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2012年09月エロパロ175: Ruina 廃都の物語エロパロ 八世 (782) TOP カテ一覧 スレ一覧 Pink元 削除依頼

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Ruina 廃都の物語エロパロ 八世


1 :2011/08/08 〜 最終レス :2012/09/08
フリーゲーム「Ruina 廃都の物語」のエロパロスレです 
過去スレ 
Ruina 廃都の物語エロパロ 
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1240244983/
Ruina 廃都の物語エロパロ 二世 
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1246878474/
Ruina 廃都の物語エロパロ 三世 
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1252418505/
Ruina 廃都の物語エロパロ 四世 
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1255450328/
Ruina 廃都の物語エロパロ 五世 
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1263472849/
Ruina 廃都の物語エロパロ 六世 
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1274786836/
Ruina 廃都の物語エロパロ 七世
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1295517966/
・era板(兼・規制時の避難所) 
【二次創作】eraRuina【Ruina】 
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12839/1259237750/
・有志によって作成された過去スレ投稿作品まとめ 
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/153016.rar

2 :
お、前スレ埋まってた?

3 :
>>1乙です!
前スレもう500KBいったのか
作品投下多いなとは思ってたがレス番が500台だったから油断してた

4 :
八世さんの治世は廃墟になってしまうん?

5 :
>>1に乙しながら廃墟回避

6 :
名前欄ごめん
クッキー残ってた

7 :
ブラコン女帝・・・毒に弱いということは出番だ!暗黒料理人

8 :
フリゲの単独スレの割に息が長いよなあ>>1おつ
最近勢いは落ちてるけど、職人は減ってる印象がない

9 :
雑談の勢いが鈍いから、相対的に投下の密度が濃く感じるんじゃないかのう

10 :
古代のアルケア帝国。夢と現の狭間の世界で、夢見の巫女は退屈を持て余す。
「……また来たのか。用もないのに一人でこんなところへ来るとは、酔狂じゃのう」
夢と現の狭間の存在に好き好んで会いに来るのは、やはり酔狂なのだろう。
数千年の退屈に倦んだ瞳に、心の奥が囚われているのだ。
だから、用がないわけではない。
「そうかそうか、よいよ。菓子でも食うか?」
酔狂だと言いつつも、何やかんやと歓待してくれる。
菓子など用意しても、他に食べる者はいないだろうに、と考えると素直に喜べるものでもない。
そういった想いは顔に出さないように、出された菓子をつまむ。
「調子はどうかの」
世間話の常套句が飛び出すが、面白おかしく語ることのできる近況など存在しない。
それでも、退屈を紛らわす一助になれば、と遺跡探索の進捗を話す。
四本の塔と、四つの秘石の話。
遺跡の奥深くに葬られた、歴代タイタスの話。
そして、白子族――自らの、出生の話。
「……ほぅ」
そんな、面白くもない冒険譚を菓子をパクつきながら聞いてくれるユリア。
これを求めて来たのだろう。
戸惑い、絶望、自分自身に対する言いようのない感情を、吐き出せる場所。
全てを受け止めてくれるだろう、という甘え。
「頑張っているようじゃな。頭でも撫でてやろうか」
うりうり、と言葉どおり頭を撫でてくれる。
可憐な外見に似合わぬ、圧倒的な母性と包容力。
激動の中で、誰からも得ることのなかった安らぎ。
湧き上がる、感情。
……嗚呼。やはり。間違いなく。ユリアのことが好きだ。一人の女性として。
「からかうでないよ。そなたとは、生きる時代が違う」
渾身の、ストレートな告白はあっさりかわされる。
しかし。からかっているつもりはない。真剣な恋愛感情だ。
「だとしても、妾が受け入れるはずがないのはわかるじゃろう?
誰かが始祖帝の妄執ごと魔力を断ち切るまで、妾はこの幻都に存在し続ける。
そして……いつか消える。とうの昔にんでいる身じゃよ」
そんなことはわかっている。そんなことはどうでもいい。
この都が実在していなくとも。ユリアが長く永い数日を繰り返していようとも。
少なくとも、こうして会話しているユリアがいる。
退屈を嘆き、来訪を歓迎し、頭を撫でてくれる。
自分が惚れた女性は、今ここにいる。
頭を撫でている右手を、両手で握り締める。存在を、確かめるように。
「まったく、酔狂にも程があるのう。
じゃが……そう。ここまで言われて何も感じぬほど擦り切れてもおらぬよ」
その両手にさらに左手を添え、柔らかく微笑む。その美しさに、鼓動が跳ねる。
「夢見の巫女が、一夜限りの夢を見せてやろう。
朝になったら、都合よく忘れてしまうとええ」
言いながら、左手を頬へ。
軽く引き寄せ、机の上に身を乗り出し、――唇を重ねる。
「んー……ちゅ。おお、頬が赤いぞ? 可愛いのう、ふふ」
からかうような蟲惑的な笑みに、さらに顔が熱くなる。
惚れた弱み、とは少し違うか。新鮮で、決して嫌じゃない。

11 :
「ちゅぷ……んむっ、ふ、んぅ」
立ち上がり、抱き合い、再び口付けを交わすと、ユリアの舌が口内に侵入してくる。
ざらざらとした感触。唾液を混ぜ合わせながら、互いの舌を味わう。
「ふあ……ほれ。口だけじゃなく手も動かせ」
情熱的な接吻の合間に、手を導かれる。片手は腰に。片手は胸に。
「あ、んっ……」
揉むと言うより撫でるように触れると、ユリアが艶のある声を漏らす。
その声が。その声を自分が出させたという事実が。興奮を加速させる。
「そう、そのくらいじゃ。女の身体は繊細じゃからな……んん」
加減がわからないので慎重に、やわやわと胸のふくらみに指を這わせる。
痛くないように。気持ちよくなってもらえるように。
「知っておるか? 女は、肉体よりも精神で快楽を感じるそうじゃぞ」
それは、つまり。愛撫以上に、愛を伝えることが大事、ということか。
真偽はわからないが、ユリアがそれを求めていることはわかる。
今思いつくこと。今できること。たとえば、耳元で愛を囁く。
「……ああ、さっきも聞いたよ。ふふ。何度言われても、嬉しいものじゃな。
妾も、そなたのことは好きじゃよ」
たとえば、再び唇を重ねる。
「ちゅ、ん……ふ、は」
触れ合う部分が、熱い。心の奥が、温かい。
肉体よりも、精神。その意味が感覚的に理解できる。女性に限った話でもないようだ。
「そろそろこちらも……な?」
煽情的に、するすると着衣をたくし上げる。
太ももの付け根が見えるかどうかの角度で、裾が踊る。
思わず、生唾を飲み込む。
誘われるままに、そこへ手を伸ばす。
「ん、く……より優しく、な。子を為すための、大事なところじゃ」
言われて、細心の注意を払って触れると、じっとりと湿っている。
その触感が、直接感じられる。
つまり。下着を。はいていない。
この時代はそれが普通だったのかも知れないが、しかし、それは。
視覚的にはギリギリ見えない分、余計に駆り立てられるものがある。
「んあ……あっ……」
拙いながらも、精一杯の想いをこめて、秘裂をなぞる。
「あ……あぁっ、そ……こ……んんっ」
甘い声と、指先に絡みつく粘液が、ユリアが気持ちよくなってくれているのだと感じさせる。
「これ以上は、立ったままでは難しいじゃろう?
運んでくれるかの」
言って、しなだれかかってくるユリア。
肩を受け止め、膝の下に腕を差し入れ、その細く軽い肢体を抱え上げる。
「おお、さすが男の子じゃな」
首に両手を回し、頬に口付けてくる。
完全に身体を預けられている感覚を堪能し、寝台にユリアを横たえる。
「脱いだ方がよいか? それとも……脱がせたいか?」
胸元は肌蹴そうになり、裾からは太ももが見え隠れしている。
そんな煽情的な姿を改めて見せ付けられ、脱衣などという手間をかけていられるはずもない。
ユリアの問いには答えず、着衣の裾を一気に捲り上げる。
「ひゃう! き、着たままがよいのか? 仕方がないのう」
やはりすべてを受け入れながらも、何処か恥ずかしげな表情。
当然だ、下着をはいていないということはつまり。
「あ、あまり見るでない。妾とて、羞恥はあるのじゃ」
いいや、見る。
ユリアの半裸はすごく綺麗で。ひどく艶めかしく。
男の本能が誘われる。

12 :
「世辞は、いい。妾の身体がさほど魅力的でないことくらい……んむっ!?」
ユリアの謙遜の言葉を遮るように、唇を重ねる。
世辞などではない。惚れた女の身体が、魅力的でないわけがない。
それを証明するように、暴発寸前の下半身を露出させる。
「こ、これは……」
ユリアが目を見張る。
ここまで張り詰めているのは初めてで、自分でも驚いている。
それほどまでに、ユリアを求めている。
「……ああ。よいぞ」
頷くユリアにもう一度口付け、濡れそぼった入り口を探り当てる。
一気に突き入れたくなる衝動をギリギリの理性で抑え込み、じわじわと腰を押し出す。
「あ、くっ、ん」
温かく狭い襞の間を、広げるように割り入る。
気を抜けばそこで果ててしまいそうな快楽。
「ふ、う……っ!」
何か引っかかる部分に構わず押し込むと、ユリアの身体が硬直する。
繋がった部分から流れる、一筋の紅。
これは、まさか。
「なるほど、これが破瓜……聞いていたよりも、痛い、のう」
冷静に分析しているが、両手はシーツをぎゅっと握り締めており、呼吸も浅い。
初めて、だったのか。
「元より贄となるはずの運命じゃ。相手も、おらんしな。
ああ、そんな顔をするでない。強く想ってくれるそなただからこそ、妾も……の」
辛うじて微笑を形作るユリア。
嗚呼。そんな健気な態度を取られては、愛しさは募るばかり。
「いっ、ん……最初が、一番痛かったのう。
っは、動いても、大丈夫じゃ」
ユリアへの気遣いとは裏腹に、快感を求める身体が勝手に動こうとする。
歯を食いしばって本能を制御し、なるべく優しく動く。
奥へ。手前へ。ただの一往復が、言葉にできない快楽を生む。
「ひあ、あ、ん……やぁ……」
ユリアの声が耳を犯し理性を溶かす。
乱れる着衣と覗く白い肌が興奮を駆り立てる。
次の一突きで果ててしまう。
そんな境界線の上で、ユリアにも苦痛以外の何かを与えたい。
「はぅ、っく、優しいのう、そなた、はぁん」
好きだ。愛してる。
野性に突き動かされる脳からは、飾り気のない言葉しか出てこない。
「ああっ、妾、もっ」
視界の端が白く染まる。もう、限界だ。
「よいぞ、中で……っ」
最奥まで突き入れ、精を吐き出す。
「や、んんんんっ!!」
ユリアの脚に腰を抱え込まれ、離れることなどできはしない。
ユリアの腰がうねり、さらに奥へと引き込まれそうになる。
ユリアの瞳から、目が離せない。
……天にも昇る、というのはこういう感覚なのだろうか。
精神的にも肉体的にもけだるい充足感に満たされ、しかし一部だけはユリアの中で硬度を失っていない。
「はぁ、ん……一度で、満足かえ? 妾はまだ……ふふ、そうか。元気じゃのう」
誘われるがままに、ユリアを求める。
甘い夢は、まだ覚めない――。

13 :
――翌朝。遺跡の地下深くで正確な時間などわからないが、体感的には朝。
思い人と結ばれた喜び。
一夜明けた空しさ。
そんな想いを吹き飛ばす、感じるはずのない他人の体温。
「すぅ、すぅ……もう食べられぬぅ……ああ、いや、ちょこれえとは、甘いものは別腹なのじゃー……」
目覚めれば白骨化し、時間の流れと絶望を感じさせるのが常だった、夢見の巫女が。
とても生々しい寝言を漏らし、隣に寝ている。
混乱を飛び越えて思考が停止したまま、とりあえず揺り起こす。
「むぅ……あと五年……? にゅあ、なんじゃ、また来たのかえ」
寝惚けまなこのユリアに、周りを見るよう動作で促す。
「なん……じゃ? 屋根が、神殿が、帝都が……!?」
ようやく理解が追いついたのか、驚き、寝台の上に立ち上がる。全裸で。
ひとまず落ち着くのを待ってから、自分もわかっていることだけを説明する。
これが、現実。ユリアの繰り返していた夢幻の世界の外。
「……ちょい待ってくれい。忘却界に囚われたはずの、妾の魂が?
今更、解放されて。この時代に生きろとでも? 誰の意図かわからぬが……ろくでもないのう」
そう、ユリアはぼやくが。
ユリアへの想いを抱えていくつもりだった自分にとっては、小躍りしたくなるほどに嬉しい。
誰の、どのような意図があろうとも。
「ふふ、そうじゃな。元より一度はんだ身じゃ。
夢の続きを、そなたの傍で見せてもらってもよいかの?」
願ってもない。こちらから頼みたいくらいだ。
愛しい人とともに、幸せな夢の続き。幸せな現実を。
「ほれ、もそっとかがめ。んー……ちゅ」

14 :
暇を持て余した巫女の戯れ編
前スレ>>120あたりでユリアのエロとか見かけたから書いてみましたがどうですか
自分から誘った割には大分純情派のユリアになってしまった
そして何の説明もなくハッピーエンドへ強引に持っていくいつものパターン
悲恋だとか切なさだとかは俺に求めないで下さい
ユリアを幻都から引っこ抜いた理屈は、体液の交換によりどうのこうのとか各自脳内補完で
ユリア・ウリュウ・パーシャ・レナ(故)あたりのサブキャラもっと流行れ!

15 :
>>14
乙乙、ご馳走様!
ユリア様はババァかわいい
前のアイビアもだけど脇キャラのハッピーエンド話は好きだ

16 :
妾様はやっぱイイものだ
GJ

17 :
>>15
原作考えると、アイビアのハッピーエンドって字面だけで大分無茶な匂いがするよな・・・
パーシャはキャシアスの嫁で安定だからいいとして
ウリュウのハッピーエンドとか、着地点がまったく見えない

18 :
>>17
じじいに惚れ込んで一緒に放浪の旅じゃないのか

19 :
>>17
バーローを倒しても魔将たちは別に影響なかった場合
アイビアとはハッピーエンドの可能性も
まあ親玉がんだら普通に消滅しちゃうんだろうけど
ウリュウちゃんは暗家業の合間にホルムに立ち寄ってチュッチュしてくれるはず

20 :
ラバンから英雄剣技を伝授されたヴァンにられて
「これで、真の自由に……」
とか何とかで散っていくという、ウリュウだけハッピーエンドな感じはどうだろう
とりあえずウリュウの太ももにちゅっちゅできればハッピーだよね!

21 :
ピートさんから全財産奪い返すSSください!妹のツルハシが壊れて大至急必要なんです!

22 :
ウリュウはおそらく古風な考えで、「負けた相手には生涯尽くす」とか思ってる
なので、ハッピーエンドはED後の兄貴に押しかけ女房してるという妄想してた
(※ウリュウは思い込みが激しいため、何故か兄貴に負けたことになってる)
ただ兄貴はストーカーとしか思ってなくて、毎日「やべっ!」感知して逃げ回っているという

23 :
 「フィー」
 なるべく小さな声で呼びかける。それでも自分の声の大きさに驚いて、僕はさらに声をひそめた。
 「あれからもう半年だな。本当はあのとき、お前に引き止めてもらって嬉しかった。」
 ベッドにかけた自分の腕が、震えるのが分かる。軋むベッド。
 「力だって、お前に追いついた。本当はずっとこうしたかった。」
 唾を飲む。体を折る。シーツに肘をつける。
 「好きd「シーフォン、起きてるー?入るよ?「うわああああああああ!!!!!」
 やべええええ!勢い良くめくりあがる掛け布団。落ち着け僕。落ち着け落ち着け落ち着け。静まれ心臓!
 「どーしたの大声上げて……ごめん、寝てた?」
 ドアの開く音とともに聞こえる声。確かめるまでもない。フィーの声だ。
 「あ……ああそうだよ!なんだよ、人の寝てるトコッ、邪魔しにッ、来やがってッ」
 かく言う僕はうつ伏せに布団にくるまり、荒い息を上げている。何とも情けない姿。どんな悪夢見てたんだよって話だ。
 「ごめん、明日は遠出してどっかの町で泊まろうと思うんだけど、行くとマズい場所でもあったらと思って……大丈夫?」
 未だにベッドに張り付いたままの僕を見て言う。
 「何でもねえよ!……でかいところは行けねー。結構荒らしたからな。」
 「やっぱり?」
 布団の中でもぞもぞと姿勢を変える。……かなり怪しいよな、これ。

24 :
 「どーしたの?風邪でも引いた?治すよ?」
 「大丈夫だっつってんだろ!」
 言えるか。恥ずかしいてめーの妄想と一人芝居して、上半身裸なうえ、
何だ、その……アレが……言えるか!
 「ふーん。ところで」
 「何だよ早く帰れ。疲れてんだよ僕は。」
 「あと五ヶ月で、そんなに伸びるかなあ」
 ……ん?
 「まあ、まだまだ私のが上だよね。越させるつもりもないし。」
 …………は?え?ちょっ……!!
 「っわあああああああ!!!!!!」
 本日二度目の絶叫。布団に丸まったまま、ずりずりと枕のほうへ下がる。
 「ううううう嘘だろ!何で!いつから!いつから聞いてた!」
 「シーフォン」
 僕の問いには答えず、意地の悪い笑みを浮かべてベッドに乗り上げるフィー。
ちょっと待て!おい!来んじゃねえ!近えよ!
 彼女の白い腕が伸びる。頬に触れた瞬間冷たかったのは、僕の頬が真っ赤になって熱いから。
 唇が、形を作る。
 「五ヶ月も先で良いの?」
 時間が止まった。
 体が熱い。
 「フィー」
 んうー、と声が上がる。くそ、コイツ余裕じゃねえか。
 下半身をぬるぬるとした感触が這っている。気持ち良い。何だこれ。
 キスされて押し倒されて、服だって剥ぎ取られて、こんな、嘘だろ。情けねえなあ。
はあ。そりゃため息だって出るってもんだ。
 「ふっ……」
 先端を吸われて、体が跳ねる。
 「別のこと、考えてる。」
 「はっ、そうだよ。てめーがヘタだから集中できねーんだよ。」
 半ばヤケになって答えた。顔を真っ赤にして声なんてだして、説得力もクソもねえな。
 むー、と不服そうな声。じゅっと音まで出して吸われて、感覚がおかしくなる。
や、やばい。出そう。くそ。でも、これで出したら男がすたる!

25 :
 「うりゃ!」
 口からソレが離れたのを見計らって、フィーの右肩を思いっきり押し上げる。
 「え、しーふぉ、」
 同時に左肩を引き寄せ、無理やりベッドの上を転がった。あだっ!てめー、今膝ぶつけやがったな!
痛みはこらえつつ体を起こし、両腕をシーツに預ける。はっ。
 「これで攻守交替だな。」
 ぽかんと開いたフィーの唇に、そのまま自分の舌をねじ込んだ。うわ、気持ちわりい。
こんなモン舐めてたのかコイツ。
 舌を重ねて舐めあって、歯をなぞって。唾液が垂れるのにも構わず唇を離す。
 「しーふぉん……」
 くそ、何て声出してんだ。このまま暴発したらどうしてくれる。
 そのまま乱暴に服を脱がす。そういやまだ着たままだったんだな。僕はとっくに全裸だってのに。
体重をかければ痕がつく、白くて柔らかい体。抱き合ってるだけで十分快感を得られるだろう。
小さな胸に視線を移し、一方を右手で触りつつ、もう一方は、ぐ、じゅぷ、と音を立てて舐める。
 「えへへへへ」
 ……何、嬉しそうに笑ってんだ、お前。馬鹿か。僕の髪いじってんじゃねえ!
 唇を、さらに下へと移動させる。いろんなところにキスマークをつけて
……おい、何だくすぐったいって。僕、そんなヘタなのか。
 「……フィー」
 もう、何度呼んだだろう。
 するりと、手が彼女の下腹部に向かう。さすがにこれには、びくり、と大きく反応して、大きな目を見開いた。
目が合う。きゅ、と指を押し込めば、内側は湿るどころか、ぬるりとした感触さえ僕に与えた。
お、これ、いけんじゃね。
 「っ!ひう、ん、ん」
 そのまま指を上向きに押し込めば、彼女の体が、声が、快感を示し始める。

26 :
 「何だよお前、酔っ払ったみたいな声出しやがって」
 「違うもん……」
 分かってるっての。分かってるから、僕はこんなに上機嫌なんだ。
 フィーの腕が、僕の背中に回される。あー、やべえ。いまものすごい幸せかも。
 「んは、はあ、あっ、あっ、いっ」
 そのまま中指を折っては伸ばし、また折って、を繰り返せば、彼女の声が激しいものへと変わっていく。
背中に回された手の、離すまいとする感覚。じゅぷじゅぷと音を立てる、その卑猥さ。
幼い子供のようでありながら、やってることはまるきり大人のものだ。……でも、指動かすのも疲れるな。
 「ふぁっ」
 指を引き抜けば、ぬらぬらとした粘液が絡みついているのが分かる。暴発直前だったソレを、
今まで探っていた場所にぐっと押し当てた。
ひゅ、と短い吐息が聞こえる。
 何分か前に練習したはずの言葉が出てこない。
フィーのとろっとした赤い瞳を真っ直ぐに見返して、すっと息を吸って。
 「……ずっと、こうしたかったんだ。」
 あ、ダメだ。これしか出てこねえ。
 「好きだ。」
 言うが早いか、彼女の中にソレを沈めていく。あ、結構楽に……いや。やっぱダメか。フィーの泣きそうな顔。ごめんな。
でもやめろって言われても無理です。無理。だってこんな気持ち良いし。
 彼女はと言えば苦しそうな顔で、ん、ん、と声を上げつつ懸命にそれを飲み込んでいく。おーおー、気丈なこった。
すっごいぬるぬるしてたけど、やっぱり痛いモンなんだろうか。ぬぷ、と音を立てて、フィーの中に全て吸い込まれる。
 「……動いて良いか?」
 「ん、待って……」
 言って、シーツに肘をついて起き上がろうとする。おいおい大丈夫か。無理すんなよ。
はー、はー、と肩で息をする彼女に手を貸して引っ張り上げて、

27 :
 ……ん?
 何でコイツ、起き上がろうとしてんの?
 目の前の赤い眼が、すう、と笑みの形に細められる。え、ちょ、ま、
 「うおっ!?」
 押し倒された。もちろん、つながったままだ。い、今の、僕でも結構痛かったぞ!
大丈夫なのか!?痛いだろ、そんな、いきなり、
 「シーフォン……」
 すっと、頬に手が伸びる。さっきと同じじゃねえか。てか、首!首が外れてんだよベッドからあああ!
辛い。この体制、地味に辛い!
 「私も。私も好き。」
 んう、と声を上げながら、フィーが腰を揺らす。圧巻。
 「あ、あ、ふあ、んっ、んう、嬉し、」
 「おま、えっ……!」
 うっ血のできた白い肌を、決して豊満とは言えない胸を、透るような白い髪を、僕の体の上で揺らしている。
何なんだよ、これ。めちゃくちゃ気持ちいいんですけど。と、いう、か。
 「きれー……だな。」
 思わず、呟く。一瞬彼女の顔から笑みが消えて、ぼおっと口が開いて、
 ……なんだよ、その顔。
 「シーフォン……っ!あ、ああっ!ひう、ふっ、んっ!んうっ!」
 「フィーっ、もう、っ!!」

 二人分の荒い息が、部屋に響く。真っ赤な顔で横たわる彼女を引き寄せて、もう一度、唇を合わせた。あー、くそ。
押し倒されるし、勝手にまたがってくるし。完全に主導権握られた。僕、こっぱずかしいこと言っただけ損じゃん……。
 ぷはっ、と唇を解放するフィー。そのまま胸元に擦り寄ってきて、
 「好き」
 「知ってるっての」
 うふふふふ、と声を上げながら擦り寄ってくる体を抱きしめる。男としてあるまじき感想だとは思うが、
 もう……しばらく、しなくていいや。

28 :
フィー×シーフォン、グッドエンド直後だと思ってください。
エロ有りですがあっさり気味で申し訳ない。
レベルが足りないばっかりにこんなにレス消費してごめんなさい。
そして横に長くてごめんなさい。
そしてエロパロ初投下です。何かおかしかったらごめんなさい。
しーぽんは自分から襲いそうにないのでこんな感じになりました。
正直、最中書いてる時はいつパリス兄に止めてもらおうかとばかり考えてました。

29 :
乙乙!
素晴らしいじゃないかちくしょう

30 :
GJっすー
ここへ来てまた新たなふぃーぽん職人とは、たまらんね
職人が増えるのは大歓迎だし、気負わず気楽に投下してくれればおkだ

31 :
ふぃーぽんとか言われるとフィー×シーフォンのカップリングじゃなくて
しーぽんの派生種みたいに聞こえる
たとえば女体化したしーぽんとかどじっ子なしーぽんとかそんなの

32 :
>>31
人料理人か何かの手によって朝起きたら女体化していたしーぽんが、
パリスやテレージャあたりにからかわれるのを恐れて女装して
こそこそと遺跡に解決策を探しに行こうとしたところをあっさりフィーに見破られ、
なおかつその呪いが一日で解けることが発覚して朝まで女性陣のお人形にされる、
まで女体化の三文字でたどり着いたんですけど合ってますかねデネロス先生

33 :
>>32
そういうの聞くと某ドラ○もんの秘密道具ネタとか
じゃんじゃん出来そうだな。暗黒料理の汎用性が
まさかこんな形で発見されるとは。
あ、メロダークさん包丁置いていいっスよ。

34 :
ネル「ねぇねぇ、フランちゃんから料理教えてもらったの」
アベリオン「(げっ…)」
ネル「味見してもらえる?」ニコニコ
アベリオン「…わ、わかったよ。食べるから服掴むのやめて」
ネル「(どきどき…)」
アベリオン「むぐっ!?…って、あれ…意外とイケる…」
ネル「でしょでしょ〜?も〜、アベリオンたら大袈裟過ぎるよ」
アベリオン「(おかしいな…フラン直伝って暗黒料理だろ…)」
ネル「っと、ここでネタばらし〜。実はこの料理には服作用があるの」
アベリオン「…はい?」
ネル「この料理を食べるとね、調理者の質問にはなんでも『はい』って
   答えるようになっちゃうんDA!ふふふふ…」
アベリオン「嘘だろ…」
ネル「試してみる?じゃあねぇ…うふふ、アベリオンは私のことが好き?」
アベリオン「はい(キリッ」
ネル「あははは」
アベリオン「な、なんだよ…意思とは関係なく口が勝手に!」
ネル「お姉さんには隠し事なんて出来ないのよ?ね、本当は好きなんでしょ?」
アベリオン「はい(キリッ」
ネル「あはは、面白いな〜これ♪」
アベリオン「おい、やめてくれよ…他の人達が見てるだろ!」
ネル「ダメ〜、やめないもん♪じゃあ、私をお嫁さんにしたい?」
アベリオン「はい(キリッ」
ネル「ずっと一緒にいてくれる?」
アベリオン「はい(キリッ」
ネル「…ずっと私のこと見ててくれる?」
アベリオン「…はい」
ネル「…もう、料理の副作用切れてたり?」
アベリオン「…うん」
ネル「アベリオン……んっ…人前でキスなんて…はむっ…」
なんかこんな電波を受信したので放流する也。
元ネタ:あけっぴろげガス

35 :
ネス−西シーウァの戦争に一応の終止符が打たれるのと同時期。
ホルムの領主の館に、住人が一人増えた。
白皙の美少女、フィー。
戦火に見舞われ住居と養父を失った彼女は、
同様に父を亡くした幼馴染の厚意で居候の身となっている。
もっとも、表面どおり居候と受け取っているのは彼女だけだが。
「ねえ」
領主の館の書斎にて。
亡き父の後を継いだ若き領主が、幼馴染の少女の呼びかけに本から顔を上げる。
「他にも焼け出された人たちもいるのに、どうして私だけなのかな」
それは自然な疑問であると同時に、三ヶ月も暮らしていて今更という質問でもある。
問われた青年も、ついに来たかという覚悟とようやく来たかという呆れの混ざった表情である。
幼馴染だから。そう言い切ってしまえば、フィーは信じてしまうのだろう。
それほど純粋で、鈍感なのだ。
フィーだから。そんな、直接的で遠回しな理由を返す。
「うーん。領主様がひいきしたりしちゃまずいんじゃない?」
やはり、真意は伝わらない。
的外れとは言えないが、ある一点だけがフィーの思考からは抜け落ちているのだ。
フィーのことが好きだから。淡々と、しかし誤解の無いようはっきりと告げる。
「すっ!?そん、だっ、や、から、からかっ」
今度こそ誤解無く伝わったらしく、見ていて面白いくらいにうろたえる。
からかってはいない。
好きだから、そばにいたい。
好きだから、助けになりたい。
一つ一つ、噛んで含めるように想いを伝える。
一言ごとに、フィーの頬が赤く染まっていく。
「そ、そんな下心があったの!? すけべえ! ふ、不潔だよおっ」
下心が無かったと言えば嘘になるが、不潔と罵られては苦笑を浮かべる他ない。
「け、結婚もしてないのに同棲だなんてダメだよ!」
……確かに一つ屋根の下で暮らしてはいるものの、同棲と呼んでいいのだろうか。
その理屈では館で生活している全員が同棲していることになってしまう。
「あなたのことは、その、嫌いじゃない、けど。
こういうのはやっぱり一度きちんとお話して。
それで、て、手を繋いだり、だとか。で、でぇとしたりだとか。
一つずつ段階を踏んだ健全なお付き合いをしないと、うん。ダメだよ。
若いからって勢いに任せちゃきっと後悔するよ」
言っている内容は確かに正論である。
だが、手を繋ぐ程度のことを口に出すだけで照れてしまうのはあまりにも健全すぎる。
しかも、相手は真面目さに定評がある領主様だ。
当然、一度真剣に話し合おう、という流れになってしまう。

36 :
「うあ、えと、その、気持ちは嬉しいんだけど、ね。うん。
やっぱりこういうことはお互いをもっとよく知らないと」
十年来の付き合いのある幼馴染である。
「いや、あれあれあれ、ネルとかフランとかもいるしさ」
確かに大事な人たちではあるが、異性として見ているのはフィーだけだ。
「あのね。知ってると思うけど、私なんか住むところすらないような子なんだよ?
拾われっ子で家族もいないし、怒るとすぐ劫火の王国だし」
実は自分も拾われっ子だ。劫火の王国は室内では控えて欲しい。
言い訳、或いは謙遜は即座に封される。
すべては、愛ゆえに。
逆に、フィーへ問う。
回りくどいことはせず、嫌ならそうはっきり言って欲しい、と。
「……嫌なわけ、ないじゃない。
こういうの苦手で、こういう時、どういう顔をしたらいいかわからないの。
察してよ、もう」
ぽす、と。フィーの力ない拳が肩に刺さる。
羞恥のあまり、フィーの顔が劫火の王国。
その拳を優しく引き寄せ、華奢な身体を抱き締める。
「はわわわ……」
手を握るだけで照れてしまうフィーに、ここまで濃密な接触は許容量を超えている。
抱き締められた恍惚ではなく、極度の緊張で意識が飛びそうになっている。
そんなフィーが、より一層いとおしい。
次の段階へ踏み込むべく、目を閉じる。
「え、あ、せせせせせっ、ぷんっ!?」
ひとしきり慌てた後、浅い深呼吸という器用な真似で落ち着いてるんだかよくわからないまま覚悟を決める。
「……私、だいぶ面倒な子だよ?」
よく知っている。
「それに、私なんてんむ……っ!?」
さらに自虐を紡ごうとする唇が、静かに塞がれる。
驚愕とそれ以外の何かで目が大きく見開かれる。
嫌だったか?と問えば。
「だから。察して、ってば。もう」
全力で目を逸らしながら、腹に拳撃を繰り出してくる。
その感触すら、とても甘い。


パラレル主人公カップリング:騎士男×フィー編
或いは何かそれっぽいのが二人産まれたから両方流しちゃえ、というアグレッシヴな白子族の神算鬼謀による超展開第二弾
フィーは俺の嫁派にも安心、いつもの主人公スタイル
ホームレスフィーには、一国一城の主がお似合いだと思うんですがどうですか
うちのフィーは相変わらずヘタレで奥手な賢者なんですが、誰かラブコメ時空への引きずり込み方を教えてください

37 :
乙、かわいいなw

38 :
>>35
GJ!幼馴染かわいすぎる

39 :
キャシアスがやっぱりイケメンだなあ、乙
季節ネタということで、競泳水着キレハとかいう電波を拾ったが
世界観というか時代的にあまりしっくりこなかった

40 :
乙GJ!
主人公8人全員ホルム住まい(真タイタスは一人)で
色々妄想したことのある俺にはごちそうでした
川沿いの町だからか、水着より沐浴がしっくりきてしまうな

41 :
みんな服着たままで水の浴びせあいですねぐへへへへ

42 :
容量いっぱいなのきづかず埋めてしまって申し訳ないです。
うまく分けられなかったので二部立て、連投規制はいり次第
休憩して全部落す予定です。計算ずれなければ10レス位、
ヴァン編、アーガデウム出すところまでで13000くらいです。
ご不快の際にはトリップであぼん設定にてご協力ください。

43 :
一人の従者が列を離れ厠へ向かった。替わりに別の従者が梱包作業を続ける。他方で誰かが救護室
へ運び込まれていったが、戻る様子もないのに誰も気にしていない。酷い血痕はたちまち片付けられ、
流れ作業に飲み込まれていった。落とした破片を拾い上げ、籠をしょい直す。ずっと眩暈が治まらない。
菫色の影が絶えず揺れ動き、腹へ響く詠唱は上のほうでわんわんと反響している。たびたび起こる事
故も、実は疲労のためなどではなく、この馬車酔いを思わせる眩暈が原因なのではなかろうか。頻繁
に作業が中断するので納期が大幅に遅れ、今や眠る事も休む事もできずに働かされている。イーテリオ
とかいう真っ青な結晶の光を浴びると、確かにたちまち気分は良くなるが、字が読めるものに言わせれば
【依存症に注意!】と書かれているらしい。……立派な仕事と聞かされていたのに。破格の高待遇だと
聞いたのに。公子の謳う事業の先駆けがこれだ、身分も経歴も不問でまじめにさえ働けば取り立てて
もらえる。そんな風に言われたのに。手すりに掴まり、むなしくも重いため息をついた。喧騒がまるで自
分の外の出来事のようだ。目を閉じ言い聞かせる、すぐに終わる。家に帰れるんだ、楽になれる、再び
歩き始めた従者の視線は、広間の向こう側で気ままにふらつく小さな女の子を捕えた。ぼんやりした頭
で考える。なんで、こんなところに子供がいるのだろう……?
「ダメだ!お前ら逃げろ!!」
扉がひとりでに閉まってしまった、取っ手の中で不気味に部品が回転している、同時に円座から魔術
師が立ち上がったのを合図に、水晶体の影から後ろから新手の妖術師や魔術師、僧兵崩れがどっと
あふれ出てきた。さっきは誰も持ってなかった揃いの杖!衣!帽子!エンダはともかくネルとアルソン
をどう逃がしたらいい?整然と唱和される呪文に結晶が共鳴して魔力が膨れ上がっていった、一人や
二人斬ったところでどうにもならない人数だ、一番効き目のありそうなエンダの攻撃も、こんな穴グラじゃ
こっちまで巻き込まれるから無理。見事に掛かってしまった、とんでもない罠に。大失敗だった。母屋に
一人も術師がいない時点で気づくべきだったのに!……やっぱオレはただのガキだった。
「くっそ、なんとかこじ開けねえと!もうなんなんだよこの鍵は!!」
引っぱたいたらメチャクチャ痛い、よろめいた拍子に投げつけられた氷塊を喰らった。
「わあパリス!!どうしよ、あたし熱避けの呪文しかわかんないよ!」
「よし、カベほろうカベ」
「いや無理だから!?」
「じゃあ木を植えてやろうか?」
「大丈夫、ここは僕が引き受けます!その隙に開錠を!それでも駄目なら蹴破ってでもうわあっ」
木の根に躓いてひっくり返った、お前が大丈夫じゃねえだろ。山に設置された二枚の扉はどっちも初め
て見る造りだった、材質も罠の仕掛けも。ヴァンが言うにはカムールのいた頃にはなかった代物らしい。
錠前も通し番号すらない厄介なタイプで、どこをどうやっても必ず罠が働く。開くのも内側からだけで、鍵
は複製を入れても二つずつだけ、公子が身につけて持ち歩くか、内部の監督官が預かるかしている。
盗み出してどうこうするにはテオルをるか、中へ侵入しなくちゃならねえってコトだ。ところが、だ。なぜ
か窓だけ仕掛けがなんにもない。硝子すら入ってない。ここまで厳重なのを見りゃ明らかな罠なんてのは
誰でもわかる。どう見ても誘ってる。けど、チュナを取り返すにはヤツを倒すか、忍び込まなきゃならない。
「……どうするか。何しかけてくるかな。どう奴等をかわすよ」
「ぼけつにはいらねえと孤児はえられねえんだぞ」
「そんな諺だったか?」

44 :
「タイタスを穴ぐらでぶちのめすと、おれたちのチュナがかえってくるってイミだよ。すげーだろ!」
「……ふうん」
屋根裏でオレたちが選んだのは、内部から扉を開放する作戦だった。オレが行くつもりだったのに、さっ
き公子と戦ったからとかゴネられて、結局じゃんけんでヴァンに決まった。で、公子をヴァンに預けたら
オレだけで先に降りて、ネルたちを引き込みチュナを連れ出すってワケ。こじ開けたらなぜかアルソン
まで待ってたのがさっきの話、にそうなのが今のこと。ネルがドアノブがんがんやったらもげた、状況
悪化してるからやめて。暴風によろめき、身を硬くする。
「……やれやれ。アルソン、貴公までここで何をしている」
ぎょっとして見上げた先で公子は手甲を外し、きれいな指を眺めながら問うてきた。それからいかにも
退屈そうな醒めた目でこちらを眺める。
「こ、これは……」
「お前は黙ってろ!」
「そうだよ、アルソンさんは何も関係ないよ!たまたま通りかかっただけだもん!ね!ね!?」
「おー?」
「僕は人助けに来たんです!それなのに、こんな風に攻撃されるだなんて……。というか、どうして教え
てくれなかったんですか!?なんで僕が仲間はずれにされてるんですか!?納得いかないですよ、この
扱い!」
「うるせえ!手前ェは人質だ!大人しくしてろ!いいか貴様ら、一歩でも動いてみろ、こいつの首が飛ぶ
ぞ!!わかったらさっさと扉を開けろ!!」
「えっ、えっ」
羽交い絞めにして刃を首筋に押し当てた、誰も何も言わないので膝裏を蹴りこんで突き倒す。心底びっ
くりした顔、そりゃそうだろうな。オレだって今思いついたし。けれど怪力だろうが先攻して動きを封じれ
ばどうという事もない。
「早くしろ!こいつがどうなっても構わねえってのか!!」
「ぼ、ぼ、僕のことは構わないで!テオルぅ〜!!」
「パリス……ねえ、どうするの」
「オレにまかせろ」
「任せろって、どうするのさ」
「あいつがここにいるってことは、ヤツは来ねえってことだ。お前らは逃げろ。あとはオレがなんとかする」
「そんな……」
ヴァンがんだとは思わないが、来られると思えない。ピンを引っこ抜いた破壊爆弾を、指示を待つ左の
連中にお見舞いしてやる。爆風にひるむ隙に足場の影に引っ張り込んだけどどうしよう、あんまりやった
ら全員起きてきそうだ。物陰から必に牽制する。
「……かつてアルケアの賢者たちはその結晶を、星の精、あるいは単に<夢>と呼んだ。その石どもは
こう見えて、星々の間に棲む鉱物生命なのだそうだ。他の知的生物に寄生し、仮状態にして夢を見せ、
その精神活動を糧にして増殖する性質がある」
声がゆっくり移動していくのを感じる、縮こまって様子を窺っている幼馴染の顔を見た。ネル……なんで
こいつまで関わらちまったのか。なせたくはないが、逃げられるとも思わない。じりじり距離をつめ、奥
まった小部屋へ引っ込んだ、寝ている連中を布団ごと突きして始末する。
「お前たちも遺跡で見ただろう?石人たちの夢によって作られた異世界を。石人たちに見せる夢によっ
ては、人類が共有している精神領域に虚構の世界を構築できる」
通路は三本、オレらは地下牢側からあがったから上へ抜けるにも母屋に出るにも対角線上にあって動
けない、搬出口はその中間にあるが、飛びこんだりすりゃ積荷をぶち込まれてぬだろう、完全に詰ん
でる。ヴァンも向こう側に閉じ込められてるんだろう、迂回して下からくるとしても時間切れだ、んでる
とは思いたくない。どうしたらいい、どうしたら。

45 :
「だが、そやつらの苗床になれるのは、夢見やすき者どもに限られる――。夢想に溺れる愚か者や、幼
子たちだけ。だから大いなる夢を多数の人間に共有させるには、広い範囲にその結晶をばらまく必要
がある……。そして、その大いなる夢を見る物の数が閾値を越えたとき、それは全人類に伝播する」
抜剣し外衣をひるがえした。
「その時こそ、栄光の都アーガデウムが降りてくるのだ!」
素晴らしい万能感。身をゆだねるのと同時に内奥から湧き出してくる無尽の魔力。忌避すべき麻薬に
似ていた、一度手を出してしまえば、もはや取り返しがつかない事も、それ無しではいられなくなる事も。
テオルが洞窟の大広間へ飛び込んだ時には、既に警報が内側から解除されており、扉も開放されて
いた。自然光が差し込む通路から、荷車やつるはしを持ち込み囚われ人を収穫するのが見える。時々
設置場所を移させるので従者たちも不審に感じていないようだ。上から観察しながら呼吸を整える。
あれは一体なんだろう、連絡通路を移動しながら思い巡らす。通路を駆け下りていた時、身を駆け巡っ
ていた痛切な自責の念。帰してくれと言う地響きのような子供たちの悲鳴に貫かれ、この自分さえ罪
を認め、幼子らを石から解き放ってやりたいと思いそうになったのだ。これが結晶を使った精神領域へ
の干渉なのだろう。それもほんの片鱗に過ぎない。あの素体、意識して結晶を操作していた様子では
なかったが、成程興味深い。石の中の試験体と憑依体の感情が共鳴しての暴走、とでも説明しておけ
ばよかろう、所詮操り駒すぎぬ者同士、通じ合うのも当然だ。意外ではあったが、どうせタイタスの入れ
知恵だろう。そしてまたしても陽動作戦とは……全く、愚か者ほど一度奏功した手段を幾度でも繰り返
すものだ、手を打たれないと思っているのか?見よ、これがお前の限界だ。所詮は奴婢の如き者、生ま
れからして己とは違う。上からの通路にも仕掛け扉を数箇所設置してある。小人どもに命をかけさせた
のだ、開錠は容易ではない。
タイタスなど!未練がましさで言えば数千年も思い煩うような男なのだから、数ヶ月で弟子を乗り換える
とも思えぬ。今さら健全な素体を惜しんだに違いない、先祖代々しようのない連だ。己がいなければ玉
座の設営一つままならぬ癖に、師匠風を吹かせるとは、身の程知らずもいいところ。あ奴が不身なの
も実体を持たないからに過ぎぬ、人の体へ封じてしまえば、なんとでもなるのは神帝紀を引くまでもなく
知れたことだ。あと十時間ほどで訪れる惑星直列を逃せば次に並ぶまでに七百年はかかる、従って
もらわねば困るのはタイタスであって己ではない。望みどおりアーガデウムを出現させた暁には速やか
に水底へ送り返してやる。
待ちわびた女の元へ。さぞや女神もお喜び遊ばされよう。敬虔な己の行いは賞賛されるも道理!神殿
とて逆らえまい。この技術と武力、資金力を持ってすれば始祖帝などに従うまでもなく栄光は約束されて
いるのに、何故屈服せねばならぬのだ?そんな風にほくそ笑む。目に留まったのは鎧武者の姿だった。
愚かな愛しい我が従兄弟!
「テオル……」
「さあ、己の元へ戻るがいい、アルソン。……これで判ったな?貴公にはまだ、働くべき相応しい場と
言うものがあるだろう」
俯いて唇を噛んでいる。子犬のように鼻を鳴らしてついて回ってばかりいた男が、今はあんな風に自分
に逆らっている。少しは大人になったのか。
「あなたが、そんな事を考えていたなんて……」
槍の覆いを跳ね除け高らかに鳴らした。
「これ以上犠牲を増やすようなことは、許しません!」
「おいィ!?」

46 :
「ここで成敗します!」
薔薇の構え、明らかな気がこもっている。むやみに頑丈なこの男を思うと迷惑この上ない話だ。
「そう言い出すのが目に見えていたから、お前には知らせなかったのだ。理想のために犠牲は付き物
だろうに」
「そ、そんな訳のわかんない事のために子供たちを利用する気なんですか!?」
「おやおや、訳がわからぬか?女子供でもわかるよう、これでも随分気を配ったつもりなのだがな。……
やはり理解はされぬか」
「……わかった!」
「マジかよ?!」
「おまえ、悪者だな?」
「二文字で説明しやがった……」
「天才や〜」
「もっと真面目にお話しましょうよ〜」
「貴公らに付き合っている暇はない、己は忙しいのだ。やれ」
「やべっ」
号令と同時に爆炎が襲ってきた、慌てて敵に切りかかる、多勢に無勢なのもわかってる、逃げ道がない
のも、自分たちがぬのが時間の問題てことも。三人で何か騒いで櫓を突き崩してる、バリケード代
わりとか言いたい事はまあ判るけど、右半分まとめてなぎ倒してえらい事になった。物っ凄い燃えてる。
「これじゃどこにも逃げられねえぞ!どうすんだこれどうすんの!?」
「どうするってどうするのさ!ぐちゃぐちゃになってて下の通路にも出られなくなっちゃったよ!」
「どうしましょう、どうしましょう!煙で何も見えません!」
「お前うるさい」
「ちょ〜やべえ、ちょ〜やべえ」
「ぅおやべっ」
天井が崩落するのと同時に結晶が上の通路から噴出してきた、砕けた水晶塊が勢いよく飛び散り突き
刺さる、濁流のように流れ込んできて広間の結晶に合流すると櫓を押し流し洞窟の天井を突き上げぐん
ぐんと成長していった、魔術師たちも従者たちも破片に結晶に翻弄され取り込まれ、たちまち半数近くを
押し流していく。信じがたい光景だ、これでは自分たちも喰らわれる、恐怖に駆られ壁のように迫る水晶
に立ちすくんでいると、公子の号令に反応した魔術師たちによって詠唱が再開された、大蛇のように鎌
首をもたげていた結晶たちがバキバキ音を立てながら逆流し始め、我に返った術師も加わり次第に統制
を取り戻していった。浮力を失ったソムニウムが次々に墜落してくる、逃げ惑う者たちの声に混じり、おか
しな馬鹿笑いがあることにも気がついた。
「ヴァ〜ン!どこ行ってた!もっとエンダと遊べー!!」
叫んだ先、棚のように張り出した結晶の上を飛び移っていく人影が怒鳴り返してきた。
「やーだよー!おれ今ちょ〜おっかけられてんの!!」
「誰にだよ!?てかこれどうなってる、お前何やった!?」
「こいつらギャーギャーうるせえんだ。てめんち帰りてえの母ちゃんにあいてえのって、のべつまくなし
泣くんだもん」
不機嫌な顔で顎をしゃくり結晶体を示している。不規則に激しく明滅を繰り返しているだけだ、何が聞こ
えていると言うのか、うるさいなどと怒鳴り散らすなり分身し、対岸から公子を狙い始めたが、生き残り
の術師たちに総攻撃を喰らっている。

47 :
「おいアルソン、オレたちで奴らをひきつけるぞ!」
「あ、はい!おいでお馬ちゃん!」
「お前はチュナさがせ!エンダはヴァンとこいけ!」
「ういうい!」
「もー、しょうがないなー」
四方八方へ踊りだしたヴァンがキャッキャと歓声をあげながら駆け回るので、公子もどれから狙えばいい
のかわからない、途中から明らかに数が増えた少年のしつこいからかい方に段々機嫌が悪くなってきた。
雷鳴轟く中、一瞬足を止めたヴァンの一人が不思議そうに首を傾げる。
「あれえ?おれってこんなにいたっけな」
「うひゃひゃひゃ!手伝いにきてやったんだよ、すげえだろ。な!」
「おー?お前もヴァンか?あれえ?ヴァンがあっちこっちいるぞ?」
「なぁーにいいってことよ、うひょー!」
げらげら笑って飛び移ってきた、向かいでも笑い転げているし、ヴァンの一人は手も振っている、分身同
士が会話するなんて!
「うへへへ〜まじかよ、なんでもどって来ちゃってんだよー、にげたんじゃねえのかよう」
「……だって、ヴァン様はあたしの大切なおともだちです!」
悪夢のような光景だ、一人や二人ではないヴァンが、エンダを伴い柱から天井から飛び降り右から左
から襲い掛かってくる!公子は禁術を放ちなんとか本体を取りそうと試みている、ソムニウムを次々
打ち上げ術師たちも応戦してくる、アルソンの半身が凍りつき、パリスが感電して打ち据えられた直後、
どこからか強力な電撃が飛んできて数人の妖術師を吹き飛ばした。
「ウゲー……声だけフランて、変装って分かってても気持ちわりィな」
「しーぽん!来てくれたんだ!!」
「ケッ、助けに来たわけじゃない、か、勘違いするなよ。まだ僕様は上前貰ってないんグェッ」
力一杯背中を叩かれのめってしまった。
「ああっ、しっかりして下さいー!」
「軟弱だなー」
「フツーそこは謝るだろ!?僕は立派に怪我してるんですけど!」
「あははは」
「文句言ってないで君たちもこちらへおいで、すぐに結界を張るよ!」
「おいおい、あんたまでいるのか。どっからどうやって入ってきたんだ?」
「結晶体が壁面突き破って沸いて来てんだよ、あいつ何かやったのか?表じゃ大騒ぎになってるぞ」
「うわー……みんな大丈夫かな」
「それからキレハ君たちは正体が露見してしまったんだが、ここへはつれて来られなかった」
「大変だ、すぐにでも応援に行かなくては!」
「つっても、ヤツをらなきゃどうにもなんねえ」
「むきょー!」
       「ちょーかっけー」
「ちょーかっけー」
       「ちょーかっけー」
こだまの様に少年の歓声が響いている、だが分身から集中砲火を喰らっても公子は平然と雷撃を放っ
ているのだ、二十は下らぬヴァンの全てを軽くいなして正確に急所を狙ってくる。あっと思った瞬間頭か
ら瘴気を浴びせかけられた、変装の解けた少女が弾かれ櫓に転落する。
「フラン!!」
戦術も体格もそっくり、けれど色の白いのと黒いのでは見分けがついてしまう、あからさまなメイド狙い
に切り替わったのを感じるや逆上した少年が殴りかかった、冷静さを失ってあちこち突きを貰い衣が真
っ赤になって半身引く、公子が追いかけたところへ光が鋭く打ち抜いた。竜の子供だ!
「よけろお!!」

48 :
聖絶の一撃がエンダのカボチャをざっくりやったが怯むどころか噛み付いてくる、激昂した公子がむちゃ
くちゃに剣の柄で打ち据え竜人の髪が朱に染まってしまった。それでなお離さずかぶりついているのを
見て笑い出した。
「ハッハッハ、幼子の割りに竜だけはある、意外と骨太でなかなか割れぬな!」
剣を持ち替えた瞬間、させまいとちょっかいを出してくる少年の鞭を掴んで竜の子供を蹴飛ばし、星
をひとつ進呈してやった。幾つか見事な結晶が蒸発したのは勿体ない。懐へ飛び込んできた娘をかわ
して火を放つ、危うく斬られるところだった、背丈に差がありすぎてどうも攻撃しにくいのだ、そんな風に
首をかしげながら戦っている。少年はなおも健気に邪魔をし、どうかして少女たちから自分へ注意をそら
そうと戦っていたが、とうとう肩をつかまれ懐深くエウルスを差し込まれてしまった。が、想像したほど
呻きも上げない。
「勝負あったな、どうだ」
体ごと持ち上げられ覗き込まれても答えない、刃毀れした短剣を取り落とし、ずり落ちるやしがみつい
てくる。そこから公子の衣の胸飾りを掴み、なおも立ち上がろうとするが、首根っこをつかまれ引きちぎ
った飾りごと足場から投げ捨てられてしまった。腹からさっと鮮やかな紅の線が宙を描いて消えていく、
他の足場へ飛び移る事もできず、少年はどさりと下の通路へころげ落ち、そのまま傾いた水晶の間へ
滑り落ちていった……。

49 :
「ヴァン!!しぬなヴァン!!」
「ハハハ……、もう終わりではないだろうな。いやはや、己の見込み違いであったか」
このままでは可哀想な妹分が八つ裂きにされてしまう!なのに起き上がれない、耳へは自分そっちの
けで少年の事ばかり心配して泣き叫ぶのが聞こえた。テオルに竜牙砕きの本を売ったのはいつだろう。
その金で食いものを買ったような気がする。ヴァンは降り積もった結晶片にうずもれながら辺りを見回して
いた。派手な交戦の音が聞こえる、最上階から突入してきているようで、騎兵までもが参戦していた。
よく見ればホルガーもいるから、どこかにキレハたちもいるのかもしれない、まだ生きていればの話だが。
後から後から増援が駆けつけている。えらいことになってしまった。ぼろっと奥歯が口から零れ落ちる。
やっとの思いで立ち上がると、遠くフランが見える。彼女も酷い重傷なのに、柱にすがって立ち上がろう
と必でもがいているようだった。
「どうした、女が気がかりか?」
「そりゃあお前、いいケツしてるもの。な!」
減らず口を利く割に一方的に斬られている。入り乱れる水晶塊に体当たりされ更にころげ落ちた、べち
ゃっと潰れそれ以上動けなくなったのを確認すると、止めを刺しに降りてくる。明後日に転がったせいで
分かっていても助けにいけず兄の金切り声が上がった、直後に彼まで術撃を喰らって倒れこむ。誰か
がヴァンの名を叫んだ時だった。ソムニウムが真っ二つになった先で公子が刃を受けている、切り払い、
交わし、飛びのいた、華麗な二人の剣さばきは舞踏のようだ、相手の剣士は若い女のようであるらしい。
一気に追い立てるやくるりと引き返し、少年のもとまで戻って来て見下ろした。
「……もうんだの」
呼びかけられても伏したまま、もぞもぞと服の中を探っている。
「フフッ、生きてるね」
「ここまで来て雇い主を変えたか?」
「違う。これは私の獲物、お前には渡さないよ……」
「なに?」
「すのは、私!」
流星剣に血しぶきが上がる、だが直後に公子が放った黒い瘴気に身を焼かれてしまった、互いの剣撃
は飛沫のように結晶を切り刻みながらも、術を結ぶ余裕があるだけテオルに分があるようだ、こんな
に強かったのか?鼻血を横に拭いてしまった少年のフェイントを利用して急所を狙う!
「いまだ!」
阿吽の呼吸で切り結ぶ、思わず感動するほど完璧に決まった、ウリュウは返り血を浴びながらとんでも
ない歓声をあげる。変則攻撃と手練の太刀を相手にしては、流石の公子も手傷が目立ち始めた。目を
ぎらつかせる剣士が甲走った叫びを漏らしながら斬撃をはなった、翻る白刃は正に流星、次第心の束
縛がとけて行くのを感じる、真の自由はあと一歩、もう一つ掴めば本物になれる!ヴァンに追いつける!
捕まえられる!刹那金属が触れ合うや感電して大火傷を負った、しびれて動けない!吐く息が焦げて
熱いのを感じる!すれ違い様一太刀貰いその場に崩れ落ちる。そのままし止めようと女の腹を足蹴した
公子にヴァンが浴びせた陰陽!――初めて見る技だった、この世に伝わるもう一つの英雄剣技。高
度に洗練された暗の術、それが見事に昇華されている。こんな身近にこれほど偉大な使い手がいた。
激痛も消し飛ぶほどの感動に身が震える。すごいすごいすごい!テオルはかなりの出血が起こったよう
で引き下がり、外衣の裾を引き破いて傷を縛り上げている。ここで一気に型をつけたいところだが、二人
も血反吐を吐いたりよろけているばかりで、満足に動けないらしい。獣のように荒い息をついている。
「……これが英雄剣技という奴か。噂には聞いていたが、こうして直に斬られるのは初めてだ」
「え?そうなの?」

50 :
振り返った先で火車騎士にもみくちゃにされながら老人が頷いている。
「マメとかひろっただけじゃねえか?」
「豆?」
「こうやってよう、ぼうっきれでつまむんだ。すごいだろ!」
「いや、全く判らん」
数人を切り伏せたタイミングでラバンが怒鳴ってきた。
「だからあれも英雄剣技なの!!俺が教えたときちゃんと言ったろうが!!」
「へ〜、そうなのか。そうなんだってよ。すげー」
「ほう。だが、この程度のものなのか?英雄とやらも高が知れているな、所詮は女子供の技という事か」
女剣士は床へ伏したまま言い返すことも出来ず歯噛みしていた。視界の外で水飛沫の散るような音と
悲鳴が響く。上手く息ができず何度も咳き込む。拭った袖が真っ赤に沁みた。これでは自由も糞もない、
と思う。あいつはどうしたろうと頭を上げた。最期にもう一度顔を眺めておきたい、凄く良かった、もっと
戦いたい、もっと戦いたい、あと少しだったのに!悔し涙を浮かべながら視線をさ迷わせる。少年は少し
離れた梯子の影で何かしている。何だ……?片手でなにか手にとって眺めながら、下着にもう片方を
差し込んでは口の奥へ突っ込んでいる、どうも丸薬らしいのだが、どこから出しているのかと呆れている
とばっちり目が合った。小鼻をつまみながらにやっと笑いかけ目配せしてくる。こいつ、得物まで無くした
くせにまだ仕掛ける気だ……!心は折れてない、ぞくぞくしながら身を起こすが耐え切れず吐血し息を
詰まらせる、体がついてこない!やっとの思いで顔を上げた時には姿がない、しのぎを削る強烈な音に
振り仰ぐとテオルと揉み合うのが見える、何度弾き飛ばされても食って掛かった、ばさっと斬られながらも
遠心力をかけた一撃!鎧の継ぎ目に突き立ったのは水晶の破片らしい。身をよじって後しざる公子に
飛び乗り得物をもぎ取るやプレートの隙間があいた脇の下へ斜めに差し入れ、逆手の霧薙を頚動脈へ
滑らせる、羽の触れるような一撫でで一貫の終わり、視界が血飛沫で覆い尽くされた。続けて鞘を奪い
取り、強かに膝裏を打ち付け跪かせた。
「……おのれ……」
喉を押さえて腕を突く、ひゅーひゅーと器官から息が漏れるのが聞こえる、手甲へ抑えきれない出血が
びしょびしょと噴出していた。
「我が師よ……どうか助力を……!」
「だぁれも来やしねえよ。わかるだろ?」
「な……に…………?」
蹴り上げられて横様に倒れる、さらに小突かれ額に足をかけられた。目の前をゆらゆらしているのは自
分の血で濡れた湾曲刀の切っ先だった。切り落とそうとしている、まだ生きているのに!手当てすれば
いけるのに!己は公子、一国を受け継ぐ高貴な身!こんな所で無様にんでいい人間ではないのだ!
誰でもいい、神よ!
「ざん念だったなあ、やつらはおしごと中だとよ。うひゃひゃひゃひゃ!しん心がたりねえんじゃねえの?」
馬乗りになった少年は、公子が首を押さえるのと反対の腕に突剣を突き立て、自分の胸元から何か取り
出している……、公子の上着から引きちぎった金飾りだった。
「…………それは」
「だれ?これあんたのおんな?」
汚い手で開いてみせる、中には誰かのはめ込まれた胸像が微笑みかけていた。動揺して払いのけよう
とするが、刃が刺さったまま動けない。
「貴様……ッ」
「かーわいいカオしてんじゃん、うひひ!あんたよりずっとわかいな。ああ、こいつんでるのか」
日付を見られてしまった、慌てるなどと言うものでない、打ち込まれた突剣から千切るに任せ、に物
狂いで起き上がったところへ無防備な半身をめった打ちされる。防ごうにも片手は塞いでいるから鼻柱
を折られ顔がめちゃめちゃにされてしまった。恐ろしい腕力だ、にたにた笑い、助けて欲しいかと問う。

51 :
「…………?」
「テメエはおれのおともになりてえのかって聞いてんだよ、オワカリィ?」
「貴様の…………だと……?」
「いひひひひひひ!おれだってテメエみてえなおともなんかいらねえよ。なんでオジキがあんたをおとも
にえらんだかも知らねえ。けど、あんたには恩ぎがあるからな、ジャケンにはできねえ」
傾いたエウルスを引き抜き公子の外衣で血を拭う、先ほどまで自分の得物だったあの剣。いとも簡単に
奪われてしまった……またしても。
「なあ、おぼえてるか?あんたさ、ちょいと前おれにきいたろ?なんでおれがいせき荒らしなんかしてん
のか。まだカムールが生きてたころだな。まあ、おぼえちゃいねえだろうけどよ」
明らかに背丈に対して長すぎる太刀を器用にまわして公子の枕元へつきたてた。
「おれはおぼえてるぜ。おれは言ったんだ、いもうとのためだってよ。けど、たまたまいせき荒らしになっ
ただけで、あれが出てこなきゃしなかったし、金さえかせげりゃなんでもいいんだよ。そう言ったな?ゲン
におれはぬすみもしもなんでもやるし、売りもゆすりも全ぶやってんだ。だから町も怪イもおれにはカン
ケイねえ、ってさ」
歯がぐらつくのを感じながら思い出していた、特に理由がないのなら自分のために働くようにと誘いを
かけて……。今にして思えば酷い皮肉だ。
「……けどよう、ちがったんだ。ぜーんぶおれのせいなんだとよ。おれさえいなきゃこんなコトになんねえ。
あの子も石になんねえですんだのに」
無表情に結晶体を見つめている。一連の怪異はすべて、少年を憑依として迎える為のお膳立てなのだ。
自覚して、彼はどうする気なのだろう。
「あんただってこんなバカな目にあわなかったのにな。へっ、このみはマショウと化している、じゃねえよ。
オジキからいったいナニふきこまれた?え?どうしておれがヴァラメアのま女をやれたとおもう、どうして
フジミのマショウがしぬとおもう。知ってんだろ?ほんとうは」
こやつは選ばれた者だから。そして、この身が選ばれぬ者だったから。
「…………ほんと、ばかなことしたな。おとなしくしてりゃ、ほっといても王様になれたのによう」
深い為息をついて、じっと目を覗き込んでくる。敵意どころか、哀れんでさえいる眼差しに甚く自尊心を
傷つけられ睨み返す。
「なにがかなしくてこんなマネした?おれがいいといや、おれが十七代目タイタス一家のアトメを継ぐん
だぞ?わかってんのか?タイタスのパシリはおれのパシリじゃねえか。うひゃひゃ!あんた、それとも
おれのおともになりたかったのかい?んなワケねえよなあ」
ぺたぺたと頬をたたかれ、うめきを漏らして顔をしかめる。
「ようどした。口もきけねえってか?これくらいでしようのねえヤツだな、ほれみしてみろ」
無理やり手をはがして喉元を覗き込む。
「うへへへ、マショウってすげえな。こんだけ血ィでてんのにまだいきてるぜ。ほらどうするよ、野良犬
ヤロウの手先になるのと、テメエの首ちょんぎられてパーシャんとこまでもってかれるのと。あんたは
どっちにしてほしーんだい?」

52 :
にやにや問いかけてくる、もっとマシな選択肢をよこして欲しい。
「それくらいはえらばしてやるよ、おれも鬼じゃねえ。あんたにはセワになったんだからな。うひゃひゃ!
そうだ、オジキぶっつぶしたショウコにイイもん見してやろうかな、なんだとおもう?うひゃひゃひゃひゃ!
すげーんだ、ほれ。ヤツの女からふんだくってきたんだ。いいだろ」
血まみれの手で白く輝く結晶を取り出した。イーテリオ!女神のご寵愛の賜物!あんな贋物とは大違い、
何度使おうが決して中毒など起こさない本物中の本物だ!まさかこんな間近にそれもこんな状況で見る
ことになるとは!汚れた指でつまんだ少年は贋物でないかどうかかじって見せた。
こんな小さな欠片ですら、浄化の力は十分に秘められていたらしい。テオルは知らぬまに思考が鈍らさ
れていた事に気づく、身を焦がし苛んできた狂おしいまでの妄執はなんだったのだろう。もやが晴れる
ような感覚がする。そうして見えてきたのは、自らが犯した失態の深刻さと罪深さだった。
「…………こんな……はずが……ない……」
何もかもが間違いだった、そして取り戻すには全てが手遅れであると。イーテリオの輝きと反対に受け
入れがたい事実が突きつけられ、目に浮ぶのは絶望だった。こんなもの、到底認められないと呟く。
「これは……己の…………物語……だったはず……!」
その瞬間、腰に刺さった水晶が一斉に増殖しテオルの体を飲み込んでしまった……。
「なんだよ、おまえがイチバンいいユメみてんじゃねえか」
呆れた表情を見せると手元に残されたテオルの思い出の品を仕舞いこみ、エウルスを鞘に収めた。ふら
ふらと怪しい足取りで鼻歌を歌っている。まるで酔っ払いのようだ、いかにも眠たそうにあくびを繰り返し
ながら、動かなくなっているもう一つの人影の元へ近づいていく。
「どうしたんだい、んじまったのか」
そっと黒髪をなでると、血の気のない白い顔が覗いた。薄いまぶたがかすかに動く。
「…………あいつ、倒した?」
「うん」
歪んだ上に所々刃こぼれした霧薙を返してよこす。けれど受け取る力は残されていない。
「……私の相手…………してくれる?」
「いいよ」
「ほんとに」
「うん。けど、これでお前きっても、おも白くねえんじゃねえの」
「…………うん」
「でも、おれにあい手してほしいんだろ?」
青い唇をほんの少し尖らせて頷いた。
「ならさ。まっててやろうか、お前治るまで」
「ほんとに」
「いいよ。そしたらあい手してやるよ」
「…………フフッ、嘘吐き……」
「うへへ、ばれたか」
にやっと笑い返し優しくウリュウの頬をなでると、彼女が眠ってしまうまでそのまま見守り、やがてゆっくり
立ち上がった。テオルがいたはずの辺り、こんもりせり出した結晶へ座り込む。とろんとした目で欠伸を
もらすと、そのまま剣を枕に寝そべった。ずっと昔、誰かが歌ってくれた子守唄を思いだす。なんだか、
今や全てがどうでもよさそうだ。遠くで誰かが呼んでいた。

53 :
おわり
毎回袋叩きで気の毒なので、公子のステータスは
アーガデウムにいる時をベースに底上げしました。
書いてたらウリュウの話題出てきて冷や汗が出た

54 :
>15 ◆E9zKH0kZMc 乙GJ!
前のヴァンの叫び部分で痛々しいと思う一方で安心していたが、
やはりうp主のヴァンはヴァンだった
あとまさかのウリュウと共闘には歓喜した

55 :
>>53
GJです、面白かった
ヴァンVSテオル燃えるね

56 :
乙彼さん
手に汗握りっぱなしだぜ
それはそうと、キャシアスとネルのセックスはスゴそうだよね
どっちも体力自慢だから毎晩徹夜でヤり続けててお母さんが寝不足になりそう

57 :
アルソンさんはナザリ帰れよ

58 :
ここでまさかの(ネルの)お母さん×お母さん
無理ありすぎ

59 :
剣相手とか、くっ高度だなあ……

60 :
ネル:肉食獣
テレージャ:純情
キレハ:アヘ顔ダブルピース
エンダ:言葉責め
フラン:暗黒床上手
俺はこんなイメージだった

61 :
アーガデウムの騒乱から二ヶ月。
すべての中心となったホルムもようやく落ち着きを取り戻しつつあった。
発端であり解決の立役者であるとも言える一人の少年の生活にも、平穏が戻ってきていた。
「……兄さん」
昼を回ってようやく起きた俺に突き刺さる、愛しい妹チュナの視線。
敬愛する兄への思慕、ではなく。
「お客さん、来てるよ?」
呆れや諦めの色が強い。
チュナにそんな顔をさせる客とは、誰だろう。俺? そんな馬鹿な。
「フフフ。こんにちは」
黒い長髪。鋭い目つき。物騒な刃物。大仰なマントの下は、妙に露出度の高い衣装。
チュナ、これは客じゃない。刺客だ。
「なかなか上手いことを言うわね」
「兄さん。ウリュウさんを困らせないの」
義母さん。義妹が反抗期です。
などと、すっかりチュナが懐いてしまった彼女――ウリュウは、間違いなく元刺客。
命の取り合いをしたこともあるとは言え、そんなことも今は昔。
相変わらず剣だけでふらふらと生きているらしいが、定期的にホルムに立ち寄るようになった。
俺の自由な剣先に惚れた……とは本人の言。
「昼まで寝ているとは、その自由さが羨ましいわ」
皮肉かそれは。
「あなたを見ていると、自由とは何かわかりそうな気がするわ。フフ」
「もう、本当に自由人で。気が向いた時しか仕事してくれないし、家事も手伝ってくれたりくれなかったり」
余計なことは言わんでよろしい。
と言うか、どこ行ってるかわからないウリュウも十分自由に見える。
「フフ。そう? 生きたいように生きるのが自由だ、と。教えてくれたのはあなた達でしょう」
そんなことを教えた記憶は無い。
当時の俺はチュナを救うのにいっぱいいっぱいだったし、直接ウリュウを負かしたのはラバンの爺さんだ。
「極限状態で、生き抜くためにもがき、あがく。それが自由」
わからん。ウリュウの自由観はさっぱりわからん。
が。真の自由を追い求めるウリュウの瞳は、乙女のように輝いている。
「じゃあ、兄さん。買い物に行ってくるけど、変なことばっかり言ってちゃ駄目だよ」
言って、チュナが出て行く。気を使われたのだろうか。
常に変なことを言っているかのような物言いに異論はあるが、まったく、よく出来た妹である。
「あとは若い者同士でご自由に、というやつかしら。フフフ」
ゆらり、と。ウリュウが一歩近付いてくる。
未だに得体の知れないところはあるし、時折妙な気を放つし。
掴み所のない奴ではあるんだが……だが。
足繁く通い詰められて、それなりに特別扱いで。ついでにまぁ見た目だけなら美女だ。
それなりに、思うところが無いわけでもない。
ウリュウの、鍛え抜かれて引き締まった腰を抱き寄せる。

62 :
「フフフ。発情したのかしら?」
そういう露骨で直截な表現は萎えるから止めていただきたい。
「萎えたの?」
言葉のあやだ、と言う代わりに唇を重ねる。
「ん……フフ、積極的ね」
その冷たい微笑が、欲望を駆り立てる。
手を腰からさらに下、マントの内側へ滑り込ませる。
「でも、ダメ。今日はそういう気分じゃないわ」
流れるような動きで手首を掴まれ、肘関節を極められる。
油断していたとは言え、相も変わらず隙がない。
いい気になって鼻の下を伸ばしていたら、後ろからばっさりやられてもおかしくない。
しかし、その気もないのに太ももむき出しはどうなのか。
「発情せずに、たまには胸を貸しなさい」
たまにしか顔を見せないくせに、と思いつつリクエスト通りに抱き締める。
細くしなやかで、鍛えている割にどこか柔らかい。
女体とは神秘だ。
「……あなたを、束縛したいわ」
俺の胸に顔を埋めたまま、ぽつりと呟く。
自由を見せろと刃物で強要してくるウリュウの言とは思えない。
「あなたの自由に魅入られたからこそ、あなたを私のものにしたい」
なんというし文句か。プロポーズと受け取ってもおかしくない。
そこまで言うなら、ホルムに住めばいいのに。
「そうはいかないわ。縛られるのは、自由じゃない」
毎度自由自由と言っているのは、自由であろうという意識に縛られている気もするが。
「……フフ。その発想は無かったわ」
言いながら、脇腹や頬を指先で撫でてくる。
「そう、そうね。束縛されるという選択をする。それもまた自由」
再び、腕を腰に回して強く密着してくる。
決して小さくない胸の感触がたまらない。これでおあずけは、生しだ。
「でも、今は」
とん、と手の平で胸を突いて一歩離れる。
黒髪とマントが鮮やかに翻る。
「私自身の自由を探す。無為にあなたの自由に溺れるのは、私の矜持が許さない」
ウリュウがしたいようにすればいい。それが自由だ。
ただ、こっちはいつでも受け入れる準備があることは覚えておいて欲しい。
「ええ。そうするのはあなたの自由よ」
また、可愛げのない言い方をする女だ。
「可愛げ? ……たとえば」
目を伏せ、何かを考えている。どうせろくなことじゃない。
「いつかあなたのお嫁さんにしてもらうから、待っててね」
ぶふー。
ウリュウらしからぬ笑顔と台詞に、口から何かが飛び出す。
何かはおそらくエクトプラズム。
「こういうのをお望み?」
……ウリュウはいつものウリュウでいて下さい。
「私は常に私でいる。誰にも枠をはめられず、ね。フフ」
涼やかな微笑。淡々とした口調。
やはり美人だと強く実感させられる。
「ん……ちゅ」
見惚れていたら、唇を奪われた。
ウリュウが相手だと、どうにも普段の勘が鈍る。
「浮気をするな、なんて言わないわ。私がいない間、何をしてもあなたの自由。
もちろん……浮気をしたあなたに、何をしても私の自由」
ウリュウさん。刃物をちらつかせてその台詞は脅迫です。

63 :
ウリュウグッドエンド的な何か編
>>17あたりで期待されている空気を感じたので、そのまま>>19で書いてみた
いい感じに15の人のヴァンルートとかぶるとは・・・シンクロ?アクセルシンクロ?
ウリュウのフリーダム感をもう少し出したかったのと、大分健全なお付き合いになってしまったのは反省点
あと、チュナと二股ルートに突っ込みたくなった兄さんはもう駄目だ

64 :
うひょお!
GJだぜ

65 :
GJっすー
確かに誰か書かないかと期待はしてたが、予想以上の破壊力だった
何か局所的に濃厚なウリュウスレと化してて素敵

66 :
>>63
GJ!ウリュウかわいいなw
チュナの器が何気にでかい

67 :
何だかんだ言って健全なのが良かった
フリーダムすぎるとヤンデレ一直線だろうし

68 :
ウリュウらしさと健全なハッピーエンドって両立するんだな
ウリュウでやろうって発想がまず斬新だわ

69 :
シスコンとしてはもっとチュナ流行れと思うんだが
原作の出番の無さと他キャラとの絡まなさが致命的なんだよなあ
パリス昏睡、チュナパーティインのifストーリーとかアリだろうか
わくわく冒険ランドとか言っちゃう純真な兄さんならいけると思うんだよ

70 :
チュナが石に
「チュナが、チュナがああ!!」
「待ってろよ!兄ちゃんが助けるからな!」
アイリが石に
「アイリが、アイリがああ!!」
「姉さんが、姉さんがああ!!」
パリスが石に
「なんだパリスか」
「パリスじゃあしょうがないな」
〜fin〜

71 :
ヴァン「これで二人きりだね、チュナ(ハァハァ)」
チュナ「ヴァン兄さん……?」
パリス(動けえええ俺の身体ああああ!!!)

72 :
ヴァンが石に
「時々埃はたいとけ」
「はい兄さん」
三兄弟が石に
大家「」

73 :
友人に紹介されて、1週間前にダウンロード、プレイ開始して、ようやく一週目クリアした。
やばいRuina面白い。
そして、パリスと顔1マナの妄想が膨らんで膨らんでたまらない。
チンピラと巫女見習いが幼馴染とか、兄貴分気取っちゃってるとことか、あぁもうたまらない。
マナが忘却界から帰還したところ、絶対人工呼吸してるだろパリス、とかたまらない。
出生の秘密を知って落ち込んだマナを、どうにかして慰めようとするパリスとか(ry
すまん、クリアしてテンションあがり過ぎておかしい
変態だ、自分
エロかきてー

74 :
>>73
なんでもいいから書き散らかしてここに投下すればいいと思うよ

75 :
「ごめん、待った?」
それほど待っていない。
厳密に時間を決めた待ち合わせじゃない。
そんなフォローは、若干動きにくそうに歩いてくるキレハの姿を見たら口から出てこなかった。
「……どこか変?」
絶句の意味を捉えかねたのか、少し不安げなキレハ。
その服装は、どう表現すればいいのだろう。
一枚の布を纏って、太い布の帯を腰に巻いて留めただけに見える、見たことのない装束。
袖口は大きく開いているのに、裾は足元まである上にかなり締まっていて脚の動きが限定されている。
一部には、以前キレハに着せたお色気衣装――クノイチの服と共通する意匠が見てとれる。
落ち着いた色合いに鮮やかな花柄が染め抜かれ、清楚な魅力を醸し出している。
全体的に肌の露出が殆ど無い中で、後頭部で髪を結っているためにさりげなく見える首筋の線が美しい。
まとめると……すごく、綺麗だ。
「そんな真っ直ぐ言われると照れる、けど……その。嬉しい」
少し目を逸らしながらはにかむ姿もまた、可愛らしい。
しかし、この服装の意味は何だろう。
「ユカタっていう異国の衣装――暑い時期の外出用の略装らしいわ。
ほら、あなたって珍しい服とか、好きでしょう?」
性癖、と言うと語弊があるが。
確かに着衣に関してのこだわりが強い自覚はある。
もちろん、何を着ても似合うキレハだからこそ、という点だけは譲れない。
「どうしてそういう照れる台詞を堂々と言えるのよ、もう」
キレハの照れる顔を見るためならば、多少の羞恥など踏み越える。
いつもと違う格好のキレハが頬を赤らめる姿を独占するためならば手段は選ばない。
「でも、その。うん。ちゃんと褒めてくれると着飾ってる甲斐があるわ。
あなたに見ていて欲しいし、綺麗だって思われたい。
……これが女心、なのかしらね」
……まあ、その。うん。真っ直ぐ言われると照れる。
同時に、愛されているという実感が胸の奥を温かくする。
「少し、歩きましょうか」
会話か、散歩か、食事か。恋人と言っても、することはそれくらいだ。
小さな歩幅で歩くキレハの手を取る。
からころと、キレハの履いている木製のサンダルが音を立てる。
大きな動きが出来ない分、淑やかで優美な印象。
揺れる髪の房が艶々と輝いている。
「髪? 結わないと帯に巻き込んだりして着るの大変だし……
下ろしていた方が、よかった?」
とんでもない。
キレハが見て欲しいと思っているのと同様、こちらもキレハのことを見ていたい。
いつものキレハも、いつもと違うキレハも。平等に独占したい。
「我侭なのね。あなたにしては珍しい」
珍しいだろうか。
キレハに対してはいつだって、好意に甘えて我を通してきた。
美味しい料理が食べたいとか。ホルムに残って欲しいとか。
「言われてみれば、そういう節もあるかしら」
迷惑、だっただろうか。
「……あのね。今更そんなことで悩まないで」
呆れた顔をされてしまった。
「嫌だったら嫌だとはっきり言うわ。甘えられるのは、決して嫌じゃないし。
あなた達のせいでホルムもすっかり居心地がよくなっちゃったし」

76 :
優しいな、キレハは。
「そう感じるのは、あなたが優しいからよ。
私みたいなのは、ただのお節介」
お節介でも、大きなお世話でも。
キレハの手で救われた人間が、少なくとも一人はここにいる。
それだけは、確かだ。
「そういうところが、優しいって言うの」
繋いだ手の指を絡め、腕に抱きつくように距離を詰めてくる。
布一枚を隔てただけのキレハの感触に、心臓が跳ねる。
嗚呼。この想いをどう表現すればいいのか。
愛されている実感以上に、キレハが愛しい。
「……だったら、もっと態度に出してちょうだい。
あなたはいつも甘い言葉で私をドキドキさせて、でもそこまで。
独占したいなら、独占してよ。私に魅力がないんだ、って思っちゃいそうよ」
……ついに、言われてしまった。
いつも口ばかりで、結局、怖いのだ。積極的な行動に出るのが。
言葉だけなら、下手なことを言ってもちょっと拗ねたり呆れたりするくらいで許してくれるだろう。
手を繋ぐ程度で嫌がられることはないだろう。
そうして甘えて、でもそこまで。自分に自信がないのだ。
それ以上近付いてもいいものか勝手に悩んで、立ち止まってしまう。
キレハの意思を無視して。
「自覚してるじゃないの。この、優柔不断。へたれ。
私は、いつでも受け入れる。もっと触れて欲しい。抱き締めて欲しい。
髪でも、唇でも、あなたの好きにしていいの。
……ここまで言わせないでよ、ばか」
立ち止まったキレハの視線が、心を射抜く。
馬鹿だ。本当にもう、馬鹿だ。
キレハには散々一人で抱え込むなと言っておきながらこの体たらく。
ここまで言わせてなお何もしないへたれでいるわけにはいかない。
キレハの名を呼び、繋いだ手を解いて抱き寄せる。
「……うん」
目を閉じたキレハの顔を改めて間近で眺めることになり、鼓動が高鳴る。
無意識に手が伸び、頬を撫でる。
……いいのか。いいんだよな。
緊張感とともに息を呑み、頬に手を添えたまま……唇を、重ねる。
「んっ」
柔らかい。
温かい。
キレハの鼻から抜ける吐息が色っぽい。
思考が上手く回らない。
息継ぎはどうすればいいんだ。
キレハはやっぱり美人だ。
こんなに、簡単なことだったのに。
……キレハ。
「っふぁ……やっと、ね。ずっと、待ってたんだから」
すまない。
ありがとう。
……大好きだ。
キレハの照れた笑顔に、飾り気のない言葉が口をついて出る。
「ええ。私も」
たおやかな微笑が、ユカタに映える。
「この際だから、はっきり言わせて貰うわ。
甘えてもいいの。辛かったり苦しかったりしたら支えてあげる。
その……えと、い、イチャイチャしたかったら、出来る限り応えるから。
だから、遠慮なんかしないで。恋人同士、でしょう?」
背中に、キレハの腕が回される。
翻る髪から漂うキレハの香りが鼻をくすぐる。
こういう、いわゆる色恋沙汰に疎いのはキレハも同じだろうに、積極的に距離を縮めようとしてくれている。
まったく、我ながら不甲斐ないとしか言いようがない。

77 :
出来る限り優しく、強く抱き締め返す。
独特の生地の肌触りと、キレハの身体の抱き心地がたまらない。
触れ合うことの充足感に、震えるほど満たされる。
もっとキレハに触れたい。キレハを感じたい。
今まで臆していた欲望が解放されていく、そんな感覚。
「好きに、して。こんな私でもすべてを受け入れてくれた、あなただから。
もっと、あなた自身をぶつけてきて。それで、あの……うぅ」
キレハの唇から紡がれる言葉が、段々と尻すぼみになっていく。
どうしたのだろうか、と問えば。
「……何だか、すごく恥ずかしいことを言ってないかしら」
今更、羞恥を自覚したらしい。
「やだ、もう。まともに顔、見られない」
言って、胸に顔を押し付けてくる。
包容力のあるキレハも魅力的だが、照れ屋なキレハもやはり可愛らしい。
衝動のままに、垣間見える首筋に口付ける。
「ひあっ!? な、なに?」
驚きで顔を上げるキレハ。
丸くなった瞳と、朱に染まった頬と、半開きの唇と。
絶妙な表情に、心中でときめきが吹き荒れる。
再び、唇を重ねる。
「んむっ」
触れるだけだった先ほどのキスよりも、少し強く。
押し付けるように。味わうように。貪るように。
「んん……」
キレハの見開かれた目が、徐々に潤んでいく。
至近距離で覗き込む瞳の色はとても深く、どこまでも惹きつけられる。
「……っはぁ」
離れると、どちらからともなく名残を惜しむような吐息が漏れる。
ふと、キスの時は目を閉じるのがマナーだという話を思い出したが、どうなのだろう。
「今の不意打ちで、そんな余裕なんてないわよ。
それに、どうせならあなたの顔を見ながらの方が……いえ。何でもないわ」
そこまで言っておいて何でもないは通用しない。
世間一般のマナーはともかく、顔を見ながらしたいという意見に異論はない。
キレハは知らないかも知れないが、照れたキレハはとても可愛いのだ。
「知らないわよ、もう」
またろくでもないことを言い出した、とばかりに呆れた顔をする。
それも表情だけで、腰に回された手は離れない。
その髪に触れようと手を浮かせ、しかし生来の気質が躊躇を生み、行き場を失った手が宙を彷徨う。
「好きにしていいって言ったでしょう。
時と場合を弁えてくれれば、触られたくらいで嫌がったりしないわよ。
……本当、しょうがない人」
優しさを湛えた瞳で、微苦笑を漏らす。
片手が、頬に伸びてくる。
「でもそれも、あなたなりの優しさなのかしら」
端整な顔が近付いてくる。
避ける理由も、余裕もありはしない。
「ちゅ……大好き、よ」
普段と違う格好で、普段と違う髪形で、普段より少し積極的で。
それもやはり、愛するキレハであることに変わりはない。

78 :
浴衣ポニハ(浴衣に合わせたポニーテールキレハのうなじが眩しすぎて結婚した、の略)編
たまにはちょっとへたれ気味の主人公が書きたいこともある
キレハの異国コスプレも、もう何着目ですかね
俺の場合、可愛い女の子とイチャイチャしたいってのが大前提なので、
時代背景とか世界観とかそういうアレに則ったアレは他の方にお任せします

79 :
>>78
ひゅー!
乙!

80 :
手を上げてください!おながいしますキレハさん!
違いますゆかたです!ゆかたで万歳してください!
>私みたいなのは、ただのお節介」 
>お節介でも、大きなお世話でも。 
          ↑
         この辺から犬を検出しました

81 :
いつもどおりの甘ったるさが疲れた心に沁みるぜ乙
色々着せるのもいいけど、自発的に着てきてくれるシチュも素敵だ

82 :
投下以外は大分寂れちったのう
雑談のネタにしても新しい燃料ないし

83 :
本スレは伸びてるけどねえ
雑談はほとんど向こうだし

84 :
あ、最近来たんだけど
投下メインで雑談しない感じなのかとなんとなく思ってた。
個人的にはテレ子さんの乳を揉んで叫ばれたい。
フランのスカートめくってお仕置きされたい。
キレハの靴を脱がして臭いを嗅ぎたい。
という方向性に進めたいんだが。

85 :
こやつ、レベルが高ぇ……(ごくり
漫画の乙嫁語りを読んだが、遊牧民の夫婦は夜はヤるんじゃなくても裸で暖め合って寝るのがデフォなんだろうか

86 :
フランはお仕置きなんてしないよ
エプロンドレスを軽く握りながら顔を真っ赤にして
「そんな子供みたいなことしなくても、どうしても見たいのでしたら、あたし……」
ってなるよ
でもこっちは思ったよりセクシーな下着とふともものガーターに挟んだクナイが気になってそれどころじゃないよ

87 :
モンゴルの人って異性との距離感が近いって本当ですかラバン先生
そのせいでなんかもてた気になって危ないとか言うのは本当ですか先生
離婚してからまた結婚が可能になるまでの期間が日本より短いって本当ですか先生
もしこれがどれかいっこでも本当でキレハの一族と少しでも似たところがあるなら
期待しちゃってもいいですか先生!!!どうか教えてくだしあエロイ爺
>>84
さあフランの家の羊になるんだ

88 :
>>87
元がパン(テント)暮らしの遊牧民なので個室やら男女の住み分けなんかねえ、男女混じって水浴びさ
妾上等なんだから二股三股かけて何が悪い
略奪婚が基本だったのに目の前にいる女を指くわえて見てるだけなんてやってられるか
だったっけ?

89 :

みんなー、今日は十五夜お月さまだよー
お空を見上げようねー

 鍵の書を読み解き、幽体となったアベリオンが月面に降り立つ。
月への来訪は初めてだが、そんな彼でも、どこか様子がおかしいことに気がついた。
妙な気配に囲まれている。
気? 違う。 敵意? 違う。
 例えて言うなら、
者の書を目の前にしたシーフォン。
生肉を目の前に差し出したエンダ。
そんな時の彼らが放つ気配・・・そう、
 獲物を狙う気配だ。
 アベリオンが結論を出すのを待っていたように、
気配が一斉に、アベリオンに向かってきた。
うさぎ達だ。
月にうさぎがいると言うのは本当だったのだ。
 食われる前にらねばならない。
杖で焦点を絞り、爆炎の投射をいつでも放てるように構える。
しかし、うさぎ達の様子は、やはりおかしい。
襲いかかってこようとせず、アベリオンの周囲をうろうろと回るばかり。
まるで品定めをしているかのように。

90 :

 集中を解くような真似はしないものの、思わず首を捻ってしまう。
 何がしたいのだろう、このうさぎ達は。
食べる気なのだろうか。ろくに筋肉も脂肪も無い身体を?
・・・だから食べるかどうか迷っているのか。
 ようやく合点がいった。燃やそう。
 アベリオンが術を解き放つより早く、声が掛けられた。
「待ってください」
 澄んだ女性の声だ。
声の主を探し、油断なく周囲に紅い目を走らせる。
しかし、その声の主らしき人物は見えない。
・・・が、声は続いた。
「うさぎ達が失礼しました。どうぞ宮殿へお越しください」
 声が聞こえる・・・ような気がする方へ目を向けると、
地平線の彼方に、小さく建造物が見えた。
どうやらあれが「宮殿」らしい。
 ふわりと浮かび、アベリオンは宮殿へ向かってみることにした。

91 :

 宮殿に着いたアベリオンを出迎えたのは、
どこかで逢ったことがあるような気がする女性だった。
「・・・そんなことはない、初対面、初対面・・・」
 月の精と名乗る彼女は、星の門への挑戦者として、アベリオンを歓迎してくれた。
これから彼が何をするべきなのか、どこへ行くべきなのか、丁寧に語ってもくれた。
・・・が、その彼を見る目がおかしい。
上から下まで、まるで舐めまわすように見ている。
幽体とはいえ、いや幽体だからこそ、奥底まで見透かしているかのようだ。
先程のうさぎ達といい、目の前の月の精といい、この月に住む者たちは何かおかしい。
 疑問をぶつけてみると、あっさり答えが返ってきた。
「今日は満月ですから。発情期なのです、うさぎも、私も」
 挨拶と礼もそこそこに、即座に身を翻そうとするアベリオンの腕を、
月の精が掴んだ。
どことなくにやにやとした笑顔を浮かべて。 


もうだめだ、ちからつきた。14。
パリス×顔1マナを書こうと思ったのに、なんでこうなった

92 :
一瞬どっかの月の女神モノリスとのコラボかと思ってしまった
もっかい星幽界に旅立ってくる

93 :
乙!
ルギルダさん(仮)ったら嫌らしいんだから…!
>>87
剃毛プレイか…
ちょっと全裸で石鹸と剃刀用意してくる

94 :
>>91
諦めんなよ! 頑張れよ!
それはそれとしてルギr月の精は可愛いが怖い

eraRuina的に思うんだが、ふたなり化して一番面白そうなのは誰だろうか

95 :
これも後遺症なのかしら、いやまさかそんなはずは…と悩んで悶々とするキレハかわいいよキレハ

96 :
こんなに人口密度が高いの久しぶりでどんどんぱふぱふー
流れに竿もささずに装備品考察とフラグ処理で>>43-52続き
5500くらい、お手数ですが各位とりあぼん等ご協力ください
>>94
兄貴とか猛然と一人ツッコミして落ち込みそう、そして禿そう

97 :
魔術師たちからどよめきがあがる、突然制御を失ったソムニウムは見る見る分裂し膨張し、あっという
間に天井いっぱいになったかと思うと一斉に墜落した。がりがり内壁を削って妖術師たちの隊列へ突
っ込み、支柱ごと結晶へ取り込んでしまう粉々になった結晶片も狂ったように増殖し、辺り一面が菫色
の洪水に呑まれていく、異変に浮き足立った火車騎士団は主将を見出せず、及び腰になっていった。
「なにがどうなってるんでしょう!?」
「うるせー知るか!とっとと逃げろ!!」
圧倒的な魔力の供給源が直接乗り込んできたのを感じる!恐怖に駆られた魔術師たちは狭い通路に
到して将棋倒しになった、騎士などより知識がある分かえって恐慌状態だ、我先に逃れようと互いを
攻撃しあい、無残にも通路そのものを崩落させて無数の断末魔が上がった。腰を抜かし呆然とする者
たちもそのままの姿で水晶に消えていく。滑稽なまでの無常、まるで地獄だ、洞窟全体が異様に軋み、
不吉な轟音が断続的に聞こえてくる。最早この岩窟自体長くは持たなさそうだが、どの通路も程度の差
こそあれ不通に近い。金属の骨格を張り巡らせた搬出路さえ、鉄箱を食い破った石人の種で溢れ返って
いる、脱出を試み飛び込んだ者も食い尽くしてしまった。そして、さざなみの様に伝わってくる。形容しが
たい何かが、垂れ込めた雨雲の向こうへ姿を現していることが――。
「うああ、誰もいなくなってしまいましたあ!ヴァーンさあん!テーオルうー!ひやあっ!」
水晶塊の直撃をうけた結晶柱を危うくかわした、そこここでガラガラと大きな破片が転がり落ちてくる、
次々降り注ぐソムニウムから逃げ回り、横倒しになった石の子供たちの隙間へ滑り込んだ直後、追い
かけてきた塊がどーんと当たって頭上を飛び越えて行ったようだ、まだ胸がどきどきしている。必に
呼吸を整え平静を装ってみるが、空中は粉末状になった欠片がキラキラと輝いている、こんなものを吸
い込んで大丈夫なのだろうか。汗を拭おうとして自分が棒切れを持っていることにびっくりする。石の
下へ逃げ込んだ時にやってしまったのか、可哀想な騎士槍は若木の杖になってしまった。……有態に
言えば、丈からして杖ですらない。
「せっかくヴァンさんに作ってもらったのに……。いや、落ち込んでいる場合じゃないですよ、早く皆を
連れて退却しなくちゃ」
隙間から這い出し菫色の岩を伝って移動する。突き上げるような地響きに何度も体が浮く、振り返った
先で自分が逃げ込んだ空間がぐちゃっと潰れてなくなった。あんな不安定なところに入っていたなんて
馬鹿じゃないのか。本当にどうして自分はこう鈍いのか、もっと早く気づけば違っていただろうことが山の
ように思い浮かんでくる。誰か仲間がいてくれれば違うかもしれない、けれど戦っている間に電撃を食っ
て次から次に吹き飛ばされていった、逃げ回っているうちにパリスともはぐれてしまって結局一人取り
残されてしまった。なんで僕はこんなに丈夫なんだろう?従兄弟はいないし、仲間はいないし、血は止ま
らないし、出口まで判らなくなってしまった。やけっぱちで歩みを進めていくと、やっと人の形を見つける。
ナザリ時代から親しかった騎士だ!名前を叫び駆け出した。けれど様子がおかしい……。すでに蝋人
形のように石化し、ゆっくりと取り込まれていくところだった。助けてやりたいのに、何をすればいいのか
見当もつかない。
「……どうしましょう。薬も無くなってしまいましたね。といって全然お料理している場合じゃないです」
結晶の破片を浴びたので、ささくれた斬り口からじくじく血がながれ続けてうまく止血できない。既に
半身がぐっしょり濡れている、息切れを起こしてよりかかった水晶柱が自分の血で真っ赤になった。
傷をかばおうと身をよじったが、思うように動けずふてくされる。魔術師にやられ肘から先は手甲ごと
盾に凍りついてしまったので、自由に使えないのだ。おまけに酷い痛みと眩暈で今にも腰が抜けて
しまいそうだ。足も固まったままなので、よたよたとしか進めないがとてもじっとしていられない。千鳥
足でふらついていたが、ふと顔を上げる。

98 :
「なんだかおかしいですね……。石ころが降ってきませんよ?」
兜を上げて見回してみた。静まり返っている……叫び声も聞こえないし、第一結晶たちの増殖速度が
かなり鈍っている。飽和したのだろうか?内奥で何かが鳴動している気配を除いて、動くものはない。
慎重に脚立らしき塊をよじ登って、結晶の上に顔を出してみる。
「うわあ。いよいよ、どこがどこだか分かりません……」
大広間は菫色の鍾乳洞のように様変わりしていた。すえつけられた石たちは背丈を遥かに越える高さ
に成長し、上の通路から侵入してきたソムニウムも壁や天井を伝って結晶を形成し、新しく取り込んだ
生贄を動力に淡い光を放っていた。もっと見通しの利く位置へ移動したいのだが、船が揺れているみた
いでなんだか気持ちが悪い。どうやら殆ど分からないほどではあるが、洞窟全体が微震しているらしい。
不規則に明滅していた結晶体たちは、いつの間にか協調したリズムを刻み始めていた。回らなくなった
頭の騎士は、耳に途切れ途切れの言葉を拾い始める。……それは幼子らが唱和する呪い歌だった。
「テオル……」
これが、あなたが望んだ事だったのですか。何がしたかったんですか?どうしてこうなったんですか?
問いたい事は山程あるのに最早問えない。なんで僕が仲間はずれなんですか!?あの時口をついた
けれど答えなんか聞かなくても分かっている、ヴァンもテオルも同じように答えるだろう、お前を巻き込
みたくなかったからだと。運命は、交喙のように食い違ってしまっていた……。
『……そやつはな、この傷を見て、どうやって飯を食っていたのかと問うたのだぞ?』
身振り手振りを交えて語るテオルは、とても楽しげだった。
『こんな怪我をさせられて治るまでの間、どう過ごしたのかとな。その様な男は初めてだ、何故とは問
われても、傷を労わられるとは思いもよらぬことだった。幼き者への仕打ちに酷く悲憤を起こしてな。
フフフ、己のために随分と腹を立ててくれたのだ。それもこの身を公子と知ってではない、ただの……』
そこで堪りかねた様に吹き出し、腹を抱えて笑いだした。
『ただの哀れな、ヒゲのもじゃもじゃなオッサンとやらの為だけに、なのだ』
『え?モジャモジャのおっさんですって?本当にそういったんですか?』
『ハハハハ、そうなのだ。己は公子にしては老けすぎだそうだよ』
『な、なんなんですかそれは』
もっぱら若々しいと評判の男を捕まえて、ヒゲオヤジ呼ばわりしたものらしいが、公子は笑い転げている。
『卿が出入りを許しているのも頷ける。あれは一人いるだけで退屈せぬぞ。王統を継ぐものの矜持を示し
たと言っても納得せぬのだ。実に愉快な男でな、時折顔を見せるのだが、誰が公子か伯爵かなど斯程
も気にせんのだ。いかつい傭兵どもにまで懐いている。肝が据わっているよ』
『珍しいですねー。貴方がそんなに褒めるだなんて』
『なに、褒める時は褒めるぞ。己はあやつが気に入ったのだ。退屈な行幸になると思っていたが、ホル
ムへ入って早々大変な拾い物をしたな。いっそ小姓にとって都へ連れ帰りたいくらいだ、このままこの
町に置いていたのでは、たちまち身を持ち崩してしまうだろう。……現に、脱法すれすれの怪しげな商
会に出入りしているようだからな』
ため息をつき、城館の窓からホルムの町並みを見下ろした。鄙びた田舎町を囲む城壁の向こうでは、
作付けの遅れた小麦畑が広がっている。妹のため危険をおして探索に加わったと言う少年は、果たし
てテオルの心も掴んでいたようだった。火車騎士の面々を見れば、不遇を託ちつつもなお前を向く若
者を好んで援助しようという公子の性向は分かるだろう。ヴァンの場合はあまりに身分が低すぎる為、
最初にとったのは都育ちの従兄弟に、土地に明るい供として推挙すると言う手段だった。すでにしば
しば同行させていると聞くや大変喜び、考古物収集を口実にもっと参内させるよう命じて……。あの頃
はまだ、好事家が新しいおもちゃを見つけた程度のものかと思っていた。
今なら、分かる気がする。どうしても自分やテオルのような立場では、身分の高さが邪魔をして懐に飛
び込んでくるような者は滅多に現れない、結局地位目当てか、権力に逆らう事を恐れた者ばかりなのだ。
その事は公子の若い頃の荒れようの一端であったろうし、今日の孤独な立場にも繋がっていたに違い
ない。自分も、料理が上手いという以上の特徴を認識してこない少年の存在がなければ、友と言うもの
を誤って認識したままだったろう。そう、今なら判るのだ。公子とあろう者が、どうしてがらくた集めなんか
に凝っていたのかも……。

99 :
『随分と増えましたねー。今度は食器ですか……。やっぱりこれもヴァンさんが持ってきたんですか?』
『判るか。あやつは己の好みをよく知っているな。褒賞を弾んでやったら、ホイホイ出すなと叱られたよ』
『ああ見えて細かいですからね。こういうものの相場にも詳しいんです』
『だろうな。ピンガーの奴め、随分と買い叩いても平然としているから、価値を知らぬものかと思っていた
が、どうしてどうして。売って良いもの悪いもの、売る店買う店と巧みに分けているのだ。仔細を聞けば、
かつて命を救われた恩義があるのだそうな』
『そういえば言ってましたね、食べるものにも困っていた時に仕事をくれたとか』
想像もつかない世界だ。路頭に迷った子供、仕事をあてがう大人、それも後ろ暗くいかがわしいものな
のだ。ひょっとすれば危険な目にあったり、命を落とす事もあるのではないか。彼らだけで一体どのよう
にして生きてきたのだろう。暗澹たる気持ちに胸が締め付けられるようだ。
『今の時勢に珍しく義理堅い男よ。聞かされた時はつい哀れに思って色をつけたが、それが判ったのだ
ろうな。機嫌を損ねてしまった』
『探索者は誇り高いですからね。……ところでテオル、知っていますか?近頃、僕はヴァンさんと一緒
にお料理しているんですよ。僕を先生って呼んでくれて』
『ほう、お前が先生か』
『いいでしょう!自慢の弟子なんですよ!といって、教えるというほどのことなんて何も出来ませんけど、
一緒に料理していて楽しいんです。腕もメキメキ上達していますよ、今までやっていなかったのが勿体
ないくらいです。料理に限らず、探索に必要になったことをいろいろと勉強しているみたいですが、覚え
が早い、もっと早く始めていればって、皆さん口を揃えたように言うんですよ。きっと、今までそういう機
会がなかったのでしょうし、今からだって遅すぎるということはないのでしょうが、もったいないですね』
先生の教え方がいいと言っているが、読み書きや鍛冶をほんの数週間数ヶ月でものにできるだろうか?
何か素質が違うのだと思う。それでどうしてあんなあばら家で食うや食わずの生活をしていたのだろう。

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