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2012年09月エロパロ207: 【スカトロ】排泄系妄想廃棄所11【汚物】 (210)
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【スカトロ】排泄系妄想廃棄所11【汚物】
- 1 :2012/07/08 〜 最終レス :2012/09/09
- 他スレで日ごろ迫害されがちなスカトロ系の妄想ネタやSSなどを吐き出すスレです。
版権物の二次パロ、非版権物のオリジナル、いずれも歓迎です。
ネタはライトな便意我慢やトイレ覗きから、ディープな飲尿吐瀉食糞塗便まで、
女性キャラの排泄関連をテーマとしていれば大小上下固形液ガス問いません。
ふと思いついた一行ネタから、貼るに貼れずお蔵入りしていた長編SSまで、
巧拙に関わりなく、形式その他なんでもありで参りましょう。
sage推奨。紳士はこういう時sageるものです。
■過去スレ
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所10【汚物】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1322006488/
- 2 :
- ■過去スレ
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所10【汚物】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1322006488/
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所9【汚物】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313821227/
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所8【汚物】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1296478979/
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所7【汚物】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1267879098/
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所6【汚物】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1234355887/
【スカトロ】排泄系妄想廃棄所5【汚物】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209737498/
排泄系妄想廃棄所4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185461945/
二次キャラ排泄系妄想廃棄所3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1152551089/
二次キャラ排泄系妄想廃棄所2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1131210760/
二次キャラ排泄系妄想廃棄所
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1116597854/
排泄系妄想廃棄所@まとめ
ttp://wiki.livedoor.jp/eroparo_suka/
- 3 :
- (前スレからの続きです)
「はい、それじゃあ、こっちもねー。
あーん……♪」
軽くすくった糞便を、カカオの口に差し出してやる。
すると、カカオはそれを舌で器用に受け取っていく。
口の中が一杯になるほどの糞便を注がれて、それをくちゃくちゃと咀嚼している。
口ざわりは、また強烈だった。
糞便に加え、ゴキブリやコオロギの残骸がザリザリと音を立て、ミミズがぷちっとつぶれる感触が加わる。
カメムシザーメン汁の残した激臭は尋常ではなく、咀嚼していると自然にえずきと共に涙が滲む。
これだけスカトロプレイに順応しているカカオですらそうなるのは、人体の『反射』が機能しているからだろう。
どうしようもない異物と判断し、それを体外に排出しようとしているのだ。
しかし、それを意思の力でねじ伏せていく。
ただ、カカオはそれを咀嚼し続けた。
蟲の感触もミミズの感触も糞便の固まり具合も全てがこなれていくまで、ひたすらに口の中で咀嚼し続けた。
「よく出来ましたー♪
それじゃ、ごっくん♪」
クリムの言われたとおり、カカオはそれを嚥下する。
ずるりとした感触と共に、『それ』は食道を落ちていく。
胃から激臭がせり上がり、再び嘔吐感に襲われるものの、何とかそれを押さえ込む。
「じゃー、私も味見しちゃおーっと♪
いっただきまぁーっす♪」
クリムはそう言うや、糞便が厚く塗りたくられた乳房の乳首に舌を這わせた。
そして、まるでヨーグルト容器の蓋にこびり付いたヨーグルトを舐め取るような勢いで、糞便を舐め取っていく。
口の中でしっかりと唾液を混ぜ合わせ、それを飲み込む。
飲み込んだ後に浮かぶ表情は、恍惚だ。
「ヤバイ、今日のヤツは今までで一番美味しいかもしれないっ♪」
そう言いながら、クリムは丹念に糞便を舐め取っていく。
そして、鍋から糞便をすくっては、乳房に塗り、カカオに含ませる。
唾液で解した糞便は、自分で味わうだけでなく、周りの巫女にも口移しで食べさせた。
経験の浅い巫女は見事なまでにゲロをぶちまけたが、誰も何も気にしなかった。
むしろ、鍋の内容量が増えたと喜ぶ始末だ。
「ふひひっ、まだまだ、楽しめそうだねぃ……?」
カカオの性欲が果てないのと同じように、クリムの嗜虐心も衰えない。
倒錯を極めた狂宴は、まだまだ終わりそうにない……。
- 4 :
- 以上です
今回は前の作品以上に人を選ぶ内容ですが、遠慮しないでやった結果がこんな感じです
ハードでキ○ガイじみた和姦スカレズ、というコンセプトでゆるゆると書いていきます
カカオがうんこ喰うのは基本にして、適当に変化つけつつ
そろそろうんこ料理が描写したくなってきたかもしれません
以上、戯言でした
スレを跨いでのスレ汚し失礼しました
- 5 :
- gj
極太いいねb
- 6 :
- gj
極太いいねb
- 7 :
- >>4
乙ー
でも虫だけはちょっと勘弁して……
でも好きな人もいるんだよなぁ不思議
- 8 :
- >>4
いやーやってくれおった…
しかしこれを和姦と言っていいものかどうかw
- 9 :
-
大量少女、続きです。
やっとこの話も一段落。
- 10 :
-
ヒュージな彼女 [
後編(最終)
「えーと……417号室。でいいんだよね。……時間、大丈夫かな」
太陽も西に大きく傾いた、とある金曜日の夕暮れ時。
時刻は午後六時の少し前である。
一人の少女が皮製の小さなバッグを肩に、黄昏の、オレンジ色に輝く日差しを浴びて佇んでいた。
ある六階建てのマンションのアプローチ、その大きな自動ドアの前である。
薄手のノースリーブと、夏らしい軽やかなデザインのミニスカート。
夏の装いから覗く四肢の、手入れの行き届いた白い肌が美しい、活発的な印象の少女だ。
そして腰まで伸ばした、彼女のふわふわの長い髪はとても特徴的……と言うよりも、とても暑そうだった。
(もういい加減切ろうかなー。でもなんかもったいないし……)
西日に照らされる街の熱気の中、その額にはじっとりと汗が滲んでいる。
少々鬱陶しそうな様子で、彼女はうしろ髪を触った。
(まぁ、いいや。とりあえず中に入ろっか。ここで立ってても仕方ないし)
白いハンカチで丁寧に額の汗を拭う。
六月に入って最初の週末を迎えたこの日はいきなり梅雨の中休みに当たり、とても蒸し暑かった。
そして腕時計で時刻を確認すると、彼女――風間薫は、大学の寮の建物へと入っていった。
- 11 :
-
あれから……留学生の蘇との邂逅から、一日と半分の時間が過ぎていた。
一日の講義は既に終了、サークル活動も今日は無い。
義務から解放された、放課後の自由な時間。
そして、彼女との約束の時刻でもある。
昨日の夜、蘇から「お礼がしたいから家に来てほしい」という内容のメールを受け取った薫は、それに応えて
キャンパスの敷地に隣接する、大学運営の寮へとやって来ていたのだった。
「こんにちは〜」
「あ、えと、こんにちは」
普通のマンションよりも、エントランスは少し窮屈だった。
玄関の風除室を抜けて中に入ると、幾人もの住人(同じ大学の学生だ)が彼女のすぐ横をすれ違って行く。
フレンドリーな笑顔を向ける、青い瞳の……彼らも留学生だ。
この大学の寮は経済的に余裕のない者、特に外国人留学生を優先的に入居させているのだ。
今から訪ねる、ここに住んでいる“彼女”もまた同じである。
(なんか外国に来たみたい。でも、お礼がしたいって……なんだろな。中国式のお返し)
エレベータを待つ他の住人の姿を横目に、彼女はとなりの階段室に入る。
コツコツと足音を立ててゆっくりと上りながら、薫はあれこれと想像の翼を広げていた。
あの告白のあと、同い年だったということもあり、蘇はすっかり物腰が柔らかくなった。
頼れる者の少ない異国の地で同じ仲間に出会ったのが、よほど嬉しかったのだろう。
もちろん薫の方も、気持ちは同じだった。
その彼女の部屋に招待される。
外国人留学生ということで、少しばかり不安もあったが……しかし、こんなにわくわくする気分は、
本当に久し振りの気がする。
新しい友達の家に、初めて遊びに行く。
それも生まれて初めて出会った、お互いに秘密を分かち合える存在である。
まるで小学校の子供に戻ったような、どこか懐かしい感覚だった。
「んと……ついた、かな」
いい意味でのドキドキを味わいながら、西日の眩しい開放式の廊下を端まで歩いて、ようやく彼女の部屋の前に着く。
見つけたその表札は、切った厚紙にマジックで「蘇」と書かれていた。
腕時計と、薄もやに霞む夕暮れの街並みを横目に見ながら、約束の午後六時ちょうどを待つ。
そして期待を込めて、彼女はベルを鳴らした。
- 12 :
-
「――いらっしゃいませ! 待ってましたよ、風間さん」
「うん。こんばんは」
そのまま待つこと、二十秒ほど。
玄関の扉が開かれると、その向こうから輝くような笑顔の少女が姿を見せた。
屈託の無い、ほがらかなその表情に、つられて薫も明るい挨拶を返す。
こういう時“ませ”はいらないんだけど、という突っ込みは取り合えず飲み込んだ。
薫の、つい二日前に出来た新しい友人。
中国系の留学生で、彼女は名を蘇仙嘩と言う。
浙江省は温州の生まれで、来日したのはこの春。
小柄でスレンダーな体に、しっとりとした黒の短い髪が、薫とは好対照だ。
なにか武術かスポーツでもやっていそうな、背は小さいながらエネルギーに溢れた明るい少女である。
……そして同時に彼女は、薫と同じ、常識外れの大量排便の特異体質を持つ女性でもあった。
ほとんど奇跡的な、同じ秘密を抱える二人の出会い。
正に、類は友を呼ぶという言葉を証明する出来事である。
「本当に、良く来てくれました。さあ、上がってください」
薫の分のスリッパを下駄箱から出して床にそろえ、そして背中で部屋の奥へと誘う。
本当に嬉しそうな様子だった。
(最初の時と別人みたい。そういえばあの、ぶかぶかの運動着……やけに似合ってたなー。なんでかよくわかんないけど)
出会った時の、無愛想な彼女を薫は思い出していた。
もちろん今日はジャージ姿ではない。
下は深い黒色のパンツルック……薫のミニスカートと、これも対照的である。
それとカジュアルな白のシャツに、半袖の薄手の上着。
シンプルな組み合わせが好みらしい。
ついでに、家だからなのか、今日は眼鏡をかけていなかった。
- 13 :
-
「それじゃ、おじゃましまーす……。 あれ? 何これ、いい匂い」
靴を脱ぐとすぐに、ふわっと漂ってくる匂いに気がついた。
他人の家に上がるときは、いい意味でも悪い意味でも、その空間特有の匂いが気になるものだ。
しかしこのとき薫が嗅いだ匂いは、そう言う類のものではなかった。
脳よりも先に、胃が反応する香りである。
「国ではこういうときは、親しい人を集めて宴を開いて、新しい友人を歓迎します」
1DKの小さな玄関から短い廊下へ。
鼻を動かす薫に、蘇は振り向きながら言った。
そしてキッチンスペースとバスの横を抜け、明るい奥の部屋に。
匂いの正体は、そこで明らかになる。
食の本能をくすぐる、香ばしい油と濃厚な中華ソ−スの匂い……。
彼女の前に現れたのは、丸いテーブルを覆いつくすように並べられた、正に華やかな中国料理の皿の数々であった。
「……すごい。これ全部、あなたが?」
「はい。本当は他の留学してきた仲間と一緒がよかったですけど。でも私たちの場合は、他の人が一緒は、あんまり話が
出来ないと思いました」
鞄を肩に掛けたまま、薫は素直に驚き、そして関心していた。
玄関の扉をくぐった時「中華のお店に来たみたい」と思ったのは間違いではなかった。
白い器に盛り付けられた、心尽くしの料理の数々。
肉と野菜の炒め物、海老や貝をふんだんに使ったあんかけ物、白身魚と筍の煮物……湯気の立ち昇る
色とりどりの素材で、見ているだけで楽しい気分になる。
しかも、どれもこれも、料理の名前が分からない。
いわゆる“日本化”されていない、本当の中華料理で彼女は客人をもてなそうとしているのだ。
「お店に行って食べたりするのは、お金がありません……。だから自分で安いマーケットで買って作りました。
さあ、宴を開きましょう。これが私に出来る精一杯の御礼です」
にこにこと、朗らかな笑顔でスーは答える。
そして二つあるイスの片方を引いて、目で薫を招いた。
- 14 :
-
「そっか……ありがとう。うれしい」
これが、蘇仙嘩流のお礼。
お客として薫を部屋に呼ぶために、余計な物も全部片付けたのだろう。
メインの生活空間のはずの、七畳ほどの洋室。
よく見ると中央のきれいな丸テーブルとイスの他は、隅のソファーベッドと液晶テレビ、それから小さなタンス程度の
収納しかない。
フローリングもピカピカだ。
昨日の夜の“お誘い”のメールの後、彼女から
「どんな料理が好きですか? 脂っこいのは大丈夫ですか?」
とか、
「今ダイエット中ではないですか?」
などと電話で聞かれていたのと、約束が午後六時ということで、ある意味これは予想の範囲内であったのだが……。
しかし、いくらお客の立場でも、友人からこんな風に全力でもてなされたことなど今まであっただろうか?
わくわくから、驚き、そして感動。
薫の心象風景はめまぐるしく動いていた。
「それじゃあ、早速……あ、風間さん老酒は飲んだことありますか」
「……え。それって確かお酒……」
「そうですよ。宴会でお酒がなかったら、話になりません」
キャビネットから取り出した、小さなグラス二つを手に、もう一度にっこりと彼女は笑った。
二人だけの宴会の始まりだった。
- 15 :
-
「ああ、もうどうしよう。次どれ食べたらいいか迷う……」
「何でもお好きなように。二人です。作法とか、そういうものは関係ないです」
お互いに席について、まず乾杯。
それから五分も経つ頃にはもう、薫の顔は緩みきっていた。
初めて味わう本場の――彼女の地元、温州料理の数々。
その美しい見た目を裏切らないおいしさに、ついため息が漏れてしまう。
しかも彼女が故郷からわざわざ持ってきたというこの老酒がまた、料理の味付けを引き立てて、どんどんと箸が進む。
「料理が上手ってホント尊敬するわ……。日本語もすごく上手いし。どこで習ったの?」
箸休めにと、薫は訪ねた。
ある意味定番の質問である。
「料理は母から。日本語は、十四のときから、いつか日本に行ってみようと思って、自分で勉強してました。高校では
日本語クラブで勉強しました。だから、文章を書くのはまだ下手だけど、喋るのは今のクラスの中では一番得意です」
“外人さん”には、少々耳タコかもしれないが、蘇はまじめに質問に答えた。
「努力家なんだね……あ、そういえば同い年だったんだっけ」
「そうですよ。最初のとき、一回生だって言ったじゃないですか?」
「ごめん忘れてた……。なんか見た感じ、年下みたいだなって思ったから」
「それはよく言われます。十八にはあんまり見えないって」
彼女も自分のペースで料理を食べながら、端々で会話に応え、そして薫のグラスが空くとすぐ酒を注いでいる。
二対の長い箸が料理をつまみながらテーブルの上を行き交う。
ほころぶ薫の顔を見る蘇の表情もまた、幸せそうだった。
「ところで……今日はおなかの方は大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫ですよ。朝に一回爆発させてますから。たぶん、しばらくは」
「え。それ本当に大丈夫だったの」
「自分の下宿なら、大丈夫です。寝るときもそうなんですけど、おむつ付けますから。ケブラー繊維製の物を」
- 16 :
-
「おむつ? ケブラー……って、何?」
聞き覚えの無い単語だった。
しばし考えてから、薫は聞き返す。
すると蘇は箸を置いて、同じく一寸考える表情をしてから、改めて口を開いた。
「えーとですね、防弾チョッキ、とかに使われてる布だそうですよ。どんな爆発でも、絶対ちぎれない。国に居る時、
お父さんが作ってくれたんです。いつも付けているのは、ちょっと無理なんですけどね……」
「そんなのあるんだ……すごい人だね、お父さん。でもそれってどんなの? 想像できない」
「後で見てみますか? 他の人は絶対ダメですけど、風間さんなら。……あ、料理なくなっちゃいましたね。
ちょっと待っていて下さい」
空いた皿をいくつも手に取り、蘇はキッチンの方に行く。
気が付くといつの間にやら、山と料理が盛られていた皿は、殆どがまっ平らになっていた。
薫はいつも通りだが、蘇の方も負けず劣らずよく食べる。
テーブルを彩っていた料理の数々は、普通に考えて四〜五人分の晩餐に十分な量であったはずなのだが……。
やはりここも、似たもの同士なのだろうか。
「んー……?」
そして薫は、イスに座ったまま、ジト目で自分のおなかを見つめていた。
初体験の珍味の数々。
アルコールも、本格的に飲むのはまだ二度目だ。
少し調子に乗りすぎているかもしれない。
(……別にいいや。楽しいし)
キッチンの衝立の向こうから、中華鍋の奏でる軽やかな音が聞こえてくる。
リズミカルな金属音が、なんだか面白い。
まるで本当に、本格的な中華料理店にいるようだった。
(それに今はおなか空っぽだし。出されたのを残すのも、失礼だし)
緩んだ顔で、グラスに注がれた老酒をもう一口。
高温の油が弾ける、香ばしい臭いと音とを楽しみながら、彼女はおなかを叩いて笑った。
ついさっきのことだが、彼女は一旦自分の部屋に帰ったとき、万一を考えてイチヂク浣腸を三個使って、
予防的に奥の方の中身まで搾り出していた。
便秘でないときに浣腸を使ったせいで、危うく、またがったバケツから溢れそうになってしまったが……。
おしりが擦り剥けるんじゃないかと思うくらい勢い良く出たので、当分は大丈夫だろうと彼女は判断していた。
……しかし、今更だが、食事を楽しみながらこの手の話題を口にするのはどうなのだろう。
- 17 :
-
(ばくはつ。爆発ねぇ……。もしあのこが浣腸使ったら、どうなるのかな)
ふと疑問が浮かんだ。
緩んだ……と言うより、アルコールに浸かったぼんやりとした瞳で、薫はキッチンの衝立に視線を向ける。
自分の場合、便秘で無いときに浣腸を使うと「少し未来の分まで一気にどばどば出てくる」のだが、
爆発力を持った彼女の場合は一体……。
「や、止めとこう。うん」
考えると少し恐ろしくなった。
ぶんぶんと頭を振って、まだ皿に残っていた蒸し海老をひとつ、口に放り込む。
――と、その衝立の向こうから、蘇がひょいと顔を出して薫に声をかけてきた。
「あ、あのぅ……風間さん」
「なに?」
「ちょっと耳を、ふさいでいて欲しいです」
「耳? なんで耳………… あ、ああ。うん。わかった」
黙って薫は、反対の窓のほうを向く。
耳を塞ぐ直前、ばたばたと、慌てた様子でトイレの中に入って扉を閉める音が聞こえた。
そして、
しゅ……ぽっ!! どぶぼっ!!!
(……聞こえない。私は何も聞いてないよ……)
心の中で、薫は念仏を唱えるように繰り返す。
耳あてをするように掌で、ぐっと両耳を押さえたが……正直、大して意味が無かった。
ふさいだ手を貫通して、鼓膜を揺るがす破裂音。
壁の向うからでもびりびりと身体の芯を震わせる、例えるなら巨大な和太鼓を力いっぱい叩いたような……?
体中から滾ってくるガスが腸内で大量に溜まり、そしておしりから抜けた音。
常識外れの、おならの音……。
あの爆発力の源でもある。
脱糞が無くとも、時々、圧縮されたおならだけが外に出ようとする。
我慢しておなかに閉じ込めたままにしておくことも出来なくは無いが、その苦しさはうまく日本語にできない……そう彼女は言っていた。
- 18 :
-
(でもこれが彼女の日常……なんだ。学校のプールとか、どうしてたんだろう)
話は一昨日に少し聞いていたが、初めて見……いや、聞いた。
似た者同士ではあっても、やはり違う人間ということを薫は再認識する。
そして隣近所の住人から苦情は来ないのだろうかと、他人の家ながら彼女は心配になった。
本当に、あの小さい身体のどこにそんな力が眠っているのだろう?
人のことを言える立場では、ないけれど……。
「ごめんなさい。食べてるときに……。どうしても我慢できなくて……臭いますよね」
しばらくして戻ってきた蘇は、両手に新しい料理の皿を抱えていた。
どうにも申し訳なさそうな様子で、頬を赤らめて……。
いくら同性、そして同じ秘密を持つ仲間でも、恥ずかしいのは全く変わらないらしい。
「別に、大丈夫だよ。お互い様だし、私も慣れてるから。……ほら、あなたも飲もうよ。まだあんまり飲んでないよね?」
「……はい」
そんな蘇を、薫は笑顔で迎える。
そして今度は自分が、彼女のグラスに褐色の液体を注ぐのだった。
蘇の気にしていた匂いのことも、酒と料理のソース、それから焦がしたニンニクの香りなどが覆い隠して分からない。
ホストと客の立場も、もう関係なかった。
「……あ、食べるの終わったら、散歩に行かない? 腹ごなしと、酔い覚ましも兼ねて」
「そうですね。じゃあ……大学の中を歩いてみませんか。夜ってどんな感じなのか、見てみたくないですか?」
彼女の提案に、薫は乗った。
結局そのあと、更にもう一回当たり前のように全品おかわりを重ね――蘇の用意した材料が底を尽くまで、酒宴は続いたのだった。
- 19 :
-
「……あ、まだ電気ついてる。頑張るねぇ、理系の人」
寮の横の、通用門の隙間をすり抜けて、夜の帳の下りたキャンパスの中へ。
敷地の端のここは、正門からはかなり遠い、夕方以降はほとんど無人になる場所である。
だが遠く薬学部の建物を見ると、遅い時間にも関わらずいくつかの窓は明りが点いていた。
まだ完全には、このキャンパスは眠ってはいないのだ。
「んー、夜の空気が気持ちいい……月もきれいだし」
「うん。とてもきれい。国で見るよりも」
時刻は午後九時すぎ。
宴会が強制終了となったあと、しばらく休んでから二人は寮の部屋を出た。
特に行き先は考えず、適当にぐるっと敷地を回ったら、またここに戻ってくるつもりだった。
「でも夜の散歩ってちょっと危ないかな……。女の子二人だけだし。今更だけど」
「あはは、敵が来たら私が吹き飛ばすから大丈夫よ。この体質、悪い事ばかりじゃないの。これのおかげで、
友達助けたこともあったし」
そしてグラウンド脇の並木道、連れだって水銀灯の下を歩く二人は、もう見事に酔っ払いの顔であった。
夜の闇のせいで今は大して目立たないが、これでくたびれたスーツでも着ていれば、ほぼ完全に
終電前のガード下のサラリーマンである。
そしてその酔っ払い具合は、蘇の方がより顕著だった。
今にも酔拳を使い出しそうな感じである。
「え……それって、どうやって!?」
「んーと、家にドロボー入ったときね。包丁持った男が来て、遊びに来てた友達を刺そうとしたんだけど、
私が、何でもするから止めて! って言ってね。それでズボンと下着脱いで、机の上に仰向けになって、
おしりを敵に向けて……それで十分にこっちに引き付けてね」
「……それで?」
「哈! ってやったのよ。敵、そのまま向こうの壁まで飛んで気絶したですよ」
彼女は高らかに笑った。
……そしていわゆる“カメハメ波”のポーズを取って見せる。
まさかその男も、下を全部脱いで仰向けで股を広げたその格好が、必技の発動体勢だったなどとは
夢にも思わなかっただろう。
冗談か事実か知らないが、流石に薫も、これには苦笑いを浮かべるだけだった。
- 20 :
-
「役に立つんだ、それ。……私は全然、何の役にも立たないなぁ」
「ううん。こんな話が出来るの、風間さんがいてくれたからだよ。だから、役に立つとかじゃなくて……あ、そういえば、
まだ風間さん名前を聞いてなかった」
「えー、そうだっけ? 薫だよ。かざま、かおる」
「……薫? あなたの名前、カオルって言うの!? すごい!」
「す、凄い? ……何が?」
言ってから数秒の間があった。
そして突然、立ち止まって顔の色を変えたように食いついてきた蘇に、薫は一歩後ずさりする。
特に何かある訳でもない、普通の名前だと思うが……中国語的には、なにか深い意味を持っているのだろうか。
目を輝かせる蘇の前で、彼女は首をひねる。
だが返ってきたその答えは、至って大したことが無かった。
「だって、国で見てたアニメのキャラと同じ! 本当にいるんだ、アニメの名前の人」
「あ〜……。そういうことね」
「ねえ、友達になるんだったら、アナタのこと“薫殿”って呼んでいい?」
「……ご、ごめん。それは駄目……ちょっとムリ」
「えー、ダメなの」
苦笑いで薫は返答する。
意外すぎる展開に、返事をするのに数秒ほどかかってしまった。
(な、なんでよりにもよって“殿”なのよ……? 君付けの方なら知ってるけど)
それはひょっとしてアニメでなく、時代劇か何かだったのでは……?
薫は当惑する。
その目の前で、蘇は言葉通りの落胆した顔で、小さな肩を落としていた。
「じゃあ、カオル、でいい? 呼ぶの」
「ああ、うん。それならいいよ。友達はみんな苗字か名前呼び捨てか、どっちかだし。
それじゃ私は……スーちゃん、でいいかな」
「……それ私の名前、蘇張、になってしまうよ? その呼び方あるのは、知っているけど」
「ああそっか、チャンは居るもんね、中国……。じゃあどうしよう」
「そのまま、すー、でいいよ。日本人にはそれが一番言いやすいでしょう」
- 21 :
-
屈託無く、二人は笑いあった。
敷地端の通用門から入って、大きなグラウンドをぐるっと回り、いつも講義で通っている、高い棟が建ち並ぶ辺りへ進む。
所々の自販機の明りが、灯台のようだった。
そのうち歩きつかれた彼女らは、構内の一角にあるベンチに座って夜風に当たることにした。
学生広場などの大きな通りからは外れたところにある、“憩いの森”の一角だ。
水銀灯の白い光が、周りの大きな木々の新緑を、真っ黒なキャンバスの上に浮かび上がらせている。
二人とももまだ、酔いは醒めない。
「スーにとって、日本ってどんな国?」
「すごい国……だと思う。私は。けど日本に来て、失望したこともある。日本なら、あるんじゃないかって
思ってたんだけど、がっかりした」
「がっかりしたって……何に?」
「トイレ超大国の日本なら、私の爆発を受け止めてくれるトイレもあるんじゃないかって、期待してた。
けど、なかった。だから残念。そのためだけに日本に留学しに来た訳では無いけれど」
「ええと……うん、ごめん。でもそこまで日本の科学は進歩してないから……って、あれ? スー?」
なんと言ったらいいのか分からず、とりあえず薫は謝る。
が、ふと彼女が横を向くと、スーはベンチに横たわり、いつの間にか寝息を立てていた。
桃のように染まった頬のまま。
彼女も、そんなに酒に強い訳ではなかったようだ。
「あらら……まぁ、いっか。しばらく、このまま」
両手をだらんと投げ出し、まるで子供の寝顔のようだった。
くすっと笑うと、薫は身体を背もたれに預け、大きく伸びを一回。
そして夜空を見上げる。
ゆるい風が、僅かに木々の枝を揺らし、その間に白い星が見えていた。
夜になると流石にまだ寒いが、今は火照った身体にその冷たい風がちょうど良い。
たまにはこういうことがあってもいい。
- 22 :
-
(……大丈夫、だよね)
とは言え、いつまでもこのままは良くない。
やや酔いも醒め、今更ながら、薫は周囲を警戒する。
いくら大学の構内でも、うら若い女子大生が夜中に二人。
しかも酒に酔って、片方はベンチで眠りこけているなど、流石に無用心すぎると言わざるを得ない。
薬学部の他、いくつかの棟ではまだ一部電気がついていたし、夜中でも、レポートやらで学内に残っている男は
おそらく多い。
ここはまだ中心部から外れた、目立たない場所だからよかったものの……。いや、余計悪いかもしれない。
もう少ししたら彼女を起こして、帰らなければ。
(探検は終わり、と)
薫はぶんぶんと、まだ酔いの残る頭を振ってスーの方を見た。
しかし、それにしても気持ちよさそうに眠って――
ぽぽっ…… ぐぎゅうぅっ
「あっ? ……あれ、なんともない」
唐突に、耳に馴染んだあの音が薫の耳に入ってきた。
だが、ドキッとして下腹部を触ったものの、特になんの反応もない。
腸の動きは眠ったように静かなものだった。
便意の“べ”の字もない。
「……気のせいか」
そう言えば夕方、浣腸で念入りに搾り出していたではないかと、彼女は思い出した。
やはりまだ酒が効いているようだ。
ほっとして、カバンの中の携帯を取り出そうとして――
- 23 :
-
ぐぎゅるるるるるるるっ……! ぼぼっ… ぷぼっ!!
「ちょっ!?」
その瞬間の薫の精神は、正にホラー映画の主人公的な状況の下にあった。
暗闇の中から、音もなくゆっくりと忍び寄る、意を持った敵の存在。
それに、遅れてようやく気づいたシーンのような……。
今度は、はっきりと。
ベンチに横たわる彼女のおなかの奥から、“例の音”が聞こえてきたのである。
「ちょっと? ねぇ。起きてよ、スー! ねぇってば!!」
呼びかけながらぺちぺちと頬を叩いてみたが、反応無し。
彼女は頬を染めたまま、何の夢を見ているのか、うっすら笑みさえ浮かべて眠りこけている。
(これって確か……スーが言ってたやつじゃないの……?)
ぞくっと背筋に悪寒が走った。
それが薫に、あることを思い出させる。
――以下、回想。
「ふーん。やっぱり私と似てるね」
「スーも、そうなの?」
「私の場合はね、まわりに聞こえるくらいの音が二回続けて出たら、それ警報ね。もし薫が近くにいたら
逃げたほうがいい。まぁ、私も走って人のいないとこに行くけど」
「……どうなるの?」
「あと一分でダイナマイトくらいのやつが来るから、気をつけなよっていう、体の警告。けっこう正確。自信あるよ」
以上、回想終わり。
- 24 :
-
「……ちょっと、起きてよっ! お願い! 目を開けて!」
顔面蒼白になりながら、薫は横たわる彼女の身体を揺さぶった。
頬をつねった。
無理やり指で瞼を開けてみた。
全て無駄だった。
そうこうしている内に、約二十秒が過ぎる。
(あと何秒? こうなったら、もう……)
爆発のリミットが迫る。
もしそうなったら遠慮なく逃げろと、スーは言った。
その通りに見捨てて逃げるか、それとも……。
心拍が急激に上昇する中、薫は苦悩する。
(……ダメ。こんなところで爆発されたら、また大騒ぎになる……それに、やっとできた本当の友達を
見捨てて逃げるなんて、私はイヤ!)
方針変更、三秒で決意を固めた。
この緊急事態に、彼女の脳細胞は正に自分自身の危機であるかのように活性化し、事態打開の術を模索する。
普通のトイレは駄目だ。
この前も使った、部室棟の、ユニットタイプのシャワーの個室に放り込んで、外から全力で扉を押えて……。
――絶対に間に合わない!
背負って下宿に戻る。
それで、例の超強化おむつを付けさせる。
――これも遠すぎる! ムリ!
(ああもう! どうしよう!? さっきあのまま、アレ穿いててもらったらよかった……!)
すやすやと、気持ちよさそうに寝息を立てるスーの傍で薫は狼狽する。
食事のあと約束通り実物を見せてもらい、装着状態まで実演してもらった。
おむつというよりドロワーズに近い、ぶかぶかの……穿いたあと更にウエストとふともも廻りを専用の
ベルトで絞って爆風を封じ込める、カーキ色の正に防護衣といった装具だった。
あれなら確かに爆発を押さえ込めただろうが、完全にあとの祭りである。
頭を抱えて右往左往する様子はまるで、スーでなく薫の方が、トイレに行きたくてそわそわしているかのようだった。
何か、何かないか?
手近にあって、何か爆発力を弱められるもの……。
- 25 :
-
(……あった。水! これも言ってた……本当に危なかったとき、川に飛び込んだって……!)
スー自身に聞いた話をもう一つ思い出す。
そして瞬間的に薫の脳裏に閃いたのは、前に何かの雑誌で見た――とある缶詰についての記事だった。
俗に世界一臭い缶詰と呼ばれる、シュールストレミングを使った料理の紹介。
そして、その缶の「開け方」についての注意である。
「間に合えーっ!」
悲壮としか言えない、追い詰められた顔で叫ぶと、彼女を背中に載せて一直線に。
向かう先はベンチから少し離れたところの、中央に女神像を戴く丸い噴水である。
夜を迎えて真っ暗になった今でも、流れる水が外灯の光で煌いているのがベンチから見えた。
もうこれしかない。
心を決め、火事場の馬鹿力で彼女を抱え上げると、50m9秒フラットのハイスピードで森の中を駆け抜け、そして
「よいしょっ!!」
そのまま勢いに乗せて、薫は彼女の身体を、噴水の水の中にざぷっと下ろした。
大きな水音と、そして波紋が池に広がる。
「と、とりあえず助かった……かな……?」
コンクリート製の池の縁に、小柄なその背中を預けさせて、風呂に入っているような体勢を取らせる。
そこまで終わってから、薫はその場にへたり込んだ。
これでとりあえず、爆発しても噴水の中だけの被害にできる。
いくら緊急事態とはいえ、友人を池の水の中に放り込むなど普通は躊躇するものだが、この辺の思い切りの良さは
正に“地獄”を知る彼女だからこその判断である。
このままいけば、どっちにしろ彼女の服はまた全損だ。
だったら周りの被害が小さいほうがいい。
「はああ……」
激しく脈打つ胸を押え、薫は地面に両手を付いて、大きく肩を上下させていた。
言葉通り、肩の荷が下りた気分だった。
久しぶりの、本当の本気の全力疾走。それも数十キロの大荷物を抱えてである。
今日はヒールを履いていなくて助かった。
- 26 :
-
「あした筋肉痛かな……。それにしても、これだけやってまだ寝てるなんて、どういう神経してるのよ」
顔を上げると、薫は中腰で両膝に手をあて、水しぶきの伝うスーの横顔を見つめた。
全くおおらかというか、なんと言うか……。
いくら酒が入ってるにしても、ここまでして目を覚まさないとはあまりに無防備すぎる。
流石は大陸出身の人間と言いたい所だが、いくらなんでも限度と言うものがあるだろうに。
「ふぅ……」
相変わらずの荒い息のまま、薫は一旦背筋を伸ばす。
そして波に揺られる、ずぶぬれになった彼女の肩をそっと触った。
そのときだった。
ぽっ… ぽここっ ぼぼぼっ……!
ざぷざぷと、まだ細かく揺れる水面に、大きな気泡が連続して浮き上がってくるのが見えた。
彼女の、股間の辺りから……。
「――!!」
無言でぱっと手を離し、回れ右。
そして文字通り脱兎の如く、渾身の力でレンガ敷きの地面を蹴って――薫は、今度は全力で噴水から逃げ出した。
ちょっとでも、ほんの僅かでも、より遠くへ向かって。
(お、思い出した……!)
ほっとした表情からまた一転、顔を真っ青にして、薫は必に噴水から遠ざかる。
頭が理解して動き始めるよりも、実際は鍛え上げられた防衛本能が身体を引っ張るほうが早かった。
……噴水くらいの、狭い浅いところに漬けてもダメなのだ。
かのシュールストレミングは、水を張った洗面器に漬けて開封しても、時にその水を押しのけて、
中身の液体を数メートル先にまで吹き飛ばすことがあるという……
- 27 :
-
どっ……ぶばっ!! ばっしゃあああああああ!!!
「ひいぃいいいっ!!」
スタートを切った直後、大きな爆発音が二度続けて背後から耳に飛び込んできた。
恐怖に駆られて、薫は必に腕を振りながら叫び声を上げる。
だが、もちろん振り向かない。
振り向いたらぬ。(お気に入りの服が)
そして後ろで何が起こっているのか、わざわざ見る必要もなかった。
一度目の爆発で、水瓶を抱えた噴水中央の女神像をはるかに超える水柱が立ち上り、続けて起こった
二度目の爆発により、それが360度全ての方向に向かって飛び散っていく。
もちろん、彼女が噴出させた排泄物を大量に巻き込んだ、茶色い水しぶきが……。
あたり一面を、時ならぬ土砂降りの雨が覆っていく。
「た……たすかった……?」
逃げた先の、広場の隅っこの方で彼女は佇んでいた。
雨が上がったあとの噴水広場を、半ば呆然とした表情で見つめる。
茶色っぽい水が降り注ぎ、地面の色が変わってしまったその光景を眼前に、大きなため息をついた。
正に鬼気迫る表情で陸上部顔負けの加速を見せ、薫はなんとかスコールの直接被害半径から逃げおおせることに
成功したのだった。
「でもなんで私がこんな苦労を……」
ぜいぜいと肩で息をしながら、薫はただその場に立ち尽くす。
正直、あと二秒スタートが遅れていたら完全にアウトだった。
必で逃げた何秒間か、彼女と出会ってからのこの三日間が、走馬灯のように脳裏を駆け抜けた。
そのまま少し様子を見てから、慎重に――
所々に転がる固形物を避けながら、彼女はスーの所に向かったのだった。
- 28 :
-
「……大丈夫?」
「私……またやっちゃった?」
「やっちゃったね……。どうしよう、これ」
流石に彼女は起きていた。
池の底に座ったまま、腕を足の両脇に付いて――照れ笑いのようなそうでないような、微妙な表情だ。
きょろきょろと、廻りの状況を確かめている。
当然ながら全身、今は頭までずぶぬれ。
水を吸ってとんがった髪の先から、水滴がぽたぽたと落ちていた。
それも、大量の汚物混じりの……激しい異臭を放つ茶色い水である。
二人が平然としていられるのは、彼女たちが風間薫と蘇仙華だからという理由でしかない。
(ホントにもう、なんだろ。悪い冗談みたいな……)
そのスーと一緒になって、薫もあたりをもう一度見回した。
改めて、本当にすごい力だと思った。
自分のアレも、大概のものだと思っていたが……正に常識外れという他はない。
今の爆発で、噴水の水は、池の深さの半分くらいまでが吹き飛んで無くなっていた。
肩までつかっていたはずのスーの身体は、今は腰のあたりまで、水から上に出ている。
「あいやー……。それにしても私、こんなに酒癖悪かったのか……。ぜんぜん知らなかったよ」
「え?」
「まさか寝たまま噴水に飛び込むなんて。風呂と勘違いしたのかな? 薫にはかからなかった? 大丈夫?」
「あ、えーと……。うん、大丈夫。私は」
……そういうことに、しておこうか。
水に浸かったまま申し訳なさそうな笑顔を向けるスーに、薫もまた色んな感情の混じった笑みを返した。
必の努力の結果が、この有様だ。
あのままベンチで爆発させるよりは、いくらかマシだったといえるだろうが……それでも噴水の中に
浮いているのはともかく、広場に飛び散ったものはどうしようもない。
優しげな微笑を浮かべる噴水の女神像まで、汚物まみれになってしまった。
全く酷い状況である。
もちろん、臭いの方も。
目をつぶると広大な有機農法の農園の風景が浮かんできそうな……
いや、バキュームカーが近くに停まっているような感じ、というのがもっと直接的かもしれない。
やはり明日はまた大騒ぎになるだろう。
- 29 :
-
薫は覚悟を決めた。
そしてとりあえず、丸い池の縁をぐるっと回り、排水口のところまで行く。
「……抜くよー」
チェーンを掴むと、力任せに栓を引っこ抜いた。
スーのぶちまけた汚物混じりの、薄茶色に染まった水が低い音を立ててぐんぐんと穴に吸い込まれていく。
噴水の水は出続けているし、あとは勝手に汚物を洗い流してくれるだろう。
……そのスー本人の方はと言うと、立ち上がって女神像の前に行き、その抱えた水瓶からの流れをシャワー代わりに、
服ごと身体と頭を洗っていた。
水銀灯の青白い光が照らす中、跳ねる透明の水しぶきがきらきらと輝く。
なんと言うか、その辺のたくましさは流石だと薫は思った。
だが爆発でズボンと下着が弾け飛び、白いおしりだけが丸見えになったうしろ姿は、はっきり言って間抜けである。
ほとんど古典の、ドリフのコントにでも出てきそうな格好だった。
「あーあ、また服をダメにしちゃった。また買わないといけないなー。大変だ」
ばしゃばしゃと髪を洗いながら、ぼそっと彼女は口にした。
酒のせいか、それとも同じ境遇の仲間が出来たことによる心境の変化だろうか。
たった数日の内に全身うんこまみれ二回という惨事を経験したにもかかわらず、前回の時に比べると、彼女は
軽い感じで受け流しているようである。
「服か……。あ、じゃあ私と一緒に、買い物に行こうよ。一緒に服、探そう。ね!」
そう彼女に提案した、そのときだった。
ぐ、ぐるるるるるっ!
「んっ…!? ん、おうぅ……!」
へなへなと、そのまま薫は池のほとりで、苦しげに身をかがめる。
思わず、情けない声が漏れてしまった。
離れたスーの耳にも届くほどの大きな音が、今度は自分のおなかから響いてきたのだ。
もちろん同時に、雪崩のような便意も一緒に……。
刺すような痛みと、そして一瞬の内に体重が1.5倍くらいになったかのような、ずっしりと重い感覚が
彼女の細い下半身にのしかかってきていた。
先日の、スーを運び込んだトイレでの急降下に匹敵するくらいの大きな波である。
- 30 :
-
「薫も、したくなった?」
「……うん。おいてけぼりにするみたいで悪いけど、ちょっとあっちのトイレに……」
「ここでしちゃえばいいと思うよ?」
池から上がったスーは、水滴のしたたる手を、ある場所に向ける。
さっきまで彼女が入っていた池の、排水口。
大きな渦を巻いている、いま正にスー自身の汚物を吸い込んでいる穴……そこを笑顔で、彼女は指差したのだ。
「えっ? ちょっ……ムリ! こんな、外で……」
ぐっ! ぎゅるるる……!
「ん、んうぅぅ! くう……!」
つぶらな瞳に、涙が滲む。
こんな場所で排便など出来っこないと首を振った瞬間、まるで
“ここでいい! 今すぐうんちしたい!!”
と言わんばかりに、また大きな音が下腹部から響いた。
だが夜とは言え、何も周りに遮るもののない空の下、それも自分が通うキャンパスの中である。
それに入学の時、ここだけは絶対に穢すまいと誓ったばかりだ。
腸の中が煮えたぎるような痛みを感じながら、彼女は前かがみでおなかを押さえて、必に耐えていた。
(こ……腰が砕けちゃう…… んんん……! でもなんで……!?)
額に脂汗を浮かべ、ダウンだけはするまいと必に耐えるボクサーのごとく、ゆらゆらと……。
その痛みはぐいぐいと、おなかの奥から彼女の肛門と脳を圧迫する。
夕方に浣腸で空っぽにしておいたはずの腸内は、いつの間にかまた、大量の大便でいっぱいになっていた。
いくらさっき、満腹まで食べたからと言っても早すぎる。
まさか張り合っているわけではないだろうが……まるで、今のスーの大量脱糞に呼応するかのようだった。
「薫、苦しそう……大丈夫?」
「あんまり……大丈夫じゃないかな……」
「そんなに、ここでうんちするのイヤ? 夜だし、私のほかは誰もいないよ? 見られたくないなら、私が見張りしててあげるし……
飛び散ってもほら、私のと混じってわかんないですよ?」
ダメ押しで、スーの一言。
喋りながら彼女は上着を脱いで腰に巻き、自分のおしりを隠す。
本人にそのつもりは全く無かっただろうが、こんな所で漏らすまいと必でおしりを締め付ける薫には、
正に悪魔の誘惑だった。
- 31 :
-
「……ええい! もういいや!」
抗えない大量便の圧力と、彼女の言葉に流されるがまま。
投げやりに叫んで、薫は白の下着を脱いで両脚から抜き、池の縁のコンクリートに登る。
そして覚悟を決めた顔でミニスカートを捲り上げ、艶かしい下半身を全て夜風に晒した。
長い後ろ髪も前のほうに寄せる。
最後に、渦を作る排水口の直上に狙いを定めて――彼女はおしりを突き出した。
この吸い込まれていく水がどこに行くのか知らないが、もうそんなことどうでもいい。
目の前に、今すぐ使える超巨大水洗便所がある。
これも緊急避難だ。
こんな弾けた気分になったのは生まれて初めてだった。
「んう……あぁっ… ん、んあああっ……!!」
にゅ……ぶちゅっ! もりゅっ……ぶ… ぶ、ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!!
瞬間、前かがみだった背筋がのけぞった。
そしてやはり声を我慢できない。
便意に負けて肛門の力を緩めた瞬間、正に堰を切ったように、大口径の柔らかい便塊が音を立てて
穴の奥から飛び出していった。
ぶるぶると、便意の苦痛に震えていた下半身が、今度は脱糞の快楽で脱力しそうになってしまう。
これ以上流されないよう、快楽に負けて倒れてしまわないように……彼女は膝につめを立てて、
脳を責めたてる大量脱糞の刺激に耐えていた。
(ああもう……私の憧れの大学生活……。こんなはずじゃなかったのに……!)
高まった便意の圧力が一気に肛門から抜ける、言葉では表現できない爽快感が、逆に彼女の羞恥心を煽る。
酒のせいか、感情の起伏が激しい。
どうでもいいという気持ちの上に、恥ずかしさと情けなさが覆いかぶさり、アルコール以上に彼女の顔を赤く染めていく。
……受験の頃からずっと心に思い描いていた、理想のキャンパスライフ。
それが彼女の胸の中で、がらがらと音を立てて崩れていく。
この特異体質を克服して、普通の女の子として……。
そして、大学だけは汚すまいと、固く心に誓っていたはずなのに。
これでは中学や高校の頃と何も変わらない。
いや、変わらないどころか、大きな気苦労のタネが一つ増えたのでは……?
- 32 :
-
どぼっ… ごぼごぼっ……
だがもちろん、そんな彼女の感傷など、体の方は全くお構いなしである。
鈍い音を立てながら次々に直腸から排泄される大便の長い棒は、肛門の開放から二分が経過しても、やはりいつも通りに
途切れる気配すらなかった。
そして彼女の肛門から生まれて数秒も経たない内に、その便の塊はまた暗闇の底へと追いやられていく。
すさまじい短期間で一気に消化・吸収されたにもかかわらず、便の量も質も、普段と変わりがない。
もしこの水と渦がなかったら、そろそろ標高50cm級の山がおしりの下に出来ている頃だろう。
普段は24時間体勢で強固に門を守る括約筋も、今は休暇中とばかり、だらしなく脱力しきっていた。
「やっぱり凄いなー、こんなの見たことないよ。国でも」
「国でも…って、他の人の、見たことがあるの?」
「あるよー。普通だよ。だって日本みたいに便器の周りの壁がないもん。公衆トイレは、みんな丸見え。
友達のは見たこと無いけどね」
「じゃあ、あの話って本当だったんだ……ん、んぅっ…… て言うか、スー! 見張りしてよちゃんと!」
……思わず最初、普通に受け答えしてしまった。
離れて見張りをしていたはずのスーが、いつの間にか薫のすぐ横に来ていた。
しかも池の縁にしゃがみこんで、その、壊れたソフトクリーム製造機のようにうねうねと大便を産み続ける
おしりに熱い視線を送りながら。
そして慌てて抗議する薫に、彼女は顔を上げると、
「……ごめん。あのね、実は私もまたうんちしたくなっちゃって」
「え、ええ!?」
思わず薫は叫んだ。
衝撃のあまり、数秒間排便が止まるほどだった。
「ちょ、ちょっと!」
そして、その薫の隣、コンクリートの池の縁にひょいっと彼女も上がる。
逃げられない。
うんちが引っ込んだのはほんの僅かの間だけで、すぐさま極太の便がまた間断なく肛門から溢れてくる。
自分の意思では脱糞を止められない。
今逃げたら、走りながら地面の上に排泄し続けることになる……。
- 33 :
-
「心配しないで。大爆発を起こした時はね、しばらく弱くなるから。近くにいても平気」
「そ、そうなの……?」
青い顔の薫に、スーはにこっと笑った。
それからぴったりと薫の身体に寄り添うようにして、同じように池の渦の上に和式の排便体勢を取る。
おしりが完全に破れているので、ジーンズも下着も穿いたままだ。
そして、見守る薫のすぐ横で、ぐっと歯を食いしばるような顔を見せると――
ふしゅー…… ぶぽっ! どぼぼぼっ! どっ……ばしゃしゃしゃしゃっ!!
「んんんっ……! んくっ……!」
彼女もまた、かがんだ膝をしっかりと掴み、肛門に感じる脱糞の刺激に耐える。
下半身の力を抜いた直後、やはり最初に、腸内に溜まったガスの圧力が抜けた。
まるでバルブを緩めたボンベか何かのようだ。
「ぅあ、あああぁ……!」
華奢な身体が排便の衝撃に震え、胸を締め付けられるような声が漏れる。
腸内のガスで加速された軟便が勢いよく飛び出して、彼女自身の汚物でにごった水面に叩きつけられていく。
小さな、彼女のかわいいおしりに全く似合わない、活火山のように大きく口を開けた肛門から次々に……。
(なんだろ……。水道で、断水が終わった直後に栓をひねったみたいな……?)
自分も排便し続けながら、薫はぐっと身体をひねって後ろの水面を見た。
まるでバイクか何かのエンジンのように低いうなりを上げながら排便する、スーのおしり。
そして自分と同じ、異常な排便の苦悶と快感が綯い交ぜになった刺激に耐える、その横顔を……。
腸内のガスと柔らかい便とが交じり合って、“出てくる”というより“ほとばしる”と言ったほうが多分正しい。
薫の思った通りの、空気が噛んで咳をする水道の蛇口のような排便だった。
「んっ……! ね? 大丈夫、でしょう?」
「う、うん。 すごいね……」
あの爆発に比べたら確かにまだ可愛いレベルの……とりあえず、隣にいても巻き添えは受けないで済みそうである。
何と言うか、スーの直腸内で“ミニ爆発”が連続して起こっているような感じだ。
細切れになった大量の便の粒が一方向、円錐状に拡散して噴射されているその光景は、場所が違えば、
ショットガンの連射のようだと表する者もいるかもしれない。
- 34 :
-
「……で、なんでそんな私にくっつくの?」
「カオルと一緒にしたい。国では、うんちする時はいつも私一人だったから……。友達が、他の女の子と一緒に
トイレ行くの見てて、ずっと羨ましかった。日本では、そういうことしないの?」
「しない……んじゃないかなぁ? ていうか、中国の女の子って友達でそんなことするんだ……凄いね」
ぴったり並んで排便を続けつつ、薫は首をかしげる。
日本の女の子は普通しないと思うが、自分も普通でない以上、確信は持てなかった。
男の子が並んで立ちションというのは、マンガなんかでよくあるが、同じような感覚なのだろうか?
ちょっと理解できないが……彼女がそうしたいというなら、もう何も言うまい。
「これから、よろしくね。薫」
「……うん。こちらこそ。……でいいのかな」
スーが手を伸ばしてきた。
薫は、その小さな手をそっと握りかえす。
――まぁ、いっか。秘密を共有できる人が欲しいって思ってたのは、同じなんだから……。
大量脱糞の快楽で悩ましげに漏れる熱い吐息も重ね合い、恍惚の表情で、二人はこの異常な興奮を分かち合う。
動物のしっぽのように、長く太い大便が延々と切れることなく。
まるでショットガンの弾のような、細切れになった軟便が勢いよく、断続的に。
だが、出てくる形とその容姿は違えど――本当に人間のものかと疑いたくなるほど大きく拡がった肛門は正に瓜二つだ。
その仲良く並んだ二つのおしりから、いつ果てるとも無く……。
歓びも苦痛も全てを外に出し切るまで、白く輝く下弦の月が彼女らを見守っていた。
- 35 :
-
「……だいぶ、遅くなっちゃったね。帰りはどうする? うちに泊まっていく?」
「んー……そうねぇ…。そういえば明日は休みだっけ。なら、いいかな」
濡れ鼠のスーの方の足跡だけが、ずっと後ろから消えずに続いていた。
水銀灯も半分消えてしまった夜の闇の中、彼女らは元来た道を、寮に向かって歩く。
もうすっかり二人とも、酔いは醒めていた。
「あ、でも、薫を泊めるなら準備しないといけない。朝ごはんの材料もないし……」
「……なんか、ごめん。調子に乗っちゃって。散歩に行こうなんて言い出したのも私だし」
二人とも、後ろは振り返らない。
足跡は、朝までには消えてくれるだろう。
明日以降の不安は……とりあえずもう考えない。
現場に証拠を残さないようにチェックした後は、天気予報の、明け方の降水確率に掛けるしかなかった。
「じゃあ、私がコンビニ行ってくるよ。スーは先にお風呂入ってて。朝のパンと、歯ブラシとか、それから…………あっ」
道の真ん中、なにやら深刻な顔で薫は立ち止まる。
かと思うと急に、彼女は顔を赤くした。
「どうしたの?」
「……バケツって売ってたっけ? コンビニ」
彼女たちの、非日常的な日常は続いていく。
薫とスー、出会った二人の大学生活には、それぞれ少しの変化が訪れた。
だが例え仲間が増え、生活に潤いが生まれたとも……やはり毎日やることは、何も変わらないのだった。
- 36 :
-
以上です。
スーをメインに持って来ないといけないのに、完成したらやっぱり薫ちゃんの話になってました。
期待に応えられたか不安です。
……噴水はまだ中華爆発リストになかったですよね?
[の話は全体で、最初思っていた量の3倍くらいに長くなってしまいました。
文章を短く濃くまとめる能力が欲しいです。
薫との対比で言うなら、新キャラは大量小便少女でも面白かったかも。
それと蛇足ですが、実はGガンのノリで他に何ヶ国か話の候補を考えていて、今回はとりあえず
まとめやすそうな中国一本に絞って書きました。
具体的に考えてた話は下の二つ。
候補1:色んな意味で圧倒的物量を誇る、アグレッシブ米英ブロンド娘コンビが襲来する「マス・プロダクツな彼女」
候補2:短い夏の時期にしかまともに排便できない、永久凍土の大地のごとき超便秘ロシア系「ツンドラな彼女」
……さて。
出したのを毎日燃料の原料として売って家計を支える健気なインド少女、堅物が出すモノにも現れてしまったドイツ娘に
無駄に優雅なフランス少女とか、インターナショナル編を考えるのも楽しいんですけど、もしこれ全部絡めて
本当に書いたとしたら委員長の話以上に時間掛かりますね……。
一日五回、ある決まった時刻に必ず催してしまう中東系大量少女……は流石にヤバすぎますか。
ではそろそろ、こっちは一区切りついたので園芸店の方に戻ります。
次の投下は大分先になると思います。
- 37 :
- >>36
GJ!
初めてリアルタイムで読めたので感激。
園芸店も楽しみにしてます。がんばってください〜
- 38 :
- GJ!
薫殿と聞いただけで「おろ〜」と脳内再生された
排泄物が可燃性の油田王娘とか、ソーセージの挽肉のかわりに自分のを詰めていくアルトバイエルン娘とか
我々の業界ではご馳走です
- 39 :
- >>排泄物が可燃性の油田王娘
そんな暇無いのにストーリーとか色々どばっと浮かんじゃったじゃないですか
どうしてくれるんですか!(棒
薫ちゃんと関係ない、単発で一つ書いてみるかな……
- 40 :
- 私が責任持って読むので、ぜひ書いてください
- 41 :
-
できましたー
大量娘でアラビアンなお話です。
薫ちゃんは出てきません。
あんまり間を置かずに連投ってのはよくないんでしょうけど、許して下さい。
- 42 :
-
「おはようございます、社長」
「うむ。おはよう」
「早速ですが、本日は昨日お伝えした予定の一部がキャンセルとなります。イラン情勢に関する緊急の協議を行いたいと、
OPEC供給調整委員会の調査室長が13時に――」
「……そうか。なら仕方あるまい。しかし明日の16時だけはなんとかしてくれ。……いいな」
「承知しました」
秘書が下がると、巨大なガラス張りの壁の向こうに、高級スーツに身を包んだその男は目を向けた。
「そろそろ次の代のことを考え始めんといかんな……」
その眼下には、地の果てまで続く雄大な砂漠と――まるでミニチュアのような、人々の暮らす広大な住宅街とが広がっていた。
バベルの塔を思わせる、正に天を突くようなガラス張りの巨大なビル。
その一角で、彼は仕事をしていた。
- 43 :
-
――中東、アラブ世界の某国。
国名は、ここでは大した意味を持たない。
日本で名前を聞いても、まず100人中99人はその存在すら知らないであろう、現代においても王制を敷く砂漠の小さな国である。
ただし、この地域に点在する多くの小国の例に漏れず――石油資源という天の恵みを授かる、世界屈指の裕福な国として
羨望の眼差しを受ける国であった。
「小さな国土で石油もいつまで持つか、はっきりせん。100年先を考えられる男を捜さねば。……しかし娘婿を探すとなると、
色々と条件付だ。ただでさえ難しいが、さて……」
葉巻を吹かし、秘書の入れたコーヒーを一口。
男は、今日の新聞に目を通し始めた。
口ひげを蓄えた、重厚な雰囲気を持つこの男。
この国唯一の石油会社の社長にして、同時に国内有数の勢力を誇る部族の長である。
しかし、国民から王に一番近い男とまで呼ばれる、俗な悩みとは無縁と思われるような彼もまた、多くの親が持っているのと同じ
苦悩を抱えていたのだった。
子供のこと。
一人娘の結婚についての悩みである。
「……やはりコイーバは落ち着く。家で吸えんのは少々つらいが……そうだ、禁煙家という条件もあったな。まぁ今時は
珍しくも無いだろうが」
吸い終わった葉巻をねじ消し、ゆったりとした気分で彼はスケジュール表に目を通し始めた。
この問題は家に帰ったときに話し合うこととしよう。
一日を始める儀式を追え、頭を切り替えて彼は仕事に取り掛かかる。
正に、そのときだった。
「社長……少しお耳を」
「どうした。慌ておって」
「ナディンお嬢様のお乗りになられた飛行機が、トゥクレム砂漠上空で消息を絶った、とのことです」
「なん……だと……?」
その一報を聞くや、彼は手にしていた万年筆を握りつぶしてしまった。
- 44 :
-
「……最悪だわ。あのイブラム航空のバカ営業……帰ったら絶対訴えてやる。こんなクズ鉄をこの私に売りつけるなんて、
良い度胸してるじゃない」
「お嬢様! 下りてください! 危ないですから!」
「うるさい! こんな時でもなきゃ乗れないじゃないの! せっかくの機会なんだから好きにさせなさい!」
……太陽の光を浴びて、銀色に輝くお立ち台の上に、一人の少女が腕組みをして仁王立ちしていた。
まるでアラビアンナイトか、何かの映画にでも出てきそうだ。
いかにもなアラブ系の、しかし煌びやかな装飾の衣装に身を包んだ、褐色の肌の女の子。
彼女の見渡すその光景は、360度全てが砂で覆われている。
風の舞う、果ての無い乾いた砂の大地……そこに頭を突っ込んで止まった小型ジェット機。
その傾いた主翼の先端で、彼女は遥か遠くの地平線を見つめていたのだった。
「よっと。……はい、降りてあげたわよ。満足?」
「ああ、危ない! ……もう17にもなるんですから、いい加減そう言うの自重して下さい! 大切なお身体なんですから」
「うっるさいなぁ……。カイルまで父上みたいなこと言うの? どうせ嫁に行く予定なんて永遠に無いのに」
ばっ、と華麗な身のこなしで地上に降りると、彼女は翼の影に入った。
そしてぶすっとした表情で、お付の男にイライラをぶつける。
なんと言うか、ついさっき生きるかぬかの瀬戸際を経験したとは思えないバイタリティーである。
熱い風になびく栗色の髪が、荒涼とした砂漠の大地と空によく似合っていた。
どこぞの王侯貴族の風格を漂わせる可憐な顔立ちと、透き通った瞳と、そして周囲の想いとは裏腹に……。
アラブ有数の石油王を父親に持つ彼女の名は、ナディン・アリー・アルガーミス。
砂漠のど真ん中で絶賛遭難中という極限状態にもかかわらず、彼女はまったくいつも通りの態度で、
周りの人間を困らせているのだった。
(まったく本当にこの人は……。隕石が真上に落ちてきてもなないんじゃないか?)
そして彼女に付き従う青年は、ため息をついて肩を落とした。
カイル・ルシム・スガイヤール、年齢24……アルガーミス家に仕えて3年目。
一人娘の彼女のボディーガード兼、家庭教師兼、遊び相手兼……とにかく何でも屋として、日々の厄介ごとを
一手に引き受ける立場の彼は、やはりこの状況に至ってもやることは同じなのだった。
彼らの乗る飛行機がこの場所に不時着したのは、つい1時間ほど前のこと。
ナディンが、新しく買ってもらった自家用ジェットで近隣国の友達の家に遊びに行こうと計画したはいいものの……
その途中、何故かいきなり燃料切れを起こし、巨大な砂漠の片隅でサバイバルとなってしまった。
乗員乗客、全部で6人。
けが人はともかく、着陸時に者が出なかったことはとりあえず喜んで良い。
だが、あらゆる問題はこれからである。
「……どうだ、様子は」
ジェット機のすぐ横に張られた、緑色のテントの中にカイルは入った。
機内に常備されていたサバイバルパック、その内容物の一つである。
中には傷ついた男が3人、砂の上に敷いた毛布に寝かされていた。
ジェット機の乗務員たちである。
- 45 :
-
「だめだ、そこまで深くは無いんだが、血が止まらん。やはり少し切って何とかするしかない。しかし……」
「使えるメスがないんだな、やっぱり」
「ああ。他の箱も探したが、ダメになっていた。救助がいつになるか分からんし、無菌のメスを入れるのは避けたいんだがな……」
汗を拭いながら、看病していた男とカイルは目を見合わせる。
軽症で済んだもう一人の使用人である。
だが彼の顔にも、明らかな疲労と体力消耗が見え始めていた。
「煮沸消毒するにも、水はあっても燃料はない……。火だけ起こしても続けて燃やせるものがないと意味が無いし……まいった。
せめて消毒のパックがつぶれてなかったらな。しかし、お前も休んでいないだろう。少し横になったらどうだ」
「まだ大丈夫だ。先にコイツのほうをなんとかしないと。……ところでお嬢様は?」
「さっき声が聞こえただろう……元気すぎて困ってる」
「そうか。ならよかった。こっちはもう少し何か無いか、考えてみる。……しかし、スガイヤールが無傷で助かったよ」
「……そりゃこっちの言葉だ。とにかく、湯を沸かせられるものがないか、俺も探すよ」
応えて、カイルはテントを出た。
布地をめくった瞬間、フラッシュを焚いたような強烈な直射日光が襲ってくる。
深く呼吸すると、砂漠の熱気が身体の奥まで浸透し、それだけで体力を奪われそうだ。
目を細めて帽子を深く被り、足元の砂を踏みしめながら彼は今後の行動を思案する。
ジェットの定数18人に対して6人だから、非常用の水と食料だけは十分すぎるほどあるが、さて……。
「ちょっと、カイル」
「……なんです、お嬢様」
「火なら、あっちにあるけど。要るんでしょう? 火」
「……え?」
テントのすぐ外で、話を聞かれていたらしい。
突然彼女はそう言うと、カイルをテントの場所から、砂の上に横たわったジェット機の反対側に引っ張っていく。
……火がある。
本当に? 砂漠の見せる幻影では?
半信半疑で彼女に従うカイルであったが……案内されたそこには本当に、もうもうと黒煙を上げて燃えさかる炎があった。
ぽつんと、砂の上に、まるで魔法のように。
「な、なんだこれは!? 何が燃えているんだ!?」
「別に何だっていいじゃない? 火が必要だったんでしょう?」
「ええ、確かに、そうですが……」
砂の上、炉などは何も無い。
焚き火のようだが、薪も見えない。
しかも、これは……この匂いはまるでガソリンでも燃えているような……?
全く不思議な炎だった。
「と、とにかく、分かりました。知られてくれてありがとうございます。これで湯が沸かせられる」
今は気にしているときではない。
火事ではなかったことに安堵しつつ、急いでコッフェルとそれを吊る棒を用意し、水を火にかける。
その働きの甲斐あって――怪我人の応急処置は、無事に終了した。
- 46 :
-
「……みんなの具合は?」
「栄養剤を飲ませたあと痛み止めを打って、今は寝ています。目が覚めてもテントから動くことはできませんが、
キズが命に関わることは無いでしょう。処置してくれたアサムも、疲れてぐっすりですよ」
「そう。よかった」
暗闇の世界が、二人を包んでいた。
無慈悲に砂を熱する太陽が沈んだ跡は、優しい月が空に上る。
不時着してから迎える最初の夜だ。
晩餐に非常食のフルコースを取ったあと、カイルとナディンはテントの外で、電池ランタンの光を囲んでいた。
二人とも、昼間と逆にコートを羽織っている。
「今は体力を温存しないといけません。眠れなくとも、お嬢様もテントで横になっていて下さい」
「そうね……そうするわ」
非常食用の化学ヒーターで入れた紅茶を飲み終えると、彼女は主翼の下の、自分専用のテントに入っていった。
一人残ったカイルは跡片付けをし、そして明日以降の行動について考えていた。
だがそれも一段落つくと、さっきの不思議な出来事が気になり始める。
「あの炎。あんな火力の強い……なんだったんだろう。不思議だ」
サバイバルキットの箱に腰かけ、膝の上で腕組み。
満点の星空の下、こうこうとあたりを照らす、ランタンの淡い光を見つめる。
「……お嬢様が火を起こした? でも薪なんかあるわけは無いし、ジェット燃料は無いし、そもそも人力で取り出せないし……。
機の内装品とか毛布とかでも、あんなには……一体何を燃やしたんだ?」
緊急サバイバルキットの中には、食料を暖める程度の、必要最低限の固形燃料しかなかった。
そして常識的に考えて、砂漠で自然に、あんな炎が突然現れるわけはない。
新しい油田でも湧かない限り……。
本当に魔法か?
説明できない現実に首をひねる。
色々考えた結果、彼は朝食の支度の時に、それとなく探りを入れてみることにした。
そして、また砂漠に太陽が昇る。
- 47 :
-
「おはようございます」
「……おはよう。それ朝食?」
「はい。今しばらくお待ちを。……しかし、やはり砂漠の夜は冷えますね。サバイバルキットの燃料がもっとあれば、
暖かいスープなどご用意できたのですが」
「そうね……私も飲みたい」
「どこかに火があれば良いのですが」
「……」
――二度目は流石に、わざとらしかったか?
つっ…と、カイルの頬に冷たい汗が伝った。
「とりあえず、私はもう少し寝るから。準備できたら呼んで」
「承知いたしました」
くるっと後ろを向いて、歩いていく彼女の背中に視線を送る。
割とどうでもいいが、よく考えたら二日続けて同じ服を来る彼女を見たのは初めてだった。
(……ん!)
と、カイルの眼が光る。
彼女は、テントに入るフリをして――まったく別方向に駆け出した。
これはと思った彼は跡をつける。
そして……見た。
不時着した機体の陰に隠れるようにして、腰の布を捲り上げ、下着を脱いで……
ぶりぶりと砂の上に脱糞するナディンの姿をである。
地面にしゃがみこみ、丸いおしりを突き出して、そこからガラガラヘビのように太い大便を、うねうねと……
排便の刺激に苦悶する彼女の横顔、その表情までがはっきりと見て取れた。
(し、しまった……。私ははなんてことを……!)
がばっと体を引き、彼は顔を手で覆う。
こそこそと行動して、当たり前のことだった。
勘違いだった。
勘違いの挙句ストーキングに走り、一番見てはならないものを覗き見るとは……!
従者失格。
男として失格。
もういっそ、自分で自分をしたい……。
- 48 :
-
(俺はなんて最低の男なんだ…………あ? あれ?)
――と、カイルは奇妙な匂いに気がついた。
風に乗って漂ってくる、これは……オイルの匂いだ。
それもガソリンに近い。
(残っていた燃料が漏れたか?)
瞬時に仕事の顔に戻り、機体の燃料タンクあたりに目を向ける。
事実だとしたらやっかいだ。
飲料水しかない状況で、火事など起こったら収拾がつかなくなる。
だが外から見る限り、機体のタンクに損傷は無かった。
だとしたらこの匂いはどこから……
(……そういえばお嬢様は)
尾翼の陰から、ナディンの方を見た。
時間は経ち、もうそろそろ終わっているだろうとの判断だったが、そこで彼はとんでもないものを見ることになる。
(なんだ……あれは……)
目に飛び込んできたのは、砂の上にそびえたつ、褐色の小山。
粘土のような、泥の塊のような……?
比較対象物が無いが、かなり大きな塊だ。
ついさっきナディンが排便していた場所にそれは、どん、と異様な存在感を放っている。
そのナディンはと探すと、ほんの少し離れた場所で、ポケットティッシュを使っておしりを拭いていた。
たった今、排便が終わったかのように。
(まさか、あれ全部がお嬢様の排便したものなのか?)
確かに、巨大すぎて最初考えもしなかったが、“うんこ”だと言われたら、色形はもうそれにしか見えない。
それによく考えたら、さっき彼女が出していたものがどこにも見当たらない。
あの小さな身体から、まさか……?
そして混乱するカイルの視線の先で、着衣を直した彼女はポケットから何かを取り出した。
先端に、ゆらめく小さな火が見える。
ライターだ。彼女は足元の泥の塊に、そのライターの火を近づけて――
「そ、そんな、馬鹿な!?」
「えっ? あ………… い、いやあああああああああああああああああっ!!!」
- 49 :
-
「どうしたんだ、大丈夫か!? 何があった!」
「い、いや……サソリだ。お嬢様にサソリが近づいていたんだ。潰して捨てた。大丈夫だ」
悲鳴に飛び起きたアサムが、現場に駆けつけてきた。
カイルが彼に事態を説明する間、ナディンは……離れたところで、頭を抱えて砂の上にへたり込んでいた。
異臭を放つ巨大な泥の塊は、カイルが自分のコートを掛けて隠した。
……そしてその後、二度目の日没を迎えて、ナディンはカイルを自分のテントに呼び出したのだった。
「まず、言うことがあるわね?」
「はい。自分はお嬢様のプライベートを覗く真似をし、その名誉と純潔を傷付けました。アルガーミスの家に仕える従者として
あるまじき行為です。誠に申し訳あません」
「よろしい。でもそれだけでは済まされない。罰を受けること。覚悟は出来ているわね?」
「はい」
国の法律上の罪状は、特に問題ではない。
帰ったら彼女が「カイルに襲われかけた」と言うだけでよいのだ。
彼女の怒りをかった時点で、覚悟は出来ていた。
「まぁ、とりあえず楽にしなさい。罰の執行は猶予します。ここから生きて帰れなかったら、特に意味の無いことだからね」
「は。そうですね……。とにかく生還することをまず考えなければいけません」
彼女の言うとおりだった。
とりあえず安堵のため息を一つ、カイルは頭を上げる。
状況において怒りを制御することを、彼女は心得ている。
「でも、それにしても。流石にショックだったわ。まさかアナタが、覗きをするなんてね」
「申し開きの言葉もございません。……が、一つお聞きしてもよろしいでしょうか」
「なに?」
「治療のときのあの炎は……お嬢様のあれを燃やされたのですか」
「……まぁね。気になる? じゃあ……あの世の土産話になるかもしれないし、教えてあげる。感謝しなさい」
「はい」
「……火が必要だって、話をしていたでしょう。だから私が骨を折ってあげた。トイレのついでにね。
出したものに火をつけただけよ」
- 50 :
-
「牛の糞を固めたものを燃料に、というのは確かにありますが……それであんな火力が出るものでしょうか?
それにあのオイルのような匂いは一体?」
「見たでしょうけど、私は量も質も普通じゃないの。インドの牛糞の燃料は私も知っているけどね……私のは
それとも根本的に違うって話」
「……と言われますと?」
「普通の食事をして普通に出してるだけなんだけどね。どう考えても、実際食べた量の10倍くらいは毎日出るし……
医者とか学者に言わせると、石油成分と似たものが大量に含まれてるらしいのよ。それも粗留ガソリン並みに揮発する」
「医者がそう言ったのですか……。 あ? お嬢様、何を!?」
カイルの目の前で、彼女は突然、腰布をがばっとめくり上げる。
使用人の男に素肌を大きくさらす……。
常識はずれだが、隠されていたその奥には、更に意外なものがあった。
「その肌……ヤケドの跡!? ひどい……」
「私の夫となる者は、更におぞましいものを見ることになるでしょうね」
驚くカイルを前に、意地悪い瞳で彼女は笑った。
右の太ももからウエストに掛けて、酷いやけどの痕跡が、滑らかな腰のラインを侵食するように走っていたのである。
テントの天井に吊るされたランタンの光が、それを鮮やかに浮かび上がらせた。
「アナタが来る前よ。子供の頃、粗相をしてしまってね……。その出したモノから揮発したガスに、コンセントがショートした
火花が引火して……。おかげで海外に行っても、プライベートビーチ以外じゃ……人の前では水着になることも出来ない。
一応、折を見て手術を受ける話にはなっているけど」
腰布を直し、彼女は話を続ける。
そしてその話は、意外な方向に向かった。
「石油って、古代の生物の骸が変化したものって言うけど……案外、その頃は私みたいな生き物が地球にいっぱい
居たんじゃないかな? その末裔が石油王の娘ってのも、面白いじゃない」
「は。しかし、私めにそこまでプライベートな話……よろしいので?」
「よろしいも何も、今更……もしかしたらもうすぐぬかもしれないって時に、関係無いじゃない? このまま発見されなかったら、
間違いなくみんなここで干からびるんだから。それに」
「な、なんです?」
「女の子の一番見ちゃいけないプライベート覗いたのはどこの誰? しかも、自分の主人の! 言ってみなさい」
「……申し訳ございません」
目を伏せる。
生還し、仮に軽い罰で済んだとしても、雇いを解かれない限りずっとこれを言われ続けるのだろうなぁと彼は思った。
「……空気が悪い。外に出るわよ。供をなさい」
「は、はい」
- 51 :
-
ばっとコートを羽織り、二人はテントから出た。
だが、機のまわりをぐるっと回る程度と思っていたカイルは心配する。
どんどんと、ナディンは砂の丘を越えて、テントもジェット機も見えない場所まで進んでいくのだ。
夜の今は風も無い。
砂の上、二人の足跡を白い月の光がくっきりと浮かび上がらせていた。
「キレイな満月……正に月の砂漠ね」
「はい、キレイです。……しかし、あまり機から離れると危険ですが」
「離れないとダメだわ。アサムに見つかるかも知れない」
「は?」
「砂漠に生まれ、砂漠にぬ……最期は、高貴な血の者として見苦しくないに方を選ばないといけない。でも、
ぬ前には、私もしたいことをしてにたいからね」
ざくざくと、砂を踏みしめて歩く二人。
だが突然、彼女の足が急に止まった。あとに続くカイルもそれに合せて立ち止まる。
と思うと、ナディンはその場にコートを脱ぎ捨て、いきなり振り向いてカイルに抱きついてきた。
「お、お嬢様?」
当然カイルは困惑する。
ムリに引き剥がすわけにも行かない。
二人の体格差から、ナディンはカイルのみぞおちのあたりに顔を寄せる格好になっていた。
「怖いのよ、私だって。おかしくなりそうで……。二日たっても助けがこないなんておかしいじゃない。衛星とか色々飛んでる
この時代に? なんで見つけてくれないの? なんで? すぐに家に帰れると思っていたのに……!」
「大丈夫ですよ。水も物資も、あと一週間は軽く……」
「じゃあ7日経ったら? それが無くなったらぬんでしょう? それまでに救助が来る保証は? 男の人も知らないままぬのは、
私はイヤ。 だから……!」
意外すぎるナディンの行動に、しばしカイルは言葉を失った。
やわらかな頬を伝う涙が、月の光に煌く。
よく見ると、その細い身体が震えているのも分かった。
夜の世界の完璧な静寂の中、ようやく彼女の真意を知った彼は、そっと彼女の両肩を抱きしめる。
- 52 :
-
「それはまだ早いと思いますよ。やれることは残っています。諦めてはいけません。自暴自棄で男と寝るなど、お嬢様らしくない。……まぁ、
自暴自棄の原因の半分はこの私なんでしょうが」
「……ホントに? 家に帰れる?」
その耳元でやさしく語りかけた。
まるで親が子に寄り添うように。
「確かに、無線関係は全部アウト。衛星携帯も故障……でも、まだ伝統的救助要請の手段が残っています」
「伝統的って……」
「狼煙ですよ。油井のように黒煙を天高く立ち上げれば、遮蔽物の無い砂漠なら、必ず救助隊が発見してくれるでしょう。
石油のように燃える、あれならば……治療のときのように協力していただければ、いけます。
ただし、物はかなり大量に必要になると思いますが」
「……つまり主人をこき使おうって訳ね?」
「その主人が、生きるかぬかですから」
至って真面目な顔でそう言うと、彼は急に、にこっと笑ったのだった。
- 53 :
-
「――ん、んんんううううぅぅうう……!」
……静寂の世界。
動くものの無い夜の砂漠に、異様な咆哮が響き渡った。
獣でも、鳥でもない。
砂の上で立ったままうんこをきばる、ナディンの胸の奥から漏れ出た声である。
「……水分不足かしら? 朝より硬いわ…… ふっ、く…ううぅう……!」
冷たい汗が滑らかなその肌をつたう。
カイルに促されるまま、狼煙の燃料を確保するため、彼女は中腰で踏ん張り続ける。
今は靴まで脱ぎ去り、その下半身には何も身に付けられていない。
ぼっ…… むりゅ…… どさっ… どさどさっ
満天の星と白い満月に艶かしい下半身を全て晒しながら……いきむ彼女のおしりの下に、ぼとぼとと、こぶし大ほどの便塊が転がる。
オイル混じりの、異様な臭気を放つ大便である。
「……あの、えーとですね? 質問してよろしいですか、お嬢様」
「何よ、人が集中してる時に……! 何が聞きたいの」
「なんで私がここに居ないといけないのでしょう?」
砂の地面の上に胡坐をかき、なんとも名状しがたい複雑な表情で座っていたカイルは、手を上げて彼女に質問した。
ナディンの方は排便にかかりっきりで、彼の顔を見ようともしない。
そしてその彼が一体どこに座っているかというと――中腰でうんこをきばる、ナディンの真後ろなのであった。
捲くった腰布から丸見えの、彼女のおしり。
それが彼の顔、座高の高さで、正に1メートルほどの距離しかない場所にあるのである。
ぐっと背を前にかがめているんで、穴も性器も直視できる位置にある。
そしてこの会話をしている最中にも、彼女の脱糞が止まる事はない。
カイルの見ている目の前で、岩のような塊に次いで茶褐色の……大蛇と見まごう極太の便が次々に生まれ、地面にとぐろを巻いていく。
柔らかいそれは自重で一体となり、やがて大きな一つの大きな塊となっていくのだった。
- 54 :
-
「で、何故私をここに……」
「何言っているの、どれだけ燃料が必要か判断するのはあなたの仕事でしょう。……あんまり出しすぎたら私だって、
脱水症状になってしまうわ」
「……本音は?」
「誰かに見られながらうんちするのって気持ちいいのね。初めて知ったわ。ずっと秘密にして、いつも過剰なくらい
気をつかってたからかな?」
「……」
「何か言いなさいよ! 恥ずかしいの我慢して答えてあげたのに! ……それからもう一つ! せっかく私が
いいって言ったのに抱かなかった罰よ、これは。とにかくあんたはそこで見てなさい、従者として。
うんち全部出すまで、一瞬でも目を離したら許さないから。せめて目で、私を満足させるの。わかった!?」
「……承知いたしました」
さっきのしおらしい様子はどこへやら。
極太の大便を脱糞し続けながらまくしたてる彼女は、またいつもの調子に戻っていた。
しかし言っている内容もとんでもないが、今の彼女のこの格好は……。
なんというか、一言で表現するなら「襲ってくれ」と全身で訴えかけるような、本当にとんでもない状態である。
わざわざ両手を使って、左右からぐいっとおしりを開いているので、彼女の一番大事な部分――完璧に未使用の美しい
あの部分までが露わになっていた。
中身の一切はみ出ていない、美しい一本の筋が、肛門から恥丘の先端まで……。
それがちらちらと、上の肛門から次々に降りてくる、巨大な便の塊の脇から見え隠れしている。
けしからんとか言うレベルでは無い。
抱かなかった罰と彼女は言うが、ほとんどもう、ただの性的な挑発だった。
(……私が守るべきものとは何だったのか)
100年の恋も覚めるような……とは正にこのことか。
いくらおてんばで手に余るとは言え、3年にわたって成長を見守り続けてきた彼女が……。
もりもりと、自分の前で太い大便を排泄し続けるナディンの姿を前に、一気にこれまでの価値観が崩壊していくカイルであった。
夜中であるが、万が一にも今救助隊に発見されたらと考えると背筋が冷たくなる。
そんな彼の想いなど全く無視したまま、ナディンの大量脱糞はひたすら続く。
満天の星と満月の照らす、幻想的な砂の世界の片隅で、この世のものと思えない穢れた行為を延々と……しかも、
このすさまじい汚物の匂い。
- 55 :
-
腸内で水分を奪い取られ、醸成された大便特有の刺激臭に、ガソリンにも似たオイルの匂いが絡み合いながら
鼻の奥を突き刺して、脳まで抜けていく。
普通の人間の排泄物とはまるで違う。
この至近距離で嗅いでいると、もう別の方向に鼻が麻痺しそう……いや、酔ってしまいそうだ。
本当に、プラントで精製される石油製品ような匂いだった。
だが間違いなく、この可憐な少女から生み出されたものである。
(これは悪夢か、それとも……?)
空気の澄んだ、砂漠の満月の夜。
天からのまばゆい光に照らされ、地面にはくっきりと便の山の影まで映っているのだが、そこからゆらゆらと……
湯気ではない何かの気体が立ち上っている様子までがはっきり見える。
ちょうど、スタンドで車に給油しているときに見える、気化したガスのような感じだ。
水の代わりにガソリンでも飲んで生きているんじゃないかと思えるほどだった。
「んん……ふぅ。いい加減この格好疲れてきた……。あ、そうだ、カイル」
「はい」
「ちょっとイスになって」
「はい!?」
ぐんぐん大きくなっていく見事な円錐形の山が、標高30〜40センチに到達しようかという頃、彼女はいきなり排便を止めた。
そして至極当然のことのように、従者であるカイルに命令を下したのだった。
「ん……そうそう、これでいい。しっかり持っていてよ」
「は、はぁ」
指示されるがままに、カイルは彼女を抱え上げた。
鍛えられた肩と両腕で、ナディンの小さな身体、そして両脚を包み込むように。
背筋は大きく弓なりに後ろへ反らし、腰とウエストを使って彼女の体重を支える。
まるで、カイルの体躯を大きなY時型の大きなカクテルグラスに見立て、そこに身体を浸からせているような格好だった。
カイルの目には、ナディンの後頭部が見えていた。
小さな子供をだっこする、それの正反対の体勢である。
ぐっと力を込めるカイルの腕に膝を引っ掛け、抱え上げられた彼女の下半身は、やはり一切何も身に付けられていない。
その大きく前に突き出したおしりと、その中心でひくひくと蠢く、肛門を真正面に……。
「うん。この方が楽でいいわ……。それに暖かいし。それにしても、カイルの体って硬いんだね。意外」
「……はぁ。しかし、全く気づきませんでした。お嬢様がこんな秘密を抱えて、苦悩されていたなど……」
- 56 :
-
「ふふっ……。ええ、まあ、頑張っていたでしょう? 家では、トイレはどこに設置されているものでも全部私の使用に耐える
特注だったから、楽なんだけど。逆に外に行くときは大変だったわ、本当に。いろんな意味でね」
奇妙な格好で抱えられたまま、彼女は珍しく、子供のように笑った。
だがすぐに、下腹部の苦痛で眉をゆがめる。
「く、う…んぅ……! も、もう次のが来たわ…… じゃあ……うんち、続けるからね……」
「……どうぞ。存分に」
脱糞開始の時とは違い、柔らかいものがどんどんと腸の奥の方から降りてきている。
きゅっと締め付けられていた肛門が、再び力を失い、開いていく。
それとは正反対に彼女の両手は、自分を支えるカイルの腕を、力いっぱい握り締めていた。
どぶりゅっ……! ぶぼっ……むちゅっ……! べちゃっ!
「ふっ…んぅ……! く、うぅう……!」
彼女の穴から、今度は水平方向に向かって大便の奔流がほとばしる。
普通の、腸内で圧縮された食物のカスの集合体とはどこかが違う……月の光をはっきりと反射するほど表面の滑らかな便が、
いきむ彼女の呼吸に合せてハイスピードで飛び出していく。
そしてべしゃっと音を立てて、冷えかかった便の山に落ち、積み重なっていった。
カイルが立っているのは例の汚物の山のすぐ前。
彼の砂漠用のズボンも、汚物の飛沫で茶色く汚れて始めていた。
しっかり持てと命令されたが、もし手が滑ったりでもしたら、ナディンが自分の汚物の塊に落ちることになる。
それだけ信頼されているということだろうか。
「ふ……んっ …んあぁ……!」
「苦しいですか?」
「いいえ……そうじゃないの。……もう一つ秘密を言っちゃうとね。こうやっていっぱいうんち出すの、実は大好き。
家でトイレに行くのは、毎日の、ちょっとした楽しみだったんだ。おなかがうんちでいっぱいになって苦しいのが、
肛門を開いた瞬間に気持ちいいに変わって……。今もね、もうどうしようもないくらい、私興奮してる。さっきよりもずっと。
男の人の腕の中で、脱糞してるなんて……信じられないくらい恥ずかしい。でもすごく気持ちいいの。
こういうの、変態って言うのかな。大人の世界では」
「……その相手に選ばれて、光栄……なんでしょうね、私は」
「もちろん。世界最高の栄誉だと思いなさい」
静寂の砂漠に、直立不動。
聞こえる音は、ナディンの悦楽の吐息と、それを覆い隠す脱糞音のみ。
汚物とオイルの匂いの漂う中、カイルの腕に抱かれて、彼女の脱糞は更に数分間続いた。
- 57 :
-
「あー……気持ちよかった……。星空の下で、こんなにいっぱいうんちしたのは初めて。で、どう? 量は。このくらいでいいの?」
ようやく穴からの奔流が止まった。
そして緩みっぱなしの肛門と、同じく緩みっぱなしの顔でナディンはご満悦だった。
スパのマッサージで全身リラックスしたかのような、いい笑顔である。
だが、抱っこしたままその生産量を確認したカイルは、非情な判断を下す。
「いえ、駄目です。湯を沸かした時の火力と持続時間を考えると、最低この3倍は……」
「3倍!? これの!? ……じゃあどんどん食べ物と水用意して! いくら私でも、おなかカラッポだわ……」
「わ、分かりました。では」
一時またしおらしくなったと思いきや、3倍の一言でまたいつもの調子に戻る。
しかし、まだまだ元気な様子でまくし立てる彼女だったが、カイルの腕から地面に降りると、ぱたっと
砂の上にへたりこんでしまった。
そのまま、カイルは彼女を置いて、テントのほうに向かって丘を登って行く。
(……しかし、本当にすごいな。あの小さい身体で、あれだけの山を……本当に魔法だ)
地上最大のアフリカゾウでも、彼女に勝てるかどうか……?
砂の丘の上から、座って休むナディンの姿と、そのすぐ傍にこんもりと盛られた便の山に目をやる。
傾いた月の光が地面に便の影を落とし、その巨大さを雄弁に物語っていた。
(ついでに俺の理性も、いつまで持つかな)
襲い掛かりたい気持ちを忠誠心で無理やりねじ伏せ、視線をテントの方向に戻した。
ちなみにアサムは、念のため睡眠薬で眠ってもらっている。
この行動は全て彼自身でしなければならないのだった。
そして翌朝……空が明るくなるのを待って、作戦は決行された。
- 58 :
-
「うー、眠い……。ついでにおしり擦り剥けるかと思った……」
「はい。ご苦労様でした」
「テントに戻る。とりあえず、朝ごはん食べたら私寝るからね。救助来たら起こして」
結局、休憩と食事を挟みながら、燃料の生産作業はほとんど夜を徹して行われた。
彼女の目の下には、大きなクマ。
美貌が台無しである。
そして並んで立つその二人の目の前で、巨大な炎がもうもうと黒煙を上げていた。
まるで新しい油田でも湧き出したかのように、天に向かって黒い帯がどこまでも伸びていく。
燃え盛る真っ赤な炎の中には、うっすらと輪郭を確認することのできる、うずたかく積まれた可燃性の大便の山。
正に身を削る思いでひねり出された、彼女の努力の結晶である。
恐竜サイズと言っても良い、それは巨大な……ひょっとしたらもう、彼女自身の体積を超えているかもしれなかった。
「きちんとした朝食はテントに用意してありますので。ごゆっくりどうぞ」
「うん……あ、それから救助隊が来た時まだあれ燃え残ってたら、責任持ってぜんぶ砂で埋めて隠してよ。
家族以外にバレたらぬって決めてるんだから」
「はい」
「……それだけ?」
「はい。何か?」
「ちょっとそこに座りなさい」
「……? はい」
彼女の心底を計りかねるまま、カイルは命令に従って、その場に座った。
その前で、彼女は腕組みをし、鋭い目を彼に向ける。
「普通は私くらいの歳になったら、婚姻の話はとっくに出てないとおかしい。でも、知っていると思うけど、まだ何にもない。
家族はもちろん私の秘密のことを気に掛けているからね。おいそれと家の外には出せない訳」
「はい」
- 59 :
-
「かと言って、どこぞのラクダの骨ともつかない男に安売りする訳にも行かない。家柄って言うものがあるからね。
親族全体の面子もあるし。ここまではわかるわね?」
「ええ。もちろん」
すると、彼女は急に背中を向けた。
輝く朝日に向かって、腰に両手を当て、仁王立ちの格好だ。
「学歴もそこそこのものだし、まぁ、最初の実績としちゃまずまずだわ。冷静な判断でけが人の処置をして、勇敢に、
救助を待つ間の指揮を取り、付きっ切りで主人を励まし……このまま助かれば、だけどね」
「……それは一体、何の話をされておられるので?」
「まだ分からない? 未来の、私の夫の話じゃない」
そしてくるっと、彼女は彼のほうを向いた。
彼の目の前まで歩いてくると、ぴっと人差し指を立てる。
そこまで言われて――ようやく、彼は話の内容を飲み込むことが出来た。
困惑から、真剣な男の顔に変わる。
「成り上がって貰うからね。この私と釣合うように。家族にも親族にも会社の連中にも、文句言わせないくらい。
これがあなたの罰。いいわね? 途中で弱音なんか吐いたら、火あぶりの刑にしてやるから」
「承知いたしました。で、その時は……もちろんナディン様の出したモノで焼いて頂けるんですよね?」
「……この変態。私もだけど。 まぁいいわ。その時は、そのくらいの望みは聞いてあげる」
侮蔑と愛情、両方が混じった目で見下ろすと、彼女はカイルの頬にキスをしたのだった。
この後無事生還を果たした彼らとその子供達は、数十年後、画期的なバイオ燃料の実用化を達成して
世界のエネルギー問題解決に大きな貢献を果たすことになる。
- 60 :
-
以上です。
急いで書いたから細かいところはおざなり。
タイトルを考えてる時間までは無かった。
オイリーな彼女とかどうだろう。
SSを書く事のなにが楽しいかって、文章で一つの世界を作る事が楽しいんですね。
最近気が付きました。
- 61 :
- 投下お疲れ様でした。
見られる事の快感を得たか…
中々面白かったです!
薫ちゃんのほうも頑張ってください!
- 62 :
- なんということだ
俺の一言からたった1日でこんなものが完成するなんて
神という言葉では全く足りない
しかしここまでくるともはや脱糞能力者だな
そうですね、さしずめ「放り出す者(スカンド)」とでも名付けましょうか
- 63 :
- >>62
「バキュームカーだッ!」
BRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYィ !!!
薫ちゃんの話、こういう方向性でも良いような気がしてき………冗談です。
- 64 :
- ho
- 65 :
- 薫ちゃんの話はいろんな意味で圧倒されっぱなしです。
凝った設定の話はそれでそれでいいんですが、できるなら薫ちゃんの超大量便によるシンプル志向なおもらし話を見てみたいです。
脱糞ではなく、収まりきらない大量便がパンツから溢れ出して止まらないみたいな感じで
今更難しいかもしれませんが、宜しければご検討のほどをお願いします。
- 66 :
- >>65
確かに不必要なくらい、設定を凝りすぎたかと反省しております。
リクエストに応えられたかはわかりませんが、時間が取れたんで一つ短いのを書いてみました。
しかし、あんまり自分ばかり大量に連投するのって、いいのかなと思うんですけど、どうなんでしょう。
問題なければ明日にでも投下しようと思ってます。
- 67 :
- >>66
なんと、もう書いていただけたとは
感謝感激です、本当にありがとうございます。
投下を心待ちにしています。
- 68 :
-
しばらく仕事忙しくなるかと思ってたんですけど、この何日かは落ち着いてます。
では投下。
初心に立ち返って、中学生編を一つ。
- 69 :
-
ヒュージな彼女 \
それはある7月の土曜日――セミの声も増えてきた、よく晴れた初夏の午前の事だった。
「……ん。今の女の子……? なんか様子が変だな」
自転車の甲高いブレーキ音が、静かな野地裏の小道に響いた。
小さな飲み屋や個人商店が軒を連ねる、表の大きな道路からは外れた、人気の少ない通りである。
まだ朝の内ではあるが、梅雨の終わりの熱い日差しが、黒いアスファルトをじわじわと熱している。
そのはしっこの方、白のラインが引かれただけの歩道を一人、ゆっくりと歩く制服姿の女の子の姿があった。
そして後ろを振り返りながら、彼女の小さな背中に鋭い眼光を向けたのは、青い制服に身を包んだ
警ら中の若い巡査である。
近所の交番から自転車に乗って別の交番に向かう最中、彼はすれ違った女の子の様子に何かを感じ、
とっさにブレーキを掛けたのだった。
(あれは……確か向こうの□□中学の制服か。……やけに青い顔をしているが、どうする)
少し考えて、あまりこの辺では見ない、離れた町の学校の生徒と彼は思い出す。
別に事件でもなんでも無いだろうとは思ったが、気になったその巡査は念のためと彼女を追いかけ、
声を掛けてみることにした。
自転車を降りて手で押しながら早歩き。
近づいてよく見ると、その細い両脚はふるふると、弱々しく震えていた。
若いのに、まるで老人だ。
やはり体調不良か? ひょっとして熱中症かもしれない。
……静かに、彼女を驚かさないように……。
「ちょっと、大丈夫かい? 君……」
- 70 :
-
「ひっ!? あ…あ、あっ! いやああああああああっ!!! ま、またぁ……!」
「なっ……?」
その悲痛な叫び声に、声を掛けた巡査のほうが驚いてしまった。
かと思うと、彼女――そのふわふわの長い髪の女の子は、背中を向けたまま前かがみになり、体全体を
痙攣させるようにして震えだした。
そして。
ぐびゅる…… ぶびゅっ! む……ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅ……!!
「ああっ…! やだ、やだよ……! もう……もうイヤぁっ!!」
「君……?」
つつっ……ぺしゃっ。 ぼちゅ… べちゃっ! ばちゃちゃっ!!
(あ、ああ……なんてこった)
喉をすり切らすような涙声の叫びとともに、その下半身から異様な音がして……その巡査は今何が起こったのかを理解した。
彼女の制服のスカートの下から、ドロドロの……茶色い汚物が次々に落ちてきたからである。
前かがみで中腰の格好で、彼に背中を向けたまま。
両手でおなかを押さえて、必に苦しみに耐えながら……。
後ろに立つその巡査はその場に立ったまま、目を逸らして通行人が来ないか注意する以外、何も出来ない。
どぼっ……ぐびゅっ! ぼちゅっ…! ぶりゅりゅりゅ……
「ふっ……んんっ… く、ううううう……!」
白昼の、夏の青空の下。
目を逸らしても、耳に入ってくるその音は続く。
つん、と鼻を突くその匂いも。
ちらっとだけ目を向けると、その女の子のおしりの下には、あっという間に小さな山のような汚物溜まりが
出来てしまっていた。
- 71 :
-
中腰で股を開いて、靴とスカートだけは汚すまいとしながら……。
その健気さが可哀相で、見ていられない。
お腹を下して、トイレを探してさまよった挙句に、道路の上で大便失禁。
声を掛けたばっかりに……。
痛々しいとしか言いようが無かった。
履いた下着の両側から溢れてきているのだろうか、左右、二列に分かれてランダムに、次々にスカートの中から
大便の塊が落ちていく。
しかもまた、凄まじい大量の……もうあの悲鳴から何秒経っただろう? 雨垂れのように、途切れ途切れで、
ぼとぼとっと大きな音を立てて。
焼けたアスファルトの上に、茶色い双子の山が出来ていく。
こんな小さな体の女の子から、これだけの……。
その巡査はまた別の意味で言葉を失った。
「う、ひぅう…… う、うああああああ……!」
「あっ ちょっ……君!? ……やめとこう、流石に可哀相だ……」
ひとしきり脱糞して、溢れるものが止まったところで、彼女は走ってその場を逃げ出した。
おしりを庇うような、変な走り方だった。
下着にまだ残っているであろう大便が、下に落ちないように精一杯気を遣っているのだろう。
だがそれでも、その走ったあとを点々と、茶色い汚物の雫が残っていた。
「あ〜あ、どうするかな、これ……。しかしそれにしても今の女の子、よく出したなぁ……」
正に脱帽といった顔で彼は制帽を脱ぐと、ため息をついて、目の前の汚物の塊を見下ろす。
自分の他に人が通り掛からなかったことだけは、不幸中の幸いだったと言って良いかもしれない。
どん、という擬音がどこからともなく聞こえて来そうな程の……白い歩道のラインを跨いでそびえ立つ、
見事な山がそこに出来上がっていた。
子供を連れて行った動物園の、アフリカ象エリアを彷彿とさせる光景だ。
よほど酷い便秘のところに、急に腹を下した……のだろうか。
商店も人家も多い公道だ。
放っておいたら迷惑防止条例違反だが、深く傷ついたであろう女の子をムリヤリ連れ戻すようなことは、
流石に彼には出来なかった。
多分、この残った茶色いあとを辿っていったら追いつくのだろうが……。
本当に、可哀相なことをしてしまった。
先の角を曲がり、姿の見えなくなった――結局顔すら見られなかった女の子に、彼は心の中で
精一杯の謝罪をするのだった。
- 72 :
-
「ああ、もう……! んじゃいたい……!」
悲しげな嗚咽を漏らしながら、鞄を抱えて走る、中学生の女の子。
ゆさゆさと、スカートの下の重そうなおしりを揺らしている。
その純真無垢な心のように真っ白だった彼女の下着は今、大量の、彼女自身の汚物を抱えてずっしりと
下に垂れ下がっていた。
彼女は近くに公衆トイレが無いか、それともトイレのあるコンビには無いか……必に探し回っているのだった。
夏服の制服姿の、小柄な女の子。
風間薫――十四歳。
中学二年生。
肩よりも少し長い、軽くウェーブのかかったふわふわの髪がかわいらしい。
だが、第二次性長期を向かえて少しずつ大人らしくなってきた彼女の顔は今、大粒の涙に濡れていた。
セミの音の染み入る、初夏の風に載って髪とスカートが揺れる。
夏服の、淡いブルーの制服に身を包む姿は可憐な一輪の花のようだが、今はさながらラフレシアのごとく、
その周囲に異臭を放っていた。
人の忌み嫌う、汚物の……大便の強烈な刺激臭である。
たった今の、彼女の路上脱糞の残ったものが、異様な匂いを周囲に漂わせながら、柔らかなそのおしりを
茶色く汚していた。
「またトイレ間に合わなかった……ホントにどうなってるの、私の体……」
走りつかれてゆっくりと歩きながら、彼女はおなかを触った。
まだ目的地についていない、マラソンで言うなら往路の途中だというのに……。
きょろきょろと、通行人の往来を気にしながら彼女は見知らぬ町をさまようのだった。
(とにかく早く、トイレ見つけて入らなきゃ……!)
汚物を抱え込んだまま、彼女は静かな裏通りを選んで道を進む。
こんな状態で、人通りの多い大きな道などは歩けない。
しかし一応、持ってきた地図には従っているので、目的地の学校には近づいているはずである。
その途中のどこかでこの下着と大便を処分して、鞄に用意してある新しい下着に着替えたかった。
……7月の、よく晴れたある土曜日。
この日薫は、家から二駅離れた、別の中学の学区内にいた。
部活動での用事で一人、夏休みの合同練習の打合わせのために、近隣の学校へ行く予定だった。
顧問の先生とは現地で合流することになっている。
だが、朝から電車に乗り、駅を降りてからは徒歩でその学校に向かう、その道程で……彼女は立ち寄る先々で、
トラブルを引き起こしていた。
- 73 :
-
「ホントに、今日は絶対おかしい……。今までも酷かったけど……今までは一回うんち出したら、しばらくは
落ち着いてくれてたのに。今日は……ホントに変だ、絶対」
涙は夏の熱気で、とりあえず乾いていた。
肩を落としながらも、道々、彼女はトイレを探す。
今日は朝から……いや、寝ている最中から調子がおかしかった。
いっそ部の会合を休めば良かったのだろうが、完全に後の祭りだ。
今日、いまの脱糞で通算五回目。
そしてうんちで汚してダメにしたショーツも、同じく五枚目なのである。
まだ一日は始まったばかりだというのにだ。
(なんか、お母さん大して驚いてなかったけど……もう諦めてる? それとも幼稚園の子供扱いされてるのかな、私……。
でも、あれからまた三枚もダメにしたって聞いたら、なんて言うんだろう……)
むにゅ、ぐちゅ……にちゃっ……
歩くたびに下着の裏に抱え込んだ荷物が動いて、スカートの奥から小さな音が聞こえてくる。
自分は今、うんちを下着に包んで穿いたまま、外の道を歩いている……。
べたべたと、汚物がおしりと女の子の大切な部分にまとわりつくその感触が、耐えがたく気持ちが悪い。
(ああもう、早くこれ捨てたい……! せめて夜だったらまだ良かったのに……)
きゅっと品の良い形のおしりを包んでいた、純白だったはずのショーツの生地は、見る影も無いほどに、
漏らした大量の便でもこもこに膨らんでいた。
水気を含んだ大便から染み出してきた茶色で、その白もじわじわと侵食され始めている。
部活や塾の帰り、同じように便意をこらえられずに、道端の側溝や草むらにぶちまけた事は多々あるが……
誰が見ているかもしれない昼間の公道では、立ち止まってその辺に便を捨てる事も出来ない。
地元でない、違う学校の校区だから知り合いに遭遇する可能性が低いのだけが救いだった。
それでも時々通行人とすれ違うたび、遠くからも響く自転車の音が耳に入って来る度に、心拍数が跳ね上がる。
体にまとわり付く、スカートの下に隠したこの大便の匂いを嗅ぎ付けられたらと思うと、本当に気が気ではない。
特に、少人数で意味も無くその辺をうろうろしている小学生男子の集団が怖すぎる。
(見つかったら回り囲まれて、スカートめくられちゃうかも……。それにもう替えの下着、残り一枚しかないよ。
これも汚しちゃったら、その後どうしよう……)
地の利の無い、初めての街でよかったのか悪かったのか。
不安と、あまりの恥ずかしさと情けなさに、また涙が出そうになった。
- 74 :
-
――今日の一回目は、朝起きたとき。
匂いで目が覚めた。
生まれて初めて、寝ながらうんちをしてしまった。
目が覚めたらまるでクモの着ぐるみでも被ってるみたいに、おしりだけがもっこりと……。
お気に入りのぱんつとパジャマにさようなら。
……うんちの水分が少なくて、パジャマからははみでてなくて、ベッドだけは助かってよかった。
二回目。予定外の、朝風呂上りの朝ごはんのあと。
いつもの朝の定期便が、よりによって制服に着替えてる最中に。
我慢して着替え終わって一階に降りたら、お父さんがトイレに入ってた。
どうしようと思ったその瞬間に、酷い音がして、下着がまた台無しになった。
前の反省でバケツ持ってたから廊下は汚さないで済んだけど……もう下着脱ぐこともできなくて、
ショーツ履いたままスカートだけまくってバケツの上にまたがって……。
恥ずかしくて、声を堪えるのが大変で、泣きたくなった。
お父さんにだけは知られたくなかったから、出したバケツはそのまま一旦部屋に持って上がった。
匂いがこもって、もうしばらく部屋に友達呼べない。
……三回目。駅のトイレ。
家から歩いてる途中でもう急降下。
やっと改札超えて、女子トイレの扉を押した瞬間、アウト。
もう当り前みたいに下着からうんちが溢れだして、個室に入るまでに床にべたべた落としてしまった。
変な歩き方で個室に入って、和式便器で残りを絞り出した。
万が一と思って鞄に入れておいた替えの下着、一枚目を使った。
切符の自動販売機、なんで今日に限ってあんなに並んでるの?
カード使って入って行った人が羨ましかった。
駅の掃除の人……何て思っただろう。
- 75 :
-
……四回目。今度は降りた駅で。
電車で揺られている最中に、またおなかがゴロゴロ鳴りだした。
たった二駅だから、もう電車のトイレにも行ってられない。
ドアの一番近くに立って、おしりの穴決壊しそうなのを我慢して、我慢して、我慢して……冷や汗が止まらなかった。
絶対、トイレ行きたいの我慢してるって、周りの人にバレただろうなぁ。
しかも階段を必に耐えて入った駅のトイレは、最悪。洋式便器しか空いてなかった。
ほんの数秒、個室に入るの躊躇して、アウト。
せっかく頑張ったのに……頭の中が少し白くなった。
しかも下着を軽く洗って汚物入れに捨てたあと、いくらなんでももう大丈夫だろうと思って残りを全力できばったら、
やっぱり止まらなくて山になって……流せなくなっちゃった。
心の中で駅の人にごめんなさい二回目。
替えの下着の二枚目をはいて、すぐに逃げた。
そして五回目……。ついに、人前で漏らしてしまった。
それも男の人の見てる前で。
何も受け止めるものが無い、道路の上で。
もう半分やけになって、そのままアスファルトの上に出るだけ全部うんち出して、何考えずに走った。
見てた人、追いかけて来なくてよかった……。
でもあのうんちは一体、誰が片付けるんだろう。
本当に、んじゃいたいくらい恥ずかしい……。
「ホントにもう……なんなのよこれ……。ひょっとして誰かからワープさせて来てない? ねぇ、私のおなか」
思い返すと本当に恥ずかしくて情けなくて、ため息しか出てこなかった。
白い布と柔らかい肌に挟まれて便がシェイクされ、ぐちゃぐちゃに汚れたおしりの状態も本当に
気持ち悪くてしょうがない。
とにかく、今日のうんちの出かたは異常すぎる。
13歳になった頃からこの奇妙な体質が現れて、色々苦労を重ねてきたのだが、今日の脱糞はその中でも
ぶっちぎりに最低だ。
中学校のトイレで山盛りにして詰まらせて、女子の間で密かな騒ぎになった時よりもっと最低だ。
ひたすら酷いとしか言いようが無い。
あまりの酷さに頭にきて、彼女はおもむろに、制服のシャツの上から自分のおなかをぎゅっとつねった。
もちろん痛い。
そしてつねった後で、これのせいでまた雪崩が誘発されないかと悔いるのだった。
- 76 :
-
「あああ……。もう、なんで私だけ…………あ。あった、コンビニ」
小さな裏通りに、駐車場を持つコンビニをようやく発見。
抱え込んだ荷物を落とさないよう、彼女は慎重に立ち止まる。
……客が多い。
できれば公園か何かのトイレが良かったが、しかしもうそんなことは気にしていられない。
地元でないこの街で、多分二度とは来ないのだし。
ここに決めた。
(落ち着いて、堂々としてれば大丈夫。普通にしてれば匂いも気づかれない……)
自分に言い聞かせ、ドキドキと高鳴る小さな胸を押さえて。
一定の歩幅で足を動かし続けたおかげでモノの位置が安定したのか、もう普通に歩いても便のカスは
ショーツの隙間から落ちてこないようだ。
さっきまでの変な歩き方を止め、カバンをきちっと肩に掛けて、まっすぐ背筋を伸ばす。
それでも湧き上がる、下着から汚物が落ちるかもという不安を押しし、彼女はそのコンビニの自動ドアの前に――
「ん、ふ… あふっ…… は、くしゅっ!」
ぶぴっ…… ぼぼぶりゅっ! ぶりゅりゅりゅりゅっ! ……べちゃっ。
「ひっ!? あ、ああああ……!」
……一気に血の気が引いた。
自動ドアが開いた瞬間。
中からのクーラーの冷気でついくしゃみをしてしまい、その反動でまた脱糞してしまったのだ。
ほとんど何の前触れも無く。
そして積載量の限界までうんこを溜めこんでいた下着は、当然また許容限度を超えて、肛門から出てきた分だけ
外に便を吐き出していく……。
「え!? お客さん!?」
真っ青な顔で、彼女はその場から、また一目散に逃げるしかなかった。
大きな音が響いて、カウンターの店員にも、近くにいた客にも気付かれた。
見られた。
真正面からまともに、自分の顔も、うんちも!
「ああ、もう……イヤぁ……! いい加減にしてよっ!!」
後ろから店員の声が聞こえ、恐怖におびえながら彼女は走る。
出入り口のマットの上に、ぽつんと……自分の排便した名残を残したまま。
駐車場の客も、騒ぎに何人かがこちらを見ている。
更に増えた荷物の重みで下着がどんどんずり落ちそうになるのを、スカートの上から手で押さえて、また彼女は
どこへともなく駆けて行く。
風で若干冷たくなった大便の上に、また産みたての熱い軟便を積み増して、一段と重くなったおしりをゆっさゆっさと……。
その後結局、使えるトイレは見つからず。
目的地の学校まで、彼女は泣きながらその荷物を捨てずに持ち運ぶことになってしまうのだった。
- 77 :
-
そして初めて訪れるその学校でもやはり我慢できずに、粗相を……いや、地元と別のテリトリーだからこそだろうか。
部活の打合せを何度も中座しながら、開き直って旅の恥は掻き捨てとばかりに洋便器を三つほど潰し、帰り道の途中では
借りた工事現場の仮設トイレを溢れさせた。
帰りの駅では、係員が苦労して掃除したであろうあの洋式の個室をまた詰まらせ、電車の中では、もう乗っている間
常にトイレの中で和便器にまたがって待機。
そして、くたくたになってやっと家に戻ったら、気が抜けた瞬間に玄関先でまた大脱糞してしまい――
夜、シャワーを浴びている最中にも、バスルームの床に液便をぶちまけて。
それで、ようやく、この日のうんこの雪崩は打ち止めとなった。
「ああああ…… ね、寝るのが怖い……!」
……深夜、電気を消した、自分の部屋。
虫の鳴く蒸し暑い夏の夜に、ぞっとするような冷や汗をかきながら、彼女は新しいパジャマで
ベッドに横たわって天井のオレンジ灯を見つめていた。
本日の累計排便回数……実に16回。
故障させたトイレ、6箇所。(1箇所重複)
以上の内、最初から便器にまたがって排便出来たのはわずかに5回だけ。
そして、途中でお小遣いを切って買った分も含み、間に合わずに大量脱糞でベトベトに汚してしまった下着の数は
なんと10枚にもなる。
ノーパンで、そのまま床や地面に直接ぶちまけるよりは、まだいくらかマシだったのだろうが……。
もう、今日一日で一体何キロ、いや何リットルのうんちを排泄したのか、考えるだけで頭が痛い。
「おしりも、これ以上うんちでこすられたら、変になっちゃうよ……」
寝返りを一回、横たわったベッドの上でパジャマの上からおしりをさする。
軽くなった懐も痛いが、新品のショーツの奥で、赤くなった彼女の肛門は悲鳴を上げていた。
出しても出しても一向に減らない、細くならない、まるで土石流のような大便の奔流。
その熱い刺激を、たった数センチの大きさの穴で延々受け流し続けたのだ。
深夜を迎えてやっとおなかは落ち着いてくれたようだが、肛門の違和感は消えてくれなかった。
明日は日曜なので、ずっと家に居られる。
だが寝ている間は、あさってからの学校は、おしりの穴がどうにかなってしまわないか、考えれば考えるほど
怖くて仕方が無かった。
……だが、心も体もやはり疲れには勝てない。
深夜零時を越えるころ、静かに、ようやく心安らかに、彼女は寝息を立て始める。
こうして、2007年7月7日。
彼女の最悪の災難の――10年に一度の大フィーバーの日は、ようやく幕を閉じたのだった。
- 78 :
-
以上です。
まだ髪が伸び切ってない、中学生のちっちゃい薫ちゃんでした。
次のフィーバーまであと5年。
薫ちゃん24歳ですねその頃。
院生か、結婚して専業主婦ならともかく、就職してたらえらいことになりますな。
今回流石にそこまでの時間はなかったので、路上脱糞以外はダイジェストでお送りしました。
しかし実はこのとき薫ちゃんが行った中学校に、ちょうど学校見学で小学六年生のいつきが訪れていていまして。
普通にトイレを借りたら、隣の個室で延々と続く排泄音と悩ましげに漏れる喘ぎ声で(薫は隣に人が居ると気づいてない)
ついついおしりとアソコを弄ってしまい、あっち側の快楽に目覚めてしまったという話を書こうとして、
何故かどうしても上手く書けずにお蔵入りになったのが確か2年くらい前ですね。
いつの間にかこの話も長く続けてたんですね。
- 79 :
- >>78
素晴らしいです。ありがとうございます。
実は、以前イラストで拝見した薫ちゃんの姿がガチに私の好みだったので、
薫ちゃんのおもらしをどうしても見てみたかったのです。
私のわがままを聞いてくださり、本当にありがとうございました。
- 80 :
- これが本当のゴールドラッシュか
- 81 :
- Hさんの創作速度と熱意、クオリティには頭が下がります・・・
案の中にあった、常に物凄い便秘に苦しみ続ける少女ってちょっとみてみたいですね
- 82 :
- まさに“ヒュージな作者”ですな
- 83 :
- みなさま、読んで下さって感謝です。
>>79
ストレートな話を書いたのは久しぶりでした。
イラストは……早乙女先生に感謝ですね。あれがなかったら最初の話も無かったですし。
>>便秘に苦しみ続ける少女
考えてたのは、うんこが出ない苦しみに悶えると言うより、たまに出てくる便の硬さと大きさに、毎回出産レベルの苦闘を演じる話でした。
スラヴな17歳の女の子、同じく大量排便の因子を持つ娘です。
で、ロシア的倒置法をネタに話を考えてまして。
少女がひねり出すうんこの太さは、彼女の肛門の最大直径で決まる。
ソビエトロシアではうんこの太さが、少女の肛門の最大直径を決定する。
今回はちょっと120mm戦車砲弾のようなうんこで、おしりの穴の限界を突破させてみようと。
なんですけど、書いてる内にロシア少女にする意味を見失って止まってしまいました。
どうでもいいですけどロシア連邦の教育制度ってやたらと分かりにくいですねー。
投下ペースについては、これからしばらくは何も出来ないと思いますが、何か思いついたら園芸店の合間に書くかもしれません。
ではまた。
- 84 :
- 凄く期待してる
投下を心待ちにしてますね
- 85 :
- それにしても、ここは荒れないねえ
- 86 :
- >>85
いい作者といい読者がいるから?
何にせよありがたいことです。
- 87 :
- >>85
スカトロという特殊な性癖を扱う以上自ずと住民が固定化されるわけだけども
その住人たちが皆誠実だからここの秩序は保たれているんだろうな
改めて皆に感謝
- 88 :
- うん。感謝だね。
けど平和なのは良いとして、「みんな」って言うほど今住人いるんだろうか。
単純に人が少な過ぎて、荒れようがないだけだったりして…
お気に入りの作者さんが投下するまで、他は息を潜めてるんだと思いたい
あと、じょしらくのマリーさんが下剤入りの饅頭食って高座で脱糞するSSがひとつ怖い
- 89 :
- 新参者だがここに居るぞー!!
スカトロジャンルでも、特にニッチな食糞メインなので、叩かれないだけで嬉しいと言いますか……
趣向が違っても否定し合わない雰囲気はとっても素敵だと思うのです
適度にマターリ投下していきたいです
- 90 :
- スレチかもしれんが、まら文太さんの雑記は何の前触れもなく消えたのか?
一時期よく活用させてもらってたんだが・・・
- 91 :
- 何もなかった
- 92 :
- そういえば荒れたとこ見たことないし
今更ながらスゴいいい板なんだな
- 93 :
- 過去スレではいざこざがあった時もあったけどな
- 94 :
-
園芸店の次の投下は一年後だと言ったな。
あれは嘘だ。
書ける時に書こうと思ってぱぱっと仕上げました。
忙しかったり急に暇になったり、最近仕事の落ち着きがないです。
やっぱり、やろうとしていることを全部書いて投下すると長すぎるので、次の区切りもこの前の工場編と同じく
ネタを小分けにしながらちょっとずつ話を進めていくことにしました。
委員長と同じで、走れば走るほどゴールが遠ざかってますね。
なんか毎回同じこと言ってる気がしますが……。
- 95 :
-
注文の多い園芸店 6
秋の深まる、十一月。
ある祝日の午前の、肥料工場である。
高くそびえる真っ白な外壁を、雲間から顔を出したまぶしい朝の光が照らす。
風になびく草木以外には、動くものの何もない。
田園風景の冷たい空気が、工場の敷地の辺り一帯を厳かに包み込んでいた。
だがそんな、のどかな空気の中。
工場の事務所では、営業兼スカウト兼マネージャーの浅見志郎が、一人の女性に突っかかられていたのだった。
「しろ〜、ちょっと聞いてよ。昨日旦那に“今日から私二十六歳ね”って言ったらさぁ、無言で新聞紙ではたかれてさ〜。
ひどいと思わない?」
「……酷いとか言う以前に、意味が分からん。今日から二十六とか何だその寝言」
おはようございますも、何も無し。
開口一番、彼女――入江直子(自称二十六歳)は、酒臭い息で、先に出勤していた同僚、浅見に酷く個人的なグチを
ぶちまけるのだった。
長袖の作業着に、金に染めた長い髪がよく目立つ、男勝りな印象の女性である。
この肥料工場で、裏部門の製造責任者を任されている社員だが、今はその“プロの職人の顔”は微塵も見られない。
「えー? だって、ゆいちゃんのお墨付きだよ? 二十六歳に見えるって言ってくれたんだもんこの前の時」
「お世辞を本気にするなよ。……と言うか、そう言ってくれた相手にあんなことするのかお前は」
「ああ。だから、あれはお礼だって。いくらかわいくても、処女こじらせるといいこと無いんだよ?
まだほとんど触ったこと無いとか、あれはちょっとね。えっちなことなんか全然分かりません! とか、
女の子でマジの純真無垢が許されるのは、例外規定を適用してもギリで中学生までよ」
「だからって、ものには順序ってのがあるだろう……。せっかく色々苦労して、きれいなままでこの仕事
慣れてきてくれたんだぞ。台無しになったらどうしてくれる」
「いや〜、確かに。今時あんなキレイな心を持った子、よく見つけてきたって感心してるのよ私も。でも……アンタも
そんなこと言って、あれでしょ? そのうち完全に自分に懐いたとこで頂いちゃおうとか思ってるんでしょ? でしょ?
じゃなかったらあそこまで肩入れしないよね普通。他にもいっぱい女の子いるのに。 ねぇ?」
「……ああもう、酒臭い息で絡んでくるなよ気持ち悪いな……。お前と話してると頭痛くなってくる。打ち合わせあるし、
俺はもう行くからな!」
相手をするのが面倒くさいとでも言いたげに、会話を切り上げる。
そして浅見はスーツのネクタイを直すと、そのままカバンを手に事務所から出て行ってしまった。
- 96 :
-
(はぁ……。男のくせに、何考えてるんだか分かんないヤツだねぇ。ゆいちゃんも可哀相に)
あとには入江だけが残される。
まだ他に誰も出てきていない風景な事務所の中、彼女はぽりぽりと頭を掻いた。
長い金髪は、始業前の今はストレートに下してある。
丸い眼鏡の奥、彼女は呆れたような目を、浅見が出て行った扉に向けるのだった。
ちなみに、今日は祝日なので、営業関係以外は一部のセクション責任者しか出勤する予定にはなっていない。
裏の肥料の製造も、今は工程的に、一日に数回機械を動かすだけの状態だ。
正直言って、彼女はヒマだった。
「……お?」
と、スポーツ新聞を読もうとしていた入江はふいに頭を上げた。
静かだった事務所の空間に、突然FFの戦闘テーマが流れる。
そっちに目をむけると、散らかった事務机の上にぽつんと、きれいなブルーの携帯が置かれていた。
浅見の、仕事用の携帯だ。
(あーあ。抜けてるなぁ、しろー。しょうがないやつ)
小馬鹿にするような笑みを一回。
ヒマつぶしも兼ねて、彼女は着信を受けて発光する携帯に手を伸ばした。
「はーい。浅見志郎の代理、入江と申します」
「あれ、入江さんですか? 浅見さんは?」
「……え? ゆいちゃん!?」
電話を取って、良かったのか悪かったのか。
出たその相手は、ついこの間工場見学に来た……そして正にたった今、浅見と話をしていた件の少女。
新星にして一番人気の提供者“寺川ゆい”だった。
「あー、うん。ちょっとね、浅見は今いなくて、携帯忘れてどっか行っちゃったんだよね……ごめんねぇ。で、何の用だった?
その内こっち……事務所に帰ってくるだろうし、伝えてあげるから」
近くにあったイスを引き寄せて腰掛け、入江は降って湧いた、意外な相手とのおしゃべりを楽しむ。
今は誰も居ないし、向こうに時間があるならなるべく引き伸ばそうと彼女は思った。
だが、電話口の向こう側では何やら、もごもごと……言おうか言うまいか、何かを迷っているような息遣いが聞こえてきていた。
「……あれ、どうしたの? 私じゃマズイ話?」
「ああ、いえ……入江さんでも、いいです。ちょっと教えて下さい」
「ん、仕事のこと?」
「そうなるんでしょうね……。 あの、えと……お漏らししちゃった時って、どうすればいいんでしょう」
「……は?」
微妙に震える、恥ずかしさを押ししたような……それでいて真剣な声だった。
まるで幼稚園の子供のような質問に、入江はしばし言葉を失った。
- 97 :
-
「うーん……。やっぱり難しいよ、これ……」
――同日、午前。
浅見と入江が事務所に出勤するよりも、もっと早い時間である。
小学校からずっと使っている自分の勉強机に向かいつつ、彼女――堀江美緒はぽつりとつぶやいた。
十六歳の女子高生、学校では陸上部に所属している。
ショートの黒髪と、夏の間にこんがり焼けた小麦色の肌がまぶしい、小柄なスポーツ少女である。
きっちり片付けられた自室の中、ゆっくりと登っていく太陽の光がレースのカーテン越しに彼女を優しく包む。
大きな記録会がつい先日終わり、祝日の今日は午後からしか陸上部の練習はない。
用事を片付けるなら今のうちということで、彼女は朝ごはんを食べた後、こうして机に向かっていた。
だがその作業は、彼女の必の努力にも関わらず、さっぱり捗っていないのだった。
「あ、そうだった……宿題もまだ残ってたんだっけ……忘れてた」
言って、さっき淹れてきた温かいココアを一口飲む。
今朝は窓を閉め切っても、日陰だと少々肌寒い。
昼はいいが、もうそろそろ朝と夜は何か暖房器具が欲しい季節になってきた。
ペンを置いて、彼女は深く息を付く。
よく考えたら今片付けようとしているもの以外にも、ため息の種が残っていたと彼女は思い出した。
机の横、フックに引っ掛けた学校指定の鞄の中。
明日提出の宿題のプリントが、半分以上手付かずで放置されている。
(あ〜……。こっちもだけど、それより、これ。こっちを早く処分しなきゃいけないし……)
ジレンマに、彼女は頭を抱える。
イスの背もたれを使って身体を反らし、美緒は大きく伸びをした。
- 98 :
-
――彼女が今必で何とかしようとしている作業。
それは勉強のことなどではなかった。
一体何かというと、この前加工工場に行ったときに入江から渡された、お客様カードである。
“寺川ゆい”の名前でやっている、例の特殊なアルバイトの一環として事務所から頼まれた仕事だ。
あのメッセージを何とかして自力で書こうと、彼女は頭を悩ませていたのだった。
(もう、浅見さんに相談しようかなぁ……これ。でもなんとかするって言っちゃったしなぁ……)
更にもう一つのジレンマを抱え、美緒はジト目でカードの束を見つめる。
そしておもむろに、机の中段の引き出しをゆっくりと開けた。
カムフラージュのプリント類をめくると現れる、異様な存在感を放つ紙の束。
入江にカードと一緒に手渡された、あの回答例である。
(男の人がHな本とか隠すときの気持ち、分かっちゃったよ……)
苦虫を噛みつぶしたような顔をして、美緒は机の上に腕を組んで、顔を乗っけた。
目の前には、ばらばらと何枚も散らばった、名刺大の白紙のカード。
ちゃんと書くと言ってしまった手前、自力でなんとかしたかったが、今のところ完成しているのは三十枚中たった一枚。
時間が掛かりすぎている。
このままだと延々どこまでも、このことで足を引っ張られそうだった。
ちなみに、やっと完成したその一枚には何が書いてあるかと言うと、こんな感じである。
“頑張っていっぱい出しました。私の初めて、もらって下さい。”
……最初の一瓶という意味で。
これでも頑張った。
「ホントに、これお母さんとかお父さんとか、友達とかに見られたらどうなるんだろ……?」
たったこれだけだが、読み返すと頭の変な部分が痛い。
ついでに言うと前半はまるっきり、入江のアドバイスそのまんまである。
結局、例文に載っていたような直接的な単語は、まだ残っていた道徳心が最後まで抵抗して書くのを拒絶してしまった。
回答例にある“上級編”みたいな文章を書いたら、頭のヒューズが切れてしまうかもしれない。
「でもテキトーに書いたらきっと、買ったお客さんもがっかりしちゃうだろうし……困ったなぁ」
やはりもうここは、完全に別人の“寺川ゆい”が書いているのだと自分に言い聞かせるしかないのだろうか?
例文丸写し、それでもダメなら一言“お買い上げありがとうございます”でも良いとのことだが、それはそれで何か気分が悪い。
そしてこれを完成させないと、あの回答例も処分できない。
これもまた別のジレンマだった。
- 99 :
-
箇条書きで、誰が考えたのか知らないが、お客へのメッセージの例文がずらっと並んでいるあのプリント……。
万が一他人に見つけられたときのために、文章中に頻出する「うんこ」とか「ケツ穴」とか「脱糞」といった直接的な名詞・動詞は
全てマジックで黒塗りしてある。
仕事のためとは言え……正直言って、読むだけで軽く頭痛がしてくる代物だ。
早く完成させて、カードを向こうに送って、捨ててしまいたかった。
「あー、もう! 休憩!」
ぶんぶんと頭を振ってイスから立ち上がると、ばたっと彼女はベッドに倒れこんだ。
学校の宿題の方は最悪、陸上部やクラスの友達に頼ることも出来るし、別に一回出せなかったからと言って
どうにかなるようなものではない。
対して例のカードは手元に置いておくだけで、あらゆる意味において危険である。
やはり宿題が後回しだ。
とりあえずこれで、背負っていた荷物が一つ減る。
だが、ベッドに横たわって身体の力を抜くと……今度は別のストレスが、身体のある部分に注意を向けるのを
どうしても感じてしまうのだった。
(……だめだ。やっぱり、ラクにしててもなんかモヤモヤする)
軽く唇を噛んで、美緒はベッドに顔を押し付ける。
モヤモヤと言うか、ムズムズというか……。
あの日、入江にいじくられた時以来、ずっと頭のどこかに変なものが残ったままだ。
いや、浅見に「触るな」と釘を刺されたから、余計に意識してしまうようになったのかもしれない。
とにかく、一言で表現すると――
(いじりたい……)
悩ましげなため息と一緒に、大きな枕をぎゅっと抱きしめた。
何処を、とは言うまでも無い。
彼女にとって、生まれて初めての感情だった。
中学時代の……いつくらいだっただろうか。
生理が始まった頃になんとなく興味を持ったのと、友達が持ってた漫画を見て、時々いじってみたりしたこともあるのだが……
正直言って、本で言っているような、大して気持ちいいことはなかった。
以来、トイレや生理のときに、ついででなんとなく触ってみたりすることはあっても、本格的な自慰行為はしたことがない。
性知識に乏しいが故、「あんまり正しくないやりかた」でしていたせいでもあるのだが、そんなことより学校の勉強と陸上部の
活動で毎日ヘトヘトに疲れる生活で、そっちのことには興味が向かなかったのも大きい。
しかしこの間の“工場見学”で、入江の――元プロの指遣いの洗礼を受けてしまい、入ってはいけないスイッチが入ってしまったのだった。
むしろ十六歳の女子高生、どちらにせよそのうち自然に入る時期だったのかもしれないが。
今彼女がその欲求を抑え付けているのは、ひとえに浅見との約束があったからであり、そしてそれを支える、プロ根性のような
意識の高さのおかげであった。
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