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マリア様がROMってる


1 :2012/01/02 〜 最終レス :2013/09/09
「マリア様」のエロSS(百合推奨)を書くスレッドです。
スレは乱さないように、マターリとsage進行がここでのたしなみ。
もちろん、荒らし、煽りを放置できないような、はしたない住人など
存在していようはずもない。

2 :
ごきげんよう

3 :
また立ったのかw
結構前に落ちたとおもってたけど
作者がマリみて新作出さない限り盛り上がらないだろうよ
釈迦みてすら最近出てないもんな

4 :
どなたか落ちる前のログをお持ちの方はいないかしら
せめて保管庫だけでも

5 :
これはまた懐かしいスレを立てたもんだな……
何年前になるか、投下のタイミングを失った書きかけのSSが実家のHDDに眠ってるわw
新保管庫のほうは消えてるみたいね。
ログは持ってるけど、出張中だから来週以降までうpできずスマヌ

6 :
>>5
期待して待ってる
祥×祐だったら喜ぶ

7 :
ttp://www.angelfire.com/poetry/rommaria/ssindex.html

8 :
これであと1ヵ月は戦える

9 :
なぜ今になってこのスレを立てたw
まだスレが毎晩伸び伸びだった頃は何度か自分も投下したけど
PC壊れて買い換えたから全然手元に残ってない
祥子さま卒業までは読んでたけどそれ以降で本編の続巻とか出てるのかな

10 :
蓉子「祥子、勝負をしましょう。私が勝ったら祐巳ちゃんのおっぱいをもむわ」

11 :
>>10
書いてくれ

12 :
過去ログ。残念ながら最後(?)のスレが見つからなかった
ttp://www1.axfc.net/uploader/He/so/351597.zip

13 :
もらった、トン
これから暫くじっくり読んでくる

14 :
投下まだかなー

15 :
バカップルとかあまあまとかしか書けない

16 :
何も問題ない
投下してください
お願いします

17 :
イカ触手なら

18 :
俺の中で祭りが起きる

19 :
高城典さんって祐巳三年時は演劇部の前部長でおk?

20 :
>>19
わからんがおk

21 :
あの人絶対瞳子でオナってる

22 :
「お姉さま、これです」
そう言いながら瞳子は鞄から出した本を私に見せびらかす。目の前にある表紙を見て、何となく見たことあるな、と思った。瞳子が紹介しているそれは知っている小説だった。
いつだったか、私がこの物語を読んだのは。中等部の頃であったか。
「あ、これ読んだことあるよ」
そう言うと瞳子はふふっと笑って、愛しそうにその本を撫でた。図書館で借りたのであろう、とてもではないが新しいとは言えないそれは、紙が日焼けで変色していた。
「次の舞台用に、と前部長が私のために選んでくれたんです」
瞳子が優しくそう言った。高城典さんは演劇部の元代表で、私にとっては少しばかり気がかりな存在だった。
彼女は背筋伸ばしてはっきりと物事を言う、芯のある人だった。
彼女は瞳子の為にと様々な施しをする人でもあった。例えば、部内で瞳子が孤立しないように。例えば、あの日言った言葉のように――瞳子を光らせている。
瞳子のためにそういった配慮、心遣いをしてくれて安堵する反面、矛盾するかのように私は焦りを感じていた。
私は瞳子の演ずる役、舞台が大好きだし、その瞳子の居場所である演劇部もまた私は好きだった。
しかし、先程の瞳子の指先が焦燥を更に掻き立てた。
目の前のこの分厚い本を大切に撫でたその指は、私の為に撫でていない気がした。
高城典さんは、瞳子のことが好き。

23 :

「これの内容、覚えてます?」
瞳子が私に聞き、ハッと我に帰る。ばかばか、私のばか。瞳子があの人と何かあるのではないかと疑っている自分に気付き、自身のことながら不快になった。
しかし、不安は立ちきれなかったのも事実で。
「…ごめん、覚えてないや」
読んだことを覚えていて、内容は忘れる。ああ、情けない。
そんな気持ちを知ってか知らずか、お姉さまらしいと瞳子は微笑んで言った。
かの元部長と瞳子の関係は、少し前から気がかりだった。
もし、頬を突っついてみたくなるその瞳子の笑顔が、私じゃない誰かに向けられたら。もしその誰かが、かの典さんであったら。
ますます、私の不安は大きくなっていった。
「私はこの役で……ここが見せ場で…」
嬉々として瞳子は内容を語る。私のとなりに座って本を開きながら、私のために教えてくれる。なんて愛らしいのだろう。
やっとのことで通じ合った心。私以上に瞳子を受け止められる人なんて、リリアンには他にいないと私は自信があったし、瞳子だってそうだと思ってくれているはずなんだ。
そう自分に言い聞かせてみたものの、先程から私の胸を掻き立てる不安は拭えきることなんて出来そうになかった。
「それでですね…」
「……!」
少し前屈みになった瞳子に、私は目のやり場に困った。リリアンの制服はセーラー服だ。そして胸当てが無い。
その為、胸元はわりと開けていて、上から見ると若干ながら制服の中が見えてしまうことがある。
今、瞳子も…チラチラと、真っ白なスリップが見えていて、ええと、私は瞳子の話が耳に入らなくなっていった。
何考えているんだ私は。せっかく瞳子が、我が記憶に残っていない本の内容を話してくれているというのに。
しかし先程の高城典さんの件もあってか、私の胸の苦しさはますます増すばかりだった。
もしかして瞳子のありのままの姿をあの人は知っているんじゃなかろうか、とか。
演技の一環という名目でその唇はもしかして…、とか。そんな邪推ばかりしてしまっていた。

24 :

「…お姉さま?」
ハッと我に帰った私は、瞳子が怪訝な顔持ちで私を見ていることに気付いた。瞳子も私の目線に気付いて、顔を赤くして胸元を押さえた。
「ご、ご…ごめんっ」
「……人が話しているのに、もう」
はぁ、と一息ついて瞳子は、お姉さまったら、と続けた。
「ごめん。嫌いにならないで」
私は更に不安になった。変な目で見てしまった事実は消えず、もし瞳子がそんな私に愛想をつかしたら―――
「……そんなに謝らないでください。人間ですもの、そ、そういう日だってあります」
「瞳子……」
「お姉さま…?」
私は堪らなくなって瞳子を抱き寄せた。きゃっ、と小さく声あげて私の腕に入った瞳子は、ほどなくして警戒を解いて私に寄り添った。
「瞳子…私、不安で」
「…不安?」
私は洗いざらい先程の焦りを吐いた。瞳子を疑っている訳じゃない、なのに瞳子とあの人の関係が気がかりで、瞳子を信じているのに。
私は支離滅裂になりそうだったが、瞳子にひとつずつゆっくりと言った。瞳子は初め黙って聞いていて、しばらくすると両腕を私の背中に回した。
正面から抱き締めているためその表情こそ見えないが、埋める額から少しだけ何かが伝わった気がした。

25 :

「お姉さま」
「…瞳子、ごめんなさい」
「何謝っているんです。むしろ、嬉しいです」
「……うぇ?」
間抜けな声が漏れて恥ずかしい。でも、嬉しいって言われてよく解らなくて、つい情けない声が出てしまった。
「……や…妬いてくれて」
「え?」
「…い、いえ、なんでもありません。お姉さまが思ってること、言ってくださって嬉しい、って言ったんです」
瞳子は私から離れて、俯いたまま本を撫でた。今度はその指先は、、本を撫でているようには見えなかった。
「私が最近部活に専念し過ぎていたのも事実です。だから…おあいこ、でどうでしょう」
「瞳子…」
雪が春の日差しで溶かされるかのように、私のわだかまりは消えていった。
「あの方とは、お姉さまが思っているような関係はありません。安心して下さい」
「……うん。ありがと、瞳子」
「あ、あと…」
「…うん?」
瞳子は俯いて、耳まで紅くして言った。
「……演技だからといって…身体を他の誰かに預けるなんてこと…」
小声で囁くように呟く瞳子。
「え…えっと、それは…」
「や、やっぱり何でもありません!!」
一生懸命さっきの発言を取り消そうとする瞳子だった。でも、私は確かに聞いたよ。ありがとう、瞳子。
頬を朱に染めた瞳子を見ながら、瞳子の身体も自分だけのものなんだと自惚れてもいいのかな、なんて思った。

26 :
マリみてのss初めて書いたから色々不安だけど
祐巳瞳子でした

27 :
ブラボー!ハラショー!スパシーボ!

28 :
>>27
どうもありがとう
他に書く人いないの?

29 :
祐巳「瞳子を無視し続けたらどうなるか」

30 :
いいね!


31 :
志摩乃梨需要ありますか

32 :
ある
つーか人気ジャンルだろう
待機

33 :
初期はみんな聖志摩だったのになぁ

34 :
聖蓉の絶大な人気を背景として志摩乃梨は成立しやすい

35 :
蓉→聖志摩もしくは蓉→聖栞こそ至極

36 :
聖さまのタラシを目撃して焦っちゃう志摩子さん
聖さまのタラシを目撃して悩んじゃう蓉子さま
そして本命にはヘタレる聖さま
が好きです

37 :

私は今、レンタルビデオ店で大いに悩んでいる。さてどれを借りてやろうかと思っていて、店に来るまでは特にこのタイトルが借りたいだとかそういったことを考えていなかったから、
いざ実際に借りるとなったら迷ってしまうのは当然だ。
更に私は映画にするのかテレビドラマにするのか、邦画か洋画かすら決めずに来たので、悩むのは当然の結果だ。
ラブ・ロマンスかホラーかSFか、はたまたコメディか。いつもだったら何を借りてみようとも私の勝手なのだけれど、今日はそうはいかない。私一人で観るわけではないからだ。
一緒に観る相手は同居人である菫子さんではない。かといって友達うちの誰かと、という予定でもない。相手が瞳子あたりだったらこんなに迷わないのだろうな、と思う。
いや、しかし彼女は演劇部だし、名作とも呼ばれる物語を選出しなければならないのかもしれない。
私がなぜこんなに悩んでいるのか。そもそも私がなぜレンタルビデオ店に居るのか、その問いには今日のお昼にまで時を遡らなければ答えられない。


今日は土曜、午前だけ授業がある日。放課後私は薔薇の館へいつものように向かう。祐巳さまや由乃さま、瞳子たちがいて、そして白薔薇さま――私の姉でもある――志摩子さんもいた。
掃除当番で遅れた私は一番後の到着だった。皆さん既にお昼用の弁当箱を開けていて、その箱の中身に箸を伸ばして口に運んでいた。ただ一人を除いて。
「待っていたの」
志摩子さんが微笑んで言う。
「…ありがとう志摩子さん…っと、お姉さま。あ、お茶淹れますね」
私のためにお昼を待っていてくれた、そういった気遣いがたまらなく嬉しかった。
流し台に向かいながら、ご飯にはやはり日本茶がいいだろうと思い急須にお茶っ葉をガサガサと流し込む。
「私が一足先に淹れたわよ」
後ろで声がして振り向けば瞳子がいた。
「私のお姉さまにも?」
「当たり前でしょう?」
見れば志摩子さんの手元にもカップがある。待っていてくれたお礼に、せめてお茶くらい差し出したかった。
「いいもの、自分の分だから」
「ごめんなさいね。乃梨子」
なぜ謝られているのかいまいち解らなかった。自分の分も欲しかったから急須にお湯を入れて持っていき席につく。大好きな志摩子さんの隣。瞳子も祐巳さまの隣に戻っていた。
「いただきましょう?」
「うん、お姉さま」
午後は山百合会の仕事があるね、とか前放送していた仏像特番がおもしろかったよ、とか。私が言うことに嬉しそうに、楽しそうに聞いてくれる志摩子さん。
志摩子さんも、令さまに教わった方法でお菓子作ってみたけどあまり巧くいかなかったこととか、今度上手に出来たら私に食べて欲しい、とか話してくれた。
まさに談笑の字がぴったりに当てはまる会話をしていた私たちだったけれど、反面なかなか言い出せないことが私にはあって、胸につかえていてもどかしく思っていた。
この土、日曜日は私の同居人である菫子さんが居ないのだ。つまり今日明日、私はあの広い部屋に一人きりなのだ。
思いきり一人暮らしを満喫しようと思っていたのだけれど、ふと志摩子さんと一緒に居たいと思った。
つまり私が志摩子さんに言いたいことは、今日私の家に泊まりに来ませんかという、ちょっぴり恥ずかしい提案だった。
「あの、お姉さまっ」
私は意を決して言った。たかだかお泊まりくらいで言い出せないのも訳がある。志摩子さんは友達同士で泊まり込みとかをしたがらない人かな、と思ったからだ。
「乃梨子が良いのなら、私は行きたいわ」
志摩子さんが二つ返事で頷いた。
何でも志摩子さんのお父さんは、いかにも普通の女子高生がしたがることをお父さんの方からさせたがるみたいで、多分聞けば直ぐに許可を取れるそうだ。
「下校したら一度家に戻って準備して乃梨子の家に行くわね」
志摩子さんは晴れ晴れとした笑みを浮かべた

38 :

結局私はホラーものを借りることにした。志摩子さんが嫌がるかもしれないけれど、そうしたら観ないで二人で何かを話そう。
今日の山百合会は早く仕事が上がり、普段より早く下校となった。学校帰りの途中に皆様と別れた後レンタル店に寄った。今は家に着いたところだ。
夕方の今、私がすべきことは、少なくとも
1.部屋掃除
2.志摩子さん分の布団出し
3.お風呂掃除
4.夕飯準備
の4つがある。結構やることがあって、急いで取りかかった。借りてきたDVDはテレビの近くに立て掛けて。


インターホンが鳴った。鳴らしたのは案の定志摩子さんで、嬉々としてドアを開ける私。
上半身を軽く覆うことが出来る大きさのトートバッグを肩に掛けている志摩子さんの姿が、目に飛び込んでくる。
「待ってたよ、志摩子さん」
「そうみたいね、乃梨子。勢いよくドアが開いたから吃驚しちゃったわ」
「あ、ごめん…ぶつからなかったよね」
「うん、大丈夫よ」
玄関先で話すのもなんなので早速上がってもらった。
部屋掃除や布団出しも済み、お風呂掃除も終えたところに志摩子さんは来たので、まだ夕飯は準備していなかった。
「志摩子さんは夕飯はお鍋でいいかな」
「勿論よ。あ、私も手伝うわ」
二人で台所に立つ。私は大根、白菜、椎茸、榎茸、豚肉等を切った。志摩子さんはもやしの頭とひげ根を取ってくれた。因みに味は豆乳。
「何か、新婚みたいだね」
「…そうね。乃梨子が夫かしら?」
「かな?…じゃあ志摩子さんはお嫁さんだね」
他愛ない会話をしつつも準備は進んだ。志摩子さんは何故か頬が紅くなっていた。
「…もしかして志摩子さん」
「何?」
「私の新婚発言にドキドキした?」
「…ちょっと」
私に目を合わせようとしない志摩子さんはますます頬を朱に染めている。普段は肌が雪の様に白い分、その紅さは際立っていた。それは見ていてもわかるくらい熱くなっていそうだ。
「可愛い、志摩子さん」
「…からかわないで、もう」

39 :

二人して鍋を突っつく。テーブルの上にガスコンロを置いて、その上に土鍋を置いて。鍋から上がる湯気は天井へと吸い込まれていく。
「美味しい?」
「美味しいわよ、とても」
「そうかな?私はいつも食べている味だから。でもそのいつも通りの味を志摩子さんが気に入ってくれたなら、嬉しい」
「あつ…」
会話に気を取られたからか、志摩子さんは白菜を唇に触れさせたかと思ったら、よく冷まさなかったらしく、火傷してなければいいのだけれど、それを口から離した。
いつもの彼女らしからぬ行動だった。
「大丈夫?」
「うん…恥ずかしい所、見られちゃったわね」
「そんなこと…」
ないよと続けようとしたが、確かに普段の志摩子さんならまず見られない光景だ。
紅茶だったら十分に冷ませてから口にする人だ。もしかしてこれは私だけが見ることが出来た光景なのだろうか。
何時だったか私が言った言葉――慌てん坊の志摩子さん。
「私も、冷ましてあげる」
「ええ!?」
「いいから、ね?」
「でも…」
私は自分のお椀に入った白菜を箸で摘まんで、ふーって息を吹き掛け軽く冷ませる。そして、はいって言いながら彼女の口へそれを運んだ。
それを食べる志摩子さんはなんだか恥ずかしげだ。
「…私、変なことしちゃったかな」
「……お返し」
「え…」
さっきとは逆に、今度は私に食べさせようとする志摩子さん。私がした時と違うのは椎茸を冷ましていることか。志摩子さんの手で食べたそれは、確実に冷まされていた。
「…うん。恥ずかしいね」
よくよく考えたら私は食べさせっこをしようと持ちかけていたのだった。志摩子さんがやたらと恥ずかしそうにしていた訳をはっきりと理解する。
「乃梨子ったら」
微笑む志摩子さんを見て、ドキッとした。


40 :

「ホラーなの?」
食後お椀や箸、鍋等の食器を洗って片付けた後、私がDVDを借りたよと言えば一緒に見てみようという流れになるのは当然だった。
しかし問題はその中身であった。キリスト教が主題の映画あたりにすればよかったか。
でも私はホラーが見たかった。前から気になっていた怖い映画があった。
以前由乃さまがバレンタインデートの際に観たらしいが、なかなか機会がなくて観ることがなかったから、今日のタイミングで観てみようかと思ったのだ。
「やっぱり嫌だったかな」
「乃梨子のことだから、てっきり仏像紹介のドキュメンタリーでも観るのかなって思ったわ」
「そんな映画があるの!?」
「…多分、無いかしら」
「…だよね」
しかし仮にそんなドキュメンタリー映画があったとしても、今日のこの場で観るものだろうか。多分違う気がする。
志摩子さんと観るのだから、世のカップルが観るであろうジャンルに勝手に縛っていた。
志摩子さんは私の特別な存在には変わりない。
「挑戦してみようかしら」
興味本意で言う志摩子さん。
「…観るの」
「普段あまり観たことないから」
「でも、怖い思いさせちゃうかもだよ」
自分で借りてきておいて何を言うか。
借りようと思った瞬間は、観られたらそれでいいという程度の気兼ね無い心持ちだった。
いざこれから鑑賞しようという際になって、目の前にいる志摩子さんを見ると気が引けてしまった。
「…の、乃梨子が」
「うん?」
「乃梨子が…ずっと隣に居てくれるのでしょう?」
それは私にとってし文句だった。

41 :

ドキドキしてしまうのだ。
志摩子さんは私にとってどういう存在なのだろうか。あの人は私の、何なのだろう。
志摩子さんの唇に胸が圧迫されて苦しくなる自分。
志摩子さんの笑顔が見られれば、他には何も要らないかのような錯覚に陥る。
好きという言葉だけでは表せない感情を抱えているのだと思うのだ。
だからといって大好き、とか憧れ、とか、そういうニュアンスを足した合計がこの感情だとも思わない。
切なくなる。胸が締め付けられ、苦しくなる。ご飯が食べられなくなって、心拍数が上がってしまうこともある。
でもこの感情は恋だとか、そう簡単に割り切れない。もっと曖昧で、ぐちゃぐちゃに混じったもの。
そもそも志摩子さんに恋している自覚は出逢った頃からあったと思うし、姉妹になってからも十二分にその気持ちを変わらずに抱いていきた気がする。
自分の感情の秩序ある推察は出来ずにいた。

42 :

私は恐る恐る映画の感想を尋ねる。
「ど…どうだったかな」
映画は二時間ばかりで終了し、エンドロールが下から上へと流れ始めた。私からすればこの映画は大して怖くもなく、時たま吃驚する程度の内容だった。
鑑賞前に淹れた紅茶は既に無くなり、空いたカップが二つ仲良くテーブルに並ぶ。
志摩子さんは一言、「怖かったわ」と呟く。
「大丈夫?」
「ええ、わりと平気よ。…あ、ごめんなさいね」
志摩子さんはそう言い私の手を離そうとする。確か開始暫くして、志摩子さんは最初の恐怖シーンで私の手を握ってきた。
その辺りで正直私は映画どころではなくなった。ストーリーは辛うじて頭に入り、見せ場であろう場面はきちんと観られた。だが、映画の世界に入り込めなかったことも事実。
志摩子さんが大丈夫か気がかりで、志摩子さんの手が私の心を掻き乱していて。
私はこの手を離したくなくて、両手で志摩子さんの腕を掴んでしまった。志摩子さんはバランスを崩して、雪崩れる形で私に引き寄せられた。
私は志摩子さんを抱き締めていた。
「の、乃梨子……!?」
速く胸打つ鼓動だけが私に聞こえる。
「乃梨子…ちょ、ちょっと待って」
「志摩子さんのことが、好きなの」
自分の中で答えも出ていないくせに心情吐露した。でも、それは限り無く正解に近い言葉だった。
恋か愛か憧憬か、友愛か同化か劣情か。世間一般では色々な言葉があって、感情を分けて言える。
だけど全部ひっくるめて、好きという言葉なのだ。いちいち分かつことなんて、出来るはずがないのだ。
「乃梨子は…えっと」
「わからない、わからない。だけど、だけど」
「…私が欲しい?」
志摩子さんが欲しいか――そう聞かれて、また解らなくなってしまう。
抱き締めていて満たされている私。口付けしてみたい私。どっちも本当の私だった。
「……ごめんなさい、わからない」
私は甲斐性無しなのだろうか。
いつもイケイケ青信号な由乃さまなら、多分そのままいくところまで流れ着くだろうか。
一生懸命自身のことを考えてから相手に手を差し伸べる祐巳さまだったら、こんな突発的に抱擁したりはしないだろうか。
「乃梨子らしくないわね」
志摩子さんは優しく耳元で囁いて、私の背に腕を回す。
「私も乃梨子との距離を考えていたわ。以前、片手で私を繋いでいればいいって言ったわね」
でも両手繋いだらどうなっていってしまうのか、どういう危険がはらんでいるのか。周りが見えなくなったりしてしまうのだろうか。
「私と乃梨子だったら…片手だけ繋いだまま、もっと近く求め合える気がするわ」
でも私も人間だから、また不安定になってしまうかもしれないと付け加えて。
志摩子さんは私の唇に、触れるだけのキスをした。

43 :
「…あ…」
瞬間的には何をされたかわからなかった。目を閉じもせず、ただ眺めていた。
電灯が私たちを照らす。二人分の影が溶け合って重なったまま動かずにいた。
「…うん。大丈夫、私だって周りを棄てたりするような風にはならないと思う」
一時の気の迷いではなく、冷静に見据えられた気がした。流されてなんていない。そして、志摩子さんが好きなんだ。
しばらく私は志摩子さんに抱き締められたまま、若干の体重をかけていた。
志摩子さんは私を解放し、今度は私の肩に手を置いた。そして、唐突の一言。
「…乃梨子、いまから一緒にお風呂入りましょう?」
「……え」
冷静に自分を見つめられた矢先に、どぎまぎする私。
「……一人で入るの怖いから」
それはまたしてもし文句だった。

44 :

入浴剤を入れよう。絶対に濁り湯にしよう。さもないと私は生きてお風呂上がりを迎えられないであろう。
志摩子さんが怖がって一人で入浴できなくなる、というのは考えがたい。
私もホラー映画を借りた理由がこういった展開を導くだろうから、とか図った訳ではない。そんな打算的に動けるならさっきのように突発的に抱き着いたりしない。
では志摩子さんは…まさか、誘っていたりして。
「そんな訳ないか」
粉末の温泉の素を浴槽に張った湯に溶かしながら呟く私の心は、まさに此処にあらず。
私の方が先にお風呂に入っていることにして、浴槽なら体のラインが見えなくなるように工作活動。やはり私は打算的か。
白く濁った湯船。肩から頭のみ水面から出しても、熱い頬を冷ますことは難儀だった。直ぐにのぼせるのではなかろうか。
「入っても、いい?」
脱衣所より志摩子さんの声がかかる。私はそこに通じる扉に背を向けて、入ってくる姿が見えないようにしてから「いいよ」と伝える。
「良い香りね」
身体を流したであろう志摩子さんも、湯船に入ってきた。
「乃梨子…」
「な、なに」
「…こっち向いてはくれないの?」
「だ、だって」
色々と変なことしちゃいそうだった。
「…乃梨子」
私が暴れ牛のような心臓を必に抑えているのに、あろうことか志摩子さんは――私を抱き締めてきたのだ。
狭い風呂場という空間の、こんなに狭い浴槽で。
「しししし志摩子さんっ!?」
胸当たってるし、腕がお腹に回されたし、密着しているし、ああ、もう!
「…ごめんなさい、乃梨子。私…狡い人間だわ」
「へ…?」
私を後ろから抱き締めているから志摩子さんの表情が見えないのは当然だが、私の肩に頭を乗せているのは感触でわかる。

45 :
「…私は自分から求めていくのが下手なの…誘うようなことしてごめんなさい」
下品な女だと思われたかしら。でも、決して乃梨子の心を弄んでいるわけではないの。
私を意識してどきどきしてくれてありがとう。とても、嬉しいの。
お願い、乃梨子。自分から求めず、あなたからを期待する我が儘な私を許して。
志摩子さんはそう言った。お誘いは当たっていたのだ。志摩子さんの言葉と、自分の意識の境目が曖昧になった。自制の心などは溢れる湯と共に私の身から引き剥がされていった。
「志摩子さん…っ」
志摩子さんの方を向いて。居間に居た時とは違い、私からの口付け。さっきとは違い、舌を絡める接吻。
「んん…、んっ、んぅん……」
浴室はよく音が響く。
ぴちゃん、ぴちゃんと音がする。それは蛇口から滴る水滴が、床のタイルに落ちる音。
目を瞑っていて何も見えない。上と下の区別がつかない。
言葉にならない声が、荒く乱れた吐息が、重なり続ける唇の間から漏れる。
志摩子さんは何と言ったか。
私は志摩子さんが欲しいかと聞いた。その時解らないと私は答えた。
今ならはっきり言える。もっと欲しい、もっともっと、もっと。
志摩子さんが私に欲情してくれている。それに私は堪らなく興奮してしまった。
志摩子さんを乱したい。
志摩子さんに感じてもらいたい。
私という存在で埋め尽くしてしまいたい。
志摩子さんに触られたい。触りたい。
もっと、欲しい−−
そう思った瞬間、私の意識が飛んだ。

46 :
10
気が付くと私は布団の上に居た。
「あれ…」
身体がだるく火照っている。目に写る天井から私は今横たわっていることがわかる。
志摩子さんにキスをして、そして−−のぼせたわけだ。
「乃梨子?よかった…目を覚まして」
隣に志摩子さんが居て、彼女が言うには唸って気を失った私を介添えして布団まで私を運んでくれたとのことだ。
「…志摩子さんに、裸見られちゃったね」
「……見てないわ」
「…嘘」
「……ちょっとだけ、よ。見たのは」
やっぱり見たんじゃない。でも志摩子さんだから良いやと思うし、志摩子さんには自分を意識がないときに見られたくなかったとも思う。
「…乃梨子だけ見られるのは不公平ね」
「え…えええ」
志摩子さんは着ているネグリジェを脱ごうとする。私は慌てて止める。
「今はまだ…また熱上がっちゃうよ」
「そ、そうね。ごめんなさい」
志摩子さんが団扇で私を扇ぐ。そよ風がとても心地良い。
「ね、志摩子さん」
「何?」
「今度は…その」
ちゃんとするから。暴走して気を失ったりはしないから。そう続けようとすれば、何故だか涙が溢れてくる。
何でなんだろう。最近涙腺弱いのかな。瞳子が祐巳さまの妹になれた時も泣いてしまった。私は確実に変わっているのだろう。
「わかったわ。ありがとう、乃梨子。私も乃梨子に頼ったりしないで、もっと正直に求められるように頑張るわ」
私たちはそれぞれがとても不器用で、繊細だった。山百合会で一番壊れにくく見られていても、実際はガラスのようだった。
部屋の電気を消す志摩子さん。枕元のスタンドのみの灯りがそこを包む。
眠るまでのわずかな間、もう少しだけ話そう。眠たくなったらどちらからともなく眠りにつこう。明日の朝は何を話そうかな。
今日という一日が終わろうとしていた。

47 :
ふう・・・

48 :
あ やべ 書きこんじまった
志摩乃梨でした

49 :
ふぅ…

50 :
素敵やん

51 :
由乃「令ちゃん今日何の日かしってる?」
令「え?えーと…ホワイトデーならまだ先よね」
由乃「何言ってるのよ令ちゃん。2月22日と言ったら一つしかないじゃない」
令「ゴメン。わかんないわ」
由乃「もー!何よ、私にはっきり言わせる気?イヤらしいわね」
令「い、イヤらしいって!わけわかんないわよ、何言いたいかはっきり言ってよ」
由乃「はー。頭が鈍い姉を持つと苦労するわ」ヌギヌギ
令「ちょっ…何脱いでるのよ!風邪引くわよ」
由乃「引かないもん。どうせ温かくなるもん」
令「って、下着まで…っ!」
由乃「はい、令ちゃん。どーぞ」
令「ど、どうぞって由乃…」
由乃「まだわかんないの!?バカバカバカ、令ちゃんのバカ!恥を忍んで脱いだのに、なんでここまでしても解らないのよ!」
令「由乃…」
由乃「今日はにゃんにゃんの日でしょ!?もー、恥ずかしいったらありゃしないわよ!」
令「ああ…そっか」
由乃「何がああ、よ!これじゃ脱いだ私がバカみたいじゃない」
令「しょうがないじゃない!いきなり脱いだって私だってドキドキなんてしないわよ」
由乃「じゃあどうすりゃいいのよ!」
令「ムードとか…」
由乃「今更遅いじゃない!!もー!」
令「せめてしおらしくしてよ…そうすれば」
由乃「………」
令「…由乃?」
由乃「……」
令「…怒ったの?」
由乃「……しおらしくしてるの!」
令「……」

52 :
久しぶりに黒祐巳がみたいなぁ・・・
みたいなぁ・・・

53 :
祐美総受けが見たい

54 :
誰ですかそれ

55 :
祐巳

56 :
黒祐巳ってどんなの?
瞳子の気持ちを弄んで焦らして泣かせるまで知らんぷりして泣いて懇願する瞳子にいやらしい子ねって言いながらおしおきして悦に入る祐巳さま?

57 :
祐巳由乃っていいよね

58 :
祐巳受けの祥×祐が至高だなー

59 :
祐巳攻め派だが同盟は成立するだろうか
細かくいえばベッドインまでは受けで、祥子さまが戸惑ってる間にリバるのだが

60 :
>>59
すまない最後まで祐巳受け派です

61 :
祐巳ぃいいいい

62 :
マリみてスレだと……なつかしいな

63 :
祐巳由乃書いてもいいですよね

64 :
よろしくてよ

65 :
全力待機

66 :
はよ

67 :
久々に読み返すと柏木×瞳子が読みたくなった

68 :
今知ったが新刊くるのな、短編集だけどどうなるかな

69 :
新刊だと

70 :
おっぱいクッキーか

71 :
あげ

72 :
柏木×祐巳派

73 :
よろしい、ならば戦争だ

74 :
>>72
柏木本人が否定してるじゃん

75 :
>>37
志摩乃梨は素晴らしいな
久々に良いものを読んだぜ
また書いてくれ

76 :
祐巳総受け待機

77 :
待機

78 :
志摩乃梨派か聖志摩派か

79 :
待機

80 :
期待age

81 :
age

82 :
懐かしい…しかし、なんでいま?とも思う
黄薔薇先生んとこのサイトも消滅しちゃってて
それはそれは寂しい気持ちになったよ

83 :
黄薔薇先生なつかしいw
スレが盛況だった頃も黄薔薇姉妹は結構作品多かったね
ソドムネタ投下で荒れてた頃が今となっては懐かしい

84 :
あげ

85 :
保管庫ってあったっけ

86 :
ない
ほしい

87 :
今思えば、ビアンの気が強かったのは、
旧薔薇の面々だと思う。
聖様は言うまでも無く、蓉子様も離縁状書かせるとか、
友人なら絶対できないことを平然とできるし、
江利子様はバイセクシュアルのバリネコなのではないか。

88 :
「顔で選んだ」とか堂々と言い放つあたりバーロー声の元白薔薇様も結構…

89 :
ロサ・バーローがガチである可能性は高いねえ。
駅で待ちぼうけの聖を蓉子と一緒に、自分の家に連れ帰って泊めてるけど、
そこで、独白にも出せないような何かあったんじゃないかとかさ。
白き花びらで、蓉子と抜群の連携を組んでいただけに、
蓉子の本当の姉はバーローで、でも聖と蓉子を一緒に山百合会に入れたいから、
先代紅薔薇はバーローのネコなのを利用して、蓉子を押し込んだとか、
昔妄想したわい。

90 :


91 :


92 :


93 :


94 :


95 :


96 :
復活

97 :
。・ω・。)ノシ

98 :
(^。^)y-~

99 :
あ、ハッピーニューイヤー!
をやり忘れた

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