2013年10エロパロ31: おむつ的妄想8枚目 (432) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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おむつ的妄想8枚目


1 :2013/01/12 〜 最終レス :2013/10/04
おむつが登場するなら、オリジナルでもパロディでも、どっちでも良し。
おむつが登場するなら、甘々でも鬼畜でも、どっちでもどんとこい。

おむつ好きなあなた、実はどんなことを されて みたいと思ってる?
おむつ好きなあなた、実はどんなことを し  て みたいと思ってる?

大好きなあのキャラに、「おむつを穿かせたい」と思いませんか?
大好きなあのキャラから、「おむつを穿かせられたい」とは思いませんか?

あなたの妄想を、小説にするもよし。
あなたの妄想を、職人さんに委ねるもよし。

あなたのおむつにまつわる世界をお待ちしております。
= お約束 =
 苦手な人にも気遣いを。なるべくsage進行で。(メール欄に半角でsageと記載)
 職人様はカミサマです。出たものは全て美味しくいただきましょう。
 あなたにとって、不得手なものは無言でスルーを。
 荒らし・煽りには放置を推奨。構ったあなたも荒らしのになってしまいます。
 ご意見・感想・苦言には感謝を。
 明日の職人さまはあなたかもしれません。
 書きたいものができたら躊躇や遠慮はせずに、是非投稿してみてください。

過去スレ
パロ】 おむつ的妄想 【オリ
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1088698882/
おむつ的妄想 2枚目
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1144159275/
オムツ的妄想 3枚目
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1199418979/
おむつ的妄想 4枚目
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1235061049/
おむつ的妄想 5枚目
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1253680167/
おむつ的妄想 6枚目
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1294925926/
おむつ的妄想 7枚目
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1345210980/
関連スレ
【パンツよりも】おむつ5枚目【恥ずかしいオムツ】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1269125902/
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所12【汚物】
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1350224147/

2 :
新スレか、ありがたい

3 :
「まとめサイト」も忘れずに
ttp://w.livedoor.jp/paperdiapereloparo/

4 :
いちおつ

5 :
>>1
このスレも良作に恵まれるといいね

6 :
>>5
パンツじゃないから投下しても恥ずかしくないもん!
というわけで言い出しっぺの法則

7 :
構想5分、書出し30分の乱雑なあれで恐縮ですが……
・・・・・・
睦月ユキカはこの夜、奇妙な胸の高鳴りが抑えられなかった。
(本当に……買っちゃった……)
ベッド上に薬局の紙袋から取り出した……明らかにサイズの大きな紙おむつを置き
「やってしまった……」などと半分後悔していた。
なんでこんなものを……と考えると耳まで熱くなってきたので窓を開け雪が積もっている外界の冷たい空気に触れ
頭を冷やした。
雪国なのにかなりのミニスカJKというのがネット以外でも時折耳にするが、当の本人とてそれを貫くのが結構辛かったりする。
ユキカの場合は雪の降る季節は冷えてやっぱりトイレが近くなると如実に感じている。
……別に『失敗』するほどのものではないが、二―ハイソックスとかで防寒を試みるのだがやはり寒いものは寒い。
ちなみに、スカートを長くする選択肢は存在しない。それは周囲から馬鹿にされないためでもある。
……となるとパンツの上に重ね着する必要があるのだがジャージとかハーパンとかは「中学生がやること」で
「ダサく」見えてしまう。
……そんな中、「紙オムツ」という手法があるという話を耳にした。
正確に言うと女性特有のアレの用品なのだが、中には「重い人」用にまんま「紙オムツ」のようなものもあって
それが普通の下着より暖かいという話なのだ。
……なので早速買い求めようとしたのだが近所のドラックストアでは見当たらず泣く泣く紙オムツを買ってきたというのが
本日の経緯なのである。
(漏らさなきゃ大丈夫、漏らさなきゃ大丈夫、漏らさなきゃ大丈夫……)
念仏を唱えるように明日から身に着けてみるという事実に不安を覚えながらなんとか就寝するのだった。
・・・・・・
さて翌日、その日はやってきた。朝食を食べ身支度を整えるとショーツだけ
脱ぎ昨日買ってきた紙オムツを身に着けてみる。
「とりあえず厚手なもの」と適当に買ったらテープ式のもので独りで身に着けるのに一苦労したが
なんとかずり落ちないように留めることができた。
(なんか……お尻がいつもよりふっくらしている気がする……)
ブレザーの制服を身に着けてみてスカートもいつも通りに腰の部分をクルクルと巻いて短くしてみたが
紙オムツの影響で普段の感覚でやってみると普段より際どくなったような錯覚がしてしまう。
もうちょっと長めにしてみようかと考えているともう登校しなければいけない時間になっていて
コートとマフラーを身に着け手早く自宅を後にした。

8 :
(あー……見せパンを重ね履きすれば良かった……)
「紙オムツ」を身に着けているせいか、意識がそちらに回って通学風景がいつもより味気なく感じ、
気が付けば教室という状態だった。
幸い、着替えるような時間割は無く、友達と休み時間で雑談しながら何気なく過ごせる……筈だった。
(あっ、ショーツ持ってくるの忘れた!)
さて、別に紙オムツ本来の機能を使うつもりはないので尿意を感じて日常通りトイレに向かって本日最大のミスに気付いた。
替えのショーツを持ってきていなかったのである。
おまけに身に着けているのはテープ式で再び粘着力を発揮する保障はどこにもない。
なんとか脱げないか試すがピッタリと隙間なく装着された紙オムツをズラすことすら不可能だった。
(……そんな)
ユキカの顔がみるみると青ざめていった。
・・・・・・
(なんとか……持ちこたえた……)
ユキカの脳裏に『失禁』というシナリオが過ぎっていたが幸い本日の授業は少ない日で下校時間まで持ちこたえたのは
奇跡だった。
乱雑にカバンに教科書を入れて小走りで下校すると駅前のコンビニに急いだ。
ユキカのシナリオではコンビニでショーツを買い、駅のトイレで用を済ませて履き替える……というパーフェクトなものだった。
「スゥ、ハァ、スゥ、ハァ」(コンビニ、コンビニ、コンビニ……)
時々猛烈な尿意に苛まれながら雪道で転倒しないように気を付けながらもいつもより
早歩きでコンビニを目指す。
そういえば、コンビニにもトイレがあった筈だからそこでもいい……というショートカットを考えていた。
「キャッ!」
目の前にコンビニが現れた直後だった。
早く……!という想いとゴールを目の前にした気の緩みなどが重なったかもしれない……
あれだけ踏破してきた筈の雪で凍った道の窪みに足を掬われ……思いっきり尻もちをついた。
……それも鈍い痛みが下半身に走るくらいの重い一撃である。
(えっ、えっ、えー!?)
立ち上がろうとしたら下半身……特に股間がドンドン暖かくなっていく。
最初は気づきにくく分からなかったが次第に温かいものが下着状に広がっていって嫌でも気づいてしまった。
(そ、そんな……)
ゴールを目の前にして「紙オムツ」本来の用途で使うという失態を犯してしまった日になった……

9 :
これで雑とか小一時間(ry
乙です

10 :
新スレ&新作乙!

11 :
新スレ乙。
職人様GJ!
がしかし、1はある一文が抜けていて、初代1としては気になるる。

双子姉妹のこもごもを妄想したが、携帯だとやはり文章まとめては難しいなorz

12 :
無機質なビル群の街を、疲れた体を引き摺るようにして歩く男がいた。名前は日向義郎。大手流通企業で営業をし、毎日を取引先との折衝で気をすり減らせる日々を送っている冴えない青年だ。
「明日はK商事の増田さんとの飲み会かぁ……はぁ……」
溜息が出るのも無理はない。彼が手に持つメモ帳には来週も再来週も予定がぴっちり詰まっていて、とてもじゃないが晴れやかな気分にはなれなかった。
「俺、んじゃうんかなぁ……ただいまぁ…」
都内にある鉄筋コンクリート製の安アパート。それが彼の住む部屋だ。それほど広くもない、2DKの一室。そんな雑然とした部屋の中で、小さく動くものがあった。
遠目で見れば、それは紫と黒の塊のように見えるだろう。その姿を見つけると、義郎の顔に笑顔が戻った。
「おかえりなさい、ヨシロウっ!」
「…ただいま。カゲツちゃん」
少女はニコニコしながら少し散らかった部屋の中を、飛び石を飛ぶように動き回る。その姿はまるで猫のようだった。華麗なステップで着地すると、褒めてとばかりに頭を差し出した。
恥ずかしそうに頬を掻きながら義郎は、その少女の長い黒髪が生える頭にそっと手を置き、少しばかり乱雑に撫でた。
「うひゃーっ!」
かわいい悲鳴を上げながら、少女は顔を赤らめた。喜びに体を震わせ、満足そうな笑顔で義郎を見つめる。その姿は、とても普通の子供のように思えないものだった。
紫の和装に紅の帯。和装から漏れ出る肢体は白樺の若木のように細く、白かった。全体的な細身の体の上に乗る頭は、体と対比すると少しばかり大きく見えた。
丸くて柔らかそうな頬に、薔薇の花のような赤い瞳。漆黒の艶やかな長髪は顔の周りをくっきり残す形で切り揃えられ、その容姿はともすれば日本人形のように見える。
カゲツという名のこの少女は、義郎の子ではなかった。そもそも、人間の子でもない。
かつて人は彼女のことをこう呼んだ。幸せを運ぶ妖怪、「座敷童子」と……

13 :
実家の寒村からの帰り道で道端にさみしそうに蹲っていた幼い少女に声をかけ、おにぎりをご馳走してあげたのが縁で、義郎とカゲツは共に暮らすことになった。
それが半年ほど前の出来事だ。
以来カゲツは義郎の家に住み着き、こうして彼の癒しの存在となっている。
「ヨシロウ。お腹すいた」
「はいはい。今作るから」
カゲツはパタパタと足を動かし、ご飯の催促をする。まるで幼い少女そのままの姿だが、これでも生きている年月は義郎よりもずっと長い。
「ヨシロウ!はんばぐ食べたい。はんばぐっ!」
「ハンバーグな。確か冷蔵庫にこの前買った……」
義郎は記憶を頼りにお酒やつまみがぶち込まれている冷蔵庫を捜索する。
カゲツが来る前は風景だった冷蔵庫は、今は彼女が好む料理やジュース、そしていつの間にか親のような心で用意された野菜類などで埋め尽くされていた。
「は〜や〜くぅ〜!!はうっ……」
カゲツの催促する声が途絶え、困惑するような声に変化した。数秒の沈黙。そのあとに響く、流れ出る水音。
一分ほど響くその小さな滝のような音は、声のないこの空間を支配して高らかに響く。
そしてそれが何を意味するのかを、義郎はよく知っていた。
「…………漏らしちゃったのか?」
「――――」
彼の問いに口を閉ざし、俯くカゲツ。目の前に広がる粗相の後は、彼女が義郎の言うとおりのことをしてしまった事実を証明していた。
「我慢、できなかったのか?」
優しい言葉にもカゲツは反応を示さない。何も語らず、何も示さず。ただ黙る彼女に戸惑いながらも、まずは後始末を……と雑巾を探しだした。

14 :
「ほらカゲツちゃん。別に怒ってないからさ、まずは服、脱いじゃいなよ。気持ち悪いだろ?」
慰めの言葉を掛けつつ床の水溜りをふき取り、バケツの中で絞る。疲れに体が軋みを上げるが、さすがに放っとく訳もいかなかった。
一通り床も吹き終え、いよいよカゲツの座る椅子の番という時に、堰を切ったように泣き出した。
「ふぇぇぇえぇっぇぇぇぇんっっ………」
「失敗しちゃって、悔しいんだよな」
カゲツは整った顔をぐしゃぐしゃに歪めて、感情のままに泣き叫んだ。
悔しさを滲ませる彼女の頭を撫で、義郎は優しい声色で話しかける。
穏やかなリズム。
なるべく落ち着かせるように、義郎は無意識に体を、心を動かす。
「このままだと、気持ち悪いだろ?だから服を脱いで、シャワー浴びよう。俺がその間に、ハンバーグ、作っとくからさ」
義郎の言葉に、少女の頭が縦に動いた。波が引いていくように、嗚咽の勢いが明らかに弱まっていく。
――あともう少し……
心の中で確かな手ごたえを感じつつ、義郎はカゲツが落ち着くのを待った。
数回のしゃっくりの後、彼女はようやく元の整った丸い顔に戻った。目を涙で少し腫らしながら、彼女は義郎に問う。
「おこって、ない?」
怯えるような震えた声。彼女の泣いている理由の中には、それも含まれていたのだろう。義郎は硝子玉のようなその瞳を見つめ、問い返す。
「怒ってなんかないさ。ほら、俺の目が怒っているように見えるか?」

15 :
「ほんとう?」
「ああ」
カゲツは義郎の言葉を信じ、食い入るように彼の瞳を覗きこんだ。
お互いの視点が交差する。まるでにらめっこのような態勢。
真剣に相手の目を見て、最後にカゲツは首を横に振った。
「うん。嘘ついてない……と思う。カゲツ、ヨシロウを信じる」
強い視線でそういったのは、彼女の意思の表れだろう。
対する義郎は上目遣いで覗き込むカゲツにちょっと顔を赤らめつつ、もう一度頭を撫でた。
「だから泣くのはやめてくれ。俺もどうすればいいか、わからなくなっちまうからさ」
「…………うん。ごめんなさい、ヨシロウ」
ぺこりとお辞儀をして、幼い少女のような妖怪はお風呂場へと向かう。
テトテトと走る彼女を見送った後、義郎は彼女の最近の「粗相」具合について考えていた。

16 :
どうにも粗相の頻度が増えていると、義郎は感じていた。
最初、カゲツを連れてきたときは粗相なんてしなかったのに、今では七割方粗相をしているような気がする。
日に日に悪化するのは、自分が彼女をこんな薄汚いところに置いて行ってしまうせいだろうか。
無理をさせているのかもしれない。
不安になった彼は、少女のために行動を開始した。

17 :
それは、あれから数日たった後の日のことだった。
「ただいまー」
「おかえりなさい。どうしたの、そんな元気な声出して」
珍しく元気良い掛け声で帰ってきた義郎に、カゲツは不思議そうに尋ねた。
いつもは疲れた表情なのに、今日はそれを吹き飛ばすような爽やかさだ。
そのことに小首を傾げる彼女に、義郎はあるものを取り出す。
「はいこれ、お土産」
「えっ?これって……」
カゲツは出されたものを見て驚愕した。そこに広げられているものは、彼女も一度は目にしたことのあるもので、そして彼女にとって意外なものだった。
「おむつだよね。これ……カゲツに?」
いくつものカラフルなカバーに、かわいい絵柄が描かれた白い布おむつ。
いくらカゲツが幼く見えるからと言っても、とても年齢に見合った服装ではない。
それは彼女自身も感じたようで、不満なのか頬を膨らませ、文句を言った。
「カゲツは……そんな、赤ちゃんじゃないっ!」
強く握った握りこぶしが、彼女の不満の度合いを物語る。
それをちらと見やり、しかし毅然とした態度で、義郎は指摘した。
「でも、最近おもらしすることが多くなっているだろ。このまえだって我慢できていなかったみたいだし。流石にこのままというわけにはいかないよ」
「むぅ……でも、カゲツはっ、んぁっ」
文句を言っていたカゲツの言葉が、短い悲鳴とともに止まる。
話している最中に決壊したのか、おしっこが彼女の体から流れ出た。
最初は着物の下に染みを作り、そして着物の端から雨粒のように滴り落ちて、大きな水たまりを作っていく。

18 :
ほぼラグタイムすらない失禁に、義郎もカゲツも驚きで身を固まらせた。
最後に体を震わしておしっこを出し切ると、つぅと柔らかそうな頬を涙が伝う。
呆然とした表情のまま固まり、そしてゆっくりと顔を下ろして自らの粗相の後を確認する。
涙の雫が、大きな黄色の水溜りに波紋を作った。
「カゲツ、その、な」
「うわあぁぁぁぁぁん……っ」
宥めようとする義郎の前で彼女は口を大きく開け、叫ぶように泣いた。
甲高い声は部屋中に反響し、大粒の涙がリズムを刻むように水たまりに波紋を作っていく。
手が付けられないほどの大泣きに、義郎は困惑するしかない。
ただ、さっきまでの言葉と態度を思い返し、彼女のことをもっと考えてあげられなかったのかと、義郎は一人、心の中で自分を責めた。

19 :
あの出来事から、二人の生活は劇的に変化した。
「ただいま」
「おかえりなさいー。ヨシロウ」
普段通りのお出迎えだが、最近はそのあとにする約束事ができていた。
義郎は徐にしゃがみこむと、着物の隙間から手を差し込み、その下にくるまれたカゲツのおむつをまさぐる。
「く、くすぐったいよぅ……」
「ちょっとじっとしててくれ……結構濡れてるな。外から触ってもパンパンだ」
「うん、いっぱいもらしちゃった……ごめんなさい」
「謝ることはないよ。カゲツがおもらししちゃうのは、しょうがないことなんだから。俺が着替え終わったたら、おむつ換えようか」
「うんっ」
元気いっぱいの受け答えは、カゲツがおむつに慣れていることを示していた。
「ありがと。じゃ、もうちょいだけ我慢してくれ」
軽い言葉を掛けて義郎は身を包むスーツを脱ぎ、カジュアルな普段着へと着替える。
「もぅ…早く早く〜っ」
着替えが終わると同時に、カゲツの急かす声が耳に届く。
義郎はそんな彼女のもとへと笑顔で近寄り、すぐさまおむつ替えの準備を始めた。
「横になって、カゲツ」
「うん」
いつのまにか部屋は整然としていた。
とても少し前までの、足の踏み場もなさそうな部屋と同じとは思えない。そ
の真ん中に敷かれた吸水シーツの上に仰向けに寝転がり、カゲツは少しだけ顔を赤らめながら、義郎を見つめる。
その顔は、緊張をしていても、はにかんだような笑顔であった。
「ヨシロウ、お願い。おむつ、換えて」

20 :
カゲツは懇願の言葉を口にするとともに、しゅるりと帯を取って紺色の紬を肌蹴させ、その肢体を外気に触れさせた。
「あ……」
鋭敏な感覚が、彼女の体を電撃のごとく駆け巡る。
外気の冷めた空気が熱を持った体を冷やし、カゲツは体を大きく震わせた。
柔い肌はうっすらと朱色を帯び、胸は少しばかり荒く上下動を繰り返す。
これから起きることを期待しているのか、彼女の鼓動は速さを増し始めていた。
「おむつ、開けるよ?」
気を使う義郎の言葉に、カゲツは小さな頷きで返す。
潤んだ大きな瞳は、興奮を表すかのように怪しく輝いている。
宝石にも似たその輝きは、義郎の心の中にある性的本能を揺さぶった。
――何を考えているんだ、俺は。
自らの内に出た疾しい心に、義郎は冷静に突っ込んだ。
相手は妖怪とはいえ、見た目は年端もいかない子供だ。
そんな相手に対して劣情を抱くというのは、いささか犯罪臭がすると自己分析する。
しかし、同時に彼は思う。
このまま彼女に自らの欲望をぶつけられたら、どれほど素晴らしいか……と。
「ヨシロウ?」
心配するようなカゲツの声に、義郎は理性を呼び覚まされる。
自らの欲望を押さえつけ、ゆっくりと彼女のおむつカバーへと手を伸ばした。
ごくと生唾を飲み込む音が、緊張した空気の中で耳に響いた。
欲望と緊張を表すようなその音は、自分が出したものか、それとも彼女が出したものか。
本能と理性に頭をぐちゃまぜにされている彼には、その真相はわからなかった。
乾いたマジックテープの音が、部屋の中にこだまする。
両羽を広げてから前あてを開くと、封じられたおむつが露わになった。
「いっぱい出てるね。おむつがぐっしょりだ」
「やぁ……、言わないでよぉ……」

21 :
ずっしりとしたおむつを持った男の感想に、少女はいやいやと首を振りながら反応する。
羞恥を煽るような表現は、いつの間にか出るようになっていた。
その言葉を受けたカゲツは、真っ赤になりながら恥ずかしがるように手で顔を覆う。
しかしその口の端は、微かに笑っているような気がした。
「おむつ換えるから、腰、上げて」
義郎の言葉に導かれるように、カゲツは素直に腰を上げる。
体を湿らせていたおむつが取り払われ、おしっこによって汚れた秘所だけになる。
「おまたを綺麗にしましょうねーっと」
「…………えっち」
義郎がからかい半分で言った言葉に対して、カゲツは辛辣な指摘で返した。
顔を覆っていた手をどけると、そのままだらんと両腕を広げるように置いた。
それは本当の赤ん坊のような態勢でもあり、「降参」のポーズにも似ているものだった。
彼女は自らの意思を放棄し、義郎に総てを委ねる。
「お願い、ヨシロウ。カゲツのあそこ、きれいにして」
その声は緊張と興奮で震えていた。体を強張らせ、警戒する小動物のような、そんな印象。
義郎はそんな彼女のおでこを優しく撫でると、囁くような声で彼女に言った。
「大丈夫、力を抜いて。怖くないから…」
その上に軽くキスをすると、すぐさまウェットティッシュで秘所を拭き始める。
それは、彼女がおむつを穿くようになってからの、日常の一部となっている行為だった。

22 :
「ふあぁっ…」
外気に触れて敏感になった秘所に、濡れた紙のの冷たい感覚が染み渡る。
瞬間に走る電撃にも似た衝動。
カゲツの体は、地上に打ち上げられた魚のように跳ねあがった。
思わず出る悲鳴は、彼女の体にもたらされた快楽の証そのものだ。
「や、そこ、そこがいいのっ、あっ、んっ、んあっ」
今度は言葉で甘え始めると、義郎はすぐさま彼女の指定したところを拭いた。
そこは膣の入り口、外陰部の周りだ。丁寧に優しく、それでいて焦らすような手つきで苛めると、カゲツは喘ぎ声を上げながら、求めるように腰を動かす。
「しゅごい、の…からだが、ふわって…あつくて…」
とろけるような瞳で義郎を見つめ、呟く。そこには子供らしい顔とは裏腹の、淫靡な女としての本性が見え隠れする。
より自分が気持ちよくなりたいという、幼い外見からは考えられないほどの貪欲さ。
義郎もわかっているのか、彼女の求めるがまま、膣口を中心にまんべんなく責めた。
「もっと、ちょうだいっ…あひゅっ、きもちいいの、そこっ、苛めて、やぁあっ!きもちいいのぉっ、いっぱい……いっぱいっ!」
快楽に溺れる声は、妖艶な詩を奏でる。拭いているはずなのに溢れ出る、透明な粘着性の液体。ぐじゅぐじゅと隠微な音を立てる愛液は、彼女の心が至福に満たされつつあることを示していた。
「ヨシロウっ、カゲツ、頭がっ、おかひく、なっちゃうよぉっ!」
自分の中にある衝動に耐えきれないのか、カゲツは悲鳴を上げるように叫び、シーツを力強く握った。
まるで体の中にある獣を押さえつけるように、快楽の波に耐えながら、時折苦悶の表情を浮かべる。
しかし、それもいつの間にか腑抜けたような笑顔に変わり、最後は恍惚に満ちた表情となる。

23 :
とめどない波が、彼女の内側を満たしていく。なすがままに愛撫されて口から涎をたらし、その身を快楽に浸らせる。
「きゅうっって、ふあっ、そこいいお……すごく、あんっ、もっとやさしくぅ……そう、それ、キモチいいのぉ……」
呂律のまわらない言葉。鋭敏な感覚は興奮によりさらに先鋭化し、羞恥を煽る自らの悲鳴とともに簡単な刺激さえも何倍もの快楽へと変貌させていった。
「らめっ、もう、らめになっちゃうっ……きちゃうの、すごいの、きちゃ、ああっあああああああああああっっ」
甘えた声で喘ぐカゲツに合わせ、義郎の責めも苛烈さを増した。クリトリスを弄り、外陰を擦り、そして膣の中を引っ掻く。蜜壺を刺激し、尿道口を責め、そして全てを丁寧に愛撫した。
彼女が求める快楽を、義郎はすべて与えてあげた。それは義郎の望みでもあった。
彼女のためにできることは何でもしたい。責任感にも似た保護欲が彼の中で芽生えていたからだ。それが今の関係を生み出し、そして、彼もまたそのことで満たされていた。
幼い少女を守りたいという父性、そしてカゲツを淫乱な女に変えたという支配欲。誰かに頼られているという安心感。無意識の中で混じったそれらは、一つの幸せを見つけた。
「イく、カゲツ、もう、げんかいなのっ、ひぃああぁぁっっ!!」
最大限の叫びとともに、カゲツは絶頂へと達した。白い液体がウェットティッシュ上に放たれ、受け止めきれずに義郎の手を汚す。
カゲツは力尽きたかのように脱力し、事後痙攣で震える。その開かれた割れ目から、ゆっくりとおしっこが漏れ始める。
「おおっと」
それに気づいた義郎は、近くに置いてあった新しいおむつをカゲツの腰の下に置いた。
ちょろちょろと力なく流れ出るおしっこは、膣横を伝いおむつの中に染み渡る。目をトロンとさせて微睡むカゲツに、義郎は声をかけた。
「疲れたろ?あとはやっとくから、寝ても大丈夫だよ」
「……うん。おやす……すぅ」

24 :
大きなその瞳を閉じ、すぐさま寝息を立てるカ彼女の頭を、義郎そっと撫でた。そのまま髪に手を通し、その感触を確かめる。
その行為は今ある夢のような幸せが、現実の存在なのかと怖くなったからだった。
――大丈夫。ここに、カゲツはいる。
思わず抱きしめたくなる衝動を抑えて、彼はカゲツが安心して眠れるように、おむつ換えを再開する。
手早く新たに汚したおむつを取り払い、しっかりと拭いてから換わりのおむつをセットする。
もう何回もやって慣れたせいか、先ほどの行為の時間の半分もかからないうちに、おむつ換えを終えた。
「かわいいよ、カゲツ……」
お姫様抱っこでベッドに彼女を移し、もう一度その体に触れ、呟く。
眩いばかりの白い体躯に、新たな薄紅色の着物を着させる。
最後に合わせをすると、浅く上下する胸が目の前に露わになる。
子供特有の柔らかい肉質の胸に指が触れ、思わず手を引っ込めて、目をそらした。
その先にあったのは、これまた柔らかそうな唇だった。満足そうに口の端を曲げているそこが、徐にむにゃむにゃと動き、開いた。
「ヨシロウ、だぁいすき」
紡がれた言葉は、彼の顔を真っ赤にさせるには十分だった。数秒固まって目を泳がせた義郎は、意を決したように彼女の耳元に近づき、宣言する。
「俺もさ、カゲツちゃん。俺もカゲツちゃんのこと、この世で一番愛しているさ」
言い終わると同時に聞こえる、水のせせらぎ。くぐもった音がおむつから聞こえ、見る見るうちに固くなっていく。
それでも気づいていないのか、カゲツは穏やかな寝顔のまま、すぅすぅと寝息を立てる。
「安心しきって寝ちゃって。仕方ないな、もう」
義郎は彼女のおねしょを見届け、おでこにキスをしてからお風呂の準備に取り掛かった。
起きた後のかわいい反応を思い浮かべ、幸せに顔を緩ませながら。

25 :

座敷童たん(*´д`*)ハァハァ

26 :
これは続きが読みたい

27 :
人外好きにはたまらん展開だな…
この前がエルフで今度が座敷わらしか

28 :
うますぎだろ
こんなに悶えさせられるのは久々だ。
良い絵師もいればいいんだがなー

29 :
このペースで2作か、幸先いいな。良作多めでどんどん頼む

30 :
本の森を、私は歩く。私の背丈を凌駕する本棚には、本が整然と並べられていた。手に持つランプの明かりだけが、ここの光源だった。歩くたびに埃が舞う。
ここに眠る本は、決して誰にも読まれることのない書物ばかりである。存在する意味すら希薄な、書物とさえ呼べない代物。
 私はそこから、1冊の本を取り出す。
 古ぼけた表紙には、題名すら刻まれていなかった。読まれることのない物語。そのため、題名すらいらない。
今、私の手にあるのは、ただあるだけの、本だ。私は静かに目を閉じる。
声が聞こえる。
本たちの声が聞こえる。
読まれたいと。存在したいと。
本たちの嘆く声が聞こえる。
そして、手に持つ本は囁いた。君が来るのを待っていたと……
再び目を開ける。静寂が、ここを支配していた。私はランプを机に置き、その本を捲った。題名のない物語。今、その扉が開かれて……

31 :
揺れる車内の中で、俺は外を眺めた。田舎じみた風景が、次々と通り過ぎていく。やがて、目印を確認し、仕事に戻った。
「次は萌葱ヶ原―。萌葱ヶ原―。お出口、左側です」
アナウンスを言ったところで、何も変わるわけはない。閑散とした車内の中には、椅子に深々と腰掛けた老人が1人いるだけだ。眠っているのか、ぴくりとも動かない。
ガクンと激しく揺れ、電車が減速する。老人は意も介さず、揺れた時に落ちた杖を拾い上げ、先程と同じポーズをとった。また、石の如く動かなくなる。
荒っぽい動きで電車はホームへと滑りこんだ。停止したのを確認し、ドアを開く。誰もいないホーム。開いた所で空気の入れ替えしかできない。
すぐさま笛を吹き、ドアを閉めた。ガタンと大きな音がして、ドアが閉まる。全てのドアが閉まったのを確認するのと同時に、電車が発車した。
老人はそこで、先程の駅が、自身が降りる予定の駅であることを思い出した。

32 :
俺の名前は緒方 紅雪。今年で20歳になる。
勤め先は橋渡鉄道という、地方の私鉄企業だ。
そこで車掌として採用され、日々を過ごしている。
地方の鉄道会社といっても、本業は不動産業であり、こちらは社名にもなっているのに、おまけ扱いの部署だ。
赤字と黒字の間を行ったり来たりしてる程度で、朝夕は忙しいが、昼間は極端に人がいないという、典型的な田舎の鉄道の様子を呈している。
今日もまた、昼間の運用に配備され、車掌として乗り込む。始発駅はこの地方の中心都市であり、大手鉄道会社も乗り入れる駅である。
その隅っこに、小さな2両編成の電車が、佇んでいた。すぐさま引き継ぎを行い、車掌としての準備に取り掛かる。乗っている人数は十数人ほど。これでも多いくらいだ。
モーター音がうるさい。旧式の、大手鉄道の払下げという車両は、所々に古い電車特有の錆が見られた。確認を終え、時計を確認する。もう少しで発車時刻だった。
他の鉄道会社とをつなぐ連絡橋から、何人かが歩いてくる。外でタバコを吹かした初老の男性が、たばこをポイ捨てし、電車に乗り込み、3人がけの席を占有した。それでも席は余りあり、立っている乗客など、一人もいなかった。
時間だ。発車ベルを鳴らした後笛を吹き、発射を知らせる。駆け込み乗車など、この時間帯では一度も起こり得なかった。
ドアを閉め、窓から顔を出す。誰もいないホーム。電車は大きく揺れ、動き始める。鈍重そうな車体を引きずり、電車は始発駅を後にした。

33 :
始発駅から10駅目。すでに車内は閑散としていた。多くの乗客は1つ前の駅で降りてしまい、列車に残っている人物は、わずか3名だった。
「次は栗原団地―。栗原団地―。お出口、右側です」
電車がつくと同時に、その3名が別々のドアから降りた。乗ってくる客などいない。
笛を吹き、ドアを閉める作業。今この電車にいる人間は2人だ。運転士の園部先輩と、車掌の俺。客を乗せなくても、ダイヤ通りには動かなければならない。電車は空気を乗せ、次の駅に向けて走り始めた。
3駅。誰も乗らずに停車した。ドアを開ける素ぶりだけして、実際は何もしなかった。運転士も分かっているため、お咎めなどない。きっと次の駅でもそうだ。
アナウンスさえ放棄し、次の駅を眺めた。ホームに人影はない。電車は荒い減速運動を繰り返して、桜台駅に到着する。俺はドアを開ける振りだけしようとして、ベンチに子どもがいることを確認した。
その女の子は、安穏に満たされた表情で、眠っていた。山吹色のカチューシャ。赤味かかった茶髪。長く伸ばされたそれは、艶やかさを誇り、風が吹くたび羽衣のように揺れる。すぅすぅという寝息。
天使のような顔立ちと言っても、差し支えないほどに可愛らしい。肌は、最高級シルクを肌にしたという感じで、触れることさえおこがましく感じた。白の、キャミソール型ワンピースを身に纏い、佇む姿は、西洋の名画を切り取ったかのようだ。
俺は時計を確認する。…ここは交換駅で、向かい側からくる上り電車を待たなくてはならない。発車時刻まで、数分あった。ドアを開け、乗務員室から出る。その音にも、彼女は動じなかった。俺は静かに近づく。
まるで禁断の花園を覗くかのような仕草に、自身でも笑いが込み上げた。

34 :
近くで見て思う。やはり、この子はかわいい。起こすために手を伸ばす。寝息を聞いて、一瞬、躊躇ってしまった。
鼓動が速くなるのがわかる。
興奮しているのか?
いや、きっと恐れているんだ。この空間をぶち壊すことに。
「お嬢ちゃん」
その手が、彼女のむき出しの肩に、触れた。
滑らかな触感だった。もちとした子供特有の感触。それでも掴む手が滑り落ちてしまうのではないかと勘ぐるほど、きめ細やかな肌だった。
「ん……ん?」
その、大きな瞳が開かれ、俺を見つめた。
燃えるようなオレンジ。その瞳の色は、夕焼けに似ていた。
「ふぁー…おはようございま、ひゅ?」
大きな伸びをした後、彼女は可憐な声で、目覚めの挨拶をする。聞いただけで、心が溶けるような声。辺りを見回し、俺を見て、彼女は大きな瞳をさらに大きく見開き、
「えっと…駅員さんですか?その、あたし、電車待ってる間に寝ちゃって…」
と弁明を始める。俺はその様子がおかしく、思わず吹き出した。
「プッ…アハハハハハ!」
少女はその様子が気に入らなかったのか頬をぷくぅと膨らまし、
「いきなり笑い出すなんてレディに失礼かと思いますけどー!」
と口を尖らせ言った。俺は帽子を取り頭を下げ、
「すいませんお嬢様。お嬢様が健やかにお眠りになられている間に、電車、発車しますけれど?」
最後は時計を見ながら脅した。反対側の電車が発車し、こちらも発車時刻が迫っていた。少女はそこでハッとし、
「ああ!乗るから待ってー!」
そばに置いてあったうさぎ型のリュックを背負い、駆け出す。俺はそれを見送ると乗務員室に戻り、笛を吹いた。ドアを閉める。数秒後、1人の少女を乗せ、電車が再び動き出した。

35 :
少女は座らず、ドア前に立ちながら景色を眺めていた。車内が揺れるたびにふらつきそうになるが、決して転ぶことはなかった。
次の駅についても、少女は下りず、ドア前に立っているだけだ。すぐに作業を済まし、発車する。流れていく風景はひどく田舎で、のどかだった。大きな道路の下を抜け、電車は加速する。ガタンと、一際激しく揺れた。
「うわわっ!」
さすがに耐えきれなかったのか、少女は大きく転んだ。尻餅をつき、腰をさする。涙目になっていた。この位置からだと向かい合うような感じになる。俺は努めて見ないようにしていたが、やはりそこは男で、ちらちらと様子を窺っていた。
その時、何か変なものを、見た気がした。
 ついそれを確かめたくて、俺は少女をまじまじと見てしまう。それに少女が気付くと、あかんべぇをしてそっぽを向いた。今度は背中のうさぎと目が合った。
流石に見ているのも馬鹿らしくなって、景色のほうに目を移す。電車は数少ない住宅地の中を、滑るように走り抜ける。時折高台を通り、街を眼下に見渡せた。
ぽつんぽつんと家がある、田舎の町。俺の地元。一度たりとも、離れたことがない。あんなことがあった後の今でも。
「次は、雲雀山―。雲雀山。お出口、左側です。ホームと電車の間に、隙間がございます。足元にご注意ください」
アナウンスをして、一度車内を見た。少女は相変わらず立ったままで、遠くを眺めていた。これもこれで絵になるなと思いつつ、俺は仕事に戻る。踏切の音が、ドップラー効果で過ぎていった。電車がホームに滑り込み、もう一度大きく揺れて止まった。
「わひゃぁあ!」
少女は転びそうになるのを、席を掴んで防ぐ。そうなるなら座ればいいのに。俺の思いとは裏腹に、少女は座ることはなかった。誰も降りることなく、電車は発車する。いよいよ電車は平野部を抜け、山間部へと向かっていった。

36 :
電車の揺れが激しさを増した。大きなカーブを通るたび、激しい横揺れが襲う。それでも少女は立ち続ける。
転びそうになっても、ドアに頭をぶつけそうになっても、彼女は決して座ることはなかった。
というより、座ることをひどく恐れているようだ。
渓谷に架かる橋を渡る。轟音を立て、電車は進む。揺れは、最高潮に達していた。少女はついに耐えかね、すぐそばのシートに腰かけた。
座り方を気にしつつ、そして俺の位置を確認しつつ、彼女はシートに深々と腰掛けた。そこは女の子だ。やはり気にしているのだろう。先程のこともあったし。
「まもなくー夕顔―。夕顔。お出口、右側です」
アナウンスを聞き、少女はぴょんと立ち上がる。すぐさまドアの前に立った。どうやら、この駅が彼女の降りる駅のようだ。うきうきしながら、彼女はドアから景色を眺める。
そのとき、ポイント通過のため、電車が大きく揺れた。
「あうっ!」
少女は不意を突かれ、さっきのように尻餅をついた。ワンピースのスカート部が乱れ、その中の下着が、ちらと顔を覗かせた。
見慣れない、ふっくらとしたフォルムだった。
 薄ピンク地の部分が、少しだけ黄色くなっている。よく見ると、布というより紙のような質感だ。
「…っ!」
少女は俺の視線にすぐさま気付き、スカートを押さえ、下着を隠す。顔が、ほんのりとした朱に染まる。責める視線。俺は罪の意識で目をそらした。電車が止まる。すぐさまドアを開く。
少女は脇目も振らず、ドアから飛び出し、改札へとつながる階段へと消えていった。小高い丘の上に作られた駅。眼下にはニュータウンとして造成された、整然とした無機質な街並みが広がる。
無駄に長いホームの中央に、不釣り合いな2両編成の電車が停まる。朝夕はここから大手鉄道へ乗り入れる直通電車が発車するから、ホームは長めに作られていた。ダイヤの調整で、一服できるほど停車する。
煙草が半分まで来たところで、発車時刻になった。もったいないと思いつつ、その煙草を携帯灰皿の中にいれ、笛を吹いた。吹き終わった後、むせてしまう。この仕事に就いてから、煙草が苦手になった。
夕顔駅を離れ、電車は加速を始める。また無人になった車内は、電車の奏でる雑音だけが響いていた。終点まで4駅。きっと、誰も乗っては来ないだろう。丘を進み、トンネルに入る。車内を電灯の光が、煌々と照らしている。
誰もいない車内の中で、彼女の姿を幻視した。先程の光景が目の奥に焼き付いている。それほどに、インパクトがでかかった。
彼女の下着。
別に見ようとして見た訳ではない。彼女を眼で追っていたら、つい見てしまった。だが、それも驚いた原因の一つだ。
あの質感。あれは俺の記憶の奥底に残っているものと一致した。やはりあれは…
無駄な考えはやめよう。見間違いだったかもしれないし。
長いトンネルを抜ける。県境はこのトンネルの中にあり、もう違う県に入っている。この県でナンバー2の地方都市。そこまでつながるレール。
しかし、この電車はそこまで至らない。それは、俺の人生のようだった。大きなものを得る前に、立ち止まり、終わってしまう。そんな人生の象徴。
電車はもうすぐ、次の駅に到着しようとしていた。

37 :
本を捲る音が、森に響き渡る。古ぼけたランプの明かりでは、文字が少しだけ読みにくい。自然とゆったりとしたスピードで読み進めることになる。
もちろん、私の力を以てすれば、強い光を生み出すことは容易なことだ。しかし、そんなことをすれば、ここにある、存在の薄い本はすべて消滅してしまう。
逆に闇がここを支配すると、今度は存在の薄い本が融け、曖昧な形になる。このぐらいが、ちょうどいいのだ。
無駄話をしすぎたわね。さあ、続きを読もうか。

38 :
同じ運用に就いたのが3日後だった。いつも通りの作業を済ませ、電車に乗り込む。この前よりも乗客は少なく、10人を切っていた。結局、その人数は変わらず、電車は動き出した。
駅に着くたび、1人1人と消えていき、彼女が乗るであろう、桜台駅に着く前に、また空気だけを運ぶ状況になる。
桜台駅のホームが見える距離まで来た。小さな人影が見える。俺はそれだけで誰だかがわかった。電車は大きく揺れながら減速し、ホームに着く。ドアを開けると、あの少女が勢いよく乗ってきた。
今日の恰好は、薄オレンジ色のフリルドレスだった。風でフリルが揺れ、今にも飛んでしまいそうな雰囲気を醸し出す。柄にもなく、メルヘンな感想だなと、一人思った。背中には、前回と同じウサギのリュックサックがいた。
少女はまた座らず、ドア横で立ち、外を眺めている。俺は彼女に声をかけず、見守るだけにした。少女はちらちらとこちらを見る。やはり俺が気になるようだ。俺は「ドア、閉まります。ご注意ください」とアナウンスしたあと笛を吹き、ドアを閉めた。
「はわわっ!」
電車が発車した時に生ずる揺れに、彼女は踏鞴を踏んだ。ドア横のポールにしがみつき、じっと耐えている。
その時、スカートにお尻がぴったりとくっつく。妙に膨らんだフォルム。それは彼女のボディラインから少しばかり逸脱している感じだった。やはりそうか。長い間あった頭のもやもや感が、吹っ飛んだ気がする。
 俺は彼女のあることに気づいていても、それをおくびにも出さないようにした。

39 :
その出来事が起きたのは、2つ目の駅を出発した直後ぐらいだった。
少女の様子がおかしい。
急に慌てふためき、助けを求めるような視線を俺に送る。俺も気になって、乗務員室から出て、彼女の元へ行った。
「お客様。どうかなさいました?」
極めて事務的に、彼女に聞く。彼女は焦りながらスカートを指さし、
「は、挟まっちゃったの!」
と叫んだ。ドアの隙間には、彼女のスカートの裾が、見事なまでに挟まっていた。俺はそこで拍子抜けし、
「大丈夫ですよお客様。次の駅も、こちら側のドアが開きますから」
と宥め、踵を返した。別にこれといって騒ぐ問題ではない。そう思っていたのだが…
彼女に強く袖を引張られた。
電車の揺れと合わせ、つんのめりそうになる。敢えて動いてバランスを取った。気を落ち着かせる。少女はそんな俺などお構いなしに、
「は、早くしてよー!あたし、その、だ…だめなの!」
と懇願する。俺は彼女を注意深く観察した。強く閉じられた太腿。両の手はいつの間にか股間を押さえるような仕草になり、目には薄らと涙を浮かべていた。俺はそこで彼女の行動の意図を読み取った。
「まだ、大丈夫か?」
先ほどまでの他人行儀な口調を止め、馴れ馴れしいような口調で聞いた。少女はその変化にすら気づけないほど切羽詰まり、
「ひ…あ…ぁ…だ、だめぇ…」
と最後の言葉を述べた。汗が一粒、床に落ちた。数秒の空白後、それは始まった。
くぐもった水の音が聞こえる。少女はみるみる顔を赤くし、自身の行動を恥じていた。押さえているスカートから、水に濡れたようなシミが出てきた。
「あ、ああ…ああー…」
呆けたようにその言葉を繰り返す少女。シミはだんだんと大きくなっていく。よく見ると、シミの色は、レモン色だった。電車が大きく揺れる。少女はバランスを崩しへたり込んだ。
ぴちゃという水の音。この電車には、クーラーなどという装備は持ち合わせていない。ましてや、水が滴る状態などもほとんどなかった。
「………」
一瞬の静寂。電車の出す雑音が、耳にこだまする。
「ふぇっ、ひっぐ…ふぇぇぇぇぇぇんっ」
堰を切ったように、少女が泣き出した。そこで俺は我に返る。なんかこの状態、変な勘違いされそうだ。
「お、おい!?そんな大声で泣くなって!」
俺は必になって少女を宥めるも、少女は聞く耳持たず。ただただ泣き叫ぶだけだ。いつの間にか、俺の足本までに広がった黄色い水たまり。
「ひっぐ…だってぇ…だってぇ…」
電車が減速を始めていた。俺はひとまず彼女を抱きかかえた。
「うひゃあっ!」
少女は突然の行動に目を丸くする。制服の袖が濡れる。
後で洗濯しなければと思いつつ、彼女をトイレに連れて行った。ここだけ新規に改造したからか、電車とは不釣り合いに洋式便所。そこに彼女を座らせる。
彼女は不思議そうに俺を見つめている。俺は帽子を意識して被り直し、
「少し待ってろよ」
と言いつけた。少女は無言で頷く。俺は急いで乗務員室に戻り、車掌としての作業を行う。
電車はホームに滑り込んだ。ドアを開ける。誰も乗ってこなかった。笛を吹き、ドアを閉める。すぐさま電車は発車した。俺は制服を脱いで彼女の元へ戻る。
時計を確認する。次の駅まで、5分あった。

40 :
トイレの中でうつむく少女は、俺が入ってきた途端、顔をあげた。それが俺だとわかり、大きく安堵する。
「あ、あの…」
少女は何か言いたげな目で、こちらを見ていた。しかし、肝心の言葉は、いつまで経っても出やしなかった。
俺は彼女の言葉を待つより先に、やることを済ますため、
「後でいいから。まずは服、どうする?」
と聞いた。少女はそこで自身の姿を眺める。スカートは全体的に水を吸い、びちょぬれだった。
下着の様子を確認するため、捲るように指示する。最初は嫌がっていたが、流石に自身の現状を把握したのか、渋々スカートをたくし上げる。
彼女の下半身を包んでいたのは、ピンク地の、かわいらしい紙おむつだった。本来ならおしっこを受け止めるはずのそれから、おしっこがあふれ出てしまったのだ。
「ひっぐっ…ひっぐっ…」
少女はまた、泣き出してしまう。顔を紅くし、大粒の涙を流し、彼女は泣いた。俺はどう言葉をかけていいのか、わからなかった。時計を確認する。
…大丈夫。まだ駅には着かないはずだ。彼女を落ち着かせ、おむつをはずさせる。横をビリリと破いた。懐かしい音だった。
「うおっ…」
予想以上の重さについ声を出してしまう。少女はびくっとその声に反応した。怯える目つき。怒られると思っているのだろうか。
おむつは内側の部分をすべて黄色に染められ、水たまりも存在していた。少女を立たせ、水たまりを便器の中に流し、丸めてからゴミ箱に放り込んだ。一度手を洗い、彼女のリュックサックを貸してもらう。俺の予想が正しければ…
「やっぱり」
リュックには、替えの紙おむつがいくつか入っていた。
俺はその中から1つ取り出し、穿かせる。
彼女はその隙に自身の処理をある程度していたようで、俺がおむつを渡すとすんなりと穿いてくれた。問題はスカートの方だ。さすがに手持ちに替えの洋服などなかった。このまま放っておくわけにはいかないし……
おれが頭を抱えたそのとき、ピリリという音が彼女のバッグから聞こえた。俺は瞬時に反応し、それを見つける。
携帯電話。
渡りに船とはこのことだった。すぐさまそれを少女に手渡す。少女は受け取ると慣れた手つきで会話を始める。俺は邪魔にならないように、外に出た。
電車はもうすぐ、夕顔駅に着こうとしていた。

41 :
揺れが収まり、電車が止まる。ホームには1人の女性が、待っていた。ドアを開ける。トイレから顔を出した少女がこそこそと周囲を確認し、一目散に女性の元へと走っていく。
下に向かう階段に少女は隠れ、女性はその横で少女の話を聞いていた。やがてこちらに向き直り、頭を下げる。俺は少しだけ恥ずかしくなって、手で答えた後、反対側の窓の方へ逃げた。
眼下に街並みを眺める。
ここは俺が生まれた町。そして、もう戻らないと決めた町でもあった。俺には戻る資格がない。そう思っている場所だ。
発車時刻が近づいた。もう一度ホームを眺めると、すでに人影は消えていた。笛を吹き、ドアを閉める。と同時に階段から人影。
気になってしまい見てみると、そこには青いプリーツスカートと薄緑のボーダーシャツを着た、あの少女が息を切らして上がってきたところだった。
彼女は俺を認識すると、大きく手を振り、
「ありがとー!お兄ちゃんー!」
と笑顔で言った。俺も、あんまり悪い気はしなかったので、そのまま手を振って返す。
 そのとき、風がひゅぅと吹いた。
ものの見事に、スカートが捲られる。中の、俺が渡したおむつが、丸見えだった。少女はすぐにそれに気づき、手でスカートを押さえた。
そして何か大声で言っていたが、すでに電車はそれが何かを聴き取れる範囲から脱していた。
「気をつけろよ。もう…」
だから、この独り言も、あいつには聞こえないだろう。俺は自身の顔が少しだけ熱くなっているのを知っている。だから、ここまでで止めといた。これ以上何かを考えると、変な気分になりそうだった。
電車はトンネルに突入した。考える時間は、悠々あったから。
 仕事を終え、大事なことを忘れていたことを思い出す。彼女の名前を、聞くのを忘れていたことを。

42 :
本に栞を挟んで閉じる。さすがに目が疲れた。この明かりの乏しい空間では、目の負担は大きすぎる。少しばかり休ませよう…そう決め、本を読むのを止めた。本を机に置き、ランプを置いたまま、暗闇へと躍り出る。
本の森は常に姿を変える。ここは読まれることのない本たちの墓場だ。常に変化し、増えていく蔵書。迷路のように入り組み、高層階層を構築し、摩天楼のように聳え立つ。
こうやって一歩歩むだけで、私は地の底に向かって落ち、そして一回ジャンプしただけで、大空を舞う。
重力すら関係ない、異空間。その中で唯一ここの本を減らせる存在が、私…いや、私たちだ。まあ、他の連中は本を読む気があるとは思えないので、実質私だけだろう。
さて、まずは迷い込んだ子猫を探しに行きましょうか。それまで、その本、読んでいてもいいよ。栞は、そのままでね。

43 :
久方ぶりの休みに、俺は親父の墓参りに行くことにした。
命日や彼岸はとっくに過ぎているが、まあ、その辺はスケジュールが合わなかったのだ。仕方ない。
いつもは車掌として乗る電車に、今日は客として乗り込む。
相も変わらずスカスカの車内。車掌は先輩の扇さんで、俺の姿を見つけると、手で挨拶してくれる。
俺は会釈し、手短な席に座った。電車はいつも通り、激しい揺れとともに動きだした。
窓の外は雲一つない青空となっていた。風が吹いていて、電車の近くの木々が、少しばかり揺れている。
目的地は夕顔町。
駅にして3つ。
待ち遠しいような、後ろめたいような気持ちが、体を駆け巡る。電車は、警笛を鳴らし、橋を渡った。

44 :
新作ktkr!

45 :
「まもなく夕顔。夕顔〜。お出口、左側です」
声と共に立ち上がり、ドア前に立つ。電車がガクンと揺れ、減速した。そこで、この前の少女のことを思い出す。あの後、少女に会うことはなかった。
あれだけのことがあったのだ。俺を見つけると逃げてしまうかもしれない。
ただ、彼女はそんな雰囲気はなかったし、また同じ運用をやれば、会えるのだろうか。
ドアが開き、俺は電車を降りた。ホームには、俺以外誰もいなかった。電車の中には数人の乗客が残っていたが、誰一人動じず、ただ発車を待っていた。
その電車を背にし、階段を降りる。改札を抜け、駅を出た。綺麗にまとめられた、こじんまりとしたロータリーには、バスが一台、タクシーが4台止まっているだけだった。
俺は数秒考え、歩いていくことにした。それほど遠くないし、無駄に金を使う必要もない。時間に余裕だってある。それらのことを考え、足はひとりでに動き出していた。
遠くでカラスの鳴き声が聞こえた。

46 :
親父の墓は、町を見渡す丘に作られた駅よりも上、その後ろに聳え立つ山の中腹の寺に存在する。世界的に有名なアルピニストだったらしい親父の要望で、その寺の一番見晴らしの良い場所に、墓があるのだ。
らしいというのは、俺が親父に関する記憶があいまいなせいだ。親父は俺が5歳の時に山で雪崩にあってんだ。体は運がよくて見つかった。そう、運がよくて。
どうせなら、もっと強運で、生きて帰って来れたらよかったのに。
親父の亡骸を前に、お袋がわんわん泣いていたのだけは未だに覚えている。対する俺はその光景がジョークやショーにしか見えなくて、泣くことすらできなかった。葬式をやって、数日してようやく、俺は親父がんだことを認識した。
それでも、涙は流さなかった。代わりに、おねしょが再発した。その日から3年間。俺のおねしょは治らなかった。きっと、涙を流さないために、おしっこをしていたのだろう。子供のころは、そう思うしかなかった。
 少しだけ息を切らし、寺に到着する。年季の入った山門をくぐり抜け、その先の墓所へと向かう。急に空気が冷たくなった。この寺の雰囲気だろう。厭に静かで、妖怪でもでるんじゃないかと勘繰ってしまう寺。
昔は本当に出たという話も、ガキの頃に聞いた。桶に水を入れ、柄杓と花を持ち、線香とライターをポケットにいれ、その場所を目指す。墓地の端。そこまで石畳を歩き続ける。遠くで、電車が走る音がした。

47 :
ようやく、親父の墓に着く。生けてある花は萎れ、墓は所々が汚れていた。俺はそれを掃除し、花の水を替えて、自分の持ってきた花を生ける。線香を点け墓前に置いた。
合掌。
親父の墓からみた町の景色は盛観だった。駅も、街を一望できるがここはそれよりさらに高い。遠くに流れる川まで、見渡せた。
人などとても見えるものではなく、車さえ、確認できるか怪しい。ただ、街並みだけでも絵になる。そんな光景だった。
「紅雪…君?」
呆けたように景色を見ていた俺に、その声は届いた。声のするほうを振り向くと、そこには見慣れた人間が、そこにいた。
「なんだ。真夏か」
俺に真夏と呼ばれた少女は、ぺこりと一礼した。瀬尾 真夏。俺の幼馴染の少女、いや女性だ。童顔のせいか未だに15、16歳くらいにしか見えないが、年齢は俺と同じ20歳だ。
「珍しいね。紅雪君がここに来るなんて」
真夏は桶を置き、俺の横に立つ。背の低い真夏は、俺を上目使いで見たあと、そう言った。俺は年甲斐もなく、どきりとしてしまう。
真夏は世間一般からみれば美人の範疇にはいるだろう。漆黒の髪をおかっぱに切り揃え、声はハスキーボイス。胸のあいたブラウスを着ており、下にはキュロットを穿いている。立ち振る舞いを含め、日本人形的な雰囲気を持つ。
「やっと時間がとれたんだよ。そういうお前はどうしてここにきてんだよ」
俺の質問に真夏は一度振り返り、
「毬子さん忙しいから、1ヶ月に1回、私が乱眞さんの墓、掃除したり、お花交換したりしてるんだ」
と教えてくれた。毬子とはお袋のことであり、乱磨とは親父のことだ。どちらも久しぶりに、名前を聞いた。
「そうか。ありがとな」
俺は素直に感謝の言葉を述べる。真夏は「どういたしまして」と応え、
「でも、もう紅雪君が全部やっちゃったんでしょ?なら、私はこのお花だけ生けて、帰るよ」
と言った。彼女は花を墓前に生けると、俺に一礼し、立ち去ろうとする。俺はそれを引き留めた。
「……?」
真夏は不思議そうにこちらを見ている。俺は一度頭を掻いたあと、切り出した。
「久しぶりに会ったんだしよ。どこかで飯食おーぜ」
少しだけ、恥ずかしかった。真夏は少しだけ驚いた様子でいたが、すぐに「うん。どっか、行こうか」と承諾した。荷物を片付け、先に山門で待つ。すぐさま真夏は追いつき、2人で山を下る。
ちょうどお腹が空いてきたころ。
駅前には新興住宅特有の、大きなレストラン街を備えた大型複合商業施設がある。そこまでの間、何を食べようかと、2人で話し合う。そのやり取りがまるで子供のころのようだと、懐かしむ自分がいる。もう、この街には戻れないと知っている癖に。

48 :
大型複合商業施設、有体に言えばショッピングモールの中で昼食のパスタを食べ終えた後、俺らはそのまま買い物に移行する。
ちょうど真夏がほしい服や物があったらしくて、俺はその荷物持ちという扱いだ。別段苦労するものではないし、付き合ってあげることにした。
その考えが甘かった。
彼女は欲しいものを手当たり次第買った。どうやらいつもは荷物が重くなるから控えていたらしい。しかし、今日は俺という荷物持ちがいる。彼女の限界が、突破した。
「今日はありがとう。欲しいものは、大体買っちゃった」
真夏はうきうきとした声で俺に言った。対する俺は両手いっぱいにビニール袋や紙袋を提げ、見事なまでの召使っぷりだった。
「…満足したか?」
情けないなと思いつつ、疲れた声を出してしまう。真夏はきょとんとした顔をした後、
「満足も満足。大満足ね」
とにこにこしながら答えた。その笑顔は、名前の通り、真夏の太陽のようだった。俺も悪い気分はしなかった。こんな笑顔を見れるのならば、これぐらいの苦労、どうってことはないのだ。
ただ、その気持ちも長くは続かなかった。
帰るために1階に降りて、外に出るときだった。前から、3人組の男共がこの施設に入ろうとしていた。それに俺は気づいていたが、真夏は俺と話すことに夢中で、気づいてはいない。
奴らもまた、俺らには気づいていないようだった。そして、自動ドアのところで、事件は起きた。
「あたっ」

49 :
真夏は盛大にその男共の1人、アロハシャツを着たロン毛の男にぶつかった。
そいつはそこで「チッ」と舌打ちしたあと、少しだけニヤついた。それで俺の嫌な予感は倍増する。
「ご、ごめんなさい。前、見てませんでした」
真夏が誠意をもって謝る。しかし、男達は満足しないのか、
「ハァ?俺にぶつかってきてそんだけぇ?舐めてんの?」
と横柄な態度で言う。真夏はさらに困惑し、次の言葉が出ない。
「なぁさ。黙ってないで、何とか言ったらどう?」
横にいた、ピアスをジャラジャラ付けたツンツン頭の男が脅す。
「まあ、まずは土下座だよな。土下座」
さらに反対側にいた、スキンヘッドにサングラスの、流行り歌手をダメにした感じの男が言った。そこで俺はカチンときて、真夏をかばいつつ反論する。
「お前らなんだよ。謝ったんだし、そっちも不注意だっただろうが」
「うっせーよ。てめぇには聞いてねーし」
アロハシャツの男が語調を上げて言った。お前は邪魔だと言わんばかりの態度。今度は横のピアス男が、
「お前彼女の何なの?彼氏?」
と挑発する。そこでなぜか真夏の顔が赤くなった。俺はそれを見なかったことにし、
「別に友達だよ。で、もういいだろ?」
「よかねーよ!さっきからうざいんだよ!」
アロハシャツの男がいきり立った。ピアス男は真夏に近づき、
「なあさ。こんな奴ほっといて俺たちとお茶しよーぜ。嫌とは、言わねぇよな?」
と半強制的なナンパをしてくる。今度はスキンヘッドの男も加勢し、
「彼女ちょい小さいけど、かわいいじゃん。俺にもヤラセてくれるだろ?」
と卑猥な言葉を口にした。そこで俺は堪忍袋の緒が切れ、
「いい加減うざいんだよ…屑が!」
と、どすの利いた声を出した。そこでへらへらしてた横の2人も、こちらを向く。数秒の沈黙。
「…おい。今なんつった?」
先に口を開いたのはアロハシャツの男だった。こちらもかなりキレているようで、ぴくぴくとこめかみが動いている。
「聞こえなかったのかよ。屑っていたんだよ!ク・ズってなぁっ!」
大声での挑発。それを無視できるほど、こいつらは賢くなかった。
「…おい」
アロハシャツの男の合図に、他の2人が頷く。そして親指を立て、外を指差した。どうやら表出ろということらしい。
「……紅雪君」
真夏が俺の腕を掴んだ。震える手。俺はその手を反対の手で上から抑え、
「大丈夫だよ。俺が何とかするから」
と余裕をもって答えた。彼女は俺から離れず、寄り添いながら歩き出した。
 向かった先は、この施設横にある、人気のない路地裏だった。

50 :
ひんやりとした空間が、そこに広がっていた。寺とは違い、肌にまとわりつく、じめとした感覚。気持ち悪さが体に染み付く、そんな空気だった。そこに着いた途端、アロハシャツの男が殴りかかってきた。
不意討ちを狙ってのことだろう。
しかし、俺には効かない。そのまま鼻っ柱に拳をめり込めさせる。おそらく鼻の骨を折っただろう。悶絶し、後退するその男に代わって、今度はどこからか拾ってきたのか、鉄パイプを持ったピアス男が、大きくそれを振りかぶってきた。
「紅雪君!」
真夏を瞬時に後ろに庇い、その攻撃をよける。体幹がなってないのか、男は勢いだけでふらついた。それでも男は、更に横ふりで攻撃する。それをひらりとかわし、勢いを利用して回し蹴りを横腹に見舞う。
男はパイプを落とし、腹を抱える。その隙を、俺は逃さなかった。追撃のひざ蹴りを顔にぶち込む。
ぶちゅりとし感覚が、足に届いた。
男は顔を崩され、そのまま後ろに倒れこんだ。最後に、スキンヘッドの男だが、すでに逃げ腰だった。だが、ここにいる以上、倒させてもらう。俺が突進すると、そいつは蛇に睨まれた蛙のように動かなくなる。
恐怖に体を竦ませて、顔が大きく引き攣っていた。
そこでラリアットを首に叩き込む。スキンヘッドの男は背中、続いて後頭部からアスファルトに叩きつけられる。おそらく脳震盪ぐらいは起こしているだろう。まったく動かなくなった。
この間。わずか30秒の出来事。後は最初の男の後始末だ。そう思ったとき、
「きゃああああっ!!」
悲鳴が路地にこだました。最初の男はいつの間にか真夏を羽交い絞めにし、手にはナイフをチラつかせていた。鼻から大量の出血をしてる姿は、非常に見っともなかった。
「ぼい!これ以上やっだら、どうなるかわがってんだろなぁ…?」
所々が濁点になった言葉。おそらく脅しのつもりなんだろうが締まらない。しかし、ここは従っておくのが得策だ。
俺が両手を上にあげると、すぐさま後ろからその腕をつかまれる。ピアス男が復帰し、俺を羽交い絞めにした。アロハシャツの男はそこで満悦した笑みを浮かべ、
「びい気味だぜ」
と笑おうとしていたが、口に血が入り噎せていた。真夏を放すと、俺に近づき、顔を殴り始める。

51 :
「ヒャビャヒャビャヒャッ!気持ちいいぜぇ!」
どうやらドSのようだ。俺を殴ることでかなり気持ちが昂っているアロハシャツ。俺は少しだけやられるふりをした後、
ピアス男の足の甲を、思いっきり踏んづけた。
「―――――っ!」
悶絶。ピアス男は声にならない悲鳴を発し、腕の力を緩める。俺は瞬時に抜け出し、しゃがんだ。
アロハシャツの拳が、見事なまでにピアス男に刺さった。
マンガみたいに飛ばされるピアス男。そのままスキンヘッドの近くまで飛ばされ、こちらも動かなくなった。
「バァ?」
アロハシャツはその光景に唖然とし、動きが数秒止まる。俺はそこでハイキックをかまし、こめかみにヒットさせる。アロハシャツは呆けた表情のまま横に跳び、壁にぶつかり、動かなくなる。
全員動かなくなったのを確認すると、真夏の元に駆け寄る。真夏はへなへなと座り込んでしまう。そして、
しゃあぁぁぁぁぁ……
水の流れる音がした。薄暗くて色は分からないが、それがなんであるかぐらい、容易に判別できた。仄かに漂うアンモニア臭。放心した真夏は、自身が恥ずかしい行為をしているという認識すらなかった。
「真夏。しっかりしろ」
俺は彼女の肩を揺らし、正気に戻させる。真夏はそこでハッとし、
「あ、あれ私……」
そこでようやく、真夏は自分がおもらししていることに気がついた。自身のスカートを見る。お尻を見、また前を見て一言。
「おもらしなんて…中学校以来だよ…」
とあんまり覚えてもいない過去のことを話した。ひどく落ち込んでいるようだが、さすがにこのままにはしておけない。まずは、こいつらから離れなければ。
「立てるか?」
俺の問いに真夏は、
「えっと、なんとか…」
案外楽々と立ち上がる。俺はそこで一息吐いたあと、
「まずはその身なり、何とかしないとな……この先、確か児童公園があったよな。そこで着替えよう」
幸い、先程買った商品にはスカートもTシャツもあった。俺の提案に、真夏は「わかった」と素直に従う。
俺は彼女の手を掴む。彼女が驚いて俺の顔を見る。俺は動揺してる心臓を抑えつつ、
「走るぞ」
とぶっきらぼうに言った。きっと、顔は赤くなっているだろう。対する真夏も顔を赤くし、
「うん。なんとかついてく」
と少しだけ自信なさげに言った。
そこでのびてるゴロツキ3人を放置し、俺らは街を走り抜ける。周りの人は迷惑そうに、不思議そうに、驚いて、面白そうに俺らを眺める。瞬時に通り過ぎているから、彼女のおもらし跡もばれないだろう。というか、そう信じたかった。
児童公園は、目と鼻の先にあった。

52 :
児童公園は平日とあって閑散としていた。まあ、そのほうが好都合である。彼女の、真夏の今の姿を見られずに済むから。
公衆トイレを見つける。運よくここまで、誰にも見られずに済んだ。俺は悪いとわかっていても、女子トイレを覗いた。……誰もいないようだ。
「ほら」
俺は持ってる紙袋の1つとビニール袋の1つを手渡す。真夏は受け取ると女子トイレの中に消えていった。俺が外で待っていると、女子トイレから反響した声が聞こえる。
「紅雪君―。聞こえるー?」
俺は「何だよー」と返した。数秒後、彼女が切り出す。
「そう言えばさー、私が小学4年生の時もー、こうしてくれたよねー」
俺はその言葉で自身の記憶を探る。…あった。確かに、俺と真夏は小学4年生の時、似たようなことを経験していた。別に、喧嘩はしていない。ただ、真夏がおもらしをし、その介抱をした。
真夏は小学校の帰り道、よくおもらしした。幼馴染の俺は、その世話を、よくしたものだ。大泣きする真夏を連れ、家路を急いだあの日。まだ家が温かいものと思っていた頃。
 数十分後、真夏は新しい、ベージュのフリルスカートに、白い、胸にポップな文字がイラストされたTシャツを着て出てきた。
上まで着替えなくてもよかったが、どうやら新しい服を出すということで、気分を紛らわせたらしい。聞きたくもないのに、
「やっぱノーパンだしスースーするね」
とか呑気に口走っていた。俺は呆れた表情で真夏を見たが、真夏はそんな俺を見つめ返し、そして、
「……紅雪君。口から、血。出てるよ」
と指摘した。俺はそれを拭うが、真夏はさらに俺を凝視し、
「ここにも。ここにも。ここにも傷がある」
と様々な個所の傷を指摘した。正直、族時代の怪我に比べれば屁でもないのだが、
「さっきの喧嘩で?……うん。決めた」
いつの間にか真夏が何かを決めていた。徐に携帯電話を取り出し、誰かと話している。会話内容は聞き取れないが、真夏が敬語を使うとは、珍しいことだった。
「話が進んでるけど、どうなったんだ?」
俺の問いに、彼女は「私の仕事場まで連れて行って手当てをする」という内容のことを答えた。
正確には、「私の勤めているお屋敷の相方兼先輩に頼み込んでこっそり忍び込み。手当てをしてからこそこそと抜け出す」というものだ。
「おいおい。いいのかよ」
俺は世間一般常識的観点から、苦言を呈す。対する真夏は、
「大丈夫。あのお家、ほとんど私の勢力下だから」
と自信満々に答えた。それ、間違ってるだろという突っ込みは、心の中に仕舞っといた。

53 :
電話をしてからわずか5分。児童公園に1台の車が到着する。大型のワンボックスカー。真夏は大きく手を振り、車は俺たちの前で停まる。運転席には、奇怪な存在が乗っていた。
「すみませんプレシア先輩。奏音様は、お車の中に?」
真夏がその奇怪な存在に話しかける。
「ええ。お嬢様はお休みよ。あんまり、うるさくしないようにね」
プレシアは穏やかな表情で話す。吸い込まれるような、アクアブルーの瞳。不思議な雰囲気を醸し出す、白髪のウェーブヘア。なにより……
出で立ちが、メイド服だった。
その世間離れした光景を唖然として眺める俺。対して平然とし、
「早くしないとおいてくよー」
と声をかける真夏。さっさと助手席に座る彼女を恨みつつ、俺は後部座席のドアを開ける。
そのとき、俺の物語の歯車が動き出した気がした。
座席の奥で、毛布にくるまり、すやすやと眠る奏音と呼ばれた少女。その姿、顔。見間違えようもない。電車の中の記憶が鮮明に蘇る。
あのおむつ少女が、そこにいた。

54 :
さてさて、私がいないうちに、どこまで読んだのかしら?
あら、それほど読んでいないのね。ならそこで待ってなさい。すぐに追いつくから。
この世界の、本の森の外が気になる人も多いだろうから、掻い摘んで説明しよう。この世界はあなたが思っているような簡単な場所ではない。
最初に、この世界に到達できる存在は限られてくる。無論、決していないわけではないが、普通の、「人間」では不可能だろう。そんな、限られた存在のみが許される、秘密の場所。
次に、この世界は一体何なのかを説明しよう。この場所はすべての物語が集結する場所だ。ここに存在しない物語はない。勿論、ここの本の多くは読まれることのない誰かの物語だ。世間一般に読まれている本は、こんなところに迷い込んだりしないから。
最後に、この世界の外について説明しよう。この世界の外は、極楽浄土から無間地獄のすべてが存在する、一定した状態にならない、永遠に終わらない世界だ。うん。言ってる私があまり理解していないように見える。
だが、断じてそれは否定しよう。この世界は終わってはいけないのだ。この世界の終りは、すべての終結を意味するから。
さて、続きが気になるだろうし、先に進もう。

55 :
俺はその家の光景を見て、唖然とさせられた。
まず、門から家が見えない。
わかるのは石畳がくねくねと続いていること、木々が森の如く生い茂っていること、お金持ちらしい、ヨーロッパ調の塀が続いていることだ。
その石畳をワンボックスカーで進む。不規則な揺れが体を襲った。電車と車、その揺れの本質は全く違う。電車は縦揺れが少なく、横揺れが多い。
に対し、車は縦揺れの方が多い。だからこの揺れは、すごく体に響いた。
「もうすぐでお屋敷です」
そんな俺の様子をミラーで見つつ、プレシアはハンドルを右に切った。車がゆっくりと右折する。そして、石畳のカーブが無くなった。
正面に、今まで見たこともない豪勢な邸宅が、現れた。
どこかの有名ホテルかと見紛う位の大きさ。3階建ての建物で、壁は白で統一され、屋根は西洋風の、こげ茶色だ。
窓はすべてに木製の雨戸がつき、入口にはライオンが彫られている。車はその豪勢な入り口を逸れ、すぐ横の駐車場に停車した。
「着きましたよ。…真夏。先に彼を送って差し上げなさい。私はお嬢様をお運びいたしますから」
「わかりました」
真夏はプレシアの言うとおりにし、俺を降ろして家の中へ連れ込む。入ることすらおこがましいその雰囲気に、俺は自然とたじろいでしまう。
「早くしないと、これ、オートロックだから!」
真夏に言われ、俺は小声で「失礼します」と断ってから、豪邸の中へ侵入した。
 絢爛豪華。その言葉に相応しい室内だった。
まず玄関は吹き抜けになっていて、3階の屋根まで見渡せた。高い。室内かどうかすら疑いそうなぐらいの高さ。
木目調の室内は、気品と静寂さを兼ね備え、そしてすべてが高い代物だと感じずにはいられなかった。
「今、旦那様は書斎に籠られている時間帯だから大丈夫だけど…今のうちにこっちに、静かにね」
俺は真夏の指示に従うだけで、精一杯だった。俺とは無縁な世界。そんな中での立振舞い方なんて、分かるはずもなかった。そして、俺はリビングに、案内された。

56 :
真夏は慣れた手つきで俺の傷を見つけだし、治療する。俺はそんな自分にこそばゆさを感じ、抵抗しようと試みるが、すぐさま真夏の、
「おとなしくしてくれないと、私が困るよぅ…」
という泣きそうな声で、それを諦めた。やがて体中に絆創膏を貼り付けられた俺は、
「今、紅茶をいれてくるから…」
という言葉に甘え、1人おとなしく部屋で待つことになった。やっと落ち着いて、リビングを眺める。広い。豪邸のリビングにふさわしい、広々とした室内。
3人掛けソファが3方に並び、それぞれにレースの飾りがかけられている。傷一つないフローリングの上に、オリエンタルな模様の、高級そうな絨毯が敷かれている。
「うおぉっ…」
思わず声が出てしまうほど、豪勢な空間。
「はしたないですよ。お客様」
後ろから声をかけられる。俺が振り返る前に、その声の主はすぐさま回り込み、俺の様子を見る。
「……ふむ。大丈夫そうですね」
「…プレシアさん」
プレシアはソファの1つに腰かけ、メイド服の裾を整えると、こちらに向き直り、きつい視線を俺に浴びせた。
「あなた、お嬢様の何?」
単刀直入な質問を、投げかけてきた。
「いや、その…」
言葉にしづらい関係だ。名前さえ、さっきまで知らなかった。「かのん」だっけ?どんな漢字を書くんだろうか。
「プレシア先輩。違いますよ。その人は悪い人じゃない…とは言えないけど、少なくとも、私の信用のおける人です」
紅茶を持って、真夏が帰ってきた。真夏はいつの間にかメイド服に着替え、ヘッドレストとリボンで髪をまとめ、西洋的な様相の姿は、彼女の雰囲気をがらりと変える。
その彼女は俺の過去を知っているから、含みのある言い方をした。
「そう…真夏がそういうのなら…」
プレシアはまだ、探るような視線を俺に向けていたが、そんなことお構いなしに真夏は紅茶を置くと、俺の隣に座る。
「一応自己紹介します。紅雪君です」
俺が一礼すると、プレシアは軽く一礼し、
「初めまして…というのも変ですけど、紅雪さんですね。プレシアです。よろしくお願いしますわ」
と挨拶する。そして、紅茶を1口啜ると、プレシアは早速切り出す。
「真夏。旦那様に気づかれないように、紅雪さんを送って差し上げなさい」
拒絶。はっきりと認識できる拒絶だった。
「そんな冷たいですよ…プレシア先輩」
真夏が批難をするが、プレシアは気にも留めずに、
「お嬢様の教育上よろしくありません。本当ならすぐに出ていってもらいたいぐらいです」
と辛辣な言葉を浴びせる。まあ、こんなことは慣れっこだ。俺はすぐさま紅茶を飲み干し、立ち上がる。
「ありがとな真夏。頼むけど、送ってもらえないかな?」
「紅雪君…」
真夏は数秒俺を責めるような、悲しそうな曖昧な表情で見つめたが、プレシアの「賢明な判断です」の言葉を受け、ゆっくりと立ち上がる。
「わかりました。……すみません紅雪君」
最後の声は、俺にしか聞こえない小さな声だった。俺はジェスチャーで「いいよ」と示し、2人でリビングを後にした。

57 :
廊下を進む。余所の家だったら部屋ほどもあるぐらい、広々とした廊下。端には手すりが備え付けられている。
「今日は、ありがとうね。…本当に」
真夏の感謝の言葉。俺は「いいって」と返す。香水をつけているからか、ほんのり花の香がした。おそらく、おしっこの匂いをごまかすためだろう。
その時、微かであるが、ピアノの音がした。
「ん?」
俺はその音に機敏に反応し、導かれるように廊下を逸れ、その音がする方へ歩いて行く。真夏はそんな俺を咎めず、逆に嬉しそうな表情で後ろをついてくる。
どんどんと大きくなるピアノの音。
最初は穏やかだったピアノの音は、だんだんと激しくなっていくが、それでも滑らかに奏でられていた。やがて、ピアノの音がすぐそばまで聞こえる場所に来た。
「……ここか?」
外から見たら只の扉。俺はそこから漏れるピアノ音に、吸い寄せられ、静かに開く。
そこには、天使がいた。
穏やかな、それでいて嬉しそうな表情を浮かべ、「かのん」はピアノを軽やかに弾いていた。羽が舞うよな、そんな幻視さえ見えてしまう姿。奏でる響きは天使の囁き。
「かのん」は俺の知らない曲を、体に溶け込ませる感じ。…そうか「かのん」って「奏音」って書くのか。そう直感した。
突然、その指が止まった。

58 :
彼女はピアノを弾くのをやめ、こちらを見る。しまった。彼女の空間に入り込んでしまったか。
「あれ?見たことない人…誰?」
奏音は俺らを眺め、尋ねる。さすがに制服を着ていないとあの時の車掌だと気付いてもらえないか。そう思っていたが、少し様子が違った。
「初めまして奏音ちゃん。今日からここで働くことになった真夏です」
真夏は俺の前に出て、わざわざ自己紹介した。俺はその行為に不信感を覚えたが、真夏は俺を割り込ませなどしなかった。
「まな…つ?」
「はい。真夏です」
幼児のように名前を繰り返し、反芻する奏音。真夏はにこやかに、保母さんのような対応をした。奏音は一通り名前を繰り返すと、今度はその夕焼け色の双眸を、こちらに向けた。
「お兄ちゃんは?誰?」
その声は、まるで今ここに生まれてきたかのような、純粋無垢な音色だった。
「俺の名前は紅雪だ。よろしくな」
俺の自己紹介を受け、彼女は答えようとし、
「あたしの名前は、名前は…」
止まった。ビデオを見るような感覚。すべてが制止し、音すらなくなる。開いたままの口を動かさない奏音。返答がこず、どうしようか思いと動けない俺。そして、真夏が悲しそうな眼で、奏音を見つめていた。
「名前…なんだったっけ?」
静寂を打ち破ったのは、奏音の無邪気な声だった。どこまでも透き通るような声で、彼女は、自身のことを尋ねた。俺はその光景が理解できなくて、呆けてしまう。それに対し、真夏は迅速に対応した。
「お忘れですか?奏音様。あなたは華村 奏音様です。この華村家のお子様ですよ?」
ニコニコとした表情を崩さない真夏。しかし、その表情に一瞬、陰りが見えた。
「うーん…覚えてないかも。真夏は、あたしを、知ってるの?」
「はい!私はこの華村家で、ハウスキーパーをさせていただいております」
きょとんとした眼。その眼が、さっきと同じように、俺に向けられた。
「じゃあさ、紅雪はあたしのこと、知ってる?」
無邪気な、本当に無邪気な質問。その質問に俺は、答えられなかった。

59 :
奏音は俺の顔を食入るように覗く。俺の回答を待ちわびているようだった。だけど、俺は軽はずみに答えることなど、できなかった。またも時間が止まる。しかし、今度のそれは、一瞬で終わった。
「あ…」
小さな、それでいて確かな声。奏音は股間に手をやると、強く押さえる仕草をする。顔がみるみる赤く染まる。真夏はすぐさましゃがみ、奏音と同じ目線になるよう腰を下ろした。
数十秒その行為が続き、やがて体を震わせると、「ふぅ…」と大きく肩で息をした。
「おしっこ、でちゃいました?」
穏やかな声。奏音は静かに頷いた。真夏が手を差し伸べると、奏音はその手を自然に、受け取った。
「あれ?…なんだか、懐かしいかも」
奏音の言葉に、真夏はにこりと微笑み、
「きっと、お体は覚えているのですよ」
と答えた。そして、ピアノの部屋を後にし、俺らは奏音の部屋へと向かう。
部屋に入ると、真っ先に目についたのは、どでかい熊の縫いぐるみだった。
ファンシーな空間。ところどころに縫いぐるみが置かれ、ベッドもメルヘン調に彩られている。壁に備え付けられた木目調の低い箪笥の上には、額縁に収められた表彰状やトロフィーが飾られている。
反対側の壁にはキーボードが置かれ、その上には楽譜が広げられていた。楽譜には様々な書き込みがされていて、題名はこの位置では読み取れないものの、とても人間が引ける量の音符の数ではなかった。

60 :
玄関の外まで連れ出された俺は、そのまま車の近くまで連れて行かれ、
「あなた。お嬢様の秘密、どのくらい御存じなの?」
と詰め寄られた。俺は虚を突かれ、茫然自失に一瞬陥ったが、すぐさま意識を回復すると、
「どのくらいって…まぁ…あの子が、おむつをしてること…ぐらいかなぁ?」
正直、俺は彼女のことをほとんど知らない。電車で会ったことなど数回だけだし、名前だって今日知ったのだ。そんな少女の秘密をどれだけしているのかと聞かれても、答えようがなかった。
「そう…しらばっくれるのねぇ?」
プレシアはやけに低い声で脅したあと、メイド服の懐から黒光りするものを取り出した。
それは、誰がどう見ようと、拳銃だった。
実物かはわからない。ただ、その重厚なフォルムと、雰囲気が、それが本物であることを物語っていた。
「これを突き付けられても、NOと言えるのかしら?」
彼女は妖艶な表情を浮かべながら、胸に銃口を突き付ける。サディスティックで退廃的な光景。しばらく離れていた、俺の居場所。昔のことが、走馬灯のように思い出される。
「……ああ、言えるさ」
そうさ。言える。この程度のピンチ、ざらじゃない。
「ふぅん?」
強く押しあてられる銃口。引き金を握る手が、ぴくりと動いた。
「俺は何ら疾しい心なんてない。ただ真夏に連れられて、ここに来ただけさ」
プレシアは俺の瞳を見つめ、真意を探る。数秒の空白。風の音が大きく聞こえた。
「まあ、今日はここまでね」
プレシアは銃を胸元に戻し、離れる。俺がほっと一息つくと、玄関から真夏と奏音が現れた。
「お話の方、終わりました。送って差し上げなさい真夏」
「………」
真夏はだんまりを決めて、プレシアを見る。プレシアもさすがにこの行為にいぶかしみ、真夏に問う。
「真夏。どうしたのですか?車のカギでしたらあなたも持っているはず…」
「奏音様がっ!」
そこでプレシアの声は遮られた。プレシアは一瞬驚いた表情をしたが、またいつもの冷静な表情で、
「お嬢様が…どうなされたのです?」
と聞き返す。その声は、冷徹だった。聞いただけで背筋が伸び、体が硬直し、動かせなくなる、そんな声だった。
しっかりと2人に向き直るプレシア。もう、表情の様子などは分からない。

61 :
「奏音様が、紅雪君に、話したいことがあるようです」
言い終わる前に、奏音は俺の元へ駆け寄ってきた。プレシアは、動かなかった。奏音は俺に抱きつくと、上目づかいで俺を見上げ、
「あのね、紅雪。紅雪って、あの、車掌さんでしょ?」
と聞いた。俺は突然の行為にどぎまぎしたが、
「ああ。どうして、気づいた?」
と聞く。奏音はその回答に喜び、心底嬉しそうな笑顔で、
「わかる…わかるよ!だって、声。同じだもん」
と言った。そこでプレシアがハッと振り返る。真夏も驚いた表情で俺を見た。
「あのね…あたし。時々、忘れちゃうんだ。いろいろなこと。自分のこと。みんなのこと。大切なこと…でもね。ここには…」
そうして彼女は自身の胸の前で手を組み、
「ここにはそんな、忘れちゃうはずだったものが少しだけ、残るの。音とか。感じとか。でね、声だけ。車掌さんの温かい声だけ、ここにあったの」
穏やかな表情。俺はというと、照れくさくて、まともに顔を合わせられなかった。奥の2人は、静かに、こちらに歩み寄った。
「でね。でねっ!あたし、ずっと…ずっと言いたかったんだ…ありがとうって!……あなたに」
一筋の涙が、流れ落ちる。やがてそれは雨となり、地面へと降り注いだ。
「忘れちゃう…とこだったよぉ…あたし…あん…なにぃ…思って…たのに…」
涙とともに出る、掠れた声。それは、彼女の心の叫びだった。
「お嬢様。もういいのです」
プレシアは彼女を抱き寄せる。視線では、「もう行ってくれ」と言わんばかりだった。後ろで、車のドアが開く音。見ると真夏が運転席に座り、エンジンをかけた所だった。真夏が無言で頷く。俺はそこで奏音から離れ、車に乗ろうとし、
裾を、掴まれた。
赤ん坊のように。強く握られた手。俺は一度向き直り、優しくその握り拳を解かせ、言った。
「大丈夫だよ。また、会いに来るから」
泣き顔で彼女は、聞く。
「本当?」
「ああ、本当さ」
俺は強がるような、自信ありげに言った。プレシアは「余計な事を」と言いたげだったが、彼女の人となりからして、奏音の要望は、断らないだろう。
「じゃあ、また来てくれる?約束、守れる?」
その艶やかな、触るだけで天にも昇る気持ちになる髪の毛を撫で、
「守るよ。……絶対」
と宣言した。
奏音とプレシアに見送られ、華村家を出たのは、その5分後だった。
今日はここまで

62 :
お疲れ〜
続き待っとるよー

63 :
流れる街並みを眺め、俺は駅まで送ってもらった。真夏は、終始楽しげに会話をしていたが、奏音のことは一度も話題にはしなかった。ホームに立ち、夕焼けに染まる街並みを眺めた。遠
くはもう電灯がつき、夜景と化し始めていた。もうすぐ夕方のラッシュだ。きっと降りる人でこのホームはごった返すだろう。ここは多くの人が帰る場所と決めている場所。ベッドタウンと呼ばれる場所の1つ。
だがここにはもう1つの、荒んだ歴史がある。ここは数年前まで、治安がいいと呼べる街ではなかった。町にはヤクザや不良が蔓延り、夜に1人で出歩いてはいけない町と呼ばれた。数年前まで。
数年前。ある事件を皮切りに、警察が本格的にここいら一帯の取り締まりを強化した。それにより、ここは以前とは違った、クリーンなイメージを取り戻すことができたのである。
しかし、今でもところどころに傷痕は残っている。この駅の近くのガードは、そんな記憶を色濃く残す現場だ。無数の落書き。血の跡。まだこの町がすさんでいたころの名残。
町にも記憶がある。人だってそうだ。この町の人間の多くは、未だに夜は単独行動をしない。昔の記憶は、易々と消えない。
だが、彼女は違う。彼女はいとも簡単にすべてを忘れてしまう。
それは、幸福なのだろうか。はたまた、不幸なのだろうか。
大手私鉄直通の、長大編成の電車が、ホームに入ってきた。中のぎゅうぎゅう詰めにされた親父やOLが、早くドアが開いてほしい願っていた。
ドアが開く。
それと同時に雪崩のように降り、ホームを埋め尽くす人だかり。その中で俺は、1人唇を噛みしめていた。
 彼女の苦しみを知りもしないで、そんなことを考えてしまった自身を恨みながら。

64 :
さてさて。あなたたちも随分とこの世界のことが分かってもらえたようだし、少しばかり難しいお話をしようか。なに、気楽に流してくれてもかまわないよ。
あなたは本を読む?
どんな本でも構わない。漫画でも、小説でも、雑誌でも、実用書でもなんでもありだ。
どれか1つは読んでいる?だろうねぇ。
まあ、生きているうちに本に触れず生きるのは不可能なことだ。誰だって教科書を読んで勉強するし、絵本だって読む。
ただし、それは先進国と呼ばれている連中に限るが。
あなたが手に持つその本には、さまざまな文字がつづられている。それは意味のある言葉として、あなたの中に残っていく。意味があるものであろうとなかろうと。
そしてあなたは紡ぐのだ。人生という物語の中に、数々の文字を使って。
では、それができない人々はどうなるのか。
記憶を持てない人は?
文字を持てない人は?
あなたは今、幸せの中にいることを実感したほうがいい。そのためにもあなたは、この物語を読んで、不幸について考え直したほうがいいだろう。
さて、他人の不幸の話の続きが始まるよ?

65 :
あれからしばらくの間、時折俺は奏音の家に訪問しては、彼女の遊び相手となった。
彼女はいつも朝早くに治療のために病院に出かけてしまうため、遊ぶのはもっぱら彼女が返ってくる16時以降となる。
「紅雪?今日はね…歌、聞いてほしいの」
「歌?」
「うん…このまえ、真夏がきいていた、歌」
珍しい。奏音は主に弾くほうで、俺はすでに3回ぐらい奏音の素晴らしいピアノテクニックを拝んでいる。
彼女は本当に巧くて、そんじょそこらの人間では、その巧さがうまく言葉にできないぐらいだ。
「えっと…設定は…」
奏音はキーボードを弄り始める。どうやらすでに下準備として伴奏を入力しておいたらしい。
自身が入力したデータを必に探す姿は、とても愛らしい。
「あ、あった。再生っと…」
彼女が再生ボタンを押すと、曲がピアノの独奏から、始まる。奏音はそれで自身が選んだ曲か間違いないかを確認し、キーボードから離れた。

66 :
全自動で流れる伴奏は、静かな曲調から始まった。和的なメロディ。やがて、楽器が重なり、音が壮大になっていく。そして、さららという金属製楽器の流れる音を機に、奏音が歌い始める。
「嗚呼、足元で爽やかに夏の足音♪ 空は青く高く♪…」
静かな曲調。落ち着いたメロディ。奏音の声がしっかりと聞こえる。その声はまるで天使の囁きのように軽やかでかつ伸びがあるものだった。曲はAメロを進み、サビヘ突入する。
 瞬間、世界が開ける感じがした。
広がる楽器の音。どこまでも突き抜ける感じ。夏の青空を彷彿とさせる爽やかさ。俺の目の前に、それが広がった。その中心で、日傘を差し、歩く奏音の姿を幻視する。
奏音は伸びのある歌声で、俺をその世界へと誘った。
「太陽よりも眩しい笑顔の花♪ 今こそ此処に咲かせましょう。♪」
そこでサビが終わり、またAメロへと戻る。落ち着いたメロディに映える声。電子音は記憶を呼び覚ます音。いつのまにか、俺はこの歌に引き込まれていた。
「また今年も廻り廻る恋の季節♪ 心に芽生えた恋の花♪」
再びのサビ。夏の景色そのものを見るような感覚。ひまわり畑。数本のひまわりを抱える少女。麦藁帽子を被った、奏音の姿。どこまでも広がる青と黄色。2色のコントラストに映える白い少女。
……うん。それはすごく、美しい光景だ。
曲はサビを終え、感想を挟み、B,メロへと入る。俺はもう、その曲、ひいては奏音の歌声の虜になっていた。
「いつかは終わりの来るその生命(いのち)♪ 少しでも永くそばにいて♪ 心に大粒の雨が降った日は♪ 抱きしめてキスをして涙をそっと拭いてあげるから♪」
徐々に大きくなる声量。昂る心と思い。全ては恋のなせる業。そして一度落ち着き、サビに入る。前2つのサビを繰り返し、曲は和風なメロディを残し、消え入るように終了した。

67 :
数秒間、静寂が流れた。
俺は彼女の歌声に息を呑まれ、言葉を忘れてしまった。彼女は歌い疲れ、少しだけ息を荒くしていたが、少しだけ不安そうな表情を、俺に向けていた。俺はやっと言葉を取り戻し、
「……すごい。これしか言えないけど、奏音は、めちゃくちゃすごい」
俺の言葉の意味を図りかねていた奏音は、恐る恐る聞く。
「下手、だったかなぁ?」
俺はその言葉を即座に否定し、
「そんなことない!というか絶対に奏音はその辺のアイドルなんかよりは絶対うまいよ!」
と力説する。奏音はそれ聞いて安心し、気が抜けたのかぺたりと座り込む。その座り方で、オムツを露わにしてしまった奏音。前よりも膨らみ、レモン色に染まっているのがありありと分かった。
「おもらし、しちゃったのか?」
俺の問いにこくりと頷いた。そして、オムツを確認し、
「さっき思いっきり大声出しちゃったからかな?」
と朗らかに笑いながら言った。あんまり危機感がなさそうな顔。前はおもらしであんなに泣いていたのに。やっぱり、記憶を失うというのは、心も失うということなのだろうか。
「じゃあ、真夏を呼んでくるよ」
俺が離れようとした瞬間、服の端をがしと掴まれた。振り返ると、右手で服の端を掴み、左手の中指をしゃぶりながら、奏音が俺を上目遣いで見ている。
「行っちゃ…ダメ…」
急に寂しそうな表情になり、声も涙声に変わる。
「1人にしないで…あたし…あたし…」
そこから先の言葉は、出てこなかった。泣きそうになる彼女を抱きあげて、手で涙を拭いて、言ってあげる。
「わかったよ。離れない。一緒に、真夏の所、行こっか」
「うん!」
瞬時に笑顔に戻る奏音。大輪の向日葵のような、晴れ晴れとした笑顔。それを見ただけで、俺の顔は、沸騰した。
「?紅雪?顔、どしたの?赤いよ?」
不思議そうに眺める奏音の視線でハッとなり、俺はそっぽを向いて、ぶっきらぼうに言った。
「な、なんでもねー!さ、早く行こうぜ」
2人で奏音の部屋を出て、真夏のもとへ行った。

68 :
真夏はエプロンドレスを身に纏い、キッチンで夕食の準備をしていた。俺が呼びかけると、スリッパをトテトテと鳴らして、やってくる。
「あれ紅雪君に奏音様?抱っこされて嬉しそうですけどどうしたんです?」
奏音はそれを指摘され、急に慌てふためいた。バランスを崩しかけ、危うく落としそうになる。数秒落ち着いて、事情を説明する。
「はいはーい。奏音様は本当に紅雪君のことが好きですねぇ」
少しばかり茶化した様子だが、奏音は本気にし、大きく否定しながら、
「ち、違うもん。あ、あたし…そ、そんなんじゃ…ないもん…」
と顔を赤くしながら、満更でもない様子だった。俺もあんまり、悪い気がしない。
「じゃあ、紅雪君。私は行ってきますから、少し待っていてくださいね」
真夏に連れられ、奏音はまた自身の部屋へと戻る。俺は1人残され、キッチンを見まわす。
純白に統一された、清潔感のある室内。オール電化のシステムキッチンは、整理整頓され輝いていた。
「すごいなぁ…」
思わず声に出てしまう気持ち。お金持ちの概念は違う。そう感じさせる室内だった。
その時、蝶番がキィと音を立てて、ドアが開かれた。俺は真夏が返ってきたのかと思い、微笑み顔で振り返った。
 そこには、髭を蓄えた、細身の中年男性がいた。
 固まる。2人同時に固まる。お互い初対面。探るように交わされる視線。
 先に口を開いたのは、中年男性の方だった。
「君はあれか…奏音のもとに来るという男か」
「…えっと、はい」
俺はまだ緊張で固まっていて、片言のような感じでしか返せない。
様子を注意深く観察する中年男性。しかし、それを諦めると、男性は慣れた手つきでコーヒーを入れ始める。俺はそれをただ見てるだけだった。
「……コーヒーはキリマンジャロだと思うのだが、君はどう思うかね?」
「コーヒー…ですか?」
缶コーヒーが限界の俺に、コーヒーの味の差など、わかるはずはなかった。
「………つまらない男だな」
男性は俺をそう酷評すると、もう興味が失せたのか、話しかけることはなくなった。
やがてコーヒーを入れ終わると、俺を一瞥し、キッチンから出ようとする。と同時に、2人が帰ってきた。
 鉢合わせ。真夏が「しまった」という顔をしている。奏音はきょとんとした表情で男性を眺めていた。男性は2人を眺めた後、
「真夏君。あとで私にサンドイッチを作って持ってきてくれ」
「は、はい。誠一郎様」
「それと…」
誠一郎と呼ばれた中年男性はこちらを振り返り、
「あまり娘に悪影響を与えるようなやつを家に引き込ませないでおくれ。いくら君の頼みとはいえ、私も怒るぞ」
と忠告する。真夏は俺をチラ見した後、
「申し訳…ございません」
と深々と謝る。俺は自分がどういう風に見られていたかを察し、言い返そうとしたとき、今まで黙っていた奏音が、口を開いた。
「おじちゃん?誰?」

69 :
な!?なんか廚二臭いすごいのが!盛大に支援!

70 :
空気の流れが、止まった。
誠一郎を不思議そうに眺めながら、繰り返し、「初めてみるよ?おじちゃん、どこから来たの?」と質問攻めをする。
すぐに対応したのは真夏だ。真夏は後ろから奏音を抱くと、耳元で明るく囁く。
「お忘れですか?奏音様のパパ様ですよ?」
真夏の言葉を聞き、大きな瞳を一際見開いて、誠一郎を見る。
「あたしの…パパ?」
その言葉も、初めて聞いたかのように…事実初めてだったのだろう。意味を探るように繰り返していた。誠一郎は一部始終を見た後、
「……じゃあ、真夏君。後は頼んだ」
と真夏には言葉を残し、奏音に言葉も残さず去って行った。俺はその様子を茫然と眺めていたが、我に帰り憤る。
「おい!今の人っ…」
「はい。奏音様のパパ様である、誠一郎様。だからまずは落ち着こ?」
真夏は先手を打ち、俺を鎮静化させるためにミルクを俺の前に出した。俺はそれを受け取りがぶ飲みする。
コップのミルクが空になった時には、少しは頭に上った血も下がったみたいだ。
「紅雪。口にミルクでひげできてるよ」
奏音は俺の顔を指差し、言った。俺は慌ててハンカチを取り出し、拭く。奏音はクスクスと笑いながら、
「もう、焦って飲んだりするからだよ紅雪。おもしろーいっ!」
こちらに近づき、真夏にミルクを要求する。真夏は先ほどと同じようにミルクを出そうとしたが、奏音は首を横に振り、

71 :
「あたし、真夏のミルクが飲みたいの」
と爆弾発言した。
またもや、世界が停止した。
「えっ…?ええっ!?」
流石の真夏も動揺を隠しきれなかったのか、牛乳を手から離した。牛乳はキッチンの上に垂直に落ち、そのまま直立する。
少しだけ漏れたミルクが、床や真夏のエプロンを汚した。顔を真っ赤にし、あわわと動く姿は、小動物のようだった。
「真夏、ミルク、出るんでしょ?」
そんなことも気にせず、奏音はさらに近づいた。やばい。俺は顔を熱くし、否応なしに真夏の乳房を凝視してしまう。
少しだけ膨らんだ、ふくよかで張りのある乳。母性的とはいえないものの、ちんまり主張するそれは、女性の証だった。
「もう、紅雪君までどこ見てるんですかぁっ!」
耳まで赤くし、真夏は胸の前に腕を置き、俺らの視線から逃れようとする。俺もその言葉で咄嗟にそっぽを向いた。そしてそこで、強い視線に気づく。
ドア横に、悪鬼が立っていた。
正確にはなぜか嫉妬の瞳を向けたプレシアさんなのだが、あれはどう形容しようにも悪鬼だった。ぎらついた視線。今にもレーザー光線が出そうだ。
口元にはハンカチが添えられ、それを漫画のように噛みしめ、引っ張る。ああ、あれ。マジでやる奴いたんだ…と場違いな感想が頭を過った。
「え、だめ。そんなっ…私っ」
後ろではもう切羽詰まったかのような真夏の声。やばい。マジでやばい。今後ろを振り返ると、金輪際剥がせないレッテルを付けられそうだ。
俺はロボットのようなぎこちなさで動き、ドア元にいたプレシアさんに助けを求めた。プレシアさんは最初俺を射さんとする視線で見ていたが、すぐにいつもの冷ややかな視線に戻り、
「……わかりました。そちらは何とかしましょう。しかし、今日はもう遅いですし、お帰りになられたら、どうでしょうか?」
と暗に「帰れ」と脅してきた。まあ、こうなってしまった以上仕方のないことだろう。俺は素直に従い、プレシアに奏音を任せ、廊下を歩きだした。

72 :
家を出ようとしたところで、真夏が俺に追いついた。息を荒くし、顔はまだほんのり赤かったが、どうやら冷静さは取り戻したようだ。
真夏は、今、奏音はプレシアが面倒を見ていること、俺を駅まで送って行くように言われたことを説明した。俺は別にいいと断ったが、どうやら俺に対する用事はオマケで、そのあとの用事が本命のようだ。
俺はそれを聞き、少しばかり落胆したが、真夏と2人きりになるいい機会だということもあってか、その誘いを承諾した。
車は石畳を出て、公道に出る。最初はお互い無言だったが、ぽつりぽつりと会話が始まった。
「誠一郎様…きっと辛いんじゃないかな…」
真夏は低いトーンで、切り出した。俺は無言を貫き、先を促す。
「だって、誠一郎様、毎回ああやって忘れられちゃうんだよ?……私もまだあそこで働き始めて1年足らずだけど、辛いよ。忘れられると」
少しばかり、声に潤みが増した。俺は「けど、覚えている時もあるんじゃないのか?」と聞くが、真夏は軽く首を横に振り、
「あの子が…奏音様が一度忘れたことを思い出すのは、紅雪君のことで3回目なんだ。1回目はピアノのこと。2回目はお母様である彩音様のこと。……たったそれだけ」
さらに声は潤みを増し、涙声へと変わる。
「それ以外は、奏音様はどんなことも忘れてしまう…もちろん、基本的な言葉とか習慣は大丈夫だけど…思い出とか…大切なこととか…あの子はどんなに覚えていたいと思っても忘れちゃうんだよ?」
そこで一区切りした。ミラー越しに見た真夏は、大粒の涙を流していた。
「それって…悲しすぎない?」
真夏の言葉に、俺は「そう…だな…」としか返せなかった。記憶を失うことが、どういうものか知らない俺にとって、奏音を取り巻く全てのことを理解することは不可能だし、理解しちゃいけないと思った。
深い悲しみを理解したつもりになるのは、そいつの傲慢でしかないからだ。
「だからきっと、誠一郎様はもう疲れちゃったんだよ…そんな日々に。だから今では、私達…ハウスキーパーにしか、お会いにならないもの」
父親として、わが子に忘れられるとはどういう気持ちなのだろうか。想像もできないほどの悲しみ、絶望……それが克服できないものであるという怒り……俺の想像力程度では、簡単には形容できないものだろう。
それは、マリアナ海溝のように深いものだ。人間レベルでは、到底到達できないほどの。

73 :
俺は真夏の話を聞いて思う。奏音はその悲しい事実を気づいていないだろう。だって、そんなことすべても忘れてしまうから。だから、その悲しみを、周りにいる人物が背負う。そして、それが伝わり、彼女も悲しみを追う。巡り廻る悲しみの輪廻。
車はいつの間にか駅に到着していた。ロータリーを回り、入口の前に止める。そこには既に「本命」の人物が1人、佇んでいた。
幽霊みたいだな…それが第一印象だった。
一点の曇りがないほどの白い、純白のワンピースに身を包み、華奢で長い、肌色の薄い手足が見える姿は、柳の下の幽霊を想起した。スラリとした長身。美人画の幽霊がそのまま出てきたかのような姿で、奏音とも真夏とも違う、幽冥の美しさを感じさせる顔。
その顔に不釣り合いのサングラスをかけ、彼女の傍らには無骨なアタッシュケースが置かれ、反対側の手には、金属製のステッキが握られていた。漆黒の長い髪が、風になびきカーテンのように落ちていった。
「着きましたよ?紅雪君」
真夏の言葉に促され、俺は車から降りる。と同時に、真夏はその女性の横に立ち、アタッシュケースを左手で持ち、右手で彼女の左手を握った。彼女はそこでようやく真夏の方を向き、頷く。
「じゃあ、歩きますよ?」
真夏の言葉に頷き、女性はゆっくりと歩き出した。それに真夏が合わせる。杖をこまめに動かし、顔は微動だにしていない。そこで俺はこの女性の状態に気づく。
 この人は、目が見えていない。
 真夏に連れられた女性は、俺の横に来る。俺は邪魔にならないように避けた。女性は俺のことなど気付かない様子で車に乗る。真夏は「ここに置いときますね」と断ってから、彼女の横にアタッシュケースを置き、ドアを閉める。そして俺に向き直ると、
「今日もありがとう…でね、これは内緒ね」
そう言いながら、ポケットの中にメモ帳を切ったような小さな紙を入れた。そして、すぐさま運転席に戻り、車を発進させる。俺がその紙を確認する前に、真夏と女性を乗せた車は、視界から消え失せていた。
紙には、11桁の番号が3−4−4に分けられ、書かれている。見たことのない番号。俺は頭を傾げながら、駅の中に入った。

74 :
家に着いた俺は、その番号とにらめっこを続けていたが、あほらしくなって、思い切って掛けてみることにした。番号を入力し、発信ボタンを押す。手に汗を掻いてしまっていた。
妙な緊張感。コール音がそれを煽る。
――もしもし?
4回目のコール音の後、その声は聞こえた。俺は静かに「もしもし」と返す。そこで相手方は俺の声に気付いたようで、
――紅雪?
と名前を聞いて来た。俺はそこで合点がいき、相手の名前を言った。
「なんだ。奏音の電話番号か」
奏音は「なんだというのは失礼かも」と非難してから、嬉々として会話を始める。
――誰からあたしの電話番号知ったの?
「真夏だよ。あいつがこっそり教えてくれたんだ」
――真夏か…うん、うん。ありがとって後で言わなきゃ。
「ああ言ってやれ。きっと今日みたいに顔を赤くするぞ」
――あれも面白かったよね!思い出しただけで笑っちゃうかも。
「お前…わざとだったのか?」
――ううん。おっぱい飲みたかったのは本当。あたし、その記憶もないから…どんなのかなって。
 言葉の節々が、少しだけ痛かった。彼女はそれを苦に感じないだろうが、俺からすれば重い十字架を担いでいるように思える。
――そういえばさ。紅雪帰っちゃったから、1つ聞き忘れたことがあるの。
「なんだ?」
――紅雪は、次は…いつ暇なの?
「次?…えーっと…」
メモ帳を確認する。次の休暇は来週の土曜だった。俺はそのことを伝えると、電話越しで華やかな声が広がる。
――やったぁっ!それならあたしも大丈夫かもっ!
「大丈夫って…何が?」
――外出許可。プレシアから取るのきついけど、土曜だったらお医者様行かないし、うまくいくかもって思ったの。
「外出許可って…で、どうしてその日外に出るんだ?」
――買い物に、付き合ってほしいの。
「買い物?」
オウム返ししてしまった。俺はそのワードを心の中で輪唱する。買い物。それも女の子と。これって…
「デートか?」
半ば冗談も含めて言ったが、対する奏音の反応は予想を超えるものだった。
――デート?……確かにそうかも。けど、紅雪だったらいい…かな?
 俺の頭が、沸騰した。
「で、でで、ででで…」
――紅雪?どうしたの「で」ばっか繰り返して…壊れちゃった?
「デートってお前っ…」
――?…そんなに変なことかな?真夏は前、紅雪とデートしたことあるって言ってたよ?
 二重に爆発。心の中で真夏にドきつい突っ込みをたたき込んだ後、深呼吸して自身を落ち着かせる。
「……買い物、行きたいのか?」
まずは意思を確認しよう。
――行きたい。
「俺でいいのか?」
次は許可だ。
――うん。……紅雪が、今一番いい。
「じゃあ、約束だ」
最後は、同意。
――うん。約束するし、忘れないよ!
「メモしておけよ。本当に忘れないように」
――わかったよ。じゃあ、土曜日に会おうね。
「ああ。集まる場所は駅前でいいか?」
――うん。いいよ。またね。
「またな」
電話を切った。余韻に浸りながら、俺はメモ帳に消えないようにしっかりとした字体で書く。
 奏音とデート、と……

75 :
たまには外に出ようと思って、本を置き、「世界」の外へ。
見渡すばかりの草原地帯が、広がっていた。扉は消え、私は1人、ここに佇む。総ての世界の終着点足る場所であるから、ここには総ての世界の在りようが現れる。
こうも美しい景色ならいいが、基本は違う。「世界」は常に不幸で満ち溢れている。なぜなら、幸福の総量は決まっているが、不幸の総量は決まっていないからだ。
幸福には限りがある。それは運の廻り合わせ。誰かが幸福を得れば、どこかで誰かか不幸になる。そして、不幸は連鎖する。幸福が生まれずとも、不幸は自然に増殖する。
だから、人界は地獄と化す。私はそんな「世界」を幾度もなく見てきた。見るだけ。それが仕事であり、私の存在意義だからだ。
私は「世界」を「安定」させるのが仕事だ。だから、「世界」の中で何が起ころうと、それが「世界」の根幹に関わることでなければ、私が干渉する必要はない。
 しかし、これから先に行うのは、はっきり言って仕事外の、「余計なこと」だ。私の力を以てすれば、運命を変えることなど容易い。しかし、それが世界を壊すかもしれない。
その危険性を孕んでいても、私はやらなければならない。それが、彼女からここを預かった私の意志であり、恩返しだからである。
 総ては、主なきこの世界を再生するために。

76 :
土曜日は、雲1つない快晴だった。俺は久しぶりにカジュアルなワイシャツに袖を通す。この服は、概ね特別な、こういうデートの時にしか着ない服だ。少しばかりこそばゆい。
ネクタイを巻き、半ズボンを履いた。色は黒。上と合わせて、白黒だ。電車に乗り、夕顔駅に向かう。今日は同僚の秋山が車掌を担当していた。顔がにやけている。俺は眼でそれを黙らせ、空いてる席に座る。
子ども相手だというのに、緊張している自分がいる。まだ、始まってさえいないのに、手には汗がべとついていた。う〜ん…俺ってこんなに初心だったか?
あっという間に時間は過ぎ、電車を降りた。風が心地よい。気合いを入れるというわけではないが、小さく深呼吸をして、体を落ち着かせる。ゆっくりと階段を降り、駅を出た。
ロータリーは土曜日ということもあってか、人気は少なかった。
タクシーが2台止まっていて、運転手が他愛ない世間話をしているのを端で見ながら、駅唯一のモニュメント、月の像の前に立つ。
なんでも、この町出身の芸術家がデザインしたもので、2重の螺旋階段が月まで届くさまをイメージしているとのこと。なんとも不思議なテーマだが、目立つものが少ないこの町では、いい待ち合わせ場所になっている。
像の台座に寄りかかり、奏音を待った。待ち合わせ時間まで、あと20分近くある。早すぎたとも感じたが、あの子を待たせたくなかったから、この時間に来た。
待つことには慣れている。小さいころから散々、いろんな時に待たされた。親父がんだあとは、お袋が働きに出た。
幸い、お袋は稼げる職業だったため、苦労はしなかった。しかし、寂しい幼少期を過ごしたとは思う。家にいないお袋。1人で食べる食事。
その寂しさがおねしょとして結実していた。お袋が家にいないときは、自分で処理をした。こっそりおむつを持ってきて、履いたことすらある。
真夏のおもらしをバカにしなかったのも、俺が一番お子様だという自覚があったからだ。
―――妙なこと、思い出しちまったな。
先程までの考えをすべて消し去り、俺は空を眺めながら、待ち続けた。

77 :
見覚えのあるワンボックスカーがロータリーを回る。俺はすぐさま立ち上がり、近づいていった。それは俺の目の前に止まると、エンジンを切った。
運転席から降りてきたのはプレシアだ。彼女は俺を一睨みした後、後部座席ドアの左側に立つ。そして、助手席から真夏が降り、俺ににこりと微笑んだ後、後部座席ドア右側に立った。そのとき、窓から奏音が、顔を出す。
「おはよっ!紅雪っ!」
元気な声が、俺に届いた。子供なので化粧はしていないと思ったが、ほんのりと化粧をしているのがわかる。きっと、奏音自体は化粧の技術とかなさそうなので、横の2人がしたのだろう。
奏音の化粧は、彼女の良さを損なわないように控え目だったが、それでも、一流のレディ…とはいえないが美しさを彩るには十分だった。
その美麗さに言葉を失いかけたが、なんとか踏みとどまり、俺は「おはよう」と返した。そのあと車を降りるよう促すも、奏音は動かない。やがてぼそぼそ声で、ドア端にいる2人に話しかける。
俺はその一部始終を呆れつつ眺めていたが、急にそれが止み、プレシアが意を決してドアを開けた。
 プリンセスが、そこにいた。
彼女は某王国のプリンセスで、お忍びでこの国に来ました…というニュースが流れていても不思議ではない姿。メルヘン調のワンピースドレス。ティアラ状の髪飾り。上品なブルーのリボン。
その全てが彼女を姫だという証に見えた。背中には、あのウサギ上のバックがいて、余計にメルヘンさが増す。
「変…かな?」
珍しく自信なさげな声。顔を赤らめ、もじもじとしている様は、本当の恋人のようだ。俺はその美しさに見とれ、感想を言おうとして言葉が出なかった。
愛らしさ。美しさ。可憐さ…どのランクでもTOP3は入るだろう姿。これを言い表せる語彙など、俺の中には存在しなかった。
「……すごい」
感想を心待ちにしていた奏音は、俺が何も言わないので不安を倍増させていたが、やっと出た言葉がそれだったので、ぷくぅと頬を膨らませ、言った。
「むぅ…気の利いた言葉1つぐらいでないのかなぁ?」
どうやら知識はある程度回復しているようだ。真夏から聞いた話では、やはり記憶を失った後は子供っぽくなるそうだが、数週間後にはいつもの調子に戻るらしい。今の奏音は出会った時の状態に近かった。
「いや、それは全面的に俺が悪いけど……うん。言う」
俺の言葉に、奏音は背をしゃきと伸ばし、居直る。表面上は大人しいが、体の端々からうずうずとした内面が漏れ出ている。俺は敢えてタメを作った後、言った。
「正直、見とれちまって言葉が出なかった。そんぐらい、綺麗で、可愛くて…」

78 :
「うん。許す」
言い終わる前に、奏音が抱きついてきた。熱くなる体。速くなる鼓動。頭の中が沸騰しそうなぐらい、その行為には驚いた。
「か、かか、奏音!?」
俺のどぎまぎ声を楽しみつつ、奏音はにこりとした笑顔で、言った。
「早く行こっ!今日はいーっぱい紅雪に甘えさせてもらうんだ」
メルトダウン。心がチョコレートのように溶ける。俺もつい笑顔になって、
「じゃあ、今日は俺も奏音を精一杯、可愛がるからなっ!」
と宣言する。傍から見れば恥ずかしい行為だが、今の俺達には関係ない。無敵の存在と化した俺たちに、そんな視線など通じない。
「じゃあ、何かあったら連絡、下さいね」
真夏はすぐさま助手席に戻る。その顔は穏やかで、にこやかだった。対するプレシアは冷淡な顔をして、
「精々お嬢様に粗相のないようにな。……お嬢様。何かあったらいつでもお電話ください。私か駆けつけて、すべて、滞りなく解決いたします」
後半部を強調して、運転席へと戻った。そのままエンジンをかけ、車を発進させる。心なしか、運転が荒いように見えた。視界からワンボックスカーが消えると、奏音が呟く。
「本当に、行っちゃったね」
俺は奏音の手をつかみ、
「そうだな。これで、デートができるな」
と強調した。奏音は顔をトマトのように赤くし、
「そういうこと言わないでよぉ…恥ずかしいなぁ…。……うん。デート…しようか」
満点の笑顔で、俺を見てくれた。俺はそれだけで、すごく嬉しかった。そして少しばかり恥ずかしくなって、あることを聞いた。
「おむつ、大丈夫か?」
奏音は口をつんと尖らせて、
「大丈夫だもん…ちょっと。おもらししちゃってるけど……」
最後のほうは、すごく小さい声で言った。俺はそれを聞き逃さず、まずは行く先はトイレだなと決めた。
 まだまだ午前中。遊ぶ時間は、いっぱいあった。

79 :
真夏と来た、大型複合商業施設。そこがデートの場所だった。というより、街の中において買い物でこの場所の右に出る所はない。幸い、ピンからキリまで商品があるこの場所は、奏音にとって新鮮そのもので、目をぱちくりさせながら興味深そうに眺めていた。
俺はよそ見をしている彼女を、うまくトイレまで誘導する。
「まずは、おむつ替えな」
ぼそりと俺は耳打ちした。奏音はかぁーっと顔を赤くし、それでも静かにこくりと、頷いた。
「うん。いい子だ」
頭を撫でてあげる。絹のような髪は、とても心地よい肌ざわりだった。ほんのりいい香りもする。奏音はというと、とても嬉しそうに―まるで天まで昇るような穏やかな顔立ちで―笑っていた。
多目的トイレに入り、鍵を閉める。広々とした空間の中心で、もじもじとしている奏音。きっと落ち着く場所がないからだろう。俺はおむつ換え台を見て、さすがにそれはないなと自己否定する。座る場所もないし、仕方ない。
「奏音。スカートたくし上げて」
俺の言葉に、奏音は動揺し、
「ふぇっ?…え…ええっ!?」
と驚きの声を連呼した。俺は彼女に座る場所がないことを説明し、さらに服が汚れてはまずいことも説明した。そこまで説明すれば、彼女も納得したようだ。
しかし、理性で納得しても、感情は納得しない。やはり、たくし上げるという行為には抵抗があるようだ。
「やっぱり…」
ここで一呼吸開け、唾を飲んでから、
「やらなきゃ…ダメ?」
と恥ずかしながら懇願する。
 その可愛さで、俺の理性が少しばかり吹きとんだ。
 上目遣いの視線。哀願する声。赤くなった顔。その全てが俺のリピドーを刺激する。そこで残った理性を総動員し、何とか踏みとどまらせる。さすがに嫌われたくはない。俺も分別の一つぐらい、持ち合わせている。
「ダメだよ。奏音だっていつまでもおむつが汚れてるのは、嫌だろ?」
こくり。
「なら、言うこと聞いてくれ」
………こくり。
「よし、いい子だ」
頭を撫でてやると、向日葵のような笑顔を向けてくれた。どうやら、気持ちを決めたようだ。ゆっくりとスカートを上げる。その隙に、俺は彼女の背負っているバッグから替えの紙おむつと、ウェットティッシュ、ベビーパウダーを取り出す。
しっかりとそろっているところは、さすがあの2人といったところだろう。
準備し終え再度、奏音を見る。彼女は顔を真っ赤にし、目を閉じ、静かに待っていた。とても恥ずかしいのか、体が震えている。
「大丈夫だよ」
耳元で囁く。俺は心配させまいと素早く、それでいて的確に行動できるようイメージを固める。…大丈夫。悪くない。

80 :
「じゃあ、おむつ、とるぞ」
目を閉じたまま、こくりと頷く奏音。俺はそれを確認すると、おむつの外側を破り始める。ビリリという紙特有の音。両側を外し、おむつをうまくとる。
股の部分はほんのりと黄色く染まっていた。ズシリとした重みは、彼女のおしっこをしっかり受け止めた証しだ。
俺はそれをテープでまとめ、ゴミ箱に捨てる。すぐさまウェットティッシュを取り出した。
「次、おしっこ出るところ。拭くぞ?」
口で「え」という形を作ったが、彼女にはスカートをたくし上げるという行為をしているため、両手は塞がっていた。
「大人しくしろよ…」
おずおずといった感じで頷く奏音。俺は慎重に彼女の秘書を拭く。
「ひゃっ…」
唐突な感触に、思わず声が出たようだ。それを無視し、丁寧にお尻やお股を拭いていく。耳まで赤くする奏音。俺もいつの間にか、顔が熱くなってしまっていた。
次にパウダーを塗す。おむつかぶれが起きないよう、念入りに行う。ようやく終わらせ、新しいおむつを履かせてあげる。しっかりとおへその下までゴムを届かせる。終わると同時に、スカートを下ろすよう指示した。
 ゆっくりとスカートを下ろす奏音。おむつの位置を鏡で気にしていたが、どうやら大丈夫なようで、にこりとした笑顔で俺に抱きつく。
「うん。すごく気持ちいい…ありがと。紅雪」
「どういたしまして。お嬢様」
俺は少しだけ、ふざけて返した。奏音はその言葉に目を真ん丸と見開いて、俺を見た。夕焼けのようなオレンジ。その向こう側を、俺は食入る様に見つめてしまう。
「なんか…変な感じ。前にも、こんなこと、あったのかなぁ?」
俺は奏音との出会い時交わした会話のことを黙っておくことにした。今こうして隣にいる。それだけで十分なのだから。
 やがて訪れる運命を、この時の俺は知らなかった。

81 :
奏音に連れられ、俺は様々な店に立ち寄る。全てが新鮮なのか、寄る店の商品を興味深そうに眺め、時折手に取り、そして別の店へ。
忙しかったけど、楽しかった。何より、あれだけ楽しそうで、幸せそうな奏音の笑顔は、一緒にいるこっちも楽しませてくれる。
「絵の具?」
「うん。油絵の絵の具」
奏音の口から出たその言葉は、彼女には全く無縁のものに思えた。彼女は音楽の人だ。美術に関しては疎くて、きっと水彩画と油絵の違いも分からないだろう。
「どうして、それが欲しいんだ?」
だから、理由が気になって、聞く。奏音は言おうかどうか悩んでいる様子だったが、意を決して話してくれる。
「あのね…約束。したの」
それはいつになく、真剣な表情だった。俺は気を引き締めて、話を聞く。
「病院にいる…健太お兄ちゃんとの約束…なんだ」
「そうか…じゃあ、買ってやらないとな」
どういう事情かは大方分かった時点で、俺は行動する。これ以上は、俺が割って入るべきことではないだろう。それに……
少しだけ、羨ましかった。
だから、俺は話をこれ以上聞きたくなかったのかもしれない。
絵の具を買った後、俺らは昼食をとるため、レストラン街へ。
レストラン街で俺らは洋食チェーン店が営むファミレスに入る。初めてファミレスに来たという奏音は、俺にひっついて離れなかった。
店員に案内され、窓際の席に座る。同時にメニューを広げた。ファミレスだけあって、和・洋・中のある程度は揃っていた。俺はその中でハンバーグセットを、奏音はオムライスを頼んだ。
頼んだ商品が来るまで、2人で他愛のない、世間話を始める。
「この前真夏と一緒に、ゲームしたんだ」
嬉々として話す奏音。最近知ったことだが、真夏はゲーマーでさらにオタクとのことだった。俺の知らないうちにどこをどう踏み外したのか、さっぱりわからなかった。
「どんなゲーム?」
「シューティング。真夏は『だんまくげー』って言ってた」
おそらくは『弾幕ゲー』こういう風に書くんだろう。ということは、弾数が多いのか?それってシューティングとしてやりづらくないか?
「へぇ…。それで、どうなったんだ?」
「あたしがイージーで、真夏がね『るなてぃっく』ていう難易度でやったの。あたしは3面で失敗しちゃったけど、真夏はクリアしたよ?」
正直、シューティングのことなどよくはわからないが、真夏がとんでもないのはわかった。
「けど、3面まで行ったんだろ?すごいじゃないか」
「えへへ。3面のアリスが、どうしても倒せないんだ…紅雪はシューティングするの?」
「うんにゃ。俺はゲームは高校で卒業したんだ」
むしろ俺は単車とか、車とか、本当に男の子じみた趣味に傾倒していった。それが高じて、ああなった訳だが。
 なんか今日は、昔のことばかり思い出すな…。
この町に来るようになったからか、俺は日に日に昔のことを思い出す機会が増えていている気がする。
もう捨て去ったはずの、苦い思い出。
それが今、深い記憶の海の底から、ゆらりゆらりと上がってくる気がするのだ。
実は記憶を失いたいのは、自分なのかもしれない。
そんな不謹慎な考えが、頭から離れなかった。

82 :
料理が来たのは、会話が一度終息しかけていたところだった。
「お待たせしました。こちらオムライスになります」
店員さんが奏音の前にオムライスを置く。奏音は目をキラキラさせて、手をうずうずさせながら、オムライスを見ている。
「こちらハンバーグセットのハンバーグと、ライスになります」
俺の目の間に、ハンバーグと皿に盛ったライスが置かれた。
「ご注文の品は以上でよろしいでしょうか?」
俺が頷くと、店員は伝票を置いて、別のテーブルへと向かっていった。
俺はもう今にも食べたいというオーラを撒き散らした奏音を抑え、食べる前の挨拶をするように言う。こういうとき、どんな人間でも素直になる。
「「いただきます」」
同時に挨拶して、それぞれの料理を食べ始める。ハンバーグはというと、まあ、庶民の味といった感じだ。
別段まずいわけではないが、真夏が作る料理には劣る。まあ、そこそこという感想が妥当だろう。奏音はというと、お腹が空いていたせいか、オムライスをぱくついていた。
時折頬にケチャップがつく。その度に紙ナプキンで拭いてあげる。その行為を3回繰り返し、俺はふと思い、言った。
「なんだか、奏音って今、本当の赤ちゃんみたいだな」
奏音はその言葉を聞いて恥ずかしそうに俯いた後、
「ち、違うもん。あたし、あ、赤ちゃんじゃないもん」
と拗ねるような口調で言った。流石に地雷だったか…と悔み、慰めようとした時、先に奏音が顔を上げ、俺に言う。
「おしっこ…でちゃった…」
俺はそこで出かかった言葉を飲み込む。涙目になり、今に泣きそうな奏音。俺は咄嗟にトイレに連れて行った。どうやら、さっき俺がからかったこと。
そしてその後おもらししちゃったことが追い打ちになったようで、トイレに着いた途端、奏音はわんわんと泣き始めた。
楽しいはずの空気を、俺はぶち壊してしまった。へたり込み、大声で泣く奏音。俺は「ごめん」を繰り返すばかりで、対応できていない。
外では、中の様子を探る野次馬が数人、ガラス越しにいるようだった。
このままではまずいと直感した。しかし、どうしようか分からず混乱して、俺は奏音に抱きついた。奏音はそこで急に泣きやむ。
どうやら、俺の行動に吃驚したらしい。しゃっくりを繰り返しながら、様子を探っている。俺は彼女を抱いたまま、静かに、口を開いた。
「ごめん。…別にカラカウつもりは、あんまりなかったんだ。ただ本当に、可愛くて、そんなこと言っちゃったんだ。でも、それが奏音を傷つけたなら、ごめんな」
奏音は少しばかりの涙声で「いいよ」と俺を許し、そして
「おむつ汚れちゃったから、換えてほしいな」
と懇願する。俺は再び、奏音を見た。
そこには、穏やかな笑顔があった。
これぞ聖母といった感じの笑顔。それは、彼女が見せた初めての「母性」だった。俺は気を取り直し、彼女に相応しい王子様となるべく、まずはおむつを交換してあげる。そう決めた。
せっかくのエスコート。このまま悪い気分で帰らせたくは、なかった。
その野次馬の中に、あいつがいたことを、俺は気付けなかった。

83 :
おむつを換え、昼食を食べ終えた後、俺らは買い物を続行する。終始笑顔の奏音と、それにつられ、喜怒哀楽を見せる俺。周りからは滑稽に思われても気にしないぐらいの、バカップルっぷりだった。
流石に荷物も置くなり、俺の疲れが見えたところで、1度俺は、商業施設を出ることを提案する。奏音も快諾してくれた。
思えばこれが、運命の分かれ道だったのかもしれない。
出口を出た途端、数人の男たちに囲まれた。俺はすぐさま奏音を庇う。見知らぬ男たちばかりで、その半分ほどが俺くらいにあほそうな奴ばかりだ。にへにへと下品な笑みを浮かべ、徒党を組むしか能のない連中。
俺はそういうやつをよく虫に例える。いや、虫は規則正しい行動をするが、こいつらにはそれが皆無だ。
だからこいつら虫以下、寧ろ未満といった所か。その時、後ろで奏音が動いた。服をぎゅと握る感触。その手が震えていることさえ、筒抜けだった。
「おーっす…俺のこと?覚えてるぅ?」
囲んでいた一角が開け、そこから見覚えある3人がやってくる。
「なんだこれ…お前の差し金か?」
いつぞやの、アロハシャツと、ピアス男と、スキンヘッドだった。そいつらはもう勝ち誇った笑みを浮かべ、こっちを見下しながら答える。
「ピンポーン♪この前のこと話したらさぁ…俺の友達同情してくてねぇ。あ、そうそう。俺、友達めちゃいっからさ。みんなしてお前、殴りたいて言うから探してたんだよねぇ」
饒舌に語るアロハシャツ。周りの男たちは余計顔をニヤつかせた。
「あれ?あれれぇ〜?この前と彼女違うじゃ〜んっ!お前アレなの?振られたの?それもその子ちっこいしさぁ…もしかして、ロリコン?」
俺は何も言わず、ただ睨むだけだ。ただ、その行為だけで、アロハシャツは腰を引かせた。しかし、虚勢を張ると、さらに煽ってくる。
「まじキメーなぁっ!お前ぇ〜!……ま、いっか。お前どうせ暇っしょ?面、貸してくんない?」
アロハシャツはある方角を指差した。そこは、この町で随一の危険地帯。夕顔駅横のガード下だった。あそこはこういう、無法地帯野郎どもの巣窟だった。
「俺はいいが…この子は関係ないだろ。悪いがこの子を巻き込まないでくれ」
あんなところは、この純粋無垢な少女とは無縁なところだ。あそこに行けば、彼女は永遠に残る傷を作ることになるだろう。たとえ、自身が忘れても、周りは忘れてはくれないのだ。
だから奏音だけは、こんな場所に、いちゃいけないんだと思った。しかし、
「ダメ〜ェ。お前に決定権なんて無ぇ〜んだよ!」
横から、ボディ。俺は不意打ちのせいで、体を屈ませる。そこを以前俺がやったように、誰かの膝が飛んできた。とっさに首をずらし、避ける。耳元で髪がチッと音を立てて消し飛んだ。
問題はそこではない。俺がこいつらに気を取られている隙に、別の男が奏音を担いで行ってしまった。そいつらに続いていく虫未満の男ども。
「一名様。鬼畜ルートごあんなぁい。ケヒヒッ!」

84 :
ピアス男がおちゃらけて言った。笑い方が気持ち悪い。しまったと思うももう遅い。残った連中8人で作られた輪は直ちに塞がれ、もう奏音の姿は見えなかった。
「嫌っ!…やだ…やだよ…助けてっ!紅雪っ!」
悲痛な声だけが、俺の耳に届く。それが、俺の中のストッパーを外す合図だった。周りの男どもは勝利を確信していた。物量で押せばこんな奴、訳ないと……。だが、そんなことで屈する俺ではない。寧ろ、余裕さえあった。
この程度の戦力で、俺を潰せるものか…と。
奴らが爆ぜるよりも早く、俺が動き出す。まずは目の前のデブにローキックをかます。こういうタイプは、足にダメージを負うと即座に響くからだ。案の定、デブはひざから崩れ落ちた。それを皮切りに向かってくる残りの男ども。
俺は脚を軸に反転し、真後ろのひょろ男の顔面に、ストレートを見舞う。
顔がつぶれる感触。
そいつの状況を確認する前に、俺はステップで後退する。その時うまくデブの足の甲を踏むようにした。デブは続けてくるダメージに悶絶する。
そして交差した雑魚どもは、お互いの攻撃で絡み合い、数名が転んで頭を打つなりして自滅した。こういう輩は、相手の行動を考えないから、こうして自滅を促すに限る。そして後退をした後大きくジャンプし、間合いを取る。
これでいい。ちょうどあいつらと1メートルほどの間合いを作ると…
勢いよくガードのあるほうへダッシュした。
虚を突かれ動きが止まる雑魚連中。あいつらは忘れている。あいつらの目的は足止めのはずだ。しかし、包囲網を崩され、数名再起不能になった時点で、あいつらの負けは決まっているのだ。
「しまった…追えっ!」
もう遅い。俺とあいつらとはすでに3メートルの差が広がっている。そして、こういう奴らの体力は、非常に低いと相場が決まっていた。
「待ってろ奏音…すぐ助けに行くぞ…」
俺は逸る気持ちを抑え、彼女を助けにひた走る。

85 :
超大作支援age

86 :
ガード下に着いたのは同時だった。俺は有無を言わさず奏音を掴んでるやつをタックルで倒し、奏音を救い出す。顔を歪め、涙目なその表情は、彼女の恐怖を表していた。
「怖かったよぉ…紅雪ぅ!」
抱きつかれ、大泣きする奏音。泣きじゃくる彼女の肩を抱く。小さい。こんなに弱くて、可愛くて、小さくて、華奢で…そんな彼女を泣かせた存在がいると知っただけで…
俺はついに、堪忍袋の緒が切れた。
「奏音。君はここから走って逃げて、プレシアさんを呼べ」
ぼそりとした言葉で、しかし確実な声で、奏音に指示を出す。
「で、でもそしたら紅雪が…」
「いいからっ!」
この子が俺を心配する必要はない、こんなことに巻き込んだのは、俺なのだから。俺の大声にびくついた奏音。俺は静かに、やさしく、穏やかに、言った。
「…俺は大丈夫だから。だから、俺の言うこと聞いて、いい子にしてくれ…なっ?」
こくりと頷く奏音。俺は彼女の頭を撫でてやる。優しく、丁寧に…丁寧に…
これが、最後になるかもしれないから。
奏音は身を震わせると、もう一度頷き、走り出した。今まで俺たちの様子を窺っていたアロハシャツは、友達というか手下にすぐさま追うよう指示する。手下数名は、走り出そうとして、
「行かせるかよっ!」
俺の飛び膝蹴りを食らった。まずはそれで1人ノックアウト。続けて、反則級の後頭部に対する肘打ちで、2人ダウン。そこまで見れば、手下は走るのをやめ、アロハシャツのところに戻っていた。
「ビビってんのか?あぁんっ!?」
俺の、どすの利いた声だけで、数名がたじろぐ。しかし、奴らには数という絶対有利な条件がある。見ただけで20名はいる。流石の俺もこれを同時に相手することはできない。さらに、ここまで全速力で来たせいか、体力もかなり消耗しているのだ。

87 :
正直言って、こちらの分が悪かった。
「舐めてんのはどっちだ…あぁんっ!?」
奴らは一斉にこちらに襲い掛かってくる。俺はすぐさま防戦できるように、壁を背にした。こうすれば最低、後ろから刺されるなんてことはないはずだ。まず1人目を、しゃがんでやり過ごし、そのまま回し蹴りを見舞う。見事にすっ転ぶが、もう次が来ている。
俺は手を地面に置き、逆立ちの要領で勢いをつけ立ち上がる。そのまま勢いをさずに、右ストレートを鼻にぶち込み、さらに追撃でミドルキック。後ろに控えていた次のやつがそいつにドミノ倒しの要領で倒される。俺はすぐさま後退し、壁に背を預ける。
「チッ…」
ピアス男は舌打ちし、首で後ろの連中に指示を出す。すると、ピアス男はいつぞやの時のパイプを取り出し、さらに舎弟にもそれを持たせていた。こいつらに清々堂々などない。
あるのは己が欲求をセーブ出来ない理性だけだ。
「オラッ行くぞッ!」
鉄パイプの応酬。流石の俺も捌ききるのがやっとだった。ステップと体を使い、何とかギリギリでかわす。
しかし、足元にいた伏兵を、俺は忘れていた。
後ろからの鉄パイプ。ステップでかわそうとし、
足首をがしと掴まれた。虚を突かれ、動きが止まる。そこへ、鉄パイプが襲ってきた。咄嗟に急所は腕でガードする。
鈍い痛みが、全身を駆け巡った。やがて鋭さを増すそれは、出血の証だった。額が切れて、血が流れる。おそらくほかのところも外出血か内出血ぐらいしているだろう。足を掴んだ奴を凝視する。
最初に襲い掛かってきた、男だった。俺は思いっきり背中を踏みつけ、そいつの拘束から離脱し、間合いを取る。血が流れた跡がある。あれは、俺の血だ。意識が薄らとしてきた。片目は血のせいで使えなくなっている。
満身創痍だった。

88 :
木偶人形となった俺を、あいつらは容赦なく痛めつけた。腹を殴られ、ひざから崩れ、倒れこむ。うつ伏せに倒れた俺を、空き缶を蹴るように蹴り上げ、仰向けにさせた。
腹の上に、足が振り下ろされる。
「がはっ…」
先ほど食べたものを、吐くかと思った。薄ら眼で見たのは、優越感に浸り、悪逆の限りを尽すアロハシャツ。アロハシャツは同じ行為を続けながら、恨み辛みを吐く。
「この前はぼこぼこにしてくれてど〜もぉ」
ガシッ!
「おかげで彼女に振られるわさぁ、笑い物にされるわさぁ。散々だったんだよねぇ〜」
グシャッ!
「どう落とし前付けてくれんだァ?」
ドスッ!
「答えたらどうなんだよォッ!あぁんッ!?」
グシッ!
その時、スキンヘッドの舎弟が、あることを言った。俺はそれは聞こえなかったが、どうやらそれは俺に関することのようだ。
それを聞いたアロハシャツは顔を笑いで引き攣らせ、高々と言う。
「お前ェあれなんだってぇ?ここいら仕切ってた族、『ブラックゲイル』の頭だったんだってなァ?」
それは、俺を一番縛り付けていた、過去だった。
「アレだよなァ?『ブラックゲイル』っていやァこの辺を仕切ってたくせに、いざとなったら頭が逃げ出して、全員補導されたっていう、あの情けない族のことだろォ?」
ピアス男が笑いながら言った。……ああ、そういうことになっているのか。まあ、大方事実だが。
「だせェー。超ダセェ。これ以上笑かすなよォ。お前」
アロハシャツは恥ずかしいほどの高笑いで笑う。周りの舎弟も、大笑いしていた。
「なんだァ。お前、腰抜けかよォ。情けねェなァ…クククククヒヒヒヒフハハハハハハハ」
ピアス男は頭と腹を抱えて大笑い。どうやらつぼにはまったらしい。ひくひくと痙攣させながらも、それでも笑い続ける。
「じゃ、いい加減飽きたしよォ…」
笑い疲れたのか、アロハシャツは俺を足蹴にし、あるものをちらつかせる。銀色に輝くそれは、刃渡り10センチほどの、ナイフだった。
「ねヨ。とっとと」
それが振り下ろされ…
 別の「何か」に、弾き飛ばされた。
霞む視界では、もうそれが何かは判別できなかった。ただ、大きな背中と、銀色の髪が、印象残った。
「なんだァ?てめェッ?」
もう意識すらも霞んでいく。朦朧とする中で、俺は、確かにその言葉を聞いた…気がした。
「しがない雇われ稼業の者ですよ…探偵という名の、ね」
そして、俺の意識は寸断された。
今日もここまで

89 :
おつかれさまー
超期待!

90 :
なんか最近他所で読んだのが上がってるけど
同一作者の転載か?

91 :
>>90
いいじゃんそんなこと。余所回って探すより楽に読めるし。
どっちにしろ乙!

92 :
流石に作者と関係ねー奴が転載するのはアウトだろ?

93 :
同一作者でもアウトだろ
転載で容量潰すのはどうかと
誘導すりゃいいだけだし誘導したくないなら他だけで活動するべき

94 :
ここ過疎ること多いから容量とか関係なくね?

95 :
ぱっと検索してみたけど同じやつはなかったな
>>90はどこで見た?

96 :
俺も検索したけど出なかったな

97 :
ただで読ませてくれるんならそれでいい
どのみち書き手が少ないから、変に叩くと逃げられるし

98 :
ピ◯シブで読んだことあるが別人なら作者に対するネガキャンだと思うね。

99 :
とりあえず大作

100 :
 声がする。
 誰かが呼ぶ声がする。
 私を呼ぶ声?
 それとも、他の、大切な誰かを呼ぶ声?
「私は行かなければね」
それがどちらにしろ、私は行かなければならない。
「ここまで声が届いた…それは私に会う権利を持つ者である証…」
あなたはここにいなさい。ここから先は、私の『領域』よ。
「では、始めましょう…『世界』に住まう『命』たちよ…」
私は本を宙に浮かべる。足元には幾何学模様を描いた魔法陣。両の腕に付いた輪から、6つの宝玉が滞空する。
世界を構成する2つの側面と、4つの力。
それの結晶たる宝玉が、まるで生き物の心蔵のように拍動し、妖しく輝く。
「…交点接続…パス解放…」
本がバサバサと荒々しく開かれ、あるページで止まる。
私は首から下げた鍵型のアクセサリーに魔術をかけた。アクセサリーはそれに従い肥大化。杖となった。
下は鍵を模しているが、上は一定の形状にならず、さまざまな形に変化しては、最初の球状になるのを繰り返している。
「…存在認証…介入開始…」
杖の鍵をその本に刺す。本の中に溶け込んだそれを、私は廻す。
かちゃり。
 それが、私の仕事始めだ。
6つの宝玉が等間隔に魔法陣の上に並ぶ。魔法陣は連動し、輝きを増す。
「では、ごきげんよう」
私は本の中へ吸い込まれ……
世界は、あなただけになった。

101 :
…ここはどこだ…俺はどこにいる…
仄暗い、本当に一寸先も見えぬ闇の中で、俺は一人浮かんでいた。どこだかもわからない。
なぜ、どうやってここに来たのかもわからない。
気づいたら、「ここ」にいた。
俺は、どうやってここまで来たかを探るため、記憶を掘り返す。あのとき、殴り合いがあって、銀色の髪の男性に助けられて、気を失って……
だめだ。全然繋がりがない。
そこで思い出すのをやめ、俺は漂うだけの存在になる。痛みがない。傷もない。まるで夢心地。気持ちよささえ感じる。
そのとき、強い光に包まれた。
訳が分からないまま、俺はそれに飲み込まれる。光が強すぎて、目を閉じた。数秒の後、光が弱くなったのを感じ、目を開ける。
そこには、懐かしい光景が広がっていた。
遠い記憶。懐郷の世界。セピア色で、単一色の世界。どこか古ぼけた街並み。その街並みの中に、中睦まじい親子連れがいた。
あそこで両親に手をつながれている3歳ぐらいの少年を、俺は知っている。
あれは、昔の俺だ。まだ親父が生きていた頃の、俺の記憶。
―――おとうさん。きょうはどんなごはんにするの?
―――そうだな…母さんは何がいいと思う?
―――あら?紅雪から聞かれたのはあなたじゃないの。私に振らなくても、あなたが決めてかまわないわよ?
―――うーむ…山暮らしは食事を考えずに済むしな…
―――おとうさんはやまのぼりするとき、なにをたべてるの?
―――基本はラーメンさ。それもカップの。
―――あら?元医者として、その不健康な食事は反対よ
―――うぐっ!…しかし、手間と効率性を考えるとだな…
―――今度簡単な山登りをするときは、私に言ってくださいね。とびきりのお弁当、作りますから。
―――あー!おとうさんだけずるーい!
―――じゃあ、今度はみんなでピクニックに行こうか!
―――あら?いい考えね。そしたらお母さん。紅雪の好きな鮭おにぎり、いっぱい作るからね
―――わーい!やったぁっ!
幸せな、光景だった。どこにでもある、幸せな家庭風景。もう届かない、懐かしい空間。俺は親父に声を掛けたくて仕方なかった。
しかし、それはできない。
こんな姿の俺を、親父には見せられないからだ。親子連れが近づいてくる。俺はとっさに踵を返し…
また光に包まれた。強烈な光に目が眩み、手で影を作ってしまう。次に広がる光景は…
親父がんだときだった。親父の亡骸には、白い布がかけられていた。泣き崩れるお袋。茫然としている俺。周りの親戚がお悔やみを言い、部屋から出て行くところだ。残ったのは俺とお袋だけ。
お袋はずっと「あなたぁ…あなたぁ…」と繰り返すばかりだ。俺はそんなお袋を、慰めようと背中を摩っていた。俺が大べそ掻いたとき、お袋がしてくれたように。やがて俺とお袋も部屋を出る。
俺は続けて扉を出た。さすがは記憶の世界。扉は俺の体をすり抜け、閉まる。お袋に連れられ、歩かされる俺。その時俺は、何度か親父がいる霊安室を振り返っていた。
3回目に振り返った時、表情に変化があった。
その前の2回はすぐに前を向きなおしたが、3回目だけはずっと振り返ったままだ。俺はそこで何を見たのか、思い出せなかった。俺は幼い俺がしたように振り返り…
新たな記憶へ飛んだ。

102 :
今度は小学生の頃、真夏と一緒に帰るところだ。真夏は俺に手をひかれつつ、足をもじもじさせていた。記憶の中を探る。こういうときは大抵…
―――あっ。
小さな、切な声の後、
しゅわわわわわわ……
水の音とともに、真夏のスカートが濡れていく。俺は音で気づき、足を止めた。真夏は必に抑えようとしていたが、無駄だった。結局、道の上に大きな水たまりができるまで、真夏はおもらしを続けた。そしてその後は決まって、大泣きをするのだ。
―――ひっ、ひっぐ、うえぇぇぇぇん……
俺がそんな真夏を引張り、家路を急ぐ。「大丈夫だよ」とか、「もうすぐだから」と慰めの言葉をかけた。真夏はそれを聞き、徐々に泣き止んだ。お互い、恥ずかしさを募らせながら、短いようで長い帰り道を歩き続ける。それを見終わったとき、次の記憶へと飛ぶ。
今度は暴走族時代のものだ。
ちょうど、俺が族を結成して、間もないころのものだ。あの頃は怖いもの知らずで、よく近くの山道へ繰り出しては、甲高い音を鳴らして走り回ったものだ。
もちろん、今考えてみれば、あまり褒められた行為ではないだろう。
それでもあの頃は、これに青春賭けてしまっても、いいとさえ思ったのだ。そして、記憶が飛んだ。次の記憶は…
その暴走族が、終焉した日の記憶だった。
一番思い出したくない記憶。この記憶こそ、俺の今を作り出しているといっても、過言ではない。
その日、俺らはいつものように公道を走り、山道へと向かう途中だった。ざわついた街並み。満月が照らす夜道。煌々と光るナトリウム灯。その中を、何台という単車が、跋扈していた。エンジンの唸る音が、静寂を揺さぶる。
―――そこの前のバイクたち、止まりなさい!
いつものように、パトカーがやってきて、制止させようとする。俺は周りの皆に頷く。皆も同様に頷いた。そして、次の大きな分かれ道。Y字型になった国道との交差道路で、俺らは散開する。
パトカーは真っ先に俺がいるほうを狙う。なぜなら俺の単車が一番派手で、俺がこの族の頭だったからだ。他のバイクは上手く脇道にそれていく。最終的に俺が囮となり、他の皆を逃がす作戦だ。
俺には捕まらない自信があった。
俺のバイクテクはそこらの警察には負けない自信もあったし、バイクはそれ相応のスピードが出るように改造さえしていた。
案の定、俺は逃げ切ることに成功した。後は皆がいるはずの、いつもの場所へ集合すればいいだけだ。俺は意気揚々とその場所へとバイクを走らし……
誰もいない場所へと、辿り着いた。
その時の俺は、我が目を疑ったと思う。
普段なら勝利のハイタッチを交わし、山へと走りに出かける仲間は、1人もいなかった。寂しげに風が吹く。俺はバイクを降りることさえできないまま、そこで立ちつくした。
さらに俺を驚かしたのは、次の日の新聞だった。

103 :
地方新聞の3面記事に大きく、『暴走族 一斉検挙』の文字が、高々と躍り出ていたのだ。俺はその新聞を買い、熟読する。そこに書かれていたのは、昨日の、俺が知りえない真実だった。
あの時警察は俺を捕まえることをあきらめ、最初から包囲網を敷き、俺らをあえて散開させるように誘導した。そうとも知らず俺は散開し、まんまと罠にかかった仲間を、1人残らず補導、逮捕したのだ。
幸い、俺は仲間には厳しい人物だったので、逮捕の内容も道交法違反や、公務執行妨害ぐらいで済んだらしい。しかし、この事実は俺に、あることを突きつけた。
それは、仲間を見捨て、自分だけ逃げたということだ。どういうことがあるにしろ、結果がそうなのだ。それは、言い逃れのできない事実となった。俺は新聞紙をぐしゃぐしゃになるほど強く握りしめ、悔しさに嗚咽を漏らした。
その日を境に、俺は族を止めた。
どうしてこんなことを思い出したのだろう。さっきから昔の記憶が順々と……そうか、これが走馬灯のようにってやつか。俺は、ぬのか。
まあ、それもいいのかもしれない。
俺は彼女を、奏音を、危険に晒してしまった。俺という存在に出会わなければ、あんな思い、させずに済んだのだ。そう思うと、また悔しさがこみ上げてくる。俺は一体、なんなんだろうか。
親父に小さいころ言われたことがある。「男なら、誰かを守れるようになれ」と。
結局、俺は誰も守れずに、ぬのか。
悔しい。本当に悔しい。自分が不甲斐無くて。情けなくて……
お願いだ。俺はにたくない。まだ、にたくない。だから、俺の、命以外の総てを、奉げてもいい。神様。俺に最後でいいから、チャンスを下さい。
俺は再び、眠りについた。

104 :
――あなた、私を呼んだの?
声がする。
誰かが呼ぶ声がする。
俺を読んだのか。
他の誰かを呼んだのか。
――起きなさい。そして、答えなさい。
重い瞼を開く。曖昧な視界。目の前に、誰かいる。誰だ…誰…
「しっかりなさい。緒方 紅雪」
その声で、俺はようやく覚醒する。視界がはっきりした。見渡すばかりの、青紫の空。それは夜明けの空。
「私のこと、認識できる?」
目の前に、少女が浮かんでいた。仰向けに寝る俺と、うつ伏せに浮かぶ少女。向き合った俺たち。交わす視線。
「ああ。わかる…ここは、どこで、お前は、誰だ?」
少女はそこでふわり舞うように動き、今度は俺を見下すように、起き上がる。
「あら?あなたは分かってて、ここにいるのかと思ったのだけれど」
彼女の視線が、俺に降り注ぐ。俺はその言葉と態度に、イラッと来て、ぶっきらぼうに答えた。
「知るわけねーだろ。気づいたらここにいたんだぜ?」
少女はそれで、俺の心を見透かしたのか、どこか小馬鹿にするような目つきで、
「まずはあなたも起き上がってはどう?そんな姿勢で話を聞こうとするほうが失礼よ」
と指摘する。俺は更に苛々を募らせたが、渋々それに従い、起き上がる。地面がないのに、すんなりと起き上がることに成功した。
俺の眼の前に立つ少女は、それでようやく対等だと言わんばかりの態度で、
「なるほど…あなたは、何も、知らないのね?」
と聞いてきた。ジトリとした眼を、俺に向ける。俺の苛々は容易く頂点に達し、
「もったいぶってんじゃねぇよ!」
と怒鳴った。彼女はそんな俺に憐れみの視線を向ける。
そこで初めて、彼女の目の異変さに気付いた。金と銀。違う色の目をした少女。
それは、人間ではない、そんな雰囲気さえ漂わせる眼だった。
「仕方がないわね…説明してあげるから、大人しく聞きなさい?」
俺はそこで自制し、素直に彼女の説明を聞き始める。少女は透き通るほど白い、腰まで届く長い髪の毛を揺らすと、反転し、背を向ける。
「ここはすべての人間の底の底。無意識下の世界よ」
少女はそのまま、朝日のほうを指差した。朝日は今にも昇りそうだったが、一向に動く気配がなかった。
「あちらが意識の世界」
少女は俺のほうを向き、
「そしてこっちがすべての中心点。まあ、『源』とか『コア』とか『無』とか言うわね」
俺の後ろのほうを指差す。俺は振り向くと、そこには夜の闇とは違う、全く光の届かない闇が存在した。
形容するならブラックホール。そのまま放っておけば、今にも飲み込まれそうだ。
「そしてここが、無意識の世界」
彼女は自身の立場所を指差す。俺も釣られてそこを見た。海と夜明け空。それだけが広がる世界。
「まずは自分のいる場所、理解したかしら?」

105 :
俺は頷くしかなかった。少女はまるで見透かしたような口ぶりで、
「まあ、いきなり理解しろと言っても無理か。まずはこんな場所程度に覚えておけばいいわ」
と言った。俺は反抗せず、従った。今、ここの場所を完全に理解しているのはこの少女のみだ。この少女から離れたら、俺はきっと戻れなくなる。そう直感していた。
「次にあなたが知りたいのは私の名前ね?」
「あ、ああ」
彼女は見た目相応の、子供っぽい笑顔を俺に向けた。身長から見て、9歳ぐらいだろうか?黒いドレスを身に纏い、両の腕には腕輪。
その腕輪は等間隔に色のついた玉―宝石だろうか―が付いていて、それぞれ3つずつ、右に白・赤・黄、左に黒・緑・青といった感じだ。
胸には鍵型のアクセサリーがついたネックレスが首から掛けられ、人懐っこい顔は、奏音を想起させた。
「あなたと会うのはこれで2度目ね。名前は、そうねぇ……アンネでいいわ」
その言葉に、驚愕する。
俺はこの少女に、1度逢っているらしい。
 どこであろうか?俺の記憶に、彼女と会った記憶はない。こんな独特の容姿をした子を、忘れるはずはないだろうし、忘れていてもすぐさま思い出せるはずだ。
「私のこと、思い出そうとしているでしょ?」
俺は少女の言葉に震える。この少女―アンネは、逐一こちらの考えを読んだ発言をする。
「まあ、忘れてもしょうがないか。ずっと前の話だしね」
どういうことだろうか?
「じゃあ、あなたの記憶。解き放つわよ?」
彼女は胸のアクセサリーを左手に持つと、額に持っていき、祈るような仕種をした。
「…術式…解放…」
静かな、それでいて強い声だった。
アクセサリーはすぐさま大きくなり、彼女はそれを握り、剣のように一振りする。先端部がカギで、持ち手の後ろが、不規則に形状変化する杖。それを彼女は左手に持ち、唱える。
「我が声に従え…『世界』よ…」
空間が、震えた気がした。
「この者の奥底に眠る記憶。解き放ち、我の前に示せ」
鍵を地面?めがけて振り下ろす。鍵は虚空の中に溶け込んだ。アンネはそれを確認すると、誰もがやるように廻す。
かちゃり。
それが、始まりだった。

106 :
周りの世界が吹きすさぶように変わり、光に満たされる。俺は目を手で覆い、光から守った。光の気配が消え、手をどかす。
また、あの記憶だった。
親父がんだ時の記憶。さっきと同じ。泣き崩れるお袋。お悔やみを言う親戚。変わらない。さっきと何も変わらない。隣にいるアンネはその光景を、黙って見ていた。俺は堪らなくなり、怒鳴る。
「これが…どうしたんだって言うんだ!」
アンネはそんな俺を冷ややかに見ながら、
「あなたが私と会った時の記憶の再現よ?」
と言いのけた。俺はそこで周囲を見渡す。俺の記憶の中では、ここでアンネと会った覚えはなかった。案の定、部屋の中にアンネはいない。
俺はさらに言おうとしたが、アンネは口元に人差し指を置き、静かにしろとジェスチャーした。
俺はそこで渋々従い、成り行きを見守る。やがて子供の頃の俺とお袋も、外に出た。アンネはそれに合わせ、外に出る。俺もそれに続いた。
俺がお袋に引かれ、歩いている。廊下は蛍光灯の光が照らしているものの、そこはかとなく暗かった。俺は1度振り返る。お袋に言われ、すぐさま前を向きなおした。もう1度振り返る。
俺とアンネは、それをドアの入り口の前で見守った。
子供の俺はまた、前へと向きなおった。そして3回目。またもや振り返る。
そのときドアが開く音がした。俺は驚いてドアのほうへ向きなおる。そこには…
神が、鎌を携えて立っていた。
ステレオタイプな神だった。鎌を持ち、骸骨で、宙に浮いている。その神が部屋から出てきたのだ。俺は驚いて腰を抜かした。そのまま床に尻餅をつく。
神はそんな俺のことを見もしないで…当然か。ここは俺の記憶の世界だ。
この記憶の中に、俺らはいないのだ。小さな頃の俺を見る。小さい俺は目を見開いた。きっと俺にはそれが、なんなのかは理解できなかっただろう。
神は鎌を構え、突進する。標的は小さい俺。俺は思わず「逃げろ!」と叫んでしまう。アンネはそんな俺を見ながら、
「何を興奮してるのです。ここはあなたの記憶の中。あなたがここにいる以上、助かるのは決まっているじゃないですか」
と身も蓋もないことを言う。俺はそこで拍子抜けし、立ち上がった。と同時に、俺らをすり抜け、1つの「影」が飛んで行った。

107 :
それは神さえも恐れる存在だった。
神はその「影」を見ると、俺を襲うのを止め、一目散に逃げようとする。
しかし、「影」のほうが早かった。
「影」は神を捕まえると、左手に持つ剣で、神を一太刀に断ち切る。
神はそこで絶命し、霧散した。その霧散した神の『魂』を、「影」が吸っている。「影」はそこで実体化した。
白い髪が、翼のように靡いた。
金色と銀色の瞳を俺に向け、「影」は佇む。俺はその幻想的な光景に、ただただ見入っていた。
剣は元の白い宝玉に戻り、彼女の右手の腕輪に収まる。
―――私のこと、見えるの?
「影」は、俺にそう聞いた。
―――うん。
俺は素直に答える。「影」は少しばかり驚いた表情をすると、
―――すごいわね。あなたは将来、大成するわ。
と妙な事を言っている。俺はその意味が分からず、頭に?を浮かべた。「影」はそこで振り返り背を向け、
―――私は、行かなければならないの。あなた、名は?
と聞いてきた。俺はお袋に気付かれないように小声で、
―――紅雪。緒方 紅雪だよ
と答えた。「影」が少しだけ、微笑んだ気がした。
―――じゃあね紅雪。また、逢いましょう…
それで「影」は、消えた。

108 :
俺らは再び、夜明け空の世界、無意識下の世界に戻る。俺はずっとアンネを気にしていた。この少女があの『影』なのは、間違いないだろう。
では、あの少女が行っていた、『魂』を吸うという行為は一体、何だったんだろうか。
「これで納得いったかしら?」
アンネは俺に問うた。俺は「ああ」と答える。アンネはそれでいいのか、その先を聞くことはなかった。そしてもう話は終わりと言うことなのか、次の話題に切り替わる。
「あなたはどうしてここに来たのか分からない…と言ったわね」
俺はその言葉に同意した。アンネはそれを確認すると、杖を元のアクセサリーに戻した。
「単刀直入に言うわ。あなたは今、出血多量でにかけの状態よ」
やはり、そうだったのか。アンネは続ける。
「人間はにかけるとね、一度はこの無意識下の空間に行くのよ。俗に言う三途の川ね。で、あっちの意識の世界に戻れたら生還。で、あっちの『源』に触れたらぬというわけ」
つまりここは、生の狭間というわけか。アンネは俺がそれを納得したのを感じ取り、さらに続けた。
「まあ、普段は自力でここの存在を感じ取ったら脱出できて、できないとぬのだけれど、稀にあなたみたいに、ここに私を呼んでしまう人間もいるのよ」
アンネは俺のことを指差す。俺はアンネがここに連れてきたとばかり思っていたが、真相は逆のようだった。
「アンネを呼ぶということは、どうなるんだ?」
俺の素朴な疑問に、彼女は自慢げに言った。その仕草が、すごく子供っぽくて、可愛いと思ってしまった。
「私を呼び出すということは、それだけで価値のあることよ。あなたは私を呼び出した。つまりあなたは、私に声を届かせたということになる。それはあなたが、上位世界への扉を開いたのと同意義よ」
意味が分からない。上位世界って何だ?
「そうか、あなたは知らないわよね…そうねぇ…あなたは、運命を信じる?」
唐突な質問。数秒悩んだ後、俺はそれにYESと答えた。アンネはふむふむと頷き、俺に問う。
「それが、誰かの勝手で動かされてるとしたら、あなたはどう思う?」

109 :
彼女の難題に俺は頭を抱えた。運命が誰かの勝手で動かされる?確かに憤るが、運命なんてそう簡単に変えられるのだろうか?そもそも、運命を決めているのは、誰なんだ?神様か?
「悩むわよね。実際。それが普通なのよ。運命なんてものわね、言葉のまやかしに過ぎない。私は、いえ、あなたより上位の存在が単にこう動けと命じてるだけ」
回りくどいような言い方。理解に苦しむ。
「簡単に言うなら、本の文章を塗りつぶし、そこに新たな物語を創作するようなもの。下位世界が本で、上位世界が読み手ね。
読み手は物語が気に入らないからといって、本の文章を塗りつぶし、物語を改変する事が出来る。それによって世界は分化され、並行世界が存在する。それが横縦と積み重なったのが、現在の『世界』の構造よ」
ようやく分かってきた。アンネはさらに言った。
「そして、私はあなたより上位の世界にいる。あなたの物語を改変する事が出来る。そしてあなたもまた、その権利を手に入れたことになる。まあ、声を届かせた程度じゃ、一段上ぐらいが精一杯だろうけど」
そこでようやく、合点がいった。アンネは俺に、ある事を選ばせようととしているのだ。
「あら、理解してくれたかしら。時間も惜しいし、単刀直入に言うわ。あなたの選択肢は3つ。
1つ目は、自力であの意識の世界に向かい、生存するか。
2つ目は、このまま身を委ね、か植物状態のまま、生き続ける状態になるか。
3つ目は、私とともに上位世界に行くか。
1つ目を選ぶと、過酷なことが待ってるし、確実とは言えない。もしかしたら途中で力尽き、ぬかもしれない。それでも、あの世界で生きたいと願うのなら、そうしなさい。
2つ目を選べば、あとはあなたのなるようになるわ。後の世界も、なかなか乙な物よ?
3つめを選べば、あなたは神様…とはいかないけど、それ相応の力は手にすることはできる。だけどあなた自身は二度と、この「世界」には戻れない。
もちろん行くことはできる。しかし、あなたは「世界」の外の人間になり、二度とこの世界で一生を終えることはできなくなる。
……これで説明は以上よ。あとはあなたが、選びなさい。私はいくらでも、待ってあげるわ」
アンネはすべて説明し終わると、俺から離れ、世界を飛び回り始める。俺を1人にしてくれたのだろう。俺はゆっくりと考え始めた。どれがいいか。俺にとってどれがいいものなのか。
……いくつもの思いが体を廻る。
俺の心の中で、様々な意見が飛び交った。
纏まらない。
意見ばっかり出てくるせいで、一向に纏まらなかった。
そのまま頭を抱え、考え続ける。
 その時、奏音の声を幻聴した。
「へっ?」
思わず、声を出してしまった。どうしてここで、奏音のことを考えたんだろう。記憶を探る。それと同時に、奏音の声が、姿が、仕草が、思いが、徐々に蘇っていく。そして、気づいた。
………なんだ。簡単なことじゃないか。
とうの昔に、答えは、決まっていたんだ。
俺は…

110 :
俺の回答を聞くと、アンネはやっぱりという顔をした。
「まああなたなら、それを選ぶでしょうね」
俺はずっと、アンネに心を見透かされっぱなしだ。アンネは俺を見ながら、最後の言葉をかける。
「あとは総て、あなたがやることよ。私も関与しないし、個人の意思まで関与はできない。この無意識下の世界では、誰よりも個人が勝るもの。外の意識ではなく、無意識下でこそ、個人というものが大きくなるの」
ここで一息入れ、
「神様としては、私は何もしない。けど、私個人としては、あなたのこと、応援してるから」
と思いがけない言葉をかけてくれた。俺はそれだけで奮起する。最後にフフフ…と笑い、アンネはこの無意識下の世界から飛び去った。髪の毛が翼のように踊るのを見届け、俺は目の前の朝日を見据える。
さて、帰ろうか。
心の中で誰ともなしに呟いた。
皆が待つ、俺の居場所へ。
大きく、1歩を、踏み出す。
朝日は、とても遠かった。歩いていける距離であるのかもわからない。それでも俺は、歩き続ける。待ってる人がいる。心配してる人がいる。頼ってくれる人がいる。なら俺は、今度こそ、それに応えなければならない。
そして、暖かい光に、包まれた……

111 :
痛みによって俺は覚醒した。見られぬ天井。白基調の室内は、ここがどこだかを容易に判別できた。
「起きたか。阿呆が」
久し振りに聞いた、懐かしい声。聞こえたほうに振り向くと、皺を寄せ、白衣を着た初老の女性がパイプ椅子に座り、俺を見下ろしていた。
「…お袋…」
俺は自然と、その言葉が出ていた。しかし、相手は露骨に嫌な顔を作り、
「あんたにそんな呼ばれ方、されたくないね。わたしゃあんたを勘当したんだ。もう赤の他人だよ。強いて言うなら、医者と患者さね」
と指摘する。俺は少しだけ気に入らなかったが、まあそれが事実だ。ゆっくりと体を起こす。頭からズキとした痛みが襲った。思わず手を置くと、包帯の感触があった。体を見渡す。右腕は三角巾で吊るされ、ギブスが嵌められている。
「頭の傷は皮膚を切っただけだ。6針で縫っといた。右腕は全治2週間の捻挫だ。あといくつか内出血跡があったが、その程度は自分で治せるだろ?…とまあ、医者としての説明は以上だ。質問は、あるかい?」
矢継ぎ早に出る言葉に面食らったが、まずは起き上った時からある思いをぶつける。
「……どうしてお袋が、俺を治療したんだ?」
お袋はいきなりの質問にさらに顔を顰めた。しかし、それでも質問には答える。
「奏音ちゃんの頼みさね。わたしゃあの子の家のかかりつけ医。頼みとあらば、嫌な相手でも仕事はする。それがプロというものだよ」
意外なところで、俺と奏音は繋がっていた。もしかしたら、真夏は知っていたのかもしれない。俺が悩んでいると、お袋はふぅと溜息をつき、
「普通さ…今いつだとか、奏音はどうなったとか、そういうことを聞いてくるもんじゃないのかい?」
と呆れたといった素振りで言った。俺はそれを聞き、ようやく頭に血を巡らす。そうだ。何のためにここにいるのだろう。俺は何のために、アンネの誘いを蹴ったのだろうか。
「か、奏音は!?…イっ!つぅ…」
強引に動いたから、体中に激痛が走った。そのまま、ベッドの上で蹲るような姿勢になる。冷ややかな視線を向け、お袋は言った。
「ふんっ!大丈夫さね。あんたがあの子を逃がしたおかげで、あの子には傷1つついてなかったさ。事の顛末はドアの外にいる、プレシアにでも聞くんだね」
そこでお袋は立ち上がる。そのままドアのほうへ歩いて行くが、一度立ち止まり、振り返らずに言った。
「あの子を、守ったんだってね」

112 :
「あ、ああ」
1秒の間。
「あんたも少しは、誰かを守れるように、なったのかい」
「それは…」
「まあ、そうなら、天国のあの人も、喜んでくれるはずだわ」
それだけ言うと、俺の言葉を待たずに、立ち去った。
「お、おいっ!」
声をかけたが、お袋が止まることはなった。ガラガラというドアの開く音がした。数秒後、入れ替わりにプレシアが入ってくる。
「この度はお嬢様を守っていただき、ありがとうございました」
深々と礼をするプレシア。俺は逆に体を固くしてしまう。本当なら、俺はプレシアにされると思っていたのだ。なんせ、あの子を巻き込んだのは、俺のせいだから。
「すまん俺こそ……そうだ、俺が倒れた後、どうなったんだ?」
俺の質問に、プレシアは俺をしっかりと見据え、話し始める。
「私の伝手であなたを調査していた探偵に、あなたを助けさせました。お嬢様から連絡を受け、すぐさま私が手配したのでございます」
いくつか、聞き捨てならない言葉があったが、プレシアはお構いなしに先に進む。
「あなたが倒れた後の処理は、私とその方でやっておきました。おそらく2度とこちらに関わることはないでしょう。そのあとお嬢様の指示通り、あなたをここへ搬入し、治療を依頼したのです。今日はあの日から、3日目になりますよ」
多くの情報が出てきて、頭の中が整理しきれなかった。数秒考え込んで整理し、まず、彼女に一番聞きたい事を聞く。
「奏音は!?俺はもう一度、あの子に会えるのか?」
プレシアはすぅと、どこか遠くを見る目をした後、
「それは私としてはお勧めしません。もちろん、旦那様からは何も言われておりませんが、今は会わないほうがよろしいかと思われます」
と忠告する。俺はその言葉が気になって、痛む体を引きずり、ベッドから降りた。
「今、ここにいるのか?」
大きく目を見開いたプレシア。アクアブルーの瞳が、一際輝いた。
「案内、してくれ」
俺の言葉に、「ですが…」と一度断ろうとし、目を泳がせる。しかし、俺の熱い視線を浴び、我慢できなくなったのか、
「どうなっても、知りませんからね」
と渋々承諾した。俺はプレシアの肩を借りつつ、病室から出た。

113 :
連れて行かれたのは、病院の屋上だった。雲1つない青空。風が強い。白いシーツの波が、バサバサと揺れる。その先に、1人の少女が、いた。少女は手すりに体を預けつつ、外を眺めている。
 俺は駆け出そうとして、激痛に顔を引き攣らせた。隣のプレシアは呆れつつも、俺を支える。俺はゆっくりゆっくりと前進し始めた。本当は、一刻も早く、彼女のもとに行きたかった。しかし、体が言うことを聞かない。逸る気持ちだけが、募っていった。
「お嬢様」
穏やか、声だった。プレシアはいつも、奏音には甘いのだ。
「なぁに?プレシア」
奏音は無邪気に、こちらを振り向いた。夕焼け色の相貌が、最初プレシアに、そして俺に向けられる。天使のような美しい顔。赤味がかった茶髪。の淵で、会いたいと思った存在。それが今、目の前にいる。
奏音は不思議そうな顔で俺を見る。二、三度パチクリと瞬きした後、彼女は言った。
「プレシア。その人、誰?」
俺の耳が、悪いのだろうか。今、とんでもないことを聞いた気がする。俺は彼女の名を呼んだ。
「奏音。俺のこと、覚えてる?」
奏音は、無邪気な笑顔で、首を傾げると、
「いいえ。私はお兄さんとは、初めて会いました。……人違いでは、ないですか?」
と断言した。
その時、俺の中の何かが壊れた。
俺はそこから先の言葉を、失った。伸ばしかけた手を引っ込め、プレシアに、病室に戻るよう頼んだ。プレシアは、憐れんだ表情で俺を見ていたが、俺の言う通り、引き返す。奏音は、新底不思議そうな顔をし、
「あのっ!」
と引き留めた。俺とプレシアは、そこで立ち止まる。
「名前、まだ、聞いてません」
彼女は俺に向けて、そう言った。俺は静かにそれを聞き入れ、返す。
「…緒方 紅雪だ…」
奏音は「こーせつ」と繰り返し呟いていたが、それをやめて、悲しそうな表情を浮かべ、
「やっぱり、私、あなたのこと、覚えてません…ごめんなさい…」
と謝る。俺は、できるだけ静かで、穏やかな声で言った。
「誤ることもないよ。もう、俺はいいんだ。俺は、奏音のことが見れて、それで十分なんだ。だから…」
その言葉。それは、俺自身をす言葉。
「俺のことなんて、覚えてなくていいんだよ」
それだけを言い残し、俺は屋上を後にした。

114 :
病室に戻り、ベッドの中に収まる。
「紅雪様…」
悲しそうな、憐れんでいる声。プレシアは俺のことを心配そうに見つめている。俺は一気に年を取ったかのように、狼狽していた。そうか、こんなにもダメージがでかいのか。忘れられるって。それをずっと、プレシアも、真夏も経験していたのか。
いつの間にか、涙が出ていた。
俺は、あの子に会いたくて、ここまで来たのに。あの子は俺のこと、忘れてしまったのか。もちろん、あの子が悪いわけじゃない。ただ、こんなにも思っている自分が滑稽で、情けなくて…
笑いが、込み上げてきた。
一度来た笑いは、体中を駆け巡った。滑稽で、滑稽で仕方がない。
「フ、フフ…」
最初は、噛みしたかのような笑い。
「ハハハハハ…」
プレシアは、その声に、とても驚いていた。気が狂ったのかと、疑いの目を向ける。俺はそんなことすら気付けずに、笑い続けていた。
「アーッハハハハハハハ……」
腹を抱え、笑い続ける。乾いた笑い。涙を流しながら、俺は嗤う。自分自身を、滑稽に嘲笑う。やがて、笑いが治まると同時に、涙だけ流し続けた。ベッドに左手の拳を埋め込み、叫んだ。
「ちくしょぉぉぉぉぉうっ!」
空虚な響きが、病室に木霊した。

115 :
それからの数日間は、虚脱感に襲われながら、日々を過ごした。
まず、次の日には真夏がお見舞いに来てくれた。真夏はプレシアから事情を聞いていたようで、俺を慰めてくれた。自分も辛いはずなのに。真夏は元気を取り繕って、俺を励ます。
その姿が、とても痛かった。
だから俺は、もう見たくなくて、無下に扱ってしまった。それでも嫌な顔せずに、最後は笑顔で、去って行った。湧いてくる後悔。唇を噛み締め、口の中を血で潤すような状態になっても、俺は悔しさに打ちひしがれていた。
退院は、その2日後だった。碌な挨拶もされずに、病室から追い出された。お袋は眼を鋭くさせながら、
「あんたみたいなやつを病室に置くより、金持ちの爺さんでも置いておいたほうがましさね」
と碌でもないことを言い放つ。相変わらず守銭奴というか、金に五月蠅い人間だと思った。
それが唯一つの、俺の心を潤す出来事だった。バス、電車と乗り継ぎ、会社に挨拶に行くと決めた。携帯電話は、あの喧嘩の時に破壊され、使い物にならなくなっていた。なので、直接出向くことにしたのだ。
駅につき、時刻表を確認する。少しばかり待ち時間があるようだ。俺は切符を購入し、ホームへと出た。駅名、桜台。俺と奏音が初めて出会った場所。
そして、俺はあのベンチに腰かけた。彼女が眠っていたベンチ。野晒しのため、所々が錆び、腐りかけているベンチ。座るとキィ…と、少しばかり頼りない音が鳴った。そのまま背もたれに体を預け、空を見る。
どんよりとした雲が、空一面中を埋め尽くしていた。雲の色は暗く、雨が降りそうな気配だ。それは今の俺の心のようだった。今にも泣きたいのに泣けない、俺の有様そのものだ。
終点まで乗り、さらにそこから歩いて、ようやく会社に着いた。不動産業で成り上がったこの会社は、昔ながらの鉄筋コンクリート製の旧社屋と、近代的な、ガラス張りの新社屋の2つがある。
もちろん、前者が鉄道部門などの、いわゆる「オマケ」の部署が押し入れられ、メインとなった不動産業や、儲かりどころ、人事などが新社屋に悠々としたスペースを陣取っていた。
旧社屋に入り、2階に行く。そこが俺の職場の総本山だ。オフィスなんてものはあまり要らない鉄道部門では、この2階だけが名ばかりのオフィスだった。
中にいたのは事務系の同僚や、今日は書類整理をしている先輩、そいて一番大きなデスクで新聞を読みふけっている課長だ。

116 :
俺は私服のまま、課長のもとへ行く。課長名折れの姿を見て怪訝そうな表情を浮かべると、開口一番、
「君。明日から来なくていいからね」
とやる気のないような口振りで言った。俺はその言葉の意味をすぐさま理解し、そして、素直にロッカーを片づけ、会社を出た。同僚や先輩が、ヒソヒソ話をしているのが聞こえる。
解雇理由は、やはりあの事件だった。
あの中の1人が、会社にタレコミしたらしい。まあ、最後の嫌がらせということだろう。
別にもうどうでもよかった。
あの子に拒絶されてからというもの、俺はどんなことでも呆けるような状態で聞いていた。心、ここに在らずだった。
タクシーに乗り、自宅へ向かう。もうあの電車には乗りたくなかった。きっと俺がクビになったことも、あいつらは知っているだろう。顔を合わせたくは、なかった。
タクシーに乗るとき、頭に水滴が落ちた気がした。俺が乗ると同時に、運転手が発進させる。ぽつりぽつりと、窓に雨が当たる。
タクシーのおじさんが、気さくに話しかけてきた。俺はそれにうまく話を合わせた。あんまり、話したくはなかった。今は本当に、1人になりたかったのだ。
家に着く頃には、雨は土砂降りに変わっていた。傘などは持ち合わせていないため、濡れるのを承知で、外に出た。タクシーは久しぶりの上客に、財布をホクホクさせることができただろう。
俺は疲れた体を引きずって、家の中に入った。そのまま、怪我を気をつけつつ、何も食わずに、寝た。このまま起きていると、いろんなことを考えそうだった。俺は考えるという行為が苦手だ。
余計な事を考えて、いつも苦しい思いをする。
暗い室内で、俺は1人眠りに就く。雨で濡れた体も拭かず、敷いてあるカーペット汚しながら、俺は横になった。拭きたくは、なかった。いま拭いてしまったら、顔を濡らす別の水滴が、ばれてしまいそうだから。
静かな嗚咽が、暗闇に響いていた。

117 :
次の日、空は雲1つない快晴だった。重たくなった体をむくりと動かし、シャワーを浴び、適当に着替える。無職となった俺は、時間を持て余していた。いつもなら仕事のために慌ただしく動くのだが、そんな日々はもう過去の存在だった。
「……久し振りに、行くか!」
俺は無理にでも元気な状態を自分で作る。うだうだしても仕方ない。だから今日は踏ん切りも兼ねて、親父の墓参りに行こうと思った。家を出て、鍵をかける。そのまま歩いて駅に行き、電車に乗った。車掌は、同僚の―いや、同僚だった…か―秋山だ。
冷やかな、蔑む視線をこちらに送る。俺は無視して、椅子に腰かけた。
目的の駅まで、車窓を見る。どこまでも田舎な、田園風景。農耕機械が轟音を立て、畑を耕していた。時折大きな道路が近付き、離れるを繰り返す。通行量は疎らで、渋滞など起こりそうもない。
遠くに見える山辺は、緑が燦々と生い茂っていた。……本当に、のどかな風景だ。誰もが持つ、懐郷の念を刺激するほどの。
夕顔駅に降り立ち、目的の山寺へと向かう。あのガード下は、まだ血痕が残っているようだった。それでも薄れていたその痕跡は、時間が進んだ証しだ。町は何事もなかったかのように時を刻み続けている。俺だけはまだ、時が止まったままだ。
 時刻は、午前を過ぎた頃だった。

118 :
親父の墓には、真新しい花が活けてあった。墓も綺麗に磨かれ、美しさを誇っている。誰が来たのかを推測したが、墓前に置いてある日本酒とコップを見て、ピンときた。
あれは、4歳の頃だったか。
親父が飲んでる酒を勝手に飲んで、倒れたことがあった。俺はお袋のこっぴどく叱られたが、親父は豪胆に笑うと、
―――どうだ。おいしかったか?
と聞いてきた。俺は首を横に振ると、
―――ううん。すっごいからくて、いやっ!
と感想を言った。親父はさらに大口を開け、
―――ハッハッハッ……さすがに紅雪にはまだ大人の味だったな!
と言いながら、俺の頭を荒々しく撫でた。俺はそれが堪らなく嬉しくて、親父に言う。
―――じゃあさ、じゃあさ。おれがおとなになったら、あじが、わかるの?
親父は酒をクイッと飲んで、
―――分かるようになるさ。じゃあ、約束だな。お前が大人になったら、俺はこの酒と同じやつを買ってくるから、一緒に飲み明かそうな!
その時の俺はきっと、誰よりも明るい笑顔で、
―――うん!やくそくするっ!
と答えたはずだ。その様子をずっと見ていたのはただ1人、お袋だけだった。俺はコップを洗った後、日本酒の栓を開け、注ぐ。そして、親父の墓に、酒を掛けてやった。俺も1口、飲んだ。
 その味はやっぱり辛くて、しかしそれこそが日本酒のうまみだとわからせる味だった。
「親父…」
俺はちびちびとコップの酒を飲みつつ、言う。
「俺、やっと好きなやつが、できたんだ」
今度は親父に、酒を掛けた。
「そいつは俺よりもずっと幼いんだけど、可愛くて、放っておけなくて、綺麗で、泣き虫で…」
自然と出てくる言葉。涙は、出なかった。
「俺は、そいつを守ろうとして、けど出来なくて…」
コップの酒が、空になった。それでも、次の酒を注ぐ気にはならない。
「悔しくて、餓鬼みたいに泣いて、何もかも失って…」
そして、俺は、最後の酒を親父の墓にかけると、コップと瓶を墓前に置いた。そのまま振り返る。
 どこまでも広がる視界。街を一望できるということが、こんなにも寂しいことだと、初めて知った。俺はあの街とは離れたところにいる。それが今の俺の立ち位置だ。
俺をこの町に縛り付ける物は、何一つ消えさった。
「親父…俺…」
「紅雪…君?」
その声は、驚きをもって俺に齎された。なんという奇遇。なんという運命。
「…真夏…」
静かに彼女の名前を呟いた。彼女はいつも通りの墓参りセットをもって、こちらも驚愕の表情で俺を見ていた。
「なんでお前が…」
この酒を見る限り、お袋はここに来たということになる。なら、どうして真夏がここに来たのだろうか。
「それはこっちのセリフだよ。…毬子さんに言われて、来ただけだよ?」
どうやら、お袋の差し金のようだ。俺は荷物を置くよう促す。真夏は墓の横に墓参りセットを置くと、俺の右隣に立つ。
あの日の再来。見渡す景色は、あの日のように素晴らしかった。ただ、お互いの心は、大きく変わってしまっている。
「紅雪君。あのね…」
珍しく、真夏が早口で俺に切り出した。普段と違う行動。変わった心。変わった立場。
最後のピースが、埋まろうとしていた。

119 :
次の日、俺は華村家へと足を運んでいた。昨日、親父の墓前で、真夏に今日来るように言われたのだ。断ってもよかったが、何やら重要な話があるということなので、奏音に会わないことを条件に承諾した。
門前にはプレシアが立っていたが、俺の姿を見た途端、大きなため息をつくのがわかった。
「失礼じゃないのか?人を見るなりため息なんかついて」
彼女にそのことをぶつけると、
「別にあなたに対してため息をついたわけではありません。私はまた、真夏に騙されたことに対して、ため息をついているのです」
といった答えが返ってきた。真夏はプレシアに何を言ったのか気になるが、プレシアはそれ以上は頑として話さなかった。2人きりで、数分立ちつくす。お互い会話する内容もないので、黙って立っていた。
その静寂を破ったのは、もちろん真夏だった。真夏は門の内側から歩いてやってくると、
「プレシア先輩。ボディガードさん来ました?」
と俺のことを見ず、声をかける。プレシアは真夏を睨むと、
「それが、彼なのですか?」
と俺のことを指をさして、言う。真夏は俺を見ると、大きく頷いた。
「はい!新しいボディガードさんですよ?」
俺は、話の筋がよくつかめなかった。ボディガードとは、どういうことだろうか。プレシアは真夏の回答に怪訝そうな顔をし、
「私は腕利きのボディガードを連れて来い…とあなたに言ったわよね?」
と確認する。真夏はそんな彼女の追及を、
「腕利きですよ?私も守ってもらいましたし」
と言ってかわした。プレシアはわざと、大きなため息を吐いた。
「でも、お嬢様を守るには力不足ね。それはあの人の姿が証明してるじゃない」
「いい加減。当事者をほっとくのはやめてくれ」
そこでようやっと、俺は話に割り込む。プレシアは腕組みをし、冷たい眼光で、
「当事者?いえ、あなたにそんな権利はありません」
と一蹴する。しかし、真夏がそれに反論した。
「弱いと仰るのなら、強くなればいいんです。こんなこともあろうかと、師匠もお呼びしてありますから」
その言葉に合わせて、タクシーがこちらにやってきた。真夏は待ってましたと言わんばかりに大きく手を振る。プレシアは一礼した。タクシーは門の前に止まり、1人の男性を下した。その男性は「待たなくても、大丈夫ですよ」と運転手に声をかける。
運転手は一礼し、男性が離れたのを確認してから、ドアを閉め、走り出した。俺らは、ここに来たその男性に注目した。

120 :
一瞬、タレントかと見間違えた。
 銀色の髪を短く切り揃え、纏められている。すらりと伸びた体は、180cmはありそうだ。穏やかな表情は、優男といった印象を与える。何より目を引くのは、優しさの中に鋭さを持った紅い瞳だ。
男性は俺を見、そしてプレシアを見た。プレシアは現れた男性に戸惑いを見せた。俺も頭の中に、何か、引っかかりを感じた。
「お待ちしてましたよ。銀之助様!」
真夏が一礼して、言った。銀之助と呼ばれた男性は物腰柔らかに「お呼びに与り光栄です」と礼をした。動きすべてが完璧で、思わず見惚れてしまう。
男から見てもかっこいい。
そんな印象を持った。
俺の視線が気になったのか、銀之助さんはにこりとこちらを向き、
「怪我は軽かったようですね。よかったです」
と俺の姿を見て、言った。そこでようやく、頭の引っかかりが取れた。
「あ、ああ。あなたは、あの時のっ!」
「そう。あなたを調査した探偵ですよ。紅雪様」
言葉にならない俺に代わり、プレシアが先を言った。そう、この人物は俺の記憶に色濃く残った「銀色の髪」の人物だったのである。
「で、どうしたいのよ。真夏」
プレシアが訝しげに真夏を見た。どうやら現状を理解したうえで、聞いたようだ。
「どうしたい…ですか?……私は奏音様のボディガードは紅雪君しかいないと思ってます。力が足りなかったら付ければいい。そのための師匠を、銀之助さんに要請しました」
最初は悩んだような表情で、その後は真剣な顔で、答えた。プレシアはやれやれといった顔をして、
「どうせ…そんなところだと思いました。それを私が認めると思いますか?」
と脅す。真夏は一歩も引かず、言った。
「認めさせます!私は、そのためなら先輩だって、敵にします!」
空気が静寂に包まれた。気まずい雰囲気。銀之助さんは空気を読んで、一歩下がった。俺はどちらが先に喋るまで、黙ろうと決め込んでいる。
「……わかったわ。仮にあなたの言うことを認めるとしましょう。しかし、『彼』は、どうなのです?」
先に沈黙を破ったプレシアが、俺を見つつ言った。真夏の顔に、焦りの表情が浮かんだ。それを見逃さず、プレシアは追及する。
「どうせあなたのことです。紅雪様に真実など話していないのでしょう。そして今、話の概要を知った彼が、これを受け入れると思いますか。奏音様に忘れられ、すべてを失った彼が!」
「でもっ!」
「先程の意見も、あなたの1人善がりではなくて!」
「…っ!」
言葉を詰まらせる真夏。心なしか、勝ち誇った顔のプレシア。一部始終を落ち着いた表情で見る銀之助さん。やがて3人は俺を見つめた。総ての決定権は今、俺に委ねられた状態だ。
「俺は…」
静かな、本当に落ち着いた声で、話し始めた。

121 :
「俺は、あいつの隣にいる…資格なんて、ない…」
俺の言葉に真っ先に反応したのは、真夏だった。
「そんなっ!そんなことないですっ!」
俺の言葉を、否定する言葉。必に叫ぶそれは、おそらく彼女の立場を象徴する言葉だろう。余裕を持った笑みで、プレシアは言い放つ。
「これで決まりましたね。真夏」
まるで首元にナイフでも突きつけたような言葉だった。
真夏は「ひゅん」といった感じで黙り込み、それ以上は言葉が出なかった。
そこで大勢が決定したのか、プレシアが銀之助さんに近寄り、
「では、私から改めてあなたに、お嬢様のボディガードを依頼しますわ。この旅はご足労をお掛けして、申しわけございません」
と挨拶する。銀之助さんは俺をちらと見ると、
「残念ながら、お断りします」
丁重に断った。プレシアは予想外だったのか、動揺が表情に出てしまっている。

122 :
皆が驚きながら、その声のするほうを見る。そこには、大きなピンクのリボンで髪を束ねた、奏音が腰に手を当て、仁王立ちしていた。
「あっ…」
奏音は俺の姿を見ると、何か言いたげに口を動かすが、言葉にできないみたいだ。俺は、静かに近づき、視点を合わせるためしゃがむ。
「こーせつ…さん」
奏音は俺の名を呟く。俺は「そうだよ」と、自身が「こーせつ」であると認めた。奏音は目をいろんな所へ向け、俺と視線を合わせないようにしている。
しかし、俺の視線は奏音からずれない。奏音はついに観念して深々と頭を下げ、
「ごめんなさい!やっぱり私、こーせつ…さんのこと思い出せません…」
泣きそうな顔。俺は穏やかな顔で、言った。
「いいよ。奏音は悪くないんだから。あと、俺のことさん付け呼びは、止めてほしいな」
奏音はこくりと、頷いた。俺はそれを確認すると、
「じゃあ、また初めましてからだね…俺の名前は、緒方 紅雪だ」
と自己紹介する。奏音は最初戸惑っていたが、俺を見つめると、自己紹介を始める。
「私の名前は、華村 奏音です。よろしくお願いします」
「ああ。これから、よろしくな」
その時、奏音の頬に、一滴の涙が流れた。
「あれ?おかしいな…涙なんて…」
それを拭いながら、奏音が言う。涙はいくら拭っても止まらない。やがて大粒の雨になって、地面に降り注ぐ。そんな奏音を、真夏は抱き締める。そして、まるで本当の親子のような、教えるような感じで、言った。
「奏音様。きっと、お体は覚えているのですよ。奏音様が、紅雪君を好きだったことを」
目をまん丸くさせ、真夏の言葉を聞き入る奏音。真夏は奏音から離れ、その手を握る。
「じゃあ、まずは紅茶を入れなおしですね」
「うん…」
そして、真夏は目でこちらに指示を出す。ついて来いということか。
「じゃあ、詳しい話は中で、ですね」
銀之助さんが先陣を切った。俺らもそれに続く。
 そして門が閉められ、俺は華村家の一員になった。

123 :
あれから、2週間が過ぎた。
 ようやくギブスも外せるようになり、体も自由に動かせるようになった。しかし、今でも生傷は絶えない。なぜなら…
「ほら。これでチェックメイトですよ?」
「ごふっ!」
容赦のない、銀之助さんの一撃が、体に刺さる。俺はそれで地面へと倒れ込んだ。怪我が完治すると同時に、俺は銀之助さんから稽古をつけてもらっていた。
見た目に寄らず、この人、めちゃくちゃ強かった。俺の攻撃が当たるのはまぐれレベルで、いつも手玉に取られ、こうして打ちのめされるのだった。
稽古の場所は、森のように生い茂る、華村家の庭だった。柔らかい芝生の上。
ここなら怪我もあまりしないだろうという配慮だ。
今俺は、その芝生の上でうつ伏せになり、参ったの状態だった。
なんとか体を動かし、仰向けになる。少しだけ、雲が広がる空。
ボロボロの体で見る空は、とても遠くに感じた。
「大丈夫ですか?」
「こーせつ!しっかりっ!」
真夏と奏音が俺に駆け寄る。横にいる銀之助さんは汗一つ掻かず、平然としている。俺の様子を注意深く見た後、
「今日はここまでです。私は、失礼しますね」
と、稽古の終了を言うと、足早に去っていく。スーツをびしっと決めた姿は、まさしく大人の男を感じさせた。俺はというと、女の子2人に介抱され、情けない姿を晒していた。銀之助さんは、そんな俺を見つつ微笑みながら、
「しかし。君はとても面白い人です。私の攻撃をここまで耐える人物は、そうはいませんからね」
と褒めてくれた。そして再度俺に近づき、
「ふむ。私も君に興味が湧きました。以後は、その生態、観察させてもらいますね」
とにこやかに宣言して、帰って行った。俺はその言葉の意味深さに震えながら、何とか自力で立ち上がる。
2人は先に広げたレジャーシートの上に戻り、2つあるバスケットの内、小さいほうの中身を出し始める。クラブサンドや玉子サンド、さらにたこさんウィンナーなど、可愛らしいお弁当が、目の前に広がった。
それを見ただけで、俺のお腹は素直に、ぐぅという悲鳴を上げる。
和やかな昼食タイムが始まった。
がつがつと、荒々しく食べる俺。
ちびちびと、リスのように食べる真夏。
そして、上品に、本当のお嬢様のように食べる奏音。
その姿も本当に可愛くて、抱きしめたくなった。
すると、こちらの視線を感じた奏音は、満面の笑みを浮かべる。
本当に、幸せだと言わんばかりに。

124 :
「ほっぺた。ついてるぞ」
俺に指摘され、慌てて頬を探る奏音。右頬に付いた卵を掬うと、ひょいぱくと食べてしまった。そして顔を赤くし、体をもじもじさせる。どうやら、すごく恥ずかしかったらしい。俺が頭を撫でてあげると、奏音はまたあの、幸せそうな顔に戻った。
 最後のサンドイッチを食べ終わる直前、奏音の動きが止まる。体を震わせ、恥ずかしそうに俯いた。それだけで俺と真夏は、何が起きたのかを感じ取った。
「おしっこ、出ちゃったのか?」
奏音は小さくこくりと、頷いた。真夏は大きいバスケットの中身を出し、準備に取り掛かる。大きいバスケットに入っていたのは、おむつ替えセットだ。
おむつ替え用のマットをレジャーシートの上に敷き、奏音をそこに座らせる。テープ式のおむつだから、座らせた方が、効率がいいのだ。
「は、恥ずかしいよぉ。真夏ぅ」
おむつ替えの時だけ、舌足らずになる奏音。真夏はあやす様な言い方で、
「じっとしてくだちゃいね〜」
とにこにこしながら言った。アリスドレスの裾をたくし上げ、奏音は潤んだオレンジの瞳で俺を見る。
恥ずかしさから顔をトマトのように真っ赤にしていた。俺は努めて真夏の手伝いをするため、横にいる。奏音から汚れたおむつが外された。
お尻の方まで黄色く染まり、ぐっしょりと濡れたおむつを真夏は手早く纏めた。その隙に俺が、真夏の秘所やお尻をウェットティッシュで丁寧に拭く。それが終わると真夏が、パウダーをまんべんなく塗すのだ。流石に2週間も経てばこの連携も板についていた。
新しいおむつの様子を確認する奏音。どうやら、大丈夫なようだ。新しいおむつが気持ちいいのか、上機嫌になっている。それを見た真夏は、
「じゃあ、これ、片づけておきますから、ごゆっくり…」
と妙な気を利かせ、去って行った。
俺と奏音。2人が庭に残った。

125 :
2人だけだとなんでかわからないが恥ずかしくなり、うまく会話ができなくなった。
それは奏音も同じで、いつもは人懐っこく話してくれる彼女も、俺と2人きりだとまごまごした話し方になってしまう。
「こーせつ」
奏音は俺の体をなぞる。そこには先程の稽古でできた傷が残っていた。
「痛い?」
純粋に、心配する声。俺は首を横に振り、否定する。
「大丈夫さ。俺は、強いからな」
そう。俺は、奏音のためなら、いくらでも強くなれる。
「ねぇこーせつ」
そんな俺を見ながら、奏音はまた話しかける。俺が振り向くと、彼女は少しだけ手をもじもじさせたが、俺を上目遣いで見つめ、言った。
「キスしよ」
びっくりして、一瞬、呼吸が止まった。
「えっ…ちょ…」
俺が動揺で言葉にならない声を出すと、奏音は人差し指を唇につけ、
「私、こーせつと、キス、したい」
と甘える。俺は顔を熱くさせてはいたが、覚悟を決めた。俺よりもずっと小さいこの子からのお誘いだ。断ることなんて、できはしない。
「じゃあ、目、瞑って」
奏音は従い、目を瞑り、唇を出す。
 その姿は、お伽噺に出るお姫様そのものだ。
俺は少しだけ目を泳がせたが、意を決して、その唇に、自分の唇を重ねる。
2秒間のキス。それが、世界が一周するくらい長く感じた。
「んっ…ぷはっ」
息が苦しくなり、2人同時に唇を離す。見つめ合う状態になると、急に恥ずかしさが込み上げてきた。すぐさまお互い目を逸らし、自身を落ち着かせる。
数十秒後、俺らは屋敷に戻ることを決め、レジャーシートを片づけた。それを奏音に持たせると、俺は彼女を、あの時のようにお姫様抱っこした。
「わひゃぁっ!」
驚きの声を上げる奏音。体の所々が軋むが、まぁ大丈夫だろう。ゆっくりとお屋敷に向かって歩き始める。
「…おかしいな。なんだか、すごく懐かしくて…温かい…」
俺の中で小さくなる奏音。俺は、真夏の受け売りを言った。
「それはきっと、体が覚えてるんだよ」
俺の言葉に驚いて、奏音は俺を見る。
「前にも、こんなこと…したの?」
俺は素直に、「そうだよ」と頷いた。奏音の顔が、暗いものに変わる。
「私また、忘れちゃったの…」
俺はそんな彼女に、言った。
「俺の手、握ってくれる?」
俺は彼女の体を抱いている手を動かす。彼女はそれに気付き、小さな手で、握ってくれた。
「温かいだろ?」
こくり。
「これから何回でも忘れても、この温もりだけは、忘れないでほしい。だから、体に、それを覚えさせるよ。そしたら、奏音も安心だろ?」
こくり。
「じゃあ、そんな顔するのは、止めてほしいな」
奏音はそれを聞いて、雲なんか吹き飛ばすぐらいの笑顔を、俺に向けてくれる。俺はそれを嬉しく思いつつ、同時に心にある決意を浮かばせていた。
それは、彼女の小さい手を握った時、思ったことだ。
こんなにも小さい手。けど、必に、皆を不安にさせまいと頑張る、小さな体。
それが愛おしくて堪らないから、俺は、この命に代えても、守ると決めたのだ。
絶対に、この手を離さず、どんな地獄からでも、救い出してやる。
それが、俺に与えられた、神様からの使命なのだから。

126 :
本から飛び出た私は、彼の話を読み終えると同時に、一息ついた。彼の話は一旦、これで終わる。しかし、本はまだ終わっていない。まだ1/3も、読み終えてはいないのだ。
「まだ、この物語は終わらない」
あなたにそれを確認する。あなたはきょとんとしていた。どうやら、まだ最後まで読んでいないようね。
じゃあ、生憎様。今しばらくは、休憩としましょうか。
栞を挟み、本を閉じる。ランプの明かりを消すと、本の森は闇に包まれた。私はそこに、微かな光だけをばらまき、本に囲まれ、一時の眠りに就く。
彼らの幸せを願い、私は夢の世界へと落ちて行った……
END

127 :
お疲れ様!
面白かったよ

128 :
>>121-122
あいだにこれが抜けてた
「な、なぜです!?」
声が荒立っているのが、すぐにわかった。銀之助さんはそんなプレシアではなく、俺のほうを見て、言った。
「誰かの隣にいるのに、資格がいるのですか?
誰かと共にいるのに、力がいるのですか?
私はそうは思いませんし、そう思うのなら、それを満たすために努力をすればいいではないですか。
それに…」
銀之助さんは穏やかな表情で、けどしっかりとした視線で俺を見ながら、先を言う。
「私は、あなたはその程度であきらめてしまうほど、弱くはないはずです。あのとき、あの不良どもに囲まれたあなたは、ずっと凛々しく、強く見えましたよ?ねぇ?真夏さん」
振られた真夏は、一瞬目を泳がせどぎまぎしていたが、ゆっくりとした口調で話し始める。
「私、私も、そんな…そんな紅雪君。見たくないです…私の知ってる紅雪君は、強くて、凛々しくて、我慢強くて、諦めも悪くて、優しくて…」
顔を赤くし、思い出すようにいろんな言葉出てくる真夏。やがてしっかりとした口調で、こう言った。
「私は、そんな紅雪君が、大好きです…大好きでした。でも…」
俺は、驚きで目を丸くする。真夏は恥ずかしそうに体をもじもじさせながら、言葉を紡ぎ続ける。
「でも、紅雪君は奏音様のことが、好きなんですよね…」
俺はいとも簡単に、自分の心を言い当てられた。プレシアは目も口も開いて、俺を見る。真夏は、俺の言葉を待っているようだ。俺は少しだけ戸惑ったが、
「ああ。俺はあいつのことが、奏音のことが、好きだ」
素直に、奏音が好きなことを、認めた。真夏は頷き、そして寂しそうに、言った。
「私、2人のこと応援します。だって、私、好きなんです。紅雪君のことも。奏音様のことも」
「………わかったわよ」
今まで黙っていたプレシアが、口を開いた。それにより、プレシアに3人の視線が集中した。プレシアはその迫力に一瞬体を引いたものの、強い視線で俺らを見返し、
「わかったと言ったのです。あなたたちのことも。その心も。だからもう、私は何も言いません。……いいでしょう。認めます。紅雪様の採用を」
真夏の顔が、快晴の空のように晴れ渡る。
「ただし!」
大声で、プレシアは俺に詰めよりながら言う。
「まず、お嬢様第一に考えてください。次に、泣き言や弱音は許しません。最後に命は捨てた物と思ってください。あなたはお嬢様の盾となり、鉾となるのですから……いいですね?」
最後の確認の言葉に、俺は同意した。プレシアはそれで下がり、さっきの場所に戻る。
「じゃあ、詳しいことを説明しますね」
真夏がそう口を開いた途端…
「真夏遅―い!紅茶冷めちゃったよー!」
門の向こう側から、少女の声がした。

129 :
乙ー
厨二臭さ半端ねぇ

130 :
長かった!おつ!おもしろかった!
しかし戦闘シーンが長くて少し蛇足感あったなー

131 :
一応乙
作品としては微妙、、、

132 :
GJ!
ファンタジーな世界観は苦手だけど、
こーいう不思議チックなのは好きだ。
何処か現世離れしたような炉チックなヒロインも好み。
ストーリーも楽しめた。
もっと“おむつ萌え”成分の増量を!

133 :
読んでないけど乙
これだけ長く書けるのは普通に凄いと思うわ

134 :
急に静かになったな。いつも通りと言えばいつも通りだが

135 :
最近は保管庫の昔の読んでる。
学園強制おむつモノとか沢山あるのな。
ほとんど未完ばかりなのが残念だが

136 :
学園ものか・・・久しく見てないな

137 :
なんか保管庫でおすすめある?

138 :
学園モノは設定が似るのと長編になりやすくモチベが続かないのがネック

139 :
>>138
確かに、おむつを着けなければならない設定の学園なり施設で
幾つかシーンを書くのは比較的たやすくても(それでも
実際は大変なんだろうけど)、それだけでスタートした
物語をきちんと完結させるのは大変だよね。
だから途中で自然消滅しちゃうんだろうな。
それだけに7枚目の7氏さん(メイド達の排泄管理)の
幕引きは見事だった。
2,4枚目のダイパーエンジェルも作者さんが
ストーリーとか考えられている感じがするので、
完結まで読んでみたかった。

140 :
少し前に出てたけど、今回の作者はヴィジュアル意識した書き方してるし、流れの絵師とかこないかなー

141 :
くだらねえ催促してんじゃねえよハゲ
お前が描け

142 :
新作こないかなー

143 :
またもや構想5分で書いてみた。一応続き&完結。
―――――
ユキカは今日も雪道を登校していた。
太ももを一段と冷えた空気が撫でる。
「ひゃー、今日も冷える〜」
今年は寒波すごくミニスカートでいるのがツライ。
それでも乙女の意地で睦月ユキカは今日もギリギリまでチャレンジしていた。
ただ、あの「事件」で強力な「武器」を手に入れた。
(……無いから仕方ないよね?)
周囲を見回してトイレが無いことを確認すると立ち止まり少し頬を朱に染めた。
(じょろ……じょろ……)
音は漏れていない筈だが、ついつい周囲に聞こえないか不安になり
カバンの取っ手をユキカはギュッと握りしめてしまう。
あまりほめられた行為でもないので恥ずかしさがまだ勝るからだ。
しかし、慣れとは怖いもので最初はなかなか出なかったものの今では寒いと無意識に出してしまいそうになる。
(あったか〜い……)
今回は量が少ないが学校までは持つだろう。
当然ながらおしっこは体の中にあるので温度も体温と同等で
それをおむつに染み込ませば即席のカイロになることをあの事件で発見していまったのだ。
(うん、よし。)
そしてスカートの裾を触りおむつが露呈していないか確認する。
量が多いとぽっこり膨らみ折角短くしたスカートを長くしないといけないからだ。
もちろん、周りにバレたら恥ずかしい思いをするというのもある。
「おはよー、今日も寒いね〜」
その直後、クラスメイトがやってきて他愛もない雑談に興じる。
「寒くてスカートを長くしたいわ〜、ユキカは寒くない?」
「うん、まぁ……」
『実はおむつをしているんだ』と言いたい気持ちがぎゅっと堪え学校へと到着する。
テレビのニュースではしばらく寒い時期が続くようでユキカもおむつとしばらくお世話になりそうである。
(完)

144 :
超乙!短い時間とは思えぬクオリティですな!

145 :
んっんー、実に良いッ

146 :
投下キテタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!!!

147 :
焦らしタイム

148 :
支援保守

149 :
 今日のみさき保育園も、こどもたちの元気な声でいっぱいです。
 ちっちゃな背丈のおともだちが、園のお庭やお部屋を走り回っています。
「たっち! つぎはあーちゃんがおにねー!」
「みゆはねえ、おかあさんやるからね、なおちゃんがおとうさんね!」
 そんな中、楽しそうなはしゃぎ声をかき分けて、ひときわ大きな声が響きました。
「せんせー! かなちゃんがまたおもらししてるー!」
 遊びに夢中だった園児の視線が、声の上がった方に向かって1点に集まります。
 2才や3才の園児たちが輪になって囲んだその真ん中には。
「言わないでって言ったのに……やだよ、先生に言っちゃ、やだぁ……」
 みんなと同じ園児服を着ているのに、おっきな背丈がひときわ目立つ女の子。
 真っ赤なお顔で泣きべそをかいた、『かよちゃん』が、そこにいました。
「もう、ちっちでたらちゃんとおしえてくれないとだめなんだよ?」
「またおまるにしーできなかったんだ? あはは、やっぱりかよはあかちゃんだよねー」
 口々に浴びせられたのは、どれも世話の焼ける妹の面倒を見るような、『おにいちゃん』や『おねえちゃん』気取りの言葉ばかり。
 そんなもの、『幼児のごっこあそび』だと思えば、気にも留めずに済んだはずでした。
 けれど。
「やめてよう……できるもんっ、かよ、ひとりでできるってばあ……!」
 かよちゃんは、目に涙を溜めながら、ふるふると弱々しく首をふるばかりです。
 自分の腰ほどしかない背丈の園児たちは、遠慮なくかなちゃんに触れてきます。
「ほら、おもらしサインがでてるじゃん! もらしてないって、うそついたらおしりぺんぺんだよー!」
「あーあ、いつまでたってもかよってちーがいえないよなー。おれのいもうとだってちゃんとおしえてくれるぜー?」
「だって……えぐっ、ぐずっ、こ、こんなの……おかしいよ、ひっく、えう、うえええん……」
 心配する子も、いじわるする子も、みんなかよちゃんの背丈や歳にえんりょなんかしません。
 それもそのはず。みんな、自分たちがかよちゃんより『おにいちゃん』や『おねえちゃん』だって知っているからです。
 りんごみたいにほっぺを赤くして、下を向いてもじもじしていたかよちゃんも、スカートのすそをぎゅっと握って泣き出してしまいました。
 でも、そんな泣き虫さんにも、みさき保育園の園児のみんなはお構いなしです。
「またすぐなくし。そんなんだからおもらしなおんないだぜっ、ほらっ!」
 そんな男の子の一人が、かよちゃんのスカートに手を伸ばしました。
「ひゃうっ!」
 その瞬く間の速さに、かよちゃんも驚いて、後ろにこてんと尻餅をつきました。
 ふわり、とはためいたスカートもお腹の上までめくり上げられ、隠れていた下着もみんなの前に出てきてしまいます。
 腰まで覆ったふわふわの生地に、かわいいうさぎさんの絵が踊る下着は、細い両脚の間だけがぷっくりとふくれ、黄色く染まっていました。
 それは――おもらしに濡れた、赤ちゃん用の紙おむつでした。
「えう……やだ、見ちゃ、やだあぁ……かよのおむつ、見ちゃやだああぁ……! うあああああんっ!」
 そう、大粒の涙をぽろぽろとこぼすかよちゃんは、みさき保育園の中でただ一人の『おむつの卒業できない園児』なのです。
 おもらしが治るまで――そう決められた卒園のゴールを、かよちゃんは17才になってもまだ乗り越えることが出来ずにいました。

150 :
「はいはい、みんなちょっとどいてー。かよちゃんのおむつ替えするからねえ」
 園児の波をかき分けて、かよちゃんの元に来たのはエプロン姿のお姉さん先生、すぎうら先生です。
 『ちいさなおともだち』も『おおきなおともだち』にも、ずるっこせずにかわいがってくれる先生は、園の人気者です。
 手には換えの新しい紙おむつ――こんどはネコさんの絵がついた、ピンク色の女の子らしい紙おむつです。
「じ、じぶんで、できるもん……せんせぇ、かよね、じぶんでおむつするからぁ……」
「はいはい、気にしなくて大丈夫だよ。かよちゃんはまだ、しーしーの言えない『あかちゃん』なんだから」
「あ、あかちゃんじゃないもんっ! かよ、ちがうもんっ!」
「はいはい、おねえちゃんだよね。おねえちゃんはわがままいわないんだよー」
 かよちゃんも、いっしょうけんめい先生におねがいするのですが、おむつ替えの時のせんせいは、かよちゃんのわがままもしらんぷりです。
 泣き虫かよちゃんの手を引いて、教室の隅に敷いた『おむつ替えマット』の所へ、うむを言わさず連れてきてしまいました。
「ほら、ごろんってしようねー。おもらしおむつで気持ち悪かったでしょ? きれいきれいにしてまた遊ぼうねえ」
「やだ……おむつ、やだぁ……あかちゃんになっちゃうもん……かよ、あかちゃんやだぁ……!」
「そんなこと言って、おむつ替えたらにこにこさんになっちゃうくせに」
 床にごろんと寝かされたかよちゃんに見えるように、先生は紙おむつを広げてみせました。
 赤ちゃんみたいに扱われる情けなさに泣きべそをかいていたかよちゃんの顔に、これからおむつをあてられる恥ずかしさの熱が宿ります。
 心密かに大人になりたいと願うのに、新しいおむつをあてられる度に自分がどんどん赤ちゃんになっていく気がしてしまうのです。
 だから、精一杯「やだ」を伝えようとするのですが――。
「もう、かよちゃんのやだやださんは治らないねえ。これじゃいつになったらぱんつのおねえちゃんになるかわからないかなぁ」
「や、そんなの、やぁ……ぱんつがいい、おねえちゃんぱんつがいいのっ!」
「うんうん、おねえちゃんぱんつはしーしーが言えるようになったらね」
 すぎうらせんせいはいつまでもかよちゃんを赤ちゃんあつかいしてきました。
 せめてもの抵抗に、かよちゃんもきゅっと足を閉じて紙おむつが外されるのを邪魔しようとします。
 だけど、そんな努力も先生の前では敵いません。

151 :
「あら、かよちゃん、そんなにおもらしおむつのまんまがいいんだ?」
「そ、そんなわけないっ! わ、わたしは、じゅうななさいの、おねえちゃんだもんっ!」
 自分を『おねえちゃん』だと呼ぶかよちゃんの言葉も、悲しいことにみさき保育園では通用しません。
 みんな、ゆびをさしてかよちゃんを笑うのです。
「またかよちゃんがおねえちゃんだって! おむつのおねえちゃんなんていないのにねー」
「じぶんでといれにいってからいえよー、おもらしかよちゃんっ」
 そうして、笑い声に包まれたかよちゃんは、もっとぐずってしまいます。
「おねえちゃん、だもん……じゅうななさい、だもんっ……」
「うんうん、だからトイトレもがんばろうねえ。きっとかよちゃんならかわいいおねえちゃんになれるよ」
 先生は泣き虫なかよちゃんをなぐさめながら、手際よくおむつを開いていきました。
 中は黄色いおもらしの海、たぷたぷと吸収しきれなかったおしっこであふれています。
「もう、量だけはおねえちゃんなんだけどなー。おしっこのがまんは、まだまだちっちゃい子のまんまかな」
「せんせい、言わないでよおぉ……」
 真っ赤なお顔を両手でかくして、恥ずかしいおむつ替えから目を背けたかよちゃんを、周りを囲む園児たちが見守ります。
「わー、しーしーいっぱいでたねぇ。えらいえらい」
「こんなにおもらしするんだから、やっぱりかよはおむつじゃなきゃだめだよねー」
 いくら目を閉じても、声は次々に降ってきますから、かよちゃんの顔も耳まで真っ赤になってしまいます。
「もう、やだぁ……ひ、ひぐっ……うえええん……!」
「ほらほら泣かない泣かない、新しいおむつしたら、またみんなと遊ぼうねえ」
 濡れたおむつをお尻の下から引き出され、新しいおむつが代わりにかよちゃんにあてられていきます。
 テープ止めでぴったりとフィットした紙おむつは、スカートを下ろせばすっかりかくれてしまいました。
「はい、おしまいっ。じゃあ、もう遊んできていいよ」
 せんせいは寝転がったかよちゃんを床に立たせ、おしりをぽんと叩いて送り出します。
 柔らかい感触と、ぽふんと鳴った鈍い音が、かよちゃんがおむつをしている証拠なのです。
「あたらしいおむつしてよかったね、かよちゃん!」
「……あ、あうぅっ」
 ちっちゃな女の子にそう言われても、かよちゃんは何も言い返すことができません。
 ただ、おむつの恥ずかしさに、立ちすくむしかありませんでした。

152 :
保守がてらお目汚し失礼しました
引き続き職人様の投下お待ちしてます

153 :
投下キタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!

154 :
乙!温まって参りました!

155 :
投下キテタァーほのぼの系で萌え
もっと書いてくれー

156 :
今日の空は、どこまでも見渡せそうなぐらいに、くっきりと透き通っている。
学校帰りの電車の窓から外を眺め、僕――能登和希は確信した。
下のほうへ目を向けると、窓の外に広がる畑は、真っ白に染め上げられた一面の銀世界だ。
すっかりと冬化粧した街は、遠くから来るスキーなどのレジャー客のおかげか、いつもと違った賑わいを見せていた。
「……これを見るのもあと少しか」
数人しか乗っていない閑散とした車内で、誰にも聞かれないように呟いた。
その言葉は静かに電車内の温かい空気に溶け、飴玉のように跡形もなくなる。
確認するようにちらと隣を見ると、歓談している友人たちは、入試についての情報を交換していた。
世間は入試シーズン。友人からも感じるピリピリとしたムードに、少しだけ気後れしてしまう。
推薦で進む学校が決まって以来、この手の話は蚊帳の外だ。友達も僕の立場が分かっているのか、無理に話を振ることはなかった。
一人いたたまれなくなって、もう一度景色を眺める。
こうやっていられるのも、いつまでだろうか。
いつもと同じ――そう思っていられるのも。
「なあ、カズ。お前、彼女どうすんだよ」
「や、その、まだ……」
いつの間にか情報収集が終わっていたようで、外を見ていた僕のことを察してか、僕についての話題となった。僕は突然の振りに戸惑い、うまく言葉が出せない。
友人は「彼女」のことを、僕の彼女だと思ってくれているらしい。いや、それはそれで嬉しいけど、「彼女」はちょっと違うような気がする。
なんだろう、気が置けない相手と言うか、幼馴染と言うか、なんとも表しづらい存在だった。
「まだ…ってもしかして伝えてないのか?お前が県を出るの」
「マジで!?お前それ拙くね?だってお前の彼女、年下っしょ?」
友人たちの言葉にしどろもどろになりながら、心の奥底で今決めたことを確認するように刻んだ。
――今日、「彼女」にこのことを話そう……と

157 :
夜になると、光源が減って空が星で賑やかになる。
澄んだ空気のおかげか、今日は細かい星々までくっきり見え、絶好の観測日和だ。
自宅の二階からこっそり抜け出して、屋根伝いにわたって裏の梯子を降りる。
雪降ろしのために冬の間は大体、屋根まで梯子が掛けてあるのは、家族全員の周知の事実だ。
そして、僕がこっそりと抜け出してすぐそばの山にある神社で天体観測をしていることは、僕と弟の大人(たいと)、そして妹の柚理(ゆり)だけの秘密だった。
「ふぅ……親にばれたら大目玉だもんなぁ……寒っ」
雪で滑らないように気をつけながら神社へと向かう。
振り返って家を確認してみると、誰もいない一階は真っ暗で、三つ並んだそれぞれの子供部屋は、真ん中の一つ――大人の部屋だけ明かりが点っていた。
――柚理はもう、寝てしまったのか。
僕の部屋とは正反対にある子供部屋。そこにいるはずの妹のことを思う。
体が弱くて家にいることの多い柚理の面倒は、僕と大人、そして小さい頃は祖父母で看ていた。
両親とも学者で家にいないことが多かったから、何かあったら祖父母、そして祖父母がいないときは僕が責任を以て面倒を看ていたのだ。
しかし去年に祖父が、そしてこの前祖母が亡くなってしまった。
葬式も終えて四十九日は一昨日のことだ。
両親とも流石に放っておけないのか、お互いが交互に家にいて、柚理の面倒を看てくれている。だが二人とも忙しいから、肝心な時は僕任せになっていた。
だからこそ早めに推薦で学校を決めて、僕が学校に行かなくてもいいような状況にしたのだ。そしてこの冬を最後に、僕と柚理は新天地へと旅立つことになる。

158 :
連載始まったか?支援

159 :
「……久しぶりだし、いるかな?」
歩いて二十分ほどの先にある山に、その神社はあった。
この周辺の土地神様を祀る神社で、名前は豊郷神社。
本殿があるのは山頂で、中腹に拝殿があり、そこまで急な階段が参道として続いている。
参道は木によって常に日陰になるせいか、雪が凍りついており、いささか危ない感じだ
地元に親しまれているおかげか、僕以外の参拝客はそれなりにいるようで、いくつかの足跡が階段に刻まれている。
けど今は誰もいないことを表すかのように、しんとした音一つない静寂が辺りを支配していた。
「二十二時四十五分…いい時間帯だな」
コートのポケットに手を突っ込み、冷たい金属のものを探り当て、目の前に持ってきて開く。
さんが僕にくれた分厚い懐中時計。
銀色に輝くそれはかなり値のするものらしく、十年に一回のメンテナンスだけで、遅れることなどほとんどなかった。
信頼できる、天体観測をするときの必需品。
そして僕と「彼女」を引き合わせてくれた、魔法のアイテム。
ざくっざくっという雪の軋む音をBGMに階段を上り切ると、そこは開けた境内の入口だ。
月明かりに照らされてぽわっとした雰囲気の幻想的な境内の中、拝殿のお賽銭箱の後ろに体育座りで蹲る少女がいる。
眠っているのだろうか。
泣いているのだろうか。
遠くからは窺えないがその子は僕の知っている子で、ゆっくりと近づきながら彼女の姿を確認する。
髪の毛はこの白銀の世界に映えるような漆黒。長さは腰を超えお尻に届くほどまであり、俯いていると黒いボールのように見えるほどだった。
さらりとした質感で、背中を撫でるように覆っている。
「待った?」
僕の声に、少女は顔を上げた。
驚いているような、嬉しそうな、それでいて怒っているような、そんな雰囲気を漂わせて僕のことを見つめている。
紅の大きな双眸。
ぱちりとした濃いその色は、鬼灯の色に似ていた。その瞳が眦を落とし柔らかく微笑む。
ふっくらとした肌の白さが、雪の白さに同化してしまうのではと見紛うほどだ。
幼い顔立ちだがそれは美しいと形容でき、そして可愛いとも言いかえることができるものだった。
「うん。最近、ご無沙汰だったから」
素直な応答は、「彼女」のいつもの調子だ。僕が微笑みかけると、寒いせいか朱に染まった「彼女」の頬がより一段と紅に染まる。
なんだろう、変な笑いだったのかな。
そんな不安を覚えて戸惑う僕の横に、「彼女」はふわりと賽銭箱を飛び超え、軽やかな調子で着地した。
ぎしっと言う雪を踏みしめる音が響く。
少しばかりバランスを崩す「彼女」を支えながら、その華奢さを改めて感じる。
身長は僕より二周りぐらい小さい。厚手のコートに身を包み、その姿はまるで小動物のようだ。
「危ないよ。そんなことしたら」
「いいの。だってかずきが受け止めてくれるって思ったから」
心をくすぐるような小悪魔的な言い方。それだけで僕は彼女のことを怒ることもできなくなっていた。
小さくて細い指を僕の手に絡ませて、二人で街を見下ろせる高台へと向かう。
こんな日々も、あともう少し。
そう思うと、なんだか切なくて。
高台へと向かう途中、噛みしめるように僕は「彼女」のことを、昔のことを思い返していた。

160 :
彼女との出会いは、数年前に遡る。
当時の僕は両親に甘えたいという心の弱さと、家族のみんなを守るのは僕なんだという使命感に板挟みになり、疲弊していた――と思う。
無理をしてでも手伝いをし、自分の遊ぶ時間を惜しんで生きてきていた。
勿論、友達もいなかった。
誰もが僕を避けていたように感じていた。
だからか余計に焦って、お手伝いに没頭していたんだろう。
そんな僕の唯一の息抜きが、天体観測だった。
両親が学者だったせいか、誕生日プレゼントはあの時計を除いて、みんな学問に関連するものばかりだった。
天体観測用の望遠鏡も、その一つだった。
僕はそれに熱中した。家を離れることがあまりできなかった僕にとって、家で見ることのできる天体観測は、最高の娯楽となった。
そして子供特有の好奇心と、後先考えない思考が先走った。
こっそりと家を抜け出して、普段から目をつけていたこの神社まで重い観測用具を持ってやって来たのだ。
それも何日かかけて、拝殿の中に観測用具を隠しながら。
きっと僕は、飢えていたんだと思う。
誰とも遊べない現実に晒されて、怒られることを承知で、いけないことをするというスリルと、好奇心に。
何よりこの星たちが、あの時の僕の唯一の友達だったから。
その友達と近くにいたい――そう思ったんだと思う。
いよいよ高台での、初めての観測決行日。
その日は皆既月食と言うこともあって、日本中が騒いでいた。僕も浮かれていて、大事な時計を持ってここで観測を始めた。
まだかなと逸る気持ちを抑えようとして、あの懐中時計を見たときだった。
「彼女」が、僕の前に現れたのは。
――珍しい、時計だね。
――……え、誰?
――ああっ、ごめんね。私の名前は……

161 :
「もう、準備できてるよ」
「彼女」の言葉によって、僕は現実へと引き戻される。
高台の一番先っぽ。そこにはもう、天体観測の一式が用意してあった。
あの日以来ここの拝殿の中は、僕と「彼女」の秘密基地となっていた。
そこに観測機器一式を隠してあり、僕が来る前に「彼女」がセットするのが「決まり」――それが日常だった。
「うん。……いつもありがと」
「どうしたの?改まっちゃって。へんなかずき」
僕の言葉に「彼女」は軽やかに微笑んで、はにかむように返した。その微笑みは天使のようで、僕の心に強く突き刺さる。
「かずき。見てっ」
「彼女」は興奮した様子で望遠鏡をのぞいていた。今日は久しぶりの皆既月食の日。
もう始まりかけているのか、ぼんやりとした月は少しばかり欠けていた。
「うん。なんか、こうやってまじまじ見るのも久しぶりだ」
僕も「彼女」に呼ばれるがまま、望遠鏡を覗く。肉眼で見るよりも鮮明になった月が、欠けている様子をまじまじと観測する。
――ああ、懐かしいな。あの時も、こうやって二人で見たんだな。
あの時は僕がすごく興奮していて、「彼女」はそんな僕のことを優しく見つめていた。
今とは全く逆の構図だ。
そしてもうこの構図は、二度と来なくなるかもしれない。
そのことをこれから「彼女」にどうやって伝えようか。
一度望遠鏡から目を離し、隣にいる「彼女」を確認する。
彼女は寒そうに体を震わせ、僕に寄り添ってくる。ちょっとだけ恥ずかしそうに頬を染めながら、「彼女」は頭を僕に預け、上目遣いで見つめる。
心臓が、ドキリと高鳴った。
可愛いな、もう。
仕草も、表情も。雰囲気も。何もかも。
愛おしむように「彼女」のことを見つめる僕と、僕のことを見る彼女の視線が重なった
にらめっこみたいな構図。
数秒の沈黙。
「ぷぅ」
「ぷっ、ハハハハッ…」
お互いが笑いだすのは同時だった。腹を抱えて笑う僕と、恥ずかしそうに、でも隠さないで笑う「彼女」。
しかし、その「彼女」の動きが、ピタッと制止した。
両の手を股にあて、押さえつけるように体を屈ませる。
顔が耳まで真っ赤に染まり、小柄な体が小刻みに震えていた。
顔を紅くしながら力む姿は、本当の幼子のようだ。
微かに聞こえる水音は、「彼女」から発しているようだった。
それなのに、どこにも水痕は存在しない。
震えが収まり大きく白い息を吐くと、「彼女」は無言で僕の服の袖をギュッと握った。
まるで幼い子供が離れることが怖くて親にすがるように、その華奢な腕から想像できないほど強く握り、顔を俯かせている。
それは恥ずかしさからきているのだと、僕は知っていた。
「じゃ、一回下に行こうか」
拝殿の方へと歩くとさっきまでの快活さが嘘のようで、借りてきた猫のように大人しく、僕の後ろについてくる。
ぎしっぎしっという雪の音に混じり、何かが掠れるようなかさかさといた音が耳に届いた。

162 :
支援?

163 :
拝殿横には使われなくなった社務所がある。
使われなくなったと言っても定期的に整備されていて、畳はまだ青みが残る新品だった。
そこの奥、押し入れの中にある布団を取り出し、さらに吸水マットレスやタオルなどを取り出す。
全てここの神社が持っているもので、同時に「彼女」の所有物だ。
月に数回ほどここで賽銭泥棒などを監視するために宮司さんが泊まるらしい。
火も電気も通っていて、僕はすぐさま暖房と給湯器に火を入れて、お湯を洗面台の中に汲んだ。
「かずき……あの……」
「彼女」は自分の居場所なのに、所在なさげに立ち尽くしていた。
コートは脱いであり傍に置かれている。
ブラウン地の厚手のセーターと、リボンがついたオレンジのプリーツスカート。
黒いニーハイソックスを穿いた姿は、どこにでもいそうな美少女の姿。
しかし、「彼女」の秘密はその奥の、花園の先にある。
「用意できたよ。――おいで」
僕に言われるがまま、「彼女」は布団とマットレスが敷かれた場所の上に、腰を下ろして寝転がる。
汚れないようにスカートを外すと、「彼女」はそこで観念したのか、両の腕を体の横においた。
その仕草はこれからやろうとする事にぴったりで、僕は内心で笑みを浮かべてしまった。
「あぅ……あんまりみないで」
「大丈夫、すごく、可愛いよ」
必な懇願は当然だった。「彼女」の体、大事なところを覆うそれは、彼女の歳とは不釣り合いのものだったからだ。
ぷっくりと膨らんだフォルムは、言いようには可愛く、そして不恰好にも見える。
その中心は黄色く染められ、その膨らみをさらに増させていた。
白地に描かれたイラストは、どことなく幼稚なもの。
それもそのはず。これは本当だったら、もっと幼い――幼児が履いているに相応しいものだったから。
それは一般的に市販されている、紙おむつと呼ばれているものだった。

164 :
「彼女」がどうして紙おむつを穿いているのか。それは、「彼女」の正体にも通じている。
「彼女」の名前は天豊郷女命。つまりここに祀られている神様が、「彼女」だった
そして「彼女」の体は、柚理の身体と「共存」している。正確に言うと「共存在」らしい。
「彼女」が言うには神様というのは本来、曖昧な存在らしい。
単体ではこちら側にいることすらままならないとか。
だからかこちら側に働きかけるときに、「巫女」と呼ばれる存在を仲介するのが一般的……なんだそうな。
「彼女」もまたそうで、「巫女」の体を一時的に借りて、今までこちら側にやってきていたらしい。
そして数年に一回の祭のとき、「彼女」の「巫女」として柚理が選ばれた。
ちょうどそれは、僕が「彼女」と出会う数日前のことだったと思う。
その時、「彼女」と柚理は波長が近かったからか、お互いを意識してしまったそうだ。
それが、いけなかったそうだ。
普段なら体を借りるだけだったのに、柚理の存在があったせいで、「彼女」は別のものとして、この世界に「誕生」した。
それも妹に共鳴してその生命力を分かち合う、いわば僕のもう一人の「妹」となって。

165 :
「だから『さとみ』は、おむつなんだよね」
僕の言葉に、「彼女」――さとみは顔を赤くした。妹が病弱なのは、さとみと命を共有しているから。
そしてさとみもまた、命の共有により柚理の影響が出ている。そう、柚理もおむつの世話になっているのだ。
「や、恥ずかしいこと、言わないでよ……」
尻すぼみに勢いを無くし、声は冷たい空気の中で霧散した。
マジックテープの乾いた音が響く。
テンポの良い音に合わせて、さとみの白い肌が全体的に紅に変化する。
それを見ただけで慣れている作業のはずなのに、体の硬直と緊張の度合いが増した気がした。
心臓がバクついている。今にもこの胸から飛び出しそうなくらい、激しく動き回っている。
「前、開くよ…」
「うん」
短い確認を言うにも、声が震えてしまいそうだった。
ゆっくりと前あてを開く。
おしっこを出したばっかりのおむつは、ほんのりと湯気を出していた。
甘酸っぱい匂いが、冷めた空気に色を付ける。
おむつの内側は黄色く染まっているものの、外に漏れ出ているという様子はない。
普段はさらさらとしたポリマーが、今は吸い込んで膨らんでいる。
その上にある幼いままの秘所は、僕にとっては見慣れたものだ。
まだ湿り気を残している割れ目は、黄桃のように瑞々しく見えた。
そこから醸し出す色気に、頭がクラクラになりそうになる。頭が熱っぽく感じる。
――風邪でも引いたかな?
「あ、あんまり、じっと、見ないでよ……」
彼女の言葉にはっとして、僕は邪念を吹き飛ばしながらおむつを交換することに集中する。
汚れたおむつを取り去り、秘所周りを拭く。
妹相手にも、そしてさとみ相手にも慣れたものだ。
そう思って温タオルが彼女に触れた瞬間、彼女の微かな声が耳に届く。
「あひゅ……」
その声に合わせて、彼女の体が強張った。
艶やかな声に、また頭が揺さぶられた。
――可愛い。それでいて、なんかこう……いや、集中集中!
できることなら頭を振って、邪念を振り払いたい気分だ。
何とか理性で抑え込んで、タオルが触れるときに一声かけるべきだったと後悔しながら、彼女の身体を念入りに拭いていく。
つるんとした割れ目も。その上の毛が生えてもいない丘も。弾力のあるお尻も。何もかも。
弾けるような肌は、肉付きがよくない割に柔らかい。
ずっと触っていたいと思えるほど、触り心地のいいものだった。
――かぶれたりしないと、いいけどな。
本来ならこの後かぶれ防止のためにパウダーを塗したりするのだが、そんな上等なものはここにはなかった。

166 :
3度支援?

167 :
「……んっ、くぅん――」
突然の喘ぎ声で動きを止める。
秘所周りを入念に拭いていたが、なんかさとみの様子が変だ。
体を固くし、ぎゅっとおまたを閉じようとしている感じ。
注意深く見てみると、秘所の一部分、割れ目の奥にある、おしっこが出る所がひくついているのが分かった。
「もしかして、まだ出そう?」
彼女に聞くと、ビクッと体を震わせたが、首は縦に動いていた。
「いいよ、出しちゃっても」
僕はすかさず、新しいおむつを彼女の下に敷いた。
彼女はお尻の下に敷かれたおむつの感触に身を震わせたが、今度は首を横に振って、緊張したように震えた。
「で、でも……できない、よぉ……」
「我慢するのも体に悪いし、出せるときには出しちゃった方がいいよ。
それにずっと、僕はさとみのおもらしも、おしっこも、見てきてるんだよ?
今更言ったってしょうがないよ。それに……僕は見たいな。さとみがおしっこする所」
「なっ……ばか、えっち」
逡巡するさとみに少しばかり意地悪で、卑猥なことを返してみる。
するとさとみはそっぽを向き、不満そうに口を尖らせた。
ちょっとばっかしデリカシーに欠けたかなと不安になるが、彼女は今一度首を縦に振り、柔らかく微笑んだ。
「……うん。じゃ、おしっこ、出すね…」
さとみの体が震える。緊張を解いているのか、全体的に見て脱力している感じだ。おしっこの穴がひくひくと動いた。
今にも出そうで、なかなか出ない。
そんなもどかしさを感じながら、その一部始終を追っていた。
「あぅ……あと、ちょっとなのに……う、まく、いかない……の」
さとみはなかなか出ないことに焦りながら、緊張と弛緩を繰り返す。それでも、肝心のものはなかなか出てこない。
うまくいかなくて戸惑っているのか、顔は少しばかり苦悶していた。
「手伝ってあげる」
「ふぇ……?ひゃっぁ!?」
見かねた僕が彼女の割れ目の周りを優しく、念入りに撫でた。
吸い付くような触り心地に、自然と胸が高鳴る。
彼女は上ずった声を上げ、反射的に仰け反った。
「やぁ……かずき、そこ、らめ……」
「ここがいいの?こう?」
「や、やめてよぉ……あたま、変になる……」
「でそう?」
「バカ……そんなんじゃ、あっ」
その時、ぷしゃと、割れ目から最初の一搾りが飛び出した。
それはおむつに飛び散って微かな染みを描き、白を黄色へと変えた。
「あ、ああっ、出ちゃうよ!おしっこ、きちゃうのっ!」
一度開いた門は、もう閉まらなかった。勢いのあるおしっこが、放物線を描きながらおむつに注がれる。
弾け飛んだ飛沫は外のマットに染みを作り、おむつは見る見るうちに鮮やかな黄色に染まっていった。
「出てるっ、熱いの、いっぱいぃ…」
瞳を閉じながらも、口で実況を止めない彼女の言葉に乗るように、おしっこはなかなか勢いが収まらなかった。
「かずき、かずきっ、見てるの?あたしの、その、全部、見てるのっ?」
変に興奮した言い方で、さとみは問いかける。僕もその姿に小さな興奮を覚えながら、優しい声色で返した。
「ああ、見てるよ。だから、全部出しちゃっていいよ」
「うんっ。かずきっ、あたし、全部、ぜーんぶだしちゃうよっ……!」
「いいよ。ほら、さとみ……見てあげるから、全部、見てるからね」
さとみのおもらしは、そのあと三十秒ほど続いた。
最後はおむつに一つの線を作り、おしっこは湯気を残しながらすべておむつへと吸収されていく。
出したばかりのおしっこの新しい香りが、部屋中に広がった。
それをいっぱい吸い込んで、さとみの全てを味わっていく。
もう後悔はないように。
さとみの全てを、心に刻み込む。
肩で大きく息を吐いて、彼女はこちらを見た。
その表情は安堵したような、満足したような、そんな表情だ。
「お疲れ、よくがんばったね。――ありがとう」
「うん、あたし、がんばった。――ありがとうだなんて、へんなかずき」
お互いクスクスと笑いあいながら、汚れたおむつをどけて、もう一度タオルで彼女の秘所を拭き始める。
その中に、おしっことは違う色の染みを見つけて、僕はちょっとだけ顔を赤くした。

168 :
新しいおむつを穿かせて、もう一度高台へと向かう。
月明かりは一気になくなり、薄暗闇だけが辺りを支配していた。妙に怖くなってしまい、お互いが寄り添うようにして上へと向かう。
「あのね、かずき」
さとみの声が、下の方から聞こえる。
「何?」
「あたし、知ってるよ?かずきがもう、ここに来れなくなるって」
「――――」
「だってあたしは、あたしたちは、繋がっているから」
それは、一緒に行く柚理のことだろう。
「だからね、知ってるの。知ってるんだ。もう、会えなくなるって」
「……そんなこと」
ない、とは言えなかった。ギュッと握る彼女の手が、とても強くて、儚かったから。
「――大丈夫だよ、あたしは。かずきの方が、心配」
「僕も、大丈夫さ」
彼女の声に、涙が混じる。僕も同じように、強がった。
「なら、あたしと今日で、お別れ?」
「うん。……そういうことになると思う」
彼女の悪戯な質問に、僕はまるで他人事のように言った。
数秒の沈黙。
重い空気が、二人を包む。
彼女の様子を窺う勇気は、僕にはなかった。
「時計、見せて、かずきとあたしの、時計」
無邪気な声に促され、僕はポケットの中の時計を取り出した。彼女に見やすいように掌に広げて開く。文字盤は、もうすぐで零時を指すところだった。
「ありがと、かずき。――本当に、ありがとう。……バイバイ」
後ろにいたはずの彼女の気配が、忽然と消える。
「……!?さとみ?どこにいったの?さとみ!?」
慌てて振り返るも、そこにはもう、誰もいなかった。温もりも消え、寒い世界の中に、僕だけが取り残される。
かちり。
文字盤は、零時ちょうどを、指していた。

169 :
度々支援

170 :
雪はまだ残っているが、うららかな陽気は春の到来を予感させる。
風も冷たいものから暖かいものへと、だんだんと変わりつつあった。
卒業式を終えた僕と、終業式を終えて転校手続きを済ませた柚理は、電車の中で向かい合って腰かけていた。
重たい荷物は先に送り、僕らは電車でそれを追い掛ける手はずになっている。
「柚理ちゃん、私のこと忘れないでねっ」
「向こうについてもお手紙よろしくね、柚理」
対岸に座る柚理は寄せ書きに書かれた文字を呟きながら、優しい笑みを浮かべている。
僕はこの前友人と合格祈念パーティをして、別れをしたばっかりだ。見送りはいなくても、その気持ちは確かに心に届いている。
「さとみ……」
遠くの、雪の残る山を見ながら僕は呟く。あの山の中腹辺りに、豊郷神社がある。
あの日以来、さとみには会っていない。神社に行っても、さとみと出会うようなことはなかった。
秘密基地にしていた拝殿の中にも誰もいない。
社務所の中にも誰もいない。
誰も、誰も、誰も――
その事実に寂しさを覚えて、色んな道具を回収して、すべて新しい住まいへと送った。
もうあの神社に僕と彼女が一緒にいた証拠となるものは、残っていなかった。
「おにぃちゃん?」
乳白色の肌をした妹が、心配して話しかけてくる。
最近は体調もいいようで、学校に行く回数も増えていた。
そのことが、さとみが消えたことに関係するのかは、僕にはわからない。
「あのね、おにぃちゃん。私ね……」
何か言いにくそうに、柚理がまごつく。僕はその少女っぽい、可愛らしい仕草を見つめながら、やんわりと微笑んだ。妹の顔が、ひゅんと赤くなる。
「隣、空いてる?」
通路側からの声に、僕は無意識のうちに頷き、ハッとした。
声の主は僕の横に腰かけると、すっと僕の腕に自分の腕を絡ました。
さらりと揺れる黒髪が視界に入り込み、端の方で喜んだ柚理の顔が映る。
しかし、視界のほとんどは、彼女の顔に注がれている。
僕の知っているその顔は、悪戯そうに微笑むと柔らかい唇で、僕の名を呼んだ。
「かずき、ただいま」
「さとみ、どうして……」
目の前にいる少女は、僕が愛していた、あの神様だった。
「わ、私が、頼んだのっ」
横から、もじもじと動く柚理が割り込む。僕とさとみの視点が彼女へと集まり、ビクッと小動物のように震えた。
怯えたように瞳を震わすが、こくんと頷き、畳みかけるように説明を始める。
「だっておにぃちゃん、いつも大変そうだったから。私、迷惑かけたくないし、それでね、あのね、おにぃちゃんが学校行ってる間に、豊郷神社にお参りしたの。
おにぃちゃんを、守ってって。そしたらね」
「いいよ。……ありがと、柚理」
妹の臙脂色の髪を撫でながら、感謝の言葉を告げる。柚理は安心したように微笑み、瞳を閉じていった。
数分も経たないうちに、彼女は眠りの世界へと落ちる。
すぅすぅという寝息が、とても愛らしい。

171 :
「と、いうわけだよ。かずき」
彼女の小悪魔っぽい表情で言われたら、僕は納得するしかない。トンネルに入り、轟音が車内に響く。
「そ――ね……あたし、かず――こと、――だから」
彼女の言葉がトンネルの轟音に遮られ、うまく聞こえない。
けど口の動きで、僕は彼女の言葉を理解できた。
「うん。僕もだ」
その返事に彼女は、喜び、そして体を寄せてくる。
柔らかい体が、僕の体に触れる。
紛れもない実感覚で、彼女はそこにいる。
その時、カーブで大きく電車が揺れた。
「ひゃっ!?」
彼女と僕の顔が、数センチの所まで近づいた。お互いの息がかかる。近すぎて思考は正常に戻らない。それどころか、彼女が自らこちらに近づき……
その唇を、僕のものへと重ねた。
想像以上に柔らかいそれは、僕の心を洗っていく。
恋人同士の優しいキス。
僕にその体を預け、彼女は触れることが愛しいようにキスを続けた。
電車がトンネルを抜けると同時に、お互いが体を離し、恥ずかしそうに縮こまった。
思い出すように唇を撫でる僕と、顔を紅に染めて俯いてしまうさとみ。
愛も変わらず可愛い彼女に、ちょっとばっかりの意地悪をする。
さっき体が重なった時に気づいたことを、そっと耳打ちした。
「いゃあっ!」
驚いたのか大きく仰け反り、こちらに体を向けた。
今日は暖色系のカーディガンにチュールスカートという落ち着いた出で立ちだ。
そんな彼女は頬を染めながら、周りには見えないようにスカートを僕の方へ捲る。
そこには、少しばかり膨らんで下の方が黄色く染まった、紙おむつがあった。
「おもらし、しちゃったから、また、換えてくれる?」
「もちろん、だよ。僕も、さとみのおむつを換えたいから」
「このバカ。でも、すごく、うれしいよ。これからも、迷惑かけちゃうけど、いい?」
「大丈夫。今更一人増えたって変わらないしね」
「もう、あとで柚理に言いつけてやるんだから」
甘えた彼女の声に、満面の笑みで応えた。拗ねたような口調も、その中には喜びの感情が混ざってる。
それは、僕も同じだ。
外の世界は雪化粧から抜け出して、春のうららかな田園風景が広がっている。
ポケットに入った思い出の懐中時計を、彼女と一緒に見る。
かちり。
時刻は、十二時を刻み、そして、過ぎていった。
これからの僕たちのように、時計の針は止まることはなかった。
おしまい

172 :
おつー

173 :
ハッピーエンドでよかった
お疲れ様〜

174 :
なんだか既視感が……。前にもここで連載してた?

175 :
「どっこいしょ……っと、ふぅ」
戸が閉まったのを確認してから、彩夏は大きく息を吐いた。
戸に体を預け、荒れた息を整える。
ここに来るまで、誰にも見られてはいない。
そのことがわかっていても、緊張と羞恥で喉はひりつき、胸は高鳴る。
その中には、期待も入り混じってはいたが。
「買っちゃった……買っちゃったんだ」
噛みしめるように呟く彼女の前には、黒いビニール袋に包まれた或るモノがあった。
それを慎重に、音を立てないように取り出し、ベッドの横に置く。
ビニール製のパッケージに描かれた、可愛らしい女の子の姿。
その下には、かつて自分が世話になったものの名前が書かれている。
「本当に、あたし、買っちゃったんだ……えへへ」
学校帰りの制服姿でドラッグストアに寄ったのは、今から十分ほど前のことだった。

176 :
「あ、あった……」
学校から帰る途中にあるドラッグストア、その奥にある「あるコーナー」の前で、彩夏は立ちつくしていた。
学校帰りの時間ではあるが、帰宅部がそんなに多くないことと、このドラッグストアが奥まったところにあるせいか、人通りは少ない。
ましてや今日は、学校は文化祭の準備で忙しく、帰宅部のほとんどが学校に残っていた。
そのことを知った彼女は、かねてからの計画を実行に移したのだ。
しかしいざその場所に来て、彼女は戸惑ってしまった。
本当に、あたしはこれがほしいんだろうか。
もし誰かに見られたら、どうなってしまうんだろうか。
後ろ指差されて、過ごすことになるのだろうか。
色んな悪い事が頭をよぎり、最後の勇気が出せなくなる。
目の前にあるのに――その手を伸ばすことが、できない。
「どうかしたの、お嬢ちゃん」
突然の声に、彩夏はびくりと震えた。
恐る恐る声に振り替えると、そこには品のよさそうなおばさんが、ニコニコ顔でこちらを見ているところだった。
着ている服の上から着ているエプロンには、このドラッグストアのロゴがついていた。
「もしかして、おつかい?」
「え?――え、あ、まあ……」
おばさん店員の質問に、彩夏はどもるように答えてしまう。
怪しまれただろうか。
もしかして、ばれてしまったのだろうか。
さっきまでの想像が、一気に現実へと変わる気がした。
けど、まだ何とかやり直せる。
そう心に言い聞かせて、怯えながらも無理矢理笑顔を作る。
おばさん店員は、そんな彩夏と店の棚を何度も見て、言った。
「あ、もしかして、これがほしいの?」
「あっ――」
おばさん店員の手にあるのは、確かに彼女が欲しいと思ったものだった。
見透かされてる。
彩夏はそのことに気づいてはいたが、どう答えればいいか、わからなかった。
否定したい気持ちはある。世間体的には、ありえないこと。
でも、あたしはあれが欲しいんだ。
二つの心がせめぎあいをしているうちに、おばさん店員はそれをもってレジに向かってしまった。
引き留めるなら、今しかない。
「あ、あのっ!」
「あら?」
そんな気がして思わず声をかけたが、その先が続かない。
おばさん店員も、何も言わない彩夏のことを訝しげに見ている。
体が一際震えだした。
怖い。
なんて思われているのだろうか。
それともやっぱり、あたしがおかしいのだろうか。
このことがこの人の口から漏れて、噂になったりしたら――
渦巻く気持ちが喉を閉じさせ、声を出せなくさせる。
何か言いたいのに、何も言えない。
情けない自分と、もどかしい気持ち。
涙が出そうになるその直前に、おばさん店員は目線を合わせ、諭すように言った。
「大丈夫。あなたぐらいの年頃なら、こういうときもあるわ。私も内緒にしとくから、あんまり深く考えちゃだめよ?」
「え、あ、はい――ありがとう、ございます」
「ほら泣かないで。すぐお会計しますからね。――辛いけど、がんばるのよ?」
その後、慣れた手つきで会計を終え、おばさん店員に見送られて、彩夏は家へと帰ってきた。
その道中ずっと、顔を紅くしながら。

177 :
「かわいいなぁ……」
パッケージを破って中のものを取りだし、愛おしむように眺める。
シンプルでも可愛らしいイラストは、彩夏の心を捕えて離さない。
パッケージによればこんな可愛らしいイラストが、あと五種類あるらしい。
それを知っただけで、彩夏にとって袋の中は宝石の詰まった宝箱に変わる。
「穿けるかな……大丈夫だよ、ね?」
うっとりとした目で呟きながら、スカートの中に手を伸ばす。
レースのついた薄生地のショーツをゆっくりと降ろし、ベッドの上に投げ捨てた。
早く穿きたいという気持ちが走り、落ち着いた息がまた激しくなる。
かさりとした感触が足を撫で、緊張と興奮が体を駆け巡る。
ゆっくりと上げる手は震え、熱があるかのように頭がクラクラする。
それでも、彩夏は止まらなかった。
「ちょっときつめだけど、だい、じょう、ぶ」
すっぽりとお尻を覆うものの感触をかみしめながら、おぼつかない足取りで姿見へと向かう。
鏡に映る姿は朱の入った頬以外、いつもの自分と変わらない。
ぴらり。
そんな自分に魔法をかけると、途端に可愛らしく見えてしまう。
頬の朱色が顔全体に広がって。
なによりその姿すごく不自然で。
でも可愛らしくて、素敵だった。
姿見に映る自分はスカートを捲っていた。
自らの下着を見せる行為というだけで、ちょっと恥ずかしいのに、今はもっと恥ずかしいことをしている。
「……紙おむつ、穿いちゃった。あたし、赤ちゃんじゃないのに――」
ショーツの代わりにつけた紙製の下着。
それは赤ん坊が付けるモノ――「紙おむつ」だった。

178 :
「どうしようかな……」
彩夏は姿見から離れ、時計を見る。
時刻は午後三時半。
親は当分帰ってこないし、宿題も特にない。
好きなことができる。
そう思うだけでドキドキしてくる。
彩夏は軽く身だしなみを整えると、至福におむつのままで外へ出た。
近くの児童公園までの散歩。
彼女が選んだのは、あえて危険の伴うことだった。
ばれちゃうかもしれない……
風が吹いただけで、ちょっと転んだだけで、あるいは階段を上り下りしただけで。
そんなリスクにさらされながら、彼女は歩みを止めなかった。
いつもは無意識に進める足も、今は一歩一歩が気になってしまう。
かさりかさり。
股とおむつの擦れる音が聞こえる度に、ちらとあたりを窺ってしまう。
歩くたびに翻るスカートが、ちょっとだけ恨めしい。
でもそれが、たまらなく胸を高鳴らせてくれた。
公園には学校終わりの子どもたちが集まり、各々のグループとなって遊んでいた。
その合間を縫いながら、公園端のベンチに腰掛ける。
いつもと違うお尻の感触に、体が強張る。
思わず胸の前で祈るように手を組んでしまい、慌ててそれをスカートの上に置いた。
近くを通る子供たちの無邪気な笑い声。
その声が彩夏の大好きな音だった。
小さい子ってかわいい。
その小さい子が恥ずかしがる姿は、もっとかわいい。
無邪気な子が恥ずかしいこと言っちゃうのも、すごくかわいい。
おむつを穿いたのも、そんな彼らに憧れたから。
彼らと同じようになりたい――そう思ったからだった。
騒がしくも心地良い響きに耳を傾けながら、彩夏はその時を待った。
体の奥が、熱くなった気がした。

179 :
「そろそろ……かな」
下腹部からくる感触に、彩夏の体が緊張した。
キンとはったお腹の中で、ちゃぷちゃぷと水が躍る。
重たさを伴う大波に、彼女の胸は飲まれていく。
「おむつ……してるから、へい、き、なはずっ……」
小さな声で呟きながら、息を詰め、吐くのを繰り返す。
でも思ったように、おしっこは出てはくれなかった。
変に体が硬くなってしまい、うまくコントロールできない。
背筋を伝う、ひんやりとした汗。
長引けば長引くほど、周りの視線が気になりだす。
「や、出したい、のに……」
「おねえちゃん、どうしたの・」
声に驚いて振り向くと、そこには二歳ぐらいの女の子が、心配そうに見つめる姿があった。
彩夏は女の子を見ると落ち着かせるように息を吐いて、微笑みながら答える。
「大丈夫……心配してくれてありがとう。――優しいね」
「どういたしましてー……おねえちゃん、かおあかいよ?おしっこがまん?」
「――っ!?そ、そんなことない、よ」
「そうなの?有紗はね、まだおむつしてるから、がまんうまくできないの」
図星を突かれてあたふたする彩夏に、無邪気におむつを見せる女の子――有紗。
その姿に触発されたのか、彩夏は周りを確認しながら、スカートに置く手を離した。
「あのね、お姉ちゃんね、有紗ちゃんと同じなの」
「おなじ?」
「うん――おんなじだよ」
彼女にだけ見えるように体を向き直し、静かにスカートを捲る。
有紗の視線が、スカートの中に注がれる。
「ほんとだー!おねえちゃんもお――」
「しーっ1お姉ちゃんの秘密なの。だから、内緒にして、ね?」
「ないしょ?」
「うん、皆に話したら駄目なの。めー、よ?」
「はなしたら、めー?」
「そう、めー。約束、だよ?できる?」

180 :
「やくそく、するっ!有紗できるもんっ!」
「うん、やく、そ――あっ」
言い終わる前に体の緊張も取れて、おむつの中に熱い水が迸る。
それは入り江に入り込む波のようでもあった。
跳ね返るように割れ目を撫で、おむつの中に吸収されていく。
強い勢いがあるせいか、水流の音も大きい。
じゅわわぁぁぁぁぁぁ……
響かせるような音に、彩夏の興奮が上乗せされていく。
「おもらし、しちゃったの?」
「うん、我慢、できなかったの」
「うん――有紗と、おんなじ」
「そう、おんなじ」
おもらしをまじまじと見つめる有紗の姿が、彩夏の体をどんどんと昂ぶらせていく。
おしっこを全部出しきると、彩夏は大きく肩で息を吐いた。
その間ずっとおむつを見ていた有紗も、彩夏の顔に目を移す。
一際赤くなった彩夏の顔を見て、有紗は頷きながら言う。
「うん、おもらししたあとの、有紗とおなじ」
無邪気な笑顔を向けられ、彩夏の中に一抹の罪悪感が残った。でも、それよりも、有紗のその言葉が、嬉しかった。
「おむつ、ぶよぶよだぁ」
「あ、有紗ちゃ、ぁんっ」
おもらししたばっかりのおむつを、有紗が面白がって突く。
そのたびに吸収したばっかりの熱いおしっこが逆流して、敏感な割れ目を刺激した。
背筋を走る電撃。
始めて感じたそれに、彩夏は早速虜になった。
抵抗もせず、有紗にされるがままになる。
もっとやって。
このままが続いて。
無邪気なまま快楽を求める心は、歪な赤ん坊そのものだった。
でもその終わりは、あっさりやってくる。
「有紗ちゃーん、帰るわよーっ」
「あっ、ママが呼んでるっ」
「あっ――、そう、じゃ、またね、有紗ちゃん」
「うん、ばいばいおねえちゃん」
小さな手を振りながら、彩夏から離れる有紗。
その姿を見送りながら、彩夏は名残惜しそうに呟いた。
「また、お姉ちゃんと、遊んでね」
と。

181 :
有紗がいなくなった後、重くなったお尻を気にしながら、彩夏は散歩を再開させていた。
おむつはまだ温もりを保ち、お尻や割れ目を温かく包んでくれる。
歩くたびにちょっとだけ逆流することも、気持ちのいいことになりつつあった。
「次は、どんなことしよーかなー」
意気揚々とした声で呟く彩夏。
うきうきした心は、当分の間収まらないだろう。
最初の不安はどこへやら。
今、頭の中を埋めるのは、もう次の遊びのことだった。
スカートの端からおむつを見え隠れさせながら、彼女は街の雑踏の中へと消えていく。
その顔には、満面の笑みを浮かべながら。
END

182 :
gj

183 :
朝からいいもん見れたわ!GJ!

184 :
あーりん再降臨!

185 :
いいね〜

186 :
ちょっと見ぬ間に一気に作品きたな
じっくり読ませて貰うぜ

187 :
GJすなあ

188 :
初登校なので見苦しい点もあると思いますが
ご意見や要望など頂けたらと思います。

「おねーちゃん、おしっこ!」
「うんちは?」
「んっとね…」
少し無言になって力む
「おしっこだけ!」
「そう、それじゃまだ頭を洗ってるからそのまましちゃっていいよ」
シャンプーハットをつけた頭がこくりと頷く
「出たー」
「後で体も綺麗にしようね」
「はーい」
体を拭いておむつをはかせてドライヤーで髪を乾かす
その間、さくらは哺乳瓶でコーヒー牛乳を飲む
それからパジャマを着せて同じ布団に入る
しばらくするとさくらはもぞもぞと動いて
私のおっぱいを吸い始める
その仕草がたまらなくかわいくて頭をなでながら私も眠りに付く

189 :
ピピピッ!
「もう朝か。さくらちゃんのおむつ替えてあげないと」
さくらはまだ私のおっぱいをちゅうちゅうすっていた
おしゃぶりを咥えさせておねしょで濡れているおむつのサイドを破って広げる
「今日は少ない方かな、まだしーしーないかなー?」
濡れたおむつを敷いたままおしり拭き越しにおしっこの穴を刺激する
おむつ替えの間に間に漏らしてしまうことも多いため
おむつ替えのときは必ずおしっこの穴を刺激してあげて
おしっこを出し切るようにしている
「んんっ…」
少し顔がこわばったので、急いで先ほどのおむつをあてがう
すぐに愛らしい寝顔に戻ると同時におむつ越しにおしっこをしているのが感じ取れた

190 :
まだ眠らせてあげたいけど、今日は月曜日
悠長なことはしていられない
「さくらちゃん、朝ですよー」
おしりを拭きながら大きい声で呼びかける
「………。」
呼びかけで目を覚ましたものの朝が弱いさくらはボーっとしていた
おむつを丸めて下半身裸のままのさくらを抱きかかえて風呂場まで連れて行く
「はーい、キレイキレイしますよー」
シャワーで軽く洗い流してボディースープを手のひらで泡立たせて
そのままお尻や股を洗っていく
「はい、おしまい!」
シャワーを止めてわきの下に手を入れて
さくらを持ち上げ足拭きマットの上に立たせる
「それじゃさくらちゃん、今日は月曜日だからパンツ履こうねー、あんよ上げてー」
私の声に促されまだ少し眠そうなさくらは白いショーツに足を通す
両足を通したらおねしょパットを貼り付けて、ギャザーを立ててからパンツを引上げる
バンザイさせたりして用事に服を着せるようにしていく
着替え終えたさくらはおむつが必要とは思えない小学生くらいのお姉ちゃんに見える

191 :
「今日は五限までだからさくらちゃんの方が遅いね」
「うん!おねーちゃんの方が先にただいまだよ!」
朝ごはんを食べながら今日の"講義"の予定を確認する
「それじゃさくらちゃん。行ってきますの前にトイレ行こうか。」
ご馳走様をしてすぐにトイレを促す
「はーい!」
トイレに駆けていきそのままパンツを脱ぎ捨て前向きに便器に座る
チー…
おしっこの音が聞こえてきた
おしっこを終えてさくらは自分でおしっこをふき取る
「できたー!」
トイレトレーニング中の幼児のそれと同じように誇らしげである
「まだ、終わってないでしょ?パンツもちゃんと履こうね
「今するもん!」
少し膨れた顔をしてパンツをはく
「よく出来ましたー」
頭を名でほめるとさくらは嬉しそうに微笑んだ
「パットのギャザーだけおねえちゃんに確かめさせてね…うん、これなら大丈夫ね!」
それぞれの荷物をまとめて私は会社へ、さくらは大学へと向かう

192 :
プロローグがここまで
25歳の美紀と18歳のさくらの百合幼児物にしていくつもりです。
書き溜めしているわけじゃないから遅いと思うけど
暇なときに目を通して意見をしてくれると嬉しいです。
構想であるのが
退行願望の理由付けの描写
二人の生活のきっかけの描写
退行過程の描写
トイレトレーニングの描写
妄想中なのが
大学でのおしっこ事情
休日の過ごし方室内編
休日の過ごし方外出編

これが見たいってのがあればそこから手をつけていきます
幼児プレイよりも退行願望の描写に近いのと
センスが無いので性的な描写は無いと思います。

193 :
>>188
小説というより、脚本っぽい
もうちょい本読んでその辺修正した方がいいよ

194 :
>>193
意見ありがとう。
言われて見れば足し管脚本っぽい。
それを踏まえて書いてみた。
あたしとさくらちゃんは従姉妹の関係に当たる。
叔父も叔母も共働きで平日はうちに泊まりに来ていた。
そのため、あたしの部屋にはさくらのためのおむつが買い置きされていた。
一緒にお風呂に入り、おむつをあててやり一緒に寝る。
小さいうちはそれはごく普通のことだった。
結局、私が大学に進学して一人暮らしを始めるまでその生活は続いた。
大学へ上がって最初の夏休み、さくらちゃんが遊びに来る事になった。
まだたまにおねしょしちゃうっておばさんが言ってたけど
もうすぐ中学生だからおむつをはかせるのもかわいそうだよね。
「もうすぐ、さくらも中学生になるからパンツで寝ようか?」
「失敗してお姉ちゃんのベッド濡らしても怒らないから、ね?」

「おむつがいい。」
だけどさくらちゃんはパンツではなくおむつで寝ると言って来た。

195 :
「うーん、でも買い置きがないし。」
「今はおうちではパンツで寝てるんでしょ?」
たぶん、あたしに迷惑をかけたくないんだなってこのときは思ってた。
「やだ、おむつがいい!無いなら買いに行く!」
「まだお店開いてるから買いに行く!」
普段は聞き分けのいいさくらちゃんたけどこの時はすごくはっきりと言っていたっけ
お店に着いてすぐにあたしたちはおねしょパットを見つける。
「おむつじゃなくてパンツに貼るやつなんだって」
「これならおねしょしても大丈夫だしパンツで寝れるからこれにしようか、ね?」
おねしょパットの説明を見ながら問いかけたけどさくらちゃんは首を横に振って
「それじゃやだ、これにする!」
と言ってさくらちゃんはテープ式の紙おむつを持ってきた。
言い争いをしてもしょうがない、ここはさくらちゃんの言うとおりにしよう。
結局さくらちゃんの持ってきたテープ式の紙おむつを買った。

196 :
お風呂から上がってくつろいでいたところに
さくらちゃんがさっき買ったおむつを持ってくる。
「美紀おねーちゃん、おむつお願い!」
さくらちゃんはおむつが恥ずかしいそぶりも無く
むしろ嬉しそうにおむつを持ってきた。
布団が濡れなくても、おねしょしちゃうとかわいそうだから
寝る前にトイレに連れて行ってあげよう
「それじゃ、トイレに行っておしっこしてからおむつしようか」
「おしっこしたくない」
「早くおむつして」
あたしの提案はばっさりと拒否された
おむつの事もそうだけどしばらく会わない内に反抗期か何かになっちゃったんだろうか
その日はおむつを充ててそのまま一緒の布団で眠った。

197 :
翌朝目が覚めてあたしはすぐにさくらちゃんのおむつの状態を確かめた。
「濡れてないみたい?やっぱりおねしょ治ってきてるんだ」
ずっとおねしょが直らなかったさくらちゃんのことを心配していたあたしにとっては
すごく嬉しいことだった。
「さくらちゃん、おきておねしょしてなかったよ、偉いね!」
さくらちゃんを起こしておねしょしなかったことをほめてあげた。
「うん、ありがと…」
だけど、さくらちゃん自身はすこし残念そうな表情だった、寝起きだからかな?
「それじゃ着替えて今日は何処か行こうか!お姉ちゃんバイトもしてるからお金持ちだぞ!」
「面白いって話題の映画でも見ようか?それともお洋服でも見に行こうか!」
「いらない」
うん、なんだろう。
やっぱり元気が無い。
あれ、おねしょしちゃってたかな?
「と、とりあえず着替えよっか。おむつも外してあげるね」
「やだ!」
おむつに手を伸ばしたあたしからさくらちゃんは逃げるように離れた
「あれ、やっぱりおねしょしちゃってた?」
ちゃんと確認してなかったからな、あたし無神経すぎるよ。
「……」
無言だよ、これ地雷踏んだかな〜。
なんであたしもちゃんと確認せずに、ぽいってだけで喜んじゃったかな。

198 :
「ごめんね、おねしょしちゃってたかな?」
もう謝るしかないと思った。
「おねしょ…してない」
気まずそうにさくらちゃんがつぶやいた。
「あれ、ほんと?それじゃ良かった」
「お姉ちゃんてっきり間違えちゃってたのかと思ったよ」
良かった、おねしょしちゃった濃におねしょしてないねなんて言ったら
すごいひどいこと言っちゃってるもんね。
いや、ホント良かった。

199 :
きっと自分でおむつ脱げるから子ども扱いされたのが嫌だったのかな。
「じゃあおむつ脱ごうか」
「やだ、さくらおむつでいい」
あれ?やっぱり反抗期か何かなのかな?
なんだかよく分からなくなってきた
「あれー?さくらちゃん赤ちゃんじゃないのにおむつなの?」
反抗期ならこう言えばいいのかな?
「さくら、赤ちゃんでいいもん」
反抗期甘くみてました。
「えっとその…」
もうどうすればいいのかあたしには分かりません。
あたしがだらしなく混乱しているうちにさくらちゃんが口を開いた
「ママもね、もうおむつだめだって言うの」
「おねしょしないからパンツにしなさいって言うの」
「でも、さくらパンツじゃなくておむつがいいの」
「ママはおむつ買ってくれないからおねえちゃんにお願いしたの」
「お姉ちゃんもおむつだめ?」
大粒の涙をこぼしながらさくらちゃんはあたしに必に伝えようとしていた。

200 :
なんだ、そういうことか。これなら辻褄が合うじゃない
「ううん、いいよ。お姉ちゃんといる時はおむつでいいよ」
その言葉を聞いてさくらちゃんはあたしの胸で大声で泣いた。
さくらちゃんがおむつを欲しがったのはあたしに迷惑をかけたくないって気持ちでも
反抗期でも無かったんだ。
叔父さんや叔母さんがほとんど家にいないから甘えた記憶もあまり無い。
でも、おねしょをしていたからおむつの世話をしてもらえることで少しだけ甘えることが出来てた。
そのおねしょが治りはじめておむつが使えなくなった。
他の甘え方を知らないさくらちゃんはずっと苦しんでいたんだ。
叔母さんに甘えることが出来なく案って最後に頼ってきてくれたのがあたしなら
それはつまりあたしを姉のように慕ってくれているって事なんだろう。
だったらあたしはこの子のためにしてあげられることをしてあげたい。
妹のように接してきた子のことだもん、これくらい気づいてあげなきゃ!
それから夏休みと冬休みには必ずあたしの部屋に泊まりに来て
思いっきり甘えていくという生活が続いた。

201 :
そして気がつけばあたしは社会人、さくらちゃんも大学生になった。
相変わらずさくらちゃんの甘え癖は卒業の兆しも見えていなかった
それどころかあたしもさくらちゃんを可愛がる事が癖になり
気がつけば相互に必要な存在となっていた。
赤ちゃんになって甘えたいさくらちゃんと
赤ちゃんのお世話をしたくてたまらないあたし
この春からあたしたちの同居生活がスタートする。

こういう書き方のほうがいいんだろうか。
やっぱり暇なときにでも目を通して意見がもらえるとうれしい

202 :
お義姉さんさくらちゃんを僕にください

203 :
gj!
こういうの結構好きだな〜

204 :
私はもうちょい小説っぽいのが好き

205 :
>>188
描写不足で?な場面が結構あった
195のさくらの「まだ店開いてるから・・・」って台詞
時間の描写があると印象違うよ

206 :
最近まとめwiki動いてないな
なんかあったのか

207 :
編集する人がいない気がする。

208 :
そろそろまとめて欲しいよな
こんだけあると特に

209 :
編集者いなくなった場合に備えて誰でも編集できるwikiでも建てるか?

210 :
wiki管理人です。最近離れていて申し訳ありません。
それならば解放するかどなたかに委譲したいと思います。

211 :
>>210
何かあったんですか?

212 :
>>210
意欲の問題でしょうか?
まとめるほどの時間が割けなくなってしまいまして……
さきほど編集者権限を開放しましたので活用してください。

213 :
おつ

214 :
そろそろ新作欲しい

215 :
http://www.dmm.co.jp/digital/doujin/-/detail/=/cid=d_056506/

216 :
今日も、お嬢様と一緒に眠る夜が来る。
ぽぅとした月明かりが照らす廊下の先にある離れ。
そこには、一人の少女が棲んでいる。
名前は、王寺咲楽。
私――山野飛鳥が働いているる王寺家の、「箱入り娘」。
「お嬢様、失礼します」
静かに戸を開くと、目に痛くなるような蛍光灯の明かりの下で、彼女は待っていた。
黒く輝くその長髪を揺らしながらこちらに振り向くと、アンニュイとした表情が無邪気な笑顔に変わった。
彼女は私を待っていたと言うと、身に纏う寝間着代わりのベビードールを捲り、自らの下着を見せつける。
そこにあるのは、布でできた色っぽいショーツではない。
ましてや、そもそも布でできてすらいない。
紙製の、股や尻の部分が膨らんだ不恰好なフォルム。
でもそれは、この下着特有の機能のためだった。
彼女が身に着けているのは、可愛らしい絵柄のついた、幼児用の紙おむつ、そのものだった。

217 :
股の部分が青色に変わっていたおむつを手早く取り替えて、新しいおむつを穿かせると、お嬢様は確かめるようにおむつを触り、そして私にせがんでくる。
出したんだから、ご飯が食べたいということだろう。
私は用意しておいた哺乳瓶を取りだし、彼女の口に宛がう。
ちゅうちゅうちゅう。
勢いよく吸い始める彼女の頭を撫でながら、私は彼女の幾末を案じていた。
「箱入り娘」。
それは王寺家の暗部そのもの。
一族の娘を一人、外界から隔離してなるべく穢れから離して育てる。
そしてその娘が十五歳になると、神の供物として奉げる。
狂ってるような、本当の話。
そして目の前の少女は、今年で十五歳になる。

218 :
お腹一杯になったお嬢様は、眠たげに眼を擦り始めた。
確かに、もう夜も遅い時間だ。
布団を敷いてあげると、彼女はすぐさま横になってしまった。
もちろん、彼女の添い寝をするのも私の仕事。
同じ布団の中で、体を寄せ合いながら、床に就く。
あどけない寝顔。
無邪気に微笑むそんな顔が、一瞬だけ曇った。
そっと彼女のおむつに触れると、掌に水の当たる感触が広がった。
ホカホカと温まっていくおむつ。
食べてすぐおもらしというのも、赤ちゃんそのもの様な気がした。
せめて、夢だけは幸せを。
そう思いながら彼女を胸に抱き、私も目を閉じる。
その温もりが、何よりも愛おしかったから。
一応終わり

219 :
gj

220 :
飛鳥って男でも女でもいるよね

221 :
GJ

222 :
「ううん……」

窓から夏の日差しが差し込む、個人の部屋としてはかなり大きな部類に入るであろう一室で、小柄な少女が眠たげな声を漏らした。彼女の名は香坂美鈴。世界を股に掛ける貿易会社を営む父と、翻訳家である母との間に生まれた、いわゆるお嬢様である。

(……あれ?)

そんな、恵まれた環境で何不自由なく生きてきた彼女だったが、今、初めてとなる不自由を感じていた。環境面や精神面の話ではなく、主に肉体面での不自由を。

(なんか、身体が重たいな)

先程から、立ち上がろうと腕や足に力を込めているのだが、なかなか思った通りに身体が動いてくれないのだ。一瞬病気か何かに掛かったのかとも考えたが、意識ははっきりしているし、それが原因ではない気がした。

「な、な、な……」

しかし動けないほど身体が思いわけではないので、何とか美鈴は上半身を起こした。そんな彼女の目に、思いもしない光景が飛び込んでくる。

「なによこりぇえ!!」

異様な光景だった。いや、ある意味では、統一感に溢れた光景なのかもしれない。
壁紙やカーテンはベビーピンクで、太陽の光を緩やかに反射している。そして床には柔らかそうな素材の、カラフルなフロアマットが敷き詰められていて、壁際にはぬいぐるみや人形の入った箱が置かれていた。
その他のクローゼットや本棚、机といった調度品も全てが、まるで小さな子供が喜びそうな色・デザインに仕上げられていた。
そう、ここがまだ小学校にも上がっていないような、幼い女の子の部屋ならば、何もおかしなことはないだろう。

「……」

けれど、この部屋の主はベッドの上で呆然としている少女ーー幼女ではなく、れっきとした高校生である美鈴なのだ。

223 :
とりあえずさわりだけ……
これから書くので、投稿はいつになるやら

224 :
さわりはOK!   続きをお待ちいたします

225 :
これは期待!

226 :
コンコン、と軽やかにドアがノックされた。視線を彷徨わせていた美鈴はその音でハッと我に返ると、ノロノロと立ち上がろうとした。
だが、美鈴がドアを開けるよりも早く……というより、ノックからほぼノータイムでドアは勝手に開いた。

「美鈴ちゃん、もう起きてるかな?」

そして、美鈴よりは幾分年上に見える女性が、美鈴の部屋に足を踏み入れた。彼女の名は香坂彩。この香坂家の長女である。つまり、美鈴の姉ということでもあり。

「あ、おねえたん」

少しほっとした表情を見せた美鈴だったが、言葉を発した瞬間、パッと口元を手で押さえた。そんな妹を、優しく、そして何処か面白そうに見守っている彩。

「おはよう。よくねんね出来たかな?」
「とっと!なにいってゆの!?」

彩の、まるで幼い子供に問いかけるような口調に、美鈴は反論しようとした。しかし口から出てくるのは先程と同じ、まるで舌が回っていないような言葉ばかり。

「なんだかご機嫌斜めねぇ……。そういえば、おしっこは大丈夫だったかな?」
「へ?」

彩はベッドのそばまで来ると、美鈴に向かって両腕を伸ばした。なんだか嫌な予感がして、後ずさりする美鈴であったが、ここでも身体は自由に動いてはくれず、簡単に胴を捕まえられてしまう。

「なにすゆの!やめて!」
「ほらほら、美鈴ちゃんはいい子でしょ?すぐ終わるからね」

じたばたと美鈴は抵抗するのだが、あまり功を奏しているとは言い難い。そうこうしているうちに、妹を膝の上に乗せた綾が、片手で美鈴のズボンを器用に脱がせていく。

「は……?」
「あらら、今日もダメだったかー」

現れた自身の下着を目にして、美鈴は心臓が凍りついたかと思った。
いつも穿いているようなショーツではあり得ない、モコモコとしたシルエット。デフォルメされた動物柄にギャザー付きの裾。
穿いていた頃の記憶が無くとも、これが何かは分かる。だから、美鈴の頬は朱で彩られた。

「なんで……おむちゅなんて」
「どうしたの?いつも穿いているじゃない」

ショックで抵抗すら忘れてしまった美鈴。そんな彼女の足を、彩が脱がせた紙おむつが滑っていく。中は全体的に薄黄色に染まっていて、美鈴が汚してしまった事実を如実に示していた。

227 :
>>226
>>222の続きです。分かりにくくて申し訳ない。
名前欄に何かいれるかな……

228 :
美鈴ちゃんに何が起きているのか!? ・・・楽しみです
名前欄は作品のタイトル入れてはいかがでしょう?

229 :
もう少しだ、もう少しで、待ち望んだアノ時間がやってくる。
胸の鼓動が高鳴る。
息が荒くなる。
知らず知らずの内にアレに手を伸ばす。まだだ、もう少しガマンしろ。
時間割を確認。
そこには四つの文字列がある。今日の日直の男子の乱れた字で書かれたそれは、身体測定、と読めた。
身体測定。
それは普通の生徒にとってはなんの変哲もない、むしろちょっと面倒な部類に入るイベントだ。
男子・女子共に、露出の多い体操服へと着替え、お調子者の男子が女子の胸をからかい、それを見た女子が男子サイテー、と非難する。そんな何の変哲もないイベント。
でも私にとっては違う。少なくとも、今日の私にとっては。
椅子に座りながら、自分のアソコに手を伸ばす、もふん、と普通ではありえない感触がした。
その理由は分かる、アレのせいだ。自分の顔がかぁっと熱くなるのがわかる。
きっと私は異常なんだと思う。そう、おむつを履いて学校へ登校し、あまつさえそれを皆の前で披露しようだなんて・・・

230 :
昼休み終了十分前。普段ならまだカードゲームをやっていたり、そこらへんをバカみたいに走り回っている筈の男子共が、遊び道具を片付け、教室を出て行く。
始まったのだ。もう後戻りは出来ない。
男子が全員教室から出るのを確認した、女子クラス委員の幹さんが教卓の前に立つ。
「身体測定十分前だから体操服に着替てくださ〜い。着替えたら出席番号順に教室前に待機ですよ〜」
幹さんのやたらはきはきした声を合図に皆が着替え始める。
でも、私は動かない。席に座ったまま、動揺した振りをしながら、辺りを見回す。
周りの女子はそんな私を不思議そうに見ながら、しかし遅れたら大変とばかりに着替え始める。
着替え終わった女子達が教室から出て行き、しだいに教室の人口が減り始める。当然着替えていない私は目立つ。
「ナナさん。どうしたの?どこか具合でも悪いの?」
異常をさとった幹さんが声をかけて来る。
「え、えと。そういうんじゃ、ないですけど・・・」
私はしどろもどろになって(もちろん演技だけど)答える。
「じゃあ、早く着替えてね。時間厳守だから。」
「う、うん・・・」
そう言いつつも、私は着替えない。本当は早くスカートを脱いで、皆におむつを見せたい。
でも、自分から脱いだら意味ないのだ。あくまでも「身体測定だと知らずに、いつもどおりおむつを履いてきてしまった」という風を装わなくては・・・
「ナナさん。早く着替えてって言ったよね?遅れたら私が怒られるんだけど?」
だがなおも私はおろおろしている演技を続ける。
「ちょっと!いい加減にしてよね!一人で着替えられないの!?」
幹さんが声を張り上げる。周りの、まだ残っていた皆が何事かとこちらに顔を向ける。
「何か言いなさいよ!」
怒りが頂点に達したのか、幹さんは私のスカートを強引に引っ張る。あらかじめ、少し力を入れただけでずり下がるようにしていたスカートは、目論見どおり、すんなりとずり下がり、私のはいている下着をあらわにした。
『・・・え?』
二人分の「え?」が重なる。意味合いはだいぶ違うけど。
「え?そ、それって・・・おむつ?よ、ね?」
幹さんが戸惑った声を上げる。周りの女子達も私のはいている下着の正体に気づいたのか、ざわざわひそひそとなにかを言い合っている。
「ち、ちがっ!これは履くタイプの生理用品で・・・」
苦し紛れの言い訳、でもそんな言い訳はすぐに見破られる。
「でも、それ、お、おしっこの色がついてるよ・・・」
私は身体測定までの間に水分をたくさん摂取し、二、三度ほどおむつを使っていた。そのせいで、おむつは黄色く染まっていて、どう見ても使用済みだった。
もはや言い逃れは出来ない。
「い、いや・・・いやぁぁぁぁぁ!!」
私は悲鳴を上げて、床に崩れ落ちる、そして。
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・
極めつけのおもらし。二、三回の使用で既に限界だったおむつは、その機能を放棄し、私のおしっこを、床に垂れ流しはじめた。
「え、やだ、ちょっと。おもらし・・・」
「き、汚い・・・」
「わたし、先生呼んでくる!」
何が起こったのかわからず立ち尽くす者、私を蔑んだ目で見る者、とにかく教室を出ようとする者・・・・・・
教室内はちょっとした混乱に見舞われた。
やがて、先生が現れる。生徒の一人に連れられた担任の先生は、おしっこの水溜りの上で、おむつを丸出しにして泣いている私を見つけると、保健室に連れて行こうとしたのか、私の手をひっぱり、教室の外に無理やり連れ出す。
当然、私はおむつ丸出しである。しかも自分のおしっこでびしょびしょになったおむつである。
教室の外で待機していたクラスの男子と女子、それに下級生達に見られながら、私は保健室に連れられていく。
皆に見られ、驚かれ、蔑まれた私は、おむつの中をおしっことは違う液体で満たしていく・・・
そして保健室についたと同時、私の体は、何かを解き放つように、ビクンッっと跳ねる。
よだれをたらした顔で、先生の何か汚いものを見るような目を見たとき。
私はさらなる興奮を覚え。
そして、自分の青春が音をたてて崩れ去るのを実感した。
終わり
小説とか初めて書いたけど、どうでしょうか。

231 :
いいわー
人生崩壊してでもおむつの快感を得る、そんな末期の女の子にプロポーズしたい
「こんな変態女に彼氏なんかできるわけない」と思ってる娘に告白して嬉し泣きと嬉ションを同時にさせてあげたい

232 :
>>230
たまらん

233 :
ありがとうございます。
気が向いたら、もしかしたら続きを書くかも知れません。

234 :
つーか上手いよ。もっと長いのが読みたいなー。プロローグ的なのも。
この子がどうしてこうなるに至ったのかを。

235 :
なんとなくモチベあがったんで、投下します。
勢いで書いたので低クオリティですが・・・
異常児更正施設「ひかり」
なんらかの事情により、まともな生活をおくる事が困難とされた小〜中学生までの児童が通う施設である。

プロローグ
異常な光景だった。
電車の中、一人の女の子が席に座る。○学五年生くらいだろうか。
そこまでは別におかしな光景ではない、だが問題は、その女の子の格好だ。
女の子は、下腹部にパンツのようなものと、そのパンツのようなものに安全ピンで止められた名札。それ以外は身に着けていなかった。
つまりはほぼ全裸である。
そして良く見れば、そのパンツのようなものは、その女の子よりもっと下の年代がつけるべきもの。紙おむつだという事がわかる。
警察に通報されても文句は言えない格好だが、乗客達は通報しようとはしない。
携帯電話を出して通報しようとするものもいたが、何かに気づくとすぐにそれをやめた。それは紙おむつにピンで止められている名札だった。
名札には、こう書かれていた。
「異常児更正施設 2-B 皆川 ナナ」

236 :
20XX年
とどまる所をしらない、未成年による性的・暴力的な犯罪に辟易した政府は、「異常児更正施設」という施設を設置した。
そこには、未成年犯罪者、もしくは、未成年による性的異常者のなかでも特に症状が重い、取り返しのつかないとされた子供達が集められた。
つまり、目の届かない所に置いて、おいたをされるよりは、そんな子供達を集め、管理してしまおうという算段である。
ちなみに、更正施設と銘打ってはいるが、子供達を更正させるような事は行っていない。
ここに集められるような子供達は既にたいていの更正カリキュラムは受けていて、それでもどうしようもない、と判断された子供達だからだ。つまりは見捨てられた訳だ。
施設を設置するにあたり、未成年者の人権が〜などと言う人間もいたが、少数派であった。それほどまでに未成年者による犯罪が増加しているのである。
ともあれ、この女の子は名札を見る限り、施設の生徒だ。そんな人間がなぜこんな所に居るのかは分からないが、関わらないに限る。乗客達はナナを極力見ないようにし、黙する事に決めたようだ。
皆川ナナは、正式にはまだ施設の生徒ではない。まだ、というだけであって、これから施設の生徒になる訳だが。
ナナは過去におこしたとある事件の所為で、異常児の烙印を押され、更正カリキュラムを受けさせられる事となった。
だが、カリキュラムを受けてもナナの性癖は改善されず、三回目のカリキュラム不合格で、家族からも見放され、施設行きとなった。
施設に送り出されるとき、ナナは全裸におむつ+名札、という格好になり、今まで迷惑をかけました、と謝罪した。
父親は目も合わせてくれなかった。
母親は虚ろな瞳で涙だけを流していた。
ゴメンね、パパ、ママ・・・私、おかしいんだ。
感傷的になりながらも、下腹部にあてられた、分厚いおむつを触る。すでに何回か失禁していた。
体の力を抜く。すぐにおしっこがアソコから溢れてくる。
おむつはもう限界だったようだ。おしっこがおむつから流れ出し、足をつたい、水溜りを作る。乗客のどよめく声。
その声を聞き、ナナはおむつを触る手を早めていった。すぐに体のほうも限界が来た。
体の制御がきかなくなる。足がガクガク震える。よだれが止まらない。
そして開放感。
と、同時に電車の扉が開く音。新たに乗車してきた客がナナを見て何事かと驚く。
その乗客達を少し冷静になった体でかき分け、電車から降りる。ホームにいる人達の視線。また少し熱くなる体を、わずかに残った理性でおさえ、駅を出る。
施設への地図を出し、ナナは思う。
どうして、こうなってしまったのだろうか、と。
ナナは自分の異常さに絶望しながらも、裸におむつという格好で歩き出す。
新しい生活を始めるために。
ただ、その新しい生活が、必ずしも希望に満ちたものでないという事は、ナナにもうすうす分かっていた。
プロローグ 終
とりあえず、シリーズっぽい感じにしようかと思います。
続くかどうかはモチベ次第という事で。

237 :
職人さん来てたー
>>235-236
年齢もシチュエーションも大好きな所で続きが待ち遠しい!
ぜひ長編化してくれー

238 :
かなり中途半端だけど、一章完成がいつになるか分からないのであげときます。
異常児更正施設「ひかり」
なんらかの事情により、まともな生活をおくる事が困難とされた小〜中学生までの児童が通う施設である。
第1章
「皆川ナナさん。異常度レベル2のBクラス。間違いない?」
「はい、そうです」
施設に着いたナナを迎えた若い女性を見てナナは少し面食らった。異常児更正施設、という恐ろしげな名前からしてもっとコワモテな職員を想像していたからだ。
「ええと、プロフィールによると・・・過去に、とある事件をおこしてから、失禁や紙おむつについて異常な興味を示すようになった。更正カリキュラムも効果が無かったため、施設に入る事になった、と」
「は、はい・・・」
淡々と、ナナの情報を読み上げる女性。その声色には感情というものが伺えない。
やっぱり、怖い人なんだ・・・
「ふむふむ、まああんたが異常だっていうのは見れば分かるわ。家からその格好で来たの?」
「・・・はい」
機械のような声で問う女性職員。
ナナはすっかり萎縮していた。職員が女の人でよかった、という気持ちはとうに失せていた。この人も施設の職員、優しい訳が無いのだ。
「ふうん、まあ、あんたみたいな変態はこの施設にはたくさんいるから、安心していいわよ」
どこが安心だというのだろう。
「さて、これからあんたはこの異常児更正施設。通称ひかりに入学する事になるわ。ご入学、おめでとう」
「どうも・・・」
その皮肉たっぷりの台詞に反応する余裕は、ナナには無かった。
「私はこの施設の・・・まあ、門番みたいなもんよ。変態に名前なんて教えたくないから、何か用があるときは門番さんでいいわよ」
「分かり、ました」
どうも、この女性、門番さん?は定期的にナナを侮辱しないと気がすまないようだ。
でも、門番さんに対し、何か文句を言う気にはなれない。自分が変態で異常者だというのは紛れも無い事実であるし、門番さんに侮蔑の言葉をぶつけられ、興奮してしまっている自分がいるからだ。
ホント、私って・・・
こんな時でも、性欲優先の自分に嫌気がさしてくる。
「どうしたの?うつむいちゃって、怖がらせちゃったかしら?」
「え?い、いえ。大丈夫です」
知らない内にうつむいてしまったナナを心配するように(相変わらず声には感情が無いが)門番さんが顔を覗き込んでくる。
怖がらせているという自覚は無かったんだろうか。さっきの変態だの異常だのという言葉は、私を怖がらせるためだと思ってたけど。もしかして天然さん?
最初は怖い人だと思ったけど、悪い人では無いのかな。
ちょっと、緊張がほぐれた、かも。
続く
エロシーンは無しです(しいて言うなら門番さんの言葉責め?)
次は荷物検査があります。
ナナちゃんのお家から届いた私物からあんなものやこんなものが出てきます。

239 :
1日3回も投下があるなんて素晴らし過ぎる
このシチュでエロシーンはさめそうだから不用だよね!
次の投下をwktkしときます

240 :
ただのgjだった

241 :
GJ

242 :
(何か変だよ……。これじゃまるで、あたしが小さい子供みたいじゃん……)

起きた時から30分も経っていない筈なのに、次々と押し寄せる理解し難い現実に、美鈴の心は既に疲れ切っていた。
昨日まで、この部屋は誰を招いても恥ずかしくない部屋であったし、姉の態度だって、対等な者に対するそれであった筈だ。それに当然、おむつなんて物心ついてから穿いた記憶などない。
全てがおかしい。けれども、その異変をどう解決するかは全く分からない美鈴だった。

「さ、お着替えして下に行こっか。朝ごはん作ったからさ」
「……ママは?」

濡れた股間を拭いてもらって、新しいおむつを穿かされた美鈴は、クローゼットに向かう姉に質問した。もしかして母親なら、この異変に気づいてくれるかもしれない、と期待を込めて。

「忘れちゃったの?」
「え?」
「お母さん達、こないだから海外出張中でしょ?一緒にお見送りしたじゃない」

あ、と美鈴は思い出した。気が動転していて失念していたが、両親は今同時に国外で仕事をしているのだ。たしか帰ってくるのは、今から2週間ほど後だっただろうか。

「大丈夫だよ。お姉ちゃんもなるべく家にいれるようにするし、夏休みだけど何人か残ってくれたから」

クローゼットから洋服一式を取り出して、彩は美鈴の元へ戻ってきた。そして美鈴のパジャマを脱がそうと手を伸ばす。

「……じぶんでやう」
「あ、本当?それじゃあ、お姉ちゃんお部屋に戻ってるから、何かあったらすぐに呼んでね」

彩は手に持った洋服を美鈴に手渡すと、頭を優しく一撫でして、美鈴の部屋から出ていった。
残された美鈴は洋服を床に置いて、クローゼットへと駆け寄る。そして上から順に引き出しを開けて、中を覗いていく。

「うしょだ……こんなの」

下に行くに連れて、美鈴の表情はどんどん硬くなっていく。だがそれも当然だろう。クローゼットに詰め込まれていたのは、およそ彼女の年齢に似つかわしくないものばかりだったのだから。

243 :
一方、隣の部屋では。

(そろそろ泣きついてくる頃かな〜)

ベッドに腰掛けて携帯を弄りながら、彩はクスッと笑いを漏らす。今のところ、彼女の想定内で事は進んでいた。
そう、想定内で。

「彩様。佐々木ですが」
「あら、どうぞ入って?」

不意にノックされたドア。その先にいる人物が執事の佐々木康介だと分かると、彩は部屋に入ってくるよう促した。

「失礼します。あの、美鈴様は……」
「自分で着替えるって言うから、任せたわ。まああの子に、ボタンが留められるかは分からないけど」

しっかりとドアを閉めると、康介は声を潜めてそう聞いた。それに対する彩の答えは、語尾に僅かな笑いを含んでいた。

「まあ今のところ、問題は無いでしょう。思ったより抵抗も激しくないしね〜」
「では、美鈴様への対応は」
「予定通り、よ。まだまだおむつ離れ出来ない、ちっちゃい子供として扱ってあげて?」

彼女達は手短に確認を済ませると、それぞれのすべき事を果たすために行動を始める。

美鈴にとってはわけの分からないこの状況だが、事実はシンプル。
全て、姉である彩の企みだった。その狙いは2つ。
1つは、彩というより、執事やメイドを含めた香坂家で暮らす者全ての為だ。
高校生になってから、美鈴の他人に対する対応は、あまり褒められたものではなくなってきた。それまで反抗期らしいものが無かった彼女にとっては、遅れてきた反抗期だったのかもしれない。
それでも、特にメイド達に対しての苛立ち紛れの仕打ちは、度を越していたと言っても過言でない。
結果として職を辞するメイドが続出したので、香坂家は対応を迫られることとなった。しかしその時点では、未だ効果的な対応を考えられずにいたのである。
そんな状況を打破したのが、もう1つの狙いーー大学院での研究を進める為に、ある大それた実験を考えた彩その人であった。
実験のテーマは、『周りの状況の変化と、それに伴う心の動き』である。要するに、日常からかけ離れた環境に置かれた人間に、どのような心理的変化が起こるのかを観察しようというのだ。
そして、その被験者として彩が選んだのが、妹である美鈴だった。
美鈴を、あたかも幼い子供の如く扱うことで、その心の動きを追う。そんな計画を、彩は両親が出発するまで心の内に秘めていた。
大事な仕事を控えた彼らに、余計な心配をかけてはいけないと考えたのが理由だ。そして両親が家を後にしてすぐに、まずは執事である康介に事情を説明。
とあるルートから手に入れた精神安定剤を眠る美鈴に2日間投与し続け、部屋の改装を進めた後、今日という日を迎えたのである。

コンコン、と何処か控えめな印象を受けるノックに、彩は携帯に向けていた視線を上げた。

244 :
ドアを開ければ予想通り、Tシャツのみを着た状態の美鈴が立っていた。デニム生地のスカートを胸元に抱えて。

「あれ?スカート穿いてないじゃない」
「らって!……らって、できないんらもん!」
「あ、ボタンかあ。いいよ、お姉ちゃんに任せて?」

ボタンが留められず、自分に助けを求めるであろうことは予想していた彩だったが、そんな素振りは見せずに、美鈴からスカートを受け取る。
そして、今や誰かを頼らなければ着替えも出来ない妹の姿に、胸が高鳴るのを禁じ得なかった。

美鈴の身体の自由が制限されているのも、舌っ足らずなのも、おむつが必要なのも全て、彩の仕業だった。前述した精神安定剤の投与の際、彼女は続けて特殊な筋弛緩剤も投与していたのである。この『特殊な環境』を、よりリアルに近づけるために。
それによって手足の筋肉には力が伝わりにくくなり、舌も回らなくなった。今の美鈴には、小さな子供ほどの運動能力しか残されておらず、括約筋にまで薬が作用しているために、僅かな尿意に対しても、我慢の効かない身体になってしまっているのだ。
だが、そんな事を美鈴が知っているわけもない。だから、スカートのボタンを留めてもらいながら、美鈴は不満で口を尖らせる。

「ねえ、ぱんちゅないの?」
「パンツ?まあ無いわけじゃないけど……」
「みす……あたし、もうこーこーせーなんらよ?おむちゅなんていやない!」

自由にならない舌で、それでも美鈴は必に主張する。もう私は高校生なんだ、おむつなんて要らないんだ、と。
そうでもしなければ、まるっきり変わってしまった周囲の環境に、呑み込まれてしまいそうだった。

「そっかー、高校生のお姉さんになった夢でも見たのかな?
でも、まだパンツは早いってお姉ちゃんは思うんだけどな」

だが、必の主張も彩には通じなかった。薄い笑みを顔に浮かべて、彩はその細い指で、美鈴の髪の毛をゆっくりと梳いていく。

「さ、早く行かないと朝ごはん冷めちゃうよ。パンツがいいなら、まずはおもらししないように頑張りなさい」
「むー……」

ほら、と差し出された手を、美鈴は渋々といった様子で掴む。なんだか次第に、彩のペースに逆らえなくなっている気がする美鈴だった。

245 :
1階に降りてダイニングへと連れて行かれた美鈴は、用意されている食事……というより食器も変化していることに気付いた。
「こえ……」
「ん?もしかしてりんごジュースの方がよかった?」
「そうじゃなふわぁ!?」
不意に後ろから抱き上げられて、美鈴は言葉を途中で飲み込んだ。首だけで振り向くと、いつの間に背後にいたのか、恰幅の良い女性が微笑んでいた。彼女が美鈴を抱き上げたようだ。
「ほらほら、美鈴様。今日の朝ごはんはお姉様が作って下さったんですから、きっと美味しいですよ」
「れ、れーこさん!?」
れーこ改め家政婦の高松玲子は、椅子の上に美鈴を座らせる。その椅子も普段の物とは異なり、少し高めに作られている子供用の椅子だった。
確かに平均をかなり下回る程の身長しかない美鈴にとって、普通の椅子では低く感じるとこは多々あったが、こんな椅子を使用していた記憶はない。
「あ、玲子さん。美鈴ちゃんのエプロン忘れてたわ。お願いできる?」
「承知しました。少しお待ち下さいね」
作るわけでもないのに、何故エプロンが必要なのだろう。そんなことを考えていた美鈴だったが、キッチンから戻ってきた玲子の手にある物を見て、唐突にその真意を理解した。
「やあ!そんなのいやない!」
「ダメよ。お洋服汚したらどうするの?ーー玲子さん、着けてあげて」
美鈴の反抗も気にせず、彩の指示が玲子に飛ぶ。
「さ、美鈴様、ちょっとだけおとなしくしていましょうね」
エプロンを持った玲子の手が、美鈴の首元に迫る。なんとかその手を阻もうとする美鈴だが、玲子は特に意に介さず、紐の両端を美鈴の首に緩く巻きつけて後ろで結んだ。
赤ちゃんの涎掛けのように、美鈴の胸元を大きく覆うエプロン。可愛らしいキャラクターが刺繍されたそれは、機能も涎掛けと同じだった。
「これでお洋服が汚れる心配も無くなったし、食べよっか。お腹空いたでしょ?」
「……」
憮然といった表情の美鈴から、返事は来なかった。ここまでの勝手な展開に対する、美鈴のささやかな抵抗だった。
「朝からご機嫌斜めねぇ」
「……ふんだ」
とにかく、さっさと朝ごはんを済ませてしまおうと、目の前に置かれたフォークに手を伸ばす。
(これもちっちゃい子が使うようなデザイン……。ホントにどうなってるの?)
改めて自分が使う食器を見る。パンの置かれた皿も、目玉焼きやソーセージの乗ったトレーも、オレンジジュースの入ったカップも、何もかもが自身の年齢に似つかわしくない、幼いデザインの物ばかり。

246 :
(た、食べにくい……)
気を取り直して食事を始めた美鈴は、自分が考えていた以上に、身体の自由度が下がっていることを痛感することになった。
まず、普通にフォークを3本の指で挟むことが出来ない。フォークを挟んで支えるだけの握力が失われているのだ。
なので美鈴は、握りこぶしを作る時のように、全ての指でフォークを持たなければならなかった。まだ食器を上手に扱えない子供と同じように。
さらに、慣れない持ち方をしているせいか、食べ物を突き刺して口元に持ってくるのも一苦労だった。
「あっ」
「あらあら、やっぱりエプロンしておいてよかったみたいね」
結局、朝食の時間に何度、食べ物を取り落としたり、汁を跳ねさせてしまったことだろう。ようやく食べ終わる頃には、美鈴の口元やエプロンは幾つかのシミで彩られていた。
「ごちそうさまでした、は?」
「……ごちとーたまでちた」
最後にエプロンの端で口を拭ってもらい、羞恥に満ちた朝食の時間は終わりを告げた。エプロンを外され、椅子から降ろされると、美鈴は小さくため息をついた。
「さてと、お姉ちゃんはちょっとやる事があるから……」
「あたちもへやにもどゆ」
「そっか。お姉ちゃんもお部屋にいるから、何かあったら呼ぶのよ?」
姉に手を引かれて部屋に向かう中、美鈴は自分の周りで何が起こっているのかを考えていた。
(初めはお姉ちゃんが変なのかと思ってたけど、どうもそうじゃないみたい)
部屋に着いた後も、彼女の考察は続く。
(玲子さんも今までと対応が全然違ったし、何より……)
顔を上げて、部屋の中を見回す。
(この部屋も、さっきの食器も。まるで前からこれが当たり前だったみたいな感じがする)
部屋の隅に置かれている箱。その中に詰め込まれているぬいぐるみの内、1体を抜き出した。よく観察すると、ぬいぐるみの足の裏にはマジックで『こうさか みすず』と自分の名前が書かれている。
何だか、急に怖くなってきた。
もしかしたら、これまでの記憶は夢で、本当の自分はまだおむつも外れていない子供なんじゃないか。もしくは、パラレルワールドにでも来てしまったんじゃないか。そんな不安が押し寄せる。
(ううん、そんな事はないはず。だってあたし、高校生だもん。そりゃ、身体はちっちゃいけど、さ)
美鈴は頭をブルブルと振って、ベッドに腰掛けた。気分転換に何かをしょうと思い立った彼女は、では何をしようかと視線を彷徨わせる。
(そうだ!そういえばあの時……)
ーー『パンツ?まあ無いわけじゃないけど……』ーー

パンツがいい、と主張した時の彩の返事を思い出す。確かにあの時の姉の答えは、どこかにパンツがあるというニュアンスのものだった。

247 :
(さっきはショックが大きすぎて、あんまりよく見たりはしなかったけど……)
勢いよくベッドから立ち上がった美鈴は、先程も中を確認したクローゼットに再び手を掛ける。意を決して引き出しを開ければ、ついさっき見た時と同じで、幼いデザインのTシャツやブラウスで溢れかえっていた。
(この段には無い、かな)
次々と、しかし今回はじっくりと詰め込まれた服を観察しながら、引き出しを開けていく。そうして、1番下の段を引き出した時だった。
「あっちゃ!」
思わず、美鈴の口から声が出る。布の塊を掴み出して広げると、それは確かにパンツだった。
ーーパンツではあったのだが。
(やけに厚ぼったいパンツね)
もう柄に関しては、大方予想が付いていたので特に驚きは無い。だが、全体的にモコモコと厚ぼったく作られているのは予想外だった。
実は彩の言う『パンツ』は、普通のショーツではなく、トイレトレーニング中の幼児が使うようなトレーニングパンツを指していたりするのだが、一高校生の美鈴にそんな事が分かるはずもない。
だから美鈴は、すぐさま今まで穿いていた紙おむつを脱ぐと、取り出したトレーニングパンツに足を通した。そしてそのまま腰まで引き上げる。
(何か変な感じ……)
妙に肌触りのよい内側の感触や、ヘソのすぐ下までを覆うモコモコとした感触に、未だ違和感を拭えない美鈴ではあったが、おむつを脱ぐ事でようやく、自身の意思で物事を進められたような気がしていた。
……ほんの少しだけ、起きた際に脱がされたおむつの、黄色く染まった内側の光景が頭をよぎったが、その記憶を美鈴は強引に押しした。
そうして、何とか心に余裕を持てた美鈴は、改めて部屋にある物に目を向けた。
ふと、本棚が目に留まった。何か面白い本でも無いかと、美鈴は背表紙を目で追い始める。
(なんだ、絵本ばっかり)
美鈴の期待は、すぐに消えてしまった。本棚にあるのはほとんどが絵本で、その他に幼児向けアニメのDVDやそのキャラクターブックがあるだけだったのだから。
とはいえ、他に暇を潰せそうな物は無い。たまには新鮮でいいか、と美鈴は絵本を1冊本棚から抜き取った。


それから、10分程後のこと。
「ど、どーしよ……」
美鈴は呆然とした様子で、小さく呟いた。視線の先には、先程まで自分が座って本を読んでいたベッドがある。

248 :
よく見ると、まさに美鈴が腰掛けていた辺りが、水でも零したような染みで黒ずんでいた。
(何で……?)
突然の出来事だった。
(……全然、我慢できなかった)
初めは、僅かに尿意を覚えただけだ。別に、危機感を覚えるまでもない程の。
ーーそのはずだったのに。自分の意思に関係なく下腹部に妙な温かさを感じたのは、それからすぐのことだった。
慌てて立ち上がった時には既に遅く、トレーニングパンツのみならず、そこから漏れ出したおしっこで座っていたベッドまで濡らしてしまっていた。
(こんなところ見られたら……)
「美鈴様ーー?」
「!!?」
不意のノックに、美鈴の心臓が跳ね上がった。遅れて聞こえてきたのは、まだ若い家政婦の声。
「お休み中すみません。お布団とシーツを干してしまおうと思うのですが、入ってもよろしいでしょうか?」
「え、あ、あの」
突然の事で、咄嗟に言葉が出てこない。頭の中が真っ白になる。
「美鈴様ー?……失礼します」
一向に返事が来ないのを不審に思ったのだろう。遠慮がちな家政婦の声に続いて、ドアを開けるガチャリという音が美鈴の耳に届いた。
その音でようやく我に返った美鈴だが、ドアを止めるまでには至らない。
「美鈴様、いらっしゃったんですね」
「あ、えと、らめ!らめなの!」
「? 何がですか?」
美鈴の声に首を傾げながら、シーツを取ってしまおうとベッドに目を向けた家政婦。当然、美鈴の失敗の跡が彼女の目にも留まってしまう。
「……美鈴様?ちょっとこちらに来ていただけますか?」
「……いや」
「じゃあ動かないでくださいね」
「やあってばぁ!」
ふぅ、と1つため息をついて、家政婦は美鈴の前で座り込んだ。逃げようとする美鈴だったが、能力の落ちた脚ではそれも叶わない。
家政婦はそんな美鈴の両脇に手を差し入れて、自分の膝に座らせる。そして美鈴のスカートをパッと捲り上げた。
「あら、今日はパンツのお姉さんなんですね。ーーいや、勝手に穿いたんですか」
「……」
家政婦は美鈴がパンツを穿いているのを不思議に思っているようだったが、部屋の隅に脱ぎ捨てられた紙おむつを見て、納得顔になった。
「気持ち悪かったでしょう?すぐきれいにしてしまいますからね」
「じぶんでやう!」
「いえ、私は彩様から、ご本人が手を離せない際の美鈴様のお世話を仰せつかっております。お任せくださいね」
家政婦はそう言ってニッコリと笑うと、美鈴のぐっしょりと濡れたトレーニングパンツに手を掛け、クルクルと丸めるようにして脱がせていく。
おむつの時よりもはっきりと、おしっこの色が残るパンツのクロッチを目にして、美鈴の頬がカッと赤くなる。

249 :
「トレーニングパンツはあんまり沢山しちゃうと、漏れちゃいますから。全部出る前にトイレに行けるようになるまでは、おむつにしましょう?」
「……とえーにんぐぱんちゅ?」
身を焼くような羞恥で顔を伏せていた美鈴は、聞き慣れない単語に、僅かに顔を上げた。
「はい。もう少しお姉さんになれたら、穿かせてあげますよ。今回のようにいっぱい出ちゃったら漏れてしまいますけど、おちびり位ならおむつみたいに吸収してくれますから」
「じ、じゃあふちゅうのぱんちゅは?」
恐る恐るといった様子で、美鈴が尋ねる。それに対する答えは、直ぐに返ってきた。
「ありませんよ?美鈴様にはまだまだ必要無い物のようですから」
どこか嘲るような雰囲気を乗せて、若い家政婦は言い聞かせる。
その言葉が悔しくて、恥ずかしくて。
「ふじゃけないでよ!!あたしはもうこーこーせーなの!おむちゅなんていやないんらからぁ!!」
「み、美鈴様!?」
美鈴がここまで声を荒げるとは予想していなかったのだろう、家政婦は目を丸くして言葉を飲み込んでしまう。
「いっく……!なんれ……なんれよ……!!うわあぁぁぁぁん!!!」
「み、美鈴様、落ち着いて……」
家政婦に言葉をぶつけているうちに、いつしか美鈴の目には大粒の涙が浮かんでいた。今日が始まってから抱いてきた、不安や不満といった感情が、堰を切ったように溢れ出したのだ。
(ど、どうしよう……)
そんな美鈴を前にして、家政婦は困惑の色を隠せなかった。
たしかに、彩からはこの実験の説明を受けていたし、美鈴の心がどう転がるかはわからないとも言われていた。しかし、ここまで美鈴が感情を爆発させるとは予想していなかった。
ーー美鈴が直情的な人物であることは、身に染みて分かっていたはずなのに。
「あらあら、騒がしいと思ったら……」
「あ、彩様!」
そんな状況に助け舟を出したのが、姉である彩だった。美鈴の泣き喚く声を聞きつけて、やって来たらしい。
「美鈴ちゃん、どうしたのかな?」
「うえええええ……!!ヒック、ぐす……」
「ごめんね、北條さん。美鈴ちゃんは私が見てるから、洗い物お願いできる?」
「は、はい!」
ちょっとやそっとでは泣き止みそうにないと判断して、彩は傍らの家政婦ーー北條尚美に布団など洗濯物を持っていくよう指示を出した。その指示の裏に、一度この部屋から離れろという真意があることを読み取って、尚美は慌てて部屋を後にする。

250 :
それから、どうやって宥めたのか。

「入っていいわよ?」
「は、はい。失礼します」

数十分ほどして、尚美が再び美鈴の部屋を訪れた時には、彩の腕の中で美鈴は既に安らかな寝息をたてていた。その寝顔からは、先程のような激情は見受けられない。

「きっと泣き疲れたんでしょうね。あの後もずっと泣いてたんだけど、おとなしくなったと思ったらすぐに寝ちゃったわ」
「……申し訳ありませんでした」

薄く笑いながら妹を見下ろす彩に、尚美は頭を下げた。

「いいのよ。あなたがこの子にどんな感情を抱いているのか、わからないわけじゃないし。
ただ、必要以上に美鈴を辱めるのはダメ。私の実験に支障が出ちゃうからね」
「は、はい!」

尚美の返事に満足げなひょうじょうを浮かべて、彩の視線は再び美鈴に注がれる。

「よいしょっ……と。この時間だし、またすぐに目を覚ますでしょう」

寝ている人間というのはそれだけで、脱力しているため重たくなる。彩から美鈴の身体を預けられた尚美は、その重みに何故か心臓がドクン、と高鳴るのを感じた。

「その後はお願いね、北條さん?」
「え、あ、はい……」

しどろもどろになりながらも応える尚美の様子に、彩はくすっと笑いをこぼした。


(環境の変化が、心をどう変化させるか、か……)

美鈴の部屋を後にして、自室へと戻る間に頭をよぎるのは、この実験のメインテーマ。

(……被験者は、1人に絞らない方がいいのかもね)

ふと浮かんだアイデアを、彩は歓迎する。多少の誤差も、突然湧いて出る可能性も、今ならマイナスにはならない。
だって実験はまだ、始まったばかりなのだから。

251 :
お久しぶりです。>>222を書いた者です。
今回続きをアップするとともに、名前欄にタイトルも入れてみました。
とりあえずこれで第一部は終了です。お目汚し失礼しました。

252 :
>>251
素晴らしいおむ汚し、ご苦労さまでした!
次回も凄まじいおむ汚し期待してますよ

253 :
( ・∀・)イイ!!
第2部に期待がかかる!

254 :
Very G・J!サンクス(・∀・)ノ
*>243の執事と彩さんの会話のは、こうした方が読みやすいのではないでしょうか?
「失礼します。あの、美鈴様は……」
しっかりとドアを閉めると、康介は声を潜めてそう聞いた。
「自分で着替えるって言うから、任せたわ。まああの子に、ボタンが留められるかは分からないけど」
それに対する彩の答えは、語尾に僅かな笑いを含んでいた。

255 :
今後に期待
胸が熱くなるなー

256 :
保守揚げ

257 :
保守

258 :
てすてす

259 :
連投するよ
先に言っておくと、これ小説じゃないんだ
パラフィック・インファンタリズム(英語:Paraphilic infantilism)について書かれた英文のwikipediaを和訳したもんだ
妄想じゃなくお堅い文章でスレチかも知れないけど、広義の読み物って事でここはどうか一つ
本題の前に日本版から
性的倒錯
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%A7%E7%9A%84%E5%80%92%E9%8C%AF#.E6.80.A7.E7.9B.AE.E6.A8.99.E5.80.92.E9.8C.AF
> オートネピオフィリア(幼児行動性愛)
> 赤ん坊や幼児のように振る舞う状況への性的嗜好。広義には、幼児のおむつやおしゃぶりへの嗜好なども指す「パラフィック・インファンタリズム(英語:Paraphilic infantilism)」に含まれる。「エイジプレイ(英語:Ageplay)」も参照のこと。英語:Autonepiophilia
とある
※注:
後述するがPIは幅が広く、その一分野がAutonepiophilia
おむつやおしゃぶりを好むPIでありながら、幼児性の振る舞いを行わない人も

260 :
・Paraphilic infantilism(訳注:正式な略語ではないですが、以後PIと表記。またinfantist、つまりPIの人に関してもPIと表記しています)
http://en.wikipedia.org/wiki/Paraphilic_infantilism
 幼児期の性感経験については「小児性欲」へ
 幼児行動性愛やアダルトベビー症候群としても知られているPIは幼児回帰したかのように振る舞う事への性的嗜好である。ほ乳瓶から物を飲んだりオムツを履くことも含む。
優しくされ、世話をされたり(幼児プレイのみをする人はアダルトベビーとして知られる)、またはマゾヒスティックな罰を受けたり、また屈辱的な体験をしたりする。
 おむつフェチは性的またはエロチックな理由からオムツを履くことを好む「diaper lover」を含むが、幼児性の振る舞いを伴わない場合もある。両者を伴うのが「AB/DL」(adult baby/diaper lovers)である。
 オムツを履いている時、その人はおむつの中におしっこ、うんちをする。
 PIは原因不明であり、研究調査はわずかしかされていない。
 これは性的倒錯の一種であり、マゾヒズムに繋がっている。しばしば幼児性愛(ペドフィリア)と混同されるが、これとPIは異なっており、PIの人は性的なパートナーとして幼児を必要としない。
 lovemapの変質、性的対象への条件付けの失敗とエラーなど、原因について様々な仮説が立てられたが統一した見解は出ていない。
 いくつもの組織がPIの周知と、PI同士の交流のために存在する。
・特徴・性質
 PIはおおまかに「Adult baby」と「Sissy baby」(異性の幼児として振る舞う)に分かれる。
※訳注:sissyとは「めめしい男子」の事
 またこのどちらにも、「オムツは履くが幼児的な振る舞いはしない人」や「オムツ愛好家」、「SMの道具としてオムツを使う人」が居る。
 カテゴリは分かれているが、実際には各グループで見られる行動に重なりがある。
 「Adult baby」が性的刺激のために赤ちゃんや小さな子供のように振る舞うのはPIの象徴的行動と見なされている。
 振る舞いには、妄想にリアリティを与えるため、大人サイズのおむつ、赤ちゃん服、おもちゃ、ベビーベッドのような家具を使用したり、床をはいはいしたり、人によってはおむつにおしっこやうんちをする事も含む。
 パートナーが承諾すれば「Adult baby」はお風呂に入れて貰い、ベビーパウダーをはたいてオムツを交換し、ほ乳瓶と一緒にベッドに寝かせるような親子プレイ(赤ちゃんプレイ?)をする。人によっては授乳も。
 そして「Adult baby」はパートナーに親としてあやされ、甘やかされて、またオムツが濡れたり汚れた時は交換して貰う。
 人によってはおむつを濡らしたり汚した時、叱られ、ひっぱたかれ折檻される儀式がある。この例はマゾヒスティックである。
 他の人は単に優しくされ、世話をされる事を望む……お世話をされたいとか、大人としての生活の重圧を捨て去りたいという願望から。
 また人によっては自慰行為をする……他の人は、性に触れるのは赤ちゃんのようでないから、と自慰行為しないことを選ぶが。
 これらの形態のどれから引き出される性的快感も、絶頂に達するための性交の必要性に置き換えることが出来る。
 引用された博士論文の調査によると、PIは基本的に男、平均して38歳で安定雇用、高学歴(訳注:外国基準での高学歴?)で、しばしば結婚しているか固定的なパートナーが居る。
 しかしながらPIについての研究が少なく、自分をPIと認識している女性が少なく、この調査がどれほど正確であるかは不明確だ。
・調査
 性的倒錯は発生率や有病率について有用な情報がない。性的倒錯の人はその本性(性的嗜好)をしばしば秘密にしているせいだ。同様に、PIも秘密にされてきたと見られ、医学論文で詳細に論じられていない。
 もし異常な行動が実損に繋がらないなら、個人的・あるいは家族や周囲への悩みなら、精神医学的な発見と知識から外れてしまうことがある。
 付け加えるならPIの人は自分を、病気に苦しんでいるとか行いを変えたいとか考えない。これは他の性的倒錯の人と共通の現象である。
 PIの人は治療を他の精神病として受けたり、また周囲に性的嗜好について知られた時、治療を受けることを促されたり強制されたりする。
 これらの論点はネット上の、PIによる匿名のコミュニティから見て取れる。

261 :
・他の性的嗜好との関係
 PIはまとまりのない現象で、異なる専門家が様々な医学的・性科学的な区分けによるアプローチを試みてきた。
 定義
 PIの従来の定義は、幼児性の残留と性的成熟の失敗であり、また「性的幼稚性」は医学的に、思春期遅発症の同義語としても使われた。また「性心理の幼稚性」は、フロイトの性発達論における性器期につまづいた人を説明するために使われた。
心理学者 ヴィルヘルムシュテケルは、「幼稚性性的倒錯」という言葉を、PIや他の性的嗜好を含む、性的倒錯のカテゴリーとして使用。
 マゾヒズム
 精神障害の診断と統計マニュアル (DSM)は、(PIを、)他の症例とともにマゾヒズムとして示す。「……無力な幼児として扱われ、おむつを身につける欲求を持っているのだろう」そして、その(PIとマゾの)関連づけが他者にも繰り返される。
 心理学者D.リチャード ローズとウィリアムO'Donohue は「PIも性的マゾヒズムに分類できる。性的マゾヒズムの要件を常に満たしているか疑問ではあるが……例えば、幼児性の振る舞いが羞恥や嫌悪感を伴わないので、
性的マゾヒズムの診断には当たらない。同時にPIが(マゾ以外の種類の性的倒錯にはもっと当てはまらないが)それ自体が性的倒錯であるとの診断は自明」
 性科学者 ジョン・マネーは著書「lovemaps」にてPIにありうるものと「自虐規律と屈辱の補助(訳注:精神医学用語?)」と描写。
 性科学者ウィリアムB.アーントは、フェティシズム・女装趣味・マゾヒズムの複合形態がPIと考えた。
 ヴィルヘルムシュテケルはSMを「性心理の幼稚性」の一形態と定義。
 小児性愛
 小児性愛とPIの混同はよくある誤解である。しかしPIはもっぱらロールプレイングを伴う他の大人との性的関係であり、ペドや、その他の児童性的虐待(性的嗜好)とは何の関係もない。
性科学者グロリアブレームは「自らの性的嗜好を認め受け容れているPIは――PIの原因として幼児期のトラウマもあり得る――実在の子供に対しては特に庇護的な傾向がある」と述べる
 ジョンマネーは「おむつフェチストはおむつを履いている赤ちゃんの方に性的興味を持っているかも知れないけれど、PIは赤ちゃんを性的パートナーにしたいのではなく自分が赤ちゃんになりたいのだ」と述べる。
 1993年、性科学者レイ・ブランチャードとクルトフロイントはPIについての一連のケーススタディを公開で議論し、PIと小児性愛の違いを明らかにした。小児性愛者は児童(と関連物品)に、性的パートナーとする欲求という形で惹かれたが、
PIは自分自身が子供になる想像をし、幼児的な物品(訳注:おしゃぶり等か)を、パートナーである大人の女性と自分との(年齢的?)差異を際立たせる道具と見る、マゾヒスティックなな空想をした。
 その他の条件について
 現存する臨床ケースの数少ない報告では、いくつかの臨床医の観点から「精神疾患の一種の症例に見られる(行動)」と、幼稚性の行動を強迫性障害に関連づける。
またはレイ・ブランチャードの'autogynephiliaのコンセプトに類似した自体愛の形態として、性同一性障害の一ケースに関連づけられた。
 精神科医ジェイFeiermanはPIをクロノフィリアの形態と見なした。彼らは同年代の性的パートナーを求めるが、彼らが持つ性的年齢は生物学的な年齢と合致していないのではないか。
 2011年、性行動のアーカイブ(ASB)における「編集者への手紙」で、いくつかのケーススタディを見直し、性的虐待の共通歴史を記した。
 おむつフェティシズム
 おむつフェチストは自分が赤ちゃんになるところなど想像しない。 むしろ、彼らはしばしばおむつを「させる側」になりたがる。
 ジョン・マネーは、がPIとおむつフェチの違いを論ずるには、後者は服装という条件に性的に惹き付けられるが、PIはフェチ的ではない倒錯を、年齢的な観点から幼くなることに向けている(訳注:誤訳かも。ニュアンスで伝わってくれ)。
 異性装
 通常は男性であるPIは、しばしば女装趣味も持ち、典型的な幼い少女の格好をする。この種は「Sissy baby」である。マゾヒスティックなPIはしばしば、無理矢理女装させられる状況を望む。(訳注:確かにおむつ系作品で多いよね、強制女装って)

262 :
・原因
 これまでPIの原因や発生率について広範な科学的研究は一般に行われていない。 これはPI自体の希少性と、そのうちの少ししかプロのメンタルヘルスカウンセリングを受けないこと、さらにそのうちの少ししかPI専門家の元に結びつかないことが理由。
 精神科医のジェニファーパテとグレン・ゴダードによる2002年の症例報告では、彼らは(PIについて)あまり調べず、発見した患者の疾患のカテゴリ分けを欠いたDSMを提案していた。
PIの原因についての研究は一般的に言ってほとんどなく、2008年には本質的に足踏み状態になっていた。
犯罪学者スティーブンとロナルド・ホームズは「PIの原因に単純な答えはないが、幼児性の行動が女装と同様のストレス軽減の要素を含むと思われる」と。
 Lovemap理論
 ジョン・マネーの提唱したlovemapとは(訳注:関係ないけどジョンマネーは、割礼に失敗し竿の大部分を失った男児を独断で性転換させた曰く付きのおっさん)
 「妄想したり実際に関係を持つ理想の性的パートナーや性交渉の形を表す、精神と脳の発達のテンプレート」
 ラブマップは一生続く性的テンプレートとして、通常八歳までに完成すると、マネーは考えた。また、全ての性倒錯は9-12歳期における、ストレスやいくつかの要因による異常なラブマップの形成が引き起こすと。
 マネーは1984年に"autonepiophilia"を、おむつ愛好家、おむつフェチを表す造語として作った。Neponはギリシャ語で幼児。
 刷り込み
 他に考えられる原因の中で、刷り込みに似たプロセスによって確立される性的テンプレート、という仮説が立てられている。性成長の重要段階で女性器に触れられなかったために、手近な視覚・嗅覚情報に対して性的刷り込みが行われる。
 PIの場合は、母親のしつけやおむつを履くことに、痛みや羞恥、性的関心との関係性を作っている。
 エロティック・ターゲット・エラー
 付加的な理論としてPIは、セックスパートナーではなく自己を性的対象とした性同一性障害であるということである。また、子供だった時のエロティック・ターゲットが反転したエロティック・ターゲット・エラーの結果である。
 1993年にレイ・ブランチャードとクルトフロイントによって提案されたこのモデルによると、PIは自分が子供になる事に性的関心を惹かれる。
・歴史
 adult babyのための最初のパブリックイベントは"ベイビーウィーク"、サンフランシスコで1990年代初頭に開催された。
その後、インターネット、書籍、雑誌、オーディオとビデオのテープ等、多数のウェブサイトで、四六時中コミュニケーションの取られる主要なフォーラムとなった。
PIは西洋含む諸国、米国 、イギリス、ドイツとオーストラリアで性的マイノリティとして登場した(認知された)。
 サンフランシスコで設立された組織"Diaper Pail Friends"は、雑誌の記事を通じて、1995年に約3,000人規模に成長した……書籍、トークショーやインターネットを通じて。
結果が公表されていないものの、組織は性科学者のグループによって1995年に研究調査を行った。
 2001年にはニューヨークの組織 "Still in Diapers"がおむつフェチストのために設立された。2008年には"Diaper Pail Friends"は全国的な組織へと拡大し15,000会員を公称している。
(訳注:コミュ力半端ねえ、と言うか、変なものは隠したがる日本に対して、明らかにして社会に広めて行く文化なんだろうな)

263 :
以上。元になった論文とかは読んでないし、誤訳もあるかもしんない
googleでざっと翻訳した後で、TOEFL四十(ピー)点の英語力を総動員して和訳した
さて、ここからはアッシの私見
上ではPIの年齢について言及してるけど、アッシは2つか3つの頃にはおむつにドキドキしてたし
それが第二次性徴期になったら自然と性的関心に結びついた感じで
未だにそれが続いてるから、年齢によって出たり消えたりするものじゃないよなあ、と思うね
ところで、ロリペドとおむつ好きの違いは割と意識されてるけど
PIとおむつフェチの違いってあんまり意識されてないんじゃないかな?
だいたいひっくるめてPIもおむつフェチと呼ばれてる
珍しい趣味だから分析がなかなか行われないってのが理由だろうか
つまり、おむつの女の子が出てくる話で、自分は外側に立っておむつを履かせたいのか
それとも女の子に自己投影しておむつを履かされたいのかって所
似てるようで全然違うんだねこれがまた
別に作品作りの上では書き分ける必要ない、ってのが本当のところかも知れないけどw
エイジプレイってノーマルの人もやるっぽいけど、ボーダーラインは何処
アッシはま●こにハメたいと思ったことが一度たりともないんで、それがPIとただのおむつ好きの違いだったりすんのかな?
と、思ってるけど
あと最後の所見て気付かされたんだけど、PIってのは同性愛なんかより遥かにマイナーな
性的マイノリティの一種なんだな、少なくとも今のところ
同性婚を認める国も増えてる中で、性的マイノリティを病気と見なし「ゲイを治療する」なんて言いぐさが
どれだけ暴力的で無理解で反知性的か、ちょっと考えりゃ分かるだろうけど(つうかそれじゃ同性愛者を処刑したナチスドイツだな)
実は「PIを治療する」も同じなんだよね、それ
クソ長え話でした
スレチの声が特にでなければ、そのうち別のPIを分析した文章も和訳してみるかも

264 :
追記
いつできるか分からないけど、投下用の小説も今書いてるっす
今、既に20DP以上あるんで今日の連投以上の長編になりそうですが

265 :
非常に勉強になった。ありがとう。
メンヘラなわけではないんだが、今この件で試しにカウンセリングを受けてるよ。
何かわかったことがあったら俺も書き込む。
小説期待してます。

266 :
お疲れ様でした。そして非常に興味深い話だった。
小説の方も期待してます。

267 :
>>264
翻訳乙です
小説の連投が大変ならアップロダに上げてもいいのよ

268 :
ちょっとだけスレ汚させて
私の名前は上野美紀。かつて「クスリ」をやってた。
今は長い入院生活をを終えて、社会的なリハビリテーションに移っていて、私は週に1回の薬物依存者のための自助グループに通いながら、地元のNPOに常設ボランティアとして参加してる。
医者からは「これで終わったわけではなく、むしろこれからが大事になってくる事を忘れないように」と言われた。
今思い出せば確かに、医者の言うとおりだった。
いつも通りの日課をこなしていたらちょうど寝る時間になってた・・・
今日は結構動いたし、何か疲れた。でも今日も1日が清々しかった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ハイ、コレネ。3マンエンネ」「2万にして・・・」「2マン?シカタナイ・・・ホラ、2マンデヤルヨ」「・・・どうも」「警察だ!そこを動くな!」「それを地面に落とせ!地面に落とせ!」
「ワカタワカタ。オトナシクスルヨ」「拳銃?私をしに来たの!?」
「ウォン・リー並び上野美紀。礼状に従い向精神薬取締法により逮捕する」「触らないで!触らないでっ!」「動くなっ!」「さわらないでーーーーーーーーーっ!!!」
「動くな!おとなしくしろ!」「ギャーーーーーーーーーーさくぁwせdrftgyふじこlp!!!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「医者は・・・・・・のか?」 「私をすんでしょ?すんでしょ?」「巡・・長・・・・・・・が・・・着しました」
「上野さん・・・ね」「私をすの?」「しはしないよ。私は医・・・の北条だよ」「あなたは医者じゃない。私をしに来たのでしょ?」「それは・・・私・・・」
「ここから出してーーーーーっ!ココカラダシテーーーーーーーーーーーッ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・「あっ!」
あのときの事が鮮明に蘇る・・・まるでそこにいるように・・・当たりを見回して見ると、まだ外は真っ暗だった・・・
ということで次回に続く
自らの過去が夢となって鮮明に出てくる美紀。次はどの時の夢を見るのだろうか?それともいい夢を見るのか・・・

269 :
>>268
なにこのアツいストーリー
続きはよ

270 :
状況描写がない時は、美紀は夢の中に居ると思っていてくれ
したら続き
「まだ夜だったか・・・」と言いながら美紀は置時計を見て、それからしばらくして再び美紀は記憶の中へと入り込んでしまった。
「一つ、私達は・・・」
「あなたは今非常に危険な状態だ」
「やえてーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
「あなたは今この錯乱状態を耐えなければいけない」
「・・・・・・で失敗しても・・・・・・・・。私達が看病するから」
「石崎婦長。上野さんが禁・・・・・・・・・」
「いやああああああああああ!!!」
「トイレに行かせてえええええええええっ!!!私を自由にさせてええええええっ!」
「上野・・・美紀・・・」
「コレウツトアイスノスウジュウウバイhighニナレルヨ」
(何か近づいてる・・・近づかないで・・・チカヅカナイデ)
「オメデトウ・・・シカシ・・・コレデオワッタワケデハナク、ムシロコレカラガダイジニナッテクルコト・・・」
(ぁあああああああああああああああああああっ!!!!)
「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」
(最悪の目覚め・・・最悪の・・・
今度の夢は、まるで走馬灯のように、いろんな人達の言葉が次々と脳内で再生された・・・
その一言一言が何かパーツのように組み立てられて、その「部品達」が意識を持ったかのように私に向かって・・・
あっ・・・何かパンツ湿ってる・・・寝てる間に生理でも来たのかな・・・?)
と言って美紀は静かにパジャマを脱ぎ、少し上体を起こしてショーツの上体を確かめた。
「あっ・・・少しパンツ濡れてる」
と言いつつ、美紀はクロッチを少しつまんで、湿った液体の匂いを確かめてみた
(えっ・・・この匂い・・・おしっこ?)
あまりの恐怖からなのか・・・寝ているうちに尿が漏れだしていたみたいだ
「もう・・・最悪。そんな年じゃないのに・・・」
時間は朝7時の事だった。今日は10時から法人の方に行く約束だ
「こんな事考えて居る暇無いや。支度しないと」
こうして、今日も美紀の1日が始まるのであった。
畜生2スレ消費しても本丸に入らんかったotz

271 :
続きの本丸に期待が高まる
一応つっこみ入れとくとスレじゃなくてレスな
本当に2スレ消費する大作にを期待しとこうかw

272 :
グインサーガでも書かせる気かw

273 :
昔世にも奇妙な物語で病院で記憶消される話あったな
美紀のいる病院も普通じゃないんだろうな

274 :
文書起こしの元となるイメージだけがブクブク膨らんでゆく今日この頃・・・
私はボランティアスタッフとして法人に加入しながら、所属している施設の施設長から様々な手ほどきを受けてきた。
最近は施設長の勧めで、国家資格に挑戦しようと思いもした。
施設長からは
「今は精神に障害(※)を持った人でも資格持っている人いるからできるんじゃない?」
と軽〜い感じでも言われた。それに触発されてだろうか?どの資格がいいかな・・・って迷っているうちに時間は過ぎ、あっという間に終了の時間となった。
特に私はどこにもよる事もなく、家に帰って来た。
今日はもうこれ以上家から出る用事もない・・・と思うと、一足先にパジャマに着替えていた。
私は鞄の中から携帯電話を取り出そうと思って、ポケットを空けたんだけど、その隣にある手帳に先に手が言ってしまった。本当に無意識の間にだ・・・
「障害者・・・手帳」
気がついたら私はその手帳を開いていた
(名前・・・上野 美紀
 住所・・・札幌市西区二十四軒3条1丁目・コーポ「雪葉」204号室
 生年月日・・・H01.04.09
 性別・・・女
 障害等級・・・1級
 手帳番号・・・042219
 交付日・・・H24.07.13
 有効期限・・・H26.07.13)
これが・・・ほんの一時の快楽の「終着点」だ。
本当であれば、結婚して、2人で仲睦ましく生きているはずだった。
だが、これが「現実」だ・・・
働くことも出来ない・・・ひとたび人波に出れば何をするにも「基地外」と見られてしまう・・・
これが、あっけない「終着点」だ・・・
「手帳」をしまうと、何をするでもなく、ソファと化しているベッドに腰掛けて、ただただバラエティ番組を見ていた。
ただ・・・「現実」を改めて思い出してしまった私は、まるで石に掘り込まれた顔のようにしかなれなかった。
そのうち、もう寝るのにちょうどいい時間になった。
・・・今日の事は、早く忘れたい・・・
その気持ちで、部屋の明かりを消して、布団に深くもぐりこむようにして眠りについた

大作と言うよりただのブロートノベルwww 

275 :
つくづく文才が無いと感じたotz
本編に入る前に前レスで忘れてた※の説明から
※厚生省が発行した保健医療局長通知によると、外因性精神病のうち、精神作用性の医薬品の過剰摂取または依存形成により引き起こされる異常な行動ならび妄想等精神的症状は、精神障害者保健福祉手帳の取得基準
に合致。即ち精神障害者として認定される。
で続き
今回から早速本丸入るので、汚物表現がっつり注意
何か遠くから声が聞こえてくる。時を追うたびに鮮明に、鮮明になってくる
「・・・・・・・・ああああああっ!放してええええええっ。されるーーーーーーーっ」
「駄目だ。想定よりも抵抗がひどい」
「先生、沈静剤を・・・」「駄目だ!もしかしたらジベンゾピアンも乱用してたかもしれない」
「これしかない・・・拘束の準備だ。早く!」
「はい先生!」
「放してえええええええええええええええっ!!!!!」
「落ち着きなさい!私達はあなたをさない!ここは病院!あなたからクスリを抜くためにいる!」
「嘘おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!私をすぅぅぅぅぅぅっぅぅっ!」
「先生準備が出来ました」「あああああああぁぁぁぁぁっもう私をしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!」
「先生拘束時間は?」「今から6時間」「はいっ!」
「今から上野さんの身を守るために、身体拘束を行います!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!私をすうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!」
「婦長。長時間の拘束となりますので、恐らく排泄」「そうだった急いで持ってきて」「はい!」
「私はぁぁぁぁぁぁぁぁぁkふぃあんwp@く♪☆trゝe。
 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
「あっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぽう魔ん;v★mdЗ‴⊥♪!!!!!」
「婦長。持ってきました」「当てて」「当てるって・・・」「あなたが当てるのよ!わかるでしょ?」「・・・はいっ」
「上野さんいまからパンツ取り替えますねっ!汗すごくかいているので」
「婦長・・・」「いいから早く当てなさい!」「はいっ!」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「パンツは・・・?」「はい、ハサミ。これで両側をそっと切りなさい!」「はいっ!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!私ぬーーーーーーーーーーーーーっ!。@さ#はt0*з∴いWうぇrt♪っ!!!!!」
「急いで!」「はいっ!」
「しあdf;k、。ぁひお”#)$8:。さkjEIJl;いあglk!!!!!!!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・出来ました!」「よし。全員撤収だ!」「はいっ」
「あぁぁぁぁぁっ!!!$=l;:lkj5−0asはt}おいれあЫ♪$”=4★っ!!!!!!」
明日朝早いためこの辺りで勘弁して。済まない

276 :
>>275
いいから続けたまえww

277 :
細切れ投下じゃなくて、ある程度書き溜めてから
投下した方がいいんじゃないかな…

278 :
続きなのだw
上と同じく汚物表現がっつり注意なのだ。今度こそ本当にw

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ・・・・・・・・・・・・・・・・」
(しょわわわわわわわわわわっ)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・おはよう上野さん」「・・・・・・あなた・・・誰・・・?」
「私は、この病棟の主任看護士をしてる石崎陽奈。こっちは助手の葭原咲枝。葭原さんはまだこの病棟初めてだから、何か気悪くするようなこと言っても笑って許してやってね」
「私・・・捕まったの・・・?檻みたいな所に入ってて・・・」「覚えてなかった・・・」「やめなさい!・・・ごめんね。葭原さんはまだこの病棟初めてだから」
「・・・これから、上野さんはこの病院で、薬物への依存から精神・身体共に離脱するために色々な事をします。大丈夫。私達がしっかりと見守っててあげるから」
「・・・はい・・・」「あ、そうそう。これ検温と血圧ね。両方計るからね。葭原さんバイタルの準備して」「はいっ!」
「私・・・これからどうなるの?」「これからは・・・しばらくはここでいろんな事を学んでおいたほうがいいね。今はまだ何も考えられないと思うけど。とりあえず、この「拘束具」ほどいちゃうね」「・・・」
「婦長持ってきました」「すぐチェックして」「はいっ!したら腕まくりますね。あとこれ脇に差してくださいね」「・・・・・・・・・」
(ピピピピッ)
「えっと・・・上115の下72。体温は36度4分・・・っと」
「あの!・・・・・えっと・・・・・・・何か・・・私・・・・・・・・・・・・生理・・・・・・・・・・・・・・・・・・来てるみたいです」
(でも、何かナプキンとは違う・・・ごわごわしたようなもこもこしたような・・・・・・・・・・・・)
「あ、そうだよね。ここは私がやるわ」「はいっ!」
「じゃあちょっと下着脱がせますね」「いやっ・・・」
「上原さん・・・あなたは今・・・パンツじゃなくて、おむつを当ててるの」
 「えっ!何で・・・何で私が・・・」
「大丈夫、落ち着いて。
 ・・・今の上野さんは、病院に入りたてだから、クスリが切れると境目も無く、上野さんの自覚の無いうちに暴れたりするの。大丈夫。それは上野さんのせいじゃないから。だって、そのままにして、おしっことか流しっぱなしのほうが恥ずかしいしょ?
だから、おむつを当ててるの。まぁこんなに長く話しちゃったけれど、自分のお部屋がトイレみたいな臭いだったらいや〜な感じでしょ?それだよ。だから、おむつを当てる事は私達じゃなくて、上野さんのためでもあるの。もちろん、普通にしてるときはトイレでも出来るよ。
あそこにあるやつだけれど・・・」
(何で・・・なんで・・・)
「誰でもね。最初は通ることだよ。朝起きて正気取り戻したら、おむつ当てられて・・・普通の人だったら泣いちゃうよね。情けない気持ち出るね。でも、私達の前では・・・そんなこといらないから!さっ。おむつ脱ぎましょ!」
「葭原さん。パンツ持ってきて」「はいっ!」「したら、テープ開きますね」「・・・・・・」
(私・・・赤ちゃんみたいに・・・おむつ履いてる・・・しかも・・・すごく臭い・・・もしかして・・・うんち・・・?)
「葭原さん清拭して」「はいっ。したらお尻の辺り拭きますね」
(もうやめて・・・もうやめて・・・みっともない事はやめて!)
「いやあああああああああああああああああっ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁーーーーーーっ・・・・・・」
辺りは、朝焼けを帯びていた・・・
いったん分割

279 :
「今何時・・・・・・6時か」
朝が来た。いつもと変わらぬ朝だ。しかし、この夜見た夢は、美紀にとっては悪夢そのものでった。それを物語るかのように、寝起きなのにこの異常な心臓の高揚感。そして全身を滴り寝巻きを湿らせるほどの汗。
そして・・・・・・・・・・・・
「何か・・・股の辺りが寒い・・・生理来ちゃったかな?寝てる間に」
何も疑いもなしに美紀は下着を覗く・・・・・・
(あれ?この感じ、生理じゃない)
慌てて、美紀はお尻の辺りを触って見た。
(これ・・・ぐっしょり濡れてる)
そして、美紀はパジャマを脱ぎショーツを直接確かめた・・・
すると美紀のショーツはお尻の辺りからぐっしょりと濡れていた。そして、その液体は、知らずの間にシーツにまで達していたみたいだ。
(もしかして・・・)
美紀はショーツを脱ぎ、濡れているところの臭いを確かめて見た。その臭いは、何と形容して良いかわからない、しょっぱい臭いだった
(おしっこ・・・知らないうちに・・・いや、知っていた。どこで聞いた事のある音・・・あれは・・・夢の中)
美紀は唖然とした。粗相を犯してしまった事以前に、夢の中の体験ですら現実の自分とリンクしてしまうということに恐怖心を抱いていた。
「早く・・・パンツ替えないと・・・それとシャワーも」
美紀にとっては二度と思い出したくもないはずの恐怖の体験。それが鮮明な動画となり、寝ている間にそれが再生される。しかしそれが現実世界の美紀をも侵食し始めているのであろうか・・・?
そんなはずは・・・私には無いはず・・・とは言えない。なぜなら、一度麻薬に嵌った美紀の精神は、少なからず捩曲げられている部分があるのは事実なのだから・・・そこが「穴」となって、現実世界と「夢」というなの仮想世界をリンクさせてしまっているのかもしれない。
美紀は、シーツとパジャマ。それにショーツを洗濯機に放り込み、給湯器の温度をいつもより少し上げてシャワーに入る。
「今日も、一日楽しく過ごせますように」
と、ささやかな希望をつぶやきながら・・・
1st night END
文才茄子。
すこしおまけ
石崎婦長の「所見」
上野美紀 年齢 22歳
体温 36.4 血圧 収縮時 115 拡張期 72 (mmHg)
所見
・・・身体拘束後初の訪問。禁断症状が緩和していたため、拘束解除。素性は大人しい。しかし感受性が少し高いように見えた
※錯乱状態時に着用したおむつを交換した結果。大量の排尿跡と排便が見られた。
尿色は透明。便は形状には問題なし。量は多い。便形状から、意図的に排泄をしたのではなく、本人の意識外で排泄が行われたと推測する。
さらに、葭原が清拭するさい、悲鳴を上げて威嚇する行為が見られた。
これらに関しては今後要精検である。
2011.09.24作成
作成者:石崎陽菜

280 :
一旦完結かな?それとも続くのかな?
シチュは良いし好きな感じなんだけど
肝心のおむつな感じがサラっとし過ぎて物足りない('A`)
フィクションぽくなってもいいからそこはもっと長かったら良いな

281 :
>>280
いったん完結ですぐ次Nightになるから御心配なく
今回我ながら美紀の主観視点だと将来のハードな描写には耐えられ無くなる可能性が出てきたからもう1度構成し直してる

282 :
ちょっと練り直した。たぶん描写が前nightよりは濃厚になっていると思うのだが
2nd night 「夢と言う名の立体型仮想世界」
いつも通りの身支度を終えると美紀は地下鉄へ乗り込み、法人へと身を進める。
人里から離れた自然が豊かな場所に、美紀が通う法人が存在する。
美紀の存在は職員はもちろん、ほぼすべての利用者も彼女の存在を理解している。
さらに言うと、曜日担当の職員も誰も美紀を悪く言う人間はいない。
むしろ「上野さんはなぜクスリに嵌ってしまったのか?」と言う職員すらいる。
いつものように美紀は活動をこなし、終了の時間となった。
そのうち、今日は自助グループの定例会があるため、自助グループが活動している一室へと向かった。
そうしているうちに、自宅に帰ったのが午後8時の事だった。
「今日もいつも通りだったな・・・いや。それが一番だよね」
とつぶやきながら、作っておいた夕食を食べ、その後自然に眠くなり、眠りに付いた
今日は、どんな夢を見るのだろうか・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何か見えてきた。
(見えてきたのは・・・高校の制服・・・?
誰かと手をつないでる・・・あ、あの人とか・・・)
時は高校3年だった。私はまだあのときの事を覚えてる。私が「彼」を深く愛した事も、そして慈悲も無く捨てたときの事も・・・
でも、このときの事は特別だった。
「健二。一緒に帰ろ」「あぁ」
私の初恋の相手。それが健二
(行の関係でいったん区切ります)

283 :
キタ━━(゚∀゚)━━!!??

284 :
続きに期待!!

285 :
続き
そして健二も、私が初恋の相手であった・・・
健二はというと、見た目は結構軽いかもしれない。ただ健二から発される言葉一つ一つには重みがあったのを思い出す。
お互い本当にふとしたことだった。ハデハデの女と軽めの男・・・おっと、話がそれたようだ
「ねぇ美紀」「何?」「ちょっと寄り道しない?」「どこに?」「寄り道って言っても・・・そんな大した所じゃないけれど」「う〜ん。いいよ」
「したら・・・どうしよう?どこかで話さない?」「いいね。どこで話す?」「って言ってもワルドとかどう?」「ワルドかぁ〜。あそこうるさいバイトいるんだよね」「そうか、したら・・・外とかでもいい?」
「そうだね。そうしようか。お金もかからないし」「うん。したら・・・美紀って西区でしょ?したら・・・河川敷の方に公園があったはず。そこに行こう」「うん」
と言って、河川敷の公園に着いて何時間かした頃か・・・気が付いたらもう日が暮れていた
「もう日暮れちゃったね。そろそろ帰らないと・・・」「そうだね。幌平橋まで送ってくよ。どうせい自分も地下鉄だから」「そう・・・ありがとう」
と言いつつも2人は幌平橋に向かって歩いていくがその途中で美紀が催してしまったのだ
「健二。ちょっといい?」「急に何?」「トイレ・・・したい」「えっ?トイレ・・・でも・・・」「ないの?」「・・・うん。それに幌平橋までトイレないし」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
すると、突然ブラックアウトし、今までとは全く別の風景で、健二と話しているシーンが現れた
(こんな光景・・・全く見た事なんてない)
美紀の部屋で
「ねぇ、美紀。変な事頼んでいい?」「ん?」「明日学校休みでしょ。だから、今日自分の家に泊まらない?1日お世話してあげるから」「お世話?」「うん。お世話。嘘でもいいから美紀が弱ってる所みて見たいし、そんな美紀を抱きかかえてみたい・・・だめかな・・・」
我ながら疾走気味に書いたんだが最悪な出来だ・・・なかったことにしたいな・・・
まぁそんな事はいい。
ということで、スレの皆様で下の3択であれば美紀は健二の”奇妙な誘い”にどちらで答えるか?
1. 世話=下の世話と直感的に理解しつつも、受け入れる
2. 強がる
3. やはりどう探っても真意が見切れなかったので、受け入れてみるのも悪くないと思う

286 :
これからって所でブラックアウトで切られて選択肢って言われても困るww
↓のレスに任せたw

287 :
ここは4でよろ

288 :
我ながらとんだ愚問だったな
続き
「弱ってるって?」と美紀は聞き返した
「そんなに深い意味はないよ」と健二は返したところで、少し目が醒めた。
あたりはまだ暗かった。そして美紀は再び目を瞑り、夢の中へと飛び込んでゆく。
すると再び、2人は河川敷沿いの歩道を小走りで歩いていた。しかし、一つだけ前と違った事があった。
目の前に見えるのは美紀。この夢は美紀がみている夢なのに、視点は健二のモノと完全にリンクしていた。
「ちょ・・・間に合わないよ」「急げる・・・?」「急げるって・・・無理だよ・・・もう結構やばいよ」
美紀はもう少しの衝撃を加えたら、すぐに決壊してしまう程であると感じていた。でも、健二は何かどうにかして、美紀が粗相をし、その醜態を見させまいと考えていた。したらふと健二が、この事を思い出した
(鞄に何かあるかな・・・?おしっこを防げるやつ・・・)
橋の下まで行ってしまえば、美紀が醜態を見せずに済む。しかし、それすら許してくれなさそうな状況であった。
すると、健二の手に一つの感触があった
(この感触は・・・そうか、これを使えばいいんだ!)
そう感じた健二は、美紀をすばやく、土手側に連れ込んだ
「いやぁ!健二、そんなことしたら・・・」「美紀、よく聞いて。僕も美紀が粗相をしてしまうところは見たくない。だから、これ当てて」「えっ・・・でも・・・これって?」
健二の手には何と紙おむつが握られていたのだ。
でかでかとした平らで真っ白な表面。その表面はナプキンのそれとはあらゆる面で似て非なるものであった。
「さぁ・・・急いで!。ほらほら」「えっ・・・でも・・・」
 「・・・・・・・忘れたの・・・?まだまだ大丈夫って言って、漏らしちゃったあのときの事・・・?」
(僕は忘れてない。まだまだ大丈夫と言いながら、最後には泣きながら漏らしたあのときの事・・・)
 健二はさらに追い討ちをかけるかのように・・・
  「・・・少しだけ・・・弱さを見せて・・・今日は強がらなくてもいいから・・・」
と言った。すると美紀が観念したかのように
「・・・うん。したらもう出そう。すぐ当てて」
とか弱い口調で返した。健二が阿吽の呼吸の如く
「その方がいいね」と返すと、健二は美紀の前に回って、手早くショーツを下ろし。おむつを当てる作業にかかった。
(急がないと。ここで誰か来ちゃ洒落にならない)
と思いつつ、急いで美紀の肌におむつを当てようとした。
「周り大丈夫?パンツ下ろすよ」「・・・大丈夫」
その一言に安心した健二は一気にショーツを下ろして、おむつのを伸ばして、テープを開いたら、一方を美紀のお尻にあて、そしてその状態で腹部の方の仮止めをした。
美紀の顔は既に赤らめいており、健二がお尻を触る時、時折艶めいた吐息を吐いていた。
そんなことを気にせず、健二はおむつを当て終わった
「出来たよ」「出来たの・・・」「うん。早いしょ」「・・・うん」
(とりあえず出来た。でもどうせい、トイレには連れてはいけないけれど・・・それに、なんかこっちの美紀の方がふわふわしてて可愛いし)
美紀の臀部は、既におむつ特有のラインが形成されており、素人目にはわからないかもしれないが、確実に「おむつを当てられています」というボディシェイプと化した。
それもそうだろう。大人用のSサイズのおむつは、美紀には少し大きいのだから・・・
「さぁ、急ごう」「うん・・・」
美紀はさっきとは違い、少し蟹股気味になりながらも小走りを続けた
(あぁ・・・この感じ・・・すごく可愛いよ)
と、健二は心の中で思い続けた。そう思えるのも頷ける・・・?いや。確かに普通の人には頷けないだろう。しかし、まだ健二が幼い頃に受けた数々の経験は、確実に健二をそうさせていた。
すこし小走りを続けていくと美紀が急に
「何か・・・おしっこ引っ込んじゃった」と言い出した
「えっ!?」と健二が驚いた表情で返した
「うん。引っ込んじゃった。それにもうすぐ橋だしね。何とか大丈夫そうだよ」
「そうか・・・」
(これは予想にもしなかったな・・・うん。でも僕は見て見たい。あの時何も出来なかったから。ちゃんと返してあげないと・・・)
と考えた横から、健二は美紀の手をつないで橋脚の下に誘い込んだ
「急に・・・どうしたの?」
「いや・・・何か・・・ほら。最近してないじゃん」とか健二は適当に返しながら、橋脚の下へと着いた。
そこは身長的にぎりぎりな程の高さしかなかった。しかし健二はそんな事もお構いなしに
「美紀振り向いて」と投げるように要求した。
行の都合上一旦分割します

289 :
健二はなんでそんなにおむつのあて方慣れてるんだ?
というう無粋つっこみはやめておいて
今日も続きか気になる

290 :
「うん・・・」と後ろめいた返事をしつつも美紀が振り向くと、健二は一目散に美紀の咥内目がけて舌を入れた
「んっ・・・ちょっと健二・・・んっ・・・」と美紀が困惑した表情で言うと「ごめん。でも今日は我慢できない。ちょっとだけ我侭聞いてくれる?」
と言うと、再び無理やり健二は美紀の咥内目がけて舌を入れた。
すると美紀の表情が瞬く間に変化して行き、いつの間にか美紀も舌を絡め合うようになってきた。
2人は野外という禁断の場所で、まるで愛を求め合う獣の如く非常にねっとりと舌を絡めた。
・・・すべては、健二の策略どおりに進んでいた・・・
「んっ・・・んっ・・・」
キスが慣れた頃には、美紀は女子高生らしい甘い声を発するようになっていた。それが、骨を伝わり健二にも感じられた。
そして健二は、その欲望を作戦へとついに移した。
お互いを激しくむさぼりつつ、健二は自らの手をおむつの中へと入れた
「健二・・・そこは・・・」
もはや健二は聞く耳を持たなかった。
健二は、陰毛が生えそろっている少し上の辺りを、指でそっと撫ぜた。手ごたえがないからか、少しずつ撫ぜる場所を変えていった。
すると美紀の下腹部の一部が「ビクッ」と強く反応するのを見逃さなかった。
健二はそこを執拗に撫で続けた。すると美紀が案の定
「んんっ!」と舌を無理やり引き剥がした。
「どうしたの?」
「・・・やっぱり・・・おしっこしたい」「でも大丈夫じゃん。今の美紀にはおむつがあるから・・・」
「そうじゃなくて・・・でも・・・もう我慢でき・・・あっ!」
いくらの美紀も健二の執拗なマッサージには逃げもできなかった
「あっ!止まって!止まって・・・」
どこかからかくぐもった「しょっ・・・しょっ・・・」という淑やかな水音が聞こえてきた。その水音はやがて大きくなり、健二の耳にも十分に伝わった
「しょわわわわわわっ」「しょわーーーっ」
音からするに、かなり我慢していたみたいだ
「もう・・・止まって」と美紀は半分泣きそうになりながら、ただそう言い続けていた。その間も「しょわわわわわわーーーっ」と勢いのよさそうな音は続いていた。
30秒した頃か。やっと水の音が消えてきた。美紀はもう泣きそうになっていた。
鼻をすすって、いかにも声を出して泣きそうな状態であった。そこにすかさず健二が、強く抱きしめる
「美紀・・・可愛いよ。そんな美紀大好き」
お世辞かもしれないけれど、フォローの言葉をもらった美紀は
「うわああああああん」と声を出して泣いてしまった
「うわわあああああん!こんな年になってーーーーっ!」
それはまるで、おむつを替えてほしい赤子のようだった。
健二は無言できつく抱きしめ続けた。そしてしばらくしたら
「おむつ・・・替えようか」と健二が優しく言った。
美紀は「ぐすん・・・」としか言って居なかったが、頷きはしてくれた。
健二は、ゆっくりとおむつに手をやる
「美紀・・・おむつ外すからね」
「うん・・・グスン」
と声をかけると。健二は
・・・ビリッ。ビリッ。ベリベリ。ベリベリ・・・
と手際よくテープを外し、美紀の粗相を受け止めた面を露にさせた。
「こんなに我慢してたのかい?」「うん・・・」
健二がそう指摘するかのように、美紀が出した尿の色は濃く、そして非常に大量で、尿特有の鼻を着く独特の臭いに、女の匂いが付加された独特の臭いが発されていた
「こんな量だったら、おむつから漏れるかもしれなかったね?」「・・・・・・・・・・・・」「こんなに我慢しちゃ体に良くないしね」
「したら拭くね。乾いたティッシュだから、ちょっと痛いかもしれないけど」
と声をかけると、次はポケットティッシュを取り出し、美紀の秘密の穴にティッシュを宛がわせた。すると美紀は時折
「んんっ!」と何かに反応したような声を出す。
そうしているうちに、粗相をした跡が消えかけてきた
「そうだね。もうこれで大丈夫かな」「・・・・・・・・・ありがとう。でも、おむつは?」「大丈夫!心配ないよ。処分しておくから」「だめっ!私が処分する!」と強い口調で放った。
「したら、駅まで行くか」「・・・うん」
駅まですぐ近くだ。駅に着いて駅の改札で分かれるときに
「健二。今日はごめんね」「いや。こっちこそごめんね。こんな無理言っちゃって」「いや・・・健二。やっぱり好きだよ」「俺も美紀のこと好きだよ」
と言うと、2人は駅員の目も憚らず、ぎゅっと抱きしめ合ったところで、目が醒めた
2nd night END

291 :
いやこのNightは黒歴史となってしまった。まぁもともと少し脱線気味だったからな・・・
片方は気の強そうな顔しつつも守りたいな・・・って思うところがぽつっ・・・ぽつっ・・・と出てきている
かたやチャラそうな顔して終始冷淡な振りして変態的な性向と優しさを兼ね備えてる・・・
こんな感じでやっつけ仕事の如く書き上げました。
>>289
ちょっと設定ばらすと、実はこの事以降から健二は美紀におむつプレイを施したりしてた。それが故に前後の記憶が曖昧またはごっちゃになって出力された結果ってのがこの夢ってこと

292 :
職人さんまだかなー

293 :
それなら久々に休みだし頑張っちゃおうかな
今日中に落とせるか分からんけど

294 :
連投なんで支援よろしく

 大荷物を持ったアタシは、肘で玄関のチャイムを押した。
 ここはなんて事のないマンションの二階。長いことボロアパートに住んでいたアタシだったけれど、ある理由で最近引っ越してきたのだ。
 家賃は高くもなく安くもなく、ただこの部屋を選ぶ時基準にしたのは、防音がちゃんとしてる事だ。どうしたって隣近所に迷惑かけちゃうし、不審に思われたりしそうだから。
 電子音が鳴ってすぐ、スピーカーのスイッチが入る。
「お姉ちゃん? アタシ。開けて」
 すぐに玄関の扉が開いた。
「おかえりなさい、文月。お疲れ様」
 迎え入れてくれたお姉ちゃん。
 妹のアタシからしても嫉妬せずにはいられない、一言で言えば絶世の美女だ。
 背が高く、出るべき所が出て引っ込むべき所が引っ込んでるモデル体型。髪は伸びっぱなしなのにつやつや輝いてて、顔もきりっとして、ちょっとキツめだけど綺麗に整ってる。
 だけど、その格好は……
 まずはよだれかけ。ベビー用品店で買ってきた、ピンク色でうさぎさん柄のよだれかけ。首回りが足りないので自作の帯を継ぎ足して使ってる。
 同じく、おしゃぶり。一歳前後の赤ちゃんに与える、一番大きなサイズだけど、お姉ちゃんの口にはちょっと小さい。
 そして何より、おむつ。テープ式で大人用のM――グラマラスなお姉ちゃんのおしりを包むには、この大きさが必要なのだ――、分厚いパッドも充てているものだからぱんぱんに膨らんでいる。
 以上。
 つまり、身につけてるのはおむつとおしゃぶりとよだれかけだけだから、裸より恥ずかしい格好かも知れない。
「安売りだったから買い溜めてきたよ。ほら、おむつとパッド」
 どさどさっと、アタシは玄関に荷物を降ろした。大人用のおむつが二パック、パッドが三パック。布オムツの方が経済的なのはよーっく分かってますし、最初は導入を検討したのですが、お洗濯の手間が半端じゃないようなので断念したのです。
「それから……これね」
 ショルダーバッグから取り出しましたるは、おニューのおしゃぶりである。
 お姉ちゃんが、ぱっと顔を輝かせる。
「ありがとう! そろそろ傷が目立ってきたところだったの」
 大人の口に赤ちゃん用のおしゃぶりでは、やっぱり無理がある。そうじゃなくたっておしゃぶりは、一ヶ月くらいで買い換えた方がいいものなのだ。
 もどかしげにパッケージを開けると、お姉ちゃんは咥えていたおしゃぶりを放り出して、新しいのを口に含んだ。
「ん……ちゅぱ、ちゅぱ……」
 どこかあらぬところを見ながら、お姉ちゃんは夢中でおしゃぶりを吸っている。
「ほら、お姉ちゃん。いつまでもここで立ってちゃ仕方ないでしょ」
 恍惚とした表情のお姉ちゃんには、もう聞こえてないみたいだった。
 腕を引っ張ってやると動いたので、そのまま引きずるように連行していく。その間もくちゅくちゅ音を立ててお姉ちゃんはおしゃぶりを吸っていた。
 と。
 じょおおおおおおおっ……と勢いよくおしっこを漏らす音が、お姉ちゃんのオムツの中から聞こえてきた。
 パッドで吸いきれなくなったらしく、おむつにじわーっとシミが広がっていく。
「あーあ、お姉ちゃん、お漏らししちゃったのね」
「あうぅ……ごめんなさい」
 いや別に謝ってほしいのではない。
 ……おしゃぶりに吸い付いておむつを汚すお姉ちゃん。
 なんでまたお姉ちゃんがこんな事になったのか、ここらで説明しておくべきでしょう。

295 :
 お姉ちゃんは睦月、あたしは文月。生まれ月から取った、安直だけど綺麗な名前。結果的にお姉ちゃんの名前が皮肉みたいになっちゃった。むつきって、おむつを表す古語なんだってね。
 お父さんとお母さんは、アタシがまだ小学校も上がる前に別れた。
 その時、親権は向こうに取られそうだったところを、どういう顛末かアタシだけでもお母さんの所に残ったんだ。
 最低最悪のクソ親父は、別れるなりお姉ちゃんを連れてバックレた。約束したはずの養育費の支払いもしない、お母さんとお姉ちゃんは一ヶ月に一回会う予定だったのに、行方知れずの音沙汰ナシ。
 そんなお母さんとアタシの苦労話は置いておくとして……あ、ちなみにお母さんは、今じゃ東京の大学で先生やってるから、なかなか地方都市住まいのアタシ達の所には帰ってこられない事をついでに言っておきましょう。
 それで、お姉ちゃんの事よ。
 あたしが高校を出て専門学校に入ったすぐ後のことだった。三つ隣の県にこっそり隠れ住んでたクソ親父が、ひょんな事から見つかったのだ。
 無謀な運転で事故を起こして、一緒に乗っていたお姉ちゃんともども病院に運ばれた。その事件で警察が身内を捜した所、あっさりアタシとお母さんに行き着いたのだ。
 後から知ったことには、親父の携帯電話にうちの電話番号が登録されてた、というオチ。なんかやたら無言電話が掛かってくる気はしてたんだ。
 そんなわけで、顔もよく覚えてないお姉ちゃんと、アタシはめでたく十数年ぶりに再会したわけです。……その時はもう、お姉ちゃんはこんなだった。
「ごめんね、文月。私の世話がなければ、あなたも学校行けるのに……」
「それは言わない約束だよ、おとっつぁん」
 心細げなお姉ちゃんにアタシは笑いかける。
 おっと、「おとっつぁん」は禁句だったかな。
 今、アタシは専門学校を休学中だ。仕事で忙しいお母さんに代わってお姉ちゃんの世話をするために。
 お姉ちゃんがクソ親父の下でどんな目に遭ったのかアタシは知らない。
 聞こうにも、病院に来る前のことはお姉ちゃん自身がほとんど覚えていないんだって。記憶喪失というのは、辛すぎる記憶から目を背けるために起こったりするのだそうだ。
 ただ、病院に保護された時、お姉ちゃんの体にはあっちこっち、交通事故の物じゃない生々しい傷が付いてて、ついでに……ほとんど気が狂っていたらしい。
 又聞きによるところ、最初は人形と見間違えるくらい、外からの刺激に無反応だったらしい。事故で足の骨が折れてたのに、痛がりもせずぼーっとしているだけで。
 ところがクソ親父と別の救急車に乗せられた途端、お姉ちゃんは火が付いたように泣き出した。救急隊員の呼びかけにも応えずに泣き続けた。
 それでまあ、泣きながらおしっこを垂れ流してたもので、病院に着くなりおむつを履かされたのだけれど、そしたら泣き続けてたお姉ちゃんが突然泣き止んだとか。

296 :
 そして
「ここ、どこ……?」
 と、呆然とした様子で言ったそうな。
 病院で過ごすうちに、お姉ちゃんの「病状」が分かってきた。
 お姉ちゃんはこの赤ちゃんスタイルな格好でいないと、パニックを起こしてしまう。周りのことが何も分からなくなって、泣きわめいてしまうんだ。
 なんでまたそんなことになっちゃったのか……
 入院中に心療内科の先生にもかかったそうだけれど、あんなの頼りにならないって言ってたなあ、お母さんは。心の問題なんて見えない物だから、例え専門の先生であっても、原因や解決法がそうそう分かるものじゃないって。
 結局、そっちは何も解決しないままで、体の怪我が治った時点でお姉ちゃんは退院する事になった。
 退院前、当面の自宅療養をどうするか、アタシとお母さんは悩みに悩んだ。四六時中付いて世話しなきゃならないけど、アタシは勉強、お母さんは仕事。親戚に頼れそうな人もなし。
 そう遠くないうちに回復するだろうという楽観的な見通しの元、最終的にはアタシが休学してお姉ちゃんの面倒を見る事になった。
 だってねえ。
 家族に迷惑かけたくないからって、なんの躊躇もなく首吊ろうとしたんですよ、この人。ベッドの上で輪っかの準備してる時にアタシが見つけたんで、未遂に終わったけど。
「私が居なくなれば、文月もお母さんも悩まなくて済むじゃない」
 なんて、悲壮感の欠片もなく当たり前のように言われた。
 酷く虐待されたりいじめを受けた子は、自尊心を壊され自分を評価できなくなって、自分を大事に出来なくなる。自分はいつんでも問題ないクズだと思うようになったりする。そんな話をテレビかなんかで聞いた。
 クソ親父の所行が忍ばれるってもんです。
 その怒りが半分と、お姉ちゃんが可愛そうで居ても立ってもいられなかったのが半分。アタシは次の日には休学届けを学校に突き出したのでありましたとさ。交通事故に遭ったお姉ちゃんの介護のためって理由で。嘘は言ってないよね。うん。
 そうしてアタシとお姉ちゃんの生活が始まったのです。

297 :
 回想シーンここまで。時間はさっきの所に戻りますよ。
「ねえ、お姉ちゃん。お漏らししちゃったでしょ」
 ずばり言うと、お姉ちゃんはびくっと震える。
「そ、そうね、ごめんなさい、おしゃぶりが嬉しくて、おしっこ……」
「そっちじゃなくて」
 アタシはくるっとお姉ちゃんの背中に回り込んだ。
「こっち」
 おむつでぷっくり膨らんだお姉ちゃんのおしりを私は指差す。
 部屋に入ってすぐ気がついた。
 すえたみたいな臭いがぷんぷんして、隅っこでは空気清浄機が必で働いてる。お姉ちゃんがまき散らしたのか、ファブリーズのほのかな香りがただよっているんだけれど……臭いの発信源が健在じゃあねえ……
 お姉ちゃんったら、アタシが出かけてる間にウンチをお漏らししていたのだ。
 ウンチお漏らしじゃ、おむつ替えが急務だ。
 沈黙。
 少しして、心持ち引き攣った笑顔でお姉ちゃんが言う。
「見逃して?」
「ダメ」
「そんな事言わずに……」
「どうせおむつはいつか交換しなきゃいけないのよ? じゃあ、いつやるか。今でしょ!」
 冗談の一つも言う余裕があるアタシに対して、お姉ちゃんは本気で嫌がってる。こっちから根掘り葉掘りしなきゃ体調不良すら申告しないお姉ちゃんが、唯一自己主張するのはここなんだ。
「そ、それはそうだけど、ねえ、もうちょっと、心の準備が」
「早くおむつ替えないとかぶれちゃうよ!」
 結局は逃げられないとお姉ちゃんだって分かっているから、じゃれ合いみたいなのはとっとと終わらせて、おむつ交換してしまえばいい。
 アタシは新しいおむつとパッド、ベビーパウダーにお尻ふきと、おむつ交換セットを手早く用意する。ウンチオムツにはおむつ交換シートも使う。用意ももう慣れたものだ。
「あわわわわわ……」
「そらっ、覚悟なさい!」
 ただでさえおむつで膨らむおしりを一割増しに膨らませたお姉ちゃんは、じりじりとアタシから逃げようとする。
 丸出しの細い腰にがっしり抱きついて、アタシはお姉ちゃんを捕まえてやった。
「待って、あと五秒待って! すー、はー……」
「往生際が悪い!」
 吸収体が付いたおむつ替えシートの上に、アタシはお姉ちゃんを押し倒す。べりっと音を立てて、おむつのテープをはがした。
「あっ……」
 そう言ったっきり、お姉ちゃんの目線はどこか違う世界へ飛んで行ってしまった。
 スイッチオン、である。

298 :
「う……うええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」
 防音がしっかりしてるマンションを選んだ理由アンド、お姉ちゃんに世話が必要な理由は、これである。
 お姉ちゃんは本当の赤ちゃんみたいに身も世もなく泣いている。悲しくて泣いてるのとは、そもそも表情が違う。ただ不快感を訴えるための、どこまでも幼くて単純な泣き方だ。なんで泣いてるのかアタシには分からないし、多分本人もよく分かってない。
 先程言った通り、お姉ちゃんはこの赤ちゃんスタイルで居ないと正気を保てない。おむつ交換のためにおむつを外しただけでぷっつんしちゃうのだ。
 これじゃどうしたって、おむつつけっぱなしで生活するしかないし、しかもおむつ交換は人任せになる。
 クールビューティーそのものだった綺麗な顔を、涙と鼻水とよだれでぐちゃぐちゃにしてお姉ちゃんは泣きわめく。それはもうぎゃんぎゃん泣く。一日数度のおむつ交換の度にこれだから、もう慣れちゃったけど、慣れてもうるさいものはうるさい。
「ほらお姉ちゃん、おむつ替えるよお」
「うあああん、うあああ〜〜〜〜ん!」
 お姉ちゃんは腕をぶんぶん振って抵抗する。
 完全にパニック状態なのだけれど、この時のお姉ちゃんは何故か力も赤ちゃん並に弱々しくなるので、暴れられても特に問題ないのが幸い。
 おむつの前の部分をがばっと開く。
「うーむ……」
 お姉ちゃんのおむつ交換をするうち、鼻をつままなくても鼻だけ息を止められるようになっていた。
 ややユルめの立派なブツが、おしっこをたっぷり吸ったパッドの上に鎮座している。瑞々しく弾力性のあるお姉ちゃんのおしりから、いわゆるアソコのあたりまで、べっちょりとまとわりついていた。
 アタシだったらおしりがこんな事になったら、どー考えても、今すぐ綺麗にしたくなるけど……こんなままで居ても良いくらい、おむつ交換が嫌なんだろうか。
 お姉ちゃんのおしりを持ち上げて、ウンチオムツをウンチごと引きずり出してわきによける。おむつ替えシートの上におしりを降ろして、おしりふきでガンガン拭いていく。重ね重ね、アタシも慣れたもんだ。ええもう、いつだって母親になれるんじゃないの。
 汚れたおしりふきはおむつ用の消臭袋に入れる。汚れたおむつも、ウンチをトイレに流したらこの袋に入れるんだ。
 そうこうしてるうち、お姉ちゃんのおしりは綺麗になる。
 ……お姉ちゃんは本当にどこまでも美人だ。こんなところまで。女のアタシがイケナイ衝動にかられそうなくらいに。
 幸いにも? はしたなく泣きわめくお姉ちゃんを襲う気になんかならず、アタシはお姉ちゃんのおしりを再び持ち上げると、シートの脇に敷いた新しいおむつの上に降ろした。
 大事な所をおむつで隠して、キュキュッとテープを止める。
 おむつを充て終わった瞬間、本当にスイッチが変わるみたいにお姉ちゃんは元に戻った。
「あ……」
 一瞬で目に理性が戻ってきた。
「おはよう、お姉ちゃん」
「ふ、文月……」
 いっぱい泣いた後だからお姉ちゃんは息も絶え絶えで、小さく咳をした。
 毎度のことだけど、悪夢を見た後みたいに青い顔をしてる。
「大丈夫だった? お姉ちゃん」
「……う、うん、大丈夫……」
「そのまま休んでなよ。ゴミを片付けたら、夕飯作るからさ」
「あり、がとう」
 お姉ちゃんは弾んだ息のままで、無理矢理微笑んでお礼を言った。
 ぐったりと寝転がってるお姉ちゃんを置いて、アタシは夕飯の支度に取りかかる。

299 :
 買い物で疲れたので、今日は冷凍のハンバーグを焼いて簡単に済ませることにした。
 ファブリーズと空気清浄機で薄くなった嫌な臭いが、お肉の焼ける良い匂いで完全に吹っ飛んでいく。油の跳ねる素敵な音。やっぱ肉だよ、肉。小さい頃貧乏で苦労したアタシにとって、お肉は贅沢の証で、ちょっと嬉しい。
 料理もアタシの仕事だ。
 お姉ちゃんの病気は、おむつだけじゃなかった。
 料理が出来ない。したくても出来ない。
 台所に立ってさあ始めようと思うと、体が強ばって動かなくなってしまうのだ。
 お姉ちゃんができなくなった事は他にもいくつかある。お洗濯もダメだし、掃除機も……うん、まあ、つまり家事はだいたいダメ。赤ちゃんだった頃にお母さん任せだった事は出来なくなっているみたいだ。特に身の回りの世話に関して。
 だからアタシが、本当の赤ちゃんにするみたいにお世話しないといけない。
 四人で座れる食卓に、向かい合わせで二人分。
「ごはんだよー」
 重そうに体を起こしたお姉ちゃんが椅子によじ登ってきた。
 くうっ……なんてことない動作でも、いちいち揺れやがって……!
 しかも明らかに始めて会った時よりデカくなってる。あの親父がまともに食事を出してたとも思えず、おそらくは栄養状態の改善から本来のスペックを発揮しているという事。
 んだばあちゃんは貧しかったそうで、アタシには隔世遺伝しやがったのでしょう。お母さんはお姉ちゃん同様です。その遺伝子欲しかった。
 しかし、そんな胸も、よだれかけが彩っているのでは台無しなのですが。
「「いただきまーす」」
 二人揃って手を合わせる。
 ……ちなみに料理は二人分並べてありますが、箸はアタシの側にしかありません。あと、アタシはお茶碗でご飯ですが、お姉ちゃんはお徳用のバターロールが主食。
 箸を手に取ったアタシはお姉ちゃんのハンバーグに手を伸ばし、一口大に切ってつまみ上げた。
「はい、あーん」
「あーん」
 ちょっと恥ずかしそうに、でもお姉ちゃんはしっかり口を開ける。
 最初は抵抗があったみたいだけど、お姉ちゃんの側も慣れてきてるんです。
 箸をついばむようにお姉ちゃんはハンバーグを食べます。
「おいひぃ……」
 いい笑顔です、お姉ちゃん。
 家事もダメだけど食事もダメなんだ。
 お姉ちゃんの指は、箸を持った途端に世界一の不器用になってしまう。それならとスプーンを持ってみれば、やっぱりまともに使えなくて、口に入るスープよりこぼしたスープが多いような有様だ。できるのはせいぜい手づかみだけ。
 結局、アタシが食べさせてあげるのが一番効率よかった。
 あ、飲み物は哺乳瓶で飲めますよ。コップだとやっぱりこぼしちゃうけどね。
 お姉ちゃんがぼろぼろと屑をこぼしながらもパンをかじり、哺乳瓶の野菜ジュースを飲んでる間に、アタシは手早く自分の分を掻き込む。
 1.5人分くらいの仕事をしなきゃならないアタシの箸は、せわしなく動きっぱなしだ。
「文月……ごめんね」
 食卓に視線を落として急に、ぽつりと、お姉ちゃんがそんなことを言う。
「だからぁ、食事中に謝らないでよ」
 アタシは明るく苦笑する。
 少なくとも二日に一回はこれだもん。
 自未遂事件の時、アタシは「お姉ちゃんがんだらアタシも後追って首吊ってやる!」と、きっつい啖呵を切ったのです。
 おかげでぬことはもう考えてないようなのですが、未だに、自分のせいでアタシに迷惑かけてるって考えが抜けないみたいで。アタシがお洗濯しても掃除してもご飯食べさせてもおむつ替えても「ごめんね」なんです。
 お姉ちゃんのお世話が嫌だと思ったことはないんだけどな。
 だけど、きっとそれを口で言っても伝わらないんだよね。ますます追い詰めちゃいそうで、いかんともし難い。
 味も分かんないような様子で食べてるお姉ちゃんを見ると、せめてそういう気分になるのは食べ終わってからにすればいいのにと思う。勿体ない。
「ごちそうさまー」
「……そうさま」
 食べ終わると、お姉ちゃんはそそくさと食卓を離れた。

300 :
 夕飯が終わったら、アタシは食器洗い。その間、お姉ちゃんはどうしてるか。
 前述した通り、お姉ちゃんは家事が出来ない。
 じゃあ仕事は出来るのか、と言えば……なんで大丈夫なんだろうなあ。
 実はお姉ちゃんは在宅で仕事をしてる。仕事が何か、って言えば、イラストレーターだ。ペンタブレットとパソコンで絵を描いている。
 そりゃもう暇さえあればパソコンに向かってる感じだ。箸が持てない指なのに、ペンは器用に使うんだから不思議な話。
 もしかしたら、意識としては遊びの延長なんだろうか。お母さんが言うには、小さな頃からお姉ちゃんはお絵かきが大好きだった。アタシもうっすら記憶がある。
 何せあの格好だから打ち合わせで外に出たりはできないけれど、選ばなければいくらかの仕事は取れるらしい。身の回りの事はおむつの世話までアタシに頼りっきりだから、その代わりなのか、暇だからか、お姉ちゃんは仕事を頑張ってるのだ。
 この不況のご時世、これだけで大した収入にはならないけど、ただじっとしてるよりは仕事でもしてる方が気が紛れていいでしょう。
 お姉ちゃんとしては、黙ってアタシのお世話になってるのが申し訳ないからって考えてるみたいなんだけどね。
 貢がれましたとも。
 アタシのお小遣いと生活費に、って言われたけど、どっちもお母さんから貰ってる。
 受け取りを拒否したら泣かれてしまいました。おむつ交換の時のギャン泣きじゃなく、はらはらと。あの時の顔が忘れられない。
 今は黙って受け取って、お姉ちゃんの名前で積み立ててます。
 アタシのお世話になることに、お姉ちゃんは最初、人でもしちゃったみたいに恐縮していた。それがやがて、困惑と恐怖に。
 怖いんだ、お姉ちゃんは。アタシが何の見返りもなくお姉ちゃんの世話をしてるから。
 だからなんとかして、自分とアタシの関係を一方的でない形に持ち込もうとしてる。素直に甘えるって選択肢が、お姉ちゃんの中にはないのだ。
 だから、お姉ちゃんから出てくる言葉は「ごめんね」。
 アタシは意地でもお姉ちゃんに「ありがとう」って言わせてやりたい。ううん、いっそ、本当の赤ちゃんみたいに、当然みたいな顔してアタシの世話に甘えてくれたっていい。
 シスコンと呼ぶなら呼んでくだしあ。

301 :
「お姉ちゃん、お風呂入るよー」
 呼んだらお姉ちゃんが飛んでくる。
 だいたい予想は付いてるでしょうが、体を洗うのもアタシの役目です。
 二人暮らしだし、面倒なので、毎日お風呂掃除するくらいならと、寒い季節以外はシャワーだけで済ませてる。
 問題は、お姉ちゃんはおむつを外すとぷっつんしてしまう事。別におむつのままで体を洗ってもいいんだけど、それじゃ一番洗う必要がある部分をどうにもできない。
 もったいぶるのも何なので結論を言ってしまいますと、トムとジェリーとかそういう外国のアニメに出て来そうな、でっかい一枚布を安全ピンで留めるおむつを使うことにした。
 紙おむつの上からゆるーくこれを装着してから、下の紙おむつを引っ張り出して準備完了。男の人が腰にタオル巻いてお風呂場に入るみたいな格好になります。
 お風呂用だからおむつとしての意味はないんだけど……お姉ちゃん的には、おむつを履いてることが重要みたい。あと、よだれかけは外すけどおしゃぶりは咥えたまま。
 ずり下がらないようお姉ちゃん自身にお風呂用おむつを抑えておいて貰って、石けん泡立てた手をおむつの下に滑り込ませるのだ。はいそこ、痴漢とか言わない!
 変な声あげられないで洗えるよう、アタシも精進したんだから!
 洗い終わったらシャワーをおむつの中につっこんで、すすぐ。後は特に面倒もないから、全身を順番に洗っていくのだ。
 その間、あたしはガンガン話を振った。もう今日はごめんねを言われたくなかったから、天気の話からお姉ちゃんの仕事のことまで、間を開けずに喋り倒した。
 そんな最中である。
「ねえ、お姉ちゃん……おむつ交換の時って、どんな感じなの?」
 すべすべの足に泡立てながら、何の気なしにアタシは聞いた。
 途端、お姉ちゃんはぶるっと震えて、シャワーとは湯温の違う液体が流れ落ちてきた。
「ご、ごめんお姉ちゃん! おしっこ漏らすほど嫌だった!?」
「違うの、大丈夫よ。ちょっと、びっくりしただけ」
 ヤバイ領域に触れちゃったのかと慌てるアタシ。
 この人の「大丈夫」は全く信用ならんのですが、お姉ちゃんは一呼吸してから話し始める。
「何も分からなくなるの」
 理解できないでいると、お姉ちゃんは訥々と話を続けた。
「例えば、これはシャワーで、これは鏡で、これはおむつでしょ。そういう事が全部分からなくなって……世界が暗闇に沈んで行くみたいで……その中で私は独りぼっちになるの。
それが、凄く怖い。こうやって後からなら冷静に振り返れるけど……最中の時は、なんだかパニックなの。冷静に、理性的になる前に、怖い怖いっていっぱいになっちゃう」
 温かいシャワーを浴びているのに震えた声のお姉ちゃん。
 それは、怖いような、想像も付かないような。
 なんだか不思議な話だ。
 未だにお姉ちゃんを縛り続けている、悪意の鎖……
 ふつふつと、クソ親父への怒りが湧いてくる。なんで、人をこんな風にしちゃえるんだろう。
 アタシは親父への怒りでいっぱいで、お姉ちゃんの言葉の意味を深く考えては居ませんでした。その時は、まだ。

302 :
「うええ〜〜〜〜〜〜ん! う、うえええ〜〜〜〜〜〜〜ん……ふえ?」
「はい、終わったよ、お姉ちゃん。夜のおむつ」
 ベッドの上のお姉ちゃん。寝間着はおむつ交換がしやすいネグリジェだ。
 お姉ちゃんのおしりは、提灯ブルマーでも履いたみたいに膨らんでいる。もちろんおむつだ。がっちり固めた堤防が、真夜中のお姉ちゃん洪水をせき止めてくれる。
 お姉ちゃんは起きている時もお漏らしをしてるけど、それはお漏らししてるって言うより、おむつに排泄してるって言った方が正しい。
ちゃんと尿意を分かってるから、限界になる前にトイレだって行ける。トイレに駆け込んでも、おむつを外した瞬間にパニックになっちゃうから、結局おむつにするしかないってだけで。
 ならば寝ている時は大丈夫か、と言えば……実はそうじゃない。
 アタシは寝ている時のお姉ちゃんを壊れた蛇口と呼んでいる。何がどうなってるのか分からないけど、とにかく半端じゃない量のおねしょをするからだ。
 起きてる時だったら、利尿効果があるカフェインを取った上で大量の水を飲まなきゃ、こんな惨状にはならないのに、寝ている時は体がひからびるんじゃないかって勢いでおしっこを漏らす。
 そうなるのが分かってるから脱水症状を起こさないよう、お姉ちゃんは寝る前にたっぷり水分を取る。後はおわかりでしょう、そのせいでおねしょにますます拍車が掛かるのだ。
 分厚い紙おむつに、これまた分厚いパッドを使って、それでも夜中におむつ交換しなきゃ朝には水浸シティーなんだからどんだけって話。
 ちなみに世界地図が出来なくても、オーストラリアくらいの漏れは日常茶飯事なので、お姉ちゃんはおねしょシーツを使ってます。
「ええっと……うん、文月ちゃん、ありがとう」
 ぽふぽふとおむつを軽く叩いて、お姉ちゃんは感触を確かめる。
 チェックが済むとお姉ちゃんの瞼が重くなっていく。泣き疲れたのだ。
 泣きわめきながらも離さなかったおしゃぶりが、口から転げ落ちそうになる。
「おやすみなさい、お姉ちゃん」
「むにゃ……おやすみなさい……」
 ぼんやりしてたお姉ちゃんの目が閉じられて、その瞬間。
 ジョ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ。
「早っ」
 今晩のおねしょ第一号。
 しかもたっぷりだ。パッドは早くもぐっしょり濡れているのだろうけれど、お姉ちゃんは気持ちよさそうに寝息を立てている。
 お姉ちゃんのおねしょはなんだか不自然。多分これも心の問題なんだろうなあ。
 アタシはその口元からおしゃぶりを取り上げた。流石に寝ている間は付けっぱなしに出来ない。枕元の定位置に置いておく。明日目が覚めたらお姉ちゃんはまず、眼鏡を掛けるみたいにおしゃぶりを咥えるのだ。
 眼鏡。自分で出した例えだけど、思いの外マッチしてるかも。
 お姉ちゃんが自分にピントを合わせるために、よだれかけとおしゃぶり、そしておむつは必要なのだ。これを外したらお姉ちゃんは自分を見失ってしまう。
 ただ、眼鏡を掛けていても外は問題なく歩けるけど、お姉ちゃんの格好の場合……
「なんとかならないのかなー」
 こもりっぱなしは絶対よくないと思うのだ。ほら、人間は日光を浴びてビタミンDを合成してるとか言うし。
 これまでもいろいろ考えて見たのだけれど、名案は思いつかず、お姉ちゃんは引きこもり続けてる。
 考えても名案なんて、そうそうでてくるものじゃない。
「まあいいか。アタシも寝ようっと」
 美しきかな日本の伝統文化、社会人の必須教養。その名は棚上げ。

303 :
 夜中。
 ぴいぴいうるさいアラームを、アタシは2回目の音で止めた。
 最初は辛かったけれど、習慣になればすぐ起きられるものだ。
 現在時刻、午前二時。
 枕元に小さな灯りを付けてアタシは起き出す。
 お姉ちゃんはすやすやと眠っていた。寝入った時のままの姿勢で。
 一つ違う所があるとすれば。
 アタシはお姉ちゃんの毛布をばさりとはぎ取った。
 こもっていたおしっこの臭いがふわっと立ち昇る。
 ただでさえ大きなおむつが、おしっこをたっぷり吸ってぶくぶくに膨らみきっていた。
「間一髪、ってところかな」
 次にお漏らしがあったら決壊していただろう。
 寝ているお姉ちゃんの隣におむつを広げて、その上にパッドを敷く。
「むにゃ……」
「おっと」
 お姉ちゃんは結構寝穢いから簡単には起きないけれど、目を覚ます前におむつを替えてしまわないと。目が覚めたらまた泣かれてしまう。
「……ちゃん」
 聞き間違いかと思ったけど、細い声がお姉ちゃんの口から漏れている。
 寝言だ。
「ふづきちゃん……いかないで……どこにも……いかないで……」
 眉根を寄せて、苦しげな顔で。目にはうっすらと涙が溜まっていた。
 悪い夢でも見ているらしい。
「行かないよ」
 アタシはささやきかける。寝言に返事すると脳にダメージが行く、みたいな雑学を思い出したけど、この際どうでもいいか。
「アタシはここにいるよ」
 お姉ちゃんがうっすら目を開けた気がしたけれど、すぐにまたお姉ちゃんは静かに寝息を立て始めた。
 寝ているお姉ちゃんのおむつを替えて、アタシはまたベッドに潜り込んだ。

304 :
 朝の占いみたいなものが一つ。
 お姉ちゃんより先に起きて、お姉ちゃんが寝ている間におむつを替えて、それからお姉ちゃんを起こせたら、快調な滑り出し。
 おむつ替え中にお姉ちゃんが起きちゃったり、あまつさえお姉ちゃんに起こされたりしたら、朝から泣き声を聞いてバッドな気分。
 幸い、今日はラッキーな方だった。どっしり重くなったおむつを交換して、古いおむつをおむつゴミ箱へ放り込む音でお姉ちゃんが目を覚ます。
 ちなみにこのゴミ箱、蓋を開閉する音がうるさくて夜中にやるとお姉ちゃんまで起きちゃうので、夜中にひっぺがしたおむつは朝までゴミ箱の隣に置かれていたりする。
「お早う、お姉ちゃん」
「お早う。……あむっ」
 最後のはお姉ちゃんが枕元のおしゃぶりを咥えた音だ。
 それからお姉ちゃんはおむつの状態を確認する。
「おむつ、替えてくれたのね」
 おしっこで濡れてない、まっさらなおむつだ。
「朝ご飯、何がいい?」
「何でもいいんだけど……それじゃあ、サンドイッチで。食パン、まだいっぱいあったわよね」
「りょうかーい」
 こうしてアタシ達の一日は始まるのだ。

305 :
「へえ、まだここ残ってたんだ」
 アタシが新聞(のテレビ欄)を読んでると、何かお姉ちゃんが言う。
 食後のコーヒーを哺乳瓶で飲みながらお姉ちゃんが読んでるのは、新聞の折り込みチラシだ。
 それは、スーパーと呼ぶには大きいし、ショッピングモールと呼ぶには小さいし……地方によくあるなんでも屋って感じの。まあアレです。ジャスコとかジュネスとかそんな感じの店です。
 アタシ達が小さかった頃、よくお母さんに連れて行って貰った。
「残ってるでしょ、そりゃ」
 この手の店は買い物に不便する田舎に作られるから、とりあえず買い物に行くならココ! みたいな寡占が長年続いたりするんだ。今はアマゾンで何だって買えるけどね。ネット使えない人もいるし、やっぱりお店で選ぶ楽しみってあるし。
「フードコートが新装開店したんだって。ほらほら」
 美味しそうなパフェがでーんと載っている。
 新しく入ったスイーツショップが目玉らしい。
「お姉ちゃん、行きたいの?」
 ずばり言うと、お姉ちゃんはコーヒーが気管に入ったみたいな顔をする。
「行きたいけど……私、こんなだから」
 お姉ちゃんの表情は暗い。
 相変わらずのすっぽんぽん+おむつ・よだれかけ。と、今はおしゃぶりの代わりに哺乳瓶。いや、すっぽんぽんは服を着れば良い。おむつだけならスカートを履いたり厚着をしたりで、なんとか隠せる。だけど他は流石に……
「お姉ちゃん、よだれかけとおしゃぶりなしで、どれくらい保つ?」
 問題はそこなのだ。
 おむつは外した瞬間にぷっつんだけど、実はよだれかけやおしゃぶりも外したままだとダメ。難儀な体である。
「5分くらい?」
「あちゃー、そりゃだめだ」
 ウルトラマンだったら3分で怪獣を倒せるけど、凡人のアタシ達には、出かけて5分で帰るのは大変すぎる。
「よだれかけ付きなら?」
「……30分くらいは平気かな? でも、これ着けて出かけるのはちょっと……」
 眉根を寄せて、お姉ちゃんはよだれかけをつまみ上げる。
 おむつを服の下に隠すのと同じように、よだれかけを服の下に隠して外出できないか。実は試したことがある。
 結果は、NGだった。あれはよだれを受け止めるためのものであって、その機能が果たせないといけないのだ。
 そういうものか、とアタシは思って、なんとなく納得してた。後になって思えば、この妙な縛りの意味をアタシはちゃんと考えておくべきでした。
「おしゃぶりも……だめだよなあ」
 八方ふさがりかと思いながら、アタシは何気なく広告に目を落とした。
「あ!」
 この世界から問題の棚上げが無くならないのは、棚上げしてる間に1割くらいの問題は解決策が見つかるからじゃないかと思いました。
 広告に載っていたのは、花粉対策の立体マスク。
「お姉ちゃん、マスクだよマスク! ほら、マスクして外歩いてる人、一杯いるじゃん! マスクでおしゃぶり隠せばいいんだよ!」
「あっ!」
 なんたること。
 アタシらときたら花粉に縁がないもので、マスクを着けて外出するという発想がなかなか出てこなかったのだ。だいたいマスクってどこかにしまっておいて、風邪を引いた時に思い出すくらいじゃん?
「おしゃぶりがあれば、しばらくは出歩けるでしょ?」
「うん、うん……それなら、大丈夫ね! 久しぶりに外に出られるわ!」
 お姉ちゃんの顔を見て、やっぱりお姉ちゃんも外へ出たかったんだなあ、と今更ながらにアタシは思う。
 場の勢いというのは存在するらしく、アタシ達はやたらハイになって、もう出かけることしか考えていなかったのです まる

306 :
 車を持つのは贅沢……みたいに都会では考えられてるみたいですが、公共交通機関が冗談じゃないくらい貧弱なもので、田舎や地方都市では自家用車が必須です。
 アタシもオートマ限定免許くらい持ってます。食料品とかお姉ちゃんのおむつを買うために普段から使ってるんで、運転は結構巧いと思う。
 目立たない後部座席にお姉ちゃんが座ってるのは、今はまだよだれかけを着けているから。ちなみに服はちゃんと着てる。素材が良いからこの人は何を着ても似合うんだけど、
今日はシックなワンピースの上から、白い薄手のロングコート。おむつ隠しに一点特化した装備って感じ。
「そー言えばお姉ちゃん、なんで普段は裸なの?」
 厳密には裸じゃなくおむつ一丁。先生、よだれかけは衣類に入りますか。
「服も、なんだか嫌なの。ほんのちょっとだけ嫌。おむつを取られるのとは比較にならないけどね」
 なるほど。
 つまり、あの、おむつによだれかけ、おしゃぶりだけ身につけた姿が、お姉ちゃんの心が求めているもの、って事なんだろうか。
 ふと、例えばロンパースみたいな幼児服だったら、お姉ちゃんも嫌じゃないんじゃないかなあ、と思ったけれど、よだれかけやおしゃぶりと違って、
赤ちゃん用のを転用するわけにも行かないし、自分で大人サイズの幼児服なんて作れるほどお裁縫は巧くない。
 ……勘弁してくださいね。大人サイズのロンパースが某所で普通に売られてるなんて、マニアでもなきゃ考えも付かないでしょ。
 とりあえず一つ、アタシ達が二人揃って失念していたことがありました。
「はい、あーん」
「ねえ文月……み、みんな見てる」
 はい、お姉ちゃんは自分でご飯が食べれません。
 そして、公衆の面前で「あーん」をやってる女二人、好奇の目に晒されない道理もなく。
 平日昼間なので「みんな」なんて言えるほどの客入りじゃなくそこそこ空いてる、それでもちらほら人が居るフードコート。
アタシ達を挟んだテーブルの上には、おしゃぶりを隠したマスクを置いた隣に、1.5人前くらいの巨大パフェがそびえ立っている。
 人が少ないせいで、ちらちらと見られているのが尚更よく分かる。おしゃぶり&よだれかけという障害を克服しても、まだこんな問題があったのだ。
「大丈夫よ、多分。……ビアンのカップルか何かだと思ってくれるって」
「それはそれでどうなの……」
 もうここまで来たら細かいことは気にしてられない。
「ほら、早く」
 うーん、知り合いが来ない事を祈ろう。
 まずは一口。
 羞恥を振り払い思い切って食らいついた、ってカンジだったけど、その瞬間、お姉ちゃんの目が輝いた。
「美味しい?」
「うん、とっても……」
 とろけるような笑顔でした。
 値段にしてたかだか3桁のパフェだけど、考えて見ればお姉ちゃんがこんなもの食べたのっていつ以来なんだろ。
 気晴らしになればとアタシが買って帰るのはせいぜいコンビニスイーツだし、一日三食の準備に精一杯でお菓子作りなんてやらないから。
 また一口。もう一口。親鳥の到来を待ちわびていたツバメの雛みたいにお姉ちゃんはパフェを呑み込んでいった。
「文月も食べたら?」
 人心地付いた所で、お姉ちゃんがマスクをかけながら、つまりおしゃぶりを咥えながら言ってくる。
「そだね。じゃあアタシもいただきまーす」
 そして一口。
 甘い物。ああ甘い物。甘い物。
 女の子には奮発したスイーツが必要だと言う事を長らくアタシは忘れていました。
 シュークリーム分でもパフェニウムでも構わないから、その手の怪しい栄養素を定期的に摂取しなきゃいけないのです。
お姉ちゃんに食べさせたのと同じくらい自分で食べたけれど、夢中になったせいで途中の記憶が飛んじゃってる。

307 :
 山のようだったパフェもアタシ達二人の別腹に消えて、気がつけば後は下の方に溜まってるクリームまみれのスポンジだけ。
「お姉ちゃん、これ……」
 スプーンを差しだそうとした時だった。
「あっ」
 ぶるるっ、とお姉ちゃんが震える。
「……漏れた?」
「漏らした……」
 これでもしばらくお姉ちゃんの世話をしてるから、ただおしっこをしたのと、制御できずにお漏らししてしまったものの区別くらい、外から見ても付く。
「き、緊張してたら、おしっこが出ちゃって。ねえ、気がつかれないかな」
「平気だって。近くに来なきゃわかんないよ。第一ここ、食べ物のにおいで一杯だし」
 小声でアタシ達は囁き合う。
 まあ、おむつ自体にも消臭効果はいくらかあるみたいだし。鼻をひくつかせてみても、飛び込んでくるのはラーメンスープの強烈な匂いだけだった。甘くて冷たいモノ食べた後にこの匂いは……ああ、味噌ラーメン食べたいなあ。
「そう、よかった」
 ほっと一息つくお姉ちゃん。
 でも、なんかその割りに震えてるし、顔が青白くなって額に脂汗浮いてる。
「お姉ちゃん、もしかして緊張とかじゃなく……限界?」
 ほとんど確信しながら問いかけると、お姉ちゃんはすくみ上がる。
「だ、大丈夫」
「大丈夫に見えないから言ってるのよ」
 三十八度の熱を出しても大丈夫と言って仕事しようとしたあんたの言葉が信用できますか、っての。
「だって……文月……」
 これだ。
 皆まで言わずとも、この時点でアタシは沸騰。
 相変わらず、自分のことは二の次三の次でアタシへの遠慮ばっかり。今日のお出かけはアタシじゃなくてお姉ちゃんのためだっつーの!
「お出かけならまた来ればいいでしょ? 今はお姉ちゃんが心配なの」
 ぴしゃりと言って、パフェの残りを一気にかっ込む。
 もはや一刻の猶予もない。音速(当社比)で食器を返却して光速(個人の感想です)で戻ってきたアタシは、縮こまるように震えていたお姉ちゃんの手を取った。
 ひやっとした感触、手のひらに滲む汗、小刻みに揺れる指先。
 かなり辛い状態だろう。
「た、立てない……」
 腰が抜けたみたいにお姉ちゃんは動けなくなってる。
「ほら、掴まって」
「ありがとう……」
 肩を貸したら、思いがけないほどの体重がかかった。
 重い。付くべき所に肉が付いてて、しかも背が高いお姉ちゃんは重い。
 でもアタシは踏ん張った。これでも高校時代はバレーやってたんだよ。中学時代は部費が払えなくて帰宅部だったけどね。
 来る時は二分くらいだった、フードコートから駐車場までが果てしなく遠い。
 休日じゃなくて助かった。人が少ないから、亀の歩みのアタシら二人も特に邪魔にならないようで。
 ほとんど背負うみたいにして一歩一歩アタシは歩いた。
 お姉ちゃんはがくがくと膝が笑ってる。
「おねえちゃん、平気?」
「わかんない……」
「またお漏らししちゃった?」
「わかんない……」
 全く心ここにあらずと言った様子で、お姉ちゃんはぼそぼそ答えた。
 いきなり泣き出さないでちょうだいよー、と祈りながら歩む。
 冷たくなった手を握ったら、きゅっと力なく握り返してきた。

308 :
※次、連投規制に引っかかったらもう寝て、残りの投下は明日の朝にするかも

 後部座席にお姉ちゃんが着陸するなり、アタシはよだれかけをお姉ちゃんの首に回した。
「ぷはぁっ」
 まるで酸素ボンベでも貰ったみたいにお姉ちゃんは深呼吸する。器用にも唇でおしゃぶりを咥えたまま。
「どう? お姉ちゃん。もう平気?」
「うん」
 人間ってどんだけ精神的な生き物なんだろう。
 気付け薬を飲まされたわけでもないのに、よだれかけを着けただけでお姉ちゃんの顔色はみるみるよくなって行った。
 ほっとして、アタシは運転席に座る。
「気晴らしになるかと思ったけど、かえって辛かったかなあ」
 これじゃ出かけた意味がない。
 軽率な思いつきを後悔したアタシ。
 しかし、後部座席で息を整えてたお姉ちゃんが急に、ぽつりと。
「いいのよ。文月、今日はありがとう」
 飲み物を口に含んでたら衝撃の余り吹いてたんじゃないだろうか。
 あんまりにもあっさりと、アタシの待っていた言葉が降ってきたもので、流石にちょっとうろたえる。
「お出かけの事じゃなくて、さっき、私を助けてくれて」
「助けたなんて大仰なものじゃ……」
 アタシ的にはただ車まで歩いただけ、なんだけど。
 振り返るとお姉ちゃんは静かに微笑んでいた。
「ううん。いつもみたいに、周りの事がどんどん分からなくなっていったのに、私、文月がそこに居るのだけはちゃんと感じたの」
 その言葉にアタシははっとした。
 あんな酷い状態になってもパニックにならなかった理由は、それだったんだ。
「ねえ。お世話だけなら誰だってできると思うの。お世話して貰ってる立場でこんな言い方、失礼だけど。咄嗟の時にどうするかって所で、本当の気持ちが出ると思うの」
 本当の気持ち。
 お金で引き留めてるとか、お義理でやってるとかじゃ持ち得ない本音の部分。
 あそこでお姉ちゃんの限界に気付いて引き上げてきたのは、アタシとしてはただ必だっただけ。でもそれ、つまり、本気で動いたって事なのかも。
「嬉しかった。本当に、ありがとね」
 ああー、もうっ。なんでこう可愛いこと言うかなあ、この姉ちゃんは。

309 :
 それっきりハッピーエンドだったら平和だったんですけどね。もう一波乱ありました。
 アタシが家事をしてお姉ちゃんが仕事をして。
 アタシがおむつを替えてお姉ちゃんが泣いて。
 そんないつも通りの一日が終わって、いつも通り眠りについたのだけれど。
「ん……あれ、お姉ちゃん?」
 夜中、物音を感じてアタシは目を覚ました。
 ちらっと時計を見ると一時五十二分。もうちょっとで目覚ましが鳴って、お姉ちゃんのおむつを替える時間だ。
 お姉ちゃんが起き出していた。
 なんたって長身なので、寝ている時隣に立たれると威圧感が凄い。
 ベッド脇に立ったお姉ちゃんは、たっぷりのおねしょで重くなったおむつをぶら下げて、はしたなくがに股になっていた。長い髪に寝癖が付いている。
 暗くて表情はよく分からないけど、すすり泣いて、しゃくり上げているのだけは耳で感じた。
「こわいの……やだ、さみしい……」
 大きな体に似合わない、か細い半泣きの声でお姉ちゃんが言う。
「もしかして……発作が?」
 お姉ちゃんは、そうだとも違うとも言わなかったけど、アタシは雰囲気で察した。
 普段、寝ている間はおむつを外したって気がつかないのに、夜中に起き出してくるなんて。
「やっぱり外出はまずかったのかなあ」
 今日のことが――もう昨日か。夢の中でフラッシュバックでもしたんだろうか。
「ふづきちゃん、いっしょにねさせて……」
「わわわ」
 お姉ちゃんはアタシのベッドに潜り込んでくる。
 本当に甘ったれの子供かみたいな行動で、ねぼけてるのかな、と思った。
「分かった、一緒に寝てあげるから……だからまず、おむつ替えよう。ね?」
「うー……」
 必でおしゃぶりをしゃぶるお姉ちゃんに、その言葉は届いただろうか。
 アタシのベッドの上にお姉ちゃんをひっくり返して、ネグリジェをまくり上げておむつを丸出しにさせる。
 新しいおむつを隣に用意すると、アタシは覚悟を決めておねしょおむつを開いた。
 だけどお姉ちゃんは泣かなかった。
 目をとろーん、とさせて、眠るような表情になっただけだ。
「ううん……ふづきちゃんが……いっしょなの……ふづきちゃんがいると……だいじょうぶ、なの……」
 ぼうっとした調子で寝言みたいに呟くと、お姉ちゃんは目を閉じ、本当に寝息を立て始めた。
 何か様子がおかしかった。普段なら、前あてのテープが外れただけで大泣きするのに。
 その時はラッキーとしか思わなかった。アタシも眠くて頭が働いてなかったのだ。
 夜中に情け容赦ない泣き声を聞くと目が冴えてしまって困る。お姉ちゃんの方は泣き疲れた分、よく眠れるみたいだけど……
 おしりとアソコを拭き上げて、脱力したおしりをひいこら言いながら持ち上げ、新しいおむつを敷き込む。
 その時、お姉ちゃんのアソコがぴくりと動いた気がした。
「おっと!」
 慌てておむつの前を充てる。
 テープを止めようとした所で、しゅいいいいいいい、とお姉ちゃんがおしっこを漏らした。おしっこがおむつに当たる微かな振動が、ほっこりとしたぬくみがおむつ越しに伝わってくる。
「うう〜ん……むにゃあ、おちっこ……」
 いい気なものだ。
 アタシもとっととお姉ちゃんの隣に寝転がる。
 すると。
「ふづき……」
 あんまり驚くと声も出ないものなんだね。
 隣のお姉ちゃんが抱き枕にするみたいにアタシを抱き込んだのである。
 はちきれんばかりの胸がアタシの腕に当たる。足を絡みつかされて、ごわごわした、それでもちょっと湿っぽいおむつがアタシの太股に押しつけられる。
「全く」
 溜息をついたっきり、アタシも眠ってしまったようだ。

310 :
 翌朝。
「うわっ」
 考えて見て欲しい。
 おむつがその能力を最も発揮するのはどういう状態だろう。
 正解は、行儀良く寝相良く仰向けに寝ている人がお漏らしをした場合だ。特に大人用の紙おむつって、寝たきりの人に使う想定で作られてるし。
 お姉ちゃんは普段、とても寝相が良いから、おねしょはちょっとオーバーしてもおむつが受け止めてくれていた。それが、今日はアタシに抱きついて寝ていたものだから……
「……南北アメリカ大陸」
 股の所からたっぷり横漏れして、世界地図の何割かはできあがっていた。
 しかも、ああ、なんてことでしょう。こっちのベッドはアタシ用だから、おねしょ対策なんかされてない。
 アタシのパジャマも、お姉ちゃんが抱きついてた側は、腋から膝の辺りまでぐっしょりにされていた。おねしょ疑似体験だ。
 兎にも角にも、まずはお姉ちゃんのおむつ。
 早く着替えたかったけど、それよりも朝から泣かれたくないのだ。
 いつも通り手早くおむつを替えて、着替えてる所でお姉ちゃんが目を覚ました。
「ふわぁ……おはよー、ふづきちゃん」
「おはよう、お姉ちゃん」
 むっくりと起き上がったお姉ちゃんは、どこか憮然とした表情でベッドを見る。
「……おねしょ……」
「気にしないでいいよ。ほら、お姉ちゃん、早く起きて着替えて。おむつは替えたけど、ネグリジェもグショグショでしょ? アタシもシーツ洗うから」
 また謝られてもなんだから、努めて明るくアタシは言った。
「うん。ふづきちゃんありがとー」
 にぱっ、と笑ったお姉ちゃんが着替え始める。
 なんだか違和感があった。いくら寝起きだからって……
 お姉ちゃんって、こんなぽやーっとした、頭の周りをちょうちょさんが飛んでそうな人だったっけ?
 さて、着替えると言ってもこの人、おむつおしゃぶりよだれかけが普段の格好なので、単にネグリジェを脱いでおしゃぶりを咥えただけ。
「あさごはんまで、おしごとしてるからねー」
 おしっこで濡れたネグリジェを洗濯籠に放り込んで来たお姉ちゃんが、寝室の前を通り過ぎざま、アタシに声を掛けてきた。
 さてどうするか。アタシはベッドに刻まれたアメリカ大陸を見て腕を組む。
 とにかくベッドをなんとかしようと、取りかかった時だ。
「ふ、ふづきちゃん、ふづきちゃん!」
 悲鳴みたいなお姉ちゃんの声が飛んできたのである。

311 :
「わかんない……どうしよう、ふづきちゃん」
 おろおろしてるお姉ちゃんの肩越しに、アタシはパソコン画面を覗き込んだ。
 お姉ちゃんが朝起きてまずやるのはメールチェック。仕事の連絡は基本的にメールなのだ。
「読めないの?」
 前代未聞の事態にアタシもちょっと混乱する。
 昨日まで日本語だったメールが突然グロンギ語に変わったわけでもないのに、何故かお姉ちゃんには全く読めなくなっていたというのだ。
「かんじがわかんない……むつき、きのうはよめたのに」
 そこでアタシはようやく違和感の正体に気付く。
「お姉ちゃん、むつきって言ってる」
「え?」
「一人称が私じゃなくてむつきになってる」
 それだけじゃない。昨日までアタシを文月って呼んでたのに、今はふづきちゃんって。
「あ、あれ……? むつき……りゃない、ぁわぁたぅしぃ、どおして」
 ふにゃふにゃと口を動かして、お姉ちゃんはどうにかこうにか喋ってる。
 わたし、という言葉がなんかやたら言いにくそうだった。
 思い出せ、自分。
 お姉ちゃんが自分を「むつき」って呼んでたのは、確か……
「三歳くらいの頃まで?」
 その時お母さんが見てたドラマにカッコイイ女の人が出て来て、お姉ちゃんはその人の真似をして私って言い始めてたはずだ。
「お姉ちゃん、一体……」
 音を立てんばかりの勢いでお姉ちゃんが青ざめた。
「よんで、ふづきちゃん、これよんで!」
 開かれているのは、昨日の夜中に届いたばかりのメール。
「えーっと、平素はお世話になっております、先日は当方の不手際で……」
 そこまで読んで、横っ面を張られたような気がした。
 お姉ちゃんがいきなり泣き出したのだ。
「わ……わかんないよぉ! わかんないよぉ! へいそってなに!? ふてぎわってなに!? きいても、わかんない……ふぇえええ〜〜ん!」
 おむつ交換の時みたいに全力でお姉ちゃんは泣きわめく。
 じょわぁ〜っと音を立ててお姉ちゃんはおしっこを漏らした。
「いやらぁ〜……むじゅかしいことがわかんらくなってりゅ……むつき、やだよぉ〜……むつき、きえちゃうよぉ……」
「き、消えちゃうって、それ、いつもおむつを替える時みたいな!?」
 お姉ちゃんは首を縦にぶんぶん振った。
 そしてアタシに縋り付いて、平べったい胸に頭を埋めてくる。
「こあいよ〜! こあいよ〜!」
 もう半分パニックだ。
 しかしアタシもパニック同然なのはやはり同じでして。
 おむつを着けている限り、平気なはずだったのに。
 どうしてこんなことに、とか。お姉ちゃんはこれからどうなっちゃうんだろう、とか。
 いろんな事が頭をぐるぐる回って、でも多分そんな事はお姉ちゃんの方が考えてる訳で。
 ただアタシは、泣き続けるお姉ちゃんの背中をさすってあやす事しかできなくて。
 どれほど時間が経ったやら、お姉ちゃんが静かになる。
「お姉ちゃん?」
 まさかんだかと不吉なことを考えてしまったけれど、泣き疲れて寝ちゃっただけだ。
 その寝顔があんまり安らかなのがかえって不気味だった。
 結局どうしようもなくて、寝室から枕とタオルケットを引っ張ってきて、お姉ちゃんをカーペットに寝かせ、アタシは朝ご飯の準備にかかった。

312 :
 その後、お姉ちゃんは起こしても起こしても起きなくて、結局目を覚ましたのは十時頃だった。
 特にすることもなく、お姉ちゃんの隣で漫画を読んでいたのですが、ちょっと目を離した隙にお姉ちゃんが起き上がっていた。
「お、お姉ちゃん?」
 恐る恐るアタシは話しかける。また火の点いたように泣くんじゃないかって戦々恐々。
 果たして、お姉ちゃんは。
 アタシの方を見てにっこりと笑いました。
 アタシ、呆然。微笑みなんて生やさしいもんじゃなく、純度100%、屈託も憂いもない満面の笑み。お姉ちゃんのこんな顔見たこと無かった……て言うか、大人は普通こんな顔しないんじゃないの?
「お姉ちゃ……」
「あーぅ」
 そして、意味の分からない声を出しながらアタシにしなだれかかってきた。
 悲しき体格差がゆえ、押し倒されてしまいます。
「きゅうっ」
 倒れたあたしをお姉ちゃんは抱きしめてくる。す、素肌のぬくもりっ、しかも胸の弾力っ。
「お姉ちゃん、一体どうなって……」
「だぁー」
 にこにこ顔のお姉ちゃんの口から、つーっと一筋ヨダレが垂れて来た。
 確かにお姉ちゃんはいつもよだれかけを着けてましたとも。でも、使ったことは一度もありませんでした。小道具みたいなモノで。
「ふぁ?」
 驚いたアタシを見て、お姉ちゃんはぽやーっとした様子で首を傾げる。
 そして見つめ合う。
 消えていく世界を怖がっていたお姉ちゃんは、もういませんでした。
 認識が消えていく怖さは、そんな自分を客観的に観察する知性の上に成り立つのであって、思考がまっさらになってしまえば、どうして怖かったのかも分からなくなってしまうのでありましょう。
「お姉ちゃん、まさか、綺麗さっぱり全部忘れちゃった……?」
「あーっ」
 残ったのはアタシのことだけ。
 アタシに抱きついたまま、お姉ちゃんはきょときょとと部屋を見回している。初めての遊び場を訪れた子供みたいな、好奇心の塊のワクワクした顔で。これから作り上げていく自分の世界に夢を膨らませて。
 昨日のあれで、タガが外れたんだろうか。
 お姉ちゃんは多分、すごく不安定な心のバランスをぎりぎりで保っていたんだと思う。赤ちゃんに戻ろうとする心を、赤ちゃんの格好でごまかして、大人の心のままで居た。だから赤ちゃんの格好をしてる時だけ、お姉ちゃんは正気で居られたんだ。
 いや、この推測も半分は当てずっぽうだったんだけど、結局合ってたことが後々分かったからツッコミ入れないで。

313 :
 とりあえずアタシは、とっておいた朝ご飯のサンドイッチをお姉ちゃんに食べさせてみる事にした。冷めても美味しいメニューで幸い。
「はい、お姉ちゃん、あーん」
 お姉ちゃんは不思議そうな顔でサンドイッチを見ていたけど、すぐ食いついた。真剣な顔でもぐもぐ噛んで、ごっくん。
「あー、あー」
 美味しかったみたいで、またにっこり笑って体を揺らすお姉ちゃん。うう、可愛い。
 アタシの手から、次々とサンドイッチを食べていく。嬉しそうに。
 お姉ちゃんが心配にならないのかと言われそうですが、不思議と、アタシの側に戸惑いはありませんでした。むしろ、なんだか、ほっとしたような。
 何にほっとしたんだろ? 多分、お姉ちゃんが甘えてくれたことに。なんだかむしろ、これまでの態度より今のお姉ちゃんの方が自然にすら見えてきて。
お姉ちゃん、本当はこうやって甘えたかったのかも。それが、申し訳なさとか、大人の理性が邪魔をしてた。
 いつものご飯と比べて、面倒って事はなかった。お姉ちゃんはパーになっちゃったけど、アタシに食べさせて貰うのを喜んでるみたいで、素直に食べてくれてる。
「ほらお姉ちゃん、そんな慌てて食べないで……そうだ、ジュース飲む?」
 哺乳瓶入りのオレンジジュースが冷蔵庫で冷えてます。
「うあーっ、うあーっ!」
 取りに行こうと立ち上がると、お姉ちゃんが不安げにわめいた。
「ほ、ほら、大丈夫だって。アタシどこも行かないよ」
「うう……」
 目を潤ませているお姉ちゃんに哺乳瓶を差し出した。
 が、渡しても持ってくれないので、膝枕をするみたいに抱えて飲ませてみる。本物の赤ちゃんならまだしも、アタシよりでっかいお姉ちゃんだから大変だ。
「はい、どーぞ」
 するとお姉ちゃんは夢中で哺乳瓶にしゃぶりついた。
 いやはや、体に比例したダイソン並みの吸引力で、哺乳瓶の中のジュースは瞬く間に減っていきます。
 と。
 じょわわ〜〜〜〜〜〜〜〜っと、おしっこの音がお姉ちゃんのおむつから聞こえてきた。飲み物を飲めばそれだけ尿意も増幅されるのが当然。
おしっこという概念が頭の中にあるかも怪しい今のお姉ちゃんは、尿意を感じたら生理的欲求に従ってそれを解放するだけ。真っ白だったおむつがじんわり黄色く滲みます。

314 :
 はっとしたようにお姉ちゃんは哺乳瓶から口を離す。
「うぇえー、うぇえー」
 涙目で情けない顔をして、むずがっている。
「お姉ちゃん、おむつが気持ち悪いのね?」
 うーむ、ちょっと新鮮な気分。お姉ちゃんはいつもおむつ替えを嫌がってたから、おむつが濡れても、あまつさえウンチでグチャグチャに汚れても、気持ち悪さを訴えたりしなかった。
 兎も角、気持ち悪がってるならおむつを替えるしかない。いつものように準備を整える。
 一旦深呼吸して、アタシは意を決しておむつのテープをはがした。
「あれっ?」
 なんたることでしょう。
 おむつを外したのに、お姉ちゃんが泣き出さない。
 気持ち悪さの元凶であるおむつが肌から離れて、にぱっと笑っている。
「……そっか」
 お姉ちゃんがおむつ替えの度に泣いてたのは、何も分からない何も知らない赤ちゃんの世界に引きずり込まれていく自分が怖かったから。
 もう怖がる必要もないんだ。
 とかなんとか感慨にふけっていますと。
「ぶべっ」
 突如噴き上がったものが顔面直撃。聖水プレイはごめんです。
「しー、しー」
 どうやらおしっこを出し切っていなかったようで、おむつを外された開放感もあってなのか、お姉ちゃんは気持ちよさそうに放尿している。
「おおおおお姉ちゃん!? おしっこはせめておむつに……」
 アルコールティッシュで顔を拭きます。だけど服にもおしっこを引っかけられちゃって、もうこれは着替えなきゃ。
「うゆー……」
 お姉ちゃんはもう本当の赤ちゃんみたいに、アタシの言葉も意味が分からないみたい。
 それでもアタシのすることに抵抗はしなかった。おむつ交換の間も大人しいまま。
 全幅の信頼? って言うか。完全に甘えられてる。いや、依存されてる?
 赤ちゃんがお母さんに対して、そうであるように。
 まき散らかされたお漏らしの対処を考えながらも、おむつ替えは完了。
 場所がカーペットの上だったから、ちょっともうこれはクリーニングに出すしかないか。
「ふぁ、あうー」
 犯人であるお姉ちゃんは、気持ち悪かったおむつがさらさらになったおかげでご機嫌も回復。
 かと思いきや、またぐずり出しました。
「ううー、うえぇー」
「こ、今度はどうしたの?」
 抱き起こすと、さっきまでは割としゃんとしてたのに、首が据わらない赤ちゃんみたいに、かっくんかっくん船をこいでる。瞼が重そう。
 つまり、眠くってぐずってるんだ。
 たっぷり二度寝した後なのに、食べたら眠くなるんじゃ、本当に赤ちゃんみたい。
 これは……あやすしかないのか。
「よーしよしよし……」
 ぐずり続けるお姉ちゃんを揺すって、撫でて、とやっていると、やがてお姉ちゃんは満足そうに寝入ったのでした。

315 :
 次にお姉ちゃんが目を覚ましたのは午後二時くらい。
 アタシはネットサーフィン中でありました。
「ふーたん!」
 突然声がしたので振り返ると、寝ていたお姉ちゃんが起きている。
 いやそんな事よりも。
「今、ふーたんって言った?」
「ふーたん! ふーたん!」
 ふ、が頭文字。アタシの名前は文月。多分アタシを呼んでいる。
 さっきまでは、何も喋れなかったのに、何度もお姉ちゃんは呼んでくる。
「ふーた?」
「違うそれは立ち上がるレッサーパンダ」
 ふーたん、ふーたん、と言いながら、お姉ちゃんは寄ってくる。
 それで何をするでもなくアタシにくっついて来た。
「ふーたん」
「あはは。よしよし」
 かいぐりかいぐり。
 感動しちゃって良いですか。おどおどとお世話されてたあのお姉ちゃんが、こんなストレートに用もなく甘えてくるなんてっ。
 ふと、その時。パソコン前に座ってたアタシの目に止まったのは、お姉ちゃんがいつも使ってるペンタブ。
「そうだ、お姉ちゃん! お絵かきしてみる?」
「うー、あー」
 話が通じてるか怪しかったけど楽しそうだったから承諾と見なしちゃおう。うん。
 お絵かきソフトを起動。パソコンの前に座らせてペンを持たせてみるけど……それ、おしゃぶりじゃないから!
「絵の描き方も忘れちゃってるかー」
 と、思いましたが。
「あら」
 タブレットの上でペンを動かすと画面に絵が描けるという因果関係に気がついたようで、何事かぐりぐりと書き始めます。
 ペン先を変えるとか、色を変えるみたいな技能は使ってないけど、やがてなんかそれっぽいものが画面に現れる。
「ふーたん、ふーたん」
「あらあら」
 お姉ちゃんが指差す画面には、なんか人っぽいモノ。
 丸っこい頭と手足がなんとか確認可能な、ちらし寿司に撒いた海苔みたいな絵が描けていました。
「たいへんよくできました」
 子供は誉めて伸ばす方がいいと思います。
 かいぐりかいぐり。
「えへー」
「ちょっと成長したのかな?」
 なんたって言葉を喋って、絵が描けるようになったんだから。
 案外、心配しなくても大丈夫なのかな、と。

316 :
 ……そうは問屋が卸さず、お姉ちゃんの成長は停滞したまま夜を迎えました。
「あ」
 晩ご飯を食べて、シャワーを浴びて、寝室に戻ってきた時、アタシは一粒で三百メートル走れそうなくらい重大な間違いに気付きました。
 お姉ちゃんのおねしょ攻撃を食らったアタシのベッド、そのまんま……
 衝撃的な事件のおかげですっかり忘れてた。
 南北アメリカ大陸は今や臭気と共に深く刻み込まれて、かつて入植者が先住民を虐したように、本来の使用者たるアタシをベッドから遠ざけるに十分なものとなっておりましたとさ。とっぴんぱらりのぷう。
「んーと、これは……」
「ふーたん」
 どうしようかと思った矢先、ぎゅっとアタシの手を握るお姉ちゃん。
「……一緒に寝る?」
「うー」
 別に悩むこともなかったのね。
 確かに、今のお姉ちゃんがアタシと別々で寝るとは思えないし。
「じゃ、お姉ちゃんのベッドで一緒に寝ようか」
 とりあえず、アタシの布団はカーペットと一緒にクリーニング決定。
 先にお姉ちゃんをベッドに寝かせて、まずは就寝前のおむつ交換とします。
「そう言えば、昨日の夜……」
 ここでアタシは思い出す。
 昨日の夜中のおむつ交換。あの時既にお姉ちゃんはどっか変だった。
 そうだよ、泣かなかったんだ。
『ううん……ふづきちゃんが……いっしょなの……ふづきちゃんがいると……だいじょうぶ、なの……』
 寝言みたいなお姉ちゃんの言葉を思い出した瞬間、アタシの中でいろんな事が繋がった。
「ふーたん?」
 おむつ替えの最中に手を止めたアタシに、不思議そうな顔をするお姉ちゃん。
 お姉ちゃんは大人としての自分に必でしがみついてた。それは、どうして?
 もし何の心配もなければ……自分がどうなっても受け止めて貰えると分かれば、もっと早く幼児退行してたんじゃない、かな。
 絶対的な誰かに徹底して甘えることで、子供は、自分の存在が承認されていると確かめられる。だから、甘え足りなかった子供は情緒不安定になる――そんな話をどこかで聞いた。
 お姉ちゃんは、存在の承認を、自分が生きてていいんだって感じられる想いの根幹を叩き壊されていた。
 お姉ちゃんは、甘えたかったんだ。だから本能的に赤ちゃんに返ろうとした。
 だけど、あたしが甘やかしてくれる自信はなかった。だから理性で大人にしがみついた。
 きっと、昨日の出来事で、お姉ちゃんはアタシを信頼してくれたんだ。
 緊張の糸が緩んで、そして……
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
 ふわふわのおむつをあてながら、アタシはお姉ちゃんに語りかけた。
「ご飯はアタシが食べさせてあげる。眠くなったらあやしてあげる。おむつが濡れたら替えてあげる。だから、もっともっと、甘えていいんだよ」
 また大人に戻れるその日まで――
 ぽかんと口を開けてこちらを見ていたお姉ちゃん。
 それが急にびくんっと、釣り上げられた魚みたいに跳ねたのですだよ!
「うひゃあっ!」
 アタシの悲鳴。そして沈黙。
 そしてそして。
「ほぁ?」
 間抜けな声を出したお姉ちゃんが、驚いた顔になる。
「ふ、ふづきちゃん!」
「お姉ちゃん!?」
「ふづきちゃん! あ、あのね、むつきね、おもいだしたよ!」
 アタシの想いをまっすぐ乗せた、お姉ちゃんが一番欲しかった言葉。自分は甘えて良いんだ、って実感。それはお姉ちゃんの精神に、思いも掛けないほどの作用を生み出してしまったようで。
「うきゃー!」
 なんか変な声を出したお姉ちゃん。
 あー、嬉しい悲鳴ってこういう声のことを言うのかな。多分違う。
 跳ね起きてアタシを抱きしめると、そのままお姉ちゃんはベッドに倒れ込んだ。
 スプリングが悲鳴を上げている……
「ふづきちゃん、だいしゅき!」

317 :
 とりあえず、事の顛末を報告させて頂きますと。
 まずお姉ちゃんの頭は多分、元に戻った。漢字も読めるようになって、ちゃんと問題なくメールをやりとりして、イラストを描いています。
 戻らなかったことと言えば……
「ふづきちゃん、これみてー! じょおずにかけてるでしょー!」
 相変わらず舌っ足らずなまま。それに、お仕事のメールに返事を出すためパソコンに打ち込む文章では難しい言葉を使ってるのに、口から出てくるのは幼児語のオンパレード。
 言葉が不自由なお姉ちゃんからなんとか聞き出した所によると、難しい事を喋ろうとすると、急に頭の処理速度が――多分、幼児のレベルにまで――落ちて、簡単な事しか喋れなくなっちゃうんだって。
 それから、おむつやおしゃぶり、よだれかけを外してもパニックにならなくなった。
 だけど、前のお姉ちゃんはちゃんと自覚してお漏らししてたのに、今は本当の赤ちゃんみたいに気がついたら漏らしてるそうで、やっぱりおむつは必要です。
 おしゃぶりは、必要ないと思うけど……咥えてると落ち着くらしいから、今のところ取り上げてない。
 あ、おねしょは相変わらず毎晩だけど、普通の量になりました。やっぱり前は何かがおかしかったんだね。
 最後に一つ付け加えますと、お姉ちゃんはストレートかつ遠慮無くアタシに甘えてくるようになった。
 きっとお姉ちゃんはこれから、もう一度やり直すんだろう。傷だらけになった自分を一旦捨てて作り直すことでしか、ゼロ歳から育ち直すことでしか、もうお姉ちゃんの傷は埋められなかったんだろうと思う。
 そのお手伝いを出来る、信頼できる誰かを見つけるまで、待ってたのかな。そして、アタシに全部任せられると思った時、お姉ちゃんは赤ちゃんになってしまった。
 だからお姉ちゃんが元に戻るまでアタシは、お姉ちゃんの世話をする。
 ご飯を食べさせて、おむつを替えて、おしりを洗って、子守歌を歌って……もうちょっとしたらトイレトレーニングも必要になるのかな。その前におむつをパンツタイプにして、自分で交換させた方がいいのかな?
 いや、自然におむつが取れるまでもうしばらく、赤ちゃんのままで居させる方がいいか。
「ふづきちゃん、むつき、ちっちでたのー」
「えらいえらい、よく言えたねお姉ちゃん。それじゃ、おむつ替えようか」
 よちよちとお姉ちゃんががに股でやってくる。
 ま、存分に甘やかしてあげよう。
 アタシがお母さんの所から巣立ったみたいに、いつかお姉ちゃんが本当の大人に戻って私の下から巣立つ日も、きっと来るんだろうから。
 それまではお姉ちゃんのママでいようと思います。


318 :
なんとか投下できた
ろくに読み直してないから
なんか間違って別の話が混じってるところとかあるかも

319 :
投下終わっててから気が付いた支援できずにスマン
長編GJJJJいやー萌えますなー(*´Д`*)

320 :
キテタ━━(゚∀゚)━━!!!!

321 :
GJあり
中盤までのキーワードに「ありがとう」を据えたのに
最初の最初に言わせちゃったのはわかりにくかったかなー、と反省
同じ単語で重みを変える演出とか考えたけど、考えただけだった
また暇になったら続編を書いて投下しに来ます

322 :
ここしばらくで一番のヒットかもしれん
マジでGJ

323 :
ううっ・・・ふう・・・
感動して目から尿が漏れた

324 :
>>321で言ったところ修正したかったんで
アカウント取ってpixivに上げ直してみた
ttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2422454
宣伝じゃなくて
無断転載とか向こうで言われないよう念のため書いておきます

325 :
半ば発作的に書き上げた
ここは人里から少し離れたオフィスビル。
一人の若そうな外見をした女が、高そうなスポーツカーに乗り込む。
彼女は、テレビなどの様々な媒体で最近特に注目を集めている「青島美嘉」だ。
若干29歳にして彼女の稼ぎは裕に1億円を超えているからそれは驚きだ。
しかし、彼女には少し人と違ったところがある。そう、みて見ると、彼女は何と車椅子なのだ。
まだ彼女が高校生の時事故に遭い、それから足が全く動かなくなったのだ。
「お疲れ様」「お疲れ様です社長!」「したら、明日までに今まで出た資料まとめておいてね。大丈夫。あなただったらすぐ終わるから。何かわからないことあったら私にメールして」
「ありがとうございます。そしたら、明日までに資料まとめておきます」「頼んだよ・・・これうまく行ったら、もっといい立ち位置につかせてあげる」
と言い残した後、車を動かし、車道に入ったや否やけたたましい音を上げて走り去っていった。
(今日は久しぶりに早く帰れた。どこか食べにでも行こうかな。翔と)
車を走らせしばらくすると、景色は煌びやかな照明達に着飾られたダウンタウンへと変化していった。交差点を抜けるたびに美嘉の車に多くの羨望の視線が向けられる。
そうしてしばらくすると、2人が住んで居るマンションが見えてきた。
都心のど真ん中に位置する超高級マンションの上層部。値段でしたら2億は下らないであろう。2人はそのマンションに住んでいる。
39階にある2人の部屋の鍵を空けて、部屋に入る。車椅子から降り、地を這いずるようにリビングルームの戸を空けると、そこには夫が居た。
「美嘉か。早かったな」と夫は結構驚いた表情をしていた。
「そう?そう言えば、今日どこかに食べに行かない?」「あぁ。久しぶりに食べたい気分だからな。食べ放題行くか。そうそう、最近さぁ、埴輪台にさ、安っすい食べ放題出来たんだよねwどんなに食べても2時間で2000円。安くない?w」
と金持ちらしからぬ事を平気で言ってしまう美嘉の夫の翔。車両チューニングの業界では翔の名前を知らない人間はいないらしい。良い意味でも悪い意味でも
元々は美嘉の会社が既存車両の福祉車両仕様への総合的なコンバージョンを行える企業を探していたら、翔が経営するチューニングショップがその話に乗って、そしてその成り行きで翔と美嘉は結婚にまで至ったという事だ。
「そんな所行くの?」「ほらほら。なんか小さい皿にさちょこっと乗ったやつで1万とか。それほどふざけたもんはないでしょwwww」「ふざけたって・・・」
2人はいつもこんな感じだ。まぁ見かけによらず美嘉が結構大食いだったのが救いと言うところだったらしく、美嘉は少し拒絶感を覚えたが、すんなりその2時間2000円のバイキングに決まった。
それから3時間ぐらいかして、2人は帰ってきた。お互い満足そうな顔して
「いや〜。食ったね。体重2キロ増wってかwww」「久しぶりに私も結構食べたよ。ほら・・・」「あ・・・すごっw」「美嘉先にお風呂入るか?」「うん」「はいよ。したら沸かしてくるよ」「はいよ」
それからしばらくして、風呂が沸いたようだ
「どっち先入る?」「翔からでいいよ」「そう?ありがとう」
他愛のない会話。翔はさっさと風呂を済ませた。
「美嘉。いいよ次」「は〜い」
と言うと、美嘉は服を脱ぎに脱衣する所へと向かった。
衣服がかすれるわずかな音と共に時折「ベリッ」「ベリベリッ」という衣服からではないような音が混じっていた。しばらくして、美嘉が風呂から戻ってきた。
「美嘉。大丈夫だったか?」「いや・・・やっぱりしちゃってた」「そうか・・・まぁその身体じゃどうにもならないけどな」「もぅ・・・」「でも美嘉のそう言うのも好きだぞ」
美嘉は思わず赤面してしまい、そこにすかさず翔がそばに来、美嘉の頬をなでるように触った
「ほらほら、可愛い可愛い。ソファに座るぞ」と声をかけ、翔は美嘉をお嬢様だっこして、ソファに座らせた。そして色々と話しているうちに、夜も遅くとなったようだ。翔はまた美嘉をお嬢様抱っこして寝室へと連れて行った。
「さて、美嘉。大丈夫か?替えておくか」「・・・大丈夫だよ」「そうか?」
と言うと、翔はおもむろに美嘉のズボンの下にてをもぐりこませた
「だから大丈夫だって・・・」「いや、大丈夫じゃなさそうだぞ」「・・・」
そして、翔は美嘉のズボンを少し下げにかかった
「いや・・・恥ずかしい」「何も恥ずかしくないだろw」と言いつつ、どんどん下げてゆく。そして太ももが露になったところでズボンをおろした。普通であれば、股部を守っているのは1枚の薄いショーツなはずであるのだが。美嘉の場合は根本的に違った。
次回へ続く

326 :
続け

327 :
続きも新規も職人さんお待ちしてます!

328 :
しばらくパソコンに触れさえ出来なかった
続き
1枚の薄いショーツに代わって、美嘉の股部を守っていたのは、まぎれも無く真っ白な生地に1本の薄い色のラインが描かれたもの。そう、紙おむつそのものであった。
真っ白な生地に1本のライン。そして腹の辺りを覆う帯状のテープ止め地。その真ん中には、紙おむつの名前とサイズが書かれている。
それはまぎれも無く本来であれば、全く動くことの出来ない病人やもういつんでもおかしく無いような老人に施される大人用の紙おむつそのものであった。
「・・・外すね」と、翔は今までと違った神妙な面持ちで美嘉の紙おむつを外しにかかった。
そう、美嘉が事故で負った後遺症は、足が動かないだけではなく、元からトイレが近かったのが、さらに近くなった、いや、我慢自体が効きにくい身体となってしまったのだ。
「ごめんね、翔」と美嘉は申し訳なさそうに謝るのだが、翔はいつも通り「謝らなくていいのに」と反笑いで返す。
・・・ベリッ・・・ベリッ・・・
翔は慣れた手つきで美嘉のおむつのテープを外してゆく。翔が美嘉のおむつを外した途端。美嘉が急に話しだす
「翔。こんな私を・・・なんでいつもこんな事もしてくるの・・・?こんな汚い事も嫌がらないでやってくれるの?」
「それはもちろんだろ。それは、最初は驚いたぞ。でも、何て言うか・・・俺が普通じゃないのかな。よく、人の弱みに付け込む・・・ってあるだろ。今の俺は、その逆の定理が働いてる・・・ってところかな?」
美嘉はいつもとは違った、大人びを帯びた口調で、翔に答えを求めた。その間も、翔はせっせとおむつを外し、ついに美嘉の股を露出させた。
美しいラインを描いた真っ白くすべすべとした恥丘。そこからは更なる円熟味を帯びようとしている女性特有の、甘くも酸っぱい香りと共に、汗を濃くしたような匂いが時折漂っていた。
「おむつ替えるから、腰上げるぞ」「うん・・・」と声を掛け、翔は美嘉からおむつを引き抜いた。そして翔るは引き抜いたおむつをまじまじと観察し始めた。
すると、美嘉が
「・・・恥ずかしい」と弱い・・・まるでか弱い鳴き声かのように翔に訴えた。
「何も恥ずかしがることは無いさ」とあくまでも翔は冷静に返した。
それでも「やっぱり・・・恥ずかしい」としか言わない。すると翔は、丸で赤子を撫でるかのように、その手を顔に運んだ。そしてその手を滑らせ始めた
「何かで見たけど、赤ちゃんは触れられる事で、人に懐きやすかったり、安心感を得るんだってよ」と明らかにインターネットで得た知識を再生させるかのように言った。
少し頬に手を滑らせた後、翔はおしりふきと新しいおむつを用意して、美嘉の尻に新しいおむつを差し込んだ。
「さて、少し拭くぞ」と言うと、まるで育児パパのように、ゴシゴシと、かつ優しいタッチで尿で潤っている秘部をなぞって行った。
時々美嘉から発される色気のある吐息を傍に、翔はせっせと拭いて行った。すると
「はぁっ。はぁっ。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」とまるでスポーツでもした後のような乱れた呼吸をした刹那に、ピューッっと、恐らく残ってた尿が勢いよく排出された
「あ、あぶねあぶね」といいつつ、翔は真新しいおむつを高くに上げ、シーツを汚さないようにした。
半ば放心状態となってる美嘉を逆目に
「新しいおむつ持ってくる」と言って、もう1つの新しいおむつを持ってきた。
「さて、今度こそ当てるぞ」と言うと再び手際よく、外すときと逆の手順ですばやく当てて行った。
「よし、当て終わったぞ」と言うと、再びズボンを上げ、元の状態に整えてやった。
すると、少し落ち着いたのか、美嘉が
「・・・ごめんね」と囁くかのように言った。
「大丈夫。大丈夫」と翔は返して、再び美嘉の頬を撫で始めた。
「なんかこうされてる時が・・・一番幸せ」と言った後に、2人は静かに目を閉じた。
2人手をつないだまま・・・
それから2人が再び目を覚ますのは、朝になってからであった。
続く

329 :
支援

330 :
ほす

331 :
また過疎期かな?
職人様随時お待ちしております!

332 :
催促する暇があったらお前が書け

333 :
残念ながら文才ないねん
これ以上の長文はかけない

334 :
じゃあ黙って待ってろ

335 :
ワン♪

336 :
乙女には、秘密がつきものだ。
「可愛いは作れる」という言葉の裏には、いくつもの隠された努力がある。
だがそんな裏話を表に出してしまうのは三流。努力を隠せて二流。一流なら、努力の存在を感じさせない。それがベストだ。
彼女、武田すずはそんなことを座右の銘――というほどではないが、意識しながら過ごしていた。
もちろんそれは、「裏の理由」もあるのだが。
「うーん……」
クーラーの効いた部屋で、彼女はベッドの上に広げられた「ソレ」を見ながら唸る。
小学校五年生ともなれば、おしゃれを気にするお年頃。
ましてや、クラスで一目置かれる彼女のことだ。その気の遣い方は人一倍以上だ。

337 :
――すずさんって、すっごく大人。
クラスメイトに彼女の印象を聞いたら、多くはそう答えるだろう。他にも「クール」や「しっかりとしてる」など、高評価な意見が多い。
それは人より小柄な彼女が、誰よりも背伸びをした結果だった。
もちろん、数知れぬ努力はいっぱいしているが、おくびにも出さないのがすず流だ。
そんな彼女が悩む理由。
常に余裕を満ちた彼女を、追い詰めるもの。
それこそどうにもならない、体にまつわることだった。
「本当に、どうしよう……」
釣り上がり気味の眦を垂らしながら、彼女は晴れない声を上げる。
純白のシーツの上にあるのは、彼女の大事な下着。
白を基調に可愛らしい柄で彩られた「それ」は、よく見る普通の下着とは、少しばかり趣が異なっていた。
布とは違った質感を持ち、彼女にしては少々幼さが残るデザイン。膨らみ気味のフォルムは、ともすれば不恰好に映ってしまうものだ。
「はぁ……」
そのうちのひとつを手に取り、眺めるように広げて、そして大きな溜息を吐いた。
彼女が抱える最大の悩みにして、禁忌の秘密。
それは――この年で未だに、おむつの世話になっていることだった。

338 :
投下キター、支援!

339 :
だって……だって、しょうがないじゃん……」
自分自身を納得させるように、すずは呟いた。
十年以上生きてきた自分のプライドや評判。
作られた「外見」は、彼女を大人にしてくれる。
そんな中にある爆弾。
それこそが、目の前にあるモノ。
そう、紙おむつ。
一般的に言えば、赤ちゃんのための下着。
一人ではトイレにいけない、幼い子供のためのモノ。
その秘密は、彼女の仮面を容易く壊してしまう。
そこまで考えて自己嫌悪と羞恥心がこみあげる。
最悪のケースを想像して、一気に顔が熱くなった。
気を紛らわせるように、手に.持つ紙おむつを空に投げ出し、ベッドに背を向けもたれかかる。
気怠さを感じる体には、心地のいい柔らかさだ。
ぼうっと眺める正面には、幼いころから愛用している姿見がある。
映し出されるのは、簡素な室内着を纏う自身の姿。
黒の長い髪は、母親譲りのものだ。それを髪の色に合わせたシュシュで、ツインテールに纏めている。
青灰色の双眸は、外国人だった祖父から受け継いだものだ。年老いても美しい容姿を保ち、すずにとっても自慢のお爺ちゃん。
その血は目だけではなく、容姿にも反映されている。
西洋人由来の色白の肌を持ち、顔立ちも東洋的な丸さの中に、西洋的な品を感じさせるものだ。

340 :
身体に目に移せばオレンジの紐キャミソールにジーンズ生地のベストといった、「イマドキ」の小学生にありがちな服装だ。
そして下半身には――
「やっぱり、おかしいよね……」
鏡から自らの体に視線を移し、肝心のところへ手を伸ばす。
布とは違う独特の質感。
それが彼女にとっての、現実。
「もぅ……なんで」
――こんな体、なんだろう。
その言葉を出すこともできずに、投げ出した足を畳み、体育座りのまま丸まる。
――普段の私だったら、こんなに悩まないのに。
「外」のすずと「内」のすず。
その差にだんだんと、頭が重くなってくる。
――目が覚めたら何もかも解決していたらいいのに。
そんな子供じみたことを思いながら、彼女は瞳を閉じる。
眦から、一滴の涙が零れた。

341 :
支援無くても書けるんだっけ?

342 :
どのくらいの時間が経ったろうか。
すずはまだ重い瞼を無理矢理開け、辺りを見渡した。
鮮やかなオレンジの光が窓から差し込み、彼女の影を長々と照らし出す。
姿見に映る姿は、少しだけ疲れているように見えた
机の上の時計が、六時過ぎを示している。
「ふぁぁ……ぁ」
寝ぼけ眼を擦り、体を解すように、腕を伸ばしながら立ち上がる。
その瞬間、異変に気が付いた。
お腹に変な重量感があるのだ。
彼女は嫌な汗をかきながら、目の前の鏡を見る。さっきと変わらない自分の姿。
ただ一つ違うのは、おむつがだらしなく垂れ下がっていることだ。
股の部分が重力を受けて落ち込み、立ち上がった反動からかゆらゆらと揺れる。
お腹にかかる重みは、確実に増していた
それが何を意味しているのか、すずには嫌というほど解っていた。
「……やっちゃった、また」
口にするほどその事実は重くのしかかり、おむつを重く感じさせた。
ここで幼子のように泣いたらどんなに気が楽だろうか。
ただ感情のままに、甘えることができたら。
――何考えてるんだろ、私。
弱気になりそうな自分を情けなく感じ、振り払うように頭振った。
――とりあえず、処理、しないと。
気持ちを紛らわすべく、体が先に動き始める。
ベッドの上に広げられたおむつの中から一枚取ると、隣の――妹の里菜の部屋へと向かった。

343 :
里菜は、すずの歳の離れた妹である。
どのくらい離れているかというと、当たり前におむつの世話になっている歳である――と言ってくれたら解るだろうか。反抗期に入る前の、かわいい盛りの妹のことが、すずはとても気に入っていた。
同時に彼女がどんどんと成長していくことが、すずにとってのコンプレックスを強くさせてしまった部分もあった。
コンコンコン。
軽くノックしてから、すずは里菜の部屋へと足を踏み入れる。
すずの部屋とは違ったカラフルな家具に囲まれ、里菜は絵本を読んでいた。
下を真剣に見ていた顔が、すずへと向けられる。
瞬間、顔が花咲いた。

344 :
必要かわからんけど、とりあえず支援

345 :
絵本を傍らに置き、トテトテという擬音が似合う走り方をしながら、里菜はすずに抱きつく。
「ねーた、なぁに?」
「ごめんね、里菜。お姉ちゃん、コレ」
その姿に心を癒されるが、それよりも先に、やることがある。妹の頭を軽く撫でながら、すずは手に持つおむつを見せた。最初は何のことかわからなかったようだが、すぐに合点がいったのか快晴の笑顔で言う。
「ねーたも、ちっち?かえう?」
「う、うん……」
子どもながらの直球な言葉に、すずは苦笑いしながらも頷いた。
――本当にこれが家の中でよかった。
肝が冷え、冷や汗が背を伝う。
幸い里菜は興味があることは良く話すが、それ以外のことはきっぱり忘れてしまうようだ。
だから、すずの秘密も、まだばれてはいない。
――でも、なんとかしないと。
里菜の言葉が悩みを深く重いものにさせる。
すずの憂鬱な気持ちは、未だに晴れない。
心にかかるどんよりとした雲に辟易しながら、とりあえず開いたままのドアを閉め、自分の失敗の後片付けを始めた。

346 :
支援

347 :
里菜が使う吸水マットの上に立ち、すずはおむつを脱ぎ始める。
おしっこを大量に吸収したおむつは、持ってきた新しいのと同じものだったのかと思うほど重たい。
手が滑らないように慎重に、ゆっくりとその重みを感じながら下ろす。
閉じていたおむつの中が空気に触れ、途端にその独特の臭いが部屋の中に広がった。
「くちゃいくちゃいねー」
無邪気に言う妹の言葉が、今はとっても恨めしい。
できることなら、この場で泣き崩れたい。そのままベッドの中に埋もっていたい。
でも、できない。
お姉ちゃんとして、年上として、ここで逃げ出すわけにはいかないのだ。
自らの弱気な心を押しし、彼女は気丈でありつづける。
「これを丸めて……っと」
慣れた手つきで黄色に染まったおむつを丸め、妹と共用のおむつポッドに捨て、妹用のおしりふきで丹念に秘所を拭いていく。
毛一つ生えてない無毛の丘は、自分がまだ子供であることを主張しているようだった。
――実際、私は子どもなんだし。
それも人よりも小柄で、トイレもしっかりできない。
見る人が見れば、十歳とは思えないだろう。
これがすずにとっての、紛れもない現実。
「大人」の自分を壊してしまう、「真実」。
その言葉が、彼女の心を焦らせる。

348 :
手早くかぶれ防止用のパウダーをかけ、新しいおむつに足を通す。ギャザーが立っていることを確認してから、へその下を覆うように持ち上げた。
「んっ……」
「きれいきれいおむつ、きもちいーねっ」
「そう、だね。……里菜はおむつ、平気?」
吸収帯のある面が秘所に触れ、すずは思わず声を漏らした。
艶のある声は、すずが女に変わることへの証であるが、当の本人は気づいていない。
里菜はそれを知ってか知らずか、母親の台詞を真似て喜ぶ。
幼子に向けられる言葉に引っ掛かりを覚えながらも、すずはお姉ちゃんとして、里菜に振る舞う。
「ねーた、どう?」
すずの言葉に、里菜はスカートをたくし上げ、おむつを露わにした。
白を基調としたおむつは、すずと同じメーカーのものだった。もちろん、サイズはすずのより小さいし、デザイン最寄子供っぽくなっている。なによりの違いは、黄色いラインが股を通るように引かれていることだ。
それは所謂おしっこラインというもので、今はそのラインが股の底を中心に、青に変色していた。
「里菜もおもらししてるじゃない。ほら、こっちおいで」
「うんっ」
妹の屈託のない反応に、心のどこかが訴える。
――彼女の様に素直に生きられたら、と。

349 :
「はぁ…」
お風呂上がりの火照った体を冷ましながら、すずは今日何度目かの溜息を吐いた。
お風呂の中で色々と対策を考えてみたが、どれもしっくりと来なかったからだ。
「本当は、おもらしが治ればいいんだけど・・…」
それは無理なのは、自分が一番わかっている。
お風呂前におむつを確認したら、やっぱり漏らしていたのが、その証拠だ。
つまり今のところ、根本的解決は、できない。
やるとしたら、「いかにばれずに済むか」ということになる。
「流石に、素のままだと危ないよね……」
いくつかの候補を浮かばせながら、クローゼットを開ける。
そこには様々な種類の服が、綺麗に整頓されていた。
どれもこれも彼女自身が選んだもので、彼女を「大人」にさせるための努力の一つだ。
文字通りの「大人顔負け」。

350 :
流行に合わせたものや、自分を主張するアイテム、可愛らしい服からシックな服といったものまで、大人が見ても唸るほどのアイテムが供えられている。
「やっぱりスカート類は危ないよね……でも、ずっと穿いてないと怪しまれるし、組み合わせも減っちゃう……でも……」
コーディネートを頭の中で生み出しながら、服の森の中をかき分ける。
目立たなくさせるなら、やっぱりパンツルックがいいだろうか。
けど、それは逆に膨らみがばれるのではないか。
キュロットスカートならどうか。
でも、それは何となく子供っぽい。
えとせとら、えとせとら。
あーでもないこーでもないと頭の中で唸っていると、すずの手に「あるもの」が握られた。
「ん?これって……」
それはずっと前に買った、アウトレットの福袋の中に混じっていたものだった。
しかし目当てのものではなかったために、今の今までこうしてクローゼットの中に眠っていたのだ。
――これなら、もしかして。
淡い期待が、すずの中に芽生えた。

351 :
wktk支援

352 :
とりあえず、今はここまで。
あとはまたーりしてちょ

353 :
おむつが手放せない女の子萌え〜
GJ、続きがめっちゃ気になる

354 :
刺すような日差しが、大地に照りつける。
けたたましい蝉の声を背に受けながら、すずは公園のベンチにいた。
この暑さなど気にしていないような涼やかな笑みを浮かべているが、内心はそれとは真逆だった。
――大丈夫、ばれてない……はずなんだから。
落ち着かせるように自分に言い聞かせ、暗示をかけるように自分を作る。
周りが言うような「大人」な自分。
それを意識しながら、それでも気になって周りを窺ってしまう。
暑さのせいか、人の姿は少ない。
ベンチで横になるサラリーマンや、遊びに来てる親子連れがいるくらいだ。
これが休日だったらと思うと、一気に背筋が凍った。
――へ、平気なんだから。だって、今日は……
誰にも気づかれないように、ちらとスカートを捲った。
そこにはおむつの姿が――なかった。
いや実際には、すずはおむつを穿いている。
しかしその上に、着けているものがあった。
それは――

355 :
「うん、大丈夫。黒ストだし、見えてない……よね」
黒いパンストを眺めながら、彼女は自身なさげに呟く。
彼女が昨夜見つけたパンスト。その効果を確かめるべく、今日は学校の後にわざわざ着替えて、こうして公園まで出てきたのだ。
そして今のところ、彼女を不思議がる人物はいない。
そのことに安堵しつつ、これからどうしようかと考えていると、
「よぅ。すずじゃねぇか、何してんだ?」
突然見知った声が、耳に届いた。
思考が固まる。
逃げ出したくなる気持ちを抑え、平静を装って振り向いた。
「何よ、英二。気安く話しかけないでくれる?」
「何だよ。幼稚園の時なんか、俺に引っ付いて離れなかったくせに」
「そんな昔のこと、覚えてないわ。バカじゃないの?」
「うっせっ。最近妙に大人ぶって、何してんだよ、っと」
「ちょ、なんで隣に座るのっ」
「開いてんだからいいだろ。……お前、がっこでそんな服してたっけ」
「あ、汗かいたからシャワー浴びて着替えたの。それがどうしたのよ?」
「いや、ストッキングとか暑くねーのかよ。お前こそバカじゃねーの?」
「おしゃれも理解できないなんて、やっぱあんたまだ子供ね」
隣に座る少年は「うっせっ」と悪態をつき、荒々しくアイス口に放り込んだ。

356 :
彼の名は今川英二という。
すずにとっては幼馴染という存在であり、小さいころから寄り添ってきた兄弟のようなものだった。
同じ学年の誰よりも背が高く、体つきも男らしい。
人が見たら、何歳か年齢を上に見てしまうような、そんな体つき。
そんななりなのに、中身は子どもっぽいというか、好奇心の塊のような少年。
そんな姿が時に堪らなく悔しくて、それでいて愛らしくて。
自分とは違って自由で、そんな姿がかっこいい。
彼女にとっては、兄弟以上の感情を抱きつつある相手であった。
もちろん、その感情を言葉にしたことはない。
彼女の素直になれない気質は、ここでも現れていた。
――なんでこんな時に限って、英二に会うの……っ!
心の中で叫びが木霊する。
どうして。こんな時に。
間が悪いと言ったらこの上ない。
気づかれないように不機嫌な態度をとってしまう。
そんな自分が恨めしい。
本当はこんなにも――ドキドキしているのに。
高鳴る心臓は、ばれるという恐怖心からだろうか。それとも――

357 :
どうして、ピンチは連続するのだろうか。
世の中はなかなか、思い通りにはいかないものである。
それは、すずの場合も同じだった。
――あ、この感じ。
彼女が自らの体の異変に気付いたのは、英二が隣に来てから十分ほどたったことだった。
急に、トイレに行きたくなったのだ。
だが、それは彼女に問って、大ピンチなことでもある。
彼女にとって「トイレに行きたい」と思い始める時は、既に限界近くになっているからだ。
冷や汗が、体中から出てきた。
「あ、私、もう帰るから……」
「ん?そっか、っと」
「な、なんで立ってるの!?」
「どうせ家近いんだし、ちょっと聞きたいこととかあったし」
「し、知らないわよっ、着いてこないでよ、ばか、ストーカーっ」
「ハァ?いきなりなんだよ、っておいっ!」
英二の言葉を無視して、すずは駆け出した。
もう外身を取り繕う余裕など、どこにもなかった。

358 :
――とりあえず、どこか、隠れられるところ……
きっと英二のことだ。すぐに彼女のことを追いかけてくるだろう。
そしたら、逃げ切れない。
こんな姿、英二には見せられない。
ぐちゃぐちゃになる頭と心に急かされて、すずは手近な茂みの中に逃げ込んだ。
ちょうど木々に囲まれた場所は、どの角度からも見えづらくなっていた。
息を切らしながらもそこへ逃げ込み、見つからないように屈む。
同時。
しゅぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……
股から水流が迸り、おむつの中で弾け飛んだ。
熱い液体が柔肌を撫でる度、背にぞぞと何かが走る。
勢いが強いせいか踊るように水滴は跳ね、下腹や尻を濡らしていった。
焼けるような感覚に腰が、抜けそうになる。
だってこんなにも、熱かったから。

359 :
「んっ……ふぅ」
内腿が震え、最後の数滴を絞り出すと、すずは大きく息を吐いた。
股の中の熱が体中に伝わったのか、今にも溶けてしまいそうなほど熱い。
蒸れているせいか、気持ち悪さに内腿がひくついた。
だがそれ以上に襲い来るモノに、彼女は困惑する。
――なんでこんなに。
気持ち、いいの?
ぞくぞくと体の奥底が震え、見知らぬ感覚に思わず自らを抱きしめてしまう。
――おかしい。
こんな感覚は、知らない。
混乱する頭を正そうと立ち上がり、気付く。
――ああ、私はまた、おもらしをしてしまったんだと。
こみ上げてくる、恥ずかしさと悔しさ、情けなさ。
それが混乱する彼女に、止めを刺した。
すずの目から零れる、大粒の涙。
本当の、幼い少女のように。
彼女はいくつもの感情に押しつぶされて、泣いてしまったのだ。

360 :
英二は走り去っていったすずを探して、公園を彷徨っていた。
虚を突かれたせいか、完全に見失ってしまったのだ。
「くそっ、どこ行ったんだよっ」
汗を流しながらも走り回る彼の耳に、どこからか鳴き声が聞こえてくる。
――この声は……
久しく聞いていなかった泣き声に、彼はかつてのことを思い出す。
少年にとって、少女は守るべき存在だった。
例えば幼稚園。
少女が失敗したときは、常に少年が庇っていた。
どんな時でも、何があっても。
彼は少女の隣にいた。
わんわんと泣く少女の涙を拭い、笑顔に変える。
それだけで、彼は無敵のヒーローに成れた。
お互い歳を取り、だんだんと離れていくことが、心苦しく思えた。
少女にはもう、自分は必要ないのだろうか。
そんなことも考えた。
でも彼は、諦めなかった。
諦めきれなかった。
少年にとって少女は大切な存在であり、幼きその時から、心を奪われていたのだから。

361 :
「すず、大丈夫か」
暗闇の中からさす光のように、その声はすずの中に溶け込んだ。
――懐かしい、声。
少女にとって、その声は救世主の象徴だった。
どんな時でも味方でいてくれる、自分だけの英雄(ヒーロー)。
「えいじ……」
鏡で見たら、きっと情けない顔をしてるだろう。
普段だったら絶対見せられない、弱気で情けない自分。
けど、目の前で微笑む少年だったら、きっと受け止めてくれる気がする。
「ほら、帰るぞ」
「うん……」
差し出された手を、少女は掴む。
涙はもう、流れることはなかった。

362 :
キタ━━(゚∀゚)━━!!!!

363 :
「ただいま……」
「お邪魔しまーす」
二人揃って誰もいないすずの家に入る。
すずが外に出たのは、妹が母親と児童館に向かったという理由もあったからだった。
慣れた足取りですずの部屋に向かう。
幼い時はそれぞれの家を行き来して遊んだ間柄。
そしてすずの体質のことも、英二は理解していた。
「すず、いいのかよ」
「な、何が」
「さっき泣いてたの、お前、やっちゃったんだろ?」
「えっ、その、うん……」
「久しぶりだし、俺が換えてやろうか?」
「なっ!?ば、バカ言わないでよ、変態、えっち、痴漢っ!」
「でもその感じじゃ、かなり蒸れてるだろうし、それに――俺、好きだぜ。おむつしてるお前のことも……」
「へ、変態っ!――ほんとに、ばか」
「だからさ、見せてくれよ。もちろん、お前が――」
「いいよ」
「――いいのか?」
「強がったって、しょうがないし。それに――嬉しかったし。『外』の私じゃなくても、好きだって言ってくれたから」
「かわいいよ。今のお前が、すっごく」
「――もぅ」
はにかみながらすずは、声に出さずに「バカ」と口ずさんだ。
そんな彼女を、英二は愛おしむように撫でる。
幼いころの関係のままに、彼女たちは笑いあった。
もうそこには悩みなんて、無かった。

364 :
「すずさんさ、なんで今川君なの?」
帰り際の教室。
すずは不思議そうな顔をした同級生に、問われた。
既にすずと英二が付き合っているということは、同学年の女子の間で知れ渡っていた。
同時に、皆口々に問う。
なぜ、今川なのか、と。
すずは、その度に同じ返答している。
「英二は、優しいから」
――こんな私でも、受け入れてくれるから。
その言葉の裏を、彼女たちは知らない。
彼女たちはまだ、「外」のすずにしか触れられない。
すずは、強がりだ。
だって、本当は弱いから。
だから、彼女は着飾った。
鎧のように「外見」を作り、弱い自分を覆い隠そうとする。
だからこそ、いつしか「本当の自分」が出せなくなっていた。
そこに、触れることのできる少年がいた。
弱い自分を守ってくれる、ただ一人の英雄(ヒーロー)が。
「ねぇ英二」
だから彼女は、そんな弱い自分を許せる。
「また、おむつを換えてくれる?」
スカートをたくし上げ、黒スト越しのおむつを見せつけながら、悪戯に微笑んだ。
彼の前では、自分は弱くていいと、そう気付けたから。

365 :
これで終わりです。拙い内容ではございますが、楽しんでいただけたら幸いだと思います。
では、この辺で。

366 :
GJ━━━━⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡━━━━!!

367 :
主人公が小学生(ガキ)ってことで、実はあまり期待してなかったんだけど
非常に良かったです
GJでした! ありがとう!!(・∀・)ノシ

368 :
これは素晴らしいな

369 :
初めて書きます。
プロバイダがアクセス制限しているので、細切れになることお許しください。
恵美、トイレ借りていい?「いいよぉ」。
里絵は恵美の家に着いた途端に尿意が我慢できなくなり、勉強の準備が終わったところで、トイレを借りたところだった。
恵美の家は、自営業。仕事スペースと住居スペースの境にある、5〜6席程の会議室を使っても良いと親から許可を得ていたので、ふたりで教科書やノートを大きなテーブルに広げて勉強を始めていた。
里恵と恵美は高校2年生。父親の仕事の関係で里絵は県外の高校から転校して来たばかり。恵美と仲良くなっていたが、今日は初めて恵美の家で勉強する事になった。
少し大人しめの里絵は、明るい性格の恵美が信頼出来る存在で少し年上のようなイメージを重ねて、憧れの存在になっていた。
又、彼女に対して気になる事が幾つかあった。それは、腰から下半身…特に股間の辺りのの不自然な体型と、一緒にトイレに行くことが無く、休み時間に突然居なくなること。

370 :
トイレに入った時から違和感を感じていた恵美の家のトイレ。用を足しながら、便座に座りながらトイレの中を眺め回していた。
多目的トイレにあるような、長椅子のような台が作り付けられていて台の下には引き出しが幾つかあり、汚物入れが無い代わりにごみ箱のような物体が存在していた。
「あれって、赤ちゃんのおむつ処理の…」。そして、長椅子の横には大人用のお尻拭き。「おばあちゃんが一緒に住んでいるっていったから、おばあちゃんのかなぁ」。
そのうちのひとつが少し開いているのを覗こうとしたら、ドアを叩く音が。
「トイレ、誰か入っているのぉ?」しゃがれた年配の女性の声が。
「おばあちゃん、さっきおむつ換えたばかりでしょう?まだ、まだ交換しなくても大丈夫でしょう?」「芳子さん、換えて〜」と恵美のお母さんとおばあちゃんが話していた。
そそくさと用を済ませ、里絵はトイレを出る事に。
「スミマセン、時間掛かって」と恵美が言うと、「いいのいいの。ごめんね急かしちゃったようで」とおばあちゃんを誘導する恵美のお母さん。
すれ違った時に見えてしまった最近流行のローライズ気味のズボンから、腰の辺りに不織布の細かいギャザーが付いた健康な成人は普通使わない「下着」のような物が見えた。
「あれって、まさか・・・」と思いながらトイレを出る。
代わりに恵美のお母さんとおばあちゃんが一緒にトイレに入った。
トイレからは、「おばあちゃんパンツを脱ごうね〜、あらーまだ大丈夫じゃないですかぁ〜」というお母さんの声がした。

371 :
トイレから出た後、早速勉強に取りかかる。そして、里絵の下半身に違和感を感じた。
「そろそろあの日が来るかなぁ、明日かと思っていたのに。」里絵はそろそろ生理が始まりそうな予兆を感じていた。
恵美と昼食後突然姿を消してからから恵美がトイレに行く前までの3時間近くずっと一緒に居たものの、恵美がトイレに行っていない事、時々1分位固まったようになっている恵美の姿が気になっていた。
「昼から恵美とはトイレの時以外ずっと一緒だけど、行かなくても大丈夫なのかなぁ?」と考えつつ、タイミングの悪いことに生理用品の準備をしていない事に気付いたので、恵美に聞きだした。
「あれが来そうなんだけど、ナプキン貸してくれない?」
すると、恵美は「ごめん、私の家にナプキン無いの。」と意外な答えが出てきた。
里絵は続けざまに「えっ、生理のときどうしているの?」と聞いてみた。
恵美から、「実はね、あなたは最近転校したばかりだから知らなかったかもしれないけど、私がいつも着ている下着、紙おむつなの。気になっていたでしょう、私の体型を?」
里絵は恵美の口から出た「おむつ」という言葉に衝撃を受けたと同時に、今まで感じなかった懐かしさと愛しさと羨ましさを抱いた。
少し間を置いて「トイレに行きたいと思った瞬間に、もう出ちゃっているんだ。残念な体だよ。」
里絵の表情が変わるのを伺ったように、恵美は「歩いて5分位にコンビニあるけどどうする?」と聞き返した。
里絵は少し考えた表情をした後、「ねえ、恵美と同じおむつ付けちゃ駄目?」。
今度は、恵美が驚いた表情を見せた後に、「生理だけだったらおむつまでしなくても尿取りパッドでも対応出来るよ」と答えた。
恵美がしゃべるのを終わらせるのと同時に、里絵は「私、量が多いから沢山吸収できた方が良いからおむつがいい」とせき立てるように答えた。
驚いたとともに、急に明るい表情になった恵美は「いいよ。じゃあ、おむつ付けにトイレに行こうか?」。と答えた。
ふたりは里絵が先程用を足したトイレに一緒に入った。。
「うちのトイレ入った時に変だと思ったでしょう?」と言いながら、恵美は長椅子の下にある引き出しに手を伸ばす。
「大人用と子供用あるけど、吸収量はやっぱり大人用だね。これ、使って。普通のパンツと同じように履けばいいから。目立ったらいけないから、薄型にしたよ。青いテープの付いた方が後ろね。」
パンツタイプのおむつを渡された里絵は、トイレの前ですれ違ったお母さんが履いていた物が今から自分が履く物と同じ物だという確信を得た。
「じゃあ、私は外で待っているから。今まで履いていたショーツを入れるビニール袋も置いとくね。」と恵美が言いながらトイレを出た。

372 :
里絵はショーツを脱ぎビニール袋に入れ、生理用品の代わりのパンツタイプのおむつに足を通す。
「結構、柔らかい」と言いながらおむつを引き上げ、股間の辺りを触ってみた。おむつの股間の部分にギャザーが付いていて、里絵の秘部に万が一の事態が起きてもある程度は守ってくれそうな吸収体がフィットしていた。
ショーツをビニール袋に入れ、制服のスカートのポケットに押し込む。
「履けたよー」と言いながら里絵がトイレから出たら、「大きな赤ちゃんがもう一人誕生。」と笑いながら「私もおむつ交換するから、トイレに入るね」と言って急ぐかのようにトイレに入った。
トイレの中から、「おー、ギリギリセーフ。」という恵美の声がした後、引き出しを開け閉めしたり、パッドを剥がしたり、おむつ処理袋に使用済みのおむつを入れといった作業から生じる、普通のトイレからは出て来ない音がした。
恵美はパンツタイプのおむつを下ろし、恵美の尿意を受け止めていた、尿取りパッドを取り出した。尿取りパッドは吸収能力の限界に達していて、丸めようとしたら恵美の尿が吸収体から溢れ出そうな状態。
尿で汚れた秘部をおしりふきで拭った後、少し小さめのパッドを取り出し今まで履いていたおむつに装着し、おむつを腰まで引き上げた。
「お待たせ〜」と恵美はスッキリした顔で出てきた。「おむつを交換した後が一番気持ちいいね!」と言いながら、勉強していた会議室にふたりは戻った。
勉強に集中し2時間程経った時、里絵の携帯が鳴った。
「もしもし、ああ、お母さん?」
「里絵ちゃん、おばあちゃんの体調悪いようだから様子見に行って来るね。
今日は帰って来ないから。食事の準備できてなくって、お父さんも来週にならないと出張から帰ってこないから、何か買うか家の物使って適当に作って。」
と、里絵の母親が急いで話終えたら里絵の返事を待たずに電話を切った。
「あぁ、お母さんは相変わらずだなぁ」と呆れた表情の里絵を見ていた恵美は電話の内容が気になっていた。
電話の内容を恵美に話すと、「じゃあ、うちに泊まれば?明日は土曜日だから授業無いし。」と一気に答えが返ってきた。
そのまま恵美は「私と里絵は体型一緒だから、私の買ったばかりの下着使えばいいし。あ、下のは既に借りていたね」と言ったので、里絵は大笑いすると同時に、秘部から生理のそれではない物が出てくる感触を感じた。
「お母さんに話して来るね」と言い残し、恵美は会議室から立ち去った。
そして、里絵は尿意に襲われた。里絵はトイレに向かうが、トイレから恵美と恵美のお母さんとおばあちゃんの声がした。
トイレの中からは、テープ止めのおむつのテープを剥がす音が。
恵美の母「おばあちゃん、交換するね。」
恵美の祖母「芳子さん、汚れてないよー」
恵美の母「おばあちゃん、いっぱいおしっこしているじゃないですか!」
恵美「お母さん、里絵のお母さんが家に帰って来ないから、泊めてあげてもいい?」
恵美の母「いいけど、おむつの事は話したの?」
恵美「私の事は話しているしそれにね…」
と打ち明けようとしている時に、トイレの我慢ができなくなった里絵が「ごめんなさい、まだトイレ使いますよね?別なトイレはありますか?」と半ば泣きそうな声で聞いてきた。
恵美の母「うちのトイレ、ここだけなの。事務所にはあるけど、今日はお父さんが大事な商談で会社の事務所には入らないように言われているから、ごめん。」
恵美「里絵、ナプキンの代わりに履いている物の中にしちゃえば?」
恵美の母「恵美、里絵ちゃんにオムツ履かせたの?ナプキンだったらお母さんのがあったのに。」
恵美「だって、持っている事知らなかったし」
とトイレの中で恵美達が三世代でトイレを占拠して一向に出てこないため、里絵の膀胱は我慢の限界に達して、一線を越えてしまうまでに時間は掛からなかった。

373 :
「じょわ〜。」里絵の股間に体からの温かい液体が流れ出し、履いている「下着」の吸収体に次第に吸い込まれていった。
そして、下着が吸い込めなかった分の液体が里絵の足に細い一本の筋となって太腿の辺りまでたれ落ちた。
「出ちゃった」里絵はポソッとつぶやいた。
里絵がおむつに粗相をしたのと同時に、トイレからはブリブリッという音がした。
恵美の母が「しばらく、待ってもらえます?おばあちゃん、今大きいのしちゃったからもう少し時間掛かるから。よろしかったら、今日は泊まって行けば?後から私からもご挨拶しますので。」
恵美が先にトイレから出てきた時に、鼻を突く排便後の臭いもした。
「ごめん、おばあちゃんがうんこしちゃって。もう少し時間掛かるから、事務所で待とうか?」
「恵美、しちゃった」と里絵は半泣きになっていた。
恵美は里絵を慰めるようにして抱きながら、「里絵、おしっこをしちゃっていたら、2〜3分今の姿勢のままがいいよ。(おむつが)完全に吸い込むまで掛かるから」。
あえて恵美は「おむつ」という言葉を使わなかった。
里絵はおむつにおしっこを洩らすという高校生では有り得ない事をしてしまい、少し漏れた事に動揺していた。
しかし、里絵のおしっこを吸い込んでくれたパンツタイプのおむつの感触に今まで得たことの無い幸せな感触を感じたのと同時に秘部からもおしっこでも生理のそれでも無い物質が出てくる感触を得ていた。
2〜3分後に会議室に戻って、里絵はおしっこを一杯吸収しているおむつに体重を掛けたら漏れるのではないかと気になっておむつの吸収体の部分を外から触っていた様子を見かねた恵美が、
「おむつを外から押さえて、濡れた感じがなかったら大丈夫だよ。」と声を掛けた。
里絵がおむつを外から押さえてみると、吸収したおしっこが染み出す事もなかったので、椅子に座った。
おむつの肌に触れる部分がベトベトした感触から次第にサラサラした感触に変わっていくのを感じた。
もう少しで今日の授業で出された週末の課題が終わるので、里絵は股間の初めて感じる変な感触を味わいながら勉強に集中していった。
「これで、週末が自由だぁ〜」とふたりで喜びながら話していた。
ノートや教科書を鞄に戻しながら、「おむつ、換えないとね。」恵美がニヤニヤしながら言ってきたので、「あれはアクシデントだよ」里絵は切り返したものの、とても恥ずかしくなってきた。
「里絵さん、お母さんと連絡取れる?」ふたりのところに、恵美のお母さんがやって来た。
里絵は自分の母親に電話した。「お母さん、今日私も恵美さんに誘われて泊まる事にしたの。恵美のお母さんが話したいって。」
と電話を恵美のお母さんに渡すと、母親同士の会話が始まった。
一通りの会話が終わって、「お母さんが電話替わってだそうよ」と恵美の母が電話を里絵に返して「じゃあ、楽しんできなさい」という言葉で終わった。
自分の母親には話せない「秘密」を抱えながらの電話越しの会話になってしまった。

374 :
とりあえず、今書けたのがここまでです。
生理やおばあちゃんのウンコお漏らしが不快な表現になるのではないかと気になりながら書きました。
今からお泊まりでどのような展開にしていくか、考え中です。
ご意見あれば、お願いいたします。

375 :
投下キタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!

376 :
幾らオムツでも介護・認知症関係は萎えるなぁ…

377 :
>  職人様はカミサマです。出たものは全て美味しくいただきましょう。
>  あなたにとって、不得手なものは無言でスルーを。

378 :
>>376
それはあくまで話のきっかけだろ

まさかお前、そこで……

379 :
>>377,378
クソでも素直な感想にバッシングしてる暇あるなら、
本文に対してまともな感想の一文も書いてやれよ

380 :
「素直」と
「言って良いことと悪いことの区別が付いてない」は
別だぞ

381 :
なんだ、結局、感想の一文も書けねーのか
「俺がこのスレを守っちゃる!」と
ガーディアン気取りならば、スルーされるような
作品にも感想の一文を、それが無理なら
GJか乙の一言でも書きようがあるだろ?
そんなことすらせずに、
(自分の気に入らない)他人の感想バッシングにだけ
ご熱心とか、ちゃんちゃらおかしいね

382 :
不得手だから感想書かずにスルーした

383 :
色々意見など頂きましたが、めげずに続けてしまいます。
どうやって漏らすか考えた結果で介護ネタにしてしまいました。
これから先の流れでは、介護ネタにしないようにします。
布派の方には申し訳ないのですが、ずっと紙おむつになりそうです。

384 :
「お風呂、沸いているから入れば?」と恵美のお母さんがふたりに話しかけた。
「一緒に入ろうよ!」と恵美が言い出したが、「お風呂、狭いのでしょう?別々でいいよ」濡れたおむつを外さないといけない里絵は乗り気ではなかった。
「お風呂広いし、おしっこしちゃったナプキンの代わりの物は、どうやって処理するのか分かる?」とニヤニヤしながら恵美は口走った。
「じゃあ、一緒に入るか…。」里絵はしぶしぶ恵美の提案を受け入れざるを得なかった。
ふたりは学生カバンを恵美の部屋に置き、恵美はサブバッグの中にある使用済みのおむつと尿取りパッドを取り出した。
「学校で捨てても良いけど、いつも家に持って帰っているんだ」と恵美は臆面もなく話し、「さあ、お風呂にしよう」と里絵に着替えを渡し、使用済みのオムツを手に風呂場に誘導した。
「制服や下着は脱いで洗濯しておいて。ショーツも忘れないでね。家に帰っておむつだと、ご両親が驚くから」と恵美は話しながら、
唖然として恵美の姿をみている里絵を見て、「さあ、濡れた物を外しましょう。」と恵美は言った。
里絵は制服の上着のブラウスと下着のキャミソール、ブラジャーを外してそこで手が震えていた。そして、これ以上脱ぐと元に戻れないような気持ちが出た。
「大丈夫。あなたがおむつした事は黙っておくし、少ないけど遊びに来た友達には私の本当の姿を見せているし、中にはおむつする人も居るから。」といち早くおむつだけの姿になっていた恵美は里絵をなだめるように言った。
気持ちが落ち着いたのか、里絵は制服のスカートのホックを外し、股間の部分が濡れたパンツタイプの紙おむつと靴下だけの姿になった。
「そのまま脱げる?脱げないようだったら、こうして脇を破るの」と恵美は座って自分の履いている紙おむつの脇を破りだしたのを見た里絵もまねて紙おむつの脇を破った。
トイレの前で粗相した時に受け止められたおしっこはおむつの吸収体が吸収していて、里絵が両脇を破り終えるとボトッという音を出しておむつは床に落ちた。
「まだ始まってないね〜」恵美には床に落ちた里絵のおむつの吸収体が見えたようで、つぶやいた。
「止めてよ〜、恥ずかしい!!」里絵は顔を赤らめて恥ずかしそうに叫んだ。
里絵は恵美の言うとおり、おむつを丸めテープで止めた後、備え付けのおむつ入れに捨てた。
そして、里絵の着ていた服は全て洗濯機に入れられ、洗濯機は動き始めた。
「本当は拭いた方が良いけど、そのままお風呂入るでしょう?嫌だったら、ティッシュかおしり拭き使って」恵美は里絵を誘導する。
里絵はおしっこだけではなく、尿道でも肛門でもない所から出た液体もティッシュで拭いた。
未だ恵美はおむつだけの姿。「お風呂入る前にここでする事あるから、先に入って体洗って。終わったら入るから」と、里絵は恵美を先に風呂に入らせたい様子。
あまり気にとめなかった里絵は漏らしたおむつの感覚を忘れたいのもあって、言葉に甘えた。
入口のすりガラスから見える恵美は、おむつ交換用長椅子で座り込んだり、何かを持ったりしているのが伺えた。最後に、里絵も使ったおむつ入れへ物を入れる仕草。お風呂に持ち込んだおむつを処理しているのに間違いなかった。

385 :
「おまたせ〜」しばらくして、恵美が入ってきた。
里絵の目に最初に目に入ったのが、恵美の股間。里絵よりも産毛の濃い恵美なのに、股間を覆っている体毛が全くない。里絵でもうっすらと体毛があるのに。
「あ、お股の毛?おむつ使っていると、何かと面倒だから手入れしちゃってる。」と、里絵の視線の先の場所を気づいた恵美は笑いながら話した。
お互いの体型の事や、使っているとシャンプーの話など、ワイワイ話しているうちに、お風呂での時間が過ぎた。
「じゃあ、あがろうか?」ふたりは浴槽に浸かりながら長話をしていたのため、のぼせ気味に同時に言った。
体を拭き、すぐさま下着に手をのばそうとした里絵を見て、「ちょっと待って、少し体を冷やした方がいいよ。絶対に汗が出るから。」という恵美の言葉。
脱衣場にあった扇風機のスイッチを入れ、風を送り出した。
「今からおむつでしょう?通気性悪いから、体の熱気が取れるのを待って着るほうがいいよ。」と恵美は話した。
その間、先に髪を乾かし髪型を整えるふたり。ある程度、体の熱気が取れたところで下着を着る事に。
「どれがいい?、これだけあるけど。」恵美が長椅子の下の引き出しを開き、おむつを数種類取り出し全体が分かるように開いた。
取り出したおむつはSサイズと印刷されたテープ止めタイプと、パンツタイプは白い厚手の物、ピンクの薄手の物、そして子供用らしきイラストが描かれた3種類が並べられた。
里絵が悩んでいる横で、恵美が大きなパッドを引き出しから取り出す。
里絵はテープ止め一緒にしようと一瞬思って手を触れたが、トイレに行った時の事を考えるとパンツタイプじゃないと面倒になると予感し、ピンクのパンツタイプを手に取った。
「テープ止めがいいんでしょう?しょっちゅうトイレ行かなくても良くなるし。私の使おうとしているパッドいれたら、寝る前に換えればいいよ。」と恵美は意地悪そうに言ったが、
「大丈夫よ!さっきのはアクシデントだから!!」と語気を強めながら恥ずかしそうに里絵は切り返した。
里絵は最初のおむつと同じように、パンツを履くように装着した。
恵美はテープ止めのおむつとパッドを広げて二つ折りにしたら、おむつとパッドを交換用の長椅子に揃え、その上に尻をおいた。腹筋運動をするような姿勢になったと思ったら、パッドとおむつの前当てを腹部へ引っ張り出しテープを止めていった。
恵美にとってはそれが日常作業であるのが一発で分かる、テキパキした動きだった。
上半身裸で紙おむつを当てている姿の恵美を見て、里絵は可愛さと同時に自分も当ててみたいという衝動に駆られたが、ぐっと気持ちを抑えた。
そして、恵美は大きなショーツみたいなおむつカバーを履いた。
「失敗はしないだろうけど、万が一の事を考えて付けていたらいいよ」という恵美のアドバイスもあり、パンツタイプの紙おむつを履いた里絵もおむつカバーを履き、それ以外の衣服を身につけた。
彼女たちの格好は、上半身がスポーツブラに生地の厚めのTシャツ、下半身が腰周りの体型が分かりにくいバルーンパンツ。
一見ラフな普段着に見えるが、普通の人と違うのは下半身の下着がタイプの違いがあっても紙おむつである事。
テープ止めのおむつにパッドを当てた恵美の腰回りも、よく見なければおむつを当てていることは分からない程である。
髪型と胸周りの大きさと体のラインを除けば、身長がほぼ一緒だったため、腰回りがゆったりと感じる以外は恵美の衣服が里絵にもぴったりだった。

386 :
とりあえず、今回はここまでにします。
翌朝帰るところまで続けていきたいと思います。

387 :
最後まで続けていきます。
「気持ちよかった〜」ふたりは声を揃えて言った。
「新しいおむつが?」と恵美は意地悪そうに里絵に言った。
「いや、風呂に入って着替えたから全てが」と舌を出しながら里絵は答えた。
「夕食出来たよー。と」恵美のお母さんはふたりをキッチンへと呼んだ。
恵美のお母さんは腕を振るって料理を作っていた。
恵美は不思議な顔をして、「あれ、おばあちゃんとお父さんとお兄ちゃんは?」と恵美のお母さんに聞いた。
「おばあちゃんは、今日の夜から日曜の夜まで施設へショートステイに行ったよ、昨日あなたに言わなかった?、お父さんは取引先の人と飲みに言ったわ。お兄ちゃんは友達とドライブに行ってくるって。帰りは明日の夕方だって。
「じゃあ、三人だけなんだ。」
ダイニングテーブルで女だけでしか出来ない話をしながらゆっくり夕食を過ごしていた。
途中、恵美だけではなく、恵美のお母さんも途中プルッと震えたり会話を聞いていないような感じの時があったが、話に夢中になっていて里絵は特段気にしていなかった。
しかし、里絵の股間の中では、風呂上がりから夕食で大量に飲み食いしたおかげでトイレが近くなっていたが、誰も立ち上がらなかったのでトイレに行く事ができずに我慢していた。
時計が夜10時前になっているのを見た恵美のお母さんが「もう、こんな時間。そろそろ片付けてようか」と言って、長い夕飯が終わった。
三人で片付けしている最中も、二人は途中プルッと震えることがあった。
「じゃあ、寝ようか」と恵美が言ってきたので、「うん」と答えた。里絵としては、早くトイレに行って普通に排泄したい。その気持ちだけだった。
「ごめん、先にトイレに行ってくるね。トイレと言うよりは、おむつ交換だけどね」と笑いながらトイレに入っていった。
その間、里絵は眠気に襲われて寝てしまった。
「寝ちゃった?」という恵美の声で目覚めた里絵だったが、何かに恐れていたような感じで里絵は一瞬びくっとしたが、何も起きていなかった。
「どうしたの?何も起きていないよ」という恵美の声に里絵は安堵した。そして尿意は一時的に無くなったような感覚になった。
トイレでおむつ交換してきた恵美は、スポーツブラを脱ぎ上半身はTシャツだけ、下半身は同じバルーンパンツであったが腰回りの股間の辺りの膨らみが大きくなり、足が閉じられない状態になっていた。
下半身の辺りをじろじろ見ていた里絵を見て、恵美は「あ、夜用のパッドに換えたの。これじゃないと夜は耐えられなくって…」と苦笑いしていた。
里絵も苦笑いする一方、頭の中では羨ましさを感じていた。
「ねえ恵美、おしり触っていい?」と突然里絵が言い出したので、少し驚いた恵美は「いいよ」と二つ返事。
里絵が触った恵美のおむつに囲まれたヒップラインは、おむつを着けていると言わんばかりの厚さ。
ポンポンと叩くと、おむつ特有のカサカサした音がした。
「ああ、恥ずかしいからやめて」と恵美が照れ笑いしていた。
「じゃあ、おやすみ。」ダブルベッドで一緒に寝ることにした里絵と恵美だが、朝のおむつの処理もあって早寝早起きする恵美と比べて毎日夜遅くまで起きている里絵にとってはまだ起きている時間。
恵美はすぐさま眠りに入ったが、里絵は尿意のこともあってなかなか寝付けない。
そして、美味しい恵美の家の夕食だったものの少し塩辛く感じていたため、里絵は喉が渇いてきた。そして、尿意も戻ってきた。
「いい加減、トイレにも行きたいね。水を飲んだ後に行こうかな」と考えながら台所に向かった。

388 :
台所では、恵美のお母さんがパソコンに向かって作業をしていた。
里絵:「おばさん、喉渇いたので水飲ませて下さい。」
恵美の母:「スポーツドリンクが良いかもね」
と恵美のお母さんは冷蔵庫からスポーツドリンクをコップに注ぎ里絵に渡した。
恵美の母:「里絵ちゃん、我が家はどう?」
里絵:「皆さんいい人で、ご飯も美味しかったです。そして私もあまり友達の家に泊まることがないから楽しんでます」
「泊まってもらって、ありがとう。」
里絵と恵美のお母さんはそれぞれの家の話をし始めた。
「そろそろ、トイレに行きたいな。おしっこ出ちゃう」と里絵は思いながらも、恵美のお母さんの止まらない話に付き合うことになった。
恵美の母:「恵美はおむつが離せない体なのに、明るい性格でいてくれるから本当に助かるわ。」
里絵:「恵美は友達が来ると言っていましたけど、結構来るのですか?」
恵美の母:「あの性格だから、来ることは来るのだけど、自宅の作りとか恵美のおむつ交換を見て、二度と来ない人が多いね。
時々来てくれる人が2〜3人かな?ひとりは恵美と同じ境遇でおむつが手放せない人だったかな。
あなたも今おむつ当てているから違和感を感じると思うけど、自分の意思と反して粗相しておむつが必要な生活が一生続くとなると大変だと思うでしょ?」
里絵:「ええ。」
恵美の母:「そういえば、夕方はごめんなさい。
本当はさっきのトイレの横にもうひとつトイレはあるのだけど、我が家の男どもが普通のトイレで用を足したい言うから男性専用にしているの。
お客さんでも女性はお客さんでもおむつ交換台がある方でやってくれだって。」
里絵:「いや、あの時は偶然おむつしていたから構わないですよ」
恵美の母:「そういえば、あなたのお母さんから夜は迷惑を掛けるかもしれないと言ったのだけど、どんな事なのかな?ちょっと気になっただけで聞いているだけだから、無理に答えなくても…」
と、お母さんが話しているところで、里絵の目から大粒の涙が出てきていた。
里絵:「ごめんなさい、おしっこ我慢していて…」
里絵の出したおしっこは、薄型のパンツタイプの紙おむつでは吸収しきれず、漏れ出した残りはおむつカバーの中で留まっていた。
「あらら、トイレに行きたかったらそう言ってくれれば良いのに。ちょっと待っててね」
と恵美のお母さんはバタバタ走り出し、今から洗濯しようとしていた使用済みのバスタオル数枚と未使用のタオルと持ってきた。
恵美のお母さんは慣れた手つきで使用済みのバスタオルは里絵の足下に敷き、「このまま立てる?外に漏れ出るかもしれないけど、この際仕方ないね」と聞いてきた。
2回連続してのお漏らし、そしておむつから漏れ出すような大量のおしっこをしてしまい、気が動転して恥ずかしさのあまり涙を流している里絵は、恵美のお母さんの言うがままにするしかなかった。
幸いなことに、おむつから漏れたおしっこの量は多くなく、椅子から立ち上がってもほとんどのおしっこがおむつカバーの中で留まっていた。すき間のあった一部からバルーンパンツに少し漏れただけで、椅子や床に大きな水たまりを作るまでではなかった。
「このまま歩いても大丈夫かしら?大丈夫そうね。このまま風呂場へ行きましょう」
恵美のお母さんと里絵は風呂場へゆっくりと歩いて行った。恥ずかしい状況でも、里絵は恵美のお母さんの腰回りが気になっていた。

389 :
「お風呂場で脱ぎましょうね」と恵美のお母さんが風呂場まで誘導し、里絵は風呂場でおしっこを漏らした事実を改めて知ることになる。
「ひとまず、外を脱ぎましょうか?着替えれば気持ち変わるから」
里絵はTシャツを脱ぎ上半身はスポーツブラに、そしてバルーンパンツを脱いだ時に、里絵の股間からはふたたびおしっこが漏れる音がした。
「結構我慢していたのね、無理しなくても良かったのに。ここから私が手伝うから」と恵美のお母さんが言ったところ
「大丈夫です!自分で出来ます」と里絵は反論したが、恵美のお母さんの手が止まることは無かった。
履くタイプのおむつカバーを取った途端、おむつカバーが守っていた漏れたおしっこが床に落ちた。
「あとは、おむつだけね。脇を外すね」と恵美のお母さんは赤ちゃんをあやすように里絵に話しかけた。
「このおむつだったら、2回までは吸収できるはずだから、結構我慢していたのね−。」
パンツ型の紙おむつを外したら、股間から白い糸がおむつへと出来ていた。
「あらら、良い気持ちになったようね」と恵美のお母さんはにやけた顔になる。
里絵は、何も言い返せない状態。
おむつも取られ、ブラも外し真っ裸になった状態で、恵美お母さんからは「さあ、シャワー浴びてね。そこまで私がしなてもいい?」
「あ、良いです」と涙が止まらない里絵はこれ以上手伝わせるのは恥ずかしいという気持ちだったが、物足りない気持ちを感じていた。
「じゃあ、着替えを用意しておくから。バスタオルはここね。」と恵美のお母さんが行って一度風呂場の脱衣場から出て行った。
「そんなつもりなかったのに」と里絵は思いながらおしっこが漏れ出た部分を中心的に洗った。
ひとまず腰から下だけ洗えば良かったので、そんなに時間が掛からず脱衣場に上がった所でお母さんが戻ってきた。
体を拭いていた里絵を見て、
「着替えはどうする?洗濯したあなたの服が乾燥まで終わっているから、普通のパンツ履けるけど」と恵美のお母さんは聞いてきたものの、里絵は即答しなかった。
しばらく間をおいて、里絵が口を開いた。「あの・・・、おばさん。」
恵美の母:「どうしたの?」
里絵:「一番おしっこを吸収するおむつを付けてもらえませんか?」
という言葉を聞いて恵美のお母さんは驚くと共に少し喜びを感じた。
里絵:「年に数回おねしょしてしまうんです。しかも、お泊まりに行った時に限って。いつもは友達からお泊まりに誘われたら断っていたのですが、オムツを使っている恵美の家だったらおむつ付けさせてもらえるから大丈夫かなと思って今日は泊まったのです。」
「身内の家やホテルに泊まった時にはおむつを使っているのですが、いつも夜用のパンツタイプ。それでも時々漏らすので、テープ止めがいいんです」と里絵は何かがはち切れたかのように突然厚かましくなっていた。
恵美の母は驚きと同時に「内心ではやっぱりそうだったか」という気持ちになり、少し嬉しくなった。
恵美のお母さんは、恵美の引き出しとは違う場所から「恵美には使わせていないけど、特別にこれを付けさせるね」と言って、分厚いテープ止めの紙おむつを取り出した。「これだったら、一晩のおしっこがおむつだけで対応できるわ。」と言った。
紙おむつを見た里絵は「良いんですか?あ、使った分のおむつの代金はちゃんと払います」といったものの、
「大丈夫。我が家の使うおむつの枚数から見たら、微々たる物だから。」と恵美のお母さんはニコッとして答えた。
「どうする、自分で付ける?」付け方に自信が無かったら、私が付けてあげるけど。
「じゃあ、お願いします。」と里絵は二つ返事だった。
大きな紙おむつが里絵の尻に敷かれ、股間からはベビーパウダーの匂いが。恵美の母親がベビーパウダーを里絵の股間にポンポンと付けていた。
「じゃあ、おむつを付けるね」と言う恵美のお母さんの手によって紙おむつの前当てが里絵の股間を覆いだし、左右のテープが下腹部の上に2箇所ずつ当てられた。
里絵は幸福な気持ちに包まれ放心状態になってしまったらしく、里絵の股間に取り付けられたおむつをポンポンと叩きながら「終わったよ」という恵美のお母さんが声をかけるまでの間の事が記憶に無かった。

390 :
里絵:「ありがとうございます。あのー、ひとつ聞いて良いですか?」
恵美の母:「幾つでも良いけど」
里絵:「おばさんもおむつ付けているでしょう?」
恵美の母:「あ、分かっちゃった。だけど、私の場合は仕事にもなっているの。」
里絵:「えっ、仕事?」
恵美の母:「隣の街にある製紙会社って、おむつ作ってるの知ってるでしょう?あそこのおむつの開発の仕事に携わっているの。
最近、おばあちゃんがあんな状態になって、短時間勤務に変わったのだけど、おむつの使用テストも自分でする事もあるよ。
実は高校生の頃に入院した時におむつを使わされて以来、おむつが必要じゃないのにおむつが好きになっちゃったの。
それがきっかけで今の会社に入社して今の仕事しているの。
私はちゃんと尿意も便意もあるけど、本当に仕事で試さないといけない時以外でも下着がおむつの事が多いね。
あんまりわざと漏らすこと多くないけど、今日は新製品のおむつのテストをしているからお漏らししちゃってるね。」
夕食から恵美の親子がトイレに行かなかった理由が分かった。
続けざまに、恵美のお母さんは話始めた。
「それと、実は恵美は私の会社のおむつのテスターになってもらっているの。
恵美はある程度尿意が分かっているから工夫すればおむつ使わなくても良いとは言われているのだけど、何度工夫しても駄目だったからおむつが手放せないのよね。
だけど、あのサイズで動ける人がテスターになってくれる人がなかなか居ないので、仕事の面では嬉しいんだけど、母親としてはちょっと気がかりなの。
時々恵美のおむつを交換してあげると言うんだけど、やっぱり大人になりだしている証拠かしら、おむつから漏れるような失敗も最近はほとんどしないから、自分でするって言い張っているから寂しいのよね。ごめんね、こんな私に付き合っておむつ付けさせて。
あなたに当てたおむつはうちの製品じゃないけど、漏らした後が気持ち悪くないって言っていつも当てたがっているから見られたら羨ましがられるかも」
紙おむつ以外衣類を着けていないで聞いていた里絵は、恵美のお母さんの言葉に唖然とした。
「私もテスターになれるかな?」と里絵が聞いたら、「おねしょの回数が少ないからねぇ〜。週に一度はうちに泊まりに来たら?それ次第で会社に言ってみるから」
里絵は新しいおむつカバーと付け服を着ながら恵美のお母さんとの会話を聞いて恵美の家庭がとても羨ましくなった。
ベッドに戻った里絵は、恵美の横に横たわって寝ようとしたら、恵美が目覚めた。
恵美:「急にベッドが傾くからおかしいと思ったら、どこか行っていたの?」
里絵:「うん、トイレに行きたくなって…。」
恵美:「もしかして、まさかまたお漏らししたとか?」
「いや…」
恵美:「しちゃったでしょう?だって着ている物が違うもん…、あれ?おむつも替わってない?」
腰回りのラインを見て、恵美に気付かれたようだ。
里絵:「別なおむつにしちゃった」
「何付けたの?ちょっと見せていい?」と言いながら、里絵の承諾も無いのにバルーンパンツとおむつカバーをずらす恵美。里絵の付けているおむつを見て、
「いいなぁ〜、このおむつ凄く吸収良くてその後も快適だよ!お母さんにいつも付けさせてと言ってるけど、なかなか私にこのおむつさせてくれないから羨ましい。どうしてこれ付けたの?」と聞く恵美に里絵は
「朝になったら分かるよ」と答えた。
何となく答えの分かった恵美はこれ以上質問することは止めた。
少しじゃれ合った二人はいつの間にか寝息を立てていた。

391 :
夢の中で里絵は回想していた。山奥の村で川遊びしている里絵と里絵のいとこ数名とそれぞれの両親がいた。
「里絵そっち行くと流されるよ〜!」と里絵の父親からの注意が。
「大丈夫、私泳ぎが得意だもん」と無視する里絵。
「戻ってこーーーい!」という父の叫び声を聞いた一瞬、急な水の流れに呑み込まれてしまった里絵がいた。
「うーーーーん」この夢で目が覚めた里絵はハッとした。
この夢を見たときが、里絵がおねしょしてしまった合図だったのだ。酷い時は、一晩で何回か同じ夢を見る事もある。
そして、この夢が実際に起きた小学校6年生の夏以降、里絵が思い出したかのように夢を見たときに限っておねしょするようになってしまっているのだ。
ふと我に返り、尻の辺りに手を当てる。
幸いな事に、布団は濡らしていなかった。寝る前におむつ交換した事を思い出し、股間に手を当てると紙おむつが濡れていたが、大きく濡れてはいなかった。
やはり、外泊しているとおねしょしてしまうのはどうしようもなかったが、おむつのおかげで救われた。
恵美の言った通り、排泄後のおむつの感触が漏らす前とあまり変わらないように感じたので、里絵はすぐに睡魔がやってきた。
その後、里絵は同じ夢を3回も見る事になりそのたびにおむつを濡らしてしまっていた。それでも、おむつは里絵の体から出てくるおしっこを受け止め続けていた。
朝、目が覚めた時には時計が9時を過ぎていた。
携帯を見たら、メッセージが数通。
里絵の母親からだった。その中に「言い忘れていた事が。いつもの(おむつを)用意していないのに、迷惑かけていないよね?」
里絵は返信のメッセージを送った「大丈夫だよ。」
里絵の母親はおねしょしなかったと受け止められるけども、実際はおむつが里絵のおねしょを受け止めていたに過ぎないのであるが…。
部屋に戻って来た恵美が、里絵の姿を見て「おはよう、おしっこ一杯しちゃったね。おねしょさんだったんだ。」とニヤニヤしながら言った。
恵美が「じゃあ、また一緒にお風呂に入ろうか?1時間前に起きたけど、里絵と一緒にお風呂入れたらいいなぁと思っていたの」
「そしたら、入ろう!」と里絵も即答した。
脱衣場でおむつだけの姿になったお互いの姿を見て、外側のおむつだけで吸収している里絵はおむつ交換ラインが変色している一方、パッドを当てている恵美の外側のおむつはほとんど濡れていなかった。
床の上でバスタオルを敷きふたり並んでおむつを外そうとしたところで、ガラッと脱衣場の扉が開いた。
「ふたり揃っておむつ外すの?お母さんがたまには外してあげる」と言い、まずは近くにいた恵美のおむつに手をかけた。
「お母さん、いい年なんだから自分でするから。」と恵美が抵抗してみたものの、「あら、里絵ちゃんの濡れたおむつはゆうべ私が当ててあげたのよ」という言葉で恵美が驚きの表情になっている隙に、腹部にある4つのテープをベリッと剥がした。
「あらー恵美ちゃん、おしっこいっぱいしちゃったねー!」と恵美のお母さんは半分遊んでいた。
「外側のおむつは濡れていないから、次まで使ってね」「えーっ!!」「その代わり、今夜寝る時は里絵ちゃんと同じのを付けてあげるから」「やったー!」
恵美はすぐさま浴室に向かった。

392 :
続けて、里絵のおむつを外された。外される時のおしっこの臭いと恵美のお母さんが拭く股間の感触にうっとりしていた。「おしっこじゃない汁も出ているね。私の高校生の頃と一緒ね」とニコニコしながら里絵のおむつを外していた。
はい、おしまい。お風呂に入って。と恵美のお母さんから促されると、「おばさん、今もおむつ付けているの?どんなのか見せて?」と里絵は切り出した。
一瞬びっくりした恵美のお母さんは、「起きてから変えたばかりだけど、いいよー」と答えて履いていたスカートをめくって里絵に見せた。
薄い紫色のバックに、濃い同系色の大きな花のプリントがあしらわれた紙おむつだった。股間の部分は途中から花が消えていた。
「これ、私の会社の試作品なんだけど、パンツタイプじゃ綺麗な花柄出なくて。濡れると花のプリントが消えるわ。
我慢できずにさっき出しちゃったから、濡れている所は消えているはず。パンツタイプだったらデザインは良かったのにテープタイプでは使い勝手が悪いというのと、テープの位置が分からないデザインは介護用では使いにくいってという事で、結局はお蔵入りに。
残った試作品は私と会社の数人で引き取って使っているの。」と答えてくれた。
恵美のおしっこの量を測るついでに、あなたのも測っていい?と恵美のお母さんは聞いた。里絵はコクリと首を縦に振った。
後で聞いた話だが、昨晩里絵が恵美よりも大量に排泄していたようだった。里絵がお泊まりの時に使っているパンツタイプだと吸収しきれなかったらしい。
風呂で体をきれいにして、服を着替えようとした時、里絵の制服と普通のショーツと恵美のお母さんが用意していたナプキンが置かれていた。
里絵は残念そうな声で言った。「本当は普通のショーツを着ないといけないけど、もう1枚おむつ借りていい?」
恵美は当然と言った感じで「いいよ」と答えた。
里絵は子供用のイラストの入ったパンツタイプの紙おむつを選び、おむつに足を通した。
その上に、制服を着て外見上は普通の高校生の姿になった。
そして、ショーツとナプキンはビニール袋に入れサブバッグの中に押し込んだ。
恵美は昨晩からのテープ止めをパッドなしで当て直していた。「本当は新しいのにしたいけど、昼過ぎに交換する時にまたシャワー入ればいいや」といつも同じ事をやっている様子だった。
里絵と恵美と恵美のお母さん、二日酔いで気持ちの悪そうな恵美のお父さん3人で遅い昼食を食べた。
食後のコーヒーを飲んだ後、里絵の携帯にメッセージが入った。
里絵のお母さんから「おばあちゃんの体調が良くなったので、そろそろ帰ってくるね。12時に駅前のファミレスでランチしよう」という内容だった。
「あと、借りていた下着ももう少しで脱がないとね」と里絵はとても寂しくなってしまった。
「ありがとうございました。また、お邪魔して良いですか?」と、里絵が恵美の家族に聞くと、
「勿論、来週でもまた遊びに来てね」という言葉が。
家の入口まで見送られたときに恵美のお母さんが「おむつは私と恵美と三人の内緒ね。今着けている下着も、お母さんと会うときには履き替えてね」と小声でささやいた。

393 :
里絵は自宅へ帰る電車の中で突然の尿意を感じて我慢できるにもかかわらず、わざとおむつにおしっこを漏らしてしまった。
「じょわー」。子供用のおむつを履いていたので、吸収量が心配だったものの里絵が出したおしっこを全て受け止めてくれた。
そして、電車の中は土曜日にもかかわらず少し込み気味だったが、里絵がわざとおむつにおしっこしたことに匂いや音で気付く人は居なかった。
受け止めた後の子供用のおむつは、昨夜使ったおむつと同じ感触のようだった。
自宅近くの駅に着いたときに、そそくさと多目的トイレに向かった。
「借り続けたおしっこを受け止めてくれる下着ともお別れなのが、とても残念。
また恵美の家へ遊びに行きたいな」と汚れたおむつを外しながらつぶやいた。
そして、サブバッグの中に常備している汗ふきシートで股間の汚れを拭き取り、ショーツにナプキンをセットして外も中も高校生の姿に戻った。
「お母さん、お帰り。おばあちゃん何もなくてホッとしたね」と里絵は自分の母親を見るなり、声かけた。
ファミレスに入ってランチを注文した後、里絵の母親が問いただした。
「本当に、昨夜は失敗しなかったのでしょ?私たちが相手のお母さんにお詫びしないといけないから本当のことを言ってね」
笑顔で「だから、メッセージの通り大丈夫だったよぉ〜」と答えた里絵。
「『また、遊びに来てね』って言われちゃったから、今度またお泊まりしてくるね」と言ったら、「お泊まりするだったら、あれ(おむつ)を持って行って、寝静まったときに付けてね、心配になっちゃうんだから」と里絵の母親からたしなめられた。
「大丈夫、恵美の家だったら」と自信満々な里絵でした。
(おわり)

394 :
投下キタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!

395 :
あう

396 :
ほのぼのしてて良かったです  GJでした!(・∀・)ノ

397 :
駄文だったかもしれませんが、お付き合いして下さってありがとうございます。
発作的に書いたのですが、今回の登場人物からスピンオフさせた話も思い浮かんできているので、出来上がりしだい投稿していいですか?

398 :
いいとも!
いつでもお気軽にどうぞ

399 :
待ってます!

400 :
>>397
ぜひ!!お待ちしてます!

401 :
『借りた下着』の続編です。
里絵のその後の話になります。
恵美の家でのおむつを付けて過ごした一晩でおむつ好きという事に目覚めてしまった里絵。
以前から外泊時におねしょする事があったため、外泊時のみおむつを付けていたが、ついに外出先だけではなく自宅でも時々おねしょしてしまうようになった。
といっても、最初は週に一度のペースだったため、介護用の防水シーツをベッドに常に敷いておく事で何とか対応できていたが、症状は日を追う毎に酷くなり、2ヶ月後には失敗する事が2日に一度のペースまで至っていた。
これを決定づける出来事が、期末テスト直前の休日の昼間に起きた。
中間テストで落としてしまった成績を挽回しようと期末テスト対策の勉強に躍起になっていた里絵。
ここ1週間ばかり午前3時頃まで机に向かい続けていたので、休日の午後は昼食後にやってくる眠気との戦いになっていた。
「もう、眠りが限界。机に伏せて寝ていれば大丈夫だろう」
外出時、布団やベッドの上だとほぼ確実に大きな地図を描く事になるためおむつを着用している里絵だが、なぜか休憩時間や授業中に「落ちる」ように寝た時は何も起きなかったので、机の上でうたた寝する程度では大丈夫だろうと高をくくっていた。
眠気には勝てず、ノートや教科書を片付け机に腕を置き頭を乗せた。寝起きの良くない里絵でも、ここ数日4時間の睡眠が続いていたら眠気には勝てず寝息をたてていた。
夢の中で里絵は回想していた。山奥の村で川遊びしている里絵と里絵のいとこ数名とそれぞれの両親がいた。
「里絵そっち行くと流されるよ〜!」と里絵の父親からの注意が。
「大丈夫、私泳ぎが得意だもん」と無視する里絵。
「戻ってこーーーい!」という父の叫び声を聞いた一瞬、急な水の流れに呑み込まれてしまった里絵がいた。
「うーーーーん」。ハッと起きたら、尻に敷いている座布団がぐっしょり濡れていた。
昼間のうたた寝で失敗した事のなかった里絵はいくらおむつを当てる事が気持ちよい事に気付いた里絵でも、免れたい体の変調であった。
里絵は顔を赤らめながら、目からは涙が出ていた。涙を拭い、座った状態でスカートとショーツを脱いだ。下半身がおもむろに立ち上がり、汗拭き用のタオルで股間の濡れた場所を拭き、クローゼットのバスタオルと替えのショーツを取り出す。
バスタオルで体の濡れた部分を拭いた後、座布団の下に敷いた。そして、替えのショーツに足を通した。
座布団は運良く中綿が入っていないキルティング素材の物だったので、ショーツとバスタオルと一緒にバケツに入れある程度洗い流した後、ネットに入れて、おしっこで汚した物を一斉に洗濯機に放り込んだ。
「今の出来事は、今日だけのハプニングでありますように」里絵はそう祈るしかなかった。

402 :
「里絵、ただいま〜」突然の粗相の処理が終わった頃に、外出していた母親が帰宅してきた。
「お母さん、お帰り。」と同時に母親が手にしていた物を見て驚いた。
里絵の母の片手にはいつも通り食料品などを購入したエコバッグだったが、もう片方に持っていたのは、大人用のテープ止めの紙おむつと尿取りパッドだった。
驚きの表情を見ていた母親が話し始めた。「キッチンで話そうか」
キッチンで隣り合わせで里絵と母親が並び里絵をなだめるように話し出した。
「里絵、最近おねしょが酷いよね。以前は外泊したときだけで済んだのが最近2日に一度。
失敗したシーツを処理するのは大変でしょう。嫌かもしれないけど、今夜から寝るときにはこれを使ってちょうだい。
本当は、ネット通販で買った方が良かったのだけど、一日でも早く対策したおいた方が良いかと思って、お店で買ってきちゃった。
尿取りパッドも一緒に当ててね。本当は良い使い方じゃないけど、失敗しなかった日にはこれだけ交換すれば良いから。」
里絵は失敗したときに洗濯をしなくても良い可能性が高まる事と、家でもおむつ公認になった事を嬉しく思った反面、昼間の失敗が言える状況ではなくなった事と、母親が選んだ紙おむつが恵美の家で試しに使ったときに肌触りが悪いと感じた紙おむつだった事を残念に思った。
「来週はテストでしょう?テストで終わるの早いから月曜日に泌尿器科、そして金曜日にここのお店に行ってちょうだい。それぞれの名前と住所を書いたメモを渡しておくから。それと、失敗したときはおむつの重量を測っておいてね」
週明けから、里絵は秘かに楽しみにしていた通勤途中と学校での「寝落ち」をしないように神経を尖らせた。
もし、普通の格好で失敗をした時の色々起きてしまう面倒さを考えると、「寝落ち」は避けなければならないのは明らかな話だった。
期末テスト初日の月曜日。テスト終了後、母が予約を入れていた泌尿器科へ向かった。
「里絵さんですね。先約が入っているので、ちょっとお待ちください」
泌尿器科での待ち時間は10分程。
診察といっても現在の状況の問診のみで、今後は夕食時から就寝時までの摂取した水分の量を記録するように言われ、様子見で薬を出されたに過ぎなかった。
帰宅して、母から泌尿器科での話を聞かれたので、ありのままを話したが母親も進捗がない話に失望気味であった。

403 :
金曜日が期末テストの最終日だった。
テストも終わり、ふたつ目の母から指定された店に行く事にした。
テスト前でお泊まりに来ないと恵美が誘いに来たが、用事があると言ってそそくさとひとりだけで学校を出た。
スマホの地図アプリで住所を検索する。行った事があったような記憶を持ちながら、学校から自宅までの電車を途中下車し、最寄駅から歩いて行った。
里絵の予想は的中していた。里絵の母親の妹、淑子の家だった。淑子の一家はいつも里絵の家にやって来る事が多かったので、5年ぶりくらいの訪問。
店舗スペース付きの中古住宅を購入していた事は里絵の記憶にもあったが、店舗スペースが介護用品ショップになっていた。
店のドアを開ける。
「いらっしゃいませ、あら里絵ちゃん久しぶり〜。」と50代くらいの女性のお客さんと話していた淑子は明るく声を掛ける。
「こんにちは、淑子おばさん。お母さんから住所とお店の名前しか聞いていなかったら、実際に来たら驚いちゃった。
それよりも、お母さんが私に介護用品のお店に行くように言われたのが分からなくて…」
淑子と話をしていたお客さんが、「あら、可愛いお嬢さんねぇ〜、淑子さんの身内の子どもさん?」と淑子に聞いてきた。
「そうなんです。ちょっと私に相談があるみたいで。里絵ちゃん、奥の部屋で待っておいて。」淑子と言われて、奥の部屋に通された。
奥の部屋は4畳半くらいの広さで丸イス2つと事務用机、簡易ベッドが置いてあり診察室のような雰囲気があった。
一番大きな違いがあったのは、布おむつやおむつカバーのような布の物体があったり、紙おむつが一箇所に並べられていた事。
その一角に、山積みされたパッケージの印刷されていない紫色やオレンジ、ピンクの紙おむつが目に付いた。
里絵は「あれって、Bのお母さんの会社の…」とつぶやき近づこうと思ったら、
「どうしたの?何か気になった物でも?」と淑子の声がした。
里絵は慌てふためいて「いや、おむつってたくさん種類があるんだなーと思って…」とありふれた返事で返した。
淑子が、「大変ねー、あなたも。こんな年になっておねしょが酷くなるなんて。
もしかして、6年位前に起きたあの事故がぶり帰っているの?
で、夜はおむつ使わないと大変でしょう。
今日ここに来てもらった理由は、どのおむつ使うか決めちゃう事。澄代も結構出費にシビアだから、私に相談が来ちゃった訳。
そういえば、失敗したときのおむつの重さを測ってきた?」一方的に聞いてきた。
「日曜日以降、昨夜まで5日連続しちゃいました。」と恥ずかしげに記録したおむつの重さを測ったメモを手渡す。
メモを見ながら、淑子は唸ったまま。
暫くして、「やっぱり、紙おむつの方が良いかもね。布の方が回数が少なければ経済的だけど、里絵ちゃんの量だと厳しいね」と答えた。
「店が住宅地にあるから、障がい持った人や高齢者の方だけじゃなくて、里絵ちゃんみたいに一瞬健常者でも排尿トラブル抱えている人もやって来るから、心配しないでね」と淑子は里絵を安心させるように言った。
淑子は紙おむつの山から小さなパッドと大きなパッドとおむつカバーを取り出し、「この組み合わせが良いかも。
毎日しちゃうようだったら、小さなパッドは要らないよ。
失敗しなかった日に汚れてしまう部分だけを取り替えるための物だから、防水シートも付いていないからね。
生理の時はタンポン使っても良いし。」
「肝心な付け方分かる?」と淑子から聞かれたので、「おむつカバーは初めて」と里絵は答えた。

404 :
淑子は手慣れた手つきでおむつカバーを簡易ベッドの上に広げ、その上に大きなパッドを、その上に小さなパッドを置き、「じゃあ、スカート脱いで横になって。ショーツや短パンのままでも良いけど。」里絵をベッドの上に寝るように案内した。
「今日はテストだったから、ショーツだけで」と言いながら里絵はスカートを脱ぎショーツひとつでベッドの上のおむつの上に横たわる。
「動くときは脱いだ方が良いね」と淑子はつぶやきながら、着ていた白衣を脱ぐ。
淑子の履いていた体型にピッタリな医療従事者用の制服に使われているズボンの腰の部分から、腰から足に掛けて横2箇所に縦の筋が入っているのと股間周りの吸収体の形が分かり、一見でパンツタイプの紙おむつを着用している事が分かった。
腰から股間の辺りをじっと見ている里絵に対し、「あ、見られちゃった。新しい紙おむつを試していた所だったの忘れてた」と淑子は里絵をたしなめるように言った。
「それ、付けていて気持ち良いですか?」と里絵が聞くと「結構良いね。以前もらった試作品があったのだけど、それが色々あってボツになって、それの改良版っていう触れ込みだから。スタイルは試作品がずっと良かったのに。」
「それって、どれですか?」と淑子の話に乗っかかってくる里絵。
「これよ。」と言って、淑子が取り出だそうとしたが、「あ、その前におむつの付け方教えないとね」と言って、おむつカバーの使い方を教えた。
「止める所以外は、ほとんどテープ止めと一緒なのですね」と里絵が話したら、外からチャイムが鳴った。
「ごめん、そのまま居てちょうだい。起き上がっても良いし、おむつが嫌だったら外してね」と淑子がいそいそと外に出る。お客さんが注文していた商品を受け取りに来たらしく、色々と話している。
そうしているうちに、里絵は久しぶりに睡魔がやって来た。連日のテスト勉強で、テスト明けの里絵は強い睡魔に襲われた。
「里絵そっち行くと流されるよ〜!」小学校6年の時の川で起きた出来事の夢を見てしまっていた。
試しに履いている紙おむつの中に、僅かの時間の中でおねしょをしてしまっていたのだった。
「里絵、お待たせぇ〜。じゃあ、続きをしようか?」
「淑子おばちゃん、寝落ちしたら漏らしちゃった」里絵は涙目になりながら、淑子に訴えた。
「あらら、仕方ないね。自分で脱げる?」と淑子はおしりふきを里絵の近くに持ってきて語りかけた。
「自分でやってみます」と里絵は良いながら上半身を起こし、おむつカバーのマジックテープを外した。
使っていたおむつが夜用の6回吸収タイプに加えて、おりものシート代わりの両面吸収タイプの尿取りパッドも使っていたため、おしっこは夜用のパッドが里絵のおねしょを防いでいた。
しかし、ショーツを履いた状態でおむつ合わせていたため、ショーツが濡れていた。
尻を浮かせ汚したパッドを外して丸め、おしりふきで濡れた肌をぬぐい取った矢先、淑子から薄いオレンジの紙おむつが差し出された。
「さっき興味持っていたから、今日はこれ付けて帰れば?澄代には事情を話しておくから。」色や模様は違えど、里絵がBの家に遊びに行ったときにBのお母さんが使っていた紙おむつだった。
里絵の体型に合ったSサイズで、色と花のデザインがサイズ毎に換えていたようだった。
「これって、凄くスタイリッシュで一瞬見たらおむつと分からないデザインは私は個人的に凄く気に入ったのだけど、スタイリッシュすぎて尿取りパッドが入らなくて。
お客さんは尿取りパッドを使う人が多いのと、時々失敗する人はテープを外さないといけない事が面倒と言う理由で商品がボツになったのね。
渡して試してもらったお客さんからも言われたわ。」と淑子は説明した。
「もし、里絵ちゃんが彼氏とお泊まりするときに使っちゃえば?エッチするときはおむつってバレてしまうけど」という淑子の言葉に里絵の顔は真っ赤になってしまった。
里絵は「彼氏とデートは無いかも知れないけど、今日使う以外ももらっても良いですか?」と聞くと、
淑子は「このおむつ、サンプルを大量にもらって1年以上経っても欲しいという人が全然いないから、全部あげちゃうね。
それと、澄代が買ってきたテープ止めのおむつがまだ残っていると思うの。今日は良いけど、夜用のカバーとパッドは準備しておくから、土日に澄代とサンプルと一緒に取りに来てね。
これは澄代とも相談だけど、昼間もちょっと寝ただけでおねしょするのでしょう?最低でも、尿取りパッドを常に付けておいた方が良いかも。その分考えて小さなパッドを用意しておくから。
パッドが入りそうなショーツがなかったら相談して」とたてつづけに話した。
こうして、里絵の本格的なおむつ生活が始まる事になった。

405 :
投下キタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!

406 :
投下、サンクスであります∠(・∀・)GoodJob!
ちょっと野暮かとは思いますが・・・
>401 >下半身がおもむろに立ち上がり
「下半身が」は、いらないのでは?
>402 >里絵は秘かに楽しみにしていた通勤途中と学校での
学生なので、通勤途中→通学途中 ですよね
>403 >テスト前でお泊まりに来ないと恵美が誘いに来たが
お泊まりに来ないと→お泊まりに来ないかと or お泊まりに来ない?と
でしょうか?

407 :
>>406
指摘ありがとうございます。
改めて読み直して、今回のは記載に結構ミスある事に気づきました。
慣れも出たせいか、読み返しの回数が足りないことに反省です。
今回の話は、展開を広げるための導入みたいな感じになりそうです。

408 :
続きです。
里絵はサブバッグに、ビニール袋に入れた汚れたショーツを押し込み淑子の店を出た。
出て間もなく、電話が鳴った。
いつもはメッセージでのやりとりが多い自分の母親からだった。
何となく予感が付いていたのだが、「もう淑子の店は終わった?結構時間掛かったのねぇ〜。」という確認だった。
そして、「悪いけど、今日お父さんと二人だけで食事に行く事にしたの。今日は恵美ちゃんの所に泊まる予定だったのでしょう?
そうだと思って、たまには夫婦水入らずで食事しようって言う事になったから。じゃあねぇ〜」
一方的に電話を切られた。姉妹って似るものだと呆れながら、夜の食事の心配をしてきた。
一人での食事もつまらないと思った里絵は、恵美に電話してみた。
「あら〜、やっぱりうちに来る?というか、是非来て欲しいの。あなたと話をしたい人が家に来ているから」と渡りに船な話になった。
里絵は駅に向かって歩いていたが、再び淑子の店に戻った。
「おばさーん、ごめん今夜急にお泊まりになっちゃった。テープ止めとさっきのパンツタイプを1枚ずつもらって良い?」
「いいわよ。念のために、パッドも入れてそれぞれ2枚ずつ入れておくから。この紙袋に入れておくね。
中身が見えたらいけないから、紙袋の口はセロテープで止めているよ。」と言って、サンプルで配っている紙おむつを見繕ってくれた。
「おばさん、そういえばパッドはA製紙のにしてもらえますか?
高くなるのは分かるけど、今もらったのは肌に合わないみたいで。
以前試しに使ったA製紙のが私に合っているみたい。
それと洗濯の手間を考えると、おむつカバーよりは外側も紙おむつがいいかも。」と注文を付ける里絵だった。
駅に向かい、恵美の家の最寄り駅まで乗っていく里絵。学校の方向へ向かうことになる。
乗り合わせた時間が、ラッシュ時間直前の空いている時間帯で電車は空いていた。
空いている座席に座って暫くしていたらウトウトしだしてしまった。
例の夢は見ることはなかったが、恵美の家の最寄駅の駅名のアナウンスを聞いてハッと目が覚めたち上がった里絵の履いていたオムツがずっしりとしていた。
あろう事か、電車の中でおねしょをしていたのだった。幸いなことに紙おむつを付けていたのと、車内に響き渡る走行音で、里絵の失敗は周囲には気付かれていなかった。
電車を降り駅を出て、恵美の家に到着する。
「里絵おかえり〜!今日はどこにに行っていたの?」と恵美がしきりに聞きたがる。
里絵も本当は学校で堂々とおむつを使っている恵美に色々と聞きたいところだが、「ちょっと、叔母さんちに行っていて…」と、汚れたおむつを見られたくない気持ちもあって、淑子の家での話は後にしたい気持ちだった。
「とりあえず、制服から着替えたら?」という恵美はTシャツに短パン姿。短パンが体型が分かる生地の上、恵美には少しきつめなためヒップラインは紙おむつの吸収体の部分が分かり、太もものすき間から紙おむつそのものも見えている
「恵美、おむつ見えちゃってるよ」という里絵の忠告も「いいのいいの、どこか行く訳でも無いから」と恵美はあっけらかんとしていた。
恵美の部屋で、里絵も着替えることにした。最近は恵美の私服を借りることに全く抵抗がなくなっていたので、お互い下着姿で着替えあっても抵抗感は無かったが、さすがに今日の里絵は違った。
里絵がベッドに腰掛けて靴下を脱ごうとしたときに、スカートの腰回りのラインが夜の里絵の物に近いことに気づき言い放った「里絵、今日はオムツしているでしょう?」。
そのひと言で里絵の抵抗感はプツッと切れた「バレちゃったか。仕方ないね。」。
スカートを脱ぎ、上半身は制服のブラウス、下半身はオレンジの花柄の紙おむつという姿の里絵。
「あ、これってどこで手に入れたの?」おむつの出自を知っている恵美は興味津々だった。
「これを付けた経緯はこれは後で話すけど、さっき付けたの。」里絵は答えた。
里絵の付けているおむつが濡れたら模様が消えることを知っている恵美は、「しかもお漏らししてるね、まだ大丈夫?」と聞いてみたが、「あと1回は大丈夫。肌触りも問題無いから、お風呂まではこのままにするよ」と里絵は答えた。
里絵はTシャツと、おむつを着けていることが分かりにくい、少しゆったりめの五分丈の短パンの姿になった。
「洗濯機借りるね」と言って、サブバッグから汚れたショーツを取り出し風呂場で洗い、着ている制服や下着を洗濯機に入れた。
(続く)

409 :
デブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ね
デブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ね
デブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ね
デブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ね
デブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ね
デブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ねデブ男ね

410 :
gj

411 :
保守

412 :
ほす

413 :
ちーす HOSっす

414 :
ひさびさにアップします。
「ピンポーン」
玄関からチャイムが鳴った。
「恵美、先生帰って来たのじゃない?揚げ物作っているから出て」
恵美はトイレでおむつ交換中だった。
恵美の返事が無いので、「出ます」と里絵が言うと、「あら、里絵ちゃん久しぶりね。今日は沢山のお客さんだよ〜」と恵美の母は来客がとても嬉しい感じで里絵に呼びかけた。
里絵が玄関のドアの鍵を外し扉を開けると、養護教諭の久美と隣のクラスの亜梨沙が居た。
亜梨沙は車椅子に乗っている事は知っていたが、里絵にとっては顔は知っていてもあまり話をする関係ではなかった。
「里絵さん、今日はここでお泊まりするの?」久美と亜梨沙がハモるように言った。しかも、驚いた表情まで一緒。「ええ、今日は泊まるつもりです」と里絵は少し遠慮がちに応えた。
亜梨沙は一度帰宅したらしく普段着に着替えていて、膝の上には亜梨沙の荷物らしき物があった。
久美は、肩からバッグを掛けた上に、両手にはテープ止めの紙おむつをSサイズとMサイズとサイズ違い、おまけに長時間用の尿とりパッドを含めて3袋持っていた。
久美は紙おむつを玄関に置き、「さあ、亜梨沙さんを部屋に入れようか」と里絵を促すように言い、ふたりで亜梨沙を車椅子ごと部屋に上げ、リビングで恵美が来るのを待つことにした。
「久美先生に亜梨沙ちゃん、やって来たのね〜」とおむつ交換から戻ってきた恵美が声をかけてきた。
「今晩もおじゃまするね」と亜梨沙は言い、「よろしくね、恵美さん」と久美先生は言った。
「今日は、久美先生まで泊まって何かあるのですか?」と里絵がずっと不思議に思っていた事を口走った。
「実は里絵さんも私達の仲間だったりするんです」と恵美がニヤニヤしながら話した。
「仲間?」里絵は疑問に思いながら、聞きただすと。
「履いているもの」と恵美と亜梨沙が口を揃えて答えてくれた。
戸惑いを隠せない里絵を見て恵美が「里絵、大丈夫だよ。久美先生までだから」。
と言ったら、久美も「私は夜だけだけどね」と照れくさい表情。
「じゃあ、持ってきた紙おむつって…」と里絵が聞くと、亜梨沙が「私はSサイズ。家のストックが切れちゃったので途中で買ってきたの。」と、久美が恥ずかしげに「私はMサイズ。1枚で済むけど持ってくるの忘れたから、途中で買ってきちゃった。」と答えた。
「良かった、最近私も夜だけ紙おむつを使い出したばかりで」と里絵はホッとした表情になった。
「里絵は今日は今も履いているけどね。」と恵美が横から口を挟んできた。
「恵美、ちょっと勘弁してよ〜。だけどよかった、恵美以外にもおむつ使っている人が学校にいて。」と里絵は嬉しさを感じていたが、恥ずしさを隠せなかった。

415 :
「私も着替えてくるね」と久美が立ち上がった。
「先生、お願いしていいですか?」と亜梨沙がとっさに久美に頼むように言った。
「あ、そろそろおむつを交換したいのね、いいよ」と久美は快く亜梨沙の依頼に応えた。
恵美の母が、「ちょうど、お風呂沸いたところだから入ったらどうですか?」と尋ねた。
「じゃあ、少し狭いけどみんなで一緒に入ろうか?」と久美が誘いだした。
「えーっ、おむつ交換するのもうちょっと待っておけばよかった」と恵美は悔しがっていた。
「恵美さんは後でもいいよ、里絵と亜梨沙と3人だけで入ってくるから。」と久美は意地悪な表情。
「新しいパッドは濡れていないから、一緒に入る」と恵美はふてくされた表情に変わった。
里絵は亜梨沙の車椅子を押し、浴室の脱衣場まで向かう。
亜梨沙は中学2年の時に交通事故に遭い、脊椎を損傷したため少しは車椅子とおむつが必要な体になってしまった。
衣類の着脱やおむつ交換は一人でできるが、おむつ交換は時間がかかると失敗することが多いため、手助けをしてもらえる場合は人に頼んでいた。
学校のおむつ交換は保健室で行なっていて、久美の手が空いている時は手伝ってもらっている。
亜梨沙は車椅子から浴室のおむつ交換台に座って、一人でできる着替えは済ませ、白いおむつの股間の部分が黄色く変色した紙おむつだけの姿に。
久美が「外してあげるね」と言いながら、亜梨沙が履いていたテープ型の紙おむつのマジックテープを剥がす音がすると同時に、おしっこの匂いが浴室を覆い出した。
久美はボクサーパンツ姿になっていて、股間は尿とりパッドを付けていると思わしき膨らみが見える。
里絵と恵美も紙おむつだけの姿になり、亜梨沙のおむつを外すのを待っていた。
「おむつにしちゃおう」と言いながら尿意を催した里絵は、おむつに排尿した。おむつがおしっこを吸い込み、これ以上吸収ができない位股間の部分が膨らむ様と、いかにも排泄しているという表情から、部屋に居た3人におもらしをしていることがバレてしまった。
亜梨沙がおむつを外した後、里絵はおむつを外し、久美もボクサーパンツを脱ぎ、付けていたおりもので汚れた程度の尿とりパッドを剥がし、脱衣場の横にあるおむつ入れに捨てた。
その後、おむつを外した恵美も浴室に入ってきた。
亜梨沙の肩を支えて浴室にある背もたれ付きの椅子に座らせた。本当は恵美の祖母が使っている椅子だが、亜梨沙が恵美の家に泊まれる理由でもあった。
体の不自由な亜梨沙を優先させての入浴だった。

416 :
入浴後、亜梨沙が体を拭きおむつを当てようとした矢先に、「あっ、買ってきたおむつをリビングに忘れていた」亜梨沙が忘れていたものを思い出した。
「私も忘れたから持ってくるね」と里絵が取りに行こうと返事をしたら、「里絵、夜だけじゃなくっていいの?」と恵美が少し驚いていた。
「実は、余分目におむつ準備したんだ」と里絵が笑顔で答えた。
「じゃあ、私もたまにはこの時間からおむつしようかな」と久美も言い出した。
「私のと、リビングにあるのを持って来るね」と言って、下半身は下着を付けずに、恵美から借りた替えのTシャツと五分丈の短パン姿で取りに行った。
暫くして、「持ってきたよ〜」と袋のままの紙おむつと里絵の紙袋を持って里絵が浴室に戻ってきた。
「たまには、人のおむつを当ててみようよ〜」と恵美が提案した。
恵美が亜梨沙の紙おむつを付けた。おむつを敷くときに、背中に交通事故の時に受けたであろう傷跡があった。
亜梨沙とは高校入学からの付き合いだったが、恵美は初めて亜梨沙の体よく見る機会になった。
そして、尿とりパッドとおむつを当てるときに、股間から紐が出ていたのに気付いた。
「亜梨沙、生理なの?」と聞いたら、「知らなかった?私って大きい方は垂れ流しなのを。これ引っ張ると大変なことになるよ」。
亜梨沙の肛門は垂れ流しの状態になっているので、アナルプラグを常に肛門に挿入し、日に3回トイレでアナルプラグを外し大きい方を排泄するのが日課になっていた。それでも、時々失敗する事もあったが…。
里絵が久美のおむつを当てることに。「なんか、久美先生におむつ当てるのって、変〜」と里絵は恥ずかしがっていたが、久美も「そうだね〜」と言いながら顔を赤らめていた。
久美が恵美のおむつを当てることに。
恵美が入浴前に使っていた外側の紙おむつの上に乗り膝を曲げ、久美が尿とりパッドを股間に当てた瞬間、恵美の股間から「しょわー」という音を立てておしっこが出てきた。
「久美先生、ごめんなさい。あーーっ、お風呂出た時に出したオシッコが一番嫌だな〜」と恵美が悔しそうに言った。
「それ、よく分かる〜!だけど恵美って、入浴前に導尿しているのじゃない」と亜梨沙が聞いた。
「大丈夫かなと思って今日はしなかったんだ。先生、下だけ洗ってきます」と言って汚れた紙おむつを持ちながら恵美が立ち上がって尿とりパッドを捨てて浴室に向かった。
恵美は、汚れた股間を洗い流し脱衣場で吹き直した後に、新しいおむつと尿とりパッドが敷かれたおむつの上に膝を曲げて横たわった。
「じゃあ当てる前に、シッカロールね」と言って、久美が恵美の股間にシッカロールを当て、尿とりパッドを股間に当て、外側のおむつのマジックテープを止めた。
「里絵さんには私がお返しで当ててあげるから短パンを脱いで」と久美が言った。短パンを脱ぎTシャツをまくり上げて、おむつの上に股間を載せ膝を曲げた状態の里絵は、久美におむつを当ててもらった。
それは、昼間に淑子から当ててもらったおむつよりも懐かしさを感じていた。親から当てられるおむつではなく、姉から当てられているような気がしていたのだった。
おむつを付け合った4人は、妙な連帯感でつながれたような気持ちになった。

417 :
今回はこの辺りで。
まだ続きそうです。

418 :
投下キタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!

419 :
>>415
修正です。
脊椎を損傷したため、人の支えがあれば歩く事はできるが、尿意を感じた瞬間におしっこが出てしまうため、車椅子とおむつが…

420 :
支援&保守

421 :
稚拙な文ですまん
需要があれば続き書く
玄関に靴を脱ぎ捨て、身につけている洗濯カゴに放り込み一糸まとわぬ姿となった。
彼女の名前は霧島睦月、大学一年生。進学を期に上京し、現在一人暮らし。
彼女には別に一人暮らしをしたいわけがあった。
生まれたままの姿となった彼女はクロゼットの引き出しからその年には似つかわしくないものを取り出した。本来排泄のコントロールが赤ちゃんが身に付けるおむつだ。
可愛らしい動物柄のおむつカバーを広げ、布おむつを組んでいく。体のシルエットはすでに年頃の女性のそれをうしなっていた。おしりがいびつに膨れ、たくさんの布おむつが足を閉じるのを邪魔しがに股にさせた。

422 :
あるある
純粋にエロのために自分でおむつをつける女の子が好きだ

423 :
421だが
書くけど
甘々な百合展開と調教展開どっちがいい

424 :
激甘の百合で

425 :
百合希望

426 :
仕切り直し
最初からいくよ

玄関に靴を脱ぎ捨て、身につけている洗濯カゴに放り込み一糸まとわぬ姿となった。
彼女の名前は霧島睦月、大学一年生。進学を期に上京し、現在一人暮らし。
彼女には別に一人暮らしをしたいわけがあった。
生まれたままの姿となった彼女はクロゼットの引き出しからその年には似つかわしくないものを取り出した。本来排泄のコントロールが赤ちゃんが身に付けるおむつだ。
可愛らしい動物柄のおむつカバーを広げ、布おむつを組んでいく。体のシルエットはすでに年頃の女性のそれをうしなっていた。おしりがいびつに膨れ、たくさんの布おむつが足を閉じるのを邪魔し睦月をがに股にさせた。
おむつをしていることを確かめるように膨れ上がった股間に手を当て、ふかふかのおむつの心地よさと19にもなっておむつをしている恥ずかしさに浸っていた。
睦月はどちらかと言うと近い方であった。故にすぐ尿意を催した。
もうおむつに慣れてしまったためすぐにおむつを湿らせてしまった。濡れたおむつが股間に張り付き、おむつカバーからツンとしたアンモニア臭がほんのり漂う。
睦月にとっては濡れたおむつも心地よかった。時折、股間をこすり淫靡な声を上げる。割れ目からはおしっこと混じってぬめりけのある汁も溢れ出していた。
睦月は小学6年生までおねしょ癖があった。中学時代もまれに失敗してしまうことがあった。高校生になると全くなくなった。高三の冬受験のストレスでおもらし癖が再発してしまった。
布団を汚してしまったら両親に隠しきれない、それ以前に心配をかけたくなかった彼女は寝るときは紙おむつをすることにした。その頃からおむつに包まれる安心感の虜になっていった。無事に第一志望のとうきょうの大学に合格した。
おむつをし始めたころ、彼女はネットで可愛らしい赤ちゃんのようなおむつ、紙おむつよりもふかふかでぷっくりとおしりの膨れる布おむつの存在を知り密かに憧れていた。進学し一人暮らしとなった今、その欲望は現実とすることができた。
早速可愛らしい柄のあしらわれたおむつカバーをオーダーし、おむつ地を買ってきて輪オムツを縫った。オーダーメイドのためおむつカバーの到着には時間がかかった。心待ちにしていたおむつカバーが届くと睦月は小躍りした。
最初は週に1,2回ほどしかしなかったおむつも家にいるときはほとんど身につけるようになり、布おむつもカバーも買い足し日常的に着用するようになった。

書き溜めあるけど加筆修正するから待ってって
個人的願望なんだけど235の職人さんいたら続きplz
スレチかもだけど着用派なんだおむつして書いてる、おむつしないと進まないんだなこれが

427 :
連投すまん
睦月はcカップ身長はやや高め線の細いのが私の脳内設定
くっつけるのはどんなのがいい?
低身長幼児体型で女児パンツはくのが趣味な子(同い年)
グラマーな母性たっぷりの先輩
どっちがいい?

428 :
どっちも捨てがたいけど、前者希望。

429 :
男の生理用品の話ならハイレベルでしょ

430 :
中略(呑んで、泥酔、送ってもらって以下略)
まだ寝ぼけたままの睦月は状況がつかめなかった。前夜の記憶はほとんど残っていない。ぷっくりと膨れたおむつをしてベットの上にいた。
おむつが下着代わりとなってた睦月はおむつをしているいう意識が薄れていた。
「おはよう。」
そこにはかりんがいた。おむつ一枚の自分に気づき頭が真っ白になった。それに部屋には布おむつを干したままだ。懇願するような目でかりんを見つめた。
「だっ、誰にも・・・言わないで。。。なんでもs」
かりんの小さな体が飛び込んできた。睦月の口はかりんの小さなぬくもりで塞がれた。
あっといた顔をしてかりんは睦月のからだから離れると気まずそうにして、顔を赤らめて少し微笑みながらスカートの裾に手を伸ばしたくし上げる。
「私もこういうのしてるから。」
女児用のキャラクターパンツが顕になった。だが睦月は幼い容姿のかりんには似合っているように思った。
照れ笑いしながら。
「かわいい、私もしてみたいな」
睦月はぽかんとしてしばらくすると納得した顔をして頷いた。
おむつを準備する。布おむつは何度も睦月の小水を水ところどころにシミができていた。
洗濯を繰り返し、たっぷりの柔軟剤で洗った布おむつはやわらくくふかふかだ。
かりんは自らスカート、下着を脱ぎ、T字にくまれたおむつの上に腰を落とす。
かりんの恥丘は毛が処理されていて、まるで幼女のようになっている。
睦月も以前からおむつに似合うように処理してた。
かりんのおむつはピンク地に前には大きなうさぎのアップリケが付いている。おむつを当てた自分の姿を鏡越しに見たかりんは紅潮した。おむつで膨らんだ股を撫でると蕩けるような気持ちになる。
睦月はふと思い出した。自分のおむつに指を突っ込んで見るといつしてしまったのか濡れている。最近ではおねしょも自然に出てしまうほどおむつに慣れていた。そして、おかしな事に気づいた。
昨日はパンツタイプのおむつをしていたはず、今は布おむつをしている。それにいつものあて方と違う気がした。
「おむつ替えしてくれたの?」
「濡れてたし、おねしょしちゃうんじゃないかと思って。ぬれてる?替えてあげようか?」
「自分でかえる」
「いいよ、替えてあげる。おむつしてくれたお礼」
ベッドに睦月を寝かせるとスナップボタンを外し黄色くなった布おむつが露わになる。布おむつをはがすと毛のない恥丘があらわれ、おむつの乾いた部分でしずくを拭き取ると恥丘をヒクヒクさせた。

431 :
投下キタ━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━!!

432 :2013/10/04
保守
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