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2013年07月エロパロ170: お姫様でエロなスレ14 (344) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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お姫様でエロなスレ14


1 :2011/12/23 〜 最終レス :2013/06/23
やんごとないお姫様をテーマにした総合スレです。
エロな小説(オリジナルでもパロでも)投下の他、姫に関する萌え話などでマターリ楽しみましょう。
■前スレ■
お姫様でエロなスレ13
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280220200/l50
■過去スレ■
囚われのお姫様って
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/sm/1073571845/
お姫様でエロなスレ2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133193721/
お姫様でエロなスレ3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148836416/
お姫様でエロなスレ4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157393191/
お姫様でエロなスレ5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166529179/
お姫様でエロなスレ6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1178961024/
お姫様でエロなスレ7
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1196012780/
お姫様でエロなスレ8
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1209913078/
お姫様でエロなスレ9
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1226223611/
お姫様でエロなスレ10
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1229610737/
お姫様でエロなスレ11
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1236072726/
お姫様でエロなスレ12
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1261994789/
■関連スレ■
【従者】 主従でエロ小説 第七章 【お嬢様】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263220316/l50
古代・中世ファンタジー・オリジナルエロパロスレ4
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246868732/
【ギリシア】世界の神話でエロパロ創世3【北欧】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1238066898/
■保管庫■
http://vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/princess/index.html
http://www14.atwiki.jp/princess-ss/
気位の高い姫への強姦・陵辱SS、囚われの姫への調教SSなど以外にも、
エロ姫が権力のまま他者を蹂躙するSS、民衆の為に剣振るう英雄姫の敗北SS、
姫と身分違いの男とが愛を貫くような和姦・純愛SSも可。基本的に何でもあり。
ただし幅広く同居する為に、ハードグロほか荒れかねない極端な属性は
SS投下時にスルー用警告よろ。スカ程度なら大丈夫っぽい。逆に住人も、
警告があり姫さえ出れば、他スレで放逐されがちな属性も受け入れヨロ。
姫のタイプも、高貴で繊細な姫、武闘派姫から、親近感ある庶民派お姫様。
中世西洋風な姫、和風な姫から、砂漠や辺境や南海の国の姫。王女、皇女、
貴族令嬢、または王妃や女王まで、姫っぽいなら何でもあり。
ライトファンタジー、重厚ファンタジー、歴史モノと、背景も職人の自由で

2 :
容量に気がつかず作品を投下してしまってすみませんでした。
このまま続けて投下します。
※前半部分
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1280220200/484-490

3 :
 そんなはずはない……発しようとした言葉は口の中で溶けて無くなって、出るのは落ち着か
ない喘ぎばかり。乳首を一回摘み上げられるたびに身体からどんどん力が抜けていって、この
まま触られたら、倒れこんでしまいそうな気さえした。
「嘘よ、気持ちいいわけ、ないじゃない…………」
 本来なら自分に触れることすら許されないはずの男に肌を晒し、あげく相手に身体を委ねて
しまっている。しかもその行為が行われている場所は、裸になることなど到底許されない森の
中だった。二重の許されなさが、恐怖の中であってもネフェティアに怒りを覚えさせ、同時に
今すぐんでしまいたい、消えてしまいたい……こういった感情も頭の中で膨らみ続けていた。
「そうか? その割には、可愛い声出してるぞ」
「違う、これは…………ああんっ」
 頭の中に積み重なっていく考えを、男の舌がかき混ぜてどろどろしたものに変えてしまう。
生まれて初めて与えられた刺激は、ひどく異様なもので、円を描き、舌先でつつき、巻きつき
……とねちっこささえ感じさせる繊細な動きをネフェティアは気持ち悪く感じた。にもかかわ
らず、疼きは強くなる一方で、触られることをいやだとは思わない、もう一人の自分がいるこ
とに気がついた。
「ん、く……っ、やめて……」
 それを追い出すように、脂汗を流して苦悶しながら切羽詰った声を出す。心なしか疼きが弱
くなったような気がする。せめて男の舌を気持ち悪く思っていたかった、冷静になって逃げる
機会を窺わなければならない、一国の王女が誰とも知らない男にいいようにされたくはない…
…自分の心の内に力を蓄えようと、ネフェティアは身を固くした。
 もっとも、身体は素直なもので、男がもたらす刺激に、乳頭は次第にこわばりを見せ始め、
つられて周囲も盛り上がりつつあった。
「……もうちょっと素直になったらどうだ?」
 舌なめずりをする男、歪む笑み、上ずる息遣い、蠢く舌、厚い胸板から発散される男臭さ、
全てから目を背けることはできない、低い声でささやきつつ唇でしこり立った先端をついばみ、
ちゅううっと強く吸い上げてくる。なぞり撫でる舌よりも刺激は強く、瞼の裏に火花が飛び
散った。
「んっ、あああん!」
 汚された……温かいぬめりが空気に触れて冷やされていく中でネフェティアはそう考える。
染み一つないまっさらな布に泥がついてしまったみたいに汚れはどんどん広がっていく。こび
りついた泥がどんなに手で拭っても落ちないように、心を閉ざし、何もかもから逃げようと
思っても、唾液を通じて入り込んだ男の欲望を振り払うことはできなかった。
 男は右の乳首を舌で、左の乳首を指先でそれぞれ転がしていた。乳首が取れてしまうのでは、
と思うくらいに引っ張られた次は、形を確かめるように優しくいたわり、そうかと思えば歯を
立ててきて……翻弄されるネフェティアの中にもう一人の自分が再び現れ、気持ちいい……気
持ちいい……と頭の中でささやき続けた。
「はうっ……んあぁ……」
「気持ちよさそうな顔しやがって、姫様も、本当はこうされたかったんじゃないのか?」
 男の言葉で、はっと我に返る。気持ちよさそうな顔をしている……? そんなはずはない、
姫として、誰よりも清らかであろうとした自分が、男の卑劣な行為で快楽を覚えるなどあるは
ずはない。だが、普段の凛とした自分が内側から崩されようとしているのも事実だった。
 
――――――――――――――――――――――――
 ネフェティアの敏感な身体は、男の愛撫によって官能が咲き開こうとしていた。顔を見れば、
昂然としたものが浮かんでいた、瞳には嫌悪の中にも恍惚とした光が見て取れる。しかし、彼
女の厚みのある唇は、怒りに震えており、男にまったく心を許していないのがわかった。
「……せっかくなんだからもっと楽しもうぜ、いいだろ?」
 たわわな乳房を包み捏ね、大きなふくらみの形を歪ませる。乳房の量感に酔いしれながら、
薄桃色の皮膜を親指で弾く。同時に唇での刺激も強くし、ネフェティアに休むことを許さない。
「ん、くっ……人を、呼ぶわ……あなたなんて、刑にしてあげる」
「ふん…………誰かに見られても、いいってことか……構わないぞ、叫んでみろよ」
 できるはずはない、事実、挑発した男にネフェティアは目を伏せ、あっさりと屈してしまっ
た。姫として育てられたからやはり人一倍羞恥心は強いのだろう。食いしばった歯、刺々しい
目が証明していた。どこまでも男を拒もうとする彼女に愛おしさを覚えつつも、付け上がらせ
てならないと軽く手を振りかぶった。

4 :
「ひっ…………!」
 おびえたように首をすくめたネフェティアを地面に跪かせる、そして豊満な乳房の谷間に、
露出させたそそり立つ肉棒を挟み擦らせた。逃げようと身体をばたつかせるネフェティアを木
に押し付けて、ふわふわぷるぷるの大きな乳房を両側から揉み寄せて、むにゅりと肉の狭間に
埋もれさせた。
「んうっ、な、何を……?」
 影を落とした顔に怪訝の色が浮かぶ、これだけ立派な胸をしておきながらどこまでも無垢な
ようで、衝動に駆られた男は果敢に腰を前後させ、濡れたビロードのようにしっとりとすべす
べした乳肌に先走りをなすりつけた。往復運動に合わせてたぷんったぷんっと揺れる乳球が、
男のペニスにぶつかり、硬竿を扱き上げる。
「姫様はパイズリも知らないのか、こんなでかい胸してるくせによ」
 パイズリとは何か、それを説明してやるといわんばかりに寄せられたことで狭まった胸の谷
間を掻き分ける。みっちりと詰まったそこは、汗と鈴口からにじみ出る液体がローションの役
割を果たし、圧迫感の割ににちゃにちゃとした粘っこさと滑りのよさを感じる。
 さらに、乳房を揉みたくる手汗がネフェティアの胸に集まる太陽の光を反射させ、巨大な宝
石を思わせるきらめきを見せた。男はその輝きに魅入られてしまい、頼りなさげな柔らかささ
え見せる肉弾で射精衝動を高め続けた。
「やっ……やめて、いや、ぁ……」
「こんなところで止めようなんて、無理に決まってるだろ?」
 果実を揉みくちゃにする手に自分の手を添えるネフェティア、未知の感覚への恐怖と困惑が
指の一本一本からも伝わった。もちろん男に許す理由などないので軽く流して、迫力たっぷり
に揺れる肉の果実で挟まった竿を押しつぶした。乳房の重さ、柔らかさ、肌の滑らかさ、全て
が一体となり、ペニスと溶け合う。にゅるにゅると不思議な生き物のように手の中でぬめり、
肉刀を包み込んで踊る左右の山は、揉み回されてこなれていき、解れた柔らかさを見せるよう
になっていた。
「はうっ、んあぁ……だめ、だ……め…………ううっ」
 救いを求めるすすり泣きの声は、静かに地面に吸い込まれる。あくまで楚々とした様子のネ
フェティアは、悦楽よりも苦痛を表にまとわせていた。容易に快楽には溺れたりしないと言い
たげで、それが男のサディスティックな気持ちに火をつけてしまう。
「なるほどな、姫様はもっと激しいのが好みってことか」
 乳房の安らかな包み心地に酔いしれ、射精寸前のところまで追い込まれた男は、切っ先を彼
女の口元に押し付け、それを頬張らせた。
「んああっ! やあ、あぁ……く、んっ……むう……」
「舌を使ってきれいに舐めるんだ、いいな」
 噛み付かれる危険性もあったが、頬を軽く叩いてやれば素直なもので、ネフェティアは口を
すぼませながら、舌先でちろちろと鈴口を舐め始めた。肉厚の唇がカリ首に押し当てられ、亀
頭にはつるつるとした内頬や上顎が密着し、たまった唾液が潤滑油となりエラの張った部分が
にゅるにゅるぴちゃぴちゃと擦れ合う。小さな柔舌は出口の周囲をなぞりながらゆっくりと中
央向かって進み始める。初めてにもかかわらずなかなかの舌使いで、男の下腹部に射精寸前の
痺れが襲い掛かった。
「く、……スケベな身体してるだけあってうまいじゃないか」
 両胸をさらに寄せれば、鉄竿の側面と裏筋は体液でぬめり輝く柔らかい乳房に完全に飲み込
まれてしまっていた。
 まだだ、もっとだ……男は念じる。しかし、ネフェティアの舌と唇の動きは思った以上に巧
妙で、ひとりでに前後する腰を止めることもできなくなっていた。渦巻く激情、そしてそれを
見透かしたように翻弄してくる雪白の乳、いくかいくまいか……すれすれのところで悩んでい
たが、男は快楽をむさぼることよりも精を吐き出すことを選び、亀頭を温かく濡れた口内粘膜
へと張り付かせる。
「うっ……出すぞ、受け取れ…………!」
 射精を決めれば後は早い、蠢く精液は堰を切って、我先へと溜め込まれた袋から、発射口へ
と走り出した。男の頭の中が真っ白になるとともに痛みにも近い快楽が、一回の脈動ごとに
次々と迫ってきた。

5 :
――――――――――――――――――――――――
「ん、んーっ……ん、んんっ、んぐ……ぐ、っ……」
 それはあまりにも突然だった。男が低く呻いたかと思うと、穴から生臭くどろっとした液体
がほとばしった。その液体はネフェティアの口の中に容赦なく撒き散らされ、あまりの濃さに
飲み下さないと息苦しささえ覚えてしまった。
「ん、ぅ……っ、ぐ、ん……ふうっ、ああぁ……んんっ」
 飲んだら飲んだで強烈な臭気が鼻から抜け、異常な不快感は吐き気と変わり、危うく吐き出
してしまいそうだった。だが、口は完全にペニスでふさがれており、棒が脈打つたびに、青臭
い何かが吐き出されるので、ただ飲み込むことしかできない。
「ふう、たまんねえ、たまんねえよ姫様……っ! 俺のザーメン飲んでやがる……」
 男の至福の表情とは裏腹に、ネフェティアは必に精液を喉からお腹に運んでいた。それは
作りたてのスープのように熱く、喉が焼けそうだった。お腹の中もかあっと熱を帯び始め、そ
れが勢いよく全身を走りぬけた。
「へ、へへへっ…………こぼさないで飲めよ、わかってるよな」
 歪みきった笑みを浮かべた男は、ようやく満足したようでペニスを引き抜いた。男の言葉に、
ネフェティアはきゅっと口を閉じて、手で押さえたままおぞましい臭いを放つそれを全部飲み
込んだ。たまった液体が無くなっても、口の中で残りカスが糸を引き、たとえようのないまず
さは口の中に残り続けている。
「言っとくけど、これで終わりじゃないからな……」
 これ以上何をさせようというのか……男を逆上させたら何をしてくるかわからない、恐怖心
からか男に従い続けた。しかし、恥じ入る気持ちも拒絶する気持ちもいまだ残り続けている。
丸い頬を撫でる男の手が熱い、指は胸からお腹へと進み、ドレスの裾をまくり始める。頬には
触られたときの感触が残像のように残っていた。
「何を、するの……?」
「どこまでお姫様なんだよ、セックスするに決まってんだろ」
 セックス……本で読んだことがある、男女の子作りの行為。射精のショックでぼんやりとし
ていた身体に意識が戻った。白濁液に覆い隠されていた恥ずかしい、つらい、悲しいという気
持ちが再度噴き上がってきた。
「いやっ……これ以上の侮辱は、許しません……!」
 唇をきつく締めて、ねめつける男の目つきを跳ね返す。ただ、できるのはそれだけで反撃ど
ころか逃げることもできなかった。ドレスの裾は太ももが露になるくらいにまくれ上がり、そ
の奥の三角形の布に、男の視線が突き刺さる。
「パンツも脱いで………へっ、生えてないのかよ」
 男の嘲る笑い、その理由は一本の毛も生えていない自分の秘密の部分にあった。このことは
ごく近くにいる侍女でさえ知らない……強引に心の中を暴かれた気がして、ネフェティアは火
を噴かんばかりに、赤く火照った顔を右に左にねじる。
「あ、ああ……見ないで……」
 長い髪がすべて逆立つような寒気が襲ってきた。抵抗しようと細い喉をやっとの思いで動か
す、出たのは糸よりもずっとか細い声だけだったが。そんな思いを全て踏みにじるように男は、
ネフェティアの脚を大きく開いて、くつろげ広げられた肉の唇と、その奥に縮こまっている桃
色の肉に、今にも止まりそうなほどゆっくりとした目線をなぞらせていく。
「すごいな、大人みたいな身体のくせに、こっちは子供かよ……」
 無毛のスリットは、乳首と同じく、むっちりと肉のついた艶やかな身体には不釣合いなほど
に幼さを残していた。野太い指がその部分の周囲を這い回る。柔らかい部分は皮膚が薄いのか、
軽く指が掠めただけでもそこが痺れてしまう。さらに指先が土手をつつき、筋を押し広げて、
ピンク色の肉に直接触れると、さらに痺れは強くなり、触られた後もひくひくと疼き続けてい
た。
「ひうっ……やめ、っ…………んあああっ!」
 弧を描く指が、ネフェティアの全てを知り尽くしたような動きを見せる。筋の周りを這い回
り、浅く潜った指が入り口を優しくかき混ぜる……解れてきたところで、今度は人差し指が3
分の1くらいまで入り込み、閉じた唇肉を拭いはがし始めた。
「やあんっ、やだ、やだぁ……っ、離しなさい、んううっ」
 神の雷が降りてきた、そんな気さえした。一度何も感じなくなり、そのすぐ後に身体がふわ
ふわと浮かんでしまいそうな、すーっと落ちていくような不思議な感覚だった。

6 :
 気持ちいいでしょ……ささやきかけるもう一人の自分は、心の中に入り込み、操り糸で自分
を縛る。こみ上げてくる気持ちよさを否定するだけの力は、もうネフェティアには残されてい
ない。だが、自分を律し続けた心は強く、次は羞恥と後ろめたさが全身を取り巻く鎧となった。
 こんなところで、こんな男に……民も、兵も、侍女も、貴族も、そして父と母も、ネフェ
ティアを高潔な王女であると思っているはずだ、卑しい男に自由に身体を弄ばれ、あまつさえ
官能を引き出されるなどあってはならない……それはに勝る屈辱のはず。全身を熱く火照ら
せながらも、身を焦がす恥じ入りがネフェティアの唯一の救いだった、恥を恥と思える、それ
はまだ自分が自分でいられるということだったから。
――――――――――――――――――――――――
「ちっ…………」
 やはり姫ということで気位が高いのか、ネフェティアが屈する様子は見られない。表情こそ
目尻の下がった情惑的な、色気のにじみ出るものに変化しているが、身をずらしたり、男の手
を振り払おうとしたりと、依然として抵抗は収まらなかった。そこで男はもっと辱めてやろう
と、彼女を立たせたまましゃがみ、つるつるの一本筋に向かって舌を伸ばした。
「ひあっ……だ、めっ! そんなところ……」
「……何が駄目なんだ、こっちのほうがもっと気持ちよくなれるぞ」
 舌の上で蕩けてしまいそうな土手肉の柔らかさ、マシュマロを思わせるふにふにした撫で心
地の外唇を舌でこじ開けると、中にはねっとりととろみを帯びた内唇があった。甘蜜を湛えた
粘膜をかまいたてながら、男は舌を奥へ奥へとくぐらせた。
「あっ、んああっ! や、っ……はあうっ」
 ネフェティアの声は困惑混じりだが、快美を帯びたか、一段と甲高くなった。男は一度舌を
引き戻して、わずかに口を開いた姫の清唇に目をやった。どこか饐えた……だが蜂蜜のように
甘ったるい匂いを放つそこは、密やかなたたずまいで、油を塗りつけた溝からはから小さな顔
肉翅が顔を覗かせており、桃色の美しい蝶と見紛うほどだった。
 蝶が守るのは奥にある穴、やはり処女なのだろうか、肉色の洞窟はぴったりと閉じて侵入者
を拒んでいた。
「やっぱり経験はないのか……姫様のエロい身体なら100本くらいチンポくわえ込んでても不
思議じゃないんだけどな」
 目を上にやると、先の丸まった突起が狭間から頭を出していた。薄皮に包まれたそこを一撫
ですると、ネフェティアが風を切るような鋭い声を発した。割れ目が花びらなら、クリトリス
はさしずめ花の種で、軽く触れただけでも今にも芽吹かんばかりに硬く膨らみ始めた。
「さてと……今度は、姫様をたっぷりと気持ちよくしてやるからな」
 男は再び顔を近づけて、可憐な様相を見せるローズピンクの生肉に唇を押し付け、ずずずっ
と音を立てて蜜をすすった。ネフェティアの粘膜フリルは、一定の間隔で息づきながらぬちゃ
ぬちゃと粘っこい蜜を溢れさせている。
 決して枯れることのない泉……その水は甘くわずかにねとついている、男は強く吸い付いた
まま自分の渇きを潤し続けた。
「ん、あっ……う、ああぁ……やめて、こんな、あああん」
 ネフェティアの花唇を封じたまま、男は舌で肉穴の形を探る。膣孔は狭く、粘膜には複雑な
模様が深く刻み込まれていた。波線の集まりは奥に進むごとに縮こまり、ここにペニスを挿入
したらと想像しただけで、射精したばかりにもかかわらず亀頭が天を突く。
「はあっ、ああっ! んんぅっ……絶対に、許さない、んふうあっ」
 舌を伝い粘液が流れ込み、舌裏に溜まる。言葉でどれだけ嫌悪を表しても、身体はあっさり
と反応してしまっている。舌が入り組んだ襞をなぞっただけで、ネフェティアはびくっびくっ
と身体を痙攣させ、男にもたれかかってきた。
 さらに、男はつつましい花弁をさらにほころばせてやろうと、濃い肌色をした秘肉の両畝を
舌で掃き上げつつ、引きつりそうになるくらいまで舌を伸ばし、まだ触れていない膣壁を舐め
上げる。そうしながら、小さな花びらを左右から摘み上げ、引き伸ばしつつ親指と人差し指で
擦り上げた。
「ひゃう、うんんっ! あ、はあぁ…………」
「お、だんだんと感じてきてるんじゃないのか?」
 舌や、指に伝わる柔らかく、熱い感触……触れるたびに潤みは強くなり、清らかな泉はやが
て、熱をたたえた沼のようなぬかるみに変貌した。肉路は淫液を滴らせ、割れ弾けんばかりの
瑞々しさを見せており、舌で軽く押しただけでぬたついた液体がにじみ出てきた。

7 :
 顔を上げると、ネフェティアは目を閉じてふるふると身体を震わせていた。舌で責める前は、
弱弱しいながらも何らかの抵抗をしていたが、今は喘ぎをこぼすだけで、両腕は力なく垂れ下
がり、脚も無防備に開かれていた。ここが押し時だと、男は不規則な襞をなぞるように舌先を
泳がせた。
「あ、んっ……ぅ、あ、はああう……ああんっ!」
 彼女の膣内は思っていた以上に複雑な形をしている。さらに、呼吸のたびに収縮し舌を締め
付けてくる。舌よりずっと太いペニスならより大きな圧力を楽しめるだろう。赤桃肉を舐め
しゃぶりながら、男はいつも以上に逞しく勃起したペニスをなだめるようにさすった。
「クリトリスも硬くなって……蓋を開ければ姫様も女ってわけか」
 経験のないネフェティアでも、絶え間ない刺激を浴びることで性感を掘り起こされてしまっ
たようだった。もう一歩踏み込もうと、男は皮をかぶった肉真珠を指で転がしつつ、包皮をめ
くり上げて、隠された桃色の宝石を暴きたてようとした。
 蜜と唾液中でおぼれかかっている小さな尖りを押して、捏ねて、薙ぎ伏せて……こりこりと
した鋭敏な突起を思いのままにいたぶった。そのたびに絹を裂くような、悲鳴に近い声が上
がった。
――――――――――――――――――――――――
 蛞蝓が膣穴を這い進み、花筒は男の唾液に汚されてしまった。気持ちいい……身体を弄ばれ
ることがこんなに気持ちいいなんてまったく知らなかった。しかし、この快楽に溺れるのだけ
は絶対に嫌だった。
「どうだ、いいだろ……?」
 舌が往復すると、頭の中でぐちょぐちょと粘り気のある濡れた音が大きく響く。目を瞑ると
音はますます大きくなり、合わせて響く、風に擦れ合う葉の音は恥ずかしい、はしたない……
と自分を笑っているようにも聞こえた。本当なら、今すぐ男の手を拒み逃げ出すべきなのだろ
う、だが、拒否の言葉さえ口の中に吸い込まれてしまい、何も言うことができなかった。
「…………ん、っ……」
 うねくる舌が生きた洞窟を掘り進み、肉の合わせ目からは唾液と愛液の混じり合ったものが
こぼれ、細い滝となって太もものほうまで垂れている。舐られるほどに高ぶっていく官能、心
の奥底でくすぶったそれが、男を求め、さらなる愛撫を受け入れようとしている。しかし、一
人の女としての開花をどうしても許すことができなかった。
 こんなのは気持ち悪くて恥ずかしいだけ……変わりゆく気持ちを打ち消そうとするが、身も
だえが激しくなる一方で、腰は大きくねじられてくねる。苦痛混じりの声は、悦びそのものの
声に変わろうとしていた。
「本当は気持ちいいんだろ? ここは俺と姫様の二人きりだ……もっと声を出してもいいんだ
ぞ」
 舌は肉筒の作りを確かめるようにはいずりながら、奥へとどんどん進む。刺激に慣れた手前
とは違い、手付かずの部分は新しい気持ちよさを身体の中に送り込んできた。もっと快楽をむ
さぼりたいという思いと、それを浅ましく思う理性が何度もぶつかり合っていた。もっとも、
ぶつかり合うたびに理性は揺さぶられ、今にも消えてしまいそうになっていたが。
 その葛藤を知ってか知らずか、男は三角形に尖ったクリトリスを包み隠す皮を剥き、その部
分を指先で扱き転がし始める。再度神の雷がネフェティアの身体を貫いた。ごく小さな突起か
ら下腹、手足、背中と強烈な快感が走り抜けた。そして、水をいっぱいまで注いだコップから
中身が溢れてしまうような……何かが漏れ出す感覚が全身を包み込んだ。
「はひゃっ! あ、んっ……そこは……ああああっ!」
「いいのか? 姫様のくせにこんなに淫乱で……初めてだったらもっと嫌がれよ」
 男の見下した笑い、なぜ王女である自分にここまで偉そうにできるのか……ただ、心はとも
かく身体は傲慢男に従おうとしているのも事実だった、柔肉の割れ目から、半濁水を滴らせて
いるのがその証拠だろう。
 さらに、男の舌が追い討ちをかける。深くねじ込まれる舌の動きに合わせて、クリトリスを
揉み転がす。気持ちよかった、今すぐ、あられもなく叫んでしまいたいほどに……姫としての
地位がそれを許さなかった。少しでも今置かれている状況から逃げようと、顔をそむけるが、
男の指、舌、呼吸、匂い……全てがネフェティアを吸い寄せて引き付ける。

8 :
「ひゃあん、っ! あひいっ、ああ、んんっ……はあああっ! 違う、違うのぉっ!」
 指の腹が、敏感な突起に巧みな振動を送り続ける。先端の蕾は構い立てられたことで、指を
弾くまでに硬く膨らんでいた。絶え間なく雷を浴び続けた身体は、自分の意思とは関係なく乱
れ、男の顔に割れ目を押し付けるような動きさえしてしまうときもあった。
「……何が違うんだ?」
 舌を引き抜いた男は、指で入り口を浅くかき混ぜると、銀水に濡れた人差し指をネフェティ
アの口の中に押し込んだ。広がる生々しい液体の味……噛み付いてしまえばよかったのだが、
後で何をされるかと思うと怖くなり、男の促すままに指をちゅうちゅうとしゃぶった。
 
「もうわかっただろ? 姫様は知らない男に弄られて感じる変態なんだよ」
「んむ……ぅ、ん、んっ…………」
 違うと言いたかったが、しゃぶっている指が邪魔をする。それでも、首を振って、何とか男
を拒絶しようとした。
「強情だな、何でそんな嘘つくんだ?」
 男の舌が、こんどは桃色の突起に巻きついた。淫口から溢れたぬかるみを身にまとい照り光
る媚粒を、舌で捏ね回し、同時に人差し指が膣孔に侵入する。小さな豆粒は、他のどの部分よ
りも敏感で、舌のざらつきや温かさまで手に取るようにわかってしまった。
「やめて、んああっ……はあ、っ、んんんんっ!」
 反り返ったりくの字に曲がったりして、男の指は襞壁を押し広げる。中の肉にぶつかるたび
に膣内が閉まり、男の太い、節くれ立った指をいっそう強く感じた。
「マンコ触られて、エロい声出して……本当はもっと、ぐちょぐちょになるまでしてほしいん
だろ?」
「やあ、んっ……こんなの、気持ち悪い、だけ……あああんぅっ」
 ネフェティアが途切れ途切れになりながらも叫んだように、心の中は、望みもしないのに恥
ずかしい事をしてくる男に対する拒否感と、異性の前で肌を晒してしまっていることによる羞
恥心でいっぱいだった……少なくとも自分ではそう信じていた。しかし、理性や倫理観がかろ
うじて蓋をしている心の奥底では、もっと指が逞しく猛々しく暴れこんでくることを期待しは
じめてしまっていた。
 そして、性感を引き出されつつある身体は、その蓋にひびを入れようとしていた。あふれ出
んとする浅ましい気持ち……必にそれを押さえつけた、自分の立場を考えろと。
 しかし、男の言う通り素直になってもいいのかもしれない。ここには誰もいない、城から誰
かが来る可能性も無いに等しい……だから、今だけは少し気持ちよくなっても、後で何事も無
かったかのように振舞えば、全てをなかったことにできる。
「あっ…………!」
 ここまで考えたところで、ネフェティアは消え入りたいほどの強烈な自己嫌悪に襲われる。
強引に身体を開かれて、指弄を繰り出し、全てを自分のものにしようとする男を悦んで求めよ
うとしたなんて……恥辱のあまり顔から火が出そうだった。
 その一方で、心の中で膨らむ自己嫌悪や後ろめたさが快楽を引き立てるスパイスになってい
ることにも気がついた。恥ずかしい、気持ち悪いと思えば思うほど、急激に豆粒やクレバスは
敏感になり、身体が浮かび上がりそうになった。それをごまかすように、爪を立てたまま固く
握りこぶしを作る。強い痛みが気持ちよさを忘れさせてくれる気がしたが、押し寄せる大波に、
苦痛は全て洗い流されてしまう。
「……へへっ、そろそろいかせてやるよ」
 男の舌の蠢きはますます大きく、早くなり、割れ口から肉芽まで縦横無尽に動き始める。絡
まった舌とくぐり込んだ指とが合わさってより大きな快楽を生み、ネフェティアを溺れさせる。
「んぁあっ、だめ、だめ……あああん、や、だ、んんうっ……見ないでぇ」
 こんな自分を見たら、みんなはどう思うだろうか……知っている顔が浮かんでは消え、流さ
れそうになるところを、ある者は見下し、そしてある者は嘲り……責め立てる言葉が頭の中で
響いた。ネフェティア自身もわかっていた、これ以上男を受け入れてはいけないと。だが、責
められるほどに身体も心も異常なまでに高ぶってしまう。
「はあ、ああっ、だめ、だめ、だめなのっ、こんなの、はああっ」
 瞬間、全身が浮かび上がりそうになる、瞳の中で大小さまざまな星がきらめき、手足が急に
重たくなり、すっと力が抜けた。

9 :
――――――――――――――――――――――――
「おっと、ここまでだ……」
 ネフェティアの喘ぎが大きくなる。おそらく絶頂を迎える寸前なのだろうが、男はあえて指
を止めた。煮立てた水飴を思わせるとろみと熱は名残惜しく、湯気の立った指は柔肉を食べ足
りないのか小刻みに震えていた。
 名残惜しいのは彼女も同じようで、男の指と秘処を熱っぽい視線のまま交互に見つめている。
本人は絶対に認めないだろうが。
「こ、これで…………?」
「そんなわけないだろ? ここから先はチンポで気持ちよくしてやるよ」
 すでに逸物は猛々しく上を向いている、軽く切っ先を撫でてやれば、待ちきれない様子でび
くりと跳ねる。男は強引にネフェティアを後ろ向きにして、お尻を突き出させる。
 満月のように豊穣な、しかしたるみのない色白のヒップが目の前に差し出される。下方には
亀裂が走り、そこから作りたてのゼリーのようなピンク色の粘膜が少しだけ顔を覗かせていた。
 男は釣鐘状になった重たい乳房を捏ね回しながら、腫れ上がった亀頭を蜜で照り光る入り口
に押し当てる。粘膜同士が触れた瞬間、ペニスをふんわりとしたクリームとトロ肉が包み込ん
だ。
「ひうっ……! な、何を…………?」
 狼狽と恐怖に満ちた声を発したネフェティアを無視し、男はゆっくりと腰を沈める。柔らか
い肉ではあったが、指一本でも窮屈だったそこは、それよりもはるかに太いペニスなど受け入
れられるはずも無く、異物を押し戻そうと強烈な収縮を見せた。
「やめてっ! いやああ、痛い!! あああああっ!」
 膣口すぐの肉が噛み付いてくる、その瞬間、ネフェティアが脂汗を浮かばせながら悲痛な叫
びを上げる。あまり叫ばれて誰かが来てしまうのも都合が悪かった。
「そんなに痛いのは嫌か…………それならいいものがあるぞ」
 あらかじめ用意しておいた、痛みを薄れさせる薬が入った小瓶をちらつかせる。よほど痛
かったのか、それを見せた途端、ネフェティアはふらふらと手を伸ばしてきた。
「……その代わり、俺とキスするんだ、いいな?」
「…………っ! そんなこと、できません……」
「そうか……じゃあしょうがないな」
 入り口に浅く押し込めた肉竿をゆっくりと前後させる。ごくわずかな抽送であっても、ネ
フェティアは首を振り、苦悶の表情を見せる。開いた花唇の奥の、蚯蚓を詰め込んだような襞
の感触に酔いしれながら、男はだんだんと腰の前後運動を大きくしていく。
「わかり、ああんっ……ました、キス、しますから……ぁ」
 顔だけをこちらに向けた彼女の髪を掴んで、強引に唇を奪う。瑞々しい唇、小さな舌、つる
つるとした傷一つない粘膜、ほんのりとわずかに甘い唾液……男が至福に浸る一方で、目の前
の王女は目の前で大事な物を奪われたような、理不尽に押し付けられた絶望に整った顔を歪ま
せていた。その悲痛な表情も被虐のたっぷり乗ったものでしかなく、掬い取った唾液を咀嚼し
ながら、歯の一本一本まで舐め尽してしまう。途中、ネフェティアが息苦しそうに鼻で呼吸し
たり、胸板を何度も叩いてきたが、男は構わずに舌を絡ませ続けた。
 
「初めてが素敵な王子様じゃなくて、残念だったな」
 唇を離すとお互いの舌先が銀色の糸でつながっていた。二人の唾液が絡まりあったそれは、
ネフェティアが顔を大きく背けたところでぷつりと切れてしまう。細い糸の末路を見守りつつ、
男は小瓶を渡した。そして彼女がそれを飲み干したところで、ストロークを再開し、一気に肉
刀を半分ほど鞘に埋め込んでしまった。
「うううっ、あああんっ!」
 気持ちよさはそのままで、苦痛だけを無くしてくれる薬……これのおかげで、ネフェティア
の処女穴を思う存分に亀頭で押し広げ、かき回すことができる。先端を奥まで打ち込むと、突
き出されたお尻がぷるんっと弾み、柔らかい感触が腰に伝わってきた。
「はうぅ、っ……んんっ、んう、あああんっ!」
「なかなかいい具合じゃないか……それに……」
 指や舌で弄繰り回したときとは比べ物にならないほどの圧迫感、しかしただ締め付けてくる
だけではなく、ぴったりと張り付いた柔らかい膣肉が、不規則な蠢動を繰り出し、裏筋からカ
リ首までうねうねと揉み捏ねてくる。今にも溶け崩れそうな潤み肉の狭間をほころばせながら、
男は猛然と最奥向かって突き上げを繰り返す。
「あ、ああぅっ、だめ、やああん、はあ、う、あああぁ……」

10 :
 自分の恥骨で、相手の恥骨を右に左に擦り上げると、ペニスを挿入する角度も変わり、愛液
に溺れるペニスが押し寄せる襞肉に強く押し付けられる。入り組んで、細かく縮こまった模様
を撹拌すると、肉の壁がせめぎあい、さらに圧力が強まった。
「あんなに嫌がってたのに、ずいぶんと気持ちよさそうじゃないか?」
――――――――――――――――――――――――
 男のあざ笑う声に、自分が夢中になって快楽をむさぼっていたことに気がついてしまう。薬
のおかげで痛みはほとんどない。本で読んだときはんでしまうくらい痛いと聞いていた……
しかし、逆に痛みがないため、膣内は肉棒の気持ちよさに落ちかけ、潤みを吐き出すことでさ
らに先端を奥に導こうとしていた。
「違う、ん、嫌、ぁ……嫌、なのに……っ」
 ネフェティアは、唇を捧げてまで痛みから逃れようとしたことを今更ながら後悔した。仮に、
身体を引き裂かれるほどに痛かったら、男を憎むことも呪うこともできただろう。でも、前後
に這い回り、絡まる襞虫もものともせずに突き進む肉の槍は、ただひたすらに気持ちよさだけ
をネフェティアの身体に教え込み、悦楽を餌に、彼女の身体を意のままに操ろうとしているよ
うだった。
 身体の中で、ペニスを締め付けて歓迎する……こんなに嫌がっているのに、あっさりと憎む
べき相手を喜ばせようとしている、男を心で拒否しようとするほどに、身体は反発し、より大
きな気持ちよさを返してくる。王女としての誇りも、守ってきた純潔も、男は全てを踏みに
じった。
 
 膣内を行き来する太く、固い棒は全てを蹂躙する。しかし、奪うばかりではなかった。蜜溜
まりを泳ぎ、深部まで進もうとする尖端は、愛液を潤滑油としながらも膣壁を擦ることで、ネ
フェティアを法悦の焔で燃え焦がそうとしてくる。
「あ、んっあ……ぁ、はう、んふ……いや、いや……っ」
 舐めるように身体に巻きついた炎は、男と自分を一つに溶け合わせる、浮かんでは落ちて、
軽くなっては重たくなって、熱くなっては冷たくなって、うれしくなっては悲しくなって……
ありとあらゆる感情と感覚の奔流が一つとなって背筋を走り抜けた。一本の束は頭の中で光と
なって降り注ぎ、こんなところで気持ちよくなってはいけない、自分は王女なんだという理性
を塗りつぶし始めた。
「何が嫌だよ、自分から腰振ってるくせに」
 遠くから男の声が聞こえる、そんなはずはない、違う、本当に違うのかな、そうかもしれな
いしそうじゃないかもしれない、もしかしたらそうかも、気持ちいいのかも……感情が置き換
わり、身体だけではなく気持ちの上でも男を受け入れようとしている自分に気づいてしまった。
「っ……あ、ああっ、っはあ……ん、ぅっ…………」
 鳥のさえずり、虫の鳴き声、風に揺れる木々……周りにあるすべてがはしたない、浅ましい
と自分を笑っているようにも感じられた。もっとも、最後の一線を越えてしまった今では、羞
恥はこの上ない快感だった。ネフェティア自身ももうわかっている、男の硬竿を膣孔の奥のほ
うがほしがっているということを。だから、もう何も気にしなくていい、男さえ黙っていれば
誰にも知られずにすむ……だから、ちょっとくらい…………
「っあ、はう、ああんっ! ああ、ああっ、いい、いい……っ!」
 認めれば後は楽だった、全身を凝固させ、背中をぐっとそらし、肉を分け進む亀頭に手付か
ずの奥を擦らせた。息も止まりそうな痺れ、それが収まると今度は甘い疼きが這いずり、頭の
芯にまで響いた。男を受け入れると、あとはただ往復するペニスをむさぼるだけ……おぞまし
さすら感じていた最初のころが嘘のようだった。
 男も、ネフェティアの態度の変化を察したようで、生きた貝のように蠢く穴筒に、屹立を、
ひねりを加えながらゆっくりと胎内にねじ込んでいった。
 
――――――――――――――――――――――――
 分身を包み込むゼリー状の粘膜の心地よさが、屹立だけでなく下半身全体に広がり、下半身
が溶けていきそうだった。それでいて、ぷるぷるとした弾力だけではなく、ふわふわとした肉
のじゅうたんが敷き詰められており、その心地に酔いしれて、つい腰の動きを止めてしまう。
「やっと素直になったな……チンポの味はどうだ?」
「あ、はっ、はあぁ……違うのぉ、今だけ、今だけ…………なんだからぁ!」

11 :
 ネフェティアが振り向く、潤んだ瞳は見開かれているが、その視線は宙をさまよっていた。
子宮へと向かう径は、うねくり、縮こまり、ペニスの行く手を阻もうとしていた。男もそれに
対抗しようと、大きな白桃を思わせる丸尻をわしづかみにして、肌と肌とを密着してより深く
まで剛直を差し込もうとした。
 ネフェティアの膣内は、挿し口の狭まった一輪挿しの花瓶に近い形をしており、入り口に比
べると中の穴は細く、狭隘だった。ここまでは同じだが、底のほうほど口が狭くなっておりよ
り窮屈だった。必然的に摩擦も大きくなるが、結合部どころか、太ももまでよごす花蜜がロー
ションとなり、秘奥まで進んでも、抽送の速度にほとんど変化はなかった。
「ん、はあぁ、んう、あああんっ、だめ、はあ、奥は……っ」
 後ろから手を回し、たっぷりと実って垂れ下がった乳房を揉みつぶさんと掴む。手の中でひ
しゃげる乳房の触り心地が、興奮をより強いものとした。さらに、ネフェティアが手を振り払
おうと身を捩るので、膣壁のくねり具合に変化がもたらされ、男の射精衝動をより強いものと
した。
「奥のほうが気持ちいいぞ……ほら、どうだ?」
 突き刺さったペニスにまとわりつく生きた洞窟、侵入者を飲み込もうとするそれは、襞を張
り付かせるばかりではなく、大小さまざまな粟立ちがカリ首を執拗に扱く。起伏に富んだ穴の
中で肉茎が前後するたびに、ずちゅ、ぐちゅっと粘っこい、生々しい音が周囲に響いた。そし
て、この刺激により泉の水がいっそう溢れ、男のズボンにまで彼女の愛液がべったりと付着し
た。
「あ、あっ、ああん! はあ、あ、う……く、ぅ…………」
 深く、浅くと匂い立つ淫水でぬかるむ快楽の裂け目に突き入れを続けると、ネフェティアの
身体もお返しをしようとしているのか、膣襞の縮まりがいっそう激しいものになり始める。歯
のない口で噛まれているようで、気がつけば収縮と弛緩を繰り返す花壷にペニスはほとんど飲
み込まれてしまっていた。
「……初めてなのに、ここまでくわえ込むなんてな、身体もスケベだと、マンコもスケベにな
るんだな」
「ん、あっ、くううっ……は、あっ、だめ、それ以上、んんっ、進んじゃ……!」
 小さな身体だが肉路は深く、男の長大な竿でも3分の2ほど挿入しただけでは、子宮への入り
口にはたどり着けなかった。狭くなった膣奥はこれでもかとペニスに向かって押し寄せ、あと
少しのところで亀頭を押しとどめようとしてくる。
「嫌なのか? それじゃあ…………」
 からかい半分で竿を戻そうと腰を引いたところで、ネフェティアの声の調子が変わった。高
く喘いでいた声は、わずかに調子が戻り、散り際の花のような悲しみの色を顔に映し出した。
「ふえ、っ……あ、ああぁ…………んんっ!」
 女が叫んだ瞬間、男は肉路がぎゅっと締まるのを感じた。異物を追い出す動きではなく、引
き止める動き……心の移ろいが膣肉の蠕動にも現れているみたいで、最後の扉への径がゆっく
りと開かれ始めた。
「やめてほしくないんだろ? ちゃんと言ったら続けてやるよ」
 今すぐにでも抽送を再開し、奥の肉まで突き上げたかった。だが、ネフェティアに自分から
おねだりをさせたかった。今までずっと偉そうにしてきたであろう王女を自分の足元に跪かせ
たかった。弱弱しく濡れた瞳、わずかに開いた唇を見ているだけで身体中がぞくぞくとしてく
るのがわかる。
「うっ…………」
「まあ、嫌ならいいんだけどな、ここで終わりにするだけだ」
 もちろん終わりにするつもりなどない、だが声を潜めたことでそれを真に受けたのか、向こ
うは今にも何か言いたげに、落ち着かない視線を男に向ける。
「…………っ、して、ください……もっと、奥まで、んんっ」
 しばらくの躊躇の後、聞こえたのは男の望んだ言葉……だがまだ足りない。小さく、ゆっく
りと腰を振って、ペニスをせがむネフェティアを焦らし続ける。

12 :
「惜しいな、いいか……俺の言う通りに言え。牝豚ネフェティアのスケベな濡れマンコに、あ
なた様のおちんちんをぶち込んで、おちんちんがほしくてしょうがない私をいかせてください
……って言ってみろ」
「………………………め、め……牝豚ネフェティアの、ううっ……スケベな、濡れマンコにっ、
あなた様のおちんちんをぶち込んで………………おちんちんがほしくてしょうがない私をいか
せてください」
「……よし、いい子だ……もっと気持ちよくしてやるからな」
 言い切った彼女の顔を見ると、あからさまに恍惚としたものが見て取れた。男は一度ペニス
を引き抜き、ネフェティアの身体を反転させると向かい合った姿勢のまま、細い腰を抱きかか
えて、反り返った肉剣を一気に子宮口まで突き立てた。
 眉をしかめつつも、脱力しきった、陶然とした顔を見せるネフェティア、あんなに嫌がって
いた彼女はもうどこにもおらず、今ここにいるのは快楽に溺れた一匹のメスだった。
「はあ、ああっ…………!」
 湿ったの中を歓喜の声がこだまする。それは、どんな上等な楽器よりも艶やかで可憐な音色
で、こりこりとしたもう一つの扉を亀頭でつつきながら、男は思わず音色に聞き入ってしまう。
最奥の周囲は、カリ首をいたぶるために設えられた粒立ちが並んでおり、最後の入り口を押し
突いた瞬間に、いっせいに起き上がって、鞘に収めた刀身の周りで蠢き、むさぼり、ぞよめき
あい、うねくり始めた。
 一度腰を引いても、極上の快楽を思い出すだけで、砲身は再び膣内に吸い込まれた。男は、
重たそうに弾む乳房の波打ちを眺めながら、大きく深いストロークを何度も続け、翅の折り重
なった壷口から、びっしりと襞を敷き詰めた花鞘、粟立ちがそこら中にある奥処と、満遍なく、
荒々しく、それでいてじっくりとした抜き差しを何度も繰り返す。
「くっ……」
 互いの肌を重ねあうことでもたらされる柔らかさ、そして弾けんばかりに瑞々しい膣肉、常
に上に立とうとしていた男だったが、ネフェティアの淫穴の感触に、気を抜けば射精してしま
いそうなところまで追い詰められていた。
――――――――――――――――――――――――
 ドレスの引っかかった背中を木に押し付けられ、逞しい腕に抱かれ、ネフェティアは一番奥
の閉じた部分に何度も何度も切っ先を突きつけられていた。ここが一番敏感なようで、亀頭が
強く当たると一瞬何も考えられなくなり、頭の中が真っ白になってしまう。自分が溶けてなく
なってしまうのではと思うくらいの強烈な快感だった。
「あっ…………! だめ、そこっ、ああっいいっ……んうっ、はああぁ」
 男の両手が乳首を摘み上げる、揉みつぶすほどに強い力がこもっていたが、おかしくなって
しまいそうな気持ちよさが身体中を駆け巡っていたので、抓られても引っかかれても、気持ち
よくなってしまう。今ならどこを触られても快感の稲妻が身体を貫いてしまうだろう。
「もっとよくなりたいだろ……? そっちは自分で触ってみろ」
 男が示したのは、上向きに尖りを見せたクリトリス。言われるがままに瑪瑙の輝きを放つそ
こを摘んでみると、ペニスの出し入れとはまた違った快楽が背筋を走った。鋭い何かが身体に
突き刺さる、もう何がなんだか、自分でもよくわからなくなっている。さまざまな悦楽が一つ
に混じり合い頭をぼんやりとさせる、気持ちいいのかどうかすらもはっきりとしない。
 ただ、身体も、心もそのはっきりとしない何かを求めていた。
「ん、んっ…………んむぅ」
 男の顔が近づいてくる、それをぼんやりと見ていたらいきなり唇を奪われた。だが、ネフェ
ティアも舌を自分から絡みつかせてそれを歓迎する。くっついている部分が多ければ多いほど
もっともっとおかしくなれるのではないかと思ったからだった。
「ん、はうっ、んふ…………ぅ、もっと、はああ…………」
 真っ白な光が頭の中に降り注ぐ、両足は地面にしっかりとついているのに、まったく重さを
感じない、宙に浮いているようだった。生温い波が身体中を包み込む、瞼の裏ではいくつも星
がきらめき、降り注ぎ、打ち上げられ、回転し……さらに星の色は黄色からピンク、そして青
へとさまざまな色に変わった。
「ああ、ああっ、んあああぁ……だめ、おかしい、こんな、ああああっ!!」
 絶頂を知らないネフェティアは、ただ戸惑うばかりだった。わかるのは、身体ごと闇の中に
沈んでいく錯覚に陥り、意識が遠のいていくことだけだった。

13 :
「っく、いくぞ…………!」
 絞り出すような声がした途端、男の前後運動がいきなり止まる。そして亀頭が大きく膨らん
だかと思うと、身体の奥に向かって何かが迸った。びくびくっとペニスが脈打つたびに、子宮
がじわりと熱くなる。この熱が快楽の波に変わり、ネフェティアの身体はオルガスムスに向
かって一気に駆け上がった。
「あっ…………ああああああああっ!!」
 胎内に射精されてしまえばどうなるか、わからないわけではない。しかし、浴びせかけられ
る精液がこの上なく気持ちよくて、不安も全部溶けてなくなっていった。一回の脈動ごとに、
下腹を天に突きあげ、思いきりのけ反りながら火のついたような感泣をあげた。
 躍り上がった身体、飛び散る汗と涎、頭の中で起こる小さな爆発、絶叫の中、ネフェティア
の意識は次第に薄れていった。

――――気を失っていたのはほんの一瞬だったようだ。引き抜かれるペニスと蓋を失って結合
部からどろりと垂れる精液の感触に意識を引き戻された。
「……………………」
「あんなに乱れるなんてな、姫様よりも商売女のほうが向いてるんじゃないのか?」
 絶頂の余韻に浸りながらも、訪れるのは激しい後悔……一時の快楽のために男に屈し、あげ
くその精を身に浴びてしまった。父や母にも、いずれ出会うであろう自分の全てを捧げる相手
にも、顔向けできないことをしてしまった。
「またここに来たら、相手してやるからな……」
 どこかすっきりした様子の男は、精を吐き出せればもう用はないといわんばかりにさっさと
立ち去ってしまった。憎い相手のはずなのに……後ろ姿を見送る目はぼんやりしたものになっ
てしまう。
 もし、またあの男に出会ったら、今度はもっとひどいことをされてしまうかもしれない、次
は城の中にまで忍び込んできて自分を求めるかもしれない……それだけは嫌だという気持ちと、
それでもいいという気持ちが心の中で何度もぶつかり合っている。
「…………そんな……っ、うう……」
 男を憎みきれないことに、自分が一人の女として開花しようとしていることに、ネフェティ
アの目の前は真っ暗になる。ただ、その闇はひどく甘美なものに感じられた。

14 :
以上です。
今後はスレの容量にも気をつけます、すみませんでした。

15 :
>>14
投下乙!!
そしていちおつ!!
読む前に失礼、保管庫の中の人ではないが、流れたら困るので保管庫の過去スレのところに
前スレ保管してみた
これで流れても保管庫に入れられるはず(多分)
あと理由はわからないが現在の保管庫トップ
http://www14.atwiki.jp/princess-ss/pages/1.html
■関連スレ更新分■
古代・中世ファンタジー・オリジナルエロパロスレ5
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1284381359/
世界の神話でエロパロ創世4.5
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1292886555/
◆ファンタジー世界の戦う女(女兵士)総合スレ 7◆
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1292249974/

16 :
>>14さん長編乙、つかエロさ爆発、ネフェティアはMですな。
こんなすごいエロの後に投下します。
前スレ>>467の続き
皇子×スティア
おまけ


「ここが君の部屋?」
「あ……う、うん」
今のボクはものすごい格好だ。俗に言うお姫様抱っこ状態。
驚くのはまだ早い、なんとこの皇子はボクを抱っこしたまま大広間を風が縫うように抜けてきた。
だけど、その間、誰もこちらを見向きもしなかった。陛下も親父も大臣やミーナも。
認識すらされていないと言った方がいいのかもしれない。始めからそこにいない存在。
存在自体が希薄になる魔法は伊達じゃないらしい。
皇子はボクをベッドにすっと下ろすと、カーテンを開けた。
月明かりに照らされ、部屋が少し明るくなった。
「下着だけ先に脱いじゃったし……順番が逆になったね」
確かに……今、スカートの下には何も付けていない。
ボクは手に持った下着を今さらながらに恥ずかしく思った。
「ううう……ぬ、脱ぐ…の?」
人前でドレスを脱ぐのはさすがに抵抗がある。だけど皇子はニコニコしながら
「僕に脱がして欲しい?着たままでもいいよ、すごく興奮するし」
「い、いやだ!いやだ!いやだぁ!自分でする!自分で脱ぐから!向こう向いてよ」
ボクはがぁッと喚き散らして、窓の方向を指した。しかし皇子は言った。
「見たいんだ」
「清々しい顔をして言うな!このスケベ!向こう向けったら向け!向きやがれ!」
「鏡あるかな?それも全身鏡」
「眼を潰してから貸してやるよ」
皇子は渋々、後ろを向いた。ボクも後ろを向いてドレスに手を掛ける。

17 :
スカートとストッキングを脱いで、胸元の紐を解く。
このドレスはおっぱいを寄せあげて根本から搾り出すように締めつけるコルセットがある
ボクはその止め金を外した。解放されたおっぱいがふるんと弾みを付けてこぼれ落ちてくる。
そこそこ育っているおっぱいだが不安げなボクの意思とは裏腹にその先端が
本能的に察しているのかピンと存在を主張している。
スカートを脱いだお尻もなんだかむずむずして、恥ずかしい話だけ……濡れている。
「も、もう…こっち向いてもいいよ…」
ボクはおっぱいとアソコを腕で隠して皇子に言った。が、皇子は後ろを向いたまま言った。
「スティアって着やせするタイプなんだ。スレンダーな身体だなって思っていたけど
お尻の曲線と肉付きがすごく綺麗だし、大きすぎず、かといって小さすぎもせず
後ろから見る君のお尻、とっても魅力的だよ。胸も形が良いし、将来はリンゴくらいに育って欲しいな」
「なっ……ど、どうやって!?」
ボクは手で胸と股間を隠したまま怒鳴った。
「光を屈折させてね……ボクの眼に映るようにした。
真っ暗だとできないけど月明かりくらいの光があればできるんだ」
「そ、そんな…それも魔法!?」
どんだけ御都合主義な魔法なんだ。魔法使いの元祖って生粋のエロジジイなんじゃないのか!?
「これは光学魔法の応用だよ。魔法学校で親友に教えてもらったんだ、
スティア…とっても魅力的な身体だよ。でも、できればストッキングは脱いでほしくなかっ――――――」
ボクは問答無用で殴った。それもグーで。
「裸の君はとてもステキだよ。ストッキングは邪道だね」
皇子は赤くなった頬をしきりに撫でながら言った。どうせ治療魔法でも掛けているんだろう。
ボクの緊張はすっかり解けて、皇子と一緒にベッドに寝そべった。
「…………ティスってさ…すっごく手慣れているような気がするんだけど
ホントに初めてなの?」
「さっき言ったとおり、実戦するのは初めてだよ」
「めちゃくちゃ含みのある言い方だね」
『実戦』は初めてだけど、侍女のお尻で毎日かかさず予習、復習、練習していましたなんてオチじゃないだろうな?
「まぁ…女の子の裸は小さい時、妹と一緒にお風呂はいった時くらいかな?」
「へぇ…妹さんがいるの?」
「ああ……今は臣下の屋敷からお嬢様学校に通っているから城にはいないけど…君に似てお転婆だからね」
「あら、気が合いそうだこと」
ボクはわざとらしく上品な口調で言った。
「じゃあ、もし妹さんがボクみたいに誰かとエッチしていたら、ティス兄様としてはどうする?」
何気ない質問だった。
「それはもちろん」
「もちろん?」
「リュティを汚した身の程知らずの大馬鹿ボケナス野郎の目玉をスプーンでくりぬいて、去勢させたあと、なない程度に切り刻む。
ああ、切る順番は足の指――(中略)―――その後市中引き回しの刑、磔にしてありとあらゆる苦痛を――(中略)――
それで骨になったら鞭で打って永久に生まれないよう黒魔術で処置するんだ」
リュティスは中略部分も含めて10分くらい語った。それも終始、笑顔だった。
………大馬鹿ボケナス野郎は皇子様、あんただよ。このシスコン野郎
「まぁ…それは置いて…僕は長男だし、王位の継承者としてそれなりに勉強しなくちゃならない。将来迎える王妃様を幸せにする為にも。
好きな女性1人幸せにできない王が国民を幸せにできるワケないからね。
となると当然、夜のお勤めも頑張らないと。初夜で王妃に幻滅されるなんてイヤじゃないか。
だから性の勉強も頑張った。どうやったら喜ばせられるか、感じさせられるか、四十八通りの技術はマスターしたつもり。
断っておくけど、勉強はあくまで書物で学んだよ。年頃の女性の肌を見るのも触るのも君が初めて」
「あ…あ、そう…そーなんだ…はは」
優秀な頭脳の持ち主は夜の仕事も熱心ってことらしい。皇子が努力家なのも何となくわかる。
でも、すごく大事な事を言っているような気がするんだけど、なんかそんな気がしない。
「……勉強熱心なのはわかったんだけど…出会ったばかりのボクといきなりって、その勉強の中にもあったの?」
「ないよ」
皇子の答えは実に素っ気なかった。

18 :
「じゃあ、なんで…その…ボクと…」
「君と話してわかった。きっとこのお姫様は『運命の女性』だってね。僕は絶対、君をお嫁さんにして幸せにしてみせる」
「ま、真顔で…そんな……バカ」
ボクは恥ずかしくなって言った、自分でもわかる……たぶん、ボクもリュティスのことが好き……なのかも。
だんだんとその気になっていったボクにリュティスは言った。
「それに君は体力に自信がありそうだから椋鳥(むくどり)や潰し駒掛け、慣れてきたら梃子掛(てこがかり)
とかも出来そうだよね?夜は退屈させないであげる」
「は、はぁ?むくどり…つぶしこまがけ?て、てこ…何だよ、ソレ」
「ん、ああ。セックスの体位の名称だよ。けっこう激しい体位だからもっと慣れてからの方が――――――」
ボクはもっかいグーで殴りました。
「すみませんでした」
……これから人生で一度きりしかないイベントだってのに、なんて緊張感のない情事なんだろう。
夢にみた初体験とはほど遠い気がする。ボクは仰向けになって天井を見た。
(………でも緊張してガチガチになるよりかはいいかも……)
そう、緊張してワケのわからないウチに終わるのも癪だ。皇子の口はアレだけど、努力家のようだし
気持ちよくしてくれる分には悪い気はしない。ボクも年頃の女の子だし、口には出して言えないけど
自慰は週3〜4回の頻度でしている。ボクは……その…結構…エッチなのかもしれない。
そんな事を思っていると皇子が上着を脱いでボクの上になった。
体つきは細いけど、うっすらとみえる筋肉は男のソレ、腹筋も分かれているし、結構鍛えているのかもしれない。
「じ、準備……で、できた?」
「うん…綺麗だよ…スティア」
皇子の唇が耳の敏感なところに落とされる。
「あ………」
「スティア……ゆっくり、優しくしてあげるよ」
皇子はボクのおっぱいの根本をそっと掴んでボクの顔を覗き込んだ。
「あ…ん…そ、そんなこと……」
「ふふ…耳に息を吹きかけるだけでまたピクンピクンってアソコが反応してる…気持ちいい?」
皇子は両手をボクのお尻にまわして後ろからアソコを手でなぞった。
「あ…い、いきなり…そんなトコ」
つつーっと軽くなぞるように愛撫を始める。あ…や、やば…これ…ん
「はっ…あっ…テ、ティス…ちょ…ン」
「どうしたの………切ない声だして」
意地悪く笑いながら皇子は軽くさする動きから、核にあたる突起をクニュと摘んだ。
「あっ!だ、だめ…も、も、やめ」
「もうイッちゃいそう?とっても感度がいいんだね、スティアは自分でするの好きなんだ、」
ボクは皇子の言葉など上の空。
眉を潜めて腰をキュッと引いた瞬間、アソコがピクンと引きつり達してしまった。
「あっ……ぅわ…あ…はっ…んくっ…う、ううっ…」
皇子はピクン…ピクンと引きつる背中にキスして、ボクの潤んだ眼を覗き込んだ。
「泣く程気持ちよかった?」
「…自分以外の指で…達っしちゃうのは屈辱だよ」

19 :
「そうなの?…こんなことされても?」
皇子は背後からボクのおっぱいをふにっと両手で掴んだ。
「あ…ん」
背後からの愛撫。お尻に硬いアレが当たっている、ものすごく熱くビクビク脈動している。
「柔らかい……川でみた時はごめんね…この突起は何かな?」
皇子はおっぱいを下から上へと掬い上げるようにして、先端の乳首をコリコリと摘んだ。
「あっ…あああ、ち、乳首…やめ」
「…どうしたの?おっぱい気持ちいい?」
「う…うう…い、言わせないでよ」
ねっとりと唇を合わせて、舌を絡ませてくる。もうはなすがままだ。
身体の芯が熱くなり、くちゅ…と淫猥な蜜がアソコを濡らしている。
アソコから愛液がとろっと太腿をつたって垂れ落ちてくる。それを感じ取ったのか、皇子が言った。
「スティアの身体…見せてくれる?」
何だって?皇子はボクのお臍の辺りから下をじっと見ていた。
初めて見る女性の身体に驚いているのか、とにかくその眼だけは男のそれ。
何を見たいか…その意を理解したボクはおずおずと言った。
「そ、そんなに見たいの?」
「見たい」
……ボクは見られて感じるタイプじゃないのになぁ…どうかしている。
その……ア、アソコを見せるなんて。
「……綺麗なモノじゃないけど…それでも見たい?」
「君の身体で…綺麗じゃないところなんてないよ」
ボクはリンゴみたいに顔が赤く、紅潮してきた。
自分でもわかる…皇子の言葉に興奮し、発情しているのだ。やばい…でも…身体が火照って……
「ベ…ベッドから降りて……その…ひ、膝立ちで…うん、その体勢の方が…」
「………ゴク」
皇子が生唾をのむ込む音。ボクはベッドに腰掛けての前で少し足を開いて見せた。
「……こ、これが…ボクの………お、女の…ところ」
顔から火が出るくらい恥ずかしいけど…ボクは言った。
あ…今、とろっってすごく濡れてるのに…うう。
「これで満足?」
「スティアの……書物で見たときより…ずっと綺麗だね」
「そ、そんな恥ずかしいこと言うな!」
ボクはかぁと赤くなって思わず声を上げた。
「ご、ごめん……でも、初めて見るのから…つい…ね?」
次の瞬間、皇子はボクのアソコに吸い付いてきた。キスするように啄むような感じから
舌でねっとりと秘裂沿いに舌から上へ、上から下へ。太腿をがっちりとホールドして激しく責めてきた。
「はっ――――――んん!くっ……ふっ!」
最後に一気に核を吸い上げられ、ボクは思わず達してしまった。
ガクガクと腰が揺れて、身体が大きく仰け反り、ベッドに倒れた。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
い、いきなりだけど…ま、また…ううエッチだ…何でこんなに簡単に……
でも気持ちよかった……ボクは心地よい疲労感にゴロリと横にうつ伏せになった。
このまま枕に顔を押しつけて寝たい……そんな事を思っていると、がおそるおそる声を掛けてきた。
「今度はボクの番かな」
皇子がズボンを脱いだ。初めてみる男のア、アレ……あ、あんな大きいサイズなの?
見るのは初めてだけど…あんな大きいのがボクのアソコに?
ドクンドクンと脈打ち、180度の角度で反り返り先端からは少し透明な粘液がこぼれだしていた。
ボクのお尻に欲情でもしたのかしきりにソレを扱いている。
「テ、ティスって………お尻が好きなの?」
「スティアの健康的な太腿とお尻はすごく魅力的だと思う、もちろんおっぱいも」
「……変態……」
「否定はしないよ……いい…スティアの中に入りたい。後ろからいい?」
「う、後ろからは…い、イヤ……ちゃんと前から…して」
い、犬みたいにバックからされるのは何か屈辱的だし、初めては正常位がいい。
「仰せのままに。お姫様♪」
皇子は向き直ったボクの股に身体を割り込ませ、アソコの窪みにあてがう。
先端の半分ほど埋まると恥ずかしい液がいよいよ溢れだした。

20 :
「スティア、大丈夫?…ゆっくりいれるけど、痛かったら言って」
「う、うん…あっ」
「いくよ……くッ」
「あッ………ほ、本当に入って…」
ずるっと皇子のがボクの中に入ってきた。圧倒的な圧迫感にチリチリとボクの脳を焼いていく。
い、痛い……けど、それと同時に痛みとは違う何かが押し寄せてくる。ボクは皇子のアレに圧倒された。
「ああうっ!か、硬い……」
「くっ…んぅ」
身体の中心に熱く溶けた鉄棒を突っ込まれたような感じがする。
十分に濡れていたけど痛い。膣壁を押しかえすようなアレが奥へ奥へと進んでくる。
ボクは目を閉じて、荒い息をつきながら歯を食いしばった。
「あ…あ…スティアのここ…気持ちいいよ」
「あ…痛っ…あ、あんまり…動いちゃ…くっ」
ボクの腰に手を回して腰を進める皇子。
「あ…熱い……スティア、ごめん…ちょっと我慢できそうにない、気持ちよすぎる」
「えっ…あぐっ!?ティス!ちょっと、い、痛い!あ、あんまり激しくっ!!」
ティスはボクの腰を掴み、貪るようにがつがつ突き上げた。
もうたまらないという具合にボクのお尻を鷲掴んで荒々しく腰を打ちつける。
激しい腰使いにボクは声を上げ、シーツを握りしめ大きく喘いだ。
「あっああっ!」
「お、お尻…お尻…柔らかい……スティア…スティア!」
皇子が最奥にズブッと突き刺すように腰をくり出した。
それと同時にぶりゅッと熱い体液が吐き出された。
「あッ、熱っ!…ダ、ダメ!な、中はッ――――――」
「と、止まらない!スティア!」
快楽に震える皇子の苦しそうな顔、あの余裕気なティスの顔からは想像できない顔だ。
しかもボクに密着して、「うっ…うう…」と声を押ししている。
ああ…さ、最悪だ…膣内で出されちゃった………ボクは呆然と天井を見上げていた。
皇子はまだ密着して、腰を動かしている。
「ふッ…ふッ…」と小刻みに息を吐き、腰をボクの股に打ちつけるたびに
びゅる…びゅるる…と精液を射精し続けている。
うう…こんなに大量にぶちまけられたら…あッ…うう…
ようやく出し尽くしたのか、何度か押し込んだ後、名残惜しくずるずるっと
ボクの中から萎えかけたアレを引き抜き始めた。
つぷっと膣口から弾むようにして先端が抜かれた時、ヨーグルトみたいな精子が
ドロッとボクのアソコからこぼれた。
「はァ…はっ……あ」
ボクは荒い息をつきながら気だるく起き上がった。
激しい行為の最中は気付かなかったけど猛烈に暑い。
全身に汗と体液にまみれ、致した後の独特な臭気が鼻をつく。
「テ、ティス……暑いからちょっと離れて……ん…喉が渇いた…」
実際はそれどころじゃないのだけれども思考が霞む。とにかく水、水、水が欲しい。

21 :
「ん…スティア…ん…」
呆けた様な声を出してはまだアレを握ってボクから離れた。
ボクは全裸のまま脱いだ下着や衣服に目を向けベッドから下りた。
水差しはテーブルの上だ。とりあえず床に落ちているシャツを取ろうと屈んだ時
「――――っん」
下腹部からどぷッと精液の塊が太腿を伝って逆流してきた。
ボクは咄嗟に立ち上がって、股に手をやった。
「うわ……さ、最悪…」
次の瞬間、がばっと後ろから抱きつかれ、ボクは反射的に壁に両手をついた。
「テ、ティス!?」
「スティア…ごめん……も、もう一回。君のお尻をみてたらまた催してきて…」
皇子はボクのお尻にぐいっとアレを押しつけた。
「えっ…ちょっと、待っ…ボクはもう、もう限界――――あぐっ」
皇子のアレが再び硬くなり強引に押しこまれ、思いっきり下から突き上げられた。
「あっ…い、いやっ…、ダメ…こ、これ…キツすぎ」
そして始まるピストン運動。ボクの腰を両手で掴み込みパンパンパンと激しく
腰を振り出した。その動きに合わせておっぱいがぷるんぷるんと跳ね回った。
「スティア、スティア…ごめん、こ、こんなにき、気持ちいいなんて…あ、か、加減がきかなくて
あ、も、もう出る…出るよ!」
皇子はボクのおっぱいにぎゅっと指を食い込ませて、膣内で精子をぶちまけた。
「あっあっ…こ、こんなに出されたら――――出されたら」
皇子はまだ背中に密着して、腰を動かしている。射精しながら腰を動かしている。
冗談抜きでも、もう限界だ………あっ…ま、またのアレが射精して……ううっ…この猿めっ!
その後、4回くらい出してようやくボクから離れた。
ボクの股もお尻もドロドロだ。もう汗なのか体液なのか判別もつかない。
ぐったりしたボクはベッドに倒れていた。起き上がるのも気だるく、またその力もない。
「あ…スティア…」
致した後、皇子が下着だけ履いて声をかけてきた。
「何だよ……またお尻とかおっぱいとか言わないでよ……口とか言ったらぶっす」
「そ、そうじゃなくて……そのみ、水を…持ってきたんだけど」
ボクは皇子からコップを受け取り、一気飲みすると皇子が持っていた水差しを奪って
浴びるように飲み、飲み干した。少し元気が出たボクは半身だけ起こして言った。
「……中で出していいなんて言ってないんだけど?」
「気がついたら――――――その、抜けなくなって…ご、ごめん」
「…………この猿」
「………か、返す言葉もないよ。本当にごめん」
「この変態、性欲猿、尻フェチ、腰振り人形、変態!変態!変態!妊娠したらどうするんだよ、このバカッバカッバカッ!」
ちょっと言いすぎたかもしれない。いや、まだ甘い!だってそうだろう?
「で、でも――――――」
「でも?何だよ、何か言いたいの?」
「僕と君の相性はばっちりみたいだし」
ボクはもう問答無用で思いっきり皇子の額に頭突きしてやった。

22 :

その頃、来客用にあてがわれた一室
「ティータ……晩餐会の時、魅了の魔法…使っていたよね?」
椅子に腰掛けた王が秘書官に問いかけた。
「はい……しかしせっかくワンサイズ下のドレスを着ても陛下は見向きもしませんし、
このドレス…キツいので下着を履かなかったんですよ。
大臣や王を引き寄せるのは実に恥辱でした。婦人や同性からは髪の毛を何本差し上げたか…」
「皇子がわがままを言ってすまなかったね」
「始めからこのおつもりだったのですね」
「ん?何がだい、ティータ」
「陛下は元々あの姫君を殿下の后になさるおつもりだったのでしょう?」
今頃、契りを結んでいるだろう二人を思い、秘書官は言った。
「ははは、それは考えすぎだよ。私はそこまで知恵が回らないな」
「………全く、こんなにいい女が側にいるのに…」
「ま、まぁ…君とは政務のパートナーとして…ね?」
「確かに……プリン姉様から『本番禁止』と厳命されていますし、側室を廃されたのは実に残念です」
「ちょ……テ、ティータ…?」
王の目の前でドレスの胸元を広げ、スカートを捲り上げ褐色の尻をむき出しにした女秘書官。
「本番厳禁……つまりは私の生殖器に挿入しなければ問題ないのです。陛下、まず口淫などいかがです?」
そう言ってダークエルフの秘書官は王の股に顔を埋めた。
(あ……ああ、す、すまない。王妃……願わくば愛娘だけは純情で可憐であらんこと――――――うっ)

「へっくしゅ!!」
「姫様?」
「ん〜誰か噂でもしてたのかな…」
ここはリューティルが下宿しているマイスティン家の屋敷。
それも私室としてあてがわれている部屋だった。
「た、体調が優れないのであ、あれば――――――」
「ふふん……じゃあ、私の身も心も温めて欲しいなぁキルシェ?」
リューティルは女子校の制服姿でキルシェの上に跨っている。
「ふふ…パンティー脱いじゃったからこのままでもOKだよ」
「ひ、姫様…い、いけませ――――――」
「また言ってる……ふふ、今日はいつも通っているお嬢様学校の制服コスでしてあげるよ。
ほら…紅いタイに紺のブレザーに赤いスカート…ニーソックスに
伊達メガネなんかも…どう、燃える?燃えるでしょ?ねぇ、キルシェ?」
「うう…ひ、姫様、このような…いけませ――――――」
リューティルは強情な従者にとどめの一撃を食らわせることにした
「あはっ……今日の授業中にね、キルシェのが私のアソコからドロって出てきたんだよ?
ばれなかったけど、私さとーっても恥ずかしかったんだから……ねぇお兄様、リュティに種付けしてくださいませ♪」
「う、うう、うおおおあああっ!」
「きゃっ!?」
「姫様、姫様、姫様ぁ!」
「あん、あん、あん!キルシェ、すごい!あはっ激しいよォ!」
おしまい

23 :
>>16
GJ!
王子、テラスでの会話は良かったのにどうしてこうなったw

24 :
>>16
おつおつ
何度読んでも皇子様は姫様に非童貞であることがばれそうになって
童貞っぽく振舞ってるように見えるw
テラスからお姫様抱っこで連れ出すとこまでの流れは童貞には無理だろ
それはそうと、前の皇女様が海に行く話のとき、皇子様は王様に連れられて
諸外国を訪問中、ってなってたんだな、でも今回の最後で皇女様はは下宿先にいるから
別の訪問の時?

25 :
>>24
はい、別訪問の時でOKです。
次回はリューティルが通うお嬢様学校の話なんかを考え中。
貴族の令嬢やお準姫に値する女生徒とかおもしろそう。
個人的にスピンオフ話が好きなので宿屋の娘のエッジやアリスの
エロ小話など投下先は別ですが書いたりしてます。
機会があれば陛下×女秘書官なども書いてみたいなと思う今日この頃。
今年もよろしくお願いします。

26 :
職人の皆様、投下乙です。
では投下します。
ユゥとメイリン5
※注意事項
やや鬱展開あり、陵辱あり

27 :
薄明かりの中に、淡く浮かび上がる寝顔を見詰めていた。
僕の隣で規則正しい寝息を立てる可愛い女の子、メイリン。
──このまま、朝が来なければいいのに。
何度そう思ったか分からない。
このまま、何もかもを眠らせた、静かな時がいつまでも続けばいいのに。
メイリンが僕の隣にいて、僕だけがメイリンの隣にいて。
囲われた狭い世界の中で、二人だけで生きられたらいいのに。
メイリンの艶のある黒髪をそっと撫でる。絹糸よりも滑らかな髪が、うねるように緩く
編まれていて、その流れにそっと指を沿わせるように撫でる。彼女を起こしたりしないように。
メイリンが、好きだ。
一度自覚してしまえば、その感情はひどく僕の内側を焦がした。
僕らの『クニ』を滅ぼした国の偉い人の娘で、すっごいお姫様で、僕とは生まれも育ちも
まるっきり違う女の子。
でも、優しくしてくれた。
僕の失った故郷の話を、興味深げに聞いてくれた。とても楽しそうに、目をきらきらさせて。
僕の一族のことも、僕の家族のことさえ、気遣っていてくれた。
そして、たくさんのことを教えてくれた。この巨大な国のこと、その周りの国のこと、学問の
こと、交易のこと、武芸のこと、そして、花のこと。
あのひとときを、楽しい──と思ってしまうのは、罪なことだろうか?
僕が話して、メイリンが話して、メイリンが笑って。
いつまでも、いつまでも、そうしていたいと願ってしまう──それは、罪だろうか。故郷の神々と、
同郷の人々に対する。
それでも、知らぬ間に夜は更けて。
その闇の先に、必ず、新しい朝は来てしまうのだった。

     *     *     *
「──メイリンの、護衛?」
「そうだ、おまえもそろそろ、もう少し役立つ仕事をしろ。護衛は二人一組で付くからな。一人が
役立たずでも、何とかなる。」
僕がその話を聞いたのは、夕刻の稽古の時だった。冬も大分深まっていて、日が暮れると、身体を
激しく動かしていてもかなり寒い。それでもユイウ様は帰ってきてからの稽古を欠かしたりはしなかった。
庭に明かりを点して、身を切るような寒さの中、剣を合わせる。どんなに寒くても、相手の動きに
全神経を使い、鋭く飛んでくる一撃を交わしてなんとか防いでいるだけで、終わる頃には全身から
汗が噴き出している。特にユイウ様の剣は鋭くて重くて、守りから攻めに入る動きが滑らかで隙が
なく、一瞬たりとも気の抜けない相手だった。
全身の関節が笑い、喉がひりひりするほどに息を乱している僕とは違って、歩けるようになると同時に
体術を仕込まれ、物心が付くと同時に剣を取ったというユイウ様は、少し汗をかくだけでほとんど
息を乱さない。
刑部でも師範格と対等にやりあう位の腕だと言う話も──勿論メイリンから聞いたのだが──頷ける。
そして最後には次の日の日中にやっておくべき『宿題』、つまり基礎鍛錬が課されて終わる。
メイリンの護衛を務めるという任務も、その『宿題』の一つとして課された。
この邸の護衛を務める人達にも、たまに鍛錬をみて貰ったりしてそれなりに馴染んでいる。そのうち
一人と組んで、明後日の帰りから輪番でメイリンの護衛を務めるという話だ。
「まあ、なにかあっても身を盾にするくらいしか出来ないだろうけどな。むしろメイリンのために、
その身を犠牲にしてね。」
言うこともやることもキツくて容赦のない人だけれど、ユイウ様には──もう一人の兄、スゥフォン様
にも、僕の能力も、努力も、可能性も、冷徹に観察されているのを感じる。そのユイウ様が、二人の護衛の
うちの補佐役とはいえ、大切な妹であるメイリンの護衛を任せてくれるのは、なんだか認められたみたいで
誇らしかった。
だからその日は単純に喜んで、期待と不安の入り混じった気持ちで胸を膨らませていた。新たな任務が、
僕とメイリンの関係を決定的に壊してしまうなんて、思いもせずに。

28 :

     *     *     *
この邸において、『信用される』ということは、意外と重い意味を持っていた。長くここで暮らすほど、
ひしひしとそれを感じる。
この邸の主は皇族であり、奥方自身も政府の高官であるため、入ってくる使用人の身元は非常に厳しく
審査される。逆恨みしたり、何かに利用しようとして強引な手段に出る輩が少なくないらしいのだ。
僕の『クニ』はシン国と戦を交えた小国であり、その点では『信用できない』に限りなく近いわけだが、
その上でメイリンの護衛を任されるというのは、僕がこの邸に入ってからの努力の積み重ねの結果だと、
僕と組んで護衛にあたる古参の護衛士は褒めてくれた。
彼はこの邸に入ってから長く、メイリンのことも小さいときから護っているのだという。
彼に限らず、この邸の使用人たちは皆、誇りを持ってこの邸に仕えていた。かなりの忠誠心を要求される
代わりに、他の貴族の邸に比べて、きめ細かく厚待遇らしいのだ。
僕も、それは感じる。いつもいい扱いを受けているし──メイリンの兄上達の悪口雑言は別として──
メイリンは僕を馬鹿にした態度なんて取ったことはなかった。特に、たまにメイリンの房室で夕食を
一緒に摂ることがあったりすると、メイリンはやたらと僕にいっぱい食べさせようとする。僕らの
『クニ』が長い間飢饉にさいなまれていたせいで、僕はシン国の同年代の青年達と比べても小柄なのだそうだ。
「ユゥはまだ、これから大きくなる。」
そういってメイリンは、自分の分のおかずからもひょいひょいと僕の皿に移してくる。
もちろん、主人格であるメイリンと僕とでは皿に乗っている内容も質も量も初めから差があるのだが。
「有難う。……だけどまさか、自分の嫌いなものを僕にくれてるんじゃないよね?」
そう訊くとメイリンは真っ赤になって反論する。
「ばかな。私は好き嫌いなどせぬ。現に、いま与えているものも、どちらかと言うと好物ばかりだ。」
確かに……というか、ここで出されるものは、どれもこれも美味しいと思う。使用人の食事にさえ、
毎日のように肉か魚の主菜が付き、随分豪華だ。
「じゃあ、姫様が食べればいいのに。姫様だって、成長期なんだし。」
「むぅ……。女子(おなご)はなにかと、大変なのだ。迂闊に好物ばかり食してしまうと、変なとこに贅肉が…」
「別に、ついてないと思うけど。」
僕はメイリンを見た。ほっそりとした顔つき、肩も首も細くて余分な肉などどこにも見当たらない。
「だから苦労しておるのだっ!! 太ったら、すぐに見られてしまうではないか!! ……おまえに。」
「細いし、もっとふっくらしてもいいくらいだと思うけど。」
メイリンは両手のひらをぺとり、と自分の胸にあてて横目でちらと僕を見た。
「……ユゥはもしかして、『ほーまんな美女』とかが好きなのか?」
「『ほーまん』? ああ、豊満? 太ってるってこと?」
「人によっては、ああいうのが『色香がある』とか言うらしいが。」
僕はぴんと来なかった。僕らの一族にはあんまり太った人はいなかったし、こちらに来てからも、
市場を見るための『宿題』として買出しを手伝ったりはしているけど、外でもこの邸でも、メイリンより
綺麗な女の人には会ったことがない。
「それとも実は、ユゥには郷里(さと)の方で密かに言い交わした娘でも、おったかの? 許嫁は、
居なかったと聞いておるが。」
「いないけど、なんで?」
確かに僕の周りにも、親に許嫁を決めてもらう前に自力で約束を取り付けてくるような奴も居るには居た。
でも僕は、それほど器用ではない。
「…なんだかわたしに、つれないではないか。ユゥは、どういう女が好みなのだ?」
「どういう、って……」
容姿は、メイリンほど綺麗な娘は居ないと思う。胸だって、メイリンくらいあれば充分だと思うし、
体型だって凄く綺麗だ。何よりメイリンには緊張感を持って鍛えている人特有のしなやかさがあると
思うんだ。勿論いまのメイリンよりもっと肉付きが良くなってもぜんぜん構わないし、遠慮せず
もっと食べていいと思う。
メイリンがメイリンがメイリンがメイリンが。

29 :

好み、と訊かれてメイリンのことしか思い浮かばない自分に戸惑う。昔はもっと色々…でも、昔のこと
なんて、もう思い出せない。
『ご主人様に対するお世辞』として、ここでメイリンを褒めておくのが普通だと思うけれど、何しろ本当に
本気でメイリンのことしか考えられないので、恥ずかしくて何も言えなくなる。ここでさらっとメイリンを
褒めていい気持ちにさせられるくらい器用なら、それこそ自力で許嫁くらい見つけてこれたかもしれないのだ。
「別に、僕の好みなんて、どうでもいいでしょう……。」
そう言うのがやっとだった。
「じゃあ姫様は、どういう女の人が美人だと思うの。」
憮然として拗ねるメイリンに、逆に質問してみると、途端に胸を張って得意そうに応える。
「ふむ。それは当然、母上様だな。わたしにとって、都で一番の美姫と言えば、母上様だ。」
これはいい質問だったみたいだ。メイリンは滔々と続ける。
「美しくて聡明でお強くて……自分に厳しく、他人には優しい。そして何より、父上様に愛されておる。
母上様はいつもわたしの理想であり、目標でもある。」
両親のことを話すメイリンはいつも誇らしげで、メイリンがそんなにも褒める『母上様』にも、一度くらいは
会ってみたいと思った。──勿論、一刀両断されるのでなければだけど。
それからメイリンは、『母上様』がいかに美しくて素晴らしいかを語り、僕の目論見どおり、さっきの話題は
どこかへ行ってしまった。

     *     *     *
夕刻になってから、メイリンがいつも通る道を辿り、古参の護衛士と共に初めてメイリンを迎えに出る。
この時間に外に出たことはなかったが、大通りはいろんな人でごった返していた。沢山の人、多様な装い、
西や東の遠方から来た様々な荷物。王都であるこの街が、いかに大きく豊かであるか、いかに遠方からの
商人を集める吸引力があるかを物語る。
雑踏の中で、僕はもう一人の護衛士に尋ねた。
「こんなに人が居て、護衛には差し障りないんですか?」
人が居た方がかえって安全なこともある、と低い声で彼は言った。
メイリンの通う『学院』を見るのも初めてだった。そこは堅牢な壁で囲まれた広い建物で、入り口は全て
自前の護衛士が詰めており、ちょっとした宮殿にも見えた。
通行証を見せて中に入ると、よく手入れされた庭園の中に回廊で結ばれた広い建物が続いており、そこに
通う学院生らしき人たちがゆったりとあちこちで迎えを待っていた。
そこでのメイリンを見た気持ちを、どう言えばいいだろう。
きちんと正装したメイリンは、邸でも見ていたけれど、やっぱり外の壮麗な建物の前で見ると、より
映えて見えた。
彼女は建物を取り囲む回廊の階(きざはし)に腰掛けて、楽しそうに笑っていた。
僕の、知らない男と、一緒に。
──『あいつはいずれふさわしい家格の男の元に嫁ぐのだから。』──
ユイウ様にそう言われても、僕はそのときまで何も分かっていなかった。
メイリンに、ふさわしい男。高い教養と、上品な物腰、優雅な振る舞い。僕とは生まれる前から圧倒的に
差のついている、この中華の国の連綿たる伝統と文化を受け継いだ男。その体に流れるのは、この国を
支配する、貴族の血。
メイリンの隣に居たのは、正にそういう男だった。見るからに上質な衣を纏って、二人の周りの空気さえも
違って見える。
それに比べて、僕が着ているのは奴僕の青衣で。彼我のあまりの違いに声も出ない。
そして感じたのは──目の前が真っ赤に染まるような──嫉妬心。


30 :

嫉妬というのは、僕ら桂花の民にとって、忌むべき感情だった。
森の恵みは万人に与えられ、多く取りすぎた者は少ない者に分け与える。体の丈夫な者は、弱い者を
助けてやる。壮健な者は、老いた者を助ける。その助け合いの中で、妬みや嫉みなどの感情は邪魔に
なるだけだ。
病になる者が健康な者を羨んでもどうなるものでもなく、皆それぞれの天命を受け入れて謙虚に生きた。
シン国に来てからも、僕は自分の出自や境遇を恥じたことはなかった。
僕はいろいろなものを失ったけれど、一番大事な故郷の人達すら裏切ったけれど、それもまた、僕に
与えられた天命で、逆らっても仕方ない。与えられたものの中で精一杯に努力してこそ、道は拓ける。
なのに、そのとき僕が感じた感情は、紛れもなく嫉妬だった。羨ましい、妬ましい、あれが欲しい。
彼にあり、僕にないものが。
財力が。家柄が。その血が。メイリンの横に居るために必要な、すべての要素が。
そのとき分かった。僕は今まで、心に蓋をして生きてきたのだ。暗い欲望も、人の持ち物を妬む心も、
こんなにも僕の心の中に──噴き出すほどに、あるじゃないか。

メイリンは、僕の姿を見つけるとぱっと明るい顔になり、手を振った。
でも僕は、いまの顔を見られたくなかった。
身の丈に合わぬ、過ぎた欲望、自らの境遇を僻む気持ち、そして何より、他人の持ち物を妬む心。
黒々とした心を抱える僕はいま、どんな顔をしているのだろうか。
「ユゥっ! 今日の帰りから、ユゥの番なんだね。一緒に帰ろっ!!」
「……当然です。一緒に帰るために、迎えに来たんですから。」
僕は少し俯いて、メイリンの方を直視しないようにしながらぼそぼそと答えた。それでもメイリンは
明るく上機嫌そうに振舞う。その明るさも、いまは少し突き刺さるようだった。
「ねえユゥ、手、つないで。」
「駄目です、なるべく手は開けておかないと。」
僕は下っ端としてメイリンの荷物を持ってあげる。そして教えられたとおりに答える。
メイリンはぷっとふくれた。
「けち。せっかくの初日なのに。」
「姫様、彼は任務中です。あまり煩わされませぬよう。」
もう一人の護衛士がやんわりと嗜める。彼は随分と古参で、メイリンも言うことを訊かざるを
得ないようだ。
「つまんないのっ。」
メイリンはそう言い放つと、ぽてぽてと僕の前を歩き始めた。僕のほうを見ないでくれるのは、
いまだけは助かる。
いろんなことを考えすぎて、頭がずきずきするほどだ。
綺麗な、綺麗なメイリン。
いまの僕には、メイリンを視界に入れることすらおこがましい気がする。そして、メイリンを見る
ほどに、心が暗く澱んでいくのが判る。
こんな感情、知りたくもなかった。

     *     *     *
邸へ帰ってすぐに、「頭痛と吐き気がする、伝染(うつ)してしまってはいけない」と称して使用人部屋の
僕に与えられた寝台に入ってうずくまった。この邸に連れてこられてからいままで、調子を崩したことは
なかったけど、むしろその所為で皆あっさりと信じてくれた。
頭は本当にずきずきと痛んだ。目をつぶると、脳裏に次々と光景が浮かんだ。
花に囲まれた、知らない邸に立つメイリン。そのそばには、知らない男が立っている。多分、今日学院で
見た男に似ている。微笑むメイリン。男もきっと笑って……
そして、抱き合う。
メイリンがいつか彼女に見合う貴族の家に嫁ぐとしても、それは彼女にとっては嫌々従わねばならない
義務のようなもので、僕と一緒に居るときのような輝く笑顔は見せないのだろうと、なぜか勝手に思っていた。
でもきっと──ユイウ様の言うとおり──メイリンは誰にだって優しい。
メイリンに笑いかけられて、優しくされたら、どんな男だって一発で恋に落ちてしまうだろう。
メイリンは幸せになる。きっとどんなところに行っても、幸せになれる女の子だと思う。
僕が、そこにいなくても。

31 :

怒りなのか憤りなのか哀しみなのか悔しさなのかわからない感情が、体の中で息も出来ないくらい暴れていた。
僕は訳のわからない気持ちに突き動かされてしまわないよう。左手の爪を右手の甲に、血が滲むほどに
食い込ませて、じっと耐えていた。
こんな風に考えるのはおかしいと、理性では分かっていた。
僕はただ、メイリンに拾われた奴隷なのに。
自分が何か、メイリンに対して権利を持っているように感じてしまうなんて。
本来なら、嫉妬する権利も、怒る権利もありはしない。
それでも、奴隷の身でも、哀しいほどに、心は自由なのだった。
自由に欲望を持ち、願望を持ち、将来が拓けることを夢見る。一方で、怒り、妬み、憤り、嫉妬する。
僕は自分の感情を息苦しく持て余しながら、むしろこの息苦しさのままにこの命が尽きてしまえばいいのに、
とさえ思っていた。
メイリンを、あの綺麗な身体を、こぼれるような笑みを、夜毎に抱き合ったあのあたたかさを──永遠に
失うとしたら、そのあとどうやって生きていったらいいのかわからない。
僕を支え続けた故郷への道のりのこともそのときは頭の中から消えうせて、ただメイリンのことだけで
一杯になってしまっている。
そして──夢うつつに狭い寝台に転がるうちに、何度も血濡れになった自分の姿を瞼の裏に見た。
足元には血だまりと、倒れている男。上質で仕立ての良い服を纏った、貴族の男。
更にもう一人、さらりとした絹の襦裙、複雑に編み上げられた髪、細い体。その身体が、力なく血だまりに
倒れている。
────メイリンだ。
そのたびに、声にならない悲鳴を上げて目を開く。
決してそんなことはしたくないはずなのに、手の届かないメイリンを永遠に自分のものにしたいと願った
なら……いつか、そうするのかもしれない。あの、いつもくるくると表情を変える、生命力に溢れた女の子を、
僕のこの手で。
でも、そんなことは間違ってる。そんなことでは手に入らない。
だけど、他の誰にも渡さないことは出来る。
相反する感情に引き裂かれながら、何度目かに冷たい汗をかいて飛び起きたとき、すっかり夜は更けていた。
いつもなら、メイリンと二人で居る時間だ。
メイリンに会いたい。
今すぐ会いたい。おかしなことを考えてしまうのも、メイリンがいないせいだ。今日はほんのちょっとしか、
メイリンを見ていない。
我知らず、使用人部屋を飛び出し、駆け出していた。
廊下を歩く使用人達も、控えている衛士達も、僕がメイリンの房室へ向かうのを特に咎め立てする気配は
なかった。
メイリンでさえ、そうだった。
僕が扉の前で訪問を告げると、弾んだ声で自ら扉を開けてくれた。
「ユゥっ?! もういいの? お見舞いに行ったけど、伝染ったらいけないって、入れてもらえなかったの。」
メイリンはいつだって優しい。それに可愛くて、扇情的でさえある。まだ水気を含んだ髪がしっとりと
つややかで、夜の薄明かりの中でメイリンに匂いたつような色気を添えている。
その姿を視界に捉えただけで、僕を支配していた息苦しさがすっと引いて行くのが分かる。
メイリンが、好きだ。心から。
だからこそ、物言わぬ従者として、心のない奴隷として、傍にいるのはもう限界だ。
僕は手を伸ばしてメイリンの首に触れた。
なんて細さなんだろう。鍛えがたい、人の急所の一つ。
脈部を正しく締めれば、数秒で昏倒する。気道を塞げば、に至る。
なのにメイリンは、少し人を信用しすぎだと思うんだ。僕の指がその首の細さを測るように喉元にさえ
伸びているのに、彼女は不思議そうな目で僕を見ているだけ。
とくり、とくり、と僕の指に規則的な脈動が伝わる。メイリンの命の音だ。
そして僕は少し安心する。
まだ僕は、これを止めたいとは思わない。いまは、まだ。いつまでも感じていたいとさえ思う。

32 :

でも、それは叶わない。
だから、メイリンと一緒に居るのは、もう終わりにするべきだ。

すとんと、心が定まった。後から思うと、なぜそのときに、それが唯一の正解だと思ったのか、上手く
説明できない。
ただ、そういう欲望はずっと僕の心の奥に隠れていて、その行為は確かに僕の願望だった、と思う。
初めの夜に、斬首に値すると書面で宣言されたその行為。
「君のことが嫌いだ、メイリン。」
僕が嫌いなのは、僕だ。だから君も、僕を嫌いになってしまえばいい。
彼女は少し息を詰めるようにして、僕の目を見る。
「身分と権力があれば、なんでも思い通りになると思っているの? 人の心でさえも。
僕は、もう君の遊びに付き合うのはうんざりだ。」
言ってから、気付く。僕がどれだけ自ら従っていたのかを。
随分戸惑ったし、振り回されることもあったけど、いつだってメイリンは良い主人で、僕はメイリンの
傍で彼女に従って、幸せだった。
「大っ嫌いだ。」
ひどい言葉を吐くのは、簡単だ。簡単すぎて笑いそうになるくらい。
思っているのと、反対を言えばいい。
「初めからずっと、そう思っていた。僕たちの『クニ』を滅ぼした側の人間のくせに。」
そうか、僕は初めからメイリンが好きだったんだ。ずっと、好きだったんだ。
そして、いまも大好きだ。
僕はじり、とメイリンに詰め寄った。メイリンは哀しげに眉を寄せ、いまにも泣きそうだ。
「優しげな猫なで声を出して、僕らの誇りさえ、根こそぎ奪うつもりか。」
誇りを、差し出したのは僕のほうだ。そしていつの間にか、故郷へ帰ることよりもメイリンと
一緒にいることのほうが心の中で大きくなっていた。
「だからこれは────罰。」
震えるメイリンを抱きかかえるようにして寝台へと運び、なるべく乱暴に放り出すと、その上にのしかかり、
組み伏せた。
「ユゥ? 何を……」
「高貴なお姫様には、いい罰になるだろうね。……下賎の血を、孕むがいい」
必ず僕は罰を受けるだろう。娘を溺愛するという父親が、こんなことをする僕を許すとは思わない。
だけど、ただ、メイリンに僕の傷痕を残したかったのかもしれない。
はじめてを捧げあって、肌を触れ合って、未熟な性への好奇心を共有した。
その大切な時間が、メイリンの従うべき貴族のしきたりの前に塵芥になるのなら、もっと強く、もっと深く、
僕のことを刻みたかった。
そして、誰かに裁かれるなら、メイリンに裁いて欲しかった。
「や…っ、痛い……! こわいよ、ユゥ……!!」
細い腕、華奢で柔らかなメイリンの身体。
男の身体は、こんな風にも女の身体を傷つけてしまえる。
あのメイリンと会った最初の夜、彼女の安全のために、僕に手枷は正しく必要だった。
僕は『クニ』を失った哀れな子供で、メイリンは僕の『クニ』を滅ぼした国のお姫様で。
それでも、時間を遡れたとしても、このちょっと危なっかしくて魅力的なお姫様に、僕はどうしようもなく
心を奪われてしまうのだろう。
「やめ……っ、んん…っ!!」
声を上げれば、すぐに誰かが飛んできて、外側からでも、閂がかかっていても扉をこじ開けるだろう。
僕はほどいた夜着の帯を丸めてメイリンの口に捻じ込んだ。鈴を鳴らすような素敵な声が、くぐもった
悲鳴に変わる。自力で口の異物を外せないよう、両手も拘束して天蓋の柱に括りつけた。
僕の目の前で自由を奪われ、しどけない姿を晒すメイリンは、ひどく魅惑的だった。
このまま無理矢理にでも、どこか遠くへ攫ってしまったら、どうなるだろう?
メイリンだけの力では出られないような深い森に入って、誰にも知られず、ふたりきりで。
獣を狩り、鳥を射て、森の恵みを受けてふたりで暮らす──

33 :

僕はかぶりを振った。僕がこの王都に来ても、故郷をどれだけ大切に思っていたかを考えれば、
メイリンの家族も、育った家も、メイリンが従わねばならない規範でさえも、メイリンを育んだ全てから
切り離してしまうのがどんなに酷いことか分かる。
だから、許して。最後に一度だけ傷つけてしまうことを。
いいや、許さないで、憎んで。一生憎み続けて。
初めから居なかったように、忘れ去られるよりずっといい。
忘れないで、僕を。
そして、君の手で裁いて。
僕は出来るだけ感情をしてメイリンを乱暴に、酷薄に扱った。メイリンが心置きなく僕を憎めるように。
僕はそのとき確かにメイリンを抱いたけれど、いつものように彼女を気持ちよくしてあげる甘い時間では
なかった。
それは、暴力だった。
誰かが異常に気付く前に終えなければならなくて、あまり時間はなくて。
怯えたメイリンはいつものようには濡れず、充分に準備が整わないまま繋がらなければならなかった。
「んっ、んんっ!!」
拘束されたまま僕に貫かれる瞬間、メイリンは身体を捩ってくぐもった悲鳴を上げる。その声にすら、
ゾクゾクとした
仄暗い悦びを感じていた。
僕を痛みと怒りと、嫌悪と憎しみと共に心に刻んでくれればいい。
そしてその憎しみを、ずっと忘れずにいてくれたらいい。
あまり濡れていないメイリンのなかはひどく擦れて、僕も長くは続けられなかった。
──これが、最後なのに。
そう思っても、いずれ終わりのときは来る。僕は湧き上がってきた快感をとうとう押さえきれなくなり、
初めてメイリンの内部に放った。
初めての体内への射精は、ことのほか大きな快感を生んだ。精を放っている間にも、内部の肉襞が波打つ
ように動き、残滓までを吸い尽くすようだった。最後まで受け入れさせた、という実感が、体のすみずみまで
染み渡った。
それは、ひとりよがりの快感だったかもしれないけど。
生涯で最後になるかもしれない余韻をゆっくりと味わってから、メイリンの手首を縛った帯をほどいて
あげる。手が自由になると、メイリンは口に詰められていた帯を自分で取った。
メイリンは、ひどく泣いていた。
メイリンに痛みを与えること、憎まれることを望んでいたはずなのに、その涙は僕の深いところを
突き動かしそうになる。いますぐに彼女の足元にひれ伏して謝り、手を尽くしてその痛みを和らげて
あげたかった。
でも、もうそんなことは出来ないし、許されない。
メイリンを、暴力で陵辱した。泣いているのにも構わず、苦痛を与えた。
あとは、その報いを受けるだけだ。
「ユゥの、ばかっ……。」
メイリンは流れる涙を拭いもせず、夜着の襟をきつく合わせた。
「わたしはまだ妊娠など、許されておらぬのに。たとえ孕んだとしても、堕ろすことになってしまうのに。」
メイリンはその辺に掛けてあった上着を掴むと、ぱたぱたと足音を残して走り去った。
おそらく、だれかしら呼んでくるつもりなのだろう。

34 :

「堕胎、か。そうだよな……。」
これで全て失うのだ。と僕は思った。
無理矢理陵辱したのも、斬首と引き換えにしてでも、彼女の中に自分のかけらを残したかった、という
気持ちがあったんだろう。
僕がんでしまうとしても、メイリンの元に──或いは他のどこかで養育されるとしても──僕の一部が
残り続けるとしたら、んでも悔いはないと思った。
でも、そんな風に上手くいくはずもない。
僕は故郷で裏切り者になり、心の中ですら、故郷を捨ててメイリンで一杯にしてしまった。
そして幼い恋情と破局の予感に耐え切れず、自らそれを壊した。
運良く子供を孕んでいても、堕胎で無に帰される。
あとに残るのは、痛みの記憶と憎しみだけ。
それでも、いつかこの手でメイリン自身を壊してしまうより、僕が全てを失う方が、ずっといい。
「寒い…な。」
僕は膝を抱えて、寝台の端に寄りかかり『誰か』が来るのを待った。
王都の冬は、桂花山よりは幾分かましだが、それでも厳しい。
居室の中でさえ、朝方には手洗い桶の水が凍りつくほどだ。
布団にくるまっていたような薄着で、既に火の気の絶えた房室で、長い間じっとしているのは命取りだと
いうことも知っていた。でも動く気にはなれなかった。
「忘れられた、かな……。」
『誰か』はなかなか来なかった。忘れられることが一番恐かった。何もかも失って、更に忘れ去られること。
行為のあとの熱を失って急速に冷えてゆく手足は、僕の心のようだった。絶望に凍てついて、冷たくなってゆく。
もう何もかも、終わりにしたい。
そう、呼吸をすることさえも。
怖くはなかった。
ねば、桂花の民は誰もが、山に還る──僕らはそう信じていた。
山の神々は、許す神だ。どんな罪人も、穢れも、その深い懐に取り込んで浄化してくれる。
僕も、少し遠回りしたけれど、魂だけになれば、山の神はきっと許して、受け入れてくれるだろう。
ただ、生まれる前の場所に、還るだけだ。
すぐに、眠気がやってきた。山育ちの僕は、その眠気が危険であることは分かっていた。
薄れる意識の中で、ぼんやりと、もしメイリンと僕の立場が逆だったら良かったのになあ、などと考えていた。
僕らの『クニ』は負けてなくて、戦に参加したメイリンは、僕の小隊に捕らえられてしまうとか。
そうしたら、誰にも触らせず、誰にも見せずに、僕だけのものにしてしまうのに。
僕の手に入るものなら、何でもあげる。笑顔を見せてくれるまで、うんと優しくしてあげるんだ。
そして僕の子を産ませて、妻にする。メイリンの産む子どもは、どんなにか可愛いだろう──
そんなことは、ありえないけど。
僕は静かな気持ちで、目を閉じた。
意識は、じきに心地良い闇に取り込まれた。


     ────続く────

35 :
以上です。
次回はまた数日後に来ます。

36 :
愛故の暴走とか大好物です!
注意事項読んで、まさかユゥ以外に…と読むのが怖かったけど安心…したのに
低体温症なんてヤバイじゃないか…
続き楽しみにしてます!


37 :
こりゃまずいだろ。奴隷が姫様に暴行して中にって…
ユゥが処罰されない方法はメイリンが泣き寝入り。
でも孕んでたら……ああ〜気になるぜ

38 :
前回の重い展開に自分でも耐えられないヘタレなので、今回は急いで仕上げてすぐ来ました。
投下します。
ユゥとメイリン6
※注意事項
今回微エロまで。
8レスの予定

39 :

目が覚めて初めに見たのは、見慣れぬ天井だった。
喉がからからに渇いていて、頭がぼうっとする。節々の痛む体を動かして周りを見廻すと、埃の積もった箱、
掃除道具、梯子やそのほかのよく分からない道具類が棚に置かれていた。多分、物置部屋だ。
開いた場所に俄か作りの寝台が設えてあって、そこに寝かされている。
どうして、こんなところに寝ているんだっけ?
考えようとしても、頭が朦朧として考えが上手く纏まらない。
水だ、とにかく、水。
ひどく喉が渇いていて、水が欲しいのに、体が重くて動くこともままならない。
漸く体を起こしたと思ったら、眩暈がして、大きな音を立てて床に倒れこんでしまった。
それでやっと気がついたけど、どうやら熱があるみたいだ。床の高さから見上げる天井が、ゆっくりと
回転して見える。
仕方なく寝台に戻ってから暫くして、大きな足音がしたかと思うと、扉がギッ、と開いて、怒った顔の
鄭(チョウ)おばさんが現れた。
この邸の女中頭で、勿論この邸には長く仕えていて、僕もこまごまと、よくお世話になっている。
おばさんは入るなり、手に持っていた手桶で僕の頭をがつんと殴った。
「ぐっ……」
おばさんの一撃は、頭痛のする僕にはありえないほど響いた。そして、その言葉も。
「このっ!! 悪餓鬼がっっ!! 姫様に、何をした?!」
そうだ、メイリン。
僕はもうメイリンに、憎まれ、嫌われているはずだ。
そのことを思い出して、おばさんに殴られたときよりももっと鋭い痛みが胸に広がる。
ぜいぜいと息をするばかりで声の出せない僕に、おばさんがなみなみと水の入った茶碗を差し出す。
水差しは、何のことはない、物置棚の一角にそっと置かれていた。
それを一気に飲み干してから、居住まいを正して覚悟を決めて答える。
「すべて、姫様の仰った通りです。」
僕はここに、監禁されているのだろうか。斬首までの短い間。
そう思いながら室内を見廻していると、ふいに脳天におばさんの二撃目を喰らってしまった。痛みに
声も出ない。
「姫様が何も仰らなかったから、訊いてるんだよ!! 正直に答えな!!」
おばさんは怒りに震えながら僕を睨みつけた。
「姫様が夜中にあたしの寝床にもぐり込んで来なさるときはね、何かひどくお辛いことがあったときとか、
恐い目に遭いなさったときなんだよ!!
それなのに、姫様は今回に限って、なんでもないと仰る。ところが朝になったらあんたが姫様の寝室で
倒れてるし、姫様の様子からも、あんたが姫様に何かしたってことは、明白なんだ。さあ吐きな!! 
どんな狼藉を働いたんだい?!」
おばさんの剣幕とは裏腹に、僕はまだ熱と痛みでぼうっとしていた。
──庇われた、のだろうか?
僕を罰する気なら、凄く簡単だったはずだ、ただ誰かを呼べばいい。
何故、そうしなかったのだろう?
何故、何も言わなかったのだろう?
出来ることなら、訊いてみたい。

40 :

「あの……それで姫様は、いまどこに?」
「今朝、御発ちになった。」
おばさんは苛々しながら僕をねめつけた。
「あんたね……、自分の周りで起こっていたこと、何も憶えてないのかい。何日寝てたのかも。」
そういえば、体がやたらとだるくて、関節が軋む。寝ていたのは一晩だけ、ではないのだろうか。
「三日だよ、三日!! しかもその間、誰が世話してたと思う?!」
「あ……すみません。お世話になりました。」
僕はてっきり、おばさんが世話をしてくれたのだと思い、お礼を言った。
「違──うっ!! 姫様だよ、姫様!!! お前ごときに、直々に!!!
肺炎まで起こしたあんたをあたし達がこんなところに隔離したにもかかわらず、目覚めるまではと、
かいがいしく世話をなさって夜も昼も離れようとはなさらなかった!!
そして仰ることは、『早く元気になって欲しい』『目が覚めたらわたしと仲直りして欲しい』と来たもんだ!!」
おばさんは、我慢できなくなった様子でまた僕の脳天に手桶を振り下ろした。が、僕は今度は間一髪で避けた。
メイリンが……僕の看病? しかも、『仲直りして欲しい』?
「避けるとは生意気な……こういうときは、殴られときな!!」
「すみません癖になってて……避けないとまた愚図とかゴミとか言われてユイウ様に罰稽古を食らう
ような気がして。」
「安心していい、長公子様も二公子様も旦那様に呼ばれて、とっくに邸を空けていらっしゃる。
姫様だけは、おまえの傍を離れるのを嫌がって出発を延期なさったが、今朝には容態も落ち着いたんで、
御発ちになった。」
「御発ちになった……どこへ?」
「あたし達には、知らされていない。ただ、長旅の用意はしていらした。」
メイリンが……いない? この邸のどこにも? 
僕を、置いていった? 何にも言わずに?
あんなことがあった上に、意識もなく臥せっていたのだからそれも当然なんだろうけど、僕は突然
何もないところに放り出されたような酷い喪失感を感じた。
「置いていくくらいなら……してくれればよかったのに。」 
そう呟いた途端、後頭部にもう一度鋭い一撃を食らった。やばい、また不意打ちで食らってしまった。
おばさん侮りがたし。
「いい若いもんが、命を粗末にするようなことを言うんじゃない!!
あたしはね、あんたを元気にすることと、姫様に平身低頭詫びを入れさせることを請け負ったんだ。舐めた
口きくと、承知しないからね!!」
「だって」
僕はやっとの思いで反論した。
「あの戦場で拾われたときから、僕の命は姫様のものでしょう? そしてそれも、姫様が他の男と結婚でも
すれば、必要なくなる!!」
本来なら、必要とされなくなったときが自由になる好機の筈で、僕はそれを待っていたはずだった。
なのになんで今は、必要とされなくなったときのことを考えるだけでこんなににそうな気持ちになるのか。
おばさんはちょっと呆れた、気の抜けたような声であー、と呟いた。
「…姫様はまだ学生だから、結婚は少なく見積もってもあと二年はないだろ?」
「でも婚約だけなら、すぐにでもあるかもしれない……釣り合う家格の男と。」
おばさんはまあねえ、とか、そういうことか、とか、曖昧な相槌を打った。
「あと二年かそこら、誠心誠意お仕えして、そのあとは放免していただくとか。」
「あと二年も優しくされて、そのあといらないものとして棄てられるよりは、今すぐ終わらせたい。」
おばさんは、もう手桶で殴ろうとはしなかった。代わりに、あんたはまだ乙女心も分からない馬鹿な
餓鬼なんだね、と言った。
「そういう風に思ってるって、姫様か旦那様に、ちゃんと言ったかい?」
「メイリ…じゃなかった、姫様に? とんでもない!! 姫様に直接『勘違いするな』なんて言われたら僕、
んじゃうよ!!」
実際にぬわけじゃなくて、心がにそうに苦しいのに、体はなんともなくてお腹がすいたり眠くなったり、
普通に生きていってしまう、その矛盾がどうしようもなく苦しいのだ。


41 :

「言ってみなよ。」
鄭おばさんは、軽い口調で言った。
「おばさんは、僕が姫様に対して邪まな感情を抱くのは、いけないことだと思わないの。
ユイウ様なら、いつもそう言うよ。『勘違いするな』『身分を弁えろ』って。」
「長公子様は、奥様に似て厳格な方だからね。
だけどあたしとしては、あんなに可憐で気立てが良い姫様に何も言わずに、自分だけで抱え込んだ末に
姫様を泣かせて何かを解決した気になる方が、よっぽどいけないことだと思うよ。
あんたは、そんなに人と上手くやっていくのが苦手な子だったかね? あたしを含めてみんな、あんたの
ことをもっと心根の真っ直ぐな子だと思ってたけどね。」
「……ごめんなさい。」
僕はなんとなく、桂花の民としての振る舞いを避難された気がして、素直に謝った。
「謝るなら、姫様に謝りな。
それに、この邸で最終的に物事をお決めになるのは、旦那様だ。旦那様は、弱い立場のあたし達を
ことさらに苛めたりはなさらない。きっとあんたにも、何かいいようにして下さる。」
敵には容赦がないけどねえ、とおばさんはぼそりと小声で零した。
何かいいようにして下さる、の内容が、他の女を見つけてくれるとかだったら絶対に願い下げなんだけど、
と密かに思う。何をどうしたら好転するというんだろう。
「それに多分、姫様は、今あんたが言ったようなことをお聞かせしたら、喜ばれるだろうね。」
メイリンが喜ぶ──
それを聞いた瞬間、メイリンの花のような笑顔を思い出して、心がぽわっと浮き立つ。
「そんなはず、ないよ。」
きっとあれだ、奴隷の忠誠を喜ぶとか、そういう意味だ。本気で好きとか言っても、困らせるだけだ。
……と必に否定しても、心がなんだか浮かれていくのを止められない。本当にどうかしてる。
「あんたみたいな若造と、あたしみたいな熟女では、どっちが女心が分かるだろうね?」
自信ありげなおばさんを前にして、僕だって短い期間だけど、この邸に来てからは誰よりも長い時間を
共にしてるんだから! と無駄に張り合いそうになる。
「と、に、か、く!! 体をしっかり直すことと、姫様が帰ってきたら、御満足頂けるまで謝ること!
このふたつは、このあたしの年季にかけて、守ってもらうよ!」
鄭おばさんは、この邸での年季は多分一、二を争うくらいなんじゃないだろうか。
僕はこの自称熟女のおばさんにそれ以上逆らっても無駄な気がして、まずは大人しく養生することにした。

     *     *
僕の肺炎が跡形もなく治る頃になっても、メイリンたちは──ユイウ様、スゥフォン様、それから旦那様も含めて、
なかなか帰ってこなかった。
この邸の主人格の人間は、学院があるからと残された末子のシゥウェン様と、時々帰っているという奥様のみ。
ただし、僕はひきつづき奥様の気配すら感じることはなく、主人の気配の希薄なこの邸は、ひどく静かで
寂しそうにさえ見えた。
シゥウェン様は、時々兄上から言付かったという『宿題』を渡しに来た。彼はいつも無口で、必要最低限
しか口を開こうとはしなかった。
僕が彼とまともに口を利いたのは、彼の大切な姉の話をしたときだけだ。
「……出て行けばいいのに。」
僕と比べても少し背の低い少年は、ぽつりとそう言った。
兄上達と比べて、まだ体つきは随分と華奢で、女の子のようですらあった。
「は?」
「メイリンを、泣かせたそうじゃないか。気に入らないことがあるなら、出て行けばいいのに。
今なら誰も、おまえを止めはしない。出て行って、家族の元にでもどこにでも行けよ。」
彼は吐き捨てるように言った。
ここを出て、桂花の民の元に帰る? この邸を抜け出して?
この邸に来たばかりの頃は、想像もつかなかった。だけど今は、地理も分かるし、地図さえ持っている。
関所を通るのは難しいけれど、抜け道があるのも知っている。お金は持っていないけど、その辺で日雇いで
働けばなんとかなるし、出来ないことではなかった。
それでも、僕はかぶりを振る。

42 :
「鄭おばさんと、約束したんです、姫様の帰りを待つって。帰ってきたら、ちゃんと謝るって。
勿論姫様が僕に出て行けというなら、そうします。」
彼はキッと僕を睨んだ。
「メイリンの帰りなんて、待つ必要ない。今すぐ出て行けよ、この山ザル。」
一応悪口を混ぜてみていることは分かるが、根が真面目なのか、ユイウ様ほどの迫力も、スゥフォン様の
ほどのキレもない。ちょっと上げておいて物凄く落すとか、油断させておいて鋭く切り込むとかの技を
全く使わない悪口は稚拙で、微笑ましくさえあった。
「御本人のいないところでは、『姉上』とは呼ばれないんですね、三公子様。」
呼び方のことを指摘すると、彼はさっと顔を赤らめた。僕も本人の前では名前呼びするかどうかにいつも
気をつけているから何となく分かる。多分彼も、他の兄弟の例に漏れず、あの綺麗で魅力的な姉を、
特別に慕っているのだろう。
「おまえみたいな下賎の者が、メイリンに近づくなっ!! 無礼者!!」
彼にしては珍しく声を張り上げ、強い目で僕を見据えて怒鳴りつけると、次の瞬間にはくるりと踵を返し、
真っ直ぐに背中を伸ばしてつかつかと去っていった。
メイリンの弟としての彼の怒りももっともである。
メイリンはいい主人として僕に優しくしてくれたのに、僕は勝手な理屈をつけて、彼女を傷つけたし、
泣かせた。メイリンが庇ってくれた所為で誰も知らないけれど、きっと彼が僕のしたことを本当に知って
いたら、首を刎ねるべき、って言ったんだろうな。
ねえメイリン、どうして僕を庇ったりしたの。
君にとって、僕はなんだった?
まだ本当に、僕と仲直りしたい、なんて思ってくれてるの。
僕はここで、君を待つ。もう一度会ったら、約束通り平べったくなるまで謝るよ。
誰に背いたとしても、僕はもう君だけには背かない。
メイリンが僕に出て行けと言ったら……と、そこでさっき自分が言った事を思い出してにそうな気持ちになる。
うーん、そうしたら……自分の気持ちをとりあえず言ってみよう。出て行きたくないって。

その後もメイリン達はなかなか帰らず、時はゆっくりと過ぎていった。
王都である盛陽は雪深くはなかったが、それでも冬が深まる季節は何度か雪下ろしと雪かきが必要だった。
勿論、いい鍛錬になるとか言って、若い僕は便利にこき使われた。ユイウ様のいない間、僕の稽古の面倒を
見てくれたのは家令であるツァオという男で、邸中の力仕事を経験させてくれてそれはそれで面白かったが、
手合わせのときには、ユイウ様よりはるかに手加減を知らなかった。
ひどく寒い夜には、メイリンがどこかで凍えていないようにと祈った。晴れた暖かい日には、メイリンが
ふと帰ってくるような気がして、何度も門の前を見に出てみたりした。
そして、厳冬の季節を越え、ある日、雪の中で庭の梅の木が、ふっくらした小さな蕾をつけているのに気付く。
もうすぐ冬が、終わるのだ。
雪の中で、寒さに耐えて咲く花。
この邸の誰からも愛されている姫君、梅玲[メイリン]と、同じ名を持つ花。
この邸の南向きの庭には、かなり立派な梅林がある。
──この梅は、結婚なさってすぐの頃、父上が母上の名にちなんで植えさせたのだ。
いつかメイリンが、誇らしげにそう語っていた。
──美しい林であろ? 父上が、木々の手入れにも心を砕かれておるのだ。
  もっとも母上は、恥ずかしがって滅多にここに近寄られたりはせぬのだが。
両親のことを話すメイリンはいつも幸せそうで、くすぐったいくらいだった。
両親にも兄弟にも惜しみなく愛されて、その分周りの人間にもとことん優しく出来る女の子。
誰が、メイリンを好きにならずにいられるだろう。
そう、僕がメイリンを好きで仕方なくたって、ぜんぜんおかしくなんかない。
たとえ、かつては敵同士だったとしても。

43 :

──これだけの梅が一斉に花開くと、なかなか壮観なのだぞ。
  今年は一緒に見られるな、ねぇユゥ、きっと一緒に見よう。
そういって零れるように笑うメイリンは、きっとどんな花よりも美しかった。
ねえメイリン、もうすぐ君の名の花が咲く。
いま君はどこで、この空を見ているの。
逢いたい。
君に逢いたい。
痛いほどに、そう思う。

     *     *
その夜、メイリンの夢を見た。
真っ暗な中に雪がしんしんと降る、寒い夜。
雪明りでぼんやりと明るく見える中、ほっそりとした人影が見える。
ああ、メイリンだ。
近づく前からなぜかそう思う。きっちりと編み上げて左右にひと房ずつ細く垂らした編み髪、
優美な細いうなじ。
僕に気がついて、振り返る。──離れてからずっと、待ち望んでいた瞬間だ。
──……ユゥ……
鈴を鳴らすような声が、僕の名を呼ぶ。もうそれだけで、胸が一杯になってしまう。
彼女の手を取ると、雪の中でその体はまるで氷の塊のように冷え切っていた。
「メイリン?! どうしたのこんなに冷えて!! 早く邸に入って、火を熾してもらって温まらなきゃ!!」
少しでも温めるように、思わず抱きしめる。
僕の腕の中で、メイリンがぽつりと言った。
──ユゥは、わたしのこと、嫌いなの?
その声があまりに儚げで哀しげで、胸をぎゅっとつかまれたような感じがする。やっぱり、メイリンが
哀しそうなのは嫌だ。絶対嫌だ。
「違うんだ、好き。君が好き。好きでそうしようもなかったんだ。
ごめんね、ごめんね、ごめんね──!!」
もう何をどう謝るんだったか忘れてしまった。謝れといったのは誰だっけ。何を謝れと言ったのだっけ──?
言葉が出てこない代わりにぎゅっと抱きしめて、冷えたその体が、少しでも暖まってほしいと思った。
代わりに僕が、氷のようになっても構わない。

44 :

「ふむ。では、許す。」
耳元ではっきりとした、よく通る声がして目が醒める。
えっ? 
ここは間違いなく、使用人部屋の僕の粗末な寝台だ。そして僕の隣にいるのは。
「め、メイリン?! どうして?! まだこれも夢なの?!」
「いま帰った。あまり大声を出すな。せっかく寝た他の者が起きる。」
そう、ここは大部屋だ。周りの寝台には他の下男が寝ていて、決してメイリンが足を踏み入れるような
ところではない。
……っていうか、何でこんな密着してるの。
「言っておくが、わたしがおまえの寝台に潜りこんだ訳ではないぞ。
おまえを起こしにきたら、おまえの方がわたしを強引に引きこんだのだ。」
そう言って身を起こすメイリンは、横になって僅かに乱れてはいたが、まだきっちりとした正装をしていた。
いつもより華やかな、桜色の豪奢な絹の襦裙。細かく編み上げられて簪で飾られた髪。薄く紅を引いた唇。
一瞬、何もかも忘れて見蕩れてしまう。
「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!」
状況がさっぱりつかめないのでとりあえず謝っておく。謝りつつも、ちらちらと久しぶりのメイリンを
盗み見ていた。
ああ、メイリンってこんなにも可愛かっただろうか。勿論初めて見たときからとんでもなく綺麗な女の子
だとは思っていたけど、こんなにも…何というか、匂い立つような、光り輝くような、幻惑するような、
可愛さだっただろうか。
「ここは狭いし、わたしも着替えておらぬから、わたしの寝室へゆくぞ。
まったく、おまえが主人の褥を温めておかぬから、わたしがこんなところまで来る羽目になったではないか。」
メイリンは迷わず先に立って、背中をぴんと伸ばしてすたすたと歩く。
僕の方はといえば、ゆくぞ、と言われたからにはついて行っていいのだろうが、少し自信がなくて
離れたところを歩く。
さっき、許す、と言われただろうか? 何をどこまで許す? そんなに簡単に?
逡巡する僕をメイリンが振り返る。
「どうした? 足元がおぼつかないなら、手を引いてあげようか?」
そんなことはない、廊下にはまだ明かりがぽつぽつ灯っているし、ちゃんと歩けます、と答えようと
したけれど、差し出された手のひらの魅力には勝てなかった。
ほっそりとしてなめらかな手を握ると、その指先ははっとするほど冷たい。
思わず包み込むようにぎゅっと握ると、向こうもぎゅっと握り返してくる。
それだけでもう幸せな気分が満ちて、他には何もいらないとさえ思う。
好き、好き。君が好き。
言葉にできないこの気持ちが、繋いだ手から伝わればいい。
そう思いながら、やわらかな手を握って暗い廊下を歩いた。

45 :

メイリンの房室に着くと、火鉢には火が入っていて、数人の侍女が控えていた。
「おまえ達、こんな夜遅くに起こして、済まなかった。」
メイリンが詫びると、侍女達はにっこり笑って応え、なめらかな動作で主人の髪をほどき、衣を脱がせて
体を拭いたりし始めた。
僕はメイリン付きの従者で、いわゆる『男ではない』扱いなので、こういうときも外に出されたりしない。
男としてのものを要求されるときもあるのに……と納得いかない思いだが、毎回、目のやり場に困って
いいのか眼福に喜んでいいのか迷う。
「今日はもう遅いし、わたしも疲れた…。簡単でいい。
薬酒で体を温めてから眠る……。ユゥ、わたしのお気に入りのやつ、出してきて。」
用事を言いつけられ、この場を離れられることに、ちょっと安心する。
『お気に入りのやつ』というのは、実は薬酒でもなんでもなく、ただの梅酒だ。メイリンの御自慢の梅林で
取れた梅の実を、メイリンのお気に入りの配合で漬けたやつ。毎年甕ひとつ分は自分用に取り置きしているらしい。
梅酒を薬酒の括りに入れるの? と僕が怪訝な顔をするといつも、『梅は古来より不老長寿の妙薬として
珍重されてきたのだぞ!! だからこれは薬酒!!』と、真っ赤な顔で反論して、可愛い。
メイリンとしてはシン国の基準で言えば成人していないので飲酒は禁じられているが、薬酒はその範疇では
ないので可、ということらしい。真面目なんだか不真面目なんだか。
やはりメイリンお気に入りの、模様の付いた細瓶に入った梅酒を隣室の棚から取ってくると、着替えの
終わったメイリンが、目をしょぼしょぼさせながら小卓の脇の椅子に腰掛けていた。
「お湯を持ってきて貰ったから、割って温かいのが飲みたい。ユゥも飲む?」
「お供します、姫様。」
メイリンに酒を勧められたら断らないのが二人の間の小さな約束事だ。断るとメイリンが拗ねるのだ。
僕は深めの杯に梅酒を注いでお湯で割って差し出す。メイリンがいつも飲む、六対四の比率で。
自分用にも同じようにして注いでいると、とろんとした瞳で杯に口をつけながら、メイリンが言った。
「姫様、じゃなくてメイリン、って呼ぶの。」
「はい、メイリン。」
まだ後片付けをしている侍女が傍にいて、決して二人きりというわけではなかったが、僕は迷わずそう呼んだ。
メイリンの言うことなら何でも聞いてあげたかったし、何よりそう呼びたかった。
「はいもだめ。そんなによそよそしい言い方しないで。」
「うん、メイリン。君の言う通りにする。」
後ろで扉の閉まる気配がする。最後の侍女がいまそっと、音を立てないよう出て行った。
「ふふ……ユゥ、今日は素直。」
椅子の背もたれにもたれかかりながら、メイリンは蕩けた表情で笑った。もう酔っているのだろうか。
それとも、単に疲れて眠いから、こんな風に妙に色っぽくなっているのだろうか。
もしそうなら、他の男の前で疲れたり眠くなったりするのは、是非止めて頂きたい。
「仲直り、したいから……。あの、鄭おばさんが、そのほうが姫様が喜ぶって、だから……。」
出て行けとか、この期に及んで言われたらどうしよう、と一抹の不安がよぎる。しかしメイリンの
答えはあっさりしていた。
「ふむ、さっき、許すと言ったのに。それに、月のものも順調に来たし。」
月のもの────。
そのときはじめて、メイリンに僕の子供を宿して貰いたかったんだ、それが一番の望みだったんだ、と気付く。
その目論みはとうに失敗していた。
例え妊娠していても、強制的に堕胎させられるなら、失敗した方が良かったに決まっているが、もし
子供が出来ていたら、メイリンがどうしたのか知りたかった。
怒るのか、泣くのか、少しは悩むのか、それとも──?
「仲直りは……せねばならぬ。これからもっと……いそがしく、なる。ユゥにはてつだって…もらわねば。
なにか……たりぬかの? ……そうだ。」
メイリンのろれつの廻らなくなってきた言葉をぼんやりと聞いていると、突然、メイリンは隣の椅子に
座っていた僕の首に腕を廻し、しなだれかかってきた。何が起こったのかわからず固まっている僕の唇に、
なにか、柔らかいものが触れる。
瞬間、すべての音も気配も弾け飛び、世界は僕とメイリンだけになる。
甘い、甘い世界。他には何もいらない。
君が欲しい、君が。もう全部、僕に頂戴───

46 :

「……ぷはっ!!」
苦しげにメイリンが息継ぎする声で我に返った。つい夢中になって加減を忘れてしまったみたいだ。
「もぉっ、そんなに激しくくちづけたら、息ができないよ。もっと、やさしく……。」
抗議する声も、少し怒ったような表情も、可愛くて愛しくて仕方がない。
僕は、どうかしてしまったんだろうか?
メイリンは、僕の首に腕を廻したまま、僕の膝の上でころんと丸くなった。
「でも、これで仲直りね。もう、眠くなっちゃった。寝台に連れて行って、ユゥ。」
なんだか、メイリンの方も、いつもより甘えたがりになってるような気がする。
言われた通りに細い体を抱えて立ち上がると腕の中のメイリンがぽつりと言った。
「わたしねえ、すっごく大変だったの……。でもすっごく頑張ったの……。だからほめて、思いっきり。」
「頑張ったんだね、メイリン。」
何のことかは分からないけど僕は素直に褒めた。
メイリンは、滅多にこういう自慢はしない。そのメイリンが、自分から大変で頑張ったなんて言うほどなら、
それは本当にそうなのだろう。
「それからぁ。」
急速にろれつの廻らなくなってきた舌で、メイリンはなおも喋ろうとする。
「さっきわたしのこと……、すきって…、いった……。あれ、ほんと?」
「本当だよ。」
「そぉゆうときはぁっ、すきだよメイリン、って、ゆうのぉっ。」
メイリンは身体もくてんとしてきて、瞼も重く、いまにも寝てしまいそうだ。明日になっても、いまの会話を
憶えているかどうか怪しい。
それでもいま、言ってみたかった。
「好きだよ、メイリン。」
メイリンはまるで上等のお菓子を食べたときのようにくふふ、と笑って、言った。
「わたしもよ。」
それからまた、くふふ、と笑う。
ちょっと待って、それってどういう意味なの。
「いっぱい、はなさなきゃいけないことがある……。でももうねむいから、またあした。」
そうっと寝台に下ろしてあげると、メイリンはほとんど寝ているようだった。ただし、僕の袖は離さない。
「きょうはねぇ、よとぎはなし。でもさむいからぁ、ずっとそばにいて、あたためて。
それからぁ、わたしがねむるまで、かみをなでていて。がんばった、ごほうびに。」
一緒にいることを許されて、胸の中に灯がともったようになる。
「君の望むままに、メイリン。」
ほとんど意識を失う寸前まで僕に甘え続けるメイリンを、どうしてこんなに可愛く感じるんだろう。僕が
隣に身を横たえると、小さな子供のように擦り寄ってくる。
寝入りばなを起こされて、ちょっと目が冴えてしまったけれど、今夜はメイリンの寝顔を見ていられれば
もう他は何も望まなかった。
拭いただけの髪からも、冷たさの残る手足からも、旅の匂いがした。
どこをどう旅して、何を頑張ってきたのだろう。
手伝って欲しいことって、なに。君の傍に、僕の居場所はあるの。
好きって、どういう意味。
君にとって、僕はなに。
訊きたい事は山ほどあったけど、触れ合っているうちに、すべてどこかへ溶けてゆく。
何度か髪を撫でているうちに、すうっと、メイリンの息が寝息に変わっていった。
好きだよ、メイリン。
おやすみ。


     ──続く──

47 :
今回の投下はひとまず以上。
また書けたらまた来ます。

48 :
気の効いた言葉を思いつかないので
GJ!!とだけ。
このシリーズ面白すぎる

49 :
GJGJ!
メイリンは本当にかわいいな
何を頑張ったんだろう
シゥウェンのシスコンぶりもさすがっす

50 :
>>47
できるだけ早く帰ってきてね
GJ!

51 :
もうメイリン可愛いすぎ、結婚してくれ

52 :
うは、新春から素晴らしいものを!

53 :
続ききてた〜GJです!!

54 :
メイリンかわいいなぁ! 読み返すとパパママも相変わらずで癒される!

55 :
おねむで子供っぽくなって色々本音が出るメイリンかわいすぎるw
時間的演出がにくいですね。
冬に出立し、梅がつぼみをつける頃までかかる遠出のおしごと。
とするとやはり…。それに、メイリンの父上はあの方ですしw
というか、リアルで梅花咲く季節に投稿来そうな予感

56 :
貧乏で一日の食事もロクに食べられないような青年が偶然に美姫を助けたことで、美姫とその母の未亡人女王の二人に王宮に呼び出され、二人ともとラブラブする話

57 :
>>56
精霊の守り人思い出したな
姫様の周りの従者たちがあっさり激流に飲まれる中、迷わず川に飛び込んで
助け切るくらいの大立ち回りできればそういうこともあるかも試練

58 :
hosyu

59 :
>>57
貧乏ながら誠実で真面目でよく働く青年が、偶然賊に襲われる美少女を発見、救出し、国の然るべき機関に預ける
数日後、青年がいつものように農仕事をしていると、国からの使者が来て有無を言わさず青年を王宮に連れていく
王宮に連れて行かれた青年は、何人もの侍女に風呂に入らされて、汚れを清めた後、見たこともないような服を着せられる
その姿の青年に抱き着いて来る少女がいた。
その少女こそ、数日前に青年が賊より救った美少女で、実はその国の姫だった
少女に連れられて行った先では、贅沢のかぎりを尽くした食事が並べられたテーブルに、妙齢ながら絶世の美女がいた
その美女は、夫たる国王亡き後に独力で国を監理する女王だった
食事の後、眠ってしまった幼姫を寝室に運んだ青年を、女王は誘惑し、交わることに・・・・・
一度で終わらぬ交わりを、目覚めた幼姫は見ていて・・・
みたいなテンプレ話

60 :
もうほとんどできてるやーん
ていうか書いてくださいお願いします

61 :
純白のノースリーブワンピースに素足に赤い靴を履いた9歳のお姫様が隣国の侵略に
遭って目の前で両親を処刑される一部始終を目の当たりにした後に、手錠を掛けられて
市中を引き回しにされて居城の地下牢に監禁し着衣調教する話を書いてみようと思って
るんですが。

62 :
ノースリーブワンピース…ってことは時代はいつくらいの設定?
お姫様がブラジャーやパンティーはいてるなら近代に入ってるから
国際法があって酷いことはされないと思うし、
そんなの関係ないくらい昔なら、コルセットとかドロワーズとかむしろはいてないとかで
お姫様が腕とか脚とか見せるのははしたないと思うな〜

63 :
侵略してきて国王を処刑するような隣国が、王女だけ生かしておく理由がほしいなあ。
中世でも、キリスト教徒同士だったらそう酷いことしないよ。
とっ捕まえて身代金要求が基本で、人質は丁重に扱う。
交渉する気がない異教徒相手の場合は逆に遠慮なくすんじゃないかなあ。
まあこういうリアリティは求めるほうが無粋なのかもしれないけど。
senkaなんてファンタジーもいいところだと思うし

64 :
>>61
侵略→残虐陵辱なら、戦火スレの方がいいかもねー。

65 :
>>61
国王夫妻は射した後に遺体を焼却し、原形を留めない程度に砕いて下水に流して処分する。勿論王女の面前で。

66 :
>>65
なんか相当怨まれてるな。むしろ隣国じゃなくてレジスタンスのイメージ
戦火スレ向きだな

67 :
>>61>>65
0時の鐘の合図で処刑執行(銃)
→遺体の処理(焼却、粉砕、廃棄処分)
→日出から日没まで共に市中引き回し(おおよそ6時〜20時まで)
→全財産及び家名の剥奪、幽閉

68 :
>>62
中国みたいな人権蹂躙国家もあるので設定次第では全然行けるでしょ。
国際人道法に則って保護を求めたお姫様が戦争で亡したことにされて監禁調教とか。
国ぐるみの陰謀隠蔽論なんて別に現代でも珍しくないし。

69 :
流れをきってすみません。投下します。
覇王の孫娘
学園
自慰
前編


私立アイリス女子学院は終戦後創立された女子高等学校である。
旧帝都には古い歴史をもち、伝統と格式を重んじる名門女子校なるお嬢様学校がある。
そこに通うのは大貴族、大財閥のご令嬢に大国のお姫様。
本来なら皇女であるリューティルもそこに通うべきなのだが、
宮廷晩餐会や諸々の行事などで見知り合いが多い。
よって旧帝国の皇女様が通う事になれば、
やれ貢ぎ物だ、やれおべっかだと毎日のようにつきまとわれるだろう。
そういった者達から『皇女様』『皇女様』とちやほやされるのが苦手なリューティルは
『帝都内にあるお嬢様学校だけは絶対イヤ!』と父王に言った。
困り果てた父王は王妃並びに宰相とあれこれと相談した。
その結果、マイステン家からほど近いこの女子学院に通うことになったのだ。
とはいえアイリス女子学院は平民が通う学校ではない。
私立校であるだけに学費、給食費などはかなりの額がかかる。
そこに通う生徒は小貴族や商人の娘、それに裕福な部族の娘等々、
帝都内のお嬢様学校に比べれば、やや見劣りするもののアイリス女子学院も
またお嬢様学校なのである。

70 :
「あ、リッシにレンシェ、おはよう」
リューティルは教室に入ると友人である二人に挨拶した。
「おっはよ、リュティ」
ボーイッシュな少女が言った。本名はアイリッシュ=ヴェルマン
金髪をショートにし、褐色の肌とエメラルドグリーンの瞳をもつ
彼女は西海岸に本社を置く貿易商の社長令嬢だ。
令嬢といっても気さくな性格でリューティルとはすぐに仲良くなった。
「おはようございます。リューティルさん」
微笑んで挨拶を返す少女はファルレンシェ=フォンドリア。
絹糸のような銀髪を肩まで伸ばし、切りそろえている。
いかにもお嬢様な彼女はこの辺りの名士であるフォンドリア家の令嬢。
祖先にハイエルフの血をもち、かなりの美貌をもつ。
この二人は学校の寄宿舎に入っており、部屋も隣室だという。
「あれ、ナージェはまだ来てないの?」
「そうですわね、まだ見えられていないようですが…」
「ナージェはいつも時間ギリギリに来るしね」
ナジェンタ=レッシーナ、もう一人の友人であり紡績会社の社長令嬢だ。
ワーウルフのハーフであり運動神経、能力は抜群だが朝にものすごく弱く、
いつも遅刻ギリギリに来る。アイリッシュやファルレンシェと
違って実家から通っているということも一つの要因なのだろう。
それでも走って何とか間に合うのだから、
ワーウルフの血は伊達ではないということを物語っている。
キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
始業のチャイムが鳴った。チャイムが鳴り終わるまでに教室に
入らなければ遅刻となる。
「ああああっ、間に合ったー!!」
教室のドアが開き、ナジェンタが駆け込んできた。

71 :
珍しくもないが外国がそこまでやるならそれなりの動機は要るよ。
その人権蹂躙国家である中国でもダライ・ラマを害したりはしてないわけで。
外国の侵略なんかよりも革命とかのほうがよほどありえそうだ。
ルイ16世にチャールズ1世にニコライ2世にと枚挙に暇がないし。

72 :
「お、おは…よリュティ、リッシ、レンシェはあはあはあ」
だらだら汗をかき、息も絶え絶えに挨拶するナージェはかなり危ない。
「朝から発情、乙。ナージェ」
アイリッシュがけらけら笑い言った。
「はいはい、朝からそーゆーこと言わないの、リッシ。
おはよ、ナージェ」
「おはようございます、ナジェンタさん」
チャイムが鳴り終わって、担任の教師が入ってきた。
ピシッとした背筋、キリッとしたメガネにさっぱりしたショートカット。
服装の下からでもわかる豊満な乳。名をアクス=アノンと言った。
高い学歴をかわれてこの学園に招かれたのだ。
また武道にも精通しており、特に槍術に長けている。
一度、学園に侵入した盗人をモップの一突きで倒してしまったらしい。
それ以来、かつての勇者軍に所属していた戦士だ!とか、覇王軍の
血騎士団兵だ!などそういった噂が絶えない。
「起立、礼。先生おはようございます」
クラスの委員が号令をかけた。
「おはようございます」
続くクラスの生徒達。
「皆さん、おはようございます。では出席を取る前に……
それはレッシーナさんでいいのかしら、フォンドリアさん?」
アクス教諭は机に突っ伏し、肩で息をしているナージェを指して言った。
「ただ屍のようですわ」
ニッコリとファルレンシェ。
「そう……残念ですね。御親族には最後まで立派だったと伝えましょう」
あちこちでクスクスと笑い声が聞こえる。
「先生、屍じゃないわ……ナジェンタ、生きてます」
息も絶え絶えにナージェが答え、朝のホームルームが始まった。
ホームルームを終えて、ナージェはようやく復活した。
「くっそ、あのメガネおっぱいめ!」
「あははは、いつも遅刻するナージェが悪いんだよ」
アイリッシュが笑って言った。
「レンシェもレンシェだよ。何よ、屍って!あたしはゾンビか!?」
「申し訳ありません。アニマルゾンビですわね」
「そういう意味じゃねぇ!わああっ、リュティ…レンシェがいじめるよォ」
がばっとリューティルに抱きつくナージェ。
「はいはい、よしよし。それからブラはフロントホックだからね
外せないからね、そこんトコよろしくね」
背中に回した手をつねり、リューティルはため息をついた。
「ちぇ、つまんねーの…空気読んでよ、もう」
「いや、だから拗ねても全然可愛いないから」
いつもの4人でのやりとりと共に始業のチャイムがなった。

73 :
午前中の授業を終えて、昼休み。大食堂での昼食だ。
この学園では日替わりでランチが用意される。
生徒たちにとっては普通のランチだが、1食にかかる食費は
平民が通う学校の1年分の学費に相当する。
「今日はコンソメスープにシーフードピラフ、それにマカロニサラダに
紅茶とヨーグルトね」
リューティルが食事がのったトレーを置き、言った。
「シーフードがメインか…私は肉の方がよかったなぁ」
とこれはナージェ。あまりシーフードは好きではないらしい。
「好き嫌いはよくないぜ、ナージェ。好き嫌いしていると
アクス先生みたいにおっぱい大きくならないよ?はぐはぐ……ん、これは
西海岸のアサリとビッククラブの子供ね、ダシが効いていて美味い!」
リッシがピラフをスプーンですくいながら言った。
さすが地元の貿易商家。海産物は好物なようだ。
「そうですわね。好き嫌いなさると栄養が胸部と臀部にいきませんし
お肉ばかりですとふくよかになって大変ですもの。
その点でいえば、リューティルさんは心配ありませんね」
紅茶を手に持ち、微笑むレンシェ。
「そうかなぁ?……平均的だと思うケド」
本人を除く、三人の視線がリューティルの身体に集まる。
「な、何?みんな…そ、そんなに見ないでよ」
「このお嬢様はそんな贅沢なコトをおっしゃるのか……」
とリッシ。
「色白でいらして…」
微笑みながらレンシェ。
「おっぱいもお尻も大きすぎず小さすぎず…」
最後にナージェ。
「い、いやぁ…でもさ…そんなの自分で思って育つものじゃないし…
他のクラスメイトだって理想的な体つきの人いるじゃない」
リューティルは苦笑いしながら言った。その言葉にナージェが噛みついた。
「そうかなぁ…リュティは下級生に『リューティル様、いつもお綺麗です』とか
『お姉様、お慕い申し上げております』『私とお付き合いしてくださいませ』
とか大人気じゃん。私なんて陰で『ワンワン様』とか『雌犬姫』とか呼ばれてるんだよ?」
「それはナージェの言動が原因だろ?まぁそれは置いといて……
私もリュティ…なんていうか…こう、色っぽいというか…
とにかく綺麗なんだよ。うん」
「うん、リュティの乳は私が揉んで育てたのだ、感謝するがよい!」
ナージェが自分の胸に両手をあてて言った。
「ワンワン様はいつもお元気そうで…私もアイリッシュさんの言う通りだと
思います。リューティルさんは本当にお姿が麗しい、少し妬けてしまいます」
「おい、レンシェ、今さらりとワンワン様って言ったよね?」
「さあ、むずかしいことで。わかりかねますわ」
おっとりとした口調でレンシェが返す。
「ははは、まぁまぁナーひゃっ!」
突然、リューティルが声を上げた。
「ん、どうかしたのリュティ?」
アイリッシュが声をかけてきた。
「んん、な、何でもない…ごめん、ごめん」
リューティルはそう言いつつ、密かに
手を動かしスカートの上から股間をなぞった。
(き、昨日の……キルシェのがちょっと出てきた……
や、やばい…後でお手洗いにいかないと……)

74 :

『お嬢様、お帰りなさいませ』
学園からの送迎の馬車が屋敷の前に止まり、リューティルが降りてくると
ティニアとアリアエルが頭を垂れ、迎えた。
「ただいま、ティニー、アリア。出迎えてくれてありがとう」
リューティルはにこっと笑って、メイドを労った。
馬車を見送り、屋敷へ向かう3人。
「鞄をお持ちます、姫様」
「今日の夕食はリューティル様のお好きなパスタでーす」
ワイワイと会話を交わす一行。
「ホント?楽しみ♪鞄はいいよ、自分で持って行くから」
メイドたちに手を振り、リューティルは屋敷の中へと入っていった。
2階へ上がり、自分の部屋に向かう。が、何を思ったかキルシェの部屋の前で
立ち止まり、中へと入った。
「あれ…まだ帰ってきてないのか…」
帰宅した後、いつもキルシェの部屋に立ち寄り、『ただいま』というのだが
私用で出かけているらしい。
「まぁ…いいか、入って待ってるか…」
ちなみにティニアとアリアエルだけは2人の仲を知っている。
机の上においてあった従者の読書用眼鏡をかけベッドへダイブ。
「ひ、姫様!いけません!私のような者と……なんちゃって
ふふ…キルシェのニオイだ……」
俯せになり枕に顔を押しつけ、愛しいニオイを胸一杯に吸い込む。
「ん……何か固いモノがある…何だろ?」
リューティルは枕の下に違和感を感じ、がばっと枕をあげた。
そこにあったのは明らかにソレとわかる表紙の本だった。
それも7冊もあった。タイトルは
『ドMなプレイで楽しむ夜』
『制服ニーソで足コキ罵り』
『デカ・パイ・ズリ!!』
『ねこみみすとニャン』
『アナル』
『野外セックス』
『あなたの雄犬・雌犬首輪でワンワン』
「キ、キルシェ…こんなのが好きだったんだ」
ペラペラと捲っていくといかにも見せつけるような感じで
見事なおっぱいや尻を晒している女性達。
どうやったらこんなアングルで撮れるのか疑わしい写真。
場所は夜の町や森、果ては昼間の公園や野外での写真。
衣装は格好は様々だ。従者の趣向がこんな領域までに及んでいたのかと
リューティルは呆気にとられた。

75 :
「す、すごい……キルシェも何だかんだ言ってノリノリだったんだ。
しかもコレ……」
男が踏まれて嬉々としているシーンが何ページか折られている。
「いつもキルシェは受けだけど…あれだけじゃ満足してないのか……
悪いコトしちゃったなぁ……ん、で、でも…」
リューティルはキョロョキョロと周囲を見回し、カーテンを閉めた。
「……こ、こんなの見てたら……鍵を閉めて…は、早めに終わらせよう…」
顔を赤くしてリューティルは
スカートの裾をめくり上げパンティをむき出しにした。
学校のトイレで何とかふき取ったが、未だに湿り気が取れない。
「ん…でも…いいか…どうせ濡れるだろうし…キルシェの枕…」
くんくんとニオイを嗅ぎながら下着をむき出しにしているのだと思うと
いつもとは違う羞恥が胸を高ぶらせる
指先で濡れた秘部部の筋つーとなぞった、ヒダが熱い体液で濡れ
筋の終着にある小さな泉から懇々と岩清水のように湧き出だしている。
「ん……く…はぁ」
妄想の中ではキルシェの趣向とは異なるプレイで興じていた。
普段ではありえない、そうキルシェの責めだ。
獣のように激しく犯される自身。
いつも女性上位で交わる体位ではなく、正常位で責められる。
場所は部屋ではなく、野外。
草むらでキルシェに組み敷かれ、半裸のままで強引に挿入される。
『い、痛い、痛い!やめて』と泣いても止まらない責め。
その背徳感がさらに自慰の熱を高めた。
下着が水を吸ったように秘部からはくちゅくちゅと粘着音が響く。
指の腹で陰核を押し潰し、摘むようにしてクリクリと転がす。
「くっ……んんん」
声が漏れそうになると枕に顔を埋める。
誰に聞かれるわけでもないのだが、自身の喘ぎ声は恥ずかしいものだ。
が、枕に押しつけた鼻孔からキルシェのニオイに触れた。
くちゅくちゅと陰核の弄りではもどかしくなり、リューティルは直接
秘部へと指を進めた。
「はぁ…はぁ……んっ」
………つぷっという感触と共に熱い膣壁が指を圧迫する。
「はぅン!んっくうう」
たまらず首をのけ反らせてしまい、甲高い甘い声がもれた。
唇を真一文字に引き締め、声を我慢する。
熱い吐息を吐く唇は濡れ、唾液に触れた髪の毛が
何本かべっとりと頬に張り付いていた。

76 :
「はぁ…はぁ…キルシェ…んっキルシェの…」
激しく指を抜き差しすると昂ぶりが上昇気流のようにゾクゾクゾクと
高みへと連れて行く。
妄想の中でキルシェに激しく突かれている。
思うがままに激しく突かれている。いつもの口調ではなく
荒々しく『リュティ!リュティ!出すぞ!私の種を付けしてやる!』と
腰を突き上げ、膣内に大量の体液をぶちまけられる妄想。
「はッ…くぅ、んんんッ!あ、ダ、ダメッ!も、もう!」
リューティルの身体を閃光のような快感が突き抜けていった。
何もない空間にふわりと投げ出されたような浮遊感に、
圧倒的な解放感にとらわれる。
「ん……んッ…」
ピクンピクンと震える身体。荒い息が治まり、大きく息を吐き出す。
けだるい恍惚と秘部を濡らした体液の熱い滑りが自慰の余韻を残していた。
「ん……ふぅ…イッちゃった…」
その時、ガチャリとドアが開いた。
この部屋の主の帰宅だ。

何となく姫様が学園に通っている日常を書きたかったので
書いてみました。あんまり姫様感がなくてすみません。
いつか凌辱モノも書いてみようかな…

77 :
GJ
途中邪魔してすまんかった

78 :
>>76
GJ!!!
姫様がお嬢様に囲まれる日常もイイ!
7冊のエロ本は本人所有か、どっかから来たのかw

79 :
>>78スマソ。>>73の次が抜けていた。以下、>>73の続き
午後のマイステン家
「あーくっそ〜…あのダークエルフめ、皿ぐらいいいじゃん。何十枚もあるんだから!」
屋敷に勤めるメイドのティニアがココアが入ったカップをドンと机の上に置いた。
ここは屋敷に勤める者達の休憩室。
屋敷に勤めるメイドはワーウルフのティニア、アリアエルそれにマムの3人である。
それに専属のコックが2人と庭師の老人が1人。計6名の者が住み込みで働いている。
「お皿は料理を乗せる大事な食器ッスからねぇ…はい、クッキー焼いたッス」
専属コックの1人、ルチアナが言った。こちらは人間の女性である。
白いコック姿で赤い頭髪と首に巻いた赤いスカーフがトレードマークだ。
「あ〜ありがと。ん〜クッキーのいい匂い。ルッチはお菓子作りの天才だな」
「えへへ、それほどでも」
バリバリとチョコチップ入りのクッキーを食べるティニー。
「そういう問題ではありませんよ…はむはむ。ティニー今日で何枚目ですか?」
もう一人のメイドのアリアエルがたしなめるように言った。
「ん〜…今週はまだ5枚目かな?」
指を折って計算するワーウルフ。
「うわ…そんなにッスか?料理乗った皿だったら師匠にぶっ飛ばされるッス」
師匠とはコック長のヴァルカレッジという人間の男性である。
ひょろっとした背の高い青年でいつもニコニコしている。
「あのコック長が怒るのか?迫力なさそうだけど…」
「料理のことに関しては厳格なんッス。マジで怖いです」
ルチアナが腕を組んでうんうんと頷いた。
「全く…1枚、いくらすると思っているのですか、私達の1ヶ月のお給料の
半分はしますよ?」
はぁ…とため息をついてアリアエルはクッキーを摘まんだ。
「あちゃ〜そりゃキルシェ様も怒っても仕方ないッスね」
「それでもさぁ…あーもう!むしゃくしゃするぜ!」
頭を抱えてティニアは呻いた。
「さぁお嬢様がお帰りになる時間ですよ。行きましょう」
「あたしも調理場に戻るッス。お嬢様の食事すんだら今夜の賄食もってまた来るッス」
「期待してるぜルッチ。あ、ティニーごめん。ちょっと先に行ってて」
「ティニー、どこに行くのですか?」
「あら、いやだわ。お花摘みに行くのよ、アリアさん♪」
「お手洗いですか……先に行きますよ」
と、アリアエルが先に行った事を確認するとティニアはとある物を持ち
あろうことか当主であるキルシェの私室に入った。
「ククク……今日はマムの掃除当番だし…マムはキルシェ様にゾッコンだからね…
エロ本見つけた日には…『キルシェ様の変態!幻滅しました』って言って…
ざまァみろって感じだわ」
とブツブツ呟いて購入した数々のアダルテトな本を取り出した。
しかもかなり重度な趣向の本ばかりだ。
「場所は……そうね、妥当なトコで枕の下かな…見つけやすいだろうし」
そう言ってティニアは枕の下に本を重ねるとそそくさと部屋を出て行った。
「……っーかマム、お使い長いな…そろそろ帰って来てもいいのに…
帰り道に迷ったとかじゃねぇだろうな、あはははは」
実際、マムは迷っていた。さして遠くない町での買い物だったハズが
帰り道を間違い、森の中で1夜を明かすことなど、ティニアは知ろう由もなかった。

80 :
連投ですみません>>76の続き
覇王の孫娘
本番


「おかえり、キルシェ」
「はい、ただいま戻りま――姫様!なぜ私の部屋に!?」
キルシェはリューティルが自分の私室にいることに驚いた。
侍女に見られては非常にまずい。
しかしリューティルは気にもかけず言った。
「キルシェ……股を開いてそこに座りなさい」
メガネをくいっと上げて皇女は言った。
「な、何を言っておられるのですか!?」
「座れ」
「は……は…はい」
リューティルの眼力に萎縮し、哀れな従者は力なく座った。
「足が疲れちゃったわ……揉んでくれる?」
「何を仰っておられるのですか!姫様の御足に触れるなど―――」
「昨日の夜は私の足にねっとり絡ませていたクセに」
「あ…あ…あぅ」
昨夜の情事のことを指摘され、キルシェはしぶしぶリューティルの
右足を手に取った。
「あ……んっ…そこ、もうちょっと強く」
「は、はい」
ぐいぐいと力を込めて従者は主君の足を揉む。
ニーソックスに包まれた足、白い太腿、その先には白い下着が覗く。
「どうしたのキルシェ…何か見える?」
わざと見せつけるようにして股を広げる皇女。
「ひ、姫様!一体、な、何を」
「キルシェもこういうの好きでしょ?本当はパンティ履いていない方が
いいんじゃないの?」
リューティルは冷ややかに笑って足を伸ばした。

81 :
「じゃ、こういうのがいい?」
「なっ―――あぐっ!?」
片足をあげてキルシェの股間をぐにゅっと踏みつけた。もちろん加減はしてある。
「ひ、姫様、お、おやめ下さい。私にはこういう趣向はありません」
「ふぅん…そう、皇女である私に嘘ついちゃうんだ」
くにくにと軽く足に力を込め、従者の顔を覗き込むようにして言った。
「踏みつけているのに段々硬くなってきたよ?本当は気持ちイイんでしょ?」
ペニスの先端を足の親指と人差し指ではさみ、ぐにゅっと圧迫した。
「いっ痛!そ、そのような事はご、ございっ…ませ…ぐっ」
「なら今から私の言うとおりにして忠誠を示しなさい」
「な、何を…」
リューティルはスカートの中に手を入れ、濡れたパンティをしゅるっと
抜き取り、スカートを捲り挙げた。
パンティーに覆われていた下腹部がさらけ出され、
キルシェのペニスはますます硬くなった。
「キルシェのオチンチンだけ出してオナニーしながら私のココを舐めなさい」
キルシェに迫ってくる白い下腹部。股から覗く秘裂は先ほどの自慰で十分に濡れていた。
「なっ―――!?」
皇女の命令とはいえ、キルシェの尊厳を著しく損なう命令。
この上ない辱めだった。

82 :
「一体、どうされたのですか姫様!こ、このような淫らなお戯れはおやめになってください」
「私の命令が聞けないの?このエロ従者、ダメチンポ、私のお尻に発情する変態!」
「姫様……ど、どうかお許しを!」
既に泣きが入っているキルシェ。その言葉にゾクゾクきたリューティル。
(もっと苛めないと、ドMなキルシェは詈られて喜ぶみたいだし……
そ、それにコレすごく気持ちいい…やばっ…ハマりそう♪)
勘違い皇女の嗜虐心に火が付いた。
「にゅちゅ…くちゅ…はぁん」
「ん…ふふ、毎日してるだけあって上手いじゃない…んくっ」
命令通りズボンのベルトを緩め、ペニスだけ露出させたキルシェが
リューティルの秘所に舌で奉仕していた。
臍から下腹部へ舌を這わせるとうっすらと茂るリューティルの恥毛。
2枚の秘裂の上端は肉が少し盛り上がり、陰核の存在を伺わせる。
「オナニーの手が止まってるよ…あっ…ちゃんとしてよ…んっ」
「う…はァ…ちゅるじゅる…」
キルシェは片手を伸ばし、起立しているペニスをシュシュと扱きだした。
「ん…キルシェてそういう風にするんだ…あっ…ちょっと感動しちゃうなァ
生のオナニー見られるなんて…んんっあ…ン…イ…あ…ン」
ベッドに腰掛けるリューティルの腰がふるふると震えた。
絶頂に達したのだ。その甘い声にキルシェもまた興奮し、
「……ひ、姫さ…うっ!」
鈴口に手をあて、射精した。びゅるっぴゅっと飛び出す精液。
荒い息をつきながら、虚ろな皇女だったが従者の射精をみると
カッと目を開いて怒鳴った。
「こ、このダメチンポ!誰が射精していいって言ったァ!ああん!」
「そ、そんな…ひ、姫様…の…淫らな姿を…うう」
「私をオカズに?ふふ…本当にどうしょうもない変態ね。いいわ、特別に
許可してあげる……」

83 :
リューティルはベッドから立ち上がると、壁に手をついた。
両手でスカートの裾を腰まで たくし上げると
白くもっちっとした形の良い尻が丸見えになる。
「鞭の後には飴を上げないとしつけにならないし…
さぁ、キルシェの大好きなお尻だよ。
紅いタイに紺のブレザー、赤いスカート…ニーソックスに
おまけの伊達メガネ……
アイリス女子学院の制服を着た私と着衣エッチできる
なんて贅沢だねぇ……キルシェ」
「あ…ひ、姫様…」
「このままバックからして…ね?」
キルシェは両手でこねるようにしてリューティルの尻を揉みし抱いた。
いつまでもこね回していたいほど柔らかな尻。時折、見える皇女は秘裂は
しっとりと濡れていて、綺麗に生えそろった恥毛が妖艶な輝きを見せる。
「あ…いいよ…キルシェの手つき、とっても感じる」
キルシェはもう我慢できないといった様に右手をせわしく離し、
いきり立つペニスに手を添えた。
熱く溶けた鉄のような肉棒の先からは先走り汁がぷしゅ…ぷしゅっと
飛び出している。
「もう我慢できないって感じだね…いいよ、来てキルシェ」
リューティルが白いブラウスの前を開き、ブラジャーをまくり上げた。
白い乳房がぷるんと震え、飛び出す。
「姫様、も、申し訳ありません!」
キルシェはブレザーを荒々しく剥ぐようにして背中を露出させた。
「ん…もう…ふふ…激しいキルシェも素敵だよ」
皇女は甘く囁き、潤んだ眼で従者をみた。
キルシェはしっかりとペニスを掴んで腰を突き上げるようにして皇女の中に押し入った。
「あああっ、キルシェのすご…い、いつもより…か、硬い!」
「ああ、姫様…姫様…あ、熱い…熱すぎます!」
リューティルは壁に爪を立てるようにして身体を支えた。
ガクガクと両足が震え、内股になる。キルシェは根本までペニスを埋没させると
腰をくねらせ、快楽を貪るようにして腰を振り出した。
「あっ!はぁン!ふっ!キルシェ、キルシェ!くぅ!」
皇女の色めきだった雌猫のような声。
キルシェは皇女に後ろから密着すると、壁に押し付け尻を突き上げた。

84 :
「あっはぁぁ!はげ、激しい…ンぁ!」
「あ、ひ…姫様のお尻の肉厚が…姫様、姫様!」
キルシェは両手で皇女の尻を掴み込み、がっつくように何度も何度も腰を叩きつけた。
私室で半裸、尻だけを剥いて獣のように行為に及んでいる。
しかも女子学院の制服で着した皇女はいつも以上に刺激的で、淫靡だった。
「ああッ!!激しいよ!わ、私、もう、もうイッちゃう!」
「姫様、わ、私も!もう…で、出る!出ます!」
リューティルが唇を噛み、頭を振って叫ぶように言った。
「ああッ!ん、ふふっ…キルシェの精子!
私の膣内にぶちまけて 種、種付けして!私に種付けして!」
「ああッ、出る、出ます!わ、私…の姫様に! 種付け!」
壁に押し付けた皇女の背筋が弓のように反りかえった。
ほぼ同時にキルシェのペニスからダムが決壊したような勢いで
最奥に精子をぶちまけた。
「あっ…あ、ああ…あ、熱い……すご…熱いのが出てるよ…キルシェの
赤ちゃんも種が私の中を…泳いでるんだね…あは」
下から突き上げられ、体内にひろがる熱い精液を感じながらリューティルは
呆けたように言った。
「ひ、姫様…ふッ…んん」
その言葉に焚きつけられたのかキルシェはリューティルの
尻肉をぐにゅっと鷲掴み、更に突き上げた。
「きゃわっ!ま、まだ出るのキルシェ!?あ…あン、あはッ、ンン!」
リューティルが余韻に耽っている間もキルシェはぺたん…ぺたんと
腰を突き上げ、奥へ奥へと孕むように 射精しながら腰を振った。
「あ…あ…んうう…姫様…ああ…姫様」
「はぁ…はぁ…あ…ん…ね…つ、次はベッドで…ね、キルシェ…」

85 :
その後、ベッドに移動し続けて2回戦。そのまま3回戦、そして4回戦が終了した。
二人は寄り添い、軽いキスを交わしながら事後のピロトークタイム。
「姫様…おひとつお聞きしたいことがあるのですが…」
「なあに…キルシェ?」
「さきの…その…叱責や足の踏みつけは一体…」
キルシェは暗い表情をした。自身に何らかの落ち度があったのかと
リューティルに尋ねているらしい。
「え……キルシェはああいう罵りとか責めが好きなんでしょ?」
「は…はぁ?」
キルシェはきょとんとした。構わず皇女は続ける。
「いやぁ〜キルシェも何だかんだ言ってエッチの勉強してくれてたんだね。
私は嬉しいよ。しかもМ気質だったなんて…これからいっぱい責めてあげる」
「は?」
「あと意外だったのはキルシェのエッチ趣向がとっても多いってコト。
私は…その…おっぱいで挟むのはできないし…外もちょっと…あ、あと
お尻と首輪でお散歩はごめんなさい。そのかわり猫耳ならできる…にゃん」
「あ、あの〜姫様?」
「何かにゃん♪」
「その……」
「にゃん、にゃん♪」
「一体、何のお話をなされているのですか?」
「…………にゃん?」

86 :
後日、ティニアはキルシェに激しい叱責をくらい
『これから3ヶ月間は給料なし。最低限の衣食住だけはつけてやる。それが不服なら解雇』
との条件をつきつけられ、涙ながらに承諾したという。ちなみに最低限の食とは
小さなパン1個、キャベツのスープ、干し肉3枚、水1杯。
この貧しい食事が1日2回。ワーウルフのティニーは3日で
気が狂いそうになりドクターストップがかかった。
その後、使いから戻ったマムがキルシェの部屋から出たゴミの中に件の雑誌を見つけた。
彼女はそれを密かに持ち帰りキルシェの使用した跡がないか1枚、1枚確認し、熟読した。
「キルシェ様…ああキルシェ様の使った跡がないのは残念です。
でもキルシェ様ってこういったのが好きなんだ……私は胸もないし…
魅力ないけど…お、お尻と首輪でワンワンくらいならできるかなぁ…」
そうつぶやき、自作のキルシェ人形をギュッと抱きしめながら秘所に手を伸ばした。
おしまい

87 :
GJ!
エッチな本の仕込みに、結局みんなおお喜びですな。
姫様は理想のエッチが出来たし、従者君も結局ノリノリだし、めでたしめでたし。

88 :
投下します。
ユゥとメイリン7
注意事項:非エロ
そろそろ設定説明回。7レスの予定。

89 :

翌朝のメイリンは、うって変わって静かだった。
朝食は、珍しく──というか、僕がこの邸に来てから初めて──メイリンの房室で、一緒に摂った。
けれど、メイリンはじっとあらぬ一点を見詰めたままで、箸も一向に進まない。
寝惚けているのか、旅の疲れが抜けないのか、それとも僕が何か粗々でもしたのか。ひどく気に
なったが、メイリンは「ユゥは食べて」と言ったきり動かない箸を持ち続けていた。
主人格であるメイリンが食べ終われば、僕も終わらざるを得ない。メイリンが、僕の食べ終わるのを
待ってくれているのは明白だった。
メイリンと初めて共にした朝食は、少し慌ただしく終わった。
「済まない、今朝はもう、食べられない。」
そう言って、硬い表情で皿を下げさせたメイリンは、長椅子へと移り、卓を挟んだ向かいの椅子に
僕を掛けさせた。
「今日は、話があると言った。──まずはよい報せから。」
メイリンは小さな平たい布包みを取り出した。手のひらに載るほどの大きさのそれを受け取り、
開けてみると、中には折り畳まれた紙が入っていた。
「読んで。」
促されてその紙を開いてみる。
「手紙……?」
そこに並んでいたのは、懐かしい筆跡。ふくよかで丸みのある母の字と、個性的で飛び跳ねる
ような妹のユイの字。懐かしさと温かさのあまり視界が滲む。
母と妹が、僕に手紙を書いてくれていたなんて。
蒲州を転々としながらも、労役は多いがさほど過酷ではなく、住むところにも食べるものにも
困っていないこと。
偉い姫様がやって来て、皆のこまごまとした不安や不満を聞いて、助けてくれたこと。何より、
僕の消息を知らせてくれたこと。その姫様が、通事も使わず、上手に僕らの言葉を話すので
吃驚したこと──
ユイの手紙にも、「きれいなお姫様が来て、みんなにお菓子を配ってくれた」と書いてあった。
「これが、メイリンの『頑張ったこと』?」
僕は素直に感嘆した。文面から、メイリンが僕の同胞のために心を砕いてくれた様子が
伝わってくる。
やっぱりメイリンは、お高く留まったお姫様ではなく、賢くて優しい、凄い女の子だ。
「いや、これは楽な仕事。父上が資金を調達してくださったので、大した交渉も必要なかった。」
「あの『偉い人』が?! 確かに僕にいくつか約束してくださったけど……こういうことまで、
してくれるものなの?」
「父上は慈善はなさらない。」
メイリンはきっぱりと言った。
「言うなれば、これは、投資だと。そのうち、ユゥにも分かる。──多分。」
「とうし?」
「その話は、あと。いいから、次を読んで。」

90 :

──ちゃんとしたお邸で、大事にされていると聞いて、安心しました。
  あの姫様の元で暮らしているなら、心配は要りませんね。
  桂花の民には、定住と耕作の権利が与えられると、姫様が教えてくださいました。
  どこへ行くのかはまだ分からないけれど、わたし達きっと頑張ります。
  落ち着いて生活できるようになったら、あなたもわたし達と一緒に、暮らしましょう──
「えっ? 定住? 耕作? 権利? 奴隷として、じゃなく??」
「そこはユゥの功績だな。
戦は最短で終わり、生き残りの収容にも、日数はかからなかった。
一日でも短く終わったということは、それだけ兵を動かす戦費がかからなかったということ。
当然、敗戦の民に課せられる賠償金も少なくて済む。」
「そうじゃなくて、戦に負けて連れて行かれたら、普通、奴隷として売られるんじゃあ……」
メイリンは驚いた表情で、目をまるくして僕を見た。
「ユゥ、いつの時代の話をしているの? スゥフォン兄様に、習わなかった?」
「……えっ」
法学、通商学、歴史学……今までに習った内容を必に頭に思い浮かべてみる。
スゥフォン様の質問に答えられないときも、
『この頭の中に、ちゃんと脳味噌は詰まってるのかな? …一度、開けて調べてみようか…?』
と本気とも冗談ともつかぬ薄い笑みでぎっ、と頭を?まれたりして震え上がるけれど、
メイリンの質問に答えられないのは、ひどく申し訳ない気持ちになる。
「シン王朝になってからは、奴隷を耕作に従事させることは禁じられている。耕作させる場合は、
必ず臣民としての籍を与え、所有と報酬の権利を認めなければならない。
……なぜか分かる? ユゥ。」
僕は緊張して首を横に振った。今まで習ったことを必に思い出そうとしているけど、
耕作に奴隷が使えないというのは初耳だ……と思う。
それを見てメイリンはぷくっ、と可愛く頬を膨らませる。
「もぉっ、兄上様ったら、大事なとこなのに、手を抜いたなー?
じゃあユゥ、前朝スイが滅んだ要因は?」
メイリンの次の質問だ。歴史か、歴史。ちょっと苦手だったんだけど。
「えと……、周辺国との戦…には勝った。けど最後の遠征で…戦費がかさんで…財政が傾いた。
その他に、大規模工事の乱発、急激な改革への不満、青徳農法の失敗──」
「そう、それ。」
メイリンの瞳が輝いた。でも僕は、書物に書かれていた言葉をそれほど深く理解している
わけでもなくて、どれのことだか分からず戸惑う。
「前朝は、周辺国との戦を繰り返し、そこそこ勝った。そして大量の戦争奴隷を獲得した。
国内に溢れる大量の奴隷をどうするか──一番簡単なのは、余っている土地を耕作させて、
穀物を生産させること。
前朝最後の皇帝は彼らを一箇所に集め、管理して広い農地を耕させることにした。そして
その地を青徳と名づけた。青々とした美しい農地の広がる土地にするつもりだったのだろう。」
「……しかし青徳は、十年あまりで失敗……。」
僕は、書物から憶えた言葉をそのまま口に出した。僕が知っているのは、その辺までだ。
「そう、結果的に、青徳はほんの十年あまりで失敗した。広大な農地の所有者は皇帝であり、
管理していたのは、鍬を振るったこともない一握りの司農官であった。
彼らは知りもしなかったのだ、土を育むということを。」
メイリンはそこでちょっと僕を見て、「これ習った?」と聞いた。
「全然。」
と僕が答えると、メイリンは兄の不手際にぷりぷり怒りながら話を続けた。

91 :

「ここは、ユゥにとっても重要なとこだから。
青徳では、土を触ったこともない小数の人間が、奴隷による強制労働で、広大な農地を
作物で一杯にしようとしたのだ。
司農官達は肥料を撒いて土を良好な状態に保つことなど知らなかったし、それは下々の者が
勝手にやる事だと思っていた。
一方、周辺国から連行された奴隷達には何の権限も与えられていなかったし、言葉も
禄に通じず、処罰を覚悟で新しい提案などする義理も、また余力もなかった。
結果、青徳では最初の数年は大きな実りがあり、それからだんだんと収量が落ちた。
司農官たちはその理由も分からぬまま翌年も、そのまた翌年も種蒔きを行わせ、奴隷達を
酷使した。何も採れなくなるまで。
そしてついに──一部の土地では灌漑の失敗により、塩が浮き出て不毛の土地になった。
そしてその他の地は、土の滋養を失い続け、草すら生えぬ硬く締まった土くれの塊になった。
今も青徳には、広大な不毛の地が広がる。」
「……えっ? 誰か、肥料を入れてやり直した人はいないの?」
僕は少し驚きの声を上げた。
「勿論シン王朝になってから、農法の研究は盛んに行われた。
しかし塩の浮いてしまった土地は、水を撒いてもどんどん塩が浮くだけだし、硬く締まった
土には肥料も水もほとんど入らなかった。
土くれの塊になってからでは遅い、というのが大方の司農博士達の意見だ。
研究はまだ続けられているが、青徳のようになった土地を再び緑で満たす方法は、分かっていない。
それゆえ、シン王朝になってからは、耕作するものは小作に至るまで、すべて自らの
権限の元に耕作する土地に責任を持ち、農地を良好な状態に保たねばたねばならぬ。何人(なんぴと)も、
耕作する者から権限を奪ってはならぬし、権限を持たぬものに耕作させる場合には、
新たに与えねばならぬ。」
たしか、その青徳の農地では数年間は豊富な収量があり、安価な穀物が大量に出回った。
そしてその後は供給量が急激に落ち込み、穀物の価格が乱高下した。市場は混乱し、農民の
作付けも、民の生活も混乱し、既に傾いていた国家財政への、最後の一撃になった──
「だから、桂花の民にも、土地に対する権限が与えられる、ということ?」
「そう、ユゥの働きもあって、桂花の民は、かなりの数の生き残りがいる。わが国では奴隷の
耕作を禁ずる国法の所為もあって、これだけの人数を捌く奴隷市場など存在せぬし、耕されて
いない国土はまだあるのだ。
朝廷としては、定住させて、税と共に戦費を回収した方が、確実だ。」
戦勝国であるシン国の、思っていたよりも寛大な措置に僕は驚いていた。それでもメイリンは
表情を緩めることなく言う。
「安心するのはまだ早い。桂花の民は山の民で、焼き畑で暮らしてきた。深耕する習慣すらない。
平地で農耕を営み、朝廷に税と戦費の返済分を納めながらの暮らしは、平坦ではありえない。」
「……もとの桂花山で暮らしながら、税を納めるという方法ではいけないの?」
僕は不思議に思った。農民としての権利を認められ、戦費を朝廷に返済することで許される
とするなら、慣れた土地のほうがはるかに効率が良いのではないだろうか。

92 :

「ふむ。先程、青徳の事例はユゥにとっても重要だと言った、その意味が分かる?」
僕はまた首を横に振った。メイリンからの質問はスゥフォン様のときみたいに震え上がる
ようなこともないけれど、メイリンの期待に添えていない自分がいたたまれなくなる。
けれどメイリンは、僕が答えられるかどうかにはあまり頓着していないようだった。かまわず
次の言葉を続ける。
「桂花山でも青徳と同じようなことが、起こりつつある。」

    *     *     *
茫然としてなにか言葉を探す僕を置いて、メイリンは自ら立って棚から細長い箱を取り出して
きた。
蓋を開けると、巻かれた布の地図が入っていて、彼女は卓上に丁寧にそれを広げた。
「長い話になるだろう。
ユゥにとっては初耳のことも、また聞いていたことと逆の事実もあるだろう。
しかし、まずは心をまっさらにして、我らの側の言い分を聞かねばならぬ。
おまえの一族の擁護はそのあとで、存分に聞くといい。」
メイリンの広げた地図には山河が描かれていて、細かくシン国の地名が書き入れてある。
うねる河筋の周りに、沢山の×印があって、数字が書いてある。一番大きく書かれている
地名は蒲州、山は──
「桂花山……」
懐かしい故郷の名前に、目が釘付けになる。僕らにとっては広すぎるくらいだった故郷の山も、
シン国の国土に囲まれて窮屈そうに縮こまっていた。
メイリンの白く細い指が河を示す線を辿る。
「これが鶴江[ホー・チアン]。蒲州中を蛇行し、潤す河だ。桂花山を水源とする。この河は、
桂花の言葉ではなんと呼ばれていた?」
「蔦川…。」
僕は桂花の言葉で答えた。そしてメイリンは難なくそれをシン国の読み方で発音する。
もう随分ふたつの言葉を使いこなしているようだ。
「鶴江には支流ごとに細かく名前がついている。蔦川[ニアオ・チュワン]もその扱いだ。
ただし蒲州の管轄下ではなかったので、この地図にその名は書かれていない。」
鶴江、と書かれたその河は、桂花山から出て、周りの細い川と合流を繰り返しながら、
地図の中を蛇行していた。
「水勢学はもう学んだな? 川の源流はどこから生まれる?」
「…土の中。」
突然、質問の分野がまたがって吃驚する。確か、スゥフォン様はそんな風に表現していた。
土から川? と印象深かったから憶えている。
「そう、土の中。地下に水がある。それが地上に出てきたのが、川あるいは河。
では、地下水の最も重要な入り口は?」
「…森。」
少し、鳥肌が立ってきた。メイリンがこれから語ることを聞きたい、でも少し怖い、そんな
気持ちだ。

93 :

「父上は十年ほど前から、鶴江に注目していらした。
いまは年が明けて光興十五年になったばかりだから、大体光興四年の頃からと考えてよい。
だから父上は桂花山の地形にも、言葉にも、人物関係にも既に精通していらして、戦が起こった
際には、是非にと軍師に推されたのだ。
かなり渋っていらしたが、結局は他に人材がおらず、母上も強く推されたので、仕方なく
お引き受けになった。」
十年ほど前──
一瞬、六歳の頃のメイリンと、七歳の頃の僕が、向かい合って座っているような錯覚を覚えた。
きっとメイリンは、その頃からとんでもなく可愛かったんだろうな。その頃から知り合って
いたら、どうなっていただろう。
「蒲州では、河堰の決壊が増えていた。この地図には、遡って光興元年からの堰の決壊場所が
記されておる。
×印がそれで、横の数字が決壊した年だ。」
くねくねと曲がる大河に纏わり付くように、沢山の×印が書き込まれていた。×、×、×、
また×。一つの場所に沢山の×が書き込まれている所もある。二年、五年、六年、九年
、十年、十二年、十四年。
「何度も決壊しているのは、土砂が溜まり易い地形の所だ。上流から大量の土が流れてくる
ようになっていたのだ。上流とはすなわち──」
「桂花山?」
僕が最後の言葉を引き取り、メイリンが頷いた。
「桂花山にはシン国の支配の及ばぬ民が住んでいた。父上はすぐに人を遣って調べ始め、
数年のうちにこう結論付けた。すなわち、『桂花山に住む民は、この山の中だけで
暮らすには、増え過ぎた。』」
「増え過ぎ?! そんなっ…!!」
思わず僕は立ち上がっていた。
僕達にとって山は、まだ十分に広すぎた。僕が憶えているだけでも何人もの人が、山の中で
行方が分からなくなっていたし、そんなときに歩いて探し回るには何日もかかって、大人の
男たちをどれだけ狩りだしても、山のすべてを見て廻るには足りなかった。
それでも、メイリンの静かな目を見て我に返る。そうだ、まずは聞け、といわれたのだった。
「どうして…そんなことが、言えるの。」
僕がすとんと腰を下ろすとメイリンは何事もなかったように続けた。
「ふむ…、森が、荒れ始めていた。
桂花の民は森を焼き、畑を作って生きる。そして数年分作物を育て、木が生えてくるように
なったら、そこを放棄して次に移る。そうすると、そこの土地はいずれ再び森になる。おまえ達は
また移動して別の森を焼き、それを繰り返す……ここまでは、よいな?
畑地が再び森になるのと、森を焼いて畑地にする速さが、釣りあうまでならいい。
ところが、父上が調べたときには既に、回復よりも森を焼く速さの方が勝っていた。おまえ達は
限度を越えて畑地を増やし、結果として森になりきる前の裸地が増え、『涸れ谷』至る所に
見られた。従軍した折、わたしも沢山見た。」
『涸れ谷』は……習った。雨が地面を穿って、小さな谷のように土が削り取られてしまった場所。
流れるのは養分をたっぷりと含んだ土だ。これがあるのは、森としても耕地としても、
あまりよくない状態──
そうだ、僕の故郷の山にだって、そんな小さな谷がいくつもあったじゃないか。
そのすべては、またいずれ森に飲み込まれるものと思っていたけれど。

94 :

「じゃあ、桂花山の『涸れ谷』で削りとられた土が……蔦川を流れ下って、下流で堰を埋めた?」
「まあ、そうだ。しかしここで重要なのは、何度も堰が埋まるほどに、山から土が失われて
しまったということだ。
上から下へと流れ下ることは容易い。しかし下から上へと運び上げることは……困難だ。
今のまま土が流れ出し続ければ、いずれ桂花山すべてが不毛の地となる。
朝廷はこの報告を重く見、蒲州総督府を通じて桂花の民と交渉を試みた。五年前のことだ。」
「そんな……父さんから、聞いたこともない。そんなこと。」
メイリンは僕の言葉に頷いた。
「そこがお前たち一族の閉鎖的なところだ。外との折衝は限られたものだけが行い、その内容は
秘密にされた。父上の調べ上げた事実は多岐に渡り、わが国で多少なりとも学識のあるものならば
納得させるのに充分だったが、おまえ達にとっては、そうではなかった。」
「理解できなかったんだ、難しくて。」
そりゃそうだろう。それだけの内容を理解しうるような学問的素養は、桂花山には存在しない。
僕だってほんの四月(よつき)ほど前の知識で今の話を聞かされても、どこまでついて行けるか怪しい。
僕達にとって、森はあくまで美しく豊かで、ずっと変わらないものだった。急に他国の人間に、
おまえ達の森が壊れかけだと言われても、むきになって反発するのがおちだ。
「そうだ、異文化圏との交渉の際には、共通の認識がどこまであるかが肝要だ。
しかし我が国と桂花の民との間には交流がなく、言葉も違い、おまえ達の言葉で説明しようにも、
対応しうるだけの語彙が、桂花の文化にそもそもなかった。」
なるほど…と僕も頷いた。僕らの間では、山を下りた麓の世界は遠い世界で、ほとんど
別世界だった。商品のやり取りすら、ほとんどない。
僕は首長家の素養としてかろうじて片言のシン国語が喋れるが、ほかの多くの桂花の民は、
言葉も知らず、山の外にどんな国があるのか、見たこともなかった。
「そして桂花側はそのとき、我が国の示した懸念を、すべて嘘と断じた。
父上は……っ、父上は、いつだって根拠のあることしか仰らないのに!! 山奥の蛮族が、
無礼なことを!!!!」
突如怒り出したメイリンに僕が吃驚していると、彼女はそこでふぅ、と言葉を切った。
「……当時はわたしも、このように思っておった。なにぶん、父上のことについては
譲れぬ性質(たち)ゆえ。
しかし、今なら、少し分かる気もするのだ。相手の側にも同じように譲れぬものが
あったのではと。
当時の我々の要求は、『飢饉に対して食糧を援助する。代わりに民の三分の一を、
下山させよ。』というものだった。」
「そんな! 下山って、僕らは桂花山しか知らないのに、そんな簡単に…っ?!
他国の言動に簡単に従って故郷を捨てるくらいなら、んだ方がまし…?!」
あれ、こんな言葉を、どこかで聞いたような。
僕はそうか、と思った。
五年前、僕らは旱魃に苦しめられ、飢饉だった。
僕たちの困窮に乗じて、シン国は交渉を行った。
きっと僕たちの側は、「足元を見られた」と思った。
足元を見られ、騙されそうになっているのだと。
そして必に、頑なに、撥ね付けた。

95 :

「我が国と桂花の民との間には、共通の概念が決定的に不足していた。
知っているか、ユゥ。我が国は、朝貢して帰順する国にはすべて、王族から
『留学生』か『出仕者』を出すことを義務付けておる。我が国の論理を学ばせ、
交渉を容易にするためにだ。
ユゥは年の頃もちょうどよいし、もし五年前に桂花の民との交渉が上手く行っていれば、
ユゥは『留学生』として、盛陽の学院でわたしと卓を並べていたやも知れぬ。」
「……えっ? メイリンの通っている学院って、身分が高くて優秀な人しか、
入れないんじゃないの?」
僕には想像が出来なかった。あのゆったりと、気品のある人たちの中に……僕がいる図を。
「留学生枠というものがあるのだ。勿論入る前も、入った後もみっちりとしごかれるがな。
だが、そうやって同じ空気を吸い、苦楽を共にし、同じ釜の飯を分け合って、共通の土台
というものを築くのだ。
ふふ……何を隠そう、私の母上様も、『留学生』であらせられた。西方の国からいらしたのだぞ。
そして盛陽学院で父上に、見初められた。」
メイリンは両親の自慢話をするいつもの姿勢で、誇らしげに胸を張った。
「共通の概念……共通の土台……。それが、僕がここで学問を修めた理由?」
あのとき、僕がここに来てすぐに、メイリンはなんと言っていたっけ?
「僕たちの『クニ』とメイリンの国が何故戦わなければならなかったのか……その理由を、
いまなら僕は、答えられるかな?」
「それは、もういいのだ。」
メイリンはゆっくりとかぶりを振った。
「ユゥと一緒に暮らして、いろんなことを話し合って、ずっと見ていれば……わたしにも分かる。
桂花の民は、別に戦が好きなわけではなかったのだと。殊更にシン国の国土を傷つけて、
同胞を傷つけることを望んでいたのでは、なかったのだと。
おまえ達はただ、静かに生きて、森を愛して、家族を愛して、ずっとずっと、そうして生きて
ゆきたかっただけ。
いままで長い間そうして生きてこれたのに、なぜ今になってそれが出来なくなったのか、
分からなかっただけ。
わたしもそれが理解できたから……」
メイリンはそこではっと言葉を切った。
「……そんなことより、急いでせねばならぬ話があった。わたしはそのために、急いで
帰ってきたのだ。」
メイリンはきゅっと唇を引き結んだ。
「ユゥ、心して聞いて。」
彼女は急に視線を落とし、充分に間を取ってから、悲しげに、重々しげに次の一言を押し出した。
「ユゥの父、ウォン・フェイが間もなく処刑される。ユゥは父上に、会わねばならない。」


     ──続く──


96 :
奴隷制農法による農地の土壌流失はローマのラティフンディウムを参考にしました。
世界史の文脈ではほぼ語られませんが、あちら方面では農法のまずさによる農地の砂漠化はわりと多いらしく、
特にラティフンディウムはひどかったらしいです。紀元前の出来事なのに「跡地はいまだに草もろくに生えぬ荒地」
であると本で読んだときには、震え上がりました。
中国での事例は、長い歴史に埋もれて見えにくいのですが、やはりなんかあったらしいです。
それでは、次は数日後にまた来ます。

97 :
>>96
GJ
 この2人のこれからももちろんですが、あのお母上が今どうなされているかも結構気になったり。

98 :
お久しぶりです! 異文化交流して賢くなりつつある二人がとりあえず可愛いですな
内容はシビアだけど!

99 :
◯○陛下は10歳の王女の面前で国王夫妻を斬首刑に処し、 王女の二の腕に
「売女」の刺青を入れ、家紋に×印の首輪と手錠を鎖で繋いで市中引き回した後に
地下牢に換金する事を望んでいます。
ttp://shindanmaker.com/195373
看守達の慰み者になる姫様が可哀想。

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