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2012年5月エロパロ367: 【風俗】娼婦でエロ小説 2【遊郭】 (440) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【風俗】娼婦でエロ小説 2【遊郭】


1 :10/07/14 〜 最終レス :12/05/01

 遊女・ソープ嬢など、娼婦・風俗嬢に関するエロ小説総合スレッドです。
 娼婦に関連するものなら、現実/ファンタジー、日本/海外、現代物/時代物は問いません。
 
 投下をお待ちしてます。
 前スレ
【赤線】娼婦・遊郭でエロ小説【花魁】
 ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1201959276/

2 :
>>1
フフ…あなたのスレ立て、とっても上手よ…

3 :
>>1
       |   |       ̄ ̄厂 ̄´"ヽ、  乙じゃないわよ
      |/ノ  ト、 _,  _,/  / / /\
      |/  ト、_>、_      ///    ヽ
      |  |    `ヽ、_,、/_/_,       l
      |  |    _,rvく二´ ̄      |
      〉   |_,. - ' ´\ヽ\_           /
      |、_ノ丿    / \           /
      〉  〈{   /    \      /
      }___j、_/       >-、_/⌒ヽ,_
 _,.― ‐'    }/   -−─−'─ - ,,____`ヽ
 `ー‐'¬ー―' {              ´"''−'⌒ヽ,_
          ヽ、 _ _____________     `ヽ、
                           ´"''−−―'

4 :
>>1
すごぉい…新スレ、びんびんに立っちゃってるぅ…
前スレ>>843の続きです

5 :
いたずら好きな少女のようににかっと笑うと、オレのペニスに手を添えて、ゆっくり腰を沈めていく
ずぬずぬというぬめった感覚と共に、オレとともちゃんは一つに繋がった
「ふう…。へへっ、あっちゃんのちんちんハメちゃったぁ…」
「んっ……」
「どーお?ごーほーロリのおまんこ…」
「くっ…す、すげぇ…」
挿入不可能かと思われた小さな膣は、驚くほどの伸縮性を見せ、オレを完全に呑み込んでいる
ぴちぴちに広がった結合部からはオイルのように愛液が漏れ出して、ミスマッチ的ないやらしさを醸し出していた
内部は狭いという感じではなく、肉が詰まっていると言う方が近い
ペニスを、粘ってぬるついた肉の塊の中に突っ込んで、四方八方から物凄い圧力をかけられているような感覚
入れているだけでもうたまらない快感だ。胎内に収められている硬直は、この時点ですでに絶頂への欲求を示し始めていた
「あっちゃんのほーけーおちんぽ、まんこの中でひくひくしてるぅ…。こーふんしてどくんどくんしてるのわかるぅ…。ねえ、あっちゃんきもちいーい?おちびちゃんまんことエッチしてうれしい?」
「う、うん…」
何とか返事をしてみたものの、正直言ってオレは今、一瞬たりとも気の抜けない状況だ。うっかり集中を途切らせてしまうと、睾丸の中身を全部吐き出してしまう
一方のともちゃんは余裕の態度でオレの腰の上に跨がっている。可愛い顔を意地悪く緩ませ、ニヤニヤしながらオレを見下ろす。小悪魔さながらの小さな女性は、オレの肉体を手中に収めていた
「あっちゃん、もう動いちゃおっか?」
「……っ!?」
「…動いたらヤバい?」
「ヤ、ヤバい…」
情けない事に、オレの声は裏返っていた
「くくく、なきそうなかおになってんの。かーわいい…。でもそろそろじかんもないしぃ、ちょっとだけ動いちゃおうね?」

6 :
ともちゃんは少し顔をしかめると、「んっ」という小さな声とともに、腹筋に力を込めた
「うっ!?ぐ!!」
オレの分身をくわえ込んでいた蜜肉が、急激に圧力を強め、ぎゅうぎゅうと締め付けてくる。それと同時に、まるで波打つような動きでペニス全体を上下に刺激し始めた
「どーお?おもしろいでしょ?動いてないのに動いてるみたいでしょ?」
おもしろいでしょ?と言っているが、こちらは面白いと感じてるヒマはない。驚きはしたが…
なにしろあまりに気持ち良すぎる。まるで牛の乳を搾り出すかのように、ともちゃんの膣肉が、オレのペニスをぎゅわんぎゅわんと絞り上げてくる。強烈な快感をともなわせながら、淫らな波状運動はより激しさを増していく
「ね、わたしのおちんちんしぼり、きもちいーい?いーでしょー」
よほどやり慣れているのか、彼女は複雑な膣の動きを制御しながらも、ニコニコ笑顔で息切れ一つ起こさない
「あっちゃん、もうイキそう?おちんちんしぼりがまんできなくて、あかちゃんえきぴゅっぴゅしたい?
かんじてるあっちゃんのかお、すっごくかわいいよお…。ほーけーのびんかんおちんぽ、そーろー気味にどっぴゅんしたくってたまんないんだよねー。にひひっ…」
愛らしい顔にサディスティックな笑みをべたっと張り付けて、オレを見下ろすともちゃん。しっかしこれが客に対する態度だろうか
ひょっとすると、彼女なりのいつものプレイスタイルかも知れない。だとしたらとんでもないお嬢だ
「ふ、ぅん…。そろそろわたしもきもちよくなりたくなっちゃった…。もう、ほんかくてきに動いちゃうから」
「…はっ!?」
「ほ〜らほら。このままこしを動かしたらぁ、おちんちんどうなっちゃうんだろーねー?」
「ま、待って…」
オレの返事を待たずに、腰をずずずっとゆっくり持ち上げると、「あんっ」と言う黄色い声と同時に、一気に腰が叩きつけられた
「〜〜〜っ!!」
凄まじい程に衝撃的な快感。オレは、声にならない声を吐き出した

7 :
「はあ〜!あっちゃんのちんちん、わたしのミニちつにちょーハマってるよぉ〜!すっごいぴったりきてるぅ〜!!」
ぱんっぱんっと皮膚同士がぶつかり合う音を響かせながら、ともちゃんは楽しげに喘ぐ
精液を搾らんとうごめく蜜壷で『おちんちんしぼり』を続けながら、下半身を高速で動かして、ペニスに堪え難い悦楽をコンビネーションで与えている
我慢などできるわけがない。射精の時はもう眼前に迫っている
「はわぁぁ…あっちゃんのおちんこちゃん、がちがちになってるぅ。こだねじる出したいって、まっしろいねばねばせいし、ぴゅーぴゅーしたいよ〜って、ぱんぱんにふくらんでるよぉ…。
あっちゃん、きもちよかったらイッていいよ?がまんできなかったらいつでもイッていいよ?
イカくさくってなまぐさくって、じゅせーのーりょくバッチリのこづくりおしっこ、びんびんちんちんちゃんからいっぱいしゃせーしていいよぉ!!
はぁぁ…わたしのおまんこ、ちんぽちゃんがビックンビックンするのまちきれなくて、ぬるぬるえき出すぎちゃってるよぉ。あたまん中こーふんしすぎちゃって、セックスとまんないよぉ!きゃはははは!」
……正直、ともちゃんが何を言っているのか、もう理解できない
ゆるみきった桜色の表情で、ぬちゅんぬちゅんと粘った音が結合部から聞こえている
演技なのか本気なのか、こちらは知る由も無いが、とりあえずなんらかの興奮状態にあるのは確かだろう。だが…
「あんっ!あんっ!あっちゃんもうイキたいでしょ!?イッていいよ!おちんぽこイッちゃうの、おまんこ肉にかんじさせてぇ!」
「あ…あぁっ…!」
オレの性感はそれ異常に興奮している
もうダメだ。もう出る
でも…、その前に何かしておきたい…。少しも抵抗できないマグロは御免だ…
オレは力を振り絞って上半身をやや起こすと、ふるふると震える腕を伸ばして、上下運動を続ける柔らかな尻肉を、むにりと掴んだ
「あっ…ん?あっちゃん、わたしのおしりすき?おしりあいぶしながらイキたいの?」
そのまま、右手を尻の中心に向けてじわじわと動かす。子供のように慎ましやかな臀部の割れ目の中に、指を潜り込ませるのは容易だった。そこでオレの中指が、異質な感触の、しわのあるへこみに触れた
(みっけ…)

8 :
「ひゃっ!?」
菊のすぼまりに軽く触れただけで、膣の複雑な動きも、乱暴な腰のピストン運動も、体中の全ての動きが止まった
「だ、だめ…おしりだめ…」
オレのペニスをさんざんおもちゃにしていた彼女は、眉間に皺を寄せて息を詰まらせている。指先で菊座を小さく撫で回すと、全身と声を震わせ始めた
「いや…、いや…あなるはえぬじーだからさわっちゃいやなのぅ…」
ともちゃんは今にも泣き出しそうな顔になった。桜色だった頬は真っ赤に染まっていて、平坦な肉体からは汗が吹き出していた
オレは中指の腹を肛門のすぼまりの中点に合わせると、つぷりと指先五ミリほどを中に挿入した
「にゃぁぁぁーー!!らめぇぇぇぇーー!!!」
絶叫と共に、目をぐりんと見開いて、上半身を大きくのけ反らせる。その瞬間、蜜肉がペニスを強烈に圧迫して、オレの射精欲はついに限界を迎えた
「ぐうぅぅぅっ!!くぁっ…!」
全身を駆け抜ける射精感と開放感。二度目の絶頂にも関わらず、決壊したダムのように、大量の濁流をゴムの中に吐き続ける尿道口。ともちゃんの膣の中で、ペニスは歓喜に沸いてどくんどくんと跳ねていた
「はっ、はああ…。イッてる…。おちんちん…」
ともちゃんは、天井を仰いで、力無く口をパクパクさせながら、ペニスの躍動を膣内で感じている
しばらくの間、二人とも繋がったままで息を切らせていたが、やがてともちゃんはゆっくりとオレの顔を見下ろして、にっこりと笑った
「そろそろ時間で〜す…」

9 :
「も〜、なんであんなことすんのぉ?」
やるコトやって服を着ていると、膨れっ面のともちゃんが話し掛けてきた
「…ん?」
「あなるはえぬじーなのにぃ…」
「そんなの、先に言ってくれなきゃわかんないよ。前もって言ったっけ?ともちゃん」
「………わすれてた」
「じゃあ、仕方ないじゃん」
「…で、でもぉ、女の子がやめてっていったら、すぐやめなくちゃだめだよぉ。そーゆーお客さんは、お店のえらい人にしかってもらうんだから」
「む…」
確かに、お嬢の仕事は客を愉しませる事だし、たいていの事は寛大に許してくれる
だが、お嬢の言い付けた事には、絶対に従わなければならない。これを破った場合、どんな『説教』を食らっても文句は言えない
「どーする?せんようのおへやでお話してく?」
「……ごめん」
「こえがちいさーい」
「…ごめん!オレが悪かった!……これでいい?」
半ばやけくそ気味に謝罪の言葉をのべて、ぺこりと頭を下げた
「へっへー。じゃあゆるしてあげるー」
彼女は優越感満点の笑顔で、オレの頭をなわしゃわしゃとなで回した
(このガキィ…)
かなり割り切れない気分だが、『説教』の事を考えれば、されるがままを選択せざるを得ない
「ふふ、でもありがと。おつかれさま」
「んむっ…?」
ともちゃんはオレの首に腕をまわすと、ぐっと唇を奪った
小さなピンクの唇と、小さな濡れた舌がオレの口内をくちゅくちゅ愛撫する。やがて甘やかな吐息とともに短いキスが終わると、二人の唾液が名残惜しそうに糸を引いた
「さいごのサービスだよ」
くりくりとした大きな瞳で、愛らしい微笑みを浮かべる
「…はは、ありがと」
「ね、わたしのお客さまになってよかったでしょ。ちびっこボディ、好きになったでしょ?」
「ん〜、ちょっとだけ」
「ちびっこボディ好きになってもぉ、ほんもののちびっこにエッチなことしちゃだめだよ?もししたくなったらぁ、わたしのところにきててね?にひひっ」
ともちゃんはまた、真夏の空のように明るくにかっと笑った

10 :
続きは夜か明日に

11 :
改行変で読み辛い

12 :
むしろ読みやすいくらいだったが……。
とにかくGJ!

13 :
GJ!!
そろそろ時間で〜す ワロタ
続き待ってるー

14 :
>>1
荒れないように「気に入らなければ叩かずスルーしましょう」っていうのもルールに加えたらどうかな?
そういうのをテンプレに入れてるスレもあるからさ

15 :
後日談を。ちょっと長いかも

16 :
「はわぁ……ふぅ……」
畳敷きの居間に寝っ転がって、天井を見上げながら、間の抜けたあくびをした
ともちゃんと一戦交えてから何日か経って、今日は日曜日。麻美ちゃんは義姉さんとお義母さんと一緒に、食事に出掛けて行った。父親不在の母子家庭なので、家族の絆を深める為、月に一回はみんなで集まって外で食事をする……というのが昔からの習慣らしい
麻美ちゃんは出掛ける前に、ガキみたいな事をずーっと続けてるからウンザリ、みたいな事をぶつくさ言っていたが…まあ、口で言うほど嫌ではないようだ
とにかく、日曜の午前中から、オレは一人になった
麻美ちゃんのご飯を作らなくていいし、機嫌を取らなくてもいい、愚痴を聞かされる事もない
一人になれば、ダラダラゆっくり、羽が伸ばせると思っていた。一ヶ月ほど前の生活に戻って、日がな一日、ぐだぐだまったり過ごせると思っていた
しかし、いざ本当に一人になってみると、これが結構つらい
麻美ちゃんのご飯を作らなくていいし、機嫌を取らなくてもいい、愚痴を聞かされる事もない
何もする事が無い、誰とも話をしない事が、こんなに不快に感じるとは思わなかった。以前のオレからは考えられない感覚。正直、家の中にいるのが苦痛だ
つけっぱなしのテレビからは、毒にも薬にもならない音と映像が垂れ流されている。…日曜のテレビって、なんでこんなに面白くないんだろう。左手をリモコンに伸ばして、プツンと電源を切り、壁にかけられた時計に目を移す
(もうすぐ十一時か…)
まだ中程までしか吸っていないタバコを、ちゃぶ台の上のヤニ缶でぐしゃぐしゃと揉み消し、財布の中身を確認する
(オレもメシ食いに行こうかな…)
どうせ金はまだたんまりあるんだ。少しは豪勢な食事でもしに行こう
簡単に身仕度をすませると、車の鍵を引っ掴んで玄関を出た
…でも、豪勢なメシって何だろう?…え〜っと、え〜〜〜っと……………ステーキしか思いつかない……

17 :
「あれー、ぐーぜんだねー?」
県内有数のステーキチェーン店の駐車場で、背後から誰かに呼び止められた。子供の声…というよりはキンキンのアニメ声だ
「あっちゃんでしょー?」
アニメ声で、オレをあっちゃんと呼ぶ。となると答えは一つしかない
「…ともちゃん?」
「へっへー。あったりぃー」
そこには、この間オレを性的にいじめた真ん丸お目々の女の子が、バッグを肩に下げて微笑んでいた
「あっちゃんもごはんたべにきたのー?」
「あ、うん」
「にひひ、わたしもだよぉ。あっちゃんはひとり?」
「そうだけど」
「へえ〜っ、さーみしーい。日曜にひとりでごはんたべるなんてー。くくく」
「…アンタだって一人じゃねえか」
「うん、そうなの。だからね、さみしい同士でいっしょにごはんたべよ?」
ともちゃんが、オレの腕に絡み付いてきた。その様子は腕を組むと言うより、しがみつく、あるいはぶら下がると形容した方がいい
「お、おい…」
「ね、いいでしょ?」
「う〜ん、…ま、別にいいか」
確かに、一人寂しくメシを食うよりは遥かに良い
「へへっ、きーまりっ。じゃあごはんたべおわったらぁ、わたしとデートしようね」
「…デート?」
「うん。わたし四時から出勤でぇ、それまでにいろいろ行くところあんの。わたし、あっちゃんといっしょに行きたいなぁ」
「オレを足に使うつもり?つか今日もお店なんだ」
「そ。きょうはふたりでいろんなとこまわってぇ、あっちゃんといっぱい仲良くなってぇ、さいごはおへやん中でふたりっきりになるの。んふふ、いっぱいラブラブエッチしよーねー」
ともちゃんの発言にオレは驚愕して、思わずあたりを見回した
中身は成人とは言え、見た目小学生の女の子に腕にしがみつかれて、『ラブラブエッチしよーねー』なんて言われてる場面を目撃されれば、通報は免れない。ハタから見れば、児童との淫行だ
「なにあせってんの?ここにはわたしたちしかいないみたいだよ?」
「あ、ああ…。どうやらそうみたいだ…」
運良く、辺りに人影は見当たらない。ほっと胸を撫で下ろすと、ともちゃんがつきたての餅よりも柔らかなほっぺをすりすりとなすりつけてきた
「にひひっ、はずかしがってんの。か〜わいい」
「………」
この脳天気な態度…。自分の身の安全をを真剣に心配した事がバカらしくなってくる
…ま、とどのつまりは営業デートって事か。ぶっちゃけ今日はソノ気は無いんだがなぁ…
「…ラブラブエッチはともかくさ、とりあえずメシ食いに行かない?」
「そーだねー。いっぱい食べてたいりょくつけてぇ、きょうは五回くらいイッちゃおうねー」
「……その事は後で考えよう。今はメシに集中しようぜ。ね?」
「うんっ。わたしもうおなかぺっこぺこだよー」
ともちゃんは自分のお腹をぽんぽんと叩くと、にひひと笑って白い歯をのぞかせた

18 :
(それにしてもよく食うなぁ…。信じられんよ全く…)
ステーキ店ではジャンボステーキ800グラムセットライス大盛り、そば屋で特大ざるそばとカツ丼、ハンバーガーショップでスペシャルビッグバーガーセットを2セット、おまけに移動中の車内でオーザックとばくだんおにぎりとスポーツドリンク500ml…
これら全てを食べカス一つ残さずぺろりと平らげ、今またアイスクリームショップで、エベレストパフェなる物に舌鼓を打っている
(こんな小さな体のどこに入ってるんだろ…。胃液が濃硫酸の百倍以上とか?)
食事の量は確実に三キロを超えているはずだが、彼女の腹まわりは相変わらず偏平なままだ
「あっちゃんもなんかたのめばいいのにー」
自分の頭より大きなパフェにスプーンを突っ込みながら、ご満悦といった感じでニコニコ笑っている
「いや…、オレはもういいよ…」
彼女が物を食ってる様子を見ているだけで、こっちが吐いてしまいそうだ
「そーお?おいしいのにー」
「て言うかさ、色々行く所があるって言っといて、メシ食ってるだけじゃん。単なる食べ歩きじゃないか」
「にひひっ。このお仕事ってたいりょくしょうぶだからねー。出勤前はいつもこんくらいたべてんの。あっちゃんもいっぱいたべとかないとぉ、わたしのあいてできないよぉ…?ぐふふふ…」
「だからさぁ、今日はしたくないってば」
「え〜っ、いいじゃんよ〜。またGスポットつんつんしたげるからさぁ」
「し、しーっ!しーっ!」
オレは慌てて口に人差し指を当て、黙れのジェスチャーをする
「ど、どーしたの?」
「いや、そういう事はさ、こういう所で言っちゃダメだって」
意図せず小声になって、ともちゃんに諭す。大体、こんな見た目の女の子と一緒にいる時点で、周りからどんな目で見られているかわからないのだ。用心に越した事はない
「ふ〜ん…しんぱい?」
「えっ?」
「だいじょーぶだよ。なにか言われたら、わたしのみぶんしょーめーしょ見せればいいんだから」
「い、いや、そんな事じゃなくてさ…」
「それともてれてんの?」
「何言ってんの、違うってば…」
「ふふふ、じゃあべつにいいじゃん?じー・す・ぽっ・と!!って言っても」
「しーっ!しーっ!だから、なんで人がやめろって言ってる事をやるんだ、アンタは!」
ともちゃんは、右手でスプーンを持ってぴこぴこさせながらニヤニヤしていたが、やがてぷっと吹き出して、口に手を当てて笑い出した
「ぷっ、くくくくく…あははははははっ………はぁ。あ〜、たのしいっ」
「………」
ひとしきり笑った後、両手で頬杖をついて、にっこりと満面の笑みを浮かべた
「あっちゃん、かわいいね…」
小学生みたいな子にかわいいと言われてしまった…。しかも年下に…
オレはちっと舌打ちをすると、痒くもない頭をガリガリと掻いた

19 :
「そーいえばあっちゃんってさー、カノジョいるの?」
「…えっ?」
突然話題を変えられた。独身の人間にはありきたりだが、オレには最も憂鬱で、かつ昔から決まりきった答えしか出せない話題
「いな…」
「いないでしょ?」
渋々返事をしようとすると、先に結論を出されてしまった
「な、何で勝手に決め付けんだよ」
「なんかねぇ……ふふっ、いないって顔してる」
「何それ?意味わかんねーし」
「いないでしょ?」
「…いねーよ。悪かったな…」
半ば吐き捨てるように言うと、彼女はくくっと笑って、かちゃかちゃとパフェにぱくついた。巨大だったそれは、いつの間にか四分の一ほどの大きさになっていた
「…それで、そっちはどうなの?」
「ん〜、わたしぃ?」
「うん。いるの?オトコ」
「うーうん、いないよ?わたしね、もうあっちゃんのことしか見えないの」
口の周りについたチョコレートソースをぺろりと舐めると、上目使いでオレと目を合わせながらニヤついている
色っぽいでしょ?と言わんばかりのどうだ顔が、逆に腹立つ
「…じゃあさ、前の彼氏は?」
「ん〜?まえの…?」
「どんな人と付き合ってたのかなー、って」
「………」
ともちゃんは、口にスプーンをくわえたまま、テーブルを見つめて押し黙ってしまった。それがあまりに長い沈黙だった為、オレは少し心配になった。地雷を踏んだかも知れない…
「………………いない、そんなの………」
「……ん?」
いない、とはつまり……そういう事だろうか
ともちゃんはまた何も言わなくなったが、やがて鈍く口を開いた
「わたしね、むかしっからこんな体だったから、男の子にあいてにされた事なかったし、カレシなんて、いた事なかったの」
「………」
「で、高三のときね、このとしになってまだばーじんだったから、めちゃくちゃあせっちゃってね、それで、わりと仲良かった男の子にむりにたのんで、エッチしてもらったの」
「…はは、結構大胆だね」
「うん。………でもね、わたしぜんぜんわかんなかったんだけど、その男の子ね、わたしのともだちとつきあってたの」
「ああ…そうなの…」
「あたりまえだけど、その子めちゃくちゃキレてね、わたし、なんにも言いかえせなかった。…さそったの、わたしだしね」
ともちゃんは少しの間目をつむると、またテーブルを見つめて話し出した
「……それで、ね。それからわたし、ヤリマンだーとか、ガキのくせに男に手ぇだしたーとか、いろいろ言われてね。そのうち、みんなからシカトされちゃった。へへっ、男の子にも女の子にも、あいてにされなくなっちゃったの」
「………」
「…バッカみたい。ばーじんすてたいからって、あせってカレシでもない人とエッチして、それで自分があんな事になってんだもん」
ともちゃんはすっと目線を上げると、再びパフェにスプーンを伸ばし始めた
「ねっ、だからわたし、カレシいないの。あっちゃんも一人みたいだしぃ、これはもうキマリだよねっ。にひひ」
ともちゃんはオレの目の前にVサインを突き出して、思いっきり楽しそうに笑った。その笑顔があまりに明るかったので、オレは逆にいたたまれない気持ちになった

20 :
「あ〜、あのさ、なんつーか、その、え〜っと、あのさ」
「…ん?」
「あの〜、何だ、オレもさ、学生の時、全然モテなかったよ。つーか、女ができた事も無いよ。今まで」
「ふ〜ん…」
「あ〜でも、それなりに楽しい人生だったっつーか…。あ、童貞捨てたのもつい最近だし…、だから、ほら、ねぇ?」
言ってる事がしどろもどろな上に内容が無茶苦茶だ。それに多分、的外れな事を言ってる。正直、何を話せばいいかわからないが、何でもいいから、話をした方がいいような気がする。まあ…、オレが何を言っても、彼女のなぐさめにはならないだろうけど
「え〜、だから、モテなきゃモテないでわりと気楽に暮らせるっつーか、そういう生き方もアリだと思うし…。あ〜、だから、その…。はは、何言ってんだろうな、オレ」
「…………」
ともちゃんは顔を上げて、しばらくの間天井に視線を移していた。少しの時間、口をつぐんで黙っていたが、やがて肩を上下に震わせ始めた
「ふっ、ふふふふふ…」
「…ん?」
「……しんじた?」
「えっ?」
彼女は、ニヤけた笑みをオレの眼前に突き出した
「も〜、わたしこう見えてもプロなんだよ?あんなのつくりばなしにきまってんじゃん。あっちゃんてば、じゅんじょーだからすぐしんじちゃってさぁ。かわいそうになっちゃったよ。へへ」
「………」
そう言って、ともちゃんは残りのパフェを一気にかっこんだ。物凄い速さで器は空になっていき、とうとう完食してしまった
「ふう、おいしかった。ごちそうさまー」
「ホントによく食うなぁ。お腹こわさないの?」
「うんっ。へーきへーき。…じゃ、そろそろじかんだし、いこっか?」
ガタンッと店中に響くような派手な音を立てて、跳ね飛ぶように椅子から立ち上がると、たたたっとオレの側まで駆け寄り、腕を鷲掴みにした
「ほらほら、はやくいこうよー」
「お、おい…」
「ひひっ、もうはなさないもんねー。にひひひひっ」
林檎のようなほっぺと、ゴム毬のように弾む笑い声。ともちゃんは、オレの腕を可愛らしい手でぐいぐい引っ張った
だが、その力が予想以上に強かった為、オレは思いっきり椅子から転げ落ちて、したたかに膝を打ってしまった

21 :
「ねー、ほんとにいかないのー?サービスしとくよ?お客さぁん」
ゴールデン街の入口で彼女を降ろした。全開になっている助手席の窓から、わざとらしい台詞で、しつこく勧誘を続けている
「うん、やっぱり今日はやめとくよ。給料入ったら必ず行くからさ。ね?」
「も〜、ぜったいだよ?やくそくだよ?」
「うん、じゃあね」
手を伸ばして、ふにふにと柔らかい手と握手をして、ギアをドライブに入れ、アクセルをゆっくり踏み込む
「あっ、待って!!」
「うわっと」
突然呼び止められて、思わず急ブレーキを踏む。ともちゃんは窓から上半身を突っ込んで、にこっと笑った
「な、何?」
「わたし、梶田朋子!」
「ん?」
「わたしの名前、梶田朋子!きょうはずーっとたのしかったからぁ、お礼!」
「………は、はは。朋子でともちゃんって、単純じゃね?」
「ひひっ、お嬢が本名おしえるってぇ、なかなかないよ?」
「…そうかもね」
「そうそう。お客さんのほうだってぇ、いきなり本名おしえることって、なかなかないよ?」
「……?」
「いくらあいてがお嬢だからってさぁ、しょたいめんの人に、いきなりふるねーむをいわないほうがいいんじゃない?ってこと。ね、高城アキトさん?」
「あ、ああ……」
そういえば言ってたっけ…。自分の迂闊さに、顔は紅潮して、口はひん曲がる
「……以後、気をつけます」
「ふふふっ。…きょうはありがとね」
「彼氏作れよ?」
「……なってくれる?」
「なんかサービスしてくれたら」
「するする!りょーきんまけてあげちゃう」
「はははははっ、いいね、それ。…じゃ、もう行くね」
「やくそく、わすれないでね?」
「うん、バイバイ」
「ばいばーい!ほんとにありがとー!」
西日に向かって車を走らせると、バックミラーには大きく手を振り続けるともちゃんが映っていた
その姿があまりにも子供みたいだったので、オレはちょっとだけ笑ってしまった

22 :
ともちゃん編でした。…タイトル考えた方がいいかな

23 :
萌えた

24 :
うん。良かったです。続編お待ちしてます。

25 :
ともちゃん編、GJです。かわいい。
いつも読んでて、自分、ともちゃんの声が、
や○ぎは○か○こ の声で再生されるんだ……。
>>14
ルールかあ。
ココってオトナな住人さんが多いんで、今までマターリやってきたけど、
新スレだしね。(前スレも2年かかったし)
読み手は
「気に入らなければ叩かずスルーしましょう」
これは基本で、
職人さんは
「グロ・スカなど、極端な属性は、投下時に前置き警告お願いします」
幅広く同居していくために。
て、カンジかね

26 :
ともちゃん編おつおつw
>ルール
そんなところでいいんじゃないか
人間じゃないけど結構好みな娼婦物があったので貼ってみる
淫魔・サキュバスとHなことをする小説 4体目
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261078969/l50

27 :

即回避になれば。
また、梅安さんモドキの医者と、遊女の話です。
江戸モノ・敵娼(あいかた)は宿場女郎
本文 8レス
お気に召さない方は、スルーの方向で。
NGワードはタイトルかIDでお願いします。
投下します

28 :
                              
「ね、今夜はお泊りになられるんでしょう?」
酌をしながら、おゆうがしなだれかかってくる。
「ああ、そのつもりだが」
「じゃあ、お酒はこれでおしまいにして。ね?」
おゆうは瑛哲の掌を手にとり、そっと胸のふくらみに押しつけた。

夕暮れ時の板橋中宿は、客引きの声と、宿を探す旅人とでごった返している。
夏の暑気が、土埃と一緒にむっと体に纏わりついて、汗まみれの体にどっと疲れが生じてくるようだ。
旅籠に入った旅人はみな「やれやれ」とほっとした顔付きになり、気持ち良さげに下男下女に足を洗われている。
そんなやや落ち着いた平旅籠の前を通り過ぎ、『飯盛り旅籠』の並びに差しかかると、とたんに客引きの声が騒々しく響く。
――やれやれ。
見慣れた構え、屋号の書かれた扁額を確かめると、ホッとため息が出た。
板橋には、患者がいる。
患者は、かつて瑛哲の馴染みの女郎屋を営んでいた老人だ。
楽隠居していたが、歳には勝てず、とうとう数年前から病みがちになった。
年に何度かは往診に来るが、此度の不調はなまなかでは良くならなかった。
瑛哲は、半年前からひと月に二、三度往診に来て、手を尽くして治療にあたっていたのだ。
そのおかげか、この世に未練がまだあるのか、めでたく隠居は全快した。
瑛哲は往診が終わると、必ずこの旅籠「ささの屋」に泊まっていくことにしていた。
だが、次からしばらく板橋に来ることはなくなる。
「ささの屋」への泊まるのも、これでしばらく間が空いてしまう。
だから、今夜は全快祝いだ、と隠居が宴を催すというのを、丁寧に断った。
「もう帰えっちまうのかい。ずいぶんと、宿場女郎に入れあげてんじゃないかえ。おまえさんらしくもない」
「なあに言ってるんですかいご隠居。そんなもんいませんよ。まあ、少し馴染んだのはいますがね」
「廓は幻だわえ。朝にでもなれば消えちまうもんさ。いや、消さにゃなるめえ……わかりきったことだろ」
「ですから、入れあげてなんか……」
「男も女も、夜ごとの逢瀬に夢を見せて見させて……どれだけ惚れさせるかの化かし合い……金が無いのが玉に瑕だが、通人だと思っていたおまえさんが」
「だからそんなこたぁ……ったく、ご心配には及びませんや」
「まあ、心配なんかしてねえが。おまえさんがねえ。割無い仲になった女たあ、どんなのか見てみたいねえ」
「……そんなモンはいないですよ。どこの廓とも同じで。皆可愛いもんです」
「ふ、ふふふふっ。まあ、いいやさ。せいぜい綺麗に遊ぶこった」
カッと煙管を煙草盆に打ち付けて、隠居はニヤリと笑った。
イヤミに追い立てられるように、瑛哲は隠宅を後にした。

29 :
                        
                      
「じいさんよりは、おまえと抱き寝するほうがいいに決まってる」
「うれしい」
飯盛り女のおゆうは、この宿へ居続ける時の敵娼だ。
ここ半年は、月に二度はここで過ごしている。
馴染みというより、深い仲と見る者もいるかもしれない。
飯盛り女は、日本のほとんど全ての宿場町にいた、給仕を名目に置いた女郎だ。
宿場では、飯盛り女を置かない平旅籠を探すほうが難しいほどだ。
江戸では東海道への入り口、品川宿がもっとも大きな宿場町で、飯盛り女も一番多く、質も高かった。
一方、中山道の入り口、板橋宿は品川よりも、数も質も数段劣っていたといわれる。
数年前からここへ泊まるようになって、おゆうという馴染みのおんなもできた。
来るのは年に数度でも、必ず数日留まることにしている。
「ときに、おゆう。おまえさんの亭主の病は、その後どうだ」
「ええ……相変わらず」
亭主が胸を病んだ所為で、おゆうが稼がねばならなくなり、五年の年季奉公でここへ「売られて」来た。
国では、年老いた義母が亭主の面倒をみているという。
子を産んだ躰と見ていたが、おゆうは子はいない、と言い張った。
瑛哲は、おゆうの家は、たぶん武家だろうと思っている。
それもどこかの藩の下士であろう。
そんなおんなは上玉扱いだが、少し陰気な雰囲気のおゆうは、『売れっ子』とはお世辞にも言えなかった。
「薬を持ってきたから、それを送ってやるといい」
「先生……いつもすみません」
「ほんの気休め程度のものだがね」
「あれ、こんなに」
「……しばらく……ここへは来れんからな」
「ご隠居が良くなられたんですものね……」
「ああ」
数年前の初会の折、なんとはなしに身の上話を聞き出してから、板橋に来たら必ずおゆうを抱くようになった。
二十六という年増だが、ありがちな不幸を背負ったおんなにふと、興味を持った。
源氏名を佐波野というが、身の上話のついでに名前を聞いてからは、おゆうと呼んでいる。
豊満とは言えないが、抱けば絡みつくように乱れる躰は、一度が二度に、朝を迎えれば夜が待てず、と不思議と離し難くなった。
「まだ……イヤ」
「俺は、もう……」
「だめだめ……」
「いい加減……終えるぞ」
今夜も気付けば、夕餉の膳もそこそこに、おゆうの誘いに乗っていた。
夜具に行くのも面倒で、膳を押しのけ押し倒し、帯も解かずにもつれ合った。

30 :
                    
「まだ、帯も解いておらん」
「だって、先生が……あぅ……は、あ!」
「まだ、宵の口だというに……そんなに……」
「ん……だって、待ちきれなくって……せんせ……や……んんっ」
両膝を折って、おゆうの胸に押しつける。
仰向けで瑛哲に圧し掛かられたおゆうは、枕を当てそびれ、島田髷もつぶれて崩れていた。
「いい乱れっぷりだ。そんなに欲しかったか……男が」
「ちがっ……せんせいが……欲しいの……先生がいいのぉ!」
「……可愛いことを言う」
「んあ……ホントよ、せんせ……がっ、あっ……も少し、緩くしてぇっ」
「だめだ」
瑛哲の腰が動くのに合わせて、ぬち、ぬちゅ……と調子のよい音が聞こえだした。
「……裾を捲っといて……よかったな……よく濡れて……」
「やだ……そんなこと言っちゃ……ああぅっ」
「……終えるぞ…………」
「あっあっ……あ、ヤ!」
う……と短く呻いて、瑛哲は欲を吐きだした。
おゆうも両膝を胸に押さえつけられたまま、顎を突き上げ、体を痙攣させた。
「暑いな……どれ、風を入れようか」
「あ……すみません……」
部屋にこもる濃密な空気を入れ替えようと、瑛哲は素肌に小袖を引っ掛けて立ち上がった。
後ろで、おゆうの含み笑いの気配がしている。
振り向くと、乱れた裾から緋縮緬の下着が肌蹴けて、足の先から太腿までが覗けて見える。
両手をついて、上半身を起こしかけた体が、艶めかしく曲線を描いている。
むっちりした内股を見せているのは、たぶんわざとではない。
それを目に留めながら、瑛哲は後ろ手に、奥庭に面した腰高障子を開けた。
「ん……おお……」
「……すごいでしょ」
「ほたる火、か……?」
体を回すと、庭の奥の方に、蛍火の飛ぶのが見えた。
心なしか小さな光だが、目慣れてくると、数えきれないほど見えてくる。

31 :
                 
「ええ。お隣もそうだけど、庭の隅に清水が少し染み出しててね、地面が湿ってるんですよ」
と、人の気配に驚いたのか、数瞬、蛍火が少なくなった。
「この時節においでになるのは、初めてでしょう?」
「そうだったかな……そうかもな」
「嫌だ、あたしのことはあんまり覚えていないみたい」
気だるそうに起き上がるそぶりを見せながら、まだ、躰の内の情火は消えていないらしい。
ぼんやりした眼が、部屋の暗がりの中で、小さく灯るように光っている。
くっ、と笑いが込み上げた。
「蛍みてぇだな、おゆうよ」
「え? ほたる……あたしが、ですか?」
「ああ。尻に灯りがついてやがる」
「やだ、そんなとこに灯りなんて無いですよ……でも、うふふっ、蛍ねえ」
「むかし見た蛍より、少し小さいな。丘ボタルか」
「あたり。先生はなんでもよくご存じで。小さくても一生懸命光ってますよ」
「“あたしに、寄っといで、男よ金蔓よ”ってな」
「もう、止しておくんなさいよ、そういうの」
瑛哲がおゆうの背後に腰を下ろして、後ろから抱きしめる。
「“音もせで思ひに燃ゆる蛍こそ鳴く虫よりもあはれなりけれ” だったか」
「昔の人の歌? なんだか、さみしいような……」
おゆうは首に回った太い腕に手を掛けて、きゅっと掴んだ。
「リンリン鳴いてる虫より、風情があるってことさ」
「……先生……あたし、国へ帰りたいな」
「来年の夏には、年季は明けてるんだろ?」
「うん……でも、早く帰りたい」
「帰ったら、会えねえじゃねえか」
「ううん。先生と帰りたい」
耳の後ろに顔を埋め、ちろちろと舌を這わせていく。
「亭主がいるんだろ? 恋しい亭主が」
「……国は国でも、亭主のいるところじゃなくて。二人で暮らしていけるとこ」
「ばあか。何言ってる」
肩からずり落ちた襟元に鼻を突っ込み、おゆうの匂いを嗅ぎながら、帯を解き始める。
脂粉と髪油の匂いが濃く流れてくる。
「あっああ……あ……ん」
おゆうの体からするりと着物が落ちていった。
「……閉めます……戸を閉めさせて……は……う」
腕を突っ張り、おゆうがもがくが、わずかな動きも封じ込められている。
「見えちまいますったら……」
「構わん。見せてやれ」
濡縁に足が掛かるかどうかという場所で、隠す物は何も無い。
「蛍火で、おまえを照らしてな。……おい、足を広げろ」
「だめ、こんなとこで……できない」

32 :
                
抵抗するおゆうの後ろから、瑛哲が膝裏に手を差し回した。
「ならば、おれが広げてやる。ほれ、蛍よ、寄ってこい」
「やだ、何言ってんですか……やんっ」
「甘い水だぞ。ほれ、こんなに……そんな所よりよっぽど濡れてる」
おゆうの繁みを掻きわけ、花弁を探って、手指を這わせる。
指を下へ滑らせ、秘裂を上へと辿り、何度も往復する。
びちゃびちゃと、蜜音を響かせながら、秘裂の奥へと潜らせていく。
「も……もう……先生ったらぁ……嫌ぁ……んあ」
「俺のが溢れてきやがる……」
蜜壺の中を掻き混ぜれば、白く濁りのある粘液がぐちゅぐちゅと流れ出した。
「ん……んんっ、せ、んせ……そっち向きたい……」
「もう少し、こうさせろ……ここか?」
指を襞の中で擦りあげると、びくん、とおゆうの躰が跳ね上がる。
「あくっ……ん……くぅ……」
「おまえさんのイイところだ……なあ」
躰をびくびくと痙攣させながら、後ろにいる瑛哲の首に回した腕に力がこもった。
「やッ……あ、あぁ……は……あ……ああっ」
頭を瑛哲の肩に押し付けて、胸の双丘を高々と上げる。
瑛哲はすかさず、空いた手で乳房を揉み、乳暈を絞るように摘まみ上げた。
「はっ……あぁん……っ」
みずから腰を二、三度揺り動かして、おゆうはぐったりと瑛哲に躰を預けてきた。
「望み通りに、向い合せだ」
力の抜けた躰をどうにか返し、向い合せに膝に抱き上げる。
「先生の、かたい……」
「ほら、腰を上げろ。俺もよくなりたい」
「……はい」
瑛哲の肩に片手を置き、緩慢に腰を上げて、おゆうの陰(ほと)は剛直の尖端を簡単に探しあてた。
おゆうは蜜の湧き出る窪みに亀頭を固定し、片手を伸ばしてきた。
根元から、細い指を絡ませて優しく扱くように撫で始める。
先走りとおゆうの蜜が混じり合い、おゆうの手指は滑らかに瑛哲を包んで上下した。
亀頭の傘に指を引っ掛け、ごく弱く弾くように扱いていく。
少しずつおゆうが腰を落とし始め、傘の部分を飲み込んだ。
浅く咥えて、ぬめぬめと指を上下し続ける。
「……我慢が、利かねえ……」
「せんせ……」
これから与えられる激しい行為を待ちうけて、おゆうの眼が潤み始める。
と、瑛哲はおゆうの腰を両手でがっしりと掴んで固定した。
おゆうも動きを止めて、両手で瑛哲の肩に掴まった。
「本当に果てるまで、終えねえからな」
そう言うと、一気に腰を突き上げた。

33 :
                 
「あああッ」
仰け反って、おゆうの躰がしなっていく。
構わず、腰を揺すって、おゆうをがくがくと揺らし続ける。
おゆうの中はいつもの締め付け具合で、瑛哲のモノに絡みついてきた。
陰の具合に気を良くし、瑛哲は突き上げから緩やかな動きに移して、腰を捏ね回し始めた。
「ああっ……そこ……そこがいいの……」
おゆうが瑛哲の首に腕を回して、坊主頭を抱えるようにしがみつく。
「もう……もう……あたし……」
そう言って、キュッと瑛哲の肩に噛みついた。
片手で肩の盛り上がりを掴み締め、もう片手を瑛哲の胸にあて、おゆうは躰を起こして、腰を浮かせた。
「せんせ……やさし……のね」
「……噛んだな」
「あ……とてもよくて……どこかに、行きそ……だった……の」
短く吐く息の間から、やっとそれだけ言って、くいっと腰を沈ませる。
白い尻が、くっくと浮き沈みを繰り返して、瑛哲を最後の方へと煽っていく。
瑛哲も緩やかな腰の動きを続けながら、おゆうの胸に手を這わせ、尖端を弄ぶ。
すると瑛哲への締め付けがキツくなり、紅い唇が、目の前で大きく喘いで鳴き声をあげた。
「……ん……お……返し」
胸にあてた細い手が、瑛哲の胸の尖りを捉え、指先で転がし始めた。
丸く白い尻の動きが激しくなり、またおゆうの喘ぎが大きくなる。
先ほどまでの、恥じらっていた姿はどこにもない。
声を押ししても、絡み合う粘液の音とふたりの激しい息づかいに、あたりの涼気が乱れていく。
それを察したのか、息をひそめるように、虫の音と、視界の先の蛍火が減っていた。
「ッお……ゆう……」
おゆうの内股に密着させて、抉るように二、三度腰を突き上げる。
瑛哲がさらに腰を大きく強く突き上げると、おゆうが高い声で鳴いて仰け反った。
虫の音が、一瞬止んだ。

34 :
                
***
煮売り酒屋から出てきた瑛哲は、提灯を片手にゆっくり歩を進めていた。
隠居を偲んで一杯ひっかけ、ほろ酔い加減のいい気分だ。
気がつけば、あれから一年経ってしまっていた。
隠居が亡くなったと聞いて、その弔いに行った帰り道、板橋宿へ足を向けた。
隠宅を出た時には、とうに暮六つ(夏は19時頃)を回っていた。
相変わらずの飯盛り旅籠からは、この刻限でも、客引きの声がひっきりなしに飛んでくる。
平旅籠と並んだ「ささの屋」は、喧騒から外れていた。
だが、いやに静かだ。
「おい、嘘だろ……」
思わず、棒立ちに突っ立ったまま、瑛哲はぽかんと口を開けた。
建物の上から下まで、何度も確かめても、見なれたはずの扁額は無かった。
「ささの屋」は、宿を閉めていた。
「あら、せんせいじゃないの?」
ふいに甲高い声が、横から飛んできた。
弾かれたように振り向くと、提灯の火に浮かんだ見覚えのあるおんなが、瑛哲の傍に寄って来る。
おんなは「ささの屋」にいた、奈津野という女郎だった。
「ずいぶんとご無沙汰だったんじゃないんですか? ここ、潰れちまったの、ご存じないようですねえ」
「ああ……閉まっちまったのかい……」
「なんですかね、内情は苦しかったみたいで……あたしらはよく知らなかったけど。みんな散り散りになっちまって」
「宿の者はどうしちまったんだい?」
「先生が聞きたいのは、おゆうさんのことじゃない? あの人はね、売られちまいましたよ」
「……」
「春過ぎには年季は明けたのに、宿に金を借りてたらしくてね」
「……そうか」
「なんでも、国に残してきた子がね、病持ちらしくって。薬代とか言って、必だったみたい」
「ほう……子がおったか」
「うふふっ、あの人お客には『病気の亭主がいる』てことにしてたっけね。先生にもそう言ったんだ?」
「……ああ」
「あんまり何にも言わない人だから……ね、ほんとは先生のこと、きっと待ってたんじゃあないかしらね」
「……」
「売られた先は、街道沿いの宿場らしいけど……どこだっけ……」
奈津乃は申し訳なさそうに、首を竦めた。
「あ、いけない! こんなとこで油売ってちゃ……お客が取られちまうよ」
「おまえさんは、またどこぞで同じ家業をやってるのか?」
「うふふっ、隣の旅籠でね。呼ばれて、揚げてもらうんだ」
「ほう……そうなのか」
宿場女郎には、別の旅籠に呼ばれて客を取る、というのもあった。
「先生、今度あたしを呼んでおくれ、ね。そこの『辰巳屋』だよ。忘れないでおくんなさいよ」
奈津乃が去った後、瑛哲はなおも立ち尽くしていた。
「……嘘だろ」
もう一度、呻くような呟きが口をついて出てくる。

35 :
                   
その場を去りがたくなって、「ささの屋」の裏手に回ってみる。
張り巡らされた板塀には、切れた所があり、瑛哲はふらふらとそこから庭に入り込んでいた。
板塀の綻びに突き出た板きれに、提灯を引っ掛けて、庭のほうへと体を回した。
庭の奥をじっと見つめる。
「蛍か……」
そこには、一年前と変わらず、蛍が乱舞していた。
地面の湿ったあたりに、たくさんの蛍が群れている。
そのあたりは、蛍火で、ぼうっと照らされているようだった。
「変わんねえな……お前たちは」
蛍は、あの夜と変わらず、明滅を繰り返している。
けれど、宿は、暗闇に沈んでただの黒い塊に見えているばかりだ。
「もぬけの殻、か」
しばらくそこに立ち尽くしたまま、無数の蛍火を眺めていると、そのうちの数匹が、頼りなげにこちらへ飛んできた。
瑛哲は一匹を、掌で無造作に捕まえた。
――まぼろし。
隠居の言葉が頭の中に響く。
「綺麗に遊んだつもりさ……」
呟いて、そっと掌を広げる。
じっとしていたらしい蛍は、一呼吸おいてから、静かに光を点滅させ始めた。
――音もせで思ひに燃ゆる蛍こそ……。
一年前の、あの夜のことをぼんやり思いだしてきた。
おゆうの姿態、暗闇に灯ったような眼、甘い喘ぎ。
『先生と一緒に、国に帰りたい』
濃い宵化粧の下にあったのは、諦念だったのだろうか。
蛍は明滅しながら、掌から中指の先に移動していき、ふわりと飛び上がった。
「……蛍みてえだな、おゆうよ」
頼りない蛍火の行方を目で追いながら、込み上げる苦い笑いをどうすることもできなかった。
「割ない仲じゃあ、なかったさ。ほんの少し、互いに夢を見ただけだ」
街道沿いのどこかの宿で、今夜も男に身を任せているのだろうか。
子には、会えたのだろうか。
それとも故郷で今夜、瑛哲と同じく、蛍火を眺めているのだろうか。
それとも……。
「生きているなら、それでいいさ。なあ」
瑛哲は笑って、庭の隅に目をやった。
蛍はふらふらと飛び回り、無数の明滅の群れに紛れて、消えた。
===終===

36 :
以上、投下終わりです。
ありがとうございました。
誤字脱字、ありましたらお許しを。
>>26
投下前に読んできた。
かなり自分の好みのタイプでした。

37 :
>>36
乙でした!エロくもせつない作品、いつも楽しく読ませてもらっています
飯盛り女には以前から興味を持っていたので、今回の投下は非常にありがたかったです。お疲れ様でした!

38 :
ここの住人が気に入りそうな遊郭漫画見つけた。
問題は女性週刊誌(女性セブン)連載だということ。w
まぁ・・・単行本化されたから無問題だけど。
ttp://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784091331366  (1巻)
ttp://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784091332868  (2巻)
原作(小説)もあるでよ。
ttp://www.shinchosha.co.jp/book/128571/

39 :
>>27
あげ

40 :
>>21の続きを
娼婦というよりは、売られる、利用されるって感じで

41 :
「お兄ちゃん、今日給料日でしょ」
出勤前の朝飯。麻美ちゃんは珍しくぱっちりと目を覚ましていて、オレンジジュースの入ったコップをクイッと傾けている
「ああ、そうだよ。……小遣いはやらんからな」
「そんなのいらなーい。私も安定して予約とか指名とかのお客さんがついてくれるようになったしぃ、もうお兄ちゃんの給料なんて追い抜いちゃってるかもねー。あ、それとも私がお兄ちゃんにおこづかいあげよっか?アハハっ」
大体、いつもこの時間は半覚醒状態で、タバコを吸ってから二度寝するのが常なのだが、今日は朝から調子が良いようだ
「はっ、そんなに金があるんだったら、帰りにパンでも買って食えよ」
「へへっ、今日は四時からだからぁ、それまでにお洋服買って、エステ行くんだぁ。お釣りでお兄ちゃんにパン買ってきてあげるね。アハハ」
「あっそう。じゃあついでにコーヒー牛乳も買ってきて」
「いいよー。1リットルのヤツ恵んであげるー」
「……つか、エステとか行ってるんだ?」
「行ってるよぉ。この仕事は体が資本だし、ヒマがあったら自分磨きしとかないとね」
(体が資本、ね…)
その言葉の意味を考えると、胸の奥がぎゅうっと縮まって、少し苦しい
トーストをサクサクとかじっている麻美ちゃんは、ノーメイクだ
トーストを口に運んでいる手は白くて綺麗で、リップも何もしていないはずの唇は、つややかな、淡い桜色だ。それから、柔らかそうなほっぺと、黒い瞳
すっぴんでも、麻美ちゃんはとてもかわいい
「だからさ、今日はお兄ちゃん、私を待ってなくてもいいよ」
「………ん、なんで?」
「せっかく給料入ったんだからさ、たまには遊んできなよ。私を心配する事、無いんだから」
「………」
その言葉に、オレは何故かカチンときてしまった。麻美ちゃんは麻美ちゃんなりに、オレに気を使ってくれたのだろうが
「…いいよ、どこにも行かないよ」
「どうして?あ、もしかしてカノジョどころか友達もいないとか?」
「…今日も麻美ちゃんを待ってるから、いいよ」
「……ふ〜ん、そう。ま、別に、いいけど……」
そう言って、麻美ちゃんは、コップに残っているオレンジジュースを、一気に飲み干した

42 :
「金の話で思い出したんだけどさ、オレ、言わなきゃいけない事があるんだ」
オレはその空になったコップに、新たにジュースを注ぎ足しながら、言った
「何?借金でもしてんの?」
「違うよ。…この間さ、宝クジ当たったんだ。四十万」
「ウソっ!マジで!?」
「うん。いくらか使っちゃったけどさ、まだまだ四十万近く残ってるよ」
「へーっ、凄いじゃん!……でもさ、百万とか一千万とかじゃなくって、四十万って無難な金額がさ、お兄ちゃんらしいよね。アハハ」
「いいだろ、これだって大金なんだから。まぁ、これでしばらくは生活が潤っちゃうなぁ」
「あはっ、そうだね。じゃ、お兄ちゃんお願い」
麻美ちゃんはにこにこ微笑みながら、オレに向かって両手をちょこんと差し出した
「何よ、この手は」
「おこづかいちょーだい?」
「小遣いはあげないって言ったじゃん。つか手の平返しかよ、全く。……じゃあさ、代わりに、欲しい物何でも買ってあげるよ。一つだけね」
「ホント?お兄ちゃんマジで言ってんの!?」
「うん。でも一つだけね」
「やったー!!私、欲しいのいっぱいあるんだぁ」
「だからぁ、一つだけだって言ってんじゃん」
「あははっ、冗談冗談。…じゃあね、私、自転車欲しい」
「ん?何でチャリンコなの?」
「自転車だったら近所にもすぐ行けるし、ちょっと遠出もできるからね。それに脚の運動にもなるし、美脚維持には便利なんだよ」
「ふ〜ん、美脚ねえ…。ま、いいか。じゃあ後でお金渡すからさ、自転車買ってもいいよ」
「…お兄ちゃん、お金だけ渡して終わりなんだ」
「は?」
「一緒に買いに行ってくれないんだ?」
「…オレ、日曜くらいしか空いてないからさ」
「いいよ、別に。今日じゃなくても。今すぐ欲しいってわけじゃないし。…一緒に選ぼうよ、私の」
麻美ちゃんは頬杖をついて、返事を待っている。ショートカットの髪が扇風機の風にさらさらとなびいて、女の子の香りをふわり、とそよがせている
「じゃあ、日曜日でいい?」
「……うんっ」
「その後さ、どっかメシ食いに行こっか?どうせ金だけはあるんだからさ」
「へへっ、サンキュ。大金持ちのお兄ちゃんっ」
麻美ちゃんは、ほのかにツンと吊り上がった目を細めると、頬杖をついたまま、小さくピースサインをした

43 :
「……あっ、ちょっと待って?」
「ん?」
「さっき、宝クジのお金、ちょっと使ったって言ったよね?……何に使ったの?」
麻美ちゃんの顔がみるみる険しくなって、声のトーンも低くなる
「あっ?…だ、だから、飲みに行って…」
「何言ってんだよ。最近飲みに行った事、無いじゃん」
「……。ほ、ほら、こないだ残業したじゃん。あの後だよ?」
「ウソっ。あの時、お酒の匂いもタバコの匂いもしなかったよ。何か変だな〜って思ってたんだけど」
「………」
「つーかさ、宝クジ当たったのっていつなの?結構前の話みたいだけど。何でナイショにしてたの?」
「…………あ、そろそろ会社行く時間だ」
オレはそそくさと立ち上がると、足早に玄関に向かった。若干、膝が笑っていたかも知れない
「ちょっと!まだハナシ終わってないんだケド!」
慌てて靴を履いてドアノブに手をかけたが、一歩遅かった
早足でずんずんと追いかけてきた麻美ちゃんに、がしっと肩を捕まれてしまった。振り返ると、激情を隠そうともしない彼女の顔がある。怒った表情もまたかわいい…なんて言ってる場合ではない
「何で逃げてんだよ!やっぱなんか隠してるんでしょ!?」
「も、もう行かないと遅刻しちゃうから」
「人に話せないような事してたんだよね!言ってごらん!言えよスケベ!!」
「ほ、ホントに何にもないんだよ〜」
「ウソつき!!」
…結局、その日は大幅に遅刻をして、麻美ちゃんだけでなく、会社でも大いに怒られてしまった

44 :

俺に恥をかかせるな
それが、夫の口癖である
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
三つ指をつき、平伏して客を出迎える。それが、作法である
「今晩は奥さん。また、お世話になりますよ」
玄関には、背広姿の男が立っている。白髪混じりの髪は、後頭部まで後退し、だらしなく膨れた腹をしている
「はい。私も、楽しみにしておりました」
えりかが面を上げると、そこには満開の花のような笑顔。男はそれを、下品さ丸出しの目で見下ろす
「それでは、ご挨拶をさせて頂きます…」
えりかはなめらかに、床音一つも無く立ち上がると、男の首に腕を回し、唇を合わせた
「おお…んむっ…」
キスをすれば、即座に舌を潜り込ませるのが、この男の好みである。それに応じると、不快な臭気が口内に広がる
普段であれば、嗅いだ瞬間顔を背けてしまうだろう
だが、今は違う
顔を背ける暇があるなら、男の舌を舐め回さなければならない。ぐちゅぐちゅと粘った音を立てながら、悩ましげに唇を吸うのだ
それにこんな口臭は初めてではないし、この男だけではない。もう、慣れたものだ
「あぁ…はぁ…。本当にお上手ですわ…。私も疼いて参りました…」
口を離すと、生臭い唾液が未練がましく糸を引く
蕩けた目線を投げ掛ければ、肉欲に血走っている男の目が見える
「まあ……。ここもこんなに逞しくなっていらっしゃって……」
男の股間には、既に三角錐が出来上がっている。そこを撫でるよりもか弱く刺激すると、男の鼻息はより強くなる
「はは…。奥さんとこうしていれば、自然とこうなってしまいますよ」
「嬉しい…光栄です…。女にとって、最高の褒め言葉でございますわ…」
そう言って、媚びた笑みを浮かべると、柔らかに男の手を取った
「さ、それではこちらへ…。また、私を褒めて下さいませ…」
静々と、淑女の歩みで寝室へと案内する。男は股を突っ張らせながら、にやけた面でえりかの尻を凝視していた
俺に恥をかかせるな
それが夫の口癖であり、言い付けである

45 :
「あぁ…やぁ、んっ…す、すごい…はぁん…」
皮と脂肪がだるんと垂れた、染みだらけの、だらしない体
それが、えりかの美しい肉体に覆い被さっている
乳首を口に含んでねぶり回し、老いた指が秘部を無遠慮に刺激する。それに合わせて淫らな声を上げれば、男の口元は下卑た征服感で吊り上がる
「く、はあっ……、んあぁ……、ああ、ふぁぁん……」
「いやらしいな…。相変わらず、奥さんは感じやすい…」
「ああ…嫌…おっしゃらないで下さい…。こんな風にされたら…淫らになってしまいます…。ああっ、んあぁ…」
「はは…。高城君は幸せ者だ…。こんな淫乱な奥さんを貰って…」
夫の言い付けで、男性を自宅に招き入れ、抱かれる
今に始まった事ではない。結婚前、恋人時代からやっていた事だ
地位がある、もしくは影響力のある男や上司を誘って、女や妻を抱かせる。周りに知られてはまずい義理が作れるし、上手くすれば弱みを握る事にもなる。これが、夫の昔からの処世術…の一つだった
男を魅きつける美しい容姿の上、性技に長けるえりかは、まさにうってつけの逸材であった。交際と結婚に踏み切った理由も、大半はそれである
「あんっ…、夫がお世話になっている方に、お、お礼をするのは…妻として当然……あぁ…」
「いやあ…本当にご主人思いの奥さんだ…。うらやましい…」
男の指が、えりかの淫豆をぐりっと押し潰す
痛い
「はうぅぅん!そ、そこは感じすぎますぅ…!」
決して、男の行為を拒んではいけない
嫌な顔一つしてはいけない
もし機嫌を損ねれば、夫の立場がどうなる事か
いつもの通りにやればいいのだ
自分が長年、仕事でやってきたように
気乗りのしないセックス。生理的に受け付けない相手とのセックス。そんなの物はいつもの事ではないか
私はプロだ。どんな時でも、どんな相手でも受け入れて、満足させてきた自負がある
だから、こんな男に抱かれるなど何でもない
それが、夫の為だ
えりかはいつもの様に、そう自分に言い聞かせると、自ら花弁を開いた
「あぁ…、く、下さい…。もう我慢できません…」
「はぁ…はぁ…。奥さん、何が、何処に欲しいんです…?」
男の舌が、白い首筋を、なめくじのようにねちゃりと舐める。むちむちとした太ももには、勃起したペニスが押し当てられていた
「い、意地悪をおっしゃらないで…。貴方の物を…私の中に…」
「はっきり言ってもらわないと、わかりませんなあ」男は口角に唾を溜めてほくそ笑んでいた。このようなやり取りも、男の好みである
「ぼ、勃起したカリ太おちんぽを…私のいやらしいおまんこに入れて下さい…!ああ…、は、早くぅ…」
えりかは少女のような声で肉棒を催促し、秘裂を一層大きく割り広げた
その様子に男は満足したようで、勃起してなお軟度の残る男根を、女の入口に押し当てた
「で、では、奥さん…」
「ああ…イカせて下さい…」
コンドームも着けていない、生のペニスが、ずぶりと突き刺さった
「うあああぁぁぁ!!イ、イくうぅぅ〜〜!!」
「おお…。入れただけでイッてしまうとは…。よほど欲しかったんですなぁ」
「はあぁぁ…、あぁぁ…。だ、だって、凄すぎますぅ…」
「ふふふ…。では、またイッて下さい…」
「あっ、あんっ、あっ、あっ、そ、そんなに早くされたらっ…、あっ!あぁっ!」

46 :

男は嬉々として腰の動きを早めるが、えりかには快感も何もない。肉の圧迫感。あるのはそれだけだ
だが、ペニスがハマってしまえば、後は楽な物だ。長年の経験から、体が勝手に声を出して、膣と腰を動かしてくれる
その間は、色々と物思いに耽りながら、射精を待つ
明日の出勤の事、学生時代の事、家族の事、夫、母、妹と義弟、それから結婚前の自分…
あの頃のえりかは、子供のように浮かれていた。愛する男と結婚し、おいしい食事を作って帰りを待ち、赤ん坊を産み、育てる
こんな自分にも、当たり前で、暖かい家庭が築けると思っていた。夫が連れて来る「客」の相手もしなくてすむようになる、そう信じていた
だが、現状はどうか
「客」の相手はしなくてすむどころか、以前より数が増えている。夫は月に二、三度しか帰ってこず、たまに帰ってくれば妻の手料理も食べずに、さっさと寝るだけだ
結婚してから、夫との睦事は一つも無い。いや、夫自身は毎日のように誰かとセックスをしているだろう。その痕跡は、多々ある
夢に描いた新婚家庭とは掛け離れた、今の自分。夫と一緒に選んだ高級マンションで繰り広げられるのは、独り寝、独りの食事、独りの生活、接待という名の、夫に売られて重ねる情事
昔の自分が見たら、この現実をどう思うだろう
怒るのか、泣くのか、それとも、商売女上がりが、やはり普通の家庭を築けるはずはないんだと、嘆き悲しむのか……
「くうぅぅ!お、奥さん、もう…!」
「あっ、はぁっ、な、中に、あぁん、下さい、おまんこの中にっ、いっぱい出してぇぇ〜〜!!」
「ぬおぉぉぉっ!」
「ふわあああぁぁぁ!イクぅぅっ!またイッちゃううぅぅ〜〜〜!!」
男のペニスが脈打って、えりかの胎内に欲望を撒き散らす
大丈夫、薬は飲んでいる。妊娠の心配は無い
そうしてまた、自分に言い聞かせる
「ああ…。沢山出して頂いて…ありがとうございます…」
汗まみれの醜い体を抱きしめながら、さも愛おしげに、膣内射精の礼を言う
これもまた、作法である
「奥さん、今日もありがとうございました。いやぁ〜、本当に良かった」
「お楽しみ頂けましたか?私ばかりが気持ち良くなってしまって、恥ずかしいですわ…」
「はは、そんな事はありませんよ。私も子供みたいに、ハッスルしてしまいました」
「…まあ、お優しい言葉までかけて頂けるなんて…。本当にありがとうございます…」
「いえいえ。…それでは奥さん、私はこれで…」
「はい。もう夜中ですから、帰り道はお気をつけ下さい」
「ありがとうございます。では…」
出迎えの時と同じ様に、三つ指をついて、平伏して客を送り出す。これも、作法である
「本日は誠にありがとうございました。また、おいで下さいませ」
男が出て行った後も、えりかはそのままの姿勢で固まっていた
顔を伏せたまま床を睨みつけ、力の限り歯を食い縛るのは、作法などではない

47 :

待っている身はつらい。三分でも五分でも。それが何時間ともなれば、もやもやは積もり積もって精神を圧迫する
結局オレは、朝言った通り、真っすぐ帰宅して、麻美ちゃんの帰りを待っている。それにしても今朝は散々だった
麻美ちゃんには、平謝りとありったけの言い訳で、何とか解放してもらったが、納得などはしていまい。むしろ、オレの様子に呆れてしまって、とりあえず勘弁してやったと捉えるのが正しかろう
会社に行けば二十分の遅刻で、大いに叱られた。まさか、義理の妹に金の使い道の件で追及されていました、などと本当の事を言うわけにもいかず、適当な理由を考えるのに苦労した
(あ〜、情けねえ…)
今更ながら、自分のバカさ加減に落胆しつつ、麻美ちゃんが買ってきたあんドーナツと、コーヒー牛乳を口に運ぶ。五個ほど食ったがまだ十個以上残っていて、コーヒー牛乳に至っては、1リットルのヤツがあと十本は冷蔵庫に入っている。…やっぱまだ怒ってるのかな?
時計を見れば、そろそろ十一時半。…今頃は最後のお客さんの相手をしているのだろうか
正直言えば、ヒマであって欲しい
出来る事なら、出勤日数も減らして、勤務時間も短くしてもらって、あまり客も取らないで、それから…
帰りを待っている間は、いつもこうだ。こんなバカバカしい、消極的な願望が、血液と一緒に体中を流れて、あちらこちらをチクチクと痛めつけているような感じ
今の仕事を辞めてくれ、なんて言えない。きっかけの一つはオレなんだし。それに、最近ではやり甲斐も出てきたようだ。前に比べて、意欲的に仕事に向き合っている。ここら辺は血筋…なのかな?
でも、もし、辞めてくれって言ったら、麻美ちゃんは何て返事をするだろうか
百歩譲ってもそんな事は無いだろうが、もし、辞めるって言ってくれたら。…確かに嬉しいし、安心する。でも、どうしよう。そうなってしまったらその先、オレはどうすればいいんだろう…
…仮定の話で、しかも自分一人でネガティブに盛り上がってしまった。ホントにダメだな、オレ
とりあえずいつも通り、麻美ちゃんの食事の用意をしとくか。体を動かしとかないと気が滅入る
食パンが残ってるから、サンドイッチでも作ろう。卵と野菜を今日買ってきたから、タマゴサンドとサラダサンド。それから、その間に風呂を沸かして……

48 :
じゃあ、そうと決まったら、早速風呂とメシの用意でもするか。勢いをつけてヨイショと立ち上がり、台所へ向かおうとすると、けたたましく携帯が鳴った
『ボっクっのドラえもんが、町を歩っけば〜』
オレにはお馴染みの着メロが流れる中、携帯を手に取ると、発信者は【高城えりか】
義姉さんだ。こんな遅くに珍しいな
「もしもし?」
『もしもしアキトく〜ん?こんばんは〜』
「あ、はい、こんばんは」
『ゴメンね、こんな夜遅く。まだ起きてた?』
「はい、起きてましたけど」
『そうよねー。起きてるわよねー。麻美ちゃんがラストまでの日はぁ、アキトくんはずーっと起きて待っててあげてるんだよねー』
「………それで、今日はどうしたんです?」
『そうねぇ、今日はね、麻美ちゃんの事で、ちょっとお話があるの』
「麻美ちゃんが、どうかしたんですか?」
『うん、あのね、あなた達、お家では仲良くしてる?』
「……はあ、まあ、それなりに」
『そう!よかったわぁ〜。私、心配してたんだからぁ。…それで、あなた達ちゃあんと避妊してるの?』
「はっ!?な、何言ってるんスか。してませんよ、そんなの」
『あらっ、ダメじゃない、そんな無責任な事じゃ。あのね、いくら気持ちいいからってそんな……あ、もしかして二人とも、子供を作ろうって決めたのかしら?』
「だからっ、違いますよっ。子供ができるような事はしてませんからっ」
『え〜〜〜っ!?してないの?…ちょっとアキトくん、あなたね、あんな可愛い子と一緒に住んでて、一体何やってるの?』
「いや、何って…」
『あなたももう童貞じゃないんだから、しっかりしなさい?……麻美ちゃんも麻美ちゃんだわ。今度会ったら叱っておかなきゃ』
「あの、オレは別にそういう気は無いですし…」
『いーい、アキトくん?尻ごみしてるのが一番ダメなの。とにかく行動あるのみよ?好きな子がいたら、玉砕覚悟でバシーッとぶつかっていかなきゃ。それともなぁに?あなた、あの子がかわいくないの?』
「それは……かわいいですけど……」
『じゃあ決まりじゃない。あの子の手を握って、まっすぐ目を見つめてね、好きだ、愛してるって言ってあげたら、鼻血を出すくらい喜ぶわよぉ、きっと』
「…あの、義姉さん?」
『それで麻美ちゃんをギュッて抱きしめたら、そのまま最後までしちゃいなさい。終わったら、ずっと君の側にいるよ、とか言ってあげるのよ?そしたら子供も作っていいわ。…むふふ、あなた達二人の赤ちゃんかぁ…。きゃーっ!今から楽しみぃ〜!』
「義姉さん、自分で何言ってるかわかってます?酒でも飲んでるんですか?」
結局、義姉さんは三十分以上しゃべり続けた
一体何の用で電話をしてきたのか、さっぱりわからないが、オレの心はちょっと楽になった…気がする
はは、義姉さんってホント明るい人……

49 :
今回はこれで。わかりづらかったですかね…

50 :
今更でしが、>>16で書いてあるけど姉妹は母子家庭なんですよね。
実は母親の方も……っていう展開はありカナ?

51 :
>>50
どうでしょうね
ただ、長女の年齢を考えると、結構な年になってしまいますが

52 :
>>49 今回もGJでした。
エリカの旦那さんは 自らの出世(?)の為に、エリカに売春をさせている。
(取引先や上司・お得意様に嫁を「提供」して胡麻摺り・・・みたいな)
・・・という感じの解釈でいいのかな?
ってか ―幻の― 日テレ版「ドラえもん」とは
なんちゅーマニアックな着メロ・・・w

53 :
>>52
概ねその通りです。やはりわかりづらかったですかね…。反省しきりです
保守がてら、続きを少し

54 :
「こんばんはー、はじめまして。ほのかでーす!」
元気な挨拶、にっこりスマイル。予約を入れて下さったお客様を、明るく出迎える。第一印象は重要だ。特に、初対面の人には
久々の若いお客様。見た目は二十代前半か、半ばくらい。緊張しているのか、若干汗ばんだ手を取り、こちらへどうぞ、と個室へ案内する
部屋に入ると、早速お仕事開始。お客様の胸にそっと手を当て、握った手に指を絡ませる
「お客様は、こういう所にはよく来るんですかー?…………えー、そうなんですかぁ?じゃあ今日はぁ、私の事、いっぱいスキにしていいですよ?…………はい、お客様って私の好みですから、もう一生懸命頑張っちゃいますね!」
背伸びをして、お客様の首に腕を回し、潤んだ瞳で目と目を合わせれば、いつものご挨拶タイム
最初はちゅっ、と軽い接触だけ。今度は目を閉じて濃厚なキス
経験が少ないのか、少々動きがぎこちない。それに、タバコの匂いも、食べ物の匂いもしない。それどころか、歯磨きの、独特の清涼感ある匂いがする
(この人は当たり…かな…)
ちょっと嬉しくなって、強めに舌を吸ってあげる
悪くない
今日という日に、仕事に没頭するというのも……
「じゃ……はるかちゃん、本当にお疲れ様でした」
「はい、今までありがとうございました」
社長に頭を下げると、これまでの事が脳裏を駆け抜けて行った
一年前の今日、私は、アイドルを引退した

55 :

昔から、顔とスタイルには自信があった。高一の時、友人の勧めで、女の子向け雑誌のモデルになった。それがきっかけだった
童顔細身で巨乳の私は、ほどなく社長の目に止まり、スカウトされた
社長の事務所がグラビア系を中心に売り出しているのは有名だった為、両親は当然、反対した。だが私はそれを押し切って、高校も辞め、彼氏とも別れ、家出に近い状態で、社長についていった
色々なレッスンを重ねて、十七の時に念願のアイドルデビュー
美嶋はるか
それが、私に与えられた、新しい名前だった
自分で言うのも恥ずかしいけど、結構派手に売り出されていたと思う
数え切れない程の雑誌に載った。写真集もPVも、結構売れた。撮影で色んな国に行ったし、しょっちゅうテレビにも出た。熱愛報道もされた。イベントには、沢山のファンが集まってくれた
私は、一生懸命仕事をこなした。真剣に、熱心に、夢中でアイドルに打ち込んでいた
私はあの時、自分が輝いている事を実感していた

56 :
二十一歳の時、私は移動中の車内で倒れた。あまりの激痛に気を失って、そのまま病院に運ばれた
診断の結果は、子宮外妊娠。原因は、当時付き合っていた男だった
もちろん、現役のアイドルが倒れた原因が、これではまずい。周りの人達は、隠蔽と火消しに、躍起になっていた
手術と治療は極秘裏に行われ、男は二度と私に近づかないように、私と付き合っていた事を絶対口外しないように、と念を押され、去って行った
手術は案外長引いたが、セックスも妊娠も、問題無く可能であると告げられた
そして、肉体へのストレスが予想以上に大きい為、長期の療養が必要だという事も
私は狼狽した。入れ代わりの激しいグラビアの世界で、長い休みを取ってしまえばどうなる事か。そんな前例を、いくつか見てきた
まさか自分が、その前例の仲間入りをするなんて…
いや、違う。絶対違う。そんな風には決してならない。私は、ベッドの上で、拳をぎゅうっと強く握り締めた
負けるもんか
私は必ず復帰する
あんなくだらない、一時の遊び心で、事務所の人達の、ファンの、そして私自身の期待を、自ら裏切ってしまった。心の底から申し訳ないと思う
だが、これからは違う。この状況を必ず乗り越えて、今まで以上にアイドル打ち込む。余計な遊び心なんて一切起こさない
そして、みんなの前に、美嶋はるかは再び舞い戻ってみせるんだ
そう心に固く誓った
建前上は海外留学となっていたが、事務所には私へのファンレターがまだ沢山届いていて、それが、何よりの元気の源になった
医者の言う事は何でも聞いた
体に良いと言われた事は、何でも試した
それが、復帰への道なんだと信じて…

57 :

何ヶ月か経って、医者に全快を告げられた。確かに、健康にはなった
だが、私は納得なんてできなかった
どうして、何でこうなったんだ
これが肉体的ストレスの影響なのか、療養中、私の身体には、物凄い速さで脂肪がついていった
私はうろたえたが、すぐに気を取り直した
これは過程なんだ。健康な体に戻る為の。元気でなければ、アイドルなんて務まらない。太ったならば、後で痩せればいいんだ。今は、治療を受ける事が重要なんだ
そう、自分に言い聞かせ続けた
果たして、私の体型は、もう元に戻るのは不可能なんじゃないか?と思ってしまう程に変わった
誰かに見られれば、陰口を叩かれてしまうような体格。はっきり言ってしまえば巨デブだ。グラビアアイドルとはあまりに掛け離れた、贅肉だらけの肉体
顔の変化は更に深刻で、いくら太ったとはいえ、鏡を見ても、自分で自分が認識できない程に変わっていた
だが、健康であれば、いくらでも巻き返しはきく。私は、重くなった体を引きずって、美嶋はるかに戻る為に、必に努力した
過酷なダイエット、食事制限、肉体改造
何度も泣いた
何度も吐いた
何度も逃げ出したくなった
ファンレターも、いつしか届かなくなっていた
それでも、諦められなかった
何としても返り咲いてやるんだ
その決意だけを支えにして、私は耐え続けた
一年後、何とかプロポーションは取り戻す事はできた。…完全に元通り、とはならなかったが
問題は顔だった。ほとんど以前通りに戻らなかった
これは体型以上に致命的だ。このままでは、復帰など望めない
私は整形手術を受けた
何度も、何度も、繰り返し、繰り返し、顔中至る所にメスを入れ、昔の自分を取り戻すまで、手術を受け続けた
だが結局、そうはならなかった。目も、鼻も、唇も、輪郭の形も、以前のそれとは全く変わってしまい、それどころか、何度も手術を受けたせいで肌はボロボロとなり、髪はストレスで荒れ放題になった
童顔キャラを売りにしていた美嶋はるかは、もう見る影もない。老けてやつれた女の顔になっていた

58 :
そのうち、私を訪ねてくれる人は誰もいなくなった
こんな風になってしまった女を、一体誰が必要とするのか
私にはもう、商品価値が無い
自覚はあった。ただ、はっきりとしたきっかけが欲しかったのだ
そんなある日、事務所から手紙が転送された
母からだった。両親にも、『海外留学』の真相は話していない
内容は、地元の近況、父の昇進、そのお祝いに夫婦で旅行に行った事、本当は両親も、私の仕事を応援してくれているという事、海外で頑張っている私を応援してくれる言葉…
そして、手紙の中には、デビューしたての頃の、眩しいばかりに可愛らしい、私のグラビアの切り抜きが同封されていた
『竹本晴奈ちゃんがんばれ!!美嶋はるかちゃんがんばれ!!』
切り抜きには、母の字で、そう書かれていた
私は、本当に久しぶりに笑った
「もういいよね……。もう……」
解放という名の喜び
蜘蛛の糸のように纏わり付ついていた、私のしがらみ。それを断ち切ってくれたのは、優しい母の励ましの言葉と、過去の自分の姿だった
引退会見も、新聞報道も無く、人知れず芸能界を後にした
一年前の今日、二十三歳の時、私は、美嶋はるかから、竹本晴奈に戻ったのだった

59 :

ぱん、ぱん、ぱん、とお客様の腰と、私の尻がぶつかる音が部屋中に響く
「あっ、あっ、あっ、あっ、あんっ、いいっ、いいよぉ〜、あんっ、あぁ…」
やっぱりこの人、経験少なかったみたい。バックでするのも初めてらしく、入れるのに少し手間取った
まあ、テクニック自慢をされたり、偉そうな態度を取られるよりは、こういう人の方が遥かにいい
サービスでちょっと声を大きめに出してあげると、嬉しそうに腰を速めた
引退してからは、職を転々とした。居酒屋、喫茶店、パチンコ屋、スーパーのレジ係…。人と接する機会が多かった私は、何となく、接客業が向いているんじゃないかと思い、そういう仕事ばかりを選んだ
幸い、私がアイドルだった事に気付く人はいなかった。その点、容姿に変化があった事は、ありがたかった
だが、仕事はどれも長続きしなかった。普通の生活に慣れていない、というのもあったが、何かが物足りないという感じが、頭を離れなかった
もちろん、こんな事では金が貯まるはずはない。私は、その日の食費にも事欠くようになっていた
今から三ヶ月ほど前、コンビニで働いていた時、最近まで風俗で働いていたという、バイトの子と知り合いになった。この子は大学生だったが、親にバレて仕方なく店を辞める事になったという。女の子の風俗嬢時代の生活ぶりを聞いて、私は即、決断した
私はその子に、店の連絡先を教えてくれるよう頼み込んだ。未経験の人が、いきなり本番アリの所はキツすぎる、と忠告されたが、私は何度もお願いした
何の仕事も上手くいかず、半ばヤケになっていた、というのもあるが、何より収入がいい。とにかく金が欲しかった。こんな生活から、どうにか抜け出したかった
やがて女の子は、私のしつこさに折れ、渋々ながら連絡先を教えてくれた
それが私の今の仕事場、エロティックパレスだった
顔が変わっと言っても、前とは違ってしまっただけであり、別にブサイクになったというわけではない。肌も髪も健康な状態に戻っているので、メイクをきちんとしていれば、なかなか見れる顔だ
全盛期、とまではいかないが、自慢のプロポーションは健在だ
最大の売りであった巨乳は、パイズリ、マット洗い、胸枕と、いまだに男の人達の人気を集めている
「んっ、はっ、はっ、はっ、はあっ、イ、イク?イキます?はあぁ、イッて、イッていいよ、イッて、イッて下さぁ〜〜い!」
お客様がくぐもった声をあげると、私の中でオチンチンが跳ねる
「ああぁ〜〜〜っ!!はぁっ……、ああん……」
絶頂の痙攣を膣内で受け止め、一際大きな声を出す
とりあえず、今回も何事も無く終わった…
一仕事終えて、私の胸に訪れるのは、安堵感、開放感、そしてちょっとした達成感…

60 :

やはり私には、接客業が向いているらしい
自ら裸になって男を迎え入れる、究極の接客業
セックスは嫌いではない。むしろ好きだ
体力には自信がある。元アイドルなめんな、と言ったところだ
テクニックにも自信がある。色んな人に、散々仕込まれてきた事だ
何といっても、男に求められているというのがいい
男の視線を、欲望を向けられる度、私は身も心も喜びに震える
だから私は、あんなにアイドルに固執していたのだろうか。今になると、そう思う
楽しい。第三の人生は、結構楽しい
アイドルを辞めて一年、私は、この仕事が好きになっていた

61 :
今日はここら辺で
ご指摘、ご要望があれば幸いです

62 :
>>54-60
GJ!
テクニックにも自信がある(*´Д`)ハァハァ

63 :
女の子がそれぞれ切なくていいですね
不幸と風俗を結び付けすぎるのは問題ある考え方かも知れませんが
やはりフィクションの中では似つかわしいのだと思います。

64 :
何の気無しに体を売る人は少ないだろうしね
頭ん中やモラル的な感覚が相当アレな人なら別だが

65 :
>>64
男の立場からは全く想像つかないね
でもやっぱり、本番行為が大きなハードルになりそう

66 :
男は腰を振ってりゃいいけど、女はそのピストンを受ける立場だしな。しかも体の中にチンコ入れられて
肉体的にもキツいだろうな〜。それが見ず知らずの男相手ともなると、なおさらだろうね

67 :
だから 肉体労働 なんだよね。
お仕事としては、もっとも古いもののひとつだとか……。

68 :
いい女と金払ってヤれるんなら、払っちゃうよな
嫁さんもいない、彼女もいない、性欲たまってる男なら、特に
まあ、勝手な理屈だけど

69 :
これ読んだらちょっと考えてしまうな
136 名無しさん@ピンキー sage 2010/07/16(金) 22:52:31
ちょっと話がズレるんだけど…
職場の同僚(付き合いが長い人ばかり)と飲みに行って、三次会くらいにスナック(クラブ?)へ。
(ちなみに私はレスられ側の妻です)
寝室が別っていう女性がいて、夜の生活はどうしてるの?と誰かが聞いたら
「旦那とするのが面倒くさい。その気にもならないし、仕事と育児で疲れてるし、
風俗にでも行っててくれた方がマシ。」と答えた。
するとお店の女のコが
「風俗ってどういう所か知ってて言ってますか?」って言い出した。
え〜っ、と言葉を濁す女性。
「ただ性欲を吐き出すところじゃないんですよ。
擬似恋愛をするところなんです。
キスもするし、抱きしめあうこともあるし、心と心が通うことだってある。
そういう所だって、知ってて行かせてるんですか?」と。
ちょっと驚く女性。
聞けば、その店の女の子は若いときに、すこしだけお金のために風俗で働いたことがあるそうだ。
たまにだけど、びっくりするほど素敵な人がくるときがあるから、よくよく話を聞いてみたら
奥さんとレスってパターンが結構あったらしい。
あまりに生々しい話で、女子にとってはカルチャーショック。男性陣は居心地悪そうでした。
レス側で「風俗OK」の人って、こういう話を聞いたらどう思うのかな。
因みに別寝室と言ってた女性は、男性陣にも諭されてました。

自分的には…レスされてさらに風俗に行かれてたら、たまらないな…とか思った。
9月でレス1年になってしまう。切ない。

70 :
前スレ、無事にDAT落ちしたね。おせわになりました……。

71 :
Hooの作者さん、また続き書いてくれるかな…

72 :
みんな規制かな?過疎……orz
>>70
前スレは埋まるまで二年だっけ?

73 :
風俗嬢って税金を払う時、職業は何て申告するんだろう?自営業?

74 :
サービス業?

75 :
嘘かまことか「客からもらうサービス料は小遣い・お駄賃だから税金払う必要はない」って話があったな
まあ、泡嬢の勝手な言い分である可能性が高いが

76 :
保守がてら>>60の続きを
今回エロありません。申し訳ない…

77 :
あの後、40分のお客様が一人入った
疲れた体に気合いを入れ、笑顔でお出迎え。笑顔で接客。笑顔でお見送り。これで本日の業務は終了
正午から夜八時までで、今日は結構客が取れた。悪くない。疲れたが、いい稼ぎだ
後は使い終わった部屋を掃除。ちゃんとした清掃の人がいるから、嬢はサッと片付ける程度でいいんだけど、私は綺麗に掃除する事にしている
昔の癖だ。仕事場をずさんに扱う事は出来ないし、スタッフへの覚えもよくなる。客の事だけを考えてはいけない、という事を徹底的に教え込まれていて、今だにそれが抜け切れない
掃除も済んで、大きくひと息。お疲れ様、と心でつぶやく。それから首と肩をコキコキさせながら、ロッカールームに向かう
「あれっ、ほのかちゃん?お疲れ様ー」
入ると、先客がいた
「あっ…、ああ、まやちゃん、お疲れ様ー」
中にいたのが友達だったので、ほっと一安心。思わず笑みがこぼれる
「ほのかちゃん、今日どうたったー?」
「うーん、そういえばオジサンが一人ねー、チップくれたよ、五千円。もっとくれつっーの。はは」
「へー、でもいいじゃん。私、チップなんてもらった事ないよ。私なんかねー、今日の最初のお客さんがさ、デジカメ持って来ててさ、私の事隠し撮りしたんだよぉ!ま、ソッコーで突き出したケドね。アハハ」
「え〜、マジで?最初でそれってキツいねぇ。…あ、お昼に騒がしかったのって、それ?」
「うん。ゴメンね、やっぱうるさかった?」
「うーうん、今日はそれほどでもなかったからさ、気にしないで?…でもそういう人ばっかだね。まやちゃんにつくの」
「う〜ん、そうかもねー。私、突き出したのってもう七人目くらいなんだけどさ、これってやっぱ多いよね?アハハっ」
若干すまなさそうな様子の、まやちゃんの笑顔。正直、女の私から見ても、本当にかわいいと思う
まやちゃんは、入ってまだ一ヶ月半くらいしか経たない、一番新しい子だ
長くすらりと伸びた手脚、豊かな胸、引き締まったウエストに、小さな、整った顔。現役のモデルです、と言えば、恐らく誰もが信じるだろう
風俗嬢同士、ましてや同じ店舗で働く同士は、あまり友達にはならない。そんな話を、どこかで聞いた事がある
私も、そんな物だろうと思っていた
こんな仕事をするなんて、何かよっぽどの理由があるのだろう。そういう人達が、わざわざ他人と仲良くするだろうか
しかも人気商売である以上、みんな商売敵なんだし
そうでなくても、一日中セックスをして男に尽くすのが仕事なのだ。疲れきってしまって、他人を気にかける余裕なんてないはずだ
でも、私にはその方がありがたい
元々、友達を作るのが下手な性格だ。幼稚園から高校までに、できた友達なんて十人もいない
アイドルになると決めた時も、両親から「こんな性格で芸能人が勤まるはずがない」と言われたほどだ。まあ、結果的にはこの性格が功を奏したと思う
必要最低限の人間関係
誰とも深入りはしない
同業者であるアイドルや、その他芸能人とは仕事以外では口をきかない
事務所やスタッフにも、プライベートには一切立ち入らせない
休日でも、極力外を出歩かない
男は作らない
まあ、大体そんな感じ。私は孤独が苦にならないタイプなので、何の不満もなかった。実際、芸能生活は上手くいっていた。……結局、欲求に負けて男を作ってしまった為に、あんな事になってしまったが
とにかく、この仕事についた時も、今まで通り、孤独に、一人を貫こうと思っていた
私は女の子達の輪の中には入らず、控え室の隅っこで、黙って座っているのが常だった
ロッカールームで、呼び出しがあるまで立ち尽くしていた事もあるし、店の裏口で、一人でタバコを吸う事も多かった
そんな状態で、ひと月、ふた月と過ぎていった

78 :
まやちゃんと知り合ったのは、そんな頃だった
この頃の彼女は入ってまだ一週間ばかりで、しょっちゅう問題を起こしていた
客との揉め事はほぼ日常茶飯事、三日に一度は遅刻をし、ある日などは、全裸状態の客を、プレイルームから廊下まで蹴っ飛ばし、店中に響くような怒鳴り声で説経していた事もあったという
いわば問題児だった
私は女の子達の顔も名前も興味は無かったが、この子だけはあまりに騒ぎを起こすので、嫌でも彼女の事を知るようになった
よくクビにならないものだ。てゆうか何でこの仕事を選んだんだろう。私はつくづく疑問だった
とりあえず、こんな子とは係わり合いにならない方がいい。それにあんなに気性が荒い子、一緒にいれば騒ぎに巻き込まれかねない
どうせそのうちクビになるか自分から辞めるだろう。それまでの辛抱だ
私は、まやちゃんと同じ空間にいる事を避けた。あからさまに視線を合わせなかった
控え室には極力立ち寄らないようになり、ロッカールームと店の裏口だけが、私の居場所になった
そんなある日、いつものようにロッカールームに入ると、そこには先にまやちゃんがいた
これは気まずい…。さんざんシカトしてきた相手と、密室で二人きり。それどころか、客が相手でも大喧嘩を起こしてしまうほど、気の強い子だ。今までの私の態度について、因縁を吹っかけられるかも知れない
体中に恐怖と緊張が走り、生唾をごくりと飲んだ

79 :
お互い何秒間か無言で固まっていたが、先に沈黙を破ったのは、彼女だった
「あのっ…、ほ、ほのかちゃん…だよね?お疲れ様ー。へへっ」
「…あ、う、うん」
「ほのかちゃんと話するのって、初めてだよね?なんか避けられてたし…。ごめんね、私、騒がしくしてばっかりだから」
「………」
「私さぁ、演技とか、男の人に合わせるって、全然わかんなくってさぁ…。アハハっ、ごめんね?」
私が想像していた彼女とは全く真逆の、人懐っこい、かわいらしい笑顔
大きな目は赤く充血していて、周囲はシャドーが剥げて汚れている
「…お化粧、直した方がいいと思うけど…」
「あ…、うん、ありがと…」
まやちゃんは、室内の片隅にある、簡易的な、こぢんまりとした化粧台で、目元を直し始めた
「ごめんね、変な顔見せちゃって。時々ガマンできなくなっちゃうんだけどさ、とうとう人に見られちゃった。アハハ、ごめんね」
「……」
「ダメだよねー。いつも明るい私がこんな顔してちゃ。…ごめんね?」
鏡を見ながら私に話し掛けるまやちゃんの声は、ひたすらに明るかった
その明るい声で、謝る必要のない私に、何度も何度も、ごめんを繰り返した
「……ねえ、泣くほどキツいんなら辞めたら?」
私は久しぶりに、自分から他人に声をかけた
「ん……」
「向いてないんだと思うよ、多分……」
「……」
まやちゃんは私の言葉に返事をせず、メイクに集中した
私は腕を組んで立ち尽くし、彼女の姿を見ながら、返事を待った。何でこんな事してるんだろう、と思いながら
「ん…、もう大丈夫かな…」
まやちゃんは、鏡で何度か目元を確認すると、カチャカチャと化粧道具を片付けて、晴れやか…に見える顔で、私に近づいてきた
「どお?」
にこやかな笑みを小さな顔に張り付け、ずいっと私の目の前につき付ける
「…う、うん、悪くないよ…」
「アハハ、ありがと。…でもよかったなぁ、ほのかちゃん優しい人で」
「やっ……?」
予想外の事を言われて、私の体は思わず硬直した。はこんな風に言われるのは、生まれて初めてかも知れない
「……何で、私が優しいのよ……」
「だって、私を心配して、ずーっと一緒にいてくれたでしょ?……ありがとうね」
「………」
善意に解釈されてしまうと、逆に困る。だが無邪気に感謝してくれているまやちゃんへの反論が思い浮かばず、やり場のないもやもやが、ため息となって口から漏れた

80 :

「それにさ、さっき『辞めれば』って言われた時、ちょっと、嬉しかった、かな…」
「……そう?」
「うん。周りのみんなはさ、頑張れ頑張れって応援してくれるの。ありがたいんだけど…ちょっとプレッシャーかな、って…」
「………」
「…よしっ。じゃあほのかちゃん、そろそろ行こっか?」
「……は?行くって?」
「みんなのとこだよ。今日はね、ともちゃんがドーナツ作ってきてくれたんだよ」
「い、いいよ、私は…」
「いいからいいから。一緒に行こうよ。…友達でしょ?」
まやちゃんは、私の手を無理矢理引っ張って、ロッカールームを出た
「ちょ、ちょっと放して!何で友達なのよ…!」
「人が泣いてるとこ見といて、それはないんじゃない?」
「いや、別に見たわけじゃ…」
「ねっ?」
「………」
それからというもの、まやちゃんは私と顔を合わせる度に、馴れ馴れしく声をかけてくるようになった
最初はうっとうしかったけど、それがいつもの事になってしまえば、まやちゃんの他愛のない話が、私の楽しみになっていった
いつしか、私からも彼女に話し掛けるようになっていた
まやちゃんは、それに笑顔で応えてくれた
何でもない話
どうでもいい話
何の実りもない話
そんな事を一緒に語り合って、笑い合う
それが、私の当たり前になっていた
悪くないかも知れない
私みたいな女にも、一人くらい友達がいたって……

81 :

「ねえ、ほのかちゃん、今日これから何かある?」
まやちゃんは、すでに私服に着替え終わっていた
彼女もこの仕事に少しずつ慣れてきたのか、近頃は以前のようにしょっちゅう問題行動を起こす事は無くなった。まあ、時々は起こすんだけど…
「ん〜、別に無いけど。何で?」
「何も無かったらさぁ、一緒にご飯食べに行かない?私、こっち来てから外でご飯食べた事ないんだぁ」
「ふ〜ん…。あ、じゃあさ、お酒も飲める所がいいかな〜。ね、悪くないでしょ?」
「お酒?え〜、どうしよ……。ん〜と……そうだねぇ、じゃあ…たまには飲もうかな……?」
やや歯切れが悪かったが、まやちゃんは私の提案に応じてくれた
「ふふっ、じゃキマリだね。今日はい〜っぱい飲もうねー」
「ほのかちゃん、お酒好きなの?」
「ん〜、それもあるんだけど…。今日はねぇ、飲みたい気分なんだ。パーッと楽しく飲みたいの」
「なに?ムカついた客でもいたの?」
「そうじゃないの。何かねぇ………もう一つの誕生日?ってゆうの?そんな感じかな」
「アハハ、なにそれ」
「ちょっと昔さ、色々あってね〜。……居酒屋でいい?新しいお店があってさ、行ってみたかったんだ」
「…うんっ」
誰にも言えないけど、祝杯でもあげたい気分だった
一年前の今日、私はアイドルを引退した
三番目の人生が始まった日
大手を振って自慢できるような職業ではないけど、私はこの仕事が楽しい。素敵な友達もできた
私は今、充実している
三度目の人生は、なかなか悪くない…

82 :
「…ねえ、まやちゃん…大丈夫?」
「あ〜〜…………ん〜〜………」
まやちゃんの目は、完全に焦点が合っていない。上半身は、まるでクラゲのように力無くあっちこっちにゆらゆら揺れている
「まやちゃん…もしかしてお酒弱い?」
「ん〜……すこし……」
「も〜、それならそうと早く言ってくれなきゃ」
「あはは…、これくらいなら、へいきかな〜って、……おもったんだけど………う〜………」
思えば、居酒屋の時点で気づいておくべきだった。中ジョッキたった一杯で顔が真っ赤になった彼女を、かわいいかわいいと言って面白がり、全く気にかけていなかった。それどころか調子に乗って、あれやこれやと飲ませてしまった
今、私達はバーに来ているが、五分もしないうちにこの状態だ。まやちゃんのグラスには、琥珀色の液体が入っている
「お酒弱い人が、何でウイスキーなんか頼んだの。ホントに倒れちゃうよ?」
「うん……だって……おにいちゃん……おいしいって……いってた……う〜……」
そう言うとまやちゃんは、性懲りもなくウイスキーに口を付け、思いっきりしかめっ面になる。顔色は赤を通り過ぎて、若干白い
(はぁ…ちょっと悪い事したかなぁ…)
久しぶりのお酒だったから、正直浮かれてた
自分が楽しいばっかりで、まやちゃんの様子にも気づかなかった、っていうのは…友達として申し訳ない
時計を見ると、まだ十一時前。でもそろそろ切り上げた方がいいかも知れない
私はまだ飲みたい気分だったが、これ以上彼女を付き合わせては、本当にぶっ倒れるか、この場で寝てしまって朝まで起きないかも知れない。それどころか、今すぐまき散らしてしまう可能性も…
「まやちゃん、今日はもう帰ろっか」
「う〜〜……ごめんね………」
「いいって。まやちゃんのおかげでホントに楽しかったしさ。…じゃ、タクシー呼ぼうね?」
「うん……。あ…、いいよ。……タダのタクシーよんだげるから……」
「なにそれ?」
「うん……わたしのね……おにいちゃん……」
そう言って、まやちゃんはデコレーションだらけの携帯をいじり出し、耳に当てた
「え〜っ?いいって、こんな夜中に…。悪いんじゃない?」
「だいじょーぶだよ……。おにいちゃんねぇ……わたしのことすきだからねぇ……なんでもいうこときいてくれるんだよ……」
「………は?」
これは一体どういう意味だろうか
普通よりも妹思いな兄…という事?それならそれでやや納得いく所もあるが、「好きだから何でも言う事を聞く」という言葉には、どうしても男女の空気を想像せざるを得ない
やはり危ないお兄さんなのか。…それともまやちゃんは、私が思っている以上にデンジャラスな女の子なんだろうか

83 :

そんな事を考えているうちに、まやちゃんは携帯に向かってしゃべり始めた。お兄さんと電話が繋がったようだ
「あ〜〜、あんねぇ……むかえにきて……。…………うん、だからねぇ、はやくこっちきて。…………もおっ、いいからこっちきてよぉっ…。……おにいちゃんぜんっぜんやさしくないよ……。………うん。……あんねぇ………あ〜、ほのかちゃん、ここなんてとこだっけ?」
「…オートマグ」
「あんねぇ、おーとまぐだって。おにいちゃんしらないでしょう。としくってるだけでなーんもモノしらないんだから。……しってる?なまいき…。…………しってんならはやくむかえにきてよ……。…もぉっ、いいからすぐきてったらっ!ばいばい」
言うだけ言って、まやちゃんは通話を打ち切った
「なまいき…」
テーブルの上に投げ捨てるように携帯を置くと、いまいましげにタバコに火をつけ、うめき声とともにむせた
「…いいの?やっぱり迷惑だって」
「げはっ、げほっ…、う〜。いいんだよ…。おにいちゃんどうせねえ、わたしのいうこときくのがたのしいんだから……」
「……あのさぁ、そのお兄さんって一体何なの?」
「え〜とねぇ…、わたしのおねえちゃんのだんなさんのねぇ、おとうと…」
「あ、ああ…、そうなの…」
私はちょっとだけ胸がほっとした。実の兄妹でそういう関係なのはさすがに引くし…。て言うか普通に考えれば、義理の兄妹かあだ名のどっちかだよね…。早とちりな思い込みをしてしまった自分が少し恥ずかしい…
「じゃあ、あんた達付き合ってるの?それともお兄さんに告白されたとか?」
「それはないよ……。ジッサイそんなんなったらキモいんだけど…マジで」
「…は?じゃあ何であんたの事好きだってわかるの?」
「……いっしょにすんでたらねぇ、わかんの……。おにいちゃんねぇ…わたしをみるめがマジでキモいんだよ……」
「へえ、二人とも同棲してんだ」
「…あ?……そ、それはちがくてぇ……いろいろりゆーがあって、おいてもらってんの……」
「ふ〜ん…。ははっ、でもさ、まやちゃんくらいかわいい子と一緒に住んでたらさ、みんなおかしくなるんじゃない?男だったら。あんた襲われないの?つーか、もう襲われた?」
「そーゆーのさ…マジでありえないからやめてよ……。もうね、シンケンにサイアクなんだから…おにいちゃん…」
「そんなにヤバい人なの?」
「うん…。もうね、いままでみてきたおとこのなかでねぇ、サイアクにキモい…。もう二十七なんだけどねぇ、いちどもカノジョいたことないんだよ。おかしいっしょ?コレ」
「ははっ、珍しいね、そんな人」
「そんでねぇ、しかもねぇ、しろうとどーてーなんだよ。おかねはらってしかひととエッチできないってさぁ、マジおわってるよね。なさけないっつーかさ、もうキモいよね」
「はははっ、確かにヘンだけどさぁ…私達の仕事ってさ、何だっけ?まやちゃん」
「そ、そうだけどぉ……。だからぁ…、そんなひとにすかれてもぉ、ぎゃくにキモいってことだよ。いっしょにすんでるからってさぁ、いちいちキモいきたいすんなってハナシ」
お兄さんの話をしているまやちゃんは、やけに生き生きしている。さっきまで弱々しかった喋り方は、徐々にはっきりした物に回復し始めていた

84 :
「はぁ…。じゃあさ、出てけば?そんなにキモい人と一緒に暮らす必要、ないんじゃない?」
「そう…だけど…なんかねぇ、ちょっと…りゆーが、あるから…しかたないっつーか……」
「何それ?……なんか色々ごちゃごちゃ言ってるけどさあ、ホントはお兄さんの事、悪くないって思ってんでしょ?実はもうヤっちゃったとか?」
「なっ…!あ、あのさほのかちゃん、そういうのさ、いくら友達でもホントに怒るよ!?」
つい今まで顔面蒼白だったまやちゃんは、いつの間にか顔を真っ赤に紅潮させていた
「そんなにキレる事ないでしょ」
「キレる事だよっ。お兄ちゃんとヤるとかありえないよっ!絶対気持ち悪いもん!」
「へぇ〜。でもキスはしたんでしょ?手ぇつないで買い物行くとかは?帰ってきたらただいま〜おかえり〜とか言ったりすんの?はははっ」
「あ〜〜もう!そーゆうの絶対ないの!さわられるのもイヤ!見られるだけでヤなんだから!」
タバコの灰を撒き散らしながら反論するまやちゃんの姿は、非常に面白くてかわいい。こうなってくると、いやがおうにもサドっ気がわいてくる
「え〜、好きな女の子からそんな風に思われてるとか、お兄さんかわいそ〜」
「だって、私ホントの事言ってるだけだし…」
「ははっ、じゃあ私さ、かわいそうなお兄さんをなぐさめてあげよっかな〜、なんて」
「はっ???ほ、ほのかちゃん、何言ってんだよ」
「だってさぁ、好きな子がそんな態度だったら傷ついてるだろうしぃ、しかもまやちゃんさ、やらしてあげてないんでしょ?お兄さんには癒しが必要なんじゃないかな〜って」
「あ、あ、えっと、あのね、お兄ちゃんね、顔はブサいし話は面白くないし、気が弱くって給料安いんだよ。絶対オススメできないよ…」
「そんなの、お客さんの中にはそういう人いっぱいいるじゃない。まやちゃん、お兄さんの事キライみたいだしさ、私が引っ張っちゃってもかまわないでしょ?」
「いっ………いいんじゃない?別に………」
「はははっ、まやちゃんのお兄さんが私のお客さんかぁ。悪くないねー、そういうのも」
冗談半分、からかい半分
まやちゃんの反応が面白くて、つい口に出た言葉
本気なんかであるはずがない
少なくとも、この時点では、まだ……

85 :
今回ここまでです。ご意見・ご要望・お叱り等あれば幸いです。長文、駄文失礼しました

86 :
GJ!
これは深い話しになりそうだな(´・ω・`)

87 :
GJ!
次回も期待していますよ

88 :
古い町並みの中で胸元が開いたドレスを着た娼婦が
スカートを捲り上げ、黒いストッキングを直そうとした姿を
可愛い少年に見られ、娼婦が少年を誘惑し
童貞を奪い、娼婦の顔や下着やストッキングに少年の白いザーメンが付着していた。
そういう話を思い浮かんだ。

89 :
ショタ食い娼婦ですか?興味ありますな

90 :
保守

91 :
「ふふふ、お兄さんどこ見てるの?
顔?おっぱい?脚?それともアソコ?
そんなに離れたところから見てても良く分からないでしょ?
こっちに来て、ほら触ってみたいと思わない?
お口でなら幾ら、お胸も使うなら割り増しね。
アソコも使いたいかしら?」

92 :
タ、タケノコ剥ぎ…

93 :
ほしゅ

94 :
ほしゅ

95 :
ほす

96 :
父親が誰かも定かではない子を産んだ娼婦
だがその子は、過去に一度だけ心を通わせた男によく似ているのであった

97 :
ゲーキャラ板の萩原雪歩スレが特殊浴場従業員の萩原泡歩スレになってる><

98 :
>>97
どっちかと言うと売春スレ向きだな…

99 :
まさかここで見るとは思わんかった
本スレの荒らしなのに属性直撃すぎて困る

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