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2013年09月レズ・百合萌え114: 【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合6【リン・ルカ】 (430) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合6【リン・ルカ】


1 :2012/11/03 〜 最終レス :2013/09/03
VOCALOIDの百合で萌えるスレです。
亜種やUTAUもOK。
雑談、SS、画像、曲紹介等も大歓迎です。
投下の際は注意書きをお忘れなく。
自作絵をうpする場合は自作と明記する、または保管庫に上げてそのURLを貼るようお願いします。
次スレは480KBか980で立ててください。
保管庫
ttp://wiki.livedoor.jp/lilyvocaloid/
前スレ
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合5【リン・ルカ】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1301669520/

過去スレ
【ミク】VOCALOIDで百合【MEIKO・リン】
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1199576044/
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合2【リン・ルカ】
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1236774365/
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合3【リン・ルカ】
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1261018575/
【MEIKO・ミク】VOCALOIDで百合4【リン・ルカ】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1284960781/

2 :
>>1

3 :
>>1
失礼します。単発のSS書きです。
ルカミクSS投下させていただきます。
長さは18レス分になります。よろしくお願いいたします。

4 :
 「戦うのよ、ハートを撃て……♪」
 携帯電話から、力強い歌声が流れ出す。
 「…んん……」
 それが置かれている枕元に、布団の中からぬっと手が伸びると、手探りで電話をつかみ、音を止めた。
 「ふぁ……」
 電話の持ち主、初音ミクは布団から起き上がると、大きなあくびを一つして、寝ぼけまなこでディスプレイの時計を見た。
 午前9時。
 「9時……9時かぁ……」
 少しの間、布団にぺたんと座り込んだままで、ぼやっとしているミク。――だが。
 「……9時ぃっ!?」
 突然、頭のてっぺんが抜けたような大声を上げると、ミクはその場でがばっと立ち上がった。
 「あああ、ヤバいっ! 今日のバイト、9時前には集合予定だったのにっ!」
 そう叫びながら、大慌てで着替えをするミク、寝巻きにしている緑色のジャージをぽい、と放ると、
 洗濯カゴに顔を突っ込み、それほど汚れの目立たないシャツとジーンズを引っ張り出して、あたふたと身に着けた。
 「このバイト代もらいそこねたら、また家賃延滞するハメに……! とにかく、急がないと!」
 キッチンで適当に顔を洗い、髪の毛を無造作にヘアゴムで縛ると、財布と携帯電話、それから家の鍵だけを引っつかんで、
 ミクはばたばたと部屋を駆け出していった。
 (ああ……ミクったら、ようやく起きましたのね……もう、ホントにお寝坊さんなんですから……)
 そんなミクの様子を、アパートのミクの部屋の、真向かいのドアの隙間から、こっそりと覗いている者がいた。
 「……でも、そんな所がドジっ子らしくて、また一段と可愛いですわ〜」
 きい、とそのドアが開き、内側から、桜色の長髪が印象的な、ロングスカート姿の美女が姿を表す。
 「さあ、わたくしものんびりしてる場合ではありませんわね……早くミクの後を追って、その勇姿を目に焼き付けなければ!」
 そう言うが早いか、その女性――巡音ルカは、ハンドバッグを抱えなおすと、いそいそとアパートの玄関へ向かうのであった。
 

5 :
   
 ――ここは、ボーカロイドだけが暮らすアパート「ボカロ荘」。初音ミクと巡音ルカはそれぞれ、ここで一人暮らしをしている
女性型ボーカロイドだった、
 アパートの入居者としては、ルカの方が先輩にあたる。元々、一緒に暮らしていたマスターとのいざこざから逃げ出してきた
ルカが、このアパートにやって来てから、もうずいぶんの月日が経とうとしていた。
 一人暮らしは不便も多いが、その自由は何物にも代えがたい。ルカは毎日を、それなりに楽しく過ごしていた。
 そんなルカの前に――文字通り目の前の部屋に、ある日、ミクがひょっこりと現れたのだ。
 ルカは今でも、ミクが初めて挨拶にやってきた日のことを忘れられない。
 部屋の中でくつろいでいたルカの耳に、コンコン、と飛び込んできたノックの音と、
 「すいませーん……」
 という、遠慮がちな訪いを立てる、ミクの声を。
 「はい、どなたかしら?」
 がちゃり、とドアを開けたルカの前には、トレーナー姿で、緑色の髪をツインテールにした一人の少女が、しゃちこばって
立っていた。
 「あ……どうも」
 少女はおどおどとした様子で、ちらちらと上目遣いをしながら、ルカに話しかけてきた。
 「えと……今度、そこの部屋に住ませてもらう事になった、初音っす。どぞ……よろしく」
 ぺこり、とミクが小さく頭を下げる。
 その姿を見下ろした時、ルカは、きゅぅん、と胸が高鳴るのをはっきりと自覚した。
 (……可愛いっ!!)
 ――これ以上ないほどの、完全な一目惚れであった。
 

6 :
  
 「?……あの、ええと、巡音、さん?」
 返事もせず、直立不動のままでぶるぶると震えだしたルカを見て、ミクが心配そうに声をかける。
 「へっ!? あっ、ああ、ここ、これはどうもご丁寧にですわ!」
 我に返ったルカが、しどろもどろで挨拶を返し、ギクシャクとした動作でお辞儀をする。そのまま顔を上げた所で、二人は
正面から向き合う形になった。
 (可愛い……! ホントに可愛らしいですわ……! 宝石のようなその瞳、みずみずしい果実のようなその唇、
  若木に成る、新緑のようなその髪……! 全てがまるで、お人形のように……!)
 ほぉぉっ、と密かにため息を漏らすルカ。ボーカロイドが人形のようなのは、ある意味、当たり前のことなのだが。
 「じゃ……これで」
 もう一度、ぺこ、と会釈をして、ミクがその場を去ろうとする。その背中に向けて、ルカは思わず声をかけていた。
 「あっ、あのっ! ちょっと、お待ちになって!」
 「え?」
 振り返ったミクに、ルカは何か、もう一言、言葉をかけたかった。彼女と親しくなるために。
 日常的に、会話を交わせる仲になるために。
 「あの、その、わ、わたくし、あなたの……」
 だが、上手い言葉が出て来ない。
 「……?」
 だんだんと、妙なものを見るような目つきに変わっていくミクに、ルカの焦りはさらに加速する。
 (とにかく、困った事があったら、何でも相談してほしい、って……! あと、笑顔を見せて好印象を……!)
 それだけを伝えようとしたルカの口から出てきたのは、以下のような言葉であった。
 「貴女如きでは手に負えない難題があれば、遠慮なく、このわたくしに助けを求めるといいですわ! その時は、力になって
  差し上げてもよろしくってよ? まあ、それも気が向いたらの話ですけれど。おーっほっほっほ!」
 ――二人の動きが固まり、一瞬の間が空いたのち、
 「……そーすか」
 という、ミクの乾いた声がぽつり、と吐き出され、がちゃり、ばたんというドアの音が響いた。
 一人、ぽつんと取り残されたルカは、かなり長いこと、その場で立ち尽くしていたのだった。
 

7 :
 
 そんなこんなで、最悪の第一印象をミクに与えてしまったルカは、その後、ことある毎にミクに話しかけ、何とか挽回に
努めてきた。が、その気持ちが空回りしてしまうのか、いつも結果は芳しくない。
 その一方、ミクを想う気持ちは膨れ上がる一方であり、それはちょっと、歪んだ形をとって、噴出してしまう結果となった。
 すなわち――
 「おはようございます、巡音さん」
 アパートの玄関で、ルカは、管理人のカイトと出くわした。彼は男性型ボーカロイドだが、住人ではなく、このアパートの
管理人を勤めている。
 「あら、カイトさん。おはようございます」
 ルカは立ち止まり、にっこりと笑顔を浮かべてあいさつをする。
 「今朝は、初音さんも巡音さんも、朝早くからお出かけですね」
 ほうきを片手に、掃除をしていた手を休めて、カイトがルカに話しかける。
 そうなんですの、などとルカが相槌を打つうち、カイトがふふ、と微笑んだ。
 「巡音さん、今日は何だか、浮き浮きしているようですね。何か、いい事でもあったんですか?」
 「ええ、ちょっと」
 あいまいにそう答えると、それじゃ、とルカは歩き出した。お気をつけて、とカイトが手を振り、見送る。
 (そう……これ以上にうれしい事があるかしら)
 アパートから、駅前に続く道を足早に歩きながら、ルカは口元が緩むのを抑えられない。もう一度、ハンドバッグにちらりと
視線をやり、その上から、中に忍ばせているビデオカメラの存在を確かめるようにそっと撫でた。
 (今日は待ちに待った、ミクの、ヒーローショー出演のバイト当日……! きっとミクの、キュートでセクシーなコスプレ姿が
  拝めるに違いありませんわ!)
 ――愛しのミクの姿を、こっそりとフィルムに納め、一人それを眺めては悦に入る――
 早い話が、盗撮である。
 

8 :
 
 『……さあ、ちびっ子のみんな! 大きな声で叫んでね! せーの……』
 『うーろたーんだー!』
 ルカが駅前広場にやって来たころには、もう『卑怯戦隊うろたんだーショー』のステージは始まっていた。
 「開演には間に合いませんでしたけど……ミクも、少し前に着いたところでしょうから、出番はまだのはずですわね」
 そう言いながら、ルカはきょろきょろとあたりを見回すと、広場の植え込みに素早く飛び込み、そっと身を隠した。
ここからなら、関係者に気づかれることなく、広場の特設ステージ全体をカメラに収められる。
 「前回の『マジカル☆ぬこレンレンショー』の時は、警備員に見つかって偉い目に会いましたもの……もう二度と、あんな失敗を
  繰り返すわけには参りませんわ」
 そう言いながら、ルカはてきぱきとビデオカメラを取り出すと電源を入れ、すちゃっ、と眼前に構えた。
 「……さあ、早いところ出ておいでなさい、ミク……! あなたのステキな姿、このわたくしが、フルハイビジョンで記録に
  留めてさしあげましょう!」
 どこぞの狙撃手のような面持ちで、ふふふ、とファインダーを覗き込むルカ。
 ――しかし。
 『ギギィッ! だまし討ちとは卑怯だぞ、うろたんだー!』
 『うるさい! どんな手を使おうとも、勝った者が正義なのだ!』
 『その調子よ! がんばって、うろたんだー!』
 待てど暮らせど、ミクの現れる気配はなかった。
 ヒーローサイドの女戦士でもなく。
 分厚い着ぐるみを着た怪人でもなく。
 ましてや司会のお姉さんでもない。
 (……一体、ミクはどこにいるのかしら……?)
 

9 :
 
 もしかして、自分は何か勘違いをしているのだろうか、とルカは不安になった。
 (……いえいえ、そんなはずはありませんわ。一週間前に、ミクの部屋にべったりと耳をくっつけて盗み聞きした電話では、
  確かに今日、このステージでバイトをする、と……)
 ぶんぶんと、激しく首を横に振るルカ。その勢いで、手に持つカメラが左右にぶれる。
 と、その時。
 「……?」
 映像の右端、ステージよりも手前の路上に、何かが映った気がして、ルカはカメラを引き、そちらに焦点を合わせる。
 そこにいたのは――
 「……よろしくお願いしまーす……。あ、よろしくお願いしまっす」
 頭からつま先まで、真っ黒な全身タイツに身を包み、テレビ番組名の書かれたポケットティッシュを通行人に配っている、
一人の戦闘員の姿。
 そして。
 (ま……まさか……)
 その後頭部には、大量の髪を無理やりまとめ込んだような、特大サイズのお団子が出来ていた。
 (ミクですわあれー!?)
 あまりの衝撃に、ぽかんと口を開けて固まってしまうルカ。
 「そんな……花も恥じらう年頃の乙女が、この寒空の中、あんな格好で一人、路上に立っているなんて……! 不憫……! 
  あまりに不憫すぎますわ、ミク……!」
 ルカが思わず、はらはらと落涙する。
 が、当のミクは平然としたもので、通行人に投げかけられる奇異の目つきもものともせず、淡々とティッシュ配りをこなして
いるのであった。
 

10 :
 
 「……あー! こいつ、うろたんだーに出てくる悪い奴だ!」
 「やっちまおーぜ、みんな!」
 通りすがりの小学生の集団が、ミクに向かってちょっかいをかける。慌てたミクが、ぽろり、とティッシュを取り落した。
 「ちょ……やめ……」
 ぽかぽかと脇腹をこづき、足を引っ掛けようとするその様子に、ルカはぎぎぎ、と歯軋りをした。
 (あのクソガキ共、わたくしのミクに何て事を……! 冷凍マグロで頭かち割ってやりますわよ……!?)
 その内飽きてしまったのか、小学生たちはさっさとどこかに行ってしまった。
 ふう、とため息をつくと、ミクは衣装を整え、仕事を再開する。
 (ああ……あんな目に合っても、なおも職務を全うしようとするなんて……! 何て健気なの、ミク……!)
 その、どんな逆境にも決してへこたれない凛とした姿に、ルカは人知れず、涙を流して感動するのであった。
 (……それにしても、ちっともティッシュを受け取ってくれる人がいないようですわね……)
 しばらくミクを撮影していたルカが、ふとそう思う。
 確かに道行く人たちも、顔の見えない全身黒タイツの人間から、ティッシュを受け取るのははばかられるであろう。
 (まったく……誰もかれも目が節穴ですこと。あんな絶世の美少女がそこにいるというのに。……わたくしだったら、その場で
  全てのティッシュを受け取って、おもむろにデートに誘ってオシャレなカフェでお茶をして、それから、それから……)
 ――そんな事を考えているうち、ルカは次第に、自分の妄想の世界へとのめり込んでいってしまった。
 
 

11 :
 
 
 「……わあぁ、すごくステキなお家ですね!」
 豪華な屋敷の門の前で、ミクの笑顔がぱあっと輝く。
 そんな彼女に、ルカがファサッ、と髪をかき上げながら答えた。
 「ふふ、そうかしら? まあこの位、大したものではありませんわ。ここはただの別宅ですもの」
 「ええー、これが別宅なんですか? すごーい!」
 無邪気にはしゃいでいたミクだったが、突然、申し訳なさそうな表情に変わると、おずおずとルカに尋ねた。
 「……でも、ホントにいいんですか? ルカさん……。路上で私が売っていたマッチを全部買い取っていただいた上、
  お食事までごちそうになってしまって、あげくに、こんなステキなお家に招いていただくなんて……」
 「あら、何を言うかと思えば……」
 ルカが、ちょん、とミクの鼻を指でつつく。
 「そんな事を気にしていたの? バカねえ、あなたは何も遠慮する必要なんてないのよ。これは全部、わたくしがしたくて
  やっている事なんだから」
 「でも……」
 未だもじもじとしているミクの手を引いて、ルカはすたすたと歩きだした。
 「さあ、とにかく早く、中に入りましょう? 詳しい話は、あとあと」
 「は、はい、ルカさん」
 そこで急に、ぴたり、とルカの足が止まった。
 「……それから、もう一つ。あなたに言っておく事がありましたわ」
 「?」
 そして、きょとんとしているミクの方を振り向くと、にっこりと微笑んだ。
 「わたくしを呼ぶ時には、『おねえさま』と呼ぶ事。よろしくって?」
 

12 :
 
 「……お風呂、ありがとうございました、おねえさま。広くてとっても気持ちよかったです」
 「そう、それは良かったわ」
 浴室から戻ってきたミクを、ルカは自室のベッドの上で迎えた。
 「……それじゃ、そろそろ寝ましょうか。こちらへいらっしゃい」
 「はい、おねえさま」
 ルカの言葉に素直に従い、ミクは、二人用サイズのベッドに寝転ぶ。
 「それじゃ、お休みなさい……」
 ルカがぱちん、と照明を落とすと、部屋の中は真っ暗になった。
 向かい合って布団に入り、枕を並べる、ルカとミク。少しの間、部屋には、すうすうという二人の寝息だけが響いていた。
 「ん……」
 だが、やがて、その静寂に、ほんの少しの亀裂が入る。
 「うう……ん?」
 途切れ途切れにか細い声を上げていたミクは、何かに触れられているような感覚に、とろとろと目を覚まし、自分の体を
見下ろした。
 「……!」
 暗闇に目が慣れてきた頃、そこに見えたのは、ルカが、ミクのパジャマの袂に手を差し込んでいる光景だった。
 

13 :
 
 「お……おねえさま……!?」
 思わず大声を出してしまうミクに、ルカが「しっ」と人差し指を唇に当てた。
 「大丈夫よ、怖がらないで……」
 そして、ミクの胸元にさしこんだ手の平を、すりすりと動かす。
 滑らかなその手の感触は、ミクに心地よい冷たさを味わわせる。
 「あ……っ、おねえさま、そんな……っ」
 「何も心配いりませんわ。わたくしに、全てを委ねて、楽になさっていて……?」
 ミクの耳元で、ルカがささやいた。その甘い声は、ミクの思考を優しく蕩けさせていく。
 ルカの指が、ミクの突起を探り当てる。小さく突き出したそこを、ルカは、ほとんど触れるか触れないかの距離で、
執拗になぞった。もどかしさとくすぐったさが、ぴりぴりとした快感となり、ミクが小さく声を上げる。
 「んんっ……!」
 「そう……全てをただ、ありのままに受け入れるの……それだけの事ですわ」
 ルカが、ふっと微笑んだ。
 

14 :
 
 「ほら……ミクも」
 パジャマのボタンをプチ、プチと外し、ルカが自分の体を露出する。押さえつけられていた胸が、ぷるん、と揺れた。
 「わたくしの身体に、触れてちょうだい……?」
 ちょうどその時、窓から月光が差し、さぁっと室内を照らした。
 「おねえさま……」
 月明かりにさらされたルカの体は、この世のものとは思えないほどに白く透き通り、美しく輝いてすら見えた。
 それに魅入られたように、ミクがほぼ無意識に手を伸ばす。形の整ったルカの乳房に触れると、二度、三度と揉みほぐした。
 「んっ……どうかしら? 私の胸は」
 「は、はい、すごい……柔らかいです……」
 「ふふ、嬉しい……ほら、もっと近くで御覧なさいな……?」
 そう言うとルカは、ミクの頭を抱き寄せ、自分の胸に、むにゅうっ、と埋める。
 「んむっ……ぷは、んちゅぅっ……」
 ぎゅうっ、と柔肉に顔を押し付けられたミクは、なんとか息を整えると、ルカの乳首にちゅうちゅうと吸い付いた。
ぎこちない舌使いではあったが、それがかえって、ルカの母性をぞくぞくと刺激する。
 「あんっ……そうよ、いい子ね……」
 

15 :
 
 「ああっ、おねえさまっ、私っ、私、もうっ……!」
 ぬちゅり、という水音を立てながら陰唇を弄られるうち、ミクが泣きそうな声でルカに訴えた。
 それを受けて、ルカがもう片手で、優しくミクの体を抱き、耳元に口を寄せる。
 「いいのよ……恥ずかしがることはないわ。私の腕の中で、果てなさい……」
 そして、その耳を、はぷっ、と優しく咥えた。
 「はぁぁん……っ!」
 その瞬間、ミクはルカの手によって、絶頂に導かれていた。
 ルカが、ミクの髪を、愛でるようにさらさらと撫でる。
 「……素敵だったわよ、ミク………ひゃんっ!?」
 その瞬間、突然、ルカの秘裂に、何かがひたり、と触れた。
 「ふふ……おねえさまも、意外とカワイイ声、出すんですね……」
 見れば、未だに荒い息をつきながらも、ふふっと挑発的に笑うミクが、ルカの太股に指を這わせてきていた。
 「ちょ、ちょっと、ミク……!」
 「私ばっかりしてもらってたんじゃ、不公平ですもん。今度は私が、おねえさまにしてあげますね?」
 そう言うと、ミクはすっと唇を差し出し、ルカにちゅっ、と口付けをした。
 「んっ――!」
 唇を、ちろちろと優しく舐められ、股間をくにゅくにゅと弄ばれるうちに、ルカの意識は、甘い夢の中へと溶けていき――
 
 

16 :
 
 「いやん、ダメよ、ミクったら、そこはダメ……! ああっ、でも意外と積極的……!」
 「―――カさん。ルカさんってば」
 「ううん、違うわ、ミク。わたくしの事は、おねえさまって………へ」
 植え込みの中で、ゴロゴロとのた打ち回っていたところを誰かに声をかけられ、ルカはようやく、我に返った。
 目の前に、その「誰か」の足元がある。
 真っ黒いその足から、次第に視線を上の方に向けていくと、そこには。
 「……何やってんですか、こんな所で」
 タイツの顔の部分を脱ぎ、呆れたような顔をしてこちらを覗き込んでいる、ミクの姿があった。
 「みっ、ミミミミクさん!? どどっ、どうしてここが!?」
 突然、妄想の世界から現実に引き戻されたルカは、激しくうろたえた。大きなお団子ヘアーのミクもかわいかったが、今は
それどころではない。
 「いや……私いま、ちょっとその辺でバイトしてたんですけど、そしたらこっちの方で、なんか人がざわついてたんで
  来てみたら……」
 はっと植え込みの周りを見てみれば、そこにはたくさんの通行人が輪になって、ルカを取り囲んでいた。何人か、携帯電話を
掲げて、写真を撮っている若者も見かけられる。
 「あ……あ……」
 ようやく事態を把握しだしたルカは、顔を真っ赤にして、その場でプルプルと震え出す。
 が、最後の力を振り絞って立ち上がると、必にいつもの態度を取り繕い、
 「あああ、あらあらあら! そそ、それは奇遇でしたことですのね! わたくしもちょうど! たまたま! ここに所用を
  片付けに来たところでありましてよ!」
 と、精一杯の声を振り絞った。
 

17 :
 
 「用って……こんな所で何やってたんですか?」
 「そそ、それはもう、貴女ごときには到底理解できないような、高尚で崇高で高慢な所用に決まっていることでしょう!?」
 限界ギリギリでしゃべり続けるルカ、言葉使いも段々と怪しくなってきた。
 「はあ……まあ、何でもいいですけど……」
 ぽりぽりと頭をかきながら、ミクが、言いにくそうに顔をそらした。
 「早く、拭いた方がいいんじゃないですかね……鼻血」
 たら、とルカの鼻の下に流れたそれが、ぽたりと赤い雫になって、植え込みの土に染み込んでいった。
 「〜〜〜〜っ!!」
 ぼん、という音がして、ルカの頭で何かが弾ける。
 矢も楯もたまらなくなり、ルカは、ミクにくるりと背を向けると、辺り構わず全速力で駆け出した。
 「行っちゃった……何だったんだろ。……あれ?」
 唖然としたまま、その背中を見送ったミクは、地面に何かが転がっていることに気づいて、それを拾い上げた。

 「……ビデオカメラ?」
 

18 :
 
 ――その日の夜半。
 「おや、巡音さん。お帰りなさい」
 アパートの廊下に掲示物を貼り出していたカイトは、玄関の方からやって来たルカに気づき、声をかけた。
 「お出かけはいかがでしたか? こんな時間まで、ずいぶんと楽しんでいらっしゃったみたいですね」
 にこにこと、親しげに話しかけるカイトに対し、ルカはどんよりとした表情で、上半身を折り曲げ、体を引きずるようにして
歩いている。
 そして、カイトの目の前まで来ると、すくい上げるような目つきになった。
 「……やかましいのよこの裸ザル。その鼻の穴に一本ずつチュー○ットぶち込むわよ?」
 「ええ!?」
 朝とは別人のように沈み込んでしまっているルカにカイトは驚き、ただ、自分の部屋へと戻る彼女を、ぽかんとして見送る
ばかりであった。

 「……嫌われた。絶対、ミクに嫌われた……」
 廊下を歩きながら、ルカが繰り返し、ぽつぽつと呟く。
 「あんな恥ずかしいところを見られて、訳の分からない事を言った上に、黙って逃げ出したりして……うう、もう絶対、
  変な女だと思われてますわ……」
 そう言って、顔を手で覆うルカ。変な人だと思われているのは初めからなのだが。
 「しかも、慌てていたせいでビデオカメラまで置いてきてしまって……。こんな時間になるまで探し回りましたけど、結局、
  見つかりませんでしたわね……」
 がっくりとうなだれながら、自室へとたどり着いたルカ。ちら、と一瞬だけ、ミクの部屋の方へ目をやってから、自分の部屋の
ドアノブに手を伸ばした。
 と。
 「……?」
 そこに、コンビニ袋が一つ、ぶら下げられているのを見つけた。
 

19 :
 
 「何かしら……これ」
 ルカは袋を手に取ると、がさがさと中身を取り出してみる。そして、「あっ!」と声を出して驚いた。
 そこには何と、無くしたはずのビデオカメラが包まれていたのである。
 「これ、わたくしの……! でも、一体誰が……?」
 袋には、他にも何かが入っているようだ。ルカは一枚のメモ用紙を見つけ、それを手に取った。
 表面に、文章が書かれている。
 『ルカさんへ。
  初音です。駅前にカメラを忘れていったみたいなので、お届けしました。その時に、いけないとは思ったのですが、
  ルカさんのものなのか確認するために、ちょっと内容を再生しました。ごめんなさい。』
 「ええっ!?」
 とんでもない事が書かれているそのメモ用紙を手に、ルカはもう一度、ばっとミクの部屋の方を振り向いた。金属製のドアは、
素知らぬ顔をルカに向けており、そこからは当然ながら、なんの表情も読み取ることはできない。
 (まさか、ビデオカメラがミクに拾われていたなんて……! しかも、中身を見られたですって……!?)
 不安に、ドキドキとルカの鼓動が早まる。もし、ミクの姿を盗撮しているところがバレでもしたら、一巻の終わりだ。
 細かく震える手で、ルカはもう一度メモ用紙を握り直し、廊下の頼りない電燈の下で、恐る恐る続きを読んだ。
 『ルカさん、うろたんだーショーを見に来てたんですね。態度がヘンだったのも、「大人がヒーローショーを見に来るなんて
  恥ずかしい」とか、思ってたせいだったんでしょうか。
  それはともかく、ショーの映像の裏で、何かをぶつぶつ呟いているルカさんの声が入っていたので、その時点でルカさんの
  ものだと思い、再生は停止しました。だから、それ以降の部分は見ていません。』
 「――セェェフ!!」
 自分の独り言グセに深く感謝しつつ、ルカはグッと力強くガッツポーズを決めた。
 

20 :
 
 見れば、袋の中には他にもまだ、何かが入っている。
 のぞいてみると、今朝、ミクが配っていたポケットティッシュがいくつか包まれていた。
 『それから、配り損ねたティッシュをこっそりガメてきたので、これで鼻血を拭いてください。よく分かりませんが、体を
  お大事に。』
 文章の続きは、そう締めくくられていた。
 「ミク……!」
 メモを持った手を、胸にぎゅっと当てて、ルカは目を閉じた。
 その瞳から、涙がぽろり、とこぼれる。
 先程まで、胸の内に溜まっていた淀んだ気持ちは、すでに、きれいさっぱり無くなっていた。
 「……だらしなくて、ぶっきらぼうな所もあるけれど、でも、いつでも頑張ってて、他人に優しい……。そんなミクが、
  わたくしはやっぱり、大好きですわ……」
 明日こそ、きちんとお礼を言おう。素直に、気持ちを伝えよう。
 そう決意したルカは、ティッシュを手に取り、涙を拭きとろうとする。
 が、しかし。
 (……ミクが、配り損ねたティッシュ?)
 その指が、ティッシュをつまみ上げたところで、ぴたり、と止まった。
 

21 :
 
 メモのその文章に、何かを感じたルカは、ビデオカメラの電源を入れ、ミクがティッシュ配りをしているシーンを再確認する。
 見ると、全身タイツのように見えた衣装は、ただのタイツではなく、ところどころに、目立たないようにポケットが付いている
ようで、ミクは、そこからティッシュを取り出しては、通行人に手渡していた。――すなわち、
 胸や。
 腰や。
 お尻のあたりから。
 (……つまり、配られなかったティッシュというのは、一日中、ミクのそれらの部位に密着して――)
 にわかに、ルカの吐息がはあはあと荒ぶり出す。
 それから突如、そのティッシュをむんずと鷲掴みにすると、全速力で部屋に駆け込んで、がちゃん、と勢いよくドアを閉めた。

 ――結局の所、ティッシュは全て、ルカの手によって『あらぬ目的』に利用されてしまい、その日のうちにゴミ箱行きとなり、
それが原因で、ルカは次の日、ミクとまともに顔を合わせることが出来ず、またしても奇行に走ってしまう事となる。
 こうして今日も、ボカロ荘の日常は、変わることなく続いていくのであった。
 
 

22 :
以上、お目汚し失礼いたしました。
楽しんでいただければ幸いです。

23 :
>>22
面白かった。GJ!

24 :
>>1スレ建て乙&皆様超絶お久しぶりです!
やっと新作できましたので貼っていきます いつものマスハクです
【pixiv】ttp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=1664148
【保管庫】ttp://wiki.livedoor.jp/lilyvocaloid/d/ss0297
楽しんでいただければ幸いです
それでは失礼しますm(__)m

25 :
>>22
ルカさん変態杉ワロタ

26 :
fのOPがルカミク同棲解消に見えるんですが

27 :
最近ゆかりとIAの妄想が爆発してる

28 :
しかし過疎ってるな…
やっぱりボカロ百合自体がマイナーなのかね

29 :
>>28
確かにマイナーなのかもな
VOCALIODが流行った2007〜2008年頃は マスター×ミクが主だし
曲もSS職人もマスターの数だけ設定がバラバラで浸透しづらいからな
百合曲は増えていってるのにな
VOCALOIDも増えて話題になったけど全体的にぼやけた感じ
今年一般的に『初音ミク』だけがメジャーになったから なお思うわ

30 :
Twitterで百合クラスタや女子ボカロクラスタで固まってると、ボカロ百合が過疎ってるとは思わないんだが
ここは確かに女子ボカロの人数増えるごとに過疎っていってる感があるよな…

31 :
自分はpixivで絵も小説もこまめにチェックしてるが
ボカロ百合自体は別に少ないってことはないと思うんだよなぁ…
けどここはもう誕生日とか
何かの日(最近ならハロウィンとかポッキーの日とか)でも投下なくなったもんな…
向こうならけっこう投稿されてるのに
寂しいなーネギトロ大好きなんだけどなー

32 :
支部にも投稿しているが、こういう所で匿名投稿したくなる時(ネタ)もある
ただ最近は忍法帖とやらが…

33 :
もうちょっとしたらおとそうそうしよう
きっと誰も覚えてない前スレの引きこもりマスターとミクのお話

34 :
はっじまっるよー
小分けにしたけど想像以上に書き込めることに気付いた 3〜5回で書き込み終わるやったね

「お疲れさまでしたー」
 今日一日の仕事を終えて、緑色のバックの中にタオルや飲みかけのペットボトルを入れる。
 最初は物珍しさだけでテレビに引っ張りだこだったわたしも、最近では歌の方をメインとして扱ってくれる番組が増えてきた。
 少し悪戯っこの双子や、少し年上で大人びた後輩も出来て事務所は順風満帆。
 時々冬でもアイスを配達してくるお兄さんや、お酒が好きな事務員のお姉さんもいます。
 そして、この事務所をここまで大きくしたのが――
「あっら〜んミクちゃんお疲れ様〜♪」
 
 この敏腕社長です。
 正直、この人はマスターの次くらいによくわからない人だと思ってます。
 どこがわからないのか具体的にいうと、まず性別が不明です。
 本人は女性と言っていたので女性なのでしょうが、なんというかこう、非常に中性的です。
 おまけに男性トイレに入ったという目撃情報がちらほらでています。
 そして年齢が不明、なにより、名前が不明。
 だけど業界の人からは絶大な信頼を置かれていて、この事務所が大きくなったのはこの人のおかげといってもいいです。
「社長さんお疲れさまでした」
「いいのよ〜んミクちゃんのおかげで、うちの事務所にまた新しい子が入ってくるようになったから♪」
「新しい人が来るんですか?」
「そうよ〜誰かは来てからのお楽しみ♪ ……で、あの子の様子はどう?」
 社長はどんな人にも名前に、ちゃん、とつける。
 唯一あの子というのは、わたしのマスターのだけ。
「いつも通りに寝て起きて寝て……を繰り返してます」
「そう……」
 頬に手を当てて社長さんはため息をつく。
「あの……」
「なに?」
「社長さんとマスターは……どんな関係なんですか?」

35 :
「……昔の男と女」
「マスターは女性なので社長さんってやっぱりおとk
「あの子が男って可能性が」
「マスターはお風呂上りは裸で歩くのでハッキリわかってます」
「……ミクちゃんはエッチな子ねえ!」
「ご、誤魔化さないでください!」
 思わず叫んでしまって、仕事が終わったからと机でお酒を飲んでいた事務員さんがこっちを向いた。
「うふふかわいい子♪」
「も、もう質問に答えてくださいよ……」
 頬が赤くなっていくのが自分でもわかる。
 
「いつかあの子が話してくれると思うわ。多分だけど、ミクちゃんなら話すとおもうのよねあたし」
「わたしなら?」
「そ。あたしのカンじゃないかっていわれたらそれまでだけどねん」
「……いえ、信じることにします」
「あらそう……あたしも願ってるわ」
 ふと時計をみるといつの間にか時間はかなり経過していた。
 これじゃあ家に帰る頃には深夜になっている。
「あらもうこんな時間……ミクちゃん明日は確かトレーニングの日よね」
「はい」
「あたしが言っておくから明日は休みでいいわよん。偶にはお休みしないとね」
「いいんですか?」
「いいのよ。あの子もそのほうが喜ぶと思うしね」
「……ありがとうございます」
「うふふそれじゃあね」
 手をひらひらとさせながら社長は社長室へと入っていった。
 わたしはマスターがお腹をすかせているかもしれないと思い、バックを持って急いで家へと帰ることにした。

36 :
 結局、家に着いたのは予定よりもさらに1時間ほど遅れて次の日になったころだった。
 家に明かりはともっていないので恐らくマスターは寝ていると思う。
 
「そういえば……わたしってここに来てからこんなに遅く帰ったことなかったな」
 玄関のカギを開けて中に入る。
「ただいま戻りました……」
 あまり意味は無いけど小声で言う。
 この家は外見からはあまり予想ができないかもしれないけど、台所と食卓がある部屋以外は全て防音素材が使われていて、部屋の音が外に漏れることは無い。
 なんでもマスターがわたしが来るからといって改装をしたらしい……のだけれど、わたしが来るって決定してたった半月で全てを防音に出来るものなのかはわからない。
「ん……?」
 そんなことを思っていると何か聞えたような気がした。
 ……ふっ、ふ……うっ……
 耳をすませるとマスターの声だということがわかった。
 音が聞えるのは台所と食卓のみ、この二つのうちマスターがいる場所は食卓兼マスターの自室その1しかない。
 よくわからないけれど、何かを押し込めているようなそんな声。
 靴を脱いで恐る恐るわたしは食卓へと、念の為音を立てないように向かう。
 少しだけ扉が開いていたのでそこから部屋の様子を確認すると、部屋の中は真っ暗だった。
 
 う、ふぐっ、あう、う……
 声と一緒に部屋の中で布がこすれるような音が聞える。
 
「……ます、たー?」
 私が声をかけると、ピタリと声はやんだ。
「大丈夫です……か?」
 目も暗闇に慣れてきて、布団が膨らんでいたのでマスターが布団にもぐっているのがわかる。
 それでも足元はまだよく見えないので物を踏まないように近づく。
 布団のすぐよこで立ち止まり、わたしは明かりを付ける為に右手をあげる。
「きゃっ!?」
 引っ張ろうとおもった時、突然マスターが左手を掴むとわたしを布団の中へと引きずりこんだ。
「ま、マスター何やってるんですか!」
 右手で体を支えて起きあがろうとすると、手を置いた場所がひんやりとして、ぐしゃっとまるで濡れた地面を踏んだような音が鳴った。

37 :
「……か」
「えっ?」
「……遅かったじゃ……ないでスか……」
 マスターは私の腰に手を回すと胸に顔をうずめてきた。
 顔は見えないけれど、何度もマスターは深呼吸をしているのが服に吹きかけられる息でわかる。
「すいませんマスター。仕事で遅れてしまいました」
 そう言うとマスターの力が強くなる。
「……そうでスか。仕方ないでスネ」
「……マスター」
「……スいませんけど、今日、このまま一緒に寝てもらえませんかネ」
「うぇっ!?」
 変な声が出てしまった。
「……嫌でスか?」
「い、いえ大丈夫です!」
 この人はかなりずるい人だと思う。
 こんな状況で断れる人がいたら、その人は多分性欲とか感情を完ぺきに処理できる人だと思う。
 
 マスターに抱きつかれて20分ほど経過した。
 体感では3時間ほどだと思ったのに、抱きつかれているというだけでこんなにも時間の経過が遅い。
 色々押さえつけるのに精いっぱいで、気をゆるめちゃうと襲い掛かりたくなる……ような、そんな感じがした。
(これ朝まで持つかな……)
「スいませんネ……」
「まだ起きてたんですかマスター」
「どうも寝るのが惜しいと思ってしまいましてネ」
 マスターは抱きつく力を強めた。
「……どうしてか聞かないんでスか?」
「はい」
「……変わった子でスネ」
 抱きしめていた腕を解くと、マスターは私の髪に触れた。
「でも、嫌いじゃないでスよそういうとこ」
「あ、ありがとうございます」
 嘘いつわりの無い、普段のまるで霧の中にあるような言葉ではなく、はっきりとわかった。
 少しだけマスターのことが分かったような気がする。何も根本的な解決はしていないけれど。
 今はマスターの体温がとても気持ち良くてしょうがなかった。

38 :
おわり まだ続くけれどあれイチャイチャ少なくね
見てくださって感謝感謝
マスター 引きこもり。ここ6年ほど家から出てない 白髪 でも昔は黒髪だった
ミク マスターにまともに名前を呼ばれたことが無い 後輩からアタックを受けている気配を感じる

39 :
ミックリマンチョコもといライブステージ伝説のネギトロW○NKが可愛かった

40 :
今回のファミマキャンペーン ネギトロ多いよね?

41 :
良いではないか良いではないか

42 :
コレW○NKだったのか…
http://m2.upup.be/sQhVFVcxZw

43 :
伝説のアイドルデュオと聞く・・・

44 :
淋しい回遊魚(マグロ的に)

45 :
W○NKの曲ってなんか百合っぽいな タイトルからして
『背徳のシナリオ』とか『イマージュな関係』とか
『結婚しようね』『いつまでも好きでいたくて』
『私たちらしいルール』『JIVE INTO THE NIGHT 〜野蛮な夜に〜』…
百合カップルの一生かよ
単に自分がフィルターかかってるだけかもしれんが
【ミクルカ】 愛が止まらない 【Wink】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm11478404

46 :
ビックリマンパロのシールのネギトロいくつか種類あるみたいだし、くじのラバストの組み合わせもだし、くじのカレンダーの絵にもネギトロあったし、今回のファミマコラボはやたらとネギトロ多いから幸せすぎる。

47 :
http://uploda.cc/img/img50c71d76aa41a.JPG
ぽち袋はミクリン ルカメイで
http://uploda.cc/img/img50c71bd9bb183.JPG
キラキラシールはめーちゃんがルカさんを酒で酔わせたり 
眠るミクさんにプレゼントを贈ったり リンちゃんにモテモテだったり
めーちゃんテライケメン

48 :
初音ミクみく 出た!「Newtype」に巡音ルカと初音ミクの新モジュール提案イラストが掲載
http://vocaloid.blog120.fc2.com/blog-entry-13833.html
http://uploda.cc/img/img50c7f656d37e3.jpg

49 :
過疎ってるのでネルミクリンルカの戯れる話

亞北ネルの日記
○月×日
DIVAの出演料が振り込まれた。残高が見たこともない桁になった。
しばらくお腹いっぱい食べられそう。
○月△日
まともなご飯が食べられるようになって一週間がたった。
太ってきたのか、服を着るときに前がなかなか留まらない。
でもスカートはまだ余裕があるから大丈夫。
○月□日
最近リンがやたらと胸を触ってくる。今日は服の中に手をつっこんできた。
睨みつけてもニヤニヤするだけだった。今度言い聞かせる。
□月×日
最近ミクがなぜかよそよそしい。
ルカには肌の露出が多すぎると説教された。ショップまでついてきて
ブラを買うのを見届けるとか言われたので仕方なく何枚か買った。
自分は普段着がシースルーでスリットからパンツ見えてるくせになんか理不尽だ。
□月△日
胸が苦しいので服を仕立て直した。ブラが見えるらしいので着丈を長めにした。
リンが後ろから手をつっこんできたので説教しようとしたらお腹を触られた。
「つまめない」とか言って溜息ついてたのでちょっと勝ち誇った顔をしてやった。
なんか必要以上にうなだれて帰っていった。悪いことしたかな。
□月□日
最近ミクがやたらと密着したがる。
よそよそしくなったのは気のせいだったのかも。
抱きつくのは構わないけどギリギリまで顔近づけるのはやめてほしい。
なんか目が潤んでるし。
思わずキスしそうになったけど方々から怒られそうなのでやめといた。

50 :
×月×日
貯金が減ってきたので二週間ほど前から食費を減らした。
その分痩せたのか、前の服も入るようになった。
会う人がみんな残念そうな顔で、ちゃんとご飯を食べなさいと説教してくる。
私はそんな残念な人なのか。ちょっと悩む。
×月△日
いろんな人が食事をおごってくれる。そしていつも限界まで食べさせられる。
前はそんなことなかったのに。
また前の服が入らなくなってきた。でもスカートには余裕がある。
太ってもウエストは変わらないっぽい。誰かに自慢したくなったけど
私よりスタイル良い奴しかいないことに気づいて落ち込んだ。もう寝る。
×月□日
いつも食事をおごってもらっているミクとリンとルカにお返しのプレゼントをした。
ほんのささやかなものだったけど喜んでくれた。
ミクとリンは年下なのにそんなことしかできない自分が情けない。
でも、かわりに私に色々と衣装を着せたいらしい。
何が楽しいのかわからないけどそのくらいならお安い御用だ。
毎日人並みの食事をとることを帰りに約束させられて帰った。
心配してくれる人、助けてくれる人がたくさんいる。
少し前の私なら考えられなかったことだ。
願わくは、この関係がいつまでも続きますように。

おまけ
12月24日
ななな なん だ こ の
胸 元 ギ リ ギ リ な ミ ニ ス カ サ ン タ 衣 装 は ―――― !!!

お わ り

51 :
>>49
GJよ
栄養を速攻で脂肪へ溜め込むネルちゃんのお胸マジ貧乏性
数ヶ月で消える食費=見たことも無い桁数、って普段どんだけ・・・

52 :
ほっこりしたGJ

53 :
今回は仕事で見送ったんだがボマスの百合作品は何かいいのあったかな?
良いネギトロネルハクサークルあればマークしたいと思うんだが

54 :
>>53
うーむ もうボーマスでも百合作品が過疎ってきてる感あるかもね 自分は全部買った
ざっと紹介するとナモミの社は前回より百合少なめ レンルカメイン
はこねぎもどっちかというとルカ×ルカメインって印象
幸せの朱い兎はなんと言うかぶっ飛んでた
DIVAとかのネタに付いていけるならはこねぎが百合色も濃いし無難かな
続き物なら幸せの朱い兎に期待してもいいと思うわ 初音ミクのキャラ付けが受け入れられるなら普通に面白い
ナモミの社はぼかろけが最高に面白いから買っとけ 百合じゃないけど

55 :
季節ネタ、一部過激な表現有りなので注意

〜今日は12月24日・・・サンタさんが来てくれる日〜
GUMI「みくちゃん!一緒にサンタさんに合おうね!(メイコさん…獲物を狙う狼の目をしてた…!)」
ミク「今日は…絶対寝ないよ!(寝たら…襲われる…!!)」
メイコ「あらあら、でも、夜更かしする悪い子にはサンタさん来てくれないわよ〜♪(うふふ…早く寝なさい…寝た瞬間、あなたたちの貞操は私の物…聖夜は性夜となるのよ…!!)」
ルカ「メイコ、だからって、大人も夜更かししちゃだめよ♪(私のミクちゃんに手を出したら…分かってるわよね?)」
メイコ「う・・・」
ハク「あの…あの…(何…この空気…)」
〜異様な緊張感に包まれつつ夜は更けていった〜

56 :
お久しぶりです
gtPoO65.pkです…ペンネームとかあった方が楽かな?
そんなことより、新作書きました。よかったらどうぞ
保管庫
http://wiki.livedoor.jp/lilyvocaloid/d/ss0298
それでは失礼しました

57 :
『リンちゃんなう!』小説化・マンガ化・DIVA F入曲決定
ttp://www.ichijinsha.co.jp/special/rinchannow/
『百合姫』でお馴染み一迅社!!! 期待せざるを得ない!!!

58 :
?!
このまま“過疎”り続けるのなら……
オレの“ネルミク”やら“ネギドリル”やらの「煩悩(モーソー)」が
“炸裂”(火を)する(噴く)ぜ?!

……ごめん言ってみたかっただけで弾はない
あけましておめでとうございます

59 :
>>58
がんばれ!がんばれよぉ!

60 :
>>58
お前ならできると信じて全裸待機

61 :
過疎ってるな
もうじきバレンタインだしユキりおんが小学校で配るための友チョコをメイコお姉さんやミュウお姉さんに手伝って貰いながら作る的なSSとか来てもいいのよ?

まあ俺得でしかないんですけどね。黒髪茶髪大好物です

62 :
りおんは16歳だよ

63 :
タイムマシンで現代のボカロと仲良く(百合的な意味で)
しようとして未来から来たら、
間違って現代より少し過去に到着してしまい、
そのまま小学生のミクリン、中学生のルカメイコに
いけないことを教えこむりおんさん

64 :
しかし逆に小学生コンビにおいしく頂かれるんですね、分かります。

65 :
ミクxミクまだー?

66 :
プレシャスメモリーズの広告にいいネギトロが

67 :
>>4->>21に感想をくださった皆様、ありがとうございます。元3です。
ミクルカSS投下させていただきます。
以下、注意書きになりますのでご一読ください。
・長さは31レス分です。
 投下規制回避のため、間隔を空けての投下とさせて頂きます。
・このSSは、ぶりるPの楽曲「どえす」を基にした二次創作です。
 SM系の作品であり、 若干の暴力描写を含みますので、苦手な方はご注意ください。

68 :
 
 「……こんばんはー。ルカ先輩、初音でーす」
 オレンジ色に輝く夕日が西の空に沈み、代わって、銀色に光る月が、夜空を照らす時刻。
 ボクは、とある閑静な住宅街の片隅に建つ、小洒落た一軒家の前に立ち、インターホンに向かって呼びかけた。
 「……いらっしゃい。ちょっと待っててね」
 スピーカーの向こうから返事があって、少し間を置き、目の前のドアが、ガチャリ、と開かれる。
 その内側から、薄茶色のセーターとロングスカートに身を包んだ、長身の美女が顔をのぞかせた。
 「お待たせ。外、寒いでしょう? 早く中へ上がってちょうだい」
 「はーい、お邪魔しまっす」
 彼女がボクを、家の中へと招き入れる。玄関でブーツを脱ぎ、フローリング張りの廊下にあがると、ほわっとした暖気が、
ボクの体を包み込んだ。
 「上着、預かるわよ」
 ボクのジャンパーを手際よく脱がせ、手近のハンガーにかける彼女に、ボクは、
 「あ、すいません。そうそう、これ、ボクのウチから、お土産です」
 と、ショルダーバッグから小さな紙袋を取り出す。
 「あら、ありがとう。中身は何かしら?」
 「お菓子です。母さんが、海外旅行に行った同僚の人からもらってきたとかで……おすそ分けです」
 「わざわざどうも。後で、お茶と一緒に頂くわね」
 そう言って、くすくすと楽しげに微笑むこの人は、巡音ルカ。学生時代、ボクの先輩だった人。
 で、今ボクが、恋人としてお付き合いさせて頂いている女性でもある。
 

69 :
 
 「……材料は買ってきてくれたかしら?」
 「任せてくださいよ。……えーと、卵に、ほうれん草、それからベーコンと……」
 リビングで一息ついたボクは、途中で立ち寄ったスーパーで買ってきた品物をビニール袋から取り出し、一つ一つ確かめる。
これらは、ボクが家を出る前に、ルカ先輩から電話で頼まれたものだ。
 食材がそろっている事を確認した先輩は、手早くエプロンを身に付けながら、キッチンへと向かう。
 「それじゃあ、すぐに食事の支度をするわね。待たせて悪いけど、少しの間、くつろいでてもらえるかしら」
 「すみません、お疲れのところ……よかったら、ボクもお手伝いしましょうか?」
 流し台を挟んで、キッチンと一続きの間取りになっているリビングから、ボクは先輩に声をかける。しかし彼女は、
 「いいのいいの、私が好きでしてる事なんだから。そんなに気を使わないで、ね?」
 と、笑顔で手を振った。
 不覚にも、その笑顔にまた、ボクの胸はどきん、と、ときめいてしまっていた。

 ……学生時代、同じ研究室に所属していたルカ先輩にボクが告白し、それを先輩が、快く受けてくださったところから始まった
ボクたち二人の関係は、もう二年ほど続いている。
 その間に、先輩は学校を卒業し、社会人になった。すると当然、同じ学校に通っていた頃のように、しょっちゅう会うことは
難しくなってしまったが、それと同時にルカ先輩が一人暮らしを始めたため、それまで、先輩のご両親の厳しい目を気にしていた
ボクが、先輩の家へ遊びに行く機会は増えた。
 週末、ルカ先輩が仕事から帰ってくる時間にあわせて、ボクが遊びに行き、そのまま先輩の家で次の日まで過ごす。
 俗に言う、『お泊りデート』というやつだろうか。このパターンが、ボクらの間では最もしっくりくる付き合い方であり、
今ではすっかり慣れたものだ。
 

70 :
 
 「……しかし、ホントにいつ来てもキレイなお家ですよねぇ、ルカ先輩のお宅って」
 リビングに置かれている、真っ黒な革張りのソファに腰を下ろし、ふかふかのカーペットに足を預けながら、ボクは室内を
きょろきょろと見回す。
 「もう、ミクったら。あなた、来るたびにそればかり言うんだから」
 キッチンから、コンコン、と卵を割る音にかぶせて、ルカ先輩の笑い声が聞こえた。
 「いやいや、ホントにそう思うんですってば。あーあ、ボクの家も、先輩みたいなお金持ちならよかったのになぁ」
 
 両手を頭の後ろで組み、ぼふん、と背もたれに体を投げ出して天井を仰ぐボクの目に、豪華な照明器具が飛び込んできた。
 この家――家具や一室だけの話ではない、『家』そのものだ――は、学校を出て、仕事のために一人暮らしを始める先輩に、
「それなら」と、彼女のご両親がプレゼントしてくれたものなのだそうだ。
 何が、「それなら」だ、とボクなどは思ってしまうのだが、実際のところ、先輩のご実家がどれほどの資産家なのかについては、
ちょっと恐ろしいような気がして、聞いてみたことはない。
 ――けどまあ。
 「はい、お待ちどうさま。冷めないうちに、いただきましょうか」
 こうしてボクに、手料理を振るまってくれるルカ先輩本人は、そんな事を鼻にかけもしない、優しくて、面倒見のいい、ボクの
自慢の恋人なのだった。
 

71 :
 
 「……ごちそうさまでしたっ」
 先輩の、数ある得意料理のひとつ、ほうれん草入りのカルボナーラをぺろりと平らげたボクは、目の前で、手の平をぱん、と
打ち合わせ、先輩に向かって丁寧に一礼した。
 「はい、お粗末さまでした」
 テーブルの向かい側で、食後のお茶を楽しんでいるルカ先輩が、ふふっと微笑する。
 「いやあ、先輩の手料理は、いつ食べても最高で……あ、食器、洗っておきますね」
 ボクは立ち上がり、お皿やフォークを手に取って、キッチンへと持っていく。シンクにそっと食器を置いてお湯を出すと、
スポンジを取って、ごしごしと汚れを落とし始めた。
 「ありがとう、ミク。……それじゃあ私、先に、お風呂に入ってきてもいいかしら?」
 「どうぞどうぞ、ごゆっくり」
 着替えを手に、リビングを出ていく彼女を笑顔で見送り、一人になったボクは洗い物を続けた。
 食器の表面に、白く泡立つ洗剤が、蛇口から流れ出るお湯で、きれいに洗い流されていく。
 「………」
 その様子を眺めながら、ボクはただ、ひたすら黙々と手を動かし続け、自分の頭の中を、少しずつ、少しずつ空白にしていく。
 先ほどまでの、浮わついた心の温度を、徐々に冷ましながら。
 ルカ先輩に対する気持ちを、泡のように、洗い落としていく。
 ――そうして出来た心の余白に、今、ここにいるボクとは違う、別の自分を作り上げながら。
 

72 :
 
 「……お待たせ、ミク。あなたも入っていらっしゃい」
 パジャマに着替えた彼女がバスルームから戻り、ボクに呼びかける。軽く結んだ髪の毛はしっとりと水気を含んでいて、上品な
光沢を放っていた。
 
 「タオルは、洗面所にあるものを使ってもらってかまわないわ。私は先に、寝室に上がっているから、後で――」
 そう言って、二階の寝室への階段を上がりかける彼女を引き留めるように、ボクはリビングの中央から声をかけた。

 「―――『ルカ』」

 その瞬間。
 彼女の動きが、ぴたり、と止まる。
 まるでボクの言葉が、彼女の全身を貫き、その場に射止めてしまったかのように。
 

73 :
 
 ややあって、ゆっくりと彼女の首だけがこちらへと振り向けられ、その表情をボクに晒す。
 驚きと。
 かすかな不安と。
 大きな期待の入り混じった、複雑な表情を。
 「――行こうか」
 ボクは平坦な口調でそう言うと、すっと片手をルカに向けて差し伸べる。
 その手の平に、鈍く輝く、金色の鍵を乗せて。
 「………」
 しばらくの間、ルカは無言でその場に佇み、潤んだ瞳でじっとボクを見つめていた。
 だが、やがておずおずとこちらに近づき、ボクの目の前でふと足を止めると、

 「―――はい」

 と、消え入りそうな声でうなずき、それからゆっくりと、ボクの足元に静かに跪いた。
 

74 :
 
 「さあ……おいで。始めよう」
 ボクはルカを促して立ち上がらせると、ゆっくりと歩き出す。
 リビングを横切り、バスルームや二階へ続く廊下とは反対方向にある扉を開くと、目の前に、下り階段が現れた。
 すぐ後ろに付いてくるルカの姿をちらり、と確かめながら、ボクは一段ずつ、その階段を下りていく。下るにつれ、周りは
薄暗くなっていき、地階へと降りた時にはもう、階上からの明かりはほとんど届かない。
 ボクから数歩遅れて、ルカが階段を下りきった事を確認してから、ボクは地下の廊下を進む。と言っても、その通路は数歩で
行き止まりであり、目の前にはすぐに、大きなチーク製の扉が姿を現した。
 ボクはポケットから先ほどの鍵を取り出すと、扉の鍵穴へと差し込む。ぴしり、という快い手ごたえと共に、鍵を一回転させて
施錠を解いた。
 ズズ、という、床に擦れる低い音を伴奏に扉が開き、その向こう側に、新しい空間が広がった。
 ボクとルカとの、禁断の儀式の斎場が。
 ボクは、暗闇に覆われたその部屋へと一歩踏み込み、扉横の壁際へと手を伸ばす。指先の感触を頼りに探り当てたスイッチを
押すと、天井の飾り電燈が弱々しい光を放ち出し、垂れ込めていた闇が、ほんの少し薄らいだ。
 そして、室内の様子が、おぼろげながら見えてくる。
 まるで、ごつごつとした岩肌のような装飾を施された黝い壁と、それとは対照的に一面真っ白な、タイル張りの床面。そして、
その床の上に張り巡らされた金網が。
 今入ってきた扉以外には出入り口も窓もなく、それは、ここが完全に、外の世界から隔絶された空間であることを物語っていた。
ガラスのフィルターを通し、赤みの強い照明にさらされた部屋の中はがらんどうで、華やかな飾りつけも、きらびやかな調度品も、
何ひとつなかった。
 ――たった一つ、部屋の最奥で、まるで体を丸めて眠る獣のように、冷たく鎮座している、金属製の箱を除いては。
 

75 :
 
 「……さて」
 部屋の様子がいつもと変わりない事を確かめたボクは、入り口の方を振り向く。
 ぎゅっと唇を結び、うつむき加減に床を見下ろしているルカが、そこに立っていた。
 ボクは腰に手を当てると、彼女に向かって、強い口調で言葉を放つ。
 「服を脱ぐんだ、ルカ」
 「……はい」
 ボクの『命令』に素直に従い、ルカが、しゅるり、と自分のパジャマを脱ぎ出した。
 クリーム色のシャツの前ボタンを、ひとつひとつ丁寧に外していき、すっと袖を引き抜く。その下から現れた彼女の素肌もまた、
天井から降りそそぐ光に照らされ、赤く染まっていた。
 ルカが、脱いだ衣服をきちんと畳み、部屋の片隅にまとめている間に、ボクも準備を始める。カシャン、カシャンと金網を歩き、
部屋の奥へと向かうと、1メートル近く幅のある、『道具箱』の蓋に両手をかけて、がぱり、と開いた。
 体を折り曲げて上半身を箱の中に突っ込み、様々な『道具』の中から、マッチ、ガラス皿、それと小袋を取り出す。箱の蓋は
そのままにして身を起こすと、小袋の中からハーブを取り出してガラス皿に移し、マッチを擦って、それに火をつけた。
 「ん……ふぅ……」
 ふわぁ、とハーブから立ち上る煙を吸い込み、その香りが、体中に染み渡る事で、ボクは心地よい高揚感を感じる。
 このハーブは、最近のボクがお気に入りの舞台装置で、先日、専門店で見かけて、試しにと買ってみたものだ。市販されている
ものだけあって、劇的な効果は表れなかったが、立ち込める香りは非日常を演出するにふさわしく、ボクは大いに満足した。
 もう二、三枚の葉切れを小袋から取り出して皿に載せると、それを部屋の一隅に置く。時間が経てば、効果がほどよく部屋中に
行き渡るだろう。
 

76 :
 
 「……お待たせいたしました」
 ちょうどその時、背後からルカの声がした。
 振り向くと、すでに、一糸纏わぬ姿となった、ルカの肢体がそこにあった。
 ……滑らかな曲線を描く首筋と、ほっそりとした腕に、しなやかな手指。引き締まった胸板の上で、大きな存在感を放っている、
張りのある乳房。
 柔らかな腰つきと、綺麗に陰毛の生えそろっている下腹部。そして、肉付きよく、健康美を惜しみなく発散している両脚。
 まるで一個の芸術品のような完成されたその肉体を、ボクは顎に手をやりながら、しばし、無言のままでじっくりと眺め回した。
 そして、「ふっ」と笑いの表情を作り、つかつかとルカの目の前に近づく。
 その瞳をまっすぐに見据え、一言一言を、彼女の体の芯まで響かせるように、努めてゆっくりと言葉を発した。
 「それじゃあ、次は『お願い』だ。やってごらん?」
 「はい……」
 ボクの指示を即座に承服し、ルカが、口を開く。
 「……こ、今宵も、私のような卑しき者を、この、神聖な儀式の場へと誘っていただきましたことを、深く感謝致します……。
  ど……どうかこの、無意味で無価値な私の肉体に、貴女の手で、存在価値を刻み付けてくださいませ……。私の五体も、心も、
  全て貴女に捧げる事を誓います……貴女だけのモノになる悦びを、私の矮小な魂に、お恵みください……」
 途切れ途切れになりながらも、彼女の口からは、ひたすら自己を貶め、ボクに対する服従の意を表す言葉が続く。
 ボクはそれを、眉一つ動かす事無く、黙ったままで聞き入れていた。
 

77 :
いったん中断させていただきます
本日中に投下し切らせていただく予定です

78 :
 
 「わ、わたくしは、ずっと、貴女にお仕えすることを……」
 やがて、喋り続けるルカが言葉に窮した頃を見計らい、ボクは唐突に口を挟んだ。
 「どうしたんだい? それで、お終い?」
 「いえっ、その……」
 あわててそれを打ち消そうとするルカを遮って、ボクはさらに、詰問するかのように言いつのる。
 「おねだりも一人前に出来ないような子が、満足に可愛がってもらえるとでも思っているのかい? うん? このボクが、
  キミみたいな出来損ないと遊んであげようって言ってるんだ。もっと、感謝してくれてもいいんじゃないのかい?」
 「はっ、はいっ……ありがとうございますっ……!」
 大きく頭を下げて、ボクに対する感謝を全身で表そうとするルカ。
 「こんな、冴えない私にお手を差し伸べてくださるなんて、本当に、感謝しています……。どれだけご期待に添えられるかは
  わかりませんが、せいいっぱい、務めさせていただきますので……」
 「期待だって?」
 その時。
 ルカがさりげなく放った一言が、ボクの眉間をぴくり、と寄せさせた。
 

79 :
 
 「今、何て言った? 期待? ボクが、キミに何かを期待しているって、そう言ったのかい?」
 「あっ……そ、そのっ……」
 ルカがはっ、と口を抑える。
 だが、それはもう遅く、ボクは一歩、二歩と彼女に向けて詰め寄っていた。
 「勘違いするんじゃないよ。キミみたいなグズに、ボクが期待を抱くなんて、ありっこないだろう? キミはせいぜい、ボクの
  オモチャになって、ぴいぴい鳴いていればそれでいいんだ。そうしたら、ボクはそれを見ながら、思い切り鼻で笑ってやるさ」
 思わず気圧され、後ずさりするルカの顔面に指を突き付けて、ボクは怒気をはらんだ声で言う。
 「もっ、申しわけ……!」
 「その口を閉じろ。自惚れたキミの謝罪なんて聞くに値しないよ。どうやらキミはまだ、自分の立場というものが理解できて
  いないようだね」
 涙を浮かべ始めたルカの顔をきっと睨みつけながら、ボクはさらに剣幕を強めた。
 「キミはボクの下僕だ。キミがここにいるのは、ボクの玩弄物になるためだ。『貴女だけのモノになる悦び』? 虫酸が走る。
  ボクがキミに与える物など、何もありはしないんだよ。いいかい? キミはボクから全てを奪われるためだけに存在して
  いるんだ。それすら理解せずに、よくここまでノコノコとやって来れたものだね? 覚悟するといい。今夜はボクが、キミの
  想像を超えるような酷い目に遭わせてあげるよ。後々まで思い出しては、その度ごとに身も凍るような恐怖と痛みを、全身に
  刻み付けてやる」
 一息にまくし立てたところで、ボクは言葉を切った。
 唇を固く結んだ攻撃的な表情を作り、視線は相変わらず、ルカへ向けて一直線に注いでいる。
 ――ボクの罵倒に呼応して、ルカの瞳に、怯えとは異なる妖しい色の炎が、ふっと揺らめき始めていた。
 

80 :
 
 「ああ……少し、疲れたな」
 大きなため息をつきながら、ことさらに、独り言らしさを強調した口調で、ボクはそう呟く。すると、
 「はっ、はいっ、どうぞ、私に腰掛けてくださいませ……遠慮なさらずに……」
 すかさずルカがその身を折り曲げ、床に手を突き、四つん這いの姿勢になった。露わになった背中が、ボクを下から見上げる。
 赤く腫れ上がり、その表面に幾筋もの、細い傷跡を宿した背中が。
 その背中を眼下に見下しながら、ボクは、ゆっくりと右手を差し上げ、一気に振り下ろす。
 パァン! という、乾いた音が部屋に響いた。
 「ひうっ!」
 「いちいちわかりきった事を喋るんじゃないよ。言われなくともキミはボクの所有物だ。モノが主人に指図するんじゃない」
 ルカの背中に叩き付けた右手をどかすと、そこにはくっきりと手形が残っている。
 その手形のちょうど真上に、ボクは、思い切り体重を乗せて、どっかりと下半身を下ろすと、大きく膝を組んだ。
 
 「ふぐっ……!」
 「ほら、どうしたんだい? もっとしっかり支えてくれなくちゃ。それともボクを、みっともなくも地べたに座らせるつもり
  なのかい?」
 「もっ、申し訳ありま……ああっ!」
 情けない声を上げながら、必で重みに耐えているルカを、ボクは容赦なく、自分の体を揺さぶって圧迫する。そのたびに、
強く張り詰めたルカの腕や膝はがくがくと震え、今にも崩れ落ちそうだった。
 だが、それでもルカは、決してボクに逆らう事はない。
 ――この屈辱、この苦痛こそが、彼女にとって、何よりの『ご褒美』なのだから。
 

81 :
 
 そんなボクの脳裏にふと、あの日の思い出がよぎる。
 ボクとルカとの関係が、本当の意味で始まった『あの日』の事が。
      ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇      

 「転居祝いって事で、楽しくやりましょう?」
 あれは……そう、ルカが学校を卒業して、初めての春。
 彼女がここで暮らし始めて早々に、ボクを食事に招いた日の事だった。
 「やっぱりまだ、一人で過ごすのに慣れなくて……ミクがいてくれれば、寂しくならずにすむわ」
 おろしたての食器をテーブルに並べながら、うきうきと声を弾ませる彼女とは裏腹に、「一人暮らしをしている恋人の家を
訪問する」という大きなイベントに、今では考えられないほど、自分が緊張していたのを覚えている。
 コーヒーを淹れてくる、と言って、ルカがキッチンへと去った途端、緊張の糸がぷつりと切れたボクは、「……ふぅぅ」と
ため息をつきながら、その頃から、変わらずそこにあったリビングのソファに、ぼすん、と体を預けた。
 と、その時。
 「……ん?」
 クッション越しに、何かの感触を感じたボクは体をよじり、背もたれとクッションの隙間に目をこらす。すると、そこに
挟まっている、本らしきものの一部が目についた。
 それを見て、ボクは思わずぷっと吹き出してしまう。
 「……先輩ったら、また、読みかけの本を、こんな所に……」
 学生時代から、彼女は読書家だった。授業の合間の休み時間にはいつも文庫本を手にしていたし、研究室で椅子に腰掛け、
静かにページを繰っている彼女の姿は、もはや日常の一シーンとして再生できるほど、見慣れた光景だった。
 ただ、どういうわけだか困ったもので、彼女には、読書を中断する際に、本をどこに置いたか忘れてしまう、というクセが
あった。教室の机の中や本棚の上、時には思わぬところから発見されるそれらを見つけては、恥ずかしがって、照れ笑いを
浮かべる彼女の表情もまた、ボクにとってはお馴染みのものだった。
 

82 :
 
 「あんなに記憶力のいい先輩なのに……クセっていうのは、なかなか抜けないものなんだなあ」
 苦笑しながら、ボクは背もたれとクッションの隙間に手を突っ込み、その本を拾い上げた。ぱんぱん、と表面のほこりをはたき
落とし、改めて眺めてみる。
 表紙に【Tagebuch】とだけ書かれている、シンプルな装丁の本だった。
 「先輩、最近はどんな本を読んでいるんだろう?」
 そんな事を思ったボクは、何の気なしにその本を開き、ページをめくった。

 『……この卑しい私を、飼育してください、どうか――』

 初めに目に飛び込んできたのは、そんな一文だった。
 と言って、それでボクが直ちに動揺する、というような事もなかった。何も珍しい事ではない。文学作品として名高い数々の
小説にも、その手のシーンはいくらでも溢れているのだから。
 それにしても、やっぱり学生時代とは読書の趣味も変わったなあ――などと思いながら、そのページの末尾まで読み進める
うちに、ボクはふと、奇妙なセンテンスに突き当たる。

 『――親愛なる貴女、ミク』

 そこに書かれていたのは、見紛うことなき、ボクの名前だった。
 

83 :
 
 「……え?」
 一瞬、何がなんだかわからなくなったボクは、ページのあちこちを目で追う。
 そのうち、ページの先頭に日付が書き込まれている事に気がついた。数ヶ月前のものだ。
 見れば、見開きのもう片方のページにも、一日違いの日付から始まり、似たような内容の羅列が続き、同じ一文で結ばれている
文章が記されている。
 それを見たボクは、直感的に思った。
 「これ……小説なんかじゃなくて……先輩の……」
 ――日記なのではないだろうか?
 「でも……だとしたら、何で、こんな事……?」
 わき上がる疑問に突き動かされるように、ボクは、半ば無意識に他のページをパラパラとめくった。
 次から次へと現れる、倒錯的な願望の数々が、怒涛のようにボクの目に飛び込んでくる。

 『貴女の縄で、私を縛って』―――『その手で私を傷つけて』―――『一晩中、私を罵って……』―――

 そんな文句ばかりが、どのページにも書き綴られていた。
 まるで、伝えられない想いを胸に抱く、乙女の恋文のような、繊細な筆致で。
 

84 :
 
 「………!!」
 ガチャン! という突然の金属音に、ボクは反射的に本を閉じ、はっと顔を上げる。
 目の前に、コーヒーカップを取り落としたまま、両手を口に当てて、大きく目を見開いているルカの姿があった。コーヒーは
彼女の足元に全てぶちまけられてしまい、良質なカーペットの表面が、みるみるうちに琥珀色に染まっていく。
 「あ、ああ……!」
 やがて、彼女はわなわなと震え出し、声にならない呻き声をあげながら、ボクの手にしている本を指差した。
 「ちっ、違うの、ミク……! それは、ただ、私も自分で小説が書いてみたくなって、ちょっと練習してみただけで……だっ、
  だから、全然、本気なんかじゃなくて、その……!」
 あわてた彼女の、しどろもどろになりながらの弁解が、しかしかえって、ボクに確信を抱かせる結果となってしまった。
 この日記に書かれている言葉が、紛れもなく、彼女の本音なのであると。
 「ね、お願い、信じて……私はミクに、変な事をするつもりはないの……。ただ、一緒にいてくれるだけで……それだけで、
  本当に満たされてるわ、だから……」
 「………」
 その瞳に、じわ、と涙を浮き上がらせたルカの台詞を聞きながら、ボクはただ、黙って目を伏せて、考え込む。頭の中では、
いくつもの事柄がぐるぐると渦を為していた。
 ルカの事。
 ボク自身の、彼女への想い。
 そして、今しがた目にしたばかりの、ひどく退廃的で、この上なくインモラルな――
 なのに、心の奥が、ぞくぞくと煽り立てられるような、熱情に満ちた欲望の数々が。
 

85 :
 
 「……ルカ先輩」
 不意に、ボクは彼女の必の弁明に口をはさむ。
 ルカは一瞬、びくり、と震えて口をつぐみ、それから恐々としつつ、
 「な、何……?」
 と、尋ねてきた。
 顔を上げたボクは、彼女の顔をまっすぐに見つめる。これ以上なく、真剣なまなざしで。
 今にも詰られるか、あるいは軽蔑されるかと覚悟していたであろう彼女は、何も言わないボクの様子に、不安げに首をすくめる。
 ボクは、ゆっくりと口を開いた。
 「先輩は……こういうことに、興味があるんですか?」
 「……え?」
 思いのほか穏やかなボクの問いに、彼女は虚をつかれたように戸惑い、言葉を失う。
 それから次の一言をボクが発するまでには、長い時間を要した。それはそのまま、ボクが勇気を振り絞るのにかけた時間と
いうことになる。
 一線を越え、彼女の懐へと飛び込む決意をするための、大きな勇気を。
 「……ボクにも、教えてもらえませんか」
 はっきりとそう言い切ると、ボクはソファから立ち上がった。
 

86 :
 
 「――どういう、事……?」
 ボクの真意をはかりかね、ルカが、恐る恐る問いかけてくる。
 それに対し、「言葉どおりの意味です」と答え、ボクは一歩、彼女に近づいた。
 「このノートに書かれている、先輩の望み……それを叶えるためには、どうすればいいのか。それをボクに、教えてくださいと
  言ったんです」
 なおも意気込んでしゃべり続けるボクを、
 「ちょ……ちょっと待って、ミク」
 と、ルカがうろたえながら押し留める。
 「あなたは、その……私の事を、気味が悪い女だとは思わないの? 普通にあなたと笑い合っている日々の、その裏で、
  こんな……はしたない事を考えているなんて知られたら、私は、絶交されたって文句は言えないと思っていたのに……」
 悲壮な胸の内を語るルカ。そんな彼女に対して、ボクは手にした日記をちら、と見下ろしてから、そっとつぶやいた。
 「……確かに、正直に言えば、すごくビックリしましたし、どうして先輩がこんな事を思っているのかも、今はまだ、理解
  できないでいます。……けど」
 ボクはさらにつかつかと進み出て、彼女の手をしっかりと握りしめた。細かく震えるその手を、力付けるようにぎゅっと
包み込む。
 「だからこそ、知りたいんです。先輩のすべてを」
 ボクは宣言した。掛け値なしの本心だった。
 そして続けざまに、いまだ不安げな表情の彼女に、慰めを込めてキスをする。
 「んっ……!」
 長い口付けの後で、ボクは、満面の笑顔で微笑んでみせた。
 「――先輩は、ボクの大切な、恋人なんですから」
 

87 :
 
 その日から、ボクとルカとの新しい関係が始まった。
 彼女は約束通り、ボクに全てを話してくれた。幼い頃、実家で目にした、一冊の本に強く影響を受けたことや、成長するにつれ、
倒錯的な愛情関係への憧れが、彼女の中でどんどん膨らんでいったこと。そしてその想いを、誰にも打ち明けられず、一人悶々と
抱え込んでいたこと。
 それから、そんな彼女の想いを受け止めるために、ボクがどのように振る舞わなければならないのか。
 当たり前のことながら、初めの内は、戸惑いの連続だった。それまで、すでに彼女と何度か夜を過ごしていたボクではあったが、
それとルカの口から語られる、過激な行為――それによってもたらされる、感情の起伏や欲求の充足は、全く異質なものである
ように感じられたのだ。
 それでもボクは、ルカの話を真剣に聞き、時には自分の身に置きかえて、どんな気分になるだろうかと想像してみたりもした。
戸惑いこそしても、興味そのものを失ってしまうことは、ただの一度もなかった。
 それほどまでに、ルカの抱いていた欲望は、ボクにとっても魅力的な世界だったのである。
 「ミクに……一緒に来てほしい所があるの」
 ……結局のところ、加虐と被虐の関係もまた、互いの体と感情を激しく揺さぶり合う行為には違いなく、その点に関して言えば、
ありふれた恋人同士の行為と比べても、何ら劣るものではない。ただ、そこに交わされるものが、快楽と愛情であるか、それとも
苦痛と侮蔑であるかの違いだけなのだ。
 それさえ享受できるようになれば、きっと、新しい世界への扉は開ける。
 ――そんな事を、ボクがうっすらと理解しかけてきた頃、ルカは、ボクをこの地下室へと連れてきてくれた。
 本来は、書斎やホームシアターとして利用されるためのそのスペースを、彼女はしかし、ボクらの『秘密の場所』として
使いたい、と言ってきた。
 他の誰も、決して立ち入らせない、ボク達二人だけのための場所。
 そして、初めてこの部屋で過ごした夜、ボクは、今まで知らなかった自分の一面を発見する事になる。
 (何だろう、この感覚……すごくドキドキして、自分が自分じゃなくなっていくような……)
 ルカに対して加える数々の『行為』を通じて、自分の中に未知の感情がわき上がるのを、ボクはその時、はっきりと自覚した。
それはまるで、樹木の一部から新たな芽が吹き出し、みるみる内に成長して、ついには樹木全体の形が変わるほど、大きく
伸び上がっていくかのようだった。
 そしてその芽は、今なおボクの中で、進化を続けている――
 

88 :
 
 「……あの……?」
 遠慮がちな声が耳に届き、ボクは、はっと我に返る。
 見下ろすと、四つん這いのまま、首をひねってこちらを見上げている、物問いたげなルカの表情があった。
 (……ああ、いけない)
 ボクはそっと、心の中で反省する。この部屋の中では、相手から絶対に意識をそらさない事が、約束の一つだったのに。
 それから、ほんの一瞬、頭を巡らせると、今この場に必要な言葉をまとめ上げ、口から発した。
 「……主人が少し黙ったくらいで反抗するのかい? 本当にナマイキな椅子だね、キミは。心配しなくとも、キミへの
  思いやりなんて、ほんのかけらも浮かんじゃいないさ」
 「すっ、すみません……」
 わずかに――ほんのわずかに、安堵の色をその目に浮かべて、ルカは再び、床の方へと視線を戻した。
 (……やれやれ)
 それを見届けてから、ボクもまた、ほっとため息をつく。とりあえず、空気を乱さずに場をつなぐ事には成功したようだ。
 ……言うまでもなく、ボクらが行っているのは『プレイ』の一環であり、例えばボクが、本気で、心の底から、ルカを自分に
服従させたくて、こういう行為に走っているわけではない。
 それはルカも同様で、彼女もまた、本気でボクの下僕として仕えたい、などと思っているわけではないだろう。
 言うなればこれは、ある種のロールプレイ――幼稚で身もふたもない言い方をしてしまえば、ごっこ遊びだ――であり、その
最中は、お互いが必要以上に、自分に与えられた役割に没入する必要がある。
 だからこそ、「素」に戻った言動をしたり、目の前の相手から気をそらしたりしない事が重要であり、それはボクらの間の、
大事な約束――ルールだった。
 そう、ルールだ。
 これがプレイである以上、そこには厳正なルールが必要となってくる。
 例えば、地下室を一歩出たら、その中での行為については、最低限の必要なこと以外、絶対に話題にしない事。
 当初の、何もかもが手探り状態で、プレイ前後の話し合いが必須となっていた頃はともかく、すっかり手馴れた今のボク達
ならば、その方がかえって、次に訪れる時が待ち遠しくなるだろうと考えたためだ。
 他にもいくつか存在するルールに則り、ボクらは、とても健全に、粛々とこの儀式を執り行い続けてきたのだった。
 

89 :
 
 「全く……どこまでボクの手を煩わせるんだろうね、この愚鈍な下僕は」
 先ほどのやり取りをきっかけに転じ、ボクはすっと腰を浮かせる。不自然な空気が流れる前に、次のステージへと移行して
しまった方がいいだろう。タイミングとしても、いい頃合だ。
 「はぁっ、はっ……!」
 ようやくボクの体重から解放されて、荒い息をつくルカを尻目に、ボクは再び『道具箱』の元へ行き、その中を覗き込む。
目当ての物を見つけると、両手を突っ込み、それを取り出した。
 同時に、がちゃらがちゃらという、耳障りなほど大きな金属音が響く。
 「少々、『躾』が足りないみたいだね?」
 右手と左手に、それぞれ道具を手にしたボクは、くるりと振り向くとそう言って、金網に両手と膝を着いた姿勢のルカを、
思い切り見下ろす。見下してやる。
 そして両腕を広げると、煌々と降りそそぐ真っ赤な照明が、もっとも効果的なライティングを生み出す角度を意識した上で、
ニヤリ、と笑ってみせた。
 「ああ……」
 ルカが、恍惚の吐息を漏らす。
 ハーブが放つ幻惑的な香りと、狂躁的な真紅の光の中で、彼女の目の前にそそり立つのは。
 右手に首輪を。
 左手には、鞭を。
 それぞれ携えて君臨する、ボクのシルエットだ。
 それは彼女に災いをなす悪魔か。
 あるいは救いの手を差し伸べる神子か。
 ――ルカの瞳には、どちらが映っているのだろう。
 

90 :
 
 スパァン! という、乾いた打音が跳ね、それと同時に、
 「……ああっ!」
 と、ルカが大きく体をよじらせる。
 ともすれば、その場に崩れ落ちてしまいそうな彼女に対し、ボクは無言で、右手に握った白銀の鎖を、ぐん、と引いた。
 「は……ぐっ……!」
 鎖の先に繋がった金属製の首輪はすでに、ルカの首周りにがっしりと食い込んでおり、起き上がる事を彼女に強制する。
 彼女が倒れ込むたびに、何度でも、何度でも。
 「……誰がブレイクタイムだと言ったんだい?」
 冷たく言い放ち、ボクは再び左手を振るう。その手に握った鞭が、ヒュッ、と鋭く空気を切り裂き、四つん這いのままでいる
ルカの背中に、バシン! と振り下ろされた。
 「んっ……! ひぐっ……!」
 「ほらほら、もっと啼いてみせてくれよ。何一つ満足に出来やしないキミだって、間抜けな鳴き声を上げて、ボクを楽しませる
  くらいはできるだろう?」
 そう言いながらも、ボクは手の動きを休めない。二度、三度と鞭を叩きつけるたびに、彼女の背中や内腿は、みるみる真っ赤に
腫れ上がっていった。
 「はぅぅ……っ!」
 甘く、伸びやかなルカの悲鳴にうっとりと陶酔しながらも、ボクは常に、慎重な手つきで鞭を操っていた。万が一にも手元が
狂い、彼女の美しい顔や、肩口や手首を傷つけないように、と。
 ……衣服で隠しにくい、目立つ場所に傷跡を残す事は、絶対に避けなければならない。普段の生活において、他人に見咎め
られたりしないためにも。これもまた、ボクとルカとの間での、重要な約束事の一つだった。
 

91 :
 
 「…は…ぁ……」
 もう何度目かも分からない鞭打を受けて、息も絶え絶えのルカが、金網の上に力なく倒れ伏す。
 間髪を入れず、ボクは鎖を思い切り引っ張り上げて、無理やりに彼女の顔を上げさせた。
 
 「ほら、起きるんだ。キミに対する躾は、まだまだこんなものじゃ足りないよ」
 無慈悲に見下ろすボクの視線が、上目使いのルカの瞳とぶつかり合う。
 その瞬間。
 「―――!」
 ボクは思わず、ぶるり、と身震いをしてしまう。
 ああ、それだ。
 その瞳が、ボクを熱くさせる。
 憎んでいながらも、恨んでいながらも、それを恐怖で押しし、ただ無言で、ボクを睨み付ける事しか出来ない、キミの視線。
 怯え、怖がり、震えながらも、なおもボクを喜ばせようとする、媚びた視線が。
 どんな暴力も理不尽も、思いのままに与えられる、絶対的弱者。そんな存在に対する、無上の優越感が。

 ボクを――狂わせる。
 

92 :
 
 「……癪にさわる眼だ」
 もはやどうしようもなく、興奮を抑えきれない声で、吐き捨てるようにそう呟くと、ボクは左手を大きく振りかぶり、バチン!
と、渾身の一撃をお見舞いした。
 「あぐぅっ!!」
 ルカの端正な顔立ちが苦痛に歪み、その額に、脂汗が吹きだす。
 「下僕の分際で、仕えるべき主をそんな眼で見ることが許されると思っているのかい、ええ? いったい何を考えているんだ?
  それとも何も考えられないほど、キミの頭は空っぽなのかい? 何ならその空っぽの頭の中に、泥でも詰め込んでおいたら
  どうなんだ? 今より少しはマシになるだろうさ」
 「すっ、すみませ……ひぃっ!」
 謝罪の言葉を口にしかけるルカに対し、ボクはさらに、怒気を込めて鞭を振るう。途切れることのない打音をバックに、ボクの
口からは、嘲りの言葉が次々に飛び出し、ルカを苛んでいく。
 「その口を閉じろと言ったはずだよ。何度言ったらわかるんだい? 主人の言葉も聞き取れないような役立たずの耳なら、
  今すぐ切り落としてしまおうか? キミの言葉なんて、羽毛ほどの重みも感じられないんだよ。この、下賤で卑しい、醜い
  雌豚が。キミがその喉から発するべきなのは言葉じゃなくて、苦悶の喘ぎだけだろう? ほら、もっとだ、もっと無様に
  泣きわめくんだ!」
 声が上ずるのを止められない。息が上がるほどに大声で叫びながら、衝動のままに、ボクは縦横無尽に鞭をふるう。
 これがボクの、至上の愛情表現だと信じて疑わずに。
 一千回の告白よりも、一万回のキスよりも、激しく、苛烈で、直截的なペッティング。
 ボクの愛を伝えるのに、これ以上の手段があるだろうか?
 

93 :
 
 「はいっ……! 私は、下賤で卑しい、醜い雌豚ですっ……! どうか、貴女のオモチャとして、お好きなように弄んで
  くださいませっ……!」
 悲鳴の合間から、ルカが声を枯らして懇願してくる。その顔はのぼせ上がったように火照りきっており、一面汗にまみれ、
伏せ気味の目や、わなわなと震える唇が、たまらなく蠱惑的だった。
 「ははっ!」と破裂するような短い笑い声を上げて、ボクは踊るように鞭を振り回す。間断なく奏でられるそのリズムに合わせ、
奇矯なステップを踏みながら。
 「やれば出来るじゃないか。さあ、もっともっとボクを楽しませてくれ!」
 ヒュォッ、と下から上に向けて思いきり振り抜いた鞭の先端が、ルカの脇腹を、チッ、と鋭くかすめた。
 「つっ――!」
 それまでの、面で与えられる痛みとはまた異質の痛覚に、ルカがぎゅっと目をつぶる。
 ボクは乱れた呼吸を整えつつ、くたびれた両手をだらりと下げて、彼女の脇腹に残った筋状の傷痕を、ただじっと見つめた。
 やがて、そこからじわり、と滲み出した血の赤い色が、ボクの目を射る。
 血。
 彼女の、命そのものの色。
 それは赤い光に満たされたこの部屋でなお、いっそう鮮やかな紅色に輝いて見えた。
 「ああ……っ」
 ほとんど目もくらむような快感に襲われて、ボクは鎖を投げ捨てた右手で顔を覆い、天井を仰ぐ。
 それから、大声を立てて笑い出した。愉快だった。この上なく、愉快でたまらなかった。
 ――ボクの手はいまや、彼女の命にまで届いている。
 彼女の命、尊厳、魂にまで。
 そんなかけがえのない物をまで、全てを差し出すルカの健気さに、ボクは、どうしようもない愛しさを覚えたのだった。
 

94 :
 
 「―――ルカ」
 笑って笑って、笑い疲れたボクは、ルカの名を呼んだ。可愛い雌豚の名前を。
 それまでとはうってかわって穏やかな口調で話し、全身の力が抜けきったかのように佇むボクを、ルカが見上げている。
 綺麗な瞳だ。涙に濡れて、きらきらと蒼く光っている彼女の目を見て、ボクはそう思った。まるで宝石のように綺麗だと。
 粉々に壊してしまいたくなるほどに。
 「楽にしてあげるよ」
 ボクは左手に持った鞭の身を、右手でぎゅっとしごき上げる。力を込めて握りすぎていたせいで、すっかり固まってしまった
左手をグリップから離し、ニ、三度手首を振って、感覚を取り戻す。
 それからもう一度、鞭をしっかりと持ち直した。
 「………はい」
 ボクの様子を察したルカが、ぐっと歯を食いしばり、覚悟を決めた表情をして、首を下げる。
 従順なその態度に、快い満足感を覚えながら、ボクは一歩、彼女に近づくと、身体をぐぐ、と大きく左にねじった。同時に
鞭を大きく構え、力を溜めてゆく。
 そして。
 「―――はぁっ!」
 気合と共に、全身の力を乗せた鞭を、ルカの背中に向かって思いきり叩き込んだ。
 

95 :
 
 ビシャァン! という、雷鳴が轟いたかのような音が地下室内に反響する。手にした鞭の先から、じいん、という確かな
手ごたえが、痺れとなって伝わってきた。
 「…あ…ぁ……」
 ルカが全身を、びくん、と硬直させ、喉から悲しげな吐息を絞り出す。
 ついでその体が、ゆらり、と傾き、ガシャッ、と金網の上に横ざまに倒れると、目を閉じたまま、ぴくりとも動かなくなった。
気を失ったのだ。
 「……ふぅぅ、う……」
 今まで、胸の内にため込んでいたものをすべて吐き出すかのような、長い長いため息をつくと、ボクは余韻に浸る間もなく、
後始末にとりかかる。鞭と首輪を元通り『道具箱』にしまい込み、未だちろちろとくすぶっているハーブにそっと息を吹きかけ、
その火が消えた事を確認する。
 そして最後に、入り口横のスイッチを切って消灯すると、暗闇の中、か細い呼吸をしながら横たわっているルカには一瞥すら
くれずに、すでに疲労しきった両腕に力を込め直して扉を開き、地下室を後にした。
 「ううん……」
 ばたり、と後ろ手に扉を閉めたボクは、その場で大きく背伸びをする。背中や腕の、収縮しきった筋肉が伸ばされる感覚が
心地よい。
 今すぐにでも、この場にずるずるとへたり込み、そのまま眠ってしまいたい欲望に駆られるが、もちろん、そういうわけには
いかなかった。
 まだ、この夜は、終わってはいないのだから。
 

96 :
 
 「――さて、と」
 疲れた体を引きずるようにして、ボクは通路を引き返し、上階への階段を登る。一階へと戻ると、すっかり空気の冷え込んで
しまったリビングで、置きっぱなしにしていた自分のショルダーバッグを拾い、バスルームへと向かった。
 更衣室で服を脱ぎ、バッグへと詰め込んで、バスルームへと入る。バスタブに張られたお湯はすでに水になっていたため、
入浴はあきらめ、カランをひねってシャワーを浴びた。
 「ああ……気持ちいいな」
 体中の汗が流れ落ちるのに身をまかせ、ボクはうっとりと目を閉じる。それから全身をくまなく洗って、さっぱりとした気分で
バスルームを出た。
 先程、彼女が言っていた通り、タオルは洗面台に何枚か用意されていた。それで体を拭き、バッグの中から替えの下着を
取り出して身に着けると、そのままの姿で廊下へと出て、二階へ続く階段を上がる。階段を上がりきって、すぐ目の前にある
部屋が寝室だ。
 寝室のドアをきい、と開けると、凝った装飾のベッドライトやいくつもの書棚に囲まれて、中央に大きなベッドが設えられて
いる。二つ並べられた枕もシーツも白一色で、とても清潔なイメージを醸し出していた。
 ボクは部屋に足を踏み入れ、そのベッドに、ぽすん、と腰掛ける。
 そのまま少しの間、物思いにふけってから、もぞもぞと布団の中に潜りこむと、静かに目を閉じ、夢の世界へと沈み込んで
いった。
 

97 :
 
 ――何時間ほど経っただろうか。
 みし、みしという、二階への階段を踏みしめる足音で、ボクは目を覚ました。
 初めは、うとうととしたまどろみの中で、次第にはっきりと覚醒してきた意識でその音を捉えると、ボクはその場で寝返りを
打って、入口のドアに背を向けた。分厚いシーツはとても暖かく、下着だけでいた自分の体が、冷えてしまっているということは
なさそうだった。
 足音は階段を登りきったようだ。
 ぺたぺたと、スリッパで廊下をやってくる音が、寝室の前で、ぴたり、と止まった。
 ボクは、そっと自分の胸に手を当ててみる。とくん、とくんという鼓動が、心なしか、速まっているような気がした。
 これから起こるであろう事への、予感で。
 ぎい、と、ドアの開く音がした。
 足音の主が、部屋の中へと入ってくる気配がする。徐々にベッドへ近づいてくるその気配を感じ取りながらも、ボクは依然、
そちらに背を向けたまま、しわぶき一つ立てないよう、息をしていた。
 すっ、とシーツのめくられる感覚があり、誰かが、ボクのすぐ後ろに、身体を滑りこませてきた。
 二人の間、数センチの空気を介してほのかな体温が伝えられ、ボクの肩に、しなやかな手がかけられた、その瞬間――

 「………先輩っ!!」

 ボクはシーツを払いのけて、ばっと振り返り、目の前にいるルカ先輩の唇に、激しく口付けをした。
 

98 :
 
 「ふむっ……はぁっ……!」
 密着させた唇の隙間から舌を差し込み、ルカ先輩のそれと激しくからみ合わせる。ぬるぬるとまとわりつく唾液が、さらに
その動きを滑らかにしていく。
 「………ぷはっ、ミク……!」
 唇を離すと、潤んだ瞳でボクを見つめる先輩が、背中に手を回してきた。ボクもそれに応え、下着姿のルカ先輩をぎゅっと
抱きしめる。密着する先輩の肉体が、ボクを柔らかく包み込んでくれた。
 「ミク、愛してるわ、ミク……!」
 「ボクも、大好きです、先輩っ……」
 お互いに、相手の耳元でそうささやき合うボクらには、もはや何の遠慮も臆面もいらない。全ての役割から完全に
解き放たれた今、あとはただ、ありのままの心を、あるがままに目の前の恋人に向けて伝えるだけだ。
 願いを叶えてくれた相手への感謝を。
 自分が必要とされる喜びを。
 絶対に離さないという熱い想いを、思う存分伝えれば、それでいい。
 「だからミク、お願い……」
 彼女の手が背中から離れ、そっとボクの手に添えられる。
 そのまま自分の胸へとボクを導くと、甘えるような、慈しむような、それでいて挑発しているような声で、ボクに言った。
 「今夜も、私に触れて……。私を、感じてちょうだい……?」
 ボクは無言でうなずき返すと、しっとりと濡れたルカ先輩の体へと、夢中でむしゃぶり付いていった。
 

99 :
 
 真っ暗な寝室に、ボクと先輩のむせび声だけが響く。
 緑と桃色の髪を混じりあわせながら、ボクらはただひたすらに、互いの肉体を時には愛撫し、時には貪り、心行くまで
愛し合った。
 その合間にボクは、彼女の脇腹に残る痕を、労るように撫で上げ、癒すように舐め上げる。二人の絆を確かめるように。
 願わくば、この印がずっとずっと、消えずに残ればいい――そう、祈りながら。

 ――これが、ボクとルカ先輩との愛の形だ。
 確かな愛情に裏打ちされた、嗜虐と被虐。
 限界まで心と身体を責め抜いた後に約束されている、甘いひとときの訪れ。
 それを期待することで、傷つけ、痛めつけられながらも、奥底で確かに通じ合う、心と心。
 その全てを通して、ボクと彼女は、想いを確かめ合っているのだ。
 ……他人はボクらを指差して、こう密めく事だろう。
 「歪んでいる」「非道徳的だ」「理解しがたい」―――と。
 それでいい。言いたい奴には言わせておけばいい。
 ボク達二人の結びつきが、他の誰かに『理解』されるようなものであっては、決してならないのだから。
 だからボクはまた、あの地下室で、キミにこの言葉を贈ろう。
 ありったけの愛情と。
 せいいっぱいの、侮蔑を込めて。

 「――ボクの愛しい、雌豚――」
 
 

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