2013年10エロパロ531: 【神父】男性聖職者の官能小説2【僧侶・神主】 (520) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【神父】男性聖職者の官能小説2【僧侶・神主】


1 :2011/04/03 〜 最終レス :2013/08/29
牧師、修道士、宮司、お坊さん、神官、教祖様etc.
神に仕える聖なる男性を題材に小説を書きましょう。
オリジナルでも二次創作でも、純愛物でも陵辱物でも何でもOK。
ただし801は禁止です。
■過去スレ
【神父・牧師】男性聖職者の官能小説【僧侶・神主】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1258773186/
■関連スレ
【シスター・尼僧】聖なる女の小説3【巫女・神官】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242637172/

2 :
スレ立ての際、数字を半角にしてもスレタイが長すぎると言われたので、
勝手ながら前スレのスレタイのうち、【神父・牧師】の「牧師」を削って、
「牧師」はテンプレの本文のほうに移動させました
スレタイ案について、不都合が生じた場合は次スレで話し合っていただければと思います

3 :
>>1-2

ありがとう

4 :
すみません、>>2訂正
×不都合が生じた場合は次スレで
○不都合が生じた場合は次スレ立てのときに

5 :
せっかく立った2スレ目なので即は避けたい

6 :
>>1

7 :
新スレにも一応貼っておく。
総合保管庫に依頼を出してきた。
2chエロパロ板SS保管庫
http://red.ribbon.to/~eroparo/
連絡用スレッド その2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/2051/1267493594/

8 :
>>7
乙です
前スレではだいぶ後で保管庫収録の了承を取ったけど、
これから新たにSS投下してくれる職人さんには
できれば投下時(後)に可否の意思表示もしてもらったほうがいいのかな

9 :
前スレ、ついにdat落ちしたね
この新スレでも素晴らしい萌えに出会えますように
かしこみかしこみ南無南無アーメン

10 :
この新スレでこそ清廉で生真面目な仏僧がめくるめくエロスに溺れてしまう
そんなSSが拝めると信じてる

11 :
自分の男性聖職者エロ萌えのルーツを振り返ってみたところ
どうやら子供の頃に読んだデュマの「三銃士」あたりのようだ
小学生の頃に読んだ子供向け版ではただ面白い歴史冒険活劇だと思ったが
中学で全訳版を読んで、いかにもおフランスで大人な世界に開眼した
ただ政治的な理由と悪役だからと思っていたリシュリュー枢機卿が
実はアンヌ王妃に対して可愛さ余って憎さ百倍で彼女を虐めていたとか
「二十年後」以降のデルブレー神父ことアラミスがあのロングヴィル公爵夫人の愛人設定とか
司祭館から出てきて馬上の連れが、実は男装の公爵夫人だとダルタニャンに見られるシーンは
直接のエロでないのに、秘密っぽいコソコソ感に妙なエロスを感じて未だに印象に残っている
そういや田舎の司祭館で留守を預かったラ・フェール伯爵ことアトスは
彼を神父と勘違いしたシュヴルーズ夫人に誘惑されて一男を儲けているし
二人の情事はざっといきさつが明かされるだけだけど、
亡命中に行きずりの神父(と思いこんだ相手)を誘惑する貴婦人…といろいろ妄想したなあ
ただ、アンヌ王太后と秘密結婚した設定のマザラン枢機卿には萌えなかった
基本的に聖職者属性が薄いキャラだからかな
それとも相手のアンヌ王太后が図々しいオバハン化していたからか

12 :
けん・ふぉれっと原作の大聖堂はBSドラマで先月に完結したけど
ダーク・エイジ・ロマンと言うサブタイトルのわりには
地下室で間男の種を受胎した貴婦人が中絶堕胎とかは無かったな

13 :
BS契約してないから見てないけど、「大聖堂」って
そんなのが期待できそうな要素のあるドラマだったのか?w>地下室で間男が(ry
ダーク・エイジ・ロマンって、要するに「暗黒の中世」が舞台の物語、ってことだよね

14 :
聖職者の腐敗と堕落と権力欲はたっぷりと描かれてた
爵位のために画策するかつての名家の没落も描かれてた
主人公の石工と格差婚する内縁名家妻との肉欲シーンも描かれてた
性的不能男に嫁いだ不幸な女(↑と同じ女)も描かれてた
石工の母親は魔女と呼ばれる城外の女で聖職者の腐敗を知ってた
中盤に差し掛かる辺りから最終回までは見てた 原作は未読

15 :
>>14
d
聖職者の腐敗と堕落と権力欲はたっぷり……
そこに聖職者のエロはなかったですか

16 :
観たかったなぁ
再放送するよな……?

17 :
>>15
前半を見てないので何とも言えないのですよ 見てた中ではエロ無し
最終の石工のから、前半での聖職者の悪行がバラされるシーンで
燃え盛る帆船からの離脱で小型ボートに乗り合せた青年の王と姫君を
背後から突き落として水させるシーンがあったんですが あっさり過ぎでw
中盤に、上位の聖職者を中年女性の手で塔屋から墜落させる場面も
その前段階で、何かあったとは思うのですが、見られずで残念な感じ

18 :
すまん書き漏らしてた
3月末までやってたBS−hi N○Kの準深夜枠での放映でしたから
オンデマンド枠のネット向け有料放送はあるのかもです

19 :
>>18
確認した
「大聖堂」はNHKオンデマンド対象だけど、見逃し枠だから
今はオンデマンドでも最終回しか見られないみたい
再放送を待つか〜
しかしNHKにしてはなかなかエロスとバイオレンスな内容
BSでなく地上波での再放送は難しいかな〜

20 :
土曜日の「天使と悪魔」見たけど
映画では原作の前教皇の私生児設定はなくなってたんだな
回想で尼僧との恋愛を匂わすカットがチラッとでも出るかと思ったのに

21 :
このスレの住人的に三島由紀夫の「金閣寺」はどんな感じなんだろう

22 :
それが出てるなら邦画の「白蛇抄」も入れて置かないとね

23 :
金閣寺の主人公ってなんか最初から聖職者って感じがしないんだよな
父親が僧侶だったからなっただけだし

24 :
やっぱり戒律や信仰心との葛藤があってこそなんだろうな

25 :
淫伺邪教だと、藍川京の小説「母娘」も入れといてくれ
海外だと神父の男色と父娘相姦の性犯罪が多いらしいね
厳しく禁じられているからこそ、そこへエネルギーも偏っちゃう感じ

26 :
おはげちゃん

27 :
禿ではありません、剃髪です

28 :
保管庫に無事収録されたな

29 :
剃髪してない住職好きだ。

30 :
浄土真宗の僧侶は剃髪しないらしいな

31 :
男性聖職者のキャラパターンとして
・ひたすらストイック、真面目で戒律厳守(A)※女性嫌い
・ひたすらストイック、真面目で戒律厳守(B)※フェミニスト
・女性に惹かれてしまうけど自制・自戒
・やることやってる破戒僧
・エロは正義!むしろ教義!
あたりが思いつくんだが、これに絡む女性のパターンは
・ひたすら無垢な聖女様
・無知ゆえにエロも抵抗無く受け入れちゃうあほのこ
・いけないと知りつつ聖職者に惹かれてしまう純愛娘
・戒律なんて関係ないわ!アタックしちゃうもんね!と積極的な娘
・むしろ聖職者を堕とすことが趣味の妖女・痴女
・聖職者は大好物です(餌として)、と味しくいただくサキュバス
あたりが思いつく
もちろんもっと細かく複雑なキャラ付けはあると思うが
スレ住人のみんなは、どういう組み合わせが好き?

32 :
しまった一文字消してた…>>31
×味しく
○美味しく

33 :
・女性に惹かれてしまうけど自制・自戒
・いけないと知りつつ聖職者に惹かれてしまう純愛娘
娘さんのほうも聖職者か信仰の厚い敬虔な教徒で。
人生における信仰の比重が大きいからこそ
恋情を押し通すことへの葛藤があるといい。
似たもの同士カップルのもどかしさがオイシイです。
書くとなると長くなりそうなんで難しそうだけど

34 :
>>33
性的関係以前に、恋心を持つこと自体が葛藤になるわけだから
エロに至るまでの描写は確かに長くなりそうだねw
結末もやっぱり悲恋ルートになりがちかなあ

35 :
>>31
自分は草食系男子×肉食系女子が好きなので
真面目×積極系が好きだなー
女にぐいぐい押されて我慢できなくなった聖職者が押し倒して、逆に女が慌てるようなやつ

36 :
女の子がいけないと思いながら決心して告白して、結ばれた後は一度知った快楽を持て余すようにエロくなるというふうに変化するのもいいなあ。

37 :
うわあ、なにこれ、凄く気持ち良いわ、やだ、これ、とまんない、な感じっすか

38 :
神父に押し倒された娘さんが、その後毎日教会に押しかけては、下だけ脱がせて上でがんがん腰振って、
神父の方も淫魔に犯されて堕落しているような気分になって深みにはまってくみたいな

39 :
「も、もっとサキュバスみたいに言ってみて」

40 :
「サキュバスだなんて、ひどい……、
わたしをこんな風にしたのは、だぁれ…?
神父さまにあんなこと、されるまでは、…あっ…、あたしっ、
なんにも、知らなかった、のに…っ、
神父さま無しでは、いられな、い、カラダに、なっ……ぁあんっ」

41 :
「サキュバスは…、そんなこと、言わない…っ!」

42 :
お尻叩いてくれ!!

43 :
「こんなに大きく、固くさせて、恥ずかしくないの?
 あなた、聖職者よねえ? わたしとこんなことして、
 獣みたいに腰を振りまくって、それでも聖職者なの?
 どう、肉欲の快楽に堕とされていく気分は?
 ……悔しい? 悲しい?
 そんなはずないわよね、そんな気持ちよさそうに喘いで……
 いいわ、あなたの精気、残らず吸い尽くしてあげる」

44 :
お尻ふりふり

45 :
淫魔プレイってなかなかいいな

46 :
ちょっと受信したので途中まで書いてみた
農場の娘×神父の組み合わせで、舞台は昭和初期の日本で北国(北海道あたり?)
神父の暮らしや考証がだめだめで申し訳ないです

47 :
「こんにちは、神父さま」
いつもと同じ時間に事務所兼居室のドアが開く。
そしてそのドアから林檎のように頬を真赤にした二重のくりくりした目が印象的な小柄な娘が顔をのぞかせる。
毛糸の手袋をはめた手にはアルマイトの小さな両手鍋がしっかりと握られている。
少女は鍋を抱えなおすとドアを閉めて、部屋の真ん中におるテーブルに鍋を置いた。
「こんにちは、さや香ちゃん」
窓際の事務机で帳簿をつけていた手を止めて、いつも通りの会話を交わす。
「顔が真っ赤だよ。寒かっただろう。ストーブにあたりなさい」
瀬戸は立ち上がると、ストーブの前に椅子を置いた。
「とても寒かったわ。おばさんが、今夜は雪になるんじゃないかって」
さや香と呼ばれた娘は頭から被ったストールや分厚い外套、手袋を順番に丁寧に脱ぎながら椅子に座った。
肩のあたりで切りそろえられた、少しくせのかかった髪がふわふわと揺れた。
「だから、今日はすいとん作ったって」
さや香はテーブルの上に置いた鍋に目をやった。
入り口近くのコート掛けに彼女の外套やストールをかけてきた瀬戸は、それに促されるように鍋のふたを開けた。
大根やその葉、人参などが煮込まれた汁の中に、白い小麦粉の塊が見えた。魚醤の香りが鼻をくすぐった。
「旨そうだな」
鍋を開けた瞬間に湯気で曇った瀬戸の眼鏡を見て、さや香が嬌声をあげて笑った。
瀬戸は苦笑しながら眼鏡を外して神父服の裾でレンズを拭った。
「チョコレートあげよう」
いつものように棚の小瓶から銀色の紙に包まれたチョコレートを一粒取り出し、さや香の手のひらに載せる。
この娘の目当てが駄賃代わりの菓子であることを瀬戸は承知していた。
「いただきます」
遠慮なくさっそくうれしそうに包み紙を広げるさや香と向かい合うように椅子を置いて腰掛ける。
「あのね、お隣の治朗さん家に仔牛が生まれたの」
「いつ?」
「今朝。お昼に見せてもらったの。とってもかわいいのよ。神父さま、今度見に行きましょうよ。哺乳瓶で仔牛に乳をやらせてくれるって」
「ああ、じゃあ今度見に行こうか」
取り留めのない会話を交わしながら、瀬戸は旨そうにチョコレートを頬張るさや香を見つめた。

48 :

さや香は近くの農場の娘だ。15歳になったばかりだ。
さや香の両親がこの土地に入植し、ここで彼女は生まれた。
その両親はさや香が幼い頃に亡くなり、
今は父親の妹夫婦のところで世話になっているという。
叔母夫婦はさや香の両親が開墾した農場を相続したそうだが、
それほど暮らし向きが豊かでないことはさや香の身なりが示していた。
誰かのお下がりなのか、いつもどこかにつぎのあたった洋服を着ている。
今着ているセーターも、おそらくもとは白かっただろうに、
すっかりくすんで色が変わってしまっていた。
瀬戸は昨年、この北方の町に建てられた教会に赴任した。
ここ数年で入植者が急激に増えたこの土地で布教するためだった。
キリスト教に関心がある者が少ないこの土地での布教活動は上手くいっているとは言い難かったが、
瀬戸自身は赴任してからの暮らしは彼の30年余りの人生のうち、最も楽しく幸福な日々を送っていた。
生まれてからこれまでずっと東京で暮らしていた瀬戸にとってこの土地の寒さは身に染みたが、
人々はよそ者の瀬戸にも親切で協力的であった。
ときどきオルガンなどを鳴らし、英語の本を読み、農具の改良に口を出し、時には町の人々の相談にも乗る瀬戸は、
「東京から来たハイカラな変わり者のインテリ」として一目置かれつつも皆から慕われていた。
そもそも「神父」というものが何なのかをいまひとつ理解していない者もおり、
いい歳をした瀬戸が独身であることを心配した床屋の老店主などは、
その人脈を生かして瀬戸に若後家を紹介しようとしたくらいであった。
もちろん瀬戸は丁寧に事情を説明して断ったが、
そうした人々の屈託のなさも瀬戸の気持ちを楽にさせていた。
しかし、やはり独り身の瀬戸にとって日々の暮らしは苦労するところも多く、
教会に一番近いところに居を構えるさや香の叔母が毎日夕食を作ることを申し出てくれたのだった。
そしてそれを届けるのがさや香の役割だった。
尋常小学校を出てから近所の牛や馬の世話をしたり、猫や犬と遊んで暮らしてきたさや香は、
東京にいる同じくらいの年頃の娘を比べれば格段に幼く見えた。
無邪気と言えば聞こえはいいが、裏を返せば礼儀作法も全く知らないただの子供ではないか、
自分のところへ夕飯を届けに来るよりも、都会に奉公にでも出した方が本人のためになるのではないかとも思い、
一度さや香の叔母夫婦にそのことを相談しようと決意したこともあった。
だが、一神父の立場でそのようなことを口にすることが憚られ、
父や年の離れた兄のような気分でさや香を見守り、
粗相をすればその時々に叱ったりたしなめたりすることにした。
さや香の方もそんな瀬戸の心中を知ってか知らずか、
瀬戸のことを年の離れた兄のようにしか思っていないようだった。
だがやがて、彼女自身の、そして近所の者たちの言動から、
どうもさや香の精神がわずかばかり肉体の成長に追いついていないことと、
そのことで叔母夫妻がさや香を持て余しているということを瀬戸は知ることとなり、
なおのことさや香に対する使命感と慈愛が湧いた。

49 :
「本を読んでから帰ってももいい?」
「どうぞ」
瀬戸のもとに夕飯を届けに来るさや香のもう一つの目当ては、
教会に置いてある絵本や児童書を読むことだった。
教会に子どもを呼ぶために入れたものだったが、当の子供はほとんど読みには来ず、
もっぱらさや香が独り占めしているようなものだった。
小学校しか出ていないさや香は絵本はなんとか読めるようだったが、
児童書の方は知らない漢字やことばが頻出するようで、
そのたびに瀬戸のところへ駆け寄って来ては読み方や意味を聞いていた。
そこで瀬戸は帳面と鉛筆を買い与え、自分に聞いた漢字の読み方やことばの意味を書きとめておくように命じた。
一年もそれを続けたので、帳面はすっかりぼろぼろになってしまい、ページももうすぐ尽きようとしていた。
だが、わずかではあるが、覚えて使いこなせるようになった言葉もあり、
さや香は「少し賢くなったかしら」とひとり喜んでいた。
さや香は本棚から絵本を持ってきてテーブルの上に置き、肩から下げた袋から帳面と筆入れを出した。
見ると鉛筆の芯がちびていたので、瀬戸は事務机からナイフを持ってきて削ってやった。
「ありがと。神父さまってなんでもできるのね」
芯がきれいに尖った鉛筆をノートの上に置く瀬戸の手に、さや香がそっと自分の手を重ねてきた。
「神父さまの手は、オルガンも弾けるし、おいしいパンも作れるしすごいなあ」
昼間に土でもいじったのか、爪の間が少し汚れていた。
それがなんだか哀れに思えてさや香の顔を見ると、
さや香は不思議そうにふっくらとした桜桃のような唇をぽかんと開いて瀬戸を見つめ返した。
その表情に胸が高鳴り始めたのを感じ、瀬戸はすぐに無言で手を引いて部屋の隅の事務机に戻って仕事を再開した。

50 :
どれくらい時間がたったのだろうか。
そういえばもうすぐクリスマスだし、さや香に新しい帳面と鉛筆を買ってやろうと思い、
彼女にそのことを伝えようとテーブルの方をを振り向くと、
さや香は読みかけの絵本の上に顔を伏せて眠ってしまっていた。
えらくおとなしいと思っていたら…と瀬戸は一人で苦笑して柱時計に目をやった。
もうすぐ5時になろうとしていた。
そろそろ外も暗くなってきたし、起こして家に帰らせた方が良いだろう。
「さや香ちゃん」
事務机から呼びかけたが、聞こえていないようで、規則的な寝息にまったく変化はなかった。
瀬戸は溜息をついて、さや香を起こすために彼女の背後に回った。
肩を揺らそうと顔を近づけると、腕と髪の間に横顔が見えた。
口元に微笑をたたえた寝顔が幸せそうで、瀬戸は思わず見惚れた。
さや香は可憐で美しい少女だった。
色白で丸い小さな顔に、少したれ気味の大きな目とふっくらとした唇がバランスよく収まっており、
容貌だけ見れば都会の女学生にひけをとらないほどだ。
その上、肩のあたりまでのばした髪は少し茶色がかっていてふわふわとして、
さや香に混血児のような危うげな雰囲気を纏わせていた。
ストーブの上のやかんがたてる音と、さや香の寝息を聞いているうちに、
瀬戸は再び自分の鼓動が速く大きく打ち始めたのを感じた。
なぜか、ふと夏に覗き見た、さや香の堅そうな乳房のことを思い出した。

51 :
あれは半年ほど前の盛夏のことだった。
さや香が午後に家で切ったばかりの西瓜を届けに来たことがあった。
いつものように瀬戸の居室の扉を開けたさや香の姿を見て、瀬戸はぎょっとした。
さや香が身に纏っていたのが、
おそらくいつもは肌着にしているであろうシュミーズのようなものだったからだ。
裾の長さは膝のあたりまであったが、
まだ膨らみきっていない乳房の形やその頂、薄い腰の線が微かに透けて見えていた。
来る途中で蚊にでも食われたのか、
身体を捩じってふくらはぎを掻いているさや香の広く開いた胸元から、
小ぶりな白い膨らみとその淡い頂が覗いた。
瀬戸の視線は一瞬そこに引き寄せられたが、
「そんな恰好で表を歩くもんじゃない」
とたしなめながら、慌てて瀬戸は自分の夏物のシャツを箪笥から取り出し、さや香に羽織らせた。
「だって暑いんだもの。それにどうしていけないの?」
さや香はいかにも理解できないといったふうに唇を尖らせた。
シャツのボタンを嵌めてやりながら、この娘に理由を説明するための言葉を探したが、
おそらく性に関してろくな知識を持っていないだろう彼女を納得させるためには、
ずいぶん話が長くなりそうだと思い、気が削がれた。
それに何より、幼いとは言えひさびさに女の乳房を間近に見てしまったことに
瀬戸自身が動揺していて上手く頭も働かなかった。
「とにかく、いけないものはいけないんだ」
三十路を迎えてようやく落ち着いてきたはずの肉欲が微かに頭をもたげたのを感じ、
瀬戸は小さく溜め息をついた。
「途中で誰かに何か言われなかった?」
「誰にも会わなかったから何も言われなかった」
肌触りの良いガーゼのような生地のシャツが気に入ったのか、
裾の方を持ち上げて頬ずりしているさや香を見つめた。
自分の身体が昂ったことに対する深い罪悪感と同時に、この娘の行く末を思った。
漢字やことばや礼儀作法を教えてやることはできるが、
性に関することはどうすればいいのだろうかと、
この時瀬戸はさや香に関して大きな問題に直面した。
そして、これをきっかけにしてにさや香に対する劣情にも悩まされ始めた。
さや香の身体を覗き見た日の夜、瀬戸はあのままさや香を床に誘う夢をみた。
そして久方ぶりに下着の中に欲望を放出したのとともに目を覚まし、
小さく呻きながら頭を抱えた。

52 :
長年こらえていたものが一度溢れだすと、抑えがきかなかった。
これまでは何も感じなかったさや香の声や、
身動きするたびに漂ってくる汗のにおい、
無邪気に自分に触れてくる体温すべてが瀬戸を煽った。
おそらく、いつも隙だらけのさや香に対して、
よからぬ思いを抱いている男たちがいることだろう。
瀬戸はそうした危険からさや香を守ってやらねばと考えていたはずなのに、
いつしか瀬戸自身が少女を犯す妄想にとらわれるようになっていた。
瀬戸の妄想は、決まってさや香を腕づくで凌辱するというものだった。
両手を縛り上げ、驚愕と絶望の入り混じった表情で泣き叫ぶさや香の粗末な洋服をはぎ取り、
愛撫もそこそこに一気に押し入る。
身を裂かれる痛みに絶叫するさや香を見下ろしながら、
今までの肉欲をすべてぶつけるように腰を動かし、自分を刻みつける。
しかし、やがて慣れてきたさや香が、
痛みと恐怖と官能の狭間でとまどいながら自分を見つめ、
「…神父さまぁ…」
と、大きな目を潤ませて、消え入りそうな声で自分の名を呼ぶのだ。
そうした筋書きを想像しながら、瀬戸は自分を慰めた。
毎回、さや香が苦しそうに達する姿を思い描きながら果てた。
いつも終わってから罪悪感に苛まれ、さや香に謝罪を、
神に祈りを捧げることになるというのに、やめることができなかった。
性について無知な、
そして自分の言うことを素直に聞くさや香を手篭めにすることなど、
おそらく容易いことだろう。
自分の身に起こっていることが何なのかもわからないまま瀬戸に抱かれ、
このことを誰にも話してはいけないと言い含めれば、
さや香は忠実にそれを守るだろう。
これ以上この娘と関わり続けることは危険だと思い、
何度かさや香に夕食を届けさせることを断ろうと、
自宅に出向こうとしたこともあるが、すでに彼女との時間を手放すことが惜しくなっていた。

53 :
支援
続きを早く…!

54 :
都会からのメガネ神父と田舎の純朴娘キター
続き待ってる

55 :

もしも本当にさや香のことをを愛おしく思うのであれば、
彼女が飢えぬように、凍えぬように、皆の愛と神の祝福を受けて幸福に暮らせるように祈り続ければ良いではないか。
いつも自慰に耽った後、倦んだ気持ちのままそう決心するのだが、
翌日に砂糖菓子のようなさや香の姿を見るたびに、再び邪な気持ちが膨れ上がるのだ。
今も自分の目の前で、腕を伸ばせば届く距離で無防備に眠りこける少女に触れたくてたまらなかった。
もう一度呼べば目を覚ますだろうかと思い、
「さや香ちゃん」
と顔を近づけて声をかけた。
すると彼女は少し身を捩って、鼻にかかった声で小さくうなったが、目を覚ます気配はなかった。
その声と表情が情を交わしている時の反応のように思え、瀬戸はさらに煽られた。
そしてとうとう、決して思い至ってはならない考えに到達した。
この状態で少しくらい触れても、さや香は気付かないのではないか。
―一度だけだ。この娘が目を覚まさない範囲で一度だけ。それで彼女への思いは一生封じ込めよう。
瀬戸は眼鏡を外し、音をたてないようにテーブルに置いた。
息を詰めてさや香の白い桃のような頬に慎重に触れると、
想像していた通りふわりと柔らかく、それだけで胸が高鳴った。
次に少し癖のかかった髪を撫でてやる。
「…さや香ちゃん…」
溜息とともに漏れた声は、娘を起こそうとするものではなく、愛しい女への囁きだった。
髪に指をからませながら、耳元に唇を寄せた。
息を吸うと、いかにも少女らしい石鹸と体臭が混じり合った匂いが鼻孔を満たす。
それを繰り返しながら、この時間がいつまでも続けば良いのにと、さや香の耳朶に唇で触れたその時だった。
柱時計が5時を報せる鐘を打ち始めた。
疚しい気持ちでこっそりと少女に触れていた瀬戸は、
誰かに見咎められたかのように慌てて体を離した。
一方、時計の音で目を覚ましたさや香は、自分のすぐそばに誰かがいたことに驚き、
声もなく身を翻して椅子に座ったままバランスを崩して床に倒れた。
「神父さま…」
眼鏡を外し、いつもとは明らかに違う狼狽した様子で立ち尽くす瀬戸に、
さや香は尻もちをついたまま視線を向けた。
驚きと少しの怯えが混じり合ったその表情は、
いつもの淫らな瀬戸の妄想の中での表情と同じものだった。

56 :
次回凌辱表現ありなので、スルーしてもらえるように、
いったんここまでで区切りました。
小刻みですみません…。


57 :
続き期待…!

58 :
期待

59 :
期待して待ってます

60 :
もうすでに一線を越えてしまっていた瀬戸は、何の迷いもなくさや香に肉薄した。
ぺたりと座りこんだままあっと短く叫んで後ずさろうとするさや香のふくらはぎを掴んで引き寄せた。
自然とうつ伏せに倒れこんださや香にのしかかる。
茶色いズボンを下着と一緒に膝のあたりまで下ろすと、陶器のように白くすべすべした双丘が目に入った
「ごめんなさい…」
さや香は瀬戸を振り返って目に涙を浮かべてそう口にした。
さや香がここに通い始めた頃、瀬戸が目を離したすきにテーブルの上にあった果物を勝手に食べていたので、定規で彼女の尻を打ったことがあった。
おそらく今自分の身に起こっていることが、あの時のものと同じ種類のものだと思っているのだろう。
そして、自分がどんなお仕置きをうけるようなことをしたのだろうかと混乱しているに違いない。
瀬戸は無言で後ろからさや香の脚の間に手を伸ばした。
すでにはちきれそうなほど昂っている瀬戸に対し、もちろんさや香の側は受け入れる準備などできていない。
しかし、瀬戸には床の上で女と交わる時のように、丁寧な愛撫を施すつもりはなかった。
毎夜の妄想のように、一刻も早く繋がりたかった。
それにいつ誰が教会に訪れるかもしれない。
その前に思いを遂げてしまいたかった。
さや香の口に指を入れて唾液をすくい取り、それを秘所に擦りつける。
「ねえ、神父さま…、神父さまってば…!」
何度呼んでも答えてくれず、荒い息使いで自分の秘所を弄る瀬戸に恐ろしくなったのか、さや香はとうとう泣き出してしまった。
「やめて…。ねえ、何してるの? 重いよ…」
これから自分の純潔を散らされるということなどおそらく知りもしないだろう。そして、その意味も。
自分を受け入れられそうになるまで無理やりさや香を潤わせると、上服のボタンを外し、自分も膝までズボンと下着を下ろして肉茎を取り出した。
うつ伏せのまま少し脚を開かせ、手で先端を少し押し込み、ぐっと腰に力を入れる。
さや香が体を震わせて悲鳴を上げた。
「痛い…やだぁ…!」
瀬戸から逃れようとするさや香の頭を抱え込み、もう片方の手で彼女の口を塞いだ。
「少し体の力を抜いて」
瀬戸が低い声で言うと、さや香は抗うように首を振ってますます身を固くした。
何度かなだめるように頭を撫でたが、さや香の反応は変わらない。
瀬戸は諦めてさらに腰に体重をかけた。
一瞬何かに引っ掛かるような感触の後、熱い粘膜に包まれた。
さや香の絶叫が瀬戸の掌を震わせた。
苦しそうに鼻で息をしながら泣き叫ぶさや香と対照的に、瀬戸は深い息をひとつつくと、ゆっくりと腰を使い始めた。
さや香の中で出血が始まり、摩擦が滑らかになってくる。
それとともに、瀬戸を拒んで押し返そうとする刺激に、めまいを覚えるほどだった。

61 :
瀬戸はもともと信仰心が強いわけではなかった。
妾の息子だった瀬戸は、彼が5歳の時に父親であった実業家がんだ後、母と二人で路頭に迷うことになった。
その時に転がり込んだのが小さな教会で、それが瀬戸とキリスト教との出会いだった。
母親が教会の管理人や司祭の生活の世話をする傍ら、瀬戸は司祭から英語と神学、それと読み書きや算盤を中心に教育を受けた。
瀬戸が15歳の時に母親もこの世を去り、教会に居辛くなった彼は寄宿舎つきの神学校に入学した。
学校に行きたいという強い気持ちはあったが、貧しくほとんどまともな教育を受けていなかった瀬戸には、他に選択肢がなかったのだ。
だから、神学生時代はこっそりカフェの女給と関係を持ったり、女を買ったこともあった。
背がすらりと高く、少し冷たい雰囲気ではあるが男ぶりが良い瀬戸は、それなりに女にもてた。
ただ、長いつきあいになると困るので、どの女とも一度きりの関係に留めるようにしていた。
これほどの興奮と快楽を得たのは初めてだった。
神学校を卒業してから女と交わったことがなかったせいもあるだろうが、神父としての禁忌を破ったことや、何も知らない可憐な生娘を腕づくで凌辱していること、それがここ何カ月か手に入れたくてたまらなかった少女であることといった、様々な理由が瀬戸を追いたてていた。
徐々に呼吸とうめき声が上がって行く瀬戸に対し、さや香は諦めたように脱力し、男に背後から突き上げられるたびに小さく声をあげて嵐のような時間が過ぎるのを堪えていた。
さや香の声は一層男を煽り、絶頂へと追い立てた。
達する瞬間に昂りを引き抜き、柔らかなさや香の腿の間で果てた。
しばらく少女を掻き抱いたまま呼吸を整えた後、体を離した。
腿の間を破瓜の血と瀬戸の精液で濡らしたさや香は、うつ伏せたまま、顔だけを横に向けて目を閉じてすすり泣いていた。
瀬戸は額に浮いた汗を拭い、服を整えながら眼鏡を探した。
テーブルの上に置いたはずのそれはいつの間にか床に転がり、レンズにひびが入っていた。
替えの眼鏡を持っていないので、しかたなくひびの入った眼鏡をかけて、台所に洗面器を取りに行った。
台所の入口のそばの壁にかけてある鏡に自分の姿が映ったのを見て、瀬戸は溜息をついた。
ひどい姿だった。
床で事を行ったため、黒い神父服はあちこち埃や外から来た砂や土で白く汚れていた。
いつもはきちんと整えている髪も乱れてぱらぱらと額にかかり、幾筋か汗で張りついていた。
それに何より、獣欲を遂げたばかりの目は赤く血走りどんよりと濁っていた。
台所に入り、流しに伏せてあった洗面器に甕に汲み置きしてあった水を入れ、手拭いも持って部屋に戻った。
ストーブのやかんから湯を洗面器に移し、ちょうど良い温度に調節して、テーブルの上に置いた。
倒れたままだった椅子を起こし、そこにまだぐずぐずと泣いているさや香を浅く座らせた。
洗面器のぬるま湯に手拭いを浸して堅く絞り、涙に濡れた目元を拭ってやる。
眼鏡をかけて近くで見ると、頬も汚れているのがわかった。
一度手拭いを濯いで、頬の汚れも落としてやる。
「怖い思いをさせたね」
さや香の足元に屈んで顔を覗き込むと、彼女は潤んだ目で瀬戸をじっと見つめた。
汚されたばかりだというのに澄んだままの瞳に胸が苦しくなり、瀬戸はすぐに視線を逸らした。
膝のあたりまで下げられたままのズボンと下着を脱がせる。
脚を広げると内腿に純潔と欲望の証がこびりついていた。
この時になって瀬戸は初めてさや香の秘所を見た。
彼女の髪と同じように少し色の薄い茂みにささやかにおおわれた性器に薄く血が滲んでいた。
先に性器を拭うと、手拭いに赤い色が滲んだ。
それが見えなくなるまで何度か繰り返し、次に内腿を清めた。

62 :
おつです

63 :
後始末を終えてさや香の服を整えると、もう一度さや香を椅子に座らせ、彼女の手を取った。
「いいかい、このことは私たちだけの秘密だよ。誰にも話しちゃだめだ」
諭すように言うと、さや香は無言で頷いた。
だが何か瀬戸に言いたそうに、ぎゅっと唇を噛んでこちらを見つめている。
「どうしたの?」
と、瀬戸が尋ねると、
「神父さまは、あたしのことが嫌いになったの?」
今にも泣きだしそうな表情で答えた。
少し声が震えていた。
「嫌いになんてならないよ。どうして?」
瀬戸はさや香の頬に触れた。
「じゃあ、どうしてあんなに痛いことしたの?」
言葉を探したが、どうしても答えられなかった。
「本当にすまなかった」
「じゃあ、もうあんな痛いことはしないでね」
子供にでも言い聞かせるように、さや香は自分の前にしゃがんでいる男の白髪混じりの髪を撫でた。
「約束する」
「ならいいわ。許してあげる」
さや香はそっと口元に笑みを浮かべた。
「さや香ちゃんは、私の事が嫌いになった?」
「ううん、あたしは神父さまのこと好きよ。ときどき怖いけど、優しいし、物知りだし、いろんなことができるから大好き」
精神が幼く無知な少女を凌辱して、何も教えないままこんなことを言わせている自分が、神父である以上に人間としてどれだけ酷いかという自覚はあった。
だが、彼女が自分を拒絶してはいないのを知ったことで、これで終わりにするのが急に惜しくなってしまった。
「これからもここに来てくれる?」
「いいわよ」
何を当たり前のことを聞くのだという風に返事をするさや香に愛おしさがこみあげ、瀬戸はさや香の唇を塞いだ。
少し啄ばむようにして離れると、
「へんなかんじ」
とさや香がはにかんだように微笑んだ。

翌日、午前中の仕事を終えた瀬戸は眼鏡の修理をするために町へでかけた。
「レンズが取り寄せになるから、少し時間がかかるよ」
洋画家のような雰囲気を持つ眼鏡屋の主人は、それまでの代わりの眼鏡にと、いくつかカウンターの上に並べた。
試しにかけて、レンズの度が合うものを選んだ。
いつもの細い銀縁のとはまるで違う、太い黒縁の眼鏡だった。
鏡を覗くと、見慣れない陰鬱で神経質そうな男がこちらを睨みつけていた。
自分の顔はこんな風だっただろうかと凝視したが、変化はなかった。
それに、レンズも壊してしまったものより少し大きく、どこか座りが悪いようで落ち着かなかった。
何度かかけなおしては位置を調整する瀬戸に、眼鏡屋の主人は、
「すぐ慣れますよ」
と言い、簡単に作った見積書を渡した。
眼鏡屋を出て少し歩いた露店で、林檎を売っていたので、さや香に剥いてやろうとひと山買った。
乗合馬車の乗り場にちょうど馬車が止まっていた。
瀬戸が荷台に乗りこむと、病院帰りと思しき老女や、買い物帰りの親子が軽く会釈をした。
瀬戸もそれに応えて頭を下げてベンチに腰を下ろしたところで、
「あれ、神父さま」
と、声をかけられた。
声の主である、向かいに座った大きな風呂敷包みを抱えた男には見覚えがあった。
確か、駅前の海産物問屋の若い衆だったはずだ。
これから農場の方に乾物でも売りに行くのだろう。
「眼鏡を変えたんですか? 誰だかわかんなかったや」
「ちょっと、壊してしまって」
「ふうん。そっちの方が男前に見えますよ」
ハンチングの下のにやにや笑う狡猾そうな目が、もしかして自分が眼鏡を壊した理由を知っているのではないかというあらぬ妄想を抱かせた。
男が差し出してくる裂いたするめを受け取りながら、瀬戸は曖昧に笑った。

64 :
さや香の純粋さにぐっときた
続くのなら続いてほすぃ

65 :
葛藤のすえにとうとう
とてもよかった
なんか破滅に向かいそうで怖いけど

66 :
ありがとうございます。
お目汚し申し訳ありませんが、
もう少しおつきあいいただけるとうれしいです。

67 :
おつです
今後どうなるのか楽しみ!

68 :
続きに期待

69 :
聖・職・者!

70 :
コバルトだけど。
すごーく昔に読んだ「聴罪師アドリアン」のアドリアンとビアンカに萌えてた。
あれどうなったんだろ……

71 :
ベタベタなシチュだが告解室でえちーというものを書こうかと思ったものの
実際映画で見かけるだけなんで、中の設備の名称などわかるWebページ知りませんか?

72 :
>>71
特別な名称があるほどの設備ってあるのかな?>告解室の中
「告解室」でぐぐると内部の写真もいっぱい出てくるけど、
極端なのだと格子窓付きのついたてだけとか、そんな感じだし
ボックス型でも、神父が腰掛ける椅子くらいの簡素な造りがほとんどじゃないかな
ポイントは「ひと1人分くらいの狭さ」と「格子窓」くらいかと

73 :
>>72
はやっ。ありがとー今読みました
椅子の他に足置き、荷物台、聖書でも置いてあるのかと思ってたけどそんなことはなさそうなのか
細けぇことは気にすんな!の心意気でのぞみたいと思います

74 :
>>73
凄く好みのシチュです
激しく期待

75 :
■お坊さまのお稲荷■
昔々あるお寺に、典座寮の若いお坊さまがいました。
ある日、お坊さまは参拝客に振る舞うための精進料理を作っていました。
その様子を、物陰からこっそり覗く視線があります。
粗末な身なりの愛くるしい童女です。
しかし人間ではありません。
狐の耳としっぽを生やした妖怪です。
キツネ娘はヨダレを垂らしていました。
ほんのり湯気の昇った出来たての油揚げを、物欲しげに凝視しているのです。
「珍しいな、あやかしの娘か。……ほら、おいで。お稲荷さんをこさえてあげよう」
心根の優しいお坊さまは、微笑んで手招きしました。
キツネ娘はぱあぁっと顔を輝かせます。
甘辛く煮た焦げ色の皮に、具だくさんの山菜おこわを詰め、小皿に取ってやります。
お腹をすかしたキツネ娘は、稲荷寿司を夢中になって頬張りました。
「おいちいっ」
口元にご飯粒を散らかしながら貪る光景は、お坊さまの心を和ませます。
お坊さまは、異形の者にも慈悲の心を持って接しました。
相手が誰であろうと、誠意を込めて、おもてなししたいと考えているのです。
「食べ終わったら、もうお帰り。お師匠様に見つかれば大目玉を喰らうからね」
「はあい。またねー、お坊ちゃん」
元気にぴょんぴょん飛び跳ね、キツネ娘はいずこかへ帰って行きました。
次の日もまた、キツネ娘が厨(くりや)を訪ねて来ました。

76 :
「お坊ちゃん、おいなりちょうらい」
「すまない、今日は油揚げを切らしているんだ。
 代わりにお結びを握ってあげるから、そこで待っていなさい」
作務衣の前掛けで手を拭き拭き、お坊さまは言いました。
「やだいやだい! おいなりがいいんだい!」
ところが、キツネ娘はジタバタと駄々を捏ねます。
「弱ったな……」
困って頭を掻くお坊さまを尻目に、キツネ娘がはしゃいだ声を上げました。
「アッ、おいなりあるやん。お坊ちゃんのおいなり見っけ!」
なんと罰当たりにも、キツネ娘は褌のモッコリを鷲掴みにしたのです。
「もみもみ」
紅葉のような手が二個のふぐりを揉み上げました。
真っ赤になったお坊さまは、慌てて叱り飛ばします。
「コッ、コラー! 何をする、止めなさい!!」
「ぁ、あう……お坊ちゃんが怒った」
「いや、あの……」
あどけない童女がベソをかいたので、お坊さまは怯んでしまいました。
「ちゅっ」
するとキツネ娘はドサクサに紛れ、お坊さまの口を啄ばみます。
「ヤタァー! ひっかかった、ひっかかった」
ころころ笑い転げるキツネ娘。
「大成功! 大成功!」
喜びにプリプリしっぽを振りながら、キツネ娘はいずこかへ逃げて行きました。
まじないの接吻を受け、ごっそり精気を吸われたお坊さまは、その場にへたり込みました。
魔性の狐にまんまと騙されてしまったのです。
お坊さまは股間の怒張を抑えることが出来ませんでした。
その後、煩悩を振り払うため座禅を組み、老師に喝を入れて頂きました。
それから若いお坊さまは、より一層修行に励み、立派な僧侶になったということです。
おすまい。
(-ノ-)/Ωチーン……合掌( ̄人 ̄)ナムナム

77 :
乙です!キツネ娘カワイイ!
大人になったキツネ娘が誘惑にくるところが見えたが自分だけか…

78 :
可愛いなあw

79 :
坊さん×妖怪娘の破壊力は異常

80 :
未亡人×神父とか需要ありますか?

81 :
>>77
自分も読んで見たい
>>80
あるあるw
一昔前のエロ小説で言えば、未亡人と菩提寺の住職や僧侶とか定番
千草忠夫の小説だと、「闇への供物(全5巻)」があって
未亡人の、み台さま(住職夫人)と寺男や、檀家総代の男との
濃厚な不倫描写がたまらなかった記憶がある

82 :
>>80
全裸にロザリオ掛けて待ってます

83 :
>>80
少なくとも私には需要ありまくりです

84 :
Togetter―「僧侶の妻帯について」
http://togetter.com/li/11624

85 :
■キツネ娘の悪戯■
昔々あるお寺に、師家の信任も厚い立派なお坊さまがいました。
ある日のこと。
お坊さまは老師から深刻な相談を受けました。
近ごろ、若い雲水たちをたぶらかし、精気を奪う悪い妖怪が出没するというのです。
精気を抜き取られてもには至りませんが、体力を回復するのに時間がかかります。
このままでは修行に身が入りません。
お坊さまは犯人に心当たりがありました。
数日後。
厨(くりや)中にスパーン、スパーン、と叩打音が響いています。
「――やらぁ! お坊ちゃんがうちをいぢめる! あ〜ん、あ〜ん……」
叩打音に童女の泣き喚く悲鳴が重なります。
お坊さまの読みはみごと当たりました。
予想通り、犯人はあの幼い狐のあやかしだったのです。
年ごろの別嬪な娘さんに化け、雲水たちに悪戯三昧していたのです。
大好物の油揚げにまんまとおびき寄せられたキツネ娘は、
台所に盗みに入ったところを、お坊さまに捕獲されたのでした。
今は厳しいお仕置きを受けている最中です。
丸出しのプリンッとしたおしりを、お坊さまの大きな手が打ちすえます。
「雲水たちに悪さばかりするのは止めなさい!」
「いたい、痛いよっ、皮むける! おちり叩かないでぇ」
打たれるたび、こんがり狐色の耳としっぽがピーンと突っ張って反応します。
キツネ娘の小ぶりなおしりは、見る見ると赤くなりました。
「こんにゃろー、離せやいっ! くそぼうず!」
キツネ娘は悪態をつき、かかえ上げられている男の太股の上でジタバタ暴れます。
暴れると、ますます強く押さえ付けられてしまいます。
「うち、悪くないやい! だって、人間の精気たべないと、
 おなかペッタンコになってんじゃう。それに、
 おはげちゃんたち、すぐひっかかるんだもん」
「雲水たちに隙があったのは確かだ。……私の監督不行き届きでもある」
高く振り上げた腕を止め、お坊さまは苦く言いました。
――相手に出来た隙を、キツネ娘が見逃すはずがありません。
身軽にくるりと体を回し、お坊さまの膝の上に座り直します。
涙に濡れた瞳を上目遣いにしながら、お坊さまの首に腕を回します。
キツネ娘の澄んだ瞳に見上げられると、たとえ仏道にある男でも、
金縛りにあったように体が動きません。
「……ねえ、精気ちょうらい。お坊ちゃんの精気が一番おいちい。
 もう、ほかの人間にはいたずらしないから」
お坊さまの顔を抱き寄せ、口を食み精気を吸いあげると、そっと囁きます。

86 :
「これからも、ときどき精気くれたら……うち、お坊ちゃんのやや子産んであげる」
お坊さまは言葉を失いました。
僧侶は子を残すことを許されない身分です。
それは、彼にとってあまりにも酷な誘惑でした。
「ちゅっ、ちゅ……相変わらずチョロい」
啄ばんでいた口から音をたてて離れ、そう呟いた次の瞬間。
キツネ娘は鋭い鬼歯で唇に噛みつき、お坊さまを乱暴に突き飛ばしました。
「!!」
精気を大量に持って行かれたお坊さまは、脱力し後ろに勢いよく倒れます。
「ざまみれぇ! べーっだ! はーげはげ! 覚えてろい!」
あっかんべえと舌を出し、捨て台詞と共にキツネ娘が逃げようとすると。
懐から何かを取り出し、お坊さまが慌てて呼び止めました。
「待て、待ちなさい。これを持って行きなさい! 腫れを抑える軟膏だ」
お坊さまはなんとか力を振り絞り、塗り薬を詰めたハマグリの貝殻を投げ渡します。
ハマグリを受け取ったキツネ娘は、ついでに油揚げも皿から二、三枚失敬し、
脱兎のごとく、いずこかへ逃げ帰って行きました。
噛みつかれた口の中に血の味が広がります。
「……――くそっ!」
お坊さまは吼えました。
二度も同じ手に嵌められた不甲斐なさ、自分の未熟さが情けないのです。
少しでも女人の色香に惑うようでは、まだまだ修行不足です。
同時に気づいてしまったのです。
一人の男として、キツネ娘に心惹かれている自分に。
彼女をいとしく思い始めているのです。
住み処に戻ったキツネ娘は、独りぼっちでシクシクと泣いていました。
「コーン……コンコン……コン」
みっちりお灸をすえられたおしりが、ヒリヒリ痛んで堪らないのです。
山清水の流れを使い、腫れあがったおしりをよく冷やします。
お坊さまが投げて寄こした傷薬を塗りつけると、いくらか痛みがマシになりました。
その夜は泣き疲れてしまい、キツネ娘は折り曲げた体をしっぽで丸くくるみ、
毛玉になって眠りました。
――お坊さまの奮闘のおかげか、お寺には再び静寂が戻りました。
しかし、その平和の裏には密約が交わされていたのです。
新鮮な精気と、数枚の油揚げを定期的に提供することで、キツネ娘と交渉成立したのです。
美味しいごはんにありつく為、キツネ娘はせっせと足繁くお寺に通いました。
たくさんの言葉を交わすうちに。
いつしか、お坊さまとキツネ娘は心通わせるようになりました。
二人の交流と関係は、後に住職となったお坊さまが亡くなるまで、続いたということです。
おしまい。
(-ノ-)/Ωチーン……合掌( ̄人 ̄)ナムナム

87 :
結局坊さまの子を産んであげたのかどうか、気になる

88 :
キツネ娘の、お姉さん系の色っぽさを
しっとりと描写してくれとあれほどw
そこだけ見事に中抜きしてくれちゃってさw

89 :
夫の淳一郎が息を引き取ってから三度目の月命日の翌日、千尋は夫の言いつけ通り教会を訪れた。
夫が生きていた間に、毎週日曜に2人で通っていた教会だ。
夫の後、ここを訪れるのは初めてだった。
「お久しぶりです。お待ちしていました」
神父の矢崎に応接室に招き入れられ、ワインレッドのビロードが張られたソファに腰を下ろした。
「昨日、お電話を頂いて、嬉しかったんですよ」
お茶の準備を始めた矢崎には悪いが、早く用事を済ませて帰りたかった。
千尋はこの神父が少し苦手だった。
矢崎は美しい男だった。
直接年齢を聞いたことはないが、千尋より少し年上ではないかと思われた。
すっきりとした輪郭に、切れ長の大きな目と、大きく高い鼻、薄い唇がバランスよく収まっていた。
日曜の朝のミサの後は、いつも彼のファンの女たちに囲まれて何やら話しているようだったが、いつも千尋は遠巻きに見ていた。
矢崎が神父のくせに自分の美しさを熟知して行動しているような気がしてあまり好きになれなかったからだ。
ねっとりとした濃い蜜のような色気を纏ったところも嫌だった。

90 :
「あの、これ…」
まだ矢崎が向かいのソファに座っていないにも関わらず、千尋はここに来る途中で寄った銀行の封筒をそっとテーブルの上に置いた。
「少しですが」
「寄付ですね。先生からは伺っています」
大学教授だった夫のことを、矢崎はずっと「先生」と呼んで慕ってくれていた。
「ありがたく頂戴いたします」
矢崎は中身の確認もせずに、部屋の奥に置かれたキャビネットの引き出しにしまった。
「わたしはこれで」
封筒がきちんと保管される様子を見届けて、席を立とうとした千尋を矢崎が遮る。
「お茶でもいかがですか? 隣りの奥さんに美味しい紅茶を頂いたんですよ」
あまり気が進まなかったが、
「じゃあ少しだけ」
と夫が生前に見立ててくれた、藍色の綿の着物の裾を直して座りなおした。
「可愛らしいお着物ですね」
この男のこういう所が嫌いで、千尋は無言で受け流した。


91 :
とは言うものの、千尋が夫と2年前に結婚した際にも、夫が息を引き取るときや葬儀の際にも世話になった。
特に、入院中は「恩人」と呼んでも差し支えないほど、夫は親身になって支えてもらった。
神父であると同時に、年下の友人として矢崎は週に何度も言葉をかけに病室を訪れてくれた。
教会へ通えなくなった夫とともに聖書を読み、世間話をして何時間も過ごすこともあった。
を待つばかりになった床で、穏やかな気持ちで残された日々を過ごすことができるようになったのは、間違いなく矢崎のおかげである。
その礼を夫の後まだ伝えていなかった。丁度良い機会だと思った。
「その節は、お世話になりました」
カップに紅茶を注いで、テーブルを挟んだ向かいのソファに腰を下ろした矢崎に、千尋は頭を下げた。
「僕は何も特別なことはしていませんよ。それに、僕にとっても充実した日々でした。お礼を言わなければならないのはこちらの方です。それより、その後、色々大変だったでしょう? 僕も何かお手伝いできればよかったのですが」
「お気持ちだけで十分です。」
いかにも形式ばった言葉を交わしているうちに、矢崎が思い出したように軽く手を叩いた。
「そういえば…、お宅に先生の本が沢山あったでしょう? あれはどうなさったのですか?」
「大学の図書館に寄付しました。おかげで家がずいぶん広く感じられて」
「それは寂しいですね。でも先生らしい」
大学で歴史を教えていた夫のせいで、家の中で置けるような場所にはすべてびっしりと本の詰まった書架が並べられた。
それも夫の遺言ですべて勤めていた大学に譲り渡した。
運び出されて行く本のことを思い出した途端、千尋は急に夫のことが懐かしく恋しくなってきた。

92 :
千尋は淳一郎の教え子だった。大学を卒業する時に交際を申し込まれた。
贔屓目かもしれないが、少し野暮ったいけれど、誰に対しても温かい淳一郎の方が矢崎より余程いい男に思えた。
不器用にではあるが愛情をたっぷり注いでくれた淳一郎は、生前に様々な煩雑な法律上の手続きを済ませておいてくれた。
預金も千尋に遺す分と、教会に寄付する分とを二つの銀行口座に分け、毎月の寄付を怠ることがないようにだけ言いつけた。
矢崎への恩に報いると同時に、千尋に善行を積ませるためだった。
「いいかい千尋、善いことを沢山すれば、また会えるんだからね」
昏睡状態に入るまでの間、淳一郎は毎日のようにその言葉を繰り返した。
それが彼が矢崎との対話の中で見つけた答だったのだ。
やがて記憶は夫が息を引き取った瞬間のことにたどり着き、千尋はとうとう気持ちを抑えることができなくなって、夫の葬儀の後初めて声を上げて泣いた。
「あの方は、お優しい方でしたからね」
矢崎も夫を偲ぶように言うと、紅茶の入ったカップを静かに口に運んだ。
意外にも、矢崎は聖書を引用したような説教臭いことは言わず、泣いている千尋を無言で見つめていた。
夫ほど信仰が深くなかった彼女にはそれがありがたかった。
聖書に何と書いてあろうが、あの瞬間は悲しくて恐ろしかった。

93 :
やがて千尋の嗚咽がおさまった頃、矢崎が隣りに腰かけてきた。
「喉が渇いたでしょう? もう冷めてしまいましたが、さあ」
と、カップを持たせて、ゆっくりを背中をさすった。
千尋は矢崎に促されるままに、力なく生温い紅茶を飲み干した。頭にもやがかかったようにぼんやりしてたせいで、唇の端から少し零れてしまった。
拭おうとした手を矢崎に取られた。
「こちらを向いて」
彼はもう片方の手を千尋の顎のあたりに添えて自分の方へ向かせる。微かに笑っていた。
思わずその艶やかな黒檀のような瞳に吸いこまれそうになる。いけないと矢崎の手から逃れようとした時には、すでに彼に組み敷かれていた。
そしてすぐに唇に熱く濡れたものを感じ、千尋は矢崎の肩のあたりを必で叩いたが、彼は動じることなく、逆に両手を封じ込められた。
いつも物静かそうな優男にこれだけの力があるのが急に恐ろしくなり、一瞬体から力が抜けた。
それを見計らうかのようにして口内にぬるりと矢崎の舌が入り込んできて、すぐさま千尋の舌をとらえる。
口を犯されながら、着物の胸元が押し広げられた。
「いやっ…!」
いきなり胸の先端を強く抓られ、千尋は悲鳴を上げて顔を逸らした。
その拍子に口から離れた矢崎の舌が頬を掠める。
「何を考えているんですか…!」
千尋は両手で胸を隠して体をひねったが、矢崎は彼女の帯締めを器用に解いて手首をきつく縛り上げてしまった。
女を知らないはずの神父が、女の着物のことを知り尽くしている様子に、自分が抱いていた直感めいたものが決して間違ってはいなかったことを確信した。
きっと、矢崎はこうやって自分に擦りよって来る女をつまみ食いしているのだろう。
ひょっとすると金を持っている女からは、男妾のように金を引っ張っているのかもしれない。


94 :
荒い息を繰り返しながら矢崎を睨みつける千尋を見下ろし、最後の勧告を与えるように低い声で言った。
「大丈夫ですよ。怖いことなど何もない。他に何も考えられなくなるくらい、悦くして差し上げますから」
矢崎の妖艶な笑顔に、ぞわりと全身に鳥肌が立った。
「やめて! お願い、こんなことしなくなって、寄付はきちんとするから」
再び目に涙を浮かべて懇願するも、矢崎は困ったように苦笑した。
「僕は別に金がほしいわけではありません」
そう言いながら、すでに乱れていた襟元から零れる千尋の白い乳房を掌で包み込む。
「想像していた通りだ。お綺麗な体をしていらっしゃる」
うっとりと先端を口に含まれ、千尋の体は魚のように跳ねたが、声を上げることはしなかった。
千尋は目を閉じて歯を食いしばり、この時間を堪えることにした。
金の為ではなく、「夫を亡くしたばかりの若い未亡人」である自分に欲情しただけであれば、一度抱けば気が済むだろう。
油断してしまったことが、あまりにも不甲斐なく、淳一郎に詫びても詫び切れない。
何をしても体をびくりと震わせるだけで、頑なに自分を拒んだままの千尋を、矢崎は鼻で笑ったが、舌や指を使った愛撫を施すことをやめなかった。
その動きは巧みで執拗だった。
やがて矢崎の手は着物の裾を割って、内腿を撫でながら奥まで進んで行った。
自分の指が千尋の中につぷりと滑り込む感触に、
「ああ…」
と、もう堪らないと言うように吐息を漏らし、千尋の耳を犯すように囁きを続けた。
「すっかり濡れてしまっていますよ」
今の彼女にとって最高の辱めだったが、千尋は横を向いて唇を引き結んだまま耐えた。
「強情ですね」
矢崎は呆れたように言い、指を二本に増やして中の粘膜をすり上げると、再び深く口づけながら器用に女と繋がる準備を始めた。

95 :
黒い神父の装束を邪魔そうに脱ぎ捨てて、色白ではあるが引き締まった裸体を晒す。
矢崎は無言のまま千尋の太腿を抱え上げ、昂ったものを秘裂に押し当てた。
小さな水音を立てて先端が沈んだかと思うと、一気に押し入ってきた。
約一年ぶりに開かれた体に微かに痛みが走ったが、千尋は息を詰めて耐えた。
すべてを収めてしまい、くっとうなる矢崎の声が聞こえた。だがそれ以上声をかけられることはなかった。
すぐに乱暴に体が揺さぶられる。その動きは、情欲を満たすというよりも、むしろ千尋を抱いたという事実を残そうとするもののようだった。
千尋はぐったりと力を抜いて、自分に覆いかぶさる矢崎の肩越しに薄く眼を開けて天井を見上げた。
まだ足袋をつけたままの足が高く掲げられて、矢崎の動きに合わせて揺れた。
このまま何も反応せずに人形のようにしていれば、矢崎は萎えてしまうだろうかとぼんやりと考えていると、そんな彼女の思惑を見透かしたように、矢崎が告げた。
「もういきそうだ…中に出しますよ…」
耳の奥に響いた低い囁きに、千尋は眼を見開いた。
「だめ…それはやめて!」
腰をひねって逃れようとするところを、矢崎にがっちりと太ももを押さえつけられる。
「いやっ、やだあ!」
拒絶ではあるがようやく反応を見せた千尋を嬉しそうに見下ろしながら、矢崎は激しく腰を打ち付けた。
高い鼻を伝って汗が滴り落ちる。
矢崎が切羽詰まった声とともに何度か強く突き上げた後、身体の最も深い所に熱いものがじんわりと広がった。
千尋の目尻から涙が溢れ、こめかみへ流れて行った。

96 :
呼吸を整えた矢崎は己を女から引き抜き、すぐに溢れだした白濁を指で掬って、すすり泣く千尋の口元に擦りつけた。
「大丈夫ですよ。僕は子供を作れない体ですから。成人してから病気をやってしまったんです」
淫らな仕草に似つかわしくない告白をすると、千尋の拘束を解いて着物を脱がせ始めた。簡単に半幅帯を解き、着物やその下の襦袢を手際良く暴いていった。
「だから、こんなことしているの?」
先に脱いだ自分の服の上に千尋の着物や襦袢を投げ遣り、
「どうでしょうね」
と千尋の涙を唇で受けた。乳房に触れた矢崎の胸板は汗ばんで湿っていた。
「どうしてこんなときに…」
「だって、普通に口説いても、貴女は僕には靡かないでしょう?」
悪びれず言う矢崎にかっとした千尋は彼の頬を打とうと手を振り上げたが、簡単に手首を掴まれて再びソファに縫いつけられた。
「あなたのこと、ずっと抱いてみたかったんですよ」
整った顔で悪魔の様に微笑む矢崎に身震いした。
「僕が笑いかけてもにこりともしない、愛想のない生意気なあなたをいつか必ずものにしてやろうってね。嫌いな男に抱かれた気分はどうですか?」
「…あなた、最低よ」
「そんなこととうに知っていますよ」
千尋の言葉を奪うように唇を塞ぎ、ねっとりと味わって唇を離すと、矢崎は急に饒舌になった。

97 :
「いつだったかな。僕が先生を見舞っていた時に、貴女、身体にぴったりしたジーンズで病院に来たことがあったでしょう。
昔のアメリカ映画に出てくる女の子みたいで可愛くて、先生が羨ましくて。帰りに病院の玄関まで見送ってもらう時に、空いている病室かトイレにでも連れ込んでやろうかと想像したら、身体が疼いて仕方なかった」
この男は、自分に教えを請う人間に涼しい顔で説教しながら、その妻に欲情していたというのだ。
「後ろから入れて、中をぐちゃぐちゃにかき回して、あれをたっぷり注ぎこんだら、貴女はどんなふうに悦ぶだろうかって、そればかり考えていた」
熱く湿った言葉を聞きながら、千尋は小さく身を震わせた。こんな人間にあっさり抱かれてしまったのが、あまりにも不甲斐なかった。
話しているうちに再び昂ってきたらしい矢崎に、今度はうつ伏せにされ、言葉通りに後ろから貫かれた。
禁じられているはずの獣の姿勢だったが、千尋にはもう抵抗する気力はなく、背中から激しく身体を揺さぶられた。
ソファの肘置きにしがみつき、涙を流しなが男が達するのを待った。深い所を突かれ、その勢いで声が漏れそうになるのを唇を噛んで耐えた。
「僕は…泣くほどいいですか…?」
とにかく早く終わってほしいと思っているところにそんなことを尋ねられ、千尋は絶望した。
「あなたは最高だ…熱くてぬるぬるして蕩けてしまいそうだ…」
深い吐息とともに囁かれ、千尋は必で首を振った。こんな状況なのにも関わらず、男を受け入れるために機能している体が憎かった。
「ああ…そんなに締めつけないで…もっと味わいたいのに」
そう言いながらも、手を前に回して千尋のすっかり立ちあがった芽を探り当て、包皮を剥いて嬲り始める。

98 :
「いやあああっ!」
一番奥まで押し入ったまま円を描くように腰を動かしながら、手では触れるか触れないかのところを小刻みに擦られ、千尋はあっという間に達してしまった。
千尋から溢れだした熱い雫が矢崎の手を濡らし、彼は歓喜の声を上げた。
「こんなに悦んでくれるなんて…」
「違うの…! もういいでしょう? 早く終わって…!」
「嫌ですよ、ようやく楽しくなってきたのに。このことしか考えられなくして差し上げますって最初に言ったでしょう?」
矢崎は千尋と繋がったまま彼女の胴に腕を回し、ソファに腰掛けた。自分の重みでより深いところに矢崎が沈みこみ、最奥の壁を抉った。
これまでに一度も経験したことがない姿勢に、声を上げるものかという決意が、一瞬にして崩れ去った。喉の奥からねばついた喘ぎが漏れた。
すでに一度上がった声はもう止めることができなかった。
「あっ、あっ、んん…やあっ…!」
「そう…可愛い声を、もっと聞かせてください」
ようやく自分の手に堕ちた女を掻き抱き、矢崎の声はこれまでになく昂っていた。
下からずんずんと突き上げられながら耳元で他の男の喘ぎを聞いているうちに、徐々に淳一郎の顔を思い浮かべることが難しくなってきた。
夫の笑顔を思い浮かべようとしても、今自分の中で暴れている美しい男の顔にすぐに塗りかえられてしまう。
「ああっ…ごめんなさい…許して…」
心の中で何度も詫びているうちに、悦がる声とともに自然と漏れた贖罪の言葉を聞き、矢崎は興奮を抑えられないようだった。荒い息遣いとともに、狂気じみた笑いが聞こえた。
「もう遅い、あなたは僕と地獄に堕ちるんですよ」
嘲笑うような矢崎の言葉を聞きながら、千尋は再び達した。

99 :
翌日の明け方、千尋がベッドを抜け出す気配に矢崎は目を覚ました。
「…帰ります」
「うん」
無表情で着物を身につけている女を、うつ伏せて薄く眼を開けたまま眺めていた。
結局あのまま矢崎は千尋を家には帰さなかった。
三度目に交わる時に寝室へ連れ込み、時間をかけて彼女が失神するまで責めた。何度も奥深くに白濁を放出して汚しぬいた。
矢崎の方も精も根も尽き、千尋の着物や自分の服を寝室に運ぶと、そのまま折り重なるようにしてすぐに眠ってしまった。
「今度はお宅に伺おうかな」
千尋は何も答えなかった。黙々と腰ひもを結ぶ。あんなに悦んでいたくせに何だよと、心の中で密かに毒づいた。
着付けを終えた千尋の姿は、矢崎の目から見てもひどいものだった。とにかく一刻も早くここを出たいらしく、適当に着物を身にまとっただけのように見えた。
「あなたは、着物より洋服の方が似合うよ」
矢崎が微笑むと、千尋に強く睨まれた。童顔の彼女が厳しい表情をするのが好きだった。
千尋が寝室を出る時、
「また抱きたい」
と声をかけた。
「やめて」
ドアを閉める直前に振り向いて答えた千尋の頬がわずかに紅潮していたのが見えて、きっと彼女との付き合いは長くなるだろうと思った。
女が去った後、自分もそろそろ起き出して仕事を始めなければならないと寝返りを打った。
その時、シーツにわずかに残っていた千尋の匂いが立ち上るのを嗅ぎ、彼女との情交を反芻した。

100 :
千尋を欲しいと強く思うようになったのはいつからだったろうかよくわからない。支配欲や恋慕や、単純な性欲が入り混じった奇妙な感情だった。
彼女を抱いている間に言った、可愛げのない女をひれ伏せさせたいという気持ちは嘘ではなかった。
日曜のミサの時や、近所ですれ違った時に挨拶をしても、汚れたものを見るような眼で見られることもあった。当たり前のように禁忌を犯し、女にちやほやされることや女を操作することに慣れていた矢崎にとって、千尋の態度は新鮮だった。
一方で、夫との別れに怯えながらも健気に尽くす千尋に恋慕の情を抱き、支えになりたいと思ってもいた。
淳一郎は友人である神父が自分の妻のことを物欲しそうに眺めていることに、気づいていたようだった。
「千尋は可愛いでしょう?」
後にも先にも一度きりのことだったが、淳一郎が昏睡状態に入る少し前、千尋が席を外している間に、消え入りそうな声で矢崎にそう言ったことがあった。その言葉よりも、その時見せた笑みが、やけに癪に障った。
すでに相が現れて弱弱しかったが、どこか優越感に満ちていた。
いくら欲しても、神父のお前には手に入れることができないのだと嘲笑われているように思えた。
神父のくせに女に欲情しているとは何事かと咎められなかったことが、惨めだった。
だが、今は千尋を永遠に奪ってやったという気持ちで一杯だった。
淳一郎の遺言通りいくら寄付をして善行を積もうが、神父と淫蕩の限りを尽くした、そしてこれからもその罪を犯し続ける女は地獄の業火に灼かれるしかないだろう。
そしてもちろん、端から戒律を守る気などない自分も共に。
つい数時間前まで自分の腕の中で前後不覚になっていた女の感触を思い出しながら、矢崎は一人で薄く笑った。


101 :
子供を作れない体とかさりげなくダークな人生やな<神父
女に手出してる時点で罪なのに相手が未亡人とかもうなんていうか
GJ!!!

102 :
>>85-86
お尻ぺんぺん(*´Д`)ハァハァ
>>89-100
GJ
好きな設定だ

103 :
gj

104 :
GJ!!
未亡人とかツボすぎる設定ありがとう

105 :
やばいエロすぎる(*´Д`*)
美味しくいただきました

106 :
エロ神父はええのうw

107 :
名門寺院の跡取りである持明院基哲はある知らせを聞いて愕然とした。それは妻の智香子が実家の法事に出席したところ智香子の祖父である先々帝の恭尊が妾の夕夏に生ませた息子に母や姉妹とともに強姦されて王宮に監禁されたというのだ。
智香子は名門である戸田侯爵家の次女で智香子の母孝子は恭尊の第一皇女だった。
ところが恭尊は孝子たちの母である中宮朝子がいながら夕夏を妾にして孝子の異母弟が生まれ続けたのだった。
やがて月日は流れ朝子は謎のを遂げて恭尊は病気と加齢による性欲の衰えから夕夏を疑問視するようになるも既に遅く脳梗塞で急したのだった。
そして孝子の兄の集尊がようやく即位するものも翌年中宮の泰子とともに夕夏に害されたのだった。
ところが集尊の長男で智香子の従弟でもある東宮の順尊が即位しようとするも夕夏に即位を阻まれたあげく妃の藍子とともに王宮を追い出されたのだった。
そして夕夏は自分の長男(夕夏の息子は全員知的障害で絶倫)を即位させて集尊の6人の娘を全員長男の后にしたのだった。
しかし夕夏には息子が沢山いる。そこで孝子を四男の后にしようとした。ところが孝子は四男より15歳も年上。年齢的にも出産が不安なので孝子の娘も同時に妃にしようとした。
そして戸田家の法事で親族全員集まるのを見計らって戸田家を襲撃して孝子とその娘たち、ついでに孝子の夫の姪も強姦して王宮に連れて帰ったのだった。
さらに夕夏は戸田侯爵も害。あとには孝子の息子で智香子の弟たちが残されたのだった。

108 :
基哲は激しくショックを受けて本堂に引きこもりになった。ところが追い討ちをかけるように基哲の妹たちが夕夏の息子に強姦されてやはり王宮に監禁されたのだった。
実は基哲たちの母美香の母和子は先々々々帝の斉尊の第二皇女で先々々帝の啓尊の姉で恭尊の伯母でもあった。
なぜ夕夏は帝の身内ばかりを息子の妃にするのか?それは高貴な血筋が目当てだからである。
夕夏は強姦の果てに生まれた子供で実の父が誰かもわからずそれ故血筋に異常に執着して帝の恭尊に近づいたのだった。
ちなみに夕夏の目当ては孝子たち皇女で皇女の娘である智香子たちはおまけ、さらに基哲の妹たちは皇女やその娘たちの妊娠による補充要員でこの時点で孝子や智香子は夕夏の息子の子供を妊娠していたのだった。
美香は基哲に代わり寺院の仕事や基哲の子供の子育てをしていたが娘たちが強姦されて精神を病んだので基哲が復帰したのだった(もっとも本来なら基哲の仕事なのだが)。
そんな基哲に更なる衝撃の情報が入ってくる。それは夕夏が孝子の弟たちを性奴隷にしたのだった。皆は混乱して夕夏の真意がわからなくなってきた。
月日は経ち基哲は寺を守り男手一つで子供たちを育てていた。しかし美香の精神状態はますます悪くなり幼児退行して母親を求めるばかりである。しかし美香の母で基哲の祖母和子は既にこの世の人ではない。
困惑した基哲は美香の姉明美に相談をしに美香の実家大林公爵家に行った。
ところが大林家に行くと鍵がかかっているのに誰もいない。
そして居間に入ると基哲は衝撃を受けたのだった。

109 :
居間に入ると何と明美の長男で基哲の従兄の尚通の惨体が転がっていた。
基哲はショックを受けるも他の家族を探すことにした。すると明美が大慌てで家に戻ってきた。そして尚通の遺体を見ると
「間に合わなかった・・・」
とその場に崩れていったのだった。
「どういうことなんですか!」
と基哲は明美を問い詰めると
「そんなの今までの出来事から誰がやったかわかるでしょ!」
と明美は叫んだ。
「・・・ごめんなさい。実は久美子(明美長女)のところに行ったら久美子の旦那がされて久美子や子供たちが連れ去られて、そしたらお前の家もこうなるからなと言われてそれで急いで戻ったら間に合わなくて」
基哲はただ黙っていた。
しばらくして基哲は孝子の妹の温子の嫁ぎ先の円融侯爵家の法事を執り行うために円融家に行った。
ところが夕夏とその息子がまたもや現れて基哲の目の前で温子やその娘たちを強姦して王宮に連れ去り温子の夫の円融侯爵を害したのだった。
基哲が失意のうちに寺に帰ろうとすると義兄(智香子の姉恵美子の夫)の宮瀬貴明が王宮に監禁されたという知らせが入った。
貴明は基哲の義兄だったが一つ下の幼馴染みで結婚前から仲が良く互いの妻が王宮に監禁されてから絆は強固なものになった。
基哲が更なるショックを受けていると突然何者かに殴られて気を失った。
基哲が気がつくと衝撃の事実が基哲を待ち受けていた・・・

110 :
いちいち上げんな
書きながら投下すんな

111 :
せめて少し時代設定や説明が欲しい
誰が誰だか分からない…
男性聖職者は出てきてるのか?

112 :
現代の話?ファンタジー世界?

113 :
名門寺院の跡取りである〜という主人公?が聖職者のつもりかな
ちなみに「持明院基哲」は明治の子爵に同姓同名がいるね
持明家は僧侶ではなく、在俗の公家(羽林家)だけど
てことは、モデル的に、舞台は「なんちゃって明治時代の日本」か?
それにしちゃ「王宮」とか「中宮がいるのに妾」とか(まだ後宮制度は廃止されていない)
登場人物の後にカッコで人物関係紹介とか、
いろいろツッコミどころが多いのは置いておくとして

114 :
脱字があったorz
○持明院家
×持明家

115 :
ああ、神様仏様〜!

116 :
未亡人のエロ女菩薩様〜!

117 :
農場の娘と神父様の続きが見たいです…!

118 :
変質者藤林丈司

119 :
「いけませんそのようなことっ」
「いいじゃない、こうするととっても気持ちいいのよ?」
「わ、わたしは神に捧げた身で…っ」
「じゃあ神さまにお願いするわ。神さまー、今日一日神父さまをわたしにくださーい」
「そ、そんな」
「それじゃ神父さま、今夜はいっぱい気持ちよくなろ?」
「あ、あああ、か、神よ、わたしは、わ、わたし……あっー」
とかいう展開を誰か書いてくれ

120 :
>>119
そういう展開大好物です
神父に想いを抱くシスターが押し倒すバージョンでもいけるな
その場合は罪悪感を抱きながら肉欲に負けたことを二人とも後ですげえ後悔して欲しい

121 :
>>120
「神父さま、お慕いしております……」
シスターは神父に抱きついた。
「いけませんシスター。このようなことは」
神父は優しい手つきで離れようとする。それを察してかシスターはより一層強く抱きついた。
「罪深きこととはわかっております。ですがどうか、どうか今夜だけはおそばにいさせてください…っ」
「神はあなたに何とおっしゃっていますか?」
「神は……」
「神は私に何も教えてくださいません。私にお声をかけてくださるのは神父さまだけです…」
「シスター……」
「神父さま、どうか……っ」
シスターは神父を押し倒した。
「シスター、いけませんシスター、おやめなさい、だめですそんな、あっ…」
〜〜〜
「神父さま……申し訳、ございません……っ」
神父の腕の中でシスターは小さく震えている。そんなシスターを神父は愛おしげに見つめた。
「いいのですシスター。本当は私も、あなたを憎からず思っていました」
「神父さま……」
「大丈夫ですよ、怖くはありません。二人でともに、神の裁きを受けましょう……」
神父はシスターを優しく抱きしめた。
こんな感じ?つか肝心なシーンが抜けた。誰かほんとに書いてくれ

122 :
>>121
萌えた…!

123 :
小さな村で1人暮らしをする神父が、馬車事故で交通手段を無くした都会の少女を迎えが来るまでの間泊めることに
活発で明るい彼女とはすぐに打ち解けたが、神父はある感情に支配されることになった。
大きな乳房やその谷間をアピールし、腰のラインを際立たせる彼女の衣服は、都会では一般的な女性の服だが、田舎では考えられない。就寝時に着る絹の下着などは完全にサキュバスのそれである。
神父は彼女の身体に欲情する自分を恥じながら、迎えの馬車が来るであろう一週間後を待つ。しかし…
「神父さま、心細いので添い寝して下さいませんか?」
「私は抱き枕代わりにでも使って下さいね…さあ手を」ムニュッ
「…こうして胸と胸を合わせていると…あったかくて安心します……お休みなさい…神父さま…」
彼女が都会の感覚で当然のように行う行為は、神父の理性と肉棒を激しく蝕んでいくのだった…。

124 :
どうせなら無自覚サキュバスより全開サキュバスのほうがいいと考えるのは俺だけか

125 :
若き神父はそろそろ礼拝堂を閉めようと鍵の束とランプを携えて、扉を開けて建物の中に入った。
月明かりが差し込むだけの礼拝堂に、人影が一つ見えた。
真ん中あたりの列のベンチに腰かけ、まっすぐに正面の祭壇を見つめているようである。
「誰?」
ランプを掲げて声をかけると、人影はゆっくりとこちらを振り向く。
「神父さま」
静かに発した声には聞き覚えがあった。
「きみか」
村はずれの娼館で働いている娘だった。
遠くの町から売られてきた娘で、この教会の熱心な信者だった。
ブルネットの髪をいつもきっちりとお下げに結い、首元までブラウスのボタンを嵌めた姿からは、とても春を売って生きているようには見えなかった。
「何かあったの?」
神父が尋ねると、娘は首を横に振った。
「いいえ、何もありません。今日は夜だけ休みをもらえたので、静かな場所でひとりになりたくて。でも、そんな場所、ここくらいしか思いつかなかったんです」
「そうか。もう閉めようかと思っていたんだが、それならば、ゆっくりしていきなさい」
そう言って、外へ出ようしたところを呼びとめられた。
「いっしょにいて下さいませんか?」
「ひとりになりたかったんだろう?」
「やっぱり、ひとりは寂しいです。お嫌でなければ、少し隣にいていただけませんか?」
娼婦とは思えないほど可憐で意地らしく暮らしている娘を、神父は普段から憎からず思っていた。
もちろん、それはこの娘と情を通じたいというようなものではない。
娼婦のような仕事をしていることを普段から懺悔し、熱心に教会に通っている彼女の支えになりたいと思っていた。
おそらく満足に食事を与えられていないだろう彼女に、パンやスープや果物を分け与えることもあった。
そんな娘に一緒にいたいと言われ、断れるはずもなかった。
「私でいいのなら」
隣に腰かけると、石鹸の匂いが漂ってきた。ここに来る前に、身を清めてきたのだろう。
「もちろんです。ありがとうございます」
薄暗い中、娘の瞳が月明かりを反射してきらきらと輝いていた。
日々のつらい暮らしのなかで、彼女はどうしてこんなにも清らかでいられるのだろうかと、神父はこの娘を崇拝したいような気持に襲われた。
「君を見ていると、自分が恥ずかしくなるよ」
思わず口にしてしまった言葉に、娘は恥ずかしそうにうつむいた。
「そんな…わたしなど…」
それきり言葉が途切れ、沈黙が流れたが、不思議と気まずいものではなかった。
暗い聖堂の中で、隣で静かに目を閉じて座っている娘の穏やかな息遣いを感じているだけで、心が癒されるようだった。

126 :
やがて、どこからか獣の遠吠えが聞こえ、娘が怯えたように息を呑んでわずかに身を寄せてきた。
「狼だね。でもずいぶん遠くだ。心配することはない」
娘に目をやると、本当に怯えた様子で固く目を閉じていた。
神父は溜息をつき、
「怖いなら、しばらくそうしていなさい」
と声をかけた。
すると娘は、彼の右腕を抱きしめるようにして自分の体を密着させた。
やわらかなふくらみを上腕に感じ、今度は神父の方が息を呑んだ。
「少し離れてくれないか…」
娘の気を悪くしないように言うつもりだったが、娘の体の感触が思考を阻害し、直接な物言いになってしまった。
「どうしてですか?」
娘が潤んだ瞳でこちらを見ているのが視界に入り、神父は目を逸らした。
「神父さまは、わたしのことがお嫌いですか?」
「そうじゃない」
娘から離れようと、彼女とは反対の方向へ体をずらしたが、それを追うように娘は神父の肩に手を載せてきた。
「神父さま、以前からお慕い申しておりました」
耳を甘咬みしながら囁かれ、背中をぞくぞくと悪寒のようなものが走った。
「やめなさい!」
神父は慌てて娘の体を引き剥がした。
その時見えた妖艶に微笑む顔つきは、彼が知っているこの娘のものではなかった。
「おまえは誰だ!?」
「あなたが抱きたがってる娘じゃないの」
狼狽した神父をからかうようなその口調も、いつもの娘からは想像もできないものだった。
「まさか…!」
「ご明答。自分で化けてもよかったんだけど、ちょっと体を借りたのよ。どうせなら、お互い楽しい方がいいでしょう?」
神父はベンチから逃げ出そうとしたが、中央の通路に出たところで、急に脚がきかなくなり、体のバランスを崩して床に倒れてしまった。
「最近、若い神父が減ってきて、食事するのも大変なのよ」
くすくすと笑いながら近づいてきた娘は、神父を仰向けにすると腹のあたりに馬乗りになった。
「何をするつもりだ…」
神父は娘を押しのけようとしたが、固く戒められたかのように身動きが取れなかった。
「知らないわけじゃないでしょう?」
神父を見下ろしながら、娘は三つ編みを解いて、ブラウスのボタンを途中まで外した。
緩やかなウエーブをたたえて広がる艶やかな髪と、ブラウスの胸元から覗く白い乳房に、こんな状況だというのに鼓動が速くなった。
「ちゃんと反応できるじゃないの」
内腿に当る神父の股間の感触を娘が嘲笑った。
あまりの屈辱に、神父は目を閉じた。
「いいこと教えてあげようか?」
神父に馬乗りになったまま、娘はぐっと身を乗り出してにやりと笑った。
「この娘ね、あんたのこと本当に好きなのよ。優しくされて、すっかり惚れちゃって。客を取ってる時も、あんたのこと想像してるのよ。よかったわね。せっかくだから、さわってあげなさいよ」
娘は神父の手を取って、スカートの中に導いた。
「やめてくれっ…」
手を引こうとしたが、娘の力にかなわず、むりやり滑らかで柔らかな感触を味わわされた。
「そんなこと言ってぇ。優しくしておけば、自分もおこぼれにありつけるかもしれないなんて、思ってたんじゃないの?」
「そんなっ…」
「図星なのね。かわいい」
娘は自分の唇をゆっくり舐めると、これから起こるであろうことに怯えて震えている神父の唇に押し当ててきた。

127 :
荒い息遣いとともにしばらく神父の唇を貪り、娘は唇を離した。
神父はすでにすぐにでも放出してしまいそうなほど昂っていることを自覚し、目に涙を浮かべて神に祈った。
「神父と初心な娼婦のプラトニックな心の交流なんて、聖人にでもなったつもり?」
二人の唾液でぬらぬらと光る唇をもう一度舐め、娘は神父の股間に手を伸ばした。
「かわいそうにねぇ、この娘が毎晩客を取ってるところを想像して、悶々としてたんでしょう?」
固くなった部分を手のひらで強く押され、全身に鳥肌が立った。
「まあ、心配しなくても、この娘、客を取ってる時もあんたの好みの通り、初心な感じだから。だから、人気があって客も多いんだけどね。毎晩、少なくとも三人は取ってるのよ」
「やめてくれ…」
娘の話に、どうしてもその場面を想像せずにはいられなかった。
「また大きくなったんじゃないの?」
娘は嬉しそうに神父のズボンを脱がしにかかった。
下着とともに膝まで引き下ろした拍子に目当てのものが勢いよく姿を見せると、娘は歓喜の声をあげた。
「それじゃあ、遠慮なくいただくわね」
そう言うや否や、なま温かいものに包まれ、神父は低く呻いた。
「やめろ…頼む…」
歯を食いしばって耐える神父を気にも留めず、娘は神父の昂りを根元までくわえ、口中で味わっていた。
「ああっ…」
生まれて初めての感触に、すぐにでも気をやってしまいそうだった。
脂汗を流しながら耐える神父の顔を上目遣いで見ながら、娘は口中で脈打つものに舌を絡ませた。
舌先で鈴口をくすぐってやると、神父は女のような声を上げてあっけなく放出した。
「ああ…」
どくどくと放ちながら、神父は目から涙を溢れさせた。
「いっぱい出しちゃって。どれくらい溜めてたの?」
白濁を美味そうに飲み下し、娘は下品に問いかけた。
「ああ美味しかった。やっぱり若いといいわね」
娘はすすり泣く神父の頬を撫で、服を脱ぎ始めた。
「出なくなるまでいただくわよ」
白い裸体を晒し、娘は再び神父に馬乗りになった。
そして未だ萎えない先端を秘所に押し当てた。
娘のそこはすでに十分潤っており、そのぬめりに神父は声を漏らした。
「やっぱり経験がないと感じやすいのね。すぐに出しちゃってもいいのよ」
「お願いだ、やめてくれっ!」
「一緒に楽しみましょう」
神父の必の訴えも聞き入れず、娘は腰を沈めた。
若い神父を犯す喜びですでに十分潤っていたその部分は、やすやすと彼を迎え入れた。
「いやだ…やめてくれ…」
神父は快楽と屈辱の狭間で嗚咽を漏らし始めた。
「動くわよ」
娘がゆっくりと腰を振り始めた。
初めて味わう熱い粘膜に数度擦られただけで、神父は達してしまった。
彼は言葉もなくただ涙を流していた。
その様子を見下ろしながら、
「いいわよ。その調子でどんどん出しなさい」
娘は腰の運動を続けた。
「こんないいものを持っているのに、神父だなんてもったいないわね」
淫魔があの可憐な娘の姿や声で、下品なことを口走り、淫らな行為をしていることが耐えられなかった。
しかし、同時にそのせいで自分がこんなにも昂ってしまうことを自覚し、神父は何度も放出しながら神に懺悔した。
こんなことになってしまったのは、おそらく今自分を貪っている淫魔の言う通り、娘にわずかにでも下心があったからだろう。
その心の隙を突かれてしまったのだ。
そう思うと、娘にも申し訳ない気持ちが湧いてきた。

128 :
なんというGJ
続きはあるのか…!

129 :
正気に還った時、自分が神父と交わってしまったと知ったら、彼女はどう思うだろうか。
「神父に惚れた…この子だって悪いんだから…気にすることないわ…ああっ…」
淫魔には人の心を読む能力でもあるのか、喘ぎ声を上げながら娘に慰められた。
その時の彼女の視線が、いつもの自分を慕って語りかけているときのもののように見え、神父は再び娘の胎内深くに放った。
その瞬間、彼女は不敵な笑みを浮かべた。
「ふふ…どうもごちそうさま…あとは二人で楽しみなさい」
そう告げた瞬間、神父は急に戒めが解かれたように、体が軽くなったのを知った。
そして、自分の上で腰を振っている娘の声や表情もはっきりと変化していることがわかった。
「あっ、あっ、あっ…もうだめ…」
おそらく客と交わっている最中だと思っているのだろう。
娘は目を閉じて切なそうな表情で、男の胸に手を置いて必で喘いでいた。
憎からず思っていた娘が正気に還っても続ける淫らな姿に、神父は恐る恐る彼女の滑らかな尻の膨らみに手を添え、自ら突き上げ始めた。
「すごい…すごいです…」
まだ相手が誰なのか気づいていない娘は、白い喉を反らして歓喜の声を上げていた。
やがて相手の様子をうかがおうと、目を開けた娘は、
「わたし…」
と、神父とつながったまま顔を強張らせた。
「いいんだ」
神父は娘を安心させるように微笑んで彼女を抱きしめると、体を反転させ、娘を組み敷いて唇を塞ぎながら腰を使った。
すべてを終えた頃には、空が白み、小鳥のさえずりが聞こえていた。
神父は交わっていた場所のすぐ側のベンチの側面にもたれかかり、事情を知って泣きじゃくる娘を抱きかかえて座っていた。
「わたしのせいで、神父さまを汚してしまいました」
何度も謝罪する娘の髪を撫で、
「私の心が弱かったからだ」
と、静かに告げた。
「わたしは悪い女です。神父さまを汚しているというのに、望みがかなって、幸福だったんです」
「私はもう、告解を聞けるような存在ではないよ」
自嘲するようにではなく、自然とそんな言葉が口から出てきた。
覚悟が決まっていたせいか、不思議と心が軽かった。
「二人でどこかへ行こうか。知っている人が誰もいない土地で、悔い改めながら生きて、裁きを待とう」
「神父さま…」
神父は娘の柔らかな体を抱きしめ、穏やかな頬笑みを浮かべた。

130 :
悔い改めるつもりがまた交わっちゃうんだろうなとか考えると萌える
GJ!

131 :
>>18 >>19
で書いてた「大聖堂」が来週の月曜から、もう一度放映されます
BSプレミアムね

132 :
BS映らねちくしょー!!!

133 :
もっといろいろ読みたいよ

134 :
>>125
すげえ。GJすぎる

135 :
サンクスです。いろいろ混ぜてみた。
シスター出てこなくてすんません。
皆も書いてくれ!!

136 :
何気に投下多くて豊作で嬉しい

137 :
>>125
マジGJ

138 :
>>125
グッジョブ!!
ある意味恋のキューピッドでいいことしたなサキュバスw
サキュバスが娘に化けていただけなら
神父さんだけが町を去って娘涙目だっただろうし

139 :
いちゃいちゃしてる2人を見ながら、
「アタシのおかげなのにーつまんないー」みたいに頬っぺた膨らませてるサキュバスもいいかも。

140 :
可愛いな

141 :
聖職者と禁断の恋

142 :
おっさんのなまくら神父が売春宿に身分隠して通うのとかもいいな

143 :
それだとその辺の冴えないおっさんと変わらないじゃないか

144 :
昔の神父なら、身分を隠そうと、剃髪(トンスラ)でバレバレだと思うがw

145 :
ここってゲームキャラはありなのかな
ちなみにドラクエ4と7
専用スレに投下しようにも全員マイナー神父ばかりなんでできたらこっちに投下したいんだが
といってもまだ構想中ですぐには投下できないんだけどっ

146 :
>>145
>オリジナルでも二次創作でも、純愛物でも陵辱物でも何でもOK。
>ただし801は禁止です。
とあるから、良いと思うよ
ただ元ネタ知らない人もいるかも知れないから、投下するときに
簡単な(原作ゲームでの)設定紹介とかしてくれると嬉しいかも

147 :
もしや
あの神父さんか!

148 :
>>146
ありがとう、投下するときには設定紹介するようにするよ
ただ一部個人解釈も入ってるからイメージを損ねさせてしまう可能性があるのが何とも
>>147
もちあの神父さんも出すよ!(プロビナ神父のことだよね?)
ただ本当に強引な個人解釈を入れてるんで全員悲しい系にはならない予定
申し訳ない

聞いておいてすぐ投下できないのも申し訳ないので構想ネタだけ
元ネタ知ってる人も知らない人も、こんな感じのキャラを書いてく予定なのでどうぞよろしく
というかめちゃめちゃ遅筆なのでピンと来た人がいたらむしろ代わりに書いて下さい

149 :
ドラクエ4
「神父さん、好きです……」
「リンダ……わしはそんなつもりでそなたをモンバーバラから連れ出したわけではない」
「……うそ……うそです。それならどうして昨日私を抱きしめたんですか?」
「それは……」
「愛は神の賜物です。愛があれば年の差なんて関係ありません。誰にでも求められます」
「……それはつまり、誰でも愛していいということですか?」
「ええもちろんです。誰でも……たとえどんな障害があろうとも愛を止めることはできません。ですから……」
「あの、その、神父さま……ちょっとお顔が近くありませんか?」
「神父さま……また酒場に行かれていたのですね……」
「……まだ起きていたのですか、早く休みなさい」
「いえ神父さま、あなたが快くお休みになれるまでは私も休みません」
「……なぜ……シスター……」

150 :
ドラクエ7
「きさま……ミクワではないな、何者だ」
「くすくす、どうしてわかったのー?完璧に化けてたと思ったのにーくすくす」
「夢魔……サキュバスか」
「ご名答、ロリコン神父さん。今度はあなたの初恋相手ルーシアちゃんになってあげる」
「お待ちしておりました、神父さま」
「なぜ、どうして……こんな罪深き、このクレージュをも捨てた私を待つ義務などあなたにはないはず」
「ですがこうして帰ってきてくださったではありませんか。信じておりました、神父さま……」
「シスター……」
「あたしのいない間にそんなことがあったなんて。もしあたしがレブレサックにいたら村人全員ひっぱたいてやったのに!」
「ま、マリベルさん、そんなに腰を動かさないでください。またおかしくなってしまいますっ」
「いいわよ神父さまおかしくなって。あんもう、神父さまのまた大きくなってるじゃない。しょうがないからもう一回してあげる」
「そ、そんなマリベルさ……あっああんっ」
「今日もまた信者たちの大切なお金を私は……」
「神父さま、どうかなさったのですか?」
「っ…! あ、シ、シスターでしたか」
「神父さま……最近お疲れではありませんか?あとのことはどうか私たちに、神父さまは先にお休みになってくださいまし」

151 :
すまん、プロビナ(レブレサック)神父だけは自分が書きたい
ただ行為に至るまでの話がやけに長いんでいきなり行為の最中から始める回想シーン的内容にする予定
自分への景気づけにもう一文だけ構想ネタ置かしておいて下さい
「ねえ神父さま、神父さまの身体はどこにあるの?魂はここにあるんだもの、神父さまだって戻れるわよね?」
「おじょうさん……いえ、私の身体はもうないのです。魔物どもに焼き尽くされてしまったのですよ……」
「そんな……でもでも、プロビナのほかのみんなは全員元に戻ったんだもの、神父さまだってきっと戻れるわよ!」
「おじょう、さん…っ」

152 :
ゲームに出てくる聖職者ならブレス2の主人公父、FE烈火のルセアなんかが好みだ。

153 :
☆ふんどし好きな人、全員集合☆その4
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/hobby/1265383003/

154 :
世間にじわじわと
男聖職者萌えが到来している気がする

155 :
誰かが仕掛けてるな

156 :
神父×王女
忍法帖導入後初めての長文連投なので、様子見しながら投下します
とりあえず、できたところまで

157 :
ジャンプの坊主漫画超つまんねぇと思ってたら打ち切られたな…

158 :
〈1〉幼友達
 その国の都には、王宮のほど近くに、外観こそ簡素で目立たないが、人々の素朴な崇敬を
集める小さな聖堂があった。
 時には王族も祈りに訪れることがあるというその聖堂に、あるとき、神学校を出て間もない
一人の神父が赴任してきた。その優秀さゆえに将来を期待されての配属だったが、彼にとっては
都での生活は、実は不本意だった。
 ――果たしてこの都で、心穏やかな信仰生活を送れるだろうか。
 若き神父の不安にはそれ相応の理由があった。そして彼が危惧したとおり、彼の心は着任
直後から掻き乱されることになる――。
 穏やかなある昼下がりのこと。その聖堂に隣接する司祭館の応接室では、静謐な祈りの場には
やや不似合いな、若い女性の華やかな声が響いている。
「――それでね、父上ったら本当に優柔不断で……もう、ガツンと拒絶してやればいいのに!」
「姫様、またそのお話ですか」
 テーブル越しに応対している若い神父は、穏やかながらもうんざりした様子で言った。彼の
そんな態度に、「姫様」と呼ばれたその女性はムッとした顔で突っ掛かる。
「なによ、迷える子羊の悩みを聞くのも神父様の大事なお仕事でしょう?」
「……とても悩める子羊には見えませんが」
「どういう意味よ!」
 神父はやれやれとため息をついた。
 ちょうどお茶のおかわりを持って応接室の扉を開けた家政婦が面食らった顔をしたので、
神父は目配せと軽い手振りで「なんでもありませんよ」と合図した。家政婦も「ああ、いつもの
ことですね」と目配せで答えた。神父たちから見れば母親のような歳の家政婦は、この来客の
威勢の良さに、愛しい娘を見守るような暖かさをもって苦笑した。
 神父は、家政婦が出て行った後の扉を横目で見ながら、
「彼女も、麗しの姫君と讃えられる我が国の王女様が、まさかこんなじゃじゃ馬だとは思って
 いなかったでしょうねえ……」
と、聞こえよがしにつぶやいた。
「失礼ね」
 そう言うと、王女は急に背筋をしゃんと伸ばして居住まいを正し、先ほどまでとはうって
変わった上品な口調で、
「ご心配なく、神父様。然るべき場面では、王家の一員として然るべく、きちんと振る舞って
 ご覧に入れますから」
と優雅に微笑んでみせた。その姿は紛れもなく、気品溢れる高貴な姫君だった。
「……確かに、そのようですね」
 国王の愛娘、エレーナ姫。溌剌とした二十歳の王女は、その美貌もあって、民衆からの
人気も高い。宮廷詩人が「琥珀色の波」と讃えた髪は美しく編み込まれ、きれいな形の眉は
その意志の強さを伺わせる。ハシバミ色の瞳は生き生きと輝き、頬には健康的にうっすらと
赤みが差している。次から次へと言葉を紡ぎ出す唇は、紅もささないのに、桜桃のように
艶々と赤い。今日は聖堂の訪問に相応しく、首元まで襟の詰まった地味な暗い色のドレスだが、
それがいっそう彼女の肌の白さを際立たせている。
 そのまぶしさに、神父は思わず目をそらした。
「でね、さっきの話なんだけど」
 またいつもの調子に戻ってしまった。 
 王女は気安く話してくれるが、中には王室の内情や外交関係に絡んだ話も少なくなかった。
最近は隣国と緊張関係にあり、王女の話もそれに関係するものが増えていた。彼女が話す内容は
国家機密でこそ無いが、一介の神父が政治や外交の問題に首を突っ込んで良いものではない。
そう思って、いつも同じことを繰り返し諭して聞かせる。
「陛下にもお考えがあってのことでしょう。いろいろと不穏なご時世ですからね。ですが、
 なにがあろうと、お父上を悪く言うのは感心しませんね」
「……はぁい、わかりましたー、神父さまー」
 王女はわざと幼い生徒のような口調で返事した。神父はそれを淡々と受け流す。
「結構。従順は美徳です」
「……本当に、神父様みたいなことを言うのね」
「実際に神父ですから」
 神父の冷静なツッコミを無視して、王女は感心したように言う。
「でもまさか本当に神父様になっちゃうなんてねえ。あなたは子供の頃から利発だったし、
 父上にも気に入られていたから、宮廷勤めも不可能じゃなかったでしょうに。それか、
 そのまま学問を極めて、学者先生にでもなるかと思っていたわ」

159 :

 神父と王女が初めて出会ったのは、もう十五年も前、王家の避暑地でのことだ。神父の故郷の
小さな村を見下ろす丘の上に、国王が家族と夏を過ごす城があった。
 神父の両親は貧しい下級貴族だった。本来ならば王族など遙か雲の上の存在、親しく交わる
ような縁も機会もないような立場である。
 それがある日、田舎の避暑地で適当な遊び相手もなく退屈していた幼い王女のご学友にと、
地元の貴族や郷士の子弟で王女と同じくらいの年頃の少年少女が何人か選ばれることになった。
彼も一応は貴族の端くれ、運良くその一人に選ばれ、幸い王女にも気に入られ、それ以来毎年、
国王一家がその地に滞在するたびに仲良く遊ぶ「幼なじみ」となったのである。
 数年間、そうして慎ましくも幸福な少年時代を過ごした後、彼は十五の歳に故郷を離れて
神学校に入った。その頃、彼らの遊び場でもあった国王の城は古い棟の改修が必要となり、
それ以降、国王一家は別の離宮で夏を過ごすことになった。だから彼がたまの休暇に帰郷しても、
王女と再会する機会はなかった。
 やがて彼は神学校で学問を修め、そのまま神父となり、そして初めての赴任地として王都の
この聖堂に配属されることになった。
 彼が神父となって都に来たことをどこで聞きつけたのか、彼の赴任から程なくして、王女は
かつての幼なじみに会いにやって来た。それが半年ほど前のことである。
 それ以来、王女は私的な礼拝という口実で、神父との雑談、もとい、懇談のためにこの聖堂に
通うようになった。王家との縁も深い由緒ある聖堂だということもあって、誰も王女の行動を
咎めるどころか、信心深い行いだと言って歓迎した。
 まだ新米の神父は、王宮付きのお偉方に遠慮して、
「懺悔ならば、姫様付きの聴罪司祭がいらっしゃるでしょう」
と遠回しに辞退しようとしたのだが、
「ここには懺悔をしに来ているのではないもの。それに、聴罪司祭さまではないからこそ、
 できる話もあるのよ」
というのが王女の言い分だった。
 上役である司教に相談すると、王女様にも窮屈な王宮を離れての息抜きのお時間が必要なのでは
ないか、良き友人としてお相手して差し上げなさい――との意見で、もはや王女のお忍び訪問を
断る理由もなく、こんな風に彼女の世間話につきあうことになったのだ。
 神父は、王女と七年ぶりに再会した日のことを思い出していた。
 久しく会わなかった二つ年下の高貴な幼なじみは、すっかり臈長けて、年頃の美しい女性に
なっていた。昔は風になびくがままに伸ばされていた明るい色の髪も、今はきちんと貴婦人らしく
結い上げて、あの頃はぷくぷくと子供らしい丸みのあった顔や腕は、いくぶんすっきりと痩せて、
肌の色はあの頃と変わらず美しい象牙色で、淡い茶色の瞳は相変わらずクルクルと魅力的に
よく動く――。
「お美しくなられた」
と簡潔に褒めると、王女は笑って
「あなたも随分と背が伸びて、うんと男前になったわ」
と応じた。
 そしてそのときも彼女は言ったのだった。本当に神父様になっちゃったのね――と。
 あのときは適当に笑ってごまかしたが、こうして打ち解けた今は、少々あけすけな話もできる。
「しがない貧乏貴族の三男坊が、家名に恥じない堅実な職に就こうと思ったら、軍人か教師か
 聖職者か、それくらいですからね。軍人も教師も向いていないから聖職者になった。ただ
 それだけです」
 嘘ではない。宮廷の職は有力貴族の子弟で占められているから、家柄の低い自分では大した
出世は望めないし、下手に国王や王女のお気に入りとあれば、周囲の嫉妬も恐ろしい。政争に
巻き込まれるのも願い下げだ。かといって、戦や暴力は大嫌いだし、学問は好きだが人に教えるのは
苦手だ。聖職者ならば祈りと黙想の世界に独り籠もることもできる……そう考えたのは事実だ。
 だが本当の直接の動機は――王女への思いを断ち切るためだった。
 幼い頃、まだ身分差というものの非情さも知らずに、彼は王女に恋をしてしまった。そして
そのままずっと、一途に恋してきた。

160 :
 可愛い女の子は村にも何人かいたし、離宮でも華やかで美しい女官を見かけることがあったが、
王女と比べてみると、他の何もかもがすっかり色あせて見えてしまうのだ。親からは、身の程を
わきまえろ、王女様とはあまり親しくなりすぎないように、と再三釘を刺されたが、少年には
その本当の意味が理解できていなかった。 
 そしてその初恋は、どう足掻いても決して実ることはないのだという現実と絶望を知った頃、
ちょうど神学校の奨学生の話があった。手元不如意な彼の両親にとっても、彼の将来を考えれば
願ってもない話だったから、反対する者は無かった。
 神学校を卒業するとき、在俗のまま学者になる道も残されていたが、あえて選ばなかった。
 なまじ俗世にいれば、未練が残る。それならば、いっそ――。
 そんな理由で聖職の道を選んだとは、たとえ口が裂けても言えない。
 彼女には生涯二度と会うまいと決めた。会う機会もないだろうと思っていた。それが、
何という皮肉だろう!
「でも、都に来られて、良かったじゃない」
 王女が無邪気に言う。人の気も知らないで、と、彼は天の邪鬼になる。
「本当のところ、都にだけは来たくなかったんですけどね」
「あら、どうして? 都の教区に配属だなんて、出世コースじゃないの」
「なぜって、都には――」
「都には?」
 あなたがいるから、と答えそうになるのを辛うじて堪えて、神父はとぼけた調子で言葉を
継いだ。
「都には修行の妨げとなる雑音が多いですからね。それに、どこぞのじゃじゃ馬姫のお守りも
 しないといけなくなるし」
「なによそれ。ひどい言いようねえ」
 ぷぅと可愛らしくふくれるその様子は、昔のままだ。
 何も知らなかったあの頃――恋さえ知らなかった無邪気な子供の頃に戻れたら、どんなにか
楽だろう。ふと、そんな思いが神父の脳裏をよぎる。
「ねえ、リーノ」
 不意にそう呼ばれて、神父はドキリとした。いまその名で自分を呼ぶのは、故郷の家族と
幼なじみの彼女だけだ。
 子供時代の甘酸っぱい懐かしさを伴うその響きは、まだ神父になって日の浅い彼にとって、
俗世と一緒に捨てたはずの秘めた想いを呼び起こす力を持つ、危険な響きでもあった。
「その名前で呼ばないでください。今の私は、エマヌエーレ神父です」
 幼なじみへの親しみの情を冷たく拒絶されて、王女は不服そうに神父を横目で見た。
「エマヌエーレ……ね。いかにも神父様って感じの名前だわ」
「修道の誓いを立てたとき、師につけていただいた修道名です」
「良い名前ね」
「恐縮いたします」
「でも、あなたらしくない」
「大きなお世話です」
 さらっと聞き流して無視すればいいのに、彼女が相手だと、つい構ってしまう。
「なんですって!?」
「いや、これは失言でした。おお、主よ、未熟者の私をお許しください」
 キッと睨み付けてくる視線を無視して、大げさに胸の前で十字を切ってみせる。
 王女は馬鹿にされたとでも感じたのか、美しい顔を不機嫌そうにしかめて、
「もう帰るわ!」
と言い捨てると、応接室を出て行ってしまった。
 そして足早に司祭館を出ると、そこに待たせてあった馬車で王宮へと帰って行った。

161 :
 お互い軽口はいつものことだったが、幼なじみの気安さで調子に乗りすぎた、と神父は
反省した。ご機嫌を損ねてしまったに違いない。
 もう王女の来訪は無いものと覚悟していたが、程なくして、王女はいつものように聖堂と
司祭館を訪れ、この間のことなど無かったかのようにケロッとした様子で、いつものように、
いつものような話をした。
「今日も話を聞いてくれてありがとう、リーノ」
 王女は立ち去り際、今日もまた、神父の昔の名を口にした。
「失礼ながら姫様、どうか、その名前ではお呼びにならないでくださいと――」
「リーノはリーノよ。私にとっては、いつまでも」
「姫様」
「その『姫様』ってのも、やめて」
「ですが、姫様」
「やめてって、言ってるでしょう。ねえ、昔みたいに、エレーナと呼んではくれないの?」
「それは、――」
 神父は二の句が継げなかった。
 分別のない子供の頃とは違うのだ。仮にも一国の王女と、貧乏な下級貴族の出の、しかも
まだ駆け出しの神父とでは、立場が違いすぎる。気安く名前で呼んで良いわけがない。
 ときどきは我が儘もおっしゃるけれど、聡明さでも知られる姫様に、そんな簡単なことが
分からないはずがない。なのに、どうしてそんな無茶ばかり……。
 困惑の表情で黙りこくる神父に、王女は声を落として言った。
「ごめんなさい」
「……いえ、ただ……」
「そんな困った顔をしないで。子供の頃と同じにはいられないのは、私も、わかってる。
 ただ、あなたといるときだけは、王女とか神父とか、そういう身分や立場を意識したく
 なかったの。だって私にとって、あなたは……あなたは、とても……」
 言いよどんでから、王女は、きっぱりと言った。
「とても大切な人、だから」
 その言葉に、神父は動揺した。
 彼の心の動揺を知ってか知らずか、王女は伏し目がちだった顔を上げると、さっぱりとした
笑顔を彼に向けた。
「申し訳ありませんでした、エマヌエーレ神父。どうかこのことはお忘れくださいましね?」
 それではごきげんよう、と彼女は優雅に一礼して、王女らしく気品に満ちた立ち振る舞いで
踵を返し、その場を辞した。
 神父は何も言葉を発することができず、ただ呆然と、王女を見送った。
 しばらくして我に返った後、神父は彼女のさっきの言葉を反芻する。
 ――「大切な人」。
 あれはどういう意味だろう――と、その真意を計りかねている自分に、神父は狼狽した。
 真意もなにも、言葉通りの意味に決まってるじゃないか。大切な幼なじみ、それだけだ。
他意があろうなどと考えてしまうこと自体、自分が彼女に何か期待してしまっている証拠だ。
そんなこと、あるはずがないのに!
「主よ、お許しください」
 浅ましい妄執から逃れようと、彼はその場に跪き、神に祈った。だがその一方で、彼の胸の
奥からは、密やかな甘い喜びの感情が止めどなく湧き出てくる。それは神父としての信仰の
喜びとは決して相容れない感情だ。
 神父はそれを振り落とすように、頭を横に振った。
「神よ、心弱く罪深き私を、憐れみ給え」
 これは神が与え給うた試練なのか。抑えても抑えても溢れてくるこの感情に打ち勝たねば、
掻き乱された心を鎮めねばと、神父はさらに深く頭を垂れ、そこで長い時間、祈り続けた。

162 :
「リーノ」
 ぼんやりとした暗さの中で王女の声を聞いて、神父は顔を上げた。
 目の前には、彼女がいる。いつの間に――だが、そんな疑問はどうでも良い気がした。
「リーノ」
 その名で呼ばないでください、と言おうとするが、声にならない。そんな彼の戸惑いを
見透かすかのように、王女が甘く微笑む。
「好きよ」
 王女の突然の告白にも、なぜか驚きは感じず、ただ体中を血が駆け巡るような熱さを感じた。
 いけません、私は神に仕える身です――必にそう抗おうとするが、王女は意に介さず、
微笑みを浮かべたまま、神父にゆらりと接近する。いつの間にかその髪は解かれて波のように
優しくうねり、彼女の服の襟元ははらりと解け、胸元が花のように開いてゆく。
 王女は、聖堂の祭壇を飾る法悦の聖女像のようにうっとりと夢見心地の表情で、豊かな髪は、
水中に解き放ったかのように中空にふわりと漂う。
 彼女の丸みを帯びた肩が晒され、肩から手首までの腕の白さが明らかになり、ふっくらとした
胸元の膨らみが姿を見せた。
 あっ、と思ったら、もう上半身を覆う衣は消え失せて、柔らかそうな丸い二つの乳房と、
桜色の乳首が露わになった。が、その色形はまるで霞がかかったかのようにぼんやりとして、
はっきりしない。
 邪な衝動に駆られると同時に、見てはいけない、という罪悪感に苛まれる。
「もっと、見たいんでしょう?」
 いいや、そんなことは思っていない、思うはずがない――そう叫ぼうとするが、やはり声に
ならない。
「嘘ばっかり。いつも、想像していたくせに」
 言い当てられて、一気に頭に血が上る。
 そうだ、その通りだ。
 聖堂を訪れる王女の慎み深いドレスの下に隠された柔肌を、密かに想像したことがある。
そんな破廉恥なことを想像していたのが彼女に知れたらと思うと、生きた心地がしない。
決して、口が裂けても言えぬことだ。
 自分は生身の女性の肌を知らない。目の前の豊かな胸の膨らみも、乳首の色も形も、すべて
知識と想像でしか知らない。その想像したとおりの女体の造形を、いま、目の前の王女は、
惜しげもなく自分に見せている。
 いつの間にか、彼女を包んでいた衣はすべて消え失せて、一糸まとわぬ姿の女体が目の前に
横たわっている。彼の視線は、それに引き寄せられるように、彼女の下腹部へと注がれてゆく。
そこもまた霧のようにぼんやりとして、ただ象牙色の肌がぼうっと光を放つばかり。
 王女が妖艶に微笑んで、身をくねらせる。そしてゆっくりと、挑発的に、片足を大きく上げて
みせた。その付け根の秘部はぼんやりとして、見えそうで見えない。
 神父は吸い寄せられるように、彼女の太股に手を伸ばそうとした。
 もう、何が何だか、わからない。喉がひりひりと渇く。頭がおかしくなりそうだ。自分の
下腹部も、かあっと熱くなっているのがわかる。
 ああ、もう、どうなってもいい――。
「姫様!」
 そう叫んだ自分の声で、神父は目を覚ました。
 王女の姿はかき消えて、夜の闇と静けさが神父を包む。
 身を起こして辺りを確かめる。いつもの自分の寝室の、いつもの寝台の上だ。
「……夢、か」
 夢だと分かって安堵する一方で、夢の中で自分が何をしようとしたかを思い返して、神父は
ゾッとした。
 ――夢の中とは言え、私は、姫様を……。
 そして自分の股間に目をやった。神父とは言え、健康な若い男性である。今の夢に刺激されて、
股間のモノは勃起していた。
 理性の支配が及ばない寝起きにこうした生理現象が起きたとき、彼はいつもならば、夢魔よ
立ち去れと罵り、ひたすら祈り続けて身体が鎮まるのを待つのだった。が、どうしたわけか、
今回は祈りの言葉が出てこず、代わりに股間に手が伸びた。
 自慰は罪だ。
 わかってはいるが、止められなかった。熱い肉棒を手で包むと、軽い快感がぴりりと体中に
走った。もう長いこと忘れていた、罪深い快感。

163 :
「姫様」
 いけないとは思いつつ、夢の中の王女の裸体を思い出しながら、自慰に耽る。
 あの柔らかな肌に肌を重ね、乳房をまさぐり、なで回し、挑発的に上げられた両の足を左右に
押し広げ、あのおぼろげな秘部の奥に自らの肉棒を突き立てるところを想像した。
「あ、あ、……うっ」
 小さなうめき声とともに精を放つ。
 達した快感の次に彼を襲ったのは、どうしようもない絶望感とやるせなさだった。
 はあ、はあ、と荒い息の下、神父は涙をこぼした。
 ――姫様を、穢してしまった……。
 夢の中で、そしていま、自慰の中で。
 自分のことを「大切な人」と言ってくれた、誰よりも愛しい人を。
 神に仕える身という清らかな仮面をかぶりながら、その実は、片思いの女性を犯したいという
邪な願望を抱く、獣のような男。そうだ、自分は僧衣をまとった獣だ。姫様の傍にいることすら
許されない、汚らわしい獣だ。
 己の浅ましさに、この上ない嫌悪感を覚え、神父は声を押しして泣いた。
 聖堂への王女の訪問はその後も休むことなく続いたが、あの日以来、彼女が神父に見せる態度は
王女のそれであり、幼なじみのそれではなくなっていた。王女の会話も、社交的ながらも、ごく
当たり障りのない、それこそ王宮付きの司祭を相手にするような内容に変わっていた。
「ごきげんよう、エマヌエーレ神父」
 あくまでも優雅に穏やかに、淑女然とした礼儀正しさを示す王女に、神父もまた礼儀正しく、
どちらかと言えばやや素っ気ない態度で応じた。
 彼女の夢を見た夜の、後ろめたさもあった。
 これ以上、彼女に近づいてはいけない。自分のような者が、彼女を邪な思いで穢してはならない。
これが当然なのだ、王女と神父、その一線を踏み越えてはならないのだ――。
 戒めとして、神父はそんな風に心の中で自分に言い聞かせるのだった。

164 :
平常通りの連投ができるようで安心しました
今回はキリの良いところまでの投下で失礼します

165 :
GJ!!
こういう展開大好きです
続きに期待!

166 :
GJ!!!
変なタイミングでレス割り込ませて申し訳なかった
続き楽しみに待ってます

167 :
GJです!!
めっちゃ好みの展開で続きが楽しみです!

168 :
GJ!!
すごくいい雰囲気で文体も背徳感やら切なさ満載でたまんねぇ
続き楽しみだw

169 :
>>158-164
投下乙
これは萌える神父様
お姫様との恋に期待
>>157
奇怪噺 花咲一休か
頭を布で隠してる時点で駄目だな
せっかくのハゲが台無し

170 :
GJ、投下乙。
ツンデレ神父の心理描写に萌えた。

171 :
素敵な雰囲気の作品GJです!
続き楽しみにしてます

172 :
>>158-163の続きを投下します
ほぼエロ無し萌えパート(作者基準)です、すみません

173 :
〈2〉それぞれの勤め
 それから数ヶ月、神父と王女の間ではそんな状態が続いていたが、その間に、この国と王家を
取り巻く状況は大きく変化していた。
 緊張関係にあった隣国との戦争がついに勃発したのだ。
 残忍な性格で戦好きな隣国の王は、周辺の小国を次々と蹂躙し、征服してきたが、ついに
この国にも毒牙にかけんと攻め入ってきた。その圧倒的な軍事力を前に、我が国の軍勢は常に
劣勢を強いられ、開戦してひと月のうちに国境付近の砦は陥落した。そしてついに、戦地で
総指揮を執っていた王弟までもが命を落とす事態となった。
 こうした国の一大事は、神父の耳にも届いていた。特に王弟の戦の知らせは、軍事に疎い
彼にとっても衝撃だった。まさか、王族が戦地でお亡くなりになるとは!
 ――姫様も、さぞお心を痛めておいでに違いない。
 戦況が悪化した頃から、王女の訪問は途絶えていた。
 神父は王女の身の上を案じ、また、この国の行く末を案じ、毎日礼拝堂で神に祈りを捧げた。
 負け戦の様相に、国民の間に悲壮感が漂い始めた頃、「隣国と和睦が結ばれる」との知らせが
国中を駆け巡った。
 これで戦が終わる! 誰もが安堵したが、その条件を知った多くの民は、戦時中とはまた別の
悲壮感にとらわれた。
 和睦の条件とは、――エレーナ王女が、隣国の王の妻となること。
 無類の女好きとしても知られる隣国の王が、エレーナ王女を妃にと指名してきたのだ。
もちろん、賠償金代わりの多額の持参金も、和睦の条件のうちだった。
 ――なんたる屈辱! 王弟殿下の仇、国の敵に、我らが王女様を差し出すとは!
 国民は憤り、誰もが王女の運命を嘆いた。
 だがこの条件を拒絶すれば、両国の和睦は破綻、今度こそこの国は徹底的に蹂躙されるだろう。
たとえそれがどれほど屈辱的なことだとしても、大切な王女を人身御供として差し出す以外に
道はないのだということを、誰もがわかっていた。
 神父は、言いようのない空虚感に苛まれていた。
 ――姫様が、ご結婚なさる。それも、あんな男と。
 残虐、傲慢、好色。隣国の王については、まったく良い話を聞かない。噂では、気に入らぬ
王妃を邪険にして多くの愛人を囲い、ついには嫡子を産まぬという理由で王妃を幽閉して
に至らしめたという。しかも、姫様とは親子ほどの年の差だと言うではないか。さらに言えば、
王弟殿下、すなわち姫様の叔父上をしたも同然の男だ。
 ――そんな男のところに、姫様を……。
 下品な笑みを浮かべた中年男に抱かれる王女の姿を想像して、神父は吐き気を覚えた。
 いくら政略結婚は王族の宿命とは言え、あまりにもむごい。だが、自分には何もできない。
何をする力もない。
 己の無力さに、神父は絶望した。もはや、何を神に祈ればよいのか分からない……。
 そんな神父のところに、突然、王宮からの使いがあった。使いと言っても、その辺の
使いっ走りではない、エレーナ王女付きの筆頭侍従だ。
「これからお話しすることは、どうかご内密に」
 思いもがけぬ高貴な使者の申し出に、神父は何事かと訝しんだ。
「急ぎ王宮までお越し願いたいのです。あなたならば、何とかしてくださるのではないかと」
「私のような取るに足らない者に王宮からのご用とは、いったいどういったご用件でしょう」
「エレーナ様を説得していただきたいのです」
「姫様が、どうかなされましたか」
「……実は、昨日からお部屋に籠もられたまま、一歩もお出にならないのです。お食事も
 拒絶なさる有様で」
「召し上がらない? 昨日からずっと、ですか?」
「はい。水以外の、まともな食事らしい食事は、ひと口も……。乳母や近しい侍女、ついには
 陛下御自らも説得を試みたのですが、耳を貸そうとはなさらず……。そこで、エレーナ様の
 幼なじみで今も懇意な間柄のあなたならば、エレーナ様を説得できるのではないかと」
 老侍従の声色からは、彼が心の底から王女を心配し、胸を痛めているのが伝わってきた。
 王女の籠城と断食の理由は、察しがつく。彼女のせめてもの抵抗だろう。だが、彼女が自ら
命を縮めようとしているのを、黙って見過ごすわけにもいかない。
「わかりました。姫様が私の言葉に耳を傾けてくださるかどうかはわかりませんが、できる
 限りのことはいたしましょう」

174 :
 王宮に到着すると、神父は侍従に案内されるままにそのあとをついて行った。神父にとっては
初めての王宮訪問で、本当ならばその豪華な内装や見事な庭園の造形に目を奪われるところで
あったろうが、今日ばかりは、そういったものは彼の目には入らなかった。
 大階段を上がり、いくつかの広間と廊下を抜けた先は、王族の私的な住居空間になっていた。
 薄紅色の壁に可憐な装飾が施された小さな控えの間には、大勢の女官たちが詰めかけていて、
その突き当たりの扉は固く閉ざされている。扉の正面には、一人の初老の婦人が、憔悴しきった
様子で張り付いていた。神父は、昔の記憶から、この婦人が王女の乳母だと気づいた。
「エマヌエーレ神父をお連れいたしました」
 神父を先導してきた侍従がそう告げると、乳母は救世主の到来と言わんばかりに喜びの表情を
見せ、必な様子で扉の向こうに語りかけた。
「エレーナ様、お聞きですか? エマヌエーレ神父様です、エレーナ様。ご友人のエマヌエーレ
 神父様が、お見えになりましたよ!」
 しばしの沈黙の後、扉の向こうから、甲高いわめき声が聞こえてきた。扉越しなのでよく
聞こえないが、「どうして連れてきたの!?」とか「卑怯よ!」とか叫んでいるらしく、扉の
すぐ内側にボスボスッと何かが当たる鈍い音がした。恐らく、クッションか何かを、王女が
扉めがけて投げつけてきたのだろう。
「姫様」
 神父は扉に近づくと、扉越しに声をかけた。返答はない。
 もう一度声をかける。
「姫様。お話だけでも、できませんか」
「……お話? いったい、どんなお話をなさるつもりかしら?」
 扉に隔てられてややくぐもってはいるものの、王女の声がはっきりと聞こえた。
「言っておきますけど、神父様、それが王族の勤めだとか、それで国民が救われるのだからとか、
 これは神の思し召しなのだとか、何も取って食われるわけでなしとか、望まれて嫁ぐのだから
 良いじゃないかとか、相手を虜にして手玉に取ってやれとか、そんなことはおっしゃらないで
 くださいね。もう聞き飽きていますから!」
 全部ではないが、用意してきた説得の言葉はすべて封じられてしまった。もちろん、神父も
そんな上辺だけの取りなしで王女を説得できるとは思ってはいなかったが。
「このまま、何もお召し上がりにならないのですか」
「……」
「餓なさるおつもりですか」
「……」
 王女は黙ったままだ。神父は穏やかな声で宣言した。
「わかりました。それならば、私も、姫様と苦しみを共にいたしましょう」
 そう言って神父は扉から一歩離れると、床に跪き、膝のところで手を組み合わせ、頭を垂れて
目を閉じた。
 十分、三十分……一時間……二時間。
 神父は身じろぎもせず、その場を離れなかった。
 さすがに不安に思ったか、王女は鍵穴からその様子を窺って、動揺した声で言った。
「ちょっと……本当に、そのままそこを動かないつもり?」
「姫様と苦しみを共にすると、申し上げました」
 神父はそう答えて、その場から動こうとしない。
 窓から差し込む日差しが徐々に傾き、やがて夕暮れ時となり、食事が運ばれてきたが、王女は
依然として拒絶した。神父にも食事が用意されたが、彼は水さえ口にしようとはしなかった。
自分よりも、王女の方が既により多く苦しんでいるのだから、と。
 苦行に慣れている神父にとってはさほど苦ではなかったが、王女には、扉越しの状況がとても
耐えられなかったらしい。すっかり日が落ち、部屋や廊下の蝋燭に火が点される頃になって、
固く閉ざされていた王女の私室の扉がギィと軋んだ音をたてて、少しだけ開いた。
「……エマヌエーレ神父とだけなら、お話ししてもいいわ」
 今にも王女の部屋に突進していきそうな勢いの乳母や侍女たちをどうにか宥めて、神父は一人、
王女の私室に足を踏み入れた。部屋に入った途端、王女は扉をバタンと閉めて、再び鍵をかけた。
 王女の私室は淡い色の上品な装飾で彩られ、落ち着いた趣味の良い色合いのソファやテーブル、
物書き用の机などが置かれている。続きの間は衣装部屋で、一番奥の間には天蓋付きの寝台が
チラリと見えた。
 私室の入口となる扉の内側には椅子やチェストでバリケードが築かれていたようで、王女は
再び、小さな椅子を簡単なバリケードに使った。
「ごきげんよう、神父様。生憎、取り散らかしておりまして」
 普段ならば機知に富んだ挨拶に聞こえるその言葉も、今はただ胸が痛むばかりだ。

175 :
 久しぶりに会う王女は相変わらず美しかったが、その顔はかなりやつれて見えた。たった一日や
二日程度の食事を抜いただけでは、こうはならないだろう。とっくに泣き尽くしたのか、目元の
辺りにうっすらと赤い腫れの名残が見て取れた。それとは対照的に、青白くさえ見えるその肌の
白さが痛々しい。
「無茶をなさる」
「無茶はあなたよ。あなたは真面目だから、本気で私と一緒に断食するつもりだったでしょう。
 水まで断るなんて、無茶だわ」
「心配してくださったのですか。お優しいのですね」
 優しいわけじゃないわ、と王女は呟いて顔をそらした。
 王女はソファに腰掛け、神父に自分の隣に座るよう促した。
 神父は一瞬ためらったが、他の椅子はバリケードに使ってしまっているので、仕方がない。
神父は王女とはなるべく距離を置くよう、ソファの一番端に身を寄せて、遠慮深く腰を下ろした。
 王女はさすがに疲れた様子で、ソファの背にくったりと身をもたせかけた。
「どうして私がこんなことをしているのか、もうわかっているのよね?」
「……ええ」 
「あなたも知っているでしょう? あの男を良く言う者なんて、この国には一人もいないわ」
「おっしゃるとおりです。ですが――」
「わかってる……わかってるわよ。私があの男の妃になれば、この国は救われる。それが、
 王家に生まれた者の勤めだということも、よくわかってる。私だって、私の我が儘で国民を
 犠牲にするつもりなど無いし、もう議会で決まったことだから覆せやしないわ。……でも、
 それでも――」
 唐突に、王女が大きな声を上げた。
「あーあ、私の馬鹿! こんなことなら、二年前の縁談を断るんじゃなかったわ!」
「二年前の、御縁談?」
「そうよ、こんなことになるとわかっていたら、あの人で妥協しておくんだった」
 神父と目を合わせず、わざと明るく毒舌めかせて言う王女に、神父はどう返事して良いか
分からなかった。
 王女はそのまま、独り言のように語り続ける。
「北のほうの国の王子だったかしら。特に取り立ててどうという人ではなかったのだけど、
 少しだけ、ほんの少しだけ、ね、あなたに似ているところがあったの」
 不意に自分の話題になって、神父は、えっと声を上げそうになった。
「縁談はいくつもあったけど、いつの間にか私の中で、あなたが基準になっていたんだわ。
 どうせ恋愛結婚なんてできないんだったら、せめて縁談の相手があなたと同じくらいか、
 それ以上の男ならば、承諾してもいいかなって」
 思いもかけない告白に、神父はどぎまぎした。
「そんな……私など、姫様の御縁談のお相手となる方々には及ぶべくも――」
「私にとっては、そうなの」
 王女は神父の目を見て、きっぱりと言った。
 そしてまた、遠くに思いをはせるように視線をそらし、自分に言い聞かせるように、静かに
言葉を続ける。
「あなたが神父になったと聞いたときは、これで気持ちの整理がつくと思ったわ。神父に
 なったあなたに会って、現実を見れば、幼い日の恋心なんか消えてしまうだろうってね。
 でも……違った。私は、自分の心をごまかしてきたんだってことに、やっと気づいたの。
 私、心の奥底ではずっと、ずっと、あなたを待っていたんだわ」
 そして王女は自嘲気味にフフッと笑った。
「私ったら、本当に馬鹿ね。あなたが神学校へ行くと知ったとき、行かないで欲しいって、
 反対すれば良かった。神父になるのも、無理にでもやめさせれば良かった。周囲の目なんか
 気にせずに、あなたを宮廷の職に就かせて、出世できるよう、堂々と、えこひいきすれば、
 良かっ…た」
 彼女の言葉は、最後の方は涙声になっていた。
「姫様……」
 うつむいて静かに涙を流す彼女の頭を、神父は横から伸ばした腕でそっと包んでやった。
「そんな風に権力を濫用なさらぬお方だからこそ、尊敬しております」
「尊敬されても、ちっとも嬉しくない。そんな、尊敬よりも……、いいえ、私ったら、
 何を言っているのかしら」
 彼女は差し出された腕に寄りかかり、彼に上半身の体重を預けた。まるで幼子のような
その仕草に、神父は慈しみを込めて彼女に胸を貸した。
 僧衣越しにも彼女のぬくもりと柔らかさが伝わってくる。彼女の顔は見えないが、その
美しい髪が鼻先をくすぐる。すすり泣く彼女の息づかいを間近に感じる。
 自分の胸が早鐘を打っている、それも彼女に聞こえているかもしれない。

176 :
「ねえ、リーノ」
「はい」
 もう、その名で呼ぶなとは言えなかった。
「もうすぐ夏ね」
「ええ」
「あの城で過ごした日々が懐かしいわ。あの匂い立つ草の香り、丘を吹き渡る風、野辺の
 小さな花々……都にはないものばかり。城の古い塔を探検したりもしたわね。あの塔から
 眺めた夕暮れの景色は、何よりもきれいだった。覚えてる?」
「ええ、よく覚えています」
 新しく増築された住居部分とは違って、古城らしい昔の城郭部分は、子供たちにとって
格好の遊び場だった。危ないから近づかないようにと言われていたが、子供たちがあんな
魅力的な遊び場を放っておくはずがない。率先して探検して回ったのは、いつも好奇心旺盛な
王女だった。忍び込んだのを見つかっては大人たちにずいぶんと叱られたものだが、それも
すべて甘く懐かしい思い出だ。
「あの頃から、私はあなたのことが大好きだった。あなたは私のことを、どう思っていた? 
 王女とか抜きに、好きでいてくれたのかしら?」
 神父はためらいがちに、言葉を選んで返答した。
「あの頃……、子供の頃、あなたのことは、とても……好き、でしたよ」
 今も愛しているとは、とても言えなかった。
「本当?」
「……ええ」
「好きって、どれくらい?」
「どれくらいって……ええと、そうですね……幼い頃の淡い恋、と言っても差し支えないかと」
「昔と変わらず、優しいのね。少しは慰めになったわ」
 神父の、奥歯に物が挟まったような告白を、王女は自分への思いやりと受け取ったようだ。
「ごめんなさい、私はいつもあなたに迷惑をかけてばかりね。もっと昔に告白していたら、
 少なくとも 『神父様』を困らせることはなかったのに」
「そんなことは……」
 王女は体を起こして涙の跡をぬぐうと、ニコッと健気な微笑みを見せた。
「迷惑ついでに、良いかしら?」
「はい?」
 何を、と尋ねようとした次の瞬間、彼女の顔が近づいてきて、その柔らかな唇が頬に軽く
押し当てられた。
「な…っ!?」
「感謝のキスよ。他意は無くってよ?」
 彼女の唇が触れた跡が、じんわりと熱を持っているように感じる。自分では分からないが、
きっと顔が真っ赤になっているはずだ。
 やられた、と思った。
 本当にこのお方は、油断がならない。知られまいと必で抑えている感情に歯止めがきかなく
なってしまいそうだ。
 ――まずい。
 そう直感した。が、彼女にとっても精一杯の勇気を出してのことだったのだろう、今の
大胆な行動が自分でも信じられないといった風情で恥じらう彼女を目の当たりにすると、
邪な思いは消えて、ただ愛しさだけがこみ上げてくる。
 気がつけば、自然に体が動いていた。
 彼は王女の顔に正面から向き合うと、彼女の両の頬をそっと両手で包み、頭を少しばかり
うつむき加減にさせてから、――その愛らしい白い額に、軽く口づけをした。
「祝福のキスです。他意はございませんよ?」
 さっきの王女の台詞を真似て言うと、目を丸くしていた王女は顔をくしゃっと崩して、ふふふっと
泣き笑いになった。神父もふふっと笑った。彼にとっては、茶目っ気でごまかすのが精一杯だった。
「悔しいわね」
「え?」
「いっそ、頭でっかちの偏屈神父にでもなっていてくれたら良かったのに、あなたときたら、昔と
 変わらないどころか、もっと素敵になっているんだもの。その黒の司祭服も、ミサでの聖書の
 朗読も、お説教も、うっとりするほどあなたに似合っているんだわ。なんだか、ずるい」
 そう言って王女は立ち上がると、しばらく神父に背を向けていたが、何かを決意したように
振り向いた。そして、この上なく美しい微笑みを浮かべて、神父に告げた。
「今日は本当に、ありがとうございました、エマヌエーレ神父。……食事を運んできて欲しいと、
 侍女たちにお伝えいただけますか?」
 その言葉に、神父の胸はズキリと痛んだ。

177 :
小出しですみません
今夜はここまで
なるべく近いうちに続きを投下できるよう努力します

178 :
うおおおおお!GJ!

179 :
wktk

180 :
王女可愛い
続き待ってる

181 :
wktk

182 :
いいよいいよ続きが楽しみすぐるGJ!

183 :
GJGJ!!
王女が可愛いしかし……切ない!切なすぎる…

184 :
投下乙
これは、背徳展開に期待できるな

185 :
HONKOWA(ほん怖)で連載中の、永久保貴一
密教僧 秋月慈童の秘儀「霊験修法曼茶羅」
に出てくる坊さんがかなり萌える
色っぽい展開にならないかな

186 :
お坊さんと結婚するメリット
いつも一緒に居れます。
立場上や信仰上、浮気しない人が多い。
ちゃんと修行していると人格的にまとも以上。夫婦関係はうまくいっている人多いのでは。
金銭感覚がしっかりしている人が多いです。
休みの日が自分で決められるので、人の少ない日にお出かけできる。
庭付き一戸建てに住める。
生臭坊主を避ければ、宗教家なので基本的には真面目な人が多い。
法事や接待でお膳料理や美食には辟易していて、家庭では粗食を好む。
学歴や教養があるので、子供の教育にも熱心。
さらに、田舎の寺なら簡単な日曜大工や土木の心得もあって、頼りになる。
寺院経営・運営の仕事を手伝ったり、アイデアだしたりと、単なる専業主婦よりはやりがい有り。

187 :
デメリットもあるだろ
・副業をやって(かつ成功して)ないと収入が厳しい
・宗教にどっぷり染まらなければいけなくなる
・聖職者の妻としてイメージを損なうような言動は出来ないので気を遣う
・冠婚葬祭に振り回される、休みを取りたくても取れない時も多い
派手な人生を望まない人ならいいかもな

188 :
盆暮れ正月かき入れ時になるから一般的な勤め人と休日逆になるし、基本無休だしな

189 :
年中無休の自営業・共働き(妻の給料は出るのか?)・義両親と同居
地元の名士なわけだが健全経営でなければただの没落旧家
同じ仏教でも宗派が違ったらいろいろと面倒そう
離婚とかも面倒そう(跡取りの親権問題とか、家族どころか檀家総出で説教たりとか)
なんだか田舎の古い農家みたいな条件だな

190 :
仏花を活けるのに華道の心得が必要
教会やお寺の嫁さんが割と多いと師範代免状を持っている親族が言っていた

191 :
たとえば京都では、今も昔も、幼い女の子が始めるお稽古事は
ピアノや英会話と並んで茶道や華道がポピュラーなんだが〈別に普通のサラリーマン家庭の子でも)、
その茶道や華道ってのは、近所のお寺の奥さんが教えていたりすることが多いんだよな
そんで母親や祖母に連れられてそういうお稽古事を始めた子供たちも
そのお寺を中心にできている檀家コミュニティや地域コミュニティの一員となるわけだ

192 :
>立場上や信仰上、浮気しない人が多い。
女遊びしまくりなイメージだけどな

193 :
遅くなりましたが投下乙です!
続きが楽しみだー

194 :
坊主の極太チンポに数珠巻いてキリキリ締め上げたいです

195 :
坊主は精進料理が主食だから祖チン持ちしかいなそうなイメージ

196 :
GJや続きwktkと言ってくださった方、ありがとうございました
推敲ばかりしているとかえって投下の踏ん切りが付かなくなるものだなあと痛感
>>158-163,>>173-176の続きを、連投できる範囲で投下します

197 :
〈3〉逃避
 それからしばらく後の、ある日の昼下がりのことだった。
 先だって使いに来た王女の侍従が、今度は血相を変えて司祭館に駆け込んできた。
「エレーナ様は、こちらにお越しではありませんか」
 いいえ、と神父が答えると、侍従は頭を抱えて「ああ……」と悲痛な声を上げた。
 老練の侍従らしからぬその狼狽ぶりに、神父はただ事ではないと直感した。王女が婚礼の
ために隣国へ出立する日は間近に迫っているはずだ。
「姫様に、何があったのですか」
 聞けば、今日の午前、気晴らしにと馬で散策の途中に、王女が供の者たちの目を盗んで
姿をくらましたのだという。現在、王宮の者が手分けして探しているが、未だに王女の行方は
つかめていないという。
「あれ以来、以前とお変わりないご様子で、もうお覚悟を決めて、お心も落ち着かれたものと
 思っていたのです。まさか、こんなことをなさるとは――」
 侍従はよほど慌てていたのだろう、家政婦がそこにいるのも気づかなかったのか、一気に
まくし立ててから、しまった、という表情になって、
「このことは他言無用ですぞ」
と慌てて念押しした。図らずも極秘事件のいきさつを聞いてしまった家政婦は、慌てて、
もちろん、とばかりに力強く首を縦に振った。
 侍従が帰っていったあと、家政婦は悲痛な面持ちで言った。
「姫様も、ほんにお気の毒に。思いあまってのことでしょうねえ……」
 神父は無言だった。
 ――「思いあまって」?
 そんなことをなさるお方だろうか。ならば、この間の、あの吹っ切ったような言葉はいったい
何だったのだろう。それに、発作的に逃げ出したところで、国内では捕まるのは時間の問題だ
ということは、王女自身がよくわかっていそうなものだ。
「いくら高貴なお方の宿命とは言え、よりによって、あんな下劣な、しかも、仇のところへ
 嫁がされるなんて! 姫様がおかわいそうでなりませんよ。ええ、ええ、国の誰もが、
 そう思ってますよ」
 家政婦は、まるで自分の実の娘の不幸を嘆いているかのようだ。彼女はこの理不尽な婚姻への
怨嗟をひとしきり吐き出したあと、今度は神父に恨めしげな眼差しを向けた。
「今だから申しますけどね、神父様。姫様は、あなたのことを好いていらしたんですよ」
「……そんなはず、ありません」
 神父は嘘をついた。
「いいえ、そうに違いありません。神父様はどう思ってらしたか存じませんけれど、ここへ
 お見えだったときの姫様のあのご様子、あれは、心を許した相手にしか見せないご様子ですよ」
 神父は黙ったまま、否定も肯定もしなかった。
「たとえ許されぬ思いだとしても、好いた殿方がいるってのに、嫌いな相手のところへ無理矢理
 嫁がされるなんて、若い娘さんにとってこれ以上辛いことはありませんよ。そりゃあ、発作的に
 逃げ出したくもなるってもんです」
 家政婦はいつになく饒舌だ。
「ああ、どうしましょう、もしや姫様は、世をはかなんで――」
「あの姫様に限って、そんなことはありません」
 神父は静かに、しかし厳しい迫力をもって、そう断じた。
「ご自分で命を絶たれるような、弱いお方ではありません」
 それを聞いて、家政婦はワッと泣き出した。
「申し訳ありません……そうですよね、そう、そうですよね」
 神父は家政婦の肩に手を置いて、彼女を宥めた。
「大丈夫ですよ。姫様は、きっとご無事です」
 家政婦はハンカチで顔を覆ったまま、「ええ、ええ」と何度も頷いた。
「もしかしたら、心当たりがあるかも知れません。私も姫様を探しに行ってきます」
 そう言うと、神父は急いで外出の支度を始めた。夏が近いとはいえ、夜はまだ冷える。途中で
野宿になるかもしれない。家政婦には道中の食料の支度を頼み、自分は馬の用意を始めた。
「神父様、お願いしますよ。きっと、姫様を捜し出してくださいまし」
「ええ、必ず見つけてきます」
 神父は夜道に必要な手提げランプや外套、毛布などを馬に積んだ後、家政婦が用意してくれた
パンとチーズの包みと水筒を携え、長い僧衣の裾を軽くたくし上げて鞍にまたがった。
「明日になっても見つからなければ、また連絡します。私が留守の間、あとをお願いしますよ」
「ええ、ええ。それはご心配なく。どうかお気をつけて、神父様」

198 :

 神父は侍従から聞いていた手がかりを元に、王女の足跡をたどることから始めた。意外だったのは、
発作的な脱走ではなく、いくらか計画的な脱走らしいということだった。王女は逃走後に夜食と
明かりの調達をしていた。ということは、供を連れての乗馬には本来不要な路銀を用意していた
ということである。
「ええ、確かに、黒い馬に乗った、身なりの良い、明るい色の髪の若い女性でした」
と、都の城門のすぐ外にある商店の主人はよく覚えていた。顔をヴェールで覆っていたとはいえ、
馬に乗った貴婦人がたった一人、食糧や手提げランプなどを買い求めれば、嫌でも目立つ。
 ただ、そこから先の王女の足取りがつかめなかった。いや、正確には「つかめない」のではなく、
「手がかりがありすぎる」のだった。どうやら王女は、追っ手を攪乱するためにわざとあちこちに
バラバラな手がかりと痕跡を残していったらしい。
「姫様らしい」
 幼い頃、城やその周辺で探検をするときにも、危ないからおやめなさいと追ってくる大人たちを
攪乱するために似たようなことをなさっていたなと、神父は懐かしく思い出した。
「ということは、やはり、そういうことなのかな」
 神父はそう独り言を呟くと、自分の故郷の村に向けて馬を走らせた。
 村への街道をしばらく進んだが、その道中ではこれまでとは逆に、王女の痕跡は見当たらなかった。
 普通ならば見込みなしとあきらめるだろうが、かえって神父は確信を強めた。
 さらに数時間経って、神父の故郷の村が見えてきたが、彼は村には立ち寄らず、村を見下ろす
丘の上に建つ、かつての夏の離宮を目指した。
 久しぶりに近くで見た丘の上の城は、たった数年の間にずいぶんと傷んで見えた。遠目には
分からなかったが、数世紀前に建てられた由緒ある城壁の一部などは石積みが崩れ、塔の壁には
植物の蔓が手入れされないままに蔓延っている。戦争のせいで、城の改修も途中で捨て置かれた
ままになっているのだ。そんな有様だったので、留守居役らしき者は、城門の手前の小屋で
番をする男とその家族くらいのものだった。
 神父は誰か城に立ち寄っていないか、番人に尋ねた。
「いいえ、どなたもお立ち寄りになった形跡はございませんよ。少し前にお見えになった
 お役人様にも、同じことを聞かれましたが」
「そうですか」
 神父はそう言って、一旦は村へ戻るような様子を見せた。が、自分の姿が番人の視野から
消えたことを確認すると、馬を返し、脇道を使って城の裏手へと回り込んだ。
 ――たぶん、この辺りに……。
 案の定、城の裏手にある小さな森の中で、王女の馬が、隠すように繋がれていた。
 神父は自分の馬もそこに繋ぐと、荷物を降ろし、辺りを注意深く観察した。馬が繋がれている
場所から、誰かが下枝を踏み折って行った跡が見て取れた。その先には、修復中の古い塀が崩れて、
人が入り込める箇所があった。
「やっぱり」
 神父は崩れた石塀を乗り越えて城の敷地内に入り、目の前にそびえ立つ古い塔を見上げた。
子供の頃、王女と一緒に探検し、夕日を眺めた塔だ。
 こちらも管理は杜撰で、入口の木の扉は鍵がこじ開けられていた。
 塔の中に差す光は乏しく、外の日もすっかり傾いている。神父は持参した手提げランプに
火を点すと、塔の中に入り、薄暗い螺旋状の石段を上へ上へと登っていった。
 コツ…ン、コツ…ン、と神父の靴音が響き渡る。
 最上階には小部屋がある。子供の頃の記憶のままだ。その扉もまた、鍵が開いていた。
 子供の頃に感じたのとは別の緊張感を覚えながら、少し重たいその扉をゆっくりと開ける。
 夕暮れの光がまぶしく差し込む明るい小部屋。
 果たしてそこには、王女がいた。
「思ったより早く見つかっちゃったわね」
 王女はまるで神父が来るのをわかっていたかのように、そう言って微笑んだ。
 王女は簡素な夕食を終えたところのようで、床の上に置かれたバスケット――これも道中に
買い求めたようだ――の中には、パンの欠片やハムにチーズ、果物の残りがあるのが見えた。
その横には小さなワインボトルまである。風景な石造りの小部屋の中で、王女の周辺だけが
不釣り合いに華やいだ色彩で、まるで楽しげなピクニック風景だ。
 王女はありふれた形のグラスにワインを注ぐと、それを神父に勧めた。
「あなたも一口、いかが?」
「いえ、結構です」
「あら、そう」

199 :
 神父が断ったので、王女はそれをクイッと飲み干した。そして手元の小さなポシェットから
ハンカチを取り出して、上品に口をぬぐった。
「知らなかったわ。金貨一枚で、ずいぶんいろいろ買えるのね」
 なんとも王女らしい発言である。初めての自力での買い物だったのだろう。
 王女は道中で買いそろえたものの他に、塔や城内の他の部屋から毛布や枕などいろいろと
失敬してきたようで、もちろん王女の宿としてはあり得ないほど粗末な部屋だが、野宿よりは
はるかに快適な状態にしてあった。
「用意周到ですね。最初からここに泊まるおつもりでしたか」
「ええ。だって宿に泊まれば、すぐに見つかってしまうもの。今頃は、国中の宿場町に
 手が回っているでしょうね」
「……でしょうね」
「せめて日が落ちるまで、見逃してくれない?」
「そういうわけにはいきません」
「でも、いま私が村へ降りていけば、程度の差はあれ、騒ぎになるわよ? 騒ぎになれば、
 どうして王女がこんなところに?と誰もが訝しむわ。婚儀を目前に控えた王女の脱走騒動が
 国の内外に知れてしまうのは、父上もお望みでないと思うのだけど?」
 確かに王女の言うとおりだ。もうすぐ日が暮れる。女連れで夜道を都まで戻るのは危険だから、
どこかで宿を取らねばならない。時間や距離を考えると、ここから一番近い村の旅籠になる。
王女の顔は村人にもよく知られている。小さな村だ。噂はあっという間に広がるだろう。
「そうだわ、いっそのこと、わざと出向いて行って『私はエレーナ王女よ! 駆け落ちの最中
 なんだから、邪魔しないで!』って大騒ぎしてやろうかしら?」
「そんな、姫様」
「嘘よ、嘘。そもそも、一人で駆け落ちも何もあったもんじゃないわ。ああ、それとも
 エマヌエーレ神父、あなた、一緒に駆け落ちしてくださる?」
「なっ――」
 思わず絶句した神父に、王女はコロコロと笑いながら言う。
「冗談よぉ、冗談! できっこないって、それくらい、私だってわかってるわ」
「……姫様」
「あ、まさか、ちょっと期待した? いけないわねえ、神父様が――」
「姫様!」
 神父は一喝した。痛々しいほどに不自然な明るさで吐き出される、皮肉と毒舌の言葉。
いつもの彼女からはおよそ考えられない、その悲しい暴言を止めるために。
 そして、神父は悲痛な思いに顔をゆがめながら、愛しいひとを抱きしめた。
「わかりました――もう、わかりましたから」
 神父の腕の中で、王女は空虚な笑みにこわばった顔を歪ませる。瞳からは次々と涙がポロポロ
こぼれ、ついに彼女はワッと声を上げて泣き出した。
「ごめ…っ……なさい、ごめんなさい……ごめんなさい…っ」
 王女は号泣しながら、神父に謝り続ける。
「いいんです。いいんですよ」
 壊れかかった、気高い王女の心――。どうにかして、救いたい。
 しかし、いったい自分に何ができるというのだろうか。いったいどうすれば、彼女の心を
癒すことができるのだろうか。
 神父は彼女を抱く腕に、さらに力を込めた。
 何の力も持たな自分だけれど、できるなら、彼女の望みならば何でも叶えてあげたい。
「……ここからの夕日を、もう一度、ご覧になりたかったのでしょう?」
 王女はこくりと頷いた。
 幸福だった、幼い日の、美しい思い出。最後にそれをもう一度見たいというのが、彼女の
ささやかな願いだった。
「わかりました。その代わり、私もご一緒いたします」
「……いいの?」
「良いも何も、こんなところに、しかも夜中に、あなたをひとり残していくわけにはいかない
 でしょう?」
「ありがとう」
 王女は目を閉じて、安らかな微笑みを浮かべた。
「私、やっぱり、あなたを待っていたんだわ」
 神父は、この日この場所で見た夕暮れを、生涯忘れることはないだろう。それは、王女も
同じだった。
 二人は塔の四角い小窓から夕陽を見つめ、その色に染まりながら、ただじっと、太陽が
ゆっくりと沈んでゆくのを見送った。

200 :
 丘の下からはカーン…カーン…と村の教会の晩鐘が聞こえ、遠くで飼い犬が吠える音が
聞こえた。ツバメがチュピチュピチュピと忙しなく飛び交いながら鳴くのも聞こえる。
 西の空は最初は白く、徐々にオレンジ色に染まり、その中心に黄色く輝く太陽があった。
その炎の球が静かに地平線の向こうに消えると、天と地の境目に光の帯が現れ、やがて辺りを
紫色に染め上げてゆく。青い上空にはダイヤモンドのように一番星が煌めき、明るかった
天球も、やがてゆるゆると薄い青から濃紺へと色を変えていった。
 塔の石積みの壁は、残照を受けて薔薇色に輝いている。
 二人は言葉もなく、ただ寄り添いあい、この至福のひとときを共有した。
 王女は満足したように息をついて、神父の肩にそっと頭をもたせかけた。そして、甘えた
子供のように言った。
「お香の匂いがする」
「ああ、これは――」
 聖堂で焚いている清めの香が、僧衣に染み付いているのだ。
「良い匂い。教会の匂い、神様の香りだわ」
 彼女がクン、と嗅いでみせる。その仕草があまりにも愛らしいので、神父は嬉しいような
恥ずかしいような、形容しがたいこそばゆさを感じた。
 王女は神父の服に顔を埋めると、か細い声で言った。
「ずっと、このままでいられたらいいのに」
 その言葉に、神父は泣きたくなった。どうしようもない罪悪感。朝が来れば、自分は彼女を
連れ帰らなければならないのだ。王女にしてみれば、処刑人に引き渡されるような心境だろう。
 彼は王女の身体をそっと引き離すと、静かに立ち上がった。しばらく無言で立ち尽くして
いたかと思うと、不意に王女に告げた。
「私は、神父をやめます」
 あまりに唐突なその宣言に、王女は思わず素っ頓狂な声を上げた。
「え……ええ!? ちょっと、どうして!? 何も、一緒に逃げて欲しいとか言っている訳じゃ
 ないのよ? ……やっ、確かに言ったけど、あれは――」
「私には、神父でいる資格がありません」
「どうして?」
 神父は彼を問いただそうとする王女から目をそらし、苦しげに告白した。
「私が神父になったのは、神に招かれたわけではなく、ただ、逃げたかっただけなのです。
 現実から、そしてあなたから、ただ逃げたかった」
「私――から?」
「皮肉なものです。神父にならなければ、どこか遠くで平凡な人生を送り、あなたに再会する
 ことも、聖職者としてお側近くにいることもなかったでしょう。都での勤めを辞退することも
 できたのに、それをしなかったのは、私の弱さです。私は、神父になるべきではなかった」
「どうしてそんなことを言うの? ……私のこと、本当は嫌いだったの?」
 王女は悲しげな顔をした。神父はほとんど反射的に、即座にそれを打ち消した。
「まさか! 今も、この瞬間も、私は誰よりもあなたを愛しています!」
「え…っ」
 今度は王女が絶句する番だった。夕日に染まっていた彼女の顔が、みるみるうちに、さらに
いっそう赤くなる。
「だって……だって、私のことを好きだったのは、子供の頃のことだって……! リーノ、
 あなた、この間は、嘘をついていたの!?」
「嘘じゃありません。子供の頃のことを聞かれたから、今もそうだとは言わなかっただけです」
「きっ、詭弁だわ!」
 すっかり狼狽えている王女とは対照的に、神父は穏やかに告白する。
「ずっと、愛していました。でも、決して報われることのない、身分違いの恋です。思いを
 断ち切るために聖職者の道を選びましたが、……無駄な努力でした」
 それを聞いた王女は、神父との距離を縮めると、彼の顔をのぞき込み、真偽を確かめるかの
ように、彼の目をじっと見つめた。
「どうしてこの間は、ごまかしたの? 子供の頃は……なんて、言っちゃって」
「なぜって……、本当の気持ちを言ったら最後、歯止めがきかなくなるから――」
「歯止めなんか、いらなかったのに」
 そう言って、彼女は彼の首に両腕を回した。彼も彼女を全身で受け止め、両腕を彼女の
背中に回して抱き留めた。
 お互いのすぐ目の前に、愛しい人の顔があった。
 一瞬のためらいがあったが、それは恋に未熟な二人の恥じらいゆえだった。その後は
ごく自然に、互いに引き寄せあうように、二人は初めて直に唇と唇を重ねた。

201 :
 初めての、柔らかな感触。暖かな湿り気。甘い吐息。
 理性が吹き飛ぶには十分だった。二人は夢中で、ぎこちない接吻を何度も交わす。本能の
指示するままに、互いに求め合い、いつの間にか神父は王女を床に押し倒していた。
 そこでハッと我に返り、神父はガバリと跳ね起きた。
「だめです。いけません、こんな――」
 神父は両手で顔を覆って王女に背を向けた。そんな神父を見て、王女は羞恥と落胆とに
目を潤ませながら、消え入りそうな声で言った。
「ごめんなさい……。やっぱり、あなたは――」
「そうじゃない。そうじゃないんです」
 神父は首を横に振り、彼女の推測を強く否定した。
「え?」
「私には、あなたを愛する資格がない」
「何を言って――」
 訝しむ王女に、神父は胸の内を一気に吐き出した。
「あなたの幸せが何よりの願いなのに……なのに、他でもない私が、あなたを苦しめている。
 あなたを都に連れ帰れば、あなたを、意に沿わぬ政略結婚の犠牲にすることになる。
 かといって、あなたとともにこの運命に立ち向かう勇気もない。私は、卑怯者です」
「そんなことないわ」
「いいえ、私は結局、自分のことしか考えていないのです。いつだって、逃げずに現実と
 向き合っていたら、こんな身の程知らずの思いを抱き続けることもなかったでしょう。
 そんな私には、神に仕える資格もなければ、あなたを愛する資格も――愛される資格も
 ありません」
 誰よりも愛している彼女を、救いたくても救えない。それどころか、地獄へと突き落とす
手助けをしようとしているのだ。
 もし、これが神の思し召しだというのなら、――そんな無慈悲な神は、呪われてしまえ!
 押し込めていた感情を吐露すると、彼はその場にうずくまって嗚咽した。
 王女は、打ちひしがれている神父に寄り添い、彼を包むように両腕を回した。
「ごめんなさい。私の方こそ、あなたに辛い思いをさせてばかりいたのね」
「……謝らないでください。姫様は、何も悪くないのですから」
「いいえ、私はとても悪い女だわ」
 そう言うと、王女は神父の頬を両手で優しく包み、その唇に唇を重ねた。神父はただ呆然と、
されるがままに王女を見つめ返す。
「ねえ、いま、私が『神父をやめないで』と言ったら、あなたを余計に苦しめてしまうかしら。
 それとも、……」
 王女は少し口ごもってから、彼の耳元で、囁くように言った。
「それとも、『私を抱いて』と言った方が、あなたを苦しめてしまうかしら」
 想像だにしなかった、大胆な要求。
 神父は、王女がまた自棄になって心にもないことを口走っているのではないかと内心疑ったが、
王女はこれまでになく冷静な様子で駄目押しした。
「初めては、好きな人にあげたいの」
「……姫様」
「お願い。私の、最後の我が儘」
「……あなたを、地獄への道連れにするわけにはいきません」
「いいの。あんな男の妻になるだなんて、それだけで私には既に生き地獄だもの。それに、
 憎い相手と偽りの愛を誓うことも、神様への裏切り。私は一生、その十字架を背負って
 いかなければならないんだわ」
 そんなことはありません、と神父は言おうとしたが、やめた。
 間違いなく、これは彼女が自分を誘惑している状況なのだが、とてもそうは思えぬほど、
彼女の言葉の一つ一つは透明な響きをもって聞こえる。
「つまり、その十字架の片方を担ぐ手伝いを、私にしてほしいとおっしゃる」
「ごめんなさい」
 そう言う彼女の瞳の、なんと澄んで美しいことか。
 神父は観念したように小さなため息をついて、苦笑した。
 ……魅入られたのだ。もうずっと昔から、彼女の虜なのだ。今さら何を抗おう。
 それが彼女の望みなら、自分のすべてを捨ててでも、たとえ地獄の業火に焼かれることに
なろうとも、叶えて差し上げようじゃないか。
「謝らないでください。あなたの望みとあらば、私は何だってします。それに――」
 神父は王女をギュッと抱きしめた。そして、最後の秘密を告白した。
「私も、密かにそれを望んでいたのですから」

202 :
今回の投下はここまで
相変わらず小出しですみません
次もなるべく近いうちに投下に来られたらいいなと思ってます

203 :
あああああ
>>202でタイトル外すの忘れた orz
失礼しました

204 :
ちょ…
gjだが生しだ!!!
素晴らしい!!!

205 :
王女様かわいいよかわいいよ
GJでした!

206 :
続きを全力待機

207 :
GJ!
姫様可愛い。続き期待。

208 :
>>203

ハラハラする展開だ

209 :
だがそれがいい

210 :
GJ、投下乙
二人には幸せになって欲しいもんだな

211 :
姫ももちろんかわいいんだけど
>その黒の司祭服も、ミサでの聖書の
>朗読も、お説教も、うっとりするほどあなたに似合っているんだわ。
もう男性聖職者好きにはたまりません
続きが楽しみすぎる!!

212 :
世の中には、坊さんが主人公のエロゲもあるんだな
ルネの
―喪服妻―「許してアナタ…私、弱い未亡人(おんな)です」
ってやつw
http://marigold.1000.tv/lune/mofuku/index.html
タイトルの通り、夫に先立たれた未亡人を喰いまくるゲーム
主人公は寺を継いだばかりの24歳の僧侶
基本的に、男の体はイベントCGから見切れてるんだが、
墨染めの衣から覗く、主人公の逞しい太腿はなかなか良かった

213 :
はいはいメーカーの広報担当乙

214 :
神父ゲーはちょくちょく見るが坊さんゲーは珍しいな

215 :
>>158-163,>>173-176,>>197-201の続きを投下します
もしかしたら、しばらく投下に来られなくなるかもしれないのですが、
エロ無しパートで途切れたままの生しはあんまりだろうと、
連投できるところまで投下します

216 :
〈4〉塔にて
 あたりはすっかり暗くなり、小窓の外には満天の星空が広がっている。
 二人がそれぞれに持参したランプの明かりを頼りに、神父は王女のドレスの背中のボタンを
一つずつ、かすかに震える指先で外していった。恥ずかしげにうつむく王女の表情は見えないが、
熱を帯びた息づかいと胸の呼吸が、彼女の緊張を伝えてくる。
 一番下までボタンを外すと、王女の白い背中と肩が露わになった。まだ腕に袖を通したままの
肩に神父が手を伸ばすと、王女はきゅっと身をすくめ、両肩を護るように手で覆った。
「あ、あとは自分で、できるから…っ」
 王女は忙しなく両袖を脱いだが、一つにつながっているドレスのスカートの扱いに手こずり、
結局は彼に手助けを求めた。神父も女性の服の扱いなんて初めてで、二人して難儀しながら、
やっとのことで一番上の一枚を取り除くことができた。
「ご婦人の着替えというのは、大変なのですね」
「だって、いつもは侍女が手伝ってくれるんですもの」
 さすが、大勢の侍女を抱えるような高貴な女性の服は、一人で脱ぎ着できないような構造に
なっているのだと、神父は妙なところで感心した。
 上着を脱いだ王女はその場に腰を下ろすと、ペチコートの裾を少しだけたくし上げて、
短い編み上げブーツの靴紐を解き始めた。これもやはりおぼつかない手つきなので、神父は
王女に向き合って膝をつき、彼女が靴を脱ぐのを手伝った。
 靴を脱がせると、白い靴下に覆われた足先が露わになった。小さな花柄が刺繍された絹の
長靴下の白さと滑らかさが、なんとも艶めかしい。神父はその足先の片方を軽く持ち上げると、
両手で包んでそっと撫でた。
「やだ、くすぐったい」
 王女がクスクスッと密やかに笑いながら身をよじった拍子に、ペチコートの裾が派手に
捲れ上がった。王女はペチコートを引き戻そうとほとんど反射的に手を伸ばしたが、神父は
とっさに、そうはさせじと彼女の手を手で制した。そのまま膝下の靴下留めに手を掛けて、
靴下を下ろしていくと、彼女の素足が姿を見せた。
 王女は恥ずかしそうに視線をそらした。男の前で素足を晒すのは、王女にとっては初めての
ことだ。ましてや、触れさせるなど。
「可愛らしい足」
 神父はそう呟いて、愛しい足先をそろりと撫でた。
「やだ、もう……、や…っ」
 最初はくすぐったそうだった王女の声は、次第に別の気配を帯びてきていた。その艶めいた
声色が、神父の欲情を掻き立てた。
「本当に、可愛い」
 神父はそう言って、王女の足首に愛おしげに接吻をする。王女は「あっ」と困惑の声を上げて、
ぶるっと小さく震えた。彼女の白いつま先が、黒い僧衣の肩に触れる。
 王女は慌てて、彼の手を振り払うように足をどけると、すっくと立ち上がり、寝床の代わりに
重ねて敷き詰められた毛布の上に乗った。そして彼に背を向けると、フリルや繊細なレースが
幾重にもあしらわれたペチコートの留めボタンを外した。
 ペチコートはシュルッと音を立てて滑り落ち、バサリと重たげな音を立てた。
 ぼんやりとした明かりの中に、膝を覆う丈の下履きと白いシュミーズにコルセットを締めた、
華奢な王女の後ろ姿が浮かび上がる。
 神父は自分の体が芯から熱くなるのを感じながら、下着姿の王女を背後から抱きしめた。
「……苦しいわ」
「え」
「コルセットが、苦しいの」
 脱がして欲しい、という意味だ。
 神父は、初めて触れるコルセットの、その背中で蝶結びにされた紐に指をかけて、
「これをほどけば、いいですか」
と律儀に確認する。王女は恥ずかしげにコクンと頷いた。
 蝶結びを解いて、きつく締められている紐の交差を、一つ一つ、順番に緩めてゆく。上から
下まで紐を全部緩めたところで、ふぅ、と王女は息を吐いた。そして前板の留め金自分で外して
シュミーズと下履きだけになると、彼に背を向けたまま、小さな声で言った。
「……あなたも」
「あ、……はい」

217 :
 焦って腰帯に手をやると、帯に掛けたロザリオに指先が引っかかった。神父はロザリオを外すと、
わずかの間、それを見つめた。大きめの黒い珠が連なるその先には、銀の十字架が付いている。
神学生時代に師からいただいたロザリオだ。その珠は彼の日々の祈りによっていくらか摩耗し、
つるりと艶を帯びていた。
 神父は腰帯を解くと、それでロザリオを丁寧に包み、それらを部屋の隅に追いやった。
 足元まですっぽりと覆う長袖の僧衣は、襟元から裾までボタンが並んでいる。まずは詰め襟の
ボタンを胸の途中まで開き、内側の白い襟を外す。窮屈だった喉元が解放された。
 さらにボタンを外そうとしたところで、神父は背中に王女の視線を感じて、チラリと振り返った。
「……なにか?」
 王女は下着姿のまま行儀良く座って、神父の方を向いていた。じっと見つめていた理由を
問われて、照れ隠しのようにちょっと小首をかしげる。
「いいえ? ただ、神父様が服を脱ぐところなんか滅多に見られないわと思って」
「滅多にって……、当たり前でしょう、二度三度あるようでは困ります」
 神父はあきれたようにそう返す。
 彼にとっても初めての経験、身体の熱さも胸の鼓動もさっきから激しくなるばかりで、
落ち着いていられる余裕なんかまったく無いはずの状況なのに、王女の無邪気な言葉を聞くと、
不思議と焦りは鎮まって、いつもの軽口が口をついて出てくる。
 あの司祭館でのたわいもない雑談の時間が、今のこのときに繋がっているのかと思うと、
奇妙な気持ちになった。
 しかし彼女に見られていると思うとなにやら気恥ずかしく、変に緊張するが、何を今さら
尻込みしているのだと、神父は最後の躊躇を振り払った。胸のところまで開けていたボタンを
腰の辺りまで外すと、思い切りよく、バサリと僧衣を脱いだ。僧衣の下に着ているのは、質素な
シャツと黒のズボン。神父は手早く靴と靴下を脱ぎ、ズボンも脱ぎ捨て、股間を覆う丈のある
シャツ一枚になる。
 王女の方に向き直ると、彼女は視線を横に外し、顔を真っ赤にして居心地悪そうにしていた。
 ――ああ、なんて可愛いんだろう。
 すぐにでも組み敷いてしまいたくなる衝動を抑えて、彼は王女の前に膝をついた。
「姫様」
 そう呼びかけられて、王女は上目遣いで彼をキロッと睨んだ。
「違うでしょ」
「え、……あ、ええと」
 指摘された途端、かあっと頭に血が上り、神父はしどろもどろになった。王女はそんな彼の
様子をじっと見守り、待ち構えている。
「……エレーナ、さま」
 神父の遠慮がちな呼びかけに、王女は言い直しを命じる。
「『さま』も要らない」
「……エレーナ」
「もっとはっきり」
 ついに神父は思いきって、力強く、愛しいひとの名を呼んだ。
「エレーナ」
 王女がとろけるような笑顔を見せる。
「そうよ、リーノ。もっと、呼んで」
「エレーナ。……エレーナ。愛しいエレーナ」
 神父は王女を抱きしめ、今まで堪えてきた分を取り戻すかのように、何度も彼女の名前を呼んだ。
エレーナ、と呼ぶごとに、心の奥に閉じ込めて抑えつけていた感情が解放されてゆく気がした。
「嬉しい」
 そう呟いた彼女の唇を、彼は唇で塞いだ。
「ん…っ、んんっ……ああ……」
 王女の愛らしい唇から、艶めかしい吐息が漏れる。彼は唇と舌を使って、まるでその愛らしい
形を隅々まで写し取ろうとするかのように、接吻を続けた。それと同時に、彼は彼女を抱きしめて
いた両手で、彼女のシュミーズを脱がしにかかる。
 彼女の上半身を覆う薄布が胸のところまでめくり上げられたところで、二人は漸く唇を離した。
彼女は脱ぎやすいように両腕を上げ、彼はシュミーズを上に引き上げて、一気に脱がせる。
彼女の後れ毛がハラリと揺れた。
 露わになった乳房を、王女は思わず両腕で隠した。もちろん腕では隠しきれず、その豊かな
谷間や、ふっくらと張りのある乳房の丸みがはみ出して見える。

218 :
「やだ……、ジロジロ見ないで」
「とてもきれいなのに」
 神父はそう言いつつも敢えてその腕を取り除けようとはせず、そのまま、王女を床へとゆっくり
押し倒した。そして王女に覆い被さるようにして、再び、唇を重ねる。
 唇から首筋、首筋から鎖骨、鎖骨から乳房へと、小さな接吻を落としてゆく。彼女の身体の
すべての部分が、愛おしく、賞賛に値する。
 胸の上で交差された腕にも接吻をすると、彼女の護りは緩やかにほどかれ、乳房がすっかり
露わになった。コルセットに締め上げられてツンと上を向いた胸とは違って、その膨らみは
とても自然で優しげだ。夢の中で見たよりもよほど素敵だ、と彼は思った。
 彼はほどかれた片方の腕にそっと手を添えると、その柔らかな二の腕から肘へ、肘から手首へ、
手首から手の甲へ、そして指先にも接吻した。
「あ…っ、あ…ん、んん…っ」
 王女が恥ずかしそうに小さなあえぎ声を漏らす。彼女が大きく息をするたびに、その美しい
乳房がふるふるっと揺れた。今度はその胸に手を伸ばし、大きな手のひらで優しく包む。その
ふくよかさをじっくり味わうように撫で回しながら、空いたところにキスをした。柔らかだった
乳首が、徐々に硬くなってくるのが感じられる。
 神父は彼女の胸が早鐘を打つのを直に感じ、王女もまた彼の胸の鼓動を間近に聞いた。
「エレーナ」
「……なぁに」
「愛しています」
 私もよ、と答えた王女の唇に接吻して、神父は彼女の乳房から、なだらかな腹へと手を滑らせる。
そして、彼女の恥部を包み覆う最後の障害を取り払った。
 神父は身を起こして立て膝になると、仰向けでいる王女の裸体を、その頭からつま先まで
眺め下ろした。
 彼女は恥ずかしそうに目をそらせて視線を中に漂わせ、両腕は左右にだらりと、先ほどまで
神父に愛撫されていた乳房は、荒い息づかいのもと、たわわに揺れている。ランプのほのかな
明かりが、彼女の腕や胸元に落とされた接吻による唾液の跡を、チラチラと光らせていた。
細い腰つき、そこから太股へかけての丸みを帯びた肉付き、そして内股気味に閉じられた両足の
付け根には、髪の毛と同じ色の茂みが見える。
 神父は緊張した口の中で唾を飲んだ。喉がコクリと乾いた音を立てる。
 汗ばんだシャツを脱ぎ捨てると、彼も一糸まとわぬ姿になった。その股間には、すっかり
大きく硬くなった肉茎が屹立している。
 本当に良いのですか、と尋ねたくなったが、もう今さらその念押しはしないことにした。
代わりに、もう一度、彼女に深い口づけを与えた。彼女もそれを受け入れる。
 もう、それ以上の答えはいらなかった。
 彼女の唇の柔らかさを堪能してから、遠慮がちに、歯の隙間に舌を差し入れると、わずかな
戸惑いの後、彼女もそれに応じた。
「ん……んん…っ、んぁ…っ」
 互いの舌と舌を絡ませ、唾液を絡め、唇を貪りあった。
 神父は王女のすぐ隣に添い寝するように身を横たえ、彼女を抱き寄せた。彼女も腕を彼の首に
絡めてその身体を添わせる。彼は空いている方の手で、彼女の背中から肩、胸から腹を撫でて、
ついにその先の茂みに手を滑り込ませた。
「あ…っ」
と、王女が小さな羞恥の声を上げた。
 神父は、すぐにも両脚を押し開いて挿れてしまいたいという欲求の突き上げと戦っていた。
 ただでさえ経験のない自分が、欲望の赴くままに行えば、初めての彼女を身も心も傷つけて
しまうであろうことは容易に想像できた。神父として青少年の性行動を教育したり、新婚夫婦の
性生活の相談を受けたりと、知識だけはあるのだ。いや、神学校の図書室にあった、学術的に
詳細な医学書や、様々な変態行為まで赤裸々に記録した異端審問書のことを思えば、性行為に
関する知識は、品行方正な一般信徒に比べてむしろ豊富と言えるかもしれない。
 だが、やはり知識と実践は別物だ。
 わからないなりにも、彼女の苦痛はできる限り少なくあって欲しい。彼女を愛するからこそ、
彼は己の暴走を懸命に抑えていた。
 できるだけ優しく、柔らかな茂みを撫でる。それから少しずつ掻き分けるようにまさぐると、
その奥の熱い花びらが指先に触れた。王女はビクンと身体を震わせる。
 ゆっくりと、花びらの外縁をなぞるように指の腹を滑らせる。そこは既にいくらか潤っていて、
彼の指先はトロリとした露で濡れた。

219 :
「エレーナ」
 名前を呼ばれて、彼女は「ああ…」と小さく身悶えした。彼女の秘部がじわっと潤いを増す。
「かわいい……、エレーナ」
 そう囁かれて、王女はなおも身体の芯を熱くした。彼に名前を呼ばれるたびに、言い知れない
悦びに満たされ、下腹部が熱くなる。恥ずかしいところがどんどん熱く濡れてゆくのを自分でも
感じていて、恥ずかしさと嬉しさとで、もう何も考えられなかった。
「リーノ……、あ、ん…っ、リーノ…っ」
 敏感な秘部が指で弄ばれ、潤いを増してゆくのを感じながら、王女は火照ったように顔を
赤くして、困惑と陶酔がない交ぜになった表情で彼の名を呼んだ。
 彼は彼女のぬるぬるとした陰部を愛撫しながら、入口の在りかを探した。花びらの内側に
指を滑らせていると、下の方で、ぬるん、と指が引き込まれるように落ち込むところがあった。
試しにほんの少しだけ、指をその中に入れてみようとすると、「あッ」と王女が鋭く反応した。
「すみません、痛かったですか」
「う、ううん……痛くない、けど、なんか……、怖いような……感じ」
 初めて異物が触れるのだから、反射的な抵抗感も当然だろう。
 いま、そこはどうなっているのだろう。
 見てみたいという好奇心に駆られて、彼は身を起こし、内股に閉じられていた彼女の両脚を
膝からゆっくりと左右に割り開いた。
「やぁ…ん」
 王女が泣き声のような嬌声を上げる。恥じらいゆえのわずかばかりの抵抗も空しく、彼女の
陰部は彼の目に晒された。濡れそぼったそこは、初めて直に触れるひんやりとした外気を感じ、
王女はぶるっと下半身を震わせた。恥ずかしさと緊張で、とても彼を正視できない。
 逆に神父の方は、明かりの加減で陰に隠れたその部分をもっとよく見えるようにと、彼女の
両脚を上に持ち上げ、顔を近づけた。ランプのほのかな明かりに照らされて、ぽってりとした
花びらを濡らす露が光っている。花びらの内側に見える桃色の襞を優しく撫でさすり、蜜の
絡んだ指の腹で、上の方にぷくりと顔を出している小さな花芯に触れると、王女が「ひっ」と
声を上げた。
「痛いですか?」
「ううん、……痛いわけじゃない、けど……」
 痛くはないのかと、もう一度そっと花芯を撫でると、彼女は「ひゃんっ」と、およそ自分の
意志からではないような声を出した。痛いとこそ言わないものの、とても敏感に感じるようだ。
「気持ちいい?」
「わ、わかんない……、なんか、ひりひりする……感じだわ」
 見ると、そのもっと下の方の、凹みのような小さな穴から、トロリと白い蜜があふれ出て
きた。目指すべき花園の門はここに違いない。
 そこに顔を近づけると、女体の臭いむんと鼻を刺激した。露の降りた茂みにキスをすると、
彼女はビクン、と足を震わせ、彼の頭を挟み込むように太股を閉じかけた。神父はそれを
両手で再び押し広げると、今度は茂みの下の花びらに舌を伸ばした。ちろちろっと舌先で
舐め上げると、王女は身体をびくつかせてあえぎ声を漏らす。
「んん…っ、んっ、やっ、やだ、そんなところ、舐めちゃ…、あ、ああ…っ」
 その反応が嬉しくて、神父はそこを舌で優しく攻め続けた。ピチャピチャと卑猥な音を立て
ながら舐め続ける。さっき見つけた狭い入口にそっと舌先を差し入れると、王女は、
「や…ッ!」
と、ひときわ鋭い声を上げた。彼の唾液と、蜜壺から湧き出てくる彼女の愛液とが混ざり合って、
そこはもうぐしょぐしょになっている。彼の肉棒も、もう痛いほどに熱くなっていた。
「エレーナ」
 もう、これ以上は堪えようがない。
「いいですか」
「……ええ」
 王女はぼうっとした表情で、コクンと頷く。
 神父は自分の肉棒に手を添えて、彼女の入口にあてがった。陰茎の先が触れた瞬間、彼女は
思わず身を固くした。その緊張を少しでも取り除こうと、彼は彼女の胸にキスをした。
「大丈夫……きっと、大丈夫です。力を、抜いて……」
 王女はギュッと閉じていた目を薄く開くと、また静かに瞼を閉じた。そして、彼女が何度か
大きく呼吸をしてその身体から強張りが取れたとき、神父はその呼吸に合わせて、自分の肉棒を
彼女の中へとゆっくり押し込んだ。

220 :
「あっ――いッ、ああああッ!」
 王女の美しい顔が苦悶に歪む。
「く…っ」
 彼は狭くきつい肉の壁を徐々に押し分けるようにして、漸く、彼女の奥まで陰茎を埋めた。
 彼女の中は、想像よりも遙かに柔らかく、とろけるように熱い。あまりの快感にすぐにでも
出してしまいそうになるのを、彼は必で堪えた。
「エレーナ」
 呼びかけられても王女は声も出せず、目元にうっすら涙を浮かべ、肩で息をしている。
「……大丈夫ですか」
「だい、じょうぶ……。思ったより、痛くない……わ」
 痛くないという表情ではない。心配を掛けまいと我慢しているのだろう。
「すみません」
「いいのよ、リーノ。……少し、痛いけど、それよりもずっと、私、嬉しいんだから」
 そう言って無理に微笑む彼女の、なんと健気で、なんと妖艶なことか。
 胸の奥から愛おしさがこみ上げ、ぞくぞくと興奮が全身を熱く駆け巡る。彼女の中でじっと
していた陰茎の先が、びくびくっと震えた。神父は思わず、喘いだ。
「あ、あ、あっ」
「えっ?」
 次の瞬間、神父はウッと呻いて、静かになった。
 ハァハァと荒い息を吐く彼に、王女は困惑気味に尋ねる。
「ねえ……、もしかして、いま……?」
「す、すみません……」
 王女は返事の代わりに、神父をギュッと抱き寄せた。汗ばんだ肌と肌を胸から腹まで重ね合い、
神父は王女の耳元に顔を埋める。
「……気持ちよかった?」
 からかうような彼女のささやき声に、神父はかあっと顔を赤らめた。羞恥と申し訳なさで、
きまりが悪いことこの上ない。
「ねえ?」
「……はい。とても」
 素直に白状すると、王女は、
「なら、いいわ」
と言って、嬉しそうにふふっと笑った。
「しばらく、このままでいて。あなたを……感じていたいの」
「痛くありませんか」
「大丈夫よ。もう、さっきほどには痛くないみたい」
 神父は王女と繋がったまま、彼女の首筋や鎖骨にキスをしたり、肩や背中、尻や太股を愛撫
したりして、彼女を慈しんだ。王女も彼の後ろに腕を回してその肩や背中を撫で、顎や胸元に
キスを返す。
 そうこうしているうちに、彼女の中に挿れたままのものが、またムクムクと大きくなってきた。
彼女もそれを感じたようで、「あ……」と恥ずかしげに声を漏らした。
 神父は王女に密着させていた上半身を少し起こして、肘で自分の身体を支えた。彼女の唇に
長めのキスをした後、遠慮がちに頼んでみた。
「少し動いてみてもいいですか?」
「え、……ええ」
「痛かったら、やめますから」
 神父はあくまでも王女の身体を気遣いながら、ゆっくりと腰を動かし始めた。
「あ…っ、あっ、……はぁっ、んくっ、ああっ」
 王女の苦しげなあえぎ声に、神父はいったん腰の動きを止めた。それに気づいて、王女は
動きを続けるよう促した。
「大丈夫、平気よ。そのまま、続けて」
「エレーナ」
「本当よ、痛いんじゃなくて……なんか、声が出てしまうの。恥ずかしい」
「恥ずかしいなんて。素敵な声ですよ。もっと、聞きたい」
「やだ、そんなこと言って……、――あっ、……あんっ」
 神父は再び腰を動かし始め、王女はその動きに反応して嬌声を上げた。

221 :
 彼は恍惚の表情で、彼女の狭い肉壁との摩擦から来る、痺れるような快感に没頭していた。
さっき放った精液のために彼女の中はぐちょぐちょになっていて、腰を使うたびにヌチュッ
ヌチュッと淫靡な音がした。中の熱さと滑らかさ、外の肌の温もりと柔らかさ、艶めかしい
あえぎ声、すべてが有機的に混ざり合い、快感となって彼の身体を駆り立てる。
「素敵です……、エレーナ、とても、素敵だ」
「あんっ…、リーノ、リーノ…っ、なんか、変な感じ…っ、ああっ、あぁんっ」
 苦悶が混じっていた彼女の顔からは次第に険しさが取れて、法悦の表情へと変化していく。
彼は腰の動きを次第に速めていった。
「あ、やっ、いやっ」
 王女の眉間に一瞬しわが寄った。
「エレーナ?」
「やっ、違うのっ、やめないで……、あっ、でも…っ、ああっ」
 言われなくても、神父は腰の動きをやめなかった。やめられなかった。
「エレーナ」
 呼びかけた次の瞬間、彼の身体を芯から痺れさせるような快感が駆け巡った。再びの頂点が
やってきたのだ。
「エレーナ、エレーナ……!」
 電光のような快感が身を貫く。神父は愛しいひとを抱きしめ、何度もその名を呼びながら、
再び彼女の中にドクドクと勢いよく精を放った。
 彼女も達したのかどうかはわからなかった。神父が思わずつぶっていた目を開けて見ると、
王女はぐったりと、呆然とした表情で宙を見つめていた。
 彼女に重たくのしかかっていた自分の身体を起こし、繋がっていたものを抜こうとすると、
「ん…っ」と彼女が反応した。すっかりおとなしくなった陰茎を引き抜くと、彼女の陰部から、
わずかに鮮血の混じった精液がドロリと流れ出てきた。
 彼女の純潔と、破瓜の証。
 やがてゆらりと身を起こした彼女も、自分の股間から流れ出ているものを見て、戸惑ったように
顔を赤らめた。
「どうしよう、毛布を汚してしまったわ」
 真っ先に心配するのがそれか、と苦笑しながら、神父は王女のハンカチを取ってきて、それを
彼女の陰部にあてがい、汚れをぬぐってやった。
「すみません。あなたのハンカチなのに、勝手に使いました」
「それはいいの。それに……」
「それに?」
「これだけ汚してしまったら、後はもう一緒ね」
「ええ?」
 問い返した神父に、王女は大胆にも両腕と両脚を絡みつかせて、今度は彼女が彼をなだれ込む
ように押し倒す形になった。
「ちょ、待ってください…っ」
「ダメ?」
「ダメとかじゃなくて……ちょ、ちょっと、休ませてください」
「じゃあ、こうして、添い寝させて」
 王女は甘えたように、神父の胸に頭をもたせかけた。
「本当を言うとね、なんだかちょっと眠いの。男女の営みって、疲れるものなのね」
 無邪気なのか、わざとなのか。神父は苦笑した。
「まったくもう……あなたという人は」
 そう言って、神父は王女の頭を抱き寄せると、傍らにあった毛布を引き寄せた。そして一緒に
それにくるまると、安らいだように微笑んで、瞼を閉じた。

222 :
今回はここまで
週末までに投下に来られなかったら、しばらく間が空いてしまうかもしれません
あらかじめお詫びしておきます

223 :
>>222
乙。てか乙。てかすごい乙。
ご無理のない範囲での次の投下をお待ちしております。

224 :
エロパート来てた!!GJ!!!!
続き楽しみにしてますが無理のない範囲で頑張って下さい

225 :
おお!続ききてた!
初々しい感じが良いですね
次はエンディングなんでしょうか
楽しみにしてます

226 :
投下乙
>「ダメとかじゃなくて……ちょ、ちょっと、休ませてください」
この台詞が妙に萌えたw

227 :

初めて同士はういういしくて良いな

228 :
まんまんちゃん、あん。てレイプ物だったんだな
脇役のイケメン僧侶がヒロインをレイプするという…

229 :
絵柄は可愛い系なのにな

230 :
前にここで見たレスから非エロのコメディかなんかなんだと思い込んでた
ちょっとチェックしてくる

231 :
まんまんちゃんて仏様の事かなんかだったんだっけ
この夫婦作家さんたちってファンから言わせれば読者に嫌がらせのような
痛い欝的な話を書く作家さん達だからなぁ…

232 :
最近いかん
脳内が神父と坊主で占められてる

233 :
俺もだよ

234 :
ホームセンターでバイトしてるけど作務衣みたいなのを来た寺関係の人がちょこちょこ来る
痩せ形の体型と俗世の欲をあんまり感じさせないストイックさがたまらん
創作だと破壊僧が好きなんだけどな
リアルの坊さんは聖職者ならではのわざとらしくない紳士っぷりが凄くいいと思う

235 :
少林寺に性別偽った女が紛れ込んだらとか面白そう
でも丸坊主かw

236 :
なんや、そのイケメン・パラダイスは?w

葬儀でカネ払えず、坊主や葬儀屋にズコバコ好きにされ捲る
若くて美しい未亡人も書いて欲しい

237 :
丸坊主の男性は勿論のこと、
丸坊主の女性にも、えも言われぬ色香がある

238 :
女性の坊主頭っていうと
G.I.ジェーンか少林サッカーの終盤あたりとかかな

239 :
>>236
世の中には葬式に来る客から集める金が存在してだな

240 :
>>237
それを生で1回だけ見たことある 30代半ばの若い女性で興奮しました
>>239
それを上回る代金を請求して、熟れた白いボディも頂いてしまうw

241 :
ぼったくり価格も恐喝による強姦も訴えられっぞwww

242 :
京極の鉄鼠の檻って坊主エロある?

243 :
>>242
ポルノ系のような直接描写じゃなくてそういう事実があった、
という描き方なら「ある」かな
イケメンでストイックな坊主が出てるんでそれ目当てで読んでもいいかも知れん

244 :
そうか
ありがとう
人気ある作品みたいだし読んでみるよ

245 :
ツルッパゲの男かっこいい

246 :
SS投下します。
内容:一休宗純
エロあり・流血を含む暴力描写あり
2012年にアニメ一休さん新作公開のニュースと、笑い飯哲夫の『仏教的に正しい一休さんの歌』に触れて、
自分でも『ぼくのかんがえたさいきょうのいっきゅうさん』的な物を書いてみたくなりました。
主人公の人物像はアニメ一休さんではなく、より史実に近い一休宗純を目指しております。
ただし一休さんへの熱い想いをこじらせたお蔭で、かなりおかしな脚色を施してありますが。
では投下開始。

247 :
時、文明 9 年(西暦 1476 年)
 応仁元年に始まった都の乱により、700 年近くの反映を享受していたキョートの町は壊滅の危機に瀕していた。
 火の手の上がるギオンの街角から、着の身着のまま逃れる遊女。
 町を我が物顔で闊歩するのは、半ダースの人数で徒党を組んだホソカワの足軽たち。
 戦国のウォーロードが纏う派手なチェインメイルではなく、簡素なレザーアーマーに身を包んだ下級の兵である。
 畑仕事上がりの土臭く武骨な肉体に、ほとんど新品のレザーアーマー。
 そんな彼らの目に遊女たちの姿が留まる。
 薄汚れた廃墟の中でも彩を失わぬ彼女らは、足軽たちにとってどれほど魅力的に映っただろうか。
 少なくとも、これまでに足軽たちの相手を無理やり務めさせられた各地の田舎娘には、この遊女たちほどの気品と色気など全く備わっていなかった。
 ホソカワに徴用されなければ、最高の女たちと生涯巡り合うこともなかったのだ。
 歓喜とともに湧きあがる獣欲をなだめるかのように、舌なめずりする足軽。
 当然遊女たちが、彼らの露骨な下心に気付かぬはずがない。
 とはいえ遊女たちは、足軽に抗う腕力も武器も持ち合わせてはいなかった。
 足軽たちは田舎者だ。ポエムも詠めない、リテラシーもなければカルキュレーションもできない、そのうえ悪いことに、相手を務めた女に金を払うという習慣すら持っていない。
 遊女たちから見て、泥に塗れた足軽たちは人間というよりも猿に近い生き物だった。本音を言うと猿だった。
 猿に組み伏せられ凌辱されるなど、キョートの気高き遊女たちにとって堪えられる出来事ではなかった。
――んでもせめてキョート女の矜持だけは守り抜こう。
 遊女たちは悲壮な決意とともに、髪に差していた簪の鋭い先で喉を突こうとした……
 と、その時だった――
 山の手から足取りもかるく、破れた袈裟姿の老人が降り立つ。
 身に纏った衣服こそ僧ではあるが、身嗜みの汚さはとても僧とは思われない。
 髪もひげも伸ばし放題、しかもそれらは真っ白ではないか。
 喩えるとすれば、仮にジーザス・クライストが老齢まで生きたような姿と言うべきか。
 老年のクライストというものが存在したとしたら、このような出で立ちになっていたやもしれぬ。
 しかも腰にぶら下げていたのは、絢爛豪華な朱塗りの鞘。足軽たちよりも汚い身形の老人が持つべきものではない。
 場違いな老人の出現に皆が沈黙した。遊女たちへの下心も忘れて当惑する足軽たち。
 老人は遊女を守るかのように、足軽たちの前に立ちふさがる。
 一人の足軽が、嘲笑とともに老人へと近づいて尋ねた。
「おい、じいさん。あんたの歳で股間の道具が役に立つのかね、そんなふやけたcockで女をfuckできるのかよ?」
「Hahahahaha...」
 耳にするのも憚られる下品な笑い声を上げる足軽たち。だが老人は構わず足軽たちに語りかける。
『なあ。そこの兄さんら、この場は退いとくれやっさ』
 一見もの静かな口調だったが、底知れぬ力を秘めた流暢なキョート弁だった。
 粗野な足軽たちのバカでかい笑い声を掻き分けて、誰の耳にも老人の声が届く。その異様な雰囲気に足軽の笑いが止まる。
 だが遊女たちは安堵したようだった。キョート弁を喋るということは、少なくともこの老人は足軽よりもキョートの風習に通じているということになる。
 少なくとも足軽のように、力づくで自分たちを屈服させるようなことはないだろう。そんな打算が働いたのだろうか。
『そうか』と老人はキョート弁で呟く。
『どいてくれなんだら、しゃあないな』

248 :
 細めた老人の瞳の奥に、狂獣のごとき野蛮で暴力的な光が宿ったかと思った次の瞬間。
 一人の足軽が白目を向き、胸から赤い噴水のごとき血を流して斃れた。
 残った足軽たちの間に動揺が走る。
「おいお前、何がおこったんだ?!」
「俺は知らん! 確かなのは誰かにattackされたことだけだ!」
「だとしたら誰に?」
 まさか――という思いと共に、皆が槍を構えて再び老人へ注目する。
 もはや彼らにとって遊女の存在など、心の片隅にも留まっていなかった。実際に、遊女らもその場に留まってはいなかった。
 焼け残った軒の影に隠れ、固唾をのんで老人と足軽たちのやり取りを見守っている。
 老人はその場を動いてはいなかった。一人の足軽がぬ前と同じ場所に立っていた。
 朱塗りの鞘は既に抜かれており、右手で振り抜いた 3.3 フィートほどの刀身を地面と水平に構えていた。
 刀身の先端から 3 インチ辺りまでが、赤黒い粘液に塗れていた。が、それより足軽たちの心に衝撃を与えたのは……
――木刀<<wooden sword>>?!
 改めて斃れた仲間の胸元を確かめると、左下から右上に向かって斬り付けられた深い創傷があった。
 この足軽はの直前まで、老人と正面から相対峙していた。老人が木刀を振ったと考えれば、傷は推定される剣の軌道とほぼ一致する。
 だが状況がはっきりと示しているにもかかわらず、足軽たちは目前で起きた事実をすぐには信じようとしなかった。
「まさかこのfuckin'ジジイが……?」
「ああ、他に説明のつく方法はない」
「Fuckin' Godにかけて俺は信じねえ! だとしたらこのジジイ、刃もない木刀でleather armor越しに心臓の肉を 1 ポンド抉り取ったってことじゃねえかよ!」
「どうする?」
「信じるかどうかはともかく、ジジイの前で奴がされたのは確かだ! このジジイをす以外のchoiceなんてねえよ!」
 ようやく怪しげな老人をす決意を固めた足軽たち。構えた槍の穂先が、老人の喉元に狙いを定めて一斉に上を向く。
 が、老人の表情には恐怖というものが全く浮かんでいなかった。有り得ない光景に、足軽たちの動作が止まる。
 ミカドのパレスで扇を煽ぐがごとき優雅な動作で、老人は木刀を八双に構え直す。
 老人が小声で発したはずの低い呟きは、足軽たちや物陰に隠れた遊女たちの心にまで一字一句明瞭に刻み込まれた。
『有漏路より 無漏路へ帰る 一休み
       雨降らば降れ 風吹かば吹け……』
 乾いた旋風が老人の足元の土埃を舞い上げたと同時に、老人が鳥のような奇声とともに神速で踏み込んだ。

249 :
 槍の柄を伝って、いやな衝撃が足軽たちの手に走る。
 5本ないし6本は並んでいたはずの槍は、その全てが足軽たちの手元でへし折られていた。
 そしてその出来事を皆が認識した時には既に遅し。
 一人の足軽が、足元から生えてきたかのように老人が出現するのを目撃した。
 老人は微笑んでいた。
 彼の眼前わずか数インチ前で。
 皺だらけの細長い顔に、マイトレーヤを連想させる静かな笑みを湛えていた。
 その足軽が次に感じたのは衝撃だった。
 彼は既に木刀で肋骨と背骨を砕かれ、心臓を潰されていた。
 それは彼の全身を満たす体漿と骨とを伝達し、絶命に至る激しい苦痛よりも早く脳髄を揺さぶった。
 半ダースも人間を集めれば、その中で戦闘のセンスに優れた者が必ず見つかるだろう。
 このパラグラフで紹介する足軽がその一人だった。
 驚嘆すべきことに、彼は槍の鋭利な穂先を失い、仲間の一人が木刀で串刺しにされるのを目の当たりにしながら、それでも決して戦意を喪失してはいなかった。
 それどころか槍を折られた瞬間とっさに身を引き、常人離れした老人の標的から逃れたのである。
 そして老人が仲間を仕留める頃合いを見計らって、鋭利に折れた柄の先端で老人を突きそうと再度踏み込んだのだった。
 老人は木刀を骸から引き抜かねば応戦できなかった。引き抜いて構え直す時間などありはしない。
 しかし実際のところ、老人は構え直すような時間の浪費を行なわなかった。
 なんという驚きだろう、神よ!
 老人は自分よりも一回りも大柄な足軽を貫いたその木刀を、フラミンゴのような細い体格に似合わぬ怪力で素早く振った。
 そうすることで串刺しにした足軽の体を、襲って来たもう一人の足軽に向けて投げ付けたのである。
 戦車砲の速度で投げ付けられた仲間の体を、応戦した足軽は類稀なる反射神経をもって回避した。
 が、そんな彼も見落としていた。
 投げ付けられた体はただの目晦ましであり、本命は体と同じ速度で跳躍した老人の斬撃だったことを。
 体勢を立て直そうとして、足軽は違和感に気付く。
 槍が手元から無くなっていた。彼の両肘から先とともに。体とすれ違ったのとほぼ同時に、斬り落されていたのだった。
「nnNNooooooooooooooooooooo――――――――――――――――っ!!」
 両肘の断面を凝視し、涙を流して絶叫する足軽。
 果たして彼には、失ったはずの両手を空中に見出していたのだろうか。
 そんな彼の背後に老人が音もなく着地し、あのマイトレーヤのような笑顔を浮かべて彼の耳元に囁く。
『色即是空、空即是色』
 老人の発した意味深な言葉は、両手を失った足軽の心に届いたのだろううか。
 それを知る術もないまま、彼は老人の木刀で頭から尻にかけて真っ二つに断ち斬られた。

250 :
 武器を砕かれ為す術もなく仲間をされ、戦意まで叩きのめされた足軽たちは、
 いまや彼らが最初のターゲットにしていた遊女たちよりも無力な存在となり果てていた。
 返り血を浴びながら、莞爾と笑みを浮かべる老人。残された4人の足軽たちは、腰を抜かして尻もちをつき老人を見上げていた。
「助けてくれplease!」
「俺たちのassholeを好きなだけrapeしてくれて構わねえから!」
 恥も外聞もなかった。足軽というのはサムライの役職だが、元々彼らは専業のサムライではなく農民なのだ。
 よりも名誉を重んじる専業のサムライというのは、もっと時代を下らないと現れない。
 それにこの当時のジャパンでは、男同士のホモファックというのは名誉を疵付け恥じ入る行為ではない。
 これより一世紀の後に現れるウォーロードの一人、ノブナガ・オダもホモファックを好んだほどであるのだから。
 レイプされるぐらいで命が助かるなら、いくらでもレイプされてやる。現代では女にしか使えない手だが、この時代では男であっても使えたのだ。
 一か八か、デッド・オア・アライブの賭けだった。が、どうやら目は足軽たちにもあったようだ。
 老人は血まみれの木刀を手に携えたまま、幼子のように無垢な目で百姓を一人ずつ見定める。
 まるめた眼と、顔面の半分以上を染めた血が、どこか赤鬼を思わせた。
 戮の度合いから言えば間違いなくレッド・オーガだが、表情だけを見れば悪戯っぽいレッド・ゴブリンのようでもある。
『働き盛りな土百姓の菊か。そういうたら、八十路にもなってまだ試してへんな』
 興味を示したようだ。足軽たちの間に安堵の空気が流れた。もしかしたら助かるかもしれない。
 あるいはもっと積極的な方法も考えられた。老人が仲間の尻をファックしている間に、隙を突いてすというのも手だった。
 が、ぬか喜びだった。老人が木刀を一振りして、3人の首が刎ねられた。
『百姓いうてもな。それ別にわれらの菊やないとあかん、ゆう話でもないし』
 それにしても、と老人はひとりごちる。
『修行、足らんなぁ。四人いっぺんに首を刎ねる太刀筋がどうしても見えなんだ。しゃあないから三人で我慢したけど。
やっぱり剣ばっかりは我流やとあかんわ。新衛門みたいな、ほんもんの侍に習わんと』
 残された足軽は、絶望のあまり血の気を失った。
――No...He must be crazy !
 この老人は人間じゃない。自分の命など屁よりも軽いと踏んでいるのだ。
 今の首の話だってそうだ。喩えるなら冗談半分に捕まえた1匹のアリの脚を、2本もぎとるか3本もぎとるかで悩んでいるも同然だった。
 こいつは斬りした人間の命に、アリの脚程度の価値しか見出していないのだ。
 まさに人鬼だった。山から降りてきたこんな鬼を相手にしてしまったのが、運の尽きという訳だ。
 逃げようにも足が竦んで動けない。本陣に戻ろうにも戻れない。
 全ての策は尽きた。最後に残った足軽の命運もここまでだった。ゆらりと幽霊のような足取りで、老人が足音も立てずに近づいてくる。
『羨ましわぁ』
 木刀を持った血まみれの老人が、情けない溜息を吐く。
「何が羨ましい、だ!お前は俺をせるが、俺はお前をせない! Goddamm!!俺はもうすぐぬんだよ!」
『そやから羨ましいんやないか』
 足元で困惑する足軽から目を離すと、老人はどこか遠くを眺めて言った。
『わしは七十年も修行積んだけど、ほいでも仏さんの道はまだよう解らん。そやけどわれは全然修行もせんと、今から仏さんになる。
仏さんを目指す修行をしてたはずやのに、わしの七十年って一体何やったんやろうな……』
「知るかよ! だったら今すぐねばいいじゃねえかよ!! なんでこのジジイじゃなくて俺が…… 」
 そこから先は言葉にならなかった。見下ろす老人の目に再び獣の光が宿り、足軽の口の中に木刀が突き入れられたのだ。
 喉の奥を突き破られ延髄を砕かれて、木刀を濡らす血の不味さすら感じずに足軽はんだ。
『今すぐね、とゆわれても無理な話や』
 木刀を引き抜くと、老人は既に骸と化した足軽に向かって説法をするかのように言い放った。
『だってわし、まだにとうないもん』

251 :
 その夜――
 ヤサカシュラインの周囲は、キョートが誕生した平安<<サローム>>時代からの売春街として知られている。
 ただし売春といっても、プリティ・ウーマンでジュリア・ロバーツが演じたような安いフッカーを想像してはいけない。
 歌、踊り、幅広い教養を全て備えた最高の女たちが、この時代のこの国で最も栄えたキョートの街の顔役――
 現代にたとえるならNYのジュリアーニ元市長、あるいはアップルのジョブスや元GEのジャック・ウェルチに相当するクラスの、スーパー・エグゼクティヴな高い男たちの遊び相手を務めるのだ。
 彼女らは誇り気高い。客の格式に拘り、気に入らない相手を客とは認めない。庶民の相手など、大金を積まれようが決して務めることなどない。
 そんな彼女たちにとって、昼間の出来事は悪夢以外の何物でもなかった。山猿も同然な野蛮人にレイプなどされたら、明日からキョート女として生きて行けない。
 彼女たちを救ってくれた老人は、今まさに宴会場でエンジョイしていた。
 ヒョータンと呼ばれるメロン製のサケボトルを何本も空け、肉を貪り食った後のイノシシやキジの骨をそこらじゅうに散らかし、
したたかに酔った勢いもそのままに遊女たちをファックしていたのだ。
「お人が悪う、おすわぁ。まさかあの、一休さん、やったなんて」
 一番年若い――ティーンエイジぐらいの――遊女は、脱がされた煌びやかな衣をシーツ代わりに、仰向けの体勢で老人をヴァギナの中に迎え入れていた。
 彼女の上に乗り、肋の浮き出たフラミンゴの如き痩躯をゆっくりと前後に揺らしながら、老人――その名も一休宗純は応える。
『あのとき名乗ったやないか。有漏路より無漏路へ帰る一休み、ってあれはわしの法名の由来や』
「そうやったん、おすか。うちなんにも、知らなんだわ……ああっ!」
 老人特有の柔らかなペニスに、若い娘は最初物足りなさを感じていた。もっと固い棒<<ハード・スタッフ>>で突いて欲しい、と思っていたぐらいだ。
 セックスをしながらの会話も、余裕で行なっていたはずだった。
 なのに今はどうだろうか。
 ずっと繋がったまま、同じ調子で抽挿を繰り返す一休の動きに、少女は身体の奥を焦がされるような切なさを覚え始めていた。
 こんな客に出会ったのは初めてだ。他の客ならとっくにオーガズムを迎えているはずなのに、老人には一向にそれが訪れる気配がない。
 それどころかこれまで自分ではオーガズムだと信じてきた快楽が、次から次へと尽きぬ波のように押し寄せてくる。
 未知の体験に頬を赤らめ、眉を顰めて首を振る少女。
「一休さん、……一休さぁん!」
 少女は思わず腰を引く。そうすることで、あまりに強すぎる絶頂の波から逃れられる、とでも考えたかのように。
 そんな彼女の腰を掴んだのは、一休ではなく2人の遊女たちだった。キモノの胸元と裾をさりげなく肌蹴させ、一休を誘惑しているのだ。
 ともに今ファックされているティーンエイジャーよりは年嵩である。20 代の前半といったところか。
 遊女たちは含み笑いを浮かべて、年少者の尻を持ち上げ両脚を左右に開いた。一休が少女の一番深い場所に侵入する。
「すんませんなあ、一休さん」
 愛想笑いの中に意味深な瞳の輝きを忍ばせて、遊女がゆっくりと話しかける。
「この娘ついこないだまでオボコやったさかい、ほんもんの極楽を知らんのでおす。一休さんがあの大徳寺の和尚さんやゆうことも知らへん。
一休さん教えたっとくれやす。大徳寺の偉い和尚さんの手で、ほんもんの極楽ゆうもんを」
『応』
 一休は得意げに応じた。
『昼は悪鬼退治して無間地獄を見せてしもたさかいな。極楽浄土も見せたらんと釣り合いとれんやろ』
 うわごとを呟く少女のヴァギナが、流し込まれたスパームを取り込もうとして柔らかなペニスを搾り取るように痙攣するさまを、一休は深い呼吸とともにたっぷりと堪能した。

252 :
 つがったままの少女を労うように、小ぶりながら仰向けになっても形の崩れぬ彼女の乳房を撫でていると、一休の耳元で遊女たちが囁く。
「あらあら、お乳の好きなぼんさんどすな。そやったら、うちのお乳もあげますさかい」
 そっと胸をはだけて、遊女が小娘のそれより一回りは豊かな乳房を一休に向けて突き出す。
 当たり前のように乳をねぶる一休の隣で、もう一人の遊女が身悶えして腰をくねらせた。
「もう、うちのおそそ触らんといて一休さん。あん、お豆はいやや……」
 温かく湿った裾の中をまさぐる一休の指先を、年増の粘っこいラブジュースが濡らす。つがった娘の若く水っぽいものとは違うが、これはこれで趣深い。
 一休はラブジュースにまみれた手を、彼に授乳している遊女の裾に忍びこませる。手についたクリトリスに塗りたくりながら説法を始めた。
『われもわれも、この子もおそそや。女人はみんなおそそで、わしら男はちんぽうや』
「おそそにちんぽうって……」
「いやらしわぁ……」
 二人の遊女はキョート女特有の――全てを理解しておきながら何も知らないふりを装う――処女を繕ったような非難の声を上げた。
「ぼんさんはアソコのこと、魔羅ってゆわはるんと違おすの?」
 かすかに腰を前後させる年増の問いに、一休は両手の指先で二人のクリトリスをまさぐりながら答える。
『魔羅いうのは修行の足らん洟垂れ小僧だけや。修行の妨げになるから魔羅いうらしいけど、そんなに邪魔なら切ったらよろしがな。
でも誰も切り落さん。得度したての小僧も、偉うなった大僧正も。ついてるもんにそんな拘るぐらいやったら、いっそ魔羅とかいうて忌み嫌わずに
ついてるもんをそのまま受け入れたらええんや』
「うん、うん」
 二人とも、そして一休に組み敷かれた若い娘も、一休の一言一言に相槌を打つ。
 しかしそれが一休の説法に理解を示していた為か、小さなオーガズムを小刻みに感じていた為かは、一休の指先とペニスしか知らない。
 さらに一休自身が、説法が通じているかどうかにはあまり興味を示さなかったようだ。指と腰の動きを止めずに一休は続ける。
『だいたいやな。わしがこうして仏道の修行ができたんも、親がまぐおうたお蔭や。仏道に入るまでわしが生き延びたんは、親のお乳を吸うたからや。
人がやることなんて、産まれてからぬまで何も変わらん。世の中は食うてはこ(用便)して寝て起きて、後はぬのを待つばかりなりや。
そしたらわしは、いいや人はなんのために産まれてぬ?』
「そんなん、うち、わからへん。いいから、うちと、まぐおうて……!」
 遊女の返事に満足したのか、我が意を得たりとばかりに一休は叫んだ。
『その通り、まぐわうためや!万葉も古今も、みんなまぐわいの歌ばっかりやないか!なんでや?
人は子や孫を産みだすために、まぐわんとあかんのや!大事なまぐわいに使うさかい、ついてるもんは宝なんや!
そやから珍宝<<ちんぽ>>や! ついてるもんを魔羅とか呼ぶ阿呆は、修行しても仏道どころか冥府魔道に堕ちる!
人だけやない! 猿も犬も狸も狐も、鳥も魚も虫も一緒や!花やってあれ、咲いた後には実を結ぶ!花もまぐわうんや!
餓鬼畜生道に堕ちても、結局今とやることは何も変わらん! わしはまた大悟した!輪廻転生への欲も今捨てた!』
「大悟とか、欲より、はやう果てたい!一休さん、うちに極楽を、極楽見せて……!」
 両腕にしがみ付き、一休の手に絡み付くように腰を前後させる年増の遊女たち。頬を赤く染めているのが化粧越しにも判る。
『応、気ぃ張れや!あるかどうかわからんお釈迦さんの極楽浄土やなくて、今そこにある極楽を味わいつくせい! 』
 4人一緒にオーガズムを迎え、一休は満足げなマイトレイヤーの微笑みを浮かべる。
 女たちが浮かべたのは、ボーディ・サットヴァのような笑顔というべきか。

253 :
「あんた羨ましいわぁ」
 年増の遊女たちが、2度の射精を受け入れたティーンの脇を撫でる。労わるような口調の背後に、明らかな嫉妬と羨望を忍ばせて。
「また一休さんの胤を貰うて。うちら一遍も貰うてないのに」
「やっぱり若い娘ぉの方がええんおすなぁ。一休さんみたいな偉いぼんさんでも」
 身動きの取れないところに性感帯を刺激され、抗議もままならずに痙攣するティーン。彼女を優しく甚振る手を、一休の骨ばった手が押し留めた。
『すまんな。説法に身を入れてたら、つながったまま二度もしてしもうたわ。安心せい。われらも二人とも、ちゃんと胤をくれてやるわ。こんなわしの胤でよかったら』
「何ゆわはんの。一休さんのお胤ゆうたら、帝に連なる有難いお胤やおへんか。世が世なら、一休さんは内裏におわす方おす」
 年増たちの会話を小耳に挟んだのか、小娘が首だけを起こして口を挟む。
「え? そしたらうち、帝に連なるお方をここに二人も授かったん?」
 下腹をさすりながら尋ねる小娘に、年増2人がついに露骨な嫌悪の眼差しを向けた。
「あら嫌やわこの娘。もう一休さんの御子を授かったようにゆうてからに。でもうちらも今から一休さんの御子を授かるさかいな」
『ほらほら二人とも。若い娘いびってる暇あったら、わしのここに喝入れたってくれんか? 今ならわれの好きな胤つきやで』
 年増の遊女にフェラチオをねだる一休の背後で、宴会場のフスマが開き、女の低い声が一休の臓腑を揺さぶった。
「一休さん、こんなところで何を遊んではるの?」
 一休が背筋の寒気とともにゆっくりと振り返ると、そこに一人の女を認めた。
 歳の頃でいえば、もうすぐ三十路を迎えようとするぐらいだろうか。
 髪は長く目鼻立ちのはっきりとした、意志も強そうに唇を固く結んだ美女である。
 華やかで明るいその容貌は、ミス・ユニバースの基準に則れば、間違いなく遊女たちよりも数段優れていただろう。
 もっとも彼女自身は、自らの美貌を気にかけることはない、といわんばかりに目蓋を閉じている。
 そして鏡を用いたところで、彼女には自身の美貌を確かめる術などなかった。
 盲目だったのだ。
 盲目でありながら、彼女は誰の助けも借りずにヤサカの売春宿――それも一休がしけ込んだ宿を探り当て、辿り着いたのである。
 なんと驚くべきことだろう!
「お、おしん!われ何でここが分かったんや?!」
 おしん、と呼ばれた美女――後世にはレディ・シンもしくはシン・ジシャと伝えられ、一休のミストレスだった――は、
ラクシャーサのごとき憤怒に眉を顰め、擦り足ながらも大きな歩幅をとって一休に迫った。

254 :
 一休との直線距離を、おしんは擦り足で無駄なく詰めてゆく。
 足元にトックリや獣の骨、それに脱ぎ散らかされた若い遊女のキモノがあろうと一切気にしない。障害物は蹴り飛ばすのみ。
 袈裟を着こもうとしてよろめいた一休の胸倉を、女のそれとは思われぬ怪力でおしんが掴み上げた。
 一休の細い身体が宙に浮く。持ち上げられた一休は、地に足を着こうとしてスワンのように空中で足を泳がせた。
「われ目ぇが見えんのに、なんでわしのおる所が判るんや!?」
「見えますえ」
 抑揚の少ない、感情を抑えた声でおしんが答える。
 その迫力たるや、フォース・グリップで反乱軍を尋問する暗黒卿ダース=ヴェイダーに勝るとも劣らない。
「うちは盲<<めくら>>やさかい、目ぇは見えません。せやけど、せやからこそ、音も匂いも人よりよう判りおす」
 ぐい、と一休に顔を近づけ、おしんは低めの声で語り聞かせる。
「さんざ飲み倒したお酒の匂い。ぼんさんにあるまじき肉の匂い。ほいから毛穴まで染み付いた女のおそその匂い!」
『く、苦しい。おしん、わしをはよ降ろしてくれんか……』
 弱々しい声で抗議する一休。
 この情けない有様ときたら、6人の足軽を惨し、3人の遊女と同時に交わった豪傑のそれとは到底思われぬ。
『だいたい飲んだのは酒やない、般若湯や。それにわしが食うたのは不老長寿の霊薬や。知ってるか?
天竺より西やと、仏さんの肉を霊薬として煎じて飲んでるんやで。ほな肉かて霊薬いうことになるやろ?
よしんばこれがただの肉やったとしても、わしが手え下して生したわけやない。生戒は犯してへん!
それに生はあかんけど、んでしもうた後の肉食うたらあかんとはお釈迦さんでも言うたらへん!
だいたいお釈迦さんも達磨さんも、男とまぐおうた女のおそそからひり出されたんや! 女のおそそにこそ仏性うぼぁあ?!』
 最後は意味をなす言語にならなかった。おしんの左ナックルが、一休の頬骨を正確に捉えたのだ。
『ひ、痛い! 痛いやないかおしん!』
 白い口鬚を唇からの流血で赤く染めながら、一休はさらにナックルを構えたおしんに助けを乞う。
 ただし毎度のことなのか、おしんは全く応じない。
「子供みたいな言い訳すな! それが都で一番えらいぼんさんの言うことか! 若い子らに示しつきおせんやろ!
大徳寺の小僧相手には、『酒も肉も女も見んと一所懸命修行せい!』って日頃から偉そうに言うてからに!
だいたいなんか面白い説法でもしてくれおすんか?! 来る日も来る日もおんなじ話ばっかりして、若い子らもうんざりしとすえ!
それにちょっと目を離したら洛中で遊び倒して! 庵を離れたらうちの目ぇが届かん、とでも思としたんか?!」
『それや! おしん、なんで盲のわれに、わしの遊んどった店がわかるんや! なんぼなんでも山の庵におったら、酒も肉も女の匂いも判らんやろに』
「それはよぉうわかりおす。そら……」
  おしんはチョーク・スラムの要領で、一休の背をタタミに叩き付けた。一休の痩身が1バウンドしてタタミの上を転がる。
 四つん這いで咳き込む一休をニオウ立ちに見下ろして、おしんは言い放った。

255 :
「真っ暗な洛中を見渡したら、一休さんの周り一間どす黒く焔立っとりおす!!盲なうちの真っ暗な世界に映るのは、一休さんの顔かたちした闇より黒い瘴気どす!
こんな禍々しい邪気の持ち主、いまどき洛中では一休さん以外におへんやろ!!」
『禍々しいとか言うな、おしん! だいたいわしは七十年からも仏さんに通じる厳しい修行して……』
「そんだけ厳しい修行積んで、ほいでこの邪気どすか! いったい何の修行しておしたの一休さん!どうせ酒呑童子とか白面金毛九尾狐になる修行どしたんやろ!」
『わしゃ物の化か!』
「物の化より悪うおす! お釈迦さんから教わったありがたい仏法を、女を誑かすのに使うさかいな!崇徳さんより邪で悪うおすわ!」
 おしんは言うと同時にベア・ナックルを振り下ろす。今度はストレートで一休の鼻骨を砕く。
 鈍い打撃音が、二人きりになった宴会場にこだまする。
『ほやからどこの世界に師を殴る弟子がおるかいな! われ破門するぞ!』
「ほなどうぞ破門しとくれやす。 七十年修行しても、こない生臭な俗物にしかなれへんなら……」
 さらに左ストレートを一休の折れた鼻骨に叩き込んで、おしんは一休を怒鳴り付けた。
「うちは一生未熟者で結構どす!」
 馬乗りの体勢から、何度も何度もナックルを振り下ろす。
『だ、だれか! 誰か助けてくれ! このままやとわし、おしんにされる……!』
 一休は辺りを窺うも、遊女たちは3人とも宴会場から姿を消していた。
 小娘のキモノが残っていたことから察するに、ダウンしていた小娘は裸のまま年増の遊女に担がれていったのだろう。
 遊女たちの冷淡な対応も、しかし当然といえば当然のものだった。
 おしんとは、6人の足軽を惨した一休宗純をこうも簡単に手玉に取るミストレスなのだ。関われば命を亡くすのは目に見えている。
 いくら恩人といえども、ミカドに連なる高貴な血筋であっても、自分の命を賭してまで助ける義務はない。
 それがキョート女という生き物の本性だった。
 一休も大人しく美貌のミストレスだけを相手にしていたのであれば、このような悲劇に遭うこともなかっただろう。時既に遅しだが。
 キョートを包む夜の闇に、不世出のビショップでありソフィストでもある一休宗純の断末魔が響いた。
――と思っていただきたい。
『わし、まだにとうない――――――――――――――――っ!!』
<<終>>

256 :
書き始めた頃は「こんな感じのハリウッド版一休さんが観たい」と思ってました。
そのため皆川亮二っぽいトンデモアメリカンな印象を目指したのですが、結果的に本文がカオスなことにw
以下は半分真面目な妄想。
一休さんレベルの世界に誇れる大哲学者だったら、DNAとかRNAなどの科学用語が誕生するずっと以前に、
「生命は遺伝情報の乗り物であり、生命は遺伝情報の指示に従って生殖行為をおこなう」
という思想に辿り着いててもおかしくなかったかも。
作中の説法にある「あらゆる生き物はまぐわうために生まれてきた」という部分は、この思想を当時の高僧っぽくアレンジしたもの。
ではお目汚し失礼しました。

257 :
ワロタwwwwwww
GJ!
こういうのも悪くないなw

258 :
こいつが書いている携帯版官小説は体験的エロで抜けると思う
http://blogs.yahoo.co.jp/ssn20032008
でもこいつ男かも、それでもよければどうぞ・・

259 :
>>256
何この溢れるセンスwGJ!

260 :
>>256
GGGGGGJっす!
こういうのもっと読みたいね。
ピカレスク僧侶ロマンみたいな。

261 :
投下乙!
異様な情熱に圧倒された
2012年公開の劇場版一休さんも楽しみだな

262 :
携帯用官能小説入口
どう読んでも犯罪告白だ。。
ttp://avectoi3812.sakura.ne.jp/kab/sex/

263 :
携帯用官能小説入口
どう読んでも犯罪告白だ。。
http://avectoi3812.sakura.ne.jp/kab/sex/

264 :
宣伝うぜえ

265 :
古いエロアニメ漁ってて見付けたんだけど
妖囁(ようしょう)っつう10年前の作品が男聖職者モノぽい
宗教集団の教祖が尼僧と乱交したりヒロインを凌辱したり
イケメンだがマザコン臭いキャラだったw
ちなみに声当ててるのは緑川光

266 :
緑川仕事選べw

267 :
ドM坊主のツルツル頭に
後ろから飛び蹴り食らわせ
アヘ顔で「もっと蹴って下さい踏んで下さい」と言わせたい

268 :
坊さんをいじめるな

269 :
住み込みの若い僧侶が、住職の娘にパワハラまがいにいじめられるとか

270 :
もちろん性的にですね

271 :
>住み込みの若い僧侶
役僧ってやつかな

272 :
女のスレにも書いたけど牧師って話題に出ないんだな
やっぱり神父との違いがわからん人がほとんどだからか

273 :
>>272
聖職者好きって多分ストイックさとか聖性がツボなんだと思うけど、
牧師よりも神父の方がそういうイメージ強いからじゃないかな
神父は結婚もできないから禁断の愛とかやりやすい
牧師は牧師で親しみ易さがあって良いと思うけどね

274 :
禿げ頭ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ・・・

275 :
>>267
聖職者って加虐心を刺激されるよね
ボロボロの法衣を着て十字架に磔にされてる光景とか
ムラっとくる

276 :
世の中にはマンション坊主というやつらがいてだな

277 :
頭を舐めたいんだよぉ〜

278 :
ファンタジーの世界に羽ばたけば無限の妄想領域が手に入る〜
これしかないかも

279 :
レロォ

280 :
>>279
これは嘘をついている味だぜッ!

281 :
お堅い男性聖職者が堕ちるのに興奮するとは……
お前ら神聖の……いや真性の変態だな

もっとやれ

282 :
今更ながら「鉄鼠の檻」を読んだ
性描写は無いがこれはかなりエロい
レイプ、ロリコン、ガチホモ、近親相姦……背徳坊主たちの大饗宴
坊さん一人一人の美麗な立ち居振る舞いに萌える
特に狂気の美僧・慈行(じあん)和尚が良かった

283 :
あれ人間関係がドロドロしてて面白いよね

284 :
>>158-163,>>173-176,>>197-201,>>216-221の続きを投下します。
完結、7レス予定。

285 :

 どれほど時間が経っただろう。王女は閉じていた目をゆっくりと開けた。
 すぐ傍に、彼の寝顔がある。自分も少しの間、眠っていたらしい。あたりはまだ真っ暗で、
床に置かれたランプの中の蝋燭がいくらか短くなっていた。
 王女は裸のまま、毛布の中でもぞもぞと動いて、神父の腕にひたと寄り添った。
 下腹部の奥に、じんわりと鈍い違和感を感じる。
 ――夢じゃないんだわ。私、……。
 この違和感こそが、自分たちの犯した罪の証。王女はそれを、改めて思い返す。
 憎むべき未来の夫に対する、せめてもの抵抗と裏切り。
 大事に育てた自分を人身御供にせざるを得なかった両親の立場をを思えば、その両親をも裏切る
行為であることを少しだけ申し訳なく思ったが、罪悪感よりも、運命へのささやかな復讐が成立する
ことの、その満足のほうが勝った。
 と同時に、あまりに自己中心的なその満足感に、後ろめたさも感じた。そしてその後ろめたさに
さえ秘めやかな喜びを感じていることに、我ながら驚いた。
 愛する人に愛されるという、恋をする者にとってはごく自然にして至高の喜び。それに加えて、
神に仕える身の彼が信仰よりも自分を選んでくれたという、背徳的な優越感。その陶酔感は、破瓜の
苦痛をも凌駕した。
 ――嬉しいだなんて、本当は、いけないことよね。
 王女は、神父となった彼と聖堂で再会したあのとき、一分の隙もなく僧服を身にまとったその姿に
胸の高鳴りを覚えたことを、今さらのように反芻していた。
 薄暗い聖堂の中、彩り豊かなステンドグラス越しに差し込む光を背に、黒い僧衣に身を包んで
静かにたたずむリーノ。いいえ、もう「リーノ」じゃなくて「エマヌエーレ神父」になっていた、
彼。
 私に気づいた彼がこちらに振り向くと、僧衣の長い裾がひらりと軽くたなびいて、伸びやかで
落ち着いた声が、静かな聖堂に凛と響きわたって……。
 「お美しくなられた」、その簡潔な一言にどれだけ私の胸がときめいたか、この人は知らない。
 会えばきっとがっかりできるだろうと思っていたのに、とんだ計算違い。あんなに「神父」が
似合っていながら、なのに、そんな、……反則もいいところだわ。
 彼が神父になって残念だと言ったのは本心だが、逆に、いまの彼が神に仕える身だからこそ、
いっそう惹かれたということは、なかったろうか。
 王女はそう気づいて、自分の中にこれほどの魔性が潜んでいたのかと、ゾッとした。
 ――彼が神父だからこそ、なんて……。
 それでも、この政略結婚の話がなかったら、許されぬ恋心はずっと胸の内に秘めたまま、彼と
こんな関係になることもなかったかもしれない。
 終末の日に、神の裁きを受ける覚悟はできている。だが、彼も共犯に巻き込んだことは、やはり
してはならないことだったのではないか。
 そんなことを考えながら、王女は、愛しいひとの顔を見つめていた。
「……どうかしましたか」
 いつの間にか神父も目を覚ましていたようで、彼は目を開いて彼女の顔を見つめ返した。
「起きていたの?」
「ええ」
「ねえ、夜明けまであとどのくらいかしら。暗くて分からないわ」
「そうですね……たぶん、もうすぐ朝課の時刻だと思いますが」
 朝課――それはまだ夜明けも遠いうちから始まる、聖職者の一日で最初の祈り。その時刻が近く
なったので、彼はいつもの習慣で規則正しく目を覚ましたのだろう。王女は改めて、彼が聖職者だ
ということを思い知った。
 途端に切なさに苛まれ、王女は横になったままの神父にひしと抱きついた。彼は戸惑う様子を
見せながらも、そのまま彼女を優しく抱き留める。
「どうしました」
「何でもない……何でもないわ」
 ――お祈りのことなんか、神様のことなんか、いまは思い出さないで。
 王女は神父の顔を両手で引き寄せた。彼女の名を呼ぼうとした彼の声は、覆い被さってきた
彼女の唇によって途中で遮られた。
「エレー…ん…っ、……ん、んん……」
 まるで彼を自分の側に引き留めようとするかのように、熱く、執拗なまでに唇を重ね合わせる。
彼女の情熱的な振る舞いにやや気圧されながらも、神父もまたそれに応えようとつとめた。

286 :
「ん…っ、……んん……、はぁ…、ん、んぅ……」
 唇の合間から漏れる熱い息づかいと、湿った水音。毛布の中で横向きに抱き合い重ね合った肌か
ら、直に温もりと鼓動が伝わってくる。どちらからともなく、互いの肩や腕、胸、背中、そして
腰から尻へとまさぐりあううちに、二人の息づかいはさらに熱を帯びて、肌も火照り始めてきた。
「お願い」
 王女の甘い囁きに、神父は愛撫の手を止めた。
 ぎこちない沈黙。
 彼はその続きを躊躇っているのだ。それに気づいた王女の声が沈む。
「……後悔してる?」
「いいえ――むしろ、後悔していないことに罪悪感を覚えます」
「私もよ」
「でも、その、……痛みとか、もう、大丈夫なのですか」
「そんなこと。平気、気にしないで」
 本当は、まだ身体の芯に鈍い痛みを感じていた。だが、夜明けまでの残りわずかな時間、許される
限り愛し合いたいという欲求の前には、そんな痛みは些細なことだった。
 それでもなお、気まずそうな彼の様子に焦れて、王女はそっと彼の下腹部に手を伸ばした。
おずおずと伸ばした指先が、彼の陰部にそろっと触れる。
 神父は思わず、低いうめき声を漏らした。
 その反応に、恥ずかしさでこわばっていた彼女の手は柔らかさを取り戻し、さらに先へと、指先を
そろりと這わせていった。指先で軽く触れ、なぞり、やがて大胆にも手のひらでそれを包みこみ、
優しく撫で始める。
「エレーナ、そんなこと、を…っ、あなたが……あ、あ…っ」
 ほんの少し前まで男を知らなかった高貴な姫君が、羞恥に顔を赤らめながらも、自分のような男の
性器を弄んでいる。彼女にそんなことをさせていいのかという後ろめたさと、もっとして欲しい、
もっと淫らなことを――という欲望の狭間で揺れながら、神父は快感に身を委ねた。
「気持ちいい? ねえ?」
 はい、と神父はあえぎあえぎ答える。王女は、ふと手を止めた。
「どうしたら、私も気持ちよくなれるのかしら」
 その呟きに、さっきの交合でやはり彼女は快楽に達せなかったのかと、神父は察した。
「すみません、やっぱり、さっきのは……辛かったのではありませんか」
「でも、女の人はみんな、初めての時はそうなのでしょう?」
 王女が訳知り顔で言う。
「ちょっと前に結婚した侍女が言ってたわ。こういうことは、慣れなんですって。初めは痛くても、
 何度かすると、そのうち気持ちよくなれるらしいわ」
「慣れ……って、侍女たちと、そんなお話までなさるんですか」
「あら、嫁ぐ日を間近にした娘は、みんなこういう話を聞かされるのよ?」
 相変わらず妙なところで無邪気な彼女に、神父は思わず苦笑した。告解室で信者から聞かされる
こそこそと卑猥な告白とは違って、健康的にあっけらかんとしているところが、かえって直接的に
本能に誘いかけてくる。
「わかりました。でも、あなたに無理な我慢をさせたくはないのですが」
「我慢なんて。――お願い。あなたが、欲しい」
「私もです。エレーナ、あなたが欲しい」
「抱いて……何度でも、抱いて――…あっ」
 今度は自分の陰部を撫でられて、王女がびくりと反応した。
 神父は、腕を絡めてしがみついてくる王女をそのまま仰向けに寝かせると、彼女の腕を緩やかに
ほどいた。彼女のふっくらと滑らかな乳房のあちこちを唇で啄みながら、自由になる片方の手で、
下の茂みの奥を優しく刺激する。初めてのときよりはいくらか余裕もできて、ゆっくり時間を
掛けて、ちろちろと細かく指を使ってやる。
「あ…っ、…はぁ…っ、ぁんっ、ああっ、…はぁ…はぁ…、やぁんっ…」
 乳房や乳首を吸われるたびに甘い吐息を漏らし、敏感な花芯を小刻みに攻められるたびに、
彼の指の動きに合わせて、艶めかしい声を上げてぎこちなく身悶えする。
 王女のそこは、最初の交わりのときに花芯から零れた二人の体液で既にぬるりとしていたが、
その奥から、また新たな白い蜜がトクトクと溢れ出てきた。彼はそれを指ですくい取ると、王女の
陰部に塗り広げ、さらにそこを弄ぶ。二人の耳を刺激する、ピチャピチャと卑猥な水音。

287 :
 やがて、彼の指が一本、蜜の湧き出る穴から中へと、するりと押し入ってきた。
「あッ…?」
 痛みとも異なる異物感に、王女は思わず腰を引いた。彼の指がぬるりと抜ける。
「痛い?」
「いいえ、……全然」
「――のようですね。すんなり入りましたから」
 彼は再び、指を膣の奥へと差し入れて、ゆっくりと抜き差しを始めた。
「え、……やっ、あっ、やだっ、指で、なんて……そんなぁ…っ、あ、あんっ」
 粘液でぬるぬるの壁の間を泳ぐような指の動きに合わせて、クチュッ、クチュッ、といやらしい
音が立つ。
 中に入れていない指で外の花びらを優しく弄びながら、密壺の浅いところで指を動かす。しばらく
単純な動きを繰り返していたが、彼女の身体が慣れてきたと思われるところで、入れている指を、
膣中の壁を撫でるように動かした。ぬるぬると柔らかい壁の中で、少しばかりの堅さを感じさせる
天井に触れた。襞のように波打つその天井を指の腹でなぞりながら、ゆっくりと指を引き抜いて
そのまま花芯へと撫で上げると、王女が鋭い嬌声を上げた。
「やッ、ああぁ…ッ!」
 その声に、神父は下半身がゾクゾクと奮い立つのを感じた。彼女のあえぎ声に反応して、激しい
熱さが体中を駆け巡る。
 ぽてりと肉厚な彼女の花びらと、ぷっくりと敏感な花心を、彼女の蜜にまみれた指で、ねっとりと
優しく撫で回してやると、王女は蕩けたあえぎ声を発した。
「…はぁ…、んっ、あぁ、あ……ああ…っ、…はぁ、はぁ…、んくぅ…っ」
「気持ちいい、ですか?」
 王女は涙目になりながら、何かを必に堪えるように、無言で頷く。
 と、そのとき、小窓の外から、どこかの修道院で鳴らされている朝課の鐘のかすかな音が、深夜の
ひんやりとした風とともに運ばれてきた。
 神父は一瞬、無意識にそれに耳をそばだてていたのかも知れない。快感のうねりの中にいた
王女は、そのかすかな音に気づくと、神父に抱きついて、自分の足を彼の足に絡ませた。無意識か、
それとも意識的にか、愛液まみれの彼女の陰部が、硬くなった彼の陰茎に押しつけられている。
 王女は顔を真っ赤にしながら彼の肩に顔を埋めて、いやいやをするように小さく首を振った。その
はずみで、触れ合っている陰部がさらにぐいぐいと重なり合う。
「エレーナ?」
 王女は答えず、ただ小さく首を振るばかり。
「心配しないで。夜明けはまだずっと先ですよ」
 そういうことじゃない、そうじゃないの――王女はそう言いたかったが、言えなかった。
 と、自分を抱き留める彼の片方の腕が、自分の背中からおしりまでを撫でるように、するすると
降りてくるのを感じた。
 そして彼の手が、腰骨の辺りを撫でた――と思ったとき、彼が囁いた。
「いいですか」
 コクン、と頷く。
 最初の時と同じように、心を楽に、身体の力を抜く。
 その直後、彼の太くて硬いものが、奥までいっぱいに入ってきた。
「う、ん…っ、んくぅ…っ」
「大丈夫ですか」
 荒い息の合間に、彼の気遣わしげな声が聞こえる。
「大丈夫、平気だわ」
 初めての時のような鋭い痛みは、もう無かった。ただ、身体の芯を押し広げられるような鈍い
感覚と、そこを熱く太いもので塞がれているという奇妙な違和感ばかりで、それがどう快感に繋がる
のかは、よくわからなかった。
 ――満たされている。私、このひとのものに、満たされている。
 それだけは心の底から実感できた。まるで、探し求めていた足りない自分の欠片を、そこに埋めて
もらっているような感覚。
 蕩けるような顔で、あえぎあえぎ、切なそうに自分の名を呼ぶ彼。彼にこんな顔をさせている、
こんな声を出させているのは、紛れもなく、この私。
 自分の中で本能のままに動く彼自身を感じながら、そんなことを考えていると、それだけで
身体の芯が熱くうずく。
 ――お祈りのことも、神様のことも、全部忘れて。私のことだけ考えて……!

288 :
 彼の腰の動きが激しさを増してきた。ぱんっ、ぱんっ、と肌が触れ合う軽い音が響く。
 まるで、泣き声のような声、それに彼の苦しげなあえぎ声が絡み合う。
「あっ、あっ、はぁ…っ、あっ、あんっ、あぁんっ」
「エレーナ、はぁっ、はぁっ、エレーナ…っ」
「ああっ、リーノ、リーノぉ…っ」
 夢中で彼の名を呼ぶうちに、ずっと消えなかった異物感と違和感の向こうから、得体の知れない
ざわめきが押し寄せてくる気がした。それは波打ち際のさざ波にも似て、ゆっくりと押し寄せて
くるかと思うと、間際でサワサワサワッと細かな感覚の襞を立てていった。
「あ、ああッ?」
「エレーナ?」
「あ……リーノっ、わかんないっ、わたし、なんか、……ああああッ」
 身悶えする王女の腰を、神父は両手でしっかりと引き寄せて離さなかった。と、王女の両脚は
ぴくりと跳ね上がり、同時に彼の陰茎をきゅうっと締め付けてゆく。王女はもう無我夢中で、
自分でも訳がわからなかったが、彼の陰茎に強く巻き付くようなこの感覚は、初めての時とは全く
違うものだということは気がついていた。
 私、どうなってしまうのかしら――。自分の身体なのに勝手に反応してしまう、制御がきかない
という不安におののきながらも、ただそのうねりに身を任せるしかなかった。
 神父の方は、ただでさえまだ狭くきつい彼女の膣に締め付けられて、思わず「うあぁッ」と
快感の雄叫びを上げた。それに王女の甲高い嬌声が重なる。
「あ、あ、あああああーッ!」
 いままでになく差し迫った声だった。その身体がぶるぶるぶるっと小刻みに震える。彼の陰茎を
包む肉の壁はなおも中へと吸い込むように締め上げる。
 体中の熱い血潮がそこに集中したように感じた、その次の瞬間、神父は低いうめき声を漏らして、
王女の身体の奥深くに精を注ぎ込み、そのまま果てた。
 まだ荒い息の下、神父は今度は早々に彼女と繋がっている部分を離して、彼女の横に臥した。
王女もはぁ、はぁ、と息を弾ませながら、ぐったりと横たわっている。
 事後の汚れのことなど、もはやどうでもよかった。寝床代わりに敷いた毛布にも、身体に掛けて
いた毛布にも、たっぷりと染みができてしまっている。
 彼女の腰の辺りにできた大きな染みの跡を見て、今さらのように神父は顔を赤らめた。王女も
彼の視線でそれに気づき、恥ずかしそうにサッと目を逸らしたが、やがてチラリと上目遣いで
挑発的な微笑を見せた。
「ここ、こんなに濡れてしまったわね。誰のせいかしら?」
「あなただって、たくさん濡らして――」
「もう、バカ!」
「うわっ」
 馬鹿正直な神父に向かって、王女は手近にあった枕を叩きつけた。
「バカ、ばかばかばかばかっ」
 王女は一気にまくし立てると、一転、ぴたっと神父に抱きついた。
 そして、彼の耳元で、恥ずかしそうに囁く。
「あなたのせいでしょう? だって、……気持ちよかったんだから」
「本当に?」
「ええ、……きっと、そうだと思う。頭が真っ白になって、わけがわからなかったけど、あの感じ、
 嫌じゃないわ」
「そうですか。……なら、良かった」
 二人は照れくさそうに微笑んで、口づけを交わした。そのまま、王女の方から積極的に彼の唇を
求めてくる。
「――だから、ねえ、リーノ?」
「ちょっ、だから…って、あの、ちょっと休ませてくださいと――」
「冗談よ、冗談」
 そう言って、王女は疲れた頭をコトンと床に下ろし、瞼を閉じた。神父も、やれやれと安堵した
様子で体を休め、息をついた。
 窓の外はまだ薄暗い。
 ――もうすぐ、夜明け前の祈りの時間だろうか。
 ふとそんなことを思いだしたが、神父は裸のまま毛布にくるまって、隣の王女に息が掛からない
ように、こっそり大きなあくびをした。
 いつしか、二人は静かな寝息を立て始めていた。

289 :
〈5〉裁きの日まで
 彼が夜明け前の朝課の祈りも讃課の祈りもさぼったのは、聖職の道を選んで以来、初めてだった。
朝の祈りも、とてもする気にはなれない。口をついて出るとすれば、それは神への懺悔の言葉
ではなく、問いかけと恨みの言葉になってしまうだろう。
 神よ、なぜ、彼女は私ごときに許されぬ恋をしたのですか。なぜ、これほどまでの重荷を彼女に
背負わせるのですか――と。
 裸で毛布にくるまり、抱き合いながら、二人は夜明けの訪れを待ち受けた。
 日の光が塔の小部屋に差し込んできても、名残を惜しむように互いに愛撫を続けていたが、部屋が
すっかり明るく照らし出されてしまった頃には、ついに観念せざるを得なかった。
 二人とも、一泊分の食糧しか持ってきていないことを後悔した。まさかこんなことになろうとは
夢にも思っていなかったからだが、最初に逃げ出した王女自身、塔からの夕暮れさえ見届けたら、
嫌でも都へ戻らねばという覚悟があったことを示していた。
 食糧を求めに村へ降りれば、どうしても人目に付いてしまう。森に繋いできた馬の様子も心配だ。
王女を一人で留守番させている間に、万が一にもここが見つかってしまって、彼女が連れ戻されて
しまったら……と想像するだけで神父は胸が張り裂けそうで、傍を離れることもできない。
 王女はそんな彼の胸中を知ってか、悟ったような表情で淡々と言う。
「仕方ないわ、リーノ」
「……」
「遅かれ早かれ、いつかはここも見つかってしまうもの」
 彼女の言うとおりだ。神父は漸く、重い腰を上げて、身支度を始めた。さすがに疲れて、本当なら
もうひと眠りしたいところだが、そうも言っていられない。
 神父の身支度はあっという間に終わったが、王女の身支度は、脱がせるときよりも一苦労だった。
後で他の誰かに「昨夜、王女の身になにかがあった」と気づかれてはならないのだ。とりわけ、
コルセットを締めるのには難儀した。王女は一人で着替えをしたことなどなかったし、神父に
いたっては、コルセットそのものを間近に見たのは昨夜が初めてだったのだから。
 どうにかドレスを着込んだ後、王女は乱れた髪をしきりに気にしていたが、自分ではどうにも
うまく直せないと悟って、
「帽子とヴェールで隠せるから、大丈夫よね」
と独りごちた。神父は彼女の後れ毛がふわふわと波打つように揺れるのを見て、昨夜、自分の
腕の中で乱れあえいだ彼女の様子を思い出し、なにやら急に気恥ずかしくなった。
「……なにをそんなにジロジロ見てるの?」
「いやあ、その髪が、なんだかとても艶っぽいなあと」
 なぜか嬉しそうな彼の声音に、王女は「バカ」と小さく呟いて、頬を赤くした。
 塔の外で、二人は情事の証拠となる物をすべて燃やした。
「これで、私達がここにいたことは、誰にもわからないわね」
 めらめらと毛布を焼き尽くす炎を見つめながら、王女が呟いた。神父も、二人の秘密の証が
ただの灰になるのを、じっと見送った。
「ええ、おそらくは」
 王女が簡単に侵入できるほど管理が杜撰な状態だったのだ。数日や数週間、いや、数ヶ月は、
塔に侵入者があったことなど誰も気づきはしないだろう。もし気づいたとしても、管理責任を
問われることを恐れて何も報告もせず、無くなった物についても、そのままうやむやにして
くれるだろう。
 あとは二人が、この秘密を墓場まで持ってゆくだけだ。
 二人は馬に乗ると、連れだって丘を下り、村はずれの街道まで出た。まだ人家は遠いが、村人の
一日の生活はもう活発に始まっていて、村に近づけばすぐに誰かに見つかるだろう。村人に王女だと
気づかれて騒ぎになる前に、速やかにしかるべき役所に出頭した方が良いだろう。
 重い足取りで街道を進む。村を目前にして、神父は急に馬の歩みを止めた。
「どうしよう」
「え?」
「今すぐ、このまま、あなたを連れて逃げてしまいたい」
「そんなことをしても、すぐに捕まって、あなたは反逆罪で縛り首よ」
「わかっています。でも私は、そうだとしても――」
「ありがとう。その気持ちだけで、私は一生幸せでいられるわ」
「エレーナ、――」
「あなたが心配だわ。私のために、無茶をしてしまいそう。これって、自惚れかしら?」
 そう言って、王女は神父に微笑みを向けた。

290 :
「私達を裁けるのは、神様だけよ。つまらない俗世の裁きを受けるなんて、馬鹿馬鹿しいとは
 思わない?」
 俗世の罪に問われるような抵抗はあきらめてほしい、という意味だ。その言葉には、達観した
落ち着きと高貴な威厳があった。
 そこまで言われては、もう、何も言えなかった。王女は覚悟を決めている。彼女は、これから
辛い運命を受け入れなければならない。なのにそれをうじうじと、自分ばかりが未練を残すわけには
いかない。
 こみ上げる思いを必に堪えて、神父は王女とともに、再び馬の歩みを進めた。
 その日、その村の役場はちょっとした騒ぎになった。元々、夏の離宮の麓の村で王族の出現には
慣れていたとはいえ、国中の話題である王女その人が突然現れたのだ。
 遠駆けに出ていたら供の者とはぐれて道に迷い、たまたま見つけた無人の小屋で夜明かししていた
ところ、探しに来た神父に朝方に保護された――という王女の話を、誰も深くは追求しなかった。
村の出身である神父は何ら怪しまれることもなく、むしろ、よくぞ王女をお守りくださったと感謝された。
 事情聴取もそこそこに、王女のために馬車が用意された。急なことで、貴人のための馬車では
なかったが、これならかえって、道中、王女が人々の好奇の目に晒される心配はない。神父はせめて
都まではと、王女の馬を引きがてら、馬でその馬車に付き添っていった。
 都の市街地と外を隔てる城壁のところまで来ると、既に知らせを受けた王宮からの迎えの馬車が
待ち受けていた。馬車には王家の紋章が厳めしく輝き、両側には屈強な護衛も付いている。
 王女は、自分専用の豪華な護送車に乗り換えるべく、村からの質素な馬車から降りた。神父も馬を
下りて、彼女に声を掛けた。
「これでもう、お目に掛かることはないのですね」
「いつか、神様の前で会えるわ」
「……そうですね。最後の裁きの時に、再び」
「そのときは、あなたは悪くないって、私が神様に弁明するわ。祖国に殉じた王女の頼みくらい、
 神様も少しは聞き届けてくださっても良いとは思わない?」
 いつものように、無邪気で悪戯っぽい、その笑顔。――それももう、見ることは叶わなくなる。
 神父は腰帯に留めているロザリオを外すと、それを王女の手に握らせた。
「どうか、強いお心で……。あなたに、神のご加護がありますように」
「あなたにも」
 小さな手の内にロザリオを握りしめてそう言う王女に、神父は寂しげに微笑した。
「私はもう、神のご加護を得られるような立場ではありませんよ」
「それを言うなら、私のほうがよほど罪深いわ」
 人の目があるので、小声でもそれ以上は話せなかった。
 王女は自分を待つ馬車に向けてわずかに歩みを進め、そして神父を振り返った。
「ここでお別れです、神父様。道中お守りくださり、感謝します」
 王女は周囲にも聞こえるような声でそう言うと、優雅な仕草で片手を神父に差し出した。
神父は軽く頭を垂れて恭しく押し頂き、差し出されたその手の甲に、儀礼的な口づけをした。
これが正真正銘、彼女に触れられる最後の瞬間になるだろう。
 王女が祖国を離れて隣国へ嫁ぐ日は、もう目の前だ。
 出迎えの侍従と侍女に付き添われ、王女は馬車に乗り込んだ。閉められたドアの窓越しに、
王女はこちらを見ていたが、御者が鞭を振るって馬車が発進すると、あっというまにその姿も
見えなくなった。
 城壁の門を抜けて、都の中心部へと、王女を乗せた馬車が消えてゆく。それが見えなくなって
からも、神父は長いこと、じっとその後を見送っていた。
 やがて彼はトボトボと馬を進め、司祭館に戻った。
 家政婦は神父の無事の帰還を喜び、王女の安否を尋ねつつ彼の労をねぎらったが、神父は終始、
上の空だった。そして彼はそのまま、まっすぐに聖堂へと向かった。
 聖堂の片隅にあるその小さな礼拝堂には、殉教に身を捧げた有名な聖女の像があった。静謐な
ほの暗さの中、窓のステンドグラス越しの昼の光が、聖女の像をまぶしく浮かび上がらせる。
 ――讃えよ、讃えよ。信仰に殉じたる祝福されし乙女は、讃えられてあれ。
 突如として、聖女を讃える詞が神父の頭の中に響きわたる。
「……神よ」
 彼の口から、やっと神への言葉がこぼれた。
「神よ……、我らを、憐れみ給え」
 神父はそこで初めて一筋の涙を流した。そしてその場に頽れ、慟哭した。

291 :
〈6〉エピローグ――あるいは、とある歴史家の覚え書き
 かくして二国間の和睦は相成った。エレーナ王女は「悲劇の王女」「救国の王女」として、祖国の
民の記憶に深くその名を刻むことになった。
 条約で交わされた約束の通りに隣国へ嫁いだエレーナ王女は、その美貌と知性で隣国の民をも
魅了した。彼女にとって幸いだったことは、夫となる王もまた、彼女に魅了されたことだろうか。
王は若く美しい「戦利品」に満足し、彼女を粗末に扱うことはなかった。エレーナ妃の夫への態度は
終始冷淡であったというが、妻としての義務は果たし、嫁いだ翌年には世継ぎの王子を産んだ。
 よく知られているように、王子に対するエレーナ妃の溺愛ぶりは甚だしかったという。意に染まぬ
結婚の代わりに、彼女は己の愛情のすべてを我が子に注ぎ込んだのであろう。
 だがその偏愛は、後に王国の崩壊へとつながる権力闘争の火種となる。彼女が「傾国の王妃」とも
呼ばれる所以である。見方を変えれば、エレーナ妃は夫に蹂躙された祖国に代わって、夫とその
一族への復讐を果たしたとも言えよう。
 後年、エレーナ妃は信仰の道に入った。自らが招いた宮廷闘争を嫌ってのことと言われている。
 彼女は教会に莫大な寄進をして修道院を建て、晩年をその修道院で過ごした。その修道院には、
エレーナ妃が最期まで身につけていたというロザリオが伝えられている。このロザリオは、彼女が
嫁ぐ際に持参したものというが、それ以上の由来は分かっていない。おそらく、彼女の幸福を願う
親族などから贈られたものであろう。
 エレーナ妃の友人であったエマヌエーレ神父の後半生については、定かではない。
 都を離れたことは確かなようだが、その行く末には諸説ある。遙か遠くの聖地まで巡礼に赴き、
その旅の途中で客したとも、海の向こうの未開の地に派遣されて宣教活動に身を捧げ、その地で
天寿を全うしたとも、あるいは聖職を捨てて名前も変えて、ただの一市民としてひっそりと生涯を
終えたともいう。
 都の聖堂には、エマヌエーレ神父の作と伝えられる、殉教の聖女を讃える詩が残されているが、
その詩に謳われた聖女はエレーナ王女を擬えたものだとも言われている。
 それ以上のことは、資料に乏しく、判然としない。――

−終−

292 :
「王女の十字架」は以上です。
諸事情でしばらく投下に来られず、失礼しました。
やっと投下できてホッとしています。それでは。

293 :
GJ!!
とても良かった。
それから、完結、乙!

294 :
GJ!!
切ないけど、それがイイ!!

295 :
GJ!なんかキュンとしたw

296 :
>>292
投下お疲れさま
楽しく読ませて貰った
また書いてくれると嬉しい
GJ

297 :
GJ!
切ないけど良かった

298 :
GJGJ!!
聖職者も主従も好きな自分にはかなりツボシチュでした!
王妃が産んだ子って神父の子だったのかしら…?

299 :
GJ
幻想的な雰囲気の悲恋で、とても好みだった

300 :
GJ!
萌えまくった
神父も姫もそそるね
悲恋なのは悲しいけど仕方ない
いつかまた投下して欲しい

301 :
さて、お坊さんが走り回るという師走になりましたが
年末年始はクリスマス、除夜の鐘、初詣と
神父・牧師、仏僧、神職と男性聖職者月間です
つくづく宗教観がおおらかな日本人で良かったと思うのであります

302 :
>>212のエロゲ買っちまった

303 :
■山寺の夜■
昔々あるお山に、小さな妖狐が一ぴき棲みついていました。
彼女――キツネ娘はひょんな縁から禅寺のお坊さまと知り合い、交流を持つようになります。
時が巡り、いつしかキツネ娘はお寺を守り、お山一帯をも守護するようになっていました。
キツネ娘は肉食系・武闘派のあやかしです。
魑魅魍魎や悪党……外敵がお山に侵入したと知ると、真っ先に駆けつけ、片っ端からやっつけて回るのです。
餌場を荒らされたくなかった為の行動ですが、同時に
修行中の雲水たちの安全を確保する結果ともなりました。
肌寒い早朝のこと。
腹ぺこのキツネ娘は薄闇に紛れ、するりと僧堂に入り込みました。
腕には山菜・キノコ・木の実など、自分の縄張りで調達した山の幸をどっさり抱えています。
人間に対して親愛の情を示す為のお土産です。
いつも通り、最初は典座に向かいます。
「あぶらげ、もーらいっ」
キツネ娘用にと特別に設えられた祭壇にお膳が上げられており、油揚げと何品かのおかずが供えてあります。
キツネ娘がいつ訪ねて来ても良いようにしてあるのです。
その辺へ適当にお土産を置くと、キツネ娘はさっそくご馳走を摘みます。
お坊さまのこしらえる油揚げは天下一品です。
十分お腹が膨れると、キツネ娘は境内の散策に繰り出しました。
戸外に出た矢先、お寺をねぐらにしている野良猫がとてとてと近寄って来ました。
「にゃん」
「ア、かわいい奴がおる。猫ちゃんこっち来な」
ヒョイと猫を抱き上げるキツネ娘。
その時、ふいにお堂の方から男たちの野太い合唱――朝のお勤めが聞こえて来ました。
「おはげちゃんたち、今日も変なうた歌ってるね。ぷぷぷ」
尖耳をぴくぴくさせて音を拾い、愛撫しながら猫に話し掛けます。
読経の真似をして小鳥がさえずるようにお経を口ずさみながら、
キツネ娘は懐から干した魚を取り出し、野良猫に与えてやりました。
元々はお坊さまへの贈り物として山川で仕留めた獲物ですが、
獣や魚は生臭物だからと、受け取ってくれません。
人外同士通じるものがあり、しばらく猫と戯れます。
その後は境内に敷かれた玉砂利の上をコロコロ転がったり、
舞い散る赤い木の葉に合わせて踊ったり、冬眠中のカエルを土から掘り返し、
寝惚けた顔をつついて起こす意地悪……などして遊んでいました。
お寺の若僧たちが境内の清掃を始めていましたが、住職によく言い含められているのか、
キツネ娘を見咎める者は誰もいません。
キツネ娘は、背筋の伸びた剃髪の男たちを物色しました。
しかし、お坊さまより美味しそうな男は見当たりません。
“お坊ちゃん”のことを考えると、唾液が活発に分泌し、胸がきしみ、腰が疼くのです。
独り遊びにも飽き、キツネ娘は住職の居室に赴きました。
月日が流れ、かつて典座寮で修業を積んでいた若いお坊さまは、お寺の主僧になっていました。
縁側に座って足をプラプラさせながら待っていると、金ぴかの袈裟を纏ったお坊さまが戻って来ました。

304 :
「おや、来ていたのか。……また怪我を作って」
開口一番哀しげに言うと、お坊さまは棚から薬箱を取り出しました。
山を侵す悪者との戦いで傷つき、キツネ娘は全身に細かい怪我を負っていたのです。
時に、血塗れになって訪れることもありました。
怪我の理由を尋ねられた時、何となく話したくなくて黙っていると、
それからお坊さまは何も聞かず、手当てだけするようになりました。
処置が終わると直ぐ、キツネ娘はそこが自分の定位置であるかのように、
お坊さまの膝上にシュタッと飛び乗ります。
くるりと体を丸め、もこもこの毛玉になって膨らみます。
お坊さまの衣には伽羅や白檀の甘い香りが染みついていました。
鼻を鳴らしてそれを胸いっぱいに吸い込むと、キツネ娘は安らかな気分になりました。
お坊さまの広い掌が、なつく毛玉を優しげに撫でました。
一緒に日向ぼっこをしたり仲良く手を繋いで庭園を散歩したりした後、
例によって精気を分けて貰い、キツネ娘はお山に帰りました。

――しん……と静まり返った深夜のお寺。
キツネ娘は気配をし、月明りを頼りとして再び方丈に忍び込みました。
罰当たりにも、お坊さまに性的悪戯を働きに来たのです。
お坊さまはまるで父や兄のように接するだけで、一向に手を出して来ません。
彼が望めば、どんな艶やかな美女にでも化けられるのに。
それがキツネ娘にとって不満でした。
まず、目を覚まさぬようお坊さまの体にまじないを掛けます。
魔羅遊びがバレると後でこっぴどく叱られてしまうからです。
正座させられ、足の感覚が失せるまでお説教を聞く羽目になるのです。
暖かな布団にもぞもぞ潜り込み、逞しい足の間に割って入ります。
「キノコとおいなり発見イェイ☆ でっけぇ」
目当てのモッコリを探し出し、思わず舌舐めずりするキツネ娘。
根元を指で固定し、ふぐりを転がしつつ、ゆっくり頭を上下させ吸茎を始めます。
続けていると、やがて力強く肉茸が脈動しました。
子種の糸を引かせながら、満足げに口を離します。
「ん、んぅ……」
魔羅遊びの余韻に浸り、お坊さまにくっついて微睡んでいると、お坊さまが低く唸りました。
まじないが解けかけている証拠です。
キツネ娘は、鬼歯を剥き出しにして大あくびし、両手で重い瞼を擦りました。
空にはもう、清涼な朝の気配が近づいて来ています。
キツネ娘は密かな逢瀬を終わらせ、名残惜しげにその場を後にしました。
程なくして、山寺に払暁が射しました。
おすまい。
(-ノ-)/Ωチーン……合掌( ̄人 ̄)ナムナム

305 :
■結魂■
今夜一つの命の灯が、儚く消えようとしていました。
その日、方丈は朝から人の出入りが忙しなく、妙にばたばたとしていました。
異変に気づき様子を窺っていたキツネ娘は、来客の途切れを見計らって、そっと庵に忍び込みます。
双眸に涙をいっぱい溜め、今際の際にあるお坊さまに問い掛けました。
「お坊ちゃんぬの? ……うちのせい?」
力なく横たわるお坊さまが「違うよ」と嗄れた声で返しました。
しかしお坊さまの衰弱は、キツネ娘と全くの無関係とは言えませんでした。
何十年にも渡って大切な精気を細かく削り、彼女に与え続けて来たのですから。
それでもお坊さまの表情は穏やかでした。
すでに己のを受け入れ、ちっとも恐れていないのです。
床に仰臥するお坊さまの皺首にしがみつき、愛しげに頬ずりするキツネ娘。
彼女にとって彼は、年老いても、未だ輝きを失わない魅力的な男です。
……熱い涙の雫が、年輪を刻んだ頬に一筋伝います。
優しい人間と触れ合うことで、キツネ娘は他者をいとおしむ心を知ってしまったのです。
お坊さまの存在は、孤独なあやかしにとって生きる糧だったのです。
「人間て、すぐんじゃうんだね」
たったの八十年ぽっちで。
キツネ娘の容姿は、出会った頃の童女のまま一切変化していません。
お坊さまの上に流れている時間と、キツネ娘の上に流れている時間は違うのです。
お坊さまの心残りは、ただ一つだけです。
それは、眼前にいる幼い妖怪の今後のこと。
また人間を虐めたり、弄んだり、悪さをし始めないか心配なのです。
「ねえ……お坊ちゃんの魂、うちがぜんぶ食べてもいい?」
キツネ娘がぽつりと呟きます。
「行けるはずだった場所には行けなくなっちゃうけど……そうすれば、ずっと一緒にいられる」
人ならざる者からの恐ろしい提案でした。
――どこにも行かないで。うちを独りぼっちにしないで。
赤く腫れたつぶらな両の瞳は、そう訴えていました。
「いいよ。食べなさい」
魔性の者に魅入られ、魂を捧げるのは僧侶失格かも知れません。
厳しい修行を耐え目指していた場所にも、昇れなくなってしまいます。
にも拘わらず、お坊さまは弱々しく微笑んで聞き入れました。
彼が心変わりせぬ内にと、キツネ娘は唇に噛みつきました。
いつもの啄ばむような接吻とは違う、最奥まで貪ろうとする口づけです。
深く舌を突き入れ、肉身の底に溜まった澱まで掬うように。
必に引き上げ、吸収します。
魂魄を“向こう側”に持ってゆかれたお坊さまは、静かな眠りにつきました。
「ぁう……コーン、コンコン……」
キツネ娘から、悲しみに満ちた嗚咽が漏れ出します。
冷たい空っぽの亡骸に、キツネ娘はしばらく豊頬を擦りつけていました。

306 :
――次に目を覚ますと、彼は心地よい香気に包まれていました。
女のたおやかな白い手が、柔らかく坊主頭を撫でています。
お坊さまは、知らない誰かに膝枕をされていました。
驚いて見上げると、頭上には菩薩の笑みが咲いていました。
「いらっしゃい、会いたかったわ。私のかわいい人」
お坊さまに膝を貸していたのは、一人の妖婦でした。
焦げ色の狐耳とたっぷりした尻尾を持ち、瀟洒な着物に身を包んでいます。
……周囲は、漆黒の闇に塗り込められていました。
ただ天女のごとき女が佇んでいるのみ。
一目見て、お坊さまは悟ります。
彼女こそキツネ娘の本来の有り様なのだと。
ここはキツネ娘の“中”の世界。
お坊さまは異形に取り込まれてしまったのです。
自分の形貌を確かめると、お坊さまは若々しい青年の肉体になっていました。
まるでキツネ娘と出会った頃のような。
「約束通り、二人の子供を作りましょう」
囁くと、妖婦――キツネ娘は股ぐらをまさぐり、魔羅を取り出して扱き始めました。
今までキツネ娘の誘いにけっして応じず、お坊さまはただの一度も女人と交わりませんでした。
戒律を守り、甘美な女体の味も知らず……生涯純潔を貫いたのです。
それはキツネ娘を焦れさせました。
お坊さまを想い、時には手淫に耽ることもありました。
ずっと、お坊さまの赤ん坊が欲しかったのです。
出来ることなら番いになりたかったのです。
湧き上がる劣情と蠢く細い手を制止し、お坊さまは大らかに笑い掛けました。
「……台所はどこかな? 何でも好きな物を作ってあげよう」
その言葉を聞いた途端。
キツネ娘の身の丈がしゅるしゅると縮み、こじんまりとした童女に戻りました。
同時に辺りの闇がさっと晴れ、替わりに鮮やかな一面の花畑が現れます。
元気に飛び跳ね、勢いよく抱きつくキツネ娘。
「お坊ちゃぁん!」
お坊さまは彼女を軽々と抱き上げ、肩車をしてやりました。
「だいどこは、あっち! 熱々のおいなりがいいっ」
花園の果てを指差し、キツネ娘は台所へと案内します。
「はげはげ☆」
肩に跨ってつるつる頭を撫でながら、キャッキャと大喜びです。
「大成功! 大成功! お坊ちゃんはうちのモンだい! やったね☆」
そう、二人は結魂しました。
キツネ娘の長年の夢が、みごと成就したのです。
これからも、永遠に共に生きてゆけるのです。
めでたし、めでたし。
(-ノ-)/Ωチーン……合掌( ̄人 ̄)ナムナム

307 :
GJ!萌えをありがとう
可愛いエロだった

308 :
キツネ娘可愛かったー!
おあずけばっかりで可哀想にも思ったけど(笑)、二人には時間がたっぷりあるしね!
GJ、GJ!!

309 :
実はキツネ娘の続き密かに待ってた
GJ
結魂って造語のセンスに憧れと嫉妬
これほどのクォリティで保守小ネタとか言われたら、謙遜通り越してちょっと怒るよ?
入定する直前の坊さまは是非ファントム・メナスのクワイ=ガン・ジンで

310 :
ああよかった
ちょっと泣けた
GJ!

311 :
寺の娘と牧師の跡取り息子が恋愛する「寺ガール」という少女漫画が気になっているんだけど、読んだ人いる?

312 :
>>306
遅まきながら、GJ!
翻弄されつつも最後まで墜ちない坊さんてのもいいね〜
色気より食い気になっちゃうキツネ娘もかわいいのう
しかし「結魂」の語を見てガラスの仮面と北斗の拳を思い出した自分てばorz
>>311
森ガール山ガールが森好き山好きの女の子だから
寺ガールも寺好きの女の子かと思ったら、寺の娘なのかー

313 :
寺ガールググってみたが、水沢めぐみの漫画なんだな
子供の頃、この作家の「トウ・シューズ」とか好きで読んでたわ

314 :
男聖職者の何がいいって
お澄まししてる所がいい
本当はエロい癖に

315 :
>本当はエロい癖に
なんかわろたw
その通りだな

316 :
今年の漢字「絆」に決まったね
清水寺の森清範貫主がちょっと萌えた
達筆だし筆さばきがかっけえ
しかも美声

317 :
保管庫更新乙です

318 :
保管庫どこ?

319 :
>>318
>>7の「オリジナル、シチュエーション系の部屋」14号室

320 :

279 :北谷の拳:2011/12/24(土) 07:22:21.88 ID:aUDog+qL
クリスマス、誕生日、正月etc....
1年のうちの一日、通過点に過ぎない。
もし貴重な休みだとしたら、自分の趣味にあてることは有意義な時間であろう。
(だからスロ板にいる「パチスロが趣味(笑)」の人がスロットをして過ごすのは有意義な過ごし方であると言える)
スロットで生活している方が「この日は稼げる」と踏んだなら、稼働するのはありだろう。
(「クリスマスにパチンコ屋に行くのはちょっと・・・」と懸念するライバルが減ることで)いつも以上に稼げると判断するならば行けばいい。むしろそれで生活しているならば行くべきだ。
なぜなら生活の糧、つまりそいつの仕事であるからだ。
※パチスロで生活していることに対して「ワロスww」とツッコミしようと思った馬鹿は論点ずれ乙w(冒頭の問題提起を読もうな。そもそもそんなツッコミしちゃうような文章理解力のない低学歴がしている仕事ってry)
「仕事」としている人が稼働を休むということに関して異を唱える者は、デパート店員、神主など否定するのであろうか?

今やれることは全力で今やれと。
例え遊びであってもだ。
2011年12月24日 メリークリトリス by スロッタ−ニ−
http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/slotj/1321424162/279

321 :
そういえばドラクエ4の小説に、クリフト(若い神官)がアリーナ(お転婆姫様)をレイプしかけた描写があったな。
未遂だし、姫の身を案じた上での迷走なんだが、あれは子供心にドキドキした。

322 :
ブライにぬっころされるぞw
あ、姫にすばやく身をかわされるとか

323 :
>>321
一応エニックスから出た小説なんだよなw
ファンの間でも物議をかもしてるが
>>322
うろ覚えだがアリーナに蹴られて未遂だったと思う

324 :
>>323
いや、たしかブライに背後から頭どつかれて未遂w
>>322の読み通り
窓から脱け出そうとして?蹴飛ばしてるイラストはあったけど

325 :
保守

326 :
宙ぶらりん坊さん
ttp://www.youtube.com/watch?v=QZTWgvuMgFs&feature=youtu.be

327 :
>>326
これって失敗なのか、儀礼的にこうやるものなのか判断できない
どちらにしても、その後のナレーションが淡々としてていい
昨日BSで少林寺特集やっててさ、質素なブカブカの服なんだけど動きが綺麗で鍛えた体のラインがほんのり分かるところが良かった
日本の僧とは違って妻帯許されないしな

328 :
衣から身体の線が見えると萌える

329 :
聖職者のほとんど肌を出さない制服から、ちらりと見える肌に萌える
袖と手袋の間とか、うなじとか

330 :
重要なのは聖職者の尻

331 :
ぷりぷりω

332 :
それはキンタマ

333 :
羅切

334 :
将来僧になって結婚して欲しい
毎晩寝具で遊戯するだけ

林檎さんわかってらっしゃる

335 :
エロいな

336 :
英語版もエロい↓
その袈裟を脱がしてもいい?悟りがひらけるから
私専任の僧侶と気持ち好くなっちゃいたいのに
無我の境地で煩悩に溺れてむしろ涅槃を識るさ

337 :
BS3chで、けんふぉれっとの大聖堂が明日の夜から始まり連夜放送っす

338 :
分かりました

339 :
FEってゲームをしてから修道士物の妄想が止まらない
文章にできなくてもどかしけど

340 :
聖職者のありがたい陰毛

341 :
それを読んで、こんなの浮かんで来たw
サイババの白い粉の正体は、精液が乾燥した粉末

342 :
hage

343 :
>>341
あれってビブーティって言うんだよ
知らんけど

344 :
保守がてら、ふと思ったんだけど
日本でも西洋でも、王家や貴族の子弟で次男三男は聖職者になったりするじゃない
なのにその後、長男筋が途絶えちゃって、お家存続のために無理矢理還俗させられて
結婚して跡継ぎ作るのが義務っていうの、あるよね
ああいうのもこのスレの対象になるかな
最初が嫌々の出家なら還俗結婚やっほーいwなんだろうけど
元から信心深くて還俗が不本意だとしたら、結婚とか子作りとか
どんな心境なんだろうって妄想してしまう

345 :
表向きは、お家の後継ぎ作りか、仕方が無いのう
とか言って置きながら
女抱いたらエロにどっぷりハマル感じが見たい、とコッソリ言って見る

346 :
王子で聖職者とか、なんて素敵

347 :
>>344
それ読んでみたい
このスレに合わせるなら、家に逆らって還俗しようとしないけど
無理やり連れ帰られて、資格をなくしてしまえば良いと女を送り込まれ、
いろいろあって実はその女が家の決めた婚約者とか、んだ跡継ぎの兄の婚約者だったとかw
自分の意思で還俗して家に戻ったけど気持ちは僧侶のままだと
覚悟が決まらずに嫁いできた花嫁を拒んじゃうってのも面白いかもしれない
で悩んだ花嫁との攻防戦とか

348 :
史実で、明らかに嫌々の還俗&子作りだったんだろうなーって王様がいるんだよね
アラゴン王国のラミロ2世(在位1134-1137)って王様なんだけど
「僧王」と呼ばれるほど徹底して俗世が嫌いだった王様
元々俗世が嫌で出家していたんだけど、兄王が亡くなったので仕方なく還俗、結婚
結婚相手の王女は既に3度の出産経験のある未亡人(=出産可能の証明済み)
すぐに一人娘が生まれるんだけど、このラミロ2世、まだ2歳の娘に王位を譲って
同盟国の領主(当時24歳)を娘(まだ2歳)と婚約させて、後見人という名の共同君主に指名して統治を任せ、
自分はさっさと修道院へ帰還して再び出家、ぬまで修道生活に従事
ちなみに幼い娘の身に万が一のことがあって血統が絶えても、
そのときは再還俗などはせず、娘の婚約者に王位を継がせるという契約だったとか
王の再出家後、王妃はどうやら実家へ帰ったらしい
どんだけ俗世が嫌だったんだよ王様w

349 :
ほんとにいたのかそんな人w

350 :
イベリア半島の昔の王族は良くも悪くも極端な人が多くて面白い。
信仰上の理由があったとはいえかなりの近親交配が原因らしいけど。
(周りをぐるりと敵や異教徒に囲まれたカトリック教徒だった)

351 :
ちょっと違うけど百年戦争のもとにもなったアリエノール・ダキテーヌは
最初の夫のフランス王が修道院育ちで、「王と結婚したと思ったら、僧侶だった」
と言って離婚してイギリス王と結婚した(というか彼女と結婚したから
イギリスの王になれたかな)

352 :
>ダキテーヌ
抱キテーけど、辞めリーヌ と脳内が反応した

353 :
>>351
「不倫は文化なり」といった女からしちゃ、そりゃものたりなかっただろうな…
けどフランス王はそのあとも二度の結婚してるし、性格とか淡白さにあるんだろうな



354 :
>>353
当時の教会の教えに忠実だとしたら、快楽は求めちゃいけない、
夫婦の営みは子作りのためだけ、セックスしちゃいけない曜日や期間も守りましょう、だからねえ
ルイ7世がアリエノールと離婚後に二度結婚したのも、
授かるのは女子ばかりで跡継ぎの男子が生まれずに王妃が亡くなったからだし、
ルイ7世にとっては「嫡子を得るための義務としてのセックス」だったんじゃないかな〜
修道院育ちとしてはそれが真面目で正しいあり方なんだけどさw
11歳年下の王子と再婚できるようなアリエノールにとっては、さぞかし不満だったろうね

355 :
アリエノールの本命は十字軍でんだ叔父さん
この叔父さんがんだ復讐でルイ7世と離婚して
自分の領地(フランス国土の1/3)を持参金にイギリスに嫁いだ
近親すぎて叔父と結婚できなかったのがアリエノールの不幸

356 :
>>354
先生、何曜日はセックスしちゃいけないんですか?

357 :
>>356
日・水・金・土はダメ
四旬節(復活祭の46日前〜前日)、復活祭(イースター)、
降誕節(12月25日から1月6日の直後の日曜まで)、聖霊降臨祭、祭日・斎日もダメ
妻の生理中、授乳中もダメ
ある歴史家の計算によれば、一年に44回、月あたり4回くらいしか性交解禁日がないとかw

358 :
>>357
あざっす、勉強になりますw
休みの日は大人しくしてなきゃダメ、セクロスなんてもっての外なんすね
しかし性交解禁日ってすごい言い回しだなあ

359 :
>>358
昔のカトリックでは
日曜=主日(キリスト復活の曜日)、ミサの曜日
水曜=大斎日(今は「灰の水曜日」のみ)
金曜=大斎日(キリストが磔になった曜日。肉食を避ける習慣が今も残る)
土曜=安息日
という宗教的意味づけがあるので、その観点から
「そんな曜日に性交なんてとんでもない」って発想なんだろうな〜と
休みの日と言うより、神様やキリストに思いをはせる日にはダメ!ってことなんだろうね

360 :
本当にエロパロ板は勉強になるなあ…

361 :
禁じられたベストセラー っていう中世フランスの悪書についての本を読んでたら
修道士がイロイロする小説の抜粋が載っててとても…原典が読みたい…

362 :
保守

363 :
カルミナブラーナって曲の歌詞って際どいんだが、修道院で書かれたものだか集められたものなんだよね。ちと違う?
最初に日本語訳を読んだ時は驚いたんだ。
以上保守ついで

364 :
このスレ的にぴったりな映画だと思う
http://www.alcine-terran.com/monk/index.html
破戒僧かあ…

365 :
デボラ・フランソワたん美しいな

366 :
モンク 男装して近づいてくる美尼僧か しばらくオカズに困らないかも

367 :
この映画みたいけど東京でしかやってないのか。DVD待ちかぁ( ´・ω・`)

368 :
お前ら、日本美坊主愛好会の「美坊主図鑑」は買ったか?

369 :
買ってない
というかそんなものがあったのか
ふと思ったんだけどみんなの和洋の好みの比率ってどっちなんだろう
自分はどっちも好きだけどどちらかといえば坊主より神父のほうが好きかな
みんなはどっちか派?それとも両方派?

370 :
私は神父派

371 :
自分も坊主より神父萌えだが、どっちも好き
昔は坊主(頭ツルツル)に抵抗があったけど、いがぐり坊主キャラ好きになってからは、それもなくなったし
ファンタジーものだと、やっぱり聖職者系が真っ先に好きになるw

372 :
>>368
微妙だった

373 :
本屋で見かけた「恋するエクソシスト」読んだ人いる?
パラパラ中を見たら、絵は綺麗だったけど

374 :
>>373
読んでないけど、公式サイトの煽り文句、
>姉の代わりに出演したテレビの心霊番組で、イタリア人エクソシストのジャンに突然プロポーズをされた刻子。
>初対面なのにいったいなぜ? しかも神父は結婚できないはずなのに!
>つきまとうジャンをどうにか撒いてその日は無事に帰宅したものの、なんと次の 日、校門で待ち伏せされていて……!?
>美形でアニメオタクなエクソシストと、霊感女子高生の除霊ラブコメディ!
エクソシスト=神父が結婚できないってのはちゃんと牧師との誤解無く押さえてるけど、
神父がテレビ番組で公開プロポーズっていう「ツカミ」は、どうなんだろう
速攻でスキャンダル&破門騒動になると思うんだけど、もしかしてそういう伏線だったりするのかね?
読んでないのでなんともわからんけど

375 :
ドタバタラブコメラノベって感じかー
好きな路線だけど、少しだけ聖職者としての迷いとか規律への束縛感とか欲しいな
文庫だったらお試しで買うんだけど…

376 :
アニオタな神父って微妙すぎる

377 :
白浜の自救済をやってる牧師の話をnhkプロ流儀の再放送でやってた
美妻と若い女性スタッフ抱えてて
救済途上の数名の男女を教会の別棟で暮らさせていた
バックヤードでの猥談などを妄想で膨らませていると勃ってたw

378 :
敬虔で慈悲深くて魅力的な神父ほど恋には疎いとか戒律に厳しいとかそんなイメージ
そういう聖職者ほど恋のすばらしさとか触れ合うことの喜びとかイロイロ知ってほしいな

379 :
童貞喪失シーンを見たくて「薔薇の名前」借りたんだが
爺さん同士のキスシーンにポカーンとなったわ

380 :
ホモ系だったのかwそりゃポカーンともなるわ
もし女に興味がないわけじゃなくてむしろものすごく興味があって抑えることができなくて
けど女だと確実に罪になるし男なら悪ふざけをしてるだけで肉の快楽を求めてるわけじゃないとか
無理やり自分に言い聞かせて男に走るほどどうしようもなくなってる神父がいたとしたら
そういう神父こそ一度女に触れちゃったら罪悪感に見舞われながらも貪ってしまうんだろうなと
個人的には若気の至り的な神父よりももう長いこと神父やってる爺さんのほうが好きなシチュだ
最近見た動画で挿入時に「神よ。神よ」って悶えてた神父がいたけどああいう感じなのかなと

381 :
>>379
「薔薇の名前」には、童貞喪失ネタもあるけど、
(ネタバレ気味になるけど)最大の鍵はホモ要素だからな
神父にとって、確かに女犯は罪だけど、
同性愛は神父も平信徒も等しく罪だから、より思重いタブーなんだろうね

382 :
同性愛のほうが罪なの?
罪の比重は同じだと思ってた

383 :
同性愛は聖書ではっきり禁止されているし(ソドムの罪)
「生めよ、増やせよ」という神の言葉に反する行為だからね
聖職者の妻帯OKとしたプロテスタントでも、長い間、同性愛者は聖職者になれなかった
現代では、急進的なプロテスタントは同性愛に寛容だけど

384 :
あ、ごめん、もし>>380へのレスも含まれてたらちょっと誤解があるかも
「薔薇の名前」とは直接関係ない話だったんだ
神父にとって女に手を出すのは妊娠とか処女喪失とか体裁とかいろいろ目に見えた弊害が出てくるけど
男なら当人同士が隠してれば隠せるから目に見えた弊害はない(と錯覚する)
>>380は同性愛者が云々じゃなくて同性愛という認識や自覚すらない衝動的な行為って意味で言ったんだ
実際にそういう理由で同性愛ととれる行為をしてしまう神父がいるかどうかはわからないけど
もしいたなら本当は女に触れたいだけに歯止めが利かなくなるんだろうなーと
「薔薇の名前」のレスを見てふとそんなことを思っただけだったんだ

385 :
>>384
>同性愛という認識や自覚すらない衝動的な行為
というのは、性行為未満という感じで言ってるのかな?
伝統的なキリスト教社会の場合、幼い頃から性的快楽は罪であると教え込まれていて
例えば男の子なら自分の性器を弄るのは罪だとか教会で教え込まれるらしいよ
(まあ実際に守るかどうかは別として…だから懺悔で許してもらうわけだけどw)
だから実際に目に見える弊害以前に、性的行為やそういう快楽を求める心理がタブーであるという意識は、
神父は平信徒以上に強いんじゃないかなあ
それこそ聖書も読み込んでいるわけで、同性愛がタブーと言うことを知らないはずはないし
相手が男性にしろ女性にしろ、「衝動的な性欲」そのものへの罪悪感は存在すると思うんだが
タブーって、より強いタブーでハードルが高いからこそ、その一線を越えてしまったときには
余計に歯止めがきかなくなって、のめり込みそうな気がする
背徳ゆえに、倒錯した性愛は一度のめり込んだらそこから逃れるのが難しそうだ

386 :
爺さん同士のキスw

387 :
チュ

388 :
接吻

389 :
花村萬月 「ゲルマニウムの夜(王国紀1)」 とか

390 :
>>361
直接的・・・ではないんだけど
岩波から出てる「愛の往復書簡」という本は
中世フランスの修道士と、修道女の往復書簡をまとめた本です。
その修道女のほうが「私はあなた(修道士)とのエロエロ生活が忘れられないの」と綴り
修道士のほうは「確かに、お前んとこの修道院の食堂の床で、人がいないときにやったよね、
でもそういうの忘れようぜ」と返事をしている、ものすごい本w
「アベラールとエロイーズ」って聞いたことありませんか。wikiで見て、よかったら読んでみて。
30男が16歳の乙女とやっちゃう、っていうあたりからどうかって感じなんだけどw

大学がカトリック系だったので
神父様がけっこう先生だったりして、それなりに見たんだけど
若い神父様は、まだ男の人の部分があるんだよね。
かわいいなあと思うけど、たいがいものすごくシャイなので話しづらくて困るw

391 :
>>390
学者先生が20歳以上年下の教え子とデキちゃって、責任取って秘密結婚
(当時、神学者は独身でないと信用されなかったから)
いろいろゴタゴタがあって、学者先生は妻を修道院に避難させたんだけど、
それに怒った妻の保護者が学者先生を襲ってナニを切るという復讐を決行
妻はそのまま修道女に、学者先生も修道士に
そしてその2人の間に交わされた赤裸々な愛の書簡が、名文ゆえに後世まで伝えられることに
…という話だっけ
ナニを失った後のアベラールはそういう欲望も遠ざけられて楽だったろうけど
女盛りに愛する人と引き離されて、書簡で愛の苦悩を綴っても
そもそもの元凶である夫に「エロエロ生活はもう忘れようぜ」と突き放されるエロイーズカワイソス

392 :
>>391
そう、それです。
ただ、アベラールは神学者ではなく弁証法の学者だったので
結婚は構わないんだけど、ただ「なんか結婚とかすると、クールじゃなくね?」みたいな
バカな考え方で結婚したがらなかったのですねw
あと、切られたのはチンコではなくタマです。
だからその後の生涯を、アベラールはハイパー賢者タイムで過ごすことになった。
なので「エロエロ生活に戻りたいよう」「まだ私を愛していると言って」というエロイーズに
彼はものすごく冷たい。たいていの男が、女に投げる言葉はセックスのためゆえであるのに
アベラールはセックスという目的がないから。
私はこのアベラールが嫌いw

393 :
玉切り……(・∀・)イイネ!!

394 :
まあ詳しくは知らないから偉そうな事は言えないけど
トラブったらタマ切り落としにくるような家族持ちの女とは
もう関わり合いになりたくないよ思うよw
返事書いてあげるだけ優しいってww

395 :
まあ20以上年下の女なんかに手を出すおっさんにはお似合いの結末かもしれん

396 :
>>394
読んでみると、きっとその感想は変わるはずw
「玉切られた」というのがインパクトありすぎなのよね・・・
もともと、アベラールは弁証学の学者でブイブイ言わせてて
パトロンとして、「姪に勉強教えてくんね」と、とあるパリの大金持ち商人に雇われます。
この商人はフュルベールといい、エロイーズの保護者であり叔父でもありました。
つまり、アベラールは「パトロンの姪で自分の生徒に手を出した」のねw
で、子供作っちゃって、「やっべ、バレたらマジされるわw」と
アベラールはエロイーズを自分の故郷に連れていき、出産させた。
ところが賢く美しいエロイーズはとっても有名人。だからその妊娠も世間に知られてしまっていた。
激怒ですよ、叔父さんは。
とはいえ、そこは収めたのだけど(秘儀・産んじゃった結婚w)
その後もあれこれあって、またフュルベールを怒らせたアベラールは
その怒りを怖れて、エロイーズを彼女の育った修道院に突っ込み、自分も他の修道院に避難する。
ですが当時は「妻を修道院にいれる」というのは、離婚の意思しかないと思われていたんですね。
フュルベールにしたら、我が子のように慈しんだエロイーズを傷物にされて、離婚したがってるなんて
絶対アベラール許すまじ!です。だから金玉を切り落とした。
ちなみに、「愛の」(どこがよ)往復書簡は、12通あります。
そのうち5通まで(厳密には2〜5通め)が二人の物語なの。
5通めのアベラールからエロイーズへの手紙を読んだエロイーズは、静かに絶望して
6通めで「わかりました。もうあなたに愛を問いたりしません」とだけ言って
あとはずっと修道院の経営について、いろんなことを訊ね、教えを乞うだけになりました。
(当時エロイーズは、アベラールが理想に燃えてた頃、作ってほったらかしていた
とある修道院の再建に努め、院長として経営していました。
なので、院の些末な決まりから何から、設立者と運営者の事務連絡とか
諸項目の確認とか、そういうつまんないことばっかりが6〜12通の内容です。
例えば「昼食前の祈りは、よくある恵みに感謝する祈りの他に、聖マリアへの祈りも付け足すべきでしょうか」
「したほうがいいですね」みたいな感じね。)

397 :
悪徳教祖に洗脳されてみたい

398 :
この板には
「【風習】エロい儀式を執り行うスレ【祭事】」
というのがあるが
男聖職者視点でも読んでみたいシチュエーションだ

399 :
童貞聖職者萌え

400 :
朔ユキ蔵の「お慕い申し上げます」がちょいエロ坊さん漫画だな
カーセックスとオナニーのシーンにふいた

401 :
復活の呪文

402 :
誰か鳩摩羅什の破戒の話とか書いてくれないものか

403 :
保守

404 :
保守

405 :
“大奥延命院醜聞 美僧の寺”という小説が気になってる
エロはあるのだろうか

406 :
ググってみたがそれ植松三十里のか
読みやすくて好きな作家だ

407 :
405だけど“美僧の寺”読んでみた
こりゃエロい、萌えたわ
好色な美坊主が、将軍の側室を手玉に取る話
実在の事件をモデルにしてる
腹黒い坊さんが好きな人にはお勧め
ただし後味は悪かった……

408 :
触発されて自分も買ってしまった
日道の糞男っぷりがいい
「数珠からむ指先」だの「香たなびく」だの章題も一々えろいな

409 :
坊さん主人公の大河ドラマでもやってくれないものか
NHKさん

410 :
おお、美僧の寺読んでみるよ
>409
とりあえず麗しい坊主が多いと評判の平清盛はどう?
いや、全く観てないんだけど
確かに歴史上にも魅力的な僧は沢山居るから、彼らの人生をなぞるやつがあってもいいよね。
…先ずは蝉の鳴く中、編み笠を持ち上げるシーンからスタート

411 :
>>410
よく考えてみりゃ、広い意味では坊主が主役の大河だわな>平清盛
先日の生霊崇徳上皇(歌川国芳画)vs.藤木西行法師のサイキックバトルは圧巻だったw

412 :
「天地人」や「義経」の初期にも
所作の美しい坊さんたちが登場してたなー

413 :
坊さん主役の大河なら
日蓮か道鏡で

414 :
道鏡さんは巨根の絶倫

415 :
>>412 風林火山の谷原章介(今川義元)も美しい坊さんだった
そう言えば男女逆転大奥のドラマ、10月から始まるらしいな
有功役の堺雅人の禿げに期待

416 :
sageをhageと入れたい…
美僧の寺良かったよ
クズ男発覚までの日道には萌えた

417 :
保守

418 :
助けて!
ハゲ・ズラ@2ch掲示板
http://uni.2ch.net/hage/

419 :
助けられない

420 :
改めて僧の頭を見たのだが、ハゲと坊主は違うと分かったんだよね
剃り跡や微妙な生え具合で判るんだよ
ズラは管轄外

421 :
素人の写真集が流行ってるというテレビのニュースで美坊主図鑑が写ってた
坊主も好きだけど美神父図鑑も出して欲しい

422 :
249 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/09/28(金) 19:54:48.68 ID:8Rcd/ycK
尻にじゃがいもを詰めた神父だか牧師だかは聞いたことがある
イギリス人だったはず

423 :
いったい何の目的で……?

424 :
最近リアル僧侶の堕落を知ってこの上なくガッカリした
妄想だから良いのに
夢を壊すな

425 :
いちいちここで愚痴るなよ

426 :
美神父図鑑といえば
法王庁かどこかで出してる美神父カレンダーというのが前スレに無かったっけ?

427 :
>>423
422の話だったら、ニュースになったときに読んだよw
牧師さんが、たまたま全裸で椅子に乗って電球替えようとしたら
うっかり足をすべらせてしまい、落ちた先(床ですね)に
どういうわけかじゃがいもが転がってたんですって。
(電球を替えていたのがキッチンだったという報道はなかったです)
それが運悪く、お尻の真下に転がってて
どういうわけかスッポンとお尻に入っちゃったの。
で、不思議なことにお尻の内側にグイグイ進んでしまって、にっちもさっちもいかず
病院の扉を叩いた、という事件でしたよ。

428 :
何故全裸で電球を替える・・・w

429 :
じゃがいもでアナニーしていたんだと馬鹿正直に言うわけにはいかなかったんだろう…

430 :
その手の話はまったく珍しくないよ
なぜかみなさん転んだところに異物があって肛門に「偶然」はいってしまったのだと主張する

431 :
本当に運悪く転んだ先にじゃがいもがあって偶然入っちゃった人がかわいそうだな

432 :
>>430
知り合いに泌尿器科医がいるんだけど
みなさん、どういうわけか転んだところに異物があって
尿道に「偶然」はいっちゃったり
陰茎に「偶然」はまっちゃったり・・・と主張する、と言ってたw
>>431
その言い方じゃまるで422のいう牧師が
「本当に運悪く転んだ先にじゃがいもがあって偶然入っちゃったかわいそうな人」
じゃないみたいじゃないかwww

433 :
>>426
神父カレンダーなら、ローマに行くと土産物屋にぶら下がってる
どっかの(外国の)カレンダー通販サイトでも売ってた
ヴァチカンの売店にはなかったから、教皇庁認定のものではないと思う
神父カレンダー、一部には偽神父(モデル)も混じっているという噂もあるしw
ちなみにヴァチカンの売店では教皇様のカレンダーは買える
今のラスボス教皇様よりも、列福された前教皇様のグッズのほうが相変わらず人気だったり

434 :
神父カレンダーで検索すると出てくるね
2012年まで出てるらしいから、来年の分もきっと…
しかし何でモノクロなのかなー
ステンドグラスとか、派手な法衣の色とかキチンと見たいな

435 :
モノクロのほうが人の顔が綺麗に見えるからだよ
決して手抜きではない…よな?

436 :
明け方に、BS無料放送で、オーメンやってましたが
この母親が、また美人過ぎて、右手が止まらない〜w

437 :
ドラマ大奥面白いな
第一話で主人公が還俗しちゃったのは残念だったが

438 :
神父さんと結婚したいのでどうしたらいいか教えてください
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1350358483

439 :
美坊主図鑑、美僧の寺、お坊さんが教える心が整う掃除の本etc
色々あるけど美僧の寺がエロくてこのスレ向きっぽいな
どれを買うか迷うわ

440 :
保守

441 :
神父カレンダーいいな
普通に欲しいわ
ちょっとセクシー神父過ぎるけど

442 :
保守

443 :
洋画のMi−3で、バチカン内のシーンがあったけど
パーティでは本当に女性たちも参加してるのかな?

444 :
>>443
その映画は見ていないのでどんなパーティーシーンだったのかは知らないけど
ヴァチカンも曲がりなりにも元首を戴く独立国家なので、
外交・社交の儀礼範囲内でのレセプションとかはあって不思議じゃないと思う
ヴァチカンも別にシスター以外は女人禁制ってこともないし
(多くはないけど、シスターじゃない一般女性もヴァチカンへ通いで勤務してる)
西欧の外交・社交の常識で言えば、既婚者は夫婦同伴が原則だから
ヴァチカンだからって男性単独で来いってことはないだろう

445 :
>>444
人物がメインの断片的なカットですが、Mi:3でのパーティは下の感じです
 ttp://www.hotflick.net/pictures/006ITH_Philip_Seymour_Hoffman_006.html
 ttp://www.hotflick.net/pictures/006ITH_Philip_Seymour_Hoffman_007.html

446 :
>>445
むむむ……これは……
ヴァチカンの外交・社交の実態は全然知らないけど、
この雰囲気のパーティーってのは、さすがに「無し」じゃないかなあ…
ヴァチカンじゃなくて教皇の外遊先で、外遊先の国の主催のだけど、
カトリックの高位聖職者も出席しているレセプション・ディナーの写真ってのを見たことがある
(開催側の出席者がブログに挙げたスナップ写真w)
そこに写ってた女性の服装は肌の露出のないドレスだったよ
肩から手首までは布やレース地で隠れていて、胸元の露出も控えめ
さすがにこの映画にあるような、がっつり肩を露出した派手なイブニングドレスってのは、
教皇お膝元のヴァチカン内部でってのは、無いんじゃないかなあ
各国要人が昼間に教皇謁見をするときの写真を何枚か見たんだけど、
基本的に教皇謁見では女性は肌の露出の少ない黒づくめの服+黒のヴェールらしい
で、カトリック国の女王か王妃だけは、白の服と白のヴェールらしい(カトリックでも王女や王子妃は黒)
もちろん昼と夜とでは、女性の正装での肌の露出度合いも違うけど、
これだけ厳格な服装規定があるカトリックのお膝元で、「肩出し」はないだろ〜って思う
教会の見学だけでも、肩や膝上の露出がある服装だと中に入れてもらえなかったりするのに

447 :
保守

448 :
情弱が(俺)考える聖職者と人外カップリング
神父×悪魔っ娘(サキュバス)or堕天使
神主×竜っ娘(龍神)or狐娘(稲荷)
坊主×幽霊or女郎蜘蛛(退治的な意味で)
ネタが浮かびそうで、浮かばない
ほかに何かあれば教えてほしいのだが

449 :
神父×ゴースト 触れ合えない純愛も萌える

450 :
あと
神父×吸血鬼
退治したい&吸血したい なのに惹かれあってるのも萌える

451 :
神主×神使で、萌え系なら、ウサ耳娘(住吉大社)もありかな

452 :
>ウサ耳娘
衝撃が走った。兎はちょっと考えてもみなかったなー、すげぇ
ならば狛犬とか猫又とかいろいろ夢がひろがりんぐ

453 :
人外から外れるかもしれんがファンタジー世界で神官×女神とか
仕える神と相思相愛でもいいし
ヤンデレ女神に愛されて神官として生きるしかない薄幸の青年とか

454 :
坊さん×吉祥天女は、既に平安末期にはSS化(古本説話集)されてるんだよなw

455 :
なるほど…神様、仙人などもあり、か…メモメモ。
ありがとうございました。
頂いた情報はしっかりストックさせていただきますね^^

456 :
前にこのスレで見習い神主×女神のssもあったよね
あれも凄く良かった
ネットニュースから
「聖職者のお仕事」について、牧師さまに聞いてみた!
ttp://news.mynavi.jp/c_career/level1/yoko/2013/01/post_2897.html

457 :
Antonio Federiciっていうイタリアのアイスクリーム(ジェラート)メーカーの広告がやたらエロくて噴いたw
会社名でぐぐるか、公式サイトのギャラリー(特に過去分)見てみてw
神父とシスターのエロい絡み+ジェラート、
意味ありげな妊婦シスター+ジェラート、
(このスレ的にはNGだけど)アッーな雰囲気の神父×2+ジェラート、……
ようつべに広告メイキング動画があったけど、それを見た限りでは百合シスターバージョンもあったようだ
ジェラートと聖職エロの組み合わせがシュールw
誘惑されちゃう美味しさ、というコンセプトなんだと思うけど、
カトリックのお膝元でこういう挑発的な背徳エロ広告作っちゃうセンスがすごいと思う
ちなみに、やはりかなりの問題CMとして物議を醸したようだ

458 :
>>453氏のレスに触発されて、書いてみたので投下
オリジナルのファンタジー世界、女神×神官+巫女
メインは女神×神官だけどなぜか巫女要素多め、ごく一部に百合成分有り
ヤンデレだけど作者がヤンデレが何かよくわかっていない可能性あり、
まあヤンデレのつもりなので読後感は保証しない
連投できる範囲で以下投下します

459 :
〈1〉新しい巫女
 王国の都を見下ろす小高い丘の上に、その神殿はあった。数ある神殿の中でも、この国に
おいては最も権威が高いとされる神殿である。
 その日、神殿は一人の新しい巫女を迎えることになっていた。新しい巫女は、現国王の
末娘・サフィーラ王女。彼女は幼い頃から神殿に預けられ、将来の巫女候補として修行を
積んできた。この神殿に仕える巫女は、特に王族の血筋から選出されるしきたりになって
おり、彼女もまたその慣習に従って神殿に捧げられた王女なのだ。
 神官達や巫女達が総出で儀式の準備を行う中、神殿の一番奥の部屋で、彼らを統括する
長である大神官は一人静かに身支度を調えていた。純白の法衣の上に、大神官のみに許された
豪華な刺繍の入った長いローブを羽織り、儀式用の冠を被る。
 儀式に用いる精油を器に移し替えていると、彼の背後から若い女性の声がした。
「今度の子は、少し面白そうね」
 大神官はそれには答えず、ただ静かな微笑を、その声の主に返した。
 神殿の控えの間では、栗色の髪を綺麗に編み込み、簡素な純白の装束に着替えたサフィーラ
王女が、緊張の面持ちでその時を待っていた。王国で最も崇められる女神にお仕えする、
聖なる巫女。立派な巫女になりたいと、ずっと憧れ、この日を待ち望んできたのだ。
 彼女の緊張には、また別の理由があった。十年前、初めて神殿に上がって大神官にお目通り
したとき、あろうことか大神官に向かって「おじいさま?」と口走っていたのだ。彼女は
自分の発言そのものはよく覚えていなかったが、大神官の傍らにいた神官や巫女の引きつった
顔、慌てふためいた付き添いの両親にすぐさま叱責されたこと、それはよく覚えていた。
そして、一瞬の沈黙の後、当の大神官が高らかに大笑いしたということも。
 ――まだ子どもだったとは言え、なんと無礼なことを口走ったものかしら! あのとき
大神官様が笑い飛ばしてくださらなかったら、どうなっていたことか。
 王家の守護女神を祭るこの神殿の長である大神官は、この国ではまるで生き神のように
扱われている。その真の名を知る者は無く、神殿の神官と巫女以外は、王族ですら滅多に
面会は許されていない。大神官が自ら国王の前に姿を見せるのは、女神からの託宣を伝える
ときくらいであった。このように大神官が別格の存在とされるのは、その驚くべき長寿ゆえ
でもあった。彼は女神の祝福によって、およそ常人には不可能な、何百年という時を生きて
きたというのだ。
 それにしても、とサフィーラは考える。
 ――あのとき、どうして私は「おじいさま?」などと口走ったのかしら。いくら幼いとは
いえ、誰彼構わずそんなことを言うほど無分別な年齢ではなかったはずよ。大神官様のお顔が、
私のお祖父様に似ていたのかしら?
 いつもここまで考えて、サフィーラは、あのときに見たはずの大神官の顔をよく覚えて
いないことを思い出す。あの朗らかな――そう、朗らかで、柔らかな張りのある――笑い声は
強く印象に残っているのに、直にお目に掛かったことも覚えているのに、そのお顔だけ、
記憶に霞が掛かったようにおぼろげで……。
 だが、そのモヤモヤも今日までだ。見習い期間を終え、晴れて正式な巫女となるこの儀式で、
実に十年ぶりに、大神官の姿を間近に拝することができるのだから。
 ギギィッと重い音がして、儀式の間の扉が内側から開いた。巫女達が清めの鈴の音を響かせる。
老神官の低い声が響く。
「女神の端女サフィーラよ、入りなさい」
 神殿の巫女は、儀式では「巫女」ではなく「女神の端女」と呼ばれる決まりだ。サフィーラは
頭を垂れたまま、衣装の長い裾を両手で軽く持ち上げて、しずしずと歩みを進めた。
 顔を上げなくてもわかる、居並ぶ神官達の気配、しんと静まりかえった厳かな空気。
 真正面の少し高い位置に設えられた祭壇のふもとまで進み、そこで恭しく跪いて目を伏せた。
と、祭壇の方から、シュル…と重たい衣擦れの音がした。
 きっと大神官様だ、とサフィーラが思った次の瞬間、その脇の方から、先ほどの老神官の
声が彼女に命じた。
「女神の端女サフィーラよ、汝が女主人に服従の誓いを」

460 :
 サフィーラはさらに頭を深く垂れ、覚えたとおりの儀式の言葉を静かに、しかしはっきり
した声で唱える。
「偉大にして慈悲深き我があるじ、王家と王国の守り手たる我が君、我は貴女の忠実なる
しもべとなり、貴女を崇め、貴女を褒め称え奉る」
 彼女が誓いの言葉を言い終えると、その頭に、甘い花の香りのする精油が注がれた。
女神の祝福を受けた精油が、じんわりと自分の髪を伝い、頭皮に染みてゆくのを感じながら、
サフィーラは得も言われぬ誇らしさと喜びを噛みしめていた。
 ――これで私も正式な巫女として、女神様にお仕えすることができるのだわ……!
 そのとき、祭壇の上の方から、若々しい男性の声が伸びやかに降り注いできた。
「面を上げよ」
 威厳に満ちつつも若々しいその声に、サフィーラはハッとして顔を上げた。
「汝を、我が君の端女として、我らが神殿に迎え入れん」
 その言葉を合図に、神官達は一斉に女神を賛美する言葉を唱え、巫女達は再び鈴を鳴らし、
儀式は終了した。
 儀式の終わりを告げたその声の主は、他の神官が立ち寄れない祭壇の正面に堂々と立ち、
確かに大神官その人でしかあり得なかった。だが、その「大神官」の姿は、サフィーラの
想像とはあまりにも異なっていた。
 ただ一人、他の神官達とは異なる冠と装束を身につけた「大神官」の姿は、どう見積もっても
二十代の青年にしか見えないのだ。たっぷりと布を使った重たげなローブの袖からは、若々しい
両の手が見える。先ほどサフィーラに芳しい花の精油を注いだ手だ。その肩から足元まで
すっぽり覆い隠す重厚なローブは、その長身をさらに大きく見せていた。大神官の冠の下には、
その瞳と同じに濃い色の、艶やかで豊かな短髪。若さだけではない。思慮深さを滲ませた、
知性溢れる端正な面持ちの青年――。
 彼女は思わず「あっ」と言ったきり、二の句が継げなかった。いや、実を言えば、十年前の
自分の失言をはっきりと思い出し、今もまた同じ台詞を言いそうになったのをギリギリ
堪えたのだった。
 目を丸くして呆気にとられているサフィーラを、大神官は苦笑交じりで見下ろす。
「いかがいたした、そのような顔をして」
 思いがけず穏やかで優しい口調に、サフィーラはかえって動揺した。
「い、いいえ……、何も――」
「また『おじいさま』と言いそうにでもなったかね」
「えっ」
 言い当てられたことと、大神官が十年前のことを覚えていたとわかったことで、サフィーラは
すっかり固まってしまった。大神官はそんな彼女の様子にはお構いなしに、まるで独り言の
ようにぼそりと言う。
「しかし、この私を『おじいさま』と呼んだ者は久しぶりだな。正確には、そなたの祖父の
祖父のそのまた祖父の……何代前だったかな、とにかく、そなたは私の兄の何代も後の孫に
当たるわけで」
 さらりとそう言って、大神官はクスクスと笑った。そしてサフィーラに背を向けると、
そのまま神殿の奥へと姿を消した。
 大神官の言葉で、ようやくサフィーラは幼い自分の失言の理由に思い至った。彼を見て
「おじいさま」だと思ったのは、王宮で見た先祖――今思えば、それは祖父だったのか曾祖父
だったのか――の、若い頃の肖像画と似ているところがあったからだ。大神官は王家の血筋に
連なる人物だとは聞いていたが、まさか、自分の何代も前の祖の弟だとは知らなかった。
大神官と祖父、同じ血筋ならば似ているところがあっても不思議はない。

461 :
 ――それにしても、よりにもよって「おじいさま?」だなんて。
「数百年生きていらっしゃるという大神官様が、まさか、あのようにお若い姿でいらっしゃる
 なんて……。私ったら、なんということを」
「仕方ないわ、初めて大神官様にお目に掛かったときには、誰もがそのお姿に驚くものよ」
 私室に戻ってもなお落ち込み続けるサフィーラに、先輩巫女のエルメンダが慰めの言葉を
かける。彼女はサフィーラより十歳ほど年長だが、数少ない巫女の中では一番サフィーラと
年が近かった。
「幼い頃のあなたは、それがどういうことなのかよくわからず、それで覚えていなかったの
 でしょうね。でも、どうして大神官様が、女神様の祝福を受けた生き神として崇敬される
 のか、今はよくわかったでしょう?」
 サフィーラは素直にこくりと頷いた。エルメンダに言われるまでもなく、大神官の神秘性は、
あの短い儀式の中でもひしひしと伝わってきた。彼がそこに居るだけで、言い知れぬ威厳が
空間に充ち満ちていた。全ての神官と巫女を統べる長、そして女神の代弁者にして偉大なる
預言者。だからこそ、その若く美しい青年の姿とのギャップに驚いたのだ。
 十年前のあのとき、大神官様が笑い飛ばしたのも道理だ。あまりに馬鹿馬鹿しくて、取り
合う気も起こらなかったのだろう。何百年も生きているというだけで奇跡なのだ。ならば
不老の奇跡だってあり得るだろう。長寿ならば皺だらけの老人に違いないと勝手に思い込んで
いた自分が恥ずかしい。
「エルメンダ様、私――」
「エルメンダ、で結構よ、サフィーラ。あなたはもう見習いではなく、私と同じ、女神様に
 お仕えする巫女なのだから」
 優しく微笑む先輩巫女に、新米の巫女は素直に感激した。
「エルメンダ……、私、女神様の巫女として恥ずかしくない勤めができるよう、頑張ります」
 それからのサフィーラは、新米の巫女としてはこの上なく模範的であった。日々怠ること
なく、女神のために神殿を精油で清め、花で飾り、賛美の祈りを唱え、楽を奏で、舞を踊る。
俗世とは隔離された空間の中で、ただひたすら女神のために奉仕を続けた。
 女神に仕える神官や巫女は、清らかな存在であることを要求される。普段の生活で身を
慎むことはもちろん、神官や巫女でいる間に異性と情を通じることは固く禁じられており、
それを破れば恐ろしい処罰が待っている。
 時には国家の要請や神託に従って、還俗して結婚する者もいるが、還俗すれば神殿での
地位や特権は全て失われる。大きな権限を持つ神官や巫女が世襲によってより強大な勢力と
なるのを恐れた王家がそう定めたのだとも言われるが、なにより、女神自身がそのように
求めたのだとされている。
 サフィーラにとって最も身近なお手本は、あの優しいエルメンダだった。エルメンダも
また、分家筋ではあるが、王家に連なる高貴な血筋の姫である。美しくたおやかな彼女は、
まさに汚れのない巫女の模範のようで、サフィーラは彼女を姉のように慕った。
「エルメンダは、女神様のお姿を見たことはあるの?」
 ある日、サフィーラはふとした疑問を投げかけた。エルメンダは即座に首を横に振る。
「いいえ。女神様は、滅多なことではお姿をお見せにならないのよ」
「あなたのように清らかな巫女や、修行を積んだ神官ならば、女神様のお姿を目にする機会も
 あるのではないかと思うのだけど」
「さあ、それは……。私も神殿でお祈りをしているときに、神々しい気配を感じる気がする
 ときはあるけれども、はっきりと、お姿のようなものは、まだ」
「そう……」
 親しさゆえの遠慮のなさで、サフィーラは露骨にガッカリした表情を見せた。エルメンダは
彼女を宥めるように言う。
「こればっかりは、ね。大神官様は別格として……そうねえ、女神様のお側仕えに選ばれる
 ような巫女にでもなれたら、また別なのでしょうけれど」
「でも、お側仕えの巫女は、もう何年も空席のままなのでしょう?」
「ええ。特別に思し召しがない限りは選ばれないとのことだから」
「……私なんか、とても無理だわ」
「私だって。でも、そうねえ、真心を込めてお仕え申し上げていれば、もしかしたら、いつの
 日にか、慈悲深い女神様が感応してくださることがあるかもしれないわね」
 その言葉に、サフィーラの顔がパアッと明るくなる。その素直さをエルメンダは微笑ましく
思った。

462 :
 それから数ヶ月して、サフィーラにとって衝撃的な出来事が起きた。憧れをもって慕って
いたエルメンダが、神殿を出て、とある王族と結婚することになったのだ。
「どうしてなの、エルメンダ、巫女を辞めて結婚するだなんて……、嫌よ、嫌!」
 目に涙を浮かべて詰め寄るサフィーラに、エルメンダはいつものように優しい微笑みで、
ただ「国王陛下がお決めになったことだから、神殿もお認めになったことだから」と答える
だけだった。
 政略結婚なのは明白だ。だがサフィーラは、国王に対して拒否権を持つ巫女のエルメンダが、
この縁談に拒絶反応を微塵も示さないことがショックだった。誰よりも清らかで理想の巫女だと
信じていた彼女が、あっさりとそれを捨てて、男の許へと嫁いでしまう。
 それがどうしても受け入れられなくて、サフィーラは神殿の中庭で独りひっそりと涙を流していた。
 不意に、若い男性の声がした。
「そんなところで、何を泣いているのかね」
 振り向くと、そこには大神官がいた。儀式の時よりも簡素なローブ姿だが、紛れもなく、
その人である。中庭に面した回廊から、サフィーラの方へと歩み寄ってくる。
 サフィーラは慌ててその場に跪いた。正式な巫女になってから知ったことだが、王族でも
滅多に面会できないという大神官は、神殿の神官や巫女の前にはわりと気軽に独りで姿を
見せたりするのだ。それでも、まだ巫女となって日の浅いサフィーラには、彼は雲の上の
存在に等しかった。
「涙を拭きなさい。我が君は、むやみに嘆くことをお喜びにはならぬ」
 我が君、とは女神のことである。女神を指す尊称はいくつも存在するが、大神官は常に
この呼称を用いた。サフィーラは急いで涙の跡を手でぬぐう。
「なんでもないのです。申し訳ありません」
「なんでもない? なんでもないことが、偉大なる我が君に仕える巫女の心を掻き乱し、
涙を流させると?」
 サフィーラはそれ以上何も言うことができず、また、目の前に立っている大神官から逃れる
こともできず、困ってしまった。大神官はやれやれと言った風情で微笑むと、幼い生徒を
優しく諭す教師のように言った。
「おおかた、エルメンダのことであろう。そなたは随分と彼女を慕っていたと聞く」
「……はい」
「彼女がいなくなるのが、寂しいのかね」
「……いえ……」
 寂しい、それは当然だ。だが、それよりももっと強い感情が「エルメンダの結婚」を
拒絶する。
「大神官様、……エルメンダは、私のお手本なのです、女神様にお仕えする清らかな巫女
 なんです」
 サフィーラは、若い娘らしい潔癖さで「結婚」への嫌悪を露わにする。結婚するという
ことは、巫女の地位を捨てるだけでなく、その純潔を夫に捧げるということ。エルメンダは
ずっと一生、清らかな存在でいるものとばかり思っていたのに……!
 また涙がこぼれそうになるのを、サフィーラは必に堪えた。
「なるほどね。まあ、そなたの気持ちもわからないではない、が……」
 大神官はまだまだ未熟な巫女に、憐れみの眼差しを向けた。
「エルメンダに咎はないのだから、彼女を責めては気の毒だ。王家を守護する神殿の巫女は、
 王家の利益のためには別の運命を受け入れることもまた、大事な勤め。なにより、我が君が
 特にお許しになったことなのだから」
「わかっております、でも、でも……」
 感情を収めきれないサフィーラに対し、大神官はやや厳しい口調で問いただした。
「そなたは、なぜこの神殿の巫女になったのかね」
「それは……女神様にお仕えするため、そして、王家をお支えするためです」
「ならば、王家のために神殿を出るエルメンダのために、祈ってあげなさい。それはこの
 神殿の巫女である、そなたにしかできぬことではないか」
 サフィーラはハッとして、大神官を見上げた。彼の背後から差し込む柔らかな日差しが、
その顔の輪郭を眩しく照らし出している。
 予想に反して、その顔には穏やかな微笑があった。
 全てを包み込むような包容力と、何ものをも寄せ付けない不可侵の威厳。外見の若さと、
実際に重ねてきたという幾星霜の年月。このお方の中には、相反するそれらが同時に存在
する。なんというお方なのだろう。
 サフィーラの心は、形容しがたい衝撃と高揚感に打ち震えた。
「私の心得違いでした。私は、私の勤めを精一杯にいたします。なにとぞお許し下さいませ」
 そして、彼女は大神官の前に平伏した。

463 :
 その日以来、サフィーラにとっての「お手本」はエルメンダから大神官へと交替した。
否、お手本というのは正確ではないだろう。サフィーラにとって、彼はいわば「揺るぎない
偶像」となったのだ。
 エルメンダの欠員を補う新入り巫女の存在によって、サフィーラの巫女としての地位は
相対的に上がり、大神官の身の回りの世話も順番で任されるようになった。が、その際の
献身ぶりがいささか度を超しているのだ。大神官に関わることというだけで、純粋な瞳を
キラキラと輝かせて奉仕する有様は、まるて尻尾をパタパタ振りながらついて行く忠実な
飼い犬のようである。
 なんだか極端な娘ですのう、とあきれ顔の老神官に、大神官は、
「なに、孫娘に懐かれているようなものだ」
と、笑って受け流す。老神官も釣られて苦笑した。大神官のカリスマ性に心酔する神官や
巫女は今に始まったことではなく、どうあしらうべきか、彼らも心得ている。生き神とされる
大神官への崇敬は否定されるものではないし、無理に禁じればかえって余計にのめり込んで
しまいかねない。若さゆえの一時的な熱ということもあろうから、差し支えのない範囲で
好きにさせておいたほうが良い。
 サフィーラにしてみても、大神官は偶像であり崇敬の対象ではあったが、決して彼を
男性として見て憧れているのではなかった。
 ――このお方は、女神に祝福された特別な存在、生ける神。決して揺らぐことのない、
絶対的に清らかなお方。
 巫女であっても運命に翻弄されることのある、小さくて弱い人間とは違うのだ。
「盲信は罪だよ」
 大神官はそう言ってサフィーラを諫めたりもしたが、彼女はめげない。
「大丈夫です! 正しいお方を、正しく尊敬申し上げているだけですから」
「正しいお方、か。それはどうかな?」
「大神官様ともあろうお方が、何を仰るのですか」
「私よりも、我が君への奉仕を」
「もちろん、すべては女神様のためでございます! 大神官様のお世話をさせて戴くことが、
 ひいては女神様へのご奉仕に繋がるという気持ちで勤めております!」
 大神官は、ハァ、と溜息をつくと、諦めたように首を振った。
「せめて来月の大祭前の潔斎期間は、くれぐれも大人しくしておくれ。張り切りすぎて、
 いざ大祭の折りに何かあっては、我が君への奉仕も何もあったものではないからね」
「あ……はいっ」
 今年の大祭前の潔斎。日常の清めの儀式とは異なる、大がかりで特別な潔斎期間だ。巫女に
なってまだ一年未満のサフィーラにとっては未知の儀式である。サフィーラはそのことを
考えただけで、自然と身が引き締まる思いがした。

464 :
〈2〉大神官の秘密
 年に一度の大祭前の潔斎が始まった。
 大神官以下、神殿に仕える神官も巫女も、この期間は普段以上に節制した生活を送り、
外界との交わりを絶つ。
 神殿の最奥には、大神官と特に許された者だけが立ち入ることができる「託宣の間」が
ある。潔斎の期間中、大神官はそこに籠もりっきりになる。その間、原則として他の誰も
立ち入ることはできないが、扉の手前まで延びる回廊に灯りを点す仕事は、巫女が交替で
行うことになっていた。
 その日、「託宣の間」の回廊に灯りを点す役目がサフィーラに回ってきた。彼女は神殿で
最も重要で神聖な空間の側近くで奉仕できることが嬉しくてたまらなかった。が、「くれぐれも
大人しく」という大神官の言葉を思い出し、落ち着いて役目を果たすようにと心がけた。
 それでも、たった一人で火種を収めたランプ片手に回廊の松明に順番に火を点し、徐々に
周囲が薄明るくなってくると、回廊の突き当たりにほの暗く浮かび上がって見える「託宣の
間」の扉が、どうしても気になってしまう。
 ――いま、あの扉の向こうで、大神官様が女神様に祈りを捧げていらっしゃるんだわ。
 どんなお姿で、祈りを捧げていらっしゃるのだろう。普段でもあんなに威厳がおありなの
だもの、こういう特別の潔斎のときは、なおいっそう神々しく神秘的な御様子でいらっしゃるに
違いない。普段のあの柔和で端正なお顔も、慈悲深い大神官様らしくて良いけれど、禁欲的で
精悍なお顔も、見てみたい。
 想像するだけでうっとりしてしまうわ、などと思いながら、サフィーラは最後の松明、
すなわち「託宣の間」の扉の両脇に設えられた松明に灯りを点そうと、そちらへ歩みを進める。
 あら、とサフィーラは小さく驚いた。「託宣の間」の扉がわずかに開いていて、そこから
明かりが漏れているのだ。真っ暗な回廊に火を点しに来たとき既に扉が開いていたら、
すぐにこの明かりに気付いていたはず。なのにどうして、いつの間に、とサフィーラは
不思議に思った。
 ――いけない、いけない。
 ふと中を覗いてみたい衝動に駆られたが、それが許されないことはよくわかっていた。
好奇心は罪、気にしてはいけないわ、と心の中で自分に言い聞かせ、扉の右側にある松明に
灯りを点す。次に左側の松明に火を点そうと、扉の前を横切る。
 そのときサフィーラはその耳で、にわかには信じがたいものを聞いた。
 ――!?
 驚きのあまり、思わず振り返り、扉の隙間を凝視する。確かに、この向こうから聞こえて
きた、声。それは、大神官の声ではなかったのだ。
 まさか、と疑念を振り払いつつ、最後の松明に火を点してその場を立ち去ろうとした、
その時。
「――……でしょう?」
 再び、かすかに聞こえてきたその声は、先ほどと同じ――女性の声だった。
 この奥には大神官しかいないはずなのに、いったい、誰がいるというのか。サフィーラの
胸中に、ぞわぞわとさざ波が立つ。
 いけないとは思いつつも、好奇心を押さえることができない。サフィーラはドキドキしながら
忍び足で扉に近づくと、その僅かな隙間からそっと中を覗き見た。
 そこには、潔斎時の簡素な装束を着た大神官と、もう一人、顔こそ見えないが、淡い黄金色を
した衣装に、黄金色に輝く長い髪の女性がいた。大神官は壁際の椅子に腰掛けており、
その横顔がほのかに見て取れる。そして、その彼と一緒の女性は、あろうことか、――大神官の
膝の上に乗って、彼の胸に身を預けているではないか。
 誰の目から見てもあまりに親密すぎるその様子に、サフィーラは少なからずショックを受けた。
 すぐにも目を逸らしたいのに、なぜか、その女性のほうに視線が惹きつけられてしまう。
顔は見えないのに、なぜかサフィーラは彼女を「美しい人」だと直感した。滑らかなその
衣装の下には、素晴らしく女性らしい形の肉体が隠されているのがわかる。その豊かな髪は、
まるで黄金の絹糸のように柔らかく波打ち、その腰まで届くほどに垂れている。
 ――こんな見事な金髪、見たことがないわ。
 少なくとも、神殿の巫女ではない。彼女が何者なのか、サフィーラにはまったく心当たりが
なかった。
 ――私の知らない人が神殿にいるなんて、大神官様がこんなことをなさるなんて、あり
得ない。そうよ、これは何かの見間違い、これはきっと夢か幻。
 そう思い込もうとしたそのとき、聞き慣れた声が彼女の耳に突き刺さってきた。
「また、そんなお戯れを」
 金髪の女性を膝の上に抱くその人の口から発せられた声は、紛れもなく、大神官その人の
ものだった。

465 :
 ――どうして、大神官様が、「託宣の間」で、そんな風に、女性と……。
 自分の体が小刻みに震えるのを感じながら、そう思った、次の瞬間。
 女性の細い腕が彼の顔へと伸び、彼女の頭がゆっくりと彼の顔に近づいて、そのまま覆い
被さった。
 ――!
 はっきりとは見えなかったが、それでも、その唇と唇が重なったということはわかった。
大神官はそれを拒絶する風でもなく、その女性の体を支えるように彼女の背に腕を回す。
そのわずかな仕草が余計に、秘め事らしい濃密さを醸し出している。
 あまりのことに、一瞬引いたかと思った血の気が、一気に頭へと逆流する。衝撃と混乱の中、
サフィーラは思わず扉から後ずさった。と、手にしていた火種のランプをうっかり取り
落としてしまう。
 ガラン!と派手な金属音が回廊に響いた。サフィーラの口から思わず「あッ」と声が
こぼれる。中に聞こえてしまったに違いない。
 落としたランプを慌てて拾うと、サフィーラはすぐさまその場を離れようとした。が、
体が震えて思うように走れない。もつれる足を懸命に動かして、回廊を走り去る。
 頭が真っ白で何も考えられなかったが、見てはいけないものを見てしまった――それだけは
本能的に理解できていた。
 大神官は身じろぎもせず、サフィーラが走り去った扉の隙間を横目でチラリと見やった。
「年に一度の大祭潔斎の時くらい、自重なさってください」
 そう言って、彼は自分に抱きついたままの女性に、こう呼びかけた。
「我が君」
 大神官が「我が君」と呼ぶ女性――すなわち、神殿の主たる女神――は、甘えたように
彼にしなだれかかったまま、青みがかった美しい灰色の瞳を、上目遣いに彼に向けた。
「何を今さら」
「他の者に示しがつきません」
「良いじゃない。あなたは特別よ」
 これまで何百回、同じやりとりを繰り返してきたことか。既にお決まりの年中行事の一つの
ようですらある。だが今年は、その続きがいつもとは違った。
「なぜ、あのようなことをなさいました」
「なんのことかしら」
「とぼけるのはおやめください。なぜ、サフィーラに、わざとお見せになりました」
 フン、と不愉快そうに、女神は目を逸らした。
「……わかってるくせに」
 そう言われて、大神官は無表情で黙り込む。
 女神は彼の首に両腕を回すと、彼の耳に顔を近づけ、ゾッとするほど甘い声で囁いた。
「あなたに必要以上に纏わり付く、あの小娘が目障りだったの。少し懲らしめてやっただけよ」
 大神官は呆れたように溜息をついた。
「懲らしめにしては、いささか悪趣味ではございませんか。それに、もしこのことが他へ知れたら」
「まさか『託宣の間』を覗き見たなんて、誰にも言えやしないわよ。もし口外しようとする
 ならば、その時は――」
「どうか、あまりむごいことをなさいますな。あれはまったく無邪気な者で、私への行いも、
 なによりも貴女を深く崇拝するがゆえ。他に下心などはありますまい」
 女神はピクリと眉を吊り上げる。
「あまりあの娘を庇わないで。面白くないわ」
「庇うわけではありませんが、あれでも一応、私の血縁でございますゆえ」
「だからこそ、この程度で済ませてあげてるのに」
「我が君……」
「あなたに余計な手出しをする者は、悪意であれ好意であれ、許さないわ」
 女神の激しい言葉に、大神官は何か言おうとしたが、そのまま口をつぐみ、代わりに静かな
微笑みを彼女に向けた。そして彼女の片側の頬にそっと指を添えて、言った。
「そんな険しいお顔をなさいますな。せっかくの美しいお顔が台無しではありませんか」
 彼の言葉に、女神は蕩けるような笑顔を見せた。
「そう、いつもそのように、優しく、お美しくあってください……我が君」
「あなたもね、エルーク」
 女神は彼の名を呼び、再び彼に接吻しようと唇を近づけた。大神官はその唇を指先で軽く制する。
「――その前に、扉を」
「そうだったわね」
 女神のその言葉を受けるかのように、サフィーラが覗き見てしまった扉の隙間は独りでに
閉じて、そのままガチャンと閂が降りた。

466 :
〈3〉追憶
 大神官は、女神と初めて出会った日のことを思い出していた。
 ――あれは、私が十六の春のことだったか。あれからもう、どれほど経つのだろう。
 あれから数えて、今は何百何十何年目か。二百年を過ぎた頃から、過ぎ去った年の数を
覚えるのも億劫になっていた。
 それは、大神官がまだエルーク王子と呼ばれていた頃の話である。
 時の国王の末息子だったエルークは、将来の神官候補として神殿で教育を受けていた。
まだ巫女の制度はなく、男性神官だけが神殿を管理していた時代だ。
 その日、エルークは神殿内で一人の女性に出くわした。黄金の髪に灰色の瞳、白い肌に
柔らかな曙の光を放つ衣を身にまとった、若く美しい女性。男性神官だけの神殿にはおよそ
似つかわしくない存在のはずだが、その圧倒的な神々しさに、彼は彼女が「神殿の主」だと
直感した。
 彼はただひと言、「我が君」とだけ言って、彼女の前に跪いた。
「そう。私が誰だか、あなたにはわかるのね」
 彼女はそう言って微笑むと、平伏するエルークの顔を手でついっと上に持ち上げて、
いきなり彼の唇に接吻をした。
「賢く、美しい子。気に入ったわ」
 そして彼女の姿は、すうっとかき消すように見えなくなった。幼い頃から神殿で純粋培養
されてきたエルークは、突然の接吻に狼狽えた。そして、やはり彼女が女神その人なのだと
確信した。
 その後、女神が彼の前に姿を現すことはなかったが、彼は女神の気配を身近に感じながら、
神官となって女神に仕える日が来るのを待ち遠しく思うようになった。
 やがてエルークは成年に達し、正式な神官となった。
 神官となる儀式を終えたその日の夜、私室に一人きりでいる彼の許へ、不意に女神が姿を
現した。女神は数年前に出会ったときとまったく変わらない容姿と出で立ちである。
 彼女は、驚いて跪くエルークを立ち上がらせると、彼の顔を両手で包み込むように撫でて、
嬉しそうに微笑んだ。
「この日が来るのを、待ち焦がれていたわ。私が見込んだとおり、立派に成長して」
 そうして女神は、彼に抗う隙も与えず、その唇を奪った。
 初めて出会ったときとは異なる、情熱的な深い口づけ。柔らかな唇と甘い花の蜜のような
湿り気、短い息継ぎ、熱い吐息、唇の隙間から入り込んでくる舌……、ただ茫然と、女神に
されるがままになっていると、いつの間にか彼女の手は彼の服の襟元からスルリと忍び入り、
それを脱がそうとしている。
「な…っ、何をなさいます」
 エルークはやっと我に返ると、慌てて女神の手をふりほどこうとした。が、女神はひるまない。
「何って……良いじゃない。あなたは私の神官、私だけのものでしょう? ずっとこの日を
 待っていたのよ。だって私、まだ正式に私のものでない者に手を出すほどの節操なしじゃ
 ないもの」
 女神にぐいぐいと迫られたエルークは寝台にドサッと押し倒され、彼の上に女神が覆い
被さる格好になった。
「で、ですがっ、神殿の神官には、貞操を守る戒律が……」
「当然でしょう。私に忠誠を誓う神官が他の女にうつつを抜かすだなんて、不愉快だもの」
 女神との情交はそれに該当しない、そう言いたいのだろう。
「さあ、私のものになってちょうだい。そうすれば、他の誰にも手の届かない権力と若さを
 あなたにあげるわ」
「別に、権力など、欲しくは――」
 弱々しく首を横に振るエルークに、女神は悲しそうに表情を曇らせた。
「それとも……エルークは、私のことが嫌い?」
 その表情があまりにも儚げで愛らしいので、エルークは思わずドキリとした。
 長年の崇拝の対象であり、初めて出会った日からは憧れの対象でもあった女神を「愛らしい」
と思うことがあろうとは、思ってもみなかった。甘酸っぱいようなこそばゆいような、
そんな不思議な感覚が、彼の体中に痺れるように広がってゆく。
「……いいえ」
 エルークは、今度は彼女の疑いを否定するために、優しく首を横に振った。
「お慕いしております――どうぞ、御心のままに」
 そう言うと、彼は観念したように体の力を抜いた。そして、彼は女神の抱擁を受け入れ、
彼女に全てを委ねた。

467 :
 その後は、無我夢中だった。
 女神の熱い口づけに応え、彼女の唇以外にも魅力的な部分に唇を這わせる。金糸のような
彼女の細く柔らかな髪が唾液に濡れて、彼女の頬に、そして彼の頬に、絡みつくように
張り付いた。彼女の柔らかな肢体を服の上からまさぐってはみるが、その先はどうすれば
良いのかと戸惑っていると、彼女がさりげなく導いてくれた。衣を脱いだ女神の肌は、滑らかに
むっちりとして、温かい。その豊かな柔らかい胸が自分の体に押しつけられるだけで、息が
詰まりそうになってしまう。
「そんなに緊張しなくていいのよ?」
「はい……」
 徐々に彼の息も荒くなり、低いあえぎ声が口から漏れる。部屋の外へ聞こえているのでは、
と思わずドアのほうに視線をやると、彼の不安を取り除くように女神が言った。
「大丈夫よ。でも、そうね、気になるなら――」
 女神がそう言うや否や、どこからともなく薄い覆い布のような淡い光が現れ、幾重にも
彼らの周りを取り囲んだ。まるで神々の天幕の中にいるようだ。
「だから、こっちに集中して……ね?」
 女神はエルークの服を全て脱がせると、その細い指先を彼の胸板から腹へ、さらにその
先へと這わせていった。淫靡な刺激に、彼は思わず、うわずった叫び声を漏らす。
「あ……あッ」
 今まで自分でも聞いたことがないような声に、それまで彼を抑えていた最後の理性のたがが
外れた。彼は身を横に反転させると、それまで自分の上にいた女神を下に組み敷いた。息を
荒くさせながら、彼女の唇を貪り、豊かな胸に顔を埋め、柔らかな曲線を描く腰から太股を
撫で回す。
「そうよ……、そう……あぁ……」
 女神は彼のぎこちない愛撫を受け入れ、艶めかしく身をよじりながら、甘い吐息と一緒に
悦びの声を漏らした。彼女も彼の唇から頬、首筋、鎖骨へと熱い口づけを返す。
 やがて女神は、彼女のなだらかな下腹部を撫でている彼の利き手に軽く手を添えると、
さらにその先にある茂みへといざなった。茂みの奥に到達すると、ぬるりとした熱い蜜が
彼の指先を濡らした。柔らかな花芯を指先で撫でると、さらに溢れ出てきた蜜が彼の指を
汚す。
 気持ちいいわ、と甘くあえぎながら、女神は両脚を持ち上げるように大胆に左右に開いた。
彼女の濡れた秘部がすっかり露わだ。荒い息づかいでそれを見下ろす彼の陰茎も、硬く
大きく、そそりたっていた。
「我が君……」
「さあ、入れてちょうだい……ここへ」
 女神はそう言うと、彼の陰茎に片手を添えて、自らの秘部へと導いた。竿先が蜜の溢れる
入口に触れて、その刺激が彼の全身を熱く駆け巡る。彼の肉棒はそのままヌルリと、熱い
蜜壺の中へと潜り込む。
 頭が真っ白になり、彼はそのまま一気に彼女を貫いた。
「ん…ッ――……あぁ……」
 彼の挿入に、女神は低く呻くような嬌声で反応した。エルークは女神を抱きしめ、その
首筋に顔を埋めた。体中に熱い血が駆け巡り、想像をはるかに超えた快感に、どうして良い
のか分からない。女神は微笑むと、荒い息づかいの彼の頭をふわりと抱き留めて、彼の
暗褐色の髪を優しく弄びながら、ゆっくりと腰を小さく動かした。密着していた肌と肌の
間に隙間ができて、汗と体液に濡れた肉と肉が軽く弾み合う音がした。
「あなたも、少し動いてみてちょうだい」
「はい」
 言われるままに腰を使って前後に動くと、女神が愉悦の声を上げた。
「あ、あぁっ」
「これで、よろしいですか」
「あぁ…っ、……そう、そうよ、あぁ、いいわ……もっと、もっと……、んっ、あっ、んっ、んっ」
 徐々に激しくなる腰の動きに同調するように、女神の嬌声がリズムを刻む。
 怒濤の如く押し寄せる快感に、いとも容易く、彼は初めての絶頂を迎えた。
 低いうめき声と共に果てた彼を、女神は余裕の笑みで抱きしめる。
「初めて、だものね。――でも、まだまだこれからよ?」
 女神はそう言って彼の唇を唇で塞いだ。エルークは、口移しで注ぎ込まれてくる瑞々しい
精気が体中に広がってゆくのを感じた。さっき放出しきったと思ったものが、再び漲ってくる。
「我が君……」
 エルークは甘く気だるい声でそう呟くと、体を繋げたまま、両腕で自分の上半身を支える
ようにして少し身を起こした。そして美しい女主人への奉仕を再び行うべく、今度はいくぶん
落ち着いた様子で、ゆっくりと腰を動かし始めた。

468 :
 その日以来、女神は彼の許を夜ごと訪れ、情を交わすようになった。
 ――神官になった日、確かに女神へ身も心も捧げるとは誓ったが、まさかそれが、女神の
情夫として奉仕するという意味になるなんて……。
 神殿には大勢の神官がいたが、女神が逢瀬の相手に選ぶのはエルークだけだった。他の
神官たちが厳しい戒律を守る中、自分は女神に選ばれ愛されているのだという優越感が彼を
陶酔させたが、その一方で、自分だけが神殿内で快楽を貪っているという後ろめたさもあった。
 その後ろめたさもあってか、普段のエルークは一介の神官として、実に真面目に日々の
勤めに従事していた。女神との関係は誰にも言わず、秘密にした。言っても誰にも信じて
もらえないだろう。もし信じてもらえたとしても、周囲の嫉妬や思惑によって、何らかの
争いに巻き込まれてしまうかもしれない。彼は権力や競争には興味がなかった。
 しばらくして、エルークは自分の身に何か変化が起きていると感じるようになった。
女神との逢瀬の直後はひどく疲れ果てるのに、それが回復したときは、まるで一度んで
生き返ったかのように、逢瀬の前よりも生気を取り戻しているような気がするのだ。
 ある日、彼はその理由を知った。その日の朝、彼はふとした不注意で指先に小さな切り傷を
作っていた。その夜、女神と交わった直後のまどろみの中、彼はふとその傷が跡形もなく
きれいに治っていることに気がついた。
「もしかして、治してくださったのですか」
 驚いて傍らの女神に尋ねると、彼女は事も無げに言った。
「治したのではないわ。あなたの体が、怪我をする前に若返ったからよ」
 それで彼は、女神との情交によって自分の身に何が起こるのかを理解した。不老ではない、
若返りの繰り返し。
 そうして、彼の「時」は緩やかに止まった。
 数年後、年老いた神官長が亡くなると、次の神官長としてエルークが選ばれた。あまりに
若い神官の抜擢に戸惑う声もあったが、王子という彼の出自も後押しとなり、なにより、
女神の託宣がそう命じたため、誰も逆らうことはできなかった。
 やがて、エルークが何十年経っても不自然に若い姿のままでいることに周囲も気付くように
なった。彼の父王が世を去り、その後を継いだ兄王も亡くなり、その息子が年老いて孫が
いる年になっても、彼は依然として二十代の若者の姿のまま――。
 これを「奇跡」「女神の祝福」として讃える者もいたが、同時に、その不可解な若さを
不気味に思い、彼が神のように崇められることを警戒する者もあった。その一人が、彼の
甥にあたる国王だった。
 不老の叔父を脅威に思った国王は、彼を暗しようと刺客を放った。だが、女神の加護に
よって、その企ては失敗に終わった。
「よくも、私のエルークに手出しを……!」
 女神は烈火の如く怒り、首謀者たる国王にを賜った。同時に、その息子である新王にも
恐ろしい病の呪いを与えた。エルークを危険視していた者たちは己の愚かさを悟り、今さらの
ように女神の力を畏れ、平伏したが、女神の怒りはそう簡単には静まらなかった。
「我が君、どうか私に免じて、彼をお許し下さい。彼は何も知らなかったのですから、罪は
 ございますまい。それに、あの者は私の血縁なのです」
「……仕方ないわね。あなたがそう言うのなら」
 されかけたエルーク自身の取りなしによって、女神は漸く怒りを静め、新王にかけた
呪いを解いた。その代償として、王はまだ幼い愛娘を女神への捧げ物として差し出すことに
なった。今に続く「巫女」の始まりである。今でこそ、王家の守護女神の「聖なる巫女」と
されるが、元々はまさしく「女神の端女」であり、女神とその祝福を受けたエルークへの
服従の証だったのだ。
 その後も、良きにつけ悪しきにつけ、エルークに過度に干渉する者が現れると、女神は
容赦ない罰を下した。
「あなたは私のものよ。誰にも手出しなんかさせないんだから」
 あなたは私のもの、女神は口癖のようにそう言った。
 彼はそれに対して、決して「あなたも私のもの」とは返さなかった。そんな傲慢な言葉を
声に出してしまえば最後、すべてが壊れてしまう予感がした。いつかそれが許される日が
来るのではないかと密かに願ったこともあったし、実際、女神はそれを許したかも知れないが、
彼にはそれを試す勇気はなかった。女神と過ごす年月が長くなればなるほど、超越した
存在である女神と、神ならぬ人の身である自分との違いを思い知らされ、それゆえ彼に
とってその言葉は、決して口にしてはならない禁句となった。

469 :
 時は流れ、いつしかエルークは「大神官」と呼ばれるようになった。
 彼は相変わらず、女神との関係をあえて自ら明かそうとはしなかった。それはもはや
妬みを避けるためではなく、女神と彼自身の権威や神殿内の秩序を保つためになっていた。
彼の姿を見た者の中には、大神官の若さと長寿の秘密を探ろうとする者もいたが、結局は
誰にもその謎は解き明かせなかった。
 それは彼の神秘性を高め、彼に取って代わろうとする者が現れるのを未然に防ぎ、ひいては
神殿がらみの無益な権力闘争を排除することに繋がった。
 ――あれから、およそ普通の人間には思いも及ばぬほど長い長い年月を、この神殿で、
女神と共に過ごしてきた。だが、今や「生き神」として崇められるこの身も、所詮、女神に
飽きられ見捨てられれば年老いて朽ち果ててしまう、人間の体。
 女神のお陰で若さを保ってはいても、不ではない。怪我もすれば病にもかかる。その
たびに女神に救われてきたが、いつ何時、女神の加護が及ばぬ事態でを迎えるという
可能性も、ないわけではない。
 もう、退屈するほどに生きてきた。今さら、ぬことは怖くはない。怖いものがあると
すれば、それは、ただ……――。

470 :
連投解除までの待ち時間が思ったよりかかるようなので、
一旦ここで区切って、続きはまた時間を置いてからにします
それでは、また後ほど

471 :
ここで切るのかよっ
GJ!!続きをお待ちしております

472 :
>471 中途半端な投下ですみませんでしたorz
あのまま連投すると、もっと中途半端なところで連投規制にかかるのは確実で、
規制解除を待つ間に寝落ちする危険があったので、一旦区切ることにした次第です
というわけで、>>459-469の続きを投下します

473 :
〈4〉女神の宴
 年に一度の大祭が始まった。潔斎の期間に清められた神殿には色とりどりの花々が飾られ、
王族から庶民まで、女神の民はこぞって供物を捧げる。神殿に参詣する王族とそれに続く
諸侯の行列は、王家の守護女神の威光を内外に示すべく、荘重さの中にも賑々しく執り
行われる。
 祭りの最後の日、女神は麓の町に降って民とともに過ごすとされていた。
 今年も、長老の神官の先導で、女神の輿が神殿から麓の町へと下ってゆく。下級神官に
よって担がれた天蓋付きの黄金の輿は、美しい花々で彩られ、普段は神殿に安置されている
女神の像が乗せられている。大理石に彩色したその像は、白い肌に灰色の瞳、黄金色の
長い髪を結い上げた姿で、古代風の裾の長い衣装を身にまとった若く美しい乙女として表現
されている。沿道に集まってきた民衆は、輿の上の女神像をどこからでも目にすることが
できた。
 その女神の輿のすぐ後に、大神官を乗せたが輿が続く。こちらは女神の輿とは対照的に
質実剛健と言った色形で、背もたれの付いた長椅子の上に天蓋を付け、周囲をぐるりと
垂れ幕で覆っており、外からはその足元くらいしか窺うことができない様子である。
 それらの後を、他の神官や巫女たちがしずしずと付いて歩く。その列の中に、サフィーラも
いた。
 サフィーラは、潔斎の期間中に「託宣の間」で見たことを、誰にも言えずにいた。いや、
言えなかったというより、なにより彼女自身がそれを信じたくなかった。口にしてしまえば、
その出来事を認めることになってしまう。
 ――あの女の人は、何者なのかしら。
 あれからずっと、そんなことばかりを考えていた。大神官様と、あんなに親しげに、神聖な
「託宣の間」で、大神官様に……抱きついて……、その上、せ……接吻……なんて、……なんて
汚らわしい!
 思い出しただけで、なんとも言えない複雑な気持ちて、カッと血が上る。
 ――大神官様が、あの清廉で高潔な大神官様が、あんなことをなさるはずがないわ。あれは、
何かの見間違い。……ああでも、あのとき見たのは、聞いたのは、確かに大神官様のお姿とお声。
 自分が見聞きしたものを認めざるを得なくなると、非難の矛先を「金髪の女性」へと向ける。
 ――そうよ、きっと、あのふしだらな女が、大神官様を誑かそうとしたんだわ。ふしだらな
女……そう、下々の間で遊女とか娼婦とか呼ばれている類の女に違いない。そういう女は、
とても美しい容姿の者たちばかりだと聞くわ。どうやって神殿に入り込んだのかは知らない
けれど、誰かが大神官様を陥れようと、手引きしたのかもしれない。でも、そうよ、あの後、
大神官様はそんな誘惑をきっぱりと退けたに決まってる。だって、他ならぬ大神官様ですもの。
 サフィーラは大神官を乗せた輿の背中を目で追いながら、女神の下向に沸く祭りの喧噪の
中へと歩みを進めていった。
 神輿は麓の町で一番大きな広場に到着すると、特別に組み上げられた貴賓席に安置された。
大神官の輿がそれに並び、神官と巫女がその左右に陣取ると、既に民衆で埋まっていた
広場は女神を歓迎する歓声にあふれ、祝宴が始まった。
 広場では、女神の目を楽しませるべく、各地方の様々な舞楽や競技会などが次々に繰り
広げられた。観衆は、民族衣装で舞い踊る愛らしい娘たちに手拍子で応え、妙なる楽器の
音色と珠玉の歌声に酔いしれ、腕力を競う男達に熱い声援を投げかける。神官や巫女も、
祭りに沸き立つ人々の熱気を受けて、落ち着いたそぶりの中にも徐々に表情がほぐれ、寛いだ
様子で民衆と共にこれらの出し物を楽しんでいた。大神官は最後まで輿を降りることはなく、
決して民の前には顔を見せようとはしなかったが、垂れ幕の向こうから時折発せられる
声の様子から、彼がこの祝宴を楽しんでいるのは、輿から数人分離れたところにいた
サフィーラにもよくわかった。
 勝ち抜き戦による格闘技の優勝者が決まり、広場の熱気は最高潮に達した。大神官の輿からも
「ほう、これは見事な」という、やや昂揚した賞賛の声が漏れ聞こえてきた。それを聞いた
サフィーラは、何やら彼に親しみを感じて嬉しいようなくすぐったいような気持ちで、
輿の方を見やった。
 と、大神官の輿を覆う垂れ幕の隙間から、まばゆい金色の髪がチラリと覗いているでは
ないか。

474 :
 サフィーラは我が目を疑い、瞬きの後に再び輿を凝視した。すると、今度はその隙間から、
とても大神官のものとは思えない、細く白い指先が伸びているのが見えた。
 ――どういうこと!? 大神官様の輿に、大神官様の他に誰かが乗っているの?
 そんな話は聞いていないし、神殿を出た後、今の今まで、誰かがあの輿に乗り込む余地など
なかったはずだ。周囲の神官や巫女は気付いていないのかと、彼らにざっと視線を巡らせて
みるが、誰も大神官の輿の様子は気にも留めていない風情だ。唯一、最長老の神官が
厳しい表情でサフィーラに目配せをしたように見えたが、それもほんの一瞬のことで、
それが輿の様子についてのものだったのか、それとも彼女の取り乱した様子を諫めたもの
だったのか、わからなかった。
 サフィーラは慌てて表情を取り繕ったが、先日の「託宣の間」でのことも思い合わせて、
あってはならない疑いが心の中をグルグルと回り続け、それからずっと最後まで、祭り
どころではなかった。
 祭りの間中、サフィーラは大神官の輿を見張り続けた。夜になって麓の町での行事が終わり、
女神の一行が神殿に戻った後も、適当な言い訳をして、大神官の輿の傍に居続けた。
 彼女が見張っている間、輿の中にいるはずの「金髪と細い指の持ち主」は輿の外には出て
こなかった。ということは、輿が神殿に戻った後もなお、大胆にもその人物は大神官と共に
輿に乗ったままでいるということだ。
 ――私だけが、知っている。私だけが、気付いている。
 サフィーラはそう思った。そして、なんとしても自分の目で、その不審者の正体を確かめ
ようと思った。あの日「託宣の間」で見たような「いかがわしい」人物ならば、唯一この
ことに気付いている自分が諫言しなければ、と考えていた。
 女神像が元通りの場所に戻され、輿の装飾もすべて片付けられ、二つの輿が部屋に収め
られて皆がその場を引き払った後もなお、サフィーラだけは輿の傍に残ったままでいた。
 大神官は一度は離れていたその場に立ち戻り、彼女の行為を訝しんだ。役目を終えた
輿はひっそりと安置され、大神官は既に祭り用の装束から普段の軽装に着替えているが、
サフィーラはまだ盛装のままで、彼女だけがその場で浮いた存在に見える。
「サフィーラ、いつまでそこに居続けるつもりかね」
「いえ……、すぐに参りますので、どうか、お気になさらず」
 まだ輿の中から出てこない「誰か」を待ち受けているのだとは、口が裂けても言えない。
「私の輿に、何か不審なところでもあったかね?」
「――! い、いえ……」
 図星を突かれて狼狽えるサフィーラを横目に、大神官はやや厳しい顔つきで、自分が先ほど
まで乗っていた輿に歩み寄った。
「疑念で心を汚し続けるよりも、さっさと自分の目で確かめなさい。さあ」
 大神官は、輿を覆っている垂れ幕を上まで一気にはね上げた。決して大きくはない一人乗りの
輿の中が、奥まですっかり見える。
「あ……!」
 サフィーラは愕然とした。中は空っぽで、誰もいない。
「そんな……そんなはずは――! だって、私、確かに見た――」
「見た? いったい何を見たと?」
 はぐらかされた、そう感じたサフィーラは、彼をキッと見据えて詰め寄った。
「祭りの最中、私は確かに、この輿の中に金髪の人がいるのを見たんです」
「ほう、金髪の――」
 大神官があまりにも悠然としているので、サフィーラは自分の立場も忘れ、思わずカッと
なって、一気にまくし立てた。
「とぼけないでください! なぜお隠しになるのですか? やましいことでもおありなの
 ですか? この間も、大神官様ともあろうお方が、あんないかがわしい女と、淫らな――」
 いかがわしい女、という言葉に大神官がピクリと反応した。それまでは穏やかだったその
表情が、みるみるうちに冷淡な色へと変わっていく。
 大神官は「だから悪趣味だと申しましたのに」と独り言のように呟いてから、いつになく
冷たく低い声で言った。
「そなた風情に、いったい、何がわかると?」
 サフィーラはやっとそこで、あまりに度を過ぎた自分の言動に気がついて、真っ青になり
ながら「申し訳ございません!」と叫んでその場にひれ伏した。

475 :
「祭りでのことも、他の神官や巫女が、まったく気付いていないとでも? 皆、気配には
 気付いていても、民の前ではあえて素知らぬ振りをしているだけ――その理由が、そなた
 にはわからぬのか」
「……そ……それは……」
「仮にも巫女ともあろう者が、我が君が戯れに姿をお見せになったということに思い至らぬ
 とは。あまつさえ、そのお姿を、その目で確かめたいなどと」
 いつもの大神官からは想像も付かぬほど、冷徹な声だった。もしこのときサフィーラが
顔を上げて彼を仰ぎ見ていたら、彼女を軽蔑するように見下ろす凍てついたその表情に、
徹底的に打ちのめされていたことだろう。
 大神官はそのまま無言で彼女に背を向け、その場を立ち去ろうとした。
「お待ちください! どうか、どうかお許しを……大神官様!」
 サフィーラは許しを請おうと、必で大神官の後を追った。神官服の長い袖に取り縋ろうと
する彼女を振り払おうとした、その腕に、サフィーラの手が触れた。
 大神官が怒りと困惑の混在する表情を見せた、――次の瞬間。
「きゃっ!?」
 サフィーラの華奢な体が、目に見えない何者かに突き飛ばされたかのように後ろへと弾け、
床へドサッと倒れ込んだ。
 二人の周りの空気が俄にざわめき、灯火の炎が激しく揺らめく。すうっと冷えたような
感覚と、今までに感じたことのない威圧感が押し寄せてきて、サフィーラは背筋に寒気を
覚えた。そして、頭上の高いところから彼女の耳と脳に一気に降りてくるかのように、怒りに
満ちた若い女性の声が聞こえてきた。
「私のエルークに軽々しく触れるなんて、身の程知らずが!」
 気がつくと、いつの間にか、大神官の傍らには黄金色の長い髪と灰色の瞳の女性が立っていた。
 この髪の色、この声。あのときの女に間違いない。
 だが、目の前にいる女性の持つ圧倒感は、いったいどうしたことだろう。聖なる巫女である
自分が、すっかり気圧されて、床にへたり込んだまま身動きすらできないなんて。
 辺りには、特徴のある甘い花の香りが立ちこめている。いつも自分たちが女神に捧げている
特別な花の香りだ。
 ――まさか、このお方は……。
「落ち着かれませ、我が君」
 大神官のその言葉に、サフィーラは女性の正体を悟った。
「あ……あ……」
 畏怖のあまり、言葉にならない声がサフィーラの口から漏れた。彼女は今までのことを
全て理解した。大神官が「託宣の間」で睦まじく戯れていた相手――彼がこの世で唯一、
全面的にひれ伏す相手。それがわかった瞬間、女神への不敬とその報いに思いが至り、
恐ろしさに全身がぶるぶると小刻みに震えて止まらなくなった。
 女神はといえば、落ち着かれませ、と諫める大神官をキッと睨み付け、不平そうに言った。
「なによ、この娘を庇うの?」
「このような巫女風情を相手に、わざわざお出ましになってその貴いお姿をお見せになる
 必要はございますまい」
「良いじゃない。もう堪忍袋の緒が切れたのよ、私の好きにさせなさい」
「我が君――」
「神殿から追い出して奴隷の身分に落としてやろうかしら、それともこのまま、飢えた狼の
 ような下界の男どもの群れに放り込んでやろうかしら」
「――どうか、あまりむごいことは」
 女神を宥めるように言う大神官の口調も、どこか投げやりだ。庇い立てすればするほど
火に油を注ぐ結果になることは、彼はもうとっくに知っていた。
 女神は、フンと鼻で笑うと、尻餅をついた状態でへたり込みながらカタカタと震えている
巫女の許へ、ゆっくりと一歩ずつ近づいていった。曙の光のように輝く長い衣が、シャラ…
シャラ…と美しい衣擦れの音を立てる。
「床に這いつくばって、見苦しいこと」
 女神が腕をついっと正面に伸ばすと、不可視の力によって、数歩離れた先に座り込んでいた
サフィーラの体はグイッと乱暴に持ち上げられ、そのまま近くの壁へと強く押しつけられた。
「う…あッ……」
 壁に押しつけられた衝撃に、サフィーラの顔は苦痛に歪んだ。無理矢理立ち上がらされた
状態で、両腕と両脚は見えざる枷によって不自然に壁に押し留められ、辛うじて首から上だけが
自由がきく状態。彼女は恐れおののきながらも、「どうかお慈悲を、どうかお許しを」と
消え入りそうな声で何度も繰り返し、慈悲を請う眼差しを女神に向けた。

476 :
 しかし女神はその懇願を一顧だにせず、無慈悲な微笑とともにサフィーラに近づくと、
畏れにうつむく彼女の顎に直に手を掛けて、グイッと手前に持ち上げた。
「気に入らないわね。あの王家の血筋が色濃く出た顔だこと」
「ど、どうか……お許し下さいませ……」
「耳の形なんか、エルークにそっくり。生意気ね。ええ、気に入らない」
 そう言うと、女神はサフィーラの耳の縁を指でそっとなぞった。
「――ひゃっ!?」
「ああ、本当に、五月蠅い子ねえ。どうしてくれようかしら」
 女神はその美しい顔に嗜虐的な笑みを浮かべると、そのまま、指を柔らかく動かし始めた。
サフィーラの耳の縁から耳たぶへ、耳たぶから耳の内側へ。さわさわと、優しく、ゆっくりと。
くすぐったさとは少し異なるザワザワとした感覚に襲われて、サフィーラは反射的に声を上げた。
「あっ、やッ」
「ああ五月蠅い。少しは黙っていられないのかしら」
 女神の冷淡な言葉に、サフィーラは羞恥と恐怖とでほとんど泣きそうになりながら、口から
こぼれそうになる声を必に堪えた。
「……ん…っ、……んぅ…っ、ふっ」
 女神は彼女を弄ぶ手を止めようとはしなかった。女神のその細く柔らかな指先は、サフィーラの
耳たぶと耳の裏を優しく弄ぶと、今度は耳元から顎の線をゆっくりと撫でていった。顎先まで
達すると、今度は喉元からうなじ、そして肩へ。
「顎と言い、肩と言い、本当に王家の血筋の特徴がよく出ていること」
 女神はサフィーラの肩に這わせた指先を、鎖骨伝いに喉元までをついっと軽く撫でながら
戻すと、さらにその下へと指先を伝わせていった。サフィーラの胸元から足元までを覆う、
裾の長い衣装の布地の上から、女神の指先が彼女の胸の形をなぞるように撫でる。
「あ……!」
 堪えきれずにサフィーラが小さな悲鳴にも似た声を上げた。柔らかな絹の上衣とその下の
薄い下着、その二枚の布の上から絶妙の力加減と柔らかさで撫でられて、ゾクゾクとした
痺れにも似た快感が体中に広がっていく。女神は手のひらを広げて、サフィーラの丸い胸の
膨らみを、服の上から柔らかく揉み始めた。
「あ、や……! お、お許し下さい……!」
「あらやだ。この子ったら、もう感じてるじゃない」
 女神はそう言って、服の上からでもそのぷっくりとした形が見て取れるほどに緊張した
乳首の辺りを、指先で軽く刺激した。
「い…やぁあ…っ」
「黙れと言ったのに、黙っていられないのね。そんなに気持ちいいの?」
 サフィーラは恥ずかしさのあまり、目をつむり、必で口をつぐみ、首を横に振った。
目尻からは涙が伝い落ち、頬は羞恥に赤く染まる。だが――声がこぼれ、肌が震える。体の
芯がじんわりと熱い。女神の怒りに恐怖しながら、大神官が見ている前で――それがまた、
どうしようもなく恥ずかしい。
 サフィーラは女神の責めから逃れようと懸命に身をよじるが、それも空しいことだった。
女神はあくまでもサフィーラの服を乱そうとはせず、その服の上から、片手では彼女の胸を
弄びながら、もう片方の手で彼女の腰から太股の辺りをねっとりと撫で回し始めた。二人の
距離がさらに近づく。
「いやらしい腰つき。自分が清らかだなんて、思い違いも甚だしいわ」
「や……あ……あっ、どうか…お、おやめください…っ、あ、あぁっ」
「そんないやらしい声を出すくせに、よくも人のことを、いかがわしいだの淫らだのと
 言えたものね。『聖なる巫女』が聞いて呆れるわ」
「お、おゆるしくださ…あ、ああっ……い、いやぁ……」
 サフィーラはほとんど泣き顔で、許しを請いながら、喘ぐように小さな嬌声を上げ続けた。
 それまで大神官は彼女たちの痴態を遠巻きに眺めているだけだったが、女神のすぐ傍らまで
歩み寄ると、静かに言った。
「その辺りで、もうおやめください、我が君」
「なによ、またこの娘を庇うの?」
「いいえ」
 大神官は、サフィーラの太股の辺りを弄んでいる女神の腕をつかんで、その淫らな動きを
制止した。
「相手が女であったとしても、貴女がそのようなことをなさるのは、これ以上は耐えられません」
 そう言って、彼はつかんだその腕ごと、女神の体をグイと引き寄せた。
「そのようなことは、どうか、私になさいませ」
 そしてそのまま、彼は女神の体を両腕で抱きしめ、その首筋に接吻をした。

477 :
 女神は心地よさそうな表情でそれに応えると、今度は唇で彼の接吻を受けとめた。何度
か唇が軽くちゅっ、ちゅと重なり合う音がして、やがて二人の口の隙間から、舌がねっと
りと絡み合う湿った音が漏れ始めた。女神は両手で彼の顔から頭にかけてを優しく愛撫し、
彼の両手は彼女の背中や尻をいやらしい動きで撫で回す。
 その様子を間近で見せつけられている哀れな巫女は、絶句したまま茫然としていた。
 想像するだけでもおぞましい、いやらしい行為を、あろうことか、女神と大神官が行っている。
それも、自分の前の前で、平然と。何よりも貴く清らかな存在だと信じてきた大神官その人が、
自ら、こんなことを――。
 そんなはずがない、私は信じない、こんなこと――!
 心の中で否定し続けるその叫びは、声にはならなかった。ただ体が震え続けるだけ。
 二人はそんなサフィーラの存在など気にも留めていないかのように、濃厚な睦み合いを
続けた。大神官は女神の耳元に唇を這わせ、それとは反対側の肩に手を回し、彼女の肩に
掛かる衣装を少しずらしてその肌を露わにした。そしてその手を肩から豊かな乳房へと移動
させると、服の上から手のひらでゆっくりと愛撫する。
「ふふ……、あ…っ、あ、ぁん」
 女神の甘い嬌声と気だるい息づかいがサフィーラの耳に突き刺さる。じゅん、とした熱い
ものが、サフィーラの体の芯を駆け抜けていった。今までに感じたことのない奇妙な感覚に、
彼女は思わず軽く身悶えした。
 女神は彼の愛撫に息を弾ませながら、ふと下女の存在を思い出したとでもいった風情で、
チラリと振り向いて言った。
「いやだわ、あの娘、物欲しそうにこっちを見ているわよ」
「ちが……!」
 サフィーラは目をつぶって激しく首を横に振り、否定した。
「あらあら、嘘はいけないわよ? 口ではそんなこと言っても……ねえ?」
「ちがいます、ちがいます……! そんな、そんな、いやぁ……」
 サフィーラはほとんど泣いていた。自分の体内に疼く熱さの正体、それを決して認める
わけにはいかない。抱擁、熱い口づけ、愛撫――女神様がされていることを……大神官様が
していることを……――。
「やめて……! どうか、おやめください……大神官様」
 サフィーラは縋るような思いで大神官に呼びかけ、懇願した。
 その言葉に、女神の形相が一変した。女神は彼の抱擁を一旦解くと、壁に磔のように戒め
られたままの巫女に向き直り、一喝した。
「お黙り! 所詮は私に捧げられた供物、端女風情が!」
 つむじ風のような風圧が、サフィーラの頬をバシッと強く叩いた。
「彼に頼めば、聞き入れてもらえるとでも? なんて生意気なのかしら」
「あ……あ……も、もうし、わ、わけ……――」
 女神は、再びの恐怖におののく彼女を睨み付けると、口の端に嗜虐的な笑みを浮かべた。
「彼が私のものだってこと、そんなに思い知りたいのかしら?」
 ゾッとするほど美しく微笑む女神。そんな彼女を宥めるように、大神官は彼女を後ろから
両腕で包むかのごとく抱擁した。
「我が君」
「ん……」
 女神は甘えるように彼の腕に身を預けると、意味ありげにニッと微笑した。そして彼の
腕をほどいてその手を取ると、すぐ近くに置かれている輿の許へと連れ立っていった。
先ほど大神官が垂れ幕を上へはね上げたので、ちょうど天蓋付きの長椅子のようになっている。
「さ、ここに座って」
 女神はそこへ腰掛けるように彼に命じた。彼はわずかに躊躇ったが、特に抗うことは
しなかった。その後の流れは大体予想できる――だが、今はいつもの閨とは違う。
 まさか本気なのか、いつもの天幕は――言わずとも、彼の顔にはそう書いてあったこと
だろう。
 だが女神はそれを無視して、彼の隣に腰掛けてぴったりと身を寄せた。そして彼が羽織って
いるローブを脱がせると、彼の下腹部に手を伸ばした。彼かローブの下に着ていた法衣は、
胸元からつま先まで一列に並んだいくつものボタンで留められている。彼女はそのボタンの
うち、彼の腰の辺りから下のものをいくつか外して、その内側に片手を滑り込ませた。
その中で、股間を覆う腰布の隙間を探り当てると、さらにその奥へと手を潜り込ませる。

478 :
「あ……」
 彼女の指の刺激に、思わず声が漏れる。いつもなら、このまま何も考えずにただ快楽に
身を委ねてしまえばいい。だが、今は――。
 無意識にサフィーラのほうを見やっていたのかもしれない。
「エルーク」
 女神は大神官の名を呼んで彼の顔を自分に向け直させ、その唇に口づけした。
「よそ見しないで。あなたにも、お仕置きしないといけないかしら?」
 その微笑みに、彼への怒りの色はなかった。
 ――ああ、そういうことか。
 大神官は彼女の意図を悟った。そして半ば諦めにも似た気持ちで、ただひと言、「御心の
ままに」と呟くと、そのまま彼女に全てを委ねた。
 法衣の下に潜り込んで来た彼女の柔らかな手は、彼の陰茎を優しく弄ぶ。指でなぞるように
刺激したかと思うと、手のひらで包み、ゆっくりと扱き始める。だんだんとその速度は
速まり、彼の陰茎は大きく固く持ち上がってきたが、彼女はあくまでも服の外には出さずに
それを続けた。
「どう? 気持ちいい?」
「はい……」
「気持ちいい?」
「ええ……気持ちいいです、とても……、気持ちいい、あッ、んん…っ」
 あえて彼にしゃべらせようとしているのは明白だった。彼もそれをわかっていた。わかって
いて、わざとちゃんと反応して、言葉を声に出して、あえぎ声を我慢せずに吐き出す。
それは普段とは違うゾクゾクとした興奮をもたらした。
「我が君……、もう、我慢が――」
「私もよ」
 女神は愛撫の手を止めると、自ら衣装の裾をたくし上げ、大神官の片手を自分の陰部へと
いざなった。
「ほら、触って……」
 彼女の腰布の隙間に指を潜り込ませると、柔らかな茂みとその奥はしっとりと濡れていた。
指を少し動かすと、奥から熱い蜜が溢れ出てくる。
 荒い息が、一気に熱を帯びる。大神官は女神の陰部を弄ったまま、彼女の上に覆い被さる
ように、その場に押し倒した。
 背後で、うめき声にも似たサフィーラのすすり泣きが聞こえた。泣き声の合間から
「やめて……」「いや……」と弱々しく訴える声も。気の毒に、この光景を見まいと目を
閉じたとしても、両手は戒められているから耳を塞ぐことまではできない。全ての音が、
気配が、彼女の耳を容赦なく蹂躙しているはずだ。
 そう考えて、ゾクリとした感触が体を掛けてゆく。――なんたること。
 彼は仰向けになった女神の両脚を開くと、彼女の輝く衣装の裾をやや乱暴にたくし上げた。
大理石のように白く滑らかな肌が露わになる。さっき彼女が開いた服の隙間から、既に
いきり立っているものを取り出す。そして、左右に開かれた彼女のむっちりと温かな太股を
脇に抱え、彼女の入口にそれをあてがうと、そのまま一気に奥まで挿入した。
「あ、ああッ」
 女神の体がのけぞり、光をまとった柔らかな装束の裾が大きく波打った。腰から上の装束は
乱れていないが、彼女の息づかいに合わせてさざ波のように細かく震え、肩に掛かる黄金の
髪は妖しく乱れている。青みがかった灰色の瞳は艶めかしく潤んで光を帯び、熟した赤い
果実のような唇からは熱い吐息が漏れる。
「いつもより、乱暴ね……」
「それがお望みなのでは?」
 ばか、と呟いた女神を、彼は愛しいような憎らしいような気持ちで抱きしめた。互いの
装束に隔てられて、重なり合う胸や腹の体温はあまり伝わってこないが、それがかえって、
唯一繋がっている部分の熱さを際立たせた。
「エルーク……私のエルーク」
「はい」
「あなたは私のものよ……忘れないで」
「もちろんです――我が君」
 彼は彼女に深い口づけを与えると、腰を前後に動かし始めた。彼の力強い動きに合わせて、
彼女は「あっ、あっ、あっ」と艶めかしい声を上げる。グチュッ、グチュッという淫らな
音が響き、二人の荒い息づかいがいやらしく絡み合う。たくし上げた女神の装束の重なりが、
小刻みな衣擦れの音を立てる。
 大神官の法衣が彼女の肌と擦れ合うところでは、乾いた衣擦れの音がする。足元までの
長い装束が、動きに合わせて脚に纏わり付く。その不自由さがまた、興奮を掻き立てる。

479 :
 何千何万回と抱いてきたその体は、隅々まで知り尽くしているはずだ。彼女の敏感な
ところも、ちょっとした癖も、反応も、全て知っている。ひと通りのことは二人で経験して
きた。それでもなお、その都度、かつてない感覚を知ることになる。
「あっ、あっ、いいわ…っ、あぁんっ、いい、いいぃっ…!」
 女神の喜悦の声と荒い息づかいだけが、彼の耳を占領していた。背後で打ちのめされて
いる哀れな巫女のすすり泣きは、いつしか聞こえなくなっていた。
 彼は駆り立てられる欲望のままに、体を駆け巡る熱さをそのまま女神の中へと荒々しく
叩きつける。彼女の柔らかく温かな花園は、それを受けとめ、包み込み、奥までしっかりと
飲み込む。痺れるような締め付けとさざ波のような摩擦から生まれる快感が、大きなうねりと
なって彼に襲いかかる。
「我が君……我が君…っ」
「ああっ、もう、だめ…っ! いく、いくぅっ…!」
 切羽詰まった声の後、女神は「あああーっ!」とひときわ高い嬌声を上げた。それと一緒に、
大神官も低いうめき声を上げて精を放った。
 浅いまどろみの中、女神は今まで忘れていたかのような風情で、壁の方に目をやった。
「――あら、あの子ったら、気を失っているわ。いつの間に」
 強いショックのためだろう、哀れな巫女はすっかり意識を失って、見えない枷で両手を
壁に縛り付けられたままぐったりとしていた。頬に残る幾筋もの涙の跡が痛々しい。
 女神が戒めを解くと、サフィーラの体は力なくドサリと床に倒れ伏した。それでも目を
覚ます気配はない。
「……ご満足ですか」
 大神官の気だるい眼差しに、女神はフフッと妖艶に微笑む。
「あなたこそ」
「何を……」
「まんざらでもなかったでしょう? たまには、こんな趣向も良いんじゃない」
 まるで悪びれないその言いぐさに、彼は溜息をついた。
「……まったく、貴女というお方は」
「良いじゃない」
「あまりむごいことはなさいますなと、申し上げましたのに」
「あなたもね」
 私も共犯ですか、と彼は苦笑した。確かにその通りで、反論はできない。
「ねえエルーク、この子、どうしようかしら。このまま帰してしまう?」
「ご自分でなさったことなのですから、後始末もどうぞご自分で」
 えー、と女神はだだっ子のようにむくれてみせる。
 大神官は心底面倒そうに、
「これ以上、あれに関わって、ご不興を買うのは御免ですよ」
と身支度を調えて立ち上がると、彼女たちに背を向けて自室へ戻るそぶりを見せた。女神は
小首をかしげて少しばかり思案していたが、すぐにあっさりと決定を下した。
「ねえ、いっそこのまま私の側仕え役にしてしまうってのはどうかしら?」
 大神官は、おや、と意外そうな顔をして振り向いた。女神が側仕えの巫女を選ぶなど、
久方ぶりのこと。
 彼は女神の傍らに戻ると、その真意を確かめるように、悪戯っ子のような笑みを浮かべて
いる彼女の顔を見つめた。
「気に入らないとおっしゃっていたのでは」
「気に入らないけど、気に入ったのよ。からかい甲斐がありそう」
 また悪趣味な、と彼は呟いて苦笑した。女神はそんな彼をチラリと上目遣いで見やる。
「不服?」
「……いえ」
「でも、あなたには近づかせないわよ。あなたは私だけのものなんだから」
「わかっています」
 あなたも、私だけのものです――そう言えたら、どんなに良いか。
 言いたくても言えないその言葉を、彼はそっと飲み込む。そしてその代わりに、最愛の
人の手を取って、その甲に口付けた。
「どうぞ御心のままに――我が君」
−終−

480 :
投下は以上です
途中で中途半端な小休止を入れてしまい、失礼しました
>>453氏のレスを見て、「おお、ヤンデレ女神様もいいねー」と思ってみたものの、
作者がいまいちヤンデレをちゃんと理解していない恐れがあったことと、
ヤンデレの定義を調べれば調べるほど複雑でよくわからなくなってしまった結果、このような有様ですよと
結果的になんだかいろいろてんこ盛り状態というか、自分の嗜好がよくわからなくなりましたw

481 :
乙!

482 :
いかん
大神官×サフィーラが見たくなってしまった
ちょっと女神様に頃されてくる

483 :
おお、久しぶりの投下が
ありがたやGJ
楽しませて貰った

484 :
何度も読み返して確認したはずなのに、投下後に読み返すたびに見つかる誤字の多さよorz
本当に申し訳ありません
もう一度きっちり確認してから後で保管庫のほうで修正依頼出しておこうかと思います
>>482
それからしばらくして、神々の集会で女神がつかの間の不在の折りに、神殿の片隅にて。
「大神官様は、への恐れはおありですか?」
「そうだね……、私はもう生きすぎたよ。今さらぬことは怖くはない――が……」
「私も、ぬことは怖くはありません」
「そなたはまだ若いのに、何を言う」
「……」
「……泣いているのかね、サフィーラ」
「私……こんな淫らな体になってしまって……私は巫女だというのに、まだ男の人も知らないのに、
 なのに、こんな……」
「……」
「女神様と大神官様のせいです。いまも、大神官様のお声を聞くだけで、体が疼いてしまう……。
 お恨み申し上げます。責任を取ってください」
「何を突然」
「どうか、一度で良いから、私にもお情けを――」
「サフィーラ、自分が何を言っているのか、わかっているのか」
「構いません。んでもいい、いいえ、女神様にされるなら本望です。あのお方の手に掛かってねるなら」
「……私にもねと言うのか」
「ぬのは怖くないと、そうおっしゃったではありませんか」
「それはこれとは話が……あっ、サフィーラ、やめなさい、やめろと――……ああっ」
ダメだ、どう考えてもその先はバッドエンドしか思い浮かばない

485 :
まさか本当に続きを書いてくれるとはっ
サフィーラにも情を移せばバッドエンドにはならねえですよ
側仕え役にするとか意外な展開で終わらせてたからそういうことも想定してたのかと思ったけど
その先は別の語になりそうなんで自分の脳内だけで展開させときます
何だかすまなんだ。ありがとう

486 :
>>485
その脳内展開も見てみたいような(怖い物見たさ的な)
サフィーラをあえて側仕えにしたのは、飼いしというか嫌がらせ的な(ry
もとい、その後に含みを持たせるつもりではあったのですが、
考えれば考えるほど、人にが出そうな結末しか思い浮かばんよーということでorz
実体があって実際に目に見える罰を下すことが出来る女神様が存在する世界では、
聖職者の禁断の恋は、リアル不倫略奪系+バレるのは必須で具体的な制裁有り(ギリシャ神話あたり参照)
って感じで、現実世界での精神的な背徳とか罪悪感とはまた展開が全然違って、
ハッピーエンド的に持って行くのはなかなか難しいものだなあと
特にこの女神様は独占欲の強いお方なので、二人の裏切りを見逃して許すとかはあり得なさそうだし
なまじ大神官とヤンデレ相思相愛なので、いろいろと苦しそうな
あれ、でも、もしかしてそこがヤンデレ女神様の醍醐味だったりして?

487 :
ベネディクトさん辞任すんのな
根比ーべ楽しみ

488 :
次期教皇の年齢次第では、この先20年くらいはコンクラーヴェが開かれない可能性もあるんだよね
しっかり見届けよう

489 :
ベネディクトさあぁああああぁん!!

490 :
TVでマネーロンダリングやマフィアとの繋がりの話を聞いて、悪堕ち聖職者を思い浮かべてゾクゾクした

491 :
>>490
不正をただそうとする純粋なシスターを、
モズグズ様みたいな異端審問官に罪をでっちあげさせ、
性的な拷問にかけてしまうダーク教皇を妄想してしまった。

492 :
迫害され犯される男聖職者を見たい!

493 :
アメリカ系の3DCGイラストだと
大聖堂の地下階の納骨堂の外れにある、さらに地下の秘密室や、洞窟みたいな場所で
異端系の拷問とか、行われているシチュの画像が良く見られます
背徳行為に堕ちた元神父と、魔女疑惑のある元シスターが、同じ牢の中で、心の怖れと葛藤

494 :
修道院の地下階の一室、牢には、決して外には出せない異端の巨大児が成長した姿があり
黒疑惑のあったシスターが、尋問と拷問の果てに罪を告白し、その男の部屋へと送られた
そんな感じの洋物イラスト3DCG
 ttp://galleries1.adult-empire.com/72/7229/17/images/Giants-001.jpg

495 :
男性聖職者関係ないやん

496 :
異端の巨大児…
すげー設定だな

497 :
神父とシスターが一室に隔離されるってのは良いシチュだな。

498 :
ただのガチムチにしか見えんが

499 :
【シスター・尼僧】聖なる女の小説3【巫女・神官】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1242637172/
まああっちのスレ向きだなw
怪物が神父ならこっちの管轄内だけど

500 :
495 悪い、貼り間違えた 舞台は中世で、魔女審判をする神父
 ttp://www.quoom.com/Preview/witchprev1.jpg

501 :
審判は長引きましたが、ようやく魔女との判定が出されました
 ttp://3dbondage.info/scj/thumbs/galleries/0/436/1_546.jpg
 ttp://3dbondage.info/scj/thumbs/galleries/0/436/0_820.jpg

502 :
西洋だと魔女だけど、日本だとなんだろう
狐憑きとかの憑き物落としあたりがそれに相当するのかな
憑き物落としって、密教系の僧とか山伏、陰陽師あたりの担当だろうか

503 :
> 憑き物落とし
現代なら、臨床心理学の、ごく普通の患者の1人になるけど
当時なら、菩提寺の修行僧や、加持祈祷の念力系の荒法師みたいな者の登場かな
未亡人や寡婦が禍事を起こし、村八分にするか、どうかの判定を、集落の長老方で決める際に
住職が、しばらく寺で預かるとか言い出して、裏では、長老方も加わって、地下室で性の慰み物

504 :
>>348のラミロ2世に興味がわいて、ネットでいろいろ調べてたんだけど、
兄王が跡継ぎなく戦して「お家存続のために還俗して結婚してお世継ぎ作って」という事態になったのが、
ラミロ2世が59歳のときだと知って噴いた
父の意向で子供の頃から修道院に入って聖職者になっていたのに、
現代でも「ちょw還暦w」って年齢で還俗&初めての結婚&子作りしろって、そんな無体な
そんな老聖職者と若い未亡人王女の結婚ネタってのも、意外と萌えるような気がしてきた

505 :
59歳!?

506 :
タネは現役だと思うけど、発射装置と周辺機器の動作が健常かが気になる〜

507 :
自分も一瞬、計算間違えたか?と思ったw だけど、
アラゴン王ラミロ2世 1075年頃 - 1157年10月16日 在位:1134年 - 1137年
てことで、やっぱり還俗して即位したのは満59歳の時だった
そんで60歳で結婚、61歳の時に娘のペトロニラが生まれている
で、まだ乳児の娘に譲位して修道院に戻ってるけど、結局82歳まで生きたっていうから、
当時としてはかなり長生きだよね
その頃の修道院なんて決して栄養状態の良い場所でもなかろうし、
元々壮健な人だったか、修道院の節制した生活のおかげで健康で長生きだったのかなーとか
だから60歳でも頑張ってお世継ぎ作れたのかなーとか
ちなみにラミロ2世の妃は生年不詳だけど、彼女の両親の結婚が1094年で、
彼女自身の最初の結婚が1117年とのことなので、ラミロ2世と結婚した頃は30歳くらい〜39歳
未亡人だからあまり若くないのは当然としても、お世継ぎ必須にしてはリスキーな結婚だなオイ

508 :
投下はよ

509 :
はよ

510 :
「ミステリーズ 運命のリスボン」って映画、見た人いる?
19世紀のポルトガルやフランスの貴族社会が舞台のめくるめく大河ドラマで、
エロシーンはほとんどないけど、主役の一人が神父で活躍しまくり、他にも修道士が出てきたりと、聖職者要素たっぷり
在俗の頃の話だけど、神父にも修道士の複雑な過去と恋愛も描かれていて、全体的に面白かった
ただし二部構成で4時間半という上映時間がややネックw
そして回想シーンなどの時系列と演出がちょっと難解
映像はすごくいいしお勧めなんだけど、ヨーロッパの長編映画に慣れていない人にはハードル高めかも
5月になったらDVD出るから良かったら見てみて

511 :
大学の後輩に、地方のお寺の跡取り息子がいた
在学中に本山に修行に行って、帰ってきたとき、ふと、
「卒業したら、見合いで嫁をもらうことになるんだろうな〜、うちは古い寺だから、
お寺のお嬢さんでないといろいろ難しいだろうし」とさらっと言っていたのに少々驚いた
そうか〜、観光寺じゃなくても、地方の古いお寺なら「地元の名士」だから、
人生のうちに「お見合い」が予定されていることも了承済みなんだなあって
お寺と同様、神社の神職さんも「地元の名士」だよね
神職さんの結婚って職場結婚とか、神社の家の子女同士の見合い結婚が多いらしいけど
SS的には、ベタに幼なじみ=自分の神社の古くからの氏子の家の娘さんとの恋愛展開はないのかとか妄想してしまう

512 :
お局と呼ばれるハイミスの巫女みたいなのが、ちゃっかりと喰って、妻の座に収まるのも見てみたい

513 :
後は、>>81にある小説のパターンとか大好きw

514 :
坊さん×未亡人ってのは、葬儀の後の絡みでむにゃむにゃ…というので定番だと思うが
神主さん×未亡人ってシチュエーションはちょっと想像力が要るな

515 :
そういえばこのスレではまだ修道士カドフェルの名前は挙がっていなかったな
人気のシリーズだし、過去の女性遍歴や隠し子までいてエロ要素はありそうなものだが、
やっぱり飄々として世俗の事情に通じたおじさん修道士、というのがエロ妄想を阻むのだろうかw

516 :
頭部に日光が直接当たるから、ハゲの人は大変だな
この季節は

517 :
ドラマのぶっせん色々とヤバいな

518 :
大分遅レスだが>>457のおかげでいい物見れたありがとう
ぶっせんドラマは見てないんだけどどんな感じなんだ?
ライバル寺のお嬢様と坊さんのSMやセンサーの水風俗通いや
宝塚に憧れたナル気味の男装女子・三条はそのまま再現されてるんだろうか

519 :
チンコに鈴つけて、目の前に裸の女を見せて鈴が鳴らなかったら合格という、神父の試験がある

520 :2013/08/29
>>518
OPが坊主のアヘ顔
あとお嬢様の美巨乳
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