようにすら見える。
「ほぉれ、クリクリクリっ、と」
マイはシホに背後から抱きついたまま、シホのクリトリスを弄り回した。
ただ指をそこに置いているだけでも、上下する腰の動きに合わせ、陰核が擦れる。
その上で更に意図的に弄り回しているのだから、シホの方はたまったものではない。
シホに対するマイの後輩イビリ作戦は、もうこれで完遂されていた。
イキまくり地獄による、理性の崩壊。
本来気持ち良い筈の「セックス」が、脳をズキズキと攻撃し続ける。
「うあっ、あっ、かっ、ヒィッ、んえあっ、らめっ、おぁっ、ンアッ!?」
女性の絶頂は男性のそれと違い、感じている時間が長い。
しかしそれを差し引いても、今のシホは、もう六回はイっているような状態だった。
井戸田に挿入されてから、まだ二分と経過していないにも関わらず。
「くっ……ヤベ、俺もう出るっ!」
イキ続けるシホの下で、井戸田は耐えきれず、精液を迸らせた。
「あぁあっ、あっ、うぁ、は、あぁがっ、んういぃあ、あぁああ、あっあ……」
コンドームの中に白濁が蓄積されていく、ドピュ、ドピュという感覚すら、
シホにとっては終わりを意味するものではなく、
むしろ責め苦の継続、駄目押しの後押しにしか感じられなくなっていた。

338 :
こうして、TB三人の処女貫通劇は終わりを告げた。
シホが会話すらままならない程疲弊していたので、撮影予定は急遽変更され、
4Pは明日改めて撮り直す事が決められた。
床の上でぐったりしながらピクピクと活造りのように打ち震えるシホには、
その後たっぷり三十分は、誰も触れられなかった程だった。
「ふぅ、スッキリした」
一人マイだけが、後輩虐めが成功した事に満足していた。
「シホ、生きてる?」
「シホちゃん、大丈夫?」
カルナとユーリがそれぞれ仲間の顔を覗き込む。
が、そんな声かけにすらシホが反応出来るようになるにも、大分時間がかかった。
息はあるし、起きてもいるのだが、意識が殆ど吹っ飛んでいたせいだ。
「これだけでもかなり売れそうな画が撮れたわね。
 TBのサクセスストーリーは前途が明るいわ」
結構な無茶をしでかしたマイを咎めたてる気配も無く、レイコは笑った。
「あ、あの、井戸田さんの方は大丈夫ですか」
「大丈夫っすよ、三瀬さん。さすがに疲れましたけど、シホに比べりゃマシです」
汗だくになった井戸田は、撮影予定の変更に伴い、
今すぐシャワーが浴びられる事に、まずは安堵していた。
ただ、マネージャーとして、シホがにかけている事は気がかりだったが。
「ぜっ……たい……ブッ……、す……」
どうにかシホがその言葉を口にした時、レイコと三瀬は
「お陰で良いAVが出来た」だの「あなたのファイトは殊勲賞モノ」だの、
あらん限りのフォローを投げかけていた。

終わり

339 :
終わったのか乙

340 :
乙です。
長編楽しませてもらいました。

341 :
投下祈願あげ

342 :
クリスマス投下は無かったのか…

343 :
投下します。

そう言えば、と思い出す。
小学校を卒業し、地元の中学校に進学して、すぐの頃。
環境の変化に馴染めなかったのか、勉強が難しくなったからなのか、
小学校の頃は元気に登校していた級友が、中学一年生の四月か五月辺りで、
いきなり不登校になったという事例を、たまさか見かけたものだ。
いや、登校しなくなった者に対して「見かけた」と言うのは
文法上は誤りだろうから、こんな事では先生に叱られそうだけど。
先生か。
早くも懐かしいな、先生。
濱中先生と、あとついでにどうでも良いけど、中村先生。
あの頃俺の周りは、この二人の女教師達のせいで
下ネタだらけだったけど、今に比べるとまだマシな方だ。
高校進学したての一学期終了間際の現在、俺の環境はあまりに変わり過ぎた。
今なら不登校になる生徒の気持ちが痛い程よく分かる。
俺だってこんな環境、逃げ出したくってたまらな――
「なぁよぉ小久保ぉ。聞いてくれよ!」
小久保マサヒコの思考は、突如割り込んできた声に中断を余儀なくされた。
「俺昨日とうとう十人目突破したぜ! スゲェだろ!?」
「あぁ、うん、そうだな」
「何だよその反応の薄さ。お前いっつもタンパクだよなー」
「そうかな」
そうかな、とは言ってみたものの、実の所マサヒコには、
自分がタンパクで素っ気ない反応をしている事に、十分な自覚があった。
そもそも意図的に素っ気なく対応しているのだから当然だ。
彼とて別に相手が憎くて、こんなスポンジのような
手応えの無い反応をしてやっているわけではない。
ただ、下らない猥談から一秒でも早く切り上げる為には、
相手がこちらに関心を失ってくれるように振る舞うのが、結局は近道なのだった。
「あーヤメとけって、脇役A。小久保はそのテの話、苦手なんだから」
「まさかとは思うけど、小久保がEDって噂マジじゃねーよな、脇役B」
「そりゃ無いんじゃね? 一応彼女が居るらしいし、それに……」
それに、何だ?
マサヒコは思わずそう呟いてしまいたくなる程、
脇役達の言葉に「イヤな予感」が迸った。
「小久保にゃ的山って言う、『二人目』が既に居るじゃんよー」
ほら、やっぱり……とマサヒコは誰にともなく囁いた。
何が二人目なものか。的山はただの友達だ。
女子を「撃墜数」でしか数えられない連中とは、もう付き合い切れない。
これなら、登校しない方が余程マシなんじゃないだろうか。
そんな事を、つい真剣に、マサヒコは考えてしまっていた。

344 :
生徒にとって本来休み時間と言えば、オアシスのようなものだ。
授業と言う砂漠から逃れ、一息つける心の安らぎ。
分からない問題で運悪く先生に差されて恥をかく事も無ければ、
起立して延々と英文を朗読させられる事も無い、安息の時。
普通なら流行りのアイドルだとか、昨日の野球中継だとか、
ドラマ番組の顛末だとか、最新の携帯電話の機能の話で盛り上がるのが、
高校生の過ごす休み時間の、恐らく代表的な流れだろう。
少なくとも中学の頃はそうだった。
そればかりか高校に上がってすぐの頃までは、確かにその通りだった。
入学したての四月の頃は、スマートフォンを持っている友人が羨ましがられ、
自分の家はまだガラケーまでしか許可して貰えないだとか、
バイトで金を貯めてアイフォンが欲しいだとか、そんな事を話していた筈だ。
新しい環境にも比較的すぐに馴染めたし、新しい友人も五、六人は出来た。
中間テストが終わったその日等は、男友達と連れ立ってカラオケに行った事もある。
そこに、女っ気というものは微塵も無かった。
強いて言えば、メンバーの中で唯一の彼女持ちであるマサヒコだけが、
妙に友人達から羨ましがられ、時には軽く妬まれたりした程度だった。
そんな友人達が、今や、どうだろう。
中間試験の頃から僅か二ヶ月と経ずして、すっかり変わってしまった。
俺にもとうとう彼女が出来たぜ、ぐらいの話題ならまだ可愛い。
しかし友人達の話題は次第にエスカレートし、今では耳を塞ぎたくなる程だ。
やれ、昨日は何組の誰とヤっただの、今日はナントカ女子校の子とお泊りだの。
これが、大人の階段を上ると言う事なのだろうか?
これが、中学生と高校生の違いだと言う事なのだろうか?
そんな馬鹿な。
高校に上がった途端に猿みたいにセックスに興じ始めるタイプの人間が、
全く居ないとは思わないにせよ、いくら何でも、
そんな人間が五人も六人もいっぺんに増えるなんて、想定外過ぎる。
と言うより……五人、六人なんてレベルじゃない。
一言で言えば、周りの同年代の人間全て、男女分け隔てなく、だ。
「ねぇねぇ小久保君。小久保君のアソコって、結構大きい方?
 私、小久保君とも一度寝てみたいかも!」
「……脇役Cさん。あんまり女子がそういう話をするのは良くないんじゃないかな」
「えー? 小久保君、古いなぁ。もうそういう時代じゃないってば、アハハ」
おかしい、いくら何でもおかしい。
何で休み時間になる度に、誰も彼も、平気で猥談に興じるようになったのか。
こういうのはせめて、気の知れた少数の、ごく一部の友人と、
異性の目につかぬ所でひっそりと交わすものじゃないのか。
それがどうして、別に大して話した事も無いような女子から、
突然愛刀のサイズについて聞かれなきゃいけないんだ。
今やマサヒコにとって、猥談攻勢を仕掛けられる事の無い授業中の方が、
休み時間より遥かにオアシスになってしまっていた。

345 :
「小久保君は未だにそういうの苦手なんだねー」
クラスの連中から卑猥感満載の話題を持ち掛けられるのが嫌で、
何かと理由をつけて教室から逃げ出し、退避した先は屋上……
とはいかず、屋上に繋がる鉄扉の手前の、薄暗い階段だった。
屋上のドアは平生は鍵がかけられている。
いつでも誰でも開けられる程、現実の学校の屋上はガードが甘くない。
そんなのはアニメの中だけの話だ。
「未経験のくせに耐性のある、お前の方がおかしいんだよ。的山」
呼んだ覚えは微塵も無かったが、途中の廊下で後姿を見かけられたらしく、
的山リンコがマサヒコの背を追って来ていた。
彼女とて別段何の用があるわけでもなく、本当に、
ただマサヒコを見かけたから声をかけに来ただけ、といった具合らしい。
「でもでも、こうして人気の無い場所で二人きりで居ると、過ちとか犯しそ――」
「無い。有り得ない」
ピシャリと言い放ち、マサヒコはリンコの妄想を断ち切った。
せっかくクラスメイト達の下ネタから逃げて来たのに、
どうして逃げた先でまで下ネタに晒されねばならないのか。
「でもホント、中学の頃とは違うよねぇ。皆の話題と言えば、えっちな事ばっかり」
「そういうのいい加減疲れるんだよ、マジで。もう学校来たくなくなるくらい」
「大袈裟だなぁ。私達はそういうの、中学の頃に慣れてるんじゃないの?」
「あぁ、濱中先生や中村のせいでな。あとお前も軽く戦犯だけど」
自分の周りの女が、天野ミサキや若田部アヤナのような、
真面目な者達しか居なかったなら、どんなに天国だっただろうか。
マサヒコは現状を鑑み、項垂れる他無かった。

346 :
急激な変化と言うものは、誰にでも起こり得る。
進学、卒業と言うのは、その最たるものだろう。
だが学生にとって何より代表的な変化のきっかけは、
一般論的には、夏だ。
夏休み明け、それまで黒髪だった筈の女子が髪を染めて登校して来るとか、
ひと夏のアバンチュールを経験してスレ始めるとか、そういう話はよく聞く。
中には、それまで童貞や処女だったくせに、何かに目覚めたように
ヤリチン、ヤリマンに変貌してしまう者も、少なからず居るのは事実だろう。
だがそれらの変化が起こるのは、あくまで夏、というのがセオリーだ。
「そりゃ夏でなくたって、変わる奴は変わるんだろうけどさ。
 いくら何でも、一学期の途中なんて中途半端な時期に、
 しかもクラスの人間の大半が一斉に変わるなんて、有り得なくないか?」
「クラスの大半が、じゃないってば。今時はもう、日本中だよ、日本中」
そうなのだ。
若人達が突然、性に対してオープンになり過ぎたのは、マサヒコのクラスだけではない。
リンコの言った通り、日本中のおよそ農村部等を除いた殆どの町、
しかも高校生どころか三十代以下の男女の殆どの人間が、変わってしまったのだ。
まるで、セックスが今の流行であるかのように。
結局高校から逃げても、どこに行ってもこの風潮は変わらないと諦観したからこそ、
マサヒコはまだ辛うじて不登校にならずに済んでいた。
「うちのクラスも凄いよー? 人前で平気でキスしてる子居るし。
 しかもその二人、別に付き合ってないのにねー」
「セックスフレンドが男女の友情の当たり前の形になるなんて、
 ほんの数ヶ月前までは予想もしてなかったぜ……やれやれ」
「やれやれ、なんて言ってると、ラノベの主人公みたいだよ?」
「らのべ? 知るか畜生。何だって日本はこんな住みにくい国になったんだ」
聞かなくても分かる。
どこの誰のせいで、日本の若者達がフリーセックスに興じるようになったのか。
だがそれでも、不平は口をついて出ずにはいられなかった。
「小久保君なんかまだ良い方だよー。女の子から誘われたりもしてるんでしょ?」
「全っっっ部断ってるけどな。っつか、それの何がそんなに良いんだよ」
「私なんて、最初から異性として見られてないのか、男子から全然声かからないもん」
そっちの方が平和で良いじゃないか、と答えるのは失礼だろうか。
男子から胸のサイズについてすら聞かれない自分を、リンコは真剣に嘆いているらしい。
平穏無事な高校生活を送りたがっているマサヒコからしてみれば、
そんなリンコの悩みは、羨ましいにも程があるのだが。

347 :
昼休みの終了まで、後三分。
時間ギリギリに教室に入って先生に怒られるのは嫌だから、
本来ならもうそろそろ、教室に戻っていなければならない。
しかし早く戻れば戻っただけ、級友達の猥談に巻き込まれる可能性が高まる。
仕方なく、マサヒコはもう後二分だけ、ここでリンコと時間を潰す事に決めた。
「ミサキの方はこっちと違って、結構平和らしいぞ。羨ましいよ、ったく」
「あー、ミサキちゃん、女子校だもんね。
 男子から声かけられる事は、少なくとも有り得ないかぁ」
「それどころか、お嬢様学校な分、他校の男子と交流してる生徒自体少ないんだと。
 お陰で中学の頃と、下ネタの頻度についてはそう変わらないって、喜んでたよ」
「ミサキちゃんも下ネタは苦手だもんねー。小久保君も男子校行けば良かったのに」
「今思えば確かにそうだ。
 クラスの奴ら、お前が俺の二人目のセフレだとか思い込んでやがる。
 こんな居心地の悪過ぎる誤解、受け流しきれないっつーの」
「だったらここで私と二人きりで会ってるのも、誤解の元になるかもねー」
「……今思えば確かにそうだ」
「二人で屋上から戻って来たなんて目撃されたら、余計誤解されるよねー」
「……今思えば確かにそうだ」
「ドア閉まってるから屋上入れないって言っても、疑わしいだろうねー」
「……今、思えば、確かに、そうだ」
俺は最初からお前を呼んでなんかいないぞ、お前が勝手について来たんだ。
マサヒコはそう反論しようとして止めた。
仮にも友人であるリンコに、誤解されるからついて来るなとは、酷い言い分だ。
本来友人同士と言うのは、一緒に行動する事に特段の理由など要らない。
ただ一緒に歩くだけの事で、何かを憚らねばならない道理は無い。
ただ、その程度の事で誤解を生んでしまう、
昨今の世間の風潮については、忌々しいにも程があった。
「ところでさ、小久保君もコレ、聴いてみない? 私最近ハマっちゃって」
リンコが制服のポケットから取り出したMP3プレイヤーを見て、
マサヒコは曲のタイトルを聞くまでもなく、拒否の姿勢を露わにした。
「断固断る。日本がこんな風になったのは、そいつらのせいじゃないか」
「むぅ。まだ歌手の名前も言ってないのに」
「聞かなくても分かる。的山は忘れっぽいからどうせ今回も忘れてんだろうけど。
 そのグループが好きだって、お前もうこれで七回は言ってるぞ」
「そうだっけ? アハハ、ごめんごめん」
そう言うとリンコは、さして申し訳ないとも思っていない風で、
マイペースに一人だけイヤフォンを耳に突っ込み、
もうマサヒコにも興味を失ったかのごとく、一人で音楽を聴き始めた。
それを見届けると、マサヒコもまた、一人で階段を下りて行った。
リンコと並んで階段を下りて行くよりは、誤解も生じにくいだろう。

348 :
天野ミサキは、恋人の不遇をこっそりと憐れんでいた。
濱中アイや中村リョーコ、的山リンコといった者達と関与していた頃から、
マサヒコは常に下ネタ、猥談を煙たがっていた。
そんな彼が、今のこのご時世、耐えられるわけがないのだ。
言ってみれば今の世の中は、右を見ても左を見ても、
中村が大量に居るようなものなのだから。
「マサ君、大丈夫かなぁ。昨日のメールだと、かなり参ってたみたいだけど」
濱中アイは、教え子の変化の可能性をひっそりと期待していた。
「奥手な小久保君も、今頃はミサキちゃん以外の子と楽しむ余裕くらいあるかなぁ」
部屋にエロ本の一冊も無いせいで、一時はED疑惑まであった少年。
中学卒業を前に幼馴染と付き合う事になってその疑惑は払拭されたが、
それだけではまだ、必要以上に下ネタを忌避したがるあの性格には足りない。
せっかく世間がフリーセックスを容認し始めたのだから、
マサヒコにも是非、一皮も二皮も剥けて貰いたいのが、元家庭教師の願いだった。
中村リョーコは、教え子と頻繁にメールのやり取りを続けていた。
銀行員ともなれば日頃は多忙を極めるのだが、仕事上がりの夜や、
土日ならばメールをする余裕くらいはある。
「リンもぼちぼちロストヴァージンくらいしろよ、っと。ハイ送信」
「あのなリョーコ、そういうのは余計なお節介……」
「うっせーよ犬。アンタは黙って私の足舐めてろ、セージ」
「うぅ……こんな姿、小久保達には見せられない……」
若田部アヤナは、ネットで聞き齧った最近の日本の流行に、目を疑っていた。
自分が日本を離れて、もうそろそろ三ヶ月が過ぎる。
しかし三ヶ月前と現在とでは、あまりに日本の様子が違い過ぎた。
「……ま、まぁネットの噂レベルだしね。いくら何でも、こんな……」
僅か三ヶ月足らずで、日本がここまで変わるわけがない。
ネットの噂など、所詮は与太話の類だと信じて、彼女はブラウザを閉じた。
信じられるわけがない。日本ではフリーセックスが流行しているなどと。
そして――
井戸田ヒロキは、自分達の営業活動が日本を変えてしまった事で、
内心自責の念にかられていた。
「まさかこんな事になるなんて、思ってもみなかったんですよぉ……」
「言っても仕方ないでしょ。いつの時代も大衆は、偶像の言う事に左右されるものよ。
 卑弥呼やクレオパトラの時代から、ずっとね」
柏木レイコは悪びれもせずに言った。
日本を性に奔放な国土に変えてしまった、ある意味一番の黒幕のくせに。


AV女優のあかほん 第六話

349 :
トリプルブッキングと言えば、今や押しも押されぬトップアイドルの一角だ。
そんな彼女らも、当初は地方巡業や小さなスタジオでのライブなど、
地道な営業活動に励んで、知名度をコツコツと上げて行った。
そんな彼女らが、世間に対する認知度を一気に跳ね上げたのは、他でもない。
所属事務所レイ・プリンセスの社長、柏木レイコのプロデュースした、
「ヤリにいけるアイドル」路線が爆発的にヒットしたお陰だ。
金を積んで券さえ獲得出来れば、未成年アイドルとセックスが出来る……。
この事実は、日本中の多くの男達を震撼させた。
CDやAVには、握手券ならぬセックス券が一定の確率で同梱されるようになり、
熱心なファンが何十枚と買っても券を当てられない一方で、
転売屋がオークションに高値で券を流す。
彼女らのAVは避妊具着用の重要性をアピールした映像作品でもあったために、
半ば政府公認といったところがあったので、十八歳未満でも購入出来たし、
それどころか普通のCDショップにすら、PVの延長扱いで店頭販売された程だ。
一時期は明らかに中高生としか思えない、幼さの残る顔立ちの男子達が、
タワレコでTBのAVをこっそり買っていく風景が、全国で見られたものだった。
放課後だと知り合いに目撃されるかも知れないと踏んでか、
わざわざ授業をサボって買いに行く生徒が増えたせいで、
全国的に中高生の授業の出席率が低下し、社会問題にもなった。
単に風邪で休んだだけの者ですら疑われ、級友達からからかわれたりもした。
今ではそれこそが転換点だったのだ、と指摘するジャーナリストは多い。
TBが一躍有名になった転換点、と言うだけではない。
日本人の性に対する価値観が変わった転換点でもあるのだ。
レイコの指摘した通り、大衆は常に偶像に意見を左右される。
アイドルが称賛したコスメは飛ぶように売れるし、
俳優がドラマで身につけたジャケットには注文が到する。
震災の時に有名人が「絆、絆」とのたまえば、
有り難がって同じ言葉をよく考えもせずに連呼したがる者も増える。
偶像崇拝の在り方は、信仰の対象に依らない。

350 :
それまでも、現役アイドルがAVをリリースする事は、頻繁に見受けられた。
だがそれらはいずれも、十八歳以上のアイドルだけが対象だった。
その頃から既に日本の若者の意識は、性にオープンな方向に傾きかけていたが、
そこには明文化されていない不文律として、「年齢制限」のようなものがあった。
十八歳未満の童貞処女達は、十八歳以上アイドルのAVを視聴し、
それによってセックスに憧れこそすれ、それはあくまでも
「自分も十八歳を過ぎたらチャンスがあるかも」という程度の憧れに留まっていた。
未経験の中高生にとって、セックスはあくまで「未来のいつか」の話であり、
「大人になっていく途中の段階のいつかの話」に過ぎなかった。
ただ単に、いつか自分にも訪れるだろうセックスに対する妄想の内容が、
一昔前より少しばかり具体性を増しただけの話でしかなかった。
それを、TBは変えてしまった。
小四、中一、高一の三人組の少女達がリリースした、処女喪失AV。
そしてその三人組が毎晩ファン達を相手に行う、握手会代わりのセックス会。
それは日本の十八歳未満の者達に、セックスを「未来のいつか」ではなく、
「今まさにこの瞬間」にも堪能して差し支えないものなのだと刷り込ませた。
無論、後押しが全く無かったわけではない。
何もTBだけの力で、こうまで日本人の意識が変わったという事はない。
各事務所のアイドル達がTBに負けじとパフォーマンスを激化させるにつれ、
ものの数ヶ月としない内に、様々な変化が芸能界に拡散していった。
それまではアイドルのプロフィールと言えば、身長や生年月日、
後はせいぜい趣味だの、スリーサイズだのが書かれていただけだったのに、
今では「好きな体位」だの「経験人数」だのが、平然と記載されている。
ミュージッ○ステーションや笑っていい○もでは、
アイドルが「今週新作AVを出しまーす」とか「私の潮噴きも収録されてまーす」とか、
番宣そのままのノリでポルノ映像の告知をお茶の間に流す始末。
流石に放送時間帯は遠慮されてはいたが、夜の二十一時を過ぎれば、
宣伝の為に前戯のシーンぐらいなら公開しても良いような風潮が出来上がった。
当然、そんな時間に早寝している中高生は少ない。
憧れのアイドルが、撮影の為に毎回違う男に抱かれているのを見て、
幻滅するファンも多少は居た一方で、期待に胸膨らます者も大多数存在した。
殊に、そのアイドル本人が
「こないだ撮影した時のお相手の汁男優さんは凄くテクニシャンでしたよぉ」だの、
「彼氏は居ますけど、男優さんのがやっぱり気の遣い方がうまくってぇ」だの、
「私なんてもう二十人と寝ましたからぁ」だの言っていれば、悪影響は嫌でも広まる。
事ここに至れば、日本の若者の意識は「セックスに寛容」どころでは済まなくなった。
もっと正確に言うなら「フリーセックスに寛容」になったのだ。
セックスとは、必ずしも恋人同士でのみ行うものではないのだと。
信頼関係のある間柄でさえあれば、異性の親友とでもヤって良いのだと。
やがてそれは
「異性の『親友』どころか、異性相手なら『ただの友達』同士でも良いんだ」と。
……それが、マサヒコを目下の所苦悩させる、
現代日本の悪習慣を形成した経緯だった。
そしてその発端となったのは間違いなく、TBの三人がリリースしたAVだった。

351 :
「それにしたって、いくら何でも、ほんの数ヶ月でこの変化ってのは」
「アンタも細かい事をゴチャゴチャとうるさい男ねぇ。
 確かに変化自体は短期間の内の出来事に見えるけど、兆候は前からあったじゃないの」
アフターファイブの飲み屋で、レイコは井戸田の愚痴を軽く聞き流していた。
TBの三人は現在、それぞれ小五、中二、高二に進級している。
デビューしたのがおよそ一年前、AVをリリースしたのは半年程前だ。
その間にいつの間にか四月を通り越し、彼女らは一学年進級していた。
芸能界の、そして世間の変化は、確かにここ二ヶ月間に集約されているように見えるが、
何事にも準備期間というのはあるものだ。
ドラマにしろ、バラエティ番組にしろ、音楽番組にしろ、
生放送でない限りは、実際の放映日時よりかなり前に収録は終わっている。
それに、新作の楽曲やAVや本を作ったとしたところで、
何の根回しも無しにいきなり宣伝をさせて貰えるものでもない。
例えば一週間前にあるアイドルがある番組で自分の新作AVを告知したとて、
そこに至る下準備には、何ヶ月もかかっている、というわけだ。
逆算すれば、丁度TBが処女喪失AVをリリースした直後から、
ライバル達の下準備が始まっていたと見る事も出来る。
大勢のアイドルや事務所が着々と下準備を進めていた噂は、
以前から業界の中では蔓延していた。
レイコの言う通り、業界内だけでなら、そして兆候だけなら、確かにあったのだ。
そしてその下準備が整ったからか、つい二ヶ月程前から、いきなりアイドル達が、
ファンサービスの一環で「性に奔放な自分」を強調し始めた。
後は、偶像の言う事なら何でも受け入れてしまう、愚かな大衆がそれに乗っかる。
自分も戦犯の内の一人なのだという自覚があったればこそ、
井戸田はアルコールに逃げずにはいられなかった。
「見て下さいよ、社長ぉ。あそこのテーブルなんか、もう」
「何よ、ただの合コンじゃないの?」
そう言ってレイコは、井戸田の指差した方向に目を向けた。
そこでは女子大生と思しき四人組が、お相手の男達四人に対して、
「喋ってるだけじゃ体の相性分かんないし、一人一人順番にキスしてこっか!」
などと、結構大胆な事を提案して盛り上がっていた。
「いくら合コンでも、あんなあけっぴろげなの、おかしいですよ。
 どう考えても俺らのせいで、若者達の性の意識が堕落しちゃってますって」
「別に合コンなんて元々、王様ゲームとかポッキーゲームはよくあったじゃないの」
あくまでレイコは、こういうスタンスだった。
自分達の力だけで世間に影響を及ぼしたのではなく、
元から若者と言うのは、周りの雰囲気の後押しや流れに乗ってしまえば、
勝手に堕落していくものだったのだ、という主張。
自分達がTBのAVをリリースしなくても、いつか日本はこうなっていたのだ、と。
「グダグダ言ってないで、明日までにはアルコール抜いときなさいよ?
 明日もアンタには仕事が山積みなんだかんね」
「ハァ……罪悪感で一杯で、仕事どころじゃないですよ、俺は……」

352 :
もしも井戸田ヒロキが、小久保マサヒコと出会う事があったなら。
その時はより一層、彼は罪悪感に苛まれてしまうのだろう。
特に、こんな場面を目撃してしまえば、尚更。
『はっ! あふっ、ヤン! お兄ひゃんの、キツい、よおっ……!』
『カルナぁっ……乳首ばっか、責めちゃ、ヤっ……』
『うふふ。シホのここ、もうこんなになっちゃってる』
土曜日の朝っぱらから、マサヒコはTBの処女喪失AVの鑑賞会に、
無理矢理付き合わされていた。
「なぁ、的山……。お前がこんなモン持ってる事に、今更ツッコむ気は無いけどさ。
 何でよりによって、それを俺の家で、しかもミサキや先生達まで交えて見るんだ?」
実に久方振りに、彼の部屋には往年のメンバーが揃っていた。
唯一欠けているのはアメリカに転居したアヤナくらいのもので、
仕事が休みの中村も、卒論に一区切りつけたアイも、無論ミサキもこの場に居る。
女達に囲まれてAVの無修正4Pシーンを延々見せ付けられるのは、
マサヒコにとっては生き地獄と言っても決して過分でない状況だった。
「だって私、TBの大ファンだしぃ。AVであろうと、当然コレクションするよ」
「いやだから、お前がTBのAV持ってる事については、もうツッコまないって言ったろ。
 そうじゃなくて、何でそれを、俺の部屋で大勢で見なきゃいけないんだって」
「そりゃ勿論、小久保君の為だよー。
 セックスに耐性つけなきゃ、クラスで浮いちゃうよ?」
処女のお前に言われたくねーよ、とは失礼過ぎて言えない。
第一、多分アイも処女なのだから、迂闊な事は口にすべきでない。
ミサキですら、初めてマサヒコとヤったのは、今年の五月の事だ。
「俺の記憶が確かなら、今日は夏休みに一時帰国する若田部の、
 歓迎会の打ち合わせだった筈なんだけど」
「ま、まぁまぁマサ君。時間はたっぷりあるんだし、リンちゃんの折角のお勧めなんだし」
「ちょっと待てミサキ。何でよりによって、お前が地味に乗り気なんだよ」
「え、え? いや、まぁ、その……私もTBのファンだから、興味あるって言うか……」
ミサキがTBのファンである事は、マサヒコも知っている。
ファーストシングルは予約して発売日に買っていたのも知っているし、
恥ずかしくてAVにまでは手を出せずにいた事も知っている。
なるほど、だからか……と納得出来てしまうのが、妙に悔しい。
ミサキからしてみれば、興味はあるけど買えなかったAVを視聴する、
今日は貴重にして絶好のタイミング、というわけだ。

353 :
「うっわー……。凄いですね、血が。
 私も初めての時はこんな風になるんですかねぇ」
「ってより、大学四年生にして未だに処女ってどうなのよ、アイ」
「い、いや私はその、ほら……相手も居ない事ですし……」
「だったらセージ貸してやろうか? あいつ、私の命令だったら何でも聞くわよ?」
アイと、中村のアホが、すぐ隣で卑猥な会話を続けている。
マサヒコにとっては今すぐ席を立ちたいくらい耳障りな会話だった。
「何言ってるんですか!? 豊田先生は先輩の彼氏さんでしょう!」
「アンタも古い感性してるわね。今時はそんなの関係無くなってるんだってば。
 つーか、そもそもセージって、別に私の彼氏ってワケじゃないわよ?」
「え? そ、そうなんですか?」
「だってアタシら、とうの昔に別れてんじゃん。忘れたの?」
「いやでも、てっきりヨリを戻したんだと……」
「馬ぁ鹿。私が昔の男に未練残したり、情が戻ったりする女だと思う?
 ヨリを戻したんじゃなくて、単に再会をきっかけにセフレになっただけよ。
 ひょっとして今まで知らなかったの?」
俺達だってそんなの知らなかったよ、とマサヒコは内心で一人ごちた。
言われてみると確かに、中村とセージの関係性は、恋だの愛だのには見えない。
元担任が何だか一層情けなく見える反面、相手が中村じゃ仕方ない、と同情もする。
「あぁでも、アイはショタコンだもんね。セージよりマサのが良っかぁ」
「ちょ、せ、先輩! 何て事言うんですか!」
本当、何て事言うんだ、この痴女。マサヒコは眉間に皺が寄るのを自覚した。
「なぁ、よぉ、マサ。アンタ、アイと一発ヤってみない?」
「さて期末試験の予習でもするかな」
「コラ無視すんなボケ」
無視するに決まっている。誰が中村の思いつきに踊らされるものか。
「だだだ駄目ですよ先輩! マサヒコ君にはミサキちゃんて言う、れっきとした……」
「だから、彼氏彼女でなきゃヤっちゃ駄目、ってのがもう古いんだってば。
 今の時代、ただの友達でもパイズリくらいなら当たり前なんだって」
アンタは今の時代じゃなくても元からそうでしょ、とはマサヒコも言わない。
言えば中村のエロトークに油を注ぐようなものだと、既に分かっているからだ。
『いっぱい出たねぇ、お兄ちゃん』
画面からは、股間に白濁の筋を垂らすユーリの声が、白昼堂々流されていた。

354 :
アヤナの歓迎会の打ち合わせは、至極簡単に終わった。
歓迎会と言っても、中村とアイは忙しいから、当日は参加出来ない。
ミサキとリンコがアヤナを連れてショッピングに出る程度が関の山で、
そうとなればマサヒコが男一人だけ混じるのも野暮な話だ。
若田部邸はまだ現存しているので、そこにミサキとリンコが迎えに上がり、
後は同い年の女子三人だけでカフェや買い物と洒落込む、という形で話は纏まった。
ほんの五分程の話し合いで終わってしまった事を考えると、
その直前に二時間もAVをダラダラ視聴させられた事は、つくづくもって無駄の極みだ。
この程度のやり取りで済むなら、最初からメールで良かったじゃん、とマサヒコは思った。
中村とアイが帰った後で、ミサキとリンコは、まだ部屋に残っていた。
「ね、ねぇリンちゃん。モノは相談なんだけど……」
「なぁに、ミサキちゃん?」
「このDVD、貸してくれないかなぁ、なんて……」
お前正気かよ、それAVだぞ、とマサヒコは思わず割り込んだ。
真面目なミサキにしては、いやに大胆過ぎる申し出だった。
だが元がTBのファンである事を考えると、無理からぬ申し出だとも思える。
「いやあの、ほらっ、こういうの、恥ずかしくて自分じゃ買えないし!」
「普通、女がAVなんか買わないだろ。中村や的山が異常なんだって」
中学生でもAVを買える時代にしては、マサヒコやミサキは、実際古風な感性だった。
ほんの二ヶ月程前までは、誰だって彼等と同じような感性だった筈なのだが。
因みにこの時、まだこっそり廊下に潜んでいた中村が、
「マサの奴、どうして私がAV持ってるなんて知ってんだ?」と囁き、
アイは「そりゃ先輩はそういうキャラですもん」と返答していた。
彼女らがどうしてまだ部屋の外の廊下に潜んでいたかと言えば、
AVを見た直後のマサヒコが触発されて、ミサキかリンコを押し倒したりしないかと、
結構無礼な期待を込めて待機していたからに他ならない。
内心では彼女らも「マサヒコが今更AVごときで勃つワケが無い」と決め込んでいたが。

355 :
リンコは当初、一も二も無くミサキにAVを貸そう、と思った。
大事なコレクションには違いないが、ミサキの頼みだ。断る理由が無い。
何なら自宅のパソコンでダビングしてやっても良いくらいだ。
(と言っても彼女は機械オンチなので、父親に頼むと言う綱渡りをする気でいたが)
ただ、この時、リンコはある事を思いついた。
交換条件だ。
本来ならタダで貸してやっても良いのだが、この機に、頼み事をするのも良い。
うまくすれば、これはまたとないチャンスとなる。
常から常識の欠落しているリンコにとって、後先の事などは微塵も考えが及ばなかった。
「良いよ、ミサキちゃん。TBのAV、貸したげる!」
「ホント!?」
「その代わりに、あのね? ごにょごにょ」
わざとらしくミサキに耳打ちするリンコに、マサヒコは何故だか寒気がした。
その感覚はどうやら的中のようで、ややあって、ミサキが顔を真っ赤にし始めた。
「え、えぇっ!? いやリンちゃん、それはちょっと……」
「どうしてもダメぇ?」
「そりゃだって、やっぱりそういうのは、そのぉ……」
「でも中村先生も、今時は友達同士でもオッケーだって言ってたよ?」
「中村先生はそうかも知んないけど、私やマサ君はまだ、そこまで思い切れないし……あ」
思わずマサヒコの名を出してしまって、ミサキは口を噤んだ。
もう何も言わなくとも、リンコが何を提案したのか、
マサヒコにも、アイにも、中村にも分かってしまった。
「おい、ミサキ……。まさかとは思うけど」
マサヒコはミサキに聞いたのに、リンコの方が我先にと答えを返す。
「あのねぇ、小久保君。DVD貸す代わりに、私の処女、貰ってくんなぁい?」
何で俺の悪い予感は毎回必ず的中するんだ!
マサヒコは神に向かってそう毒づいた。


続く

356 :
あけ
おめこ
とよろ

357 :
あけ
おめこ
とよろ

358 :
ID:GvgnVeXd氏、投下乙です。
そして
あけ
おめこ
とよろ

昨年内には投下が間に合いませんでした……。
取りあえずまだ引退しないということで、細々とやっていきたいと思います。
とにかく仕事が忙し過ぎるわけで……元旦も仕事ですわ。
では。

359 :
あけ
おめこ
とよろ
ピンキリ氏やまだ残っている書き手さん今年もよろしくおねがいします

360 :
あけ
おめこ
とよろ

361 :
あけ おめこ とよろ

362 :
>>355続き
AV女優のあかほん 第七話

いろいろな要素が重なり過ぎてしまっていた。
かねてより日本の若者が性にオープンになり過ぎていた事。
かねてより中村がリンコに早く処女を捨てるよう焚き付けていた事。
かねてよりミサキがTBのAVをじっくり鑑賞したがっていた事。
そこにきて、リンコがAVをミサキに貸す代わりに、
交換条件を提示する事を思いついてしまった事。
「この展開は流石に私も読めなかったわねー」
「ちょ、あの、先輩? これ、放っておいて良いんですか?」
「良いの良いの。今回でマサが一皮剥ければ、その方が面白いっしょ」
「そ、そうかなぁ……」
そんな風にドアの向こう側で声を潜めるアイと中村にも気付かず、
マサヒコは凍りついた空気の中で、口をあんぐりと開けていた。
「……えーと。あのな、的山。お前、自分で何言ってるか分かってんのか」
「え、分かりにくかった? 私と一発ヤって、ってお願いしてるんだケド」
そうじゃない。
俺にとって分かりにくかったんじゃなく、
お前は自分で言葉の意味分かってんのか、と聞きたいんだ、俺は。
マサヒコはそう矢継ぎ早に言ったが、天然のリンコには通じていなかった。
これが通じるくらいなら、マサヒコも普段から苦労などしていない。
中学時代彼が一番対応に苦慮したのは、
実は中村でもアイでもなく、このリンコの言動なのだ。
「確かに最近の日本はTBのせいで、妙に奔放になっちまってるけどな。
 生憎俺もミサキも、まだそこまで流行に踊らされちゃいないんだよ。
 どうしてもロストヴァージンしたいなら、他を当たってくれ」
何でこんな当たり前の事をいちいち言わねばならないのか。
呆れ返りながら言ったマサヒコに、反論を試みたのは、まさかのミサキだった。
「ま、待ってよマサ君!」
「……何でミサキが割って入るんだよ」
「だって、そのぉ……こうしないとDVD貸して貰えないんなら、私は……」
「何言ってんだお前!? たかがAV借りる為に、自分の彼氏売ろうってのか!」
「売るなんて、そんな人聞きの悪い。
 私だって、相手がリンちゃんじゃなきゃ、とても」
「相手が的山だったら良いって理屈が分かんねぇよ。
 ってか、こういうのは普通、男の俺よりお前の方が拒絶すべきだろ。
 何か立場がおかしくないか?」
「そ、そうなんだけど……。正直言うと、DVDの為って、言うより、は……」
やけに口ごもるミサキの心理が、マサヒコには何となく察せた。

363 :
要するに、リンコの為なのだろう。
思えば、気付くべきだった。
ただでさえリンコは、普段からマサヒコに愚痴をこぼしている。
フリーセックスが流行した昨今においても、自分だけは何故か声がかからず、
どころかクラスの男子達から異性として見られていないのだと。
こんな愚痴をこぼす間柄でも、マサヒコとリンコは、ただの友人だ。
しかしミサキは違う。
ミサキはリンコにとって、親友と言って良いくらいに距離感が近い。
同じ学校に通っていて、会う機会のずっと多いマサヒコよりも、
同性であり同窓生であるミサキの方が、リンコとは深い間柄にある。
であればこそ、平生リンコがマサヒコに対して漏らしているような愚痴は、
メールなり電話なりという形で、ミサキの方がより多く受け取っている筈だ。
マサヒコに対してすら、あれだけ愚痴っているリンコなのだから、
ミサキに対してはもっと何倍も悩みを打ち明けているに相違ない。
何で私って未だに処女なんだろう。
何で私だけ男の子達から相手にされないんだろう。
顔が可愛くないのがいけないのか、胸が小さいから駄目なのか。
そんな不平を日々受け止めるミサキの姿が、マサヒコには容易に想像出来た。
そして、こうも思うのだ。
ケータイを握り締め、「リンちゃんもいつか経験出来るよ、焦らないで」
と、親身に返信を送るミサキの姿すら、自分には想像出来ると。
「ミサキの言い分も、分からないでもないけどさ。
 俺と的山はただの友達であって、そういう事をするのは……」
「でも最近は、ただの友達でも、そのくらいは……」
「それがおかしいんだってば。今の日本がおかしいのであって、俺はマトモだ!」
男のくせに据え膳に手を出そうとしないマサヒコに、
ドアの向こうに潜んだ中村とアイは、密かに苛立ち始めていた。
「オイオイ、常時賢者モードかよ、マサの奴」
「って言うか、ちょっと雰囲気悪くなってきてるような……」

364 :
アイの予測は当たっていた。
処女を貰い受けて欲しいと頼み込むリンコに、それを後押ししようとするミサキ。
頑なに拒もうとするマサヒコがそこに加われば、平和な空気は長く維持出来ない。
険悪と言って差し支えない淀みが、部屋の中を支配し始めていた。
「大体だな、ミサキ。俺は曲りなりにもお前の彼氏だぞ?
 他の女と寝る事を、よりによってお前に推奨されちゃ、
 まるで心の底から好かれてないみたいで、嫌になってくるじゃねーか」
「そういうワケじゃないよ! リンちゃんが相手だからこそ、私もこんな……」
「的山の親友だからこそ、そこは毅然とした態度で断るべきだろうが。
 俺みたいなただの友達なんかで大事な体に傷をつけず、
 いつかちゃんとした彼氏を作って、大切な思い出を作る努力をすべきだって、
 何で的山に言ってやらないんだよ」
「それは正論だけど、でも、例えば明日リンちゃんが
 見も知らぬ誰かにレイプされたらどうするの?
 どこかの誰かに無理矢理奪われるくらいなら、マサ君相手の方が、
 リンちゃんにとっても良いんじゃないの?」
「どこかの誰かにレイプされる前提で生きてる日本人なんか居るかよ!
 お前、自分がどんだけメチャクチャな事言ってるか、分かってないだろ!?」
「分かってるわよ! 何度も言うけど、リンちゃん相手だからここまで譲歩してるの!」
一階に居るだろうマサヒコの母親どころか、隣近所にまで聞こえそうな喧噪。
ちょっと仲裁に入った方が良いだろうか、と考える中村がドアノブに手をかける。
だがその時、リンコが突如として泣き出した。
「うわぁぁん! ごめんなさいぃぃぃ……」
「ま、的山?」
「リン……ちゃん……?」
まるで夫婦喧嘩を目の当たりにした幼子のように、リンコは泣きじゃくった。
否応なくマサヒコとミサキは一時休戦し、リンコを宥める事に注力し始めた。
「お、落ち着け的山」
「リンちゃんは悪くないよ、ね?」
子はかすがいと言うが、リンコは彼等二人の緩衝剤になっていた。
元はと言えば、リンコのせいで喧嘩が始まったようなものなのだが。

365 :
この時、騒動にかまけて周りの物音に気付けなかったのは、
マサヒコにとってもミサキにとっても落ち度だったと言える。
すすり泣くリンコを心配するアイを余所に、中村だけが冷静だった事はおろか、
そもそも中村とアイの二人が廊下から聞き耳を立てている事自体、
部屋の中の三人の男女には気付けていなかった。
そして、中村がこっそりドアを少しだけ開けてスマフォを構え、
隙間からハメ撮りの準備を開始してしまっていた事にも。
「……くそ。一回だけだからな? 良いな? 二度とこんな事俺にさせんなよ」
「小久保くぅん……。やっぱり小久保君は優しいよぉ」
「ファイト、リンちゃん! 私も見守っててあげるから、頑張ってね!」
隠れている自分達の事は抜きにしても、ミサキはしっかり同室に居るわけで、
よくこの状況で処女のくせにセックスなんか出来るなと、中村はリンコに感心した。
変態の素養はしっかり備えているのだ、リンコも。
「くっくっく……マサを脅迫する良い材料が手に入るわね」
「先輩、悪趣味ですってば」
恩師二人と恋人に見守られる中、マサヒコは恐る恐る服を脱ぎ始めていった。
初夏の気候の中では、服を脱ぐ事はむしろ、涼しく清々しい気分ですらあった。
と言うより「気分が良い」と無理にでも思わねば、やっていられなかったのだが。
「的山。自分で脱ぐか? それとも俺が脱がせた方が良いか? ……って」
聞くまでも無かったか、とマサヒコはすぐに思い直した。
リンコはこのテの羞恥心が皆無なのか、いやに手際良く自分で脱ぎ始めている。
マサヒコの前で下着姿になる事に、何のてらいも無い様子だ。
「あー、私貧乳な上にパイパンだけど、気にしないでね、小久保君」
「まず初めに気に掛ける部分がそこなのかよ、的山は……」
ミサキと初めて寝た時は、確か下着が大人っぽくない事だとか、
腰回りの体型だとか、そういった事を気にされていたな、と思い出す。
リンコはあくまで自分の体が女として完成度が低い事を気にしているだけで、
それそのものを男に見られる事については、毛程も気にしていないらしい。
変な所で度胸があるなと感慨にふけりながら、マサヒコもミサキも、
一糸纏わぬ姿になっていくリンコを見つめつつ、時折思い出したように視線を逸らした。
「あ、そうだ。カーテン閉めてあげないと」
そんな事も忘れてしまうくらい、ミサキは平常心を失っていた。
だがそれでもマサヒコよりはマシな方で、むしろミサキに言われるまで
カーテンの事を忘れていたマサヒコの方が、余程落ち着きを失くしている。
トランクス一丁で窓際に近付いたマサヒコが、まだ一着も脱いでいないミサキと
部屋の隅で鉢合わせ、途端に気まずい表情を交わし合った。
「念の為聞くけど、お前は脱がないんだよな?」
「そりゃ、だって……今回私、何もしないし……」
当たり前ではある。
マサヒコがリンコの処女を奪うのに、ミサキが参戦する理由は無かった。
参戦しないのに、常に傍で見守り続けはするのだが。

366 :
度胸があると言うよりは、天然を極めてしまっているだけなのだろう。
リンコは鞄から携帯電話を取り出すと、全裸の自分の上半身を自撮りしだした。
「お前、何やってんだ?」
「えへへー、記念撮影! 脱・処女の!」
まかり間違ってその画像が何かの経路からネットに流出でもしたらどうするのか。
多分リンコは、そこまで考えていない。
間違っても、自分が携帯電話をどこかで落として、
不心得者に拾われる可能性など、まず考えていないのだ。
リンコの性質を考えると、高確率で携帯電話の一つや二つは落としそうなのに。
「ところでセックスって、最初に何すれば良いのかなぁ? フェラチオとか?」
「処女のくせにいきなりハードル高ぇな、おい……。
 お前は無理しなくて良いんだよ、別に。俺に全部任せてれば」
言うようになったじゃないか、ちょっと前まで童貞だった分際で。
中村がそんな感想を抱く一方で、アイは両手で自分の顔面を塞ぎ、
時折指の隙間からチラチラと部屋の様子を伺い続けた。
「こんなつまらない体でゴメンね、小久保君。
 本当だったらパイズリとかしてあげるべきなんだろうケド」
「全国のカップルの内何割がそんな事してんだよ。
 ミサキにだってそんな事して貰ってな……あっ」
失言だった、とマサヒコは気付いた。
ミサキにとってパイズリとは、したくても出来ない行為なのだ。
恨めしげな目線が恋人から注がれている事は、背中越しにも伝わってくる。
「……さ、とっとと済ませるか。そこに横になれ、的山」
「ハーイ」
ジェットコースターの順番待ちの列にでも並ぶかのような、
弾んだ心持ちで、リンコはマサヒコのベッドの上に上がり込んだ。
「ところで、ねぇ、小久保君?」
「何だよ」
「男の人のおちんちんって、えっちの時、どんなタイミングで勃つモンなの?」
「ぐっ……」
リンコの指摘は、マサヒコにとって耳に痛かった。
実はこの期に及んで彼の男根は、まだ平常モードだったのだ。
「俺に聞かれても困るよ、そんなの。平均を知らないし」
ドアの向こうで中村が「普通初っ端から全開だろうが、思春期の男なら」と毒づく。
しかしマサヒコの場合、普段から必要以上に冷静過ぎるので、
余程興奮しなければ海綿体に血液が流入してくれないのだった。
ただ、百戦錬磨の中村と違い、他のメンバーからしてみれば、
男が大体どのくらいのタイミングで勃起するのかは、経験から測れない。
処女のアイやリンコにとっては勿論、マサヒコとしか経験の無いミサキもまた、
行為を開始して三十分後くらいにようやく勃起するマサヒコが、
世間一般の男の「普通」なのだと思えるのだった。
EDではないにせよ、マサヒコはまさしく、常時賢者のような男だった。

367 :
半時間もすれば勃起してくれるんじゃないかな、と声をかけるミサキに、
リンコは「えー、そんなに待てないよぉ」と痴女スレスレの言葉を返す。
まるで今すぐ挿入されたがっている淫乱女そのものといった発言だが、
リンコとしては他意は無く、単にプレゼントを待ち侘びる幼児の気分だ。
「何とかして今すぐカタくさせる方法無いの?」
「そんな事言われても……さっきのTBのDVD見てても無反応だし、マサ君って」
正直言うと自分は少しさっきのAVで股間が湿ってるくらいなのに
……とは、ミサキも言わなかった。
「んじゃあ、やっぱりフェラチオするしか無いかなぁ」
「あのな的山、どうしてそういう結論に……」
「大丈夫だって! 私、中学の頃はバナナとかで結構練習してたし!」
「そんな事は聞いてな……いやお前、あの受験戦争の最中にそんな事してたのかよ」
「うん! 中村先生が、試験よりも成績よりも大事な事だからって!」
「あのクズ、教え子に何教育してんだ」
まさにそのクズが、たった今ドアの向こうから盗撮しているのだが。
「ちょ、ちょっと待ってよリンちゃん!」
「なぁに、ミサキちゃん?」
「その、フ、フェラとか……私だって、まだしてあげた事無いのに……」
一時的に彼氏を親友に貸す決心をしたミサキとて、
まだ自分がやった事の無い行為をさせるのは、流石に嫉妬するらしい。
マサヒコの唇へのファーストキスは自分が受け取ったのだから、
ペニスへのファーストキスもまた、出来れば自分が済ませてやりたい。
そう考えるのが、マサヒコの正妻としてのミサキの、当たり前の感情だった。
「わたっ、私が先にフェラするから! リンちゃんは二番目で! ね?」
「うーん。ま、いっか。頑張って、ミサキちゃん!」
「オイ、話が変な方向に」
いや、元から変な方向に転がっていたな、とマサヒコも思い直す。
それにしても、練習していたらしいリンコはどうだか知らないが、
果たしてミサキにフェラなど出来るのだろうか。

368 :
そんなマサヒコの予感は、果たして的中した。
ベッドの上で仰向けになり、受け入れ準備を整えたマサヒコの足元で、
ミサキは服を全て着たまま、恐々と唇をイチモツに近付けた。
が、舐めるとか咥えるどころか、皮膚の一部にキスするだけでも
相当な度胸と根性が要るようで、実際それだけで三分は消費したろうか。
しかも勿論亀頭などではなく、陰茎の側面に口付けるだけで、この有様。
ただでさえ勃起しにくいのに、マサヒコは余計、熱が冷めていくのを感じた。
「無理すんなよ、ミサキ。どう考えても気持ち悪いだろ、ソレの見た目は」
ソレ、と言うのは勿論ペニスの事だ。
だがミサキは、この程度で臆しこそすれ、退こうとはしなかった。
「マサ君だって頑張って私のを舐めてくれたんだもん。私も頑張る」
「平然と性生活を暴露しないでくれないかな、ホント……」
それに、男がクンニをするのと、女がフェラをするのとでは、必要なファイトが違う。
男にとってヴァギナは自分を受け入れてくれる器だが、
女にとってのペニスは自分を貫く凶器のようなものだ。
その凶器を愛おしく思えるようになるには、それなりの経験と場数が要るだろう。
少なくとも、今ミサキに備わっているわけが無い境地ではあった。
「ねぇねぇミサキちゃん。私ももう小久保君のにキスして良ーい?」
「ふぇ!? あ、えっと……あ、そ、そうだね」
とりあえずマサヒコの男根へのファーストキスだけ終わって気も済んだのか、
今度はミサキは、妙にすんなりとリンコの提案を飲んだ。
そしてここからが、フェラテクばかり中村に仕込まれたリンコの、
本領発揮とも言える場面にもなった。
「いっただっきまーす!」
本来食われるのはお前の方なんだけどな、とツッコむのも気が引けて、
マサヒコは大人しくリンコに捕食される事にした。

369 :
一応リンコを志望校に入学させた腕前から見ても、
あのチャランポランの中村は、意外と良い教師だったのかも知れない。
その手腕がこっちの方面でも発揮されたと考えると複雑な気持ちだが、
確かにリンコのフェラテクは、処女らしからぬ巧みさがあった。
「れろれろれろれろ……じゅぷっ、ぐじゅっ、ぶじゅっ」
尿道を舌で遠慮無く舐め回したかと思えば、次には大胆なピストン。
バナナ相手にこれを練習してきたリンコの姿を想像すると、どこか滑稽だ。
初めてでここまでやるか、と感動するミサキを余所に、リンコはヒートアップした。
「あ、勃ってきた勃ってきた!」
「そんな! もう!?」
リンコがフェラを開始して、ものの二十秒としない内に、
マサヒコのモノはエレクチオンしてきた。
ミサキが驚くのも無理は無い。
彼女はマサヒコとヤる時は基本的にまな板の上の鯉だったが、
自分から積極的になってやる事で、こんなに容易く彼氏を元気にさせられるのだと、
今ようやく気付かされたのだから、女として悔しいと思う気持ちもある。
「くぅっ……私も負けてらんない! リンちゃん、交替して!」
ミサキは負けじと、フェラに没入する事に腹を括った。
ところでこの時中村は、そんな彼等を廊下側から盗撮しつつ、
「マサの奴、感じてる割には表情も変わらんし声も出んとは、何者なんだ」
と半ば呆れ返っていた。
セージだったら、ちょっとフェラをしたら、すぐに頼り無い顔になるのに、と。
因みにアイの方はと言うと、もうさっきから殆どずっと黙りこくっていて、
場の空気と流れに気圧されっぱなしだった。
「あ、あわわ、あわ……」
「情けないわねぇ、アイは。まぁ教え子に先に脱処女されちゃ、立つ瀬も無いか」
そんな事で臆しているわけではないのだが、アイは反論の余裕すら奪われていた。
ミサキはそんな恩師達(別にミサキは中村達に勉強は教わってないのだが)を余所に、
拙いながらも懸命なフェラチオを開始した。
けれども、頑張って頬張ったり舐めたりはしているものの、
かなりの部分で遠慮と怯えが入り混じり、リンコのテクには及ばないものだった。
「うぅっ……マサ君の為、マサ君の為……」
「いや、あのな? だからな? 無理すんなって言ってん……」
「ちょっとマサ君は黙ってて!」
「……はい」
これのどこが、俺の為なものか。マサヒコはジト目で恋人を見つめた。

370 :
重ねて言うが、ミサキはまだ、服を一着も脱いでいない。
突然フェラに参入はしたが、それはあくまで予定外の出来事であり、
彼女は服を脱ぐ必要も、今マサヒコと交わる必要も無かった。
それを十分弁えているから、彼女は未だにボタンの一つさえ外していなかった。
だがもうそろそろ、このままでは危ないという事だけは、自分自身で理解していた。
「マサ君……ちょっと、相談があるんだけど……」
「何だよ」
「えと、そのぉ……パンティだけ、脱いでも良い?」
ミサキはこの日、スカートを穿いて来ていた。
他の全ての被服を纏ったままでパンティだけ脱ぐのは、造作もない事だ。
ただ、何でこのタイミングでそれを要求するのかが、マサヒコには分からなかった。
今のミサキの事情を理解してやれたのは、中村だけだった。
「実は……今ちょっと、濡れてきちゃってて……下着、汚れそうなの」
なるほど、渇くまで下着は外しておきたい、というわけだ。
その事に気付いてやれなかった事を恥じるより先に、マサヒコは、
こんな事でもう濡れたのか、とミサキに感心してしまった。
まだ性感の開発されきっていないミサキは、ちょっと手マンをしてやっただけでは、
そうそう簡単には濡れたりしなかったものだが。
「……あー、うん。良いんじゃないか、別に。何か変なシチュエーションだな、もう」
ノーパンになった恋人の前で、女友達とセックスに興じる。
どんなヤリチンだって、滅多に経験しないだろう特殊性が、そこにはある。
クラスメイトにこの事を話したらば、まず間違いなく「彼女も交えて3Pしろよ!」とか
「彼女だけ放置とか可哀想!」とか言われるに決まってる。
とは言うものの、ミサキ以外の女と抱き合うだけでも覚悟の必要だったマサヒコの事、
よもやこの場で臨機応変に3Pに突入する思考には、思い至らなかった。
せいぜい「後でミサキもちゃんと相手してあげよう」ぐらいしか考えない。
兎も角ミサキは、恋人と親友(と覗き魔二人)の見ている前で、
スカートの中に両手を差し入れ、恐る恐るパンティだけを下ろしていった。
既にそこは糸を引いており、無論中村のスマフォにばっちり収められている。
マサヒコもミサキも、ドアの方に目を向ける余裕など無かった。
「んじゃ、とりあえずキスしよ! 小久保君!」
「えっ!? きっ、キスもすんのか!?」
「ま、まぁ確かに、そのくらいしないと、おかしい気もするけど」
慌てふためくマサヒコと対称的に、ミサキは割と寛容だった。
キスよりもっと凄い事をたった今やってのけていたし、
これから挿入も控えているのだから、そのくらいは……というわけだ。
たった今までこの唇に咥えられていたのだと思うと少し気色も悪かったが、
マサヒコは腹を括って、寝そべるリンコの唇にロックオンした。

371 :
マサヒコとリンコのキスは、なるべく手短に済ませようとしたマサヒコのせいで、
ものの三秒としない内に終わりを告げた。
舌さえ絡めない、殆ど礼儀的なキスだ。挨拶代わりに近いと言って良い。
その代わり、愛撫はじっとりと、そしてかなり時間をかけて行われた。
ミサキと初めて交わった時の経験から、なるべく体を解してやった方が
相手の負担が少ないのだと、マサヒコが学習していたからだ。
ミサキと初めてした時は、前戯に三十分以上かかった割には、
破瓜の痛みを十分に取り除いてやれなかったものだった。
乳首を丹念に舐め回し、陰唇を柔らかく撫で回して、
マサヒコは徐々にリンコを高めてやっていった……と言えば聞こえは良いが、
実の所リンコは、ほぼ無感動にぼーっとしているだけだった。
「うーん。聞いてた程気持ち良くないなぁ」
「最初はそんなもんだよ、リンちゃん。多分だけど」
「男として自信無くなるなぁ、くそっ」
実際処女のリンコがいきなり喘ぎまくるわけはないのだが、
さっきまで喘ぎまくっているTBのAVを見ていただけに、
マサヒコは自分の技巧が及ばないものだと、どうしても考えたくなる。
彼にとっては知る由も無いが、まさしくそこはテクニックの差が関与している面も
否定は出来ず、社会人である井戸田と、高校生であるマサヒコとでは、
本来比べるのも失礼な歴然としたレベルの違いが、そこには横たわっていた。
ついでに言うと、これはリンコの体質も関わっていたのだが、
その事にマサヒコ達が気付いたのは、この直後の事だった。
「ねぇ小久保くぅん。もうそろそろ入れちゃう?」
「もう入れるのか? でも的山、まだ全然準備出来てなさそうだけど」
「多分私、今日一日頑張っても無理だと思う。
 普段から頭がボケッとしてるからか、体の方もボケッとしてるのかも」
自分で自分の事をボケとか言う人間も中々珍しい。
しかし世の中には、確かに感度や反応の遅い人間は存在する。
頭を叩かれても「痛っ」と応えるのが人より少し遅い人間。
リンコは丁度そういう手合いなので、快感への反応も人より薄いのかも知れない。
それなら破瓜の痛みも大した事は無いかも知れないと考え、
マサヒコは前戯を早々に諦めて、いよいよ挿入を決意した。

372 :
そして、彼がリンコの両足を左右に広げ、中心を重ね合わせ、
先端を入口にちょっとだけ押し込んだ、まさにその時。
その瞬間にようやく、彼等は――リンコも含めて――初めて気付かされた。
リンコは決して不感症なわけではなく、ある瞬間に突然目覚めるタイプだったのだと。
「んアァんっ!」
「え、ちょ、的山?」
まだ先の方しか入れてないのに、もう痛いのか、とマサヒコは当初思った。
だが激痛に耐える者の声とは、根本的に違う事にすぐに気付く。
この声は、AVの中のシホやカルナの声と、極めて類似していた。
「ふぁ、あッ……何コレ……飛びそぉ……」
「ま、まさかリンちゃん……」
「入れられた途端に、感じ始めたのかよ?」
これは中村も予想外だった。リンコにこういう素質が隠されていたとは。
「挿入の瞬間が一番良いってのは、私も同意見だけど……。
 リンの場合、これが火付けになるなんてね」
中村の言う通り、これこそがリンコにとっての、性感発達の狼煙だった。
「なんかっ……スイッチ、入ったかもぉ……っ」
「痛くないのか、的山?」
「らいじょうぶ……それより、ねぇ、小久保君……おっぱい、触って……」
言われるがまま、マサヒコは今一度リンコの胸に手を伸ばした。
するとどうだろう、さっきまではどれだけ弄られても、
くすぐったがりもしなかった筈のリンコの体が、敏感に反応を返してくる。
「ひっ、あっ、ヤン! ンンッ、ンーっ!」
いきなり締め付けが強くなった事をマサヒコは感じ取った。
「うそ、だろ……今のでイったのか?」
見ると、リンコの股間からは、それまで一滴も流れていなかった筈の愛液が、
この瞬間を待ち構えていたかのように染み出してきた。
処女膜を破られた証の鮮血もそこには混じっているが、
そんな痛みはリンコにとって、快感を阻害するものにはならないらしい。
眼鏡の奥の瞳が、これ以上無いくらいに蕩けている。
挿入される事がリンコにとってのスイッチだったのは、どうやら事実のようだ。
「小久保くぅん……もっと、奥まで……お願ぁい……」
欲されるがままに、マサヒコは自分の強直を、より深く押し進めていった。

373 :
元々女の方が、男よりも絶頂の時間が持続するとは言われている。
また、女の快感は男の快感の比ではない、という説もある。
とは言え、リンコの場合は異常だ。
先端を入れ始めたその瞬間から、その後のピストンまで含めてずっと、
リンコは休み無くイキっぱなしで、何度も失神しかけていた。
挿入開始からまだ二分かそこらで、マサヒコもまだ射精には及ばない程なのに、
リンコ一人だけが贅沢なくらいに絶頂の中でよがり狂っている。
「イクっ! あっ! イッ! んぎっ! ふぇ、はっ、ンイっ! イクッ!」
イク、ではない。
正確には、イっている、だ。現在進行形だ。
その現在進行形が、もう何分も続いている。
羨ましい体質をしているなと、中村とミサキは密かに感動した。
それとも、リンコとマサヒコの相性が良過ぎるのだろうか。
こんな状況を目の当たりにしても、中村にはまだ冷静さが十分に残っていて、
教え子達の痴態を前に、洞察する程度の事は出来るのだった。
「本来男女の相性ってのは、自分に無い物を求める本能に起因するからねぇ」
「マ、マサヒコ君とリンちゃんが、お互いに自分に無い物を持ってると?」
合いの手を打つアイに、中村は一服でもしそうなリラックスした顔で返す。
「ボケ体質を極めてるリンにとっちゃ、ツッコミ王のマサは、対極でしょ。
 自分に無い物を持ってる男の、代表格みたいなもんじゃん?
 お互いツッコミ体質のマサとミサキより、下手すりゃ相性良いかもねぇ」
「でもそれじゃ、ミサキちゃんが可哀想なんじゃ……」
「そうとも言い切れないわよ?
 リンはツッコミを求めてるけど、マサはボケを求めてないもの。
 マサにとっちゃ、同じツッコミ体質で常識人の、ミサキの方が良いのかも」
要するにリンコのマサヒコに対する相性の良さは、一方的な物というわけだ。
そう考えると、恥ずかしいぐらいにイキまくっているリンコに対し、
まだ一発も射精していないマサヒコは、中村の推測を裏付けているようにも見える。
問題は、これがこじれて三角関係にならないかどうかだが、
リンコの性格を考えると、マサヒコを欲する余りに略奪愛をしようなどとは、
未来永劫考えそうにないから、その点は安心して良さそうだった。
「リンと同じくボケ体質のアイは、ひょっとするとマサと相性良いかもねぇ」
「じ、冗談言わないで下さい先ぱ……あれ?」
言いかけたアイは、部屋の片隅に、ある変化を見咎めた。
「ミサキ……ちゃん?」

374 :
目の前で乱れ狂うリンコに触発されたのか、
それとも彼氏が他の女を抱いている事に我慢ならなくなったのか、
或いは既にAV視聴とフェラで火照っていた体に限界がきたのか。
見ると、ミサキはスカートの中に手を突っ込み、よからぬ事をし始めていた。
「んっ、く……ん……あっ……」
事ここに至れば、ミサキも少し可哀想かも、と中村も思い始める。
ミサキは今、オナニーに没頭していた。
彼氏を目の前で奪われている状況で。
「こんん、なのぉ……良く、ない、のにぃ……」
中村とアイの位置からは、スカートを片手でたくし上げ、
もう片方の手で陰唇を弄ぶミサキの姿が、よく見える。
一方のマサヒコとリンコは、そちらに目を向ける余裕も無さそうだ。
その疎外感がまた、ミサキを一層惨めにしていた。
ミサキの華奢な指は、しかし下手なりにも料理を頑張ってきた苦労が滲んでいて、
爪の生え際の所々はささくれ立ち、夏場と言うのに荒れている部分も見受けられる。
料理の勉強を一時的なもので終わらせず、高校に進学してからも、
恐らくはマサヒコの為に、ずっと努力してきたのだろう。
その手が今、ミサキ自身の下の口に、中指を差し入れ始めた。
「マサ君……マサくぅん……」
せっかくパンティを脱いだのに、いやむしろ脱いでいた方がやはり良かったか、
兎に角彼女のアソコからは、粘性の液体が流れ落ちて、カーペットを汚している。
床が汚れた事はマサヒコには申し訳ないだろうが、
パンティを穿きっぱなしだったら、ミサキはこの後、
ズブ濡れの気持ち悪い下着を穿いて帰宅せねばならなかったろう。
「はっ、あっ、あっ、あっ、なかにっ、ナカに出ひてぇんっ!」
リンコは誰に指示されたでもなく、いつの間にかだいしゅきホールド状態だ。
マサヒコの方もそろそろ到達しかけているらしく、表情と呼吸が変わってきている。
「やっべ……ゴム……つけて、ねぇっ……や……」
「あふぁあ……マサ君……イキそうらよぉ……」
「ンイィッ! 気持ち良いよぉっ! 体バラバラんなるぅうっ!」
三者三様、マサヒコとミサキとリンコは、程なくして最大の絶頂を迎えた。

375 :
こうして、リンコは名実共に、マサヒコの「二人目」となった。
経験人数二人目、ではない。
正妻たるミサキに次ぐ、セックスフレンドとしての位置付けだ。
そうなる事を望んだのはマサヒコではなく、勿論リンコだったのだが。
「セックスってすっごぉい! 小久保君、これからもバンバンヤリまくろうね!」
「いや、もうこういうのは……」
気の引けているマサヒコを後押ししたのが中村であった事は、言うまでもない。
「ふふふ、マサぁ?」
「げっ、中村!? と、アイ先生!? ずっとそこに居たのかよ!」
「観念しなさい、ヤリチン。バッチリ映像に収めてるわよ。
 これをバラ撒かれたくなかったら、リンコの要求を飲みなさい」
「え、それアンタにとって何かメリットあんの?」
「無いわよ?」
どうせまた面白半分で首を突っ込んできただけなのだろうな、とよく分かる。
「ミサキちゃんも頑張りなさいよ? うかうかしてると、リンにマサ盗られるわよ」
「そっ、そんな事!」
「あんまりイジメちゃダメですよ、先輩」
「アンタも頑張りなさいな、アイ。いつまで処女で居る気よ、天然記念物が」
「うっ……」
この後、ベッドの上の赤い染みと、部屋に充満する雌の匂いが、
マサヒコの部屋を掃除しに来た母親にバレて、マサヒコが問い詰められた事も、
やはり言うまでも無い事だった。

続く

376 :
おつ。
久々の濱中モノが来てうれしいよ。
ピンキリ氏にも期待が。

377 :
おつ
この世界での津田がうらやま……不憫な目にあってる気がしてならない

378 :


379 :
そういえば生徒会三巻の七ページでコトミがベッドで寝てるけど、タカトシいるし、誰の部屋なんやろ?

380 :
久しぶりに来てみたら過疎ってるなー
思春期初期〜濱中時代の住人も氏家漫画を卒業してしまったのかな
まあでもある意味、「氏家漫画」が安定期に入ってるってことの裏返しでもあるのか

381 :
規制解除されたかテスト

382 :
ようやく解除されたか…およそ丸一年、長かった…

383 :
54

384 :
コトミ「zzz…ビクッ…ハッ!た、タカ兄!今あたしの中に出した!?」
タカトシ「どういう寝ぼけ方だよ」

385 :
規制解除キタ━(゚∀゚)━!
津田の野郎JKの足を触りまくりやがって!

386 :
今週はスズがエロくみえたな

387 :
アリアはそのまま押し倒したら抱かれてたんじゃないか?w

388 :
今週もスズは可愛かったな

389 :
最近ウオミープッシュが多い気がする

390 :
結局まったく投下できずに申し訳ないです。
仕事が忙しいのが悪いんだ(責任転嫁)
夏までには何とか(逃げ腰)

391 :
期待してます〜!

392 :
来週はうおみー回か
楽しみだ

393 :
今週のは色々と妄想がはかどるなww

394 :
本気で人いないな……
この隙にスズはもらっていってかまわんな?

395 :
通報

396 :


397 :
ここもさすがに過疎ったか・・・

398 :2013/09/25
ほす
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