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- 1 :11/03/21 〜 最終レス :12/05/02
- ラクリゼとセックスしたい
- 2 :
- グラーシカともセックスしたい
- 3 :
- ドーン兄上とかエドとか子供ができてるけどせっくるしてる絵面が思い浮かばない
- 4 :
- エドに関しては作者の同人誌を読め
- 5 :
- 原作終了後のサルベーンとラクリゼを読みたい
熟年夫婦でいいと思うんだ
- 6 :
- しわくちゃサルとは想像したくないなw
今、KZ読み直してる自分としてはラファエルキャッスルとか見たい
でも、本命はもーちゃんと陽菜だけど、そこまでの段階じゃないからなw
- 7 :
- テクニシャンバルアンが読みたいw
- 8 :
- バルアンは砂の覇王終盤でようやく良いキャラになってきたのにいきなりフェードアウトしてビビったな
主人公が去ってからは一気に荒んでいったしすごくもったいなかった
- 9 :
- 何故に今頃専スレ…
バルアンとラクリゼ見てみたいけど二人の会話が想像できない
- 10 :
- 誰とセックスしたい?
- 11 :
- 「――――です」
「……何だと?」
バルアンは思わず聞き返した。視線の先には平伏するカリエの姿がある。それほど彼女の告げた言葉はバルアンを驚かせるに十分なものだった。
思えば、カリエは常に驚きをもたらす女だった。砂漠へ脱走したときも、ギウタ皇女という役に立つ過去を持っていると知ったときも。
そして、自分についてくると答えたときも。
そういう女だからこそ、飽きないし手元に置いておこうと思ったとはいえ、さすがにバルアンは反応に困った。
何しろカリエの告白は、
「ですから……その、わたしは生娘ではないのです」
バルアンは脇息からずり落ちた。
*******************************
こういうネタ思いついたけど続かねー
- 12 :
- >>11
面白いよ。
エロなしでも続き期待。二人の会話が聞きたいw
- 13 :
- >>11
続き読みたいぞー
- 14 :
- そううや、保管庫に女神伝話何個かあるよね
ミュカの話が切なかった覚えがあるw
- 15 :
- 「――――です」
「……何だと?」
寝床に潜り込もうとしていたバルアンは、思わず顔を妻の、つまりカリエの方へ向けた。視線の先で、
カリエはじっと平伏している。
今宵、バルアンは1ヶ月ぶりにカリエのもとを訪れた。婚礼の夜以来、ほとんど顔を合わせていなかった
カリエは、もうずいぶんと血色も良くなり、以前の溌剌さを取り戻したように見える。
腹を刺され、傷も治らないうちにリトラへの長旅に就き、さらに正妃(マヤラータ)として数々の職務
までこなしていた。本来はもっと気遣ってやらねばならないのだろう。
しかしバルアンは即位したばかりで忙しく、後宮へ足を運ぶのは稀だった。当のカリエも、寝たり起き
たりの毎日だったと聞いている。
さすがに婚礼を挙げた夜は共に過ごしたが、文字通り「一緒の部屋にいた」だけであり、二人して朝ま
で熟睡した。もっとも、腹の傷に障るという事情もあったが。
実を言うと、今日も疲れていたのでカリエの顔を見たらさっさと寝ようと思っていた。そこで待ち構え
ていたのが、「大事なお話があるんです」と緊張に顔を強張らせたカリエだった。
「眠いから明日にしてくれ」
そう言うバルアンに、カリエは衝撃的な科白を発したのだ。
思えば、カリエは常に驚きをもたらす女だった。砂漠へ脱走したときも、ギウタ皇女という役に立つ過
去を持っていると知ったときも。
そして、自分についてくると答えたときも。
そういう女だからこそ、飽きないし手元に置いておこうと思ったとはいえ、さすがにバルアンは反応に
困った。
「ですから……その、わたしは生娘ではないのです」
カリエはもう一度言い、バルアンは脇息からずり落ちた。
あまり王らしくない、威厳に欠けた格好だったが、伏したカリエは絨毯を見つめていたのでそれに気づ
かなかった。
話す内容が内容である。覚悟を決めたけれども、夫の目を見て話すことなど、今のカリエにはとてもで
きない。
何しろ、相手はバルアンだ。血を分けた兄や伯母でも、必要なら冷然としてしまう恐ろしいマヤル。
他国で恐れられるほど、粗暴で残酷なだけの人間ではないとカリエは知っていたが、必要なときには
ぞっとするほど冷酷に振舞うのもまた、真実のことだ。
自分の「妻」が、それも婚礼を挙げる前に他の男と通じたと知ったら、どう出るか。
エティカヤで密通の罪は重い。普通に考えれば、間違いなく罪となる。
正直、カリエは迷った。
誰に相談することもできず、ロゴナ宮で一人悶々としていたところを、察したサルベーンから「お節介
ながら……」と助言をもちかけられもした。
「誤魔化す?そんなことが本当にできるのですか?」
サルベーンの申し出に、カリエは目を瞬かせた。すると、「はい」と首肯するサルベーンは優しく微笑
んだ。不安におののくカリエを安心させるように。
「不可能ではありません。難しくはありますが」
- 16 :
- カリエはすでにエティカヤへ迎えられることが決まっている。マヤラータとして向かうことになるから、
道中は馬車か輿に引き篭もることになる。だから、こうしてサルベーンと会話できるのも、わずかな時
間しか残されていない。
ロゴナ宮の庭を散策しながら、二人はエティカヤ語で様々なことを語り合った。不穏な内容ばかり
だったが、エティカヤ語を解するルトヴィア貴族は少ない。バルアンが「んで」からのエティカヤの
情勢、シャイハンがどのような人物なのか。シャイハンを夢想の世界へ落とし込むにはどうすればよい
のか。
それらは全て貴重な情報だったから、カリエは必になって頭に叩き込んだ。
その合間に、サルベーンはぽつりと言ったのだ。生娘だと誤魔化す方法がないではない、と。
カリエは震える指で口元を押さえた。
あの冬至の夜、リシクの大祭にカリエは処女を失った。女神の介入で起こったことであり、夢か幻のよ
うに淡い記憶しか残らなかったが、その事実はカリエを大いに傷つけた。
(わたしはマヤルの妻だもの)
計略によって掲げられた正妃の肩書きとはいえ、今のカリエにとってはそれが唯一の拠りどころなのだ。
例えバルアンの必要としているものが、カリエ・フィーダという少女ではなく、あくまでその過去でし
かなかったとしても。
「いかがいたしますか?私としては、正直に告げるよりはそうした方が良いと思うのですが」
サルベーンの言葉にカリエは考え込む。リシクの大祭に関して、サルベーンがこれまで話題に出すこと
はなかった。
彼も、カリエの心を思いやってくれているのだろう。と同時に、ある種の責任感からそのように申し出
ているのが分かった。あのとき、サルベーンもまた女神に操られてカリエを抱いたのだ。
「サルベーンさま、お気持ち本当にありがたいんですけど、実はわたし、正直に話そうと思っているん
です」
カリエが告げると、サルベーンは目を見開いた。
「それは……しかし……」
「分かっています。ひょっとしたら、されるかもしれません。でも神に誓い合った夫婦となるのなら、
そういう隠し事はしたくないんです」
「カリエ、私はあなたの決意を尊重したい。ですが、あなたもよくご存知の通り、彼はそれほど甘い人
間ではないのですよ」
「はい。だとしても」
カリエはきっぱりと言った。確かに自分は甘い。
以前、ドミトリアスに自分の正体を告げようとしたときもエディアルドに止められた。ドミトリアスは
誠実な人間だったから、カリエを西公に突き出すことはしなかったが、今度は違う。
だが、バルアンの妻となるならば、いつか大陸全てを攻め滅ぼすだろう彼を少しでも止めたいと願うな
ら、自分の甘さを貫かなければならない。それがどれほど困難であろうとも。
「それに、正直に話すとしても、それが一体いつになるかはわかりませんからね。なにしろあの人、い
つになったら迎えに来るんだか」
カリエは無理やりにでも悪戯っぽく笑った。
「確かに。ひょっとしたら、永遠にその機会があるのかも分からないのですから」
カリエに合わせ、負けじとサルベーンも人の悪い笑みを浮かべた。
言われてみるとその通りで、バルアンが負ければサルベーンの心配は杞憂に終わる。
だがカリエはバルアンが勝つことを信じていた。他ならない、彼女の心がバルアンに全てを賭けると決
めたのだから。
- 17 :
- とりあえず思いついたところまで続き書いてみた
書いたときにスレが落ちてたら、笑うな・・・
- 18 :
- 支援するぞ
けど、全部書き終えてからまとめて投下して欲しいかな
- 19 :
- ラクリゼのおっぱい……
- 20 :
- >>17
正座して待ってる
>>18
焦らしプレイも悪くないぞw
- 21 :
- GJ
続き待ってます
- 22 :
-
********
そして再会の日は、思っていたよりもずっと早くにやってきた。
ルトヴィアからエティカヤへ、今度はカリエが自身の意思で向かったのと時を同じくして、事態は加速
度的に進んでいく。
「ほう、カイが兄貴のもとへ行ったか」
ラクリゼからカリエのヨギナ行きを告げられ、バルアンは唇の端を吊り上げた。
トルハーン救出のため、ルトヴィアの仲間と連絡を取り合っていたラクリゼは、アンブローク号を降り
る直前になってそのことを知ったのだという。
「自分のマヤラータがよその男の所へ行ったってのに、楽しそうだな、バルアン」
横からソードが言う。
「兄貴はギウタ狂い、シャウル狂いだからな。シャウルの末裔がみずからやって来るんだから、ますま
す現実が見えなくなって夢の世界に入り浸るだろうよ」
「へっ、ますますてめえの望むとおりに、か?だが呑気なことを言っていても知らねえぞ。どうする、
マヤル・シャイハンに寝取られでもしたら」
「賭けてもいいが、あのもやし兄貴に他人の女を掠め取る度量はない。……なんだラクリゼ」
「いいえ、なんでも」
ラクリゼは冷たい声で言い、身を翻した。
元々、表面上の敬意しか払われていないのはバルアン本人も知っている。だがここ最近は、なぜかもの
言いたげな態度が加わった。
なんだか――とても情けないものを見ているような視線が。
バルアンは首をひねったが、些細な疑問のことなどすぐに忘れた。なにしろ、これから彼には大仕事が
控えている。オラエン・ヤムへ登り、軍勢を率いてリトラへ攻め入るのだ。
インダリを離れるときは、10年待つことになるかもしれないと覚悟していた。
だが、事態は驚くほどの勢いで進んでいる。それをもたらしたカリエ、そして彼女を自分に与えたオル
神に、バルアンは感謝した。
カリエは、頭を抱えていた。
悩んで悩んで、ハゲるのではないかと思うくらい迷った挙句に決意したのに、肝心のバルアンと話す機
会が全くないのだ。
まず、やっと再会したと思ったら場所は地下墳墓、しかもバルアンとシャイハンの決闘の立会い人に
なってしまった。
直後に自分は出血多量でぶっ倒れ、とても話せるような状態ではなかった。
バルアンはバルアンで、全軍の将として、また王(マヤライ・ヤガ)としてやるべきことが山のように
ある。
傷の痛みに苦しみながら、それでもカリエはどこかほっとしていた。しばらくの間は、あの夜のことを
話すのが先延ばしにできる、と。
……実は、二人で話す機会は一度だけならあった。
- 23 :
- 失神して、医師のもとへ担ぎ込まれたときのことだ。
目を開けて、寝台のすぐ傍にバルアンがいるのに気づいたとき、カリエは心臓が止まるかと思うくらい
驚いた。
薄暗い天幕の中でも分かるくらい、彼は心配そうな表情で自分を見つめていたから。なんとあのバルア
ンが、だ。
「気が付いたか、カイ。お前――」
「だいたい迎えに来るのが遅すぎるんですよ!」
そんな表情を見てどうすればいいのか分からず、カリエは反射的にバルアンを怒鳴りつけていた。
随分放っておかれて、カリエもうっぷんが溜まっている。一度口を開けばもう止まらない。ぽんぽん飛
び出す文句の数々を、カリエは自分でも止めることができなかった。
うんざりした顔のバルアンが、兵士に呼ばれて出て行ったとき、カリエはめまいがした。
刺されて血が足りないのと、自分の馬鹿さ加減に。
おかげで、以降エウランタータ宮殿に入るまで、バルアンとゆっくり話すどころか、会う機会さえ失っ
てしまった。
つつがなくヨギナを掌握したバルアンは、正式にマヤライ・ヤガ即位の布告を出すため、すぐさまリト
ラへ取って返した。
その道中、彼は何度かカリエを見舞ったが、その場には常に、二人に付き従う侍女やら兵士やらがいた。
今更ながらカリエは後悔したが、もはや遅い。
(あれはマヤルも悪いのよ。今まで、人を気遣うなんてしたことなかったくせに。調子狂っちゃうじゃ
ない)
思い出してカリエは悪態をついた。離れていたときはあれほど会いたいと願い、想いが募ったというの
に、いざ顔を合わせると、どうすればいいのかわからなくなってしまう。
そうこうするうち時は過ぎ、カリエも未熟ながら後宮の主として振舞えるようになってきたころ、カリ
エのもとへやってきた侍女がうやうやしく口を開いた。
「マヤライ・ヤガが今宵、お渡りです。つきましてはマヤラータにお会いしたい、と……」
「よしっ!」
カリエは力強く拳を握り、気合を入れる。
マヤラータの様子に、侍女達は一斉に後ずさって顔を見合わせた。
どれほど時間が過ぎただろうか。
「カイ」
静かな声が平伏した身を打ち、カリエは肩を震わせる。恐る恐る顔を上げ、バルアンの顔が視界に入った
瞬間、いたたまれずに視線をそらす。
もちろんは怖い。だが、バルアンに軽蔑されるかもしれないと思うと、もっと恐ろしかった。
「生娘ではない、と言ったな。どういうわけだ。事情を話せ」
「はい――」
震えている場合ではない。カリエは背筋を伸ばし、説明を始めた。あの満月の夜に何が起こったか。
ザカール人の祭りについて、そして自分が「女神の娘」であるらしいということ。もっとも、その全て
はサルベーンから教えられたものだけれど。
- 24 :
- 「サルベーンだと?」
黙って話を聞いていたバルアンは、思わぬ名前に驚いた。てっきりカリエが通じたのは兄、シャイハン
だとばかり思っていたのだ。
「ええ。彼もザカール人の血を引いているので、ザカリア女神の影響を強く受けたんだと言っていまし
た。みんな、自分が自分でなくなってしまう感覚に襲われるそうです」
それでラクリゼの態度の意味が分かった。あの、ぼろ雑巾を見るような視線は、カリエのことを知って
いてのものだったのだろう。
カリエの話はなおも続く。
「ザカリア女神にとってわたしが生娘のままだというのは、とても都合が悪いらしいんです。それで、
力の高まる満月の夜に……わたしを、操って」
少し、言葉を切って。
「……誘い出させたんです」
真っ青なカリエをよそに、バルアンは窓の方を見た。今日は確か――十七夜。内心で舌を打つ。
「本当なら、もっと早くにそうなっていてもおかしくなかったんです。でもわたし、ラクリゼに守られ
てたらしくて」
「あいつがか」
バルアンの声音にカリエは息を呑んだ。以前、バルアンはラクリゼに溺れたことがある。それを間近で
見ていたカリエは胸が焼けるように痛んだ。
その痛みは、カリエに頭の中で繰り返していた説明の中から、あることを言い忘れさせてしまった。
「ラクリゼは、わたしに「女神の娘」ではない、普通の暮らしを望んでいたそうです。長老の家に生ま
れたのに、そんなことを繰り返してほしくないからと言って……」
そう、このときカリエは二つのことを言い忘れてしまった。ラクリゼの弟が長老を継いでいること。
そして、いつか子供を生んだ自分を、長老がさらいに来るということを。
ともあれ、カリエは自分のことを全てバルアンに語った。
何事かを考えている様子のバルアンを見ていられず、強く目を閉じる。
- 25 :
- GJ!
気合を入れるカリエww
- 26 :
- GJ
- 27 :
- GJ
頑張れカリエ
- 28 :
- (言うだけのことは、言ったもの。あとは、バルアンさま次第)
息をつき、カリエはその青い目を開ける。そのとき脇息に頬杖をついていたバルアンの黒い目が、まっ
すぐカリエの方を向いた。
「カイ。何故、そんな話をしようと思った?このエティカヤで密通は罪。ルトヴィアでは髪を切り落
とされるだけで済むが、お前が切り落とされるのは髪ではなく、首だ」
カリエは頷き、慎重に口を開く。
「もしわたしが奴隷のままだったら、隠し通そうとしたと思います」
「ほう」
「わたしだって、にたくはありませんから。ですが、今のわたしはマヤラータ。あなたが選び、導師
の前でオル神に誓った正式な伴侶です。だからこそ、隠し立てするようなことは何もありません」
「面白いことを言う」
バルアンの目に、冷たい気がよぎる。彼は、カリエの言わんとしたことを正確に理解したに違いない。
『正式な夫婦の間に、隠し事は罪。だからあなたに全てを明かします』
『あなたがマヤラータとしたのは、利用価値の高い、だが他の男と通じた女。さあ、せるものなら
してみせろ』
『あのとき答えたように、あなたと歩む道を違える気は決してありません』
青い目と黒い目が、静かにぶつかり合う。
怯えと覚悟の混じった視線で自分を見つめるカリエに、急にバルアンは表情をやわらげた。
「しかしお前は、命がいくつあっても足らん奴だな」
「え?」
「どこをどうしたら、常に瀬戸際に立たされるような人生を送れるんだ」
「いえ、わたしだって送りたくて送ってるわけじゃないんですけど。っていうか、マヤルもそれに加担
してらっしゃいますが」
「まあそれはともかくだ。気にするなとも、忘れろとも言わんが、必要以上に俺に気兼ねせんでいい」
「あの……それはどういう……」
いまだに状況を把握できないカリエに、バルアンは呆れ顔になった。
「お前の首は切らんと言ってるんだ。罪だとも思っていない」
はあ、と気の抜けた相槌を打ちかけて、カリエは慌てて頭を下げた。
「あ、ありがとうございます」
かろうじて出た、掠れた声でカリエは言った。勝算がなかったわけではないが、それでもどっと汗が吹
き出てくる。
バルアンに隠し事をしたくないという気持ちは本当だった。しかしそれ以上に、気持ちが顔に出やすい
彼女にとって、バルアン相手に嘘をつき通す自信は全くなかったのだ。
何より、下手に許しを請うよりも、命をたてに迫るような覚悟を見せなければ、バルアンの許しは得ら
れない。そう考えたから、カリエは全てを包み隠さず話すことに決めたのだ。
「それにしても、俺はてっきり、お前が誰かをたらしこんだのかと思ったがな。さすがに、お前には荷
が勝ちすぎたか」
思い浮かべたマヤル・シャイハンの名を出さずにバルアンはつぶやいた。カリエはというと、案の定、
顔を真っ赤にして反論してくる。
「な、何を言い出すんですか!そんなこと出来るわけないじゃないですか!」
「そういえば皇帝だの、その弟とも噂になっていたぞ。噂だけを聞いていたら、希代の悪女だな。実物
はこんなんだが」
- 29 :
- 「えーえー、わたしには色気も手練手管もありませんよ。それとも、わたしが皇帝陛下でも貴族の誰で
も篭絡すればよろしかったんですか?」
「怒るな。俺もお前がそこまでやれるとは思っていない。まだ神の差し金だという方が説得力がある」
「どうせわたしはビアンさまとは違いますよ……」
バルアンの尖兵としてルトヴィア帝国の北公と通じ、懐妊までした女性を思い出し、カリエはため息を
ついた。
ビアンはカリエに「そなたはマヤルから最大限の信頼を得ている」と言った。ならばバルアンの信頼に
応えよう。そうカリエは思ったのに、応えるような力は少しもないのだった。
それに、前々から思っていたが、やはりバルアンはおかしいのではないか。仮にも妻が横取りされたよ
うなものなのに、腹を立てる様子もないとは。いや、そうなったらそうなったで、カリエとしては非常
に困るのだけれど。
しょんぼりと俯いていると、
「カイ」
「はい……えっ?」
バルアンの声がごく近くから聞こえた。いつの間に近づいたのか、彼はカリエの目の前に座っている。
包み込むようにして両肩に手を置かれ、カリエは困惑した。
どうしてバルアンは自分を見ているんだろう。それがカリエには不思議だった。小姓として仕えていた
間、気まぐれな彼は次々違う表情を見せたが、こんな風な視線を向けたことはなかった。
「マヤル?」
右の手が、カリエの頬に添えられる。
急に、自分たち二人がいるのは後宮の寝所だということに思い至った。どちらも身に纏っているのは寝
巻き一枚。体を包む薄物の布地が、頼りないものに思えてくる。
カリエは、はっとした。自分に今そそがれているのは、男が女を見る視線だと、本能的に感じ取ったの
だ。
(どうしよう。怖い)
これまで何度も恐ろしい目にあってきた。だが、今カリエが感じているこの恐怖は、以前味わったどの
種類とも全く違っている。逃げだしたいのに、体が言うことを聞いてくれない。
バルアンの顔が近づいてくる。彼の息遣いまでもがはっきりと肌に感じられ、カリエは思わず目を閉
じ――
「ひあっ?」
次の瞬間、カリエは頬を思い切りつねり上げられていた。
「ひた、ひたいれふ」
目を白黒させるカリエから手を離し、バルアンは爆笑した。
「どうした、何か期待したのか?」
「なっ、何かってなんですか?!変なこと言わないでくださいよ!」
忘れていた。バルアンはこういう人間なのだ。さっきも断じて期待などしていなかったが、ほんの一瞬
でもどきりとした自分が、とてつもない馬鹿であるような気がしてくる。やはり自分は、女として見ら
れていないに決まっている。まだ笑っているバルアンに、カリエはため息をついた。
分かっている。いちいち人のことを顧みないこの男。前へ進むことだけを考え、覇王への道へ踏み出し
たバルアンについていこうと考えたのは、他ならないカリエ自身なのだ。
(でもやっぱり、間違えたかも……)
ちょっと落ち込んだカリエは、いつの間にかバルアンが笑い止めていたのに気付かなかった。
いきなり腕を引っ張られ、驚きに小さく悲鳴を上げる。次の瞬間、カリエの体はバルアンの腕の中に収
まっていた。
- 30 :
- ぐっじょぶ!
速筆だなー
- 31 :
- 超GJ!
面白いよー。
- 32 :
- 首筋に熱い息がかかる。一気に心拍数が跳ね上がった。
バルアンに触れられたとき、カリエの心は常に荒れ狂う嵐となった。最初は嫌悪と憎しみから。今は別
の感情によって。一度たりとも、穏やかに凪いだ心地でいられない。
――その始まりから終わりに至るまでそうであったように、このときも、また。
自分の体はこんなに小さいものだっただろうか?バルアンはそれほど大柄な男ではないはずだったが、
今、カリエはバルアンの腕にすっぽり包まれていた。
そして驚いたことに、体温だけではない、じんわりとした温かみがそこから伝わってきて、カリエもそれ
が嫌ではないのだった。
またからかわれているのかもしれない。彼は真面目な顔ではったりを言い、にやにやと下卑た笑みを
浮かべながら冷酷な策略を巡らせるのだから。
だとしてもカリエには、このぬくもりの全部が全部、偽りのものではないということがわかった。そして、
今はそれで十分だった。
このエティカヤで、身分の高い男だけが立てるマヤラータ。マヤラータの肩書きを持った女性が以前現
れたのは、実に百年近く前のことだという。
そんなカリエを、侍女たちは「マヤライ・ヤガはマヤラータを殊の外愛しておいでなのですわ」と誉めそ
やす。
その評判は、後宮の外にも知れ渡っているらしい。当初、ギウタ皇女という身分ゆえに迎えられたの
だと考えていた者も、ヨギナ攻略の際に考えを改めたそうだ。
なんでも、城壁に失神したカリエを横抱きにして登場したバルアンが、ものすごい演説をしたのだとか。
士気高揚に演説はつきものだが、バルアン本人も「さすがにちょっとやりすぎた」という内容を、怖くて
カリエは聞けていない。
けれどもそれらは全て、嘘のもの。
カリエは、自分とバルアンの間に、他人が想像するような甘い感情が存在しないことを自覚している。
だがそれでもなお、今カリエを抱きしめるバルアンの腕からは、情愛といって差し支えないぬくもりが伝
わってきた。
おずおずとバルアンの背に腕を回す。考えてみれば、こうして二人が抱き合うのは初めてだ。マヤラー
タといっても、カリエが知らない間に、勝手に与えられた肩書きだったし、その後もカリエとバルアンの
間柄は「小姓とマヤル」のままだった。婚礼を挙げ、名実共に夫婦となったとはいえ、いまだに枕を交
わしてさえいない。
(変なの)
カリエは小さく笑った。こんな奇妙な夫婦も、世の中そうはいないだろう。
故郷の村で暮らしていた頃、カリエは「運命の恋」に憧れていた。それでもいつかは、村の誰かと平凡
な結婚をして子供を生み、平凡な家庭を築くのだと思っていた。両親のように。
そのとき、カリエの肩でバルアンがくぐもった笑い声を立てた。それがくすぐったくて、カリエは体をのけ
ぞらせた。
さて、バルアンはカリエが思うほど平然と彼の妻を許したわけではない。
今もカリエの髪を撫で、その獣のようにしなやかな体を抱きしめる喜びを感じながら、同時に意が目
の中に揺れている。
海で一度カリエを手放したときは、もう自分のもとに戻ってこなくても構わないと覚悟した。カリエがやっ
て来たのが神意なら、去っていくのもまた神意。
- 33 :
- だから、カリエが女神の介入によって処女を失ったと聞いたときには、怒りよりもむしろ「なるほど」と納
得する方が先に立った。
神の意思は、人智を遥か越えたところにある。自分の手の離れたところでカリエの身に起こった一切を、
バルアンは良しとした。
だがそれと、湧き上がる不快感は別だ。
つまりバルアンは、神からの賜りものとしてのカリエに怒りは感じていなかったが、自分の妻としての
彼女には抑えがたい、黒々したものを抱いていた。それですら、情の一種である。
カリエの首は、バルアンが片手でつかめるほど細い。この首を一息にへし折れたらどんなにいいだろう。
だがそんなことは出来ないのだし、そうするつもりもなかった。
バルアンは己を嗤う。身じろぎするカリエをますます強く抱き寄せると、彼女の体臭が胸一杯に広がった。
「マヤル、無精髭は剃ってくださいよ」
首筋に顔を埋めると、カリエが不平の声を上げた。
「髭というのはそういうもんだ。慣れろ」
「刺さって痛いんですってば」
彼女に見えないところで獰猛な笑みを浮かべながら、バルアンは全く違うことを口にした。
「お前、いい匂いがするな」
「お香のことですか?今日はマヤルが来るからって、侍女がみんなして、気合を入れて……」
言いかけてカリエは黙った。さすがに気恥ずかしくなったのだ。
肌にすり込まれた香油、衣に焚き染められた香、化粧の脂粉で覆われた顔。それらは後宮の女全員に
共通するものだ。
だがその下に、もっと別の匂いが隠されている。
バルアンが嗅ぎ当てたのは、海の残り香だった。汐の香だけではない、世界を広く旅した人間だけが持
つ、外の世界の匂いがする。こんな匂いのする女は、世界中探してもカリエ一人くらいのものだろう。
ふと、トルハーンから聞いた話を思い出した。
リトラ急襲を労うため、マヤライ・ヤガ直々に海賊王トルハーンを訪れたときのことだ。
「バルアン、いい名前をつけたな」
「何の話だ?」
「カリエのことさ。あいつのこと、カイって呼んでただろ」
「小姓をさすがに女の名前で呼ぶわけにもいかないんでな。だが適当につけた名前だぞ」
「ふうん、じゃあ偶然か」
トルハーンは片目を瞑って笑ってみせた。
「テナリシカの端っこ、イギよりももっと東の言葉で、「カイ」は海のことをいうんだそうだ」
「海」
デニズ。その言葉を噛み締めるようにバルアンは口にした。海、それはまだ少年の頃に彼が憧れた場
所だった。
「ああ。お前がそう呼んでるのを聞いて、どっかで聞いた気がしてたんだが、やっと思い出した。牢屋で
ゆっくり考え事をする時間があったからなあ」
「思い出すのに時間がかかるということは、やっぱりボケが始まったらしい」
「ボケとはなんだ!」
トルハーンは大きく笑い、酒を飲み干した。
陸の王と海の王は、古い友人同士の気安い会話を交わしている。だがそれも今日が最後のことだろ
うとバルアンは分かっていた。おそらくトルハーンも。
- 34 :
- GJGJ!
- 35 :
- 期待
- 36 :
- かつてトルハーンは、一度だけバルアンの頼みを聞くと約束し、その通りにバルアンを助けた。だが、
リトラ強襲の件は違う。これは「約束」ではなく「取引き」に基づいて行われたものだ。
これが今生の別れとはなるまい。しかし、二人が友人として顔を合わせることは、もはやありえない
のだった。
海の匂いに気を取られ、バルアンは先程までの不快感を忘れる。突然感情を爆発させ、すぐさま放
り出す。彼はそういう人間だ。どれほど激しい感情も、長く心のうちに留め置くことは叶わない。それ
がどんなに深い絶望であろうとも。
代わりに、冷徹な思考が頭をもたげた。
(神は、必要でないものをお与えにならない)
だから、カリエがサルベーンと体を重ねたのも必要なことだったのだ。彼女にとっても、バルアンに
とっても。彼はそのように納得した。
既にもう、カリエの弁明などにはさして関心を惹かれない。重要なのは、彼女はザカールと深い関わ
りがあるらしいということだった。
ザカール人は、基本的に外の世界と接触しない。数少ない例外が、長老の血を繋ぐ「女神の娘」を迎
えるとき。
バルアンの中で、カリエの利用価値がまた一つ高まる。
(残念なのは、ラクリゼはカイを守っているということか。いい取引材料になりそうだったんだがな)
カリエの話を聞いて、バルアンは真っ先に彼女を使ってザカールと同盟を結べないかと考えた。
だが、ラクリゼは、カリエをザカールと関わらせたがっていないという。
それでもいつか、彼女を有効に使えるときが来るかもしれない。バルアンの手は、カリエの髪く撫でた。
その手つきは、いっそ優しい。
やはりカリエは面白い。最初は取るに足らない小娘でしかなかった。だがいつの間にか、こうまで手放
しがたい存在になっているとは。
子供の手足はいまや伸びやかで柔らかな肢体となり、バルアンの身に預けられている。生意気な膨れ
面は影を潜め、女の顔を垣間見せるようにすらなってきた。
覆う薄皮を剥げば、次はどんな表情を見せてくれるのか、彼はそれを知りたく思った。
ああ、それにしてもいい匂いがする――
ちょっとこれは、まずいのではないだろうか。
カリエは息をし、真っ赤になりながら耐えていた。いったいどういうつもりなのか知らないが、さっきか
らバルアンに匂いを嗅がれている。
ただでさえ心臓が破裂しそうなほど高鳴っているのに、彼の唇や息遣いを肌で直接感じるたび、背筋
が震えてしかたなかった。
本当は、みっともなくても大声を出して逃れたい。でもこの状況で、そればかりはやっては駄目だとい
う気がする。なけなしの女としてのプライドが、かろうじてカリエを黙らせていた。
しかしそれも、バルアンの手が衣にかけられるまでのことだった。
「ぎゃあああああああああああ!」
カリエはあっさり前言を撤回して絶叫した。乱れた衣をかきあわせ、バルアンを睨みつける。
「な、な、な、な、な――何するんですか!!」
「何ってお前」
耳元で思いきり悲鳴を上げられ、バルアンはこめかみを押さえる。鍛えられたカリエの腹筋は、それは
それは素晴らしい声量を生み出してくれた。
- 37 :
- 「ナニに決まってるだろう」
平然と言われ、カリエの頭がぐらりと揺れる。
「無理無理無理無理、むーりーでーすー!」
半泣きになって抵抗されると、バルアンとしても段々面倒になってくる。だが、ここでやめてしまえば以
前の二の舞だ。腕を伸ばしたが、後ずさって逃げられた。
「最初から諦めるな」
「あのー、わたし仮にもケガ人なんですけど」
カリエはおそるおそる反論するが、そんなふっくらとした頬で言われても説得力はない、とバルアンには
思われていた。
だいたい、カリエの生命力は凄まじい。以前など、撃たれて海に落ちたことがある。そのときも、一度は
呼吸が止まったものの、救助されてからは目覚しい回復ぶりだったと聞いている。
「ほう、ケガ人というのはあんな大声を出せるものなのか。初めて知った」
「ケガだろうが病気だろうが、悲鳴の一つも出ますよ!だいたい、典医に止められてるの、お忘れです
か?」
「細かいことは気にするな。ところでカイ、こんな話を知っているか」
「……なんです?」
「ある妾妃(シャーミア)が医師を買収して、お前の傷がまだ癒えていないと医師に言わせている、とい
う話だ」
「嘘ですよね、それ」
ばれたか。
「俺の見立てでは、もう治ってる。というわけだから問題あるまい」
「ありまくりですよ!って、離してくださいってば!ぎゃー脱がさないでください!」
カリエも必だ。身も世もなく暴れていると、振り回した握り拳がバルアンの顎をまともにとらえた。
「ぐおっ」
「あ」
手ごたえは抜群だった。我ながら、改心の一撃だったという自信がある。だが、これはかなりまずいの
ではないだろうか。カリエの背を、嫌な汗が伝い落ちた。
「……いい度胸だ」
案の定、向き直ったバルアンの目には危険な光が宿っていた。
追い詰められた鼠は猫に噛みかかるという。だが、噛み付いた相手が虎だったら……どうなる?
「えーっと」
バルアンがカリエの手首を掴む。はしっこい鼠は、あっさりと踏みつけられた。
「安心しろ。お前の、要望通りに、してやる」
バルアンが声を低め、一語一語を区切る調子で囁く。
カリエは顔を引きつらせた。これは貞操の危機というより、命に関わる事態かもしれない。
腰を掴まれ、横抱きにされる。胡坐をかいた膝の中、横向きに座らされたカリエは、ごくりと唾を飲み
込んだ。
バルアンの太い指がおとがいを持ち上げた。見つめる目が恐ろしく、カリエは瞼を閉じて視線から逃
れようとする。
「うっ?!」
- 38 :
- 下唇に痛み。歯が立てられた――いや、噛み付かれたのだ。齧りとるかというほど強く噛まれたかと
思えば、やわやわと甘く、ただ触れているだけの力に変化する。それを、上下の唇両方で何度も繰り
返された。
「い、たっ、あ」
接吻よりもよほど激しく蹂躙される。
(もしかして、唇を噛むのがエティカヤ流の接吻なのかしら)
混乱する頭で、必に考える。カリエは持ち前の順応性を発揮し、なにげなくバルアンの唇に噛み付
き返した。これでいいのですか、と視線で返す。
ふ、とバルアンが笑んだような気がした。
「カイ、舌を出せ」
言われたとおりにすると、舌先を軽く舐められた。唇を重ねるか重ねないかの距離で、ただ舌だけが
ちろちろと触れ合う。
唾液がぼたりと口の中に落ちる。カリエの喉が鳴った。
バルアンは舌を引っ込め、また歯を立ててきた。ただし、今度は唇ではなく白い頬に。
頬の肉を歯でこすられて、カリエは声にならない悲鳴を漏らした。
(なに、これ。なんなの)
おそらく、今されていることは「愛撫」というものなのだろう。そう感じるのは、噛まれる痛みばかりで
はなく、頭の芯がじんじんと痺れるからだ。
けれどもバルアンのそれは、肉食獣が捕らえた獲物をどう食べようか、舌なめずりしながら算段をつ
けているのに似ている。
父から聞いた、狼の狩りの話を思い出した。首尾よく家畜小屋に入り込むと、狼は恋人にするように
豚の耳を愛撫し、うっとりさせて外へ連れ出す。そして、誰もいないところへ連れて行って一息に仕
留めるのだ。
(ナイヤの嘘つきーっ!)
内心で親友を詰る。先日の他愛ないお喋りの際、ふとしたはずみで際どい話に及んだのだが、「バル
アンさまは優しいから!大丈夫だから!」と力説されたのだ。とはいえ、真っ赤になった二人は互いに
「この話はよした方がいい」と悟り、すぐやめてしまったのだった。
今頃すやすや眠っているだろうナイヤが恨めしい。これのどこが優しいというのか。
ナイヤに――このひとはどう触れた?
不意に胸の奥底から、むせ返るような激しい感情が突き上げてくる。この苦しさから逃れる方法は一
つしかなかった。カリエは目の前の男に強くしがみついた。
こんな自分の心を知りたくない。親友に嫉妬するような、醜い思いを抱いているなんて。
早く押さえつけなければ、このひとに気付かれてしまう。だから忘れさせて。何も考えられなくなりた
いから。
どうかわたしに触れて、もっと奥深くまで。他の誰のことをも考えずに、ただわたしだけを。
(でも、そんなことは言えないわ)
女奴隷なら、ひたすらに愛を乞えただろう。そしてバルアンも、たとえ一時のものといえど、望むもの
を与えてくれるだろう。
だが、カリエはただ一人のマヤラータだった。隣に在ることを許されているからこそ、本心を口にする
わけにはいかないのだ。
それがどんなに愚かな望みであっても。
苦しさが、カリエの吐息に熱を与える。そのときバルアンの手が、衣の裾に滑り込んできた。
- 39 :
- 訂正。
21行目
× 〜髪く撫でた。
○ 〜髪を撫でた。
- 40 :
- 素晴らしい。GJ過ぎます。続きまってますお
- 41 :
- GJ!
読ませますねー。
先が気になって仕方ない。
- 42 :
- GJ
- 43 :
- GJ!
他キャラの絡め方もうまい!
ナイヤとカリエのやりとりが際どくてドキドキした。
続き待ってます。
このスレ的には同人誌の話もあり?
光来たる島の内容をベースにしたネタでもいいのかな。
- 44 :
- >>43
wktk
- 45 :
- エロ関係なしでナイヤとカリエのガールズトークwも読みたいな。
- 46 :
- ほす
- 47 :
- カリエは肩を一度大きく揺らしたが、逃げ出しはしなかった。恐怖と、そしてもう一つ別の感情が肌を
ぞくぞくと粟立てさせる。
「どうした?また鳥肌を立てているぞ」
「ほ、放っておいてくださいよ!」
からかうような声が上から降ってくる。その声に熱が混じっていると感じられたのは気のせいだろうか?
いや、そう思いたいのだ。奔流の入り口にカリエ一人ではなく、バルアンと共に立っているのだと。
裾がめくれあがっていく。這い回る手は足首を握り、ふくらはぎを包み、膝の裏をなぞり、指の一本一
本が太腿の柔らかさを確かめた。こうして、カリエは自分の脚がどのような形をしているのかを初めて
知らされた。
カリエが小さくかぶりを振るのを、バルアンは頬に歯を立てて止めさせる。彼は瑞々しい白桃のような
女が好みだったが、カリエの頬は瑞々しい芳香はせず、さながら簡素な白パンのようだった。しかし、
白パンは幾度も噛めば口の中で甘くなるものだと彼は知っている。
腰をしっかりと掴む。今度は衣の上からではなく、直接肌に触れて。腰のくびれを親指でなぞってやる
と、彼女は切なげにわなないた。
ふっ、と細く息を吐いたのは果たして二人のうちどちらであったのか。
いまやカリエの両脚はすっかりさらけ出されている。灯りの落ちた室内で、その白さが生々しく浮かび
上がった。ひくひく震える下腹と、和毛(にこげ)に覆われた女陰も。
――見られている。
「……やぁっ」
こみあげる羞恥に小さくうめき、カリエは顔を伏せた。乱れた裾を直したくても、自分を抱く腕に阻まれ
て手が届かない。
バルアンの掌が腹を覆う。だがその指が触れたのは、縫い跡も真新しい脇腹の傷だった。痛ましいも
のを扱う手つきであるのに、カリエは気付く。バルアンは、亡き娘のことを思い返しているのだろう。
イウナ姫。カリエの命を奪おうとし、そしてカリエが命を奪った少女だ。くぅ、とカリエの喉から声が漏れ
た。
「痛むか」
「いえ、大丈夫です」
指先がなぞるたび、傷口がうずくのは本当だった。だが、耐えられないほどではない。むしろ甘いくらい
だった。カリエを責めさいなむ罪悪感と、「他の女のことを考えないでほしい」という嫉妬に比べれば。
バルアンの手がなめらかに滑る。カリエは慌てて膝を閉じたが、ものともせずに指の一本が和毛を分け
入って潜り込んできた。
そこに何があるのかは、カリエも知っている。後宮へ入る前に、一通りの教育を受けたし(その中には
閨の作法もある)、女奴隷の交わすはしたない噂話の中で、「女が一番感じるところ」だと聞いてもいた。
熟れた身体をもてあました女達は、ときには自分で、ときには侍女の手によって慰めるのだという。
好奇心から、カリエも一度自分でさわってみたことがある。だが、何度か軽く触れただけでは何も分か
らなかった。それに、手淫を「神に背く、反道徳的な行い」と禁じるルトヴィアで育った彼女にとって、ひ
どく恥ずかしい行いだと思われたのだ。
そしてカリエは今、男の指が無遠慮に触れるのをゆるしている。
最初に感じたのはくすぐったさだ。柔らかな皮膚が軽くこすられる感触に、思わず笑い出しそうになる。
けれども指が更に奥へ分け入り、ひっそりと隠れていた花芯が見出されると、徐々に独特のむずがゆ
さが襲ってきた。カリエは眉根を寄せてそれに耐え、その息遣いはますます鋭く細くなっていく。
襟首を皺になるほど強く掴み、もどかしげに膝をすり合わせる。いつしか触れる指は二本に増えて、ま
だ柔らかなそこを好きなようにしていた。
「――っあ、ん」
- 48 :
- かすかとはいえ漏れ出た声に、カリエは愕然とした。今のは、本当に自分から出たものだろうか?こん
な、鼻にかかった媚びるような声が。
(やだ、やだこんなの。やだ)
いつの間にか固くはりつめていた花芯を強くこすりあげられ、カリエは思わず腰をよじらせた。
「あ、いやっ。いやぁっ……!」
バルアンはというと、妙な感慨を覚えていた。何しろ、あの色気の欠片もない、いまだにマヤラータとし
ての装いよりも小姓姿が似合っていそうなカリエの口から、善がり声が出たのだ。
ここまで来るのに長い道のりだったとしみじみ思う。決して人に慣れぬという山猫が、直接手から餌を
食べたときのようだ。
目的さえあれば、バルアンは10年先を見据えた計略を立て、固い意志でやりぬいてみせる。しかし、こ
と女についてはどこまでも億劫がりで、最低限の労力しか払う気はない。そんな彼だったが、女を育て
るとはこういうものかもしれないとも思った。
育てるどころか、一度もカリエを女として扱ったことがないのを棚に上げて。
(まあ、こんなに手がかかるのはこいつ一人で十分だな)
震える彼女の体を抱えなおした。今は感慨にふけるより、この声をもっと引き出してみたい。
「カイ、入れるぞ」
「え……あ、入れる、って、んんっ!」
とぷ、と、そういう音がしたのは気のせいだろうか。バルアンの指が潜り込んだ先は、とっくに温かく潤っ
ていた。花弁で蓋をされていたそこから、堰を切ったように次々と蜜があふれ出す。
他人が自分の体の内部に入ってくる。その、なんともいえない気持ちの悪さは快楽と表裏一体のもの。
柔らかいところを指でじっくりと探られる不快感が、カリエの頭の芯を灼いた。
自然と喘ぎそうになるのを押さえようとして、カリエは思わずむせて咳き込んだ。
「……風邪でもひいたか?」
「いやあの、変な声出ちゃうんで、こらえようと思ったんですけど」
「我慢は体によくないぞ」
(そりゃあ、あなたのような方はそうでしょうよ)
花芯を引っかかれて、反論の声は封じられた。
「痛たっ」
不意に走った痛みに、カリエは驚かされた。奥へ沈まれるにつれ、鈍い痛みを感じるのだ。
「なんで?わたし――」
初めてじゃないのに、とはさすがに声に出しては言えず、口の中に留め置く。
「慣れないうちは、だいたい痛いものらしいぞ。まあ、個人差はあるようだが」
「えっ、そうなんですか。確か、なんか膜があるんですよね?それが破れるから痛いんだとばかり」
「あのなあ。ここが塞がってたら、月のものの血はどこから出てくるんだ」
「あ、本当だ。そうですよね……って、痛たぁっ!」
カリエの瞳に好奇の光が宿るのを察し、バルアンは先手を打った。一応は彼女を気遣って、じわじわ進
めていた指を性急に突き入れる。このままでは質問大会が始まりかねない。
「お前、今はちょっと黙れ。女体の神秘については、今度ゆっくり教えてやる。実地で」
実地で、を特に強く言うと、震え上がったカリエはぴたりと口を閉ざした。
割り入れられる痛み、花芯をこねられる僅かな快感。正反対のようでありながら、よく似た二つの感覚
がカリエの頭をかき回す。
逃げ出したい。しかしいったい、どこへ?
息をして耐えるうちに、カリエは不思議な感覚に襲われた。下腹部、腰の奥にむずむずとしたものが
堆積し、やがてそこから芽生えた一本の糸が上方へ向けて伸び始めた。同様に、溶けはじめた頭の芯
からも、下方へ糸が伸びていく。
- 49 :
- すがるには余りに細くかすかなものではあったが、今のカリエに頼れるものはそれしかなく、必の思
いで握り締める。
体の中で、粘り気のある湿った音がする。それを耳で聞くのではなく、内側に響くことで知った。あふれ
出すものをこらえることができない。
(やめて……!お願いだから、もうやめて)
心も体も濡れそぼり、乾いたところなどひとつもなかった。声にならない悲鳴を上げる。だがその一方で、
この流れに身を浸し、かき乱されるのが嬉しくてたまらない。
やがて、互いを求め合っていた糸が先端を絡ませあった瞬間、カリエは背を丸めて強く息を呑み込んだ。
初めて味わう感覚。ただ、自分の内で何かが繋がったのだ、ということだけが分かった。
「今のが……?」
ぼうっとした瞳で呟く。快感というにはあまりに弱い。繋がったと思われたのは一瞬だけで、強く握り締
めていたはずの糸も消えうせてしまっていた。けれども、きっと今のが「そう」なのだ。
「そうだ」
バルアンは耳に唇を寄せて囁き、耳たぶを噛んだ。彼の手は動きを休めることはない。
「今のを、よく覚えておけ」
カリエは悲鳴で応えたが、それは部屋の中で甘く散った。
繋がっては消え、消えてはまた芽生える。そんなことを何度も繰り返した後、カリエの中では芽生えた
糸が何本も縒り合わさり、体の中心を走って一直線に結んでいた。
カリエは荒く息をつき、愛しい男の胸にしどけなくよりかかっている。生まれたときから自分を幾重にも
くるんでいたものが、すっかりほどかれてしまっているのが分かった。
慣れないカリエにとって、快感は微弱なものでしかない。とはいえ、熾火(おきび)にさらされ続けた彼
女の心はすっかり蕩けきっていた。
バルアンが三本の指を引き抜く。その感触にカリエは、うあ……、とかすかな声を漏らし、身をのけぞ
らせた。
彼はべとべとになった指を舐めとった。あの舌で舐められたら、火傷しそうに熱いに違いない。
(だってあんなに真っ赤なんだもの)
彼女の体をそっと横たえ、バルアンが乱雑に衣を脱ぎ捨てるのをカリエはじっと見ていた。
これまでの経緯から、異性の半裸でうろたえるような初心さはもうない。さすがに全裸で相対したことは
なかったが、今の彼女は羞恥よりもなお強くバルアンの身体に惹きつけられた。
戦うために鍛えられた身体は無骨で、だが命にあふれて美しかった。力強いその輪郭を、カリエは目で
丹念に愛する。
バルアンはカリエの片脚を持ち上げ、足首に唇を這わせた。溶け崩れた陰を未練がましく見たものの、
結局は内股に剛直をあてがった。
思っていた通り、吸い付いてくるようなカリエの肌は極上だった。ゆっくりこすりあげるだけでも、たまらな
い感触で彼を包む。
当のカリエは、ほとんど放心した表情で体を投げ出している。ただ、その海を思わせる青い瞳はバルア
ンの方へ向けられていた。あたかも、もっと欲しいのだと語るように。
……つまり、これで満足しなければならないのだろう、今のところは。
しばらくそうしてじっくりと柔肌を楽しんだ後、バルアンは低いうめき声と共に、己の精を吐き出した。そ
こかしこを何度も白く汚されて、カリエの濡れた瞳は満足そうな光をたたえていた。
「うううううううー」
薄布を頭から引っ被ったカリエは、動物のように唸り声を上げていた。
- 50 :
- ごろごろと、部屋の端から端まで転がりたい。それをしないのは、背後からバルアンに抱き込まれてい
るからだ。
服も脱がされなかったし、最後の一線を越えもしなかった――まさに「要望通り」だ――が、よほど恥ず
かしいことをされた気がする。
(ばか、ばか。この好色者(すきもの)。何てことしてくれるのよ、もう)
サルベーンとのことは、女神に支配されていたからか、細かいところは覚えていない。けれども今回は
違う。何をされて、何をして、そしてどんな言葉を唇にのせたのか、全て記憶に残っていた。
雰囲気に乗せられて、いつもの自分なら考えようともしないことを、色々やってしまったような気がする。
羞恥にカリエは身悶えた。
バルアンはというと、ひとしきり彼女の体でお楽しみあそばされた挙句、満足したのかさっさと眠ってし
まった。彼はとにかく寝つきがいい。カリエは密かにバルアンを「おやすみ3秒」と呼んでいるほどだ。
幾らなんでも、もう少し情緒というか、枕辺の雰囲気というものをかもし出してくれてもいいのではないだ
ろうか。
とはいえ、バルアンが眠らずにいたとしても、カリエはきっとまともに顔を合わせられなかっただろうけれ
ど。
むにゃ、とバルアンが何事か口の中で呟く。寝言だと分かっていても、背中越しに囁かれた言葉はカリ
エの心を震わせた。
――俺を、やる。カイに。
そう聞こえた。
カリエは眠る夫を起こさないよう、体をそっと反転させた。
普段、彼の顔をこんなに近くで見ることはない。女が男の顔を直視するのは礼儀にかなったことではな
いし、バルアンの力強い瞳がそうするのを難しくさせるからだ。けれども、今その瞼は閉じられているの
で、カリエは遠慮なくバルアンの顔を観察することができた。
こうしていると、バルアンは普通の男に見えた。少し、やつれただろうか?みじかい黒髪の中に、数本
の白いものを見つけて意外な思いがする。彼はまだ、30にはなっていなかったはずだ。
全ての戦士の長、血塗られた玉座の主、途方もない野心を抱いている男。黒い目に宿る光が瞼によっ
て遮られているだけで、そういう印象がすっかり抜け落ちてしまうのが不思議だった。
薄く開いた唇から、安らかな寝息が漏れ出でている。
じっと寝息に耳を傾けていると、どうしてか心が満たされゆくのを感じた。
カリエはたまらなくなって、夫の胸元に頬を寄せた。彼女は気付いてしまったのだ、自分が狂おしくバ
ルアンを求めていることに。
けれども、これを愛だと無邪気に呼ぶことはできない。カリエは「女神の娘」なのだから。
ザカールでは、女は子を生んで初めて一人前とみなされるのだという。ならばこの想いも、男の精をま
だ空の腹に満たしたいと望むのも、ザカリア女神による介入なのだろうか。
バルアンの方はどうだろう。以前、ラクリゼはバルアンが熱望しているのは神なのだ、とカリエに語っ
た。
彼は、カリエを求めまい。少なくとも、彼女と同じようには。
辛い。抱きしめられるぬくもりで十分のわけがない。満たされる喜びと、どうしようもなく強い飢えが同
時にカリエを襲う。
いっそ、愛してほしいとなじってしまいたい。だが、それを言って何になる。マヤラータとして生きると
決めたときから、それだけはできないと分かっていたはずだ。きっとバルアンも、所詮はそんな女だっ
たのかと侮蔑するに決まっていた。
- 51 :
- それにバルアンの愛とは、あっさり切り捨てられるたぐいのもの。そんなものでは、この飢えを満たす
ことは叶わない。
カリエは、バルアンが真に求めるものは何かを、どのように求めるのかを間近で見てしまった。比喩で
なく、持てるもの全てを破滅させてまで対象を望むのだ。ただの娘に、同じ仕方で求めてほしいなどと
言えるわけがない。
得られぬものを求める辛さと、望みが真に自分の心から来るものなのか、分からぬ恐れ。全てバルア
ンの傍にいる限り続くのに、彼から心を引き離せない。
バルアンは、カリエという生木に打ち込まれた楔だった。彼に触れる度、カリエの心は音を立てて二つ
に引き裂かれてしまう。
愛は安らぐものばかりでないのだと、カリエはこのとき知った。けれども苦しみはこの上もなく甘美で、
カリエを蝕むのだ。
だから、せめて今だけは。枕辺の睦言なら、夢のままにできる。眠りの中で、ふと漏らした一言をよす
がにできる。
「マヤル……」
カリエは、言ってはならないことを口にした。
わたしにあなたをください、と。
その2年後、カリエはバルアンを裏切り、彼の元を去った。
マヤラータ・ディエーマ暗の命を下したとき、マヤライ・ヤガ・バルアンは表情に何の感慨も浮かべ
ていなかったといわれている。
****
かつて神々は世界を造り給い、支配した。だが長々と続く争いに世界は荒れ狂い、神々は少しずつ
その数を減らしていった。
滅びたものもおれば、争いに飽きて去っていったものもいる。天空へ駆け上がったユーリー、大海原
を住処としたワーデンのように。
そして最後まで残っていた最初の神々も、とうとう遠くへ行ってしまった。母は子を抱きしめる腕を解き、
父は子を踏みつけるのをやめたのだ。
神去りて、世は人の子らの息吹で満ちている。
わっ、と小さな悲鳴が聞こえてバルアンは面倒そうに振り返った。新しく彼付きになった小姓が、砂地
に足を取られて転んでいる。
「また転んだのか。さっさと起き上がらないと日が暮れるぞ」
「は、はいっ」
小柄な小姓は慌てて立ち上がると、砂まみれの顔をぬぐった。目鼻立ちから、西方の出身だと一目で
分かる。
のんびりと、だが大股で歩く主を小姓は必で追いかけた。今朝、突然「散歩に行くぞ」と告げられ、
問答無用で荒れ野に連れて来られたのだ。しかも、わざわざ街道が整備されていない地帯へ。
「あのー、バルアンさま。お伺いしてもよろしいでしょうか」
「なんだ」
- 52 :
- 「いったい、どちらへ行こうとなさってるんです?」
「最初に言っただろう。ただの散歩だ」
「散歩でしたら、宮殿の中でもできるのでは。庭、かなり広いですよ」
「小姓やら兵士がうじゃうじゃついて来るようなところで散歩になるか」
小姓――シャナカーンは目を瞬かせた。バルアンに仕えるようになってしばらく経つが、彼については
わからないことだらけだ。シャナカーンにできるのは、おっかなびっくりついて行くことだけである。
(カリエさん、よくこんな人と結婚していたなあ)
年上の友人を思い出し、シャナカーンは尊敬の想いを新たにした。
カリエは明るく、おおらかで、赤子を抱えた母親なのに、10歳に満たないシャナカーンが対等に付き
合えるような子供っぽさがあった。そんな彼女が「エティカヤのお妃さま」をやっていたと知ったときは、
本当に驚いた。
世界中を旅しただけあって色々なことを知っていたし、猟の腕は目をみはるほどだった。そんな彼女を
すぐ大好きになったし、すごい人だと素直に尊敬した。
でも一番すごいのは、結婚した相手かもしれない。
苛烈と冷酷でもって、テナリシカ大陸にその名を響き渡らせるエティカヤ王、バルアン。
大人達は血に飢えた王だと恐ろしげに罵ったが、カリエが結婚していた相手なのだから、そんなに悪
い人のはずはない、とシャナカーンは無邪気に考えていた。以前までは。
しかし実際に会ってみると、バルアンは想像以上に恐ろしい人間だった。
実家で暮らしていたとき、礼儀作法を教えた先生はとても厳しく、シャナカーンは彼がとても怖かった。
しかし、怖さの種類がまるで違う。
その感覚は、森で狼の群れに囲まれたときと似ていた。
何より怖いのは、バルアンの目だ。彼は表情をころころ変え、また大変な激情家でもあったが、光のな
い目を見ればその心が空っぽなのがわかった。笑っていても、怒っていても実は何も感じておらず、た
だ虚ろな心を埋めるために血を欲している。
先日、不始末をしでかした小姓が目の前で斬りされたとき、シャナカーンはそんなことを思った。
けれども、バルアンはこの上なく強い人間でもあった。彼について行かなければ自分の命はない。なら、
そうするしかないじゃないか。幼いながらに、シャナカーンの覚悟は壮絶なものがある。
(でも、こういう人と夫婦でいるのって、やっぱりすごく大変だったんだろうな)
この一年で、すっかりませてしまったシャナカーンだった。
ふとバルアンは立ち止まり、手で庇を作って太陽の方角を確かめた。そろそろ帰るか、と呟き歩む方向
を変える。ふらふらになりかけていたシャナカーンは、ほっとした。
あからさまに安心している顔に気付き、バルアンは呆れたように言ってくる。
「情けない。そんなことでは散歩にならんぞ」
「はぁ……」
「早く慣れろ。そのうちトゥーハ砂漠も鼻歌混じりで歩けるようになる」
子供相手に無理難題をさらりと言ってのける。
「少し急ぐぞ。俺がいないのを誤魔化すのも、難しい頃合だろう。遅く帰って、誰かが処刑される羽目に
なるのも寝覚めが悪い」
そもそも宮殿を抜け出さなければいい話である。だが、今頃青くなっているだろう、意地悪い先輩連中
を思うと、シャナカーンは少し胸がすっとした。
「時間もおわかりなんですか」
「当たり前だ。方角と時間が分からねば、生きにに関わる」
生きるかぬかの散歩というのもどうなんだろう。シャナカーンは賢明な少年だったので、口には出さな
かった。
- 53 :
- 激しくGJ!
山猫カリエ、質問大会
こんなときでもこの二人はw
- 54 :
- 「僕、森で迷ったことがあるんですけど、そのときは太陽が見えないくらいで本当に弱りました」
「北の大森林か。さすがに俺も、太陽を隠すほど生い茂る森は見たことがないな」
「しかも磁石もきかなくて。あのときはぬかもしれないってちょっと思いました」
「漆黒の海のことだな。迷い込めば二度と出られぬと、話に聞いたことはある。よく助かったな、お前」
「ええ……たまたま、通りすがった地元の猟師さんに助けてもらったんです」
少しひやりとする。あの森でシャナカーンはカリエらと出会い、命を救われたのだ。
バルアンは、自分がカリエと会ったことを知っているだろうか?ひょっとしたら、何もかも知っているかも
しれないが、彼はシャナカーンの前でカリエのことをおくびにも出したことはない。
実を言うと、カリエのことを聞いてみたい気持ちは少しある。ラハジル・ナイヤに話したようなことをバル
アンにも伝えたかった。
カリエは彼女が裏切った夫について語るとき、憂いを帯びた、不可思議な表情を浮かべていた。バルア
ンも、カリエを思い出すときはそんな顔をするのだろうか。この、虚ろな砂の王でも。
「シャナカーン、海へ行ったことはあるか」
しばらく無言で歩いていたバルアンが、突然そんなことを言い出した。いいえ、と答えると彼は思っても
みないことを言い出した。
「今度、新造艦の試験航海がある。話をつけてやるから、ちょっと乗ってこい」
「本当ですか?ありがとうございます!」
疲れも忘れ、シャナカーンは顔を輝かせた。その心は、もうまだ見ぬ海へ向かって飛んでいる。だが自
分の立場に思い当たり、すぐに顔色は曇った。
「あ、でも……小姓の仕事は……」
「お前一人なんぞ、いてもいなくても大差はない。船はいいもんだぞ。これも将来の勉強だと思って鍛
えられてくるがいい」
「バルアンさまは船に乗ったことがおありなんですか?」
「……昔は、海賊を目指していたんでな」
予想もしなかった言葉に、シャナカーンは目を丸くした。
マヤライ・ヤガともあろう男が、海賊。ちょっと想像できない。
「じゃあ、海がとってもお好きなんですね」
「いいや」
シャナカーンの言葉を、バルアンはあっさり否定した。
「俺にとっては、もう大して意味がない」
――後世、カリエ・フィーダの名はドミトリアスの著書によって広く知れ渡るようになり、彼女自身が世を
去ってからも、動乱の時代を強く生きた女性として愛され、親しまれた。
彼女は、その人生の中でいくつもの高貴な名前で呼ばれた。カザリナ、アルゼウス、ディエーマ、イフィ
ネ。だが、それらは時代を経て色褪せ、最後にもっともつまらない名前、ただの平凡な娘の名前だけが
残ったのである。
カーリエ。古ギウタ語で「原初の光」を意味する言葉。その名の通り、彼女は様々な人々にとっての光と
なった。直接出会った者のみならず、後の時代に彼女の生涯を知った者をも照らした。
どれほど高貴な名であっても、それに意味を見出す者が一人もいなければ価値を失くしてしまう。
であればこそ、当然の理だったのだ。
あるひとつの名が世に遺されていないのは。
―了―
- 55 :
- 補足されているかどうかは分かりませんが、保管庫収録は見送っていただけたらと思います。
余談。
・思いつきで書き始めたんで、原作と細かい矛盾あるけどスマン
・伐セクロスか、10歳下のツンデレ妻をエロ調教する話になるかと思ったら結構まじめな話になった
……なんでこんなことに。
- 56 :
- GJ! 読ませますね。
- 57 :
- おおっ凄いGJ!
- 58 :
- すっっごく良かった!
細かいところまで原作っぽくて、久々に新刊読んだときの満足感思い出しました。
いい作品をありがとう。
- 59 :
- GJ!
いい物を読ませてもらった
ありがとう!
- 60 :
- GJ!
- 61 :
- GJ!!
原作ぽくてよかったです。
- 62 :
- 保守
- 63 :
- エロなしでもどんどんщ(゚Д゚щ)カモーン!!
- 64 :
- エロなしはブログでやれ
- 65 :
- 非エロは勘弁
- 66 :
- 保守
- 67 :
- ところでここってアンゲルゼもあり?
もーちゃん×ヒナが読みたい
あ、もちろんもーちゃんのめくるめく脳内妄想でもいいよ!
- 68 :
- >>67
なんだかとても不憫なことになりそうというか
オナヌーしか想像できないよw
- 69 :
- いろいろすっとばして新婚一日目希望。
エロなしでも萌える。
- 70 :
- エロなしならスレチ
- 71 :
- 保守
- 72 :
- テスト
- 73 :
- 保守
- 74 :
- ブラック・ベルベットはエロかった
打ち切られたけど
俺の中では名作
- 75 :
- あー、キリのくだりでエロ要素あったね
- 76 :
- 本スレ見てたら出来た話。
以下4レス。色々な意味でひどいので、IDもしくは名前欄であぼんヨロ。
※注意
シャイハン×カリエ。本編分岐の「if」もの。
原作では生きてる人が、さらっと普通にんでます。その逆も有り。
- 77 :
- ラハジル・ジィキのの報せを伝えると、ディエーマは大きく目を見開いた。
「なんてこと…」
悲嘆に暮れる彼女を、シャイハンは痛ましげに見やる。
「いったい、どうしてラハジルは亡くなられたのでしょう。ご病気だったのでしょうか」
「…いいえ。新しく総督となった者が、ラハジルを望んだそうです」
「まさか、自害を?」
シャイハンは答えなかった。この事実を、彼女に伝えて良いものか。
「どうか教えてください、シャイハンさま。インダリを離れたとはいえ、わたしはマヤラータ。後宮の主として、知る義務があります」
「あなたは、ヒカイ将軍をご存知ですか?」
「ええ…。確かジィキさまとは、幼馴染だったとか」
「総督がラハジルを強く望んだと聞き、将軍はラハジルをさらって逃げたそうです。もちろんすぐさま追っ手がかかり、二人は刑しましたが」
ディエーマは真っ青になる。
当然のことだろう。よく知る相手が首をはねられたと聞いて、平然としていられる人間は、そう多くはないのだから。
「では、では、スゥランさまは? まだ小さくていらっしゃるのに、お母様が亡くなられて。さぞ悲しんでおられるでしょう」
「本当に悲しむべきことです」
母の悲報を聞き、幼い姫君が心を失い寝付いたことを、シャイハンはあえて教えなかった。
スゥランは、食べ物はおろか水もほとんど口にせず、痩せ衰えていくばかりだという。遠からず、命を落とすだろうと言われていた。
そんな話を、この優しい女性に伝えるのは、しのびない。
「今日は、本当に悲しいことばかり。ジィキさまが亡くなられたうえに、シャイハンさま、あなたまでいなくなってしまうもの」
ディエーマはその大きな瞳に涙をいっぱいに溜め、露台にかかる満月を見上げた。
そう、今夜シャイハンは彼女に別れを告げるためにやって来たのだ。
「ディエーマ、私とて、どれほどあなたと別れがたいか」
「いいえ、わたしも分かっています。マヤライ・ヤガが、いつまでもこのヨギナにいらっしゃることはできませんものね」
殊勝な言葉とは裏腹に、ディエーマは後から後から涙をこぼし、雫がヴェールを濡らした。
その様を、シャイハンは美しいと思った。そして、そういう己にひどく驚いた。
女は、彼にとって醜く、また恐ろしいだけの存在だった。
異常な嫉妬心に狂った母、そして美しさを鼻にかけ、寵を争うことしか興味のない後宮の妃たち。
だが彼女は、ディエーマは違う。憎むことや媚びることを知らず、ただ素朴な好意を自分に向けてくる。
ディエーマのその性格は、悪鬼の住まう宮廷社会にあっては清々しく、また得難い。
「シャイハンさま、きっとまたいらしてください。わたし、お待ちしていますから」
健気に微笑むディエーマを、シャイハンは思わず抱きしめていた。
「会いに来ます。必ず。…ああ、あなたをリトラへ連れて行けたらどんなにいいか!」
- 78 :
- 「シャイハンさま…」
最初は驚きに身を強張らせていたディエーマだったが、シャイハンの背にそっと腕を回した。
長い間露台にいた二人の身体は、氷のように冷えきっていた。
まるで、あの冷たい月光と同化したようだった。
シャイハンは吸い寄せられるように唇を寄せ、目元を伝う涙を舐め取る。どういわけか、彼女の涙は甘い味がした。
ディエーマのヴェールを外し、素顔をさらけ出させる。
すると、一年前にルトヴィア皇帝の戴冠式で顔を合わせたときよりも大人びた表情が現れた。
どれほどの悲しみが、この尊い女性に翳りと憂いを与えたのだろう。彼女こそ、常に喜びに包まれていなければならないのに。
それを思うと、シャイハンは彼女を慰めなければという強い思いに囚われるのだった。
「ああ、いけません……こんなことをしていては」
か細い声は、彼を制止するのではなく、むしろ逆のことを望んでいる。望まれるとおり、彼は彼女の口を吸った。
「んっ…むぅ…んん…」
桃色の唇は飴玉のようで、シャイハンは夢中になってそれを貪る。
いつの間にか、冷たさは二人からすっかり去っていた。
彼らはその身を寝台へ運び、もつれあうように倒れこむ。
ディエーマの、なめらかな肌としなやかな体躯は、さながらシャイハンが好んだ少年たちを思い起こさせる。
しかしその体の豊かさ、そして底の知れない奥深さは、少年が決して持ち得ないものだった。
シャイハンは久しぶりに女を抱いた。そして義務感からではなく、悦楽をもって女を抱いたのは初めてのことだった。
「あっ、ああ…! あ、やああん!」
打ち込むごとに嬌声をあげるディエーマに没頭するうち、ふとシャイハンは冷や水を浴びせられる思いがした。
ディエーマは――穢れなき乙女などではない。
(…私は何を期待していたのか)
シャイハンは自嘲の笑みを浮かべた。当たり前だ。彼女は、弟であるバルアンのマヤラータ。
正式な婚礼を挙げていなかったとはいえ、既に外国にも公表された妻なのだ。
ましてあの女好きで知られる弟が、彼女に手をつけなかったとでも?
「シャイハンさま…」
組み敷いた女の声が、シャイハンを我に返らせた。
生娘ではないとシャイハンに気付かれたことを悟ったのだ。恐怖に震える表情がそれを物語っている。
安心させようと口づけ、そして優しく抱きしめた。するとディエーマはすぐに柔らかく身を委ねてくる。
「ああディエーマ…。あなたは素晴らしい女性だ。あなたは、私を喜ばせるために生まれたのですか?」
口々にディエーマを讃えながら、シャイハンはどす黒い嫉妬に身を焦がしていた。
- 79 :
- 弟の前で、彼女はどのように身体を開いたのか。
愛する男に抱かれる喜びに乱れたのだろうか。
それとも破瓜の痛みにうち震えながら、それを己の運命と甘んじて受け入れたのか。
知りたい。
「は、はぁっ、はぁっ、はぁっ。あん! あっ、ああーーっ!!!」
一度達し、がくがくと痙攣させるディエーマは、しかし情事の余韻に身を浸すことを許されなかった。
身体をうつぶせに引っくり返される。
「シャイハンさま? …やっ、だめ! そこ、だめぇ!」
「申し訳ありません。あなたの怒りは受けましょう。ですが、ですが――」
憎しみを鎮める、そのやり方をシャイハンは知っている。即ち、弟の知らない場所を自分が踏みにじるのだ。
「シャイハンさまっ、やめて、おやめください!」
「怖がらないで…。あなたは力を抜いていればいいんです」
「嫌っ! い、いやぁ……いやあああーっ!」
シャイハンは、彼にとって一番慣れたやり方でディエーマを愛撫した。
ディエーマが、どれほど泣き叫び、哀願しようともやめなかった。
(彼女は私のものだ。誰にも渡しはしない。永遠に、私だけのものだ!)
やがてシャイハンは背後から深々とディエーマを刺し貫いた。
入念に解きほぐされ、ディエーマはもうすっかりシャイハンを受け入れきってしまい、未知の快楽に身体を震わせるばかりだった。
「う…、うぅ…。あ、シャイハンさまぁ…」
ひたすら彼の名を呼ぶディエーマを、大きな幸福を感じながら抱きしめる。
ディエーマの元で一夜を過ごした後、シャイハンはリトラへ戻らず、逆に毎晩彼女の元へ通いはじめた。
表向きは、重い病に寝付いたディエーマを見舞うためだったが、本当の理由など都の誰もが知っていた。
そして数ヵ月後、一つの知らせがエティカヤ全土を揺るがす。
シャイハンは、本格的にヨギナ遷都を決定したのだ。
もちろん大臣たちは猛反対したが、どういうわけかいつになく強気のシャイハンはそれらを押し切り遷都を実行してしまった。
ディエーマをマヤラータとして正式に迎えたときは、遷都よりも反対は少なかったものの多くの導師たちの怒りを買った。
だがシャイハンは意に介さない。マヤライ・ヤガを止められるものなど、どこにもいないのだ。
もはや繊細な青年はそこにはおらず、代わりに数々の法や前例を曲げ、意思を貫き通す強大な帝国の王がいた。
ある日、後宮でイウナと仲睦まじく語らうマヤラータを目にし、、シャイハンは幸福そうな笑みを浮かべた。
はじめ、なかなかディエーマに心を開かなかったイウナも、今では本物の家族のようだ。
きっと、間もなく生まれる赤子のよき姉になってくれるだろう――
- 80 :
-
「嘘、こんなの嘘よ…」
出口のない闇の中でカリエはうめいた。今見せられた光景が信じられない。
「嘘? そうね。そうかもしれない。もしあなたがシャイハン父さまを選んでいたら、わたしはななかった」
短剣を刺したまま、イウナが嘲る口調で言った。
「でも、わたしはんでるんだもの。そりゃあ嘘よねえ」
そう、本当のことではない。嘘だ。イウナは、カリエがしたのだから。
「ついでに教えてあげましょうか。この未来では、バルアン父さまがどうなっていたのかを」
もう一度、闇の中にまぼろしが広がる。今度は大海原がカリエの前に現れた。
その中に小さな点を見つけ、カリエは悲鳴を上げた。見間違えようがない背中が、小さな舟に乗っている。
誰に言われなくても分かっている。彼は、にに行くつもりで舟を漕いでいるのだ!
「かわいそうな父さまはね、たった一人きりで海に出るの。それから」
「やめてやめて、やめてよぅ……」
何度も後悔したことだ。だが、こうして実際に目にするとカリエの心はまたもや引き裂かれる。
自分の選択が、シャイハンをした。あるいはバルアンをしていた。どちらの命も救うことはできない。
一体、誰がそんなひどいことを決めたというのだろう。
「言ったでしょう? あなたがバルアンを選んだのは、あなたの意思なんかじゃない。無意味なことなのよ」
慰めるように言うのは、血まみれになったヤンガの母。
「バルアンとシャイハン、どちらの手を取っても未来は変わらないの。あなたはエティカヤ王の子を生み、そしてザカールにさらわれる」
「マヤラータ失踪に絶望した王は、やがて深い怒りのままルトヴィア征服を始める…。ああ、また戦争になるのね」
黒く焼け焦げたエジュレナが後を引き取って続けた。カリエを見下ろす目は、娘を突き放す冷たいもの。
「お前は戦争でわたしたち両親を失ったのに…また戦争を起こすきっかけを作ってしまうの?」
実母の視線が、カリエを打ちのめす。違う、と言いたいのに唇が震えて言葉が出てこない。
「なあに? 全部自分のせいだなんて、また思い上がったこと考えているのね」
後ろから聞こえてくる、新しい声。これは、サジェだ。
「あたしたちが必に生きようとしてやったことを、自分の責任みたいに勘違いしないでほしいわ。何様のつもり?」
カリエは耳をふさいだ。それでも声は遮られることはない。
「ああ、さっきのあんたの顔、なかなか良かったわよ。ああいう顔で、男を誘ったのね。そうそう、一つ聞きたいんだけど」
サジェの腕が、うずくまったカリエにねっとりと絡みつき、抱きしめた。
「どっちの男が、具合が良かった?」
- 81 :
- 以上です。
色々とスマンカッタ
- 82 :
- 乙
こういうのも良いな
- 83 :
- GJ!!
なんかカリエのキャラが新鮮だったw
- 84 :
- GJ
投下乙!
- 85 :
- 保守
- 86 :
- このスレ見てから、カリエのバルアンに対する「熱く激しく」という台詞が、そういう意味にしか思えなくなった件について
- 87 :
- リニューアル版で読者増える→萌える→職人増える→ウマー
という展開を期待。
- 88 :
- ラクリゼとカリエの百合がいい
- 89 :
- ナイヤ姐さんのえろ指導はまだでつか?
- 90 :
- ナイヤのおっぱい柔らかそう
- 91 :
- 一番ひんぬーなのはカリエ
これは間違いない
- 92 :
- 船戸さんの挿絵によると、砂9では結構おぱーい大きい気がするがw
最強はラクリゼで間違いないと思うけど、
案外ひんぬーはセーディラじゃないかと・・・全て完璧だけど胸板残念な子とか萌え
- 93 :
- >>92
ラクリゼと血縁関係なわけだし、残念胸ではないと思う。
口さえ開かなければ絶世の美女なのに・・・というパターン予想w
- 94 :
- サルベーンに揉まれてでかくなったんじゃね。<砂9
ザカール流豊胸術とかありそうじゃん。
- 95 :
- アニメ化とかされて知名度が上がったら、一気に薄くて高い本が増えそうな
ポテンシャルを秘めてると思うんだが
国営あたりでアニメにならねーかなー
- 96 :
- ほしゅあげ
- 97 :
- ほ
- 98 :
- セックス
- 99 :
- 新装版期待
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