2013年10エロパロ384: 【ブラスレイター】BLASSREITERでエロパロ (441) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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【ブラスレイター】BLASSREITERでエロパロ


1 :2008/05/11 〜 最終レス :2013/09/16
■公式
ttp://www.blassreiter.com/
ゲルト…(´;ω;`)

2 :
>>1

アマンダ!アマンダ!

3 :
ブラスレでエロパロ…だと…!?
ゲルト×ジル見たいなー

4 :
キタキタ!ついにキター!>>1乙!

5 :
我が名はエロ
力無き妄想の代弁者である!
今回は私の大好きなアニメBLASSREITERのスレ立てを行った>>1を乙しつつ、ジョセフ×アマンダを作成する!
何、お前達が全力でおっぱいおっぱいしてくれれば条件はクリアしたも同然だ。

6 :
おっぱい!おっぱい!

7 :
おっぱい!おっぱい!

8 :
ちなみにマレク融合体化→ジョセフ撃破を前提としているのでそれだけ注意しておく
ではまた明日に来るぞ!

9 :

廃倉庫でマリア像をひたすら彫るジョセフは、虚しさを感じていた。
ただ木を削るだけの音がいやに響くのは、今まで付き添ってきた少年がいないからだ。
―手にかけた少年、マレク。
虐げられ堕ちた少年を剣で斬り捨てたのは、余りにも惨い幕引きだ。
―だが、マレクをあのままにするのは救いではなかった。
頭をよぎる言い訳に、ジョセフは苦い顔をする。
力を込めすぎた小刀の刃はマリア像の顔を削り落としてしまった。
さながら自らのようだ。
感情を捨て去り、融合体と化した自分が融合体を狩り続けるのは、人間であると自らに言い聞かせるための逃避なのだろうか。と―

不意に気配を感じたジョセフは身構える―が、すぐに座り直す。
気配の主は既知の女性、マレクの姉アマンダだった。
彼女の右手には拳銃が握られている。
融合体と言えど急所を狙うにあたり、破壊するには充分な装備だ。

「仇を、討ちにきたのか」
「違うわ」
その言葉とは裏腹にアマンダはジョセフの側頭部へと銃口を突き付ける。
ジョセフは微動だにせず、目線のみをアマンダへ向ける。
アマンダの目は赤い。
泣きはらしたのでは無いのだろう。
恐らくは眠れなかったのだ。
ZATと姉の感情の板挟みになり。
「赦しは乞わない。だが、されるわけにはいかない」
「分かってる…。マレクをあのままにしていたら沢山の犠牲が出ていた。あなたは正しい事をしたの。正しい事なのよ。なのに」

アマンダの肩が揺れる。
普段は結っている髪は解かれ、乱れている。
今の彼女の心理状態を表すかのように。
カチャカチャと銃口の震える音が廃倉庫に響く。
アマンダの表情が段々歪んでゆく。

「なのに!なぜ私は納得出来ないの!?マレクが血縁だから?弟だから?家族だから!?」
「…」
「家族が誰かを傷つける処こそ見たくなかったのに……止めてくれたあなたが正しいのに…納得出来なくて、悲しいの―」
泣くのをこらえるかのように唇を噛み締めるアマンダ。
その唇からは血が溢れ、涙の雫の代わりとして地面へ落ちる。
ジョセフは立ち上がり、アマンダの唇から流れる血を拭いさる。
その顔は悲しみと羨望に満ちていながら、いつもと変わりの無い、悲壮感をかすかに感じさせるだけの顔。


10 :
>>9
ジョセフからは想像出来ない行動にアマンダは呆ける。
そのアマンダをジョセフは胸中へ抱き締める。
「え…」
「涙は弱さの証じゃない。人間の証だ。誰かを想い哀しむことの出来る人間の証―。俺達化け物にはない、宝だ」

だから堪えるな。
涙を流し、その想いを糧にするのが人間なのだから。

ジョセフの言葉を受けたアマンダの瞳からは涙が溢れる。
今までの思いを洗い流すかのように泣きじゃくるアマンダを熱い腕の中に収めたままのジョセフは、その涙の感触の果てにマレクを想いながら、痛みと悲しみを堪え続けた。

□■□■□■□■□■

「落ち着いたか?」
「…っ、ぐす…ぅ…ふ」
何とか頷いたアマンダを解放するジョセフ。
アマンダの顔は涙で汚れており、化粧をしていたら大惨事に陥っていた処だろう。
「冷えるから、これを羽織っておけ」
「え…うん、ありがとう」
ジョセフのダスターコートを羽織るアマンダは、デジャヴに陥っていた。
何となくこの行為が、今までブルーとして戦ってきたジョセフを表しているのだ。と―

化け物と恐れられ、その人々の為に融合体と戦って傷付いて…
自らの体を切り売りするかのように救いを行う彼に、果たして救いがあり得るのか?と―。

『それで救ったつもりか』
彼の台詞が心奥を突く。
あれは果たして私達への戒めか。
それとも、図らずも堕ち果てながらも人間を助ける自身への嘲りか。

堪らなくなったアマンダは、ジョセフを後ろから抱き締めていた。

「…どう、した?」
「あなたの支えにならせて。あなたは私を今救ってくれた。あなたの弱さを、今度は私が救いたいの」
「それは、人間だけの特権だ。人間の証を、化け物である俺が行使するわけにはいかない」
「…な、なら!今だけ…今だけ人間になりなさい!…私のため、に…」

顔を赤らめ尻すぼみに言葉を紡ぐアマンダの様子に静かに微笑むジョセフ。
顔は合わせず、背中を向けたまま彼女に言った。
『ありがとう―』


11 :
gj

12 :
短いがGJ!だ

13 :
(○)<違うな…間違っているぞ!
このSSはまだ終わりではない!

14 :
>>13
マジかよ!?早レスすまん…

と言いたいが、もしかして書きながら投下してる?携帯?
だったらメモかなんかに書き貯めてから一気に投下の方が良いよ
あと5レス分投下なら名前欄に作名1/5、2/5…みたいにすると後で自分で見る時も分かりやすいでしょ?
スレ序盤なんで上にしときたいという考えなんかも知れないけど落ち着いてきたらメール欄にsageって打つのも忘れず

色々うるさく言ってゴメン…
続き楽しみに期待してるからな!

15 :
ブラス立ったか。期待wktk

16 :
きっとこのスレは伸びる!

17 :
気の抜けたビールのような保守しやがって!

18 :
アマンダの乳と尻タマんねぇ!こんな義姉がいたら人生狂うぜ

19 :
アマンダがエロ過ぎる…
あの白水着は反則だろ

20 :
エレアたああぁんエレアたん美しいよぉぉ

21 :
マレクが謎の融合体パワーでアマンダの精神操ってXAT内部崩壊を起こさせるMCものを…

22 :
3馬鹿にマレクを人質に取られ、強気な態度を取るものの、
3馬鹿の要求に従順に従うアマンダのエロパロキボン

23 :
「・・・お姉ちゃん、今日もいっぱい働いて疲れちゃった
・・・ねえマレク、今夜も・・・わかってるわよね?」
 家に帰るなりそう呟いたアマンダは、ライダースーツを脱ぎもせずソファに腰掛けたると、
両足を広げた挑発的なポーズでマレクを誘った。
 マレクは脅えたような表情で跪き犬のように這いながら、恐る恐るアマンダの股間へと顔
を近づけて行く。
「今日もいっぱい汗かいちゃったから、まずはたっぷり臭いを嗅いでね・・・」
 マレクは一瞬許しを請うような目でアマンダを見上げたが、頬を染め嗜虐的な色を灯す
姉の目を見て、諦めたように鼻をスーツ越しにアマンダの股間へと押し付ける。
「・・・・・・ううぅ・・・」
 すんすんと鼻を鳴らしアマンダの秘所の臭いを嗅ぎ、そのなんとも言えない雌の香りに
目に涙を浮かべながらえずくマレク。
「ダメよ・・・休んじゃ・・・。ほら、もっと鼻を押し付けて臭いを嗅ぐの、犬みたいにね・・・」
「むぐぅうう・・・うぐっ・・・・・・」
 アマンダに頭を押さえつけられ、息苦しさに呼吸を荒げるマレク。しかし、彼の意思とは
関係なしに、マレクの股間はアマンダの濃厚な雌の臭いに固くなっていく。
「そう・・・いい子よ・・・・・・マレクを引き取って、お姉ちゃん本当に良かったわ・・・」
「はぁっ・・・・・・あぁ・・・」
「お姉ちゃんの匂い好きでしょう・・・? ズボンをこんなに膨らませてるものね・・・」
 両手で弟の頭を押さえ込み自分の秘所に押し付けながら、アマンダはマレクのいきり立った
股間を脚で踏む。ぐりぐりと遠慮無しに踏みつける足の下で、マレクの股間は更に固さを増し
アマンダの嗜虐心に火をつけた。
「あぁ・・・素敵よマレク・・・・・・お姉ちゃん濡れてきちゃった・・・
今度はどうするのか・・・分かってるわね・・・?」
 マレクは辛うじて押さえつけられている頭を立てに振り、スーツ越しに滲んでくる甘い蜜と汗を
啜り始める。
「ふぐぅ・・・・・・じゅる・・・ぴちゃぴちゃ・・・」
 部屋の中をより濃厚な甘ったるい雌の臭いが漂い、アマンダの熱い吐息と、マレクが秘所を
啜る水音だけが響いていく。アマンダはスーツがマレクの涎と自分の愛液でびしょ濡れになる
まで、たっぷりと一時間。マレクに口で奉仕させた。
 女の味を刷り込まれたマレクは、それだけで股間を痛いくらいに腫らして発射寸前だ。
「そう・・・そこ・・・・・・上手よマレク・・・」
 弟の口奉仕に気を良くしたアマンダは彼の股間を足で擦りあげる。すると、あっという間に
ズボンの中に大量の精を撒き散らしてしまうマレク。
「ぐぅうううっ・・・・・・」
 アマンダはその醜態に眉を顰め、射精を続けるマレクの頬を平手で叩いた。
 悲鳴を上げ無様に床へと転がるマレクの股間を、アマンダは立ち上がり、踏みつけ、罵倒する。
「誰がイって良いなんて言ったの・・・? マレクは、拾って貰った恩も返せないような・・・ダメ人間
なのかしら・・・?」
「ああ・・・・・・ごめんなさい・・・ごめんなさいアマンダ・・・・・・」
 泣きながら許しを請うマレクの股間を、アマンダは軽く蹴り上げた。
「あぐぅううう・・・! 許して・・・! 許してください・・・・・・・・・」
「許して欲しいのなら態度で示しなさいマレク・・・・・・大丈夫、お姉ちゃんマレクは出来る子だって
信じてるから・・・・・・ほら」
 再びマレクの股間を蹴るアマンダ。その痛みと惨めさが、アマンダに苛め抜かれた彼の身体に
快感となって駆け巡る。彼の意思とは裏腹に固さを取り戻す股間に、アマンダは満足そうな笑みを
浮かべた。
「偉いわ・・・・・・マレク・・・」

24 :
アマンダスレの906の書き込みを見て我慢できなかった
今では反省している

25 :
いいぞもっとやれ

26 :
我慢しなくていい
もっとやれ

27 :
>>24
まったく、この変態のオレの股間をデモニアック化させちまうとはw

28 :
>>27
48時間監視させてもらおうか

29 :
おっぱい!おっぱい!

30 :
>>24
天才乙

31 :
>>13
つ、続きは…?
おっぱいおっぱいが足りませんでした?

32 :
こいつが本編にでるのが楽しみだな
http://cap.in.coocan.jp/s/1211455541085.jpg

33 :
アマンダはマレクの夢精の後始末したりすたのかなw
マレクがアマンダの着替えとかシャワーあびてんのを覗いたら、
やっぱしカウンセリングの先生にアマンダは相談すんのかなw

34 :
本編であんまり絡みが無いせいか盛り上がんないね。

35 :
とりあえず次回はエロ女医が正上位SEXっぽいw

36 :
デモニアック化したアマンダがフェイスオフ姿での
融合体の群を相手にしたエロエロ逆レイプパーティーとか見てみたい

37 :
エレア、スノウ、アマンダのジョセフ逆レイプパーティが見てみたい

38 :
これからはアマンダがジョセフに惚れる展開なのかなぁ?

39 :
スノウ、一緒にいたときはジョセフに惚れてたっぽいよな…
ほれっぽいというか

40 :
>>35
超マグロだったな。

41 :
>>39
ちょっとがっかりだよな

42 :
ジョセフ→レイン→ティオと、スノウは形はどうあれ誰かに依存してないとダメなんだろう

43 :
上げ

44 :
         w、
      _γ´⌒`ヽ
     ((_i ミi(ハVノ)
      リi、(リ‘ -ノi
          (,, O┬O キコキコ
      ≡ ())'J_))


45 :
ジョセフの性格上、アマンダに惚れても一緒にいようとはしないだろうな
最後は悲恋にしかならないな

46 :
ヘルマンの最後の言いそびれた言葉・・・・
いつの間に惚れてたんだよww

47 :
ヘルマンは、超マグロに生き返らされそうだなぁ。

48 :
小説読むと数年来のつきあいらしいし
惚れてても不思議じゃない
つか、暴走するアマンダを庇ったりフォローしたりって
本編のヘルマンからは考えられないな

49 :
              w、
            _γ´⌒`ヽ
      _  ((_i ミi((_,ハV)
    i<XAT}\リi、(リ ‘ ーノi
   ヽ.._\./  .ン_[l(,,つ¶つ¶、__
    ∠`ヽ.! /    ヾニEヲぐ,ゝ->
   /_`シ'K-───‐-、l∠ イ.  パラディンでage
   l´__,/l\、_ ̄0¨0)゙@Yヘ, -┤. 
.    l'___|⌒ヾ''ー==、ーr='イ i二|  
   / .」   i   /./7r‐く  lー!
.   f.  ヽ‐i人.∠'<   _i. l,.-ゝ.
    トiヘヘ「ト〈      `X  トレi7__|
   〉ト:トハj`! i.    /  トー┤lルj,リ
  /‐+----+‐l    iー--i---ヾ'〃
.  l_i____i__|   |___i,__i_|

50 :
おちそうねこのまま

51 :
アフガニスタンボミング

52 :
保守

53 :
エレアに足コキされてぇ

54 :
んっ

はっ


夏ですわ

55 :
絵描きこっちくるのに期待

56 :
ttp://www2.uploda.org/uporg1559914.jpg
とりあえず
テキトですまんね
…二日待て

57 :
>>56
きたあああああああああああああああああ!!!!乙GJ!

58 :
>>56
おれの股間がデモニアック!

59 :
>>56
ついに魔神が後輪したか・・・

60 :
>>56
おい!画像が消えてるぞ!どういうこった?!

61 :
アマンダ

62 :
>>56
見えねぇぇええ!!
再うp頼みます、ホントお願いします

63 :
どうせDVDで見るからと途中から見てなくて、久方ぶりに見たんだが
なんかゾイドが出てて噴いた

64 :
アマンダ

65 :
誰かいますか?
ジョセフ×エレアで学園パロとかいう超無茶なSS投下しようと思うんですがよろしいでしょうか?
しばらくしてお返事がいただけなければ開始しますが一応……

66 :
即答させてもらうと今すぐ投下してくれ!いやお願いします!マジで!

67 :
お許しが出ましたのでただいまより投下させていただきます。その前に注意書き。
・ただジョセフとエレアといちゃつかせたいがために色々と無茶しました。
 特にお前誰?警報(キャラ崩壊)が全力で発令中な悪寒です。そのあたりはどうかご容赦を。
・ジョセフとエレアが幼馴染設定の学パロです、苦手な人はご注意を。学パロですが特に学園設定とか深く考えてません。その場のノリです。
・非エロです。そのくせ無駄に長い(20ページ弱)という暴挙です。なんていうかすいません。
・エレアに角があるかないかは個々人のご想像におまかせします。角のないエレアも意外と可愛いかも?
それでは、次から投下開始でございますですよ。

68 :
最近、よく同じ夢を見る。
『さあ、おやりなさい。本能の示すがままに」
『ああ―――』
夢の中の自分は、ある組織で一人の男を監視、その男に組織で得た情報を提供する、いわゆるウォッチャー、もしくはメッセンジャーと呼ばれる存在で
『生きている気分はどう?』
『悪くない』
その、監視者であるところの自分は、その世界の技術であるのだろうホログラフとやらで自分の姿を偽りの異形へと変え、幾度と無く彼に接触。
彼の望む情報、あるいは自分の所属する組織にとって彼が有益に動いてくれるように誘導する情報を渡す……いわゆる、協力関係に彼とはあるようだった。
『あら? 拗ねてるの?』
『……何で俺が拗ねなきゃいけない』
『何も知らされていないのが口惜しいのではなくて?』
……とは言っても、お互いにとってそれがどういった利益を生むのか。否、そもそもお互いの目的がなんであるのかも自分はおぼろげにも覚えてはいない
なにしろ夢の中の出来事なのだ、いちいちその中で起きた細かな出来事や思考など記憶に残っているわけがない。
とりわけ印象に残っているのは『審判の日』『悪魔憑き』『国の誕生以前から存在する組織』等のおよそ現実では口にしないような単語ばかり……我ながらなんと壮大で自分らしからぬ夢だろうと思う。
こんな現実性の一片も無い夢を見て喜ぶのはせいぜい精神の熟していない子どもぐらいのものだ。
だから、そんなものをこの自分が、例え自分の意思でなくとも何度も繰り返し見るなどと、少しばかり気を落としてしまいそうだった……そう、美しくない
『それでザーギンを止められる可能性が、少しでも上がるのなら』
『すのではなく、止めたいのね。やはり不思議だわ、貴方は』
少し救われたのは、自分が日常の中でも口癖となっている『美しい』を夢の中の自分も常用していたことであろうか。
あのような出鱈目な世界観の中にあっても自分が己の性質を失っていないというのは、何か小さな誇りのように思えた。
……ただ、自己の性質を失っていないがために、あまり覚えてはいたくなかったことまで覚えていることを考えると、差し引きはゼロなのだろうか

69 :
『だが負けるつもりはない』
『正直ね。でも貴方のそういうところ―――』
……そう、彼とのほとんど覚えていない関係性の中で、唯一鮮明に覚えていることがこれだ……なんだろう、とてもではないが美しくない気がしてならない。
確かに、自己の性質を変えられることは例え夢だろうと嫌ではあったとも。
しかし、何もこんな感情までそのまま夢の中に持ち込まなくともよいではないか。ましてや……
『―――嫌いじゃないわ、ジョセフ』
『それはどうも―――エレア』
それを……そんな感情からなるそんなやり取りまで克明に覚えていなくともよいではないか
『―――嫌いじゃないわ』
そんな、彼への態度まで、いちいち現実と同じでなくともよいではないか。
そして……それを自分がいちいち気にする必要などない……ないはずではないか。
……ああ、美しくない。まったくもって美しくない。
と、少女―――エレアは、まどろんでいく意識の中でひたすらに己に対して呟き続けた。


エレアがまず感じたのは消毒液独特のツンとする匂いが鼻腔を刺激する感覚だった。
「ようやくお目覚め?」
次に声。
妖艶、と形容するほかに表現できないその声は、清潔なシーツの上で仰向けになっている彼女の頭上からまるであやすような響きを持って聞こえてきた。
「……ベアトリス……先生」
「おはよう、エレアさん。いいえ、時間的にはそろそろこんばんはでも差し支えないかもしれないわね。2限目から放課後の5時半まで熟睡した気分はどんなものなのかしら、私も一度体験してみたいわね」
「…………」
脳がまだ覚醒しきってはいないことを感じながらも、エレアは少しずつ今の状況を把握しようと思考を走らせる。
保健室、呆れ顔の保険教諭、未だまどろみ続ける自分の視界、そして夕日の差し込む窓……

70 :
「……授業、終わったんですね」
それらを総合した結果、エレアはそう結論付けた。
「つい二時間ほど前、貴方が気持ちよさそうに寝息を立てている頃にね」
どうやら自分は体調不良を訴えて訪れたこの保健室のベッドの上で熟睡してしまっていたらしい。とエレアは己の少し乱れ気味の黒く長い髪を手で撫で付けながら、まるで人事のように思った。
保健室の担当教諭であるベアトリスが半ば呆れたような、半ば諦めたような表情でため息をつきながら、まだ寝ぼけ気味と思しきエレアに少し嗜めるような口調で言う。
「貴方ね、ことあるごとにここを休憩室にするのはやめなさい。貴方が体が強い方ではないということは知っているし、貴方のお父様であるヴィクター理事長からもよろしくと頼まれてはいるけれど、流石にそれにかこつけて何度もズル休みされても困るのよねえ」
「ひどいですわ先生、私はそんなズル休みだなんて……」
先ほどの寝ぼけ気味の顔から一転、目の端に涙をため、すがるような表情でベアトリスに乞うエレア。
しかし、彼女をよく知るものであれば気づいただろう。その涙は先ほど彼女が欠伸をしたときに溜まったものだと。
そして、エレアの目の前にいる保健教諭、ベアトリスはその彼女をよく知るものの一人であった。
「……それで、今日の体育はなんの授業だったの?」
「マラソンです」
「……確かに、楽しい授業でないことは認めるけれどね」
「美しくもありません」
ベアトリスはその彼女の台詞に「またか」という表情をして額に軽く手を据えた。
「エレアさん、美しさで単位は取れないのよ?」
「美しく走りきれる自身のある時は出ます。けれど、今日は美しく走れそうになかったんですもの」
「……でも、出られないほどではなかったでしょう?」
「息を上げながら疲労困憊で走る姿なんて美しくないですわ。そんな姿を見せるぐらいなら、私は出席日数ごとき捨てることに躊躇いは持ちません」
「持ちなさいな、躊躇い」
ベアトリスはもう一度ため息をつくと、保健室に備え付けられた机に歩み寄り、机の上に散乱した用紙などを己の私物であろう皮製のバッグにつめ始めた。どうやら帰宅の準備を始めているらしい。
「貴方は座学の成績がいいから進級自体は余裕でしょうけど、落とした単位は成績として残るのよ?それは、あまり美しくないのではなくて?」
「先生、私がなんの考えも持たずに欠席をしているとお思いで?どれほどの欠席で単位を落とすか、どれほどの欠席であれば単位は落とさないのか……そのぐらいは計算済みです」
「……そんな計算をする意欲を、少しでも授業に出る意欲に分けてあげなさいな」

71 :
机の上の用紙を全てしまい終えたバッグを肩にかけ、この保健室のものと思しき鍵を指にひっかけながらベアトリスはエレアに、自分のものとは違う手持ちの鞄―――学校の指定鞄を手渡した。
「委員長のアマンダさんが持ってきてくれたわ、明日にでもお礼を言っておきなさい」
そう言うとベアトリスは踵を返したようにエレアに背を向け、この保健室の出入り口である扉へと歩きだす。
その行動を「今からここを閉める」という意味だと理解したエレアはローファーの靴を履き、手渡された鞄を持ち直しながら、ベアトリスの背を追って少し早足に、先ほどまで自分が眠っていたベッドから駆け出した。


『調子が快調ではないことは事実なんだから、速めに帰宅してコレを飲んで休みなさい』
そう言ってベアトリスに渡されたカプセル薬に目をやりながら、夕日の差し込む校舎をコツコツという足音を響かせて歩く。
「……どうしてあの先生の渡す薬は飲んではいけない気がするのかしら」
などとどうでもいいことを呟きながら薬を鞄の中に直した。
ふと窓の外から見える向かいの校舎を見ると、そのほとんどが明かりを落としている。部活をしている生徒たちもその多くが帰り始めている証拠だ。
どうやらこれは本気で寝すぎてしまったらしい。いつもならば終礼のチャイムが鳴る前には必ず目を覚まして自分の教室に荷物を取りに戻るのだが、今回は完全に起きるタイミングを逸してしまった。
先ほどベアトリスの前では開きなってみせたエレアだったが、改めて思いなおしてみるとこれは中々に美しくない。
「……あの夢のせいかしら」
また今日も見たあの夢。
無駄に大きな世界観、聞き慣れない、言い慣れない言語の羅列、およそ生きるうえで拝むことのできないであろう、非現実的な風景の数々。
あの夢を見るとき、決まっていつも眠りは深い。それはその壮大な世界観に飲まれているのかもしれないし、逆に眠りが深いからこそあれほどのスケールの大きい夢を見るのかもしれない。
そう、無駄に話が大きい……そのくせ、自分と『彼』、そしてその関係性や会話にまるで変化の見られないあの夢。
初めて見たのはいつごろだっただろうか、結構に前だったような気がする
……そう、見始めた当初からずっと夢の内容は同じようなものの繰り返しで、その中で繰り広げられる彼とのやりとりも同じようなことの繰り返しで
……その夢から覚めた後に考えることもまた、同じことの繰り返しで……

72 :
「ジョセフ……」
エレアの中で、『彼』に対してふつふつと理不尽とも言える怒りが沸いてきた。
(そうだわ、元はと言えばジョセフが夢の中でまであまりにジョセフのままなのが悪いのよ)
もちろん、エレアの中に芽生えたその感情はまったくの逆恨みであり、その意中の彼は彼女の見る夢の内容など知るはずもないのだから、彼女の怒りを買う理由はないはずなのだが……
(暗いし、物好きだし、身勝手だし、自分の身を省みない上に、私の言うことなんて聞きもしないし……)
ふと、エレアの足が止まる。
「……どちらがかしら」
その言葉の意味を聞き、理解し得る人間は、今現在この場には一人もいない。
いや、もしこの場に何十人の人間がいたとして、彼女の今の心情を理解はできないであろう。
誰あらん、エレア自身がその気持ちを持て余しているというのに、一体誰が彼女の気持ちを理解しうるというのか。
「……美しくないわね」
この夢を見るたび、何度言ったか分からない言葉を、やはり今回も小さく呟く。
ああ、わかっているのだ。
たかが夢になにをムキになっているのかと。
そんな怒りを彼に向けたところでどうしようもないだろうと。
……問題は彼よりも、自分自身にあるのだろうと。
「…………帰りましょう」
そんな、あまりにも後ろ暗い、彼女的に言うならば「美しくない」考えを振り払うために、エレアは先ほどよりも早足で歩き出す。
しかし、数歩進んだところで、その足がまたも急停止した。
「明かり?」
そう、明かりだ。
エレアが足を止めて見つめる先、その校舎のある一室から未だに光が漏れている。

73 :
(こんな時間に?)
もう部活も確実に終了しているであろうに、誰がこんな時間までのこっているのだろうか。
(あの教室は、確か……)
第二校舎の2階、左端から4番目の、明かりが漏れる教室……あそこは確か……確か……確か……
「……!」
エレアが走り出したのはそんな、何か得心が行ったような表情を見せた、すぐ後だった。


いつからそうなったのかはエレア自身にも分からない。
強いて理由を上げるならばお互いの家が家族ぐるみで仲がよく、それ故に一緒にいる時間が長かった……ということぐらいであろうか
そう……長かったのだ。
だから自分がいつ、何がきっかけで、ジョセフを『そういった対象』として意識し始めたのか、それがエレアには分からなかった。
ジョセフの背が自分を追い越してから?
自分の翻弄するような話し方にジョセフが飄々と対応するようになってから?
……それとも、最初からきっかけなどなかった?
少なくとも幼かった頃のエレアにとっては、ジョセフは弟のような存在であった。
すぐムキになる性格は挑発がたやすく、いじめるのがそれはそれは楽しくて仕方が無かった記憶が今も彼女の中にはある。
また、強がりなくせにどことなく頼りのないところなど「私がついていなければ」と姉貴風を吹かせるには絶好の相手だったのだ。
……それがいつからだろうか、エレアの言葉を柳のように受け流すことを覚え、性格的にも落ち着いた冷静な少年に成長していたったのは。

74 :
別に、エレアとてそれを不満に思うことはなかった。
むしろ彼女は喜んだ。あのあらゆる意味で拙かった弟のような存在が、いつしかそれほどまでに成長したことを……そう、『美しい』とさえ思った。
ただ、エレアにとって不幸だったのは、柔軟に対応を変えていったジョセフに対し、彼女自身はジョセフへの対応を変えることができなかったことだ。
『意識していないから変わらない』ではなく、『意識しているからこそ急には変えられなかった』のだ。
それはエレア特有の意地の張り方であったのかもしれないし、もしくは引っ込みがつかなくなってしまっただけだったのかもしれない。
……もしかしたら彼女にとっての真の不幸は、自分の気持ちを意識し始めた後も、動じず今まで通りの対応をし続けられたエレア自身の器用さにあったのか。
なんにせよ、エレアがそのような対応しかできない自分に下した評価はただ一つ……『美しくない』であった。
そして今現在も、彼女の中では自らをひたすらに『美しくない』と断ずる日々は続いている。


少しだけ乱れた息を整え、髪を整え、服装を整える。
これは彼の前だから云々というわけではなく、ただ単純にエレアが美しくない姿で人前に姿を現すことなど我慢なら無い、というプライドからであるが。
心なしか、いつもよりその時間が長く、慎重になっていることは、エレア自身も認めざるを得なかった(もちろん、その自覚した分だけ不満が顔に表れていることもまた事実ではあるが)
『美術室』
そう明記された札の直下にある扉をくぐると、そこにはやはり、エレアが予想していた通りの情景があった。
「ジョセフ」
その短くいい加減に切られた黒髪を夕日に反射させ、こちらに気づく様子もなく手元で一心不乱に彫刻刀を繰り返し前後させる少年……エレアはその光景に軽く……本当に軽くだけ息を呑み、彼にそう言葉をかけた。
「……エレア?」
手元の彫刻刀で削っていた木片(恐らく彼の所属している美術部で出された課題か何かだろう)から目を離し、視線をエレアに向けるジョセフと呼ばれたエレアの幼馴染であるところの彼の表情には、若干の驚きが含まれている。
その表情が、どことなくエレアに彼の不意をつかせたような気分にさせ、意味も無く気分がよくなった。

75 :
「どうしてここに?」
「あら、私がここに来てはいけない?」
単純に疑問をぶつけてくるジョセフにわざと意地の悪い聞き返しかたをするエレア。
といっても、これは本当に幼い頃からの彼女のくせであり、ジョセフもそれを熟知しているので、特に不愉快に思うことも無い。
「そういうわけじゃないが……もう、下校時間だろう」
「その台詞、そのまま貴方にお返しするわ、ジョセフ」
「俺は……もう少しで課題が完成しそうだったから、部長に鍵を預けてもらって仕上げるために残ってるだけだ」
やはり、とエレアは少し得意げな表情をする。
ジョセフがこういった、作業を中途なところで止めてしまうことを……とりわけ美術のことでそれをするのを嫌がる人物だということは、エレアは幼い頃からの付き合いで知っている。
というのも、彼がこうやって一人で部室に残って作業を終わらせようとすることはこれが最初ではないからだ。
何かにつけて作業が煮詰まったとき、もう少しで作業が終わりそうで微妙なところで終わらせたくないとき、彼はいつも美術室の鍵を預かり、遅くまで……それこそ学校の門限ギリギリまで居残って作業をする。
エレア自身も以前に何度か一人美術室に残って黙々と作業を続けるジョセフの姿を見たことがあるが、あれはなんともシュールというか、如何とも言い難い光景であった。
たまたま彼と同じ時間まで残っていた生徒が、美術室から聞こえてくる木を削る音に怯えて、学園七不思議のひとつ『彫刻おじさん』と勘違いするのも、仕方のないことであろう。
閑話休題。
「というか、お前、二限目の体育の後から教室に戻っていなかっただろう。俺はてっきりまたいつものように早退したんだと思ってたんだがな」
「あら失礼ね、私がそんな何度も早退を繰り返すような不真面目な者に見えて?」
「……じゃあ、どうして残ってるんだ」
「保健室で眠っていたのよ。どうせだからと思って、今日はゆっくり夕方まで眠らせてもらうことにしたの」
本当は放課後にすぐにでも帰るつもりだったが、この時間まで寝過ごしてしまったことは言わない。美しくないからだ。
ジョセフはそんなことでエレアを笑いはしないということを彼女自身もわかってはいるが、それでも彼女のプライドが彼にそれを言うことを許さなかった。
「……エレア」
「なあに?ジョセフ?」
「…………いや、いい」
あからさまに「保健室でサボるのは不真面目じゃないのか?」という表情をエレアに向けた後で小さくため息をつくジョセフ。
これ以上エレアに何を言っても笑顔で流されるということを理解しているからだろう、そのため息の中には少しばかりの諦観も含まれているようだった。
昔なら、ここでもっと反論してきたのに……などという思考が一瞬エレアの頭をよぎったが、さして重要なことではないので切り捨てる。

76 :
「お前は、まだ帰らないのか」
ため息をついてから視線を手元に戻したジョセフは、エレアの方を見ずに彫刻刀で木片を削りつつエレアに問う。
「あら、随分な言葉ではなくて?こんなところまでわざわざ来てあげた幼馴染に向かって」
「……頼んでいないんだがな」
ちくり
一瞬、本当に一瞬だけ、エレアの胸を小さな痛みが走りぬけた。
「……あら、そう」
かけぬけた鋭い痛みは一瞬だったというのに、その痛みがつけた傷が徐々に大きくなり、また鈍い痛みを新たに広げていくのがわかる……あんな程度の軽い言葉ごときで……情け無いことこの上ない。
ああ、しかもなんだこのあからさまに機嫌を悪くしたのがわかる声は。
これではまるで自分が彼の言葉に気を落としたようではないか。彼のそんな些細な言葉に傷つくような弱い女だと思われてしまうではないか。
……これもいつからだろうか、自分が彼の一挙一動に、心を大きく動かされるようになったのは。
彼が自分を見れば気持ちが高揚し、彼が自分を見てくれなければ不愉快になり、彼の行くところに、無意識に足を運んでしまうようになったのは。
(何をやっているの……私は)
夢見のせいだろうか、今日の自分は本当にどこかおかしいようだ。
やけに昔のことを思い出す。いつもより更に無駄に彼のことを意識する。
さっきのやり取りにしてもそうだ、いつもの自分ならばもう少し上手く流せたはずだというのに……
いつも以上に彼の言葉に心動かされ、こうやってまた延々と悩み続ける姿が、自分から見ても滑稽に思えてならなかった。
これならばいっそ、(いい意味でも悪い意味でも)自他共に認める思慮深さなどない方がずっと格好もついただろう。
少なくとも、今の自分の姿はエレアにとって美しくないと思うほか無かった……と、唐突に
「ありがとう」
その言葉が、先のジョセフの言葉の続きであるということに気づくのに、少しの時間を要した。
「……あら、私の訪問など頼んでいなかったのでなくて?」
完全なる不意打ちだった。まさかそんな言葉がくるなどとは予想だにしていなかった。
だから、エレアの脳内はこのとき、軽くパニックになっていたと言っても過言ではない。
「だが、わざわざ来てくれたんだろう、それ自体には礼を言うさ。来てくれたことは嬉しいしな」
ああ、まずい、嬉しい。エレアは柄にもなくそんなことを思う。
自分のそんな状態と、自分をそんな状態にしたジョセフの言葉ににひたすら戸惑っていた。
先ほど胸に痛みを感じたのと同じぐらい自分の胸が高揚しているのが分かる。心臓のあたりが少し痛い。
何か顔も赤いような気がして、慌ててジョセフに背を向ける。これなら、少し機嫌を悪くしてそっぽを向いたように見える筈だ。
「変わった風の吹き回しね、昔のあなたなら、こういう時、大声を張り上げて私に反論したものだけど」
今度こそ先ほどのように己の内心は晒さず、いつものように飄々と振舞う。
わざとこういった捻くれた言い方をしたのは、もし感情そのままの言葉を出してしまったら、今の心のうちまでジョセフに悟られてしまうかとしれないと思ったからだ。
「もう何年も前の話だろう……やめてくれ、もうあの時とは違う」
背中越しに、少しジョセフがむくれているのをエレアは感じる(その顔を確認したかったが、今目を合わせるのはこちらとて危険だ)。
どうやら子ども時代の話は彼にとってあまり思い出したくない過去であるらしい……その原因のほとんどは自分のせいなのだろうなとエレアも自覚していた。

77 :
「あら、いいじゃない。なんなら幼少期からの貴方の美しい成長記を私が時間をかけて語ってあげても……」
「っ、帰るぞ、エレア」
顔を赤くして、照れ隠ししているジョセフの顔を想像して思わず少し吹き出しそうになった。
ああ、こういうところは子どもの頃とやはり変わっていないのだなと少し感慨深くなったところで、ふとエレアは気づく。
「帰るの?」
「何を言ってる。そのために来たんじゃないのか」
「それはそうだけれど……いいの?今帰ると課題を美しくないまま残して帰ることになるのではなくて?」
脇に置いてあった手持ち鞄を持ち上げ、今まさに帰り支度を始めているジョセフに、しかしエレアは問う。
そう、帰り支度をしているジョセフの目の前には、明らかにまだ完成してはいないであろう木片がある。
そもそもこれを完成させるために残っていたのだから、今帰っては意味のないような気がするのだが……とエレアは疑問に思う。
しかし、ジョセフは逆にそのエレアの疑問の表情の方が不思議だと言わんばかりにためらい無く言う。
「だからといって、お前を待たせる理由にはならないだろう」
先ほどまでではないが、また顔の温度が上がるのを感じるエレア。
だからどうして彼はこういったことを油断したときにさらりと言うのだ
準備もしていない時に不意打ち気味になど卑怯だと思う。
「……いいの?」
最終確認。
正直なところ、まだエレアは少しジョセフのことを疑っていた。
普段の彼は他の美術部員が何を言っても、それでも梃子でも動かないほどに作業に没頭し、課題を完成させるまでは部室に残り続けるのだ。
そんな彼が、本当にそのような理由で帰ることを決めたのかという思いが拭えなかった。しかし……
「ああ、俺はいいが、これ以上遅くなるのはエレアが危ないだろう」
ジョセフはまたも、そのようなことをさらりとのたまった。
「……そう」
気づけば、先ほどまで感じていた胸の鈍痛は、いつの間にか跡形もなく消え去っていた。
ジョセフのささやかな言葉で痛めた胸は、今はジョセフのささやかな言葉のおかげで小さく弾み続けている。
(ああ、美しくない。本当に美しくないわ……)
そんな言葉をひたすらに頭の中で繰り返しながら、エレアはジョセフから顔を背け、後ろ手に持った鞄をただゆらゆらと揺らせることしか出来なかった。


「妙な夢だな」
そのことを、校舎の階段を下りる道すがらジョセフに話したのは、高揚していた気分のせいかもしれないし
ジョセフが課題で彫っていたマリア像―――夢の中で何度も登場するそれと、やはりほとんど同一のもの―――のせいで、数十分前に見ていた夢のことを思い出したからかもしれない。
どちらにしても、いつもその夢のせいで陥るローなテンションには、今日のエレアは不思議となってはいなかった。
「笑ってくれても構わないわよ……現実感のない美しくない夢だと」
「いや、夢なんてそんなものだろう、俺もそういったデタラメな夢を見ることは少なくはない」
「そう」
無人の校舎の中には、ただジョセフとエレアが階段を下る音だけが響き、本当にほとんど人が残っていないのだということを二人に実感させた。
そのことが意味も無く、エレアの心臓の動機を僅かに上げさせる。
「だが、面白い夢だとも思う。現実の人間が想像もつかない立ち居地で登場するのは、中々楽しいんじゃないか」
「どうかしら、よく分からない立ち居地の人や、はまりすぎで笑えない人なんかもいるから」
「はは、確かに、ベアトリス先生ははまりすぎだな。あの人は本当にそういう研究をしていそうだ」

78 :
本人が聞いていたらヤクザキックを思い切り鳩尾に食らわせられそうなことを言いながら、ジョセフは笑う。
自分の夢で彼を笑わせられたということで少し気分がよくなったエレアは、一段二段と
まるで跳ねるようにぴょんっと階段を軽やかに降りていきながらジョセフに同調するように僅かに笑った。
「あの人に渡される薬、何か飲んではいけない気がする時がなくって?」
「ああ、何か分かる……どうしてだろうな、ちゃんと利くんだが」
音の響く校舎内に、二人の笑い声がしずかに反響していく。
その声が聞こえなくなったのは、二人が駐輪所にほど近い出入り口にさしかかり、エレアが唐突に話題を変えた時だった。
「その夢にはね……ジョセフ、あなたも登場するの」
「……俺も?」
「ええ」
やはりまだ心のどこかに気恥ずかしさは残っていたらしい(ジョセフ本人の前で夢の中の彼の話題を振るからというのもあるのだろうが)。
エレアはどこか駆け足な感じで、時にスキップのように跳躍し、時にくるりと体を回転させて、ジョセフよりも数歩先をジョセフとは目を合わせないように、彼の見慣れた黒い自転車を目指して歩いた。
ジョセフは最初、そのことを聞くか聞くまいか躊躇していたようだったが、エレアがそれほどに拒否の姿勢を見せていないと察したのか、エレアがジョセフの自転車の傍にたどり着いたときに、数拍の間を置いて尋ねた。
「……俺は、どういう立ち位置なんだ?」
「……笑うわ、きっと」
「そんなにもデタラメな役割なのか?俺は」
「まあ、そこそこにね……」
エレアはジョセフの自転車の荷台に腰を預け、語り始めた。つらつらと……エレア自身とのことも含めて
ブラスレイター、ガルム、奇妙な共闘関係、アンドロマリウス、ツヴェルフ、お互いの利害……
エレアの感覚では、それなりに長く話していたつもりだったが、ジョセフはその間、何も言わず彼女の話を黙って聞き続ける。
それが、エレアにはなにか嬉しく感じられて、全てを話し終わったとき、エレアの表情には計らずとも笑顔が浮かんでいた。
「どう?おかしいでしょう」
そう問われたジョセフは、エレアの言うようにおかしそうに笑うことは無かったが、少し困ったような笑顔を浮かべながら彼女の問いに答える。
「……確かに、俺にしては少し扱いが大きな」
「あら、自分でそれを言うの? もっと喜ぶものじゃない? こういう時は」
「いや、少なくとも俺は、エレアの夢の中の俺のようには振舞えないよ。そんな出来事があって、そんな体になって、それでも人間に絶望せずに、人間のために戦い続けるなんて……俺じゃきっと、最初の段階で人を憎んで終わりじゃないかな」
そんなことはない。という言葉は、エレアの口をついては出なかった。
言ってしまってもよかったのかもしれないが、何を夢ごときに真面目になっているのだと思われる可能性があったし、何より、そんな美しくない必さから、彼に何かを悟られてしまうことは御免こうむりたかった。
ただ、その言葉はエレアの喉をゆっくりと嚥下し、腹の底に留まり、そしてゆっくりと消えていった……そう、感じられるほどに、その言葉は、少なくともエレアにとっては真摯なものであった。
「……いくか」
「ええ」
特にきっかけなどはなかった。
二人の話が終わったから自転車を出す。ただそれだけだった。
エレアを荷台に乗せたまま走り出すことに対しても、お互いから異論らしい異論は出はしなかった。


自転車の揺れ、少し冷たい風、遠くに見える夕日。
それらが全て些事に思えてしまうほどに、ジョセフの背中は大きく感じられ、またエレア自身もその感覚をよしとしていた。
ジョセフの荷台に乗ることは、何もこれが初めてではない。
今までも何度か今日のようなことはあったし、それ以前から、二人でこうしてどこかに赴くこと、帰路につくことは珍しいことではなかった
(これを目撃したクラスの女子からは度々「ジョセフくんと付き合ってるの?」などという黄色い質問をされるが……そんな簡単な関係であればどれほどよかったであろうかとエレアは思わざるをえない)。
ただ、今日はあのような話をした後だからであろうか
その感覚が妙に鮮明に感じられてしまって、エレアも自身の鼓動が、いつもそれなりに高鳴っているそれよりも、さらに大きく高鳴っているのを感じていた。
この鼓動が聞こえてしまわないだろうか、そんな少女漫画然としたことまで思ってしまう。
ただ、それ以上に今の感覚が心地よいと自分が感じていることも、エレアは自覚していた。

79 :
「……エレア」
少しビクリとなる。といっても、自転車は揺れない、それこそエレアだけに分かる微細なものではあったが。
「何かしら?」
内心、何かを悟られてしまったのかと怯えていた。
美術室での反応、駐輪場で話したこと、今現在高鳴っている自分の鼓動。
その全てが心当たりとして有力すぎた……しかし、ジョセフの言葉はエレアの想像していたそれとは違うものだった。
「夢の中でも、こんな感じか?」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「え?」
「ほら……ガルムとかいうバイクで、よく一緒に走ったって言ってたろ……もしかしたらこんな感じなんじゃないかと思ってな」
「……もう、忘れなさいよジョセフ。私だって、あまり思い出したくないのだから。あなたに話したのだって、胸の内に残して渦巻かせておくのが美しくないと思ったからなのよ」
「そうか?俺は嫌いじゃないがな、エレアのあの夢」
嫌いじゃない……こんな言葉にまでいちいち反応する自分が、少し嫌になってくる。
しかし、ジョセフがこの話題にそこまで食いついてくるとは意外だった。
昔のジョセフならいざ知らず、今のジョセフは自分と同じで、あまりこういった趣向のものは好かないと思っていたから。
その辺りは、やはりオトコノコというものであるということだろうか。
「ジョセフ、言っておくけれど、あの夢のこと、私以外の人間に話したらただではおかないからね?」
「分かってるよ、エレアがそういうのを人に知られるのは絶対に嫌だってことも……少なくとも、その点に関してだけは俺のことを信用してくれてるんだろうなってことも」
「……そう」
「だから、別に俺とエレアの間でだけなら構わないだろう?」
「…………」
ああまずい、また顔が赤くなっているのを感じる。
今の体制では絶対にお互いの表情を伺えないことがエレアにとっての救いだろうか。
気恥ずかしさをごまかすためか、少し場を改めるような咳払いをしてから、エレアは話し出した。
「……そうね、少なくとも私は、貴方とともに、同じ視点を走っていたし……そのことを……心地よいと感じてはいたわ」
心地よい、という単語は自分でも驚くほどにするりと唇からこぼれた。
今の雰囲気ともう夢のことを語ってしまったという勢いに当てられたのだろうか。
いつもこうであればいいのに……という言葉は流石に声としては出なかったが。
「そうか」
「でも……夢の中の貴方はどうだったのかしら」
「……エレア?」
自分でも表情と声色が暗くなったのを、エレアは感じた。
そう、確かに自分は……夢の中の監視者たる自分は、ジョセフといることを悪くないと……好ましいと思っていた……今の自分と同じように。
だが、ジョセフは?
「さっきも言ったけれど、夢の中の私たちは決して仲良しこよしの美しい関係という訳ではなかったわ
 ……ましてや、貴方は全ての現況である私たちツヴェルフに利用されている身で、私はそのツヴェルフの使徒……
 そんな私と走ることを、夢の中のあなたはどう思っていたのかしらね」
そう、ジョセフはただ自分たちの所属する組織に利用されているだけ。
あまりに鮮明な設定は覚えていないが、そこだけは動かざる事実として自分の中に残っていた。
彼は……夢の中のジョセフは、自分などといて楽しかったのだろうか、いや、むしろ苦痛だったのではないのか……
もし自分なら? もし自分が彼の立場なら、ツヴェルフのこと、そこに属する自分のことを好ましく思うだろうか?……否だ。
そんなことがあるはずが……
「少なくとも、悪くは思っていなかったと思うがな」

80 :
正直、エレアはかなり驚いた。
ジョセフがいきなりそのようなことを言ったことに対してもそうだったが、そんな言葉が出るとも予想だにしなかったからだ。
その驚きを悟られないように、エレアはできる限りの平静を保って「どうして?」と一言聞き返した。
「俺がそうは思っていないからな」
「……なんなの?それは」
「いや、なんとなくだが、俺が悪く思っていないんだから、夢の中の俺も悪くは思っていないんじゃないのか」
「……言ってることがあべこべよ、ジョセフ。美しくないわ」
いつもならばなら鼻で笑い飛ばしていたところだったろう。
しかし、今日はそうやって精一杯冷静さを装って誤魔化すことしかできなかった。
「いや、まったく根拠がないわけじゃないだ……そうだな、エレアの話だと夢の中の俺は、誰とも関りを持とうとせずに一人で戦い続けていたんだろう?
 例え心でどれだけ強がってはいても、人が孤独に打ち勝つことはそう簡単なことじゃない。そんな、ひたすらに孤独で、しかも戦いで徐々に心を磨耗していっただろう夢の中の俺にとって
 ……唯一そういう遠慮など一切なく話し合えるエレアの存在は……きっと、大きな支えになっていたと思う……それに」
「……それに?」
「もし俺なら、例えどんな協力関係であれ、エレアが味方でいてくれることを頼もしいと思う……きっとな」
今度こそ、本当に言葉も出なかった。
それほどまでに衝撃だった。それほどまでに予想外だった。それほどまでに……嬉しかった。
彼の言葉が、彼の声が、彼の背中が、先よりもより一層に自分の心臓を跳ね上げさせているのをエレアは感じていた。
彼のブレザーを掴む手のひらに力が入るのが分かった。それゆえに手の平が汗ばむのが分かった。彼の背中に僅かに寄りかかった自分の体の温度が上がったのも分かった。
それら全てが、彼に悟られてしまわないかと疑うほどに大きく、激しいものになっていることも……痛いほどに分かった。
「エレア、坂を下るぞ。しっかりつかまっていろ」
「…………」
エレアが頑ななまでに口を開かなかったのは、下り坂で舌を噛むことを懸念しただけ……というわけでは、決してなかっただろう。


「エレア、ついたぞ」
二人の乗る自転車がエレアの、およそ豪邸と呼ばれることになんら違和感のない家の前に到着する頃には、エレアの様々な感情も一応の平静を取り戻していた。
といっても、それはジョセフの前であるから取り繕っているというのがそうできている理由の大半であり、もし誰にも見られていなかったなら、恐らくこれほど早く平静を取り戻すことが出来なかっただろうなとエレアは思う。
「それじゃあジョセフ、今日はたすか……ぇ」
「ッ! エレア!」
ガシャンッ!!
一つ目の声は、荷台から降りた瞬間
恐らく、長時間脚を曲げていた反動が来たのであろう(普段の彼女ならそんな下手は踏まなかっただろうが、今日は体に余分な力を込めすぎた事が災いしたようだった)
上手く立つことができず地面に倒れこみそうになりながらも、その状況を自分ですぐには把握できなかったエレアのもの。
二つ目の声はエレアが倒れそうになったのをいち早く察知し、彼女をすんでのところで抱きとめたジョセフのもの
三つ目の音は、ジョセフ、そしてエレアという支えを失い、倒れた自転車が立てたもの。
順序立てて一瞬で起こった出来事を説明するならば、こうである。

81 :
「……あ」
「大丈夫か?エレア」
後に残ったのは、未だに足がしびれて上手く立つことができないエレアと、そんな彼女を抱きしめるような形で支えているジョセフの姿だった。
「エレア……?」
「…………」
『ボッ!』
もしジョセフがこの瞬間のエレアの顔色を見ていたなら彼女のことをこう評していただろう。
「顔から火が出ると思った」……と。
「だ、大丈夫っ、ジョセフ、離れ……」
「なに言ってる、今離れたらお前が倒れるだろう」
「それは……っ」
それはそうなのだ。確かにそうなのだが……しかし、これは……
「う、美しくないわっ」
「……いいさ、それでエレアが怪我をするよりは……ずっといい」
なす術もなく説き伏せられてしまった……否、もしかしたら、本気で反対する気など、元々エレアの中にはなかったのかもしれない。
しかし、今のこの状態でいつまでもいることができないのもまた事実であった。
頭の中で何度も早く戻れと念じるも、中々脚に力が入ってくれない。
そうやっている内にも刻々と時間は過ぎて行き、だんだんとお互いの間に流れる空気まで重くなっていった……エレアが唐突に話題を切り出したのは、その空気に耐えられなかったからに他ならないだろう。
「じ、ジョセフ……っ」
「? なんだ、エレア」
「さっきの言葉……本当なのかしら?」
「?」
ジョセフは、エレアの言った『さっき』というのがいつのことかすぐには分からなかったらしい。
しばらく思案をするような顔になった後で、ようやく事態を飲み込んだような様子を見せた……そして、次の瞬間には柔らかい笑顔で、エレアの問いに答えた。
「ああ、本当だ……もし夢の中の俺が、一人でも諦めずに戦い続けることができているなら……それはきっと、エレアのおかげだ……少なくとも俺なら、間違いなくそう思うさ」
……脚の痺れが……とれた。
「……ごめんなさいジョセフ。送ってもらっただけでなく、こんな美しくない姿まで……」
「構わない、どちらの行動も、俺が好きでやったことだ」
「……そう?」
「ああ」
「……ありがとう、ジョセフ」
普段なら多少の気恥ずかしさを伴ってしかるべきその台詞は、なんの違和感なく自然と口から出すことが出来た。
ジョセフはその言葉を聞いてしずかに笑みを浮かべると、エレアからその体を離し、倒れていた自転車を持ち直した。

82 :
「もう大丈夫だな? エレア」
サドルにまたがり、そう優しい笑みで問うジョセフに、エレアもまた自然な微笑で返していた。
「ええ、ジョセフ」
「そうか……俺はそろそろ行く。理事長にもよろしく伝えておいてくれ……じゃあエレア、また明日」
「ええ、また明日、ジョセフ」
ジョセフは軽く手を振ると、脚に力をこめてペダルをこぎ始め、ここから程遠くない自らの帰路につく。
30秒もするころには、そのどこか大きく見えた背中は、夕日の中に消えていった。
「……まったく、美しくないわ」
ああ、今日は最悪の日だった。
保健室で寝過ごす、ジョセフに夢のことを聞かせてしまう、脚に力が入らずあのような姿を人目にさらしてしまう
……まったく美しくない一日であった。
(けれど……)
こういう日も悪くはない。
そう、エレアは自分でも意識しないほどに自然に……流れるような思考で、そう思えていた。
「ああ、美しくない。本当に美しくないわ」
くるりと体の向きを換え、自宅の扉へとエレアは弾むような足取りで進む。
その脚からは、先ほどまで痺れて動けなかったなどということをまるで感じさせない、踊るような軽やかさ何故かがあった。


――――――今日の夢見は、いつもほど、悪くはないかもしれないと……
      エレアは、小さな笑みを口元に浮かべながら、ふと……本当に、ふとそう思った。

83 :
終わりです。
なんなんだろうコレ。ていうかなんなんだろうコレ。
なんていうかうー……あー……アレですね、もっと上手く書けるようになりたいです
エレア、ちょっとデレさせすぎたかなって反省してる。後悔はしてない。
ジョセフ、ちょっとタラシにしすぎたかなって反省してる。後悔もしてる。
とりあえず、小説版読んでエレアさんの正体が怖くなったから制約のない学パロで頑張ってみようかと思ったけど
むしろ新たな制約量産しまくっててあーあな感じに……ていうかそこまでしてジョセエレやりたかった自分の執念にむしろびっくり。
アレですね。最終回を迎えて、エレアの正体が分かって、そんでもって余裕があったらまた書いてみたいです。ジョセエレ。
それではあとがきもこのへんで、長文でお目汚し失礼いたしましたー。

84 :
追記
禁句:「これブラスレイターでやる意味なくね?」

85 :
GJでござい!
あなたがブラスレイターか

86 :
ついにエレア登場!
GJ!

87 :
ここには神がおわすぞ
クオリティ
クオンティティ
共にスゲー

88 :
「ただいまー」
アマンダが帰ってきた。
最近のアマンダは帰りが早い。仕事をちゃんと定時までに終わらせているから問題ないっていうのはヘルマンの話。
勿論、仕事が仕事だから、夜中に出て行く時もあるけど。
無理してジョセフより早く帰ってきて、アマンダは台所に直行する。
アルさん曰く、最近のアマンダの方が仕事がいいそうだ。
ブラッドの恋人曰く、私生活が充実してれば仕事も上手くいくものなんだって。
ふーん……
「美しくないわ」
エレアが僕の彫ったマリア像を評論する。
ジョセフの真似をしてみたけど、上手くはいかないや。ジョセフってああ見えて意外と器用なんだな。
「マレク、はかどってる?」
サーシャが部屋に入ってきて、僕は慌てて彫ったマリア像を机の中に隠した。
「木屑も隠さないと意味ないわよ」
サーシャが笑う。
ほんの気分転換なんだ。サーシャみたいに医者になろうと思ったけど、僕はサーシャみたいに頭が良くないし。
そりゃ、頭が良くない分、もっと頑張らなきゃって思うけど……
一人で言い訳を考えていると、玄関が開く音が聞こえた。ジョセフが帰ってきたのかな?
「家に帰った時ぐらい、ニコリとしやがれっての!!なぁゲルト!!」
あの声はヘルマンだ。
ジョセフは帰り道でヘルマンとゲルトに捕まったらしい(正確にいうとゲルトもヘルマンに捕まったんだけど)
ヘルマンはアマンダの作った料理を「うまいうまい」って誉めながら食べていた。
うん、最近のアマンダの料理は前よりずっと美味しい。
「ダメ、全然だめね。こんなに塩味を聞かせて、ジョセフの身体を壊したいの?」
このエレアの小言のせいなんだけどね。
ジョセフはアマンダとエレアのどちらの味方もせずに黙々と夕食を食べている。
そんなジョセフに突っかかるヘルマン。ゲルトが宥めている。こんな困った顔のゲルトなんてみんな知らないだろうな。
どっちの味方もしてないって言ったけど、サーシャがいうには料理を食べているってことはアマンダの味方なんだって。
そういうの、よくないと思うな。アマンダにちゃんと美味しいって言ってあげればいいのに。
そしたらサーシャが「ジョセフも昔はヘルマンぐらい騒がしかったのよ」って。ヘルマンみたいなジョセフ……想像できないや。
夕食の後、ヘルマンはどこからかお酒を見つけ出して、なんだか宴会騒ぎになった。
なんだか見たことの無いお酒で、けっこうアルコールが強いみたいだ。
サーシャが「あれはシドウが置き忘れていったショウチュウ……」って。
ああ、シドウとアマンダはお互いお酒が強くていい飲み友達みたいなんだ。
ジョセフはお酒飲んでるところを見たことがないから、アマンダはそこらへん物足りなく思ってたりして。
ヘルマンがXATの他のメンバーを呼び出したものだから、ホントにホームパーティになり始める予感。
アマンダはホストだから甲斐甲斐しく持てなししなきゃって台所とダイニングを行き来しているけど。
あ、いつの間にかジョセフも手伝っているし。……サーシャは働かないのかな?なんてサーシャを見たら、翠の目がキュインキュインしてた。威嚇?
エレアは「うんうん」いいながらショウチュウにご満悦の様子。
……あ、このおつまみ美味しい。え?ジョセフが作ったの?アマンダより料理上手だね!!……ゴメン、アマンダ。
失言だった。あれは仕事の時のアマンダの目だ。得物を狩るときの肉食動物の目だ。
メイフォンや、ブラッドや、その彼女のレーネさん、アルがやってきて、結構な広さの家でも狭く感じるぐらい。
「ヘルマン、あんまり新婚さんの家にお邪魔するもんじゃないぜ」とブラッドは大人の意見。
「そういう訳だから、マレクもはやく独り立ちしないとな」とアルさん。
「ヘルマンはアマンダを獲られたからジョセフに嫌がらせをしてるのさ」とゲルト。
「カッコワルイですね」トドメをさしたメイフォン。

89 :
一時間後、「おまえら俺を仲間はずれにするなよ……」と背中を煤けさせてウォルフ隊長がやってきた。
「隊長、もうお酒ありませんよ」「どうせなら買ってきてくれればよかったのに」「気が利かないですね」とフルボッコ。
そこにメイフォンから誘われたシドウが酒樽を持ってやってきたから、流石って話。
エレアが「そろそろ子供は寝る時間よ」なんて言い出す。そういうエレアだって子供じゃないか。「レディーに年を聞くのは美しくないわ」
酔っぱらったレーネがブラッドに口移しとかし始めて、アマンダが僕の目をふさぐ。
夜にもっと凄いことをジョセフとしてるじゃないか。今更すぎるよ。っていうかお酒臭い。アマンダも飲んでる?
結局シラフなのは僕とジョセフだけ。正直ジョセフには同情するよ。
でもジョセフはなんだか楽しそうなんだよね。なんだか損な性格。
え?冷蔵庫の中身が無くなった?買い出しに行ってくるの?ご苦労様……
ガルムのエンジン音が遠くなってきた頃、入れ違いに場違いな蹄の音が響いた。
どうみてもザーギンです。本当にありがとうございました。
で、帰ってきたジョセフは大根でザーギンを殴り始めるし、酔っぱらったヘルマンも混じって乱闘になり始めるし、
シドウの持ってきた樽の中からスノウが出てくるし、スノウがジョセフにモーションかけるとアマンダが不機嫌だし
ホントにどうにかしてよ、コレ。収集がつかないんだもん。
でもね、ホントに大変なのはみんなが寝静まった後なんだよ。
アマンダとジョセフがさ、うん、わかるだろ?
僕の身にもなってよ。義理の姉さんと兄さんが、その、そういう事してるんだよ?
だいたいさ、アマンダから誘っておいて「恥ずかしい」とか無いよ。恥ずかしいのはコッチだよ。キスにどれだけ時間かけているんだよ。
ジョセフって、あの平然とした感じで、すっごく直球なこと言うんだ。そしたらアマンダも燃え上がってさ、もうワインが葡萄ジュースになるぐらい甘い。
そして長い。
アノ時のジョセフは、もう職人だよ。前技で何回アマンダをイカせるんだって話。もうアマンダはトロトロになる訳。
汗と牝の臭いで部屋がむんむんするんだ。挿入すると、アマンダのおっぱいが、こう、ババロアみたいにグニョグニョブルンブルン震えて、
汗の飛沫がこっちに飛んでくるんだから。ヤるなら自分達の部屋のベットの上でして欲しいよ。
いつもとなりの部屋から、喘ぎ声をか聞こえてくる比じゃないよ。なんで他の人は起きないんだろう。お酒ってスゴイな。
それで二人が達すると、一段落なんだけど、アマンダはもう足腰立たないのにジョセフを求めてさ、結局アマンダが気絶するまで終わらない。
それで、後始末はジョセフが黙々としてる。ちょっと涙がでるよ、あの光景は。
うん、まあ、そういう訳だから、なんかもうこのゲームじゃ満足できないっていうか、だからヨハンにあげるよ。
……そんな目で見ないでよ。
うん、じゃあ明日学校で。





「マレクは起きたくないのよ。夢の中が幸せだから……」

90 :
>>89
読んでる内に夢オチなのが解って、でも(´・ω・`)モノガナシス
こんな未来も、いいかな、って…

91 :
ジョセフは大根でザーギンを殴り始めるし ワロタ
しかし…
「マレクは起きたくないのよ。夢の中が幸せだから……」
 (´;ω;)

92 :
ジョセフ「こんなものはデタラメな残像だ!」

93 :
おぉ神!
アマンダ物のお恵みをもっとくれ!

               へるまん

94 :
ジョセフ「俺はもう駄目だ…
動くもの全てがおっぱいに見えてしまう…っ
アマンダ…良い谷間だ…
君のブラはこいつを抑え込んでいると云うのか…!
すごいな……」

(以下CM明けに流れるBGM)

95 :
アマンダ「え…え!?……お、おっぱい?……え?えぇ!?!」
サーシャ(彼女、慣れてないわ……)
ジョセフ「アマンダ、君の胸はすごいな……」
アマンダ「そ、そうなの……私のって……?」
サーシャ(ジョセフ、ごめんなさい。私のせいだわ……)
ジョセフ「揉んでも……いいか?」
アマンダ「えぇえ!?!」
サーシャ(私ではダメなのね、ジョセフ!)
ジョセフ「いいか?」
アマンダ「は……はい……」
サーシャ(押しに弱いわ、このコ!!)

96 :
なにこの流れw

97 :
良く分からんがアマンダのおっぱいはオアシスなんだな

98 :
ジョセフ「ああ。アマンダの胸はダブルすごかった」

99 :
ジョセフ「サーシャの胸はダブル硬かった」
アマンダ「そ、そうなの……サ、サイボーグだからかしら?」

ジョセフ「メイフォンの胸はダブル柔らかかった」
アマンダ「メ、メイフォンのも触ったの!?」

ジョセフ「スノウの胸はダブル甘かった」
アマンダ「誰?」

ジョセフ「ベアトリスの胸はダブル黒かった」
アマンダ「そう。まあそうよね……」

ジョセフ「エレアの胸はダブル平たかった」
アマンダ「ジョセフ!!もう触るのは私だけにしなさい!!」
ジョセフ(まだゲルトの胸の話が残ってるのに……)

100 :
>>99
エレア「ジョセフ、美しいに方と美しくないに方……どちらがお好きかしら?」

101 :
アマンダの慌てっぷりが良い…しかしジョセフ変態すぎるw

102 :
>>100
ジョセフ「豊満な胸も、平原な胸も、ダブルで胸だ」

103 :
ジョセフ「レーネの胸はダブル丁度良かった(大きさが)」

104 :
どうも、83です
>>85
ありがとうございます、俺はせいぜいなれてデモニアックでしょうねえ……
>>86
これをエレアと言っていいのかどうか……でも自分を止められなかったんだ
>>87
まだまだ要修行ですが……このような拙いSSをそこまで言ってくださることがもう嬉しすぎです
>>89
アレ?画面が良く見えないや、なんでだろう……
ええとですね……なんか勢いに任せたらもう一本出来てしまいました、ジョセエレSS(最終回まで書かないんじゃなかったのか)
これまた学パロで、これまた似たような方向性の非エロSSなのですが……今から投下させていただいてもよろしいでしょうか?
とりあえず、しばらく待ってお返事がいただけなければ、そのときにも投下はさせて頂くのですが……

105 :
とりあえず、次から投下開始させていただきます
注意事項等
・非エロです
・またも学パロです。苦手な方はご注意を
・相変わらずお前誰?警報発令中
・今回は出来るだけコンパクトにまとめてみたつもりです……多分10ページ前後?
・エレアに角があるかないか、エレアの耳が長いか否かの判断はお任せします……特に後者は今回結構重要です。
ではでは、次からスタート。

106 :
『立ち入り禁止』の札がぶら下げられた紐の下をくぐる。
埃の堆積したコンクリートの階段を、口元を軽くふさぎながらゆっくりと上るが、どうしても少量の埃はやはり舞い上がってしまい、またその様子がはっきりと分かるほどにこの場所は汚れているのだと分かり、エレアは思わず顔をしかめた。
『ごめんなさいエレアさん、ジョセフ君を探して連れてきてもらえませんか?
どうしても今日中に出してほしいプリントがあったんですけど、ジョセフ君、忘れていってしまったみたいで……」
『どうして私が? だいたい、ジョセフなら今日も美術室にいるのではなくて?』
『それが、顧問の先生に聞いたところ今日は美術部の活動はお休みだそうなんです。』
『……なら、もう帰ったんじゃないかしら』
『それは思いました。もし本当に帰ってしまっていたなら、もう仕方ないと諦められたんですけど
校門番のウォルフ先生に聞いたら、今日まだジョセフくんの姿は見ていないと……ならきっと、学校の中にいると思うんです』
『……それで?』
『何か特別に用がないなら、エレアさんに、ジョセフくんが学校内でいそうなところを当たって探してきてほしいんです。
私は、これから委員会の会議があるから手が離せなくて……エレアさんなら、きっと彼がどこにいるのかも分かるかと思って』
クラスの書務委員、メイフォンとそのような会話を交わしたのが丁度十五分ほど前。
エレアは、早くも嘘でもいいから「用がある」と言っておけばよかったと後悔していた。
(美しくない……まったく美しくないわ)
 大体、どうして自分なのだ。それはまあ、他の者よりは彼のことを知ってはいるつもりだとも。
 メイフォンに心当たりがあるだろうと言われたときに、確かにいくつかそういった場所が浮かびもしたとも。
 しかし、しかしだ……それがまるで当たり前のように扱われているのが気に入らない。
 そしてまた、「ジョセフくん絡みのことなら多分断らないでしょう」みたいなタカをメイフォンがくくっているのも何か気に入らない。
 自分で言うのもなんだが、ジョセフへの気持ちは、周囲には上手く隠せている……とエレアは思っている。
それはまあ、二人の幼馴染独特の空気から「もしかして付き合ってるんですか?」などと質問してくる者もいるにはいる。
しかし、エレアはそう聞かれるたびに笑顔で「彼とはただの幼馴染です」と明言し続けてきた。
その彼女の笑顔があまりに清廉潔白(に、エレアをよく知らないものにはそう見える)なため
多くの者は、少なくとも『エレアがジョセフに対して好意を抱いている』という事実には気づいていない。
どちらかというと、『ジョセフがエレアに好意を抱いているのでいつも一緒にいる』と思っている物の方が多いだろう
……そうであればどれだけいいか、とエレアはそういったことを聞かされる都度思わざるを得なかったが。
だが……あのメイフォンだけは、まるで確信があるかのように自分をジョセフ関連のことで利用しようとする……まったく、気に入らない。

107 :
(初めてあったときから、何かあるとは思っていたのよ……あの子)
 と、エレアが初対面時にメイフォンに抱いた好ましくない感情を思い出し始めた頃、エレアはもうすぐ自分が登っている階段が終わることに気づいた。
「……まったく、こんな美しい場所に私を通らせておいて……ただで済むと思わないことね、ジョセフ」
 エレアは、その彼女を良く知るものが……例えばジョセフが目視していれば、背筋に怖気を感じずに入られないような子悪魔の笑みを浮かべながら
 その上りきった階段の先にある扉……屋上の扉のドアノブを握った。


LIAR


 この時間帯、丁度影となる昇降口の裏側。
 コンクリートの壁に背中を預けてすうすうと寝息を立てるジョセフを見て、エレアはやはり、という顔をした。
 ジョセフは部活がなく、家に帰ってもやることがない日は、こうしてわざわざ屋上まで来てここで昼寝をしていることが多い。
 実際に来てみればなるほど、この場所は静かであるし、影という絶好の涼み場もある、しかし決して涼しすぎるというわけでもなく、日の光の陽気にも溢れていて、わざわざこんなところまで来て眠りたくなる気持ちも理解できなくはないと思う。
 ……しかし、今のエレアの頭の中にあったのはそんな共感ではなく、どうすれば自分にこんな面倒をかけておきながら
目の前で気持ちよさそうに寝息を立てるこの暢気な男により効果的な罰を与えられるか……その計画の考案だけだった。
(さて……どうして上げましょうか……ジョセフ)
 狙うなら寝起きだ。
 脳の覚醒していない、判断能力も低下している、これ以上ない最高の瞬間を狙わない手はない。
(…………決まったわ)
 作戦はこうだ。
 寝起き、すなわち簡単な嘘に引っかかってもおかしくないほどに思考能力の低下した瞬間。
 その絶好の瞬間を狙って、この男が慌てて飛び起きるような嘘を、自分の(ジョセフを騙すためだけに)磨き上げられた演技力でもって伝え、この男をパニックに陥らせる。
 そして、その美しくない様を見て、自分が絶妙のタイミングで嘲笑を一つ。
「ふ……ふふ……」
 ああ、楽しい。なんて楽しいのだろう。
 久しく忘れていた、ジョセフを弄くって遊ぶ感覚を思い出して、エレアは思わず小さな笑い声をもらさずにはいられなかった。
 体から溢れ出る黒いものをさらに増徴させるその笑みを浮かべながら、エレアは一つ咳払いをする。
 そして、その次の瞬間には……
「ジョセフ、起きなさいジョセフっ、大変なの」

108 :
先ほどまでの雰囲気が一転、エレアはまるで、必至に何かをジョセフに訴えるような真摯な姿勢(もちろんそう見えるだけだ)になり、ジョセフの体をゆする。
「ん……エレ……ア……?」
三、四度体をゆすった頃だろうか、ジョセフはその体を一切動かさず、しかし瞼だけを眠そうに開閉し、いかにも寝起きという細い目でエレアを見つめた。
「ジョセフ!」
 その表情を見たエレアは思わず心の中で微笑んだ。そう、これだ。計画を実行するのに今以上の好機はない。
 エレアは自分の中で用意していた嘘を下の上に乗せようと、口を開きかけた……開こうとした瞬間だった。
「……エレア、嘘をつこうとしてるな」
「!?」
正直、めちゃくちゃにエレアは驚いた。
だってそうでろう。嘘をつくつかないとかいう問題ではない。
その言の葉を口に乗せようとする前に嘘を看破されるなどと、一体誰が予想できるというのか。
その答えは、あまりの衝撃にエレアが数秒間(不覚にも)、体の動きも、表情すら停止している数秒間に、未だに寝ぼけ眼のジョセフがくれた。
「エレアは……嘘をつこうとするときと、ついたあと……耳が動くくせがあるだろ」
「え!?」
 意識せず、耳を押さえていた。
待て、なんだそれは。
 そんな癖が自分にあったことなどエレアはまるで知らない。第一、そんな癖をこの自分が長い間気づかすに放置しているはずがない。
絶対にどこかで気づいて治しているはずだ。自分がどれだけ今まで人に(特にジョセフに)嘘吹いてきたか、それは自分が一番よく知っている。
そんな自分が、そんな分かり安すぎる癖に気づかないはずなど……いや、待て。問題はそこではない。
先の台詞から察するに、ジョセフは自分のその癖のことをかなり前から知っていた?
であるならば、自分が今まで彼に対してついた嘘……それが大なり小なり彼に全てばれていたということか?
……いや、それこそありえない。ありえるはずがない。
だって、もし本当に……自分の嘘が彼にバレていたとしたら……今までのあらゆる嘘を看破されていたなら……自分の、彼に対する……想いのことまで……

109 :
「ごめん、嘘」
カキーン
『ゲルトぉ! そっちにボール行ったぞぉ!』
『任せろヘルマン! とうっ!』
『すげえ!すげえよゲルト!あの球を捕れるなんて、やっぱアンタは天才だ!チャンプだよ!ゲルト!』
『ふっ、ヘルマン……お前の球も中々のもんだったぜ……これなら、いつでも俺の背中を任せられそうだ……』
『ゲルト……』
『ヘルマン……』
『あっはは〜、待てよぅ〜ゲルトぉ〜』
『ほぉら、ヘルマン、俺を捕まえてみろ〜』
『てめえらいいからさっさとボールよこせや!』
 そんな、グラウンドの野球部の声がはっきりと聞こえるほどに、数秒間……ジョセフとエレアの間からは音がなくなっていた。
「…………は?」
 かろうじてエレアがその言葉のみをつむぎ出せたのは、たっぷり三十秒ほど間を空けたころだったと思う。
 ジョセフはその言葉に対して、大きく慌てた風でもなく、むしろまだ完全に寝起きのテンションで、つらつらと言葉を発し始めた。
「昔……サーシャに聞いたんだ……エレアは嘘をつくときに、そういう癖が出るって
……っていっても、俺はそんな癖……ぜんぜん無いと思ったから、多分姉さんの嘘だけど……さっき、お前の耳が、動いてるように……見えたから……」
「……つまり、何? 貴方は……私を振るいにかけたということ……?」
「…………まあ、平たく言えば」
カキーン
『ところでヘルマン、俺のバッティングを見てくれ……こいつをどう思う?』
『すごく……力強いです……』
『ああ……次はホームランだ』
『お前らもう帰れや!!』
 今度の静寂は先ほどのものよりも、幾分かは短かった。
 つまりは何だ……ジョセフが自分にあるといった癖は、実際のところはジョセフのカマかけで、自分はそれにまんまと乗ったと?
 しかもそれを真面目に信じた自分は、今までの自分がついた嘘を真面目に思い返して
 それが全て彼にばれていたのかと真面目に悩んで
 もし本当にばれていたら……ばれていたならどうしようなどと……そんなことを真面目に…………
「……つっ!」
 ようやく頭の中で要点を纏め終わるのと、顔を真っ赤にしたエレアがジョセフの顔に張り手を繰り出したのは、ほぼ同時だった。
 いつものエレアならそういった暴力的な行いは美しくないと断じたであろうが、残念ながら今の羞恥心に頭を支配されたエレアにそんなことを考える余裕などなかったのだ。
 しかし、どうやら今日はエレアにとってとことん運の向いていない日らしい。次の瞬間、エレアがまったく予想だにしていなかったことが起きた。
パシッ
「なっ!?」
 ジョセフが、あろうことかエレアが繰り出した張り手を受け止めたのだ。
 一瞬、何が起こったのか分からず思考停止していたエレアはしかし、手に感じる自分の体温以外の温もりを感じて、はっと正気に戻った。

110 :
「ちょ、ちょっとジョセフ!? 離しなさい、ジョセフ!」
 しかし、ジョセフは何故か頑として強く握り、受け止めたエレアの右手を、その己の左から決して解放しようとはしなかった。
「な、何を……え?……ちょっと……ジョセ……フ……」
 まずい。先ほど感じた、俗に言う『頭に血が上る』とはまた別に意味で顔の熱が上がっていくのを感じる。
 いや、顔だけではない。その場所以外の血の流れ、心臓の音、目の動き。
 その全てが、明らかに常のものとは違うものになっていること、エレアは誰あらん、自分自身が一番感じていた。
「や……こんな……ジョ……ジョセ……」
「……ぐぅ」
「…………え?」
 まるで予想していなかったジョセフの口から発せられた音に呆気をとられて素っ頓狂な声を出してしまうエレア。
 恐る恐る彼の表情を伺おうと、小さくしゃがみこみ、俯き気味のジョセフの顔を覗き込むと……
「すぅ……すぅ……」
 どう見ても熟睡しています。本当にありがとうございました。
「…………はぁ」
 一気に気が抜けたエレアは、思わず膝からその場所に座り込んでしまった。
「……何かおかしいとは思ったのよ」
 そう、思えばエレアがここにきた最初から、ジョセフはどこかおかしかった。
 普段のジョセフなら、たとえ自分が騙されていると分かっても、こんなエレアの気を動転させるようなカマはかけないだろう。
 それ以外にも、あっさり自分がカマをかけていたと認めたり……何よりも、自分の手を握ったりなどと……
 早い話が、ただ寝ぼけていただけ……と。
「…………」
 自分で至った思考に、自分で落ち込み、それにまた自分で気づいて、また一つため息をついてしまうエレア。
 普段の、人前で上品に振舞う彼女の姿しか知らないものが見れば、恐らくこれ以上に驚くものはないだろう。
『エレア……気をつけてね、アナタは……』
 体中の力が抜けて、思考がはっきりしてきたからだろうか。
 ふと唐突に、数年前に聞いたはずの……しかしたった今まで忘却していた記憶がエレアの頭の中でよみがえってきた。
(ああ、そうだわ……思い出した)
 アレはそう、まだ自分が小学生ぐらいの年の頃だっただろうか。
 ジョセフの姉であるサーシャから、あるとき言われたことがあった。
『エレア……アナタは嘘をつこうとした時とした後に、耳がぴくぴく動いてしまう癖があるわ』
『え!?』
 あの時も今と同じように、耳を押さえた記憶が、確かに残っている。
『大丈夫、多分、まだ私以外には誰も気づいていないと思うから……』
 そう言われて、かなり驚いたことも記憶に残っていた……自分にそんな癖があったこと、サーシャに自分でも気づいていなかった癖を知られていたこと
 ……そして何より、その癖が『事実』であったことに。

111 :
「……そう、事実だったのよね」
 そうなのだ。サーシャに指摘され、ジョセフに指摘されたその癖は、確かにエレアがかつて、実際に持っていたものだった。
 かつて……というのは、エレアが既にそれを克服したことを表している。 
 エレアは、サーシャにその癖を指摘された後、必にその癖をなくす努力を続け、そして最終的には、その癖を完全に克服したのだ……したはずだったのだ。
「……まだ、完全にではなかった……ということかしら……美しくないわね」
 克服した、というのは嘘ではない。
 事実、サーシャもそれを見て「もう分からない」という太鼓判を押してくれたし、自分でも何度も確認して、己のその癖が直っていることも確認した。
 何より、いくらサーシャでなくても、そんな癖が直っていなければ
 流石にそれが嘘のときに出る癖だと気づく人間が後何人かは現れてもおかしくはないだろう。
 それはすなわち、少なくともそれほど大っぴらに意識されるほどには癖は残っていないということだ。
 だがしかし、それはどうやら彼女の言う『完全』とは行かなかったらしい。
 どうにも、自分が多少なりとも「嘘がばれるのではないか」という危機感をもっていないと、未だにその癖は出てしまうようだ。
 今回に限っていうなら、ジョセフが寝起きで、そのように虚偽を見抜けるほどの判断力はないであろうと断じた故に、癖が出ることを止められなかったらしい。
 ……幸いだったのは、ジョセフがサーシャから教えられたらしいその癖を、事実だと信じてはいなかったことだろうか。
 もしジョセフがそれを信じていたら、そして自分の癖が直っていなければ……そう思うとぞっとしない。
 しかし、何故サーシャはジョセフにその癖のことを話したのか……と考え始めて数秒でその思考は止めた。
 恐らく、酒の席で勢いに任せて言ってしまったのだろうということが簡単に分かったからだ。
 とりあえず、後でサーシャに問い詰めておこう……そう、エレアは強く心に誓った。
「う……ん……」
 思わず体がびくりとする。
 声が発せられたジョセフの口元を見ると、そこは緩く開け放たれ、白い清潔な歯が見え隠れしていた。
 少し上に視線を泳がせ、閉じられた目元を見るとは意外とその睫毛が長いことが分かる。
 他にも、鼻筋はすっと綺麗に通っているし、緩い風に揺らされる黒髪は、見ているだけで何かこちらの心まで小さく揺らされる気がする。
『サーシャ……どうしてサーシャは、私にそんなことを教えてくれるの?』
『ん? ふふ……私ね、妹にするなら可愛い子がいいなって思ってるの』
『?』
 そんな、思い出さなくていいような……いや、むしろ思い出したくない記憶まで思い出してしまったのは
 決して、自分がジョセフの顔に見入り、改めて己の気持ちを意識したからなどでは決してない。
 ……ない……と、せめて頭でだけでも、エレアはそう思いたかった。


 大体二十分ほど時間が過ぎたころだったろうか。
 ジョセフはまるで起きる気配などなく、相変わらず十分前と何も変わらぬままで、静かな寝息を立て続けていた。
 そう……『何も変わらぬまま』で、眠り続けていたのだ。
「……まったく、いつまで眠り続けるのよ……あなたは」
 しゃがみ続ける姿勢につらくなったエレアは、今はジョセフの隣で壁に背を預け、ジョセフの横顔を眺め続けている。
 一体、眠ったその体のどこからその力がくるのか。
 そう思わずにはいられないほど強く、ジョセフの右手に握られた右手を、お互いの丁度間に置きながら。

112 :
「……美しくないわ」
 さて、どうしするべきか、いくら起こそうとしても起きないこの男。
 先ほどはつい頭に血の上った勢いで手を出しかけたものの、流石にそのような美しくない行いを何度もする気は起きない。
 かといって、このままジョセフをつれていかなければどうなるのか……とりあえず、メイフォンの無駄に圧力のある追求を受けることになるだろう。
 悪くすれば、そこから噂が広がって『自分とジョセフはそんな長い時間どこで何をしていたのか』などという話になりかねない。
 それは美しくない。非常に美しくない。
「……はぁ」
 ため息をつきながら、今一度ジョセフの横顔を見やる。
「すぅ……すぅ……」
 
 その、静かに発せられる寝息だけが、この二人のいる空間を支配していた。
 夏特有の虫の声も、グラウンドにいるはずの生徒の……それこそ、先ほどまで聞こえていた野球部の意味の分からない掛け声も……何も聞こえなかった。
 音以外で、あえてそこにあったものは何かと言うならば
 そこにはただ、コンクリートの固さと、屋上という空間が作りだした不思議な暖かさと
 そして……ジョセフに握られた手から感じる、温もりだけがあった。
 エレアは、その温もりを感じながら、いつの間にか自分の視界がまどろんでいることに気づいた。
 どうやら、エレア自身もその屋上の空気に当てられてしまったらしい。
 まったく、自分は彼を起こしにきたはずだというのに……そう思いながら、エレアは焦点の定まらない眼差しで
瞼の落ちきる瞬間に、隣で相も変わらず眠り続けるジョセフに、恨み言を小さくぶつけた。
「まったく……早く……起きなさいよ……ジョセフ……」
 一つだけだった寝息が二つになったのは……それから、間もなくしてのことだった。


ぴくぴく。



113 :
投下終了です。
なんていうかアレだなあ……俺の書くエレアさん……弱いなあ
アニメとか小説だともっと余裕綽々でジョセフさんを弄っているというのに……うん、でもまあ、いいか(オイ
今回、初めてちゃんと改行を意識してやりました
結論、慣れないことはするもんじゃないね、うん。
おかげで、なんか『改行しようとするも途中で一回諦めてしかしまた再挑戦』という意味のわかんない状態になってしまった今回。
次書くときはもうやらないか、今度こそ徹底してやるようにします……いや、その前に次あるのかなあ(ぇ
それでは、このあたりで
またもお目汚し失礼しました。

114 :
>>111
でミス発見
そう思わずにはいられないほど強く、ジョセフの右手に握られた右手を
…………ジョセフの手は左手でしょうが!なにやってんの、俺orz

115 :
GJ!!!!
ブラスレで学パロは考えた事が無かったので、こうして再び素敵な作品を拝めるとは…
弱いエレアも大変良いと思います。ジョセフも何だか可愛くて好み。
お陰で今日は良い夢が見れそう…ご馳走様でした。

116 :
アマンダスレで一時期話題になったな>学パロ

169 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2008/07/05(土) 02:10:02 ID:83eSqM2a
まとめ
アマンダ:高等部2年生、風紀委員、みんなのアイドル(性的な意味で)
ヘルマン:高等部2年生、風紀委員、アマンダに近づくやつはぶっ飛ばす。ゲルトォォォォ
ブラッド:高等部2年、年下の彼女がいる
アル:高等部2年、勇者王
メイフォン:高等部2年、風紀委員書記。実は学園の脱税を調査しているマルサの女
レーネ:高等部1年、ブラッドの彼女。パラディン重箱弁当持参の尽くす女
ジル:高等部3年、二輪部のマネージャー。ゲルトの彼女
ジョセフ:高等部2年。寡黙な転校生。
ゲルト:高等部2年。二輪部主将。学園のヒーロー
エレア:中等部2年。美しい
マレク:中等部1年。アマンダが溺愛。

ベアトリス:保険医。保健室にやってくる生徒に薬物投与しているという噂がある。
ウォルフ:ベアトリス専制と噂のある教頭。
マシュー:二輪部の顧問。実はジルと付き合ってる。
ザーギン様:理事長。趣味は馬の手入れ

117 :
ネ申   降臨

118 :
>>116
アルの説明が投げ過ぎだw

119 :
実にニトロな説明じゃないかw

120 :
アマンダは体臭きつそうな印象があるな
白人だし、大柄らしいし(小説版の描写より)、ただでさえ蒸れ蒸れのライダースーツだし
そう考えると、マレクが妙にアマンダを避けていた理由もw

121 :
ジョセフ「俺は気にしないぞ。水は貴重だからな」
アマンダ「経済的理由でシャワーを浴びてない訳じゃないのよ……
      ちょっと時間が無かっただけで、いつもはちゃんと洗ってるわ」
ジョセフ「そうか」
アマンダ「待って!近づかないで!!」
ジョセフ「?」
アマンダ「今がまさに"時間が無かった"時なのよ」
ジョセフ「そうか。なら入浴するといい」
アマンダ「ええ」
ジョセフ「………」
アマンダ「ジョセフ?どうしてついてくるの?」
ジョセフ「俺も入浴する」
アマンダ「そ、そうなの。じゃ、じゃあ私は出て行くわね……」
ジョセフ「一緒に入ればいい」
アマンダ「え!?ええ!?!」
ジョセフ「心配するな、俺は洗うのは上手だ」
アマンダ「洗……っ」
ジョセフ「さあ、服を脱げ」
アマンダ「ちょっと、ちょっと待って、ジョセフ…ッ!」
ジョセフ「ほら、腕を上げろ」
アマンダ「……ッ!」
ジョセフ「洗うぞ。胸を隠すな」
アマンダ「やめて、ジョセフ……アン!……」
ジョセフ「谷間に汗が溜まってるな」
アマンダ「あぁ……ん……はぁ……」
ジョセフ「股を開け」
アマンダ「ん…んふぅ……はぁふ……」
ジョセフ「背中を洗うぞ」
アマンダ「あ……撫でちゃ……だめ……」
ジョセフ「お尻を割るぞ」
アマンダ「そんなところ……ぅぁ……あっ……洗わないでぇ……」
ジョセフ「アマンダ、浴室だからってお漏らしはよくない」
アマンダ「やぁ……私……私……」
ジョセフ「漏らしてしまったものは仕方ない、ほら、アソコも洗うぞ……」
アマンダ「ジョセ…フ……アアァアァァッアァァ〜〜〜」
――30分後
ジョセフ「アマンダ、大丈夫か?」
アマンダ「…はぁ……はぁぁ…ふぅぁ……」
ジョセフ「湯あたりしたようだな」
アマンダ「ジョセフ……もう、生しはいやぁ……」
ジョセフ「?」
アマンダ「ベッドに…連れて行って……」
ジョセフ「ああ……水分取るべきだ……」
アマンダ「口でしろっていうの?もう我慢できないわ……早く、私と寝て欲しいのに」
ジョセフ「(添い寝か……)アマンダは子供みたいだな」
アマンダ「子供……非道いわ、ジョセフ。私の身体をあんなにねぶったくせに!!」

シドウ「サーシャ、お前の弟はどこまで本気なんだ」
サーシャ「最初からよ……」
メイフォン「天然ドS……」
エレア「美しくないわ」

122 :
時々出現するエロジョセフ

123 :
うぅ・・・ねたきりのマレクきゅんのちんぽペロペロしたいお・・・

124 :
>>123
それはアマンダの元気の元だから、うばっちゃだめだお

125 :
ジョセフ→アマンダ→マレク
食物連鎖

126 :
ジョセフ→アマンダ→マレク
  ↑     ↑    ↓
サーシャ ヘルマン←ゲルト

127 :
>>126
ちょwwwwマレクwwwww
連鎖してないしwwwwww
サーシャ、ピラミッドの頂点じゃねぇかwwww

128 :
ジョセフ「姉さんが悲しむなら…俺は…どんな姿になってもいい…」

サーシャ「まず裸になってこの首輪と犬耳を付けてお座りのポーズでここに座りなさい。」
ジ「…(無言で実行)」
サ「お手」
ジ「…(ぺたっ)」
サ「良くできたわね〜。(なでなで)」
ジ「(サーシャの顔を舐めつつ)何故なんだ、姉さん。」

129 :
公式の人気投票行ったらジョセフとエレアの二人ともが5位内でテンション上がった
そして相変わらずのチャンプの人気に笑った

130 :
チャンプはまだ展開がカオスになる前に綺麗な形で自らの物語を完走したからな

131 :
ジョセフ アマンダ→マレク
↑ ↓  ↓ ↑    ↓
サーシャ ヘルマン→ゲルト→ジル
アル

132 :
アルがブラスレイターになったのは
ブラッドとレーネが横でイチャついてたのに嫉妬マスクだったからに違いない

133 :
今週の放送見て思ったこと
エレアはジョセフが目覚めてからすぐに長官に連絡入れてたよね

つまり、エレアはジョセフが寝てる間「早く起きないかな?早く起きないかな?」
ってずっとジョセフさんの寝顔を眺めていたということなんだよ!

134 :
首輪に潜って投与量を気ままに調節したりして
あれやこれやの退屈しのぎもしてたけどね

135 :
実に美しい妄想だな

136 :
>>134
ツンデレならぬSデレですね
わかります

137 :
ジョセフ「Zzz...」
エレア(ジョセフ、いつまで眠り続けるつもりなのかしら…
    そりゃまあ、こうなってるのは私たちツヴェルフの都合だけど…そ、それに
    ジョセフの寝顔を見続けられるのは悪くないけれど…私だって、早くジョセフと話した……)
ジョセフ「ん……ゥ……」
エレア(!? ま、まさか起きて……)
ジョセフ「ザーギン……姉さん……」
エレア「…………(ポチッ)」
ジョセフ「ぐああぁあァああァアアぁぁアアぁああァァああァぁあwせdrftgyふじこlp」
エレア「……夢の中でぐらい、ちゃんと私のことも見なさいよ……ばかジョセフ」


こんな感じっすかね

138 :
はい、そんな感じですw

139 :
この直後、本編の「お取り込み中のところごめんなさい」に繋がります

140 :
ジョセフ「Zzz...」
エレア(ジョセフ、いつまで眠り続けるつもりなのかしら…
    そりゃまあ、こうなってるのは私たちツヴェルフの都合だけど…そ、それに
    ジョセフの寝顔を見続けられるのは悪くないけれど…私だって、早くジョセフと話した……)
ガチャ・・・
エレア(!!)
ジョセフ「Zzz…」
サーシャ「ジョセフ……」
エレア(ちょっと待って……どうして私が隠れなきゃならないのかしら?)
サーシャ「もう、貴方を傷つけさせはしないわ……」
はぐはぐ
エレア(ちょっと!ジョセフから離れなさいよ!!)
ジョセフ「姉…さん……」
サーシャ「いってくるわ、ジョセフ」
CHU
エレア(ジョセフの頬がぁぁぁーーー)
サーシャ「こんな、普通の姉弟がすることもできなかったわね、ジョセフ……」
エレア(ならしないでよ!!美しくないわ!!)
ガチャ・・・
エレア(………ふん、行ったようね。もう戻ってこないといいのに)
ジョセフ「ん……ゥ……」
エレア(!? ま、まさか起きて……)
ガチャ・・・
エレア(!!)
アマンダ「ジョセフ……」
エレア(だから……どうして私が隠れなきゃならないのかしら!!)
アマンダ「………」
エレア(見つめ合ってなんかいないで、用事があるならすればいいのよ。美しくないわね……)
ジョセフ「アマンダ……マレクは……」
アマンダ「ジョセフ……貴方のいうことも分かるわ。貴方が私の事を心配してくれたことも……
      ごめんなさい。でも、ありがとう。私達……もし違う出会い方をしていたら……」
ス・・・
エレア(ジョセフのまぁまぁ美しい胸板に勝手に触らないで!!)
アマンダ「貴方は人間よ……誰よりも温かくて強い鼓動を持っている……
      貴方と背中を合わせてみたかったわ……」
ガチャ・・・
エレア(……ふん、行ったようね。もう戻ってこないといいのに)
ジョセフ「…う…ぅ…」
エレア(ジョセフ、まだ呼んでない名前がなくて?)
ジョセフ「ザーギン……」
エレア「…………(ポチッ)」
ジョセフ「ぐああぁあァああァアアぁぁアアぁああァァああァぁあwせdrftgyふじこlp」
エレア「……夢の中でぐらい、ちゃんと私のことも見なさいよ……ばかジョセフ」


こういう感じですね

141 :
かわええ
さらに美しい妄想乙です

142 :
皆さんこんばんは
アマンダ・ウェルナーです。
今回私は休暇を利用し日本のエー…え、違う?
…アキハバラ?
そう、秋葉原へと行きました。
目的は勿論、今私達のイベントをしてくれているカフェがあるというのでパラディンで駆け付けました。

なぜかパラディンにも私にも寄ってくる人たちを押しのけてカフェへ言ってみる。
ビルの中だと言うのに欧風の雰囲気を損なわないそこはエレア風に言えば『美しい』場所だ。
所々にも私たちの原画が飾られていて少し気恥ずかしい。

「いらっしゃいませ」
「ジョセフ!」
え、何故給仕服なのジョセフ。
需要なんてないはずよ。
「俺達のイベントをしてくれているので、せめて手伝いだけでもと思ってな…」
聞いてないけど説明ありがとう。
奥の席に通された私は何か釈然としないまま着席。
窓際のそこは明るく、左には原画。後ろにはブラスレイターのポスターとなかなかの好環境なのだけれど、正面にはヴィクターの写真がある。
こっちみんな。
とりあえず融合ケーキとゲルトをイメージしたドリンクを注文。

「お待たせしました。それではお召し上がりの前に料理が美味しくなるおまじないをさせていただきます」
…頼むから淡々と言わないで。物腰が丁寧なだけに不気味だわ。
そうするとジョセフは赤いカツラ…形から言えばヘルマンかしら?…を被り、ゲルトドリンクを持ち

『ゲルトォオオオオオ!』
…まあ想像はしていたのだけれど。
ザーギンをイメージしたパスタなら『ザァアーギィイン!』と叫ばなきゃいけないのかしら?
とりあえず食べたら普通に美味しかった。
途中アフロの女医に薬剤をもらった。認可されてない…ブレスケア。
…とりあえず取って置きましょうか。

なんだかんだ言ってイベントは楽しめたし、ゲルトのステッカーシールというマレクへのお土産もできた。
次イベントがあるならマレクも連れてこようと思う。


143 :
融合せよ   現実の力


ワロタ

144 :
アマンダ

145 :
オマンダ

146 :
エレア「…………」
ヴィクター「どうしたと言うのだ、彼女は」
メイフォン「はあ、それが……せっかくジョセフ・ジョブスンが目覚めたというのに
      彼がほとんどガルムを使用しなかったことがショックだったそうで……」
ヴィクター「それで落ち込んでいる……と?」
メイフォン「ええ」
エレア「…………うして」
ヴィクター「は?」
エレア「どうしてジョセフを暴走なんてさせたのよぉぉっ!バカ!間抜け!美しくない!このバカヴィクター!!」
ヴィクター「ちょっ、落ち着けぇい、エレア!お、お前とてジョセフが目覚めたときは美しいと喜んで……」
エレア「そのジョセフに乗ってもらえなきゃなんの意味もないのよーーー!!変なヒゲ!変な帽子!ドジっ子親父!!」
ヴィクター「ど、ドジッ子!?私のいったいどこが……ってガルム起動させちゃらめぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
エレア「ばかばかばかっ!ばかジョセフーーーーー!!!」
ヴィクター「だっ、だから私に当たられても、ちょっ、やめっ、アーーーッ!!」
メイフォン(……本当に大丈夫なのかしら、こんな人たちについていって……)

147 :
ヴィクター………(´・ω・`)……………………ファティ

148 :
かそ

149 :
ぬるぽ

150 :
ジョセフ×スノウを書いてくれる猛者は居ないかのう・・・

151 :
ジョセフは正気を取り戻したみたいだけどスノウをフルボッコにしたことを気に病んでるみたい
……そういう事を一々気にしてもしょうがないと思うんだけど
私がヘルマンを引っ叩いた回数なんて両手の指じゃ足りないし
「あ、アマンダ……」
噂をすればなんとやら、スノウが現れた
紙袋の中からリンゴの山を覗かせている
丁度良いから、ジョセフが悩んでいる事を教えておこう
「そうなの?ジョセフが……」
スノウは複雑な表情
痣も傷も全く残ってないブラスレイター様々の治癒力だから、気にしなくてもいいのにね
「あ、リンゴ……」
情報量代わりにリンゴを一個貰ったら、リンゴの山が崩れた
「ああ!!」
「あ、ゴメ…」
ガチャン!ガチャガチャ!ゴロン……
「………」
「///」
リンゴの次に紙袋から零れたのは、首輪に鎖に鞭に蝋燭に伸身自在でございなバイブ……
「ッ!!」
スノウは「どうみてもSMプレイの道具です、本当にありがとうございました」な品々を集めると、耳まで真っ赤にして走り去っていった
……大丈夫よ、ジョセフ。どうやら彼女、ハマったみたいだから
私の手にはスノウが回収しわすれた梨型バイブ
折角だからマレクに使ってみよう、目を覚ますかも知れないし

152 :
エレア「…………」
ヴィクター「ま、またか……ひとしきり暴れてようやく落ち着いたというのに、今度はどうしたというのだ」
メイフォン「はあ、それが……」
エレア「……の……ぼう……こ」
ヴィクター「は?」
エレア「この泥棒ネコぉぉぉぉぉ!!なんなのよお!今週のあのピンク色の回想はァァ!!
    私(ガルム)だってずっと回想の中にいたのに、私を無視して二人でいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃ!!」
メイフォン「……という、ことでして」
ヴィクター「なるほど……」
エレア「急に出てきたと思ったら急に今までの私とジョセフのフラグを遥かに凌駕する数のフラグ立てるなんて何様なのあの子!?
    アナタは漫画版の神父でも思ってマリア像を前後運動させていればいいのよぉ!!」
ヴィクター「あー、エレア?」
エレア「ジョセフもジョセフよ!私になんの断りもなく他の女をガルムに……っ!しかも二人乗りでなんて……
    私にまたがって乗ってもいいのはアナタだけなのにぃぃぃぃぃぃっ!!もっと私に乗りなさいよばかジョセフぅぅ!!」
ヴィクター「こ、これ、女の子があんまり前後運動とかまたがるとか乗るとか言うもんじゃ……」
エレア「うるさいわよ!人気投票8票!!」
ヴィクター「ぬおぁぁっ!?…………うっ、ひっぐ……えぐ……」
メイフォン「い、言いすぎよエレア!管区長が気にしていることを……」
エレア「うるさいわよ!信用できないキャラランキング2位!美しくない!」
メイフォン「キャ―――――――――――!?」
エレア「ううっ、どうしてなのジョセフ……私は、アナタにならいつだって……じょせふぅ……」
サーシャ「……こういうの、アナタの国の文字でなんて書くんだったかしら」
シドウ「……『屍累々』」

153 :
レストランにて
・・・
こちらのお皿、お下げします
次のお品は、「アマンダとウォルフの諸共煮」になります
フレッシュで濃厚なミルクソースと弾力に富んだ牛肉のハーモニーをお楽しみください
・・・

154 :
『濃厚なミルクソース』
…………まさか

155 :
弾力に富んだ牛乳肉……

たんのーしたいです

156 :
 本編のアマンダ見ていて妄想。
 アマンダとXAT第二班のメンバーがシャワールームで一緒になったら、というシチュエーション。
〜XAT第二班 一日の終わり〜
「まいったな、今日の狙撃ポイントはススだらけで閉口したぜ。俺、メイフォンに何かしたか?」
きゅっ、ざー。
  ごしごし。
「まったくだ。こっちなんか廃液まみれだぜ。臭いがとれやしねえ。いい男が台無しだ」
ざー。ごしごし。
「アル、お前はこんな泥臭い職場にいるくせに、見てくれに手間暇かけすぎなんだよ。
 とっととシャワーすませて、一杯やりにいこうぜ? なあブラッド」
「そうせかすなよヘルマン。お前とちがって今日のこっちはヘビーだったんだぜ? 
 一杯やるのはかまわないが、お前のおごりってことでいいんだよな?」
ざー。
  がちゃっ。
「おいおい、勘弁してくれよ。
 こないだのゲルトの祝勝会の後、大盤振る舞いしたじゃねえか……
 って、誰かきたのか?」
のっしのっし。
「あら、ヘルマン。となり使うわよ」
きゅっ。
ざー。
「おお、アマンダか。
 お前、この後暇か? 飲みにいこうぜ」
「駄目よ。家でマレクと食事しないと。
 それに、貴方弱いでしょう。また担いで帰るのはご免よ。
 あ、そうそう、石けん貸してくれない? 切らしてたわ」
「おいおい、そのことはもう言わないでくれよ。
 ああ、それと石けんだったな。ほらよ。
 シャンプーは要らないのか?」
ごしごしごしごしごし。
  ざぶざぶざぶざざー。
「髪洗うのなんて石けんで十分よ。一個で全身洗えるじゃない」
ざー。
  きゅっ。
「ちょっ、お前もう洗い終わったのか?」
「もう、って貴方達の入浴時間が長すぎるのよ。
 じゃ、お先に失礼するわ。お疲れさま」
のっしのっし。
  がちゃ。
〜状況、終了〜

エロを壮絶に無視したアマンダさん(隊員もしかり)しか書けませんでした……
 でもきっと、これが正しいアマンダさん。

157 :
>>156
英ドラマにSASを扱ったミニシリーズがあって、
SAS初の女性隊員のシャワーシーンがそんな感じだった
非常にしっくり来るぜ

158 :

    ___|___        |        /  \
          |              |       /  ,    \
      __|__    .     /\        /
          |         /   \       /
    ___|___   /        \     '──‐\
             /,: : : /: : , : : / : : : : /: : :/: : : :ハ
             ,': : : :/: : : : : / : : : /: : : :/: : : /l: : :l
            , : : : ,: : : : : :/: : :/: : /:/: : : ://|: : :|
             !: : ::/ : : : : /: /: : ://:/: : : :/∧l : : :i
            l: : r^|: |: : : i|: : : /''''''/:/: : // ::リ: : i:|
          _|:|:{ i^|: l: : :l:|/ ,(●)/: : //'''''::|:|: /:l +
        /《:::::::::|::/ヘミ|: l: : i::|   `l7´/:./  l(●)|: /: :|     +
       l:|::::::ァ、レ: : : :|: :!: :ト:! 《" //    |  ::ノ:/:ト ::! +  +
       |{::::::{: :`ヾ ; ; :|: :ヽ:!  〃       | ::イ/: ::l リ       +
       |l::::::|: : : : : : `へ: :|       ,,ノ(、_, )ヽ:/ : : :|     +
       j|::::::l: : : : : : : : : : :\    `-=ニ=-':/: : ト: ト 、
      //:::::∧: : : : : : : : : : : :|ト.、  `ニニ/|: : :i: |:::::ヘ丶
    _>《:::::/: ::\: : : : : : : : : :||:::::\、__/:/ |: :/レ::::::::::」 |
_ -==\:::::::::〈: : : : ::\: : : : : : : :|L::::::::ヽ { |:/r=l:/==ァ=〃
ヽ\_. -‐久/: \: : : : :\::、: : : : :: :  ̄: ヽ//: :レ : : /:ヽrュ┐_
: ::`ー'´: : : : 丶: : :丶: : : : :\::: 、: : : : : O/: : : : : : :|: : : : |.: : : : : : :ヽ、
: : : : : : : : : : : : :\: : : \: : : :\::::ーzzz「O: : : : : : : |: : : : |: : : : : : : : : \

159 :
>>156
のっしのっしwww

いいねこれ

160 :
アマンダ無駄にガタイ良いからな
あのおっぱいは実は筋肉なんじゃ

161 :
乳筋いうな

162 :
>>160
それはそれで

163 :

次の品は「ヘルマンの護られ乙女」になります
むせ返る様な生乳ドレッシングの香りの背後に隠れがちな明石蛸の歯応えをお楽しみください
あ、お客様
この品にゲル粉スパイスを掛けてお召し上がりになるのは少し危険です…
そちらのスパイスは特別メニュー「チャンプへの煮え滾る熱い想い」ポトフでお使いください

164 :
>>156
ちょっと待てよ、アマンダが一緒にシャワーってことはレーネもか?
メイフォンは頭脳労働だからなさそうだが。

165 :
>>164
そのメイフォンが一番筋肉質で体が締まっているのはなんでなんだぜ?

166 :
強化処置とかそんな感じでジョセフの姉ちゃんもマッシブになってたし

167 :
まったく、うかつにチンコ入れたら
千切れそうなくらいマッシブだぜ>メイフォンとサーシャ
こまったこまった

168 :
メイフォンとサーシャは強化人間だからムキムキなんだろう

169 :
>>163
ヘルマンとゲルトは近付けるべからず か……

レーネも風呂にいる
何故だ…アマンダ好きだがアマンダよりも挑発的……
いい女だった

170 :
170

171 :
アマンダの裸といえば今月のチャンピオンRED

172 :
光にあてるとゴムでついた傷痕の目立つクリアファイル………

173 :
あが

174 :
公式でオリジナルサントラのデザイン見た
これはとても良いジョセフ×エレアイラストですね

175 :
?どこらへんが?ジョセフしか居ないが

176 :
ぽよん

177 :
激しく過疎化

178 :
衰退の一途をだな

179 :
あうあう

180 :
どうも、誰か居ますでしょうか……はい、学パロの人でございます
えっとですね……また一個、非エロで学園モノなんか書いちゃったんですが……投下してもよろしいでしょうか
しばらくお返事がなければ、それでも開始いたしますが一応……

181 :
それでは、投下開始いたします。
その前に毎度おなじみ諸注意を。
・学園パロディです。苦手な方はご注意を。
・またしても非エロです。そろそろエロも書こうかなあって思ってますが……むぅエロ難しい
・お前誰?警報が全力で発動中。今回は今までで一番ひどいかも
・ぶっちゃけノリと勢いだけで書いた。反省も後悔もしている。なので所々に見られる変なとこはどうかスルーの方向で
では、次より開始いたします

182 :
 少年が大きく息を吸い込むと、少女は意識せずにそれをじっと見つめ、また意識せずに小さく息を呑んだ。
ふぅーっ
 少年が肺いっぱいに吸い込んだ空気を、一挙にその出口である口から吐き出す。
 すると、少年の口の前でゆらゆらと揺れていたタンポポの綿毛が、勢いよく空へと舞い上がった。
 その、放射状に広がる無数の白い光を目で追いながら、少年は得意げな顔をし、少女は驚きと感動で目を見開く。
 大人からすれば、なんともないようなその光景も、幼い二人から見れば、それはとても魅惑的なもので、彼らの目を惹きつけずにはいられないものであった。
「わぁ……っ」
「な! すげーだろ!?」
「うん……きれい……とっても」
 二人の年のころが、恐らくまだ小学生にすら満たないであろうことは、その背丈と、声の高さから察せられた。
 ……そう、まだ本当に幼い少年と少女だった。
 少年には思慮深さをうかがわせる寡黙さや冷静さ、男性特有の力強さを思わせる体躯もなく
 少女には目の前の美麗なものを「美しいわ」などという些か大人びた言葉で表現できる教養など、まだ身についていなかったころのことだ。
「すごい……ほんとに……」
 少女は、目の前のその光景から、まだ目が離せないようだった。
 その大きな瞳を輝かせ、空を舞う無数の綿毛を、それこそ穴が開くほどに見つめ続ける。
 そんな、驚きや歓喜、様々な感情が混在した顔を横目で見つめながら、少年は一度、照れ隠しをするように小さく咳払いをすると、少女に言い放った。
「……エレアに見せたかったんだ、コレ」
「え?」
「また見たくなったら遠慮なく言ってくれよ……エレアが喜ぶなら、俺、何度でも見せてあげるから」
「……うん、ありがとう……ジョセフ」
 少女の、思わずくすぐったさを覚えてしまいそうなほどの可愛らしい笑顔から、逃げるように慌てて少年は視線を空へと外す。
 少女も、少年の視線を追うように、その輝く瞳を空へと向けた。
 空には、無数の小さな白い綿毛が、二人の視線を同時に受けながら
 まるで所在無さげにするように、小さく、ゆらゆらと揺れていた。


『青い空、白い……』


「おいブルー、お前、あのエレアと付き合ってるのか?」
 昼飯時、しかも学校の屋上で前フリもなくいきなり何を言い出すのであろうかこの男は。
 ジョセフは、手に持ったメロンパンを頬張り、たっぷり十秒間かみ締めてから嚥下し、その後ゆっくりと口を開いた。
「なんだいきなり……ヘルマン」
「だから! 付き合ってるのか付き合ってねえのか! それを聞いてんだよ!」
 声がデカイ。
 ジョセフの隣で並ぶようにしてカレーパンを食べていたブラッド、またその隣でざるそばを食べていたアルの二人が思わず引くほどである。

183 :
「だから、なぜそんなことを」
「付き合ってるのか! 付き合ってるんだな!? そうなんだな!」
 いや聞けよ話を。
 流石にジョセフを不憫に思ったのであろう、ヘルマンを宥めるように、ブラッドがフォローを入れた。
「ヘルマン、少し落ち着け、要領を得なさ過ぎるぞ」
「お、おお……すまねえブラッド、ちっと取り乱しちまって……」
「……で、結局なんなんだ」
「うっせー! テメーは黙ってろ!」
 これだけ理不尽なことを自分にずけずけと言ってのけるのは、エレア以外ではヘルマンだけだろうな。
 と、本人に聞かれていれば確実にただではすまないことを思いながら、ジョセフは激昂するヘルマンを放置して、また一口メロンパンを頬張った。
 そんな様子を、ジョセフを間に挟んで見ていたアルは、小さくブラッドに耳打ちする。
「なんだ……どうしたってんだ? ヘルマンの奴」
「……なんでも、今朝アマンダがジョセフと仲よさげに話しているのを見たらしい」
「あー、そういうことね……つまり、ジョセフに他の女がいれば、少なくともジョセフにアマンダを取られる心配はなくなる……と」
 一瞬で得心したような顔を作るアル。
 暗に、その程度の説明で事足りるほど、ヘルマンの行動パターンが単純だという、アルの中でのヘルマンへの評価の現われであったが
 当のヘルマンはそんなことに気づきもせず、ただただ声を張り上げ、ジョセフに今にも掴みかからんとしていた。
 先刻ストッパーを自ら買って出たブラッドも、もはや制御不能と判断したのだろう
 小さく平手を作り、無言でジョセフに「すまない」という意を示す。
 ジョセフはそれに頷きで返すと、一度小さく息を吐いて、呟くように言った。
「……俺とエレアは、そういう関係じゃない」
「なっ……!」
「へぇ……」
 ジョセフの言葉に対する反応の一つ目は、まるで絶望の底にでも突き落とされたかのような表情のヘルマンのもの。
 二つ目は、ヘルマンほどではないにしろ、小さく意外そうな表情のアルのものだ。
「う、嘘つけ! お前、いつもアイツと一緒にいるじゃねえか! 登校の時も! 休み時間も!」
「お前は質問をしたいのか尋問をしたいのかどっちなんだ……」
 どうしてそこまで疑念を持たれなければいけないとばかりに、ジョセフは弱くため息をつく。
「……登校が同じなのは、俺とエレアの登校してくる時間が大体同じというだけだ
何も示し合わせて一緒なわけじゃないし、休み時間に関しても、幼馴染で話す機会も多いからとしか……
 だいたい、お前とウェルナーも、俺達のことをどうこう言えないほど休み時間での会話は多いだろう
 その理屈でいけば、お前と彼女も付き合っていることになる」
「なっ!?」
 ヘルマンの顔が途端に赤くなる。
 まるで何か人間とは別のものに変身するのではないかと危惧してしまうほどに赤かった。
 それはもう真っ赤だった。
「ざ、ざけたこと言ってんじゃねーよ! 俺とアマンダは……その……こ、こ……恋人なんかじゃねーよ!」
「いや、それは言われなくても分かってるが」
「んだコラァァァッ!! てめーが俺とアマンダの何を知ってるってんだ!」
「……もうどうしろと言うんだ」
 ジョセフの心底疲れたというような表情を気の毒に思ったのだろうか、今まで遠巻きに見ていたアルが、ジョセフにさりげなく話を振った。

184 :
「いや、でもまぁ……お前と彼女が付き合ってないってのぁ、俺もちと意外だな」
「……お前まで、だから、俺とエレアがよく一緒にいるのは……」
「いやいや、そうじゃねーよ。俺ぁ何も、んなヘルマンみたいな単純な思考でそう思ったりしねえさ」
「なんだとアル!?」
 ジョセフにつっかかったテンションそのままで今度はアルに噛み付くヘルマンを、ブラッドがどうどうと宥める。
 一方、当のアルはヘルマンを全力でシカトし、ジョセフとの会話を続けていた。
「ヘルマンが言ったこと抜きにしたって、お前ら二人を見てりゃそう思っちまうのは仕方ないと思うぜ?
 なんつーのかな……こう、お前の空気が違うんだよ……あの子と話してる時と、他の女子と話しているときの」
「……そうなのか? まったく意識していないんだが」
 本気で今初めてそれを知らされたかのような表情を見せたジョセフに、アルは「ああ、マジで付き合っちゃいないのか」と瞬時に得心する。
 しかしながら、単純に『付き合っていない』の一言で済ませられる間柄でないということも察したのであろう。
 アルは、次は違う形でアプローチを始めた。
「ああ、なんつーかさ、表情が柔らかいんだよ、あの子と話してる時のお前は。
 他の女と話してる時は、お前はどことなくよそよそしさみたいなものがあるが、あの子と話してる時にはそれがない
 付き合ってなくとも、何か特別な関係なのかと勘繰っちまうのさ」
「そうだ! 俺もそれが言いたかったんだ!」
「……そう見えるのか、俺は」
 ジョセフ、ヘルマンを完全無視である。
「そう言われてもな……まあ、エレアとは昔から、かなり長い時間一緒にいるから
 そういう意味では、他の人間よりも気心が知れてて、そうなるのかもしれない」
「……そう言えば、お前と彼女は幼馴染だったか」
 ヘルマンを抑えながら、ブラッドがジョセフへと問う。
「ああ、エレアの父親が、俺の姉の恩師らしくてな……小さい頃から、家族ぐるみで交流が深かったんだ」
 そう言うと、ジョセフはブラッドに抑えられているヘルマンへと視線を合わせ、小さく言った。
「というわけだ、俺とエレアはそういう関係じゃない、単なる幼馴染なだけだ」
「ぐっ……」
 流石にそこまできっぱりと言い切られてしまっては、返す言葉もないのであろう。
 ヘルマンはしぶしぶといった感じで座り込むと、ブラッドに「まあ……気を落とすな」と肩を叩かれた。
 流石に色々と落ち着いたのであろう、ヘルマンは激しい感情を露にすることなく、だが少しばかりむすっとした顔でペットボトルの麦茶をあおった。
「なるほどなァ……しかしよ」
 アルはジョセフの答えに納得すると、しかしもう一つ頭のなかで引っかかっていた疑問を、ようやく落ち着いて話せるとばかりに口に出した。
「おまえ自身はどうなんだよ?」
「え?」
「あの子とお前が事付き合ってないってのはよくわかったよ、けど、お前としてはどうなんだ?
 それこそ、これから先付き合いたいって気持ちはないのか?」
 アルに問われたことの内容があまりにも意外であったのだろう
 ジョセフは少し、驚いたような顔をした後で、しばらく黙って考え込み、たっぷり十秒ほどの沈黙を保ってから、再び口を開いた。

185 :
「……いや、そんなことにはならないだろうな」
「どうしてだ? まさか、実は嫌い……とかじゃないよな」
 アルの、明らかに本意ではない問いに、ジョセフもまた少しおどけた風に笑って返す。
「それこそまさか。 俺はエレアのことは好きだよ。
 ただ、それがお前達の言う『付き合う』という行為をするに当たっての物なのか……俺には分からない」
 エレア本人が聞いていたら、きっと喜んでいいのか落ち込んでいいのか分からない
 そんな複雑な表情をするであろう私見を述べながら、ジョセフは続けた。
「それに……そういうのは、きっとエレアの方から願い下げだろう」
「……ほー、そりゃまたなんでそう思う?」
「俺がエレアに好かれる理由が思い当たらない」
 今度の私見は、確実に本人に聞かれていたならばエレアの胸を抉ったであろうものであったが
 もちろん、本人がいないこの場において、世間で言う『朴念仁』であるジョセフには、それは分かりえないことである。
「……なるほど、どう思われますか? 1年前に全く同じ台詞を言ってたブラッドさん」
「知らん」
 微妙に肩で息をしているブラッドに、冗談めかして問うアル。
 それに対してブラッドは、一切その表情を変えずに(といっても、長い前髪のせいで確認することはできないのだが)
 ……しかし、心なしか微妙に不機嫌そうな声色で一刀両断した。
 アルはその答えが返ってくるであろうことを予想していたのだろう、まったくうろたえずに、会話の矛先をまたスムーズにジョセフへと戻す。
「ふぅん、しかし意外だねェ……なあ、今じゃなくてもさ、なんかあの子にそういう気持ち持ったことってないのか?」
「え?」
「幼馴染っつったら、『大きくなったらおヨメさんにしてあげるよ』……とか、んなやりとりが常識だと思うんだけどなぁ」
 それは一体どの国の……いや、どの次元世界の常識だというのだろうか。
 現実にそのようないかにもアニメ、漫画的展開など……
「あ」
「あん?」
 ジョセフの少しばかり頓狂な声に対し、アルが頭上に疑問符を浮かべる。
 ジョセフはしばらく考え込んでいた風だったが、やがて小さく呟くようにして話し始めた。
「そういうのかどうかは分からないが……似たようなやり取りならしたことがある」
「うおっ、マジでか?」
「何!? 本当かブルー!」
「ほう」
 ちなみに上からアル、飲んでいた麦茶を盛大にブラッドの頭に吹き出したヘルマン、ヘルマンをしばき倒したブラッドの声である。
「十三年ほど前か……綿毛ってあるだろう、タンポポの。
 いや、今となっては大したことじゃないんだが、子供心に、あれがとても綺麗に見えてな
 一人占めするのは、何かとてももったいないことに思えたんだ……それで、誰かに見せたくてしょうがなくなった
 とにかく誰かに見せて喜んでほしくなって……それで、気づいたらエレアの手を引いて、俺だけが知ってる秘密のタンポポ畑に連れて行って、それを見せた
 ……やっぱりエレアも子どもだったんだろうな、すごく喜んでくれた。
 俺はその笑顔を見て思った。もっと笑ってほしい、もっと笑わせてあげたい……って
 本当に小さな子供心にだったんだがな……それで、エレアにこう言ったんだ
 エレアが喜ぶのなら、俺は何度でもエレアにこの光景を見せてやる、って」

186 :
 こんな饒舌に話すことは自分にしては珍しいな、と思いながら
 ジョセフはずっと手元で放置していたため、すっかり温くなってしまった烏龍茶を喉に流し込んだ。
 ペットボトルを口から離し、小さく一息つくと、ジョセフはふと、周囲がまったくの無音になっていることに気づいた。
「……どうした?」
 そう言いつつ周囲を確認すると、ジョセフの話を聞いていた三人が三人とも、まるで呆気にとられたかのような顔で膠着していた。
 ジョセフが何が起こったのかをまるで理解できずにフリーズしていると、いち早く膠着から逃れたアルが、何か探るような口調でようやく言葉を紡いだ。
「……なあジョセフよ、ひとつ確認していいか?」
「? なんだ」
「お前とあの子は……付き合ってないんだよな?」
「さっきそう言っただろう」
「……で、お前はあの子のことを……そういう意味での『好き』ってわけでもないんだよな?」
「なんなんださっきから……言っただろ、少なくとも俺にそれは分かりかねると」
「「「…………」」」
 それから数秒の間を置いて。
「嘘だァァァ!」
 アル
「嘘ついてんじゃねーぞこらァ!」
 ヘルマン
「…………嘘だな」
 ブラッド
 と、まるで機関銃のごとく連続で「嘘」という言葉をぶつけられた。
「な、なんでそうなる」
 ジョセフとしては、まったく嘘などついた気はなかったのに、何故ここまで言われなければならないのかが分からない。
 頭に『?』が見えるほど混乱するジョセフに、さらに雨あられと言葉が浴びせられた。
「んなもんほとんど告白と変わらねえじゃねえか! それでどの口が好きじゃないって言い張るんだ? ジョセフさんよお」
「……どうしてだ、人に喜んでほしいと思う感覚は普通だろう……どこかおかしいのか?」
「テメーだよおかしいのはこのブルー野朗! 大体なあ、十三年前だあ!? んな昔のことを後生大事に憶えてんのが何よりの証拠だろうが!」
「……別にそこまでとは……大体、その十三年前の記憶にしてもお前達に言われたから思い出したのであって、ずっと覚えていたわけでは」
 ……いや、正確には十二年と十一ヶ月ぐらいか、などと場違いなことをふと思うが
 その間もアルとヘルマンの追及はずっと続いていた(ブラッドは、ヒートアップしすぎた自分の相棒から微妙に距離を取り、昼食を再開していたが)。
 耳元で聞こえる叫び声に、いい加減に疲労感を覚えたジョセフが、背後の柵にもたれ掛かるような形で後ろに身体を傾け、その体制のままリラックスしようと、大きく息を吐こうと頭上を見上げると
 ふわり
(……あ)
 ああ、こんな偶然などあるのだろうか、とジョセフは思った。
 自分が見上げた先、広く澄み渡る青い空のある一点に、今まさにジョセフが追憶していた記憶と、まったく同じ光景が広がっていた。
(タンポポの綿毛……まだ飛んでいるんだな)
 いくつかの綿毛が群れを成し、僅かな風を頼りにふらふらと頼りなく宙を舞っていた。

187 :
(……やっぱり、綺麗だ)
 ジョセフは先ほど、空を舞う綿毛を綺麗だと思ったのは、子供心特有のものだと言ったことを、密かに心の中で訂正した。
(成長してから見ても……悪くないものだな)
 自分の記憶の中でかなり美化されていただろうなと思っていた光景は、自分の前に、まったく色褪せることなく存在していた。
 ああ、本当にそうだ……今見ても、悪くはないではないか……しかし、そう思いながらもジョセフの心には、ほんの小さい影があった。
 その影の正体がなんなのか。最初はジョセフ自身も自覚できずにいたが
 数秒間、意識の遠くにアルとヘルマンのがなり声を聞きながら考える内に、その答えに行き着いた。
(エレアが……いないのか)
 考えてみれば当然だ。
 エレアとともにいたからこそ、自分はこの光景を色濃く覚えていたというのに。
 その彼女がともにいないのであれば、記憶の中のものと比べてどこか影を落としてしまうのは仕方のないことだった。
(……エレアにも、見せてやれればよかったのにな)
 ジョセフは、照り付ける陽光に僅かに目を細めながら
 一人で、空中に揺れる白い綿毛たちを見つめ続けた。


「ねえエレアさん、アナタってジョセフくんと付き合ってるの?」
 飲んでいたレモンティーがあと少しで気管に入るところだった。
 そんな無様な様子を、食堂の窓際の席を囲んで自分と同じように昼食を摂るスノウ、レインの二人に見せないよう、エレアは必に息を止め、ゆっくりと喉もとの液体を飲み下す。
 やがて、少しばかり恨めしそうなまなざしで、目の前でニヤニヤと自分を見つめる、今まさにその原因を作ったレインの顔を見やった。
「……いきなりなんのことかしら」
「だ・か・らぁ〜っ、エレアさんとジョセフさんって付き合ってるのかなー? って思ってえ」
「ちょ、ちょっとレイン、いくらなんでも不躾だよ、エレアも困ってるじゃない」
「あら、じゃあアナタは気にならないっていうのねスノウ? エレアさんとジョセフが付き合っているのかどうかが」
「そ、それは……で、でも……」
 そこは嘘でも気にならないって言ってほしかったなあ、スノウ。
「あるんなら黙ってなさいな、で……どうなのかしら? エレアさん」
 どうやら、エレアが何気なく瞳に込めた威嚇の念も、レインにはまるで通じなかったようだ。
 元々、周りの話をきかないことが周知の事実になっているような彼女である、空気を読めということを要求する方が無理があったのだろう。
 エレアは内心、(……何度目なの)とうんざりした様子でしかし、その様子は一切表情に出さず、まだ僅かにその瞳に恨めしい気持ちを込めたまま
 落ち着き払った様子(を演じながら)でレインへと返した。
「そんな事実はないわよ、私とジョセフはただのお友達、ただそれだけ」
「……えぇ?」
 あからさまにつまらなさそうな顔をするレイン。一体どんな答えを気にしていたのだろうか。
 ……いや、分かっている。分かっているのだ。彼女が自分に、どのような回答を期待していたのか。
 だがしかし、その期待に応えてやることは出来ない。
 エレアが自身でそう言ったように、そんな事実は一つとしてないからだ。

188 :
「女子って、本当にそういうお話が好きよね。誰と誰が付き合っているだのいないだの。
 ……他人の事情に首を突っ込みたがるのは、あまり美しいとはいえないのではないかしら」
「あらァ、しょうがないじゃない……だって私たちは、『オンナノコ』なんですものぉ。
 女性という生き物は、そういう色恋沙汰が大好きで仕方ないものなのよ。これはほとんど本能のようなもので、なぜ好きなのかと問われても応えられないものなの
 そう決まってるのよ……そして、同じオンナノコである以上、エレアさんにもそういう話はあって然るべきなんじゃないかって……そう思ったから」
「…………」
 この手のタイプは苦手だ、ともちろん口には出さずに思うエレア。
 こういう、いかにもな感覚で生きている、理屈の通じない人間は話していてかなり精神をすりへらす。
 理屈が通じるものが相手であるなら、決して負けない自信があるエレアだが、こういう、何を言っても「そう思うから」で返してくる人間と話すのは、昔から得意ではなかった。
「……なら、私は多分あなたの言う『オンナノコ』とやらとは大分感覚が違うのでしょうね。残念ながら、アナタの言葉に当然だと頷くことができないもの」
 普段なら、嫌味の一つも含ませた言葉で反撃するところなのだが、この手のタイプと言い合いをしても不毛なことは今までの経験で分かっている。
 こちらが何を言ったとしても、まるでこちらの言葉が本気のものでないかのようにさらりと流して自分のペースに巻き込もうとする。
 何が悲しくてしつこく繰り返される「またまたぁ〜」とか「本当は付き合ってるんでしょお?」などという妄言に対して
 「自分と彼はただの幼馴染」という説明を何度も何度もせねばならないのか……そのようなこと、たとえ一度としてでも、自分で言いたくなどないというのに。
 さらに始末が悪いことに、目の前のレインはそれを分かった上で聞いてきているんじゃないかと思えることがままある。
 ……自分でも時々、何故自分が彼女と友人関係にあるのだろうか、と疑問に思うことがある……いやまあ、こういう話で無ければ、彼女と波長が合うこともあるにはあるが。
「……ふーん、そうなのぉ」
 あえて取り合おうとしなかった作戦が功を奏したのであろう。
 レインは急速に興味をなくしたように乗り出していた身を修め、己の目の前のBランチに箸を伸ばした。
 引き際は弁えているのだろうか、それ以上しつこく質問しようとする姿勢は見せなかった。
 こういったカンのよさや、さりげなく高い知性を感じさせる空気が他の者とは違って、少しは話しやすく感じるのかもしれないわね
 と、ぼんやりエレアは思いながら、止まっていた手を再び動かして、手元のメロンパンをその小さな口に運ぶ。
「あ、あの……エレア?」
「なに?」
「その……ごめんね? 私が誘っちゃったから……」
 エレアの隣でずっと黙って状況を傍観していたスノウが、済まなさそうな表情でエレアに謝罪する。
 エレアは「いいえ、誘ってくれたこと自体はいいのだけどね」とやんわりスノウをフォローしながら、でも……と続ける。
「アナタもそういう、他人の色恋沙汰に興味があったなんて意外だわ……ひょっとして、今のお相手からジョセフに乗り換えようなんて思ってるのかしら?」
「ち、ちがうっ! わっ、私が好きなのはティオだから……ジョセフのことはその、確かに気にはなるけど……部活でよくしてもらってるし 」
 慌てて両手をぶんぶんと振り、エレアの言葉を否定するスノウ。
 その頬は朱に染められていて、同姓の自分から見ても可愛らしい子だと、エレアは思う。
(……そういうことではないのね)
 故に、エレアが心中でした安心もまたひとしおであった。

189 :
「ふふ、そう……あなたが今の恋人と上手くやれているようで、私も安心したわ」
「あ……ぅ」
 ……1年ほど前だっただろうか。
 ジョセフが、ある一人の女子生徒と校舎内でとても親しそうに話しているのをよく見かけた。
 女子の方はどこか危なっかしいが、とても素直そうで可愛らしい女の子で
 寡黙ながらも、そんな彼女を優しくフォローするジョセフ、そんな二人は傍目から見てもとてもお似合いに見えた……そう、自分の目から見ても、だ。
 正直に告白しよう。めちゃくちゃに凹んだ。
 具体的に言うと、二人の中睦まじい様子を見てから五分後には、既に保健室のベッドの中でふてていたぐらいにだ。
 布団の中で、エレアは様々なことを考えていた。
 あの二人はやはり付き合っているのだろうか? だとしたらいつの間に? 自分はいつもいつもジョセフを見ていたのに、そんな自分の気づかないうちに?
 そんな自分よりもあの彼女をジョセフが? そんなことあり得ると思えない。思いたくない
 いや、美術部はどうだ? あそこなら確かに自分の目は行き届かない。そういえばあの子は美術部だったか。
 ならば自分が気づかなくても当然だ。自分の知らない想いが彼に芽生えていても当然だ。
 ……そんな二人の間に、自分の思いの介在する余地がなくとも当たり前だ……と。
(……美しくなかったわね、今思い出しても)
 結論から言えば、エレアのそれはまったくの思い込みであり、思い出すと今でもエレアは顔から火が出そうになる。
 ジョセフとその女子生徒……スノウの仲が良いのは、当然のごとく同じ部活に所属しているからであり
 二人が部活以外でもよく話しているところを見かけたのは……なんのことはない。
 『スノウが手作りのプレゼントを彼氏にしたいから、その指南をジョセフに頼んでいた』……ということだったらしい。
 基本的に、人の頼み事は断らない彼のことだ。彼女の頼みにも嫌な顔一つ了承したのだろうと思う……自分の気持ちなど知りもせずに
 閑話休題。
 まあとにかく、そういう事情を飲み込んでからは、エレアも飄々としたもので、ジョセフのパイプを使ってスノウと接触。
 持ち前の人当たりの良さで瞬く間に彼女との交友関係を得たのであった
 ……おまけとして、『自称スノウの一番の親友(はあと)』のレインがついてきたのは、エレアにとって誤算ではあったが。
「応援しているわ、スノウ。これから先も、美しいアナタたちが末永くあるように」
「うぅ……も、もお……恥ずかしい事言わないでよ」
 若干のジョセフへの予防線も含んだ言葉だったのだが、スノウはそれに気づかず、純粋に言葉を受け取ったようで、朱色の頬がさらにその濃さを増す。
 ……ああ、これだ、この可愛らしさが、自分に彼女とジョセフが付き合っているのではないのかという勘違いに拍車をかけたのだ。
 もし自分がジョセフの立場だったなら、自分のような気まぐれで横柄な女よりも……きっとこんな、女の子らしい子がいいと思うだろうな……と。
「……あらぁ、そうなのぉ、幸せなのぉ……それはよかったわねえ……スノウ?」
 羞恥心であたふたしていたスノウと、意識せず黄昏に浸っていたエレアの背筋が、僅かにその微妙にドスの利いたような声で伸びる。
 スノウは恐らく彼女自身が感じ取った気まずさから。エレアは自分がそんな思索にふけっていた自分への驚きから。
 スノウが恐る恐る、エレアが悠々と声の方を見ると、微妙に眉間をぴくぴくさせた『自称スノウの一番の親友(はあと)』が笑顔でスノウを見つめていた。
「え、あ、あの……ち、違うんだよレイン? 私は別に、そういうつもりで言ったわけじゃなくて」
「あらあ、そういうつもりってどういうつもりなのかしらぁ? 私まだ何も言ってないのにい」
「そ、それは……」
「私も安心したわ、あなたとティオが上手く行ってるようで……本当に本当にほんとぉぉぉぉぉぉっに……よかったぁ」
「う、うぅ……レイン? 目が怖いよ?」

190 :
 ……ちなみに、スノウとレイン、この二人との交友関係を持ち始めてからすぐの頃の話であるが、ジョセフから面白い話を聞いたことがある。
 曰く、スノウの今の恋人にはレインもその昔想いを寄せており、二人の友情に亀裂が入ったことがあるとか
 曰く、自分のものにならない男に業を煮やしたレインは、男を攫って無理やりに結婚式を開こうとしたとか
 曰く、最終的に二人は夕日の射す岡で拳と拳で語り合い、改めて友情を確認しあったとか
 ……どう考えても後半は話に尾ひれも足ひれも背びれもつきまくった嘘話だろうが、どうやら三角関係の話に関しては真実らしく
 今でもそのスノウの彼氏の話が出ると、微妙にレインが不機嫌になることがままあるのだった。
「……ふんっ、まあ良いわ、それよりもエレアさんとジョセフくんの話よ」
「……え?」
「え?じゃないわよぅ、さっきまでその話で盛り上がってたとこじゃない!」
 いや、明らかにその話も打ち切りモードだったではないか。話を切り替えるにしても少しばかり強引すぎやしないだろうか。
「もうスノウとティオが幸せなのはじゅうっっぶんに分かったから!……さっさとそんな話はやめてあなたたちのことを話してちょうだい!」
 どうやらスノウの話を盛り上げすぎたがために、レインの機嫌を損ねてしまい、その結果がこれらしい。
 ……これは悪手を打ったかな、とエレアは内心舌打ちしたが、レインがこちらの話をまともに聞かない事はさっきのやり取りで再確認している。
 エレアは心の中でしぶしぶと観念して、しかし外見は余裕の姿を保ち、レインに話を合わせることにした。
「……で、なにかしら? さっきも言ったけれど、私とジョセフは付き合っていないわよ」
「じゃあ、質問を変えるわ……あなたは彼の事を好きなの?」
 メロンパンが喉につっかえるかと思った。
「……どうして?」
「だからあ、意味なんてないのよぅ? 強いて上げるなら、『オンナノコ』だから……かしらねえ」
 ……本当にそうなのだろうか。
 本当に彼女はそんな女の感や興味だけで自分にこの質問をぶつけているのか。
 もしや全部分かった上で、自分をからかおうとしてこんな質問をしているのではないか。
 レインという女を熟知しているエレアには、そう思わずにはいられなかった。
「……嫌いじゃないわよ、幼馴染だしね。ジョセフとは小さい頃からずっと一緒で、家族ぐるみで仲も良かったし
 彼女の姉にもとてもよくしてもらってたわ、だから、さっきアナタが言ったように、私たちが仲良く見えてしまうのも当然といえば当然でしょうね
 小さい頃から一緒だから、お互いに気兼ねがないのよ……それが、アナタのいうオンナノコの目にはそういう関係に見えてしまうかもしれないわね
 まあ、美しい関係だとは思うわよ、互いに気兼ねがないっていうのはとても気が楽だし、互いにそういう気持ちがなくとも、経験から恋人同士よりもお互いを理解していることもあるでしょうしね」
嘘である。
嘘マミレの言葉である。

191 :
 小さい頃からずっと一緒だったのは、自分が進んでジョセフと共にいることを望んだからだ。
 彼女の姉であるサーシャとの仲が今ほどに深くなったのは、自分がジョセフの家に入り浸る事を好んだからだ。
 自分が彼の事を理解しているのは、自分が彼を……ジョセフの事をずっと見つめていたからだ。
「……ふぅん、そうなの」
 その嘘だらけの言葉に、レインは今度こそ興味をなくしたように、つまらなさそうな顔をした。
 エレアの方はというと、ようやくレインによる追求を逃れえたというのに、先ほどよりも表情に影を落としていた(スノウとレインに悟られない程度のものではあるが)。
(……何度目なのかしらね、いったい)
 幼馴染、彼の姉、お互いにいた時間・経験……なんどこれらの言葉を口にするのだろう。
 何度この言葉を口にするまでに……自分と彼の関係は変わるのだろう。
「……エレア? どうかした?」
 流石に、少し様子がおかしいのを悟ったのだろうが。
 心配そうな表情で、スノウがエレアを覗き込んできた。
 エレアはハッとして、小さく首を振り、スノウへと返す。
「いいえ、なんでもないわ、少し考え事を……ね」
「……本当?」
 ……この、彼とのこととなるとすぐに後ろ向きになってしまうのは、自分の悪い癖である。
 常々、直したいとはおもっているのであるが……とうとう他人を心配させてしまうまでになったのか。
 基本的に、他人を省みないことには自身のあるエレアであるが、この可愛らしい友人に心配をかけてしまうのは流石に忍びない。
「ええ、心配してくれてありがとう、スノウ」
「……うん」
 エレアが小さく笑顔で礼を言うと、スノウもまた優しい笑顔で応える。
 ……ああ、自分も……こんな風に、素直に笑える女の子だったらよかったのにな……そしたらきっとジョセフも……
 エレアは意識せず、そのようなことを考えていた。
「ふーん」
 話に加わらないレインは一人、先ほどから何か物思いに耽っていたようであったが
 手元のコーヒー牛乳を幾分かストロー越しに吸い込むと、唐突に言葉を発した。
「……じゃあ、ジョセフくんって手もあるわけか……」
 ……待て、今この女はなんと言った?
「……レイン? なんのこと?」
「え? や、ジョセフくんも悪くないなあって思ってぇ」
「……だから、何が?」
「だから彼氏に?」
 …………は?
「かっこいいし、運動だってできるし、彫刻は美術部の中でもかなり上手らしいし……なにより、スノウの話によると優しいらしいし?」
 彼氏?誰が?ジョセフが?誰の?……レインの?……ナニイッテルノ?コノコハ

192 :
「いつまでも昔の男に拘ってても仕方ないだろうし……新しい恋に生きてみるのもいいかなあって思ってねー」
「む、昔の男って、ティオはレインと付き合ったことないでしょ!?」
 いちいちレインの小さな冗談も本気にして頬を膨らませるスノウ
 ああ、本当に可愛いなあスノウは……いや、だからそういうんじゃなくて。
「……レイン?」
「あら、なあに? エレアさん」
「……え? 好きなの? ジョセフのこと」
「うーん……まだ好きじゃないけど……これから好きになっていってもいいかなあって……てへっ☆」
 ああ、本当に可愛くないなあこのアマは……イヤ、ダカラソウイウンジャナクテ。
「それに私、結構タイプかもしれないのよねえ、彼の事……私、実直でバカ正直な人って好みなのよ、ホラ、なんだかかわい……」
「やめた方がいいわね」
 ざわ…
 その時、確かにそんな、何か得体の知れない効果音がした……と、後にスノウは証言している。
「……え、エレア……さん?」
「言っておくけれど、ジョセフは実直でバカ正直なんて言葉とはこの世でもっとも縁のない人間よ、誓ってもいいわ」
「え……あ、え?」
「昔ね、私ジョセフに告白されたことがあるの」
 嘘だ。
 だが今はそんなことはどうでもいい。
「十三年ほど前かしらね」
 正確には十二年と十一ヶ月ほどだが。
「タンポポの綿毛ってあるでしょう? 吹いたらふわって浮くやつね。
 今見たらなんてことないものなのでしょうけど、あれは子供心には美しく見えるみたいね
 それはジョセフも多分に漏れなかった様ね。私に見せてくれたのよ。
 苦労して見つけたタンポポ畑に、無理やり私の手を取って強引に連れてったの。
 当時はやっぱり私も子どもだったのでしょうね、柄にもなく嬉しがっちゃって、ホント、子どもって美しいぐらいに可愛いわよね」
 これも嘘だ。
 子どもかどうかなんて関係ない。
 もし今、ジョセフに同じ事をされても、嬉しすぎて一晩眠れない自信がある。
「その時ね、ジョセフったらこう言ったのよ『君が願うなら、俺はいつでも君にこの光景を見せてあげるよ』って
 子どもだから気づかなかったけれど、今思えば、あれって告白だったのね
 分かるかしら、子どもよ? こんな小さな、まだ回りくどいことなんて一つも言えないようなときに、素直に『好き』とも言えないのよジョセフは」
「え、あ、あの……エレ……」
「だ・か・らっ」
「は、はいっ!」
 本人はまったく意識などしなかった。
 しかし、気づけばレインは背筋を伸ばし、敬語で話していた。
「……ジョセフはやめた方がいいわ。ね? レインさん?」
「そ、そう……みたいですね……他のアテを探します」
「素晴らしく美しい選択だわ」

193 :
 ……そうだ。そうだとも。
 例えば相手が、スノウのような、素直で可愛らしくて
 彼のことを真剣に想ってくれるものが相手ならば自分も諦めようではないか(めちゃくちゃに落ち込みはすることに変わりないだろうが)。
 だが……だがしかし……
 こんな、横柄で、自分本位で、性悪で、本当のことなど何ひとつ言わず、人の追及をのらりくらりとかわすようなものに……ジョセフを渡してなるものか!
 ジョセフ本人が聞いていたら、恐らくはツッコミを抑えずにはいられなかったであろうが、実際に本人がここにいないし
 いたとしてもエレアがそんな想いの丈を他人の前でぶちまける筈がないので、確認のしようがないことである。
 ……まあともかく、エレアはそう強く……本当に強く心に誓ったのであった。
「……さ、そろそろお昼休みも終わってしまうわ、早く食べて教室に戻りましょう? 二人とも」
「え、ええ……」
「う、うん」
 そんな様子はしかし、臆面にも出さず、笑顔でスノウとレインに促すエレア。
 だがしかし、スノウとレインの二人は、確かな感覚はなくとも、なにか……そう、強いてあげるならば動物的本能とでも言うべきか。
 それから発せられる危険信号が……こう警告していたのを、確かに、聞いていたのだった。
『この子には逆らわないでおけ……』
と。
「はむ」
 どことなく青ざめた表情の二人を完全に視界から外しながら、エレアはまた一つ小さくメロンパンを頬張ると、ふと何か不思議な感覚に襲われた。
 それがなんなのか、最初エレアは気づかなかったが、何気なくその感覚が伝わってきたすぐ傍にある窓の外を眺めると、その正体に気づいた。
 ふわり
(……美しいわ)
 特に意識することもなく、エレアは瞬時にそう思っていた。
 数拍の間を空けて、(なんとも絶妙なタイミングね……)という思考が追いついてくる。
 さらに数拍置いてから……
『昔ね、私ジョセフに告白されたことがあるの』
 一瞬にして、エレアの顔がリンゴのように赤くなった。
 幸い、窓側に顔を向けていたため(あと、二人がエレアの顔を直視できなかったため)スノウとレインに表情を悟られることはなかったが。
(……告白)
 さっきの言葉は、エレア的にはまぎれも無い嘘だ。
 まず第一に本人に確認を取っていないし、その後、再びジョセフに同じような事を言われることもなかった。
 それはまあ、さっきエレア自身が言った通り、一般的な観念からすればそんな言葉を言われれば誰だろうと告白だと思うだろう。
 しかし、しかしだ……相手はあのジョセフである。
 あの、(例え幼かったとしても)鈍くて暢気な朴念仁の言うことなだけに、エレアはそれを告白だなどと楽観することはどうしてもできなかったのだ。
 ふわり ふわり
(美しい……本当に、美しいわね……)

194 :
 無数の綿毛たちの間から差し込む陽光に目を細めながら、ふと……本当にふと、エレアは思った。
(ねえ、ジョセフ……もう一度、この光景を二人で見る事があれば……アナタは、あのときの言葉の真意を教えてくれるかしら……)
 その心中での囁きから数瞬
「……ふ」
 自嘲。
(何を言っているのかしらね、私は
 まず、次にこの光景を二人で見る機会……そんなものがあるかもどうかわからないのに……美しくないわね)
 心中でまた自嘲を続けながらしかし、エレアはやはり
(けれど……できる事なら、またあなたとこの光景を…………ジョセフ)
 そんな、淡い思いを抱かずにはいられない自分をまた嗤いながら
 一人で、空中に揺れる白い綿毛たちを見つめ続けた。


 その日の青い空には、無数の綿毛が揺れていた。
 ふわりふわりと、とても頼りなく、弱々しく、しかし煌びやかに。
 行く先などわからぬように、行く先への不安を表すように、それらは揺れていた。
 眼下に見渡す、いくつものコンクリート製の校舎群。
 その中の何処からか注がれる、『二人』の視線を同時に受けながら
 まるで所在無さげにするように、小さく、ゆらゆらと揺れていた。

195 :
終わりです。
ジョセフさんどこのギャルゲー主人公だ
エレアさんどこの乙女だ
そしてモブズの すごい ぞんざいな扱い
まあなんつーかアレっすね……色々失敗しました
とりあえず最後の6行は感覚空けた方がよかったかなと思う。
本編の方は相変わらずジョセフもエレアも出てこねえ……どうなってるんだ
もう小説版2巻に期待するしかないのだろうか
あ、あと念のため注釈(不要だとは思いますが)
スノウの親友、レイン(とあとティオ)はブラスレイターの漫画版『ブラスレイター ジェネティック』に登場するキャラです。
当然の事ながら、このSSのようなキャラではないのであしからず。

196 :
gj

197 :
じーじぇー

198 :
神様W

199 :
>>195
エレア可愛えぇ!
なんか地味に投下が楽しみになってきた(失礼!
GJ!

200 :
>>195
GJ
朴念仁なジョセフと素直になれないエレアが非常に良かったです

201 :
「人間ってつくづく奇妙な生き物ね、興味がつきないわ」
「……お前もだ、エレア」
「むっ……一緒にしないでよ! あまり美しくはないんだから!」
 メット越しに吹き付ける強い風を感じながら、ジョセフはエレアに決して悟られぬように小さく微笑んだ。
 もし自分の事を(それが例えいい意味であっても)笑われたと知ったら、目の前のこの小さな協力者は、その白い頬を可愛く膨らませ、自分の事を睨んでくるだろう。
 それは決して自分にとって心地の悪いものではないが、何もこんな状況でまで彼女にさせることではない……そう、他に、彼女には言うべきことがあるのだから。
「ありがとう、エレア」
「……なんのことかしら?」
 先刻の拗ねたような顔から一転、エレアは小さな疑問符をその表情に浮かばせる。
 ジョセフは、そういえば久しくこの表情も見ていなかったな、と小さく感慨に耽りながら、自分の事を探るような目で見つめるエレアに向かって続ける。
「今まで、俺に協力してくれて……本当にありがとう」
「……何を美しくないことを言っているのかしら、私は貴方にお礼を言われる筋合いなんてこれっぽっちもないわ
 貴方は貴方の利益のため、私は私の利益のためにお互いに行動をともにしていた……ただそれだけだもの」
 ああ、そうだったな。
 そういえば、彼女はこんな物言いしか出来ないのであった、と改めて思い直し、また小さく笑う。
 ジョセフは、あえて彼女のその言葉を追求する事はなく、彼女の意に沿うように言った。
「だとしても、俺はエレアに感謝している……お前がいなければ、俺はきっとここにたどり着くことも……いや、生きてさえいなかっただろうからな」
「……初めてガルムと融合したときのことかしら」
 ジョセフは思い出す。
 むせ返る血の匂い。立ち上る硝煙。自分の視界を埋め尽くす、敵、敵、敵……
 そんな、ともすれば命を失っていたであろう瞬間に、ジョセフは初めて彼女の……エレアの声を聞いたのだ。
『美しくないわ』
「……それも含めて、だ。人を恐れ、人を傷つけることを恐れ、人を傷つけるかもしれない……自分を恐れていた俺にとって
 お前は……俺が戦い続けることのできる、確かな支えだった……だから、お前には何度礼を言っても言い足りないんだ」
「…………」
「だから、もう一度言う……ありがとう、エレア……こんなところまで、俺についてきてくれて」
 エレアは何も言わない。
 いつの間にそうしたのだろうか、ホログラフ越しのその姿で、ジョセフに背を向け
 どこか遠くを見つめるようにして、ただ沈黙を貫いていた。
「……なあ、エレア」
 エレアは何も言わない。
「俺は……少しは、お前の言うように、『美しく』なれただろうか」
 エレアは何も言わない。
「……俺は、ザーギンを止められるなら、それ以外のことは厭わないと決めていきてきた。
 人との交流もいらない。痛みなど、どれだけ貰おうと構わない。それこそ……命も」
 エレアは何も言わない。

202 :
「だが一つだけ……一つだけ、小さな心残りがあるとするなら……お前に」
「美しくないわ」
 エレアは泣いていた。
 決して、涙をこぼしていたわけでもない。
 嗚咽を零していたわけでも、しゃくりあげていたわけでも、声が震えていたわけでもない。
 だがしかし、ジョセフは……ジョセフだけには確かに分かったのだ。
 エレアが、泣いているのだと。
「なあに?それは。 私が貴方を美しいと認めれば、それで貴方の後腐れとやらはなくなるというの?
 もう生に執着しない覚悟を決めて、それで、ザーギンとの戦いに望めるって言うの?
 私がそう言えば? 貴方が……美しいと」
「エレ……」
「美しくないわ」
 エレアが、そのジョセフにだけ分かる『泣き顔』を向け、ジョセフに向き直る。
 ジョセフは何も言えない。
「美しくない、美しくない、美しくない、美しくない、美しくないっ
 ジョセフ、アナタは美しくなんてないの。貴方を美しいだなんて、今までだって一度も思った事は無いわ。だって当然じゃない、ジョセフなんだもの。
 ジョセフが美しいだなんてあるはずが無いわ。他の誰がそういっても、私だけは言わない。ジョセフっ!アナタは美しくなんてないのっ!」
 ジョセフは、一言だけしか……この、頼もしくて大切な、小さな相棒に言える言葉を持ち得なかった。
「ありがとう」
「…………美しくないわっ、ばかジョセフ」
「ありがとう」
「ばかっ、ばかばかっ、ばかジョセフっ」
「……ありがとう、エレア」
「…………」
 エレアは何も言わない。
 ジョセフも何も言えなかった。
 二人の間には、ただガルムが切る、風の音だけが響いていた。


「……ジョセフ」
 エレアが口を開いたのは、計算からして、あとものの五分ほどすればマレクと……ザーギンのいるであろう場所に辿りつけるという時だった。
 その呼びかけは唐突で、そしてまた、その呼びかけの内容もまた、唐突なものだった。
「イシスに関して、大切なことを言い忘れていたわ」
「え」
「使用する前に、必ず貴方に目を通しておいてもらわないといけないマニュアルがあったの、少し面倒を頼んでいいかしら」
 ジョセフは目に見えて疑問の感情を顔に出した。
 イシスにそこまでの複雑な使用段階があるのかという疑問と、単純に、そのようなことを今この瞬間まで失念しているなど、エレアらしくないという感情からだ。
(……俺のせいか)
 一瞬にして、先ほどのやり取りが頭をよぎる。
 今まで決して弱みなど自分に見せようとしなかった彼女の、小さな弱さ。
 それを無理やりに引きずりだしてしまったのは、どう考えても自分の無神経な言葉だ。
 彼女は弱くなどないと、いつものように自分をからかってくれるはずだと思い込んだ……甘え。
 そんな自分に、彼女のその失念を叱る権利などない。ただ黙って、彼女の言葉に従おう……それが、せめてもの侘びだ。
 ジョセフはそう心の中で割り切ると、エレアの要求に素直に従った。

203 :
「今から計器にデータをインストールするわ、ただ、かなり複雑なものだから、よく見てもらいたいの。出来るだけ顔を近づけて、目を凝らして見て」
「ああ」
 顔をガルムに備え付けられた計器へと近づけ、そこにこれから現れるであろうマニュアルを凝視するために目を凝らす。
「ああ、メットも外してちょうだい。少しでも不備があるといけないの。一切の誤りなく、貴方にはマニュアルを目に入れてほしいの」
「?……ああ」
 これには少し疑問を覚えたが、素直に従う。
 メットを開くと、やはり少しばかり冷たい風が頬を冷やした。
 ジョセフは流石に若干顔をしかめたが、しかし、エレアの言うことを無視するわけにはいかない。
 その状態のままで、できるだけ見やすいように、ガルムの計器に顔を近づけ……
ふっ
「……え」
 一瞬だった。
 何が起こったのかをすぐには把握できなかった。
 実感はなかった。
 感触もなかった。
 いや、当たり前だろう、あるはずがない……ホログラフであるエレアの唇と、自分の唇が重なった感触など。
 だがしかし……それは確かに交わされたのだ。
 目の前で、ゆっくりと瞼を開いていくエレアの姿が、何よりもそれを照明しているのだから。
「……え、エレ」
「貸しよ」
 ジョセフが言葉をつむぎ終える前に、またもいつの間にかジョセフに背を向けていたエレアが、まくし立てるように早口で言った。
「え?」
「これは私から貴方への大きな貸し。今の美しくない貴方では、きっと一生かかっても返しきれないほどの、大きな大きな貸しよ。
 それはもう、貴方がどれだけの美しい宝石や賛辞で私を讃えても、決して返せないでしょうね」
「な、なにを……」
「だからっ!」
 自分に背中を向け、どのような表情をしているのかを伺い知る事のできないエレアは
 やはり変わらず、まくし立てるような早口でジョセフに有無を言わせぬように言い放った。
「……美しい姿で帰ってきて、その貸しを私に返しなさい」
 ジョセフは……何も言えなかった。
「この私に貸しを作らせたのだから、ただのお返しで済むとは思わない事ね
 それこそ、二倍、三倍、四倍……いいえ、もっともっと返してもらわないといけないわ
 だから…………美しくなって、私に美しいと認めさせるようになって帰ってきて……ちゃんと返しなさい」
「…………」
「でないと、承知しないわよ」
 ジョセフに言える言葉など……本当にただ……ただ一つだけしかなかった。
「…………ありがとう、エレア」
 鋭く風を切り、黒い機馬が空を駆ける。
 その背には、これまでに失われ、これから失われるかもしれない多くの命の重みと
 ……小さな……とても小さな『何か』への、二人分の決意を乗せながら……

204 :
どもー、学パロの人です
えっと、四本目にしてようやく本筋のSSってどういうことなんですかね
しかもまた非エロ……次はエロ書くとかいっときながらホント申し訳ないです
でも23話の展開を見てたら我慢できなかったんだ。反省も後悔もしてない。
だってなんなんですかあの夫婦。もうあれだけで23週間待った甲斐があったと思えましたよ
ただ、一つだけ不満があるとすれば、ジョセフがアマンダに「どうして一人ぼっちなの?」と聞かれたときに
どうしてジョセフは「一人じゃないさ」ってエレアを見てくれなかったのかという……もう!ジョセフのばかばかちんこ!
エレアの正体がただの電子の妖精さんってことも分かったので、これからはもうちょっと学パロじゃない方も書きやすくなると思います
……具体的にはバーサークジョセフのガルム融合によるエレア陵辱とか(ry
あ、あと感想くれた人ありがとうございます、すごくSS書く元気になります。
では、最後にどうでもいい長文でお目汚し失礼しました。

205 :
>>204
どういうことなんですかね、ってどういうことなんだw
オレの股間にデモニアック出現だ隊長

206 :
>>205
よし今、ヘタレ一班を向かわせた。状況を開始する。
>>204は配置についてSSの投下に備えろ。なお>>205の精液が飛び散らないようエロのないSSでも構わん。
以後48時間>>205を隔離して監視する。

207 :
>>204
GJGJ!
具体的な内容もものすごーーーーーく見たいんだな、だな。

208 :
 「マレクー、シャワー空いたわよー」
 がちゃりとリビングのドアを開けてアマンダが入ってくる。テレビを見ていた
僕は、彼女の声に振り向いて、そのまま固まった。
 「アマンダ、そんな恰好で家の中うろつかないでよ!」
 我に返った後、慌てた声でようやくそれだけ言う。自分でも普段より一オク
ターブは甲高い声になっているのがわかった。
 アマンダはパンツ一丁でそこに立っていた。正確に言うなら、首からタオルを
かけてはいるけれど、彼女の大きな胸はそんなものでは到底隠しきれるわけがな
く、タオルの布地を下から大きく突き上げているのが、いやでも目に入ってしまう。
 「ごめんごめん、つい面倒くさくて」
 「いつも言ってるでしょ!? おっぱいぐらい隠してよって!」
 自分で言った後で、耳の裏にかっと血が上ったのが分かった。いくら身内とは
いえ、仮にも異性なんだから少しは隠すとかしてほしい。
 これ以上アマンダの裸を見ているのと、自分の赤くなった顔を見られるのが
いたたまれなくなって、僕はテレビの画面に視線を戻した。テレビにはレンタルビデオ
屋で借りてきた日本のアニメが映っている。本編が終わった後のおまけコーナーで、
青い蜘蛛のような形をしたロボットが踊りながら変な歌を歌っているところだった。
 『少佐の豊満なー バストアンドヒップ! バストアーンドヒーップ!』
 ……なんていう絶妙なタイミングだろう。絶妙すぎて目眩がしてきた。
 「そんなことより、もう11時よマレク。そろそろテレビ見るの止めてお風呂に入りなさい」
 「……分かったよ、アマンダ」
 テレビの方を向いたまま、脱力しきった声で答えた。何だかすごく疲れた気がする。
 「お姉ちゃん、明日早いから、先に寝るわね。部屋の電気を消すのを忘れないで」
 「はーい」
 それだけ言ってアマンダは自分の部屋に戻っていった。大きなおっぱいを
ぼよんぼよんと揺らしながら。
 「女の人ってなんであんなに無神経なんだろう……」
 一人になった後、ソファーの上で膝を抱えて顔を伏せながら呟いた。いくらなんでも
あんな人ばかりではないだろうと思いたいけど、自分の一番身近にいる女の人があれでは、
何だか先が思いやられる気がする。
 テレビの方では次の話が始まっていたけれど、僕はもうこれ以上見る気を無くして
いたので、リモコンの停止ボタンを押した。
 まだレンタルの期限まで3日あるし、続きは明日見よう。

-----------
保守代わりのお茶請けにどうぞ。
アマンダの豪快にエロを無視したのっしのっしと、それを恥ずかしがるマレクが
書きたかっただけです。
ちなみに、マレクが見ていたアニメは「攻殻機動隊 2nd.GIG」のDVD2巻です。

209 :
gj
某クリアファイルでアマンダの裸体を見た後だとマレクが気の毒ながら羨ましい……

210 :
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1209630052/735
このネタでエロいのが出来そうだな

211 :
>>208
勃った!

212 :
マレクwwwwww
グッジョブ

213 :
マレクが出所するまでの5年間、アマンダはどうやって性欲解消してたんだろ?
オナニー娘か?

214 :
>>208
あの歌が自然と脳内再生されたwww
性少年にアマンダのぼいんぼいんはきつかろう…

215 :
感想ありがとうでござい。続きのようなそうでないようなものを投下いたします。
---------------
 ピンポーン。
 「はーい」
 夕方、リビングで夕食の準備をしていたらチャイムが鳴った。珍しく早く帰ってきていたアマンダはシャワーを
浴びているところだ。僕は玄関に駆け寄り、ドアを開けた。
 「あ、ヘルマン…」
 ドアを開けると立っていたのはヘルマンだった。
 「マレク、これお前のだろ。そこの裏通りのゴミ箱と自販機の隙間に落ちてたぞ」
 見るとヘルマンは見覚えのある財布を手に持っていた。今日の昼間、レオ達に取られて隠された僕の財布だ。
 「ありがとう」
 いくら探しても見つからないし、もう諦めていたところだった。だから、ヘルマンの親切は素直に嬉しかった。
 「なに、いいってことよ。ところでアマンダは?」
 「あ、アマンダなら今ちょっと…」
 「あら、ヘルマンきてたの」
 いつの間にかシャワーから上がったアマンダが、こちらに向かってのっしのっしと歩いてきた…って、アマンダ
何て格好してるんだよ!? 上はTシャツ一枚羽織っただけ、下はパンツだけって! っていうか乳首透けてるよ! 
おっぱい揺れてるし!
 「ああ、マレクが財布落としたの拾ったんでな。届けにきた」
 だけど、僕の動揺なんてどこ吹く風といった調子で、ヘルマンは当たり前のように対応していた。
ヘルマン? この状況でなんでそんな平気な顔してられるの?
 「わざわざ悪いわね。ありがとう。上がってお茶でも飲んでく?」
 ちょ、アマンダも何当たり前みたいな顔して会話してるのさ!? 大体その格好でヘルマンお茶に誘う気なの!?
 「いや、ちょっと寄っただけだ。すぐ帰るさ。夕飯前で忙しい時間だろうし、家族の団欒を邪魔しちゃ悪いからな」
 邪魔しちゃ悪いという以前に、もっと根本的な問題があると思うんだけど……
 「そう、じゃ、また明日ね」
 「おう。また明日。じゃあな、マレク」
 「……うん、今日はありがとう」
 自分でも分かるぐらい気の抜けた声でそれだけ答えるのが精一杯だった。
 そしてヘルマンは帰っていった。アマンダも家の奥に戻っていく。白いパンツの下から伸びるすらりと長い脚が
なんだかとても眩しい。そんな場違いな事を、彼女の後ろ姿を見送りながら、どこか冷めた頭の片隅で思った。
 その場に一人取り残された僕は、しばらくそこに立ち尽くしていたけれど、やがてため息混じりの声でそっと呟いた。
 「大人って無神経だ……」
---------------
にしても、男の子が突然出来た「お姉ちゃん」と一緒に暮らすことになるとか
正に「それなんてエロゲ?」な状況だよなあと思った。

216 :
>>215
GJ!
しかもどエロ居姉ちゃんと同居なんだよな、まったくたまったもんじゃねえww
アマンダなら平然と脱ぎたてパンツをマレクに支給しそうだよな
顔色一つ変えずに
「ストレスを溜め込んだら勉強がおろそかになるでしょ?定期的な性欲発散は必須よ」
とか言いそうw

217 :
>>215
ヘルマンは必で冷静を取り繕ってるんだな……可哀想に

218 :
大変だなマレク。
そういえば管区長がコンピュータに直結させられたはずなのに意外と元気そうだったよね

219 :
直結したコンピューターでエロゲし放題

220 :
ノベルが出来たので書きます
『私が守りたかったもの』
旧隊長、ウォルフの裏切りによって壊滅した対デモニアック特殊部隊「XAT」だったが、一人生き残った隊員によって
よって建て直され、今や新生「XAT」は、ナノマシンに感染し、デモニアック化した人々を保護し、差別から守る
組織へと急成長していった。その立役者となった、たった一人の生存者「アマンダ・ウェルナー」は、今やXAT隊員の
間では、「鬼教官」として恐れられていた。
この日も何時ものように、アマンダの怒声が基地内に響いていた。
「ちょっとそこ、チンタラしない!」「ダメでしょ!、そんな調子じゃ」「私語は慎みなさい!」
ヒステリックなまでに厳しく注意を怠らないアマンダに、隊員達は常に身を震わせていた。そして、一人の男性
隊員がアマンダに話しかけてきた。
「教官〜、もうこれ以上ムリっすよ〜、少し休みましょうよ〜」隊員は軽いノリで休憩を要求した。
「何言ってるのよ、これしきの訓練でへこたれてるようじゃ、XAT隊員は務まらないわ!」アマンダは冷静かつ強い
口調で隊員を絞る。
「でもさあ、あんまり訓練続けると体が持たないっつうかさあ、俺もう限界なんすよ」隊員は必で言い訳を
する。それを見たアマンダは、頭を掻きため息を突きながら隊員に質問した。
「貴方・・・、家族はいるの?」
「え?・・、あ、お、親と、妹が・・・・」
「貴方、任務中にんで家族を悲しませる気?、そんなことはこの私が絶対に許さないわ、それが嫌なら、訓練を
続けなさい」
「りょ、了解っ!」
アマンダの気迫に隊員は根負けし、直ちに訓練に戻った。
厳しい指導で有名だったアマンダだが、それと同時に、隊員たちに「命の尊さ」を隊員達に説く事でも有名だった。
自分の身を守れない者は、他人の身も守ることも出来ない、等、口を酸っぱくして毎日言っていた。その理由は、本人しか
知らない、忌まわしい過去が原因だった・・・・・・。
時計の針が午後4時を指した頃、アマンダは更衣室へと向かった。この日は現所長が数日前から今日の為にアマンダに早退を許可し、翌日の
休暇を与えられていた。更衣室を出て、門へと向かうアマンダの後ろから、彼女を引き止める声が聞こえた。
「アマンダ教官!」
アマンダが振り向くと、一人の若い女性隊員が立っていた。その女性隊員は、部隊内でミーハーであることで有名で、ストイック
なアマンダは彼女に手を焼いていた。
「何?、どうかしたの?」アマンダは隊員に声をかける。
「教官、今日は随分早いんですね。」
「その事?、ああ、今日は所長がこの日の為に早く上がれるように手配してくれたの。」
「この日・・・・、なんの日ですか?!」
理由を聞かれたアマンダは、少し考えながら答えた。
「そうね・・・・・、『大切な人』を迎えに行く日・・・、かしら?」
「大切な人・・・・・・・、も、もしかして・・・、恋人ですか?!」
それを聞いた隊員は、何時もの甲高いキャピキャピした声で食いついてきた。そのテンションに、アマンダは
少し引きながら言葉を返す。
「ち、違うわよ、それより・・・・」アマンダは隊員の手を強引に掴み、自身の目に近づけた。その気迫に、隊員は
一瞬たじろぐ。
「貴女・・・、何?、この爪」
隊員の爪は長く伸び、水色に塗られていた。
「あ・・・、これは・・つ、着け爪です・・・。」隊員はしどろもどろになりながら答える。
「任務に差し支えるから、切りなさい、その爪」「へ?」「早いうちにね」
手を離すとアマンダは振り向き、出入り口へと足を進める。隊員は鬼教官の気迫に圧倒されながらその
後姿を眺めていた。その後姿は、何処か嬉しそうな雰囲気を漂わせていた。

221 :
時を同じくして、ここはドイツ国内のとある少年院。建物の中では、一人の銀髪の少年がボストンバッグに荷物を詰め込んでいた。
少年は14歳の頃に人をめ、その罪を償う為にここに服役していた。では、未成年であること、被害者からの
陰湿な虐めを受けていたことから情状酌量され、懲役2年半を言い渡されていたが、模範囚として半年早い出所が決まった。
少年が門を出ると、警備員が声をかけた。
「まじめにやるんだぞ」
少年は軽く会釈し、前へと歩き始めた。すると門の前に1台のタクシーが止まり、そこから一人の女性が降りて来た。
白い肌、桃色の柔らかい髪の毛、緑色の瞳、少年は感じた。迎えに来てくれたと。
少年は女性の元へと早歩きで駆け寄った。向かい合うと、女性はにっこりと微笑み、少年に言葉をかけた。
「おかえりなさい、マレク・・・」それは、XATの鬼教官、アマンダ・ウェルナーの、隊員の誰もが知らない、優しい笑顔だった。
「ただいま・・・・」マレクは逸る気持ちを抑え、アマンダに声をかけた。2年ぶりに会うアマンダは、以前よりも美しさを増していた。
が、何処と無く痩せたようにも見えた。マレクはアマンダと話す話題を探していたが、なかなか見つからない。するとアマンダが
先に口を開いた。
「大きくなったわね、マレク・・・・」アマンダの言うとおり、マレクの身長はアマンダと並ぶ程伸び、少年院
内での規則正しい生活と運動で、以前よりも少しばかり逞しくなっていた。そんなマレクの手を握り、アマンダは言った。
「帰りましょう、私達の家へ・・・・」「うん・・・」2人はタクシーに乗り、帰る場所へと向かった。
家路に着くと、2人は家へと足を踏み入れる。マレクは2年越しに入る家の中を見渡す。何もかも2年前と変わらない。
全てが昔のままで、強いて言えば、自身の身長が伸びたせいで、家具などが小さく見える程度の物だった。その後
マレクは荷物を整理する為に自室へと向かった。部屋を中を見たマレクは息を呑んだ、ゲルトのポスター、ベッド、机の
位置、此処も全て変わらないままだった。
「ずっとそのままにしていたのよ・・・・・、マレクが何時、帰ってきてもいいように、ちゃんとキレイに
しておいたわ」後ろからアマンダの声が聞こえた。
「アマンダ・・・」マレクは振り向く。その瞳は、若干涙ぐんでいた。
「ありがとうアマンダ、でも大変だったでしょ?」
「うん、でも苦にはならなかったわ、マレクが帰ってくる事を思えば・・・・」
「そう・・・」マレクの心は、アマンダの優しさに打たれていた。
「あ、そうだ、マレク、私夕食の支度してくるから、今日はお祝いだから、腕に依りをかけるわ。」
そう言いながら、アマンダは台所へと向かった。マレクは自室で黙々と衣服の整理を始める。すると暫くして、マレク
は胸の奥から熱いものがこみ上げてくるのを感じた。やがてそれは涙へと姿を変え、マレクの瞳からぽろぽろと
滴り落ちた。我慢しようとしても、涙はそれを無視し続けた。悲しくもないのに。そして、マレクは膝を抱え、声を
押しして泣いた。アマンダに聞こえないように・・・・。

222 :
部屋を出ると、アマンダが食事の用意をしていた。どうやら今日はパスタのようだ。食卓に並べられている物は、どれも
気合が入っているように感じた。
「マレク、準備出来たわよ、あんまりお金はかけられなかったけど・・・・、でも美味しく出来たと思うわ」
2人は椅子に座る。マレクがパスタを口にすると、少し目を見開いた。
「・・・美味しい・・・・・」
「本当に?、よかったぁ・・・・」アマンダは子供のようにはしゃいだ。マレクが自分の料理で喜んでくれたのが、とても
嬉しかった。
「ねえ、ちょっと聞いてみたかったんだけど、少年院の食事って、どうなの?」それはアマンダの素朴な疑問だった。
「うーん・・・・、味が無かった、かな・・・・・」
「そう・・・だから美味しく感じるのね・・・」アマンダは少し意地悪そうな顔でからかう。それを見たマレクは一瞬
凍りつき、あたふたし始めた。
「あ、いや、その、ア、アマンダの料理は本当に美味しいんだ、嘘じゃないよ、本当だよ」
慌てふためくマレクを見つめるアマンダ、するとアマンダはプッ、と吹き出し、クスクスと笑い出した。
「ごめんごめん、マレクとこうやってまた一緒に暮らせると思うと、嬉しくなっちゃって、つい」
「なんだ・・・、アマンダ、ちょっと性質が悪いよ」
「ふふっ、本当にごめん」アマンダは安心するマレクの表情を、とても可愛いと思った。会話も弾み、その
夜の食事は、楽しいものとなった。
その後、2人は食後の休憩をリビングで取った後、アマンダは自室へと向かい、マレクはテレビの報道番組を眺めていた。
アマンダの部屋からは彼女の荒い息遣いと、数を数える声が静かに聞こえる。どうやらトレーニング中のようだ。すると
ブラウン管に、アマンダの姿が映し出された。どうやら新生XATの事について取材を受けているようだ。
テレビに映ったアマンダは、凛々しい表情でインタビューに応じる。
「―――アマンダさん、あなたはここでは『鬼教官』と呼ばれているようですが、その事に関しては
どう思われていますか?―――」
「―――私は、隊員に好かれる教官を目指しているわけではありません、優秀な隊員を育て上げる事を
一番の目的としています―――」
「―――アマンダさんが隊員への指導で一番心掛けていることは何ですか―――」
「―――私は常に常に隊員たちに、『命の尊さ』を説いています、中途半端な訓練では、任務中に
命を落としてしまうかも知れません。そのような事で大切な人を悲しませることの無い様、私は
隊員達に厳しく接しています。―――」
インタビューにきびきびと答えるアマンダを見ていると、ドアが開く音がした。マレクが振り向くと、そこには
アマンダがいた。そのアマンダの姿に、マレクは息を呑んだ。アマンダは黒のタンクトップにホットパンツ姿で、汗で
タンクトップが胸に張り付き、乳首が突き出していた。マレクは思わず赤面する。
「どうしたのマレク、顔真っ赤よ」
アマンダが前かがみになり、マレクに顔を近づける。その拍子に、豊かな胸がゆさゆさと揺れ、汗の香りが
鼻を刺激した。
「あ、いや、・・・、その・・・・・、あ、アマンダ、さっきテレビにアマンダが出てたよ」
マレクは欲情を誤魔化す為、先ほどの報道番組のインタビューの話を持ち出した。
「ああ、あれね。でも、見たいと思わなかったわ、だって自分がテレビに映るのを見るのって、結構照れるのよ」
「そ、そうなんだ・・・・・」マレクは少し俯く。
「じゃあ私、シャワー浴びてくるから」アマンダはシャワールームへと向かって行った。マレクは天気予報を
見ていたが、自意識とは無関係に、先ほどのアマンダの姿がフラッシュバックして浮かんだ。たわわに実った果実の
ような乳房、黒のタンクトップが、肌の白さをより引き立てていた。その黒い布地からは、明らかに乳首と思われる
突起物が浮かび上がっていた。それと、ホットパンツから伸びた、程よく肉付きの良い、スラっと長い脚も魅力的だ。
もんもんと広がる妄想に、マレクは抵抗した。欲望にこのまま流されてしまったら、自分がダメになると思い、頭の中で
別の話題を探していると、アマンダの腕を思い出した。
(あんな細い腕なのに、どうしてあんなに力があるんだろう・・・?)
XATで鍛え上げられたアマンダの腕は、その美しさ、細さにも関わらず、男顔負けの力を持っっている。マレク
も少年院で鍛えさせられたが、アマンダとアームレスリングなんてしたら、腕をへし折られてしまうだろう。
そんな事を考えながら、マレクは少し噴き出した。

223 :
マレクもその後シャワーを浴び終え、自室のベッドに横たわった。2年ぶりに見上げる天井、思えば、天井を見上げる
のも久しぶりのような気がした。虐められていた頃の自分は、うつ伏せにベッドに入り、枕に顔を埋めながら、アマンダに
気付かれないように泣いていた。その自分を虐めた奴らは、もういない。自分がしたからだ。しかし、それでも
心の闇が消える事は無かった。あんなに憎んでいた相手なのに、スッキリしたのは、した直後だけで、後から言葉に
出来ない程の嫌悪感が自分を襲った。マレクは、その時ほど自分が弱虫だと思った事は無かった。
そんな事を思い出しつつ、マレクの脳裏にトレーニング後のアマンダの姿が映し出された。もし叶うなら、あの
豊かな膨らみの谷間に顔を埋めてみたい、思い切り甘えてみたい、アマンダに抱きしめられたい・・・・・。しかしそれは
叶うことの無い願望だった。血縁はなくとも姉弟だし、そもそもアマンダが自分のような子供に興味を持つ訳がないのだ。
アマンダのような美女は、背が高く、ハンサムで、稼ぎのある男を好むものなのだ。どれ一つ、自分には無い物だった。
そうと知りつつも、マレクの右手は股間へと伸びていった。満たされることのない性欲は、このような事でしか解消出来ないからだ。
「アマンダ・・・・・・・」自然とマレクの口からアマンダの名前が漏れる。すると、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「マレクー、起きてるー?」マレクは突然自分を呼ぶ声にすぐさま手を引っ込め答える。
「うん、大丈夫だよ」マレクは自分が起きてることを知らせた。
「部屋に入ってもいいかしらー」アマンダは部屋に入りたいようだ。マレクはドアへと向かい、その扉を開ける。
すると、自身の髪と同じ色のパジャマを着たアマンダが立っていた。アマンダはにっこりと笑う。
「・・・・来ちゃった・・・」その笑顔に、マレクはくらくらしそうになった。アマンダは部屋に入るなり、ベッドに
腰掛けた。マレクも同時にアマンダの隣に座る。
「・・・どうしたの?、アマンダ・・・・」
「ちょっと・・・・・、寝る前に、マレクと話がしたくなって・・・」
マレクはドキドキしていた。自分の部屋に、アマンダと一緒にいるのだ。しかもマレクはさっき、アマンダを
オカズにオナニーしようとしていたのだった。その罪悪感から、どうしても節目がちになる。話がしたい、とアマンダ
は言っていたが、何せ話題が見つからない、暫くの沈黙が流れる。すると、アマンダが先に口を開いた。
「・・・マレク・・・・・、私って・・・、ダメなお姉ちゃんよね・・・・」
びっくりした。なにせ、アマンダが自分の事を、『ダメなお姉ちゃん』と言ったからだ。
「どうして・・・・?」マレクは理由を聞く。
「だって私、仕事が忙しいのに漬け込んで、マレクがこんなに辛い目にあっていたのに、気付いてあげられなくて・・・
、ここまで追い詰めてしまったから・・・」
悲しそうな顔で答えるアマンダを見たマレクは、必でアマンダを慰めようとした。
「そ・・・、そんな事・・無いよ、アマンダは綺麗で、優しくて・・・、強くて・・・カッコよくて・・・その・・・
・・、誰かに言ったわけではなかったけれど・・・、僕にとっては自慢の家族なんだ・・・」
マレクは難とか言葉を探して、アマンダを励ます。それを聞いたアマンダは、少し笑みを浮かべて返した。
「そう・・・そう思ってくれてるのね・・・・、嬉しいわ・・・・・」
マレクはアマンダが少し機嫌を良くしてくれたことにほっとした。その直後、アマンダはマレクを驚かせるような
事を口にした。
「ねえ、マレク・・・・・抱かせてくれる・・・・、かな・・・・・?」

224 :
その言葉は、マレクの心臓を撃ち抜いた。あまりにも突然の事の為、マレクはしどろもどろになる。
「え・・・、あ、そ、それって・・・・・・」
気が動転するマレクに、アマンダは目を細め、マレクの頬を左手で摩る。手の温もりとすべすべとした質感がマレク
の心臓の鼓動を早めた。顔を真っ赤にして黙り込むマレクに、アマンダは優しい声で語りかける。
「嫌・・・かしら・・・・・?」アマンダが答えを待ってる。もはやマレクは緊張の余り、口の中がカラカラに
なり、喋ることが出来なかった。その為、マレクは首を縦に振るという形で気持ちを伝えた。
「そう・・・・」答えを聴いたアマンダは、マレクの首に両手を廻し、ゆっくりと自分の身体に引き寄せた。
マレクの顎がアマンダの右の肩に乗っかる。アマンダは右腕でマレクの背中を抱き、左腕でその銀色に輝く
髪の生えた頭を撫でた。
夢にまで見た、アマンダの抱擁、姉弟であるが故に、その願いは叶うことはないと思い、諦めていた。しかし、今の
自分は、そのアマンダに抱かれている。夢ならば覚めないで欲しかった。シャンプーの香りと、アマンダの
体温が心地良かった。
マレクが肩から顔を離すと、自然とアマンダと向かい合う形となった。アマンダは微笑みながら、マレクに頬ずり
をする。その表情は、マスコミのインタビューに答える時の凛々しいアマンダとは違う、母親の様な物だった。
快感に浸るマレクだったが、心配な事があった。アマンダに抱かれる快感によって、マレクのペニスが勃起を始めていた。
それを悟られないよう、マレクは腰を少し遠ざけていた。が、アマンダの右腕がマレクの腰を引き寄せようと動き、それと
同時にアマンダのその柔乳がマレクの胸板を押す。驚いたマレクは咄嗟にアマンダを突き飛ばしてしまった。アマンダも
あまりに突然の事だった為対処しきれず、マレクの抵抗に目を白黒させるばかりだった。その直後、『ゴンッ』という
鈍い音が部屋に響いた。
我を取り戻したマレクは、すぐさまアマンダの方へと目を向ける。アマンダは「いたた・・・」と言いながら、頭と
背中を摩っている。どうやら壁にぶつけてしまったようだ。その後、アマンダがその緑色の瞳をマレクに向けると、マレク
の身に言いようの無い恐怖が襲ってきた。
何せ咄嗟とはいえ、アマンダを突き飛ばし、壁にぶつけてしまったのだから。きっと怒っているに違いない。マレクの
体に悪寒が走り、がくがくと震えた。弁解の言葉を言おうとしても、思うように舌が回らない
「あ・・・あ・・あ・・・ア・・・アマン・・・ダ・・・・・ご・・・・ご・・ごご・・・・・」
当のアマンダは無機質な表情で寄って来る。マレクは本能的に逃げようとしたが、腰が抜けて動けない。無機質な
表情がまた、恐怖心を倍増させていた。
「マレク・・・・」アマンダが口を開いた瞬間、マレクは目を瞑った。
『―――される―――』肉体的な戦闘力では敵わない事を知っていたマレクは、覚悟を決めかけていた。だが、アマンダ
の口からは予想外の言葉が発せられた。
「ごめんね・・・・」アマンダは微笑みながら謝った。その言葉を聞いたマレクは、一気に体の力が抜ける。

225 :
「・・・ごめんね・・・・マレク、びっくりさせちゃって・・・・今のは私が悪かったわ・・・」
怒りなど微塵も見せずに謝るアマンダに、マレクは聞いた。
「どうして・・・・・?、・・・・怒って・・・ないの?」
アマンダはくすりと笑いながら答える。
「怒ってなんか無いわよ、悪いのは、みんな私だから・・・・」
貴方は悪くない―――そう言わんばかりの笑みでアマンダは謝る。
「・・・・・ご・・・ごめん・・・・」
「どうして?、マレクが謝る必要なんて、何処にも無いんだから・・・」
「でも僕・・・、アマンダの事・・・・突き飛ばして・・・、壁に・・・・・、ぶつけたりして・・・・痛くなかった・・・?」
心配するマレクに、アマンダは無事を主張する。
「大丈夫よ、私これでもXATの隊員だったのよ、これくらい、どうってことないわ」
マレクはアマンダの無事を知り、ほっとしたのもつかの間、アマンダはさらにマレクを驚かせる言葉を発した。
「ねえ、マレク・・・、貴方、私の事おもって・・・・オナニーしてるでしょ?」
図星だった。だが正直に話したら、それはそれで激しく怒られるかもしれない。そう思ったマレクは、いけないと
思いつつも、嘘を言ってしまった。
「し・・・してないよ・・・そんな事・・・」
「本当に・・・・?」アマンダが追い討ちをかける。アマンダの尋問と、嘘をついた罪悪感が、マレクの胸に
重く圧し掛かった。
「ほ、本当に・・・、してないよ・・・・、第一・・・、可笑しいよ・・・・、血は繋がってないけど・・・・アマンダ
とは姉弟なんだし・・・・・姉弟でオナニーするなんて・・・・変だよ・・・、変体のすることだよ・・・」
マレクの口から出た言葉は、まるで自分自身を戒めているように発せられた。マレク本人も、そのつもりで言った。それを
聞いたアマンダは溜息を一つ吐き、口を進めた。
「そう・・・・、じゃあ、私って・・・変体、なのかな・・・?」
その言葉に、マレクは心臓が飛び出すかと思った。まさかアマンダが自分の事を思ってオナニーだなんて、考えもしなかった。正直、嘘で
あって欲しいと思った。女性のオナニーは雑誌で見たことがあったが、写真の艶かしい女性と同じ事を、あの
優しいアマンダがしているだなんて、想像もしたくなかった。しかも、自分がオカズに使われているだなんて・・・・、マレクが
抱いていたアマンダのイメージが、音を立てて崩れていった。半ば放心状態になったマレクの銀髪を、アマンダは撫でながら言う。

226 :
「ビックリしたでしょ?、マレク、貴方の言うことは私、極力信じるつもりよ、でも嘘をついても、後が辛くなるわ、だから・・・
、言いたくなったら、いつでも言って良いのよ、私、まってるから・・・」
アマンダの包容力と、心の広さに、マレクは嘘をついた事を後悔した。そしてマレクは、その罪悪感に打ち勝つため、アマンダに
事実を打ち明けることを決意した。
「ア・・・、アマンダ・・・・、僕・・・アマンダで・・・オナニー・・・・してたんだ・・・ごめん・・・」
マレクは蚊の泣くような声で正直に話した。
「どうして、貴方が謝る必要があるの?、私も同じ事・・・していたのよ」
「僕・・・嘘ついて・・・・アマンダの事・・・・変体だなんて・・・言って・・・自分も同じなのに・・・」
肩を震わせて謝るマレクを見たアマンダは、また一つ溜息を吐いた。
「マレク・・・私嬉しいわ、ちゃんと正直に言ってくれたから・・・・」
アマンダの優しい一言に、マレクはやっと気を落ち着かせる事が出来た。
「それにしてもアマンダ、どうして僕がオナニーしてるって思ったの?」マレクはアマンダに訊いた。
「私・・・・見たのよ、マレクがオナニーしている所」
気付かなかった。マレクは自分がオナニーしてる事は、姉にはバレていないとおもっていたからだ。
「それって・・・何時の事・・・・?」マレクが時期を聞く。
「マレクが中学校に入ってからのことかしら・・・・私が水を飲みに起きたら、マレクの部屋から私を呼ぶ声が聞こえたの・・・・、部屋
を覗いて見たら、貴方が私の名前を呼びながらオナニーしていたの・・・・、でも・・・・、その後のマレク・・・・・、泣いていたわ・・
・・・」
たしかにそうだった。いけないと思いつつも、アマンダの豊満な肢体を思い浮かべながらマレクはオナニーしていた。だが快感の
後は、強い罪悪感に苛まされた。妄想とはいえ、大好きなアマンダを汚してしまった。それがマレクにとってとても辛かった。
そうと知りつつも、何度もアマンダでオナニーする度に、快感の後に深い、絶望感にも似た感覚が襲った。姉をオカズにオナニーだなんて、誰にも
言えない、そんな孤独感が、苦しみを倍増させていた。
「アマンダは・・・・僕がオナニーしてる所見て・・・・嫌だった・・・・・?」
マレクの問に、アマンダはゆっくりと首を横に振った。
「全然、嫌じゃなかったわ、むしろ・・・嬉しかった・・・・マレクが私の事、こんなに思ってくれてるなんて・・・・」アマンダは頬を
自身の髪の毛と同じ色に染めて言う。
「でもアマンダ・・・・、どうして僕なんかで・・・・・オナニーしてたの・・・・?」
「ぼ、僕なんかって・・・・」
アマンダの説明を無視し、マレクは話を進める。

227 :
「だって、僕はアマンダより10歳も年下だし・・・あの時の僕なんて、背も低かったし・・・・弱虫だし・・・・アマンダみたいな女の
人は、もっとかっこいい男の人がいいと思って・・・・僕なんか・・・相手にしてもらえないって思って・・・・・」
「『僕なんか』じゃないわ、だってマレクったら、中学生になってから少しづつかっこよくなって・・・・・顔は前から可愛いと
思っていたけど・・・・・五年も経って・・・こんなにかっこよくなっちゃって・・・・まさか私が10歳も年下の男の子に
恋するなんて・・・・こんな事・・・・誰にも言えなかったわ・・・」
それを聞いたマレクは、自分は決して孤独ではない事を感じた。アマンダも、誰にも言えない、そんな苦しみを抱えて、もがいていた。
さっきまで恥ずかしそうな顔をしていたアマンダだったが、すぐに目を細め、あの優しい微笑を浮かべた。
「でも・・・・正直に言っちゃったら、何だかスッキリしちゃったね・・・・・」
言われてみればそうだった。さっきまで重く心に圧し掛かっていたもやもやが、全て取り払われたような気がした。そんなマレクをアマンダ
は、色っぽい声で誘惑する。
「マレク・・・・私のおっぱい、触ってみたい・・・・・?」
今更嘘をついても仕方ないとおもったマレクは、素直に「うん」と首を縦に振った。
「そう・・・・だったら・・・私のお願い・・・・聞いてくれる」
「お願いって?」
「私の事・・・・・『お姉ちゃん』って、呼んでくれないかな・・・・・?」
「どうして・・・・?」
「だって・・・マレクったら私の事、いつも呼び捨てにしてるじゃない、私ね、一度でいいからマレクに『お姉ちゃん』って
、呼ばれてみたかったの・・・・」
マレクは顔を真っ赤にし、アマンダの目を見つめた。
「・・・・お・・お姉・・・ちゃん・・・・」
初めての為、緊張と興奮で声が震え、ぎこちない呼び方となった。しかしアマンダはマレクの小さい顔を両手で包み込み、笑顔を見せた。
「合格・・・・よ・・・」
アマンダが唇を尖らせ、顔を近づける。だがマレクは、それを拒否するかのように目を背けた。
「・・・・どうして・・・?」アマンダは残念そうな顔で理由を聞いた。
「だってアマンダ・・・僕、融合体なんだよ・・・キスなんてしたら・・・アマンダが融合体になっちゃう・・・・」
マレクの言ったことは、アマンダもよく知っていた。

228 :
「・・・・マレクは、私が融合体になったら・・・嫌?」
「嫌って言うか・・・・好きな人を融合体にしたいだなんて・・・普通思わないよ・・・・」
その通りだ。愛する人を融合体にしてしまう、それは融合体故の悲しき定めだった。だがアマンダの心は決まっていた。
「マレクの気持ちは解らなくもないわ、少し、私の話、聞いてくれる?」マレクはこくり、とうなずいた。
「私ね、マレクが融合対になったって知ったとき、すごく怖かった、取り返しがつかない事になったら、貴方をそうとも思ったわ。でも
、融合体になったヘルマンを見て思ったの、例え体は違っても、心があれば、その人はその人のままだって。ヘルマンは最後までヘルマン
らしく勇敢に戦って、逝ったわ・・・。だからマレクも、融合体でも心があれば、貴方はマレクのままなのよ。私はこの体が融合体に
なっても、私は私のままでいるつもりよ、後はマレクの判断に任せるわ」
マレクはアマンダの優しい眼差しの中に、強い意志を感じた。アマンダは人間の身体を棄ててまで、マレクを愛そうと言うのだ。これほどまでに
深い愛に満ちたアマンダを見たのは初めてだった。彼女なら・・・・、マレクの心は固まっていた。そしてマレクは、アマンダの、その
小振りながらも厚みのある唇にキスした。アマンダは嬉しさの余りマレクの後頭部を優しく撫でる。キス、とはいっても唇同士が軽く
触れ合う、いわゆる『フレンチキス』であったが、マレクにとってはファーストキスであり、相手が出会った時から憧れていたアマンダだけ
あって、マレクは嬉しさの余り飛び上がりそうになった。
やがてアマンダは唇を離すと、パジャマのボタンに手をかけ、一つずつ外して行く。上着を脱ぐと、黒のブラジャーに包まれた白い乳房が現れる。
ブラの黒が、肌の白さをより一層引き立てていた。そのブラも外され、椰子の実のようなたわわな柔乳がゆさっと揺れた。そしてアマンダは
仰向けにゆっくりと倒れる。それでも巨大な膨らみは形を保っていた。
「マレク・・・・触って・・・・」アマンダが優しくも色っぽい視線を送りながら誘う。マレクは大きな果実に手を置く。最初はマレクは乳を
揉まず、表面を撫でるだけだった。
「お姉ちゃんのおっぱい・・・・・すべすべ・・・・」
「どうしたの?、揉んでもいいのよ?」
「え・・・、あ、ち、違うんだ、お姉ちゃんのおっぱい、すべすべしてるから・・・つい・・・」
乳房の丸みに手を這わせているだけのマレクに、アマンダは揉むように催促する。マレクは試しに、右の親をそのマシュマロのような柔肌に
めり込ませる。すると、何とも言いがたい不思議な物を感じた。何処までも指が沈んで行きそうにも感じた。次は思い切って全ての
指をめり込ませた。

229 :
はあっ・・・・あうぅぅぅぅ・・・んん・・・・」アマンダが快楽に甘い悲鳴を上げる。驚いたマレクは咄嗟に指の動きを止めた。
「お、お姉ちゃん・・・・何・・?、今の声・・・」
「マレク・・・今のは気持ちよくて出た声よ・・・・だからもっと、貴方の好きにして・・・・」
それを聞いて安心したマレクは、今度は五本の指で乳肉をゆっくりと揉む。その度に肉が指の間から浮かび上がり、血管が浮き出る
程の白い肌は、温度を上げていった。オルガンを弾くかのように指を動かすと、アマンダの「あっ・・・あっ・・・」という小さな
喘ぎ声が聞こえた。最初は快感に悶え、眉間に皺を寄せたりしていたアマンダだったが、何時しかその表情からは力が抜けており、
その乳房の如く柔らかな表情へと変わっていった。その表情を見たマレクも、力が抜けるような感覚を覚えた。そしてマレクはゆっくりと
前へ倒れこみ、アマンダの髪と同じ色をした乳首を口に含んだ。
「あんっ・・・・」生暖かい舌の感触に、アマンダが声を漏らす。最初は口の中で転がしたり、舌で押す程度だったが、そのうち乳首を口の
奥へと引きずり込みかのように吸う。アマンダは快楽に喘ぎながらも、マレクの背中と頭を撫でていた。
「あっ、あん・・・、あっ・・、いい、いいよ・・・」まるで赤子をあやすかのように、乳首を吸うマレクの姿は、アマンダの母性本能を
掻き立てていた。
やがてマレクは乳首から口を離し、自分にとっての愛情の塊とも言える乳房を枕のように顔を押し付けた。
「マレクったら・・・赤ちゃんみたい・・・・・」
「赤ちゃんみたいな僕は・・・・嫌・・・?」マレクが不安げな瞳で見つめる。それがまたたまらなく可愛くて、保護欲を鷲掴みにした。
「そんなことないわ、お姉ちゃんはそういう所、可愛くて大好きよ」マレクを抱く腕に力が少し入る。マレクの表情も少し明るくなり、再び乳首を吸い
始めた。今度は左の乳首を吸いながら、右の乳を揉む。徐々にアマンダの呼吸が浅くなった。もうほとんど口呼吸の状態だ。荒い息でマレクの
名を呼び、喘ぐ。それに伴い、乳首も固さを増してゆく。固まった乳首の舌触りが快感になる。次の瞬間、アマンダの体が
軽く痙攣を起こし、体からくた〜〜っ、と力が抜けていくのを感じた。
「・・・・お姉・・・ちゃん?」
「はあ・・・はあ・・・はあ・・軽く・・・イっちゃったみたい・・・・」
色っぽくアマンダが言うと、マレクに顔を近づけるように指示する。そしてマレクの唇にキスする。今度はさっきと違い、アマンダの舌が唇を
舐める。ぺろっ、ぺろっ、と、母犬が子犬の口元を舐める様に、愛おしい眼差しで。

230 :
「マレク、横になって、今度は私がしてあげるから。」
言われたとおりにマレクが横になると、アマンダはマレクのズボンに手をかけたが、マレクはアマンダの手を止めた。
「どうして・・・・?、してあげるのに・・・・・」
「いいよお姉ちゃん、ズボンくらい・・・自分で脱げるから・・・・」
恥ずかしそうにマレクは目を逸らしながら言う。
「だーめ、させて、してあげたいの・・・・」甘ったるい言葉にマレクは観念し、アマンダに下半身を任せる。するするとズボンをトランクスごと
脱がすと、立派に勃起した肉柱が現れた。だがマレクは目を瞑っていた。
少年院のシャワールームで見る限り、自分の物は小さいと思っていた。それをアマンダがそっと握る。
「あっ・・・・・」暖かで柔らかな手の感触に声が漏れる。
「マレク、どうして顔、そらすの・・・・・?」
「だって・・・・・ちいさいから・・・、僕の・・・・」
「え・・・・・?」自信なさげに言うマレクに、アマンダは目を丸くする。
「小さいんだ、僕の・・・・、少年院の奴らよりも・・・だから僕・・・お姉ちゃんを気持ちよくしてあげられないかも知れない、自信が無いんだ・・・、
女の人って、大きいほうが好きなんでしょ・・・・」
「・・・マレクは、そう思ってるの・・・・?」
「・・・・・同じ部屋の仲間が言ってたんだ・・・・」
それを聞いたアマンダは、まだまだ子供だなあ、と思った。そして、クスクスと静かに笑い出した。
「・・・・お姉ちゃん?」
「フフフッ、マレクったら、そんな事考えていたの?」
「そんな事って・・・・、お姉ちゃんはどう思うの・・・・?」
アマンダはいきり立った棒を、愛おしそうに見つめながら言った。
「私は・・・・そんな事、考えた事もなかったわ・・・、それに、マレクのは大きいわけでも小さいわけでもない、普通の大きさよ」
牛の乳を搾るようにアマンダは肉棒を握る、その度に「あっ、あっ」とマレクの切ない喘ぎ声が響く。
「お、お姉ちゃん・・・・、」
「なあに?」
「お姉ちゃんは・・・、この大きさでいいの?、本当に、満足なの・・・・?」
切ない瞳で問いかけてくるマレクに、優しくアマンダは答えた。
「関係ないわ、だって、マレクのおちんちんだから、大好きな人のだから、私はこれでいいと思ってるの」
そういった矢先、アマンダは張り詰めた亀頭を、ぺろり、と舐めた。

231 :
「んんあっ・・・・」初めての感覚に、マレクは頭の中が真っ白になりかけた。
「気持ちいいでしょ、舐められるの」
難とか正気を取り戻したマレクだったが、今のアマンダの行動が信じられなかった。アマンダが舐めたのだ、ペニスを。俗に言う『フェラチオ』だ。
少年院の中で見た雑誌にその写真が掲載されていたが、あまりにもエグく感じたため、その直後に吐いてしまったのを思い出す。そう思うと、胸の
奥がムカムカしてきた。
「や、やめてよ・・・・」
「え・・・?どうして・・・・?」
「お姉ちゃん、今自分が何したかわかってるの・・・?、舐めたんだよ、おちんちん・・・・」
「そうよ・・・それがどうかしたの?」
「やめてよ、舐めるものじゃないよ、おちんちんなんて・・・、汚いよ・・・・」
どうやらマレクにとって、フェラチオがこんなにもショックを与えるとは、アマンダも思っていなかった。怯えが見えるマレクの瞳を見つめながら、アマンダ
はショックに震えるマレクを宥める。
「汚くなんかないわ、だって、ちゃんと洗ってたでしょ、全然、臭いもしないわ。」
アマンダの励ましにより、強張っていたマレクの表情もようやく落ち着きを取り戻す。そして、マレクからは迷いは消えていた。
「お姉ちゃん・・・・僕の・・・おちん・・ちん・・・舐め・・て・・」
蚊の鳴くような声でマレクは要求する。アマンダは何も言わずに、要求を呑んだ。そして、アマンダは立派に硬直した棍棒を口に含む。
「んああっ・・・」さっきとは違い、物全体がぬるぬるとした感触と温もりに包まれる。生き物のような舌が柱に絡みつき、頬が吸い上げる。
未知の快感に、マレクはただただ喘ぐことしか出来なかった。
「あっ、あ・・・あうぅ・・・んああ・・・はぁ・・・・」
逞しくなった体型にも関わらず、少女のような声を上げるマレク、強すぎる快感に、声を言葉にすることすら難しくなってきた。
「んんああっ、お・・・お姉・・・ちゃん・・・・すご・・い・・・気持ち・・・良すぎ・・・・」
やっと搾り出した言葉だが、あまりにも強い快感の為か、息も絶え絶えになってしまった。マレクと目を合わせるアマンダの目が優しそうに
細まる。感じてくれたことに悦びを感じているみたいだ。
「あっ、だめ、お姉ちゃん、もう、もう僕・・・イっちゃうよ・・・・・」
快感が頂点に近づき始め、マレクはイきそうだと主張する。アマンダはそれを聞いて棍棒から口を離した。
「いいけど、ちょっと待ってて、もっと気持ちよくしてあげるから」
そう言うとアマンダはマレクの肉棒を、その自らの豊満な乳房の間に挟み、ゆっくりと揉みしだき始めた。自らのモノが豊乳に挟まれ、揉まれる
という、またもや未知の快感にマレクは興奮した。
「気持ち・・・いいでしょ・・・・、パイズリって・・・いうのよ・・・・」
モノを挟まれる快感と、柔肌と柔肉の感触と、その温もりにマレクは溺れそうになる、ふとアマンダの顔を見ると、アマンダも息が荒くなり、頬
を紅潮させていた。
「気持ちいいの・・・・・?、お姉ちゃん・・・・」
「うん、そうよ・・・・、パイズリって、される方も気持ちいいけど、するほうも気持ちいいの、特に相手の気持ちいい顔を見ながらだと、より
一層気持ちよくなるのよ・・・・」
うっとりとした表情で話すアマンダの甘い声が、快感を促進させる。それはすでにピークに達していた。
「あっああっ、あっ、うあっ、お、お姉ちゃん、もう、だめ、イく・・・イっちゃう・・・」
「いいよ、そのまま出して・・・・」
マレクの絶頂の声と共に、アマンダは即座に亀頭を口に含む。そして、アマンダの暖かな口内に、熱く白く濁ったどろどろの液体が流れ出した。それ
をアマンダは一滴残らず飲み干す。ごくり、と喉を鳴らしながら。その光景に、マレクは驚きを隠せなかった。アマンダはモノを口から
話すと、口の周りに漏れた唾液を指で拭いながら、色っぽく言った。
「ん・・・・濃い・・・・・」

232 :
「お・・・お・・お・・・・・お姉ちゃん・・・・?!」
「ん?どうしたの?」
「の・・・のののの飲んじゃったの・・・・・・?!・・・・精液・・・・」
「そうよ、いけないかしら?」
「い・・・・いけないっていうか・・・その・・・・」
確かに精液を飲むのは、『悪』ではないとは思っていた、というより、それが『悪』なのかさえ、マレクはどうか解らなかった。当の本人は満足げな
顔で好悦に浸ってる。その表情からは、羞恥心すら感じられなかった。
「そ・・・・それで・・・・、美味しいの?」
「ええ、とっても、美味しかったわ・・・・」
それを聞いたマレクは、僅かに先端に残った精液を指先に着けた。自分のモノの先に着いていた物だった為、少し尻込みした。が、マレクは勇気を
振り絞って指を口の中に入れた。するととたんに口の中に雑草を噛んだような青臭い苦味が、ぬめりと共に広がった。
「お姉ちゃん、全然美味しくないよ、やっぱり飲むものじゃないよ、これ」
アマンダの言葉を真に受けたマレクをみて、アマンダはクスクスと微笑んだ。
「そうよね、確かに飲むものじゃないわ、でもマレクのだから、私は大丈夫よ」
そういうアマンダの表情には、嫌がっている様子など微塵も無かった。どうやら本当に自ら望んで飲み干したのであろう。そして今度は
アマンダがベッドに仰向けに寝そべった。
「マレク・・・・私のパンツ、脱がせて・・・・・」
年下の男に言わないような、甘えた口調でアマンダが要求する。マレクはそっとパジャマのズボンに手を掛け、ゆっくりと脱がせて行くと、黒いパンツ
が姿を現した。それもそっと脱がすと、あることに気付いた。パンツの又に当る部分から、銀色に光る糸が伸びていた。
「お姉ちゃん?!、何、これ・・・・・」
「んふっ、そうよ、マレクとするの、楽しみにしてたから、濡れてきちゃった・・・・」
妖艶な笑みを浮かべながら、アマンダは自ら自身の扉を開いた。そこには、粘液で満たされた肉襞が見えた。
目を見張るマレク。女性の恥部も少年院内に持ち込まれた雑誌でみたが、その時も吐き気を感じていた。だが今回は違う。雑誌の写真と余り変わりは
無いのに、アマンダのだというだけで吐き気はおろか、嫌悪感も感じない、むしろ、それがとても神秘的に見えた。
「そっと・・・・さわって・・・みて・・・・」アマンダの誘いに乗り、マレクの指が蜜壷に触れる。ひんやりとした感触もつかの間、直ぐに指が吸い込まれるように
洞穴の中に入っていった。
「んっ・・・はあ・・・・」進入してきた指に、アマンダが溜息を漏らす。アマンダの胎内は、ぬめぬめしていて、とても暖かい。そっと指の腹で壁を撫でてみた。
「ひゃううんっ!!!!!!!!!」突然アマンダの悲鳴が聞こえた。
「ど・・・どうしたの?!、お姉ちゃん」
「い・・・・今の、一番いいところに・・・・きちゃったかも・・・・」どうやらGスポットに当ったようだ。
「もっと・・・触ってえ・・・・」猫のような甘えた声で更に要求する。マレクは何度も、その同じ所を指で摩り続けた。その度にアマンダの甘美な
喘ぎ声が脳内にこだまする。
「ひゃっ、あっ、あんっ、やん、あっ、いい、いいのぉ、もっと、もっといじってぇ・・・」
アマンダは触られる度に身体をくねらせる。快楽に顔を歪ませ、淫らな声を響かせる。だがマレクはそんなアマンダを見ても『卑しい』とは思えなかった。むしろ、自分の
愛撫で感じてくれるのが凄く嬉しかった。そのうちマレクの胸中には、知らない内に押さえ難い感情がこみ上げて来た。ごくり、とマレクは生唾を飲み込む。そして、アマンダ
の蜜壷に入っていた指を、アマンダがイく前に抜いてしまった。

233 :
「・・・・・マレク・・・・・?」アマンダの問いかけにもマレクは黙り込んでいる。するとマレクは、アマンダの恥部に顔を押し付け、そこを舌で舐め始めた。
「やっ、あん、ちょっと・・・マレクったら・・・あん・・・」突然の行動にアマンダは困惑した。それをさらに快感が掻き消す。ピチャピチャと舐める音すら
耳に届かない。恥部を舐められるのは嫌ではないが、いきなりされるとは思わなかったため、完全に快感の海に溺れていた。そんな中、アマンダの脳裏に言葉が走った。
(私・・・・犯されてる・・・・・)
虚ろな目でそんな事を思い始めた。でも仕方ない、私は一度、弟を守れなかったダメな姉、犯されて当然だ、とも思っていた。心のどこかで、マレクに無理やり、身体を
弄ばれたいとも思っていた時もあった。それで己の罪が償われるのなら、それを望んでいた。
「あっ・・・・あん・・・・んん・・・・あはあっ・・・・」喘ぎ声がゆっくりになる。体から力が抜け、だらしなく四肢が広がる。マレクは未だに蜜壷を無心に舐め
続けていた。すると、蚊の鳴くような声で、アマンダが喋りだす。
「・・・・マレクぅ・・・犯して・・・・私を・・・犯して・・・・・」アマンダの異常に気付いたマレクは、直ぐに股から顔を離し、アマンダの顔を見た。すると、マレク
は我が目を疑った。アマンダの美しい、緑色の瞳からは光が消え、うわ言のように「犯して・・・」と呟いていた。
「・・・・・・マレク・・・犯して・・・・ダメなお姉ちゃんを・・・・・犯して・・・・」
「お姉ちゃん・・・やめてよ・・・・・そんな事・・・・言わないでよ・・・・」
「・・・私はダメなお姉ちゃんだから・・・・犯されても仕方ないの・・・・だから・・・犯して・・・」
虚ろな目で「犯して・・・」と繰り返すアマンダに、マレクは底知れぬ恐怖を感じた。このままじゃ、アマンダがアマンダでなくなるような気がしたからだ。マレク
はアマンダの目を覚まそうと必になった。
「やめてよ・・・こんなのやだよ・・・・こんなの、僕の好きになったお姉ちゃんじゃないよ・・・・だから・・・もうやめてよ・・・・」
マレクの説得が届いてないのか、アマンダは人の目でマレクを見つめながら微笑む。どうにでもして、と言わんばかりに。それがマレクの恐怖心を倍増させた。マレクは
アマンダの肩を掴み、力いっぱい揺さぶった。それと同時に、優しさの象徴である二つの果実も揺れる。
「お姉ちゃん、いい加減目を覚まして、いつもの強くて、優しいお姉ちゃんは何処にいったの?、ねえ、どうして?どうしてこうなっちゃったの?嫌だ、こんなの嫌だ、間違ってるよ、
だから目を覚ましてよ、僕を一人ぼっちにしないでよーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
マレクが必の叫びを上げ、アマンダに抱きつく。するとアマンダは一瞬、はっとした顔になり、目に光が宿った。自身の胸で半べそをかくマレクを、優しく抱きしめた。
「・・・・・お姉・・・・・ちゃん・・・・?」マレクが胸の谷間に埋めていた顔を上げる。そして見えたのは、あの優しい目をした、マレクが最も大好きな眼差しだった。
「さっきはごめん・・・・・お姉ちゃん・・・・、間違ってたわ」
「お姉ちゃん・・・・僕・・・・自分だけが気持ちいいのは嫌なんだ、お姉ちゃんも気持ちよくないと、僕も気持ちよくなれないんだ・・・・だから、『犯して』だ
なんて言わないでよ・・・・」
「・・・そうよね、私、自分の事ばかり考えてた、本当に、ごめんね・・・・」
「それに・・・お姉ちゃんはダメなんかじゃないよ、お姉ちゃんは僕を、いや、みんなを助けるために、一生懸命戦ったんだから・・・・・」

234 :
「でも・・・・・失ったものは多かったわ・・・・」
アマンダの顔がまた曇る。見かねたマレクは、アマンダの耳元に口を近づけて離す。
「それ、もしヘルマンが聞いてたら、笑われちゃうよ」
その言葉に、アマンダははっと目を見開いた。
「ヘルマンだけじゃないよ、XATのみんなも、ジョセフも、みんなお姉ちゃんに未来を託してんでいったんだ。だから、お姉ちゃんがそんなんだったら、みんなが可哀想だよ。
それとも・・・・僕だけじゃ嫌なの?」
そうだった。アル、ブラット、ヘルマン、メイフォン、シドウ、サーシャ、そしてジョセフ・・・・、皆、私に未来を託してんでいった。その思いを、生き残った私は決して無駄に
してはならない、新しい平和な未来を作るために、必で努力して、新生XATを立ち上げた。マレクとまた一緒に暮らせる日を夢見ながら。その夢も、この日に叶った。
そのマレクに、まだ幼さの残る顔の弟に、大人顔負けの説教をされてしまった。私ってつくづくダメなお姉ちゃんだ、と思ったが、マレクが悲しむため、口にはしなかった。自身の
未熟さを、アマンダは心の中で笑った。
「お姉ちゃん・・・・また、自分がダメなお姉ちゃんだって、思ったでしょ?」
考えを読まれたため、アマンダの背筋が一瞬凍った。
「ど・・・どうしてわかったの?」
「顔に書いてた」真顔でマレクが言う。
マレクは二年という空白の中で、こんなにも成長していた。姉としては嬉しかったが、同時に寂しくもあった。独り立ちを控えた親の気持ちが何となく
解ったような気がした。
「・・・・お姉ちゃん?、どうしたの、ボーッとしちゃって・・・・」
目の前でマレクが手をひらひらさせるのを見て、アマンダは我に帰る。
「あっ、そ・・・、そう、マレク、成長したなって・・・・お姉ちゃん嬉しい・・・・」
そう言うとアマンダはマレクの小さい顔を両手で包み、また口を開く。
「でも・・・・・、今夜は子供でいて・・・・・」
マレクは小さく頷いた後、アマンダの唇にキスしようとする、が、アマンダは人差し指でマレクの唇を押さえた。
「いいの?、私舐めたのよ、マレクのおちんちん・・・・」
「いいんだ、僕は構わないよ」
「でも・・・・」アマンダが迷いを見せる。すると一瞬の隙を突いて、マレクは少し強引ぎみにキスした。驚いたアマンダが目を見開く。しかもマレク
は自身の舌を口内に侵入させ、掻き回す。それに連れて、アマンダの表情もうっとりとしてきた。
「あふっ・・・うん・・・・・」ゆったりとした快楽に甘い声を漏らす、銀色の糸を引きながら、マレクは口を離した。
「大丈夫だった?、苦くなかった?」母親のように心配するアマンダに、マレクは平気そうな顔で答える。
「大丈夫、何ともなかったよ」その答えは、アマンダを安心させた。アマンダはマレクに、自身の体から離れるように言った。言われたとおりにマレクが身体を
離すと、アマンダは自らの恥部を開開いた。
「マレク・・・お姉ちゃんに・・・ちょうだい・・・・」
その麗しく、淫らで、甘美な姿にマレクは生唾を飲んだ。そして、固く熱くなった肉棒を、桃色の穴へと宛がった。するとその肉棒が、まるで吸い込まれるように
するすると入っていった。
「あっ・・んああっ・・・・」モノが締め付けられる感覚に襲われ、マレクが悲鳴にも似た声を上げる。アマンダの胎内は、熱くて、ぬるぬるして、二度と
離さないと言わんばかりに絡みついてくるものがあった。少しでも動いたら、今にも射精してしまいそうだ。それに必に耐えようと歯を食いしばり、腕が硬直する。その腕を
アマンダが優しく撫でて言った。
「力を抜いてもいいのよ・・・・・それから動いて・・・・」
「でも・・・そんなことしたら・・・・イっちゃうよ・・・・・」

235 :
「いいの、私はマレクが気持ちよければそれでいいの・・・・・」
だが、それを聞いたマレクの表情が急に曇った。そして首を大きく横に振った。
「嫌だよ、僕だけ気持ちいいなんて・・・無理だよ・・・僕はお姉ちゃんにも気持ちよくなってくれないと、僕も気持ちよくなれないんだ・・・・」
マレクの話を黙って聞いていたアマンダだったが、何も言わずにそっとマレクの首に腕を廻し、勢い良く胸に抱き寄せた。びっくりしてマレクが
目を丸くする。
「・・・・お姉ちゃん・・・・・?」
「これなら私も気持ちいいから、動いて、いっぱい、気持ちよくなって・・・・・」
マレクはアマンダの胴にしがみ付き、胸の谷間に顔を押し付ける。そして、ゆっくりと腰をくねらせ始めた。それと同時にアマンダの甘い吐息と喘ぎ声が漏れる。
「あっ・・・・あん・・・んあっ・・・・はあ・・・・あっ、いい、いいの・・・すごい・・・ああっ・・・」
アマンダはマレクの熱い棒と心を感じながら、自身の豊かな谷間に埋もれるマレクの銀色の頭を撫でる。少女が、大事にしている縫い包みを撫でるように。
「・・・お姉ちゃん・・・・お姉ちゃん・・・・」マレクも感じながら、姉の名を繰り返す。抱きつくその手は、二度と離れたくない、と
言わんばかりに。それはまるで、母親から離れるのを嫌う子供のようだった。暖かな胸の温もりは、凍りついたマレクの心を、ゆっくりとだが、確実に
溶かしていった。ドクン、ドクンという心臓の音も、マレクにとって心地よかった。生きてる証だからだ。アマンダの腕は、その膣の内壁同様、マレクの身体を強く、
優しく抱きしめていた。そしてマレクは顔を浮かすと、アマンダの柔らかい右の乳首を口に含み、左の乳房を揉み始めた。
「あんっ、やん、あっ、・・・はあっ・・・いいよ・・・・もっと乳首・・・・吸ってえ・・・・・・」
舌でころころ転がしたり、ちゅうちゅうと吸ったりする度に、アマンダは色っぽい声を上げる。どうやら乳首が感じやすいようだ。そう思ったマレク
は、左の乳首を抓んでみた。
「ひゃあん!!!、やあ・・・・だめ・・・イっちゃう・・・」アマンダは金切り声に近い声を上げた。マレクの読みは当った。乳首を
集中的に攻めながら腰を動かす。いやいや、と言わんばかりにアマンダは左右に首を動かす。マレクは意地悪しうに聞く。
「お姉ちゃん、気持ちよすぎるんでしょ」
「そう・・・そうなの・・・・、おっぱい、弱いの・・・・」
「もっとしてほしい?」
「やだぁ・・・・イっちゃうよぉ・・・・」
10歳も年上とは思えない程、甘えた口調で言うアマンダ。その表情は、涙目の少女みたいだった。
「どうして?、イきたくないの?」
「だってぇ・・・マレクと一緒にイきたいのぉ・・・・私だけイくなんて・・・嫌だぁ・・・・」
アマンダの言葉を理解したマレクは、乳首への愛撫を止め、再度谷間に顔を埋める。そして、残された力を全て腰に移し、ありったけのピストンをアマンダ
に叩き込んだ。
「あんっ!!!!!!、ああっ!!!」1回一回が重い刺激に、アマンダの快感は絶頂に達しかけていた。その度に、愛の詰まった風船がゆっさゆっさと
揺れ、マレクの顔を包み込む。高まる2人の体温も、より快感を増大させていった。

236 :
「やっ、ああんっ、あっ、あん、ああああっ、いいのぉ!、お姉ちゃん、溶けちゃうよぉ・・・」余りにも強い快感に、アマンダの意識は混濁しはじめていた。
「お姉ちゃん・・・僕・・・もう・・・・・」
「うん、いいよ・・・マレクの命・・・・お姉ちゃんの中に・・・いっぱいちょうだい・・・」
渾身の力でアマンダにピストンを叩き込む。次の瞬間、マレクの快感は一線を超え、白くにごった熱い液体が、アマンダの胎内に流れ出した。はあ・・・
、とアマンダは溜息を漏らす。その肉棒と、精液の熱さは、正しく『命の熱さ』だった。そのマレクも、アマンダの豊満で
暖かい肢体にの上にもたれていた。
「はあ・・・は・・・、マレク・・・・、気持ち・・・・よかった・・・・・?」
「うん・・・・、お姉ちゃん・・・暖かい・・・・」
子犬のように、マレクが頬ずりしてくる。その仕草が、可愛くて可愛くて仕方なかった。アマンダもそんなマレクの後頭部を優しく撫でる。そしてアマンダはマレクの
耳元で囁く
「マレク・・・、私の話、聞いて欲しいから、私の目を見て・・・・」マレクが顔をあげ、緑色の瞳に目を合わす。その瞳は、何だか
悲しげな瞳だった。
「マレク、貴方はこの国の人間じゃないから、もしかしたら、また虐めにあうかもしれないの。でも、仕返しだけは絶対にやっちゃだめ、そこからは
何も生まれない、生まれるのは憎しみだけだから・・・マレクにはもう、誰も傷つけて欲しくないから・・・・・・」
実際そうだった。復讐の後に残ったのは、抱えきれないほどの後味の悪さだけだった。
「でも・・・、そうなったら・・・僕はどうすればいいの・・・・・?」
困った顔をしたマレクを見て、アマンダは微笑みながら返す。
「そういうときは・・・・私のところに来て・・・、お姉ちゃん、今まで何も出来なかった分、頑張るから、マレクが辛い目に会ったら、私が
助けてあげる。だってマレクは、たった一人の、私の家族なんだから・・・・・」
その笑顔は、マレクの過去の記憶を呼び起こした。あの時と同じ笑顔だったからだ・・・・。

237 :
その日、僕の住む孤児院に、一人の女性が子供を引き取りに来た。そして、女性は僕を選んだ。その理由を、僕は知らない。アマンダと名乗る
女性は、とても優しげな笑顔を僕に向ける。けれど僕は不安だった。アマンダがどういう人かも、何故僕を選んだのかも、全て謎だった。だから僕は、彼女と
目を合わす事が出来なかった。そのまま彼女に手を引かれ、タクシーの中へと入ろうとするが、僕は二の足を踏んだ。本当に、この人についていっても大丈夫
なのか、と。そんな僕を見たアマンダは、女神のような優しい微笑を浮かべながら、僕に手を伸ばした。何も心配要らない、私が貴方を護る、と言わん
ばかりに。ふとアマンダのその緑色の瞳に視線を合わすと、何か熱い物が胸からこみ上げてくるのを、僕は感じた。それを僕は我慢できなくなり、泣きながら
アマンダの腰にしがみついた。それをアマンダは、ただただ抱きしめながら、タクシーへと誘った。
今のアマンダの微笑みは、あの時と完全に一緒だった。そして、マレクの目から、涙が零れ落ちる。その涙は、マレクの心を硬く閉ざしていた氷が溶け出した
物と言うのにふさわしい物だった。
「・・・・マレク?」アマンダが異変に気付く。そしてマレクは、その豊満な胸の谷間に顔を埋め、大声で泣き出した。今までの悲しみ、怒り、辛さを全て
吐き出すかのような大きな泣き声で。そんなマレクを、アマンダはただ抱きしめることしかできなかった。自分が不甲斐無いばかりに、マレクに苦しみ
を全て背負わせてしまった。アマンダはその罪を、『弟に犯される』という形で償おうとした。だが、マレクはそれを望まなかった。
『お姉ちゃんが気持ちよくなければ、僕も気持ちよくなれない』、その言葉は、マレクの心を鮮明に表していた。誰よりも純粋で、優しくて、繊細。それ故に
傷つき、涙したのであろう。融合体の力で復讐を果たしたものの、それはマレクをさらに追い詰めただけで、何も解決しなかった。それは、マレクがまだ
人間の心を失っていないからであって、今流している涙が、それを証明していた。
泣きじゃくるマレクの頭を撫で続けるアマンダ。するとマレクが、泣きながら喋り始めた。
「うっ・・・うう・・・お・・・お姉ちゃん・・・・、僕ってやっぱり・・・・・弱虫・・・なの・・かな・・・・?」
「どうして・・・・・?」
「だって・・・・・僕、こんなに・・・・泣いちゃって・・・・うっ・・・・うう・・・・・・」
再び泣き出そうとするマレクに、アマンダは優しく語り掛ける。
「マレク、今貴方が泣いているのは、貴方が人間らしい、優しい心を持ってるからなのよ。私はそれが、人としての本当の強さに繋がると
信じているの、だからマレクは強いし、これからもっと強くなるわ・・・・」
「本当に・・・・?、強くなれる・・・・・?」
「ええ、その日が来るまでは、私がマレクを護るから・・・・・」
「お姉ちゃん・・・・・」マレクはすすり泣きながら、アマンダに甘える。マレクは嬉しかった。心置きなくアマンダに甘えられた事、アマンダがこんなにも
僕を愛してくれていた事、そして、僕は決して独りぼっちじゃ無い事・・・・・。思い切り泣いた後は、何だか穏やかな気持ちになった。そしてマレク
は、柔らかな乳房の温もりを堪能する。ここが自分の居場所だ、と言い聞かせながら。

238 :
「すごい・・・・汗、かいちゃったね・・・・・」アマンダの言う通り、2人の汗は多かった。部屋の温度はさほど高かった訳ではなかったが、その
汗の量は、互いを深く愛した証だった。
「本当だ・・・べとべとするね・・・・」マレクはそう言いながら、自らの肉棒を蜜壷から抜く。入り口からは、大量の精液がどろっと流れ出す。これで
アマンダも融合体になるのかと思うと、後味の悪さを感じた。それとは対照的に、アマンダは満足そうな顔をしていた。自分も時期に融合体になると
言うのに、恐怖心の欠片も感じさせなかった。
「お姉ちゃん、シャワー、先に行ってきなよ」マレクはアマンダに言う。
「マレクは・・・・そうして欲しいの?」
「え・・・、いや、その・・・・何というか・・・」
答えに困るマレクの手を、アマンダは握った。
「一緒に行きましょ、洗ってあげるから」
アマンダの暖かい手に引かれ、マレクはシャワールームへと向かった。
浴槽ではアマンダがシャワーの温度を調節している。いいよ、と言われてマレクも浴槽に入る。人肌程の温度の温湯が首筋に当り、鎖骨の浅い窪みに水溜りを作る。厚みを
増した胸板を伝っていた。そこをアマンダが泡立てた石けんの染みたスポンジで優しく擦る。
「すごく逞しくなったね、かちかちだよ」
大胸筋を洗いながら、それを指でそっと押すアマンダ、弟の成長がとても嬉しいようだ。
「少年院でしごかれたから・・・・嫌でもこうなっちゃうんだ・・・・」
「ふーん、そうなんだ」泡の着いたマレクの身体に自身を滑らせ、臀部に手を伸ばす。マレクは一瞬硬直するが、耳元でアマンダが囁く。
「動かないで、キレイにしてあげるから」
言われなくても、マレクは動けなかった。石けんに塗れた柔乳と乳首が密着し、変形しながら身体を這う。長い手が臀部、股間、背骨をスポンジで擦る。
アマンダのキメ細かいすべすべの肌と、ぬるぬるの泡が一度は収まったマレクの情欲を再び呼び起こした。勃起を隠そうとするも、硬直した
それは既にアマンダの手の中だった。小さく呻くマレクを他所に、アマンダは黙々と身体を洗い続ける。肉棒から手を離すと、今度は座椅子に座る
よう言われ、それに座る。アマンダは手にシャンプーを乗せ、マレクの銀色の頭髪で泡立てる。10本の指の腹で頭皮を丁寧に、ツボを刺激するかのように
なぞる。その間にも、アマンダの豊満な乳房は肩や首の後ろに密着してくる。弟の髪を洗うアマンダの表情は、とても嬉しそうだった。やがてそれも終わり、温湯が
マレクの頭に掛かる。目を瞑り顔と髪の水分を拭うと、ガタン、とシャワーをハンガーに戻す音がした。だが温湯は流れ続けている所か、勢いを増していた。おかしい、と
思った矢先、アマンダが後ろから抱き着いてきた。声をかけようとしたが、マレクは異変に気付き、黙り込んだ。
(アマンダ・・・・泣いてる・・・・・)
全開にしたシャワーの音ですすり泣く声は掻き消されていたが、完全ではなく、微かに聞こえていた。呼吸も切なげだった。アマンダの後ろから掛かる温湯も、涙を
誤魔化す為のものだった。マレクは慰めたい気持ちでいっぱいだったが、行動に移せない。そうしても、アマンダは拒否するような気がしたからだ。何も出来ず、ただ抱かれる
しか出来ない自分に苛立ちを覚える。そのまま、沈黙が流れた。そしてアマンダが先に口を開いた。
「・・・・マレク・・・・、先に上がって・・・・・」アマンダが暗く言う。かなり感情を押さえ込んでるようだ。
「え・・・?、どうして・・・・?」
「いいから・・・・先に上がって・・・・私の部屋で待ってて・・・・・」
黙々と言うアマンダに、マレクは少し恐怖を感じた。別にアマンダは怒っているわけではない。だが、従わなければいけないような気がして、マレクは後ろ髪を
引かれる思いでバスルームを出た。そして廊下に出たとたん、アマンダがわっと泣き崩れる声が聞こえた。
気丈な面を持つアマンダの事だから、きっと涙をマレクに見せまいと思っていたのだろう。その泣き声を聞いたマレクは胸が締め付けられ、立ち止まる。バスタブの中で
倒れ、シャワーの温湯に打たれながら涙するアマンダの姿が目に浮かび、マレクの目からも涙が零れる。だがマレクは振り向かなかった。振り向いてバスルームに行った
所で、アマンダがそれを望むとは思えなかったからだ。マレクは涙を拭いながら、アマンダの部屋へと向かった。

239 :
「ごめんね遅くなっちゃって・・・・、まだ起きてたの?」
約10分後、何食わぬ顔で戻ってきたアマンダ。着ていたのはキャミソールにパンツだけだった。マレクはベッドに腰掛けていた。アマンダが
来るまで、ずっとこうしていたのだろう。
「もう・・・、待っててくれたの?、先に寝てても良かったのに」
自らもベッドに座りながら、横からマレクに話しかける。
「うん、でも・・・・、お姉ちゃんと一緒に寝たいから・・・」そう言うマレクの瞼は、少し閉じそうにピクピクと動いている。きっと睡魔に耐えて、健気にアマンダ
を待っていたのであろう。
「さ、もう寝ましょう、夜も遅いし」アマンダがマレクの肩に手を置いたその時、マレクが口を開いた。
「お姉ちゃん・・・・・、どうして泣いていたの・・・・?」
その言葉に、アマンダは目を丸くする。が、すぐにはぐらかした。
「さ、さあ・・・・、泣いてなんかないわよ」だがマレクにはすぐ嘘だとわかった。アマンダは嘘を吐くのが下手だからだ。
「誤魔化さないでよ・・・・僕、知ってるんだから」
少々ドスの効いた声で言うマレクの言葉に、アマンダは狐に抓まれたような顔をする。それを無視して、マレクは話を続けた。
「僕・・・、お風呂から出たとき、お姉ちゃんが泣く声を聞いて・・・辛かったんだ・・・・、お姉ちゃんが泣いているのに、僕は何も出来なくて・・・
、だから・・・・お姉ちゃん・・・・、泣きたい時は僕に・・・・何か言ってよ・・・・」
「マレク・・・・・」
「僕・・・・何が出来るか・・・わからないけど・・・・僕に何か出来るんだったら・・・・・、お姉ちゃんの・・・力になりたいんだ・・・
お姉ちゃんが僕の事を大好きなように、、僕だって・・・お姉ちゃんが大好きだから・・・・お姉ちゃんの為に・・・・何かしたいんだ・・・・だから、辛い
事があったら、僕に言ってよ・・・・・」
その言葉を聴いたアマンダは、はっとした顔になった。そして、その見開いた緑色の瞳から、涙が零れだした。涙を流しながら微笑み、アマンダ
は口を開いた。
「やっぱり・・・・解ってたんだ・・・・・」
「・・・・・え?」
「私・・・・・バレるって解ってたけど・・・泣いてる所・・・・見られたくなくて・・・・あんな事したけど・・・・バカみたいよね・・・・」
「お姉ちゃん・・・・・」
「でもねマレク・・・・、私が泣いていたのは・・・・辛かったからじゃないのよ・・・・」
「どうして・・・・?」
「・・・・嬉しかったから・・・・・」アマンダは震える声で理由を話した。

240 :
「そう・・・なの?」
「そうよ、マレクが無事に生きていてくれて・・・・・私の胸に抱かれていて・・・・・今まで生きてきて・・・・こんなに
嬉しいことなんて・・・・無かった・・・・ごめんね・・・・お姉ちゃん、強がってた・・・・カッコ付けてた・・・・・」
「お姉ちゃんは・・・何にも悪くないよ・・・・・僕・・・気にして無いから・・・・」
マレクの慰めの言葉を聞いても、アマンダは俯いて、肩を震わせるばかりだった。そんな姿を見てられなくなったマレクは、ベッドの近くの
小箪笥からハンカチを取り出し、頬を伝う涙を拭いた。
「マレク・・・・」
「お姉ちゃん、もう泣かなくてもいいよ、僕が傍にいるんだから・・・・ずっと一緒だから・・・・・」
涙を拭くマレクの顔は、16とは思えないほどに無垢で、とても、虐めを受けていたとは思えない程に、純粋だった。そんなマレクの言葉
は、アマンダの涙を押さえるどころか、余計に泣かせてしまっていた。アマンダはマレクをその胸に抱き、声を張り上げて泣いた。
みっともない、と思いながらも、アマンダは泣いた。最愛の弟が戻ってきてくれたことが、弟の温もりが、涙を加速させた。ずっと
このまま、マレクを抱いていたい、二度と離したくない、もし離してしまったら、二度と戻ってこないような気がした。だから腕に
力を入れている。マレクのいない世界に、意味などないとも思えた。
「お姉ちゃん、僕・・・・強くなるよ、強くなって、お姉ちゃんを守るから・・・・・」
アマンダはその言葉に、涙を流しながら頷く。マレクの言葉は、一つ一つが愛に満ちていた。やっとアマンダの涙が収まり、アマンダはマレクを抱いたまま
横になった。マレクは嬉しそうに、谷間に顔を埋める。その表情は、無邪気そのもので、アマンダをほっとさせるものだった。
「マレク、ほんとに私のおっぱい好きね」
「うん、すごく柔らかくて、気持ちいい・・・」
「ふーん、マレクはおっぱいが好きなんだぁ・・・・・・」少し意地悪そうにアマンダはマレクをからかう。はっとしたマレクは顔を真っ赤にしながら胸から
顔を離した。
「ち、ちがうよ、そんな、そういうのじゃなくて、えっと・・・・」
「ふふっ、ごめんごめん、エッチな理由だけじゃないって事、私はちゃんと知ってるよ」
耳の上をアマンダは撫でながら、マレクに弁解する。落ち着きを取り戻したマレクは、続きを話す。
「その・・・お姉ちゃんのおっぱいは、僕、すごい好きなんだ、でも、お姉ちゃんはおっぱいが大きいだけじゃない、綺麗で、強くて、誰よりも
優しくて、だからこそ、僕はこのおっぱいに甘えたくなるんだ・・・・・」
頬をほんのり紅く染めながら言うマレクの瞳に、嘘は感じなかった。この子は純粋に、愛が欲しくて甘えてきてるのだ、とアマンダは確信した。
「もっと、甘えたい?」
「うん、もっと、お姉ちゃんのおっぱいに、甘えたい・・・・」
「そう・・・・わかった、ちょっと離れて」
アマンダが抱いていたマレクから手を退けると、徐にキャミソールを脱ぎ、ベッドの下に放り投げた。その後、今度はパンツまでも脱ぎ捨て、アマンダは一糸纏わぬ
姿となった。予想してなかったせいか、マレクは目を丸くしている。そんなマレクに、全裸のアマンダが言う。
「マレクも脱いで」
「ぼ・・・僕もなの・・・・?」顔を真っ赤にしながらマレクは戸惑う。
「そうよ、そのほうが気持ちいいから、とっても暖かいのよ」
少し黙り込んだマレクだったが、上体を起こし、ボタンを一つずつ外す。そしてシャツ、スボン、トランクスも全て脱ぎ捨て、2人は再び
全裸に戻っていた。あの時とは違う、逞しくなったマレクを、アマンダは横目で見つめていたが、身体を動かして仰向けになり、満面の笑みで両手を広げた。
「おいでマレク、お姉ちゃんがいーーーーーーっぱい、愛してあげる!」

241 :
そんなアマンダが、マレクには『女神』に見えた。マレクは導かれるように、豊かで暖かなアマンダの胸に抱きつく。それと同時に、アマンダもその
銀色の頭を、力いっぱい抱きしめ、左の二の腕にそれが乗っかる形で横になった。愛しき弟の顔は、陽だまりで眠る子猫の様だった。
姉の部屋で、姉のベッドで、裸の姉に抱かれる、セックスの激しい快感とは違う、静かな心地よさだった。こんなにも心が安らいだのは、生まれて
初めてだとも思った。
「気持ちいいでしょ、こうして、裸で抱き合うのって」
「うん、お姉ちゃんの体、凄く暖かい・・・・」
子猫の微笑を浮かべながらマレクが言う。余りの可愛らしさに、アマンダは目を細めた。
「私、今まで生きてきて、今日ほど幸せだと思った事は無かったわ・・・。マレクのいない2年間、私は独りぼっちだった。新生XATを立ち上げる為に、必で
努力して、隊員たちに厳しくして、鬼教官って言われて、強くあろうとしていたけど・・・・・、家に帰っても誰もいなくて・・・・寂しくて・・・
・・毎晩泣きながら寝てたわ・・・・。お酒に逃げたこともあったけど・・・何も解決しなかった・・・・」
道理でアマンダが痩せたわけだと、マレクは思った。僕のいない毎日が、アマンダにとってどれだけ辛かっただろう、気持ちはマレクも同じだった。再び
涙目になるアマンダに、マレクは甘えながらも慰めの言葉をかけた。
「大丈夫だよ、お姉ちゃんはもう、独りぼっちじゃない、僕が傍にいるから、ずっと一緒だから・・・・」
「マレク・・・・・」
「お姉ちゃん、大好き、愛してるよ・・・・・・世界で一番・・・・・」
「私もよ・・・・マレク、愛してる・・・・・」
弟の愛の言葉に、アマンダは一筋の涙を流した。たった一人生き残った、私の大事な人。仲間達がんでゆく中、一番守りたかった人。それが今、私の
胸に抱かれ、幸せそうな子猫の微笑みを浮かべている。それがアマンダにとって、最高の幸せだった。そのマレクは今、瞳を閉じかけている。よほど眠気に
襲われてるようだ。
「マレク・・・・もう遅いから、寝たほうがいいわよ」
「うん・・・お休み、お姉ちゃん・・・・」するとマレクは胸から顔を離し、アマンダに『おやすみのキス』をした。ほんの五秒間、その間にマレクは、『ちろっ』っとアマンダの
唇を舐める。そして唇を離すと、マレクは再びその優しい胸へ顔を埋めた。一瞬何が起こったのか、アマンダは最初は理解出来なかったが、ぐっすりと眠るマレクの寝顔を見て
思った。マレクは起きていられるぎりぎりまで、アマンダを愛そうとしたのだろう。10歳も年下とは思えぬ律儀さだった。当の本人は、既に眠りについている。その
寝顔は、全ての苦しみから解放されたような、完全に無防備な可愛らしいもので、アマンダの母性本能を鷲掴みにした。
今まで見たマレクの寝顔は、ザーギンの攻撃に巻き込まれて気絶した時の物と、ザーギンとの戦いで気絶した時の物だったが、どれも苦しそうな物で、見ているるのが
辛かった。それを思うと、この寝顔はマレクが完全に安心しきっている証とも言えた。そんな事を思ってるうちに、アマンダは自分の本心に気がついた。『私が守りたかったもの』は、
これの事だと言うことに。ふとアマンダは思った。時期に自分の身体も融合体と化すのか、と。しかしアマンダに恐怖心は不思議と無かった。マレクに
一歩近づけるような気がしたからだ。以前、マレクは親友のヨハンが自ら命を絶った時にアマンダにこう吐き棄てた。
『アマンダはこの国の人間だから解らないんだ』

242 :
移民であるが故に虐められたマレクの悲痛な叫びだった。アマンダ自身は気にしていなかったが、マレクにとって『移民』という要素は、途轍もない重荷だった。そしてマレクは
今、『融合体』という、もう一つの、決して降ろすことの出来ない重荷を背負っていたのだ。今の世界でナノマシンに感染し、融合体と化した人々は差別に苦しんでいて、それを
少しでも減らすためにアマンダはXATを甦らせた。それまでアマンダ『人間』として戦って来たのだが、もう人間の体はどうでもよいと思った。移民という壁は崩せなくとも、自身
も融合体なれば、マレクと痛みや苦しみを分かち合えると思ったからだ。既に人間の体に未練は無かった。大切なのは、『心』だから・・・・・。
そうしているうちに、マレクの顔がぼやけて見えてきた。アマンダは目を擦って思った。もっと見ていたい、マレクの可愛い、子猫の寝顔を、ずっと見ていたいのに・・・。だが
睡魔は容赦なく襲ってきた。もう限界か、仕方ない。もう寝よう、とアマンダが目を閉じかけた瞬間、微かに声が聞こえた。眠たい目を開けてマレクの顔を見るが、相変わらず
可愛い寝顔を浮かべながらすやすやと寝息を立てている。気のせいかと思った矢先、マレクの薄い唇が開いた。
「・・・・お姉・・・・ちゃん・・・・」今度ははっきりと聞こえた。マレクは寝言で姉を呼んでいたのだった。さらにマレクは体を密着させて、乳房に顔を
埋めながら寝言を続けた。
「・・・お姉ちゃん・・・・ずっと・・・ずっと、一緒だよ・・・・僕が・・・お姉ちゃんを・・・守るから・・・・大好きだよ・・・お姉ちゃん・・・・」
寝言ではあったが、この言葉はアマンダの心を射抜いた。夢の中でも求められているという事が、アマンダにとっては嬉しかった。まだまだ子供だけど、人として一番大切な
物を持っているマレクが、アマンダは大好きだった。マレクの体を抱く腕に力が入る。そして、アマンダも愛の言葉を囁く。
「私もよ、マレク、だーいすき!」
その言葉の後、アマンダも『聖母(マリア)の寝顔』を浮かべながら眠りについた。
最初はただの寂しい子供だった。ただの保護者でいたかった。
だけど何時からだろう、私は君に恋していた。いけないと解っていながらも、君が
頭から離れなかった。だけどもう嘘は吐かない。真っ直ぐに君を愛したい。だから
もう泣かないで、もう、独りぼっちじゃないから、私が傍にいるから・・・・。

243 :
柔らかな朝の日差しがカーテンから漏れて、丁度目の辺りに当った。その刺激で目を開け、ゆっくりと体を起こす。もう朝か、とアマンダは目を擦った。ふと横を見ると、昨晩
激しく愛し合った弟が、穏やかな笑みを浮かべながらまだ寝ていた。細かな傷跡が残る頬を指の腹で撫でる。私がもっとしっかりしていれば、弟はこんな傷を負わなくても
良かったのに、と少し思った。
「お姉ちゃん・・・・」相変わらずマレクは、夢の中で私と一緒らしい。今日は休日だから、もう少し寝かせておこうと、アマンダは着替えて寝室を出た。その30分後に、マレクも
目が覚め、しわくちゃのパジャマ姿で大欠伸を書きながら出てきた。
「あ、マレクおはよう、朝ごはんの用意、出来てるわよ」
「うん・・・アマンダ、おはよう・・・・」寝ぼけてるせいか、微妙に口が回らない。しかも呼び方は『お姉ちゃん』から呼び捨てに変わっていた。それをアマンダは咎めようとは
しない。そもそも『お姉ちゃん』と呼ばせることを強制したわけではないから、アマンダは気に留めなかった。マレクがトーストを齧る。普通に朝食を食べ、朝をこうして『普通』に
過ごすのはどれくらいぶりだろう、この『普通』が、こんなにも幸せだとは、全く意識したことも無かった。この『普通の日常』も、私が守りたかった物だと思った。私はそれを
守りきった。だからこそ、こうして最愛の弟と朝を過ごしている。その弟も、少しであるが成長した。まだ幼さの残る顔立ちだが、彫りが深く、甘いマスク。XATの隊員たちが
見たら、男達は嫉妬し、女達は骨抜きにされるであろう。そんな事を思っていると、マレクが不意を突いた。
「アマンダ、僕の顔に何か着いてる?」マレクの顔がテーブル越しに近づく。はっとしたアマンダは動揺せざるをえなかった。大人と子供の中間地点のその顔も、アマンダの
頬を紅く染めた。まじまじとマレクが見つめてくる。
「あ・・・えっと・・・ミルクが着いてるわよ、拭きなさい」慌ててハンカチを渡す。それを受け取ったマレクは、口の周りに付着したミルクを拭き取った。そうしながら、マレク
はまたアマンダを動揺させる一言を放つ。
「何だか今日のアマンダ、可愛い」
アマンダの顔面があっという間に真っ赤になり、頬を両手で押さえ、照れながら言葉を返す。
「やだぁ・・・私、弟に『可愛い』って言われちゃった・・・・・」
「いけないの?」
「いけないと言うか・・・何て言うか・・・・」
照れるアマンダを見つめながらマレクは思った。僕の姉は、とても可愛いと。
その後食事を終えたマレクは食器を流しに持っていった。やけに時間がかかる、きっと洗っているのだろう。そう思ったアマンダは、ソファに座りニュースを見ていた。ニュースでは、
また融合体が絡んだ事件が報じられていた。アマンダが顔をしかめる。この融合体にも、家族や大切な人がいたであろう。そんな状況で、仕事を休む自分が情けなく感じた。
「アマンダ、どうかしたの」食器を洗い終えたであろうマレクが、不意に声をかけてきた。
「え・・・・?あ、何でもないわ、本当に」
「そう・・・・隣、いいかな」
「うん、いいわよ」マレクがアマンダの隣に座る。するとその瞬間、アマンダはマレクに抱きつかれた。突然の事に少し驚くが、直ぐにマレクの背に手を廻し、軽く叩いた。
「ど、どうしたの?いきなり・・・・」
「僕はどうもしないよ、ただ・・・・・」
「ただ・・・・?」





244 :
「何だか『お姉ちゃん』、悲しそうな顔してたから、つい・・・・」
切ない表情でマレクが言う。しかも呼び方が『お姉ちゃん』になっていた。きっとアマンダの表情を見て、いてもたってもいられなかったのだろう。本当に、マレクは優しい人に
成長したと思った。アマンダはマレクを一度体から離し、再びその柔らかい胸に抱いた。
「お姉ちゃん・・・・」
「マレクは本当に優しいね・・・・そういう所、私大好き・・・・・」
「僕もだよ・・・・僕も、優しいお姉ちゃんが、大好きだよ・・・・・・」
胸に抱いている弟は、とても暖かい。既に人に在らざる存在なのに、肌の感触も、体温も、全て人のままだ。そしてなにより、マレクは人の心を失っていなかった。やはり、体は
関係ないとアマンダは思った。マレクの心は、誰よりも暖かった。
「お姉ちゃん、今日仕事休みだけど、どうするの?」マレクが聞いてくる。
「今日は買い物に行くのよ、マレクの新しい服とか、買わないといけないし、マレク、体大きくなったからね。」
「じゃあ、今日はお姉ちゃんとデートだね」にっこりと笑って言うマレクの笑顔が愛しかった。
「そうね、今日はずっと一緒ね。」甘い一時を過ごしながら、アマンダは神に感謝していた。
神様、ありがとう。素敵な弟に巡りあわせてくれて・・・・・。

245 :
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
神キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!
GJ!!!!!!

246 :
これは凄い!ようやく読みたかったモンが読めたって感じだな
GJ!

247 :
原作も軸ぶれまくりだったけど、最後にアマ姉とマレ坊の>>244 みたいなオチを予想させてたな
まあそこだけが救いだぜw
とにかくGJ!

248 :
規制で書き込めなかったが遅ればせながらGJ

249 :
アマンダってけっこう体臭きつそうだな
大柄だし、筋肉質だし、ライダースーツだし
マレクはさぞかしフェチ気質に調教されていることだろうてw

250 :
素晴らしいな

251 :
ドイツ女は臭い

252 :
このシャウエッセンをてめぇの腸内で暖めなっ!
とかってデモニアックが同化融合した極太前用バイブをアナルにぶち込まれるアマンダ

253 :
アマンダは無駄に丈夫っぽそうだからな
かなり無茶なプレイも余裕だろうw

254 :
アマンダもいいが、やっぱりスノウ×ジョセフでこう・・・
突然フラグで吹いたが。
ゲルトはヒロインがいないんだよなあ・・・

255 :
スノウは漫画版でちゃんとツレが居るんですけどね

256 :
な、なんだってーーーーーorz
くそっ、糞っ、どういうことだ?!
ちょっと漫画版買ってくる。

257 :
>>254
ジルでいいじゃんw
俺、あのだらしのないボディは好きだぜ

258 :
ジルっておま、すごいビッチじゃないかw
しかし第二話でのあの言われよう、ゲルトは・・・下手だったんだろうか?
あれで早漏だったら嫌だなぁ

259 :
あっちでも最速のチャンプなんだろ

260 :
>>255
ウザいくらいバカップルと化してるよな

261 :

ライダースーツで蒸れ蒸れのアマンダにクンニ奉仕するマレクは地獄の臭いだろうな

262 :
>>258
ゲルトが下手だったと言うより、ジルが「相手の望む自分」を演じるのが上手い女ってだけじゃないかな。
マシューの前では「あなたが一番よv」と言っておいて、ゲルトの前では「少し気弱で純な女」をやっていたと。
ネタ的には「ベッドでも最速」って方が面白いんだろうけど。

263 :
>>262
女って結構そういう所は正直だぜ
そもそもセックスの相性が悪いからマシューみたいなオジサンに走ってる風もあるし

264 :
>>263
…言われた(または言った)経験でもおありで?

265 :
アマンダとカマンベールチーズはどっちが臭いキツイかなw

266 :
何だか過疎り気味なので、出来上がったノベル投稿します
「一番甘えたいのは」
*オリキャラ、オリ設定あり
時計の針が12時を指し、XAT基地内に設立されたカフェテラスには、訓練や任務を終えた隊員や
職員達で溢れかえっていた。そんな中、XAT内で鬼教官として知られているアマンダが、一つの椅子に座った。
午前の疲れを取るように、アマンダは肩を揉み、首の骨を鳴らす。眉間を抓んで深呼吸した後、ポケットから手帳を
取り出した。その中には一枚の写真が入っていて、そこには銀色の長髪を靡かせた少年と自分が一緒に写っていた。
「マレク・・・・お姉ちゃん、大変だけど頑張るからね・・・・・」
小声でそう呟くと、女性の声が後ろから聞こえた。
「教官、お隣宜しいでしょうか?」
振り向くと、そこには整備班の女性、キャロルが立っていた。アマンダは快くそれを承諾する。
「キャロル、一体どうして私の隣に来たの?」
「その写真の男の子の事よ、もしかして彼氏?」
どうやら手帳の中の写真を見られたようだ。アマンダは頬杖をつきながら話す。
「違うわよ、この子は私の弟なの」
「そうなんですか・・・カッコイイ弟さんですね」
「そうなのよ、学校で女の子にモテモテなんだから、それとすごくいい子なの、学校の勉強と一緒に家事も引き受けて
くれてるのよ」
「うわ、教官って家でも鬼なんですか・・・・弟さんが可哀相ですよ・・・」
引き気味にキャロルが言う。誤解されないようにアマンダが反論した
「クスッ、違うわよ、彼が進んでしてくれてるのよ、『家に居る時間は僕のほうが長いから、僕が家事をやったほうが
仕事頑張れるでしょ』って、頑張り屋さんなのよ、彼」
話を終えた後にアマンダがキャロルの顔をふと見ると、キャロルはあっけに取られた様な顔をしていた。
「どうしたのよキャロル、そんな顔して・・・・・」
「初めて見ました、教官の優しそうな顔・・・・・・・」
言葉が出なかった。マレクの話をするのはあまり職場ではしない方だった。鬼教官の面目を保つために、常に厳しい表情を
していた。ZAT内部の人間の殆どは、その表情しか知らない。キャロルもその一人だった為、目を丸くしていた。意外な
一面を見られたアマンダは顔を真っ赤にして俯いていた。そんなアマンダにキャロルが言葉を掛ける。
「弟さん、教官の事が大好きなんですね・・・・・」
「え・・・・あ、そ、そうみたいね・・・・・」
赤面したアマンダをみてキャロルは感じた。写真に写っていた弟という存在が、アマンダにとってはとても大きな存在だと。
「でも兄弟の仲が良いって羨ましいです、私なんか姉に彼氏奪われたんですから」
「そう、大変だったわね」
「はあ・・・・私もこんなかっこよくて優しい弟が欲しいな・・・・」
サンドウィッチを頬張りながらキャロルが妄想を始める。他所の女性にも気に入られるほど、マレクは出来た弟だった。だが
アマンダには一つ心配なことがあった。

267 :
「ただいまー、と言っても、もう寝ちゃってるかもね」
この日は残業があったため、帰宅した時は既に夜の11時を過ぎていた。さすがにマレクはもう寝ているだろうと思った。
が、リビングだけが不自然に明るかった。入ってみると、マレクがテーブルにもたれながら寝ていた。テーブルの上には、中に
コーヒーが少し残ったマグカップと、バイクレース雑誌が置いていた。きっと暇を潰しながらアマンダの帰りを待っていたのだろう。
アマンダは呼吸と共に上下するマレクの背に手を置いた。何もここまでしなくてもいいのに、と思った。風邪を引かせてはいけないと
思い、アマンダはマレクの腕を首に掛けて持ち上げた。日に日に成長してゆく弟は、もはやアマンダの豪腕を持ってしても持ち上げるのが
難しくなっていた。身長もアマンダより高くなっていた。ゆっくりと足を運ぶアマンダ。だがアマンダはマレクを彼自身の
部屋ではなく、自分の部屋へと運んだ。
ドサッ、とマレクをベッドに下ろすと、マレクは寝苦しそうな顔をした。当たり前だ。テーブルにもたれて寝ていたのだから。
「マレク、ここでゆっくりしててね」アマンダはそういい残すと、着替えを持ってシャワールームへと向かった。20分後、自室に
戻ったアマンダはベッドに横たわり、自身の右の二の腕にマレクの頭を置き、優しく抱きしめた。するとマレクの寝顔がみるみる
うちに穏やかな物となっていった。
この様な事は、前にも何回かあった。マレクはアマンダの帰りがどれだけ遅くても、毎日起きて迎えてくれた。アマンダが
早く寝るように言うと、「帰ってきた時に、『お帰り』って言ってくれる人が居たほうがいいでしょ」と屈託の無い笑顔で
受け答えた。そんな事を思い出しているうちに、マレクが戻ってから今までのいろんな事が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
苦しそうな呻き声を聞いてアマンダは目を覚ました。目を擦りながら横を見ると、マレクが魘されながら口を動かしている。
「ヨハン・・・・ダメだよ・・・そっちにいっちゃ・・・・戻ってきてよ・・・・」
「マレク、大丈夫?どうかしたの?」
アマンダがマレクの肩を揺する。やっとマレクが目を覚ますと、脅えたような目でアマンダを見る。余程恐ろしい夢だったようだ。
「なんだ、夢か・・・・」マレクはほっと胸を撫で下ろす。そんなマレクの額から浮き出た汗をアマンダがハンカチでふき取り
ながら、マレクを落ち着かせる。
「大丈夫?、マレクったら凄い魘されていたから、びっくりしちゃった・・・・・」
そっとマレクの背中を撫でるアマンダ、するとマレクは落ち着きを取り戻したのも束の間、背中を震わせ始めた。そして、アマンダの
胸に抱きつき、泣き始めた。そんなマレクの銀色の頭を撫でながらアマンダはマレクを慰めた。
「よしよし、もう心配ないよ・・・・・」泣きながらも小さい声でマレクは『ヨハン』と呟く。ヨハンとはマレクの親友の名だった。
移民であるが故に虐められていたマレクに、わけ隔てなく話しかけてくれた。それからヨハンは、マレクにとっては唯一の、かけがえの
ない親友へとなった。しかし移民の友を持つというだけで、虐めの矛先はヨハンにも向かった。ヨハンは虐めから逃れるためにマレク
を裏切った。それでもマレクはヨハンを信じ続けた。ヨハンもまた、手紙という方法でマレクとの友情をやり直そうとしたが、ついに
虐めを苦に、友情を裏切った罪を償おうとして自らの命を絶った。しかしそれは悲しみの連鎖を生むばかりで、それが引き金となり
マレクは融合体の力を持ってして復讐した。己の為でもあり、親友の為でもあり。しかしそれでもマレクの心の闇が晴れる事は
無く、途轍もない後味の悪さを感じた。その心の痕は、今でもマレクを苦しめていた。
マレクが出所する少し前、少年院に勤めるカウンセラーの話を聞いた。マレクは就寝中に、悪夢に魘される事が度々あったという。その為
出所後は精神科への通院を勧められ、今では月に2度通院している。何時の世もそうだが、心の傷というのは、切り傷の様にそう簡単に
治るような物ではないのだ。泣きじゃくるマレクの頭を優しく撫でる、いまはこれしか最良の方法が無いのだ。遠回りだが、心の問題には
一番の近道でもあった。

268 :
ようやくマレクの呼吸が落ち着き、潤んだ瞳をアマンダに合わす。
「お姉ちゃん・・・・ごめんね・・・・起こしちゃって・・・・」
涙目でマレクが弁解する。アマンダは首を横に振り、優しく慰めるように語りかけた。
「マレクが謝る必要なんてないのよ、泣きたいときは、いつでもお姉ちゃんに甘えてもいいんだから」
「でも・・・お姉ちゃん、今日帰ってきた時、凄く疲れれたみたいだから、ゆっくり休んで欲しかったのに・・・・」
そう言えばそうだった。この日は仕事が忙しかった為、家に着いた時はかなりへとへとで、ソファにすぐさま倒れこんだ。マレクが水を
持ってきてくれて、それを飲み干すと、アマンダは心配そうに見つめるマレクを胸に抱いた。以前なら酒で疲れを忘れようとしていた
が、マレクと再び同居するようになってからは、マレクを抱き、可愛がるのがアマンダにとって最高の癒しとなり、次第に酒の
量も減っていった。
「マレク、聞いて欲しいの、私に甘えてくるときのマレク、すっごく可愛いのよ、それを見てると、私も凄く癒されるの、だから、マレクは
好きなだけお姉ちゃんに甘えていいのよ・・・・・」
「うん・・・・・」マレクは頷くが、眠る気配がしない。余程さっきの悪夢がこたえたのだろう。アマンダはマレクの頬に手を置き、指で
優しく撫でながら話しかける。
「これ、私のお母さんが小さい時、怖い夢を見たときによくしてくれたの、気持ちいいでしょ?」
「うん、気持ちいいよ、何だか楽になってきた・・・・・」
次第にマレクの表情も穏やかになり、ゆっくりと目を閉じていった。すやすやと眠るマレクの、少し幼さの残る寝顔を眺めながら
アマンダは耳元で囁いた。
「マレク・・・・お姉ちゃんはずっと貴方の見方よ・・・・・」
そういい残し、アマンダも目を閉じた。
そういやそんな事もあったっけ、とアマンダは思った。あれ以来マレクが悪夢に襲われて泣き出した時は、母譲りの寝かし方で
マレクを慰めていたが、その度にマレクは、眠気を我慢して自身をあやすアマンダに謝っていた。眠いのに、起こしてごめん、と。
いつもそうだ。マレクは自分が辛いときでも、常に人の心配ばかりしている、そんな優しい心を持った少年であった。
恐らく自分が虐められているうちは、復讐など考えて無かっただろう、だが、かけがえのない親友のが引き金となり、復讐へと駆り立てた。
マレク、そんな事しても、ヨハン君は喜ばないと思うよ・・・・・
アマンダとしては、その優しさをもっと人の為に、正しい事の為に使って欲しかった。そういう時は、これから訪れるだろう。そんな事を
思いながら、アマンダはまた一つ思い出が蘇った。

269 :
それは休日の事だった。その日は2人で公園へと出かけた日で、秋の太陽の光が心地良い日だった。隣ではマレクが手すりに捕まりながら湖の
無効を見ている。その先を見ると、二羽の水鳥が並んで泳いでいた。
「仲良さそうね、夫婦かしら?」
「そうかもね、何だか似てるね、僕達に」
その言葉にアマンダの心臓は一瞬大きく鼓動した。マレクはこの頃、アマンダをドキッとさせるような発言が増えた。アマンダはどきどき
しながら水鳥を見るマレクの、美しい横顔をまじまじと見つめる。クラスの女の子が、こんないい男にこんな事言われたら骨抜き
だろうな、と思った。
「アマンダ、僕の顔に何か付いてる?」
真顔で聞いてくるマレクを見て、アマンダは顔を真っ赤にしながらしどろもどろに答えた
「あ・・・えっと・・・の、喉かわいたなーって思っちゃって・・・・」
「何だ、僕が買ってくるよ、待ってて」
「そう、コーヒーお願いね」
マレクは頷くと、公園内の売店へと向かった。マレクが居なくなるや否や、アマンダはさっきのマレクの言葉がまた聞こえた。
『何だか似てるね、僕達に』
その言葉は、2人の関係を鮮明に表していた。表向きは姉弟、だがその絆は何時しかそれを越えた物となっていた。もしかしたら、私が
孤児院に行ったときに、神様が引き合わせたのかも知れないとも思えた。理由は解らない。だがそうだとしたら、神様に感謝しなくちゃと
思った。
ふと前を見ると、少女が柄の悪い男2人に軟派されてるのが見えた。少女は困ってる。助けなければと思い、アマンダは2人に詰め寄った。
「止めなさい貴方達、彼女が困ってるじゃないの」
「何だお前、生意気な口叩きやがって」
金髪の男が詰め寄ってきた。そしてアマンダの顎を掴む。
「ほう、中々イイ女じゃねえか、その気の強そうな所も、気に入ったぜ」
嫌気が指したアマンダはその手を振り払う。そして金髪の男を翠色の瞳で睨み付けた。
「そんなんじゃ女の子は付いて来ないわ、貴方達って、力でしか人を動かせないのね」
「何だとーーー?!」
怒りを露にする金髪の男、だが後ろのスキンヘッドは震えていた。
「ア・・・アア・・ア・・アニキ、そいつ、アマンダ・ウェルナーですぜ・・・・」
「アマンダ・ウェルナー?誰だそいつ?」
「ザ・・・・XATの鬼教官です・・・・知らないんっすか?」
「知るかそんなの、こいつは貰ったぜ!」
悪魔で強気を貫く金髪に対して、スキンヘッドは慌てて逃げた。少女も隙を付いて逃げ出す。残された二人は睨み合う。アマンダも、襲い
かかられたときに備えて構えを取った。30秒くらい、それは続いた。
すると金髪は後ろから肩を2回叩かれた。振り返ったその瞬間、金髪はその主の右ストレートをモロに喰らった。勢い良く
芝生に倒れ込む金髪を、マレクは凍て付く様な眼差しで見下す。余りの恐怖に、金髪は腰を抜かしながらも逃げようとした。マレクは
金髪を追いかけようと走ろうとするが、腕をアマンダに捕まれて進めなかった。
「マレク、追いかけちゃダメ、止めて」
アマンダに止められ、マレクは金髪を追うのを止めた。マレクは買ってきたホットコーヒーをアマンダに渡す。冷えて来た為か、気を利かせた
のであろう。2人は湖の近くにあるベンチに座った。
「・・・・・マレクが私の事を守ろうとした気持ちは良くわかるよ、でも、やり過ぎちゃダメよ、それは貴方が一番よく
解ってる筈だから、暴力は絶対止めて!」
「・・・それを言うならアマンダだって、戦う気あったでしょ・・・・」
「あ、あれは・・・・自分を守るための護身術よ、でもさっきのマレクは相手をそうとしているように見えた、だから止めたの」
「でも・・・・・あの時僕は、アマンダが汚されてしまうって思って、分け解んなくなっちゃって・・・・」
マレクの気持ちは痛いほど解った。彼は私の身を守るためなら、自らの命すら投げ出すだろう。それがアマンダにとって一番の恐怖だった。
「マレク、そんなに私の事守りたいんだったら、約束して欲しい事が3つあるの、聞いてくれる?」
「うん・・・・」
「1つ目は、融合体の力を使わない事、2つ目は相手を追い詰めないこと、3つ目は自分の事もちゃんと守ること、3つ目は私がZATで
教えている事なの、出来る?」
「解ったよ、アマンダ」
マレクはさっきの冷たい表情とは程遠い笑顔で答える。そんなマレクの頭を撫でながらアマンダは弟を誉めた。
「流石、私の弟ね」
頭を撫でられたマレクは頬を桃色に染めながら、子猫の様に微笑む。彼に守られる日がいずれ来ると思うと、嬉しくも少し
寂しさを感じた。

270 :
今はこうやって抱かれて、可愛い寝顔で寝ているけど、何時かは離れていってしまうような気がしなくも無かった。ずっと
一緒にいたいな、と思いながら、アマンダは眠りに着いた。
小鳥のさえずりが心地よく耳に響く。その音でマレクは目を覚ました。辺りを見渡すと、自分の部屋で無いことは寝ぼけ眼でも
解った。またか・・・・、とマレクは頭を掻き毟った。だが部屋にはアマンダが居ない。どうやら先に起きたようだ。マレクは慌てて
部屋を出ると、アマンダが朝食の用意をしていた。
「あ、マレクお早う、どうしたのそんなに慌てて?」
「・・・・ごめんアマンダ、寝坊しちゃって・・・・」
「いいのよ、マレクったら昨日の夜、私を待ってて寝ちゃってたから、時間もあるんだし、もう少し寝てても良かったのよ」
「うん・・・・ありがとう、わざわざベッドまで運んでくれて」
マレクは椅子に座り、ベーコンを口に入れた。程よく焦げた脂身が香ばしい。アマンダも朝食を摂りながら話を続けた。
「ねえ、マレクってどうして何時も夜遅くまで起きて私の帰りを待ってくれてるの?」
「アマンダ、僕の居ない時、一人だったから・・・・だから、家に帰ったときに『お帰り』って言ってくれる人が居たほうが
いいと思って・・・・・」
顔を少し赤らめながらマレクが理由を話した。
「そう・・・それは嬉しいんだけど、あんまりして欲しくはないわ・・・」
「・・・どうして?」
「だってマレクはまだ若いんだし、眠いの我慢し続けると、体壊すわよ、だからこれからは遅くなったらちゃんと寝てね」
「でも・・・・・」
言い訳を遮るかのように、アマンダは話を進めた。
「約束その3、自分の事もちゃんと守る、いいわね?」
「うん・・・・解ったよ」
素直に首を縦に振るマレクの頭を、アマンダはテーブル越しに撫でた。
「いい子ね、流石私の弟」
2人の朝は、何時もこんな感じだった。
「じゃあアマンダ、行って来るね」
そう言った直後、マレクはアマンダにキスする。これもすっかり習慣と化していた。その直後にマレクは手を振りながら
学校へと向かう。それと同時にアマンダも仕事へと向かった。先ほどのキスの感触がまだ唇に残っている。マレクがいるから、私は
頑張れるとも思った。通勤中も、アマンダはマレクの事を考えていた。が、XATの基地に着くや否や、すぐに仕事用の凛々しい
顔へと変わった。そう、XATの鬼教官の登場であった。
午前中の訓練を終え、シャワールームで体を洗い終えたアマンダ。化粧室でメイクを直していると、首筋近くに唇の形をした痣が見えた。
(まだ消えない・・・)それは3日前、マレクと激しく愛し合った時に出来た痕だった。気付いたときはびっくりしたが、マレクを
叱ることはしなかった。これはマレクと愛し合った証として、暫くとっておこうとあえて残していた物だったからだ。

271 :
そしてランチタイムにアマンダは何時ものカフェテラスへと向かった。席に着くや否や、アマンダは頭を抱えながら溜息を突く。すると
隣にキャロルが座ってきた。
「教官、元気ないですね、どうかしました?」
「ええ、ちょっとね・・・・・」
「ああ、解りました、弟さんの事でしょ?」
図星だったにも関わらず、アマンダは頭を抱えながら「そうよ」と答えた。
「彼ったら昨日の夜、私の事起きて待ってたのに、途中で寝ていたのよ・・・・・」
「それって酷くないですか?相当怒ったんじゃないですか?教官」
「怒ってなんかないわよ、ただ心配なだけ、彼が無理してるんじゃないかって・・・・・」
アマンダは悩んでいた。再び同居するようになってから、マレクがやけに『いい子』になっているような
気がしていた。それはまるで、嫌われるのを怖がってるかにも見えた。
「でも・・・・私教官が羨ましいです、甘えられる人が居るのですから」
びっくりした。弟との関係がこの様に言われるとは思っても無かったからだ。
「そういう人、貴女にはいないの?」アマンダが聞き返す。
「居ないんですよ、私姉とは仲悪いですし、仲良しの秘訣が知りたいですよ・・・・」
仲良しの秘訣と言われても、アマンダは答えられなかった。マレクとは自然に仲良くなってるのだから、答えようが無かった。
「解らないわよ、秘訣なんて・・・・・」
昼食のベーグルサンドを齧りながら喋るアマンダ。それを他所にキャロルは呟いた。
「あーあ、私のお姉ちゃん、なんであんなに自己中なんだろー、少しは妹を可愛がって欲しいわよ・・・・・」
嘆くキャロルを見てアマンダは思った。出来る弟を持つのも結構大変だと言いたかった。

272 :
この日は帰宅時間が10時を回っていた。アマンダがドアを開けると、電機が消えていた。マレクが寝たかどうかを確認するために、アマンダ
はマレクの部屋を覗いた。するとマレクは机に向かっていた。どうやら宿題をやってるようだ。それを見たアマンダは自室に戻り、荷物を
片付けてからシャワーを浴びに行った。15分後、アマンダは再びマレクの部屋を覗く。まだ終わらないようだ。アマンダは台所へ
向かうと、ホットミルクを作り、マレクの元へと運んでいった。
「マレクー、起きてたらドア開けてー」
マレクがドアを開けると、アマンダは微笑みながら労いの言葉を掛けた。
「宿題、ご苦労様」
「お帰り、アマンダ・・・・それと・・・ごめん」
「どうして謝るの?お姉ちゃん怒って無いわよ」
アマンダは机にホットミルクを置きながら言う。それと同時にマレクも椅子に座った。
「でも・・・僕宿題やるためだけど、夜更かししちゃって・・・・」
「仕方ないわよ、宿題なんだし、それはちゃんとやらなきゃ。」
「うん、だけど難しいから、時間が掛かりそうだよ」
「大丈夫、解らない所があったら教えてあげるから」
「うん、分かった」
アマンダの手伝いもあって、宿題はマレクが思っていたより早く終わった。その宿題等学校に持っていく物を鞄に詰める。それをアマンダ
はベッドに腰掛けながら見ていた。それが終わると、アマンダは両手を広げて誘った。
「こっちに来て、可愛がってあげるから」
マレクはその柔らかで暖かな胸に抱きつく。アマンダもマレクを抱きしめながら横になった。
「お姉ちゃんありがとう、宿題おしえてくれて」
「いいのよ、徹夜よりはいいでしょ、これからも解んない所とかあったら言ってね、お姉ちゃんが教えてあげるから」
「うん、そうするよ、おやすみ・・・・」
余程我慢していたのか、マレクは直ぐに眠りに着いた。甘えてくるときのマレクは、アマンダにとっては眼に入れてもいいほど
可愛くて、保護欲を掻きたてた。ふと昼間のキャロルの言葉を思い出した。
『でも・・・・私教官が羨ましいです、甘えられる人が居るのですから』
そうか・・・マレクは私に甘える事が出来るから幸せなのかと思った。が、何か引っかかるものを感じた。今はマレクが私に
甘えているのか、それとも私がマレクに甘えているのか、検討が着かなくなった。だが考えても仕方ないと思ったアマンダは、それ以上
考えるのを止めた。眠れなくなるだけだからだ。アマンダはマレクのその銀色の頭髪に顔を埋めながら眼を閉じた。
この時アマンダは知らなかった。マレクの身に、ちょっとした悲劇が起こることを・・・・・

273 :
とある日の午後のXAT基地、アマンダは隊員達の訓練データを纏める仕事をしていた。長時間コンピュータの前で作業していたため、アマンダ
は目の疲れを感じて眉間を抓んだ。成績の伸び悩んだ隊員が居たため、アマンダは頭を抱えた。また厳しくしなければいけないのかと。
出来ればアマンダだって隊員達に厳しくしたくはない。だがそうでなければ、任務中にぬ隊員が出てしまう。それを避ける為には、どうしても
必要な事を叩き込まなければならなかった。やるべき事とやりたくない事の狭間で、アマンダは苦しんでいた。そんな中、隊員の一人が電話を
持って慌てて駆け寄ってきた。
「教官、お電話です!」
「どうしたの、そんなに慌てて」
「弟さんの通われてる学校からです、高熱を出して倒れた、と・・・・・・」
それを聞いたアマンダは驚きを隠せない顔ですぐさま立ち上がり、受話器を奪った。
「先生、マレクは・・・マレクは大丈夫なんですか?」
アマンダが狼狽しながら教師に事情を聞く、その様子を周囲の人々が見ていた。何せ鬼教官のアマンダが大慌てする所など、皆始めて見たからだ。
「・・・・解りました、なるべく仕事を早く終わらせてから迎えに行きます」
受話器を返すと、アマンダはコンピュータの前で急いで作業を進める。その様子を見ていた部長が声を掛けた。
「良いのかアマンダ、弟さんが病気なんだぞ」
アマンダは脇目も振らずに作業を続けながら言葉を返した。
「もし私がこの仕事を放り出して迎えに行っても、弟は喜ばないと思います、ですからこれを終わらせてから行きます。」
「そうか・・・無理するなよ」
クールに答えるアマンダに、部長はそれしか言えなかった。全ての作業が終わった時、既に外は日が沈んでいた。アマンダは急いでタクシーを
拾い、マレクの通う学校へと向かった。

274 :
保健室のドアを開くと、養護教諭が事情を説明した。マレクは休み時間に校庭で遊んでいた際に高熱を出して倒れたらしい。白いカーテンを
退けると、頬を少し紅く染めたマレクが、苦しそうな顔で横たわっていた。アマンダの存在に気が付いたのか、マレクはうっすらと目を開けて
アマンダの方を見た。
「アマンダ・・・・」
「マレク、大丈夫?、なんともない?」
「大丈夫だよ、ちょっと熱っぽいだけだから・・・・」
無事を主張するマレクだったが、直後に小さく咳き込んだ。アマンダは紅い頬に手を触れる。やはり大丈夫だとは言えない熱さだった。
「マレク、立てる?」
「うん・・・・難とか・・・・」
アマンダに支えられながらゆっくりとマレクはベッドから降りた。そして2人はは養護教諭に挨拶を済ますと、保健室を後にした。アマンダに
支えられながらゆっくりと歩くマレク。時折聞こえる小さな咳の音が、アマンダにとって聞いていて辛かった。火事場の馬鹿力とも言うのか、
マレクの体も重く感じられなく、ひたすらアマンダはタクシーへと向かった。
家に向かうタクシーの後部座席で、マレクはアマンダの肩にもたれ、苦しそうに息をしていた。それをアマンダが火照った首の後ろや後頭部、背中を
摩りながら励ます。
「大丈夫だよ、もうすぐ家に着くから、それまでの我慢よ・・・・・」
高熱に必で耐えるマレク。アマンダが一番恐れていた事が、今現実となってしまった。私の為に無理をしすぎて、体を壊してしまって・・・・
、いつも人の心配ばかりして、自分の事を疎かにしがちで、全部一人で抱えてしまって・・・・アマンダは思った。血縁は無くとも、兄弟と
言うのは、どういう訳か変な所ばかり似てしまうと。

275 :
「マレク、なにかしらこれ?」
アマンダの手には、水色の封筒があった。それを見たマレクは背筋が凍った。
「さ、さあ・・・僕は知らないけど・・・・・」
「そう・・・私も知らないわ・・・・」
上手く誤魔化せたと思ってマレクが胸を撫で下ろしたのも束の間、アマンダは少し怒気の入った声で返答した。
「じゃあ、誰のかしら?」
「え・・・?えーっと・・・その・・・・・」
言い訳に困るマレクに、アマンダは真剣な目で返す。
「マレク、お姉ちゃんが何で怒ってるのか解る?」
「な、何でって・・・・」
冷や汗を掻く弟を見たアマンダは、溜息を一つ吐き、また話を進めた。
「私ね、マレクが嘘吐くのって凄く辛いの、悲しいの、だから正直に言いなさい、事と次第によっては怒らないわ」
マレクは気を姉から感じ、全てを告白した。
「実はそれ・・・・ラブレターなんだ・・・・クラスメイトから貰った・・・・」
「ふーん・・・・」アマンダは封筒を見ながら呟く。そしてアマンダがマレクの顔を見た瞬間、マレクは殴られると思い、目を瞑った。だがマレク
の顔に走った感覚は痛みではなく、マレクの最も好きな、乳房の感触と温度だった。
「・・・・アマンダ?」
「やるじゃないマレク、ラブレターだなんて」
アマンダは怒るどころか、喜びながらマレクを抱いていた。だが当の本人は状況がよく飲み込めなかった。怒るどころか、アマンダはどこか嬉しそう
だった。
「・・・・アマンダ、嬉しそうだけど、怒らないの」
さっきとは打って変わった嬉しそうな顔で、アマンダは答える。
「だって、ラブレター貰ったのよ、嬉しくない訳無いじゃない」
「どうして?」
「もう・・・・自分の身内がモテてるんだから、嬉しいに決まっているでしょ」
とりあえずマレクは、アマンダが怒っていない事にほっとした。
「良かった・・・・てっきり僕、殴られるんじゃないかって・・・思ってた・・・」
「そんな事しないわよ、今まで私、怒ってマレクを殴った事、ある?」
「・・・・無い・・・・」
「でしょ、こんな可愛い弟、殴ろうなんてする方がどうかしてるわ」
アマンダはなおもマレクを抱きながら頭を撫でる。そしてまたラブレターの事を聞いてきた。
「それで、どうして家に持って帰ったの?」
「・・・何だか学校で棄てちゃうと、相手に悪いような気がして・・・・・」
「やっぱり・・・・」アマンダは目を細めた。
「私の思った通りだわ・・・・マレク、貴方のいいところはその優しい心なのよ、こんなにかっこよくて優しい男の子がいたら、女の子なら
放って置かないわよ」
「そ・・・・そうかな・・・・?」
「当たり前じゃない、もう・・・可愛いんだから・・・・赤くなっちゃって・・・・・」
容姿を誉められたせいか、マレクは照れていた。だがマレクの心情は複雑だった。僕がアマンダ以外の女の子に好意を持たれたのに、アマンダは
それを咎めるどころか、それを喜んだのだから。

276 :
「ねえ、マレクはクラスに可愛いって思う子、いないの?」
耳元でアマンダが問う。
「い・・・いないよ・・・・」
「本当に・・・・?一人くらいいるでしょ?」
アマンダは微笑みながらマレクの頭を強く抱いて胸に押し付ける。ただでさえアマンダは腕力がある為、マレクは息がし辛くなり、勢い良く
顔を離し、大きく息を吸い込んだ。
「いないってば、クラスに・・・好きな子なんて・・・・」
真剣そのものな顔でマレクは本心を語る。その表情に、アマンダは少し驚いた。
「そう・・・・じゃあ、マレクはどういうのが好きなの」
「僕は・・・僕が一番好きなのはお姉ちゃんだよ・・・」
再び柔乳に顔を押し付けながらマレクは言う。
「もう・・・・お世辞が上手いんだから・・・・」
「お世辞なんかじゃないよ!僕が一番好きなのはお姉ちゃんなんだから」
今まで見たことの無い弟の気迫に、アマンダは驚いた。まさか普段穏やかなマレクが、ここまで強く自己主張してくるとは思っても無かったからだ。
「・・・わ、解ったわ・・・それで、マレクは私の何処が好きなの?」
「お姉ちゃんは強くて、綺麗で、優しくて・・・・」
「そう・・・でも、マレクはこの先、私より若くて綺麗な女の人に遭うかもしれないのよ」
紛れも無い事実であった。アマンダとて20代後半に差し掛かった身、自身の容姿が若者に負ける可能性を、薄々は自覚していた。
「そういう人はいっぱいいるかもしれない、でも・・・・・」
「でも?」
「僕の事をここまで愛してくれたのは・・・お姉ちゃんしかいなかった・・・」
嘘が全く感じられない瞳でマレクは語る。その瞳は、吸い込まれそうな程に美しかった。
「マレク・・・・」
「独りぼっちだった僕に手を差し伸べてくれたのは・・・お姉ちゃんだけだった・・・・僕にはもう、お姉ちゃんしか見えないんだ・・・・」
マレクの本気を感じたアマンダは自身の胸から弟の顔を離し、その少し潤んだ瞳を見つめた。
「マレクの気持ちはよく解ったわ、こんなに思ってくれてるなんて、私嬉しい・・・」
「お姉ちゃん・・・・」
嬉しそうに目を細めるアマンダ。それを見たマレクは、小振りながらも肉厚な唇に軽くキスした。それをアマンダは何も言わずに受け入れ、黙って
マレクに押し倒された。そして2人はそのまま深く愛し合った・・・・・。

277 :
翌日のXAT基地内の化粧室、アマンダは鏡に映った自身の顔を見て溜息を突いた。美しさに見とれていたのではない。酷い顔ね、と小言を放つ。目の
下には隈が出来ていた。昨晩あれだけ泣いたのだから。だが悩んでいても仕方ない、マレクはただの風邪だし、その内治るだろうと自分に言い聞かせ
ながらアマンダは化粧を済ませて仕事へと向かった。
演習所にて、この日はバイクの運転を教えていた。何時もの如くアマンダは冷静な怒鳴り声を上げる。タイムが伸びない新人隊員がいたため、アマンダ
は頭を抱えた。その隊員がアマンダに駆け寄る。
「教官、マシン変えてくださいよ」
隊員はどうやらタイムが伸びないのはマシンが悪いと思ってるようだ。その勘違いを正すためにアマンダは冷静に叱る。
「それは出来ないわ、貴方はまだマシンの性能を上手く引き出せてないだけだから、それで我慢しなさい」
「ですが教官、このマシン扱い辛いんですよ、整備不良何じゃないんですか?」
それを聞いたアマンダの唇がわなわなと震えた。そして隊員を睨み付けると、隊員はしり込みした。なにせXATの鬼教官、アマンダ・ウェルナーを
怒らせたのだから。
「貴方ねえ、そうやってタイムや成績が伸びないのを他のせいにして楽しいの?、自分で努力しなさいよ、それじゃあXATは勤まらないわよ!」
今までに無い鬼教官の気迫に隊員は成す術も無かった。完全に黙り込んだ隊員deatta.
荒い息をするアマンダ。その直後、アマンダは視界がぼやけるのを感じ、その場に倒れこんだ。
目を覚ましたアマンダの目に映ったのは、真っ白な天井だった。どうやら医務室に運ばれたみたいだ。起き上がってカーテンを開けると、医師がカルテ
を見ている。起き上がったアマンダは医師に自身の体調を聞いた。
「アマンダさんは昨晩、殆ど寝ておられない様ですね」
「はい、弟が病気で、面倒を見てあげてたんです・・・・・」
聞いてるのか聞いてないのか、医師はカルテを見ている。そしてアマンダにこう告げた。
「軽い疲労でしょうね、今日は少し早めに帰りなさい」
「でも・・・・」
「アマンダさん、今は自分の体の事を心配してください、でなければ仕事も務まりませんよ」
医師の強くも心の篭った注意に、アマンダは黙り込んだ。
「アマンダさんは弟さんを心配しすぎです、もう少し自分の事も気に掛けたらどうですか・・・・・?」
「ですが・・・・」
「『自分を守れない者は他者も守れない』、そういったのは貴方ですよ」
その言葉にアマンダははっとした。そして肩を震わせながら自身と弟の話をした。
「私・・・・弟を一度、助けられなかった事があるんです・・・・・中学生の頃に虐められて・・・・私は仕事が忙しくて何も出来なくて・・・・
・・そして弟は・・・・彼らを・・・・しました・・・・」
話を聞いた医師の目からは、涙が薄っすらと浮かんでいた。医師はハンカチで涙を拭うと、涙ぐむアマンダを励ました。
「・・・ご苦労されていたんですね・・・・・ですがだからこそ、貴方には自分の心配をして貰いたいのです、今日は早めに帰りなさい」
「・・・はい・・・・」
その日、アマンダは何時もより早い5時に基地を出た。

278 :
家に着くと、まずアマンダはマレクの部屋を訪れる。当のマレクはベッドの中で教科書を読んでる。どうやら遅れをとらないように勉強している
みたいだ。
「ただいま、勉強してたの?」
「うん、体調のいい時は少しでも遅れを取り戻さないとね」
「もう・・・ゆっくりしてもいいのに・・・・」
教科書を読むマレクの額にアマンダが手を触れる。まだ熱があるようだ。
「マレクは頑張り屋さんね、でもまだ熱があるから、無理しちゃだめよ」
「うん、解ったよ」
昨日の苦しそうな顔が嘘のように見える笑顔で、マレクは返事した。アマンダはその後部屋を後にし、掃除、洗濯、夕食の支度を始めた。
暫くぶりにする家事は、思った以上に大変だった。これをマレクは勉強と一緒にやってたのかと思うと、頭が下がる思いだった。やがて出来たスープ
を部屋に運ぶと、相変わらずマレクは本を読んでる。今度は文学みたいだ。横のテーブルにスープを置いて声を掛ける。
「マレク、ご飯出来たわよ」
それに気付いたマレクが本を閉じると、スプーンに手を伸ばす。だがアマンダはそれを止めた。
「どうして?」
「私が食べさせてあげる」
「いいよ・・・それくらい、自分で出来るから・・・」
ほんのり頬を桃色に染めてマレクが言う。
「恥ずかしいの・・・・?いいじゃない、2人だけなんだから、あーんして・・・」
優しく諭すアマンダの言う通りにマレクが口を開くと、木製のスプーンが口に入ると、程良い温度のスープの味が口内に広がった。野菜のいっぱい
入った、風邪に効くスープだった。
「美味しい・・・・トマトが入ってるね・・・・」
「そうよ・・・早く治るといいわね・・・・」
そう言いながらアマンダはマレクの白銀に光る頭髪に覆われた頭を撫でる。さらさらで滑らかな髪の質感が心地よかった。
「可愛い・・・マレク、何だか大きな赤ちゃんみたい・・・・・」
「止めてよ・・・・恥ずかしいから・・・・」
苦笑しながらマレクは反論する。それもまた可愛らしかった。
「2人きりだからいいでしょ、そういう所も私は好きよ」
マレクにはそう言うアマンダの顔が、んだ母親と重なって見えた。アマンダは時折、自身の母親を思わせる顔になる。血が繋がってる訳でも
ないのに、どうしてお母さんに似てるんだろうと、マレクは思っていた。
食事を終えると、アマンダはマレクの口の周りに付いたスープをふき取ると、マレクの額に自らの額を付けて熱を測った。どうやら昨日に比べて
大分下がったみたいだ。薬と水を渡すと、アマンダはマレクの頭を撫でながら話す。
「じゃあ私はシャワー浴びてくるから、ゆっくり休むのよ」
そう告げてアマンダは部屋を後にした。
シャワーを浴びながらアマンダはマレクの元気そうな顔を思い出す。それだけでとても幸せだった。もし
風邪が治ったら、思い切りこの胸で抱きしめてあげよう、と思いながらたわわに実る乳房を掴んだ。

279 :
幸い、発症から3日でマレクは回復し、学校にも行けるようになった。その日の夜、アマンダはマレクの部屋を訪れた。療養中と変わらず、マレクは
本を読んでいた。そのベッドにアマンダが腰掛ける。
「マレクは本当に頑張り屋さんね、勉強も家事も」
「うん、僕のほうが時間はあるから、そのほうが捗るでしょ」
屈託の無い穏やかな笑みを浮かべるマレク、その表情がアマンダの心を和ませた。だがアマンダは少し憂いを含んだ表情で口を開く。
「ねえ・・・・、マレクはどうしてこんなに頑張るの?」
「どうしてって・・・・・?」
突然の問にマレクは戸惑った。それを無視してアマンダは話を続ける。
「私ね、マレクが家事をやってくれて、すごく助かってるの、感謝してる、でも・・・・私最近思うの、マレクが家事も勉強も一生懸命
やってるのは、私に嫌われたくないからじゃないかって・・・・」
「・・・・どうして・・・・?」
「私、一度はマレクを守れなかったから・・・・だからマレクは私に嫌われるのが怖くて・・・私に気を使ってるんじゃないかって・・・・」
涙目で語るアマンダ。しかしマレクには最初、意味が理解出来なかった。
「マレクに無理をさせて・・・体まで壊して・・・・マレク・・・甘えたかったら甘えてもいいのよ・・・我が儘言ってもいいのよ・・・・
私に出来ることなら何でもしてあげるから・・・・」
「お姉ちゃん・・・・ごめん・・・・」
「どうして謝るの・・・・?マレクは何も悪くないのに・・・・」
「違うんだ、僕、お姉ちゃんが何言ってるのか、よく解らないんだ・・・・・」
意外な答えにアマンダは狐に抓まれた顔をする。そしてマレクは続きを話した。
「その・・・お姉ちゃんが今、どうして泣きそうなのかも、謝ってるのかも、僕は今解らないんだ、だから落ち着いて最初から話して・・・」
どうやら涙ぐみながらの説明は、マレクには伝わらなかったようだ。アマンダは一度深呼吸してから再度説明する。
「そのね、マレクは私に嫌われるのが怖いから、勉強も家事も頑張ってるんじゃないのかなって思って・・・・・」
それを聞いたマレクは一瞬呆気に取られた顔をする。そしてその直後に、クスクスと噴出した。
「・・・何が可笑しいの・・・・?」
「ごめん、お姉ちゃんがここまで僕の事を心配してくれてるんだって思うと、少し嬉しくなっちゃって・・・・」
「マレク・・・・・」
「でも大丈夫だよ、僕はお姉ちゃんに嫌われるのが怖くて家事をやってるんじゃないんだ」
穏やかな表情でマレクは言葉を返した。

280 :
「・・・そうなの・・・・?」
「うん、お姉ちゃんは本当は優しいのに、仕事で厳しくしなきゃいけないから、すごく疲れるんじゃないかって思うんだ、それなら僕はお姉ちゃんが
帰ってきた時にゆっくり休めるようにするために、頑張って家事を出来るんだ・・・」
「じゃあ・・・今までの私の心配は・・・・ただの勘違い?」
「うん・・・そうだと思う」
それを知った途端、アマンダは大きく頭を垂れた。今までの心配が全て勘違いだった為、一気に肩の力が抜けるのを感じた。
「はは・・・・全部・・・・・思い込みだったんだ・・・私の・・・馬鹿みたい・・・・」
少し狂ったような笑いを発するアマンダを見たマレクは、アマンダの懐からパジャマに覆われた大きな胸の膨らみに抱きついた。
「・・・・マレク・・・・?」
「お姉ちゃん、確かに僕はお姉ちゃんの為に知らない内に無理してたかも知れない、でもこれだけは言える、僕が頑張っていたのは、お姉ちゃんに嫌われ
たくないからじゃなくて、本当にお姉ちゃんが大好きだからなんだ・・・だから安心していいよ・・・・」
マレクの暖かい慰めの言葉で、アマンダは穏やかな気持ちになった。そしてマレクの体を優しく抱きしめる。まるで壊れやすい物を抱くように。
「お姉ちゃん・・・・僕の我が儘・・・聞いてくれるかな・・・?」
「いいよ、今夜はマレクにとことん付き合うわ」
頬をほんのり紅く染めながらマレクは甘える。その表情がアマンダは大好きだった。
「その・・・お姉ちゃんの・・・おっぱい・・・・触りたいな・・・・」
「いいよ・・・このおっぱいは・・・マレクの物でもあるんだからね・・・・・」
マレクはそっとその大きな柔乳に触れ、ゆっくりと指を動かすと、それに顔を押し付けた。その銀色の頭を優しくアマンダは撫でた。
「あん・・・・」ゆったりとした快感を感じる中、アマンダの脳裏にまたもやマレクとの思い出が蘇った。

281 :
「お姉ちゃんのおっぱいって、中に優しさが入ってるんだよね」
2人が激しく愛し合った後、突然マレクが言葉を発する。アマンダは最初理解出来なかった。自身の胸に抱かれている弟は赤子の様に甘えている。
「どうして・・・そう思うのかな?」
「だってさ・・・・こうやっておっぱいに触っているとね、何だか優しい気持ちになれるんだ・・・・・」
「そう・・・・」
「僕思うんだ、お姉ちゃんのおっぱいが大きいのは、大好きな人を優しさで包んであげる為にあるんじゃないかなって、違うかな?」
16とは思えないほど幼稚な例えだが、かなり的を射た言葉だった。私は今、大好きなマレクを優しさで包んでいるのだから。
「私ね、昔はこのおっぱい嫌いだったの・・・・」
「どうして・・・・?」
「だって重いし、肩凝るし、合う服が少ないし、ライダースーツだってきついし、男の人からはいやらしい目で見られるし・・・・でもマレクが教えて
くれたから、私自身持てそう・・・」
「自身って・・・?」
「このおっぱいは、マレクを愛するためにあるんだって思えた事よ」
穏やかな微笑でアマンダが話す、とても嬉しそうな顔だった。
「良かった、お姉ちゃんに喜んでもらえて・・・・」
マレクの屈託の無い笑顔が印象的だった。彼には母親に甘えられなかった分、私には思い切り甘えて欲しかった。
段々と息が荒くなり、アマンダの頬は自身の髪と同じ色に染まって来た。アマンダは思った。何故マレクは、こんなにも乳房を揉むのが上手なのかと。
いや、上手と言うより、その手には確かに『愛』が篭っていた。その愛は、体温と言う形で胸に伝わってきた。
「お姉ちゃん・・・・パジャマ、脱がせてもいい・・・かな・・・?」
どうやらマレクは、直接胸を触りたくなったようだ。
「マレクがそうしたいなら、いいよ・・・・」
うっとりとした表情でアマンダが答えると、マレクはボタンを一つずつ、ゆっくりと外して行く。そして薄紫のブラと白い柔肌が見えた。その
暖かな谷間にマレクはそっと顔を埋めた。
「お姉ちゃん・・・・・」
甘えるその表情が、とても愛しい。何だかマレクの母親になった気分になった。そうしながらもマレクはブラジャーに手を掛け、それをずらした。
その行動に、アマンダは少し驚いた。マレクにしては大胆な行動であったからだ。マレクは露出した乳首を口に含むと、少々強めに吸い出した。
「あっ・・・・はあん・・・・」
ぬるっとした唾液に塗れた舌の温もりが、乳首を刺激した。ちゅうちゅうと音を立てて吸うその唇からは、唾液が少し漏れていた。それが時折、アマンダ
には白く濁って見える時があった。おっぱいなんか出ないのに・・・・それでもマレクが乳首を吸うその姿は、とても愛しくてたまらなかった。
一度は全ての人間に、世界に対して心を閉ざしたが、私にだけは心を開いてくれる。そのペースで、ゆっくりとだが、マレクの心の傷は
癒され、成長している。だが人という生き物は、完全には大人になれない。大なれ小なれ、子供の部分を、弱さを背負って生きる動物なのだ。
マレクはそれに耐えられるであろう芯の強さを持ってはいる。だがやはり甘えたい時もあるだろう。アマンダはマレクがそう思った時、甘えて来て
欲しいと思っている。彼を今癒せるのは、私だけなのだから。
「あん、あっ・・・いいよ・・・気持ちいいよ・・・」
乳首を吸い続けるマレクの銀色の髪に顔を埋めると、シャンプーの甘い香りがした。少しカールの掛かった頭髪は、とても柔らかく、積もった雪の
様に光が反射してきらきらと輝いていた。
やがてマレクは唇を乳首から離すと、顔を上げてアマンダの唇にキスをした。
最初は軽く触れる程度だが、生暖かい舌が唇を割り、進入してきた。体同様、2人の舌も絡み合った。僅かな隙間からは、混じった2人の
唾液が垂れていた。
2人が唇を離すと、銀色に光る糸が間に現れた。マレクはアマンダの唇の横から垂れた唾液を綺麗に舐め取る。するとアマンダも同じ事を
マレクにもしてあげた。マレクはその後にアマンダに軽くキスすると、再び胸の谷間に顔を埋めた。
「もう、かちかちだよ・・・・」

282 :
アマンダはマレクの股間に手を宛がった。もうマレクの物は硬直し、気持ちよくなりたいと自己主張している。
「あっ・・・」
「どうして欲しい?お姉ちゃん気持ちよくしてあげるから」
右手で股間を、左手で頭を撫でながらアマンダは誘惑した。マレクは顔を紅くしながらも答えた。
「・・・舐めて・・・・欲しいな・・・・」
「いいよ、いっぱい気持ちよくしたげるから」
アマンダはマレクの唇に軽くキスすると、パジャマのズボンをゆっくりとトランクスごと脱がす。そして現れた肉棒の先端を、少し舐めた。
少し上目遣いでマレクの顔を見ると、少し眉間に皺を寄せていた。最初はゆっくり、じっくりと肉棒をアマンダは舐めていた。徐々にマレクの
息が荒くなり、快感に浸っているのか、時折「んっ・・・」と小さく喘ぐようになった。そのマレクの手は、アマンダの桃色の長めの髪を指に絡めて
遊んでいた。
「お姉ちゃんの髪って、猫みたいだね・・・・」
「そう?柔らかいの?」
「うん、ずっと撫でてたいな・・・」
不思議な感覚だった。今まではマレクの頭を撫でてたアマンダであったが、今はそのマレクに頭を撫でられている。何時までも子供でいて欲しいと
思っていたが、やはりマレクは一歩ずつ、確実に大人へと近づいてるようだ。
アマンダは舐めていた肉棒を口に含むと、更に物が膨張するのを感じた。たっぷりと分泌させた唾液を舌で塗りたくり、それを口内で暖かく包む。
血管の音が下を伝わった。マレクがアマンダの乳首を吸うように、アマンダもマレクの肉棒を吸う。快感にマレクがよがり始めた。
「んっ、ああ・・・お姉ちゃん・・・・すごい・・・・気持ちいい・・・・」
そういうマレクの顔は、微妙に大人の色気を漂わせていた。幼さと大人っぽさのコントラストが、マレクの魅力であった。
「もうそろそろ、イきたい?」
「うん、出ちゃいそうだよ・・・・」
「いいのよ、いっぱい出して」
「ん・・・ああ・・・イく・・・・・っ・・・・」
次の瞬間マレクの体が小さく痙攣し、先から白く濁ったどろどろの液体が勢い良く放たれた。アマンダはその直前に先端を口に含もうとするが
間に合わず、白濁液が顔と胸にべっとりと付着した。
「ん・・・・いっぱい出たね・・・・」
頬についた精液を指で拭い取り、アマンダはそれを色っぽく舐めて見せた。しかしマレクは少し引いてた。
「どうして・・・そんな顔するの?」
「だって・・・こういう所、雑誌で見たときに気分悪くなったんだ・・・・」
「そう・・・・ごめんね」

283 :
少し切なげに謝るアマンダだったが、マレクは首を横に振った。
「いいんだ、お姉ちゃんがするんだったら・・・」
そんなマレクに、いい子を演じている様子はなかった。それがアマンダにとっては嬉しい事だった。アマンダは精液をハンカチで拭い取ると、マレク
がまた胸の谷間に顔を埋めてきた。
「今度は僕が、お姉ちゃんを気持ちよくさせてあげるね」
左の乳房を枕のようにして頭を乗せ、マレクは左手をアマンダのズボンの中に直接進入させた。
「あっ・・・・あん、マレク、触りたかったら脱ぐから・・・・はあんっ・・・」
「だめなの?僕はこれでもいいけど」
マレクの左手は潤った所をくちゅくちゅと掻き回している。衣服の中から直接触られる快感に、アマンダの表情はうっとりとしてきた。
「だめじゃないけど・・・・まさかマレクがここまで大胆に来るなんて・・・・思ってなかったから・・・・」
恥ずかしそうに顔を背けるアマンダの顔を見たマレクは、その林檎の様に紅く染まった柔らかい頬に『ちゅっ』とキスした。唇から感じた
温度は、とても高かった。そして恥部の表面だけを撫でていたマレクの人差し指が、ついに中へと進入してきた。
「ひゃあぁぁあっ・・・・んん・・・・」
その進入してきた指に金切り声を出すアマンダ。そのままマレクは指を動かし続けると、アマンダはいやいやと首を左右に振った。その可愛らしさが
マレクの悪戯心に火をつけた。マレクは恥部への愛撫を続けながら枕にしていた左の柔乳の乳首を口に含み、先端を舌で舐めた。
「やああぁっ、ああっ、やだ・・・マレク・・・イっちゃうよお・・・・」
「いいよ、イっちゃっても」
「やだやだ・・・マレクと一緒にイきたいよお・・・・・」
20代後半に差し掛かったとは思えない程に、アマンダは少女の様な声を上げた。マレクはそれを見て、ますます姉をイかせたくなった。
「イきたくなったらいいんだよ、イっても」
「でも・・・・」
「僕見たいんだ、僕の手でお姉ちゃんがイく所を」
「マレクは・・・それでいいの?気持ちよくならなくていいの?」
「大丈夫だよ、後でちゃんと僕も気持ちよくなるから、ね」
アマンダはこくり、と頷くと、体の力を抜いた。そしてその身をマレクに預けた。力を抜いた分快感は倍増し、アマンダの息と体温は次第に
上がっていった。
「あっ、あっ、んあっ・・・はあ・・・・あん・・・いい・・・いいのぉ・・・マレク・・・・もっとお姉ちゃんの体好きにしてえ・・・・もっと
感じさせてぇ・・・・・」
快感によがるアマンダへの愛撫をマレクは続ける。マレクは思った。アマンダは、僕の前だけでは少女の様になると。
マレクは常日頃から思っていた。アマンダは綺麗な大人のお姉さんだけど、実は何処か抜けていて、それが少女の様でたまらなく可愛い
と思っていた。無理してお姉さんぶってるよりはそっちのほうがとても可愛いと思っていた。
「あんっ、あああっ・・・・イっちゃう・・・マレク・・・イっちゃうよ・・・・」
アマンダはそう告げた後、体を痙攣させた。そのアマンダの充血した唇に、マレクはキスした。アマンダも弟の銀色の頭を抱き寄せ、激しく
舌を絡めあった。

284 :
「あふっ・・・あん・・・マレクったら・・・激しすぎるんだから・・・・・」
紅潮した困ったような顔でアマンダは言う。それを見たマレクは微笑みながら返した。
「だって、感じてるお姉ちゃんってすごく可愛いから・・・・もっと気持ちよくしてあげたくなるんだ・・・・」
「それは私の台詞よ・・・・・」
アマンダは驚いた。何せマレクも自分と同じ事を思っていたからだ。見透かされたような気持ちに、アマンダはなった。
「もしかして・・・・一番甘えたいのはお姉ちゃんの方じゃないのかな・・・・?」
その言葉は、アマンダの本心を付いた。何時もマレクには『好きなだけ甘えて欲しい』と言ってはいたが、結果的にそれは、アマンダの
甘えたい心の裏返しだった。暫くアマンダの表情が固まる。流石にマレクも、姉が怒ったのかと思い、怒鳴られるのを覚悟していた。だがアマンダは
決して怒鳴らなかった。とても優しい瞳で、マレクに語りかけた。
「・・・・マレク・・・・大人になっていくんだね・・・・」
そういうアマンダの瞳は、涙で潤んでいた。その瞳に、マレクは少し戸惑う。
「まだまだ子供だと思っていたけど・・・・出会った時の気持ちのままでいたけど・・・・やっぱり成長していくんだね・・・・・」
「そうだよ・・・僕だって何時までも子供じゃいられないんだ・・・・お姉ちゃんを守れるような、強い大人になるんだから・・・・」
アマンダは嬉しかった。最初は弱弱しく、守ってあげないと壊れてしまいそうだった弟が、ここまで成長したことが。
「そうよね・・・・でもこれだけは聞いて・・・・マレクは私とこうして2人きりの時は、子供に戻ってもいいのよ・・・・」
「お姉ちゃん・・・・」
「辛いことがあっても外じゃ我慢しなきゃいけないけど・・・・私と2人でいる時は・・・思い切り甘えてもいいのよ・・・・・甘えられる
人がいるって・・・・・とても幸せなことなのよ・・・・・」
涙目でアマンダは訴える。そしてアマンダは、マレクの頭を抱きしめながら泣き出した。あまりに突然だったため、マレクは動揺した。
「・・・お姉ちゃん・・・どうして泣くの・・・・僕、何か傷つくこと言った?」
「違うの・・・嬉しいの・・・・マレクが成長してくれて・・・・・でも寂しいの・・・・」
「・・・どうして・・・・?」
「マレクが・・・・何処か遠いところに行っちゃうような感じで・・・怖いの・・・・」
泣きじゃくるアマンダが、マレクにはとても可哀想に思えた。そんなアマンダにマレクは、その唇にそっとキスした。
「・・・・・・・・?」
ほんの数秒間の事だった。唇を離すと、マレクは穏やかな表情でアマンダを慰めた。
「大丈夫だよ、僕はずっとお姉ちゃんと一緒だよ・・・・だから、何にも心配しなくてもいいんだよ・・・」
「・・・マレク・・・・」
「だって・・・僕はお姉ちゃんが大好きだから・・・・ずっと一緒に居たいんだ・・・・」
にこやかな表情で語りかけるマレクの頭を、アマンダはその胸に抱いた。しかし甘えていたのは、アマンダの方であった。
「マレク・・・何処にも行かないでね・・・・お姉ちゃんから離れないで・・・・」
「離れないよ・・・・僕は何処にも行かないよ、だから安心して」
マレクの優しさに、アマンダは癒された。そうか、マレクが私に甘えてくるのは、結果的に私がマレクに甘える事になるのかと、アマンダは理解した。
そっか・・・・私も子供に戻ってもいいんだ・・・・・。

285 :
「お姉ちゃん・・・・そろそろ僕・・・いいかな?」
「いいよ・・・今日はお姉ちゃんがしてあげる、だから横になって・・・・」
「うん、わかったよ」
マレクは承諾すると、上着も脱ぎ、全裸で横たわる。アマンダもズボンをパンツごと脱いだ。股から粘液が溢れて、太腿を伝わってるのが解る。余程
感じていたみたいだ。アマンダはその濡れた扉を開き、ゆっくりとそこにマレクのモノを導いた。
「あっ・・・・」
肉棒の硬さと熱さにアマンダが甘い声を漏らす。一旦アマンダが両腕をマレクの胸板に置き、潤んだ緑色の瞳でマレクを見つめる。
「今日のマレク・・・・熱い・・・・ね・・・・」
「お姉ちゃんの中も・・・・すごく熱いよ・・・・」
数秒見つめあった後、アマンダは上体を起こすと、マレクの両手を取る。そして2人はお互いの指を絡め合い、アマンダはゆっくりと腰を前後に
動かし始めた。
「あんっ・・・はあっ・・・あっ・・ああっ・・・くうぅ・・・はぁ・・・・」
アマンダが腰を動かす度に、マレクの肉棒も締め付けられる。少しでも力を抜いてしまったら、射精してしまいそうとも思えた。マレクは下から、揺れる
二つのアマンダの乳房を見ていた。踊るように揺れるその水風船は、見ているだけでも情欲を増幅させていった。その上から見えるアマンダの感じる
表情は、とても嬉しそうだった。
「ああっ、マレクいいのぉ・・・んあっ、あっ・・・はあんっ、気持ちいいのぉ・・・・」
自ら腰を動かす度に、アマンダは快感に喘いだ。マレクは思った。今日のアマンダは、何時もより、今までよりエッチだと。今までアマンダとは
何度も肉体関係を結んだが、その時のアマンダは、『大人の女』を演出していたような節があった。しかし今のアマンダは違う、とてもあどけなく
感じるのだ。もともと実年齢より若く見られることの多いアマンダであり、マレクもそれを解ってはいたが、今日はさらに若く見え、自信と
同い年にも見えた。その時マレクは感づいた。アマンダは子供に戻りたかったのだ、と。マレクは強く握っていた手をアマンダの手から離す。
「お姉ちゃん・・・お尻、触ってもいい?」
「いいよ・・・んっ・・・はぁ・・・・触ってぇ・・・・」
マレクはアマンダの尻に手を伸ばし、ゆっくりと揉みしだき始めた。尻の肉の感触は乳房とは違い、適度に固さがあった。鍛え上げられた大臀筋
もすぐに感じた。

286 :
「んあっ・・・あっ・・・いい・・・お尻・・・いいのぉ・・・・ああんっ・・・」
アマンダは悶えながら前かがみになる。それと同時に二つの水風船がマレクの目の前でゆさっと揺れた。マレクは少し無理があると思いながら
も、桃色の乳首を口に含んだ。
「あっ・・・あんっ、マレク・・・おっぱい吸いたいの・・・・?」
「ダメなの・・・・?」
「いいけど・・・・これだと吸いづらいでしょ・・・・体起こして」
言われたとおりに体を起こすと、自然とアマンダの乳房が顔の位置に来た。アマンダはマレクの太腿に乗っかる形になっていた為、こうなったのであろう。
「マレク・・・上から突き上げて・・・・」
色っぽく誘惑され、マレクはアマンダの胸の谷間に顔を埋めながら腰を突き上げた。それと同時に、揺れる水風船が顔を磨れ、体温とすべすべの
肌の質感が心地よかった。
「んんっ・・・あっ、ああんっ、いいの、これいいのぉ・・・感じちゃうのぉ・・・・」
この体型でするのは初めてだった為か、アマンダは今までに無いくらい気持ち良さそうな声を上げた。もっと気持ちよくさせたい、マレクはそう
思い、アマンダの尻を両手で掴み、右の乳首を吸い始めた。3方向から攻められたアマンダは、案の定更に気持ち良さそうな声を上げた。
「あああっっ・・・・ああっ・・・やんっ・・・だめぇ・・・イっちゃう・・・・イっちゃうよぉ・・・」
「嫌なの?気持ちいいんでしょ」
「だけどぉ・・・・あっ・・・もっと感じてたいのぉ・・・・まだイきたくないのぉ・・・・」
駄々をこねるようにアマンダは首を振った。マレクはここまでアマンダを『可愛い』と思ったのは初めてだった。その時マレクは悟った。XATの
鬼教官、アマンダ・ウェルナーは、僕の前だけでは素直になれる事を。だから僕に『甘えて』と言ってるのだ。
「大丈夫だよお姉ちゃん、僕もそろそろイきそうだから、イってもいいよ」
「本当に・・・・一緒にイけるの?」
「うん・・・・んあっ・・もう・・・イきそう・・・・・」
「出してえっ!、お姉ちゃんの中にいっぱい出してえっ!、あっあっ・・・・ああ・・・・・っ・・・・」
強烈なマレクの攻めに耐え切れず、とうとうアマンダはイってしまった。それと同時に、マレクの熱い精液がアマンダの胎内に流れて行った。谷間に
埋もれる銀色の頭を、アマンダはそっと撫でた。
「ん・・・・はぁ・・・・いっぱい出たね・・・・」
「・・・お姉ちゃんがエッチだから・・・いっぱい出ちゃったんだと思うんだ・・・・」
「もう・・・人のせいにする気?」
「ち・・・違うよ、エッチなお姉ちゃんを見てたら、僕も気持ちよくなったんだ・・・・」
「そう・・・・でもこんなに中出ししたら、妊娠しちゃうかもね」
その時マレクの脳裏に『ギクッ』という擬音が響いた。そういえば普段は避妊しているが、今回は忘れていた。マレクの顔がみるみる青ざめるのを
見て、アマンダはその頬をそっと撫でた。
「大丈夫よ、今日は安全な日だし、それに・・・・私生みたいな・・・・マレクの赤ちゃん・・・・」
その言葉にマレクは驚きを隠せなかった。そしてマレクは背切なげな目を向けて話す。
「でも・・・・それじゃあ赤ちゃんが可哀想だよ・・・・」
「どうして・・・?」

287 :
「だって・・・・血は繋がってなくても姉弟の間の子供だし・・・・融合体として生まれて来るんだし・・・・昔の僕みたいに・・みんなに
虐められるかも知れないんだよ・・・・それくらいなら・・・・」
「生まれない方が幸せだって言うの?」
自らが言おうとしていたことをアマンダに先取りされ、マレクは息を呑んだ。そのマレクの銀色の髪を指に絡めながらアマンダは聞いた。
「マレク・・・・私がXATをどうして復活させたのか・・・解る?」
「融合体を・・・・保護する為でしょ・・・・」
「そうよ・・・たとえ融合体でも、その人にはちゃんと『人として生きる権利』があると思ってるから、だから私はそういう人たちを差別から
守るために頑張ってるのよ・・・それだけじゃないの、たとえ生まれてくる子供が姉弟の間でも、融合体でも、ちゃんと生きる権利がその子には
あるわ、重い、絶対降ろせない荷物を背負うことになるけど・・・・でも助けることは出来るわ、生きてはいけない命なんて、この世には
存在しないんだから・・・・・」
優しくも哀しい目で言ったアマンダの言葉を聴いたマレクの脳裏に、ジョセフの言葉が蘇った。
『お前が奪っていい命は、一つも無いんだ!』
復讐の後にジョセフと戦った時に言われた言葉だった。あの時のマレクは、人をめた罪悪感を、『正義の復讐』だと言い聞かせ、そこから逃げようと
していた。だが結局逃げ切れなかった。そしてマレクは知った。罪を償うと言う事は、『逃げる』事でも『消す』事でもなく、『背負う』事だと・・・。
姉の広い心と体の温もりに、マレクは涙を流した。そして、すすり泣きながらアマンダに謝った。
「・・・お姉ちゃん・・・・ごめん・・・・」
「いいのよ・・・解ってくれたら・・・・」
「でも僕・・・・お姉ちゃんの気持ち・・・踏み躙って・・・・」
「マレクの言うことは解らなくもないわ・・・むしろ、みんなそう答えると思うの、でも私はそれでいいの、大好きなマレクの子供だから・・・」
静かに泣くマレクの頭を抱きしめながらアマンダは慰めた。泣きながらマレクは思った。貴方の子を生みたい、それはアマンダのマレクに対する
愛情がどれだけ深いかを表していた。だが血縁は無くとも姉弟、結婚など出来るはずも無かった。アマンダから『結婚』という幸せを奪って
しまった、それがマレクにとっては苦痛だった。そんな事とは知る由も無く、アマンダはマレクの頭を撫で続けていた。
「・・・・お姉ちゃん・・・・キスして・・・」

288 :
マレクは慰めを求めてキスをせがんだ。珍しくマレクがキスのおねだりをしてきたため、アマンダは嬉しく思い、快く承諾した。
柔らかい唇同士が触れ合うと、マレクは喰らい付くように舌を進入させてきた。くちゅくちゅと粘液質の音が密かに響く。そんなマレクが、アマンダ
には寂しそうに見えた。私は離れないから、安心して欲しい。そう思いながらアマンダはマレクと舌を絡め合いながら後頭部と背中を撫でた。そして
2人の唇が離れると、アマンダはマレクの口元から漏れた唾液を綺麗に舐め取った。
「ん・・・マレク・・・・もう一回・・・・したい?」
「でも・・・お姉ちゃんは・・・いいの・・・・?」
「大丈夫よ、元XAT隊員だから体力はあるわ、だからマレクがしたいんだったら、私は何度でもさせてあげる」
優しい眼差しで答えるアマンダに、マレクはこくりと頷く。そしてアマンダはマレクを抱いたまま仰向けに寝そべった。マレクは抱かれたまま
腰をくねらす様にゆっくりと動いた。
「はうんっ・・・うん・・・・」
小さくアマンダが喘いぐ。この時マレクは、不思議な感覚に見舞われていた。激しさは無いにしろ、性感以外の優しい快感を感じていた。病み上がりで
体力が余り無い為、マレクは腰を弱めに動かしていたのだが、それがまた別の快感へと繋がっていた。
「んっ・・・・マレク・・・・ゆっくりされるの・・・気持ちいい・・・」
「激しいのと・・・どっちが好き・・・・?」
「どっちもだけど・・・マレクの好きにしていいのよ・・・・」
「良かった・・・・病み上がりだから、体力が余り無いんだけど・・・・」
「そう・・・・でも気持ちいい・・・・」
ゆったりとした性感は、アマンダも気に入った様だ。マレクは体を密着させながら腰を動かし、アマンダの乳首に吸い付いた。吸われる快感と、吸う
マレクの可愛らしい表情が、快感を倍増させた。
「んんっ・・・・はあん・・・もっと・・・・吸ってぇ・・・・」
快楽に喘ぎながら、アマンダはマレクの銀色の頭を撫でた。腰の動きこそゆっくりだが、マレクの精力は衰えてはいなかった。むしろ一気に
イかせられるのではなく、じわじわと感じさせられるのが好きだった。自分が感じるのもそうだが、マレクをありったけの愛で包み込むのも心地
良かった。
「もっと甘えて・・・・お姉ちゃんが可愛い可愛いしてあげる・・・・」
子供をあやす様に声を掛けるアマンダ。その表情は、完全に『母』だった。きっとマレクは、アマンダに『母』を重ねているのであろう。だがアマンダは
それでも良かった。むしろそうであって欲しかった。一番甘えたい時期に母親を亡くしたマレクには、その分も含めてマレクには甘えて欲しかった。
私はマレクの親代わりでもあるのだから・・・・。

289 :
その内快感が頂点に近づき始め、アマンダの息が荒くなってきた。イきそうになり、アマンダは左右に首を振った。
「んあっ・・・マレク・・・・お姉ちゃんそろそろ・・・・」
「僕も・・・・ちょっと僕の・・・言うこと、聞いてくれる?」
「ええ・・・マレクの好きにしていいのよ・・・」
乳首への愛撫を止めたマレクは、アマンダの豊満な胸の谷間に顔を埋め、しっかりと胴に抱きついた。そのまま腰をゆっくりと動かすと、アマンダも
快感に喘ぎながらマレクを抱きしめた。
「マレクぅ・・・・イっちゃうよぉ・・・・マレクぅ・・・・・」
「僕も・・・・お姉ちゃんの中でイきたい・・・・」
「うん・・・・ちょうだい・・・・お姉ちゃんにちょうだい・・・・」
ゆっくりと腰を動かしている内に、マレクはアマンダの温もりに包まれながら射精した。それと同時に、アマンダの体も痙攣し、くたっとその場に
果てた。
「ん・・・・はぁ・・・・熱い・・・・」
「お姉ちゃん・・・・気持ちよかった・・・・・」
「うん・・・とっても・・・・」
頬を赤らめながら目を細めるアマンダ。その気持ちよさそうな表情を見て、マレクも嬉しく思った。
「マレク・・・・まだしたかったら・・・・いいのよ、させてあげるから・・・・」
「うん・・・・でももういいよ、疲れちゃった・・・・・」
マレクはそう言うと、自らのモノをアマンダの膣から抜いた。穴からは、二度射精された精液がどろりと流れ出る。その直後、マレクはふっと力が
抜け、アマンダの胸にゆっくりと覆いかぶさる様に倒れた。
「マレク・・・・」
「お姉ちゃん・・・・おっぱい、吸っていい?」
「いいのよ・・・たくさん吸っても、今日はマレクにとことん付き合うって決めたんだから・・・・」
マレクは優しいアマンダの視線に見つめられながら、乳首を口に含み、ちゅうちゅうと音を立てて吸った。最初はアマンダの眉間に皺が寄ったが、すぐに
安らかな表情になり、あどけない表情で乳首を吸うマレクを抱きしめた。もしかしたら私は、母親になりたかったのかもしれない。アマンダは乳首を
吸われる快感の中でそう思った。
「あっ・・・んん・・・・はぁ・・・マレク・・・・気持ちいいよ・・・・」
マレクの乳首攻めは2分程続いた。そして乳首から口を離すと、マレクは二つの乳房の間に顔を挟み、強く体を密着させた。
「はぁ・・・マレク・・・・気持ちよかった・・・・?」
「うん・・・・でも・・・何だか疲れちゃった・・・・・」
苦笑するマレクの頭をアマンダは撫でた。それもそうだ。病み上がりに加えて3度も射精させたからだ。疲れて当たり前だろう。眠そうにマレクは目を
細めながら呟いた。
「このまま・・・・お姉ちゃんに抱っこされながら寝たいな・・・・」

290 :
「そう・・・・でも汗びっしょりだから、また風邪引くわよ」
「・・・・そうだよね・・・・」
「マレク・・・・先にシャワー浴びてきて」
「お姉ちゃんは・・・いいの?」
「だってマレク、そのまま私の事待ってたら風邪ぶり返すわよ、いいの?」
「・・・解った・・・」
マレクはそう言うと、箪笥から着替えを取り出してシャワールームへと向かった。
シャワーの湯に打たれながら、マレクは考え事をしていた。アマンダと出会ってから大体5年、このような関係になってから少ししか経っていない
が、アマンダは僕といる時間は、とても僕に良くてくれていた。再び一緒に暮らす様になってから、アマンダは多忙な日々の中、僕と一緒にいる時間を
とても大切にしてくれていた。日々僕の為に頑張ってくれているアマンダの為に、僕は自分に出来る事なら何でもしようと思い、家事を引き受けた。だが
自身も知らないうちに無理していた事に気付き、体を壊してしまい、結果的にアマンダの手を焼いてしまった。やはり自分はまだまだ未熟者なのか・・・
・・アマンダに一人前と認められたいと思う気持ちが、マレクを焦らせていた。
体を洗い終え、体を拭きながらふと鏡に映った顔を見て思った。まだまだ子供だな、と。16歳の少年の顔は、未だあどけなさを残していた。口を一文字に
キリリと結び、眉を吊り上げてみせる。これで少しは大人っぽくなったかな・・・・?そう思いながら、マレクは着替えを終え、バスルームを後にした。
喉が渇き、シンクで水を飲んでいると、アマンダが脱ぎ捨てたしわくちゃのパジャマを羽織って部屋から出てきた。マレクは決意を固め、アマンダに
声を掛けた。
「お姉ちゃん・・・・ちょっと・・・いい?」
「ん?・・・・いいけど・・・」
何食わぬ顔でアマンダは寄ってきた。マレクは自分がいつの間にか背を追い越してしまった姉に、何時になく真剣な顔で口を開いた。
「お姉ちゃん・・・いや、アマンダ・・・・僕達・・・今は姉弟だけど・・・・もし・・・生まれ変わったら・・・・ちゃんと、一人の・・・男と女と
して出会いたいんだ・・・・そしたら・・・・」
何時に無く真剣な顔で喋るマレクを見たアマンダは、きょとんとしていた。一旦は口を噤んだマレクだったが、アマンダの前に膝間づき、アマンダの
左手を取り、口を開いた。
「僕と・・・・結婚して欲しいんだ・・・・」

291 :
アマンダの緑色の瞳が少しはっとした様に開いた。見上げるマレクの表情は、今まで見たことも無い凛々しい物で、アマンダはそれを見て感じた。可愛い
弟が、一人の男に成長した瞬間を。アマンダは潤んだ瞳をマレクの高さに合わせ、数秒見つめた後、マレクに抱きついた。
「アマンダ・・・・」
「ありがとう、マレク・・・・そこまで考えてくれてたんだね・・・・・・」
アマンダは嬉しさの余り泣いていた。震える背中をマレクが摩る。マレクは気付いた。姉も自分と同様、叶わぬ夢を見続けたのであろう。マレクは心が
締め付けられる思いだった。
「それと・・・ごめん、せっかくのプロポーズなのに・・・指輪無くて・・・・」
「いいの、気持ちさえあれば・・・・そうね・・・生まれ変わったら・・・・私達結婚しようね・・・絶対幸せにしてあげるからね・・・・」
「それ・・・僕が言いたかったのに・・・」
台詞を盗られた気分になり、マレクが呟く。
「いいじゃないの、好きな人を幸せにしたいのは、当然の事でしょ・・・・」
「そうだね・・・・」
抱擁の後、アマンダはシャワールームへと向かった。マレクは部屋に戻り、ベッドに腰掛け、読書をしながらアマンダを待った。
20分程でアマンダは戻り、マレクの横に座った。
「さ、もう寝ましょ、抱っこしてあげるから」
手を広げて誘うアマンダを見て、マレクは苦笑した。
「もう・・・アマンダったら、さっきプロポーズしたのに、まだ子供扱いするの?」
「いいじゃない、まだまだ子供なんだから」
そう言いながらアマンダはマレクを胸に抱き、そのままベッドに寝そべった。
「アマンダは・・・まだまだ僕の事・・・一人前に見てくれないんだね・・・・」
「当たり前じゃない、マレクはまだまだ16歳なんだから、子供であることを思い切り楽しみなさい」
「だけど・・・・僕は早く一人前になりたいんだ・・・・」
少し困った様な顔を見せるマレクに、アマンダは銀色に光る頭を撫でながら説いた。
「マレク・・・人間は完全に大人になれないのよ・・・・・」
「?!・・・・・そうなの?」
「そうよ・・・誰だって子供の部分を持ちながら、大人になってゆくの、でもそれは全然恥ずかしい事じゃないの、それを受け入れてこそ、人は
成長出来るのよ・・・・」
「そう・・・なんだ・・・・」
「それとね・・・・マレクは私と結婚したいって言ってたけど・・・・好きなら結婚しなきゃいけないのかな・・・・?」
「・・・どうして?アマンダは嫌なの?」
「違うの、私もマレクと結婚したいよ、でも私達は姉弟だから・・・・けど一緒にいることは出来るわ、私達はずっと一緒にいればいいじゃない」
そうか・・・・結婚は出来なくとも、ただ一緒にいればそれでいいのか・・・・マレクはすっかり姉の包容力の虜になっていた。
「お姉ちゃんは・・・僕は子供っぽい方がいいと思うの・・・・?」
「うーん・・・・さっきのプロポーズの時の顔もいいけど・・・マレクは変に大人ぶらないほうが可愛いわよ」
「本当に・・・・?」
「ええ、とっても可愛いわ、大好きよ・・・・」
そう言うアマンダの表情に、マレクは見覚えがあった。その疑問を、マレクはぶつけてみた。
「お姉ちゃんってさ・・・・たまにお母さんみたいな事言うよね・・・・・」
「当たり前じゃない、私はマレクの親代わりでもあるんだから」
「そうじゃなくて・・・・本当に似てるんだ・・・・僕のんだお母さんに・・・・」
その言葉にアマンダは少し驚いた。さらにマレクは話を続ける。
「僕・・・たまにお姉ちゃんが、お母さんに見える時があるんだ・・・顔が似てるわけでもないのに・・・・」
「マレク・・・・・」
「お姉ちゃんは・・・・嫌じゃないの・・・・?僕のお母さんとは、違う人なのに・・・・お母さんの代わりとして見られるのは・・・・嫌・・・・?」
哀しそうな目で見つめるマレクを、アマンダは力いっぱい抱きしめた。それによってマレクの脳裏に、亡き母に抱かれた記憶が蘇った。
「嫌じゃないよ・・・・むしろ嬉しいの・・・マレクはお母さんに甘えられなかった分、お姉ちゃんにもっと甘えてもいいのよ・・・お母さんだと
思ってもいいのよ・・・・」
「お姉ちゃん・・・・」
マレクの抱きつく手に力が入る。

292 :
「それにね・・・・実はもう知ってたのよ」
「・・・そうなの!?」
「だってマレクったら・・・寝言で『お母さん』って言ってたわよ」
クスクスと笑いながらアマンダは説明すると、マレクの頬が紅く染まった。
「きっとお母さんの夢を見てるんだなって思ってたけど・・・本当だったみたいね・・・」
「・・・・何だか・・・・恥ずかしいな」
紅潮した顔を隠すようにマレクは胸に顔を埋めた。それを見たアマンダは子供をあやすような口調で言う。
「でもそれでいいのよ・・・・マレクは何時までも、私の可愛い可愛い弟だから、マレクが喜ぶなら何でもしてあげるわ・・・・」
それを聞いたマレクが顔を上げた。そして恥ずかしそうに口を開く。
「お姉ちゃん・・・・僕のお願い・・・聞いてくれる・・・・」
「いいわよ・・・・何かしら・・・」
母性に満ち溢れた表情でアマンダは聞く。
「その・・・・僕が眠れない時にしてくれた・・・・あれ・・・してほしいんだ・・・・」
「そう・・・解ったわ・・・・」
アマンダはマレクの頬に右手を乗せ、指で軽くなぞった。するとみるみるうちにマレクの表情が穏やかになる。子供っぽくて無邪気な、アマンダの
大好きな表情だった。
「私ね・・・・マレクの事抱っこしながら・・・この可愛い顔を見ながら寝るとね・・・どんなに疲れてても・・・ぐっすり眠れて疲れがすぐに取れるの
・・・・だから毎日頑張れるのよ・・・・」
「じゃあ・・・僕と同じだね」
「どうして・・・・?」
「僕もね、勉強と家事を一緒にするのは大変だけど・・・・それでも毎日頑張れるのは、こうしてお姉ちゃんが抱っこしてくれるから・・・それが気持ち
よくて・・・・すぐに疲れが取れるからなんだ・・・・」
「そっか・・・マレクも同じなんだね・・・・」
アマンダはマレクとの意外な共通点を見つけ、クスクスと笑った。

293 :
「似てるんだね・・・・僕達って・・・」
「当たり前よ・・・・姉弟なんだから・・・・」
「そうだね・・・・お休み、お姉ちゃん・・・・」
「うん、お休み・・・・」
その直後にマレクは眠りについた。アマンダはその寝顔を見ていた。3日ぶりに見る寝顔は、とても可愛らしかった。それを見て、アマンダはある事を
思いついた。そしてパジャマのボタンを外し、胸元をはだけた。桃色のブラジャーに包まれた胸の谷間にマレクの顔を近づける。すると、マレクは
自らその谷間に顔を埋めてきた。もしかしたら本能的に感じたのかもしれない。そのまま寝息を立てるマレクを、アマンダはちっともエッチだとは
思わなかった。甘えん坊のマレクが、アマンダは大好きだった。
「お母さん・・・・・」
またマレクは、母親と過ごした楽しかった時を夢に見てるのだろう。だがその母親も、もうこの世にはいない。だからこそ、自分が母親の代わりでも
いいと思った。そう思いながら、アマンダも目を閉じた。
マレク・・・・お母さんはもう、いないけど・・・・・お姉ちゃんがお母さんの代わりになってあげるね・・・・。
終わり

294 :
>>293
オレの股間のウォルフ隊長がミーティングをはじめましたw
デモニアックGJ!

295 :
GJ!GJ!GJ!
俺もアマンダ好きにしてぇwwww

296 :
アマンダ本気出せばたとえデモニアック化したマレクといえども腎虚はまぬがれまいw

297 :
マレクとりあえずお姉ちゃんがベッドの下に隠している愛用のバイブと融合するんだ

298 :
コピペ時に忘れた所があったのでupします
>>274、>>275の間に挟んで読んで下さい
家に付くとアマンダは先に料金を払い、マレクを支えながら家に入った。その後マレクを彼の部屋のベッドに寝かせ、自身の荷物を整理し、薬と
水を持って部屋を訪れた。
「お待たせ、マレク、薬よ」
マレクは薬とコップを受け取ると、それを一気に飲み干し、また横になった。体温を測ると、37.2程だった。
「良かった・・・大した事無くて、少し安静にしてればすぐ良くなるね」
「うん・・・・ごめんねお姉ちゃん、心配掛けちゃって・・・・・」
血の色で紅くなった目でマレクが謝る。
「何言ってるのよ、マレクは病人なんだから、今は自分の心配して・・・・」
マレクの紅い額を撫でながらアマンダが言う。弟の苦しそうな顔を久しぶりに見たような気がした。もう見たくは無い、こんな目にもう遭わせたく
無かったのに、弟は苦しんでいた。無論、生きていれば辛い目に遭うのは当たり前だが、弟の過去の苦しみを知っていたアマンダにとっては、苦痛
以外の何者でも無かった。
「お姉ちゃん、明日仕事なんでしょ?、だったら早く寝ないと・・・・」
案の定、マレクはアマンダの心配をして来た。一番辛いのは自分なのに。
「・・・そうね、でも、もし我慢できないくらい苦しかったら、私の部屋に来てね・・・・」
アマンダはマレクの頬を撫でながら返事をする。そして一言、「お休み」と言いながら自室に戻った。
ベッドに横たわるや否や、アマンダは自身から一気に力が抜けてゆくのを感じた。今日は何かと多忙な日だったせいか、アマンダは大きく
溜息を突いた。それと同時に、アマンダの脳裏にマレクの苦しそうな表情が映った。こうしている間にも、弟は病気と戦っている。何も出来ないのが
悔しかった。ふと横を見ても、弟は居ない。再び一緒に住むようになってからは、ほぼ毎日一緒のベッドで寝ていた。仕事中は心を鬼にして
隊員たちに接しているが、それは決して楽では無かった。怒鳴ってばかりいると、自身の心がどんどん黒い何かに染まっていく様な気がした。しかし
家に帰ると、何時もマレクが笑顔で迎えてくれていた。勉強に家事と、もしかしたら私より忙しいのに、それを全く感じさせないような屈託の無い
笑顔で、「お姉ちゃん」と言って甘えてきてくれた。それはアマンダにとって最高の癒しであり、仕事で黒くなった心を洗ってくれた。甘えてくる
マレクを見ていると、とても優しい気持ちになれた。そのマレクは今、隣の部屋で病に苦しんでいる。本当はずっと傍に居てあげたいが、風邪が
うつると拒否されるだろう。一番辛い時に傍に居て上げられなかった、あの時の事を思い出した。
「マレク・・・・・」枕に顔を埋めながらアマンダは泣いた。昨日一緒に寝ていた弟の残り香が悲しかった。眠りに入ってゆく最中、またマレク
との思い出が蘇った。

299 :
スレ保守するために短編書きます
「一番甘えたいのは」スピンオフ「母の記憶」
ふと真夜中に、アマンダは目を覚ました。目を擦り時計を見ると、深夜の2時だった。
そしてアマンダの目に映ったのは、すやすやと眠る弟の寝顔だった。アマンダは気持ち良さそうに
眠るマレクの頬に手を置く。アマンダは眠くなるまでこの寝顔を見ておこうと思い、それを見つめていた。
そうしていると、マレクの口元が静かに動き出した。また寝言で「お姉ちゃん・・・・」とでも言うのだろう。だが
アマンダの予想は外れた。
「・・・・お母さん・・・・」
予想外の言葉にアマンダは最初は少し驚いた。まさかマレクが私に母親を重ねていたとは思ってもいなかった。普通
の女だったら怒り出すであろう。しかしアマンダ自身はそんなに嫌な気分にはならなかった。甘えたい盛りに両親を失ったマレク
にとって、亡き母に代わって守ってあげられる、甘えられる存在は、アマンダしかいなかった。当然、マレクはアマンダに母を
重ねても可笑しくないとは思っていたが、まさか本当の事になるとは思ってなかった。ふとアマンダは、自身の両親がんだ時の
事を思い出し、涙が流れた。きっとマレクも両親のを知ったとき、あの時の私同様に悲しんだのであろう。すすり泣く中、アマンダ
は思った。せめてマレクには親代わりの私がいるから、母親の代わりとして見られたいと思った。アマンダのマレクを抱く
腕に力が入り、柔らかな乳房の谷間にマレクの顔が埋まった。銀色の頭にアマンダは顔を埋めながらすすり泣きながら呟いた。
「マレク・・・・私がお母さんになってあげるからね・・・・もう心配ないからね・・・・」
アマンダがすすり泣いてると、頬に暖かい何かが触れた。アマンダは顔を離すと、そこには心配そうな眼差しで見つめるマレクの
姿があった。頬に触れたのは、マレクの手だった。
「お姉ちゃん・・・どうかしたの?怖い夢でも見たの?」
マレクの姉を心配する顔を見て、アマンダは首を横に振り、涙で潤んだ緑色の瞳で見つめながら言った。
「大丈夫よ、お姉ちゃんは何ともないから・・・だから安心して・・・・」
「でも・・・・」
「それと・・・ごめんね、起こしちゃって・・・・」
「僕は平気だよ、お姉ちゃん早く寝ないと、仕事遅れるよ」
「そうね・・・もう寝ようね」
2人はは寝ようとする。が、アマンダはマレクが目を閉じる前にマレクに声を掛けた。
「マレク・・・一つ・・・お願いしてもいいかな・・・?」
「いいけど・・・何?」
「そのね・・・触って欲しいの、お姉ちゃんのおっぱい・・・・」
その言葉にマレクは目を丸くした。いきなり触って欲しいとねだられたからだ。
「触る・・・だけ?」
「うん・・・・本当はこんな自分勝手なお願い、したくなかったんだけど・・・何だか触られたくなっちゃて・・・・」
少し俯きながら言うアマンダの豊かな乳房に、マレクは手を触れ、そこに顔を押し付けてきた。
「マレク・・・・」
「僕はいいよ、これでお姉ちゃんが寝られるなら・・・・」
「マレク・・・・本当にごめんね・・・・我が儘言っちゃって・・・」
嫌な顔ひとつしないマレクに、アマンダは謝った。しかしマレクは屈託の無い笑みを浮かべていた。
「いいんだ、僕もこうしてると気持ちよくて寝ちゃうから・・・・」
「そう・・・ありがとうね・・・・」
可愛い弟に母性を鷲掴みにされながら、アマンダは眠りに付いた。姉の我が儘に付き合ったマレクも、姉の安心した表情を見て嬉しい
気分で眠りに落ちた。

300 :
age

301 :
今度こそコミケでエロ本買えるといいな。
夏は見つけられなくて残念だったよ。

302 :
アマンダ姉弟の純愛を漫画で見たいな

303 :
アマンダの性的家庭内暴力を希望w

304 :
>>303
素敵俊w

305 :
11話の命令違反で拘留されていたアマンダが犯される話
誰か書いてくれないかな。

306 :
マレクみたいに、引き取られた家のお姉さんとの恋を描いたエロゲをニトロプラスに作って欲しいな

307 :
>>306
恋じゃないよ
性欲目的だよ

308 :
保守

309 :
アマンダって御前の演じたキャラの中でもいい性格してるよね
ヒナギクみたいな嫌みな女しか知らなかったからびっくりした

310 :
保守

311 :
保守

312 :
アマンダ以外の女性キャラのエロパロみたいなぁ

313 :
保守

314 :
保守

315 :
保守

316 :
保守

317 :
保守

318 :
保守

319 :
保守

320 :


321 :
保守

322 :
保守

323 :
保守

324 :
なんだこのスレw今年になってから保守しかないのかw新作投下カモン!

325 :
保守

326 :
保守

327 :
保守

328 :
保守

329 :
保守

330 :
保守

331 :
表現規制反対派議員情報スレ
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/giin/1198749883/

332 :
保守

333 :
保守

334 :
保守

335 :
保守

336 :
てst

337 :
保守

338 :
保守

339 :
寂しいのう

340 :
保守

341 :
保守

342 :
保守

343 :
保守

344 :
もう9ヶ月も投稿なしか・・・
学園ブラスレ楽しみにしてるんだけどな

345 :
一応終わってん出なかったっけ?
個人的にはもっと見たいけど

346 :
保守

347 :
保守

348 :
保守

349 :
保守

350 :
10ヶ月投下なし……

351 :
保守

352 :
保守

353 :
保守

354 :
保守

355 :
age

356 :
保守

357 :
保守

358 :
保守

359 :
保守

360 :
保守

361 :
保守

362 :
保守

363 :
保守

364 :
保守

365 :
保守

366 :
保守

367 :
保守

368 :
人いないのかよ・・・

369 :
保守的なスレですね

370 :
そうですね

371 :
今更だけど公式こっちね
http://www.blassreiter.jp/

372 :
ho

373 :
もういいかげん休ませてやれよ・・・

374 :
保守

375 :
もういいかげん休ませてやれよ

376 :
保守

377 :
もういいかげん休ませてやれよ☆

378 :
  r― 、   ィ-i,,,,`'i              r― 、
  フ  ノ   ヽ、_ノ´      'ぐー-、     |  ,i'゙           ,i-、        ,i-、        ,i-、        ,i-、
 ./  .゙''''''''''''"´ 'ヽ  `广'''、 |  /      |  |__           | ,}-,,、     | ,}-,,、     | ,}-,,、     | ,}-,,、
 / ./''''''''l  ./゙゙゙゙゙´   |  .! .,!  !   =@ |  i- ゙̄'''‐、   ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ  ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ
〈r'"   ./  l       | │ | | .ノ/.   | .|  .\.  )  ゙'―',!'~,、.|    ゙'―',!'~,、.|    ゙'―',!'~,、.|    ゙'―',!'~,、.|
     ./  /      l ./ . |  レ'゛./    | |   `゛    /,,/゙| |     /,,/゙| |     /,,/゙| |      /,,/゙| |
  . _/ /       i /  ./   /    l゙ │      .,,彡'"  | |   .,,彡'"  | |    .,,彡'"  | |   .,,彡'"  | |
  ┴'''"       ='"   .\_r"      `ー~            ゙''′        ゙''′        ゙''′         ゙''′

379 :
hosyu

380 :
このスレなんのためにあるの?

381 :
保守

382 :
保守あげ

383 :
絶対休ませないよ

384 :
ゆるしてくれ

385 :
2chエロパロ板SS保管庫
http://green.ribbon.to/~eroparo/
スレ住人の皆様、このスレに投稿されたSSを当方の保管庫に収蔵させて貰っても宜しいでしょうか?



386 :
お願いします!

387 :
よろしく

388 :
問題無さそうなので、アニメの部屋2号室に収蔵させて貰いました。

389 :
どうも、お久しぶりです
ジョセフとエレアで学パロ書いてたものです
このスレには随分と来てなかったんですが、ここまでの保守っぷりに泣いた
そしてこんな作品の続きを見たいなんていってくれる人がいたことにも泣いた
というわけで書きました、案の定非エロの学パロジョセエレです
マジで久しぶりな上にかなり勢いに任せてでっちあげた感じなのでかなり見苦しいかもしれませんが
気が向いた人読んでやってください
あと、気になさってる方がいたようなので一応補足ですが
この学パロ、特に時系列とか続きとか完結とか意識して書いてません
なので二人が濃厚なエロをした後に告白もまだの初々しいのを書くこともあるかもしれないってことですね
……まあ、俺がこの先また投下するのかどうかがまず疑問なのであれですけど
ごたごたと長くて申し訳ない、次から投下

390 :
 幼いころ、私はジョセフのお姉さん分を気取っていた。
 小さい頃のジョセフは今のような落ち着きはなくやんちゃで煩い子だったし、よく泣くこともあった。
 自分で言うのもなんだが早くからませていた私が、そんなジョセフの前で姉を気取り
 一丁前に教え導く(上から偉そうに彼を弄んで楽しんでいたとも言う)立場になろうとしたのはきっと自然なことだったのだと思う。
 でも、だからだろうか……いつからか私は、ジョセフの……ともすれば、他の人間の前でさえ
 何かに縋ったりせず、美しく毅然とした自分であろうとするのが、いつの間にか当たり前になってしまったのかもしれない。


 隣のクラスの男子に校舎の外れにある伝説の木の下に呼び出された。
 …………笑わないでほしい。いや、わかっている。わかっているとも
 実際、自分の心中で字面にして見て改めて実感することだが、なんとも間抜けな上に美しくないことこの上ない。
 だがしかし残念ながら、自分が通うこの高校にはそのような荒唐無稽かつ古臭さのあまり誇りにまみれていてもおかしくないような噂話というかジンクスが確かに存在するのだ。
 曰く、この学校は実は秘密結社の隠れ蓑でグラウンドの下にはロボットが格納されている……テレビの見すぎだ。
 曰く、この学園に入ると女生徒巨乳になれる……出鱈目もいいところだ。それは生まれてこの方胸の重みで肩こりなどという体験をしたことのない自分が一番よくわかっている。
 曰く、この学園では日夜怪しい実験が行われていて、入学した生徒は改造され、凶暴な悪魔に変質する……こんな噂を流すほうも信じる方も美しくなさすぎる。
 まあ時々保健室に薬を貰いにいってから帰ってきた生徒がなぜか異様に興奮していることはあるが……それだけで悪魔だなんだなどと、妄想力がたくましいにも程があるというものだろう。
 曰く、この学校には自分の彫刻を完成させられずに無念のを遂げた悲劇の芸術家、『彫刻おじさん』の霊が現れる。ていうかジョセフだコレ。
 そして曰く……校舎の外れにある伝説の木の下で告白すれば、その者たちの恋は必ず成就する……美しくない。
 ……まあ要するに何を言いたかったのかと言えばだ。
 自分ことXAT学園に通う女子高生であるところのエレアは、そういった噂に辟易している、現実主義で美しくないものが嫌いな人間であるということなのだ。
 だから、そういった奇怪かつ前時代的な噂話を真に受けたり、告白にこのような場所を選択する人間の神経を理解することは自分には難しいことであって
 また当然のことながら、そんなものの力で今まで顔を見たことも覚えていないような男子生徒の告白など受け入れられるはずはなく。
「ごめんなさいね、私、今そういった男女のお付き合いをする気にはなれなくて……」
「そ、そう……なんですか」
 目の前の少年はいかにも平々凡々といった感じの柔らかい雰囲気の男子で、一見するとこんな思い切った行動に出るとはやや想像しにくいタイプだ。
 そんな彼が伏目がちな視線をさらにしおらせたのを見て、すかさずフォローを入れる。
「ええ、今は勉学に励んであるべき学生生活を送ることこそが美しいと思っているから」

391 :
所謂、別にあなたのことが嫌な訳じゃないのよ、でも今は他にやりたいことがあるからそんなに暇でもないの、というニュアンスの断り文句である。
 ほぼ嘘だ。確かに自分は勉強が苦手ではないが別段好きな訳でもない。しないでいいならそっちの方が楽だとすら思う。
 それから、恋愛をする気になれないというのもまあ……嘘だ。これ以上は認めたり心中であっても語るのはなにやら悔しいので割愛するが、恋愛をしたくないという訳でもない
 俗に言う『嘘も方便』というやつである。できるだけ相手に面倒な傷を負わせぬよう、後腐れを残さぬように、美しく諦めてもらうための言葉だ。
 自慢ではないが、自分はそれなりにモテる方らしくたまに告白される。それは今回のように直接であったり手紙であったりと手段はさまざまではあったが
 結局のところ返す返事は全て同じ。細部の言葉は違えど同じような言葉を紡ぐだけだ。
『今は恋愛する気になれないんですお勉強だけしていたんですごめんなさい』
 結構な頻度と回数でこういったニュアンスの台詞を言ったので既に覚えたくもないのに口と頭が言い方を覚えてしまっている。
 何が悲しくてこの年でそんな台詞を言い慣れなければならないというのか。
 自分としては特にモテたい訳でもないし(これをクラスの女子生徒に零すと何人か発狂した子がいた。なんなのだ)まして告白してほしい訳でもない。
 だから変に注目されるだけの行為はできるだけ控えてほしいのだが……自分に想いを伝えてきた生徒の中には、何人かその目の中に美しい真摯な輝きを持つ者もいた
 そんな彼らに、自分のそんな心情をそのまま聞かせるのはあまりにも忍びない。元々、こちらとしても彼らを嫌いという訳ではないので。ある程度の気は使って断る……
 ということを繰り返している内に、相手をできる限り傷つけさせない告白の綺麗な断り方というなんともありがたくないスキルを手に入れてしまい
 一部では自分のことを「峰打ち百人斬りのエレアさん」などと呼ぶ生徒もいるとかなんとか。峰打ちなのに斬ってどうする。
 ……いや、まあそれはいいのだ、そんな裏で囁かれているような噂など自分は痛くも痒くもないし
 大多数の告白はそれこそ、そうやって断ってしまえばハイそこで終わり、後腐れも何もなしでこれからもお友達としてよろしくね、という寸法である。
 本当に問題なのは………………たまに、たまになのだが、先ほどの台詞で綺麗にお断りしても納得しかねる諦めの悪い生徒も数人いて
 振られた悲しみと悔しさ余ってなのだろうか、こちらの心中にある無数の蛇がのたくった藪を全力でつつく者がいる。
『エレアさん…………本当はジョブスンのやつと付き合ってるんでしょ? 隠さないではっきりしたらどうなんですか』
 そんな時、私はこう思うのだ。
 
 (うるさいバカ黙れ想像し得る限りで最低の美しくないに方をさせてやりましょうかこの愚か者)
 
 まず第一に、なぜに今顔を知ったような相手にそのようなことをそのようなことを言われなければならないというのか。
 第二に、告白を「受けてほしかった」という本来なら下手に出ねばならないはずの人間がなぜそこまで偉そうなのか。
 第三に、なぜ自分とジョセフがそのような関係だという心当たりがあるなら自分に告白などしてきたのか。
 第四に………………そんなことができるというならとっくにやっている。はっきりしなくて悪かったな。


 伝説の木のくだりの続きなのだが。
 この木がどういった代物かというと、なんでも生徒たちが言うにはこの木には恋愛の神様が住まっていて。
 真剣な想いとそれを帯びた「告白」の言葉を受けると、その時木の下にいる二人の縁を結び、その結果見事に恋を成就させてくれる、というものらしい。
 エレアが今まで受けた告白の実に半分がここで成されたものであり、その全てが当然のことながら失敗。神様がいたのだとしたらそれは恐らく限りない無能なのだろう。
 残念ながら詳細を聞こうが胡散臭さと信用のならなさはまったく変わらなかった木の下で、エレアは少しばかり元気なく去っていく背中を見送った。
 幸いというべきか、彼は上で挙げたような思い出すだに怒りを覚えるような類の人間ではなく、こちらの断りの言葉を聞いた後、やや落ち込みながらも。

392 :
「聞いてくれてありがとうございました……その、また廊下とかで会ったときに、話かけてもいいですか?」
 と笑いながら去っていった。
 ……きっとだが、彼にはそう遠くない将来、自分とは別のいい相手が見つかると思う。 
 それこそ、仮にも告白してくれる者が目の前にいるのに、別のことでぐるぐると思い悩み、暗い感情を溜め込んでしまうような自分のようなものよりも、だ。
「……はぁ」
 自己嫌悪。
 最近、告白を断るのとは別に自分の得意スキルになってきているのではないかと割と真剣に思う。
 美しくない。美しくない。美しくない。まったくもって美しくない。
『エレアさん…………本当はジョブスンのやつと付き合ってるんでしょ? 隠さないではっきりしたらどうなんですか』
 ……自分がこういった言葉に対して、過剰なまでの憤怒やらなにやらの感情を持ってしまうのは、それが自分の中の図星を少なからずついているからだ。
 自分の中に秘めている思いを、例え振られた怒り任せの当てずっぽうであっても、的中するように言われるのは癪に障ったし。
 何より、その言われた言葉を、本当はそうしたいのにできないでいる自分が……どうしようもなく…………
「美しくない、わね」
「何がだ」
 そういえば私って一応病弱という設定だっただろうか、大丈夫なのかこんなにも心臓に負担をかけて。
 などということを一瞬のうちに思うぐらいに驚いた。
「っ!! ジョセフ! 急に後ろから話しかけないで頂戴!」
「……悪い、まさかそんなにも驚くとは」
 今最もきてほしくない場所に最も来てほしくない人間が突然現れたときの驚きといえばそれは伝えられるだろうか。
 何ゆえこの幼馴染の彼はついさっきまで自分が他の男の告白を受けていた場所に出現するのだ。
 どうしてか、無性に決して見られてはいけないものを見られて、なんとかしなくてはと慌てる子供のような心境に襲われる。
 実際のところ、ジョセフは今きたのであろうから告白の場面は見ていないのだろうし、それ以前にやはりどうしようもないのだから詮無き思考なのだが
 それでも、そのような心理になるなという方が無理であろう…………彼、ジョセフが自分にとっての想い人である限り。
「……どうしてここに?」
「ああ、今日急に部活が中止になってな」
「…………」
「…………」
「…………それで?」
「いや、だから普通にエレアと帰ろうと思ったんだが
 教室を見に行ったらアマンダからここに来たと聞いたからな」
 この際であるからジョセフの口から他の女性の名前が出たことはいっそ無視しておく。
 それよりも重要なのは、ジョセフが「部活がなくなって放課後すぐに下校できるようになった」→「だから自分と帰る」ということを
 さも当然のように思考し、それを自分に告げたという点である。

393 :
「……ジョセフ、あなた今日私とどこかへ行くという約束をしていたかしら?」
「? いや?」
「大した用もないのに私と帰るためにわざわざ教室からここまで?」
「わざわざということもないだろう、俺は単にエレアと帰った方がいいと思ったから来ただけだ。」
「…………」
 ああ、もう……なぜこの美しくないまでに朴念仁の男はこんなにも自分の心の氷塊を一瞬で蒸発させる言葉をこうも軽々と言ってしまうのだ。
 普段から一緒に帰る習慣などない、まして校門とは正反対の位置にあるこんな場所に、一緒に帰るためだけに足を運ぶなどと……それではまるで
『本当はジョブスンのやつと付き合ってるんでしょ?』
……分かっている。分かっているとも。
 自分と彼の距離感が、ともすればそういった関係に見えてしまうほどに近いこと
 そしてそう見えてしまう原因の多くは(それを見ている当人たちが明確に理解はしておらずとも)自分から漏れ出ている彼への想いのせいだと。
(私は……ジョセフが好き)
 たぶん、ジョセフの方も自分のことを嫌ってはいないと思う……恐らくだが、どちらかといえば好かれていると。
 友達以上恋人未満、という言葉はこんなときにこそ使うのだろうか。
 ……先述したように、自分はズカズカと身勝手なことを言って人の思いに踏み込んで藪を突く人間には怒りを覚えるし正直に言えば嫌いだ。
 ただ、彼らにとって私たちの関係……そんな関係の中でまったく動こうとしない自分の姿は果たしてどう映っているのだろうか。
 『告白した』『行動を起こした』という一点に置いてのみ、自分は彼らに劣っていると思う。
 自分は「顔も知らないような」としきりに繰り返してはいるが、それは逆に途方もないほどの勇気を必要とするのではないか?
 付き合いも長く、お互いのことを熟知し、ある程度の好意を持たれていることも自覚している……そんな、勇気ない私の姿は
 勇気ある彼らの無意識の怒りに火をつけたとしても不思議は……
(……バカみたいね)
 抵抗もなく素直に思った。
 いくらなんでも考えすぎだ。
 少なくとも告白を断られて頭ごなしに言葉を紡ぐ人間にそこまで深い心理の推移など、ましてこちらがそれを察してやる必要などあろはずがない。
 ここまでくると、自己嫌悪も一種の才能かもしれないななどと思う。
 さっきの思い込みの中で唯一明確に正しい点など、自分がどうしようもなく臆病だということだけではないか。
「はっ……」
 あまりにもおかしくて、思わず出た嘲笑の声とともに天を仰ぎ見た。
 そばで見ていたジョセフにはさぞ奇怪な光景であっただろう、とは後になって思ったことだ。
 

394 :
 ザアッ
「! ……っ」
 瞬間、頭上から響いたかぜに揺らされる葉音によって
 自分が今どこにいて、そこがなんと呼ばれている場所なのかを急速に理解した。
 『恋愛の神様が住まっていて。
  真剣な想いとそれを帯びた「告白」の言葉を受けると、その時木の下にいる二人の縁を結び、その結果見事に恋を成就させてくれる』
 ああそうか、と思う。
 今までここで自分に……否、それでなくとも、ここでその思いの丈を意中の相手に伝えた者たちは、何もその全てがみな一様に
 この木にまつわるバカバカしい伝説を一から百まで信じていたわけではないのだ。
 彼らは単に、自分の中にある臆病な心をほんの一押ししてくれる……そんな、ささやかだけれど縋れる物の力を借りたかったのだろう。
 その力でもって、己を鼓舞し、勇気付け、そしてその胸のうちに秘めた思いを舌に乗せたのだ。
 意中の相手……ジョセフと木の下に二人きりでいる。
 ことここに、この状況に至ってようやく、それを理解することができた。
 なんだ、なんのことはない。
 理解できないと、信じがたいと断じていた彼らは、言ってしまえば自分と大した差異などなかったのではないか。
(なら……)
 それならば……自分にもできるだろうか、この場所で私にそれをしてくれた彼らのように……
 きっと自分の勇気は、彼らのそれと比較してもずっと弱いものだろうけれど
「ねえ、ジョセフ」
 それでも
「ん? なんだ?」
 縋れるものには縋らせてもらおうと思う。
 だって、縋ってでも、せねばならない……したいことがあるのだから
「私ね……」
 
 頭上の木の葉がまた大きく、ザアアという音を立てた。

395 :
終わり。
あれ?プロットの段階ではエレアがジョセフにしょーもない子供時代のいたずらを暴露して
(これでも『告白』の範疇に入るかしら……)な茶化して終わりな感じだったんだけどなんでこんなことに
我ながらキャラ崩壊とかキャラ忘れとか色々ひどいと思う、近いうち小説版を読み返そう
んでまた近いうちに何かしら投下できたらいいな……出来れば……うn

396 :
>>395
乙!次も待ってる!

397 :
神が降臨してるようだな。
これは楽しみだ。
>>395
期待してます。

398 :
>>395
なんというGJ

399 :
保守

400 :
>>400

401 :
ho

402 :
>>395
久々に観たら新作投下されてて嬉しくなった
次も期待してます!
てか、この設定でエロ書いて欲し(ry

403 :
保守

404 :
保守

405 :
保守

406 :
保守

407 :
保守

408 :
保守

409 :
保守

410 :
保守

411 :
保守

412 :
保守

413 :
保守

414 :
保守

415 :
保守

416 :
保守

417 :
保守

418 :
保守

419 :
保守

420 :
保守

421 :
神はまだ存在していたようだ
つttp://www.nicovideo.jp/watch/sm14641210

422 :
ほう

423 :
保守

424 :
保守

425 :
アマンダおっぱい!おっぱい!

426 :
アマンダ×ヘルマン×ゲルト 又はゲルト無しをちょっと期待

427 :
新作投下してくださいなー(^_^)

428 :
保守

429 :
アマンダのおっぱいほしゅ

430 :
  r― 、   ィ-i,,,,`'i              r― 、
  フ  ノ   ヽ、_ノ´      'ぐー-、     |  ,i'゙           ,i-、        ,i-、        ,i-、        ,i-、
 ./  .゙''''''''''''"´ 'ヽ  `广'''、 |  /      |  |__           | ,}-,,、     | ,}-,,、     | ,}-,,、     | ,}-,,、
 / ./''''''''l  ./゙゙゙゙゙´   |  .! .,!  !   =@ |  i- ゙̄'''‐、   ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ  ,,,,―'''''″.,,,,,,,,ミ
〈r'"   ./  l       | │ | | .ノ/.   | .|  .\.  )  ゙'―',!'~,、.|    ゙'―',!'~,、.|    ゙'―',!'~,、.|    ゙'―',!'~,、.|
     ./  /      l ./ . |  レ'゛./    | |   `゛    /,,/゙| |     /,,/゙| |     /,,/゙| |      /,,/゙| |
  . _/ /       i /  ./   /    l゙ │      .,,彡'"  | |   .,,彡'"  | |    .,,彡'"  | |   .,,彡'"  | |
  ┴'''"       ='"   .\_r"      `ー~            ゙''′        ゙''′        ゙''′         ゙''′

431 :
保守

432 :
保守

433 :
保守

434 :
保守

435 :
板野

436 :
保守

437 :
異民

438 :
ほしゅ

439 :
ほしゅ

440 :
ほしゅ

441 :2013/09/16
BD出てくれほしゅ
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