2013年10エロパロ195: 【003】サイボーグ009総合【ヒルダ】 (358) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【003】サイボーグ009総合【ヒルダ】


1 :2012/12/01 〜 最終レス :2013/10/05
石(ノ)森章太郎原作『サイボーグ009』総合萌えスレです
原作、旧ゼロ、新ゼロ、超銀、平ゼロ、REの全てについて萌え語りましょう
前身スレ
【少女から】RE:サイボーグ003【大人へ】
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1353076417/

2 :
スレ立て乙です。総合スレだからテンプレどうしたらいいんでしょうね。
取り敢えずスレ立て記念に、ハインリヒの短い即興ですが投下
なんで短いのかというと、彼女のネーミングが思いつかなかったからで……
明日はフランソワーズ危機一髪でも書きますかね
----------------------------------------------
 アルベルト・ハインリヒは女運の悪い男だ。
 これは本人の長年の人生経験によるもので、確固とした事実として心に刻み込まれている。
 冷徹な合理主義者を気取る割に、実は(周囲には普通にもろバレな)情に厚いお人好しな性格
なのと、相が浮かんでる女性に集中的に好かれる難儀な運勢の持ち主であるのが、本人の女
難の相を決定的なものとしていた。
 009=ジョーには『お祓いに行ったら?』と真顔で言われ、思わず蜂の巣にしかけた事もあるが、
背後のフランソワーズの気が怖くてやめた。
 その後、立ち去るまでの間、いちゃいちゃする姿を見せられ、余計に憂鬱な気分にさせられた。
 つくづく、俺は女運が悪い。
 恋愛関係になる女も、周囲にいる女も、ろくな目に合わせてくれない。
 ハインリヒは女には関わらない方がいいと、強く心に誓ったものだ。

 しかし、そんな風に思っても、向こうがそれに合わせてくれないのが世の中の真理である。
 帰国してトラック運転手のバイトに戻ったハインリヒは、神の不条理性を思い知らされる羽目になった。

 さて、俺は一体、どんな悪事を働いたんだろう?
 ハインリヒは内心で首をひねってみるが、心当たりが多すぎて分からない。
 やはりジョーの奴が言うとおり、お祓いにでも行った方が良かったか。
 でも俺、出身地的に殆ど無宗教だしなあ……
 頭の中であれこれ悩みながら、今日は何でこんなことになったのか思い出してみる。

 たまのオフの日に外出してみたら、雨に見舞われた。
 行きつけの店が全て休みで、空きっ腹にも勝てず、寄りにもよってマクドナルドで飯を食う羽目になった。
 暇つぶしと雨よけのために入った映画が、よりにもよって○○○○○(見てつまんなかった映画の好きなタイトル
入れましょう)だった。

 今日の俺はどんな厄日なんだ。
 どんな無神論者でも愚痴りたくなるほどの不幸の連発の末、もうこうなったら適当な飲み屋で呑んだくれようと、
路地裏に入ったら、今日の極めつけが待っていた。


 女の悲鳴である。

 おいおい、勘弁してくれよ。
 古ビルの間を落ちる雨に顔を濡らしながら、ハインリヒは天を仰いだ。

3 :
 不幸な事に、彼の眼球内部のカメラは非常に高性能だった。
 何せ、フランソワーズを守るために、ついでに仲間や一般市民を守るため常に先頭で体を張るため、ターミネーター
より身体が壊れるジョーよりも彼の方に予算がかかっているぐらいである。
 日進月歩する火器類、索敵・管制システム、相手の火器に対する装甲の更新だけでも、一財産だ。
 さらに、人型に火器を仕込んで、人体機能と兵器運用を両立させる複雑な機構は整備性の悪さを伴い、頻繁なメンテ
ナンスを必要とする上に、修理の手間暇もかかる。
 作戦の無い間でも機能アップデートや定期的な整備にかかる費用は桁違いで、最終型試作品で身体が高度にユニット
化されて整備性が良いジョーより、ハインリヒは実はサイボーグ戦士の中でも1,2を争う金食い虫だった。
 ギルモア博士の特許収入だけでなく、ジョーとジェットがレースで莫大な金を稼いで予算を確保してくれなければ、すぐに
時代遅れになりかねないぐらい、金がかかるのである。
 ぶっ壊れても修理費用を自分持ちで賄っているジョーやジェットと違って意外と肩身が狭いのだ。
 そんな金のかかった眼球のカメラは要求された高性能を発揮し、街灯がぶっ壊れた薄闇の中でも、はっきりと視界を確保
してくれる。
 ふざけやがって。
 ハインリヒは心の中で毒づきながら、奥歯を噛んだ。
 20メートルほど先、大柄で革ジャン着込んだ典型的な馬鹿どもの間で、白い手足が暴れているのが見える。
 どこからか路地裏に引きずり込まれたらしい。
 そうでなければ、こんな治安の良くない場所に来る訳もないだろう。
 ついでに、女性を襲っているバカどもがハインリヒの心の逆鱗を刺激しまくっていた。
 スキンヘッドに、ハーケンクロイツの刺青。
 いわゆるネオナチか、もしくはそれにカブれた若者たちらしかった。
 女性を襲っている。
 ナチス関係。
 アルベルト・ハインリヒにとって、それはこの世で最も忌避……憎悪する類のものだ。
 ただでさえ憂鬱な気分の彼にこれは、理性を飛ばすに十分な役割を持っていた。
 ネオナチの連中はこの瞬間、自分の刑執行書にサインをしてしまったのである。
 なるほど、確かに今日は厄日だ。
 じゃあ、厄祓いといきますか。
 酷薄な笑みを薄く口元に浮かべ、ハインリヒは周辺に通報しそうな人間がいないのを確認すると、足早に男達に
近づいていく。
 手足の抵抗はまだ続いているから、十分に間に合うだろう。
 足早に近づきながら、ハインリヒの思考は全て戦闘に特化したものへと変わっていく。
 普段はシニカルな言動ながら温厚そのものな男が、そのスペック通りの冷徹な戦闘マシンへと変貌を遂げる。

 アルベルト・ハインリヒが女難の相の持ち主なのか、単に自分からトラブルに首を突っ込む人間なのかは、本人にも周囲にも分か
らない。
 が、一つだけわかっている事がある。
 ある街のネオナチ集団が一夜にして壊滅する惨劇が起きた原因は、アルベルト・ハインリヒの前で女を襲うという愚行が、全ての
引き金という事だった。
----------------------------------------------
短いですが明日も仕事なんで、ここまで
ハインリヒの彼女は、名前何がいいかなー

4 :
あ、タイトルの部分間違えたorz
スレ立て記念02です……
のっけから間違えまくりで皆様、ホント申し訳ありません。

5 :
>>2-3
乙です
勝手言って申し訳ない
これで既成事実ができたので、安心して過去ログ貼っとくw
前身スレの過去ログ
003たん(;´Д`)ハァハァ…
http://mimizun.com/log/2ch/anime/1004266396/
003たん(;´Д`)ハァハァ… vol.2
http://mimizun.com/log/2ch/anime/1010607844/
003たん(;´Д`)ハァハァ… vol.3
http://mimizun.com/log/2ch/anime/1022923679/
003たん(;´Д`)ハァハァ… vol.4
http://mimizun.com/log/2ch/anime/1035008626/
003たん(;´Д`)ハァハァ… vol.5
http://mimizun.com/log/2ch/anichara2/1050442675/
サイボーグ003をレイープしたい
http://mimizun.com/log/2ch/eroparo/1015916185/
サイボーグ003をレイープしたいvol.2
http://mimizun.com/log/2ch/eroparo/1040727233/
サイボーグ003をレイープしたいvol.3
http://mimizun.com/log/2ch/eroparo/1067508260/
サイボーグ003をレイープしたいvol.3.1
http://mimizun.com/log/2ch/eroparo/1067892218/

6 :
pinkはDAT落ちしたあと読めるとこが少なそうなんで前スレも貼っとく
http://mimizun.com/log/2ch/eroparo/1353076417/
言い出しっぺさんが気付いてくれたら、削除依頼しますかね
ドイツ女性の名前・・・ググるといろいろ出てくるけど難しいな
フランツィスカとか無理やり絡めてみたりw

7 :
まて、ドイツにいるのがドイツ人だけとは限らない
観光客、移民、ハーフ、クォーター、ドイツ系〇〇人
さぁ好きな娘を選びたまえ!

8 :
>>7
迷いますw でも何となく眼鏡してそうなイメージあるんですよねえ。
黒髪でメガネの知的っぽい感じの女性かなあ、ハインリヒの彼女って
後、ハインリヒは上のSSでも書いたけど、サイボーグとしてコスパはすげえ悪い気がするw
弾代とメンテ代、装備更新で幾ら飛ぶんだろう……

9 :
映画では自ら"冷戦時代の遺物"と皮肉ってたね
でも若い訓練生達に何かと相談されたり頼られてそうなイメージ

10 :
ドイツの女性名ってブリュンヒルデとかブリギッテとかワルプルガなんてゴツい名前が結構あるね…フリーダとかイリーネあたりが知的なイメージかな?
あまり参考にならなくてスマン

11 :
>>9 >>10
30年近く特殊部隊でやってたら、軍内部のコネ凄い気もするんだけどねえ…
そこらは語られてないから好きに設定できるかw
フリーダやイリーネ……良い響きですね。ちょっと考えてみます。
名前ありがとです。
月曜辺りにフランソワーズ危機一髪なの投下しますかねー

12 :
@SS保管庫
2chエロパロ板SS保管庫
http://red.ribbon.to/~eroparo/
→ENTER→漫画の部屋→dat落ちスレッドの部屋その2

13 :
すいません。忙しくて金曜辺りになりそう……師走はこれだから
ダークナイト・ライジングは何とか見る時間作らないと…(劇場でも見たけど

14 :
保守

15 :
過去スレ読んでたんだけど、逝きま〜つ!たんっていう人の作品は
最後まで到達してない?

16 :
保守

17 :
保守

18 :
仕事忙しいのと体調悪いの重なって、遅れて申し訳ありません。
取り敢えず途中まで投下。
背景的には、原作時期ですかね。取り敢えずREで書かれていた解散より
少し前ぐらいの時期です。
【注意】
鬼畜陵辱な話ではありませんが、刺激的な表現がありますので嫌な方は
透明化など、対策お願いします。

----------------------------------------------
 しくじった……。

 フランソワーズは唇を噛み締めるほど後悔したが、時既に遅かった。
 廃墟の路地裏に彼女は追い詰められ、もはや逃げ場はない。
 防護服はところどころが破れ、彼女の白い素肌が露出しかけているが、どこも血は流れておらず、
ダメージらしいダメージもなかった。
 彼女が優れていた訳でも、敵が無能だったからでもない。
 わざと、そうしたのだった。
『なあ、お嬢さん、そろそろ終わりにしようか』
『俺達もそろそろ、あんたの体で一休みしたいんだよ』
 そんな下卑た言葉が聞こえてくるが、彼女の目にも耳にも、それを言った男達の姿は映らない。
 数十キロ四方を自在に監視できる目と、数キロ四方の針の落ちる音すら聞き取れる彼女の耳です
ら、捉えられない。
 彼女をここに追い詰めた者たちは皆、加速装置を装備していた。
 サイボーグと呼ばれる者をフランソワーズは数多く見てきているが、加速装置を装備している者は多くない。
 理由は簡単で、コストが高くて数を揃えられないのである。
 刺客として送り込まれたり、高性能なサイボーグとして現れた者には装備されていたが、一般兵士クラスの
サイボーグに装備された事はない。
 加速時に感覚を高速化させるための脳改造、身体改造、メンテナンスなどを考えると、高価な装備なのだ。
 だが、今フランソワーズを襲撃してきている十数名は全員が装備しているのだから、組織は何を考えている
のかと思ってしまう。

19 :
 街で買い物をしている時、女性が数人の男に車に連れ込まれ、拉致されるのを目撃して
しまったのが全ての発端だった。
 慌てて車で後を追いかけてしまったのは、彼女の過去のトラウマが刺激されたからでもあった。
 通報していて警察を待っていたら間に合わないかもしれないし、レイプやされでもしたら目も
当てられない。
 間の悪いことに、携帯電話なんて便利なものはまだ発売されておらず、脳波通信が届く範囲に
仲間もいなかった。
 彼女の事には敏感な001=イワンもちょうど夜の時間で、後10日は起きてこないだろう。
 そう思うや、居ても立っても居られなくなって追いかけてしまい、気が付けば郊外の廃墟に誘い
出されていたのである。
 勿論、車も男女もいつの間にか消え去ってしまい、どこにも姿が見えない。
 最初から囮だったのだ。
 自分の迂闊な行動に気づき、Uターンして帰ろうとした瞬間、狙撃によってタイヤがパンクさせられた。
 完全に罠に嵌められた事に舌打ちし、車内に身を潜めながら運良く持って来ていた防護服に着替え
たものの、彼女の幸運はそこまでだった。
 風切り音と共に車に近づいてきた者達が一瞬でフランソワーズの乗っていた車を破壊し、彼女を引っ張り
出して地面に放り出した。
 何とか受け身をとり、体勢を立て直そうとする彼女だったが、相手はそれを許してくれない。
 嘲りながら彼女をこづき回し、少しずつ防護服を切り裂いていく。
 身を起こそうとするだけで弾き飛ばされてしまうから、彼女に出来る抵抗は身を丸くして、僅かでもダメージを
減らすことだけだった。
 スーパーガンはとっくに手から弾き飛ばされ、屑鉄に変わっている。
 加速装置を装備したサイボーグたちはひたすら、フランソワーズを言葉でいたぶるだけだ。
 彼らが何をしたいのか、フランソワーズは不幸な事に気づいてしまっていた。
 廃墟の各所に隠しカメラや集音機が隠されているのを彼女の目は発見し、それが何のためにあるのかも。
 気づいた瞬間、心臓を氷の塊で貫かれたような冷たい衝撃が走ってしまう。
 あの日、ブラック・ゴーストの生産品リストを見たときから恐れていたことが、遂に自分の身に降りかかろうとしているのだと。

20 :
『なあ、お嬢さん……003だったか。あんたの事知ってるぜ?』
『眼と耳だけじゃなくて、身体も良い具合に改造されてるんだよなあ?』
『男を喜ばせるためだけに改造されたんだろう? どんな男でも喜ばせられるように』
 最も聞きたくなかった言葉が彼女の耳を容赦なく打った。
『あんたの彼氏も似たようなもんなんだろう? さぞかし立派に開発された事だろうなあ?』
『そんな良い身体、一人にしか許さないなんて勿体無いぜ。これから俺達にも楽しませてくれよ』
 嘲るような声がどんどん下卑たものになっていくが、フランソワーズにそれを止める手段はない。
 脳波通信でなく肉声なのは、集音機に聞かせる為もあるのだろう。
 耳の機能を止めてしまえば命取りだし、少しでも望みを捨てないためにも、敵の気配を探る手段を
止める訳にもいかなかった。
 だが、敵の嘲りは容赦なくフランソワーズの心を苛み、抵抗する気力を削り取っていく。
 声自体にも微量の催眠効果があるらしく、洗脳やマインドコントロールへの抵抗機能を備えている
彼女の脳にも僅かだがダメージを与えている。
 どうやら敵は、徹底的に彼女の心を折るつもりらしかったが、フランソワーズには何もできない。
 ただ、身を屈めて肉体的なダメージを少しでも軽減するしかないが、サイボーグ達は少しずつ防護服に
裂け目を作っていく。
『そういえばこいつ、ガキも生めるようになってるらしいぜ』
『マジかよ、じゃあ今日はオレたちのガキでボテ腹にしてやるか』
『いいな、それ。誰の種で出来るか賭けようぜ』
『俺らのは人一倍濃いから、一発で孕んじまうかもな』
 敵のサイボーグも生殖能力が残っているようだが、それは慰めになるどころか、フランソワーズにとっては
不幸を増強するものでしかない。
『こいつのアソコ、男のなら、小指から馬サイズまで突っ込めるように出来てるらしいからな。孕ませる前に、腕が
入るかどうか試してみようぜ。なあに、壊れやしないって。腕突っ込まれて子宮かき回されても、よがり狂うように
出来てんだからよ、こいつは』
『じゃ、後で馬のも突っ込んでみるか。人間でそんなの入る女なんていねえからな、裏ビデオにしたら売れるぞ。
よかったな、あんた一夜で世界のスーパースターになれるぜ』
 絶望に身を震わせるフランソワーズの周囲に、声が少しずつ近づいてくる。
 彼らは既に加速装置を切って、彼女を包囲していた。
 逃げられないし、逃がさない自信のある現れだ。
『もう抵抗する気力もねえだろうし、どうする?』
『ここで犯っちまおう。通りがかる奴なんていねえだろうしな』
『だな』
 そんな声と共に、足音が彼女のそばまでやって来た。

21 :
 フランソワーズは絶望に身を浸しながら、彼らが言うような目に遭う前にのうかとも思うが、
どうしてもそれはできなかった。
 以前、言われた事があるのだ。
『フランソワーズが危ない時は、僕が必ず助けに行くからね。だから、絶対に自暴自棄にはならないで』
 最愛の恋人に何度もそう囁かれていた彼女にとって、それは破れない約束だったが、彼が間に合う事は
ないだろう。
 理性ではそう分かっているが、どうしても彼の言葉を信じたい自分もいるのだった。
 だから、ギルモア博士に頼んで追加してもらった、体内の自決装置を用いる事が出来ず、こうして震えている。
 ジョー。
 心の中で恋人の名前を呼ぶと、ほんの僅かだが勇気が戻り、少しでも抵抗しようとする気力が湧いてくる。
 彼が約束を守ってくれなかった事なんて……小さいことなら何度かあるが……大事な約束を破った事は一度も
なかった。
 なら、自分も最後まで諦める訳にはいかない。
 ほんの僅かでも時間を稼ぐべく、抵抗の意志を見せようとするが、敵にとってはそれも楽しむためのスパイスに
過ぎないらしい。
 フランソワーズを立たせないように軽い一撃を与えながら、防護服をさらに切り裂いていく。
『諦めな。せめて、楽しもうぜ』
 すぐ近くまで声が迫り、彼女の体をひっくり返そうとする……。


 が、その腕は中空をさまよい、フランソワーズを掴む事はできなかった。
 目に前にいた筈の彼女は、まるで最初から居なかったかのように消え失せていた。
 周囲にいるのは、黒い戦闘服と顔を覆うヘルメットに身を包んだブラックゴーストのサイボーグ達だけだ。

『……っ!?』
『他のゼロゼロナンバーは近くには居ないはずだろ! あのロシアの赤ん坊も寝てるんじゃなかったのか!』
『うだうだ言うな。全員、加速装置を起動しろ。どうせ助けに来たって、こっちは最新型の加速装置持ちが十二人
いるんだ。009だって、数の前じゃ獲物にしかならねえよ』

22 :
 一瞬パニックになりかけるがすぐに統率を取り戻し、ブラックゴーストのサイボーグ達は加速
装置のスイッチを入れ、周囲の動きが停止したかのような独特の世界へ入っていく。
 情報部からの報告では、009こと島村ジョーが装備している加速装置は、ギルモアの絶え間
ない技術改良によって現在も最高のものとなっているらしい。
 だが、オリンピックの徒競走でもタイム差が二秒も三秒も違わないように、技術力や諸々の限界に
よって、性能の差も致命的に縮めるものではないのだ。
 アイザック・ギルモアは世界的にも有数の天才であるが、他の追随を全く許さないというレベルではない。
 世界中の頭脳を結集したブラック・ゴーストの技術開発陣が、彼と同レベルの装置を作り出すのは不可能
ではなかった。
 速度など総合性能はほんの僅かに劣っているが、絶対に追いつけない差でなく、ましてや数も違う。
 たとえ009が助けに来たとしても、十分以上に数の差で潰せる算段だった。
『2号から5号は周辺を警戒しろ。6号から10号は女を捜せ。11号と12号はついてこい』
 どうやらサイボーグのリーダーらしい1号と呼ばれる男は素早く仲間達に指示を出すと、周囲に警戒を配る。
 だが、
『おい、11号。何で返事しない』
 仲間達の内、11号と呼ばれる者だけが1号に返答しなかった。
 訝しげに視線を向けるが、微動だにしない。
 見ている間にグラリと体が揺れ、地面に崩れ落ちる。
『!?っ』
 サイボーグ達の背筋を氷のような冷たさが走った。
 倒れた11号の首は通常ではあり得ない方角に折れ曲がり、口からは体液が漏れ出ていた。
 完全に機能停止……亡している。
 敵は最高水準の加速装置を装備している彼らの目を潜り抜けて、フランソワーズを連れ出し、ついでに11号を
害してのけた。
 通常ならありえない事態だった。
 いったい、誰がどうすればこんな真似ができるというのか。
 周囲を警戒しながら、ブラック・ゴーストのサイボーグは先ほどと違い、得体の知れない不安に襲われていた。

23 :
「フランソワーズ、もう大丈夫だよ」
「………………」
 ブラックゴーストのサイボーグの手が触れる寸前、力強い感触がフランソワーズを抱き上げ、
倒れていた場所から大分、離れた廃ビルの中に連れて来てくれていた。
 一瞬、抵抗しようとしたが、その腕の感触と力強さが彼女の抵抗する力を奪う。
 危険な時、何度も彼女を抱えて走ってくれた力強さと風切る速さは身も心も覚えていた。
「少しだけここで待っていて。すぐに終わらせて来るから」
 フランソワーズをそっと地面におろすと、女性を魅了する甘く優しい声で囁いてくれる。
 単に甘いだけでなく、絶対的に信頼の置ける力強さを持った声。
「もう、二度とフランソワーズを危ない目に遭わすなんて、させないから」
 鋼鉄よりも固い決意を込めた言葉を紡ぐや、外へと駆け出していく。
 いつも見慣れた真っ赤な防護服に黄色いマフラー。
 背後からでも、癖の強い褐色の髪がはっきり見える。
「ジョー………………」
 戦いへと赴く恋人の名前を呟く。
 どんな奇跡を起こしたのか、そんな事は分からなかったが、フランソワーズにとってはそんな事は
どうでも良かった。
 ただ、一つだけ。
 ジョーは約束を守って、本当に来てくれた。
 それだけが、絶望に捕らわれかけていた彼女の心を救い出し、温かいもので包み込んでくれている。
 防護服はずたずたになっていて、肌がところどころ露わになるなど無惨なものだったが、気にならなかった。
 目と耳の力を全開にして、ジョーが行った方向へと向ける。
 脳波通信を行えば、サイボーグ達に人質にされる恐れがあるから、彼の手助けをする事は難しいが、見守る事は
できる。
 フランソワーズの強化された視線の先では、彼女の居場所が分からないように慎重に廃墟の間を動きながら、
サイボーグ達へと駆けていくジョーの姿があった。

24 :
「009!」
 いち早く見つけた3号の声に、ブラックゴーストのサイボーグ達が一斉に同じ方向を向く。
 廃墟の間を駆け抜け、彼らの元へとやって来るのは009=島村ジョー。
 姿は彼一人しか見えず、他のサイボーグの姿は見えない。
 どうやら一人だけ、何の手段によってか、ここへ駆けつける事が出来たらしかった。
 だが、そう思うとブラック・ゴーストのサイボーグ……加速装置装備型の実験小隊はどこか安心した
ような気分になった。
 人は未知のものに恐怖を抱き、必要以上に警戒するものだ。
 しかし、目の前にジョーが現れた事により、その恐怖の対象に実体が加わり、安心感をもたらしてしまった。
 自分達の理屈で割り切れる相手だと思い、先ほどまでの自信を取り戻したのである。

『全員で囲め、幾ら009の加速装置が俺達より多少は性能が良いとしても、圧倒的な差じゃない。集団でかかれば
オレ達の方が有利だ』
 小隊内のサイボーグにしか受信できない脳波通信で仲間に指示を出しながら、1号は油断なくジョーを観察する。
 周囲を囲んでくるサイボーグ達を見回しながら、ジョーは隙のない様子を見せながらも、必要以上に警戒も緊張も
見せていない。
 最終型試作品として破格の高性能を見せただけでなく、ギルモアが心血を注いで常に能力を最新鋭にアップデート
し続けている、最強のサイボーグ。
 その余裕の現れなのだろうか、それとも何も考えていないのか。
『驚かせやがって……試作品ごときがよ!』
『すなよ。あの女がどこにいるのかを聞き出さなきゃならないんだからな』
『どうせなら、こいつの前であの女を犯ってやろうぜ。どんな顔するのか楽しみだ』
『お前ら、油断するな。相手は009だぞ?』
『幾ら009だからって、所詮は旧式じゃねえか。最新型の俺達相手に勝てる訳ねえよ』
 脳波通信で下卑た事を言う部下達を叱咤するが、効果は薄かった。
 フランソワーズをいいところで横からさらわれたのと、集団でいる事の安心感が悪い意味で慢心を生んでいた。
 だから、

「ねえ、相談はいいから、そろそろ始めないか?」
「…………………!!?っ」
 ジョーの声に視線を向けても、彼が何をしているかを理解するのに、数瞬の間が必要だった。

25 :
「4号……」
 誰かが呻くように言う。
 ジョーはいつの間にか、4号を捕まえていた。
 恐ろしい事に、誰もそれに気づかなかったのだ。
 先ほど彼らの見ている前で、何も気づかせずにフランソワーズを連れ去り、11号を害してのけたのと同じように。

 ジョーは地面に倒された4号の首筋を踏み、片腕を捻り上げて捕まえた状態を維持している。
 地面に引き倒された4号は必で残る手足を動かして逃れようとするが、ビクともしなかった。
 常人の数十倍以上の身体強化を施され、パンチ一発でコンクリートの壁に穴を開けられるほどのパワーを持つ
サイボーグが、だ。
「ハインリヒがさ。よく言うんだ」
 周囲を包囲し、こちらに襲いかかるべく隙を伺っているサイボーグ達に、ジョーは世間話でもするかのように話しかける。
「自分の大切な存在に手を出されたくなかったら、徹底的にやるんだって姿勢を見せろってさ」
 そう言って小首を傾げ、続ける。
「フランソワーズは僕にとって一番大切な存在なんだ。……だから」
 言うや、ジョーは4号の首を踏みつけていた足に僅かに力を込め、抵抗していた彼の首を容易く踏み折った。
 特殊合金で作られた骨格を一撃で踏み折り、もう一発、今度は後頭部を踏みつけて完全に潰してしまう。
 強力な圧力をかけられて4号の頭部はひしゃげ、眼球が飛び出し、圧力で潰れた脳が隙間から吹き出てくる。
 一瞬で、4号は即した。
 同じサイボーグだからとは言え、有り得ないほどの破壊力だった。
「僕は、今日は徹底的にやる事にするよ。彼女に手を出したらどういう目に遭わせるのかを、ね」
 怒るのでもなく、笑うのでもなく、ただ淡々と新聞の記事で雑談でもするかのような軽い口調。
 しかし、そこに込められた感情の凄まじさに、サイボーグたちは慄然とする物を感じた。
 これまでの戦闘で、009=島村ジョーが剥き出しの意を見せて戦った事は本当に少ない。
 ましてや敵だからと言って、無抵抗な状態にした相手を虫でも踏みすようにしてのけるなんて、聞いていなかった。
 温厚で優柔不断と見られ、激情に身を任せても、どこか敵にすら優しさを捨てられない青年……それがジョーへの
評価だった。
 だが、それは時と場合によるものでしかない。
 最も大切な存在を無残に傷つけられようとした時、彼がどうなるかを誰も知らなかったのだ。
 その日、ブラック・ゴーストのサイボーグたちは何故、島村ジョーがゼロゼロナンバー・サイボーグで最強とされているの
かを知る事となる。
 代償に何を差し出すことになるのかは、言うまでもなかった。

26 :
取り敢えず、即興で書き足した部分も含めて、今日はここまで。
続きは来週ぐらいにでも何とか……でも金曜はホビット見に行くしなあ……
今回も三部構成で、次回はバイオレンス全開で、次々回にエロ有りにしたいなあ…
何で俺は毎回、エロ行くまでが長いんだ……orz
今回も即興で勢いのみで書いてますので、辻褄合わねえとか突っ込みどころ満載
かもしれませんが、堪忍してくださいw

27 :
>>26
乙!このジョーにならケツの穴貸しても良い

28 :
ジョーかっけえEEEE!

29 :
オツ!
前フリあらばこそ盛りあがるエロがそこにあるのさ(キリッ
あーホビットも公開間近?だっけ その前に私は007を観なきゃとずっと思ってて…
ともかく、気長に続き待ってまっせ!

30 :
カッコイイーーーー!!
自分丁度REを観た直後に読んだので、
頭の中でREのBGMガンガン鳴り響いてて
まるで映画観てるように読ませてもらいましたよ。
続きを正座してお待ちしてます。

31 :
皆様、レスありがとうございます。
続きはなるべく早めに書けるように頑張ります。
ホビット面白いといいなあ……テンション上がるし

32 :
怒らせると最恐なシマムラGJw
バイオレンスも楽しみにしてます

33 :
おおお、フランたんが鬼畜レイポされるかとドキドキしながら読んでたのでGJです。

34 :
文章力ゼロなんで感想書けないけど、描写力がスゲぇっす!
続きも期待してます!焦らず、じっくり取り組んで下され。

35 :
感想ありがとうございます。
ホビットが期待以上に凄い出来だったんで、テンション上がりまくり。
ガンダルフの声が羽佐間道夫さんじゃなくて、有川さん生きてたらなあ……
続き頑張ります……二回目も見ないといけないし
>>29
遅レスですが、007スカイフォールはダニエル・クレイグの三作では一番出来
がいいかも。でも個人的には、この次がさらに期待できそう。

36 :
>>35 クレイグたんハァハァ
ホビットも観たい〜!
やはりあのシリーズは評判を裏切らないんだね 安心したよ

37 :
うーむ。書いてるんですが、なかなか終わらないなあ…敵の人数出しすぎたw
何かバイオレンスと怪しい薀蓄と、捏造設定の連打になりつつある……
酔っ払った勢いで、後で出来てる分だけ投下しますかね

38 :
>>37
楽しみです〜!!正座して待ってます!!

39 :
まだ決着まで書けてないですが、出来てるとこまで投下しますー
バイオレンス苦手な方、薀蓄書かれると鬱陶しいという方、オリ設定NGという方は透明化など対処お願いします。




----------------------------------------------
 周囲を包囲したサイボーグ達の動きを眺めながら、ジョーは自分がひどく落ち着いているのを感じていた。
 大丈夫。
 頭でなく、心がそう保証してくれる。
 機械で計測すれば、今のジョーの心拍数も脳波も、平時に散歩しているのと同じ程度のものだと分かるだろう。
 生まれ持った勇気もあるが、そうできるだけの裏打ちもあった。

 以前、ジョーはアポロンというサイボーグに完敗し、瀕の重傷を負った事がある。
 加速装置の性能だけでなく、様々な面で及ばず負け、二度目も苦戦した彼が今も生きていられるのは実力でなく、
アポロンの姉であるヘレナによって二度とも助けられたからだ。
 奇跡的に生還した後、ギルモア博士はジョーの性能を最新にアップデートしてくれたが、この完敗劇は彼の心に
深い敗北感を残していた。
 サイボーグ戦士の一時解散後、再び集まるまでの間、レーサーをしながらもジョーが戦いに備えたのは、その敗北
感からでもあった。
 単純な性能だけで戦っていたら、また新たな力を持った敵が現れた時に勝てない。
 敗北したあの時、持っている武器は勇気だと叫んだが、それで勝てなければただの蛮勇にしか過ぎない事は本人が
一番分かっていた。
 どうすれば良いのか。
 悩んでも良い考えが浮かばず、悶々としていたある時、ふと立ち寄った書店で閃いた。
 普段は読まないのに、どういう訳か気になってめくってみた雑誌には少年の頃、彼に武術を手解きしてくれた師の一人が
写っていたのである。
 喧嘩で負けを知らず、若さと元気が有り余っていた自分をぼろ雑巾を投げ捨てるかのように、散々に翻弄してくれた達人たち。
 自分を光の当たる道に戻れるよう力を貸してくれた彼らなら、何か良い考えがあるかもしれない。
 そう思い立ったジョーは不義理を詫びる手紙を書いて、彼らの元を再び訪ねたのだった。

40 :
「……っ!」
「……………」
 ジョーの周囲を包囲したサイボーグ達は盛んに脳波通信を行って、どう襲うかを決めかねている。
『いいか、タイミングを合わせろ。一斉にかかるんだ。そうすれば奴だって、逃げられない』
 身構えるまでもなく、逃げようともしないジョーに不気味な物を感じつつも、1号は務めて冷静さを失わず、
仲間に指示を飛ばす。
 バラバラになっていたら、また一人ずつされるという恐怖感もあった。
『さっきから外部との連絡が取れん。恐らく妨害装置で通信を遮断しているんだろう。009以外のサイボーグが
来ているかもしれんぞ』
『002以外のサイボーグなら恐れる必要なんてねえだろ。加速装置の無い奴なんざ、オレたちの的に過ぎねえよ』
『油断するなと何度も言わせるな。それで大丈夫なら、4号も11号もんでなかった』
 油断しそうな仲間を叱咤し、1号はめまぐるしく頭の中で考えを巡らせる。
 仲間の手前、何も言わなかったが、決して楽観視出来る状況でないのは彼が一番よくわかっていた。
 単に性能差だけで勝てるなら、今まで刺客に送り込まれたサイボーグ達が仕事を終えていた筈だ。
 油断していただけだと思った事もあるが、それだけではない事が今、肌で実感できる。
 逃げ出して牙を剥いて来たサイボーグ達は、当時も今もギルモアの手でアップデートされ続けて画期的な性能を
持っているし、困難な戦いを乗り切ってきた経験も大きいだろう。
 だが、目の前にいる009は不気味だ。
 性能や経験とは違う何かを持っているのだが、それが何か分からない。
 とは言え、時間を与えるのは得策ではないのも確かだったから、彼にできる指示は一つしかなかった。
『応援を待たせる事はない。1秒で終わらせるんだ……行くぞ!』
 そう短く呟くや否や、訓練された成果も伴い、10人のサイボーグはほぼ同時に動き出し、ジョーへと到する。
 音速を超えた者達特有の、時間が限りなくスローになった空間を黒い戦闘服の男達が駆け抜ける。
 1秒もあれば、ジョーを八つ裂きにする事など容易い筈だった。
 だが、
『『『…………!っ』』』
 到した空間から、また忽然とジョーの姿が消え失せ、サイボーグたちは慌てて回避しようとして何人かは成功
したものの、半数以上が避け切れずに衝突してしまう。
 音速を超えた状態で衝突したのだから、それだけで結構なダメージだ。
『一体、どこに……』
 辛うじて無事だった1号が辺りを見回す前に、背後で誰かが倒れる気配がする。
『6号……!』
 振り向いた時には既に6号が崩れ落ち、ジョーが今度はこちらに向かってくるところだった。

41 :
『複数に同時に襲われたら? 同時にはならないんだから、突破口は前に教えた通りにやればいいだろう』
 そう教えてくれたのは、噺家でもしている方が合いそうなほど歯切れのよい話し方をする小柄な達人だった。
 同時に動いたようでも結局、様々な要因で同時に到着するのは難しいのだから、いかようにでも逃げ道はあると。
 サイボーグたちは同時に動いたつもりだったようだが、ほんの僅かに6号は気が焦っていたのか、動き出すのが
髪の毛一筋ほどの瞬間だけ早かった。
 敵が到する瞬間、そこへ抜けていくようにジョーは一気に間合いを詰めたのだった。
 6号が驚く前に、彼の頭を掴むと一気に捻る。

 サイボーグ同士の戦闘……特に火器が防護服などで無力化される上に、当たる確率の低い加速装置装備型の
場合は格闘戦が主体になるのだが、仕留め方が問題になってくる。
 005=ジェロニモのように圧倒的なパワーで八つ裂きにするか、叩き潰すというのもあるが、パワータイプは総合
性能に問題がある。
 また、人間より急所が圧倒的に少ない事が多いから、攻める場所は限られるのだ。
 頭と心臓、肺を初めとした呼吸装置。
 幾らサイボーグと言えど、この三箇所だけは無くしようがなく、この数少ない急所を潰す攻防がサイボーグ同士の
白兵戦で、最も効率の良い戦闘方法でもあった。

 サイボーグの骨格構造は元の人間の時と大半が同じだから、捻り折る場合のコツは人間と変わらない。
 普通は情け容赦が邪魔をするが、今のジョーにそんな物は存在していないから、昔の人間が夕食用の鶏を締める
ぐらいの躊躇の無さで6号の首を捻る。
 特殊鋼の骨格と人工筋肉、人工皮膚は頑健だが、滑らかな動作を行うために関節部分はどうしても存在するし、
守れる限界もある。
 脆い方向に回すのを間違えなければ、サイボーグの首でも容易に捻り折れた。
 想定外すぎる方向に回され関節が不気味な音を立て、内部の配線が余裕を無くして千切れる音が手のひらから
伝わってくる。
 一瞬で、首筋を走っていた生命維持のための配線が寸断され、脳に酸素を送るパイプが破壊される。
 頭部の非常用の生命維持装置が働いて、ほんの僅かな時間だけ6号は生きていられたがそれまでだった。
 むしろ、生命維持装置が働いている間、動けずに緩慢なを迎えるのだから無惨の一言である。

 だが、彼に情けを掛ける余裕もないため、崩れ落ちる6号を尻目にジョーは既に他の敵に向かっていた。

42 :
『戦場でにたくなかったら止まるな。常に自由に動ける状態でいろ。盾があれば安全なんじゃない。いつでも
自由に身軽に動けるのが一番、安全なんだ』
 そう教えられ、ほんの少しでも逡巡して立ち止まった途端、容赦なく間合いを潰されて投げ飛ばされた記憶が
ジョーの頭に苦笑めいた思い出として蘇る。

 帰ってたんなら、連絡の一つも寄越さんか、馬鹿者。

 再訪した時、言われた事がみんな殆ど同じだった。
 彼らと来たら全員が全員、ジョーがサイボーグになった事など、便りの一つも寄越さない不義理を叱る事より優先
順位が低かった。
 戦場や実戦の修羅場を数多く潜って来た達人たちは深く詮索せず、ジョーの再訪を、叱りながらも温かく迎えてくれた。
 皆、ジョーがどんな境遇にあったのかをそれとなく察したのだろう。
 彼が相談しようと口を開く前に、少し稽古して行きなさいとだけ告げ、中には家に逗留させて教えてくれた先生もいたほどだ。
 再び集まるまでの間、そしてその後もレースが無い時以外は、暇を見て師達の元に顔を出すようになったのは、言うまでもない。
「………………」
 体勢を立て直す前のサイボーグ達の腕の間をすり抜けて、まだ立てないでいる8号の首を蹴り折り、2号の後頭部を踵で踏み砕き、
中途半端に立ち上がりかけた10号の脳天へ肘を打ち落とす。
 駆け抜けながらの一撃の筈なのに、強化されたサイボーグの骨格や頭蓋骨を一撃でへし折り、陥没させてしまう。
 8号の首は半周以上回り、2号の砕かれた後頭部からは内部が噴き出し、脳天が陥没した10号は圧力によって両目が飛び出して
亡した。
 加速中の時間の中では、悲鳴は殆ど聞こえない。
 他のサイボーグ達が気づく頃には、もうジョーは安全圏へと身を逃した後だ。
『くそ、素早い!』
『なんで、捕まえられないんだ!』
 彼らの脳波通信は聞こえないが、パニックになっているのは察せられる。
 師に言われた通り。
 彼らのスピードでは、自分は捕まえられない。

『素早く動くってのはな、ただスピードを出すって事じゃないぞ。人間の方が足が速いのに、鶏やコマネズミをなかなか捕まえられんだろ?
素早いとはそういう事だ』
 そう言った師も鶏のように、全力で逃げていると思った途端にクルリと振り向いて、驚くジョーをやっつけてくれたものだ。
 今、敵にしているサイボーグ達の動きは速い。
 だが、あの先生たちに比べたら無駄が多く、足りない物が多いから、ジョーの目には速く映らなかった。

43 :
『「はやい」ってのは、見えない事でなあ。素早く見えるなら、それは本当は「はやく」ない』
 目にも留まらぬどころか、いつ斬ったのか分からないほどの居合の技を持つ先生は、そんな風に教えてくれた。
『十の言葉で言うのを、一言で言えればそちらの方が早いでしょう』
 折り目正しい動作なのに、いつ動いたか分からないぐらい早く動きながら、そんな事も言われた。
『人に当たられたくなければ、消えればいいですがな。自分の無駄を消して、鼻息を消して、喧嘩腰を消しなはれ』
 昔、忍者に教わった事もあるという別の先生は、そう言ってジョーの目の前から消え去ったかと思うや、首筋をトントンと
叩いてからかってくれた。
 どの先生からも、動作から無駄を消し、意を消し、拍子を消し、動作の起こりを消してしまえと、異口同音に教えられた。
 人は、脳が認識できなければ、目の前に存在していても気づかない。
 面白いもので、人間は音を聞く際にも最初の頭の部分を消されてしまうと、どの音を聞いても同じに聞こえてしまうという。
 それは視覚についても同じだった。
 初動が分からず、体軸が揺れず、動きに拍子が無く、呼吸が読めず、動作が常に一定速度を保っていた時、人は目の前に
いても存在に気づけず、例え気づけても反応できない。
 サイボーグでも、それは同じだという事は、先生たちに散々にやられたジョーが身を以て理解している。
 同じ人間同士が改造されたのだから、僅かな機械の性能差では楽に勝てないし、多くの敵を相手にする事を考えれば不利だ。
 しかし、別の部分が勝っていれば……敵の持っていない物を持っていれば、どうか?
 高性能なセンサーを持とうが、そこにいると認識させない事が出来れば?
 非常に困難な事ではあるが、不可能ではない事は実物を目にしているだから、保証済みだ。
 そう考えたジョーが師の元を再訪し、教えを受けた成果は今、発揮されようとしていた。

 敵の残りは後、半分……。

44 :
「くそっ! なんでこいつ! ……っ!?」
 迫り来るのに距離感を狂わせるジョーの不気味さに恐慌を来した7号が闇雲に繰り出すが、当たる前にその拳を
掴まれてしまう。

 本気の拳は一瞬、腕が伸び切る瞬間があるのだから、体捌きで寸前に避け、拳に触れてやれば容易に制する事が
できる。
 そう教えてくれた、最も年老いた師は昔、ボクシングの世界王者のパンチすら掴んだ事もあるという。
 実際、既に一人で立つ事も難しくなっている高齢でありながら、ジョーの本気のパンチすら躱し、掴んで投げ飛ばして
見せたから本当なんだろう。
 コンクリートの壁をも撃ち抜く、サイボーグのパンチをだ。
 それに比べたら、同じサイボーグ同士で拳を掴むことなど、ひどく簡単に思えた。
 パンチの勢いと、ジョーに拳を掴まれて引っ張られた事により、体勢の崩れた7号の背後に身を入れながら、もう片方の腕を
顎に当て、合気道で言う入身投げの変形のような形で一気に頭から叩き落す。
 音速を超える状態で動いてる者が、強烈な勢いで頭から落ちた場合、どれぐらいのダメージになるのだろう?
 後頭部から地面に叩きつけられて痙攣する7号の首を踏み折ってとどめを刺しながら、ジョーは残りのサイボーグ達が動きを
変えてきた事に気づく。
 ジョーの動きが尋常でないならば、集団戦の強みを活かすしかないと思い至ったようで、手にはサイボーグ用の電磁ナイフが
抜かれている。
 昔、0013に重傷を負わせた電流メスを小型化し、改良したナイフは防護服でも防げない。
『……っ!』
 刃渡り30センチはありそうな、特殊鋼でも貫通する電磁波の流れた刃。
 五つの方向からそれが到するが、ジョーは迷わず手近の12号に向かって駆ける。
 刃から身を守りたければ、逆に相手に入っていけ。
 ある達人はジョーに包丁を持たせ、好きに襲わせては自由自在に制圧しながら、そんな事を教えてくれた。
 逃げれば敵は自由に刃を振るえるが、間合いに入れば逆にこちらにも勝ち目が出てくる。
 後は、刃の下に身を飛び込ませる勇気があるかどうかだけだ。

45 :
 背後にフランソワーズを守っているジョーにとって、電磁ナイフの中に飛び込む事など、何の怖さも感じない。
 彼女を失う、傷つける以上に怖い事などなかった。
 寸前で捌きながら、ナイフを持った手首と肘を掴み、軽く軌道を変えてやる。
 それだけでナイフの切っ先は速度を保ったまま、12号の額に吸い込まれていく。
 12号は唐突に、目の前に今まで自分が構えていたナイフの切っ先が向かってきたのを、理解できない。
 ヘルメットと額を貫通し、ナイフで脳を抉られて焼かれながら、最後までどうしてそうなったのか、理解できなかった。
 だが、彼がジョーにされる瞬間を、他のサイボーグたちは待っていた。
 ジョーが12号の額にナイフを突き立てる瞬間、3号と9号が彼の腕を掴み、引っ張る。
 12号が崩れ落ちるのと同時に、前後から1号と5号がナイフを持って突進する。
 幾ら目の前から消えるように動けるといっても、捕まえてしまえば的だ。
 例え、一人か二人は反撃してされても、残りの人数で仕留められると踏んだからだ。
 ジョーに拘らずに撤退すればいいという思考は、彼らの頭の中には無かった。
 前後から、ジョーの心臓目掛けてナイフが突き出されていく。
 だが、ジョーの次の瞬間にとった行動は、彼らの意表をついた。
「え……っ?!」
「ぐっ!?」
 ジョーが二人に腕を掴まれたままの状態で身を翻すや、3号と9号の顎に衝撃が走った。
 腕を掴まれた状態で後ろへ宙返りしたジョーは、その両足で二人の顎を蹴り上げたのだった。
 無論、体勢が悪いから致命傷を与えられるような一撃ではない。
 しかし、無防備な顎を蹴りあげられて体勢が崩れてしまうのは避けられず、瞬時に体勢を戻したジョーに逆に引っ張られて
引き寄せられるのに抵抗もできなかった。
 ちょうど、前後をジョーの盾のように立たせられても、だ。
「しまった!」
 1号が叫ぶが、時既に遅し。
 彼らが盾にされるのと、1号と5号がナイフを構えて本来はジョーがいた場所へと飛び込んだのは、同時だった。
 そして二人のナイフは、サイボーグの急所である心臓部分の位置にあった。
 電磁ナイフは彼らの防護服など意に介さずに貫いて人工心臓を破壊し、その周囲に存在する酸素ボンベを始めとする呼吸器
部分をも焼き尽くしてしまう。
 急所の部分を焼き尽くされ、3号と9号が痙攣しながら亡するのを、1号と5号は呆然として見るしか無かった。
 あんな有利な状況だったのに、まさか自分が仲間をしてしまうとは思わなかったのだ。
 そんな状況を見逃す訳もなく、心臓を貫かれた二人の間から擦り抜けざまに、ジョーは5号の首に手刀を撃ち込んでへし折り、
さらに掴んで半回転させる。
 背後に首が向いたまま倒れる体を横目に間合いを取る頃には、12人いたサイボーグたちは1号しか残っていなかった。

46 :
取り敢えず眠気限界ですんで、本日ここまで。
決着は週末にでも投下します……エロ早く書きたいorz
12人にせずに、5人ぐらいにしときゃよかったw

47 :
面白かった
エロも早く読みたい

48 :
>>46
ジョー、最強!!スピード感ハンパないです!
続きが楽しみです

49 :
スンマソンが、
>人間は音を聞く際にも最初の頭の部分を消されてしまうと、どの音を聞いても同じに聞こえてしまうという。
ここ興味深いので、どういう状態かkwsk

50 :
>>49
前に炎という音楽雑誌があったんですが、その記事で目に止まりまして。
今、ソース元引っ張りだすのに部屋ひっくり返したw
引用しますと
----------------------------------------------
音は、頭が最も重要なポイントになる。
音のアタック度やその波形によって、何の音なのかが人間の脳で認識される。
故に、最初のアタックを消して(フェイド・インで)継続音だけを聞くと極端な場合、我々には
ギターの音なのかピアノの音なのか赤ん坊の泣き声なのか区別がつかない。
それだけ音にとって頭が大事なのである。
----------------------------------------------引用ここまで
これが頭に残ってたみたいです。
十年以上前の雑誌だったから、今も科学的に正しいのかは、ちょっと分からないです
間違ってた時は、堪忍してくださいw

51 :
雰囲気で言い切ってるけど
極端過ぎるトンデモ理論だなw

52 :
超聴覚を持つフランたんはそれでも聴き分けられる、と理解した

53 :
フランソワーズは聴いた音をフーリエ解析できるからな。

54 :
>50
わざわざ調べてくださってトントンです。
しかし、結局よく分からんなw

55 :
遅ればせながら
力作の続編ありがとう!
全部違うシチュエーションで戦っていて凄い!
よく色々思いつきますねえ。
すごく楽しませていただきました。
これからお書きになるのかもしれないが、
もしできたらですが、
冷酷な9を見た3の心情など読めたらうれしいです。
もちろん、出していただいたものはすべて美味しくいただく自信あります!
続き楽しみにしてます!!

56 :
まあ、音関連に関しては面白そうだったんで適当に使ったから、あんま信じないようにw
基本、面白かったらデタラメでも即採用な、ゆでたまご世代ですんでw
取り敢えず、明後日ぐらいにまた投下したいなあ。
でも、すげえ欝な展開思いついたんで、それはカットして元に戻さんといかん……

57 :
>>55
感想ありがとうございます。下手に人数出したから、陣考えるだけでねました
どいつが生きてて、どれんだかでこんがらがり……次やる時は数減らそう
フランソワーズはジョーが最初に一人したところは見たけど、後は加速してるから…
でも、終わった後に出てきた顔は見てるだろうし……
同級生2の美沙子さん(懐かしすぎる)的な反応は……在り来りかなあw
エロ行くまで、後どんだけかかるんだろう……orz

58 :
55ですが、すいません、あくまで希望という事で、、。
同級生2とか全然知らないし、在り来たりでも、
もちろん書いていただけたらありがたいです。
エロも楽しみにしておりますが
ご無理のない範囲でマイペースでご執筆下さいませ。
きちんと正座して待ってます!

59 :
月曜ぐらいに投下頑張ります……今年中にエロいけるんだろうかorz

60 :
続きが気になって待ちきれない!いや、おとなしく待ってます。
1号はちょっと手強そうですね。
ジョーはどう戦うのでしょうか。
9と3のいちゃいちゃも含めて今後の展開に期待してます。

61 :
>>60
セガール映画の悪の幹部程度には強いかと
いちゃいちゃ早く書きたい……頑張りますorz

62 :
頭痛いなあ……風邪薬飲むか。
風邪薬で頭飛ぶ前に、出来てる部分だけ投下しますー
例によって、バイオレンスが苦手な方、薀蓄嫌いな方、オリ設定苦手な方は対処お願いします。
----------------------------------------------
「……………………」
 未だ加速した空間の中で、二人のサイボーグは対峙していた。
 一人は組織の命令のために、もう一人は愛する人を守るために、ここでし合いを繰り広げている。
『まさか、009がこれほどのパワーアップをしていたとは……』
 内心で汗を流しながら、それでも指揮官である1号は努めて冷静にジョーを観察している。
 彼とて、単に改造されただけのサイボーグではない。
 ブラック・ゴーストの一員として元々は高度な戦闘訓練を受け、加速装置装備型サイボーグで構成された部隊が
試験的に創設された時に、指揮官として抜擢された身だ。
 隊の中には、フランソワーズを襲った際に下衆な言動をした者もいるが、どれもその身体能力や戦闘能力を組織に
見込まれた者達である。
 それが、あれほどの短期間で全滅するとは。
 歯ぎしりしながら、1号はジョーと間合いを取りながら、油断なくナイフを構える。
「ギルモアの技術力だけじゃないな……009。お前、どこでそれだけのパワーアップをしたんだ? 我ら以外に、そこまで
出来る技術陣がいたとは……」
「そう思う?」
 ナイフでジョーを巧みに牽制し、身を守りながら隙を伺う1号は、それだけで倒れた者達より高い実力を持っている事を示している。
 一方、11人ものサイボーグを倒していれば、いくら同じサイボーグと言えども無事で済むはずがないのに、ジョーは無傷である。
 息切れはしない体だが、精神的な疲労すら感じさせないのは不気味だった。
 少しでも精神的な余裕を取り戻すために、1号は話しかけ続ける。
「後学のために教えてくれないか? お前とオレたちの性能は殆ど変わらん筈だ。なぜ、オレたちはお前にこうも無様に破れた。性能か? 
元の能力差か? それとも経験なのか?」
「それは…………」
 一瞬、ジョーは立ち止まると首を傾げて見せた。
 本気で答えるべきか答えないべきかを迷うような、考え込む表情。
 戦闘中にそんな真似をするなど、実力差のある者が余裕を見せるか、あるいはわざと隙を見せて動きを誘うか。
 十中八九、後者だろう。
 だが、
『余裕を見せているつもりか!』
 ジョーと対峙し続けていれば、どちらが不利になるのか一目瞭然だったから、1号には攻撃を仕掛ける以外の選択肢はなかった。
 逃げても追いつかれるのは明白だったから、逃走するにしても少しでもダメージを与え、時間を稼ぐしかない。
 仲間がやられている間に、彼だけでも逃げていれば良かったと、頭のどこかで後悔する。
 今更だが、それこそが集団戦の強みであり、逃げて情報を組織に伝えていれば、それを元に改めて作戦を立てて復讐戦を挑めて
いたのかもしれない。
 あるいは、ジョーが一人で姿を見せたのは、彼らに逃げるという選択肢を選ばせないという戦術だったのかもしれなかった。
 圧倒的に相手が弱いと思える状況で苦戦してしまえば、状況がひどく悪化する前に逃げるという選択肢を選ぶのには、逆に勇気がいる。
 損得勘定やプライドが邪魔をするからだが、組織への忠誠心を抱かせる教育や洗脳を受けていても、人間のそんな本能はなかなか
消えるものではない。
 そして、1号にも部下をされた怒りと、最新型としてのプライドがある。
 せめてジョーに一矢報いなければ、気が済まなかった。

63 :
「っ!?」

 一瞬、1号は地面にしゃがみ込んで徒競走の体勢になると、一気に地面を蹴った。
 地を這うような低い姿勢で、タックルを狙うようにジョーの膝を目の前にしながら突っ込む。
 これならジョーも威力のある蹴りは出しにくいし、下手に繰り出して外れれば、足を取られて転倒してしまう。
 ましてや一矢報いたいと覚悟した者は、生半可な攻撃を受けた程度で止まりはしない。
 ジョーの足下へと駆けながら、1号はナイフを下から繰り出していく。
 サイボーグでも人体構造は同じだから、下方向からの攻撃にはジョーと言えども対処しづらい筈だ。
 ジョーの膝に当たりそうな勢いで、ナイフを彼の下腹部へと突き出していく。
 だが、ナイフは空を切った。
「えっ……!?」
 いつの間にか、目の前の高さにジョーの顔があった。
 ジョーの下半身が無くなったのか、それとも地面に沈んだのか、そんなバカなことを考えてしまうほど唐突だった。
 当然、上へと突き出したナイフが当たるわけもない。
 別に、ジョーは不思議な事をしていない。
 1号がタックルするように突進して来たと同時に、地面に膝をついて正座しただけだ。
 これなら、足を取られてしまう心配はない。
 そして、正座や座った状態から相手の攻撃を捌いて反撃する練習は、どの師にも散々に仕込まれてきた。
 正座からの膝行の練習で、頑丈な人工皮膚が擦り切れてしまい、ギルモア博士の首を傾げさせたほど、やらされたのである。
 1号のナイフが空を切るや、正座の姿勢から素早く膝を立てて半身を開き、ジョーは伸び切った1号の肘を手刀で打った。
 関節の継ぎ目が伸びた瞬間、正確に相応しいタイミングで打つと、サイボーグの関節でも容易に折ってしまえる。 
 不気味な音と共に1号の肘が逆方向に曲がり、ナイフがあらぬ方向に飛んでいく。
 その折れた腕を背中に担ぐようにして、身を起こしながら、ジョーは1号を背負い投げた。
 まるで肩に羽織っていた手ぬぐいを投げ出すかのような無造作な投げ方で、サイボーグの肉体が宙を舞った。
「っ!?」 
 地面に叩きつけられ、1号は受け身も取れずに衝撃をもろに受けてしまう。
 それでも闘志を失わずに立ち上がった1号の胸元に、ジョーは一気に飛び込んだ。

64 :
『ぶん殴っても、なかなか相手が倒れない? そりゃ打ち方が悪いんだよ。当て身のコツって前に教えたろ?』
 小柄な達人に、ちょっと突かれただけでぶっ飛ばされながら、そんな事を言われた。
『要はタイミングを間違えずに、自分の重さ全部を正確に相手の一点に打ち込めるかだ。手だけで殴ったって、効く訳ないだろう』
 そのために、基本練習を真面目にやれと言ってるだろう。
 分かったら、今日は俺が良いと言うまでやり続けろ。
 そんな事を言われ、疲労を感じないサイボーグであるのに、ヘトヘトになるまでしごかれてしまった記憶が蘇る。
 1号の懐に飛び込んだジョーの体中の関節が、無駄な遊びをせずに、スムーズに連動していく。
 全身の推進力と体重が、繰り出される右拳に集まっていくのが分かる。
 力を一点に伝えやすい、中指の第二関節を尖らさせた古武道独特の当身の形に握った拳が、音も立てずに1号の胸部に当たった。
 効いているのか分かりにくいが、それで十分だ。
 野球の打席で完璧なジャストミートをすると、打った本人の手やバットに衝撃は殆ど無いという。
 ジョーの拳に伝わるのも、何とも達成感の無い感触だったが、それこそが当身が上手く出せた証拠だった。
 当たった部分から1号の胸部に、ジョーの推進力と体重の全てが、野球の打撃のジャストミートのような理想的なタイミングで一点集中
されて伝わる。
 ある達人は、軽い一撃で人の肋骨をへし折り、その師匠は軽く打っただけで巨漢の腰骨を粉砕してのけたという。
 ジョーの一撃は彼らほど洗練されていなかったが、威力は十分だった。
「…………っ!!……」
 1号の胸骨がひしゃげ、それに圧迫されるかのように奥にある人工心臓が歪み、破砕される。
 昔からの当身の練習法だからとやらされたのは、布団を筒状に丸め立て、ちょうど人体の胸の辺りの高さに陶器を入れたものを的にした
ものだった。
 この丸め立てた布団を思い切り突いても倒さず、中の陶器だけを割れと言われて閉口したが、その成果がどういうものであるかは体で理解
している。
 人間で試した事はないが、今の1号の心臓は凄い状態になっている事だろう。
 頑丈な人工皮膚と筋肉を通して、その奥にダメージが浸透する打ち方だが、それで終わりではない。
 人を一撃で傷できる威力があっても戦いでは確実性が低まるものだし、大人しく技にかかってくれる敵などいない。
 また、し合いを覚悟して向かってくる相手は、こちらの予想を簡単に覆すものだ。
 だから、昔の人間は隠し武器で威力を高めるか、もしくは……今のジョーのように次の技へと継ぎ目無く繋げる。
 崩れかけた1号の顎を掌で突き上げながら、もう片方の手を掴んで回るように後頭部から落としていく。
 自分の手足の威力に不安があるなら、武器を使えばいい。
 壁や地面という、下手な武器より頑丈なものを用いるのは、ごく普通の事だ。
 受け身すら取れずに後頭部からまともに地面に激突した1号の後頭部がひしゃげ、鼻から体液が漏れ出す。
 音速で移動している者同士で戦った時、威力が強力になるほど、やられた方はただでは済まない。
 ジョーが離れても1号の手足はまだ少しの間、ピクピクと痙攣していたが、すぐにそれも動かなくなった。
「……………………」
 周囲を見回しても、フランソワーズほどではないが強化されたジョーの目と耳に敵の気配はかからない。
 ようやくジョーは加速装置を停止し、元の時間へと戻ると、現実には1秒……長くとも数秒しか経過していない。
 周囲には12人のサイボーグの体しか残っておらず、生きている者は一人もいなかった。

65 :
『僕と君の違いか……それは』
 1号の体を見やりながら、ジョーは心の中で呟く。
『僕は二重に改造されてるからかな、博士と先生たちに』
 最新の科学技術で、肉体を改造しただけではない。
 古来から人間がし合いの中で発見した理論を、何代にも渡って受け継ぎ、発展させてきた武の技法もジョーの肉体には
刻み込まれている。
 アプローチが違うだけで、どちらもより合理的に、効果的なものを追求し、科学的な理論に基づくものであるのは同じだった。
 肉体を機械的に強化しただけではなく、伝統的な型や鍛錬を通じて、戦う際の体の動かし方だけでなく、日常からの動作や
姿勢、果ては思考に至るまでの全てを合理的な理論に従えるものへと改造されたのが今のジョーだ。
 性能だけで言えば、優劣など存在しなかった。
 ただ、その改造された肉体をさらに別な方向から改造したのが、ジョーにアドバンテージを与えていた。
 そして、頼りになる仲間がいるという事も。
『……………………』
 001=イワンは夜の時間に入ると、月の半分は寝ているが、例外はある。
 危険を察知したり、仲間の危機に起き出した事は少なくない。
 今回も、彼のそんな危機への予知能力がフランソワーズを救ってくれた。
 フランソワーズが襲われたのとほぼ同時に彼は目覚め、素早く判断を下すと、ジョーをテレポートさせたのである。
 また、ジョーも偶然だがその時、ちょっと昼寝をしていたのも幸運だった。
 例えイワンが起きたとしても、ジョーが意識を保った状態では、テレポートで送る際の手間がかかっていたことだろう。
 寝ていたら突然、空中から見知らぬ土地に放り出されたのには驚いたが、イワンからのテレパシーで、すぐ己の幸運に感謝した。
 すぐ近くで、フランソワーズが襲われている。
 イワンが簡単に概況を知らせ、テレポートで通信電波の妨害装置とジョーの防護服を送ってくれたところで、彼も限界が来たらしい。
 ただでさえ、眠りについたばかりのところに、無理を重ねたのだ。
『後ハ任セルヨ、ジョー』
 気丈だが、疲れを隠せない声を最後に、イワンのテレパシーは途絶えた。
 恐らく、無理を重ねたショックと、深い疲労から再び眠ったのだろう。
 そこまでしてフランソワーズのために力を尽くしてくれたイワンに感謝しながら、ジョーは妨害電波を作動させて、外部に通信がいかない
ようにし、防護服に着替える。
 イワンが無理を重ねて、ここまで助けてくれたのだ。
 後は、恋人である彼の仕事だった。
 そして、気配を消しながらフランソワーズを包囲しているサイボーグ達の背後に忍んで、一人を手始めにし、それでもまだ油断している
隙をついて加速装置を起動させ彼女を連れ去った。
 後は、いつものように戦うだけだった。

66 :
 敵のサイボーグ達が全員亡しているのを確認すると、ジョーは防護服に入れていた通信妨害装置を停止させ、
もう片方のポケットに入れていた通信機のスイッチを入れて、ギルモア邸に誰かいないか確認してみる。
 たまたま近くにいたピュンマが出てくれたので事情を話し、後の始末を頼むと、加速装置を作動させてフランソワーズの
元へと急ぐ。
『イワンが起きたら、何か喜ぶもの買ってあげないと』
 駆けながら、そんな事も思ってみる。
 成長が遅いが、それでも少しずつ年を重ねているため、最近では離乳食や幼児用のお菓子程度なら食べられるようになっていた。
 プリンやゼリーも食べられるようになり、特にプリンは好きらしい。
 今から健康を心配したフランソワーズがあまり食べさせてくれないと、ジョーに愚痴ったりもしたから、今度はおいしいプリンを買って
あげるとしよう。
 彼女だって、大目に見てくれる筈だ。
『もう、思考が切り替わってるんだな……』
 そこまで考えて、既に戦いから日常へと思考が切り替わり始めている自分に、ジョーは複雑な気分になった。
 戦いもし合いも嫌いだし、今でも喜びや高揚感は感じない。
 師達には、戦いの場で余計な情けを持つな、それは自分に酔うだけのもので、背後にいる大事な存在を傷つける毒でしかないと教えられた。
 フランソワーズや仲間を、そして人々を守れない恐怖と、情けのどちらを取るのかと常に修行で問われ、ジョーは戦いで余計な情けをかけない
心を少しずつ作り上げるようになっている。
 そうでなければ、今の戦いでもああは戦えなかった。
 どちらにしても愉快な気分ではないから、戦いが好きになれる事は永久に来そうにないが。
 だが、慣れとは恐ろしいもので、長年の戦闘経験からか、先ほどまでし合っていても、終わればすぐ日常へと思考をシフトするようになっている。
 まるで、し合う事が日常の中にあるのを、心が受け入れたようだ。
『潮時かもしれないな』
 そうも思ってみる。
 し合いを望んだ事は無いのに、いつの間にか必要とあれば戦う・す事に思考がすぐ向き、それに違和感を抱かない事に気づいたのは、つい
最近の事だ。
 いつから、そんな風になったんだろう。
 長く戦っている間に感覚が麻痺したのか、それとも戦いに耐えられない心を守るために、本能的に受け入れるようになったのか。
 どちらにしても、ろくなもんじゃない。
 ベトナムでの戦いから思い始めたが、自分たちの戦いで平和をもたらす事は無理なのだろうかという思いも強くなってきていた。
 ブラックゴーストや他の強大な敵と戦えるのは自分たちだけ、という思いもあるが、それで世界が平和になるのか。
 ブラックゴーストがいなくても、世界は平和になったりしない。
 今の世界に必要なのは、戦う事じゃなくて何か別の物じゃないのか。
 何をすればいいのか、今のジョーには分からないが、このままの状態で良いとは思えないようになっていた。
『僕は……僕たちはどうすればいいんだろうね? フランソワーズ……』
 愛する人を守り、敵を倒したというのにジョーの胸には高揚感でなく、冷たい苦みが漂っていた。

67 :
 部屋の中で膝を抱えて座りながら、フランソワーズは全てを見ていた。
 加速中の行動までは分からないが、その前後は全て余さず見守っていた。
 だから、ジョーの悲しさや虚しさを通り越した、苦い感情を胸に抱いている事も気づいている。
 本来、ジョーは戦いとは無縁の性格の持ち主だ。
 少年時代は荒れた事もあったが、ハーフという境遇がなければ、それもなかっただろう。
 正義感が強く、譲れない一線を越えれば戦いを辞さない激しい一面もあるが、それでも可能な限り話し合いで
解決しようとする穏やかさがあった。
 あんな風に、敵を情け容赦なく破壊し、害するような気質は持っていなかった。
 だが、実際に彼はフランソワーズの目の前で、12人のサイボーグを害してのけた。
 害虫を駆除するより、もっと無機質に効率的に。
 正直、見てショックを受けたのは確かだった。
 ほんの少しだけ、怖くもなった。
 だけど、ジョーが平気でそれを行っている訳じゃないのは、終わった後の顔を見れば分かる。
 本人がどれほどの心の葛藤を抱えながら行ったのかなんて、想像するまでもない。
 そうさせた原因が自分にある事が、フランソワーズには堪らなく悲しく、申し訳なかった。
 だが、下手に謝罪する事はできない。
 何も考えずに謝罪してしまったら、自分は次に言ってしまうだろう。
 私のために、こんな事をさせてしまって。
 それだけは絶対に言ってはならない。
 自分に価値のないような発言をしてしまう事は、ジョーを少しでも想うなら絶対に許されなかった。
 してしまえば、ジョーの必の戦いを、葛藤を、苦しみを全て否定してしまう事になる。
 命がけで守った相手が、自分に価値が無いなんて言い出したら、それまでの努力は何の価値も無かったと言うのか。
 何のために苦しんで戦ったのか分からなくなるような言葉は、どれだけ自分が苦しくても口に出来ないのだ。
 彼女の胸の奥で、自分でも何と言っていいのか分からない感情の奔流が渦巻いている。
「フランソワーズ?」
 どこかで減速したのか、彼女のいる部屋の中に目指できる程度のスピードでジョーが入ってくる。。
 入り口の前で一旦停止してから恐る恐る近づいて、彼女の側に跪く。
「どうしたの?」
 彼女が傷ついていないか、それとも自分の戦いを見てショックを受けていないか、それを恐れるような視線。
 まるで壊れかけたガラス細工に触れるかのように、そっと彼女の頬に触れてくる。
 先ほどまで敵をすために使われていたのが嘘のように、その手は温かく、彼女の大好きな優しさと逞しさを感じさせた。
 ジョーだ。
 さっきのジョーも、今のジョーも、彼そのものだ。
 頭でなく、胸の奥がそう教えてくれる。
 何を恐れたりしたんだろう。
 彼はいつだって、フランソワーズのために一生懸命、出来る限りのことをしようとしているだけなのに。
 そう心から思い、ほんの欠片ほどあった恐れや違和感が消えて、彼女の中を優しいものが満たし、それでジョーを包んで
あげたいという想いに動かされる。
 だから、
「ジョー…………」
 すっと膝立ちになると、フランソワーズは跪いているジョーの頭を胸に抱き、そっと撫でてやる。
「ありがとう」
 私のために戦ってくれて。
 守ってくれて。
 約束通り、助けに来てくれて。
 そう、心からの感謝と愛情を込めて、彼の耳元に囁いた。

68 :
「…………うん」
 囁かれ、ジョーの目が一瞬、見開く。
 不安そうだった瞳に、見る見るうちに嬉しそうな光が宿り、ジョーは目を閉じた。
 心の冷たさを、フランソワーズの温かさが溶かしてくれるような気がする。
「ごめんね、ジョー。心配をかけちゃって……」
 慎重に言葉を選んで、必要な謝罪だけは口にする。
 彼の想いを否定するような謝罪は出来ない。
 もっと謝罪を口にしたくなるのを必で堪えながら、フランソワーズはジョーの頭を撫でる。
 そうしないと、胸の奥にある感情の奔流を止められそうになかった。
「うん。イワンが気づいてくれて助かったよ」
 そんな彼女の心中を知っているのか、ジョーははにかんだように笑うと、フランソワーズの胸から顔を上げる。
 立ち上がって彼女を抱き上げると、いつの間にか持って来ていた自分の上着をかけてくれた。
 加速装置で、自分の衣服が置いてある場所に寄ってから来たらしい。
「ごめんね、フランソワーズ。来るのが遅れて」
 今度はジョーの謝罪が耳に囁かれた。
 そして、
「よく頑張ったね、フランソワーズ」
 僕の言葉を信じてくれて。
 そう囁かれ、彼女の胸の中の奔流は限界を迎えた。
「……ジョー」
「うん」
「私、頑張ったわ」
うん、フランソワーズは凄く頑張ってくれたよね。僕が助けに行くまで、信じて待っていてくれた」
「そうよ。私、ジョーが助けに来てくれるって約束してくれたから、必で頑張ったわ。ジョーが来てくれるまで、絶対に諦めちゃ
駄目って。絶対にジョーが助けに来てくれるんだからって」
 ジョーの胸に顔を埋めながら、フランソワーズは言葉を紡いでいく。
 奇妙に表情がない声。
 ジョーの胸元を掴む手の力が強くなっていく。
「私、怖かったけど頑張ったのよ? 凄く怖かったんだから……凄く……怖くて……もう駄目かと思って……」
「フランソワーズ……」
 胸にしがみついて肩を震わせる彼女がどういう状態かなんて、考えるまでもない。
 どれだけ心細い思いをしていたのかなんて、想像するまでもなく、ジョーにはひたすら彼女を慰めるしか手段はなかった。

69 :
 ごめんね、フランソワーズ。
 僕がもっと早く来れていたら良かったね。
 もう、これからは二度とこんな事は無いと約束するから、お願いだから僕を許してくれる?
 もしも許してくれるなら、帰ったらお風呂に入って、温かいホットミルクかホットワインを飲んで、暖かくして眠ろう。
 大丈夫。
 僕が側にいて見守っているから、悪い夢なんて見ないよ。
 暫くオフだから、フランソワーズのしたい事は何でも聞くよ。
 フランソワーズがいて欲しいだけ、僕はずっと側にいるからね。
 ああ、そうそう。
 大事な事を忘れていた。
 もしもの時のために、これからは僕の時計は10分、針を進めておくから。

 今も胸で泣く彼女の髪を撫でながら、ジョーは優しい声で囁き、改めて約束を誓う。
 もう二度と、彼女にこんな思いはさせない。
 フランソワーズの涙は、彼にそんな決意を固めさせる理由としては十分すぎた。
 辛抱強く彼女を慰め、優しい言葉をかけ続けていると、少しずつフランソワーズの様子が落ち着きを見せてくる。
 涙で濡れている顔を見られたくないのか、顔は上げてくれない。

「ジョー」
「何?」
 フランソワーズの言葉に、ジョーが優しく尋ねる。
「……ホットミルクより、ホットワインの方がいいわ」
「そうだね、フランソワーズの好きなシナモンと蜂蜜を入れて、オレンジをスライスしたのを載せようね」
「それと、時計の針を進めるのは15分にして」
「了解。10分じゃ足らないね」
 少し笑ってジョーは約束すると、服が焼けない程度に加速装置を起動させて家へと走り出す。
 今でもジョーの時計が全て15分早く進んでいるのは、その約束を守っているからである。
 この日を境に、フランソワーズが単独で危険な目に遭った事は一度も無い。

----------------------------------------------
続く

70 :
取り敢えず眠気とか限界なんで、今日はここまで。取り敢えず、次回辺りからイチャイチャで
エロ突撃かなあ。
ジョーがシリアスになってましたが、REの時代に行くまでに何でサイボーグ達が解散したのか
と考えてたら、単に金や政治力が無くなったからじゃなくて、精神的な疲労が限界だったんかなと
人間、はっきりしたゴールもルートも見えないのが一番、堪えますし。
つうかヨミ編の時、レーサーになってセレブになっちゃってたジョーを見てると、金が無いって理由だけで
解散するわ、記憶消されるわ、なんて境遇にならねえよなあ……自力で何とかしそう

71 :
夜中に覗いたら続編キテター!
想像をはるかに上回るハイレベル!!
凄すぎ、、、。
ありがとうございます。
素直に感動してます。
風邪お大事に

72 :
う〜ん、深い・・・!
1号との戦いの臨場感、頭の中で絵が浮かぶほどでした。
原作でジョーが浜辺でトレーニングしているシーンがありますが、
自主トレだけではここまで鍛錬できないですよね。
ジョーが師匠と仰ぐ達人達がいたという設定は全く違和感ないです。
戦った後の恋人の心情を思いやる二人のやりとりも、優しくて温かい・・・。
体調のすぐれない中、ここまで投下してくださってありがとうございました。

73 :
おじゃるのようにプリンをねだるイワンを想像して和んだw
いちゃいちゃ楽しみにしてます。
気長に待ってるのでがんがってください!

74 :
素晴らしい続きありがとうございます。
無茶振りだったにもかかわらず
こういうのが読みたかった、
と思ってた事のはるか上のクオリティ
中身の濃い、深い作品読ませてもらって、感謝感激です。
アクションもさすがでしたが
9の人としての悩みのすごい説得力
9と3のお互いを思いやる切なさとか胸に染みて
ものすごい読みごたえ。
書いてくれて本当にありがとう!
どうぞお身体お大事に
エロもすごく楽しみにしてますが
実は前のほうに出てた
3が見たというブラックゴーストの生産品リストがすごく気になってる。
9は知っているのかな??

75 :
>>71 >>72 >>73 >>74
感想ありがとうございます。
>ジョーの師匠
原作読み直してジョーのアクションを確認したんですが、手刀で打つのが多くて、意外とパンチとか
キックって使わないのね
パンチとかは喧嘩で覚えても、手刀って人に教わって訓練しないと使えない技術なんで、改造され
た時に何かされたのか、それ以前に訓練した経験があるかのどっちかだろうなと。
原作開始の時期だと達人連中が存命orバリバリの全盛期ばっかりですんで、達人に指導された
経験があってもいいなあと思って設定してみました。
一度、大敗北した後に再改造、もしくは師匠について特訓はヒーロー物のデフォですしねw
>二人のやり取り
フランソワーズは、男の意地やプライドってどういうのか分かってくれる良い女ですよ、ええ。
>9の人としての悩み
人のため、平和のためって建前だけだと、もう戦えなくなってるんじゃないですかね
>生産品リスト
続きというか、別の話でそれの説明出す予定です。

76 :
>二人のやり取り
フランソワーズは、男の意地やプライドってどういうのか分かってくれる良い女ですよ、ええ。
さすがはジョーの女!
彼女はジョーにとって命を賭けても守りたい唯一無二の大切な恋人なんですね。
って今更ですが。
生産品リストの出てくる別の話も考えているとは・・・!
ますます目が離せません。引き続き楽しみにしています。

77 :
続き考えてたら、イチャラブの前に欝い展開というか描写が出そう……
いや、フランソワーズが酷い目に遭う訳じゃないんですが
クリスマスにそんなん書いていいんかなあ……

78 :
何でもいいですから、早く続きを下さーい。
どんな展開でもついていきます!
今までいつも期待以上だったので、なんでも美味しくいただく自信あります!

79 :
うちのクリスマスは中止してるんで関係ないっす

80 :
ちょっと風邪の具合悪化したんで、続き少し遅れます。
申し訳ありません。
明日も仕事だ。薬飲んで寝よう……orz

81 :
このところ寒さが増してますから、無理しないでくださいね。
風邪、どうぞお大事に。おとなしく待ってます。

82 :
体調悪いところ急かせてしまってすいませんでした。
読ませてもらえるだけでありがたいので
またお身体の良い時によろしくお願いします。
楽しみしてます。
どうぞお大事に。

83 :
>>81 >>82
どうも、ありがとうございます。ご心配おかけして申し訳ありません。
仕事の忙しいの一段落して、気が抜けたみたいで
続きも頑張りますが、他にも書きたいのあるし、時間欲しいなあ^^;;
マクロスFの書きかけとか、銀英伝とか……ああ、時間欲しいorz

84 :
>>83
マクロスに銀英ですと?
一緒に良い酒が飲めそうです
マクロスはpink板の小説スレ(非エロもあり)が落ちたから
投下出来そうなスレはないけどね

85 :
>>84
マクロスF……自サイトに載せたら見事に反応なくて、凹んだw
銀英伝はエロ有りにすると、らいとすたっふルールに違反するのがネックで、思案中w
来年辺り、時間あって書けたら、どっか適当なとこに投稿しますかね

86 :
>>85
自サイトにあるんですか
探しに行くからヒント

87 :
>>86
fellowship R 小説でググって最初に出てきます。
新掲示板に置いてありますが、ホント出だしの部分で止まってるんで、読まなくても
いいかも……具体的に言うとアニメの1話冒頭のところですし。
反応ゼロだったんでw

88 :
>>86
冒頭で終わってるのかw
いえ帰ったら探してみます〜

89 :
保守

90 :
>>87
F見てきた・・・ハーレムとTS苦手なので・・・、頑張ってフランたんの続き書いてください
楽しみに待ってます

91 :
皆様、あけましておめでとうございます。今年は連載開始できるよう頑張ります
>>90
やっぱり人を選びますよね、あれはw
取り敢えず今は009の短編の続きと、連載の開始頑張りますー
……年賀SSは今月中に書ければいいなあ(それ年賀と言わないだろ

92 :
あけましておめでとうございます。
SS職人の方々に作品沢山投下していただけますように、、、。
首を長くしてお待ちしております。

93 :
保守

94 :
ごめんなさい。他の作品の設定とかも進めていて、ちょっと遅れてます。
申し訳ありません。
途中放棄は絶対しませんので、ご容赦お願いします。

95 :
お疲れさまです。
書きたい物が沢山あるって素晴らしいですね。
また気が向いた時にでも
こちらの続き、よろしくお願いします。
一年後とかだったら泣くけどw

96 :
こういう人に映画とかの脚本書いてほしい!
アクションシーンの臨場感にわくわくしました。
フランソワーズ、ジョー、イワンそれぞれの性格もしっかり把握されていて、イメージが壊れる心配なく楽しめました。
とはいえ、文章力がありすぎるため、フランソワーズが襲われそうになるシーンではひやひやしました。
最初のレイプものじゃないっていう注意書きがなかったら読めなかったかも。逆に言うと、それだけ文章がうまいんだろうなぁ。
スピード感あふれる物語の中で、プリンを食べたがるイワンと健康面を気にしてあまりあげたがらないフランソワーズ。
それをジョーに愚痴るイワン・・・そうぞうすると和みました^^
続き、楽しみにしています。

97 :
>>95 >>96
レスありがとうございます。
マクロスとか銀英伝とか、最近なぜか今更IS書きたくなって、設定ちまちま書いてたり……
つうか、俺は何でISのBDをオクで落としてるんだ……シャル可愛いよシャル
フランソワーズといい、シャルといい、今年はヒロイン、フランス系に弱いんですかね、俺……
009の方は設定ほぼ出来てますんで、今月中に短編の続き終わらせたら、書き貯めに入る感じです
3月ぐらいかな? 連載開始するとしたら。その間、保守用に何か書くかもしれませんが。
アクションシーン、大丈夫だったみたいでホッとしてます。
鬼畜陵辱系とかは書けないんですが、ヒロインがピンチになるシーンを書くのは好きですw
3人のやり取り、大丈夫でしたでしょうか。009の魅力の一つって、サイボーグになっても
人間臭いやり取りがキチンと描かれてるとこなんで、和みシーンは絶対必要ですよね。
感想ありがとうございました。続き、もう少しかかりそうですが、頑張ります。

98 :
プリンのくだりは本当に和みました。
イワンがぐーの手で幼児用スプーンで食べるのか、
フランソワーズがあーんして食べさせてあげるのか、
どっちにしても頭脳明晰、冷静沈着な中身とのギャップに萌えました。
プリンの薀蓄も語りそうで笑える。
ホットワインも美味しそうでしたが、
下戸なので自分で飲めないのが残念、、、。
キャラのイメージもしっかり把握されていらっしゃるし、
すごく良かったです。
連載もご計画中とは嬉しいかぎり。
楽しみにしていますので、どうか頑張って下さい。

99 :
完結編の小説もこういう人が書いてくれていたら、
よかったのに、、、。

100 :
すみません、月末辺りに続き投下しますが、終わるのずれ込みそう……
何でこんな時期に、文庫版の文明崩壊が出るんだよorz
2,600円超で1000ページ以上って、読み終わるの何時になるんだろう……
小説も書きたいから、ちまちま読んでいくかなあ……

101 :
あ、レス付けの分、送信ミスったorz
>>98
やっぱグーの手で食べるんじゃないですかね。
食べさせてもらうよりは、男の子ですからイワンも
キャラのイメージ……ずれてないかが毎回の心配で……
>>99
せめて完結編はもっと後味良いのが読みたかった……
ぬるりってなんだよ、ぬるりって……
続き頑張ります……他の職人さんも来てくれないかなあ……

102 :
息子さんの小説読んだ感想は
なんだか荒んだものを見た、という印象。
3巻の003のシーンのほとんどが
ヒステリックに自分を哀れんでばかりいて、
(キャラ違いすぎ)
痛過ぎたからかもしれんが、、、。
息子さんの心の叫びか?
こちらの人間描写のなんてまともな事
書いてくれて本当にありがとう。
そういえば、
以前ラブコメを書きたいと言っていた方はいずこへ、、、?

103 :
>>102
キャラ全員が凄惨過ぎる目にあってて、嫌すぎました。
息子さん、色々あったんですかね。そうでないと、ああは書けないだろうし。
狂信的なファンに酷い目にあわされたのかと勘ぐったぐらいで。
ラブコメ書きたいと言ってた職人さん、戻ってくれないかなあ……
という訳で、出来てる分だけ更新しますー
注意事項ですが、物凄く痛い描写が出てきますのでご注意ください。
痛いの嫌な人は見ないほうがいいかと。
フランソワーズが酷い目にあうシーンはありません(そんなの書いたら俺の気が狂う。

104 :
 この世で最も嫌な悪夢って、何か分かるだろうか?
 悪夢の内容なんて人それぞれだから、どれが最も酷い内容かなんて、さほど意味は無い。
 最悪なのは、自分が最も恐れる悪夢を何度も見ることだ。
 一度や二度なら、まだ良い。
 酒や薬、楽しい記憶で消してしまえるという希望が残るからだ。
 しかし、それが何度も続けばどうか?
 何度も何度も繰り返していると、次第に分かってくるのだ。
 自分がどこで胸を締め付けられるような怖さを感じ、どこで声を上げ、どこで恐怖の叫びをあげてしまうのかを。
 そして、それが分かっているのに止めることが出来ず、恐怖に慄く。
 フランソワーズの今が、まさにそれだった。
 ああ、まただ。
 フランソワーズは自分が悪夢の中にいる事を自覚しながら、それを振り払えない状態でいる事に、半ば絶望した
気持ちを抱いている。
 夢の中で動いているのは昔、まだジョーと付き合い始めた……キスを許したばかりの頃の自分。
 ブラック・ゴーストのアジトを襲撃して、自分は彼らのデータバンクを漁って情報を集める任務に就いていた。
 背後では009=ジョーが油断なく辺りを警戒し、彼女に危害が及ばないように目を光らせている。
 危険などまるで感じずに、フランソワーズはデータバンクの端末コンピューターを操作し、蓄えられた情報を持ち
込んだノートPCに引っ張り出していく。
 まだインターネットは限られた実験段階の時代で、ブラック・ゴーストの各基地やアジトにあるデータもクローズドな
物が多く、特定の情報が欲しければそこまで行って強奪しなければならなかったから、面倒なものだった。
 その上、このアジトに保管されているデータは、なかなかにおぞましい内容の物だった。
「何か分かった?」
「凄く不快な内容よ、ジョー。ここ……どうやらブラック・ゴーストの性風俗部門を管轄してるらしいわ」
「……手広くやってるんだね」
「人類の最古の職業の一つ……だったかしら? 当然、ブラック・ゴーストならやっていてもおかしくはなかったわね」
 軽口を交わしながら閲覧していくが、そうでもなければやっていられない。
 軍需産業が主な資金源と思われるブラック・ゴーストだが、兵器以外で軍隊に付き物な物が二つあるのを忘れてはならない。
 即ち、酒と女である。
 古来より軍隊からこれを引き離す事など不可能であるため、歴代の政治家や軍事指導者はこの確保と維持に頭を悩ませてきたものだ。
 また、軍隊があるところ、この二つを扱う商人は必ず現れる。
 兵がいる周囲に酒場や娼館が必ず建てられるのは、それだけ商売として需要があり、旨味を味わえるからである。
 アル中や性病を防ぐために禁止した国もあるが、結果は酒の密造や、戦場、基地・駐屯地周辺でのレイプ、同性愛が増加したという笑え
ない事態だった。
 結局、ストレスや欲求というのはダムに貯まる水のようなものであって、適度に水門を開いて開放しないと、致命的な事態を巻き起こす。
 健康や人権を口にする人間はしばしばそれから目をそらしたがるが、現実は妄想に付き合ってくれるほど優しくない。
 ブラック・ゴーストがそれに目をつけたとしても、何ら不思議はなかったし、むしろトップ・クラスのメンバーにそれを扱う者がいないと思う
方が不自然だった。
 むしろ、中枢メンバーに性風俗を扱うメンバーが居るのはごく自然と言える。
 フランソワーズが調べたデータが正しければ、ブラック・ゴーストの資金源の中でも、性風俗を取り扱う者達の供出する資金は多くはない。
 動く金の大きさという事では、兵器産業を始めとした多額の金が動く産業には勝てないが、彼らに勝る部分もある。
「……恐ろしいわね、これ。裏の性風俗のクラブに所属してるメンバーのリストもあるわ」
「偉い人が多い?」
「公開したら、世界の政治家や企業のトップが何%か一気に減るわね」
 眉を顰めながら言う彼女の前のモニターには、ブラック・ゴーストが主催する裏クラブの会員リストが記載されていた。
 中には、二人も知っているような有名な政治家や企業のトップ、芸能人などの名前まである。
 偉くなった人間はバレないように遊びたがる、というのもあるが、もう一つの理由もあった。

105 :
「それにしても凄いわね……これ、会員リストに趣味まで記載してるわ……。これが流出したら、どれだけのスキャンダルが巻き起こるのやら」
「趣味?」
「少女が好きとか、叩かれるのが好きとかそういうの……やだ……これ、酷いわ……」
 フランソワーズは思わず目をそらしたくなってしまう。
 性的嗜好にケチを付けるつもりはないが、あまりにもひどい単語が羅列されていては、そうもなってしまう。
 SMや野外露出なんて当たり前のものから、排泄物を飲食したり、人体の欠損や生に関わるものまであるのだから、まともな神経をしていた
ら、二秒と見ていたくない。
 フランソワーズだって、任務じゃなければサーバーの中身を全部消去するか、あるいは全世界に公開してまとめて破滅させるのか、どちらかを
速やかに選んでいただろう。
「……取り敢えず、全部コピーしておくけど……これが流出したら、とんでもない事になるわ…………………?」
 溜息を吐きながら、個人情報なんて見ない方が良いという真理を痛感しているフランソワーズは、ふと奇妙な事に気がついた。
「どうしたの?」
「……分からないけど、何か秘密のフォルダがあるの。何かしら……」
 今なら、悪い予感に従って見るのを止めるか、別のメンバーに見てもらったかもしれないが、夢の中ではそれもかなわない。
 そして、夢の中のフランソワーズはいつものように、そのフォルダを開いて中を閲覧してしまう。
「データに報告書? ………………っ!?」
 そこにあったのは、様々な実験内容を記録した報告書に過ぎなかった。
 被験者の顔と裸身の写真に、された実験の内容と結果を羅列したものが、幾つも彼女の目に入る。
 だが、内容は彼女の想像の範疇を超えていた。
 被験者の一人は、どれだけの回数に耐えられるかの実験で、ひたすらレイプされ続けていた。
 因は膣内部の裂傷による出血多量と、ショック。
 他の一人は、どれぐらいの物が入るかの実験で、内部が破裂しての亡。
 見ているだけで頭が変になりそうな内容が淡々と書かれ、それが膨大な数の情報となってフランソワーズの目に入る。
 どの被験者も美しい女性だった。
 そして、誰も生きていない。
 これらは全て、ブラック・ゴーストが開発しているハニートラップ用のセクサロイドの実験記録だった。
 あらゆる男性の……それもあらゆる変態的で鬼畜な性的嗜好であっても対応できる、一部の男からは夢の様な存在を作るための。
 そのために、膨大な数の女性が犠牲になり、それは今も続いている。
「なんて事…………」
 震えながら、フランソワーズは実験記録に目を通していく。
 そうしなくてはいけないと、強迫観念が頭の中にあった。
 記録はどれも悲惨なものであり、どんな極悪な内容のホラー映画であっても、こんな真似はできないだろうという内容のものまであった。
 単なる文字の羅列であるため、余計に内容が想像できてしまう。
 生身の女性だけでなく、実際に改造され、実験に供された女性の記録もあるが、それもほぼ全員が亡している。
 全員が、人間では耐えられないような壮絶な拷問の末、無残なを遂げていた。
 そして………………。

106 :
「……何で……………」
 一つの記録を見た時、フランソワーズの思考は完全に停止した。
 そこにあったのは、数少ない二体の欠番のうちの一つ。
 改造されたものの実験前に逃亡したため、データが取れなかった実験体の記録だった。
 単なるハニートラップだけでなく、スパイ活動や他のサイボーグと組んでの破壊活動を行うために、性的機能以外も改造された実験体。
 Francoise Arnoul
 そこには、確かにそう記されていた。
 嘘だと言えれば、どれだけ楽になれただろう。
 目の前のモニターを破壊してしまえば、少なくとも現実逃避が出来ただろう。
 だが、そのどれも彼女には出来ない。
 出来たのは、その文書に添付された写真が改造される前の彼女のものであることを確認できた事だけだった。
 そして、いつものように夢の中の彼女は膝から崩れ落ち、ジョーが駆け寄ってくるまで何も出来ない。
 喉から嗚咽が漏れ出てくる。
 涙で顔がくしゃくしゃになり、視界が滲む。
 崩れる前にキーが乱雑に叩かれたからか、既にモニターには彼女の姿はなく、別の実験体の名前に変わっている。
 慌てて駆け寄ってきたジョーが彼女の肩を掴み、抱き寄せてくる。
 涙で滲んだ目がモニターの前を通り過ぎた時、ほんの一瞬見えたのは、見覚えのある褐色の髪と目だった。

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取り敢えず、本日ここまで。
次回で、この短編終わらせます。そして恐ろしい事にエロ入れるスペースが無いorz
どうしてこうなった……あ、もう一人の欠番が誰かは、まあ想像通りの人です、はい
必要以外は全部削ったんですが……設定が痛いと思われた方、本当に申し訳ありません。

107 :
続きありがとうございます!!
こ、怖かった、、、、、。
文章力あり過ぎ、、、、。
続きはきっときっとフランソワーズをなぐさめる展開と信じてますので
で、できたら早目に読ませてもらえたらうれしいです。
この怖いまま待つのが辛い、、、、。
エロが入らないのですね、残念、、、。
って、勝手ばっかり言ってすいません。
書いてくれてありがとう!

108 :
>>107
レスありがとうございます。
フランソワーズは大丈夫なんですが、話自体は明るい終わり方にはならないかも。
この終わりが、REの時代へと続きますので……。
続き、頑張ります。

109 :
続き来てるーありがとうございます!
思ってたよりも酷いリストでした…
もう一人がわからない…「ヘ」のつく人?
ラスト、心してお待ちしてます

110 :
楽しませてもらっています
奴らが言ってた人ですよね?もうひとりは

111 :
なんというエロパロ向けのオリジナル設定
と思ったらエロ入らないってwww
斬新、、、、、、。
もう一人は3と一緒に逃げ出した人だよね?
奴らもそう言ってたし。
どうぞフランソワーズを幸せにしてあげて下さい。

112 :
書き忘れました。
相変わらずのハイクオリティでした。
続き楽しみにしています。
よろしくお願いします。

113 :
皆様、レスありがとうございます。
>>109 >>110 >>111
最初、どんな事されてるか動画再生とかもあるのかなあと思って……
構想だけして倒れたんでやめました(実話
鳴海丈さんのされざる者とか読むんじゃなかったなあ……(あの人のはえげつない描写が多い
もう一人は出ます。
ぶっちゃけ、今回は設定使わなくても長編とかでエロ回収できますしw
エロ以外でも色々と伏線になりそうな予感……
フランソワーズは幸せにしますが……書けば書くほど、REの世界そのままに行かない……
ジョーとフランソワーズ以外に、それぞれのサイボーグにも彼女とかいるだろうし、それぞれ
エロ書いてあげたいという気もしていたりw
続きは月曜か火曜辺りに投下する予定です。
私の暗いんで、誰かラブコメ書いてくれないかなあw

114 :
ちょい体調悪いのもあって、続き遅れそうです。申し訳ありません。
頭痛い……薬飲んで寝ますorz

115 :
お疲れさまです。
どうぞ無理なさらず、ゆっくりお休み下さい。
ゆっくりお待ちしておりますので。
いつも面白いもの書いてくれて感謝してます!
どうぞお大事に!

116 :
保守

117 :
遅れてすみません。体調少し戻ったんで、何とか書くの再開しました。
まあ、後は終わらせるだけなんで道は見えてるんですが……暗いから書くのがしんどい
いや、痛いシーンとかは無いんですが。
早く終わらせて、書き溜め入りたい……他の職人さんの作品も読みたいなあ……

118 :
ここの作家さんの作品は文章もストーリーも重厚でかっこいいね。
ご本人は暗いって言ってるけど、それが大人っぽくてかなり魅力的だと思う。
自分はこの暗さも好きだなあ。
4の話もかっこよかったし
なにを書いてもいい味出されてるから
REと違っているなら違ったなりの面白いもの書いてもらえそうで期待。
ご本人の体調が心配なところですが、、、
どうぞお大事に。

119 :
というか、作家さんのレベルが高すぎて他の人が投稿しづらくなってると予想w

120 :
もしかしたら、それはあるかもw
息子さんの003が酷すぎたので
どんな形でもいいから
職人さんの愛のあるフランソワーズを読ませていただけたらうれしいが。

121 :
>>118 >>119 >>120
暗いのは嫌いじゃないんですが、書いてて気が滅入るのが難点で
長編だとアクションやらエロやら爆発やら入れられるんで、良いんですが
職人さん来てくれないですかねえ
グレートとフランソワーズ書いてくれた職人さんとか凄い上手だったのになあ……
誰か来てほしいなあ……
息子さんの003は……漫画で絵になる時が怖いですね
スプラッタ映画にしかならん気がするんだけどなあ……完結編を漫画化しても
取り敢えず月曜か火曜辺りに投下できるようにちょこちょこですが、何とか進めてます。
これでようやく連載の方にとりかかれそう……

122 :
続きを少しづつでも進めて下さってありがたいです。
よろしくお願いします。

前スレで73を書いてくれた方
エロなのに品があって良かったですね。
完結編は
3があんなにもグロい状況に陥ろうが陥るまいが
その後のストーリー展開に殆どなんの影響無かったのが、なんだかなあ、、、、、。
続き楽しみにしてます!

123 :
童帝氏のやる夫スレが徹夜確定だと……見ながら書いてたら完成したんだよな……
続き読みたいから、投下しながら読もう
諸注意ですが、痛い設定や描写、及びオリジナル設定が出ていますのでご了承ください。
苦手な方は透明化など対処をお願いします。
……短編のはずが終わったら、80キロバイト近く書いてた……何考えてる俺orz

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「フランソワーズ………………」
 どこかで優しく自分を呼ぶ声がする。
 暗い悪夢の中に、一筋の光が舞い降りたかのような優しく力強い声。
 そして、冷たい暗闇に囚われそうになっている彼女の肩を抱くジョーの腕が、徐々に温かみを増している。
 いつものように、彼女の心が悪夢の中から引き上げられて……。
「大丈夫?」
 目を開けると、ジョーの褐色の瞳がすぐ近くにあった。
 いつもの優しい目をした恋人が、心配そうにこちらを覗き込んでいる。
 背中に馴染んだ柔らかい感触がするから、自分は今、ソファーに横になっているらしい。
「……ごめんなさい。眠っていたみたい」
「可愛い寝顔だったよ。うなされるまでは」
 澄ました顔でフランソワーズの頬にキスすると、ジョーは笑ってそんな事を言う。
 エプロン姿の恋人の背後から、何か良い匂いがしてくるから、おそらく夕食の支度もしてくれていたのだろう。
 ソファーにかけていたら、いつの間にか眠っていたらしい。
 今、自分がいるのは、悪夢の原因になったブラック・ゴーストの基地ではないし、その悪夢を思い出す事になった、
サイボーグ達に襲われた廃墟でもない。
 ジョーがフランソワーズと、二人で暮らすために買った一軒家。
 郊外にあって、近所と少し距離がある事と、二人で生活するには適当な大きさであったのをジョーが気に入って買った家は
それ以来、二人で作り上げた生活の場になっている。
 フランソワーズからすればマンションやアパートで構わないと思ったが、以前に自宅を丸ごと吹き飛ばされた経験のある
ジョーが押し通し、今では彼女もすっかりこの家が気に入っている。
 ギルモア邸のようにサイボーグ達全員が暮らせるような広さはないが、二人で暮らすには十分なスペースがあり、木が多く
使われて落ち着くデザインと、暮らしやすさと頑丈さを重視して設計されているからか、住んでいて居心地が良かった。
 街から少し離れているのが不便と言えば不便だが、自転車で十分も漕げば良い程度の距離だから、気にならない。
 そんな自宅の居間で、ソファーに腰掛けてひなたぼっこをしていれば、自然と瞼が重くなってしまう。
 今日もフランソワーズはひなたぼっこをしている内に、眠ってしまったのだった。
 ブラック・ゴーストのサイボーグ達に襲われてから二ヶ月が経過しているが、今もフランソワーズはジョーに付き添われる
以外では外出を控えるようになっている。
 外出先もバレエ教室以外では買い物かギルモア邸ぐらいで、出歩く事は少なくなっていた。
 最初の数日は薬の助けを借りなければ安眠できなかったが、今ではそれも落ち着き、少しずつ心の傷も癒え始めている。
 あまりにも酷ければカウンセラーを手配しなければならないところだったが、幸いな事にギルモアが診た限りではその心配も
無さそうだった。
 だが、女性にとって最も悲惨な目に遭う寸前だった心の傷の深さは想像しようもないため、ギルモアの勧めもあってジョーは
フランソワーズに付きっきりで寄り添っていた。
 仕事をオフにしているのもあり、フランソワーズが不安がらないように常に目の届くところにいるようにジョーは心がけている。
 必要な際はギルモア邸に連れて行き、常に誰か信頼出来る仲間がいるようにしていた。

124 :
「ごめんね、ジョー。心配ばかりかけて」
「僕の方こそ。君が僕の事をどれだけ心配してくれていたのか、ようやく分かったよ」
 身を起こして済まなそうに言う恋人に、ジョーはちょっとだけ困った顔になって言った。
 サイボーグ戦士の中で屈指の負傷と破損率を誇る彼だったから、今までにどれだけフランソワーズに心配をかけたのか、
もう思い出せないぐらいだ。
 心配する側になって、ようやくフランソワーズの不安が分かったのだから、自分で自分を殴りたくなるのが最近の傾向である。
 とは言え、今はそれより優先する事がある。
「そろそろ夕飯だけど、どうする? もう少し眠るかい?」
「ううん、もう起きるわ」
 ソファーから立ち上がりながら、フランソワーズは少し伸びをして筋肉の凝りを解す。
 少し鈍り気味なのが、自分でも分かるのが別の意味で憂鬱だった。
『贅肉とか付いたらどうしよう……』
 最近はあまり外出しないため、バレエの練習で汗を流しているとは言っても、どうにも気になるものである。
 夜の生活もジョーが気を遣っているのでご無沙汰気味であり、最近ようやく少しずつ再開した程度だから、カロリー消費なんて夢のまた夢。
 サイボーグなのだから太らないとは思うのだが、どうにも気になるのが女心だ。
「今日の夕飯って何なの?」
「ぶり大根、ほうれん草の味噌汁、かぼちゃの煮物、卵焼き……卵の味付けは僕の好きな甘いやつだけど」
「……美味しそうね」
 幸い、ジョーも空気を読んでくれたのか和食だったので、ホッとした。
 一緒に暮らす時間も増えたためか、ジョーも料理や家事が上手くなってくれて、こういう時は助かる。
『後は外出する時間を増やすように頑張って、それと……』
 もう一つ、考えなければならない事がある。
 少し前から気づいていたが、ずっと口にできなかった事。
 襲われた事による混乱からずっと話せなかったが、そろそろいいだろう。
 ジョーの後ろをついて行きながら、フランソワーズはそんな事を考えていた。
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「ごちそうさま。美味しかったわ」
「それは良かった」
 夕食はフランソワーズの口にも合って、美味しいものだった。
 一緒に暮らす時間も長くなっているので、自然と好みの味付けが分かるようになっているらしい。
 デザートの代わりと出された、さつまいものレモン煮をつつきながら、フランソワーズは努めて自然に見えるよう口を開く。
「ねえ、ジョー」
「何?」
 フランソワーズの内心に気づいていないのか、キッチンで食器を片付けながらジョーは視線だけをこちらに向けてくる。
「私に何か言いたい事があるんじゃないの?」
「………………」

125 :
 この時点で、フランソワーズはジョーが深刻な悩みを抱えているのを確信した。
 核心を突かれた時にポーカーフェイスができない性格は、未だに変わっていないからだ。
「正直に言って」
「……フランソワーズに隠し事をする気はないけど、今はね。もう少し落ち着いたら……」
「ジョー」
「…………………」
 ただ一言、はっきりした口調で名前を呼ぶ。
 こういう時のフランソワーズの頑固さは筋金入りなのをよく知っていたから、ジョーはあっさり全面降伏すると、テーブルに戻ってくる。
 逃げるほど後が怖いというのは、数十年の間にようやく学習できた真理の一つでもあった。
「あなたが私のことを気遣ってくれるのは嬉しいけど、それとこれとは別よ」
「うん」
「何を悩んでいるのか教えてくれる? 力になれないかもしれないけど、少なくともジョーと悩みを分かち合うぐらいはできると思うわよ?」
「……そうだね」
 デザートの皿をどけ、差し向かいに座ったジョーの手をそっと握りながら言うフランソワーズの言葉は、その手のひら同様に温かい。
 その手を持ち上げて頬に当てながら、ジョーはそっと目を閉じて何か考え込む表情を見せる。
「ずっと悩んでいた事があるんだ。最近、それが凄く心に引っかかってる」
「うん」
「君が襲われた後、僕らがブラック・ゴーストの関連組織のアジトに襲撃を繰り返してるのは知ってるよね? 以前、フランソワーズが
見つけたリストを持っていた……新しいリストが見つかったから、また潰しにかかってるんだけど……先週も行ったし」
「ええ、勿論。帰ってきてから、ジョーは一睡もしていなかったわよね?」
 何があったのか、誰も教えてくれないけど。
 そう、心の中で付け加えるが、口には出さない。
 数年前、例のアジトで見つけたフランソワーズの秘密に関して詳しく知っている人間はジョーや博士、イワンぐらいだ。
 しかし全員が何となくそれを察していたのか、あのアジトを襲った時の事に関してはみんなさりげなく話題に出さないなど、気を遣ってくれている。
 そんな彼らだったから、ブラック・ゴーストの性風俗関連の組織への襲撃にフランソワーズを参加させない事は全員一致で決まっていた。
 反対者はフランソワーズだけであり、誰もが彼女の意見を、これだけは聞こうとしなかった。
 彼女を傷つけたくないという気遣いもあったし、女性に見せるには酷すぎる光景を、彼らは何度も見ているからだ。
 フランソワーズ自身、彼らが隠している内容は薄々と想像がつくし、全員の顔を見ればどんな酷い物を見たのか考えるまでもなかった。
「僕らが襲ったアジトや施設は、どこも酷いものだったのは察しがついていると思うけど……先週は特に酷かった」
 思い出すだけで、心がヤスリで擦られるような気分になる。
 こんな時、酒を飲まない習慣が仇になるな、とふと思う。
 人工の目にすら消し切れない暗い感情を宿しながら、ジョーは重くなりそうな口を開いた。

126 :
「そっちは終わったかい?」
「ああ」
 部屋を出ると、あちこちに弾痕の残る廊下で担架を見送る008=ピュンマの感情の無い声が答えた。
 いつもは理知的で快活な青年が、今はひどく老け込んだ老人のような顔を見せる。
 遠くの方で聞き覚えのある銃撃音がしているから、ハインリヒがまだ撃ちまくっているのだろう。
 イワンとピュンマが練った完璧な計画による奇襲をかけたサイボーグたちは30分と経たずに、ブラック・ゴーストのアジトを
壊滅させていた。
 性風俗関連を取り扱う組織が持つアジトの一つには当然、世界中から集められて非道な扱いをされている性奴隷だけでなく、
変態的な性欲を満たしに来た者達や、それに関するデータも存在している。
 後から突入した現地の警察が、ブラック・ゴーストのメンバーや客を逮捕したり、生き残っている性奴達の救出、体の
搬出に取り掛かっている。
 他のメンバーは、まだ敵の生き残りがいないか警戒しているが、それも無いだろう。
 ミッションが手早く、そして味方に犠牲もなく終わったというのに、二人の顔に達成感はない。
「……何人、助かった?」
「女性が35人。男性が13人。その内、未成年者……まあ全員がそうなんだが、小学生以下が16人いる。助からなかったのと、
助かりそうにないのは3倍以上」
 これまでに襲撃してきたアジト同様、ここにいる性奴達はまともな生活を送れないように徹底して人間としての尊厳を壊されている。
 全員が薬や洗脳教育を施され、改造手術を受けた者も多い。
 使い物にならなくなるまでブラック・ゴーストの顧客の相手をさせられた者達は、飽きられれば家畜じみた最後が待っていた。
 マニア用の映画撮影に、人間以外の相手をさせられたり、組織の兵士として『リサイクル』されるのは良い方で、ほぼ全員が販売用の
スナッフ映画に使われたり、ブラック・ゴーストの実験用モルモットや、あるいは顧客の衝動を満たすための生贄に使われている。
 人をしてみたい、壊してみたい、食ってみたいなどという歪んだ欲求を持つ者も、ブラック・ゴーストには良い顧客なのだ。
 最近では、それ専用に赤ん坊の頃から食事や教育まで完備する『ブランド物』の養殖計画まで進めているという。
 廊下の壁に背中を預けた二人は、救出された子供たちの暗い未来を思い、溜息を吐いてしまう。
 助からなかった者達も、助かりそうにない者も、末路は明るくないのが分かっているからだ。
 体は尊厳を持って埋葬される事はなく、どんな風に改造されたのかを調べられるために解剖される事が大半だし、にかけている者も、
残り少ない寿命を実験に使われるのが常だった。
 そして、それを止める術はサイボーグ達には無かった。
 助かった者達の事後の面倒まで見れるような余裕はないから、どうしても国の助力を必要とする。
 文句があるなら、自分たちだけでやれ。
 そう言われてしまっては、助かる者を助けるために目を瞑るしか無かった。

127 :
「助かった子たち、どうなるかな」
「地獄が延長されるだけだろうさ」
 ジョーの言葉に、ピュンマは唇を歪めて答える。
「この国も……先進国でトップクラスの癖に、福祉の予算が削られてるからね。孤児院や収容施設のレベルも低いし、民間の
里親が問題を起こすニュースも多いだろ? 誘拐されて来た子たちは、ここが祖国じゃない子ばっかりだから、言葉もろくに
分からない。ここしか知らない子達は……」
 牧場で飼育された家畜を野に放しても、長く生き延びられる確率は少ない。
 脱走を懸念したブラック・ゴーストの『飼育』は入念で、殆どの犠牲者は蚕のレベルで、組織に完全依存させられている。
 大半が共産圏や第三世界の貧しい国から誘拐するか、小銭で……あるいは先進国なら端金で買えるような物で売り払われて
おり、帰る場所はない。
 赤ん坊から組織の施設で育った者にとっては、それ以外の世界が想像できないように教育すらされていた。
 そんな者達がされる前に助けられたとしても、どんな未来があるというのだろう。
 国が助けてくれるなんて幻想は、誰も持っていない。
 貧しい祖国に帰還しても待っているのは緩慢な地獄だし、現地で放流されても、金も身寄りもない児童に何ができるのか。
 潰され、されるまでは少なくともセックス以外は衣食住を保証され、整った環境で暮らせた子たちが、ただ辛い日々に耐えられる筈もない。
 誰が言える?
 最低限の教育もまともに受けられないような惨めな境遇にされ、皿洗いや掃除人みたいな低賃金の重労働に身をやつす生活を与えられて、
良かったなと言える訳がない。
 自由な世界に憧れた子達もいるが、そんな想像すらできないように教育され尽くした子も多いのだ。
 そして、そんな呪縛から解放して外の辛い世界で生きて行けるようにするには献身的な治療と教育、支援が必要だが、そんな真似ができる
余裕のある国はどこにもなかった。
 ブラック・ゴーストのアジトは世界に存在し、実験や商売に供される少年少女の数は多く、とても手が回らない。
 今回も助けられることはできたが、子供たちの未来は暗いだろう。
 捜査員に連れ出される子供たちの目にあったのは助かった、解放されたという希望ではなく、別の地獄に移されるだけという諦念に満ちた
無表情だった。
 サイボーグになる前は自由を求めて反政府ゲリラをしていた事もあるピュンマだが、それがどれだけ幸運だったのか、今ではよくわかる。
 彼の両親や祖父母は、西欧にただ食い物にされないためには教育が必要だと考え、商売で成功した財産で彼を外国に留学までさせてくれた。
 だから、何がおかしいのかを考え、行動する指針も自分の中に作る事ができたのだ。
 それが与えられなかった子供たちや奴隷の未来は、暗いものでしかない。

128 :
「……僕たちのした事は間違ってたのかな……」
「間違っちゃいないさ。だけど、それだけで人を助けられるほど世の中は優しくないって事を、ぼく達は忘れていただけだ」
 二人が言葉を交わす間にもまた一つ、無表情な警察特殊部隊の隊員が担架を押し進めて行く。
 小さな、子供ほどのサイズの膨らみなのに、シーツの端から出ている頭頂部のサイズは大人のものだ。
 そして奇妙な事に、足元らしき部分からはみ出ているのは犬の尻尾だった。
「あれは?」
「ああ、人面犬て知ってるか? ジョー」
「都市伝説だろ」
「ああ……世の中には、ぼく達じゃ想像もつかないレベルの変態がいるみたいでな。人面犬とセックスしたいって要望を持った
金持ちの変態がいて、ブラック・ゴーストが用意したのが、あの子だ」
「…………っ!?」
「犬の体に人間の頭くっつけるなんて、無理もいいところだろ? 当然、心臓も何もかも保たないし、人工臓器に変えたって拒絶
反応が激しい。ぼく達みたいな改造じゃなくて突貫作業だったから、無理も多い。一回やられただけで、心臓が破裂したそうだよ。
ぼく達が襲撃する30分前にね……もっとも、生きていても発狂しただろうけど」
「その変態はどうなったの?」
「生きてるよ。多分、明日からはブタ箱の外でも掘られる方に転身だろうけどね」
 そう言って、ピュンマはフンと鼻を鳴らす。何をしたかは言うまでもなかったし、ジョーも敢えて聞かない。
「ここを仕切ってた幹部はやっぱり、んだのかい?」
「ああ……」
 首を振って話題を変えるピュンマに、ジョーは無表情に頷いた。
 彼が出てきた部屋の中には、ブラック・ゴーストの幹部の一人が倒れたままだ。
 何でんだのかは、ピュンマは聞かない。
 理由を聞いたって意味が無いし、そうするには彼の心も疲れ切っていた。
「ぬ前に、なかなか楽しい演説を聞かせてくれたけどね」
 ちらりと背後のドアを見ながら呟くジョーの耳には、まだブラック・ゴーストの幹部の声が残っている。
----------------------------------------------

「お前たちがやっている事なんて、意味があると思うのか?」
 ジョーに四肢を破壊されて這いつくばりながらも、このアジトを預かっていたブラック・ゴーストの幹部は精一杯の虚勢を込めて
睨みつけてくる。
 脂ぎった精力的な中年男の幹部の顔色は青黒く変色しており、鏡を見たカエルのように顔中が脂汗にまみれている。
 ジョーにへし折られた手足から体液が噴き出て床を濡らし、人間なら血の海を作っているところだ。
 ご多分に漏れず幹部もサイボーグだったが、この調子だと必要な体液が不足して、各所の臓器や機器が異常をきたしてぬのは
間違いない。
 部下や施設を見捨てて脱出しようとした幹部を叩きのめしたジョーだったが、とどめを刺さずに、どういう訳か放置した状態で這い
つくばった彼を眺めている。
 どうしてジョーがそんな事をしているのかまで頭が回らない幹部は、自由に動く口を使ってジョーをののしり続ける。

129 :
 ヒーローごっこで良い気分だろうな。かわいそうな子たちを救ったつもりか?
 我々の組織がどれだけの売女を扱ってると思う? お前らが救ったと思う奴らなんか、海の中から水をすくうより少ないんだ。
 我々を責める? 冗談を言うな。
 最近じゃ、ちゃんと親や施設の保護者を介して手に入れてるんだぞ?
 ああ、今日届いた子は一人10ドルもいらなかったな。マクドナルドで2時間と働かずにもらえる金で、5歳の娘を両親が大喜びで売り飛ばしたのさ。
 世界中に幾らでもいるぞ、そんな親はな。
 子供を売り飛ばすなんて罪悪感一つ無いんだ。
 自分たちが生き延びる方が尊いなんて嘯くか、ここにいるよりはマシなんて本気でほざいてるのさ。
 止められるのか、お前ら? 止められるつもりか?
 お前らが助けたつもりの子がどういう人生を歩んでるか分かるか?
 街角に立ってみろ。お前らが助けた子が立ってるぞ。助けた人ですと名乗るか?
 お礼に、タダでしゃぶってくれるぐらいはしてくれるかもな。
 まだ正義の味方のつもりか?
 お前ら、漫画のヒーローみたいに俺達をぶっ飛ばせばそれで終わりと思ってる、後始末も出来ない低能の癖に。
 悔しかったら、ガキや売女どもを全員助ける魔法でも見せてみろ。
「……いや、単なる仕返しさ。同胞をされ、酷い目に遭わされたね」
「同胞だと?」
 機械の体であろうとも、体液が不足してきた事による不調から少しずつ声に力が無くなっていく幹部を眺めながら、ジョーは静かに口を開いた。
 思ってもいなかった言葉に、幹部が訝しげな顔になる。
「知らなかったのか? 僕はゼロゼロナンバー・サイボーグの最終試作品だよ? そもそも、003に戦闘用以外の能力を持たせたのは、君達
じゃないか。この前、ちょっかいも出してくれたし。なのに……」
 何で、全員の能力を参考に改造された僕が、セクサロイドの機能も持たせられなかったと思うんだ?
 そして、僕が自分の体のそんな機能に気が付かないと思う?
 自身の秘密を口にしながら、ジョーはブラック・ゴーストのメンバーの中でも自分達の情報が詳しく伝わっている訳ではないのだな、と改めて
認識していた。
 インターネットが実験段階というのもあるが、やはりブラック・ゴーストほどの巨大過ぎる組織では情報の共有化は難しいらしい。
 あるいは、もうサイボーグ戦士たちの些細な個人情報など、共有する価値もないと判断されているのか。
 そんな事を思いながら、言葉を続ける。
「そういう意味じゃ、君達に酷い目に遭わされたみんなは僕の同類であり、仲間という事になるね。だから、別に正義のためなんて思わなくて
いいよ。単なる八つ当たりと復讐も兼ねてるからさ」

130 :
 ジョーが自分の秘密に気づいたのは、あの日……フランソワーズが自身の秘密を知ったのと同じ時だった。
 パニックになる彼女を慰めながら、ふとモニターに映るリストに眼をやると、自分の名前も載っていたのだ。
 考えて見れば当然の事だった。
 フランソワーズという女性のセクサロイドの試作品が作られたのなら、なんで男性型のセクサロイドも試作されていない?
 世の中の半分は女性で、男娼を求める者も一定数いる。
 そしてハニートラップを行う対象に女性や同性愛の嗜好を持つ男性を相手にするには、どうしても男性のスパイが必要になるのだ。
 女性や……あるいは一部の男性を性的に喜ばせる機能に加え、容易に篭絡させる事を目的とした能力。
 機械的に改造する必要もあるし、元から容姿やスタイルが魅力的であればなお良い。
 ハーフ特有の美貌とスタイルに加え、逞しい肉体を持つジョーがサイボーグにされた際、セクサロイドの試作品としても改造されたのは
ごく当然の事だった。
 いや、そんな彼だったからサイボーグの実験材料としてリストアップされていたのかもしれない。
 どうやって世界中からサイボーグの実験体をスカウトしたのかまでは、ギルモア博士も知らなかったが、ブラック・ゴーストのスカウト
部門の者達が様々な手段で、実験にふさわしい人材を探しているのは確かだ。
 レーサーとして駆け出しの頃だったが、そのハーフ特有の美貌が話題になって新聞に載った事もあるから、それが原因だったのかもしれない。
 フランソワーズ以外にジョーの秘密を知るのは博士とゼロゼロナンバーの仲間達しかいないが、今でもその事は心の中に影を作っている。
 誰だって意中の女性を射止めたのが自身の魅力でなく、改造された事による上げ底の結果なのかもしれないと悩むのは嫌だろう。
 同じ悩みを共有し、分かち合えるフランソワーズがいてくれなければ、自暴自棄になっていたところだ。
 それでも長く思い悩み、フランソワーズと少しずつ心の傷を癒してきたジョーにとって、ブラック・ゴーストの性風俗に関わる者達は許せるもの
ではなかった。
 ましてや、自分と同じ境遇の者を今も大量生産しているとなっては、なおさらだ。
「最近、良い言葉を聞いたんだ。復讐は何も産まないし、正義を行なっても正しい結果がもたらされるとは限らない。でもさ……復讐をやり遂げたと
いう満足で心は満たされるよね?」
「俺をすか。復讐と憎しみで。やってみろよ。お前らが言う正義の価値がなくなるだけだ」
「安心して。無抵抗の相手をす気はないよ。ただ……」
 そう言って、ジョーは倒れている幹部をただ黙って見つめる。
「僕はお前を助けないだけだ。そして、何の術もなく虫けらのようにんでいくのを見ているだけ。ただ、それだけだよ」
 言って、ドアに背をもたせかけ、幹部を見やる。
「捜査員達は証拠の押収や、子供達の保護に忙しい。君が出血多量でぬまでの間、誰も入っては来ないよ。ここは君が女性を連れ込んで乱暴
するために防音になっているんだよね? 君の悲鳴も叫びも……恨み言も誰も聞いてくれないよ。自爆装置も壊された君にできるのは、もう少しの
間だけ、僕に喚き散らす事だけさ」
「…………っ!!?」
 激情も憎しみも、意も、ジョーの目には既に残っていない。
 ただ静かに……何の感情もいだいていない目で緩慢なを迎えようとする幹部を見つめているだけだ。
 先程まで良く回っていた幹部の舌が、ろれつが回らなくなったかのように震える。
 ジョーが本気だと悟ったのだ。
 震える口から、何事か言葉が漏れだすが、ジョーの耳には届いていない。
 彼にできるのは口と傷口から体液を漏らし続け、下半身を小便や大便で汚す事だけだ。
 それすら意に介さず、ジョーは見ているだけ。
 サイボーグとして改造されている幹部の肉体は、本人の意思に反して能力を発揮し、生存を維持し続ける。
 幹部が必要最低限の体液を失い、体の各所が機能を停止したため呼吸が停止し、脳に送り込まれる酸素が失われてに至るまで、たっぷりとした
時間を必要とした。
 その間、彼がどれだけの恐怖を味わったかは……ジョーは何の関心も抱かなかった。

131 :
「……正義を行ったつもり、か……」
 ピュンマと連れ立って歩きながら、ジョーは幹部が漏らしていた言葉を繰り返す。
 自分達は、悪の組織に立ち向かって戦う事が正義だと思っていたし、そう信じてもいた。
 だが、目の前に広がる地獄はどうだ。
 ベトナムでもそうだった。
 自分達は確かにブラック・ゴーストの介入をある程度は防ぐ事ができたが、彼らが売り捌く物資はどちらの軍隊にも
ばらまかれ、多くの犠牲者を生み出し続けた。
 どちらの側にも深い傷と悲しみを残した戦争に対して、自分達はあまりにも無力だった。
 そして今も、生きたまま地獄に落とされている子供たちを助ける事もできなければ、ただ傍観しているしかできない。
 加速装置も、飛行能力も、探査能力、重火器、剛力、火炎、変身、深海活動、超能力……戦いに有効なだけで、全くの無力だ。
 ただ地獄から連れ出しても、何も出来なければ、それは地獄に戻るまでの猶予を作ったに過ぎず、放置しておけばまたそこに戻るのは
自明の理でしかない。
 助けた後は、自己責任で生きていかなくては?と言う馬鹿者もいるだろう。
 人に依存しなければ生きていけない蚕のように、徹底的に自分の力で歩けなくされた者にそれを求める事ほど愚かな事は無いと言うのに。
「………………」
 廊下を歩く彼らの前を、どこからか救出されたのか、子供たちが捜査員に連れられて歩いて行くのが見える。
 ふと目が合った子供の目は路上のビー玉より空虚で、何の感情も映っていない。
 自分の運命を何もかも知り尽くし、諦め切った目。
 中学生にもなっていない子供が、間違っても持ってはいけない目。
 そして、今の自分達ではその目に希望を宿す事はできない。
 ふと気づくと、ピュンマがジョーを見ていた。
 その顔に浮かんでいるのは多分、今ジョーが浮かべているのと同じ表情。
 もう、こんな事を続けていくのは無理だよな?
 そう言いたげな表情。
 ここには居ない他のメンバーも多かれ少なかれ、そんな顔をしている事が多い。
「本当に潮時だなあ……」
 悪夢の中にいるように、目の前がぐるぐる回りそうな気分だ。
 暗い廊下を肩を並べて歩きながら、ジョーは重い溜息と共に、小さく呟いた。
----------------------------------------------
「……………………」
「ごめん。まだ辛い記憶が残っているのに、こんな話を聞かせて……」
 目を閉じてジョーの話を聞いていたフランソワーズの顔は能面のように白く、いつの間にか彼の手を握る彼女の指が微かな震えを伝えて
いるのが、内心をよく教えてくれた。
 だが、それでも努めて彼女は冷静に、心を強く保とうとしている。
 口を開いた時、紡ぎ出された声は小さく掠れていたが、十分に感情の抑制されたものだった。
「ありがとう、ジョー。辛い事をちゃんと話してくれて」
 小さな声で、フランソワーズはそう呟く。
 どれだけ辛くとも仲間や……最愛の人に秘密を持たれるのは嫌だった。
 例え、自分の過去が絡む事であっても。
 恋人が辛い想いを抱えているのを傍観するのも。
 だから、聞いて後悔はしていない。
 そして次にジョーが何を言いたいのかも、フランソワーズには理解できていた。
 彼の言葉を受け止められるかどうか、ほんの少しだけ考えてみる。
 少し動悸が速いが、問題ない。
 緊張は僅かにあるが、何も受け入れられない状態ではなかった。

132 :
「ジョー。あなたが何を考えているのか教えてくれる?」
 手の力を緩めて、そっとジョーの手を包みながら、フランソワーズは少しだけ顔に血色を戻して言った。
 どうしてジョーが悩みながらも口にできなかったのか、彼女にも理解できたから、彼に少しでも温かさを伝えるために、両手で
彼の手を優しく包み込む。
「大丈夫よ、ジョー」
 あなたが悩んで苦しんだ決断を、私は否定したりしないから。
 誰に否定されても、私はあなたを許すから。
 だから、心に抱えないで話して。
 そう、恋人を励ましながら、フランソワーズは自分の心の準備を始めていく。
 今からジョーが口にする事が何なのか、彼女だから……いや、同じサイボーグの仲間たちには分かる。
 口にするのが怖い理由が。
 でも、それはいつかは理解し、言わなければならない事であるのも、フランソワーズは理解していた。
 男だけだったら、もう少しグズグズしていたかもしれないが、女性であるフランソワーズは現実に立ち向かう強さが他のメンバーよりも強い。
 現実を受け入れて進む本能めいた物がなければ、子供を生んで守り育てるような事はできないからだ。
「ありがとう、フランソワーズ」
 彼女の手の温かさに勇気づけられたかのように、ジョーは俯きがちだった視線を彼女へと戻す。
 自分を否定する事、現在がそのまま未来に繋がる訳じゃないとう事を認める事、そして変化を受け入れなければならない事。
 人にとってこれほど苦痛に満ちた行為はないし、それができる者は少ない。
 だけど、人は時間を戻す事はできないし、世界は安穏とした揺り籠にはなってくれない。
 いつかは決断しなくてはならない。いや、ならなかったのだ。
 だから、
「フランソワーズ。聞いてくれるかな? 僕は考えたんだけど……」
 精一杯の勇気を出して、ジョーは自分の考えをフランソワーズに話し始める。
 自分達の半生を否定するつもりはないが、もうこんな人生を続けるのは正しくないと認めるために。
 それはひどく苦痛で怖かったが、フランソワーズは優しい表情でそれを受け止め、ジョーを勇気づけるかのように手のひらの体温で温める。





 ゼロゼロ・ナンバーサイボーグ達が活動を停止し、解散してそれぞの道を歩き出したのは、それから程なくしての事だった。

【END】

133 :
取り敢えず、REの世界に繋がる前振り終了。来週よりREの書き溜めに入ります。
某やる夫スレで誰か書いてたけど、素朴な正義が通用しない時代や世界に入りかけた
過渡期が、上記の時期だったんかなと思います。
誤字脱字とか、面白くねえぞ、何でエロがねえんだと思われた方、申し訳ありません。

134 :
お〜
続き、ありがとうございます。

エロなくても問題なし
面白く読ませてもらいました。

135 :
グロよりエロあエロはよ

136 :
うん。
エロが読みたいな(^^;;

137 :
>>133 >>134 >>135
どうも、すみません^^::
最初の構想では後半、風呂場でセクロスした後、
フランソワーズ「誰にも手を出されないようにマーキングして」
ジョー「じゃあ、僕もしてよ」
と互いに聖水プレイ、その後盛り上がって2回戦突入なんてアホなバカップルで終わらせる
予定だったんですよね。……何でこうなったorz
つうか私もエロ読みたいんで、連載の書き溜めの間にエロなの投下しようかと思います。
いや、ぶっちゃけ暗いの書いてて欝になりそうなのが嫌なんで。
やっぱエロパロ板だし、エロ書かないとねw
多分、短編はエロで盛り上がるバカップル……別の意味で欝になりそうだが気にしない
3月中には、投下予定……かな

138 :
エロなくても面白かったあ
つうか面白すぎた
戦闘能力最強
スケコマシ能力も最強
タニタの社員食堂クラスの調理能力
どこまで万能型なんだ009w
相変わらず、本気で人を救けたい人間としての悩みも説得力あったし
003とのやり取りも信頼感溢れていて、すごく良かった。
正直、エロもとっても読みたいので、短編ものすごく楽しみにしています!

139 :
「フランソワーズ、しよっか?」
「うん」
パパパパパーーん
「ふう。も一回しよっか?」
「うん」
パンパンパンパパンパパン

140 :
>>139
噴いたw

141 :
>>138
レスありがとうございます
解散直前なんで、サイボーグなって20年ぐらいだから……
フランソワーズに相当仕込まれたり、修行先で飯炊きとかやってたりして
気づいたら、出来てたんじゃないかなあと。
サイボーグ全員が、解散直前は凄いストレスだったんじゃないかなあと設定してます
助けたくても、どうすればいいのやらってのは、しんどいかなと。

142 :
先生!
もしできたら、
改造による自分たちの魅力の上げ底に悩む二人が
一線を超える話とかも読みたいです!

143 :
いつもありがとうございます!
あのスケコマ性能は生来のものじゃなかったんですねw
インスタントラーメンしか作れなかったのに、頑張ったんだな…。
長編も楽しみですが、004の話の続きも読みたいです。よろしくお願いします。

144 :
>>142
書いてみたいんですが、時間が無くて……申し訳ない
甘々すぎて、砂糖吐きそうなのが難点で……>書くにしても
>>143
面とか性格は生来なんだけど、エロ方面が強化されてる感じじゃないですかね
だから、もてるのは元からなんだけど本人達はそれ知らないから、悩む訳です
ジョーの家事>うろ覚えなんですが、刃牙に出てくる渋川剛気のモデルになった塩田剛三先生の自伝
読んでたら、あの方は若い時に料理の資格(調理師だったか栄養士だったか)取ってたそうで。
実生活でもステーキとか焼く時は人に絶対にやらせず、自分で焼いて振舞ったとか。
料理ぐらい出来ないと彼女に逃げられんぞとか、色々吹きこまれて必こいて覚えたんでしょうねえ
うちのジョーは。
004は即興で書いたんで、気が向いたらまた書くかもしれないですw

145 :
「神よ!!!」

そう叫んだ直後、ジョーの頭に声が響いた。
”ジョーッ!そいつから離れろっっ!!”
弾かれるようにミサイルを蹴る。ミサイルは一瞬で彼方へと飛び去って行く。
反動で流されるジョーの腕を何者かが掴む。
(ジェット?!)
―――その瞬間、ミサイルはジョーの設置した爆弾によって爆破された。
”…やったな、ジョー。”
”…ピュンマ?!”
そこにいたのは、全身の鱗を剥き出しにしたピュンマだった。
さっき視界から消えたジェットの身体を抱えている。
意識を失っているらしいジェットの脚部は、ほとんど失われていた。
”…ピュンマ?!どうしてここに…?”
”そんなことより、ジェットが危険だ。早く戻らないと。”
(戻る…?そんなことが可能なのか…?)

以前にも、ここから地球の力に引かれて墜ちて行ったことがある…。

さっき、イワンは眠りの時間に入ってしまうと言っていた。
今度こそ戻れないと覚悟を決めてここへ来たのだ。
(ピュンマは、何か考えを持っているというのか…?)

146 :
突然、景色が変わった。地球を見下ろしている…。
(ここが、『彼』の場所なのか…?)
全てが止まっているのかと一瞬ピュンマは思った。いや、しかしそんな筈は無い。
あれが弾道ミサイルなら、音速の何倍、いや、何十倍ものスピードの筈だ。その上に小さく見える赤い物は…まさか?!
そして、その後方に残る白い物体。惰性で動いてはいるが、これも放物線を描いて落下していくだろう。あのままでは助からない…。
”おい、どうなってるんだ?”
肩を掴まれ、振り向く。自分と同じく白っぽい光に包まれたグレートがいた。
”グレート!一緒だったのか!”
(こいつは心強い…!)ピュンマはにやりと笑う。
”そんなに猶予をくれるとは思えない。いいか、どんな形でもいいから俺にしっかりくっついていてくれ!行くぞ!!”
ピュンマの全身が発光し始めた。
”え…?おい、…ピュンマ?!”
グレートの驚きをよそに、ピュンマは冷静に計算する。
(ミサイルの再突入までにはまだ時間がある。こっちを先に救出するとして、その間のミサイルの移動距離は……。いや、あの場にいるということは……)

”ジョーッ!そいつから離れろっっ!!”

その刹那、止まっているかに見えた世界が動き出す。軌道上に静止するスピードから外れたのだ。ここからは自力だ。既に衣服は燃え尽きている。
慣性で残っているエネルギーを利用し、発光する鱗の推進装置を稼動させ、落下していくジェットに向かって方向を変えた…。

147 :
”ジョー、ジェットを頼む。”
ピュンマはそう言って、ジェットの身体をジョーに預ける。
そして片手でジョーの腕をしっかり掴んだまま、全身を大きく広げた。

次の瞬間、ピュンマの身体から鱗が逆立ち、一斉に飛び出した。
鱗は意思を持ったようにピュンマから離れ、また一箇所に集まる。
一枚一枚の折り畳まれていた鱗が広がったかと思うと、それ自体が膨らみ、厚みを増す。隣り合った鱗は次々と連結し、見る間に巨大な円形の黒い板になった。
”…こ、これは…?!”
呆然としているジョーの腕を、鱗が剥がれ、元来の黒い皮膚を見せたピュンマが引く。
”行くぞ!”
ピュンマはジョーとジェットを引き寄せ、板の中心部分に入る。
(大丈夫なのか…?)
ジョーが不安を顔に浮かべると、それに気付いたピュンマが苦笑した。
”突入角度や揚力も計算されている。
大きさの割には軽くて、空力加熱も減らせるんだ。
もっとも、実際に使うのは初めてだがな。”
(…結果は『彼』のみぞ知る、か…。)
しかし、仲間を助けるためには、ここで何もせずにはいられなかった。
――――――――――――――――――――
いくら減速されているとはいえ、加速装置よりも速いスピードで落下していく。
空気は押し潰され、高熱を発する。
防護服と人工の皮膚を通して伝わる熱の変化を、ジョーは感じる。
いや、感じることができている。
(僕らは…燃え尽きていない…。)

148 :
「そろそろ、脳波通信が届くんじゃないか?」
ピュンマに声を掛けられる。頭の中に届く脳波通信ではなく、空気を振るわせて伝わる声だ。
ギュッと瞑っていた目を開く。遠く彼方に浮かぶ雲が見える。
(ああ…、帰ってきたんだ…。)
安堵、喜び、…様々な感情が一気に押し寄せる。
(そうだ、彼女に帰って来たと伝えなくては…。)
しかし、眼下には乗っている黒い円板しか見えず、自分の現在地が把握できない。
「どこにいるのかな、僕らは…?」
「…だから、それを彼女にサーチしてもらえばいいだろう?」
ピュンマが呆れたように言う。
「あ…。」
そんな単純なことに気付かなかった自分に、ジョーは少し顔を赤くする。
「ちぇっ、我らが009もずいぶん鈍っちまったもんだ。」
「まったくだ、やれやれ。」
…二人の笑い声がする。
「…誰かいるのか?」
「ジョー、俺のことなど忘れたか?」
もう一人の声の主が、徐々にその輪郭を現す。
「グレート!!一緒だったのか!」
「しばらくだな。元気そうじゃないか。」
これでジョーは、昔の仲間全員に再会できたことになる。
離れていた時間は長いが、会えばまた元通りの関係に戻れる、そんな強い絆を感じる。
そして、その運命の絆で結ばれた愛しい女性へ想いを飛ばした…。

149 :
「フランソワーズはイスタンブールなのか?」
グレートが問う。
「いや、003と004はハワイ沖だ。アメリカ海軍のイージス艦にいる。」
「ほぉ…、では、太平洋の上空ってのはちょうど都合がいいわけだ。」
しかし、正確な着水地点の予測は難しいらしい。こちらにも大気中での推進装置は無く、目的地を設定することができないまま、加速度をつけて落下して行く。
「じゃ、そろそろ行くか。」
グレートはそう言うと、やおら姿を変えていく。
手足を伸ばし、しっかりと円板を掴むと、身体を薄く延ばしていく。
そのまま、風を受けて宙に浮かび上がった。
「…パラシュートか!」
ジョーが見上げて叫ぶ。パラシュートの表面に、グレートの顔が浮かんでいる。
急激な減速を避けるため、ピュンマの指示を受けながら、グレートはパラシュートの大きさを段階的に変えていく。
しかし、グレートが愚痴をこぼす。
”ちょっとキツイぞ、この体勢は。方向制御は無理だな。”
「翼でも生やしたらどうだ?」ピュンマが上空に向かって大声で揶揄する。
”馬鹿を言うな。これで精一杯だ!
「仕方ないな。着水したら俺が運ぼう。その前に…」
落下速度の安定を見計らって、ピュンマは円板を少しずつ元の鱗の姿に戻し始めた。
鱗たちは分裂し、中に含んでいたガスを放出し、元の小さな形に折りたたまれ、ピュンマの身体に戻ってくる。足場に必要な大きさだけを残すのだ。
ジョーは変形途中の一つの鱗を捕まえてつまみ上げる。やはりかなりダメージは受けているらしかった。
(こいつのおかげで助かったのか…。)
鱗をいろんな角度から眺めるジョーの姿を見て、ピュンマが言う。
「賭けみたいなもんだよな。まともに動くとは思わなかった。」
「…ひどいな。」
「ま、試して良かっただろ?」
「うん…、助かったよ。ありがとう。」
(…あとは、ジェットを無事に連れ帰るだけだ。)

150 :
「ジョーーー!!」
イージス艦の甲板から身を乗り出したフランソワーズが叫ぶ。
その後ろから顔を覗かせたアルベルトが、すぐに救命ボートを降ろしに向かった。

ジェットを船室のベッドに横たわらせ、後の処置をフランソワーズに任せる。
ようやくホッとしたジョーは、
思い出したかのように傍らのピュンマとグレートに問いかけた。
「それにしても…、君たちはどうやってあの場所に?」
ピュンマは、そっとベッドから離れ、ドア近くの壁に体を預けた。
グレートとジョーも続く。
「『彼の声』を聞いた者は多くいた。
 だが、『彼』と対話しようと試みた者は、ジョー、君と俺たちだけだったらしい。」
ピュンマが、ジョーを真っ直ぐ見つめる。
「…『彼』と対話…。」
「『彼の声』が聞こえた時、その強い力に背くことはできないような気がした。
 しかし、俺は疑問を持った。ただ『彼』の指示に従うのではなく、
 その真意が知りたかった。
 『彼』にとっては、そんな俺が非常に奇妙なものに思えたらしい。」
グレートが続ける。
「俺も同じだ。自分が何者であるかを自分に問うた時、『彼の声』が聞こえた。
 俺は、『彼の声』が自分の正義なのかわからなかった。
 『彼』が何者であるか、『彼の声』が本当に自分の為すべきことを示しているのかを
知ろうとしたんだ。
 だから、『彼』は俺たちに興味を持ったんだろう。」
「そして気がついたら、同じように『彼』に問いかけている君が見えたんだ。」
二人の話を聞き、ジョーは呟く。
「そうか…。すると僕とジェットは、『彼』に助けられたことになるのか…。」

『彼』は、『彼の声』に抗う者たちを認識した。
これから、『彼』はどのような態度に出るのだろう。
我々を許容するのか、それとも…。
「…神か。相変わらず厄介だな…。」
「そうだな。」
三人は苦笑するしかなかった。

151 :
ベッド脇でアイカメラで撮影したジェットの様子を研究所に転送しながら、
フランソワーズはギルモアと対応を検討していた。
脚部のみならず全身に及ぶ損傷の他に、いくつもの銃創が残っていた。
そもそも飛べるような状態ではなかったのだ。
「一刻の猶予も無い。わしがすぐそちらに向かう。
ドルフィン号の中でなら最低限必要な応急処置はできるだろう。
今の研究所より却って良いかもしれん。
ドルフィン号を運んでおいてくれ。」
「わかりました、博士。」
フランソワーズは応えると、再度艦内システムを利用すべく、部屋を出た。
「ドルフィン号だって?」
「まだ残っていたのか?」
驚きを口にするアルベルトたちを残して、ジョーは一人そっと部屋を出て、
フランソワーズを追った。
(スーパーガンを隠し持っていた博士だが、まさかドルフィン号まで…?)

ジョーが制御室に入ると、既にフランソワーズはコンソールの前に座り、
ドルフィン二世号の自動制御システムの起動を開始していた。
「すごいな…。」
ジョーは、スクリーンに映る昔と変わらないドルフィン二世号に、感嘆の声を漏らす。
数十年使用されていないはずの機体だが、何の問題も無さそうだ。
「ずっと私が整備してたのよ。」
「…キミが?!」
ジョーの驚きを無視して、フランソワーズは淡々と自動操縦のコース準備を進める。
「隠していたから…移動させるわけにもいかなくて、
 イワンにテレポートしてもらっていたの。」
瞬く間にコースをセットし終えると、発進シーケンスに入る。
「ドルフィン号へ行く時は、あなたに少しでも近付けるから嬉しかったわ…。」
思い出すようにフランソワーズが呟く。
「え?」
「ほら…。」
フランソワーズが指差すモニターに目をやる。
そこには、ドルフィン号の現在地が日本近海であることが示されていた。
「……フランソワーズ。」
ジョーは、そっとフランソワーズの傍らに立つ。
正面のモニターを真剣に見つめながらも、少しはにかんだような笑顔の
フランソワーズの横顔が愛おしい。

152 :
全てのチェックがグリーンとなった。
フランソワーズはドルフィン二世号を発進させる。
「…これでいいわ。」
懐かしいイルカ型の乗り物が、潜水したまま移動を始めたのを確認し、
フランソワーズはようやくジョーに顔を向けた。
「おかえりなさい。」
ようやく口にすることができた、そんな表情だった。
彼女への愛しさが溢れ出す。
ジョーは、その頬に手を触れると、腰をかがめて深く口づけた。
フランソワーズがジョーの胸を押しやる。
唇が離れると、フランソワーズは小さく抗議した。
「ジョー!…ジェットがあんな状態なのに…。」
「わかってる…。」
そう言いながら、ジョーはフランソワーズを引き寄せて立ち上がらせると、胸にしっかりと抱きしめた。
「…キミが博士とドルフィン号を呼んでくれたんだろ?ジェットは大丈夫だよ。」
(でも…)と言いたそうなフランソワーズの唇を、ジョーの唇がすぐさま塞ぐ。
”まだ、戦いは終わっちゃいない。始まったばかりなんだ…。”
脳波通信で語りかける。
”これからは、なかなか二人きりになれないかもしれないだろ。”
そんな言い訳をしながら何度か軽くキスをすると、頬を両手で包み込み、強く唇を吸う。
フランソワーズもいつしか、腕をジョーの首に回し、ジョーを求める。

ふと唇を離すと、フランソワーズの全身を眺める。
「その姿の君は本当に久しぶりだ…。
 生きて君のところに帰って来たんだ、って気がする…。」
命懸けの戦闘から帰還し、この姿で愛し合う時、
重い十字架を背負う者同士である彼女の無事を喜び、彼女を守れたことに安堵する。
闘いで荒んだジョーの心を癒す、一時の安らぎだった。
もう一度抱き寄せて口づけをしながら、
慣れた手でマフラーをほどいて床に落とすと、戦闘服のボタンを外そうとする。
「…ダメ、こんな所で。誰か来るかもしれないわ。」
「誰も来ないよ。」
何の根拠も無くそう言ってボタンを外すと、上着の隙間に手を忍び込ませ、豊かな胸に触れる。
「…着けてなかったんだ。」
フランソワーズが恥らいながら顔をそむける。
「こんないやらしい姿で、ボクに我慢しろって言うのかい?」

153 :
ジョーは、フランソワーズの腰をコンソール台にもたせかけ、
喉元から鎖骨へ、唇をなぞらせながら、赤い戦闘服を肩から滑らせる。
零れ落ちた白い胸を手で包み込み、強く撫で回す。
「…ゃ…ぁんっ」
押しそうとしても、つい声がでてしまう。
胸を揉みしだきながら、彼女の腰のベルトも外し、上衣を剥ぎ取る。
ほんのりと上気した白い肌を、眩しそうに見つめる。
「綺麗だ…」
「………そんなにじっと見ないで…」
フランソワーズの白い指が、ジョーの頭を胸へ抱き寄せる。
フランソワーズの匂いに顔を埋め、一頻り温もりを堪能すると、
胸の硬くなっている先端に歯を立てる。
「…んぁッ」
びくっと身体が反応するのが面白く、舌先で執拗に攻める。
「はぁ…んッ…」
吐息が艶っぽく変化し、脚に力が入っているのがわかる。
その脚を片方ずつ引き寄せると、ファスナーを下ろして脱がせる。
肌にぴったりした赤いスキニーパンツを膝まで引き下ろすと、
ジョーは脚の付け根に両手を滑り込ませる。
そして、脚を左右に少し開かせ、既に湿り気を帯びた下着を一舐めした。
「ひゃ…っ」
布越しに押し付けられた温かい舌の刺激に、また蜜が染み出る。
濡れた下着を下衣と一緒に足先から引き抜くと、片方の太腿を持ち上げる。恥毛の処理をしているため、何も隠すものが無くなったそこには、綺麗なピンク色の襞が顔を覗かせていた。
「かわいいよ…フランソワーズ…」
そう言って、ジョーはわざと敏感な場所を避けて周囲に舌を這わす。
脚を閉じられず、欲しい快感が得られないフランソワーズは、もどかしげに腰をくねらせる。
「どうしたんだい?…フランソワーズ…」
「…ねぇ…焦らさないで…」
「こんな所で、って言ったのはキミだよ。」
「………意地悪………お願い…」
「…ボクが欲しい?」
「…」小さく頷く。

154 :
ジョーは、はち切れそうになっていた自分自身を戦闘服から解放し、フランソワーズを抱き寄せる。さっきまでフランソワーズが座っていた椅子の肘掛けに体重を預けると、フランソワーズの腰を捉え、一気に刺し貫いた。
「ぁああーー…ッ」
小さな悲鳴が上がるが、彼女の顔には充たされた悦びが浮かんでいる。
そのままジョーは椅子に浅く腰をかける。フランソワーズは膝を折って坐るようにその上に跨る。
「ほら…キミの好きにして…」
フランソワーズは、繋がったまま、膝で身体を支えるようにして腰を揺らし始める。感じるままに身体を捩る。
「はぁ…ァ…ぁ…」
腰の動きがだんだん大きくなると、声に艶めかしさが交じる。フランソワーズから溢れる蜜をジョーが纏い、音をたてる。
「ねぇ…ジョー……」
フランソワーズは片方の手で自分の胸を掬い上げ、ジョーの口元へと運ぶ。赤ん坊のようにジョーは胸の先端に吸い付き、強く吸い上げる。
「あぁんっ!」
フランソワーズの身体が硬直すると、ギュッと締め付けられ、ジョーも呻き声を漏らす。
ジョーは口を離すと、腕を伸ばしてフランソワーズの頭を抱き寄せ、耳元で囁く。
「………すごく気持ちいいよ…キミの中……でも…もっとキミが欲しい……」
そして、下から腰を突き上げる。
「あぁー…ッ」
フランソワーズが白い喉を仰け反らせる。
ジョーは彼女の腰を掴むと、自分の腰を動かし、中を掻き回す。
「…ンぁッ…ぁあ……あぁン…」
ジョーの動きは速さを増し、フランソワーズの喘ぎ声が響く。

内壁を突かれ、入り口の敏感な場所を擦られ、次々と受ける新たな刺激で身を捩る。
「ぁぁ…あんッ…ぁ…はぁ……」
恍惚とした表情で体を揺らしている。
そんな彼女の様子に、もっともっと気持ちよくしてやりたいとジョーは思うが、強く締め付けられ、ジョー自身もたまらなくなってくる。
「…ゴメン、もう限界みたいだ…」
ジョーは一層力強く突き上げ、自分を放った。

155 :
”ビーッビーッビーッ”
接近する気鋭を検知し、アラート音が鳴る。
目を覚ましたジョーが辺りを見回すと、既にまた戦闘服を身に着けたフランソワーズが、ドルフィン号を自動航行から手動制御に切り替えようとしているところだった。
(来たか…迎えに行かなくちゃな…)
モニタ画面のドルフィン号の姿を見つめ、ジョーは小さく微笑む。

部屋を出る直前、ジョーは立ち止まって振り向いた。
「フランソワーズ…」
「…どうしたの?」
彼女を見つめ、ジョーは続ける。
「『彼の声』を聞いた者はまだ大勢いる。」
フランソワーズが小さく頷く。
「僕たちは、僕たちの正義を為すために、これから『彼の声』を聞いてその指示に従おうとした者、
 そして、もしかすると『彼』自身と戦わなければならないかもしれない。」
「…わかってるわ。」
「でも、もう一人きりで日本で暮らさなくて良いと思うと、少しだけほっとしているんだ。」
「…ジョー…」
「さあ、ドルフィン号を迎えに行こう!」
ジョーは甲板へ向かって駆け出した。
(でも…、逢えない時間が長くても、また逢えるとわかっているから待てるの。
 もう逢えないかもしれないと思うほうがずっと辛いのよ…。)
フランソワーズはその言葉を呑み込んだまま、ジョーの後を追って走った。

---
一旦終わりです。保守がてらのREネタでした。
以降は後日談というか蛇足の2×3。

156 :
瞼を開けると、いつか見た低い天井があった。
(ここは…?)
「気が付いた?」
ジェットは声のする方に顔を向ける。懐かしい顔が微笑みながら駆け寄ってきた。
「…私がわかる?」
目覚めたばかりで頭がはっきりしているとは言えないが、彼女がわからないわけがない。「フラン…ソワーズ…?」
「良かった!大丈夫そうね。」
フランソワーズは、ベッドの周りのモニタ類を一つ一つチェックしていく。どうやら、自分に繋がれているらしい、とジェットは思った。
「オレはどこにいるんだ…?」
「ここはドルフィン号の中よ。」
「ドルフィン号だって…?」
道理でジェットに見覚えがあるわけだ。
(しかし…、オレが何故ドルフィン号にいるんだ?)
途切れた記憶…、脳を守るため、保護回路が動きを停めたところから記憶を遡る。最後にこの手に掴んでいたのは…
「ジョーッッ!!……ウッ…」
身体を跳ね起こそうととした途端、脚に激痛が走る。
「ジェット!」
すぐさまフランソワーズがジェットの身体を支える。
「駄目よ、まだ動いちゃ。」
長い間、ギルモアのメンテナンスを受けていなかったため、最適な神経伝達パラメータを見付けるのに時間を掛けているのだという。
「…安心して、ジョーも無事よ。」
そう応えながら、ベッドのリクライニングを操作して、ジェットの背を凭せ掛けてやる。「そうか…無事か…。」
(ならばオレのしたことも満更無駄ではなかったわけだ。)
しかも、自分が今ここにいるということは…、逆に助けられてしまったらしい。
「…神経の接続が安定するまで、もうしばらく安静にしていてね。私、皆に知らせてくるわ。」
フランソワーズは、通路へ続く扉へ向かおうとする。
「皆もここにいるのか?」
「ええ、全員揃うのは何年…ううん、何十年ぶりかしら。もっとも、イワンは今眠っているけれど…。」
振り向いて明るく答えるフランソワーズだったが、ジェットは少し戸惑った。
仲間との絆を自ら断ち切り、意地を張って孤立してきた。
しかも、自分がこれまでいた組織は、仲間を陥れようとしていたのだ。
それなのに、今、その仲間にこうして助けられている…。
(あいつらは、オレを、オレのしたことを許してくれるだろうか…。)
ジェットの顔が曇ったことに気付き、フランソワーズは静かにジェットの傍に戻ると、ベッドの端に腰を下ろした。
「…ジョーが言ってたわ。自分一人ではミサイルを止められたなかったって。」
ジェットは顔を上げて、話すフランソワーズを見つめる。
「貴方が助けてくれたのよ、ジェット。」
「フッ…オレだって一人じゃ何もできなかったさ。」
ジェットが自嘲気味に呟く。
「そうね、だから私達仲間がいるんじゃない。」
フランソワーズは、そっとジェットの手に自分の手を重ねた。
「離れていても、ジョーも、私も、貴方を信じてた。きっと、皆そうよ。」
疑念を口にする者がいないわけでは無かったが、心の奥では仲間を信じている、フランソワーズはそう確信していた。
そんなフランソワーズの真っ直ぐな視線に耐えられなくなり、ジェットは目を逸らす。

157 :
「なぁ…、煙草持ってないか?」
話を変えようと何気なく口に出した瞬間、しまったと思う。
彼女がそんなものを持っているはずがない。
「怪我人が何言ってるのよ。それに艦内禁煙!忘れたの?」
案の定、フランソワーズに窘められる。
「そ…そうだったか?…あまりに昔過ぎて忘れちまったな…。」
ジェットは慌てて取り繕うが、フランソワーズが追い討ちをかける。
「グレートが言ってたわ。ジェットの煙草の量は多過ぎるって。
いくら身体に影響が無いからって、吸い過ぎだって。」
「ちぇっ、全く…すぐ告げ口しやがる。」
昔からそうだった。ジェットがフランソワーズには弱いことを知っていて、
皆、ジェットへの愚痴をフランソワーズにこぼすのだ。
(…なんだ、オレ達は昔と何も変わっちゃいないじゃないか…。)
心の重荷が少し軽くなった気がした。

「仕方ねぇ、じゃ、代わりに…」
ジェットはフランソワーズの肩を素早く抱き寄せ、深く口づける。
一瞬、驚いて身体を強張らせたフランソワーズだったが、
すぐ目を閉じてジェットを受け容れ、自らも舌を絡めてきた。
拒まれると思っていただけに、意外な反応に気を良くしたジェットは、
フランソワーズを抱きかかえ、何度も唇を吸う。
フランソワーズはジェットに身体を委ね、されるままになっていた。
やがて…ジェットはそっと唇を離す。フランソワーズが熱っぽい瞳でジェットを見上げる。
「なんだ、フランソワーズ?奴より良かったのか?」
驚きを隠そうと、わざとからかうような口調でジェットが問う。
フランソワーズは、そんなジェットの瞳をジッと覗き込んだ。
「…ねぇジェット、覚えてる?あの時、貴方がこうやって慰めてくれたの…。
それとも、これも昔過ぎて忘れてしまった?」
(「あの時」…?)

158 :
その夜、めったに研究所に寄り付かないジェットが珍しく帰ってきた。
彼を出迎えたフランソワーズが見たのは、ジェットの静かな怒りだった。
「ジェット、おかえりな…」
「ヤツは…ジョーはどこだっ?!」
「……ジョーは出掛けてると思うわ。車の音がしたから…。」
(ちっ、逃げられたか…)
気まずさを感じる時に、車を走らせてそこから逃避するのは昔からジョーの悪い癖だ。
ジェットは、それならとフランソワーズに向き直る。
「フランソワーズ…、お前は本当にいいのか?」
「ジェット…?」
「話は聞いた…。何を考えてるんだ?何故ヤツを放り出さなくちゃならない?」
「放り出すなんて、そんな…。」
「記憶を消して、お前のことも忘れさせて、ヤツを行かせるって?お前はどうなるんだ?」
フランソワーズの肩を両手で掴み、激しく揺さぶる。
フランソワーズは何も答えなかった。ただ、淋しそうに微笑むだけだ。
(もう決めたの、私は平気よ)
瞳がそう言おうとしている。しかし、その奥にあるものを、ジェットは見逃さなかった。
そして…
「…フランソワーズ…」思わず彼女を強く抱きしめる。
「…馬鹿、無理するな。痛々しくて見てられねぇ。」
フランソワーズがハッとする。
「…誰も見ちゃいない。…オレの前でぐらい、素直になったらどうだ?」
ジェットの言葉に、フランソワーズの張りつめていた心がつい緩む。
ジェットの胸にギュッとしがみついて顔をうずめると、小さく嗚咽を漏らした。
脚の力が抜け、くずおれそうになるフランソワーズの身体を支えて、ジェットは一緒に座り込んだ。
肩を震わせるフランソワーズの髪を撫でながら、ジェットは自分に苛立ちを感じる。
(オレにはこんなことしかできないのか…?)
一方の腕でフランソワーズを抱きかかえながら、
ジェットはそっとフランソワーズの頬に手を添えると、横から顔を近付け、静かに口づけた。
触れ合った唇がジン…と痺れて、互いの温もりが伝わる。
彼女を力付けたいという想いが伝わったのか、フランソワーズは抵抗しなかった。
啄むように何度も唇を吸う。
唇で唇を撫でると、ほんの少し舌を差し入れて歯列をなぞる。
額に、涙で濡れた頬に、あちこちに口づけを落とし、また唇を重ねる。
優しいキスで少し落ち着いたフランソワーズが、潤んだ目を開けてジェットを見ると、零れ落ちる涙を指で拭ってやる。
「…強がるのもいいが、ちゃんと本当の自分にも気付いてやれ。でないともたないぞ。」
フランソワーズが小さく頷く。
(ほんとに、こいつを置いて行くつもりなのか、ジョー…。)
何だか無性に腹が立った。
――――――――――――――――――――
その翌日、リーダーがどうとか大人気ない理由をつけて、研究所を飛び出して戻らなくなったのだった。
いつの間にか、そんな取って付けたような理由が本当の理由であるかのように、自分で思い込んでしまっていた…。

159 :
「…ふっ、本当に忘れちまってたみたいだ。」
「そうなの?」
フランソワーズは、ほんの少しだけ落胆したような表情を浮かべた。
「…あの時、自分の本当の気持ちを自分で認めることができて、すごく助けられたの。」
フランソワーズが、感謝を込めた眼差しでジェットを見つめる。
「…だから、口寂しいんだったら、今度は私が慰めてあげる。」
そう言うとフランソワーズは自分からジェットの首に腕を回し、熱く口づけた。ジェットもそれに応える。
「…フランソワーズがたまにこうしてくれるなら、禁煙も悪くない気がしてきた。」
「ジェット!…私達と一緒に来てくれるということ?」
「…どうせもうNSAには戻れないしな。」
何気なく呟いたが、フランソワーズにはその言葉の意味がわかっている。
ジェットの全身の傷を不審に思ったフランソワーズは、何が起こっていたのかを知るために、イージス艦からペンタゴンにアクセスしていた。
「…ジェットが戻る気になれば戻れるわ。」
「え…?」
(フランソワーズ…まさか知っているのか…?)
ジェットの訝しげな表情も気にせず、フランソワーズは続ける。
「防犯カメラの映像は全て書き換えておいたから…、貴方がシラを切れば何とかなるわ。」
「…書き換えた…だと?」
フランソワーズはにっこりと微笑んで頷く。
「…………。」
ペンタゴンで、自分の記憶と異なる映像を目にした時の、嫌な気分が甦る。全てを握られているような、微かに空恐ろしいものを感じた。
(…ジョー…お前…。)
記憶を消し、彼女から離れたのはジョーの意思だったのではないか、今更そんなことを思うジェットだった。

----------
今度こそ終わりです。
懺悔すると、回想シーンが>>132に繋がれば、なんて畏れ多いことを考えたこともありました。すみません。。。
長々と失礼しました。

160 :
>>159
うわ、いつの間にか凄いのが投下されてた。乙です。
正統派なREの補完て感じで、凄い嬉しいw
劇中では殆ど出番無かったグレートとピュンマがちゃんと活躍してるのも嬉しいですねえ。
こういうチームプレイも009の魅力なんだよなあ。
ドルフィン号も出てきたし、最後は集合だし、ニヤニヤさせられっぱなしでした。
映画でも全員集合してたらなあ……
ジョーとフランソワーズも良い感じだし……後日談の方は……女は魔物ですなw
もしやジョーは記憶を消したんじゃなくて、逃げるのがバレて記憶消されたんじゃあw
良い作品をありがとうございました。

>回想シーンが>>132に繋がれば
平行世界という便利な言葉が我が国にはあってだね(ry
良い作品見せてもらったし、私も書き溜め頑張らないと

161 :
ひえー、
またハイレベルなものが投下されてたー
!!
素晴らしい!
書いてくれてありがとうござます。
面白いだけじゃなく
REとちゃんと辻褄があってて楽しいかった!
ピュンマさんが活躍してくれたのもうれしいところ。
エピローグは、、、、。
面白かったけど怖かった、、、。
どうぞまた気が向いたら、作品投下していただけたらありがたいです。
楽しみにしております!

162 :
おお、新たな職人さん降臨…!ごちそうさまでした。

163 :
おおっ、超GJっす!!

164 :
REの続き+エロで盛り沢山でたいへん美味しゅうございました。
防護服を脱がすのは興奮するなあ。

165 :
>>160-164
寝不足のハイテンションで勢い投下してしまい、
怖くて一週間ぐらいスレのぞけませんでした…校正ぐらいしろよ自分(汗
へたっぴな脳内妄想を読んで下さった方、
そしてレス下さった皆様、ありがとうございました。
>>160
あそこで29を助けられるのは78だけなんで、、、。
8の鱗…またきっと博士はフランソワーズに怒られてますw
いつもありがとうございます。引き続き楽しみにしてます!
>>161
本スレのフランソワーズ黒幕説が結構気に入ってましてw
またネタが思いついたら、よろしくお願いします。
>>164
耐熱耐寒防護服でした…REの設定資料見てたんでつい戦闘服と。
(どっちでも良いんでしたっけ?)
「ブーツを」がすっぽり抜けてるし…orz

166 :
>>165
面白い作品投下してくれて、読ませてくれて本当にありがとう!
これからも脳内妄想&エロ思いついたらバンバン投下してください。
お待ちしております。

167 :
>>166
ありがとうございます。
空白の四半世紀の公式設定が出るっぽいので、
そこの話書くなら今でしょ!って感じなのですが…ネタが…。
円盤、GWには出て欲しかったな…。

168 :
>>167
5月発売で、BD-BOXが7600円かあ……ちょっと高いなあ
漫画と資料集は惜しいが、うーん……
小説と公式資料集は買ったし、歴史とか好き勝手に書くからなあ……
通常版のDVDにするかなあ……SSで好き勝手にいじるから、レンタルだと悪いし……
設定資料付きのDVD出てくれないかなw

169 :
>>168
ショップ限定特典とかあるなら、もっと高い店でもぽちってしまいそうです。
アニメイトとかチェックしとけばいいのかな。
調子こいてまた投下してみます。
お邪魔にならなければよいのですが…。

170 :
イワンに連れられて入った部屋の中央に、それは設置されていた。
「これがダイブギア…。」
”ソウ。キミノ新シイ眼ト耳ニナルモノダヨ。”
イワンと博士が、このところずっとこれを造るのに掛かりきりなのは知っていた。
完成したという話は聞いていないが、今日は疲れたので休むと博士が言っていたから、
一区切りついたのかもしれない。
それでイワンが、私への説明係を引き受けたということなのだろう。

この子…もっと赤ちゃんの頃は、下ぶくれのぽっちゃりした顔だったのに、
特製の歩行器を与えられ、自分で動き回るようになったら、急に顔も身体も引き締まってきた。
ゆっくりとした、普通の人間としての成長もあるらしい。
ある日、『目の力』を制御できるようになったから、前髪を切って欲しいと言ってきた。
本来の目の機能を使わないことで、退化することを恐れたのだと思う。
髪を切ると、大きくて綺麗な淡いグレーの瞳が出てきた。
なかなかの美形で、遠い(遙かに遠い)将来が楽しみだと思った。
私の知る彼の父親とは似ても似つかない。
きっと、母親が美しい女性だったのだろう…。そう思っていて、”キミホドジャナイヨ”と返されたこともある。

彼から渡されたのは、専用のヘッドギアと、小さな箱。
「何が入っているの?」
指輪でも入っていそうな箱を手にとって尋ねる。
”こんたくとれんずダヨ。”
「コンタクトレンズ…?」
”モチロン、タダノこんたくとジャナイケドネ。”
ケースの蓋を開ける。透き通った緑色の小さな円いレンズが2枚、並んで収まっていた。
一つ手にとって、光に透かしてみる。
「綺麗……綺麗な色ね、イワン…。」
一見、普通の薄いレンズだが、私の眼には、その中にスケルトンの基盤や超極小チップが埋め込まれているのが見える。
”キミノ眼ニこんたくとナンテオカシイケド、キミハコレ以上ノ改造ヲ望マナイダロウカラ…。”
我儘だと自分でもわかっているけれど、この点は、仲間達は皆承知してくれている。
「ええ…ありがとう、イワン。」
笑顔で返すと、イワンは、少し俯いた。
”ホントハ、キミノ瞳ヲ隠サナイ透明ナれんずニシタカッタンダケド…ゴメンネ。”
この小さい子がいろいろと気を遣ってくれているのが嬉しくて、
「いいのよ、イワン。」
そう言って、彼の前髪をそっと掬い、額に軽くキスした。

171 :
イワンから簡単に説明を聞いた後、ダイブギアのシートに背を預け、ヘッドギアを装着する。
”ナニカ入力シテゴランヨ。”
言われるままに、ヘッドギアのディスプレイにキーボードを表示させ、あまり考えず視線を走らせた。
JOEEnter
その途端、そのキーワードを持つ情報の波が小さなディスプレイに押し寄せてきた。
「…………ッ!」
怖くなって、すぐに頭からギアを外してしまう。
”ドウ?”
イワンが、私の顔を見上げるように覗き込みながら尋ねる。
「どうって言われても、何て言ったらいいか…うまく言葉にできないわ。」
”コレハ、ふらんそわーず、キミニシカ使イコナセナイト思ッテル。
大量ノ情報ヲ取捨選択スル、キミノ能力ガ必要ナンダ。”
真剣な眼差しでイワンが訴える。
…遠い昔を思い出す。
自分の物でなくなった眼と耳からもたらされる膨大な情報に翻弄され、
おかしくなりそうだったあの日々…。能力をコントロールするための訓練が続き、
自分が普通の人間ではなくなってしまったことを嘆く余裕すら持てなかった。
「………そう…あれと同じなのね…。」
”キミナラデキルヨ、ふらんそわーず…。”

172 :
”今度ハ、サッキノこんたくとヲ嵌メテミテ。”
蓋の裏についた鏡を見ながらレンズを装着する。
見慣れない、緑の瞳の私が見つめ返す。
”ソノれんずハ、だいぶぎあト連携シテ、キミノ能力ヲ格段ニ引キ上ゲルンダ。
キミノ眼カラ入力サレタ情報ハソノママ送信サレ、必要ガアレバだいぶぎあガ演算結果ヲ返ス。
情報ノ処理速度モ上ガルシ、キミノ見タママヲ共有デキルカラ、判断ヲ誰カニ委ネルコトモデキル。
サア、モウ一度ヤッテミテヨ。”
今度は、ほんの少し絞り込んでみる。
JOESHIMAMURAEnter
また大量の情報が押し寄せる。研究所のサーバにあるジョーの記録はもちろん、
そこから繋がる、遠い日本の彼の情報…。
私は、彼に近付く情報を次々と辿って行く。
彼の住む街、マンション、彼の部屋、リビングに設置されている隠しカメラ
(これは何故かその後突然壊れ、受信できなくなってしまった)、
寝室の隠しカメラ、カメラの録画映像、リアルタイムの映像…。
他にも、彼の名前で契約されている通信回線やプロバイダの、アクセスログ、送受信データ…。
本来見られない筈の情報も含め、
彼の名で結び付けられたデータに、次々とアクセス可能な状態となる。
リアルタイム映像の中に、寝室のベッドの上にいる彼を見つける。
今、日本は真夜中だから眠っていると思うけど、寝室の灯りは点いたままだし、
顔がカメラの方を向いていないのでよくわからない。
もしも、起きていて、カメラに顔を向けられたら…?
あちらからは見えていないはずだけれど、慌ててしまうかもしれない…。
でも、こっちを向いて欲しい…。
少しだけ、胸の鼓動が早くなる。

173 :
”じょーヲ見テルノ?”
イワンに言われてハッとする。
覗きの現場を見付かってしまったばつの悪さで、気恥ずかしくなる。
”…コレガ完成シタラ、本当ニイツデモじょーニ会エルヨ。”
「べ、別に私はそんなつもりじゃ……。」
否定しようとしたその時、背筋に電流が走り。身体の芯が熱を持ったように感じられた。
「…え…?」
何もしていないのに、急に全身が熱くなる。身体の奥が疼き、とろけ出てくる感覚…。
「…な…に、これ…。」
違和感がどんどん大きくなる。
「…いゃ……。」
太腿に力を入れてぎゅっと脚を閉じるけれど、そのままじっとしていられなくて、つい腰が動いてしまう。
気になって下半身に目をやると、スカートを透して、下着に染みが広がっているのが見える。
”スゴク濡レテルネ。”
「…え…な、何を言っているの、イワン?……」
”キミガ見テイルモノハ共有デキルッテイッタロ。”
…つまり、今私が透視した映像を、イワンも見ることができているってこと?!
「そんな……。」
背筋が寒くなる。慌てて目を逸らし、ヘッドギアのモニターに集中する。
が、不意に新しく開かれたウィンドウに表示されたのは、シートの肘掛をしっかり両手で掴んだまま、
頬を紅潮させ、身体を震わせている自分の姿だった。
…これは今の私?!
つまり、この部屋のカメラの映像………?

「いやっっ!!」
ヘッドギアを外すため頭に手をやろうとするが、手の自由が利かず、身体も起こせない。
それどころか、肘掛に置かれていた手は、私の意図しない方向に勝手に動き始めた。
「…え…?イワン……あなたなの…?」

174 :
右手が下半身に伸び、左手は手のひらを広げて左の胸を服の上から大きく揉み始める。
痛いぐらいに強く掴み、押し潰し、を繰り返す。
「ぁあっ…いやっ…。」
右手は、スカートを捲り上げ、湿った下着の中に指を伸ばす。
ぬるぬるした液を纏った指は、入り口の突起を見付けると、そこに触れて刺激を与える。
ビクッと身体が反応する。そのまま指先で転がすと、そこはますます熱を帯び、私を溶かしていく。
「…ぃゃ……あッ…ぁん…」
もう一方の手も上着の中に忍び込み、ブラジャーの隙間から両方の胸の
硬くなった先端を交互に弄び始めた。摘み上げ、捻り、爪を立てる。
「…や、やめて…イワン…」
画面の中の私は、ヘッドギアのせいで、まるで目隠しをされたままいやらしいことをしているように見える。
嫌でも飛び込んでくる映像から逃げるべく目を閉じると、余計に触感が鋭敏になる。
思わず声を上げそうになるのを堪え、口を強く結ぶ。
自由にならない手の動きは、そんな私の意思など気にも留めずに身体を弄り続ける。
(…こんな恥ずかしい姿を撮影されているなんて……)
そう考えている間も、指は動きを緩めない。
イワンが静かに語りかける。
”ソンナコトナイヨ…見テゴラン…トテモ気持チ良サソウダ。”
つい目を開けてしまう。あられもない姿の自分がそこに映っている。
上半身はシートの背に押し付けられて動かせない。身を捩ると、はしたなく腰から下だけを大きく動かしてしまう。
その姿は、まるで犬が尾を振って悦んでいるようだ。
手を動かしているのは私じゃないけれど、それに合わせて腰を揺らしているのは間違いなく自分…。
羞恥心で涙が零れてくる。
それを待っていたように、右手の指が陰唇を撫で上げる。
「…ッ!んんっ…!」
指は何度も割れ目をなぞり、時折深く喰い込もうとする。
…ぴちゃ…くちゅ…
聞きたくないのに、自分の指が立てる卑猥な水音が耳に届く。
「…ダメ…や…めて……おね…がい…」
それでも身体は勝手に反応し続ける。自分の指がもたらす快楽で、だんだん頭がぼぉっとしてくる。
言葉とは裏腹に、止めたいという理性がだんだん打ち消されていく…。
”綺麗ダヨ…ふらんそわーず。”
ふと気付くと、寝返りを打ったのだろうか、ジョーが顔をこちらに向けているのが見えた。
穏やかな懐かしい寝顔…。
「………ジョー…。」

すごく逢いたくなった。抱かれたいと思った。
また目を閉じ、ジョーにされていることを想像して、手を動かす。

…そう、いつしか、両の手は私の意思で動いていた。

175 :
自らの欲望に従い、割れ目から中指をゆっくり膣の中へ進入させる。
ほんの少しずつ指が自分の中に埋もれていく。別の指は敏感な突起を弾き、押し潰す。
「…はァ…ん…」
もう、声を出すことも躊躇わないし、イワンが傍で見ていることも、
撮られていることも、意識しなくなっていた。
ただ、欲しいままに自分を高めていく。
指を一本根元まで埋めると、中で蠢かす。
刺激を求めて、背中を仰け反らせ、指に内壁を擦り付ける。
左手は、胸に指を喰い込ませ、激しく揉みしだく。
「あぁ……ァァんー…ぁん…」
(…ジョー…もっと…………)
そっと指を引き抜き、また挿入する。私の身体が指を締め付け、淫らな水音を響かせる。
…じゅぷっ……ぬちゃ…ちゅく……
指を出し入れするスピードが、だんだん上がってくる。
腰を揺らし、指を奥へ奥へと呑み込もうとする。
「あンッ…はぁ……ぁ…あアア…んぁ……んん…」
身体の中に入り込んだ指は感じる部分を執拗に攻め続け、火照った身体が昇りつめていく。
「ああんっ!…あっ!…あっ!」
(ジョー!…私…もう駄目………)
…達した時、私には、彼と一つになっている姿が見えていた。

176 :
いつの間にか、ダイブギアの電源は落ちていたらしい。
何も映っていないヘッドギアを自由の利くようになった手で外す。
全身が汗でじっとりしている。
しどけない姿を整えながら、イワンがすぐ傍で私を見ているのに気付いていた。
「…どうしてこんなことをするの…?」
目を逸らしたまま尋ねる。
”…ゴメン、ふらんそわーず。
サッキノ御礼ニ、キミヲ気持チヨクサセテアゲタカッタダケナンダ。”
「御礼…?」
”キミガきすシテクレタカラ…。”
…それだけ…?
そう言えば、母親代わりのつもりでいながら、頬へ軽くキスすることすら無かった。
この子は待っていたの…?
………違う、そうじゃない。母親からのキスを待ってたわけじゃない。
そんなことわかってた…。今だって、小さなあなたの性器が硬くなっていることだって知ってる…。
「でも…ひどいじゃない、こんなの…。」
”ゴメン…。”
気落ちした様子がわかる。今までの私なら、抱き上げて慰めたかもしれない。
でも、さっきの仕打ちを咎める気持ちとか、期待させちゃいけない、とか
いろんな気持ちがないまぜになって、目を合わせられない。
無論、そんな私の気持ちなど見透かしているだろう彼は、そっと部屋を出て行った。
(…ごめんなさい、イワン…。)
胸がチクッと痛んだ。

177 :
「眠りの時間に入るにはまだ早いんじゃが、ずっと働き詰めで草臥れたんじゃろう。」
翌日、眠ってしまったイワンに代わって、博士がダイブギアを見せてくれた。
「どうじゃ、すごいじゃろう。こいつが完成したら、世界中のどんな情報にもアクセスできるようになる。」
「完成したらって…、もう完成しているのでは?」
「いやいや、筐体と内部の配線までは終わっておるが、まだこの部屋の回線にすら繋がっておらんよ。」
「…なんですって?!」
思わず大きな声をあげてしまった。そんな私を見て、博士は笑う。
「外部への接続はそう簡単に終わらせるわけにはいかないんじゃ。
セキュリティの問題もあるし、こいつの機能を考えると、相当な回線を用意しなければ………。」
博士の説明は続いていたが、もう頭に入らなかった。
(では…あのジョーの映像は何だったの?ヘッドギアに映った私の姿は…?
…全て、イワンが見せた幻だったというの…?)
”…コレガ完成シタラ、本当ニイツデモじょーニ会エルヨ。”
イワンの言葉が甦る…確かにそう言っていた。迂闊にも気付かなかった。

(…いっそのこと、昨日のことが全て幻だったら良いのに…。)

「…博士、お願いがあるんです。」
「ん…?」
「イワンの入浴、誰か他の方にお願いできないでしょうか。」
突然の話に博士は怪訝な顔をしたけれど、私の様子を見て、何か察してくれたようだ。
「それは…イワンはここの女性職員にも人気があるし、誰か引き受けてくれるとは思うが…。」
「お願いします。」
「…イワンが寂しがるじゃろなぁ…。」
(あなたが、あんなことするから…。)
幼い寝顔を責める自分に苛立つ。
次の目覚めをどうやって迎えたら良いのか、今の私にはわからなかった。

--
終わりです。
1と3の接点が異常に少なかったのを、まぁ監督の意図と言ってしまえばそれまでなんですけど、
「3が1を意識し過ぎているため」と曲解。
あと、水色の瞳じゃなきゃヤダ!な自分の脳内補完が入っていますので、
平成の方は申し訳ありませんが瞳の色の件、適当に読み替えていただければと。
昔の1はベビーバスでよいけど、REの1は絶対誰かと一緒にお風呂入ってますよねw
というわけで、たびたび失礼しました。

178 :
しばらく新作は読めないかと思っていたところに、
エロいものをありがとうございます!
息子の小説で無残に改造された3を思うと
コンタクトを用意したイワンの優しさに泣ける、、、。

179 :
乙です。今回はイワンで来ましたかw
次回は誰になるのか、戦々恐々w
REのイワンが風呂に一緒に入ると言えば、まあファンションかジェロニモでしょうなあ。
でも物心ついてきたら意外と、女性と風呂入るの嫌がりだしたりしてねw

180 :
レスありがとうございます。
>>178
3の扱いが酷いらしい小説はパス…
REでロック解除してましたが、非接触型ICチップが防護服の袖口に仕込んである、と信じてますw
>>179
そんなつもりでは決してw
物心…しっかりついてる気もしますが、1にはあくまでクールでいて欲しいです。
3に女風呂連れて行かれても動じないぐらい。(どんなシチュだ)

181 :
今から色気づくとは、、、、
イワン恐ろしい子(白目)
遠い将来美少年になる頃にはどうなっているんでしょうw
作家さんが増えて嬉しいな。
ジョーのリビングの隠しカメラを壊れた事にしたのは、爆弾をつくっているのに気がつかなかったからですか?

182 :
>>181
はい、仰る通りです。
壊れたのか、壊したのか…。
監視の疑念しか持ってなかったので、自分で壊したわけじゃないかな。

183 :
イワンかー…(・・;)

184 :
イワンは何にもいわんかった…

185 :
誘拐編かww

186 :


187 :
保守

188 :
3月あたりにエロを投下したい
と言ってくれた作家さまはもうどこかに行ってしまわれたのかなあ?

189 :
まあ焦らずに、保守しながらマターリ待とうぜ

190 :
誰も待ってないかもしれませんが、生存報告……(土下座しながら
仕事が忙しいのと体調の悪いのもあって、書き溜め進んでません……本当に申し訳ない。
先日は執筆データ入ってたSDカードが中身吹っ飛んで血の気引いた…(データは何とか復旧
予定が大幅以上に遅れてますが書くのはやめてないので、何とか頑張ります
重ね重ね申し訳ありません。
宝くじ当たらねえかなあ……

191 :
>>190
お久しぶりです
ご無理なさらず、また頃合い見て投下してください
気長にお待ちしてます!

192 :
hos

193 :
遅ればせながら作家さま生きててよかった。
お待ちしてますから、マイペースで執筆がんばってください。
楽しみにしてます。
ヨドバシの特典ファイル
フランソワーズの下着バージョンがなぜか短足に見える、、、。
足は長いのに、、、

194 :
>>190
書くのをやめてないでいてくれて、本当にありがとうございます。
どうぞ健康第一で、、、。
体調が良くなって、気が向いたらまたよろしくお願いします。
ファンより

195 :
>>191 >>193 >>194
レス遅れて申し訳ありません。一応、生きてます。
過分な評価ありがとうございます。
取り敢えず、書き溜め進まなさ過ぎるのも何ですので、冒頭部分書き上げましたら
試作でアップする予定です。
そういえば今日からDVDとBD発売ですが、私はレンタルになりそうです。
資料用にアメコミ買う予定なんですが、高いの何の……一冊3000円ずつってorz
取り敢えずマーベルのから少しずつ揃えないとなー(DCのはどうした、俺

196 :
作家さま、ご降臨ありがとうございます!
以前書いてくれたジェットとグレートのやり取りも面白かったので
楽しみにしております。
書き続けてくれて本当にありがとう。
アメコミって009のアメコミ版じゃないんですよね?
一冊3000円って値段が違うから、、、、。

197 :
>>196
009のアメコミ版も日本語版が出たら買いたいと思っています。海外の作家がどう料理したか興味あるw
値段もそんなに高くないし
某所でISとマーベルのクロス的なSSやろっかなーと言ったもんで、資料がどうしても必要になりまして……
映画版を軸にしても、やっぱり何冊か揃えないと駄目ですから……ああ、金がorz
009はノーラン版バットマンを下敷きって言って良かった……んですが、フランク・ミラーとアラン・ムーアのは
買っておかんと不味いしなあ……
書く前に経済面で心が折れそうになるなあ
宝くじかBIGかロトどれか当たって!w

198 :
投下、楽しみにお待ちしてます!
アメコミの件は、円安も逆風?
009も尼で予約できるようになってるけど、タイミング見た方がいいのかよくわからん

豪華版…島村一発殴らせろw

199 :
アメコミ日本語版はソフトカバーだから1500円くらい

200 :
>>198
やっと見た豪華版・・・自分も一発殴りたいw
没になった決定稿
フランソワーズが不憫で没になってよかった。
特典マンガ
フランソワーズが不憫だった。
ついでのいきおいで買ってしまった平成アニメのCDドラマ
「星祭りの夜」(原作バージョン)に手が加えてあるんだが
フランソワーズが不憫だった、、、、。
なぜみんなこんなにフランソワーズを不憫にしたいの?
(´;ω;`)
誰か彼女をシアワセにしてあげてくれ、、、。

201 :
”J・・・”
そのメッセージを確認した時、私の閉じられた記憶の扉が開く。
それはいつも、イワンが眠りに入った翌日には届く。
ここ数年、私は毎月、その日から一週間休暇をとるようになっていた。
しばらく研究所を離れることに博士も何か言いたげではあるが、
とりあえず好きにさせてくれている。私の行動をトレースはしているだろうが、
そこを誤魔化すのは今の私には容易い。
そして私はトルコを離れ、いくつかの国を経由して、目的地へ向かった。

指定されたオーシャンビューの部屋に入る。窓を開けると、穏やかな風が吹き込んでくる。
楽な服装に着替えると、テーブルに用意されていたPC内の情報をチェックする。
機密情報ばかりなので、当然ネット経由ではなく、ハードディスクに保存されたものだ。
ざっと見たところ、計画は順調に進んでいる。ホッとして背もたれに身体を預け、少し休ませるために目を閉じた。
----------
隣の椅子に腰を下ろし、昔とちっとも変わらない寝顔を、しばらく横からじっと眺めていた。
気持ち良さそうに眠っている。いい夢を見ているのか、不安や悲しみなど何も感じさせない。
邪魔をするつもりなど無かったが、俺の視線を感じてか、彼女がゆっくりと瞼を上げ、顔を向ける。
「………起こしてくれればいいのに。」
「せっかく可愛い寝顔を見せてくれているのに、もったいない。」
そう答える俺に、立ち上がって歩み寄ると、かがんで唇を合わせてくる。
頬に触れている両手の体温は若干低く感じるが、相変わらず積極的だ。
隙間から忍び込んだ舌は、隅々まで俺を確認するように蠢く。その舌に舌を絡ませる。
静かな部屋に、唾液の立てる音が響く。
俺の背に腕を回し、薄いルームウェアの胸を押し付けてくる。
甘えるように身体を寄せる彼女の腰を手で支え、抱き上げて寝室へ向かう。
その間も、お互いに唇を貪り続ける。
二人でベッドに倒れ込むと、一層激しいキスを繰り返す。
彼女に導かれて、スカートの中の脚の付け根に手をやる。
キスだけでじっとりと湿った下着に触れる。
「もうこんなに…。脱がすよ。」
下着を剥ぎ取り、中指をゆっくり熱い膣へ埋め込む。
「ぁあ…」
小さく声が漏れる。侵入を拒むかのように膣壁を締め付ける一方、溢れる蜜が奥へと招き入れる。
中で動かし、ビクッと身体が反応するのを楽しむ。
彼女の指もまた、服の上から俺の下半身を撫でさする。
(やれやれ…)
もっとじっくり味わいたいといつも思うのだが、そうはさせてくれない。
蜜壺から濡れた指を引き抜くと、ズボンを下ろし、指の代わりに彼女が欲しがっているもので一気に子宮まで貫く。
「ぁッ…はああ…ん」
声が甘い色を帯びる。とろんとした目が、期待を込めて俺に向けられる。
俺は、中の心地良さを惜しむように、先端が引っ掛かるまでゆっくりと腰を引き、そしてまた強く打ち付ける…。

202 :
「あぁぁぁーーーっ………」
高みに達し、力が抜けた彼女を抱きかかえ、呼びかける。
「フランソワーズ!」
意識を取り戻した彼女が、俺の目をじっと見つめる。その目から涙が溢れ出る。
「…ジェット………私…怖い…」
「…フランソワーズ…」
怯える彼女を抱きしめる。
内に眠る彼女が、この一瞬だけ、表に現れる。
本当の自分を伝えたいという彼女の気持ちが、性急に俺を強く求めてくるのだと思う。
それなのに、今の俺にできるのは、その声を聴いてやることだけだった。
----------
…あれから二年以上になる。
突然彼女が連絡してきて、会うことになった。
最後に会ってから四半世紀になるが、俺同様、彼女も見た目は全く変わらない。
しかし、変わらないのは見た目だけだった。
「お願い、『彼』の計画に協力して欲しいの。」
「彼…ジョーのことか?」
「ううん、違うの。そうね、神様って言えばいいかしら。」
「神だって?!」
最初はからかわれているのかと思ったが、彼女の瞳は真剣だった。
「おい、待てよ。だいたい、神とか天使とか名乗る連中には、今まで散々痛い目に合わされているじゃないか。」
そう、あれだけいろいろあったというのに、彼女は神に祈ることをやめなかった。
彼女のような普通の娘は、小さい頃から身に付いた信仰を拭い去ることができないのかもしれない。
そして、『彼』はそこに目をつけたのだろう。

初めてセックスした直後、彼女の様子の変化に気付いた。
「…ジェット…、私、どこかおかしい…?」
「え?…いや…君が俺にせまってくるのはおかしいというか、うれしいというか…」
「…私のやろうとしていること、間違ってる?」
答えを返す間も無く、泣きそうな目の彼女は姿を潜めた。
代わって現れたのは、先程までの強気な『彼』の信奉者…。
その時、彼女が『彼』に操られていると感じた。

博士に相談すべきなのはわかっていた。
しかし、長年のわだかまりや、奴に対する気持ちとの折り合いがつかなかった。
それに、彼女自身、別に嫌がっているわけでもないように思えた。
「きっと、ジョーにも『彼の声』が届く。そうしたら、また一緒に闘える…。」
彼女の口から、闘いを望むような言葉が出てきた時は驚いた。
奴と離れていることのストレスが、彼女をここまで追い詰めている。
ならば、いっそ『彼』の計画に乗っかってやろうと思った。
彼女の話す計画が、合衆国の思惑に沿っていたということもある。
彼女…いや、『彼』かもしれない…が俺を選んだのは、研究所と疎遠であるばかりでなく、
合衆国の内部に入り込んでいた俺が何かと都合が良かったからだろう。

203 :
顔を上げると、ジェットが私を見つめているのがぼんやり見える。
「…私…泣いてた…?」
「良かったんだろ?いい顔してたぜ。」
そう言って、涙の跡に軽いキスを落とす。
セックスの後、いつも少しだけ記憶が途切れる。
気にはなるが、余計な詮索をする時間はない。
「…仕事に戻りましょう。」
『彼』の計画を実行に移すまで、もう余り時間が無かった。
必要な打ち合わせを済ませ、また彼が無自覚のうちに行動を起こせるように暗示をかけ、一旦記憶を封印する。
彼の記憶は、イワンが睡眠に入るタイミングで戻る。
それから彼は、必要なセッティングを済ませ、私の記憶の解除コードを発信する。
イワンが目覚めている間は、意識上には何も残さない。また、眠っている間も、記録が残る脳波通信は使わない。
この一週間で私が仕掛けを施し、その結果をジェットが無意識のうちに回収する。
そうやって、何年も計画を進めてきたが、それももうじき終わりだ。
『彼の声』が世界中に届き出す…。
休暇の終わり、私はダミーの記憶をインプットし、私の記憶を封印して、研究所に戻った。
----------
「イワン、今から送る座標に、ジョーをテレポートさせて欲しいの。」
その声が聞こえた時、突然もう一つの記憶が俺の意識に浮かび上がった。
「…時限設定!」
現況と記憶を繋ぎ合わせる。
1・16の後、最後に会ったフランソワーズは、「ありがとう」と笑顔で俺に言った。
しかし、これが彼女の望む世界であるわけがない。
まだイワンは目を覚ましている。この状況下、眠りに入るのを少し我慢しているのかもしれない。しかし…
”ボクモオソラク、次ノてれぽーてーしょんガ最後ノ一回ニナル。”
(…まずい…)
イワンに脳波通信を飛ばす。
”待ってくれ!『彼の声』の正体はフランソワーズだ!”
少し間があり、イワンから応答が返ってくる。
”…002?”
テレポーテーション直後で疲れきっているだろうことはわかっているが、そのまま意識を開放し、イワンにこれまでの情報を共有する。
”………ワカッタ。『彼』ノ正体ニ疑問ハ残ルケド。デモモウ時間ガナイ。君ガ彼女ヲ目覚メサセナケレバ、『彼ノ声』ハコレ以上拡大シナインダネ?”
”その筈だ…頼む、彼女を救ってやってくれ…”
”引キ受ケタヨ、002”
その返事を聞くと、俺は奴の所へ向かう為、立ち上がった…。
FIN
----------
>>200
よしっ自分がフランたんを幸せにしちゃるっ!と思って勢いだけで書いたもので、
全体的に薄味というか、いろいろと検討不足ですみません。
ジェットの依頼を引き受けたイワンが、眠いの我慢してもうちょい頑張ってくれた、ってことでw
幸せになったかどうかも微妙ですが、今度はジェットが不憫になってしまった…(泣

204 :
テスト

205 :
折角書いてくれたのだが、、、
幸せというより地獄へまっしぐらのような???(´・_・`)
スイマセン。
文章上手いね。

206 :
>>197
>009はノーラン版バットマンを下敷き
とおしゃっていたけれど
新しいスーパーマン映画「MAN OF STEEL」はノーラン版なんですね。
もしノーラン版009があるしたらスーパーマン世界の方が近いかも?
と妄想してしまった。
理由は単純に
世界観がバットマンよりノーブル(敵役が気狂いじみてんない)で主人公が素直だから、
なだけですが、、、、。
ロイスと純愛だし。
でも、予告トレイラーを観たら派手な戦闘シーンだらけでドラマ部分は分からんかった、、、。

207 :
>>206
何か、スーパーマン・ビギンズとなってるみたいですねえ。
内容見てないからまだ分からないんですが、全米では大ヒットして続編決定みたいですね
ジャスティス・リーグに弾みがつくのかなあ
プロット一部練り直したりしてますが、何とか書いてます。
ISと同時進行はしんどい……当たれ宝くじ
タイトルどうしよう……RE:Begins……かなw これにすると三部作になりそうな危険が…
遅れてますが、何とか生きてます……皆様も暑いですがお気をつけて

208 :
あら、眠気で変な文章になってた。
暑さが続きますが皆様も、くれぐれもお体お気をつけて。
仕事が忙しくて遅れてますが、何とかやってます(こればっかで本当に申し訳ないです

209 :
作家さま生きてて良かったW
書き続けて下さっていて本当にありがとうございます。
RE.Begins
ってタイトルかっこいいーー!
どうぞどうぞお体お大事に適当によろしくお願いします。
お中元にフランク・ミラーとアラン・ムーアのバットマンを贈りたい気分。
スーパーマンはもう続編決まったんですか。早!
ジャスティスリーグはアニメシリーズしか見たことないけど、
予想外に面白かったような、、、。
でも映画一本にまとめるとヒーローが多すぎないかなあ???
個人的にはワールドファインネスト(だっけ?スーパーマンVSバットマン風のやつ)も観たい。
ところですいません、
「IS」ってなんですか?
無知ですいません、、、。

210 :
>>209
タイトルまじで、どうしましょうかね。候補なければ、それになるかもしれません
ジャスティス・リーグはアベンジャーズに対抗するらしいから、メインは3人ぐらいに絞るんでしょうけど
問題はクリスチャン・ベール卒業しちゃったから、新規になりそうなんですよねえ……
グリーン・ランタンとかも外れてるし、どうすんだろ。マーベルの方がそこらはきっちり作ってますね
ISって、インフィニット・ストラトスの事です。原作よりアニメの方が人気っぽいやつですw
アメコミ版の009の出来はどうなるんだろうなあ……

211 :
>>210
そうですね、アメコミの009はどうなんでしょうねえ
「完結編」みたいなしょうもないもん読まされると正直、
009?はあ、もうどうでもええわ、、、
って気持ちになる。
石森プロの仕込みだし、「完結編」レベルかも?
と思うとどうも触手が動かない。
RE、とか、ここのSS職人さんたちとか、
テイストは多少違っても、
主人公のイメージ崩さず人間としてちゃんと書いてあってカッコいいとテンションもあがるんだけど、、、。

ジャスティスリーグはグリーンランタンは外れているんですか。
フラッシュみたいなキャラじゃく正統派ぽいヒーローだから、スーパーマンやバットマンとキャラが被るからかもしれませんね。
それを思うと009って9人もいるのに全員キャラ被らずにキャラ立ちまくってるのがすごい。
一つの話しだから当たり前なのかもしれないけれど、、、。
神山監督が
「9人のキャラのやり取りで映画一本作れるぐらい原作のポテンシャルは高い(うろ覚え)」
と言ってたのも改めて納得。
ISって日本のものなんですね。
アメコミかと思ってた。
教えてくれてありがとう。
今度観てみます。

212 :
>>211
アメコミはライター次第なんで、どうなるんでしょうね。
まあ無茶苦茶に暴走されたら、逆に面白いかもしれませんが、
完結編は……あれは書いた作者が荒らしに相当、心労溜まってたのかなあ……
>グリーン・ランタン
ちょっと書き方まずくて申し訳ありません。正確にはグリーン・ランタンの興行成績は大外れだったという意味です。
制作費2億ドルなのに、全世界での興行が2億ドルという完全な大赤字で、レッド・ランタンとまで揶揄されましたから
一応、続編というか仕切り直しの企画はあるみたいですが、どうなるんでしょね
アベンジャーズとマーベル作品の大当たりに対抗するべくの、ジャスティス・リーグらしいですが、計画的に各作品と
リンクするの気を配ってたマーベルに比べて、急増企画なのがちょっと怖いですね。
書いてて思うんですが、009ってアメコミで相性良い感じなのはX-MENなんですよねえ
群像劇だけど、各キャラで個人エピソードできるぐらいキャラ濃いの多いし。
設定とかプロット書く際にノーラン三部作以外に、参考として今も見てるのがX-MEN First Classでして……
あんだけキャラ多いのに、ほぼ全員キャラ立ちさせて集結から成長シーンからアクションからドラマまで全部2時間
ちょっとで収めてるって凄い手腕です……>マシュー・ヴォーン監督
続編の監督が最近落ち目なブライアン・シンガーなのが心配なんですが……

213 :
>>212
グリーンランタンは誤解してたんですね。
すいません。
かなり昔、映画化の話しを聞いてから
映像もポスターも見ないうちにこけて終わってたのか、、、、。
D.Cユニバースの方をちょっと知ってるだけなので、よく分かりませんが
たしかにワーナーとD.Cコミックの映画って行き当たりばったり感がある。
マーベルはよく分からないのですが
忙しくて観れなかったアベンジャーズやX-MENも009と同じ群像劇だし
観てみたくなりました。
ブライアン・シンガーは最近落ち目なんですか、、。
前のX-MENの1、2はヒットしてましたよね?
「スーパーマン・リターンズ」は好きだったけど
いきなり子供をだしたのはまずかったのかな。

214 :
今日、とらのあな行ったら009のアメコミ版が置いてありました。
見本用に出だし部分だけ纏めたのがあったんで読んだら、割と良い出来
でもジョーとフランソワーズはもちっと美形に書いて欲しかったかなw
ジェットの足回りのメカ部分とか、割とかっこ良かったんですが

215 :
アメコミ割といい感じなんですね、、。
買うかどうか悩む、、、。

> でもジョーとフランソワーズはもちっと美形に書いて欲しかったかなw
表紙の絵がもうバリバリのムキムキ筋肉アメコミ絵
でしたよね。
噂でハインリヒがルフトハンザ航空のパイロットしてるらしい
と聞いたが、ホント?

216 :
アメコミ版購入&読了。恐ろしいまでに原作ダイジェストかましてますな、これ
でも、アメコミらしくテンポ凄い早いから、さくさく読める感じ
ただ一冊に原作数巻分を圧縮してるから、ジョーとファンション以外のキャラ薄く感じるかな。
ぶっちゃけ、原作読んだ人向けに作ったダイジェスト版て印象が強い
ジェットとジョーの関係とかベタだけどツボ抑えてる。
取り敢えず、スカール様のツラはこっちのがカッコイイなあw 骸骨ヅラじゃなくなってるけど
1500円とアメコミの中ではとびきり安い値段だし、財布に余裕ある人は買っても多分、
ネタになるから損はないかと
物語的には原作踏襲なんで、REや小説の完結編&その漫画版よりは許せる…はずw
後、ハインリヒはパイロットじゃない……というより、そこまで深く描写されてなかったorz
これ、マーベルのシビルウォーみたいに、補完コミック出すとか言うんじゃないだろな…

217 :
>>216
自分もついついポチりましたw
アメコミ読まないんで、背景の擬音のイメージがいまいちわかない…
ググればちっとはわかるんでしょうか
英語版だとどんなセリフになるかも気になります
気温(?)で色の変わる防護服とか、原作に無い設定も面白いなぁと
ところで、パイロットだったと本人が言ってますよ

218 :
あら、読み落としてたみたいですね。失礼しました^^;;>パイロット
出来は悪くないんですが、これアメリカで売れるんだろうか……
一発ネタだと寂しいんで、続編出て欲しいところですが

219 :
アメコミ読んでも大丈夫そうなんですね。
>>216
> 物語的には原作踏襲なんで、REや小説の完結編&その漫画版よりは許せる…はずw

「完結編」は
キャラクターをあそこまで貶めて、作品世界を破壊しつくして
虫唾がはしるレベルだった。
だけど、REも「完結編」と同じくらい許せない人多いのかなあ?
まあ人それぞれとは思うけど、、、。
REはあのたいへんな「天使編」「神々との闘い」にすごく誠実に向き合ってくれてて
原作の深さやイメージ残してよくまとめてくれたと、
自分は感謝しているんだ。
原作の「天使」「神々」はいきなり「絶対に人類やり直し」の最後通牒だったから
レジスタンスのハードルがとてつもなく高かった。
REの方は
神々の意思にあたる「彼の声」を
数世紀に一度ある「人類やり直したほうがいいか?」のお試しテスト
にしたところが素晴らしいと思った。
テストなら正しい答えを示せばいいので。
その答えも
「上から言われたからといって盲目的に従うのではなく、
 自分の頭と良心で自分で考えて判断できる能力があるか?」
みたいな普遍的な答えだったのも素晴らしいと思った。
フランソワーズがエロ可愛くて、一途で、有能で
どうやら「彼の声」をすでに聞いていて、自分で正しい答えを導きだしていたらしい
というくらい頭が良い、のもとっても良かった。
勿論、輪廻高校生だの、
ジェットがNSA(マイケル・スノードン氏はNSAでしたねw)だのグレートがMI6だのベネチアだの
わけのわからないところは一杯あったが、、、。
でも、そんな不満なところも
前スレで職人さまがREの話を活かして、ちょっと書いてくれた
ジェットとグレートのやり取りが、彼ららしくてとても面白かったので
職人さまの続きをとても楽しみにしている。
あ、プレッシャーをかけてるように見えたらそんなつもりはないので、
どうぞ楽しくマイペースでよろしくお願いします。
チラ裏スマソ
自分もアメコミ、ポチってこようかな。

220 :
アメコミ版読んだ。
原作にアニメのエピソードも加えてギュウギュウに詰め込んで読み応えあった。
オススメしてくれてありがとう。
ライターさん達がプロフェッショナルでヒロイズムもきちんと把握している感じで良かったです。
伏線もちゃんと回収。
原作メインだから当たり前だが、オリジナルで入れたところも含め
キャラクターの気持ちとエピソードが連結しててよかった。
なんとか笑えるシーンを入れようと努力しているのも微笑ましい。
でも加速装置がイマイチ分かりにくかったなあ、、。
原作知らない人に分かってもらえただろうか。
あらためてマンガでカッコよくわかりやすく加速装置を表現した
石森章太郎の凄さを実感。
フランソワーズがすごく優しいのに、
アメコミだからお顔がごつくてきつめなので
あんまり優しそうにみえないのが残念でした。
3のファンとしては思いがけず解説も感動。
戦争の対極、芸術のシンボルとしてとらえてくれた切り口が嬉しいですね。
>>218
スカールのボスらしき人がいて続編を匂わせてたけど、、、、
どうなるんでしょうね。
続編よんでみたい、、、。
オススメしてくれてありがとう。

221 :
保守がてらチラ裏
ヤマト2199の赤カチューシャ娘が気になる今日この頃
黒髪ストレートロングの大人しそうな子なので気にしてなかったんだけど
こないだの一時間スペシャルでの凛々しい横顔アップが良かった
髪と瞳の色を塗り変えたらフランソワーズっぽくならないかな
索敵係(雪の交替要員)ってのも良いです

222 :
>>221さんの尻馬に乗って、チラ裏2号
自分にとっての見た目リアルフランソワーズのイメージに一番近いのは
アメリカの女子フィギアスケート選手
グレーシー・ゴールドちゃん(17才,18になったかな?)
アメリカ女子2番手
輝く金髪
ハリウッド女優並みの美貌
白人の中にいてもとびねけて白い透き通るような肌
スポーツ選手だから根性もイイ
ttp://photos-d.ak.fbcdn.net/hphotos-ak-snc7/s720x720/581704_10151800263512538_107870336_n.jpg
ttp://photos-h.ak.fbcdn.net/hphotos-ak-ash3/s720x720/598909_10151800263422538_941370805_n.jpg
ttp://www.youtube.com/watch?v=VgWWbAktR-w

223 :
>>221
赤いカチューシャには
パブロフの犬的条件反射で萌えてしまいますな。

224 :
保守がてら、ここの皆さんに質問
(って人いるのかな?)
原作、アニメ問わず003のどのシーン、エピソードが好き?
自分は「移民編」
小笠原で円盤に攻撃された時
逃げながら自然にリナさんかばっていたところ
司令官の「マドモアゼル.フランソワ(ーズ)」
もイイ。

225 :
マジレスするとエッダの磔w

226 :
「エッダ」の磔!
最高!
あんなに直ぐに助けられずに
そんな事やあんな事やこんな事されて欲しかったw
「アステカ」でジョーにビンタかまされるのも捨てがたい。

227 :
アフロディーテ編こそ捕まってる間に何をされたか妄想が膨らむよ。

228 :
脳に性本能刺激装置を埋め込む設定がすごくそそる。サイボーグだと気づかれなかったのか?とのツッコミもあるが。この装置がまだ頭に残っていたなら、時々激しく淫乱になる003(今回の映画みたいに)もありかも。

229 :
>>228
過去スレにそのネタの小説あったな
REと絡めるのも面白そうだ
誰が操るのかって話にはなるけど
妄想OKなら新ゼロの大森林推す

230 :
>>229
大森林良かったよね!
あのフランソワーズには萌えた。
ていうか、ジョーとフランソワーズの2人旅っていうシチュに萌えたw

231 :
>>224
003がスターシステム的に友情出演?している「リュウの道」「ギルガメッシュ」はどうかな。
以下ネタばれだが、
前者ではヒステリックな性格で中盤で本当に気が狂ってしまうし、後者では強姦妊娠獣姦と不幸のてんこ盛り。
もちろん顔が似てるだけの別人だが、サイボーグ009本編には無い激しい表情の変化が見れる。

232 :
>>224
張張湖飯店繁盛記のチャイナのお団子ヘアは可愛いかった。
着てるものは平成ゼロのチャイナドレスの方がそそりました。

233 :
エロとかじゃないんですが、原作で誕生編の後、日本に落ち着いたジョーとフランソワーズが
二人だけでピクニックしてるの見て、ジョーの手の早さに戦慄した記憶がw
書き溜め進まないんで、もう即興混じりで2時ぐらいから投下開始しますー
見てる人がいない間にやらないと(姑息

234 :
>>233
すいません、たまたま今見てしまいましたw
作家さまありがとうございます!
すごくうれしいです!
楽しみにしています。

235 :
取り敢えずトリップの前にHN付けまして、投下しますかね。
例によってオリジナルな設定バカスカ出ますが、怒らないでください。

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 彼女のチョコレート色の肌は、いつだって甘やかな味わいだ。
 口をつけると、汗のピリリとした塩気の奥から、採れたての蜂蜜のような甘さが口に広がる。 
 ザラリとそれを舐め味わいながら、ピュンマは彼女の体内に差し入れた男根をズルリと動かしていく。
「っ!?」
 ピュンマに敏感な内部を抉られ、細い顎が綺麗なラインを描いて仰け反った。
 汗の浮かんだ首筋に、豊かに隆起した乳房に、快感に涙すら浮かべた美しい顔に、ピュンマは無数の
キスを降らせ、愛しい人を味わっていく。
「……ああ、ピュンマ………っ……」
「ラウラ……」
 愛しい女性が自分の名前を口にするだけで、どうして心地良いのだろう。
 艶のある声が耳朶を打つ心地良さに身を浸しながら、ピュンマも恋人の名前を耳元で囁くと、彼女も潤んだ目に
精一杯の嬉しさを浮かべて応えてくれた。
 肌の色はそんなに違わないのに、恋人の髪を愛撫する彼の手に感じられる質感は艶があり、滑らかだ。
 純粋なアフロ・アフリカン特有の短く縮れた髪でなく、日本女性のように波打たず真っ直ぐな黒髪。
 インドネシアとタイ、アフロ・アメリカンの血を引く彼女は、チョコレート色の肌に背中まである黒髪と、妖精のように
ほっそりした肢体に、エキゾチックな美貌を併せ持っていた。
 細い体型は、伝統的なアフリカの価値観を持つ場所ではあまりよく思われないかもしれないが、アフリカ以外での
暮らしが長かったピュンマにとって、彼女はとても美しく魅力的だ。
 それに、どうやら着痩せするタイプだったらしく、ベッドの中で見る彼女の肉体は十分に発達し、抱き心地も抜群に良かった。
 ラウラの肌の柔らかさを堪能しながら、ピュンマは力強い動作で彼女の中をじっくりと抉っていく。
 すらりとした長身に似合わず、ラウラの秘所は控えめな作りをしていたから、黒人への俗説そのままのサイズを持つピュンマの
男根を咥えるのはなかなか難しく、精一杯に口を開いて彼を受け入れている。
 ギリギリと食い締めるかのような強い締め付けは、人工的に作られたピュンマの肉体にも強い快感を伝え、脳に心地良い痺れをもたらす。
 二人の汗に濡れたベッドのシーツが激しい動きに合わせて、波打つように乱れていく。
 ピュンマは、女性が寝て男性を迎えてくれる正常位が好みだった。
 豊穣の大地が迎えてくれるような錯覚を覚えるからかもしれないし、自分の全てを受け入れてくれるような気になるからかもしれなかった。
 似たような好みを持つ仲間たちとその話題になり、結局は揃って女に甘えてるんだなと苦笑した事もある。
 確かに、自分は体の下で喘ぐ年若い恋人に甘えていると思う。
 実際の年齢差は50近い、若い恋人の柔らかな肉体と、東洋人の血を引く者特有の、何もかも受け入れてくれそうな包容力に。
 背中に回された彼女の腕に力がこもり、短くしているとは言え、爪が肌に喰い込む。
 普通なら背中が血だらけになっているかもしれないが、ピュンマの肌は擦り傷一つつかない。

236 :
 昔、敵に襲われて胸から下を吹き飛ばされた際、半魚人のような肌にされた事があるが、今のピュンマの肌は濃い褐色だ。
 さすがに平常時にまで鱗のような肌をしていたら気が狂うと皆から言われた事もあり、何度かの再手術を経て元の肌に
戻り、吹き飛ばされた生殖器官も再生された。
 下手な去勢は人格を大いに損傷する危険もあるから、何故か肌の再生より優先されたのが当時のピュンマにはおかしかった。
 再生された自分の男根が、無くす前と寸分違わぬサイズだったことにも。
 あまり大きすぎても女性には苦痛なだけだそうだが、幸いな事にラウラにはちゃんと悦びを与える事ができているらしい。
 そして、幾度も改良を重ねた人工皮膚下のセンサーは、複数の刺激を電気信号に変えてピュンマの脳に間断なく、男根が受けて
いる感触を伝えてくれる。
 熱く濡れた膣肉に締め付けられる刺激が正確に脳を刺激し、ピュンマはとろけそうなほどの快感を感じていた。
 ここまで普通の人間並みの快感を得られるまでに、10年近い年月を費やしたのは予算の無駄と言うべきかもしれないが、半身不随など
セックスが不自由となった者に性の快感を取り戻させる研究の一助にもなっているそうだから、ある意味で人類に貢献しているとも言える。
 三大欲求を封じられることほど、人間にとって苦痛な事はない。
 愛しい女性の肉体を存分に味わいながら、ピュンマはその心理をつくづく噛み締める。
 腕の下で、ラウラの喘ぎ声が少しずつ早まっていく。
 そろそろ限界が訪れたのだろう。
 彼女と二人で最後を迎えるべく、ピュンマはグッと腰を突き出し、ねじ込むかのようにラウラの中へと自分を突き進ませる。
 女性の最も神秘的な部分に自分の先端が当たり、互いの口がキスするのを感じるのと、ラウラが最後を迎えるのは同時だった。
「………っ」
 ラウラの背中がのけぞり、細かく震える。
 一瞬だがそれまで以上に強く締め付けられ、ピュンマは脳へと伝わる電気信号からの刺激に身を委ね、男根に耐えなくても良いと促してやる。
 人工の陰嚢に蓄えられた、タンパク質ベースの人工精液が先端から勢い良く噴出し、彼女の膣内と子宮を満たしていく。
 精子が入っていない事を除けば、外見や質感は人間の物と変わらない人工精液を受け入れ、ラウラは涎すら流して悦びの意思を伝える。
 最後の一滴まで残さず彼女の中を汚すために出し尽くし、ピュンマは心地良い疲れを脳でも感じていた。

237 :
『……どうも、年相応になれんな』
 恋人との熱い夜を楽しんだ翌朝は、ピュンマは大体、こういう事を考える。
 目覚めの熱いシャワーを浴びながら窓の外を見やると、ハリウッド映画にありがちなアフリカの光景は当然、見ることはない。
 ムアンバは小さく貧しい国だったが、それ故に西欧の本格的な植民地支配を免れ、ある程度は彼らの文化を学べるチャンスも
得ていた。
 西欧の保護下となって白人の支配を受けたりもしたが、同時に彼らの教育や官僚システムなども学んだムアンバは馬鹿をやらかさ
なければ、ボツワナやモーリシャスのように成功した独立国となる事もできただろう。
 だが、どこぞの黒幽霊共の息がかかった、狂信的な白人嫌いの軍人がクーデターを起こしてしまい、この国は長い暗黒期に入ってしまった。
 白人から政府の運用システムを学んだ、ムアンバ出身の官僚たちの殆どが追放され、政府はたちまちのうちに機能を麻痺し、暗黒大陸に逆
戻りするのはすぐだったのだ。
 海外留学から帰還したピュンマ自身も銃を手にして戦いに身を投じ、ブラックゴーストに拉致されもした。
 その間、この国がどう荒廃していったかは語るまでもない。
 ピュンマが再度帰還し、反政府活動に身を投じて、遂に軍事政権を倒したのは今から二十年近く前になる。
 悲惨な内戦を終結させたムアンバは開発と外資の誘致も進み、欧米並みとはいかないが、発展途上国や第三世界といった言葉が当てはまらない
発達ぶりを見せるようになっている。
 軍事独裁政権となって追放されていた、実務能力を持つ官僚たちの殆どが反政府ゲリラに身を投じ、自治政府を機能させる事で能力を維持していた
のも大きく、政府機能は急速に回復を遂げていた。
 高層ビルはまだだが、そこかしこにビルやアパートが建ち並び、道路を中古車でなく新車が走っているのも珍しくない。
 一昔前の先進国の田舎程度には発展しているピュンマの故郷は、アフリカでも有数の発展国だった。
「ピュンマ、卵は二つでいい?」
「うん」
 一足先にシャワーを浴びて朝食を作ってくれているラウラに答えながら、浴室を出たピュンマの視界に、洗面所の鏡が映る。
 そこに映っているのは、今も昔も変わらない自分の姿。
 若い頃のシドニー・ポワチエを思わせる顔には、どこか文学少年を思わせる柔和な雰囲気と、年齢以上の経験を感じさせる何かがある。
 いつまで、この顔のままでいるのやら。
 少し溜息を吐きながら、ピュンマは乱暴にタオルで体を拭くと、思考から余計な考えを振り払った。
 今日もやる事が多い。
 センチメンタルな感情に浸っている暇など無いのだ。

238 :
「ミーティングは何時からだっけ?」
「10時よ。遅刻しない習慣がある国でよかったわ」
「ムアンバの人間は細かいって、他のアフリカ諸国じゃ揶揄されてるんだけどね」
 トーストにハムエッグ、簡単な野菜サラダにコーヒーという西欧的な朝食を片付けながら、ピュンマは笑った。
 広大なアフリカ大陸にはその広さと同じく多数の国家があり、伝統的な文化の数もそれに比例する。
 ピュンマが生まれ育ったムアンバは面積はそれなりだが歴史は長く、小さい国土と(当時は未発見だった)資源の
無さから本格的な植民地支配は免れたものの、探検家や交易商人の中継基地として機能し、奴隷商人との諍いなども
経験したことから、保護領として海外との付き合いも長い。
 狩猟以外にも、彼らなりの方法で牧畜や農耕も行って来た伝統文化は『所有』の概念を生み、海外との付き合いは『交易』や
『時間』の細かい意味をムアンバの民衆に教えていた。
 西欧から見れば、アフリカの中でも『意外に話の通じる』相手であったムアンバは、ある意味で接しやすく、逆に無知な奴隷に
しにくい、ややこしい国だった。
 価値観が通じない相手なら非道になれても、価値観や文化を共有できる相手には人間はなかなか非道になりにくいのだ。
「今年も留学生の枠がいっぱいで、選ぶの苦労しそう」
「本当は我が国に、それなりのレベルの大学がもっと増えればいいんだけどね」
 潰した卵のソースにパンを浸しながら、ピュンマは苦笑する。
 二十年ほど前に内戦が終結し、復興と開発が進んでいるムアンバだが、先進国から見ればまだまだ未開発と言わざるを得ない。
 その最たるものに教育機関の不足もある。
 ピュンマ自身、苦労して貿易商になった祖父や父の尽力で海外留学させてもらい、先進国の文化や教育を学んできた人間だから、
教育の大事さはよく分かる。
 だが、今のこの国には大学は殆ど無く、義務教育である小学校や中学校も不足気味なのだ。
 軍事独裁なんてアホな事を考えて資源や人的リソース、時間を無駄にした馬鹿どもがいなければ、今頃はムアンバの識字率は先進
国の尻尾を捉えていただろうに。
 その裏で糸を引いていたのが、ムアンバで発見されたレアメタルなどの資源目当てだったブラック・ゴーストの一部だったのを知った時、
ピュンマがどれだけの怒りを仇敵に抱いたのか言うまでもないだろう。
 昔を思い出して目に暗いものを宿しかけたピュンマに気づいて、ラウラが困ったようにフォローを入れる。
「焦ることないわよ、ピュンマ。少しずつだけど、この国の識字率も教育レベルも上がってるんだから。他の国よりずっと熱心にね。大半の親
が、子供を熱心に学校に通わせるって、凄く貴重な価値観よ?」
「まあね」
 少し唇を緩めて、ピュンマは恋人の褒め言葉を受け入れた。
 教育関連の非政府組織に属する彼女の仕事は、教育が不十分な国へのボランティア教員の派遣や、海外への留学を志す子供たちへの窓口だ。
 3年ほど前にこの国に赴任し、地元との折衝役に選ばれたのが同じく教育関連の仕事をしていたピュンマだった。
 以来、共にこの国の教育レベル向上に腐心してきた二人は自然と付き合うようになり、去年から同居を始めている。
 幸いにも価値観や細かい部分で相性も良かったらしく、今のところ破局する様子は見えない。
「まあ、焦ることはなくても急ぎたくなるものでさ。やっぱり……」
 そう続けた時、無粋なベル音がテーブルの上を占領する。
 ピュンマのスマートフォンがけたたましいまでの呼び出し音を発し始めたのだ。

239 :
「こんな時間に何だ?」
「悪いお知らせじゃないといいんだけど」
「よしてくれよ、今月の僕の運勢は悪いんだからさ」
 人の悪い笑顔になった恋人に片眉を釣り上げて見せながら、ピュンマは発信先に目を通す。
「誰?」
「助手のマレンだ。もしもし……」
 訝し気な表情で電話を取るピュンマだったが、徐々にその顔に驚きが広がり、そして隠し切れない歓喜が浮かび上がってくる。
「分かった。……すぐに僕も現地に飛ぶよ。ヘリをチャーターしておいてくれ。……ああ、支払いは僕の口座から出す。頼むぞ」
「どうしたの?」
「ジャングルの奥で発掘作業をしていた調査隊が、何か見つけたらしい。今朝、慌てて無線が来たみたいだ。何を見つけたのか、
興奮しすぎてよく分からないらしい」
「写真は転送されなかったの?」
「衛星回線を使えるPCは一昨日、天に召されてね。今日、代わりを届ける予定だったんだよ」
 ラウラに応えながら、ピュンマは皿の上の朝食の残りを片付け始め、コーヒーで綺麗に流しこむ。
 こういう時、慌てずにゆっくり食事を取り、冷静になってから素早く行動するのがピュンマ流だった。
 レストランのチェーンで成功している中国人の友人から学んだ、どんな時でも冷静に行動するための処世術である。
「君を事務所まで送ったら、すぐ現地に飛ぶよ。なんでも、凄い新発見らしい」
「インディ・ジョーンズ先生の出番ね」
「発掘した途端、凄いトラブルに見舞われそうだなあ」
 冗談めかした恋人の言葉に、思わず苦笑してしまう。
 西欧で博士号を授与され、内戦終結後にムアンバが再建した唯一の国立大学で考古学を教え、その論文が世界中で認められている
考古学者。
 それが今のピュンマの仕事だった。
 内戦終結後、もう一度留学して学位を取り、博士号を取って祖国で研究と教鞭を取り続けているのは、彼なりに考えての事だった。
 地味で労少なく、骨が折れる仕事であるが、それでもピュンマはやり甲斐を感じているし、それは自分の祖国の明日に繋がる仕事でもあると
信じている。
「人類史の大発見か……」
 今までの人生で大概の事には驚かないようになっているが、どんな物が待っているのやら。
 ピュンマは祖国の大地に眠っていた何かに心を馳せ、唇に笑みを浮かべた。

240 :
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 ムアンバの国土の半分以上は開発されておらず、手付かずのジャングルやサバンナが広がっている。
 大半は国立公園として保護されており、ピュンマも昔やっていたパトロール隊が絶えず巡回して、密猟者などの取り締まりに
当たっている。
 絶滅危惧種などはいないが、それでも貴重な動植物が豊富に生息しているため、密猟者などが後を絶たないのだ。
 また、ジャングルや河川、湖にはピューマやワニ、カバなど人間を一撃で傷できる危険な生物も多く暮らしているため、幼少
からこの大地に親しんだ者で構成されたパトロール隊以外がうろつくのは危険でもあった。
 ピュンマがそんな祖国の遺跡発掘現場に到着したのは、昼も大分、過ぎてからのことだ。
 別にゆっくり恋人と語らっていた訳ではない。
 アフリカの中では小国というだけで、ムアンバの国土面積は日本より多少は小さいが、欧州の小国などよりは遥かに大きい。
 まして、発掘調査を行っている現場は道路の通っていないジャングルの奥にあるから、飛行機でも移動は難しい。
 水陸両用機もあるが、生憎と現場近くの河川はワニやカバの生息地だから危険が大きくて使えない。
 一度、政府やピュンマから止められたにも関わらず強行した外国人調査隊がいたが、たまたまワニと喧嘩して興奮状態だったカバに
襲われ、飛行機は無残に破壊されてしまった。
 近くを巡回していたパトロールに保護されるまで、3人ほどカバとワニの餌食になってしまって以来、外国の調査隊がピュンマたちの
指示を無視した事はない。
 結局、ヘリで出発したピュンマは、現場から比較的近い草原に作られたベースキャンプ兼ヘリポートに到着すると、そこから徒歩で歩く
しかなかった。
 環境保護が叫ばれている中、ジャングルを切り開いて道路を作り、その余波で貴重な動植物を潰してしまうのは対外的にも、学術的にも
道義的にも問題があるのである。
「写真も撮ってありますが、現物で見るほうが一番ですよ」
 ベースキャンプでラジオを聞きながら昼食をとっていた助手のマレンは、そうピュンマに告げていた。
 学生時代からピュンマに鍛えられ、この国の遺跡発掘調査を数年前から続けている彼が興奮している様子を隠さないのは珍しい。
 よほどの物が見つかったのだろう。
 流行る気持ちを抑えながら、でこぼこのジャングルの大地をピュンマは慣れたスピードで歩いていく。
 一時間近く歩いて、ようやく人影が視界に入る。
 ムアンバ国立大学のピュンマの教え子を中心にした、学術調査隊。
 人類創世記の遺跡や化石を発掘調査していた彼らはピュンマの姿に気づくと、一斉に駆け寄ってくる。
 全員、興奮しすぎて何を言っているか分からない。
「落ち着けよ、みんな。何があったんだい?」
「まずは見てください。こっちです」
 そう言って連れて行かれたのは、木々の間がぽっかりと開き、広場のように開いた場所だった。
 地面は深く掘り起こされ、暗く開いた穴は深く、そこかしこに進入禁止のロープが張られている。
 彼らが興奮した物は、ここから掘り出されたらしい。
「詳しい年代はまだ不明ですが、間違いなく100万年以上前です。人類がまだ原人だった頃のですよ」
「これは……」
 大地から掘り起こされたそれが、ピュンマの目に前に横たわっている。

241 :
「こんな生物の化石、見たことないですよ」
 それ以上、ピュンマは聞いていなかった。
 目の前に佇むのは、巨大な……3メートル以上はありそうな生物の化石だった。
 ところどころに羽の痕跡が残っている、自分の体長ほどもありそうな翼だけを見れば、モアなどの鳥類の先祖を思い浮かべるかも
しれないが、その持ち主は違った。
 物を掴むのに適した腕に、大地に二本足で直立する事を前提とした脚。
 知能の存在を確信させる巨大な頭蓋骨のフォルムも、明らかにそれまでに発見されていた生物のものとも、ましてや原人のものより
体積の大きなものだった。
 人類。
 まさにサイズを倍以上にした人類が翼を備えたような姿。
 文明など存在しない時代の化石に封じられたそれは、明らかに翼を持つ巨大な人類のものだった。
「……天使」
 誰かがそう呟いたのがピュンマの耳に届く。
 なるほど、確かに聖書やおとぎ話で語られる天使の姿に、その化石は酷似している。
 骨格しか残っていないため、やや禍々しい印象も与えるが、天使の化石だと言われて誰もが納得するだろう。
 まだ人類が火を発見したのかも怪しい頃に、人類より巨大で異形の姿を持った知的生命体らしき物がいたという確かな証拠。
 これを見て興奮しない者などいないだろう。
 まして、考古学を志したものなら、特に。
「なるほど」
 少しだけ舌で唇を湿らせながら、ピュンマはなるべく冷静な声を出す。
「確かにこれは、人類史上最大の発見になるだろうな。我々は、人類創世記に、天使を思わせる今までに見たこともない生物が
いたという証拠を発見したんだから。……ミッシングリンクなんてものじゃないぞ、これは……」
 しげしげと化石を眺めながら、ピュンマは詳細にそれを観察していく。
「……喉仏が無いな……。細かいところが人類のものとは少し違ってる……。写真とサンプルは?」
 あります、と調査員の一人が急いでピュンマに耐水ケースに入ったサンプルを持ってくる。
 軽い金属製のケースを開いて確認すると、現像された写真とSDカード、化石を僅かに削ったサンプルが収められている。
「急いで国にこれの警備を頼まないといけないな。学会に発表の準備も。みんな、忙しくなるぞ」
 未だ緊張した面持ちでいるメンバーをリラックスさせるように、笑顔で見回しながらピュンマは明るい表情で続ける。
「諸君、明日から我々は人類史上の大発見をしたヒーローになる。ジャワ、北京、ネアンデルタール、クロマニヨンと共に、世界中の
子供たちが教科書で、我々の祖国の名前を学ぶようになるだろう。今まで世界に知られていなかったムアンバの名前が、世界中で
呼ばれるようになるんだ」
 溌剌とした言葉に、メンバーの緊張もようやく解れたのか笑顔になってくる。
「急いで国に警備を頼まないといけないな。こんなものがあると知ったら、世界中の泥棒共が押し寄せてくるだろう。それに記者会見の準備も……」
「記者会見の準備も?」
「そう、記者会見の準備もだ。世界中のテレビが私たちを映しに来るぞ。みんな、身だしなみは整えておけよ。化粧はダメだ。後、髪をストレートに
しようなんて考えるなよ?」
 言われて、みんな笑い出す。
「早速、研究機関に持ち込んで詳しくサンプルを調べよう。ああ、そうだ大型ヘリで化石を……」
 安全な場所に運ばないと。
 そう続けるはずだったピュンマの言葉は、それ以上出される事はなかった。

242 :
 空気を切り裂く乾いた音がジャングルを揺るがし、真っ赤な飛沫が彼の顔を汚したからだ、
 温かく粘り気があって生臭い、独特の液体。
 血飛沫。
 誰の?
 ピュンマの目の前で嬉しそうに笑っていた、発掘隊の青年。
 彼の頭が弾け、血や脳漿を周囲にぶちまけたのだ。
 何故?
 考える必要なんて無いだろう。
 ほんの一瞬の間の中で、目まぐるしく動いていたピュンマの思考は、長い経験の中から簡単に結論を拾ってくる。
 撃たれたのだ。
 拳銃なんてちゃちなもんじゃない。
 明らかに人を大量戮するために作られた、大口径の軍用銃で。
 そう結論に到るまでに、本能レベルで鍛えられていたピュンマの肉体は既に大地に身を投げ出している。
「みんな、伏せろ! ジャングルに隠れるんだ!」
 地面に伏せて背の高い草むらに身を隠しながらピュンマは叫び、メンバーも慌てて地面に伏せていくが、つんざくような銃声は
彼等をさらに引き裂き、瞬く間に3人が蜂の巣になって地面に転がる。
「……〜〜っ!!?」
 すぐそばに、今まで生きていた同僚が無残な体となって転がり、恐慌状態になった者が慌てて立ち上がるが、良い的にしかならない。
 数方向からの銃火が彼の体をたちまちのうちに引き裂き、血みどろのボロ雑巾に変えてしまう。
「みんな、絶対に草むらから立ち上がるな! 散り散りになってジャングルに逃げるんだ! ジャングルの中なら、慣れた僕らにチャンスがある!」
 ピュンマの声に、生き残った者達はまだ冷静さを欠いてはいたものの、言われたとおりに動き始める。
 伊達に何十年も修羅場を潜っていないから、これぐらいの事はピュンマには簡単だった。
「くそっ! どこのどいつだ!」
 普段は絶対に言わない口調で毒づきながら、ピュンマは普通の人間が歩くよりはるかに速いスピードで匍匐前進を続け、少しでも自分に有利な
場所がないかを探し始める。
 威嚇するかのように銃声がまだ続いているが、当たった音は聞こえない。
 ジャングルの中で正確に狙撃してのけたところを見ると、機械的にこちらの位置や動きを把握出来ているようだが、遮蔽物だらけのジャングルで
地面すれすれに這い回られては簡単には当てられないだろう。
 皆、無事でいてくれるといいが。
 助手たちの身を案じながら匍匐前進するピュンマの鼻に、慣れた匂いが近づいてくる。
 土が湿り気を必要以上に帯びた時に出す、独特の臭気。
 池や沼の近くにある、泥地が出す匂い。
 ピュンマは迷わず、そこへと這い進んでいった。

243 :
「……残りは後、何匹だ?」
「十匹ってところでしょう」
 部下の返答に、フォードはフンと鼻を鳴らした。
 ブルドッグのような風貌をした中年男であるフォードは、今でも闘犬同様に鍛えられた体をしている。
 太っているように見えて体脂肪率は低く、見かけ以上に動作も機敏だ。
 私服を着ていれば、家で一日中ビールを飲んでテレビを見ているように思われがちだが、毎日のトレーニングを欠かしていないため、
五十代の半ばになっても未だ全盛期に近い肉体をしている。
 もっとも、そうでなければ年に最低でも30万ドルは稼げる仕事にありつける事など決して無い。
「ま、もう6人も仕留めましたからね。後は狩りを楽しむだけですよ」
「……全員、油断するなよ。相手は武器を持っていないが、全員が地元の人間で土地に明るい奴ばかりだ。徹底的に逃げ回られたら、
逃げ切る可能性は十分にあるんだ。ボーナスを無くしたくなきゃ、気合を入れろ」
 隣に座っている部下の皮肉っぽい発言をたしなめ、フォードは感情の無い目で眼下のジャングルを見つめる。
 その目には、油断など一ミリグラムも存在していない。
 仕事自体は簡単の一言。
 密かにムアンバの隣国から侵入し、何やら発掘作業をしている調査隊を襲って全滅させ、テロリストがやったと思わせるだけ。
 それだけで、報酬は10万ドル。
 しかも半額は前金でもらえるという気前のよさだ。
 年に最低でも数十万ドル稼げる傭兵……民間軍事会社の人間にとっても、簡単にボーナスにありつける美味しい仕事は捨てがたい魅力がある。
 実際、国境を越えて必要な物資を運び込むのだけが手間だったが、札束をちらつかせれば後は簡単だった。
 まだまだ貧しいムアンバに、国境線を完全に監視するような事は出来ようがなかったし、周囲には金次第で密猟品から兵器まで何でもフリーパスに
してくれる、腐敗した国家も数多い。
 テロリストの仕業に見せかけるため、いつも使っている西側の兵器でなく、東側の兵器を仕入れる必要があったが、それも大半が底値で仕入れる事
ができた。
 小遣い稼ぎに兵器を売る軍人や役人にも、アフリカでは事欠かないのだ。
 後は、確実に目標を殲滅するだけ。
 そうする理由も何もフォードは知らないし、興味もない。
 別に、自分達の銃口の先にいる者達が何をしているのかにも興味はないし、人類史上の発見をしていた人間と知っても簡単に引き金を引くだろう。
 マリブのビーチで老後を過ごせる金がフォードや部下たちには必要だったし、必で奉仕してきた国家は雀の涙ほどの金しかくれなかったから、
稼ぐ必要があるのだ。
 フォードを初めとした10人の民間軍事会社の社員たちは、ひどく生臭い理由で民間人の戮という、軍人時代なら考えられない愚行に手を染めている。
「さっさと終わらせて、夕飯までに文明世界に戻るぞ。こんなジャングル臭い場所、うんざりだ」
 鬱蒼としたジャングルを見下ろしながら、フォードは部下たちに指示を下すが、全員が真面目に任務を遂行している訳でもない。
 人間、規範を無くすと堕落するらしく、ビジネスと割り切った顔をしながら、ハンティング気分になっている者もいる。
 使い慣れない東側兵器に身を固めているとは言え、相手は丸腰なのだから、無理もなかった。

244 :
「……ああ、こっちだってさっさと戻りてえよ」
「エアコンの利いた部屋で、冷たいビールとステーキだな」
「ちゃんと透明な湯の出るシャワーもな。後、ゴキブリの出ない掃除された部屋も」
 フォードの指示を聞き流しながら、そんな会話を交わしている兵士もいる。
 普段、愛用している軍服すら今回は着用せず、旧共産時代に大量生産されたゴワゴワした野戦服を着せられているから
余計に気分が不快というのもある。
 ジャングルの中にこもった熱気と湿気が容赦なく体から汗を噴き出させ、元の色がわからなくなるほど変色させていく。
 口に含んだ塩のタブレットから溶け出す塩辛さに辟易としながら、ごついAK−47……世界トップセラーの自動小銃……
パキスタン辺りで粗製乱造されたコピー品の重さにさらに不快になる。
 早く終わらせて、とっとと文明世界に帰りたい。
 そんな風に一見すると文句たらたらだが、足取りは自然であり、視線にも油断はない。
 軍人時代もそれなりに優秀だった彼らは、民間軍事会社に鞍替して汚れ仕事をしていても、そこらへんのプロ意識は変わって
いなかった。
 ツーマンセルで行動している彼らは互いの背中を警戒しながら、ボーナスのために獲物へと迫っていく。
 だが、ほんの僅かな意識の違いが彼らにとっての災難だった。
 現実的に誰も思いつきもしないだろう。
 正体不明で完全武装の兵士たちに襲われた人間が、ただ為す術も無くされるでなく、ひたすら逃げるでもなく、別の選択肢を
突きつけてくるなどと。

「大体よ、こんな仕事に人数いらねえだろ。俺に任せてくれれば一人でやれるっての」
「で、ボーナスは独り占めってか? ロス」
「その方が美味しいだろ? お前だって同じこと考えるだろうがよ、ザック」
「まあ、そりゃそうだ」
 小柄で調子の良さそうな相棒の言葉に、ザックと呼ばれた兵士が肩を竦める。
 だから、ほんの一瞬、気づくことが出来なかった。
 木の葉や様々なものが付着した灰色の何かが、彼の足元から音もなく立ち上がってくる。

「だろ? お前だって同じこと……!?」
 相棒の同意に気を良くしながらロスが視線を送り、そのまま固まった。
 いない。
 先程まで、そこを歩いていたはずの相棒の姿がなかった。
 先に行ったか、自分がはぐれたかとも一瞬思ったが、すぐにそうでないと思考が否定してしまう。
 ほんの数メートル横をザックは歩いていたのだ。
 声の位置と距離を見誤るほど、自分は耄碌していない。
 音の位置から距離を正確に把握できなければ、この稼業はやっていられない。
「……おい、ザック?」
 怪訝な声で、ロスは小さな声で相棒を呼ぶが、それに応えるのはジャングル特有の虫や鳥、植物が風に揺られて出る
特有の混成音だけだ。

245 :
「おい、相棒。冗談はやめろって。今、仕事中だぜ?」
 言っていて、そうでないと頭の何処かが瞬時に否定してくる。
 これは冗談なんかじゃない。
 十年以上、し合いで飯を食ってきたから、言葉にならない何かがそう教えてくれる。
 そう本能が悟ったのと、先程までの軽口を叩いていた中年男が熟練の兵士へと戻るのは同時だった。
 先ほどまで以上に油断のない視線が周囲を警戒し、全ての感覚器官が敵の気配を察知するべくフル稼働を開始する。
 ライフルの引き金に添えられた指は、いつでも瞬時に引き絞れるようになっており、銃口はいつでも弾丸を発射したくて
うずうずしている。
『……………隊長』
 誰が襲ってきても絶対に一矢は報いられる態勢を整えながら、ロスは喉元に貼りつけた通信機を起動させて、フォードを
呼び出す。
『どうした?』
『原因はわからないが、隣にいたはずのザックが消えた。銃声も悲鳴も無い。何かされる物音一つ聞こえなかった』
『……位置を知らせろ。他の奴らも向かわせる』
『了解』
 そう、短い指示を聞きながらも、ロスは少しでも有利な位置へと移動するべく常に動き続けている。
 相変わらず、彼の周囲に気は感じられない。
 ジャングルの喧騒に邪魔されているとは言え、人の気配がまるで感じられないというのは信じられない事だった。
 先程まで顔を流れていた汗すら気合で止めながら、ほんの僅かな気配の乱れも逃さないよう、ロスは細心の注意を払って
周囲を警戒していく。
 今の状態で、ほんの僅かな気でも感じられれば、即座に大口径ライフル弾が大量にお見舞いする事ができる。
 この家業で飯を食ってきて、この状態で相手に付け込ませたことはない。
 なのに、
「え?」
 気づけなかった。
 カチリと、自分の銃の安全装置がかけられる。
 やったのは自分ではない。
 横から現れた指が、そっと彼の銃の安全装置を動かしたのだった。
 泥に塗れ、木の葉を始めとした様々なジャングルの物が付着した灰色の指。
 その行為が何を意味するのか。
 銃声を周囲に聞かせないため、そう気づくや腕のある方向に肘を回し打ち、あらん限りの大声で通信機の向こうの指揮官へ
と、周囲の仲間へ敵の存在を知らせようとする。
 だが、いつの間にか彼の首に廻っていた灰色の腕が軽く締まると、それだけで身動きが取れなくなり、声を出せなくなってしまう。
 そして、気管機能が一瞬で潰され、意識も消されていく。
 恐るべき手練だった。
 誰が……。
 せめて相手の顔だけでも見極めようと、最後の力を振り絞って背後を振り向こうとしたロスだったが、一気に灰色の腕は彼の喉を
絞め潰し、そのまま絶命させてしまう。
 倒れた音すら聞かせないため、そっと横たえられたロスのぽっかりと開いた目に、自分をした相手の姿が映る。
 灰色の泥の奥で光る眼。
 それが、自分がそうとしていた人間たちのリーダーのものであるとは、もう彼には気づくことはできなかった。
「………………」
 灰色の泥にまみれた者は周囲を警戒しながらロスの体を担ぎあげると、すぐにジャングルの奥へと姿を消す。
 後には、何事も無かったようにジャングルの喧騒が残るだけだった。

246 :
『……隊長、ロスも消えてる。銃も装備も無い』
『他の奴らも集めろ。戦力を集中するんだ。すぐに俺も上空へ向かう』
 フォードの指示に、集まってきた4人の兵士たちは油断なく互いの背中を守りながら、襲撃者の痕跡を丹念に捜し始める。
 常人なら何の痕跡も見つけられないが、熟練の兵士である彼らにとっては、証拠品を探すことは不可能ではない。
「どうだ?」
「足跡があるが、化物が相手らしいぞ? 足跡は一人だけ。……引きずった跡は無いし、一定の歩幅で休まず……えらい
スピードで動いてる。しかも往復した様子もない。足跡の深さから考えて……こいつ、二人を担いで移動してるぞ」
「……ビッグフットはアフリカにはいなかったよな?」
 足跡を見つけた兵士に、誰かがジョーク交じりにつぶやくが、そこには油断など一ミリもない。
 完全武装の兵士を襲撃して、血の一滴も流さずに無力化する。
 それだけでも困難な話だが、完全武装で100キロを軽く超える兵士……それも無力化した体か…あるいは気絶した状態
か……どちらにしてもひどく重い重量物を担いで、軽やかに移動するなんて無茶な話だ。
 一人なら何とか背負うことも出来るかもしれないが、二人を担いで起伏の激しいジャングルを移動するなんて、ボディビルダーや
レスラーでも不可能だろう。
 間違いなく、相手はこちらの想像の範囲外にいる化物だ。
「もしかしてこの国、ラザロでも護衛に雇ってんじゃねえだろうな」
「担いで走るぐらいは出来るかもしれんが、それなら反撃の一つもされてるだろ。あいつら、ステレオタイプな動きしか出来ねえんだからよ」
 先の戦争で姿を見せたサイボーグ兵士の可能性も考えたが、すぐに全員が違うと否定する。
 リモコン付きゾンビと揶揄された事もあるラザロ……米軍と企業が共同開発した簡易型サイボーグ兵士は、単純な任務をこなす事は可能
だったが、細かい想像性を要する仕事には向かない。
 コントロールに失敗して、フレンドリーファイアどころか、民間人にまで攻撃した事が頻発したから現場の兵士から評判も悪かったのだ。
 戦場で何度も見ている彼ら自身がその事を分かっていたし、あのゾンビ兵士どもの大半はもういない。
 戦後のスキャンダルによって、殆どが埋葬という名目で廃棄され、残りも国防省やNSAクラスのトップ機関の管理下に置かれている。
 こんなアフリカの辺境小国にいる訳もないし、例えいたとしても、運用コストをこの国の予算で賄うのは厳しいだろう。
「新型のラザロでも作って、俺らをモルモットにしてるとかな」
「マッハで動くラザロや、100万馬力のゾンビなんているかよ。お伽話じゃあるまいし」
「昔、実験用にどっかの企業が作ってたって話聞いたぜ?」
「脱走して、正義の味方始めましたって与太話だろ? オレも聞いたけど、それって30年以上前のお伽話じゃねえか? エリア51みたいな」
「そんなのが生きてたってポンコツもいいとこだ。俺らの敵じゃねえよ」
 周囲を警戒しながら、兵士たちは軽口を交わして足跡を辿っていく。
 本来なら無言で動くのが常だが、待ち受けている不安から彼らはつい言葉を発するのを止められなかったのには理由があった。

247 :
『隊長……ブランとガースンがまだ来ない。5分前の合流するって返事が最後だ』
『こちらの無線にも出ないな。お前たち、どこか開けた場所に出ろ。回収して、ジャングルごと焼き払ってから犯人捜索だ』
 最初の2人に続いて、合流するまでの間にまた2人の兵士が通信にも出なくなっていた。
 前の二人と同様、銃声も悲鳴も無い、静かな消え方。
 このまま、全員が知らぬ間に消えているのではないか。
 残った4人の兵士の間には、そんな恐怖が静かに漂っている。
 フォードが思い切った決断をしたのは、これ以上部下の損失を防ぐためというのもあるが、正体不明の敵に対する自身の
不安を消すためもあった。
『ナパームを使うと?』
『丸焼きにされたくなかったら遅れるなよ。ちょうど、お前らが今いる地点から200メートル先に空き地があるから、そこで
拾ってやる。急げよ』
『……了解!』
 そう言って通信が切れるや、兵士たちの行軍スピードが上がる。
 どうやらゲリラ戦に通じた人間が標的に混じっているのなら、ジャングルごと焼き払うか、隠れている場所を無くしてしまえば
良いというのが、フォードの考えだった。
 ベトナム戦争では上手くいかかなったアイデアだが、相手のホームグランドで真正面から勝負してやるよりは分があるだろう。
 それに、
「した奴から無線機を奪っているだろうしな。今の通信も傍受している筈だ。逃げるなら上から丸焼きだ。こちらに来るなら、
そのまま掃射だ。目を凝らしとけよ」
 そうパイロットとガンナーに指示しながら、もう一人の兵士と共にフォードは搭乗員スペースの扉近くに設置された、軽機関銃の準備を始める。
 ドアガンの威力はベトナム戦争で実証済みだから、兵士の回収時に犯人が来れば、良い的にできるだろう。
 ついでに、彼らが乗っているヘリはソ連時代、アフガンゲリラに恐れられたミル24ハインド攻撃ヘリ。
 対地攻撃能力と兵員輸送能力を兼ね備えた特異な形状を持つ巨大なヘリは、最新鋭と呼ばれた頃から40年が経過しているが、
第三世界ではまだまだ能力を発揮出来ている。
 この機体に積まれた武装だけでも、下手なゲリラの一個小隊程度なら5分で屠れる。
 相手がサイボーグ兵士であろうとも、ミニガンやミサイルを食らって平気でいられる訳でもない。
 フォードはそう考えていたし、それは極めて常識的な結論だったが、彼らの相手はそうではなかった。
『隊長! 来やがった! 向こうから来やがっ……!?』
『……バンクス! っぁ!?』
 突如、無線から部下たちの悲鳴が飛び込んでくる。
 どうやら、こちらの思惑を知って向こうは仕掛けてくる気になったらしい。
 無線の向こうからは、くぐもった悲鳴と、何とか反撃しようと部下たちがライフルを撃つ射撃音が聞こえてくる。
「何とか持ちこたえろ。今、そちらへ向かっている」
 そう無線で部下に呼びかけ、パイロットに上空へと急がせるフォードだったが、それは無駄な努力に終わった。
 次々に舞い込む部下の悲鳴はすぐに終わり、何度呼びかけても返事は無い。
 ベテランの兵士たちがほんの数十秒で倒されてしまうなど、普通は考えられないが、どうやら事実のようだ。
 口の中に苦いものを感じながら、フォードは部下たちがいた地点の上空をハインドに旋回させながら、窓から何か見えないか目を凝らす。
 鬱蒼としたジャングルは視界を遮り、小さな空き地は暗く、何もいるようには見えない。
 と、
「……?!」
 木々の間を一瞬、灰色の何かが駆け抜けるのを見えたような気がした。

248 :
眠いんで、取り敢えずここまで。決着は次回に。
それではおやすみなさい。

249 :
うざい

250 :
ピュンマさんから入るとは!
REで全然活躍の場がなかったので、こうしてかっこ良く活躍してくれてうれしいです。
相変わらず素晴らしい文章力
映画観てるみたい!
書いてくれてありがとう!!
こんなレヴェルのものをタダで読ませていただけるとは、、、。
申し訳ないくらいです。
すごい力作で面白いんですが
大作すぎて先が読めない。
ジョーやフランソワーズが拝めるのはいつ頃に???

251 :
書き忘れた
昔、マッハで動くラザロさんたちが脱走して
正義の味方はじめました
の与太話最高!!

252 :
>>250
レスありがとうございます。遅れてばかりで申し訳ない。
ピュンマさん、不遇すぎたんで、一話目から登場です
ジョーやフランソワーズは……早めに出せるよう頑張ります
続きは水曜の晩の予定

253 :
お待ちしてました!
ジェットとグレートが出て来る話の序章って認識でよいですか?
どうなるかわからないけど、この話の後で髭を伸ばし始めたと勝手に想像w
続きもよろしくです

254 :
新作をありがとう!!
重厚感かっこいい。
続き楽しみにしてます。

255 :
>>253
ジェットとグレートの話は……お待ちくださいw
>>254
レスありがとうございます。頑張ります。
てな訳で、寝る前に投下。即興で書いたんで、不備とかありましたらごめんなさい

256 :
「ちっ……撃て! 撃ちまくれ!! ……絶対に逃すな!!」
 フォードが慌てて追撃と攻撃の指示をコクピットの二人に下すや、ハインドはその機体の巨大さにふさわしい、膨大な
兵装をフルに活用し始める。
 12・7ミリ4銃身機銃が、竜が火を吐くかのように銃弾をばら撒き、無誘導ロケット弾が次々と放たれてジャングルへ
飛んで行く。
 人間相手であるため誘導ロケット弾は使えないが、ハインドには無誘導ロケットも大量に積んであり、盲撃ちに撃っても、
十分な破壊力に恵まれている。
 鋼鉄をも容易く貫通する機関銃弾と、装甲車両を撃破するためのロケット弾の雨はジャングルの木々を容易く吹き飛ばし、
そこかしこに火を付けていく。
 瞬く間に、先ほどまで緑に恵まれていたジャングルは破壊の嵐にさらされ、小規模な火災がそこかしこで発生する。
 その中にいた無数の生物が一瞬で傷され、たとえ人間が隠れていたとしても、バラバラに粉砕されていることだろう。
 空飛ぶ要塞とも言えるハインドの火力を受けて、まともに抗しうる人間などいない。
 ランボーじゃあるまいし、まともな対空火器を持っていない人間など、取れる手段は逃げるか、一瞬でぬことを祈るだけだ。
 それは、相手が人間ではない、ラザロであっても変わらない。
 それが証拠に、ジャングルを破壊しながら飛行するハインドから、灰色の何かもひたすら逃走しているだけだからだ。
「隊長、あいつどうやら、川へ逃げようとしてるぜ。……滝からダイブする気か?」
「いいぞ、逃げるだけ逃げてみろ。追い詰めていたぶりしてやる」
 パイロットの報告に、地図を確認しながらフォードは薄く笑う。
 地図には確かに、ジャングルを横切る大きな川へと、敵がまっすぐ移動している事が示されている。
 だが、それ故にフォードは愉快な気分だった。
「どうやら、ヘリを見て相当に慌ててるみたいだな。この調子じゃ、あいつ……川に飛び込むために高飛び込みやる事になるぞ……
滝壺へ飛び込み自する気か?」
 相手が今移動しているルートからだと、到着地点は切り立った崖が続いている。
 20メートル以上はある高さの崖から川へと飛び込んだところで、水面へ落ちたらただでは済まないし、川へ落ちずに地面に叩きつけ
られたら、その場で終わりだ。
 ついでに、カバやワニに出迎えられたら彼らの昼食になるだけである。
 しかも、ジャングルの地下水流が崖から噴き出し、巨大な滝となって下の川へ降り注いでいる場所へと、相手は一目散に進んでいるらしい。
 20メートルもの高さの滝からダイブするだけでも自行為だが、滝壺にはまれば、間違いなく脱出できずに溺する。
 ラザロのようなサイボーグでも関節部分は弱いから、滝壺に落ちてしまえば行動力は半減する。
 そしてフォードには、そのまま溺れるのを見逃してやるような優しさはない。
 滝壺に落ちたら、ハインドの火力で徹底的に粉砕し、人間だろうがラザロだろうが、体など残らなくしてやるつもりだ。
 それぐらいしなければ、部下の大半をされたフォードの気が済まないし、依頼者への言い訳も立たない。

257 :
「おい、弾を無駄遣いするなよ。奴が落ちたら、滝壺を徹底的に掃射するからな」
「了解」
 そう指示するフォードに従い、パイロットは機体を加速させ、滝のある地点へと先回りさせる。
 後はハインドに追い立てられて恐慌状態になっている馬鹿な敵が、滝から落ちるのを見物し、その後でとどめを刺して
やるだけの話だ。
 相手は人間離れした速度で移動しているから、そう長く待つ必要も無いだろう。
「……来たか?」
 実際、長く待った気もしたが、実際にはほんの2.3分だったらしく、時計の針は殆ど動いていなかった。
 ハインドが待ち構えているにも関わらず、凄まじいスピードで燃え始めているジャングルから飛び出した灰色の何かは、
そのままのスピードで滝に身を投じ、水流に姿を消してしまう。
 分厚く大きな水流は容易く相手を呑み込み、外からは何も見えない。
 だが、フォードには相手が滝壺へ落ちたというだけで十分だった。
「撃て」
 フォードは短く命令を下し、ハインドは残った火力の全てを滝壺に叩きつける。
 ロケット弾の爆発で、滝壺の中の水が全てひっくり返りそうなほど、凄まじい水柱が幾つも発生し、川辺にスコールとなって降り注ぐ。
 機銃弾も豪雨のように水面に降り注ぎ、浮かび上がろうとした者がいたら、即座に粉砕する勢いで破壊力をまき散らす。
 フォードともう一人の部下も機体横のドアを開け、軽機関銃で水面の掃射を続ける。
 誰もが、この攻撃を受け続けて無事でいられる筈がないという確信を持っていた。
 それは確かに正しい判断だったし、間違ってはいない。
 だが、根本的に間違えていればどうか?
 例えば、元々そこにいなければ。

『……………………』
 ハインドの破壊行為を、分厚い水の中からピュンマは冷めた目で見つめている。
 彼の眼球を構成する特殊なレンズは、水中から地上を、あるいは地上から光で乱反射する水面を無視して、水中を効率よく索敵出来る特殊な
仕様となっているから、外の様子は極めてクリアな視界で認識できた。
 巨大な水の圧力は絶え間なくピュンマを叩き続けているが、彼には何の痛痒も感じない。
 今の彼は、マリアナ海溝の底にだって素潜り出来るだけの能力がある。
 数千メートルの深海の圧力にすら耐え、自由に行動できる強靭な骨格を初めとした諸能力は、ピュンマの本来の役目のために用意されたものだ。
「実際のところ、君の元々の開発コンセプトは深海活動用というだけではないんじゃよ」
 ピュンマに以前、生みの親であるギルモア博士がそう話してくれた事がある。
「君の体は、攻撃に耐える防御力という点ではジェロニモに一歩譲るがね。深海や宇宙、高地、重力、あらゆる環境で活動を可能にする幅広い強さ
では、君が最も優れておる」
 そう、生みの親に太鼓判を押されたピュンマは正式にブラックゴーストの一員となっていたら、様々な破壊工作に用いられていた事だろう。
 どんな難攻不落の場所にも、侵入可能な地点はいくつかあるものだ。
 それがどれだけ、生物では侵入不可能なものであろうとも、ピュンマの体なら耐える事ができる。
 破壊工作員として最適な環境適応力を持って作られた彼は今、その能力をフルに活かして、自身を安全な場所へと置いている。
 そして、それは容易く反撃へと移すこともできるのだ。

258 :
「………………」
 ピュンマは手に持った武器を確認し、足に力を込める。
 靴を脱いだ足は膝から下が変形し、水鉄砲を思わせる形状へと変わっていた。
 最新の水流ジェットエンジンを搭載したピュンマの脚は、水中で魚雷も追いつけない高速で彼を移動させる事ができるし、
今のように巨大な水の圧力に抵抗しながら、思い通りの位置に留めておく事もできる。
 そして、ピュンマはまだ水流ジェットの力を全力で出していなかった。
 それが使えばどうなるかと言うと、当然、
「………………っ!」
 声にならない雄叫びとともに、ピュンマは両足の水流ジェットを全開にして、水面から飛び出す。
 まるでトビウオのように、ピュンマは水面から数十メートルを飛翔してのける事もできるのだ。
 凄まじい水量を地面へと叩きつけている滝の中から、ピュンマは一気に身を躍らせる。
 滝から下へと落ちたと見せかけ、ピュンマは最初から滝の水流の中に身を潜めていたのだった。
「なっ!?」
 滝へと顔を向けて、水面を掃射していたフォードは突然、水流から何かが飛び出してくるのに反応できなかった。
 視界の中でスローモーションのように、その何かの姿を視認できる。
 体に塗っていた灰色の泥が落ち、元のチョコレート色の肌をした半裸の男性。
 手には、長い棒状の何かが握られている。
 長い木の枝に、鈍く光る何か……おそらく、部下の装備から奪ったナイフか銃剣だろう。
 どこかの部族の槍みたいだと、妙にスローモーションに動く視界の中でフォードはそんな事を思った。
 脚から水を噴き出し、空中を跳躍しながら、褐色の肌の男は巧みに身を捻る。
 スポーツの投げ槍の姿勢から見れば不格好だが、逆に実際に用いる場合……狩りや戦争で使うには理想的なフォーム。
 手に持った槍を投擲しようとしている。
 そう気付き、フォードはおかしくなった。
 あの馬鹿、投げ槍でハインドを落とそうとしているらしい。
 おかしくて涙が目に浮かびそうになるが、次の瞬間、怖気が全身を襲う。
 槍には紐で何かが、たくさんぶら下がっていた。
 拳より少し小さい、丸い物体。
 どれだけ遠くにあっても、危険物は見分けがつくから、それが何かは一瞬で分かる。
 手榴弾だ。
 あの野郎、投げ槍に部下から奪った手榴弾を取り付けて、投げつけてきたのだ。
 放たれた槍はまっすぐこちらに飛来し、ヘリの操縦席へと吸い込まれていく。
 風防に防弾性も兼ねている窓を、即席の槍は紙を破るかのように貫通し、進路上にいたパイロットの一人を串刺しにして即させてしまう。
 瞬間、機体が制御を失ってバランスを崩し、もう一人のパイロットが慌てて何とかしようとする。
 フォードが機体から川へと身を踊らせたのは考えての事ではなく、本能的な行動だった。
 水中に飛び込み、大量に水を飲みながらも深く潜行した瞬間、操縦席に飛び込んだ槍が爆発した。
 操縦席は一瞬で吹き飛び、燃料と残った弾薬を爆風が引火させ、機体をまるごと吹き飛ばす。
 バラバラに砕け散った機体はそこかしこに飛び散り、破片を水面にまき散らした。
 カバやワニに襲われない事を祈りながら、水面へと泳ごうとしたフォードだが、そうは問屋がおろさない。
 力強い手が彼の体を引っ張り、そのまま水面を飛び出して、川辺へと叩きつけた。

259 :
「……っ?!」
 地面に叩きつけられて苦痛に顔をゆがめるフォードに、ピュンマは同情ひとつ見せず、肩に担いでいたAK−47を
構えて彼へと向ける。
 ゲリラ時代から散々に使っていたから、数十年ぶりに持ってもすぐに体が使い方を思い出してくれる。
「聞きたい事がある。素直に答えろ」
「……お前、人間か? ラザロか?」
「質問に質問で返したら0点評価になるって、学校で習わなかったか? 僕が何者かなんて、雇い主にプロフィールぐらい
もらわなかったのか? 素潜りとサバイバルが得意ですって書いてあっただろ」
 軽く返して、ピュンマはフォードを観察する。
 旧共産圏の軍服を着ているが、英語を喋って、顔も典型的なアングロサクソン。
 間違いなく、ゲリラを偽装した、どこかの傭兵くずれだ。
「お前の質問に答える気はない。後、お前は正規軍兵士じゃないから、どんな拷問をされてもこちらは非難されない。テロリストに
人権はないって、お宅の国の言葉だろう? それを実体験したいか?」
 そう言われてもフォードは口を開こうとしない。
 ベテランの傭兵らしく、契約には忠実であるらしい。どうやら高給取りのようだ。
「だったら、まずはワニの……」
 そう言いかけて、少し痛い目に遭わせてやろうかと思ったピュンマだが瞬間、川へと身を躍らせる。
 そうしなければという何かの衝動めいたものが、全身を動かしたのだ。
 理屈ではない。
 兵士時代から培った、本能的な勘。
 危険を察知して、即座に逃げられる勘がなければ、戦場では生き残れない。
 ピュンマは運良く、それに従えたが、地面に叩きつけられていたフォードはあいにく、勘は働いても体が動いてくれなかった。
「っ〜〜っ?!」
 ピュンマが水面に飛び込むのと、フォードの上半身がざくろのように吹き飛ぶのは、ほぼ同時だった。
 水風船が破裂するかのように、上半身が血しぶきを上げて吹き飛ぶ。
 遅れて、巨大な銃声が後に続く。
 どうやら遠距離から、大口径の銃での狙撃を食らったらしい。
 対物ライフルか、もしくはそれに匹敵する大口径の兵器で撃たれたようだ。
 水中からフォードが吹き飛ぶのを見ながら、ピュンマは水中深くに身を潜め、敵の行動を伺う。
 用心深く待っても相手は動こうとしない。
 罠かと思ったが、危険を感じられないのが妙に思える。
 暫く時間を起き、用心しながら水面に上がったピュンマは別の胸騒ぎがするのを感じた。
「まさか!?」
 相手の目的が何か分かり、慌ててジャングルの中を駆けて行くが、遅かった。

260 :
「くそっ!」
 思わず汚い言葉が出てしまうが、無理もない。
 化石があった場所には、何も残っていなかったからだ。
 綺麗に運び出され、後には発掘した痕跡しか残っていない。
 ヘリで運んだのか、地面には引きずった後は見当たらなかった。
 全てはこのためだったようだ。
 発掘隊を皆しにし、天使の化石を強奪する。
 ご丁寧な事に、発掘隊を始末する傭兵たちも後で、始末する予定だったらしい。
 そうでなければ、あの傭兵をしたタイミングが良すぎる。
 どこからか、最初から監視していたに違いない。
 だが、どうやって……?
 そこまで考えて、ピュンマは疑問に思った。
 天使の化石が見つかった事をピュンマが知ったのは今日の事だし、教え子たちが外部に漏らしたとも思えない。
 あの天使の化石にどんな価値が有るのか分からないが、ここまで大量戮をするに値するものだというのか。
 頭が混乱し、ピュンマは思わず天を仰ぐ。
 何をどうすれば良いのか上手い考えが浮かばず、足だけは無意識のうちに動き続ける。
 無意識のうちに足は彼をベースキャンプへと導き、疲れ果てたピュンマは手近に置かれていた椅子に座り込むと頭を抱えてしまう。
 何をすればいいのか、まずは生き残っている教え子を助けないと……。
 そこまで考え、ふと何かノイズが彼の耳に届くのが聞こえた。
 顔を上げるとその先にあるのは、マレンが聞いていたラジオの姿があった。
 どうやら、スイッチが少し入っていたらしい。
 何の気なしに、ピュンマは手を伸ばしてラジオのボリュームを回す。
 すると、そこから流れてきたのは……
『今日、現地時間午後3時半ごろ、中国上海市で金融センタービルが爆破され……』
 そんなニュースに、思わずピュンマは顔を覆って天を仰いだ。
 神様、今日は何の厄日なんです?
 そう言いたくなるピュンマだったが、それはこれから始まる一連の事件の、まだほんの一歩目に過ぎなかった。





 CYBORG 009

 RE:Begins

261 :
それでは皆様、おやすみなさい。
今日の更新分、即興一気書きでしたので、不備とかありましたら申し訳ありません。
書き溜めする時間なくて、本当に申し訳ない。
次回は前に出したやつの加筆修正版になるかも
エロシーンは3〜4話毎に1回必ず書く予定です。問題は女性キャラの名前が……
ネーミング辞典調べないとなー

262 :
凄い!!
新しいのもう書いてくれてたー!
ありがとうございます。
即興とは思えない文章で、堪能させてもらいました。
ピュンマさん素晴らしいスキルでカッコいい!!
このまま映画になりそうだ。
この世界も9は高校生ですか?
続き期待してます。
よろしくお願いしますーー!

263 :
>>262
今日は眠いので、続きは金曜の晩にでも……
ピュンマさんは劇場が不遇すぎたんで、せめて二次創作では活躍を……
9は……次回か次々回でw
感想ありがとうございます。次回も頑張ります。

264 :
即興なのにこのクオリティ
お見事!
フ、フランソワーズは、、、?

265 :
取り敢えず寝る前に投下。
そう言えば注意事項書くの忘れてた……
本作はサイボーグ009、映画サイボーグ009 RE:CYBORGを元にした作品です。
原作各種から設定を引っ張ったり、独自の設定などを盛り込んでいますので、違和感が
ある場合はご容赦下さい。
18禁板ですのでエロシーンは3〜4話に一話のペースで書く予定です。
投下ペースは不定期ですが週2回ぐらいは最低限、行えるよう努力します。
勝手ばかりで申し訳ありませんが、完結するよう頑張りますのでよろしくお願いします。

266 :
「なあ、ジョー。日本じゃ、月にはウサギが住んでるって信じられてたって本当か?」
 地球の重力に引かれ、大事な親友と共に大気との摩擦熱に包まれようとしながら、口をついて出たのはそんな言葉だった。
「……うん。凄く綺麗な女性と一緒にね」
「ははっ! ……なら、オレの見てるのは幻じゃないみたいだな……」
「え……?」
 少しずつ少しずつ周囲が熱さを増し、強化皮膚を持った彼らサイボーグをも焼き尽くそうとする灼熱の熱さへと変わろうとするの
に、ジェットは遠くを見やりながら子供のような声を出す。
「おかしなもんだな。オレ、月で天使が踊ってるのが見えるぜ……」
 胸に抱え込んだジョーに、子供のような顔で笑う。
 その顔には、迫りつつあるに対する恐怖感は微塵も無い。
 親友を助けるために命を賭け、失敗したが、それもどうでも良かった。
 せめて、一人ぼっちで戦っていたジョーがぬ時、自分ぐらいは付き合ってやれたという満足感がある。
「なあ、ジョー……」
 どちらの体も大気との摩擦熱で炎の塊と化しながら、それでもなお、ジェットの声は穏やかだった。
「……君はどこに落ちたい?」



 気がつくと、ジェット・リンクの視線に先にあるのは、グラスを持つ自分の手だった。
 色白だが、荒事にも慣れているである事が伺える拳。
 生体部品を使っているからか、機械仕掛けな体をしているにも関わらず、ひどく生々しく見える。
 ウィスキーの注がれたグラスに映るのは、何十年も見慣れた自分の顔。
 あの時と少しも変わっていない。
 変わったとすれば今の仕事と、身につけているスーツや装飾品が昔より高価になったぐらいだ。、
 北イタリア系の血が混じった、少し冷たさを感じさせる彫刻めいた顔に、鳥の羽を思わせる癖っ毛。
 鳥のくちばしを思わせる長く尖った鼻が、ウィスキーの香りの向こうから、懐かしい匂いを感じ取る。
 顔を上げると、いつの間にか高価なコートに身を包んだスキンヘッドの男が立っていた。
 昔と違って若作りな顔をしているが、どこか皮肉そうな笑みを口に浮かべた顔は見忘れようもない。
「……やあ、ディック・トレイシー君。元気だったかね?」
「いつからオレは公務員になったんだ? せめて、サム・スペードとか言えよ、爺さん」
 すました顔で言う007こと、グレート・ブリテンにジェットも皮肉っぽく返す。
「お前さんが鼻デカを気にしないように気を使ってやったんだぜ?」
「嘘つけ。年寄りは流行に疎いってだけだろ」
 一頻り言い合って、ジェット・リンクとグレート・ブリテンは笑顔で再会を祝した。
 軽い悪口の応酬は、仲の良い男同士のコミュニケーションとしては、ごくごくポピュラーなものだ。
 ここ最近、殆ど顔を合わせていなくても、こんな馬鹿な言葉のやり取りを経るだけで、もうあの時の空気が戻ってきている。

267 :
「久しぶりだな……こうしてじっくり話すのは、9・11の時以来か?」
 芝居がかった、それでいて品と優美さを感じさせる動作でグレートは椅子に座り、テーブルに差し向かう。
 二人が今いる、半地下にあるこのバーは、ジェットのお気に入りの場所だった。
 カウンター以外にも衝立のある半個室が幾つか据えられ、内緒話がやりやすい。
 その上、よく仕込まれた店員たちは皆、見ざる聞かざる言わざるの3つの美点を全て兼ね備えている。
 気兼ねなく人に知られたくない会話をするには、うってつけの場所だった。
「お互い、忙しくなっちまったからなあ」
 ウェイターが持ってきたウィスキーで乾杯しながら、ジェットは唇を少し歪めた。
 三十年近く前、冷戦の終結を前にしてゼロゼロナンバーを冠するサイボーグ戦士たちがチームをが解散してから、それぞれが思った道を
辿ったが、別に繋がりが消えた訳ではない。
 解散前にだって、ごく短い期間ではあるが解散状態になって、それぞれの祖国に帰って思い思いの仕事についていた時期だってあった。
 あの時と今が違うように思えるのは、それぞれの抱える物が大きくなりすぎた事だろう。
「ま、お前さんが大手探偵事務所の経営者ってのが、今ひとつ信じられないんだがなあ」
「探偵という意味で? それとも経営者という意味で?」
「両方に決まってるだろう」
 ニヤリと笑って、グレートは憮然とした顔のジェットを肴にウィスキーを一飲み。
 サイボーグ戦士の解散後、帰国したジェットはレーサー時代の賞金を元手に、どういうつもりなのか探偵の資格を取り、事務所を開いたのだった。
 以来、30年近く経過した今では、全米でも有数の調査力と規模を誇る大手探偵事務所へと成長させ、支社は国内だけでなく欧州や、極東の日本に
まで事務所が存在するほどである。
 アメリカで調査や警備保障を任せるなら、まずここと言われるほどだ。
 短気でがさつな青年のイメージばかり思い出してしまうグレートには、どうにも違和感がある。
「オレに言わせりゃ、あんたが舞台役者に戻ったのはまあいいとして、非常勤でスパイやってる方が変だよ」
「おかしいか?」
「似合い過ぎていて、おかしい。そもそも、あんたの髪型だとプロフェルドの方が合ってる」
「嫌味か、このとんがり鼻」
 今度はグレートが憮然とした。
 代わりに、ジェットがニヤリと笑ってウィスキーを一杯。
 帰国したグレートが再び舞台役者になったのは言うまでもないが、社交界からのツテで英国情報部にスカウトされたのは、それから暫くしての事だ。
 諜報部員としての能力を期待され、非常勤という条件付きでグレートはその誘いに応じたのである。
 以来、その能力を生かしたスパイとしての一面を、彼は持ち続けている。
 サイボーグの探偵事務所経営者と、同じくサイボーグでスパイのバイトをしている役者。
 見る人間が見れば、ある意味でシュールな図だ。

268 :
「ま……再会の挨拶はこれぐらいにしておいて、先日、上海にもテロが飛び火したのは知ってるな?」
「ああ……ピュンマの奴がどさくさに紛れて襲われた事もな」
「幸い無事だったが、キナ臭いには違いない。念の為にギルモア博士のとこに合流するって話になったしな」
 008=ピュンマが祖国で発掘作業中、武装した傭兵に襲われたのは、つい先週の事だ。
 何かあれば陰謀の匂いを嗅ぎつける習慣が根付いてしまった二人であるが、完全に堅気の世界にいるピュンマが
そんな襲われ方をする理由が思い当たらない。
 さらに、ピュンマが襲われた当日、世界中で巻き起こっている大規模テロ事件がまたしても発生したのだ。
 上海の高層ビルが爆破され、者は千人単位。
 今も体の発掘作業などで現場は戦場と化している。
「実行まで移されたのは、これで5件目だ。未遂で終わったのを含めれば37件」
「犯人の目星も立たず、共通点もない、な」
 ジェットが肩を竦める。
 アメリカ・シカゴでの爆破事件を皮切りに、世界中で高層ビル爆破事件が起こり、世界中は今やパニックの一途だ。
 必の警備によって未遂に終わった事件が大半だが、それでも5件の爆破が成功に終わり、その者数は数万人は下らないと見られている。
 人的損害、経済的損失……全てにおいて計り知れないほどの損害が世界中にもたらされた。
 だが、問題はそこではない。
「2ヶ月で40件近い爆破テロ……それも世界中の高層ビルを標的にした破壊活動なんて、前代未聞だ。金や組織力だけで出来る事じゃない」
「怖いことに、犯行声明も無いしな」
 これが、ここ最近、世界中を震撼させているテロ事件の最も恐怖を呼び起こす部分だった。
 原理主義や極右、極左なんて単純な話ではない、民族も人種も職業も性別も関係のないテロ事件なんて、悪夢以外の何者でもない。
 そして、誰がテロリストであるのか分からないという空気が、少しずつ人々の間の不信感を醸造させ、国家間の不信感を増長させている。
 現状は決して喜ばしくない。
 二人ともそれはよくわかっていたから、暫し沈黙する。
「……お前、『彼の声』って知ってるか?」
「知らん」
 グレートの言葉も唐突だったが、ジェットの答えもそっけなかった。
 お互い、人の腹の内側を探る仕事をしていると、信用のおける人間には即答しているのを心がけているのもあった。
「そうか……知らんならいい」
 軽く頷いて、グレートは懐から数枚の写真を取り出す。
「こいつは、NATO情報部の極秘物だ。まだ、そちらの国にも流れてない」
 見せられた写真には数名の男女の姿。
 肌の色も年齢も全て違う。
「先月のパリ、今月に入ってからのロンドンでの犯人達だ」
「……射されたんじゃなかったのか?」
「極秘に隔離して、尋問をしていた」
 どうして、とは説明もしなかったし、ジェットからの質問もなかった。

269 :
 テロ事件の犯人はすべて射された訳でも、自した訳でもない。
 未遂に終わった事件の内、半数は射され、残りは逮捕されていたのだが、尋問は一度として成功しなかった。
 全員が残らずその場で自するか、あるいは獄中で不審を遂げている。
「5人中、3人は自白剤を打たれても自してのけたが、残り2人はぬ前にこう言ったそうだ……『彼の声』に従ったと。
『彼』の命じるまま、世界をやり直そうとしたのだと、な」
「……それからどうなった?」
「んだよ。そこまで話して、舌を噛み切られたらしい……。常人なら狂している量の自白剤を投与されて、それだ。この
事件の裏は深いなんてもんじゃないらしいな」
「ふん……」
 軽く鼻を鳴らして、ジェットはグレートが写真を懐にしまう前に、映っていた男女を視界に収める。
 視界に映った物は、頭部の補助脳に記憶しておけるから、それで十分だった。
「……EUの間での流行は、アメリカと中国、どちらだ?」
「半々だが、本気で信じている奴はいないと見ていい。だが、突き上げて動かすだけの数は揃いつつある」
「アメリカか中国による陰謀論なんて、ハリウッドでも流行遅れだぜ?」
「政治家の大半は、最新の流行に疎いんだよ。お前さんの国だって、まだ原理主義者の犯行だってわめいてる奴がいるだろう? 
さっき、ニュースで見たぞ」
 事実だったから、ジェットは肩を竦めるしかなかった。
 今のアメリカでの犯人の有力な候補は、9・11でやらかしてくれたイスラム原理主義者か、大国の王の座を狙う中国、そして戦争
ビジネスをしたがるアメリカ自体の三つになっている。
 だが、現実的にはどれも当てはまらないだろうと、グレートもジェットもよく分かっていた。
「原理主義者も中国も金がない」
 これが二人の共通認識だった。
 世界的な締め付けによって、イスラム原理主義者のさらに極端なテロリストへの武器供与はともかく、資金提供の流れは絶たれつつある。
 できるのは自爆テロがせいぜいで、ここまで大規模かつ、犯人を無作為に用いれるような力は無い。
 バブルが完全に弾けつつある上に、内部争いが激化している中国にしても同じだろう。
 国内の不和を対外戦争で解決したがるのは国家の宿痾だが、全世界を敵にして戦えるほどの大国には、中国は未だなっていなかった。
 世界最大の人口があるだけで、たかだか数十年で世界最強の国になれるほど、周囲の大国は甘くはない。
 外に戦争を仕掛ける前に、内乱で分裂してしまう方がよほど可能性が高かった。
 今、外に戦争を仕掛けようなんて現実の見れない馬鹿者と、まだ現実が見えている者の間で壮絶な権力闘争が繰り広げられている筈だ。
 つつかない限り、中国は国内の引き締めに必のままだろう。
 そして、残る一つの容疑者は……

270 :
「で、そちらのお国はどうなんだ?」
「俺の知る限りじゃ、無いと言っていい。戦争で一部を潤してりゃ、それでいいなんて状態じゃないからな。シリアの問題にしても、
イラクほどのでかさにする気はないだろう。やらかしたら国が飛ぶ。今の大統領の関心は、雇用対策やら保険関連で、一部の
馬鹿にやる小遣いを確保できるほど予算がないのさ……お前も知ってるだろ?」
「それで、軍事衛星の予算が半分に減ったんだったな。ご自慢の迎撃用新兵器の実験もままならんだろ」
 情報を把握している事を示す返答は、ジェットの意見にある程度、同意する意味も込められていた。
「ああ、そうだ。そうなんだが……」
 そこまで言って、ジェットはもう一杯ウィスキーを飲んで喉を熱くすると、少しだけ逡巡する。
「こいつは、確固としたソースが元じゃない。信頼は置ける人間からなんだが……まあ、さる筋からとだけ言っておく」
「……………………」
 無言で続きを促す。
「サムエル・キャピタル社は覚えてるか?」
「……戦争ビジネスの栄枯盛衰の体現者だな」
「ああ、そうだ。アフガンとイラクで稼ごうと、おイタが過ぎて、上院にバレて盛大にヤキを入れられたとこだ」
「契約破棄に、懲罰金だったか」
「やり方がえげつなさ過ぎて、キレた一部の議員が動いたからな。で、えらく痛いヤキを入れられて最近までおとなしくしていたんだが、
どうも動きがある」
「具体的な動きか?」
 眉を上げて促すグレートに、ジェットも唇を歪めて続ける。
「そこまで露骨じゃないが、欧州や南米、アフリカ、アジア、中国……世界中で動いてる形跡がある。まあ調べんと分からんが、NSAが
絡んでるらしくてな。あいつら空気読まないから、他の組織もトサカに来てる。CIAなんて、お冠もいいとこだ」
「ほう」
 アメリカの情報機関でもトップクラスの名前が出るとは、グレートも思わなかった。
「NSAの一部に、どうも仲良しさんがいるらしいな。何を考えてるのかは分からんが、議会や国防総省まで不審がってるのは確かだ……
大統領も気にしているらしい」
「昔と違って、人気者じゃないんだな。悪の組織にしちゃ、中途半端な」
「俺の調べた限りじゃ、サムエル・キャピタル社の政治献金は裏金も含めて1億ドル以下……ハリウッド映画の大作も撮れん金額だ。懐を
気にした議員や高官の圧力程度はあるだろうが、議会や役人を牛耳れるほどじゃない。アメリカを動かせるほどじゃないよ」
「ふうむ……」
 顎に手を当てて、グレートは考え込んだ。
 ジェットの言う情報が正しければ、サムエル・キャピタル社とNSAが何かを画策しているのは確かだが、それが大本でもないと見える。
 分かりやすい目標を設置しておいて、人の目を欺くのは情報戦の基本だ。
「どちらにしても、情報が少なすぎるな……結局は、集まってから皆で相談するしかないか」
「お前は、すぐ合流するのか?」
「しがらみが多くなってるが、元々が非常勤だからな。そこらへんの融通は利く。お前は?」
「もう少し情報を集めてからだ。幾つかのツテを当たってから、合流する」
 と、そこまで言って、ジェットはグレートの顔に何とも言えない表情が浮かんでいるのに気がついた。

271 :
「どうした?」
「……いや、年寄りじみた事を言うが、昔はよかったなと思ってな。まだ、もう少しだけシンプルだった」
 しみじみと言う言葉を耳に流しながら、ジェットは無言でウィスキーをすすって、続きを促す。
「分かりやすい悪の組織があって、俺達みたいな悪の組織に対抗する正義の味方がいて……それが今じゃあ、誰が味方か
敵かも分からない、正義も悪もごちゃ混ぜ過ぎる世界になってしまうとはねえ」
「……100年前なら、右フックと45口径が正義の証だったんだぜ? この国じゃあな」
 何倍飲んでも酔わない筈なのに、少しだけ頭が酩酊した感覚がある。
 酒を飲んだという口実で、心の方が酔いによる救いを求めているかのようだ。
「半世紀前は、俺達サイボーグ。今じゃ、金とネットと怪しい神様の声……そして、年寄りは消えていくのみ、なのかね」
 お前はどう思うんだろうな、ジョー?
 カウンターの向こうの客が持つTIME誌の表紙を飾っている親友の顔を眺めながら、ジェットはボンヤリとそんな事を思った。




 人生とは妥協の産物としか言えない瞬間があると、島村ジョーは思うことがある。
 何せ、


「はい、次はちょっと首を傾げてみてください」
「こう?」
 カメラマンのリクエストに小首を傾げて応える自分を顧みると、そうとしか言えない。
 何で、自分はスタジオで写真を撮られているのだろう。
 詰襟学生服の上に、学生向けの赤いコートを着て写真を撮られているジョーが、実は70近いなんて誰も気づきはしない。
 自分でも似合わないと思うが、周りはそうは見てくれないらしく、写真撮影は続く。
 まったく、何を間違えたら、こうなったんだか。
 内心の葛藤はともかく、目線はカメラに、最低限の愛想は感じられる笑顔を浮かべているのを過去の自分が見たら、卒倒するだろう。
 数十年前にレーサーをしていた頃は無愛想一辺倒だったのが、嘘のように人あしらいができてしまっているのが悲しい。
 本当ならやりたくないが、複数の社員と役員から土下座込みで懇願されてしまって、渋々引き受けてしまったのは自分だ。
 彼らの面子と給料のために骨折ってやるぐらいは、別にいいかと何度目かの妥協を心に呼びかける。
 ついでに、自分にもちょっとした収入が入るのだから、小遣い稼ぎと割り切ればいいだろう。

 ……雇い主の癖して、小遣い稼ぎで喜べるのも何であるが。
 二時間も我慢していればさすがに撮影も終了し、ジョーはホッと一息つきながら、スタッフの一人に渡された飲み物片手に
スタジオを出る。
 そこへ、何人かのスーツ姿の男が駆け寄ってくると、過去が過去だから、つい身構えそうになってしまう。
「ありがとうございました、オーナー」
「いいですよ、少しでもお役に立てれば」
 さっきまで二度とやらないと思っていたことなど顔には一切出さず、ジョーは平身低頭する役員の一人に笑顔で手を振る。
 年齢はジョーの方が20は上だが、外見は相手の方が3倍近く、年収は天文学的なまでにジョーの方が多い。

272 :
「でも、僕なんかがモデルで本当にいいんでしょうか?」
 言外に、もう呼ばれないよね?という期待も込めてみるが、現実は厳しい。
「それは勿論。オーナーがモデルになると、売上が確実に伸びていますので。あ、ここに資料があります。オーナーがモデルを務めた
商品は、ご覧のように上昇していまして……」
「…………………」
 頼むから社交辞令だって言ってくれよとジョーは思うが、無情なことに事実らしい。
 社交辞令ならと断れるのに、売上に関係するとなると、また呼ばれそうなのは確実だった。
『そもそも、何で僕はいつの間に、ファッションブランドのオーナーにもなってるんだろう?』
 自分でも知らない間に、聞いたこともない会社の持ち主になっていたのは、これで何度目か。
 M&Aなんてものがあるお陰で、知らない間に会社が会社を買収し、オーナーの肩書きが増えていく。
 イワンがおしゃぶりをもごもごしながら、『会社モ大キクナレバ、生物ミタイニ勝手ニ増殖シテイクモノダヨ』なんて語っていたが、半分嘘だろう。
 知らない間に、悪乗りして吸収合併を繰り返すは、株価の動きを予知して悪魔のように荒稼ぎしまくって遊んでいた赤子に、説得力など感じようもない。
 ここ数年の株価の凶悪な上がり下がりの時も、予知能力を駆使して荒稼ぎしていたから、資金を提供したジョーの個人資産がどこまで上昇しているの
かは、本人達にも分からなくなっていた。

『よく似合ってるじゃない?』
「君がそう言ってくれるのは嬉しいけど、僕の『今の』年齢は二十代半ばなんだよ? 学生服が似合うって、よく考えたら侮辱なんじゃない?」
『若々しいっていうのは、生命力にあふれているって事でもあるでしょう? いつでもエネルギッシュな人なんだって思われると考えればいいのよ』
「フランソワーズはメイクが上手いから余裕があるんだよ」
 役員たちから解放されて控室で休憩しながら、ジョーはそんな事を恋人に愚痴る。
 スマートフォンのカメラに映るジョーの姿は、かなりツボに入ったらしく、電話の向こうの恋人……フランソワーズはしきりに社交辞令抜きで
褒めてくれる。
 彼女が褒めてくれると嬉しいが、それはそれで複雑な気分だ。
 ただでさえ何をやっても童顔が変わらないから、メイクの上手い彼女と並ぶと、年上女性に養われるツバメな少年と思われがちなのだ。
 メイクを落とすと自分と同じぐらいに戻るのだから、女は魔物だぞ?というジェットの言葉が身にしみる。
『あら、メイクをしてもたまに童顔に見られるから、私だって余裕ないわよ?』
「『時たま』と、『常に』の間には、大きな隔たりがあると思うよ、僕は」
 着替えるのが面倒で、詰襟に赤いコートを着たままのジョーは皮肉っぽく言う。
「それは私の方が老けてるって遠回しな嫌味かしら?」
「まさか。男は恋人より年上にみられたいものなんだからね」
「どうかしらね」
 電話越しにクスクス笑う声が聞こえてくる。
「取り敢えず、タクシーがもうすぐ来るから僕も出るよ。待ち合わせは66プラザでよかったよね」
『ええ、ジェロニモが迎えに来てくれるから待っていて。ちょうど日本に来てたし、向こうもすぐ出発するって』
「へえ? タクシーで?」
「山手線とメトロを乗り継いで行くって言ってたわ」
「……………ジェロニモ、どこで何やってんの?」
 ごついインディアンが、山手線とメトロを乗り継いでやってくる。
 想像しただけで、ジョーは目頭が熱くなるをの感じた。

273 :
取り敢えず眠いんで、本日これまで。皆様、おやすみなさい。
投稿してから、最後の部分のフランソワーズのセリフが『』にしとくの間違えたorz
つか、3〜4話に1回エロシーンて、説明変じゃん……話数入れるの忘れてたorz
取り敢えず定期的にエロシーンは書くという事でご勘弁ください

274 :
フランソワーズきてた!
地下鉄に乗るジェロニモw
続き楽しみだ。
期待してます。

275 :
本編来たー!
ありがとうございます!
ってか、島村さん何やってるんすかw
これは財団の財政難とか無い流れですね
続き楽しみです!(エロもw)

276 :
エロはまだですか?

277 :
自分のブログでやれよ。
なに2ちゃん私有化してんだよ。
あー、特定されると問題ありだから、勝手にここ使ってんのか。
何様。

278 :
別に私有化してるとか思わないけど
>>277さんも書いてくれて全然問題ない
てかむしろ作家さんが増えるのは大歓迎♪

279 :
エロ読みたい

280 :
>>274 >>275 >>276 >>279
レスありがとうございます。
エロは次かその次ぐらいかなあ。30年経つ間にサイボーグたちもそれぞれ相手いると思うので
それぞれの彼女を考えるのが楽しかったりw
問題は名前思いつくのが遅くて……
前にも書いたけど、サイボーグたちが金に困る印象が無いのは、あいつらバイタリティあり過ぎて
稼ぐイメージしかないんですよね。修羅場潜りまくってるから、ビジネスやらせても強そう。
次に出るのは誰になるのやら。
……他の職人さんも参戦してくれんかなあ……スレ上げといた方がいいんですかね?

281 :
作家さまが増えるといいですよね。
今お一人しかいないから、、、。
よかったら>>277さんも是非なにかお願いします。
六面球さま
いつも面白いものありがとうございます!
たしかにサイボーグ達みんな頭良さそうだし、
正義の味方やっていただけに、他人を助けたい思い強そうだし
なにをやらせてもスキル高そうだから
生活に困るとは思えませんね。
本当にイワンがちょっと金儲けに手を出したらこうなるかも、、、、。
恐ろしいw
個人的にジョーのモデルは笑顔より真面目な顔のほうが売上が伸びると思うw
フランソワーズもっと読みたい。
週2回ぐらいのペースで投下いただけるそうで、とても嬉しいのですが
ご無理のない範囲でよろしくお願いいたします。
続き楽しみにしてます!

282 :
別の職人さん来ると思って暫く控えてたのに来ないな……
取り敢えず月曜メドに投下予定です
段々と涼しい時間も出てきましたので、皆様体調変化にはお気をつけて

283 :
>>282
六面球さま
いつもありがとうございます!
続きお待ちしてます。
ここエロパロなのに、エロいパロディかけらも書けず
作家さまたちの力作読ませていただいてばかりですいません。
書いてくれてありがとう!
ところで「六面球」ってどういう意味ですか?

284 :
何009の名を使って作家気取りになってんだよ。
チラシの裏でやれこの恥晒し!

285 :
>>283
HNについては、本人が詳しい理由を忘れてたり(駄目じゃん
……サイボーグたちのそれぞれの彼女をつらつら妄想してたら、変な方向に
走る奴が出てきたのは何故だろう(次回、書ければいいんですが

286 :
ぴくしぶにエロあっからそれでも嫁

287 :
マジレスしていいのかわからんが
すまん>>284さんがなにを怒っているのかよくわからない、、、、。
ここはエロいパロディ書く板でその中の009スレだよね?
六面球さんはエロ度は低いかもしれないが
面白いもの書いてくれてると思うし
読めてうれしいし
他にSS職人さんいないし、、、。
>>284さんがSS職人さんになって下さってもうれしいです。

288 :
すまん。エロ見た過ぎて焦った。
面白いんで投下楽しみにしてます。

289 :
変態

290 :
009の面汚し

291 :
>>290
ここエロパロスレやで

292 :
婦女子にはこういう執筆+発表というハケ口がないと、
欲望が溜まってヤバイことになるんでしょ。
これが男だったら、完璧に性犯罪予備軍なんですよ。
だから18禁ビデオやゲームも、実は性犯罪抑止に一役買っているんだ
と以前どこかのコメンテーターが言ってた。
なんか納得…

293 :
意味が分からん
石ノ森章太郎の親戚か?
このスレはまだマシな気がするんだが

294 :
んーそう言えば
そもそも同じ要素の石ノ森801スレが以前からあるに、
わざわざ別途ここを作った意図は?
スレ主が嬉々として他の009スレに宣伝(誘導)カキコして総スカン食らってたのは見覚えがある。

295 :
>>294
エロパロスレと801スレじゃ需要が違うだろうに
801物を否定する気はないが、自分は読みたくないし、書くことも無い。
何か暇なの以外に的外れなこと嬉々として書く人まで出てきたんで、投降一時中止します。
ここで続けるか、別のとこでやり直すか、ちょい検討する

296 :
需要www

297 :
>>295
気にせず続き書いて下さい。
多分、嫉妬ですよ嫉妬。

298 :
いやらしい妄想の続きはご自分のブログで思う存分どうぞ。

299 :
そうかー
いやらしい妄想しちゃいかんのかー
喪男なんですんませんねー

300 :
>>299
ここで突然「自分は男」アピールとか
キモイよ喪女さん

301 :
295さま
よろしくお願いいたします。

302 :
>>298
ここはエロパロなんだが。
妄想がいやなら近づかなければよろし。
なぜ他者を追い出したがる。
>>295
続き待ってます。

303 :
>>300
エロパロに張り付き、
文章が上手い作家に嫉妬してる
腐女婆wあんたもキモイ

304 :
>>298
そんなにもここの作家さんに嫉妬してるんなら
自分の腐女婆エロパロでも書いてみろよw

305 :
ここは 003たん(;´Д`)ハァハァ…と皆で愛でるスレの後継地
そういう場所なんだよ

306 :
自称「文章がうまい嫉妬されまくりの作家」さんの自画自賛祭り
只今絶賛開催中

307 :
>>HNについては、本人が詳しい理由を忘れてたり
バカでしょ、この人(>>285

308 :
なんか状況描写が長すぎて退屈なんだよな

309 :
今いる作家さんの文章は多少くどいが
重厚感があってカッコ良くてすきだ。
気にいらなければこんなスレに来ない自由もあるよ。

310 :
レスが伸びてるから新作キター、と思ったら
エロパロ板なのに
いやらしい妄想書くな、
という意味不明の人がきてたのか。
エロパロ板のローカルルール
【この板の趣旨】
一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、
およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。
って書いてあるが、、、。
いやなら存在を無視すればいいのでは?
>>295さんの書くSSはフランソワーズを大事にしてくれてるのが分かって
003ファンとしてとてもうれしい。
息子の小説は酷かったからのお
続き楽しみにしてます。

311 :
>>310
自演乙

312 :
ただくどいだけならマシだけど自己陶酔のケがあるからなぁ。

313 :
大丈夫!
面白いから!
続けて!

314 :
>>313
同意!!
面白いから続けてほしい!

315 :
>>312
わかるー
たかがねらーにおだてられて悦に入ってる感がもうねw

316 :
>>315
どこらへんが自己陶酔なんだろ?
315が読解力無いからじゃね?

317 :
周りのおだて屋もバカ揃いのもよう

318 :
>>317
お前が一番のバカだろw
出てけ。

319 :
エロ小説だけが生き甲斐の人が何か言っているようです。

320 :
>>319
お前には叶わないw

321 :
不快なものをずっと見張ってられるなんて元気がありあまってて時間に余裕あるんだなあ
うらやましいよ若々しくて
上手いとか下手とかはわからん
くどいとか思うのは好みでないってことだろうけど
でも自分が書けない話を読むのは楽しいからめげずに書いてくれたらうれしい

322 :
原作を侮辱している点で
バカ息子のやってることと同じじゃね?

323 :
同じと思ってるのはこの板ではきみ一人だ。
そろそろお仲間のところへ帰ってくれ。

324 :
ここの人が侮辱してるとは全然思わんな。
ただの素人のための隔離エロパロ板だし
バカ息子は
原作を貶しめた小説で
金をふんだくっている
しかも原作をメチャクチャに侮辱したその本を
「これが石ノ森章太郎の最後に言い遺したかったもの(うろ覚え)」
って煽り文句までつけて売ってるぜw

325 :
エロパロに文句言ってるのがよく分からんな。
覗かなきゃいい。それに尽きる。

326 :
いかにも正しいファンのふりしてここで嫌がらせする人みたいなのが
流れ星になったジョーを復活させないと息子を誘拐するぞーー
ジョーとフランソワーズをくっつけたら絶対に許さんー!!
なのにベッドシーンなんてキーッ!!!あれは幻覚!!!カミソリだー
とか暴れて御大を追い詰めた
その結果があの息子復讐小説かと思うとやるせない 恨みたくなるよ
もうどっか行ってくれ

327 :
何でそんなにフランソワーズとジョーがくっつくのが嫌なんだ?
嫉妬?

328 :
六面球さんは
嫉妬という言葉で自分を擁護するのがたいそうお好きですな。

329 :
>>328
自分、六面球とやらじゃないけど、
何でフランソワーズとジョーがくっつくのが嫌なのかおしえてくれないか?
男に愛された事が無いのかな?

330 :
pixiv使えば?

331 :
pixivは腐カプだらけだから
3×9嫌いな人にはいいかもよ。

332 :
それだ!
アンチさんはpixivにいけばいいんじゃん

333 :
>>326
本当にねえ
COMで「神々との闘い」にけりがつけておけたら
息子が原作を恥辱にまみれさせた小説を書く事もなかったし
金払ってまであんなもの読まされるはめになる事もなかった。

334 :
その他大勢に埋もれるpixivではなく自分専用のスレを常備して六面球さんご満悦。

335 :
【この板の趣旨】
一般向け作品(漫画/アニメ/ゲーム/小説/ドラマ等)のエロ妄想・萌え談義、
およびオリジナル・パロディを問わないエロ小説創作等を行う板です。
ここはエロパロを書くためにある板
ここでエロパロ書いてくれないとスレの意味がない。

336 :
別に3×9じゃなく3×2でもいいよ。
腐カプ、女体化は他でやって欲しい。

337 :
>>326
よく知らなかったが
清く正しいファンのふりをした人たちが
息子を誘拐すると脅迫したり
カミソリ贈ったりとか
そういう事件が本当にあったん?

338 :
ジョーに女の恋人ができるのが嫌なんだよな。
男ならいいという矛盾。

339 :
エロ女、必過ぎ

340 :
>>339
エロ女最高なんだがw

341 :
>>338
>>336は男はいやだって言ってるんじゃない?
エロパロ板だしエロ女最高w

342 :
お巡りさん、こいつです。

343 :
>>342←偽装犯人がいるww
自主しろww

344 :
>>343
六面球さん、みっともないですよ。

345 :
>>344
ダーキニーさん、巣に帰りなよw

346 :
>>343
漢字もよく知らない人か。
作家気取りの前に国語を勉強ね。

347 :
2ちゃんで誤変換に目くじら立てるのは無粋だな

348 :
>>346
あなたは趣味のお部屋を間違ってる事を恥なさいw

349 :
恥じなさい、だって。プ。
どの口が言ってるの?

350 :
>>349
ぷ。あなたの顔が笑えるwその口汚い口がw

351 :
とにかくこれで六面球の性格はよく分かった。

352 :
エロパロ板でエロを書くのを非難するのは
ローカルルールも理解できないので論外だが、、、
息子の小説とコミカライズを読んだ「自称清らかな人」が暴れたくなる気持ちは解かるよ。
ここはエロパロで「触るな危険!」
という事は事前に解るけど
向こうはいきなり公開ポルノだからなあ
なにも知らずに被曝した人のショックは大きいだろう。
あれアニメ化しちゃったりするのか?

353 :
自称清らかな人たちはかつて先生に対して暴れた
ヨミ後カミソリ送ってきた子もいたと石ノ森先生自身がいってる
↓インタビュー
書きにくいんだ。非常に……
ファンがいっぱいいるからさ、あんまりこう、下手に動かせなくなってるわな。
ジョー自身がやっぱり、ぼく自身のジョーじゃなくなってきてるから……
だからたとえば、ジョーが、フランソワーズとくっついたらおこるしさ……

小説とコミカライズはどんなファンも暴れる気すらおこらないレベル

354 :
どうでもいいので続きはよ!

355 :


356 :
すまん、間違えて送信してしまった。
>>353
>小説とコミカライズはどんなファンも暴れる気すらおこらないレベル
あれはこの世に存在してないと思ってるが、、、。
びっくりした人は暴れたくなるんじゃないかな?
なんたって恥知らずにも本屋で売ってるから、
どうしても目につくよ。

357 :
ろくでもない人格が009の同人作家やってるのと
バカ息子の009の継承作家気取り
どっちがマシかと考えると…うーん
どっちが酷いと考えると…
どっちもだ!

358 :2013/10/05
ろくでもない人格でも別にいい。
続きはよ。
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