2013年10エロパロ4: 【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【12怪】 (462) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【12怪】


1 :2011/07/16 〜 最終レス :2013/10/05
水木作品ならば何でも可。御大見習ってマターリマターリ。SS・イラストよろず投稿千客万来。
猫娘・ネコ娘・ねこ娘から鳥乙女幽子魔女花子、水木ヒロインなら何でも来い。
原作からアニメまで灰になるまで萌えやがってくだちい。
職人様随時募集中。
●【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【11怪】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261805011/l50
●ねこ娘萌えろパロ倉庫
 保管庫:ttp://s1.etowns.slyip.net/~gegege/
 避難所:ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/1294/
●専用ブラウザで快適に!(鯖の負担軽減にも役立ちます)
─2ちゃんねるブラウザの比較表(仮仮仮仮)─
ttp://www.geocities.jp/browser_2ch/index.htm
※ SSに関しては>>4参照。読み手も書き手も一度は目を通すべし。
  次スレは、980辺りか500KB使い切る前に検討を

2 :
●過去スレ
【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【10怪】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209629758/
【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【9怪】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1192368333/
【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【8怪】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185371959/
【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【7怪】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178898637/
【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【6怪】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1121708856/
【水木総合】鬼太郎・三平・悪魔くん【5.2怪】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1095569823/
五代目スレ
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1095569823/
五代目スレ(dat落ち)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1094211985/
五代目スレ(dat落ち)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1094990812/
四代目スレ
ttp://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1078272633/
三代目スレ
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1072185963/
二代目スレ
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1057/10577/1057743802.html
初期スレ
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1029/10299/1029935643.html
  半角二次元板の水木スレはこちら
ネコ娘とゲゲゲの鬼太郎_20
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1274691240/l50
★ スレ違い?とオモタあなたはこちらへドゾー
【朝ドラ】ゲゲゲの女房でエロパロ4【昭和のかほり】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1303995098/l50
ゲゲゲの女房で801
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1278862104/l50
鬼太郎で801 仲間2人目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1229612720/l50
【我は求め】悪魔くんで801 4【訴えたり】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/801/1245681908/l50

3 :
●関連スレ
水木しげる その17
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1304948896/l50
水木しげる その 13
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/comic/1217954674/l50
墓場鬼太郎 第20夜
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1218045293/l50
ゲゲゲの鬼太郎 1期・2期 限定スレ
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ranime/1221642928/l50
ゲゲゲの鬼太郎3期限定スレ オカリナ5曲目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ranime/1289217668/l50
ゲゲゲの鬼太郎第4シリーズ Part.8
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ranimeh/1246612521/l50
第五期 ゲゲゲの鬼太郎 茶碗風呂68杯目
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1308430603/l50
【照魔鏡】悪魔くん・第12+4使徒【えいっ!】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/ranimeh/1285858154/l50
その他はこちらで検索可能
http://find.2ch.net/
水木プロ公式「げげげ通信」
http://www.mizukipro.com/
水木しげるの妖怪ワールド
http://www.japro.com/mizuki/
『怪』 世界妖怪協会
http://www.kwai.org/
映画「ゲゲゲの鬼太郎」公式HP
http://www.gegege.jp/
ゲゲゲの鬼太郎 DVD-BOX オフィシャル・サイト
http://www.kitaro-dvd.com/

4 :
【SS投稿要項】
 ・投稿前の1レス分にカプ名・出典(原作・またはアニメ何期等)・作品傾向・注意等を明記。
  ※陵辱、鬼畜ネタ等読み手を選ぶネタは、読み手書き手両方のために必須。
 ・名前欄にカプ名または作品名と作者名を「カプ名または作品名@作者名」の形で記入。
  ※読み手と倉庫番の人に優しくいきましょう。
 ・SS完結時には終了を示す表示(【終】【完】等)をつけるか、SS後のレスで終了宣言を。
  ※次の投下者が目星を付けやすくする為。
 ・人生はどこまでも苦戦だよ(投下しても常に誉められるとは限らない)
 ・不明点は過去スレ読んで空気嫁。
 ・言うこと聞かない悪い子は夜中迎えに来るんだよ。

【住人注意事項】
 ・荒らし、煽りはスルー推奨。釣りに引っかかるのも荒らしです。
 ※「●●だから投下しません」「○○期マダー」なども立派な荒らし、釣りです。
 ・自分の萌えポイントに入らない話には文句を言わないでスルーかNGID推奨。
 ・自分の嫌いなキャラの絡みがあってもケンカ腰にならない。
 ・個人サイトのURLを張らない。h抜きは言い訳にならない。
 ・書き手にクレクレ騒がない。書き手は妖怪じゃないので試験も学校も仕事もあります。
 ・数字ネタは数字板へ。棲み分け必須。

5 :
新スレおめでとうー
埋めにコネタ投下します。
三期キタネコのエッチを見てしまったユメコちゃん一人称(ティーンズ雑誌投稿風)
ドキドキ♥友達のエッチ♥を見ちゃったんです
ダメな人はドキドキ♥ でNGしてください。

6 :
ドキドキ♥友達のエッチ♥を見ちゃったんです
初めての投稿です。お友達のエッチを見ちゃいました。
この間、友達の家へ遊びに行ったら、窓が閉まっていたので、
留守なのかしらと思ったけれど、何か変な声がしたんです。
何だか気になってそっと覗いてみると、友達の鬼太郎さんとネコ娘さんが
裸で抱き合っているのを見て、本当にビックリしました。
鬼太郎さんとネコ娘さんは幼なじみで仲良しだけど、そういう関係だとは知らなくて…
鬼太郎さんに憧れていたのでちょっぴりショックです。
でも私、エッチを見るのなんて初めてで、つい見入っていると、
鬼太郎さんの膝の上にネコ娘さんが座って抱き合ってキスしたりしていたので
『エッチってこうするのね』と思っていたら、
寝転んだ鬼太郎さんの上でネコ娘さんが動く格好になって…

男の人のがあんな形に大きくなって身体の中にみんな入るなんて
私もう本当に驚きました。
学校の保険の授業で勉強したりしていたので、
全然知らないというわけじゃないと思っていたんですが…
見るのは全然違っていて、
ネコ娘さんが苦しそうにしはじめたので今度は鬼太郎さんが上になって、
ネコ娘さんが悲鳴みたいな声を上げているのに構わずに激しく動いていくんです、
ちょっぴりエッチが怖くなっちゃいました。
でも、最後は名前を呼んで抱き合って、キスしたりしていたので、やっぱり気持ちがいいのかしら。
まだ、ちょっぴりエッチはこわいけど、いつか素敵なユメコだけの王子様が現れたら
エッチにもチャレンジしたいわ♥

               東京都 ユメコ さんからのおたより

7 :
以上です。文字コードがトリップ化してしまいました。
新スレも賑わうといいですね。

8 :
   ,〉`n´〈、   
  く〃´  ̄`ヽ .,.' ´ ̄ `ヽ  
  .i 〈从ハ从〉 {.!/.i人,从!〉       ニャ!
   ヾ(リ ゚ ヮ゚ノ ヘ,!リ(‘_,ヾソ   >>1乙<
   と))芥))⊃ /jミj_:iミi}        です。
    く,__〉  G[_r__j          
    ヒ!ヒ!     l.vjvj
           .TTTT

9 :
いちおつ

10 :
ネコ娘
身長 / 152cm・体重 / 45kg
スリーサイズ / バスト80cm(Cカップ)・ウエスト54cm・ヒップ83cm
(アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」三期)
■Q&A
Q、パンツ先生とは誰ですか?
A、KAZUHA ROOMでググってください。
Q、ぬこの画像(H含む)が見たいのですが?
A、上記>>2の「ネコ娘とゲゲゲの鬼太郎_20 (半角二次元板)」を参照にしてください。
Q、時々出てくるラクシャサってなんの事ですか?
A、四期第89話に出てくるインドの妖怪です。
Q、そのラクシャサがなぜこのスレの話題に?
A、猫娘がラクシャサの妖術で大人の美女の姿になった事があるからです。
倉庫1−215のリレーねこ娘陵辱もの/三期
一人で海に遊びに来たネコ娘(赤ビキニ・ハイレグ)が人魚の兄弟に 散々弄ばれて陵辱される。
(鬼太郎は未登場。 ユメ子の所に遊びに行っていて、一人で海に来たため)
Q、水着は人魚の兄弟に盗まれたんですか?
A、海中でひっぺがされてます(その後はどうなったか不明)。
Q、「人魚」という事は痴漢行為だけですね(挿入なんてできないし)?
A、兄は人化して挿入有り。弟は痴漢のみ
Q、兄弟ってことは、交代で長時間陵辱されたんですか?
A、上と下の同時攻撃だが具体的には不詳
Q、鬼太郎助けに来ないってことは、最後まで犯された?
A、最後までヤられちゃいましたが、一応意外なフォローあり


11 :
せっかくだけど人魚はもういいから。
前スレも前半で3ネコの話ばかりしたがる人のせいで
ほかのネコやほかのキャラの話がしにくい雰囲気に
なったから、3ネコの話ばかりするのは勘弁な。

12 :
同意
だけどまあそのためにこのテンプレあってもいいのかもな
また騒ぎだしたら>10嫁で終了

13 :
>>11-12
陵辱、鬼畜ネタは基本好きじゃないので過去ログもその系統はあまり読んだことない
読むのにものすごく自分的に勇気がいるから、大抵は見かけたら飛ばしてた
やっぱキタネコアマアマかラブラブが1番で、そのシチュでネコのカラダの描写をエロく描かれてたら最高っす
ただ、テンプレで3ネコのスリーサイズも知ったから
その人魚のもネコのカラダの描写をエロく描かれてるのかどうかだけはちょっと気になりだした
想像以上に鬼畜っぷりが凄くて後味悪くなるのなら読みたくないし…保管庫の閲覧を迷うな
この点どうっすか?


14 :
>13
自分は陵辱はあんまり…だけど、好奇心が先に立つタイプなので読んだけど、ネコがかわいそうでならなかったなあ。
作品的にはフォローはあるけど、ネコは知らないし、ネコの気が晴れるものなのかどうか。
文体は萌えエロというよりもうちょっとねちこい大人向け週刊誌エロ風味だったような気がする、
だいぶ前に一度読んだきりなので曖昧すまん。

それより、ネコのカラダ描写をエロく書いて欲しいというの、どうエロイのがいいのか詳しく!

15 :
また3ネコ単体エロ厨房が・・・
夏休みだなあ

16 :
前スレ819です(以後11-819)
雛祭り送り狼ネタ3期キタネコの2ラウンド目を投下します。
3期キタネコ イチャイチャ 濡れ場あり 風呂なし です、ダメな人はトリップでNGしてください。

3期でスマンが世代なので仕方ない、それでは、よろししく。

17 :
※※※
猫の爪のような三日月も沈んだ夜半過ぎ、ネコ娘はふと目を覚ました、
隣では鬼太郎が大の字になって寝息を立てている。
ネコ娘の頭は鬼太郎の片腕の上に乗っていて、腕枕されてるんだと思うと、
こそばゆい幸せな気持ちが湧いてくる。
「うふふ」
寄り添った鬼太郎の顔を覗き込み、鬼太郎も幸せそうな顔で眠っているのが
愛おしくてほっぺたにそっとキスをする。
そのまま鬼太郎を起こさないように静かに布団を抜けだすと、今度はちゃんと立ち上がれた、
ホッとした気分で襦袢の合わせを整えて、水でも飲んでこようとそっと襖を開ける。
足音を立てずに台所へ向かって歩いてゆくと、茶の間の衣紋掛けに掛かった晴れ着が目に入り、
床に目を落とすと座布団が落ちていて、鬼太郎の服が周囲に脱ぎ散らかされている。

忘れていたという訳ではないが、夕べのことが生々しく思い出されて恥ずかしい。
鬼太郎に引き倒された時にはびっくりしたけれど、思い返せば送ってもらって、
家に上げて、おまけに晴れ着は自分で脱いで見せたのだ、自分の振る舞いは
無防備どころか誘っているのも同然だったと、顔から火が出そうなのをごまかすように
散らかった服を拾い集めてたたみ、水を飲んで帰ろうと襖の奥へ目を向けると、
暗闇の中からひとつ目がこちらを見つめていた。

「きたろ」ネコ娘が声は上げずに唇の動きだけで呼びかけると、答えるように瞬きする。
せっかく眠っていたのに起こしてしまったと、申し訳ない気持ちで寝床へ歩み寄る。

18 :

「ごめんね、起こしちゃった?」
「いいや、ちょうど目が覚めたんだよ」
「鬼太郎もお水、飲む?」
「今はいいや」
鬼太郎が布団の端を上げて作ってくれた空間へ潜り込み、気恥ずかしいけれど
今日はもう仕方ない、と観念したような気持ちで横になる。
いつも鬼太郎のそばに寄り添っていたい、と思うのに、どうしてこういう
状況になると恥ずかしいと思うのか、と考えるが、答えはネコ娘にも判らない。
布団の中で落ち着きどころを探して襦袢の裾を整えながら動いていると、
布団の端を持ち上げていた鬼太郎の手がネコ娘を捉え、あっと思ったときには
抱きかかえられて背中に鬼太郎が密着していた。
「冷えちゃうよ」
言葉とは裏腹に鬼太郎の声には熱があり、鬼太郎の手も、体もネコ娘より暖かかった。
鬼太郎の手がネコ娘の体を確かめるように触れてきて、
お尻には熱を持ったものが当たっている。
ネコ娘は自分の体も熱を帯びてゆくのを感じながら、ただ頷いて鬼太郎に体を預けた。


19 :
※※※
寝床へ戻ってきたネコ娘の体は、夜の空気を浴びてひやりとしていたが、
抱き寄せて触れるうちに鬼太郎に馴染むように暖かくなってきて、
何だという訳ではないがそれに安心感を覚える。
体を預けてきたネコ娘は、暖かくて柔らかくて幸せな手触りで、
ただこのまま可愛がってやればいいと分かっているはずなのに
満ち足りた気持ちで眠っていたはずなのにうそ寒さに目を覚まし、
隣のネコ娘を見つけられなかった瞬間の肝が冷えるような気持ちが
かすかに腹の底にわだかまっていて、益体もない事を確かめたくなってしまう。
後ろから足を絡め、合わせから手を差し入れてうなじに唇を寄せると、
捕らえられているような格好なのにネコ娘は色めいた吐息をひとつ漏らした。

それに背を押されるように乳房をまさぐり、下腹を撫ぜると段々と吐息に
熱が篭もり、喘ぎの体をなしてくる。
寄せていた唇でうなじを啄むと、きゃ、とも、にゃ、ともつかない声が上がった。
普段は全く当たり前のものとして気にしたことなどないのに、ネコ娘の猫の性が
どのぐらい彼女に影響を及ぼすものなのかが気になって仕方がない。
「ねえネコ娘」指で秘所をなぞって呼びかける。
「夕べずいぶん気持よさそうだったけど、あれは何がそんなに気持ちよかったんだい」
マタタビで酔ってたから?それともすごくいいところがあったのかい? と
うなじから肩にかけて吸い痕をつけ、ぬかるんだ場所を差し入れた指でなぞりながら問いかける。
ネコ娘は腕の中で身もだえして吐息をこぼし、鬼太郎の胸に体を押し付けてきた、
「鬼太郎…鬼太郎が気持ちいいの……」

確かにマタタビに酔ってはいたけれど、こんなにも身も心も溶けてしまうのは鬼太郎だからだと思う。
恥ずかしいけれども鬼太郎とだから気持ちいい、とネコ娘が伝えると、
「僕のこれが気持ちいいのかい」
襦袢の裾がお尻までまくり上げられて、いきり立った鬼太郎のものがお尻の間に押し当てられる。
そのまま先端を花弁の間へ突き入れられて、ネコ娘はすすり泣くように悦びの声を上げた。

20 :

「ふぁ、あん、あああぁぁ―……」
ちくりちくりとネコ娘の肩口を甘噛みしていた鬼太郎が思い切ったように後ろ首に喰らいつく、
猫に属するものを無力化する急所の一つではあるが、よほど油断しているか、
そうすることを許していなければされることのない行為だ。

あたしはこれを鬼太郎に許している、それはこういう事がしたいってことなのかな、と
ネコ娘はわずかに残った冷静な部分で考えるが、首に噛み付かれて身動きがとれないのに
もっと深いところまで鬼太郎を受け入れようとするようにお尻が突き立てられてしまうのは、
体が燃えるような、逆に消え失せてしまうような気持ちの恥ずかしさで、
そんな考えはあっという間に吹き飛んでしまう。
おまけに鬼太郎の指が繋がった部分を確かめるようにぬるぬるとなぞって
もっと深く繋がろうとするように柔肉を押し開く。
「ひゃぁん、んにゃ、んな…あぁ、鬼太郎、きたろ…全部… きたろうが全部いいの……」
側臥位で動きやすくはないので鬼太郎の動きはゆるゆるとしたものだったが、
それでもネコ娘は翻弄されて熱に浮かされた言葉をつむいで体を震わせ、
鬼太郎がぐん、と突き立てるように腰を使うと手足を硬直させてそのまま昇りつめた。
自身がぷりぷりとしたお尻にぎゅっと挟みこまれ、先端を包み込んだ蜜壺が吸いついてくる刺激を
鬼太郎はぐっと体に力を入れてこらえ、くたん、と脱力して横たわるネコ娘の顔を覗きこむ。

「僕がいいんだ?」
ネコ娘から求められる言葉は気分がよく、もっと聞こうと水を向けるが、
ネコ娘は快楽に潤んだ目を伏せて、赤くなった顔を隠そうとするように肩をすくめる。
逃げられると追いたくなる鬼太郎の性格を知って煽っているのだろうか、という考えが
ちらりと頭をかすめるが、お互いにそんなに器用でもないし、
鬼太郎もそう長いこと考えていられるような状態でもない。
もっと深く、もっとたっぷり可愛がってやろうと繋がったままうつ伏せの体勢で
お尻を上げさせようとしたが、なかなかうまくいかない。

21 :
「んっ、じらさないでくれよ」
「ふぁっ、そんな、こと、しな…あぁっ」
先端に敏感な粘膜をすり立てられてネコ娘の腰も、足もがくがくと震えて力が入らない、
焦れた鬼太郎は一物を抜き出すと、性急にネコ娘をひっくり返し、膝を抱えて足を開かせ、
熱く蕩けてひくつく蜜壺へと自身を埋めてゆく。

「ひぁ、ん、なあぁぁーーーーーーん…」
固く熱いものが狭い道行を押し広げながら進み、気づかぬうちに焦れていた
奥まで満たされる感覚にネコ娘が春の猫のような鳴き声を上げる、
先端が最奥までたどり着き、腰をゆすって根元まで埋め込まれると、
どちらからともなく安堵したような吐息が漏れた。
「あぁ… きたろ……」
ネコ娘が熱っぽく潤んだ目で鬼太郎を見つめ、白い手を差し伸べてくる。
もっと、と求めるように差し出された手を背中にかけさせて、
腕の中に囲い込んだネコ娘を見つめ返して囁く。

「ネコ娘の中、溶けちゃったみたいになってる、気持ちいいのかい?」
問われたネコ娘は快楽に火照った肌をさらに上気させて視線を泳がせるが、
鬼太郎の腕の中に囚われて視線から逃れる術もない、恥じらいに目を伏せ、
ん、と吐息のような声を漏らしながら鬼太郎の肩に額をつけるようにうなづいた。
そのまま背中にかけられた小さな手が迷うように動き、うつむいたままのネコ娘から問いがこぼれる。
「…鬼太郎は、あたしでちゃんと気持ちいい?」
******
今回ここまでです。

22 :
今回ここまでです、続きは明日か、来週中ぐらいには投下したいと思います。
それでは妄想を育てる作業に戻ります。

23 :
>>22
GJです。
>>14
でも、やっぱり何やら後味悪そうなので、その人魚の話は読むのを見合わせようかと思います。
作品的にはフォローあっても、ネコは知らないってのは、
つまりネコが犯られる光景を目撃しても、その場では助けずに、
後で人魚に制裁を加えたってイメージを感じましたから・・・
(ネコが人魚に何故狙われたのか、どの程度まで襲われたのか、読んでないからイマイチ見当が付きにくいですけどね)

ネコのカラダ描写をエロく書いてって言うのは、
例えば3ネコなら、スリーサイスに見合った体の胸とか尻とかの様子を
漂う色気がよく判るように描写されてたかってことです。
4ねこだったら鬼太郎に衣服を剥がされて露になった際に、その肢体の描写が甘くエロチックに詳細を描かれてます。
(読んでる側に興奮を高めるのが、皆さん上手いですよね)
もっとも相手が鬼太郎じゃないので、愛撫されたわけではないんでしょうけどね。

24 :
>>14
お礼を申し上げてなかったですね
本当にありがとうございました

25 :
>>16からの続きを投下します。
3期キタネコ イチャイチャ 濡れ場あり  ダメな人はトリップでNGしてください。
前スレに投稿した冒頭からカウントしたら1万4千文字を超えていました、長いのに読んでくれた人ありがとうございます。

26 :
おずおずと顔を上げたネコ娘に見られたと思った瞬間、顔が熱くなるのを感じる。
事これに至っているのにどうしてネコ娘が恥ずかしがるのか、鬼太郎には
よく分からなかったのだが、今なら少しは理解できる気がする。
赤くなった顔を隠すようにネコ娘を抱き包み、上ずった声で囁き返す。
「いいよ」「君がいいならもっとさ」
恥ずかしさの意趣返しのように一つ腰を使ってやって答えると、
ネコ娘は喘ぎ声のように鬼太郎の名を呼び、
「ほんと……?」とかすかに戸惑いながらも喜びの色のある声をあげる。
鬼太郎自身を呑み込んだ蜜壺がきゅんと絞れ、熱く柔らかな体に抱き返されて
鬼太郎の胸板に格別柔らかいふたつのおっぱいが押し付けられる。
出てしまいそう、出したい、ネコ娘を味わいたい、という衝動が鬼太郎を襲い、
とてもじっとしていられなくなって律動を開始する。

大きく引かれた男根に絡みつく内壁をすり立てられ、入り口をカリ首が刺激しながら
恥骨同士が打ちあうまで突かれて潤んでいたネコ目から歓喜の涙がぼろぼろと零れ落ちる。
獣のようにネコ娘を押さえこんで、めちゃくちゃに突き荒らしているのにネコ娘は吐息の合間に
鬼太郎の名を呼び、熱にうかされたように「いい」とか「好き」と繰り返す、
それを聞きながらネコ娘の肌身を味わううちに、体の内へどんどんと熱が蓄積され、ついには溢れ出そうとする。
「ああっ、ネコ娘、出るっッ」
「きたろ、んにゃぁ、来て… きてぇっ」
最奥へ突きつけられた先端から熱い精が激しく注がれて、ネコ娘も鬼太郎にしっかと抱きついたまま硬直する。
ネコ娘の中へ溢れかえるほど注がれた精をこぼすまいとするように内壁が別の生き物のように
うごめいて吸いつき、残液まで搾り取られてフハッと息をもらしてネコ娘の身体の上で脱力する。
間近で目を見交わしていると、蕩けた目付きのネコ娘が鬼太郎の呼吸の合間に啄むように口づけてきて、
上も下も吸い付かれる感覚にネコ娘の中でむくむくと復活してくる。ちょいと動いて存在を主張すると、
余韻に浸っていたネコ娘が小さく声を上げ、咎めるように見上げてきたが、
「仕方ないよ、ネコ娘が気持ちいいんだ」
とうそぶいて、三たび快楽の波へと身を投じた。


27 :
※※※※
近ごろ春めいてきたからなのか、それとも漏れ聞こえる声に触発されたのだろうか、
遠くに猫たちの恋の声が聞こえる。
ネコ娘は度重なる情交に疲れたのか大人しく鬼太郎の腕の中でまどろんでいる。
大分昔、春先にどこかへ行ってしまった猫のことをネコ娘に尋ねると、
伴侶や新天地を求めて旅立つのだと教えられたことがあった。
ネコ娘にもそんな衝動があるのかと思うと、
かすかに胸の奥底が灼かれるような気持ちがするのを感じるが、
こうして情を深めていればどこかへ行きはしないだろう…と、
猫の声を聞きながら脳裏に浮かんだ事柄を持て余すように考える。

明日の朝は風呂を沸かして……父さんの帰りも朝になるだろうけれど、
なるべく遅いとありがたい……などと考えながら、鬼太郎も目を閉じた。

**********
以上です、お初とか季節ネタとか…また別ネタが書けたら投下します。

28 :
>>17-27 GJ!
職人様も鬼太郎&ネコ娘もお疲れさまでした
3期に珍しいすれ違い要素の少ないイチャイチャ
堪能しました。
鬼太郎が、ネコ娘はネコだからふいっとどっか行っちゃうかも
とか腹の底で不安というあたりが萌えました。
季節ネタやお初ネタも楽しみに正座してお待ちしております。

29 :
>>17-27 改めてGJ!!
過去ログ人魚の話の閲覧を断念した際に素晴らしいSSで癒されました

30 :
折角、◆F/SJSONz34bK氏がSS投下してくれたのに、
コテつけてまでいい加減しつこい
このスレは発生してから漸く12スレ目を迎えたばかりなんだからさ
テンプレも読めないクレ厨は初期スレから全部読むぐらいしろよ

31 :
>>30で、いきなり非難するレスが出現したぞ

32 :
>>31
ここ大人板だから、黙って呆れてる人はいるかもよ。
3ネコには以前からちょっとズレた粘着がいて
2回も専スレ立てて、結局おねだりしか集まらなくて
2回ともあっけなく落ちたって実績があるからね。
少なくとも人魚がどうのはこれ以上蒸し返さないでほしいし
日記みたいな書き込みも勘弁してほしい。
前スレみたいに雑談から神降臨て流れは楽しめたし、
あんなふうに共有できるネタ振りならいいけどさ。

33 :
人魚の話なんか蒸し返そうがどうしようが関心ないけど
ズレた粘着な人らは3ネコにどういう魅力を感じてんだろう
ってのは時々思うね。

34 :
前スレラストあたりに見掛けた2ネコ浴衣美人ネタ
ほかのネコたちだったらどんな感じかな。

35 :
5ネコは今風なのを自分で見繕ってそう。
3、4ネコは砂かけみたいな年寄りの見立てで
案外古典的な紺地に牡丹とか海老茶の麻の葉とか
なのがちょっぴり不満。
だけど甚平さん着た鬼太郎ズと連れだって祭りやら
花火やらに行くんじゃね?

36 :
>>33
4猫は花火とか金魚とかの可愛い柄&金魚帯で鬼太郎がにこにこ見守るのは嬉しいけどちょっと不満…というのはどうだろう。
5猫は今風のギャル浴衣が似合いそう、大張り切りで着てくるんだ、鬼太郎はだれてるけど。
3猫も張り切って来そうだけど、5猫よりは地味…というか可愛い古典柄なイメージかなあ。
3鬼にはなんとなく着物好きだろうお前!というイメージがあるけど、他の鬼太郎はどうかな。

37 :
>>36 お人形さんみたいに可愛らしい4ネコだね
5ネコは今風のをケバくならないように着こなしていそうだ
3ネコは白地に赤でトンボとかも似合いそう。

38 :
>>33
一言で言えば性的魅力っぽいけど、具体的なイメージはどうなんかね?
>>34
4ねこは浴衣美人って感じはしないけど、可愛く着こなすんじゃないかな?
他のねこズはやっぱ浴衣美人かな

39 :
で、そんな自分のネコ娘の艷姿を見た鬼太郎くんたちの一言。
2「うわあ!きれいだよネコちゃん」
(無邪気を装いつつ心はアフター花火大会へ)
3「その浴衣自分で縫ったのかい?」
(きれいだよとか似合うよとか、なんで言えないのかなあ僕)
4「今日は一段と可愛いね」
(本人以外皆赤面)
5「やあ、ネコ娘。花火見に行くのかい。
うちは父さんが・・・だから留守番してるよ」
(もう少し気のきいたこと言わんか)

40 :
浴衣いいねいいね!
悪魔くん組では幽子は肩上げありの子供浴衣だけど柄や着こなしはオトナっぽいイメージ、
鳥乙女は翼があるから残念ながら浴衣地ドレスが限界かなあ。
キタネコ各期それぞれもいいよね!
雛祭り送り狼ネタの間詰に投下した その頃の○期ネタが出てきたのでエロくないけど投下しておきます。
ダメな人はNGスルーよろしく

※※※
アマビエとかわうそによる その頃の五期
アマビエ「閃いたよ! 猫娘にカニバサミされて、鬼太郎が悶絶するよ!」
かわうそ「それってピンチなのかあ?」
***エロいのかエロくないのかは ご想像にお任せします***
その頃の4期
「ねこ娘、起きて」
(そっと揺すると、むにゃむにゃと反応するが、起きない)
「起きないといたずらしちゃうよ」
「んにゃ…」
(寝ぼけた目がちょっとだけ開いて、ぎゅっと抱きつかれる)
それは鬼太郎はそんなことしないよ、と信頼されているようで……
かといって離れることも出来ず、鬼太郎はじっと時が過ぎるのを待った。
*****おしまい*****

41 :
>>40
乙です。
>>37
3猫の白地にとんぼの浴衣は本編牛鬼の回で着てたよね。
3猫はほかに妖怪反物のラストでも浴衣を着てたけど、4猫や5猫は浴衣の回ってあったっけ?

42 :
>>40
乙です
>>41
5猫は初期の花火大会で浴衣着てました
>>38
4猫は浴衣着たことないけど、確かに可愛く着こなして
「きたろぉ〜っ」って軽快にはしゃぎそうな感じがしますね
3猫の性的魅力を具体的にイメージってのは説明が難しいですね

43 :
>>40 乙です。
アマビエとかわうそがいい味出してます。
ピンチだなあ、カニばさみだけに。
どのネコもちゃんとエスコートがついてないと
人拐いに狙われそうなくらい可愛いね

44 :
そのエスコートが最強の鬼だったり
送り狼だったりするからなあ。
保管庫にも人間の街の祭に出掛けた
ねこ娘を襲いかけた不埒者に
鬼太郎がお仕置きをする話があったよね。

45 :
>>44
あの話は作者様が分割して投下されてたけど
ねこ娘が襲われる件はかなり際どいエロチックな台詞が不埒者から出てたなあ。
鬼太郎がお仕置きに駆け付けなかったらどうなっていたことか・・・・
でも、ねこ娘が可愛い女の子で、お色気もちゃんともった体であることを
自然に証明されてたのは、書き手様の描写が見事だったってことですな。

46 :
過去ログ読んできたけど、5ネコだけは鬼太郎×より蒼坊主×が多かったりするね

47 :
他の猫娘と違って5猫は蒼坊とか黒鴉とかいろいろありだな

48 :
3猫も5猫とは違う意味でいろいろありだな

49 :
鬼太郎のキャラがシリーズごとにだいぶ違うからね。

50 :
全員基本能力は同じはずだし、3期も幽霊電車とか、妖怪狩りツアーとか術を使う回はあるけど
同じ悪さへお仕置きするんでも
4期は精神的に恐ろしい術
3期は鉄拳制裁
2期は他にもタブーに触れていて鬼太郎もドン引きするぐらいのことが起こる
ようなイメージ

51 :
>>50 激しく同意。
ところでまた保管庫行けなくなってる?

52 :
保管庫、昨日は普通に行けたのに今日はダメだなあ。鯖が調子悪い?
そういや昨日はパンツの日だったのに何もしなかった…

53 :
突然ですが、5期でユメコちゃんみたいによく遊びに来る人間の女の子キャラ登場
→鬼太郎デレデレ→ネコ娘ジェラシーストーム→鬼太郎とネコの濡れ場を目撃する人間の娘
という電波を受信しました!

54 :
すっかり妖怪の季節ですね
えんらえんらの回のパンツ紛失・ユメコちゃんとお買い物 というネタで考えましたがエロコメ未満…というのを投下します。
特に何もありませんがダメな人は「煙羅煙羅パンツ騒動+トリップ」でNGお願いします。
2レスの予定です。

55 :
「いやぁ〜ん、パンツ取られたあ」
煙羅煙羅が引き起こした騒ぎに乗じてネズミ男が盗んだパンツはネコ娘のパンティーだった。
「お気に入りだったのになあ」
パンダの絵がついた可愛いパンティー、ちょっと子どもっぽいかな、と思ったけれど
ユメコちゃんと銭湯に行くにあたって自分に気合を入れるべく一番可愛いのを持ってきたのに……
うつむいてはあ、とため息を付き、なくなってしまったパンティーの行方についてはなるべく考えまいと頭を振る。
どちらにしろノーパンで帰るわけにはいかない、銭湯には突然思い立って来ても大丈夫なように
替えのパンツぐらい売っているけど……
(―可愛くないな……)
おへそまで隠れるなんてことのない白いパンツには機能的にはなんの不満もないけれど……
せっかく屈託なく楽しんでいた気持ちはどこかへ行ってしまって、もう一度ふう、とため息を付いた。

「ネコ娘さあん、元気だしてくださいよぅ」
「ネコ娘さん、また一緒にお出かけしましょうよ、ね、今度はお買い物しましょ」
いつも元気なシーサーが励ましてくれる、ユメコちゃんも沈んだ空気を振り払うように声を掛けてくれて、
ああ、本当にユメコちゃんは優しいな、と暗い気持ちを振り切るように笑って顔を上げた。

※※※※※
騒ぎから数日、煙羅煙羅の騒ぎの解決やら砂掛けと子泣きの熱愛発覚やらに疲れた鬼太郎が自宅で寝そべっていると
はしごを登る軽い足音が聞こえてきた。
「鬼太郎、いる?」
「ネコ娘、どうかしたの」
手提げ袋を持ったネコ娘が顔を出す、何かがあったという様子ではなく機嫌が良さそうだ。

「ユメコちゃんとお買い物行って来たの、楽しかった〜」
鬼太郎にも見せてあげる、と上機嫌で袋の中身をちゃぶ台の上に並べ出す、
並べられたものはどれも女の子好みの可愛らしいもので鬼太郎の興味を惹くものではないけれど、
ネコ娘が楽しそうだから、まあいいかと眠い目を瞬かせながら付き合う。
ふわぁ、とあくびをしてちゃぶ台の上を見渡すと、1つだけ開けられていない紙袋が目について、
何の気なしに「それ何?」と聞いてみた。
「あ、これは駄目、ううん、何でもないの」
慌てて紙袋を手提げに突っ込んで、真っ赤になりながらごまかし笑う、
その反応になんだかわからないが何となく鬼太郎も赤くなって「あ、うん、わかった」と頬を掻いた。

56 :
※※※※※
ネコ娘の家、一人で座るネコ娘の膝の上には紙袋が一つ、鬼太郎の家で開けるわけにはいかなかったあの紙袋だ。
何となく辺りを見回して確認してから封を開ける、中身は下着が一揃い、
ネコ娘の好きなピンク色の地にチョコレート色の水玉模様とレースの縁取りの付いた小さなパンティーと、
おそろいのソフトブラジャー、ユメコちゃんと買い物に行った先で可愛い!と盛り上がってそれぞれ色違いで買ったけれど……
「派手すぎたかなあ……」
水着と違って見せて歩くものでもないからいいじゃない、とも思うけれど、可愛らしいけれどちょっと大人過ぎる気もして……
しばらく考えこんで、とりあえず最初は女の子だけの集まりの時に着ていこう!と決めて、
鬼太郎が気にしないでいてくれるといいな、と思いながらそれをたたんでタンスへしまいこんだ。
*****おしまい 5大ねこむすめ パンツ騒動 へと続かない*****

皆さん、夏の準備で忙しいのかな。

57 :
可愛いw
ほのぼの萌えました。

58 :
http://imepic.jp/20110811/544970

59 :
>>58
なんで目玉の親父バージョンのほうを貼らないんだ。
これは眼球たん(女子)だろ。

60 :
保管庫また行けなくなってる

61 :
乳首親父http://999.shanbara.jp/oppai/html/2011080921282666/

62 :
>>60
保管庫、昨日は駄目だったけど今は見られるよ。
サーバーが不安定なのかもしれないね。

63 :
ひょっとしてまた大規模規制だったりする?
いまんとこ涼しくてありがたいけど、浴衣をきてそれらしい夏の催しってどんなのがあるかなと妄想の足しに書きだしてみる。
七夕・朝顔市・ほおずき市・蛍見物・盆踊り・花火大会  カップルイベント的においしいのはどんなシチュエーションだろう。
海もいいよねえ、5ネコは積極的に海とか行きたがりそう。

64 :
歴代集合で二人三脚スイカ割りなんてのは?

65 :
>>64 それは・・・・・・4期組を除いてみんな見事にコケるんじゃないか

66 :
三部エンディングでは、足首つながってもないのに
互い違いにうさぎ跳びしてただけでもコケたぐらいだしなw

67 :
バトル以外の、スイッチ入ってないときは運動神経いいのか悪いのか
わからん感じだしね。
で、鬼の居ぬ間にとばかりスイカをくすねようとしたネズミ男だけは
ぬかりなくひっぱたいてくれそうだw

68 :
バトル中でも足元が悪くなるとあわあわしてたしなあ。
やる気満々のわりにまっさきに転びそう。
オープニングで自分ちの階段からころげ落ちる松岡鬼太郎も転びそうだけど、ねこ娘が一緒なら大丈夫かな?

69 :
ぬこ娘の危機に際しての松岡の強靭さは異常
目玉親父の危機には精神的にも弱々になるのになw

70 :
>>69
松岡鬼太郎は最強のナイトにして最凶のストーカーだからw
とりあえず揃って蚤の夫婦だから
まず脚の長さがネックだな。
勘のいい2ネコだけは鬼太郎にうまく合わせてくれそうだ。
3期は「行くぞネコ娘!」「オッケー!」
掛け声だけは勇ましく…次の一歩で豪快に撃沈w
5ネコは「ほら、行くわよ鬼太郎!」「うわっ!ちょっと待って」
最初の一歩で鮮やかに転倒w

71 :
ラッキースケベ的な意味で転んだほうがおいしいような気がしてきた!
ネコを巻きおこんで転倒→あらぬところを触ってしまってあわあわする戸田鬼とか
高山鬼の上に乗っかってしまって繰り広げられる5ネコの妄想ワールドとか
偶数組はそんな彼らを尻目に普通にイチャイチャしてそうだ

72 :
なにラッキースケベってw
つまり
むにゅっ!きゃー鬼太郎のエッチ!(真っ赤)
ちっ、違うよ!ごめんよネコ娘(こっちも真っ赤)
みたいなものすごい役得のことだね?

73 :
9/4鬼太郎茶屋
http://blog.hayachinebus.co.jp/

74 :
>>73
かたるくん可愛いな。
一瞬、「かるた」と空目したけどw

75 :
過疎ってるな。残暑見舞いがてら保守しとく。

76 :
以前投下させていただいたものの
エロ無しverでよければ、ネ申待ちの暇つぶしにドゾーつ
第4作:鬼太郎×ねこ娘
「人形の館」
・ 前に投下した「人形の館」 のエロ無しver。
・ エロ補充は過去作品のほうでヨロシク
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本はラブラブ&アマンアマン
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!


77 :
季節は夏
ねこ娘は鬼太郎に連れられ、ゲゲゲの森ではなく都心へと来ていた。
人が多く集まるところは欲望や憎悪等の負の力が渦巻きやすく、
時には封印した凶事さえも呼び覚ます事がある。
人間界では多くの妖怪が行き場を失いつつあったが、
反面、負の怨念が溜まりやすい場所を好んで集まる悪い妖怪も居る為、
妖怪ポストに届く鬼太郎への手紙は後を絶たない。
二人が珍しく都心を歩いていたのも、
妖怪の起こした事件を解決した帰りだったからだ。
幸い、事件に関しては大惨事を引き起こす前に処置が出来、
仲間の手を煩わせる事無く鬼太郎一人で終結させてきた帰り。
まだ人間界は昼間で、せっかく都心に出てきたのに、
このままゲゲゲの森に帰ってしまうのはもったいないと言う
ねこ娘のウィンドウショッピングに鬼太郎親子は付き合っていた。
大きなガラス窓にディスプレイされている様々なものは、
好奇心旺盛な彼女の興味を引くらしく
目を輝かせて魅入るその姿を、鬼太郎は微笑んで見ていた。
しかし、大概のものは彼らが簡単に手に出来るような代物ではない。
それでもそれぞれが気に入った品が有ったようで、
ねこ娘はハンカチを、
鬼太郎は目玉の親父の入浴剤の入った小さな袋を下げ
ゲゲゲの森へと歩みはじめていた時
一軒のレンガ造りの古い建物の前でねこ娘の足が止まる。
目を奪われたのは、一体のヴィスクドール。
そのあまりの美しさにねこ娘は無性に惹かれた。
否、誰が見ても心惹かれる魔性魅力がその人形にはあった。
鬼太郎とねこ娘が歩いていた通りはギャラリーが建ち並ぶ場所で、
こうしてしばしば個展が行われていた。
今日、ヴィスクドールの個展に遭ったのは偶然か、
それとも出会うべくして出遭ったものだったのか。
此処に立ち寄らなければ彼女はあんなに恐ろしい目に遭わずに済んだのかもしれないが、
結局はこれから起ころうとしている事件には係わる運命だったに違いない。
「ね、鬼太郎…ココ一寸寄ってもいい?」
「―――でも、僕達が入ったらいけないんじゃ…
 人形一体…凄い値段ですよ。父さん?」
「でも、見るだけなら…ね?」
ハンカチの入った小さな袋を片手に、
両手を合わせてお願いのポーズをするねこ娘を前に、
鬼太郎は頭上に居る父の方に視線を向ける。

78 :

「用事も済んだ事だし、かまわんじゃろ…のう?鬼太郎。」
「ええ、僕は父さんさえ良ければ。」
「ホント!親父さん有難う。」
瞳をきらきら輝かせて、足取りも軽くねこ娘はギャラリーへ入っていく。
「ねこ娘も女の子じゃのう…」
「父さん…妖気ではないんですが―――少し嫌な感じがしませんか?」
「わしゃ何も感じないが…」
「いや、僕の気のせいなら良いんです。」
鬼太郎親子も後へ続いて入っていく。
この人形の個展は人気が有るらしく、中には多くの来客が居た。
お金持ちが多いらしく、鬼太郎とねこ娘はやはり場違いなようだった。
そしてもう一人、場違いな男が…
「ちょっと、ねずみ男!アンタこんなところで何してんのよ!!」
「おんや〜?ねこ娘に鬼太郎、
 それに目玉の親父まで、皆お揃いでなんばしよっと?」
「”なんばしよっと?”はこっちの台詞よ!!」
「そうじゃ、ねこ娘の言う通りじゃ。」
「で、お前こそ此処で何してるんだ?ねずみ男。」
「あらら、鬼太郎ちゃんまでずいぶん冷たいお言葉。
 俺ぁね、今ココで働いてんの!」
「お前が?働くのは感心な事だが、ずいぶん場違いじゃぁ無いか?」
「場違いじゃねえよ〜。
 ちゃんと今を時めくカリスマ人形師サリー・サさんに雇われてるんだからさ。」
「サリー・サ?」
「あら、鬼太郎ちゃん知らネェの?」
「あっ、あたし知ってる。
 人形界に突如彗星の如く現れた、美人作家の人よね?」
「ピンポォ〜ン!」
「しかし、よくそんな人が、お前みたいな得体の知れない不潔な男を雇ったのう。」
「不思議よね〜アンタ、なんか企んでるでしょ?」
「っっかー!揃いも揃ってバカにしてもらっちゃぁ困るぜ、まったくよぉ。
 これでもなぁ、俺様は面接でちゃーんと合格してんだ。」
ねずみ男は得意げに背筋をピンと伸ばすと、ビビビンと髭を振るわせた。
実は新聞の記事の欄に妖怪文字で募集がかけられていたのだが、そのことは内緒にしていた。
大金が絡んでいる事も在り、知れれば鬼太郎たちに邪魔されると思ったからだ。
「世の中には変った人もおるもんじゃの。」
「大きなお世話だぜ、親父よぉ。まぁ、分かる人には分かるんだろうね。
 この俺様の優秀さが…ニッシッシッシ!」
顎に手を当て、決めポーズをしたねずみ男はうっしっしと高らかに笑う。
「ねずみ男さん、此方の方達はお知り合い?」
「サリー・サすぁ〜ん〜♥」
突如背後から掛けられた声に、ねずみ男は振り返る。
其処には車椅子に乗った女性の姿が有った。
長袖のワンピースを装い、頭からベールをかぶって、手には手袋をしている。
夏だと言うのに素肌を一切晒そうとしないその出で立ちはどこか異様にも思えた。

79 :

「…この人がサリー・サさん。」
「はじめまして、可愛いお客さんが見えて嬉しいわ。」
「お客だなんてトンでも有馬温泉!今こいつら追い出しますから。」
「追い出すって何よ。あたしは見に来たんだから!」
「寝言は寝てから言えっつの!
 第一おめぇにサリー・サさんの人形は逆立ちしたって手が出ないだろうがよぉ。」
「…それは、そう…だけど。」
「見るぐらいかまわないだろう?ねずみ男。」
鬼太郎は怪訝そうにねずみ男に言葉をかけると、
ねずみ男の後ろに現れた女性に声を掛ける。
「すいません、邪魔はしないので少しだけ見せてもらってもいいですか?」
「ええ、喜んで。ゆっくり見て行って下さいね。」
そう言うと、彼女は車椅子の向きを変え接客に戻っていった。
「サリー・サさんが良いっつうから、いっけどよぉ。邪魔すんじゃねぇぞ。」
「分かってるわよ。」
ねずみ男の言葉にプイッと顔を背けるねこ娘の手を引いて、
展示されている人形を見る。
大人の人間に混じる小さな子供に、周りは特に気にする様子も無く、
鬼太郎はねこ娘と人形を見終えると、そっとギャラリーを後にした。
誰も気が付かなかったであろう帰りを、ただ一人の視線に見送られて。










「あ〜あ、このフード近所のコンビにでも置いてくれないかなぁ…」
猫缶の袋をぶら下げたねこ娘が、ブツブツ文句を言いながら街中を歩いていた。
この猫缶はグルメ嗜好なだけあって大好物の一つなのだが、
ゲゲゲの森からはかなり離れた街中にあるペット専門店でしか扱っていない為、
どうしても食べたいときは、遠出しなければならない。
普段は近所のコンビニにある猫缶でも十分なのだが、
今日はどうしても食べたくなってしまったので、
わざわざ買出しに出てきたと言うわけだ。
勿論、一人で
ねこ娘もそう年中鬼太郎と一緒に居るわけではない。
ねこ娘にはねこ娘の生活時間があるように、
鬼太郎と目玉親父には親子の時間もあるだろうし、
ましてや食料の買出しにつき合わせるなど、出来る筈も無い。

80 :

猫缶だけが目的だったねこ娘は、買い物が終るとそのまま帰路につくことにした。
寄り道するときもあるが、今日は帰りたかった。
街中を抜け、人通りの無い路地へ曲がる。
ゲゲゲの森へ通じるゲゲゲホールをも目指して、誰も居ないと思っていた。
「よぉ!ねこ娘。こんなところで何やってんだ。」
「に゛ゃっ?!」
背後から唐突にかけられた声、ネズミの気配にねこ娘の毛は逆立ち、
口は耳まで裂け爪先を尖らせる。
猫の属性を持つ彼女ならではの変貌を遂げた形相で振り返ると、
ネズミ男はこれまた彼がネズミの属性であるが故の弱みでへたり込んだ。
「ちょ、おれっちだってば!」
「後ろから声をかけるあんたが悪いっ!」
「ぎゃっ!」
ねこ娘は勢いのまま鋭い一撃をネズミ男に浴びせると、一息つき元の顔に戻る。
「アンタこそ、何やってんのよ。
 あ、サリー・サさんのところ、首になったんでしょ?」
「ぶぁ〜かぶる下げてるんじゃねぇぞ、
 今日はそのサリー・サさんからの招待状を届けに着てやったって言うのによぉ。」
「…ホントっ?!」
「サリー・サさんからは”是非”って預かってきたんだがなぁ…どうするかなぁ。」
ねずみ男は引っかかれた頬を摩りながら、
仰々しく懐から取り出した白い封筒をねこ娘の目の前でひらひらとさせ、
横目でちらりと見る。
「ホントに、それあたしに?」
「そおだよん。どする?」
「行きたいっ!鬼太郎と目玉の親父さんと…」
「いやな、サリー・サさんは女の子同士で話がしたいんだとさ。
 おめぇが今暇なら、このまま屋敷まで案内するが、来るか?」
「うん!」
ねこ娘はいつかギャリーで見た、美しい人形の数々を思い出し瞳を輝かせた。
彼女の造る人形に惹かれたものならば、喜んでこの誘いを受け入れるであろう。
普段ならばねずみ男の誘いになど軽々しく乗らない彼女であったが、
案内されるまま路地を抜けると、予め用意されていたかのような高級車が待っていた。
自動で開いたドアに、ねずみ男に続きねこ娘が乗り込むと、
再びドアが閉まり車は静かに走り出した。
車内は不思議な香りに包まれており、単調な走りに眠気を誘われたねこ娘は、大きなあくびを一つ
その意識を暗闇に沈めていた。

81 :

「ついたぜ、ねこ娘。」
「ん…」
暫くして、ねずみ男の呼ぶ声で意識を取り戻す。
寝ぼけ眼をこすり起き上がると、既にねずみ男は車の外で待っていた。
ぼんやり見える周りの風景は、町から離れた山奥のようで鬱蒼とした木々が生い茂っていた。
まだ状況が良く把握できぬまま、車から降りると目の前には古い洋館が見えた。
「…うわぁ、大きなお屋敷。」
「おう、ねこ娘。早くこっち来いよ。」
「う、うん。」
ねずみ男に手招きされ、二人の姿は重厚な扉の向こうへと消える。
ギィ…
ねずみ男の歩みに合わせて廊下の床が軋む。
概観の作りも凄かったが、建物の中はもっと重々しく
幼いねこ娘の見た目にも、その造りの凄さが感じられる。
所々に置かれた洋風の家具の上には、サリー・サ作と思われる人形が置かれていた。
それも以前ギャラリーで見た以上に夥しい数の人形が
長い廊下を案内され足を止めたのは、突き当りの部屋の前
ねずみ男はドアノブに手をかけると、扉を押し開きねこ娘を招く。
「うわぁ…凄い。」
ねこ娘は思わず感嘆の声を漏らした。
部屋に入って直ぐ目にしたのは等身大の少女を象ったであろうヴィスクドール。
遠目からでは人と間違えてしまいそうな繊細な作りのドールは、今にも動き出しそうな程だった。
「彼女はヴィクトリア。私の最高傑作よ。」
声をした方を振り返ると、そこにはサリー・サが居た。
「いらっしゃい、ねこ娘さん。私のお茶会へようこそ。」
部屋の中には既に、サリー・サが待っていて、
テーブルにはお菓子が用意されていた。
相変わらず彼女は車椅子に座っていて頭からベールを被り、
まったく肌を露出しないワンピースドレス姿だった。
しかし、洋館の外観とは異なり部屋の装飾はとても明るく、
白い家具や淡いピンクの壁紙、
豪華なレースのカーテンやお洒落なティーセットは、
女の子らしいものが好きなねこ娘の心を捉えて放さない。
「ステキなお茶会にお招き有難うございます!」
「さぁ、こちらの席へどうぞ。」
サリー・サに進められるままに、
ねこ娘は席に着いたが普段の質素な生活が身についてる彼女は自分が凄く浮いて感じられ、
スカートの裾を掴むと頬を赤らめた。
知らない世界はあるものなのだ。
ゲゲゲの森に囲まれ、自然と共に暮すねこ娘の生活をサリー・サが知らないように、
ねこ娘もまたこんなにも豪華な生活を送っている人間の実態を知らない。

82 :

「ねずみ男さん、熱い紅茶を入れてきてくださる?」
「はぁい、サリー・サさん♥」
ねずみ男が部屋から出て行くと、サリー・サは車椅子をねこ娘の席の傍に近づけ声を掛ける。
「せっかくだから、ねこ娘さんも楽しみましょうか。」
「えっ?」
「こちらの部屋に用意したものがあるの。あなたも気に入ると思うわ。」
通された部屋はどうやら衣裳部屋のようだった。
今までいた部屋のほど広くは無いが、それでもねこ娘の住まいよりは広く、
化粧台から、小物まで色々と揃えられている。
中でも目を引いたのは、部屋の中心に飾られた豪華なレースのついたドレス。
女の子なら、一度はあこがれるような素敵なドレスに、ねこ娘は瞳を輝かせる。
「素敵…」
「これは貴女の為に用意したのよ。良かったらあわせて見て。」
「でも、いいんですか?」
「勿論、私のお茶会では招くお客様に毎回そうしてもらっているの。
 遠慮なんかいらないわ。」
「私は隣の部屋に戻るので、衣装を着たら来て下さいね。」
サリー・サはねこ娘を部屋に残して出て行った。
「うわぁ…凄い…んなの着てみたかったんだぁ。」
ねこ娘はドレスを手に取って着替え始めた。
それはまるで自分のためにあつらわれたようなドレスで、
不思議なぐらいにサイズがぴったり合う。
普通の既製品とは違う、恐らくは手作りのドレス。
なのに採寸もせず、ココまでぴったりと合うように作れるものなのだろうか―――と、
ねこ娘は少し不審に思った。

―――まるで私のサイズを知っていたみたいにピッタリ

しかし、そんな不信感はすぐに思い直された。
”私のお茶会では招くお客様に毎回そうしてもらっているの。”
そう言うからには、毎回こういったサプライズがあるのだろう。
彼女自身も当たり前のようにしていたし、
凄い縫製のプロでも雇っているんだろうと、ねこ娘は思った。
―――深く考えすぎよね。
ねこ娘は着替え終わると、元居た部屋に戻る。
「あの…」
其処にはティーポットを持ったねずみ男とサリー・サが居て、
何時もとは違うフリフリの衣装を纏ったねこ娘に、ねずみ男は思わず吹いた。
ねずみ男の反応に、ねこ娘は反射的にキッと睨み付けた。

83 :

「素敵、とっても良く似合うわ!サイズも丁度良い見たい。」
「まるで誂た様にぴったりで、あたしも吃驚してるんです。」
「そう?一生懸命作った甲斐があったわ。」
「え…?これ、サリー・サさんが作ったんですか?」
「そうよ。ドールの服も全部私が作るのよ。
 等身大のドールや自分の服も作っている所為か、
 見ただけで何となくその人のサイズが分かっちゃうの。」
「プロの方って凄いんですね。」
「一種の職業病みたいなものだと思うのよ。さぁ、席へどうぞ。」
再び元座った席に座ると、ねずみ男がクックックと笑いながら紅茶をカップに注ぐ。
用意されたお菓子を食べ、普段とはまったく違う雰囲気の世界に、
まるでタイムとラベルでもしたような錯覚を覚えたが、
同じ部屋に居るねずみ男の姿を見れば直ぐに現実に引き戻された。
サリー・サの話はとても面白く、時の経過を忘れさせるほどだった。
ふと、ねこ娘は軽い眩暈を覚えた。
眠くは無いのに、意識が保てないのだ。
「…私、ねこ娘さんが羨ましいわ。」
「そんな事…」
「だって、私がどうしても手にいれられない”もの”を持っているんですもの。」
言っている意味が分からない。
その前にその意味を考えられるほどの意識は無かった。
ただ、倒れてしまいそうな身体を起こしているのが精一杯で…
「ねぇ、ねこ娘さん。それ…私にくださらない?」
次の瞬間、天地が揺らぐ
「お、おい!ねこ娘―――!!」
ねずみ男が自分の名を呼ぶ声を最後に、ねこ娘の意識は鎖された。





「きっ…鬼太郎〜!!!」







84 :

静かなゲゲゲの森を劈く叫び声に、森のカラスが一斉に飛び立つ。
声の主が目指すはゲゲゲハウス。
わき目も降らずに森を駆け抜けると、
鬼太郎が居るであろう家の中へと転がり込んだ。
家の中には、鬼太郎親子と砂かけ婆、それに子泣き爺も居て、
騒々しい訪問者に一同動きを止める。
「なんじゃ、ねずみ男…騒がしい。」
「もう少し普通に来れんのか。」
「ばぁっ…ぶぁか!それ所じゃネェんだよっ!!
 ね・ねこ娘が…ねこ娘がっ…!」
「ねこ娘に何があったんだ!ねずみ男。」
ただ事ではない様子のねずみ男の口から”ねこ娘”の言葉が漏れると、
鬼太郎の表情は一変して険しくなった。
「俺ッちだって、こんなヤベェ事だって知らなかったんだよぉ…助けてくれよぉ。鬼太郎…」
「まずは落ち着け。分かる話も分からんわ。」
「そうじゃ、わしらにも分かるように話さんか。」
ねずみ男はちゃぶ台の上にある湯飲みのお茶を一気に飲み干すと、
少しは落ち着いたのか肩を落として項垂れた。
「ああ…わしのお茶が…。」
「さぁ、ねずみ男。ねこ娘は今どこに居るんだ?」
「サリー・サさんの屋敷だよ。
 まさかサリー・サさんが化け物だったなんて…俺ぁ知らなかったんだよぉっ!」
ねずみ男はそう叫ぶと、事の経緯を語り始めた。
それは、街中のベンチで上手い儲け話は無いものかと考えながら転寝している時であった。
悪戯に風に煽られた新聞の束が、ばさりと顔に当たり思わずムカついて、
新聞の束を鷲掴みにしたところ目にしたのは、妖怪文字で書かれた求人募集の欄。
世界広といえども、妖怪文字が読めて人間界で勤められる妖怪は自分しか居ない!正に運命的!!と
普通に働くのが馬鹿馬鹿しい位の報酬額に惹かれ、
鼻息荒く面接に訪れたのがサリー・サの屋敷だった。
そこで出会ったサリー・サのベールに覆われた顔の美しさにも心奪われたが、
仕事は至って簡単なもので、個展の手伝いをする傍ら、
サリー・サのお茶会の招待状を配達する事と、
招かれた客人を屋敷への送迎をして欲しいとのことだった。
変わった事と言えば、客人を乗せる席には必ず指定された”香”を炊く事ぐらいで、
仕事の内容からすれば嘘のような報酬だった。
「今まで開かれてたお茶会じゃぁ何も無かったんだ。
 まさか、お茶会の目的があんな事だったなんてよぉ…」
普段のおちゃらけた姿のねずみ男とは違い、憔悴した姿はまるで別人のようだった。
顔は青ざめ、震える声で話は続く。
先日、鬼太郎親子とねこ娘が偶然サリー・サの個展に訪れた後の事だった。
サリー・サがねこ娘の事を甚く気に入った様子で、ねずみ男にあれこれと聞いてきたのだ。

85 :

『ねずみ男さん、今日来ていたお知り合いの方達…彼らも貴方と同じ妖怪なのかしら?』
『そうなんすよ。”ゲゲゲの鬼太郎”っていう小生意気な奴でして…』
『鬼太郎?…あの子が”鬼太郎”…ゲゲゲの。』
”鬼太郎”の名に反応したサリー・サの瞳が光り、
一瞬纏う雰囲気が変わったが鈍いねずみ男は気が付かなかった。
『まぁ、大妖怪であるビビビのねずみ男様から見れば、まだまだ半人前ですがねぇ〜』
『あの女の子も?』
『ねこ娘っつーんですがね、コレがまた糞生意気な餓鬼でして…』
『”ねこむすめ”と言うの…そう…』
『サリー・サさんと同じ女とは思えないほど乱暴でガサツな奴ですよ。ホントに』
『ねぇ、その娘…私のお茶会に招待したいわ。準備してくださる?』
『えぇっ?!あんなのを呼ぶんですかい?』
『特別報酬として100万出すわ。』
『やります!』
”100万円”の報酬を聞いてねずみ男は鼻息荒く腕まくりをした。
『ただし、私の望みが叶ったら…よ?』
『サリー・サさんの”望み”ですかぃ?』
この時はサリーサの”望み”は、ねこ娘をこの屋敷へ招きお茶会を開く事だと思っていた。
そんな簡単な事でよければと、買い物帰りのねこ娘を誘い、屋敷まで連れてきたのだ。
今まで客を招いたように、ねこ娘ともお茶会をし一時を過ごすだけだと。

『お、おい!ねこ娘―――!!』

お茶会の最中、ねこ娘の上半身が不自然に揺れ床に倒れこむ。
ねこ娘の異変に気が付いたねずみ男は思わず声を掛けたが、
床に倒れたまま起き上がる気配が無い。
慌ててその身を抱き起こし揺さぶるが、瞳は閉じられたまま。
『一体急にどうしたってぇんだ…?』
『漸く薬が効いたみたいね。』
『えっ…サリー・サさん…アンタまさか…』
『ねずみ男さん、彼女を私の仕事部屋に運んでくださる?』
ベールに覆われた顔の表情は読取れないが、
彼女は微笑んでいるように感じて思わず身震いをする。
『良い素材が手に入ったわ、後は私の望みを叶えるだけ…』
『アンタ一体、ねこ娘をどうするつもりなんだよぉ?』
『この娘を使って新しい私の器を作るの。
 私は永遠の若さと美しさを手に入れるのよ。』
『まさか、今までお茶会に人を呼んでいたのは…』
『私の器に相応しい素材を探していたの。
 何人も候補を選定したけれど…人間は駄目ね。』
サリー・サは彼女が”ヴィクトリア”と呼んだ等身大の人形の方を見ると、
言葉を無くしたままのねずみ男を無視して話を続ける。

86 :

『私の器にと、ヴィクトリアを造ったけれど…彼女では駄目なの。
 それに引き換えこの娘は最高の素材だわ…』
ねこ娘を抱きかかえたままへたって居るねずみ男の傍へ、
サリー・サは車椅子を進めて近づき手袋を外す。
初めて手袋を外すところを見たねずみ男が目にしたその素肌は、
まるでミイラのようにやせ細り、骨が浮き出た手。
その手はねこ娘のふっくらした頬を撫る。
『この瑞々しさ…ドールなどでは決して再現できない神の創作物。』
『あっ…アンタ一体、何者なんだ?』
『欲しい素材は手に入ったし、色々知りすぎたねずみ男、お前も用無しだねぇ…』
サラリと冷たい言葉を吐き捨てると、
ヴィクトリアと言うドールの傍にある旧式のレコードプレイアーのスイッチを入れる。
奇妙な音楽が流れ始めると、ヴィクトリアの目蓋がぱちぱちと動きはじめた。
『さぁ、私の可愛いドール達。この男を片付けてお仕舞いなさい。』
『ひっ、ひぇ〜!!』
その言葉にねずみ男は慌てて部屋を出ようとするが、
開いた扉の向こうには既に人形達が待ち構えていた。
それぞれがナイフやフォークのような武器と思しき物を持ち、
無機質な物が押し寄せてくる光景は背筋が凍りつくような恐怖があった。
元居た部屋に戻るしかなかったねずみ男は、
とうとう行き場が無くなり決の思いで部屋の窓を破り、
命からがら逃げてきたのだと言う。
幸い、部屋は一階だった為、かすり傷で済んだ。
「なんじゃと!おぬし、ねこ娘を置き去りにしてきたのか!!」
「この大馬鹿者!」
話を聞き終えた砂かけ婆と子啼き爺の野次が飛ぶ。
「だってよぉ、俺じゃ助けらなかったんだ。なぁ、鬼太郎…」
「…場所は?」
「へっ?」
静かな怒りがこみ上げ、鬼太郎の髪がざわりとする。
行き成り胸倉を捕まれたねずみ男は間抜けな声しか上げることが出来なかった。
ねずみ男が見た鬼太郎の表情は、
幽霊電車や地獄流しで見た彼の恐ろしい一面を遥かに超える程だった。
「屋敷のある場所を言うんだ。ねずみ男。」
決して言葉を荒げる事など無く、鬼太郎は静かに言い放った。
が、その言葉と鬼太郎からは滲み出すような強力な妖気が感じ取れ、
ねずみ男の顔からは一気に血の気が引ける。
「頼む、一反木綿!」
「ほぉーい、鬼太郎。」
「わしらも行くぞ、鬼太郎!」
鬼太郎は妖怪笛で一反木綿を呼ぶと、事情を説明し砂かけ子啼きと共に乗る。
ゲゲゲハウスにはねずみ男だけが残された。

87 :

「おぉーい!待ってくれよ。俺も行くよ!!」
暫くして我を取り戻したねずみ男は、
カラスのヘリコプターに乗り鬼太郎たちの後を追った。










「…やはり逃げたか。しかし、それも予定の内。」
サリー・サはねずみ男が割って出て行った窓の方を見て呟くと、視線をねこ娘に戻す。
「さぁ、ドール達。この娘を私の仕事部屋に運んでおくれ。
 私の新しい器となる素材だからくれぐれも丁寧に。」
大小様々な人形が命令に従い、床に崩れたねこ娘の身体を持ち上げると、
部屋を出て行くサリー・サの後へと続く。










「今回の相手は”半化け”かもしらんのう。」
一反木綿に乗っての移動中に、
今までねずみ男が話していた最中もだんまりであった親父が突如口を開いた。
「”半化け”ってなんです?父さん。」
「半化けは妖怪になりきらんかったモノの事じゃ。
 成らぬものとでも言った方が正しいかのう。
 妖怪が生まれるにはその時代時代で様々な背景があるが、
 お前も知っての通り人からなるものや、
 一反木綿のように物からなる付憑神も居る。
 物から成る半化けは、霊的現象に近い為に大概はお払い等で治まる場合もあるが、
 人等の生き物からなる半化けには性質の悪いものも居ってのう。
 肉体がんでも尚現世に留まり、あの世に逝こうとはせんのじゃ。
 なんせ半分は化け物化しておるから、んだ事すら分からん、
 もしかしたら納得出来んのじゃろうなぁ。
 生物として命尽きた肉体のまま彷徨うその姿は、
 差し詰め生ける屍と言ったところじゃろうか。」

88 :

「肉体が朽ちた半化けはどうなるんですか?」
「肉体…即ち魂の拠り所が失われれば、現世との関わりが断ち切られ、
 強制的に閻魔大王の元へ行くんじゃ。そして他のした魂同様に裁きを受ける。」
「半化けの生への執着は尋常では無いと聞くが…」
「女性ならば尚更かもしれんのう。己が醜く朽ち果てるのは耐え難いに違いない。」
「じゃぁ、ねこ娘は…」
「うむ、恐らくは朽ちかけた己のの身体を捨て、ねこ娘の身体を乗っ取るつもりなんじゃろう。」
「急がんとねこ娘が危ない!」
「頼む一反木綿、もっと早く…!」
「ホントは定員オーバーじゃども、ワシもねこ娘が心配たい。
 超特急で行くけん!しっかりと掴まりんしゃい!!」
飛行速度を加速させ、鬼太郎ファミリーを乗せた一反木綿の姿は青い空に飲み込まれていく。










(―――あたし…寝てたのかしら。)
ねこ娘の意識が目覚める。
スンと鼻を鳴らし、何時もとは違う空気に、まだ目覚めきらぬ頭で記憶を手繰った。
今日は態々街に買い物に来て…そうだ、ねずみ男に会ってそれから―――
ねずみ男の顔が脳裏を過ると一瞬目が鋭くなるが、
サリー・サ宅でのお茶会の途中であったことに気付きはっと目覚める。
しかし、瞳に移るのはお茶会の席の華やかな部屋の装飾ではなく、
ひんやりとした空気の流れる石造りの部屋。
室内はとても広く、人形の身体の一部と思われる手足や、
道具が目に付いたが、体の身動きが利かない。
「にゃっ、ここは…何であたしこんな所に…?」
「あら、お目覚め?
 人ならば丸一日は目覚めない薬なのに…幼くてもやはり妖怪って事なのかしら?」
「…誰ッ?!」
声のするほうを向くと、暗闇の中から天窓からさす光と蝋燭の炎に照らされ、
徐々に現れるのは車椅子に乗った女性。
ベールを頭から被ったその姿は
「―――サリー・サ…さん?」
ねこ娘の瞳は大きく見開き、この現状をとても信じられないと言った顔をしている。
そんな少女を見てサリー・サは声を上げて笑う。

89 :

「ほほほほ…私の仕事部屋へようこそ。
 どうしたの、何か”信じられない”と言ったような顔ね?」
「”薬”ってどういう事?あたしが妖怪だって何で…」
「私はね、今から貴方のその若くて瑞々しい身体を使って生まれ変わるの。
 ずっと探していたのよ、何時までも老いる事の無い器を。」
その言葉に、ねこ娘が今時分が乗せられているこの場所は、
彼女が人形を製作する作業台なのだと気付く。
この部屋そのものが人形を作る為の場所なのだと。
「私にはね、師が居たの。
 でも、その師は私に若さを保ったまま生きる秘術を伝授する前に消されてしまったわ。
 おかげで私の身体は年月と共にこんなになってしまったの…」
「ひっ…」
サリー・サはねこ娘の目の前で手袋を取って見せた。
それは木乃伊そのもので、既に指先から白骨が飛び出した手でねこ娘の頬を撫で擦る。
「今まで多くの人間をお茶会に誘ったわ。
 でもコレと言った素材には出会えなかったの。
 人から生気を奪っても、どんな秘術を用いても
 私が時と共に失った若さと美しさは取り戻せなかった。
 この身体ももう限界…だから私は、老いる事の無い妖怪の身体を使うことに決めたの。
 ねぇ、ねこ娘さん…。」
そういうとサリー・サはベールをまくる。
美女だと思っていたサリー・サの顔はドールと同じく作られた仮面だった。
その仮面を朽ちかけた手で外し、隠されていた本当の素顔を晒す。
既に瞳は失われ、ぽっかりと穴の開いた窪みにむき出しの歯、崩れかけた頭皮。
人が生きたまま木乃伊化したようなその姿に、ねこ娘は声が出なかった。
恐ろしかったのだ、彼女の姿形ではなく
肉体がしても尚、生きたいと言う凄まじい生への執着が、とても恐ろしかった。
「私、生きたいの。
 若く美しいままずっと、ずぅっと…
 だから、貴女のその体頂戴―――私が望んでも取り戻す事が出来なかったそのもの!!」










90 :

「のう、おばば。何かひっからんか?」
屋敷に着いた子啼き爺がふと、言い出した。
「どうしたんじゃ子啼きの。」
「いやな、人形と言うのがどうも引っかかっての。」
「そういえば以前もありましたね。
 確かあの時は蝋人形で…カレーと言う人形の予言どおりに人が消えると言う事件でしたね。」
「確か黒幕のカリーカは倒した筈じゃが。」
「それじゃそれ。その時と何かにとらんか?」
「人形絡みと言えば確かにそうじゃが…」
「それよりも、ねこ娘の救出が先決じゃ!」
「カリーカが絡んでいるとすれば、屋敷自体にも何かカラクリがありそうじゃが、
 わしらは正面から行くぞ。」
「じゃ、僕は屋敷の外からねこ娘を探してきます。行くぞ、一反木綿!」
「ほいきた!」
鬼太郎は一反木綿に飛び乗ると、屋敷の壁伝いに窓を覗き様子を探るが、
ねこ娘の姿は見当たらない。
苛立ちが募り、自然と目つきが険しくなる。
(ねこ娘―――一体どこに居るんだ。)
「おぉ〜い。鬼太郎ー!!」
その時送れてカラスのヘリコプターに乗ったねずみ男がやってきた。
「ねずみ男、お前の言ってた彼女の仕事部屋は何処だ!」
「地下だよ!地下!!
 確か屋敷の裏に明り取りの窓が有るから、其処から入れるはずだ。」
「それをもっと早く言え!」
「だからよぉ、俺ぁこうして追いかけてきたんじゃネェか。ほら、此処だよ。」
ねずみ男に案内され、地下の天窓の前に立つ。
覗いてみても、中は暗く外からは様子も分かりそうに無い。
その時

「イヤッ!鬼太郎ー!!」

耳を掠めたその声は、間違いなくねこ娘の悲鳴。
自分の名を叫ぶ彼女の声を聞き誤ったりなどするはずも無い、鬼太郎の表情は一変する。
「…ねこ娘!リモコン下駄ー!!」
地下から聞こえたねこ娘の悲鳴に、リモコン下駄を放ち天窓を破る。
「ねずみ男、お前は玄関に回ってオババと小啼きの方を頼む。」
「や、やだぜ。この屋敷にゃ凶器持った人形がわんさかと〜」
「この屋敷に詳しいのはお前しか居ないんだ、早く!!」
「わっ・わぁっ〜たよ!!後でラーメンぐらい奢れよ!」
「一反木綿、頼む。」
「まかせんしゃい!」
鬼太郎は再び一反木綿に飛び乗ると、天窓から地下室へと下りていった。

91 :









「どうも中から鍵がかけられておるようじゃのう。」
「それでは普通にしていては埒が明かんわい。」
「頑丈そうな扉じゃし、ここはわしが石になってぶち破るしか無さそうじゃ。」
「ほれ、はようせい。子啼きの。」
一方鬼太郎に言われ正面玄関に回ったねずみ男は、
砂かけと子啼きの姿を見て顔色を変える。
「おっ、ちょっと待ったぁ!!」
「そ〜れ、ホギャァ!!」
バキャ!と言う木が割れる音がして扉が壊された。
「あ〜ぁ…やっちまいやがってよぉ。」
「どうしたねずみ男?」
「あのなぁ、この屋敷には凶器持った人形がうろうろしてんだ!
 扉ぶち破ったら出てきちまうじゃねーか!!」
「なに、人形じゃと?」
「うわっ!なんじゃありゃぁ?!」
扉を破った子啼きの悲鳴に、そちらを見ると騒ぎを聞きつけたのか、何もなかった廊下に一体。
また一体と人形が姿を現す。
「ほら言わんこっちゃねぇ。だから俺は嫌だったんだよ!!」
「何を言うか!そもそも今回の事はおぬしが原因じゃろうが!
 金に目が眩んで、ねこ娘を危険に晒しおって!!」
「言い争いをしている場合か、
 人形に見つかって厄介な目にあう前にこの場を離れるんじゃ。」
3人はその場を離れ、植え込みの影に姿を隠す。
幸い人形が外にまで出てくることは無かった。
「人形が凶器を持ってうろつく姿は恐ろしいもんじゃのう。」
「だから俺が言ったじゃねぇか!」
「そう言えばそうだの。
 ねずみ男、おぬし”音楽を流しはじめたら人形が動き出した。”とか言っておったな。」
「まぁ、確かにそう見えたけどよ。」
「カリーカ絡みならば以前にも装置が仕掛けられていた時計のようなものが、それかもしれん。」
「…て言うと?」
「その音楽をとめれば人形は動かなくなるはずじゃ。」
「で、その部屋は何処じゃ?」
「あの玄関入った一番奥だ…」
「なんじゃと!もう玄関には人形が待ち構えているじゃろうし…他には入れそうな場所は?」
「あ!あの部屋の窓なら、俺が逃げた時に割れてる筈だ。」
「よし、そこから入ろう。ねずみ男、案内せい!」

92 :










カラン…コロン…地下室に入った鬼太郎の下駄の音が響く。
「ねこ娘?」
落ちたばかりの地下の暗さに直ぐ目は慣れず、
ぼんやりとした明かりが見える中ねこ娘を呼ぶが、返事は無い。
「…ぎゃ!」
「大丈夫か、一反木綿?」
暗闇の中、一反木綿の短い悲鳴に鬼太郎は振り返る。
「ひどか〜トリモチのようなものぶつけられて、身動きが取れんようになったでごわす。
 それよりも鬼太郎、あの明かりの方に人影が…」
「えっ?」
「ねこ娘…そこに居るのは、君かい?」
カラコロと石畳に下駄の音を響かせながら明かりの方へと近づく。
が、異様な気配を感じ取って咄嗟に身構えた。
漸く慣れ始めた目で見ると、布で全身を覆った人影が見える。
「ほほほほほ…良く来たわね、ゲゲゲの鬼太郎。
 もっとも、あの男を逃せばお前を此処へ連れてくると思ってたわ。」
「サリー・サ!!…いや、半化け。おまえはカリーカ所縁の者か?!何故こんな事をする。」
「まさか鬼太郎、お前の口から我が師の名が先に出るとは思わなんだわ。」
「”師”だと?」
「そうさ…人形師として妖怪として生きる秘術を授かる前に、
 お前が我が師、カリーカを抹した為に私の全ては狂ってしまった。
 それさえなければ私は師の最高傑作となるはずだった。
 美しい私のまま!!
 なのにお前のおかげで成らずじまいの中途半端な存在のまま肉体は朽ち、
 醜い姿になってこの世に留まらなければならなくなった。」
「何と!カリーカは人体を妖怪化する術を施していたと言うのか…
 何と言う恐ろしいことを。」
「お前の肉体は当の昔に人としてんでいるんだ。
 その事を受け入れてあの世へ行くんだ!」
「嫌だ!」
生へ執着する余りの魂の叫び。
発せられた一言に、館全体が震えたかのように感じた。
その執念の篭った言葉に鬼太郎は一瞬身を強張らせる。

93 :

「ぬなんて嫌だ!私は生きるんだ。
 こんな醜い体は捨てて、若く美しい体を手に入れて…永遠に生き続けるんだ!!」
「やはり、半化けはねこ娘を乗っ取るつもりじゃッたのか。」
「ほほほ…そうさ。助けに来たようだけれども、残念だったね手遅れだよ。」
半化けは体を覆った布を捲ると、其処にはドレス姿のねこ娘が横たわっていた。
だが、顔色は悪くぐったりとしたまま動かない。
「ねこ娘!!」
「呼んでも無駄だよ。もうこの体にはこの娘の魂は宿っていないのだから!」
「なんじゃと?!魂を無理やり引き剥がしたのか!」
「どういう事です?父さん。」
「余程の妖力を持った妖怪でない限り、
 半化けに妖怪の魂を抜くなどと高等な術など使えるわけが無いんじゃ。
 考えられる事はただ一つ…器から無理やり魂を引き剥がしたとしか思えん。」
「それでは、ねこ娘はどうなるんです?」
「早く魂を体に戻してやらんと、元に戻らなくなるかもしれん。」
「そんな!」
「鬼太郎。一刻も早く、ねこ娘の体と魂を取り戻すのじゃ!」
「はい、父さん!」
「ほほほ…簡単に取り戻せると思うのかい?」
「何?!」
「鬼太郎、足元じゃ!」
目玉の親父に言われ足元を見ると無数の人形達が迫っていた。
先ほど一反木綿が受けた攻撃も恐らく人形によるものだろう。
「髪の毛針!」
鬼太郎は反射的に髪の毛針を撃ち込んだが、そんなものが人形に効く訳も無く
人形達はじわりとその輪を狭める。
「くっ、オカリナロープ!!」
鬼太郎は懐からオカリナを取り出し、鞭を振るう。
その先端が人形に触れ、幾つかが吹飛ばされた。
「ほほほ…それしきの事で私の人形が壊れると思って?」
「…これは!!」
鞭に打たれた人形は何事も無かったかのように起き上がる。
まったく無傷と言うわけでは無さそうだが、見た目には何の損傷も無い。
「そんなひ弱な鞭を放ったところで壊せやしないわ。
 其処から己の無能さを嘆くといい。」
「くそっ!これならばっ…うわぁっ!」
「鬼太郎!!」
鬼太郎がリモコン下駄を花等とした時には既に人形が足に群がり身動きが出来ない状態になっていた。
人形同士が絡まり、その上から鞭を浴びせたがびくともしない。

94 :

「直ぐにはさないわ。私の受けた屈辱がどんなものだったのか!
 簡単になど終わらせたり等絶対にしない!!」










「・・ほれ、ねずみ男。中の様子はどうじゃ?」
外では砂かけ、子啼き、ねずみ男の3人が人形を動かしていると思われる部屋の窓の下へときていた。
どの部屋も中から鍵がかけられていて、
やはりねずみ男が逃げ出したと言うこの部屋の割れた窓より侵入するほか無さそうだった。
「あのでかい人形以外は見あたらねぇけどよぉ、何で俺が…」
「わしゃぁ腰が痛くってのう。」
「わしにはこんな壁をよじ登るなんてとても無理じゃ。」
「年寄りに重労働させようとするとはのう…」
「わぁ〜たよっ!俺ッちがやればいいんでしょ…っつたく、人使いの荒い爺と婆だぜ。」
「ねずみ、何か言いおったか?」
「はいはい、ただいま〜!」
砂かけ婆に睨まれて、ねずみ男はそそくさと窓から中へと入り込む。
「あ〜おっかねぇ…ナンマンダブナンマンダブ…頼むから何も出てくるなよ。」
そろりそろりと、抜き足差し足で機械の傍へ行き、
レコードの針を外すと今まで奏でられていた奇妙な音楽がぴたりと止んだ。
「おっしゃ!コレで怖いモン無しだぜ。」
鼻息荒くガッツポーズをとったところで、廊下側の扉から人形が押し寄せてきた。
「イヤー!コレじゃなかったのかよ!!」
「どうした、ねずみ男。」
「まだ人形が動いているんだよぉおお!」
「バカモン!音を止めただけじゃ駄目じゃ。機械そのものを壊さんか!!」
「よ、よし、それっ!」
ねずみ男は止めたレコードの機械そのものを床に落とす。
グシャ…と、鈍い音がして機械はバラバラになったが…
「壊したのに、何でこいつら止まらねぇんだ!!」
「他に機械らしきものは見当たらないのか、時計とか!」
「この部屋にはレコード以外置いてネェよ!」
じわじわと迫る人形。
そしてレコードの機械のとなりに居た、等身大の人形ヴィクトリアの手が伸び、ねずみ男の服を掴む。

95 :

「きゃー!放せ、放してくれよ!!俺が何したってんだ!」
泣き喚いたところで意思の無い人形がねずみ男を開放するわけも無い。
捉えられ、足元に迫る人形の群れに完全に逃げ場を失ったねずみ男は、
己の最大の危機に脱屁をした。
その瞬間、壊されたレコードの何かのスイッチがカチリとなり、
部屋の中で大爆発を起こす。
「なんじゃ!何が起こったんじゃー?!」
「ねずみ男が屁をこきおったんじゃ!!」
臭い爆風は部屋の外に居た砂かけ婆や子泣きににも影響を及ぼす。
部屋の窓は全て吹飛ばされ、辺りにはなんともいえぬ臭いと黄土色の粉塵が漂う。
ねずみ男の屁による爆発の振動はその部屋ばかりではなく、
鬼太郎たちの居る地下にも伝わっていた。
「な…一体上で何があったと言うの?!」
予期していなかった出来事に半化けは天井を見てうろたえる。
その瞬間、地鳴りがし、鬼太郎の足元が盛り上がり現れたのは…
「ぬ〜り〜か〜べ〜。」
「塗り壁!」
「いまさら何ね、来るのが遅かよ!!」
一反木綿に怒鳴られ、送れて表れた塗り壁は申し訳なさそうに己を掻いた。
塗り壁が現れたと同時に、鬼太郎の足を拘束していた人形の力が弱まり、
バラバラと落ちはじめる。
「鬼太郎、何が起こったのかは判らんが術が解けたようじゃ。」
「はい、父さん。いっくぞ、リモコン下駄ー!!」
足を蹴り上げると人形がガラガラと崩れ、
放たれたリモコン下駄がねこ娘を抱えた腕に直撃すると腕がもげ、
ねこ娘の体は台の上に横たわる。
塗り壁の頭上から飛び降りた鬼太郎は、
半化けがねこ娘を手放した隙に、次なる攻撃を仕掛ける。
「チャンチャンコー!」
鬼太郎が投げつけたチャンチャンコはあっという間に半化けの体を捕らえた。
「いやだ、醜い儘にたくない!私は成って生きるんだ…成って…!!」
僅かな隙間からねこ娘を掴もうと伸ばされたボロボロの手、
虚ろな筈の目の窪みには青白い光が灯って見え、
人として終れず妖怪としても成れなかった無様で哀しい半化けをちゃんちゃんこは決して逃さず、
その大きさをギチギチと縮めていく。
何とかねこ娘に触れようとする最後の悪足掻きさえ鬼太郎は許さず、
掌をぐっと握り締めるとちゃんちゃんこは半化けの姿を包み込み、
球体に形を変えて一気に圧縮した。

96 :

「イっ…生ぎぃ―――ぎゃぁあああ!!」

断末魔の叫びが部屋に響き渡り、半化けの最後を告げた。
チャンチャンコはその器を塵とも残さず消滅させると、
何事も無かったかのように”ひらり”と鬼太郎の元へ戻る。
先ほどまでの騒がしさが嘘の様に、辺りには静寂が広がる。
「凄まじい執念の持ち主じゃ。あの体も生への執着で何とか保っとったに違いない。」
「ええ、本当に…はっ、ねこ娘?!」
鬼太郎は元のようにチャンチャンコを羽織、紐を結ぶとねこ娘の元へと駆け寄った。
「鬼太郎、後ろの棚になんかあるとよ。」
動きを封じられていた一反木綿が自力で脱出してきたようだった。
「おお、一反木綿。無事じゃったか。」
「何とか。」
「それより、ほれ。そのふわりとしたの、ねこ娘の魂じゃなか?」
人形の方や道具と一緒に、ガラスケースに入れられた淡い紫色の人魂が目に映る。
鬼太郎はそれを手に取り、蓋を開けたが魂は元に戻ろうとしない。
「父さん…何故戻らないんでしょう?」
「無理やり引き剥がされて、戻る力を失っておるのかもしれん。」
「…ねこ娘。」
「き・鬼太郎、一体何をするつもりじゃ!」
一反木綿は生地を赤らめ、塗り壁も己の手で目を覆う。
鬼太郎は、魂の抜けたねこ娘の器を見る。
まるで眠っているかのような姿に、
以前、ねこ娘が話してくれた”眠り姫”の童話を思い出し、
魂の入った瓶を手に取り、ねこ娘の魂を飲み込む。
そして猫娘のほほに触れ、そっと唇を重ねて魂を吹き込む。
目を覚まして、何時ものように微笑んで”鬼太郎”と、僕の名前を呼んで?
鬼太郎は一途な想いを届けたくて、口付けたままねこ娘の身をぎゅっと抱いた。
「おお!ねこ娘の顔色が戻って行くぞ。」
「ぬ〜り〜」
「息を吹き返したばい!」
目玉の親父の声に、我を取り戻し唇を放してねこ娘の顔を見つめる。
すると先ほどまで青白かった肌の色が徐々に赤みをさし、目蓋が震えた。
頬に触れ、口元に耳を近づけると柔らかな呼吸音が聞こえ、鬼太郎の顔に笑みが浮かぶ。
「ねこ娘…」
「…鬼太郎?」
鬼太郎の呼びかけに、薄く目を開けて応えたねこ娘だが、再び瞳を閉じてしまった。

97 :

「ねこ娘!」
「大丈夫じゃよ、鬼太郎。意識を失っただけじゃ。」
ねこ娘はぐったりとしていたが、息はしており気を失っているだけのようだった。
驚いた鬼太郎だったが、父の言葉に安堵の息をつく。
「さぁ、僕達の家へ帰ろう…」
鬼太郎は意識を失ったままのねこ娘を抱きかかえると、忌まわしい人形の館を後にした。









「人形の仮面と素肌を隠した程度で、よく今まで人間に見破られずにおったもんじゃのう。」
「恐らく、作り物の姿に妖気を纏って誤魔化して居ったんじゃろうなぁ。」
「しっかし、あの人形が装置の本体だったとはなぁ。」
「さしずめ、あのレコードの機械はカモフラージュといったところか。」
砂かけの妖怪アパートに戻った一同は、今日の戦いを労っていた。
お婆の入れた薬湯に身を浸す目玉の親父、綺麗に洗った体のシワを伸ばす一反木綿。
砂かけ婆と子啼き爺と共にねずみ男も一緒に茶をすすっているのに、
鬼太郎の姿だけが其処に無かった。
鬼太郎はただ一人、アパートの外で燃える火を黙って眺めていた。
怒りとも悲しみとも取れる複雑な表情で、ただそれが灰になるまで見つめる。
やがて原型を無くした灰は、風に吹かれると空に舞って消えていく。
起きてしまったことは無かった事には出来ないが、形あるものが残るのも許せなかったのだ。
鬼太郎は全てを静かに見届けると、妖怪アパートへと戻る。
「おお、何処へ行っとんだんや鬼太郎。おぬしの分のお茶もはいっとるぞ。」
そこにはねこ娘の元へ煎じた薬を届けるであろう、砂かけ婆の姿があった。
「ありがとう、おばば。」
「わしはねこ娘に薬を飲ませてくるから。」
「ああ、それなら僕が様子見がてらしてきます。」
「そうかい?」
鬼太郎は砂かけから湯飲みの乗ったお盆を受け取ると、その足でねこ娘の部屋へと向った。
コンコン
部屋をノックするが返事は無い。
まだ寝ているのだろうかと、そっと部屋に入る。
お盆を置いて枕元にすわり、寝顔を見ると穏やかな表情に鬼太郎の頬も自然と綻ぶ。
柔らかな頬に触れ、その存在が無事だと確かめたくて、鬼太郎は眠るねこ娘の唇に口付ける。

98 :

「…」
―――暖かい…
ほんのりと温かみを感じたねこ娘は、夢の淵から意識を取り戻す。
そっと目蓋を開けると、正面に鬼太郎の顔。
(う、うそっ!鬼太郎?!)
間近に見た鬼太郎の顔に、一体何がおきているのか解らぬまま、飛び起きた。
ガツン!
驚いて起き上がろうとしたため、互いの頭を強くぶつける。
先程の様に口付けで目覚めてくれれば良いとは思ったけれど、
ロマンチックとは程遠い―――現実とは、物語ほど甘いものではなかった。
それでも、ねこ娘が意識を取り戻した事を鬼太郎は心の底から喜んだ。
「イっ、いたぁ…」
「良かった、気がついたんだね。」
ぶつけた頭を撫で擦りながら、鬼太郎が微笑みかけた。
「う、うん…」
ねこ娘は鬼太郎を直視する事ができず、頬を赤らめたまま視線を泳がせている。
鬼太郎はくすくす笑いながら、上半身を起こすと砂かけ婆から預かってきた湯飲みを渡す。
「はい、おばばが煎じてくれた薬だよ。」
「…ありがと。」
ねこ娘は湯飲みを受け取ると、ちらりと鬼太郎のほうを見た。
「ねぇ、鬼太郎。あの人…サリー・サさんはどうなったの?」
「彼女は…在るべき所に帰ったよ。」
鬼太郎は事の結末を簡潔に語った。
「…そう。なんだか可哀相ね。」
話を聞き終えてしょんぼりとてしまったねこ娘を見て、鬼太郎はどんぐり眼を大きく見開く。
彼女は良く、自分の事を優しいと言うが、本当に優しすぎるのは彼女の方だ。
妖怪と人間の共存社会を目指していても本質は異なる種族に対し、
割り切ったものの見方をしている自分とは違い、彼女は何に対しても変らぬ態度で接する。
それは敵対関係にあるねずみ男に対してもだ。
なんだかんだ言っても、気遣うことを忘れない彼女は、
何時かその優しさ故に、何時か自身を滅ぼしてしまうのではないかと鬼太郎はずっと案じていた。
「サリー・サさん、ずっと独りぼっちで…
 人形しか相手が居なくって寂しかったんじゃないかな。
 あたしみたいに、鬼太郎やオババたちみたいな仲間が居たら
 ―――あんな風にはならなかったかもしれないね。」
「ねこ娘…」
鬼太郎はねこ娘が泣くのではないかと思い、そっと肩を抱き寄せると髪を撫でた。
するとねこ娘は胸に頭を擦り付け甘えるような仕草を見せる。

99 :

「…ね、鬼太郎。あれ…捨てちゃった?」
「”あれ”…って?」
「その…あたしが着てた…」
「ああ…ごめん、あんな事があったものだから。」
「そっか、そうだよね。変な事言ってごめんなさい。」
流石に焼却処分して灰になってしまったとは言い難く、
ガッカリした様子のねこ娘の耳元に、鬼太郎は口を近づけるとそっと囁く。
「ドレスが気に入ったのなら、洋装と和装…両方しようか?」
「…え?」
「僕はねこ娘には白無垢がいいかと思ってたんだけど、
 純白のドレス姿も素敵だろうね。
 君は何を着ても似合うから。」
鬼太郎はさらりと言い切ってにっこりと微笑む。
その言葉の意味を漸く理解したねこ娘は益々頬を赤らめ、
瞳孔をきゅっと細くして俯いた。
「何もガッカリすることなんて無いんだよ?」
「う…うん。」
鬼太郎は顎を引いて顔を上げさせるとアーモンド形の大きな瞳は既に潤んでいて、
胸から溢れる愛しさに溜まらず口付けると、
ねこ娘も瞳を閉じてそれを受け入れた。


100 :
GJ!
エチーがなくてもラブラブなのはさすが4期ですなあ

101 :
四期声優陣をアテながら読んだ
GJ

102 :
GJ!
いつか鬼太郎が照れて頭かきながら砂かけばばあに
ドレスを縫ってやってくれと頼み込むような予感。

103 :
昨日のルパン見ていて改めて二人三脚萌えるとオモタ
シグルイによれば結ばれる男女は足首が赤い綱で結ばれているそうな。

104 :
ホシュ

105 :
日中はまだあっついけどもうお月見シーズンだ、
ゲゲゲの森は月も星もよく見えるだろうなあ。

106 :
あおかんですねわかります

107 :
とりあえず今夜は中秋の名月だからネコ手製のお月見団子で
お月見ツーショットだな
野沢鬼とネコはご機嫌で炭鉱節を歌ってたりするわけだ

108 :
4期なら「おばばに教わってあたしが作ったんだよー」
と三宝に飾ったお団子とツーショットのシルエットが
きれいなお月さんの下に並んでそうだ

109 :
季節ネタではないのですがスレ賑やかしにSS投下
キタネコ3期 人の誘いをネタにイチャイチャするだけの導入部分
後半は連休中には投下します。
NGの方はは「猫カフェ」でどうぞ。
どこかのスレで 猫カフェって、どちらかというと猫キャバだよね。
という書き込みをみてこうなった、反省はしていない。

110 :
「鬼太郎さん、ネコ娘さん、一緒に行きましょうよ」
遊びに来ていたユメコちゃんがそう言った。見ていたテレビには、最近流行だという
猫カフェの光景が映し出されていてなんとなく話題にしていたところだ。
「パパから猫の博物館の招待券をもらったの、世界中の猫がいるカフェコーナーがあるのよ、
ネコ娘さんは猫とお話ができるし、一緒に行ったらきっと楽しいわよ」
人間の楽しみに馴染みがないわけではないが、ユメコちゃんの『楽しい』が今ひとつ
ぴんと来なかった鬼太郎とネコ娘はうーんと顔を見合わせる。
ユメコちゃんはそれを気にした様子もなく、
「じゃあ、今度までに考えておいてね」
楽しみにしてるわ、と言ってユメコちゃんは帰っていった。

特に目的があって見ていた訳ではないテレビも消されて、後には鬼太郎とネコ娘だけが残される。
最初から二人だけだったのとはなんとなく違う雰囲気で、どことなく黙っていると居心地が悪い。
「鬼太郎、行ってきなよ」
「ネコ娘も行くだろ」
「うーん、あたしはいいや、ほら、鬼太郎も猫語はできるし」
ネコ娘が口火を切って何となく遠慮し合うようなやり取りが交わされる。
確かに鬼太郎も猫語はできるが、ネコ娘のように堪能ではなく、あまり自慢できるようなものでもないので
鬼太郎からすればネコ娘の言動は何となく腑に落ちない。

111 :
「なんでさ、ネコ娘のほうが得意じゃないか」
「だって、あたし何を話したらいいか分からないし」

理由になってないよ、という鬼太郎の問いに、いつも話す猫は外猫や野良猫ばかりで、
室内から出ないで撫でられるのが仕事の猫と何を話したらいいのか分からないと答えたけれど、
本音のところはそれが半分、もう半分は鬼太郎と一緒に居たいけれど、出かけた先で
ユメコちゃんと鬼太郎が仲良くするのをあんまり見たくないなという乙女心。
そんなネコ娘の内心を知らない鬼太郎は腕組みをし、虚空を見据えてなにやら考えていたが、
考えがまとまったのか膝を打って、
「わからないなら、試してみたらいいじゃないか」と言った。
「試すって何をよ」
「僕がお客をやるから、ネコ娘は猫の役をやってよ、そしたら
少なくとも撫でられる気分はわかるだろ」
何事も経験だよ、と胸を張って言い放った鬼太郎は、「ホラ」とあぐらをかいた膝をもう一度示した。

※※※

112 :
本日ここまでです。

113 :
wktk!

114 :
猫カフェネタ
後半のエッチな部分を投下します。
プロローグにもいましたが、エピローグにちょっとだけユメコちゃんがいます。


115 :
※※※
ネコ娘は『それは何だか違うんじゃないか』と思ったが、結局鬼太郎の勢いに押し切られるようにして
鬼太郎のあぐらの中へ上半身を納めて丸く横たわる。
半ズボンから伸びた鬼太郎の膝に直接くっついている耳や頬がやたらと熱く感じるが、
鬼太郎が髪を手のひらで撫でると思わず喉がゴロゴロと鳴った。
(―あ、これは気持いいかも―)
鬼太郎と床を共にするようになってから、体のどんな場所でも鬼太郎に触られているうちに
段々と善くなっていくようになっていたが、髪を撫でたり、耳の後ろやのどの下を
柔らかく触ったりと猫の勘所を押さえるように撫でられるのは違った心地良さで
本物の猫のようにうっとりと目を細め、喉を鳴らせて鬼太郎の手に身をまかせる。
「どう?」
「ん、いい気持ち、何だか眠くなりそう」
「ふーん、じゃあ、こんなのは?」
問いに素直に答えると、背中を撫でた鬼太郎の手が、そのままするりとお尻を撫で上げる。
「ふにゃっ!」びっくりして睨むように見上げると、
鬼太郎は悪びれもせず、別に変な撫で方はしてないけど、と首をかしげて見せた。
何だか納得行かない気分のまま、もう一度鬼太郎の膝に頭をあずけて、
今度は腰やお腹を撫でられていると、そういえば、猫にはこんなこともするよね、と
ネコ娘の体を仰向けにひっくり返して胸に顔を埋められた。
「んにゃっ!もーうっ」
さすがにネコ娘にも鬼太郎がふざけている!としか思えない行動に、ネコ娘の方からも反撃に出る、
膝の上でじたばたと暴れて、間延びした顔で胸に顔を埋めている鬼太郎の肩を押し返し、
本物の猫がじゃれるように顔を舐めるような距離で鼻をつき合わせ、
ちょっとだけ爪を立ててちゃんちゃんこや髪をかき乱すが、
「やったなあっ」
あっという間に鬼太郎に反撃に出られて髪も服もくしゃくしゃに乱し合いながら床の上でもつれて口づけあう、
熱い吐息が混じりあい、じゃれ合いとは別のスイッチが入りそうになっていたが、
「あ、きゃぁっ」下着に手をかけられて、我に返って鬼太郎の手を払いのけた。

「もうっ!そんなお客はいないわよ」
いつの間にかファスナーの下ろされていたジャンパースカートを押さえ、昼日中からの
猫ごっことしては度が過ぎている、と口撃するが、鬼太郎は息を弾ませながら、
「じゃあ、僕も猫にしてよ」とネコ娘をうつ伏せに抑えこんだ。
ネコ娘が、どういう事…と問う間もなく、鬼太郎がうなじに食いついてきて、
ネコ娘は身をよじって喘ぎを噛みした。
勝手に持ち上がってしまうお尻に、鬼太郎の固くなった部分が押し当たっているのが、
自分から誘っているようでひどく恥ずかしい。

116 :
「ふ、あぁん」
ブラウスの合間から差し入れられた手に胸の先端をいじられて、耐えられずに声が上がる。
体をよじるたびにお尻に鬼太郎のどんどん熱く固くなっていく部分が当たり、
襟足に熱い吐息がかかる、それを感じて自分の体の中心もどんどん熱くなっていくのが
恥ずかしく、ネコ娘はぎゅっと目をつぶったが、鬼太郎の片手がパンティーの中に
忍び入ってきて、秘所の熱を確かめるように指で撫で上げた。

「ん、にゃ、あっ、あっ」
ネコ娘の声がどんどんと湿り気を帯び、それに煽られるように秘所へと分け入った
鬼太郎の指もだんだんと水音を奏で始める、花弁をなぞった指の先端が
蜜壺に埋められると、指の出入りするテンポに合わせて色めいた声が切れ切れに上がり、
体を支えていられなくなったネコ娘が床へくずおれて、自分の胸に押し付けるようにして
鬼太郎の片腕を掻き抱く。
鬼太郎にはそれは押しとどめられたように感じられて、ネコ娘の首に喰らいついたまま
唸るように息をつき、秘所への侵襲を深めて花芽をこねるように弄ぶと、
「にゃ、ああ、鬼太郎…」潤んだ声で名を呼ばれ、掻き抱かれた腕にすがるように爪が立てられる、
それに構わず指を増やして秘花を弄び、尖った乳首をいじめてやると、
ネコ娘は猫の本能に逆らって、身をくねらせ、頭を振って快楽に抵抗した。
「あっ、やっ、 い…はぁん、だめ、駄目っ!」
さすがにお互い怪我でもしたらつまらないと、鬼太郎もネコ娘のうなじを開放したが
押さえこまれた姿勢からは逃れようもない。
覆いかぶさった鬼太郎が、「何が一体、よくなかった?」と、
うなじについた歯跡を舌でなぞり、尖った乳首を指でつまみ、
蜜壺へ浅く指を出し入れして答えを引き出そうとする。
「ねえ、教えてよ」と言葉つきは穏やかに問いながら、ネコ娘が答えられないでいるうちに
ブラウスのぼたんを次々はずし、ジャンパースカートを肩から引きおろして胸をはだけ、
パンティーを足の付け根まで引きおろすとネコ娘が言葉を探すように口を開いた。

「だってえ… 変だよ」
何のおかしいことがあるのかと、様子を伺うように鬼太郎が顔を覗き込んでくる。
快楽の淵で脳裏を過ったのはあの子のこと、さっきまで3人で他愛もない話をしていたのに
ひどく遠いところへ来てしまったような気がして後ろめたい、
けれども今、それを口に出して言うことはとても出来ないと思ったし、
そんなことを考えているのも悲しい気持ちになってしまいそうで… 口の端から別の言葉を紡ぎ出す。

「だって… 鬼太郎 猫じゃないじゃない」
「猫じゃあなきゃ、嫌かい」

肩を掴んで瞳を覗きこんできた鬼太郎の目がやけに真剣で、ネコ娘は言葉を飲み込む、
自分が心の内に抱えた小さな棘のように、鬼太郎にも思うところがあるのかと思うと
愛おしいような、悲しいような、何ともいいがたい気持ちになる。


117 :
「ううん、鬼太郎がいい」
顔を寄せてきた鬼太郎に、もう余計なことを言ってしまわないよう口づけで自分の言葉をふさぐ。
腰に手を回して背中を抱くと、鬼太郎は勢いづいたように
下着ごとズボンを引きおろし、自身の狙いを定めた。
ネコ娘が目を伏せて、くっとお尻を突きだすとつぷん、と秘裂に先端が誘い込まれ、
鬼太郎が腰で探って先端を蜜壺の口に押し当てると、そのまま折り重なるように
ズブズブと体重をかけて刺し貫いていった。
後ろから貫かれるのは初めてではないが、自分から招き入れたのは初めてで…
はしたない、恥ずかしいと思うのに猫の性なのか感じる自分の体がとてもいやらしいものに思える。
羞恥と快感に淡紅色に染まったお椀型の乳房に誘われたように
鬼太郎が伸ばした手で乳房を撫で上げて、ブラウスを分け入って進み、
背中を抱いてやや強引に体を捻るようにして肌を合わせてきた。
後ろから獣の姿勢で貫かれながら人の子のように抱きあう。
体を捻られて苦しいのに抱かれた温度は心地いい。
猫の自分と、猫ではない鬼太郎、あの子のこと、鬼太郎の夢、
考えてしまうことはどれも小さなネコ娘の胸には納まりそうもなくて胸が苦しい。
いっそ、今だけは何も考えられないようにして欲しくて、
鬼太郎の背にちゃんちゃんこの上から爪を立てる。

「きたろ…」お願い、めちゃくちゃにして、とネコ娘が声に出す前に律動が開始される。
突き立てたお尻の感触を楽しみながら、短いストロークで奥深くを突かれて
「あ」「ん」と意味のない声が上がる、奥を突かれるのは苦しいのに、
そのたびに電撃を受けたような快感が背筋を登っていく。
「ひぁ、あああああぁぁんーーーーー」
大きく腰を引かれると、かり首に複雑に捻れた胎内の思いもよらぬところを掻かれて
一際高く声が上がる。再び突き入れられて雷に打たれたようにガクガクと震えながら
鬼太郎ごと床へとくず折れたが、止まることのできない鬼太郎も、背筋を反らして痙攣する
ネコ娘を床へ押さえつけるようにしながら二度、三度と深く突き入れて果てた。

鬼太郎の熱と重みを全身で感じ、耳元へ荒い吐息が落ちてくる、胎内へ熱い迸りが広がる感触に
吐息に混じって子猫のような細い声が漏れた、それは意味のない鳴き声だったのだが、
それに答えるようにネコ娘の耳元でにゃーごと猫語が囁かれ、ネコ娘もそれににゃあんと答えて目を細めた。
普通、猫の恋は一時に激しく燃え上がる、そんな猫の言葉は……こういったときにはとても情熱的に聞こえるのだ。
鬼太郎はきっと、そんなことは知らないだろうけれど、それでも胸が熱く、
幸せな気持ちでネコ娘は喉を鳴らして微笑んだ。

※※※

118 :
「二人とも、考えておいてくれた?」
何冊か持ってきた猫の写真付きのガイド本を広げながらユメコちゃんが聞いた。
行くの行かないの、という話は二人揃ってすっかり忘れていたのだが、
思い出した拍子にその話が出た後にあったことを思い出して頬を染め、
それぞれ明後日の方向を見つめて口を開く。
「そ、その日はちょっと用事が」
「あ、あたしも、ええと、駄目なの」
二人ともに行かないと言われたユメコちゃんはちょっぴり頬を膨らませたけれど、
「じゃあ、別の日にお友達が猫を見せてくれるって言うから、ネコ娘さんそっちには来てね」
猫とお話ができるって、本当に素敵なんだもの、ぜひ聞いてみたいわ、とにっこり笑って本を閉じた。

*******おしまい******

以上です、ネコたんをナデナデしたい。

119 :
ナデナデGJ!

120 :
GJ!
猫カフェならぬネコムスメカフェなんぞが有った日には
鬼太郎達がそれは凄いことになるんだろうなぁ。。。

121 :
ネコムスメカフェかあ
通いつめる、送り迎えする、物陰から見続ける、居座る など鬼太郎たちもいろいろしそうだ。
もし行かれるとしたら自分は通いつめたいなあ。

122 :
ネコムスメカフェの制服、シックなメイドのコスチュームもいいけど
自分はレトロなカフェの女給さん風に和服姿でお願いしたい。
少し屈んだ時に襟から覗く肌とか、うなじとか
運んできた器に添えられた指先、袖から伸びる腕とか
ネコの属性ならではの滑らかな動作がイイんジャマイカと妄想できてハアハアする。

123 :
ちなみに店外デートにはもれなく鬼太郎がついてきます。
帰り道の無事は保証いたしかねます

124 :
4期鬼が無言でカランコロンと後ついてきたら怖いわw

125 :
鬼太郎は店内でも常備(自主的にに)在中だろjk
少しでも触れようとしたら毛針が飛んでくる事は避けられまい

126 :
みつ豆が作れるんですとか魚屋でバイトしたことありますとかいって常駐してるのか…

127 :
女装して店内パトロールもありそうだ。

128 :
>>126 鉛筆舐めなめしながら履歴書書いてる野沢鬼と戸田鬼かw

129 :
レス読んでて妄想が溢れた。


5期鬼猫エロなし会話文
「ねぇ、鬼太郎」
「…」
「鬼太郎ってばぁ〜」
「…やだよ」
「2鬼太郎さんは、オープンの時からずーっと来てるんだよ?最近は、お給料も出ないのに厨房のお手伝いもしてくれて…まぁ、2猫姐さんがおだててうまく使ってるって感じも、しなくはないんだけどぉ…」
「だからさ…」
「あ、鬼太郎は、もちろんお手伝いしなくていいからね。3鬼太郎さんだって、毎日来てるんだよ?猫お姉さんが言うには『隣の本屋でバイトしてる夢子ちゃん目当てだ』って言ってるけど、あれは絶っ対に猫お姉さん悪い虫が付かないように見張ってるの!」
「…それは」
「悪い虫と言えば!4鬼太郎さんなんてあからさまよ?猫ちゃんがちょっとお客様に声をかけられただけで気も妖気もビンビン!こっちが慌てちゃうわ!」
「…はぁ」
「鬼太郎だけなんだよ?来てくれないの。あたし、肩身が狭いったらありゃしない。だから、ね?鬼太郎、デザート食べ放題付けちゃうから!うちのデザート、評判いいんだよ!」
「…面倒くさい」
「もぉ〜!…っと、こんな時間。明日は絶対来てよ?」
「行かない」
「鬼太郎のいじわるっ!いってきまぁ〜す!」
「いってらっしゃい」

130 :
「…」
「…」
「…」
「…じゃあ、僕は水汲みに…」
「…鬼太郎や」
「なんですか?父さん」
「毎日毎日、猫娘に気付かれんよう後を付けての送り迎えははそろそろやめて、一緒に行ってやったらどうじゃ」
「…」
「そういうのをな、『すとーかー』と言うのじゃぞ?」
「…」
「…」
「…いってきます」
「気を付けるんじゃぞ。…やりすぎんようにな」
「…」
「返事なしか。…はぁ、やれやれ」

親父殿が茶碗風呂でうたた寝した所で、終幕

…すまん。カフェが出てこなかった

131 :
>>129&130 gooood job!!
高山鬼太郎、ややこしい性格だなあ
万年寝太郎のヤツが律儀に送り迎えって、
お邪魔虫はきっぱり駆除する気まんまんなのね

132 :
気づいてないのは5猫だけって気がする

133 :
それはありそうだな
5猫はなんか鈍そうな気がするw
全鬼猫たちに来てくれない高山の愚痴を言って
なんでわからないんだろうって呆れらても可愛い

134 :
皆とは目が合った瞬間に電信柱の陰に隠れたりして
目玉の親父同様追跡がバレバレなのに、
2ネコあたりが察して鬼太郎達やほかのネコムスメに口止めしていそうだな。
「あんなところで見ているなら、高山も入ってくればいいのに。」
「バレバレの追跡で気が付かない5ネコちゃんも、相当鈍いわよね…」
「高山さん、5ネコちゃんに秘密にしておきたいようだから
 5ネコちゃんが気が付くまで、見なかったことにしてあげましょう。ね?」
「猫ちゃんがそう言うなら…」
「面倒臭いやつだなぁ。」
とか

135 :
人間のお邪魔虫もだが、5猫は身内にも毎日通いそうなのがいっぱいいるね
蒼坊とか黒鴉とか雪女とか

136 :
蒼坊主は 蒼さん来てね って言われたら喜んで行くだろうけど
果たして辿りつけるのだろうか…

137 :
>>136そこで呼子ですよ

138 :
(過去ログの毛目玉氏のSSをふまえて妄想するに
葵ちゃんは4ねこに再会してひきつった笑顔になるんだろうか

139 :
葵は
5猫に『5期女妖怪でカフェやろう』と嘘引き抜き話を持ちかけてワタワタする5猫をからかって遊ぶものの
2猫に良いようにあしらわれて
3猫の長時間の鬱愚痴ノロケ話に捕まり
4猫にマッサージされそうになって逃げ出す
…のがいいな

140 :
半二次のスレが新しくなっていたので忘備録がわりに貼っておくよ
ネコ娘とゲゲゲの鬼太郎_21
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1316406925/

141 :
5ネコは自分の誘いに応えてくれるかくれないかが全てっていう
子供なとこあるからね
他期に比べてじじむさい高山鬼太郎としては今のまま手を出したら
犯罪者だろくらいに思って、大人になってくれるのを
待ってるんじゃないかと

142 :
待ってる間に鳶に油揚げをさらわれないといいが、
5猫の周りには鳶どころかハゲタカ並のがいるからな

143 :
そもそも、5猫は、鬼太郎のことそこまで好きじゃないよね
中身が違っても気付かない(むしろ歓迎)ぐらいだし
たとえ自分に優しくしてくれて、オトナの女性、一人のオンナノコ扱いしてくれても
他のネコ娘だったら、「こんなの鬼太郎じゃない」って拒みそうなもんなのにな
今時の若者かつ、イケメン選びたい放題だからか、一途さが足りないよね
もっと3猫とか、4猫を見習ってほしいもんだ

144 :
そうかー?
5猫も十分鬼太郎のこと好きだと思うけどな
つーかそういう見方すんなら2猫のほうが鬼太郎はただのお友達感覚じゃね?
自分もそう思ってるから見習えっていうのに2猫だけ入ってないんだろうけど


145 :
>>143 
しょうけら回に出てきた、5ネコがバイトで
知り合った人間が揃ってアレな感じだったじゃん
中身が違ってたのに気がつかないのは願望に加えて
冒頭で奮発して神様にお願いした後だったからだし
5ネコは鬼太郎って口にするだけでも嬉しいくらいに
鬼太郎一筋だとおもうんだがな

146 :
鬼太郎の中身が入れ替わっていて知らずにネコは知らずに接触というシチュが珍しいよね、そもそも
覚えてる限りでは3期では無かった(4期はわからない…)
3期火車の回では中身鬼太郎だとわかっていても抱きつかれてちょっと引いていた(そういうところも可愛い)
5ネコの妄想炸裂気味なところも可愛いと思うなー
絶対ネコは鬼太郎のことを実物よりかっこいいと思ってる気がするよ。

147 :
5ネコは鬼太郎に対して不平不満を露わにするところが逆にイイ
うぶめ回での一喝は興奮した

148 :
鬼太郎の中身が入れ替わっても気付かない
抜けてるっぷりと楽観的な所が可愛いんですよ、五猫は
うぶめの時の一喝は、他の猫じゃやらないだろうってのもあって
新鮮でよかったなぁ

149 :
>>148 同意
確かに他期だとああいう展開にならないかもね。
ありそうなのは
2期→目玉親父の知恵を借りてうぶめの術を解く
3期→ユメコちゃんの「鬼太郎さーん助けてー!」で覚醒
4期→ねこ娘がピンチで「鬼太郎ーっ!」と絶叫→覚醒
って感じかな?
5期のビンタ&一喝は5ネコが鬼太郎の同志なのをきっちり
見せてくれた感じで自分の中では5期ベストシーンの一つだな。

150 :
5ネコって鬼太郎が好きなわりに
鬼太郎の好みとかぜんぜんリサーチしないよね
自分の好みを押し付けるだけだし
人混み嫌いな5期鬼太郎に恋愛映画とかグルメレストランとか
ストレス与えてどうすんだよ
気晴らしに山歩きやドライブに誘ってくるねずみ男の方が
よっぽど鬼太郎に思い遣りがあるだろw
だから5期は ねず公との友情>猫娘 みたいな構図になる(笑)

151 :
猫ってそういう生き物だしw

152 :
人につかないで家につくって奴だねw
「鬼太郎の彼女」ってポジションにこだわるだけのミーハー女なんでね?

153 :
5猫disるなよ
猫は家につくといわれているけど、実際は人についてるよ
でないと、猫連れて引越しできん。
それに、身持ちも硬い
本当に気を許している人間の前では腹を出して寝てるが
そうではない人間には指一本触れさせない。

154 :
disるなよと言われても
実際そういうキャラなわけだし
事実を述べてるだけで、
disってるように見えるとしたら
それは、お前の持つ5猫像が
神聖化されすぎてるだけだろ

155 :
>>148
三期は鬼太郎とユメコちゃん同時にピンチになることはあんまり無いので(地獄編は知らないけど)
行動不能に陥っているところ女子チームが奮戦!みたいなのが自分は思い浮かんだ(夜叉の回みたいなの)
>>5ネコ話
好きな相手だから恋人らしいことしたい!という女の子らしいどちらかと言えば微笑ましいシチュでない?
まあ、大概の男にとってはつまらないんだが……
3ネコ4ねこ辺りもデートしてみたいという希望はありそうな気がするけど
恋愛映画はどの鬼太郎も寝てしまいそうだ。
松岡鬼太郎はごめん寝ちゃったとフォローはしそうだけど。

156 :
映画版はネコ娘とユメコちゃんが一緒に頑張るシーンがいくつかあったよな。かわいかったなぁ

5期鬼太郎は、行きたい所が自宅でしたい事は昼寝の引きこもり妖怪なんだから、ネコ娘がアチコチ引っり出さなきゃ人間界から置いていかれる

157 :
>>154
わざわざここで5ネコは鬼太郎のこと好きじゃないよなって
自分の価値観押し付けられても困るんだけどね
事実ってかお前がそう思ってるだけだし

158 :
>>156 異次元妖怪のときにゴルフクラブ振り回して戦う場面があったね
「おほほほ」ってわざとらしく笑いあうのがかわいかった
「鬼太郎の恋人」なんて、ぬらりひょんやら西洋妖怪やらに狙われるばかりで
ステータスになるようなポジションでもないもんな

159 :
初期の五猫は恋に恋するって感じだからなぁ
恋人らしい事を想像して実行したくても、その子供っぽさに鬼太郎が呆れて付き合わないだけだし
後期になると、自分が出来る事(47士集め)が出来たから
そっちに意識が向いて、恋に恋するごっこしてる暇が無くなったから
逆に鬼太郎も落ち着いてネコ娘と向き合えているんじゃないかと
まぁ落ち着いたら今度は蒼兄さんとか黒鴉とか葵とかどんどこ出てきたわけだがw
「鬼太郎の恋人」ってステータスでも何でもないよな
むしろとばっちり食いまくりだから避けたい所じゃないか

160 :
もうりょうの話なんかではきちんと鬼太郎のアシスタントじゃなく
ジュニアパートナーになってたもんな。
鬼太郎からそれなりに頼りにされるところまで
キャラが育った感じがよかった。

161 :
鬼太郎にとって5猫って、“仲間”としては、サポートは万能だし、機転は利くし
まだ若いから知識は足りない部分もあるけど、それをカバーしてあまりある
フットワークの軽さ、敵になんか負けないぞ、という熱意と、向上心があるし
まだ、同じく若い自分を支えてくれる、双子の姉のような感覚で
絶対に欠けたら困る、守るべき友の一人、として、ちゃんと好いてると思うけど
“恋人”としては、行きたくない所に連れて行かれるし、喜ばないとキレるし、
そうでなくてもキレるし、そもそも、付き合ってもいないのに恋人感覚でいるし、
入れ替わりの件とか、全体的に空気読めなくなるから、嫌がってそう
あれが恋愛モードじゃなくて、仲間モードだったら、気付いてたと思うんだよな
釜鳴りの時、ニセ鬼太郎みたいになってた鬼太郎に、ちゃんと気付いたように
見返すと、仲間モードのネコ娘と、恋愛モードのネコ娘に対する、鬼太郎の
態度も、結構違うんだよな。後者がひどすぎるせいもあるかもしれないけど、
前者は、一緒に戦ってくれる心強い存在、という信頼や、それでありつつ
守るべき、守ってあげなきゃ、という気概を感じる。他の仲間達、たとえば
オババは同じ女性で、危機的状況に陥った時、解決策を必に考えていたが
常時、守らなきゃいけない、という風に思ってるようには、あまり見えない
同い年、へたしたら自分より若いかもしれない? 女性だ、ということは
ちゃんと理解してるからこそ、守るべき相手としても考えてるんだろう
信頼の置ける、大切な仲間で、異性だと気にせず付き合っていける相手が
いきなりワケわからん発情モードになったら、そりゃ鬼太郎じゃなくても引くわ
こっちはただの視聴者だから、恋する乙女かわいいな、と思う余裕もあれど
鬼太郎本人からしてみたら、たまったもんじゃないだろうな、とは感じる
「いつものネコ娘に戻ってよ」って思ってるから、あの扱いなんじゃないか?
鬼太郎は、“いつものネコ娘”を、それこそ家族的に、大好きなんだと思える
何より、見ていて微笑ましいし、二人とも、とても幸せそうなのがいいよね
誰でもなれるし、代えもきく、“恋人”なんかより、もっと大事な“仲間”という
立場は、もう手に入れてるのに、気付かないところが5猫らしい…のかな?

162 :
長文があるから神降臨かと思って期待してたら
「僕の考えてる最高にかわいい5ネコ」だったでござる…orz

163 :
鬼太郎にとって まで読んだ

164 :
まあ、あれだけ気心知れてる相手にはかっこつけようがないやな
あれで歴代一かっこつけ激しいのが5期鬼さんだから

165 :
てかフツーに人間の娘だったとしても
あのキャラじゃ男が逃げるだろ>5ネコ
かわいいし、いい子なんだけどなあ・・・
すねたら大変なんだって

166 :
あれだけ可愛い女の子に愛されて尽くしてもらって
傍目から見たら羨ましい事この上ないんだけどねw
5期鬼は作中でもけっこうモテるから
女の子は気が向いた時に逢うのがいい
やたらベタベタしてきてプライベートにまで上がり込んでくる女はウザいとか思ってたりして…

167 :
でも不幸な女性に自分から関わっていくのはやぶさかではないって感じw>5鬼
5猫くらい猪突猛進でないと空気扱いされそうだ

168 :
鬼太郎が興味なさそうなところへ引っ張り出すのは3期のユメコちゃんもやってたけど
あれはぶりっ子ブームの80年代と活動的な戸田鬼太郎のキャラクターだから成り立っていたのだなあ。
高山映画の華ちゃんはコンプレックスありのキャラクターだったからなんか共感しあっていたけど
ユメコちゃんみたいな自分に自信ありな女の子とは高山は噛み合わないんだろうな〜
5ネコは自分の嗜好にも付き合って欲しいけど、相手にも尽くしたいってような気がする。
高山鬼太郎がそれにちゃっかり乗れるようなら苦労しないんだろうなあ。

169 :
高山鬼太郎は基本的には妖怪が人間と仲良くできればいいと
思ってるけど、その難しさもよく知っていて、下手な親切が
却って人間を不幸にしたり傷つけたりするかも、と思って
慎重に慎重にと心がけてるしな。
そのくせ関わったら最後まで頑張るんだ。
特にかわいい女の子のときは。

170 :
そろそろ夜が寒い…
戌の日を選んで(犬の日なのにネコが入るよ)こたつの用意をしたいねえ。
ネコムスメもこたつで丸くなりたいらしいけど、意外とこたつネタってないね、
鬼太郎のうちにないからかな。

171 :
鬼太郎がこたつのようなもの

172 :
(`ΦωΦ´)ニャァ

173 :
シニカル・天然→2期鬼太郎
熱血・体育会系→3期鬼太郎
枯れ・ドライ→4期鬼太郎
って感じ。5期は未見だから分からん。

174 :
そういう分け方なら5期はものぐさ・ツンデレっぽいかなあ

175 :
1・2期の鬼太郎はたまにシニカルだけど、基本的に優しいんだよね
でもなんつーか人間に期待してないって感じかな
それに比べると3期は期待しまくりの理想主義者ヒーロー
4期は期待以前にまるで関心がなくて冷淡で一番ファザコン
5期は助けるべき人間は助ける、基本不精な気質。

176 :
好みの鬼太郎を選べるってのがなんとも贅沢
自分は四期が一番好みだけど、結局どれも良さがあっていいなって思ってるクチ

177 :
自分は3期かなぁ
ヒーロー鬼太郎最高

178 :
>>176
4猫 乙
>>177
3猫 乙

179 :
ttp://www.kembo.org/nekomusume/neko/neko0274.jpg
なんだかんだで仲良くやっとるみたいやね

180 :
>>179 なごむね。
なんのかんの無意識にうちの嫁状態か?

181 :
保管庫の読めなかったリンクが復活してるね
倉庫番氏ありがとう&乙です

182 :
お菓子をくれなきゃいたずらするぞー
ネコたんにいたずらしたい!

183 :
こわーい鬼さんが見てるぞ
人間のお祭り好きに付き合ってくれそうなのは
5猫>3鬼>3猫>2鬼>2猫>4猫>4鬼>5鬼>かな

184 :
かぼちゃ調達係→3期鬼+3期ねずみ
かぼちゃランタン制作係→4期鬼と2期鬼
かぼちゃの中身でパイ制作係→3ネコとユメコちゃん
衣装制作→各期砂かけ及び2ネコ4ネコ
パーティー会場手配係→5ネコ
おじゃま虫→かわうそ&アマビエ

185 :
かぼちゃのような胸の葵ちゃんにも参加していただきたい

186 :
お菓子を持ってネコ娘にいたずらしに来るのかw>葵

187 :
そりゃーもう
高山鬼太郎をボインで押し退けて
「はいっネコ娘!またたび酒たっぷり入ってるからおいしいわよ♪」

188 :
>>186-187
そんな百合的展開、とっても美味しいですw
でももうハロウィン終わっちゃったか。

189 :
次はクリスマスと正月だよ!

…もう正月か

190 :
いい夫婦の日もあるよ!

191 :
ウエンツ鬼太郎と麗奈猫娘が好き過ぎてどうかなりそうです

192 :
>>191
ウエンツ鬼太郎は育った3期っぽいと思うんだが
そうすると田中ネコはこれまでさんざんため息を
ついてきたんだろうなとも思う。
保管庫にある長編もそう思って読んだら泣けた。

193 :
実写化の第一作はそういう設定でスタートしたと思う
放送時間帯のせいか、時代的にもセールス的にも良かった、
3期を踏襲した設定に近付ける、みたいな大人の都合で
自分的には3期鬼太郎は成長したらもっと化けると思うんだけどな…
あれは80年代にまだ思春期wだったからで、
3期鬼太郎の性格としては年を経たらやんちゃさはなくなると思うんだ
それとウェンツや5期っぽいニート感は3期にはなさそうだと思う

194 :
三期は女の人に弱いという弱点?以外はごくごくいいやつなので
成長すると至極好青年になりそうな気もするな、自分も。
五期と違って連続して人間社会ともつながりを持ち続けそうなので
(そんで否定するでもなく人間と妖怪との違いを感じそうなので)
人間と妖怪との寿命さに思い至れば自然と猫娘を嫁扱いしそうな気もする。

195 :
てか、嫁扱いじゃなくてはっきり嫁にもらえと。
やけくそプロポーズしたんだからさ。

196 :
>>195
まあそういうな砂かけ(◎)
焦らずゆっくり見守ろうじゃないか

197 :
ウエンツ鬼太郎は、呪い歌の結末で、人と妖怪が寿命を超えた絆を持てることは見届けたんだけど、
あれが愛だと言うなら自分はそれを望んでいるわけじゃないと気付いたと思う。
自分はちょっと可愛い女の子に鼻の下伸ばしてるくらいで、あんなに育ってもその先までは
今一つピンときてないような気がする。もともと暢気だし。
だからノベライズの続きが激しく気になるわけて。

198 :
実写版で書いてみたい

199 :
今頃嵌まった…
ねこちゃんが可愛すぎてしにたい…

200 :
同士よ〜
こちらは去年はまった。
DVDで各シリーズ見られるし、保管庫が充実してるし(管理人さんありがとう)
恵まれてるなあとは感じるけど。
猫かわいいよ猫

201 :
幼なじみの健気な想いってのは時代問わずに萌えるんだよな
普段はあんなに活発なのに

202 :
おきゃんなお姉さんな2猫も
お互い思春期ドギマギな3ネコも
しっかりものの妹風味な4ねこも
世間慣れした働き者なのに恋愛には夢見てる5ネコも
みんな萌えるよかわいいよ。

203 :
ネコちゃんがかわいすぎて
きたろうがにくいw

204 :
鬼太郎もかわいそうにな

205 :
本当にカワイソウなのは上の人たちだろw
ぬこたちはキタローひとすじ

206 :
妖怪なんだから一夫一妻にこだわらず、3期戸田は二人とも嫁に貰えば良いよ

207 :
>>206
田舎っぺ大将エンドか
引き止めておきたくてどんどん床上手になるネコ娘・・・ なんて情景が脳裏に浮かんだじゃないか

208 :
鬼太郎のネコハーレムみたいなのを
思い浮かべてしもたやないか

209 :
戸田が嫁さん二人なんて器用な事出来るかなぁw?

210 :
そんな器用なことはできそうにないので(なんかの事情で嫁二人になったりしたら)
「もう行っちゃうの」とか「こんな時間にしか来てくれないなんてひどいわ」と双方から煽られまくって頑張った挙句
腎虚で倒れる…… なんてのを想像したぞ。

211 :
まずはユメコちゃんを嫁にもらう
きっかり寿命まで見届ける
その後妖怪だから永遠の娘なネコを嫁にする
これなら問題ないけど相当うまくやらないと半歩間違えただけでド修羅場になりそう
そんな微妙な再婚劇を無自覚でフラグを片っ端から踏みまくりそうな戸田には無理

212 :
3ネコは僕のネコハーレムに入ってもらうから、
戸田くんはユメーコさんとよろしくやれば良いと思うよ。

213 :
原作版だったら(どの時期のの作品かにもよるけど)
南方の英雄的首長よろしく多妻でもなんだかやっていかれそうな気がする
寝子さん・マガジン版猫娘・猫子・女子大生猫娘・女子高生猫娘・ナスカ猫娘と
同一人物かもしれないしそれぞれ別人かもしれない猫娘達によるネコハーレムも可能かもしれない!

214 :
山田のようにボコられる>>212

215 :
先月腹を壊していて投下出来なかったハロウィン小ネタ、大分遅いけど投下させてもらいます。
三期・キタネコ・朝チュン程度 あんまりハロウィン関係なくいちゃついてるだけになってしまっているけど
2レス程度です。

216 :
「お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ」
木戸を引き開けた鬼太郎のらしくもない第一声にネコ娘は目をぱちくりと瞬かせた。
「一体どうしたの?」「ん、ああ、決まり文句なんだってさ」
勝手知ったるなんとやらで当然のように下駄を脱いで上がってくる鬼太郎に聞けば、
最近人間の間で新しく始まったお祭りなのだという。
上がる聞きなれた名前に、新しいものは皆森の外からあの子が運んでくるように
思えて、一抹の寂しさのようなものを感じながら微笑みを作る、自分も鬼太郎に
何かをもたらしたい、と思うのに、何も持っていないように思えたのだ。
「なんにもないんだよ、またたびもち、作ろうか」
「いいよ、言ってみただけだし」
それに、いたずらにしたって、いいんだしね、と鬼太郎の唇が笑みの形につり上がる、
立ち上がりかけた肩を押さえられて、ネコ娘はぺたんと尻をついた。
顔が寄せられて目を瞑るとそのまま唇が重ねられる、重ねた唇は柔らかく、
うす赤く染まった様子は甘い果実のようにも思えて……
(―ネコ娘はお菓子みたいだ、君を食べちゃおうか―)
言えもしない気障なせりふが脳裏に浮かんで、鬼太郎は微かに赤くなった顔を
ごまかすように何度も啄むように口づけをくり返した。

217 :
キスは甘い、なんて言うけれどあれは嘘だ、とネコ娘は思う。
慣れ親しんだ鬼太郎の匂い、それに見合った唇の味がする、
でもそれがネコ娘を夢見心地にさせるのだ。
(―好きなんだなあ―)
お互いにはっきりと言ったことのない言葉を胸の内で唱えると、
甘いような苦しいような気持ちになる。
キスが終わって目を開けると、鬼太郎は案外普通の表情で、
何となく悔しいような気分だ。
「いたずらで するの」
いつも戯れのようにじゃれついてくるのはそちらなのに
かすかに潤んだ瞳で、拗ねたようにネコ娘は言う、
それはいたずらではすまない『その先』をねだられているようで
鬼太郎はごくりと喉を鳴らせた。
人肌の温みに惹かれるようにして抱き寄せて、
「じゃあ、何をごちそうしてくれるのかい」と
耳元へ吹き込むと、ネコ娘は驚いたような…心外そうな声を上げて
ちゃんちゃんこの背に爪を立てたが、一つになった人影が床で縺れ合う頃には
甘い…甘い吐息だけが部屋を満たしていた。
********おわり*********
クリスマスとか正月とか猫の春とか たまには季節に間に合いたいものです。

218 :
GJ!!
正月あたりにある猫の発情期に期待

219 :
GJ

220 :
199だが、
ここのスレは3期の創作がやたら多いからちょっと興味が出て、
3期のDVDを適当に5枚借りて見たんだが、
ユメコの性格が悪すぎてワロエナイ
ネズミが不憫で泣けた…

221 :
久々に覗いたら一番好みな三期キタネコがwwwGJです

222 :
>>220
よし、猫かわいいよ回をオススメするべきだな!
とりあえず本編全108話から記憶にあるかぎりの猫単独レギュラーヒロイン回をピックアップしてみた
タヌキ軍団はユメコちゃん出てるけどちょっとだし、抱きつきがあるので入れてある。
雪ん子(15話) うぶめ(24話) 妖怪大(32話) あかなめ(33話)
奪衣婆(39話) 牛鬼(42話) のびあがり(47話) げた合戦(52話)
ベリアル(54話) タヌキ軍団(56・57話) まぼろしの汽車(61話)
穴ぐら入道(64話) のっぺらぼう(66話) 大海獣(67・68話) 妖花(71話)
髪様(72話) 妖怪マラソン(84話) ベナンガラン(87話) ヒ一族(91話)
皿数え(97話) 妖怪大戦争(劇場版2作目)
ラブコメ的な見どころがあるのはやっぱりベリアルと髪様かな、
けなげなところを見るなら牛鬼とヒ一族が自分的にはおすすめ。

223 :
>>222
お色気は?

224 :
>>222
ありがとう友よ…
でも、今は四期を見るのに忙しいから来年見ることにするよ。

225 :
3期はエンディングもイイ

226 :
4ねこはロリらしからぬ美脚に萌える

227 :
子供だけど足は女性だよな>4ねこ
4鬼とほぼ同じ体型だから性差が際立ってハァハァする

228 :
3期も美脚じゃなかったっけ?

229 :
三期はもちろん美脚だが尻もいいよ。
妖怪マラソンのブルマーとか穴ぐら入道のパンモロとかたまらん。
のびあがりのやられては尻餅つくところも声も含めてお色気シーンだと思う。

230 :
>>229
どっかで画像見れないかな

231 :
http://bit.ly/uaGgR8

232 :
5猫詰め合わせだね。
みんな正月準備で忙しいかな?
正月といえばなんだろ、忠臣蔵とか大奥か?
今すごい寒いんだが正月あたりにある猫の発情期って旧正月かなあ。
ネコたんが発情期で乱れるとか想像すると…
理性がトンで「赤ちゃん欲しい」とか言い出すところを想像するとギュンギュンくる。

233 :
スレチになるけど、猫の本当の発情期は冬から春先だよ。
寒い時期に子種を仕込んで暖かい季節に子供を生んで育てる。
うちにいる猫が避妊してない家猫でその時期は家族が誘惑されまくりでいつも難儀しているが
私のことだけはママだと思込んでいるので、普段以上にガン無視されているw

234 :
2猫は余裕で発情期クリアしてる感じ
3ネコは発情期来てるけどなんか持て余し気味
4ねこはまだ先の話で 5猫は興味津々だけど実際はもうちょっと先
て感じがする

235 :
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年はいろいろなことがあった年でしたが、今年はこのスレを見ている皆さんにとって良い年であることをお祈り申し上げます。
と、新年のあいさつをしたわけなのですが、除夜の鐘を聞いたにも関わらず消えない煩悩をお年賀代わりに投下しに来ました。
お正月なので、スペシャル と言うほどの分量はありませんが、お正月といえばの大江戸パロです。
前スレ初めの方にあった、もし時代物だったら三期は若様鬼太郎と許婚ネコ娘…というのから妄想が育ちました。
時代考証は投げている上に(三期のつもりですが)101話猫騒動とは無関係の大奥パロですが、どうぞ。
注意
*キタネコ三期×大奥パロディ(時代考証はしておりません)
*発情期+お初ネタあり(の予定)
*無理やり・すれ違いなどあっても基本はラブラブ
今回2〜3レスの予定です。

236 :
いつから、なんてわからない幼い頃から深い森の中に住んでいた。
鳥が歌い、木々のざわめきが聞こえる静かなこの場所は
このくにのお城、幼なじみの鬼太郎は将来はこのくにを治める若君で
あたしは鬼太郎のためにここにいるのだと……聞かされたことも
あったけれど、あたしたちはそんなことは気にしたこともなく
ただ無邪気な幼なじみだったと思う。
あの夏の暑い日までは……でも、今となってはあの夏の日も恋しいと思うのだ。
※※※
春まだ浅く静かで深い森の中、明るい笑い声が聞こえる。
簡素な単の着物を着た少年と少女―鬼太郎とネコ娘が笑い合ってはしゃいでいた。
手習いの終わった鬼太郎がネコ娘を訪ねてきたので
重い打掛は脱ぎ落として森へ遊びに出てきたのだ。
鬼太郎は大変知恵のあることで知られる目玉の殿様の嫡子たる若君で、
ネコ娘は若君の許嫁の猫族の娘。
猫の一族より申し出があったものを目玉の大殿のご思慮があって
若君と共にお手元で育てられたのである。
だが、歳若い二人は周囲の思惑など知らずに当たり前のように暮らしていた。
日が落ちてネコ娘が戻ると、おばばにおてんばを咎められたが、
ネコ娘にとってはおばばのお小言はいつものことであるし、
口うるさいけれどおばばは何でも教えてくれる頼もしい存在だ、
口答えはせずに居住まいを正して部屋に戻ると、
小言を聞いていたらしい側居のものに『御身の不自由』を嘆かれるが
ネコ娘は自分を不自由だと思ったことはない。

237 :
物心の付く前からだろうか……いつからか判らないほど前から
暮らしているこの森は広くて果てが知れないほどであるし、
この方のために自分はここにいるのだと聞かされたこともある鬼太郎は
快活で心やすく頼もしく……いつの間にかごく自然な成り行きのように好きになっていた。
猫族は神秘的で自由な誇り高い一族なのだというけれど、
ネコ娘はこの森で、城で、ときおり鬼太郎と抜け出しては向かう城下の街で……
鬼太郎や目玉の大殿様、城のものたちとの暮らしに心から満足していた。
※※※
しかし変わらぬように思われるものも長い時をかけて少しずつ変化してゆく、
ネコ娘の暮らしもまたそうであった。
梅雨時のある日、ネコ娘は奇妙な熱を出した、頭も喉もどこにも痛みはないが
ぼんやりとして体が熱く、じっとしていられないような感覚が体のうちから湧き出てくる。
何かを求めてさまよい出たい気持ちだったが、側の者に言われて床に付いていると
夢うつつのうちに耳慣れた足音が近づいてきた。
「ネコ娘?」見舞いに来てくれたのか部屋の外からそっと声が掛けられる。
”鬼太郎の声だ”そう思った瞬間に体の内より何かが強く強く湧き上がり
ネコ娘は布団を跳ねのけて起き上がった、
「きたろ」口からこぼれでた自分の声がいつもと違って聞こえる。
そのまま部屋の外へさまよい出て行こうとするところを側の者が抱え込んで押し留める、
何事か部屋の外で話す声が聞こえ、やがて足音が遠ざかっていった。
「鬼太郎……行っちゃ、やだぁ」
側役の腕が解かれた瞬間に溢れでた自分の声が甘いのにぎょっとする、
そうしてネコ娘はこの奇妙な熱が体の中心、腹の下から湧いているのを知ったのであった。
******つづく******
今回ここまでです。
小正月までには完結させたいと思っています。

238 :
ものすごく気になる所で終わった…
続きを楽しみにしてます!

239 :
wktk

240 :
なんてグッドタイミングなお年玉だー
ありがとう神!

241 :
キタネコ三期×大江戸パロディ 続き投下します。
エッチなシーンの前、2レスの予定です。

242 :
※※※
梅雨も開けた盛夏の強い日差しも軒に遮られて差し込んではこない。
よく晴れて清々しい天気だが、それでも耐え切れない暑さを少しでもしのげるように
蝉の羽のように薄い生絹の単ばかりを着、すっかり熱も引いて
床上げの済んだネコ娘は襖の開け放たれた部屋で風に当たっていた。
蒸し暑い空気を拭うように肌に風が抜けるのが心地よい、
目を瞑って風に身をまかせていると、耳に入ってきたのは聞きなれた声。
「鬼太郎!」「もう、すっかり、いいんだろう?」
鬼太郎が日差しの強い軒下に立っていた、日の光を背にして
全体が濃い影になっているので表情は見えないが、
優しい鬼太郎は会わずにいた間もきっと心配してくれていたのだろう。
「ゴメンね、せっかく来てくれたのに」
「熱が出てたんだろ、仕方ないさ」
そんなことより、大丈夫なら少し歩かないかい と誘われて、ネコ娘も日差しの下へと歩み出た。
※※※
木陰を、水辺を二人で他愛もない話をしながら歩くうち、ネコ娘はあの奇妙な熱のことも、
その間は会わせてもらえなかった事も忘れて明るい笑顔を浮かべていた。
視界が開けると、日差しと木陰とが混じり合う誰もいない美しい浅瀬が姿を表す、
この森はどこも美しいのだが、その中でもネコ娘のお気に入りの場所の一つだ。
水辺へ踏み込んで手を振る鬼太郎を追いかけて着物の裾をめくって水辺へ駆け込むと、
腹を紅色に染めた魚たちが体をきらめかせながら足元を逃げていった。

243 :
※※※
互いに水を掛け合ったり、魚を捕まえようとしたり、
久しぶりの外遊びに嬉しそうに声を上げて笑うネコ娘、
ネコ娘と同じく魚を追うふりをしながら鬼太郎の目は魚よりもネコ娘を追いかけていた。
膝までまくり上げた白絹の単の裾からは白い滑かな足が伸び、
動くたびに肌の色より少しだけ濃い朱鷺色の蹴出しがちらちらと覗いている。
「鬼太郎?」
動きを止めた鬼太郎を不思議に思ったのかネコ娘が声をかける。
清らかな水と明るい日差しが薄衣を透かして……ある一つのことを
思い定めて来た鬼太郎には、ネコ娘は生まれたままの姿で水面に立っているように見えた。
「どうしちゃったの? 上がって、少し…休んだほうがいい?」
棒立ちになったまま動かない鬼太郎が心配になったのか、様子を伺うように
ネコ娘が近づいて来て、そっと鬼太郎の手を取った。
陽光が、水面のきらめきが、少女の体の滑かな曲線を透かし出している、
鬼太郎は強い衝動を押さえるように大きく頷いて、手を引かれるままに歩き出した。
******つづく******
次回は暴走鬼畜太郎さんのターン(予定)

244 :
続きktkr

245 :
鬼太郎イケ駄菓子菓子猫娘を泣かせてくれるな鳴くのなら良し

246 :
三期キタネコ×大江戸パロディ続き1レス投下します。
今日深夜か明日にはこの節の終わりまで投下の予定。

247 :
※※※
日の光に温められた水辺の大岩に二人並んで腰掛ける、ネコ娘は岩の熱さに触発されて
水を払うようにぷるぷると体を震わせ「やっぱり、冷えちゃったよね」と言ったが、
鬼太郎はそれには答えず、つながれていた手を握り返した。
まだ少年らしさを残しているものの、肉厚でしっかりとした鬼太郎の手のひらは
うっすらと汗ばんで熱く、冷えてなどいないことを物語っていた。
顔を見つめるネコ娘から目を逸らして口を開く、薄紅のなめらかな肌を
見ながらではまともに話せそうになかった。
「ネコ娘……ネコ娘は…」
言いたいことは……確かめたいことは、そう込み入ったことではないはずなのに
うまく言葉にならない、しばらく前に訪れた体の変化のこと、数日前に父に知らされ、
問われたこと……知ってしまったことが胸に渦巻いて言葉がつかえる。
「……ここが好きだっただろう、どこにも行かないね」
「急にどうしたの鬼太郎…… 熱が出ちゃったの?」
搾り出された言葉の不可解さにネコ娘は心配そうに身を寄せ、
額を合わせようと、鬼太郎に覆いかぶさるようにして顔を覗き込もうとする、
鬼太郎の掌からネコ娘の手がすり抜けて、鬼太郎は取り逃すまいとネコ娘の肩を強く掴んだ。
「ネコ娘……僕は大人になったんだ」「ネコ娘も…そうだね」
言葉の勢いのままに押されて尻もちをつき、あべこべに鬼太郎がネコ娘に覆いかぶさる、
鬼太郎は……今まで見たこともない目をしていて、ネコ娘は口をきくこともできずに頷いた。
確かに……確かにそう言われた、もう膝の出る着物は着ない、
耳の後ろで揃えられた髪はこれからは伸ばすのだと言われた。
でもそれが一体どうしたと言うのだろう、鬼太郎が見知らぬ存在のようで
恐ろしいのに、逃げ出すことも目を反らすこともできない。
「鬼…太郎?」縋るように名を呼んだ声はかすれてかすかに震えていた。
「どこへも行かせるもんか……ネコ娘っ!」
引け腰になっていた体を引き寄せられて熱を帯びた胸板に体が密着する、
頬と頬が触れ合って、唇が何か柔らかなもので塞がれた。
息ができなくなって頭の芯がぼうっとしはじめた頃ようやく唇が離される、
目の前では真っ赤な顔をした鬼太郎が荒い息をしていた。
口づけだった、戯れに頬や額にしたことはあるが、唇にされるのは初めてで、
咳き込むように必で息をしながらも頬が熱くなっていくのを感じる、
嬉しいのか、恥ずかしいのか……恐ろしいのか、判らずにいるうちに抱き倒された。
*******つづく******
早くラブラブだったりエロエロだったりの部分へたどり着きたい。

248 :
三期キタネコ×大江戸パロディ続き
3レス程度
無理やり…のシーンなのでご注意

249 :
ネコ娘の細い体を覆い尽くすように鬼太郎が抱きかぶさる、
背中の岩から陽光の暖かさを、胸の上に鬼太郎の体の熱さを感じ、
酸素を求めて喘いだ唇に、もう一度唇が重ねられ、
今度は熱い舌が唇を割り開いて押し入ってくる。
手が肩から滑り降りて胸のふくらみを掴むように押さえられ、
感じた鈍い痛みに思わず漏れた声は鬼太郎の口の中に飲み込まれた。
口づけも、抱擁も考えたこともない類のもので恐ろしいのに、
鬼太郎の手はとどまることなくネコ娘の体を這いまわる。
柔らかな胸を揉みあげ、脇腹をまさぐり、腰の曲線を撫で、
口を開くたびに唇が深く重ねられ、舌や歯を蹂躙されて
しびれるような感覚に力を失った唇の端からは混じり合った唾液が伝い落ちた。
肌の上にはっきりとした熱を感じてネコ娘の身が跳ねる、
胸の上に置かれた手がひどく熱く感じたのだ、
鬼太郎が身を上げると、いつの間にか着物が大きく開けられて
上を向いた二つの丘からへその辺りまでが白日の下にさらされていた。
「あ……」再び下りた唇が喉を辿り、胸乳の上へとたどり着く
「い…にゃ…」噛み付かれたのか胸の先端に熱と痛みが走る、
鬼太郎の着物の下にある何か固いものが体に当たっている
必で声をしながら不安で仕方なくて縋るものを求めて鬼太郎の背にしがみつく。
「ネコ娘……僕と…」
鬼太郎が乳房にむしゃぶりつきながら何事か言っている、
「にゃうっ!」
また”噛まれ”て思わず声が上がる、
その声に顔を上げた鬼太郎はやはり尋常ではない目付きで、
喰い付かれていた胸の、桜色だった乳首は
つんと尖って紅梅のような色に照り光っていた、
自分の体に起こった変化を呆然としているうちに、
鬼太郎が自身の着物を開け下帯に手をかけた、
見てはならない気がして目を背けると、むしりとるような勢いで
蹴出しごと裾が開かれて足の間に熱を持った固いものが押し当てられ、
固い”何か”が鬼太郎の体の一部だということに気づいて息を呑む。

250 :
「ひぁ……」
思わず腰をひこうと身じろぎするとがっしりと体を押さえられた。
「僕の……僕のものだ!どこへもやるもんか!」
柔らかな肌に指を食い込ませながら呻くように叫ぶと、
足の間に挟み込んだネコ娘の体の中心へ自身を押し進め、
白い太腿に、ふっくらとしたまだ無毛の恥線に、たぎったものが突きつけられる。
「いっッ……」
押し付けられた部分に鈍い痛みを感じて顔を歪めたが、
構わずに熱いものの先端が押し付けられる。
「やぁ……」
そのまま腰をがくがくと動かし始めた鬼太郎に
容赦無く揺さぶられて必に背中にしがみついて耐える、
恐ろしさと何かがないまぜになったものが胸にあふれて
名前を呼ぶ鬼太郎の声が遠く聞こえる、
ずっと自分は鬼太郎のものだと思っていたけれど、
鬼太郎の思うところとは違っていたのだろうか……
肩越しにぼやけて見える夏の美しい日も現実感を失って
痛みとしがみついている鬼太郎の体だけが全世界になったように感じる。

251 :
その時間は長かったのか一瞬だったのか……
鬼太郎は突然棒のように硬直して呻くと、
ネコ娘の名を呼びながら力尽きたように崩れ落ちた。
腹のあたりに熱いものが広がったのを感じる、
その熱は……どこか知っているように感じたが
胸の上に倒れこんで荒い息をしている鬼太郎の姿に
先ほどまでの痛みも恐れも超えて心配になってくる。
「鬼太郎……鬼太郎!」
頭を抱えて顔を覗きこむと目覚めたばかりのような表情で
もう恐ろしい目はしていなかった。
大事のない様子に安心すると同時に
目の縁に溜まっていた涙が一粒こぼれ落ち、
それをきっかけに今までどこか麻痺していた感情が
押し寄せてきて次から次へと涙があふれてくる、
しゃくりあげるネコ娘に気づいた鬼太郎は跳ね起きたが
手ぬぐいでネコ娘の肌を拭って開けられた着物を掻き寄せると
「ごめん」と言ったきりうつむいた。
※※※
どうやって戻ったのかはよく覚えていない、
赤い目をしてどこか空ろな幽鬼のような様で帰ってきたネコ娘を
心配して声がかけられたがネコ娘は答えなかった、
空ろなまま眠り、空ろなまま目覚めて
潮が満ちるようにゆっくりと平常に戻っていく
あれから幾日が経ったのか……
窓辺に座っていたネコ娘はあの日以来鬼太郎が来ないことに気づいたのだった。

********つづく******


252 :
ハァハァ

253 :
age

254 :
しばらく板落ちてたカキコ

255 :
hosyu

256 :
ほしゅ

257 :
復帰上げ

258 :
圧縮が近いらしいので。
そういやバレンタインだ…

259 :
ネコ娘「これ、余ったからあんたにあげる」

260 :
なんかこのもらい方はネズミ男の気分。

261 :
その場でチョコ食って礼も言わずに立ち去ろうとし
猫娘にお愛想くらい言いなさいよ!と引っ掻かれたい

262 :
もう3月か

263 :
ほしゅ

264 :
倉庫閉鎖か?

265 :
サーバー不調じゃないかな、自分は見られる。

266 :
1番最初のスレから早10年か
記念に倉庫板の最初のSSのリメイク版でも書いてみようかな?

267 :
10年近くになるとか、時が経つのは早いですなぁ。
今までちょこちょこ投下させてもらっているうちに
気が付いたことがあったので、ざっくり纏めました。
このスレが無かったら、書く事が無かったかもしれないので
お付き合いいただけたら幸いです。

268 :
以前投下した孵変シリーズや同じく今まで投下したものを細々書いているうちに
ネコムスメがどこから来てどうなって行ったのかというものが見えた気がするので
改めて再編集し、エロ抜きでネコムスメをややメインに書き直したものです。
原作(夜話、怪奇!猫娘)〜アニメ1〜4部まで、一貫して同一人物扱いです。
(5部についてはいまだに消化できてませんのであしからず)
どうしても本編に被る部分は、荒筋の様な箇条書きな様な表現になってしまうことをお許しください。
都合よく妄想にて脳内修正を行っているので、辻褄が合わなかったり
おかしい部分も多々あるかと思いますが、そこは突っ込まずにスルーしてやってください。
・ 親父×岩子・鬼太郎×猫娘・総集編
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

269 :

昔々―――
夫婦は生まれながらに一つであった。
貝のように背中合わせに結ばれた身であったが為に何をするにも常に一緒だったが、
己の伴侶の顔を知らずに日々を過ごしていた。
夫婦は願った。
互いに向き合う事が出来たらどんなに素晴らしい事かと
夫婦の一途な願いは天に届き、雷によって二つに分けられた。
願いは叶ったが落とされた雷の衝撃が強すぎ、
互いの顔を見る事もできずに弾き飛ばされてしまった。
男と女は失った半身を探し求め、数年の後に再会を果たし末永く幸せに暮らしたと言う。
以来、男女は別々に生まれ番を探し求めるようになったのだそうだ。

うろ覚え日本昔話より

270 :

―――それは、一人の男女の出会いから始まった。
「男」は、人類よりも古い血統の一族の血を引いていた。
男の祖先は、人類が地上を支配するよりも遥か昔から、
自然と共に暮らしてきた一族であった。
やがて誕生した人類は粗野で、好戦的な人間は何時尽きるとも判らぬ争いを日々繰り返し、
異質なものを忌み嫌い決して受け入れようとはせず、自然を破壊していった。
人類は恐るべき勢いで地上に広り、争いを好まぬ彼らの一族は逃れるように住まいを移していった。
何時しか「幽霊族」と呼ばれるようになった一族は、
人間の為に生きていくには過酷な環境へと追いやられ、ひっそりと隠れ住まうようになり
つけられた「幽霊族」と言う名のように、人々の記憶からは存在すらも忘れられていった。
人が地上に広がる一方で、彼ら幽霊族はその数を徐々に減らししつつあった。
辿り着いた彼の地は痩せていて、得られる食料はとても僅かで彼ら一族は何時も飢えていた。
長い年月の間に、飢えで亡くなる者も少なくは無く
減り行く一族の間で婚姻を結べば、血はよりいっそう濃くなって、
幽霊族はその異形さを増していった。
長年の過酷な生活か、それとも煮詰まりつつある一族の血縁か、幽霊族は特殊な能力を授かった。
しかし、彼らはその能力を使い何かを破壊するような事は決してせず、常に自然と共に在り続け
やがて人の目には見えぬ世界の住人、精霊や怪異なる者とも僅かながら交流を持つようになった。
男が「幽霊族」としてこの世に生を授かった頃には、
既に同族同士でしか子を成し得ない様な事態にまで陥っていた。
長い事異種族を受け入れる事の無かった一族は、
長寿を得た代わりに、極端に子が出来にくくなっていた。
もとより弱かった一族は、重ねられた血婚により更に弱い生き物になっていた。
漸く授かった子も、奇形が生じ一族はやがて滅び行く存在となりつつあった。
何者にも真似出来ぬ能力を授かろうとも、幾世紀を永らえる生命を持とうとも
新しい命が生まれないのでは一族を存続してゆく意味が無かった。
そして消えつつある幽霊族の危機を”自然の流れ”として受け入れつつある一族に男は従えなかった。
芽生えた小さな疑問は次々と膨れ上がり、
一族には秘密で人界近くまで幾度と無く足を運ぶようになった。
男が自信の身の在り方を考え始めたその時―――運命の女に出会った。
女は幽霊の血を引く奇妙な血統の生まれであった為に、
男の一族と同様に異なる者として人間に追われ、たった一人で居た。
女はその奇妙な血筋の為か、人の血を引きながらも男の一族に近い存在でも有った。
男は、女に出会って初めて湧く奇妙な感情を知った。

今まで何かが足りず、鬱々とした日々を送っていたが
その全てを満たす存在がこの女だと直感で感じ取った。
”この女だ…この女に触れたい。この女が欲しい―――”
脳裏に浮かんだ言葉は意識よりも更に深く、
男の遺伝子に足りぬものを女のもつ遺伝子見出し、本能的に欲した。
一族の女を伴侶とする気にはなれず長い間一人身であったが、
全身の血がざわつく様な興奮に、失いかけた欲望の芽生えを感じていた。
惹かれるとは、こういうことなのだろうか?
男の感じた想いは女も同様であったのだろう
二人は密に逢瀬を重ねるようになり深い関係に至るまではそうは時間がかからなかった。

271 :

男は意を決し、女を妻とする為に一族の元へ連れ帰ったが、
長年他種族のものを受け入れる事をせず、
同族だけで婚姻を重ね、生粋の血をただ守り続けてきた一族の者からは激しく拒絶された。
元は人間界の生まれである妻が一族にかかわることで、
人間界に幽霊族の存在を知られる事を恐れたのだ。
生まれ育った地を離れ、男は妻と共に、一族が恐れ近づくことをしなかった人界に降り立った。
夫婦二人きりの生活は決して豊かではなかったが、幸せだった。
二人はこよなく愛し合っていたが、
幽霊族の遺伝によるものなのか異種族結婚の所為なのか、
なかなか子宝に恵まれずにいたが、それなりに楽しく暮らしていた。
時は流れ、人が何世代か交代した頃、
住職を失い人が寄り付かなくなった荒れ寺へと夫婦が住まいを移したとほぼ同時期に、
虫の知らせで一族が絶えたことを知った。
男は突然の訃報に驚き、真実を確かめるべく妻と共に生まれ故郷へ戻った。
虫の知らせを己の目で確かめるまでは信じられるはずが無かった。
嘘であるならばどれほど良かっただろうか?目の前の現実が。
夫婦が辿り着いた幽霊族の地には生者は見当たらず、白骨化した遺体がただあるだけだった。
男が去った後、一族の間では感染力の強い病が急速に広がり蝕んでいったのだった。
人間のように科学を発展させていったのであれば直ったかも知れぬ病に、
幽霊族は抗う術を持っておらず全ては自然界の意思のままに任せ滅んでいった。
男は遺体を丁寧に埋葬し、幽霊族がぬ時に残すと言われている霊毛を拾い集め
一族の宝とされていた祖先の霊毛で編んだ布を受け継ぎ持ち帰った。
男は幽霊族の生粋の血を持つただ一人の存在となってしまった。
怒りなのか悲しみなのか、表しきれぬ感情にただただ涙が溢れて止まらなかった。
この目で確かめても実感が湧かず、思い出すのは皆の穏やかの顔だった。
自然とともに歩み自然と共に生きてきた幽霊族を、自然は助けてはくれなかった。
ただ穏やかに、平和に生きることを望んだだけなのに一族は消えなければならなかったのか?
始めて見る夫の涙に、妻が戸惑いを露にしたが男は嗚咽をとめる事が出来なかった。
妻は知っていた。享けたばかりの悲しみの感情を抑えることなど出来ぬ事を
そして、深い悲しみと言うものは時だけがその流れと共に少しずつ癒してくれる事に
古寺に戻り、暫くして妻が身ごもった事を知った。
多くの命が失われ、絶望に打ちひしがれていた夫婦にとって
授かった腹の中の新たな生命は希望を齎した。
自分だけを残し絶えた一族を目にし、幽霊族の血統や存続に捕らわれかけていた男だが、
新たな生命の芽生えにそんなものはどうでも良くなっていた。
待ち望み続け漸く授かった新たな命が愛しくて嬉しくて、
我が子の誕生する日を楽しみに毎日を過ごした。
だが、幸せは長くは続かなかった。
妻と共に幽霊族の地を離れた事で、病魔から逃れ生きながらえた男だったが、
不運にも一族と同じ病魔に蝕まれていた。
男はなんとしてでも生きねば為らなかった。
幽霊族の為ではない、妻と生まれて来る我が子の為に病魔に負けてぬわけには行かなかった。
しかし、病状は思わしくなく悪くなる一方で、見るに見かねた妻は人界へと血液を売りに出た。
売った血液で得た僅かばかりの金で夫の為に薬が欲しかった。
なんとしてでも夫を助けたかった妻の起した行動は、
今まで隠してきた夫婦の存在を人間に明かす羽目と為った。
輸血用の血液として売られた妻の血は、
採血してまもなくとある病院で輸血用血液として使用された。
妻の血を輸血された患者は生ける人と化し、
常識を逸した奇妙な事態は極秘の内に血液会社へと連絡された。

272 :

妻が律儀に荒れ寺の住所を記載していた為、
近くに住んでいた血液会社の社員が調査を依頼された。
今まで人に見つかる事無く過ごしていた夫婦だが、
とうとう隣人にその存在を突き止められてしまった。
夫婦は隠すことも無く、偽る事もせずに全てを隣人に話し、
子供が生まれるまでのおよそ7ヶ月
真実を明らかにするのを待って欲しいと懇願した。
隣人はそれを承諾し、期限付きではあったが夫婦は静かな生活を約束されたが、
まもなく夫の病状が悪化した。
病は何時しか妻の体も蝕み、妻よりも早く病に犯されていた夫は
子の誕生を待つ事無くの床に伏した。
人には無い能力を兼ね備えていても、
肉体が保てなければ魂を地上に止めておく事は不に近い一族とはいえ不可能。
生粋の幽霊族がこの世から去った瞬間であった…が、
不思議な事に幽霊族がの際に残すと言う霊毛はどこにも見当たらなかった。
しかし、一族の者ではない妻がそのことを知るはずも無い。
残された妻は嘆き悲しみ、不安に心をかき乱された。
夫の後を追いかけたい衝動と、
待ち望んだ我が子を誕生させなければならぬ思いとの狭間で
女は母としてこの世に止まり、我が子の為に病と闘うことを決めた。
女は生まれつき成長が異常に遅かった。
その所為で人には気味悪がられ、家族でひっそり山奥へと住まうようになったのだが、
時は残酷にも年月を経るほどに女と両親との時間差を露にしていく。
女の両親は至って普通の人間であったが、
何代か前に幽霊と交わった為に生まれた祖先が居たらしく、
女はその幽霊の血を色濃く受け継いでしまっていた。

『幽霊の血』それはもしかしたら『幽霊族』の血を引く者の事を示すのかもしれない。
そうそう『幽霊』と名の付くものが世に有るわけは無いだろう、
この女の祖先が交わったと言うのは幽霊族の者であったのならば…
男と同じ時を生きて来れた事にも納得できるだろう。
遠縁の血筋のものと言い切れなくも無いが、全ては闇の中―――
真実を知ったのは両親のの間際で、それから女は男にに出会うまでずっと一人であった。
孤独で寂しくあったが人に受け入れられない上に、
並の人では同じ時を共有できぬ事を身を持って知っていたから
身を隠しひっそりと独りで生きていくしかないと思い始めた頃、男と出会た。
空しかった毎日が一変し、男と会うのが楽しくて仕方が無かった。
互いの身の上、異種族であることも知った上で二人は結ばれ、
漸く子を授かり家族を得る事が出来てとても幸せだった。

なのに夫は、一人病に冒されて先立ってしまった。
女と腹の中の子を残して。
妻は夫の亡骸をどうしても地ちに帰す事が出来ず、
看病してきた時と同じように布団に寝かせ共に生活を続けた。
やがて夫の遺体は腐り、崩れ始めたが地に返されなかった為に、
男の魂は天に召される事も地に堕ちる事も無いまま現世に留まっていた。
妻は、夫が彼の地から持ち帰った先代より伝わる大事な宝―――
幽霊族の祖先の霊毛で織られた布で、生まれ来る子の為にチャンチャンコを作った。
それが、母が子に残した唯一の品になった。

273 :

約束の日
隣人は夫婦と交わした期間、一度も訪れる事の無かった荒れ寺へと再びやってきた。
会社への報告も何とか上手くごまかし続けてきたが、
何時までも不明のままにしておくには厳しい状況だった。
だが、隣人がそこで目にしたのは変わり果てた夫婦の姿だった。
彼らは子供を現世に生み出すことが果たせぬまま、この世を去っていた。
隣人はこの夫婦がとても哀れに感じた。
ならばせめて墓だけでも…と、思ったが
夫の方は腐敗が激しくとても触れられる状態ではなかったため
比較的綺麗な遺体であった妻だけを墓地に埋葬し、会社へ血液提供者の報告をした。
――― 血液提供者、既に亡によりこれ以上の調査は不可能 ―――と
しかし、これで終わりではなかった。
何もかもがした夫婦にとって、母の腹の中の子にとって幸運だったのだ。
母体ごと土中に埋められた事によって、
大地そのものが母体と化し腹の中の子供は再び息を吹き返した。
やがて空には黒雲に覆われ、降り出した雨は激しさを増し稲光が駆け巡り雷が轟く嵐の晩
母の魂が宿りし大地が母体と化し、胎動を始める。
陣痛が始まったのだ。
時を同じくして、また別の場所でも異変が起きていた。
荒れ寺の部屋の奥、人と思しき肉塊は隣人が埋葬を諦め残した夫の遺体であった。
ぐずぐずに崩れた遺体からは所々から白い骨が突き出し、
筋肉の支を失った眼球が飛び出ていたが、男の魂はこの身体で眠ったままだった。
不思議な事に、轟く雷鳴と共に胎動し始めた大地の異変に気がつき
眠っていた男の魂が目覚めたのだ。
男はこの世を去るわけには行かなかった。
肉体がしても尚、病魔に冒されていなかった己の眼球に魂を宿らせ、
やがて訪れるであろう時を只管待っていた。
人に真似する事の出来ぬ秘術、幽霊族の男にとって妻と子にしてやれる最後の手段だった。
ゴウゴウと吹き荒れる嵐の音とは逆に、しん…と静まり返った堂内に、
ポトリと不自然な物音がした。
それは男の遺体から飛び出していた目玉が床に落ちた音だった。
抜け落ちた目玉は暫くするとぴくぴくと動き出し、
奇怪な事に手足が生え起き上がったではないか。
男は再びこの世に戻る為に病に犯された人の器を捨て、
病魔に侵されていなかった唯一の箇所…目玉の中に己の魂を宿らせ肉体を再構成していたのだ。
妻の為、生まれてくる我が子の為に形振り構っては居られなかった。
男は形を変えて再生したが、握り拳程の小さな人方ではあったものの
人の頭に位置する部分は眼球と言う既に人からは程遠い姿であった。
蘇えったところで男には生殖能力は無く、
やはり生粋の幽霊族が失われたと言う事実には変わりが無かった。
目覚めた男は霊波を感じ取り、父親になる事を予感した。
ネズミよりも小さな身体で、見えぬ何かに導かれるままに生まれ来る我が子の元へ急いだ。
男が辿り着いた先は古寺の墓地で、妻は生まれてきた息子を腕に抱く事無く、
既に地に還されていたことを知った。

住職も無く、人も寄り付かなくなったこの墓地に新しく盛られた土が妻のを表していた。
絶望に男は跪き首を深く垂れてその場に蹲った。
母体が土中では、我が子の命運も此処までか…

274 :

雨に混じりたった一つの眼球から涙の滴が伝い落ちた瞬間、
一層激しい閃光が寺の墓地に落ち、雷鳴と共に産声が上がる。
盛られた真新しい土が崩れ、小さな手が現れた。
降り注ぐ雨の中、男が見たものはした母の腹を自ら破り、
人が還るべきの床―――大地から自ら這い上がりこの世に生を授かった息子の姿だった。
生まれつきなのか、それとも這い上がる際に傷つけたのか、息子は隻眼であった。
あの時、故郷に戻らなければ。あの時、病さえ患わねば…男は後悔せずには居られなかった。
この子は五体満足で正しく母から生れ落ち、
最初の祝福である母の初乳を受けることが出来たはずなのだ。
この世に生を受けた瞬間から、なんと過酷な運命を背負わせてしまったのだろうか。
冷たい雨が降り注ぐ中、この世のものが全て還るべき処である大地から生まれた息子は、決して地には還らないのだろう。
この世に生を授かった息子と共に、今は生きるすべを探るしかなかったが、幸いな事に隣人が産声を聞きつけてやってきた。
息子を抱き上げた隣人は、家に連れ帰りどうやら面倒を見てくれる運びと為った。
赤ん坊は―――鬼太郎と名づけられた。
鬼太郎が生まれた年よりも前、奇妙な運命を背負った娘が悲運のうちに短すぎる人生を終えていた。
余り情報も行き渡らなかった時代。
一世間を騒がせた少女の事など、あっという間に忘れ去られた後の事。

やがて二人は、運命に導かれ出会うのだ。





鬼太郎は隣人宅で父に見守られすくすくと育っていった。
鬼太郎の成長は人並みであったが、その外見と行動に異質さが目立ち、
育ての親である隣人家族にも薄気味悪がられた。
7歳の誕生日に父より母がの間際に作ってくれた
祖先の霊毛で出来たチャンチャンコを渡され、身にまとうようになる。
隣人が仕事を復帰したのを機に、「猫屋」と言う三味線屋の二階を間借りし、
小学校へと通うようになった鬼太郎と暮らしていた。
この頃には既に目玉の親父の存在も隣人は明かされており、
日課の茶碗風呂も気兼ねせずできるようになっていた。
本来眼球の殆どは外気に晒されず、空気に触れる部分も目蓋などで保護されているものだが、
魂を移し変える際に目玉そのものの姿になった所為か、
常に晒されていると全体にヒリヒリとした痛みを伴う為、
湯船に浸かって常に清潔にしていないといけなくなった。
怪異なる者は更なる怪異をひきつけるのか、ネズミ男との奇妙な付き合いが始まる。
彼の生い立ちも謎だが、この世のものとは思えぬ体臭と想像を絶する不潔さ
齢300年以上生きていると言う時点で、ネズミ男もまた常人でないことは明確だった。
鬼太郎達が間借りしている三味線屋の「猫屋」には、鬼太郎と同い年の少女、寝子がいた。
同じ小学校に通い、同じ教室の隣の席で授業を受けている同級生は
類稀なる美貌の持ち主で、鬼太郎は何時しか淡い恋心を抱くようになる。

しかし、寝子には決して人には明かせぬ悩みがあった。
三味線屋という江戸時代から続いてきた家業で代々蓄積された呪いは、彼女の代で発病したのだ。
寝子は生まれ付いてより、ネズミや魚と言ったものの匂いを嗅ぎ取ると、
猫化してしまう奇病を患っていた。

275 :

家業が長らく続いた三味線家だったとはいえ、
何故彼女は呪われなければならなかったのだろうか?
猫は三代祟るというが、彼女の生前もその後も、
猫屋の本家筋にも分家筋にも彼女のような奇病を患ったものが生まれ来る事は二度と無かった。

何故ならば、寝子は猫屋に生まれ来る以前から、既に祟られていたのだ。
猫娘を語るのならば知っておかなければならない、一人の少女の存在を。
そして忘れてはならない、ネコムスメに繋がる始りの乙女
その名は―――みどり。
それは寝子が生まれるよりも更に時を遡る。
既に人々の記憶からは消え去ってはいたが、余り遠くは無い昔
とある夫婦の元に子が生まれようとしていた。
生活は貧しく妻の出産費用さえも用意できず、夫は途方にくれていた。
頼れるものは無く、如何する事も出来ぬまま、ただ時間だけが過ぎて行く。
時間が経てば経つほど、妻の腹の子も成長し、
見た目にも日に日に大きくなる様子に男は焦り、追い詰められていった。
窮地に追いやられた男の脳裏に、恐ろしい計画が浮かび上がる。
それは裏に住まう老婆の飼い猫をし、
三味線屋に打って妻の出産費用を捻出しようと言うものだった。
しかも、老婆の猫は普通の猫では無く、
大型の肉食獣並みに大きな黒猫であったから、
男は普通の猫よりもきっと金になるに違いないと思い行動を起こす。
老婆が留守にした隙を突いて、大黒猫をしたのだ。
妻と子の為に取ったこの行動が、妻の命を奪い
最愛のわが子を苦しめる行為に成ろうとは、この時予想だにもしなかっただろう。
余りの生活状況に、男は正気を失って居たに違いない。
太古の昔から、多くの生き物は己の命を繋ぐ糧に他の生命を奪い、喰らう事で命を繋げて来た。
男の取った行動も、妻と子の為だとは言え、
した大黒猫を生きる糧として喰らう為にではなく、
剥いだ毛皮を金に変えるためだけにした。
大黒猫は人に取り込まれ血肉とし命の糧に成る事無く、
並みの猫を遥かに上回る体格であったが故に目をつけられ、毛皮を奪われ捨てられたのだ。
弱者が強者に取り込まれるのは食物連鎖故、大黒猫もそのを納得したのかもしれない。
しかし、三味線屋に売るためにされ、
剥がれた己の皮を金に換えられたのだけは許せなかったのだろう。

大黒猫は自然の理に適わぬを与えた男を恨み、呪った。
その恨みは祟りとなり、男の家族へと不幸を齎す。
夫が金を手にし帰った時には、妻は何者かに踏みつけられ、既に息絶えた後であった。
男にされた大黒猫こそが足跡の主であったが、
余りにも非現実的で奇怪な出来事ゆえ、男が気づくはずも無い。
ただ、男にとって幸いだったのは腹の中の子、娘が無事だった事だ。
妻を失った男は、妻に忘れ形見である娘を世に残してくれた事で父となった。
父親は、豊かな森のを育む森を思い、娘に”みどり”と名づけた。
父と娘、二人だけになってしまったが、
ささやかな家族の幸せを人並みに手に入れられたと思っていた。

276 :

ある日、食卓に出した魚が切欠で、娘のみどりが猫のようになることに気が付いた。
男は色々な医者に相談したが、何せ前例の無い奇病ゆえ、
どの医者からもさじを投げられる状態だった。
奇病は治らぬままみどりは成長し、学校へ通うになったある時、事件がおきた。
今までは家庭内でなんとか抑えていた”猫化する奇病”が、
学校のクラスメイトの居る教室で発病してしまい、
みどりが”猫娘”であると言う噂がとあるサーカスの団長の耳に入った。
彼はサーカスの良い見世物になると思い、みどりの父に打診をしたが、
奇病を患っているとはいえ妻の忘れ形見である大事な一人娘
見世物にすることなど出来るはずも無かった。
なかなか首を縦に振らない父親に、サーカスの団長は父親に黙ってみどりを浚ったのだった。
訳も解らず連れ去られたサーカス団で、
獣のように扱われ猫化する様を見世物にされるのは
多感な少女には耐え難いものだった。
否応無しに心が傷つけられ、鞭で打たれる辛い日々。
貧しくとも人としての当たり前の生活を送っていたみどりは耐え切れなくなり
ある日、ふとした拍子で団長をに追いやってしまった。
その事が切欠で、みどりを探していた父親に娘の所在が知れた時には既に遅く。
みどりは人間をした化け猫娘として全国に指名手配されていたのだ。
人間は少しでも異質なものを恐れ、頑なまでに排除しようとする。
まだ幼い少女とはいえ、人をした化け猫娘とレッテルを張られたみどりに
救いの手を差し出すものは誰一人として居らず、逆に彼女をそうとする者さえ居た。
それでも必に生きようとするみどりは、不運にもまた一人の命を奪ってしまう。
漸く、緑の元へ父親が駆けつけた時には、既に娘の逃げ場は無く、
父がどんなに救いの手を尽くしたくとも救えぬ状況に置かれていた。
互いの姿を確認できる位置に居ながら、
救いを求めることも、救いの手を差し出すことも叶わぬ絶望的な状況の中
突如現れたカラスの大群に、みどりは連れ去られてしまう。
連れ去られる娘をどうする事も出来ず、
無力な己を悲観する父親の元に、大黒猫を飼っていた老婆が現れ、
みどりの壮絶な最後を告げる。
みどりは生きながらにして鳥葬されたのだ。
両親以外に愛されることの無かったみどりだが、
父親と共に過ごした僅かながらの幸せな時があったからこそ、
猫娘と呼ばれサーカス団で見世物にされ人に追われる最後は、
みどりにとってもこの上ない辛く悲しい出来事だったに違いない。
男は、妻と子を生かそうとして、結果的に全てを失ってしまったのだ。
あの時、もう少し違う方法を思いついていたのならば、
こんな結果に成らずに済んだのかもしれない。
残りの余生を、彼はたった一人で悔いながら過ごしたのだろうか?
しかし、大黒猫の呪いは終わったわけではなかった。

277 :

猫は三代祟ると言う。
みどりが子を生していれば、その呪いは子に引き継がれたのかもしれない。
しかし彼女は呪いを身に受けたまま、幼くしてこの世を去った。
壮絶なを遂げた彼女ではあったが、親よりも先にす事は大罪で、
彼女は六道の内、人間道へと落とされた。
其処はみどりが生前、生き地獄を味わった最も恐ろしい―――人間界
みどりは”寝子”として、再びこの世に生を受けた。
両親に名づけられた名前が”猫”を示すものであるもの、
生家が三味線屋を営んでいたのも、生前の大黒猫に纏わる因縁なのだろうか?
大黒猫の呪いを受けたまま生まれ変わった寝子は、
遺伝子レベルで呪いが己の肉体と魂に融合してしまった為に、
現世にて再び肉体を得た彼女と大黒猫の呪いとは切り離す事が容易ではなくなっていた。
呪いは寝子の骨まで染み付き、
細胞の一つ一つにまで刻まれていたのだから、
当然彼女もみどりと同じく猫化する奇病にかかってはいた。
しかし、前世でのに至るまでの壮絶な恐怖が魂の記憶に刻まれていたのか、
美しい容姿に恵まれてはいたが、人見知りで余り人前に出る娘ではなかった。
引っ込み思案な性格の為か、ひた隠しにしてきたからなのか、
彼女の奇病は他人に知られる事もないまま
祖母と二人きりで、ひっそりと生活を送っていたのだ。

鬼太郎と出会うまでは

不幸な事に、寝子は”みどり”だった頃よりもより一層強い呪いに蝕まれていた。
寝子が隠し続けてきた奇病の事を鬼太郎が知る事になったのは、
学校へと持たされた父の手製の弁当だった。
幽霊族であった父からすれば、貴重な蛋白源であるネズミは大御馳走であったが、
人間社会の中におかれて育てられた鬼太郎にとって父の愛情弁当は
とても恥ずかしく、人様に見せられるような物ではなかった。
クラスの同級生に見られたくないオカズを蓋で隠して食べていたが、
漂う独特の匂いが寝子の奇病を誘った。
「鬼太郎さん。あなたのお弁当の中身…ネズミでしょう?」
弁当の中身を言い当てられた恥ずかしさから慌てふためく鬼太郎の前で、
寝子の美しい顔は見る見るうちに変貌していった。

丸く大きな黒目が細く縦長に伸びたかと思うと眼光は鋭くなり、
口は耳まで裂け先の尖った牙が覗き、爪先を鋭く尖らせて鬼太郎の弁当に襲い掛かる姿は猫そのもの。

鬼太郎から奪い取ったネズミをガツガツと貪り食うと、
満たされて落ち着きを取り戻したのか寝子は元の美少女に戻り
ポロポロと大粒の涙を溢れさせた。
目の前で起きた奇怪な出来事に呆然としていた鬼太郎だが、
両手で顔を覆い肩を震わせている泣いている寝子に戸惑いながら声を掛けた。

278 :

初めは語りたがらなかった寝子だが、
目の前で本性を曝してしまい隠し通せる事ではないと悟ったのか口少なげに語り始めた。
彼女の話では、ネズミや魚に「とても弱い」のだと言う。
弱いといっても苦手とか言う意味ではなく、目が無い
―――つまり、思慮分別を失うほど好物であると言う事だ。
ネズミや魚に匂いを嗅ぐと、理性で抑制しても否定しても嫌であっても猫化してしまい、
口に入れてしまうまでは戻らない。

本来人にあるはずの無い猫の習性は、
どんな名医に診て貰っても原因不明である以上治す手立ては無いのだと言われた。
花も恥じらう乙女にとって、猫化し獣の本能を剥き出しにネズミや魚を貪る自分の姿は耐え難く、
内に秘められた異常性を誰にも知られたくなかった。
寝子を悩ませる奇病の原因は誰にも解りようがない。
例え解ったとしても、猫の祟りは表面ばかりではなく
深く細胞の一つ一つ更には遺伝子にまで浸透しており、
呪いは彼女の魂までも侵していた。
猫の祟りも含め「寝子」と言う少女を構成している以上、
彼女から呪を引き剥がす行為はに値する。
故に彼女を呪縛から開放する事は不可能である為、猫化する奇病は不治の病と言えよう。
学校で、しかも教室に居る皆の前で本性を曝け出してしまい、
悲観する寝子を励まそうと鬼太郎は伝手を使い彼女の特技である歌でステージへ立たせようとする。
生まれ付いての美貌に加え、寝子の美しい歌声は他者を魅了する不思議な魅力があった。
皮肉にも寝子独特の猫なで声も、猫の祟りによって齎されたものだった。
その歌を大勢の人前で披露すれ必ずや賞賛され、
寝子は自信を取り戻し意識を前向きに改めると考えての案だった。
コンサート当日。
メインコンサートの前に歌わせてもらえる事とになった寝子は、鬼太郎に手を引かれて会場入りした。
まさかコンサート会場でネズミや魚の被害に見舞われるなどとは微塵も思わなかっただろう。

鬼太郎には寝子のために立てた計画の成功だけしか見えていなかった。
有名な歌手のコンサートと言うことも在り、大勢の観客に紛れてネズミ男の姿があった。
そのことに気が付かぬ鬼太郎、
そしてひょんな事から新人歌手としてメインを勤める事になった寝子のステージが始まった。
会場に響き渡る寝子の美声に人々は酔いしれ、その歌声に聞き入った。
鬼太郎の思惑通りに事が運んでいるように思われたが、
寝子は会場内に居たネズミ男の匂いを嗅ぎ取り見つけてしまった。

思わぬ獲物の登場に必で理性を保とうとしたが、
目の前の大ネズミに猫の本性は抑えきれず、猫化した寝子が観客席に飛び込む。
ステージで美声を披露していた可憐な美少女の驚くべき変貌振りに、
会場内は阿鼻叫喚の巷と化した。
獲物と睨まれたネズミ男は天敵の猫から逃れるべく逃げ出したが、
服は引き裂かれ全身に爪を立てられ
キズだらけになりながら逃げ惑ったがとうとう頭をかじられてしまった。
ネズミ男をかじったと事で理性を取り戻し、
猫化の解けた寝子は、大勢の人の前で醜態を晒した事実に激しくショックを受け姿をくらませた。
何時までも会場に戻らず、傷ついたであろう寝子の身を心配した鬼太郎は必で探した。
彼女の自信を取り戻す為に立てた計画は、全て台無しの上に
僅かな希望も喪失させてしまった。

279 :

日も暮れ、漸く鬼太郎が寝子の姿を見つけた時には間に合わず、
彼女が橋の上から身を投げた瞬間の目撃者となった。
寝子は悲観する余りに自したのだ。
鬼太郎は救おうと川に飛び込み、
寝子の身体を抱きかかえて岸辺に連れ帰ったが、
時既に遅く腕の中の少女はものも言わぬ冷たい躯と化していた。
不思議な事といえば、溺したものの遺体は醜くなってしまうものだが
寝子は生前と変わらぬ美しさを留めたまま、土葬される事となった。
身近な血縁は祖母だけで、その葬儀はひっそりと行われた。
鬼太郎は彼女を救うことが出来ず、永遠に失ってしまったことで大息をつくばかり。
生まれて初めての恋は、少女のと言う形で失恋に終わった。
好いた少女を失った悲しみと恋に破れた哀しみで
思い頽る息子の姿を見かねた父は、祖先の力に肖り少女の魂を追った。
天命を全うしない事も、親を残して先立つことも全ては罪。
寝子の良心は先立ってはいたけれど、年老いた祖母を残し
ましてや自ら命を絶つなどとは許されざる大罪。
少女の清らかな魂は最後に犯した罪の為に、再び地獄へと下ったのでした。
目玉の親父が捜し求め、漸く見つけた少女は
地獄の入り口付近にある長屋に「猫娘」と言う表札を掲げ滞在していた。
尋ねた彼女は現世へと戻る意思は無く、
この地が自分にとってもっとも幸せな場所である事を告げた。
現世に戻れば噂と共に好奇の目に皿らされる屈辱に耐えねば為らず、
このまま人間界から消えてしまいたいのだと言う意思を尊重し
目玉の親父は一人で現世へと帰還した。
別れ際、猫娘の歯に詰まっていたと言うネズミ男の一部を預かって。
寝子を地獄に残してきた経緯を息子に伝えると、鬼太郎はがっくりと項垂れた。

その後も奇奇怪怪な事件に巻き込まれていく鬼太郎親子だが
人間界で生活するための一手段でもあった「水木」を水神によって失い
人間社会で生きていく事に限界を感じていた鬼太郎親子は、忽然と姿を消した。
この後、水木のが鬼太郎に出逢いを齎すとも知らずに。




                               糸売く

280 :
おお!新作!!

281 :
キター!!

282 :
>>279の続き
ここから原作〜アニメ1部〜2部への流れになります。
・ 鬼太郎×猫娘・総集編
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

283 :

異種族の男女の間に生まれ、幽霊族の血を継ぐ最後の子供―――鬼太郎は、
祖先から受け継いだ不思議な能力を発揮するようになり、
外見の成長が無いに等しくなった頃、父子共々妖怪と言われる存在になった。
鬼太郎親子は霊峰富士の麓に広がる樹海の奥に住居を構え
何時しかその森は、虫たちが鬼太郎を称える歌声から「ゲゲゲの森」と呼ばれるようになり、
鬼太郎に招かれた妖怪達のみが知る楽園―――隠れ里となった。

「―――ねぇ、妖怪ポストって…知ってる?」

誰が何時設置したのか、人気が無く少々薄気味悪い場所にそれはあった。
日々のんびりと暮らしていた鬼太郎親子だったが、
妖怪ポストの存在が彼らの生活を一変させた。
怪奇現象に悩む人々の依頼が次々と鬼太郎親子の元へが舞い込むようになる。
やがて鬼太郎親子と妖怪ポストの事は、学校の七不思議の如く
人間の子供の口伝によって噂は広められていった。
ネズミ男との関係も変わらずであったが
届けられる手紙の事件や騒ぎの大半にはネズミ男が係っていた。
ゲゲゲの森の住人である知恵者の砂かけ婆を初め子啼き爺、
一旦木綿と塗り壁など事件解決に協力してくれる妖怪仲間も増え、
少しずつゲゲゲファミリーの体制が出来つつあった。
そんなある日、ゲゲゲの森に一人の少女が招きいれられた。
少女の名は「猫子」と言い、名が現す通り興奮すると猫の本性が露になる性質を持っていた。
彼女の素性は分からず、猫子自身一切の記憶を持っていなかった。
どうやら人間の子らしいとの判断であったが、
彼女の奇妙な体質ゆえに妖怪の仲間と認定されたのだ。
嘗て、同じ呼び名で同じ性質の持ち主であった「寝子」と同一人物である事は、
当時恋した鬼太郎はおろか、記憶の無い当の猫子が知るはずが無かった。
何かが切欠で「猫化する」ということ意外、二人の少女には共通点は見当たら無い。
目玉の親父ですら、こういった奇病は稀に発生するものなのかと思った程。
それほどに寝子と猫子は、見た目も声も異なっていた。
詰まりは全くの別人に見えるのだ。
寝子は大人っぽい雰囲気の凛とした美少女であったが、
猫子は子猫を思わせる愛らしい少女で、見た目の通りの子供だったからだ。
しかも、猫子は猫化することを隠すでもなく、恥ずかしがるそぶりも無かった。
有りの儘の自分をさらけ出す彼女が、
かつて「寝子」だったという事実を聞いたとしても
とても信じられないだろう。
―――寝子の後、
地獄の入り口で猫娘となった少女は目玉の親父と別れた後、
今度は者として地獄を訪れた水木と再会していた。
彼との再会が切欠となり魂魄が分かれると言う異変に見舞われる。

一つは人間の少女である寝子の魂、一つは猫化した時の寝子の魂。
分かれた魂魄は、2つそろって初めて「寝子」と言う存在を現すが、
分かれてしまった以上彼女等は寝子の分身であって寝子ではない存在になってしまった。
魂が2つに分かれたことで人を司る寝子は大黒猫の呪縛から開放されたのだ。
彼女はして初めて、奇病に悩まされる事の無い普通の少女に戻る事が叶った。
その代償に、嘗て人ではない少年に対して芽生えた想いと共に
己の魂の半分を失ってしまった。

284 :

一方、大黒猫呪いと共に猫の習性を受け継いだ寝子の半分の魂魄は
もう半分の魂魄に人のと生前の記憶とを残し、地獄を離れ現世へと向かう。
寝子から引き継いだ淡い想いを確かめる為に、彼女は蘇える。
それは幾つもの偶然が連なることでおきた奇跡ともいえよう。
現世に戻った半身の魂魄は、土葬された寝子の遺体に再び宿り、
蘇生した彼女の肉体は意識が戻らぬうちに孵変を迎える。
魂半分ではこの器に相応ではなく、今の魂に相応しい器となるために
寝子は人の血を残しながらも人ではないものへと生まれ変わった。
それが出来たのは、皮肉にも大黒猫の呪いが細胞にまで行き渡っていたからに他ならない。
彼の存在もまた妖怪、もしくはそれに近いものだったのだろう。
墓から遺体が消えたことは誰にも知られる事は無く、
猫子に生まれ変わった少女は、まるで導かれたかのようにゲゲゲの森に辿り着いた。
鬼太郎との2度目の出会いを果たすが、
記憶の無い猫子は幼馴染として過ごす内に鬼太郎に仄かな想いを寄せるようになる。
ゲゲゲの森に同い年の異性が彼しか居なかった事も有るが、
元は寝子の中に芽生えた淡い感情が引き起こした奇跡で現世に蘇えった猫子。
鬼太郎に惹かれるのは当然の成り行きだったと言えるのではないだろうか。
一方、人のと共に地獄に残された少女の魂魄は、
「ネコ」を失った為に、幽霊の幽子として新たな名を得ていた。
半分しかない魂では閻魔大王の裁きを受ける事が出来ず、
生まれ変わる事も出来ぬまま、今も地の底に留まっていた。
幽子として別の道を歩き始めた彼女にもまた、
運命の出会いが待っていたのだが…それはまた別の話。
分かれた魂魄の再開も、もっと後になってから果たされる事となる。
猫子は妖怪の仲間と認められ、ゲゲゲの森に招かれたが彼女は
完全な妖怪ではない事に遠慮があるのか、
ゲゲゲの森で暮らすことはせず人間界にある調布の神社の下で暮らすようになった。
半身しかない魂魄を抱えた肉体は不安定で、孵変を度々繰り返した。
孵変の度に姿を変え、彼女が精神と肉体共に安定し落ち着く頃には
ゲゲゲの森の住人の殆どが孵変を迎えており、
少女は猫子から猫娘へとその名を変えていた。
新しい時代が到来する予感と共に、彼らは輪廻の運命に引き込まれていく。






285 :
「孵変」それは何の前触れも無く、ある日突然己が身に起きる現象。
地球環境の変化、人間社会の移り変わり―――それを表す時代。
時に豊かであり、時には貧しく、凄まじい発展や破壊を齎した痕
人には見る事のできぬ様々な情報が巨大なエネルギーとなり、時を動かし歴史を刻んでゆく。
季節が移り変わり行くように時代も変わり、人も変わる。
時代と共に廃れてしまう文化があれば、新たな時代と共に生まれる文化も有り、
代々引き継がれていく文化もある。
人は、子孫に己の「遺伝子」を引き継がせ残していく事で幾世紀も永らえてきた。
受け継がれた遺伝子は新たな情報を吸収しながら、時代と共に進化していく。
そして、妖怪もまた同じく―――
基本的に彼ら妖怪の殆どが種を永らえる方法として「子孫を残す」手段を持っていない。
大概は齢を経ていくことで自身を変化させ妖怪の名を継いでいるものばかりだ
猫は20年生きると猫又になると言われ、更に知識や経験を積むと猫ショウや火車になる。
他に「ムササビ」が「のぶすま」になり「やまちち」へと変化する事が知られている。
少々異なった例を挙げるのならば「河童」
彼らは海亀の産卵時期になると海岸へ行き、
海亀の産み落とした卵を幾つか失敬して持ち帰り育てるのだ。
持ち帰られた海亀の卵は河童の発する妖気に中てられる事で
河童の遺伝子が組み込まれ新しい情報へ書き換えられる。
遺伝子は言わば形を形成する為の設計図、
亀の卵に河童は自分の設計図=遺伝子を組み込む事で種を存続させていると言うわけだ。
極稀に、人や他の生物と同じ方法を使い種を存続させている妖怪も存在するが、
彼ら妖怪にとって子を生み育てることは特殊な方法とされ
望んでできるようになることではない。
そうして存続してきた種族を挙げるとするのならば「幽霊族」
妖怪とひとくくりにされる種族の中で特殊な種の保存方法を持っていた彼らだが、
今は滅び、鬼太郎親子を残すのみとなっていた。
残された彼らも時と共に変化し、変らぬ為に己がままである為に進化した。
時代に合わせて、住まう環境に合わせて―――
何時しか彼らが、自身と言う種を永らえさせるために自然とついた能力
―――それこそが「孵変」
エネルギーから受ける影響や、
個々の差により変化の周期はさまざまで己の意思で変えられるものではない。
数年で孵るものも有れば、数百年…数千年とその姿を保っているものもある。
「お化けはなない」と言われているのは「孵変」により
自らを媒体に新しく生まれ変る事が可能であるが故に
お化けだって決して不老不なわけではない。

しかし、中には「孵変」の能力を得られなかった為に、
自ら「孵変」を拒否した為に自身と言う種を永遠に絶滅させてしまったものもある。
それは闇から闇へ…どの種が滅びたなどとは、誰も知りは…しない。
モノクロテレビが出始め、TVで一躍有名になる頃には
口伝いに広がった妖怪ポストや、虫やカラスたちの協力により、
怪事件を解決する為に出かけることがより多くなった。
それに比例して怪事件に自然と巻き込まれることも多くなったが、
ねずみ男との腐れ縁も相変わらず続いていた。

286 :

「孵変」を繰り返しても、ねずみ男は根本的な性質は変わらず、
おかしな商売を思いついては金儲けに精を出していたが、
どれもこれも長く続かなかった。
しかしながらバイタリティだけは大したもので、
一度や二度(ばかりではないが)の失敗はなんのその
鬼太郎に邪魔されても懲りる事無く、同じ事を何度も繰り返していた。
そんなある日
ゲゲゲハウスに怪事件解決依頼の手紙ではない「赤札」が届けられた。
「赤札」は閻魔大王が極悪人更生の為に、
各妖怪に発行しているもので、
罪によって段階があり其処に書かれた者は更生できなければ
最悪「」に追いやらなければならない任務を負うことになる。

怪異や悪い人が懲らしめられたと言う話が数多く残されているが、
あれは「赤札」によりもたらされた閻魔大王の罰であり
「赤札」の刑により更生できた者、
生き残る事が出来た者の恐ろしい体験談が口伝えられていくうちに
今のような昔話になったのだ。
その「赤札」が鬼太郎の元へ届けられた。
赤札に書かれていたのは「ねずみ男」の名前。
閻魔大王から受けた任務は「ねずみ男の処刑」だった。
確かにどうしようもないヤツで、
何度も痛い目に合わされたこともある鬼太郎だったが、
悪い面ばかりで無く良い面も知っている。
長年の付き合いもあってどこか憎み切れず
ねずみ男を鬼太郎が手に掛ける事等出来はしなかった。
なかなか執行できずに数日経った頃、
どこで聞きつけたのか猫娘が鬼太郎の元へ訪ねて来た。

心優しい鬼太郎がねずみ男を手に掛けられず、
気に病んでいると聞き心配になり様子を見に来たのだ。
「鬼太郎ちゃん、聞いたわよ。
 ”赤札”の話…もしよければあたいに譲ってもらえないかしら?」
流石に鬼太郎は断った。
猫娘もあまりしつこくはせず
「今あたい困っているのよ。
 気が向いたら、いつでも連絡頂戴ね。」と、言い残して去っていった。
このような猫娘の申し出は大して珍しいものでは無い。
何故ならば「赤札」の任務には報酬があり、
報酬目当てに「赤札」の任務の譲渡は、
妖怪同士の間で普通に行われている事だった。
鬼太郎は悩みに悩んで、ねずみ男を諭しに行くことにした。
無論「赤札」の事は伏せて
ねずみ男は鬼太郎の知らぬところで、また怪しげな商売を始めていた。
しかも非常にあくどい手段で、老人や貧しい人々からなけなしの金を巻き上げていたのだ。

287 :

鬼太郎がネズミ男の本へ辿り着くまでに、幾人もの人が力尽きて倒れていた。
悪徳商法による犠牲は想像以上に酷く、辺りの惨状に鬼太郎は愕然とした。
漸く辿り着いた先では更に驚くべきことが待っていた。
あのねずみ男が土地を手にし新居まで建ていて、
どこか花嫁に来てくれる娘は居ないだろうかとまでのたまう始末。
初めのうちは話を聞いて「ぎょぎょっ!」とする事ばかりだった鬼太郎だが、
ねずみ男を懲らしめるのに、ふといい案を思いつく。
「一人心当たりがあるが、結婚となると…」
「貯金だってこんなにあるんだ。」
「少々目が釣りあがっているが、いいかな?」
「そんな事構わない!」
鬼太郎はねずみ男に花嫁候補を紹介する事になり、
後日、猫娘を呼び出した。
元々天敵同士である猫娘とねずみ男は、それぞれ人間社会に身を置いていた為に、
余り接点が無かったのが幸いした。
ねずみ男が知っている猫娘の姿は着物で短い髪であった頃で、
現在のおかっぱの髪型に赤いワンピース姿に変った
「孵変」後の猫娘を知ら無かった為に、鬼太郎にとっては非常に都合が良かった。
「相談したい事があるんだけど、そこの蕎麦屋でどうだい?」
鬼太郎に誘われるまま、調布の神社そばにある蕎麦屋に入った二人。
蕎麦をそれぞれ注文し、鬼太郎はねずみ男を懲らしめる為に猫娘に協力を頼んだ。
「良いわよ?そのかわりラーメン二杯おごってね。」
「そう…じゃぁ、これも食べて良いよ。」
「あらどうして?」
「ラーメン二杯分しか持ってないんだ。」
「…」
(…失敗したわ。)猫娘は心の中で額に手を当てた。
ラーメンを二杯後馳走になって鬼太郎が気遣わなくてすむようにするつもりが
かえって気まずくなってしまった。
が、言ってしまった手前返す訳にも行かず、猫娘はぞろぞろと2杯のラーメンを空けた。
「本当に鬼太郎さんて友情に厚い妖怪ね。
 あたいの悩みも解決して欲しいぐらいよ?」
「猫ちゃんの悩みって?僕でよければ力になるよ。」
「あっ…あら…そうね、ねずみ男さんを懲らしめた後で聞いてくださる?」
「もちろん。」
場を取り繕う為に思わず漏れてしまった本音。
普通なら話の流れとして聞き流されてしまいそうな他愛も無い会話なのに。
まじめに受け止めてくれた鬼太郎に猫娘は一瞬戸惑ったが、
あまりにも真剣な眼差しで話に耳を傾けてくれ断りを入れることが出来ず頼んでしまった。

288 :

根本からねずみ男を更生する事は適わなかったが、
猫娘の厳しい管理化の下、騙し取ったお金は元の人へ返させ
絶食させる事で、閻魔大王の通信役であるねずみ男の体内の三虫を餓させた。
こうして通信が途絶える事で、「処刑した」と言う形を作った。
一度刑によりした後、息を吹き返してしまったら「赤札」の効力は無くなる。
しかし、ねずみ男の三虫が餓したところで、
新しい三虫が体内に生まれてくるから、閻魔大王への報告が途絶えてしまう事は無い。
何とか任務をやり過ごす事が出来た鬼太郎は、お礼にと猫娘の元を訪れた。
猫娘の悩みを解決する為に…
それは彼女の中にある猫の性故の悩みなのだが…
この事件をきっかけに、ゲゲゲの森で猫娘の姿がよく見かけられるようになった。
後に、彼女もまたゲゲゲファミリーの一員となる。

やがて時は経ち、新たな時代を迎える。
そして彼ら「妖怪」も―――





約三年後。
高度経済成長の時代、第二次ベビーブームでもある。
まだまだ豊かだと呼べるほどの時代ではなかったが、
全てのものの発展が凄まじい時代でもあった。
モノクロテレビからカラーテレビが普及し始め、
今まで高級品だったテレビがそれぞれの家庭に一台は置かれるようになり、
鬼太郎やその仲間の活躍はますます有名になった。
何時しかゲゲゲの森にも妖怪が集まるようになり、
ねずみ男はもとより砂かけ婆や子啼き爺、塗り壁や一旦木綿
そして猫娘の姿を良く見るようになった。
ねずみ男との一件以来、2人はより親密な中になり、
猫娘にとって鬼太郎は今まで以上に特別な存在となっていた。
相変わらず妖怪ポストへの依頼はひっきりなしで、
鬼太郎親子だけでは手が回らなくなり仲間に協力を仰ぐ事も増え、
時には調査隊と一緒に海外へ出向く事もあった。
今回の事件もまた、南国の地での妖怪騒動を解決し
日本へと帰る途中であった。
「はぁ…」
海ばかり続く水平線を見て鬼太郎は思わず溜息をついた。
いや、帰路についてからずっとこの調子で、口を開けば溜息ばかり。
事件は解決したものの、鬼太郎の心は晴れなかった。
人の娘に恋をした猫又の適わぬ恋
報われぬと解っていながらも想い人を守りんでいったジータは、
果して幸せだったのだろうか?
何十年と共に暮らした家族にあらぬ疑いをかけられて追い出されたと言うのに、
命の危険も省みず尚も守る為に己の姿を変えてまで戻ったその理由。
傍目から見れば愛するものを守り命を落としたジータは幸せに見えるかもしれないが、
想い人は他者との恋を実らせジータの恋心は届かぬまま。
この事件が終わっても心が晴れない理由は、ジータの事ばかりではないと自分でも解っていた。

289 :

今回の事件に赴く前、依頼人が来たときにたまたま猫娘が来ていたのだが事の始まり。
まさか猫がらみの事件だとは思いも因らなかったが、
猫の悪口に怒り狂った猫娘を静めるためとはいえ
咄嗟に毛ばりを使ったのはやはり不味かっただろうか?
猫娘に人を傷つけるような事はして欲しくなかったし、彼女も傷つけずに止めたかった。
隠し事も無く互いに本音で言い合える中だからこそ、
本気で相手をしても壊れるような間からではないと思ってはいるけれど、
離れている時間が長引くほどその自信は揺らぐ。
あの日猫娘が怒って帰ってしまってから出国するまで一度も会えずに日が経ってしまったが、
猫娘を連れて行かなかったことは後悔していない。
猫族である猫娘が、目の前で同族の悪口を言われ悲しまないわけが無い。
悪口だけであれだけ怒っていたのだ、
遠縁でも同種族のジータが目の前で命果てる姿を見たらどれほど悲しんだだろうか?
「…はぁ」
腕組みし、かくんと頭を落としてはまた、溜息が漏れる。
猫娘は今頃何をしているのだろうか?
あの日の事を猫娘はどう思っているのだろう。
互いの関係を修復しないままに出かけた自分に愛想を尽かして居やしないだろうか。
漸くゲゲゲハウスでの気楽な生活に戻ったものの鬼太郎は上の空。
何時もなら無視たちの称えるゲゲゲの歌に迎えられながら、
家で疲れを癒しのんびりと過ごすはずなのに
事件の後味の悪さも手伝ってか、猫娘の事ばかり考えてしまう。
日ごろの習慣で自然と湯を沸かし、父の茶碗風呂の支度をする鬼太郎だが、
どことなく落着きが無い。
「ふぅ〜我が家の茶碗風呂が一番!じゃわい。」
「…そうですね。」
何時もと変わりなく茶碗に湯を注ぐ息子の姿を冷静に親父は見ていた。
戻ればイの一番で駆けつけてきそうな猫娘が、
数日経っても姿を見せないと言うことはまだ仲直りしていないのだろう。
例の件を一部始終を見ていただけに息子の心中を察していた。
「鬼太郎…おまえ、行かなくて良いのか?」
「なっ…何のことですか、父さん?」
恍けてみたものの父に見透かされていたかと思うと、
とても平静を保っていられず急須を下げようとして思わず蓋を落としてしまったが、
幸いに割れずにすんだ。
「ああ、良かった。」
「何をやっておるんじゃ。
 お前が出かけるのなら、ついでにわしの用事も頼もうかと思っての。」
「父さんの用事って?」
「砂かけに届けて欲しいものがあるんじゃが…」
「オババの所なら今行ってきますよ。」
出かけることを躊躇っていたが、父の後押しもあり鬼太郎は猫娘のところへ出向く事を決心した。
「父さん。もしかしたら帰りが少し遅れるかもしれません。」
「わしは構わん。何かあったらカラスも居るしのう。」
「では、行ってきます。」

290 :

カラコロと、心なしか軽くなった下駄の音が遠ざかっていくのを耳で確かめながら
親父は深く湯船に潜った。
「不器用な奴じゃのう。」
一息つくと、小さな手拭を湯船に通し頭に乗せた。
鬼太郎は親父の用事を即座に済ませ、向った先は猫娘のところだった。
少しでも早く顔が見たくて、家を出てから走り尽くめの鬼太郎だったが、
塒の神社が見えると徐々に歩みが遅くなる。
あんな事があって久々に会う彼女になんと声を掛けたらいいのか、
会いたいのに気まずくて、照れくさくて
神社の境内に向う階段を上った頃には日が大分傾き、
赤い夕日に照らされて木々の陰が長く伸びていた。
きょろきょろと辺りを見回すと、人気の無くなった境内の賽銭箱の前の石段に
ポツリと腰掛けている人影を見つけた。
ピンクのリボンが夕日に染められてオレンジ色になっていたけれど、
その後姿を見間違えたりはしない。
直ぐにでも声を掛けたかったけれども、
彼女を覆った影の狭間から雫が落ちるのを見てしまった。
泣いているのだろうか…?
足を忍ばせて直ぐ傍に近づいたのに、気がつく様子も無い。
黙って様子を窺っていると、猫娘は泣いていたのだと知った。
もしかしたらあの日から毎日こうして彼女は泣いていたのだろうか?
そう思うと、胸が締め付けられるようで堪らなくなった。
「…猫娘。」
誰も居ないと思っていた境内で名前を呼ばれて、ピクリと影が動いた。
「き、鬼太郎さん…なの?」
トレードマークのリボンがひらりと揺らし猫娘が振り返ると
夕陽の作った柱の影から現われた人影が近づいてくる。
声を聞き間違うはずも無いが、胸の鼓動が抑えられない。
影で判別しにくかったチャンチャンコの縞模様が露になり、
声の主が鬼太郎だと確信すると、猫娘は逃げ出そうとした。
「待ってよ。」
「きゃっ!」
久しぶりに掴んだ彼女の腕は細く華奢で、
余り力をこめたら折れてしまいそうだったが、逃すまいと掴んだ腕を離さない。
一体彼女は何時からこうして外で一人居たんだろうか?
寒さの為か触れた彼女の肌は、体温の低い鬼太郎でもわかるほど冷えていた。
「鬼太郎さん、離して?」
「離さないよ。離したら猫娘は…逃げてしまうだろう?」
「…」
猫娘は視線を逸らし口を閉ざしたまま。
「僕は君に逢いに来たんだ。話をしたくて…」
鬼太郎は猫娘を座らせると肩にチャンチャンコを羽織らせ、隣に腰掛けた。

291 :

「猫娘…僕は君に謝らなくちゃ。」
「えっ?」
「猫娘の言うとおりだったよ…。」
鬼太郎は南の島で起きた事件の真相を語って聞かせた。
ジータは恋した娘を助けるために、命を落とした事まで隠さずに全て
「帰って来る時に、僕は猫娘の事を考えずには居られなかったんだ。
 とても会いたかったけど、あんな別れかたをしたままだったし…」
照れくさそうに鬼太郎は言ったが、その気持ちは猫娘も同じだった。
本当は鬼太郎が来てくれるのをずっと待っていた。
でも、向こうへ出かけてしまって来ない事が解っていたから悲しくて毎日泣いていた。
鬼太郎が戻ってきた事も、烏から聞いて知っていたけれど、
別れ方が別れ方だったし日が経てば経つほど行けなくなってた。
愛想を尽かされたんじゃないかと確かめに行くのが、会いに行くのが怖くて…
夕闇と共に沈んでいく気持ちは押さえられず、
どうしようもない思いを一人抱え神社の前で泣いていた。
鬼太郎だって怖くなかったわけではない。
黙って行ってしまって、それくらいで切れる縁ではないと信じ自分に言い聞かせてきたけれど、
ちゃんと繋がっている事を確かめたくてここへ来たのだ。
だから会いに来てくれて凄く嬉しいく感じた反面、
堪らない気恥ずかしさがこみ上げてきて素直になれなかった。
相手に甘えていた事に気が付くのと同時に
二人の心はお互いを思ってちゃんと繋がっていたことを実感した。
わだかまりが解け、自然な笑顔が戻ると二人は手を繋ぎ夜の墓場へと出かけていった。
それから約1年はとても忙しく活躍を続けたゲゲゲファミリーだが、何時しか妖怪も影を潜め始め
ゲゲゲの森に静けさが戻り、やがて十数年が過ぎ去り、迎えた時はバブル絶頂期
土地の高騰に加え、あらゆる方面で巨額の金と欲望が渦巻き、
水面下では、人の欲望に惹き付けられた妖怪たちの動きが活性化し始めていた。
この時、猫娘が鬼太郎ファミリーの一員になってから13年ほどの時が経過していた。
街も様変わりし、大量生産され溢れる品々に何時しか人々は、
物を大事にする心を失ったかのような振る舞いだった。
不自由の無い豊かに酔いしれ、無駄に物が廃棄される。
喰うに困らなくて結構な事だ…と、ねずみ男は言うが、
休みも無く働く人間を見ていると本当に幸せなのか疑問に思う。
一時期は妖怪事件で引っ張りだこだった鬼太郎だったが、
時の変化に流される事も無く朝から万年床で…と
歌詞まんまののんびりとした生活を代わらず送っていた。
揺れる若葉が爽やかな初夏、ゲゲゲの森には鬼太郎の姿は無く、
ゲゲゲハウスには初夏の日差しにも負けず将棋を指す子啼き爺と目玉の親父の姿が有るのみ。
ねずみ男と言えば、相変わらず街に繰り出しては
しょうもない悪巧みを企んだりしていたようだったが、
妖怪がらみでは無いからかたいした事件に発展する事も無い。
当の鬼太郎はと言えば、人界へと良く出かけているようだった。
事件の呼び出しから解放されたが、家は父と子啼きに占領されてはおちおち昼寝もできず
飯にありつける事もあって、
何時しか静かな神社の下に住まう猫娘のところへと訪れるのが日常となっていた。
そんなある日、鬼太郎は猫娘に問いかけた。

292 :

「ねぇ、猫ちゃん…」
「なぁに?鬼太郎さん。」
「その…君、もしかして始まっているのかい?」
「…」
大分前から猫娘の様子がおかしいことには気がついていた。
だがその理由がまったく分からなかったから、聞くに聞けなかった。
「どうかしたの?」と問えば
猫娘は「何でもないわ、鬼太郎さん。」そう返すことが予想できたから。
だけれど仲間内で密やかに孵変が始まった者が居ると言う噂を聞きつけ、
猫娘の態度と直結するものがあったのだ。
ずっとこうして安らかな日々が繰り返し続けば良いとは願っていたけれども、現実とは残酷なもの。
人ならばごく当たり前であるものなのに、人ではない彼の願いは簡単には叶わない。
「鬼太郎さん…気付いていたの?」
「うん」
何時も一緒に居て、肌を合わせる関係だというのに気がつかないほうがどうかしている。
猫娘がここ数日元気が無かった原因―――「孵変の兆」
「兆」は何の前触れも無く、ある日突然腹部に現れる。
それは時代が大きく変化し、穏やかな時が一変する前触れ。
現在…の自分との別れ
こうして深く身を寄せ合う仲になり、
互いを愛しむ事が出来る悦びを分かち合えるようになった矢先の出来事。
「孵変の兆」が現われたからには孵変はもはや避けられぬ道。
孵変後は見た目も、性格も変わってしまう為に、まだ幼き二人には先が見えない。
例え姿形が変わろうとも魂は常に一つ、この想いは変わらないが、孵変は脅威であった。
猫娘の細い肩が震える。
それは声を押しして泣いているのだとすぐに気がついて、鬼太郎は抱き寄せた。
まだ器と魂が不安定で、記憶が曖昧な頃に孵変を度々繰り返していた頃とは違う。
こうして思い通じ合える相手と出会い、知ってしまった今では孵変がとても恐ろしく感じる。
「泣かないで、猫ちゃん…怖くないよ。僕も一緒だから。」
魂もこの器も含めて互いが愛しい。
己さえあれば魂は砕け散る事は無くとも、愛した器が失われてしまうのは切なかった。
孵変を迎えた後の姿の予測等つく筈もなく、
新しい器になっても今と変らず居られるかと思うと心細くなる。
「鬼太郎さん、あたし…終わったら逢いに行ってもいい?」
「駄目な事なんてあるもんか!
 僕はどんな姿になったって一目で猫ちゃんだって見分ける自身があるよ。」
「本当に?」
「本当さ!猫ちゃんが姿を隠したって見つけ出すよ。」
「うん。」
「だから…約束してくれるかい?」
「…えっ?」

「変ってしまっても…僕の事好きでいておくれよ。」
「約束なんかしなくっても、あたしの気持ちは変らないわ。」
「うん…わかってる。でも、ちゃんと言葉にして欲しいんだ。」

293 :

口先を尖らせ、顔は俯いているのに上目遣いで尋ねる鬼太郎の姿は拗ねているようにも見えて
まるで子供が母親に愛情を求めるような仕草に、堪らない愛おしさがこみ上げて、
猫娘は鬼太郎の身を抱き寄せた。
先ほどまで孵変に怯えて心を弱くしていた彼女の姿はもうそこには無かった。
「好き…よ?何があっても鬼太郎さんの事。
 鬼太郎さんが望むのなら、約束だって誓いだって何度も交わすわ。」
「猫ちゃん…」
猫娘は凛とした眼差しを逸らす事無く言い切り、鬼太郎の前髪で覆われた左目蓋に口付けた。
生まれつき閉ざされた瞳への口付けは、二人だけの約束の証。
猫娘の顔が離れ、互いの視線が交じわうと自然と笑みがこぼれ、額を合わせた。
「好きよ、鬼太郎さんの事だけ…ずっと。」
「僕も…猫ちゃんの事、大好きだよ。」
この日を境に猫娘の姿が消えた。
猫娘の住まいに尋ねていった鬼太郎は孵変の為、
誰の目にも触れぬところへ一時的に身を隠し備えているであろうことを悟った。
それはどの妖怪もそうで、変わる瞬間の姿は誰も見る事が出来ない。
唯一見る事が出来るのは己のみで、腹部に現われた兆から現われた新しい自分と向き合う時、
それは今の自分が過去の自分へと変る瞬間
それを受け入れられない者はそのまま消滅する事もある。
必ず自分の元へと戻ってくる事を信じ、鬼太郎は自らも孵変する準備に入った。
少女と同じ時を生きる為に―――




                               糸売く

294 :
キター

295 :
キター

296 :
>>293続き
ここから3部への流れになります。
構成上、ネコ娘に関する描写が切ない感じです。
・ 鬼太郎×猫娘・総集編
・ 地獄童子×幽子
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

297 :

―――約一ヵ月後

真夏を迎えたゲゲゲの森は一層深い緑に覆われ、セミの大合唱が響く。
ゲゲゲハウスも相変わらず健在で、
中の丸太の机の上には水風呂を楽しむ親父の姿があり、
傍らには当に孵変を終えた鬼太郎の姿があった。
夏の熱気に当てられてか、気だるそうに寝転ぶ鬼太郎の表情はどこかしら不満が漂う。
砂かけのおばばも子啼き爺も、一反木綿に塗り壁だって当に孵変を終え
ねずみ男ですらゲゲゲハウスに訪ねてきたと言うのに…
まだ尋ねてこない待ち人を想って、眉間に皺が寄る。
不機嫌の原因はネコ娘…孵変はとっくに終わっているはずなのに、
彼女だけがゲゲゲハウスに訪れてこないのだ。
”終わったら逢いに行ってもいい?”そう言ったのは彼女の方なのに、何故来ないのだろう?
あの日交わした約束、彼女の意思は固く消滅する事などあり得ない。
もしかして来れないような状況にあるんだろうか?
疑問に思うのならば自分の足で迎えに行き、その目で確かめれば良いだけの事。
あの時、鬼太郎自身も猫娘が姿を隠したって見つけ出すと宣言したのだから、
自ら彼女に会いに行ったとしても何の問題も無い筈なのに…素直になれない性格が邪魔をする。
第一、直接会いに行ってネコ娘になんと声を掛けたらいいものか
孵変により幾度姿形や性格が変ろうとも、
記憶だけは失われること無く自身の存在と共に引き継がれていく。
今の姿になる少し前の事なのに、
この手で少女を愛した記憶を手繰ると言い表しようの無い気恥ずかしさに襲われる。

それまでも少女に囁いた数々の甘い言葉、
決して軽々しく口にした台詞ではなかったが、
穴があったら飛び込んでしまいたかった。
”大好きだよ。”
何故あの時は自然とそんな風に言えたのだろう?
同じ自分でありながら理解できず、不思議ばかりが募る。
目玉の親父は目の前で赤くなったり青くなったりする息子の百面相を温かく見守りつつ、
更に数日が過ぎたある晩。
ゲゲゲハウスに一人の少女が訪ねてきた。
「こんばんわ」
万年床で寝転がっていた鬼太郎は、
耳にした少女の声に鼓動が跳ね上がり、一気に脈拍が加速したが
気取られぬよう寝たままの姿勢を保ち、視線だけ声の主に向ける。

上って来た少女は相変わらずのおかっぱの髪型に
トレードマークのショッキングピンクのリボンを結び、
白いブラウスに真っ赤なジャンバースカートを纏っていた。
姿も声も多少変ったけれども、凛とした猫目はそのままで一目でネコ娘だと解る。

298 :

「今まで何してたんだよ。ネコ娘が一番最後だぞ。」
孵変後のネコ娘に対する第一声がこの言葉になってしまった。
起き上がりがてら言ってしまった鬼太郎自身も驚いたが、
腕組をしプイと顔をそむけて不機嫌を強調する。
一瞬きょとんとしていたネコ娘だが、直ぐににこりと微笑むと両手を合わせた。
「ゴメン〜!!」
今まで姿を見せなかった理由は一切口せず、即座に謝罪した。
ついこの間までの猫娘は落ち着いた感じだったのに、
孵変後のネコ娘は活発そうで…もう少し良く見たいと鬼太郎が立ち上がる。
「あれ、鬼太郎…背が伸びた?」
鬼太郎の変化に気がついたネコ娘がずいと近づき、
肩を並べれば相変わらずネコ娘のほうが頭一つ分背が高いままでは在ったが。
「やっぱり…鬼太郎背が伸びたね。」
「うわっ、な、なんだよ。そんなにくっつくなよ!」
「あっ…ご、ゴメンね。そんなに嫌だった?」
(鬼太郎…あまり身長の事言われたくなかったのかも。)
鬼太郎よりも背が高い事を気にしていたネコ娘は、
彼の成長がただ嬉しかっただけなのに怒られてしまい申し訳無さそうに肩を竦めた。
シュンとしたネコ娘を見て心がチクリと痛む。
傷つけるつもりは無かったのに、肩に触れた感触に思わず…
「行き成りそんな風にされたら誰だって驚くに決まっているだろう。」
「ん、そうだね。…でも。」
「”でも”…なんだよ。」
「鬼太郎がちゃんと”あたし”だって解ってくれて嬉しい。」
「なっ…何言ってるんだよ。そんな事ぐらい誰だって解るに決まってるだろ!」
腕を組んできたネコ娘に鬼太郎は思わず、手を振り払ってしまった。
そうじゃない、言いたいのはこんな言葉じゃないのに…
来てくれて嬉しいのになぜか冷たい態度をとってしまう
本心とは裏腹に口を開けばキツイ言葉しか言えない。
一体自分はどうしてしまったのだろう?
夏が過ぎ去り秋を迎える頃、
水面下で蠢いていた妖怪たちの行動が表立つようになり、
やがてそれらがネズミ男の悪巧みと連結し大事件が勃発する。
やがて届き始める妖怪ポストへの手紙は溢れんばかりになり、
嘗ての忙しい日々が繰り返されるようになるが二人の関係は相変わらずだった。
今までと変わった事と言えば、
鏡爺の事件をきっかけに知り合った人間の少女が、
頻繁に鬼太郎の家を訪れるようになり、
ネズミ男と同様に彼女の身辺でも、
よく妖怪がらみの事件が発生するようになった。

299 :

これまであまり人間達と親密な関係なんて築いてこなかったから、
ゲゲゲの森を出入りする人間の少女は異質なものではあったが
ネズミ男や朱の盆を初め、
可愛らしい人間の少女に虜になってしまう妖怪もちらほらと居た。
その少女はネコ娘にとって、ある意味衝撃だった。
―――こんな可愛い娘、はじめて見た。
長年人間界で色々な子供達と出会い、見てきたけれど
この少女は今まで出会ったどの少女とも違っていた。
都会的な雰囲気をまとい、幼いながらも彼女は”女性”だった。
ただでさえ美人に弱い鬼太郎だったが、その少女と自分との接し方の差に
ネコ娘の目には鬼太郎が少女を好いているように見えた。

鬼太郎が大事に想っている人ならば、自分も大切に―――彼女を守ってあげなければ。
人間の少女に優しく接する鬼太郎に嫉妬して、
恋のライバルと張り合って見せた事もあったけれど、
砂かけのおばばからは余り良く思われないこともあったり
一応”ゲゲゲの森のアイドル・妖怪界のキョンキョン”で通っていたネコ娘だが、
女の子としての扱いは微妙だった。
酷かった、と言えば、白山坊の時の扱いも散々だった。
女の子が大好きな人と結ばれる為に着るはずの衣装―――白無垢。
鬼太郎の為に纏ったものでは無いけれど、お世辞でも”似合うよ”ぐらい言って欲しかった。

ベリアル戦では思わず頬に口付けてしまったけれど、鬼太郎はアレをどう思ったんだろう。
『ご褒美のチュ』の時に『いいよ』と言っていたのは遠慮等ではなく、嫌だったから?
髪様の時には”僕がお嫁に貰ってやるよ”とは言ってくれたけれど、
”行く当てが無いのなら―――”と続いた言葉。
いつかは鬼太郎のお嫁さんになれるのかと夢見ていたけれど、
鬼太郎にとっては違うのだろうか?
あの日、鬼太郎に約束した想いは今も変らないのに
ネコ娘は明るく素直な少女では在ったが、
現われた一人の少女の存在が、彼女の本音を胸の内に包み隠させる。
今までは季節ごとに見舞われていた
猫の性を宿すが故の苦悩を癒していてくれた鬼太郎の姿は無く、
ネコ娘は時期が訪れるとその身を隠し、治まるまで一人やり過ごすようになった。

どんなに苦しくても頼ってはいけない、
本当に助けて欲しい時に”助けて”と言ってはいけない、
鬼太郎には守るべき人が居るのだから邪魔になってはいけない、
何時如何なる時も、決して足手まといになってはいけない―――と。
ネコ娘は自分自身に嘘をつくことが上手くなり、
胸の内に秘めた苦しみや悲しみすら表立って感情に現す事が無く、
隠された本音を誰にも感じさせることが無かった。
鈍感な鬼太郎は気付いては居ない。
徐々に広がりつつある彼女との溝に

300 :

人間の少女と出会ってから2年が経ったある日。
ネズミ男が怪しげな古本屋から買ってきた古書を元に
「石枕」を掘り当てた事から、ゲゲゲファミリーは地獄へと旅立つ事となる。
全てはぬらりひょんが鬼太郎の母に対する思いを利用した罠でもあったが、
偶然招かれた彼の地ではネコ娘にとっても運命の再会が待っていた。
地獄へ降り立った時に感じた”何か”
呼ばれているようでもあり魅かれるようにも感じ、
歩みを進めるほどにそれは徐々に強くなって、
気のせいではないとネコ娘は思い始めていた。
途轍もなく広い地獄の中で皆と離れ離れになり、
人間の少女と二人先の見えぬ道を突き進んでいた時
突如目の前に現われた少年は閻魔大王庁で攻撃を仕掛けてきた地獄童子だった。
「鬼太郎の恋人にはちょいと付き合ってもらうぜ?」
浚われていったのは思わず頬を赤らめたネコ娘ではなく、人間の少女。
やはり傍目にも”恋人同士”になど見られてい無い事実に
ショックを隠しきれないネコ娘は、やがて現れた五徳猫に連れられ
その根城に捕らわれていた幽子と出会う。
決して偶然などではない運命―――いや必然の再会。
元は寝子と言う名の一人の少女であった二人。
遅かれ早かれ何時かは出会わざるを得ない。
幽子はネコ娘を見るなり、驚きを露にした。
いや、隠し切れなかったのだ。
まるで自分を知っているかのような彼女の態度に驚きつつも、
どこか懐かしさを感じ取っていた。
この地に来た時からずっと感じていたもの
それが幽子の存在であると目の前にしてはっきりと確信できた。
鬼太郎に惹かれる気持ちとはまったく別の感情…
まるで魂が呼び合うように彼女に惹かれるのだ。
幽子の手が触れた瞬間、
自分の全てを吸い取られてしまうのではないかと思った程強く引き合った。
ネコ娘を見て幽子は、嘗て自分の中に存在し何時か失った半身を見出した。
命を落とした時に失った半身は現世にもどり、
何時か自分によくしてくれた少年の傍に辿り着いていた事を知った。
寝子であった頃の特徴を多く残す幽子だが、
凛とした美しさの寝子とは違い幽子は柔らかい印象の儚げな美人であった。
寝子の半身である幽子とネコ娘、
それぞれ寝子自身でありながら魂を分かち合った為に、
嘗て出会っていた鬼太郎ですら二人が寝子であるなどとは気がつきようもなかった。
ただ一人、寝子の事を幽子から聞いていた童子だけが二人の様子から気がついた。
「幽子…もしかして…」
「地獄童子さん、少しだけ彼女とお話してもいいかしら?」
「お前が自分と話し合うのに問題なんかねぇよ。
 俺は席を外すからゆっくり話すといい。」
長い黒髪を翻し、童子は二人に背を向けた。

301 :

「お前の半身なら一目で見抜く自信が有ったんだが…俺の目もまだまだ節穴だな。」
「えっ…?」
去り際の童子の言葉に、ネコ娘は思わず声を上げた。
先ほどから感じている幽子との目に見えぬ繋がりが童子の言葉で少し見えたような気がした。
でも、彼女は人間で自分は妖怪…
その事実は揺ぎ無いものなのにどこに接点があると言うのだろう?
二人きりになり、不安と困惑の表情を浮かべるネコ娘に幽子は微笑みかけた。
「寝子を覚えてる?」
「ねこ?」
首をかしげるネコ娘に、やはり記憶は残っていないようだった。
「そう…私には何も感じなかった?」
「さっき手が触れたとき、魂が吸い込まれるかと思ったわ。
 こんな事言ったら、幽子さんに変に思われるかもしれないけど…あたし…」
「言ってみて?」
「あたし…地獄へ着てからずっと感じてたの。
 ずっと何か解らなかったんだけれど、
 それが幽子さんだってココへ着て解ったの…まるで―――」

「”まるで?”」
「その…上手く表現できないんだけど、他人じゃないような気がして…」
「…」
「あっ、変な意味はないの。でも、こんな風に感じたのって初めてだったから…」
慌てて言葉を付け足したネコ娘は黙ってしまった幽子の顔を覗き込む。
「幽子さん?」
「もし…」
「”もし?”」
「本当に他人じゃなかったら?」
返された言葉と共にまっすぐな瞳に見つめ返され驚いたネコ娘だが、
幽子は茶化しや冗談で言っているのではないことは表情から読み取れた。
でも、記憶の限りでは幽子の顔はどうしても思い出せない。
返事が出来ぬままに居るネコ娘に微笑みかけながら幽子は続けた。
「あなたが人としてのを残してくれたから、私は彼に出会うことが出来たわ。」
”彼”と言うのは地獄童子の事だろう。
今まで地獄童子が散々邪魔してきた理由も、
偏に幽子を救う為だった事を知った今、
二人の関係がとても羨ましかった。
もしも、あたしが幽子さんと同じ目にあったら、
鬼太郎は果たしてあたしの為になりふり構わず救いに来てくれるのだろうか―――?
いや、来てくれるなんて言い切れる自信なんてとても無い。
だって、あたしと鬼太郎の関係は”仲間”
そう、ゲゲゲの森に住まう他の妖怪と同じ―――ただの仲間。
幼馴染では有るけれど、特別な要素なんてこれっぽっちも無い。
地獄童子と幽子は自他諸共に認める恋人同士だが、
鬼太郎とネコ娘は”コイビト”等と呼べるような甘い間柄ではなかった。

302 :

「あなたは自分の意思で現世に出て行ったからこそ、再び彼に回り逢えたのね?」
あたしの事だろうか…”彼”とは鬼太郎の事だろう、
でも何故彼女があたしの知らないことを知っているんだろう?
「私ね、本当はあなたに触れたとき寝子に戻ってしまうんじゃないかと思ったの。」
幽子は寝子であった頃に鬼太郎と出会った事、
隠し続けていた猫化する奇病を公衆の面前で晒してしまい、
耐え切れずに自してしまった事
地獄に来て魂の半分を失い幽子になって今ここに居ることを話した。

魂魄が半分しか無いから、裁きも受けられず天にも昇ることも適わずに居る事、
でもそのお陰で童子と一緒に居る事ができること
だから出合った時に再び魂が一つに戻るかと思った瞬間、とても怖かったのだと語った。
寝子に戻ってしまったら裁きを受けて、罪を償い童子と別れなければならない。
しかし、片方は者。
もう片方は後に魂魄が分かれたとしても現世で妖怪として生きるもの。
肉体を失いし幽子と、魂魄を分かちたネコ娘は半分の魂に一人前の肉体。
度重なる孵変と幽子と分かれてからの魂魄の記憶の情報量が双方異なり、
半身でありながらそれぞれが個々として違う者へとなりつつあった。
再び元に戻るとしたら―――
ネコ娘が肉体を失い魂だけでこの地へ降り立ったときに可能性があるのかもしれない。
「でも…ね?現世では幸せになれなかったけれど、
 今はとても幸せなのよ。地獄童子さんに出会うことが出来たし、
 ネコ娘さんにも出会うことが出来たんですもの。」
「そうね。鬼太郎に出会うことが出来たし、あたしも幽子さんに出会えてよかった。」
「ネコ娘さん…今、幸せ?」
幽子の問いに、ネコ娘は瞬時に応えられなかった。
「うん…幸せ…だよ。」
「―――嘗ては”寝子”であった私達だけれども、
 今は”幽子”と”ネコ娘”。
 魂魄が分かれてしまっても同じ私として―――ネコ娘さん、
 ちゃんと幸せになってね?」
自分の事は気にせずに、ネコ娘として幸せになって欲しいと言ってくれた幽子
嘗ての半身である彼女にも嘘をついてしまった。
恋した鬼太郎には別の想い人が居ると言うのに…
多分、幽子に嘘はばれているだろうけれど、心配をかけたくなかったのだ。
せっかく出会えたもう一人の自分はちゃんと幸せを見つけたのだから。
空白の記憶を埋める事が出来たし、鬼太郎が恋した寝子であった事実が何よりも嬉しかった。
あの鬼太郎が思いを寄せていた少女、今はどうであれ彼女は自分自身でもあったのだ。
恐らく鬼太郎がその事実に気がつくことは無いだろうし、この先誰にも明かすつもりも無い。
秘密はネコ娘の胸の内に永遠に封印され、ネコ娘と幽子はそれぞれの進むべき道へ歩みだす。
幽子は地獄童子と共に去り、ネコ娘は再び仲間達と共に地上へ戻るべく地獄旅を続ける。

303 :

やがて近づく地獄旅の終わり
人間の少女を餌に鬼太郎ファミリー諸共地獄へ導き、
亡き者にしようとしていた地獄旅の黒幕、ぬらりひょんの野望を打ち砕き、
地獄に秩序を取り戻した鬼太郎たち一行と共にネコ娘は現世に戻ることとなった。
閻魔大王の計らいで、命を与えられた鬼太郎の母と共に。
地獄童子を迎えに来ていた幽子との最後の別れを無言で交わし、現世へと戻る為に胎内道へ向う。
そこでの悲劇はネコ娘にある決意をさせる切欠となった。
ぬらりひょんの最後の悪足掻きにより、人間の少女の命が失われた。
地獄へ連れ去られた彼女を助ける為の地獄旅は後少しで終わるはずだった―――なのに。
助けるべき命を救えずに失い、一同が悲しみにくれる中ただ一人
鬼太郎の母だけは落ち着いた様子で、息子の傍へと歩み寄り金色に輝くものを手渡した。
それは、閻魔大王より授かりし母の命。
「これを使って生き返らせてあげなさい。
 鬼太郎、母は…お前の顔を見ることができただけでも十分です。」
手渡された命は、人の少女の為に使われ
限りなく現世への入り口へと近づいていた母は、
現世へ戻る手立てを失い地獄へと戻っていった。
見ることも腕に抱く事も適わぬ思っていたわが子にこうして出会えてとても幸福だったと
例えこの身は地獄の地にあろうとも、見守っていると言い残して―――
このとき母から放たれた言霊は後に鬼太郎の危機を救うことになるが、それはずっと後の事。
そうして、一度は絶命した少女は、”鬼太郎の母より渡されたの命”により、
再び現世へと蘇えった。

鬼太郎が大切にしていた少女は、
母の命を宿し今まで以上に特別な存在へと変ったであろうことをネコ娘は予感した。
それは他の皆にも同じはず。
かなうわけなんか無い、初めから敵うわけ無かったんだ。
―――ごめんなさい幽子さん
ごめんね、もう一人のあたし。
やっぱ、幸せになんか―――なれなかったよ。
鬼太郎への想いでネコ娘となった彼女が、彼への執着を断ち切る事等できる筈も無かった。
しかしどんなに想っても決して報われる事の無い己の恋に、ネコ娘は深く絶望した。




                               糸売く

304 :
うおー 3猫セツナス……

305 :
3猫は切ないなぁ。人間の少女ちゃんが憎めないくらいにいい娘な分、切なさが増すんだよなぁ

306 :
>>303続き
3部後篇です。。
引き続きネコ娘に関する描写が切ない感じです。
途中回想シーンで墓場が入ります。
・ 鬼太郎×猫娘・総集編
・ 回想シーンにつき、水木×寝子
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

307 :

昔々―――悟りを開いた人間が、この世のありとあらゆるものに対して
「執着してはならぬ」と言った。
「執着」によって、己の思い通りにいかなければ、
人は傷つき、苦しみ、そして争いを生む
―――故に、己の教えすら「執着」はしてならぬと説いた。
果たして、この世の一切のものに全くの執着を持たぬものなど
在るのだろうか?
何かに対する執着心があるからこそ、ものは生まれ
発展し進化を遂げる。
彼ら妖怪も、そういった存在のひとつではないだろうか。
「執着」が有ったからこそ、彼女
ネコ娘は今、ここに在ると言うのに。
その執着を奪ってしまったら、彼女が待つのは―――
一方、鬼太郎達一行が去った地獄は
彼らの活躍により、徐々に正常化しつつあった。
ぬらりひょんの企みで混乱していた事が嘘のようでさえある。
真赤に燃盛る地獄の見慣れた空を見上げ、幽子は
地上へと戻っていった”自分の半身”、ネコ娘を思う。
幽子はネコ娘の嘘に気づいていた。
気づいていたが、自分を思いやってつかれた優しい嘘に気づかぬ振りをしていた。
幽子もまた、ネコ娘にはあえて伝えなかった秘密があったから。
最初は伝えるつもりだった…寝子の全て。
「なぁ、幽子…」
名前を呼ばれて幽子は自分の膝を枕に寝転がる童子の顔を覗く。
「俺、あの娘がお前の半身だって―――
 出会った時に気づいていたかもしれねぇ。」
童子の言葉に、幽子は一瞬瞳を見開いた。
幽子から視線を逸らさぬまま、童子は言葉を続ける。
「あの時よぅ”鬼太郎の恋人”って言葉に、
 ほほ染めて嬉しそうに反応したのがどうも気に入らなくてな。
 それで、つい髪の長い方の娘にしたんだ。」
確かに五徳猫からは”鬼太郎の恋人である娘”を浚う様には言われていたのだが
詳しい容姿は伝えられていなかったのだ。
まさか娘が二人もいるとは思わず、戸惑った末の判断だった。
「…妬いてくれたの?」
「さぁな。見た目も声も、似ているところなんて何一つ無いのに…不思議だな。」
ネコ娘の反応に囚われの身の幽子の姿が重なり、
ふと怒らせて見たくなったのは事実だ。
幽子の長い髪がさらりと揺れ落ち童子の頬を撫でると、それを彼は指で絡め取る。
地獄で得た何気ない幸せのひと時に、時々重なって見える寝子の記憶。
既に墓場は過ぎてしまったけれども、己の半身であるネコ娘にすら話す事のなかった事実。

308 :

彼女にはその記憶はないのだし、
これから先も誰に打ち明けることもないだろう、
寝子を幽子と猫娘に分かつ事になった切欠の人―――
自分とはまた異なる奇妙な運命に飲み込まれた不幸な人間。
あの人は今…どうしているのだろうか?
名は、水木―――


「鬼太郎―――!!!」


鬼太郎が目覚めさせた水神の、怒り狂う波に飲み込まれそうになり水木は叫んだ。
ただ、鬼太郎や小遣いをせびりにきた偽鬼太郎のただならぬ様子を見て、
理由は判らずとも瞬時に危険だと判断したが、
既に水神に捕らえられてしまった水木は逃げる事も敵わず、
己の身に起きた不可解な現実を知る事無く、
水神によって強制的に人生の終止符を打たれた。

絶命の瞬間、それは透明なものに侵食される恐怖。
目の前は暗闇でもなく、ただただ先の見通すことの出来ぬ深い深い透明だった。








「おや、おまえ…また来たのか?」
どこか聞き覚えのある声がして、水木は目覚めた。
「…ここは」
「どうやら、今度は辿るべく正しき道筋を通ってきたようだな。」
見覚えのある奇妙な風景
かけられた声のほうを見ると、いつぞやの地獄の門番だった。
そして、門番の言葉で水木は自分の身に起こった事を思い出す。
(―――そうか、私はあの訳の判らない水に飲まれてんだのだ。)
水木は二度目の地獄への訪問で、己のを悟った。
己にを齎した水神を呼び覚ました張本人が
鬼太郎である事を知らなかったからかもしれない。
不思議な事に、彼の中にはあの幽霊親子に対する恨みはなく、
ただただ後悔するばかりであった。
常に傍に居て見張っていれば安全だと思っていたのだが、
結局は離れていたほうがより安全だったのだろうか?
そもそも、幽霊夫婦との出会いが彼の不幸の始まりだったのだ。
あの男幽霊の妻が、血を提供さえしなければ…
違う住所に住んでいれば…
社長の命を受けたのが自分でなければ…

309 :

彼らに出会わなければ…
いくら過去を思い起こして悔やんでもしかたがない。
運命は彼を幽霊族の犠牲に選んだのだ。
者となった水木は、ふらふらと立ち上がると門番の脇を抜け、
地獄の入り口―――へ、堕ちて行った。
後悔が多いい程に、迷いが複雑なほどに地獄は広く
彼は途方も無く彷徨い続け、とある少女との再会をする。
「…貴方は、水木さんではありませんか?」
「君は…寝子ちゃんなのか?」
少女は黙って頷いた。
地獄への道筋を知る鬼太郎親子ならば未だしも、
ただの者でしかない彼が無限とも言える地獄の地で、
生前の所縁の者に出会えたのは奇跡ともいえよう。
水木は猫娘となった寝子に案内されるまま、
「猫娘」という表札の掲げられた長屋の一室へと招きいれられた。
「不思議な所だな…地獄はもっと恐ろしい場所だとばかり。」
「地獄に来るのは、罪人ばかりではないのです。」
「しかし、寝子ちゃんは何故、こんな場所に一人で?」
「それは…
 私が地獄に堕ちて”猫娘”という新たな名を得たからです。」
猫娘は少し寂しそうな笑顔を浮かべて答えた。
「そうか…」
水木は猫娘の言葉の意味が判らぬまま、そう答えた。
彼女の顔を見て、それ以上深くは聞けず、そう答えるしかなかったのだ。
しかし、何年ぶりだろうか?
地獄の地だというのに、この安息感を味わうのは…
水木は瞳を閉じて深い息を吐く
「…水木さん、泣いているのですか?」
「いや、何故だい?」
「何か思い残してきた事があるのではないかと。」
「そうだなぁ。んでしまって今更だが、隠す事でもないだろう。
 実はね、ささやかながらも家庭を築くのが夢だったんだ。」
彼を心配そうに見つめる少女に、水木は微笑み返す。
「将来の伴侶にと思える女性と出会って
 結婚して、そうだなぁ…子供は二人は欲しかったな。
 まぁ、結婚の夢は叶わなかったけれど、
 子育ては…出来たからね。」
薄気味の悪い子供ではあったが、
育て、共に暮らした年数分、それなりに情もあったのだ。
奇妙な関係ではあったが、鬼太郎親子や偽鬼太郎との生活も悪くは無かった。
寂しい事に、そう思っていたのは水木だけで、向こうには欠片も無かったようだが…
水木はの直前を思い出して、深い溜息を吐いた。

310 :

「ね、水木さんは結婚して、お嫁さんになった女性に…
 して欲しい事って有ったんでしょう?」
「まぁ…ね。休みの日には二人でのんびり過ごして
 膝枕をしてもらって、耳掃除でもしてもらいながら
 他愛も無い話を聞いて欲しかったりとかね。」
「私では役不足かもしれませんが…よかったら。」
猫娘は少し頬を赤らめて、正座に座りなおすと、
短いスカートのすそから覗いた自分の生膝を撫でる。
その指の動きはとても小学生のものとは思えぬ艶かしさで、
魅入ってしまっていた水木は我を取り戻すと、彼女の顔を見た。
「いや、役不足どころか私の娘でもおかしくない年じゃぁないか。
 そんな若いお嬢さんにしてもらうのは忍びないな…」
「ウフフ…水木さん。年や性別等は生前の柵…
 故に、魂になってしまった今、既に意味を成さないのです。
 今、貴方を象っている姿も生前の記憶によるもの。
 無論私も同じです。
 この地にきて、見た目で物事を判断するのはとても危険ですわ。」
「…言われてみれば、そうだな。」
「だから遠慮等、なさらないで。」
クスクスと笑う猫娘のペースに乗せられた水木は、
彼女の膝に頭を預け瞳を閉じていた。
彼女の細い指が水木の前髪を梳く感触は心地よく、
聞こえる美しい歌声は此処が地獄で在る等とは思えない。

「まるで極楽だな…」
「いいえ、ここは確かに地獄です。
 天に召される者も地に堕ちる者も、等しく通る道。
 逝き付く先は魂の所、
 そこで総ての魂は裁きを受けなければならないのです。」
「寝子ちゃんも受けたのかい?」
「いえ…私はまだなのです。」
それまでは穏やかだった猫娘の表情が一瞬暗く沈む。
「裁きは…すぐに受けられる魂とそうでない魂とあるのです。
 私が受けられない理由は、
 ここに滞在している理由と同じなのです。」
「…新たな名前のせいなのかい?」
「それより、水木さん!知ってますか?
 魂だけの存在になったからこそ出来る事もあるんですよ。」
先ほどまでの沈んでいた気持ちを振り払うかのように、猫娘は話題を変えてきた。
落ち込んでいた口調も、一生懸命に明るく勤めている様子が伝わってくる。
「さぁ?想像もつかないな。
 何だか急に難しいことを言うね。」
「愛し合うものが肌を重ねるような表現があるという事です。」
「ね・寝子ちゃんそれは…」
猫娘の大胆な言葉に驚き、水木は閉じていた瞳を開け、猫娘を見上げた。

311 :

「少し言葉の言い表しが、過ぎたみたいですわ。
 言葉で聞くよりも、実際に体験なさってみればよいのです。」
猫娘は眼を細めてにっこりと笑い、水木の髪を梳いて居た手を頬にあてがう。
水木はとっさに身を起こそうと下が動くことが出来ず、
このとき初めて猫娘が言った”年も性別も意味を成さない”という言葉の意味を理解した。
「しかし…私なんかを相手にせずとも。」
「いいえ、良いのです。
 私にとっては水木さんも特別な男性でしたから。」
「えっ…?」
猫娘は言葉少なげに語り始めた。
父と母の記憶は無く、祖母との二人暮しの彼女の周りには男手が無かった。
奇妙な縁に導かれ、ねこ屋の二階に住まうことになった鬼太郎と水木は、
奇病のために、他人との関わりを無意識に避けていた寝子にとって
始めて身近となった家族以外の存在であり
同じ屋根の下に暮らす異性だった。
猫化する奇病を抱えて居た彼女は、
人の子ではなく幽霊族最後の生き残りである鬼太郎に親近感を覚えていた。
自分と同じく人とは異なる存在である鬼太郎は、
身近に感じられる特別な異性だったが、
水木もまた違う意味合いで寝子の特別な存在だった。
彼女は水木に父の像を重ねて見、時には親戚のおじさんのような、
時には兄的存在として見ていた。
朝交わす何気ない挨拶、頭を撫でてくれた大きな手に
妙な気恥ずかしさを感じた時もあった。
そして今、彼女がした理由―――
猫化する奇病のことも知っているである筈なのに、
生前と変わらぬ態度で接してくれた水木に対し、
不思議な感情が溢れて止まらなかった。
この人もまた不幸な運命の元に生まれついてしまったのだ、
せめて来世では幸せを掴んで欲しい。
「魂は重なることが出来るのですよ?」
猫娘がそう言うと、猫娘と触れている部分から不思議な感覚が沸き起こってくる。
生前では感じたことの無い暖かさ…まるで悦びに全身を包み込まれるような満足感だ。
言葉には言い表せぬ満足感に、思考がゆっくり解けていく。
「―――寝子ちゃん、君にも生前思い残した…
 今でも叶えたい夢はあるのだろう?」
「私は、ただ普通の女の子でありたかった。
 しかし、魂となってもその願いは叶いませんでした。
 今も尚、私は呪いに囚われているのです。
 でも、水木さんに会えて良かった。
 水木さんがこんな私を普通の女の子として扱ってくれたのが
 何よりも嬉しかったのです。」
「君は可愛い女の子だよ。それも特別にね。」
「ありがとう、水木さん…」

312 :

「いや、お礼を言うのは私のほうだ…
 ああ、もう時間が…ここには長く居られない。
 何かがとても強く私を呼んで…」
いつの間にか、寝子の膝に寝ていた水木の人としての姿は薄くなり
やがてその姿は、光を帯びた丸いものへと形を変える。
水木は寝子と魂を重ねた事によって、裁きを受けられる状態へと変化したのだ。
重なった二つの魂は分かち、
猫娘の手のひらから光の球と化した水木がふわりと浮き上がる。
別れを知らせるかのように一際強い光を放つと、
やがて地獄の空へと飛び去っていった。
言葉にすることの出来なかった”ありがとう”を、光の粒子で残して。
魂の光が見えなくなっても猫娘は、彼が去ったほうを見送っていた。
水木が猫娘の所を去った後、猫娘は己の魂が二つに分かれるという異変に見舞われる。
それは身内意外に愛されず、他人どころか自分さえ愛そうとしなかった少女が
初めて他人に心を許し、受け入れた瞬間だった。
この行いが大黒猫の呪いに影響を与えたかどうかは解らない。
しかし、切欠となった事は確かだった。
猫娘の魂は寝子の呪いを引き継いだまま現世へと飛び出し、
猫を失った彼女は幽霊の幽子として地獄に残された。
地獄へ来たときに「猫娘」と名が変わったように、
再び名と共に姿も表札も新たになり、彼女はこの地の住人となったのだ。








「フフフ…」
「どうしたんだ幽子、急に笑い出したりして。」
「なんでもないわ、地獄童子さん。
 ほんの少し昔を思い出していただけなの。」

”ただの少女でありたい”

して初めて得た安息、そして生前では叶うことの無かった呪縛からの開放。
こんな地獄の地で、半身を失った身では普通とは決して言えないだろうけれど。
一人の女の子として、童子と出会い恋することが出来たのは水木との再会があったからだ。
今思い出しても、寝子であった彼女の願いを叶えてくれたのは、
水木とネコ娘のおかげだと幽子は思う。
感謝の一方で、ネコ娘に呪いを押し付けてしまった事を心苦しく思っていた。
現世で自分が辛い思いをしたように、また辛い目に遭っていたら、と。
何時か半身に出逢う事があったのならば、全てを伝え謝りたかった。

313 :

しかし、それは間違いだとネコ娘に出会って気づかされた。
なぜならばネコ娘は寝子が忌み嫌った「猫の呪い」を己の能力とし最大限に生かし、
恥じる事無く自身として受け入れていたのだから。
ネコ娘の様に自分自身を素直にを受け入れ、
己にあった世界で生きる勇気があったのならば、
生まれつきの奇病に悩まされようとも寝子は違う人生を生きられたのかもしれない。
幽子は、ただただ弱過ぎた自分を、自身を愛する事が出来なかった己を恥じた。
そして彼女に対し謝罪を述べる事は失礼に値すると気づかされ、
幽子はこの事を己だけの秘密としたのだ。
―――ありがとう
それは童子の耳に聞き取ることが出来ぬ程、とても小さな声だったけれど。
無意識のうちに口から漏れた感謝の言葉に、
幽子の胸はとても暖かな思いに満たされる。
それこそが幸せなのだという事を実感し、
溢れんばかりの幸福は彼女の表情に自然と微笑を齎す。
切欠の貴方ともう一人の私、二人は今どうしていますか?
願わくば、私に与えてくれた以上の幸福が二人にありますように―――





長い地獄旅が終り、現世では忙しい日々の繰り返しが続いた。
相変わらず人間の少女がゲゲゲの森を訪れていたが
逆に、それまでは毎日のようにゲゲゲハウスを訪れていたネコ娘の姿が
徐々に遠ざかっていった。
空しくも幽子の想いは届かず、
その願いとは間逆な日々をネコ娘は送っていた。
胎内道でぬらりひょんと朱の盆の行方が解らなくなって以来、
妖怪がらみの事件も妖怪たちの影も徐々に数を減らし、
年月は瞬く間に流れ、ゲゲゲの森には再び平穏な日々が戻ってきた。

しかし、平穏な日常が戻るとネコ娘の姿は以前にも増して、
鬼太郎の傍からその存在を薄くした。
事件が無くなれば、もう鬼太郎には自分が必要が無いからだ。

鬼太郎の役に立ちたかったから呼ばれれば…
いや、呼ばれ無くとも戦いの場には常に身を置いた。
好きだったから、積極的にアピールもしたし、気を持たせるような真似もした。
出来る限りの努力をして尽くした。
けれど一途な想いは悉く打ち砕かれ、余りにも情けなくて
冗談で済ませたり笑い話にした事も在った。
気づけば、只管我慢強くなっていた。
人間の少女と比べられ、卑下されて笑われても、茶化せるぐらいに。
ただ、一人の女の子としては遣る瀬無かった。
道化で居ることを望んではないのに、抜け出せず苦しくて仕方なかった。

314 :

強がって見せたものの、ネコ娘だって女の子。
心に幾重にも鎧を着せ、傷つかないようにしたつもりだったが
本人ですら気づかぬうちに、繊細な心は深い傷が幾つも刻まれていた。
当時必要だったのは仲間の力、微力では在ったけれども
それなりに自分だって役に立っていたつもりでいた。
でも、平穏が戻れば鬼太郎の傍らにはあの人間の少女がいて…
もはや自分がいる場所も存在理由さえももまったく無いのだ。
ネコ娘の願いは鬼太郎の幸せ、
鬼太郎が幸せならば自分が割り入る事なんて出来るはずもない。
何時かこんな日が訪れることを覚悟は決めてはいたが、
現実を目にすると想像以上に切なくて、心を引き裂かれるように辛思いをしたが
決して表情に表すことはせず、ゲゲゲハウスで偶然顔を合わせる事があっても
屈託の無い笑顔で態度で、ネコ娘は変わりなく接した。
ネズミ男のようにずうずうしくもなれず、
一反木綿や塗り壁のように普通に振舞う事なんてこれ以上出来ない。
鬼太郎親子にとって、砂かけのおばばや子啼き爺のような存在にもなれず、
ネコ娘は自ら姿を消すしかなかった。
少年の幸せを願っても見守る事は酷過ぎて、少女はそこまで割り切れるほど強くは無くて。
ずっと住んでいた神社は立て直す事になり、
選択を余儀なくされたネコ娘は思い切って棲家も変え、
よく町の雑踏に紛れ込むようになった。
人の流れや街の雑踏は、一人身の淋しさを紛らわせてくれ、変な考え事をせずに済む。
ゲゲゲの森ではなるべく鬼太郎を避けるようにし、
姿を見かければ木陰に隠れて対面を避けた。
たまにすれ違っても軽く挨拶を交わすだけで
鬼太郎が声をかける隙も与えずにその姿を晦ませた。
徐々に自分の周りからネコ娘の存在が薄くなるのを鬼太郎が感づいた頃には、
ネコ娘の手がかりがすっかり解らなくなっていて
嘗ての神社に行っても、そこには建て直し中の神社が有るばかりで
妖怪アンテナで探ってみても彼女の妖気すら残っておらず。
森で見かけても、瞬く間に逃げられてしまう始末。
聞けば他の仲間のところへは時々姿を見せているらしく、
ゲゲゲハウスにも、自分が居ない時に限って寄った事も有るのだと父から知らされた。
今まで傍にいるのが当たり前で、恥かしがったり照れくさかったりした事よりも、
自分に相談も無いまま黙って引越し、
つれなくなったネコ娘に対し鬼太郎は怒りを覚えていた。
無論自分が今まで散々してきた事は全て棚に上げて…だ。
彼にしてみれば彼女が自分を見て逃げる理由が、
自分の前から姿を消してしまった訳が、全く解らなかった。
数年も経たぬうちに好奇心旺盛な人間の少女の興味は成長とともに他のものへと移り、
やがてその存在はゲゲゲの森から自然と遠のく。
彼女が小学校を卒業する頃には彼等の存在は見えなくなり、
ゲゲゲの森へ辿り着く術も失った。
彼女が体験した全ては幼い頃の思い出の一部として記憶の奥にしまいこまれ、
ゲゲゲの森から再び人間の姿が消えた。
それでも鬼太郎とネコ娘の鬼ごっこはまだ続いており、
漸くネコ娘が鬼太郎に捕まったのは孵変後に出逢ってから9年もの時が過ぎていた。

315 :

そこはゲゲゲハウスからだいぶ離れた入らずの森で、
極限られた妖怪にしか知られていない珍しい薬草がある場所。
余り荒らさぬよう必要な時意外には、
妖怪たちが自ら立ち入りを自粛している場所でもあった。
特に春から夏にかけては草花が著しく育つ時期、
成長を妨げぬようここへ足を踏み入れることは
誰が言わずとも暗黙の了解で避けられている時期でもある。
まさかこの時期にこの場所へ足を踏み入れる者が自分のほかにも居たとは夢にも思わず、
ぼんやりと小川を眺めていたネコ娘は背後から近づいてきた鬼太郎に、捕えられてしまった。
黙って引っ越した事、自分を避けていた事に腹を立てていた鬼太郎は、
ネコ娘に対する照れや恥ずかしさなんかすっかり忘れていて、
この時までに溜まりに溜まった忍止め様の無い想いと怒りが、どっと溢れたのだった。
「…やっと捕まえた。もう逃げられないぞ。」
「き、鬼太郎…。」
ネコ娘は驚きに目を見開いた。
「どうして僕を見ると逃げたりしたんだよ。」
「逃げてなんか無いよ…」
鋭い眼差し、久しぶりの鬼太郎の顔を見ることも
視線を合わせる事も出気ず顔を横にそむけた。
その様子はまるで自分を否定しているようで、
鬼太郎はますます不満を募らせる。
「僕との約束…忘れたのか?誓ったのに…」
「忘れてなんか―――無いよ。」
「それじゃ、なんで…」
「だって、鬼太郎…他に好きな子が出来たじゃない…
 なのに今更あたしにその約束押し付けるの?
 …酷いよ…残酷だよ…。」
「なんだよ、それ。じゃあ何か?
 君はもう他の誰かのものだとでも言うのか?」

「そうよっ!」

それは咄嗟の嘘だった。
鬼太郎にはもう別の想い人が居るのに、
自分には以前と代わらない想いを約束させるなんて、
そして、その想いを断ち切れずに今日まで至った自分にもほとほと嫌気がさしていた。
もうこんな辛い想いは終わりにしたかったのだ。
ただ、今まで踏ん切りがつかなかったのは、もう一人の自分―――
幽子の事があったからだ。
地獄で再開を果たした時、幸せを見つけていたもう一人の自分。
あの時は肉体があったから戻らずにすんだのかもしれない。
今この肉体を手放してしまったら、彼女も犠牲になりかねない。
かつて同じ寝子であった自分でも、幽子の幸せを奪うことは許されない。
ネコ娘にとって幽子は、現世に留まるための希望だった。
何とか彼女を巻き込まずにすむ方法を模索していたのだ。

316 :

魂になっても出会わなければ、幽子とひとつにならずに済むかもしれない。
幽子と出会う前に何とか閻魔大王の元へ行き、嘆願するつもりだった。
彼女と自分は、嘗て一人の人間であった頃とは違うのだと。
全くの別人になったと。
だから消えるのは―――自分一人だけでいい、と。
今日ここで鬼太郎と巡り合わせたのも、
余り残された時間が無い自分の運命の決断をする時なのだろう。
鬼太郎に愛想を尽かされ、見限ってくれたら全て吹っ切れる。
ゲゲゲの森から出て行くことが出来ればきっと全て忘れられる。
もう腹は決まっている。
次は孵変せず―――”消えてしまおう”と決めていた。
世界は広い。
二度と会うことが無くとも、完全に嫌われてしまえば優しい彼の心を傷つけに済む。
鬼太郎だって、あたしの事なんか忘れて幸せに…なれる。
時が経てば、きっと思い出されることも無く忘れ去られる。

「…嘘、だろ?」

目の前が真っ白になる。
一瞬何を言われたのか理解できなかった、理解なんてしたくなかった。
ネコ娘の口から発せられた予想すらしてない言葉に、
脳天からカミナリを浴びたような衝撃が走った。
指先から血の気が引き、肌が冷えるように感じた。
信じて疑わなかった、ずっとずっと共に居るのだと想いは決して変わる事など無いのだと。
現実はなかなか自分に素直になれず、
それでも幾度となく夢に見たネコ娘の白い肌を、この腕に抱く日を夢見て待っていた。
なのに何故?一体誰のものになったと―――

「やだぁ!!」

突如上がった悲鳴に、森の鳥たちが一斉に飛び立つ。
気が狂いそうだった。この唇が、この白い喉がもう他の誰かのものであるなどと
まだ自分も味を知らぬこの果実を手にした者が他に居るなどと―――
許せなかった。ただひたすら許せなかった。
自分が?ネコ娘のことが?それともまだ見ぬ相手の事がか?
彼女の心が既に別の男に奪われているなどと、
自分に背を向けて出て行ってしまう事など想像もしたくなかった。
今この手を離せばネコ娘はきっと自分の元を立ち去って二度と戻ってこない
―――ならばいっそのこと…
遣り様の無い怒りはやがて全身から恐ろしい量の妖気を溢れ出させる。
行かせやしない、自分以外の男の元へなんか行かせるものか!
今まで、鬼太郎や仲間と数え切れぬほど戦いの場を経験してきたが、
コレほどまでに恐ろしい妖気を感じたのは初めてだった。
押さえつけられ、鬼太郎の腕力には適わず身動きもできないと言うのに、
至近距離から強烈な怒りを満ちた妖気を浴びせさせられ、
ネコ娘の全身は恐怖に震えた。

317 :

恐ろしい顔をした鬼太郎から目を逸らしたくとも、
蛇に睨まれた蛙の如く金縛りにあったようで、
痙攣を起したかのような身体の震えは止まらない。
―――ああ、最後にもう一度。もう一度、鬼太郎と恋をしてみたかった。
以前のように”好きだよ、猫ちゃん”と言われてみたかった。

もうじき消えてしまうのだからそれは決して叶う事の無い夢。
我慢したり自分を偽る事にすっかり慣れちゃって…
本当につまらない最後だったな。
最後の最後に、鬼太郎をこんなに怒らせて…
心底嫌われちゃったんだろうな。
こんな事なら―――地獄で幽子さんに出会ったあの時に
全てを失っていたほうが良かったのかもしれない。
なぜか急に切なくて、寂しくなって、
覚悟していたはずなのにネコ娘の瞳からは止め処なく涙が溢れる。
もう意識を保っている事すら限界だった。
やがて伸ばされた鬼太郎の両腕が細首を捉えたと同時に、ネコ娘は一瞬瞳を見開く―――。
誰にも知られずたった一人で静かに此の世を離れようと思っていたけれど
その最後を決めるのが鬼太郎ならば、鬼太郎が看取ってくれるのなら…
最後くらい良い夢を見たかったな―――
瞬間、今までの記憶が走馬灯現象により蘇る。
間際に見た記憶、それは”猫娘”のものではなく”ネコ娘”である今の自分の記憶。
辛い事もあったけど楽しかった、鬼太郎の傍に居る事が出来て…本当に幸せだった。
―――意識を失った事で硬直していた体からは力が抜け、力なく腕が地面に横たわる。




やがて訪れた静寂
怒りに我を失っていた鬼太郎は、全身を脱力させ意識を遠のかせたネコ娘の異変に我を取り戻す。
手にしていたネコ娘の細首に全身の血が引き、取り返しのつかない過ちを犯した事に気が付く。
何時だって守ろうと、例え己の命が尽きようとも彼女だけは守り抜くと心に決めていたはずなのに
共に行くと先を見ていたのは自分だけだったと知って、
自分の世界からネコ娘が居なくなる恐怖に、奪い去る存在に嫉妬し怒り狂った。
何と言う馬鹿な事を考えたのだろう。
この指からすり抜けていってしまうネコ娘を逃すまいと力づくにでも無理やり止めておきたくて、
この手で彼女をめてしまおうだなんて、
彼女を失うどころかもう二度と会う事も適わなくなると言うのに
そんな事をしてもネコ娘が自分だけのものになるわけが無いのに
何者にも代えがたく、何よりも大事な存在であるネコ娘、
その彼女を何者でもなく自分が一番傷つけ恐怖させてしまったことに
謝る言葉など見つからず、償う事のかなわぬ罪に少年は泣きながら、
まだ意識の戻らぬ躯のような少女の身体を抱いた。
知っていたはずだった。与え与えられ、互いに幸せに浸れる術を―――知っていた筈なのに
冷静になった今、怒りは消え彼の中に空しさだけを残していた。

318 :

溢れた涙は頬を伝い、少女の頬にぽたぽたと滴を落とした。
やがて、目蓋が震え少女の意識が闇から戻ると先程までの記憶が甦る。
鬼太郎になんて事をさせてしまったのだろう。
自分がもっと早く全てを捨てる決心をすべきだった。
己に関るものを全て捨て去り、
彼女が「ネコムスメ」である所以となった少年への恋心さえも諦めて森を去っていれば
…これは罰なのだ。
淡い期待を捨てられず優柔不断だった自分に下された罰。
例え命が奪われる様な結果になっていても仕方が無かった。
しかし、幼き少女に全てを捨てる事などできるわけも無かった。
住処を捨て、心の通った仲間を捨て、
愛した少年の住むゲゲゲの森をたった一人で出て行く事など。
頬に滴が落ち、少女は瞳を開けた。
少年が自分を抱きしめ、泣いているのだと知るとそっとその頬に手を添えた。
添えられた手に、少年は抱きかかえていた少女を見た。
「―――鬼太郎…泣かないで、全部あたしが悪いんだから。」
「ネコ娘…」
ネコ娘は頬に添えた指で鬼太郎の涙をぬぐった。
そう、”消えよう”と決めていた。
未練等引きずったりしないで一人ひっそりと消えてしまえばよかったのだ。
「あたしがもっと潔く決断してれば…こんな嘘つかなくても良かったのに。」
”嘘”―――鬼太郎は驚きに目を見開いた。
そう、身も心も誰にも奪われてなんかいやしなかった。

全ては清らかなまま、
今も昔もネコ娘の気持ちは鬼太郎に向けられたまま
何一つ変ってなんか無かった。
「鬼太郎に辛い思いさせちゃって…ごめんね…」
「ちが…っ、僕は…僕が…!!」
ネコ娘はふるふると頭を振った。
「あたし、知ってるよ?
 鬼太郎…大人になっていいんだよ。だって…あたしは…」
口を噤んだネコ娘は、苦しげに視線を落とした。
その様子に、まさかと思った鬼太郎は、恐る恐る訊ねた。
「…まさか”兆”が現れたんじゃ。」
彼に更なる追い討ちをかけるかのように、ネコ娘は俯いたままこくりと頷いた。
もう鬼太郎にはこの器のネコ娘と過ごす時間があと僅かであると言う事実。
突きつけられた現実は余りにも酷すぎて、いくら過去を省みてもどうする事もできない。
いかに日々の他愛無い繰り返しが大切なのか思い知った。

319 :

「…さよなら、鬼太郎。大好きよ、他の誰よりも。」

真っ直ぐな瞳、揺ぎ無い真実の告白。
あの時の誓いは破られてなんかいなかった。
ただ、お互いが酷く不器用すぎて想いがすれ違っていただけだった。
もっと、もっと早く素直になっていれば―――
「さよならなんて言わせない。
 ネコ娘がそうなるのなら、僕だって…!!」
「駄目だよ鬼太郎。
 鬼太郎はちゃんと大人になって、あの子を幸せにしてあげなきゃ。」
ネコ娘はうすうす感づいていた。
鬼太郎親子―――幽霊族は自らの意思で時代の変化などに惑わされず孵変できるのではないか?と。
孵変をしなければ、やがて成長し鬼太郎は大人になる。
けれど、ネコ娘は知らない。
妖怪は人の存在が有るからこそ生活に密に関係し、係わり合いながら存在してきた。
しかし、生きる方法が種を存続させる方法が違う。
確かに妖怪の中には人に近い種の存続方法を持つものも居るが、
主には孵変によって自らを存続させるものが殆どで
一方人は、遺伝子を子孫に残す事で存在し続けていく生き物。
中には人と妖怪で結ばれたものもあるが本来は禁じられている。
禁を犯したものに待つのは、やがて早急に老いていく愛した人間の、
共に過ごせる時はほんの一瞬で結果はどれも悲劇に終わる。
ネコ娘はまだ知らない。鬼太郎の本当の思い人も
頬を伝う涙…微笑んだネコ娘は悲しいほど美しく、儚かった。
こうして腕に抱いているのに、今にも夢と消えてしまいそうに。
現に儚く見えたのは気のせいなどではなかった。
ネコ娘の決心が器を脆くしていた
鬼太郎を追いかけてこの世に再生した身、
この恋が叶わぬのなら今後孵変し続けてまで現世に留まる己の存在理由など無かった。
”消えよう”それは孵変をせずにこの世から消滅する事、永遠に
だが鬼太郎は、ネコ娘の悲しい決意も”さよなら”の本当の意味も知らない。

「あの子なら…人間の世界に戻って、此処にはもう来ないよ。」
「鬼太郎、鬼太郎はそれで良いの?あの子の事…好き、だったんでしょ。」
指先から力が失せるのが分かる。
鬼太郎が他の娘を”好き”だと言う言葉を口にして、
初めて心の中で唱えるよりもずっと切ないと知った。
ならば、その答えを今ココで直接鬼太郎の言葉で聞かされたら、
どれほどの衝撃が心に及ぶのだろう?その瞬間自分は一体どうなってしまうのだろうか?
耐え切れぬ感情にこみ上げる涙は抑えられず、いっそのこと壊れてしまいたかった。

「僕が好きなのは、何よりも大切なのは…君だ!!」

鬼太郎はネコ娘の言葉を消し去るように叫ぶ。
予想もしていなかった言葉に、ネコ娘の潤んだ瞳は大きく見開き、
手で口元を押さえて力なく首を左右に振った。

320 :

夢にまで見ていた言葉、
所詮は夢でしかない傷つきたくなければ諦めろと自分に言い聞かせてきたのに拒めない、
信じて素直に受け止めたい自分が居る。
今更ずるい鬼太郎はずるい。
鬼太郎はネコ娘の瞳を見据えたまま決して視線を逸らさない。
共に大人になるのは、共に永き時を歩んでいきたいのは―――
「ネコ娘じゃなきゃ、嫌なんだ…」
「…鬼太郎」
溢れた涙が止まらない。ずっと受け止めて欲しかった気持ちは、漸く届いた。
ずっとこの腕に抱きしめたかった、その胸に抱きしめて欲しかった。
背中に回された腕に、互いを引き寄せて抱き合った。

何時からだろう?
彼女と自分の間にこんなにも思い違いが生じてしまったのか。
ただ照れくさくて素直に”好きだ”と伝えられず、
意地を張って突っぱねてしまった事もあった。
それでもネコ娘は変らず傍で微笑んで居てくれたから、
彼女の優しさに甘えてしまっていた。
こんなにも傷つけてしまっていたなんて分からなかった。
「だから、今度は僕がネコ娘に必ず逢いに行くからっ…!!」
「待ってても…いいの?」
「ああ、絶対に迎えに行くよ。だから…」
「うん、鬼太郎がそう言うなら…あたし待ってる。」
「約束するよ、ネコ娘。君が好きだ―――」
ネコ娘の閉じた目蓋から溢れた涙を唇で拭いながら、そっと目蓋に口付けを落とした。
いつの間にか広がっていた深い溝はとても埋め切れはしないけれども、
せめて少しでも癒える様にと願いながら
ずっと前、猫娘がしてくれた約束を今度は鬼太郎がネコ娘に返す。
鬼太郎の唇が離れた気配にネコ娘が瞳を開けると自然と視線が交わり、
引き寄せあいながら深く、深く唇を重ねた。
暫らくして、鬼太郎の進めもあり
ネコ娘は砂かけのおばばの妖怪アパートに入る事となった。
―――数ヶ月後…ゲゲゲの森が白く染まる頃、ネコ娘は孵変を迎える。
そして鬼太郎もまた、決して代わる事の無い己の真実の為に孵変に入った。
愛しい少女と新たな時を迎える為に―――




                               糸売く

321 :
キテター!

322 :
泣いた

323 :
>>320続き
4部突入です。
若干、3部引きずってます。
・ 鬼太郎×猫娘・総集編
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

324 :

妖怪たちが姿を潜め始めてからの数年の間に、
人間社会の経済が破綻し世間は不況と言われるようになっていた。
弾けたバブルの傷跡と共に、
嘗ての野望や欲望といった思念残されたまま放置され、
不景気の為に手を入れられずに廃墟と化した場所が多数存在した。
また、そういった場所を好み出没する妖怪も数多く居るのだ。
新たな時代に同調するかのように、迎えた季節は冬。
ゲゲゲの森には深々と雪が降り積もり
何時も以上に静けさに包まれた―――そんな夜。
まっさらな雪に足を残し駆けて行く少年の姿があった。
サラリとした髪の隻眼の少年は、
どこか大人びた落ち着きを漂わせ、
学童服の上には独特の黒と黄色のチャンチャンコを羽織り、
素足に赤い鼻緒のゲタを履いていた。
わき目も振らずに走る彼は、漸く孵変を終えた鬼太郎少年であった。
目指すは砂かけ婆の妖怪アパート。
あの日の約束どおり彼女を迎えに、ねこ娘に逢いに…
寒さの所為で吐く息は瞬く間に白い結晶と化すのに、
ほんの少しねこ娘の事を想うだけで胸は暖かくなり、
雪の冷気等微塵も感じないままにおばばのアパートに辿り着く。
ところが妖怪アパートに妙な気配が漂っているのを感じた鬼太郎は、
そっと戸を開ききょろきょろと左右を見渡すと
妖怪アパートの住人が落ち着かない様子で廊下をウロウロしている。
いったい何事かと、キョトンとしていると
鬼太郎の気配に気がついた砂かけが
困りきった様子で声を掛けてきた。
「おお、鬼太郎。来てくれたか、待って居ったぞ。」
「おばば…一体どうしたんです?」
「それなんじゃが…実はの―――」
孵変の為に、ねこ娘が部屋に篭ってから
2〜3日経つのだが、部屋から出てこないのだと言う。
「おかしいな…そんなに時間がかかるわけ無いのに…」
「そうなんじゃよ。
 当に終わっているはずなのに、部屋には鍵がかかってて呼んでも答えも無くてな。
 微かに気配は感じるんじゃが―――流石に心配になってきたところだったんじゃよ。」
「じゃぁ、僕が呼びかけてみます。他の住民にも部屋に戻るよう伝えてください。」
「ああ、頼んだぞ。鬼太郎。」
ねこ娘の部屋の前に居た妖怪達は、
砂かけに何やら伝えられると各々の部屋に音も立てずに戻っていく。
廊下から物の怪の気配が消え、廊下はシンと静まり返る。
鬼太郎は誰も居なくなった廊下を進み、
ねこ娘の部屋の前で立ち止まった。
コンコンッ―――
「…」

325 :

部屋のドアを軽くノックしてみたが、暫く待ってみても何の反応も無い。
孵変により消滅する事もあるが、それは稀だ。
新しい時代を生き抜こうとする強い意志があれば失敗する事など有り得ない。
ましてやあの日、ゲゲゲの森でネコ娘に交わした約束―――
迎えに行くから待ってて欲しいと言った自分に
「待っている。」と言った彼女が約束を違えるとは思えなかった。
戸に手をついてねこ娘の妖気を探るが、幽かに感じるのみで、
今のものか孵変前のネコ娘の妖気が残っているものなのか区別し辛い。
相変わらず部屋の中は静まり返ったままで、砂かけの言っていた言葉も気に掛かる。
2日も3日も部屋に篭りっきりだなんて…
鬼太郎は堪らず部屋の中にいるであろうねこ娘に呼びかけた。
「―――ねこ娘?居るんだろ、返事をしてくれよ。」
「…」
「僕だ、鬼太郎だよ。約束どおり、君を迎えに来たんだ。」
鬼太郎は僅かな気配も逃すまいと扉に耳を当てる。
「…鬼太郎?」
暫しの沈黙の後、部屋の中から確認するかのように自分の名を呼ばる。
部屋の中の主の気配が此方に近づいてきた。
「そうだよ、鬼太郎だよ。」
「ほんとに?本当に鬼太郎…?」

「僕だよ。ねこ娘…此処を開けてよ。」
「―――だめ…なの。」
「僕は約束どおり、ねこ娘―――君を迎えに来たんだよ?なのにどうしてだい?」
「どうしても…」
「困ったなぁ…僕を嘘吐きにするつもりかい?」
「ち…ちがっ…」
「だったら、顔だけでも見せてくれよ。」
「…」
「ねこ娘…」
「…ちょっと、一寸だけだから…ね?」
「解った。」
無事孵変を終えている様子が感じ取れて鬼太郎は一安心したが
何故、ねこ娘は頑なに部屋から出ることを拒んでいるのかが理解できなかった。
例えどんな姿に変ろうとも、魂は常に一つ
今も昔も大事な幼馴染である少女に対するこの想いが変る事が無い。
薄暗い廊下には鬼太郎ただ一人、ねこ娘の部屋の戸から少し離れて様子を見守る。
シンと静まり返った廊下にやがて響くのははギィ…と戸が開く音
僅かに開かれた隙間の奥の真っ暗闇
部屋の中は明かり一つ灯っては居らず、
唯一つだけ宝石のようにきらりと光る猫目を見つけた。
アーモンド形をした瞳の奥の緑色の目が辺りの様子を窺う様にきょろきょろと動き、
鬼太郎の姿を捉えると慌てて扉を閉ざそうとした。
漸く開いた天岩戸、再び鎖さしてなるものかと鬼太郎はすかさずドアノブを掴み引く。

326 :

子供とはいえ数多の修羅場を潜り抜けてきた少年の腕力に、少女が敵う筈も無く
戸が引く勢いのままに開かれるのと同時に、
瞳の持ち主は暗闇の中から悲鳴と共にその姿を現した。
「にゃっ…きゃあぁっ!!」
「…!!」
孵変を終えた鬼太郎の姿を見たら直ぐ部屋に逃げ帰るつもりだったのに、
戸を引かれた勢いでバランスを崩し廊下に倒れこんだ少女。
尻餅をついた姿勢のまま顔を上げると互いの視線が交差したが早いか、
少女は再び暗闇に姿を隠す。
「あ、待って…!」
寸でのところで鬼太郎は手首を捉えたが、
少女が転がる勢いと共に部屋の中に倒れこむと、
再び部屋の戸が「バタン」と言う音を立てて閉じられた。
勢い余って部屋に倒れこむ際、
その腕にしかと捕らえた少女を庇うよう抱きかかえていた。
薄暗い廊下での一瞬の出来事。
数秒も経っていなかっただろうけれど、
孵変後始めて見るねこ娘の姿はしっかりと目蓋に焼き付いていた。
廊下に飛び出したねこ娘の動きはまるでスローモーションのようにゆっくりとして見え
互いの視線が交わった瞬間には時が止まったかのようにすら感じた。
今確実に腕の中にある温もり…柔らかな感触…
もしかして…もしかしたら―――高揚する胸は高鳴り、頬には熱が灯る。
意識せずとも少女を抱く腕には力が篭り、柔らかな髪に口付けて名を囁く。
「―――ねこ娘。」
鎖された部屋は深淵の闇に覆われ、
目が慣れていない鬼太郎にはねこ娘の姿は良く見えていない。
「やだぁ…」
「どうして?ねぇ、どうして部屋に閉じ篭っていたんだい?」
「だって…」
「―――さっきね、ねこ娘が僕を見て背を向けたとき…
 僕がどんな気持ちだったか…解るかい?」
「…」
「心がね、張り裂けそうだったよ。」
「…だって、だってこんなあたし―――誰にも見られたくなかったんだもん…」
腕の中の少女は泣き出しそうに言った。
「どうして…?」
「だってあたし…ずっとずっと子供になっちゃってるんだもん…」
鬼太郎の目蓋に焼きついたその姿。
何時だって自分よりも頭一つ分大きかった「ネコムスメ」が、始めて自分よりも…
いや、たぶん下駄を脱いだって気持ち自分のほうが背が高いだろう。

327 :

ねこ娘が若返りしてしまった理由―――孵変の兆候が在りながらも
この世から消えようと強く意識していた為の反動である事を二人は知らない。
あの時、夢と消えてしまいそうなほどに儚く映ったネコ娘の姿は現実に消えかかっていたのだ。
次の孵変で消滅する為に器は脆くなっていた。
寸前で取止めた消滅故、消えかかっていた部分を補うのには時間の余裕が無く
孵変後の肉体に影響を及ぼしていた。
ただ、幸いだったのは記憶までが失われずに済んだ事。
本来なら失いかけた肉体と共に
記憶が欠如していてもおかしくは無い状態だったと付け加えておこう。
強い決心が、想いがコレほどまでに身体に強い影響を及ぼすなどと
誰が想像できただろうか?
若返り、それは深い悲しみの結果、本
来は喜ぶべき現象などではないが、総ては無知故に。
だが、真実は誰も知らぬまま闇の中へ、
この世には知らぬほうが幸せだという事も時には有るのだ。
今までは精神的にも肉体的にも常に「お姉さん」的存在だったネコムスメに
男としてやりきれない部分もあったけれど、
目の前にいるネコムスメは初めて自分よりも幼く見えるねこ娘。

鬼太郎にとっては良い意味で衝撃的で、
思わず頬が緩んでしまうが、ソレを彼女に告げたら怒ってしまうだろうか?
「ねぇ、何時終わってたの?」
「―――三日前…」
「それからずっと部屋に篭ってたのかい?」
「…うん」
「それは、一番最初に僕に見せてくれるつもりだったから?」
ねこ娘の様子からして、違う事は解っているがこう質問しておけば否定は出来ないだろう。
おそらく、成長せず逆に若返りをしてしまった自分の容姿を酷く気に病んだのだろう、
おばばに頼んでねこ娘を妖怪アパートに預けて正解だった。
「迎えに来るのが遅くなってゴメンね。
 僕は今日漸く終わったんだ。
 三日間も僕のために頑張ってくれてたなんて嬉しいけど…
 おばばや他の皆には心配かけさせちゃったね。」
「鬼太郎〜」
腕の中で、ふにゃと力が抜けたのが解った。
ねこ娘の小さな身体…甘ったるい声…目で耳で肌で感じて、
胸の内には愛しさが溢れてくる。
しかし、愛しさ故に滅茶苦茶に壊してしまいたくなる衝動に駆られる自分が居るのも事実だ。
余り強く抱きしめたら抱き潰してしまいそうなのに、
このまま抱き潰してしまいたくもある。
鬩ぎ合う二つの思いに揺さぶられながらも、
いけない感情を振り払うように首を左右に振り思考を正す。

328 :

腕の中で小さくネコ娘が頷く。
その晩、鬼太郎とねこ娘は手を繋いだままねこ娘の部屋で眠りについた。
無論邪な思いが胸を掠めたが、脳裏に浮かんだのはあの日ネコ娘に犯した罪。
あんな事は二度と有ってはならない、今度こそ彼女を守り、傷つけまいと己に固く誓う。
一夜が明け、翌日砂かけのおばばや妖怪アパートの住人に心配をかけた事と
孵変後のお披露目をし、この日を境にねこ娘は普通に出かけるようになった。
太陽に姿を晒される事を恥かしがる事も無くなり、
鬼太郎の家に遊びに来る序に薬草の事を目玉の親父に教わるねこ娘の姿も見られるようになる。
「でね〜こなき爺ったら”めんこい”なんて言うのよ。」
「あはは…ねこ娘は気にしすぎだよ。」
「え〜そぉかなぁ…」
目玉の親父同然、こなき爺や砂かけ婆にしてみれば、
鬼太郎とねこ娘は年端も行かぬ幼い子供でしかないのだが、
ねこ娘の幼い外見に対するコンプレックスは変わらず。
鬼太郎からしても、ねこ娘の言葉や行動にしても危なかしくって…
本当は目が離せないんだと言いたかったが、それは告げずに居た。
年が明け、しけた世の中だと呟くねずみ男の興す妖しげな商売が事件性を帯び始め、
妖怪達の影が渦巻き始めると、それに比例して妖怪ポストの手紙が増え始める。
各方面からの依頼を受けて鬼太郎は仲間たちを引き連れて、
事件を解決に出かける日々が始まった。
―――と共に、時より人や人でない者からも誘いを受ける事が増えたのだ。
それは、戦いで滾った血が、脅かされた生命が、
日常であるならば知る事の無い奇妙な体験が
本能的に繁殖行為を促すのだと鬼太郎は知っていた。

一度限りの事、事件が解決すれば関係の無くなる彼女等に
恥をかかせることも無いと鬼太郎は、その誘いを断る事をしなかったが
彼女らに触れる気にはなれず、幻覚を見せてやりすごし
決して一時感情に流されるような事は無かった。
もとより鬼太郎は他者を惹きつける不思議な魅力の持ち主であったが、
美人に弱く、色恋沙汰にもどちらかと言えば初心であった為
異性に好かれても大概プラトニックな関係で済んでいた。

しかし、現在の鬼太郎は異性に言い寄られようとも顔色一つ変えず、
容姿は子供でありながら精神や醸し出す雰囲気は成人男子以上に落ち着いていて大人びており
鬼太郎が意図せずとも、内に抱える深い闇に魅せられ虜になってしまう者が後を絶たなかった。
一度知ってしまうと抜け出せぬ魔性の魅力は、彼女等に一つの行動を起させる。

恥をかかせぬためにその場限りは付き合うが、本当に優しくするのはねこ娘だけ。
傍らに居て欲しいのも、常に見守っていたいのもねこ娘だけだ。
だから鬼太郎は何があろうとも女達に惑わされる事が無かった。
一度限りの付き合いも、幻術により夢現の相手の意識が戻らぬうちに記憶の一部を抜けば、
彼女らは何事も無かったかのように元の世界に返っていく。
だから後々面倒事にならないように、
自分と言う毒に侵された者への後始末は慎重に行っていた。
行っていた筈なのに、まったく予想もしないところで歪が生まれ蝕んでいた。

329 :

もとより女性は男性の浮気を察知するのが長けた生き物。
例え、まやかしで有ったとしても、彼女達にとってその一瞬は現実。
肉体的にも精神的にも裏切りは無くとも、他の女性と二人きりでいる事実。
やがて、ねこ娘の知る事となるが、
鬼太郎は知られている事さえ気が付かぬままであった。
何故ならば彼女がその事で鬼太郎を咎めるどころか
口にすることすら無かったから。
言える筈が無かった。
鬼太郎の口から直接答えを聞いてしまったら
自分がどうなってしまうのかが怖かった。
はっきりとした”恋人”と言える間柄ではなく、
ただの幼馴染でしかないねこ娘が、
鬼太郎を責めていい理由など見当たるはずも無かった。
極稀に、読書を嗜んでいる時に邪魔した時には不機嫌を露にする事も有ったが、
ねこ娘に対する優しい態度や口調は変らず
優しくされればされるほど、まるで妹にでもなったような気分にさせられる事も屡で
きっと幼い姿になってしまった自分には異性としての興味も
魅力も無いのであろうと思い込むようになっていった。
鬼太郎が好きなのは他の女の人。
それもステキな大人の女性―――
季節は巡り、二度目の秋を迎えた日
鬼太郎の家を訪ねたねこ娘だが、ゲゲゲハウスにその姿は無く、代わりに居たのはねずみ男。
もはやお決まりとなった言い合いの際に、
ねずみ男が口にした他愛も無い言葉が、ねこ娘の純真な心を闇に染める。
―――永遠に子供
忘れていた、否忘れようとずっと心の奥にしまっていた記憶。
ねずみ男の発した一言が棘のように心に突き刺さり、
孵変により若返り現象を起した恐怖を呼び覚ます。
鬼太郎も目玉の親父も居ないゲゲゲハウスで一人になるのは耐えられなくて、
ねこ娘の足は自然と街の雑踏へと向っていた。
不運な時に悪いことは重ななるもので、重なり合った不運は最悪な事件を引き起こす。
この時既に、ねこ娘は羅刹に魅入られていた。
街の雑踏を彷徨い歩くうちに迷い込んだ路地で髪の長い人間の女性に出遭った。
幼い自分に対するコンプレックスと大人への強い憧れを抱いていたねこ娘には、
女性はとても素敵な大人に映ったのだ。

立ち去る女性がどこへ行くのかが気になり、付いて行くと辿り着いたのは純喫茶。
誘われるように店内に入るが、いつのまにか女性の姿を見失い、
店員に案内されるがままに着いた席で注文したコーヒーはほろ苦く、大人の味がした。
普段は一人で喫茶店なんかでお茶したことがなかっただけに、
ちょっぴり大人な気分にさせられて顔が綻ぶが舌に触る違和感に顔が歪む。
その不快な感触の正体が髪の毛だった。
長い一筋の髪…あの女性のように長い髪の毛
コーヒーのカップの中に入って居れば直ぐに気がつきそうなものなのに…
瞬間、一変したように感じた店内の雰囲気に背筋に悪寒が走り、
立ち上がると足元には群がる髪の毛
それは幾重にも重なり、床を埋め尽くす勢いでまるで生き物のように蠢いている。
その異様な自体に恐怖し、店を飛び出すと駅前の女子トイレに逃げ込んだ。

330 :

「はっ、はぁっ…っ一体…あれは何だったの?」
駅周辺の雰囲気は変らず、先ほど見てきたものがまるで嘘のようだった。
せっかく味わっていた大人の雰囲気は台無しになり、
鏡に映る自分を見て複雑な感情がこみ上げてくる。
体内に取り込まれた髪の毛入りのコーヒーは徐々にねこ娘を黒く染めていく。
「大人になんか…なれるわけ…無いじゃない…!」
鏡に映った現実、そして悪夢から目を覚ます為に顔を洗った。
冷たい水で顔を洗えば少しはすっきりするかもしれない、瞳を閉じて数回顔に水を浴びせるが、
足首に触れた髪の毛の感触がまだ残っていて―――その恐怖に、ふと面を上げれば
「きゃあぁぁっ!!」
そこに映っていたのは確かに自分なのに…見ている前で髪の毛は伸び始め、
勢いを増したそれに視界を奪われる。
自分の身に起きた信じがたい現象に恐怖のあまり声すらも出せず、
絶望の中ねこ娘は意識を失った。








「…」
何故、再びこの場所にに辿り着いたのか?
意識を取り戻した場所は、先ほど髪の毛に襲われた喫茶店の中だった。
アレは喫茶店でいつのまにか眠りこけた自分が見ていた夢だったのだろうか?
「目覚められましたね?」
声の主のほうに視線を向けると、純喫茶の店員の男
「…何故あたしはココに?それに貴方は―――」
「私は、ラクサシャというものです。そう、貴女と同じ妖怪です。」
「妖怪…ラクサシャ…?」
「ええ、わざわざ海外から”ゲゲゲの鬼太郎”なる妖怪の噂を聞きつけましてね。
 たかだか少年妖怪一匹倒せぬ同胞達が情けなく感じたので私が退治して差し上げようかと。」
ラクサシャの口から鬼太郎の名前が出ると、ねこ娘の表情が一変し身構える。
「あたしを人質にして鬼太郎を倒すつもり?」
「いいえ…貴女には、鬼太郎を誘い出して欲しいのです。」
「―――そんな事出来ない。
 それにあたしを人質にしたって…鬼太郎は来ないわ。」

331 :

鬼太郎にとって自分はただの仲間。
誘い出すほどの価値なんて微塵も無い存在。鬼太郎は他の大人の女性に夢中で…
永遠に子供のまま、ましてや大人になんて―――綺麗な女性になる事も無い、自分では。
「さぁ?それはどうでしょう。」
ラクサシャは、店のガラス窓の前にねこ娘を立たせた。
ガラスに映るのは店員姿のラクサシャと子供の姿の何時もどおりの自分の姿
「なによ。これが何だって言うの?」
「短気なお嬢さんだ。その姿をよく御覧なさい。」
ガラスを通して自分と視線を合わせるラクサシャがニタリと笑う。
肩に手を置かれ、やがて異変に気がつく
「やだ、コレって…」
やがて髪の毛が伸び始めるガラス窓の中の自分
それに併せるかのように、服が徐々にきつくなり始める。
ようやく自分の身体が髪の毛と共に成長しているのだと思い知らされる頃には、
胸元のボタンは弾けスカートの両脇も破れてスリットのようになっていた。
「ほぉ…ら、どうだね?
 この姿が貴女の大人になった姿―――だ。」
「これが…あたし?」
ガラスに映ったのは長い髪にウェーブがかかった16〜7歳ぐらいの女の人。
背も伸びて、何の変哲も無かった幼児体形の身体は、
女性らしさが溢れた凹凸のはっきりした体つきに。
憧れて病まなかった、大人に成長した自分の姿。
「なかなかどうして、とても綺麗ですよ?
 この姿ならば、貴女の意中の人も射止められるやも知れません。」
「大人になった…アタシ…」
「どうですか?この姿を―――自分自身の意思で、
 いつでも”大人の女性”に変わることが出来たら
 …素晴らしいと思いませんか?」
ラクサシャは言葉巧みにねこ娘を誘惑する。
「さぁ、私の手をとるのです。」
その言葉の真意は解らなかったが、”駄目だ”と身体の中で何かが叫んでいる。
「い…嫌よ。」
するとラクサシャはやれやれといった様子で、首を横に振った。
「いいんですか?
 ここで私を拒めば、貴女は元の姿に…その姿を永遠に失う事になるだけですよ?」
能面のような顔の口の両端が横に広がり、ニタリと笑う

”永遠に子供の姿のまま―――”

332 :

身体を突き抜けたあの衝撃が再び走る。
普段なら、決して乗る事が無かった悪魔の誘い
しかし、心を深く傷つけられていた今、
ねこ娘はやっと手に入れた念願のこの姿を失いたくは無かった。
そして、自分の意思で何時でもこの姿になれるのなら…

―――鬼太郎、あなたは振り向いてくれるの?

攻撃態勢をとっていたねこ娘の手が重力に従い、だらりと下がった。
「フフフ…物分りのいいお嬢さんだ。
 妖怪は自分の欲望には素直でなくては―――
 さあ、この能力で鬼太郎を己がものとするがいい。」
都会の夜空に羽ばたくは一羽の烏。
ねこ娘の認めた手紙を咥え、漆黒の羽を闇に染めゲゲゲの森へと飛んでいく。





カラン…コロン…人気の無い路地裏に響く下駄の音
”鬼太郎…逢いたい―――”の手紙に添えられた地図を頼りに、純喫茶にたどり着いた鬼太郎。
「わざわざこんな所に…しかも一人で来いだなんて、ねこ娘のヤツどうしたんだろ?」
カラン…
店の扉を開けると、空気で解る相応でない雰囲気に戸惑う鬼太郎に、店員が声をかける。
「いらっしゃいませ…此方へどうぞ―――」
先に名乗ったわけでもなく、店員に案内されるままに付いた席にはねこ娘が待っていた。




                               糸売く

333 :
ドキドキ

334 :
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

335 :
>>332続き
4部続きです。
昨日連投規制のエラー?らしき表示があったので今日も厳しいかも。
・ 鬼太郎×猫娘・総集編
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

336 :

「…鬼太郎」
「やぁ、ねこ娘。どうしたんだい?こんな所に呼び出したりして」
「ご注文は?」
店員にに言葉を遮られ、そのまま席に着く。
「鬼太郎、何を注文する?
 ジュースなんて子供っぽいのは、ダメ・だよ?」
「じゃ、コーヒーを」
「かしこまりました」
「本当はケーキも食べたかったりして?」悪戯っぽく笑うねこ娘。
「いや、今日はいいよ。」
暫くして運ばれてきた2つのコーヒーをそれぞれが手にし
ねこ娘は自分のコーヒーをすすりながら訊ねる。
「ねぇ…男の子と女の子が、純喫茶でお茶をするのって、なんていうか知ってる?」
「え?」
「鬼太郎は子供だよね…」
「…自分だって、子供じゃないか…!」
意味ありげなねこ娘の言葉に、少々むっとした鬼太郎は、口調を強めて答えた。
「アタシが子供?」
「そうだよ。」
「あたしがずっと子供のままだと思った?」
「…ねこ娘?」
ねこ娘がアーモンド形の目を細めて笑う。
普段とは違う雰囲気に、何時しか店の空気も変わっていた事に気がつく。
「あたしだって…なれる。綺麗な女の人に……大人に…なれる―――」
ねこ娘の小さな呟きはまるで呪文のように聞こえ、
唱えられるうわ言に併せて目の前の少女は成長していく
「おまえ…ねこ娘じゃないな?!」
「あたしよ?…鬼太郎―――今日だって、
 鬼太郎の家に遊びに行ったのに、鬼太郎居ないんだもん…
 つまらない―――。」
先ほどまでは確かにねこ娘だったのに、目の前に居るのは―――明らかに大人の女性。
本当にこの人がねこ娘だなんて有り得るのか?とっさのことに鬼太郎は身構えた。

「ねぇ…鬼太郎…あたしのコト…もっと好きになってよ―――」

ザワザワ…とした辺りの雰囲気。
やがて、店内全体が歪み始める。

337 :

「うわ―――!!!」
「だって、鬼太郎…大人の女性にしか興味ないんでしょう?
 だからアタシ、大人の姿を手に入れたの。
 ねぇ、鬼太郎…大人になったアタシなら
 好きになってくれる?愛してくれるよね―――?」
向かいの席に座っていた筈の成人女性と化したねこ娘の姿は無く、
目の前には爛々と光る目と裂けた口のみの真っ黒な塊
ザワザワと全身を覆う黒いソレは触手のように伸び、鬼太郎めがけて襲い掛かってきた。


髪の毛―――?!


「髪の毛綱!!」
襲いくる髪には髪で!!対抗し様とした鬼太郎だが、何せ量が違う。
この店に有るもの全て―――店内に居た客さえも髪の毛の創ったまやかしだったのだから
天井から床から壁から、いっせいに鬼太郎に髪の渦が押し寄せる。
目の前のねこ娘は、微動だ似せず目を細めてその光景を眺めていた。
「うふふ…好きよ、鬼太郎―――もう誰にも遠慮なんかしやしないわ。
 鬼太郎はアタシだけのもの、他の誰にも触れさせたりはしない―――」
「ぐぁっ、ねこ娘―――目を覚ますんだ!!」
鬼太郎の叫びも虚しく、視界は髪の毛に覆われ真の暗闇に…
ほんの一瞬、視界を奪われる最後
ねこ娘が微笑んだ気がした―――


「鬼太郎―――!!!」
何者かに取り憑かれ、欲望の塊と化したねこ娘に捕らわれた鬼太郎の元に、仲間が駆けつけ
鬼太郎の救出と共に、ねこ娘から取り付いていたものが離れ、
正気を取り戻したねこ娘の活躍で
印度の羅刹、ラクサシャを倒す事が出来たが、
鬼太郎はこの時初めてねこ娘に全て知られていたことに
知らぬ間に深く傷つけていたことを知った。
何時だって顔を見れば伝えたい言葉が有ったのだが
鬼太郎は自ら自粛していた。
ねこ娘が大事だから、その言葉以外は惜しまなかったし
関係も大切にしてきたつもりだった。
いくら態度で示そうとも、肝心な言葉が足りていなかったのだ。

338 :






事件解決後、鬼太郎はゲゲゲの森に流れる小川にねこ娘を誘い出し、ソフトクリームを手渡した。
「せっかく持ってきてくれたケーキ、台無しになっちゃったからさ。」
「ありがとう。」
一瞬明るい笑顔を取り戻したかのようだったが、直ぐにその表情は暗く沈む。
その理由も解っていたが、肩にポンと手置くとねこ娘がはっとしたようにこちらを振り返った。
「ソフトクリームが溶けてしまう前に食べちゃおうよ。」
「…そうだね。」
川岸に二人仲良く隣り合わせに座り、
素足を川の水につけてブラブラとさせ、暫く無言で食べていた。
鬼太郎は先に食べ終わると、ねこ娘の表情を窺い見る。
何時も明るい笑顔を絶やさぬ少女に、
こんな顔をさせてしまったのが自分だと思うと胸が締め付けられる思いがした。
ねこ娘の心の隙に撮り憑いたラクサシャは許せないが、
その隙を作るきっかけとなった自分はもっと許せなかった。
今直ぐにでも抱きしめて、その愛らしい唇に口付けたい衝動に駆られたが―――
「…ごめん、ねこ娘。」
口から毀れたのは謝罪の言葉。
これまでも幾度と無く、欲望を抑え
このように平静を装い彼女に接してきたのだろう。
でも、二度とあの時のように、恐怖で怯え切った瞳で見られたくなかった。
俯き加減だったネコ娘は目を見開き、弾かれたように鬼太郎のほうを向く。
大きな瞳にはうっすらと涙が滲み、ふるふると力なく首を振った。
「違うよ鬼太郎…謝らなきゃいけないのはあたしなのに―――。」
「いいや違わない。悪いのは僕の方だ、守るべき君をこんなに傷つけてしまったんだから…」
「―――やっぱり、鬼太郎にとってアタシって、小さい子供でしかないんだよね。」
「えぇっ?!何を言って…」
ねこ娘は言葉を躊躇っているのか、下唇をきゅっと噛んだ。
「そんな事無いよ、一体どうしたんだい?」
「だって…鬼太郎あたしの事―――見てくれないじゃない…」
孵変を迎えて時期2年になろうと言うのに、鬼太郎からの積極的な行動は一度も無かった。
何時も一緒で、事件に巻き込まれれば身を挺して庇ってくれた。
優しさに甘えて我侭を言った時も付き合ってくれた。
どんな時でも優しくて…優しすぎて、異性として見てもらえない事が辛かった。
繋がれた手は、幼い妹を守る兄のように思えた。

339 :

「もう隠さなくってもいいよ…アタシが子供だから、
 だから鬼太郎…他の大人の女の人と―――するんでしょう?」
自分を見ていた顔はいつの間にか俯いていて、前髪に隠れて表情は見て取れなかったけれど
震える声に、その瞳は涙に濡れているのだと気付く。
鬼太郎は怖かったのだ。
先の孵変で自分がネコ娘にした罪。
もう、あんな思いはさせたく無かったし、二度と味わいたくなかった。
おばばの妖怪アパートで孵変後の姿を始めて目にした時に再び一目惚れ、
日々を共にするうちに募る愛しさに、現実では適えられぬ欲望を夢に見ることすらあった。
あの日、愛しい想いの影に知った狂気、深い愛故に壊したくなる衝動に、
どうしても自分が許せずに居た。
愛しい少女を手にした自分を抑制する自信が無くて、
激情に流されぬよう自然と距離置いていたのだが、
それが却ってねこ娘を不安にさせていたなんて思いも寄らなかった。
決して隠していた訳ではなかったが、
流石にその口からはっきりと事実を言われれば後ろめたい気分にさせられる。
鬼太郎からすればその場限りで終わる事。
逐一報告するような事ではないのだが、もとより嘘をつくのは上手なほうではない。
ねこ娘に問われれば、鬼太郎は隠す事無くありのままを話してしまう。
但し、一番肝心要の部分をねこ娘は理解しておらず
最悪なことに―――誤解は解けていなかった。
「ち、違うんだ。それは…」
「あたしに言い訳なんてしなくてもいいよ?
 解ってるもん―――誰だって、綺麗な大人の女の人のほうが…
 鬼太郎だってそうでしょう。」
もどかしい―――伝わらない想いがもどかしすぎて、
鬼太郎はたまらずねこ娘の唇を奪った。
想像もしていなかった出来事にねこ娘の頭の中は真っ白になり、
瞳の瞳孔は驚きに縦長に細く伸びる。
「…ゴメン。許されない事も、卑怯なのも解ってる。
 こんなタイミングで君に口付けた僕を軽蔑してくれても構わない。でも―――」
今までずっと胸の中で書け繰り返し言い続けていた言葉を、今伝えずには居られなかった。
「スキ―――だよ、ねこ娘。」
あの時学んだ"言葉”にしなければ伝わらない想い。
解っていたけれど、ずっと自粛してきた言葉。
ねこ娘に何時だって囁き、伝えたかった。
自分がこんなにも彼女を想っている事を
「…うそ」
思いがけない鬼太郎の言葉に、ねこ娘は身体を硬直させた。

340 :

「嘘なんかじゃない。
 何時だって君の顔を見れば”好きだ”と心の中で唱えていたよ。
 でも、僕には口にする資格が無かった。」
「鬼太郎…」
「あの日僕が君にした事は決して許される事じゃない。
 なのに君は優しくて―――。」
いっそ泣き喚いて己の非を罵ってくれた方が楽だった。
その方が情けなく許しも乞えただろう。
けれど、鬼太郎を責める事も無く、
ねこ娘は常に傍で支えて居てくれて、いつも明るい笑顔を絶やさなかった。
その笑顔に幾度と無く救われたことだろう。
その優しさにどれだけ甘えていたのか
「ずっと、ずっと許して欲しかった。
 僕の全てを投げ出して償えるものならば償いたかった。」
「もういいよ、いいのよ…鬼太郎。」
普段は落ち着いて物静かな鬼太郎が取り乱した姿を見て
ねこ娘は思わず抱きしめた。
鬼太郎がずっとあの日の事を背負っていたなんて、
それも自分よりずっと深い傷を心に負って
「もう自分を責めるのはやめて?
 あれは、あたしたちお互いが素直になれなかったのが悪いんだもん。
 鬼太郎だけの罪じゃ…ないよ…。」
「ねこ娘…」
「でも、鬼太郎…すごく怖かったんだよ?」
「―――ごめん…でも、苦しかったんだ。
 君が他の誰かのものになったと思って…気が違いそうだったよ?」
あの時、素直に話せなかった事が、伝えられずに居た想いがこうして言い合える。
本当に、何故あの時それが出来なかったのだろう。
「あたしも…だよ?だから―――他の女の人に触れちゃ…いや」

「誓って触れてないよ、誰にも。
 確かに誤解されるような行動だったし、証明できるものは…何もないけど。
 彼女たちを慰めるために、幻術をかけていただけなんだ。」
鬼太郎はホトホト困り果てた様子でねこ娘に訴えた。
この最悪の誤解だけは何としてでも今!解決したかった。
「ほんとうに?」
瞬きをしたら滴が溢れそうなほど潤んだ瞳で、ねこ娘は鬼太郎を見つめた。
ねこ娘だって本当は鬼太郎は潔癖だと信じていたかったのだ。
でも、ほかの女性と一緒に居たという事実がねこ娘を不安にさせていた。

341 :

彼女はきっと、見た目と同じく穢れを知らぬ純真無垢な少女のままなのだろう。
ただ、鬼太郎には一つ気になることがあった。
以前は時より姿を消すことがあった。
それが何を意味するものか知ってからは、
ずいぶん残酷な事をしてしまったと思い悩んでいたのだが―――
「…ところで、ねこ娘。
 その…君は、季節の―――は、
 大丈夫なのかい?」
「季節…の?」
「その…ほら、春とかに…
 僕は必要ないのかな?…って。」
「…にゃっ!?」
ようやく鬼太郎の言った言葉を理解したねこ娘は
全身を硬直させて赤面した。
今頃になって鬼太郎と触れた唇が熱くなり、早鐘を打つ鼓動が耳まで響く。
急に鬼太郎の隣に座っているのが恥ずかしくなって
彼の顔をまともに見られそうもなく、スカートの裾を握りしめる。
「う…うん…まだ、まだなの。」
「―――そう。」
気にしていた事だけど、ねこ娘が一人苦しんでいないのならば、それは良かった。
良かったけれど―――
ものすごく残念そうに溜息をついた後、
鬼太郎はねこ娘の顔を下から覗き込んで言った。
「でも、これからは我慢なんてしないよ?
 君の本心も知ってしまったしね。
 ねこ娘は”自分を見て”って言ったけど
 僕が今までどんな目で君を見ていたか
 どれだけ君を好きなのか教えてあげる。」

「やだぁ…恥ずかしいよ。」
ねこ娘は鬼太郎を紳士だと思っていたから
この大胆発言に驚きを隠せなかった。
反射的に両手で顔を覆おうとしたが、その手は捉えられ
思わず鬼太郎のほうを見た。
彼は静かに、真っ直ぐにねこ娘を見つめていた。
「僕ももう逃げたりしないから、ねこ娘も逃げないで?
 君を誤解させたり、悲しませるような事は…二度とやらない。
 約束するよ?誰よりも君が好きだから。」
「ん…あたしも、鬼太郎が…好き。誰よりも―――」
夕日に照らされ長く伸びた影がゆっくりと一つに重なる。
互いを大切に思うが故に、相手を傷つけてしまっていた事を知り、
それを乗り越えた二人の結びつきはよりいっそう硬くなった。
                                糸売く

342 :
コピペミスしました。
57と58の間に下記文章が入ります。
―――
>>340続き
「本当だよ、それだけは信じてほしい。
 だって、君じゃなきゃ…
 ねこ娘以外じゃ僕の体が反応しないんだ。」
「うん…?」
鬼太郎は上目づかいにねこ娘の表情を探るが
彼女は彼の言った意味を理解できていない様子で
キョトンとしている。
>>341

343 :
すごく納得してしまう
5期に行って実写も…読んでみたい

344 :
長編にお付き合いいただき有難うございます。
>>343
5は消化できたらいつか続きとして書いてみたいです。
過去にも投下しましたが、鬼太郎の他に蒼兄さんや黒ちゃんがいて
一筋の妄想が難しいのが困りもの
しかも5は、他にもいろいろ要素が盛りだくさんで
個人的にはオカマと魔女っ娘がツボでした。
映画verは3部張りに切ない感じになっちゃいそうです。
>>341続き
引き続き4部です。
・ 鬼太郎×猫娘・総集編
・ お好みに合わせて◆以下NGワード登録なり、スルーよろしこ
・ 基本は何時だって相思相愛♥
誤字脱字、おかしな所があってもキニシナイ(゚∀゚)!!

345 :






時代に大きな影響を受けたのか、それとも例の件が強く尾を引いたのか、
一見、冷静で落ち着きのあるように見えた少年、鬼太郎は
他者の痛みのわかる優しい心を持ち合わせていた。

移り行く時代に翻弄される仲間達、新旧の交代。
何かを守る為に命を落としていった仲間、人に伝わらぬ思い―――
遭遇する事件の解決が何時も晴れ晴れしたものとは限らず、結末に疑問を抱いたり
やり切れない思いを抱える事もあった。
後にこれらの経験は妖怪アパートを発展、
ゲゲゲの森の存在自体を大きく変える動機となる。
ゲゲゲファミリーばかりではなく、
ゲゲゲの森や人間界に住まう妖怪達の現在を直に見て知り
人との共存を果たすのは決して容易い事では無いと解っていても、
心根優しい鬼太郎だからこそ、悪夢に襲われ妖怪ノイローゼを発症した。
それは、妖怪代で打ち破られた陰謀に加担していた百ん爺の逆恨み
『睡眠』は3大欲の内の一つに数えられ、
妖怪といえども生きていくためには欠かせない休息の時。
一日の疲れを癒し、精神の均衡を整える為にとても重要な役割を果たしているものでもある。
それを『悪夢』に変えられ、
夢の中での出来事があたかも現実であるように、肉体にも影響を及ぼす。
目の前で眠る鬼太郎の身体には、
次々と決して軽いものではない不自然な傷跡が浮かび上がるのだった。
ねこ娘は堪らず、鬼太郎の傷に自分のハンカチで手当てをしたのだが、
このことで鬼太郎が何か閃いたようだった。
夢の中で戦う事を決意した鬼太郎は、
戦いに備えゲタとチャンチャンコを身につけ眠についた。
ねこ娘は傍らで、鬼太郎が放ったゲタを拾い足に履かせるという事を繰り返していたが、
事態は好転するどころかどんどん深みに堕ちて行くばかり。

初めは戦う事で、抜け道を探した鬼太郎だが、
変らず繰り返される悪夢と睡眠不足。
肉体や精神の健康を奪われ、やがて妖怪ノイローゼを発祥する。
悪夢に対し恐怖するようになり、休息であるはずの睡眠をとる事を精神が拒み、
眠ることによって精神を安定させる事が十分に出来ぬ鬼太郎の精神はやがて蝕まれていく。
このままでは拙いと、井戸仙人に相談し、
その原因と解決の糸口を授かり、向ったのは恐れが淵。
ここでは己が抱いた恐怖が、悪夢の如く実体化し襲い掛かってくる。
悪夢によりすっかり精神が弱っていた鬼太郎は、忘れていた。
何時如何なる時も『一人ではなかった』事に
常に仲間が支えていてくれた。
自分の傍らには、最愛の存在―――ねこ娘が微笑んで居てくれた。
それを思い出させてくれたのは、ねこ娘が手当ての時に巻いてくれた、彼女のハンカチ。
何時だってそうだった、釜なりのときも妖怪塔の時も、彼女は自分を信じて支えてくれた。

346 :

此処へ来る時にも、自分が必ず立ち直って帰ると信じて、皆で待っていてくれている。
帰らねば、何を自分はこんなところでやっているんだ。
約束したではないか「二度と悲しませるようなことはしない。」と
自分を信じて待っていてくれる仲間の居るゲゲゲの森へ
ねこ娘の元へ帰らねば―――

「僕は、僕は”ゲゲゲの鬼太郎”だー!!」

鬼太郎は己を取り戻し、父と共にゲゲゲの森にあるゲゲゲハウスに帰還した。

「お帰り、鬼太郎―――!」

ゲゲゲハウスにねこ娘の声が響く。
胸に抱きついてきたねこ娘の背に腕を回し、鬼太郎は静かに微笑む。
ねこ娘は瞳を潤ませ、鬼太郎の顔を見上げた。
「ただいま、ねこ娘。…ゴメン、ねこ娘に貰ったハンカチ、
 恐れが淵で無くしてしまったみたいなんだ」
「いいよ、鬼太郎が無事で帰ってきたんだもん。鬼太郎…」
ねこ娘は鬼太郎の胸に顔を埋めた。
幻ではない鬼太郎の存在に、
確かに帰ってきたのだと実感すると涙は溢れて止まらず、
鬼太郎の服に吸い取られていく。
「ありがとう、ねこ娘。君のおかげで帰ってこれた。
 あのハンカチのおかげで、僕は大事なものを見失わずに済んだんだ。」
ねこ娘のハンカチは恐れが淵で失ってしまったが、
自分を信じて待っていてくれた仲間の存在を、
もう忘れることは二度とないだろう。
自分は一人ではない。今も、これからもずっと。
それから直ぐ、立ち直った鬼太郎を深い悲しみに落とす事件や
八百八狸の大騒動もあったが、鬼太郎が挫けることは無かった。
散々絡んできたぬらりひょんも、
妖怪王の一件妖力を使い果たしたのか、
悪さをする力も失われたようで、妖怪がらみの事件はめっきり減った。





「―――静かだね…」

ゲゲゲハウスに遊びに来ていたねこ娘が、とても退屈そうに言う。
平和な日常に、目玉の親父も子啼き爺の所へ将棋を指しに行ったのか
その姿は無く、鬼太郎と二人きりのようだ。

347 :

「そうかい?たまには良いんじゃないかな…」
鬼太郎は本を片手に返事をする。
その様子をそっけないと感じたのか、
ねこ娘は床に転がると鬼太郎のほうを見た。
「鬼太郎…こんなに天気が良いんだから、外に出ようよ。」
「う〜ん…」
本がよほど面白いのか、
返事を渋る鬼太郎の視線は開かれた頁に釘付けで、
痺れを切らしたねこ娘は顔を覗き込む。
「ねぇってばぁ…」
「ん…」
本に集中している様子の鬼太郎に、
ねこ娘は頬を膨らませてふててしまった。
鬼太郎はねこ娘に気取られぬよう時より本から目を放しては、
彼女の様子を楽しんでいるようだった。
その証拠に、ねこ娘がこちらを見ようとすると、
何気ない顔で本に視線を戻す。
ねこ娘は、暫く天上を見つめ何かを考えていたようだが、
良案でも思いついたのか、鬼太郎の真横に寝転がり、脇に頭をつける。
「お、おい…ねこ娘。」
予想外の行動に、鬼太郎は少し驚いたようだったが、
口調は照れた感じだった。
「だって詰まんないんだもん。
 だからあたしも鬼太郎と一緒にするから、本読んで?」
「しょうがないなぁ…」
ねこ娘と視線の合った鬼太郎は、
にこりと微笑むと腕枕し、二人で本が見えるように開いた。
暫く声に出して読むうちに、
ふと気がつけばねこ娘は鬼太郎の腕の中で寝入ってしまっていた。
穏やかな寝息を立てるね彼女を起こさぬよう、
本をそっと置くと小さな身体を抱き寄せ、鬼太郎も瞳を閉じた。
何時か、妖怪と人間が分かり合える日がくれば、
何時でも穏やかな時を二人で過ごすことが出来るのだろう。
どんなに遅い歩みだとしても彼女と共に大人への階段を翔けて行きたい。
そう願いながら、ねこ娘の頬に口付けたのは、最後の戦いの前だった。

「妖怪天国ツアーに行かねぇかい?」

春も近づいたある日の事。
怪しげなツアー話をねずみ男が持ってきた。
砂かけと子啼きの付き添いと進めもあって、父のツアー参加を快く承諾した。

348 :

何故ならば、自分は既に前の地獄旅で母に再会を果たしていたし、
何よりも好いた娘が傍に居る今、父の気持ちが何となくわかるからだ。
実際見送りに行ったときの列車はちゃんとしたものだったし、
平和そのものだったから留守を守るぐらいなんでもないと思っていた。
なにより、ねこ娘と一緒だったから。
しかし、それが神とヒ一族の巫女の罠だとは知るよしも無かった。
そして再び母に助けられようとは。
父と入れ替えにゲゲゲハウスに現れた、
ヒ一族の巫女扮する偽母に気がつかず、毒入りの食事を食べてしまい苦しむ鬼太郎。
異変を察知し現世に来た夜行さん、
そしてねこ娘は成す術が無くただうろたえるだけであった。

其処へ現れたのが、地獄にしか咲かぬ毒消し草の花一輪とアゲハ蝶。
虫や生き物とも心通わす鬼太郎だが、
不思議な偶然よりも鬼太郎の危機を救うほうが優先された。
そして、「妖怪天国ツアー」そのものが怪しいと知り、
父と同行した砂かけ達を追って地獄へ向った。

白蛇と化したヒ一族の巫女に苦戦する鬼太郎の前に、
再び現れた蝶にまたしても危機を救われた鬼太郎は、
蝶の背後にぼんやりと人の姿を見た。
母の名残だという、人形を渡されて鬼太郎はあの蝶は自分の母だと悟った。
あの時、母が現世に残した言霊は、
大気と共に見えなくとも常に夫と子供を守っていたのだ。
わざわざ「妖怪天国ツアー」などに参加せずとも、妻は常に傍に居た。
会いに行こう等と、今思えば馬鹿な事を考えたものだ。
病により愛した妻を失い、
自分は唯一病に犯されていなかった目玉に魂を宿らせ今の姿になった。
ゲゲゲの森と呼ばれるようになったこの場所に腰を落ち着けてから
どのくらいの時が経ったのだろうか?
ふと、高い天井を見上げると茶碗風呂の湯がチャポンと言う音を立てた。
”あなた、あまり長湯をしては身体に毒ですよ?”
「―――うん?」
瞳を閉じれば目蓋の裏に、自分を心配して覗き込む妻の姿が見え、返事をする。
例えその姿は見えなくとも、妻は何時だって傍に居たのだ。
あの時、妻の身は失われ魂は地の底に引き戻されてしまったが、
互いを思う気持ち、我が子を愛しむ思いは同じだった。
身を置く世界の違いはあれど、心は常に一つであったと気が付いた今は、
こうして妻の存在を感じることが出来る。
今は亡き愛妻は、幽霊族の女ではなく異種族の女であった。
ただ、幽霊の血を引く奇妙な血統に生まれた女では有ったから、
人間よりは近い種族の出であったのかもしれない。
しかし、既に数少なくなっていた幽霊族の生粋の血統を守ってきた一族からは
当然婚姻を反対された。
祖先が地上に現れた人に追われ、
争いごとを避けるように隠れ住い此度まで生きてきた一族は、
酷く人間を恐れて居た為に、僅かに人の血を残す妻を娶る事は許されなかった。

349 :

一族よりも妻を選んだ男は慣れ親しんだ地から離れ、
一族が恐れて近寄らなかった人界へと降りたったが、
人目に触れるように生活を始めた。
この世にたった二人きり、並々ならぬ苦労はあったが幸せだった。
生まれ故郷を去った後に、一族が全滅すると言うショックな出来事もあった。
なかなか子が授からずに悩んだ時もあったが、
妻と共に過ごした掛替えの無い日々は本当に幸せだった。
最愛の妻を失うと同時に、授かった我が愛息子…鬼太郎
異種族の妻の腹から生まれた、
幽霊族の血を継ぐ我が息子は強靭な肉体と能力を授かり、
不とも言える命を得て父子共々いつしか妖怪と呼ばれるようになった。
外で仲良く戯れる童子童女を見ていたら、ふと己の時の歩みを思い出した。
あの時、自分が妻に惹かれた様に、息子もまたあの少女に惹かれるのだろう。
それは生粋とはいえぬ、互いの存在の為なのか、
内に流れる唯一の同族の血…人の血が本能的に呼び合うのかは解らない。
ただ、二人が…他の誰もが気づく事の無い、
目に見えぬ奇妙な縁に結ばれている事だけは確かだった。
異性の幼馴染として繋がれていた幼い手は、
やがて恋人同士として繋がれるようになるのだろう。
そして自分が妻を娶ったように、一生を添い遂げる伴侶と為るに違いない。
この世に生を受けた時に付けた名に恥じる事無く、
強く逞しく育った息子の傍らには幼馴染の少女が妻として寄り添っって行くのだろう。
自分が選んび、今まで歩んできた道も、
息子が選びこれから歩もうとしている道が正しいかどうかは解らない。
父は只、息子が選んだ一族の行く末を若い二人にに託し、見届ける事しか出来ない。
繁栄しても、例え滅びの道を進むにしても。
それが「」を拒絶してまで現世に止まった自分の定めなのだ―――
”私達の子は―――逞しく育ってますね。”
「うむ―――あれに勝る宝などない…自慢の息子じゃよ。」
風に撫でられ、妻の髪がさらりと揺れる。
そよ風に運ばれてきたのか茶碗風呂には桜の花びらが一枚。
”あら、近くに花が咲いているのかしら?”
「かもしれんのう。」
チャポン…手ぬぐいでぬぐうと湯船が揺れ水音が静かに響く。
今まで歩んできた道のりが正しかったとは言い切れないが、
自分が選んだ道が間違っていたとは思わない。
なぜならば―――
「わしらは素晴らしい息子に恵まれた。そうは思わんか?」
”そうですね”
おぼろげに妻が微笑む。
妻を選んだことで、素晴らしい仲間、
そして何者にも代え難い大切な宝物である息子を授かる事が出来た。

350 :

事件など無い静かな時に身を浸し、幸せに酔う目玉の親父であったが、
孵変の時が近いのを長年の経験から察知していた。
約十年おきに興る人間界の大きな変化は、人に身近な妖怪ほど影響を受けやすい。
避けられぬ運命、来るべき時には、又歩む道を選ばなければならなのだ。
時の流れを肌で感じ、
新たな時代の訪れを予感しつつある目玉の親父とは対照的に
鬼太郎とねこ娘は、何も知らまま
変わらぬ日々を過ごしていた。
ゲゲゲの森を抜ける薫風にピンク色のリボンを靡かせ少女が一人。
手土産を持って向かうは、ゲゲゲハウスに居るであろう少年の元へ。
「こんにちは、鬼太郎居る?」
木の梯子を上がり、
そっと簾を持ち上げて覗くと床の上で読書中の少年の姿があった。
「やぁ、ねこ娘。良い所へ来てくれたね。」
「”いい所”って…?」
言われた意味が解らず、小首をかしげる少女に対して少年は微笑んで手招く。
ねこ娘は招かれるままゲゲゲハウスに入り、
手に持っていた袋をちゃぶ台の上に置いた。
「この辺に座ってくれるかい?」
「いい…けど?」
少年は自分の頭の近くへと少女を座らせ、
その膝へと頭を乗せて仰向けになる。
「有難う。」
驚きに瞳を丸くしたが満足そうな顔で見上げられ、
何も言う事が出来なくなってしまう。
「…何の本読んでるの?」
「これかい?この本は、薬草に関する本だよ。
 父さんが井戸千人に借りた本なんだけど、面白くてね。
 ところで、ねこ娘は僕に用事があったんじゃないのかい?」
「あ…うん。
 えっとね、オババが桜餅作ったから鬼太郎にって。
 あたしも一緒に作ったんだよ。」
「有難う。後で一緒に食べようか。」
「うん!」
ねこ娘の膝枕、仄かな甘い香り。
眠気を誘われて鬼太郎は大きなあくびを一つする。
「そういえば、今朝から父さんの姿が見えないんだけど
 ねこ娘、知らないかい?」
「あれ?親父さんならオババ達と一緒に出かけたよ。
 それでオババが朝から色々作ってて
 あたしも一緒にお手伝いしたんだよ。」
「…そう。」
眠気に襲われた鬼太郎の朦朧とした返事に、
お喋りに夢中になり始めたねこ娘は気が付かない。

351 :

「でね、でね。桜餅の餡子を煮るのに
 オババと交代で二日もかけて作ったんだよぉ。
 粒餡と漉し餡と両方!
 すっごく美味しく出来たんだから。」
「それは…楽しみ、だね。」
「でしょ?桜の葉っぱはね、
 去年オババと塩漬けにしたやつなんだよ。
 で、オジジが川沿いで遅咲きの桜を見つけてね
 親父さんと桜の木下でお酒でも呑みながら
 将棋しようって事に成ったらしいの。
 それでオババが、折角だから作った桜餅を持って
 お花見しようって…鬼太郎?」
いつの間にか鬼太郎は安らかな寝息を立てて寝入っており
本を持っていた手が、床に滑り落ちた事でねこ娘は気が付いた。
「もう鬼太郎ったら、直ぐ寝ちゃうんだから…。」
そう言って寝顔を見れば、見た目相応の幼い寝顔で思わず頬が緩んでしまう。
ねこ娘は知っている。
かまなりに妖力の源である髪を奪われ、
高熱に魘され床に伏せっていた時、妖怪ノイローゼに係り、
悪夢が現実となって肉体に及ぼす苦痛に歪めた寝顔に、
どうする事も出来ずただ側で見守る事しか出来なかった。

己の非力さを思い知らされた苦い過去、
忘れる事など出来るはずも無い。
だからこそ、鬼太郎の穏やかな寝顔を見守ってあげたいと、
眠りを妨げるような事はしたくなかった。

戦いを好まず、穏やかで他愛の無い日々を好む少年は、
生まれ持った凄まじい力で権力を振るうわけでもなく、
他者の為に、人や妖怪が共に仲良く暮らす為ならば、
自分の能力を惜しまず発揮し、好まざる戦いにも自ら挑んだ。

こうして無邪気な寝姿を見ていると、
鬼太郎がとても凄い妖力の持ち主だとは思えない。
最も、妖怪を見た目で判断する事は間違いなのだが。
それよりも、ついお喋りに夢中になってしまい、
鬼太郎の変化に気づけなかった自分を省みる。
鬼太郎が身を挺して庇ってくれる事が多々有った。

多分、無意識だろう。しかし、何時も鬼太郎には、助けられてばかりだ。
そんな自分は、少しでも鬼太郎の助けに成る事が出来て居るのだろうか?
ふとそんな思いが過り、自分より長い髪の毛をそっと撫でると鬼太郎の寝顔が綻ぶ。
「…ねこ、むすめ。」
「や、やだっ…鬼太郎ったら。
 一体どんな夢を見ているのよ。」
思いがけない少年の寝言に、ねこ娘は耳まで赤く染め上げ、目を細めた。
膝を鬼太郎に貸し、身動きできないねこ娘もやがて睡魔に襲われ、
ウトウトと微睡始めた。

春が過ぎ、初夏が近づきつつあるゲゲゲの森には
若葉の香りを含んだ爽やかな風が吹きぬける。

352 :

幾ら暖かな陽気になってきたとはいえ、風はまだまだ冷たさを含み
素足を撫でられれば、その肌寒さにぶるりと身震いし、意識が目覚めた。
いつの間にか転寝をしてしまった事に気が付いて、
寝てしまう前何をしていたのかと
寝ぼけ眼で見上げると、小さなピンク色が目に映る。
「…桜?」
鬼太郎は思わず呟いた。
時期的に、咲いている桜はあるだろうがゲゲゲの森の桜は、ほぼ散ってしまい
今は新緑の葉桜と成りつつある。
ただぼんやりと、瞳に見える桜色に無意識に手を伸ばす。
「鬼太郎?」
指先に触れた柔らかな感触共に、聞きなれた声が耳を擽ると
意識が息に目覚め、視界が開けると自分が触れたのは、ねこ娘の唇だと気づく。
そうだ、ねこ娘の膝枕で読書をしている最中、
本の内容から全く違う話に変わっていき
彼女の話し声を聞いているうちに、
心地のよい声と窓から差し込む暖かな陽だまりに眠気を誘われたのだ。
当のねこ娘は、寝ぼけた鬼太郎の指が唇に触れ、驚いて名を呼んだ様だった。
そしてその指はまだ、ねこ娘の唇に触れており、
目覚めた鬼太郎は驚き顔のねこ娘と視線が合うと
軽く微笑み返し、桜色の唇を指先でなぞる。
「ごめん、桜の花弁かと思った。」
「もう、鬼太郎ったら…
 話の途中で寝ちゃうんだもん。」
軽く頬を膨らませて怒ったように見せるねこ娘の様子が愛らしくて、
つい笑みが漏れてしまう。
そうは言いつつも、寝入ってしまった自分を
起さずに休ませてくれる彼女の優しさを解っていた。
解っていても、ついつい彼女の優しさに甘んじてしまう狡い自分が居る。
「ねこ娘の膝枕が余りにも具合が良くてさ。」
「にゃっ!」
にっこり微笑んでねこ娘を見上げると、ねこ娘は頬を赤らめて視線を反らした。
彼女が怒っては無いであろう事は肌で解る。
見た目は幼い子供のままの二人だが、付き合いは決して短くは無い。
ねこ娘の反応に、鬼太郎はくすくす笑いながら問いかける。
「…で、さっきの話の続き。
 何処までしたかな?」
「えぇっ…っと。
 オジジが川沿いで遅咲きの八重桜を見つけたから
 オババが今度はそこで花見をしようって…」
「ああ、そうだったね。
 それで父さんも出かけていたんだっけ。」
「そうだよ、鬼太郎。思い出した?」
コロコロと鈴を鳴らすような笑い声が心地よい。
桜色のねこ娘の唇をぼんやりと眺めながら、
先ほど触れた指の感触を思い出し、胸が高鳴る。

353 :

瑞々しいサクランボの様にぷっくりとした唇は、
一体どんな味がするのだろうか?
幾度と無く味わった唇は魅力的で、飽きることが無く
邪な考えを誘いがちだ。
しかし、今日は甘いに違いない。
だって、彼女からはこんなにも甘い香りがするのだから。
柔らかいのに弾力のある、ねこ娘の桜唇。
魅惑的な味を確めるべく奪う事は、
その気に成りさえすれば今直ぐにでも出来る事だが、
この穏やかな一時を壊す気には到底なれない。

ねこ娘から仄かに漂う甘い香りが再び眠気を誘う。
鬼太郎は先ほどねこ娘の唇を触れた指先で自分の唇を触れると、
再び隻眼を伏せた。
閉ざされた瞳の奥、全くの闇の中舞うのは一片の桜。
それは幾度と無く闇の深淵に呑まれそうになる自分を救ってくれたねこ娘そのもの。
恐れヶ淵を乗り越える事が出来たのも、ねこ娘が居たから。
彼女が居たら、希望が持てた。自分自身を見失わずに居る事が出来た。
だから今は闇を恐れる事無く漆黒の寝床に身を沈められる。
ねこ娘の温もりを肌に感じながら、鬼太郎は深い眠りに付くのだった。




                               糸売く

354 :


『運命の時』それはある日突然、何の前触れも無く訪れる。

木々が鬱蒼と茂るゲゲゲの森の、
更に奥深くに有るゲゲゲハウスへ続く道。
その道筋を知る数少ない者が一人、とぼとぼと歩いていた。
辿る足取りには力が無く、
歩みに合わせて赤いスカートの裾は淋しそうに揺れ、
常に明るい彼女を知る者ならば、全くの別人に見えたかもしれない。
ほぼ毎日通ったこの道は、
昨日まではウキウキするような楽しさが有ったと言うのに、
気分のせいか何時までたっても辿り着けない。
心なしか森に拒まれ、迷宮を彷徨っているのではないかとさえ思われた。
大好きな者の家へと続くこの道が、今日は暗く遠く感じる。
重い足を引きずりながらも、
ゲゲゲハウスが目に映れば安著の溜息が漏れたが、
気分が明るくなる事は無かった。
家に上がる梯子の袂で、
不安を携えたアーモンド形の瞳は部屋の入り口を縋るように見つめていたが、
意を決したように梯子を上っていった。
そっと簾を手でよけ、遠慮がちに中を覗き、
鬼太郎の後姿を所在を確かめる。
外に居た時に、既に彼がいることはにおいで感じ取ってはいたが、
目でも確認しておきたかった。
「…こんにちは」
やっと絞り出したような弱々しい声は、泣き声に変りそうに聞こえた。
「ねこ娘?どうしたんだい。」
「…」
二人は浅い仲ではない、
声だけでねこ娘の身に何かが起こったであろう事を感じた。
それでも勤めてにこやかに、
笑顔で振り返ったが瞳に映った彼女の顔色は蒼白で、
鬼太郎は立ち上がるとねこ娘の手を取り部屋へ招き入れ座らせたのだが、
ねこ娘の指定席である鬼太郎の隣に腰掛けても、
ぎゅっとつかんだスカートの裾を凝視していて、こちらを向いてはくれない。

普段の彼女らしからぬ態度、
かなり思いつめた様子に何か父に大事な相談事でも有ったのだろうかと問い掛けてみる。
「今日は…父さんに何か用事が有ったのかい?」


355 :

ゲゲゲハウスでは日常的な光景である目玉の親父の茶碗風呂を楽しむ姿は無く、
机には伏せられた茶碗だけがあり、
こなき爺に呼ばれて化け烏と共に出かけたばかりだと鬼太郎が説明したが、
ねこ娘はただ首を横に振った。
父に相談しに来たのではないとすると、話があるのは自分だろう。
俯いた顔は前髪に隠れて表情は読取れず、
ねこ娘から話してくれる様子は無い。
もともと余り気が利く方ではなく、
口が達者なわけでもないから、
ねこ娘の心を解き解す事の出来ない自分が歯がゆく感じた。
掛けるべき言葉が見つからず、肩に手を置いたはいいが、
如何する事も出来ずに無言のまま顔を覗き込むと、不意にねこ娘と視線が交わった。
綺麗なアーモンド形の瞳には、
瞬きすれば直ぐにでも零れてしまいそうな程に涙が浮かんでいる。
鬼太郎は、はっと息を呑む。

…以前にも、同じような事が無かっただろうか?

しかも、一度ばかりではない。
嫌な予感がする。
もしかして…
「…ねこ娘…もしかして…”兆”が表れたのかい?」
俯いたねこ娘の小さな肩が、びくりと竦んだ。
―――図星だ。
ねこ娘が落ち込んでいる原因が漸く解ると緊張が解け、
鬼太郎は掴んだ肩を引いて胸に抱きとめた。
「…大丈夫だよ。ねこ娘がそうなるなら…僕だって時期になるさ。」
なんて事だろう。
つい先日、この先を夢見てお互い語り合ったばかりだというのに―――






356 :

『…髪結び猫?』
鬼太郎の発した言葉を、ねこ娘はそのまま疑問で返した。
彼女が口にした妖の名は古い文献に隠される様に記されていた。





「おや?」
ある朝、数少ない冬物と春物の入れ替えをしていた鬼太郎は
一冊の古書に気が付いた。
すっかりホコリがかぶっていた本を両手で持ち上げ、
木戸の窓を開ると埃を吹く。
「ゲ…ゲホッ…こ…この本は?」
吹いた埃に思わずむせ、焼けた緑色の本の表紙に目をやった。
以前ねこ娘が持ってきた猫族妖怪に関する書物であった。
猫仙人の時にねこ娘がわざわざ持ち寄ってくれた書物であったが、
父のうっかりした一言で怒らせてしまいそのまま返し忘れていたのだ。
結局あのときのことはきちんとした謝罪もせずに、
ねこ娘がその場に駆けつけてきてくれたので、
有耶無耶になってしまっていた。
見つけてしまった以上、
借りたこの本も何時までも持っているわけには行かないが、
返すにも”いわく”があるゆえに気まずい。
さてどうしたものかと何気に頁を捲った時に、ふと違和感を感じた。
その頁に手を止めると、
厚さ的にも作りも他のページと大差がないが、
明らかに不自然だと第六感が告げる。
鬼太郎はふとした閃きで、その頁に妖気を送ってみた。
すると、違和感を感じた頁が送った妖気に反応して見る見る剥がれて2枚に増えたのだ。
「こ…これはっ…」
そして、隠されていた開きの頁を見て固唾を呑んだ。
態々他の頁と変わり無い仕様にしながら、何故隠さねばならなかったのか
そこに描かれていたもの…とは?
「鬼太郎、片付けは終わったのか?」
「すみません父さん、本を返しに行ってきます。」
「…ん?おい鬼太郎!!」

357 :

鬼太郎は、その本を見せる事で
あの時不快な思いをさせてしまった事を思い出させてしまうのでは?と
不安で躊躇っていたのだが、そんな事はどこへやら
本を閉じると着物の入れ替えをしていた事も忘れて、
ねこ娘のところへ駆けていった。

ねこ娘の住まい―――現在は砂かけが管理する妖怪アパートの一室に在る。
一気に駆けてきた鬼太郎は両手を膝につき、
ぜいぜいと息をしながらヘアのドアをノックした。
「は〜い。」
中からは部屋に住まう幼き住人の声がして、部屋の入り口が開かれた。
「あれ、どうしたの鬼太郎?」
呼吸が落ち着かずに、まだ肩で大きな息を付く少年を見て不思議そうに名を呼んだ。
「こ…この本、ねこ娘に返そうと思…って…」
「あ〜コレ鬼太郎の家に忘れてきてだんだぁ。」
ねこ娘はその本を置いてきた理由などすっかり忘れているようだった。
「ありがと♥鬼太郎。」
「ちょ…まって…凄いもの…見つけたんだ。」
その言葉に一瞬猫目を大きく見開き、
ぱちくりと瞬きしそのまま少年を部屋に招きいれると再び戸は閉ざされた。
部屋に招かれた少年は、家主に進められるわけでもなく
ちゃぶ台の周りに置かれた座布団に鎮座する。
その場所は既に彼の定位置で、座った少年の目の前に少女は湯飲みを置いた。
置かれた湯飲みは客用のものではなく、
少年専用の湯飲みでこの部屋には他にも
いくつか少年のものらしき物が幾つかあるようだ。
「…で、凄いものって…なぁに?」
好奇心旺盛な子猫のように、瞳をきらきらさせて少年のほうへ身を乗り出した。
少年は漸く落ち着いたらしく、指を挟んであった本の頁を開く…が
「あれ?確かに開いていたページに指を挟んで持ってきたはずなのに…」
「この頁に書かれている猫妖怪がどうかしたの?」
「いや、この頁じゃないんだ…そうか、妖気に反応して開くんだな…」
鬼太郎は最初にこのページを開いた時と同じように再び妖気を送り込むと、
先程の隠し頁が再び開かれる。
「…ちょ、ちょっと鬼太郎…これって…」
「さっき家でこの本を見つけた時に気が付いたんだ。
 どうやら妖気を送る事で見られるようなんだ。」
二人の目の前に開かれた頁には妖怪文字で「髪結び猫」と書かれており、
隣頁には墓場で火の玉を周りに侍らせ髪を結う、
17〜8位の妖艶な美女が描かれていた。

358 :

纏う衣装に時代の違いはあれど、
一度その姿を直に見ているから鬼太郎は知っていた。
その時は何も知らなかったから、羅刹の見せた幻影かと思っていたが―――
でもここに描かれているのは…
「…君、だと思うんだ。」
「待ってよ鬼太郎。
 あたしは丹波の生まれではないし、
 彼女が最近現れたのは大正時代が最後よ?」
ねこ娘は鬼太郎の幼馴染…
大正時代にはまだ生まれても無い存在であるからだ。
「うん、恐らく”彼女”はもう別のものになっている可能性が高いと思う。」
「それって、孵変で変わってしまっているって事?」
「…多分、ね。
 それに、この本は僕達が知っている部分とずいぶん違う事も記されているようだし。
 元々僕達妖怪は文字という文化はなくて、
 妖怪文字が使われ始めたのも人が文字を使い始めるようになった後だし…
 そういった意味で人間に依存している部分がこういった書物に矛盾を生んでいるのかも…」
元々自然のものから生まれた妖怪には「文字」と言う文化はなかった。
彼らは陽気で祭り好きではあったが、勤勉ではない。
しかし、人から妖怪になるものがポツリポツリと生まれ始めた頃、
全世界規模で妖怪文字は急速に広がっていった。
「もしかして、呼応しているってそういう意味なのかしら?」
「呼応している?」
「ええ、本を借りる時に聞いたの。人の情報に呼応しているって。
 だから、人の持つ記録に書かれた事がこの辞典に反映されているのかもしれない。
 だとしたら、あたし達が知っている情報との相違があってもおかしくないわ。」
「じゃぁ、この頁が隠されていたのは?」
「彼女が今現在は存在しないから…じゃないかしら?
 他にもそういった頁があるんだと思う。
 でも鬼太郎は何故あたしだと思ったの?」
「一度…見たんだ。」
「…え?だって存在していたら隠す意味なんて無いんじゃ?」
「今は居ないよ。
 君自身は見ていないから解らないと思うけど、
 ラクサシャに捕り憑かれて成長した君と瓜二つなんだ。」
聞かされた羅刹の名に不可解な出来事を思い出したのか、
大きく見開かれた目の瞳孔が縦長に伸びる。
”お前は―――ねこ娘じゃないな?ねこ娘はどこだっ!!”
目の前で変化していったねこ娘を見ていたはずなのに、
目の当たりの光景が信じらず咄嗟に吐いたその言葉が、
ねこ娘を傷つけラクサシャの妖力を増大させる結果となった。

359 :

「あの時は何も知らなかったから…
 でも、この本の記述を知っていたら
 あんな酷い事言わなかったかもしれない。」
「でも鬼太郎…彼女は化けるほうの種族みたいよ?」
「反映しているのは人の文献なんだろう?
 僕は、君と同じ側の妖怪だと感じたよ。
 時代を超えて度々姿を現すようだから、
 恐らく継承型の妖怪…じゃないかな。」
「継承型?」
「うん。
 何らかの理由で、この妖怪の名と姿は
 受け継がれて残ってきたんだと思う。」
「…だったら嬉しいな。」
ねこ娘は頬を赤らめて俯いた。
「…でも、もし鬼太郎や親父さんと同じ種族の女の子が見つかったら、
 大人になって…ね?」
「ねこ娘…」
鬼太郎はため息混じりに名を呼ぶ
「だって…石女じゃない保証はないし
 今度孵変する時は獣の姿になるかもしれない…」
「ねこ娘っ!」
今までに聞いた事のない怒りのこもった鬼太郎の呼び声に驚き、身を振るわせる。
「…ご、ごめん。
 驚かせるつもりは無かったんだ。
 けど…ねこ娘、君は僕との婚姻を破棄するつもりなのかい?」
「えっ…?」
―――それは、以前ねこ娘に頼まれて案内した場所での出来事だった。
「おーい、ねこ娘。こっちだ、こっちにおいでよ!!」
「あ〜んっ!まってよ、鬼太郎…!!」
辺り一面に色とりどりの花が咲き乱れる丘へ、ねこ娘と鬼太郎は来ていた。
「ほら、こっち、こっちだよ。」
ねこ娘は鬼太郎に呼ばれるまま、鬼太郎の後を追う。
ふと、嘗て枕返しに見せられた夢…を思い出した。
悪夢に変わる前に一瞬見た夢に、今の光景はとてもよく似ていて…
山頂に漂う白い霞が、風に吹かれて流れる様が現実感を更に遠ざけている。
もしかしたら今、夢を見ているのではないかと思う。

360 :

「ほら、ごらんよ。この花はまだ摘んでいないだろう?」
「あ、ほんとうだぁ〜。」
そう言って鬼太郎は一本の花を手折ってねこ娘に渡した。
既にねこ娘の腕の中には、いろんな種類の花束が出来上がっている。
ねこ娘は、手渡された花を一緒に束ねると、
両手でもち、片足を軸にくるりと回って見せた。
「うふふ、まるで花嫁さんのブーケみたい。」
言葉には深い意図はなく、
ねこ娘は束ねられた花の甘い香を胸いっぱいに吸い込む。
一面の花畑、鬼太郎と自分のほかには誰の姿もなく
まるでお姫様にでもなったような気分だった。
「ね、鬼太郎。こうすると花嫁さんぽくない?」
花に囲まれて、赤いスカートの裾を翻し満面の笑みを浮かべるねこ娘の姿に、
鬼太郎は少し不安になった。
「ねぇ、ねこ娘。」
「なぁに?鬼太郎。」
「君は、誰のお嫁さんになるの?」
「えっ…?」
想像すらしていなかった問いかけに、ねこ娘は聞き返してしまった。
「花束を抱えて花嫁さんのつもりだったんだろう…隣には、誰がいたの?」
時より見せる鬼太郎の無表情な顔。
その表情からは何を考えて質問されているのか、全く読み取る事ができない。
問われて、ねこ娘は困ってしまった。
お嫁さんになれるのなら、鬼太郎のお嫁さんになりたい…でも、そう応えるのは少々躊躇われた。
「…」
鬼太郎は弱気な気持ちを悟られまいと普通にしているつもりだったが、
それはまるで能面のようになっていて、
ねこ娘から見れば「鬼太郎だ。」…と応えにくくさせていた。
普段こんな事を鬼太郎に聞かれたことなんて無かったから、
夢ではないかと言う思いが再びねこ娘の脳裏をよぎった。
夢ならば恥かしがる事も無いと思うが、
例え夢でも相手に嫌がられるのはショックに変わりは無い。
もし、これが悪夢に変わったら…

「ねぇ…」

鬼太郎は答えを催促する。
自分だと言う答えを言って欲しい。
「あたし…あたしは…鬼太郎のお嫁さんになれたら…いいなーって…」

361 :

突っ張るように下に伸ばした腕の先の花束に視線をやれば、自然と俯く。
言ってしまって恥かしさの余りに、ねこ娘の頬は耳の先まで赤く染まっていた。
やはり夢なんかではない現実に、ねこ娘は身体の熱が急速に上がるのを感じた。
「じゃぁ、なるかい?」
期待していた答えに、鬼太郎はねこ娘の手を引く。
そして、左手の薬指に手折った花を巻いた。
淡いピンク色の花の指輪だ。
ねこ娘は薬指にはめられた花のリングに、潤んだ瞳を見開く。
これは「ごっこ」遊びなのだろうか、それとも約束の「しるし」なのだろうか…?
花のリングをはめた指を、胸の前で握る。
「こんなのは、人間がやる儀式でしかないけれど。」
そう言って鬼太郎は「ふふふ」と笑った。
ああ、そうか
これは指輪の交換の儀式なんだと、
ねこ娘もまた鬼太郎が自分にしてくれた花と同じ花を花束から抜き取ると、
鬼太郎の左の薬指に結ぶ。
自分の手を取り、同じように花を結ぶねこ娘を見て鬼太郎が言う。
「…でも、ね?僕は本気だよ。」
「えっ…?」
漸く花を結び終えたねこ娘が、鬼太郎を見上げる。
何時に無く真剣な眼差しで、花のリングを結んだ手を頬に添えられるとねこ娘は、
ビクンと身を震わせて瞳を閉じた。
「今此処で、ねこ娘を僕のお嫁さんにするよ。」
「…鬼太郎。」
ねこ娘は閉じた瞳をそっと開いて、再び鬼太郎を見た。
そもそも、彼等妖怪が夫婦になる為には人間のような書類手続きなどは必要ない。
互いの合意が得られればそれでいいのだ。
しかし、周囲からも正式に認めて貰うためにはそれなりの条件は有ったのだが…
今現在、幾つかの条件を除けば、彼等は夫婦とはそう変わりない関係であるとも言え
周囲からも二人の関係は黙認はされていた。
「そりゃ、ねこ娘も僕も幼すぎるけど…
皆に認めてもらえるまで待っていられるほど、
僕は気長にしていられないよ。」
突然の結婚の申込みに、驚いたねこ娘は答えを返す事が出来ずに居た。
それは自分たちがもっと幼かった頃に交わした、
遠い未来の約束なんかではない。
”いつか僕のお嫁さんになってくれる?”
”うん!”
まだ夫婦になる意味すらよくわかっていなかった頃、よく交わした言葉。
正にその言葉が此処で現実になろうとしている。

362 :

「…」
「ねぇ、ねこ娘…答えてよ。
 僕はもう…君を僕だけのものにしてしまいたいんだ。
 先の約束だけじゃ…不安でし方が無くて…」
「それとも、君を束縛しようとする僕は…嫌かい?」
「…そ、そんな事!!」
まさか鬼太郎が自分の事をそこまで深く想ってくれているなんて、
これっぽっちも知らなかったのだ。
むしろ不安だったのはねこ娘も同じだ。
事件の手紙で呼び出されれば、先にはいろんな異性との出会いも有る。
魅力的な大人の異性に比べれば、格段に劣る自分に、
何時か鬼太郎が愛想を尽かすのでは無いかと思っていた。
「だって…あたし、ぜんぜん美人じゃないよ?」
「そんな事無いさ、ねこ娘は誰よりも可愛いよ。」
「お転婆だし…猫化しちゃうし…普通の女の子じゃないんだよ?」
「知っているよ。僕だって、普通の男の子じゃないさ。
 それに…僕はそんなところも含めて、ねこ娘の全部が好きなんだよ。」
「皆にだって、鬼太郎のお嫁さん…って認めてもらえないかもしれないよ?」
「僕のお嫁さんを決めるのは皆じゃない。僕のお嫁さんを決めるのは僕自身だろう?
 僕は…僕がねこ娘をお嫁さんに欲しいんだから…ね。」
それが答えだということも解っている。
でもちゃんとした返事を聞きたくて、
”大丈夫、ねこ娘だ誰よりも美人になるよ。僕が保証する。”そう耳元で囁いて、額を合わせた。
地面に置かれたねこ娘の手の上に自分の手を重ね合わせて、返答逃れ出来ないようにして。
「鬼太郎―――。」
「答えてよ…ねこ娘、僕のお嫁さんになってくれるかい?」

「…―――はい。」
漸く得た返事に、鬼太郎の口元が嬉しさに歪む。
そのまま身を重ねるように唇を併せ、花畑に二人の身が沈んでいく。
「だ、駄目だよ…鬼太郎…もし誰かが来たら―――。」
「大丈夫だよ。花以外誰も見てやしないさ。
 それに…此処に咲いている花たちが、今日の証人だからね。」
そう言われてねこ娘の頬がますます赤く染まる。
「ふふふ、だってねこ娘がいけないんだよ?
 僕の事、こんなに夢中にさせて…
 だから、ねこ娘の目が他に向かないように、
 僕と同じぐらいに虜にしなくちゃね?」
これ以上鬼太郎の虜になってしまったら
一体自分はどうなってしまうのだろうか…という思考は、
再び併せられた口付けによって蕩かされる。
色とりどりの花が咲き乱れる丘で、
少女が一人の少年に娶られた―――
それは紛れも無く二人にとって現実であった筈だ。
                                糸売く

363 :
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

364 :
おおお!艶っぽいシーン来た!!

365 :
>>362続き





「約束、しただろう?
 君は僕のお嫁さんになるって返事…したじゃないか。
 そりゃぁ父さんたちに比べれば僕達はまだまだ子供かもしれないけど、
 僕はあの日から夫婦として君と居たよ。」
「忘れてないよ。
 けど…あたしだって何時大人になれるかわからない。
 髪結び猫を継ぐのはあたしじゃないかもしれないじゃない。」
「名は変わるかもしれないが確かに君だ。
 大人の姿になった君を僕は見たんだ。
 なれないなんて…言い切れないだろう?
 一緒に大人になるのも、僕の妻として隣に居てくれるのも、
 ねこ娘…君だから僕は望んだんだ。」
「…」
「君はもっと自分に自信を持ったほうがいいよ。
 他の誰でもない僕自身が選んだんだ、間違いなんかあるもんか。
 それに…一族の血を引くものが他に居るなら、
 別に子を成せばいいじゃないか。
 父さんだってそう言うと思うよ?」
ねこ娘は幽霊族が滅んだ理由を知らない。
彼らの血を引く鬼太郎も父から詳しい話を聞かされていたわけではなかったが、
その理由にはうすうす感づいていた。
「鬼太郎…」
「血も一族も関係ない。
 だから君は、僕と一緒に居ればいい。
 僕たちは家族なんだから。」
鬼太郎の言葉に、ねこ娘の胸はきゅんとした。
さとこママの家族の絆が戻った時、羨ましくて思わず呟いた言葉。
”―――家族って…いいなぁ―――”
あの時も”僕たちの家へ帰ろう”と鬼太郎は言ってくれたけど
ずっと覚えていてくれた事、現実に家族であると言ってくれた事に
ねこ娘は幸せだと感じた。
ああ、やっぱりこの人なのだと
鬼太郎じゃなきゃ駄目なんだと改めて実感した。
「ありがと、鬼太郎。
 あたし…大人になったら、鬼太郎の赤ちゃん…いーっぱい産むね。
 親父さんや鬼太郎が寂しい思いなんかしないぐらいたくさん…ね?」
微笑んだ瞳からは嬉し涙が伝う。
現実的、尚且つ大胆なねこ娘の発言に
鬼太郎は顔を赤らめたまま微笑み返す。

366 :

「ああ、きっとだ。」
涙をぬぐい手に手を重ね、
二人の身までもがゆるりと重なりひとつとなる。
隠された頁の違和感に鬼太郎が妖気を送り込み
頁が開いたのは偶然だったのだったのか、
或いは必然だったとも言える出来事だったのではないだろうか?
互いにゆっくりと成長の道を辿るのか、
孵変により急激な成長を遂げるのかは解らない。
只己が儘である為に彼らは変わる。
時にはその名も姿も捨てて―――





ねこ娘に現れた兆は「孵変」の兆。
時代が大きく揺るぐ時に本人の意思とは全く関係が無く突如現れ、
本人が望んでも望まなくてもやがて強制的に行われる儀式。
性格は「孵変」後の姿に多少影響されはするが、
時代に合わせ、姿形は変容しても魂は常に一つ。
当然、記憶も心もそのまま引き継がれる。
それでも、己を媒体に新しい自分の姿が形成される様を眺めながら、
今の自分が徐々に失われていく様子、
自分が自分でなくなる瞬間の恐怖たるや尋常ではない。

妖怪として既に数回の「孵変」をねこ娘は経験していたが、
恐ろしかった。
「孵変」の後に今の自分は居ない。
今までの自分を鬼太郎はずっと愛してはくれたけれど
「孵変」後にどうなってしまうかも解らない。
どんな姿になってしまうかも解らないのだ。
「…きっ…たろ…っ…ら…な…で…」
ねこ娘の喉の奥から搾り出すようにして発せられた声は、
既に涙声に変っていて言葉をきちんと発する事が出来なくなっていた。
ずっと我慢していたものが一気に溢れ出したのだろう。
堰を切ったようにねこ娘は鬼太郎のチャンチャンコを握り締めて泣きじゃくった。
泣き過ぎて止まらなくなった嗚咽を繰り返すねこ娘を、
鬼太郎はただ優しく抱きしめているほか無かった。
「…僕がねこ娘の事…嫌いになるわけが無いじゃないか…。
 だから、ねこ娘も…僕が変わってしまっても嫌いにならないで?」
ねこ娘はまだ泣いていて、
しゃくりあげていてとても言葉に出来なかったから、
コクコクと何度も頷いた。


367 :

お互い解ってはいる、好きなのは外見では無い。
外見だって好きではないといったら嘘にはなるが、お互いの心があっての存在なのだ。
ねこ娘は不安を吐き出し、
泣くだけ泣いたら落ち着いてきた様子で、
時より肩を震わせるものの鬼太郎に身を預けたままじっとしていた。

不意に鬼太郎の顔が近づけば、自然と瞳が閉じ、
目尻に溜まっていた最後の一滴が頬を伝い落ちる。
鬼太郎はそれを唇で拭い、目蓋に口付けた。
「…大丈夫、ねこ娘なら変ってしまっても今と同じぐらい可愛いよ。」
「…!!」
その言葉に、ねこ娘はアーモンド形の瞳を大きく見開いた。
微笑んだ鬼太郎と視線が合うと猫目が細く縦長に伸び、頬が徐々に赤く染まっていく。
表れた痕は腹から生えるようにして身体を乗っ取って行く。
自分と自分が一対にして向き合う瞬間…「孵変」は終わる。
古い自分と新しい自分と向き合う一瞬。
自分でありながら飲み込まれていく恐ろしさは何度味わっても馴染む事など無い。
そうして妖怪は時代に合わせ、これからも幾世紀も生きていくのだ。
「…」
鬼太郎はくすくす笑いながら、身を強張らせているねこ娘を抱き直した。
実は、幽霊族の末裔である鬼太郎とその父は
自らの意思で「孵変」することの出来るものであった。
それはの親子だけの秘密で他に誰も知る者は無い。
ただ、ネコ娘だけは先の件からうすうす感づいている様子だったが、告げてはいない。
だから、自ら「孵変」を望まなければ人よりは成長が遅いものの、
やがては大人へと成長する事が可能なのだ。
しかし、彼はそれを望まなかった。
ねこ娘が新たな時代に合わせて生まれ変わるのならば、自分も生まれ変わろう。
そうして、ねこ娘と同じ時期に同じ数だけ繰り返した。
鬼太郎にとっては「孵変」の恐怖よりも、
ねこ娘と運命を分かつ事のほうが、
失う事のほうが何よりも怖かった。
今までずっとそうしてきたように、
これからも常に彼女と同じ目線で、同じ時を生きて行きたい。
この世界の全て、ありとあらゆる者に平和と言う調和が訪れれば、
ゆっくりでもいい共に大人への階段を歩んでいけるのだろうか?
父と母のように、いつなれるとも解らぬがそれが彼の望み。
幽霊族と人間と言う異種族であった両親が自分を生したように、
幽霊族と猫族といつか次世代を生しえるように。
いつか必ず訪れるとも解らぬねこ娘の成長を、ただひたすら待っているのだ。
無意識のうちに少女を抱いた腕に力が篭り、
どうしたのかとねこ娘が鬼太郎の顔を覗く。

368 :

表情のどこかに不安を感じ取れば、
鬼太郎も自分と同じ想いを秘めているのだろうかと思うと、
なぜか安心して…自然と笑みが零れた。
鬼太郎が自分を落ち着かせるようにしてくれたように、
そっとその身を抱きしめた。

「大好き…ずっと…ずっと…鬼太郎だけ」

ねこ娘の囁きに、鬼太郎も「僕もだよ。」と言葉を返す。
やがて訪れる彼らの変化に、ゲゲゲの伝説は新たな幕を開けるのだ。



                           糸冬

369 :
GJ!

370 :
いいもの見せて頂きました、GJ!!

371 :
とにかく感動
心が幸せになりました

372 :
hosyu

373 :
>>267-368
こんな感動大作見せられたら
他のリメイク版は投下しにくいな・・・

374 :
щ(゚д゚щ)カモーン

375 :
>>373
月も切り替わっているから気にしないで投下汁!

376 :
一応内容を一部予告します
マジで見たくないなら言って下さい
「ねこ娘陵辱ものリレー」リメイク版
ただし強姦はないで途中で抵抗
結末はリレー解答予定です

377 :
またか、、、
予告の誘い受け具合から嫌な予感はしてたんだ

378 :
>>376-377
「ねこ娘陵辱ものリレー」はトップバッターだったから
リメイク版1号になるのは別に不思議ではない
ただ、いっそのこと初期スレの投下作は10作くらいリメイクしてほしいかな?
時代も変わったし・・・

379 :
>>376
ネコ娘には犯された負い目を感じさせるSSだったから
せめて健全なエッチでリメイクされたらな

380 :
新年度なので、新しいネ申の降臨も期待したいが
王見ネ申の糸売きを著しく投下願いたい。
前スレの続きも気になるが
>>251の続きも気になる

381 :
現ネ申の続き
前スレの続き
>>251の続き
ネコ娘陵辱ものの続き
全部見たいってのはダメ?

382 :
続きも読みたいし新作も読みたい

383 :
>>381
その4つの続きを読みたいに同意
神職人のご投下を願おう

384 :
春のせいか「手」の回の手首や「髪様」の髪のように
鬼太郎のちんこも取れて思い通りに動かせるんじゃないかという妄想が脳から離れない。
野沢鬼太郎は本編で手とか取れる描写があったから普通にできそうだが
『実用』しそうなのは何だか別の鬼太郎なイメージ……

385 :
>>384
2猫の場合、性的な意味で弄繰り回し、もんどりうつ2鬼太郎
3ネコの場合、本体が無くても好いようにされてしまう
4ねこの場合、性的な意味でなく、興味津々で弄繰り回しそう
5ネコの場合、装着したまま人間界やバイトへ

386 :
現ネ申の続き、前スレの続き、>>251の続き、ネコ娘陵辱ものの続き
まだかな?


387 :
現ネ申
前スレの続き
>>251
ネコ娘陵辱もの
これらはそれぞれ何期のネコだったかな?


388 :
鳥乙女がこうもり猫にキスするのって何話?

389 :
三期大奥パロ 諸般の事情で中断しておりました、すいません。
またボチボチ書きますので投下いたします。
前回終わりは
>>251
*******
注意:
    適当時代物
    エロ本
    今回濡れ場なし
です、2レス程度投下します。

390 :
※※※
姿を見ず、声を聞かなくてもネコ娘の身辺から鬼太郎の気配が消えたわけではない、
鬼太郎はこの城の若君なのだ、消息が耳に入らない方が不思議な事だった。
自分から問うことも出来ず、側の者同士が話す言葉の中に、
次の間へ出入りする物売りの声に鬼太郎の消息を求める、
”若君は元服した” ”御輿入れが決まったらしい”
喜ばしい事として語られる知らせにネコ娘の心はきしんだ、
鬼太郎は大人になって……誰かと結婚するのだ。
胸が掻きむしられるような気持ちになって、ネコ娘は……好きだという気持ちが
ただ暖かいものだけではないということを深く思い知ったのだった。
※※※
鬼太郎は未だ訪ねては来ない、不安と嘆きを感じながらも
塞ぎこむ間を与えないかのようにネコ娘の日々は忙しくなっていった。
手習いの時間が増えた、側に新しい者が増えて慌ただしくあちらこちらへと物を動かす、
時にはネコ娘を日に何度も風呂に入れて着替えさせなどする。
風呂は嫌いではなかったが、その間控えている者達が見るのが気にかかる、
まるでネコ娘の体の何かを確かめるように視線が走る、
白い肌の上を、伸びやかな手足を、ふくらんだ胸を、ほっそりとくびれた腰を、
きゅっと締まって丸い尻を、へその下のうっすらとした陰りを……
近ごろ円やかさを増したネコ娘の裸身を撫でるような視線は
落ち着かない気分になるのだが、意義を申し立てるのははばかられる雰囲気だった。
※※※

391 :

手習いの間にぽっかりと空いた時間、ネコ娘は何をする気にもなれずにぼんやりとしていた、
以前はこんな時は鬼太郎が訪ねてきたのだ……と思うと胸が痛い、
あの時の鬼太郎はとても恐ろしかったのに、未だ鬼太郎を嫌いだとは思えなかった、
”きっともう来ない””考えるだけ辛い”そう思うのに考えるのを止めることはできない、
笑う顔が、頼もしい手が、名前を呼ぶ声が、みんな好きだったのに、
きっともう逢えないのだと考えると涙が零れそうになって慌てて目を瞑り
うたた寝でもしているように見せようと脇机にもたれて俯くとそっと声が掛けられ、
反射的に上げた顔を巡らせると衝立の陰からおばばが手招きしていた。
差し招かれた衝立の中には大きな文箱を持った古参の侍女が控えていて、
促されて座るとネコ娘の膝の上に色とりどりの錦絵が広げられ……
広げられた錦絵に描かれたものを理解した瞬間に卒倒しそうになった。
目もあやな錦絵に色とりどりに描かれていたのは
子細に描かれた男女の様々な交合の図だったからだ。

腰を抜かしたネコ娘の背を支えた砂掛けのおばばが「しっかりせい」と
叱咤し、「お気を強く」と侍女が宥める声をかける。
そう言われても、鬼太郎とその父以外の男とはほとんど会うことなどない
ネコ娘からすれば男の腰から生えた大きくて恐ろしげなものが
女の体へ突きつけられ、貫きなどしている様はいかにも異様で恐ろしく見える。
絵巻の中の行いにあの日の恐ろしかった鬼太郎が思い起こされて
膝の上の絵を払い落とし、嫌々をしながら逃げようとしたが押しとどめられた。
「男女の間ではあたりまえのこと、恐ろしいことではありません」
確かにあのあと体には傷の一つ、血の一筋もついてはいなかったから
そうなのかもしれないが自失するほどの衝撃が忘れられたわけではない、
見ることを拒むように固く目をつぶって硬直しているネコ娘の様子に
おばばがため息をつき、多少怖がるのは仕方ないが大丈夫かのう、と零すのに
まだ床入りまでには間がありますから、と応じた侍女が
ネコ娘の耳元に「若君がおいでになります」と囁きかけた。
驚きに目を見開いたネコ娘に侍女が笑って頷く、
すっと……あの奇妙な熱が出た時も側にいた者の
言葉の意図が分からずにネコ娘は呆然としながらも考えを巡らせる、
鬼太郎は……誰か遠くから来る人と結婚するのになぜ来ると言うのだろう。
「こうして見ればまだ幼くてかわいそうな気もするのう」
「でもいつかはなさることなのですし、大丈夫ですよ」
おばばたちの話す声がどこか上滑りして聞こえる、
自分は鬼太郎のためにここにいたというのに……鬼太郎のために
何かできるというのはかつては嬉しいことだったのに、
先にある別れを知ってしまった今では胸が締め付けられるようだった、
まだ、何か鬼太郎のためにできることがあるのだろうか……。
侍女が順を追って語る『作法』によると絵のようなことがあるが
身を任せよ、とのことらしい、『大人になったのだ』と言っていた
鬼太郎の目が思い出される。
きっとこういったことが鬼太郎が大人になるために必要なことなのだろう、
そういう役目をする者がいる、と人の話に聞いたこともあった、
何かがすとんと腑に落ちたような気がして、ネコ娘はなんとか頷いたのだった。

※※※(つづく)

次は濡れ場あり(予定)

392 :
大奥キタワァ

393 :
ネ申キテタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!

394 :
hosyu

395 :
ほしゅ

396 :
ほしゅ

397 :
倉庫には昔オリジナルの絵描き板も設置されていたが、
管理人様が大変なので現在は無くなっている
このスレの住人様で描いて公開されたい方には
ここがオススメかな?
http://www.kembo.org/nekomusume/upload.html

398 :
現ネ申
前スレ
ネコ娘陵辱もの
この3つの続きはまだでしょうか?


399 :
3つとも続きが気になる
どなたかオリジナルでも投稿願います

400 :
>>399
同意
是非3作とも続編を見たいです

401 :
hosyu

402 :
復帰

403 :
3作のそれぞれ続編をどなたかお願いします

404 :
hosyu

405 :
お化けも盆休みだったのか?保守

406 :
保守代わりに
(いやな人もいるだろうけど)
2525でいい感じのキタネコ動画見つけた。
sm15744674
歴代鬼太郎と歴代猫娘(寝子含む)の動画。

407 :
かわいいな、寝子さんのところでホロリときた。

408 :
お化けさんたちはお盆であちこちの肝試しにコソッと混ざったりして
(彼らとしては)大忙しだったろうから今ごろは温泉にでも出掛けてるよ

409 :
hosyu

410 :
随分間が開きましたが三期大奥パロディ投下します。
前回は>>389-391
その前>>242-251
最初 >>235-237
注意
  大奥パロディ(適当時代物)
  回想回
です、3レス程度です
  

411 :
※※※
祝い膳の支度がされるのを待つ間、鬼太郎は落ち着かない気分であぐらをかき直した、
方法は他にもあったはずなのに何故あんなことをしてしまったのだろうと思いながらも
それを正すことが出来ないまま今日まで来てしまったのだ、
ネコ娘と最後にあってから二月が過ぎてしまっていた。

父に呼ばれたのはその日より数日前の事だった、また何か解決しなければならない
事件でも起こったのかと思ったのだがそんな様子はなく、話しにくそうにしている
父の様子を不思議に思いながら促されて座ると不意にネコ娘の話を切り出されたのだ。
ネコ娘は熱を出していて会わせてもらえなかった、父もきっと心配なのだろうと思ったのだが……
そうではなかった、鬼太郎が『大人になった』のと同じようにネコ娘も大人になったのだという、
鬼太郎が精通を迎えたのは数ヶ月前、恥じることではないと教えられてはいたが
ソレが起こる時の戦いの高揚にも似た気分の高まりと、その後の虚脱感はどこか後ろめたいものだった
―ネコ娘もそんな風になるのだろうか……という考えに至るか至らないかのうちに父の問いかけが降ってくる。
「お前はネコ娘のことをどう思っておる」
「どう……って……」
今まで考えたこともなかったので何とも間抜けた返事が出た、
どこか幼い考えだったが、会いに行けばいる、というのが当たり前で考えたことが無かったのだ。
「そうじゃな、順を追って話すことにしよう…… お前、ネコ娘がここへ来た時のことを覚えておるか」
首を横に振る、お互いに手を引きあってどこへでも行った、この森のあらゆる場所にネコ娘との日々があった、
今まで当然だと思っていたことの中に始まりやひょっとしたら終わりが埋もれているのかも知れない、
と考えると背筋が薄寒かった。
「ネコ娘はお前たちがほんの幼い頃に猫の一族から預かったんじゃ」
口を噤んだまま頷く、いつまで、とか何のために、とか口を開いて問うのは恐ろしくで出来なかった。
「最初は猫族からこちらと縁組したいという申し出じゃった」
「じゃが、それはお前に来た話だったので、お前のことをわしが決めてしまうのは
良くないことだと思って話を預からせてもらったのじゃ」

412 :

―(目玉の回想)―
猫族からご子息の妻を、という申し出を受け、送られた乗り物に乗り、
途中からは名も知らなない宿場を過ぎて猫の暮らす街へ訪れて歓待を受け、
大きな虎猫から見せられたのがネコ娘だった、垣間見た先にいた幼い娘は
ぱっちりした目をして、健康で活発そうな明るい笑顔の娘だった。
目玉の妻、鬼太郎の母は偶然に見初めた女性だった、
気立ての良い女、申し分の無い妻だったが釣り合いの取れない身分であり、
自身が病を得、妻が子を残して亡くなった時、野合(正式でない結婚)などという
不道徳の報いであるという流言があったことを知っている。
妻を迎えたことを後悔したことも、恥じたことも無かったが
父としては息子がこのようなことで苦労せず、幸福になってほしいという思いもあった。

今までこういった申し出が無かったわけではないが、まだ先のことと断ってきた。
実のところ生まれてすぐに親が決めてしまうことも珍しいことではないのだが、
歩き始めたばかりの我が子の未来を定めてしまうことには抵抗があった。
だが、今は生垣の向こう側で気づかずに遊んでいる童女を熱心に見ているのだ、
謎の多い猫族の申し出に応じて赴いたのは内情をうかがい知る事ができるのかという
下心だけだけではないのだろう。
「いかがですか」
生垣の向こうを見つめている目玉へ声が掛けられる、大きな虎猫――猫又が太い葉巻を咥え、
一本をこちらへ差し出していた、受け取るために向き直って声をあげる。
「あなたはあの子と私の息子に縁があると思われるのですか」
「だからこちらへお招きしたのです」
目玉は一抱えほどある葉巻を受け取って考え込んだ、
断るのであれば招かれて来る必要はなかった、娘たちの良し悪しを値踏みするつもりは無かったし、
知れば断りづらくなるのも確かだったので今までは詳細など何も見ずに断ってきたのだ。
幽霊族に明確な予知の力などないが、何かの予兆を感じてきたのかもしれない、目玉は深く息をついた。
「わしは知恵者などと言われておりますが判らぬことなど山ほどあります、先のことなどなおさらで、
良いお話だとは思うのですがわしがこの子らの行く末を決めてしまうことは良くないと思うのです、
わしの子がこの子を見、自分で決められるようになるまでこのお話、預からせていただけませぬか」
猫又は大きく頷いた
「それでよろしいでしょう、また乗り物を用意しますのでそれまでおくつろぎください、
必要な物があればおっしゃっていただければいつでも用意いたします」

――気がつけば猫目の少女と共に帰途についていた、どうにも不思議な体験だったが
そのうちに経った二人の子供――鬼太郎とネコ娘が遊ぶほほえましい姿が見られるようになってからは
何か不可思議な力が働いていたにしろ招かれたことは良かったのだと思うようになっていたのだった。

―(目玉の回想は終わる)―

413 :

「お前も大人になり、元服するべき齢だ、お前がよいと思うのなら申し出を受けて
お前たちを夫婦にしようと思っておる、大きな事なので今すぐにとは言わないがお前が決めなさい」
鬼太郎は大きく息をついた、父が決められないと思ったことを自分が決断するという事には重圧があった、
よく知っていると思っていた少女のことを何も知らなかったのだと思うと
暗闇に放り出されたような不安があった、判断のための材料が欲しくて父に問いかける。
「猫の町というのはどんな……どこにある場所なんですか」
「わしも一度招かれたきりじゃ、折々に送られて来るものはあるがどこにあるのかはわしにもわからん」
「もし、ひょとしてネコ娘がそこに帰りたいと入ったら……」
自分の発した言葉が恐ろしくなって鬼太郎は口を噤んだ、
だが言葉は取り戻すことが出来ないものだ、それならばネコ娘は帰すことになると、
また、無為にここに留め置くことは一族が良しとしないだろうということを告げられて目の前が暗くなる、
気づけばネコ娘と話してきますと言い置いて父の前から飛び出していた。

ネコ娘の住まいへ息を切らせて訪れたがまだ寝付いているのだと告げられて
数日をジリジリと待ち、ようやくあったネコ娘は変わらない様子で迎えてくれた、
誘い出して共に見た光景は明るくきれいで手放せないと思った、
本当にただ一緒にいて欲しいと告げるつもりだった、どこへも行かせたくなかった、
どこへも行かれないように……めちゃくちゃにしてしまいたかった。
どれもきっと本心だった、最後の一線は果たさなかった……果たせなかったが
いつも元気なネコ娘が震えながら泣きじゃくる姿は幼く、痛々しくて
悔やんでも悔やみきれない気持ちでネコ娘を送り届けて戻り
父にネコ娘をどこへも行かせないでくださいと懇願した、
自分がどんな様子だったのか父がなんと言ったのか覚えていない、
嗜好も行動も散り散りでもう一度、もう一度ネコ娘に会って謝らなければならないと走ったが
閉門の刻限だと入り口で止められてしまった。
それから何度も、何ちも通ったが、今は会わせられないと告げられるばかりで
思い余って人目をを盗んで隔てを乗り越えて忍び込んだ。
難しいことではなかった、そうやってネコ娘と二人、抜け出して遊んだこともある、
だが、そうして見たネコ娘は泣きも笑いもせず、
ただぼんやりと窓辺に座っていて声をかけるのがためらわれた、
そのうちに中から声が掛けられたのかそちらを振り向く様子を見て
声をかける機会は失ってしまったのだがほんの少し安堵する、
表情なく座るネコ娘はまるで人形のようで……呼んでも応えてくれないのではないかと思えたからだ。
結局、姿を垣間見ただけで戻るとネコ娘の住まいから使いが訪れていたのだ。
※※※(つづく)

次回こそ濡れ場ありの予定
野沢鬼太郎やほしの鬼太郎だと「やった!」とか「そうなんですか(照)」なんて様子でお嫁にもらって話が終わる気がしてきた。

414 :
キター!

415 :
GJJJ!!

416 :
保守

417 :
GJJJJJ
で、
現ネ申
前スレ
ネコ娘陵辱もの
この3つの続きはまだでしょうか?


418 :
hosyu

419 :
鬼太郎「エロスを感じる」ムクリ

420 :
age

421 :
昔は倉庫に絵板もあって活気があったんだけど
最近は寂しいな・・・
「通りすがり」って方の三田ネコ絵が大好きだったんだけど
今もここを見られてるのかな?
またどっかに三田ネコ絵を投下されないかな?

422 :
hosyu

423 :
ho

424 :
倉庫がまた見れなくなったぞ
どうなるのかな?

425 :
ねこ娘萌えろパロ倉庫の保管庫
以前見れないな

426 :
ホントだ見れない

427 :
保管庫の管理人様
このスレをご覧になってたら復活させてください
(できれば過去の絵板も)

428 :
ho

429 :
過去のリメイク版
投下してもよろしいかな?

430 :
もちろんです!!
来て━━━━!!

431 :
保守

432 :
「ねこ娘陵辱ものリレー」リメイク版
ただし強姦はなしで途中で抵抗
結末はリレー解答
投稿してよろしいかな?

433 :
まってる

434 :
ではでは
暑い日の妖しい倒錯(?)の世界としてw
「ねこ娘陵辱ものリレー」リメイク版
(強姦なしの途中抵抗)
※結末はリレー解答にて

ボチボチ投下させていただこう
管理人さんが見てるのならば、倉庫番も復活してほしい
あと絵師の皆様、よろしければイメージ画をこちらにご投下くださいまし
http://www.kembo.org/nekomusume/upload.html

435 :
カラスコプターで海に向かうネコ娘。
その表情は険しかった。
「鬼太郎のバ〜カ。知らないわよ。あたしがカッコイイ男の子にナンパとかされちゃっても・・・・。」
その年の夏はあまりに暑い日が続くので、
鬼太郎を海水浴に誘うつもりでゲゲゲハウスに行くと、
鬼太郎と目玉親父は留守だった。
カラスの話では、ユメコに誘われて遊びに行ったと言う。
最近鬼太郎がユメコと会う事が更に多くなった事に嫉妬したネコ娘は、
鬱憤晴らしに偶々近くを通りかかったネズミ男を引っ掻いて、
1人で海水浴に行くことにしたのだった。
しばらくして、海が見えてきた。やはりシーズンなので海水浴客で賑わっている。
しかし、よく見ると親子連れか若いカップルだけである。
「・・・・・・・・カラスたち海岸線に沿って人気の無いところへ行って。とは言っても、この時期にそんなところは無いか?」
そのままカラスに乗って海岸沿いに南へ進むネコ娘。
しばらくすると人気の全く無い海岸に差し掛かった。
「ふ〜ん、シーズンでも人の来ないところもあるんだ。よし、この辺でいいわ。止めてカラスたち。」
海辺に降りるネコ娘。その辺を少し歩いてみるが、 人っ子一人いない。
「本当に誰もいないのね、結構良い景色なのに・・・・。」
ところが、近くの岩陰から、人魚の兄弟が見ていたのだ。
人気が無いのはこの兄弟が原因だった。
普通『人魚』と言えば、その地元の守り神的存在なのだが、
この兄弟は人魚一族には珍しくここら辺でも札付きの不良で、
人間の漁を邪魔したりと色々悪戯するので、地元の人間はここ近年は近寄らなくなったのだったが、
ネコ娘はむろんそんな事は知る由も無い。
ネコ娘が歩いてるのを見つけた人魚の兄は目を輝かせる。
「おっ、見ろ。女だ!」
「でも兄ちゃん、あまり大して美人じゃないよ」
「バ〜カ。あ〜ゆ〜タイプの女こそ、意外とマブいカラダしてんだぜ。」
兄はネコ娘の赤いジャンパースカートの下から覗く太腿、
そしてネコ娘の服の上から、胸元や腰つき、尻周りを目で追い吟味する。
見られてるとも知らず、ネコ娘は立ち止まる。
「脱衣所も無さそうだし、誰もいないんなら、ここらで水着にきがえましょっと」
ネコ娘は背中に手をやり、ジャンパースカートのジッパーを下ろし、
両肩の紐部分を抜くと、スカートがファサ、と音を立てて足下に落ちる。そのままブラウスの前ボタンを外していくネコ娘・・・・。
それを岩陰に隠れて、ゴクリと生唾を飲みながら見つめる人魚兄弟。
「兄ちゃん!」
「しっ!!もう少しだ。・・・・おっと、ブラを外した・・・・・・・予想以上にチチあんぞ〜っ・・・・・・・
パンティーを脱いだ――っ。のわ〜っ。ちくしょう、こっち向けよな、肝心な部分が見えねえじゃねえか・・・・
おっ、水着のブラをつけはじめたぞ。あっ、赤のビキニだ・・・・・・・下もつけたーっ。超ハイレグだーっ」
覗かれてることに気づいてないネコ娘は、
「うん、ぴったしね。あたしだって、スタイルいいんだから」
と、海へ向かって掛けていく。

436 :
それを見た人魚の兄は、
「あいつはこれから泳ぎに行くぞ。ようし、海に潜ってエロいことをするぜ!!」
「うひょ〜。」
涎を垂らしながらネコ娘の後を付ける人魚兄弟。
段差のある岩場へ行ったネコ娘は右脚をチャプンと海面につける。
「キャーッ冷たいー♪・・・・・・・エイッ」
鼻を摘まんでジャンプ1番海へ飛び込んだ!
ザッパーン!
頭だけ海面から出す。
「う〜ん、冷たくて気持ちいい〜。」
ネコ娘を追って来た人魚兄弟は、離れたところから飛び込んで、ネコ娘の浮かんでる水中の真下に潜り込む。
そして上のネコ娘を見上げる。
「ぬひょほほほ。いい眺めだねーっ、兄ちゃん。」
「『冷たくて気持ちいい〜』らしいから、おれたちにも『気持ちいい〜』思いをさせてもらおうぜ!!」

437 :
>>435-436
海難【1】【2】LeJCwUe

438 :
近づいて水着の上からネコ娘のおしりを舐める兄。
ペロン
ビックリして顔を赤らめるネコ娘
「キャッ!! な、何?」
「人魚だよーん」
今度はヨダレたらしながらペロペロと水着のパンツの前を舐める兄。
目を瞑り大声を出すネコ娘。
「キャッ、もう!」
ザザァ・・・・と波打つ海面で恥ずかしがるネコ娘の表情など全く意に介さず、
弟は
「オッパイもみもみ〜」
っと、水着のブラの上から左手でネコ娘の右胸をつかんだ。
水中でも弟の左手にムニュっと柔らかさな感触を与えた。
興奮した弟はネコ娘の後ろに回る。
そして首から上は海面にでてたネコ娘の全身を完全に水中に引きずり込みながら
グッと水着のブラを押し上げると、プルンッとネコ娘の乳房がその下から零れ出た。

439 :
「生のオッパイをもみもみしちゃお〜♪」
弟はネコ娘の露にさせられた両胸に手を当てると、そのまま鷲摑みで揉み始めた。

「いやあああん」

悲鳴をあげてうごめくネコ娘の様子を嬉しそうに眺める兄はヨダレをたらす。
弟はネコ娘の胸を包み人差し指と中指の間に乳首を挟んで揉む。
「…ああ…ッ」
ネコ娘の嬌声に、兄弟の欲望は更に止まらなくなってくる。
弟は指先に赤い蕾を捉えた。

「…は…あ…ん…っ!」

ネコ娘がピクンと仰け反る。
親指と中指で摘んで、人差し指でクルクルと擦ってやると、ネコ娘の声は一層切なくなった。

「あっ、あぁっ」

弟の指の動きに合わせて、ネコ娘の口から嬌声が零れ出る。
兄はネコ娘の反応を伺うように、時々ネコ娘の顔を見る。
甘い声で鳴きながらもネコ娘は徐々に快感を覚えていく。

「やぁ…っ、あっ、……っ」

弟の愛撫を感じて固くなった両方の蕾を指で攻め立てていく。

「あ、あぁ…あん…」

「さ〜てと、そろそろ俺も楽しませてもらおうか」
兄はネコ娘の腰周りから尻、股間を水着の上から撫で回す。
ネコ娘は、必に両手で股間を押さえる。
弟はネコ娘の胸の谷間に顔を埋め、兄は水着ごとネコ娘のおしりに吸い付く。そして右手で今度は後ろから股間を触る。
人魚兄弟はゆっくりとネコ娘の全身を撫でまわす。
胸、腰回り、尻と手を滑らせて、そのボディラインと肌の柔らかな感触を確かめる。

440 :
「嫌ァ! 離して!!」

ネコ娘は必で人魚兄弟の手を振りほどいて浮上する。

「ぶはっ!!」

海面から頭を出したネコ娘は捲られたブラを戻そうと試みる。
しかし、
「へへへ、逃がすもんか!」
と、兄弟は追いつく。
そして兄はネコ娘の水着のパンツの中に指先を入れた。

「あはんっ!」

ネコ娘の身体がビクンと大きく跳ね上がった。

兄の指先がネコ娘の秘部を覆う茂みを、感触を味わうようにさらさらと梳いた。
同時に堅くしこり始めた両胸の尖りを弟の指が摘み上げ、強く摩擦する。
「ひ、あ……っ」

441 :
兄はネコ娘の水着のパンツの中に入れてた右手を一旦出し、
「ようし、脱がしちまえーっ!」
と、パンツに手を掛け…ズリッ
「うへへへへ」と笑いながらネコ娘の水着をひっぺがしに掛かる。
丸見えになるネコ娘の桃尻!
「いいケツしてるぜ!たまりまひぇんなーっ」

442 :
「か、かはっ…、ヤ、ヤダァ〜もう……
 い、いい加減にしろぉ〜っ!!」

ザクッ!シュパッ!
ネコ娘は、牙をむき出してネコ化すると、鋭い自慢の爪で兄弟の顔面を思いっきり引っ掻いた。
「ぎゃああ〜〜っ!」
「ぐわああ〜〜っ!」
顔面に大きな引っかき傷ができた兄弟は思わずネコ娘から手を離して顔を押さえてうずくまる。

「今だっ」

その隙をついてネコ娘は必でその場から泳いで逃げた。
気づけばかなり沖の方まで流されて陸は遠く彼方にまでなっていたが、
今はそれどころじゃない、遠くに見える陸まで無我夢中で泳いだ。
やがて岩場にたどり着き、ネコ娘は岸に上がった。

「ゲホッ、ゲホッ、…ハァッハァッ……」

四つん這いで呼吸を整えるネコ娘…

「ふぅ、ヒ、ヒドイ目にあったわ」

とにかく人魚兄弟がまだ追ってくるかもしれないので、
ネコ娘はここからも離れなきゃと立ち上がった。
そして数歩歩くと、ふと自分の姿に気づいた。

「え? ちょ、ちょっと、あ、あたし……」

そう、時既に遅しで、ネコ娘の水着は人魚兄弟に脱がされてしまっていて
今の彼女はすっぽんぽんの状態だっただのだ!

「きゃあぁぁぁっ!!」

周囲に轟く悲鳴を上げて、ネコ娘は右手で胸を左手で前の陰部を隠しながらその場にしゃがみ込む。

443 :
ネコ娘はあたりに人がいないか見回す。
幸い変わらず人気は無さそうだが、よく見ると数十メートル向こうに海岸沿いにガードレールが見えて
しかも数百メートル向こうから車が走っていた。

「ヤバイっ!」

と、ネコ娘は自慢の四足走行で岩の物陰に素早く隠れた。
そして車が通過するのをなんとかやり過ごした。
こんなかっこうを見つけられたらどんな騒ぎになるやら…。
しかし、ここは初めてやって来た全く土地勘の無い海岸。
ネコ娘が最初水着に着替えた場所にはなかった地形で、かなり離れた地点だと思われる。
ネコ娘は自慢の嗅覚でクンクンと自分の衣服の匂いを嗅いでみたが
鼻にもそれを感じ取れなかった。つまりそれだけ遠く離れてしまっているわけだ。
どっちの方角に進めば自分が着替えた岩場へ行けるのか?

「困ったなあ、どうしよう…」

ネコ娘は全裸の状態で海辺に立つと、途方にくれてため息をついた。
とにかくハダカのままでもここから何らかの行動は起こさなければならない。

444 :
化けカラスたちに服を探してきてもらうようお願いする手もあるが、
まさか妖怪仲間に自分の裸体を見せるわけにもゆかない。
ましてハダカでゲゲゲの森へ帰るわけにもいかない。

「まごまごしてたら、あいつらがまたやって来るかもしれないわ」

今度人魚兄弟に捕まったらどんな目に合わされるか、
しかもネコ娘は全裸なのである。かっこうの餌食だ。
おそらく犯されるに違いない。
想像しただけでネコ娘はゾッとした。

「とにかく逃げなきゃ」

自慢のボディをさらけ出した状態で、ここから動こうと決意したネコ娘だが、
さて、どうすべきか?

445 :
ではでは444というキリの良い数字(?)でなんとかまとめれました
暑い日の妖しい倒錯(?)の世界としてw
「ねこ娘陵辱ものリレー」リメイク版
(強姦なしの途中抵抗)
※結末はリレー解答ということで、
ここから先は他の住人さんにバトンタッチします
ネコ娘がこの後どうなるのか、住人様のエロチックなSSを楽しみにしてます。

管理人さんが見てるのならば、倉庫番も復活してほしい
あと絵師の皆様、よろしければここまでのイメージ画をこちらにご投下くださいまし
http://www.kembo.org/nekomusume/upload.html

446 :
保守

447 :
誰か続きを

448 :
ここ見てる職人さんいらっしゃれば何か自分がリクエストしてもよろしいでしょうか?

449 :
>>448
それは一向に構わないと思います。
極端なクレクレは問題だけど
自分も>>435-444のリレーSSだって
ここ見てる他の職人さんの続き見たいし

450 :
ではお言葉に甘えて…
どなたか鬼太郎4期の吸血鬼モンローでエロSS書いていただけないでしょうか?
2〜5期まで皆勤のモンローですが自分は4期が一番エロくて好きでした
エロくてエロくてたまらず子供ながらによく録画したのをオカズにしていました
結局その1話しか登場せずもったいなさすぎると思っていたのでここの職人さんの手で復活させていただければ幸いです

451 :
>>450
おお、そのネタ悪くないね
特に4期と5期はかなり秀逸なデザインだったから
>>435-444の3期ネコ娘のリレーエロSSと並行で
こっちにも期待したいです

452 :
>>451
5期もそれなりに悪くなかったけどやっぱり自分は4期ですね
鬼太郎であそこまでエロくて興奮した女キャラは後にも先にも4期のモンローだけでした

453 :
どちらにしても
3期ネコ娘のリレーエロSSの続きと
4期モンローのエロSSを期待しましょう

454 :
正直なところこのスレ見てくれてる職人さんってどのくらいいるの?

455 :
>>454
現在は書き込みこそ落ち着いたけど
2003年〜2011年頃まで約8年間
職人さんもキタネコファンも各期ネコ支持派も
凄まじい数の住人さんで犇めいてたよ

456 :
3期ネコ娘のリレーエロSSの続きと
4期モンローのエロSS
マダ〜ヽ(・∀・)ノ

457 :
俺はアイディア思いついてもSSにするだけの文章力がないのでその役目はほかの方に任せるとして
4期モンローSSの内容として浮かんだのが
1、ねずみ男にセクハラされるモンロー
2、ピーに性的奉仕する主従関係SEXもの
3、ピーの命令で鬼太郎を誘惑
のがありますのでよろしければアイディア使ってください
勿論これ以外にもありましたらどうぞ

458 :
>>457
俺も正直SSにする文章力がない方
でもそのアイディアはどれも美味しそう
誰か期待するっす
また、4期モンローのエロSSはこれらのアイディアで十分満足できる

他にも3期ネコ娘のリレーエロSSの続きの内容も
色々アイディアある人の文章を期待するっす

459 :
職人さんが来ることを期待してageとこう…

460 :
なんかスレの流れ的に面白くなってる
4期モンローのエロSS
3期ネコ娘のリレーエロSSの続きを
それぞれ書かれる職人さんが来ると期待してageる

461 :
しかし誰も来ないな…

462 :2013/10/05
鬼太郎のアニメも水面下だしね
でも密かにROMってる人は変わらずいると思う
毛目玉氏とか三田猫マンセー411氏とか通りすがり氏とか
きっとモンローSSや三期ネコ娘リレーSSの続編書にこられると予測
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