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2013年10エロパロ261: 【うpろだ】専用スレのないSS その3【代わり】 (204) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【うpろだ】専用スレのないSS その3【代わり】


1 :2011/10/20 〜 最終レス :2013/09/21
超マイナー作品、新連載始まったばかり、古典すぎて即しそう、
シチュエーションが特殊、ネタバレ含みで本スレには投下できない等々、
専用スレが無かったり投下先が無いSSを投下したい時、うpろだ代わりに使いましょう。

◆投下前の御約束◆
投下する人は、元作品名とジャンルを明記してくれるとイイかも。
ジャンルは以下のテンプレ参考に。
【エロ内容】
エロなし、微エロ、SM、レイプ、スカトロ、苦痛、羞恥・露出、催眠・精神改造、
触手、獣姦、痴漢、痴女、ふたなり、ホモ、レズ、人体改造、流血、フェチ、ペド
【ストーリー内容】
鬼畜、寝取られ、純愛、SF、歴史もの、ファンタジー、学校もの
【ターゲット属性】
ロリ(中学生以下?)、ショタ、女子高生、年上お姉さん、熟女、
近親相姦(兄弟姉妹)、近親相姦(親子)、近親相姦(親戚)

過去スレ
【うpろだ】専用スレのないSS その2【代わり】 :前スレ
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1240477403/
【うpろだ】専用スレのないSS【代わり】
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1185814173/

保管庫
ttp://eroparo.x.fc2.com/works/001/index.html

関連スレ
専用スレに投下できないSS 2
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1275079758/
練習殴り書きスレッド9
ttp://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1310228661/

2 :
>>1乙!うちに来て妹をファックしていいぞ

3 :
立てました。
ろだスレはあったほうがいいと思うので。
時々みかけるけど
山田スレや焚きあげスレは、似ているようだけど、関連スレとは違うと思うんだ
ここは、完成したSSを投下する場所だと理解してたんだけど
どうかね

4 :
ごめん言葉足らず →関連スレのこと
前に、このスレと一括りにした内容の書き込みを見かけたんで、どうかと思ってたんだ

5 :
ごめん年増好き →>>2 かーちゃんのほうたのむ

6 :
>>3-4その認識で合ってると思うよ
>>5だが断る

7 :
往年の育成SLG『卒業』シリーズのエロパロ希望
できれば卒業Uか卒業V舞台で。

8 :
ここはリクエストをするスレじゃないぞw

9 :
>>1乙!うちに来て俺のキンタマを揉む権利をやろう

10 :
>>1
新スレが立ったんだね

11 :
新スレに一番乗りになって気が引けるんだけど、即回避になるだろうか。
ゲームでもないし、既存スレでは時代が違うし、中世付近だけどファンタジーでもないので、こちらにお世話になります。
【エロ内容】ふつうの和姦
【ストーリー内容】歴史もの(戦国)
・幼な妻だがロリ要素は薄い。夫婦もの
主な登場人物は、前田又左衛門利家(文中は「又左」) と まつ
諸説あるし、なるべく一般的な史実を追ったけど、なにぶん厨房の頃仕入れた史料と知識に、最近付け焼刃で得た知識で書いている。
史実的に見ても、アラだらけかもしれない。
チキンなんで、エロ部分書いてる最中、某条例が可決したりして軌道修正した。
てこともあって、全然「ょうじょ」好きな人向けでない。念のため。
本文投下は、たぶん13レス
スルーなら、13レス飛ばすか、タイトルをNGにして回避を。

12 :
                
二十二になる年、前田又左衛門利家は妻を娶った。
十も下の、やっと十二の少女である。
しかも、同じ館で暮らしていた、兄妹のような幼馴染である。
名を『まつ』という。
母同士が姉妹である又左とまつは、従兄妹同士であった。
まつは幼い頃に父を戦で亡くした後、他家へと再婚した実母と別れ、その縁戚の前田家、荒子の城に独りきりで引き取られてきた。
前田家は四つになるまつを温かく迎えた。
明るく気丈な性格で、泣き言も涙も見せず、健気に前田の暮らしに馴染んでいこうとするまつは、荒子の館の者皆から愛された。
そんなまつを、又左衛門も犬千代とよばれた少年の頃から可愛がってきた。
もちろん、妹のような存在としてである。
時には、男勝りなところもあるまつの悪戯を叱り、時には母を思い出して寂しさに耐えるまつを、よく遠乗りに連れていったものだった。
それも怖がらずに、又左の気遣いを察して嬉しそうにしていたまつである。
引取られて一年のちに又左は織田家へ出仕し、年に数度しか顔を合わせなくなるが、まつのほうは又左への想いを一途に胸に秘めて成長していった。
そんなまつの想いを知ってのことか。
当時の荒子城主前田利春は、四男の又左衛門とまつの婚礼を決めたのである。
まつとの婚前より、女物の着物や毛皮などで装い、派手な傾奇者の風体を好んで、信長やその若党と街を闊歩していた又左だった。
六尺を超える長躯に、朱鞘の太刀を腰に差し、ケンカとあらばすぐさま首を突っ込むほどの喧嘩好き、粗暴なふるまいも目立つ乱暴者である。
そんな荒々しい気性は、戦場でいかんなく発揮された。
『槍の又左』の異名をとり、愛用の長く派手な朱塗りの槍を振りまわして、戦で数々の武功を上げてきた。
この頃、又左は信長直属の精鋭部隊、赤母衣衆筆頭になっていた。
主君のおぼえめでたく、周りからも有望視され、まさに順風満帆といった頃である。
お前とまつを娶せる、と父利春から聞かされた時、又左は素直にそれを受け入れた。
見知らぬ余所のおなごを娶るより、見知ったおなごのほうが良いものだと思ったからだ。
それに、まつは荒子に引取られてきた頃から、よく自分になついていた。
ただ、さすがの又左も、まつの年齢のことだけは気にかかっていた。



婚儀もひとまず落ち着き、いよいよ初夜、という段になり――。
又左は、まつの室を形ばかり訪うことにしていた。
まつとこれからのことについて、夫婦水入らずで話をするだけのつもりでいたのだ。
荒子の居館の、あてがわれた新婚夫婦のための一室で、新妻のまつは一人待っていた。
わざとらしく、ごほん、とひとつ咳払いをして、中に入る。
「待たせたかな、おまつ」

13 :
               
夜具の敷かれた室の奥の片隅で、まつが慌てて表を伏せた。
できるだけやさしく声をかけたつもりだったが、まつは体を硬くして縮こまってしまった。
三つ指をついて何か呟いたようだが、普段のはつらつとした振る舞いからは想像できぬほど小さな声で、聞き取ることはできなかった。
「あーあ、くたびれたな」
「……はい……あ。い、いいえ」
又左は夜具の上に、どっかと腰を下ろし胡坐をかいた。
驚いたのか、うつむいたままのまつの体が揺れた。
「もっとこちらに寄らぬか」
「…………はい」
そろりそろりと座ったままにじり寄って、まつは夜具のすぐ脇にきた。
ますます体を硬くしている。
ふと可笑しさが込み上げてきて、又左はふき出しそうになった。
「なにもとって食おうというのではないぞ。そんなに俺が恐ろしいか?」
「いっいいえ!」
慌てて頭を左右に思い切り振って否定するまつのしぐさは、新床を前にしているとは思えぬほど幼いものだった。
またも可笑しさが込み上げてきた又左は、そのまま声をあげて笑った。
まつがびっくりした様子で、顔を上げた。
「やっと顔を見せてくれたな。なに硬くなってんだ。少し前までは、すぐ俺の膝に上ってきたくせに。俺はお前の夫なのだぞ」
「……あ、あの」
「ここへ来い。久しぶりに俺の膝に座れ」
「……でも」
業を煮やした又左は、大きな体をすばやく動かし、まつを抱き上げて己の膝へと座らせた。
まつは跨りそこねて、曲げた片膝でちょこんと乗っかり、又左と向き合う形になった。
まばたきする間のことで、声をあげることもできなかった。
「今宵はおまえと昔話でもするつもりでここへきたんだ。いけないか?」
「むかしばなし……?」
「おまえが荒子へきてからのことだ」
「ここへきたころ……」
真下を向いていたまつが、又左から目をそらしたままとはいえ、顔を上げ懐かしそうな表情になった。
「……またざさまは、いつも私のそばにいてくださいました」
「それはな、傍で目配りせぬと、おまえの悪戯が過ぎるからよ」
「ひどい、お犬さま! 私はそんなに悪戯ばかりしていないわ」
思わず、というふうにまつが抗議の声をあげて、又左をキッと見上げた。
男兄弟の多い、荒っぽい家風の前田家に育ったゆえか、気は強い。
又左もそんなまつの気丈さを知っているから、面白半分である。
「忘れたか? あれは……しかし、俺がすでに吉法師さまにお仕えしていたころか」

14 :
               
まつと又左は、一年ほどしか一つ屋根の下で暮らしていない。
まつが引取られてきた翌年には、又左は信長の元に召し抱えられたのだ。
召し抱えといってもこの時代、領主の四男坊など、この地方の筆頭勢力である織田家へ、いわば人質として差し出されたようなものである。
十四の頃初陣を果たし、織田家の若党として目覚ましい活躍を見せ始めた又左は、信長の寵愛を受けて一身に仕えてきた。
そうなると、しだいに実家から足が遠のき、年に数回しか帰らなくなっていった。
「おまえは明日納めに行くはずという絵馬に、悪戯書きをして……」
「ひどくお犬さまに叱られました」
「覚えてるのか。あの時はえらく泣きおって」
又左は当時を懐かしく思いだした。
泣きやまぬまつに、叱ったはずの又左が、逆におろおろとあやす破目になった。
「それはもう。久方ぶりに戻られたお犬さまは、とても大きくおなりで、近寄るのも恐ろしいくらいでしたもの。でも」
口調も滑らかに、当時を懐かしく思いだして語るまつの体から、少しづつ力が抜けていく。
「あの日はお勤めへ戻られる前の日でした。大好きなお犬さまとまたお別れしなければならないと思うと、さびしくて」
可愛らしく小首を傾げて、上目遣いにそっと又左を見上げる。
「俺に当てつけたのか」
「当てつけるなど。私は……あの時の私は……」
照れているのか、目を伏せたまつは、又左の襟を掴んだ自分の手の甲に向かって囁いた。
「どうしてか、お犬さまに叱って欲しくて」
「ひねくれておるなぁ」
「……ふふふ」
まつが顔を上げ、柔らかい表情で穏やかに笑った。
いつの頃からか荒子へ戻るたび、城戸が見えてくるとまつの顔が浮かび、胸に得も言われぬ安堵感が広がるようになっていた。
出迎えの者の中に、一番にまつの小さな姿を探すようになっていた。
それは、自分の領内や実家を見て安堵するのと同じだと思っていた。
又左自身、幼いまつに恋慕や思慕を抱いていたとは思っていなかったのだ。
とはいえ、まつとの婚礼の話が出る少し前から、娘らしく育ったまつに、まぶしいような思いを抱くようになっていたのも事実。
それが、他のおなごを見るような気持ではなかったから、又左は、自分がまつに肉親以上の情を持っているとは思えなかったのである。
しかし、又左の中で、まつが特別な存在になっていることだけは間違いなかった。
「やっと普段のまつになったな」
又左は笑みの残るまつに顔を寄せると、そっと頬と頬とを合わせた。

15 :
                        
まつが館にきた頃から、幼いぷっくりした頬に頬ずりするのが、好きだった。
あの頃、小さなまつが駆け寄ると、必ず抱き上げてこうしてまつに頬ずりをした。
「おいぬさま、いたい」といつしか又左の髭を嫌がるようになり――九つを数える頃、まつは又左の傍に寄ることはなくなっていった。
「柔らかな……少し痩せたか?」
胸元で、又左の襟を掴むまつの手が押し返すような動きをしている。
「お、お犬さま」
思わず又左を幼名で呼んでしまい、慌てて「おまえさま」と言いなおしている。
そんなまつが可愛らしく、初々しい。
「妻とは、このように愛しいものか」
込み上げてきた衝動に、喉が鳴った。
それを抑え込んで、そっとまつを抱きしめる。
六尺を超える偉丈夫の又左の体に、小柄な上にまだ十二のまつの体は、あまりに不釣り合いに見えた。
抱かれると、又左の体にまつがすっぽりと隠れてしまうようだ。
「少しだけ、睦んでいってもよいか」
そう言うと、まつの返事も待たずに背中にまわされた大きな掌が動き出し、まさぐるように撫で始めた。
灯明にまつの体が映えるように、抱きかかえたまま体をいざらせて、その顔を覗き込んだ。
まつの目が、潤んでいるように見えた。
「嫌か?」
まつは首を左右に振った。
ふと、又左は、まつに床化粧が施されているのに気がついた。
聞くと又左の乳母に、湯をつかって体を磨きあげられ、仕上げとばかりに顔に化粧をされたという。
恥ずかしげにうつむいたまつの顎を指先で持ちあげて、まじまじとその顔を見つめてみる。
化粧と言っても濃いものではなく、薄明かりの中で美しく映えるように施されていた。
「ほう。装えば……よく似合うものだ」
「まあっ……どうせ、又左さまの周りのおなごとは比べ物になりませぬゆえ」
ぷう、と頬を膨らませる。
「台無しだぞ」
先ほどのしおらしさはどこへやら、である。
くっく……と、自然に笑みがこぼれる。
「まあ、そのほうがおまえらしいな」
又左は、まつの頬を指でつついた。

16 :
               
「他のおなごと比べるのなら、まつは一生お化粧などしないわ」
「おい、拗ねたのか」
「私のこと……又左さまはどうお思いなのですか? 形ばかりのめおとと思っているのでしょう」
眉をしかめ又左を睨みつける表情が、子どもらしくもあり、逆に大人びてもいて、どきりとするような妙な色気を醸している。
「もう悋気か……先が思いやられるなぁ」
「今まで又左さまが知らなかっただけです。私は荒子にきたあの日から、ずっとお犬さまが大好きでした」
「俺も、まつが好きだったぞ」
「きっとその“すき”とは違うとおもいます」
下から見つめるきらきらとした瞳は、まっすぐ又左をとらえている。
「私は、ずっと、又左さまが大好きでした」
言い終えると、まつは慌てて目を伏せた、
うつむいた頬が、見る間に朱く染まってゆく。
又左はもう一度、まつの顎に指を添えて上向かせた。
顔をよく見たかった。
唇の紅が、色香よりも、初々しく瑞々しいまつらしさを出している。
そのふっくらとした唇が、艶やかに揺れた。
「美しいな。食んでしまおうか」
何か言おうと開きかけたまつの口唇を、又左の唇が覆った。
しばらく食むようにした後、ついばむ。
まつの後頭部を掌でつかまえて、角度を変え、少し強引に舌を割り入れた。
まつが、健気にそれに応えてきた。
又左の舌に、小さな舌が最初はそっと、次第にしっかり絡みついてくる。
男の欲情が一気にせり上がってくる。
まつを押し倒そうと体を抱え直した時、苦しげな呻き声が漏れてきた。
小さな体が小刻みに震えている。
又左は、細い肩を引き剥がすようにして、顔を離した。
「すまぬ…………」
絞り出すように出した声が、かれた。
まつが目尻に光るものをたたえながら、深い息を繰り返している。
「俺は引きあげることにする。ここにいると、まつをいいようにしてしまいそうだ」
又左は、初夜の夫らしからぬ気遣いをみせ、ぎこちなく笑った。
腹の底では、先ほどから、まつを夜具に押し倒し欲情に任せて抱いてしまおうとする己と葛藤している。
けれど、まつの体には男女の営みはまだ早い、という思いが、その衝動をなんとか抑え込んでいた。
「だめ!」
膝から下ろされそうになったまつは、がば、と太い首に両腕を回し、しがみついてきた。

17 :
                    
「な、なんだ、まつ……っ」
「ここにいて! お情けを……又左さまのお子が欲しいの」
「いそがずとも……」
「まつはもう大人でございます! 月のしるしも、ちゃんと」
子をなすことが可能になったから、父は又左と娶せることを決めたはずだった。
「又左さまはすぐにまた清州に行ってしまわれる。そうしたら、また遊び女のところに行くのでしょう?」
「そんなことはせぬ」
「うそ」
まつは拗ねて、又左の肩を、きゅ、とつねった。
「今宵、夫婦の契りを……まつは又左さまといたいの」
又左にぎゅっとしがみついた小さな体の中から、せわしない鼓動が伝わってくる。
うなじにまつの温かな吐息を感じたとたん、体の奥に燻っていたものが再び一気に噴き上げてきた。
それでも、又左は次第に荒くなる呼吸を抑えながら、辛うじて気遣う言葉を口にした。
「まつには辛いかもしれないのだぞ」
「私は、だいじょうぶ……」
しかし、それが限界だった。
まつが言い終わらないうちに、膝の上に座ったままのまつの帯を解いていた。
肩に手を置き、衣の合わせ目に指をかけた。
「あ」
肩を撫でるように、衣を滑らせ、肌をあらわにしてゆく。
小さな膨らみがふたつ、薄桃色の尖端を尖らせて現れた。
たまらずそれに吸いつく。
「あぁっ」
まつは胸を弄る又左の頭に片手をまわし、抱えるようにしがみついた。
脚が崩れ、又左の片方の太股に跨る少女の秘部が、肌に強く押し付けられる。
その間にもまつの着ていた物はすべて取り去られ、灯明に未成熟な裸身が晒された。
又左の太股に押し付けられた、繁りのない女陰がじんわりと温まってくる。
まつの脇を手で支え、細い肩、首筋、そして杯を伏せたような乳房を又左の舌が這ってゆく。
感じているのか、徐々にまつが股間を開いてゆく。
又左の片膝を挟みこんだ柔肌に、きゅう、と力が加わった。
まつは、片手で又左の肩に爪を立て、片手で又左の頭を胸に押し付けるようにしながら、腰を揺らし始めた。
そこに、わずかなぬるみが生じてきていた。
「おとこを知らぬくせに……ずいぶんと物欲しげな動きをする」
又左が耳元でつぶやくと、まつはその肩に額をつけ、いやいやとかぶりを振った。
しらない、しらない……と涙声で何度もつぶやいている。

18 :
                  
可愛らしい仕草に、つい加虐心が湧き、まつの耳たぶに舌を絡めた。
舐りまわし、耳穴にも舌を入れて奥まで嬲る。
悲鳴を上げて、まつが体を仰け反らせた。
ちょうど、乳房を又左の眼前に突き上げる格好になる。
小さな花のような薄桃色の乳輪と、尖りきった乳首。
先ほどまで舌で嬲られていた胸乳は、又左の唾液にまみれ、灯明の光をてらてらと映している。
思わず、小さな乳首に吸いついた。
口に含み舌で転がすと、腰の揺れがいっそう大きくなった。
膝に女陰を擦りつけるまつの腰に、手を添えてやる。
空いた手を、もう片方の膨らみに置いた。
太い親指を左右に軽く振って、尖りを弾く。
咥えていた乳首を甘咬みすると、まつは身悶え、頭を振りたてて子犬の甘えるような鳴き声をあげた。
肉の薄い平坦な体は、灯明のつくる濃い陰影の中で、狂おしげにくねった。
上気して桜色に染まり、又左の愛撫に魚のように跳ね上がる。
漏れ出る喘ぎは、今や艶を帯びて、甘い吐息とともに又左の耳朶をくすぐった。
初めて聞くまつの拙い『おんなの喘ぎ』が、次々と耳を打ち、又左を昂らせていく。
膝の上のまつの女陰が、ぬるぬると、皮膚を舐めるようにぬめり始めた時。
又左は己の中の抑制の箍を、外した。
軽々と体を抱き上げると、夜具に横たえ、すぐさま成長しきらぬ体のそこここに、舌を這わせ始めた。
くびれの少ない脇を啄ばまれては、まつが身を捩る。
両手を逞しい腕で易々と纏められて動きが封じられる中、くすぐったいのと気持ちがいいのとで、何度も悲鳴ともつかない声をあげた。
やおら両脚を割られ、とうとう潤みの増した体の奥を弄られ始められれば、羞恥と快楽に総身を真っ赤に染めて、高い悲鳴をあげる。
さらに、枝のような指と思しき硬い先端に、長らく排泄の場所としか知らなかった内股の奥がこじ開けられた。
熱い息が吹きこまれるような感覚の後、ぬるりとした生温かいものが体の中に忍び込んできた。
気持ちの悪いような、良いような初めての口淫に、体を激しく揺さぶり、又左の縛めから逃れようとする。
無駄なことと思いつつも、まつの体は勝手に反応する。
又左は又左で、残った理性で、できるだけまつのこわばりをほぐすつもりの手管であったが。
まつの下腹部に頭を押しつけ、夢中になって、得物を貪る獣と化している。
又左とて、余裕が無いのだ。
嫌、こわい……と、何度もうわ言のように、まつの口の端に拒絶の言葉が上るが、今はそれが届くはずもない。

まつの痛々しげな喘ぎに、再びあきらかな艶声がまじり始めた。
ようやく又左は顔を上げ、まつの顔を顧みた。
羞恥に苛まれた険しい表情はすっかり消え、今は、初めて与えられる快楽に翻弄されまいとしているようだった。
切なげに眉を寄せ、やっと縛めを解かれた手で、夜具をぎゅっと握りしめている。
そのくせ、口淫に夢中になっている又左に差し出すように、腰を浮かせた。


19 :
                  
「ここに」
やっと温かくほぐれ始めた、柔らかな肉のあわいに、指をあてがう。
滲みだした少女の陰水と男の唾液にまみれたそこは、又左の指をやんわりと飲み込んだ。
まつの体がびくん、と揺れた。
「俺のをいれる」
たどたどしく又左が宣すると、ほんの一瞬間があいた後、まつはこくん、と頷いた。



又左の怒張がまつの体を貫いた時、案の定、小さな体は耐えることができなかった。
まつは気を失って、又左を慌てさせた。
十二の少女には、どれほどきついことか、頭ではわかっているつもりだった。
けれど、あのようにまつから求められれば、断ることなどできるはずもなく……又左とて、二十二の若い男なのだ。
初夜の床ではまつに、何一つよくしてやることができなかったと又左は後悔している。
あれから、しばらくは荒々しい欲情が起きぬよう、まつとは軽い抱擁にとどめる日が続いた。
又左なりに堪えに堪えての、反省の日々、である。
まつが、元来丈夫な体にもかかわらず、さすがに初夜の翌日は昼過ぎまで起き上がれなかったからだ。
前田又左衛門が幼妻を娶ったことは、またたく間に織田家中に知れ渡った。
夫婦の営みなど無理な事……と、同情をする者もいた。
当然、若い欲望を吐きださせようと、よからぬ遊びに誘う声も後を絶たなかった。
実際、長躯で見目の良い又左は、婚姻が決まるまで、信長に随行し、取り巻きの若い衆共々城下を遊び回ることもたびたびあった。
まつも幼い心で随分気をもんでいたであろう。
根が実直な又左は、この期に及んでまつを裏切らぬように――もとよりそのつもりはなかったが、城の若い家来衆の誘いには一切乗ることはなかった。
荒子の館から、清州城下の武者長屋へ移った夜。
新しい閨で、まつの体は又左を受け入れた。
当然、激しい痛みに歯を食いしばって夫の精を受けることとなり、まつにはかなり辛いものとなったはずだ。
しかし、又左もさすがに今度ばかりは欲情を抑えきれなかった。
まだ幼いとはいえ、まつとは形ばかりの夫婦ではない。
まつもそれをのぞんでいる。
今宵からは、可愛い妻とふたりきりなのだ――この世のどこに、新妻の魅力にあらがえる夫がいるだろうか。

20 :
                          
終えて泣きだしたまつが、嬉し泣きだと気付くのに、又左はしばらく時を要した。
今度こそ又左さまの妻になれました――腕の中で泣きじゃくる小さな妻の背を、夫は静かに撫で続けた。
初夜と同じく、夜具には破瓜のあかしが散っていた。

***

「まつ」
もう、何度高みに追いやられたか、わからない。
又左の呼びかけにも、応えを返せず、ただはあはあと息を繰り返すのみである。
前から、後ろから、激しく突き上げ続けた夫の情欲は、今度こそ果てたのだろうか。

初めて妻として抱かれてから、幾月か過ぎていた。
家に居る間、又左は夜毎まつを求めた。
長く家を空けた後、まつの月の障りの明けた後。
又左はことさら強くまつを欲しがった。
閨での又左は、年相応に滾る欲をなんとか制してまつに触れ、こわばる体を辛抱強くほぐしていく。
まつの潤みが足りぬ時は、秘所を溶かさんばかりに舐めつくし、蜜液を誘い出した。
そうしてまつの負担を、少しでも軽くしようとしていた。
平素は荒っぽく無骨な又左が、できるかぎりの優しさと手管を持って、まつを訪う。
それだけでまつは、痛みをこえて、充分過ぎるほど幸せを感じられた。
ただ、時々は又左も滾るもの抑えられず、まつを手荒にしてしまうこともあった。
これには、受けとめるまつも大変だったが、仕方が無いことと諦めてもいる。
戦から幾日かぶりに帰宅すると、まるで飢えた獣のようになってまつを抱くのだ。
十日ぶりの今日とて、帰ってくるなり、いきなりまつを抱きあげて部屋の奥へと連れ込んだ。
毎回驚いて抵抗を試みるも、まつはしだいに、又左のなすがままになってしまう。
又左が愛想を尽かして、遊び女のところに行くのではないかと心配になってしまうからである。
それでも、着物をすっかり脱がされると、一応まつは又左に『お願い』をした。
「おまえさま……おねがいよ、やさしくして……とっても怖い」
「わかっている」
上の空、というような返事で、ほんとうにわかっているのかは、あやしいものだ。
まつの顔をのぞき込んだ又左の顔つきは、全く余裕がないものになっているのだ。
口に吸いついた後は、ささやかな胸に手を伸ばし、股間に顔を埋めてゆく。
夫の愛撫に、不安の中でも多少の快感を感じながら、ようやくまつが切なげな息を漏らす頃。
又左は、まだ濡れない秘所にたっぷり唾液を送り、性急にまつの中に己を沈めた。

21 :
   
             
                              
ぐったりしたまつの頬に愛おしげに頬をすり寄せながら、又左が後ろから抱きすくめる。
吐精後の雄が、まだまつの中にとどまっている。
すぐに、繋がったままのまつの体は床からふわりと浮きあがり、軽々と表に返された。
又左と向かい合わせになる。
下から見上げたとたん、又左の顔がすぐ近くに降りてきて、まつの口が塞がれた。
軽くついばまれた後に、強く吸われ、口中を侵される。
そうしているうちに、擦れてひりひりとしている繋がったままのところが、少しづつ温まっているのに気づく。
どろどろと溶けたような感覚のそこに、夫の放ったぬめりがあった。
徐々に、差し込まれたままの陽根が起き上がり、窮屈な女肉を拡げ始めている。
まつは以前のように、それを、引き抜きたいような気持にはならなかった。
痛みを感じつつも、体の中に、熾火のようなものが残っているのを感じている。
近頃、一夜の内に二度三度と欲されて後、生じてくることのあるこの感覚に、少し戸惑いをおぼえている。
少し前から、わずかずつだが辛さが軽くなって、夫の困った要求に苦笑しながら応える余裕もできてきた。
そればかりか、与えられる快感に自分を見失いそうになることさえあるのだ。
今宵は、幾度目になるだろう――。
まつのことはお構いなしに、又左は再び挑みかかった。
餅のような白い内腿に押し付けるように、又左が腰を捏ねまわす。
搗くたび、まつは切なげな声をあげた。
恥毛もまだ薄らとしたそこは、太い男根に穿たれ、花弁もこれ以上ないくらいに拡げられていた。
男根が出入りするたび、痛々しくめくり上がった花弁が、赤く爛れ始めているのが見える。
それでも、今度は何か違っていた。
まつの中の熾火が少しづつ燃えだし、体中を熱く燻し始めている。
又左に、繋がりの上にある部分を指で触れられると、背が跳ねた。
無骨な指先が、器用に花芽を剥きだして、その先をかすめてゆく。
思わず、歓喜の声が口をついた。
痺れるような鋭い感覚と、熱く溶けだすような感覚に、意識がどこかに行きそうになり怖くもなった。
不安になり、まつのほうから又左の口を吸いにいく。
拙く唇を近づけてくるのを、又左はさらうように吸いついた。
その間も、突かれ続ける女肉は、夫の雄を、まるで舐めまわすかのようにみっちりと押し包んでいる。
幾重にもなった襞に包まれ、今度は又左のほうが思わず呻き声を漏らした。

22 :
     
           
いつのまにか、まつの陰所は、初めの頃の頑なな幼さを失くしつつあった。
まつは時折見せるようになった、とけるような恍惚の表情を見せ、逞しい又左の背に、腕をまわした。
力なく開いた口元からは、啜り泣くような切ないうわ言がこぼれ続けている。
脚までも又左の腰を挟むようにして、全身でしがみつき、細腰を浮かせて又左を深く咥えこもうとする。
誘われるように、又左はまつの腰を膝の上へと抱え込み、自分の腰に引き寄せた。
奥へ奥へと突きまわし、時折捏ねる。
繋がったところから、じゅぶじゅぶと陰水が溢れて、互いの股間を濡らした。
先に注がれた自分の精とまじりあった愛蜜が、泡立って、又左の根元に白い輪をつくってゆく。
まつの体は、かろうじて肩から先が夜具に着くだけで、あとは又左に抱え込まれていた。
ふわふわと揺らされるかと思えば、時折がくがくと揺さぶられ、夫のなすがままになっている。
けれど、大きな体躯に上からのしかかられたまつは、今は辛さを感じていなかった。
深く突き込まれるたび、夜具に広がった黒髪が、さわさわと生き物のように揺れている。
「もっとおく……奥までっ、またざさま!」
普段なら憚るような言葉が、迸り出た。
わかっている、とばかりに又左の動きが激しくなる。
どくどくと体が波打ち、まつの目の前が白くなってゆく。
強くしがみつくと、夫は長身を丸く屈めて、まつを抱きしめた。
又左はまつの名をつぶやいて、今度こそ、大きな体を震わせ――果てた。


23 :
              
             
――子が欲しい、と思った。
夫婦の交わりを重ねるほど、深くなるほど、まつは子が欲しいと思った。
信長取り巻きの猛者であるゆえか、とかく荒っぽい愛情に手を焼きつつも、妻として精一杯受け止めて、幸せな日々を過ごしている。
――幸せが過ぎて、少し欲が出てきたのかもしれない。
他のおなごとのことは、ひとまず、にわかに悋気を起こして取り乱すこともない。
年端もいかぬ自分が、又左の行動にいちいち口出しすることも無用だと、幼いながら悟ってもいる。
――こんなにも又左さまに可愛がられているのに。
すぐに子ができるものだと思っていたのに。
――まつが子どもだから?
ようやく又左がまつを解放した後。
いまだ孕まぬ腹のあたりを、小さな掌で撫でつつ、まつは不安を口にした。
「いずれ時が経てばな」と又左は気遣わしいことを口にするが、まつは、やっぱり自分が幼いからだろうか、と不安になるのだ。
「信長様には、子どもが子を生んだら見せに来い、と笑われました」
「そうか、笑っておられたか……なあ、まつ」
「はい」
「前にも言ったが、急がずともよいのだ」
「夫婦のことは、急いでしたのに……」
「ん……いや、まぁ、そう……だな」
「お顔が、赤いです、おまえさま」
「……うるさい」
ふふ、とまるで母親のようにまつは笑った。
又左が体を屈めて、まつを包み込むように、背中から覆う。
温かな胸板にすり寄り、又左を見上げた。
夫の頭越しに、満ちた月が見えた。
明かりとりから、清々とした光が差し込んでいる。

24 :
                       
「月だって、孕んでまあるくなるのに」
「こればかりは、俺の思うようにはならん。気の長いまつのことだから、いつのことになるやら、だな」
「……私に男の子が生まれる前に、他のおなごに生ませたら、一生恨みますゆえ」
「肝に銘じておくわ。それにしても、おまえがそんな悋気持ちだとは思わなんだ」
「おなごはみんなやきもち妬きです」
「まったく、末恐ろしいな」
又左は、上になっている自由に動く腕を、まつの腹に伸ばした。
下腹部を優しく撫でる掌に、まつの小さな掌が重なる。
「閨ごとも、やきもちも全部、又左さまが教えてくださったのですからね」
「まあ、そういわれれば……」
言葉を返す又左は、億劫そうだ。
心地よい眠気を感じているらしい。
ゆるゆると、日に焼けた顔を寄せ、愛おしげにまつの頬に頬ずりをした。
緩慢に動きつつも、器用に足に絡まっている着物をふたりの上に引っ張り上げ、上に掛け直してくれる。
月が、窓の端に沈んでいきそうだ。
又左の帰宅の頃に東に昇った月は今、西の空に傾き始めている。
「お月さま、うつくしい」
つぶやくまつに、又左からの応えはない。
「おまえさま……?」
かわりに、健やかな寝息がまつの耳に聞こえてきた。
夫は、腹を満たした子どものような寝顔をしている。
まつはまた母親のような心持ちになり、くすりと笑った。
月も笑っているような気がした。
夫に抱かれ、深い安堵と幸福感に包まれて、まつは安らかだった。
やがて、口元に微かな笑みを浮かべて、同じように目を閉じた。
すぐに、ふたつの寝息が、閨に静かに響き始めた。

ひとつ床で寄り添い眠る、大きな夫と小さな妻は――重なった掌の置かれた腹の内に、新しい命が宿っているのを、まだ知らない。

おわり

25 :
                
以上終了

厨房の頃好きなカプで、少し前に再びハマって、最近になって妄想がとまらなくなってた。
書いてからもずっと手直ししまくりで、キリがなくなってきたので、思い切って投下した。
いろいろとすっきりできた。
どうもありがとう。


26 :
GJ!
この二人いいねえ、ちょっとウルッときた

27 :
ほんわか萌えた。おつ!

28 :
いい純愛だぁ。じんわりきた
エロくて可愛くて萌えたぜ。GJ!

29 :
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. ONE 〜輝く季節へ〜 茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司のSS
茜 小説版、ドラマCDに登場する茜と詩子の幼馴染 城島司を主人公にして、
中学生時代の里村茜、柚木詩子、南条先生を攻略する OR 城島司ルート、城島司 帰還END(茜以外の
他のヒロインEND後なら大丈夫なのに。)
5. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
6. ファーランド サーガ1、ファーランド サーガ2
ファーランド シリーズ 歴代最高名作 RPG
7. MinDeaD BlooD 〜支配者の為の狂曲〜
8. Phantom of Inferno
END.11 終わりなき悪夢(帰国end)後 玲二×美緒
9. 銀色-完全版-、朱
『銀色』『朱』に連なる 現代を 背景で 輪廻転生した久世がが通ってる学園に
ラッテが転校生,石切が先生である 石切×久世
10. Dies irae
SS予定は無いのでしょうか?

30 :
>>25 GJ!

31 :
幼妻に禿萌えた
GJ!!!

32 :
底あげ

33 :
余裕でロリ物だったwww
権力に対する抵抗も、エロパワーの前では無力だったか。
というわけで純愛最高! GJ!!

34 :
エロなしの食事SSを一作投下。
たまにこーいうの書きたくなるんです

35 :

ぶらりと駅前を歩く。
時間はちょうど昼飯時。目に付くどこの定食屋も、すでに人でごった返していた。
人の波を避けるようにして裏通りへ。
腹の減りを自覚しながら辺りを窺っていると、ふと一軒の飯屋が目に止まった。
それなりに高いビルの合間に隠れるように存在する、二階建ての小さな店。
黒ずんだ木造りの戸がひどく時代を感じさせる。
表には粗末な看板があり、紙に手書きでメニューが記されていた。
焼き魚定食、スタミナ定食、チキンライス 各880円
日替わりのような洒落たものもない、無骨なメニュー。
880円という値段設定も、ランチが平均500、600円台で食えるこの界隈では特に安くもない。
しかし、俺はそれが妙に気に入った。
店をちらと覗くと、中は異様なほどに空いている。客は一人しかいないようだ。
あれだけどこかしこも人に溢れている中で、この寂れ様。相当に不味いのか。
俺はどこか怖いもの見たさに似た感情と共に、店の戸を開ける。
戸を潜るとさらに狭苦しく感じられた。
入り口へ迫ってくるようなカウンター、粗末な木机。
壁のポスターには、わざとらしいほど青い海をバックに、よく日焼けしたセパレート水着の女が横たわっている。
東京オリンピックの時代に舞い戻ったか、そう錯覚するほどの昭和臭さだ。
「ぃらっせい、ゥンターどぞォー!」
微妙に聞き取りづらい声で、店主らしき男がカウンター席を勧めてくる。
まるでその筋の人間と思えるようないかつい男だ。
「……スタミナ」
俺は真っ直ぐにその男を見上げながら注文を出す。
するとその男は、にいと頬の肉を歪ませた。意外なまでに人懐こい笑顔。
「スタミナー、ありゃあーッす!!!」
威勢のいい掛け声と共に、やや若い男がカウンターから小走りに出てくる。
男はやはり気分いい笑顔で水をこちらの前に置いた。
大きなグラスだ。
明らかに『お冷や』目的のものではない。酒を入れるための、手を広げて握るような気前いい大きさ。
俺はこれに並々と注がれた水を見て、この店に対する評価が変わっていくのを感じていた。
よく注意を向ければ、カウンター前のガラスケースには、鮮度の良さそうな肉のぶつ切りが無造作に飾られていた。
あえて客の目に晒せるほど、肉の質に自信があるのだろう。
さらに厨房では、やはり体格の良い男が、コンロに叩きつけるが如くに騒々しく中華鍋を振るっている。
浅い俺の人生経験に照らし合わせれば、ああしてやかましく鍋を振るうラーメン屋の焼き飯は美味い。
ならば俄然、これから出される料理にも期待が募ろうというものだった。

36 :

スポーツ新聞の一面を読み終えた頃、料理が運ばれてくる。
水を運んできた時と同じ男は、新聞を畳む俺に配慮するかのように注意深く皿を置いていく。
「ご飯はお替り自由ですから。」
逞しい顔に白い歯を覗かせて笑う姿は、随分と好ましい。
彼に一礼をくれて料理に視線を落とす。
瞬間に鼻を支配する胡椒の薫り。食欲をそそる油に混じり、それは空き腹を著しく刺激する。
『スタミナ定食』メイン料理の見た目は野菜炒めだ。
山盛りのキャベツ・もやし・人参のざく切りから、細切れのロースが顔を覗かせていた。
涎が溢れそうになる。
その涎を押し戻すような気負いをもって、まずロース一切れを摘み上げて口へ放り込む。
良い。
ロースという言葉から期待する通りの、ザクリと確かな歯ごたえ、肉汁の旨味、そして絶妙な胡椒の利き具合。
たまらず箸で掴めるだけ白米を掴んで口へ放り込む。
これだけ旨味の濃厚なものを、コメと味わわずして何とする。そう本能が命じたからだ。
ふっくらと炊かれたコメの甘みと、肉汁のまた趣の違う甘みが口の中で溶け合う。
噛みしめると、それがさらに糖の甘さと肉の香ばしさにはっきりと分たれ、舌の頂きに至福をもたらしてくる。
呑み込むか。否、味わう。呑み込むか、否、まだ味わう。……もはや粥状だ、口内に留めてはおけない。
その葛藤をもって、ようやく味わいつくした一口目が喉を通り過ぎる。
何と美味い肉だ。
俺はしみじみそう感じたが、その感慨にも碌に浸れぬまま、箸はもう二口目を求めている。
次は野菜だ。
キャベツでその他を包み込むようにし、塊を口へ放り込む。
シャキッと音もしそうな歯応え。野菜独特の瑞々しい甘さ、ほのかな青臭さ、そしてやはり胡椒が美味い。
先の肉ほどの量ではないが、やはり米を掬って口へと放り込んでしまう。
俺が野菜炒めを喰らうとき、野菜部分でもコメに手をつけるのはこれが初めてのことだった。
いつもなら、野菜の部分はイヤイヤながらに単独で平らげ、肉の部分をコメの楽しみにするところ。
それが今回は、野菜を食している時でさえ、自然にコメを添えてしまっている。
肉、野菜と来て次はまた肉へ。肉汁を堪能しつつ、大掴みのコメを同じく口へと放り込む。
初めに見たときには野菜に埋もれて肉が少なく思えたものだが、掘り返してみると肉の量も半端ではない。
そしてこの二度目の肉を口に運んだとき、俺はある事実に気がつきつつあった。
山のように盛られた白飯。
普通の定食ならその椀一杯で十分な量だが、このペースで米を食っている今日に限っては、
その量ですらまるで足りないのではないか……と。
それは疑惑というより確信に近い。
事実、そこからさらに取り憑かれるように肉・野菜を口に運び続けた末、あっという間に茶碗が空になってしまう。
『お替り自由ですから。』
若い男の発した言葉が、救いのように脳裏に甦る。

37 :

替わりの米を待つ間は、一転して地獄のように感じた。
胡椒の利いた肉や野菜をついつい摘みたくなるが、やはり本当に美味いものはコメと共に喰らいたい。
ここで僅かでもその至福を削るような真似は慎むべきだった。
代わりに定食のその他、味噌汁と小鉢に箸を伸ばした。
まず味噌汁を啜る。
あれだけフワリと白米を炊き、本格的な炒め物を作るのだ。味噌汁もさぞや美味かろう。
その憶測は、意外にも破られた。まるで美味くない、まるでインスタントだ。
次に小鉢。シイタケと切干大根の煮付け、これも……美味くない。安い惣菜のように無駄に甘たるい。
やや肩透かしな副菜を処理する気分で平らげる。
その過程で、俺はまたある確信を得ていた。ここは、『特化させている』のだ。
この副菜や味噌汁は、あくまで定食としての体を保つための添え物。
本来そこにも注がれるべき力を、この店ではあえてコメと主菜に注ぎ込んでいるに違いない。
実際にその2つだけは、他の店では滅多に出会えない目の覚めるような美味さなのだから。
そうなればいよいよ、その主役の再登場が待ち遠しくなり始めた。
焦れる気持ちで、店の端に置かれた空茶碗へと視線を投げる。
よく見ればこれも中々洒落た器だ。まるで茶会に用いられる椀のように思える。
黒に近い濃紺の下地へ、指で白波の渦を塗りつけたような、何とも趣深い文様。
なるほど、この器に盛られればコメも美味く感じるものだ。
さらにメインの乗った皿へと視線を移す、いや、移してしまう。
刻一刻と冷めていく料理が惜しい。早くがっつきたい。
そのような事を考えながら眺めていると、ふと皿の淵に何かがこびり付いていることに気がついた。
赤い、唐辛子を思わせる薬味……。
何ということだ!このような薬味が添えてある事に、今の今まで気がつかなかったとは。
しかし、まだ次がある。次こそはこの薬味を使い、また違った楽しみが出来るではないか、
なんと素晴らしい。
そのような事を考えていると、ついに替わりの白米が運ばれてくる。
店主は米を盛った茶碗を、カウンター越しでなく、わざわざ横から回ってきて俺の前へと置く。
その細やかな気遣いには、思わず感嘆せざるを得なかった。
見た目はいかついが心優しい。俺は思わず口元を緩ませながら、いよいよ箸を動かし始める。

38 :

肉を口へ放り込む。続いて今度は、赤い薬味を追って含み、さらに白米。
期待通りに美味い。最初に比べれば冷めてはいるが、美味さになお陰りはない。
コチュジャンを思わせる辛味は、香ばしい肉と白米の甘みの調和に刺激を加えた。
さきほどまでにじわりとした甘みがキリリと引き締まり、唾液の分泌を促進させる。
ほんの僅かに感じていた油っぽさも完全に払拭され、純粋な旨味群だけが口内へ拡がり続ける。
野菜に添えてもそれは同じ。青臭さを消し、サラダの如き清清しさを口に残していく。
無論この唐辛子由来の辛さは、コメとの相性も悪いわけがない。
こうなるともはや止まらなかった。
肉、野菜、肉と次々に口に放り込み、再び盛られたコメを何の心配もなく大口で掻きこんでいける。
正直二杯目も大盛りというのは多いようにも感じたが、こうして喰っているとまるで問題なく完食できそうに思う。
事実、そこから考える事も億劫になって無心に食べ続けるうち、二杯目の白米も空となった。
肉はまだある、三杯目にいけそうな気もある。
しかしあえて俺はそれを避けた。
満腹だからではない。『あまりにもこの料理が美味すぎるから』だ。
本当に美味いものは、満腹まで食べてはならない。もう少し、やや物足りない所で止めてこそ記憶に残せる。
俺はそれを強く意識し、コメの誘惑に耐えながら、皿に少量残った肉を平らげた。
最後の一片を掬う時、皿に残った胡椒風味の汁もできるだけ絡めるようにして口に運ぶ。
締めに相応しい、胡椒と肉汁の味の濃厚に乗った最後の一口。
俺はそれをよくよく噛みしめ、噛みしめ、汁を絞り出すようにしえ味わいつくして嚥下した。
溜め息が出る。とうとう至福の刻が終わったのだ。
氷がひしめき合うグラスの水を飲みながら、俺は静かに現実世界へと舞い戻った。
「880円です」
その声に、俺は千円札を出す。あれを食べて、なお120円が戻ってくるのが信じられない。
「ぁいどぉー、またよろしくぅー!!」
店主と若い男が声を揃え、人懐こい笑顔を見せた。
額に汗して鍋を振るっていた料理人もまた、帰りかける俺に笑みを見せる。
強面な見た目ばかりながら、なんと心優しい人間達なのか。
そのような人情溢れる人間であればこそ、あれほどに美味いものが作れるのだ。
あれはただのスタミナ定食ではない、『人情定食』とでも言っていい。
俺はそう感じながら、軋みを上げる木の戸を開ける。
外の空気を吸った瞬間、腹の張る感覚が襲った。
やはり流石に喰いすぎたか。これはまた今晩から、減塩低脂肪を意識した食事だな。
そう考えはするが、しかしあれだけ美味いものを喰った以上は後悔もない。
また来よう。
俺はそう心の中で呟きながら、再び路地をぶらつき始めた。

                          終

39 :
満腹時に読んだのに口の中に唾液でたwww
「ウマソウ」表現うめぇなあ GJ

40 :
「食ってる描写とヤってる描写はエロいもの」と思ってる俺得SS
自分も時々リアルで食いながら脳内実況するから、妙な親近感
『なんということだ!』のくだりにワロタ
いいねえ。 GJ!!


41 :
これはエロイ……白米おいしいですごちそうさま

42 :
食欲をかきたてる名作GJ

43 :
>>38
なんでエロパロにあるのか全くわからねぇwww
こんな深夜に飯が食いたくなったわ!

44 :
お米保守。

45 :
>>12-24の後の話を投下しに来ました
・歴史物(戦国)
・無理やり気味だけど和姦
・夫婦もの
主な登場人物は 前田又左衛門利家(文中は『又左』)と 妻のまつ
前回の投下に大間違いハケーン
利家が「赤母衣衆筆頭」になったのは、三十路過ぎてからだったorz
今回もアラはたぶん有マス。
>>33 >余裕でロリ物…… 
そうですか。
作者にそっちの嗜好が無く、お好きな方が期待されると悪いと思って注意書きしたのだけど。
逆に、ロリ系お好きでない方が読まれて、不快に思われたかも。申し訳ない。
なので、気になることを・・・
*エロまで長いクセに、エロパートはあっさり目。
*ロリ要素少々
*行為中に母乳
*泣く赤ん坊を無理矢理母親から引き離す
・・・非常ーにヌルイですが、以上のような描写があります。
苦手な方は、回避を。
タイトルなどをNGにするか、以下15レスすっ飛ばしてください。


46 :
                  
戦況を見据えていた信長の目に、手前の丘の陰からの影が飛び込んできた。
「なんだ……?」
そばにいた柴田が腰を浮かせた。
敵か味方かわからぬ兵が、一騎駆けで瞬く間に戦場の只中に突っ込んでゆく。
「……あれは」
総攻撃をかけている織田勢の横を単騎、まっしぐらに駆けてゆく。
敵味方入り乱れて闘う徒歩の者たちが、恐れをなしたか一斉に道を空けてゆく。
織田勢を追い越し敵勢に突入した朱色の駒が、黒い波を二つにかち割ってゆくようだ。
「お屋形様っ、あれは……あれは又左にございます!」
「なにっ、犬か!」
敵方の中心を突き抜けた騎馬は、その士官の前に踊り出た。
瞬く間の出来事である。
「又左の槍が!」
六尺にもなる前田又左衛門利家愛用の長槍が、馬上で弧を描くのが見えた。
次の瞬間には、相対した同じく馬上から黒い塊が転げ落ちた。



又左衛門はこの戦からおよそ一年前、主信長の寵愛を受けていた同朋衆の十阿弥を、口論の末あろうことか主君の眼前で斬してしまった。
当然信長の怒りに触れ、勘当、放逐されてしまったのだ。
主をもてぬ、仕える者がいないという経験は、のちのちの前田利家に良い影響を与えることになったのだが。
ことの発端は、ゆくゆくは一国の主になる者らしからぬ――些細な事である。
十阿弥とのいさかいの発端は、妻のまつの贈った『笄(こうがい)』にあった。

まつの贈った笄は、派手な拵えの太刀に合う、凝った作りものだった。
喜んで又左は愛刀に挿し、日ごろから大切にしていた。
その笄を、十阿弥が盗んだのである。
根が実直な又左は、相手によって裏表の変わり身激しい十阿弥と、普段からそりが合わなかった。
そんな男を、主の信長が重用することが解せなかった上、その寵愛を傘に着て振る舞う十阿弥が、どうしても鼻もちならなかったのだ。
それに、十阿弥は以前から、又左が幼な妻を娶ったことを影で嘲弄していたのだ。
それを又左は、知っていた。
知っていて、今まで堪えてきたのである。
だが、今度のことは、堪え切れなかった。
まつが又左の無事を、との想いをこめて贈ってくれた品である。

47 :
                 
又左に恐ろしい勢いで詰め寄られ、十阿弥は笄をすぐに返した。
又左も素直に謝る十阿弥を、その場で赦すことにした。
しかし、そのほとぼりも冷めぬうち、今度は聞えよがしに又左を嘲笑し始めたのだ。
それは日を追うごとにあからさまになっていった。
ある日、とうとう又左の中でおさえにおさえていたものが、爆発した。
自分を指差し笑う十阿弥を見つけるや、又左は太刀を抜き――当てつけるように、信長の目の前で十阿弥を斬りした。
信長は柴田勝家らの説得で、手討ちにすることを思いとどまるも、その場で又左を勘当。
主家を放逐された又左は、浪人の身となった。
その頃、信長を擁しての織田家は、一枚岩ではなかった。
ゆえに信長は、家中の結束に腐心し、ことに家臣同士の争いごとには厳罰をもってのぞんだ。
そんな折に、主の目の前でその寵臣を斬したのである。
『放逐』するにとどめた信長は、又左をすには惜しいと思っていたにちがいない。
それをわからない又左ではなかった。
だから、どこにも仕官せず、ひたすら主の元へ戻る機をじっと待つことにしたのだ。
――戦に単独で加わり、手柄をあげて帰参を願う。
それが再仕への道だと、又左は考えた。
しかし、手柄を挙げて帰参が叶えばよいが、戦してもなんの保障もなかった。

今川との戦いにも、浪人中の又左は単騎で参戦した。
織田方の砦が次々と陥ち、形勢は絶対的に不利であった。
その今川の大軍が、行軍の途上で隊を止めたという急報をつかんだ又左は、すぐに動いた。
織田勢集結先の熱田に向かう又左は謹慎中の身、もちろん主信長には無断である。
今川勢はその頃、田楽狭間で隊を休めていた。
黒雲が湧き起こり雷雲を呼ぶ頃、信長はその機をついてたった六騎を従え出陣。
まず、戦勝祈願と隊形を整えるため熱田の宮に立ち寄った。
熱田に着くと、すでに驟雨が鎮守の木々の葉を叩き始めていた。
その境内、続々と集結する兵の中に又左の姿があった。
又左はそこで信長隊に合流していたのだ。
だが信長は、隊列の中の又左の姿に気づいたものの、それを黙。
その後も完全に無視を通した。
気づいてくれただけでも良しなのだが、やはり又左は面白くない。
その悔しさを発散するかのように、戦場で大いに暴れた。
敵陣に一騎駆けで突入し、侍の意地をかけて、捨て身で長槍を振るったのだ。
だが、侍大将を含む兜首を三つも挙げる“大手柄”にもかかわらず、この時も帰参は叶わなかった。


48 :
              
***

織田勢の大勝した『桶狭間の戦』を終えた後。
悔しさに眠れぬ夜を過ごし、明くる朝から酒を浴びるように飲んで過ごした。
戦功をあげても勘気を解かぬ信長に、又左は焦り、怒った。
なぜ、許してもらえぬ。おれはもう用済みなのか――。
やり場のない怒りを抱えたまま、気づけば荒子へと足を向けていた。
この時、まつは荒子の城に預けられていた。
主家を放逐され浪人となった時、又左とまつとの間には、娘が生まれたばかりだった。
妻と子を養っていかなければならぬという矢先、浪人となったことで、又左はまつにはすまないと思っていた。
それに、まつは十三である。
まだまだ子どもであるといえる年齢で出産という大仕事を終えたばかりだったまつに、負担を強いてきたという思いがある。
なんとしても、織田家への再仕を叶えなければならなかった。

勘当された時、事の顛末をしらされたまつは、ほとんど動揺することなかった。
一本気の又左の気性は、わかりすぎるほどわかっている。
まつが前田家へ引取られた、四歳の時からの付き合いである。
又左の向かう所へは、共にどこまでもついてゆくつもりだ。
不安があるとしたら、一つだけだった。
「荒子に戻れ」――そう言われて初めて、まつはほろりと涙をこぼした。
高畠家ではなく、荒子城前田家へ戻れ、と言われたからである。
高畠はまつの実母が再嫁した家で、まつの今の「実家」である。
高畠家に戻れといわれるのは、『離縁』を意味した。
そこへ「戻れ」と言われず、荒子に戻れと言われたのだ。
又左は放逐されてもなお、ふたたび織田家、信長へ仕えることを願っている。
だから妻子と離れ、あくまで独りで『謹慎』をするつもりでいた。
生まれたばかりの長女幸(こう)と、母になったまつを思ってのことでもあった。
帰参はかならず叶う――まつはそう疑いもなく信じている。
けれど、そのために離縁をされるかもしれない――そう考え、まつは不安になったのだ。
「かならず迎えにきてくださいね」
又左さまの妻でいられる――不謹慎だが、まつは心底安堵して、涙を見せたのだった。

あれから、夫と離れて暮らす生活は、一年近く経とうとしていた。
時折、夫の又左は顔を見せにやってきたが、あいさつ程度の会話をするだけで仮住まいの茅屋へ帰ってゆく。
謹慎中の身として、妻や子と長い時間共に居ることを、控えているらしかった。
妻として、夫の置かれた身の上を思えば、当然であるのだが。
まつは幸を抱いて、徒歩で茅屋のある鳴海の地へ帰っていく又左を、いつも笑顔で見送った。
けれど、後姿が遠くなるにつれて、いつもさびしさが込み上げてくるのだ。

49 :
                 
ここは元々、実家のような所ではある。
荒子の館の一番端とはいえ、日当たりのよい一室を与えられている。
養母を始め皆、まつたち母子に優しく接してくれていた。
幸も、皆に見守られながらここで産んだのだ。
とはいうものの今の夫の状況では、まつたち母子とっての荒子の暮らしも、やはり肩身の狭いものだった。
それに、夫と離れてひとりで過ごす夜は、ことさらさびしく不安なものだった。
幸は、まつの横でぐっすりと眠っている。
生まれてもうすぐ一年になる近頃は、支えなしで立ち上がるようになった。
可愛いさかりである。
わが子といると心が安らぎ、自分がしっかりしなければ、と励まされもする。
子の世話に追われる毎日は忙しく、気も紛れるが、時折どうしようもなく不安に苛まれることもあった。
又左が傍にいないさみしさを埋めるには、どれも足りない。
夫婦親子が一緒に暮らせることが、今のまつにとって一番の願いだった。

今夜も、月が冴え冴えとした清夜ではあるが、ひとり寝間でぼんやりそれを眺めている。
開け放った裏庭は、月灯りに皓々と照らされていた。
夫は今頃、どうしているだろうか。
どこかで、同じ月を眺めているのかと思うと、哀しくなった。
それに、だれかと共寝をしているのではないかと思うと、急に不安が込み上げてくる。
身を焦がれるような想いに襲われて、胸がきゅうきゅうと締め付けられる。
かたわらで眠る幸の頭を撫でながら、まつは泣きそうになる自分を励ました。
「お父上だって、頑張っているのに。だめね、泣いてちゃ」
涙がこぼれそうになって、慌てて月を見上げた。
「あ……!」
目の前の裏庭には人影がひとつ、ふらりと立っていた。
その月を背にして立つ影は、大きくて、見慣れたものだ。
近づいてきて、まつに低く呼びかけてきた。
「月を見ているのか」
「……!」
又左がすばやく草履を脱ぎ、低い姿勢で部屋の中に大きな身を滑り込ませてきた。
そのままの勢いで、まつに腕を伸ばす。
荒っぽい仕草だったが、慣れた所作でそっとまつの体を覆って、優しく抱き寄せた。
「冷えているじゃないか。開け放しておくのは、体に障るぞ」
「又左さま」
又左はすぐさま、後ろ手に戸を閉めた。
「すごい…おささの匂いが。今宵はどうされ……」
「なあに、長八郎と、酔い覚ましに来たのだ」

50 :
                 
かなり酔っているらしく、ひどい酒の匂いをさせた又左は、悪戯っぽくにやりと笑った。
村井長八郎は、又左衛門にとっての最初の家来であり、浪人の身になってからもずっと又左に仕え続けている。
まつとの文のやり取り、近況の報告など、長八郎が繋いでいてくれていた。
「それに……幸はどうかと思ってなぁ」
又左はすぐそばに寝かされた幸の頬をちょん、とつついてから軽く頭を撫でた。
まつは又左の様子が普段と違うことに、すぐに気がついた。
又左らしからぬ深酔いの訳も、まつはわかっている。
が、素知らぬふりで、普段通りに又左に聞く。
まつは、どんな形であれ、又左の来訪が嬉しいのだ。
「長八郎は?」
「今頃、この城の、惚れたおなごの懐にいるだろうよ」
「まあ……」
まるで主従ともどもの夜這いである。
今夜は荒子城主の父利昌が留守と知っているのだろう。
親の目を盗んでやって来たのかと思うと、まつは可笑しくてくすくすと笑った。
「息災そうで何よりだな」
「おまえさまも」
「どうだ、少しは肥えたか?」
「それはもう。手の空いた時はいつもお針をしていて……あ、そうだわ」
まつは部屋の隅を指した。
「おまえさまの羽織をこさえているのですが」
「それは……ありがたし」
「その後には長八郎のも……私の手でも、今から拵え始めれば間にあうかと思って」
今年こそは、寒くなる前には茅屋を出て、親子三人で清州の長屋暮らしに戻りたい。
その願いを込めて、館の仕事や幸の世話のあいだに、ひと針ひと針縫っているものだった。
「まぁ、主従ともども凍えずにすみそうなのは確かだな」
「すみませぬ。手が遅くて……」
まつが申し訳なさそうに言うと、又左は急に真面目くさった顔になった。
じっとまつを見つめたのち、低い声で言った。
「…………まだ、だめらしい」
「そうですか」
大手柄をたてたにもかかわらず帰参が叶わなかったことは、すでに長八郎から知らされていた。
「それで、おささを召されているのですね」
「…………憂さ晴らしだ。だが朝から飲んでも気が晴れぬ」
酒臭い息を吐きながら、又左は憮然として言った。
「憂さ晴らしですか……でも、度を過ぎてはいけません」
「…………おれに指図する気か」

51 :
                        
又左は声を荒げた。
ひどく酔っている所為で、先ほどから幾度か体が揺れている。
「そのようなこと」
「ふん。ここへ来る途中も、通りすがりに難癖つけてきた連中をぶちのめしてやったわ」
「まあ! ふてくされていてはいけません」
「ふてくされているだと? 生意気な口をきくな!」
又左は拳を床に思い切り叩きつけた。
ドン! と床が音をたて重く振動する。
寝ていた幸が、目を覚ましてしまった。
だが、おびえているふうではない。
さいわい、寝ぼけているのか、静かにしている。
まつは顔をしかめ、黙って朱の差した又左の顔をまじまじと見た。
「おまえも皆と同じだ」
「どうしてそのようなことをいうのですか」
「おれがだめな奴だと……終わりだと思っているのだろう」
「そんなことを気にして。おまえさまらしくも……」
「そんなこととはなんだ。気に食わぬ!」
又左の眼は充血し、暗がりで姿を見たなら、一瞬身をすくませるほどの形相である。
だがまつは少しも臆せず、穏やかな口調で又左を励ました。
「おまえさま。今すこし堪えてください。かならず……かならずご帰参叶うはずです」
「……うるさいっ」
「いちいち短気を起こしては……勘当された時と同じではありませぬか?」
「なに!」
「おまえさまは、もう独り身ではないのです。長八郎も幸も……」
怒りでますます顔を染めた又左は、立ち上がった。
「帰る!!」
「待ってください」
「おまえ……殴られたいのか」
「好きなようになされませ!」
まつが睨むように見上げると、又左はぐっと拳を握りしめた。
荒れた又左をこのまま帰したら、何をしでかすかわからない。
それほど、今夜の又左は荒んだ目をしていた。
殴られてもかまわない――。
まつは又左の袴に取りすがった。
「帰らないで……もう少し一緒にっ」
自分でも驚くほど強い力で、まつは夫の腕を掴んで引いていた。
すると夫の大きな体がふらりと揺らぎ、意外に容易く床に腰を落とした。
やはり相当に酔っているのだ。
まつは、すぐさま又左に向き合うと抱きついてもう一度、帰らないで、と懇願した。
また『ひとり』になるのが、怖かった。

52 :
                      
「帰るのなら、一目見ていって」
そういうと、まつは立ち上がった。
又左を引き留めようと必なのだ。
胸のふくらみの下で留められた、帯の結び目に手をやる。
「私で、憂さを晴らせるなら」
「こざかしいことを…………するな」
絞るような夫の声が、すでに情欲の色を帯びている。
おそらく、女色も絶っているであろう夫は、いつまでそれがもつのだろう。
日ごろ抱いていた不安が、次々と頭を擡げてくる。
「ずっと、おなごを抱いてはいないのでしょう?」
いつか、他のおんなを抱くのではないか。
それがために、深みに嵌って惑うことにはならないか。
そして、大人になりきらぬ自分を捨ててしまうのではないか。
「可愛がってください。朝まででもかまいませぬ」
「たわけたことをいうな」
「荒子の家には、あとで私がちゃんと言っておきますゆえ」
「座れ、まつ」
――孤独に打ちのめされたあなたを慰められるのは、私だけなの。
「夫婦ですもの。睦むくらいのこと、他の者にとやかく言わせませぬ」
言い放って、まつは帯を解いた。
続いて寝間着を肩から滑り落とす。
衣が板間に落ちる音が、やけに大きく閨に響いた。
戸の隙間から洩れた月の光が、まつの裸身を照らし出す。
子を産んだとは思えぬ、少女らしいほっそり伸びた脚や腕。
神々しささえ漂わせたその少女の股間に、ごく薄い繁りが見える。
母となった証の豊かな乳房だけが、小柄な体には少々不釣り合いだった。
しかし、幼い体にそれらが相まって、妙な淫靡さを漂わせてもいる。
又左が最後に見たまつの裸身から、今は何もかもが変化していた。
出産を経験したからだけではない。
幼かった体が、ようやく大人に近づきつつあるのだ。
ごくり、と又左の喉の鳴る音が閨に響いた。
まつから目をそらすことができず、ただ淡い月の光に晒された裸体に釘付けとなった。
身重の頃もしげくまつを抱いていた又左は、浪人となってから此の方、妻の裸身さえも目にしてこなかった。
それが突然目の前に現れ、己にこの身を抱いていけ、と言っている。
頭が真っ白になり、片時も離れなかった身上の諸々が一瞬で吹っ飛んだ。
代わりに激しい情欲が又左を支配した。
又左の視線に晒され居たたまれなくなったまつが、胸を両腕で覆ったのと、又左がまつに飛びついたのが同時だった。
勢いでふらついたまつの体は、又左に抱きかかえられ、あっというまに夜具の上に押し倒される。
勢いはすごいが力加減はできていて、まつはどこにも痛みを感じなかった。

53 :
             
「まっ、待ってくださ……やぁあっ」
自ら抱いて欲しいと言ったものの、あまりの勢いに気圧され、夫の身体の下でもがき呻く。
自分で身を呈しておきながら、怖くなった。
女体を欲する牡と化した夫に、急に不安と恐れを抱いてしまったのだ。
幸も、母の慄きを察してか、ぐずぐずとむずかり始めている。
「何言ってるっ、おまえが……」
「もう少し……あっ………ゆ、ゆるやか……に!」
「できぬ!」
まつに馬乗りになった又左は、もがく体を弄りながら次々と己の着物を脱いでゆく。
両の乳房にかわるがわる吸いついて、舌を使って尖端を嬲る。
「いや……んっ……ぁああっ」
一年ものあいだ孤閨を守ってきた体は、驚くほど敏感だった。
抵抗しつつも与えられる刺激に、まだ幼さの残る体は幾度も跳ね上がった。
子を孕んだ頃から少しずつ変化した乳房は、小ぶりながらも充分な質感を持ち、掌に吸いついてきた。
形良いふくらみは柔らかく捏ねやすく変化し、ごく小さな蕾だった乳首は、ころころと木の実のように愛らしい。
口に含みやすくなったそれを舌で転がすと、すぐ主張しはじめて、芽吹くように起ちあがった。
又左はそれを口で存分に弄り、堪能する。
さらに赤く色づいた木の実を指先で摘まみながら、酒に朱らんだ顔をまつに向けた。
「欲しいのだろう、おまえも」
向けられた瞳には、以前身重のまつに向けた気遣いの色など、微塵もない。
飢えきったけもののように猛り、まつの身をすくませた。
まつはかぶりをいやいやと振った。
それをにやりと笑いすごし、又左はまつの両ひざを広げ、間に体を割り込ませる。
「待って……」
「いうとおり可愛がってやる」
又左は唾液を溜めた指先を、まつの女陰にもぐらせた。
「いっ……」
痛みに体を震わせるまつにはかまわず、又左はそれを繰り返した。
「待って、又左さま……幸に、幸におちちを……」
「なにっ」
「私が眠る前に、いつも……」
とうとうぐずり出した幸の声に気付いた又左が、我に返ったように動きを止めた。
「おねがい……おちちをやるまで、待って? お腹が一杯になれば幸は眠りますから……」

54 :
                    
先ほどの羞恥にふるえながらも必に懇願した様子とは違い、必さは変わらぬが、いくぶん落ち着いた『母』の表情になっている。
おんなの顔から母の顔への変貌を見て取った又左の顔が、不機嫌そうにゆがんだ。
「…………だめだ」
「え?」
「おまえから誘っておいて、『待て』とはなんだ」
「ですから、少しのあいだお待ちにな……」
「聞けぬ」
「おまえさま……あっ」
又左がまつの両の膝裏を掴んで、体を開いた。
「待って……いやっ」
「待てぬ」
不穏なやりとりにつられるかのように、幸の泣き声が大きくなる。
突如、又左の動きがぴたりと止まった。
「おい――誰かいるのだろう、そこに」
又左が突然、部屋の仕切り戸の外に声をかけた。
声高に言い合う又左とまつに気づいた家中の者が、部屋のすぐ傍にやってきているらしい。
「誰ぞ……幸を、赤子を連れて行け」
すると戸の向こうから、小さな声で応えがあった。
母付きの侍女らしい。
又左に腿を抱えられたままのまつは、息を飲んだ。
みるみる顔をこわばらせ、又左を咎めるようににらみつける。
羞恥で総身は赤く染まり、眼には涙が滲んでいる。
又左は、傍にあったまつの寝間着をとり、折敷いた裸身をそれで覆った。
「乳をやってくれ。館の中に誰かやれる者がいるだろう」
「おまえさま、なにを言って……」
「はようせぬか!」
侍女が、平身低頭の態で閨に入ってきた。
閨のふたりにくるりと背を向け、幸を抱き上げる。
幸はいよいよ大きな声で泣き始めた。
「幸!」
「はよういたせ」
「ただいま」
幸を抱えた侍女は、面を伏せたまますばやく部屋から退いていった。
去り際侍女が「大丈夫ですよ」とささやいた言葉は、幸にではなくまつに向けてのようだった。
「こう、幸!」
混乱したまつは、かぶりを激しく振りたてた。

55 :
                 
「ひどい……幸の、親なのにっ」
「おまえはおれの女房でもあるんだ」
まつが又左をきっとにらみつける。
「閨に子が居ては、気が散る」
「なっ……ま、又左さまなんか……っ」
又左をにらむ眦から、大粒の涙がこめかみを伝い耳の方へとこぼれ落ちていく。
「嫌い……きらい、大嫌い……!」
まつは腕や胸など届くところを、小さな拳を振りまわし思い切り叩く。
それを又左は膝へ抱き上げて、腕の中へ封じ込めた。
それでもなお、まつは向き合った壁のような又左の胸を、ばたばたと拳で打つ。
想いを募らせた夫との逢瀬。
産後、幸との生活にも慣れた頃から、独り寝の夜中に思い出しことも幾たびもある。
又左の腕の力、肌の匂い、ささやく声……刻みこまれた感覚が目覚めかけるのを、かろうじて押し止め、幸の寝顔に詫びたこともある。
今も、じっとしていても己の底から湧きあがる肉の欲に、慄いている。
――幸は、あさましい母を赦してくれるだろうか。
遠くなった幸の泣き声に、耳を澄ませる。
とたんに胸のふくらみがきゅ、ときつくなった。
きつく閉じたまぶたに、幸の顔が浮かぶと、乳房が痛みを伴って弾けそうなほどに張ってきた。
「あっ」
突如、まつが又左の胸を力いっぱい押しやった。
先ほどの勢いとは別の、切羽詰まったまつの振る舞いに又左が怪訝な目を向ける。
「あ……だめよ」
まるで自分に言い聞かせるようにつぶやき、両腕を胸の前にもってゆく。
胸を隠そうとする両の細い手首を、又左は掴んで止めた。
目の前の白い乳房は、血の管を幾筋も青く浮き上がらせて張り詰め、つんと勃った乳首が見る間にきゅっと上を向く。
まるで咥えろといわんばかりにいきり勃つ尖りに、又左が口を寄せる。
なにやら必で抗うのは、先ほどと違う訳があるとすぐにわかった。
ぷくりと起ちあがったそれから、次の瞬間、白いものが迸った。
鼻の辺りにそれを浴びながらも、又左は目の前で乳を噴き上げる乳房を、ためらいなく大きく頬ばる。
「だめえっ」と声をあげ、まつは縛めから抜き出した片手で、又左の肩を押しやろうとする。
ごくり、と又左の喉仏が上下した。
乳房を頬ばったままの口中に放たれた乳を、飲み下したのだ。

56 :
                  
もう片方のいきり勃った乳首からも、微かな噴出の音をさせながら、白い乳が噴き出している。
それにもすぐさま又左の手が伸び、下から支えるようにして包み込んだ。
又左の指、手の甲は見る間に白い液体で濡れていった。
又左は濡れるに任せて、人差し指と中指の股に乳首を挟み、掌全体で揉み始める。
閨には、むせかえるような母乳の甘たるく生臭い匂いが満ち、乳を吸い嚥下する音が奇妙に響く。
すぐに乳の出の勢いはなくなり、又左の掌の動くにつれて、乳汁が滲むだけとなった。
滲みだした白い雫は滑らかな腹を伝い、まつの股間へと落ちてゆく。
片方を吸いつくした又左は、もう片方の乳房もひとしずくも残さぬ勢いで吸い上げた。
まつは観念したように抵抗をやめていた。
又左はなおも、乳にまみれたままの掌で柔らかくなった乳房を揉みしだき、音をたてながら乳首を舐っている。
おさまりかけたまつの荒い息は、又左が愛撫に没頭するにつれ、堪えるような呻きに変化した。
暴れて火照った熱は、徐々にある一点に集まってきている。
乳房や乳首を弄られる刺激が、そこをじんじんと熱くしてゆく。
又左が、乳汁にまみれた指を、切なげに喘ぐ唇に押し込んだ。
「舐れ」
押し入れた指を舌の上にのせられる。
甘く苦みのある味と、特有の甘さと生臭さの入り混じった匂いが、口腔に広がった。
「甘いのだな、乳というものは」
「んーん!」
まつは激しくかぶりを振って、又左の指を咬み――舐り始めた。
目を細めてその様子を眺める間も、又左は小さな身体を弄りまわす手を止めない。
眉根を寄せ涙の粒を目尻に溜めた少女の顔は、次第に蕩けていった。
小さな舌を伸ばし、水音をさせながら、一心に骨ばった長い指を舐めまわした。
「くぅ……んっ」
次第に悩ましげな声がまつの口から漏れ出してくる。
「下の口にもやろう」
乳にまみれた厳つい手がまつの陰所伸び、陰唇の内に忍び込んだ。
花弁やしこった芽に乳汁を塗り込むように指を動かすと、又左の膝の上の小さな身体は跳ね上がった。
悲鳴のように高い声をあげて、喉を逸らす。
そのまま、又左はまつの体を再び夜具に横たえた。
「よい顔だ」
「…………又左さま、きらい」
又左が見つめると、まつは涙にぬれた顔をぷい、と逸らした。
幼子のような仕草のそれにかまわず、又左は抱えた脚を再び大きく開く。
すぐさま昂りそり返った怒張を、まつの秘唇に押し付けた。

57 :
 
 
「っ………」
               
顔を逸らせたまま、まつは目をぎゅっとつむり、体をこわばらせた。
幼さの残る体は、しかし、拒絶の態に似合わぬ反応を示した。
「嫌……んっ、く……ん…………」
まつの口の端から、拒絶とはあきらかに違う艶のある声が漏れる。
女肉の扉に押し付けられた剛直は、ぬるぬると滑って秘裂を上下になぞる。
薄い繁みは又左の唾液にまみれて濡れそぼり、ぬめった肉棒が跳ね上がると、先走りの露と混じって、しぼんだ繁みの先から糸を引いた。
さらに声をあげそうになり、あわててまつは唇を噛みしめた。
「閨では母の顔をするな」
又左は両脚を脇へ抱え、空いた手をまつの股間にやった。
指をそっとあて、先ほどとは変わって優しく秘裂をたどる。
「っぁん、あ……」
「おまえとて、待てぬのではないか」
ぬるぬると潤滑の汁が指先を濡らした。
先走りと混じった露の糸は、滲みだした陰蜜のせいでもあるのがわかる。
いや、と抗いながらもまつが背を浮かせはじめたのを見て、又左は満足そうに頬を緩めた。
一年ぶりに触れるそこは、子を産む前となんら変らぬ。
変わぬというより、幼さを残しつつも大人への途上にあるのがわかる。
ふっくらと肉厚になり、充分に剛直を受けとめる柔らかさをそなえていた。
又左は二指で秘唇を左右に開いた。
子を産む前よりもさらに桃色は濃く、あざやかさを増し、すっかり陰蜜で潤っている。
艶々と蜜にまみれて淫らに蠢く。
秘口の上にある、肉の粒にも指先で触れると、まつの息をのむ音が聞こえた。
「欲しいのだろう……まつ?」
笑い声を含んだ又左の言葉に、肉が震え秘口がきゅ、とつぼむ。
ひくひくと蠢いた後、透明な蜜をあふれさせた。
背を伸ばし、まつの耳に顔を寄せ、酒の匂いをさせながらささやく。
「我慢が利かぬ。おれも……おまえもだ」
そういうと、又左はまつに押し入った。
「あ! はああ――――――」
まつの身体が跳ね上がる。
又左の腕を強く掴んだ細い指先が、白くなってゆく。
「来い」
又左がまつの体を腕の中に抱え込み、強引に唇を吸う。

58 :
        
       
「う――! ん……ふ……くぅ………」
より深く貫かれたまつは、苦しげに悶えた。
唾液が口の端からこぼれ出すほど激しく口内を貪られる。
そのあいだ又左は動かず、久しぶりのきつい女肉の感触を堪能した。
動かずとも、よかった。
乱暴にされたにもかかわらず、まつは、又左を歓待するかのように迎えたのだ。
泣きながら拒絶する少女の表情からはおしはかることは難しい、結ばれた肉の蠢き。
成長と共にはやくから夫婦の交わりをおぼえたまつのそこは、久しぶりの夫をきゅうきゅと締めて震えた。
数え切れぬほど交わり、まつの体のことをしりつくしているからわかる、肉の感触だった。
それを示すように、拒絶と又左への恨みごとをつぶやきながらも、女肉はすでに淫らな蠕動を始めている。
又左の肌に吸いつくように重なったままの内股は、じっとりと汗ばみ、繋がったところはすっかり陰水で濡らされていた。
妖しい蠢きに耐えかねて、又左は低く呻きながら、腰を揺らし始めた。
以前なら、一切の動きを絶ち、まつから動き出すのを辛抱強く待ったりもしたが。
飢え渇ききった体では、無理なことだった。
まもなく又左は、まつのくびれの少ない腰に腰を幾度も押しつけながら、長く堪えてきたものを吐きだした。

一度目を終えるとようやく酔いが醒めたらしく、又左は慌てて飛び起きた。
素っ裸のまま床に額を擦りつけ、「すまぬ!」と叫んだ。
声も出ぬほどぐったりとしていたまつは、驚きつつも、それを見てくすりと笑いを漏らした。
先ほどとはあまりに違う又左の姿に、まつは怒るよりも可笑しくて笑ってしまったのである。
しばらくは、しきりと弁解じみた事を言いたて、手荒にしたことを反省しているようだったが。
またもや突如、動けずにいるまつに覆いかぶさり、声も出す間も与えぬまま、まつの唇を唇で塞いだ。
ばつが悪いこともあったが、なにより男の反応に逆らえなかった。
だが、今度は激しい欲をうまく制して、柔らかなまつの唇をゆっくり味わう余裕がある。
まつのほうは驚いて抗うも、先ほどと打って変わって慈しむような愛撫を施され、次第に翻弄されてゆく。
まつは身体の力を抜いて、目を閉じ、又左に身を委ねた。
ふたりは、長い空白を埋めるように、空が白むまで夜具の上でもつれ合った。


59 :
                   


夜を徹するほどの情交で、まつは少し蒼白い顔をしていた。
体が重くあちこちに痛みがあり、股間には違和感を感じるほどだ。
つい先刻まで、又左と睦んでいたことに思い至り、まつは顔を赤らめた。
酔いも手伝って夫の欲求は果て無く――まつとて、待ち焦がれていたときだったのだが。
そのあかしに、母としての気持ちの枷がとれた後は、又左の欲求に応えるだけでなく、自らそれに溺れていった――。
昨夜の自分の破廉恥な振る舞いがよみがえり、羞恥で身悶えしそうになった。
腕の中の幸をぎゅっときつく抱きしめていまい、幸が身を捩って怒っている。

きゃあきゃあとなにやら楽しげにさわぐ妻と子を、又左は目を細め眺めていた。
眺めながら、あたたかな想いが胸に満ちていくのを、又左は漠然と感じていた。
漠然とではあるが、今はそれがなにかを又左は解している。
「また来よう」
又左は庭に降り、濡縁に幸を抱いて座すまつを振りかえった。
又左にも疲労の色はあるものの、晴れやかな顔だ。
その相貌には、昨夜ここを訪れた頃の憂いの色は微塵もない。
思えば、身を呈するようにまつが強くたしなめてくれたおかげで、又左の荒み乱れた心は鎮まったのだ。
まだ、少女だと思っていた幼な妻は、いつのまにか『母』になっていた。
「いろいろとその……すまなかった」
「無体をなさるお父さまは、きらい、と幸が申しております」
まつが幸の手を握り左右に振りながら、拗ねた顔で又左を見上げた。
幸は手を振らされているのが楽しいらしく、生えたばかりの歯をむきだしてにっと笑っている。
又左の顔がみるみる赤くなった。
「わるかった、謝る……幸は赦してくれるかな?」
「……次はやさしくしてくださるなら」
「…………ああ」
「ほんとう?」
幸の頭に顔を半分隠したまつは、小首を傾げている。
湯気のような髪の毛から透けて覗く瞳は、閨で甘える時に似て潤んでいるように見える。
ふと昨夜のまつの痴態が浮かび、又左はあわてて幸へ視線を移した。
「ほんとうだ。嘘はつかん。誓う」
照れ隠しに幸を見つめて、真顔で言う。
「今度はその……なるべく夜分に去らねばな」
「こんなに陽が高くては夜這いになどなりませぬもの」

60 :
  
       
まつはころころと、少女らしく笑った。
又左はばつが悪くなって、鬢のあたりをぼりぼりと掻いた。
幸がそれを見て、にこっと顔をほころばせている。
          
「おささは、ほどほどに」
「……わかった」
「おなかがすいた時は、すぐに私のところへおいでください」
「食いっぱぐれた時は、そうする」
「…………無茶をしてはいけませんよ」
母のように気遣う声は、最後の方は涙まじりとなった。
言い終えたまつが幼子のようにくすん、と鼻をすすると、又左の掌が頭の上に置かれた。
ゆっくりと慈しむように撫でられる。
胸がきゅんとして、まつは思わず又左の袖を掴んだ。
――ついてゆきたい。
だが、その言葉は胸の内に閉じ込めておかねばなるまい。
今は、夫が孤軍奮闘している時なのだ。
本懐を遂げるまでは、夫と心だけは共にあらねば、と。
「では、行く――幸をたのむぞ」
妻の自分が甘えてどうする――まつはくい、と顔を上げた。
「どうか、お気をつけて」
精一杯の笑顔で、夫を見送る。
幸も、父にあいさつをするように「あうー」と声をあげている。
又左は、城の裏木戸に待つ長八郎めがけて歩き出しかけた。
と、突如踵を返して駆けもどってきた。
長八郎に「あっちを向いておけ」と叫ぶなり、幸をもろとも、まつを両腕でそっと抱いた。
「おまえこそ。無理をするな、身体をいとえ」
すばやく耳にささやき、まつを引き剥がすようにして離れると、また身をひるがえした。
走り出した又左は、もう振り向かなかった。
長八郎に追いつきざま、ばしんと平手で背中を叩き、追い越してゆく。
長八郎がよろけるのを見やり、腹を抱えて笑いだした。
小走りに去ってゆく主従の背中は、なにやら楽しげだ。
「ちゃんとわかっているのかしら?」
まつは小さなため息をつき、幸を見つめた。
きょとんとしていた幸は、「あーあ!」と叫びながら、父たちにひらひらと手を振りはじめた。


おわり


61 :
            
以上で投下終了
今回も、直してたらキリが無くなり、こらえきれず投下
誤字とか、アラだらけかも すみません
それと、今回も、これでいろいろすっきりした気分
どうもありがとう

62 :
投下乙!!GJ

63 :
>>61
この時代設定でしか書けない正当なロリ母純愛陵辱、
今回も堪能させて頂いた。
タイトルからみて・・次も期待させて頂いてよろしいな?

64 :
GJ!

65 :
見つけた〜w

66 :
こちらのスレは初めてですが、これから大体8レスほどの短編を投下します。
・少し気の弱いパイズリストが、強気の女相手にパイズリ、のはずが途中から雲行きが…?
・前半パイズリモノ、後半ドM向けの内容です。

67 :

「な、なぁ」
 どこかの町の、とあるマンションの一室。
 部屋には二人の男女。一人はおそらく二十代、中肉中背で何処にでもいそうな風体の男。
「なによぉ…もしかして今日もぉ?」
 もう一人は、男と同年代に見える、美人だが気の強そうな褐色の女性。
 ブラウンに染めたショートのはねっ毛が、シャープな顔の輪郭を縁取り、大きいがやや釣り気味の目は、
 太い眉と合わせて意志の強さを見せた。
「あぁ…」
「仕っ方ないなぁ……さっさと終わってよね」
 申し訳無さそうな声の男に対して、女の方は表面上はさもうんざりした雰囲気だ。
「わ、わかった!」
 女の返答を聞いた途端、表情と声色が一変して歓喜に染まる。
 背後にキラキラした派手なエフェクトが付いてもおかしくない、素直な喜びっぷりだ。
 
 すると座っていた女性が自分のTシャツに手を掛け、躊躇いなく脱ぎ始めてしまう。
「んしょっ…と」
 たくし上げたシャツに押し上げられ、下乳の円やかなラインが布地越しに浮き出る。
 引っかかった服を力任せに引き抜くと、圧迫から開放された乳房が、ブルンと擬音のしそうな勢いで弾け出た。
「相変わらず、ぱねぇ…」
 男が呟くのも無理はない。服の下から現れたのは、健康的な小麦色の見事な豊乳だった。
 挑発的に突き出した形は、俗にロケットおっぱいとも呼ばれる釣鐘型で、若さを見せる張り艶は柔らかな肌触りと共に、
 確かな挟み応えを約束してくれるだろう。
「ほんっとオッパイばっか好きなんだから……ほら、あんたもさっさと」
 未だに飛び出た勢いで、プルンプルンと震える肉塊に見惚れながら、男も慌てて腰に手をやりズボンを脱ぎ出した。
 
「そのリングなに?汚ない先っぽ見せたくて、わざわざ付けてきたの?」
 素肌を曝す股間の中心、聳え立つ怒張は長さ17cm以上と平均超えのサイズ。
「いや、この方がちゃんとズル剥けになるし……」
 赤黒くぬめった亀頭の先、使い込まれた竿の根元には、包茎をピッチリと剥き上げる為のコックリングが留めてあった。
「ったく、そういう準備だけは…毎回毎回パイズリばっかり何十回も。あんた飽きないの?」
 男の方は相当のパイズリ好きらしい。恋人同士には見えないが、それに付き合う女も好き者なのか、それとも…
「やることは自分でやってよね、面倒くさいから」
 どっかと近くのパイプベッドの上に寝そべると、いつの間にか手に持つローションを胸の谷間に垂らした。
「ああっ!」
 嬉々としてベッドに上がると、寝転がる彼女の程よく締まった上半身に馬乗りになる。
 もうすっかり座り慣れた、彼のパイズリ指定席。
 太腿と尻の下に感じる、薄い脂肪と牝鹿のようにシェイプされた筋肉のサンドイッチ生地が、古からの牡の野性を蘇らせた。

68 :

 Eカップは楽にある乳房。仰向けになって左右へと垂れた柔肉を、両手で掬い上げる。
 たっぷりとしたボリュームは掌に収まりきらず、乳肉が指の間からはみ出るほどだ。
(やっぱすげぇや、こいつのオッパイ…)
 この肉に溺れるのも、何回目だろうか…揉みしだきたい気持ちを抑え、肉棒をこて代わりにしてローションを谷間に塗り広げる。
 内股に触れる、はちきれんばかりの弾力。濡らついた巨根と、それを余裕で飲み込む褐色の肉塊の対比は、
 視覚的にも『来る』ものがあった。
「んっ…ふ、んうぅっ……」
 柔らかさの中にも弾力を含んだ感触が男を昂ぶらせ、吐息のような呻き声を漏らす。
 牡の最も敏感な部位で、蠱惑的な肉感をしばらく味わうと、一旦腰を引いて勃起を離した。
 ヌチャァッ…
 ローション塗れになった胸の谷間と肉棒の間に、透明の粘りつく糸が繋がる。
「さっ、準備できたでしょ?早く腰振って出しちゃってよ」
 濡らついた硬い凶器と爆乳の対比を楽しもうとした男に、女が先を促す。
 馬乗りされる女から騎手への鞭入れに、だが彼にとっても断る理由は無い。
 男の腰が、前後に動き始める。お楽しみの時間の始まりだ。

 クチュ…チュプッ…
 女の腹に跨って、掴んだ胸に高まりを挟んだまま、味わう様にじっくりと腰を振る。
 馴れ初めの頃はペニスを挟むだけでも一苦労で、よく谷間から弾き出されていたが、今では簡単に心地よい狭間に肉棒を埋められる。
 二つの双球が生み出す谷間は、男の剛直を完全に包み込んでしまうほどのボリュームで、
 腰を突き出しても亀頭がギリギリ顔を出すのが精一杯なぐらいだ。
(すげっ…柔らけぇ…)
 手の中でたゆたう褐色のスライムは、鷲掴みにした手に少し力を入れるだけで容易く形を変えて、指先を内に迎え入れる。
 大きさに見合った蕩けるような感触に、だらしなく緩んだ表情を隠すこともできない。
(学生の頃よりは柔っこくなったけど、これはこれで…)
 フルーツゼリーを思わせるプリンプリンの手ごたえが、乳肉の感触にアクセントをつけて手指を楽しませた。
 ムリュゥッ…スリュッ…ッ…
 そんな堪らない肉のコンビネーションを、牡の一番熱い器官で堪能する。
 双子山脈に立ち向かう腰捌きは、表情にお似合いの緩やかな営みで、乳房を強く締めずに肉棒を優しく包み込み、
 谷間で泳がせる様なまったりしたやり方だ。
「ん…うあぁ…っ……」
 ピストンと言うには物足りないスローペースの腰捌き。それでも、悦びの呻き声を上げるのを我慢できなかった。

69 :

 フゥッ…
 胸の谷間からギリギリ顔を出した亀頭に、彼女の熱い息が掛かる。
「…んっ……」
 充血して感じやすくなった先端への思わぬ責めに、つい動きを止めて反応していまう。
 彼女の顔に目を向けると、にやけた笑みを浮かべた表情が男を嘲笑っていた。
 自分一人で盛り上がっているところを、じっと見られるのも恥ずかしい…目を逸らしてピストンを再開すると…
「くぉっ!…」
 肉槍の赤い穂先。尿道口の切れ込みをチロチロとくすぐる、紅い舌先。
「んだよ…んっ、やる気になってんじゃん…」
 情けない痴態を見られていた手前、あまり強く出られない。
 パンッ!
 平手打ちの返答が男の尻を軽く叩き、破廉恥な行為の続きを促した。
 手に少し力を込めて胸を寄せ、締まり具合を強めると本格的に腰を使い出す。
 触れる指を圧し返す瑞々しい肌に、包み込む母性の柔らかさを合わせた、適度に熟れた乳房が、四方からの堪らない圧迫責めで、
 牡の硬い部分をトロトロの骨抜きにした。
 はぁ…はっはっ…ふっ、はぁっ…!
 豊かな乳肉が作り出す、みっちりとした圧迫感に息を弾ませる。
 スベスベだがヒダも段差も無い感触は、竿には少し大人しいが、敏感な亀頭には丁度良い。
 フカフカの天然クッションが先っぽのデリケート肌を擦り、鈴口を優しくなぞり上げるだけで、
 呆気なく引き攣った呻き声を漏らしてしまう。
(こんなオッパイ、チンポだけじゃ勿体無いな…)
 欲望を掻き立てる双子の山頂に指を伸ばして、ひっそりと息づく突起を弄り始める。
 既に大きく屹立した乳首は、サインペン程の太さに膨らみ、長さも1cmを楽に越える。
 少し濃い目だが桃色を保っている核の周りを、蕾自身より少し薄い色の、100円玉大の密やかな乳輪が囲んでいた。
 いきなり捻り上げたりはせず、まずは乳首の周りを人差し指で軽くなぞり上げる。
 しこりの側面を摩って、敏感な紅い実をくすぐる様に撫でていくと…
「んっ……ぅん…」
 軽い愛撫のジャブにも肉の芽は素直に反応して、切なげに胸を揺らす。
(俺だって、たまには…)
 毎度相手に主導権を握られてしまう二人の営み。
 だが、にやけ笑いを浮かべたままの女の顔に、僅かな喜悦の色が混ざるのを見て、牡の攻撃的な野性に火が灯る。
 突起の先端に小指の先を当てて、バイブレーションのように震わせると、女の表情が目に見えて快感に歪んでいくのが分かる。
(よし…もう少し、いじめてやるか)
 日頃のお返しとばかりに、コリコリした乳首の感触を楽しみながら肉棒で胸の谷間を犯すが、
 女の方も何時までも為すがままを許す訳はなかった。

70 :

 パフッ、プチュップフッ、パムッパムッ…
 控えめな突き込みで、柔らかさをたっぷり楽しんでいた男だが、折り重なる快感の連続に押さえが利かなくなってきた。
 少しずつ勢いの乗ってきた腰使いに、柔肉の隙間から頻繁に濃い赤の亀頭が顔を覗かす。
 肉の谷間へ、マーキング代わりの先走りを垂れ流す尿道口に、苛烈な侵入者が訪れた。
「んうぅっ!…あくっ…ぅ…っ!」
 女の伸びた舌先が、尿道口を穿るようにチロチロと舐め始める。過敏な下の唇を弄ぶ悪戯な愛撫に、乳首を触る指も止めて、
 亀頭を無防備に突き出したまま腰を止めてしまう。
 舌の一撫でだけで主導権を奪い返すと、更に舌先を捻じ込んで小さな穴を拡張する。
 竿を柔らかな喜悦で包みながら脆い先端を舐め嬲り、柔剛の刺激で牡の官能を狂わせた。
 防戦一方の状況に、反撃しなければと思う一方、まったりとした愉悦に慣れた身には、
 この過激な責めを感じていたいと言う欲望が頭をもたげる。
『あんたは大人しく、オッパイでイキ狂ってればいいの…』
 肉色のプラムへ舌を這わし、とくとくと垂れ出る涎をねっとりと舐め取る女の目が、そう語りかけてくる。
 フゥッ…
 頭と背筋を通り抜ける火照り。幾多にも及ぶ強気な彼女のパイズリで、軽いマゾヒズムを植えつけられた彼にとって、
 嘲りを含んだその視線は、ご褒美以外の何者でもない。
 大きく開いた肉傘の表面を、硬く尖らせた舌先が這い回って、受身一方な男を悶えさせた。
 
 男の意思が快楽に揺らぐのを見抜くと、女も次の手を仕掛ける。
 フリーのままの右手を、自分の腹に乗っかる臀部に持っていき…
 ジュプッ
「んうぉっ!」
「…んん?おやおやぁ〜?」
 少しの驚きと、淫靡な喜びに溢れた笑顔。男の尻穴に、女の中指が根元まで埋まっていた。
「なぁんで…中までローション塗れなのかなぁ…?」
 少しだけ穴から引き抜いた中指には、明らかな人工物の透明ジェルが付いていた。

71 :

「…う…っ……」
 実は前回の行為で、アナルを責められながらのパイズリがいたく気に入ってしまい、今回も同じことを期待して、
 予め自分でアナルを解していたのだ。
 彼女の方も、潤滑の無い尻穴へ強引に捻じ込んで、からかってやろうと思っただけなのだが、思わぬ拾い物だ。
「オマケにケツマンコの中、トロットロにやぁらかくなってる……ねぇ〜…もしかして、自分でお尻の穴ホジホジしてから此処へ来たの?」
 分かりきった事をわざわざ問い詰める言葉と、嬉しそうに細めた瞳が彼を嬲り責める。
「…お尻を穿られながら、オッパイに包まれたい?それとも…あたしを乳首でイかせてみる?」
 挑発とも言葉責めとも取れる語り口が、やんわりと男に決断を迫った。
「あんたに散々開発されたからね。さっきの感じなら乳首だけでも……かもよ?」
 先ほどの乳首責めの反応も悪くなかった。畳み掛ければ、陥落も夢ではないのでは…
「あんた次第だよ…あたしは動かないから、好きにしなよ」
 つい先程までは攻撃に傾いていた男の心中。
 しかし放置された股間の肉棒は、俺を忘れるなと言わんばかりに、胸の間で大きくしゃくり上げる。
 動くことで心地よい圧迫感をもたらす乳弾力。その快感は牡幹だけでは収まらない。
「おーおー、おいしそうに指締めつけちゃって…」
 ピンク色の連鎖爆発は下半身の神経にも飛び火して、妙な場所に力が入ってしまう。
 牡の淫穴を穿つ彼女の指を、思わずキュキュッと締め付けて直腸粘膜を擦り付ける。
 その動きは、挿入された肉棒を美味そうに咥え込む、女の秘裂と同じだった。
 
「あははっ、前立腺もプックリしちゃって…コリッコリに膨らんでる」
 自分でアナルの準備をしたせいとは言え、折角の好機をこのまま潰したくない…
 珍しく掴んだ逆転のチャンスに、しかし男が感じているのは情けなさと恥ずかしさ、そしてもっとお尻で苛めて欲しいと言う、
 被虐に歪んだ劣情の炎。
「ねぇ……どうするの…?」
 問いかける風ではあるが、ねっとりとした口調の裏にあるのは、明らかな挑発の響き。
 たまには、あの爆乳で嫌ってほど鳴かせてやる…強固な意志を込めて、女の眼を睨む。
 しかし、彼のなけなしの野生を受け止めるのは、獲物をいたぶる猫の目そのもの。
 牡を焦らし、ギリギリの高みで嬲る視線。男の恥ずかしい痴態を幾度となく見てきた瞳。
 その視線を受けただけで、股間に淫熱を含んだ血液が集まる。牝を孕まそうとする牡の本能ではない、
 豊かな母性の象徴でよがり狂いたいと願う哀れな渇望。
(お、俺は……俺…っ……)
 男の手が動き出す。桃色のしこりを摘む指を、乳房を包み込むように広げる。
 男の腰が動き出す。ゆっくりと、だが着実に前へ後ろへと。
 極上の柔乳の中へ欲望を突き入れる為に。流麗な指先を、自分の汚い肉道へ導き入れる為に。
「ん、ぁああぁ…っ…!」
 恥ずかしい完全敗北を告げる、腹の底から搾り出した情けない呻き声。
 結局、乳神様に自分の全てを差し出して、破廉恥な責めを甘受した。

72 :

 パン、パンッ、パムッ…
 女性の象徴の温かさと、男の怒張を余すところ無く包み込む、蕩けそうな包容力。
 穏やかな安らぎを与えてくれる優しい感触に、男の飼いならされた獣は魅了されていた。
「オッパイっ、オッパ、イぃ…!オッパイ、気持ちっ、いい…っ!」
 オッパイファックを気取って、肉棒で胸の谷間を抉っていた事など、既に夢の世界の話。
 今は快感を得る為だけに腰を振り、一人であえぐ惨めな姿を眼前の女に曝すだけだった。
「くっ、あくぅっ…っ!」
 母なる温もりを、牝の火照りとして。柔らかな乳房を、己の怒張をねぶる為の肉塊として。
 若さ故のはちきれんばかりの乳圧に、熱い吐息を弾ませた。
 腰を一突きする毎に得られる悦びは、パイズリだけではない。後ろの穴を満たす細指一本が、男を違う世界の悦楽に導いていた。
 腰を後ろへ振ると、留め置かれたままの指がズプズプと直腸へ入り、パンパンに膨らんだ前立腺の膨らみを強く抉る。
「んはぁっ…すげっ穿られるの、すげぇ来る…ぅっ…!」
 出来物のように張った男の隠れた弱点を、指の腹で擦られると、湧き上がる熱情に反応して尻穴を窄めてしまう。
 射精機構を内側から直接刺激され、溜まった精液を中から押し出される感覚。
 押し込んだ腰を反復すると、留め置かれた指がズルズルと抜け出し、開放感以上の爽快さが生まれる。
 ケツホリで悦べるほどには開発の進んだ直腸粘膜は、指との摩擦を快感として受け取り、
 勃起の先端からはしたない汁をダラダラと垂れ流した。

73 :

 腰を振ってよがり狂う男に対して、女の方は右手中指を男のアナルに入れているだけ。
 時々気まぐれな舌使いが、摩擦運動で真っ赤に染まった敏感粘膜を襲い、張り詰めた薄皮を容赦無くこそぎ責める。
「んむっ、うぅ…!」
 言葉責めすら無く、乱れる男を楽しそうに観察する女。だが、淫戯など無くとも彼女の視線は男を狂わしていた。
 
  ── お前の本性など全てお見通しと目で語る、冷ややかでありながら熱の篭った視線
  ── 自分の情けない姿を見せて、喜んで欲しいと思わせる、力強くも淫靡な視線
  ── 幾度となく、乳内射精に浸る男のイキ顔を観察してきた、優しげな視線
 
「ぐうぅぅっ!」
 まるで体内に異物がテレポートしたかの如く、腰奥に熱い圧迫感のようなモノが生まれる。
(や、ばっ…!)
 それが何なのか頭が理解する前に、本能が胸をきつく寄せてホールドすると、至福の瞬間目指してラストスパートを掛けた。
 バフッバフッバチュッブチュッ…
 キツキツの弾力の塊への早突きで自分を追い込む男と、それを悪戯な瞳で見つめる女。
 射精のため必に腰を振る、浅ましい姿を見られてる…目を逸らしたくても、彼の性根をくすぐる視線が、男を捉えて離さない。
 股間の奥から膨らんだ圧力に追い立てられたザーメンが、出口を求めて輸精管をひた走る。
(もう…っ、駄目、だっ…!)
 肉棒の根元にまで昇ってきた絶頂感に、身を任せようとした瞬間。
 グイッ
 女の中指が突如動き出し、コの字に形を変えると尻穴の奥底を抉る。
「んあ!くっ、うぐぅっ…あっ!」
 突然の奇襲に、堪らず足を突っ張らせて腰の動きを止めるが、女の責めは止まらない。
 イキかけで指を痛いほど締め付ける前立腺の膨らみに、高速で指を突き入れて、裏側から肉棒にフィニッシュを仕掛ける。
(ヤバイっ、ケツでイキそう…っ!)
 慌てて腰を振ろうとするが、男の中で激しく暴れる指使いが、反撃を内側から妨害する。
 ニィ…
『このまま、ケツ掘られてドッピュンしちゃいなよ』
 自分を見下した哄笑の中に、言外の嘲りを聞いた瞬間、男の官能が限界を突き破って高まり、
 マシュマロのような乳肉に包まれたままの牡幹が、アナルアクメの証しを迸らせた。

 ブピュルゥッ!!
 胸の谷間に埋もれた肉棒が、先端から粘ついたミルクを次々と撃ち出した。 
 肉壁で勢いを削がれた黄ばみ白濁が、あっという間に狭い隙間を満たすと、柔肉の谷間から漏水のように大量の汁が溢れ出す。
 外に溢れたザーメンは、指で摘めそうな程の濃さで容易に流れないが、後から後からと湧き出る新鮮なミルクに押し出される形で、
 女の胸元や首筋をホワイトソース漬けにした。
「あぅっ!あっ!んぁっ、んむぅっ!…っ!」
 素晴らしい牝肉を肉棒に感じながら、しかしその乳房を染め上げているのは、アナルの刺激で発射した絶頂粘液。
 射精後も直腸を責める指先は、絶頂時の収縮にも負けずに蠢いて、男の牡穴を犯し続けた。
 前立腺を引っ掛かれる度に、奥まで指を突き入れる度に、発射ボタンを操作するように牡の高まりが脈動して精を噴き出す。
「オッパイ…!オッパイでっ、オッパイ、っ…でぇっ!」
 だがそれは、パイズリストを自負する彼には、これ以上ない屈辱であり冒涜的行為。
 少しでもパイズリをと、手に掴んだ乳肉を交互に動かして、尚も精液を放つ肉棒を擦るが…
「がぁっ!…ぐむぅ、っづ!んぐうぅっ…んあぁ!」
 射精の最中の亀頭には、潤滑過多の柔らかな感触さえも拷問になる。
 見事な豊乳を手にしながら何も出来ず、射精を促す後ろの快感を、黙って受け入れるしかなかった。

74 :

 射精が収まり、勃起も未練たらしくビクビクと身震いするだけになった頃。
「はいっ、お勤めご苦労さん……どうだった?あたしのオッパイ」
(何がオッパイだよ…わざとケツでイカせた癖に…)
 女の方は意地悪な笑顔を浮かべてご満悦だが、男はといえば、射精後の爽快な疲労感と、
 敗北の苦味が入り混じった複雑な表情を浮かべていた。
 パイズリで気持ちよく射精するはずが、アナルを責められ、最後には前立腺へのピストンでイカされては、皮肉にしか聞こえない。
「オッパイ、オッパイ、気持ちいいっ!……」
 声色を少し落として、男が欲望のままに喚き散らした淫語を、口調まで真似て演じる様子に耐え切れず、
 顔を背けて自分の視界から女を外した。
「ほらぁ、こんなに出しちゃって…ビュルビュルって感触が凄かったもんねぇ」
 ヌチャァ…
 音を立てて開かれる胸の谷間。反射的に顔を戻して見ると、そこには強烈な青臭さを放つ白濁が塗り広げられていた。
 こってりとした精液は厚みのある水溜りを作っていて、そのドロッとした見た目は液体よりもジェルに近く、
 牡の浅ましい欲望の深さを出した本人に見せつけた。
 乳の間に糸引く白い橋の下には、力尽きて萎えてしまった若茎が、自らの欲望に塗れた惨めな姿を晒している。
 そびえ立つ肉の双子山との対比は、誰が勝者で誰が敗者かを、必要以上に男に教え込んだ。
(くっそ……エロ過ぎだろ…)
 欲望を放ち終えて冷静になった彼でも、思わず見惚れてしまうエロティックな光景。
 漂白剤に似た臭気に顔を歪めながら、それでも目を離せないでいた。
「またしたくなったら来なよ、ドピュドピュさせてやるから…だぁい好きなオッパイでな」
(…また…イカせて貰える。ガンガンケツに突っ込まれて、チンポ絞って貰える……)
 あからさまな挑発の一言に、だが男はパブロフの犬もかくやの条件反射で、身体を震わせてしまう。
 ビク、ビクビクッ…
 だが最初に反応したのは、戦いを終えた肉棒ではなく、女の指を飲み込んだままの尻穴。
 女の顔に浮かぶ勝ち誇った微笑みは、だらしない牡犬を見下す女主人そのもの。
 しかし、その表情に興奮を覚え、萎えかけた牡の象徴を再び滾らせてしまった。
 
 終幕

75 :
以上です。
その1だけタイトルが抜けてました。

76 :
投下おつ!

77 :
GJ!

78 :
保守

79 :
復帰

80 :
保守

81 :
保守

82 :
保守

83 :
角煮にあげてもいいといわれて伺ったもののちょっと荒れてしまった…
それから若干やる気なくしたものの中途半端は気持ち悪いと
ちょびちょび書き続けて完成はさせたんですが、投げスレなるものが存在したのか(´・ω・`)
まぁいいやこちらお借りします。
【エロ内容】 陵辱
【ストーリー内容】 ゲーム『バハムートラグーン』
【ターゲット属性】 アナスタシア
http://s.cyrill.lilect.net/uploader/files/201206051326050004.gif
ワード14ページ分なのでどれくらいの投下になるかわかりませんが
いらない、気に入らない方はタイトル・IDのNGまたはスルーお願いします。

84 :
「ホラホラ、ハラがすいたのか? サラマンダーにサンダーホーク
そんなにがっつくなよ、ちゃんと考えて好物のえっちな本も入ってるんだからさ
よく育ってさびしくないドラゴンになるんだぞ…ムニムニ」
いつもの光景である。カーナ戦竜隊隊長のビュウは給餌をしていた。
甲板に生い茂った緑は燦燦と降り注ぐ太陽を照り返し、愛嬌のある竜達に心地の良い居所を提供している。
そこに寝そべって食事をしている一見穏やかな生き物たちは、一度戦闘となれば途端に牙を向き、通り名に違わず敵を粉砕する。
最近はよく本を食べているせいか特によく働く。サンダーホークが勝手に単身特攻して痛手を負って戻ってくることなど珍しくもない。
それくらいよく動くのだ。餌の量が増えてしまうのも道理である。
オレルスと呼ばれるこの大空にいつから竜が棲みついたのかは不明であり、戦竜を擁する部隊も数える程しかいないため、食性などは一切不明であった。
だが、この竜に懐かれている青年ビュウはなんでも与える。一方竜は与えられたものは食う。喜んで食う。
それが醜悪なデザインのマテじるし武具であれ、げばげばした怪しげなキノコであれ、グンソーの何やら不吉な物体であれ、傍から食べてしまう。
以前、偶然入手したアポカリプスを誤って餌にしてしまい、結局ツインヘッドが器用に3つの頭を使って
バリバリと貪っていたのが発見されたことがあり、意気込んでいたラッシュなどは大いに落胆していた。
そう、つまりこの軍は慢性的に武器不足なのである。
仮にもグランベロス皇帝を破ったオレルス解放軍であろうと、手に入れた武器が優先的に餌になるようでは仕方がない。
そのことに不満を漏らす者は少なくないが、馴染んだものこそ獲物に相応しいと考える者、
むしろ獲物以外はどうでもいい槍組、他人の防具に染み付いたにおいに執着する爺等個性に溢れたこの艦内では些事であった。

85 :
 ――ギャーウ…
 ふと船首の柱の影でじっとしていた猿のような竜が控えめに声をあげ、エサを欲しそうにビュウの下半身をみつめている。…エサをあたえますか?
 「はい、はい。…ってポッケになんか入ってるな、コレが目当てか」
 違う、もっと真剣になるのだとばかりににじり寄って来るモルテン。貞操の危機を感じて後退しつつビュウが探し当てたものは
 「ゴムだー!」
 もはや使うことはないと心の奥底にしまいこんだタンスのアレ。
飛びつくモルテンにそれをしゃぶらせながらも、ビュウの日課はまだもうちょっとだけ続くようである。もちろん、”彼”の日課も続いているようだった。
 「ビュウ…ドラゴンじるでべとべと…ハァハァ」

戦艦ファーレンハイト、謎のエネルギーで動くカーナの切り札。オレルス救世軍となった今、様々な人物が在籍しており当艦が静かになることはめったにない。
とりわけカーナの守護神バハムートを迎えるとなっては、妙な高揚感でそわそわした雰囲気が流れていても誰も不思議には思わなかった。
 その中でもひときわ落ち着きなく歩き回っているのが頭に乗っけたような白いベレー帽がトレードマークのアナスタシアである。
なにかにつけて部屋をうろうろしている彼女であったが、今日はいつにも増して落ち着きがない。
本来であれば原因はいつもののろのろヘビーアーマーことバルクレイである。もちろん既に日課となった言い争いは済ませてきた。
プチデビが横で尻を振っているのも意にも介せず罵りあった。
 「何よ、いつものとこに置いたっていってるでしょ!」
 「そもそもあなたはちょろちょろ動き回って落ち着きがないんですよ!」
 「それとこれとになんの関係があるっていうのよ!」
 「だからおっちょこちょいだと言ってるです! おおかた誰かに持ってかれたんでしょう!」
 「アンタだったらそのままエサになっちゃってもいいけど私のは違うの!」
 「こやつめハハハ! なんと言おうと杖なしのウィザードなんぞに出番はないですな!」
 「その言葉後悔させてやるわ! 覚えときなさいよウスノロ!」
 先ほどのやり取りを思い出して溜息をひとつ。さまようよろいに言われたことも尤もである。
杖をなくすなんてついてない。
しかし、記憶にないのだ。いつもの場所に置いたはずだった。
いくら武器不足とはいえ、戦利品はビュウが管理している。その隊長が戦利品を人に応じて分け与え、使わなくなった武器を回収してエサにする。
つまり勝手に武器がエサにされることはない。男子部屋のほうではよく本がなくなるらしいが、女子部屋ではそのようなことはなかった。
――あまいワインだけは持ち込むと没収されたが。

86 :
「おっかしいなー」
自分のベッドの下を覗き込む。椅子の下を見渡す。
ドンファンをどけて洒落たカウンターの中を物色する。タンスを開放して刮目する。…例のアレが減っている。
アナスタシアはかぶりを振って、またひとつ溜息をついた。
もうだいぶ探しているが見つからない。カバンの中も机の中にも見当たらない。
もちろんブリザドロッドは小さくなく、装飾も奴曰くハデハデ、らしいので目立つはずだ。
そのうち憂鬱になり顔をあげると、差しこむ陽は緋色に染まっており、影は佇む親友の姿を象っていた。
その親友は窓からうっとりと外の世界を眺めている。アナスタシアは頭をおさえて再び嘆息した。

「だーかーらー、もっとガッツリいかないと!
 ホーネットさんああ見えて直情型なんだから、うじうじしてたら嫌われちゃうじゃない!」
「え…で、でも…ほら、今考えてることの逆が正解って言葉が…」
「でもそれは大きなミステイクよ!
 いい?エカの中のホーネットさんのイメージは?」
「すごく…ダディクール…」
「そうね、大人の魅力溢れるオトコってわけね。
で、そんなホーネットさんを受け止められる女は?」
「…そんな、私には…」
「ムリはムリでもアピールしなきゃもっとムリ!がんばらないと!」
いつもの会話である。みんなでクサイぐろぐろシチューをすすって、ミジンコサイズのデニッシュをかじり、変な形のタコを頬張った夕食の後、
アナスタシアはウィザード仲間で親友のエカテリーナを連れ、歩きながら講義をしていた。
部屋に向かう廊下は薄暗く、何が出てきても不思議ではない雰囲気を醸し出していた。
いつもの白いマントをつけていないため、より闇に溶け込んでいたといえよう。
「にしても、今日のごはん奇妙だったわね…」
「えぇ…でもよくああいうことあるから…」
「私は一瞬あんたかと思ったけど、エカテリーナはストレートに上手だもんねぇ。
 …あ、そうか!タコっていったらビッケバッケ!きっとアイツの仕業よ!」

87 :
「あのー…」
「…あんまり人を疑うの…よくないと思うわ…」
「なによ、あんたまで!」
「あ、あの…」
「だって…いっつも彼とケンカしてるじゃない。
 バルクレイさん…別に悪い人じゃ…ないと思う…」
「あ、あいつの肩もつの!? ちょっとエカテリーナ、病院行ったほうがいいわよ!」
「あの、アナスタシアさん!」
「へ?」
何が出ても不思議ではない廊下からがっしりとした体躯のクルーが現れた。
いや、現れたというより、クルー達のタコ部屋から出てきたといったほうが正しい。
彼らはクルーとして真面目に働いているにもかかわらず(一部本を仕入れすぎて不良債権を抱えているクルーもいるが)この薄遇である。
涙を誘わずにはいられない話だが、悲しいことに殆どの戦闘員の歯牙にもかけられないのであった。
「えっと…あ、この艦のクルーだっけ?」
名前はまだない、といわんばかりである。困り顔のクルーは一瞬言葉を飲み込んだ。
「いやその、そうなんですが…アナスタシアさん、杖がどうとか騒いでませんでした?
 それっぽいのがあるんですけど…」
アナスタシアの表情に花開いたかのように光が差す。のろのろアーマーにバカにされたままでは終われない。気の強い少女はすぐさま身を乗り出した。
「ホ、ホント!?
 あ、エカテリーナは先に帰ってて!すぐ行くから!」
「え、あ、わかったわ…」
ゆったりした栗色のローブを軽く振り親友が去ったのを見届けると、金髪の少女は振り返り、クルーににじり寄る。
気が急いただけなのであるが、クルーは妙な気迫に後ずさった。
「えっとですね…ちょっと来てください」
「中、入っていいの?」
「構いませんよ。狭くてごちゃごちゃしてますがね」
なんの警戒もせず入口を跨ぐとそこは確かに見たことのない世界だった。三段ベッドにところ狭しと私物が置かれている。
思わず転がっていたガムテープを踏みそうになった。戦闘員の部屋とは大違いである。濃厚なアニキ達のすえたニオイ、もとい男部屋からするのとはまた違った雰囲気。
物珍しくはあるものの大して興味もなく、ジャンヌのように姉御肌でもないアナスタシアにはあまり長くいるべきではない場所のように感じられた。

88 :
しかし後悔先に立たず。相手は一人で、それも仲間のクルーである。戦闘経験だって自分の方が豊富だ。
それにつられ油断した、と気づいた時にはもはや手遅れだった。ごそごそと寝床を漁っていたクルーが突然振り向いたかと思うと、ローブからちょこんと覗いた手首を掴み押し倒した。
「ちょっ、なに…を…ッ」
押し倒された衝撃で頭を床に打ってしまう。普段後方支援である彼女に鉄製の衝撃は耐え難い。
クルーの目が欲望にぎらついてるようで、小柄な少女は初めて怯えの色を見せた。
「はなッ、してよっ! 大声出すわよ!」
「いいんですか? 杖は本当にあるんですよ、フリーズロッドって言いましたっけ。
大声なんか出したらしばらく仕事なしじゃないですか?
おれらの雑用手伝ってくれるってんなら歓迎ですけどね!」
それでも彼女は表情に表した怒りを崩さない。この負けるのが嫌いなウィザードはローブをはためかせ必でもがくが、
ライトアーマーならいざしらず、軽々と押さえつけられてしまう。震える拳で頬を殴ってもびくともしない。――体格が違いすぎた。
「他のクルーもおれと同じ気持ちですよ。
 さんざんにこき使われて誰にも労われず、こうかいにっしやえっちぼんで寂しく癒されてたっていうのに、あの戦竜隊隊長とやらはそれすらも奪っていくんです。
 ぼくらは使い捨てのコマってわけですかね、ははは」
思いもよらぬ暴力的な衝動に、アナスタシアは身を震わせる。それでも双眸に宿った怒りでクルーを睨みかえし、ありったけの感情を吐き出す。
「それじゃビュウに直接いえばいいじゃないの!
 私にぶつけるのはお門違いよ! さっさと離しなさいってば!」
「溜まってるっていってるじゃないですか。
 溜まった鬱憤はどこかで吐き出さなきゃ気がすまない、でしょ?」
「だからって人様にぶつけていいなんて…! っ…!」
 ローブと同じ、ブラウンの瞳がゆらりと揺れた。
――そうだ
確か…急いで女子部屋を出たら、もそもそと歩いてきたバルクレイと出会い頭にぶつかって…
杖のことで焦ってた私はつい怒鳴りつけちゃって…それで…でも、だけど――
「あなたがたの声はよく聞こえてきますよ、ブリッジにいようが倉庫にいようが」
「でも…あんたのやってることは卑劣よ!
こんなことしていいとでも…!」

89 :
「いいというのはあなたです。
 まさかみんなで取得した新しい杖を独り占めなんてしないでしょうしねぇ」
「ぐっ…ぅ…」
「…ま、言われなくてもやらせてもらいますよ」
小柄な少女に覆いかぶさり、そのまま冷たい鉄の床に押し付けた。ローブの上から胸に手を滑らせると、柔らかな少女特有の肉感が伝わってくる。
年齢の割に未熟な膨らみではあったが、それでも少女を辱めているという実感を得るには十分であった。
アナスタシアは歯を食いしばって短い髪を振り乱し、ありったけの力で男の背中を叩き、足をばたつかせるが、どれも意味を成さない。
今更になって自身の迂闊さを呪う。こいつが杖を持っている確証なんかどこにもないのに。
「っとと、そんなに暴れないでくださいよ。
武器がなければお払い箱なんでしょう?」
「い…いい加減に、してよっ! だいたいあんたが私の杖を持ってるなんて…」
悪態をつく間にも男の蹂躙は止まない。他人に自分の体を触られているというおぞましい感覚が服の上から這いずり回る。
ローブに寄せられた皺が重なる度に、アナスタシアは嫌悪の声をあげた。
「…っ!」
「おや、少しはあるんですね」
するっと。ほんの一瞬だったのだが、少女の抵抗が止んだ一瞬に襟元から手が入るのを許してしまった。少しばかり熱をもった滑らかな肌を無骨な手が侵食する。
男は押さえつける格好で腕をもぐりこませているため、投げかけられた屈辱と羞恥とに目を潤ませながら抗議する顔をその眼前に晒した。
アナスタシアには精一杯の強がりであるが、普通の男にとっては欲情を催すものでしかない。
男が腰に手をまわし抱きかかえると、突然の圧迫にアナスタシアはうめき声をあげた。
その隙に後ろに回りこみ座らせる。自然と男の膝の上に鎮座しているかのような格好になってしまった。
「も、もう絶対に許さな…がっ…!」
腹の底に響くかのような衝撃に目を白黒させ、口からはなんの言葉もつむぎ出せなくなってしまった。
小柄な少女の体は、少し腹を殴っただけでも折れてしまいそうだった。腰をおさえるもう片方の腕は、未発達ななりでもすらりとした女性としての感触を伝えていた。
「少し静かにしてくださいよ。…おっと、こんなところにガムテープが」
器用に片手で拾うと、咽こんでいる少女の顎を押さえガムテープで小さな口を塞いだ。
いったいこの小さな口のどこからあの饒舌が飛んでくるのだろう、と疑問に思わずにはいられない

90 :
アナスタシアは呼吸の手段が奪われたことを知りかぶりを振るが、ただいたずらに男の劣情を誘うだけであった。
「むーうー、んむー!!」
今度は後ろから手をいれ、小ぶりな胸の堪能を再開する。体勢のせいか先程より触りやすいため、手をあてるとふにふにと形を変えるのがよくわかる。
おまけに冷ややかな乳房をなでるだけでぴくりと反応するのが面白い。なるほど、こういうのも悪くない。
「うぐ、あえあうう!」、
「やめなさい、ですか? アナスタシアさんはかわいいですねぇ。
 おれ、強気な子好きなんすよ。諦めてください」
「ひう…」
ローブから肌蹴た脚に手を伸ばすと更に抵抗が大きくなった。身体ごとひねって脱出を試みるが、力の差は歴然である。
上気した小さな背中から感じる温もりと相俟って、男にとっては心地よい刺激でしかなかった。
健康的なラインをなぞっていくと弾力性のある太腿に辿りつく。そこでまたアナスタシアは大きく跳ねた。
「うー、うー、うー!」
首をひねり見上げる体で睨みつける。だが気の強い彼女であれ、圧倒的不利を見せつけられては涙がにじんでいても不思議ではない。
男はそんなアナスタシアのことを何食わぬ顔でまさぐり続ける。その手が足の付け根に至ると、少女の大きな瞳がひときわ揺れた。
「…おや、ちょっと湿ってますけど…」
「んむうっ!」
何を、といおうと思っても反論さえ許されない。必で男の腕を押さえつけるが、下着を避け恥ずかしいところに侵入するの指を拒むこともできなかった。
彼女の内面は羞恥と屈辱でぐちゃぐちゃになっていた。もう何をされても拒めない――一抹の絶望が彼女に植え付けられた。
「う…ぅっ…」
くぐもれた声がガムテープの中から漏れてくる。挿し込まれた異物感が下腹部で暴れる感覚はなんとも形容しがたいものであった。
全霊をかけた睨みはいつしか耐え忍ぶ苦悩の顔へと変わっていた。
「…った…あぅ…」
「やっぱりアナスタシアさんは経験ないんですね。嬉しいなぁ。」
「わ…っふぇふぁもお…」

91 :
魔法修士時代、誰かにこのような行為は気持ちがよくなるものと聞いたことがある。だが、この状況下では正反対だ。
気丈とはいえ、恋愛ごとに人並みの興味を持っていたアナスタシアにはこれ以上ない残酷な現実だった。
もどかしい感覚が恥部に宿り、赤の他人に好き放題胸を弄られている。こんな状況に陥ってしまった己の情けなさに涙が出た。
「…んぅ!?」
ナカを擦っていた指が、壁を撫でるように曲がった。気持ちよいのとは違う。しかし気持ち悪いともまた違う。
その相反する感覚が少女を混乱させた。断じて気持ちよいということはない。しかし、粘着質な音が耳につく。
なんだろう、よくわからない。聡明な彼女の思考は堂々巡りを続けていた。
「…少し色っぽい声が聞こえてきましたけど…まさか犯されて感じてるんですか?
まさかアナスタシアさんともあろう者がそんなことはないよなぁ」
神経を逆なでする言葉も今は届かない。執拗な愛撫に、予測のつかない動きに、唐突の衝撃に、耐える手段すら選ばなくなっていた。
さんざんばたついていた足は緊張のあまり強張り、男を叩いていた手はその男のズボンをぎゅっと掴み、歯をくいしばってただ終わるのを待っていた。
もちろんローブの中で蠢くモノはひとつではない。
さほど大きくない蕾がぷくりと主張し、湿った熱を帯びた胸部をまさぐる手もアナスタシアを蝕む恐怖と未知の感覚の一端である。
だが、爪で引っかかれた時に軽く体が跳ねることにも彼女は気がつかない。小ぶりながらも形のよい尻が男のあぐらの上でぺたんと跳ねる。
男も徐々に興奮しているのに気づき、指の動きを早くした。
「んぁ…ぅ、うっ…ひ…う…ぐ」
「頬、赤くなってますよ」
「!! …っぅ…!」
上気した頬に一筋の雫が伝う。それが屈辱によるものか、生理的なものかはわからない。しかし、反応が嫌悪感だけでないことは確かだった。
男の指がそろそろと引き抜かれ、第二間接まで埋まる度にくぐもった声が出る。奥の壁をこする度に軽く腰を仰け反らせ、淫靡な音が二人の聴覚に訴える。
丘を潰しながら蕾に到達した瞬間、少女は瞼を強く閉じた。
「…もう、ひゃめぇ…」
男はなお手を緩めない。親指で小さな秘芽をつぶしながら、より深く挿入する。
さらりと明るい色調の髪を自らの顔で振り払い、うなじから耳にかけてのラインを舌でなぞる。

92 :
そう明るくないこの密室で、きしきしと床のきしむ音がやけに響く。もはやアナスタシアにはこの感覚を否定することはできなかった。
だが緩やかに諦めつつあったその時、突然激しい刺激が彼女を襲った。
膣内を蠢く指が増えたのだと気づくや否や、より激しい出し入れが始まった。愛液とぶつかって音を鳴らし、アナスタシアがより苦しげに呻く。
「っひ、むぐうううう!?」
それほど強い衝撃ではない。しかし、未経験の彼女にとっては充分すぎる刺激だった。
背筋が弓なりに張り、ガムテープからは熱い吐息が漏れている。
「おや、軽くイっちゃいました?」
「ふぇ…ふぁ、ふぁひ…?」
男は満足そうに笑うと一思いにガムテープをはがした。
新鮮な空気を求めて淡い桜色の唇が震える。まだ、これが現実であるとは信じられない。
「そうそう、杖は本当にあるんですよ。ここにね」
「えっ…?」
目を丸くするアナスアツィアを横目に、三段ベッドの下から木の棒を引っ張り出す。
確かにそれは、柄の上の部分に水を模した神秘的な装飾がされたフリーズロッドであった。
魔法を発現・伝導する際に必要なそれは幸いなことに汚れてはおらず、今すぐにでも使える状態であった。
「お願い…返して…」
疲れきったアナスタシアであったが、そのことに表情を取り戻し懇願する。
だがクルーもそう易々と返すわけにはいかない。やはり彼女にとっては残酷な現実であった。
「どうしましょうかねぇ…おれはまだヤりたりませんし。
 あなたも中途半端なとこでやめられてもどかしいんじゃないんすか?」
「そっ、そんなわけないでしょ! 早く返してよ!」
「おー怖い怖い、これじゃ返したら即ピシャーンじゃないですか。
 そうだ! 特別におれのモノをしゃぶってくれたら検討しますよ」
「も…モノ?」
怪訝な顔でアナスタシアが問う。モノとは何か、想像もできない。いや、想像したくないだけだったかもしれない。
どこまでされるのか、そんな考えは既に少女の頭では麻痺してしまっていた。
愁眉の態で見つめる彼女を傍目に、手際よくジッパーを下ろし己を露出する。忽ち彼女の表情は一変した。
「な、なんでそんなものを私が…!」
「いやー杖を返してほしいっていうアナスタシアさんたってのお願いですからね。
 おれもそれに答えないわけにはいかないっていうか。
 でもホラ、今のこの船の主たるあなたがたに貸しを作るのも気がひけますし」

93 :
「それ以外に方法はあるでしょ! あんたってサイテーね!」
無茶苦茶だ、と思った。思ったし言葉にもしたが、それでこの状況が変わるわけでもない。
だからといってしゃぶる、などというのも絶対にイヤだ。
ぺたりと座ったままでローブの襟をぎゅっとつかむ。
「うーん…そんなにイヤなら…」
「イヤに決まってるじゃない!」
「無理やりしてもらいましょうか」
「や、やめて、こないで…」
男は杖を背後のシーツにむかって無造作に投げ捨てると、彼女のほうに剛直を向けてにじりよった。
まだ立つことができないアナスタシアは、尻餅をついたまま後退りをする。普段の彼女らしくもなく、拒絶の声に覇気がない。
やがて小柄な背中は無機質な壁にあたり、驚いて振り向くが逃げ道がないことを悟るだけだった。
――止むを得ない。覚悟して喉の奥から搾り出す。
「…それ、したら本当に返してくれるの?」
「考えてみますよ」
「…わかったわよ」
男は少女を見下す格好で笑い、臭気放つそれを少女の顔の前に向けた。
「噛まないでくださいね」
「……」
渋い顔のアナスタシアがおずおずと舌を差し出す。自らのモノを舌の上に置くと、間髪入れずにそのまま突っ込んだ。
「おぶっ、ひょ、ひゃへ…」
彼女が咽び苦しむのもまったく意に介せず、頬の内側に擦りつけて滑らかな感触を味わう。
温かく湿った口腔は、少女が望む望まずに関係なくリアルな快楽を提供した。
「コレ、わかります? ゆっくり舐めてくださいね」
「ふぁん、ふる、かはっ、ぶっ」
ガムテープで縛られていたときとはまったく違う圧迫感に息ができない。
それでも強烈なニオイから意識を背けたくて口角を無理矢理引きつらせようとするが、逆に男の隆起をより深く飲み込んでしまう。
アナスタシアの口内を蹂躙するそれが唾液を泡立たせ、間断なく挿入されている。必に喉で押し返そうとするが、喉さえも犯されているような感覚に何もできない。
そんな状態で舌を使うなど出きるはずもなく、いつもははっきりと大きな目を窄め、ただただ大粒の涙をこぼすことしかできなかった。

94 :
アナスタシアの気息奄々とした様子を見て、男の心には征服感が灯った。
普段人に奉仕など考えられないような少女が自分のものを銜え、苦しそうに肩で息をしている…。
恐らく彼でなくともそうだっただろう。男は思わずたまった鬱憤を吐き出すように、彼女の頭を押さえつけ乱暴に扱った。
「く、くるし…おぶぅ、ふっ…がう…」
これを耐え切れば。
自分は解放され、また杖を持ってみんなと一緒に戦える。アイツを見返してやれる。なんの根拠もないその考えが、アナスタシアに希望を与えていた。
しかしそれでもいたいけな少女にはえづかれることは酷だった。更に男は快楽を得ようと円を描くように口内をなぶった。
鼻息を荒くさせ、目を赤く晴らしながらたまにこちらを見上げる少女を見ているだけでもう出そうだった。
「…出しますよ? 全部飲んでくれないと杖返しませんからそのつもりで」
「ふぉうう゛…ほ、ヴぉういう……」
既に嘔吐しそうなほどに気持ち悪いというのに、これ以上何を出すというのか。小さな手がカーゴパンツを強く握って皺を増やす。
剛直が喉にあたって苦しいからか、それとも得体の知れない「出す」好意への不安からか、それは本人にもわからない。
いよいよもって厳めしい手に頭をつかまれモノのように揺さぶられると、口内の粘膜がすべてひっぺがされてかきまわされ、泡だたされるような感覚に、まるで口腔自体が支配されているような錯覚を覚えた。
「ふぉう、ひや…」
「っ…!」
声を発したことによる刺激か、ついに堤防が決壊した。
「いきますよっ!」
「う、ぐうううう…ごぶぉ……」
小さな桜色の唇には到底収まりきらないようなそれから、喉の奥めがけてどろりとした液体が迸る。
その苦味とえもいわれぬ質感にむせかえりそうになるが、強く押さえつけられているため抵抗できない。
「ぶぐっ、むううううう…ぐっ、ふっ、ふ…う…うっ…」
奥の壁にはねかえり、どうしようもなく流し込まれていく。
自分がモノとして扱われる屈辱を味わいながら、無理矢理こくりと喉を鳴らし嚥下していく。
こうなればヤケよ――これさえ我慢すれば、その一心で煮え湯を飲まされ続けた。

95 :
しかし彼女の最大の誤算は、男の性欲を知らなかったことだった。
たまりにたまった白濁液はとどまることをしらず、ついに口の端から溢れ始めた。それがきっかけとなって思わず吐いてしまった。
床に手をつき、大粒の涙を零しながら必で空気を求めた。
「ご、ごぼっ、げほっ!」
「あーぁ、やっちゃいましたねぇ…」
「で、でもだいぶ飲んだじゃない…
 いいでしょ!? もうこれで許してよ!」
「いやぁ、約束破ったのはアナスタシアさんですよ?
 返すわけにはいきませんねぇ」
にたにたと自分のそれから溢れ出したものを拭きながら見下ろす。
この手の傲岸な態度は、アナスタシアの最も嫌いとするものだった。
「あのね…だいたいどう後始末つけるつもり?
 絶対バレるに決まってるじゃない、そうなったらただじゃすまないわよ!」
「バレないように帰してあげますから、ほら頭下げてくださいよ」
そういうやいなや、男は片手で頭を叩きつけた。
刹那、頭が割れるような痛みが走り、アナスタシアは呻いて倒れ伏し、その勢いでかわいらしい白のベレー帽が転がり落ちる。
彼女の見栄など通用する相手ではなかった。
「ぐっ…う…」
「不思議ですね、あなたをこうして押さえつけてると興奮しちゃいまして。
 一発やらせてもらっていいですか?」
「な、どういうこと…?」
「だからですね…あなたのを使わせてくださいってことですよ」
彼女とて無知ではない。男がどんな行為に及ぼうとしているかは予想がついていた。
「や…めて、お願いだから…」
弱弱しい声。それが逆に嗜虐心を煽った。頭を押さえられているため、尻を突き出した格好のままローブがめくられる。
白いシンプルな下着があらわになると、アナスタシアは顔から火が出そうな思いで唇を噛んだ。
男が慣れた手つきで下着をずらすと、自らの一物を押し当てた。彼女は得体の知れない感覚に身体を震わせた。
「や、だ…もう、やだぁっ!」
身を捩って最後の抵抗を試みる。無駄だと頭の片隅でわかっていても、這いずり、蹴り上げ、涙を流し喚いた。
床に置いてあった瓶が転がり乾いた音を出した。それでも男の頭をおさえつける力は強く、片方の手で白い双臀を撫でたりする。少女は喉の奥でヒッと声を呑んだ。

96 :
「もしかして…処女とか?」
「当たり前でしょ! あんたみたいにだらしなくないのよ!」
「うれしいなぁ、おれのためにとっておいてくれたんですね」
「誰がっ…! はなしてっ、これ以上…ぅっ」
おさえつける手に爪を立て、あわや脱出できようかというところにくびれを両手で掴まれる。次の瞬間、アナスタシアを衝撃が襲った。
「う…そ………」
楔が打ち込まれた。肉体的にも、精神的にも、腹を抉られるような痛みが突き抜けた。
異様な圧迫感に目を見開き、口を半開きにしたまま力むことしかできない。
「だ…ぁっ……いた、い、の…ぬ…いっ…!!」
喪失感は二の次だった。
普段は聡く時に勝気な彼女が、恥も外聞もなく泣き叫ぶ。それに気をよくした男は、少女の腕を掴んで更に深く埋めた。
「ぐっ、キツくていいですよ…!
 もっと…入れますから我慢してくださいねっ…!」
「ひ、ぅ…もう、やめてぇ…」
徐々に腹に侵入する異物に呻く。結合部からは新鮮な静脈血が流れ出し、男のそれを強くしめつける。
鈍い痛みを押し分け、先刻彼女を辱めたときに分泌された潤滑油で滑らせ、ゆっくりと秘奥に辿り着いた。
「…く、はっ…」
「さすがに身体通り小さいというか…でも、すばらしいっすよ…」
「ふぅ…ひっく…っぐ…えぐ…」
男はふぅ、と一息つけて震える彼女を見下ろした。アナスタシアには一段落着いて尚苦しくもあったが、漸く悲愴感を感じられるようになってきた。
――結婚する人に、とは言わないけど…やっぱり大切な人がいいかなぁ――
エカテリーナといつしか語った貞操観。当時アナスタシアはあまり異性の間柄に興味がなかったし、エカテリーナも私はそんな、と逡巡していたから
あまり深くは考えなかったが、彼女なりにも漠然と夢はあった。少なくとも、こんなことはありえないはずだった。
こんな好きでもない奴と、お互いの体液でむせ返るような密室で、一方的にやられるなどとは考えもしなかった。
しかし男は無慈悲だった。
彼女に落ち着く暇も与えずに腰を動かし始める。ぬるぬるした愛液と血で滑りはよくなったが、相も変わらず拒絶する如くの締め付けが男に鋭い刺激を与えていた。

97 :
「いやぁっ…ふぅっ、ぐ…絶対…あと…で、いっ…っ」
少女は床に強くしがみつくが、返ってくるのは硬く冷たい無機質な感触だけ。
もう他のみんなも食事や談笑が終わって部屋でくつろいでいるだろう。
アナスタシアは性欲の捌け口として利用されながら、あまりの悔しさに復讐の炎を燃やしていた。
「さすがに初めてじゃ感じる余裕なんてないですよね?
 んで、どうすか? 処女を喪った感想は」
「…ぃ…ていよッ…、あ、はやく…ぬい…ぐぅ!」
「いやいや、そういうのはいいですから」
男は一方的に自身の性欲でもって駆り立てる。ローブがゆらゆらと少女にあわせて揺れる。
彼女はもはや相手を憚らず大粒の涙を流し、苦痛と絶望に耐えることしかできなかった。
「…ぅ、バカ、ぁっ…や、うぐっ…ぇて…よ…」
なにかを言おうとしても剛直を打ち込まれ喉で止まってしまう。
細身ながらも柔らかく縊れた腰を掴まれ秘所に楔を埋められて泣かされている光景は、誰が見てもアナスタシアが従属させられているようにしか見えない。
「…っは…!?」
突如さらりとした金髪がはねた。目を見開き、開いた口からはよだれが銀の糸を引いている。
男が打ち込んだペニスを引き抜くと彼女の顔が更に歪んだ。
「…うっ、やあぁ…」
男は口を曲げて笑うとまた同じ場所めがけ突っ込んだ。
少女はまるで痛みに耐えるが如くの表情だが、噛みそうとしているのは苦痛だけではなかった。自分が信じられない、といった面持ちでひたすら受け続けた。
「なんだ、ちゃんと感じられるんじゃないですか。
 でもやけに早いっすね、もしかしてインラン、ってヤツですか?」
「ふ、ざけない、で…ッ…ぐ、うぅ……あっ…い、た…」
腰を固定され手を引っ張られているので姿勢が崩れて抵抗ができない。それでも諦めたくないのはアナスタシアの性である。
脚を跳ね上げるが、もちろん男には効かず、逆に剛直が深く刺さる形になってしまう。
少女の感じる痛みと僅かな違和感が男のそれに快感として伝わる。次第に興奮が増しているのか、挿入の速度も上がってきた。
女は喘がされてるとはいえないものの、それに呼応して苦痛と僅かな甘い声がきっちりと閉じた唇の間から漏れてくる。
「…う、そろそろ…出そうですよ…!」
「や、出そうっ…て…ッ…まさ…か…」
息も絶え絶えながら更に顔面蒼白となるアナスタシア。彼女とてその意味を知らないわけではない。

98 :
そんなことをされたらこれからのことに支障が出てしまう。
必の思いで気力を取り戻し男を振りほどこうとするが、圧倒的な力の前に抵抗できず手を引っ張られながら悶える姿はただただ劣情を誘うだけだった。
「おねがい…だか…っ、ら、それ…だ、け、っは…ぁっ…!」
「こんなにいい具合の穴ですからね…っ! もう我慢できませんよ…!」
「な、ん、でも…はっ、…するか…ら……そ…とで…っぅ」
ここまで追い込まれた悔しさ自責の念に涙を流し唇をかみ締めながら乞うが、まったく聞き入れられない。
よりいっそう激しさを増したことが終焉への絶望を予感させた。
「…あっ…う…ぅ…!」
彼女の顔が翳る。下腹部で異物が撥ねるのと同時に熱く滾るのを感じ、一気に脱力してしまった。
「なん…で…」
「いやぁ、ついつい抑えられなくなっちゃいまして。
よかったっすよ、アナスタシアさん」
自身をとろりと白濁と血とが混ざった液体が溢れ出すそこから抜くと、彼女の頭に手をやり耳元で囁いた。全身がおぞけだつ。
頬を流れる雫は床に小さな水溜りをつくっていた。
「うっ…ひ、どい、…こんな…」
泣くことしかできない彼女の脇に手をまわし無理矢理立たせると、すばやくショーツを脚の間に通す。
放心状態の彼女はそのまま腰が砕けぺたりと座り込んでしまったが、男は気にせず追い討ちをかけた。
「また来てくださいね、杖を大事に保管して待ってますから」

それからは艦内照明がぼうっと光る廊下ふらふらと歩いた、というよりさまようといったほうが正しいのかもしれない。
ファーレンハイトは浮き島ひとつをそのまま戦艦にしたような作りなので、どこにどの部屋があるか完璧に把握している者は少ない。
だからいつもの食堂から女性部屋への途中といえど、気の抜けた彼女には自分がどこにいるかわからない。
どこかわからない通路をゆっくり、ゆっくりと歩くのは、いつものアナスタシアからはまったく想像もできないものだった。

99 :
靄のかかった頭で少女は考える。難しいことはなしだった。
エカは無事に帰れたかしら。ううん、あの子は芯がしっかりしてるしそれに子供じゃない。あぁ、なんだかいつもは不気味な照明がまぶしく見える。花火を見たのがまるで昨日のことみたい。
あのときは至近距離すぎて鼓膜が破れそうだったな。マテライトに頼まれて打ち上げ役をしてたけど、確かグンソーさんも引っ張られてたなぁ。あののろまの鎧はなにしてたんだっけ。
あぁ、そうか、フレデリカと踊ってたんだ。それで私は腹が立って、でもなんでだろう…。あんなよわっちい奴どうでもいいはずなのに…。そういえば今の私ゆっくり歩いてる。身体が重いから、だけどさ。
―――ほんとやになっちゃうわよね。たまにはアイツのいうこと受け入れておけばよかった。
とにかく、いつ馴染みのある十字路に着いたかは覚えていない。
重い身体をひきずりながらここまで来られたことにほんの少しではあるが安堵し、女性部屋のほうへ向かおうとした。
その瞬間。

あまりにも軽い身体に、いつもの重たい衝撃が走った。


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