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2013年10エロパロ406: スクランスレ@エロパロ板 20話目 (475) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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スクランスレ@エロパロ板 20話目


1 :2010/02/08 〜 最終レス :2013/09/15
かつて週刊少年マガジンで大好評のうちに連載を終了したスクールランブルと
マガジンスペシャルにてただ今絶賛連載中のスクールランブルZのエロパロを書くスレです。
801ネタはヤオイ板で、嵐はスルーで、ごった煮SSは絶対禁止!カエレ!
SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。
マターリハァハァ逝きましょう
新保管庫
http://www31.atwiki.jp/kokona/pages/1.html
旧保管庫
http://www.geocities.jp/seki_ken44/
〜前スレ〜
スクランスレ@エロパロ板 19話目
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1241647288/

2 :
すいません
前スレが容量超えで埋まってしまったので急遽立てました
IFスレの続きはないと思うのでテンプレからはずしてあります

3 :
即回避兼、続投。
今回は100%エロです。エロいかどうかは別として。

4 :


 「っ…」
 組み敷いた八雲からまだかすかに立ち込める、風呂上りのいい匂い。
 下品じゃない程度に鼻をすん、と鳴らす。やはりいい匂いだった。
 この不思議な香をもっと深く深く吸い込みたい。
 「……んっ」
 ここでキスしちゃっていーかな、と聞くより先に熱い吐息混じりの積極的な口づけを与えてしまう。触れ合って互いの形を確かめた。
 拒否されるとは少しも考えなかった。唇を通し、自分の持つただ抱きしめてキスをする以上の衝動を送り込む。
 瞳と瞳が線で繋がる。体温と共に一瞬だけ彼女の心が見えた気がした。
 その中には播磨拳児という男しかいない。勝手ながら、それで許しを得たと思った。
 軽い接触を終えて、呼吸を挟まず強く呼吸器官を押しつける。
 睦みあう唇からは……ぬるぬる。内側は外よりもずっと温かく、甘い八雲の味は自我を溶かす程に甘かった。
 「んっ……んむっ…」
 目を閉じたのは同時。焦る舌先が口中をおずおずとノックしてくる。
 純粋に思ったことに身を任せてみれば、湧いてくるのは八雲が欲しいという欲求だった。
 昨日の今日だが、また抱かせて欲しい。不思議と恥は感じない。どんなアピールより自然に思える。好き合う人を求めることが。
 「……っ……ん…! …んぅ……ちゅっ……」
 ちゅうちゅうと吸い合う音。恥は感じないが少しばかり犯罪的な気もした。
 抵抗されないことを知っていて、八雲へステップを無視し獣のように襲い掛かってることが。
 熱く潤んだ彼女の顔は男の情熱にあてられどこか不安気でもあった。
 だが服の中に手を入れやすいように背を浮かすし、舌を差し込めば歯の間の隙間を丁寧に開いてくれる。
 歯磨き粉の味は時間の経過と共に丁度良い塩梅で薄れていて、正負両方の飾りのない八雲の口を隅々まで味わえそうだった。
 「んふ…」
 二人の中間点で舌と舌とが絡み合い、溶け合っていく。ちゅぱちゅぱ、水音がうるさいほどに大きくなっていく。
 互いの口に唾液が溜まって交換し合い、喉に運ぶ。密着した身体は互いに熱く、高ぶっているのが分かる。
 拳児は八雲に押し付けられた胸の丸みと奥の鼓動、男に抱かれる緊張に震える肢体を。
 八雲は拳児に肩を包まれその逞しい腕の大きさと、身体の線を確かめてくる手に優しさを感じていた。
 息継ぎに唇を離し目を開くと、瞳が合う。
 相手の自分だけを見ている顔がすぐ近くにある。まじまじ見つめあい、愛らしく思えた。

5 :

 「は、あっ……!」
 八雲が喘いだ。朝にもあった、桜色の吐息。
 それは拳児が唇を離すとすぐさま彼女の腰を深く抱き、その首筋にぢゅうっと吸いついたから。
 「あ……ああああぁ、あぁ……」
 ゾクゾクゾク。八雲は電流のような快感に背を弓なりにし、身悶えする。
 優しさは一変。強引で、直情的で、欲しい欲しいという欲望を直触りで伝えられ力が抜けてしまっていた。
 されている行動の根底に愛以外のものが混じっているのも分かる。それは拳児の負の部分とも、男ならどうしようもないともいえるサガ――暴力性。
 彼にはどこか落ち着きがあった。昨日の経験からだろうが、そのせいで、今は色濃く獣の雰囲気が出てしまっている。
 その"違い"を八雲は確かに嗅ぎ取っていた。少しだけ、ほんの少しだけ、躊躇してしまう。
 「…播磨、さん」
 「妹さん…俺」
 「……いい、ですよ。あなたになら……何を、されても……」
 八雲は克服の証明にもう一度深いキスをした。先程よりも長く強く吸い付くものを。
 前の接吻で口内に唾が精製されていたのは彼も同じらしい、上下の唇を撫で上げられてそっと開くと――つぷ。
 たっぷりと濡れ一層熱を持った舌が差し入れられてきたのだ。感じる鼓動はどちらのものか混ぜ合わさってよく分からない。
 「ちゅっ…んっ、…くちゅっ……」
 最初から一つのものだったように唇同士が求め合う。
 指先で後ろ髪をくすぐるように扱われた。髪の先を揺らされる度に、小さく首の後ろから背筋を真下に駆けるものがある。
 「んっ、んんっ…ん…」
 体温調節がおかしくなったのかと思うほどに身体が熱い。
 キスを続けていると目が眩み、心臓がうるさくなって、口の中はトロトロになり、甘い香りに蕩けてしまう。
 こんなにも私達は好き合っているんだ、と考えると八雲はとても嬉しくなった。
 背中に回されたもう一つの腕に体を後ろから固定され、胸元に手を添えられる。
 昨日もそうだったが、このふくらみは彼にひどく気に入ってもらえたようだった。
 だから今もきっと好きなようにされてしまう。想像するだけで彼の高揚が伝わるように自分も興奮してしまう。
 ほら厚手のパジャマの上から太い指が――。
 「えっ?」
 「……」
 来なかった。それどころか感じていた彼の威圧感や体の重みが消えていく。
 胸を触られ行為は更にエスカレートしていくと思っていたので、それが外れたことについ声を上げてしまった。
 おまけに半身をどかした拳児がすっと離れていく。立つと座るの間の片膝を床につけた格好になりそのまま――すまねえ、と一言。
 「ご、ごめんなさい……! 何か、無作法がありましたら……謝ります」
 仰向けから両腕を立て腰から上を持ち上げて、狼狽した声で謝り返す八雲。
 きっと自分がひどく失礼なことをしてしまったのだと考えたためだった。
 あれほど強く、収奪するような抱擁とキスをしてもらったというのに、それをぶち壊しにしてしまう程の無礼を。
 「いや…そーじゃなくてだな。……絃子の奴に言われたのを、思い出した。妹さんの体を気遣ってやれって」
 「刑部先生が……ですか?」
 八雲は軽い安堵と強い羨望を覚えた。彼と生活していると時々、その名が話題に上ることがある。
 きっと拳児にとっての刑部絃子という女性はただの血縁者という枠内に収まらないのだ。
 たまに見せる誰かの影響らしい言動の数々も、こうして彼が止まってしまったのも、あの麗人が作用しているのだろう。
 「準備……何もしてねえ。その、ヒニンとか、よ」
 最もな言い分である。八雲とて考えなしに行為に及ぶのは(受け入れておいて説得力に欠けるが)不安がある。けれど……。
 「……俺が全部被って済む問題じゃねえし。これからの一年は、妹さんの人生がかかってるって言っても過言じゃ――」
 気遣ってもらえるのは嬉しい。しかし……。
 「……? お、おい…、妹さん!?」

6 :

 拳児は夜にそぐわない声で叫んだ。八雲が自らの上の寝着に手をかけたかと思うと、勢いよくめくったのだ。
 下から彼女らしい真白のシャツ、そこから透けてブラのラインが露となる。だが薄布一枚の緊張はすぐに失われた。八雲がそのシャツさえも脱いでしまったために。
 「んな!?」
 「それは、一方通行……です」
 無骨な不良漫画家の手にも存分にフィットするだろう、うっすらとした桃色の形と大きさがはっきりと見えた。
 手の届く距離にある女性の象徴は半分ほどが白布から露出している。
 紐だけを残した肩には一部が赤い染みができていた。昨日、天満から付けられたキスマーク。
 人が変わったような八雲の態度に、言葉がない。
 「播磨さんが、したいから……する。できない理由があるから……しない。それだけでは……私の意志が、どこにもないと、思います……」
 最もな言い分である。拳児とて八雲の意思を無視したくない。好き合うとは双方向だ。先程――押し倒した時にも、彼女はいいよと意思を示してくれた。
 だが拳児にとって引き返せるのは今しかなかった。八雲とこれ以上続けていたら満足せぬまま終わるなどできそうにない。
 彼女にひどいことをしてしまいたい一瞬の願望に愚かにも負けて、彼女の将来に大事な影を落とすことになってしまう。
 「播磨さんが、私に……そういう気持ちを、寄せて頂けるように……私も播磨さんに……して、差し上げたいんです」
 「!? あ、あのよ妹さん…それ……そういう言い方、男にゃゴカイ、作るぜ?」
 「……違います。今朝も播磨さんが苦しんでるのに……私は何もできませんでした。そういうのは……嫌、なんです」
 今朝も、という単語に例の我慢比べが思い起こされた。
 八雲の言葉が将来を捨てているものだったり、男を責任という二文字で束縛するつもりがないのは分かる。
 だが、交わりの許されない女か男にする行為とは?
 「ですから、今日は……」
 ……それはとてもいい匂いがして、柔らかく――何より気持ちいいに違いない。
 「私から、させて……頂けませんか……?」
 強気の雰囲気を出していた八雲が、顔を火照らせ上目遣いの視線を下げる。その先には拳児の付け根があった。
 キスをしていた頃から反応し、傍にある八雲の豊胸を目指すように重力に逆らい続けている部分。
 膨張に次ぐ膨張、元々の体積と比較すれば数倍にも膨れ上がっている。
 中に詰まっているのは見えた柔肌に抱いた期待。

7 :

 「今も、こんなに……あ……っ? …………///」
 女の身ではありえない、衣類の形が変わる様をいざ目の当たりにしたためだろう。八雲が明らかな隙を見せる。
 やがて半裸の上半身を子細に眺められる羞恥が勝ってきたのか、彼女は恥ずかしそうに片手で胸元を隠そうとした。
 その仕草が逆に美乳を圧迫してより深い谷間を演出する。
 思わぬ幸運に拳児は――口を空けながら唾を飲むという器用なことをこなしつつ――これを勝機と捉えるに及ぶ。
 「俺は馬鹿だから……妹さん」
 最初の八雲の勢いが復活しないうちに、その場で自らの下穿きを残して下半身を空気に晒した。
 「っ……は、播磨さん」
 「させてくれなんて言われたら……あれだ、調子乗るぜ?」
 「あ……」
 そして少しだけ口調を本来に戻す。受身は性に合わないため、普段八雲の前では息を潜めさせていた粗暴な性根を解放したのだ。
 そのまま壁を背に、すとんと腰を下ろし、両足を開いて間に場所を作る。そして立ち尽くす八雲へ命令するように告げた。
 「妹さんが俺に何をしてくれるのか、楽しみにさせてもらう……いいな?」
 「……はい」
 わざと偉そうに言ったというのに、八雲に気を悪くされるどころかいじらしく微笑みかけられる。頼む、と一言。
 「で、では…」
 上半身を前に倒し、更に低く四つんばいとなる八雲。両脚の間に許し請うようにそっと顔を寄せられた。
 うっすらと濡れた熱を感じる瞳。そんなもので見つめられれば、自制の楔を抜いた今、興奮の象徴は限界なく硬質・肥大化してしまう。
 腕に体重をかけて腰を浮かせた。元々トランクスを一枚残していたのは八雲に頼みたかったから。
 そして許しの合図だと思ったのか、ほっと安堵したように息が零れる。
 「気に入らないようでしたら……仰って下さい。私、初めてで……昨日以外の経験がないから……」
 八雲は短く息を吸い、一思いにとトランクスを下げた。ゴム紐が最後の抵抗を試みて半分ほどで一度止まると、
 僅かに漏れ出る男性の匂いが鼻をつく。脳までを一瞬で満たす、一生忘れられそうにない匂い。男の芳香に八雲はそんな感想を持ってしまう。
 もう一度力を入れて完全に下着を引く。ずい、と隆々とした拳児の秘部が八雲の鼻先に現れた。
 「あっ……播磨さん、の……」
 勢いづいて上下に震動する動きに、八雲はソレが自分を待っていてくれたかのように思い込んでしまう。
 解放の喜びに震え、そそり立っていた一日ぶりに目にする男根。
 (やっぱり、すごい……播磨さんしか知らないのに……すごいんだって思わせる……そんな力強さが、ある……)
 昨晩も見たには見たし、何より身をもってその形を知ったつもりだった。しかし今は明るさの度合い違う。
 日焼けしているはずもないのに彼の肌のどこよりも黒々としていた。うっすら浮いているものは血管だろうか。
 昨晩に体験し感じ取った形と比較。秘粘膜の向きを逆向きに抉ってきただろうカエシ、微妙な刺激を送ってきた裏にある細い筋。
 至上の恍惚に導いてくれた、彼の濃厚な遺伝子の発射口。一つ一つ、いや全てが自分を変えてしまったとんでもないモノ…それを今日は自ら扱おうとしている。
 酔いそうなその香りは抜けそうにないほど濃くて強く、どんな未知のキノコ料理より手がかかりそうな気がしてならない。
 多くの恍惚とも困惑ともとれる感想を抱きながらも、より深く拳児を知れたような気がして八雲は嬉しかった。
 一通り観察したあとにトランクスを完全に脱がし、彼の足から離す。
 そして元あった場所には自らの顔を運んでいく。
 「そ…それでは……」
 「おう。頼む」
 そっと、太いアイスキャンディーを食べるように口を縦に開く。前歯を唇で覆うように調整して、あまり変な顔に見えないように。
 両手で拳児の筋肉の張った大腿部を気持ち程度に広げ、できたスペースに顔を埋める。身を屈め膝で立つと自然と腰の位置が上がった。それは猫の伸びるような姿勢。
 最後、一度だけ確かめるように拳児に目を送り、そして――
 「はっ……ん、……はむっ」
 拳児の黒々とした大樹に含んだ。

8 :


 「くっ!」
 「はぁ…っ、れろ…んっ……んっ」
 第一波。触れられた瞬間、自らの感覚器官から鳥肌の立つ快さが伝わってきて拳児は声を絞った。
 緊張で乾いていたのだろう、唾を媒介にせず、口の内側の肌が直接触れてくる。
 そこへざらっとした舌が。舐められた場所から溶け出しそうな快感が八雲から与えられてきた。
 キスのときにはたまらぬ甘みを分泌してくる彼女の唇に包まれて、輪郭を確かめながら舌がなぞりうねってくる。
 「んっ…れろ……ちゅ……」
 ほどなく、幼児が飴玉をしゃぶり続けるような音が立つ。それこそ八雲は幼児同然に集中していた。
 本人の意識はもちろん、女としての技巧のないその口も、入ってきた肉塊に対し、唾液をたっぷり搾り出すという歓迎する反応で迎えている。
 「っ、は……ふぅ……」 
 息をするため、より八雲は頬と口を膨らませた。大きく開いた隙間から冷たい空気が流れ込んでくる。
 温められた部位が風に冷やされ、すぐ後に淡紅舌で包まれる。
 「ちゅ…ぷ……」
 上下の唇で挟み込み、懸命に内圧の高まってきた自分のを舐め上げられる。
 口で覆っている部分を全て味わうと、訴えるように目をあげ見つめられた。上目遣いの儚げな表情。
 感想を求められていることはすぐに分かった。言うまでもない。拳児は腰に力を入れて、濡らされた場所を直立させることで喜びを伝える。
 「あぁ……で、では今度は、もっと…奥…………んっ……む、んぅっ…」
 喜んでもらえたのだ、と少しだけ口を話し感嘆を漏らす八雲。そして宣言のとおり、次は動きが変化した。くびれの部分までだった唇がより深く飲み込んできたのだ。
 若干苦しみの伴う努力の成果か、舌の届く距離がカサを超え、鼻先が陰毛に触れてくる。
 八雲の口だけでなく鼻まで犯しているような錯覚に拳児は酔う。刺激の質の変化に眩暈さえ感じてしまった。
 「ん、ふ、ふぁ……ちゅ……ぅ、ちゅうぅ……れろ…っ」
 口取りのやり方を徐々に覚え始めてきた八雲。たまっていく唾液を小さな舌の届く限り全てにまぶしていた。
 外からは不明瞭なその動きも拳児には触覚で一つ一つがよく伝わってくる。
 経験のない行為。故に、どこが男を喜ばせる場所なのか、決して傷つけないよう労わりながらそれを探そうとしてくれている恋人の動き。
 重力に引かれ、やがて垂れていく粘性の唾を音立てて吸い付くと、また上にこすりつける、賽の河原のようなその動き。
 亀頭の割れ目を確かめるようにウネウネ、チロチロ、舌先が入ってくるのがたまらなく気持ちいい。
 やがて口だけでなく顔全体を動かす考えに至ったのか上半身が前後する。
 白いブラジャーに整えられた、高さのある乳房が少しだけ遅れてふるふると揺れた。
 見せつけるような動きが欲情をひどく刺激する。

9 :


 「くっ!」
 「はぁ…っ、れろ…んっ……んっ」
 第一波。触れられた瞬間、自らの感覚器官から鳥肌の立つ快さが伝わってきて拳児は声を絞った。
 緊張で乾いていたのだろう、唾を媒介にせず、口の内側の肌が直接触れてくる。
 そこへざらっとした舌が。舐められた場所から溶け出しそうな快感が八雲から与えられてきた。
 キスのときにはたまらぬ甘みを分泌してくる彼女の唇に包まれて、輪郭を確かめながら舌がなぞりうねってくる。
 「んっ…れろ……ちゅ……」
 ほどなく、幼児が飴玉をしゃぶり続けるような音が立つ。それこそ八雲は幼児同然に集中していた。
 本人の意識はもちろん、女としての技巧のないその口も、入ってきた肉塊に対し、唾液をたっぷり搾り出すという歓迎する反応で迎えている。
 「っ、は……ふぅ……」 
 息をするため、より八雲は頬と口を膨らませた。大きく開いた隙間から冷たい空気が流れ込んでくる。
 温められた部位が風に冷やされ、すぐ後に淡紅舌で包まれる。
 「ちゅ…ぷ……」
 上下の唇で挟み込み、懸命に内圧の高まってきた自分のを舐め上げられる。
 口で覆っている部分を全て味わうと、訴えるように目をあげ見つめられた。上目遣いの儚げな表情。
 感想を求められていることはすぐに分かった。言うまでもない。拳児は腰に力を入れて、濡らされた場所を直立させることで喜びを伝える。
 「あぁ……で、では今度は、もっと…奥…………んっ……む、んぅっ…」
 喜んでもらえたのだ、と少しだけ口を話し感嘆を漏らす八雲。そして宣言のとおり、次は動きが変化した。くびれの部分までだった唇がより深く飲み込んできたのだ。
 若干苦しみの伴う努力の成果か、舌の届く距離がカサを超え、鼻先が陰毛に触れてくる。
 八雲の口だけでなく鼻まで犯しているような錯覚に拳児は酔う。刺激の質の変化に眩暈さえ感じてしまった。
 「ん、ふ、ふぁ……ちゅ……ぅ、ちゅうぅ……れろ…っ」
 口取りのやり方を徐々に覚え始めてきた八雲。たまっていく唾液を小さな舌の届く限り全てにまぶしていた。
 外からは不明瞭なその動きも拳児には触覚で一つ一つがよく伝わってくる。
 経験のない行為。故に、どこが男を喜ばせる場所なのか、決して傷つけないよう労わりながらそれを探そうとしてくれている恋人の動き。
 重力に引かれ、やがて垂れていく粘性の唾を音立てて吸い付くと、また上にこすりつける、賽の河原のようなその動き。
 亀頭の割れ目を確かめるようにウネウネ、チロチロ、舌先が入ってくるのがたまらなく気持ちいい。
 やがて口だけでなく顔全体を動かす考えに至ったのか上半身が前後する。
 白いブラジャーに整えられた、高さのある乳房が少しだけ遅れてふるふると揺れた。
 見せつけるような動きが欲情をひどく刺激する。
 「んむっ……ふぁ……ちゅっ……んっ……」
 器用なのか不器用なのか、正面から銜え込んだ男性器を半分以上は外へ晒さないよう、顔を使わず口の中だけの動きで八雲は対応しようとする。
 息苦しんでいるようにも見えて拳児は鼻で呼吸したらどうかと思った。
 しかしそれはまずい。彼の知らない事情ではあるが、今の八雲にとって拳児の匂いは麻薬である。吸いすぎたらおかしくなってしまうのだ。
 それが分かっているために八雲は呼吸器官としてはあまり小鼻を使えなかった。

10 :

 「んぅ……んんっ………ぷはっ、はぁ……!」
 先程より長い時間の後で八雲は口を離す。そこは己の粘着性のある液体でつり橋と成し、名残惜しそうに繋がっていた。
 ぷつっとそれが自然に引かれ切れると、半分が奉仕すべき対象に、残り半分が下唇からおとがいへ、ぴたり吸い付く。
 あぁ、と八雲は飲み物を口から溢れさせてしまったように息を吐いた。指で掬う仕草がいやらしい。
 「切れ、ちゃ……はあ…はぁ……」
 額に浮かんでいた汗と上下する肩で酸素を求めているのが分かる。
 空気の通り道の多くを埋められ、初めての行為に疲労が溜まるのは早い。八雲は裸の肩を揺らして強く息をしている。
 健気な奉仕のインターバルは先程より長く、拳児は八雲の懸命さを労わろうとする――が、自由にならぬ部分が――ビクン。
 強く震えて続行を訴えてしまった。
 「す、すいません……少し、痺れて…しまって…」
 喋るのも大変なほどに美唇を行使したことに、拳児は不手際として謝罪されてしまった。
 初めての行為に力の抜き所がよくわかっていないのは分かるが、強弱の調整や具体例など自分もアドバイスできない。
 止むを得ない、ここはしばらく休憩を挟んで――
 「え? は、播磨さん……あぁっ……か、顔に…んむっ」
 「っ――悪い。今のは、身体がハンノーをだな……」
 だが八雲が離しても拳児は――正確には八雲の口を"よいもの"と見た彼の性欲は、異議を挟んだらしかった。
 理性のコントロールを外れぶるぶると振動すると、女の命ともいえる顔……豊頬や濡れた唇、汗の浮かぶ鼻先にぺたぺたと擦りつけたのである。
 いきり立った黒茎が白の肌肉へ美味しそうに吸い付いていく。その感触が伝わってきて、拳児は悪いと思いつつも素直に感想を口にしてしまう。
 「妹さんは、顔も柔らけえな」
 「え……」
 その一言で、八雲は驚きもあったが、拒否ができなくなってしまった。
 男の人の身体は意に反し貪欲なのだという思い込みと、自分の成果なのだという達成感を前にして。
 「わ、わかりました……では…」
 男根で顔にマーキングされているにも関わらず、嫌な顔をせず拳児を見つめる。
 比較にならぬほど容姿に差はあるが、子猫に頬をなめられ甘えられたように母性を刺激されたのだった。早く早く、と教会の子供達に急かされている気分。
 「代わりに、その……」
 男の人を休ませては失礼にあたるのだ、と八雲は思った。
 自分から言い出したこともあって何かしなくてはと道を探る。
 続行も拒否もない、第三の道を。即ち――別の手段で奉仕を続行。あるイメージが脳に刻まれていた。

11 :

 「代わり?」
 提案した本人は何故か言葉に詰まり頬が更に朱に近くなっていく。
 何か考えがあるらしいことを言われて拳児は期待感に反ってしまった。
 八雲が思い描いているそれは彼女にとってひどく恥ずかしい、唇で男性器を包み込むよりも恥ずかしいことなのだろう。
 けれど待たせてはいけないと、細喉を切なげに脈動させている様子がとても嬉しかった。
 「は、はい。代わり……です。すぅ――ふう…………で、では」
 大きめの吐息が一時の安息を招く。八雲は息をするのではなく、勇気を振り絞るためにそうした様子だった。
 代わり、というものが何なのか…拳児はどうしても期待と予想が高まる。
 同時にむくむく鎌首をもたげるのは、彼が恐れていたはずの暴力性。
 今の形はあまりに本能に根ざし、そして淫靡であれど。
 「えっと……あ、あの…」
 拳児は言葉を選んでいるらしい八雲に先に何か言ってやりたくなった。
 それは酷い言葉ではない。プレゼントを開ける前に中身を当ててしまいたくなる程度の、軽いからかい。
 「上も下も、口を使うのは無理だろ? これ以上、何をしてくれるんだ?」
 「は、はい……あの…その……」
 ゆっくりでもいいと激励してやるべきなのに、続きを急かした上に品格を欠いた発言までしてしまう。
 だがそれで腹を括ったらしい八雲は、ほとんど床に伏せていた状態から、頭一つ分程に上半身を起こす。
 拳児の腹のあたりを彼女の視線がさまよった。
 「ん?」
 拳児の思考が一瞬止まる。八雲が自分の背に片手を回したのだ。ぷつ、と切れたような軽い音の後に八雲のブラ紐が緩む。それで納得がいった。
 スル、と肩や腕を抜けて床に落ちる上の下着。豊満な乳房がまろび出て、隠されていた母性の全てが露となる。
 肌には昨晩の名残が残っていて、桃色の先端はうっすら膨れていた。
 
 「おぉ…」
 そして八雲は――両の掌を自分の脇の下に置き、やや気持ち前に添えたまま背をしならせるという、なんとも期待に沿った格好をとった。
 存在感ある双房が前面に突き出されたのだ。たわわな膨らみは周りの肉を寄せられてその張りを一層強く増している。
 こんなことを、一体どこで。
 おそらく彼女が日常の内で断片的に垣間見たのだろう色道に、拳児は嬉しい責任を追求してやりたくなった。
 「あ、あまり…見ないで……恥ずか…しい……です」
 無理だ。伸びそうになる腕を堪えるので精一杯、今すぐ触ってやりたいくらいなのに。
 拳児はそう断言する代わりに視線を決して逸らすまいと突き出された胸をまじまじ凝視する。
 威圧感のある視線を受けて、八雲は見られる羞恥に紅頬をより濃く染めあげていく。
 だが胸を晒しただけでは待たせるのと変わらない。続きがあるのだ。それを言わなくてはならない。
 桃色の吐息を零しながら、ふにゃりと柔らかそうな乳房を持ち上げつつ、八雲は上目遣いで拳児を見た。
 「こ…こちらで……播磨さんの、を……」
 両の先端がうっすら浮いている女を象徴する部分。それで男を象徴する部分へ……何をしてくれるというのか。
 拳児は心当たりを置き捨てて、どうしても八雲から聞き出したくて堪らなくなった。


12 :

 ――――
 ここまで。
 本番がないような会話が交わされてますがそこは幽子にナントカしてもらうので大丈夫です。また明日に。


13 :
>>12
この寒い季節、全裸で待っていろと

14 :
あうあう

15 :

 天満より背の高いことが、見知らぬ人に八雲のほうが姉だと思われてしまう要因の一つだった。
 加えて、二人を並べるとどうしても格差が目に見えてはっきりしてしまう場所がある。
 それがこの――今現在、八雲本人に持ち上げられている、豊かで潤いのある胸の果肉だった。
 「その…あの……あぁっ」
 音が立ちそうなほどに八雲の顔から熱が放たれていた。
 いきり立つ男の股座に、裸の上半身を近づける。
 誤解のしようもない体勢に、普段の奥手な性格もあり、もう恥ずかしくて恥ずかしくてたまらないのだろう。
 まだかまだかと、前後左右に振動する彼女の"相手"。
 興奮を隠さない動きに、もうまともに見られないのか、拳児は八雲にふいと顔を横に背けられた。なのでつい――。
 「そっちにゃ壁しかないぜ?」
 「っ…!」
 「こちらって、何だ? きちんと言ってからやってくれ」
 「……い、いじわる……もぅ」
 珍しく八雲の泣きの入った拗ねた声。もう諦めたという響きがあった。
 怒らせたかと拳児は思ったがそうではない。おずおずと八雲は正面の拳児を羞恥と淫蕩の色濃い表情で見つめ、
 顔以外にも肩や胸の肌に熱を集め赤くして、両手の位置を再度確かめるように動かして――結果、大きく育った乳房を媚びるように揺り動かしてしまう。
 拳児の反応を見た後で気付いたのか、あっ…と恥じ入る声がした。
 視線を交えるのが辛くなったのか、八雲はきゅっと目が閉じ眉間の間にシワをつくり、そのまま言う気なのかぷるぷると口を開こうとする。
 「む…胸で」
 「ちょっと表現が微妙すぎねえ?」
 「えっ……す、すいません……でも、他に何て…」
 素で言葉が見つからないらしい。文句を言いつつも拳児とて直接的な表現しか思い浮かばない。なので……
 「せめておっぱいと言って欲しい」
 「!……っ、お……お……おっぱい、で……」
 恥じらいながら口にしてくれる姿は愛らしかった。だが、まだだ。不良はそうそう甘くない。
 「世の中には色んなのがあるらしいぜ。でかかったり小さかったり。どっちも悩みになるらしいが……妹さんは、どうなんだ?」
 「〜〜……っ!」
 「どーなんだ?」
 「……ちょ、ちょっとだけ……皆より…あるのかな、と……男子に、じっと見られたり…」
 「……悪い。ヤな事思い出させるつもりはねえ。調子乗りすぎたな。けど…もっぺん、今度は最後まで頼む。俺の顔を見てな」
 「は、はい……」
 このふっくらとした膨らみは八雲の強い母性を象徴していると思った。
 なので最後まで言ってほしかった。黙って目を瞑って行為に移行されるのではなくちゃんと言葉にしてほしい。
 更には、体勢上そうなってしまうのだろうが、下半身ではなく上の自分の顔を見てほしかった。
 どんな顔をしているのか知りたい。目を閉じたままなんて冗談ではない。

16 :

 「……っ…、お……大きく、育った……私の……おっぱいで……。播磨さんの、苦しそうな……、を……」
 八雲のような内気なタイプが、毎朝風呂場で見ている女の部分を、男を喜ばせるために駆使するというのはどんな気持ちなのだろう。
 膨張した表面の唾液はもうとっくに乾いてしまっている。初心な奉仕の効果はもう消えていた。
 だが未だ体積が変わらぬ状態なのはここまでのやり取りのおかげに違いない。
 「お慰め、させて……頂きます……」
 言葉が届いた瞬間、拳児の腰が動いた。ああ嬉しいんだと、少女は少し報われた気分になる。
 大切な部分を道具として扱うなど、最初は想像しただけで恐怖が先立ち男の人というものが理解できなかった。
 だがその相手として播磨拳児という特別な男性を意識すれば、逆に尽くしてあげたいという気持ちで心が一杯に満ちてしまう。
 不思議な感情を抱いたまま、八雲はやはり宣言どおり、左右から押して前へと張った己の胸で、拳児を飲み込むように挟み込んだ。
 ドクン――マグマのような熱の刺激が心臓まで届き、熱なのか痛みなのか、いずれかと拮抗した。
 「っ……あ、熱い……! ……燃えてる、みたい……!」
 「――っ! こいつは……」
 「あ……ピクン…って……動い、て……」
 左右の胸の間に熱した石を入れられたと八雲は思った。
 体温より少し上の、人が最適と感じる温もりの柔らな綿に包まれたと拳児は思った。
 跳ね立つ分身が八雲の中をくぐり抜け、谷間から嬉しそうに顔を出す。八雲ははみ出たそれに合わせて体をやや前へ、今度は逃がさぬよう少し力を篭めて。
 再び、肉茎の全てが埋まる。だがごく自然なその行為が、グニグニと胸の形を自分で変えての奉仕になってしまっているのに八雲は気付いていない。
 だが拳児には見えていた。最初の感想を飛ばし、ただ止めることなく続けて欲しくて、少しだけ腰使いを入れる。
 「んっ……んあっ……こ、擦れて……は、播磨さん……?」
 「続けてくれ……! もっと両側から………クッ」
 熱い熱の塊……自らの意思に拠らないものに、自分さえ滅多に触ったりしない部分を行き来される。
 手のひらにあるゴム鞠を自分でぐにゃぐにゃたわませて前後に動かした。
 続けると、やがてはじん……と熱い火照りとなって自分の大事な処に返ってきてしまう。
 むずむずと、痒みのようなものがお腹の下に広がっていく。
 擦り合せる箇所が先端に近くなればなるほど顕著だった。
 「んっ……はぁ、はぁっ……は、んっ……」
 「ッ……お、おぉ…!」
 八雲にとって、拳児に合わせて両手で胸を扱うのには神経を使う初めての作業――そのはずだった。
 だが彼女は情事に限らず、彼の呼吸に合わせるのは得意だったので、やがて息は合いだし抽送運動も徐々に速度を増していった。
 しばしの間、二人の間には会話というより荒い吐息が交差するばかり。だがただの呼吸には二人にしか分からない多くの含みが込められている。
 拳児は未経験ながら腰が引くことはなかったし、八雲は時には引け目にもなった自分の体に、捏ねることができる豊かさであるのを嬉しく思っていた。

17 :

 胸のキスに包まれて、じわっとぬくもりが自らに染み込んでいく。絶妙の力加減で全角度から圧迫される。
 例え不慣れでも、そういう男を喜ばせる行為がある、というおぼろげな知識しかないのだろうが、予想できない動きは自分で処理するのと全く別物の感覚。
 彼女の両手が使用中のために自分の両膝で体重を支えなくてはいけないのだが、慣れない事でもこの愉悦を長く味わうためならばまるで苦ではない。
 未知の圧迫感に肉棒を押し潰されるも、それに逆らい亀頭を谷間から見え隠れさせる。それをまた彼女が隠すように包み込んでくれるのだ。
 「あ……あんっ……ふぁっ……」
 最中に、固く張った乳首同士が顔を突き合わせることがあれば、その度に八雲は切なそうな顔をして喘いでくれた。
 そんな稀だったはずの出来事が頻繁に起きるようになってくれば、それも彼女の意図した自慰行為のように思えてならない。
 八雲が、奉仕しながら自らの快感を弄っている……? 普段の容姿に合わぬ発情したその姿は拳児の興奮を加速させた。
 「気持ちいいぜ……妹さん。ほんと、器用なんだな」
 「……あぁ……嬉しい、です……」
 いたずらめいた発言にも気をよくしてくれたらしく、微笑を浮かべ応えてくれた。
 自分から動くのを止めて、八雲の奉仕に身を任せる。下半身の痺れを堪えるのに力を割きたいのが本音ではあるが。
 一身に男の欲の塊を愛撫してくれる彼女の姿がひどくいじらしく愛らしい。
 そっと、髪を上から撫でてやった。そろそろ……口のほうも、疲れが取れてきたのではないだろうか。そう考えながら。

 目で見て口で知り、つい昨日に自らの秘部を貫いてもらったことはずのその形が、まるで新しいもののように感じる。
 「ふぅ、ふぅっ……ん、は、はぁ……っ」
 上体を揺すって心臓の音を上下に伝える。手で胸の根元を絞れば恥ずかしいことにより乳首が前に張り出てしまうが、
 固さのあるそこで段差や先端をついてやると、居眠りしている動物のようにピクンと反応してくれるのが嬉しい。
 倒錯した悦びだと頭のどこかが警笛を鳴らそうが、官能が高まり加速するのは止められない。
 今の自分が拳児からどう見えているのか分かるから。性の奉仕にのめり込む女の姿を、その柔媚に熟れた膨らみを、好ましく思って貰えているから。
 「はぁ……はぁ……あっ」
 とろり、口から涎が垂れる。意図したものではない。行為に夢中になるあまり飲み下すのを忘れてしまっていた。
 丁度、汗のある瑞々しい肉の間に落ちて、餅つきの餅のように形を変えるそこへと飲み込まれていった。
 すると手の内に感じる滑りがよくなり、にちゃ、といやらしい音が立つ。
 「おっ……」
 ――っつ。拳児に言われるよりより先に、残った口の中身をシロップのように零していく。
 にちゃ……にちゃ……。唾液が泡立ち、汗と……そして先程から出始めた、彼の下の口での唾と混ざり合う。
 先程の口での奉仕にした時と同じく、できた混合酒を彼にくまなく塗りつけていった。
 「う…おっ」
 彼の快感を堪える声が嬉しい。支えに使っている拳がぶるぶると震えているのだ。
 背を低くし四つんばいになり、男性の脚の付け根に顔や胸を埋めるこの体勢。それが自分にはひどく合っていると八雲には思えた。
 男の人に跪くものだがそれは服従とは違う。逆に、これは自分から好きな人の踏ん張りが全て手に取るように分かってしまう体勢なのだ。
 それに――彼に奉仕しているはずなのに、自らの下着の奥に熱が溜まって、はしたないことになっている現実も、伝わってしまうことはない。

18 :

 「あっ……べとべとに……少し、綺麗に……しないと」
 ぬちゃっ……淫靡な水音を立て、愛しい肉竿から胸を離す。むわっと香り立つのは、唾でも汗でもない匂い。混合酒と言えない程に配分が一極化しつつあった。
 綺麗にすると言ったがそれはタオルやティッシュでふき取るという意味ではなく――。
 「んっ、む……ちゅ、ちゅぱっ……んぅっ……ふぅっ……!」
 八雲は口の中に感じたことのない味がした。こびりついた拳児のカウパーが舐めとられ胃の中に運ばれる。代わりに、今度は両手と胸が休憩に。
 とはいえ隠れるわけではない。今までの行為でたっぷりと濡れていた乳胸は、視界にあるだけで拳児にはいい刺激となる。
 「ん、んんっ……ぁっ……ちゅ…ぱっ……れる……んむぅっ……!」
 そして再開された八雲の――
 「妹さん……今やってること、何て言うのか知ってるのか? フェ」
 「っ……! ……く、口取り……です……///」
 フェラチオ。単語を八雲が認識しているのがはっきりする。
 彼女とてそこまで初心ではないと知っていたので、思い描いたとおりの反応に拳児は気をよくした。
 と、舌のざらついた感触が強く変わった。吸い付いてくる力も増した。……仕返し、のつもりだろうか。
 だがそろそろギアをあげたいと思っていた拳児にとってそれはむしろ望むところである。
 「はむ、んちゅ、んちゅうっ……!……ん、んむぅっ……! ちゅっ…じゅるっ……」
 性器同然に八雲の口壷が音を立てる。たらたらと間から垂れた涎は彼女の勃起した乳頭にかかりギラギラと淫らな光で彩った。
 喉奥まで飲み込むと全身がぷるぷる震え、じゅるじゅると先走りを啜る音を拳児にも聞こえるように奏でてくれる。
 高ぶった男の欲情、それを更に押し上げるように八雲は舌先に力が込めてしっかりと応えてくれていた。
 「よし。次はまた……胸で頼む」
 「はむぅ……ちゅ、ちゅるっ……んっ…こくっ……ちゅぷ……るっ……」
 「……妹さん?」
 「んんっ……! ……は、はい……ちゅぱ…………」
 八雲は数瞬だけ忘我の境に追いやられていた。むわっとした雄匂。唇とその中にとろりと垂らされて堪能させられた男の蜜味。
 今までにない新たな手段で拳児のために尽くせる幸せ。しかもそれが"女"という時には足枷にさえなっていた自らの弱み。
 数々の初めての悦びと若干の酸欠がそこに加わり脳を溶かす――ただ強いだけの酒を飲まされたように。
 「ではまた、私のおっぱいで……お慰めさせて、頂きます……」
 拒否しかけたはずの単語を躊躇せず口に出しているあたりに、抵抗の意思を蕩かされていると拳児にも想像がつく。
 いや、そうでなくても、甘みのある甘露のような八雲の唇が、精気沸き立つ男性器にむしゃぶりついている光景のいやらしさ。
 ウエストからヒップまで、女の子らしい柔らかな丸いカーブを描いた部分。そこがふりふりと誘うように揺れているのを本人は気付いているのだろうか。

19 :

 「っ……すごい……まだ、大きく……」
 獣欲を漲らせた威容が再び胸の奉仕を受ける。早速、喜びに震えるように透明な粘液を染み出して触れた部分を上塗りしていた。
 口の中ほどではないにせよ、ぬちゃりとした水音が混じる。そして左右の胸が擦れ合う音よりは想像よりもずっと大きい。
 「あっ……んっ……れ、れろ……ん、もう少…し……」
 そして八雲はまだ未練があるのか、懸命に顎を引き舌を下方へ伸ばし、拳児の当初より二周りも逞しく起立した反り返りを舐めようとしていた。
 はっ、はっ、と待ちわびた犬のような声。艶やかな黒髪を揺すりながら端整な美貌が上下し、その瞳はトロンとまどろんでいる。
 「(……妹、さん……昨日も、そんな顔……)」
 柔らかな母性に左右から扱かれ、熱い息が先端にかかり、さながら炎で焙られているような官能に拳児は大きく息をつく。
 戦場を交互に切り替えられて、全く別々の官能を味わい射精感が高まっていく。
 本人の意思もあり、できるだけ八雲の好きにさせてやりたい。何より彼女の奉仕を長く長く堪能したかったが、限界は近い。
 まず拳児は感謝の気持ちも込めて、ぐっと腹部にこれまで以上の力を込めた。自然と前方へ伸びその先へ――。
 「あっ……♪ ん……ちゅぅっ…れろ……ちゅ、ぱっ……」
 上向いた声の後、八雲の舌が縫い付けるように距離の詰まった先端を舐めまわし始めた。
 拳児の協力なしに二箇所での同時奉仕を行えるほど、自らの果実は熟れていない。
 力量差を埋めるためにもどかしげに上半身をくねらせた、その直後にきた助け舟。八雲は心から嬉しく思っていた。
 「はぁっ…ちゅ、ちゅるっ…んふぅっ……」
 谷間を犯されながらの口淫奉仕。八雲はさすがの覚えの良さを活かして両者を成立させる。
 まれに自らの指先を伸ばし、乳首に擦り付ける仕草を見せながら。
 その様子――愛しい女の子が、豊潤な果実と花の唇、悩乱な表情を蕩け合わせて女悦を貪っている――。拳児が受ける影響は甚大であった。
 「んふっ…ふぅっ……ちゅ、ちゅ……ちゅぷっ……あぁ……? ビクンって、強く……は、播磨さん……これ」
 「……、ああ。もうちょっとで、イケそうだ…妹さんのおかげで、な」
 「あ、あぁ……」
 単一の責めが合わされば、それはもうただの足し算ではない。遥かに甘美で抗い難い愉悦となって男を満たされてしまう。
 八雲は恥ずかしそうに、けれど自らの奉仕が実を結びつつあることに、感動さえ交え喜んで見せた。
 「で、では……その…ちゅ……さ、最後は……ん、ふぅっ……」
 切ない掻痒感さえ覚え始めた性感帯で拳児を扱きあげながら、おしゃぶりを合間に交え八雲は上目遣いで拳児に問いかける。
 一歩踏み入れた程度の知識しかないために、自ら提案したのはいいものの、フィニッシュについては思考の外にあったためだった。
 「じゃあ、リクエストさせてもらうとすっか」
 迫る本能の爆発。それを辛抱して今しばらく我慢を隠すには、別の仮面を被らなくてはならない。
 拳児が選んだのは――普段の八雲に対しての穏やかな仮面ではなく、飢えた獣の、歪んだ不良の仮面。
 「このまま……欲張りな妹さんの口と、イヤらしいおっぱいに挟まれたままで、だな」
 「えっ……あぁ……そ、そんな言い方……んぅっ……ちゅ、あふっ……」
 そんな弱々しい抗議では意味がない。むしろ逆効果だ。
 八雲の細やかでむっちりとした感触の乳鞠。そこへ自分で手を入れて形を崩し、男を上下に扱くことに活用されながら言われても。
 せめて口だけでも離せばいいのに、額に汗を滲ませ呼吸と髪を乱しつつ、舌先を差し出しぺろぺろと、自らの義務であるように雁首を咥えられては。
 「こ、これは……ちゅう…んぷっ……そ、その……あむ……、ぷはっ……」
 「そうだな、妹さんからやりたいって言ってきたことだしな」
 「! ……は、はい……そう、です……んっ……ちゅ」
 「……」

20 :

 白い裸身が拳児に言葉での蹂躙を受け、被虐美に燃える。
 じわっと目尻に涙を浮かべられてしまい、少々調子に乗りすぎたかと拳児は仮面を脱ぎ捨てながら反省。
 しかし何を言われてもいじらしく優しく包み込んでくれる彼女を見ていると、かえって悪雑な部分が反発し、もう少し我意を通したくなってしまうのだ。
 悪い癖で直さねばならないとは思うのだが。
 「悪い悪い。じゃあ……深く、奥まで飲み込んで、一気に吸い上げてくれ」
 「もう……くちゅっ、ちゅぱっ…………はい。では、その……れろっ……最後まで、ご奉仕させて頂きます……んっ」
 「そんな言われると――いや、よろしく頼む……!」
 調子に乗りやすいのが自分の悪癖なら、表現がいちいちいかがわしいのが八雲の悪癖だと拳児は思った。
 時々彼女の癖というか言葉遣いは男にはズンと来てしまうものがある。
 今まで知らないところで多くの男がこれにやられてきたのだろうか。
 もっとも今に限れば誤解ではないのだが。
 「はむっ……ん、んんっ……! むぅっ………ちゅるぅっ……」
 と、余計なことを考えているうちに八雲は最後の締めくくりに取り掛かっていた。
 裏筋がザラついた絨毯の上を滑っていき、鈴口が舌の生え際を超え、一物がついにその奥まで。
 要求どおり、喉奥まで口いっぱいに拳児を頬張り、その根元にある森林地帯を八雲の鼻先がさわさわと撫でる。
 「っ、ちゅるっ……! ん、んんっ……ッ!」
 そして嫌な顔一つせず、歯で傷つけぬよう慎重な口の動きを意識しながら、喉の奥からの吸引が開始される。
 動かすのは口ではなく顔全体。息苦しさはあるが、これを八雲は拳児に試されているとさえ考えていた。
 その集大成といえる射精では昨日以上に彼に満足して欲しい。彼を満たせる女でありたいから。
 八雲は快楽を撃つ砲台の先端から根元までキスすることで、その一途な想いを伝えようとする。
 「んむ、んふぅっ……ん、じゅ……! ちゅうぅっ……んんっ……!」
 くちゅくちゅと舌と彼が擦りあう音が立ち、口の中に泡が溢れる。溜まったものは掬い上げては塗していく。
 物を食べる、言葉を紡ぐ、息を吸う、表情を作る。そのどれとも違う新たな役目、全ての要素を混ぜた行為へ全神経を没頭させた。
 両手を彼の腰に回して、受け入れている部分をできるだけ狭くしないように何度も何度も包むようにスライドさせる。
 自由にさせている胸も、顔全体を前後させることで同時に揺らし、彼を視覚で楽しませる役目を背負わす。
 鼻からの強い男の人の匂いに眩暈を起こさないように。決して歯などで傷つけたりしないように。
 刺激はあくまでも一点ではなく面の刺激で。そして――
 「くっ……――妹さんっ!」
 ビクン、一度だけ強く震えると、ひっきりなしだった彼の振動が一瞬止む。拳児の背中が反り膝頭が震え腰が突き出る。
 八雲は記憶と変わらぬその爆発を待つ瞬間、歓喜に溺れた。昨日三回も教えてもらった事。隠しているがもうすっかり濡れてしまっている自らの薗で知った事。
 袋の部分から快楽の塊がこみ上げるのも。それが砲身を伝うのも。そして頭がぷっくりと膨らむ姿の――確かなイメージを描く。
 目で見るより、耳で聞くよりはっきりと――それこそ、彼に触れている感覚器官が人の領域を超えたように。
 射精の動きを隅々まで感じ取りながら、八雲は拳児を口の奥で受け入れた。
 ――ビクッ! どぶっ、どぷぷっ!
 清楚可憐だった唇を通り――今晩の報酬が放たれる。卵白にも似たそれは、子種というご褒美。
 ネバネバとしたそれがぎりぎりまで引き絞り放たれた矢のように、放水された大河のように爆ぜた。口中に思い切り吐き散らかされる。
 「むうっ……っくぅん……んん、あむぅっ!」
 ドクッ…ドクッ…ドプッ……! 艶やかな喘ぎ声と淫らな水音のハーモニーが奏でられる。
 肉棒は閉じた口の中で怒涛の勢いで暴れまわって、精液の大群の中には喉へ直接飛び込んでいくものさえあった。

21 :

 (あ、あぁ…………何て、匂い……頭の、中が……蕩けて……せい、えき…)
 男の人が――播磨さんが――たまらなく、濃い――頭が真っ白になる――八雲は甘い幸福感に思考を止める。
 ゾクゾクとした快美がお腹の中に溜まっていき、触られてもいない秘唇が射精に共鳴するように蜜を垂れ流していた。
 口の中が一杯になってしまう。どうしよう、零す? ――そんなこと、できない。
 「んっ……んくっ……こくっ」
 射精途中に許容量を超えた拳児の放出を、八雲は喉下する。眦を震わせ、感じ入りながら。
 舌が勝手に動き出す。不思議な温かさがあった。熱くはないのに、何よりも今の自分を昂ぶらせてしまう温もり。
 体の内側から快楽が広がり高ぶっていく。手は自由なのにぐったりと腑抜けて彼の支えに甘んじてしまっている。
 可愛がってくれるもののいない乳房は小豆が床に張り付いているが、冷たい感触と勃起の熱さが入り混じり心地いい快感となっていた。
 「んはぁ……っ、ごくっ……んくっ……ごく、ごくんっ…」
 背を限界まではり伸ばし、眉毛を普段より八の字にして、四肢を切なげに痙攣させながら、ただただ愛しい男性の精を最高の飲み物のように受け入れる八雲。
 見えない部分での性感の発散を文字通り肌で感じ、下半身を躍らせることで表現していた。
 太腿の間に湿気を感じる。お漏らしではない。これは――。そして拳児の凶暴な咆哮はまだ続く。
 「んふっ……こくっ、こくっ……じゅるっ……ごくん……!」
 咽喉に並々ならぬ量を注がれて息が出来ない。長く長く、息の許されない間は続いた。
 それでも八雲は、最高の美媚をぎりぎりまで味わっていた。白濁液を啜りながら、自らのつたない行為に満足してくれた感謝を込めて。
 昨晩の射精を受けた時と比較しても劣らない、うっとりと蕩けた表情。圧倒的な陶酔に正に屈しきっている。
 危険な誘惑の手招きに端整な美貌はひどく蕩けていた。
 「こく……ん……っ……くちゅっ…くちゅ……」
 勢いが衰え始め零してしまう粗相をする心配がなくなると、胃の中に運ぶのを止め、丹念に歯の隙間にまで浸透させてワインを味わうように舌で転がしていく。
 くちゅくちゅと、頭の芯を朦朧としながらも、未だ熱を失わない太い杭とともに、少しずつ少しずつ――たっぷりと堪能してから、飲み下す。
 やがて射精が止まり――酸欠寸前の真っ赤な表情を危うく見た拳児が無理やりに起こさせた。
 じゅるっと糸を引き、すると思い出したかのように八雲は荒い呼吸を再開する。
 「はあっ、はあっ、んちゅっ……っ……はあ…………はぁ…………ん、こくっ……ちゅるっ」
 「っ……大丈夫か?」
 「は……はい……ちゅっ」
 唇の先に残った僅かな精液さえも啜る八雲。一瞬見えた舌や口内は、肉色ではなく拳児の知る白濁一色。
 それを目の辺りにしたばかりに、真白で純粋な少女を一度の射精でひどく汚した実感と優越感が湧き、暴力性がまた顔を出す。
 萎えかかっていた部分が踏みとどまり、奥のほうに残っていた精液が次の波となって滲み出た。
 「あっ……ま、まだ……」
 だがどこか嬉しそうに。八雲は射精の残照で汚れたそれを、今度は乳房を包みあげて迎え入れた。
 肉丘の間にできた空洞への挿入を拳児の陽根は満足するように受け入れて吼える。
 ピクン、ピクン――軽く胸の中で放たれて、八雲は乳悦を感じるとともに、うっとりと愛らしい視線で胸を汚される様子を見つめていた。
 今度こそもう脈動が止んだのを確認して彼を解放する。レモン色の糸が引き、残りの精液が胸に印を描く。
 そして――八雲の体から力が抜けていった。

22 :

 ・・・・
 ・・
 「……いかが、でしたか……? その……私が、播磨さんに、して……差し上げたこと」
 「見て、分かるよな」
 「……はい。まだ、大きい……です」
 「最高だった。けっこう妹さんイヤらしいんだなって思ったし」
 「えっ!? そ、そうですか……?」
 「自分で乳首いじってたし。ちゃんと見えてたぜ?」
 「っ……あ、あれは……そ、その……」
 言葉に詰まってうつむく八雲。勝ち誇る拳児。二人にしては珍しい光景。――と、行為が収まり汗で体が冷えてきたことに拳児は気付く。
 このままでは暖房の風も逆に作用してしまう。すぐ近くに転がる毛布に目を向けた。
 「冷えるだろ? 俺の布団は固いけどまあ、ちょっと休もうぜ」
 「え? では服を――あ、は、はい……」
 服を着ればいいじゃないか。そう言いかけた八雲は寸前で興をぐところだったと反省する。
 一通りの行為が終わり……甘い甘い、恋人としての性に限らぬ交わりまで求められているのだ。
 「失礼……します」
 嬉しさに、拳児の作ってくれたスペースに身を寄せる。彼の懐はすぐ近くにあった。八雲は下を、拳児は上を着ているがこの状況は朝の再現といえる。
 同じ布団の中で、体を重ねて。八雲は彼の今の心音を聞いてみたかった。
 「最初は冷えてるかもしれねえけど」
 「いえ。暖かい……です」
 「……だな。妹さんがいてくれるから、な」
 「はい……播磨さんが、いてくれるから……」
 こつん、と八雲は拳児の胸板に額をぶつけた。
 キスをして欲しい――そう言いたかったが、彼の精液で満ちた口ではふさわしくないと思い留める。
 そんなこと気にするなと拳児は言うだろうけれど。水で濯いでくればいいのだろうけれど。でも離れたくない。しかし、彼は心を読んだようにして。
 「妹さん。上……向いてくれねえか?」
 「えっ……で、でも……」
 「下を向かれるほうが辛い」
 「…………はい!」
 交わされたのは、相手を労わる軽いキスだった。本当に、唇と唇を擦り合わせるだけの。
 それが二度、三度とどちらからというわけでもなく布団の中で繰り返されて、少しずつ熱を帯びていく。
 唇の間を開き、歯茎を舐めて、隙間を作り、舌と舌をやがては絡め合う。唾液の交換をしているうちに拳児の匂いも失せていく。
 「んっ……播磨、さん……ちゅうっ……好き。……大好き……」
 「俺も好きだ。妹さんが、塚本八雲が大好きだ……んっ」
 八雲は拳児の服と肌の隙間に手を入れていた。空気さえ二人の間に入れたくなかったから。両手を挙げてもらい、全裸になってもらう。
 そしてまたキス。恋人達の、熱いキス。八雲は自分の胸が彼の胸板で潰れるのがわかったし、それでまた隆起を促してしまったのも分かったが、
 愛らしい接吻が十を超えても止めようとはしなかった。拳児があえて何もせず八雲のしたい動きに任せれば、次は八雲が拳児のやりたいキスを受け入れる。

23 :

 やがて行き場を彷徨う手が、背中や肩といった無難な箇所からわき腹や腹、うなじや胸元といった性感帯の傍を通るようになってきた。
 「はあ、はあ……播磨、さん……なんだか、私……ごめんなさい……」
 「いや。やべえな、俺も……」
 うっとりと睫毛を震わせて、八雲は再び悩ましい情感に捉われた。してはいけない禁忌を体が求めている。
 先の口唇奉仕にて感じた飛翔感をもっと強く激しく――灼けるような鋭痛の先にあるあの恍惚を授けて欲しかった。
 そして拳児もまた八雲を……それが口でも胸でも、性器であっても構わないので強く欲してたまらなくなる。
 「ごめんな……明日、妹さんが学校行ってる間に……用意しとく」
 「……はい」
 堪え切れないと、コンビニに走って間にある雰囲気を崩すより、こうして耐えながらも傍にいたほうが幸せだった。
 今日一日我慢するくらいの……好きな女の子を大事にしようという気持ち、矜持はある。
 八雲もそれが伝わってきて幸せだった。少しずつ少しずつ、体の火照りが痺れが和らぐように落ち着いていく。
 何もせず、ただ身を寄せ合っているだけでも満たされるものはあった。

 《……そろそろいい?》
 「うおっ!?」
 「えっ?」
 居心地のいい空間が突然終わる。天井から聞こえてきた例の少女の声。
 突然のことに悲鳴を上げたのは八雲と拳児共にである。
 非現実的な出来事に、二人は理性と常識を取り戻していく。
 見上げると、天井にはひょっこりと、重力を無視して逆さま立ちのままでいる、あの幽霊の少女の姿があった。


24 :

 ――――――――
 ここまで。
 次回はエロパロ的な幽子の役割を説明してから、本番(の前戯)になります。
 明日は休日なので投下できるかわかりません。
 それでは。

25 :
>>24
GJ!スクランのエロパロで初めて八雲のパ○ズリ読んだ気がする
エロシーンまだ長そうで期待
幽子も連動で喘がせて欲しいが八雲主体だしそれは無理かな

26 :
乙です。楽しみました。
ところで別冊マガジンだかでスクラン微妙に復活してたね。
この投下と時期がだぶってたんでコンビニで見つけたとき
ニヤリとしてしまった。

27 :

やっぱりおにぎりが基本で最強

28 :

 ――――――――
幽子はちょっと絡められないです、すいません。
二人を同時に動かす技量ナシ・・。
気を取りなおして本番H編を投下。週をまたぐことになりそうなのでラストまで。
メインとなるHシーンはこれで終わり。

29 :

             *

 《あなた達、子供欲しいの?》
 用件は直球だった。繰り返すが少女は人ではない。なのでほとんどの人間にあるはずの恥じらいが彼女にはない。
 状況と言葉だけを抜き出せば倒錯しかけた若者達を叱りつけるものだが、表情に険しいシワは刻まれていなかった。
 返事を聞いた後にまだ話がある――そんな様子。上下を戻し、すとんと、体重はおろか気配さえ感じさせないステップで少女が床に足を着く。
 《聞いてるんだけど? どうなの?》
 「あ……あのね……」
 一瞬だけ八雲は拳児のほうを見た。無言で頷かれて意思の統一が行われる。
 「……今は、まだ……私達にはいろんな意味で、早過ぎるから……」
 《…そう。なら都合がいいわ》
 「都合? 都合って、お前のか?」
 それぞれ毛布と布団で裸を隠し、座ったままの八雲が代表で答えて拳児が質問を投げ返す。
 情事の最中に年下の子供に目撃された気恥ずかしさを隠しながら。
 《そうね、私の都合。だって子供が欲しいのにできないんじゃかわいそうでしょう?》
 「えっ――」
 余韻が体から消えた。盛る炎に二酸化炭素の塊を噴射したように一瞬で。八雲は一言だけ残し、そのショックに絶句する。
 拳児も同じく疑問を浮かべ――どうしてそんなことが分かるのか、どちらかの体に原因があるのか――悪い予想に胸を掴まれながら少女と自分の目を線で結ぶ。
 《そうこの世が終わったみたいな顔をしないで。私が邪魔しちゃってるってだけだから。解決方法だってあるわよ》
 「え……?」
 「いや待て、話が追いつかねえ。一から説明頼む。どーいうことなんだよ」
 《簡単に言えば、ヤクモの身体に入った精……それが命となる前に、私が頂いちゃっているってことよ》
 少女の話は以下の通りだった。
 八雲の全身には見えない小さな穴が空いていて、それが少女とを繋ぐ魂の綱となっている。
 彼女はそこを通し八雲から最低限の動力資源を得ているとか。
 見えない無限の糸で繋がった奇妙な同居生活を二人は営んでいるのだ(まだ一日経っていないが)。
 得ている、と一口に言ってもそれは様々。人が水を飲んだり野菜を食べたり、時には他の生き物の命を口にするように。
 《生命、気力、生気……色々言い方はあるけれど、存在するために最も大切な本源……"生きる力"、"繋ぐ力"ってとこかしら。そこに根ざす全てね。私が貰っているのは》
 「どう見ても悪霊じゃねーか」
 《……怒るわよ? 最低限って言ってるでしょう。病気でもない限り、眩暈一つ起こさないはずよ》
 「え、えっと……それと前の話がどう……関係するの?」
 体力や精神力といったものに限らず、八雲の上向きの感情はプラスとなるらしい。
 "生きる力"に、近ければ近いほど。そして……性交渉もその一つ、むしろ推奨される手段であるとか。
 少女は両手の人差し指を立て、その先端同士をゆっくり近づけやがてはちょん、とくっつける。

30 :

 《"気をやる"瞬間にね。まどろみ、溶け合い、人が人でなくなる一瞬……二人は互いの無防備な精神に触れることができるの。
  そしてヤクモに触れるということは私にも触れることになる。架け橋ができるから、私はケンジからも貰うことができるというわけ。
  誰でもいいわけじゃないわ。間に心の道ができているから可能なの。だってほら、ケンジも今は私の姿が見えるでしょう? それが証拠よ》
 話の中にあった、自らの能力にも関わる言葉にえっ、と短く声に出す八雲。
 月の日が来ればもしかして……。期待に揺れてしまいそうになる。それは当たり前のことなのに。
 《――》
 説明が続く。二人が行為に至る前、少女が八雲に話したとおり彼女は寝ていた(無駄な消費を抑えていた)のだが、
 八雲以外との繋がりができたことに驚き目覚め、そしてせっかくだからと拳児から頂戴したために、こうして姿を見せるくらいのことはできるようになったとか。
 最も、それも得た分を使い切るまでの話とのこと。ちなみに天満は八雲との間に既に言わずもがなな繋がりがあるために、余計な手順を踏まずとも少女が見えたのだとか。
 それを少女が説明できるとはつまり、口で何を言おうとも、本当は"おねえちゃん"に今も想われていたと理解していたということなのだろう。
 《ケンジからヤクモに触れる時に与えられる精にある……人には見えない"命となる力"…それを私が貰ってしまう。
  あとは分かるわよね、穴の開いた桶に水は溜まらないのと同じ。……卵を狙う蛇なんて思わないでね。
  新たな生命を成すためではなく、今ある私を生かすために使われてしまうと思ってくれればいいわ》
 「そう、なんだ……」
 「……とりあえず、妹さんについて理由は分かった。じゃあ……さっき言ってた、その、子供できるための解決方法ってのは?」
 口にしつつも答えはだいたい想像がつく。
 要は拳児の子種にある目に見えない部分……それを彼女に先に取られる(この表現が適当かは別として)のをやめてもらえばいいのだ。
 《私のほうから八雲に繋がる穴に蓋をすればいいってことよ。だから赤ちゃんが欲しくなったら言って。
  まあ……人間は十月十日。母体の体調を考えると、一年分は先に私が貰わなきゃ困るけど。消えてしまえっていうなら話は別だけどね》
 そんな見捨てるような真似をするはずがない。だが。
 少女の説明の意味するところに、くらっと、八雲の頭がふらついたのを拳児は見逃さなかった。そして拳児にもある妄想に近い予感が脳裏をよぎる。
 「待って……/// ……じゃあその、一年分……? 蓄える、には……えっと」
 「お、オイ……」
 頼む、間違いであってくれと二人は願いたくなった。
 普通に八雲から貰う分ではその日その日が精一杯で蓄えなどとても無理だという。
 だが拳児と交わることでその助けとなるらしい。そして少女が首を縦に振らない限り子供ができる危険はない。
 《もう、わかるでしょう? もっとじゃんじゃんこの男から貰えばいいって。効率が上がるように二人で努力を続けてね》
 「ど、努力……」
 「……スポーツみてーに言われると、なんつーか……」
 《八雲が病気になったり一人になりたい時も、蓄えた分を使わせてもらえば問題ないわ。……何よその表情。不満なの? どうせ今日だってこれからするのでしょう?》
 「ぐっ――」
 《頑張ってね、パパとママ。じゃ、私はちょっと夜の世界でも見てくるわ。おかげさまで一晩は動けそうだし》
 爆弾発言だけを残して、やけに軽い足取りで少女は空を歩くように窓の外へと姿を消し――カーテンのようになびいていた長髪の全てが、本当に見えなくなる。
 彼女は天然の要塞(避妊上の理由で)……ごほん。拳児の脳裏を、首を絞められても文句の言えぬフレーズがよぎる。
 残されたのは、呆然と立ち尽くす半裸の男女。

31 :

 「……あ、あの…播磨さん……」
 先に口を開いたのは八雲だった。声には難しいことをどう言うべきかという迷いがある。
 自分が持つ普通の人にはない特別な事情――心を読む力であれば次に発現した時に話せると思っていたが、
 そんなことより大事なのは少女の件である。そうなると知らなかったとはいえ、二人の問題に発展してしまっているのだから。
 八雲は拳児に背を向けた。隠したいのは裸の胸か、その表情か。
 戸惑いの原因は少女と通じた事に対する具体的な身の変化。後悔していなくても、心の整理がまだつかない。
 「ごめんなさい……けれど、隠していたわけではないんです。先程話したように、何も具合の悪いところはなくて……」
 「分かってる。それに妹さんは妹さんだ。塚本八雲っていう女の子だ」
 この部屋に来てから交わした会話、あの時は八雲は特に異常はないと言っていた。
 嘘をついたわけではないが正しくもなかったことになる。それが心苦しく思っているのだろう。
 背を向けたまま弁明を試みている八雲を拳児は制止した。
 ほっと息を吐いたらしい彼女だが心がまだ完全に晴れていないのが分かる。何が曇らせているかははっきりしていた。
 「……もしかすると私……自分で気付かないまま少しずつ」
 それは可能性の一つ。知らない内に八雲が拳児の求めない方向へ――拳児の好きになった八雲が――
 「変わらねえよ。幽霊の友達がいたとしてもな」
 「……あっ」
 拳児は八雲を背後から抱きしめた。腕や指先が八雲の胸や腹に触れたが、不思議とその行動には性的な欲求が感じられない。
 お互いほとんど衣類を纏っていないが、この数秒間のみ神秘的でさえあった。さながら名画の中で交わる裸の男女のごとく。
 「不安なんだな、妹さん。そりゃそうだ……でも大丈夫。大丈夫だ。あいつだって悪い奴じゃなさそうだしよ」
 「それは……はい。何より、私が選んだことですから。でもそれに……播磨さんまで巻き込んでしまったのは」
 「問題ねえ。妹さんは人の面倒見てばっかだ。ちょっとは自分の事を共同作業させるのに慣れた方がいいと思うぜ」
 「播磨、さん……」
 抱擁が一段と優しいものになった。八雲は拳児の手の上からそっと自らの手を重ねる。
 全てを委ねたくなる程に嬉しくてたまらない。
 けれど――まだ。
 言葉だけではない、世界一の安心を、二人の間だけである幸福を。
 八雲は拳児から与えて欲しかった。
 拳児は八雲に与えてやりたかった。
 自然と、二人の意識は一つの行為に収束していく。
 「では…………播磨さん」
 「ああ」
 「……確かめて、頂けますか?」
 「ああ」
 「お願い……します……」
 意味していることがはっきり伝わる。
 少女の話が真実であるということ。
 けれど八雲が何も変わっていないのだと。
 彼女の体を……文字通り隅々まで。"気をやる"瞬間まで……知ることで。確かめるのだ。


32 :

 ・・・・
 ・・

 「こ、こんな格好……」
 「苦しくねえか?」
 「少しは……で、でも……それよりもずっと、恥ずかしい……です」
 かあっっと八雲は頬を赤らめながら眼下の光景を見つめていた。
 恐ろしく不自然な体勢。今にも崩れてしまいそうな危うさのある格好。
 八雲は仰向けになった状態で拳児に下肢を持ち上げられていた。
 足首、脹脛、太腿、臀部――と、体育の授業でマットの上で後転するように、下半身が頭のほうに近づいていく。
 顔が熱くなっていくのは血液が頭に昇ってきているだけではないだろう。
 「膝を曲げる。力抜いてくれ」
 「は……はい……あっ」
 体重を拳児に預けているので長く続けなければそれほど苦しくはない。
 言われるままに脱力し――柔軟な体がぐにゃりと曲がり、逆さまのまま両脚をM字に広げられてしまった。
 「あぅ……」
 ――まんぐり返し。八雲にとってひどく羞恥心を刺激されるスタイルだった。
 天井が見えた。目の前にあるのは塗れそぼった自分の下着。そしてすぐ近くにある拳児の顔。息がさわさわとくすぐってくる。
 大事な部分を薄布一枚で丸見えにされ、息のかかる距離で見つめられ、八雲は恥ずかしくてたまらなかった。
 運動慣れしていない自分には無理があると思ったが、いざやってみれば羞恥の前に頭への重力も消えてしまう。
 香りを楽しむようにすんすんと鼻を鳴らされればその気持ちは更に高くなっていった。
 「よ、よりによって……こんな」
 「これなら、俺からも妹さんからもよく見える……確かめられるからな」
 「あっ……そ、そう…です……けれど」
 ふにゃ、と八雲の強張った肉の張りが緩む。
 先程の会話、"確かめる"からの流れ――この体勢に至った経緯を説明されたために。
 拳児はそれ以外にも彼女の疲労もあると考え、あまり時間をかけられないと意を決した。
 「苦しくなる前に、やらせてもらうぜ」
 「え…は、播磨さん待――あっ!」
 ぴちゃぴちゃ。うっすら透けてほとんど用を成していない薄布の上から、拳児の口がかぶりつく。
 膨らんだ恥丘のラインに沿って肉筋を前後に擦り吸い付いてきた。
 「んんんっ! だ、だめ……ぇ」
 ずる、じゅるる、じゅるるる……ショーツ越しに吸いつかれる感触に八雲の四肢が弛緩して、両脚や背が崩れそうになる。
 だがそれを拳児は素早く抱え建て直し、そのまま舌で八雲という花を啜り続けた。
 啜れば啜るほど湿り気は増す一方で、まるで衰える様子がない。

33 :
 「こんな濡らして……俺にしてくれてた時から、だよな」
 「ん、んん……あっ……そ、それは…はあ、ぁ……」
 より頬を色濃く赤らめて、我慢できずに目を瞑ってしまい、ぷいと顔を逸らす八雲。
 それでも彼から与えられる女の痺れからは逃れられない。目を閉じたせいで逆に触覚が鋭敏になってしまう。
 例えば――甘い愉悦に、隠唇がうっすら開きかけていること。
 彼の息を受けた柔毛の一本一本が逆立ってしまっていること。
 自分の喘ぐ声が男性を悦ばせる女のそれになりつつあること、等。分かってしまう。
 「んあっ……! そ、そんな」
 波のような刺激に、八雲が可愛らしい悲鳴を上げて腰ごと跳ね上げた。
 下着と潤んだ蜜壷の隙間から直接舌が入り込んできたのだ。
 薄い茂みを太い蛇が這いずり回る。泉に近い良い"巣穴"はないかと亀裂を擦って。
 「はうっ……んん…あ……あ、あの……ひぁっ」
 「おっと。苦しかったか?」
 「い、いいえ……ただ、ゾクゾクって」
 「そっか。よし、じゃあそろそろ――」
 言われる前に何か分かった。拳児が先に縁に手をかけてきたから。
 女の子の秘密の唇を隠す、最後の遮蔽物。僅かに引かれ浮かされると、間にねっとりと糸を引いていた。
 自分の秘部で起きていることをはっきりと目の当たりにし、観念したように八雲はスラリとした両脚を天衝く様に揃えて伸ばす。
 「ど……どうぞ」
 脱がせやすいように。すると――スルッ。静かに、あっさりとそこは露にされてしまった。
 美肉の乗った脚を伝って八雲の裸身を隠していた最後の部分が離れていく。
 ショーツはキュッと締まった足首を通り過ぎていった。
 (見られてる……恥ずかしい……)
 冷たい空気が入ってくるが、すぐに羞恥の熱に温められる。
 電気を流されたような刺激を立て続けに受け、上品でない液体をトロトロ漏らしてしまっている部分。
 露になったそこから自らの蜂蜜が溢れ出し、重力に引かれ背中やお腹のほうにも滑り落ちてきているのが分かる。
 たまらなく恥ずかしいが、八雲は昨日のようにじたばたと暴れるようなことはしなかった。
 それは反省もあるが――何より、早く続きをして欲しいと女の本能が求めてしまっていたから。
 彼が口数を少なくし、じっとそこを凝視しているのがわかったから。
 「綺麗だ…今の俺じゃあ、出せねえ色だな」
 「や、やぁ……」
 評されたのを拒否する一方で、八雲は脚の形を男を誘うようなM字に自ら戻す。
 伸びた大腿部の筋肉に引かれ、閉じきっていた八雲の縦筋が、くぱ、と僅かに口を開いた。
 濡れそぼった鮮やかなピンク――昨日は少し薄暗くて隅々まで見ることができなかった秘奥。
 誘うような花の蜜が香り立ち、拳児はごくりと喉を鳴らす。
 「昨日のココ、すごく熱くて柔らかかった。受け入れてもらえて……嬉しかったぜ」
 「え、え……ふあっ!」
 素直に喜んでいいのか八雲が戸惑う間もなく、蛇が蹂躙を再開する。
 体を軽く押され、脳に血が集まってきて、八雲は息苦しさが増してきた。
 だが――くちゅくちゅ、ぴちゃぴちゃ。ザラつく舌が直接、快楽の源泉をかき混ぜてくる。
 頭を責める苦しみと沸き立ってくる恍惚とが反発しあい、せめぎあい、結果的に激しい落差となって八雲を襲う。
 「はぁ、はぁ…んあ、ん、ん……。あ、あ……ピリッ、て…」

34 :

 溢れる甘い苦しみに八雲は何度も短い悲鳴を上げた。
 脳が弾ける刺激を前にもうすっかり体に力は入らず、拳児の助けなしではとても体制を保てない。
 「支えてるから大丈夫だ。もっと…妹さんを見せてくれ。……つぷっ」
 「そんな……あっ、あっ、あ、あ、はぁあっ」
 拳児の舌使いに合わせ、間欠的に喘ぐ声。腰の浮いた中途半端な体勢は何もかもが不安定で、確かなものをより強く求めてしまう。
 やがては指先までが肉を割ってきた。一本――二本――つぷつぷと、花弁の中に第一間接まで埋まっていく。
 「ひ、開かれて……や…恥ずかしい、です……」
 実況までされて、目を伏せられて、間近にあるフェロモンの源泉が香り立って。
 拳児はもう止まらない。深く沈められる程に八雲は腰をがくがく揺らしぷるぷる震えた。
 そして挿入された指先が少しだけ左右に広がったと思った瞬間――
 「は、んああぁぁっ。だ、だめ…ぇ…!」
 拳児の舌が奥までねじ込んできた。あまりの刺激に八雲は強く叫ぶ。
 そのまま、突き立てられ、えぐりこまれ、かき回されて。
 入り口付近の膣壁がヒクヒク動き、トロリとしたお汁のお漏らしが止まらず彼の口がそれを受け止めてくれている。
 自分の陰唇と彼の唇がディープキスをしていることが分かってしまった。
 パチパチと頭の中で白いものが弾けていく。
 「ん、んんんっ……! そ、そこ……だめ……ふぁ、あぁ……」
 鼻息が薄い森を掻き分けて奥の真珠が冷気に晒される。
 奇襲を受けてたまらず甘い声。ほんの少し息がかかっただけなのに。
 (だめ…、…こんなの……もう……あぁ、播磨さんにされて……我慢、なんて…)
 官能の強い波が起きているのが分かる。もう止められないということも。
 舌技を受けて開いた太腿はがくがく震え、浮いたつま先は閉じたり開いたりを繰り返している。
 このまま――上下逆さまになり恥ずかしい部分を見せたまま、愛する男の人に舐められたまま、はしたない声を出したまま――迎えてしまう。
 挿入された彼の舌に、柔らかく内部で蠢かれる。あくまで容赦せず、それでいて優しく。
 「うぁ……あ…あぁ……は、播磨さん……私、もう……あんっ…!」
 「イクんだな、妹さん」
 「は、はい……あぁんっ……あ、ああぁぁぁ、で、ちゃ――は、離れ」
 燃え上がる下肢はもう我慢できそうにない。
 恥ずかしいことになってしまうから拳児に顔をどけてもらうつもりだった。だが――かぷっ。
 「い、あぁっ――!」
 充血した肉芽を拳児は甘噛みしたのだった。
 それを引き金として八雲は激しい絶頂を迎えた。
 甘い甘い大波に意識が浚われて、何も考えられなくなり、与えられた女の悦びだけが全てになる。
 体の中の扉が開いたような。蜜壷から勢いよく愛液が吐き出された。ぴゅくぴゅく、とぷとぷ、音を立てて。
 溢れる物の中には勢い良く飛び出すと、良い軌道を描き真下にある八雲の顔を汚すものさえあった。
 「あぁ、イクっ…… イク、イク……っ…! はぁ、あぁっ……んあぁっ――!」
 恥骨に突き刺さる鈍い痺れ。それに意識を吸い取られて快感へと生まれ変わる。
 ほっそりした体を押さえつけられながらもくねらせて。
 華奢な腰を揺すり、切なく喘ぎ、背を逸らし胸を突き出して強調し、発情した痴顔さえ隠さずに――八雲は激しく悶え劣情を晒していった。

35 :

 (あぁ……私……)
 ぐったりと全身の力を抜いて、達した開放感と血の降りていく感覚に身を任せる八雲。
 気持ちイイのがまだ抜け切らない下半身は、もう拳児の手を離れ自由だった。弛緩して、彼の布団の上で伸びている。
 その下には世界で一枚だけの地図が描かれていた。いや、今なお描かれ続けている。
 ぴゅく、ぴゅく。太腿の間は未だに蜜を溢れされていた。
 「大丈夫か?」
 「……は……はい」
 荒い息を立て、汗の浮いた豊かな胸を上下させながらなんとか返事をする八雲。
 先程自分が同じ事をした時、この人は恥ずかしくなかったのかな、と少しずれたことを考える。
 それは男女の物の考え方の違いということで納得することとした。それよりも――。
 「よし……次は」
 「はい……」
 ここで終わるつもりは拳児も八雲も毛頭無かった。
 互いが互いの肉体を磁石のように求め惹かれているのが分かってしまう。
 八雲はすっかり男を受け入れる部分ができあがっているし、拳児も八雲を貪っていた頃から股間が熱く煮えていて出番を求めていた。
 「じゃあ妹さん――」
 まんぐり返しの影響はもちろん一日の疲れもあることで、拳児は八雲にできるだけ楽な体勢をさせてやりたかった。
 それでいて自分も好きに楽しめそうな――数少ない知識を搾り出す。
 「よし。壁に手をついて、尻をこっちに向けてくれ」
 果たしてそれが八雲に楽なのだろうか――まあ自分が支えればいいか――と考えて拳児はリクエストする。
 「! ま、また…そんな……恥ずかしい、格好…」
 予想通りの弱々しい抗議。だがここは拳児にとって譲れない。
 何となくだが、八雲は被虐されることに弱くて愉悦を感じてしまうタイプ――そんな気が昨日からしていたから。
 被虐と言っても、羞恥を煽られるのに人一倍弱い。そんな程度ではあるが。
 「……好き、なんですか…?」
 疑問を口にしつつも八雲はのろのろと立ち上がり、言われたとおりの格好をした。
 中腰のまま手を伸ばし壁に体重を預け、出来上がった秘貝を下からくいっと高く上げると、滑らかな曲線を描くお尻を愛する男へ捧げるように突き出す。
 下着はとうに脱いでしまっていたためパールピンクの秘園から汗染みの広がる菊座までが拳児からは丸見えである。
 砂時計のように深くくびれた肢体、そこから続く脚線美は見ているだけで悩ましい。
 「いくぜ……」
 だが長く観賞されることはなく、拳児は八雲のすぐ後ろに立ち細腰に手を添えた。
 腰の位置を合わせるとすぐさま……口奉仕により大理石のように磨かれていた男根が八雲の媚肉へ埋まっていく。
 最高の肉の張り具合、火傷しそうなほどに熱い潤いが拳児を迎えた。
 「くう…っ!」
 「んあっ――あぁぁっ」
 左右の花唇と中央の拳児との間で、じゅぷりと繋がりを意味する音がした。
 先端に入り口をこじあけられて八雲は大きく弓なりに背を曲げる。

36 :
 昨日の今日――だが抵抗するようなものはどこにもない。バックスタイルで粘膜のカーテンを割り割かれ、八雲は挿入を受け入れていく。
 愛する男の身体に貫いてもらえた喜び、待ち望んでいた感覚が注入をひどくスムーズにしていた。
 「ふあ……あ……あ……深、い……あぁ、ぅぅんっ!」
 男女の血走った欲情が相手によってそれぞれ満たされていく。
 膣肉が収縮しビクン震え、進む先に真空の渦ができたように拳児を深く深く飲み込んだ。
 グッグッとスライドを刻んでいく動きが八雲の腹の底に火花を散らせ、膣肉を抉る度にその形を覚えこませていく。
 「広がって…あぁ……奥に、届いて……くぅっ、お、おおきい……ぶつか、ちゃ……」
 子宮を持ち上げる勢いで腰を前後させる拳児。
 まだ未熟な少女の肉は奥に行くほど厳しい締めつけで迎えてくるが、二歩引いては三歩進むの要領でピストンを打ち食い込ませていく。
 肉襞の一枚一枚を数えるように往復されて、八雲はその都度眩しい快楽を貪った。
 「あん、あぁんっ……ふぁ、あぁ…」
 「悪いな、ちょっと踏ん張ってくれよ」
 「んっ…は、はい…大丈夫、です……ふぅっ……!」
 肌と肌の間には愛液が混じっていて飛沫が二人の太腿を伝い落ちていく。
 ぱちゅ、ぱちゅっ。つぷつぷ。ぐちゃ、ぐちょん。八雲の丸いお尻と拳児の下腹部とがぶつかりあって淫靡な交わりの音色を立てる。
 その影響を最も受けたのは――重力に引かれて重たげに垂れ下がった。ボリュームある乳果だった。
 支えるものがないために、肉層を超えられる度にぷるんと揺れるその姿。
 八雲の細身の身体に映えて、背後の拳児からでも一際存在感を放つ。
 視線を察したのか、壁に両肘を立てている八雲にちらちら流し目を送られる。
 「んんぅ……はぁ……は、播磨さん……お、おっぱいも…どうか…っ、いえ、どうぞ……」
 慌てて訂正されてしまったが、それは確かに懇願と取れる言い方。
 少しずるい気もしたが、これもまた双方向――問題ない。
 もとより、揺さぶられる裸身とそれに同期する誘惑の双桃とを、黙って見るだけなど拳児にはできないのだから。
 「あぁ…くんっ……んっ、んんっ……、好きに、なさって……」
 腰の動きを続けながら、むんずと両手で鷲掴みにする。むにゅり。ようやく自由にできた興奮に指の牙が自然と柔肌へ食い込んでいった。
 先端に芽生える愛らしいツンとした突起は既に固く、手のひらで字を書くように転がす。
 「あん、あぁん……あ、あぁ……もっと…強くても、大丈……ひぅっ――!」
 下から重さを測るように持ち上げてみたり、桜色の乳首をコリコリ摘んだまま擦ったりして、拳児は八雲を甘い声で喘がせる。
 やがては両の先端の動きを変えた。片方は指先を深く沈めて反発を楽む一方で、残る片方は色濃い一点の周囲を小指の円運動でじらしてやる。
 「んんっ……へ、へんです…何か……イイのに、足りなくて……やぁっ、きゃぅっ!」
 柔らかに揺すられる八雲の母性。
 同じ形をしているというのに一つは先端を激しく弄ばれ、一つはちりちり熱で焙られる切なさで止められている。
 「あっ、あぁっ、あ、……遊ばない、で……」
 快楽の中にありつつも八雲はアンバランスさが不満なようで、ふるふると自主的に胸を揺らして淫らなダンスを知らず知らずに舞っていた。
 覆いかぶさる体勢のおかげで八雲の艶やかな髪の乱れもよく見える。
 「はぅっ、ううぅん……奥に、当たって…」
 満足いく手触りと反応を堪能しつつも、拳児は腰に体重を乗せて骨にまで響く撃ち込みを止めていなかった。
 いや、正確には胸の愛撫と連動して締めつけが強まるためにとても無視できないでいたのだ。
 ズンズンと進行を進めていた下半身は今や根元までが埋まり、挿入感の深さが際立つ。
 八雲の流す液体の粘度は増していて濃厚な色香が先程より強く匂う。
 上も下も、バックスタイルならではの味わいがあった。
 腰の震える刺激を堪能しながら、拳児はこの体位を選んでよかったと自らの選択に花丸をつける。

37 :

 「あっ……! はぁんっ! オクに、当たって…あ、あぁ――っ」
 胸を揉みしだかれながら突き込みを受ける。今の八雲には痛みを堪えるものよりも蕩ける声色のほうがずっと多かった。
 子猫が身を寄せるようにして八雲が背中をすりすり揺らす。正面に相手がいないのが少し寂しいらしい。
 その様子を見ていると拳児は嬉しくなった。彼女が満足し、なおも求められていることが。
 真っ赤に上気した耳やうなじ、震える肩が無防備すぎて、つい唇を近づけて息をかけてしまう。
 「ふーっ…」
 「あ、ぁぁっ! な、何を……んんっ!」
 眉根を寄せて、甘い恨みの篭った目で見つめられる。
 ぱくぱく金魚のように口が開くが八雲からは喜悦の呻きしか漏れて来ない。
 じゅぷじゅぷっ――ストロークを速めてやればそれは特に顕著だった。
 離れていても伝わってくる顔の体温が八雲の表情をより艶っぽいものへと変えていく。
 「あ…あんっ……あっ、あっ…いぃ……」
 抗議を諦めたらしい八雲の声が再び淫蕩に沈む。
 ぼーっと呆けたような瞳でどこでもない場所を見ていた。言葉がもう官能を拒絶していない。
 (ふあ、あぁ…イイ……どこも…気持ち、イイ……)
 刺し貫かれぐちゅぐちゅに攪拌され嬲られた膣肉。
 海綿体の先端にキスをされ熱い疼きの止まらぬ子宮。
 根元から搾られて前に突き出て、端整さを台無しにされている乳房
 そのどれもが気持ちよくて、動物のようにはっはっと紅舌を鳴らしてしまう。
 鈍痛は感じるが陶酔感の中にあっては逆にいい刺激でしかない。
 ぴゅぴゅっと内壁に拳児の先走りを放たれれば、後を追うように切なげに背筋が痙攣すると、自らも恥蜜で足元を汚してしまう。
 「あぁぁ…だ、だめ……い、いっ…!」
 身を焼く快楽に感じ入り軽く達する八雲。だが――まだまだ。彼女の中心は貪欲に拳児をもっと奥へ招こうと蠢動していく。
 白いさざなみが脳の奥を流れていっても、また同じものがほんのすぐ近く、手の届く距離まで迫ってきているのが分かる。
 再度押し流されて――連続した絶頂が理性を飲み込み暗い喜びの沼へと突き落としていく。
 「また…イクッ……! 次も、また……すぐ、イって、しまって……!」
 背筋に荒い息がかかってきた。肌から伝わる愛する男性の興奮。絶頂直後の弱々しい精神にしみこんでいく。
 乱れる自分を受け入れてもらっている嬉しさに、本能で動く子宮は孔を開くことで"お返し"を試みる。
 タイミングよく、男性器の先端が丁度そこへ迫っていた。
 膣道は粘膜を伸ばしきられたまま限界まで詰め込まれ、なおも肉塊は鋭敏な子宮口を狙う。奥まで深々と繋がり合おうと。
 だが最奥にキスをした瞬間に、はむっと発射口を甘噛みされた奇襲を受けて、拳児はたまらず密着したまま腰の動きを激しくした。
 「ぐ…! もう……っ」
 「ハイ…私も…ま、また……」

38 :

 射精間近でなおも抉り返そうとしてくる愛する男性の肉槍。繋がりあった部分が戦慄く。甘い幸福感に八雲の従順な乙女の精神が蕩けた。
 世界一と思える幸せに、八雲は重力の束縛が消えた気がした。彼しか考えられず快楽だけを追求したくなってしまう。
 「ひ、ひぁぁ…! わ、わたし…もう……もうっ……!」
 ぐにゅっ。拳児の両手が卑猥に揺れる乳肉を強く搾り取る。
 ピリピリした電流は胸の先端から射精してしまいそうな程の愉悦をもたらしてくれた。
 淫らな螺旋を描く形のいいお尻が肉愉を貪る。心も身体ももう耐えられない。
 抱き上げられて乱暴に突かれ、汗と愛液を撒き散らしながら悶える八雲。
 狂いそうな快感に限界まで追い詰められて、もう吐き出すしかなくなってしまう。
 「もう、もう……播磨さんっ」
 「限界だ……出るっ――!」
 「はい…一緒に……あ、あぁ……い、イク……イクぅぅっ!」
 歓喜を爆発さえ、"気をやり"繋がった二人。
 八雲の膣内が強く絞るように銜え込み、拳児は更なる強さで圧力を跳ね返し膨らんで――どぷどぷどぷ。
 煮えたぎる精液を八雲の聖なる部分に解き放った。
 「あ、あぁっ……出てる…播磨さんが…動いて……イク、またイクッ……!」
 絶頂の波が来たことを八雲の口が繰り返す。その内では熱い脈動が広げられていた。膣口から子袋へ、隅々まで浸透し魂まで焦がされてしまう。
 かろうじて振り絞っていた力が抜けて、射精の止まらぬままにずるずると上体が壁を滑っていく。
 腰の位置を一番高くしたまま、四つんばいで八雲は床に伏した。
 動物のような格好の彼女になおも注がれる拳児の精液。
 だが吸飲だけは止まずに続いた。八雲は長く続く射精を最後まで蜜壷で受け止めていく。
 完全に終わると、ぬらぬら光る拳児の分身が淫らな糸を引きながら抜かれていった。
 「ふうっ……凄く、よかったぜ……妹さんは?」
 「…ぁ……はい……私も、よかった……です」
 美尻を高く掲げたまま、八雲はまどろみの中で返事をする。
 淡紅色の肉尻の割れ目からとぷとぷ注がれた精液が内股を伝い淫靡に八雲を彩っていく。
 宝悦に満ちた表情で見つめられた拳児は、また下半身が熱い疼きを覚えていた。
 「妹さん――」
 「はい…たっぷり……愛して、ください……」

 子を宿す聖櫃。今はそれも叶わないが――八雲はそこを満たされる度に、拳児から律動を与えられる度に、幸福の充実に蕩けていった。
 そして――

 《――あ、きたきた。湧いてきた》

 夜の矢神。空を蹴り、星と星の間を縫い、月光の海を少女は泳ぐ。
 人の世界を垣間見ながら――少女は自分の体に活力が満ちていくのを感じていた。

             *

39 :

 ――――
 ここまで。
 うん・・全体で見るとホント少ない。ちょっと量が失速したかなと反省。
 あと二回で話そのものが終わります。それからの八雲達をダイジェストでつらつらと。それでは。

40 :
乙。前スレと比べて本番描写が短かった気がするのは確かに残念だが…エロすぐる!

41 :

 そして――少しだけ時が流れて。
 アメリカに戻った天満からのエアメールが届いた日、八雲は矢神高校の三年生となった。
 送られる側の人間となった彼女を待っていたのは楽しい学生生活から離れ勉学に重きを置く日々。
 進学先は当初の希望通りに国立文系。自宅からの距離と学力及び将来の目標との兼ね合いに苦心しつつ。
 サラも同じ大学を目指すと聞き、自分に合わせてもらった後悔はあったが嬉しかった。
 既に卒業している拳児はといえば、八雲同様に家に篭りネームを練る毎日。
 動物をモチーフにした作品はそれなりの評価を得たものの、二条こと烏丸大路を超える日はまだまだ遠い。
 また、元2-Cの面子のほとんどか東京へ行ってしまったことに、天満とは別の寂しさがないかといえば嘘であろう。
 「ニャー」
 《はじめまして、サラ》
 「えーっと……うん、まあオッケー!」
 塚本家には新たな家族ができていた。幽霊であったとしても家族は家族。
 サラに何と説明したものかと八雲や拳児は悩んだが、本人の八雲への愛や理解力、
 何よりその姿が見えるため(天満がそうであるように)驚かれはしたが怖がられるようなことはなかった。
 もっとも……八雲と拳児の間にある営みについては、二人そろって口をつぐんでいたのであるが。

 「昨日は遅くまで電気ついてたな。あんまり無理すんなよ?」
 「はい……播磨さんも、お疲れ様です」
 拳児は学生として使っていた時間を漫画に費やすようになり、自然と家にいる日が多くなった。
 そして八雲は受験勉強を家で行うタイプであったため、二人の時間は自然重なる。
 けれども拳児は基本的に八雲には受験に集中して欲しかった。
 なので頻繁に漫画を手伝わせるような真似はせず、
 日曜日にも外出しないでそれぞれ黙々と個室に篭もり務めを果たすのみ。そんな日も珍しくはなかった。
 ただ、せっかく連れ添いとなった二人が物寂しい日々を送っていたかといえばそうではない。
 男女間の関係を抜いてもふとしたきっかけで仲を深め合う出来事――例えば気分転換に拳児が八雲を誘って動物園へ。
 羽を伸ばしたくなった八雲が拳児に頼んで近くの海辺へ。そういった光景も多々あれば、
 大型連休にサラを拝み倒し二人で泊りがけで旅行に行き、思い切り羽を伸ばし触れ合ったりもした。
 サラがふらりと出かけた日など、本当に二人きりになった時はほぼ確実に寝所を共にしたし、
 そうでなくても無性に異性を求めたくなれば、言い出したのがどちらであれ、間に拒絶の言は存在しない。
 一度交われば人が変わったように激しく燃え上がったし、平穏な日常が多いのは欲求に傾倒しないための手段とも、
 夜を特別なものとするためにあえて、とも言えた。
 例えば――。

42 :

             *

 ジージージー、チクチクチク、ツーツーツー。塚本家の庭の木にしがみつき、生き急ぐ蝉達のコーラス。
 夏の只中にあって、拳児と八雲はある難題に直面していた。
 「チクショウ、あちい!」
 シャツ一枚に短パンと、だらしない格好で縁側に出て足を伸ばしている拳児。近くに置かれたコップの中で氷がカランと空しい音を立てた。
 チン、と受話器が置かれる音。足音と共に浴衣を纏った八雲が顔を覗かせる。
 「電気屋さん……急いでも夕方になるそうです……」
 「なんだと…だめだ、今日は何もやる気が起きねえ」
 「す、すいません……」
 この日、クーラーの室外機が壊れたのだった。原因は八雲の友人が万石ごっこと称して思い切り叩いてしまったから。
 責任を感じて電気屋を呼びにいくと出たっきり、稲葉美樹は帰ってこない。
 拳児も午前中は修理しようと努力したのだが、自分の手に負える状態ではないと判断。電話するに至る。
 ちなみにサラは一足先に冷房のあるらしい教会へと退避していた。
 (メルカド行くか? でもあそこで原稿やると人目がな……)
 と、今日の予定を考えているとお盆を抱えて八雲がやってくる。
 彼女の着ている麻の浴衣はどこか自分より涼しげであり、少しだけうらやましい。
 クーラーが壊れてもいいことなど一つもないと思うのだが、何かを懐かむようでどこか楽しそうだった。
 そんな彼女であるから本当は暑さを我慢できるのかもしれないが、自分が暑い暑いと繰り返すものだから
 何とか涼みを与えようと努力してくれている。拳児は申し訳ない気分になった。
 「すいません、まだ冷えてないと思いますが……」
 「氷で冷やすから大丈夫だって。ありがとな」
 八雲は盆の上の麦茶を拳児の空のコップに継ぎ足すと、残りを近くの卓の上に乗せた。
 そして自らは一緒に持ってきた布巾で縁側に点在する水滴をふき取り始める。それはコップの残した足跡だった。
 (今日一日休むのもいいけど、何もしねーでってのも……お……?)
 喉に潤いを与えたところで気付く。八雲は背を向け――両手をついた、四つんばいの格好になっていた。
 浴衣が描く、体の丸みを想像させるライン。日常生活の中で八雲がふと見せる隠れた妖艶さ。
 こちらを向いたお尻は、手の動きに合わせて少しだけ左右に揺れて何かを待つようにも見えた。


43 :

 (……?)
 八雲が簡単な掃除を終えた瞬間、ふいに感じた威圧感。その正体を探るより早く――。
 「ん……ぁっ」
 ゾクリとした感触に彼女は日中にふさわしくない声を上げた。
 お尻を何かに触られたのだ。伊織かと思ったが――違う。ただ触られただけでこんな声を上げたりしない。ただ一人、愛する彼の手でなくては。
 振り向けばそこには彼の心がこれでもかと視えていた。

    しまった、つい。でも相変わらずプリプリしてて柔らけえ、よし今日は暑さを忘れて……

 「播磨……さん」
 真夏の昼から求められていることを、一瞬で全て理解してしまう。カッと下腹部が熱くなるのを実感しながらも、視線で軽く訴える。
 だが彼の手は開き直ったように慌しくなった。
 「ま、待って……だめ、です……んっ」
 形を確かめるように彼の指が動く。うねうねと一本一本にそれぞれ意思があるように太腿に絡み付いてきた。
 一重の着物の上から、ぐにぐにと慣れた指使い。
 肉付きのいい部分がハンバーグを作る時のようにこねられる。八雲はかくんと顔を下げて肩を震わせた。
 「だ、め…」
 再度、懇願。しかし無視。知られているのだ。本心で嫌がっているわけではないということを。
 突然の戸惑いと恥じらいからつい拒否するような言い草になってしまっているが。

    膝がひっかかってるな。ちょっと上げてくれねえかな

 「く、口で言ってください……ずるい、ですよ……もう」
 諦めたという風に八雲が膝を上げ、手足の四点だけで自重を支える。すぐさま、足首まで伸びていた浴衣の端を腰近くまでぱっと捲られてしまった。
 下着が露になり夏風に晒される。暑さと湿気、それに期待感と興奮でそこはいつもより汗ばんでしまっていた。
 見られている――ジンと、自分では触れられない場所に痒みが訪れるのが八雲は分かった。

    下ろしていいぜ。よし、じゃあ……

 「はい……」
 八雲は拳児の思ったとおりにする。膝に体重を預けることができるようになって、体が少し楽になった。
 次に何をされるか分かったので緊張から少し体が硬くなる。
 「あああんっ……指、が……」

    熱いな。もう濡れてる。とりあえず一本いっとくか


44 :

 くちゅり、粘り気のある水音がした。八雲の太腿の間に拳児の手が差し込まれていく。
 布地に隠された少女の大切な部分。そこに男の無骨な手のシルエットが浮かぶ。
 影の動くそこは外からは中の様子が分からず、しかし誰しもに起きていることを想像させる節度のない光景。
 「はっ…ぁ……ん、あぁ……」
 付け根のところをまさぐられ、その都度に艶のある色声が木霊する。
 ただしそれは蚊の泣くように弱々しくて、知るものにとってどこか満足いかない切なさがあることも理解させてしまう。

    声が小さいな。やっぱノリ気じゃねえのか?

 「んんっ、ん……そ、その……」
 拳児は八雲の下着の奥に、小指を爪が隠れる程度に潜り込ませていた。
 やろうと思えば淫核に刺激を与えることも、自分だけを通してくれる女の子の門へ本数を増やすこともできる。
 情事に慣れた自分達にとって、互いの声や体の反応でどの程度の行為を許容できる段階なのかは体が記憶していた。
 つまり――拳児は、今の八雲にとって小指一本、しかも第一間接未満というのは全然満足いくものではない、ということも知っているのだ。

    まあ、妹さんも困ってるみたいだしそろそろ止めに――

 「! そ、そんな……や…です……このまま……」

    おう、そうか?

 「は……はい。続けて、下さい……」
 自分を好きな人の心が視える――自らの異能を八雲は春先に拳児に告白していた。
 それを知った拳児は驚いたものの、今まで視えなかっただろう自分に対しても日頃から良き理解を向けていてくれたことを考えれば――どうということはない。
 不思議な能力が招く八雲特有の不都合を察したりもしたが、
 何よりこれからの生活への期待が強く勝っていた。
 もう八雲に何が起きても嫌ったり離れたりすまいと考えていたから。
 知られてしまうならいっそと開き直り、よく八雲のことが好きだと考えた。
 口下手な自分にとって心をそのままに知ってもらえるのは逆に嬉しいことだとも考えた。
 そして――今のように度が過ぎないレベルで"悪用"することも覚えてしまった。

    妹さんはヤラシーなあ。指じゃなくて手全体がもうベトベトだぜ

 「っ……! ご、ごめんなさ……ふぁ、あ、あっ」
 八雲を犯す指の本数が増える。出し入れだけではなく、左右に広げるようにも動き、ししどに溢れる膣肉をほぐしていく。
 "悪用"とは――今のように、嫌でも視えてしまう八雲を言葉で辱める事。
 もちろん、本気で嫌がるようなことを考えたりはしないが、そこは元不良。
 我欲、色欲は強いしエラソーな態度をとってしまうこともある。
 「や……うぁ、く……んんぅ……っ だ、めぇっ……!」
 今のように、八雲は房事において激しく乱れ快楽になすがままではあっても、それは終わるまでに限る。
 何度拳児に愛され喘がされて貫かれ、普通であれば子を孕んでしまうだろう精液に溺れても――……八雲の心は真白、純真であった。
 眠りに入って次の日にもなれば、初心な乙女の心を手放すことなく取り戻しているのだ。
 語弊があるかもしれないが、振り幅のある恋人の心を"攻略"するのは拳児にとって愉しみであった。

45 :

    花みてえに綺麗だな。かなり使ってんのに色も薄いし

 キレイなフトモモだなと思っても人がそれを口にすることは滅多にないだろう。
 一般的に、人は誰かと話をするとき気を損ねないよう最初に浮かんだ言葉から飾っていくものだが、八雲相手にはそれができない。
 元々その手の配慮が下手な拳児であるし、"思ったこと"そのままをダイレクトにぶつけることになってしまう。
 そして八雲は自らを評されて感じるのは、拳児に限れば嫌悪や敬遠ではなく陶酔だった。
 「は、はぁっ、……あ……! あ、あうぅ……んっ」
 拒絶が弱くなってきて声にも甘みが増してきた。
 与えられ続ける快楽に酔い始めた八雲がくねくねと舞う。
 整っていたはずの浴衣、特に腰周りに関してはスカートのように広がってしまっている。
 ビクンと、一際強い痙攣。軽く達したらしい。
 硬直後の脱力で息を喘がせ寝そべる八雲。
 「はあ……はあ……」
 腰の帯を拳児は緩めてやった。
 恋人は太腿の付け根まで公になっていて、下着は用を成さず愛液がせっかく綺麗にした床を濡らしてしまっている。
 脇の下から掬う様に上半身を持ち上げてやり、勢いそのまま自らに背もたれさせた。

    キス……してえな

 「…………はい」
 んっ、と八雲が顔を振り向かせ顎を上げて拳児に可憐な唇を捧げる。
 ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ。交わされた今日初めてのキスは軽く触れるといった些細なものではなく、
 互いの唾液を交換し合うといった、男女の本能に根ざす情熱的なものだった。
 まだ力の入らない八雲の舌を拳児は遠慮なく絡め取って飲み込もうとする。
 「くちゅ…ちゅっ……ん、ふっ……ちゅ…」
 それと同時に、愛しい少女の肩に手を伸ばした。
 まだなんとか形を崩していない襟を掴むとぐいっと果物の皮を扱うように外向きの力で腰のほうに引き下げる。
 キスに震える八雲にも剥かれることの抵抗はなく、帯を緩めておいたためそれは極めてスムーズだった。
 海へ行ったときでも他の男に見せたくない、八雲の白い肌が曝け出される。
 拳児は夏用の吸汗性に優れたブラジャーを慣れた手つきで外す。
 ぷるるん――と、ゴムがきついものなのかサイズが合わなくなってきたのか、柔鞠が弾むように前へ出た。
 「……両方、です……」
 唇を離した八雲がうっとりとした表情で拳児の疑問に答える。
 未だ成長過程にある、否、愛する男性の手により成長させられている果実は重量に負けず張りを保って瑞々しい。
 拳児は扇情的な巨乳を両手で持ち上げると下からぐにゅりと十指で喰らいつかせた。
 熱い血潮の集う柔肌を――何度も知ったはずの感触を――執拗に確かめるように、細かに成長を調査するように。揉みしだく。
 加えて、既に体積を膨張させた自らを隠すもののない八雲の肌、ヒップや太腿に擦り付ける。
 「はっ……あぁ……熱い、です……胸も……はうっ」
 肩越しにねっとりとした視線を受けても八雲は嫌そうな顔はしなかった。
 脱力して彼に身を任せれば背後に感じる灼熱の猛根。寄せてもらえる情愛をすぐ近くに感じるのは確かな幸福。
 汗の浮いた胸に何の遠慮もなく生き物のように指を這わせられ、愛されていると教えてもらえる。

46 :

 (だめ…熱い……。ああ、私のカラダも…悦んでる……)
 優美な心は拳児に攻め入られていつものように心良い白旗を揚げていた。
 敏感な性感帯を嬲られて官能が満たされる。
 疼く乳も熱いお尻も蕩けそうな快感を貪欲に受け入れ更なるものを欲してしまう。
 何枚かの布を通して熱を伝えてくれる彼の肉瘤。それが欲しいと淫核は硬くなり、白のレースは潤滑油でずぶ濡れとなっていた。
 「あああ……いい……おっぱい、いいです……」
 蹂躙されている自分の姿にみっともない言葉を口にしてしまう。
 されるがままの艶峰が形を崩す。愛しい男性の指が食い込んで間から肉脂肪がムニュムニュはみ出ていた。
 恥じ入っているはずなのに、軽い惨めささえが気持ちのいいものであるから拒否できない。
 ジンジンと痺れる頭の中で、自分の本性を見せ付けられて瞳が潤んでしまう。
 眉の形を変えて、舌がもつれる。キスから離れた唇が涎を垂らす。
 「あ、ああぁぁっ……!」
 キュウッ。吐淫に濡れた母性を搾られて、堪らず悶えた。双膨をこね回され複雑で刺激的な快楽を与えられる。
 いつしか、しこった乳首を擦る指は拳児のものではなく自分のものになっていた。
 こうして欲しい、とおねだりするように拳児の視線に訴えながら。

 「かわいいな、妹さん」
 「はあ……あああぁぁ……そん、な……」
 真夏の昼の暑さは、男女の間にある性欲の熱に無視されていた。

 「ん……れろっ……ちゅぷ、ちゅぱ……」
 やがて八雲は目の前に差し出された拳児の指を舐めていた。ぺろぺろと指の一本一本に舌を絡めて、ちゅうちゅうと吸う。
 味わっているのは彼の指だが、そこには自らの蜜がたっぷりと塗されている。
 同意のないまま襲われるような形で至った情事でも、愛撫に体を慣らされてしまったために、
 今や彼女は従順な恋人として受け入れていた。
 「ちゅく、んちゅ……不思議な、味が…します……」
 感想は求められたものではない。心から視えたものではない。勝手に選んで口にしてしまっていた。
 ぬる……と濡れた唇から二本の指が引き抜かれると勢いそのまま淫裂に侵入してくる。呼吸をするように蠢いて、ぷっくり肉厚のある秘陰から少女の心を蕩かす音がした。
 ぬぷ、ずぷ、ずぷり。鈎型の形で奥深くまで差し入れられて、ぐちょぐちょと掻き混ぜられる。
 「ひあ、あぁ……奥まで、深い……あ、あんっ…ま、まだ……」
 剥き身にされて、ヒクヒク震え、一通り撹拌されると拳児の指が抜けていく。
 充血した媚肉のむず痒さがまるで満たされず、名残惜しそうな肉の割れ目は鳥の雛のようにその口を空けていた。

47 :

 「んぷっ…ちゅ……ぺちゃ」
 再び、おしゃぶり開始。下の口から出ていくものを、上の口から飲まされる。これは先程から何度か繰り返されていた淫猥と呼ぶにふさわしい行為。
 ある種、女性の尊厳を辱めるものだったが、八雲はそれに逆らわず、逆らえず、いつ彼が自分を本当に満たしてくれるのかと期待感に胸を膨らませ続けていた。
 「よし……妹さん、力抜いてくれ」
 「は、はい……♪」
 ようやく『その時』が訪れたのだと、八雲は喜悦を隠さずに返事をする。
 はあはあと荒い息を零す。上下するたっぷり可愛がられた胸に点在するのは荒々しい形のキスマーク。
 下着さえ奪われて、お気に入りの浴衣はしわくちゃになり、腰の辺りで帯に絡まることでかろうじて残っている状態。
 その姿は、性交渉を待ちわびる雌の淫靡さと犯される乙女の被虐美が混在しそれでいて両立していた。

 下穿きまでを一気におろすと、拳児は肉棒を自由にした。
 先端は既に先走りで潤っていて貫くための準備は完成している。
 対面座位になるよう八雲を正面から抱きかかえると、天を衝く魔塔の真上に恋人の淫花を運び位置を合わせた。
 「どう、ぞ……お願い、します…」
 自ら贄になることを望むように、八雲が告げる。赤い粘膜は誘うように引きつくいて、長年の恋人との逢瀬のように涙を流していた。
 (あぁ……嬉しい…やっと)
 徐々に距離が短くなる。八雲は少しずつ腰を下ろしていき、拳児は抱きかかえた恋人を降ろしていく。
 互いの生殖器がヒクヒク蠢いて、接触を強く欲しているのが分かった。
 凶悪な異物を撃ち込んで欲しい。降りたての雪のような白さに溶け込みたい――。
 ずっ――ぷ。
 待ち望んだ交わりを得る挿入の瞬間、伝わってきた彼の生命力の漲る逞しさに、八雲は打ち震えた。
 「あ、はっ……はあぁぁぁっ……! 入って、来る……」
 「相変わらず……くっ、たまらねえ」
 ゆっくりとゆっくりと動いて熟れ肉を突き進んでくる動き。
 八雲が自重に沈んで拳児を深く深く飲み込んでいく。
 膣道を重い衝撃が縫っていき、その奥にある小部屋へと刺激を送った。
 やがて――最奥に拳児が達すると、子宮さえ満たされる幸福感に八雲は包まれる。
 「はあ……はあ……はあ……はあ……播磨、さん」
 「ああ。気持ちいいぜ」
 みっちりと隙間なく埋められて、肉感がお腹の中に広がっていく。
 待ちに待った至福。下がっていた子宮口に硬い亀頭がつき込まれ奥の奥まで疼きが消える。
 拳児にふさわしい形に開発された蜜孔の中は、寂しささえ感じていたのだ。
 それが取り払われて双眸から涙さえ零してしまう。
 「……しばらく、このままで……」
 「ああ」
 抱き合って繋がったまま、二人は思い出したように流れてくるセミのコーラスに身を委ねていた。
 動かないでただこうしているだけでも接合面は熱く煮えたぎっている。
 膣壁は細かく肉槍を締め上げるし、圧迫感に気を抜けばこみ上げたものが果ててしまいそうであった。
 それでも動かないのは、何となくそんな気分だったから――としか言いようがない。
 たまにはこういうのもいいと二人は思った。
 緩慢な動きさえなく、互いに一つになって繋がりを大事にしたまま、ただただ時間を過ごす。
 お互いの肌に少しだけ温度差があって、抱きしめあうだけで心が幸福に満たされるのだ。
 そうこうしているうちに蒸し暑さなど忘れてしまうことができた。

48 :


 「……あっ」

 だが八雲がふと空を見上げた時――彼女はこのままではいられないことを理解した。
 雲に混じって、文字が見えたのだ。拳児のではない。目の周りに力を入れて細く見つめる。

    無理言って直せる人捕まえることができてよかったあ。これで八雲も許してくれるよね♪

 ああなんてことに。八雲は事情を察すると青い顔をして申し訳なさそうに拳児を見つめる。
 彼は満足そうに目を瞑っていて、貫いた膣の秘粘膜一つ一つを感じることに満足しているらしかった。
 「あ、あの……播磨、さん」
 「ん……どうした?」
 疲労から開放された直後のように彼の口元は綻んでいる。
 それを見てはとても、もう止めにしないと――とは言えない。
 「じ、実は……その」
 「……もしかして、気持ちよくねえとか?」
 「い、いえ! そういうわけでは……んっ、その……あっ」
 要領を得ない返事をしてしまう。しかも話そうとすれば繋がりあった箇所がピクピク動いて、緩い電流となって性感を刺激されてしまう。
 だがこのままでは情事の最中に来客を迎えてしまうことになる。
 それは男の人にとって辛いことなのではないかと思ったし、八雲としてもできるなら避けたいことだった。仕方ない……。
 「お願いが……あります」
 「? おう」
 迷いや躊躇が八雲の表情を行き来する。
 だが結論は変わらず、諦観と共にやや苦しげに呻くような声で、八雲は恥ずかしい"お願い"をすることにした。
 口にする瞬間、かあっと顔が熱くなるのが分かる。
 一瞬、自分達の蜜が垂れた部分だけ、縁側が変色しているのが視界に映った。
 「激しく、して……頂けませんか……?」
 暑さを忘れられるよう。
 そんな言い訳を口にして、汗ばんだ肌、眉を折りたたみ切なげに震わせながら八雲は懇願をする。
 本当は時間が押しているためなのだがそれは悪い気がして口にできなかった。
 「……おう」
 とつとつとした口上だったが、ニヤリと拳児の口が歪む。
 どういう心境の変化があったのかは分からないが、それは彼にとって別に不満ではなかった。
 あまり嫌がられないよう、無意識にせよ気を使っていた部分はある。
 それでも暴走してしまう時は多々あったので内心気にしていたりもしたのだが。
 急いて早々に達しては時間が潰せないとも思ったのだが。足りぬ――と言われれば男の甲斐性を見せるのも、仕方ない。

49 :

 「よし」
 「っ……! あ、あぁ、あんっ――! んっ」
 ビクンと、八雲の膣内に入れられたままの拳児が跳ねる。
 緊張に硬くなる間も許されず八雲はたちまち嬌声を吹き零す。
 律動が再開されて女の官能を昂ぶらされたためだった。
 肌を密着させて、ぷるぷる震える肩を握った。
 「あ、ふあぁ、んあぁ……!」
 「――っ。妹さんも、締め付けが……凄え」
 ぬぷぬぷ、ぐぽぐぽ。色濃い剛々とした肉塊が八雲の入り口から奥を、前後に的確に抉り抜いていく。
 腰使いが激しくなって、恋人を気遣う優しさは飢えた獣の貪欲さにとって変わられた。
 「ン…あ……あぁ、ん……っ」
 秘所からは滴る大粒の愛液。それが拳児の挿送を滑らかにしていた。
 八雲は小鼻をピクピクと震えさせ、動きに押し上げられるように美肉の締めつけも厳しくしてしまう。
 「格好、変えるぜ」
 繋がったまま、視界が反転していくのを八雲は呆然と受け入れていた。
 ごりっと背中に木の板の感触。飛び込んできたのは晴れた空、まだ遠くに見える友人の声。
 終わりが近い緊張に体を硬く、銜える彼にそれを伝えてしまう。
 「播磨さん…最後まで……お願い、します」
 ぱっ、ぱちゅっ、ぱちゅん。
 拳児は八雲を押し倒し、仰向けのまま両手で強引に開脚させて、自らを前後させていた。
 抜かれていく愛しい男性の肉を追うように腰を回してしまう八雲。
 だが押さえつけられてはもがくことしかできず、ただ性具のように扱われるのみ。
 それは先程望んだとおり激しく乱暴で、暑さなど忘れてしまえる行為だった。
 ぴゅるぴゅる。耳から入ってくる下品な音は自分の過剰に溢れた秘部が奏でていると思うとたまらなく恥ずかしい。
 「あはぁっ……! ふあ、あぁ……! 奥まで、来てる……」
 病み付きになってしまう大人の味。
 肉道深く、隅々まで出入りされ、快楽が心の壁を乗り越えてくる。
 威容ある肉の柱に、下腹の心地いい疼きを掻かれる度に、甘い電流が背筋を走った。
 夏の暑い筈の日差しの中にあって、ゾクゾク走る緊張は熱気も冷気も忘れさせてくれる。
 「気持ち……いいです……ああぁっ!」
 硬直しそうなカラダに押し寄せる劣情。
 視える彼の心の声はひたすらに自分を求めるもので埋められていた。
 突き込みを受ける度、空を向いた乳房をユサユサ物欲しそうに揺らしてしまう。
 ズン、と襞の粒を捲り返され子宮口に達せられるたび、クラクラ陽の光以外の理由で頭の中が弾け飛ぶ。
 「動いて下さい…もっと激しく、強く……!」

50 :

 乱れた浴衣は、桃色の秘園からの夥しいお汁でグショグショに変色していた。
 両の袖から抜けていないそれは図らずも両手の自由を奪い、拳児に縛られ好きなようにされている、という認識を与えられる。
 まだ脱げ切っていないせいか、全裸で抱かれるよりも背徳感は強まっていた。
 元々何気ない日常の中から情事に至ったとあらばそれは尚更。
 どこまでも沈む底なしのぬかるみを連想しながら
 全てを愛しい男性に任せていく。
 「んああぁ……ああぅ……! いい……」
 身も心も蕩ける快楽の中、自分の中で彼が太く逞しくなり、更に中をパンパンに埋められるのが分かる。
 適度に向きを変えられて膣括約筋があらゆる方向に広げられるが、
 熱いナイフをバターに通すように滑らかに向かい入れてしまう。
 お腹の中の存在感が全てだった。
 ジクジク、ジクジクと累積していく甘美さに魂がどこまでもどこまでも落ちていく。
 下がった目を凝らせば自らの淫唇から拳児の一物が出し入れされていた。
 そこは動物のように涎を垂らしていて、別の生き物のように美味しそうに口を開き、彼を受け入れ飲み込んでいく。
 そのリズムに合わせて脳裏を電撃の快美が直撃し、意識を飛ばそうとスパークする。
 「ふあぁ、あぁん、ああぁぁんっ!」
 滅多に彼女が見せない黄色い声に、拳児は動きを少しずつ早くさせていった。
 ヒップラインを押し広げストロークを続ける中で、空ろな目と表情を確認しながら加速させる。
 八雲から余計な感情が削げ落ちて、恍惚が強くなる度に強く勢いをつけていく。
 気持ちいいか? 感じているか? 視えるように質問をぶつけながら、先端を抜ける寸前まで後退してみせる。
 「あ、イヤ、抜かないで……あぅんっ。キモチ、いいです……」
 おねだりさせて八雲に屈服感を味わわせると、感動めいた優越感に砲身を焼かれた。
 一気に根元まで埋め込んで、くびれた腰にダンスを躍らせる。
 角度を変え、自らも腰を曲げて、文字を書くように揺り動かしていき、幾重もの締め付けを堪能していく。
 何度も、何度も、何度も知った動きだがこの退廃的な耽美感には飽きることがない。
 半端ではない快感だった。呑み込まれそうな動きにはクラクラとこちらまで眩暈を感じてしまう。


51 :

 「くっ…さすが、妹さん……器用すぎ、だろ……!」
 陰嚢がせりあがって放精を急かす。
 いつもより激しい動きにあっても八雲の粘膜はそれに対応し、むしろ比例した動きで細やかな柔襞が絡み付いてくる。
 雄の精を早く求めたがるその貪欲さに苦笑しつつも、かつてない味わいがあった。
 子宮口に口付けをした瞬間、容赦のない締めつけに擦り寄られ――。
 「……中で、ゴリゴリされて……あ、あうぅんっ」
 「妹さん、もう……いくぜ…っ」
 「ハイ……♪ だして、下さい……たっぷり……あ、あっ、もう――」
 欲望を解き放ちたい。盛大にぶちまけてしまいたい。
 欲求に支配され、気合の一拍で深く抉る。
 咲き誇る八雲の花弁、その内側にある捲り返された膣壁からの引き抜くような圧着感。
 鈴口を最奥に密着させると狂熱に脳が焼かれた。血が沸騰して繋がった一点に集まってくる。
 ぱちぱちと静電気にも似た法悦の中、肉棒が包まれるように磨かれて我慢を溶かした。

 「好きだ……妹さん」
 「はい、はい……! 播磨さん…好き……好き……愛して、ます……はぁぁっ!」
 「俺もだ! っ……出るっ――!」

 膣内射精。その瞬間に拳児は八雲に覆いかぶさるとキスをした。
 八雲はそれを白い肩をくねらせて恍惚の表情で受け止める。心身を絡め取りそうな瞳に飲まれ、最後の堰を破られて――
 「んむぅ、んんんんぅぅっ!」
 どぷん、どぷん、ドクン――。
 切れ長の橙の瞳を潤ませて、無上の幸福感で八雲は拳児を見た。
 自由になっていた脚を彼の腰に絡ませて、隙間のないようにキュッと締める。
 交差した足の先がプルプルと痙攣し反り返り、体の隅々にまで絶頂の快楽が行き渡る。
 「あっ、ああっ、あああああ――っ……! 播磨さんが、暴れて……!」
 達するたびに上書きされるかつてない高揚感。
 目の眩む稲妻が全てを白くしていく中で精神が繋がりあっていく。
 強烈な収縮にドクドクとありったけの精子が八雲の中を駆け上がっていき、子宮へ、その内奥へ流れ込む。
 天国へ押し上げられて、頭とお腹の両方が永遠の白に染め上げられてしまいそうになる。
 「はあ、はあ、はあ……んちゅっ……んふっ……」
 重なり合ったままぐったりと縁側に寝転ぶ二人。
 八雲はうっとりと瞳を細めて拳児に桃色の舌を絡めさせると、チュパチュパ、繋がったまま音を立てたままキスを交わす。
 髪がバラバラに乱れ、拳児にもひっつきチクチクと軽い刺激を与えた。
 まだ吐精の続く中で二人の汗と愛液とが混ざり合い、夏の熱気に溶けていく。


52 :


 「急なことで……驚きました」
 「つい……な。悪い」
 「…なら、もっとキスを……」
 冷静に考えれば襲い掛かったも同然。
 反省する拳児に、良く分からない要求を向ける八雲。
 互いの甘露を啜りあう、情欲の深い接吻が交わされた。遠慮のない舌の挿入が互いの口の奥までをたっぷり味わい合う。
 「ちゅぱ……嫌じゃ、ないです…んぷっ……ふぁっ」
 襲われるのもイヤじゃない――そう受け止めることもできる発言の後、八雲が上半身を拳児に預けてくる。
 ずちゅ…ずちゅ…と緩慢ながら動きを再開し、自らの蜜壷でたくましく膨らむ恋人の剛茎をぱくりと美味しそうに銜え込む。
 そして唇がくちゅくちゅと擦りあい、二人は事後というにはいささか激しすぎる熱を育てていく。
 (あぁ……キモチ、いい……あれ…何で、こんなキモチいいことを、私は急いでたんだろう……)
 塚本家の縁側の染みを濃くしていく。
 チャイムが鳴り玄関が開かれたのはそれから……間もなくだった。
 拳児はなんとか立ち上がることができたが、身を焼く悦楽、乱れた格好で動けない八雲を見せるわけにもいかず、居留守を決め込む。
 「留守かな……まあ修理くらいいいよね。榛名のお兄さん、よろしくお願いしますね!」
 「任せろ! シベリアのブリザードより厳しい、真の極寒というものを――」
 お前まだ矢神にいたのかよ!
 拳児は慌てて飛び出すと、夕方に別業者に頼んだからいいと必で言い訳するのだった。


             *

 ほんの少しだけ、時間が流れた。

 ・・・・
 ・・

53 :

 遠くでミンミンと行き急ぐセミの声がする。
 香炉から焚かれる薄い煙が慰霊の香りを沸き立たせ、一帯に鎮魂の空気を呼ぶ。
 霊園にて一基の墓前に立ち、一拍の後に頭を垂れるのは八雲とサラ、そして拳児。
 「はじめまして。サラ・アディアマスと申します。八雲にはいつもお世話になっています」
 「お初にお目にかかります。俺は…播磨拳児といいます。二人の娘さんに……感謝してもし足りない、恩を受けた男です」
 これまでは天満と八雲が……去年は八雲一人で行っていた、姉妹にとって大切だった人達の供養。
 だが今年の盆はそれが少し違っていて、挨拶のため本尊へ顔を見せた八雲を住職は優しい笑顔で歓迎した。
 夏の日差しとそよ風が三人を迎えるように包み込む。
 「お父さん、お母さん……私達は元気だよ。あのね……また家族が増えたんだ」
 打ち水の跡がじわじわ地面に染み込んでいく。短い近況報告を終えた八雲が取り出したのは天満からのエアメール。
 ――しばらくの間、その音読が続いた。水が乾き影が消えてもなお続く。目の前に本当に彼らがいるように感情を込めて。
 拳児とサラは八雲が見ているのだろう二人に深い感謝を抱きつつ、その冥福を祈っていた。

 ・・・・
 ・・
 「初めまして。塚本八雲と申します。……本来でしたらもっと早くに挨拶に伺うべきところ、これほどまでに遅れましたことをまずお詫び申し上げたいと――」
 正座の姿勢から上体を前傾させていく。
 顎を引き、背筋を真っ直ぐ伸ばし、足は親指だけを重ね、指を伸ばした両の掌を先端で寄せ、三角形の二辺と成す。
 「いや妹さん、そんな気遣い――」
 「初めてのご挨拶に、そういうわけには参りません」
 正月に二人は拳児の実家を訪れていた。目的は八雲の口上にもあるとおり両親への挨拶に他ならない。
 もちろん希望したのは八雲であって、拳児はひどく恥ずかしがり最後まで抵抗していたが。
 彼が折れたのは、振袖に身を包んだ恋人の姿を見たためだった。
 ここはひとつ奴らに見せてもいいか……と、顕示欲を動かされたのだ。
 房事の時を除き、普段から礼節ある作法を見せる八雲である。本気で装いを正されれば頭を下げる動作さえが拳児にとって美しい。
 振袖の地色は彼女の瞳にもある朱色。白ぼかしの中には小さな鶴が羽を広げて舞っている。
 袖は長く丈があり箔や金銀糸の刺繍といった本人を殊更に飾る施しはない。
 それは着る者の身に備わった気質を前に立てた、下手にでる偽りを許さない和装。
 顔にも淡い赤を主とした化粧が施され、桃色に近い紅が引かれていた。
 上体を戻すときも座礼の余韻がはっきりと見て取れ、最後まで和風美人特有の雅さに溢れている。
 「扶養される身分で同棲など、というお気持ちもあると思います。ですが決してご迷惑となるようなことは――」
 「まあまあ八雲君。そんな畏まらないでもっと楽にするといい。修治君があちらで拗ねているぞ」
 実家には拳児の弟の修治や従姉の絃子といった八雲の見知った顔もあった。
 彼らから話は通っていたのか、元々拘らない性格なのか、むしろあの息子がといったインパクトが強いのか。
 大きな衝突もなく、八雲はこの日に拳児の両親に認められ、二人は晴れて親族公認の仲となった。


54 :

 ・・・・・・
 ・・・・
 ・・

 一年が経過した。
 その日は卒業式。八雲は矢神高校を卒業した。多くの後輩、恩師、播磨や花井といった先達者に見送られての卒業式。
 これから毎日、姉さんと同じ学校に通うことができる――初めて門をくぐった時に考えたのはそんなこと。
 子供だった自分がここまで大きくなることができたのは彼らが多くを教えてくれたから。
 伝えたかったのはそんな感謝の気持ちだったのに、答辞のときにまた泣いてしまって。
 後悔からの行動か、式の後も遅くまで残り学校を回る八雲の姿。
 それを拳児やサラに花井ら、多くの人間が見つめていた。

 ――更に時が流れ。
 大学入学後、八雲はこれまで以上に時間の融通が利くようになり生活環境は大きく変わっていった。
 もう変化を拒絶する彼女ではなかったが、何の感情も湧かないかといえば違う。
 後述の理由で多忙になった拳児をより強く支えようと思ったし、
 長旅から戻っては"補給"を急かしつつ口を開く少女の話には想像を膨らませつつ耳を傾けた。
 そして――親友に訪れた少々遅めの変化を一番に察知し、それでいて嬉しく思ったのも八雲である。
 サラは数多い希望の中でようやく進路を決めたらしく、用事があるということで家を週単位で空ける時がぽつぽつ出始めた。
 好奇心が強く快活な彼女らしい活動の中には私的な用事――相応の付き合いがある年上の先輩との逢瀬も含まれていて。
 何となく理解した八雲と拳児は心の中でサラにエールを送り、深く問い詰め引き止めるようなことはしなかった。
 意中の相手――麻生広義と大学近くで暮らすという連絡を受けたのは、それからほどなくしてからである。
 同じ学内で会うたびに幸せの表現が増えているサラを、八雲は心から祝福した。
 「よっしゃあ!!」
 ある日の拳児の叫び。別にサラという小悪魔が離れていったことを喜んだわけでは決してない。
 これは月刊誌で新たな連載を持てる様になった時のもの。
 長らく遠ざかっていたそれを拳児はもちろん八雲も我が事同然に喜び、力になろうと奮起した。
 ただし本人に見栄があったのか、天満へ報告したのは単行本にして二巻以上続くことが確定してから。
 そして徹夜明けが増えた拳児と八雲の間に漫画以外の行為があったのは本人達だけの秘密ということになっている。
 とはいえ、既に親となっていた伊織や情事の回数が活問題に直結している少女には筒抜けではあったのだが。

 そして……塚本家に届くエアメールが、もう両手では持ちきれなくなった頃。
 ついに八雲にも学生の身分から卒業する時が来ていた。卒業後の進路は希望通りに就職。職場はスカウトのあったジンマガ編集部。
 新人の彼女が拳児の担当になれる都合のいい話はなかったが、それでも八雲はようやく同じ道を歩くことができるようになったのを心から喜んだ。
 新たな段階に上がっただけなのに、本当に嬉しかったのだ。長い時間を要してでも、自分が一つの目標を達成できたことが。充実感の涙を零してしまうほどに。
 アシスタントではなく編集者になったため、今まで認められていた拳児の漫画の手伝いはできなくなったが、それはそれで新たな目標と定めることができた。
 ただし――いいことばかりではない。編集者二年目、八雲が初の受け持ちとなる作家を持った時の話である。
 「妹さんの漫画道は俺と一緒だった。なのにその妹さんが別の奴の担当になって、あまつさえその新人に押されるように俺の漫画が連載終了……だと……」
 「そ、それは……その……人事はどうしようもありませんし、私も相談に乗りますから……」
 「本気にしなくていい。冗談だ。どっちみちクライマックスだ、円満終了できそうだしな」

55 :

 ま、何とも思わないかっつーとそうでもねえ――そう続くのが口に出されなくても八雲には理解できた。
 恋人、家族、友人――そんな大切な人達にまとめて引っ越されたような。極々弱いものではあれそれは嫉妬。
 拳児のそんな感情を差し置いても、八雲には共に育ててきた作品を手放す心苦しさが残る。
 彼女は仕事の面で今までのように支えられなくなる代わり、私生活の面で懸命に拳児に奉仕した。
 漫画家とアシスタントとしてではなく。青春時代を一人の少女に捧げた男とそれを愛したその少女の妹としてではなく。
 同じ出版社に勤める仕事仲間としてでもなく――恋人として。そして、やがては妻として。
 二人が結婚を意識したのは雪が強く春が遅れた年。八雲が編集者としても板につき始め、拳児も新たな作品を手がけ始めた年。
 きっかけとしては結婚式の招待状が届いたことだろう。花井春樹と周防美琴――懐かしい友人達の幸せを歩むその姿。
 当たり前だが、結婚式には主役の二人を来賓達より際立たせる効果がある。
 環境だけを切り取れば八雲らは既に夫婦同然の生活を営んでいたことも、逆に違いを引き立たされて、
 紋付羽織袴と白無垢に身を包んだ新郎新婦に、八雲も拳児も自分達にない幸せを看取するところとなってしまった。
 更に――喜ばしいことに、幸福の報せが連続して舞い降りてしまう。
 懐かしの同居人・サラがめでたく故郷イギリスでの挙式を決めたのだ。
 出席者が似通うのもあり、スタッグナイト、ヘンナイトではさあ次はという空気が既にできあがっていた。
 ブライズメイドの一員を務めた折に八雲が抱いた憧れ――間近で見た親友の笑顔は一生忘れられそうにない。
 両夫婦の門出を心から祝す一方で、二人はどこかで結婚という二文字を考え始めるようになっていった。

          *

 熱い空気が部屋の中に充満していた。
 忘我の極みにある人間が発するただならぬ体温。太陽の熱が消えてもその部屋だけはまだ昼間と変わらない。
 「フゥッ、フゥッ……! くぉっ」
 荒い声がした。渇きに悶え水場を求めるあまり、仕留めた獲物の血をすする獣のような声が。そしてそれに重なるように――。
 「んん、ふぁっ……! っ、ひっぅ……んぁ、あ……」
 獣とは別の声がする。その主は四肢を地につけ背中から覆いかぶされる格好で、正に喰らわれている最中にあった。
 だが奇妙なことに抵抗はない。濡れた唇からの声にも拒絶しようという意図は感じられない。
 「気持ち、いいですか……私も……ひぁっ、あ、あぁ…」
 むしろ真逆の――自らを貪られることへの、女としての支配を受けることへの、嬌声。
 部屋は支配しているのは、何も身に着けていない男女の肉がぶつかり合って起きる熱だった。
 「ふうぅ…あ、あぁ……だめ、です……! お腹で、暴れて……そんな……!」
 ぐちゃぐちゃと、黒く濡れた茂みに咲く真っ赤な花が蹂躙を受ける。
 深く入っていった先端部が、くぷっと何かにぶつかるように止まり、僅かに引かれてまた差し込まれる。
 「あっ…ああっ……」
 くびれた細腰ががくがくと揺れて水音がより激しくなった。
 グチュッ! ジュボッ! プチュンッ――張りのある桃尻に獣の体がぶつかり、秘粘膜への責めが加速する。
 動きに合わせて下を向いた胸が震えた。そこへ横から掌が伸び、収まりきらない果実を絞り尽くすように強く握る。
 「んっ! ん、うあ、ぁ……」
 たぷたぷと揺れる胸を掬い上げ、二本の指がぷっくり前へ張った充血豆を挟み込み、コリコリ揉み潰して可愛がる。
 下半身に感じた擦られる強い感触に、女の体からの訴えが増しているのを男は読み取った。
 「ち、乳首……感じ…ちゃ…ひっ……あっ!」
 「……」
 「は、はい。気持ち、いい……です……んんっ」

56 :

 奇妙なやり取りだった。男は何も喋っていない。なのに女が返事をしたのだ。
 男はただ――ぶるん。ぶるん。巨乳を揺すりながら――んちゅっ。ぢゅぶっ。淫らな肉と愛液の共演を演出するのみ。
 時折荒い息を吐き出しながら。
 「……」
 「だ、だって…………あぁ」
 女の熱の入った艶かしい声が続く。間に男の沈黙を挟んで。傍から見れば独り言のはずのそれは、何故か会話のリズムに近い。
 未知の通信手段で意思疎通を交わしているようだった。その手段はともかく、言葉は確かに女に届いているらしい。
 結果として女の体温が上がり、間にある空気さえ肌からの熱に負けて揺れていく。
 そして言葉によって多少の羞恥や微かな苦痛も熱さと快楽に変わっていった。
 「そろそろ、欲しいか……?」
 「そ、それは……あっ、やっ、ふぁ」
 男が言葉を発した。女は今までずっと話をしていたように自然に返事をする。
 だがまだ理性を残していて迷ったように言葉を濁す。
 そこから男は刺激を止めるどころか、さらに欲望で抉り出した。
 知っていたから。こうしていれば女の理性は容易く折れてしまうと。
 先走りで内壁を打たれ、連続して子宮をノックされ、嬌態への悦びを伝えていけばやがて――。
 「ふぁ――はぁぁっ……いい……」
 女の唇と腰が膣出しを求め、男の欲望を本気汁で濡らし、全体で絞り上げるようになる。
 口の端から涎を零し、頭を左右に立ち振り回し、涙交じりの切なげな表情で口がぱくぱく開く。
 「ください……欲しい、です……奥に……」
 ぬぷっ、ずりゅっ、と貫いては出し入れさせる。
 自分専用の形状であるそこがきゅうきゅうと隙間なく吸い付いてきた。
 肉感的な太腿を小刻みに震え、女蜜がタラタラとそこを伝い、シーツをいやらしく彩る。
 甘い願いを男は叶えてやることにした。うなじにキスをし、本来の整った美貌を媚びさせてから。
 「行くぜ……!」
 「はい…お願い、します……はぁ、あ……!」
 肉壁の一際きつい締め上がり。搾り取ろうとするその動き。
 甘い痺れを与えられ、熱く灼けた鋼のような肉棒が限界を超え、膨れ上がったまま脈動した。
 「いい……もう、もうだめぇっ……い、イク……あああぁぁ――っ!」
 どぷどぷどぷ――長く長く、精液を送り込んでいく。男女の脳髄を白い閃光が焼いた。
 「イクッ……イク、いっ……あ、あぁんっ……た、たっぷり……イク……」
 膣口は白い液体を美味しそうに飲み込んでいった。
 隙間から過去の分が逆流するように漏れ出ると、花芯や白い腹をどろどろに濡らす。
 「あ、あぁ……熱い……」
 「くう…」
 互いに達した男女は一瞬のみ硬直し、裸と裸の体を寄せ合って、崩れるように倒れ込む。
 スプリングがギシッと軋み、二人分の体重移動にベッドの足が地滑りした。
 女は幼い子供のように笑った。猫のように肢体を丸めてベッドに沈む。
 「……」
 全裸のまま、夢から覚めたように天井を見上げる男。その腕に彼の愛する女性を抱き――けれど彼女と視線は合わせず。
 だがその女性は何も言わず、風邪をひかないように体温を重ね、二人の腹の下までを一枚の毛布で覆う。

57 :

 塚本八雲はもう少女ではなくなっていた。もちろんこの場面においては本人の社会的地位や年齢よりもその肢体を指しての意味で。
 彼女が拳児に抱かれた回数は、それこそもう星を数えるようなもの。
 日常に纏う清純な面持ちの裏側には、愛する男性にのみ見せる悦楽に満ちた感情を多く持っていた。
 細くしなやかな指先。そこに宿るのは、家庭的あるいは紙とペンを操るための技巧以外に彼を悦ばせる性愛に関するものも。
 トロトロと粘液が流れ出てくるのは、今しがた寵愛を注がれた八雲の秘奥。
 彼女の愛液と交じり合い、一晩かけて何度も愛された分と合わせ精液にまみれている。
 にも関わらず、蜂腰の中央にある肉花の色はまるで生娘のように鮮やかなピンクを保っていた。良質の梅さながらに果肉が厚く種子は小さい。
 熟れた乳房をはじめとした全身にある性感帯にひどく敏感な反応を示し、何度貫かれてもキュウッと強く収縮し拳児の精を欲してくる。
 「……今度、休みが取れることになった」
 「は、い……」
 八雲の胎内から絶頂の余韻が抜けきらない内に、拳児が話を切り出す。
 今しがたの情事の例のように、話すより先に既に伝わっていると当然彼は知っている。
 ただし読心能力では決して伝わらないものが、音であり声。
 獣じみた本能に根ざすものではなく、理性が強く決意を込めた、守るべきもののある男性の声。
 「アメリカに行く。やっぱ……言っておかねえと。天満ちゃんに会ってくる」
 「……でしたら、私も。何とか時間はつくれると思いますから……」
 「ああ。頼めるか?」
 八雲と違い、拳児は一度たりとも日本を外に出たことはなかった。その彼が姉に会いに行く。
 あくまでも「今思っていること」しか読むことができない八雲には拳児の根底にある目的までは知ることができない。
 だが最愛の二人の再会なのだから不安はない。どうか、悔いだけはないように――。眠りにつきながら八雲は願った。
 ・・・・
 ・・

 後日、天満の都合を確認し仕事と日程調整を行った後に日本を発つ二人。
 空港での再会はごくごく自然に。笑顔で手を振ってくる天満に対し八雲も拳児も同じ仕草で応えた。
 (天満ちゃん……元気そうだな)
 まるで知らなかった彼女の新しい笑顔が表情に詰まっていた。
 彼女の選んだ道に後悔がないことが伝わってくる。
 あの卒業式の日に見た時より――ずっとずっと。
 二人と天満は互いの壮健を祝いあい、また、回復の兆候が見えていた烏丸大路を喜ばしく思い、
 家族の写真の飾られた病室にて近況や懐かしい思い出話、2-Cの友人達の現在などに花を咲かせた。そして――。
 「あのよ」
 これからが本命。天満にも八雲にもそう思える一言。拳児は一呼吸置くと、天満と八雲の目の前で小箱を取り出す。
 「播磨君――それ」


58 :

 木造の素朴な容器の中から出てきたのは、光だった。箱から漏れでる強い光、その燃えるような輝き。
 研ぎ澄まされた純白の光沢を持つプラチナリング。太陽をモチーフとしたそれは人を圧倒させる威光を放つ。
 拳児は永遠の愛の象徴を初めて手にするようにそっと持ち、前に進んだ。数秒の後に足を止める。
 ――塚本天満の眼前で。
 呆然とする塚本八雲の前ではなく――塚本天満を前にして。
 妹に背を向けて姉の前に拳児は立った。
 「播磨……君?」
 天満の左手――まだ何も嵌めるもののないそこを、拳児は優しく握り締め、二人の視線のちょうど中間に位置するように誘導する。
 「高校の頃……俺はずっとこうして君に告白したかった。一年のときも、二年のときも。三年のときも――ホントは君を諦めきれないでいた」
 君、という慣れない呼ばれ方に天満は反応することができなかった。
 本来なら妹の手に向けられるべきものが、こんなにも近く――息がかかりそうなほど近くにある。
 「こうして君を前にしてると、懐かしい気持ちで一杯だ。あの頃と全く変わらねえ――君を見て恋をするってことの、幸せな気分が戻ってくる」
 「播――」
 「君への想いを忘れたつもりはねえ。けど」
 拳児は天満の手を離した。そして動きを止めないままに振り返ると八雲を見つめた。
 真っ白になっている恋人の手を、天満にしたように同じく優しく握る。
 「けれど、それでも、今の八雲への気持ちのほうが強い。だからこの指輪は――」
 銀輪が左手の薬指に嵌められる。拳児が用意した光は八雲の手にそっと収まった。
 あれほど激しかった強い光が月のように静かで淡い光に収束していく。
 「これが俺の気持ちだ。どうか、俺達の結婚を許して欲しい。お姉さんとして、父親として、母親として……認めて欲しい」
 拳児はそこで言葉を切った。
 紛らわしいことをしてしまったが、これ以上ない形で八雲への愛を証明しない限り結婚できないと考えていたから。
 凍りついたように立ち尽くしている八雲からは未だ何の感情も見出せない。ぱちぱちと瞬きがされているため、かろうじて意識があることが読み取れる。
 「播磨君――」
 「おう……!」
 うるうると泣いている天満の姿を拳児は見た。
 喜びと、怒りと、悲しみと、また喜びと――顔には拳児が知る限り全ての感情が狭そうに互いを圧迫しあい、目まぐるしく移り変っている。
 これがお姉ちゃんパワーというやつか。そう思いながら、爆発の瞬間に一瞬だけ気圧される。
 「もう! ……絶対、絶対に八雲を幸せにしてね! 泣かせたらお姉ちゃん、地の果てでも追いかけるから!!」
 「ああ。……ありがとう」
 「え〜ん八雲、おめでとう。結婚式には絶対呼んでね。でもでも、いくら幸せだからって、お姉ちゃんのこと忘れないでね!」
 「……」
 「八雲? 何で黙るの? えええええ、お姉ちゃん呼んでくれないの? 忘れちゃうの?」
 「八雲? そ、そーいや返事を聞いてな――」
 「え、あっ――――う、うん。大丈夫姉さん……。 ありがとうございます……私……幸せです。拳児さん」
 当事者であるはずの八雲は天満と比較すると少々反応が鈍い。
 まさかと天満は思ったが、数秒後に妹のこれまた見たこともない笑顔を目にしたことで、烏丸の手を握りながら喜びを表現するようになった。
 夢のような嬉しさのあまり、信じられない幸福を前にしてのことだと考えて。そして拳児も、知っていたはずの彼女特有の理由に辿り着くことはなく――。
 (……ごめんなさい。最初から視えていました、拳児さん)


59 :

 それから慌しく日程が組まれ、元2-C・1-D合同の同窓会さながらの結婚式が執り行われた。
 仲人は、必で主張したがる稲葉美樹を懸命の説得の末に媒酌人に抑えたサラ・アディエマス。
 取り持つ必要のある事柄は一般のそれと比較し少なかったが、それでも彼女の夢は一つ叶ったこととなった。
 運命の一着とまで言われて彼に選んでもらったドレスに身を包み。
 予定を押して、しばらくの間日本に戻ってくれた天満に手をとられ歩くバージンロード。
 神前で、そして――最愛の親友、最愛の姉の前で、八雲は夫となる最愛の男性へ永遠の愛を誓った。
 その後も披露宴での全てを……燭台に設けられたキャンドルの塔に立ち、ケーキカットからを皮切りに……幸福を囲むような人々の輪を。一生の思い出として胸に刻む。
 心から祝福してくれた皆の笑顔を。
 ブーケをやっぱり姉の方角に投げてしまったことも。
 最後、退場する際に予定していないことが起きたことも。
 季節の花で飾られた門を開いてくぐる瞬間に、咲いたばかりのような桜の香りが迎えてくれたのだ。
 あっという間に会場全体に広がる春の空気。だが六月に桜……? 誰しもが一時騒然となったが、人の手に叶わぬ演出にやがて心当たりを抱く。
 彼女も――祝ってくれているのだと。
 ちなみに、引出物がマグロの骨を削り作られたペンというのが、招待された人達の間でちょっとした話題になったらしかった。一体どう使えばいいのやら。

 そして――八雲が姓を塚本から播磨に変え、更に時は流れ。
 ある日に一言だけ言い残し、幽霊の少女はもう八雲と拳児の前にさえ現れることはなくなった。

 《また……会いましょう。お母さん、お父さん》
 八雲が懐妊したのはそれから間もなくのことである。そして――十月十日。


 風は渦巻き高く昇る。桜色の花弁を巻き込んでどこまでも、どこまでも、高く。
 それは春が近い、ある日の事――。



60 :

 ――――――――
 反省によりちと今回のHシーンを増量。
 明日でラスト1回となりますが、エロパロ的要素は全くなしというていたらく。
 それでは。

61 :

             *

 壮年期に入ったその男性は、町中にある産婦人科の病院に勤める医師だった。
 世間で少子化が叫ばれるようになって久しく、同業者の不祥事等に対する世間の風当たりは冷たくて、誤解を交えた認識に難儀させられた経験は多い。
 それでも出産を控えた男女の不安は変わらなかったし、それを励まし負担を少しでも軽くしようと努力を続けたつもりである。
 面倒毎も少なくないが、何よりも新たな命の誕生に貢献できることを誇りに思っていた。
 部屋で仕事着に着替えながら、今日を予定日に控えていた夫婦のことを考える。
 夫の職業は漫画家。子供に夢を与える職に就いていながら少々風変わりな風体をしていた。
 ヒゲにサングラス……当初目にした時は困惑したものだが、彼が妻をひどく愛しているのは診察の度に伝わってきたし、心優しい青年だと今では理解している。
 足しげく彼が通うようになってから、何となくこの近くでも小動物の姿を見る機会が増えた気がした。
 外見が職業に合っていないのか、職業が外見に合っていないのかは……分からないが。
 そして彼の妻は(失礼ながら)経験上、希有な心の持ち主であった。
 見目麗しくも霞のような儚い容姿。外目からの印象は見ているだけで不安にさせるものがある。
 が、医者の常として高い美を備えているだけならば特にどうということもない。
 せいぜい、気弱な気質のせいで母体を病んでしまわないかという危機感くらい。
 だが、彼女は年齢に反し、成熟相にある花というよりは幼若な若葉を想起させる良妻だったのだ。
 相手を信頼しよう、繋がりを持とうという誠実な意思が根底にあるのだろう、人当たりがよく笑顔が似合っていた。
 ややたどたどしいながら生まれてくる我が子の事を第一に意識した話をしてくれて、
 数値や影だけの写真が示す成長経過にも嬉しく涙し、病理の可能性を知ってもそれを克服するための不自由を惜しまない。
 母として当然なはずの意識、けれど世の中で薄れていくそれをきちんと持っていた。
 信頼に信頼で応えようとする姿にある、芯の強さと陰日向のない心の正直さ。
 どこか子供に近く、大人びた外観が擁するには非常に珍しく、しかし似合っている。
 友人間で人望もあったのだろう、入院して以来、見舞いに来る知人の数は開院以来最大数を更新し続けていた。
 「先生、そろそろ――」
 今日はきっと朝から人の出入りも多くなる。
 看護士の呼ぶ声に意識を戻し、ぴしゃりと皺の入った頬を叩いて気合を入れると、彼は医務室を後にした。


62 :

             *
 敷かれたカーテンの外では鳥が懸命に羽ばたこうとする音がした。
 薄日が差して人の影を浮かび上がらせる。

 「うぐぐぐ……」
 「そんなに焦らなくていいですよ。生まれてすぐ決めないといけないわけでは――あっ。また蹴って……もう、この子は」
 二階に設けられた個室――その一角にて。
 八雲は出産を控えベッドに横たわり、世界の祝福を間近に控えた我が子を落ち着かせるように膨らんだ腹を撫でていた。
 母親となる彼女の傍で、拳児は名前辞典とにらめっこしながら唸っている。
 「とうとう今日になってしまったが……まだ決まらないのか播磨」
 「うるせー。プロの仕事に口を突っ込むな、メガネ」
 ハリマ☆ハリオは多くのキャラクターを生み出していて、名前という命を吹き込む経験は数多くあった。
 原稿の中の存在を指して我が子同然とは言うが、まるで違う。
 実子という緊張もあってかどうしても定まらないのだ。そんな彼に対し花井春樹はため息をつく。せめて眉間の皺は不安を掻き立てるから止めてやれと思いながら。
 「でも先輩だってこーんな分厚い辞典持ち出して連日徹夜で悩んだって周防、もとい花井――ああもう、とにかく先輩が」
 旧姓サラ・アディエマスが面倒そうに濁しながら口を挟む。朝と昼が競い合うこの時間、病室にいるのは彼女を含めて四名のみ。
 だが彼らはこの静かに流れるような静かさがまもなく破られることを予感していた。
 部屋に狭しと飾られた、花輪や見舞いの品々、安産祈願のお守りの量がそれを告げてくれるから。
 「あ! 八雲、車が来たみたいだよ。うっわーいきなり大所帯のお見え?」
 「編集長、かな……? お義父さん達はお昼からって……」
 その予想は当たっていた。出産日最初の来訪者にして最大の団体、ジンマガ関係者一同。
 驚いた看護師が慌てて誘導を行い、人数を区切って部屋の中に案内していた。
 「やあ三井君、塚本君、おめでとう!」
 「おう……」
 犬好きの編集長に八雲の同僚達。拳児とも縁深い彼ら――更には八雲と組んで作品を手がけた経験のある漫画達。
 既婚者も多い彼らの一人一人が新たな父親と母親に声援を送る。
 一言ずつ母子共に揃った健康を願っては、仕事があることを口にすると見舞いを終えて去っていく。
 「やっほー八雲」
 「来る途中に皆と会ったよん」
 「私達三人だけじゃなくて、先輩達も一緒だよ。……余計なのもいるけど」
 短い嵐が去っても静けさが戻るわけではない。
 入れ替わるようにやってきたのは八雲の高校・大学時代の友人達。十年来の仲となる彼らとまだ繋がりが続いていることを八雲は嬉しく思った。
 「ごめんな、あの子が中々寝付かなくてさ」
 「うむ、任せてすまない美琴……ぐはっ! 何をする高野!」
 「おっと足が滑った。でも病院では静かにね」
 続いて拳児の同級生。満一歳にならぬ我が子を両親に任せてきた旧姓周防美琴、世界を旅する自称冒険家、高野晶。
 「あれー? 広義さん、お店のほうはどうしたんです?」
 「……臨時休業」
 一言、面倒そうに、照れ隠ししながら麻生広義。どうやら愛らしい妻のことが気になって来たらしい。
 「俺もいるぜ?」
 何故か東郷雅一もいる。妹についてきたのだろうが。
 それにも慣れきっているのか、静かにしている限りはもう誰も口を挟まない。

63 :

 「大勢で押しかけちゃって迷惑じゃない?」
 「ううん、そんなことないよ。あ……誰かまた」
 コンコンと紳士的なノックがする。既に室内に詰め掛けている大勢を代表し、どうぞと八雲。
 やってきたのはまだ若々しい面影の残る彼ら――播磨修治とその恋人天王寺美緒、更にその兄であり拳児のライバルである天王寺昇。
 さすがに入りきらないと何人かが先に部屋を出た。
 「八雲姉ちゃん。気が早いけど、おめでとう」
 「おめでとうございます!」
 「二人とも……ありがとう。嬉しいよ」
 生花を渡される。見舞用なのだろう、匂いは弱くなっていた。
 けれどお腹を圧迫しないように握って心を委ねば、軽い緊張にあった自分の背中が軽くなっていくのが分かる。
 八雲は自分に憧れを寄せてくれた初々しい恋人達に感謝すると、二人の幸福が実を結ぶ日を思い願う。
 それはそう遠い未来のことではないような気がした。
 ……一方で。
 「播磨、来てやったぞ」
 「なんだオイその言い方」
 「あぁ?」
 「――いや。ありがとな、天王寺」
 「……へっ」
 拳を交えたかつての強敵達は、言葉少なくただ軽く拳骨を重ね、その意思を汲みあっていた。
 「だいたい皆来たか? あとは……」
 「ところがそうでもないみたいね」
 コツ、コツ、コツ、と。先程の修治より紳士的で手馴れた足音が近づく。
 聞く者にその状況を悟らせるようなリズム。高野はある見当をつけながら入り口を開いた。
 「店長……?」
 「久しぶりね八雲。これまたアナタの働く姿が見たいっていう、十年来の常連の皆さんからよ」
 「え、これ……は、はい……機会が、ありましたら……」
 その両手にダンボール一杯の謎の衣装を詰めたメルカド店長。
 在りし日の懸命に記憶を掘り起こしながら、八雲は深く深く感謝した。
 受験を機にバイトを辞めた人間のことを、まだ覚えてくれている人達がいることを。
 俯き加減で人見知りのする自分が話すことに慣れたのは、客としての彼らが優しくしてくれたから。
 「ありがとうございますと、お伝えください……」
 美味しいお茶の淹れ方や人と接するときの糸口の見つけ方――大事な経験があの喫茶店にはあった。
 「なあ……外になんかでかいバスみたいなのが……誰だ?」
 「バスですか? あぁ、なるほど」
 美琴の疑問にサラだけがピンと来た様に頷く。
 彼女以外は――拳児や八雲さえも心当たりはない。
 静かな、けれど落ち着きのない気配が多く重なり合って、壁を通して複数名の声がする。――コンコン。
 「失礼します。あ、あの。私達、その」
 「!……あなたたち、もしかして……」
 「あ…八雲姉ちゃん!」
 団体の先頭に立つ男女は高校生くらいだろうか。
 まだ顔がどこか子供らしさが抜けきっていない。
 彼らは緊張した表情で室内を伺うも、疑問を浮かべた大人達の中に八雲やサラを見つけるや一転、安心したように肩の力を抜く。
 そして若々しい英気に満ちた、かつての矢神高校の面々を思いださせる表情をとった。
 しかし拳児や花井らほとんどの人間は覚えが無い。自然と八雲に視線が集まる。
 「教会の皆……だよね? そんな、私のこと……」
 「覚えててくれた! あのね、サラ姉ちゃんに聞いて、会いたくなって私達……」
 「ほらやっぱり! 姉ちゃんが忘れるはずないってば」
 彼らは八雲が高校時代によく一緒に遊んだ、サラの教会の子供達。その成長した姿であった。

64 :

             *
 「しかし大したものだね彼女は。おつきあいもあるにせよ、これだけの人間を集めることができるとは。お姉さん譲りなのかな」
 「へ? 本人の長年の成果……だろ?」
 「そうだな。あの子の連綿と続いてきた人生……その結晶だ」
 拳児は昼前に自分の両親と一緒にやってきた刑部絃子と、病院の外で自販機のコーヒーを飲み交わしていた。
 次々と訪れる客人を前に避難してきたとも、病院に迷惑をかけているようで気が引けたとも言う。というかむしろ、集まりすぎだ。
 ふいに頭を上げてみれば、八雲のいるはずの部屋の外窓に白と黒の猫一家が並び座っている。
 そして遠くに見える山脈の頭は雪を抱いてまだ白い。
 「なあ拳児」
 「何だ?」
 「ぬなよ。父親を亡くすっていうのは……辛いものがある。そんな思いをさせるんじゃない」
 「おい物騒なこと――、あ――。そういやお前もそうだったか。分かってら」
 「よし」
 絃子は満足したようにぐっとコーヒーを飲み干すと、缶を離れたくず箱に投擲し、拳大ほどの入り口に収めて見せた。
 拳児もそれを真似してみせるが空しい音を立てて跳ね返ってくる。拾い上げて、今度は横着せずに直接入れた。
 「じゃあ、そろそろ行くわ。八雲が手術室に入るからよ」
 「ああ。名前で悩むのもいいが、今はとりあえずただ一人の細君に勇気を与えてやれ。今更だが、大事にしなよ。あんな子は他にいないだろうから」

 それから拳児はぎりぎりまで八雲に付き添い、手術室に消えた後も扉の前で全てが無事に終わることを祈っていた。
 自然分娩ではなく帝王切開。妻に宿ったのは逆子なのだ。
             *
 指を彩る銀の輝き。八雲を幸福にする誓いの象徴のはずが、どこか不安を掻き立てられた。
 廊下に用意された椅子に腰掛け、かたかたと足を上下に揺らす。
 食い入るように手術中のランプを眺め、最後に見た八雲の決意の宿った瞳を幾度となく思い返した。
 脳裏をよぎるのは大丈夫ですと言った医者の言葉ではなくて、ずいぶんと昔に聞いたあの少女の言葉。
 《もうわかってると思うけど、ヤクモには普通の人とは違う力がある。それは私のような本来交わるはずのない存在の世界に繋がっている》
 最後に見た八雲の表情を思い浮かべる。冷静で、不安に蓋をし、全てを受け入れ、逆に自分が勇気付けられてしまいそうな笑顔。
 あれは――単に出産への不安を乗り越えただけ、なのだろうか。何か別の、彼女特有の理由がその中にあったのではないだろうか。
 今更何に気付いたところで遅い。祈ることしかできない。なので拳児は何度目かになる生涯全ての念を両手に込める。
 「ところで……お嬢の奴はどうしたんだ? おい高野――」
 「愛理は仕事でまだ空港。天満と烏丸君の迎えも兼ねてね」
 「そっか。天満ちゃん……間に合うといいんだが」
 手紙では烏丸も少しずつ小康を得ているとあった。
 遅れているのは道路が込んでいるのか、飛行機に何かあったのか――。
 拳児は今日来る予定となっていた二人の姿が未だ見えない事に少しの間だけ憂いを馳せる。
 ・・・・
 ・・
 指を噛み、うろうろと動き回り、たまに窓から空を見上げたりして。
 「……!」
 やがて――ランプの光が赤から緑へ。やけに希薄でありながらどこか重々しい異界の空気を伴い、金属の扉が開く音がした。

65 :

             *
 総毛立つ緊張に包まれた廊下。
 足つきのベッドに乗せられ病室へと戻される八雲。
 風に煽られて散るのを待つだけの冬の葉さながらの手を握り締め、拳児は呆然とした空虚さに襲われていた。
 「……拳児、さん……」
 「八雲……!」
 「赤ちゃん……は……」
 「女の子だ! ちゃんと産まれた! だから、だから……あとはゆっくり休んで、元気だせ!」
 今朝もいつものようにおはようございますと言ってくれた声は今は砂漠のように乾ききっている。
 最後に掴んだ彼女の腕は、こんなに細かっただろうか。
 最後に目にした彼女の顔は、こんなに青白く生気ないものだっただろうか。
 身二つになると同時に全てを奪われてしまった妻の姿が拳児には儚い幻のように見えていた。
 体力は消耗していますが大丈夫です、と医者。節穴なのではないのか? こんなに、こんなにも弱りきっているというのに!
 八雲には意識があった。
 拳児は驚倒する。術式後、眠った状態で出てくるものだと思っていたのだ。
 なので途中で匙を投げられたような不安が足元から離れない。
 「落ち着いてください……先輩」
 「無理でも不安を顔から消せ。八雲君に伝わってしまう。……大丈夫だ、美琴も似たようなものだった」
 友人達の言葉は届いていたが、拳児はそれでも花井に押さえつけていて欲しいと思う程に不安だった。
 八雲が本当に消えてしまいそうで肩や手足から熱が抜けて震える。胸を圧する悲しみ。畏れと昂ぶり。それらが全く収まろうとしない。
 出産という行為がどれだけ危険を伴うことなのか、話に聞かされていただけで全く理解していなかった愚か者。そんな自分が悔しくて腹の中が煮えたぎる。
 ――と、病室に入り息も絶え絶えの八雲の手を握ると同時、看護師の耳に入りやすい声が鼓膜を打つ。
 その人物が抱いているのは、わずかに動く膨らみある布。
 「あ……」

66 :

 八雲は全ての疲労と苦痛を取り払ったような安堵の笑顔を浮かべた。
 睫毛の陰の、灰色じみて何も映していなかった瞳の一点が光を取り戻す。
 枕のすぐ隣に寝かされた、目の開かない我が子の姿を確かに確認できたから。
 同じく、拳児の表情にも落ち着きが戻り目の潤いも止まる。二人は視線を合わせて頷いた。
 「拳児さん……」
 「頑張ったな。偉いぞ八雲」
 「……」
 八雲は眠ったままの愛し子――新たな自らの分身を目に焼き付けると、心配そうな親友達の表情から目を逸らし、再度拳児のほうに顔を動かす。
 本来ならもう休まねばいけない状態にある体を酷使して。震える唇を上下に開いた。
 「この子が……大きくなった時」
 全身を包む気だるさ、激しい喪失感を八雲は残った気力で押さえ込んだ。
 麻酔の痺れは残っているが口元は何とか動かせる。
 「きっと……多くの、困難に……私と同じ……力を、持って……」
 口を動かす力さえ奪われたように苦しかった。胸が焼けて息が詰まる。
 その様子に堪えられなくなったのかサラが止めようとするも、八雲は目伏せで断った。
 「どうか……立ち向かえる、つよい……子に」
 「分かってる。だからもう……休め。ゆっくり寝るんだ」
 「おねがいします……そんな、なまえを……」
 名前は後でもいいと言っていた八雲が突然どうしてそれを願うのか、拳児は考えないようにした。
 良妻であった彼女は賢母となり自分と二人で子を育てていくはずだから。
 (私……眠く……いつも、の……?)
 顔見せがすんで、愛し子が手元から離れていく。
 とたんに抗えない眠気が疲労した体を襲ってきた。
 ここで眠ったらどうなるのか、八雲には少しだけ不安があった。もう起きることができないのではと。
 恐ろしく体が疲れているせいでそう思ってしまうだけなのだろうか。
 けれど、何であれいいと思った。必要なことは全て伝えたから。これでいい。
 (…………)
 もしもがあっても。
 過ぎた程の幸せを多くの人から自分は受けた。
 満足に返せてもいないのに足らないなど欲張りというものだ。
 だから――いい。八雲は瞼を閉じ、押さえ込んでいた疲労に身を委ねる。
 五感が途切れる瞬間、何かの振動を感じた気がした。
 だが考える力もなく、そこで意識の綱を手放す。

 「――や」
 拳児が口を開く。一瞬、何かが燃え尽きるような気配を鈍っていた第六感が察したから。
 腹の底からの大声を上げてしまいそうになる。
 とっさのことにそれをだれも止められない。

67 :

 バターン!
 「じゃーん! お姉ちゃん登場!」
 ……はずだった。『病院では静かに』そんな文句など上等だと言わんばかりに暴走する彼女さえやってこなければ。
 「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
 かぎかっこが多すぎて読み辛い。その後ろからひょいと烏丸大路が顔を見せる。
 「間に合ったああぁ! 八雲、お医者さんのお姉ちゃんに任せんしゃい! 大事なのはヒッヒッフーよ! 乱れない呼吸が生む勇気のパワーが――ってあれ?」
 「塚本さん。どうやら僕達は遅れてしまったようだ」
 「え? え? 烏丸君、それって? ……皆、どしたの? 何でそんな顔するの? 八雲〜〜?」
 狭い病室にいる大人達のは、特に八雲と近しい仲の者達である。その全員が一斉に沈黙した。
 拳児も。サラも。稲葉も。さつき。榛名も。
 花井も。美琴も。晶も。絃子も。……ついでにその場にいた看護師も。
 病院という場を弁える常識人、沢近愛理が早歩きで後からやってくるその時まで。そして――。
 「ちょっと天満慌てすぎ…… ? 皆して黙ってどうしたの? ねえヒゲ説明しなさい」
 「……おうメガネ。朝の話だがよ、俺すげえいいの思いついちまった」
 「…僕もだ」
 「…アタシも」
 「同じく」
 「私もです♪」
 「「「ハイハイ私達もー!」」」
 「だから説明――、まあ想像はつくけど。でもそれってどうかと思うわよ」
 「でもそのうち"烏丸"になるんだろ」
 「いやそもそも"播磨"じゃん」
 「子供がどう思うか、という問題もあるからね。まあ拳児、一文字頂戴するくらいならいいんじゃないか?」

 「え? え? ねえ皆、何のこと? ねえねえ八雲――」
 お疲れのところ悪いが、ここはやはり彼女に締めてもらわねばならない。
 そんな意図のある視線を十人分受けて――まだまだこれからの未来があることを思い出し――。

 生の息吹が湧く様を肌に感じながら、八雲は言った。

 「お帰り……姉さん」

 それは丁度、塚本天満の旅立ちから、丁度十年の歳月が過ぎたある日のこと。
 矢神高校は今日、卒業式だった。


 ――Fin


68 :

 ――――――――
 おにぎりルート、これにて完結。
 当初の予定通りのオチに至るまで、伸びに伸びて・・・。

 あれこれと長い間スレを占拠してしまいすいませんでした。
 ちょっとでも読んでくれた人、感想を書いてくれた人、続きを待ってくれた人、
 どのくらい期待に応えられたか分かりませんがお付き合いくださりありがとうございました。

69 :
>>68
GJ!完結はめでたいしありがたい!
作者氏のスクランへの思いの丈が詰まってて良かったし
自分にとっての最濃おにぎり(エロ)SSになった
長期に渡ってお疲れ様でした!

70 :
愛だなあ・・・
いいものを読ませてもらった
ありがとう

71 :
age

72 :
保管庫には移さないの?

73 :
保管庫の人などいない

74 :
何を移せばいいのかよく分かりません。

75 :
おにぎりルートだろ、旗ルートは移してあるんだし
でユカラカキ氏は今どこのスレにいるのだろう…

76 :
Zの前だったら楽しめたかも知れない…
真摯に上手なだけに、八雲ヒロイン化のために他キャラやスクラン世界が歪められてるように思えてしまう

77 :
まあファン・フィクションだしな
作者にとってのスクラン総決算だったんだろうと思うし
エロも濃かったから俺は楽しめた
Zは読んでないから分からないけど

78 :
Z読んだ後だが楽しめたがな

79 :
注意書きあるし作者にもそれなりの自覚と覚悟はあるんだろ。
もっともこんだけ二次創作が廃れた現在、合わないから読まない・・そんなえり好み難しいわな。
俺は面白かったからまた何か書く気が起きたらやって欲しいと思ってるクチだが。

80 :
保管庫の人もユカラカキ氏もいないのかな…

81 :
保守

82 :
保守

83 :
保守する必要があるのだろうか?

84 :
先生……超姉が読みたい…です

85 :
超はいらん。
むしろ播磨のちんぽに屈服してしまう姉が読みたい。

86 :
【姉】
1.刑部せんせい
2.姉ヶ崎せんせい
3.お姉ちゃん→塚本天満
4.姐さん→高野晶

87 :
あげ

88 :
>>86
俺の絃子!!

89 :
>>85
全く同意
お姉さんズに対して性的に下克上を果たす超播磨が読みたい

90 :
絃子さんを寝ている間に縛ってだな…

91 :
お姉さん達を陥落できるくらい床上手って播磨どんだけ経験あるんだよ

92 :
いや
播磨の天然モノのなせる業でしょう

93 :
稲鳴四季のお姉さん本は良かった

94 :
ユカラカキ氏の親友丼の続きはまだなのか〜

95 :
一度スレを落としてみるのはどうだろう
まだ書き手がいるならばどこかでスレ立てされるだろうし

96 :
落とすも何も
ほっときゃ落ちるだろ

97 :
うん
けどリクとか妄想とかしつこいからね

98 :
エロパロ板の雑談なんてそんなものだろ
それにスレ立ててまで書こうとする人がいるとは思えない

99 :


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