2013年10エロパロ11: ドラマ妖怪人間ベムでエロパロ 2 (310) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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ドラマ妖怪人間ベムでエロパロ 2


1 :2012/03/28 〜 最終レス :2013/10/04
ドラマ版「妖怪人間ベム」の登場人物のエロ&萌えスレ
エロは神
前スレ
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1320730507/

2 :
>>1
おや、立ってたんだねえ

3 :
>>1

エイプリルフールネタでもう一つ
普段はやらないようなHな事してやると嘘ついてベムをからかってみるベラ
もちろん真面目なので真に受けるベム
嘘でしたとベラが言うが、真面目なベムはそれを許さず、さっき言ったことを実行しろと言う
って展開もアリか

4 :
前スレ>>792
>>3
どっちもいいな

5 :
前スレ埋まったか
>>1
乙です

6 :
前スレ>>792
エロのない前フリが長くなったので、まずはそれだけ投下するよ

7 :
遠くで汽笛がぼうっと低く鳴っているのが聞こえた。
静かで平和な日が続いている。
「ほーら、ベロくん次取って」
「え、えーと…これかな」
公園を取り囲んでいる桜の蕾が今にも咲き出しそうに膨らんでいる。開花予想は確か明日か明後日
だった。咲いたら待ち焦がれた春が来るのだろう。
優以とベロはブランコの側であやとりをしていた。両手の指を広げて橋を作り上げた優以が言う通り
指の間に張り巡らされている毛糸を取ろうとするのだが、慣れないベロは苦戦している様子だ。
今日は非番だという夏目は、少し離れた場所に座って二人の子供たちを眺めながら優しい笑みを浮か
べている。そんな何気ない穏やかな情景にベムもつい口元が緩んだ。
「今日もいい天気ですね」
「ええ、本当に」
うららかな日差しの下、子供たちを見守る二人の男の会話もまたごく穏やかなものだ。
「ベロくんは本当にいい子ですね、きっとベムさんとベラさんの躾が良かったんでしょう」
「いえ、そんな…」
「俺もそうだったから分かるけど子供を扱うのは本当に大変ですからね、そういうところがきちんとして
いるのもまた、あなた方が人間と遜色ない存在に違いない証拠なんですよ」
「そう、なのでしょうか」
「そこは自惚れてていいんです」
力強く念を押されたのが嬉しかったが、いつもの癖で顔を俯ける。この街に来て良かった。夏目たち
と出会えて良かったと実感するばかりだ。それほどに、この街では良い意味で予想外なことばかりが
起こっている。
「ところでベムさん」
夏目は急に話題を変えた。
「エイプリル・フールって知っていますか?それが今日なんです」
「え…えいぷりる…?」
思わず口籠ってしまった。
人間たちはどんどん新しい言葉を生み出しては使いこなす。それが横文字だったらもう自分たちには
ついて行けない。なのでつい知ったかぶりをしてしまうこともあるが、それは良くない癖だと気を付けて
改めるようにはしていた。
夏目はベムのそういう癖を知っている。なので特に突っ込むこともなしに言葉を続けた。
「外国の習慣が入って来たのがそのままこの国にも定着したんですけどね、今日だけは嘘をついても
いいんですよ」
「え…」

8 :
そんなものがあるのはさすがに知らなかった。思わず言葉を失ったベムを眺めながら、夏目は悪戯っ
ぽく微笑む。
「まあ、嘘とはいってもちゃんと決まりはあります。誰かがんだとか不幸になったなどという悪い嘘は
当て嵌まりません。相手を喜ばせたりちょっとだけ幸せにする、そういう嘘がいいんです」
「そうなんですか…難しいのですね」
人間の考えること、することは本当にまだ分からない。その人間に倣って生活しているとはいえ、自分
たちがしていることは本当にただの表層を浚っているだけなのだろう。
「考え込む必要はありませんよ」
ついまた悩みがちになってしまったベムに、夏目はさりげなく助け舟を出してきた。本当に、この人間
の友人がいるからこそ自分たちは救われている。
「誰かを喜ばせて、笑顔にしたい。そういう気持ちがあればそれで充分なんですから」
誰か、というならばそれはもちろん一人しかいない。脳裏にいつ目にしても輝くばかりに美しいあの姿
が蘇る。
そういえばベラはどこに行ったのだろう。また緒方家で女同士の話でもしているのだろうか。こんな時
側にいないのが無性に寂しく思えた。
「ベムさん、口元」
からりと笑いながら夏目が指摘してくる。ベラのことを考えていたら、思った以上にだらしのない顔に
なっていたらしい。こんな顔は、二人には決して見せられない。
「ねー、ベムもあやとりやろうよー」
ようやく指の間の毛糸を橋から東京タワーにすることが出来たらしいベロが、喜び勇んで手を振って
きた。
「優以ちゃんね、何でも知ってるよ。いーっぱい色んなことを教えてくれるんだ」
「そうか、良かったな」
「でね、今度は一緒にお絵かきするんだよ」
日もそろそろ傾いてきた時刻、手を繋いで帰る途中もベロは興奮して話しっぱなしだった。そんな様子
を眺めているだけでも微笑ましくて、ベムも頷きながら時折言葉を返すのみだ。
「ベムは?」
立ち止まったベロは、にいっと笑ってベムを見上げる。
「えっ」
「大好きな人と一緒にいるの、楽しいよね。ベムもそうだよね」
子供というものは往々にしてそうだが、ベロもまた予期していない時にとんでもないことを言う。急に
そんなことを言われて少しの間混乱してしまった。
「…そうだな」
「だよねー、ベラと一緒にいる時のベムはいつも、とおおっても楽しくて幸せそうだもん」
にこにこしながら繋いだ手を強く握り返してくる、ベロの言葉が頭の中で何度も甘く響いた。傍目にも
そう見えるのならば、きっと自分たちは幸せなのだろう。
何だかとてもベラの顔が見たかった。嘘でもいいからとにかくもっと喜ばせたいと思った。


続く

9 :
保管庫は結局どうなるんだろう

10 :
>>6-8
続きwktkしながら待ってるぜ!

11 :
ベムベラはセックスしなくてもいいなぁと
思う今日この頃
それじゃ、エロパロでは駄目かw

12 :
>>11
ノ 同じく
なんだろう、関係性が萌えるのか…

13 :
>>11
その気持ちも分かるけど、ここはエロパロスレだからねえ
前提からしてエロありきだ

14 :
まあようするに
セックスしても萌えるしセックスしなくても萌えれるベムベラ最高!!
ということだな

15 :
エロありでもエロなしでもネタ思いついたらどんどん小説を書いてほしい

16 :
ベムベラ(ベロ)には
肉体以上に深い絆があるからな
確かにセックスは必要ないかもしれんがw

17 :
でもエロもあった方がいい(本音)

18 :
まとめると、エロなくても萌えるけどやっぱりエロあったほうが嬉しいってことか

19 :
何もしてなくてもあの雰囲気のエロさはけしからん
髪を解いてるベラはどう見ても事後だろ

20 :
ベラ様は妖艶だな

21 :
廃船内ではよくベムが座って新聞記事を見てる場面がある
体勢的に前屈みになってるせいで、勃起でもしてるんちゃうかと思ってるけど
多分そうだ
むっつりエロ妖怪め、もげちまえ

22 :
http://xhamster.com/movies/619017/chinese_t_girl_receives_3_guys_old_man_sucks_all_the_cum.html

23 :
船にいる時のベラは妙に艶めかしいからな

24 :
>>21
おまいのチンコは勃起してるだろうなw

25 :
>>24
当然さw

26 :
エイプリルネタの続きはまだかのう…もしやまた規制かのう

27 :
すまんのう
明日か明後日投下する

28 :
パンツ脱いで待ってる!!!

29 :
書いたので投下する
どう考えてもベムは気の利いた嘘なんか絶対言えそうにないので、その辺は
作中で変更した
つくづく職人泣かせな奴だ

30 :
見上げれば春の居待月はうらうらと白い。
満月を過ぎて欠けゆく月の風情もまた良いものだと思えるのも、この時期ならではか。
それともそう思えるのは胸の奥にあるものが満たされているせいか。
顔を伏せているベラの髪の香に鼻孔がくすぐられた。
抱き寄せてもさして抵抗はないが、まだ時折鋭い目で睨まれることはある。そして相変わらず口は
減らない様子だ。しかし、この女はそれでなければとも思う。
「…ベロが寝たと思ったら、あんたはもう…」
事の始まりはいつもこんな感じだった。
ほんのわずかな抗いを見せながらも、結局互いに望むものの差異はないこともあってベラは顔を
背けながらもやはり思うままになってくれた。普段であれば。
そんなある程度の甘い慣れ合いが当たり前になってきている。人間もこんな焦れったい遣り取りを
しながら互いの本音を探り合うのだろうかと、むず痒いような気分になっていた。
抱き寄せれば不承不承というように腕を回してくる。
「悪くはない、んだろう?」
「…らしくもないねえ、あんたにしては」
「そうか」
他愛のない言葉を交わしながら以前よりもより滑らかさを増した肌をゆっくりと撫でる。更に抱き締め
る腕の力を強める毎に胸の中が熱くなった。この気持ちが何であるのか未だ明確ではないが、恐らく
全く経験のない、だからこそ新たに形成しつつあるものなのだろうとは思った。
これは、人間が何よりも大事にする恋情と同じなのだろうか。
「ベラ」
思いを意識した途端に頭の中に霞がかかったようになってしまった。
「お前が望むことは、何でも叶えてやりたい」
しかし、その言葉を聞いた途端に何故か腕の中のベラが身体を強張らせた。無言のまま腕を突っ張り
必で逃れようとしてくる。
「…どうした、ベラ」
この夜も当たり前のように最後までことが運ぶものだと思い込んでいたベムは、つい疑問を口にして
いた。しかし一度翻ったベラの態度は硬くなったままだ。
「……あんたなんか…知るものか」
そして二度と目を合わせようとせず、渾身の力を振り絞って無理やり腕の中から逃げ出した。
「も、二度とあたしに触るな!」
悲痛な叫びに似た声を上げて布を被り、大きな虫のように自分の寝台に丸まってしまう。

31 :
「ベラ…」
一体何が起こったのか、分からなかった。何がベラの機嫌を損ねたのか見当もつかず、ただ突然に
冷え込んだ空気の中に一人取り残されてベムは戸惑うしかなかった。
何度思い起こしてみてもどれがベラの逆鱗に触れたのか、探り出すことは出来なかった。
翌日、目覚めてからもベラは決してベムとは口を聞こうとはせず視線すら合わせずに、朝食を終えた
後はすぐにどこかへ行ってしまった。聴覚を駆使すれば行先を探ることは容易なことだったが、今の
状態でそれをするのは何となく憚られた。
ベラの怒りの発端が何であるのか知れない以上、余計なことをして更に機嫌を悪くされる可能性も
あるからだ。全くもって厄介な状況に陥ってしまったものだが、ベムにとってはただ所以もなく戸惑う
ばかりだ。
「ベムー、公園に行こうよー」
そんな鬱々とした気分を察したかのように、ベロが後ろから抱き着いてきた。
「今日はいいお天気でおてんとさんもぽかぽかだよ、きっと気持ちいいよ」
「…そうだな、行こうか」
こんな日に船の中で沈み込んでいても思考は堂々巡りをするばかりだ。気晴らしをする意味でも外に
出るのは好ましいのだろうと、ベムもようやく座り込んでいた寝台から重い腰を上げた。
「やっぱり気持ちいいねー」
公園に着いた途端、ベロはびっくりするほど大きな声を出した。
緑が萌え始めている午前中の公園は、確かに微風がそよいでとても心地が良い。繋いでいた手を
離すと、ベロは一人で子犬のようにころころとはしゃぎ回っていた。
「ベロ、あまり離れるな。俺はここにいるからな」
目印として近くの滑り台を指すと、ベロは了解というようにぶんぶん大きく手を振った。
「うん、分かったー」
そんな様子を微笑ましく眺めながら、子供の無邪気さが羨ましいと思った。ベムもほんの少し前まで
は、これほど自分でも判断のつかない気持ちを抱えることなどなかった。いっそ何もかも忘れてしまえ
れば楽なのかも知れないが、気持ちがそれを見事なまでに否定する。
短い間に築き上げてきたベラとの苦しくも甘美な関係だけは、今更白紙には戻したくないのだ。
だからこうして悩むこともあえて受け入れている。
滑り台の端に腰を下ろして、ベムはふと空を見上げた。雲ひとつない空の色が妙に青く感じて目に
沁みるようだ。こんな風にゆっくりと昼間の空を見たことがあっただろうかと感慨すら覚える。
「ベム、見て見てー」

32 :
しばらくそんな風に散漫な物思いをしていると、ベロが遠くから何かを抱えて一目散に走って来た。
「これはベムの。もう一つはベラにあげようと思って、頑張ったんだ」
そう言って、白つめ草で編んだ花冠をベムが被っている帽子の上に乗せた。公園の隅にはこの白く
可憐な花がたくさん咲いている。いつも優以と二人で遊んでいるベロは、花冠の編み方も教わって
いたのだろうか。微笑ましいものだ。
「…ありがとう」
ぎこちなく礼を言いながら、ちんまりと帽子の上に乗った花冠に触ってみる。小さな花が重なっている
感触は薄く柔らかくて、決して乱暴には扱えなさそうなところは女の心にも似ている。
そこでベラを思い出してしまって、今すぐにでも会いたくなった。
「ベラ、お土産喜んでくれるかなー」
「そうだな、きっと良く出来たと褒めてくれるだろう」
「だったら嬉しいな、早くあげたいのにどこ行ったんだろ」
もう一つの白い花冠を大事そうに抱えてベロは不満そうに唇を尖らす。その頭を撫でてやりながら、
自分にも言い聞かせるようにゆっくりとベムは言葉を選んだ。
「すぐに戻って来る、だから一緒に大人しく待っていられるな」
「うん…」
答えながら一度俯いたベロは、すぐに輝くような笑顔を見せた。
「ベラが帰って来るのが遅くなっても我慢する、いい子にして寝てるから。だからベム」
「何だ」
「オイラがいい子で寝ている間に、ベラと仲直りしてねっ」
思ってもいなかったことを突然言われ、常に握っているステッキを柄にもなく慌てて取り落としそうに
なった。確かに昨夜からのベラは明らかに憮然としていて、ベロにも何があったのか分かったかも
知れない。
しかしさすがにこればかりは返す言葉が思いつかずに無様に口籠るばかりだった。
「……そ、そうだな…」
取り繕うことも忘れてしまったベムを見上げて、ベロはただにこにこと笑っている。
結局、ベラは日が落ちる頃にやはり不機嫌な顔のまま戻って来たので三人揃っての夕食には間に
合った。しかし相変わらず何も言おうとしない。
ただ、ベロが作った花冠だけには素直に感嘆の声を出した。
「あんたがこれ作ったのかい?大したモンだよ」
しかし、本当にそれだけだった。
いつにない雰囲気でぎこちなく黙り込む二人の顔を交互に見ながら、ベロだけが全てを知ってでもいる
ようにふんふんと満足そうに頷いている。
そして疲れたからと早めに寝付くときに、側にいたベムにこっそりと耳打ちをした。
「仲直り、頑張ってね」

33 :
「…子供は、そんなことに気を回さなくてもいい」
「えへへっ」
本当に、こんな子供にまで悟られているのは身の置き所もない心地だ。しかし、だからこそ早いうちに
何とかしなければとも思う。
「んじゃ、おやすみー」
本当にとても遊び疲れていたのだろう、被った布の下で早くもうとうとし始めたベロは軽く手を振って
からことんと寝入ってしまった。
「おやすみ、ベロ」
健気なベロの頭を丁寧に撫でてから、ベムはようやく立ち上がる。
ベラは押し黙ったまま寝台の上に腰かけて顔を背けていた。丸一日の間機嫌を損ねるほどの何を
してしまったのだろうと今も自問自答しながら、近付いていく。
「ベラ」
二度と触るなと言われた手前、手を途中で止めたまま声をかけるが返事はなかった。ただ下から掬い
上げるようにじろりと睨まれる。
「俺は、一体お前に何をしたんだ。教えてくれ」
懸命に尋ねるベムの言葉に、ベラは一度目を閉じてからゆっくりと一度まばたきをしてから妙に悔し
そうな表情になった。
「あんたは…何もしてない。何もあたしの気に障ること、なんか…」
「なら、何故」
「……ここに、お座りよ」
顔を強張らせながら、ベラは座っている寝台の隣をぽんぽんと叩いた。放っておけばいつまでも立ち
尽くしているベムを思い遣ったのだろう。言われる通りに座ると、俯く横顔がより綺麗に見えた。
「教えてくれないか、ベラ」
流れる黒髪に彩られた顔が一瞬だけ苦しげに歪む。
「…あたしは、あんたを疑ったんだ。それだけさ」
ベラは視線を逸らしてそれだけを早口気味で一気に言い切った。そのまま再び口を閉ざしてしまい
重い雰囲気になりかけるのが怖くて、ついあらぬことを口走る。
「触っても、いいか…?」
緩やかに震える黒髪の下で、女は無言で頷いた。承諾を得たことが弾みになって、強張ったままの
頬に手を滑らせる。長い間ずっと耐えていたのか涙が一筋流れた。
ふっと顔を上げたベラは、真正面からベムを見据えて観念したように口を開く。

34 :
「昨日、は…嘘をついてもいい日…だったんだろ。日出美と小春が言ってた。だから、あの時あんた
が嘘をついていると思ったんだ」
「確かに昨日はそういう日だったが、あの時は嘘など決して」
ベラを喜ばせる為なら嘘をついてでも、と思ったのは事実だ。しかし咄嗟にそんな上手い言葉など
出てこなかったのもまた紛れもない事実で、そんな自分の曖昧なところは誤解されても仕方がないと
いうしかなかった。
「…分かってるさ、あんたがはいそうですねと気の利いたことなんか言えない奴だってことは…だけど
間違いなくあたしは一瞬だけどあんたのあの言葉が嘘だと思った。で、すぐにそういう自分に嫌気が
差したのさ。怒ってもいいんだよ」
「何で怒る必要がある、お前はただ誤解していただけだろう」
「…あんたは全く…」
ぽろぽろと涙を流しながら、ベラは顔を引き攣らせて手を上げた。張り飛ばされでもするかと思った
のだが、ぱちんと軽く頬を叩かれただけだった。
「あんたがそれだから、あたしは際限なく甘えちまうんだよ」
ぱちん、ぱちんと何度も頬を叩いてくる手がそのうちに髪を掴んで強く引いてきた。勢いに押される
ように姿勢が崩れて唇が重なる。
「…でも、そういうあんたじゃなきゃ、あたしは嫌なんだ…」
間近で熱く囁かれる声が唇を濡らす。この女なりに懸命に考えて出した結論に、胸がじわりと暖かく
なった。それほどまでに真剣でいてくれることが嬉しかった。
涙で濡れた頬を何度も慈しむように撫でながら、もう片方の手で外気に晒されている肩の鱗に触れ、
躊躇することなくそのまま胸の膨らみに滑らせていく。
あ、と小さな声が上がった。
「お前が、機嫌を損ねていなくて良かった…」
「あ、あんたは馬鹿だ…」
肩から落としたドレスがさらりと胸の上を滑る。薄闇の中であらわになった乳房が白く輝いていて目を
奪われた。もっと触って欲しい、とベラ自らが手を導いて乳房に押し当ててくる。誘われるに任せて
滑らかな肌を撫でた。それを追うように唇と舌でも感触を愉しむ。
柔らかな膨らみに頬を寄せると、肌が細かく震えているのが伝わってきた。
「ぁ、ん…」
寝台に横たわるなり、拠り所を確かめるように伸ばしてくる腕が背中に絡みつく。既に昂ぶり始めて
いるのはベラも同じらしい。昨夜は中途半端なところで終わってしまっただけに、より興奮を覚えて
しまうものなのか、とも思う。

35 :
「ベラ、お前が欲しい」
「あ、あたしもさ…分かるだろう?」
はにかむような微笑を浮かべた女の指が、ぎこちなく唇に触れてきた。いつもは冷たい指先が今夜は
熱を帯びている。
「ああ、そうだな…」
寝台から零れ落ちる黒髪の一房を手に巻きつけて、いつも今もベムを魅了してやまない甘やかな香
を嗅いだ。やはり、どんなことであれこの女には微塵も嘘など言えそうにない。思いが深まるのは自ら
の心の内を明かすのと表裏一体で、そこに嘘が混じっては全てが無になってしまう気がした。
「俺はいつもお前を…ベラ」
「そんなこと、今更、だろ?あたしがどう答えるかもひっくるめてさ」
ふふ、と笑みを漏らすベラの唇が艶めかしく潤んでいた。この女を決して逃さないように抱き締めて
何度もその暖かく柔らかい感触を確かめる。指で、唇で、舌で。
この麗しい身体中、どこもかしこもそうしたかった。そう思うだけでつい探る手管は意図もせぬうちに
乱暴なものになって、今夜は尋常ではないほど昂り合っているベラを余計に喘がせた。
「あ、ぁ…」
喉から零れる声はひどく濡れて甘い。堪らず目の前で揺れている汗の浮いた乳房を両手で強引に
捏ね上げ、夢中でしゃぶりつく。肌に束の間の痕跡を残しながら長い脚に纏わりついていたドレスを
捲り上げて奥で疼いている箇所に指を差し入れた。
その瞬間に、息を呑む気配がした。そこはとうに熱く熟れきっていて奥までたやすく指を引き入れて
いく。ぬるぬるになっている膣壁が刺激を感じた途端に焦るように蠢き始めている。先程から股間で
存在をひっきりなしに主張しているものを一刻もそこに早く収めたかった。
思わず知らずに鼓動が早まり、息が荒くなる。
「いいな、ベラ」
「…いきなりは、嫌だよ」
待ち受ける快感を期待するように悩ましく目を伏せる表情は、どう見ても誘惑でしかない。
「お前を見ていると、我慢出来そうにないんだ」
「…勝手、なことを…っ」
口調はまだ拒否を含んでいるが、艶めく唇が浮かべる微笑は更に深く美しい。視線を逸らせぬまま
唇を合わせ、誘うようにねっとりと絡みついてくる舌を吸い上げると、汗ばんだ肌が大きく震えた。
「ン…」
その声音の甘さに煽られて、膣内を探る指の動きが一層激しさを増す。腹側に指を軽く曲げて掻き
出す真似事をするだけで面白いようにベラの身体がうねった。

36 :
「やぁん!」
咄嗟にだらりと伸ばされていた膝がぐんと曲げられて、身体を挟み込まれた。昨夜からずっと疼いて
いたのだろう、わずかの刺激でこれほどに変化を遂げているのが感動的ですらあった。もう一刻の
猶予もなくベラの全てを感じたかった。
じんじんと痺れるほど硬く勃ちあがっているものを覚束ない手でようやく引きずり出すと、目の前の女
が無意識なのかどうか、ぺろりと舌舐めずりをした。
焦らして愉しむことすらも忘れて、寝台を濡らすほど愛液を溢れさせている膣口に先端を擦りつける
なり、白い喉が反り返って熱い吐息が漏れた。
「は…っ」
「ベラ…」
ろくに慣らしてもいないうちに快感に浸かった本能がベラの女を求めて暴走する。勢いに任せて一気
に奥までずぶりと突き入れ、反動で極限まで跳ね上がる身体を抱き締めた。
「…ひぁ…っ…」
あまりの衝撃に、ベラの喉がわずかに引き攣った声音を迸らせる。目尻に溜まった涙を吸い取って
何度も髪を撫でてやると、ようやく少しだけ笑みが戻った。
その隙を見計らって激しく突き上げていく。緩急をつける余裕など全然なかった。戸惑うようなベラの
表情とは裏腹に、一物を迎え入れている濡れた膣内はひどく熱い。まるでそこが意志を持ってでも
いるように自在にぐねぐねと蠢いているのが直に伝わってきた。
それがまた堪らなかった。
「あ、あ…こん、な…」
必で腕を伸ばして抱きついてくるベラの声が途切れ途切れになってきた。時折金切り声のように
高い声が喉から上がるのは、早くも限界が近いからだろう。
ベムもまた、一度この快感にけりをつけないと際限知らずになりそうな気がして焦っていた。しかし、
この夜が明けるまでは二人で何度でも昂り合える。
何度でも、これほどに美しく淫らなベラを目に出来るのだ。
覚悟を決めたら後はもう早かった。獲物を逃すまいとするようにきつく締め上げてくる膣内をめちゃ
くちゃに突き続けるうちに、切ないほどひどく高い声を絞り出してベラが達してしまった。
「くっ…」
果てる好機を逃した焦りで、まだ引き留めようとする内部から一物を強引に抜き出した。それが刺激
になったのだろう。溜め込んでいた精液が一気に放出されて、達した後の放心状態でいたベラの顔や
髪を白くべっとりと濡らした。

37 :
「…済まない」
ベラの表情からは何の感情も見えない。
こんなことまで、するつもりではなかった。慌てて淫らがましい汚濁を拭き取ろうとしたベムだったが、
何故か引き留められる。
「これは、あんたのだろう…?それならいいのさ、どんなにしたって」
放心した表情をまだ残したまま、ベラは顔に重く垂れ落ちている精液を指で拭ってぺろっと舐めた。
「あんただから、あたしは平気なんだ」
「済まないな、ベラ…ありがとう」
気にするなとでも言いたげに、またぱちんと頬を叩いてくる。現金なもので、それがきっかけになって
一物が再び熱を帯び始めていた。
ベラに対しては幾らでも愚かに成り下がる、だが、それはある種の特権であるのだろう。そこにいつか
嘘が入り混じる時があったとしても、それがベラに関するものであるのなら当然甘受出来る自信が
あった。
二人が過ごす、このうららかな夜はまだ明ける気配もない。
翌日も良く晴れていた。
三人で仲良く手を繋いで公園に行く途中、隙を見計らってベロは小声でベムに尋ねる。
「仲直り、出来たみたいだね。良かった」
「そう、だな」
何となく気恥ずかしさを感じながらベムもいつものように律儀に答えた。ベラは朝からひどく上機嫌で、
みんなで公園に行こうと言ってきたぐらいだ。盗み見る横顔は興の青空を映したように晴ればれと
している。
些細な誤解や擦れ違いはきっとこれからも二人の間にあるに違いない。しかし少しずつ言葉を交わし
心を交わしていくことで解決出来る。それはとても人間らしい理性的な遣り方に思えた。たとえ人間に
なれなかったとしても、心掛けだけはいつも人間と同様であろうと。
それが自分たちにとって最良の立ち位置になる気がした。
「ベラ」
ありったけの愛おしさを込めて、呼んでみる。
「何だい?」
ベロの手を繋いだまま、ベラは顔をこちらに向けてきた。
「公園に行ったら、何をしたい?」
それには返事がなかったが、ただ穏やかで優しい微笑が美しい顔にふわりと浮かんだ。




38 :
キター!待ってましたぜ!

39 :
もどかしくも真摯なやりとりが二人らしくて萌えるなあ
妖怪人間さんたちは純粋なところが美しいんだよね
そして天使の純粋さのベロたん…恐ろしい子!(白目

40 :
あああ…orz
確認しているつもりなのに、また変換ミスかよ
× 興の青空
○ 今日の青空

41 :
ドンマイ
三人は結局人間になれなかったけど、平気で嘘をついたり誰かを騙したりする
ことにならなくて良かったと思う

42 :
人間になれなくてもずっと三人一緒なら幸せ

43 :
奇遇だな、そんな話を書いてた

44 :
はらりはらりと深まる夜を彩るは散る花か。
この春を爛漫に咲き誇っていた桜が名残惜しげに姿を変えようとしている。
この時刻ともなればさすがに人間の花見客もいない。三人はそれを見計らうようにはらはらと花降る
公園の夜桜を見に来ていた。
もっとも、子供のベロは船を出た時から随分と瞼が重そうだ。
「ベラぁ…ねむーい」
しきりに目を擦ってあくびを繰り返している。その小さな手を握っているベラは面倒そうに一番大きな
木の下を指す。
「もう、あんたは仕方ないねえ。あそこまでは我慢出来るかい?」
「んー…」
歩きながらこくりこくりと舟を漕いでいるベロの返事も、眠気のせいか何となく曖昧だった。そんな二人
をベムは微笑みながら眺めている。
下限の月を過ぎた有明月の光は頼りない。しかし人ならぬ妖怪の三人には充分過ぎるほどの光源
だった。じきに完全に散ってしまうであろう桜の風情にも似ている。
「…綺麗だな」
細い月と桜を見上げながらベムはまた頬を緩める。
もうかなり限界だったのか、満開の桜の木の下に並んで腰を下ろした辺りでベロはころんとベラの膝
の上に転がってしまい、そのまますうすう寝入ってしまった。
呆れたように笑いながらベロの髪を撫でるベラの表情はまるで母親のようだ。
「この時間は子供には酷だったかねえ」
「夜の桜が見たいと言ったのはベロだ、来ただけで満足したんだろう」
「でも…来たがっただけあって、見事なモンだよ。今夜の桜は」
人間が訪れることのない時間に、ひととき花を愛でる。それぐらいの楽しみはあってもいいと思えて
いるのは、この街に来てからだ。やはり自分たちは人間と同じ場にいるべき者ではないとも感じては
いるが、その上でささやかに心を癒せるものはやはり欲しかったのだ。
この街に来てからの変化は目覚ましいものがある。
母と子のような二人を隣で見守りつつも、万感の思いでしみじみと呟いた。
「そうだな、本当に素晴らしい」
「ふふふ…っ」
薫る黒髪を肩に流したベラが婀娜な笑みを浮かべている。
「あんたでも、少しは粋なものが分かるのかい」
「何度、こんな風に桜を見てきたと思うんだ」
「ああ…あたしたちも随分長く生きてきたんだねえ…」

45 :
そこに感慨も哀しみもなく、ただあっさりとした口調でベラは呟いて、ふふと唇の端で嗤う。それから
ゆっくりとベロを起こさないように気遣いながら背後の木にもたれかかった。
肩に乱れかかる黒髪を払ってやると、無言のまま微笑むベラの手が伸びてきて帽子を地面に落とし、
無造作に束ねた髪を解いてきて夜咲く花のように美しい笑顔を見せた。
「あたしたち、これからも三人ずっと一緒…なんだね」
「そうだな、ずっと」
自分たちはなないとはいえ、決して不ではなく人間よりは長く生きられる程度のものだ。何倍か、
何十倍か。生き抜いた果てにいつか朽ち果てる時は必ず来る。
その最後の日まで、せめて人間らしい気概を持って三人で生きていくだけなのだ。この身で生まれた
自分たちにとって、他に成す術はない。
しかし、一人きりではなかった奇跡だけは喜ばしかった。
「ずっと三人一緒だ、ベラ」
膝の上で眠り続けるベロの小さな手を二人で握りながら、こつんと額を合わせて目を閉じた。言葉
など何も交わさずとも、今夜は不思議とベラの思いが伝わってきた。ただ、今はこれだけで充分に
幸せだと思えている。
命の長さなど問題ではない、如何にその生の中で満足を感じられるかが重要なのだろう。そこから
すれば自分たちはきっととても幸せなのだと思えた。
ひらりひらりと三人の髪に服に淡い色の花が舞い落ちてくる。




46 :
GJ
泣ける

47 :
なごんだ
関係ないけどベロがベラの膝枕で寝る光景は
リメイクアニメにも出てきたな

48 :
ベラ様はおそらく名器の持ち主

49 :
おそらくどころか、かなりの名器だろうて

50 :
博士はその部分にもこだわりを持って作ってるからな

51 :
じゃあ当然ベムもナニは色々とすごい訳だ
そんなこだわりの逸品な二人がセックスしたら、まさにほこ×たての世界

52 :
じゃあもしも何らかの状況で他の異性と関係を持つ事があったとしても全然物足りなくて
やっぱりベム(ベラ)のほうがいい…となるわけだ

53 :
まさに近親相姦天国w

54 :
博士ww

55 :
杏ちゃんの元々のおっぱいは小さいけど寄せ上げして胸に詰め物して大きく見せようとしてるから
ベラ様は乳が大きいって設定?

56 :
旧作・リメイク版とも結構乳はでかいだろ

57 :
じゃあやっぱりドラマのベラ様もアニメ同様巨乳設定というわけですよね?
実際にはパットつめてても作中の設定上では本物のおっぱいというわけですね?
そのボインボインのおっぱいをベムが毎晩揉みしだいて楽しんでるんですね?

58 :
>>55=57
巣にカエレ(・∀・)!!

59 :
永遠に若いまんまで身体能力にも優れてる二人だから、人間とやったとしても絶対
物足りないだろうな
もしベラが初恋の男と上手くいきかけたとしても、こうなりかねない
「ちょいとあんた」
「…えっ、な、何ですかベラさん」
「ちっとも良くないねえ、これじゃ入ってんだかどうか分かんないよこんなお粗末なモノ」
「あ、なんか色々とすいません」
「興醒めだねえ全く、ベムの方がよっぼどましだ」
「ベムって、誰ですか」
「あんたにゃ関係ないよ…邪魔したねえ」
「え、帰るんですかベラさん」

60 :
>>59
大久保カワイソスww

61 :
関係ないけど夏目は良いモノを持ってると思う
なんかそういう顔してる

62 :
>>61
鼻がデカいし外人顔だから
外人並みに馬鹿デカいものを持ってるだろうな

63 :
このスレ大好きだけど
ベムベラの固定カプ以外は認めない空気できてるよね

64 :
んなこたぁない
他カプでも陵辱でも何でもござれ

65 :
>>63
んなこたぁない
たまたま職人さんがベムベラが好きで書いてる人だというだけ
他のカプが好きな職人さんがいればどんどん書いて欲しい

66 :
陵辱ネタだったら名前の無い男(ベモ)に色々されちゃうベラとか見たい

67 :
確かに
ベムベラだらけだなw

68 :
まあ主役とヒロインだし作中でも一応夫婦的なポジションだしな
あとあまり知られてないけど漫画版では実際にベムベラは恋仲になるらしい

69 :
おいらもてっきり
ベムベラが恋仲になるものだと思ったよw
実際は違ったわけだが

70 :
強制的にベモ(悪)を身体に入れさせられるベラ…
穢れてしまうベラ…

71 :
ベラってヒロインだったのか、知らなかった…
とはいえそれらしいメインの女キャラは他にいなかったから、そうなるのか
とにかくベムベラでも他のカプでも、職人さんはどんどん書いてくれ

72 :
ベモをしてしまった妖怪人間達はあとどれぐらい存在し続けるのか
数百年?数千年?もっと?
人間を守るため妖怪人間を選んだ彼らは人間がいなくなったらどうするんだろう
願わくば、いつか彼らにも安息の時が来ればと思う
それまで家族だったり夫婦だったり恋人だったりで仲良くしてたらいいなあ

73 :
ステッキに吸い取らせる方法でねるらしい(三人にも該当するのかは不明)から、
いずれ人間がいなくなったらその時はを選択するんだろう

74 :
しかし妖怪達がぬ時の事を考えると悲しくなる

75 :
人間に憧れていた三人にとっては、が最後の希望であり唯一人間と同じに
なれる方法なんだよ

76 :
ベラちゃんがどんなパンツはいてるのか気になる

77 :
ベラ「ぱんつってのは何だい?そんなものあたしが穿くと思ってんのかねえ」

78 :
ノ、ノーパン…!(*´Д`)ハァハァ

79 :
時代的にドロワーズじゃね
かわゆす

80 :
時代を先取りしてベムに現代的な革パンなどを用意してた博士のことだから
ベラ様にはスケスケやTバックのきわどいパンティーとか用意してたかもしれない

81 :
そこまでいくと、あの朴訥とした博士の隠れたシュミが見えてくるなw
しかもベムを喜ばせるだけじゃんか

82 :
鞭も博士が用意したものだよな?
ヤバイどんどん変態に思えてきたw

83 :
わざわざ成人型の完璧美形な男女を作って、その上でアレな装備まであるという
ことはやっぱり…
博士の意図がさっぱり分からんなw

84 :
ベラのフェラは凄いよ!

85 :
すごいテクニック身に着けそう

86 :
おフェラよし

87 :
ベロくらいの子供でも普通に性欲はあるし女に興奮して勃起する事も普通にある
もちろん射精は無理だけど
つまりベムベラのセックスを盗み見して性に目覚めちゃってると思うわけよ

88 :
見た目は子供でも100年はゆうに生きてるから、色々なものを見聞きしている
訳だしな
その上にベムとベラがヤってるとすればもう…

89 :
そういや前スレでベロが大人になってベラに迫る話があったな
あれは行為に及ぶ前に夢オチで終わったけどそのまま続けてもよかった

90 :
「夜来の花」で全編の終わりにするつもりだったけど、やっぱりまだ書きたい
気の済むまで続ける

91 :
波が高いようだ、しきりに船底を打つ音か耳に響いている。
いつもは気にならないそれが今夜は妙に耳障りに感じて、ベムは眠れずにいた。他の二人は意に
介することなく眠りこけているのだろう、物音すらしない。
寝台の上でしきりに寝返りを繰り返しながらもますます目が冴えていくベムの意識の端、突然に淫ら
なものが兆したのは仕方のないこと。
そう思わなければこの長い夜の時間を過ごせない。
そろりと股間に手を伸ばしかけて、はっと身を起こした。一体何をしようとしていたのだろうと。そこまで
当たり前のようにこの身に湧き上がった欲望を解消しようとするなど、以前の自分であれば有り得ない
ことだった。
では以前はどうだったのだろうと思い返してみると、何のことはない。人間になるまでは縁のないもの
と思い込み極力意識の外に弾き出していただけだった。ベラの身体を知って以来、そんな長年抑圧
されてきたものがただあからさまになったものに過ぎない。
別に聖人君子を気取っていた訳でもあるまいに、と妙におかしくなった。
ベラの様子を伺うと、偶然にも寝返りを打った拍子に被っていた布から肩が剥き出しになった。夜目
にも白いその色に目が釘付けになる。ただでさえ自らの浅ましい欲を自覚した今となっては更に喚起
させるだけのものだ。
目が離せないまま寝台から降り、足音もたてないように近付いて覗き込んだ。寝入っている静かな
横顔は普段の気の強さを感じさせないほど儚げに見える。
名前を呼ぶ代わりに指先で黒髪を梳き、外気に晒されている肩を撫でた。気配を感じたのだろうか、
ベラがまた寝返りを打った。寝顔はあくまでも穏やかで何の憂いもない。
その顔を眺めていると急に押さえつけていた欲求が膨れ上がってきて、何となく後ろ暗い罪悪感を
抱きながらも撫でていた肩からそうっと布を引き落とした。
瞬間、微かにベラの眉根が寄る。
もしや目を覚ましたのではとも思ったが、どうやらその気配もない。用心深く様子を伺いながらもベム
の手が次第に大胆になっていく。
意識は眠りの中にあっても触れられるごとに緩い身じろぎを繰り返すベラの赤い唇が、誘うように
わずかに開いていた。
拒まれてはいないことを確認しがてら、滑らかな肌触りをより感じようと乳房を露出させてゆっくりと
撫で回す。覚醒している時であればなまめいて汗を刷く肌が今はまるで陶器のように手触りの良さ
だけを伝えてくる。
普段のベラがこの行為を拒むことなどないのだが、今こうしているのもまた違う感覚がある。もっと
知らない部分を見たくなった。

92 :
触感だけは分かるのか、わずかに肌が汗ばんでいる。その反応の変化が嬉しくなって乳房の線を
なぞるように舌で撫でた。相変わらずの肌の柔らかさに五感が囚われ、このまま続けても構わない
ように思えてきた。
もしも途中でこの女が目覚めたとしても、その時はその時。
以前のベムにはなかった割り切りをして肌に纏わりついているドレスの裾を捲り上げた。精密な人形
のように目を閉じているベラの表情に見惚れながらも、脚の間に手を滑らせて肌以上に手触りのいい
そこに指を忍ばせた。こんな時でも柔らかく息衝く襞が指の感触に気付いたのか、吸い付くように
蠢く。
思わずベラ、と声にならない呼びかけをした。
やはりこの行為はお互いに目覚めていなければ意味がない。何も反応のない女にこれから何をする
つもりだったのかと自らの欲が急にひどく汚らわしいものに思えた。
「…ア」
身体を離そうとしたその時、不意にベラの口から声が漏れて閉ざされていた目が開く。暗闇でも眩い
ほどの光を放つ視線に罪悪感もあって怯みかけたのだが、子供のようにまっすぐに見上げている
ベラの腕がすっと上がって頬を撫でられた。
思いがけないことだったが、その表情は穏やかに微笑んでいる。
寝込みを襲った無礼を、許されたのだ。
それでも気持ちは動揺していて、何か適当な言い訳をしようとした唇に指が一本押し当てられる。
言葉なんかいらないと、ベラは両腕を回してきた。




93 :
GJ!
寝てる間にコッソリ…というシチュエーションってエロいよね

94 :
そりゃあベラ様を目の前にしたら、ベムですら賢者でいる暇もないわな

95 :
おはよう
ベラ様フェラネタで書いてみたら、なんか方向が逸れた

96 :
午後の光が船内を照らしている。
ベロは朝から一人で遊びに行っていてまだ姿を見せない。この街の様子にも大分慣れてきたので
楽しくて仕方ないのだろう。
ベロのことだ、何か急に驚くような事態に遭わないとも限らないが、その辺はよく言い聞かせている
ので心配するほどの結果にはなっていない。とはいえ子供を一人で遊びに行かせることには二人
とも心を残している。
それでも、身の内から湧き上がった衝動には逆らえないまま、二人きりでいられるわずかな時間を
惜しむように戯れていた。
「ふふ、ふっ…」
ベラの忍び笑いが淫靡に漏れる。
「…ベラ」
「何だい、興醒めだねえ」
股間に顔を伏せていたベラが顔を上げて挑戦的に見上げてきた。その手には玩具のようにベムの
一物が握られている。じっくりと時間をかけて愛撫を愉しんでいただけに、今にもはちきれそうなほど
大きくなっている。
「そろそろ、離れ、ろっ」
腰を下ろしている寝台に手をつきながら、ベムは必で欲求を堪えていた。こんな至近距離で全てを
吐き出す訳にはいかない。そんな醜態をまた見せたら男としてあまりにも情けない。ベラを汚すこと
だけは避けたかったのだ。
しかし、ベラの方はどこか意地の悪い、それでいて陶酔したようなとろんとした目付きをしている。手の
中のものを舌と唇で扱き上げながらも興奮していたのだろう。
「嫌だよ、あんただって好きなようにするじゃないか。だったらあたしだって」
「だ、だが」
「問答無用、さ。ほおら」
先走りの液が握っている手までをたっぷりと淫らなまでに濡らしている。わざと見せつけるようにぬる
ぬると扱きながら、根元から先端までを舐め上げ、目を合わせたまますっぽりと銜え込んできた。
「やめろっ…」
そんな悪戯をされたら今にも出してしまいそうで、思わず歯噛みをしながらベラの髪を掴んだ。しかし
ベラにとってはその反応が面白かったのか、余計に扱かれる羽目になる。
「もう、それ以上、は…」
何とかして気を逸らそうとするベムを見上げて、濡れた唇をぺろりと舐めたベラはとてつもなく婀娜な
笑みを浮かべた。

97 :
「…じゃあ……」
立ち上がるとドレスの裾を腿まで上げ、頬を擦り合わせながら耳元で囁く。細い黒髪がさらりと頬を
撫でた。側近くにいると甘く濃密な体臭をより強く感じて、反射的に目を閉じる。
「あたしの中、がいいのかい?」
「…そうだな、ベラ…お前の中をもっと知りたい」
「随分焦らしちまったようだねえ、ふふっ…」
満足げに笑うベラのドレスの裾が翻るのと同時に、ずっと収まる場所を求めていたものが熱く濡れた
狭間に引き込まれていく。
何度知っても、この瞬間の感覚だけはあまりにも快すぎて魂が蕩けてしまいそうだった。膝の上で
緩く腰を振って更に奥へと導こうとするベラの声が甘く響く。
「…あんたは…」
「な、んだ…」
はあっ、と熱い吐息が身元で漏れる。
「どこまで、あたしを付け上がらせるんだい…全く仕様のない…」
両手で頬を挟んで口付けてくるベラの身体がひどく熱い。興奮しきっているのが繋がっている膣壁
にも伝わってきて、これでもかとばかり収まっている一物が揉み込まれる。それが耐えきれずに情け
ない声を出してしまう。
「あ、あまり動く、な…」
「無理言うんじゃないよ、こんなに大きくしといて…ふふっ」
獣のように時折唇に噛みつきながら舌を絡ませ、激しく腰を振りたてるベラの動きに誘われるように
今にも暴発しそうになっている射精感を制御しながら、ベムも女の身体を緩急をつけて揺すり上げて
いった。
「く、っうぅんっ…」
もう自制も出来ないのか、堪えられない声がベラの喉から細く上がる。その瞬間の引き千切られそう
なほど締め上げられる感覚に任せて、今度こそベムは思いのたけを込めて全て放出していった。
灼熱のひとときが終わった後はもう何も考えられないほど疲弊しきっていたが、ベラはまるでベロに
そうするように頭を掻き抱いてしきりと髪を撫でてくる。
そのしなやかな身体に腕を回しながら声をかけた。
「…ベラ」
「何だい」
この女の情の深さは元々知っていたが、このような関係になってからは特に実感することしきりだ。
長く生きていても初めて知ることばかりがこの女にはある。まだどれだけ隠し持っているのだろうと
思うだけで、また浅ましい情欲が湧き上がりそうになっていた。
「お前は、俺でいいのか?こんな男であっても…」
その言葉に髪を撫でる手が止まる。その代わりに額の角に舌が這わされた。そして天啓のように
軽やかな笑い声が降る。
「そんなの当り前じゃないか、今更だろ」




98 :
GJ
ベラ様のフェラはさぞかし気持ちいいんでしょうな
それでもベラを汚すまいと耐えるベムw

99 :
ベムがブチギレて暴走(性的な意味で)する話も見たい

100 :
ベムがブチギレすることって、何だろう

101 :
暴走したベムは妖怪姿だろうな

102 :
まあベムはドラマでもよくキレてたしなw
色恋ネタでキレるとすれば原因は…相手に裏切られてしまったと誤解するとか?

103 :
暴走した妖怪形態ベムが無理矢理ベラを犯すという鬼畜な展開も俺は全然おk

104 :
>>103
その場合、ベラも妖怪態でおながいします

105 :
いつも強気なベラが怯えた表情するとかなりそそられると思う

106 :
ベラVSベム

107 :
>>104
それどんな妖怪大戦争ww

108 :
夏目家に泊まらせてもらったら夜に寝室から夏目夫妻のギシアンが聞こえてきて
触発されて人の家なのにセックス始めちゃうベムとベラ

109 :
>>108
興奮して妖怪態になったベムベラがセックスして
ベッドが壊れる展開かw

110 :
ベッドが壊れる前に、奴らは変身したらとりあえず叫び散らすからうるさそうw

111 :
妖怪だとバレて村人に捕らえられてアレコレされる話が読みたい

112 :
村人って書いたけど都会人でも何でもいい

113 :
強い女が罠にハメられて自分よりも非力なはずの男達に犯される展開はエロ同人の定番ネタだからね

114 :
そのネタを心置きなく書いてくれ

115 :
エロはないよ

116 :
光溢るる時刻には有り得ないほどの誇らかな水音が、今この時には満ちていた。
どのみち繁華街からは離れた公園のこと、遠くの時計塔の針は長短揃っていたく気が短い。真上に
揃ってから離れる度に夜の空気は冷えてより人を遠ざける。
「…あ、はははっ…」
耳を澄ませてみれば時折女の笑い声が聞こえた。しかも妙に楽しげに。
けれどもそれは幻なのだろう、でなければこんな深夜に人が集う筈もない。
「…ふっ」
濡れて背に落ちた髪を一纏めにして、ベラは夜空を見上げた。
蛇口を捻って噴出する水の勢いを止めてから、近くで見張るでもなく佇んでいるベムを見遣る。
「いい季節になったね、夜でもさほどは寒くない」
「…そうかもな」
このところ蒸し暑い日が思った以上に長く続いていて、水浴びをしたくとも人の寝静まった深夜にしか
叶わないことが多かった。ベラの矜持に倣えばこんな狭い公園の水道などもってのほかなのだが、
充分な水量と清浄な水質を保つ川などこの近辺には皆無である以上仕方がない。
妖怪であろうとも人間の生活習慣に準ずるしかないのだ。
「なぁにをかしこまってんだい、ベム」
ぽたぽたと水滴を滴らせている髪をぎゅっと絞ってから、地蔵のように身じろぎもしない無粋な男の
傍らに歩み寄った。もう水の冷たさに震えなくてもいいのだからとベロも水浴びに誘ったのだが、それ
よりもとにかく遊び疲れていてすごく眠いと駄々をこねられたので、今ここには来ていない。来ていたら
さっぱりしてどんなに気持ちが良かっただろうにと喉の奥で小さく笑った。
「何かお言いよ」
「お前はいつも自由だな」
「はあ?」
また突拍子もないことを言うものだと、思わず変な声が出た。わざわざついて来たのに水のひとつも
浴びずにいたせいで、頭が煮えたのだろうかと疑いもする。
今夜は何故か風が時折強い。あと数日で新月らしく天空を飾る月もやたらと細い。俯き加減でいる
この無粋な男の銀髪も輝きが薄いので余計に何を考えているのか分かり難い。
「いつでも心のままだ、羨ましいばかりだと思っている」
「ふ、ふ…ならあんたも、そうすりゃいいのさ…誰も咎めだてしないだろうに、何を四角四面な」
「そうなのか」
濡れた身体のまま腕を回して男を掻き抱くと、まるで子供のように大人しく黙り込む。どんな時でも
ベラとは違って奔放にはなれない、この面倒な男に改めて愛しさが湧き上がった。命が長いことは
すなわち自分たちの幸せでは決してないが、その分一緒にいられるし見守ってもいける。
この男にとって自分とは家族であり同胞であり母でもあるのだろう。足りないものならこれから幾ら
でも埋めることが出来る。
今更何を思い悩むことがあるのだろう、と急におかしくなった。
人間など誰もいないのにまだ頑なに被っている帽子を地面に落として、わしゃっと銀髪を乱暴に
撫でた。
「ねえ、あたしたちはこの世でただ三人きりなんだ。それでいいじゃないか」
今も人になれない、これからもなれないかも知れない、ただ自分たちが自分たちのままでいられる
のであればそれが何よりのことだと最近は思い始めている。
「そう、なんだろうな…」
わずかに気が軽くなったのだろう、ベムの腕が身体に回されてきた。
ここはひとつ景気づけにこの辛気臭い男に水でもかけてやろうか、そんなことを考えながらベラは
目の前にある銀髪を解いた。
今夜の空気はやけに温くて、昂ぶって仕方がない。




117 :
水浴びって冬だと辛そうだよなあ
夏目家でシャワー借りた事もあったのだろうか

118 :
ベムベラで書けそうだと思った時、大体こんな感じの話にするつもりだった
割と初期のプロットが出てきたのでそのまま膨らませてみたら、やたら地味なもの
になったよ
とりあえず投下

119 :
あれはいつの時、何処の地だったのか。
ただ、気が遠くなるほどに美しい青い空が広がる日ではあった。
雑草の生える荒れた道が靴底に痛みを伝えてくる。
「随分辺鄙なトコだねえ、気が滅入ってくるよ」
日差しの強さを遮るように掌で目の前を覆いながら、ベラは憎らしげに太陽を見た。
「…そうだな」
腰を下ろしていた大きな石から立ち上がると、ベムも傍らのベロの頭を撫でた。まだそれほど疲れて
いないようだったが、やはり暑いのかベロはいつもよりも無口だ。
「頑張って歩けるか、ベロ」
尋ねても健気に首を縦にこくこく振るばかりなのがいじらしい。
このあてのない道行きも随分長くなった。恐らく自分たちには安住の地などどこにもない。分かっては
いても三人ともそれを口には決して出さなかった。旅の先に一体何があるのか何も分からない。それ
でも足を勧めなければ何も始まらないような気がして、駆り立てられるのだ。
ふと遠くに目をやれば、小さな馬車乗り場が見える。日の高い時刻でもあるしそう長く歩き続けても
いられないだろう。ひとまずあそこまで歩いてからもう少し長く休もうと提案した。
「まあ仕様があるまいよ、ベロがこの調子だ」
不承不承ながらも、ベラは納得したようだ。
馬車乗り場の待合には先客が数人いた。
三人には金がない。もとより馬車などには乗るつもりもない。ただ鉛のように重いり身体をしばし休める
為に立ち寄っただけのことだ。とはいえそれを咎める者などいる筈もない。
人は来て、人は去る。皆束の間ここに留まるだけなのだから。
「ぷはー」
やはり暑かったのか、庇で影になっている涼しい場所で生き返ったようにベロは座り込む。その様子が
面白かったのだろう、側に膝を揃えて座っていた娘が堪えきれずにくすくすと笑って隣の若者に軽く
咎められていた。
「いきなり笑うのは失礼だろう」
「…あ、ごめんなさい」
素直に頭を下げるのが初々しい。疲れ切っている様子の二人の顔も身体も随分煤けていて身なりも
粗末だった。今にも擦り切れそうな単の着物を着込んで荷物も碌になく、そんななりでどこからやって
来てどこへ行くつもりなのだろう。なるべく人に興味を持たずに遣り過ごす主義のベムも、ふとそんな
ことが気になった。

120 :
「お姉ちゃん、これあげる。甘くて美味しいよ」
うとうとしかけている二人の前に、ベロがぐいっと掌を広げた。そこにはずっと以前どこかで貰った
飴玉がひとつ乗っている。
はっと目を開けた娘はベロを見て、何だか訳が分からないという顔をした後、うるりと瞳を潤ませた
ようだった。
「…でも、これは坊やのお菓子でしょ」
「舐めたら元気になるよ、オイラはいつも元気だからいいんだ」
「そう?でも…」
それでも娘は遠慮がちにこちらに目を投じた。自分たち三人は親子を装っている。不自然に見えない
ように黙ったまま頷いて、ベロの好意を受けるようにと促した。
「ありがとうね、坊や」
やはり遠慮がちに飴玉を受け取ると、娘は少しだけ硬い頬を緩めて笑顔を見せた。
身なりがまず目を引いたが、どうやら二人ともかなり空腹の様子だった。飴玉一つぐらいでどうなる
訳でもないが、それでも気休めぐらいにはなるだろう。
「ありがとうございます…あの」
今度は娘の隣にいた青年が話しかけてきた。
「あなた方は、どちらまで」
その言葉に、今更ながらベムはぐっと口籠った後でなるべく何事もないように口を開いた。
「いえ、我々はこの馬車には…ただ居所持たずの旅の途中です」
「そうですか、似ていますね」
途端にはっと娘が青年を咎めるように見た。その只ならない様子に、青年がうっかり口を滑らせたの
だろうと推察した。二人の身の上に、そして今の状況に、一体何があるのかは分からないが。
「ねえねえお姉ちゃん」
それぞれの思惑など何も知らず、ベロは子猫のように娘に纏わりついている。
「こら、迷惑だろう」
「いえ…お気になさらず。子供は好きですから」
無邪気な子供と手遊びをしながら、娘は少しずつ年相応の笑顔になってきていた。青年もだが、この
娘もどことなく周囲を気にして、常に緊張をしてここからすぐにでも立ち去りたいという素振りを見せて
いる。恐らくは言うに言われぬ状況なのだろう。
二人の声にならない声を感じ取って、ベムはいたたまれずに帽子を更に目深にした。隣であくびを
噛みしているベラもまた、二人の様子に気付かない振りをしているのだろう。

121 :
それまで黙々とまぐさを食んでいた馬が低く嘶く。
呑気な身ごなしで馬の身体を拭いていた御者が、ちらちらと懐中時計を覗き出した。そしてようやく
時刻となったのか馬車が発つことを待合に知らせてくる。
散々待ちくたびれた乗客たちはどよめいて喜色満面でおのおの馬車に乗り込んでいく。青年と娘も
日差しの下に出たせいで噴き出した汗を手拭で拭きながら、ほっとしたように仲良く手を取り合って
乗り込む。
「あなた方は、乗らないのですね」
少し気を許したからか、青年は馬車から心配そうに尋ねてきた。
「ええ、どうぞお元気で」
ベムは極力何も考えないようにしながら、軽く手を振った。どのみち自分たちに限らず人間もまた、
誰もが近付いては離れる束の間の関わり合いの上にいる。
「そうですね、あなた方もどうかお元気で」
二人は馬車の上から逡巡するように視線を泳がせ、それでも笑顔を作ってくれた。
さあこれから一仕事だ、と言わんばかりにたらふく水を飲んだ馬が武者震いのようにぶるんと首を
振る。
今夜の月は不気味なほどに細い。
途中で見つけた崩れかけた廃屋を今夜のねぐらに決めた途端に、暑さと疲れでベロは糸の切れた
人形のようにへたり込んで寝入ってしまった。
「やれしょうがないねえ」
ぶつぶつ文句を言いながらも、ベラは近くの川で濡らしてきた布を絞って汗と埃で汚れたベロの顔を
拭っている。そんな姿を見るともなしに眺めながら、ベムは疲れで重い身体を床に投げ出した。その
まま目を閉じたら自然に眠気が襲ってきそうになる。
「ベム」
ベロが起きている時は決して出さない、どこか甘えを含んだ声が耳を蕩かした。
「…今日は随分歩いたんだ、お前も疲れているだろう」
「ふふ…それはそれ、閨ともなれば別物なのさ。だからさあ…」
ベロが完全に熟睡したのを確かめてから、ベラは当たり前のようにしなだれかかってきた。確かに
その気になっている女を前にすれば身の内の雄が反応する。腕を回して掻き抱くだけで馥郁とした
肌の匂いが強まった。
「さっき、川に行った時にちょいと浴びてきたんだ。あたしも女だからねえ」
「そうか、気を遣わせたな」
「何を水臭い…ふふっ」

122 :
導かれるままに肩や乳房に絶え間なく手を這わせても、どこからどこまでも肌はさらりとしていながら
しっとり吸い付くようだ。あてのない旅を一体いつまで繰り返せばいいのか分からないが、この快味
だけはいつも自分だけのものだ、という確信はあった。
この女と、そしてベロと、何もかもが終わるその日まではずっと一緒にいることだけは、決して変わら
ないものに違いない。それがあるからこそ、どこに着地をするか分からない自分たちの運命を嘆く
こともなく日々を過ごしていけるのだ。
数日後、あの待合の近くで地滑りが起こって周辺の地域を呑み込んだらしい噂を聞いた。馬車も
あえなく巻き込まれたらしいが、それがあの日だったのかどうかは聞き逃してしまった。
あの訳ありげな二人があれからどうなったのか、果たして幸せになったのか、最早確かめる術など
ない。
「気にするのはおよしよ、あたしたちは人間に関わらないのが一番さ」
事故の噂話につい聞き耳を立てているベムの肩を叩いて、ベラはさっさとその場を離れた。自分たち
にとっては人間の運命など、目の前で通り過ぎるだけの瞬きに近いものでしかないのだ。
「そうだな…行こうか」
何も知らぬままきょとんとしているベロの頭を撫でながら、ベムは静かに呟いた。




123 :
この手の過去編が結構な数あるんだけど、エロ入れて長めに書いてみようかな

124 :
GJ!
ぜひ書いてほしいです

125 :
楽しみにしてる

126 :
ドラマが終わって結構経つけどこうやって作品を投下してくれる職人さまがいるっていうのは有難いことだなあ
本当にいつもありがとうございます

127 :
うむ
ドラマ本スレですらかなり人減ったからなあ
ここにいまだに小説投下してくれる人がいて嬉しい
贅沢を言えば小説投下されてない時でも誰かと何らかの話題で語りたい
しかし話題を振ろうとしても自分は良い話題が思いつかないのがもどかしいw

128 :
んじゃ、ずっと思ってたことを一つ
ベムベラベロが生まれた時、まずお互いを見てたよね
これは犬猫の赤ん坊でも同じ、なんか同じようなのがいるけど何だろうという感覚
だったんだろうな
だけどベムとベラは身体つきが全然違う
生まれたてで自分が何者か、目の前にいるのが何者かも分からないから、当然その差が
何かも知らないよね
ちなみにその当時(多分明治時代後期)はまだ多色刷りの春画が現役だった頃だ
てなことで、まだ名前も知らないでいた時のベムベラの会話
「お前は誰だ」
「それはこっちこそ聞きたいねえ」
「どうしてここにいる、そして何で俺と身体が違うんだ」
「それこそ作った奴に聞きなよ、あたしが知るもんか」
「そうか」
とりあえず手がかりっぽいものを探す、ちなみにこの時点ではまだ三人とも全裸
「こんなものが見つかったが、これはどういうことだ」
「さあ、何かの絵かねえ。随分妙てけれんだ…これ(女)の股にこれ(男)の棒が刺さって
るよ」
「この絵からすれば、俺は男なのか?」
「じゃあ股に何もついてないあたしは女なんだね、良かったよ面倒がなくてさ」
「そうなのか」
「当たり前じゃないか、こんな不格好なモンを股から下げてたらさ」
何も知らないので、つい握ったりもする
「…痛いからあまり握るな」
「ああ、悪かったよ。ってあんた!」
「いきなり何だ、大きい声を出すな。あの子供がびっくりしているだろう」
子供ってのは、ベロのこと
「これ、どうやったんだい。握っただけで大きくなったよ」
「さあな、ひとりでにそうなっただけだ」
見たこともないものに興味深々なベラ(予定)と、訳が分からないベム(予定)
そのまま春画に触発されて処女喪失、童貞喪失してたりしてな
その間、ベロはずっと放置プレイだけど

129 :
やっぱり春画のマネしてるうちに生物としての本能が目覚めて
誰かに教えられなくてもそのまま最後まで出来ちゃうものなんだろうね

130 :
ベロ放置カワイソスw

131 :
まあ、元々春画って「まぐわうには、こうするもの」という性教育的な意味合いも
あったしな
嫁に行く娘の箪笥の中にそっと忍ばせてたりもした

132 :
「二人とも何やってんの?オイラも混ぜて!」

133 :
春画を見つけて二人がセクロス始めるのは実は博士の計画通り
だったりして

134 :
博士、準備万端だなw
まさか急してそれを見られないとは思ってなかっただろう

135 :
博士www

136 :
博士の記憶を受け継いでる名前のない男が、きっとどこからかヤってる二人を
覗いてるに違いない

137 :
ベモはベムの聴覚やベラの視覚を合わせ持ってるからな

138 :
水浴びとかも覗いてんのか

139 :
奴には相手がいないからな
覗くぐらい許してやれ
「ねーおと…おじさん何してんの?」
「これは大変なところで会いましたね、お邪魔はしない方がいいですよ」
覗いてたのは二人だったらしい

140 :
冬よりは水浴びしやすくなって良かったね

141 :
程よく過ぎた金環日食ネタがちょっと入ってる

142 :
皐月、花の宵。
どこからか甘やかな香が漂ってくるなまめかしい深夜には、互いを貪り合う我を忘れたひとつがいの
男女の姿が妙に似つかわしい。
女の膣内のあまりに強い締めつけに負けそうになって、歯噛みしながら遣り過ごすのも既に何度目
になるのか。
早くけりをつけて欲しいと言わんばかりに蠢くそこに呑まれたらおしまい。そう強引に念じてから改めて
渾身の突きを繰り出した。
「う、ぁあ…」
その度に既に快楽に浸りきっている柔らかな身体が何者かに操られているように激しく痙攣する。
錆びついた甲板に流れる黒髪がひどく情欲的に映る。
宥めるように抱き締めながら子供に言い聞かせるようにゆっくりと囁いた。
「ベラ、そういきり立つな…一緒にいこう」
果たしてそれが聞こえているかも分からなかったが、目を一杯に見開いたままでいる女はわずかに
身体の痙攣が収まったように思えた。
「いくぞ」
その身の奥の奥まで、何度も叩きつけた思いのたけはわずかも外れることなく女の性感を刺激して
面白いように操った。
「やぁああっ!」
完全に正気を失っている女の声が毒のように蕩けるほど甘い。深い満足を感じながら固く抱き締めて
何度も突き立てるうちに腕の中の身体が激しく断続的に震えた。
「…ゃっ」
その素晴らしい反応も表情も一つも見逃すまいとする最中、ベムの表情もまた笑んだ。自らに定め
られた運命も生命も何もかもこの女と一緒であることは奇跡のように思えた。恐らくは当分などと
無縁の自分たちではあるが、人間たちに対する無償の行為は別としてその日が来るまではこうして
戯れているのも悪くはない。
そうほくそ笑む刹那、凄まじいばかりの収縮が内部に収まっている一物を襲った。もう余計なことなど
考えてはいられない。
「あぁ…っ、ベムっ…」
身をくねらせて必に腕を伸ばしてくる女に応じながら、一番深くまでを強引に突きたてた。互いに
絶頂を極める時が近かった。

143 :
「…ふふっ」
行為が終わって滲んだ汗が引いた頃、甲板に寝そべっていたベラが緩く身を起こして乱れた髪を
一纏めにしていた。
月明かりに照らされた肌が青白く光る。
「今夜は随分月が丸いねえ」
「そのようだな、これから満月になるのだろう」
何故かまだ身体の中の余韻が引かない。それを悟られないようにしなやかな身体を抱き寄せながら
白く輝く月を見上げた。
「そういやこの間はお天道さんが輪っかに見えるとか人間たちが騒いでいたっけ」
今夜の月で思い出したのか、ベラは先頃の金環日食騒動のことを口にし始めた。
「ああ…ベロも優以ちゃんに誘われて前の晩から夏目さんのところににお世話になっていたな、結局
眩しくてあまり見えなかったらしいが」
あの時はこの廃船の近くでも他に遮蔽物があまりない関係か、空を見上げている人間たちがかなり
いたように思う。そのせいでここに出入りするのに気を遣ったが。
「人間は滅多に見られないものだと騒ぐのかねえ、あたしたちはきっと何十年、何百年経っても見ら
れるだろうけど」
「それはそうだろう、次はいつ見られるか分からなければな」
「それって、いいことなのかねえ」
自嘲するように吐き出したベラの身体をより強く抱き締めて、ベムもふと様々に思いを巡らせた。この
生命は確かに人間たちとは異なるものではあるが、生まれた以上は自らの存在意義を確かめながら
生きていきたい。結果的に生きてて良かったと思えるようになれたらそれでいい。
人間たちが儚い時間を精一杯生きるように、自分たちもまた無限に近い時を善く生きるべきだと。
「またこうしてお前と見られるのであれば、いいんだ」
呟く声にベラがするりと更に身を摺り寄せてきた。
「あたしも、そう思うよ」




144 :
GJ!

145 :
GJです
そろそろ、廃船内でイチャイチャするのも暑い時期になってきたかな
あそこ窓もなさそうだったし

146 :
暑いなら水に浸かりながらセクロスすればいい

147 :
川で水浴びするついでにセクロスとかね

148 :
てなことで>>128の続き
春画を参考に、何度かヤってみたベム(予定)とベラ(予定)
「ところでこれは何の為にするんだい」
「……恐らく子を成す目的だろうな、俺たちには不可能かも知れんが」
「面倒なモンだねえ、人間ってのは」
とか何とか言ってる間もやっぱり放置されているベロ(予定)

149 :
ところで保管庫の件だけど、あれから特に動きがないから代わりに週末にでも
打診しとくよ
職人さんの了承も全員にとはいかなかったけど、何人かは得てることだし

150 :
妖怪人間ベム映画化決定

151 :
だね、嬉しいよね
またここも一盛り上がりするかな

152 :
楽しみだ

153 :
短いけど、投下
一応映画化記念ということでひとつ

154 :
深夜の公園には不似合いな、高い水音が響いている。
「…ふふっ」
時折女の笑い声が漏れる。
人が寝静まる時間は妖怪たちの跋扈する時間でもあった。
「ああ、気持ちいい…」
白く豊かな乳房を波打たせて、裸のベラは満足そうに水しぶきを散らせた。夏に向かいゆくこの季節
は空気すらも濃密に甘く熱いものに変える。人ではないからといって常に引き籠っているばかりだと
気が滅入ってしまうし、第一身体にも良くない。
たまには気晴らしも必要だということで、時々はここで水浴びをしているのだ。冬の時期なら絶対に
出来ないことだからベラも伸び伸びとしている。
「…ねえ、ベム」
濡れた腕を満足そうに伸ばし、傍らで監視でもするように佇む銀髪の男を誘った。無粋なたちの男は
意外というように一瞬眉をひそめる。
「あんたも、脱ぎなよ。暑いだろう?」
「…そうだな、だが…」
男は躊躇するようにしばらく周囲を伺っていたが、人の気配が全くないことに安堵したのか言われる
ままに身につけているものを脱ぎ始める。
「そうさ、夜は誰もいないんだから暑苦しいモンなんかいらないんだよ…あんたもねえ」
ベラは嬉しそうに絶え間なく零れ落ちる水を手で掬っては、裸になったベムに遊びの一つのように
ばしゃばしゃとかけた。
濡れた顔を手で拭ったベムは、水の冷たさに一度身震いをして頭を振った。
「冷たいな」
「でも、悪くない筈さ。今夜はこんなに暑くて蒸すんだ」
「そうではある、のだが」
「もし身体が冷えたとしても、あたしがあっためてあげるよ」
妖艶に微笑みながら、ベラは立ち竦んでいる男を柔らかく抱き締めた。濡れた髪から落ちる水滴が
男の肩をも濡らしていく。熱が浸透していくと共に、大きな手がぐっと乳房を掴んだ。
「ああ…いきなりかい、全くあんたは」
「済まない、けれど止まらないんだ」
「それは、構わないけどねえ…どうやら間が悪かったようだよ。ほうら」
忍び笑うベラが差す先では、寝入っているのを一緒に連れて来ていたベロがむっくりと起き上って
きたところだった。
「んー…ねむーい。二人とも、何してるの?」
何も知らずに二人の側に寄って来るベロを捕まえると、ベラはさっさと同じように裸に剥いて頭から
水をかけた。
「いいところに来たね、あんたも一緒に水浴びしちまいな。そろそろ埃臭いよ」
起き抜けに冷たい水をかけられて、びっくりしながらもベロははしゃいだ。
「冷たーい、気持ちいいっ!」
「そら、もっと水をお浴びよ。どうせ暑いんだ」
はしゃいでいる二人に置いてきぼりにされた格好のベムは少しの間黙っていたが、すぐにベロを
構い始めた。
「そうだな、いい子にしているんだぞ。ベロ」
「きゃはははっ」
二人に一緒に構われるのはやはり嬉しいのか、ベロはいつもよりも上機嫌だ。短い夏の夜ではある
けれど、まだまだ夜が明けそうにはない。
人ではない三人の妖怪は、今でもこうして街のどこかで確実に生きている。




155 :
GJ!
タイミング悪いぞベロw

156 :
GJ
ぜひ水浴びの様子を覗き見したい

157 :
冬は寒いから籠って、夏は夜に水浴び
合理的だね

158 :
GJ!妖怪可愛いです!

159 :
続き書いたけど、エロ不調なり

160 :
夏至も過ぎた短夜の頃、その廃船の中では相変わらずの情景が続いていた。
今夜もベムが語り続ける即興の物語に聞き入りながらも、その膝の上でベロは大きなあくびを一つして
しきりに目を擦る。
あどけない様子に笑むベムの大きな手がゆっくりと頭を撫でた。
「…眠くなったのか、ベロ」
「んー、もうまぶた重―い」
「それでは続きはまた明日にしようか」
「…うん」
起き上って何度もあくびを繰り返しているベロは相当眠かったらしい。すぐに自分の寝台に寝転がると
すうすう寝息をたてて熟睡してしまった。
身体の上に薄い夏用の布を掛けてやるベラを眺めながら、ベムはしみじみと呟く。
「今日はたくさん遊んだから、疲れていたようだな」
「さっきも良く食べていたし、元気な証拠だよ。いいことさ」
「そうだな、ベロが元気でいればそれが何よりだ」
「じゃあ…あたしたちも寝るかい?」
返事はなかった。
座り込んだまま急に黙ってしまったベムの頭を軽く抱えると、待っていたように身体に腕が回されて
くる。そんな無言の誘いに思わず苦笑が漏れた。
「昨日はうっかりお預けを食らったからねえ、お互いに」
「こればかりは仕方ないからな…」
昼間のうちは平然としていたようでも、男のベムにとってはこれからというところで寸止めになったまま
だったのは耐え切れなかったのだろう。とはいえベロが悪い訳ではないから余計に我慢をしてしまう
ことになったのか。
他に発散する手段など何もない、つくづく生きるのに不器用な男だと思った。
しかし、それだからこそのベムなのだ。結局のところ人間にはならなかったからこそ、この愚かにして
好ましい性質が永続するのは何とも皮肉だ。
「ベロはもう当分起きそうにないけど、あたしたちは今夜寝られないかもねえ…ふふっ」
屈み込んで額を合わせると、ようやく不器用な男が目を開いた。
「もっと顔をお上げよ」
いつも俯きがちな男の顎を掴んで無理やり引き上げると、乾いた唇を一度舐め、それからゆっくりと
重ねていった。しきりに身体を探ってくる手がやたらと熱い。熱が籠りがちな船内にいることもあって、
このままではのぼせてしまいそうな気持ちになっている。

161 :
ずっと抑えていた情欲に突き動かされてきて、仄かなランプの灯りだけでも不思議と蓄光しているかの
ように鈍く輝いているベムの髪をわざと乱暴に撫でる。
「ベラ」
抱き竦めてくる力が一層強まる。そのまま寝台に引き倒されそうになって慌てて手を伸ばした。
「…せっかちなことだ、でもここじゃ暑いだろ?上に行かないかい」
さすがに、またベロが起きて来ないとも限らない場所で続けるのも気がひけた。今にもベラのドレスを
剥がすつもりだったらしい男は躊躇の色を見せたが、案外素直に頷いた。これからという時に一度
寸止めを食らったことは、お互いにかなりの熱を溜め込んでしまうことだったらしい。
甲板に出て夜空を見上げると、雲の切れ間から細い三日月が見えた。
これから満月になりつつある姿形はどこか誇らしく見えて好ましい。
「そうか、もう夏なんだな…」
錆びついた甲板が朝方少し降った雨でまだ濡れていないか、靴底の感触で確認しているのだろう。
ざりざりと音がした。
「今日は暑かったからねえ、心配しなくても乾いてるよ。それとも…」
今度こそ何もこれからのことに杞憂などないことが嬉しくて、抱き締める腕に思う存分甘えることに
した。
「あんた、あたしを朝までここに張り付けておく気なのかねえ」
軽いからかいを含んだ言葉だったが、意外なことにベムは驚くほど真面目に返して更に強く腕を回して
抱き締める。
「…もちろん、そのつもりでいる」
「ふふふ…あんたは全く大したモンだ、前はただの野暮天だったってのに」
「それは、褒め言葉だと解釈しておくぞ」
「それはご自由に…ふふっ」
淡々と言葉を交わす暇もなく唇が塞がれ、ドレスが脱がされていく。二人きりでいるこの妙なる時間に
酔い痴れながら目を閉じた。
あの月がこの先何度満ち欠けを繰り返すとしても、変わらないものはやはり確実に二人の中にある
のだと思いながら。
夏の夜は人の営みも妖怪の逢瀬も知らぬ素振りで、ただ短い時を静かに刻んでいく。




162 :
映画がどんなストーリーになるのか早く知りたい
純粋にあの三人がまた見てみたかったのに、映画化を知ってからはどんどん欲が
出てるな

163 :
またまたGJ!!
夏は野外セックスが増えるのだろうかw
映画の情報早く知りたいな
楽しみだ

164 :
ベムとベラの男女逆転ものも読んでみたい

165 :
ベラ姐さんは男になってもキャラが容易に想像出来るけど、ベムはなあ…
オラオラで押しまくる男前な兄さんに抵抗しつつも流される、繊細な美人のベムさんしか
浮かんでこないよ

166 :
ベラベムのレズものもいいな

167 :
寡黙だけど他人思いなお姉さんなベム
怖そうに見えるけど実は優しいお姉さんなベラ
人見知りしない元気なようじょベロ
……なんだこれ

168 :
黒髪美女と銀髪美女の絡み
ハァハァ…
誰か書いてくれ

169 :
捏造レズものはこのスレに該当するものだろうか?
例えばベラ姐さんが男の設定で、男同志で絡むとなれば数字板の出番だろうけど

170 :
>>169
レズものはここでOK

171 :
そうか、ありがとう
今ちょうど地味な過去編の第二弾書いているところなんで、それ終わったら考える
基本ノマカプ志向なんで書けるかどうかは分からないけど

172 :
>>171
全裸で待ってます

173 :
レズものといえば小春とベラ読みたい

174 :
>>173
元々男のベムが何らかの原因で女化した上での、ある意味企画ものレズなら
ともかくとして、ガチレズは書けないなあ
誰かそういうの得意な職人希望
地味な過去編さっき書き終わって推敲中
出来上がったら投下する

175 :
何とか推敲終了したので投下
この前書き忘れたけど、エロパロだから過去編では最初から二人はデキてる設定で書いてる

176 :
あれはいつの時、何処の地だったのか。
奇妙なほど鬱屈した空気の中でも、生命力を感じさせる景色の緑が奇妙なほど鮮やか過ぎたのを
覚えている。
その日はしばらく歩き詰めだったこともあって、三人ともとても疲れていた。
獣道同然の山道を歩くベロは服のあちこちにたくさん棘のある草の実をつけていることも気付かず、
疲れた喉が渇いたとも言えなくなったまま重い足をずるずると引きずっていた。
「ベロ、もう少ししたらあの向こうにある集落に着く。それまで我慢してくれ」
宥めるようにベムが指差す遥か先には、山間の深い木立ちの間にいくつか小さな家屋が並んでいる
のが見えた。
こんな山の中でも人が住んでいる。
その事実は気持ちを奮い立たせて疲れきった足を進ませるに充分なものだった。
「さ、もう一頑張りしようか。どのみちこんな場所で立ち往生もしてられやしない」
わざと大きな声を出すベラは、自分から残っている力を振り絞って先を歩き出した。
「行くぞ、ベロ」
喉がからからになっているのか、ベロの声は引き攣る。
「…うん、頑張る」
「その意気だ」
しっかりと手を握って目指す集落までの足を進める三人の姿は、やがて緑増す山の木立ちの影に
隠れてしまった。
急な坂道を登ってようやく足を踏み入れたその集落は本当に小さく、十戸にも満たないみすぼらしい
家屋が肩を寄せ合うようにひっそりと建っていた。所謂、寒村というに相応しい地なのだろう。見れば
農地と呼べるものも特にないことから察するに、土地もかなり痩せているに違いない。
それでもせめて身体を休める為にどこかの軒先でも貸して貰えればそれで良かったのだが、生憎と
人の姿はなかった。なのに気配だけは痛いほどひしひしと感じる。
やはり人の出入りの少ないこのような地では余所者など警戒されるのだろう、そう感じて立ち竦む
ベムだったが同時に妙な違和感にも苛まれていた。
「どうしたんだい、ベム」
不審がるベラの声を背にして、目を閉じて傍で立つ木にステッキを一度打つ。耳を澄ませるとやはり
この集落の住人たちはそれぞれの家の中に隠れ潜んで三人の様子を伺っていた。しかし極力声を
潜めて話している言葉は驚愕するに値するものだった。
男・女・子供・これはいい具合に揃ったものだ・全くいい時に来たものだな・逃げられたりしないうちに
せいぜい油断させて、なるべく引き留めておけ・あの女はその前に味見したい…
「…ベム」
恐らく耳をそばだてている間に驚きのあまり蒼白になっていたのだろう、ベラが思いきり両肩を揺さ
ぶってきてようやく正気に返る。
帽子に隠れた額には、じっとりと嫌な汗が滲んでいた。

177 :
「…ああ、済まない…だがここは危険だ。すぐに立ち去ろう」
「えー、やっとここまで来たのにー」
一番疲れきっていて、何も知らないベロが文句を言って座り込んだ。
「ベム」
小さな集落とはいえ、いまだ誰ひとり姿を見ていないこの異様さにベラは怪訝な顔をして声をかけて
くる。
「何か、感じたんだね?」
「…ああ、ここに長居をしてはいけない」
ベロが駄々をこねても、こればかりは譲れなかった。しかし急かすようにして一刻も早く立ち去ろうと
した目前で、それまで一向に姿を見せることのなかった集落の住民が申し合わせたようにわらわらと
現れた。
「客人、これはよういらした」
一歩前に踏み出したのは長老だろうか、あくまでも穏やかに礼儀を尽くす姿には邪気など感じられ
ない。あの会話はもしや悪い夢か妄想だったのではと思いかけたが、長老の後ろで烏合の衆の如く
目配せをし合っている男たちや女たちの様子はやはり異様だ。
連れられている子供たちでさえ爛漫さが一切なく、押し黙って三人を凝視している。
「いえ、我々はついここに足を踏み入れただけでして、すぐにでも立ち去ります」
「そう言わずと…さあ」
「見れば長旅をしている様子だ、疲れているじゃろう」
逃れようとしているのを遮るつもりなのか、その場の全員がぞっとするほどの懐こさで口々に三人を
ねぎらい、しばらく逗留するようにと勧めた。
「…ねえ遊ぼうよ」
ここに来る前から大人たちと示し合わせていたのか、錆びついた鉄人形のようだった子供たちも急に
無邪気な顔になってベロを遊びに誘う。この陰鬱な雰囲気にすっかり飽き飽きしていたベロが一緒に
遊びたがるのは当然と言えた。
「遊ぼうよ、ねえ」
「うーん…ベムとベラに聞いてみるよ」
女の子たちに袖を引かれて、ちらちらと隣のベムを見上げてくる様子がいじらしい。
「ねえ、あの子たちと遊んでもいいかな」
子供のベロに我慢しろと言うのはあまりにも酷だ。それを見越して子供たちを使っているというなら
姑息にも程がある。そんな憤りを感じもしたが、ここは折れるしかなさそうだった。
「…仕方ないな、遊んでもいいが気をつけるんだぞ。ここはまだ立ち入ったばかりの地だ」
「うん、ありがとう!」

178 :
不審を感じていることは最小限だけ口にして、ベロを解放してやると弾かれたように子供たちと手を
繋いで飛び出して行った。
「ベム、いいのかい?」
ベラはむっつりと不機嫌な声を出したが、やはりこの場はベロを遊ばせてやることに何の異論もない
ようだ。今までもこれからもあてのない旅を連綿と続けるしかない自分たちにとって、永遠に大人に
なることのないベロの気持ちは痛いほど分かるからだ。
「それでは客人、何もないがもてなしの用意が出来てるんでうちへいらっしゃれ」
「…しかし我々は」
「ここはそこいらの村からは孤立してて客人も滅多にない。珍しい話でもして下されや」
無邪気なベロを取り込んだことで二人がもう逃げられないことに余裕が出たのか、集落の者たちは
鷹揚ながらも決して有無を言わせない様子で長老の家へと導いた。あまりの雰囲気にさすがのベラも
不安そうな声を出した。
「ベム、何だいこの薄気味悪い連中は」
「分からない、だがベロはあの子供たちと遊んでいる。ここは言うなりになるしかないだろう」
子供たちと一緒にはしゃいでいるベロの明るい声が聞こえてくる。この集落に不審を感じているのは
事実だが、すぐにどうかなる訳ではなさそうだ。それなら少しは様子を見てもいいような気がした。
どちらにしても、この状況ではおいそれと立ち去ることも出来ない。
長老の家でのささやかな供応の後、三人には逗留用にと集落の端にあった空家をあてがわれた。
どの家もいつ崩れてもおかしくないほど貧しいあばら家で、どれも妙に黒く煤けているのが目につきは
したが、長年建っていたらそんなものだろうと対して気にも留めなかった。
ベロは久し振りに精一杯遊んだせいなのか、何か食べるのもそこそこにぐっすりと寝入ってしまった。
「困った子だねえ」
熟睡しているベロを部屋の隅に寝かせると、ベラはやれやれと首を振って苦笑する。
狭い空家ではあったが、まずは身体を休められるだけでも有り難かった。たとえここが油断のならない
雰囲気を纏っているとしても。
「あの連中は一体何だろうねえ…あたしは明日すぐにでもここを出て行きたいよ」
「そうだな、俺もそう思っている」
「おや、意外だね。あんたも乗り気なんてさ」
急に弾んだ声を出して、ベラが顔を覗き込んできた。ここしばらく旅続きで遠ざけていたものが突如と
して湧き上がってくるのを止められない。疲れが溜まっていてどこか正常ではなくなっているせいも
あるのだろう。
「ベラ」
欲求に突き動かされるまま、ベムは馨しい女の身体を床に敷いていた布団に横たえた。

179 :
「我慢が出来ないんだ」
「もう…かい。あんたにしちゃ珍しいねえ」
「そうか、ならこれが当たり前のことにしてもいい」
ベラの身体に纏わりついているドレスをもどかしく引き剥がしながら、みずみずしく張りのある乳房に
夢中でむしゃぶりつく。途端に身体中に勢い良く血が巡り始めた。ベムの頭を抱え込んで髪を撫でる
ベラの声がひどく優しい。
「あぁ…そんなに焦らなくても、あたしは逃げないよ」
「済まない、もう止まらないんだ…」
「いいよ、あんたの好きなようにおやりな。あたしはあんたの為に誂えられた女なんだから…」
そしてあんたもそうなんだよ、と生まれた日から変わらない声と眼差しで笑う。今夜はもうどこまでも
この女に溺れ込みたい、何もかもを忘れて歓楽に浸りきっていたかった。それほどに心を占めている
不安は大きく深い。
思いきり頭を振って嫌な考えは全部強引に追い出してから、白く滑らかな下腹に手を伸ばした。既に
熱くぬめっている陰部がとくとくと脈打っている。柔らかな襞が差し入れた指を呑み込んで奥へと誘い
込んできた。
膣壁を焦れったく掻く度に、ベラの喉奥から絶え間なく濡れた声が漏れる。
「う…んンっ…」
声に苦痛の翳りなどない。ただ甘く熱く耳に響くばかりだ。ここしばらくというもの触ることすらなかった
一物を乱暴に引き出すと、ぬるついてる膣口に先端を擦りつけた。
「あぁ…んっ…ベムっ…」
真っ白な喉が反るのがなまめかしくて堪らず、目が眩みそうだった。
「ベラ…もう入りたい、いいな」
「ん…早くおいで」
心得たように回される腕がぐっと身体を引き寄せてくる。焦りで大して慣らすことも出来なかったが、
ベラもまた相当に切羽詰っているのだろう。もう一刻も耐えられずに濡れそぼっている膣奥へ向けて
深々と一物を突き立てた。
「…んっ…」
瞬間、ベラの身体が雷にでも打たれたように激しくしなる。布団にだらりと投げ出されていた両脚が
発条仕掛けででもあるように身体を挟み込んできた。あまりの快味に夢うつつになりながらも汗を
刷いた身体を掻き抱いて、激しく何度も柔らかくうねる内部を抉る。
「ひゃ…っ」
衝動がそのまま伝わるのだろう、ベラは微かに苦しげな表情を浮かべた。
「済まない、だが俺はお前しか…お前だけが…」
「…いい、そんなの…あたしは…あんたのすることなら、構わない、のさ…っ」

180 :
息も絶えだえになりながら、ベラの腕が更にしっかりと回された。ひっきりなしに擦れ合う互いの粘膜が
泡立つ愛液で淫猥な水音をたてている。髪を乱して精一杯微笑む口元に引き寄せられてもう何も考え
られず、ただひたすらに口を吸い、千切れるほどきつく舌を絡ませ合った。
いつ果てることなく夢中で戯れている二人は知らない、壊れた壁の隙間から絡み合う二人を凝視して
いる者がいたことを。
翌日のこと、長老から慣れない地での生活は何かと大変だからこれを雑用に使うように、とのことで
一人の娘が三人の元に遣わされた。
しづという名のその娘は年の頃はまだ十五・六だろうか。あどけない顔立ちに似合わず鋭くぎらぎら
した目をしていた。薄汚れた灰色の着物はもうぼろぼろだったが、何か着替えさせようにも三人には
替えの着物一枚もなかった。
「いいさ、私はこれ一枚きりで」
蓮っ葉な言葉遣いはどことなくベラに似ていた。
「しづさん、折角だが俺たちにはあなたにさせるような用事もない。ですから」
やんわりと断りを入れようとしたベムの言葉に、ふっとしづは顔を歪めた。
「分かってるよ、そんなことは」
そして急に声を潜める。
「どうせお前たちと同じ、私も余所者だ」
「それはどういうことですか?」
「声を抑えろ、村の奴らが外で聞き耳を立てているかも知れない」
「えっ?」
驚きのあまり、つい声が高くなった。
「行動にも気をつけるんだな。お前たちが逃げないよう村の外にも見張りが立ってる」
これまでどんな暮らしをしてきたのか知れないが、しづは年齢以上にかなり敏いようだった。そうで
なければとても今まで生きて来られなかったのだろう。
とんでもないところに来たと緊張して座り直した三人の前で、しづは卑屈な嗤いを浮かべた。
「私も六年前、母と兄と一緒に旅をしていた時にこの村に来たんだ、だがここの連中には余所者なぞ
虫けら以下なんだろうよ」
吐き捨てるように言って顔を背けたしづの頬に、濃い疲れが見えた。
「用事なんぞ何もないが、あんたにはもっと色々と話を聞いた方がいいようだねえ。その前に」
しづに興味を持ったらしいベラがついと立ち上がって自分の布団を敷き、そこに今すぐ寝るようにと
促した。
「まずは身体を休める方が先だね、どうやらここの連中に相当こき使われてたようだ」
「…そうだな、しづさん。そうしてくれると嬉しい」
やはりベラは女だ。ベムには気付かないところをいつもちゃんと見ている。

181 :
「お姉ちゃん、じゃあ後で遊ぼうね」
しづはこの状況について来られないのか表情を硬くして身動きもしない。しかし首を傾げながら側に
行ったベロがにこにこと笑って猫の子のように纏わりついているうちに、やや態度が緩む。
「…お前は不思議な子だな」
膝の上に置かれた手が、ベロの手を取った。そしてベムとベラを交互に眺める。
「…気をつけるがいい。この村の連中は道に迷ってやって来た余所者に、普通ならば有り得ないほど
非道な振る舞いを平然とする。私の母と兄もいまだ行方が知れない。特に母は…」
何を言いかけたのか、しづの口がぴたりと止まる。
「しづさん?」
「悪いな、もう疲れたし折角だから休ませて貰う…布団は有り難く借りるよ」
まるで壊れた玩具のように、痩せこけた娘は布団に入るなりころんと眠りに落ちてしまった。ベラが
察する通り日頃からかなり疲れていたのだろう。
「…何があったか知らないけど、哀れなモンだねえ…」
形ばかり結っただけのぼさぼさなしづの髪を少し撫でると、ベラは溜息をついた。やはりここに留まる
べきではなかったのた。とはいえすぐに立ち去ることも出来なさそうだ。この気の毒な娘を置いては
逃げられない。
「さて」
深夜、集落の者たちがすっかり寝静まった時刻、しづは闇に溶け込むようにひっそりと三人の前に
座った。蝋燭一本だけの灯りが室内にとぼとぼと頼りない影を映し出している。
「どこから話せばいいか…そうだな、明後日の夜がちょうど新月だ。お前たちはきっとこれまで経験の
ない災いに遭うだろうが心配しなくていい、私が守ってやる」
「しづさん、何を仰っているのか分からないのですが」
「そうだよ、あんただけ分かることを出し惜しみする気かい?」
「お姉ちゃん、教えてよお」
何が何だか分からないままの三人に、しづはまたあの卑屈な嗤いをにやりと浮かべた。小さな羽虫
でもうっかり火に飛び込んだのかじりじりと焼ける微かな音がして、青い焔がゆらりと大きく揺れた。
「六年前、父がんだ。遺された母は遠い親戚を頼る為に兄と私を連れて旅をしている途中、道に
迷ってこの村に入った。ここの連中はそりゃあ親切だったさ、最初のうちは。だけど新月の夜、歓迎の
宴を開く、酒も出るというので無理やり母と兄が連れられて行った。奴らに置いてきぼりにされた私は
待ちくたびれて宴のある家に行った。そこに母と兄はいたけど」
そこまで言い切ってから、しづは苦々しげに顔を歪めた。
「お姉ちゃん?」
「悪いね、あんたは聞かない方がいい」

182 :
無邪気なベロを気遣う素振りでしづはためらいを見せたが、当のベロに話の続きを促されてようやく
重い口を開く。
「母には村の男たちが、兄には女たちが乗っていた」
しづの話はこういうことだった。
余所者の母と兄に集落の者たちが年寄りも若い者もお構いなしに狼藉を働き、子供たちはそれを
爛々と目を輝かせて見ていた。しづの母はそれが原因で気が触れたが、それから何日もしない間に
二人とも姿を消し、その後は誰に聞いても知らないと言うばかりだったと。
一人になったしづは生きる為に村中のありとあらゆる雑用を引き受けて生きてきた。女の血が流れて
からは男たちの膨れ上がった欲望も受けてきたのだという。
「ここの連中はどいつもこいつも壊れてるよ…」
腹の中に溜まっている憤怒を押しすように、しづは呻いた。
「私がここに来たのもさ、あんたたちの監視の為だ。だけどはなっからあいつらの言うことを聞く気
なんかありゃしなかった。私も所詮は余所者だし、あいつらは母と兄の行方を隠してる」
蝋燭が燃え尽きようとしているのだろう、室内が急に暗くなってきた。その隙に乗じて娘がいざり寄り
正座をしているベムの膝に細い指を滑らせた。
「長老の爺はあんたをたぶらかせ、と命令しやがった。そうやって出来るだけ足止めをしろとさ。だが
あんたたちが幸せそうに睦んでいるのを私は見たよ。たぶらかせる訳が、ないじゃないか…」
「しづさん、あなたは一体何をするつもりですか?」
昨夜、行為に耽っている最中に覗かれていたとは気付きもしなかった。だが、しづの様子からするに
部屋が暗かったせいもあって二人の角も鱗も見えてはいなかったようだ。しかしそれよりもこの娘が
抱えるあまりにも大きな禍々しいものが気にかかる。
「さあねえ、ふふ…」
しづは微かに笑って部屋の外に出た。蝋燭はそこで燃え尽き、暗闇が訪れる。それでも、目に見える
闇ならまだ遥かにましに思えた。
人の心に巣食う闇となれば、更に深く底が知れない。
「何なんだろうねえ、ここはさ…とんでもないトコに来ちまったよ全く…」
闇の中で、溜息のようなベラの声が響く。これまで訪れた中でも桁違いに危険といっていい事態が
訪れようとしている。たとえ人間ではない自分たちであっても、とても安穏とはしていられなかった。
翌日は特に何もなかった。
集落全体から監視されている気配は確かにあったものの目立った動きもなく、不審なところがあれば
しづが知る限りのことを説明してくれた。
お陰で無駄に狼狽しなくて済んだのが、せめてもの幸いだっただろう。
ただ、やはり余所者だからなのか、しづにも分からないことは幾らでもあるらしい。特に、碌な農地も
ない上、どんなに鍬で引っ掻くように耕しても大した作物も実らないような場所でありながら、ここの
者たちの暮らし振りはそう悪くもないのが一番心に引っ掛かっているという。
「私は絶対に母と兄を見つける…でなきゃぬにねない」
顔を背けながら吐き捨てる娘の声は憤怒そのものだった。
そしてまた翌日が来て遂に新月の夜を迎えることとなった。

183 :
日が落ちる少し前、長老から三人を歓迎する祝宴があるとの知らせが届いた。しづの話が本当で
あれば、間違いなくベムとベラは狙われてベロが人質に取られることだろう。
「私は身を隠す、これまでありったけの刃物を掻き集めて隠していたところに行く。私が戻るまでは
何とか持ち応えていてくれ、必ず助けるから」
迎えに来た者たちに連れられて行く途中の三人に、しづはこっそりと呟いて静かに離れた。祝宴は
最初の日と同じに長老の家で行われた。何も知らなければ素直に喜んでいられただろうが、罠が
潜んでいるとなればとても平静ではいられない。
「さあ、もっと飲みなされや客人」
「そうだよ、あんたたちの為の宴だ」
宴の場では皆はしゃぎながら口々に酒を勧め、料理を勧め、すぐにでも酩酊させ平常な精神状態で
いられなくさせようとしている。常識では考えられない内容のしづの話を全て信じるのも危険だったが、
この者たちの様子はその信憑性を十重二十重に裏付けて信憑性を高めるばかりだ。
それに、ここに来た時に聞いた声がまだ耳の奥にこびりついている。
無邪気にきょろきょろと周囲を眺めているベロと違って、ベムとベラは身を固くしたまま注がれる酒にも
おいそれと口をつけられずにいる。元々が神経を異様に昂らせる酒など、妖怪の身には最も禁忌な
ものではある。一定量飲んだらそれで最後だ。
しかし、最後となってもいいような気もしている。そうでなければこの陰鬱に閉鎖された集落からは
とても逃れられないだろう。
隣でベラが小声で話しかけてくる。
「ベム、あたしゃ気味が悪くって仕方ないよ」
「…我慢するんだ」
もしこのまま何もなければそれで良し、最悪であっても妖怪の姿になって暴れる選択肢も残されて
いる。健気なしづの助けなどは最初からあてには出来なかったしするつもりもなかった。
「客人」
考えに耽っていると、にたにたと笑う赤ら顔の男が一人進み出てきた。
「もっと楽しい顔しろよぉ、辛気臭ぇ」
どうやら相当泥酔しているようだ。ベロはともかく、明らかに警戒している様子を隠しもしない二人が
面白くないと見える。
「よおってば!」
酔った勢いで気が大きくなって憤ったのか、男は乱暴にベムの肩を小突いてきた。それにも黙った
まま反応を返さずにいるうちに、完全に下に見られてしまったらしい。
「何だ弱虫め」
「もう一度お言いよ!」

184 :
謂れのない侮蔑に声を上げたのはベラの方だった。宴に出てからというもの、ずっと堪りかねていた
ものがここで突然爆発してしまった。
「あたしの亭主を馬鹿にするのは許せないねえ、こいつは無闇に争いごとをしないだけさ」
「ベラ、よせ」
「あたしはもう我慢出来ないよ、あんたたちみたいな連中、大っ嫌いだ!」
何とか押し留めようとしても、怒りはもう収まらない。
「へえ、そうかい」
ベラの怒りもまるで平気なように男は一層嫌なにやにや笑いのままふんぞり返った。既に皆が出来
上がっているのか、この男の態度を諌める様子もない。
「それがイイ、とそのうち言うんだぜ」
下劣さを含んだ言葉が余程おかしいのかげらげらと笑う声が一人ではなく二人、三人と木霊のように
広がっていった。
いけない、と思ってその場から立ち上がろうとしたのだが、ベムの周囲には女衆が、ベラの周囲には
男衆がぐるりと取り囲んでしまっていた。
あまりの手際の良さから、余所者が来た時はいつもこうしていたことを確信する。
「あなたたちは、何者ですか」
「さあねえ」
獲物を追い詰める蛇のような目をして、この場の皆が気にも似た劣情を滾らせていた。
「あんたは、こっち」
取り残されたベロは集まっていた子供たちに手を引かれて遊び始めているが、やはり気になるのか
こちらをちらちらと眺めている。
「ベム、ベラぁ…」
「大丈夫だって、これからあんたの二親にいい思いをさせるだけ…きゃははっ」
ベロの側で笑いさざめいている女の子たちの顔がこの上なく醜悪なものに見えた。ここでは男も女も
子供に至るまで歪み狂っている。これはきっと代々当然のように続いてきたもので、もはや矯正しよう
もないものなのだ。
「ええい、うるさいねえ!」
女一人と侮って数を頼りに被さってきた男たちを強烈な鞭の一撃で薙ぎ払うと、ベラはゆっくりと立ち
上がって、乱れかけた髪を優雅に払った。
「ベム、あんたもそろそろ本気をお出しな」
「…そうだな」
女たちに揉みくちゃにされながらもやはり力ずくでは振り払えずに、ただ帽子を押さえて角が見えない
ように堪えていたベムもベラが無事であることを確認してから勢いをつけて立ち上がった。それまで
じっと大人しくしていたベムが初めて抵抗を見せたことで、慌てたらしい女の一人が追い縋るように
帽子を掴んで引きずり落とす。

185 :
「あっ」
誰かが高い声を上げた。
完全に角を見られてしまったようだ。二人の周りで驚きの声が上がる。
「角があるぞ、こいつ」
「化け物か」
「じゃあ女も、あの子供もか」
もう劣情どころではなく、ざわざわと驚愕と困惑の声が大きくなる中、突然入り口の戸がばたりと倒れて
大鉈を持ったしづが現れた。あどけない顔にはもはや鬼神そのもののように凄絶な表情を浮かべて
いる。ざんばらになった髪が激しい憤りで逆立ってでもいるようだ。
「お前らは、ここでね!」
言い放つなり狭い室内で手当たり次第に大鉈を振り回し、腰に差した日本刀を振るって片っ端から
集落の者たちの頭を割り、腕を切り離し、胴を泣き別れにしていった。元々剣などの心得があったのか
どうか、あっと言う間に男たちの骸が累々と積み重なる。
「ひぃい…」
突然襲来した鬼神に子供たちは怯え泣き竦み、女たちは方々に逃げ惑った。しかし、しづは男たちと
同様に一人一人確実に片付けていく。
「しづさん、やめるんだ!」
あまりの凄惨さにベムは慌てて声を張り上げ制止させようとした。せめて何もしない子供たちだけは
救いたかったのだ。
だがしづはベムたち三人を見て薄く笑っただけだ。
「あんたたちは助けてやるさ、同じ余所者だ。けどねえ…ここの奴らは女子供に至るまで腐りきってる
んだ。生きてたっていずれ誰かを不幸にするだけだ!」
「だが!」
「あんたたちには分からないよ、私が、今までこいつらに散々虐げられてどんなに嫌な思いをしてきた
かなんて。それでも、私は生きて来なきゃいけなかった!」
懇願のようなベムの声はもうしづには届かなかった。遂に子供たちまでを皆しにすると、最後に残され
恐怖で足が竦んでいる女の襟元を掴んで引き寄せ、血濡れた顔でゆっくりと尋ねる。
「私の母さんと兄さんは、どこに行った」
「…知らない、私は何もしてない…」
女の声が切れ切れに絞り出される。
「何もしてないだと?どういうことだ言え!」
「ここに来た余所者はみんな、八つ裂きにして燻した…木乃伊にすりゃ高く売れるからね…頻繁だと
さすがに怪しまれるからあんたは生かしておいただけだ、でも構わず燻しときゃ良かったよ」
「燻して木乃伊にして売った…?」

186 :
おぞましい血濡れの顔が見る見る蒼白になった。それでも大鉈を持った手が瞬時に動いて女の首を
刎ね飛ばす。
「母さんと兄さんが…された…木乃伊になった…」
呆然と呟きながら大鉈と日本刀を投げ捨てると、ふらふらと立ち上がる。力を失った目がぼんやりと
ベムたち三人を見て大きく見開かれた。
ベムの角やベラのこめかみにある鱗を改めてはっきりと見たのだ。
「…あんたたち、は…」
「しづさん、俺たちは」
「分かってるよ、神様…だね?」
まだ血が滴る顔でふふっと微かに微笑むしづは、初めて年相応の可愛らしい表情になる。
「そうだ、だから私はここの奴らに復讐が出来たんだ…感謝するよ、ねえ神様たち」
「いや、俺たちはそんなものでは」
「どうでもいいさ、別に…私の念願がやっと叶ったんだ」
ふらつく足取りで外に出て行くしづを放っておけず、三人は黙ったまま追った。しづの足は一番近くの
家の前で止まり、そのまま中に入って行く。最初の日にベムたちにも嫌な予感があったように、どこの
家も妙に煤けていたのは余所者をして木乃伊にしていたからだったのだろう。
確かに腐りやすい内臓を抜いて来る日も来る日も燻し続ければ、時間はかかっても魚や猪肉と同じ
燻製にはなることが容易に想像出来る。
この国ではベムたちが生まれる数十年前に御一新があったと聞く。しかし人の意識はそれほど改革
される筈もなく、いまだ迷信深く漢方薬としての木乃伊の効能を信じる層は確実にあるのだ。それが
これほどに醜い人間たちを生み出してしまっていたことに、胸苦しさを覚えずにはいられない。
とはいえ、この集落の者たちに他に生計を立てる手段があったか。そう考えれば、おのずから辿る道
だったとしか思えなかった。
作物の望めないこの地を捨ててでも生きることは出来た筈なのだから。
おぼつかない足取りで全戸を回り歩いたしづは、最後の家にあった真っ黒の柱を見てはらはらと涙を
落とした。八つ裂きにした体はそこに掛けて燻し続けたのだろう。間近でそれを見て平然と生活を
していた感覚はやはり理解しきれるものではない。
年寄りも男も女も子供も、無辜の人間のを前にしても何も感じなかったのだ。
「やっぱり、奴らはんで当然だった…私は間違っていない」
ぶつぶつと呟いていたしづは、やがてくるりと三人に向き直った。
「約束通り、お前たちだけは助けよう。こんなおぞましい場所からはすぐに立ち去れ。そしてもう二度と
思い出すんじゃない。いいな」

187 :
「ここにいてはいけないのは、あなたも同じだ。しづさん」
「そうだよ、あたしたちとここを出よう。しばらく一緒にいてもいいだろう。このままここにいたらあんたが
持たないよ」
「お姉ちゃん、そうしよ。ね?」
三人はそれぞれにしづを心配して気遣った。しかし、しづはきっぱりと拒否をして煤けた天井を見上げ、
晴れ晴れとした口調で告げた。
「…私には、まだやることがあるんだ」
しづの決意は固く、やむなく三人は自分たちだけで集落を離れることにした。最後に振り返った時に
見たしづの顔は穏やかこの上なく、まるで女神そのものだった。
「お姉ちゃん、さよなら。また会いたいな」
一人置いて行くのが余程気になっているのか、ベロは何度も何度も振り返りながら姿が見えなくなる
まで手を振り続けた。
「ベム、我慢しろ。しづさんは俺たちを守ろうとしてくれた。その気持ちに応えよう」
「うん…お姉ちゃんはとっても偉いね。怖かったけど偉いね」
「いい子だ、だから泣くんじゃないよ」
涙が零れてきそうなベロの手をベムとベラは両方から繋いで、元来た狭い道をただひたすら逃れる
ように歩き続けた。
目に映る緑の景色はとても鮮やかで滴るほど美しいのに、醜く歪んだ人の心を染めることなど決して
出来ないのは何だか不思議な気がした。
それから十年ほど経った頃、その集落があった地から遥か遠く離れた大きな町でしづに良く似た女を
見かけて思わず足が止まった。
しかしその婦人は人違いと思えるほどに美しく、大戦下のご時世ではありながらもしゃなりとしとやかに
金紗御召で歩いている。記憶の中にあるみすぼらしくぎらぎらした目をしたしづなどではないような気が
した。
しづに似た婦人が大きな屋敷に入って行くのを見届けたベムは、たまたま近くを通りかかったこの町の
住人らしき女に尋ねてみる。
「あれは一体誰ですか?」
見知らぬ男に突然話しかけられて、怪訝な顔をしながらも女は丁寧に答えてくれた。
「ああ…あの人は何年か前にこの町に来た、金持ちの後家さんです」
「…後家?」
「何でも、亡くなりなさった旦那さんは大層羽振りのいい薬屋の若旦那だったらしいけど、それしか誰も
分からないですねえ。何にしろ口数の少ない人ですから」
「そうですか…」

188 :
あの豪奢な婦人がしづである可能性もなくはない。しかし追求することは憚られた。そこまでして知る
必要はないことだからだ。もし、しづだとしても今更昔のことを探られたくはないだろう。第一、別れる時
しづは『思い出すな』と言った。
だが、しづだとしたら今の境遇はどうしたことか。もしも木乃伊の作り方をすぐに悟ってした村の者
全員を燻したのだとすれば合点はいく。あれだけの数の木乃伊ならばさぞや見事な一財産を築けた
に違いない。一人で生きていく為と、恐らくは最後の報復の為に母親と兄と同じ目に遭わせたのだ
ろうか。
だとすれば既に人の良識などかなぐり捨てていたあの集落の者たちと同様に、しづもまたあの時に
人ではなくなっていたのか。
もちろん全てが憶測であり、現実は全くの別人であるのかも知れない。
考えても詮無いことに囚われかけていることに気付き、ベムは苦笑しながら頭を振った。
「ベム」
「そうだな、行こうか」
あまりに長く路傍に立ち止まっていたので、ベラが苛々と声をかける。ベラにとっては昔のことなど
もう記憶から綺麗さっぱり消えているのだろう。
「…あ」
ベムの視線を辿りながら屋敷の方を見たベロが、二人に手を引かれながらも首を傾げた。
「さっきの女の人、オイラたちを見て笑ってたよ」
「そうか、俺たちの得体の知れない風体がおかしかったのだろうな」
何にでも興味を持つベロに悟られないように、ベムは小さな嘘をつく。しづの人生に対して自分たちは
何の関わりも持ち得ないのだ。今までも、これからも。
町外れの廃屋をその夜の仮住まいとしてしばし身体を休めるつもりだったが、妙に気が昂ぶっている
せいかどうやら簡単には眠れそうにもなかった。
せめてもの慰みに、と必然的にベラを求めてしまう。
「…あんたはいつもそうだね、何か思うことがあるとあたしに手を出す」
「そうなのか?」
「お忘れよ、どうしたってあたしたちは人間とは相容れない…それと分かった上で必要なら助力すれば
いいことさ」
既に住む者もない家の荒れ果てささくれた畳の上で、ベラは乱暴な愛撫を受けながらそれでも甘く
濡れた吐息を漏らす。滑らかな感触の乳房に手を這わせながらベムは苦しげに呟く。
「それは覚悟の上だが、時折分からなくなるんだ。俺たちは人間にとって少しは必要な存在なのか」
「…ははっ」
突然、ベラが短く高笑いをした。
「あんたの得意口上をお忘れかい?困っている人間は放っておけないんだろ。それでいいのさ」
「…そうか」
「ふふっ」
ベラは挑発するように身をくねらせて挿入を促した。どのみち自分たちが人間に対して出来ることなど
たかが知れている。何か役に立とうなどと、おこがましいにも程があるというものだ。
余計なことなど全て忘れてしまえばいい。
今夜もまた、果てしなく血が滾りそうだった。




189 :
最初だけ 1/12になってるけど、もちろん正しくは1/13だよ

190 :
GJ!!
夢中になって読みました
こういう話を書けるなんて凄いなあ

191 :
GJ!
ううむ・・・・すごい・・・。

192 :
GJ!
職人さんの本気すげえよ!

193 :
そろそろロケ地での目撃情報が幾つも出ているみたいだけど、どんな話になるのか
もうちょっと分かるといいな
何かネタになりそうなものがあったら最高

194 :
ロケ地の一つ、室蘭の地球岬をぐぐってみた
めっっっっっちゃ壮大で綺麗な風景に映画の仕上がりが楽しみになってきた
ベムたちがあの、この世ならぬ景色の中で動くのかー

195 :
短い話が出来た
レズものはまだネタが湧かないので保留中

196 :
この世界はいつまでも続いている。
夜空の深遠もまた果てがない。
ベムたちは今夜もまた甲板の上で、今にも降るような星を見上げていた。
「…綺麗だねえ」
今夜のベラは余計なことも言わず、ただ無心に美しい夜空を見上げて微笑んでいる。その横顔が
とても穏やかで綺麗だった。
さすがに深夜はベロにとって酷なのだろう。遊び疲れているベロはベラの膝の上でこくりこくりと緩く
舟を漕ぐ。その手には数日前に夏目家・緒方家・ベム家の三家族合同で行った七夕祭りの時に笹に
飾った短冊がしっかりと握られている。
短冊には「ベムとベラとずっと一緒にいられますように」と歪んだ平仮名で書かれていた。人間になる
大願よりも、ただ静かに三人で過ごすことの方にこの幼子は喜びと幸せを感じているのだ。
あまりにもささやかなその願いなら、もう当然のように叶えられている。
くったりとベラの膝に顎を乗せて目を閉じているベロがあまりにも健気で、思わずベムは声をかけた。
「ベロ、無理はしなくていいぞ」
「…うん、オイラも一緒に星が見たいのに眠いよー」
やはり相当眠いのだろう、ぐずっていたベロはすぐに他愛無い子猫のように眠りに落ちる。
「子供は呆気ないもんだ、この星が見られないのは何だか勿体無い気がするよ」
ベロの頭を撫でながら微かに笑うベラがもう一度仰ぎ見た今夜の夜空には、確かに吸い込まれて
しまいそうなものを感じた。外界から切り離されたこの場所でこうして佇んでいると、底のない夜空
へとまっさかさまに墜落していきそうな感覚さえある。
もしそんな時があったとしても、きっと最後まで三人は一緒なのだろう。そんなことを考えていると急に
劣情が稲妻のように背筋を駆け抜けた。
「ベラ…」
「何だい」
怪訝な顔をしたベラの唇を掠めるように重ねると、悪戯を咎める眼差しで薄く笑いかけてくる。
「…あんたは本当に場所を憚らないね」
「他に誰もいないなら構わないだろう」
「こんな、いつベロが起きるかも分からない時に、かい?」
「すぐには目覚めない、きっと」
こんなに近くにベロがいるにも関わらずその気になっているのは自分でも驚くほどだったが、もう止め
られなかった。

197 :
拒絶どころか抵抗すらしないベラの艶やかな黒髪を撫でながら、更に深く唇を噛み合わせる。何一つ
知らずにいた頃は考えもしなかったことだ。この女の身体はどこもかしこも甘く馨しいことを。
今では完全に虜になって、ただひたすらに求め渇望するだけだ。
「あんたってば、全く訳が分からないね」
苦笑しながら呟くベラの声はとても穏やかで優しい。ベロにするように髪を撫でてくる手が普段のベラ
からは想像もつかないほど優しいことに気を良くして、真っ白で滑らかな肌触りの乳房にするりと頬を
寄せた。
「…おかしくなっても、いいだろう。こんな夜なら」
「そう、なのかねえ…ふふっ」
まるで自分までもが幼子になったかのように、そうしていると限りない安堵を感じて心が満たされて
いく。やはり人としての成長というものをしていないからこそ精神の奥底では望んでいる部分がある
のだろうか。
自分に欠けているものなど幾らでもある。
けれど自分にしかないものもきっと何かある。
思い出す度に焦りに似た感情が湧き上がったとしても、きっとこの女ならば笑って全てを包み込んで
くれそうな気がした。
けれど言葉に出せないそんな思いは、夜空を飾る星ですら知らない




198 :
GJ!

199 :
ベム、貴様どさくさに紛れて「ベラ」と発声練習するなw
byズムサタ

200 :
>>199
ベムの声で何度も「ベラ、ベラ、ベラ、ベラ」と連呼してたなw

201 :
そろそろ映画の続報あるかな
室蘭の夜景は綺麗だった
あの霧が立ち込める情景と工場地帯の無機質さが実に非日常的で、妖怪たちが佇んで
いてもおかしくない雰囲気だった

202 :
ベラ連呼しながらシコるベムさんか

203 :
それがベムのデフォルトさ
奴だって人間じゃないけど男だもんな
しれっとした顔しててもハアハアする時だってあるよ

204 :
ベムベラのレズもの、書き始めたけどまだエロに到達してない
とりあえず前段階の奴がまとまったので投下する
エロはまたすぐ書くよ

205 :
「わー、ここはいっぱい生えてるー」
公園に着いた途端、ベロが弾けるような声を上げて走り回っている。
梅雨が上がった後の公園の一角は、生き生きと茂る緑の草で埋め尽くされていた。人間なら面倒な
雑草がまた生えたとうんざりするところだろうが、ベムたち三人の妖怪にとってはまさに宝の山といった
ところだ。
「本当だ。今日は久し振りに空腹にならずに済むね、ベム」
嬉しそうにはしゃぎ回っているベロの姿はとても微笑ましい。腕を組みながら目を細めてベロを眺めて
いるベラの表情もとても優しい。
「そうだな、たくさん摘んでいこう」
つい見惚れそうになって慌てて帽子を深く被りながら、ベムは横を向いた。
夏は様々な自然の恵みをもたらしてくれる。
三人にとってもこの暑さは堪え難いものがあるが、食べられる草の種類が増えるだけでも有り難く
嬉しい。とはいえ、長く生きていてもどれが食用に相応しいかそうでないか、はっきりと判別しかねる
ものは幾らでもあるから厄介だ。
そういうものは一体どんな毒性があるか分からないので意図的に排除しているのだが、中には雑種
から自然交配した全くの新種である草もごく稀にあったりして、知らずにうっかり口にすることもない
ではない。
だからこそ見知らぬ草は殊更気をつけて避けているのに、この日はどうしたことかむざむざ口にする
羽目になってしまったのは運が悪かったとしか言いようがない。
まだ朝方の時刻ではあったが、日差しはぎらぎらと照りつけている。
今日も良く晴れそうだった。
「ベムー、これは食べられるの?」
いつものように摘んだ草を見せに来るベロの頭を撫で、手の中にある草を眺めてみるとそれまでに
一度も見たことのないものだった。普段であれば食用かどうかは別としてまず一番に避けていた筈
なのに、何故か今日はベラが興味を持ってしまった。
「ふーん…」
ベムが持っていた草をしげしげと眺めるなり、悪戯っぽい声を上げてふっと笑う。
「こりゃあ妙なモンだね、葉の形からしてタンポポに似てるけど」
「しかし別種だろう、これはやめておいた方がいい」
「でもさあ…何か勿体ないねえ、こんなに大きな葉っぱなのにさ」
よほどの毒性があったり明らかに食用に適さない草でない限りは大抵のものなら口にしてきた三人
ではあるが、見も知らぬものを最初に口にするのはやはり勇気がいる。しかしベラはそういう意識が
やや薄いようだった。

206 :
もしもこれで何も異変がないようであれば儲けものだ、とばかりに既に摘んだ草の中に混ぜようとして
いるのを制したベムは思いきり不審な目で見られることになった。
「…邪魔するんじゃないよ」
「そんなつもりはない、ただ食べられるのかどうかまだ分からない草は危険だと思っているだけだ」
「へーえ…」
ベムに遮られたのが余程不満だったのか、ベラは挑発的に件の草を取り上げて目の前にひらひらと
かざした。
「じゃあ、ここで確かめて御覧よ。あんたが直にさあ」
「…それは」
「嫌ならあたしが食べるよ、ほおら」
ベムがぐずぐずと渋っているのも気に入らないのだろう、いつも言動に一切躊躇のないベラはそう
言うなり正体不明の草をそのまま口に入れようとした。
「よせ!」
この女に何かあってはいけない。そんな思いから慌てて草を取り上げてこの場の勢いで一気に噛み
千切り、咀嚼する間もなく飲み下した。味など碌に感じなかったが、ぴりっと舌を刺すような不快な
苦味だけはしばらく口の中に残った。
「…ベムぅ、大丈夫?」
二人の遣り取りを見ていたベロが草摘みも忘れて不安そうにじっと見上げている。
「ああ、大丈夫だ。何ともない」
安心させようと笑いかけてやると、ベロもつられるように全開の笑顔になってまた夢中で草を摘み
始めた。
「そうかい、だったらこの草も見かけたらこれから食用にしていいんだね」
「見かけたら、な。だがしばらく気をつけた方がいい」
全てはこれからも心穏やかに過ごす為だからと、何事においてもベムはあくまでも慎重でいようと
する。決してぬことのない身体ではあっても切られれば痛いし毒を食らえば苦しい。そんな不快な
ものが少しでも長く続くのはやはり嫌なものだ。
こと三度三度の食であれば最も身近なことだから、慎重になり過ぎてもまだ足りないぐらいだと思って
いる。
そんなベムに異変が生じたのは、夜中のこと。
眠っているうちに身の内をじりじりと焼かれるような熱が腹の底から湧き上がってきて、訳も分からず
ただ無暗に寝返りを繰り返している間にまんじりともしないまま朝を迎えていた。身体は異様にだるい
上にひどく重く感じて、人間がこの時期にひくという夏風邪とはこのような状態かと思ったほどだ。

207 :
「ベム、どうしたのさ」
珍しくいつまでも起きないベムを心配したのか、ベラが声をかけてくる。
「ベロは先に草を摘みに行ったよ…どこか悪いのかい?」
怪訝そうな声が上から降ってきた。
何でもないからと言おうとして寝台から身体を起こしかけたベムは、そこで初めて異変の正体に気が
付いて言葉を失う。
「ベム、あんた一体…」
間近に目にしたベラも言葉の続きが出なくなっていた。
「…俺は、どうしたんだ…?」
ようやく喉から絞り出した声は、普段のベムのものではなかった。廃船内に高く涼やかに響くそれは
明らかに女の声音。そして熱を孕んで重い身体は慣れ親しんだ男ではなくなり、華奢で柔らかい女の
線を描いていた。
「俺は…」
何が何だか全く分からない。ただ一つ言えるのは、原因があるとすればただ一つしか思い当らない
こと。
まるで悪夢でも見ているような気分だった。

続く

208 :
ただ一つ言えるのは、原因があるとすればただ一つしか思い当らない
こと

ただ言えるのは、原因があるとすれば一つしか思い当たらないこと
orz

209 :
期待

210 :
>>205
GJ!
wktkしながら続き待ってます
ベムがかわいい銀髪のおにゃのこだといいな

211 :
test

212 :
>>208
これは期待

213 :
映画では観月ありさが敵(?)妖怪役らしい
観月が大人の魅力でベムを誘惑したり、
ベラを百合的な感じで虐めたりする展開はあるんだろうか

214 :
敵妖怪はベムベラベロみたいに男性女性子供と3人いて人間のフリをして家族を装っている
ベロが好きになった女の子は実はその妖怪、という所まで妄想した

215 :
それは普通にありそうだな

216 :
それならスワッピングも出来そうだ

217 :
続き書いた

218 :
日差しは昨日よりも更に強く、ぎらぎらと照りつけている。
公園で一人遊びをするベロを見守りながら、ベムは帽子の影から真夏の太陽を忌々しく睨みつけて
一層身を屈めた。普段から伏し目がちでよくベラから注意をされてはいるが、今日はまた別の意味で
人目を避けなければならない。
今朝目覚めたらどうした訳か女の身体になってしまっていて、原因がさっぱり分からないときている。
もしかして妖怪にはそういう異例があるのかと考えてもみたが、やはり曖昧なままだ。
「ベムー」
何か面白いものでも見つけたのか、ベロが駆け寄って来てじゃれついた。
「一緒に遊ぼうよ」
「…済まないな、今はあまり気分が良くないんだ」
「ちぇーっ」
断られて大袈裟に頬を膨らませたベロは、それでも膝の上でおどけるように甘えた。子猫でも撫でる
ように何度か頭を撫でているとそれだけで満足したのだろう、いつものにこにこ顔になる。
「あ、ベムさん」
炎天下にいるのも辛くなってきたのでそろそろ廃船に戻ろうとしていた時、離れた場所から呼ぶ声が
聞こえた。
「そんなところにいたら暑くないですか?」
夏目だった。
こんな時に出くわすとは思っていなかったベムは慌てて頭を下げた。うっかり声を出したりなどしない
よう気をつけなければならないのは厄介だったが、何も知らない夏目は近付いてきて様子を伺うように
身を屈める。
「どうか、なさったんですか」
「…いえ」
決して顔を上げず目も合わさず、無理に男の声を作ってこの場を何とか遣り過ごそうとするベムに、
無邪気な様子のベロも足並みを揃える。
「あのねー、ベム気分が良くないんだって。だからもう帰るところだったの」
「あ、そうなんだー」
あっさりとベロの言うことを信じた夏目は、気遣う素振りを見せながらもどこか興味深そうだ。刑事の
勘というものなのか、わずかでも普段と違うことには敏感になっているのだろう。
「どうしたんだい」
何とか誤魔化さなければと回らない頭を駆使して必に考えているところに、今までどこにいたのか
ベラが颯爽とやって来た。

219 :
「ベムさんがあまりお加減が良さそうではなくて。こんなところに長い時間いたら身体に障りますよ」
「ああ、そうだねえ。それじゃあ戻ろうか」
「もしよろしければうちで少し休んでいきませんか?」
いつもなら嬉しい夏目の誘いも、今日だけは避けたい。そんな思いが伝わったのかベラはあっさりと
流した。
「具合が悪いんなら、すぐには治らないだろ。迷惑かけちゃいけないからやっぱり帰るよ」
「そうですか…残念ですね。なおちゃんも会いたがってたんですが」
「ふふ…ベムがまた元気になったらいつでもお邪魔するさ。悪かったねえ」
気遣う素振りでそろそろと背中をさすってくる手が妙に優しい。しかし今はベラの真意を勘繰る精神的
余裕などわずかもなかった。今はとにかく自分が女になっていることを夏目に気付かれないよう努める
ことで頭が一杯になっている。
そのせいで普段から極力心掛けている礼を欠いてしまうとしても、この不測の事態の前には仕方の
ないことだと思った。
結局、ベムは夏目が側にいる間一度として顔を上げることはなかった。
長い夏の一日がようやく終わり、船内にはいつものようにゆらゆらとランプの灯が揺れている。
日のあるうちから横になっていたベムの髪を撫でながら、優しい声でベラが尋ねた。
「ベム、あんた大丈夫なのかい」
「…気にするな」
今日も暑さをものともせず一日遊び回っていたベロは、疲れきって早いうちから熟睡している。二人の
嘘をすっかり信じ込んでいたのが気の毒だったが、こればかりはどうしようもない。丸一日鬱々とした
気分を抱えて過ごしていたせいか、決して患っている訳ではないのに本当に気分が優れない。
「蒸すねえ…水でも飲むかい?」
「何もいらない、ただ頭が妙に重いんだ」
寝台から置き上がっても身体に力が入らない。もしかしてこのままずっと女のままなのかと、思考は
どんどん鬱な方向に行ってしまう。
しかしベラはそうでもなかったようだ。
「ねえ、ベム」
まだ夜は決して遅くない。なのにひどく婀娜な悩ましい声音を出して隣に座ってきた。
「あたしゃねえ、昼間は気が気じゃなかったんだよ」
「…何をだ」
「女になっちまったからって、夏目に変な気を起こしゃしないかってね」
「そんなこと、ある筈がない」

220 :
たとえ身体が女になったとしても、心には少しも変化がない。もしそんなことがあったとしたら、普段
からの自分に何も芯がないということだ。これまで築いてきたベラとの関係も全て欺くことになる。
それに、夏目にそんな感情を向けるなど考えもしなかったことだ。
「…ふふ、そうだね…あんたはそういう奴だよ。そういうお固いところがいいんだ」
さらさらと肩に纏わりついていた髪を撫でてから、じっと見詰めてくる眼差しがあまりにも深い。この
奔放な女の中にも嫉妬などという感情があったのかと思う。
「…ベラ」
「あんた、本当に綺麗だねえ…特に今夜は月が人の形を取ってでもいるようだよ。女になっている
せいもあるかもね」
「そんな、ことは…」
「いいから…もうお黙りよ」
ひそり、と囁く声に五感を縛り上げられる気がして、ベムは息を呑んだ。そのまま唇を深く重ねられ、
千切れそうなほど激しく舌を吸われる。急に剥き出しにされた激情に思いきり魂を掴まれたように
思えた。
「ベ…ラ、まさかお前」
しばらく貪られた後、ようやく解放された舌は思うように回らなかった。もしやベラはこの女の身体
でも構わずに事を進めようとしているのでは、と怖気が走る。
「ああそうさ、あんたは…どんな身体でもあんただろう?」
「そう、だが…」
「面白いじゃないか、たまにこんなことがある方が刺激的だろ?」
ベラはにったりと笑いながら、服の上からするすると胸の辺りを撫でる。女になったとはいえ、ベラ
とは比較にならない程度のささやかな膨らみがそこにはあるだけだ。
「さあお脱ぎよ…いや、あたしが脱がせてやろうか」
ぎらぎらした目で迫ってくるベラの気迫に押されて、どこか釈然としない気分を抱えたままのベムは
黙って着ていた服を脱いだ。
やはりベラとはとても比較にならない薄い女の身体が気恥ずかしい。そんな様子はさぞかし面白い
と感じているのだろう。
「ふうん、可愛いモンだねえ」
興奮を隠すこともなく細い指が貧弱な乳房を滑り、色味の淡い乳首を弾いた。
「や、めろっ…っ」
「こんなことは滅多にないんだ、存分に愉しもうじゃないか。ねえ」
くすくすと笑いながらベラはゆっくりと乳房の形を確かめるように揉んでくる。
「やめろって…」

221 :
そんなことをされても何も感じないつもりだった。なのに触られるほどに未知の甘い感覚がじわりと
身体の奥底から湧き上がってくるのをもう抑えられない。それが怖くてこんな浅ましいのは自分では
ない、と必で身を捩ろうとしているのに女となった今では力すらもベラに敵わないのか、あっさりと
封じられてきつく抱き込まれた。
「あ…ぁっ」
「観念しなよ、ベム」
殊更挑発するように、声すら出せないほどまた唇を貪られて頭の中が真っ白になる。いつもならば
これは自分がしていることだった。なのにこうして立場が変わってしまうと、もう手も足も出ずに翻弄
されるままになっている。
そんな不甲斐ない自分にもやもやした違和感を感じながらも、やはり何一つ出来ないままされるに
任せるしかなかった。
「…やっぱり今夜のあんたは可愛いねえ、ベム」
「そ、そんなことを、言う…な」
今夜は何もかもが未知のことばかりで、女の身体でいることですらひたすら戸惑うばかりだ。ベラに
何を言われてもただ俯いて耐えるだけしか出来ず、上手く受け流す既知も働かない。
「褒めてるんだよ、少しは誇っていいんだ…でなきゃ勿体ないじゃないか」
甘い声で囁きながらも艶めかしい唇が優しく宥めるように汗ばんだ額や頬を滑ってくる。それが何だか
心地良くて目を閉じていると、急に強く乳房を揉まれた。
「…っ!」
思わず睨み返したら挑発的なベラの視線が火花でも散るほどぶつかってきた。
「ふふっ…感覚はすっかり女になってるねえ…もっとお愉しみよ。折角なんだし」
「ぅっ…そ、んなこと…出来るか…」
「いいかい、今のあんたはただの女なんだ。こうして…ほら」
優美に肌を撫でていた手がいとも自然に腹へと下りていき、戒めのような革生地をゆるりと解放して
触れられてもいなかった陰部にゆっくり触れた。
途端に、甘くざわめくような疼きが身体の中心を稲妻のように突き抜ける。
「ぁ…触る、なっ…」
そんなベムの反応の変化を目敏く察したベラが、軽い含み笑いで念を押す。戯事のように緩く耳を
噛まれるだけで身の内が異様に熱を孕む。ましてそこをこれ以上触られたら自分がどんなことになる
のか。
これまでずっとベラを見てきたからこそ、自分もそうなることは信じられない。女の快感は一度感じると
深く持続すると聞いたことがある。今の自分がそんな果てしのない喜悦を知ったらどんな風に変化
するのか、考えることすら恐ろしかった。

222 :
「女として触られれば、そう悪くもないだろ。心は別としてもさ」
「くっ…そんな筈が…」
「素直におなりってば。あんたが男でも女でも、癒してやれるのはあたしだけなんだよ」
「…いい、から離れろ…」
これ以上何かされたら本当におかしくなってしまう。そんな本能的な危機感に突き動かされて必で
逃れようとするものの、五感を浸していく快感は未知だからこそ凄まじく、既に身体には力が入らなく
なっていた。
それに気付いて呆然とするベムを煽るように忍び笑うベラは股間に忍ばせた指を更に下げ、薄い襞の
狭間を撫でるように触れながらゆっくりと奥深くへと差し入れていく。
男だった時には存在しなかったそこが焦れたように指を呑み込むのを感じて、びくびくと震えた。
「あ…ぁっ…」
「いい反応だねえ…もっと可愛くおなり」
「そんなことを、するのはやめろ…」
「ふふっ」
身を硬くして必に抵抗を続けるベムは、もう決して逃れられないことを知っている。なのにこのまま
ベラの手の中に落ちることを許せずに砂山のように崩れそうな最後の矜持を保とうとしていた。
それも時間の問題になりそうだったが。
「…ねえ、ここ、こうすると…いいだろう?」
囁いてくる熱く甘い声が耳を蕩かすほど魅惑的で、そして恐ろしいほど毒性を持っている。
ベラの手管はそっくりそのまま自分がやってきた通りのことだ。女の身体のどこをどうすれば良くなる
のかは既に知り尽くしている。ならば今夜のベムが熟練の技の前に手もなく陥落するのはやむない
ことではないか。
頭の中で妥協と矜持がどす黒くごちゃ混ぜになって、更に快楽と欲がまとめてぶち込まれる。今まで
感じたことのない莫大な混沌が次第に精神を支配して、もうまともな思考すら繋がらなくなりかけて
いた。
「ああ…」
膣壁のあちこちをベラの長い指が自在に擦り動いていく度、知らず知らず漏れる溜息にねっとりと
した熱が籠る。
悔しいが、本当に気持ちがいい。女特有の快感を我が身で直に知るほどに、もっと深く大きな快味を
無意識に求めていることも悔しい。なのにもう逃れる気などなくなっている。
ここまで翻弄されたら半端に放り出される方が残酷というものだ。ならばこの女に操られるままにどこ
までも溺れ込みたい。それでたとえ精神に破綻をきたしたとしても。
「ベラ…」
淫らな熱に浮かされながら、夢うつつとなってベラに身体を摺り寄せる。間近で視線がかち合うのを
確かめてから両手で頬を挟んで唇を深く重ねた。
身体が燃え盛るほどひどく熱くて、別のものになってしまったようだ。

223 :
「女の身体は初めてだもんねえ…でも怖がらなくていいんだよ」
乱れてしまった髪を解いて、子供にするように撫でてくる手が心地良い。何も知らなくてもこの女に
全て委ねていれば間違いはないのだと奇妙な安堵感があった。互いに相手の乳房を掴み、揉み、
舌を絡ませ合ううちに、酔ってでもいるように何もかもが陶酔に変わっていく。
そんな反応の変化に満足したのか、緩急をつけて膣内を突いてくる指の動きが早まっていく。強引に
擦られて昂らされた身体はもはや制御不能となって暴走を始めた。
指が抜き差しされる度に、自分の身体から漏れているとは思えないほど淫らな水音が響く。
「そ、んなに強く、するな…あぁぁっ…」
「そら、このままイっちまいな」
毒のように黒い声が完全に精神を浸して、頭の中が真っ白になる。その隙を突くように一番敏感な
箇所を執拗に続けざまに擦り上げられた。
「こ、こんなところで…な、んてっ…!」
もうベムは声すらわずかも抑えられず、ベラに促されるまま淫蕩に踊らされ、内部から絶え間なく
突き上げられる凄まじい激情に負けて一瞬にして達してしまう。
「あ…あああっ!!」
優しく抱き締めるベラの腕の中で壊れた人形のように髪を振り乱し、あられもない濡れた声を上げる
痴態すらもう恥ずかしいことだとも分からなくなっていた。
これほどに、自分が乱れ狂うなど思いもよらなかった。
「…良く出来たね、ベム」
女の快感のあまりの激しさに知覚が碌について行かず、ものも言えずに激しく肩で息をするばかりの
ベムをベラは柔らかく抱き寄せる。子供をあやすように髪や頬に唇を寄せて何事かを囁きかけてくる
のが子守唄のように思えた。
達したばかりで妙に重く感じる身体はまだ鈍く熱を持っている。額にじっとりと滲んだ汗が頬を伝って
寝台をぽたぽたと濡らした。
「さ、下も脱ぎなよ…あたしも脱ぐからさ」
二人分の重さを受けて悲痛に軋む寝台の上で、ベラはひそりと笑った。
「…そうだな」
自分でもまだ目にしてはいない女の身体を、全て晒してしまうことの羞恥は当然のようにある。しかし、
それ以上にこの先に待っている快感への期待が凄まじい。普段の冷静さすら欠いてしまっているが
それが本能というものなのだろう。
ためらいを振りきって既に前をくつろげられていたものを床に脱ぎ落とすと、同じようにドレスを脱ぎ
捨てて裸になったベラが腕を回して抱き寄せてくる。
「…本当に、可愛い子だねえ…あんたは」
褒美のように舌を絡ませながら、世にも美しい女が低い声で囁く。

224 :
あれは毒と蜜の夜だった。
それからの濃密な時間にあったことはあまりにも互いの性感を煽りたて、感覚を焦がしたせいなのか、
過ぎてしまえばあまり思い出せない。ただ、男と女の間では決して有り得ない感覚と快感は確かに
あって、それもまた快いものだと素直に感じ始めていた。
挿入がなくとも、あれほどに感じ合えるのであればそれでいい。
ねっとりと甘く激しい女同士にだけある快感は、さしものベムをも確実に侵していた。
無意識に溜息をつきながら、今日もベムは公園でベロが元気に遊んでいるのをぼんやりと眺めて
いる。
あの夜から数日が過ぎていた。
服で隠れているので外からは決して分からないが、まだ身体は依然として女のままで元の姿に戻る
気配もない。
原因はどう考えても例の草しか考えられない。しかし、だからといってどんな成分によって女になった
のか、そして元の男に戻れる日は来るのか、それが全く分からないでいる。
「なあに辛気臭い顔してんだい」
そんな様子を見かねたのだろう、一人で草を摘んでいたベラが悠然と歩いて来た。
「いや、別に何も…」
何となく顔を合わせるのも気恥ずかしく、普段以上に俯く。
「嘘つくんじゃないよ」
「嘘、なんて…」
言葉を濁すベムの隣にどっかりと腰を下ろして、今日もぎらぎらと輝いている太陽を見上げるベラの
横顔は相変わらず太陽よりも眩い。
「気に病むほどのことかねえ、あんたはあんただ。それでいいじゃないか」
ベラはきっと顔を上げたまま言い放った。
それで気が晴れた、などと簡単にはいかないのだが、少しだけ楽になったように思えた。この女との
関係が変わらなければ、確かに大きな問題ではないのかも知れない。
「…今日も暑いな」
帽子の影から見た夏の青空は目が痛くなるほどに澄みきって輝いていた。




225 :
ベムが男に戻ってないうちに終わったけど、まあそんなこともあるよと

226 :
GJ!!!
ベムはもう男に戻らなくていいぞw

227 :
「ベラに挿れられないのは、困るな…」

228 :
>>218
GJ!
夏目とベラと女体化ベムの3Pが読みたくなったw
美女二人に翻弄される夏目裏山

229 :
人外美女の二人なら、なおちゃん一筋の夏目をグラッとさせるには充分過ぎるなw

230 :
あれで夏目はなかなかの堅物だからな
絡ませるとしたらそれなりに理由をつけて攻める必要があるだろう
男とヤったら元に戻れるとか、超ベタな感じの奴
「あんたも思うところはあるだろうが、頼まれてくれないかねえ」
「…夏目さん、お願いします」
こんな感じで潤んだ目をして縋られたら、まず男だったら落ちるだろ

231 :
人外美女二人に迫られて
拒む男はいないだろうw

232 :
レズものだけでも結構いっぱいいっぱいだけど、続いてる
まだエロないけど投下

233 :
欠けゆく月がぼんやりと浮かぶ夜。
このところの異様な蒸し暑さは何度も寝返りを打っても眠れぬものがあり、仕方なくベムは甲板に出て
微風に吹かれていた。見上げる月はどこか滲んで輪郭が曖昧だった。
明日は雨になるのだろうか。
「…ベム、こんなトコにいたのかい」
しばらく何をすることもなしに佇んでいると、目覚めたベラがふらりと上がってきた。
「今夜は特に暑いからな」
「そうだねえ…でもあんたの場合はもっと他にありそうだ」
「他…?何のことだ」
「ふっ…」
空の月よりも朧な笑みを浮かべて、ベラは心得たようにするりと隣に座った。そして腕を回して抱き
締めてくる。夜目でも赤い唇が至近距離で秘密でも告げるように妖しく囁いた。
「隠し事はなしだよ…疼くんだろう?」
「…!」
あまりに率直な言葉に思わず目を見張って隣の女を見る。
この身体の奥から熱を持って湧き上がる、もやもやしたものは自分でもはっきりとは自覚していない
ことだった。だが、そう言われるのなら正解なのだろう。何しろ女になって日が浅いベムと違ってベラは
生まれた時から女だ。
「女の身体でいるうちに、馴染んできたのかねえ…そら」
いとも自然な動作で服の上から両手で乳房を鷲掴みにしてきたが、抵抗するのも忘れるほど身体が
刺激を求めている。
「う…」
「いいんだろう?こうされると」
「…そ、そんなこと、言えるか…」
「我慢しなくてもいいんだよ、水臭いじゃないか」
くすくすと笑いながら、ベラはより身体を密着させてくる。夜とはいえ蒸し暑い夜だ。少し汗ばんでいる
せいか甘く香り立つ肌の匂いが余計に性感を煽り立てた。
服を脱がされて直に乳房を揉んでくる手つきがやたらと粘っこい。そのせいかまだ触られてもいない
股の間にあの淫らなぬめりが滲んできているのが分かった。完全に女の身体と感覚になってしまって
いることを憂いたのはごく最初の頃だけで、今はもうこの新しい刺激と快感を貪欲に欲している。
やはり妖怪の身は人間以上に欲望に忠実に出来ているのだろうか。

234 :
「ここ…触って欲しいんだろう?」
ベラのしなやかな手が股間を滑り降りる。
「ぅ…くっ…」
直に触られた訳でもないのに、身体が敏感に跳ねた。ほんのわずかな刺激を受けただけで驚くほど
感じてしまう身体を恥じ入る余裕はもうない。
「前よりかは、素直になったねえ…それでいいんだよ、ベム」
蜘蛛の糸のようにぎりぎりと五感を縛り上げる女の声が耳を侵す。ベラとの関係は男だった頃と特に
変わらない。変化があるとすれば、まだ全てにおいて無知なままのベムに手ほどきをしているつもり
なのか以前より積極的に迫られるようになったことぐらいだ。それがあまりにも念入りで濃厚なので
ていのいいベラの玩具にでもなったような心持ちではあるが、そう悪くもないと思えている。
「ねえ…あんたこれだけで満足してないんだろ?」
履いているものを緩めて、細い指先がじんわりと疼いているそこを撫でる。
「な、何のことだ」
暴走しそうになっている身体を宥めながら必で声をすベムの耳が甘く噛まれる。
「指…なんかじゃ足りなそうに見えるのさ。ならちゃんと本当の女にならなきゃねえ」
「…言っていることが分からない」
「だから、あんたのココに挿れてくれる男が必要ってことさ」
疼ききっているそこが指の侵入を受けて一気に目覚めた。同時に羞恥までが突然湧き上がってきて、
思い出したように無駄な抗いを見せる。
「はっ…や、めろっ…」
逃れるように身を捩っても、ベラは鼻で笑うばかりだ。それどころか、更にベムの心身を麻痺させる
ようなことを言ってくる。
「あんたには、まだ分からないだろうねえ…挿れられるのは今までのことよりもっと気持ちがいいんだ。
きっと気に入るさ」
「…有り得ない、俺たちは三人きりしかいないんだぞ…そんなことは」
これ以上のことなど、想像すら出来なかった。確かに男だった頃なら幾度となくベラを抱いていたとは
いえ、同じ女になった今はあんなものを挿れられたらどうなるか分からなかった。全てが未知だから
こそ恐怖も感じている。だが、そんな相手が妖怪の自分たちにいる筈もない。
「だからそこは人間の男の役目さ、あたしたちの身近な男のね」
事もなげにベラは言ってのけ、ベムの疑問を払拭した。
それでも、あまりの展開にまだ頭がついて行かずにいる。

235 :
翌日は曇天だった。
それでも気温と湿度だけは相変わらず高いのか、草を摘んでいるだけでも汗が滲んでくる。しかし
今のベムにはただ黙々とこの作業をこなすしか出来なかった。
「あ、ベムさん」
こんな時に、一番聞きたくない人物の声がした。
「今日も暑いですね」
ベムは返事をせず、草を摘む手を緩めないまま会釈をしただけだった。
「…あのう」
こんな無礼な奴には早く見切りをつけて立ち去ってくれればいいのに、雑草を踏んで夏目が近付いて
くる気配がする。帽子の影でベムは苦々しく歯噛みをした。
「俺は、何かしましたか?このところ、ずっと何も話してくれなくなりましたね」
いいえ夏目さんには何一つ罪科はありません。
そう叫びたいのを必で堪えて、ベムは軋み始めた心を抱えながら立ち上がった。ここまで近付か
れたらもう無視も出来ない。女になってからずっと、気付かれるのが嫌で声すら上げずにいたという
のに、あと少しで全てが無駄になる。
「どうすれば、許して貰えますか?」
あくまでも自分を責めるばかりの夏目に、それは違うと言いたかった。しかし何も言えなかった。ただ
首を振って否定を示すだけで。
「ベムさん、教えて下さい」
滲んだ汗が頬に流れた。遂にベムは観念してきっと顔を上げ、口を開く。
「女…に、なってしまったからです」
「え?」
その時、厚い雲の切れ間から日差しが覗いて一瞬だけ目の前が明るくなった。まだベムにとっては
尋常ならざる事態が続いている。


続く

236 :
今後夏目が絡むけど、数字板なもんにならないようにする(まあ大丈夫だろうけど)

237 :
>>233
GJ!
続きをwktkして待ってます

238 :
処女喪失かwktk

239 :
清楚系超絶美女の処女喪失か…ゴクリ…

240 :
今まで書いてたものとは明らかに違うんで、自分のキャパ超えてるけど葛藤しながら
書いてる
近いうちに続きは投下する

241 :
>>240
楽しみにしてます

242 :
やあ
続き書いた
終わらないかと思った
色んな意味で自分のキャパ超え過ぎた

243 :
発した声は完全に女そのものだ。
それでも言っていることが分からない、そんな風に夏目はこの異変について来られず首を傾げる。
無理もない。ベム自身も身体の反応ほど心が馴染んではいないのだ。出来ればずっと隠し通したい
ところだったが、もう心と身体の均衡に破綻が生じてきているのを感じている。
「何を、仰っているのか…正直言って俺には」
「当然です。こんなことはたちの悪い冗談にしか思えないでしょう…でも、御覧になって下さい」
注意深く周囲に誰もいないことを確認してから、夏目の手を取って胸に押し当てた。明らかに男の
ものではない柔らかな膨らみに触れた途端、夏目が動揺しているのが手から伝わってきた。
これで薄気味悪さや生理的嫌悪を感じてしまったとしても、仕方ないと思った。
「あ、あの…」
「お分かりになったでしょう。原因は薄々分かってはいますが、今のところは元の身体に戻るすべが
ないのです。これだけは知られずにいたかったのですが」
「…はははっ」
互いに戸惑いを隠さずにいるベムと夏目を見かねたのか、突然立ち現れたベラが颯爽とこちらへと
歩いてきた。
「ベムが言った通りのことさ、驚いただろうがあんたにゃそれほど悪くない話だろう…夏目」
「え?」
またも言葉の意味が分からない、と夏目は心底驚いた声を出す。側までやって来たベラは身を乗り
出すようにして二人をじろじろと見てからにやりと笑った。
「ふふ、あたしゃ最初から分かってたのさ…。あんたはベムが女だったらと思ったことがない訳じゃない
だろう?それは一度や二度じゃない筈さ」
「そ、そんな…俺はそんなことは」
急にもごもごと口籠って言い訳をする夏目の反応が面白いのか、ベラはますます執拗に念を押して
きた。
「正直におなりな、夏目。あんたはベムが男だったから気持ちを誤魔化せていただけなんだよ。女に
なった今なら、何を隠す必要があるっていうんだい」
まるで探偵にでもなったようにベラは腕組みをして、わざとあけすけで勘に障る物言いをしているかの
ように見えた。これが普通の女であれば、最初に来るのは嫉妬だろう。こんな風に言う必要もない筈
だった。
「ベラ、よさないか」
この女の思考が全く読めず、ベムは内心うろたえるしかない。
言い募りながらもちらりとベムを見た眼差しは驚くほど醒めていた。
「率直に言うよ。ベムは女の身体になってからというもの、女の快感を欲しがっているのさ。気持ちは
どうであろうと本能がそうなってる。あたしじゃどうにもならないんだ。だから夏目、ベムを」

244 :
「それは無理です」
ベラが話し終わらないうちに、慌てたように夏目が返事を被せてきた。
「…あの、何を仰りたいかは大体分かりました。だけどそれだけは無理です。幾らベムさんの為で
あっても」
時折口籠る夏目の声がベムの胸をぐさりと刺した。こんな浅ましいことをあえて頼まなければいけない、
しかもベラの口を借りなければ何も出来ない自分が不甲斐なかった。それでも、どうしても自分からは
口に出せなかった。
これまで何とか築き上げてきた友人関係が崩れることが怖い。
硬直したまま物も言えずにいるベムをよそに、ベラの弁はますます冴えていく。
「そんなことは百も承知さ、あんたの反応もねえ。だけど今のベムをどうにか出来るのはあんただけ
なんだ」
「夏目さん…」
ようやくベムは口を開く。
「こんなことはとても頼めた義理ではありませんが、ベラの言う通りなんです。今の俺は…女として
扱われなければどうにかなってしまいそうで…」
まだ完全でないとはいえ、心までが女になりかけているのがはっきりと分かった。満たされきっては
いない身体が夏目を友人ではなく男だと認識した途端に疼き出す。感情や理性などではもうどうしよう
もなくなっていた。
そんな異変を真っ先に察したのはベラだった。
「…ああ、その気になってきたんだね。可哀想に」
既に身体に力が入らなくなっているベムを掻き抱いて、髪を撫でてくる。温かい胸に身を預けていると
何だかベロにでもなったようで安心出来た。
「ベラ…」
「分かってるよ、ベム…あたしが何とかするから」
「…あのう」
二人の様子に尋常ではないものを感じた夏目が、おずおずと声をかけてくる。
「もしかしたら、ベムさんは一刻の猶予もない…つまり、そういう状態なんですか?」
「当たり前だろう、鈍い男だねえ。だからこそ一番親しい人間のあんたに恥を忍んで頼んでるんだ。
それとも何かい、ベムが切羽詰まってつい他の男とそうなってうっかり変身でもしたら…てな事態を
考えられないのかい?一番ベムの精神的な負担が少ないのはあんたが相手になることなんだよ」
母親のようにベムの髪を撫でながら、ベラは胸の中に残っているものを次々と吐き捨てた。
「…それは…でもベムさんがそれを望むのであれば、俺は……だけどベラさんはそれで、それでも
いいんですか?」

245 :
動揺の極みに陥りながらも、夏目は辛うじて矜持を繋いでいる。普通であればこんなことには決して
なり得なかっただろう。ずっとベラと睦み合っていればそれで良かった。
しかし、その危うい平穏はもう崩れてしまった。
ベラは唇をわずかに歪めて嗤う。
「あたしは別に構わないねえ、ベムはどんなになってもベムさ。女になっちまって男を欲しがってるの
ならあたしの力の及ばないことなんで協力するまでのこと。それだけなのさ」
この情の厚い女の内心は恐らく忸怩たるものだろう。表情からもそれが読み取れたが、今はその情に
縋るしかないのだ。
ベラに抱きついて力の入らない身体を必で堪えながら、震える声を絞り出す。
「夏目さんなら、俺はきっと動揺せずに済むと思います…お願いですから」
これが最後だ、と思った。これほど浅ましく恥知らずな頼みなど受け入れられなくても仕方がない。
ひどく長い沈黙の時間が空虚に過ぎて、そんな諦めが心の中に兆した頃にようやく夏目は乾いた喉
から声を発した。
声はかさかさに乾ききっている。
「俺は、なおちゃんが一番大事です。裏切る気はありません…だけどベムさんが今の状態で支障が
あって俺が助ける必要があるのなら、それはしなければいけないことなのだと…思います」
長い葛藤があっただろう。その末の苦しい選択を聞いてベムは目を見開いてぎこちなく機械にでも
なったように夏目を見た。
「夏目さん」
「…ふふっ、それでいいんだ。よく決心したねえ」
「ベムさんは大事な友人です、困っていたら助けるのは当然です」
どう言えば最善なのか、言葉を選んでいる様子が分かった。こんな展開はどちらにとっても必ずしも
望むものではない。ただ言葉通りに必要性があるから、というのみだ。
だからある程度理解を得られてもやはり戸惑いしか生じない。
それでも承諾して貰えたことにやっと安堵を覚えて、ベムは深々と頭を下げた。
「ありがとうございます、感謝します」
奇妙なものだ。
ベラと睦み合っていた頃ならそこに確かな感情があった。しなやかな肢体を腕の中に掻き抱くだけで
限りない欲情が掻き立てられたし、互いに高め合うことだけに没頭出来た。こんな風に躊躇し、惑い
ながら始める行為などに意味があるのだろうか。
ただ自分の身勝手に、無関係な者を巻き込んでいるだけではとも考えたが、他にもっと良い手段など
もう思いつかなかった。

246 :
その夜。
最近優以が新しいゲームを買って貰ったというので、遊びに来ていたベロは見た瞬間すっかり夢中に
なってしまった。
「簡単だからすぐにベロくんも上手くなるよ、一緒にやろ」
「うん!」
両親に似て優しい優以はいつ訪れてもベロの面倒見がとても良かった。それに甘えてしまうこともベム
には心苦しかったのだが、それよりももっと胸が痛んだのが夏目の妻に対してだった。きっとベロは
ゲームのことしか頭になくなって今夜は帰りたがらなくなる。だったら預かるから安心して下さいねと
夏目の優しい妻は言うに違いない。
リビングのソファーに座って極力いつもの通りに振る舞いながら、ベムはこのように人を陥れる真似を
していることに必で耐えていた。
「ふふ、首尾良くいってるじゃないか」
隣に座るベラが、悠然と食後のコーヒーを飲みながら小声で囁いてくる。
優以の新しいゲームのことを言ったのは、もちろん夏目だ。今夜の淫らで罪深い企てを遂行する為
にはどうしてもベロが不在でなければいけなかった。その為だけの三人揃っての訪問だった。
「ベロくん、楽しそうね。もう遅いし今夜は帰らせるの可哀想」
夕食の片付けも一段落して、仲良く遊ぶ子供たちを微笑みながら眺めていた夏目の妻がこちらの
企みを知ることもなく、そう呟いた。
「このゲーム面白いもんねー、泊まってったらまだずっと遊べるよ。ベロくん」
「えー、オイラもっと遊びたいよお」
やはり何も知らない子供たちも、無邪気に同調する。
「ベロ、わがまま言うんじゃないよ」
心底困った子だとでもいうようにベラが大袈裟な溜息をついた。欠片もそう思っていないのに随分な
演技をするものだと思う。ベムはさすがにそこまでは出来なかった。何か問われればしどろもどろに
なっていたことだろう。
「まあ、ベラさんたら。子供って一度夢中になったら止められないのよ」
夏目の妻はくすくすと笑いながらコーヒーのお代わりを勧めてくる。
「だって、そうじゃないか。ベロはいつもそうやってあたしたちを振り回すんだ」
「いいじゃないですか。それが子供でしょう?」
仲の良い夫婦は似てくるものだという。確かにどちらが先に影響されたか分からないほど、夏目の
優しさとそっくり同じだった。そこには長年の信頼と愛情があるからだろう。
また、胸が痛んだ。

247 :
「ベムさん、どこかお加減悪いの?」
何も知らぬからこそ聖女のように、夏目の妻は首を傾げた。
「え、いえ…何でもありません」
「そう?体調が崩れやすい時期だからお気をつけて」
夏目本人は今夜急な仕事があるということになっていて、夕方から不在だ。あってはいけないことが
これから起ころうとしているが、ただ一度だけの裏切りだからどうか許して欲しい。そう念じて砕けそうに
なっている心を宥めるしかなかった。
夏目の妻と優以に甘える形で、今夜はベロを預かって貰うことになった。
何もかも当初から目論んでいた通りだとはいえ、やはりベムの気は晴れない。夏目家を出て廃船に
戻る道すがらも足が重いままだ。
「何を今更、もうこうなったら仕方ないじゃないか」
そんな不甲斐ないベムの様子にやや腹立たしさを感じているのか、ベラは語調を強めてずんずんと
先を歩いて行く。
「そうか、仕方ない…んだな」
足を運び始めながら見上げた夜空はひたすらに黒い。
月どころか星もない空はこれまで見た中で最も黒く澱んでいるようだった。
廃船の甲板で、夏目は柵に腰を下ろして身動きひとつしていなかった。ただ静かに錆びついた足元の
辺りを凝視している。
この期に及んでもまだ困惑しているのは嫌というほど分かった。二人の気配でようやく上げた顔には
無理やり笑顔を浮かべているのが痛々しい。
「夏目さん、いらして頂けて嬉しいです」
「俺の方こそ…これでベムさんが少しでも助かるのであれば」
「恐縮です」
緊張しているせいか普段以上に堅苦しい会話になっている二人を見かねて、ベラが勢い良く背中を
押してきた。
「焦れったい、さっさと行きな」
「あっ…」
加減の一切ない力を受けて、思わずよろけて錆びた床につまづいた。反射的に手をついて座り込んで
しまったベムの目の前に差し出された大きな手はわずかに震えていた。
「大丈夫ですか?」
「ええ、何ともありません」
この手を取ったら二度と引き返せない。分かりきっていることが頭の中で渦を巻いていたが、今更立ち
止まってはいられなかった。
全ては身から出た錆でしかない。

248 :
ベラが腕組みをして見守っている前で、ベムは恐る恐る夏目の手を取った。
「…ふふっ」
辛うじて聞き取れるほどの、微かなベラの笑い声が耳に届く。何も考えないようにして抱き込んでくる
腕に身を任せた。ふと夜空を見上げようとしたのだが思いがけず強く匂う夏目の体臭に男を強く感じて、
意識が全部絡め取られる。
抱き締められた途端に、女として欲情してしまったのだ。
「今は何もかも、忘れて下さい。俺もそうします」
囁かれる硬い声すらもう耳には別の意味として流れ込んできた。
「…そうですね、忘れましょう」
どのみち今夜一度きりのことだ、種族も立場も関係ないただの男と女になってこの時を愉しめれば
それでいい。うっとりと目を閉じかけたベムの髪が後ろからするりと解かれた。ベラの長い指が頬を
撫でる。
「さ、とくと女であることを堪能するんだね」
そのまま無防備になっていた首筋に滑らされる舌を感じて、身体が跳ね上がる。
「あっ…」
「甘いよ、ベム。このあたしがただ指咥えて見てるとでも思ってたのかい?こんな面白いコトはそう
ないからねえ」
挑発的な物言いをしながらもベラの両手はステッキと帽子を下に落とし、上着を脱がせて服の下に
潜っていく。
「か…からかうな」
思わぬことにやや慌てたベムだったが、何もかも承知のようにベラの動きは正確だった。服の下で
直接乳房を揉まれて身体の芯が一層熱くなる。
「あ…ぁっ」
思わず縋りついていた夏目から身を逸らすと、見せつけるように服がめくり上げられて乳房が外気に
晒された。それはまだ慣れてはいず、周知のあまり必で抵抗をしたのだがベラの力には敵わな
かった。
「やめろっ」
「ほうら夏目、可愛いモンだろ。今のベムはこの通り完全に女さ」
服も脱がされ、わざと夏目の前に突き出す形でまた乳房がゆっくりと揉みしだかれた。既に快感を
貪欲に欲しがっている身体にそんなことをされたら堪らない。下腹からずくずくとこれまで感じたことも
ないほど激しい疼きが駆け上がってくる。
「も…やめてくれ、ベラ…我慢が…」
「おや」
緩く身を捩って懸命に逃れようとするベムを夏目が宥めるように抱き締めた。そして怖くないからと
背中や肩の鱗を撫でる。

249 :
「…夏目さん」
「落ち着いて下さい、きっと俺が悪くないようにしますから」
よほど弱々しく見えたのだろう、夏目は目を合わせて力強く頷く。先程よりは戸惑いが少しだけ影を
潜めているのが見て取れて、それがベムの気持ちを静めた。しかし身体の方はますます熱を帯びて
いく。
「あ、ぅぅっ…」
未知の快感が次第に精神と身体を支配していく感覚が堪らない。その恐怖はまだどこかに残っていて
涙が一筋二筋と零れ落ちた。その水滴を夏目の唇が吸い取る。心地良さに恍惚としていると半端に
開いたままだった唇が塞がれた。
また新しい涙が零れる。
「ベムさん、本当に綺麗ですよ…」
「…そ、んな…こと」
ある程度時間が経ったこともあって、少しだけ張り詰めきっていた気持ちが緩む。それでも出来るだけ
笑みを浮かべるのが精一杯だった。その間もベラの密やかな笑い声が絶え間なく髪を震わせ、耳を
痺れさせる。
このまま、気が遠くなってしまいそうだった。
乾いた指先で乳首が緩く押し潰され、最初はただ乳房を撫でるだけだった手の動きが次第に乱暴とも
言えるものになっていく。それが更に身体を燃え上がらせた。
「あ、ぁ…」
「ベムさん、あなたは何でこんなに…」
ずっと辛うじて矜持を保ってきていた夏目の様子もまたベムの淫らさに煽られるように変化を遂げて
いた。余計なことなど考えることのない、ただの男と女になっていく。それを実感した途端に一層肌が
潤みを増した。
「もっと…触って下さい…」
「もちろんです、幾らでも」
快感に浸りきって誘惑をするベムの脳裏からは、最初の頃にあった後悔や罪悪感などのものなど
欠片もなくなっていた。今この時を心ゆくままに過ごせればそれで良かった。ここにいる三人が全て
そんな陶酔の魔に囚われて、正気を見失っている。
「…ベラ」
優しい男に存分に乳房を弄ばれ吸われながら、不意に甘く馨しい髪の香につられて顔を向けると
美しい女が満開の赤い花のように嫣然と笑っていた。
「いい顔だねえ、ベム。あんたのような堅苦しい奴はずっとそうしてなよ」
「…お前、も欲しい…」
「ふふ…っ、欲張りなことだ。でも悪くないか」

250 :
涙と汗で濡れた頬をするすると撫でられ、唇を噛み合わせて気の済むまで唾液を交わす。夏目と
ベラ、一体どちらを抱いているのか、どちらに抱かれているのか分からなくなるほど感極まった身体が
更に妖しい変容を始める。
「夏目さん、…俺、にもさせて下さい…」
「え?」
二人の手で練られて淫らに作り上げられた女が、妖しく笑った。欲望にいざなわれるように膝立ちに
なると、ためらうこともなく目の前にあるスラックスに手をかけた。
「ベムさん、それは」
「いいんです、したくなりました」
思わず制止しようとした夏目を見上げて薄く笑いながら、生地を押し上げてしきりに存在を主張して
いる熱く硬い一物を曝け出すと目を閉じて頬を摺り寄せた。
「…素敵です、こんなになって下さって…」
うっとりとした声が喉から漏れた。
早くこれが欲しい。今のベムはすっかり本能だけが剥き出しになった浅ましく無心な女だった。手の
中に握った硬く脈を打つものがとても愛しい、出来る限り気持ち良くなって欲しい。そんな思いだけが
突き上げてくる。
「ン…」
舌を伸ばしてぬめった先端に触れた途端に、それは単体で生きてでもいるようにびくびくと震えた。
その反応が嬉しかった。拙い愛戯に感じてくれていると思うだけでもっと奉仕をしたくなる。
女はみんなこうなのだろうか。
愛おしくて丹念に先端の周囲をぐるりと舐め上げながら手の力を緩めて何度も扱く。その度に新しい
反応が返ってくる。まだ始めたばかりなのに限界が近いのだろう、焦ったような夏目の声が聞こえて
くる。
「…ベムさん、そんなにしたら」
押し留めようとしているのか、髪に指先が絡んできた。こんないいところで止められたくなくて一気に
口に含み込む。勢いがついていたせいか喉奥に猛々しくいきり立ったものが突き当たって、激しい
嘔吐感がせり上がってきた。しかしそれ以上に快感に支配されているベムにとってはそんなものなど
どうでも良かった。
ただ、自分たちの正体を知ってもなお親しくしてくれる、この優しい男にもっと淫らで執拗な奉仕をして
悦ばせたい。もっと感じ入って欲しい。ただそれだけが頭の中にあるだけだった。指や口腔内で扱き
上げている間もそれはどんどん膨張していく。
「ベムさん、お願いですから、もう」
先程よりもかなり切羽詰った声が聞こえたが、それでもベムは咥えながら上目遣いできっぱりと拒否の
意を示した。

251 :
「…洒落に、なりませんから…」
「ふふっ、ベムはコレが好きなんだろうねえ」
しばらく見守っていたベラが、また行動を開始した。無防備になっていた背中に舌の感触がするりと
滑り落ちる。
「んぅぅ…っ」
極限まで敏感になっていた身体は、それだけで激しく震えた。
「気持ち、いいんだね。じゃあこれはどうだい」
言いながらもしなやかな指が戯れに身体を這い回り、やがてまだ履いたままで腰を締め付けていた
ものを緩めてくる。革生地の下で完全に濡れそぼっていた部分がようやく晒された。さっさと脱がせに
かかるベラの手つきはやたら的確だ。
「そら、脚をお抜きよ。今のあんたは裸でいるのが相応さね」
「…ぅ」
夏目に奉仕を続ける不自由な体勢で全部脱がされ、途端に羞恥が一瞬にして蘇る。しかし。
「離れて、下さい…ベムさん!」
焦っているせいもあって乱暴に髪が掴まれ、引き剥がされそうになった。ずっと耐えていたとはいえ
限界が訪れたのだろう。それでもベムは離れなかった。
「早く、離れ…!」
上擦った声と共に、一杯に頬張っていたものが激しく痙攣して一気に弾ける。
「ぐっ!」
放たれたものは全て飲み込むつもりだったが、あまりの量にとても受け止めきれず白濁が顎から喉、
胸元をべったりと濡らしていく。
「ああ…すみません」
「いえ、構いません。それより…」
顔や身体を濡らしているものがどれだけ自分を淫らに見せているのか、考えるだけで震えが来るほど
感じてしまう。荒い呼吸で肩が波打ち、声も途切れがちになった。それでも女としての欲求は際限なく
膨れ上がっていく。
「夏目さんが、欲しいのです……」
「ふふふっ」
ドレスを脱いで裸になったベラが後ろから抱きかかえて甲板に座り込んだ。そして腕を伸ばして膝を
開かせる。
「もっと脚を開きなよ、ベム…あんたの一番可愛いトコを存分に見せておやり」
「ああ…」

252 :
ベラの柔らかく豊かな乳房が背中に当たっている。すっかり馴染みきっている感触なだけに安堵を
感じて、ふっとベムは微笑んだ。しなやかな長い指が下腹を這い回って触れられないままだった箇所を
探る。かつてはそこに男そのものの一物があった。
今となっては夢の夢にしか思えない。
指がわざと膨れ上がったクリトリスを摘み、焦れったく爪先で擦り上げてくる。もう限界まで追い上げ
られている身体はそれだけの刺激でもびくびくと切ないほど震えた。思わず自分でも手を伸ばして
自慰でもするように蕩けきっているそこを開き、指を差し入れて感じる部分を探して膣壁をあちこち
擦り続けた。
「ンッ…」
「随分な濡れようだねえ…」
満足そうに笑うベラの唇が髪に頬にと気紛れに触れる。花に引き寄せられるように唇を重ねて夢中で
舌を吸った。
「さ、夏目…あんたの番だよ。ベムをちゃんと女にしてやりな」
二人の女のあまりの嬌態に目を奪われている男に目を転じたベラは、それだけ言うと呆気なく身体を
離して傍らに座り込んだ。
「夏目さん、早く…」
錆びた甲板に身を横たえ、ベムは片手を差し伸べて優しい男を呼んだ。女たちを眺めているうちに
堪らなくなったのだろう、身につけているものを全部脱いだ夏目が屈んで頬を撫でてきた。もう片方の
手が再び勃ち上がった一物を扱いている。
「分かりました…いきますよ。ベムさん」
熱を孕んで上擦る声は完全に欲望に支配されている。自分も、ベラも、皆同じなのが嬉しくて微笑み
ながらまた涙が溢れた。ようやく全てのものが遮る壁を越えたように思えた。
涙で目が霞んで閉じかけた時、刺激を待ち詫びていた膣口に硬いものが押し当てられる。あまりの
衝撃に息が止まりそうになった。
「ゆっくり…しますから」
「あ…うぅっ」
宥める声がひどく穏やかで優しい。なのにゆっくりと侵入してくるものは想像もつかなかったほど猛々
しく、経験のないベムの内部を容赦なく切り裂いた。
膣内は充分に濡れそぼって蕩けている筈なのに、この凄まじい質量はとても受け止めきれない。
「んくっ…ぁぁあっ…」
ゆっくりとはいえ、信じられない激痛にベムは必で喘いだ。甲板を爪で引っ掻き、髪を振り乱して
無意識にこの場から逃れようと足掻く。
「もう、少しですから」
この期に及んでもう逃がす気もないのだろう。うつろに浮き上がる身体が夏目にしっかりと抱き竦め
られて腰を固定される。

253 :
苦痛が長引くのを感じて耐え切れずに強く目を閉じている間、とても長い時間が経ったような錯覚が
あった。
やがて全てを収めてから、ほっと息をついた男が話しかけてきた。
「苦しいでしょう、でも、これが男と女なんです」
「…そう、ですね…」
女の身体の中をはちきれるばかりに満たすものの存在があまりに苦しくて、わずかに身を捩るだけ
でも新たな苦痛が生まれて、今にも絶命してしまいそうな感覚だった。それでも、出ない声を無理に
絞り出してベムは微かに笑った。
次の瞬間。
「そろそろ、動きますよ」
ずる、と腰を引かれて痛みで喉が引き攣る。
「ひぁ…」
「すみません、でも我慢が出来ないんです」
今まで初めてのベムの為に随分耐えていたのが爆発したのだろう、ずっと優しくしてくれた夏目が
豹変した。最初の何回かはまだ比較的緩やかな突き上げだったものの、すぐに激しく未熟な内部を
打ち壊すほどの動きでベムを支配していく。
「やっ、ああああ!!」
メチャクチャに翻弄され、激しい苦痛で思考がぶつ切りにされる。それでも伸ばした腕はしっかりと
優しい男を抱き締めていた。
「ベムさん…」
「あぁ…もっと、して下さい…」
息も絶えだえになりながらうわ言のように呟くベムには、正気などもう残っていなかった。ただ本能
のみが苦痛を超越して暴れ回っている。
まだ快感など感じられなくても、それで充分だった。
最初から限界が近かったせいで、この激しく甘美な嵐のような時間が間もなく終わりを告げようとして
いる。突きの間隔が短くなった後、追い詰められたように夏目が身体を震わせて喘いだ。穏やかな光を
宿していた眼差しは獣のように猛り狂っている。
「離れ、て下さい!」
「…嫌です。全、部俺の中に…」
射精する直前に身体を離そうとした男を強く抱き寄せ、脚を絡めて引き留める。幾ら女とはいえ妖怪の
力に、人間の男が抵抗出来る筈もなかった。
「あっ…」
あえなく膣内を叩いていく精の熱い感覚に、ベムは妖しく笑った。女とはこんなに良い思いをしている
のだと思うと堪らない。このまま男に戻れないとしても、構わなかった。女でいる時間の何と素晴らしく
魅惑的なことか。
以前ベラが女になった途端に目覚ましい速さでそれまで以上の美を発散し始めたように、自分もまた
奇跡の女になれるのだ。
その実感が身体を満たしていく。

254 :
「…ベムさん、本当にすみません」
少し時間が経った後、明らかに落ち込んでいる夏目がそこにいた。
「何故ですか」
なかなか引かない熱を持て余して、まだ甲板に寝そべっているベムが悪戯っぽい笑いで答える。
「だって、その…色々と乱暴にしちゃったし」
「構いません、そうして欲しいと言ったのは俺ですから。それに」
乱れた髪を掻き上げてゆっくりと身を起こしたベムは、以前の儚げな雰囲気ではなくなっていた。内部
から確実に何かが変わっている。
「俺はまだ満足していないんです…もう一度、お願い出来ますか」
「えっ?」
「女になると、こんなに気持ちがいいなんて…思わなかったんです」
立ち上がって近付くなり、夏目を押し倒すとわずかに勃ちかけているものを握った。ぺろりと先端を
舐めるうちにまた鎮まりきれなかった身体の熱が立ち戻る。
「ちょっと、ベムさん」
「今夜はまだ明けていないんです。いいですよね?」
また面白いことになってきた、としばらく事の成り行きを静観していたベラもすかさず寄って来る。人
ならぬ女たちの美しく妖艶な笑みに射抜かれたのか、夏目は声も出せないようだった。その代わり
のように握った一物が急激に硬さと大きさを増していく。
「現金なモンだ、すぐこんなにしてさ。そんなに女のベムは快かったかい?」
からかうようなベラの声が妙に柔らかい。
「今度は俺がします…夏目さんは何もしなくていいですよ」
一度抱かれたことで要領が何となく分かった。今度は何もかも自分からしてみたい。そんな思いで
更に丹念を重ね、手の中にあるものを大きく育んでいく。程なくしてそれは望む通りの大きさを取り戻し、
女たちを喜ばせた。
「夏目さん、いいですね」
一体何が起こるのかと黙ってされるがままになっている男を見下ろして、ベムは凄絶なほど妖艶に
微笑んだ。この恍惚の時をもっと何度でも感じたい。目くるめくような快感がこの先にあることをもう
知っていることがベムをより大胆にさせた。
一刻も早く欲しくて、焦らすことも忘れて跨った。垂直に据えた一物の上に腰を下ろそうとした途端、
先端が指で開いた膣口に擦れるぴりっとした刺激が背筋を突き抜ける。
「あ…うっ」
甘い声が喉から零れた。

255 :
こんなものより、もっと深く、大きい快感がある。早くそれに浸りたくて、息を荒げて肌をわななかせ
ながらそろそろと腰を沈めていった。この侵入を男任せにするのと、自分からするのではやはり大きな
違いがある。熱く硬いものが擦れて熱を生み出す箇所まで全く異なるようで、それがベムを余計に
喘がせ、乱れさせた。
「…ああ、すご、いっ…」
愛しい物体を全て膣内に収めた後は、限りない陶酔と淫熱のひとときが待っていた。最初に感じた
苦痛は確かにまだ擦れる度に湧き上がったが、もう気にはならない。むしろ、より快感を引き出す為の
段階のように思えて夢中で腰を振り上げた。
「…ぅあっ!」
腰を入れる度に奥の奥まで突き当たる感覚が堪らない。ベムは完全に女でいることを堪能しきって
いた。月のない夜に光を弾く銀髪を振り乱して喘ぐ女の姿は何とも扇情的で、しばらくされるがままに
なっていた男が遂に煽られて動き出した。
「あ…やっ」
「ベムさん、あなたはとても素敵ですよ」
自在に跳ねる腰を掴んで下から打ち付ける度、小さな嬌声を上げて身をくねらせる姿は銀色の焔の
ようだった。
「ベム、随分なお愉しみようだねえ」
嬌態がよほど面白いのかくすくすと笑いながら、ベラがうっすらと汗を刷いた乳房を揉んでくる。男の
上で腰を振りながらうっとりとした顔で、ベムは腕を回して美しい女を抱き寄せた。ねっとりと深く舌を
絡ませ合う度に揉まれている乳房に尖った爪が突き刺さる。しかし既にそれは単なる刺激の一つで
しかなくなっていた。
痛みも苦しみもない、法悦の中にいる。
「う…んっ…」
「可愛いねえ…ベム」
「次は…お前だ…っ」
激しく揺さぶられながら、感極まった声が漏れる。そろそろ二度目が終わろうとしていた。傍らの女が
所在なく彷徨っている手を握り、より妖しい含みのある笑みを浮かべて見守っている。
「ああ、そうさ。こんないいコトを見せつけられちゃあね」
くすくすと笑う視線の先には夏目がいた。
「あんたの悦び方を見る限りじゃ、人間の男は相当イイみたいだ」
「…そ、うだ…夏目さんは、とても快くしてくれる…だからお前も…」
「ふふふっ、楽しみだ。ねえ夏目」
「……えっ」
この成り行きに驚いて目を見開く男に構うことなく、二人はまた唇を重ねた。
微笑みながら女たちが見交わしている眼差しの奥には、まだ決して醒めることのない欲望が黒く濃く
渦巻いている。その尽きなさは人ならぬ者ゆえか。
短夜の夏とはいえ、この夜が明けるまでにはまだかなりの時間がある。この淫らな宴はそれまで当分
終わりそうもなかった。

256 :
数日後の午後、ベロを遊ばせる為に公園に行くと夏目に会った。
どこか気まずいような顔をしているのは多分ベムも同様だ。
「ベムさん」
「こんにちは、今日も暑いですね」
「はい、本当に」
まだ太陽が高いせいか、公園で遊んでいる子供たちは少なかった。それでも一人で元気に遊んでいる
ベロを眺めながら、二人は肩を並べて座る。
「この間は色々とすみませんでした」
正面を向いたまま、夏目が話しかけてくる。
「…いいえ、俺たちの方こそ御迷惑ばかりお掛けしてしまいまして」
「そんなことはありません…」
交わす言葉はいつもの穏やかな遣り取りだ。
あれだけの狂瀾の夜が明けてからは、気が済んだのか夏目もベムもまるで憑き物が落ちたように
元に戻っていた。ただし、ベムは相変わらず女のままでいる。こうなったらもう戻るすべもないのだが、
別段不都合もない。
「あなた方にこれから何があっても、俺は味方でいます。だから安心して下さい」
急にそんなことを言われて、つい間の抜けた顔をしてしまった。
「え?」
「えーと、その」
あの夜のことは忘れようとしても忘れられる筈がない。今後どう付き合っていけばいいのか夏目なりに
考えたのだろう。その試行錯誤が短い言葉の中に見えて、律儀さに微笑ましくなった。
「そうですね、ありがとうございます」
日差しが暑いのか、頬が熱いのか分からなくなってベムは帽子をより目深に被る。
「また…あんなことがあったら必ず俺に言って下さい」
その言葉だけは聞き取れない振りをしてわざと返事をしなかったが、それでいいと思った。
細い夕月に暈がかかっている深夜のこと。
「バイトかったりーな」
コンビニでバイトを終えた帰路、何となく夜空を見上げながら山田は呟いた。出所してからはベムと
夏目の力添えで真面目に働くようにはなったが、自堕落だった昔の癖がまだ完全には抜けきって
いない。
「辞めてぇけど、夏目さんの口利きだしなあ…第一兄貴にバレたら今度こそヤバいわな」
溜息をつきながらとぼとぼ歩く影が街灯に照らされて長く伸びる。
「あー、何か借りてえ。そろそろAV新作出てっかなあ…」
そう呟きながら伸びをしようとした時、目の前に黒い影がひらりと舞い降りた。

257 :
「ぅわっ!」
驚いて腰を抜かしそうになったが、虚勢で声を張り上げた。
「何だよてめえ!俺を誰だと思っ…」
黒い影の人物はにやっと笑ったように見えて、それが余計に不気味だった。本能的な恐怖を感じて
後じさりしようとしたが、物凄い力で地面に引き倒される。
「いってぇ…」
したたかに頭を打ってくらくら目眩がしたが、黒い影はお構いなしにのしかかってくる。そして履いて
いるジーンズの股間を難なくくつろげた。
「え、ちょっと待…何してんだよ触んな!」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ山田に構わず、不意にやって来た黒い影は休むことなく作業を続けている。絶妙な
力加減で握られ、巧みで繊細な舌遣いで丹念に舐め上げられて、欲求がかなり溜まっていた一物は
簡単に大きくなった。
「まさかてめえ…えっ?」
暈のかかった月にぼんやり照らされた顔は、驚くほど美しい女だった。
夜勤があったので署に詰めて書類整理をしていた夏目の携帯が、その時不意に鳴った。
「はい夏目です」
『夏目さん…俺襲われちまったよぉ…』
山田からだった。
「こんな時間にどうした」
『だからさっき、誰だか分かんない女に襲われてさあ…もう婿に行けないっての』
「いいから簡潔に話してみるんだ」
確かについさっきその女に遭遇したのだろう、言葉はあまり要領を得なかったがその場の緊迫感
だけはひしひしと伝わってきた。しかし、次の山田の発言で思わず絶句する羽目になった。
『あんま顔とか見れなかったけど、なんか兄貴に似てたなあ…でもメッチャいい女でさあ…』
「え…?」
夜ごと月が形を変えるように、銀髪の妖怪の女もまた華麗な変容を遂げる。突如として開花した
妖艶さに引き寄せられ、自ら望んで絡め取られる男たちは束の間の淫らな夢を見る。




258 :
オチは元々公園シーンの筈だったけど、急に思いついて別パターンを追加
とりあえず山田スマン

259 :
あ、書き忘れ
これで終わりな、続きはない
俺がぬわ

260 :
GJ!
銀髪美女の処女喪失キタ
夏目が裏山

261 :
わー、続き来てた
GJ!

262 :
色白銀髪美人で処女とか…たまらんばい

263 :
次にヤるとしたら夏目は律儀にゴム持参だろうが、すぐ足りなくなること請け合いだ

264 :
美女二人相手とは夏目なかなかやるな

265 :
その分、思っくそ絞り取られそうだけどな

266 :
永遠に年も取らなきゃ綺麗なままで生きる美女二人とのプレイか
一体どんな孝徳を積んだらそんないい思いが出来るんだよ

267 :
「ベムさん、今度からはこれ使いましょう」
とゴムを出す夏目
しかしベムには全く通じていなかった
「そんなものは必要ないでしょう、俺たちは孕みませんから」
「いや、そういうことじゃなくて、何というか人道的というかモラルが…」
「つけない方が気持ちがいいと聞きましたけど」
寄り切りで夏目の負け

268 :
とりあえず、夏の間に書くつもりだったけど時期外れになりつつあるネタをざっくりと
地味な過去話でもあるから日の目を見ない可能性があったし

269 :
夏の終わりの夜は妙に甘く重い香が漂う。
「…おや」
睦み合うのに夢中になっていると、ふとベラが正気に返ったように顔を上げた。
「どうした」
「何でもないよ、ただ…」
確証のないことは決して口に出さない女だ、草叢に横たわりながら視線をしきりに泳がせるベラの
表情が定まりきらない。
「良からぬことが起こりそうな気がしただけさ」
二人のいる場所からほど近い講堂には白い灯りがあり、そこでは念仏のような声が夜を徹して低く
続いていた。
集う者たちの声に波はなくただ互いに何やら捻り出した怪談をぽつりぽつりと語る。所謂、百物語と
いう奴だ。語り終えたら最後、恐ろしい怪が現れるといわれる。
それであの人間たちに悲劇が訪れようと、夏の夜長の慰みとして望んでやっていることであるなら、
ベムたちが何か手助けをする必要もない。
ベラの醒めた目はそう語っていた。
「あたしたちには関係ないのさ、だろう?」
乱れた髪を掻き上げて、女は気怠そうな声を出した。
どこか気掛かりではあったが、今のベムにとっては賛同するしかなかった。
夜が明ける頃、ようやく百の怪談を語り終えたのだろうか。声はぱたりと止んだ。その代わりに苦悶の
極みのような声が地響きのようにうねりを上げる。
「…何だ、あれは」
女の乳房の上でとろとろとまどろんでいたベムが思わず起き上がってしまうほど、その声は極めて
異様だった。講堂の中にいる者たちは恐らく十人足らず。しかし、その倍も三倍もいるかと思うほどに
わんわんと響いていた。
何かが起こっているのは間違いない。
ならば駆けつけるのが当然だろうと判断して、身支度もそこそこに講堂に向かう。
「あんたも難儀な性分だねえ」
呆れているのだろう、ベラの声が背後で聞こえた。
講堂に入ったベムが見たものは、見たこともない恐ろしい化け物に無残にも喉首を噛みきられ、絶命
している人間たち。そしてその鉤爪に捉えられて今まさにを迎えんとする一人の男だった。男の
両目は恐怖で一杯に見開かれている。
「助けてくれぇ…」

270 :
ベムを見てほっとしたのか、情けない声を上げている男の喉が瞬時に切り裂かれて鮮血がどうと飛び
散った。
「やめろ!」
為す術もないまま愕然と佇むベムの前で、その場にいた全員をして気が済んだのか化け物は満足
そうに大口を開けてからからと笑うと、呆気なく掻き消えた。
化け物の風体は得体が知れないながら馬のようにも見えて、そこが妙に引っ掛かった。もしかしたら
最後に語り終えた者の干支は子だったのかも知れないと思った。
向かい干支というものがある。
人間が生まれながらに持つ干支とは全く逆の意味を持つ。
複雑多岐に渡る人間そのものの本質がそこに凝縮されているのではないだろうか。どんなに取り澄ま
していても全く別の姿が本性だったりすることも珍しくはない。それが百物語を語ることでより凶悪化
して具現化したとしたなら、理屈は通じる。
ただ、この人間たちにとっての不幸は、化け物が現れることを予測し得なかったことだ。本当に夏の
夜の時間潰しのつもりだったのだろう。
「ベム」
まだ呆然としていたベムの肩を、ベラが叩いた。
「いつまでもこんなトコにいるもんじゃないよ、下手したらあたしたちが疑われる」
足元には累々たる体が転がっているだけだ。この場で何が起こったのかを誰も知ることは出来ない
だろう。
「そうだな…ベラ」
二人には何も関係がない。ただ通りかかっただけ、さらりとここを見ただけだ。さっさと背を向ける女を
追うようにベムも酸鼻を極める現場となった講堂から出た。
明け方の空気は驚くほど肌に冷たく、秋の気配を漂わせていた。思わず上着の襟元を掻き合わせて
薄い鉛色の空を見上げる。




271 :
GJ!

272 :
映画でベラ様の半裸シーンまた出てこないかなあ
全裸でも嬉しいですけど

273 :
そりゃ出るだろ
ドラマでもほぼ毎回あったぐらい、お約束の場面だ
女性ファン向けにベムの半裸
男性ファン向けにベラ様の半裸
それぐらいやらないとサービスにならないしな

274 :
ベラ様のおっぱいが映画化に伴ってメガ盛りっぽくなってる件について

275 :
ベラ様が一生懸命に寄せて上げています

276 :
むしろベムが毎晩揉みまくってるとかな

277 :
色んな男に揉まれているのかもしれん

278 :
それはそれで美味しいが、約一人気立ちそうだなw

279 :
面倒臭え奴だなベムw

280 :
なんにせよ映画が楽しみだよ
妄想を掻き立てられるようなシーンがあったらいいなあ

281 :
せっかく映画では新キャラの女が出てくるんだから、そこは何とか色々と…

282 :
映画は女版シザーハンズだ
かなりSMチックになる

283 :
美人だから、そこは何とかなるだろう

284 :
あれからのこと。
何度目かに辿りついた街は風がいつも強く吹いていた。
異形の者たちを拒むように。
『夢など見るんじゃなかった』
生まれ故郷を離れる選択をしたベムは、一度だけそう言った。
優しい人間たちと出会って思い掛けなくたくさんの出来事を経験したことで、以前にも増して人間に
なりたい思いが増大していたからこそ、余計に全てを失っていつもと同じく別の地へと逃げるように
去る自らの境遇に寂寥を感じたのか。
そんなことは、最初から分かっていた筈だ。
『あんたはつくづく、損な性分だねえ』
特別茶化すこともせず、ベラは忍んで乗り込んだトラックの荷台から次第に離れていく生まれ故郷を
しばらく見守っているベムにそう言った。
『かも、知れないな…』
強く、弱く、愚かな男は噛み締めるように言葉を返してから以後はただ黙り込んだ。
あれから何度か幾つかの街に立ち寄ったが、やはり結果的に数日のうちに大なり小なり嫌な思いを
する羽目になって立ち去ることを繰り返した。
果たしてこの街では、どうなのだろう。
「ここ、風の音がするね」
再び放浪を続ける日々の中で、初めてベロが少しだけ子供らしい明るい声を出した。
誰も近付くことのない打ち捨てられた廃灯台をしばらくの根城にすることにした三人にとって、ここが
少しでも長い定住の地となるかどうかはまだ何も分からなかった。人に関わればいいのか、または
全く関わることなく陰に徹すればいいのか、あの懐かしく優しい浅津の街にいたことでまた判断する
決心が鈍りつつある。
「そうだねえ、ここはやたらと風が鳴るよ」
乱れかけた髪を風に流して、ベラはあくまでも青く澄んだ空と海を眺める振りをした。視界の端では
相変わらずだんまりを決め込んでいる無粋な男が更に俯く。
『綺麗な街だ』
立ち寄った最初にベムがそう言ったあの忘れ得ぬ街は既に遠く、そして二度と立ち寄れない地と成り
果てた。
どうしていつも。
そんな質問は長い時の中でとうに燃え尽きた。

285 :
きっと自分たち三人は延々とあてどない旅を繰り返すだけなのだろう。
あの街を知るまではそれでも良かった。
なのに今は街での思い出がベムの心の中に重く深い痕跡を残したまま疼いている。
後悔や逡巡だけがまだあの男の中で渦巻いていて、いまだ整理もつかないでいるのだ。恐らくは
この先しばらく。
「置いてくよ、ベム」
いつまでも海を眺めているベムをせっつくように、ベラは声をかけた。
それでも反応がないのであればさっさと歩を進めるつもりだったが、存外素直にベムは後に続いて
歩き出す。
面倒な男だよ、と吐き捨ててベラはついでのように振り返った。




286 :
映画版のストーリーを意識してみた
あくまで序盤なのでエロ入れられなかったけどな

287 :
ワッフルワッフル

288 :
保守

289 :
保守
ここの板の皆さんは映画を既に観られたのでしょうか

290 :
他に観たいものがなかったのもあって、去年7回今年5回の計12回観た
時間が長いだけにドラマにはちと劣るが何度観ても面白かったので良し

291 :
2回観たよ
2時間が短く感じられた

292 :
ちくしょう…
何度観ても山田のボールと和久井さんのネジが見つからない

293 :
欲を言えばもう少し妖怪人間達3人の繋がりを強調するようなエピソードが欲しかったなー

294 :
3人の中の誰か1人が危機的状況に陥って、助けに行くとかしないと>結び付き
しかしそれだと尺が足りない

295 :
ほしゅ

296 :
名前のないオッサンはともかくとして、人間が本来持っている根源的な善悪の因子に
ついて何か書けるといいな

297 :
黒ベム読んで見たいんだが
文才あれば自分で書くんだがなあ

298 :
黒ベムかあ、どんな感じ?
幾つかネタがあれば書けるかも

299 :
やあ
久し振りに何か書いてみた
エロないけどな

300 :
これは遠く遠く過ぎし日の話。
うららかな月が八月の夜空に浮かんでいた。
「ああーん、お兄ちゃんどこー?」
まだ幼い女の子が泣きじゃくりながら歩いてしきりに誰かを呼んでいる。途中で何度か転んだのだろう、
小さな手足は泥だらけで着物も擦り切れている。近くに人家もなく、寂しい一本道だ。
遥か遠くでは賑やかな囃子の音がする。夏祭りに出かける途中で知り合いとはぐれたのか。
「お兄ちゃーん…」
迷い猫のように不安そうな目をして女の子はふるふると頭を振った。
その時。
「巴」
静かな声がした。
「お兄ちゃん!」
女の子は反射的に声のする方向に向くと、たちまちにして満面の笑顔になった。片手に提灯を持ち、
闇の中から現れた少年は女の子とさほど変わらない年恰好だった。静かな眼差しで微笑みながら
駆け寄ってきた女の子の頭を優しく撫でて宥める。
「探したよ、巴。急に走り出したりするから…」
「お兄ちゃん、怖かったよお」
「もう離れてはいけないよ」
「うん!」
今度はしっかりと手を繋いで、二人の子供は楽しいことばかりが待っている夏祭りへと歩き出した。

月の色も形も変わらないのに、どうして人は変わるのだろう。
どうしてすぐに年を取ってしまうのだろう。

生まれてこの方見たことのなかった場面の夢を見たせいだろうか、ベムはその夜、明け方まで遂に
寝つけないままだった。夢の内容など奇想天外なものと相場は決まっているのに、何故かこの夜の
夢だけは別のものに思えた。
例えるなら、過去にあった出来事のような。
「…んー…」
言い知れないほどの奇妙な思いに囚われていると、傍らで静かに寝息を立てていたベラが不意に
寝返りを打った。黒髪が身じろぎに合わせて感情を吐露するようにうねり、脈打つ。もしかしたら同じ
夢を見ているのだろうか、と有り得る筈のないことを漠然と考えてしまった。
もしそうなら夢の中のあの二人は…というのは、只の脈絡のない感傷だろうか。
「ベラ、俺たちは昔も関わりがあったのかもな」
明日はおろか今日はどこへ流離うのかも知れない身の上となっても、確かな繋がりがあると思えば
少しは耐えられる。
朝になったら、次はどこへ向かおうか。




301 :
おおういつの間にか更新されているじゃないか
乙乙

302 :
あは〜ん

303 :
ベラ「ベロ、どうしたんだい? 元気がないねぇ…。また仲間外れにでもされたのかい?」
ベロ「違うよベラ。おいら、時々ベムとベラがしてることをしたいなぁって…」
ベラ「あたいとベムがしてること? なんだいそりゃ?」
ベロ「ほら、時々おいらが寝た後にベラが四つん這いになってベムが後から…」
ベラ「ああ、人間でいう『セックス』ってやつかい」
ベロ「『セックス』って言うのか…。おいらもそれを…」
ベラ「なんだいあんた、『セックス』がしたかったのかい? それなら早くお言いよ!」
ベロ「えっ? いいのかい、ベラ?」
ベラ「そのぐらい構わないよ。ほら、四つん這いになってやるから早くお入れよ!」
ベム「ちょっと待ってくれ、ベラ!」
ベラ「なんだいベム、見てたのかい?」
ベム「ベラ、ベロとする前に先にいいかな?」
ベラ「あんたもしたくなったのかい? しょうがないねぇ…じゃあとっととおやりよ!」
ベム「悪いな、ベロ…。ベラ、またアナルにいいかな?」
ベラ「またそっちかい! 好きだねぇ、あんたも…。好きにしなよ」
ベム「それじゃあ…んんっ…」
ベラ「んっ! ちょっと…少しくらい舐めとくれよ…痛いじゃないか…」
ベム「すまない…ベラ…ふんっ…ふんっ…」
ベラ「ベロ、ベムがしてる間、口でしてやるからこっちに来な」
ベロ「えっ、ベラに口でしてもらうなんて…」
ベラ「いいよ、遠慮なんかしなくて…あむっ…んぐっ…」
ベロ「あっ…ベラ…ダメだよ…おいら…ダメ…ああぁぁ…」
ベラ「んんっ…ごくっ…ベロ、もう出しちゃったのかい…ダメだねぇ…」
ベロ「ごめんなさい、ベラ…」
ベム「ふんっ…ふんっ…」
ベラ「ベム、まだしてたのかい! 早くしとくれよ…」
ベム「ベラ、もう少しだから…ふんっ…ふんっ…あっ…ああっ…がおおおおっ!」
ベラ「なんだいベム、また出す前に変身しちまったのかい…」
ベロ「変身しちゃダメなの?」
ベラ「だって変身したら、人間でいう『生殖器』が無くなっちまんだから…」
ベム「うおおおおおっ!」

304 :
ベムw

305 :
「悪い奴らはこうしてやるよ!」
というベラのセリフとともに悪人は亀甲縛りにギャグボール、ノーズフックのまま吊り下げられた。
吊り下げのために繋がれた紐は男の陰茎ただ一点のみで男の全体重が陰茎に容赦無く掛かっていた
「ぐがぁぁぁっももも!」
ギャグボールで塞がれた男の口から苦悶とも悦楽とも判断のつかないうめき声が(漏れた
「御仕置きは、こんなもんじゃないよ!」とベラが叫ぶ刹那、空中に高く飛び上がり男の上に着地した。
「ぐがぁぁぁっっあ!」男の苦悶の絶叫が周囲にコダマした。
ベラはピンヒールで男の陰茎しかも尿道奥深くにベラの全体重が容赦無く掛かっていた
「ほれほれ、悪いことをするとこんな痛い目にあうんだよ、ほれほれ」
とベラは恍惚の笑みを浮かべながら脚をツイストさせて更なる陵辱を遥かに越えた苦痛を男に与え続けた

306 :
s

307 :
なんか久々に書いた気がする
小晴主役

308 :
秋の始まりの空気は、どこか硬くて冷たい。
とある日曜日の夜更けの街を足早に歩く小春は、あまり愉快な気分ではなかった。
つい一時間ほど前まで観ていた映画はあまり面白いものではなかった。それなりに期待していたと
いうのに、ただ前宣伝だけがやたら派手な映画でしかなかった、と内容を思い出す度に幾度となく
憤慨しそうになった。
この言葉に出せない気持ちをどこに持っていけばいいのか分からず、ただ闇雲に歩くだけだ。
そうしているうちに、家の近くの公園を通りかかった。
こんな気分のまま優しい祖父と顔を合わせたら、つい何を口走ってしまうか分かったものではない。
少し頭を冷やす為に薄暗い公園へと足を向けた。
「ふー…」
公園の入り口の自販機で買った温かい缶コーヒーが、いつもより美味しい。
機械的な温かさではあっても、何かとささくれがちな小春の心をまるで慰めてくれるように胃の腑に
沁みた。
一気に全部飲んでしまうのも勿体ない気がして、小さな缶を両手で握り締めながら特に理由もなく
公園の中をぶらぶらと歩き回った。時刻は深夜に差し掛かろうとしている。暗くて静かな公園の中に
いるだけで気持ちが落ち着いてくるようだった。
気が済んだから、そろそろ帰ろうか。
そう思い始めた時のこと。
遠くから微かな女の笑い声が聞こえた。
こんな遅い時間の公園だから、アレやコレな目的を持ったカップルがいても別に不思議ではない。
わざわざ現場を見てしまうのも何となく癪な気分なので、小春も関わらずにすぐ立ち去りたかったの
だが、足が止まった。
それがよく知っている女の声に似ていたからだ。
「……ふふふっ」
女の声は一層暗く深い木陰の奥から聞こえた。
隠微で魅惑を孕んだ声音に誘われるように、小春はそろそろと歩み寄っていく。
「…ぁ…」
息を呑んだのか、女の声が途切れる。
街灯の明かりすら届かない、木々が乱立する公園の奥に女はいた。正確には女と、その相手の男
が二人で時を忘れるように睦み合っている。
暗がりにようやく慣れてきた小春の目に、おぼろげながらも女の顔が捉えられた。木にもたれたまま
男を掻き抱いて恍惚としている女は、まさに日頃よく見知っている女だった。男の顔も同様だ。
豊満な乳房を夢中で貪っている男の色の薄い髪を悪戯に掻き回す長い指が、痙攣するように時折
動きが止まる。
このようなことは経験のない小春にも、二人がすでに感極まっているのが分かる。場所も時も忘れて
ただ互いに全てを与え、奪い合う行為に没頭しているのが分かる。
いつも側にいる、あの小さい子はどうしたんだ。なに二人だけでやってんだよ。
普段は口にしない偽善めいた文句の一つも言いたいところではあったが、鬱蒼と暗い夜の公園は
全てを忘れて愉しみたい二人にいつも味方をしている。

309 :
冷たい筈の夜気が妙に生温いのは、気のせいではないだろう
「あ、ぁ…ベ、ム…っ」
「ベラ…」
濡れた声が一層高くなった。
普段目にする、強く気高くそして誰もが臆してしまうほどに美しい、あのベラが…今はただの浅ましい
女に成り下がっている。
いつもベラの側で影のように存在している、ほとんど誰とも目も合わせずあまり口も開かない、そんな
辛気臭いあの男が、今はベラの全てを支配している。
到底耐えられない、と思った。
心のどこかでベラを勝手に崇高化していた小春にとってはあまりにも信じられない情景の筈なのに、
目の前で繰り広げられる痴態から何故か目が離せない。
ごくり、と喉が鳴った。
決して気付かれないように身を潜めながらも目の前のあぶな絵を凝視するなんて、まるで覗きでも
やっているようだ。そのつもりなどなかったのに、結果的には同じことだと腹の中で嗤うしかない。
「あぁ…んっ…」
抱き合う二人の身体がより深く密着していくごと、ベラの声は甘くなる。肌のわななきまでが感じ取れ
そうだった。しかし、捲れ上がったドレスの裾から真っ白な大腿があらわとなって、急いたような男の
手が乱暴に撫でるのを目にした途端、何故なのか小春は反射的に目を閉じた。
今まさに、ここにいるのはお互いだけなのだと信じきってでもいるような、無心に睦み合う姿が急に
現実に戻してしまったのだ。
恋人同士か夫婦かはともかくとして、こんな二人をわざわざ見ているのも何だか癪に障る。
どうせなら最後まで見てやろうと思っていたのに、やってられない。そう心の中で吐き出してからまた
来た時のように小春はその場を離れた。
薄い三日月はほんの形ばかり真っ暗な夜空に浮かんでいて、二人以外にも暗さに乗じて愉しむ
そこここの恋人たちにとっては格好の夜となった。
ほんと、やってられない。
翌日、学校帰りにコンビニに寄った小春は、後ろから思い切り肩を叩かれた。
「わあ!」
「どうしたんだい、そんな顔して」
わざわざ顔など見なくても分かる、ベラだ。
買ったばかりのチョコとシュークリームの入った袋を勢いでうっかり落としそうになり、思わず憎らしい
女を睨んだ。
「何すんの、痛いじゃん」
ベラはもちろん、全く動じている様子もない。
「テストの点でも悪かったのかと思ってさ、気合いを入れてやったんだ」
「いい迷惑」
「おやそうかい、そりゃ悪かったねえ」
からからと笑うベラの顔はいつものように晴ればれとしている。そうだ、こういうベラがいいんだと
思いながらもついついここにいないあの男が気になってしまう。
「あんた一人?旦那と子供はどうしたの」
らしくない、探るような口調の小春の裏を読む気すらないのか、ベラは小馬鹿にしたようにふんと
鼻で笑って道端に転がっている空き缶を軽く蹴った。
「さあてね。今頃は草でも摘んでるだろうよ」
そんな時だけ、小春が憧れる女は妙に妬けてしまうほど優しい顔をした。
やっぱり、やってられない。




310 :2013/10/04
久々に来たら結構投下されてるじゃないか
皆さん乙です
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